2010年10月11日

すこし遅くなったが、氷河期世代ユニオン主催の「考えよう、若者の雇用と未来 −働くことと、生きること−」のイベントに参加してきた。

イベント参加者の写真

 ちょうど先日、韓国に入国できず強制送還になった「素人の乱」の松本哉さんがいらっしゃったので、「強制送還おめでとうございます」と挨拶すると、「みんなが、おめでとうございますと言ってくる」と笑っていた。

 第一部は、氷河期世代が見聞きしたことの話。
 第二部が、現在の就活世代の話。
 第三部が、広い世代を揃えた、世代横断的な話。

 一部と三部は自分も出ているので、二部に対する感想を少々。
 最近は、一度社会に出ても転職をするというのは当たり前になりつつあるが、それまでの世代にとっての就職活動というのは、一生に一回、学校を卒業する時だけに行うことだった。
 そうした時代に就職活動を行った人たちの大半は、経済成長著しい、緩やかな売り手市場の中で就職活動を行ったために、就職活動に楽なイメージを持ったままである。
 彼らは、今の就職活動に苦しむ学生たちを、良くても「苦しむのは良い経験」くらいにしか見ていない。
 しかし現実は、新卒カードを用いることができる最初の一歩の正否が、今後の人生にクリティカルに関わってくるのであり、就活失敗への恐怖は、人生そのものを失いかねない、死の恐怖に等しいのである。それはどこかの都知事が言うような「教育のための徴兵制」のような、人を人とも思わない、恥ずべき言説である。
 大学生たちは勉学や部活などを行う余裕もなく、1年生のころから就職活動の準備を進めている。今や、大学での勉学はおまけであり、本質は選抜制ハローワークに過ぎない。
 「就活」という言葉は、決して大学生が就職活動をしていることそのものを表す言葉ではなく、ハローワーク化した大学や、リクナビなどの就職サイトを含めた就職産業と、それを利用して学生の人生を選抜のために一方的に利用する会社、それらとの大学生たちの関わり。その体系を指した言葉なのではないか。
 だから「就活くたばれ!」というスローガンはストライクだなー。などということを、二部を見聞きしながら思った。

 自分の発言としては、人数が多く、言いたいことを全部しゃべることは不可能と判断したので、第三部の最初に、話したいことの要点は先に話してしまった。
 発言の要旨は、
「もう、自分は35歳であり、オッサンである」
「オッサンをいつまでも若者扱いする社会はおかしい」
「オッサンにはオッサンにふさわしい社会的役割が存在するはずであり、それを与えるのが社会の役割だ」
 ということ。もし会場で違うふうに聞こえてたらゴメン。

 こうした考え方を「クレクレだ」と批判することは簡単だけど、それは社会が持つ「承認」という重大な機能からの逃避であり、「社会責任」の放棄といえる。
 今回はさまざまな人が登壇したわけだが、その中の誰一人として、社会の中での自らの役割を希求していない人はいなかった。
 友人であった大友さんの言葉を通して聞いた、秋葉原通り魔事件を引き起こした加藤智大だって、労働という形での承認を希求していた。
 だが、労働という承認の形は、もはや日本人のすべてに承認を与えることは不可能である。なぜならば、労働の形は多種多様であるのに関わらず、今の日本では正社員という、「生活を営めるだけの給料を得られる賃労働」にしか、承認を与えていないからである。
 では、右肩上がりの経済成長の時代には、そんな承認が十分であったかといえば、実は人口の半数にしかそうした承認は与えられていなかった。すなわち、男性のみがその承認を得て、女性を自らの承認(家族)のために囲い込んでいたというのが、かつての日本社会の現実であった。
 それが女性が社会進出をするに従い、また、不況になるに従い、承認を得られず、かつ承認された誰かに養われることもできない人達が増えてきたのが、現状であろう。

 だから私は、社会に対して、昔ながらの家族概念である「家庭を持つ」「子供を育てる」という役割を要求する。
 それは、私が実際に家庭を持ち、子供を育てるような役割を得たいと考えているのが1つ。
 そしてもう1つが、社会的役割を明確に希求することにより、いいかげんオッサンをモラトリアムのように扱っていいという社会的風潮に、異議を申し立てたいということ。
 オッサンが家族も持てず、子供を育てることができないのは、彼らが自ら、家庭を持たず、子供を育てなくてもいいと選択しているのではない。
 就職氷河期世代は、フリーターであることも、薄給であることも、苦しいことも、承認をえられないことも、何一つ選択させていない。就職氷河期世代にそういう人生を歩ませているのは、社会そのもの、そしてそうした社会に暮らし、他人を蹴落としながら、安穏としている人達なのである。



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