2009年03月

2009年03月26日

新刊発売中。よろしくお願いいたします。

WBC、日本優勝オメ。
 見てたけど、本当にドラマチックな試合展開で、面白かったですね。
 まぁTBSが盛んに「日本!日本!!」を連呼していて、「世界の中で自信を失った日本に力を与えてくれました」みたいなことを言って、すごくウヨ厨っぽかった(笑)。いや、野球で勝ったとしても、それで社会的に日本が世界に云々とかないから。社会的に世界から尊敬されたかったら、もっと足元のことからやってください。
 野球で感動するのはいいけど、そうした感動で日本社会のダメさがチャラになると思ったら、大間違いだ。
 まぁ、TBSのウヨ厨っぽさは、日本が勝ったことを大げさに喜ばないと、毎日のようにやられるという恐怖感があったのかもしれません。
 あとなんか、優勝直後に株価とかも上がっていて、ああ、神の見えざる手なんて嘘だなと(笑)。経済は効率的な部分のみで推移するはずもなく、そのときの雰囲気や空気で確たる根拠もなしに推移するのだと、「株屋」連中は覚えておくように。
 まぁ、その根拠なしに(つか、商品構成があまりに複雑すぎて、根拠のチェックなんてしようがなかった)金融価値があると信じられていたサブプライムローンを含んだ金融商品の無価値さが露呈して破綻したからこそ、今の状況があるわけなんで。

確定申告してきました。もちろん、16日には間に合ってますよ。
 確定申告をするということは、去年1年間の自分の所得を客観的に眺めることになるわけですが、申告書を眺めていて、こうしていろんなことをやっても、儲けとしてはこの程度であって、人並みの生活になるには、なかなか大変だなー。と思ったりしています。

 で、そんな一般人並にすら儲かっていない状況であるにも関わらず、ちょっとマスメディアに顔がでるようになると、さも大もうけしているかのように勘違いする人が出てくるわけで、ネットなんかだと「赤木は裕福になった」なんてことを言っている人もいるみたいね。
 でも実態として、確かにフリーター時代よりは収入は増えたけど、それは私個人の努力の成果であり、至極当然の話です。私は至るところで「フリーターの努力が、社会的な上昇に繋がるべき。今はフリーターがいくら個人的に努力をしても上昇できない」と言っているのですから、発言と現状のブレはありません。
 そしてもう一ついうなら、「フリーター時代よりは収入は増えたけど、普通のサラリーマンに比べれば、収入は低いし、安定性なんて皆無だよ」です。
 確定申告を出すので、課税所得を計算したら、ほとんど5%の枠内に収まりました。追加で納税しなければならないほどの収入なんて、夢のまた夢ですね。30代男性の平均所得をググったら400万とか450万らしいですが、そんな夢のような金額に比べれば、自分の所得なんて全然です。

 自分の収入の話ばっかりをしても寂しくなるだけなので、もう少し大きな枠で話をしますね。
 貧困問題を語る上で問題にされがちなのが「当事者性」というヤツです。
 フリーターがフリーターを語る、貧乏人が貧乏人を語る、という場合、当事者そのものが自身の問題について語っているわけです。
 ところが、正社員がフリーターを語ったり、富裕層が貧乏人を語る時に、意識のズレが問題になってくる。だから当事者性が大事だ。というのは分かるのです。
 しかし、「赤木は裕福になった」みたいなことを言っている人たちって、なんか「貧乏人のことを語るならば、貧乏人でなければならない」ということを考えているみたいですね。じゃあ、彼らが貧困問題を語る学者に対してそういっているのを聞いたことがないので、どうも「貧困問題を論じる人間が、それを通して有名になったり裕福になっていくのが気に入らない」らしいです。
 日比谷派遣村の村長をやって、これまで以上に有名になった湯浅さんに対しても、同じような批判をする人がいるみたいです。「湯浅は貧困ビジネスをやっている」なんていう書き込みも見たことがあります。湯浅さんが儲けちゃいけないのであれば、誰もが貧困問題で一銭も貰ってはいけないことになりますね。
 すると、そういう連中が貧困を語って儲けることに対して問題にしているのは、本当は当事者性ではなくて「流動性」と考えるべきです。つまり、貧困問題によって変化が起こること自体が気に入らない。それはつまり「貧困問題を貧困問題のまま留め置こう」とする考え方です。貧困問題を解決するよりも、それを酒の肴にする考え方です。
 それが当事者性と混同されてしまうのは「貧困を語る人間が貧困から普通の生活に流動することを阻むこと」が、さも当事者性の保持であるかのように見えるからですね。

 けれども、そういう考え方は不毛ですね。
 貧困問題を語るためには、裕福になってはいけないなんて、馬鹿馬鹿しい考え方ですし、無意味です。
 貧困問題を語るのは、貧困問題を解決するためであって、それで儲ける人がいようがなんだろうが、貧困問題が解決に向うことが重要なのです。逆に、貧困問題の解決を目指さない貧困談義は、それで儲けがでようが、善意のボランティアであろうが、意味がありません。
 私は私がそれなりの生活ができるようになってよかったと考えているし、他の人たちにも自分ぐらいの生活はできるようになって欲しいと思っています。もちろん自分の場合は例外ですし「本を書く」というのは飛び道具みたいなものですから、私は多くの人がいつでも低いリスクで、オンザジョブでの職業訓練(といっても、農業や介護という「ちぎれたハシゴ」を弱者に登らせる労働政策は否定しますが)の機会を得て、いつでも生活向上の機会を得られるような流動性を、社会に対して要求していきます。

 貧困問題に限らず、「現状を変えてはならない」という考え方は、それこそ風呂場のカビ菌のように深く根を張っています。しかし、経済状況がもはや右肩上がりの経済成長を望めない以上は、社会システムも当然変えなければなりません。

 あー、最後の方が雑だ。



(08:14)

2009年03月18日

自分が出演するイベントなどではちょくちょく話をしていたのですが、いよいよ今週末ぐらいに、新刊『「当たり前」をひっぱたく』が河出書房新社から発売になります。
 これが、出来立てほやほやの本ですよー。

本表紙


 内容としては、ライブドアニュースの「眼光紙背」で連載しているものを中心に、これまでさまざまな媒体で書いてきた文章をまとめた一冊です。
 ちなみにメインの「眼光紙背」での時事評論については、オリジナルを残しつつ、最後に追記を加えて、同じ問題をまた別の視点で論じています。

 この一冊は、私にとってはこれまでの赤木智弘のまとめとなるとともに、私の新しい活動のスタートとなる、節目の一冊でもあります。
 今後、いくつかお知らせできることがありますが、そのスタートとして、この単行本の発売をお知らせいたします。
 今後とも、よろしくお願いいたします。

 また、前作『若者を見殺しにする国』も好評発売中です。
 こちらも、引き続きよろしくお願いいたします。



(04:12)

2009年03月08日

今週は忙しかったの一週間。
 まぁ、ぶっちゃけ、まだ忙しい最中ですが。

 火曜日は、さいたま市周辺で、でホームレスなどの生活支援を行っているNPO「ほっとポット」代表、藤田さんの講演に行ってきました。

 ホームレスをホームレス生活から脱出できるようにするためには、単に生活保護を与えて、アパートに押し込むだけではダメで、長年の路上生活で失われた一般生活上の常識を身に付けさせ、患った精神障害などをケアをしていく必要があります。
 逆に言えば、人をホームレスにしてしまえば、社会復帰のために多大なコストがかかることになります。だからこそ、ホームレスを産まないようなちゃんとした社会福祉が必要になるのです。
 そして、そうした福祉の実行に、多くの人たちの手を借りながら、けっして民間だけですべてを行うのではなく、行政に対しても協力し合うことを惜しまないことが必要です。
 ホームレスの人たちも、希望する生活がある。彼らが何を希望しているかは、半年や1年間、さらにはそれ以上の期間、信頼関係を作って始めて聞き出すことができる。

 まとめるのは大変なので、以下講演中にとったメモ書き。
 基本的に聞いた物の箇条書きだけど、()の中については自分が付け足した物。
 「だいたい、こういう趣旨のことを言ってたよ」というメモであって、藤田さんが、この言葉通りに発言されたということではないので、念のため。

----ここからメモ書き----
・ほっとポットの活動について
 10代から80代まで、男女問わず年間400人、8割が家がない人
 ホームレス支援からスタート。
 20の頃にホームレスの人に自転車でぶつかったのをきっかけに、話が始まった。
 元、銀行の支店長(ホームレス)
 銀行の支店長でもホームレスになる(ふかしの可能性もあるけど?)
 銀行が忙しく、過労気味。鬱病を発症。家族が支えきれず退職。再就職見つからず。アルコール依存を併発。家族離散。
 退職金を元家族に渡す。生活が困窮。しかし、助けを求める場所分からず、消費者金融へ。返済できず。
 取り立てから逃れてホームレスへ。
 なぜ、社会保障や生活保護が機能しなかったのか?

 いろいろな人がいろいろな背景をもって、新宿中央公園に集まっている。
 「内戦状態ではないか」
 ホームレス支援=炊き出しのイメージ。
 食事をしても、路上で寝るしかない。路上生活をどうにかしよう。

 ホームレスは精神疾患を負いがち。アルコール依存←酒好き、怠け者の偏見。
 ギャンブル依存←怠け者。生活費を使ってしまう。生活保護費がギャンブルに消えてしまう。
 怠け者扱いではなく、精神疾患に対する支援をするべき。
 各種、傷害を抱えている人が多い。

 さいたま市で2004年に活動を始める。大学院に進学。社会福祉政策の研究←ホームレス自立支援の研究。
 始めた当初は、話を聞いてくれる人がいなかった。
 ボランティアで河川敷を回る。
 多重債務を負っている人も多いので、弁護士さんと一緒に回る。
 自己破産や債務整理の情報なく、ホームレスになる。
 60代の男性が、肝臓ガンを患いながら、20代の精神障害者を養っていた。
 住所不定だと、検査もちゃんとしてもらえない。福祉事務所が間に入ると、検査してもらえる。

 新宿の動く歩道→ホームレスの追い出し。
 行政は、出て行けというだけ。問題をたらい回しにしている。

 犬などを飼っている人には、動物が飼えるアパートを探した。
 廃車の中などにも住んでいる。

 ホームレスから抜け出すことは、ほとんど出来ない
 生活保護制度を使うしかない。
 転居費用、家具什器費などなどが出る。
 さいたま市では13〜14万円。

 不動産屋さんがまずは壁
 生活保護がでれば家を貸すという不動産屋に巡り合うまでが大変。
 アパートに入れても、生活スタイルが身に付いておらず、酒やギャンブルにお金を費やし、追い出されてしまう。
 多重債務者には取り立てがくる。
 弁護士に相談する敷居は高いように見えてしまう。法テラスなどの活用。
 アパートに入れば、介護保険など、いろいろなサービスにアクセスできる。障害年金や、それまで受給できなかった年金などが入ってくる。

 長年のホームレス生活で、生活様式が分からなくなっている(回覧板を捨ててしまうなど)
 自立が難しい人に24時間365日のサポートが必要。地域生活サポートホーム。
 会社の寮は仕事が出来ないと、追いだされてしまう。
 少女だと妊娠なども。

 一人暮らしが難しい。
 民生委員などとの連携。
 社会福祉施設はいろいろあるが。開きがなかったり、障害者を受け入れてくれる施設がない。
 障害者用施設は重い人が優先的で、軽い人は入れない。
 精神障害と知的障害の合併などにも対応できない。
 縦割りで専門分化されてしまい、融通が利かない。意外と施設があるようで、ない。

 サポートホームは、築3,40年の空き家が多い(団塊世代の住宅ラッシュ)
 孤独な人が多く、さびしがり屋。ここにいても大丈夫。
 社会に居場所がなく、疎外感を感じている。人と距離をとるので、困った時に孤立する。

 夫婦や家族、母子のホームレスもいる。
 燃えるゴミ、燃えないゴミの選別など(難しい)
 サポートホームを出た後に生活できるためのサポート。1年を目処にアパートでの生活を目指す。

 ホームレスといっても多様である。
 スリや窃盗、刑務所に入りたくて犯罪。刑務所もなかなか入れない。
 飯が食えない、仕事がないから、刑務所に入りたいと言う。→生活保護しかない。
 生活保護=弱い人が受けるもの。稼働年齢層(現役世代)の男女は生活保護から排除してきた。「若いから働けるだろう。生活に困らないだろう」

 アルコール依存と、知的障害、精神障害などが結びついてしまう。
 お金の管理ができない人のためのお金の管理をする団体。社会福祉協議会の安心サービス。成年後見制度の活用など。
 生活保護の範疇で、出産などの制度もある。
 生活保護には無差別平等の原則がある。年齢、理由問わず、誰でも生活保護が受けられる。
 生活保護を告知しない日本。教育の中で教えてない。

 生活保護に対する批判。働け。
 生活保護支援に対する抵抗感。スティグマ。抵抗を和らげる説得から始まる。取りあえず病気を治す期間とか、仕事を得る期間だけ、生活保護を受けましょうなど、抵抗を和らげる。

 周辺住民の理解があるか?
 民生委員が仲介してくれると、地域住民の説得がしやすい。
 犯罪や地価の低下という懸念から反対が起きるが、そうしたデータはない。
 ホームレスをたくさんアパートに入れてると、大きな票数になる。地元議員との繋がりが出来る。政治側の取り組みに期待できる。

 仕事。安い仕事が多い。ポスティング、内職。単純作業。ある意味でリハビリ。
 月1の食事会など。社会性。

 頼れる人がいなくて、生活に困った人が多い。
 いかに、関係性を作れるか。

 多くの機関と、多くの人たちによって、ひとりの人が支えられている。
 保護する側が、ひとりで抱え込みがち。責任を分散する。
 地域に投げる、行政に投げる。全体でひとりを守っていく。

 ホームレスそれぞれに、違った希望がある。
 丁寧に聞き取りをすると、いろいろなニーズが見えてくる。
 本当に希望している生活はなんなのかが分かると、支援の方向性が見えてくる。
 初回の聞き取りでは、本音は語らない。嘘もつく。しかし、最初に逢った人を信用するはずもない。
 「実は」が、半年、1年後に出てくる。信頼関係を築くことが必要。
 常に笑顔を絶やさないなど、ありきたりでも大切な取り組みが必要。

 80人以上、地域や専門家との連携を前提に支えていく
 行政から補助金をもらうと、モノが言えなくなってしまう。
 寮費、会費、寄付、スポンサー。情報発信をして寄付を募って活動している。自由に活動するためのリスク。
 家があっても、処分価値がなければ、住みながら生活保護が受けられる。リバースモーゲージなども。ローンがなければ、だいたい受けられる。
 ケースワーカーの裁量が大きい。
 扶養義務が3親等まである。連絡を取って危険がない場合は、手紙が送られる。
 意外と地域には、いろいろな福祉が存在する。
 若い人が集まれるNPO、自助グループ、増えてきている。

 生活保護、分離論。生活保護認定を民間に。
 一般事務の公務員では限界。専門家が関わる必要がある。
 しかし、民間への丸投げでは、公的責任を損じる。
 どちらかではなく、共同していくことが必要。
 生業扶助。職業訓練や学校にかかる扶助などもある。収入を上げるための長期的なビジョン
 生活保護から脱却する糸口がない。低賃金労働者の再生産。
----ここまで----



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