2009年01月02日

はい、というわけで、今年もよろしくお願いいたします。

 さて、年始から重っ苦しい話題を。
 はい、この記事ちゅうもーく!!
「働かない中高年リッチ解雇せよ 「正社員」保護しすぎ論が台頭」
 まぁ、この記事自体に対しては、編者が恣意的すぎますね。
 そんなに世の中には「あきらかに遊んでいる中高年」なんてほとんどいないわけで、城繁幸の「職務給」の考え方を、池田信夫の「ゴルフで遊んでいる中高年(苦笑)」などというくだらない妄想で上書きしてしまうことに、編者の悪意を感じます。

 私としては、問題は「働かない人間」よりも「働く無能な人間」だと思っています。
 無能な人間が「正社員として働いている」という状況によって、有能な人間であるかのように社会に受け入れられ厚遇を受ける。それが今の格差の源泉なのです。
 それに対して、もう少し厳密な査定を加えようとするのが城さんの「職務給」の考え方なのだと、私は理解しています。
 じゃあ、職務で十分な給料を得られない無能な人々はどうすればいいのかといえば、低賃金労働に従事しながら、「国の」福祉によって生活できればいいのです。
 そして、有能な人間が、社会で活躍するために、有能な人々は福祉のために多額の税金を払って、無能な人々に「会社という仕事の場」から退場していただけばいいのです。
 よく「福祉を厚くすると、働かない人たちが出てくる」なんてことを言う人がいますが、そういう、働きたくない人は無能なのですから、働かないでいてくれた方がいいのです。ついでに言えば、「福祉を厚くすると、働かない人たちが出てくる」なんてことを言うような「無能な人間」が働いているつもりになっているからこそ、日本はいつまで経っても低成長から抜け出せないのです。
 別に働くということは、賃金を得るためだけの行為ではないはずです。労働を通して社会に接することで得るものもたくさんあるのですから、有能な人間はそういうものを求めて働けばいいのです。
 そうした賃金以外の部分に労働の価値を感じられず、「税金を多く取られると、有能な人間のやる気がなくなるので、高額所得者の所得税率を下げるべきだ」などと主張する無能な人間は、それこそやる気をなくしてくれた方がありがたいですね。日本からでていく? どうぞどうぞ。

 で、本題はこれではないのですよ。ここまではイントロダクション。

 本題はこの記事に対する、はてなブックマークの内容です。私はこれを見て、頭が痛くなりました。
 やれ「分断統治」だ、「経営者や派遣会社の思うつぼ」だ、「中高年もリストラをされた」だ、果ては「今の中高年は若いときに低賃金で働いたから、今は高い給料をもらっているのだ」まで、中高年を守るための屁理屈大集合という感じで、ぐったりしております。
 だいたい、中高年のリストラは本当にそうなのか、怪しいですね。
 『若者を見殺しにする国』でも指摘していますが、中高年のリストラは、山一倒産などの象徴的なトピックによって印象づけられたイメージに過ぎない可能性があります。平成19年度版の国民生活白書などを見ても、あれだけ中高年のリストラが喧伝されたにも関わらず、団塊世代付近の勤続年数だけが増えています
 あと、中高年は若いときに低賃金で必死に働いた」なんてのもありますが、それはそもそも「年功序列」の日本型雇用の特徴であって、中高年だけが若い頃に低賃金だったわけではありません。そうした中高年も30代になれば結婚して家やマンションを買っていたわけで、今のような「30代になっても非正規で月収15万だ20万だ」なんていうのと比べれば、まさに天国です。つか、今の若い人が高賃金で働いているとでも思っているのか?

 あと、「世代間対立を煽ってはいけない」なんてことをおっしゃいますが、それは単に世代間格差から目をそらしているだけでしょう。それこそ、この「”年金破綻”は本当か――年金の誤解を解く!」というお笑い記事に、「世代間対立を煽ってはいけない」という言葉の最も正しい利用例が掲載されています。

現役世代は少子化によって減少し、年金受給者の高齢世代は寿命の延びによって増えてきた。そうなれば保険料は高くせざるをえない。世代間で不公平が生じるのは、賦課方式では当然です。では積み立て方式にすればよいかといえばそうは簡単でない。世代間対立をあおっても仕方ありません。

 賦課方式の致命的な欠陥を放置し、開き直るために「世代間対立をあおっても仕方ありません」という口当たりのいい言葉が使われています。(*1)
 これと同じように、現在の労働システムの欠陥を放置し、開き直るために「世代間対立を煽ってはいけない」という言葉が使われています。

 私の問題提起に対して「世代間対立を煽っている」などとおっしゃる方がいますが、私はありていに現在の現実を提示しているにすぎません。煽っているのではなく、世代間対立が現実にあるのです。
 それを無視して「世代間対立なんかせずに、一緒に戦おう」などという労働左派や、それに賛同する人たちは「労働者を守る」ことと「正規労働者を守る」ということを混同しているとしか思えません。
 大切なのは、すべての人の権利を守ることであり、肥大した正社員の自尊心(それは、金や車という誇大な顕示欲だけではなく、「家族を守りたい」という、かつてであれば素朴であったはずの感情ですら、もはや肥大した自尊心と言うべきだろう。それが非正規労働者に許されないものである以上は)を守ることではないのです。
 もう、労働左派の口車に乗せられて、世代間対立から逃げるような言論はうんざりだ。

*1 この文章の下の票もすごくて、85年生まれ以降の保険料比率の「2.3倍」という数字が、無根拠もいいところ。
 必要な額を若者からとって、そこに2.3倍かけて、それを給付額ということにして、「2.3倍だから払い損にはなりません」とか。なんだよそれ。
 05年生まれの9500万円は誰が払うの? 2035年産まれぐらいの人は、1億円払って、2億3000万円貰うの?
 若者は金がわき出る養老の滝だとでも思ってるの? 馬鹿なの? 死ぬの?
 だから俺は言うんだよ「無能な人間は働かない方がいい」って。
 元厚生省の上智大学教授、堀勝洋のような無能が一生懸命働いた結果がこれだよ!!!



(07:49)

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