アイドルマスター

2010年10月17日

タイトルを縮めました。

 さて、前回の要点をまとめておく。
・現在のアイマス人気の大きなきっかけとなったのは、360版発売とニコニコ動画。
・現在のアイマス人気はアイマスのキャラクター人気であり、「声優人気→キャラクター人気」という道筋をたどったわけではない。

 後者については多少解説不足な部分があったかもしれないが、声優人気ありきでキャラクターにその人気が産まれたのではなく、キャラクター人気から、その声優も人気に、という筋道をたどったということで、決してアイマス声優が不人気という話ではないので、念のため。

 さて、前回はアイマスの概略を紹介したが、アイマスは、アーケードからは5年、360版発売からも3年以上経ったコンテンツである。
 この間に、地上派やインターネットなどのラジオ、CD、またはコンサートなど、声優を通してアイマスのキャラクターたちはファンに対して広くアピールされていった。
 とはいえ、昨今のゲーム業界の事情を考えても、いきなり大きな会場を借り切ってのアピールなどはそうそうできず、小さなイベントをこなしつつ、700ほどの赤羽会館や、2000人ほどの新木場のスタジオコーストなど、徐々に客数を増やして行った。そして2010年の5周年記念ライブでは、幕張メッセの2Daysを成功させるに至った。
 そうした意味で、アーケードの初期から関わっているユーザーはもちろん、360&ニコニコ以降のユーザーも巻き込みつつ、アイマスというコンテンツは、ファンと一緒に育っていったと言えよう。

 ただ、それは前回記したように、「アイドルマスターというゲームの人気」というよりは、「アイドルマスターという作品を通して産み出されたキャラクター人気」である。
 この辺の話を、もう少し掘り下げるために、「ニコニコ動画」における、アイドルマスターの話をしておきたい。
 前回紹介したアイドルマスターの動画は、ゲーム画面そのままの「公式」のアイマスであったが、アイドルマスターのキャラクターたちは、さまざまな「MAD」の素材として利用された。
 もっとも分かりやすいのが、別の歌手やアーティストの曲に、アイマスのキャラクターのダンスなどを合わせた「コラボレーション」、ニコニコ動画のタグで言えば「iM@SコラボPV」である。
 中でも「わかむらP」が制作した、『アイドルマスター Perfume パーフェクトスター・パーフェクトスタイル PV風』は、一説には、当時、知名度が高いとは言えなかった「Perfume」の知名度を広め、CDの売り上げなどに貢献したとも言われている。

 他にも、歴史やゲームの登場人物を、アイマスキャラに置き換えた「iM@S架空戦記シリーズ」
 キャラクターを使って物語を紡ぐ「Novelsm@ster」
 アイドルたちと観光地などを巡る「iM@S架空旅行記」「旅m@s」
 果ては、アイドルたちがクトゥルフ神話にまつわる、さまざまな恐怖と混沌に巻き込まれる「いあいあM@STER」
 など、きわめて多岐に渡る。最後はニッチすぎて、申し訳ない。

 こうした「アイマス動画」が、ニコニコ動画の発展期を支え、日本における「動画サイト」のあり方を、方向づけたと言っても、決して過言ではないだろう。
 今でこそ、動画の投稿数などの勢いは、「ボーカロイド(初音ミクなど)」や「東方(同人シューティhングゲームを原作にした、一連のキャラクター群)」の方が強いが、それでもニコニコ動画の「御三家」として、良質の動画が、今もなお供給され続けている。

 ここで明確に意識するべきなのは、こうした公式ではないコンテンツにおいて、アイドルたちはもはや完全にキャラクターとして独立しており、元のゲーム性をほとんど有していないということである。さらには、こうした作品群の中では、彼女たちの個性すらユーザーの解釈の元で変化している。
 特にいじられがちなのが、アイドルマスターのメインヒロインとして位置づけられている「天海春香」である。公式では「歌が大好きで、ちょっとドジな普通の女の子」として設定されているのだが、これらの動画の中では、素直なふりをしているが計算高く、決して陰湿ではないもののあざとい性格として扱われたりする。また、嫉妬深いヤンデレ気質の「黒春香」(下記動画、上)などは、春香を利用した動画で、比較的よく見られる性格付けである。また、春香を演じる声優の中村繪里子さんのお歌が、数年前まではちょっと残念なところがあったりしたため(下記動画 下 最初に歌う赤い服が中村繪里子)、ゲーム内ではボーカルのステータスが高い春香が、音痴なキャラとして扱われたりもする。

 もちろん、他のキャラクターについてもそれは同様で、いろいろと大げさな性格描写をされたりするのだが、そうしたことも含めて、アイマスのキャラクターたちはファンと、5年間もの間、繋がりを築いてきたのである。
 最後に、気づいた方もおられるとは思うのだが、ここまで私は、アイマスにユーザーサイドから関わる人達を、一貫して「ファン」と呼んできた。
 しかし、アイマスのゲーム内において、プレイヤーは「プロデューサー」と呼ばれている。プレイヤーは765プロダクションのプロデューサーとなって、アイドルたちを成長させる役割を追うのである。
 プロデューサーという言葉は、本来、ゲーム内の呼称でしかないのだが、上記のような関係性は、まさに現実においてもゲーム内のプロデューサーとアイドルの関係そのものであり、アイマスのファンは自らを「プロデューサー」と呼んでいる。プロデューサーたちは、単なるアイドルマスターシリーズのファンというよりも、「自分たちが育ててきたコンテンツである」として、そのことを非常に大切に思っているのである。

 ここまでが、これまでのアイドルマスターをめぐる話。
 次回からは本題の、アイドルマスター2にまつわる騒動に踏み込んでいきたい。



(06:09)

2010年10月14日

さて、今回からアイドルマスター2をめぐる話を書いていく。

 まず、『アイドルマスターシリーズ』とは何かということについて。
 アイドルマスターとはナムコ(現バンダイナムコゲームス)が、2005年7月に稼働を開始した、アーケード用のアイドル育成シミュレーションゲームである。
 と、このままゲームの概略の紹介をすると、「Wikipedia THE IDOLM@STER」の丸写しになるので概略そのものはそちらを参照していただくとして、ここではアイドルマスター(以下 アイマス)と、ファンとの繋がりについての概略を。

 アーケードのみが稼働していた時代は、一部にコアなファンがいて、ブレイクに至るための熱気は高かったものの、けっしてゲームに関わる人達に、その内容が広く知られたコンテンツとは言えなかった。
 自分としてもこの時代のアイマスは、まったくと言っていいほど知らないのだが、その当時にアイマスに関わっていた人達のBlogなどを読むと、その当時のコアなファンたちの熱気は、すさまじいものがあったのだと感じさせられる。
 とはいえ、当時すでにゲームやアニメなどのキャラクタービジネスと、声優のアイドル化という現象は、決して珍しいものではなく、一種のビジネスモデルとして確立していた感があった。
 そうした状況で、アイマスへの熱気が、その他の同等のコンテンツの熱気と、どのように違ったのか、もしくは同じだったのかということは、そうした記録を読むだけでは、残念ながら理解することはできない。
 ただ、少なくとも当時の熱気が、今なおアイマスを支えていることに間違いはなく、結果として、アイマスの秘めた熱気は、その他のコンテンツと違い、持続的なものであったと言える。

 自分とアーケード時代のアイマスの関わりを記しておくと、当時「クイズマジックアカデミー」の掲示板に、「ナムコがこんなアイドル育成ゲームを出すらしい」という書き込みがあったことから、アイマスの存在を知ることとなった。しかし、その当時の私は、その掲示板での多くの反応とおなじように「アーケードでギャルゲーか。ナムコ始まったな」と、アイマスを冷ややかに見ていた。
 私が当時住んでいたのが実家の方で、アイマスをおいてあるゲームセンターはあったが、そのゲームセンターもなくなってしまった。そして結局、今年の9月にアーケードのオンライン接続が終了するまで、アーケードのアイマスに触れることはなかった。

 そうした中で、多くの人にアイマスが知られるキッカケとなったのは、「Xbox360版」の発売と、その動画がアップされた「ニコニコ動画」の存在だろう。(正確には、当時のニコニコ動画は、youtubeなど、他の動画サイトにアップされた動画の上に、コメントを流すサイトであった)
 2007年の1月に発売されたXbox360版のアイドルマスターは、モデリングがアーケード版から大きく進化した。ゲームの3Dといえば、FFシリーズのようなリアルな3D感にこだわるソフトが多い中で、「顔や目が大きく頭身が小さい」というアニメやマンガなどの2Dの特徴を程よく捉えたアイマスの3Dは、特徴的な3Dモデルとして人目を引くものであった。私も秋葉原のゲーム展で、始めて360版アイマスのプロモーションビデオを見たときに、単純に「これがポリゴンかー。すごいなー」と思ったのを覚えている。
 また、当時youtubeなどの動画サイトがインターネットコンテンツとして注目される中で、そうした「特徴的な動画」を欲していたユーザーにとって、アイマスはちょうど良いコンテンツであったのだろう。
 当時、ニコニコ動画で特に注目されたのは、キャラクターの一人である双海亜美が、アイマス内の楽曲「エージェント夜を往く」を歌う動画であった。

 初期のニコニコ動画は、動画の内容などにコメントでレスを寄せるというよりは、コメントが流れること自体が新しい体験であり、皆で同じタイミングでお約束のコメントをつけることが流行していた。
 この動画においても注目されたのは、亜美が「溶かし尽くして」と歌うところが、どう聞いても「とかちつくちて」としか聞こえないという部分であり、この部分になると「とかちつくちて」という文字列が動画を塞ぐほどに流れる様子に、ユーザーは一体感を覚えた。
 アーケードでは、大器晩成型ではあるものの、初期パラメータがきわめて低く、苦戦しがちなことから、遠ざけられがちで、人気ランキングでも下位常連であった亜美が、動画サイトでのアイマス動画人気の先鞭を著けたという事実は、ニコニコ動画以降のアイマス人気が「アイドルマスターというゲームの人気」ではなく、「アイドルマスターという作品を通して産み出されたキャラクター人気」であるという、アイマス人気の方向性をハッキリと示している。
 人気の方向性という話をもう少し詰めておくと、多くのアニメ作品などのキャラクター人気は、声優人気に支えられていると言えるが、現在のアイドルマスターのキャラクターを演じる声優の中で、声優業界においてもっとも多くのファンを抱えているのは間違いなく、水瀬伊織を演じる釘宮理恵である。一般にも広く知られる「ツンデレ」という言葉を社会に認知させたのも彼女といっても過言ではなく、ツンデレの第一人者として認識されている。しかし、アイマスキャラということを考えると、他のキャラクターと比較した場合の、伊織そのものの人気は高い方ではない。
 このことは、アイマスのキャラクター人気が、決して声優人気から生じたものではなく、声優業界の事情とは独立した形で、キャラクターそのものとして独立して確立しているということを示している。

 最後に、肝心のゲーム内容については、この動画の流行によってかなりの誤解を受けていたと記しておこう。あくまでもアイマスは「アイドル育成シミュレーション」であり、女の子のおっぱいを触ってフヒヒなどというゲームではない……うん、ない。

ー続くー



(19:53)

2010年09月30日

今日から、アイドルマスター2に対する拒絶反応ともいえる、ネット上の反応について、しばらく考察していこうかと思います。こればっかりは、いまのところ、自分が仕事できる場所に掲載できる類の原稿ではないので、Blogで。
 とはいえ、単純にゲームの話をするのではなく、オフィシャルとユーザーの関係性や、ファン同士の関係性を論じ、最終的にはネット上の炎上や、論評や批評の意味までを組み込んで、ゲームに留まらない文脈まで、もって行ければいいなと思っています。しばらくお付き合い下さい。

 私としてはもう少し考察を重ねるつもりでいたのですが、昼間たかしさんにコメントを寄せた記事が「「やっぱり、騒いでいるのはネットだけ!?」あまりに空虚な『アイマス2』918事件」出ており、私が考えていることの体系が、決して「生粋のファント騒いでいる人の二元論で論じているのではない」ということを、早急に提示する必要性が生じたので、前倒しで。

 今回は前置きとして、私がどのように「アイドルマスターシリーズ」に接しているかを明記しておくと、存在を始めて知ったのは2ちゃんねるで「クイズマジックアカデミー」のスレッドを見ている中で、「アイドルマスターというアイドル育成ゲームがでるらしい」という書き込みで知りました。
 それからアーケードが出回りましたが、お金もかかりそうなので、アーケードは未プレイ。
 それからしばらくして、なんだかんだで出発点はニコニコ動画でのアイドルマスター動画、いわゆる「ニコマス」からアイドルマスターシリーズとの関わりは始まっています。
 プレイしたのは、無印、L4U、PSP(ムーンのみ)、DSと、家庭用ゲーム機のシリーズには一通り触れています。ただ、いずれも「やりこんだ」というほどはプレイしていません。
 だから、アイマス知識のベースとしてはニコマスです。千早は万かつサンドが大好物で、怒らせるとPC枕木で殴られます。それは特定の旅m@sだけですか。そうですか。

 軽口はともかく、次回から集中的に「9.18事件」とも呼ばれるできごとを中心に、いろいろと論じていきたいと思います。よろしくお願いいたします。



(23:05)