フランス語の勉強?

疲れたけどリカちゃんメールで元気に♪

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東北縁日170611

Japon : l’ikigai, secret d’une longue et heureuse vie
par Yohan Demeure
Les Japonais sont réputés pour vivre très longtemps et pour préserver leur forme et leur bonne santé. Leur secret se nomme ≪ ikigai ≫, une sorte de méthode permettant de comprendre sa raison d’être et d’avoir la joie de vivre. En tout cas, s’il existe des milliers de centenaires au Japon, ce n’est sûrement pas pour rien !

Preuve que les Japonais ont trouvé un moyen de vivre heureux jusqu’à un âge très avancé, il existe un village dans l’archipel d’Okinawa présentant le plus haut taux de longévité au monde. Hector Garcia et Francesc Miralles sont deux auteurs passionnés par ce phénomène à l’origine de l’ouvrage baptisé Ikigai paru chez Fleuve Éditions le 13 avril 2017.
≪ Si l’on se penche sur les raisons pour lesquelles les habitants de cette ile située au sud du Japon vivent plus longtemps que nulle part ailleurs dans le monde, on est en droit de penser que, au-delà de leur régime alimentaire (…), l’une des clés est l’ikigai qui dirige leur vie ≫, peut-on lire dans la préface de l’ouvrage.
Concrètement, qu’est-ce que l’ikigai ? Il s’agit en réalité d’un état d’esprit qu’adoptent les Japonais pour rester optimistes et positiver malgré les nombreuses difficultés de la vie. L’ikigai est surtout ≪ l’art de vieillir en restant jeune ≫, c’est pour cette raison que même après la retraite, de nombreux Nippons continuent d’être très actifs en effectuant des randonnées, en bricolant ou encore en jardinant entre autres.
Un autre critère de l’ikigai est la vie en communauté qu’affectionnent les Japonais. Il est d’ailleurs scientifiquement prouvé que la vie en groupe donne plus de chances de vivre longtemps et en bonne santé.
La nature de l’alimentation des Japonais est souvent évoquée comme facteur de longévité, mais une des autres règles de vie de l’ikigai est surprenante. En effet, celle-ci consiste à ne remplir son estomac qu’à 80 % ! Personne ne sait s’il s’agit ici d’une habitude en lien avec la génétique, mais il se pourrait que cela soit dû à l’usage des baguettes, permettant de manger plus lentement et en plus petite quantité.
Au Japon, il y a près de 60 000 centenaires qui semblent avoir une santé de fer et tous connaissent très bien la notion d’ikigai. Est-ce un hasard ? Sûrement pas.
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今日は疲れました.岡林信康の山谷ブルース「今日の仕事はつらかった〜あとは焼酎をあおるだけ」みたいな感じでした.夕方若手と話して,特に女性が元気だなぁと思っていましたが,リカちゃんメールで元気になりました♪
これで西宮と鹿児島の友人にメールを返事する元気が出ました.

遭難の悲劇越え 気仙沼の民宿「つなかん」再開
 宮城県気仙沼市唐桑町沖で3月に起きた小型漁船転覆事故で、夫、長女、義理の息子を失った菅野一代(いちよ)さん(53)が26日、東日本大震災で被災した自宅を改修し、家族で営んでいた民宿「唐桑御殿つなかん」を再開させた。心の傷は癒えないが、「地元を盛り上げようと頑張った3人の生き方を引き継ぐ」と前を向く。
 初日は客室清掃や布団の整理に追われた一代さん。3月のままだったカレンダーもめくり、準備を整えた。7月1日に再開後初となる客13人を受け入れる。
 津波で3階建ての最上階まで浸水した自宅を再建し、ボランティアに開放したのがきっかけで2012年10月、民宿を始めた。
 夫の和享(やすたか)さん=当時(59)=が営む養殖業「盛屋水産」のカキを使った料理や一代さんの気さくな人柄が評判を呼び、多くの観光客が集まった。
 事故は3月23日に起きた。ワカメ漁に出た和享さん、長女早央里(さおり)さん=当時(30)=、三女の夫大宮拓人さん=当時(24)=が乗った船が転覆。早央里さんが死亡し、和享さん、大宮さんが行方不明となった。
 一代さんは事故のショックでしばらく寝込み、外部と連絡を絶った。「死者の魂はどこにいくのか」。布団に潜って3人とつながる方法をスマートフォンで探し続けたことも。不安でいつも指先は震えていた。
 「みんなが付いているよ」。立ち直るきっかけは、会員制交流サイト(SNS)を通じて宿泊客やボランティアから続々と届く励ましのメッセージだった。
 「私も一緒に仕事をするよ」と、看護師を辞めて家業を手伝っていた次女真里さん(27)の言葉も背中を押した。
 「私は独りじゃない。3人もどこかで見守ってくれているはずだ」。事故から2カ月ほどたった頃、ようやく再開への気持ちが芽生えた。
 今も3人の写真や遺品を見ることはできない。民宿の窓から海を見るたびに事故を思い出す。
 「正直、気持ちの整理はつかない。心の中の7割は悲しみが占めている。でも、ここで私たちが確かに生きたという物語をつないでいかなければならないと思う」と力を込める。
 連絡先は0226(32)2264。


<復興CSR>支援超えビジネスへ
◎トモノミクス 被災地と企業[53]第11部 明日(4完)たちあがる/自立
 ネパールの少数民族の女性は言った。
 「施しは受けたくない。誇りを持って、自立して生きたい」
 大阪市でフェアトレードの商品販売を手掛ける「福市」の高津玉枝社長(56)。かつて胸に刺さった言葉を東日本大震災の被災地でつむぐ。支援より、被災者が自立できるビジネスを。編み物を巡る小さな経済の物語が始まる。
 震災直後、つてのない東北に飛んだ。
 「途上国で作り手を育てた経験が生きる。肉親や家を失い、ふさぎ込む女性たちに仕事をつくろう」
 業務は編み物と決めていた。毛糸とかぎ針があれば始められる。自分のペースで仕事ができ、手を動かすことは癒やし効果もある。
 NPOを介して知り合った遠野市の農業佐々木盛子(もりこ)さん(67)たちが協力した。岩手、宮城両県の沿岸部で編み手を募り、11年7月スタートした。
 仕組みはこうだ。30〜80代の被災女性が統一規格のハートや花のブローチを編む。佐々木さんたちは事務局。福市が全品を買い取り、支援商品として売る。定価800円の半額が製作者に渡る。これまで7000万円を売り上げた。
 津波で自宅が全壊し、13年に夫を病で亡くした陸前高田市の編み手、境井トハ子さん(73)は「家でぽつんとしているより仕事があれば励みになる」と話す。
 自立への試練は半年後。高津社長が納入品の半数を返品した。「売り物であるからにはプロであってほしい」。品質管理を厳しくするとのメッセージだった。
 編み手の意識が変わった。いつしか被災地には、約50人の国内最大級の職人集団が育った。
 物語は進む。14年1月、福市のブローチ事業を引き継ぐため、佐々木さんや元NPO職員真山徳子さん(52)ら事務局5人が遠野市に合同会社「東北クロッシェ村」を設立した。クロッシェはフランス語でかぎ針の意味。外注先の編み手に仕事を割り振る。
 支援を看板にした商いは続かない。編み手は被災地以外にも広げた。経営理念は「東北の手仕事を守り、育てる」。
 売り上げに占めるブローチの割合は縮小し、大半は手芸メーカーから独自に請け負うようになった。生み出す商品に「支援」「復興」の文字はない。
 真山さんは言う。「私たちもメーカーも編み手も、被災地支援という意識はもうほとんどない。どんどん仕事を取りにいき、気持ち良くお金を頂く」
 被災者と支援者の関係を超えた対等なビジネス。初めは魚を施され、やがて魚の捕り方を覚えるように。ポスト復興に向けたトモノミクスの姿が浮かぶ。小さくても豊かな、持続的な経済の輪を築きたい。誇りと自立のために。(「被災地と企業」取材班)
[フェアトレード]1960年代の欧州発祥の取り組み。現地の生産組合などと連携した企業や団体が、生産者の労働環境や生活水準を踏まえ、適正に仕入れた原料や手工芸品を適正価格で長期的に取引する。日本では80年代後半に始まった。


震災教訓を海外に 記者に語り部
東日本大震災の教訓を海外に発信しようと27日、東松島市で東南アジアの記者を対象にした語り部が行われました。
これはJICA=国際協力機構が企画したもので、過去に地震や津波の被害を経験したインドネシアやミャンマーなど東南アジア10か国の新聞記者10人が参加しました。
一行は津波で大きな被害を受けた東松島市の観光名所、大高森を訪れ、地元の観光ボランティアの木島新一さんから当時の話を聞きました。
木島さんは近所の住民を自宅に受け入れた体験を語り、震災当日に降った雪を集めて飲料水や調理に使ったことなど当時の教訓を伝えました。
これに対して参加した記者からは「津波の危険に備えながら観光や地区の復興をどう進めているか」とか「子どもたちにどう津波の教訓を伝えているのか」などの質問が出されました。
ミャンマーの新聞記者の男性は「自国では8年前に地震で被災し地域の復興がまだ道半ばなのでとても参考になりました」と話していました。
木島さんは「日常生活の備えがいざというときに役に立つことを伝えたかった。多くの記事を発信してもらい海外から多くの人にここを訪れてほしい」と話していました。


死が迫る恐怖 今も鮮明 松本サリン事件 27日で23年
 死者8人と、多くの重軽症者を出したオウム真理教による松本サリン事件は27日、発生から23年。事件が市民の話題に上ることは少なくなったが、松本市北深志の現場周辺の住民には今も鮮明な記憶が刻まれ、忘れられないでいる。世界各地で市民が犠牲になるテロが続く中、事件を基にしたフランス人作家の漫画の日本語版が刊行された。事件を忘れず、テロを防ぐことを考える題材にしてほしいという。
 「死者がいるようだ」と叫ぶ声、現場を駆け回る警察官、集まった報道陣―。現場近くに住む女性(70)は、事件を普段思い起こすことはなくなったが、当時の様子をよく覚えている。近年は「きょうが事件の日だと気付くことが多くなった」という。
 現場周辺の住宅街は、新しい一軒家やアパートが建ち、事件について「詳しく知らない」(30代男性)という人も増えた。死者が出た集合住宅に住む男性(54)は「住民同士で話題になったことはない」と話す。
 現場近くに住む別の女性(71)は「忘れられない事件」と言う。「あれは特に暑い夜でね…」と振り返る。
 けたたましいサイレンの音で跳び起き、慌てて玄関先に出ると、数十メートル先の集合住宅のドアを懸命にたたく消防隊員が見えた。「開けろ、開けろ」という大声が響いた。その集合住宅で、男女3人が亡くなった。
 事件直前、女性は散歩に出て、オウム真理教信者たちが噴霧器を積んだトラックを止めていた駐車場の前を通り掛かった。特に異変は感じなかったという。ほてった体を冷やそうと、窓を閉め切りクーラーをつけて寝た。間もなく猛毒が地域を襲った。
 幸いにも女性や家族は難を逃れたが「もし窓を開けて網戸にして寝ていたらどうなっていたか」。死が身近に迫った恐怖は今も忘れられない。
 事件を基にフランス人作家が描いた漫画「MATSUMOTO」の日本語版(誠文堂新光社)が今年2月に刊行。原作者のLF・ボレさんが26日までに取材に応じ、世界で相次ぐテロを踏まえ「過去に学ばなければならない」と意図を語った。
 漫画はフィクションを交え、若い男性信者がサリン噴霧の犯行に関わる経緯などを描く。当初は1995年3月の地下鉄サリン事件を取り上げようかと考えた。海外で知られていない松本サリン事件を調べ、「記憶する義務がある」と思ったという。
 作中で地下鉄サリン事件を防げなかった過程を描いた。ボレさんは「テロを巡る問題を認識しないといけない。マツモトはそのシンボル」としている。


小林麻耶「悲しい寂しい辛い」妹いない喪失感つづる
亡くなった小林麻央さん(享年34)の姉でフリーアナウンサーの小林麻耶(37)が、「悲しいです。寂しいです。辛いです」と喪失感を吐露した。
麻耶は27日、「はじまり。」のタイトルでブログを更新し、多くのファンから寄せられた励ましの声に感謝を述べた。「今日から日常が始まっています」と前を向いたが、「寝ているのか、寝ていないのか、よく分からない状態の夜が続いていますが、妹がいないという喪失感で目が覚めるのは耐え難いものです」と今もまだ気持ちの整理がつかないことをつづった。
「不思議と今まで以上に妹を感じていますし、そばにいるのかもと思える瞬間も数々あるのですが、もう... 目を合わせて話せないし、声も聴けないし、触れることができない。悲しいです。寂しいです。辛いです」と胸中を吐露した麻耶。「子供たちは、大丈夫かな、、、。大丈夫ではないですよね。私の出来る限り、寄り添いたいと思います」と、麻央さんがのこした長女の麗禾ちゃん、長男の勸玄くんを心配した。


藤井四段が公式戦29連勝 14歳の偉業を祝福する
 14歳で成し遂げた偉業を心から祝福したい。
 デビュー戦以来快進撃を続けていた中学生棋士、藤井聡太四段(14)が公式戦29連勝を達成し、30年ぶりに歴代記録を塗り替えた。
 藤井さんの強さはどこにあるのだろうか。
 日本将棋連盟の佐藤康光会長は「吸収力がある。日を追うごとに強くなっている感じがする」と評価する。佐藤天彦名人は「14歳なら粗削りが普通。既に老成している」と完成度の高さを指摘した。
 中学生でプロ入りした人には、藤井さんに先立って、加藤一二三九段(77)、谷川浩司九段(55)、羽生善治王位(46)、渡辺明竜王(33)がいる。ただし時代背景は異なる。
 羽生王位が初めて7冠を達成したのが1996年。スーパーコンピューターがチェスの世界王者を負かしたのは97年のことだった。この間、環境を大きく変えたのはコンピューターソフトの発達だろう。
 21世紀に入って、現代将棋は様変わりしたといわれる。棋譜のデータベース化やネット対局の恩恵を今や多くの棋士が受けている。
 情報が容易に手に入り、短期間で一定レベルに到達する環境を、羽生王位は高速道路に例える。早くからソフトに親しんでいる藤井さんらのデジタル世代は、回り道せずに実力をつける下地が整っている。
 将棋界では新しい戦法を若い世代が生み出してきた。
 持久力や総合力を身につければ、佐藤名人や羽生王位、渡辺竜王らのタイトル争いに、藤井さんが割って入る日はさほど遠くないだろう。
 「将棋の名人になりたい」。6歳の時の夢に向け、挑戦は始まっている。名人位の最年少記録は21歳だ。
 中学生の活躍は社会現象になり、周囲も元気づけている。藤井さんの活躍によって、地元・愛知県瀬戸市の将棋教室では生徒が急増しているという。テレビゲームなどの広がりで減った子供の将棋ファンが戻ってくることも期待できる。
 藤井フィーバーは、世代を超えた対局や、プロ同士の意地のぶつかり合いなど、将棋がもつ人間ドラマの面白さを再認識させてくれた。
 「大志」を胸に、さらなる高みを目指す藤井さんを見守りたい。


藤井四段29連勝 進化は社会を刺激する
 一局指すたびに成長している、と先輩棋士をうならせてきた将棋の藤井聡太四段が、ついに前人未到の二十九連勝を記録した。進化を続ける十四歳の快進撃が社会を刺激し、人々を元気にする。
 神谷広志八段が三十年前、二十六歳で達成した二十八連勝は、ほんの数カ月前まで不滅の記録と思われていた。
 ところが藤井四段が先月、竜王戦決勝トーナメント進出を決めたころから「もしや」の機運が高まり、減速することなく一気呵成(かせい)の記録更新となった。対局中の「勝負飯」まで話題になるほど注目されれば、社会経験を積んだ大人でも平常心を保つことは難しい。そんな騒ぎに浮足立つことなく達成した偉業である。称賛と注目は、さらに大きくなろう。
 その快進撃は、将棋ファンのみならず広く世の人々の胸を躍らせる。何がそうさせるのだろう。
 プロ棋士になった、つまり四段昇格は十四歳二カ月のとき。藤井四段にバトンを渡すように引退した「神武以来(このかた)の天才」加藤一二三(ひふみ)九段が持っていた十四歳七カ月の最年少記録を更新している。
 その前段階、プロ棋士を目指す奨励会三段リーグ戦を藤井少年は一期で通過しているが、その成績は、二番手とは星一つの差の十三勝五敗だった。先例少ない「一期抜け」の快挙ではあったが、四段昇格後に見せた負け知らずの快進撃とは、やや趣が異なる。
 昇段後のさらなる進化の背景として指摘されているのが、将棋ソフトを使ったトレーニングだ。人工知能(AI)が示す局面評価を参考に、三段時代の課題だった序盤、中盤での形勢判断に磨きを掛けた、というのである。
 幼いころから詰め将棋で鍛えたという終盤の正確な読みの力は、三段リーグ時代から折り紙付きだった。つまり、詰め将棋という伝統的な鍛錬に加え、AIの力も使いこなして実力を伸ばしてきたことになる。
 「目標にする棋士はいません。将棋という伝統文化を意識し、すごく強い棋士になりたいです」とは、昇段を決めた際の藤井四段のコメントである。伝統を大切にしつつも前例にとらわれることなく高みを目指す、というその決意表明の通りに旋風を巻き起こしていると言えまいか。
 目覚ましい進化が世の人々を元気づけ、後に続く少年たちに夢を与えているように見える。人々を刺激する若さの可能性を、さらに大きく育てる社会でありたい。


29連勝
 天才は誰と問われてまず思い浮かぶのは物理学者のアインシュタイン先生だが、「脳」力不足で相対性理論を説明できない。天才とはそういうものだし、こちらが凡語の書き手たる由縁といえる▼頭の悪い兄たちは東大へ、頭の良い自分は将棋指しに−と言い放ったのは永世棋聖の米長邦雄さん。棋士の頭には将棋盤が入っており、「トッププロになると3面から5面入る」(「不運のすすめ」角川書店)そうだ▼そんなことをして頭は大丈夫かと思っていたら、幼稚園児のころに難解な詰め将棋に挑み、「考えすぎて頭が割れそう」と言った人がいる。公式戦デビュー以来負けなし、前人未到の29連勝を成し遂げた藤井聡太四段である▼天才ぞろいの棋界にあって、ここまで勝ち続けるのは偉業に違いない。青いリュックを背負って対局場に現れ、かわいい笑顔を浮かべる中学生がその本人、とのギャップもまたすごい▼公式戦ではないが、第一人者の羽生善治3冠もすでに負かした。「ハブにらみ」と恐れられた視線が、なぜとばかりに中空をさまよった▼米長さんは、正座したままじっと考えている子が一番強くなる。要は集中力だ、と書く。「夢中になると他のことに注意がいかなくなる」と母はいう。好きこそ物の上手なれ、を地で行く天才なのだろう。

「安倍おろし」の前に…焦る官邸
 ★首相・安倍晋三の焦りがはっきりと見えてきたのは、24日、神戸市内で講演し、憲法改正について「来るべき臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に自民党案を提出したい」と言い出したことだ。首相は憲法9条を改正して20年の施行を目指す意向を示しているが、次の国会に自民党案を出すという工程表を示したのは初めてだ。それを受け、側近の幹事長代行・下村博文は25日、「遅くとも11月上旬ぐらいに党として案をまとめる必要がある」と年内に改憲案をまとめるとしていた日程を前倒しする考えを示した。 ★前倒しで行う8月の党人事と内閣改造も焦りの1つだ。安倍内閣は党内の不満を人事によって切り抜けてきた経緯がある。「『この内閣の程度なら、俺でも務まる』という声が聞こえ始めるのはこの内閣での入閣はマイナスに働く場合もあるというシグナルだ。党人事や改造で危機を乗り切ろうとして、早々に改造を示唆したのは、いずれも『安倍おろし』が始まる前にその芽を摘もうという官邸の考えがあるからだ」(派閥幹部)。 ★文科省の文書を怪文書扱いしたことから、沈着冷静な官房長官・菅義偉がメディアからも野党からも党内からもロックオンされた。「菅には言いたいことがある」と一物ある与党議員の数も少なくない。「官邸は防戦一方だが、首相を守るのが官房長官の仕事。怪文書発言は菅がうろたえた証拠。ここで収拾がつかなくなった。首相と官房長官までギクシャクすれば官邸は崩壊する」(自民党中堅議員)。今までは安倍か野党第1党の民進党代表・蓮舫かと迫っていた首相も、「自民党には人材がいる」という声を否定はできない。今では国民も「この内閣以外ならだれがやってもいい」という空気だからだ。自民党という知恵が動きだす。

首相の改憲発言/緊急性や必要性に疑問が
 安倍晋三首相が先日、神戸市内で講演し、秋に想定される臨時国会で自民党の改憲案を示す考えを表明した。
 これまで年内に改憲案を取りまとめる意向を示していた。臨時国会への提出に言及したのは今回が初めてである。
 自民党は「憲法9条に自衛隊の存在を明記する」という首相提案を踏まえ、憲法改正推進本部で議論を進めている。発言には、期限を切って協議加速を促す狙いがあるとみられる。
 首相は東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年の改正憲法施行を口にする。それを実現するには、来年夏に国会で発議し、国民投票に持ち込むのが最短のシナリオとされる。
 とにかく悲願の改憲を実現したい。そうした思いがあるのだろう。前のめりの姿勢がますます強くなってきた印象だ。
 「戦争放棄」「戦力不保持」などを定めた9条に自衛隊を明記することで、自衛隊の存在を「違憲」とする憲法論議に終止符を打つ−。首相はそう説明する。条文を変えずに項目を追記する形で、自衛隊に関する憲法上の制約は「基本的に変わらない」とも述べている。
 「国防軍」創設などを掲げる自民党の改憲草案とは異なる内容で、「加憲」の立場を取る公明党の賛同を得る意図は明らかだ。自民党の憲法改正推進本部長、保岡興治氏も「これなら国会で3分の2以上の賛成が得られる可能性がある」と話す。
 確かに憲法学者の中には自衛隊を違憲とする解釈がある。しかし近年、それが大きな政治問題になったことはない。国民の大半は自衛隊の在り方に理解を示しており、今回の改憲提案に緊急性や法律上の必要性がないことは保岡氏も認めている。
 教育無償化にしても、改憲という回り道でなく、今できることをもっと議論するのが筋だ。
 「共謀罪」法の強行採決や加計学園、森友学園などをめぐる問題で、安倍内閣の支持率は急落した。発言には、改憲への「決意」を強調して流れを引き寄せたい思惑があるようだ。
 だが臨時国会を持ち出すのなら、野党が要求する臨時国会召集に直ちに応じるべきである。国民が求めているのは、疑惑に関する首相の説明責任だ。


沖縄に米軍訓練移転 偽りの負担軽減許さない
 沖縄の基地負担軽減など一切考えていないことを米軍は自ら証明した。
 米軍が米国内で実施していたパラシュート降下の特殊作戦の合同訓練を沖縄に移転していたことが分かった。嘉手納基地で4月に実施した訓練は米大陸以外では初めてという。合同訓練は夜間作戦も想定しており、嘉手納基地で5月に実施した夜間降下も、合同訓練の一部だった可能性が高い。
 降下訓練が移転されることで、県民がこれまで以上に危険にさらされることは明らかだ。県民の安全を一顧だにしない米軍、それを容認する日本政府に強く抗議する。
 米海兵隊の公式サイトは、降下訓練の移転によって今後は「(米)政府の支出が削減され、沖縄の軍の訓練能力が向上する」と説明している。米軍が考えているのは沖縄での訓練と基地機能の強化ということにほかならない。
 基地周辺には住宅地が広がる。降下ミスはこの間、度々起きている。一歩間違えば周辺住民を巻き込む重大事故になりかねないのである。米軍の都合で降下訓練を移転することは断じて認められない。
 嘉手納町議会は今年4月と5月、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練の全面禁止を求める抗議決議を全会一致で可決している。だが、米軍はその時すでに、これまで米国内で実施してきた訓練を沖縄に移転していたのである。
 しかも被害を受ける県民には一切知らせていない。県民を無視する米軍の姿勢を許すことはできない。
 1996年の日米特別行動委員会(SACO)は、沖縄の米軍基地負担の軽減を実現することが目的とされていた。だが、最終報告は目的には程遠い。普天間基地を含む県内11の施設・区域の返還を明記したものの、大半は県内移設が条件である。
 最終報告は、読谷補助飛行場での降下訓練を伊江島補助飛行場で実施するとした。その後、日米合同委員会で「例外的な場合に限り」米軍嘉手納基地で訓練できるとされた。米本国からの降下訓練移転への布石だったと疑わざるを得ない。
 日本政府の同意なしに、米軍が一方的に降下訓練を移転するとは考え難い。沖縄が日本復帰を迎えた直後に開かれた日米合同委員会で、秘密裏に合意された「基地の自由使用」のように、SACO合意で明らかになっていない事項があるのではないか。
 安倍晋三首相は沖縄全戦没者追悼式で「政府として基地負担軽減のため、一つ一つ確実に結果を出していく決意だ」「これからも『できることは全て行う』」と述べた。
 外来機の沖縄への飛来の常態化、米国から沖縄への降下訓練移転などが、安倍首相の言う「負担軽減」ということである。県民要求とは相いれない偽りの負担軽減は断じて許さない。降下訓練の全面禁止を求める。


「睡眠負債」の恐ろしさ 自覚症状ないまま脳にダメージ蓄積
 毎日1〜2時間の寝不足が借金のように積み重なり、やがて“債務超過”に陥ると、がん、認知症などをはじめとする重大な疾病を発症させる。それが「睡眠負債」だ。脳神経科学などを専門とする枝川義邦・早稲田大学研究戦略センター教授が解説する。
「もともとは米国の睡眠科学の専門家が『Sleep Debt』という用語を提唱しました。それが『睡眠負債』と直訳されて、近年は日本でも使われるようになってきた。
 たとえ毎日少しずつであっても、適切な睡眠時間を確保できていないと、脳の機能が衰えるなど体に深刻な問題が起きると警告する意味も含めた言葉です」
 6月18日に放送された『NHKスペシャル』でも〈睡眠負債が危ない〜“ちょっと寝不足”が命を縮める〜〉と題してこの問題を大きく取り上げ、話題を呼んでいる。
 徹夜が健康に悪いのは直観的に理解できるが、ちょっとした寝不足に対して、あえて警鐘を鳴らす必要があるのだろうか。前出・枝川氏は、「睡眠負債を積み重ねることは、むしろ徹夜よりも問題がある」と指摘する。
「2003年にペンシルバニア大の研究者らが行なった実験の結果から、そのことがよくわかります。被験者を徹夜(3日連続)、4時間睡眠(14日間連続)、6時間睡眠(同)、8時間睡眠(同)の4グループに分け、脳の認知力を計るテストを毎日実施したところ、6時間睡眠を2週間続けたグループはテストの結果が徹夜明けの被験者と同程度になってしまったのです。
 つまり6時間の睡眠では“負債”がどんどん積み重なっていくわけです。さらに問題なのは6時間睡眠の人には“寝足りない”という感覚がないことです」
 徹夜した人間には、“生活リズムを改善しなければ”という意識が生まれるが、6時間寝ていると本人に自覚症状のないまま脳をはじめ体のあちこちにダメージが蓄積されていく。そこに、睡眠負債の怖さがあるわけだ。『Nスペ』にも出演して警告を発した睡眠評価研究機構代表・白川修一郎氏もこういう。
「睡眠と脳のはたらきの関係を調べた実験は数多くあります。たとえば前夜の睡眠時間が4時間以下になると単純作業におけるヒューマンエラーが急激に増える一方、5時間睡眠が2晩連続になると、エラーは4時間以下が1晩の時と同じくらいに増えてしまうとする実験結果があります。睡眠不足は『累積』してしまうのです」


クロ現5分延長の謎 NHK内部で政治部vs社会部が表面化
 加計学園の獣医学部新設をめぐり、6月19日、NHKが「クローズアップ現代+」で新たな内部文書をスクープした。だが、それ以上に緊迫したのは、番組に登場した2人のNHK記者の“同僚バトル”だった。
 萩生田光一官房副長官の関与に加え、〈総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた〉と首相自らの指示まで示した新文書。この特大の“NHK砲”に、同じ番組に出ていた政治部記者がケチをつけたのだ。
「(国家戦略特区の)全ての選定過程で議事録が残され、ネット上で公開されている。意思決定に間違いが起こるはずがない」
 菅義偉官房長官の定例会見そのままの“政府の代弁”のような解説を始めたのは、政治部の官邸キャップ・原聖樹記者。これに対し、社会部の大河内直人記者がこう反論。
「オモテの議論の透明性は確保されていると思いますが、今回の文書は内閣府と文科省の間で繰り返された水面下の交渉の記録の一つ。(公平性・透明性は)こうした交渉を含めて検証する必要があるのではないか」
 官邸vsNHKではなく政治部vs社会部が火花を散らす構図になったのだ。NHK関係者が明かす。
「今回のスクープは政権側の目論見を狂わせる破壊力があった。新文書をすっぱ抜いたのは社会部の取材班ですが、その中身を知って官邸や与党関係者を日常的に取材する政治部が急遽、原キャップの出演をねじ込んだからなのか、原氏の掲げるフリップは手書き。NHKらしからぬ急ごしらえ感が漂っていた」
 同番組の通常放送枠は22時〜22時25分。夕刊のテレビ欄にもそう記されていたが、この日の放送は22時30分までと、“5分延長”された。出演者が加わった分だけ“尺”を用意する必要に迫られたようにも見える。
 NHK広報局は番組を5分延長した理由について、「取材・制作の都合上」と説明し、政治部記者の追加出演が延長の理由かという質問には、「ご指摘のような事実はない」と回答した。この奇妙な放送から垣間見えてくるのは、政治部と社会部の“立場”の相違だ。
「もともと全メディアのなかでも、NHK社会部は最も取材を先行させていて、前川喜平・前文科次官のインタビューも、かなり早い段階で取っていた。安倍首相ら政権幹部との“オフ懇”を繰り返している政治部とは、追及にかける思いが違う。それでも朝日新聞に先を越されていたのは局内で政権批判をためらう声が強かったからでしょう。社会部の鬱憤は相当たまっていたはず」(前出・関係者)
 この手の話はNHKに限らず、菅氏を質問攻めにして「文書」再調査の「功労者」となった東京新聞社会部の望月衣塑子(いそこ)記者についても、「同僚の政治部記者は“ルールを知らない奴がご迷惑かけます”とクラブで頭を下げていた」(大手紙政治部記者)という。
 全国の視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は、その空気を変えるきっかけになれるか。


[麻央さんが遺したもの]発信した「勇気」に共感
 つらい闘病記でありながら、紡がれた言葉の一つ一つに励まされた人は多い。
 乳がんを患い闘病生活を送っていたフリーアナウンサーの小林麻央さんが、34歳の若さで逝った。あまりに早すぎる。
 登録読者数が250万人を超えるブログは亡くなる2日前まで更新され、最後の投稿には5万件を超える追悼コメントが寄せられている。
 これほど多くの人々を引きつけ、共感を呼んだブログがあっただろうか。
 麻央さんが「KOKORO.」と題したブログを開設したのは2016年9月。乳がんであることが分かってから2年近くたったころだった。
 がん告知時の心境に始まり、抗がん剤の副作用で髪の毛が抜けたこと、がんが転移していることも包み隠さず記し、病状が悪化しやつれた姿も掲載した。
 亡くなる1カ月ほど前に投稿した「痩せる」のタイトルの記事では、鏡に映った自身の姿に衝撃を受け涙を流すが、「精神力までは痩せ細ってないです」と書く。
 ブログが更新されるたびにニュースとなるなど社会の関心を集めたのは、希望を失うことなく困難に立ち向かう姿が人々の心を打ったからだろう。
 他方、幼稚園の運動会に行くという目標を立てて頑張る投稿からは2人の幼子への愛情があふれ、夫で歌舞伎俳優の市川海老蔵さんとのやりとりをつづった文章からは優しさがにじみでる。
 家族とのかけがえのない時間について、ふと立ち止まり、考えさせるブログでもあった。
■    ■
 麻央さんがブログを始めたのは、医師から「がんの陰に隠れないで」と言われたことがきっかけという。
 どんな状況であっても主体的に生きるとの決意を「なりたい自分になる」との言葉で表す。
 ブログは海外でも注目を集め、英BBC放送の世界の人々に感動や影響を与えた「100人の女性」の一人にも選ばれた。
 そのBBCに寄稿した文章の言葉が深く心にしみる。
 「病気になったことが私の人生を代表する出来事ではない」「私の人生は家族に愛され、愛した、色どり豊かなもの」「だから与えられた時間を、病気の色だけに支配されることはやめました」
 乳がんなど病と闘う人たちが特に共感したのは、病気であっても自分の人生を歩んでいく心の強さではなかったか。
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 乳がんは女性が最もかかりやすいがんで12人に1人が罹患する。発見しやすく、早期なら根治しやすいとされるが、14年には約1万3千人が亡くなっている。
 もちろん予防や検診は重要だ。しかし病と完全に無縁でいることはできない。
 多くの人を勇気づけた麻央さんのブログの最後の文章は、「皆様にも、今日、笑顔になれることがありますように」。
 若くして惜しまれながらの旅立ちだが、キラキラとした光を放った人生だった。 


海老蔵「ママにあげると」麻央さん棺に長男の隈取り
 市川海老蔵(39)が26日午後、ブログを更新し、22日に乳がんで亡くなった妻小林麻央さん(享年34)との「最後のお別れ」を終えたことを報告した。
 「本日は様々な行事を滞りなく終えることができました。まおとの最後のお別れでした」。長女麗禾(れいか)ちゃん(5)長男勸玄(かんげん)くん(4)もすべて立ち会い、白い花を持つ勸玄くんの写真を掲載。「2人がどう感じたのか分かりません。が、常に2人に愛を注ぎたいと思います」と父としての覚悟を誓った。前日の通夜にあたる「みたまうつしの儀」同様、この日も神道式で葬場祭、出棺祭と仏式の葬儀にあたる行事が終わった。
 ひつぎの中には、勸玄くんの隈(くま)取りを入れたことも明かした。「カンカン(勸玄くん)の人生初の隈取りは前々からまおが欲しいと言っていたので、ママにあげると。私のも以前から欲しいと言っていたので」と、隈取りの写真を掲載。
 隈取りは歌舞伎独特の化粧で、それを布に押して写したものは貴重なものとされる。「これをまおへの手紙がわりにしようかと、これから書き入れます。空の上でまおが楽しめるようにしたためるつもりです」と、布に筆で文章を書く姿も掲載した。ベトナムに渡って掘り出したルビーを加工し、結婚披露宴で手渡したネックレスも「まおに天まで持って行ってもらうものの1つに」と入れた。
 午前のブログでは勸玄くんが朝、突然泣きだしたことを明かし、「ママを失ったことをカンカンなりに必死に耐えてたんだ、と分かる泣き方でした」。抱きしめることしかできないとしつつ「ママのように母の愛を、私が味わったことのある母のぬくもりを感じさせてあげることはできない」とつづった。「この歳で母を失うという2人の心の傷を、そしてこの先数十年、その愛がそそがれない不安、途方にくれる朝です」と複雑な思いを吐露した。


タカタ経営破綻 命を軽んじた代償は重い
 人命を軽視した姿勢が招いた当然の帰結といえよう。
 欠陥エアバッグのリコール(無料の回収・修理)問題で経営難に陥ったタカタが破綻した。中国企業傘下の米自動車部品会社の支援を受け、事業を継続する。
 負債総額は、自動車メーカーが肩代わりしているリコール費用を含めると約1兆7千億円に上る見通しだ。製造業では戦後最大の破綻である。
 欠陥エアバッグ問題では、米国だけで少なくとも11人が死亡した。国内では記録の残る2011年以降、16件の異常破裂で2人が負傷している。
 このうち同乗者が重傷を負った事故を巡っては今月、タカタと自動車メーカーの社員が書類送検される刑事事件に発展した。
 自動車のユーザーらの安全を守るはずの装置によって、多くの死傷者が出たのである。タカタは猛省しなければならない。
 国内外の自動車メーカーは現在もリコールを進めているが、対象は国内で約1882万台、全世界では1億台を超える。全てを回収するめどは立っていない。
 危険な自動車が依然として使用され、今後も被害者が出る恐れがある。自動車メーカーは回収を急がなければならない。ユーザー側も自分の車がリコール対象なのか確認することが必要だ。
 欠陥エアバッグは、バッグを膨らませるガス発生剤の変質が一因とされる。バッグ作動時に異常破裂し、金属片が飛び散る。ホンダが08年にリコールを開始、14年には米国などで6人が死亡したと海外メディアが報じた。
 問題が深刻なものとなった最大の要因は、対応が後手に回ったことである。
 タカタは異常破裂の原因を巡って自動車メーカーと責任の押し付け合いを続けた。
 タカタが早期に欠陥を認めて交換用部品を増産していれば、多くの死傷者を出す事態を回避できた可能性は大きい。
 欠陥発覚後の対応のどこに問題点があったのか。それをしっかりと検証することが不可欠である。
 タカタはエアバッグのほか、シートベルトやチャイルドシートなども製造している。米国など約20カ国に生産拠点を置き、従業員数は約5万人に上る。
 破綻によって部品の供給が途絶え、自動車の製造が滞るようなことがあれば、影響は甚大だ。
 自動車メーカー各社はリコールで立て替えている費用の回収は困難と見込む。トヨタ自動車などは5千億円以上に上るが、費用に関する引当金を計上しており、業績への影響は限定的とみられる。
 ただし、約570社ある下請け企業には代金の支払いや今後の取引について動揺が広がっている。雇用を維持し、連鎖倒産を防止するため、国は所要の措置をきちんと講じてほしい。
 企業の信用確保には、ユーザーの利益を最優先しなければならない。企業が安定した経営を続けるには、信用という基盤が不可欠だ。
 タカタの破綻はそのことをはっきりと示している。


タカタ破綻/企業統治の改革が必要だ
 欠陥エアバッグのリコール(無料の回収・修理)問題で経営難に陥っているタカタが東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約1兆7千億円の見通しで、製造業としては戦後最大。問題が長期化して被害が拡大し経営破綻に至った原因は、経営陣の危機意識の薄さ、対応の拙劣さにある。企業統治の根本的な改革が必要だ。
 タカタは中国企業傘下の米自動車部品会社キー・セイフティー・システムズ(KSS)に1750億円でほぼ全ての事業を譲渡し、裁判所の管理下で再建を進める。タカタのエアバッグを使用している自動車メーカー各社は、リコール費用全額を立て替えており、今後も製品供給を続けてもらうため、費用請求の大部分を放棄して経営再建に協力する。
 欠陥エアバッグの事故により米国だけで少なくとも11人の死者が出たことで、世界的な自動車部品メーカーとしてのブランドは大きく傷ついており、再生への道は平たんではない。しかも、タカタはまだ再建計画の明確な青写真を示していない。消費者と取引企業の信頼を回復するために、一日も早く詳細な再建計画を示すべきだ。
 当面、消費者に対して最優先すべき課題は、現在も市場に大量に出回っている欠陥エアバッグの早期回収と再発防止の徹底だ。タカタは欠陥エアバッグの無償回収を続ける方針で、自動車メーカーと協力して取り組み、消費者の不安を解消してほしい。
 タカタに部品を供給している下請け企業など取引先も、売掛金などの回収が滞れば、経営に打撃を受ける恐れがある。自動車業界のサプライチェーン(調達・供給網)は各企業が緊密に結び付いており、1社でも離脱すると全体に大きな影響が出る。経済産業省には十分な目配りを求めたい。
 ホンダが2008年に最初のリコールを届け出てから約9年。事態が長引いた原因は、できて当然の危機対応をタカタができなかったことにある。危機を危機と認識できなかった上に、法令順守の意識が低く、消費者重視の視点が弱く、説明責任を果たす姿勢が一貫して乏しかった。企業統治が十分に機能していなかったといえよう。
 もしタカタが当初のトラブルを軽視せず、早急に詳細な調査を実施してエアバッグの欠陥の原因を究明し、欠陥製品の回収や新製品の開発に取り組むとともに、消費者と自動車メーカーに丁寧な説明をしていれば、死傷者がここまで増えることはなかったのではないかという見方が多い。
 タカタの社風を示す象徴的な例は、高田重久会長兼社長が重要な局面でも自ら説明することが極めて少なかったことだ。1月に検査データの不正で元幹部3人が起訴された際も、高田氏は記者会見を開かず、自動車メーカーからは「もっとトップが表に出て説明すべきだ」と不信の声が出ていた。
 タカタが真に復活するためには、企業風土の変革と従業員の意識の刷新が不可欠だ。それができなければ、将来、同様の対応が繰り返されるかもしれない。すでに三菱自動車が類似の不正を重ねた実例がある。タカタの破綻を日本の企業全体に対する教訓としたい。


【タカタ経営破綻】欠陥品回収に全力挙げよ
 欠陥エアバッグ問題に揺れるタカタがついに経営破綻した。東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。
 負債総額は、自動車メーカーが肩代わりしているリコール費用を含め約1・7兆円になる見通しだ。製造業では戦後最大の破綻となり、問題の深さを象徴している。
 タカタは今後、米国企業の支援を受け、事業を継続しながら再生を目指すが、根本的な課題はまだ残されたままだ。
 欠陥エアバッグの回収終了のめどが立っておらず、危険な車が現在も世界各地で走り続けている。交換用部品が不足し、リコールに十分対応できていない面もあるという。
 何より優先すべきなのは、被害者をこれ以上増やさないことだ。自動車メーカーとともに早期回収に全力を挙げることが求められる。
 タカタはエアバッグやシートベルトなど自動車向け安全部品では世界有数のメーカーだ。しかし、欠陥エアバッグでは当初、命を守る製品を扱う企業とは思えない不誠実な対応に終始した。
 問題の製品は、作動時にガス発生装置が破裂し、金属片が飛び散る恐れがある。運転手や同乗者が死傷する事例が相次ぎ、死者は米国だけで11人に上っている。
 社内で最初に異常に気付いたのは2005年だが、リコールの開始は3年後。それでも自動車メーカーと協力して回収と交換用部品の生産に力を注いでいれば、これほど被害は拡大しなかったのではないか。米国では昨年秋にも死者が出た。
 後手の対応が経営損失の拡大も招いた。米政府はタカタ経営陣の姿勢を断罪し、タカタは巨額の罰金や和解金の支払いを余儀なくされた。世界の自動車メーカーのタカタ離れも加速した。
 経営責任は重く、経営・創業家である高田家の姿勢を厳しく問う声もある。
 同時に、自動車メーカーもリコール対応などで十分に責任を果たしてきたのか検証する必要がある。車の利用者は部品メーカーではなく、自動車メーカーを信頼して購入したり運転したりしている。
 民事再生法の適用により、自動車メーカーは肩代わりしているリコール費用の多くを請求できなくなる。それでも各社はタカタに法的整理を迫ってきた。
 「退場」を求めないのは技術力を評価しているからだろう。そうでなければ米国企業も支援しまい。タカタはこうした状況にあぐらをかくことなく、回収と再生を目指さなければならない。
 気掛かりなのは、関連会社や下請け企業への影響だ。支援する米国企業は日本各地の製造施設の閉鎖予定はないと説明しているが、雇用や取引への不安は大きい。
 政府は、連鎖倒産を防止するための保証制度を活用する方針を示している。影響を最小限にくい止めるには行政の役割が大きい。


タカタ再生申請 「戦後最大の破綻」の教訓
 欠陥エアバッグのリコール(無料の回収・修理)問題で経営が悪化したタカタが東京地裁に民事再生法の適用を申請し受理された。子会社のタカタ九州(佐賀県多久市)なども民事再生手続き開始を申し立てた。負債総額は1兆円超の見通しで、製造業として戦後最大の経営破綻となった。
 タカタは米国企業の支援を受け、事業を継続しつつ再建を図るという。まずは自動車安全装置メーカーとして失墜した信頼の回復に取り組む必要がある。同時にリコール対応を急ぎ、被害拡大防止を徹底することが不可欠だ。
 タカタのエアバッグは膨らんだ際に異常破裂し、飛び散った金属片で運転者や同乗者の死傷事故が相次いだ。米国では11人が死亡している。リコール費用は1兆円を超すとされ、一時的に自動車メーカーが肩代わりしている。
 タカタは、中国企業傘下の米自動車部品会社の支援を受け、経営再建を目指す。米自動車部品会社は、タカタからほぼ全ての資産と健全事業を1750億円で買い取り、事業を継続する。譲渡による売却代金は債権者への弁済などに充てる段取りだ。関係者には、子会社や下請け企業を含めた雇用の維持、連鎖倒産の防止に最大限の努力を求めたい。
 2008年にさかのぼる一連のリコールでは、タカタの経営体質が対応を遅らせた面がある。問題発生初期に欠陥を認めず、交換部品の生産も遅れた上、消費者への説明や経営責任の明確化も不十分だった。また、自動車メーカーとの責任の押しつけ合いなども問題を長期化させた。その結果、国内ではリコール対象のエアバッグ搭載車約1882万台のうち改修済みは73%で、米国では4割に満たない。迷走に区切りをつけ、対応を急ぐ必要がある。
 自動車産業は電気自動車や自動運転などで異業種や新興企業の参入も進む。タカタの経営破綻は事故や不具合の際の自動車メーカーと部品メーカーの責任分担の明確化や消費者に対する迅速な説明と対応の重要性も提起している。


タカタ破綻 企業統治の根本改革を
 欠陥エアバッグのリコール(無料の回収・修理)問題で経営難に陥っているタカタが、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約1兆7千億円の見通しで、製造業としては戦後最大。問題が長期化して被害が拡大し、経営破綻に至った原因は、経営陣の危機意識の薄さ、対応の拙劣さにある。企業統治の根本的な改革が必要だ。
 タカタは中国企業傘下の米自動車部品会社キー・セイフティー・システムズ(KSS)に1750億円でほぼ全ての事業を譲渡し、裁判所の管理下で再建を進める。タカタのエアバッグを使用している自動車メーカー各社は、リコール費用全額を立て替えており、今後も製品供給を続けてもらうため、費用請求の大部分を放棄して経営再建に協力する。
 欠陥エアバッグの事故により米国だけで少なくとも11人の死者が出たことで、世界的な自動車部品メーカーとしてのブランドは大きく傷ついており、再生への道は平たんではない。しかも、タカタはまだ再建計画の明確な青写真を示していない。消費者と取引企業の信頼を回復するために、一日も早く詳細な再建計画を示すべきである。
 当面、消費者に対して最優先すべき課題は、現在も市場に大量に出回っている欠陥エアバッグの早期回収と再発防止の徹底だ。タカタは欠陥エアバッグの無償回収を続ける方針であり、自動車メーカーと協力して取り組み、消費者の不安を解消してほしい。
 タカタに部品を供給している下請け企業など取引先も、売掛金などの回収が滞れば、経営に打撃を受ける恐れがある。自動車業界のサプライチェーン(調達・供給網)は各企業が緊密に結び付いており、1社でも離脱すると全体に大きな影響が出る。経済産業省には十分な目配りを求めたい。
 ホンダが2008年に最初のリコールを届け出てから約9年。事態が長引いた原因は、できて当然の危機対応をタカタができなかったことにある。危機を危機と認識できなかった上に、法令順守の意識が低く、消費者重視の視点が弱く、説明責任を果たす姿勢が一貫して乏しかった。企業統治が十分に機能していなかったといえよう。
 もしタカタが当初のトラブルを軽視せず、早急に詳細な調査を実施してエアバッグの欠陥の原因を究明し、欠陥製品の回収や新製品の開発に取り組むとともに、消費者と自動車メーカーに丁寧な説明をしていれば、死傷者がここまで増えることはなかったのではないかという見方が多い。
 タカタの社風を示す象徴的な例は、高田重久会長兼社長が重要な局面でも自ら説明することが極めて少なかったことだ。1月に検査データの不正で元幹部3人が起訴された際も、高田氏は記者会見を開かず、自動車メーカーからは「もっとトップが表に出て説明すべきだ」と不信の声が出ていた。まずトップから率先して意識改革を始めなければならない。
 タカタが真に復活するためには、企業風土の変革と従業員の意識の刷新が不可欠である。それができなければ、将来、製品の欠陥や不祥事が発生したときに、同様の対応が繰り返されるかもしれない。すでに三菱自動車が類似の不正を重ねた実例がある。タカタの破綻を日本の企業全体に対する教訓としたい。(共同通信・柳沼勇弥)


タカタ破綻 安全に責任持つ再建を
 安全の軽視が、製造業で戦後最大の破綻を招いてしまったといえる。欠陥エアバッグのリコール問題で経営が悪化したタカタはきのう、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。リコール費用を含めた負債総額は、最終的に1兆7千億円に膨らむ見通しだ。
 自動車産業に及ぼす影響は甚大で、タカタの創業家が固執した「私的整理」でなく、透明性の高い「法的整理」を選んだのは当然だろう。高田重久会長兼社長はきのうの会見で謝罪し、再建の見通しが立った段階で辞任することを表明した。だがその責任はあまりに重い。対策が後手に回り続けたことが、混乱に拍車を掛けたからだ。
 タカタ製のエアバッグには、衝突時に異常破裂し、金属片が飛び散る欠陥があった。米国では2009年以降、少なくとも11人が死亡し、負傷者は世界で180人を超える。
 この欠陥が発覚したのは08年にホンダがリコールを届け出た時にさかのぼる。しかしタカタはそれ以前から欠陥を把握していた。にもかかわらず、リコールの範囲を広げることを渋り、抜本的な対策を講じなかった。
 こうした姿勢が取り返しのつかない事態を生んだのではないか。米国での訴訟では、欠陥を知りつつデータを改ざんして販売したことも問われ、多額の和解金を支払うことになった。
 リコールの対象は日本と米国を中心に1億台まで拡大した。日本では、約1882万台のリコール対象のうち、回収されたのは73%にとどまっている。
 いつ、どこで事故が起きてもおかしくない。再建計画の青写真はまだはっきりしないが、最優先すべき課題は、欠陥エアバッグの早期回収と事故の再発防止の徹底に違いあるまい。タカタは欠陥品の無償回収を続けるという。自動車メーカーも全面的に協力し、消費者の不安解消に努めるべきである。
 というのも、自動車メーカーは原因究明をタカタ任せにして問題を長期化させた責任も指摘されているからだ。リコール費用などの債務をメーカーが肩代わりするのはやむを得ないかもしれない。ただ負担は大きい。経営に及ぼす影響が心配だ。
 タカタに部品を供給している下請け企業なども、経営が打撃を受ける恐れがある。経済産業省は、連鎖倒産を防ぐための保証制度を活用する方針だ。きめ細かい対策を求めたい。
 これからタカタは、中国企業傘下の米自動車部品会社キー・セイフティー・システムズ(KSS)の支援を受ける。事業はKSSに実質的に譲渡し、再生手続きを進めていくことになる。「会社分割」の方式で、新会社が正常なエアバッグやシートベルトなど収益を上げられる事業を受け継ぎ、残る会社は清算業務に当たることも検討しているようだ。
 会社分割によって、欠陥エアバッグが破裂する事故が起きたときに、誰が損害賠償を負うのかといった問題も生じるという。万が一のときには当然、再建された会社が責任を取らなくてはならない。損害賠償から逃げない仕組みが欠かせない。
 タカタの迷走は、品質の高い日本車のブランドイメージを大きく傷つけた。信頼回復には、消費者の安全と安心を守る原点に立ち返ることが必要だ。


[受動喫煙対策] 法整備は待ったなしだ
 受動喫煙防止の強化を図る健康増進法改正案の国会提出が先送りされた。
 焦点となっていた飲食店での喫煙規制について、自民党が厚生労働省の改正案に反対し、最後まで折り合えなかったためだ。
 気になるのは、2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、実効性のある対策がきちんと取れるかどうかである。
 世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は協力して禁煙を進めている。08年以降の五輪開催国では、罰則を伴う喫煙規制が導入されてきた。
 日本政府の対応が遅れれば、信用低下は免れまい。残された時間はそう多くない。
 ただ五輪開催の有無にかかわらず、法整備は待ったなしだ。政府は国民の健康を最優先する観点から、秋に想定される臨時国会での法成立に努めてもらいたい。
 厚労省と自民党が対立したのは、例外的に喫煙を認める飲食店を巡る線引きだった。
 厚労省の改正案は、店舗面積が約30平方メートル以下の小規模なバーやスナックなどに絞る内容だ。
 これに対し、自民党は飲食店の面積基準を150平方メートル以下に設定。「喫煙」「分煙」の店頭表示などの条件を満たせば、喫煙を認めるとの対案をまとめた。
 これでは厚労省案と比べて面積が5倍に拡大され、すべての業態の飲食店が含まれてしまう。喫煙規制の骨抜きに等しく、到底容認できない。
 分煙については「煙や化学物質を完全に排除できず効果がない」(WHO)との指摘もある。自民党が「日本は分煙大国になればいい」とするなら的外れだ。
 WHOは公共の場所を飲食店や病院、大学、職場など8種類に分類し、すべての屋内を全面禁煙するよう求めている。欧米など49カ国はこうした規制がある。
 これに照らすと、日本の現行対策が世界最低レベルと評価されるのも仕方ない。厚労省案ですら緩やか過ぎて、世界標準には達していないといえる。
 一方、たばこを吸う人への配慮が必要なのは当然だ。厚労省は公共の喫煙所を拡充するなど十分な対策を講じてほしい。
 折しも東京都議選で、各党がこぞって受動喫煙防止条例の制定を公約に掲げる。厚労省からは「都の対策が先行すれば、法改正に向けた機運が消えうせてしまう」との懸念の声が上がっている。
 国レベルの対策こそ喫緊の課題だ。まず自民党が厚労省に歩み寄るべきである。国民の理解を得られる法整備が欠かせない。


対応が国の信用左右する/受動喫煙防止
 政府は受動喫煙防止策を強化する健康増進法改正案の国会提出を先送りした。飲食店での喫煙規制について、自民党が厚生労働省の改正案に反対し、議論が行き詰まったためだ。2020年に東京五輪・パラリンピックを控え、今秋の臨時国会での改正法成立を目指すが、再び調整が難航する可能性もある。
 近年の五輪開催国では、世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)の合意に基づき、罰則を伴う喫煙規制が導入されている。対応が遅れれば日本の信用低下は免れない。関係者は危機感を持って事態の打開に努めてほしい。
 厚労省と自民党の最大の争点は、例外として喫煙を認める飲食店の線引きだ。厚労省が3月に公表した改正案は、屋内禁煙を原則とし、飲食店などは喫煙室を設置してもよいとした上で、30平方メートル以下のバーやスナックに限って喫煙を認める内容だった。
 自民党ではたばこ議員連盟(野田毅会長)を中心に反発が広がり、150平方メートル以下の飲食店は店頭に「喫煙」や「分煙」と表示すれば喫煙を認めるという対案をまとめた。厚労省案と比べて面積で5倍の開きがある上に、すべての業態の飲食店が含まれ、喫煙規制が大幅に後退してしまう。
 厚労省は激変緩和措置として、数年間は自民党案に盛り込まれた飲食店での喫煙を特例として認め、その後は厚労省案に移行するという譲歩案を示したが、自民党は受け入れず、協議は袋小路に入り込んでしまった。
 自民党案の論拠の一つは、分煙で健康被害を防げるという考え方だが、WHOは受動喫煙防止の有効な対策は屋内の全面禁煙しかないと明言し、分煙や喫煙室を退けている。厚労省案ですら緩やか過ぎて、世界標準には達していない。
 もちろん、たばこを吸う人への配慮も忘れてはならない。屋外での禁煙が広がっているのに加えて屋内でも禁煙が進むと、公共空間でたばこを吸える場所が少なくなる。厚労省には公共の喫煙所を拡充するなどの対策も考えてもらいたい。
 受動喫煙対策で、厚労省が提示した数年の移行期間を設ける譲歩案は現実的であり、自民党にも受け入れ可能ではないか。東京五輪まで残された時間は少ない。次期国会で改正健康増進法を成立させるよう合意を目指すべきだ。


性犯罪厳罰化 法改正機に一層議論を
 性犯罪を厳罰化する改正刑法が先の通常国会で成立し、7月13日に施行される。
 強姦(ごうかん)罪の法定刑引き上げや、起訴するのに被害者の告訴が必要となる「親告罪」規定の削除などが柱だ。性犯罪に関する刑法の大幅改正は、明治期の制定以来約110年ぶりとなる。
 性犯罪は、長期間にわたって被害者の心に深い傷を残す卑劣極まる犯罪である。被害者団体は「強姦などは『魂の殺人』であるのに、他の犯罪に比べて法定刑が軽すぎる」として実態に即した法改正を求めていた。
 人間の尊厳を守るため、時代に合わせて法を改めるのは当然だ。ただ、刑の厳罰化だけで性犯罪を根絶することはできない。法改正を機に、被害者支援や再犯防止策など関連対策を充実強化させていく必要がある。
 改正法では、強姦罪の名称を「強制性交等罪」に変更。女性に限定されていた被害者に男性を含め、性交類似行為も対象とする。法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げた。親告罪の規定が削除されるのは強姦罪や強制わいせつ罪などで、施行前の事件にも適用される。
 「犯罪白書」によると、2015年の警察の認知件数は強姦が1167件、強制わいせつが6755件に上る。近年は減少傾向にあるとはいえ、被害者が恥辱感から他人に知られたくないとして泣き寝入りするケースは依然多いという。
 さらに、加害者の処罰を求めるかどうか判断させられることも被害者にとって負担が重く、性犯罪が表面化しにくい一因とされている。親告罪の規定がなくなったことで、強姦などは被害者の告訴がなくても罪に問えることになった。
 ただし、課題も残されている。強姦罪の成立には被害者への「暴行や脅迫」が要件になっている。被害者らは「暴行や脅迫がなくても犯罪に遭遇すると体が凍り付き、抵抗できなくなるケースが多い」として要件撤廃を求めていたが、改正は見送られた。撤廃すれば「被害者の意思に反すると確信できないケースも処罰されかねない」との反対論が法制審議会などで多かったためだ。
 その一方で、親などの「監護者」が立場を利用して18歳未満の者に性的な行為をすれば、暴行や脅迫がなくても罰する「監護者わいせつ罪」などが新設された。家庭内で弱い立場にある子どもが性的虐待を受ける深刻な事態を防ぐのが目的だ。
 この改正内容についても被害者らの間では評価する声がある半面、「親と同じような力関係は教師やスポーツ指導者との間にも起こり得る」として、監護者の対象を広げるよう求める意見は根強い。
 改正法の付則には、施行3年後の見直し規定が盛り込まれた。被害者の声を真摯(しんし)に受け止めてさらに議論を重ね、性犯罪防止に向けて柔軟に法を見直していくことが求められる。


国の天下り調査 国民の疑念解消に程遠い
 文部科学省で発覚した組織ぐるみの天下りあっせん問題を受け、内閣人事局が全府省庁を対象に行っていた調査結果を公表した。
 国家公務員法が定めた再就職規制に違反する疑いのある事例が計27件報告された。再就職のあっせんが禁じられている現職職員が関与したケースが25件、本人が在職中に利害関係先に対して求職活動をしたケースが2件あった。
 ただ、当事者の名前や役職、どこへ再就職したのかといった詳細は明かされなかった。少なくとも12省庁が関係しているとされたが、省庁名すら伏せられた。
 調査は1月以降、弁護士3人を含む約40人体制で現職職員やOBらに対して行った。半年近くを費やしながら、霞が関の天下りの実態に迫るには程遠い内容だ。中途半端だとの批判は免れまい。
 十分な情報開示に応じない理由について、山本幸三国家公務員制度担当相は、違法性が「疑いの段階」のためと説明する。だが、それで国民が納得できるだろうか。
 文科省で行われていたような組織的な違反についても「確認できなかった」としているが、詳細を伏せたまま、問題なしと主張しても説得力を欠こう。「組織ぐるみの天下りが文科省以外の多くの省庁にまん延しているのではないか」という国民の疑念は払拭(ふっしょく)できず、説明責任を果たしたとは言えまい。
 報告された27件の違法性の有無については今後、内閣府の再就職等監視委員会が詳細を調べて判断するという。最終的な結論を丸投げするような姿勢も疑問が残る。
 甘さが目立つのは調査手法についても言える。
 報告書によると、同一ポストに同じ省庁から連続して再就職した場合など、不自然で組織的関与も疑われるケースについて、省庁の人事担当者らに面談で質問しても「個別事情を承知していない」といった回答が目立つ。さらに突っ込んだ質問が求められたはずだが、そうしたやりとりをした形跡はうかがえない。
 今回、OB約6千人については書類を郵送して調査を行ったが、うち1割以上の約800人からは回答を得られていない。任意の調査で強制力がないとはいえ、不十分と言わざるを得まい。
 再就職後に義務付けられている国への届け出漏れも82件判明した。省庁の規律が緩み、規制が骨抜きにされているのではないか。
 内閣人事局は再発防止策として、再就職の届け出について関与したOBの存在といった経緯も含めるなど内容を詳しくすることや、監視委の体制強化を検討するとした。退職から一定期間以内の利害関係先への再就職を禁じるといった規制強化を求める意見もあるが、今回は踏み込まなかった。違法な天下りを根絶する実効性のある手だてを講じるためにも、全容解明に迅速に取り組んでもらいたい。


官僚への圧力◆士気を失わせ国益損なうな◆
 安倍内閣の幹部が、自分たちに都合が悪い問題で、官僚に対してあからさまに圧力をかけようとする場面が目につく。
 中央省庁の幹部人事を官房長官らが一手に握る内閣人事局の創設後、官僚の首相官邸に対する追従傾向は既に強まっている。森友学園問題では「忖度(そんたく)」が取り沙汰されたが、これ以上の統制は官僚の士気を失わせ、ひいては政府全体の機能低下を招き、国益を損なうことになる。政治家に猛省と自制を求めたい。
国家公務員法で威嚇
 最も露骨だったのは義家弘介文部科学副大臣の発言だ。6月13日の参院農水委員会で、義家氏は加計学園の獣医学部新設問題に関する「総理のご意向」文書の存在を認めた文科省の内部告発について「一般論として告発内容が法令違反に該当しない場合、非公知の行政運用上のプロセスを上司の許可なく流出させることは、国家公務員法(違反)になる可能性がある」と述べた。
 自由党の参院議員が公益通報者保護制度に基づいて保護するよう求めたのに対する答弁。保護対象か否かについては「告発の内容が具体的にどのような法令違反に該当するのか明らかにすることが必要だ」とした上での発言だった。
 答弁としてはこれで十分にもかかわらず、1年以下の懲役または罰金を科すとする国家公務員法にあえて言及している。「総理のご意向」文書に関する再調査が文科省内で行われていた最中。職員は当然威嚇と受け止めるだろう。
 菅義偉官房長官は「総理のご意向」文書が存在すると新聞やテレビで証言した前川喜平前文科事務次官に対して、別件である同省の天下り問題への対応を持ち出して攻撃した。
 さらに菅氏は公文書管理のガイドライン見直しに関連し「行政文書の歴史的重要性の判断基準を精緻化する」と述べた。各省庁には「公文書の範囲を狭くしろということだろう」との受け止めが広がっている。
意向に逆らえば左遷
 外務省は6月1日付で、韓国・釜山の日本総領事館前の慰安婦像設置に対する日本政府の方針に異を唱えたとされる釜山領事の森本康敬氏を更迭した。
 森本氏は慰安婦像設置への対抗措置として一時帰国させられていたが、知人らとの会合で、一時帰国を決めた首相官邸の判断を批判したことが原因とされている。
 この人事は他省庁の官僚にも「官邸の意向に逆らえば左遷される」と衝撃を与えている。
 さらに経済産業省では2月末から情報管理のためとして全執務室の扉を日中の勤務時間内も電子的に施錠している。さまざまな人々が多数訪れる中央省庁では異様な対応だ。
 萎縮は極まりつつある。通常国会閉幕で安倍晋三首相は「深い反省」を口にしたが、官僚との関係もよく顧みなければならない。


「共謀罪をものともせず」自称テロリスト・外山恒一が都内を街宣中
「戦争するならアメリカとやれ。爆破したいぐらい、原発が嫌いです。原発推進派は、はぁ(ため息)、死ねばいいと思います。共謀罪をものともせず、会いにくるテロリスト、気さくなテロリスト、外山恒一でございます」
 東京都議会議員選挙が告示された2017年6月23日、午前8時の高円寺駅前。都議選とはまったく関係ないにもかかわらず、街宣車から過激な第一声をあげている男がいた。2007年の都知事選に出馬、政見放送で「選挙で何かが変わると思ったら大間違いだ!」と民主主義を批判し、注目を浴びた外山恒一氏である。
 外山氏はその後も各種選挙で出馬せずとも原発推進候補をほめごろしたり(※2014.02.10)、「投票に行くな」と訴えたり(※2016.07.14)と、内容は過激ながらもユーモアに溢れる「選挙便乗街宣パフォーマンス」を行ってきた。
 今回は原発候補ほめごろしに引き続き「テロリスト」を自称しての街宣。これは先だって成立したばかりの「テロ等準備罪」(共謀罪)が7月11日に施行されるのを前に、共謀罪を笑い飛ばす意図ではないか? そう睨んだ取材班は、街宣車に再び乗り込んでみることにした。
「悪い政府が嫌がることしかやりません」「テロリストが人質を取って、アメリカと手を切れと要求してきたら、素直に従ってください」「単なる平凡な、しがない過激派でございます」
 外山氏は磨き上げた短い街宣フレーズをマイクで繰り返しながら、高円寺から新宿、渋谷などを回る。朝10時すぎに渋谷駅前を通ると、別に狙ったわけでもなく小池百合子都知事の第一声と遭遇。オリンピックという大仕事を控えている小池都知事は、「日本政府はテロに屈しろ」と書かれた街宣車の看板を見て何を思っただろうか。
「共謀罪をものともせず」自称テロリスト・外山恒一が都内を街宣中 また、都議選期間中にもかかわらず、日本共産党の選挙カーを見かければ「共産党とは珍しく仲の悪い、反原発派です」と言い放ったり、「○○候補のご健闘をうわべだけお祈りしております。というか、みんな落ちればいいと思っております」とマイクで言ってしまう。
 だが、これらはすべて公職選挙法や道路交通法に違反しているものではない。それはなぜか。むしろ、強いて言えば「法令遵守」の「過激な活動」なのだ。政治資金規正法により届け出された「政治団体」は、その地域が選挙運動期間中になると街頭宣伝をすることができない。だが、外山氏が率いる「九州ファシスト党・我々団」は、政治資金規正法に基づく政治団体の届け出を出しておらず、単なる「結社」に過ぎない。いわば「サークル」や「女子会」と同じ扱いと言っても過言ではない。
 なので、街宣車で大音量で回ることもパチンコ屋の宣伝カーなどと変わらない。たとえ当該地域が選挙運動期間中であっても、法律の定めるところの「政治活動」以外は「結社の自由」により守られているのだ。裏を返せば、街宣をするために選挙に出る人もいる。かつて、右翼の親玉と呼ばれた赤尾敏は、銀座・数寄屋橋で選挙運動期間中も毎日街宣をするために出馬したほどだ。
 ちなみに外山氏がマイクを握りながら運転していることは道交法違反ではないのか、という疑問を抱く人も多いが、これも携帯電話やカーナビなどとは違い法律上明示がないので、道交法に不思議と触れないのだ。実際、取材班は何度も街宣車同乗取材をしているが、交番やパトカー、警官とすれ違いながらも一度も咎められたり、職務質問をされているところを見たことがない。
 取材班は6月23日に引き続き、6月25日にも街宣車同乗取材を行った。こちらの模様については動画にまとめてあるので、ご覧いただければ、ここまで紹介した過激なフレーズがなんともユーモラスな形で表現されているのがお分かりいただけるのではないだろうか?
果たして今回の街宣は「共謀罪反対運動」なのか?
 さて、現在外山氏が行っている街宣は、共謀罪の施行を前にした「共謀罪反対運動」なのか、と尋ねると「そうではない」と前置きしつつ、「普段、(活動拠点である)福岡でやっている街宣をやるだけなんだけど、『こんなんじゃあテロ等準備罪にはひっかからないよ』というのを見せつける、という側面はありますね」と外山氏は語る。
 ご存知のように共謀罪は277の犯罪が対象になっている。我々も施行前とはいえ取材するにあたり277項目を検討してみたところ、もしかしたら「内乱等幇助」「公衆脅迫目的犯罪資金処罰法」「著作権法」にひっかかる可能性があるのでは?と討議を重ねた。その詳細は冗長になるので省くが、最終的にはおそらく問題なかろうという判断をした。そもそも共謀罪の国会答弁でも「何が対象になるのかわからない」という問題点は指摘されており、さらには取材、そして施行前にもかかわらず「ひっかかるか、ひっかからないか」を気にしてしまうのは共謀罪反対派が言う「萎縮効果」が我々にも及んでいるのかもしれない。
 そんな我々を外山氏は「萎縮するのが悪いんですよ。萎縮せずにこれまで通りやればいい。それで何かで捕まったりしたときは、わーわー怒って抗議すればいいだけであって」と笑う。
「共謀罪をものともせず」自称テロリスト・外山恒一が都内を街宣中 だが、自らを「テロリスト」と言い、「原発を爆破したい」と言うのは共謀罪以前に内乱罪や破壊活動防止法、さらにはそれらの扇動罪にあたる可能性もあるのでは?
「私は自分をテロリストとは言っていますが、『テロをやる』『テロを実行する』とは一言も言っていない。きちんと街宣のフレーズを聞いてほしいのですが、『原発を爆破したい』ではなく『原発を爆破したいほど嫌い』と自分の内心を吐露しているにすぎませんよ。もしも扇動と受け取られたら『僕はそのつもりはなかった』と言うしかないですよね(笑)。そして、扇動かどうかを判断するのは当局のさじ加減だから。まあ、向こうはやるときは何でもやりますから。それをいちいち『忖度』して萎縮してはいけない、と」
 いかにも外山氏らしいロジックである。そして、そもそも「実際にテロリストを捕まえるならば、現行法制下でもいろんな犯罪を適用して逮捕することは可能なんです。ただし、私はそのこと自体をずっと問題視しているんですがね」と外山氏は指摘する。
「例えば当局にマークされている人物が偽名で宿泊すると宿泊業法違反で逮捕される、という例があります。ただ、問題は法律が平等に適応されていなくて、一般人はスルーでテロリストだと見なされるとものすごい細かい法律を持ち出してくる。それは法の下の平等に反していますよ。そんなことを許していたら、よくリベラルが言うマルティン・ニーメラーの言葉『ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。私は共産主義者ではなかったから。(中略)そして、彼らが私を攻撃したとき私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった』と同じことをやっているだけじゃないですか。そもそもはオウム事件のときに警察の強引な捜査を許してしまったから今があるわけで、今さらリベラルが共謀罪反対と言っても、その前にオウムのときにちゃんと抗議すべきだし」
 さて、取材班のうちの1名(織田)は実は外山氏から「私の活動を演芸的な何かと勘違いし続けている」と公言されているのだが、今回も「またまたテロリストとか言って、共謀罪の施行直前に世間の意表を突こうという趣向でしょ。しかし、現代芸術的パフォーマンスとしては優れている」と思い取材に臨んだ。
 だが、外山氏から「純然たる政治運動です。私は革命家なのでテロは否定しない」という発言を聞くに及び、「ちょっと待て」とその真意を尋ねた。
「まず、共謀罪では一般の人は迷惑をこうむらないと思います。テロリストや『テロリストと見なされる人』が困るのであって。そういう人の立場から反対するべきだし、社会の中に特別なカテゴリーをつくって『そういう人だったら何をされてもOK』みたいなことを許してはいかん」
 確かにアメリカのアフガン侵攻、イラク戦争以後のグァンダナモ収容所の例を持ち出すまでもなく、テロリストと見なされると、当人が実際にテロリストでなくてもアフガニスタンやイラクの法律も、アメリカの法律も、さらには国際法まで適応されず、拷問などの非人間的な扱いをされる、という問題はあった。同種のことは現在でも行われているだろう。一方で、一般人の感情としては「爆弾を仕掛けられて自分や肉親、友人が殺されてはたまらない」と思うだろうし、「サリンを撒かれる前や、トラックで突っ込んでこられる前になんとかしてくれよ」と思うのも当然の感情ではないだろうか?
「それはそうなんですが、やっぱり一応は近代的な刑法とか司法の原則があって、『法の原則上、やれないことはやれない』んですよ。その原則を、日本の場合はオウム事件だし、アメリカの場合は9・11だけど、今まで漠然と想定されていた水準の“大規模な”テロをはるかに超える規模のことがいきなり起こって、それでパニックに陥って法の原則も全部ないがしろにしてやりはじめる、というのがアメリカが主導している『対テロ戦争』なわけで」
 そして、一般人がこうしたことに声を上げないこと自体がもはや戦時下であることの証左なのだ、と外山氏は主張し、最後に少しだけ本音を漏らしてくれた。
「共謀罪に反対している人たちは『戦争が近づいている』というけれど、もう戦争は始まっているわけですよ。対テロ戦争をやっているわけであって。で、その戦時下の状況に今、あるわけですよね。だから、明示的にあからさまにテロリストの側につかないように、でも、気持ちとしてはテロリストの側にいようと思っていて。反戦運動として『我々はテロリストでございます』という声をあげているわけですよ」
 ちなみに外山氏は共謀罪施行日の7月11日以降も、都内で同様の街宣を続ける予定である。
取材・文/海老原哲二 取材・文/織田曜一郎(週刊SPA!)


防衛相 都議選候補を「自衛隊としてお願い」集会で演説
 稲田朋美防衛相は27日、東京都板橋区で開かれた都議選の自民党候補を応援する集会で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたいと、このように思っているところだ」と訴えた。行政の中立的運営から問題になりかねず、自衛隊の政治利用と受け取られる可能性もある。
 集会後、稲田氏は記者団に「地元のみなさん方に対する感謝の気持ちを伝える一環として、そういう言葉を使ったわけだが、あくまでも自民党として応援している」と述べた。
 稲田氏は集会で「テロ、災害、首都直下型地震も懸念される中、防衛省、自衛隊と東京都がしっかりと手を携えていくのが非常に重要だ」とも強調した。


「獣医学部、全国展開」で安倍政権がさらに暴走! 首相は「頭にきたから言った」、菅官房長官は逆ギレ政策の実行を示唆
 先週24日、安倍首相が「神戸『正論』懇話会」なる産経新聞社サポートの安倍応援団イベントで突如としてぶち上げた「獣医学部の全国展開」。これまでの方針を180度転換するこの宣言は正気の沙汰とは思えないもので、国民を唖然とさせた。
 しかも、翌25日放送の『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)では、獣医学部の全国展開宣言について「安倍首相が周辺に語ったその理由」を紹介したのだ。
「あまりにも批判が続くから頭に来て言ったんだ」
 批判ばかりで頭に来たから全国展開を宣言した──。19日に開いた記者会見では「印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反論してしまう」と述べ、疑惑を追及する野党に責任を転嫁した上で反省になっていない反省の言を述べたが、またも安倍首相は「頭に来て」しまったらしい。しかし、「頭に来た」だけで、政策そのものを根本から変える発言をするとは、完全に自分のことを独裁者と勘違いしているとしか思えない。
 しかし、驚くのはまだ早い。昨日、さらなる驚愕の展開が待っていたからだ。今度は菅義偉官房長官が、想像の斜め上をゆく発言を定例会見で口にしたからだ。
「全国で45%近くの私立大学が定員割れする中、獣医科大学全体の応募倍率は15倍ある。引き続き手を挙げる学校がある可能性はあるのではないか」
 なんと、安倍首相が起こした幼稚すぎる逆ギレを、真剣に検討するような発言を行ったのだ。
菅官房長官が口にした安倍首相の逆ギレ政策実行の理由
 繰り返すが、獣医学部の全国展開宣言は正気の沙汰ではない。これまで加計学園にかんして指摘されつづけてきたのは、「獣医師は総数としては不足していない」「不足しているのは産業獣医師であって学部新設よりも待遇改善が先決」「そもそも加計学園は石破4条件をクリアしていない」「なぜ京都産業大学を排除する条件が加えられていったのか」という問題だ。
 そこに「総理のご意向」文書の存在や今治市が公開した資料、前川喜平・前文部科学事務次官や現役文科官僚たちの証言によって「加計学園ありき」という疑惑は深まり、さらに現在は萩生田光一官房副長官の直接指示を示すメールや発言録まで飛び出し、もはや安倍官邸の主導が決定的になった。
 普通ならば、国民の疑念を払拭するために再三口にしてきた「丁寧に説明」とやらを実行すべきだが、安倍首相は子ども並みの癇癪を起こし、その逆ギレを菅官房長官は“実行の余地あり”などと言い出したのである。
 あれだけ「四国に獣医学部がないから」と説明してきたのに、総理の逆ギレに付き合い、今度は「獣医学部は応募倍率が高いから」という理由で門戸を開くと言う……。しかも、菅官房長官は需給バランスだけではなく、石破4条件を加計学園がクリアしていないという批判も完全に無視し、獣医学部新設の全国展開では「4条件に照らして整合的かどうか検討することになる」などともっともらしく発言したのだから、開いた口が塞がらない。
 だが、このことで浮き彫りになったのは、もはや安倍首相の暴走を誰も止められなくなっているという事実だ。
 たしかに、安倍首相はこれまでも同じような逆ギレや開き直りを繰り返してきた。また、批判や厳しい追及を受けない支持者が集まるイベントや御用メディアでは、独裁者丸出しのスローガンとひとりよがりの一方的な政策をまくし立てるということも少なくなかった。
 しかし、そのたびに菅官房長官ら官邸幹部がフォローしたり、あえて無視したり、メディアを恫喝して黙らせたりして、大きな問題になるのを防いできた。それが、今回、安倍首相のバカ丸出し発言に丸乗り、混乱と騒動をさらに大きくするような発言をおこなったことについて、全国紙の官邸担当記者は「安倍首相と菅官房長官ら官邸スタッフとの連携プレーが破綻し、場当たり的になっていることの証明」だと解説する。
官邸幹部も止められない安倍首相の暴走、今秋の改憲案提出も
「そもそも、これまでなら、安倍首相が『全国展開』なんていう馬鹿げたことを言い出すのを、事前に菅官房長官ら官邸幹部が止めていたはずです。ところが加計学園問題では、その菅さんが前川次官に対する謀略や『怪文書』発言で集中砲火を浴び、責任問題に発展してしまった。その結果、菅さんも安倍首相から切られることを恐れて、イエスマンぶりに拍車がかかっているんです。もともと萩生田官房副長官や和泉洋人首相補佐官は安倍首相に言われたことならどんなことでもやるタイプですから、もう本当に安倍首相の暴走を止められる人間がいなくなっている。どんな無茶苦茶なことでも、安倍首相が口にしてしまったら、それを実行するという体制になってしまっているんです」
 もちろん、こうした実態は国民の間にすっかりバレてしまったし、マスコミも以前よりは「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに、政権批判報道をやれるようになった。
 しかし、政権側はそんなことはおかまいなしだ。安倍首相は疑惑をごまかすために次から次へとデタラメな政策を口にし、官邸と自民党はそのお言葉があると、「ご意向」を実現するべく、どんな乱暴なことも平気でやり始める。
 たとえば憲法改正についても、前述の「獣医学部、全国展開」を打ち出した「神戸『正論』懇話会」で、安倍首相は自民党独自の憲法改正案を来年の通常国会ではなく、秋の臨時国会に提出する考えを示した。
 具体的な議論がまったく行われていない段階での、性急すぎる計画に自民党内でも驚きの声が上がったが、実際、これも支持率低下に焦った安倍首相の独断で、「国民の間でも支持の多い自衛隊明記の条項を追加する改憲案をぶちあげることで、一発逆転を狙ったもの」(自民党関係者)だという。だが、自民党と官邸は驚いたことに、この発言を受け、わずか2カ月の議論で、改憲案をまとめようと本気で動き始めるらしい。
 内閣支持率低下で「いよいよ安倍政権が末期症状か」などといった楽観的な見方もあるが、この調子では、安倍政権が潰れる前に、この国をむちゃくちゃにされてしまうかもしれない。(編集部)


防衛相 防衛省・自衛隊の名を挙げて都議選投票呼びかけ
稲田防衛大臣は、東京都議会議員選挙の自民党候補の応援演説で、「防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と述べて、投票を呼びかけました。これについて、稲田大臣は記者団に対し、「駐屯地も近いので感謝の気持ちを伝える一環として、そういう言葉を使ったが、自民党として応援しているということだ」と説明しました。
稲田防衛大臣は、27日夕方、東京都議会議員選挙の自民党候補の応援演説で、「防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いをしたい」と述べ、防衛省や自衛隊の名前を挙げて投票を呼びかけました。
これについて、稲田大臣は演説の後、記者団に対し、「駐屯地も近いので、地元の皆さんに対する感謝の気持ちを伝える一環として、そういう言葉を使ったが、あくまでも自民党として応援をしているということだ」と説明しました。
民進「自衛隊を政治利用 即刻辞任すべき」
民進党の蓮舫代表は、「南スーダンの日報調査の中間報告もせずに、防衛大臣の地位にありながら、自衛隊を政治的に利用し、選挙で私物化するもので、看過できない。即刻、辞任すべきだ」というコメントを出しました。
共産「放置すれば首相の責任も」
共産党の小池書記局長は、今夜、NHKの取材に対し、「自衛隊は中立的でなければならないが、その自衛隊を政治利用するというのは言語道断で、稲田大臣は即刻辞職すべきだ。放置するのであれば、安倍総理大臣の責任も問われる」と述べました。
自由「あまりにも認識不足」
自由党の玉城幹事長は、NHKの取材に対し、「あまりにも認識不足な発言で、自身の発言が、政治的利用と疑われてしまうかどうかの判断もできない大臣に、国防を任せることはできず、辞任を求める」と述べました。
社民「自衛隊の私物化」
社民党の吉川政策審議会長は、NHKの取材に対し、「防衛大臣の発言とは思えず看過できない。防衛大臣による、防衛省、自衛隊の私物化であり、即刻辞任すべきだ」と述べました。


濃い味、うす味、街のあじ。 青春の入り口、坂の下に
 阪急六甲は4年間通った大学の最寄りの街だ。駅からはパチンコ屋や立ち飲み酒場はなく、パティスリー、カットハウス、イカリスーパーに進学塾といった阪神間の街らしい店舗が並ぶ。さらに山手に向かうと「六甲登山口」というバス停がある。クルマがひっきりなしに通る山麓(さんろく)線との交差点だ。
 その名の通り、ここからは市街地から離陸するように六甲山へ登る急坂になる。片側1車線のゆったり曲がりくねる坂道は、神戸大と神戸松蔭女子学院大の通学路である。夕方になると、授業を終えた学生たちが歩道を足早に下ってくる。坂の多い神戸でも、夕暮れの六甲道や御影の市街地が正面、右に三宮の高層ビルとミナトを見下ろすこの坂は、最も美しい坂の一つだと思う。なので「行きはバス、帰りは歩きで」という通学が多い。
 思い出深い阪急六甲だが、1980年代以降のマンション建造ラッシュと95年の大震災後の建て替えで、がらりと様子が変わった。
 「こっちに行けば神戸外大やったなあ」などとつぶやきながら久々に歩いてきょろきょろしていると、「あっ、あー」と心が震えた。路地の奥に「彦六鮓(すし)」のたたずまいが見えたからだ。周囲の360度は、建物自体が全く変わっているが、ここだけが昔のままだ。
 「これこれ、こののれんやった」
 ここには大学を卒業した81年に2回連れて来てもらっている。「入ろう」。心を決めてコンクリートのごつい階段を下り、「1人イケますぅ?」とひとさし指を立てながら引き戸を開ける。一瞬のうちに高い位置にある広い白木のカウンターから、何から何までそのままなのがわかる。同時に「そうやこの店、おばちゃんが1人で握ってはったんや」とご主人の中村靖子さんの姿を見て思い出し、鼻の奥がきゅんとなった。変わったことが一つある。横で息子さんらしき板前が、キビキビと刺し身を引いている姿だ。
 端から2番目の席に座らせてもらってビールを注文し、メニューを見てにぎりを注文する。「30年以上ぶりになります」。そう言うと、そこからはまるで常連客のように接してくれる。
 4軒長屋の建物は1922(大正11)年のもの。そろそろ100年。店は48年にお母さんが創業。「まだ米が統制の時代でした。店にはかりを置いてました」とのこと。47年に出された飲食営業緊急措置令で、すし屋は「委託加工業者」だった。「1合持参で1人前でした」。当時10歳。後に「嫌や嫌やとずっと思いながら、門前の小僧で店を継ぐことになりました」と靖子さん。
 初代から店を受け継いだ靖子さんは、息子の玄(げん)さんが店に加わるまで長く1人でやってきた。67年生まれの玄さんは、甲南大で「アメフットやってました」というナイスガイだ。卒業後、反対を押し切っていきなり「修業する」と大阪の吉兆に入る。5年目の時に大震災。
 「電話をかけたら、大丈夫や言うてましたが、家に帰ると瓦が全部ないわ、家の中は土壁まみれやし、全然大丈夫ちゃうやん、と思いました」。それで吉兆を辞め神戸に戻った。そこから地元の割烹(かっぽう)料理店、西宮のすし店で計17年。5年前に自分が生まれて育った店に戻ってきた。
 今は「朝から息子が仕入れに行って。わたしはごはん炊いてます」という日常だが、靖子さんは離婚をしている。
 「27歳の時に結婚して(同じ板場に立つ)素人の主人に教えるのが大変でした。これは客に出せないなというすしで、親戚の家に持っていってました。しんどかったんやと思います。気の毒でした」としんみり話す。けれども、どこかこの街のように風通しのよい口調だ。
 「『女だてらにすし屋をして』みたいな意地悪電話もありました。わたしはいつになったら(すし屋を)抜け出せるんだろう、と思いながら『食べるために』やってきました」とあっさり笑う靖子さんの握るすしは、今も変わらず、かまどでまきを使って炊くシャリの味付けが、ちょっと辛くて江戸前な感じがする。<文・江弘毅 題字/イラスト・奈路道程>
彦六鮓 にぎりは並(1800円)、中(2400円)、上(3000円)とある。巻きずし(1000円)が人気というのがこの店らしいところ。カウンター6席だけ、早い時間は近所のシブいお年寄りの常連さんが陣取る。奥に家の居間を座敷にしたスペースあり。神戸市灘区宮山町2の1の7。電話078・851・7555。12〜14時、17時〜21時半。金曜休。
 ■人物略歴こう・ひろき 編集集団140Bの編集責任者。神戸松蔭女子学院大教授。最新刊「いっとかなあかん店・大阪」(140B)が大好評。
 ■人物略歴なろ・みちのり イラストレーター。雑誌挿絵や阪急三番街などの宣伝画を手がける。

けせんぬまさいがいエフエム閉局/ケツバット?

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Fig50

Un poète japonais à Fukushima remporte un prix en France
Par Célia Hacquin
Le poète Ryôichi Wagô, agé de 48 ans, a gagné un prix français pour sa collection de tweets poétiques, publiés peu après le désastre de Fukushima en 2011.
C’est la maison d’édition Tokuma Shoten Publishing Co., un des plus importants éditeurs du Japon, qui a publié ≪ jets de poèmes ≫ (shi no tsubute). Ce recueil a remporté le ≪ prix de poésie de la revue NUNC ≫, une revue de poésie et d’essais publiée par les éditions Corlevour. Ryôichi Wagô est né à Fukushima en 1968, et vit toujours dans cette ville, où il a décidé de rester malgré la catastrophe et la fuite de ses proches. Ses œuvres lui ont valu de nombreux prix littéraires, et ses lectures publiques et émissions de radio en ont fait l’un des représentants les plus importants de la poésie japonaise d’aujourd’hui. Il a aussi enseigné la langue japonaise dans un lycée en parallèle.
En plus de son recueil ≪ jet de poèmes dans le vif de Fukushima ≫, il publie aussi ≪ Hommage silencieux ≫ (shi no mokurei) en mémoire des victimes, et ≪ Retrouvailles ≫ (shi no kaikô) pour les survivants. Sa collection de poèmes a été traduite par Corinne Atlan, connue pour avoir traduit les ouvrages de Haruki Murakami. La cérémonie de remise du prix sera tenue en France, lors du Festival de la revue NUNC ≪ Présences à Frontenay ≫, le 20 juillet. L’auteur déclare : ≪ cela fait 6 ans depuis le désastre et j’espère que ce prix sera l’opportunité pour que mes mots touchent plus de personnes étrangères et les aident à en savoir plus sur la catastrophe et sur Fukushima ≫.
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阪神電気鉄道【公式】‏ @hanshin_pr
【今日は何の日?】
1995年の今日は阪神大震災の被災で不通となっていた御影〜西灘間が復旧し、阪神電車の全線が開通した日です。
御影駅で行われた出発式では運転士に開通記念のハンドルが手渡され、午前4時38分、下りの一番列車が神戸・元町に向けて出発しました。

世界ルーツ探検隊 2時間スペシャル
■大食いルーツツアーSP  3カ国の名物を食べ、誰が一番早く最古の店にたどり着けるかレース ■大食い女王もえのあずきがスペインでパエリアを食べつくし、最古のパエリア店を探る!! ■大食いモデル桝渕がアメリカでステーキのルーツを探る!超巨大リブロースステーキも登場!! ■大食い界の新星、田浦有夏がドイツでバウムクーヘンのルーツを探る!!超レアな1日2食限定の絶品が登場!■日本のデカ盛りのルーツを探る デカ盛りルーツリサーチ ■元祖大食い女王 三宅智子が「デカ盛りカツ丼」のルーツを探る!!  1食で9000キロカロリーの超爆盛りカツ丼が登場!!  果たして食べ切ってルーツのお店にたどり着けるのか!? 中丸雄一(KAT-TUN) 若林正恭(オードリー) 斎藤司(トレンディエンジェル) 高島彩 向井理 本郷和人(東京大学史料編纂所) 田浦有夏 桝渕祥与 三宅智子 もえのあずき☆番組HP  http://www.tv-asahi.co.jp/sekai_roots/

けせんぬまさいがいエフエム閉局だそうです.閉局記念の放送があるそうですが,その時間はわたしは仕事でどうすることもできません.残念です.
Wの2人は結局水曜日に頑張ってもらうことになりました.はぁ・・・
もっと若いWの人は頑張る女性だとわかりなんだかうれしい気持ちです.
ところでケツバットをさせてほしいとメールであって困っています.

県内最後の臨時災害FMが終了
東日本大震災の直後から放送を続けてきた気仙沼市の臨時災害FMが26日、放送を終了しました。
これで宮城県内の臨時災害FMはすべて姿を消しました。
気仙沼市の臨時災害放送局「けせんぬまさいがいエフエム」は震災直後の平成23年3月23日に放送を開始しました。
当初は支援物資やライフラインなどの情報を伝え続けたほか、復興とともに地域の話題も放送し被災した気仙沼の人々を支えてきました。
しかし市内の災害公営住宅がすべて完成するなど復興がある程度進んだとして放送を終了することになりました。
26日は午後3時から特別番組が放送され、犠牲者の数などを伝える震災直後の放送を流し当時を振り返ったり、全国から寄せられたメッセージを紹介したりしました。
そして最後にスタッフ全員が「聞いていただきありがとうございました」と涙ながらに感謝の言葉を伝え放送を終えました。
代表の昆野龍紀さんは「この6年3か月はあっという間でした。支えてくれたたくさんの方々に感謝したいです」と話していました。
震災をきっかけにできた臨時災害FMは女川町や山元町など宮城県内で11に上りましたが、今回の放送終了ですべて姿を消しました。
この放送局では同じスタッフのまま来月にもコミュニティーFMを立ち上げる計画だということです。


プレハブ仮設の再利用進まず 経費負担が重荷
 東日本大震災の被災者が退去した後のプレハブ仮設住宅の再利用が低迷している。宮城県は企業や自治体に無償譲渡を呼び掛けているが、対象の1126戸のうち活用されたのは約3%の37戸(5月末時点)にとどまる。解体や輸送、リフォームにかかる経費の自己負担が敬遠される要因とみられ、県は対応策に頭を悩ませる。(気仙沼総局・大橋大介、報道部・桐生薫子)
 「同規模の建物を新築するのに比べ移設費用は必ずしも安くない。場所の確保や最終的な処理費の問題もある」。菅原茂気仙沼市長は21日あった市議会6月定例会一般質問の答弁で、プレハブ仮設の再利用が進まない現状を解説した。
 県が4月に公募した気仙沼西高のプレハブ仮設30戸には応募がなく、市も有効な活用策を見つけられなかった。菅原市長は「(譲渡によって)県の仕事は減るし『もったいない精神』を持つことも大事だが、市民に将来負担を与えるわけにはいかない」と強調した。
 昨年8月、県はプレハブ仮設の再利用先として復興に取り組む民間企業や社会福祉法人、自治体などを対象に募集を開始。2020年東京五輪・パラリンピックのボート、カヌー・スプリントの会場候補に県長沼ボート場(登米市)が浮上した際は、選手村としての活用を提案した。
 これまでに譲渡されたのは水産加工会社の社員寮や自治体所有の公園休憩所の計5戸。県は警察学校女子寮や県立障害者福祉施設などに32戸を転用したが、1000戸以上が残る。
 企業や自治体が再利用に二の足を踏む理由は移設に要する経費にある。大手住宅メーカーの施工で耐久性には優れるが、移築費用の相場は1戸当たり350万〜400万円に上る。耐震性確保の観点から2階建てにリフォームできないなど構造的な課題もある。
 県震災援護室は「移設費に補助金を出すなどの対応は難しい」と説明する一方で「プレハブ仮設のリサイクルが進めば災害廃棄物が減るという利点もあり、譲渡要件の緩和などを検討したい」との考えを示す。


<南三陸復興市>ギンザケ新鮮お買い得
 東日本大震災で被災した南三陸町で毎月恒例の福興市が25日、同町志津川の旧仮設魚市場であった。旬のギンザケとホタテをテーマに各店が多彩な料理を提供した。
 県漁協は同町戸倉地区で養殖している県産のブランドギンザケ「みやぎサーモン」を丸ごと1本、市価の半値ほどで売り出すと、すぐに完売。急きょ追加で水揚げし、計90匹が売れた。
 県漁協志津川支所戸倉出張所の阿部富士夫所長は「鮮度を保つために船上で生け締めをするなど漁師が工夫した。刺し身で食べるのがお勧めだ」と話した。養殖ギンザケの水揚げは7月まで行われる。
 ほかにも23店が出店し、ギンザケのトマトクリームパスタやホタテのまぜご飯といった工夫を凝らした品が並んだ。肉厚のホタテをその場で焼いて味わうコーナーにも人気が集まった。


石巻「元気いちば」観光交流施設プレオープン
 東日本大震災で被災した石巻市中心部に24、25の両日、観光交流施設「いしのまき元気いちば」がプレオープンした。招待された地域住民らが魚介類や農産物を買ったり、食事を楽しんだりして、30日のオープンを前に活気づいた。
 元気いちばは同市中央2丁目に整備された。木造2階で延べ床面積約1500平方メートル。市内の水産加工会社や料理店などが出資する株式会社「元気いしのまき」が運営する。
 1階のマーケットには地元産の生カツオやウニ、トマト、タマネギなどが並び、水産加工品のセットなどが通常価格よりも安く販売された。2階はフードコート形式のレストランで、家族連れなどが海鮮丼や麺類などを味わった。
 市中心部では5月末、市役所1階に入っていたスーパー「エスタ」が閉店した。プレオープンに訪れた同市の相沢政助さん(79)は「魚などの種類が多く、好みの物が多い。家の近くに買い物ができる場所があるのはいい」と話した。


<奇跡のアジサイ>「里親」1000人が植樹
 東日本大震災で被災した須賀川市の藤沼ダムで25日、「奇跡のアジサイ」の植樹祭が開かれた。ダム決壊後の湖底で見つかり、株から増やしたアジサイを育てる全国の「里親」らが集まり、復興への思いを共有した。
 ダムが今春、農業用水の供給を再開。挿し木を全国に送る活動を続ける長沼商工会などが企画した。北海道から沖縄県まで全国から約1000人が参加し、ダム湖沿いの約1キロに1600本ほどの苗木を植えた。
 震災の年からボランティアで足を運ぶ前橋市の宮本吉郎さん(73)は地元で育てた苗を持参。「ダムが直り、この日を迎えられてありがたい。今後も復興を見詰め続ける」と話した。
 商工会員の深谷武雄実行委員長(72)は「アジサイの咲く湖が記憶をつなぎ、地域が前に進むための希望のシンボルになってほしい」と期待した。
 藤沼ダムの決壊では下流で7人が死亡、1人が行方不明となった。商工会が2013年、「湖底を歩く会」を企画した際にアジサイの群生が見つかった。


<奇跡のアジサイ>がん闘病「力もらった」
 「奇跡のアジサイ」の植樹祭に、多賀城市の桜井幸子さん(73)が参加した。2年前、がんが見つかった日に届いた苗を育て、植樹祭への参加を目標に病と闘ってきた。念願がかない、「アジサイに力をもらった」と笑顔を見せた。
 夫の秀昭さん(75)と足を運んだ桜井さん。「頑張って、頑張って」。時折日が差す雨上がりの空の下、自宅で育てた3本の苗木に優しく声を掛けた。
 2015年7月、集団検診で再検査の通知を受けた。気分が落ち込んでいた時、奇跡のアジサイを紹介する新聞記事を目にする。決壊で荒れた湖底に芽吹く生命力に心を打たれた。ダム完成後に「里親」が集まることも知った。
 乳がんと診断された日に地元の商工会から苗木が届いた。「植樹祭の日まで必ず生き抜こう」。庭に植え、そう決意した。
 抗がん剤治療を始めると副作用で屋外に出られない日が続いた。治療を重ね、昨年3月の手術後は少しずつ回復。今年3月、最後の抗がん剤治療を終えた。時を同じくして、アジサイが初めてつぼみを付けた。
 待ちに待った植樹祭。手紙のやりとりを重ねた商工会員とも初めて対面し、喜びを分かち合った。
 脚にしびれが残るなど、再発の不安は残る。「今度はアジサイがいっぱいに咲いた湖を見に来る」。桜井さんは次の目標を語った。


<復興CSR>個性見いだし 伸ばす
◎トモノミクス 被災地と企業[52]第11部 明日(3)障害者雇用/ととのえる
 「奇跡のレストラン」と言われる。障害者雇用と売り上げの両立をハイレベルで実現した。
 週末、仙台市若林区のビュッフェレストラン「六丁目農園」のランチタイムは家族連れであふれかえる。野菜を中心に、和洋中の料理が常に40〜50種類並ぶ。
 常連という富谷市の会社員渋谷有美さん(24)は「料理はおいしく、野菜がたくさんあってうれしい。特に好きなのはタマネギ入りカレー」と満足げだ。
 従業員は別店舗を含め120人。このうち約70人が精神障害者と知的障害者だ。ホール業務の小野絵美子さん(30)は「職場の人は優しい。お客さんが多いと大変だけど仕事は楽しい」と充実した表情で話す。
 野菜は手で切る。手作り感があり、色つやが違う。ピザは手で伸ばし、窯で焼く。手作り豆腐やじっくり煮込んだカレーも人気だ。ランチだけの営業で売り上げは月700万円。週末の予約は1週間前に埋まる。
 「奇跡」の秘密は二つある。一つはビュッフェ形式の導入。接客を根本的に変えた。臨機応変な対応を迫られる場面が少なく、障害者にとって働きやすい。
 もう一つは障害者の個性だ。雇用している障害者は一つのことを黙々とこなす人が多い。とことん手間暇をかけることや、丁寧な手仕事に向いている。
 レストランを運営するアップルファームの渡部哲也社長(49)の気付きは、8年前にさかのぼる。
 経営していたたい焼き屋で雇った障害のある青年が、作業を繰り返すうちにめきめきと腕を上げた。
 得意な所を見いだし、伸ばす。働く環境づくりの大切さを知った渡部社長は「人間は役割を持って生まれてくる。障害者に得意な仕事を見つけ、企業や社会が必要とする人材に育て、経済的自立につなげる」と使命感を抱く。
 障害者雇用を組み合わせた同社のビジネスモデルは全国に広がり、大阪市や福岡市など7カ所で話が進む。東京の大手企業の社員食堂業務も受注した。
 東日本大震災後、被災地は沿岸部を中心に膨大な雇用を失った。仕事を奪われ、復興への一歩を踏み出せない被災者を目にし、渡部社長は生きる上での雇用の意義を痛感した。
 六丁目農園の運営は被災地で育まれたビジネスモデルだった。渡部社長はかみしめるように話す。
 「従業員、経営者、客が満足し、商売が長続きする『三方よし』。日本人が大切にしてきた価値観が弱者の雇用を生み、守る。そこに利益が付いてくる。震災後、東北には新たな価値観が芽生えた」
 障害の有無を超え、働く場が個々の人間を照らす。自立、生きがい、自分の存在意義。社会的使命を自覚した経営は、客と利益を引き寄せる。


<仙台市長選>企業広告掲載「大丈夫?」
 任期満了に伴う仙台市長選(7月9日告示、23日投開票)で、無所属で立候補を予定している会社社長菅原裕典氏(57)が営む冠婚葬祭業の企業広告が波紋を広げている。市と契約を結んだ広告もあり、市選管は「公選法には抵触しない」と説明するが、市には「問題はないのか」との市民らの声が寄せられている。
 菅原氏が経営する「清月記」が市と契約している広告は、市が管理する歩道橋の命名権(ネーミングライツ)。市道路管理課によると、同社は2014年6月から4カ所の歩道橋の命名権を順次獲得した。
 表示期間3〜5年、契約金額は年30万〜77万円に上る。他にも市のホームページ(HP)のバナー広告に社名が掲載されていたが、今月に入り削除された。
 同社の広告を巡っては菅原氏の市長選出馬への意欲が報道され始めた4月中旬以降、市選管に市民や広告代理店から「清月記と言えば菅原社長。立候補する上で大丈夫なのか」「広告を掲載しても問題ないか」などと、広告が公選法違反の事前運動に当たらないかどうか尋ねる問い合わせが数件寄せられたという。
 社名の認知度が高く、菅原氏の名前と結びつきやすいことが背景にある。5月末になって市HPのバナー広告中止の手続きを取った同社は「問題がないことは確認していたが、選挙前で誤解を招きかねないので取り下げた」と説明する。
 市選管は「歩道橋に社長の名前が入ったり、市長選を意識した内容に変わったりすれば事前運動ととらえられかねないが、今まで通りの営業活動なら法に抵触しない」と話す。


忌野清志郎さんコピーバンド 復興ライブ
 チケット代金の一部を東日本大震災の被災地に寄付する復興応援ライブ「ROAD to TOHOKU」(実行委員会主催)が24日、青森市の青森クォーターであった。歌手忌野清志郎さん(1951〜2009年)のバンド「RCサクセション」のコピーバンド「ニコニコサクセション」ら4組が出演し、震災の風化防止を訴えた。
 ニコニコサクセションは「スローバラード」や「トランジスタ・ラジオ」など13曲を披露。RCサクセションのサポートメンバーとしてサックスを務めた仙台市出身の梅津和時さん(67)も加わり、観客約100人を魅了した。
 ボーカルの今井治さん(50)=青森市=は「ライブが被災地の復興につながることを願おう」と呼び掛けた。
 会場では宮古市名物「いかせんべい」や気仙沼市の地酒「蒼天伝(そうてんでん)」など被災地の名産品が販売された。
 弘前市から訪れた主婦三上牧子さん(53)は「復興の途上で元通りになっていないところも多いと思う。少しでも力になれたらいい」と話した。


河北春秋
 思いのほか情感があった。〓さくら さくら 弥生の空は…。歌って、という呼び掛けに応えた声の主は、人工知能(AI)を備えた人型ロボット。仙台市内の介護用品の展示で見掛けた▼AIと言えば将棋。佐藤天彦名人がソフトと戦い2連敗を喫した。名人の傍らにあったのはラムネ。脳のエネルギー源であるブドウ糖が主成分だ。菓子粒で集中力の低下を防ぎ、疲れ知らずのAIと戦う。生身の人間の生とは限りあるものと知る▼自動走行車による地方の交通維持、宅配の人手不足の緩和、膨大なデータを使った医療への応用。AIは将来、各分野の「名人」を上回る技術で生活を変えるだろう▼身の回りの全てをこなしてくれる家。星新一さんが1960年代のショートショート『ゆきとどいた生活』で描いた未来だ。ある朝、その家はいつも通り住人の男に朝食を出し、着替えさせて繭形の乗り物に乗せ送り出す。会社へ着いても男は動かない。医者が告げる。「死後、約十時間」▼将棋のAIは1兆もの対局から学習し強くなるという。人の死についても「パターン」を学び、尊厳ある最期へ導く手助けが可能になるだろうか。ラムネを口に含み、まずは人生の最後にAIに歌ってほしい曲を考える。被災地に生きた人なら『ふるさと』か。(注)〓は、歌記号「いおりてん」

<アングル宮城>ホヤ漁最盛期 消費拡大目指す
 炎のように真っ赤な「海のパイナップル」が海から引き上げられると、勢いよく海水を噴き出した。養殖ホヤの収穫が最盛期を迎えた宮城県南三陸町。東京電力福島第1原発事故に伴う韓国の禁輸措置が続く中、ホヤの国内消費を増やす取り組みも始まっている。
 鮮度が命のホヤをどこでも食べられるようにしようと、女性グループは収穫したその日に缶詰に加工し、おいしさを閉じ込める。飲食店は天ぷらやパスタ、殻や身からだしを取ったホヤそばといった食べやすいメニューを考案する。
 同町歌津の漁師高橋芳喜さん(36)は「ここ2、3年でホヤの人気が高まっているのを感じる。新鮮なものを食べて好きになってもらいたい」と話した。
(南三陸支局・古賀佑美)


女性活躍推進法1年/目標実現へ問われる本気度
 国、自治体、企業に女性の登用目標などの行動計画策定・公表を求める女性活躍推進法が施行されて1年がたった。働き方改革への注目が高まる中、職場や社会の状況は変わっただろうか。
 同法は、301人以上の企業に女性の採用比率、勤続年数の男女差、労働時間、女性管理職比率状況といった現状を把握し、課題を分析した上で、女性活用のための行動計画策定を義務付けた。
 対象は約1万5千社。昨年4月のスタート時点で公表企業は半数程度だったが、今年3月には99%超に達した。努力義務とされた300人以下の企業も、2700社以上が策定している。
 内容や数値目標を14項目から最低一つ挙げ、実施時期とともに自社のホームページなどで公表する。努力目標であり、達成されなくてもとがめはないため、内容にはばらつきがある。
 管理職の女性比率を上げるために具体的な研修プログラムを掲げる企業がある半面、「実現に向け職場環境を整備する」程度のケースもある。企業のやる気の濃淡が透けて見えるようだ。
 女性の就業状況を数値で評価し、認定する「えるぼし」制度も始まった。今年5月末現在で全国で約340社、東北では秋田を除く5県の16企業が認定を受けている。
 次世代育成支援対策推進法に基づく子育てしやすい企業のお墨付き「くるみん」「プラチナくるみん」とともに、えるぼし企業を公共調達で加点評価する取り組みも進む。
 一方で環境が整わないまま数合わせや実績作りのために名ばかり管理職や役員登用を図る企業はないだろうか。
 働く女性の多くが、一握りのキャリア社員の話で、自分にはあまり関係の無い制度と受け止めている現実もある。非正規雇用や賃金格差の実態は見えにくく、底上げにつながるかは疑問が残る。
 「小さく生んで大きく育てる」とスタートした男女雇用機会均等法は施行30年を経て、少なくとも大卒女子の就職の土壌を整えた。「男性並み」を求められた中で、女性管理職は珍しくなくなった。
 しかし、結婚や出産、育児を機に退職する女性はなお多い。不利にならない処遇は当然としても、子どもを預ける受け皿がなければ結局、仕事は続けられない。政府は待機児童ゼロを2017年度末から3年先送りすることになった。失望と不信が広がる。
 就職活動をする学生は、各社の男女比率や時間外労働などワークライフバランスのありようをシビアに見つめる。企業自らがダイバーシティー(多様性)による組織の活性化や戦略の必要性を自覚しない限り、今後優秀な人材の確保は困難になるだろう。
 2年目以降に問われるのは、お題目にとどまらない実践と「活躍」の中身だ。社会の本気度が試される。


静岡県知事選 浜岡原発は重い宿題だ
 川勝平太氏が三選を果たした静岡県知事選。中部電力浜岡原発の再稼働に関する議論は低調だった。県民の過半が不安を寄せる関心事。知事が自らを主語にして判断を示さぬ限り、信任は完結しない。
 最大級の争点となるべき問題が、宿題として残された。
 浜岡原発をどうするか−。
 川勝氏は「今は再稼働できる状態にない」「動かすか動かさないかは中電が決めること」などと、どこか客観的なコメントを繰り返し、自ら判断することを避けているかのようにも見えた。
 敗れた溝口紀子氏の方も、出馬会見でこそ「持論は廃炉」と明言したが、独自候補の擁立を断念した自民党の一部支部から支援を得るや「百八十度転向」と言われるほどにトーンを落とし、原発への言及も少なくなった。
 連合静岡の推薦を受けて臨んだ川勝氏の方も、再稼働を急ぎたい電力総連などへの配慮が働いたとは言えないか。
 こと原発に関しては、県民の不安や期待より、政党などの思惑を優先させてしまったこともあっての低投票率ではなかったか。
 浜岡は特別な原発だ。東海地震の想定震源域の上、列島の二大動脈、生命線とも言える東海道新幹線や東名高速道路の間近にある。
 だからこそ、3・11直後、時の首相の直接の要請で停止させたままなのだ。
 現在、浜岡原発3、4号機が原子力規制委員会による適合審査を受けている。
 選挙期間中に実施した本紙の世論調査では、回答者の六割が再稼働に反対の意思を示している。
 川勝氏は以前から「再稼働には住民の意思が尊重されるべきだ」とし、住民投票の必要性も認めている。かと言って、自ら条例案を提出するつもりはなく「県民代表の議会が発議すべきだ」と、やはり、どこかよそよそしい。
 しかし、これまでの例から見ても、再稼働の最終判断を下すのは立地県の知事である。
 福島と同じ沸騰水型で、地震の揺れの想定も難しく、審査に時間がかかりそうとはいうものの、三期目の任期の中で、川勝氏が知事として、重い判断を迫られる可能性は低くない。
 浜岡原発に関する住民の期待や不安を受け止めて、自らの考えを自らの言葉で語ること−。
 川勝県政「ジャンプ」の任期のスタートは、最大、最強の「当事者」として、浜岡原発に真っすぐ向き合うことからだ。


核兵器禁止条約 日本不在のままでいいか
 会議場に用意された日本政府の席は空いたままだ。
 米ニューヨークの国連本部で、核兵器禁止条約の制定交渉会議が開かれている。核兵器禁止条約とは核兵器の開発や保有、使用などを全面的に禁止する条約だ。
 現行の核拡散防止条約(NPT)体制は核保有国に核軍縮を義務付けているが、保有国のエゴで核軍縮は進んでいない。業を煮やした非保有国が中心となって条約を構想し、制定交渉にこぎ着けた。
 会議には長崎、広島の被爆者が出席し、条約の早期制定を呼び掛けた。これまでにまとまった条約案は、前文で核兵器の非人道性を強調し、「核兵器使用の犠牲になった人々(Hibakusha)の苦しみや、容認できない被害に留意する」と明記している。
 ところが、この会議に唯一の戦争被爆国・日本の政府代表は参加していない。被爆者たちは日本の空席に抗議の折り鶴を置いた。
 NPT体制での既得権を守りたい米国など五大核保有国は条約に反対の立場であり、会議に不参加だ。日本や北大西洋条約機構(NATO)諸国など安全保障を米国の「核の傘」に頼る国々も、ほとんどが参加を見送っている。
 このまま条約が核保有国抜きで成立・発効しても、核保有国に順守義務は生じないため、核軍縮への実効性を欠く事態になると懸念される。日本政府は不参加の理由について「核の傘」の重要性とともに「条約は核保有国と非保有国の対立を深める」と説明する。
 しかし、政府は常々、核軍縮に関し「核保有国と非保有国の橋渡し役」を自任してきたはずだ。こういうときこそ会議に参加し、役割を果たすべきではないか。
 焦点は、核保有国やその同盟国が将来、条約に参加、協力するような道筋をつくれるかどうかだ。NPT体制と禁止条約を対立ではなく、核廃絶に向け相互補完的に位置付ける発想が必要である。
 核保有国と非保有国が歩み寄り、建設的な結果を生み出せるよう、日本政府は知恵を絞り、調整に汗をかいてほしい。


公文書管理のルール 権力者のためではない
 公文書は国民の共有財産だ。保存の対象について、時の権力者が勝手に決めていいものではない。
 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り、萩生田光一官房副長官が早期開学を文部科学省に迫ったとする文書について、菅義偉官房長官が、行政文書ではなく個人のメモとの認識を示唆した。
 政府は、保存や公開の対象になる行政文書の範囲を、自分の都合で狭めようとしているのではないか。
 行政文書ではないと判断されれば、情報公開の対象にもならない恐れがある。菅氏の発言は、不用意に文書を残すなと役所に圧力をかけているようにしか聞こえない。
 公文書管理法は行政文書を、省庁の職員が作成・取得▽組織的に用いる▽省庁が保有、と定義する。文書を残すのは、行政の意思決定過程を後に検証できるようにするためだ。
 一定期間後に公開される決まりになっていれば、不自然なことはしにくい。公文書の適正な管理は、行政の公正さを保つためでもある。
 今回の文書は、文科省の共有フォルダーにあった。作成者の認識がどうであれ、管理法の規定に照らせば行政文書にほかならない。
 仮に当該文書の記載内容が正確さを欠いていたとしても、保存・公開することと、事実の確認は分けて考えなければならない。
 こうした管理法の趣旨が政府内に浸透していないのは明らかだ。安倍晋三首相は、民主主義に必要なルールとして徹底させるべきだろう。
 菅氏の発言とは別に、個人メモと言い逃れできるような管理法の抜け穴をなくすことも求められる。
 学校法人「森友学園」への国有地売却問題では財務省が値下げ交渉の記録を廃棄していた。保存期間が1年未満になっていたためだ。
 専門家は、保存期間1年未満の文書の扱いが不透明だとして廃棄要件の見直しの必要性を指摘する。
 米国では、ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件の証拠テープも公開された。当局が困る記録も保存され、年限を過ぎると公開するルールが根付いている。
 管理法と情報公開法は、車の両輪のように「国民の知る権利」を支えるものだ。安倍政権は公文書管理の意味をはき違えてはならない。


[改憲案「年内に提出」]危うい首相の前のめり
 安倍晋三首相は24日、神戸市で講演し、憲法改正について「臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に自民党案を提出したい」と述べた。
 自民党案の提出時期を明言したのは初めてである。
 5月3日の憲法記念日に掲載された読売新聞社のインタビューで、首相は、戦争放棄と戦力不保持を定めた9条1、2項を維持した上で、自衛隊の存在を明記するという新たな案を示し、「2020年の施行をめざす」考えを明らかにした。
 今回はさらに踏み込んで、事実上、スケジュールを前倒しする姿勢を示した。
 首相の進め方に対しては、野党の反発だけでなく、党内の一部からも異論が出ている。なぜ、これほど憲法改正作業を急ぐのか。
 国会の憲法審査会には中山太郎氏(元衆院憲法調査会長)らが築き上げた憲法論議のルールがあるという。少数会派を尊重し、熟議による合意形成を図る、という運営方針である。
 なのになぜ、安倍首相は期限を明示してまで党内論議をせかすのか。安倍首相は自民党総裁ではあるが、何よりも憲法尊重義務を負っている内閣総理大臣である。
 憲法改正に関する言動は慎重であるべきなのに、「任期中に何としても憲法改正をやり遂げたい」と、自身の政治信条の実現に前のめりになってしまっては、熟議による合意形成は望むべくもない。
 もう一つ気になるのは、首相の発言に「加計隠し」とも受け取られかねない局面打開の意図が感じられることだ。
■    ■
 安倍官邸は「加計学園」問題をめぐる対応で国民の強い批判を浴び、メディア各社の支持率が軒並み、大幅にダウンした。野党4党は憲法53条に基づく臨時国会の召集を求めているが、与党は応じる気配がない。
 官邸は説明責任を果たさず、野党の追及をただ否定するだけ。与党は官邸を援護するだけ。国会審議の形骸化と、行政権の肥大化をチェックすることのできない国会の機能低下は、深刻だ。
 「改憲ラッパ」を吹き鳴らすことで、憲法改正に積極的な保守層の期待を高めると同時に、党内慎重派を封じ込め、求心力を回復し、局面転換を図る−そんな狙いが透けて見える。このような「自己都合」で憲法改正問題を扱っていいのか。
 今、優先して取り組むべき課題は、早急に臨時議会を開いて「加計学園」問題を集中審議し、真相究明と信頼回復に取り組むことだ。
■    ■
 安倍首相や自民党執行部の念頭にあるのは、18年夏ごろ、憲法改正を発議し、早ければ18年中に国民投票を実施するスケジュールだという。
 9条改正がそんなに簡単に実現できるとは思えないし、そうすべきでもない。
 憲法は「われらとわれらの子孫のために」あるのであって、少数意見を無視して論議を進めたり、憲法審査会で強行採決まがいのことが行われてはならない。
 安倍首相の前のめり姿勢には憲法論議をゆがめかねない危うさがある。


都議選は大惨敗の可能性…錯乱内閣と自民党の末期症状
「自民党は引っ込め」――。
 23日の都議選告示日。自民党の茂木政調会長が街頭演説中、こんなヤジが飛んだという。2度目の安倍政権が発足して5年。ここまでの逆風は初めてだろう。
 国会を無理やり閉じて、都議選に備え、臭いものにフタをしたはずだったが、そうは問屋が卸さなかった。文科省から加計問題をめぐる新たな文書が発覚。疑惑の中心人物の萩生田官房副長官は東京選出なのに、地元である八王子での応援演説にすら顔を出せないでいる。「この、ハゲーーー」の絶叫2回生、豊田真由子衆院議員の狂気も追い打ちをかけ、批判の嵐の中、自民党は右往左往。その狼狽ぶりは見るも無残だ。
 下村都連会長は「心からおわび申し上げたい。謙虚さがないとの批判はその通り」と謝罪。二階幹事長は都議選応援の足で行った豊洲市場の視察の際、豊田に関して質問されると、ブチ切れて取材を打ち切った。
 支離滅裂なのは丸川五輪担当相で、24日の演説で、なんと小池都知事を褒めちぎったという。「知事が素晴らしい方針を示してくれたら我々が支えていく」と、対決姿勢はどこへやら。丸川は2020東京五輪で、都知事と協力せざるを得ない関係とはいえ、想定を超える大逆風に、訳が分からなくなっているんじゃないか。
 24日に日野駅前で行われた自民党の街頭演説を取材したジャーナリストの横田一氏がこう話す。
「ベテラン現職都議の古賀俊昭さんの応援に、党本部の細田博之総務会長が来ましたが、演説では『厳しい選挙』とは言ったものの、加計問題など国政のことには触れずじまい。演説終了後に候補者の古賀さんを直撃すると『政府はもっと説明責任を果たすべきだ』『謝って済むのは子供だけ。大人は謝るだけでなく責任を取らないといけない』と安倍内閣への怒りをあらわにしていました」
 失点続きの国政のせいで自民候補は落選危機に真っ青だ。それなのに当の安倍首相は、この週末も都議選の応援に一切入らず、土曜は神戸、日曜は自宅にこもったままだった。自民党は今回の都議選で過去にない挙党態勢を敷いているが、安倍はひとり逃げまくっている。それどころか、局面打開を図るため、またもやトンデモ発言の悪あがきなのだから、呆れてしまう。
「殿ご乱心」またぞろ“上書き”のデタラメ
 安倍が都議選を避けて逃げ込んだ先は、誰もが自分に同調してくれる“身内”の元だった。
 慰霊の日の沖縄訪問を早々に切り上げ、安倍が向かったのは神戸。翌24日、産経新聞社が運営を全面的にサポートする「『正論』懇話会」で講演し、改憲スケジュールの前倒しをブチ上げた。
「来るべき臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に、自民党の案を提出したい」
 つまり、秋の臨時国会に憲法改正案を出すということだ。これには安倍に近い自民党幹部からも「聞いていない」の声が上がる。
 そもそも5月3日の憲法記念日に、安倍が突然、9条改憲と2020年の新憲法施行を打ち出した際にも、自民党内は大混乱だった。これまでの党の改憲草案と異なる内容だったからだが、総裁がそう言うのならと、党の改憲推進本部は、「年内に自民党案を取りまとめ、来年の通常国会で改正案を提示」というスケジュールを描いた。
 安倍自身も5月21日のラジオ番組の収録で、年内に自民党案をまとめる考えだと言っていた。それが突如、まったくの根回しなしにスケジュールの前倒しである。公明党幹部が「焦っているのか」と困惑していたが、安倍お得意の“上書き”“上塗り”で目先を変えられると思っているのだろう。
 政治学者の五十嵐仁氏が言う。
「とうとう安倍首相が狂ってきました。与野党の議論も党内議論も無視して、とにかく自分の都合で、強権によって改憲に突き進むつもりなのでしょう。最終的には国民投票ですから、本来は国民の理解を得て、というはずでしたが、追い詰められ、焦りが如実になってきました」
 5月3日のビデオメッセージも日本会議系の集会へ送ったもので、今回といい、「仲間内でしか勇ましいことを言えない小心者」(政治評論家の野上忠興氏)の安倍らしいが、焦りの裏返しはもうひとつあって、この講演会では、「獣医学部を全国に」などと、唖然とする発言も繰り出した。
 加計学園だけが優遇されたという批判をかわす狙いで、安倍は「今治市だけに限定する必要はない。地域に関係なく、2校でも3校でも新設を認めていく」と言ったのだが牛や豚の飼育数は減り、ペットも減少傾向だから、獣医師は足りているんじゃないのか。それを全国につくってどうするのか。デタラメの極みだ。
 上智大教授の中野晃一氏(政治学)はこう言う。
「まさに『殿ご乱心』です。『私がやる』で獣医学部を全国に増やすことができるのなら、国家戦略特区は首相の鶴の一声でどうにでもなると言っているようなものです。加計問題も自分が介入したと逆にバレてしまいました」
■「信なくば立たず」と言うなら、もはや白旗
 これぞ錯乱政権の末期症状である。全ては加計問題で黒を白と強弁した末路だ。おぞましい政権には、前川前文科次官が23日の会見でトドメを刺してもいる。
「出会い系バー」に出入りしていたという読売新聞の記事には「官邸の関与があった」と“共謀関係”を赤裸々に語った一件である。
 読売は反論せず、会見で質問すらしなかった。新聞紙面でもこの話には触れていない。
 官邸はそこまで汚い手を使うのか。こうなると、菅官房長官の反論も萩生田副長官の弁明も、国民には全て白々しく映る。
 国民をナメ切っていた「オレ様政権」が、もはや何を言っても無駄だ。野党が要求する臨時国会を開かず、揚げ句が改憲スケジュールの前倒しと全国に獣医学部という特区拡大という上書き。こんなのもう通用しない。
「改憲は個人の執念であり、加計問題は権力の私物化。いずれも安倍首相の自己都合です。それを止める人が誰もいなかった。しかし、『政治主導』の名の下に全て押し切られてきた官僚から、『これはおかしい』と告発が出てくるようになったのです。改憲の提案を通常国会から臨時国会に早めたのは焦りの証拠。政権が長続きしないという不安があるからではないか。批判を無理やり抑え込もうとして、上書きでむちゃくちゃなことを言い出した。もはや滑稽というか哀れです」(中野晃一氏=前出)
 ここまで転落しても、安倍はまだ首相に居座るつもりなのか。
 19日の記者会見でも「信なくば立たずであります」と強調していたではないか。
 都議選で自民は歴史的大敗を喫するだろう。共同通信が24、25日に行った世論調査は、第1党を都民ファーストと自民が競い合っているものの、既に投票先を決めている人は、都ファ26・7%に対し、自民25・9%。都ファに流れるだろう無党派が多いとみられる「まだ決めていない」が57・2%もいる段階で、すでに自民は都ファの後塵を拝しているのだ。
「逆風に 神戸の空は 五月晴れ」
 安倍は講演で現在のつらい心境をこう読んだ。政権を退けば、すっきりする。晴れ晴れとした気持ちになれる。もう白旗を揚げたらどうだ。


天下り全府省庁調査 解明する気があるのか
 官民癒着の温床ともいわれる天下りの実態に迫る気があるのか。解明には程遠いと言わざるを得ない。文部科学省による組織的なあっせん問題を受けて、内閣人事局が実施し、発表した全府省庁調査の結果である。
 国家公務員法で定められた再就職規制に違反した疑いが27件判明した。少なくとも12の省庁が関係しているというが、どの省庁かは明らかにしなかった。「肌感覚では、もう少し多いのではないか」と指摘する官僚OBもいる。これでは、国民の疑念は払拭(ふっしょく)されまい。
 27件のうち25件は現職職員が関わった「あっせん規制」違反の疑いがあった。残り2件は再就職者が在職中に利害関係のある団体に求職活動をした「求職規制」違反が疑われている。結果は今後、内閣府の再就職等監視委員会が調べる。 気になるのは、府省庁名はおろか、どこに再就職したか、関与が疑われる職員の名前など、27件の詳細が発表されていないことだ。まだ疑いにすぎず監視委の結論待ちと言うが、説得力に乏しい。うやむやのまま幕を引くのかと勘繰ってしまう。
 27件全てで、文科省で問題となった組織的違反は「確認できなかった」と説明している。しかし具体的な違反の内容が示されていない状況では、すんなりうなずくことはできない。
 このほか、再就職の届け出漏れも82件あった。国家公務員法では、幹部職員が離職後2年以内に営利企業に再就職した場合などに、就職先や業務内容を届け出ることを義務付けている。中には、本人はきちんと出身省庁に届け出ていたのに、そこから内閣人事局に出されていないケースがあった。天下り問題に対する問題意識や認識不足の表れではないか。「再就職に広く関わった」と指摘されたOBも含めて、職員にあらためてルールを徹底させる必要がある。
 調査の詰めも甘い。現在の規制導入後に再就職の届け出をした6372人のうち、回答があったのは約87%の5535人だった。つまり1割を超す837人からは回答が得られていない計算だ。全体像を明らかにする努力が不十分ではないか。
 国会の会期末目前になっての発表も問題だ。文科省による「加計学園」記録文書に関する再調査結果の発表と同じ日にぶつけた。マイナス材料を一度に出して、問題点を見えにくくする思惑が政府にあるとしたら、とんでもないことだ。
 調査は、2月末から外部の弁護士を含む41人態勢で進め、3カ月以上かけながら中途半端な結果で終わった。徹底的に調べ上げることが不可欠だ。
 強大な権限を持つ省庁から利害関係のある業界や組織への天下りは、官民癒着や汚職につながりかねない。一方、専門知識の豊富な官僚OBの適切な再就職は、人材活用の面からも進めなければならないとの意見もあろう。国民の理解を得るためにも、天下りの全容を常に広く示すことが欠かせない。内閣人事局や監視委のチェック機能の拡充も求められるはずだ。
 規制違反の再発防止策も忘れてはならない。政府は再就職届け出制度の抜本的見直しなどを検討する考えだ。当然だろう。経緯の透明化や届け出の徹底、悪質な場合の罰則など実効性ある対策を急ぐべきである。


自民党内で動き始めた安倍と麻生つぶし
 ★ポスト安倍の最有力といえば副総理兼財務相・麻生太郎を思い浮かべる人も多いだろう。元首相経験者であることからリベンジを果たした首相・安倍晋三と同様、もう1度という思いもあるだろう。ところが麻生が色気を見せ始め、派閥の拡大を仕掛けたころから首相と副総理の関係はぎくしゃくしている。とはいえ数は力。政局をうまく転がせば麻生にも首相の目はあるのか。 ★20日、麻生は都知事・小池百合子の築地再開発案に対して「普通は、前の土地売るんだよ。その土地を売った金で新しいものをつくる。それが何だか知らないけど『両方やります』。金あるね」と批判。24日には麻生派議員の会で秘書への暴行問題で自民党を離党した衆院議員・豊田真由子について「学歴だけ見たら一点の非もつけようのないほど立派だったけど。あれ、女性ですよ女性」と述べた。民進党代表・蓮舫が早速「麻生大臣。この人の感覚、全く理解ができない。謝罪ならまだしも『あれ女性です』とはどういう意味か」とかみついた。 ★つまり首相時代の失敗を全く懲りていないのである。この人の失言・暴言は「自民党魔の2回生」の比ではない。相変わらず言葉が過ぎるか、言葉が足りない。無論党内にも国民にも首相待望論などない。「麻生派と首相派閥の清和会を除く各派閥の幹部が頻繁に会合を持ち始めている。当初の目的は8月下旬にも行われる党人事と内閣改造の腹合わせだったが、内閣支持率の低下と官邸のダッチロール状態を見るにつけ、途中から安倍内閣の幕引きと麻生派つぶしに議題が変わってきている」(自民党ベテラン議員)。都議選の最中や首相外遊中に党内政局はどんどんと進んでいく。

首相 批判回避へ都議選応援 屋内で演説、街頭は避け
 安倍晋三首相は26日、東京都文京区で都議選(7月2日投開票)の自民党候補の応援に入った。学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡る問題などで逆風が吹いており、首相は都議選への関与を抑制してきた。だが自民党が「挙党態勢で臨む」と訴えながら党総裁の首相の姿が見えないことに不満の声も出ており、批判をかわす狙いがあったものとみられる。
 首相は今回の都議選では初めてとなる応援演説で「売り言葉に買い言葉。私の姿勢が問題だった。その結果、政策論争ができなかった。反省しなければいけない」と述べた。自民党が惨敗した2009年都議選にも言及し「あの時と同じぐらい厳しい風が吹いている」と語った。
 毎日新聞の24、25両日の世論調査では投票予定先で自民党と都民ファーストの会が拮抗(きっこう)する半面、態度未定の人が約6割を占めた。浮動票の取り込みには本来、知名度を誇る首相の応援が効果的とされ、首相は13年都議選では、外国訪問から帰国した終盤3日間に10カ所以上の街頭に立ち、自民党候補59人の全員当選に貢献した。
 しかし、今回は加計学園問題への対応などで支持率が急落しており、首相がこの日選んだのは自民党支持者が多い屋内での演説。党関係者は「自民党へのヤジが多い街頭演説はやりづらい。それでも『逃げた』との批判を避ける必要があった」と打ち明ける。
 都議選の結果次第では首相の責任を問う声が上がる可能性があり「応援に入らない方がいいという意見もある」(官邸幹部)。首相は選挙期間中唯一の日曜だった25日は終日、都内の自宅で過ごした。今後も情勢を慎重に見極めながら応援機会を探る構えだ。
 一方、都議選を重視する公明党の山口那津男代表は26日、東村山市の街頭で「小池都政をどう前に進めるかが問われる選挙だ」と強調。
 都民ファーストの会代表の小池百合子知事は板橋区の街頭演説などの日程を精力的にこなした。
 野党各党の党首は連日、加計学園問題で政権批判を続ける。民進党の蓮舫代表は港区で「逃げている首相の姿勢を絶対に許してはいけない」と訴えた。共産党の志位和夫委員長は大田区で「首相は一度も街頭で都民に訴えていない。恥ずかしくて皆さんの前に顔を出せない」と皮肉った。【竹内望、真野敏幸】


休みなく働くことが褒められる社会はおかしい…オードリー若林正恭が訴えた新自由主義的な日本社会への違和感
 オードリーの若林正恭がラジオ番組で発した、「仕事」と「休み」に関する考え方がいま喝采を浴びている。
 それは、今月11日に放送された『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)でのこと。番組のオープニングトークで若林は、相方の春日俊彰に向かい、このように語りかけたのであった。
「日本人って、メチャクチャ忙しい人のことをすごく偉いと思ってるじゃない? 『なんか頑張ってるね〜』みたいな。何が偉いんだろうな、あれな。なんで偉いの? 頑張ってたら。合理的に考えたら、休んで一個一個の仕事のパフォーマンスを上げる人が偉いだろ? 休まないで一個一個の仕事のクオリティー落ちたら偉くないだろ、別に。じゃあ、なんで休みなく働いている人が偉いの?」
 労働を過剰に尊び、また、それを強制する日本社会に対して若林が異議申し立てをし始めたのには理由がある。かつて彼ら自身が過重労働に心と身体を壊されそうになった過去があったからだ。
 いまでこそ彼らは自分たちに合った無理のない仕事のペースを確立しているが、テレビに出たての時期のオードリーの仕事量はすさまじく、2010年には年間で507本の番組に出演し、その年のテレビ番組最多出演タレントにもなった。過去の『オールナイトニッポン』では、当時1日に3本〜4本の収録をこなし、朝から日付が変わるまでスケジュールは真っ黒、人にお願いして掃除や洗濯をしてもらわなければ時間的にも体力的にも生活が回らない過酷な状況だったとも語っていた。
 芸人として花開いたのはいいが、その一方で二人の心はズタボロになった。当時、ほとんど睡眠時間もなく、若林は東京・笹塚に住んでいたお笑いコンビ・ダブルネームのジョーの家で仮眠をとらせてもらうこともしばしばだったという。若林はこのように当時を振り返っていた。
「あれなんだったんだろうな、一番忙しいとき。ジョーと、また2時間したらすぐ(家を)出なきゃいけないみたいな深夜、『ドン・キホーテだけ一緒に行こう』って言って、あいつのビッグスクーターの後ろに乗って行ったとき、帰りになんか涙を流しちゃってさ。(中略)お前も言ってなかった? すっごい忙しくて、なんかで実家帰れて、それでまた実家から阿佐ヶ谷の家に戻るとき、原付で。なんか涙流しながら原付運転してたって。言ってなかった? 一番忙しいとき」(前掲『オードリーのオールナイトニッポン』6月11日放送回)
競争社会以外で生きる術を見つけるため若林正恭はキューバに向かう
 2013年に出版された若林のエッセイ集『社会人大学人見知り学部 卒業見込』(KADOKAWA)でも、当時のつらさを物語る、こんなエピソードが綴られていた。
〈ようやく仕事が増えて良かったね。八年間耐えた甲斐があったね。なんてムードだったので口が裂けても「休みたい」なんて言える空気じゃなかった。「仕事増えて良かったねー」「でも、今が今後生き残れるかどうかの大事な時期だよ!」と応援してもらっていた。
 そんな中少し変わった面白い人たちもいた。とあるグループアイドルでかつて一世を風靡しまくった方と、ひょんな流れで大阪で偶然タクシーに一緒に乗ることになった。ぼくらは緊張して黙っていると「今、全然楽しくないでしょ?」とその人は聞いてきた。「いえ、そ、そんなことないです」と言うと、「真面目だなー。わたしは全然楽しくなかったなー」と投げ捨てるように言う。それから一番忙しかった頃の話をしてくれて、宿泊先のホテルのロビーに着くと「大人にいいようにされちゃダメだよ。がんばって」と言って自分の部屋に向かうエレベーターに乗り込んで行った。「ぼくらもだいぶ大人なんだけど」と思いつつ、そういうふうに応援してくれる人もいるんだな。と嬉しかった〉
 若林は来月『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(KADOKAWA)という本を出版する予定だ。この本は、過剰な競争を強いられて消耗していく人が後を絶たない日本社会に疑問をもった彼がキューバを訪れ、改めて自分や自分たちの社会について見つめ直すという内容だという。
 若林がそのように、過重労働、拝金主義、厳格な縦社会といった日本社会の理不尽な慣例に対して疑問を抱く背景には、20代のほとんどを風呂なしアパートで過ごした長い下積み期間を経て、ブレイクしたらしたで今度は過重労働で心を壊しかけ、テレビで欠くことのできない中堅芸人となったいまでも厳しい競争にさらされているという、芸人としての彼の人生が関係しているのは間違いないだろう。
若林正恭「60歳まで残る芸人は俺ら世代で3人くらいしかいない」
 事実、テレビ・ラジオで多くのレギュラーをもついまでも、将来への不安は消えることがないと語っている。
「(売れなかった時期の感覚は)金ないとマジで病院も行けねえし、家賃も払えねえし、っていう感じ。それがなくなんないから、絶対お金使いたくないっすもん、いまも。もうすぐ稼げなくなる日が来るだろうなってずっと思ってるし」(17年6月20日放送『セブンルール』フジテレビ系)
 彼がそこまで将来に対して不安をもつのに、(生来のネガティブ思考というのもあると思うが)芸能界、特に、お笑い芸人という、競争がひときわ苛烈な場所にいるからという要素は確実にある。14年9月14日放送『オードリーのオールナイトニッポン』では、オードリーの今後の見通しを語りながら、お笑い芸人として中年以降も第一線に立ち続けることの難しさと絶望をこのように語っている。
「よく考えたら60歳まで残る芸人なんて3人ぐらいだよ、俺らの世代から。(中略)40歳までは頑張って残んなきゃって目標はちょっと立つんだけど、45歳となると急に考えられなくなるし、ここから何人残るかっていうところだよなって『爆笑レッドカーペット』のときから言われてたけど、ここからごっそり40歳までしぼられて、45歳でもっとしぼられて。で、50代の芸人って、あげてみたら全然想像つかないのよ。(明石家)さんまさん、関根(勤)さんとか、あと、高田純次さんは還暦になったのか。50代で残ってて、なんてもうレジェンドじゃん。だからもうほとんど残んないですからいまの世代。(中略)どっかでいつか必ず風呂なしのアパートに戻るんだなって思ってんのよ。(中略)この仕事できたとして40歳。45歳まで残ってたら大したもんじゃん。いまから10年残れるなんてありえない」
 いまの日本社会は、新自由主義的な価値観が世間に蔓延り、競争にふり落とされまいと長時間労働、成果至上主義、終わらない競争に自分を過剰適応させ身も心もボロボロになるまで競争させられ続ける。そして競争に負けた者は自己責任で切り捨てられる。弱者切り捨ての政策は年を追うごとにひどくなり、利潤を追い求める富める者の声はなぜか聞き入れられ、本当に助けを求めている貧しい者の声こそが国によって潰されるという、嘆かわしい傾向には歯止めがかからない。
 そんな状況下でできる抵抗とは何か。前掲『社会人大学人見知り学部 卒業見込』のなかで若林は、過剰な競争社会のなかで当たり前のように信じられている価値基準について、こう疑義を呈している。
生きるため、若林正恭は「結果」ではなく「過程」を追い求めることにした
〈結果は値がすぐに変わる。いや、下がるんだ。毎日のように現場で一緒だった芸人仲間が数ヵ月すると会わなくなる。そんなことを何度も体験した。
 ぼくは、そんなことを体験するうちに「結果」というものを唯一の社会への参加資格としていたならば、値の変動に終止一喜一憂したまま人生を送っていかなければならない。と感じた。そして、「結果」というものが楽しく生きることにおいて自分にはあまり有効なものではないように感じ始めた。
 使えない。
 ぼくは「結果」以外の基準を探そうと思った。
「結果が全てだ」という考え方が世の中には蔓延している。プロなら過程は問題ではない。「結果を出せ」という考え方だ。しかし、ぼくの胸には「結果」自体は強くは残らなかった。それは実感だった。自分の胸を探ると、掴めるのはいつも過程だった。あれをあれだけやって、めんどくさかったし、大変だったけど、楽しかったな。完璧にはできなかったけど、自分なりにやったな。そんな単純な想いだけはいつも値が下がることなく胸に残っているのだ。「結果」はいつもそういうものの後にあとだしのじゃんけんのようにやってきた。〉
 新自由主義がはびこる日本のなかでも、とくにお笑いや芸能界の激しい競争のなかを生き残ってきた売れっ子芸能人やお笑い芸人たちは、競争や成果主義を是とする者が少なくない。そして、それをつらいと感じるのは、その人が弱いせい、と。そうした弱肉強食芸能人たちの発言は、一般社会での新自由主義的価値観を強化もしている。そんななか、新自由主義を疑い相対化する若林の視点は、我々一般人にとっても非常に貴重なものだ。(新田 樹)


ミスター共産党が見た安倍政権 「歴代自民政治をも否定」
 安倍政権ほど国会審議を軽視し、議会制民主主義を冒涜した歴代政権はないだろう。森友、加計問題をめぐる数々の疑惑には一切答えず、国民の多くが反対の声を上げていた「共謀罪法案」に至っては、委員会審議を途中で打ち切って本会議で採決(中間報告)という「禁じ手」で強行成立させてしまった。傲慢な独裁政権の姿は、国政に半世紀近くにわたって関わってきた「ミスター共産党」こと、日本共産党中央委員会・常任幹部会委員の不破哲三氏の目にどう映っているのか。(インタビューは16日の共謀罪成立前)
――今の安倍政権をどう捉えていますか。
 自民党は結党来、財界密着、対米従属を基本路線としてきたわけですが、安倍政治というのは、これに戦前回帰というウルトラ右翼の思想が加わった。これが最大の特徴だと思います。
――歴代政権と比べて戦前回帰の志向が強い政権ということですか。
 例えば、先の大戦について、日本の侵略戦争を認めず、「後世の歴史家の判断に任せる」と逃げていた田中角栄元首相でさえ、さすがに戦前を美化することはありませんでした。拓殖大学総長時代の中曽根康弘さんは、戦前回帰を肯定する言動が目立っていましたが、総理大臣就任後は「日本は外国から侵略戦争という強い批判を受けていることを心に留める必要がある」と答えるにとどめていました。自民党総裁といえども、首相となれば皆、国内外情勢を鑑みて踏み込んだ発言を避けてきたわけです。ところが、安倍政権は違う。閣僚が侵略戦争を美化する発言をしたり、教育勅語を肯定する答弁書を閣議決定したり。世界が警戒することを平気でする。安倍政治というのは歴代自民党政治をすら否定しているのです。
――安倍政権の傲慢さが目立つ理由として「1強多弱」の政治情勢が指摘されています。
 安倍首相は選挙で大勝した――と言っていますが、実はそうではない。自民党の得票率は60年代末から90年代初めまで、40%台を割ったことはありませんでした。私が初当選した69年12月の自民党の得票率は47・6%で、共産党が39議席を得て「躍進」といわれた72年12月も46・9%。しかし、今の自民党は291の議席を獲得した14年12月の総選挙でも、比例得票率は33%。一方の野党4党は計34%で、本当は野党が上回っていたのです。つまり、今の自民党勢力というのは「架空の多数」にすぎないのです。
――小選挙区制がつくりだした「架空の多数」で好き勝手やっている。
 やりたい放題のために、それに加えて特定秘密保護法と内閣人事局という“仕掛け”をつくりました。特定秘密保護法については、国民の多くが「特定秘密というのだから、よほどの極秘事項」と思っていたでしょう。しかし、施行後、国に情報公開請求すると、開示される資料は「黒塗り弁当」ばかりになりました。文書の見出しも真っ黒で、何も分かりません。そして、各省庁幹部の人事権を握る内閣人事局によって絶対服従体制を敷いた。これでは、外部から政権チェックするのは容易ではなく、それをいいことに目に余ることを毎日のようにやっている。国家の私物化、政治の私物化をしているといっていい。
安倍首相の加憲案は日本会議の提案
――国家戦略特区諮問会議(議長・安倍首相)をめぐる加計学園問題でも「私物化」の批判が噴出しました。
 国益を真剣に考え、本当に悪い岩盤規制であれば、突破しなければならないケースはあり得るでしょう。しかし、それでも総理関係者が関与しないように最大限の注意を払うのは当たり前。たまたま「腹心の友」が事業選定者に決まったけれど、俺は知らない――というのは政治の世界では通用しません。森友、加計問題は安倍首相の政治の私物化が露骨に表れた例ですが、憲法改正をめぐる新聞発表も私物化の例といっていいでしょう。
――5月3日の読売新聞で公表した9条をめぐる改憲宣言ですね。
 あの中身はよくよく調べると、日本会議の関係者が昨秋の機関誌(「明日への選択」)で提唱した内容です。例えば、日本会議の政策委員で、第1次安倍政権から安倍首相のブレーンを務める伊藤哲夫・日本政策研究センター代表は16年9月号で〈憲法第九条に三項を加え、『但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない』といった規定を入れること〉と加憲方式への戦略転換を提案し、続いて、同じ研究センターの小坂実研究部長は11月号で、この方式で憲法9条を「空文化させるべき」だと主張しました。安倍首相の「加憲」案は、日本会議派のこの提案をそのまま取り入れたもので、しかもその提案を5月3日の日本会議派の集会に、その提案通りに「やります」と報告した。それも党に一切相談することなく、「党と政府の方針」とした。これは公党と国政の完全な私物化です。
――安倍政権では閣僚の劣化も目立ちます。特に共謀罪法案をめぐる金田法相の国会答弁は酷いものでした。
 安倍政権の閣僚の顔ぶれは、国政をうまくかじ取りしようと考えられた人事とは思えません。共謀罪法案についても、本気で成立させたいのであれば、少しでも法律に明るい人を法相に据えるのが当然です。しかし、ほとんど法案の中身を理解していない人を大臣に任命した。おそらく30時間という審議時間が過ぎれば、数の力で押し切れるという発想が背景にあったのでしょうが、政治感覚を疑います。
――共謀罪法案では、国連人権理事会の特別報告者も懸念を示していました。
 共謀罪は国民の人権、プライバシー権に対する安全装置が何もなく、政府の監視機能、警察機能を強化するだけだという警告。特別報告者の報告書は現地調査を踏まえた、非常によくまとまった内容です。国際社会からみて、今の日本が極めて危険な国になっていると判断したため、緊急の質問状を日本政府に出したのです。ところが、日本政府は報告書を否定した上、特別報告者も非難した。これは日本の民主主義に違反しているだけではなく、国際社会のルールを踏みにじる行為です。
■対北朝鮮では外交努力を尽くすべき
――国際社会における日本という視点では、北朝鮮に対する強硬姿勢も最近、際立っています。
 北朝鮮のミサイル発射問題をめぐり、武力衝突が起きないよう国連の閣僚級会合で「対話」の道が模索されていた中、「核ミサイル計画を止めない限り、対話はあり得ない」と言っていたのは日本の岸田外相だけ。安倍政権の外交姿勢というのは軍事的対抗措置を強めることしか頭にない。世界で最も軍事的脅威をあおっているのです。
――これまでの日本政府の対応とかなり違う。
 98年1月、北朝鮮と日本の間で「軍事的対応の悪循環」ともいうべき危険な事態が拡大したことがありました。その時、私は国会で「交渉ルートを持たないまま対立関係だけが先行するのは危険だ」として、正式の対話と交渉のルートを確立する努力の重要性を訴えました。それが契機になって、村山富市さん(元首相)を団長にして政党代表団〈村山訪朝団〉をつくり、共産党も参加して初めて北朝鮮との交渉に道を開きました。双方の疑心暗鬼が深まれば、実験が演習となり、やがて戦争に至る。そうならないように外交努力を尽くすべきです。ところが安倍政治は、危機をあおることが政権の存在感を示し、右翼路線を国民に浸透させる手段だと信じ切っているのです。
■戦後史上、初の野党共闘は今後も力になる
――安倍政権の暴走を止めるには、やはり野党共闘が必要ですね。
 昨夏の参院選で実現した野党共闘は、日本の戦後史上、初めてです。それも、市民の声が政党を突き動かした。これはすごい財産です。「安倍1強」という異常な政治体制が、戦前回帰のウルトラ右翼を生み出す一方で、市民と野党の結集を促した。この動きは今後も大きな力になるのは間違いありません。(聞き手=本紙・遠山嘉之)
▽ふわ・てつぞう 1930年、東京生まれ。87歳。東大物理学科卒。47年に日本共産党に入党し、53年に鉄鋼労連書記局勤務、64年以後、党本部勤務。70年、党書記局長になり、党幹部委員長、中央委員会議長を歴任。69年の総選挙で東京6区で初当選、2003年の議員引退まで連続11回当選。佐藤栄作首相をはじめ計17人の歴代首相と論戦した。


日印協定承認 核拡散の懸念が拭えない
 平和利用がどこまで担保できるのか。欠陥だらけの協定と言わざるを得ない。
 インドへの原発輸出に道を開く日印原子力協定が国会で承認された。公文書の交換手続きを経て、早ければ7月初旬に発効する。
 インドは核拡散防止条約(NPT)に加盟していない。協定の発効は、未加盟国に核物質や原子力関連技術が移転できるようになることを意味する。
 唯一の戦争被爆国として「核の憲法」であるNPTを重視し、核軍縮と不拡散を訴えてきた日本の政策転換にほかならない。
 政府が原発輸出にこだわったのは、巨大市場を抱えるインドが電力不足解消のため、総発電量の原発比率を現状の3・5%から9%に引き上げる方針だからだ。
 ロシアなどは既にインドでの原発建設を計画している。原発輸出を成長戦略の一環として掲げる日本も、そうした動きに乗り遅れたくないという意図があるのは間違いない。日印関係の強化で中国をけん制する狙いもあろう。
 だが問題点はあまりにも多い。
 協定について政府は、他国がインドと結んだ協定の中で最も厳しい内容と説明するが、核実験を行った場合の協力停止規定は協定に盛り込まれていない。
 記述があるのは、協定とは異なる文書にとどまる。協定への核実験記載をインドがかたくなに拒否したのが理由だ。
 核爆発を伴わない臨界前核実験を行った場合の対応も定かではない。実効性がどこまで確保できるかは疑問である。
 協定ではさらに、プルトニウム生成につながる使用済み核燃料の再処理や、兵器開発に直結する高濃縮ウランの製造を容認した。
 日本の同意を必要としているとはいえ、日本の技術が軍事転用され、紛争を繰り返してきた隣国パキスタンとの核開発競争を促すリスクは少なくない。
 見過ごせないのは、インドには原発事故が起きた際、メーカーに責任を負わせる法律があることだ。万一の場合、巨額の賠償費用が生じる可能性がある。
 原発輸出は国策と言っていい。東京電力福島第1原発事故と同じように、その責任が国に及び、結果的に国民にしわ寄せが来ることは想像に難くない。
 米国の原発子会社の経営破綻で東芝も経営危機に陥るなど、政府の意向とは裏腹に、日本企業の原発輸出への意欲は一時ほど高まっていないようにも見える。
 世界の潮流は再生可能エネルギーだ。昨年末時点で、その割合は全体の4分の1に増え、地球温暖化をもたらす二酸化炭素の排出削減に貢献している。
 日本に求められているのは、NPTの弱体化が指摘されている中で、多くの命が犠牲になった唯一の戦争被爆国だということを忘れないことである。
 商業利益を優先し、核拡散につながる恐れのある原発輸出を進めることではない。
 目先にとらわれず、国際社会の先頭に立って核不拡散と核廃絶を進めてもらいたい。


臨時国会要求 召集に応じ説明すべきだ
 学校法人「加計学園」(岡山市)の愛媛県今治市での獣医学部新設問題を巡り、首相官邸の働き掛けがあったとされる新たな文書が明らかになったのを受け、民進、共産、自由、社民の野党4党は憲法の規定に基づき、臨時国会の召集を政府に要求した。
 憲法53条は衆参どちらかで総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会の召集をしなければならないと定めている。だが、召集期限の定めはなく、実際は首相や与党の意向に委ねられる。政府は今のところ、臨時国会の召集にも、閉会中の審査にも応じる気配はない。
 通常国会閉会後の会見で、安倍晋三首相は自らの国会答弁の反省を口にし、「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく。国会の閉会、開会にかかわらず、丁寧に説明していきたい」と述べていたはずだ。その約束はどこにいったのか。
 新たな文書は国会閉会後、一部報道を受けて文部科学省があらためて調査し、文科省専門教育課の共有フォルダーで見つかったとして20日に公表した。昨年10月、萩生田光一官房副長官が文科省幹部に発言した概要として「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「官邸は絶対やると言っている」「加計学園事務局長を(文科省の担当)課長のところに行かせる」などと記録されている。
 萩生田氏は「不正確なものが作成され、強い憤りを感じる」などとするコメントを出し、文書の内容を否定した。これまでに出てきた文書と同様、官邸サイドの働き掛けを巡り、文科省に残された文書と、官邸や内閣府の説明が全く食い違っている状態だ。
 国家戦略特区は安倍政権の成長戦略の柱で、大胆な規制緩和により経済の活性化を目指す制度である。「岩盤規制」の突破を目指し、官邸主導で進められることも理解はできる。ただ、今回、問題になっているのはその手続きが公平、公正だったかである。
 獣医学部の新設は京都産業大も望んでいた。これまでに明らかになった文書からは、加計学園が有利になるように特区の条件や開学時期が設定されていったのではないかという疑念が生じている。
 首相は24日になって、獣医学部新設を加計学園の1校にとどまらず、全国的に広げていく意向を表明した。しかし、それでは疑念に対する説明責任を果たしたことにはならない。むしろ、批判をかわそうとしているとみられても仕方なかろう。
 共同通信社が今月17、18日に行った全国電話世論調査で、加計学園を巡って行政がゆがめられたことはないとする政府側の説明に「納得できない」と回答した人は7割を超えた。政府は国会で、加計学園選定の経緯を丁寧に説明するべきだ。消極的な対応が続けば「何かを隠蔽(いんぺい)しているのでは」との国民の疑念は膨らむだけではないか。


臨時国会要求/疑問と不信の解消が必要だ
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部新設計画を巡り、首相最側近の萩生田光一官房副長官の発言を記録したとされる文書が文部科学省で新たに見つかった。
 これに対し民進党など4野党は憲法の規定に基づき臨時国会の召集を要求した。国家戦略特区における事業者選定について疑念がぬぐえないのなら、十分な質疑の時間を確保する必要がある。
 「総理のご意向」といった内閣府側の発言を書き留めた文書などについて文科省は再調査で存在を確認。だが内閣府は内容を全面否定し、二つの調査結果に食い違いを残したまま国会は閉幕した。
 このため野党は集中審議や前川喜平前文科事務次官の証人喚問を求めたが、与党は拒否した。
 憲法は「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求」があれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと定めている。ただ召集期限は切っておらず、実際に開催するかの判断は政権に委ねられる。
 とはいえ、臨時国会召集の要求にも応じず、なおも説明を拒み続けるようなら、それは国民の疑問と不信を黙殺するに等しい。安倍首相は国会閉幕後の記者会見で「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と述べた。今まさに、その言葉を実行に移すことが強く求められている。
 新たな文書は「10/21萩生田副長官ご発言概要」の見出しで「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「官邸は絶対やると言っている」などの記述がある。その内容の真偽について確認する必要がある。
 文科省によると、昨年10月21日に萩生田氏と高等教育局長が会った際のやりとりについて専門教育課の職員が局長からの説明などを基に個人の備忘録を作成。メールにより省内で共有していた。
 政府の国家戦略特区諮問会議は昨年11月に獣医学部新設計画の方針を決定したが、それ以前に作成された文書には「加計学園事務局長を課長のところに行かせる」との発言もある。
 これをもって「加計ありき」が裏付けられることにはならないが、内容を全面否定した萩生田氏は「詳細はよく覚えていない」とするにとどまった。松野博一文科相も「萩生田氏の発言ではないものも含まれているようだ」と説明。職員が内閣府から集めた情報なども混在させ、正確性に欠けるとしている。
 どこまでが事実で、どこからが事実でないかは、はっきりしない。萩生田氏は以前、加計学園傘下の大学で客員教授を務めている。「萩生田副長官から指示があったようです」と、学園に有利になるよう獣医学部新設の要件が修正された経緯を記したメールも文科省の再調査で見つかっている。
 一連の文書について真意は不明としながらも、一定の信頼性を認めていた松野文科相が今回、内容を疑問視したのも解せない。さらに文書にある発言をことごとく否定した内閣府の調査結果との隔たりは埋まっていない。行政がゆがめられたのではとの疑念を解消したいなら、文科省と官邸、内閣府は真摯に説明するしかないだろう。


パワハラ絶叫 豊田真由子議員に“巨額示談金と逮捕”の恐怖
 政策秘書を殴り、暴言を浴びせた責任を取るとして自民党に離党届を提出した豊田真由子議員(42=埼玉4区)。この週末は「このハゲーー!」「違うだろーーー!」と大絶叫する音声がテレビで繰り返し流れ、「号泣県議」みたいにすっかり“時の人”となった。地元有権者からは議員辞職を求める声が強まっているという。
■事実なら15年以下の懲役も
「今回の暴行騒動によって、自民党が都議選でダメージを受けるのは確実です。党本部としては豊田議員を議員辞職させ、早期に幕引きを図りたいはずですが、そうすると今年10月に逆風下の衆院補選になってしまう。ほとぼりが冷めるのを待つしか手がなさそうです」(政治評論家・伊藤達美氏)
 当の豊田議員は体調不良を理由に入院したまま。その一方で豊田議員と元秘書の双方が弁護士を立てて示談交渉を含めて協議をしている。ただ、殴られた元秘書は「警察に被害届を出します」と週刊新潮の取材に答えており、警察が捜査に向けて動きだす可能性がある。
 果たして、豊田議員が逮捕されることはあるのか。弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士がこう言う。
「今回は国会議員がその地位を利用してパワハラをした疑いが持たれている社会的関心の高い問題です。自動車内の“密室事件”ですが、暴行音声を記録したICレコーダーも存在するようです。被害届が出たら、警察は受理して捜査すると思います。国会閉会中なので不逮捕特権は関係ありません」
 週刊新潮によると、元秘書は豊田議員の暴行によって「顔面打撲傷」「左背部打撲傷」「左上腕挫傷」を負い、医師の診断書も取ったという。
「報道が事実とすれば、15年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される傷害罪が成立します。いざ捜査着手となれば、豊田議員が不起訴になるためには被害者との示談成立が不可欠となります。意地でも示談に持ち込もうとするでしょう。一般的に傷害事件の示談金は数十万円から100万円程度ですが、豊田議員は被害者の言い値をのむしかなさそうです。500万円程度の支払いは覚悟するしかありません」(徳原弁護士)
 もっとも、豊田議員が示談金500万円を払って不起訴になったとしても、それで一件落着となるかは不透明だ。今までに辞めていった100人ともいわれる元秘書たちが、続々と告発に踏み切るかもしれないといわれているからだ。豊田議員の生き地獄はまだまだ続く。パワハラの代償はあまりに高くついた。


大麻解禁派にのめり込む安倍昭恵夫人 官邸は危うさを心配
 安倍昭恵・首相夫人といえば、自由奔放な行動に加え、スピリチュアルな発言で知られる。とくに安倍晋三首相を悩ませているのが「大麻解禁(合法化)」を巡る言動だ。
〈大麻はただの植物ではなくて、たぶんすごく高いエネルギーを持っていると私は思うんです〉
〈何千年もの間、日本人の衣食住と精神性に大きくかかわってきた大麻の文化を取り戻したい……。私自身も大麻栽培の免許を取ろうかと考えたほどです〉(『週刊SPA!』2015年12月15日号)
 雑誌でそう公言する前の2015年7月には鳥取県智頭(ちづ)町の大麻畑を視察。「大麻で町おこし」を宣伝したものの、その後、大麻栽培会社の代表が厚労省麻薬取締部に逮捕(昨年10月)され、広告塔に利用された昭恵夫人も批判を浴びた。
 そうした昭恵夫人の“スピリチュアル”な大麻解禁活動に強い影響を与えていると官邸が注目しているのが映像プロデューサーの龍村ゆかり氏だ。
「シャーマニックな直感と、大地母性的なしなやかさを、あわせ持った、新しい世紀のプロデュースを目指す」という非営利団体『いのちの環』を主宰し、昭恵夫人の智頭町の大麻畑視察の場にもいた人物。昨年、京都で世界の麻農家や専門家などを集めた『第1回世界麻環境フォーラム』が開催された際には、事前トークセッションに出演した。
 しかも、森友学園問題を追及されて精神的に追い詰められた昭恵夫人は最近、龍村氏との交遊を一層深めているという。官邸の安倍側近筋が語る。
「昭恵さんが総理の指示で公の場から“雲隠れ”した際には、龍村氏とダンスの会に出席したり、医療施設を訪問するなど一緒に行動して相談相手になってもらっているようだ。しかし、官邸は龍村氏を大麻解禁派の“要注意人物”と見ており、昭恵夫人がのめり込んでいることを危ういと心配している」
 龍村氏を直撃した。
「官邸や公安が私をマークしているという情報は知っていますが、私は政治的なことには関与していません。私自身のニュートラルな生き方に昭恵さんも共感してくれています。そのことをスピリチュアルな影響を与えているとか、オカルトみたいだと言われるのは私には理解できません。
 科学的に証明できないことは世の中にたくさんあると思います。そういう真実を探していく目がスピリチュアルかなと思うんですけど、それがなぜ、オウム真理教のようなカルト集団への警戒と一緒にして見られているのか。
 私は衰退する産業用大麻を守る活動をしていますが、昭恵さんに強い影響を与えているとは思いませんし、そう言われることは不本意です」
 そう反論するのだが、安倍首相も交遊を黙認していたわけではないようだ。
「総理や母の洋子さんも心配して、昭恵さんに何度も大麻解禁論者との交遊を控えるよう注意したそうですが、言えば言うほど頑なになるのが昭恵さんの性格なのでしょう。官邸も安倍家の家庭内事情にまで口出しできません」(前出・安倍側近筋)

地震で不安/日曜出勤/どMでいてね?

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Amour et guerre, de Berlin à Hiroshima
≪ Hibakusha ≫, ces quatre syllabes envoûtantes désignent en japonais un-e survivant-e des bombes d’Hiroshima et Nagasaki. Avec cet ouvrage, le lecteur est témoin de la rencontre d’un Allemand avec une jeune Japonaise à Hiroshima.
HAI YEN PHAM
Adapté de la nouvelle ≪ Hiroshima, fin de transmission ≫, écrite par la même auteure, Thilde Barboni, ≪ Hibakusha ≫ nous relate l’histoire de Ludwig, un jeune allemand d’une trentaine d’années tourmenté dans le contexte sulfureux de fin de Deuxième Guerre mondiale. Ayant passé son enfance dans le pays du Soleil levant avec ses parents, ce dernier met désormais à l’œuvre ses compétences en tant qu’interprète et traducteur pour le compte des nazis. Mari désabusé et père modérément impliqué, Ludwig a pour credo le principe de ≪ neutralité ≫ qui, selon lui, a pour vertu de l’épargner de toute situation délicate : il s’est ainsi laissé porter par le cours de la vie sans jamais prendre de risque ou de parti. On réalise rapidement que le train de vie du personnage ne le rend pas heureux, mais qu’il ne fait en revanche rien pour y remédier, préférant plutôt se réfugier dans les fantasmes de ses dernières péripéties volages.
L’intrigue principale est amorcée lorsque Ludwig est dépêché, sans avertissement et sans avoir l’occasion de prévenir sa famille, au Japon avec pour mission la traduction de certains documents sensibles et confidentiels. Son arrivée à Hiroshima, une contrée imprégnée par un fort anti-américanisme, marquera un tournant décisif dans son appréhension de la vie. Errant sous les bombardements aléatoires et dans les bars bondés d’Allemands, il va faire la rencontre d’une masseuse japonaise dont il va tomber amoureux. En effet, auprès d’elle, dans un climat de guerre tendu, il parvient à soulager les douleurs d’une ancienne blessure à la jambe et à redécouvrir des teintes plus positives de la vie. La menace imminente de la bombe atomique dont le lecteur devine anxieusement l’approche depuis la première page vient également tourmenter ce court instant d’enchantement.
La trame intrigante de ce récit plonge rapidement le lecteur au sein d’un univers déchiré par le conflit, mais ses habitants semblent quelquefois lointains ou succinctement engagés dans l’histoire. De ce fait, le personnage de Ludwig, avec ses défauts et qualités, ne suscite qu’une empathie passagère malgré son progrès, de la passivité face à ses démons intérieurs vers une discrète affirmation de ses convictions. De même, l’histoire d’amour à Hiroshima, élément pourtant clé de l’ouvrage, ne stimule que très peu l’intrigue. On lui reprochera un manque de substance, car elle se présente, en fin de compte, plutôt comme une ellipse. En bon élève de cours d’histoire, on aurait éventuellement apprécié voir les aspects de la collaboration d’un fonctionnaire allemand avec les alliés du IIIe Reich afin de suivre la progression de Ludwig vers une forme de contestation qui aurait donné plus de dimensions à la trame. Malgré ces points discutables, on louera néanmoins le scénario pour sa représentation d’une réalité terrible et les interrogations qu’il propose de soulever, à savoir la question de la mémoire d’un être, avec toutes ses fautes et accomplissements, après un massacre tel que celui d’Hiroshima.
Enfin, si la couverture de l’ouvrage attire le regard par son élégance soignée et ses couleurs délicates, les illustrations de l’histoire, bien que fines et travaillées, sont moins précises et ne reflètent pas toujours la profondeur escomptée des personnages. Leurs visages et expressions semblent ainsi parfois impénétrables, ce qui peut laisser un lecteur séduit par la couverture sur sa faim. Le pinceau d’Olivier Cinna n’en reste pas moins vif et entrainant dans son portrait d’un climat tumultueux et d’un protagoniste tourmenté.
フランス語
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今夜も生でさだまさし「〜北の国から2017網走〜」
今夜も生でさだまさし〜北の国から2017網走〜放送100回目は北海道から!重要文化財の網走監獄から生放送!真夜中の舎房にさだまさしの歌声が響き渡る!PRコーナーでは、北見放送局のイチオシの番組「オホーツク心の風景」を紹介する。オホーツクの豊かな自然や人々の営みを最新技術を用いた映像でお届けする。季節ごとに咲き誇る花々など、これからのオホーツクの見どころも紹介!
さだまさし, 井上知幸,住吉昇

明日へ つなげよう 証言記録「宮城県南三陸町 商人の心意気で“福興”を」
宮城県南三陸町に商店主達が運営する避難所があった。即断即決・知恵と工夫で難問を解決。震災の翌月には他の被災地に先駆けて“福興市”を開催した。商売人の心意気とは?
津波で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町。千人以上が殺到した志津川小学校では、地元の商店主達が避難所の運営を任された。自治会長は味噌屋、炊事は魚屋、物資の管理は内装業者…即断即決・知恵と工夫で難局を乗り越えた。しかし町外に移転する住民が続出、商売の先行きが不安に。そこで震災から1か月ほどで、他の被災地に先駆け“福興市”を開催。全国の商店街の協力を得て再起の足がかりをつかんだ。商店主達の心意気を描く。
松村正代

NNNドキュメント シンちゃんTV奮闘記小さな町の記録係の10,000回
軽井沢の隣の御代田町で30年以上毎日、小さな町をビデオカメラで撮り続けているシンちゃん。たった2人のテレビ局で生放送も続け「世界一小さなテレビ局」とも言われる。シンちゃんは、こどものころからガキ大将。実家の食堂を担保に、たったひとりでケーブルテレビ局を作った。しかも契約世帯10件で自主放送を始める。ヒゲモジャで饒舌なシンちゃんの番組は、超地域密着で徐々に町の暮らしに欠かせなくなってゆく。
よこざわけい子  テレビ信州

ガリレオX 続・“シンギュラリティ”がやってくる 情報×美術×法律
 “シンギュラリティ”。それは人工知能によって、私たちの社会が劇的に変化する「技術的特異点」を指す言葉だ。指数関数的に上昇している人工知能の情報処理能力は、すでに私たち人間の知性に迫りつつあり、ついに「人間の知性を超える時期」というのが、2045年に予測されるシンギュラリティである。そこに現れるのは、ユートピアか、それともディストピアか?
これまでガリレオXでは、専門家による議論を通してシンギュラリティを迎えることになる社会の将来像を探り続けてきた。今回は、情報学、法律、美術を専門とする新たな4人の識者が集まった。今後、高度な人工知能が社会実装されていく中で、どんな課題解決が必要になるのか? 続シンギュラリティ・シンポジウムの開幕だ。
続・シンギュラリティがやってくる
人工知能の情報支援が受けられるAI会議室で続・シンギュラリティ・シンポジウムが始まった。AI研究者の市瀬龍太郎さん、情報学者のドミニク・チェンさん、ロボット法学者の赤坂亮太さん、そして美術家の中ザワヒデキさんの4人に自由な議論をしてもらった。ドミニクさんが自動運転車が突き当たるトロッコ問題の例として、MITのモラルマシーンの話題を提供し、AIは人間を超えた判断ができるのか? またそれをさせるべきなのか? という議論が深まる。
人工知能の法的責任
もしも人工知能が判断を誤り、大事故が起こってしまったら、その人工知能に法的責任を負わせられるのだろうか? ロボット法学者の赤坂さんが中世ヨーロッパで実際にあった動物裁判の事例からその可能性を切り出すと、AI研究者の市瀬さんは人工知能に人間の「常識」を実装することの難しさを語る。
人工知能みずからが作る芸術作品の価値
2015年にGoogleが開発したAI、DeepDreamが、これまでに学習した画像データベースをもとに作り出す「AIから見える世界」像は悪夢のようでもあり、芸術作品のようでもある。そんな話題に対して美術家の中ザワさんは、AIが意識を持ち、美意識も持ち、独自の芸術を生みだしたとき、その美的価値は人間を超えていくのではないかと語る。そんな時代に誰が美的価値観をつくっていくのか? 議論が割れる。
人工知能に与えるべき権利
もしも人間と同じようになんでもできる人工知能が現れ、しかも何らかの権利を求める行動が起こされたら、権利を与えるべきなのか? 中ザワさんは公民権運動の事例を出し、赤坂さんは企業などに与えられる「法人格」のようにバーチャルな人格がロボットやAIには適しているのでは? という持論を展開する。
過去にもあった?シンギュラリティ
2045年と予測されているシンギュラリティだが、過去に人類はシンギュラリティを体験したことはなかったのか? ドミニクさんは、「文字の発明」こそが最初のシンギュラリティだったのではないかと問う。一方、中ザワさんは、生物として迎えた最初のシンギュラリティはカンブリア大爆発だったのではと考え、これから起こるシンギュラリティが喩え人類にとってSF的な不幸をもたらすものになろうとも歓迎し、それをきちんと見たいという知的好奇心を露わにする。
<主な取材先> 市瀬龍太郎 さん (国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 准教授) ドミニク・チェン さん (早稲田大学文化構想学部 准教授) 中ザワヒデキ さん (美術家/人工知能美学芸術研究会 発起人代表) 赤坂亮太 さん (慶應義塾大学SFC研究所 上席所員)

テレメンタリー 「カムイの鳥の軌跡 〜9000キロ 渡りの謎を追う〜」
北海道とオーストラリアを渡る小さな渡り鳥 オオジシギ。これまで謎とされてきた渡りのルートが、最新の小型衛星発信器を使った調査で世界で初めて解明された。日豪研究者による共同調査に密着、その意外な生態を紹介する。ルートの解明で見えてきたのは地球規模での生態系保全と国際協力の重要性。オオジシギにまつわるアイヌ民族の神話を現代科学で検証し、命の大切さと普段見過ごしている私たちのすぐそばにある自然の驚異を描く。
森さやか(北海道テレビ放送アナウンサー) 北海道テレビ放送

ええじゃないか。 「大阪 大阪市 なんば〜天王寺散策のええ旅さがし!」

今回は大阪府大阪市でええ旅さがし。まず2人がやってきたのは「坐摩神社(いかすりじんじゃ)」。地元では「坐摩(ざま)神社」と親しまれている神社です。こちらは住居・旅行・安産に縁起がいいとされ、2人も旅行安全のため参拝します。また境内には珍しい神社「火防陶器神社(ひぶせとうきじんじゃ)」という末社も参ります。続いてお邪魔したのは天王寺区にある「てんしば」。こちらでは4月20日にオープンした地元野菜や果物、こだわりの加工品がある「産直市場よってって」と、テラス席から公園の芝生広場を望みながら、お肉と野菜がいただける「SORAIRO KITCHEN in TENSHIBA PARK」を訪れます。最後に訪れたのは「あべのハルカス」。この時期にしか味わえない展望台でのビアガーデンが開催中。今年は3周年を記念して3つのバーベキューコースが新登場。展望台ならではのビアガーデンの魅力を伺います。 堀口文宏(あさりど) 萩美香
バリバラ「スモールワールド〜低身長の世界〜」
“スモールワールド”、低身長の人たちの世界を2週にわたってお伝えする。スタジオには10人の低身長の人たちが大集合!第1回は日常生活に潜むバリアがテーマ。極端に背が低い人たちは、物理的な高さのバリアだけでなく「レストランでお子様ランチを出される」など、見た目から受けるさまざまな誤解や偏見に悩まされてきた。そこで今回理解を深めてもらうために街角意識調査を実施!世間が抱きがちな先入観をくつがえしていく。 ロッチ, 山本シュウ, 玉木幸則, マメ山田, 神戸浩,ベビー・バギー
ピラミッド・ダービー【バンジージャンプを途中で切り離し見事着地!?】
バナナマン&ウエンツが贈る日曜よるの熱き闘い… ウエンツの鼻から○○出しまくり!?命がけのバンジージャンプ挑戦! ★地上20mからバンジージャンプ!タイミング良くロープを外して立って着地!? ★天才中学生VS元日本代表バレーボール対決 ★でんじろう実験再び!液体窒素で爆発第2弾! ★水球選手が作る橋を渡りきれ! ★ついに勝利か!?矢部太郎VS水球選手綱引き対決 ★桐谷健太「海の声」 ●設楽統(バナナマン) ●ウエンツ瑛士 ●日村勇紀(バナナマン) ●ヒロミ ●井森美幸 ●恵俊彰 ●小島瑠璃子 江藤愛(TBSアナウンサー)   http://www.tbs.co.jp/pyramidderby/  twitter  @TBS_pyramid https://twitter.com/TBS_pyramid facebook https://www.facebook.com/TBS.pyramid/


あさテレビを見ていたら地震警報.あっという間に揺れがやってきました.震度2くらいかな??と思いましたが,眠くて2度寝してしまいました.10時くらいに起きてテレビを見たりして過ごしましたが,なんだか不安な気持ちがおさまりません.うーんん・・・
しかし仕事をしなくてはならないので日曜出勤です.夕方髪を切ってもらうので時間はあまりなく,結局少ししか仕事進みませんでした.ちょっとヤバい感じです.
夜に「どMでいてね」という謎のメール.いったいわたしは何をどうしたらいいの?

震災メモリアル公園など整備 名取・閖上
 東日本大震災で被災し、災害危険区域に指定された宮城県名取市閖上東地区の土地区画整理事業の起工式が24日、現地であった。産業用地が事業地約58ヘクタールの約60%に上り、市は企業誘致に取り組む方針。総事業費は約52億円で2020年3月の事業完了を目指す。
 事業地には産業用地のほか、既に完成、運営されている水産加工団地、ゆりあげ港朝市も含まれる。スポーツエリアや震災メモリアル公園、防災ステーション、自然歩道「みちのく潮風トレイル」のトレイルセンターも整備される。
 山田司郎市長はあいさつで「閖上の歴史や文化などを後世に残し、にぎわいのある地区にしたい。復興に向け、さらに気を引き締めて事業に当たる」と強調。関係者と一緒にくわ入れをして着工を祝った。
 閖上東地区は集団移転跡地や民有地で、市が災害公営住宅や小中一貫校などを整備中の閖上地区の海側のエリア。16年7月に県から事業認可を受けた。


<復興CSR>課題こそが商いの種
◎トモノミクス 被災地と企業[51]第11部 明日(2)さきんじる/社会起業
 次々と繰り出す事業が、失われた日常を少しずつ形にしていく。合言葉は「100の課題から100のビジネスを生み出す」。
 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が昨年7月、一部を除き解除された南相馬市小高区。和田智行さん(40)は、JR小高駅前で事業者らがオフィスを共有するコワーキングスペース「小高ワーカーズベース」を運営する。
 同名の会社をつくり、従業員は8人。経営方針は小さな事業の同時展開と、収入源の多様化だ。仕掛ける領域は広い。
 同区の居住者は1914人(5月末現在)で原発事故前の14%。和田さんは市の業務委託を受け、2015年9月から小高駅前で日用品や食料品を扱う仮設商店を営む。開店当時はスーパーやコンビニが再開するめどが立っていなかった。
 若者の帰還には働く場が必要だ。耐熱ガラスメーカー、ハリオグループ(東京)の協力を取り付け、工房を開設した。20〜50代の女性7人がガラス細工のアクセサリーを作り、店頭やインターネットで販売する。
 和田さんは地元出身。東京の大学を卒業後、ベンチャー企業勤務を経てIT会社の創業に関わった。「小高で若くして起業経験があるのは自分だけだろう」。原発事故に接し、使命感に突き動かされた。
 避難区域だった小高に14年5月、拠点を構えた。何が必要か、何がビジネスになるかが見えてきた。
 周辺には除染や工事の関係者が数千人いた。飲食店や商店がなく、昼食の確保が課題だった。
 「飲食店はうまくいくはず」。同年12月、空き店舗に小高で原発事故後初となる食堂を開いた。復興事業関係者に加え、避難した住民が来店し、繁盛した。
 小高で飲食店を営めることを証明し、食堂は1年3カ月で閉店した。和田さんの取り組みは、帰還に二の足を踏んでいた別の飲食業者の呼び水になった。
 食堂に使った空き店舗には、市内の仮設商店街に移っていた老舗ラーメン店が戻ってきた。すし店や居酒屋も次々と復活した。
 「地域で課題が解決できずに原発を誘致した。頼り切った結果、地域は死に体になり、多くの住民が避難を余儀なくされた」
 和田さんは原発事故で古里を失いかけた現実を胸に、力を込める。「これからの小高は起業が当たり前のまちにしたい。ゼロからまちづくりができる。そんなチャンスがあるのは世界中でここだけだ」
 一度は住民が消えたまちに商いの灯をともす。ソーシャルベンチャーが地域のニーズを見いだし、地域との共栄を願いながら経済の歯車を回していく。原発事故が住民を払いのけた小高の大地に、復興への希望が芽吹きつつある。
 企業が本業の成長を見据え、地域に深く関わり、人々の幸福度を上げる。資本主義の明日を開く鍵がそこにある。友として、共に、利益を伴いながら。東北の被災地からトモノミクスを発信しよう。


震災と原発事故…再生する浜の漁師 映画に
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に直面した福島県新地町の漁師を追ったドキュメンタリー映画「新地町の漁師たち」(89分)が7月1〜7日、福島市のフォーラム福島で上映される。東北の劇場では初の公開となる。
 東京出身の山田徹監督(33)が2011年6月から約3年半、津波被害を受けるなどした新地町に通って撮影した。
 漁は原発事故で操業自粛に。撮影開始から2年間、漁師は週2〜3回のがれき撤去と魚の放射性物質濃度調査しか行えず、浜に復興の気配はなかった。
 13年3月、コウナゴの試験操業が始まると、漁師の表情が生き生きとする。一方、第1原発の汚染水対策「地下水バイパス計画」を巡る東電との交渉では怒りが膨らんだ。
 山田監督は「漁師の仕事に対する思いを伝えようと、カメラを回した。さまざまな迷いを抱える若い人に見てほしい」と語る。
 上映初日は山田監督や漁師の小野春雄さん、福島市の詩人和合亮一さんが舞台あいさつする。福島市のコラッセふくしまでは新地町の女性が「浜の母ちゃん食堂」を設け、ホッキ飯やシラウオの吸い物などの定食を限定販売する。
 1〜4日は午前11時40分、5〜7日は午後7時から。前売りの特別鑑賞券1100円、当日一般1700円。連絡先はフォーラム福島024(533)1717。東京のポレポレ東中野でも同期間上映される。


<東北新幹線35年>Max5年ぶり駆ける
 東北新幹線の開業35周年を記念し、JR東日本は24日、オール2階のE4系車両「Max(マックス)」を仙台−上野間で復活させた。同日限定の片道運行で、東北新幹線での走行は5年ぶり。
 始発の仙台駅には、午前9時34分発の記念号を一目見ようと大勢の鉄道ファンや親子連れがホームに詰めかけた。家族5人で訪れた仙台市太白区の小学3年亀山和佳さん(8)は「東京スカイツリーを見に行く。Maxに乗るのは初めてなのですごく楽しみ」と話し、笑顔で乗り込んだ。
 E4系車両は長い先頭部が特徴で、1997年から活躍。大量輸送に威力を発揮したが、高速車両の導入が進み2012年に姿を消した。現在は上越新幹線で運行されている。
 東北新幹線は1982年6月に大宮−盛岡間で運転を開始。2010年に東京から新青森までの全線が開通した。東日本大震災の際は、架線の断線など1750カ所に及ぶ被害が発生。震災から50日目に全線再開した。
 16年には北海道新幹線が開業し、東北と北の大地が新幹線でつながった。


<ILC>全長20キロに短縮 費用圧縮早期建設へ
 超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の建設を目指す国際将来加速器委員会(ICFA)が、最大の懸案となっている巨額な建設費を削減するため、ILCの全長を31キロから20キロに短縮する計画を進めている。1兆円を超す建設費が30%以上圧縮されると予想され、候補地で岩手、宮城両県にまたがる北上山地への早期建設につなげたい考えだ。
 ILCの建設を巡っては、費用の半分が立地国の負担になることがネックとなり、日本政府は態度を決めかねている。世界各国の研究所トップらでつくるICFAの国際設計チームが現在、建設実現を目指す研究者らの意見を踏まえ、予算削減に向けて従来の計画を見直しており、8月に新計画を決める。
 新計画は初期段階の建設コストを抑えるため、全長20キロのILCを造った後、段階的に30キロ、50キロに拡張する「ステージング」という手法を採用する。ILCの長さに応じた研究対象は図の通り。当初はヒッグス粒子と暗黒物質だが、将来、ヒッグス同時生成などに広がる可能性もある。
 全長短縮に加え、文部科学省と米エネルギー省は設備の性能を向上させる共同研究に着手した。これらの研究を踏まえれば、従来計画から30%以上の建設コスト削減が見込めるという。
 削減の背景には、巨大加速器の建設を検討しているライバルの中国の存在があり、日米欧の科学者が中心のICFAに現実的な選択に向かわせたとの指摘もある。
 ILC計画の国際交渉に当たる東大素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は「各国政府がコスト負担で納得でき、早く研究環境が整う現実的な見直し」と指摘。「20キロでも多様な課題があり、多くの研究者が集まる。地域への効果は大きい。小さく始め、大きく育てる思いで早期実現につなげたい」と話す。
 東北ILC推進協議会と先端加速器科学技術推進協議会(東京)は、夏までに北上山地周辺の受け入れ態勢などをまとめ、文科省は2018年に誘致の可否を判断するとみられる。
[国際リニアコライダー(ILC)]
 宇宙誕生から1兆分の1秒後を再現できる次世代の直線型加速器。トンネルに設置した超電導加速器で電子と陽電子を衝突させ、生まれる粒子を調べる。世界の科学者は2020年代前半に国際合意を得て、30年前後の稼働を目指す。ヒッグス粒子発見を主導した欧州合同原子核研究所(CERN)の加速器の後継と期待される。


<仙台市長選>野党共闘 労組に温度差
 7月の仙台市長選を巡り、連合宮城の主要労組で野党共闘に対する温度差が生じている。多くは民進党衆院議員の郡和子氏(60)=比例東北=の支援に回るとみられるが、市民団体や社民、共産両党が相乗りする陣営の枠組みに、一定の距離を置く労組も目立つ。
 20日、仙台市青葉区であった連合宮城の四役会議。国会議員として4期の実績があり、奥山恵美子市長の市政継承を掲げる郡氏を推薦する方針を固めたが、正式決定は27日の執行委員会に持ち越した。
 連合宮城は36産別の労働組合で構成し、組合員約7万7000人のうち半数以上は仙台市内に在籍する。2013年、09年の市長選は旧民主、社民両党と奥山市長の支持に回った。
 民進県連は9日の幹事会で郡氏擁立を決定後、社民県連に支援を要請したが、いち早く共闘に名乗りを上げたのは共産県委員会だった。昨夏の参院選に続く野党の結束を掲げ、13日に支援方針を表明。社民も17日に支援を決めたが、前のめり気味な共産の姿勢に一部の労組は違和感を抱く。
 流通業やサービス業などの労組でつくるUAゼンセン県支部(2万7000人)は「反自民・反共産の理念の下に活動してきただけに悩ましい」と一線を画す。「市民団体を軸に選挙態勢を構築し、共産色を薄めてほしい」と求める。
 情報労連県協議会(5400人)も「共産と肩を並べて活動するわけにいかず、動きづらい。連合宮城の動向など全体のバランスを見ながら方針を決める」と慎重な立場だ。
 市労働組合連合会(4900人)は22日、郡氏の推薦を決めた。自治労県本部(1万5000人)は「共産が郡氏を支援するのは結構だが、市政の個別政策で異なる部分は少なくない。連合や民進、社民と連携して戦う」とけん制する。
 連合宮城の小出裕一会長は「共闘へのスタンスに違いがあるのは仕方なく、郡氏を支援するかどうかは個別の判断に任せたい。いずれにしても超短期決戦で選挙態勢の構築を急がなければならない」と話す。


仙台空港と高速バス/仙山圏の訪日誘客に生かせ
 訪日外国人旅行者(インバウンド)の誘致を進める上で、常に課題とされてきた2次交通の利便性向上に向けた取り組みが、民間主導で始まった意義は大きい。
 この春、運行を開始した仙台空港と山形、鶴岡、酒田の各市を結ぶ高速バス路線である。
 個人で国外を旅行する際に何かと心細いのが、不案内な駅での乗り換えだ。団体から個人へと旅行形態が変わっていく中、「空港直結」は強い訴求力を持っている。
 海外5都市と定期便を持つ仙台空港が東北の横軸に直結することで、宮城、山形両県を中心とした外国人旅行者向けの周遊ルート確立に弾みがつくことを期待したい。
 国土交通省によると、2016年に東北6県に宿泊した外国人は、前年比22%増の延べ64万1020人(速報値)。調査を開始した07年以降で最多となった。
 とはいえ、東京や京都、大阪といった「ゴールデンルート」を中心とする全国的な伸びと比較すれば、東北はまだ東日本大震災以降の低迷から脱し切れてはいない。
 宮城、山形両県の関係者はこの機会に、お互いの観光地の魅力磨きや旅行商品の開発、国内外に向けた情報発信など、さまざまな領域で連携を強めていく必要があろう。
 山形県側では既に、自治体や企業が協力し合い、仙台空港を利用する国内外の旅行者を呼び込もうと、広域的な準備が進んでいる。
 仙台圏に隣接する村山地域の中核を担う山形、天童、上山の3市の取り組みが、その好例だ。官民共同で設立した株式会社「おもてなし山形」が主体となって、観光ルートの中で「結節点」となる旅行商品の企画から販売まで手掛けようとしている。
 宿泊客の収容能力は、3市合計で山形県全体の約6割を占める。有名温泉街を擁する自治体が連携し、相乗的に強みを生かす狙いだ。
 さらに仙台空港−鶴岡、酒田間の高速バスの運行主体である庄交グループ(鶴岡市)は外国人旅行者を日本海側の庄内地域まで引き込もうと、昨年12月に「庄交価値創造研究所」を創設し、山岳信仰などをテーマに具体的な旅行商品の開発に乗りだしている。
 山形県管理の山形、庄内両空港は国際定期便こそないものの、仙台、福島両空港にはない羽田便を持っている。
 同県は近年、羽田からの誘客に力を入れており、外国人旅行者が東からも西からも仙山圏を巡る時代の到来を視野に入れる。
 そもそも高速バス路線を活用した広域的な訪日誘客は、国管理の空港として全国初の民営化に挑んだ仙台空港の成長戦略の柱でもある。
 山形側で進む準備に比べて、宮城側の取り組みは果たして十分か。山形側に呼応した動きが広がっていくことを期待したい。


「お笑い」通じ会話力高めて
 東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県大熊町の大熊中の生徒が漫才を学ぶ講座が13日、会津若松市の仮校舎であった。
 1〜3年の19人が参加。吉本興業の芸人で郡山市を拠点にするコンビ「ぺんぎんナッツ」のいなのこうすけさん(38)と中村陽介さん(34)が講師を務めた。
 2人は軽妙な掛け合いで笑いを誘い、「大きな声で」「前を見て話す」といった基本を伝授した。生徒らは8組に分かれてグループ名を考案。好きな物を名前に取り入れるなどした。
 生徒らは今後3回の講座でネタ作りなどに挑戦。最終7月18日の発表会「O(オー)−1グランプリ決定戦」に臨む。3年工藤美咲さん(14)は「みんなを笑顔にしたい」と話した。
 指導する中村さんは「笑いを通してコミュニケーションの大切さを学び、世の中に自分の存在をアピールできるようになってほしい」と期待した。
 講座は、大熊町教委が生徒の心のケアと会話力アップを目指して実施。会津地域の文化向上を目指すNPO法人会津エンジン(会津若松市)が協力する。


副作用のない薬/笑顔あふれる福島つくろう
 〈しあわせだから笑っているのではない。むしろぼくは、笑うからしあわせなのだ〉
 フランスの哲学者アランが著書「幸福論」(神谷幹夫訳)に記した有名な言葉だ。「笑う門には福来る」にも通じるところがある。
 人は笑うと、前向きな気持ちになる。医学的な面からも、笑うことが体に良い効果をもたらすことが分かってきた。心身ともに健やかに過ごすため、笑顔あふれる社会をつくりたい。
 笑いが健康に与える好影響はたくさんある。大笑いするとがん細胞などを攻撃する「ナチュラルキラー細胞」の働きが適正な状態になって免疫力が向上したり、糖尿病患者が漫才を観賞したら食後の血糖値上昇が抑えられたりしたという。よく笑う人ほど脳卒中や心臓病を発症した割合が低かったとの研究結果もある。また笑うことはストレスの軽減にもつながる。
 福島医大は今月から、肥満や糖尿病などに笑いがどのような効果があるのかを調べる研究を始めた。参加者が落語や「笑いヨガ」などを8回にわたり体験する。検証の結果が注目される。
 笑いの健康効果を研究している東京家政大の大西淳之教授は「普段から積極的に笑うようにしていれば、周囲の人たちもつられて笑うようになる」と話す。「副作用のない薬」ともいわれる笑いを多くの人と共有したい。
 笑いは、うつの改善や、自殺・いじめ予防などにも役立つとされるため、笑いをテーマにした講座を開く自治体も出てきた。
 千葉県成田市は、笑うことの大切さを伝えるボランティアを養成し、老人クラブや学校などで出前講座を行う。互いに褒め合うゲームなどを通し、参加者の前向きな気持ちを引き出している。
 同市健康増進課によると地域のコミュニケーションの円滑化にもつながっているという。本県でも取り組んでみてはどうだろうか。
 笑いの効果を生かす取り組みは学校でも徐々に広がっている。会津若松市や大熊町、飯舘村などの各教委が、コミュニケーション能力や表現力を養ってもらおうと、小中学校の授業に漫才を取り入れた。子どもたちは漫才のネタを自ら考え、みんなの前で披露する。
 学校の雰囲気が明るくなったり、子どもたちがほかの授業でも積極的に手を挙げるようになったりといった、さまざまなプラスの効果がある。
 笑い声のある社会は誰にとっても居心地いい社会のはずだ。家族や友人と楽しく会話し、和気あいあいと笑い合える毎日にしたい。


無病息災願い 大茅の輪くぐり
かやで作られた大きな輪をくぐって無病息災を願う伝統行事、「大茅の輪くぐり」が京都の北野天満宮で行われています。
北野天満宮の「大茅の輪くぐり」は、「学問の神様」として名高い菅原道真が生まれたとされる(すがわらのみちざね)6月25日に毎年、行われています。
参道にある楼門の前には、直径5メートルの大きなかやの輪が設置され、くぐって身を清めると無病息災がかなうとされています。
25日午前中から親子連れや観光客が大勢訪れ、手を合わせたり、おじぎをしたりしてから、次々と輪をくぐっていきました。
富山市から訪れた40代の女性は、「きょうが菅原道真の誕生日と知って来ました。家族が健康に過ごせるよう祈りました」と話していました。
また、京都市の30代の女性は、「3人の子どもの健康を願って北野天満宮にはたびたび来ていますが、健康に過ごせていますので御利益が出ているのかもしれません」と話していました。
「大茅の輪くぐり」は、25日午後9時まで行われます。


城の堀を泳ぐ トライアスロン
大阪城公園で初めてトライアスロンの国際大会が開かれ、選手たちは、ふだんは人が泳ぐことのない大阪城の外堀を泳ぎ、観衆を沸かせました。
大阪では、これまでもトライアスロンの国際大会が行われてきましたが、ことしは大阪の魅力をよりPRしようと、大阪城公園が会場に選ばれました。
国際トライアスロン連合の公式大会で、城の堀が水泳のコースになるのは初めてで、選手たちは午前8時に、大阪城の東側にある外堀の750メートルのコースを順番にスタートしました。
大会本部によりますと、堀の水温は27度で、あらかじめ藻などは取り除かれ、水質は環境省の基準を満たしているということです。
▽水泳の後は、▽高層ビル街を自転車で20キロ走り、▽最後は大阪城公園を5キロ走ります。
自転車では、沿道から「がんばれ」などと盛んに応援の声が飛び、最後のランでは、自分で太ももをマッサージするなど、疲れが見えてくる選手もいましたが、多くは笑顔でゴールし、大きな拍手が送られました。
参加した40歳の男性は「正直疲れました。でも、世界で初めてお堀で泳げるということで天気にも恵まれて良かったです」と話していました。


潜在化するホームレス 住居確保の政策が足りぬ
 貧困などのため住む場所を失うリスクにさらされている人は多い。政府は住居があらゆる生活の基盤であることを直視し、安心できる住まいの確保に全力を挙げるべきだ。
 路上や公園など屋外で寝泊まりする人は、ピークの2003年に2万5296人だったが、16年には6235人に減少した。
 しかし、65歳以上が約4割を占め、10年以上ホームレス状態の人も3割を超える。都市部では、認知症や慢性疾患を持った路上生活者が増えている。
 そうした現実を踏まえ、8月に期限が切れる予定だったホームレス自立支援法が、法改正によって10年間延長されることになった。
 潜在化している課題は多い。定まった住居がなく、ネットカフェや安全基準を満たさない安価な「脱法ハウス」で寝泊まりしている人は多い。各国ではホームレスの定義に含まれているが、日本では除外されている。統計上ホームレスは減少しているが、実態は深刻だ。
 首都圏・関西圏の年収が200万円に満たない若者(20〜39歳)の77%が親と同居する一方、別居派のうちホームレスを経験したことのある人は13・5%に上るという調査結果がある。
 日本のワーキングプアの若者は、親と同居しなければ生活できないのが実情だ。借家住まいの多い都市部では、親の高齢化や死亡によって住む場所を失うリスクを抱えた潜在的な層が存在する。
 家賃の滞納で保証会社から違法な追い立てにあって住まいを失う人も多い。また、公営住宅は数が少ない上に、単身の若者には倍率が高い。東京都では身分証明書のない人はネットカフェを利用できず、劣悪な「脱法ハウス」や路上で寝泊まりするしかない人がいる。
 困窮者向けの住宅手当、住居確保給付金などの制度もあるが、就労意欲や就労能力のある人に限定されており、支給期間も短いのが問題だ。
 先進諸国では、福祉施策の中で住居の確保について優先的に取り組んできた国が多い。それに比べると、日本の居住政策は大きく立ち遅れている。
 誰もが安心して暮らせる場所を確保できる政策が必要となっている。


週のはじめに考える 政治家と官僚と国民と
 国会は閉じても加計(かけ)学園問題の幕引きは許されません。事の本質は、政治家と官僚が敵対する傍らで真に国民のための行政が蔑ろ(ないがし)にされていることです。
 「森友」「加計」問題と続いた一連の“忖度(そんたく)行政”ではっきりしたのは、安倍政権による霞が関支配の極端な強さでした。
 「総理のご意向」などを後ろ盾に、官僚を忖度の糸で操り、政権に歯向かう者には人格攻撃まで仕掛けて抵抗を封じる。ここまで強権の支配力は一体、どこからくるのでしょうか。二つの断面から切り取ってみます。
◆補い合う関係だった
 一つは歴史的な背景です。
 戦後日本の政治家と官僚は補い合う関係でした。復興期、官僚たちもまだ貧しい社会の一員に身を置いて、いつか豊かな時代を切り開こうと気概に燃えていたはずです。安定政権の高度成長戦略に呼応し、官僚は成長成果の公平な配分政策で支える。こうした関係が繁栄の礎にもなりました。
 けれど、成長が行き詰まるにつれ、この関係も崩れていきます。かれこれ四半世紀前の一時期。まず主導権を握ったのは官僚側でした。ヤマ場は、一九九四年二月三日、未明の記者会見です。
 非自民の八党派連立政権を率いる細川護熙(もりひろ)首相は突如「消費税を福祉目的税に改め、税率を3%から7%に引き上げる」国民福祉税の構想をぶち上げたのでした。
 消費税の増税を軸とする財政改革は大蔵省(現財務省)の悲願。対する連立の政権基盤はまだ薄い。細川氏や側近の回顧録によればこの当時、大蔵省の“豪腕”事務次官らが、新政権の中枢にしきりに接触してくる様子がうかがえます。
 細川氏の日記には、あまりに強硬な官僚主導に対し、首相が気色ばむ場面も出てきます。
◆敵対関係に駄目押し
 「大蔵省のみ残りて政権が潰(つぶ)れかねぬような決断は不可と強く叱正(しっせい)す」。民主主義の基本に沿えば官僚は、選挙を経た政治家の下に立って支えるのが、本来あるべき姿です。首相の叱正は、政治側の意地でもあったでしょう。
 結局、最後は官僚側に押し切られた末の未明の会見でしたが、強引さが批判され、細川政権はこの二カ月後崩壊。大蔵省もその後、政治側の“意趣返し”で本省から金融部局を分離され、権威はみるみる失墜していきました。
 こうして政治との敵対関係から始まった官僚の弱体化は、歯止めなく一方的でした。極め付きは二〇〇九年九月、官僚が事実上、閣議を振り付けていた「事務次官会議」の廃止です。歴史の振り子は勢いを増して、政治主導の極端へと振り切れていきました。
 そして、もう一つの断面。その振り子に駄目を押したのが、内閣人事局の存在です。縦割り行政打破の名の下に、国家公務員の人事を首相官邸で一元管理するため一四年に設置されました。加計問題で渦中の萩生田(はぎうだ)光一・内閣官房副長官が今の局長です。
 問題は、官僚側の命脈である省庁の幹部人事が一括、ここに握られていることです。それがために官僚たちは、省庁の行政判断よりも、政権の意向を忖度して動くことで組織を守ろうと考えるようになる。その結果が都合悪くなれば政権は「勝手に忖度した」官僚側の責任にもできる。となれば、これが加計問題に浮かんだ「官邸一強」のやはり正体でしょう。
 しかし、内閣人事局の仕事は何も幹部人事だけではない。本旨はむしろ、国の将来も見据えて行政基盤をしっかりと支えうる官僚集団を育成し、未来に引き継いでいくことです。次に続く人材を確保するためにも、官僚たちが士気高く働けるような環境作りが重要でしょう。
 その士気を高めるためにこそ、求められるのは政治側から官僚側への歩み寄りです。共に国民生活の向上へ。政治家は政策決定力を今以上に磨き、官僚も共感して情報力や知識力で支える。たとえばあの戦後のような補い合う関係に再び歩み寄れないものか。
◆今と将来に共同責任
 いま私たちが立ち返ってみるべきは、国民主権を謳(うた)う憲法上、政治家は「全国民の代表」であり、官僚は「全体の奉仕者」ということです。行政に携わる政治家と官僚には、今と将来の国民に負うべき共同の責任があるはずです。両者が敵対する関係では、到底その責任は果たしえないでしょう。
 歩み寄りなどとは対極の加計問題で、現政権が見せた一方的な官僚支配は、官僚たちの士気を高めるはずもなく、官僚を志す次代の若者たちをも遠ざけかねない。それは現代のみならず、未来の国民に対しても、国の行政基盤を築く政治の責任放棄として、禍根を残すのかもしれません。


臨時国会要求 憲法に従い早期召集を
 民進党など野党4党は、憲法の規定に基づき、臨時国会の召集を政府に求めた。学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設にかかわる問題の究明が目的である。
 この問題で、官邸の圧力について証言した文部科学省の前川喜平前事務次官は記者会見で、文科省の調査で見つかった文書は「100%間違いないもの」と述べた。疑念はさらに高まっている。
 ところが、政府・与党は召集に消極的だ。東京都議選の投開票を来月2日に控え、影響を懸念しているのだろう。
 だが憲法53条は、衆参いずれかの総議員の4分の1以上が求めれば、内閣は国会召集を決定しなければならないと定めている。
 期限の明記がないことを理由に放置するのは、憲法の軽視にほかならない。
 安倍晋三政権は、安全保障関連法が成立した2015年にも、野党の臨時国会召集の要求を無視した。同じことを繰り返せば、さらなる批判は免れまい。
 前川氏は記者会見で、萩生田光一官房副長官が開学時期に関する首相の意向を文科省に伝えたとする文書について「発言者を精査する必要があるが、内容はほぼ事実だと思う」と述べた。
 一方、文科省側の調査だけでは解明に限界があるとして「核心に迫るには内閣府の調査が必要だ」と述べた。当然の指摘だろう。
 首相は先の記者会見で「指摘があればその都度、説明責任を果たす」と明言したはずだ。臨時国会を避けるのは筋が通らない。
 通常国会で、審議を途中で打ち切り、政府・与党が数の力で成立させた「共謀罪」法も、首相自身が国民の理解が得られていないと記者会見で認めている。
 臨時国会は、審議をやり直すいい機会だ。
 安倍政権が国会召集に応じなかった15年には、安保法に加え、環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意など、多くの論点があった。
 この時、政権が召集しない理由に挙げたのは、日中韓首脳会談や20カ国・地域(G20)首脳会合など、首相の外遊日程が詰まっていたことである。
 しかし今回は、そんな言い訳も見当たらない。
 憲法53条の規定について、内閣法制局長官は03年の国会で「召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内」に召集を決めなければならないと答弁している。
 政治的な思惑だけで、憲法をないがしろにしてはならない。


臨時国会要求 首相は説明責任果たせ
「プロセスに一点の曇りもない」と安倍晋三首相はきのう、講演先の神戸市で強調した。加計学園の獣医学部新設計画を巡り、官邸の関与があったかどうかの問題である。疑いを晴らすには、野党4党が憲法に基づいて召集を求めている臨時国会こそ、うってつけではないか。
 その責任を口にしたのは首相本人である。通常国会閉会時の記者会見で審議に混乱を招いた点を反省し、「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と述べたことを、よもや忘れてはいまい。
 野党が臨時国会の召集を求めたのは文部科学省が先日、「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題する新たな文書を公にしたからだ。「総理は『平成30年4月開学』のおしりを切っていた」「官邸は絶対やると言っている」といった記述が並ぶ。
 萩生田光一官房副長官は首相の側近中の側近である。それに昨年10月といえば、国家戦略特区での事業者が加計学園に決まる3カ月前である。政府が「加計ありき」で調整を図った証拠の可能性がある。
 萩生田氏は全面否定するが、職員がわざわざ虚偽文書を作るとは考えにくい。文科省が存在を認める別文書の記述とも符合し、おととい会見した前川喜平・前事務次官も「100パーセント間違いない」と強調した。
 誰がうそを言っているのか、国会の場ではっきりさせるべきではないか。首相や萩生田氏の出席はもちろん、文科省や内閣府、加計学園の関係者を証人喚問する必要もあろう。
 今のところ、政府・与党が臨時国会の召集に応じる気配はない。憲法53条は、衆参いずれかの総議員の4分の1以上の要求があれば内閣は臨時国会を召集しなければならないと定める。ただし期限はなく、召集は内閣の判断次第で、かねて「抜け穴」と指摘されてきた。
 安全保障関連法の成立直後の2015年10月もそうだった。野党が臨時国会を求めたものの、政府は首相の外交日程などを理由に拒否した。
 「ご都合主義」との批判が上がったのは、自民党が自らまいた種でもある。野党時代の12年に策定した改憲草案で、臨時国会は「要求があれば20日以内に召集せねばならない」と記しているからだ。与党になれば見て見ぬふりでは筋が通らない。
 臨時国会は秋開催が定例化しており、ことしも9月召集が見込まれる。これをもって、政府は「野党の要求に応えた」と主張することも考えられるが、国民の目にどう映るだろう。
 加計学園問題を巡り、安倍首相は「丁寧に説明する努力を積み重ねたい」と誓った。「丁寧に説明」との言葉は、特定秘密保護法や安保関連法、原発再稼働など世論が割れる局面でも繰り返されてきた。しかし、国民が納得できる説明をしたためしがあるだろうか。
 そのうち世間は忘れ、批判や関心も薄らぐと政府・自民党は踏んでいるのかもしれない。
 同じ懸念は、不祥事続きの自民党議員にもついて回る。辞職せずに離党で済ませ、体調不良などを理由にほとぼりが冷めるまで、雲隠れするケースが目立つ。逃げの一手で、信頼は取り戻せるはずがない。
 臨時国会で説明を尽くす。首相が範を垂れるべきである。


[藤井四段28連勝]新記録で将棋界再興を
 将棋界で14歳の快進撃が止まらない。最年少棋士、藤井聡太四段(14)が昨年のプロデビュー以来、公式戦連勝記録を28に伸ばし、連勝記録で歴代最多の神谷広志八段(56)に並んだ。
 無敗の28連勝は、30年ぶりの達成で、多くの人が予想もし得なかった快挙である。新星の一挙手、一投足がニュースになり、本人が「大志」と揮毫(きごう)した扇子が売り切れるなど、将棋ブームも再燃している。将棋界に彗星(すいせい)のごとく現れたニュースターの誕生と活躍を喜びたい。
 中学生でプロ入りした史上5人目の棋士である。加藤一二三・九段(77)が持つ14歳7カ月のプロ入り最年少記録を、14歳2カ月へ、62年ぶりに塗り替えた。デビュー戦も相手となった加藤九段を破って、初陣を飾っている。
 「神武以来の天才」と呼ばれた加藤九段の引退が決まった翌21日に、藤井四段が歴代最多連勝記録の金字塔を打ち立てた。「天才」という称号の引き継ぎを暗示しているようでもある。
 愛知県瀬戸市の中学3年生。5歳のときに祖母からもらった将棋セットで遊び始め、のめり込んだ。名古屋市の杉本昌隆七段(48)に入門して才能を開花させた。
 強みは、詰め将棋で培った「読みの深さ」や、隙のなさ、安定感と言われる。弟子の快挙を喜んだ杉本七段は「棋士になって安定感が増してきた。できの悪い将棋がみるみる少なくなった」と評する。さらに勝ち進んで連勝記録の更新や、最年少でのタイトル獲得を実現してほしい。
■    ■
 詰め将棋で読みや勝つ手順を磨くだけでなく、人工知能やコンピューター技術が高度に発達した現代という時代も、実力向上に一役買った。
 藤井四段は将棋ソフトを研究に取り入れて、形勢の優劣を見極める力の向上に役立てている。将棋ソフトの活用によって集中力や対応力が鍛えられる側面もあるらしく、進化のスピードに驚く棋士も少なくない。
 そのコンピューターソフトは近年、将棋や囲碁の世界のトップ棋士の前に立ちはだかる。名人もコンピューターにかなわない時代に入り、将棋や囲碁の世界で活躍する夢や魅力をそいだ面もある。
 何かとコンピューターに翻弄(ほんろう)されてきた将棋界だが、新しい世代がソフトやネットを使った研究などで力をつけた上で、人間らしいドラマのある対局をみせることが人の心を動かすと、示した意義は大きい。 
■    ■
 若者の活躍は社会を元気にする。最近は、藤井四段ら10代の活躍が目立っている。
 若手育成を強化している卓球では、6月の世界選手権では17歳の平野美宇選手がシングルスで48年ぶりの銅メダル、16歳の伊藤美誠、早田ひなの両選手もダブルスで銅メダルを獲得した。男子は13歳の張本智和選手が史上最年少でベスト8に進んだ。
 将棋には「奨励会」というプロ養成のシステムがある。若い才能を見いだし、新たな技術や知見を投入し可能性を伸ばす。そんな仕組みづくりを各分野で模索すべきである。


豊洲と築地両立案 肝心の具体像が見えない
 「築地は守る、豊洲を生かす」。キャッチフレーズのように、分かりやすくしたつもりなのだろうが、ビジョンからは肝心な具体像が見えてこない。
 小池百合子東京都知事が緊急記者会見で、市場を豊洲に移転させることを正式に表明した。築地市場の跡地は売却せずに、競りなどの市場機能を持たせ、「食のテーマパーク」といった観光拠点として5年後をめどに再開発する。
 新旧の市場を両立させようとする狙いである。
 昨年8月に豊洲移転が延期されてから10カ月。問題は一応の決着を見た。
 小池氏の決断は、都議選で、移転推進派と反対派の双方から得票を見込める玉虫色のプランとも言える。
 自民党からの「決められない知事」との批判に対する小池流の答えでもあろう。
 だが、小池氏には振り回されたというのが市場関係者の正直な思いではないか。説明を尽くし、理解を得ることが大切である。
 小池氏は「築地の伝統やブランドを守っていく。累積する豊洲の赤字を将来の負の遺産として残してはいけない」と強調した。
 豊洲については「安全・安心は未達成だが、安全対策を講じた上で生かすべきだ。冷凍冷蔵・加工の機能を一層強化する」と語り、将来的にITを活用した総合物流拠点を目指すとした。
 築地市場は規模が大きく、ブランド力もあって市場の中で特別な地位を占めている。2020年東京五輪・パラリンピックの後に生まれ変わるのなら、歓迎する人は少なくないだろう。
 ただ、築地への復帰を希望する業者をどう受け入れるのかは不透明だ。
 都は、移転後に、築地市場の土地の売却収入を、豊洲市場の整備のために発行した企業債の返還に充てる予定だった。築地の跡地を売らないのであれば、別の財源が必要になる。
 この莫大(ばくだい)な借金をどう返済するのかという記者の質問に対して、小池氏は「ベストなワイズスペンディング(賢い支出)でいきたい」と述べるにとどまった。
 これでは説明していないのに等しい。
 豊洲市場を巡っては、移転の延期を決定した後、地下水調査で環境基準を大きく超えるベンゼンが検出されるなどして、不安が広がった。
 食の安全を確保する手だてを、しっかりと講じてもらいたい。
 築地市場の跡地は当面、東京大会の輸送拠点として活用し、競技会場がある臨海部から築地を通って都心部を結ぶ環状2号線を、大会前までに開通させるという。
 五輪への悪影響も懸念されていただけに、問題が一つクリアされる形である。
 ようやく、打ち出した小池氏のビジョンが、どう評価されるのか。都議選が試金石となる。


【文書管理見直し】後ろ向きは許されない
 「ない」といっていた文書が再調査するとすぐに出てきたり、重大な内容を含む文書を職員による「個人メモ」と強調したりする。
 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡る問題で、改めて浮き彫りになったのは、公開への姿勢を含めた、中央省庁が内部で作成した文書の取り扱いだろう。
 菅官房長官は各省庁の文書管理規則を必要に応じて見直す方針を示しているが、行政文書の範囲を狭めるような後ろ向きの見直しは到底許されない。
 公文書管理法は公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付けた上で、行政文書について定義している。「行政機関の職員が職務上作成、取得した文書で、組織的に用い、当該行政機関が保有している」ものだ。
 公文書管理法に基づき、各省庁は作成や保存、廃棄などに関する管理規則を設けている。その行政文書が情報公開法で原則公開の対象となっているのはいうまでもない。
 文部科学省が再調査で見つかったとした文書について、政府は明確には行政文書と認めていない。萩生田官房副長官の発言をまとめたとされる文書に関しては、菅官房長官らが職員による「個人メモ」と強調している。
 それらからうかがえるのは、文書の信頼性を少しでも低く見せようという姿勢だろう。職員が個人的にまとめた文書であれば大した問題ではない、といわんばかりだ。
 菅官房長官は文書管理規則の見直し方針を示した際、行政文書と個人メモについて「しっかり線引きをすべきだ」と明言している。線引きによって、行政文書の範囲が狭められる可能性は小さくない。
 こんな例がある。2008年に海上自衛隊のイージス艦が漁船と衝突した事故で、防衛相による事情聴取を職員がメモしていた。内閣府の情報公開・個人情報保護審査会はメモは行政文書だとする決定をしているのだ。
 たとえ個人的なメモであっても、政策の決定過程などを検証する上では重要な意味を持つ場合があるはずだ。作為的な除外がまかり通るようになれば、公文書管理法と情報公開法の趣旨に背きかねない。
 行政文書の保存期間にも問題がある。学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る近畿財務局の交渉記録が廃棄され、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報も一時「廃棄済み」とされていた。
 公文書管理法に基づく規則では、交渉や面会記録など「歴史的な価値のない」文書の保存期間は1年未満とされている。どう扱うかは各省庁に委ねられているから、重要な文書が秘密裏に消えていった可能性は大いにあるだろう。
 管理規則を見直すのであれば、行政文書の範囲を広げるなど、民主主義の根幹を支える役割をより高める方向でなければならない。後退はもってのほかだ。


[艦載機岩国移駐] 負担軽減の検証が必要
 山口県岩国市の福田良彦市長が、米軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機61機を岩国基地に移駐させる計画を受け入れる考えを市議会で表明した。
 周辺の和木、周防大島両町も近く同様の判断を示すとみられる。村岡嗣政知事も容認を表明する方針で、7月にも始まる移駐への地元同意が近く整う。
 岩国基地には3月時点で約60機の米軍機が所属する。艦載機部隊の移駐が完了すれば、約120機が所属する東アジア最大規模の米軍航空拠点となる。
 地元は国から多額の交付金や補助金を得るが、「北朝鮮のミサイル攻撃の目標になるのでは」「米兵が増えれば、犯罪も増えるのでは」といった市民の声もある。
 北朝鮮は有事の攻撃目標として在日米軍基地を名指ししている。移駐によって米軍人や軍属、家族の合計は1万人を超える。市民らの不安や懸念は当然だろう。
 福田市長は「私には住民の安心や安全を確保し、良好な生活環境を維持するという責務がある」と述べた。市民の側に立って国や米軍と向き合う姿勢が求められる。
 移駐は日米両政府が2006年に合意した在日米軍再編の一環だ。この時合意した普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の空中給油機部隊の岩国移駐は14年に完了した。
 岩国は沖縄に続き、厚木の負担軽減も引き受けることになる。神奈川県の黒岩祐治知事は「決断に心から感謝したい」と歓迎した。
 だが、給油機部隊が去った普天間飛行場周辺の住民から、負担軽減を実感する声は聞かない。移駐後の厚木基地に関しても、地元自治体に米軍機の具体的な運用計画が示されているわけではない。
 政府は米軍機の安全運用や軍関係者の絡む事件の防止に万全を期すのはもちろん、厚木や沖縄の負担軽減にも責任を持ち、実態を検証する必要がある。
 鹿児島県も米軍再編の当事者であることを忘れてはならない。
 岩国に移駐した給油機部隊は、訓練のローテーション展開先として鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地を使うことになっている。
 西之表市の馬毛島は、艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地として日米安全保障協議委員会の共同文書に明記されている。FCLPは現在暫定的に東京都の硫黄島で実施されている。艦載機部隊が厚木から岩国に移れば、距離的に近い馬毛島での実施がより現実味を増す。
 防衛は政府の専管事項とはいえ、地元の意向は最大限尊重されるべきだ。安保の負担の在り方について論議を深めたい。


受動喫煙防止/厚労省の譲歩案は現実的
 政府は受動喫煙防止策を強化する健康増進法改正案の国会提出を先送りした。飲食店での喫煙規制について、自民党が厚生労働省の改正案に反対し、議論が行き詰まったためだ。自民党の対案は受動喫煙の害に甘い。厚労省案に沿って合意を目指すべきだ。
 政府は2020年に東京五輪・パラリンピックを控え、今秋の臨時国会での改正法成立を目指すが、楽観はできない。08年以降の五輪開催国では、世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)の合意に基づき、罰則を伴う喫煙規制が導入されている。対応が遅れれば日本の信用低下は免れない。関係者は危機感を持って事態の打開に努めてほしい。
 厚労省と自民党の最大の争点は、例外として喫煙を認める飲食店の線引きだ。厚労省が3月に公表した改正案は、屋内禁煙を原則とし、飲食店などは喫煙室を設置してもよいとした上で、30平方メートル以下のバーやスナックに限って喫煙を認める内容だった。
 自民党ではたばこ議員連盟(野田毅会長)を中心に反発が広がり、150平方メートル以下の飲食店は店頭に「喫煙」や「分煙」と表示すれば喫煙を認めるという対案をまとめた。厚労省案と比べて面積で5倍の開きがある上に、すべての業態の飲食店が含まれ、喫煙規制は骨抜きにされかねない。
 厚労省は激変緩和措置として、数年間は自民党案に盛り込まれた飲食店での喫煙を特例として認め、その後は厚労省案に移行するという譲歩案を示したが、自民党は受け入れず、協議は袋小路に入り込んでしまった。
 自民党案の論拠の一つは、分煙で健康被害を防げるという考え方だが、明白な誤りである。WHOは受動喫煙防止の有効な対策は屋内の全面禁煙しかないと明言し、分煙や喫煙室を退けている。厚労省案ですら緩やか過ぎて、世界標準には達していないのだ。 WHOによると、公共の場での屋内全面禁煙を法律で定めている国は約50カ国ある。日本は屋内禁煙の導入を検討しているところで、受動喫煙対策の現状は4段階評価で最低レベルと判定されている。生ぬるい対策は許されない。
 自民党が強硬姿勢を崩さない背景には、禁煙化で客が減るという飲食店業界の反対があるが、これも根拠が乏しい。禁煙を実施しても飲食店の経営に悪影響はなかったという調査結果は数多くあるのに対して、反対の調査結果は少ない。むしろたばこを吸わない客が増える効果が期待できると思われる。
 もちろん、たばこを吸う人への配慮も忘れてはならない。屋外での禁煙が広がっているのに加えて屋内でも禁煙が進むと、公共空間でたばこを吸える場所が少なくなる。厚労省には公共の喫煙所を拡充するなどの対策も考えてもらいたい。
 受動喫煙対策では、最低でも厚労省案の水準を実現する必要がある。厚労省が提示した数年の移行期間を設ける譲歩案は現実的であり、自民党にも受け入れ可能ではないか。東京五輪まで残された時間は少なく、次期国会で必ず改正健康増進法を成立させなければならない。自民党は国民の健康を最優先する観点から、厚労省に歩み寄る度量を見せてほしい。


京大ボート部OBら航路たどる 琵琶湖周航の歌100年
 「琵琶湖周航の歌」誕生100周年を記念し、旧制第三高水上部(現・京都大ボート部)の卒業生たちが24日、往時の航路をボートでたどる「なぞり周航」に出発した。水上スポーツを愛好する県民らとともに3泊4日で湖上を周回する。
 周航の歌は1917(大正6)年、三高水上部員だった小口太郎が周航途中の高島市今津町の宿で作詩。部員らが代々歌い継いできた。なぞり周航は歌詞に登場する今津や長浜など歌碑が立つ地を巡り、各地で歓迎行事が開かれる。
 午前5時、元部員らの3艇のボートは大津市螢谷の京都大艇庫を出発。約1時間半後に旧制三高艇庫のある三保ケ崎(同市観音寺)に到着し、出発式を開いた。
 元部員らは歌碑の前で、出迎えた地元住民らと「琵琶湖周航の歌」を熱唱した後、合図とともに発進。穏やかな湖面を進み、午後に近江舞子に到着した。
 桟橋から出発の合図を出した旧制三高水上部OBの常田壽彦さん(88)=京都市伏見区=は、周航を5回経験しているといい、「無心でこいでいると自然と一体になれるのが周航の魅力。100周年に巡りあえて幸せ」と感慨深げだった。
 参加した京都大ボート部OBの芳賀隆弘さん(75)=栗東市=と藤本弘次さん(75)=茨城県日立市=は、1週間ほど前に亡くなった同級生の部員との思い出の写真を持参。ともに現役部員時代、1964年の東京五輪出場を夢見た仲で「また一緒にボートをこげるのは一生の思い出。湖上から弔いたい」と話した。
 なぞり周航では元部員120人が交替しながらボートをこぐほか、カヌーやヨットに関わる県民も合流する


ブラック労働に苦しむ“雇われ僧侶”からの告発文…修行か労働かの線引きが曖昧な実態
飲食店員は涙を流し、運送業界は悲鳴をあげる……昨今、人手不足や薄給による労働問題は枚挙にいとまがない。しかし、待遇は安定、人員も潤沢な業界からも「ウチもブラックだ」と怨嗟の声が聞こえているのだ……
貨幣経済以前の労働環境が幅を利かせる特殊な世界
 坊主丸儲けというのは、今は昔。SPA!編集部宛に日本最大の仏教宗派である浄土真宗の真宗大谷派(本山・東本願寺、京都)の僧侶から匿名で一通の書簡が届いた。真宗大谷派といえば、つい先日、非正規雇用の僧侶への残業代未払いが話題となったばかりだが、今回の内容は正規雇用の“雇われ僧侶”からの“告発文”だった。
 その内容はこうだ。宗務所に10年以上勤めるその人物は、事務仕事や経理処理などを行い、月20時間以上を上限に残業代を支払われる労使協定を結んでいる身分だが、残業代はほとんど支払われたことがない。繁忙期であるお盆や彼岸には、上司や職員がいっせいに帰坊するため、ほぼ一人で宗務所の激務をこなし、自坊(実家の寺)に帰ってからも、昼夜問わずお参りが続き、過労死を覚悟したこともある。上司に時間外労働について改善を求めたところ、「本山で勉強させてもらえるだけでもありがたいと思え」と一蹴されたとの呪詛が綴られていた。
 東本願寺のホームページ「2018年募集要項」によれば、初任給は17万5500円〜。特に残業手当についての記載はない。
 なぜ、僧侶の労働環境は、これほどまでに劣悪なのか。宮城県の曹洞宗寺院で副住職を務める天神九十五氏が解説する。
「修行と労働の線引きが曖昧なのが一番の問題。例えば、お寺に来訪される方々の対応をするだけでも立派な労働です。お寺に雇われている僧侶は、れっきとした労働者ですし、当然、労基法に従って残業代も支払われるべき。それに、今は貨幣経済の時代ですから、毎月一定の収入がないというのはさすがに無理がある。業界全体として、そういった配慮が欠けていたのだと思います」
 ブラック寺院が表沙汰となったのが、昨年4月に判決が出た真言宗御室派総本山仁和寺(京都)の騒動だ。同寺院が運営する宿坊「御室会館」の料理長を務めていた男性が、労使訴訟を起こした。男性は、一時期は349日も連続勤務をさせられ、一日のうち休憩は1時間あるかないかだったという。
 男性の原告代理人を務めた塩見卓也弁護士は裁判をこう振り返る。
「男性は、ワンオペ状態で毎日のように泊まり込みをせざるを得ないような生活を強いられ、うつ病を発症しました。訴訟中、仁和寺は『男性従業員は1日6時間以上の休憩をとっている』などと支離滅裂な主張を繰り返していましたが、ほぼ全て認められず、最終的に男性に、未払い残業代や損害賠償金など合わせて4200万円以上の支払いを命ぜられました」
 この事件は、雇う側である寺側の体質や頭の中が、いかに時代遅れであるかを象徴している。
 別の弁護士は匿名を条件にこんな話を聞かせてくれた。
「例えば、檀家(布施で寺院の財政を助ける家)の家主が亡くなって、普段遠方に住んでいる親族が家を相続する際、『土地をうちの寺に寄付するのが筋ってもんだろ』などと言い出すこともあります」
 これについて、塩見氏は、「特に京都では、名刹古寺が強い社会的権力を持っています。社会の中でそれほどの権力を持ってしまっている以上、そもそも法律を盾に誰かが自分たちに歯向かってくるということすら想定していないのかもしれません」と推察する。
 「他力本願」とは、本来は阿弥陀仏の本願によって救済されるという意味だ。それを忘れて、社畜ならぬ「仏畜」の労働力頼みの寺院ばかりとは、神も仏もあったもんじゃない……。
<ブラック化する3要素>
・修行か労働かの線引きが曖昧
・寺が社会的権力を持っている
・時代の変化に仏教界が未対応

自転車パンク修理/財布忘れて/夜の電話

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vive émotion après la mort d'une jeune star de la télé fauchée par un cancer
Par R.Bx
Mao Kobayashi était classée parmi les 100 femmes les plus influentes du monde. Elle racontait son combat contre la maladie sur son blog.
Une ancienne présentatrice nippone, qui tenait un blog relatant son combat contre un cancer du sein, est décédée jeudi à l'âge de 34 ans. Une disparition qui a ému les médias et les autorités du Japon.
Mao Kobayashi est décédée jeudi, a annoncé son mari, le célèbre acteur Ebizo Ichikawa, pendant une conférence de presse télevisée à laquelle près de 400 journalistes ont assisté. Elle avait choqué le pays en septembre 2016 en annonçant au public qu'elle était atteinte depuis deux ans d'un cancer, sur son blog personnel intitulé ≪Kokoro≫, qui signifie coeur.
≪J'ai décidé de dire au revoir à la personne qui se cachait derrière (le cancer)≫, avait écrit cette mère de deux enfants dans sa première publication. Des millions d'internautes suivaient son douloureux combat contre la maladie sur son blog, où elle n'hésitait pas à poster des photos d'elle avec des tubes sur le visage ou de ses perruques, après la chute de ses cheveux provoquée par son traitement.
En 2016, la BBC l'avait classée parmi les 100 femmes les plus influentes et inspirantes du monde. La mort de Mme Kobayashi a fait la une du quotidien ≪Mainichi Shimbun≫, qui a qualifié son blog de phénomène social qui attirait l'attention des médias à chaque nouvelle publication.
≪Son combat a donné courage à de nombreux patients≫
Le ≪Nikkei business daily≫, citant le chef d'un groupe de soutien de patientes atteintes du cancer du sein, a jugé son blog ≪courageux≫ : au Japon, un grand nombre de malades du cancer cachent leur maladie. ≪C'est tellement triste (mais) je suis sûr que son combat contre la maladie a donné courage à de nombreux patients≫, a déclaré le porte-parole du gouvernement japonais Yoshihide Suga. En larmes, son mari Ebizo Ichikawa, a lâché: ≪Elle est partie en disant: "Je t'aime"≫.
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SWITCHインタビュー 達人達(たち)「杉野希妃×石内都」
女優や映画監督として国際的に活躍する杉野希妃と、体の傷痕や広島の被爆者の遺品などを撮影し時間や記憶と向き合う写真家・石内都が、それぞれの表現について語り合う。
自身が自動車事故で体に傷を負ったこともあり、石内の仕事に強く興味をひかれたという杉野。石内の仕事場を訪ね、2人で作品を見ながら石内が傷痕や遺品を撮り続ける理由を聞いていく。一方、石内は杉野作品が数多く上映された映画館を訪ね、女優だけでなく監督や製作者としても映画に関わる理由を聞く。そして広島出身の杉野とレンズを通して原爆に向き合ってきた石内が、「広島」を表現することの意味について語り合う。
女優、映画監督…杉野希妃,写真家…石内都, 佐野史郎, 吉田羊,六角精児

生!池上彰×山里亮太【大久保佳代子が初登場▼揺れる安倍政権の今後を池上解説!】
国会閉会後に急展開!「森友」捜索…「加計」新文書!安倍政権への影響は?共謀罪とは?▽ジャーナリスト池上彰がニュース解説≪第14弾≫大好評教養トークバラエティ
バラエティ番組がひしめく金曜の深夜帯に、ジャーナリスト池上彰が生放送で政治・社会・経済から国際情勢まで、世の中が見えてくるニュース解説を展開する大好評教養トークバラエティの≪第14弾≫!
再調査の結果、「総理のご意向」文書の存在をようやく認めた文部科学省。しかし国会は予定通り今月18日で閉会した。追及の場を失った野党にとってはもう追及の場はないのか?世論調査でも多くの国民が納得しない中、森友学園問題に続き、加計学園問題もうやうむやのうちに幕引きが図られるのか?疑惑を解明するのは国会の場しかないのか?また、委員会採決をせずに参院本会議での採決に持ち込むという奇策で成立した「共謀罪」法案は私たちの生活にどんな影響があるのか?疑問だらけの日本の政治情勢について池上彰が詳しく解説する。
池上彰 山里亮太 大久保佳代子(オアシズ)
http://www.mbs.jp/pgm2017/namaikegami.shtml twitter ハッシュタグ「#namambs」をつけてツイート! https://twitter.com/intent/tweet?hashtags=namambs

週刊 ニュース深読み▽うちの娘がアダルトビデオに!? どうする“出演強要”問題
コスプレモデルだと偽って女子高生ら200人と契約しアダルトビデオに出演を強要したとして、男が逮捕されました。今こうしたAV出演強要が大きな問題になっています。
被害者支援を行うNPOによると、被害の相談は5年前から急増。その多くは、いわゆる「普通の」女の子で、AVとは知らぬまま契約させられていました。どうして出演してしまうの?断れなかったの?うちの娘は大丈夫?きょうは「AV出演強要問題」を専門家とともに深読みします。みなさんもメール・ツイッターで参加してください。メールは番組HPから。ツイッターは「#nhk_fukayomi」をつけて投稿してください。
林家正蔵,相田翔子, 弁護士…伊藤和子,武蔵野大学教授…小西聖子,作家・映画監督…森達也,NHK解説委員…増田剛, 首藤奈知子,小松宏司, 南利幸ほか


昨日帰るとき自転車の空気が抜けているなぁ・・・と思っていましたが,空気が抜けているだけでなくパンクしているみたい.図書館の近くのスーパーの横にある自転車屋さんに行くことにしました.今までお世話になっていたお店が閉店になったので少し遠いところです.30分かかるというので,適当に時間つぶしするのに歩いていたら,市営住宅みたいな感じの建物がありびっくりです.修理代金は850円もかかってしまいました.
仕事頑張って夜西宮の友人から電話がかかってきましたが,仕事終わってから・・・でお願いしました.ところで帰りにスーパーで買い物しているときにお財布を忘れてしまったことに気がつき,川を渡って取りに行きました.ゆっくり電話できました.

<復興CSR>生活改善 経済を回す
◎トモノミクス 被災地と企業[50]第11部 明日(1)こころみる/健康
 東日本大震災で被災した人口約6000の町を丸ごと健康にしよう。製薬会社とNPO、行政が一丸となり「大作戦」が動きだす。
 宮城県女川町は高齢化率が37.8%。震災に伴う生活環境の激変で大人も子どもも運動不足が目立つ。メタボリック症候群の町民は予備軍を含め6割に上り、生活習慣の健康基準を満たす子どもは1割と低い。
 昨年始まった「健康100日プロジェクト」は「1日7000歩」「食事は1口20回以上かむ」などの目標を決め、スマートフォンなどに記録する。職場や地域のチーム戦もあり、成果が表れた団体を表彰する。
 町内の会社員沢田洋美さん(42)は「子育てサークルの仲間と参加している。普段は自分の健康に気を使わないけれど、気軽に楽しめる」と歓迎する。
 ノウハウはロート製薬(大阪市)が提供した。予防医療に力を入れる同社は今回、慢性疾患を防ぐため、生活習慣の見直しや目標設定をアドバイスしている。
 同社地域連携室の阿部真さん(30)は「『ローカルヘルスケア』という新事業につなげていきたい。健康増進のプロデューサー役を担う」と張り切る。
 製薬業界は大型合併など再編が進む。同社が目指すのは「薬に頼らない製薬会社」。売上高は現在、医薬品以外の化粧品などが7割を占める。新事業の芽として期待がかかるのが、本業と地域課題の解決を結ぶローカルヘルスケアだ。
 同社と町をつないだのは町内のNPO法人「アスヘノキボウ」の小松洋介代表(34)だった。
 小松さんは2015年、超巨大ハリケーン「カトリーナ」(05年)に襲われた米ニューオーリンズ市を視察した。地域再生のため、NPOが平均寿命が短い貧困地区に高級スーパーを誘致し、食育で住民の健康を改善したことを知る。
 「震災からの復興まちづくりに健康の視点が抜け落ちていた。健康で経済が回せるかもしれない」
 帰国後、女川町民の健康状態を分析すると、生活習慣病の予備軍が多かった。ストレス、運動不足、不規則な生活など被災地特有の事情が絡んでいた。
 小松さんは「女川は人口減少率が全国ワーストの課題先進地。取り組みが他地域に広がり、未来を担う子どもたちの健康につながってほしい」と夢を描く。
 須田善明町長(45)は「町民がアクティブに活動すれば活力が湧く。結果として医療費の抑制につながればいい」と期待を込める。
 健康は命。その重さを知る被災地で復興CSR(企業の社会的責任)が根付いてきた。企業と地域が長期的な視点に立ち、共通の価値を見いだす。新たなビジネスモデルが、経済の歯車と徐々にかみ合ってくる。
 企業が本業の成長を見据え、地域に深く関わり、人々の幸福度を上げる。資本主義の明日を開く鍵がそこにある。友として、共に、利益を伴いながら。東北の被災地からトモノミクスを発信しよう。


鳥居漂着7千キロ、返還の軌跡 八戸―米オレゴンつないだ奇跡
 2011年に発生した東日本大震災の津波で、青森県八戸市鮫町の大久喜漁港の厳島神社から流出し、米国オレゴン州に流れ着いた鳥居の一部は、ポートランド日本庭園の関係者らの尽力により、約5年後に古里へ戻った。
 17年5月30日、同市の中学生や小林眞市長らを含む北米訪問団が初めて同庭園を訪問し、関係者の善意に感謝を伝えた。ブルームCEOは「自然がもたらした奇跡。新しい絆ができたことをうれしく思う」と両市の交流の始まりを喜んだ。
 日本と米国、そして八戸とポートランドをつないだ2基の笠木。海を渡った笠木が八戸に無事に帰り、鳥居が再建されるまでの軌跡をたどる。
鳥居漂着7千キロ、返還の軌跡 八戸―米オレゴンつないだ奇跡
▽米オレゴン州に笠木漂着
 2013年3月。米国西部のオレゴン州オーシャンサイドの海岸に、長さ約5メートルの木片が流れ着いた。22日早朝、砂浜を散歩していたジャドソン・ランダルさん(80)は、砂にまみれた見慣れない物体を発見。明らかに人の手が加わっている木片の様子から、「ただの漂着物には見えない」と感じ、国立公園局に連絡。地元の自然保護官に写真を送った。
 その写真は、2年前に日本で東日本大震災が発生して以降、米国に流れ着くがれきについて取材していた、地元テレビ局リポーターのカイル・イボシさんの元にも届いた。撮影のため、同州ポートランド市にあるポートランド日本庭園を訪れたイボシさんは、職員で庭園文化・技術主監の内山貞文さん(62)に写真を見せた。
 「このがれきが何か分かりますか」
 内山さんは、一目で神社の鳥居の笠木(かさぎ)だと分かった。「これは鳥居の一部だ。がれきと呼んではいけないよ」。日本では、人々にとって大切な存在であることを伝えた。
 そして4月9日、1基目の漂着場所から南に約180キロ離れた同州の海岸で、2基目が見つかった。発見したのは近くに住むワリ・ヴィラさん(62)と妻のジャブリラさん(60)。夫婦はゴボウを生産する農家。訪日したことがあるワリさんは、神社の鳥居の一部だと思い、写真を地元新聞社と公園局に送った。
 2基の笠木はその後、州政府の倉庫に保管されていたが、持ち主が見つかる可能性は極めて低く、震災につながる証拠もないとされていた。津波で被災した八戸市から流出した物とは、誰も知らずに―。
 だが、その状況を受け、同庭園の役員や日系地域団体の関係者が集まり、笠木の今後について協議。同庭園のスティーブ・ブルーム最高経営責任者(CEO)は「持ち主が見つかるチャンスが少しでもあるなら、私たちが貢献したい」と支援を名乗り出た。
 とはいえ、どうやって持ち主を捜すのか、これからどうすればいいのか、誰も明確な方針を打ち出せずにいた。
 それでも、手掛かりが見つかるまで大切に保管しよう―と、2基の笠木は、同庭園のドリー・ヴォラム理事長宅のガレージへと移されることになった。
▽額束ヒントに持ち主捜し
 2013年に米国オレゴン州に流れ着いた2基目の笠木(かさぎ)に、持ち主に結び付くヒントがあった。
 「高橋利巳」「昭和六十三年三月三日」―。
 笠木に付いていた額束(がくづか)に刻まれた奉納者の名前と日付だ。
 「大漁祈願」とも刻まれていたため、ポートランド日本庭園職員の内山貞文さん(62)は、漁師だろうと推測し、沿岸部の神社を探すことに。各県の神社庁に電話して情報提供を求めたが、何も得られなかった。「とにかく焦らず、時間をかけてやろう」
 2014年5月には、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城、福島、岩手3県を訪問。笠木を保管しているドリー・ヴォラム理事長が同行した。
 ヴォラム理事長は「最初は、日本人でもない私がこんなことをしていいのか悩んだ。でも同じ太平洋に面する国に住んでいる自分にとって、震災や漂着した笠木は人ごととは思えなかった」と振り返る。
 2人は、気仙沼市や陸前高田市などの神社を巡ったが、答えは見つからぬまま帰国するしかなかった。
鳥居漂着7千キロ、返還の軌跡 八戸―米オレゴンつないだ奇跡
▽1年8カ月かけ八戸特定
 その2カ月後、2人の思いを聞いた郷土史を研究している、いわき市の男性から「八戸の方では」と八戸市博物館に情報が寄せられた。電話があった日は休館日だったが偶然、職員が出勤していた。当時の参事で、現在の古里淳館長だ。
 「高橋利巳さんという方を知りませんか」。大久喜漁港近くの市立民俗資料収蔵庫の管理に携わった経験がある古里さんは、地元の漁師である高橋さんを知っていた。
 すぐに古里さんは高橋さんに確認。ついに持ち主にたどり着いた瞬間だった。
 ただ、内山さんは「こっち(米国側)は返す準備ができているが、もらう側はどうだろうか。つらい事を経験し、もしかしたら思い出したくないのでは」と気掛かりだった。被災地を実際に訪れ、被害の現状を目の当たりにしていたからこそ、感じたことだった。
 高橋さんに直接会って意向を確かめようと、同11月に八戸を訪問。高橋さんは返還について恐縮していたが、本音は返ってきてほしいとの話だった。この時、厳島神社に対面する陸地にあった鳥居も流失したことを聞かされた。
 その鳥居の奉納者は、故人の高橋金次郎さん。内山さんは、長男の政典さん(69)から借りた震災前の鳥居の写真と、保管している笠木の写真をコンピューターで照らし合わせた。
 「ほぼ間違いがないだろう」。大久喜漁港の漁師たちの安全を見守ってきた二つの鳥居にようやくつながった。オレゴン州に笠木が流れ着いてから約1年8カ月後のことだった。
▽4年半ぶりに里帰り
 米国オレゴン州に漂着した笠木(かさぎ)2基が、八戸市の大久喜漁港内にある厳島神社の鳥居の一部だと判明すると、返還までは早かった。
 次々と国内外から寄付が集まり、現地の木材輸出業者が無償で日本まで届けると申し出た。
 2015年10月。多くの人の手によって、約1カ月かけて再び海を渡った笠木は、4年半ぶりに里帰りを果たした。
 ポートランド日本庭園は返還だけでなく、再建までを支援。1988年に持ち主の一人である高橋利巳さんの鳥居を製作した大工の竹駒末太郎さん(73)が修復作業に当たった。
 16年5月。7千キロの海を往復した笠木は、新たな鳥居の一部として復活。感謝の気持ちを込め、「Portland Japanese Garden」(ポートランド日本庭園)の文字が刻まれた。
 高橋政典さん(69)は「たくさんの漂流物が処分されている中で、返ってくるとは思ってなかった。自分の鳥居かのようにきれいに保管してもらい、(同庭園職員の)内山貞文さんたちには感謝の気持ちでいっぱい」と感慨深い表情を浮かべる。
鳥居漂着7千キロ、返還の軌跡 八戸―米オレゴンつないだ奇跡
▽人の心動かし成就
 内山さんは、九州に生まれ、庭師の3代目として育った。だが、家業を継ぐことに嫌気を起こし、米国の大学へ留学。
 そこでは、教授や友人に自分のルーツを聞かれることが多く、日本庭園について自然と勉強するようになった。思いがけず、日本で見えなかった庭園の魅力に気付かされた。
 だからこそ、オレゴン州に笠木が流れ着いたと聞いた時、「日本とのつながりを強く感じた」という。
 昨年は東日本大震災を風化させまいと、地元のインターナショナルスクールで、子どもたちに震災や笠木がつないだ日米の関係について教えた。「日本と米国は離れているが、海は道。つながっているんだと子どもたちに知ってほしい」
 人の心と心がつないだ奇跡のような話。内山さんがいなかったら返ってこなかっただろう―。関係者の誰もが声をそろえる。
 だが、「落とし物を届けただけですよ」と内山さん。「人の心が動けば、実現しないことはない。海を隔てた両側からそれを確認できたことが本当にうれしかった」。そう振り返る目には涙が浮かんでいた。


河北春秋
 弘前市の知人を訪ねて四季の岩木山を仰いできた。仙台を朝8時台の新幹線でたつと、新青森から在来線で昼前に到着。ゆっくり語って夕方に出れば宵の口に帰仙できる。日帰り行など一昔前は考えられなかった▼東北新幹線がきのう開業から35周年となった。大宮−盛岡間から始まり、2010年に東京−新青森間が全線開業。東北各地や東京との人の交流が時間の壁を超えて広がり、新しい産業を生み、東日本大震災の復興支援の動脈にもなった▼盛岡以北の延伸着工は1991年。当時の北村正〓青森県知事(故人)は実現を訴えた運動の中で、旧大蔵省の役人から侮辱された。「青森までフル規格新幹線建設を認めれば、『昭和の三大バカ査定』だ」。戦艦大和、青函トンネルに続く無駄金になる、と▼「関西あたりは次に何を造ろうかと困っている。この差別が明治以来の中央のやり方だ」と北村さんは憤った。戊辰戦争に敗れ、斗南(となみ)藩(同県上北、下北)に移住を強いられた旧会津藩の末裔(まつえい)。「遠く、遅れた」本州最果ての宿命返上への執念から「開発知事」と呼ばれ、青森延伸は悲願だった▼新幹線が対岸の函館(北海道新幹線)までつながったのは昨年3月。観光客らが津軽海峡をも越えて行き交う風景を、北村さんはどう眺めているだろうか。(注)〓は哉の「左はらい」がないもの

<東北新幹線35年>「Max」1日限りの復活
 東北新幹線の開業35周年に合わせ、JR東日本は24日、1日限りの記念号としてオール2階建てのE4系車両「Max(マックス)」を仙台−上野間で5年ぶりに復活させた。
 始発の仙台駅では、午前9時34分の出発を前に、大勢の鉄道ファンや親子連れらがホームに集まった。カメラやスマートフォンをMaxに向け、懐かしい姿を写真に収めた。発車時には「いってらっしゃい」「バイバイ」と声が上がった。
 E4系車両は長い先頭部が特徴で、鉄道ファンからは「巨大イカ」とも呼ばれた。東北新幹線では1997年から活躍し大量輸送に威力を発揮。高速車両の導入に伴い2012年9月に姿を消した。現在は上越新幹線で運行されている。
 東北新幹線は1982年6月に大宮−盛岡間で運転を始めた。16年3月の新函館北斗までの北海道新幹線開業で、東北と北の大地が新幹線でつながった。35年の間にE4系を含む複数のタイプの車両が登場し、利用者らに親しまれた。


政治の「男女均等」法/見送りは国会の役割放棄だ
 国会や地方議会の選挙で、候補者数をできるだけ男女均等にするよう政党に促す「政治分野における男女共同参画推進法案」は、先の通常国会で提案が見送られた。
 与野党の歩み寄りで合意が図られ、せっかく法案成立のめどが立っていたのに、紛糾した「加計(かけ)学園」問題のあおりを食って、はじき飛ばされた格好だ。国会の役割放棄と言わざるを得ない。
 2020年までに指導的地位の女性の割合を30%に引き上げる目標を掲げる安倍政権の本気度が問われる。野党も「女性の活躍推進」には異論はないはずだ。共同責任で臨時国会で成立させてほしい。
 法案は罰則などの法的強制力を伴わない「理念法」という位置付けながら、伸び悩む女性の政界進出を後押しする画期的な法案だった。
 基本原則は、衆参両院、地方議会での男女の候補者数を「できる限り均等となる」ことを目指す、とした。政党に候補者数の目標を定めるなど自主的な取り組みを、国や地方自治体には実態調査や啓発活動などを求めている。
 民進、共産など野党4党が昨年5月、候補者擁立の際に「男女同数」を目指すとした法案を国会に提出。一方、自民党は同12月、公明党や日本維新の会と共に、「男女均等」とした法案を出した。
 結局、野党側がこれ以上与党との対立が続けば、「女性の政治参加がさらに遠のく」として譲歩。法案の早期成立のために一本化に応じ、「均等」の表現に落ち着いた。
 日本の実態は「後進国」と言っていい。国会で女性が占める割合は衆院が9.3%、参院が20.7%にとどまる。列国議会同盟の調査(3月現在)を見れば、下院(衆院)の女性比率は193カ国のうち164位に沈んでいる。
 もはや貧困、格差、少子高齢化といった政治課題は、男性に偏る視点では解決できなくなってきている。生活に根ざす女性ならではの皮膚感覚を生かしていく必要がある。
 そのためには法案もさることながら、女性の政界進出を妨げるハードルを引き下げる環境整備が不可欠だ。
 地方に根強い「男性は仕事、女性は家庭」という伝統的な価値観を改めるよう、社会全体の意識改革に一段と力を入れていくべきである。
 いざ立候補ということになれば仕事や出産・育児、介護との両立を迫られるケースもあるだろうし、選挙資金の手当ての問題も避けられない。
 議会や党には、今すぐにでも全面支援する仕組みづくりを求めたい。
 均等を着実に実現していくのであるならば、諸外国で改善効果を上げている仕組みも考えていきたい。議席や候補者の一定割合を女性に振り分ける「クオータ制」も検討課題の一つではないか。
 法案を男性優位にある議会の「ガラスの天井」を打ち破る契機にしていくべきだ。


強引幕引き狙い 公明も同罪
 ★「国会を閉じれば国民は忘れてしまう」。そんな合言葉で強引に閉じた国会。しかし、国民はご都合主義の政権運営、自民党議員の不祥事の数々、森友学園、加計学園の不透明な開学への道、その場しのぎのような閣議決定や詭弁(きべん)をなかなか忘れない。なぜならば疑惑が大きく表面化する前から、首相・安倍晋三は予算委員会などで、自らや首相夫人、事務所が関与していれば、首相どころか議員も辞職するとむきになり、たんかを切ったからだ。 ★この発言の衝撃は大きい。「ここまで首相が言うのだから」と国民は安心したものの、その後昭恵夫人が「名誉校長」だとか、講演に足しげく通うなど、強い接点が浮上。また夫人の周りにはぴったりと公務員が張り付き、その都度案件を処理していたことも分かった。ところが官邸はそれらが発覚すると、夫人付きの公務員を海外赴任にしたり、閣議決定で夫人は私人とするなど、子供だましのような策を投じてきた。信用がだんだんと疑惑に変わる軸に、「首相のむきになった発言」が強く焼き付いた。 ★最近も前経産政務官・中川俊直が、女性スキャンダルなどで離党。元文科政務官・豊田真由子が秘書に暴行を働くなどして離党した。自民党はこれで幕引き、ほとぼりが冷めれば復党という算段かも知れないが、党が公認して重用してきた事実は重い。党にはその責任も伴うはずだ。そんな政権を補完したのが、政権のチェック機能どころか、官邸の背中を支え続けた公明党の存在だ。今でこそ党代表・山口那津男は、野党が求める臨時国会召集に前向きだが、都議選に取り掛かるため国会を閉じることに同意。積極的に疑義を唱えない限り、消極的賛成を繰り返してきた公明党は自民党と同罪だ。国民は忘れない。

加計問題究明 国会召集に応じる責任
 獣医学部新設をめぐる真相究明のため、野党四党が臨時国会の召集を要求した。憲法五三条に基づく重い行為だ。安倍政権には要求に応じる責任がある。憲法無視の政治はこれ以上、許されない。
 公平・公正であるべき行政判断が「首相の意向」を盾に歪(ゆが)められたのではないか。国民の疑念は解消されるどころか、膨らむばかりだ。安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部を愛媛県今治市に新設する計画である。
 内閣府から文部科学省に「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だと聞いている」などと働き掛けたとする文書の存在が確認されたのに続き、首相の側近である萩生田光一官房副長官が文科省に早期開学を求めたと受け取れる文書も見つかった。
 国会を召集して、国政調査権を駆使した真相究明は当然である。
 しかし、安倍政権側は「早期に行わなくても良いのではないか」(自民党の竹下亘国対委員長)と応じるつもりはないようだ。
 首相が会見で述べた「何か指摘があれば、政府としてその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たす」との約束は何だったのか。政権は、真相究明に後ろ向きだと断ぜざるを得ない。究明されたら都合の悪い、後ろめたいことでもあるのか。
 憲法五三条は衆参どちらかで総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと明記する。
 同条に基づく臨時国会の召集要求は今回を含めて三十七回(重複を除く)あり、うち三十三回は開かれている。ほとんどの政権が野党の要求に応じてきたが、この憲法規定を完全に無視したのが、今の安倍内閣である。
 安全保障関連法の成立が強行された二〇一五年秋、同法が公布され、環太平洋連携協定(TPP)締結交渉が大筋合意し、内閣改造で十人の閣僚が新たに入閣した。
 野党が説明を求めて、臨時国会の召集を要求しても、安倍政権は首相の外交日程や一六年度予算編成作業を理由に拒否した。
 召集期限が定められていないとはいえ、要求を完全に葬り去るのは暴挙と言わざるを得ない。
 首相や閣僚、国会議員を含め公務員には憲法を尊重し、擁護する義務がある。それができないような首相や国会議員に、憲法改正を語る資格はない。国会軽視、憲法無視のあしき振る舞いを、これ以上、認めてはならない。


臨時国会要求  「真摯に説明」はどこへ
 学校法人「加計学園」問題を巡り、首相官邸の働きかけがあったとされる新たな文書が出てきたことを受け、民進、共産、自由、社民の野党4党は憲法53条に基づく臨時国会召集の要求書を衆参両院に提出した。
 自民党が閉会中審査に応じないのを受けた対応だ。疑惑解明に消極姿勢を取り続ける以上、野党の要求は当然である。これに対し菅義偉官房長官は「与党と相談して決めていく」と述べるにとどめた。
 さらに新文書について菅氏は、松野博一文科相が「正確性を著しく欠く」と発表し、既に説明責任を果たしたとの認識を示した。だが政府も自民も、こんな説明で国民が納得しているとは本気で考えていまい。しばらく野党の追及を逃れ、厳しい世論の沈静化を待ちたいというのが本音ではないか。
 疑惑の中心にいる安倍晋三首相は19日の記者会見で「指摘があれば、その都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と述べた。ところが、新文書が出てきても口をつぐんだままだ。これでは国民の信頼回復などできるはずがない。
 真摯な説明責任が口先だけではないというなら、首相はただちに臨時国会を召集し、率先して疑惑の解明に努めるべきである。
 新文書は、加計学園の獣医学部新設を巡り、萩生田光一・内閣官房副長官が昨年10月、文部科学省の幹部に首相の方針を伝えたり、文科省と加計学園との打ち合わせを指示したりしたと受け取れる内容だ。萩生田氏は首相の側近中の側近で、学園系列大学の名誉客員教授も務める。
 時期は、獣医学部新設に向けて加計学園に有利な条件が特区諮問会議で決まる直前だ。萩生田氏は内容を全面否定しているが、事実なら、事前に首相の意向をくむ調整が図られ、特区制度を「加計学園ありき」で活用したとの疑惑がさらに深まることになる。
 「総理のご意向」をめぐる一連の文書については、文科省と内閣府の食い違いも目立つ。真相解明には、当然ながら萩生田氏ら関係者の証人喚問も視野に入れなければならない。特区の事業者選定が公平公正だと言うなら、国民が納得いくよう国会で説明を尽くし、疑惑を払拭(ふっしょく)する責任が政府にはある。
 安倍政権は以前にも臨時国会要求に応じなかったことがある。召集時期は内閣の判断に委ねられているとはいえ、少数派意見を尊重する議会制民主主義の大事なプロセスである。憲法の趣旨を無視する愚を繰り返すべきではない。


「加計」新文書 「説明果たす」約束どこへ
 疑惑は一層深まった。安倍晋三首相の親友が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が政府の国家戦略特区制度を使って進める獣医学部新設計画を巡り、首相官邸の関与を疑わせる新たな文書が文部科学省から見つかった。
 民進、共産、自由、社民の野党4党は真相解明のため、憲法53条に基づき臨時国会の召集を衆参両院に要求した。当然だ。政府と与党は速やかに召集を決め、証人喚問などに応ずる責任がある。
 見つかったのは、首相の側近とされる萩生田光一官房副長官と文科省幹部の協議をまとめた文書で「官邸は絶対やると言っている」「総理は『平成30(2018)年4月開学』とおしりを切っていた」などと記されていた。松野博一文科相が記者会見で公表した。
 萩生田氏は「不正確なものが作成され、強い憤りを感じる」とコメントを出した。
 だが、内閣府から「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」として獣医学部新設への対応を迫られたとする文書も既に確認されている。萩生田氏が新設の要件を学園に有利にするよう指示したとする内容もあった。
 疑惑だらけだ。特区を隠れみのに首相側近や官僚が忖度(そんたく)したのか。首相も何らかの指示をしたのか。だとすれば公平・公正であるべき行政はゆがめられたことになる。疑惑が渦巻く中で「特区のドリルで岩盤規制に穴をあけた」と自画自賛されても信頼できない。
 徹底的な真相解明以外に信頼回復の道はない。野党4党は閉会中審査を求めたが、政府と与党は拒んでいる。臨時国会の早期召集にも否定的だ。
 憲法53条は衆参いずれかの総議員の4分の1以上が要求した場合、内閣は召集を決定しなければならないと規定する。ただ期限に定めはなく、安倍政権は15年にも同様の召集要求に応じなかった。
 首相は通常国会閉幕に伴う記者会見で「今後、何か指摘があれば、その都度、真摯(しんし)に説明責任を果たす」と約束したはずだ。約束違反の「逃げ」は許されない。


臨時国会 早期召集で疑惑解明を
 民進、共産、自由、社民の野党4党が憲法の規定に基づき臨時国会の召集を求める要求書を衆参両院に提出した。森友、加計学園の問題で疑惑の解明が必要、というのが理由である。
 政府、与党は疑惑にふたをするかのように、委員会採決を省略する中間報告の非常手段で共謀罪法案を可決し、国会を18日に閉幕させた。4党の要求は筋が通っている。安倍晋三首相は速やかに国会を召集すべきだ。
 衆参いずれかで総議員の4分の1以上の要求があったときは「内閣は召集を決定しなければならない」と憲法は定めている。召集は内閣の義務である。
 4党は今回、衆参それぞれで召集を求めている。拒むのは憲法の趣旨に反する。
 通常国会では、政府の説明は全く足りなかった。森友学園への国有地売却の交渉記録について、財務省は「廃棄した」の一点張りだった。加計学園の問題では、内部告発により明るみに出た文書を菅義偉官房長官は当初「怪文書」扱いした。
 そこに加えて、文部科学省に対し萩生田光一官房副長官が働きかけたと受け取れる文書が国会閉幕後に見つかった。
 安倍政権は召集に後ろ向きの姿勢を見せている。菅官房長官は「与党と相談して決める」と述べるだけ。自民党の竹下亘国対委員長は「召集は内閣の専権事項だが、早期に行わなくてもよいのではないか」と言っている。
 竹下氏はどういう意味で「内閣の専権事項」と言っているのだろう。召集するもしないも首相の腹一つ、と考えているとすればとんでもない間違いだ。
 議員の要求で国会を召集するのは憲法から内閣への命令である。いつまでに召集せよとの規定が憲法にないことを幸いに、無視することは許されない。
 首相は国会閉幕後の記者会見で「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と述べていた。召集要求を拒むようでは言行不一致になる。
 安倍内閣は2年前にも野党5党による召集要求を拒んだ。外交日程が立て込んでいることなどを理由にしていた。今回目につくのは、これ以上追及されるのは避けたいという思惑だけだ。
 自民党が野党時代にまとめた改憲草案は、衆参いずれかの4分の1以上の要求があったときは「20日以内」に召集するよう内閣に義務付けている。いま拒否するのはご都合主義そのものだ。


「加計」新文書 臨時国会で説明を尽くせ
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡る疑惑は、膨らむばかりだ。
 通常国会閉会後、首相官邸側の働き掛けがあったとされる新たな文書が文部科学省で見つかった。
 真相解明を求める民進、共産、自由、社民の野党4党は臨時国会を速やかに開くべきだとして、国会召集の要求書を衆参両院に提出した。
 憲法53条は臨時国会について衆参両院議員のいずれか4分の1以上が求めた場合、政府に召集の義務が生じると規定している。
 安倍政権は早期召集に否定的な見解を示しているが、直ちに応じなければならない。
 新文書は、萩生田光一官房副長官が獣医学部の開学期限などについて、文科省に伝えたとされるものだ。これが事実なら、圧力をかけたことになる。
 真相が究明されなければ、国民の不信感は募る一方だ。政府に、それを払拭(ふっしょく)しようという意欲が見られないのはどうしたことか。
 安倍首相は19日の記者会見で「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と明言した。言葉通りの対応が求められる。
 公明党の山口那津男代表はこの問題に関し、衆院予算委員会などの閉会中審査開催を検討するよう要請した。「政府は調査を尽くし、説明責任を果たしていただきたい」と述べたのはもっともだ。
 こうした声さえも無視すれば、安倍政権への信頼はさらに揺らごう。
 今回、公表された文書は、萩生田氏が昨年10月21日に文科省幹部に発言した内容を取りまとめたとされ、「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」などとの記載があった。
 萩生田氏は発言を否定しているが、落選中には学園傘下の大学で客員教授を務め、自身のブログに首相、学園理事長との写真を掲載していた。公の場で自らしっかりと説明を尽くす必要がある。
 新文書について文科省が萩生田氏の記憶を優先し、「正確性を欠く」と結論付けたのにも疑問が残る。
 「総理の意向」などと記された文書に、一定の信頼性を認めた対応とは大きく異なる。前川喜平前文科事務次官の発言などとも符合するのに、その検証を進めないでいいのか。
 きのう告示された東京都議選でも、与野党の攻防が繰り広げられている。加計学園を巡る問題や、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の採決強行など、安倍政権の国会運営も厳しく問われよう。
 「1強」の緩みやおごりがあるのではないか。時間がたてば、批判も逆風もやがて収まると考えているなら、見当違いである。
 安倍首相は共同通信社の全国電話世論調査で内閣支持率が急落したのを、改めて重く受け止めるべきだ。


【加計学園問題】「丁寧に説明」の約束守れ
 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題の解明へ、民進党など野党4党が、臨時国会を召集するよう衆参両院に要求した。
 臨時国会の召集を内閣に義務付ける憲法規定に基づく、いわば調査請求である。真相はやぶの中のままだ。首相の指示をうかがわせる新たな文書も確認された。安倍政権は速やかに応じるべきだ。
 国民の不信を深めているのは、政府側の不誠実な対応であり、安倍首相自身である。
 「総理の意向」などと記された文書を政府は当初、「出所不明の怪文書」とはねつけた。最初の調査でも確認できなかったとしたが、前文部科学事務次官や現役職員らの存在を認める証言が相次ぎ、再調査に追い込まれた。
 その再調査結果では一転、文書の存在を認めたものの、国会閉会間際に公表し、首相らの関与などを否定した。「共謀罪」法案の採決を巡る騒動に紛れ込ますことで、野党の追及をかわし、国民の関心を遠ざけようとした、姑息(こそく)なまでの思惑が透けて見えた。
 そんな強引な幕引き劇を国民は認めていない。マスコミ各社の世論調査で、内閣支持率が急落したことが裏付ける。
 共同通信の調査では、政府の調査で真相が「明らかになったと思わない」は85%に達した。前文科事務次官らの「行政がゆがめられた」との訴えを否定する政府の説明にも70%以上が納得していない。
 内閣府側から「総理の意向」などの指示があったとする文書で、文科省は「発言はあった」とする一方、内閣府は「ない」と退けた。萩生田光一官房副長官らから「加計ありき」の指示があったと読み取れる文科省側の文書も、内閣府や萩生田氏は全面否定している。
 政府内に矛盾が生じている。「ゆがみ」以外の何物でもない。
 文書の記載内容は具体的で、明確な根拠もなしに「職員が勝手に忖度(そんたく)した」で片付けられない。少なくとも、文書の作成者や共有者は「官邸の最高レベル」の意向などを意識しながら、行政手続きを進めていたと見て取れる。
 首相側近の萩生田氏は、加計学園傘下の大学の「名誉客員教授」であり、首相の「腹心の友」である学園理事長と親しく並んだ写真を自らブログに掲載している。文科省局長に首相の指示を伝えたと取れる文書も国会閉会後に明らかになった。
 萩生田氏や文科省、内閣府はこの文書の内容も否定するが、再調査後も新たな内部文書が発覚する状況を前に、国民が納得できる説明にはなり得ていない。
 安倍首相は、二転三転した政府の対応が国民の不信を招いたこと認めた上で「国会の閉会、開会にかかわらず、分かりやすく丁寧に説明していきたい」と明言した。だが、自民党は閉会中審査を拒んだため、野党が国会召集を要求した。首相には国民への約束を果たす義務がある。


「森友」強制捜査 疑惑の「核心」を解明せよ
 安倍晋三首相や昭恵夫人への忖度はなかったのか。行政機関に組織的な不正はなかったのか。学校法人「森友学園」を巡る疑惑の核心は、そこにある。
 大阪地検特捜部が学園の強制捜査に乗り出した。今回の容疑は籠池(かごいけ)泰典前理事長が国と大阪府から補助金を不正受給したとする詐欺と補助金適正化法違反である。
 さらに大きな問題は、学園が小学校用地として取得した国有地が、評価額より8億円以上も安い1億3400万円で払い下げられた事実だ。捜査がどこまで迫るのか注視したい。
 一時は、首相の名前を冠した小学校名で寄付金が集められ、昭恵氏は名誉校長に就いていた。国有地取得の交渉過程では、昭恵氏付きの政府職員が籠池氏の要請を受けて動いていた。
 籠池氏の強引な手法に対し首相側が軽率だっただけなのか。首相は国会答弁などで籠池氏との関係を強く否定しているが、国民の疑念は払拭(ふっしょく)されていない。
 国有地の値引きはごみの撤去費用を差し引いたというが、8億円以上という算定の根拠は明確でない。小学校の設置認可を一時保留していた府の私学審議会の判断は条件付き「認可適当」に転じた。学園側の要望が次々と実現していったように受け取れる。そこに政治の力は働いていないのか。
 国会で財務省の担当者は、交渉記録は廃棄したと答弁した。国会への証人喚問は籠池氏にだけ行われ、昭恵氏は事実上不問に付されている。「昭恵氏から100万円の寄付を受けた」という籠池氏の証言も真偽不明のままだ。
 特捜部は国有地の値引きについて、近畿財務局の職員に対する背任容疑の告発を受理している。国に損害を与える認識があったかどうかが焦点となり、捜査には困難も予想されるが、まさに全容解明への鍵を握る問題である。
 首相が「私や妻が関わっていれば首相も国会議員も辞める」と国会で述べたことを国民は忘れていない。真相究明が必要だ。厳正な捜査を求めたい。


「私物化」を危惧 前川前次官が“政権御用メディア”を牽制
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、「行政がゆがめられた」などと発言して一躍、時の人となった前川喜平前文科次官が23日、都内の日本記者クラブで会見。一連の問題の経緯を振り返り、あらためて「加計ありき」だった疑いが強いとの認識を示した上で、「この一件を通じて全くの別の問題として認識を新たにした」と訴えたのが「国家権力とメディアの関係」だった。
 前川氏が「国家権力とメディアの関係」を問題視するようになった理由として真っ先に挙げたのが、在職中に東京・歌舞伎町の出会い系バーに出入りしていたことを報じた読売新聞の「個人攻撃と思われる記事」だ。
 前川氏は、出会い系バーの出入りは過去に官邸の杉田官房副長官から「そういう場所には行くな」と注意を受け、官邸が認識していたことを明かしつつ、「読売の記事は5月22日で、20日と21日に記者から私にアプローチがありました。同じ21日に文科省の後輩幹部を通じて、『(総理補佐官の)和泉さんが話をしたいと言ったら応じるつもりがあるか』と打診を受け、読売、官邸のアプローチが連動していると感じた」という。
■「メディアが私物化されたら日本の民主主義は死ぬ」
「これが私以外にも起きているのとするならば、大変なこと。監視社会化、警察国家化が進行していく危険性があるのではないか」「権力が私物化されて、『第4の権力』といわれるメディアまで私物化されたら日本の民主主義は死んでしまう。その入り口に我々が立っているのではという危機意識を持ちました」
 前川氏はまた、自身を最初にインタビューしたのはNHKだったにもかかわらず、「なぜかいまだに映像は報じられていない」と疑問を呈したほか、「(テレビ)コメンテーターの中には官邸擁護しかしない人もいる」とテレビの報道姿勢もやんわり批判した。
 政権とメディアがタッグを組めば、かつての大本営、大政翼賛会と同じ――。前川氏の指摘はまっとうだったにもかかわらず、その後の質疑応答では、アベ様御用新聞と揶揄されるメディアの記者が「(総理のご意向などの)文書を流出させたのは前川氏か」と聞いていたから呆れる。この記者は「取材源の秘匿」という言葉も意味も知らないのだろう。一体誰のため、何のために記者をやっているのか。


内閣支持率急落 政府は世論を正視せよ
 加計(かけ)学園問題や「共謀罪」法を巡り「説明責任」と「熟議」を放棄した安倍政権に国民の視線が厳しさを増している。共同通信の世論調査で内閣支持率は44・9%となり、前回5月から10・5ポイントも急落した。加計学園の獣医学部新設計画で「行政がゆがめられたことはない」とする政府の説明には73・8%が「納得できない」と回答した。
 共謀罪についても、与党が参院法務委員会の採決を省略し成立を強行したことに67・7%が「よくなかった」と批判。過去に特定秘密保護法や安全保障関連法の成立直後に支持率が急落したことはあったが、今回は個別の政策ではなく政権の姿勢そのものに国民が不信を深めた結果で、より深刻な状況といえよう。
 政府は世論を正視すべきだ。安倍晋三首相の昭恵夫人の存在が焦点となった森友学園問題で噴き出した数々の疑問に説明や調査を拒み続け、ひたすら「問題ない」と繰り返した。加計問題では世論の反発により文部科学省が再調査に追い込まれたが、不都合な事実にふたをするという政府の姿勢は変わらなかった。
 今週後半に告示される東京都議選への影響を避けようと、会期末ぎりぎりに文科省や内閣府の調査結果を公表して逃げ切りを図った。与党は野党が求める閉会中審査や証人喚問を拒んでいる。だが、そんなことで不信は払拭(ふっしょく)できない。忘れられることもないだろう。
 加計問題を巡る一連の調査で真相が「明らかになったと思う」はわずか9・3%にすぎず、84・9%が「思わない」と答えた。自民、公明両党の支持層でも、それぞれ76・7%、80・0%がそう回答している。また森友問題も含め、政権に「問題があると思う」が全体の57・1%に達した。
 不信の背景には、2月に森友問題が発覚して以来、解明に背を向け続ける政府の姿勢がある。森友学園は評価額より8億円余りも安く国有地を取得。そこに開校を目指していた小学校の名誉校長に昭恵夫人が就任していたことから、野党は売り手の財務省側に忖度(そんたく)が働き、学園が優遇された疑いがあると追及した。
 しかし財務省は省内規則により学園側との交渉記録を廃棄したとし、8億円の値引きに至る詳しい経緯を明らかにせず、野党が求めた調査も「必要ない」と拒否した。
 加計学園が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡っては、文科省が再調査で「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記録した一連の文書の存在を確認し、内容を公表した。
 首相側近の萩生田光一官房副長官から指示があったようだとして、学園に有利になるよう獣医学部新設の要件が修正された経緯を記したメールも出てきた。だが内閣府は1日足らずの調査で「内閣府から総理の意向とは一切言っていない」と主張。要件の修正についても「山本幸三地方創生担当相の判断」とした。
 首相官邸にも疑いの目は向けられ、このまま二つの調査結果の食い違いを放置しておくことなどできない。森友問題も含め、首相とつながりのある人が特別扱いを受けたのではないかとの疑念は深まり、行政の公平性と透明性が問われている。疑念を持たれたなら、説明を尽くすという当然の責務を果たすことが政府には求められている。(共同通信・堤秀司)


安倍政権が疑惑隠しで北ミサイル危機扇動のCM放送! 茂木健一郎や平野啓一郎らも一斉批判
「政府から、お知らせします。弾道ミサイルが、日本に落下する可能性がある場合──」
 どうかしているとしか思えないCMが23日からテレビで放送され始めた、政府による「北朝鮮ミサイル危機」を煽るCMのことだ。報道によれば、このCMは7月6日までの2週間、在京民放5局で垂れ流される。東京都議会選挙の選挙期間と丸かぶりだが、さらに、23日から25日にかけて全国70の新聞、26日から7月9日にかけてはインターネットの大手検索サイト(Yahoo!と思われる)にも広告を出す予定だという。
 しかし、その内容はツッコミどころ満載だ。CMは、冒頭の文言のテロップが映し出された後、「屋外スピーカーなどから国民保護サイレンと緊急情報が流れます」「屋外では頑丈な建物や地下に避難を」「近くに建物がなければ、物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」というアナウンスがイラスト付きで流れるというものだ。
 一体何を言っているのか。実際にミサイルが飛んできたら、そんなもので、安全が守れるはずはないのは小学生でもわかるだろう。ようは、国民への避難方法啓発のふりをしているが、ひたすらミサイル危機を煽っているだけなのだ。
 この安倍政権のなりふり構わない“危機感演出作戦”には方々から疑義の声があがっている。
 たとえば、作家の平野啓一郎はツイッターで〈政権の支持率対策のためにここまでやる異様さ。本気なら、原発にミサイルが落ちた時、どうすべきかのCMも作るべき〉と述べた。また、脳科学者の茂木健一郎は読売新聞の報道に加える形で〈虚構新聞みたいだ。そんなことよりも、ミサイルが飛んでこないような外交努力をすることこそが政府の責務だと思う〉とツイートしている。
 実際、このCMは明らかに、安倍政権に浮上した疑惑から国民の目をそらし、政権や自民党の支持率アップを狙ったものだ。
 このCMは1〜2カ月前に企画され、突貫工事で作成されたと言われているが、その時期、安倍政権はほかにも、北朝鮮によるミサイル発射実験に乗じ、散々“米朝戦争勃発”を煽り立てていた。4月21日には内閣官房の「国民保護ポータルサイト」で「弾道ミサイル落下時の行動について」と題したPDFを公開、同月24日には首相官邸のメールマガジンで「身を守るためにとるべき行動」を確認するよう発信するなどしている。
 また安倍首相自身も国会で「北朝鮮はサリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と言い触らすなど、率先して「北朝鮮危機」の演出に励んでいた。
 ところが、一方で、安倍首相は北朝鮮で故・金日成主席生誕105年記念日の軍事パレードが行われた同日に恒例の「桜を見る会」を開催。その後も友人たちと会食したり、昭恵夫人を伴って外遊に出かけたりしていた。
 つまり、安倍政権はミサイル危機などないにもかかわらず、追及を受けていた森友学園問題から目をそらすために、この危機をひたすら扇動していただけだったのだ。今回のテレビCMもまったく同じで、その時期に企画したものを都議選にぶつけてきたということだろう。
 まさに、卑劣としか言いようのない情報操作だが、さらに問題なのは、今回のCMと広告にあたって、政府が実に4億近い税金を投入したということだ。
 これは、新聞やテレビに金をばらまくことで、メディアが黙らせる効果がある。実際、このCMや広告については、マスコミから批判の声が出てこないばかりか、まるでCMのPRのような報道までが流れている。
 最近は、テレビでも安倍政権への批判や不正追及が行われるようになったが、もちろん、この“CMを使った買収”によって、また“忖度”が働くようになってしまう可能性もある。
 かのヒトラーは「大多数の人間は小さな嘘よりも大きな嘘にたやすくだまされる」と語ったとも言われている。そうならないためにも、わたしたちは安倍政権の卑劣なプロパガンダとメディア戦略を徹底糾弾していく必要がある。


SKY-HIが共謀罪の強行採決を批判したラップ「キョウボウザイ」を緊急発表!安倍政権の本質をつく痛快な歌詞
 もはや説明するまでもでないが、今月15日の早朝に共謀罪が強行採決された。公権力による法律の恣意的な解釈が横行する可能性や、「一般人」とはどの範囲の人を指すのかなど、不明点や問題点は山積みであったのにも関わらず、安倍政権はまともな議論に応じようともせず、国民の声を完全に無視して強行採決に踏み切った。加計学園をはじめとした、自身に降り掛かるスキャンダルを追及されないよう早く国会を閉めてしまいたいという一心で、後世の人々に多大な被害をおよぼしかねない「平成の治安維持法」をつくりあげてしまったのである。
 もはやどう控えめに表現しても「安倍“独裁”政権」としか言いようのない国会運営には多くの文化人や芸能人からも非難の声が相次いだ。末次由紀(『ちはやふる』作者)、平野啓一郎、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、デーブ・スペクター、中原昌也、村本大輔(ウーマンラッシュアワー)、海野つなみ(『逃げるは恥だが役に立つ』作者)、会田誠、野田洋次郎(RADWIMPS)、ケラリーノ・サンドロヴィッチなど、ジャンルを問わず多くの人々がツイッターを通じ、共謀罪法案、および、安倍政権の強権的なやり方に対し疑義を表明。本サイトでもそれらをまとめた記事を配信している。
 そのなかのひとりがラッパーのSKY-HI。AAAのメンバーとしての活動でも知られる彼は、14日夜、「共謀罪と特定秘密保護法が合わさることで治安維持法が再来する」といった趣旨のツイートをリツイートしながら、それは大げさな話などではないとツイートしていた。
〈規模の大きな話に聞こえるかもしれないけど、「そんな漫画みたいな事が出来てしまう」「する事でメリットがある人がいるとは考えられる」って時点で相当危ないわけで さすがに疲れ果ててもう寝るけど、起きたら採決されてるのかい…〉
 SKY-HIは先月23日にも〈トランプ政権以降の国家間、人種間の軋轢や日本でも共謀罪の衆院通過とかなってくると戦争の気配は感じずにいられない〉とツイートし、かねてより共謀罪による言論抑圧や、戦争への危機感を訴えていたが、今月21日夜、そんな彼が驚きの行動に出る。
SKY-HIが共謀罪批判の新曲「キョウボウザイ」を突如発表
 なんと、こんなコメントと共に、突如新曲「キョウボウザイ」をYouTube上にアップしたのだ。
〈新曲ビート打ってラップしました。Trap系のビートいくつか作ってるトライアル中。主張に関しては曲の通り…否定とか肯定も無くはないけど、それ以前に可決へのプロセスがあんまりすぎてDAMN.〉
「Trap」というのは、アメリカのヒップホップシーンではもはやすっかり定着したラップの一ジャンルのこと。ここ数年は日本でも広がりを見せていて、宇多田ヒカルの最新アルバム『Fantome』に収録された楽曲「忘却」でフィーチャリングされているKOHHなどがその代表的なアーティストとして知られている。
 SKY-HIによるその新曲「キョウボウザイ」はこのようなことが歌われていた。ちなみに、「Morning」や「国会」など、括弧で囲った部分は合いの手の言葉だ(合いの手を入れるのは最近のヒップホップのトレンドでもある)。
〈木曜日 朝4時(Morning)
 国民的行事(国会)
 色を変えた常識
 説明ならば放棄
 何らかの事情に
 何らかの理想に
 良い悪いの定規
 それで作るなんてホント正気?(DAMN.)〉
 本人がコメントで〈可決へのプロセスがあんまりすぎて〉と語っている通り、楽曲冒頭では法案の採決にいたるまでの過程を批判。共謀罪をめぐる国会運営で改めて浮き彫りとなった安倍政権の強権的な姿勢に異議申し立てをしている。そして、この後、ラップはさらに具体的なトピックに踏み込んでいくのであった。
〈燃えた家計簿に(加計)
 火消しをするように
 木で隠した森(Friend)
 丸出しでソーリー
 シンゾウには毛が生えて
 舌の数は無尽蔵
 HP残り36ポイント(支持率)
 保護するのは秘密の方で
 テロと五輪 歪なコーデ
 組み合わせて出来た
 それで治安維持しようぜ〉
「“心臓”と“晋三”」や「“Sorry”と“総理”」などダブルミーニングのオンパレードで、森友学園のことを「木で隠した森(Friend)」と表現するなど、ヒップホップらしい言葉遊びに溢れている。
 スキャンダルの火消しのための強行採決であったこと、安倍首相の答弁は嘘に嘘を塗り重ねていること、テロや五輪など後付けの理由が次々と付け加えられ何のための法律なのかさっぱりわからなくなっていったことなど、ここでラップされている主張はすべてその通りで、まさに「痛快」と言う他ない。
 そして、1分40秒にわたる怒濤のラップで構成される「キョウボウザイ」は、最後、こんな言葉で締めくくられるのであった。
〈黙ってた方が良いか そうか
 たまったもんじゃない〉
芸能人が政治の話をするのはタブーとされるルールにSKY-HIは異議
 このラインは、言論の自由を著しく萎縮させ、「自主規制」を横行させる恐れのある共謀罪への批判であると同時に、ミュージシャンや俳優などが政治的な発言を行うと「芸能人風情が偉そうに語るな」と炎上を焚き付けられる風潮に対する異議でもあるだろう。
 昨年6月、「FUJI ROCK FESTIVAL’16」にSEALDs(当時)の奥田愛基氏の出演がアナウンスされたことをきっかけとして、「音楽に政治を持ち込むな」という論争が起きたことは記憶に新しいが、彼はこういった日本社会の風潮に対し、ツイッターでこのように主張していた。
〈社会的な話をツイートしたり伴ってハッキリと意思を持った発言をすると、面白いくらい…時には軽く数万単位でフォロワーが減るんだけど、それは兼ねてから言われている「芸能人(って言葉も最早嫌いなんだけど)は政治、宗教、野球チームの話はしてはいけない」って話と繋がるのでしょう。〉
〈でもそうやって出来上がった日本のエンターテイメントがどんどん嘘や無味無臭になっていくのは面白くないし、第一もう古いとしか思えないから、自分は発言します。「海外のアーティストの様に…!」って訳ではないんだけど、クリエイティブの壁の前に存在する、意識の壁が気になってしまう〉
〈人前に立つ立場の人間が、まるで性器でも隠すかの様に自分の意思や主張を言わない、嘘でも良しとするってのは、違和感しか感じないし、少し話は逸れるけれど間違いや過ちを集団ネットリンチする姿勢も、アンチグローバルに感じるし、世界の成長から取り残される日本と単純にダブるのです。〉
〈本来、人前に立つ機会が多いミュージシャンやタレントこそ、明確に意思や主張を発言するのも、SNSがある以上そこに反映されるのも当然のことに思います。皆で予定調和の無味無臭な平均点を作る事と「エンターテイメント」は真逆でしょう本来。〉
 当然のことながら、海外において「音楽に政治をもちこむな」などという馬鹿げた主張が横行することはない。今回、SKY-HIが行ったように、時事問題に対しラッパーが素早く反応し、ネットを通して楽曲を公開することは珍しいことでもない。昨年の大統領選挙中、エミネムがドナルド・トランプ批判を含んだ新曲「Campaign Speech」を突如発表し話題となったことを覚えている人も多いだろう。
 ちなみに、SKY-HIは、5月31日にリリースしたばかりのシングル「Silly Game」でも、同調圧力や排他主義について言及したり、トランプ政権の強権的な政策について批判していた。
SKY-HI「音楽にするときだけ社会問題を話題にしないのは気持ち悪い」
 実際、SKY-HIは「Silly Game」のプロモーションインタビューにて、日本の社会に蔓延する風潮についてこのように語っていた。
「人の生活って、何をやっても社会や政治と関わってるわけでしょ? こうして人と話すことだって社会活動だし。そもそも、社会に全く目が向かないことの方が不自然じゃないかな。良い悪いは別として、プライベートでは社会問題について話すでしょう? それなのに音楽にするときだけ話題に出さないというのは「何の漂白剤が効いてるんだよ」と感じて、気持ち悪い。」(ウェブサイト「MEETIA」より)
 そして、これからの活動、具体的に言えば、次のアルバムについても、このように語っている。
「これだけ突っ込みどころの多い世の中に生まれたら、書くことなんて無数にある。逆にいまの時代に生きていて、音楽活動を通じてメッセージを1ミリも発することが無い人がいたら、皮肉じゃなく神経を疑います。何を感じて生きているんだろうと思う。超アーティストでテレビも見なければネットにも繋いでなくて、スタジオと家の往復だけで生活していて戦争のことも一切知らない、という人なら話は別だけど。
 でも普通に生きていて、普通に音楽をやっていて、1パーセントもメッセージが出ないとしたら、それは嘘でしか無いでしょう? いまの時代、嘘はバレますよね。俺は、そういうフェーズに現代社会は入っていると思う。音楽をしている人間にとっては、いまは書くことがありすぎて終わらない時期なんじゃないかな。」(前掲「MEETIA」)
「キョウボウザイ」は、現在でもSNSを通じて拡散を続けている。彼の勇気ある表現に続くミュージシャンが多く現れることを願ってやまない。(編集部)


沖縄慰霊の日/対話重ね理解を深めたい
 沖縄に今年も「慰霊の日」が巡ってきた。
 72年前の沖縄戦最後の激戦地、糸満市摩文仁(まぶに)にある平和祈念公園で、24万人以上の犠牲者をしのび、恒久平和を誓う「沖縄全戦没者追悼式」が営まれた。
 激しい地上戦を知る世代は減り続け、今は県民の1割ほどとされる。地元の沖縄タイムスによると、平和祈念資料館などで証言や資料に触れる県内の小中高生の数が減っている。学力向上優先で、校外学習の時間を減らす傾向にあるためという。
 本土防衛の捨て石とされた過酷な体験をどう伝えていくか。沖縄でも記憶の継承が大きな課題となっている。
 沖縄戦は基地問題に苦しむ沖縄の原点である。その苦悩に向き合わず、この国の平和を語ることはできない。政府も私たちも、県民の声にもっと耳を傾けることが求められる。
 摩文仁には国籍に関係なく、全ての戦没者の名前を刻む「平和の礎(いしじ)」がある。今月、92歳で亡くなった元県知事の大田昌秀さんが建立に尽力した。
 全国に基地問題を提起し、政府と争う姿勢を示す。一方で、もっと沖縄のことを知ってほしい、心に触れてほしいと願った知事だった。
 大田さんが紹介した沖縄の言葉に、人々の心根が表れる。「他人に痛めつけられても眠ることはできるが、他人を痛めつけては眠ることができない」
 自身の沖縄戦の体験から平和を願い、米軍普天間飛行場の辺野古沖移設には反対せざるを得ないと訴え続けた。
 追悼式での平和宣言で、翁長雄志(おながたけし)知事は「日米安全保障体制の重要性は理解する」と述べた上で、米軍が絡む事件や事故が相次いでいることを強調した。
 そして国民に「現状と日米安保の在り方を真摯(しんし)に考えてほしい」と語りかけた。
 政府は沖縄県との対話が深まらないまま辺野古沖の埋め立てに突き進んでいる。基地の負担を強いる一方、県民の声を正面から受け止めることなく、沖縄だけの問題とする風潮が本土にあるのも事実だろう。
 相互の理解は対話から生まれる。沖縄は本土との、政府との対話を求めている。そのことをいま一度、確認したい。


沖縄慰霊の日 辺野古容認できない 翁長知事、改めて反対
 72年前の沖縄戦の犠牲者らを悼む「慰霊の日」の23日、沖縄県内各地で追悼行事や慰霊祭があった。糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園では県など主催の「沖縄全戦没者追悼式」が営まれ、翁長雄志(おなが・たけし)知事は追悼式の平和宣言で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設工事を進める政府を厳しく批判した。「辺野古に新たな基地を造らせないため、今後も県民と一体となって不退転の決意で取り組む」と述べた。
 沖縄の反対を押し切って政府が4月に辺野古の埋め立て作業を始めており、翁長知事は「沖縄の民意を顧みず工事を強行している現状は容認できない。沖縄の基地の現状、日米安全保障体制の在り方について、国民の一人一人が自ら当事者であるとの認識を深めてほしい」と訴えた。就任以降3年連続で平和宣言の多くを基地問題に割いた。
 知事は「戦争の不条理と残酷さを体験した県民は、平和な世の中を希求する『沖縄のこころ』を強く持ち続けている」とも述べた。
 追悼式に参列した安倍晋三首相は「沖縄の人たちには米軍基地集中による大きな負担を担ってもらっており、この現状は到底是認できない。負担軽減のため一つ一つ確実に結果を出していく。これからもできることはすべて行う」とあいさつした。辺野古移設については今年も触れなかった。
 沖縄戦は約3カ月にわたる地上戦となり、日米両軍や民間人を合わせて約20万人が命を落とした。当時、家族らが犠牲となった各地でこの日は、さまざまな慰霊行事があった。
 糸満市伊原の「ひめゆりの塔」前では、看護要員として戦場に動員された生徒と教師の計136人が犠牲になった「ひめゆり学徒隊」の慰霊祭が営まれた。遺族や同窓生ら約400人が参列。動員されたため、72年前の卒業式で歌えなかった「別れの曲(うた)」を斉唱した。元学徒で、ひめゆり平和祈念資料館の島袋淑子館長(89)は「亡き学友や先生も私たちと一緒に歌ってくれたと思う」と述べた。【佐藤敬一、比嘉洋】


沖縄全戦没者追悼式 「積極的平和」を次世代に
 沖縄全戦没者追悼式で翁長雄志知事は、憲法施行70年に触れ「平和主義の理念を再確認」し、故大田昌秀元知事の功績である「『平和の礎』に込められた平和の尊さを大切にする想いを次世代へ継承する」と平和宣言した。
 沖縄戦から72年。沖縄戦は本土決戦の準備が整うまで、一日でも長く米軍を引きとめる「出血持久戦」だった。軍民が混在する中で住民の4人に1人が犠牲になった。今後、平和教育の在り方を含め、あらゆる分野で軍隊は住民を守らないという「命どぅ宝」の教訓の継承に取り組みたい。
 憲法の前文に示された理念は、平和学者のガルトゥング氏が唱える軍事力に頼らない「積極的平和」である。平和宣言で翁長知事は、人権侵害、難民、飢餓、貧困、テロなどに対し世界中の人々が民族や宗教の違いを乗り越え、協力して取り組むことを呼び掛けた。まさに「積極的平和」宣言である。
 米国との軍事的一体化に前のめりで、憲法に抵触する集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法を成立させた安倍晋三首相の「積極的平和主義」の対極にある。
 一方、平和宣言は辺野古新基地建設をはじめとする米軍基地問題に半分近くさいている。これが沖縄戦から72年、施政権の返還から45年たった沖縄の現状だ。
 米軍基地の源流は沖縄戦にある。普天間飛行場は米軍が沖縄本島上陸後、住民を収容所に隔離した上で土地を奪って建設された。1945年8月4日時点で、1本の滑走路の71%が完成している。
 日本への出撃拠点とする目的で建設したわけだから、日本の降伏によって目的は果たしたはずだ。ハーグ陸戦条約に従い、その時点で返還すべき軍事施設だ。普天間返還を巡って日米両政府は、名護市辺野古に移設する条件を付けているが、無条件で返還されなければならない。
 安倍首相は追悼式のあいさつで「県内の米軍施設の約2割に相当する北部訓練場の過半、本土復帰後最大の返還が実現した」と実績を強調した。しかし、北部訓練場が返還されても、米軍専用施設面積からすると、これまでの74・4%から70・4%に微減したにすぎない。北部訓練場の過半返還に伴い、ヘリパッドが集約された結果、東村高江に騒音が集中している。
 平和宣言で知事が指摘したように、現状はオスプレイの墜落、嘉手納飛行場でのパラシュート降下訓練や相次ぐ外来機の飛来、移転合意されたはずの旧海軍駐機場の継続使用など「基地負担の軽減とは逆行している」のである。首相は負担軽減を印象操作せず、沖縄の現実を直視しなければならない。
 安倍首相は「できることはすべて行う」と述べた。ならば辺野古新基地建設の断念、日米地位協定の抜本的見直し、海兵隊の撤退に向けて有言実行すべきである。


[全戦没者追悼式]終わらぬ戦後浮き彫り
 「慰霊の日」の23日、県内各地で慰霊祭が執り行われた。
 糸満市摩文仁の「平和の礎」。早朝から多くの遺族が訪れ、親族の名前が刻まれた刻銘板を前に飲み物やごちそうを供えていた。慈しむように名前をなぞったり、み霊に語り掛けたりする姿も。
 同市米須の「魂魄(こんぱく)の塔」。孫やひ孫を連れてきたお年寄りが多く見られた。家族に支えられながら手を合わせる車いすの高齢者も目立った。
 島が平和の祈りに包まれる中、摩文仁の平和祈念公園では沖縄全戦没者追悼式が営まれた。沖縄戦から72年がたつが、「沖縄の終わらない戦後」が改めて浮かび上がった追悼式だった。
 翁長雄志知事は平和宣言で、昨年の元米兵による女性暴行殺人事件、オスプレイ墜落、パラシュート降下訓練、相次ぐ外来機の飛来、嘉手納基地の旧海軍駐機場の継続使用を一つ一つ取り上げ、「基地負担の軽減とは逆行している」と指摘した。
 埋め立て護岸工事が始まっている辺野古新基地建設問題は、就任以来3年連続で言及。昨年まで「許容できない」との表現だったが、今回は「沖縄の現状を真(しん)摯(し)に考えてほしい」と国民にも呼び掛ける内容を付け加えた。
 会場からは翁長知事の平和宣言の節目節目に、拍手がわき起こった。翁長知事が「辺野古に新たな基地を造らせないため、今後も県民と一体となって不退転の決意で取り組む」と表明。7月の差し止め訴訟提訴に向けた決意を示すとまた大きな拍手が起きた。
■    ■
 翁長知事ばかりではない。県遺族連合会の宮城篤正会長も昨年に引き続き「戦争につながる新たな基地建設には遺族として断固反対する」と強い意志を示した。
 安倍晋三首相を前にした訴えであり、首相は真剣に受け止めるべきだ。
 一方、安倍首相は、米軍北部訓練場の約半分の返還を本土復帰後最大の返還とアピール。負担軽減の「実績」を自画自賛した。しかし東村高江集落を取り囲むようにヘリパッド(着陸帯)を6カ所新設することが返還条件で、生物多様性に富む森林を切り開く突貫工事だった。先行使用しているヘリパッドではオスプレイが低空飛行で特有の爆音をまき散らし、集落の日常生活を破壊している。
 安倍首相のあいさつに会場は冷ややかだった。翁長知事と安倍首相の乖(かい)離(り)は、沖縄と本土の認識の隔たりを象徴しているように見える。
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 沖縄の米軍基地建設は、米軍の上陸とともに始まり、戦後は住民が収容所に入れられている間につくられていった。1950年代には海兵隊が本土から米軍統治下の沖縄に移駐してきた。
 反対運動の激化で本土では米軍基地が減る一方で、沖縄では増加していった。これが沖縄に約70%の米軍専用施設が集中する現在につながっているのである。
 基地負担の問題だけではない。戦没者遺骨のDNA鑑定を民間人に拡大して集団申請する動きが具体化している。沖縄は戦争が終わったといえるのだろうか。


沖縄慰霊の日 負担軽減し「平和な島」に
 太平洋戦争末期の沖縄戦の戦没者を追悼し、平和を願う「慰霊の日」の式典が沖縄県糸満市で開かれ、翁長雄志知事や遺族、安倍晋三首相らが参列した。
 72年前の沖縄戦では24万人以上が犠牲になった。多数の民間人も巻き込まれ、沖縄県民の4人に1人が死亡したとされる。本土防衛の「捨て石」にされたとの指摘もある。悲惨な歴史は二度と繰り返されてはならない。
 しかし現実を見ると、沖縄には在日米軍専用施設面積の約7割が集中、米軍の活動などにより、今も住民はさまざまな危険や不安を抱える。日米安保体制の下、本土に比べ重い負担を強いられているのは間違いない。
 「沖縄の基地負担軽減を」と首相はじめ政府側は口をそろえるが、基地の撤去は容易には進まず、本土との格差は大きい。
 硝煙のにおいのない「平和な島」を目指し、沖縄の過重な負担をなくす方策を政府や全国民が真剣に考えるべきだ。
 今年の式典の平和宣言で翁長知事は、昨年末、米軍新型輸送機オスプレイが大破した事故などを念頭に、負担軽減とは逆行していると強調した。
 オスプレイは激しく損傷したが、米軍は訓練中の不時着で機体構造に問題はないとして、安全性への懸念を残したまま飛行を再開した。一方、今年4月以降、日米合意に反する形で米軍嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を行った。
 こうした姿勢は、住民の反発を呼び、米軍に対する不信感を増大させる。政府には、住民の心情に向き合うよう米側に強く求めてほしい。
 翁長知事は米軍普天間飛行場の辺野古移設も容認できないとした。県内での移設を進める政府に対し、知事は工事差し止め訴訟を起こす意向で、対立は続く見通しだ。
 学徒兵として沖縄戦を体験し、今月死去した大田昌秀・元沖縄県知事は「なぜ沖縄に基地を押し付けるのか」と訴え、国民全体の負担も主張した。市街地にある普天間飛行場の撤去は重要課題だが、県内移設で問題が解決されるのか。さらに知恵を絞る必要がある。
 1995年、米兵による少女暴行事件が起き、県民の怒りが普天間返還への契機になった。
 だが米軍に絡む事件、事故は後を絶たない。米軍機墜落など、住民の安全に関わる重大事故でも日米地位協定が壁となり、日本側の捜査や原因調査が阻まれるケースが目立つ。日米両政府が同盟強化を掲げるのなら、地位協定を見直し、対等な関係を築くことが不可欠だ。


沖縄慰霊の日  「不戦の誓い」を刻みたい
 沖縄はきのう「慰霊の日」を迎えた。太平洋戦争末期に上陸してきた米軍に対し、旧日本軍が組織的な戦闘を終えたとされる日である。最後の激戦地となった糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園では戦没者追悼式が行われた。
 沖縄戦では、本土防衛のために持久戦に持ち込もうとした日本軍に対し、米軍が「鉄の暴風」と呼ばれた圧倒的な艦砲射撃や爆撃で攻撃。住民を巻き込んだ壮絶な地上戦が展開され、集団自決も行われた。県民の4人に1人が犠牲になったとされる。
 平和祈念公園内にある「平和の礎(いしじ)」には24万1468人の戦没者の名前が刻まれている。軍人、民間人の区別なく、敵味方など国籍を問わず、沖縄戦などで命を落とした人々の名前である。72年前、この地で何があったのか。悲惨な戦争の記憶をしっかり語り継ぐ必要がある。
 「平和の礎」は戦後50年の1995年に完成した。今月92歳で亡くなった大田昌秀元県知事が建設した。戦没者には遺品も遺骨もなく、どこで死亡したのか分からない人も少なくない。戦火で全てを奪われた中で、刻まれた名前がその人の生存した証しになれば、との思いが大田さんにはあったという。
 大田さんは師範学校在学中に学徒隊として動員され、九死に一生を得た。沖縄戦では県内21の中等学校全てから生徒が動員され、男子は物資運搬や陣地構築に、女子は看護などに従事した。県の記録では約2千人のうち半数が短い生涯を散らしている。
 「将来を背負って立つはずの10代の生徒が、人生のつぼみのまま犠牲になったのが悔しい」。大田さんはそう語っていたという。
 「8・15」や広島、長崎の日とともに、沖縄の慰霊の日を「不戦の誓い」を新たにする大切な日として継承していきたい。
 戦争は72年を経た今も、沖縄に不条理を突きつけている。昨年末、在日米軍北部訓練場のうち約4千ヘクタールが返還されたとはいえ、米軍専用施設の約70%が集中している。
 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題は沖縄県と政府の対立が続き、4月にはついに国が移転先とする名護市辺野古で工事が始まった。米軍の新型輸送機オスプレイの危険性への不安も、昨年の不時着で募っていよう。
 そうした痛みや悔しさを、本土の側はどれだけ理解しているだろうか。
 追悼式の平和宣言で翁長雄志知事は、米軍絡みの事件や事故が相次いでいると指摘し、基地負担軽減を訴えた。政府の辺野古移設工事は「容認できない」と批判した。
 一方の安倍晋三首相は北部訓練場返還などをアピールしたが、政府として対話を進める意志はないようだ。だがそれでは対立は解消すまい。
 沖縄が歩んできた歴史と現実にどう心を寄せるかは、私たちにも問われている。


艦載機移転の容認表明 住民の不安、拭えぬまま
 米海兵隊岩国基地(岩国市)へ空母艦載機が移転する計画を巡り、岩国市の福田良彦市長が移転を容認する考えを示した。住民説明会や市議会一般質問を経ての表明である。条件としていた米軍再編交付金の拡充について国の前向きな回答が得られた、と判断したのだろう。
 移転計画は日米両政府が2006年に合意した在日米軍再編の柱の一つだ。米海軍厚木基地(神奈川県)からFA18スーパーホーネットなど計61機を、7月から来年5月にかけて段階的に移す方針であり、岩国の所属機は約120機と倍増する。
 核・ミサイルを手放さないまま挑発を続ける北朝鮮を震源に、朝鮮半島情勢はかつてなく緊迫している。それだけに、艦載機移転によって米空軍嘉手納基地(沖縄県)に匹敵する米軍航空基地が誕生することについては憂慮せざるを得ない。
 基地の機能を強化すればするほど、ミサイルなどの目標になる可能性は否めないのではないか。周辺の市や町を含め、住民が巻き添えになるような不測の事態があってはなるまい。
 本来、在日米軍再編については岩国だけが先行することはないはずだ。艦載機移転の受け入れには、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設の見通しが立つという前提がある。
 この普天間の名護市辺野古への移設には沖縄では根強い反対があり、きのうも翁長(おなが)雄志(たけし)知事が「工事を強行している現状は容認できない」と断言した。従って福田氏が5月に沖縄を訪問し「客観的に状況を判断すると見通しは立っている」と述べたことには納得がいかない。
 7月以降に配備を始めるという国が示した移転スケジュールに合わせた判断なのか。住民からすれば問題が山積しているにもかかわらず、「日米同盟の深化」を優先させるすさまじい圧力があると想像できよう。
 福田氏はきのう「私には住民の安心や安全を確保し、良好な生活環境を維持するという責務がある。国や米軍と毅然(きぜん)として向き合っていかなければならない」と述べた。容認へかじを切った、自らの政治責任を重く受け止めた発言と捉えたい。
 艦載機移転に伴い、基地と隣り合わせで暮らしてきた住民にとっては、米軍機による騒音被害と事故の問題にさらに直面することになりはしないか。
 岩国基地は滑走路沖合移設で騒音が一定に軽減されたものの、裁判所から日本政府に賠償命令が出るような「違法状態」になお置かれている。基地周辺はもちろん、遠く離れた訓練ルートの飛び方や騒音がどうなるかは見通せない。さらに飛行訓練が隣の広島県や島根県にも懸念材料を与えている。
 「いくら安心・安全対策と言っても、最後は日米地位協定でほごにされる」という声が岩国市の住民説明会で出た。地位協定の見直しは市も求めているものの、抜本的な解決に至っていない。国には米政府への強い対応を求めたいところだ。
 市は見返りとして地域振興策への財政支援を引き続き国に求めていくとみられるが、基地との「共存」が基地への「依存」に傾斜しないよう、スタンスを定めるべきだろう。今後、米軍により住民の安心・安全を脅かす事態が起きた場合は、毅然とした姿勢で臨んでもらいたい。


厚木基地返還の機会に 米空母艦載機 岩国市が移駐容認
 負担は軽減されるのか−。厚木基地(大和市、綾瀬市)を拠点とする米空母艦載機について二十三日、岩国基地がある山口県岩国市が移駐を容認すると表明した。周辺への騒音の元凶となってきた厚木基地の艦載機六十一機が、早ければ七月から来年にかけて岩国に移り、軍人や軍属ら三千八百人も移住する。地元の綾瀬市は基地返還につながることを期待している。 (井上靖史)
 「艦載機の移駐が進み、軍人も移住するのだから基地の機能は縮小すると、われわれは見ている。終戦に伴う(米軍の)基地の接収後、初めての機会。返還の議論を始めたい。返してもらって土地利用したい」。綾瀬市の古塩政由市長はこれまでの記者会見でそう述べてきた。
 五百七ヘクタールある厚木基地のうち、綾瀬市域は三百九十五ヘクタール。基地南西の遊具などが並ぶ余暇ゾーン「ピクニックエリア」の一部計約一一・七ヘクタールが一九七一〜七七年に返還され、現在の綾北(りょうほく)中学や光綾(こうりょう)公園などになったが、以降返還はない。
 大和市域でも七一〜七七年にイーストキャンプや大和ポンプ場エリアの計約十四ヘクタールが返還され、現在の引地台公園や市消防署柳橋出張所などになっているが、返還はそれっきりだ。
 古塩市長は返還の必要性として、艦載機の移駐に伴って基地関連の交付金が減額される可能性があることも理由に挙げる。
 現在、騒音などへの“迷惑料”や、基地から固定資産税を徴収できない手当てとして毎年、綾瀬市に二十数億〜三十億円ほど、大和市には十数億〜二十億円ほどが交付されている。両市とも小児医療費の助成などソフト事業にも充ててきた。
 騒音などの負担が減れば、交付金も減らされるとみる古塩市長は「市民サービスを維持するには代替財源を探すしかないが、一つは土地を返してもらって利用することだ」と指摘する。
 綾瀬市では年二度の国への要望活動で、米軍住宅がある西門南側地区の五ヘクタールを返還してほしいと具体的に挙げている。新たにできる東名高速の綾瀬スマートインターとの接続を円滑にする道路整備につなげる構想を描いている。基地西側のピクニックエリアとゴルフ場地区の計四十五ヘクタールについても市民も使えるようにしてほしいと求めている。
 ただ、返還の見通しは現時点では立っていない。二十三日に厚木基地で取材に応じたジョン・ブッシー基地司令官(49)は「艦載機移駐後も、厚木は重要な基地であり続け(機能や必要性の)縮小という言葉は当てはまらないのではないか」と述べた。
 防衛省南関東防衛局の担当者も同市が返還を求めている米軍住宅のエリアについて「新しく建て替えたばかりの住宅も、とびとびである」とし、まとまった敷地として返還できそうな区域を見つけにくいとしている。
 米軍の法的地位などを定めた日米地位協定では、米側に返還を視野に基地の必要性を常に検討するよう求めている。最近の県内では、米陸軍基地「キャンプ座間」(相模原市、座間市)の座間市域約五・四ヘクタールが二〇一六年に、同「相模総合補給廠(しょう)」(相模原市)の十七ヘクタールが一四年に、日本政府に返還された事例などがある。
 <厚木基地の米空母艦載機> 米海軍横須賀基地(横須賀市)を事実上の母港とし米国外に唯一配備されている原子力空母ロナルド・レーガンに搭載されて一緒に活動する航空機やヘリのこと。空母が横須賀に入港する直前に空母を離れ、厚木基地に飛来する。空母の入港中は厚木基地を拠点に訓練し、離着陸や飛行によって周辺に深刻な騒音を生じさせてきた。岩国へはヘリ以外のFA18戦闘攻撃機など61機が移駐する。厚木基地は米軍に加えて海上自衛隊が共同使用しており、海自の哨戒機など航空機約50機の配備も継続する。


受動喫煙防止/先送りでけむに巻くのか
 通常国会が閉会した。「共謀罪」法の強行成立や加計学園問題を巡る与野党攻防の影で、日の目を見ずに終わった法案も少なくない。
 その一つ、受動喫煙防止策を強化する健康増進法改正案は提出すらされず、先送りされた。
 例外的に喫煙を認める飲食店の線引きを巡り、厚生労働省と自民党が対立したためだ。特に自民党のたばこ議員連盟の抵抗は激しかった。国民の健康を守るため、という法改正の趣旨を見失っているとしか思えない。
 厚労省は、約30平方メートル以下の小規模なバーやスナックに限って喫煙を認める考えだった。これに対し自民党議連は、対象を150平方メートル以下まで広げ、「分煙」「喫煙」を店頭表示すれば業態に関係なく喫煙を認める独自案を示し、譲歩を迫った。
 自民案では、「屋内全面禁煙」の世界標準からみれば緩い厚労省案がさらに骨抜きになる。受動喫煙対策の体をなさず、到底容認できない。
 受動喫煙対策を議論する党の部会では、職場のたばこの煙に苦しむがん患者に関して「(がん患者は)働かなくていい」とやじを飛ばした議員がいた。その無神経さは「嫌なら店に入らなければいい」と言わんばかりの自民党案の発想にも通じるのではないか。
 受動喫煙による健康被害は多くの研究で明らかになっている。日本の死者は年間1万5千人に上り、世界保健機関(WHO)は日本の対策を「世界最低」と批判している。自民党内には「分煙大国でいい」との声があるが、WHOは分煙では煙や化学物質を完全に排除できず、効果がないと指摘している。
 国際オリンピック委員会とWHOは「たばこのない五輪」を掲げ、近年の開催国は屋内全面禁煙を実現してきた。自民党が認識を改めない限り、2020年東京五輪・パラリンピックに間に合わないばかりか、国民は世界最悪の受動喫煙のリスクにさらされ続けることになる。
 安倍晋三首相は通常国会冒頭の施政方針で、五輪成功に向け「受動喫煙対策の徹底」を明言した。いまこそ、国民の健康を守る対策を妨げる“抵抗勢力”を抑え、強力なリーダーシップを発揮してはどうか。


認知症の見守り 地域社会の連携が急務
 超高齢社会の下で、今後も増加が予想される認知症の人をどう守っていくか。
 行政や地域社会が急いで取り組まなければならない課題である。
 昨年1年間に、認知症かその疑いにより行方不明になったとして、警察に届け出があった人の数は、1万5432人だった。
 前年比で3千人以上もの増加だ。警察庁が2012年に集計を始めて以来、増え続けている。
 事故に遭うなどして亡くなった人も、500人近くに上った。
 認知症の人は全国で500万人を超え、25年には700万人に達すると推計される。
 単身で暮らす高齢者も増えている。家族だけ、施設だけ、行政だけの対応には限界がある。
 これらが相互に連携して、地域ぐるみで高齢者を見守る体制を構築しなければならない。
 行方不明者を出さないための仕組みとして期待されるのが、高齢者を地域ぐるみで見守る「SOSネットワーク」だ。
 警察や市町村、医療・福祉機関、住民団体、タクシー会社など企業が連携し不明者を捜し出す。
 1994年に釧路地域で全国に先がけて始まり、今や全国の市町村の6割がこうしたネットワークを構築している。同様の取り組みをさらに広げたい。
 一方、自宅から遠く離れた別のまちで保護される例も少なくない。プライバシーに配慮しつつ、市町村の枠を越えて情報を共有できる体制の整備も求められる。
 注意しなければならないのは、見守りが、ともすると「管理」や「監視」になりがちなことだ。
 外出の機会を必要以上に制限すれば、症状の悪化につながることも懸念される。
 そうならないための支えとして期待されるのが、認知症を理解し、患者や家族をボランティアで支える「認知症サポーター」だ。
 NPO法人「地域ケア政策ネットワーク全国キャラバン・メイト連絡協議会」が実施する養成講習を受ければ、認定される。
 厚生労働省も推奨している。認知症患者に優しい社会づくりの後押しになろう。
 行方不明を防止するための、日常の準備も大切だ。
 持ち物や衣服で氏名や連絡先が分かるようにするほか、衛星利用測位システム(GPS)搭載の靴やアクセサリー活用も考えたい。
 交通事故に遭わないよう、蛍光色の服の着用や、反射板の装着なども積極的に取り入れてほしい。


期待膨らむ新星の活躍/藤井四段快進撃
 県内をふくめ全国の将棋ファンが、14歳の新星に注目している。
 最年少の中学生棋士・藤井聡太四段だ。昨年12月のプロデビュー以来、負け知らずの快進撃を続け、歴代最多タイの28連勝を達成した。
 関心はもはや将棋ファンの間だけにとどまらない。関連グッズが売り上げを伸ばすなど「藤井フィーバー」が巻き起こっている。
 トップ棋士がコンピューターに屈する時代になったが、人間同士の対局の魅力は失われず、多くの人の心を動かすことを示した意義は大きい。
 人工知能(AI)やロボット技術の発達によって人間が仕事を奪われる未来が予測されているが、将棋ソフトを使った研究やネット対局で力をつけ、人間らしいドラマを見せてくれる新しい世代の活躍におおいに期待したい。
 藤井四段は中学生でプロ入りした史上5人目の棋士だ。加藤一二三・九段の最年少記録を62年ぶりに塗り替えた。デビュー戦でその加藤九段を破り、その後も勝ち星を重ねて、神谷広志八段が1987年に樹立した28連勝の大記録に並んだ。
 これだけ1人の棋士が注目を集めるのは、やはり中学生でプロ棋士となった羽生善治3冠が、96年に初の7冠同時制覇を果たして以来だろう。
 藤井四段の心理面の安定ぶりに驚嘆する人は多い。「記録は意識せず、自然体で指す」と話しているが、なかなかできないことだ。「大局観が素晴らしい」「攻めが強く寄せが早い」「将棋の完成度が高い」などと先輩棋士から称賛の声が上がる。
 昨年来、将棋界はソフト不正使用疑惑で揺れた。三浦弘行九段が対局中のソフト使用を疑われ、出場停止処分を受けたが、その後、不正はないと認められた。この問題で暗雲が垂れこめた将棋界にとって、藤井四段の活躍は願ってもない光明となっている。
 日本の囲碁界トップで、6冠を保持する井山裕太碁聖は人間同士の対局について「心理面が影響するからこそ、極限の状態で下す人間の判断にミスを含めて心が揺さぶられる。今後もその価値が下がるとは思わない」と話す。そうした価値を藤井四段は示してくれているようだ。
 藤井四段は26日、新記録を懸けて次の対局に臨む。結果はどうあれ、将棋界の新たな時代を築く棋士としての成長から今後も目が離せない。


藤井四段の活躍/新しい世代の活躍に期待
 プロデビュー以来、無敗の最年少棋士、藤井聡太四段の快進撃で将棋ブームが起きている。トップ棋士がコンピューターにかなわない時代に入ったが、人間同士の対局の魅力は失われず、多くの人の心を動かすことを示した意義は大きい。
 人工知能(AI)やロボット技術の発達によって人間が仕事を奪われる未来が予測されているが、将棋ソフトを使った研究やネット対局で力をつけ、人間らしいドラマを見せてくれる新しい世代の活躍を、将棋ファンならずとも参考にしたい。
 藤井四段は中学生でプロ入りした史上5人目の棋士だ。加藤一二三・九段が持っていたプロ入り最年少記録を62年ぶりに塗り替えた上、その加藤九段を破ってデビュー戦を飾った。デビュー後の連勝記録だった10連勝を書き換え続け、連勝記録の最多タイの28連勝を達成した。
 1人の棋士の活躍がこれほど話題をさらうのは、羽生善治3冠が、1996年に初の7冠同時制覇を果たして以来だろう。当時と比べ、情報技術の発達で将棋を取り巻く状況は大きく変わった。
 ネット対局の普及で、遠隔地にいる相手と容易に対局できるようになった。またソフトが発達し、人間は歯が立たなくなった。棋士の存在意義を問う声が出る一方、積極的にソフトを研究に活用する棋士も多い。
 藤井四段の心理面の安定ぶりには驚嘆する人が多い。「記録は意識せず、自然体で指す」と繰り返し話しているが、なかなかできないことだ。本人の性格や努力によるのだろうが、ソフトの活用によって集中力が鍛えられる面があるのかもしれない。
 将棋ソフトが現役のプロ棋士に初めて勝ったのは2013年。その後、着実に強くなり、人間に対する優位が確定したのは今年4月〜5月に行われた佐藤天彦名人とソフト「PONANZA(ポナンザ)」の2番勝負だ。将棋界で最も伝統のある名人が完敗し、将棋ファンからは落胆のため息が漏れた。
 昨年来、将棋界はソフト不正使用疑惑で揺れてきた。三浦弘行九段が対局中のソフト使用を疑われ、出場停止処分を受けたが、その後の調査で不正はないと認められた。この問題で暗雲が垂れこめた将棋界にとって、藤井四段の活躍は願ってもない光明となっている。
 囲碁は将棋に比べ、強いソフトの作成がはるかに困難で、トップ棋士が負けるのは遠い将来だと長年いわれていたが、やはり人間の敗北が確定した。今年5月下旬、世界最強とされる中国人棋士と米グーグル傘下のAI開発ベンチャーの囲碁ソフト「アルファ碁」が対決した3番勝負で、ソフトが圧勝した。
 6冠を保持する日本の囲碁界トップの井山裕太碁聖は、人間同士の対局について「心理面が影響するからこそ、極限の状態で下す人間の判断に、ミスを含めて心が揺さぶられる。今後もその価値が下がるとは思わない」と話していたが、それを藤井四段は示してくれているようだ。
 囲碁界でも井山碁聖を追う若い棋士たちが台頭してきている。新しい世代の棋士たちが、どのようなドラマを見せてくれるのか。期待して見守りたい。


府省庁天下り調査 疑念は払拭されてない
 文部科学省の組織的天下り問題を受け、内閣人事局が全府省庁を対象に実施していた実態調査の結果が公表された。
 調査では、再就職規制違反が疑われる事例が少なくとも12の省庁で計27件あったことが判明。文科省で問題となった組織的な違反事案は「確認できなかった」としている。
 しかし、人事局は違反が疑われる各事案の内容はもとより、関係する省庁名すら公表しなかった。実態が分からない調査結果では、国民の疑念が払拭(ふっしょく)されるはずもない。
 調査結果を基に、今後は内閣府の再就職等監視委員会が違法性の有無を認定するため事案を調べるという。監視委は詳細に調査し、速やかに天下りの実態を明らかにすべきだ。
 国家公務員法は、官民の癒着を防ぐため現職職員が同僚やOBの再就職をあっせんすることなどを禁じている。この規制に違反した天下りが文科省で組織的に繰り返されていたことが今年1月に問題になり、安倍晋三首相が全ての府省庁を対象に調査するよう指示していた。
 調査では、現行の天下り規制が導入された2008年末以降に再就職したOB6372人に調査票を郵送、5535人から回答を得た。現職の幹部や人事担当者ら280人余りから聞き取りも行ったという。
 その結果、規制違反の疑い事例として再就職に現職職員が関与したケースが25件、再就職者が在職中に利害関係のある団体に求職活動をしたケースが2件の計27件が判明した。
 文科省だけでなく他の省庁でも違法な天下りが行われていたことを疑わせる上、規制が形骸化しつつあることを示す重い調査結果である。それなのに、関係省庁名や現職職員がどう関わったのかなど各事案の具体的な内容を明らかにしないというのは理解に苦しむ。
 山本幸三・国家公務員制度担当相は「まだ疑いの段階であり、監視委で結論が出てから(違反事例の内容が)はっきりする」と言うが、それでは判断の丸投げではないか。監視委の指示で調査した文科省が62件の違反事案を確認し、内容を公表したのと比べると今回の政府の対応は甘いと言わざるを得ない。
 しかも調査には強制力がないため、調査対象のOBのうち800人以上からは回答が得られなかった。全体を網羅できなかったのに、組織的な関与を否定する結論を出したのは疑問だ。調査結果の発表が予定より3カ月近く遅れ、通常国会閉会直前の「共謀罪」法の成立当日に発表した背景にも、野党の追及を避けたいという政府の思惑が透けて見える。
 天下り問題の全容解明には、まだほど遠い。国民の信頼を取り戻すには監視委が今回の調査結果を厳格かつ迅速に調べるのはもちろん、安倍政権も情報開示を徹底して進め、再発防止を図らなければならない。


天下り調査結果 国民の納得を得られるか
 国民の納得を得られるのか疑問だと言わざるを得ない。
 内閣人事局は天下りに関する全府省庁調査の結果を発表した。国家公務員法の再就職規則に違反する疑いがある事例が少なくとも12省庁で27件見つかった。
 だが調査のやり方に甘さが見える。事例の内容を伏せるなど情報開示が不十分だ。これでは全容解明はほど遠いというほかない。
 発表では、再就職に省庁の職員が関与したのが25件で、再就職者が在職中に利害関係のある団体に求職活動をしたのが2件だった。
 今回の調査の契機となった文部科学省のような組織的な違反事案は「確認できなかった」とした。
 解せないのは調査報告書では関係府省庁名や再就職先、関与が疑われる職員名など詳細を明らかにしなかったことだ。
 報告書の大半は調査経過の説明や補足資料が占め、違反疑い事例の概要すら記していない。
 山本幸三国家公務員制度担当相は、内閣府の再就職等監視委員会が今後詳細を調べることを理由に「まだ疑いの段階で、監視委で結論が出てからはっきりする」と説明した。
 最終的な結論を丸投げした格好だ。検証のしようのない報告を出されても、信頼に足る内容とならないのは明らかだ。
 調査方法にも疑念が残る。
 報告書によると、府省庁の人事担当者にOBの再就職を尋ねた回答は「個別の事情は承知していない」「専門的な知識や経験を有しているからではないか」との内容が目立ち、突っ込んだやりとりをした形跡は見当たらない。
 あくまで当事者の回答頼みで、全容解明に向けた意気込みが感じられない。性善説に立ちすぎ、詰めの甘さ、切り込み不足は否めないのではないか。
 政局との絡みが見え隠れするのも気になる。
 山本担当相は文科省のような組織的な違反はなかったと繰り返し強調した。文科省の特異性を際立たせ、問題の幕引きを目指す意図はなかったか。
 学校法人「加計(かけ)学園」の記録文書の存在を認めた前川喜平前文科事務次官と政権との確執も重なって映るようだ。
 調査結果は加計文書再調査と同じ15日に公表された。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の成立直後だった。
 国会閉会間際に懸案を一掃する首相官邸の戦略との見方が正しいのだとしたら言語道断だ。
 報告書は再発防止策として再就職届け出制度見直しなどの列挙にとどまった。天下りにつながるとされる官僚の早期退職をやめる抜本的改革も必要だろう。
 安倍晋三首相は違法な天下りに関して「根絶にしっかり取り組む。必要なことはなんでもやる」と国会で述べた。
 天下りが厳しく規制されたのは官製談合事件などを受け、官民癒着の温床につながるとの批判が高まった経緯を忘れてはならない。
 公平、公正な社会の実現のために、首相は国民との約束をしっかりと果たすべきだ。


豊洲移転◆築地跡地の再開発は慎重に◆
 東京都の小池百合子知事が、「日本の台所」とも称される築地市場を、豊洲市場へ移転させる方針を発表した。昨年8月の就任直後、「立ち止まって考える」として移転をストップしてから、移転の決断まで時間がかかったことは否めない。
 小池知事は、豊洲の地下水の安全性が確認されれば移転を判断するとみられていた。だが、今年1月に環境基準を大幅に上回る汚染が見つかったことなどから、移転を早期に表明するシナリオが狂ったとも分析できる。
風評被害対策を怠る
 もともと土壌汚染があった東京ガス工場跡地に、市場を移転すること自体にリスクがあった。このため都側が無害化を約束し、移転同意を取り付けた経緯がある。対策をしたが無害化はできなかったとして、小池知事が謝罪したのは、都行政のトップとして当然の責任だと言える。
 ただ、汚染によって「豊洲が危ない」とする風評が広がったのは、環境相を経験した知事としてはいただけない。地下水を市場で使うわけではなく、汚染が残っていることと、豊洲市場の安全性には、あまり関係がないことは分かっていたはずだ。
 消費者の安心を得るため、科学者や行政も含めた幅広い対話を進めて市場の安全性を確認するなど風評被害を抑える努力をもっとすべきだった。
 知事が明らかにした方針で、首をかしげるのは築地市場跡地の再開発だ。これまでの売却方針を撤回し、競りなど市場機能を持たせた「食のテーマパーク」として5年後をめどに整備するという。
 豊洲市場は約6千億円をかけて整備され、追加の汚染対策も施す。さらに年間100億円近い赤字が見込まれる。この穴埋め策を探すという問題意識は分かる。だが豊洲と築地の二つの市場が両立するかは、慎重な分析が必要だ。
反対派へ政治的配慮
 現在の築地でも、産地直送が広まり魚の取扱量は減っている。外国人観光客が市場を見学することは観光の目玉だろうが、衛生面を考えれば限定的であるべきだ。
 知事は築地ブランドを強調するが、場所がブランドではない。築地に出荷するため行う漁師らの魚の処理に始まり輸送、築地での卸売りと仲卸の業者による魚の丁寧な取り扱い、そして東京での食事までのトータルがブランドを形成する。築地に施設を造れば観光客が集まるわけではない。
 小池知事が示した「築地は守る、豊洲を生かす」は、23日告示の都議選に向けたキャッチフレーズのように映る。移転反対派に対する政治的な配慮と言えるだろう。
 小池知事は地域政党「都民ファーストの会」代表として都議選を戦う。都議選後、議会でもこの移転方針が焦点となる。東京の未来を描くような骨太の議論によって、実現可能性が高い築地再開発になることを期待したい。


韓国の脱原発 福島が教えてくれた
 隣国の脱原発。福島の教えに従って原発の寿命を守って漸次、再生可能エネルギーへの転換を図りつつ、廃炉ビジネスなどで市場をリード−。容易ではないだろうが、堅実な前進を望みたい。
 文在寅(ムンジェイン)大統領の「脱原発宣言」は、釜山市郊外にある古里(コリ)原発1号機の「永久停止宣言式」で飛び出した。韓国初の原発運転終了だった。
 古里1号は、一九七八年に運転を開始した韓国で最も古い商業用原子炉だ。かつて「漢江の奇跡」といわれた経済発展の象徴的な存在だった。時代が変わる。
 韓国国内で稼働中の原発は二十四基になった。総発電量に占める割合は約30%と、まだ高い。
 朴槿恵・前政権は、原発の増設と海外輸出に積極的で、二〇二九年までに三十六基に増やす計画だった。
 これに対して文大統領は「(原発の割合を)三〇年までに18%に引き下げる」と、脱原発依存を掲げて五月の選挙を勝ち抜いた。
 大統領は「進行中の新規建設計画はすべて白紙化し、稼働中の原発も設計寿命を超える延長はしない」と明言。五年前に三十年の設計寿命を終えたあと、十年の運転延長に入った慶州市の月城(ウォルソン)原発1号機に関しても「できるだけ早く閉鎖する」と述べている。
 風力や太陽光など再生可能エネルギーが占める割合は、現在5%程度だが、三〇年までには20%台に引き上げる方針で、脱原子力、脱石炭の工程表の提示を急ぐという。廃炉産業で世界の先頭に立ちたい“野心”もある。
 文大統領は「福島の事故が、原発が安全でも安くもないことを明白に示している」と語っている。昨年九月、原発のある慶州も強い地震に襲われた。人口密集地の近くに多いのが、韓国の原発立地の特徴だ。
 釜山市長も新設中止に賛意を示している。
 台湾でも一足早く、福島の教訓に従って、新政権が脱原発にスイッチを切り替えた。未来を見通す政治家ならば、福島の教訓→生命最優先→脱原発依存→再生エネへの転換という大きな流れに乗る方が、むしろ自然なのではないか。
 ところが福島のあるこの国が、教訓を生かせず、流れに乗りきれず、次に原子力規制委員になる人が「寿命延長」を公然と支持するような逆行をほのめかすのは、なぜだろう。隣国の変化を見守りながら、よく考えてみたいと思う。


中核派と革マル派はそれぞれ約3000人、オルグの場は今も大学
 セクト、内ゲバ、アジビラ、オルグ……半世紀も前の学生運動の時代を、いまだに生きている活動家たちがいる。46年間逃げ続けた中核派メンバーの逮捕劇から、過激派新左翼の「現状」が浮かび上がってきた。
「渋谷暴動事件」──。おそらく60代以上でないと、ピンとこない事件であろう。1971年に沖縄返還協定を巡って、中核派を主とする学生らが渋谷で暴動を起こし、機動隊員の中村恒雄警部補(当時21)がガソリンをかけられて焼き殺された事件である。その実行犯とされた中核派メンバーの大坂正明容疑者(67)が、去る5月18日、広島市内のマンションで大阪府警によって逮捕された
 中核派や革マル派といった新左翼が誕生したのは、50年以上も前の話である。日本共産党の穏健路線などに疑問を抱いた若い共産主義者らが、あくまで武力闘争を主張し創設したのが革共同(革命的共産主義者同盟)だ。
 既存左翼を否定したので、新左翼と呼ばれるが、革共同から1963年までに3度の分裂を経て誕生したのが、中核派と革マル派である。1960〜70年代の全盛期には、両派の活動家は数万人いたと推定されている。
 しかし、両派は運動の行き詰まりから内ゲバを繰り広げるようになり、数百人にものぼる犠牲者を出した。なかには、無関係な人が間違われて襲われて命を落としたケースもある。本来の目的から逸脱した闘争によって求心力を失い、運動は急速に萎んでいく。50年あまりの年月を経て、両派の現状はどうなっているのか。
「機関紙の発行部数などから推計すると、中核派と革マル派はシンパも含め、それぞれ約3000人。もうひとつの新左翼団体である革労協は100〜200人で、あと10年もすれば消滅すると囁かれている。中核派と革マル派も高齢化という問題を抱えているのは同じで、メンバーの中心は50代〜60代だが、革労協に比べるとまだ組織維持に成功している。
 革マル派のオルグの場は大学で、いまだに一部の大学に自治会やサークルなどの“拠点”がある。中核派もかつては法政大学の自治会を拠点にしていたが、大学側が自治会を解散させたため、近年はいくつかの大学構内や反原発集会でリクルートする手法にスライドしている」(公安関係者)
 最初は正体を明かさずに「戦争法案はおかしいと思わないか」「共謀罪には問題がある」などと声をかけ、興味を示したら集会やデモに誘う。メンバーになると確信できる段階になって初めて正体を明かす。オルグの手法は昔と全く同じだ。だが中核派は近年、武装闘争路線から“公然活動”にシフトしつつあるという。
「中核派は反原発を掲げる学生団体『NAZEN』を創設し、福島県内に拠点として診療所を設置するなど、反原発を前面に出し、反安保、改憲阻止、環境問題、貧富格差是正などを訴える市民団体にも浸透をはかっている。ただ、一昨年夏の安保法案反対の国会前デモでは、中核派の学生が参加しようとしたところ、学生団体のSEALDsから排除されるなど成果は乏しい」(前出・公安関係者)
 一方の革マル派はどうか。
「革マル派は思想的にも組織力においても、それなりの“強度”を維持している。最も違うのは資金力で、純粋培養度が薄まった中核派にはカンパも集まらなくなっているが、革マル派には今も労組系からカンパが集まっている」(同前)
 革マル派には専従活動家が約200人いて、そのうち約100人が、対立する他セクトや警察などの情報収集を担う非公然部隊『情報調査部(INF)』である。24時間体制で警察無線を傍受し、公安幹部の人事情報や自宅住所を割り出したりしていることが過去の捜索などで判明している。高齢者と呼ばれる歳になっても、革命の夢を捨てていないのだ。


「取り調べ可視化」で冤罪防げるか 自白場面の映像分析、無罪勝ち取った弁護士に聞く
2019年6月までに施行される改正刑事訴訟法では、裁判員裁判対象事件と検察独自捜査事件について、逮捕・勾留された被疑者に対する取り調べの全過程での録音・録画が義務づけられている。この法改正による冤罪防止効果には懐疑的な見方も少なくないが、取り調べの可視化を冤罪防止に生かすにはどうすればいいのだろうか。
取り調べで被告人が自白した場面のみが録画されていた放火殺人事件の裁判で無罪判決を勝ち取った弁護士に話を聞いた。(ルポライター・片岡健)
●最初は弁護人も自白が本当だと思っていた
話を聞いたのは、広島弁護士会の那須寛弁護士(写真中央)、芥川宏弁護士(同左)、和田森智弁護士(同右)の3人。2012年12月に広島市の老人介護施設で火災が発生し、火元の部屋で寝たきり状態だった80代の女性入所者が焼死した事件で、3人は放火殺人及びこれとは別の窃盗の罪に問われた介護福祉士の女性の弁護人を務めた。
女性は捜査段階に「被害者の布団にライターで火をつけた」と自白していたが、2014年6〜7月に広島地裁であった裁判員裁判で無罪を主張。公判中に法廷で再生された取り調べの映像では、女性は自ら積極的に罪を認めていたが、裁判官と裁判員は放火殺人に関する女性の自白について、「信用できると判断するには疑問が残る」として放火殺人につき無罪を宣告し(窃盗については争いはなく有罪)、検察官が控訴せずに第一審のみで確定した。
――取り調べはどの程度、可視化されていたのでしょうか。
芥川「女性は2013年1月17日の早朝に警察に任意同行され、取り調べ開始から1時間16分後に放火殺人を自白し、夜の11時過ぎに逮捕されました。警察はそれから2月1日に女性が鑑定留置されるまで連日取り調べを行っていますが、録画したのは逮捕直後に、弁解録取書をつくった際に17分、自白調書2通をつくった際に6分と5分だけでした。検察官は合計で8時間近く行った5回の取り調べをすべて録画していました」
那須「警察では、彼女が取り調べ中にどんなことを言っていたのかをメモしていましたが、このメモも開示されました。以前だと取り調べメモは開示されませんでしたが、現在は開示されるようになっていて、これも一種の取り調べの可視化ですね」
――女性の自白が嘘だとすぐにわかったのでしょうか。
那須「女性が『本当はやってないんです』と初めて話してくれたのは、大阪で鑑定留置されてからでした。我々弁護人もそれまでは彼女の自白が本当だと思っていました」
和田森「何度も捕まったことがある人は別ですが、そうでない被疑者は警察、検察、弁護人の区別がつかないことがあります。警察も検察も弁護人も自分に聞いてくるのは事件のことばかりだからです。彼女も当初、弁護人のことを捜査機関側とは違う立場の人間だと認識できず、世話係のような人だと思っていたそうです」
那須「そして起訴後に開示された証拠を見ると、布団の燃え方や枚数が自白内容と全然違っていました。本人に『本当はやっていないんです』と言われ、そういう目で証拠を見たからこそ、そういうことに気づいたのです」
芥川「彼女は自白調書で『ライターで布団に火をつけ、犯行後はそのライターを施設内の自動販売機横のゴミ箱に捨てた』と供述していたのですが、そのライターも見つかっていませんでした。火災鑑定の専門家に証拠を見てもらっても、やはり燃え跡や着火方法が自白内容と合わないという意見でした」
●無罪を取れたのは供述心理学者の鑑定が大きかった
――取り調べの映像はどうだったのでしょうか。
和田森「録画は取り調べ中だけではなく、彼女が取り調べ室に入室するところから退室するところまで行われていて、取り調べの前後に取調官と彼女が雑談をする場面も映っていました。脅されて自白しているような場面はありませんでした」
芥川「彼女の自白は大きく分けると3段階で変遷していて、最初は『被害者の部屋のカーテンがどれくらい燃えるかを知りたくて火をつけた』、次に『セクハラをする同僚の男性看護師への腹いせから被害者の布団に火をつけた』、そして最終的に『寝たきりの入所者が1人でもいなくなればいいという思いから被害者の布団に火をつけた』という内容になっていました。取り調べの映像では、彼女は自ら積極的に話し、後の内容のほうが正しいと話していました」
那須「途中、彼女が罪を認めながら涙を流す場面もありました。この映像を最初に観た時は正直、自白の任意性、信用性を否定するのはきついと思いました」
――そんな映像で自白が嘘だと裁判官や裁判員にわかってもらえた要因は?
芥川「供述心理学者の村山満明教授(大阪経済大学)に自白を鑑定してもらったのが大きかったです。具体的には、取り調べの映像(DVD)や自白調書、取り調べメモ、それから弁護人が接見の際にとっていたメモを渡し、分析してもらいました」
那須「たとえば、彼女の自白内容の変遷について、検察官は『最初は罪を軽くすべく有利になるように嘘を言い、次第に真実を打ち明けたからだ』と主張しましたが、村山教授の分析によりそうではないとわかりました。
彼女の自白はむしろ不利な内容から有利な内容に変わっていたり、部屋の電気をつけたか否かやカーテンを閉めたか否かなど罪の重さに関係ない部分も変遷していたのです。村山教授は彼女の自白の変遷を『真犯人の自白の変わり方ではない』『迷走している』と評価しましたが、判決でもそう評価してもらえました」
●映像を観れば一目瞭然という発想は危険
――女性はなぜ、積極的に嘘の自白をしたのでしょうか。
和田森「無実の人は『いま自白しても裁判で真実は明らかになるだろう』という思いがあり、刑罰を受ける未来を現実的に想像できません。そのため、取調官から追及され続ける中、ともかく解放されたいという思いから自白するのです。そして罪を認めると、取調官も機嫌が良くなるため、険悪な雰囲気に戻りたくないという思いから自白を覆せなくなります」
那須「そして無実の人も一度自白してしまうと、取調官にヒントをもらいながら、客観的状況に合うようなストーリーを積極的に供述していきます。取調官が納得する自白をしないと、怒られて振り出しに戻るからです。そういう知識は今回の事件以前からありましたが、彼女の自白を村山教授に分析してもらい、そういうことを改めて強く感じました」
芥川「裁判では、村山教授の証人尋問が認められ、そういう供述心理学的なことを法廷で裁判官や裁判員に直接説明してもらえたのも大きかったです。弁護人が法廷で同じことを語るだけでは、『しょせんは弁護人の主張に過ぎない』としか思ってもらえないですから」
和田森「裁判官や裁判員が村山教授の説明を聞くことなく、あの取り調べの映像を観ていたら、彼女が本当にやったことを自白していると思ったかもしれませんね。『こうだから、こうしました』と理路整然と犯行を供述していましたから」
――改正刑訴法では、対象事件は限られますが、逮捕・勾留された被疑者の取り調べを全面的に録画することが義務づけられています。
那須「取調官が被疑者を自白させるために使ってきたあの手この手が使いにくくなるはずですから、虚偽の自白が減る可能性はあるでしょう。また、我々は今回の事件で彼女の自白内容が変遷した経緯などは取り調べメモからわかりましたが、映像があれば、もっと具体的にわかったと思います。無実の人が虚偽の自白をした場合も発見しやすくなるでしょう」
芥川「ただ、今回の事件でも彼女は逮捕前の任意捜査で、警察官に窃盗罪を追及され、その罪悪感を利用されるなどして虚偽自白をしています。取り調べが全面的に可視化されても、捜査官が見えないところで被疑者に何かをする可能性は永遠につきまといます。それと、取り調べの映像をどう読み解くかという問題も残ります」
和田森「一般の人が裁判員として取り調べの映像を観ることになった場合、映像を額面通りに受け止めてはいけないということは最低限知っておいてもらいたいです。真犯人が本当に自白している場合もあれば、無実の人が色んな経緯があって自白している場合もあります。映像さえ見れば、自白が本当か嘘かは一目瞭然だろうという発想は危険です」
【プロフィール】片岡健(かたおか・けん)ルポライター。1971年生まれ。大学卒業後、フリーのライターに。全国各地で新旧様々な事件を取材している。編著に「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」(鹿砦社)。広島市在住。


海老蔵 会見から一夜明け「かなしさ、さみしさがより現実的に」麗禾ちゃんはママに寄り添う
 歌舞伎俳優の市川海老蔵(39)が、妻の小林麻央さん(享年34)が乳がんで亡くなったことを明らかにした会見から一夜明けた24日朝、自身のブログを更新。愛妻を失った悲しみをあらためてしたためたほか、長女・麗禾ちゃん(5)が、眠っている麻央さんに寄り添っている様子を明かした。
 いつもとかわらず「おはようございます」とのエントリーで投稿した海老蔵。自主公演「ABKAI 2017〜石川五右衛門 外伝 〜」午後の部の出演を終えた直後のブログでは「お客様に感謝です。なんとか今日過ごせました」と気丈につづっていたが、一夜明けたこの日朝は「かなしさ、さみしさがより現実的になっていく朝です」と、麻央さんのいない、深い悲しみを言葉にした。
 また直後の投稿では、麗禾ちゃんの様子も明らかにした。麻央さんが眠っていると思われる部屋で麗禾ちゃんが毛布にくるまり横になっている画像を掲載し「まおのところへ。部屋は寒いのですが、布団をかぶり少しでも長くママのそばにいたいと」。前日の会見では、麻央さんが亡くなった22日夜、麗禾ちゃんが麻央さんのそばを離れず寝ていたことを明かしたが、この日も母親に寄り添っていることを伝えた。

サイテーな豊田真由子/Wやっと来た/名字が・・

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Le bébé panda né au zoo de Tokyo est une fille !
Au centre de toutes les attentions, le bébé panda né au zoo de Tokyo le 12 juin dernier est une fille, qui se porte bien. Sa naissance est la première depuis 5 ans au Japon.
Le zoo de Tokyo où est né le 12 juin un bébé panda, une première depuis cinq ans dont tout le Japon s'est réjoui, a annoncé vendredi qu'il s'agissait d'une femelle, apparemment en bonne santé.
Le sexe, très difficile à déterminer chez les petits pandas, a pu etre confirmé sur la base de photos envoyées à un centre de recherche spécialisé en Chine, patrie de ces populaires animaux, a précisé un porte-parole du zoo d'Ueno.
293,9 grammes
Le nourrisson, au fin pelage blanc et gris-noir sur une peau rose, ressemble pour l'heure plus à un petit rongeur qu'à l'imposant ursidé noir et blanc qu'il deviendra. D'une taille de 17,6 centimètres et d'un poids de 283,9 grammes, cette fillette panda semble en forme et boit le lait de sa mère, Shin Shin, 11 ans pour 110 kg.
≪ Elle a commencé à avoir de la fourrure noire autour des yeux et à d'autres endroits du corps ≫, a détaillé le représentant du zoo, aux petits soins pour cette nouvelle venue tant attendue.
Shin Shin et Ri Ri
Shin Shin a quant à elle repris ses activités habituelles, mâchonnant tranquillement du bambou non loin du père, Ri Ri.
Le bébé, qui n'a pas encore de prénom, est le premier panda géant à naître dans ce lieu depuis l'arrivée d'un autre petit de Shin Shin en 2012, un événement inédit à Ueno en 24 ans. Mais la joie avait alors été de courte durée : il était mort de pneumonie six jours après sa naissance. Le directeur du zoo de l'époque en avait fondu en larmes.
フランス語
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驚きを通り越してあきれるというかもはや言葉がありません.さすがアベちゃんの自民党.サイテーな豊田真由子は議員辞職したほうがいいかと思います.
夕方Wやっと来ました.月曜日に約束をしてお別れ.
質問に来た人の名字が,あの人と同じでした.

豊田議員「この、ハゲェーー!」はヘイト 薄毛に悩む人々「報道もう止めて!」
「この、ハゲェーーーーーーっ!」。豊田真由子衆院議員(42)が男性秘書に浴びせたとされる暴言がニュース番組などで繰り返し放送されたことに、薄毛に悩む男性が精神的なダメージを受けているようだ。
実際、ツイッターやネット掲示板には、「もう聞きたくない」「勘弁して...」と嘆く声が相次いでいる。さらに、薄毛の学生が集まる早稲田大学の非公認サークルは、豊田議員の「ハゲ」発言に対する抗議声明をツイッターで発表。現職議員による「衝撃発言」が、思わぬ形で波紋を広げている。
繰り返し流される「絶叫報道」
豊田議員の男性秘書への暴言・暴行を報じたのは、2017年6月22日発売(首都圏など)の「週刊新潮」だ。元秘書の男性(55)の告発をもとにした記事で、同誌のウェブ版にはこの男性が録音したという音声データの一部が公開されている。
5月20日夜に録音されたというこの音声データには、豊田議員とみられる女性が、
「この、ハゲェーーーーーーっ!ちーがーうだろぉーーーー!」
などと絶叫する様子がおさめられている。なお、豊田議員は今回の報道を受け、6月22日夕、所属していた自民党に離党届を提出したと報じられている。
こうした「絶叫音声」は、週刊新潮が発売された22日以降、各局ワイドショーやニュース番組で繰り返し放送された。これにうんざりしている様子なのが、薄毛に悩む男性たちだ。実際、ツイッターやネット掲示板には、今回の「ハゲ」発言がテレビで何度も取り上げられることに対し、
「昨日から豊田真由子の『このハゲ〜ッ!』という罵声を昼となく夜となくテレビから浴びせられてアタマにきてる!もういい加減報道を止めてくれないか?」
「TVから『このハゲ〜!』と聞こえてくると、何だかなぁ。 後頭部薄くなってきたし...」
「ハゲ〜!をテレビで連呼されると少し傷つく」
「テレビから『このハゲーーーーー!!!!!』って聞こえてくるようになった。ビクッ!!!!!てするからやめて」
といった声が相次いで上がっている。
早大サークル「これはある種のヘイトスピーチ」
薄毛の学生が集まって結成したという早稲田大学の非公認サークル「早大増門会」は22日未明、「豊田真由子議員の発言に対する抗議声明」と題した文書をツイッターで公開した。
同サークルは16年4月に創立。17年6月現在、22人の現役大学生が所属しており、通常は「育毛研究や発毛研究、ハゲの人権回復運動」などの活動をしているという。今回の声明では豊田氏の発言について、
「全国の薄毛や抜け毛に悩む、いわゆるハゲと呼ばれる方々の実情と心証を全く無視した発言であり、彼らは深い悲しみと憤りを憶えたに違いありません。これはある種のヘイトスピーチであり、豊田真由子衆院議員は国民の代表たる政治家としての資質に著しく欠如していると言わざるを得ません」
と厳しく非難。その上で、(1)豊田議員の謝罪と発言の撤回、議員辞職(2)各政党における再発防止策の徹底(3)薄毛への差別徹底などのための早急な法整備――の3点を要求している。
いったいなぜ、こうした声明を発表したのか。同サークルの広報担当者はJ-CASTニュースの取材に、
「第一報を確認した会員から『これはハゲを侮辱しているのではないか』と通報がありました。それを受けて会内で協議を行い、政治家という身分の者が差別的発言を行なったという事態の重要性を再確認しました。そして何かしらの意思表示を会として行うべきと一致した次第です」
と説明する。続けて、「このハゲ」という発言を耳にした際の心境について、担当者は、
「率直に言って驚きました。私たちもハゲと罵倒されることはよくありますし、慣れていますが、あそこまでの絶叫は見たことがありません。ハゲを侮辱していることへの怒りが湧いてきたのは、その後でした」
と振り返る。その上で、
「今回と同じようなケースは皆様の日常生活にも潜んでいます。軽いノリで言った発言が、相手を傷つけているかもしれません。今回のことを他人事と思わず、ご自身の生活を振り返る良い機会として貰いたいです」
とも呼び掛けた。
「はげます会」幹事長「その程度の人間だということです」
一部の男性の悲しみの声に共感するのが、頭髪の薄い男性が集まる青森県鶴田町の「ツル多はげます会」の成田晃生(あきお)幹事長(81)だ。同会は「禿げの光は 平和の光 暗い世の中 明るく照らす」をモットーに、「ハゲ頭」をネタにした町おこし活動を行う団体だ。
20代前半から頭髪が薄くなってきたという同会幹事長の成田さんは、6月23日のJ-CASTニュースの取材に、
「ちょっとあの発言は酷いですよね。私はもう高齢なので、そこまで怒りの感情は湧きませんが、もし若い頃に言われていたら『何だコノヤロー』とかなり憤っていたと思います。今はハゲ頭をネタにできるようになったのですが、何だかんだ言って薄毛は大きなコンプレックスでしたから」
と話す。その上で、豊田議員の発言にショックを受けている人が出ていることについては、
「あのような言葉を発するということは、その程度の人間だということです。いくら学識がある国会議員といっても、それは変わりません。皆さんもあまり気にしないで欲しいですね」
と励ましの言葉を送っていた。


「このハゲーー!!」絶叫・豊田真由子議員のもうひとつの「悪評」 秘書は「手書きの名刺」って本当ですか…
茱萸坂 重信
知略謀略が張り巡らされる政治の世界。議員秘書を長年務め、政治の世界の表も裏も知り、現在は晴耕雨読の日々を送る永田町の古老・茱萸坂重信氏が、永田町に轟いていたという、豊田議員の「悪い噂」について明かす。
官僚出身議員、二つのタイプ
当選二回、豊田真由子衆議院議員(自民党)の「暴言・暴行」疑惑が日本列島に衝撃を与えている。「このハゲーーーー!」という罵声で始まるICレコーダーの音声が、テレビとネットを通じて、日本全国津々浦々に拡散中だ。
6月22日に発売された週刊新潮が、秘書の告発記事を掲載しただけだったら、これほどのインパクトはなかったであろう。なんといっても衝撃的だったのは、音声ファイルの公開だ。
「違うだろー!違うだろー!」「お前はどれだけ私の心を叩いている!」「これ以上、私の評判を下げるな!私の心を傷つけるな!」「お前分かるかこの野郎!」「馬鹿かお前は!」
聞くに堪えない罵声が続くが、極め付きは次のセリフだ。
「娘が、顔がグシャグシャになって、頭が、脳味噌が飛び出て、車に轢き殺されても、そんなつもりがなかったんです〜で済むと思ってんなら、同じこと言い続けろ〜」
なぜか調子外れのミュージカル調で歌われているが(一部では「詩吟」ではないかという指摘もある)、内容は立派な脅しだ。国会議員という以前に、人として、他人に言うことではない。「パワハラ」という生やさしいものではない。「いじめ」、いや「虐待」という言葉が浮かんでくる。
都議選の告示日直前という最悪のタイミング。ただでさえ加計学園問題で、連日のように文科省内部の「メモ」がリークされ、官邸中枢の関与があったのではないかという「印象」が強まる中、「共謀罪」(テロ等準備罪)法案の採決劇ともあいまって、自民党支持率が各社の世論調査で軒並み10ポイント前後も下がっている状況だ。
党執行部がいち早く「離党カード」を切った気持ちもわかるが、豊田議員としてはもはや「議員辞職カード」しか手元にない崖っぷちに追い込まれてしまった。たったの一日で。
桜蔭中・高、東大法学部を卒業後、厚生省に入省、ハーバード大大学院留学を経て、自民党の公募に合格。衆議院議員に当選後は文科省政務官等に抜擢されるという、「華麗なるエリートの経歴」。
官僚出身の国会議員は、身内の秘書や、あるいはレクに来てくれる官僚に対して、「とても優しいタイプ」と「めちゃめちゃ厳しいタイプ」に分かれる。後者の例としては、経産省出身の後藤祐一衆議院議員(民進党)が、防衛省の女性官僚に対し(説明に納得しなかったのだろう)、机をバンバン叩き「上司に言ってお前の人事評価を下げてやる」と威圧、稲田朋美防衛大臣が抗議した件が記憶に新しい。
彼女は、後者だった。確かに、秘書を怒鳴りつけるだけならば、永田町では日常茶飯事だ。河村建夫元官房長官が「男の代議士なら、あんなのはいっぱいいる」と擁護発言をしたが(直後に撤回)、正直に言って、その通りだ。国会議員は一国一城の主で、中小企業のワンマン経営者を100倍くらい濃くした人格の持ち主が多いから、不思議ではない。
手書きの名刺
国会議員は日々、尋常ならざるストレスを受けて仕事をしている。有権者や自分より権力の大きい者には限りない愛想をふりまく。しかし、その見返り(投票やポスト配分)は確実なものではない。サービスの提供とそれに対する報酬の授受が前提となるビジネスの世界とは全く異なる原理で動く世界だ。ストレスが溜まる度合いは半端なものではない。
さらに言えば、政治の世界では、パワハラは当たり前である。なぜなら政治家はパワーゲーム(権力闘争)の当事者そのものだからだ。人を動かすには飴と鞭だが、プレッシャーをかけて人を動かすことが出来ない人間に、政治家は絶対に務まらない。
しかし、「手を出す」となると、話は別だ。証拠が残り、打ち所が悪ければ、暴行・傷害の刑事事件になりかねない。示談金はお小遣い程度では済まなくなる。普通の政治家なら、ここで頭を働かせて、止める。
古き昭和の時代、本当かどうかは知らないが、殴られて血を流した秘書が笑いながら仕事をしていたという伝説が語られているハマコーさんのような時代は、もはや終わりだ。いくら永田町に時代錯誤が残っているからといって、そのような感覚は現在では通用しない。もはや「論外」と言っていい。
さて、渦中の人になった豊田真由子議員だが、永田町ではもともと「有名人」だった。一般には、平成26年の園遊会で自分の母親を「配偶者」だと言い張って受付を強行突破した暴挙で有名になったが、なんといっても永田町では、「初当選以来、秘書が100人以上辞めている」という伝説がまことしやかに言われていた。
100人以上…正確に何人か分からないが、108人とも101人とも言われている。煩悩とワンちゃんの狭間で、「この事務所にだけは入ってはいけない」という確固たるイメージを確立している、数少ない議員の一人なのだ。逆に言うと、それにもかかわらず、それだけ多くの求人をゲットしているのは何とも言えない凄みを感じさせるとも言える。
豊田事務所の地元秘書の中には、まともな名刺さえ持たせてもらえなかった人もいた、とも聞く。豊田議員の名刺を渡され、そこに自分の名前を「手書き」させられた秘書もいたとか。「人がすぐに辞めるから、新しい名刺を作るのはもったいない」…そんな理由で社員の名刺を作らない、というブラック企業の話を聞くことはあっても、永田町ではめったにこのレベルの「秘書軽視」には出合わない。
さて、今回の告発に続けとばかりに、今までに辞めていった108人(101人)の秘書たちが同じような「虐待」の告発をし始めたら、豊田議員も「議員辞職カード」を切らざるを得なくなるかもしれないが、世間は自業自得としか思わないだろう。
今回のスキャンダルで自民党の都議選は一層の苦戦が予想され、解散総選挙が更に遠のいたという観測もある。次期総選挙の候補者選定にあたってはくれぐれも、政策能力だけではなく人格も十分に吟味し、「全国民の代表」たるにふさわしい人物を選んでもらいたいものだ。「頼むから、これ以上政治家の評価を下げないでくれ」と願うよりほかない。


「ヤンキー先生」とは一体なんだったのか? 疑わしき「熱血」の正体 義家弘介・文科副大臣の過去を解剖する
後藤 和智
いまだに肯定的に語られる「ヤンキー先生」像
2017年6月、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」への利益供与問題で、それを内部告発した文部科学省の職員に対し、義家弘介・文部科学副大臣が国家公務員法(守秘義務違反)での告発を考えていると答弁したことが報道されました。
自由党の森ゆうこ議員の「今回告発した人は公益通報者にあたるのではないか」という質問に対し、義家副大臣はこのように返したと言います。
義家氏は「文科省の現職職員が公益通報制度の対象になるには、告発の内容が具体的にどのような法令違反に該当するのか明らかにすることが必要だ」と説明。さらに森氏が「『(告発者を)守る』と言えないのか。勇気を持って告発した人たちの権利を守ると言って欲しい」と求めると、義家氏は「一般論」と断った上で、「告発内容が法令違反に該当しない場合、非公知の行政運営上のプロセスを上司の許可無く外部に流出されることは、国家公務員法(違反)になる可能性がある」と述べた。
(2017年6月13日付朝日新聞デジタル「加計問題の内部告発者、処分の可能性 義家弘介・文科副大臣が示唆」より)
これに対して、義家に反発する向きは少なくありませんでした。
例えば朝日新聞の神田大介記者はツイッターで《ヤンキー先生ってこんなことがしたくて政治家になったのかなあ…》と苦言を呈しました。
ヤンキー先生ってこんなことがしたくて政治家になったのかなあ…/義家弘介・文科副大臣「私が確認していないものは行政文書じゃない」 加計問題めぐる再調査拒否 https://t.co/JC9xAsY4xj
また6月17日付朝日新聞投書欄には、福岡県の82歳の主婦による《あなたは昔、「ヤンキー先生」の異名を取った方と記憶しております。でも、今回の加計学園に関する省内の文書やメールの存在をどう思っていらっしゃるのでしょうか?》《あなたは彼ら(引用者注:告発者)の味方ではないのですか? ヤンキーとしての反骨精神はどこへ行ったのですか?》という批判が掲載されています。
義家発言の前には、松野博一文部科学大臣が《「職員としての立場が法の精神によって保護される」と語った》1と述べていたため、義家への失望はなおさら大きくなったとも思えます。
ただこれらの批判の中で私が引っかかったのは、義家がいまだに「教育を変えるために政治家になった熱血教師」的な認識をされているということです。
義家が政治家になったのは2007年の参議院議員選挙ですが、当時から義家が本当にそういった「熱血」な動機で政治家になったとは思えませんでした。
私は2008年と2009年に他の同人サークルと共同で義家を批判する同人誌を刊行しましたが、義家は政治家になる前からいろいろと問題を起こしてきたと言えるのです。
もともとは「リベラル」だった
義家が初めてメディアに出たのは2002年のことです。
当時義家は、北海道で不登校者を積極的に受け入れ、彼らを育ててきた「北星学園余市高等学校」の教諭でした。そして、義家は北星余市高校が不登校者を受け入れるようになってから最初の学年の卒業生でした。
自身もかつて問題を起こして北星余市高校に預けられ、そこを卒業し、大学時代に元々弁護士志望だったのが、交通事故を経験して人生観が変わり、母校に恩返ししたいという動機で同校の教諭になったといいます。
そのことを、全日本教職員組合(全教)の雑誌『クレスコ』2002年6月に書いたのが、義家のメディアでのデビューでした。
2003年、義家がモデルとなったドラマ『ヤンキー母校に帰る』が放送され、また義家も『不良少年の夢』(光文社)や『ヤンキー母校に帰る』(文藝春秋)などの著書を出すようになりました。義家は「ヤンキー先生」として瞬く間にメディアの注目を浴びたのです。
その中でも今になっては考えられないのが、『世界』などの左派系のメディアで発言していたことです。同誌2004年4月号の特集「『日の丸・君が代』戒厳令」においては特集のトップにエッセイを寄稿し、自身の経験を踏まえつつ、国旗・国歌の強制に反対していました。
北星余市高校の式典には、「日の丸・君が代」、それにまつわる一切の制約は存在しない。それは偶像崇拝を禁じているキリスト教主義の私立高校である本校のスタンスである。
(略)
私が学校という教育現場から問いたいのは、出口の見えない暗闇で子供たちが悲痛な叫びを上げている現実の中で、教育現場に「日の丸・君が代」を持ち込めば、道徳教育を徹底すれば、日本人としての自覚や、国際協調の精神が培われると、文部科学省は本気で思っているのか、ということである。自分たちの叫びが届かないばかりか、唯一の頼りである教師たちが分裂しいがみ合っている学校を、彼らはどうやって愛すればいいのか。そして、教師たちの分裂を押しつけている国に対して、将来の希望さえ示してくれない国に対して、どうやって信頼や誇りを持てというのか。
(義家弘介「なあ、みんな、学校は好きか?」、『世界』2004年4月号、pp.71-72)
そんな義家ですが、2005年、自身のウェブサイトで、突然母校である北星余市高校を辞めることを言い出します。
当時から義家のまわりでは、義家は講演ばかりして稼いでいるという噂がPTAやOBの間で流れ、同僚の教師の間でも副業として非難されていたといいます。
義家はこれらの噂や非難を事実とは異なると思っていたようですが、そのような噂が流れることに対して義家は辞職を決意したといいます2。
「ヤンキー先生」として売り出し、保守化
その後も義家は北星余市高校時代に培った「ヤンキー先生」のイメージを活用し、教育問題での論客やラジオパーソナリティーなどとして活躍してきました。
とはいえ義家も、しばらくの間は、戸塚ヨットスクールの戸塚宏に対して体罰反対の立場を取っていたりしました3。
そんな義家の転換点となったのは、第一次安倍晋三政権が鳴り物入りで発足させた「教育再生会議」でしょう。
2006年10月18日、当時の安倍晋三政権の目玉政策である「教育再生」を実現するための組織として、同会議は発足しました。義家はそのメンバーの一人に入っていました4。
当時、義家がメンバー入りしたことに対し、保守系の教育団体である「日本教育再生機構」(代表:八木秀次・高崎経済大学教授——当時)は、
《国旗・国歌や教育基本法をめぐって『しんぶん赤旗』や『世界』で左翼的主張を繰り返してきた義家弘介横浜市教育委員が、事務局の担当室長に就任したことには強い疑問を抱かざるを得ません》と非難、これに対して義家は《母校と決別(退職)するところから、人生を賭ける覚悟をもって横浜市の教育委員になる選択をしたのです。そうでなければ、首相の再生会議に入るはずはないでしょう》
と自らの熱心さを強調して反論しました5。
しかし義家は、翌年に安倍晋三首相から参議院議員選挙への出馬を打診されると、あっさりとそれに従って教育再生会議を辞めてしまいます。このような義家のスタンスには、自民党内からも、当時の伊吹文明・文部科学大臣の「私なら職を全うした」との非難があったといいます6。
またこの出馬により、義家が出演しており、法務省が用意していた「社会を明るくする運動」のPRビデオの上映会が7月に予定されていたのが、公職選挙法との兼ね合いから使用自粛を呼びかけられました。
犯罪・非行の防止を目指して国などが実施している「社会を明るくする運動」のPR用ビデオについて、法務省が、全国の保護司会などに配布した約1万本の使用を自粛するよう関係機関に要請したことがわかった。ビデオに出演している「ヤンキー先生」こと義家弘介氏(36)が今月の参院比例選に自民党から出馬することになり、「特定の政党、候補者を応援しているとの誤解を招きかねない」と判断したため。同省の予算による制作費約840万円が無駄になる可能性も出てきた。(2007年7月5日付読売新聞)
さらに義家は、少し遡って2007年2月、自身がパーソナリティを務めていたFMヨコハマの番組「Y-Y-Y」が配信していた「着ボイス」で、《「携帯に出ないやつは出席停止だ」「メールを見たやつは出席停止だ」》というものがあったことが問題視されていたりしました7。
他にも、そもそも教育再生会議に呼ばれるきっかけとなった横浜市教育委員の仕事も、元々「汗をかく教育委員」として横浜市内の小中学校及び聾学校(当時)全520校を回ると公言されていたのが、実際には義家一人ではなく複数の委員が分担するもので、義家は40数校しか回っていないこと8や、義家が出馬したことに対して北星余市高校の恩師が義家を「糸の切れたタコ」と評した記事もありましたが9、義家は参議院議員に当選しました。
議員になった義家は、急速に自民党文教族系の立場に近づいていきます。2008年、当時の中山成彬・国土交通大臣が全国学力テストの結果を受けて《「大分県教委の体たらくなんて日教組(が原因)ですよ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから大分県の学力は低いんだよ」》10と発言。
その後これを撤回するも、自民党の教育関係議員は同年12月10日に「日教組問題を究明し、教育正常化実現に向け教育現場の実態を把握する議員の会(日教組問題究明議員連盟)」を発足させ、義家は幹事長として名を連ねていました。義家は《「日教組の問題点は、教育委員会と密接につながっている点にある」》11という認識を持っていたといいます。
論客としても義家は『小説宝石』(光文社)2008年2月号から4月号にわたって小説「路上の箴言」を発表。
明らかに義家をモデルにしたと思われる熱血教師が、携帯電話のネットワークで繋がった教え子によって辞職に追い込まれるというストーリーで、小説の中にも次のような文面が現れたりしています。
個人情報保護法が施行されて以来、学校でPTA名簿が作られなくなった。そしてそれは一部の教師たちを喜ばせた。(略)自分たちを『教育労働者』と主張してきた一部の教職員にとって、家庭にまで生徒や親の問題が持ち込まれなくなったことはさぞ喜ばしいことだっただろう。しかし、二宮は違った。(前編p.61)
(引用者注:教え子の台詞として)「大人ってバカだよな。非合法に簡単にアクセスできる道具を、便利だから、今はみんな持ってるから、とかいって俺たちに買ってくれるんだから。殺人者にピストルを差し出しているのと同じだよ」
「先生は必死だったよ。でも、必死だったら能力が足りないのに東大に入れる?
(略)どんなに大人が必死になっても、僕らを守れない時代になってしまったんだ。僕らが、ツールを、大人を介することなく自在に社会情報にアクセスできるツールを手にしてしまったあの日から、ね」
 「携帯電話のことか?」 (中編p.93)
疑わしき「熱血」の正体
このように、義家は母校を離れてから急速に保守化していったのですが、それは義家が現代の教育に危機感を覚えてからというよりは、義家を高く評価してくれる組織やメディアに従った「ヤンキー先生」像を演じるなかでそうなったと考えた方が自然かと思われます。
そうすると、北星余市高校時代の「ヤンキー先生」としての原点すら、疑わしいものになってしまいます。義家には「自分」というものがないのでは、と言い換えてもいいかもしれません。
とはいえ、北星余市高校に所属していた時代においては、同校に所属しているということが自身の存在価値を担保していたと言えるかもしれません。それがPTAやOB、同僚から突き上げられる形で辞職してからは、その自我を担保していたものも失われたと言えます。要するに義家は最初から「熱血」であったことすら疑わしいのです。
この現実は、現代の論壇にも示唆的なものを与えてくれます。例えば現代の右派系の言説は、講演ビジネスによって支えられているといわれています。
伊藤智永・毎日新聞編集委員は、東条英機のひ孫の男性が「商売として」保守系の言説を展開していることを明らかにしています。
東条英機のひ孫の男性は、明治天皇の女系の孫の孫(遠い……)で旧皇族家出身の政治評論家、竹田恒泰氏が代表を務める「竹田研究会」に出入りしてノウハウを学んだと明かした。竹田氏が国史・日本神話・憲法・皇室を講義する勉強会で、一時は全国17カ所で3000人が参加していたが、昨年秋、会の幹事長だった事業家が助成金詐欺と脱税で逮捕・起訴される不祥事を起こしている。
東条英機のひ孫と同じように、同会で学んだノウハウで独立し、「保守ビジネス」を起業した男性2人に取材した。話を総合すると——。
「セミナー屋だね。会費3000円で1回25人も集まれば成り立つ。あとはネット塾。私は月1000円で約1400人に歴史や時事問題で面白い言論を配信している。毎月定期的に140万円。売れっ子のKさんは月5000円、Mさんは月3000円で常時1000人以上。やめられないよ。運動なんかしない、商売だもの。自己啓発とか異業種交流とか似たモデルは他にもあった。1990年代末から保守が売り物として成立するようになった」
(伊藤智永「〔安倍首相を担いだ「保守ビジネス」〕「稲田防衛相」「森友学園」「田母神俊雄」の交点」、『サンデー毎日』2017年4月2日号)
先日北田暁大・栗原裕一郎氏との共著で出した『現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』(イースト新書)で、私は「言論という麻薬」として、次のように語りました。
いま私が問題意識として考えているのが「麻薬としての言論」です。「言論」にコミットすることによって、かえって社会認識が狭くなってしまう。ツイッター言論などは、ブロック機能などを使って自分でタイムラインを加工できる分、自分に都合のいい言論ばかりが流れるようになるという批判がされることがあるんですけど、それはツイッターの機能に帰されるものではなく、むしろ「言論」全体がそういう役割を果たすようになっているのではないかと思っています。
そして、そういう着飾って、使い捨てるというタイプの言論や、そういう時代に適応した論客は、バブル時代から若者バッシングの時代に至る間にその実例が多数ある。「批評の再生」というのを云々したいなら、「批評」が社会科学として検証に値するものであるという認識を持つと同時に、そういう「使い捨てられる言論の時代」に適応した論客に対する根源的批判も必要だと思います。そこに気づかない限り、「批評の未来」なんて皆無であり、「批評」業界は限界集落のままだと言わなければなりません。
(北田暁大・栗原裕一郎・後藤和智『現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』イースト新書、2017年、pp.210-211)
このような「麻薬化する言論」の現状において、ビジネスのために保守系の言説を振りまいているという論客や、義家のような「親」の期待する像を演じてくれる論客・政治家の存在というものは象徴的です(同じようなことは左派系にも言えますが、ビジネスの規模としては右派系のほうが格段に大きいと思われます)。
科学的な知見や社会改善に資するような言説ではなく、特定の思想を持った集団の「癒やし」となるような言説がもてはやされるという現状は「ポスト真実」の一端を担っていると言えます。
ネット社会になってそれが加速したという認識もありますが12、私が長い間関心を持ってきた若者論においては、これが日常でした。
人々がマスコミやネットで思い思いにいまの若者の「駄目さ」を語り、若者を叩くような新書がもてはやされ(現に三浦展のように「売るためにわざとバッシング気味に書いた」と公言する論客もいたほどです)、結果として若い世代への抑圧やハラスメントが正当化されていくのです。
そしてマスコミやネット世論の求める「若者」が論客としてもてはやされ、社会の文壇が広まっていく——そのような言論の「麻薬化」ないし「若者論化」を象徴する事象として、義家の姿は記憶される必要があるのではないでしょうか。(文中敬称略)
※一部の記事は@niftyの新聞記事検索サービスから引用しています。
1 2017年6月17日朝日新聞社説
2 『週刊現代』2005年3月5日号pp.186-187
3 『週刊現代』2006年5月27日号
4 2006年10月19日付読売新聞など
5 『サンデー毎日』2006年11月12日号pp.24-25
6 2007年7月8日付朝日新聞社説
7 2007年2月10日付朝日新聞
8 『FRIDAY』2007年8月13日号pp.84-85
9 『週刊現代』2007年7月21日号。なお同記事には「共産党系の日教組」という記述があるが、共産党の教職員組合は、前掲『クレスコ』を刊行している全教である
10 2008年9月25日付共同通信配信記事
11 2008年12月26日付産経新聞
12 例えば、長倉克枝「ネットで軽くなる「真実」の重み」、『日経サイエンス』2017年7月号、pp.50-52


同和地区で成り上がった男の、壮絶な一代記 日本の「見えない壁」がそこにあった
上原 善広 ノンフィクション作家
ハイリスク・ノーリターン
「同和タブーは無くなった」と言われることがあるが、それはネット限定の話で、現在でもテレビを筆頭に新聞、ラジオなどの大手メディアで自由に取り上げられることはほぼない。取り上げられても、大体は部落解放同盟の協力の元でという限定がつく。
私のある読者などは、深夜の人気番組の企画で自室を紹介された際、どうしてもカメラに映り込んでしまうという理由で、スタッフの手によって私の書いた本だけを書棚からごっそり取り除かれた。
私の本のタイトルには、べつに差別用語が書いてあるわけでもなく、同和以外のテーマの本もあるのだが、その背表紙すらテレビでは絶対に出せないのである。
大手メディアの同和への恐怖心は、じつに半世紀に渡る歴史をもっているため、もはや理屈抜きの拒絶状態になっており、それは普段、報道される量という意味では、天皇制タブーよりも深刻だといっても良い。
例えば他の社会問題でいうと在日韓国・朝鮮人、障害者をテーマにしたテレビ番組、ドラマ、映画はわりと知られているものもあるが、同和問題をテーマにしたものはそれに比べてほとんどない。
出版界でいうと、小説では若干存在するが、「在日文学」と呼ばれるムーブメントになるほどではない。同和は在日と同じく、日本全国に散在している問題であるにも関わらず、だ。
しかし同和タブーといっても、ようは売れれば良いのである。売れて注目されれば、大手メディアも無視はできないものだ。
しかし私の本は全く売れないときている。そのため同和問題は現在も「ハイリスク・ノーリターン」という認識が定着し、メディアをはじめ日本社会の宿痾となっている。
そこで今回出す『路地の子』(新潮社)では、人間の本音を突き詰めて描くことに専念した。人間の本音というのは、つまり「金」のことである。
のし上がろうとした男
内容は、大阪にある河内という地域の同和地区を舞台に、解放同盟、共産党、右翼、ヤクザを駆使し、高度経済成長と部落解放運動の高揚という時代の波にのって成り上がろうとした男の話だ。戦後しばらくたった昭和24年から東日本大震災までの、ある一人の男の半生記である。
かつて同和地区には、33年間で13兆円もの税金が投入されてきた。
全国のスラム化した同和地区を改善するため団地を建て、保育所をつくり、道路を整備。教育もほぼ無償化し、税金もフリーパスという時代があった。
同和地区、被差別部落への差別がまだまだきつかった時代、同和問題の解決は国策であった。そして国をバックに、かつて絶大な権力を誇ったのが部落解放同盟だった。
解放同盟は、部落差別に反対する全国組織であるが、こうした金の投入で組織内部も次第に腐敗していく。それが2002年からの同和利権の事件化につながっていくのだが、もちろん同盟員すべてが腐っていたのではない。国をバックにしたその権力に群がる人々が、組織内外には多かったということなのだ。
国をバックにつけた解放同盟の威を利用とする者が同和地区の内外に現れ、同和地区に投入される金や特権の奪い合いが水面下で始まるのが1960年頃からだ。
俗に「人間は実利がともなってこそ本気になる」と言われるが、同和地区で成り上がろうとする者たちはみな、解放運動を建前にして、同和利権を獲ろうと躍起になる。
共産党、右翼を駆使
最初は、「人権の季節」ともいわれた1960〜80年代の頃のこと、もっと大雑把にいえば「昭和」の同和地区の状況を描きたいと思っていたこともあり、とりあえず数年前から父親にインタビューをするようになったのが発端だった。
父の龍造は、大阪の河内という地域で肉工場を経営している一介の食肉卸業者だ。食肉という職種をべつとすれば、どんな田舎にもいる小さな工場の経営者である。
しかし話を聞いていて興味深かったのは、この父親がとんでもなく突破な人であったがゆえに、時代の覇者であった解放同盟とはまったく与しなかったことだ。
というのは当時(1960〜90年代)、解放同盟に入っていないと、同和地区に住んでいても同和利権がとれなかった。つまり解放同盟に入っていないと、儲けられなかったのである。
たとえば事業を起こすうえでさまざまな援助をしてくれる同和行政の窓口は、解放同盟が独占していた。また同和地区に優先的に割り当てられている事業をとろうと思ったら、解放同盟を通すしかない。
つまり解放同盟に参加することは、同和地区で成り上がろうとする者にとって必須のことだったのである。
しかし、解放同盟の窓口となる人物と少年時代にケンカしたという極めて個人的な遺恨から、父の龍造は解放同盟と組むことをあきらめる。そこで解放同盟と対立していた共産党をはじめ、右翼、ヤクザを駆使して同和利権を奪おうと奮闘するのである。
うまく呑み込めなかった
そういえば幼い頃から、実家の肉店の看板に「新同和」の看板が掲げてあるのを、おかしな光景だなと思って見ていた。
どうも父親は右翼と関係しているのかもしれないと思っていたが、中学生くらいになると、父親の支持政党が共産党であることがわかった。
さすがに中学生でも、当時は左翼と右翼が敵対していることは知っていたし、特に右翼と共産党は正反対の組織というのはわかっていたから、これはいったいどうなっているのだろうかと疑問に思っていた。しかも父親はどう考えても、共産党を支持するような人ではない。
また夏休みや冬休みに実家の店を手伝っていると、数本の指のない男が盆栽などを持って訪ねてくる。盆暮れによくあるヤクザの営業である。
一目でヤクザだとわかったが、共産党に右翼にヤクザというのが、商売とはどうも結びつかなかったので、おかしいなあと思っていた。ヤクザというと、商売人から金をとるというイメージがあったからである。少年時代の私は、肉屋という商売と、そうした運動団体とヤクザとの関係がうまく呑みこめなかった。
あるとき、肉の配達に行った得意先でも「あんたのお父ちゃんは最近、いい付き合いしてないな」と言われた。「悪い付き合い」というのは、どんなことを言うのだろう? それは私の中で澱のように残っていく。
そこで大人になって父の龍造から話を聞いていてわかったのは、解放同盟とは与しないが、同和利権は奪いたい。
そのために彼が頼ったのは当時、解放同盟と熾烈な抗争をつづけていた共産党であり、利権をとるために同和団体を乱立させていた右翼、そこに群がるヤクザたちであった。
強大な解放同盟と渡りあうには、それぞれとうまく付き合う必要があったのである。
当時、右翼は同和会系の組織を無数に立ち上げており、共産党とともに同和行政の交渉窓口を解放同盟から奪い取ることで、両者の利害は一致していた。思想信条よりもまずは生活を、というわけだ。そしてヤクザはその狭間で、トラブル処理などを担っていたというわけである。
こうした事情は、昭和の時代に同和地区で商売をしていた人には常識であったようだが、私はその構図をわかっていなかった。1973年生まれの私は、高度経済成長はもちろん、バブル期も学生だったから何も知らない。
しかし結果的には、そうした白紙の状態がよかったと思う。思い込みや偏見がないためにいろいろな質問をして、疑問点を一つ一つ解消していけたからだ。
みんな成功したわけじゃない
本書では同和の中で成り上がっていく者の話を書いたわけだが、同時にわかったのは、同和地区の出身だからといって、みんな成功したわけではないということだ。
主に東京から西の同和地区にはさまざまな特権、金が投入されたことは事実だが、一方で、それは所詮あぶく銭、みながみな成功するわけではなかった。また逆に、金とは無縁の生き方をいる者もいたのである。
父の龍造は、着実に事業を拡大していくのだが、その周囲には覚醒剤で身を持ち崩す者もいれば、夜逃げなどして没落していった人々も多かった。
またそれとは反対に金には無頓着で、清貧をつらぬいた者もいた。本書では龍造の周囲にいた、そうした若者たちの青春群像も同時に描いている。
一般の人でも、一時的に入った大金を元手に、何らかの運営をして将来に活かすことができる人は意外に少ない。かつてのバブル紳士の没落でもわかるように、それは同和地区であっても一般地区であっても変わりない。
解放同盟の堕落も同じで、最初は部落解放運動という理想に参加した人々も、やがて金で堕落していく人がでてくる。これは解放同盟に限ったことではなく、組織ならどこでもそうだ。
もともと田舎の貧乏人だし、成功しても所詮はただの成金である。同和地区に大金が投入されたのは期間限定だからなおさらだ。そのほとんどは、いずれ没落していく者たちばかりである。
そうした人間の悲しさ、おかしさも本書に反映したかった。そして国がバックにつくことで得られる強大な権力と、それに踊らされる恐ろしさも、雰囲気として感じられるようにしたかった。
日本独特の社会問題
私はここで書きたかったのは、やはり同和地区といっても同じ人間の集団であるということである。父親の一代記を通して、同和地区はもちろん、政治や信条も、金の前ではあまり重大な意味をもたないという側面を描きたかった。
こう書くと、本書の帯に「金さえあれば差別なんかされへん」とあるように、金持ちを賛美するような話だと思ってしまうかもしれない。確かに金というのは人間の本音の部分であり、本書も金を通して人間の性を描いている。
しかし実際、ことはそう単純ではない。
金持ちになっても職業が肉屋だと、近畿地方では差別の対象になる。特に結婚のときに差別されて破談になる可能性もある。
もっとも効果的なのは大学教授など、社会的ステイタスがあって収入が比較的高い職に就くことで、そうすれば結婚差別をはじめ、大方の差別は回避できるだろう。
しかし、同和地区の住民の皆が皆、大学教授になることはできない。簡単になれないからこそ、社会的ステイタスがあるからだ。そのような仕事に就ける人の方が稀である。
また、なれたとしてもそれはあくまで個々人の事情であり、それをもって日本社会に部落差別がなくなったとはいえない。
同和問題というのは「日本社会にある見えない壁」であり、個人の金や社会的ステイタスだけで解決していくには限界がある。同和問題とは、これからはまた違ったアプローチが求められている日本独特の社会問題なのである。
今回は人間の本音の一つである「金」を通して見た、部落解放運動と個人の突破力を描いたが、それはあくまでも同和問題の一側面に過ぎない。ただ本書が、同和問題に少しでも興味をもってもらえるきっかけになればと願っている。
金さえあれば差別なんてされへんのや! 」大阪・更池に生まれ育ち、己の才覚だけを信じ、食肉業で伸し上がった「父」の怒涛の人生。
上原善広(うえはら・よしひろ)1973年大阪生まれ。ノンフィクション作家。自身の出身地である大阪・更池から中上健次の故郷・新宮など日本全国500以上の「路地」(被差別地区)を巡りあるいた『日本の路地を旅する』で、2010年、第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年、『「最も危険な政治家」橋下徹研究』(新潮45)で、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞。2017年、『一投に賭ける』でミズノ・スポーツライター賞優秀賞受賞。


阪急阪神HD株主総会 虎党多く毎年のように注目の珍問答発生
 なぜ阪神電鉄の車両がオレンジなんだ──。6月13日に開かれた阪急阪神ホールディングスの株主総会では、そんな質問が飛んで話題を呼んだ。株主に“問題視”されたのは梅田―姫路間を運行する8000系、9300系と呼ばれる車両。車体の上半分がオレンジ色だ。
「タイガースが傘下にあるのに、なぜ“巨人カラー”の電車なのかと質問した男性株主がいるんです。しかも『名前も言いたくない球団の色から変えることはできないでしょうか』という独特の言い回し。
 それに対して岡田信・阪神電鉄常務取締役が“社内で検討した結果、選定した色”“次期のリニューアル時は社内で色々と議論したい”と大真面目に回答。会場の笑いを誘っていました」(大手紙記者)
 実は、同社の総会ではタイガース絡みの質問が出るのが恒例だ。経済ジャーナリスト・福田俊之氏が解説する。
「株主に阪神ファンが多いこともあって、毎年のように珍問答が注目を集めます。特にチームの調子が悪いと経営陣が厳しく“追及”される。2015年には『和田(豊)監督を辞めさせて岡田(彰布)氏を再登用すべき』といった声があがりましたし、真弓(明信)監督のもと不振を極めていた2011年には『選手よりも監督を補強しろ』という“解任動議”が出て、会場から拍手喝采が起こったこともあります」
 同社広報部も、「毎年、株主の方から球団運営などについてご意見、ご要望をたくさんいただく。どんな質問か予想できないので、想定問答は一切ない。その場で経営陣が考えてお答えしている」と認めるところだ。
 ただ、今年は“ナニワの物言う株主たち”がおとなしかった。金本知憲監督への批判的意見は出ず。
「チームが広島と首位を争う好位置につけていることもあって、タイガース絡みの質問自体が例年より少なかった。実は巨人カラーの電車にしても、最近リニューアルされたわけではなく、2000年代前半に導入されている車両です。球団の調子がいいので、株主たちがツッコミを入れる“ネタ探し”に苦しんだ様子がうかがえます」(同社関係者)
 金本監督のチームの舵取りによって、親会社の株主総会にも「超変革」がもたらされたわけである。

東北新幹線35年/小林麻央さん亡くなる

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La plus jeune star du shôgi égale le record du Japon
Par Célia Hacquin
Sota Fuji, du haut de ses 14 ans, est le plus jeune joueur professionnel de shôgi au Japon. Il a gagné son 28ème match d’affilée ce mercredi 21 juin, et s’installe ainsi au niveau du record des victoires d’affilées dans les matchs officiels.
On rappelle que le shôgi est un jeu de société qui oppose deux joueurs à tour de rôle, et se rapproche du jeu d’échecs. Ce jeu est très populaire au Japon et est célébré le 17 novembre. Fuji est un collégien qui possède le 4ème ≪ dan ≫, qui renvoie au 4ème rang, et n’a pas été vaincu depuis le début de sa carrière en décembre dernier. Il est à présent sur un pied d’égalité avec Hiroshi Kamiya, un joueur de 56 ans possédant le 8ème dan, ayant établi le record en 1987.
Ce jeune espoir a favorisé l’image de ce jeu de société et inspiré les jeunes générations à y jouer. Fuji avait battu en décembre une des légendes du shôgi, Hifumi Katô, qui possède le 9ème dan. Une victoire après seulement 2 mois en tant que joueur professionnel à l’âge de 14 ans et 2 mois. Katô avait derrière lui 63 ans de carrière et était aussi apparu dans plusieurs émissions télévisées. A l’âge de 77 ans, il était le joueur professionnel de shôgi le plus âgé, et a décidé de se retirer après sa défaite.
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東北新幹線開通から35年だそうです.最近あまり乗っていないので今一つな感じはあります.
しかしそれよりもガンで闘病中の小林麻央さんが亡くなるというニュースに衝撃.誰にでもいつかその日は来るのだけど,やはり早すぎる.海老蔵も特にファンではないけど,なんだかとても悲しい思いです.

詩人の和合亮一さんに仏文学賞 震災詩集「詩の礫」で
 福島市在住の詩人、和合亮一さん(48)の震災詩集「詩の礫」(徳間書店)のフランス語版が、フランスの新しい文学賞「ニュンク・レビュー・ポエトリー賞」(外国語部門)に選ばれたことが23日、分かった。和合さんと徳間書店に関係者を通じて連絡が入った。7月に現地の文芸フェスティバルで授与される。
 和合さんは「震災から6年。震災直後から書いてきた言葉が海外の方々の手に渡り、震災のことについて、福島のことについて、少しでも語り継いでいただく機会となれば幸いです」とコメントしている。
 同賞は、2002年に創刊された総合文化誌「ニュンク」が主催する賞の1回目。


「チャオチャオ」復活、震災で休止 7年ぶり開催へ/陸前高田
> 東日本大震災前の平成22年まで、陸前高田市高田町の駅前通りで行われていた「チャオチャオ陸前高田道中おどり」が7月29日(土)、同町の新しい中心市街地でよみがえる。コミュニティー再生を図り、支援に対する感謝を示すとともに、亡き人々への慰霊の意味を込めた催しとしての再開になる。
600人の参加募り新市街地で、実施前には避難訓練も
 「チャオチャオ チャチャチャで唄っチャオ」…明るく耳なじみのいい曲と歌詞。同市の市制施行40周年(平成7年)を記念して制作されたイメージソング『チャオチャオ陸前高田』などを踊る爐泙舛覆のお祭り瓩復活する。今回の催しは、市観光物産協会が主催・運営事務局を務め、陸前高田商工会と市が共催。今月27日(火)から踊り手の募集を開始するという。
 このイベントは、同曲を広く普及させようと8年度から毎年行われてきた、市民総参加の道中おどり。町内会や地域女性団体、事業所単位などで申し込みがあり、およそ2000人の踊り手が、高田町駅通りへと繰り出す牴徳鞍将瓩琉貘膵垰だった。
 しかし、23年の大津波によって駅前通りはおろか、市街地は跡形もなく壊滅。それでも発災から2年を過ぎるころには、市観光物産協会に「チャオチャオをまたやってほしい」という市民からの声が寄せられていたという。
 一方で、同市内で1750人を超す震災の死者・行方不明者を出したこと、また、生活再建もままならない中、「とてもそんな気になれない」と行事開催に対する抵抗感を感じる人もいたことから、再開は見送られてきた。
 震災から丸6年。同協会が今年復活へと動いたのは、仏教でいう「七回忌」を迎え、市民の間にも少しずつ牋柄阿瞭常瓩鮗茲衞瓩靴討い海Δ箸いΦせちが高まってきたとの判断から。同協会の淺沼ミキ子さんは、「『皆、元気でやっているよ』ということを、天への慰霊の祈りとして届けることができれば」という。
 以前の規模にはおよばないものの、今年はおよそ600人の参加を募る。会場は、同町のかさ上げ地に造られた新しい中心市街地。7月12日(水)には、参加団体の代表者による説明会を開催する。出席を必須とし、説明会前に現地で津波避難訓練も行う。
 淺沼さんは、「再開して良かったね、とか、ただ集まってワイワイ、ということではなく、そこへ津波が来たこと、いざという時はどちらに逃げればいいのかということも、しっかり伝えていきたい」と語る。
 当日は以前と同様、『チャオチャオ陸前高田』と『高田音頭』『寄さこい見さこい陸前高田』の3曲の演舞を繰り広げる。踊り手の募集は7月10日(月)までで、申込用紙は同町字鳴石42の5の同協会にある。先着順とし、定員に達し次第締め切る。 問い合わせは同協会(54・5011)まで。


「再生歩み知って」被災漁村記録 上映会
 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町戸倉の漁村の現状に迫った白石市の映画監督我妻和樹さん(31)のドキュメンタリー映画「願いと揺らぎ」が20日、同市中町の寿丸屋敷で上映された。27日にも同会場で上映する予定で、我妻さんは「震災当時の状況やこれまでの歩みを知ってほしい」と話している。
 映画は、南三陸町戸倉波伝谷(はでんや)地区の2008年から東日本大震災直後までを記録した「波伝谷に生きる人びと」に続く第2弾。震災の翌年、300年以上続く波伝谷地区の厄払い行事「春祈祷(きとう)」の復活に動きだした住民の姿を描いた。
 地域を離れていたり、家族を失っていたりとさまざまな事情を抱え、なかなか住民たちの足並みはそろわない。住居の高台移転や漁業の協業化といった課題に直面し、揺らぎながらも獅子舞などの行事の復活に地域再生の願いを込めた。
 20日の上映会には、市民ら約60人が集まり、2時間25分の作品を鑑賞。福島大3年の加藤鞠奈さん(21)は「地方が抱えていた課題は震災でより深刻化し、明確になった。葛藤を抱えながらも地元を大切に、そこで生きる人たちの思いが伝わった」と話した。
 27日は午後6時半。入場無料で、定員50人。


<熊本地震>支援派遣職員に感謝 栗原市訪問
 昨年4月の熊本地震で大きな被害を受けた熊本県南阿蘇村の野崎真司副村長が22日、宮城県栗原市役所を訪ね、地震直後から同市が続けた職員派遣などの支援に感謝を述べた。
 開会中の市議会などを訪ねた野崎副村長は「栗原市には早い段階から職員を派遣してもらった。温かいお力添えに感謝したい」と述べた。千葉健司市長は「今後も市の祭りで義援金を呼び掛けるなど、引き続き協力していく」と激励した。
 南阿蘇村は地震で27人が死亡、約150人が重軽傷を負った。市は発生2日後の昨年4月18日に出発した先遣隊を皮切りに同5月まで職員計9人を派遣、災害対策本部設置時の助言や避難所設営などに当たった。
 野崎副村長は23日、村に職員を派遣した気仙沼、多賀城両市を訪問する。


<東北新幹線35年>首都圏との交流加速
 東北新幹線は23日、開業35周年の節目を迎えた。
 1982年6月23日、東海道新幹線より20年近く遅れて大宮−盛岡間が部分開業した。長年の悲願がかない、岩手、宮城、福島3県の沿線は異様なほどの熱気に包まれ、歓喜に沸いた。
 遠かった首都圏、東京との時間的距離がぐっと縮まった。平日には日帰り出張のビジネスマン、土日は1泊2日の東京、東北旅行を楽しむ家族連れらで車内は満員に。人やモノ、情報が東北と首都圏を盛んに行き来した。80年代の東北の経済、観光、文化は新幹線によって大きく変化した。
 91年6月に東京駅に乗り入れ、東海道新幹線との乗り換えも容易になった。東北と三大都市圏がつながり、工場立地や大手企業の支店開設がさらに進んだ。94年7月にはオール2階建ての「Max」が登場し、輸送能力が高まった。
 90年代、東北のハブである仙台市は人口、経済規模ともに拡大を続けた。自動車関連産業が集積した北上市は東北屈指の工業都市に成長するなど、沿線の都市は飛躍的に変貌した。
 一方、青森までの全線開業は難航した。大宮−盛岡間が部分開業した82年の9月には、政府が整備新幹線計画を当面見合わせる閣議決定をした。青森県などが陳情を続けたが、財政難の壁が大きく立ちはだかった。
 91年8月、盛岡−青森間の着工がようやく認可されたが、ミニ新幹線案がたびたび示され、フル規格での全線整備はなかなか確定しなかった。紆余(うよ)曲折を経て新青森まで開通したのは2010年12月。部分開業から28年が過ぎていた。
 東北の縦軸となった新幹線に、秋田、山形両県に向けた横軸が加わった。
 92年7月、全国初の新幹線・在来線直通運転となる山形新幹線「つばさ」(東京−山形間)がデビューし、99年12月には新庄まで延長された。同様の運転方式の秋田新幹線「こまち」(東京−秋田間)は97年3月に開業。高速鉄道網が縦横に整備されたのは国内で東北だけだった。6県の都市間の往来も活発化した。
 車両の機能や走行技術も飛躍的に進歩した。開業当初に時速210キロだった最高速度は現在320キロ。JR発足時の最速到達時間が2時間17分だった東京−仙台間は1時間31分、東京−盛岡間は3時間9分から2時間11分になった。
 1日当たりの運行本数もJR発足時の94本が2016年には177本、合計座席数も8万1000席が16万3000席になった。
 11年3月11日の東日本大震災では施設が被災し、開業以来最大の危機となったが、同年4月29日に全線復旧した。16年3月26日には北海道新幹線新青森−新函館北斗間が開業。津軽海峡を越え、東北と北の大地をつなげた。
 現在、次世代型の車両は営業運転として世界最速の時速360キロ走行を目指している。30年度末には北海道新幹線が札幌まで開業予定。東北を貫く大動脈は、さらに発展を続ける。


<東北新幹線35年>高速化と安全確保に力
◎震災時 過去の教訓生きる/JR東日本仙台支社 山中毅運輸車両部長に聞く
 開業から35年たった東北新幹線が東北に与えた影響や走行技術の進歩などについて、JR東日本仙台支社の山中毅運輸車両部長に聞いた。
 −東北新幹線が開業して東北はどう変わったか。
 「新幹線開業前、上野−仙台間は特急ひばりで約4時間、上野−青森は特急はつかりで8時間以上かかった。現在は東京−仙台間が約1時間半、青森が約3時間。運行本数も増え、利便性が大幅に向上した」
 「新幹線が東北の経済発展やライフスタイルの変化にさまざまな変化をもたらし、観光振興に貢献できた。首都圏と東北が、とても身近に感じる距離になったことが最も大きい」
 −35年間で車両やサービスはどう進化したか。
 「特に高速化に力を入れてきた。走行時の安定性と騒音が課題だった。E2系の1000番代の車両は左右動を抑制する装置を付け、高速走行でも安定。パンタグラフも低騒音型になった。E5系は車内を傾斜させるシステムによって、カーブ走行が速くなった。車体間の段差をなくし、騒音はさらに低くなった」
 「安全面では自動列車制御装置(ATC)の信頼性が高い。運転台に可能な速度の信号が表示され、それ以上に加速しようとしてもできない。駅に近づけば車両が停車を認識して、次第に減速する。ATCが機能している限り、追突事故などはあり得ない」
 −東日本大震災では施設に大きな被害があった。
 「一日も早い復旧を目指した。2011年3月22日には盛岡−新青森が再開したが、4月7日の余震で架線柱が傾くなどし、再び復旧に追われた。全線復旧した29日、沿線には『ありがとう』などと書かれた横断幕や手を振っている人が見られた。鉄道人としての誇りを感じるとともに、社会インフラを担う役割の大きさを改めて感じた」
 「東日本大震災では過去の地震の教訓が生きた。高架の柱が崩れた阪神大震災後、柱の強化が進んだ。車両が脱線した新潟県中越地震後には、脱線防止の設備が取り付けられた。東日本大震災では乗客にけが人はなく、営業中の車両の脱線もなかった。試運転中の車両が脱線したが、大規模ではなかった」
 −北海道新幹線は30年度末の札幌延伸が予定されている。
 「東京−博多間の新幹線は約5時間かかり、利用者がそう多くない。一方、東京−札幌間も約5時間が想定されている。時間短縮が期待されるが、貨物列車と共用走行している青函トンネルでの速度が課題だ」
 「青函トンネル内は260キロ走行が可能だが、すれ違う貨物列車が風圧で倒れる危険性があり、現在は140キロに速度制限している。東北よりさらに寒冷な気候であり、より優れた耐雪、耐寒の設備が必要だ」
 −今後、東北新幹線の役割は。
 「東北は、訪日外国人旅行者(インバウンド)が他地域よりまだ少ない。北海道新幹線開業など、東北の観光がインバウンドを取り込み、活性化する起爆剤がそろっている。当社は東北の魅力を発信する役割を担っている」


<東北新幹線35年>復興支援の原動力に
 2011年3月11日の東日本大震災発生時、東北新幹線は運転中の上下19本が全て緊急停止し、乗客にけがはなかった。新幹線の安全性が改めて証明された形だが、施設には多大な被害が出た。4月7日の余震被害を含め、電化柱の倒壊や架線の断線など被害は約1750カ所に上った。
 東北と首都圏、日本各地を結ぶ大動脈の断絶が長期にわたって続けば被災地に人とモノが届かず、復旧と東北の経済に計り知れない打撃を与える。JR東日本は、東北新幹線の復旧を最優先に取り組んだ。
 連日3000人が復旧工事に投入された。JR東日本のグループ各社、協力会社だけではなく、JR東海や西日本、私鉄からも作業員が集まった。日本の鉄道各社が総力を挙げて復旧を急いだ。
 大動脈は北からつながり始めた。3月22日には盛岡−新青森間で運転が再開され、4月7日には一関まで再開区間が広がったが、同日深夜の最大余震で再び運休となった。
 繰り返される被災にめげず作業員は工事を続け、ピッチも上げた。
 震災から50日がたった4月29日、最後まで不通だった仙台−一関間が再開し、東北新幹線は全線復旧した。仙台駅には早朝から多くの人が集まった。東京発の下り一番列車がホームに入ると、カメラのフラッシュが一斉にたかれ、歓声が上がった。
 「復旧作業に当たった人に感謝する。東北、日本を元気にしたい」。当時のJR東日本社長清野智氏が仙台駅で感慨深く語った。
 この日から、降り立った乗客の多くが被災地に向かった。大動脈が機能し始めると同時に、ボランティアや企業などの民間の復興支援が本格化した。東北新幹線は震災復興も担った。


きょう沖縄慰霊の日 「不戦の誓い」を語り継ぐ
 沖縄はきょう「慰霊の日」を迎えた。太平洋戦争末期、沖縄に上陸した米軍と日本軍との組織的な戦闘が終結した日である。
 日本軍が本土防衛の時間稼ぎのために持久戦を展開し、日米の軍人と民間人約20万人が犠牲になった。
 それから72年。今年も最後の激戦地となった糸満市の平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式が開かれる。
 嵐のような砲爆撃や住民の集団自決など「ありったけの地獄を集めた」と表現された沖縄戦の惨劇を記憶にとどめ、語り継ぐ糧にしたい。
 「二度と戦争をさせない、沖縄を戦場にさせない、と誓った」。12日に92歳で亡くなった大田昌秀(まさひで)・元沖縄県知事は生前こう語っていた。
 学徒動員で鉄血勤皇隊(てっけつきんのうたい)に加わり、壮絶な地上戦を目の当たりにする。米軍は猛烈な砲撃を浴びせ、日本兵が住民に銃を突きつけた。
 知事時代の1995年、沖縄戦犠牲者の名を刻んだ「平和の礎(いしじ)」を平和祈念公園に建立した。
 軍民や国籍を問わず戦没者を慰霊するのは、戦争に勝者はいないという思いからだ。その原点は、沖縄戦の経験にある。
 沖縄戦には未解決の課題もある。遺族が高齢化するなか、戦没者遺骨の特定が進んでいない。
 厚生労働省は軍人・軍属に限ってきたDNA鑑定を今夏から戦没者の半数を占める民間人にも広げる。
 戦没者遺骨の収集を「国の責任」と位置付けた法制定を受けた対応だ。戦後70年余を経ての方針転換であり、遅すぎた感は否めない。
 もともとDNA鑑定による特定には困難が伴う。沖縄県内では18万柱超の遺骨が収集されたが、身元が判明したのはごくわずかだ。
 対象区域も限定されている。戦没者には朝鮮や台湾の人も含まれるという。将来は希望するすべての遺族を対象とすべきだ。
 過重な米軍基地負担は沖縄戦の痕跡だ。27年間の米統治後も基地の返還は進まず、今に至っている。
 政府が「反基地」の県民感情を直視する姿勢を示さなければ、対立は先鋭化するばかりだろう。
 沖縄戦の記憶は原爆投下とともに日本の平和主義の立脚点の一つになっている。その認識を改めて国民全体で共有したい。


沖縄慰霊の日 憲法は届いているのか
 沖縄はきょう、戦没者を追悼する慰霊の日を迎える。
 72年前、「鉄の暴風」と呼ばれた壮絶な地上戦で日米合わせて20万人を超す命が失われた。このうち沖縄の住民の死者は9万4千人といわれている。
 平和への誓いを新たにするこの日を前に、沖縄の米軍基地問題を全国に訴え続けた元県知事の大田昌秀氏が92歳で死去した。
 大田氏は、平和主義や基本的人権の尊重をうたう憲法の理念が沖縄に届いているのかという憤りを、常に語っていた。
 平和憲法の下にある日本へ復帰したはずの沖縄には、今も米軍基地が集中している。
 返還される普天間飛行場の移設先とされてしまった名護市辺野古では、政府による力ずくの新基地建設が始まった。
 憲法より日米安保体制が優先されるかのような現実が、この島にある。全ての国民がそこに目を向けなければならない。
 国土面積の0・6%しかない沖縄には、全国の米軍専用施設面積の70%が存在している。
 昨年12月の北部訓練場約4千ヘクタールの返還によって、それ以前の74%からはわずかに減少した。
 政府はそれを、基地負担の軽減が進んだとして「成果」を誇っている。
 だが、返還条件として訓練場の残る区域に6カ所のヘリパッドを建設し、新型輸送機オスプレイを運用させる。騒音被害や事故の懸念はむしろ深刻化するだろう。
 オスプレイは半年前、名護の海岸に落ちる事故を起こしたが、日本側の捜査は日米地位協定の壁に阻まれた。
 「自分の空でありながら、自分の海でありながら、自分の土地でありながら自由に使えない」
 大田氏が講演でこう語ったのは、知事在任中の1994年のことである。
 沖縄を取り巻く状況はその後も基本的には変わらず、国への異議申し立ての声は強まっている。
 普天間の辺野古移設を巡り、政府は4月に護岸工事を強行した。これに対し翁長雄志(おながたけし)知事は、新たに国を相手取り工事差し止めの訴訟を起こす方針を表明した。
 基地をたらい回しするなという主張を真摯(しんし)に聴こうとしない政府に対抗するための、やむにやまれぬ措置だろう。
 追悼式典には安倍晋三首相も出席する。負担は軽減されていないという事実を直視し、沖縄の声に耳を傾ける機会とすべきである。


慰霊の日 新たな「戦前」にさせない
 糸満市摩文仁の沖縄師範健児之塔に向かう約150メートルの通路は階段が続き、お年寄りには長く険しい。子や孫に両脇を支えられながら、つえを突きながら、慰霊祭へ一歩一歩足を運ぶ光景も、年を追うごとに少なくなってきた。
 師範鉄血勤皇隊の生存者として、一昨年、昨年と出席していた大田昌秀元知事の姿も今年はもう見られない。
 沖縄戦体験者は県人口の1割を切ったとされる。激烈な地上戦から生き延びた方々から証言を聞ける時間は、確実に残り少なくなっている。
 沖縄戦から72年、慰霊の日が巡ってきた。体験者が年々減る中、次世代へどう継承していくか模索が続く。一方で政府は世論の反対をよそに戦争ができる国づくりへと法整備を進める。多くの国民の命を奪った国策の誤りを二度と繰り返させてはいけない。
 今年は沖縄戦継承に大いに貢献する「沖縄県史各論編6 沖縄戦」が発刊された。1970年代刊行の旧県史は、それまでの軍人中心の記録を住民史観に転換させた。新県史は「障がい者」や「ハンセン病」「戦争トラウマ」など弱者にも光を当て、「基地建設」など今日的課題にも言及した。沖縄戦研究の集大成であり、大田氏ら第一世代から中堅若手の研究者に引き継がれていることは頼もしい。
 沖縄戦は決して歴史上の出来事だけではない。今につながる米軍基地問題の原点であり、不発弾や遺骨収集、戦争トラウマなど、今を生きる私たちにも影響する問題だ。
 今年の慰霊の日は「共謀罪」法が強行成立した中で迎えた。民主主義の手続きを放棄し、数の力で押し切るやり方は権力の暴走だ。
 2012年の第2次安倍政権発足以降、国家主義の色濃い政策が推進されている。
 13年の国家安全保障会議(日本版NSC)創設、特定秘密保護法成立、14年の武器輸出三原則の見直し、集団的自衛権の行使容認、15年の日米防衛協力指針(ガイドライン)再改定、安全保障関連法成立と、日米同盟強化や政府権限拡大につながる政策だ。
 最終目標は憲法9条見直しだろう。軍隊と警察を強くし国家権力を強める。個人の権利を制限し、国益を優先させることを許してはならない。
 沖縄戦の目的は沖縄の住民を守ることではなく、国体護持、本土防衛のための捨て石作戦だった。多数の住民を根こそぎ動員で国策に協力させた末に、軍民混在となった戦場で死に追いやった。
 政府は今も、沖縄で国策優先の辺野古新基地建設を強行している。大のために小を切り捨て、沖縄に犠牲を強いる構図は当時と変わらない。
 戦前の空気が漂う中、戦争につながるあらゆるものを拒否し、今を新たな「戦前」にはさせないと改めて決意する日としたい。「軍隊は住民を守らない」という沖縄戦の教訓を胸に刻み、この地を二度と戦場にさせてはいけない。


[きょう慰霊の日]聴くことから始めよう
 それぞれの場から「沖縄戦」を発信し続けた偉大な先輩たちが、ことし相次いで泉下の人となった。
 戦争の惨禍や平和への思いをうちなーぐちによる一人芝居で表現した女優の北島角子さん。土着の視点で、戦争のおぞましさや民衆のたくましさを描いた版画家の儀間比呂志さん。沖縄戦で級友を失った体験を原点に、平和行政と基地問題解決に心血を注いだ元知事の大田昌秀さん。
 戦前・戦中・戦後と激動の沖縄現代史を生き抜いた人たちが一人また一人と旅立っていく。時代の変わり目だけに喪失感は深い。
 沖縄戦は記憶の継承という点から大きな曲がり角に差し掛かっている。
 現実に子どもたちが戦争を学ぶ機会も減りつつある。 
 戦争の被害や生き残った人たちの証言などを伝える県平和祈念資料館。県内小中高校の利用は、2000年度の368校から16年度は224校に減った。
 ひめゆり学徒の体験を伝えるひめゆり平和祈念資料館も県内小中高校の来館数が、16年度は72校とピーク時の半分まで落ち込んでいる。
 ここ数年、学校現場では学力向上の取り組みが優先され、校外学習行事を減らす傾向にあるのだという。
 この世代は、親だけでなく祖父母もほとんどが戦争を知らない。身近に体験を語る人がなく、学校も平和学習に時間が割けないとしたら、沖縄戦体験は風化し、平和への意識は希薄化する。
■    ■
 鉄血勤皇隊として戦場をさまよった大田さんは、「おもろさうし」研究の第一人者・故外間守善さんとともに、終戦から8年後の1953年「沖縄健児隊」を世に問うた。
 外間さんは同著の序文で「彼等は永遠に黙している。しかし彼等は永遠に語っているのだ。その声を取りつぐのが私たち生かされたもののただ一つの義務」と記す。 
 大田さんの訃報に接してあらためて感じたのは、10代の多感な年頃に戦場に動員された「学徒隊」の人々の語り部としての存在の大きさである。
 戦前、沖縄には師範学校や中等学校が21校あり、全ての学校の生徒が戦場に駆り出され、多くの命を失った。大田さんらは犠牲となった級友に代わって沖縄戦の実相を伝えてきたのだ。
 しかしその語り部たちも一人、二人と鬼籍に入り、沖縄戦継承は非体験者のバトンリレーという新たな段階を迎えつつある。
■    ■
 アーティスト・山城知佳子さんの「あなたの声は私の喉を通った」は、戦争を体験した高齢者の語りを、自身の姿に重ね、再現した映像作品である。証言の持つ重みを引き受け、他者の感覚に近づこうとする試みだ。
 ひめゆり資料館が進める戦後世代による語りも、継承の課題に真正面から取り組む。海外の平和博物館を訪ねるなど在り方の模索も続く。
 きょうは「慰霊の日」。
 戦争を学ぶ努力を放棄すれば風化は加速する。体験者から話を聴くことができる最後の世代として、歴史を伝達する重みを胸に刻みたい。


沖縄慰霊の日 本土も痛みを共有したい
 多くの犠牲者を出した太平洋戦争末期の沖縄戦が終結して72年を迎えた。
 沖縄戦では、上陸した米軍と日本軍が住民を巻き込んで激戦を展開し、日米双方で計20万人以上が死亡した。
 沖縄県民の4人に1人が亡くなるという悲惨な戦いで、日本軍は住民に対し、集団自決を強制したり、スパイ容疑をかけて虐殺したりした。この惨禍を決して忘れてはなるまい。
 きょうは沖縄慰霊の日だ。日本軍の組織的戦闘が終わった日とされる。
 最後の激戦地となった糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園では「沖縄全戦没者追悼式」が開かれる。犠牲者の冥福を祈り、平和への誓いを新たにしたい。
 公園にある平和の礎(いしじ)には、国籍や軍人、民間人の区別なく沖縄戦などで亡くなった人の名が刻まれている。建立したのは、沖縄県知事を2期8年務め、米軍基地問題の解決を訴え続けた大田昌秀氏だ。
 大田氏は12日に92歳で亡くなったが、沖縄戦での体験を原点に、沖縄から平和の重要性を発信し続けた。遺志をしっかりと受け継いでいかなければならない。
 しかし、大田氏が尽力した基地問題は、いまだ解決の糸口すら見いだせない。
 沖縄では、在日米軍専用施設の約70%が集中している。普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、さらなる基地負担に反発する県や住民と、それらの声に耳を貸さずに工事を進める国との対立は先鋭化している。
 沖縄県は20日、移設工事で国が県規則に定められた翁長雄志(おながたけし)知事の許可を得ずに「岩礁破砕」を行うのは違法だとして、工事の差し止め訴訟を起こすための関連議案を県議会定例会に提出した。
 「世界一危険」とされる普天間飛行場の移設は欠かせないとはいえ、移設先は沖縄しかないのか。
 反対を強く訴え続けても、聞き入れてもらえない。その不条理に県民が怒るのは当然である。
 沖縄の民意は明らかなのに犠牲と負担をいつまで強いるのか。政府は県民の声を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。
 本土復帰から45年が経過したが、復帰後も県民が求めた「本土並み」には程遠い。それどころか、基地絡みの事件事故が続発している。
 1995年に米兵が女子小学生を集団で暴行し、2004年には沖縄国際大に米軍ヘリコプターが墜落した。
 戦争中、沖縄は本土の「捨て石」とされたが、今の状況はどうか。
 翁長氏は、きょうの式典で読み上げる平和宣言に、昨年末の米軍新型輸送機オスプレイ事故などを引き合いに米軍訓練の在り方を批判する内容や、大田氏の功績をたたえる文言を盛り込む方針だ。
 沖縄の現状を、本土で暮らす私たちの問題として深く考える必要がある。痛みを共有したい。


沖縄慰霊の日 大田元知事が残した問い
 6月23日は沖縄の「慰霊の日」である。沖縄戦の組織的戦闘が終結したこの日にちなみ、沖縄県糸満市の平和祈念公園できょう、沖縄全戦没者追悼式が開かれる。
 慰霊の日に先立つ今月12日、沖縄の戦争と戦後を体現する人物がこの世を去った。沖縄県知事を務めた大田昌秀さんである。
 大田さんは沖縄県久米島に生まれ、学徒でつくる「鉄血勤皇隊」に動員された。情報伝達のため戦場を駆け回り、多くの学友が命を失う中で、九死に一生を得た。
 大田さんは沖縄戦のさなか、日本兵が守るべき沖縄の住民を壕(ごう)から追い出すのを目撃したという。「(食い下がる住民を)下士官たちは、軍刀で突き飛ばさんばかりに押しのけ『うるさい、勝手にしろ』とわめき立てるのであった」(著書「沖縄のこころ」より)
 戦争の醜さ、軍への不信、そして沖縄が本土の「捨て石」にされる理不尽−。沖縄戦の経験が、大田さんの活動の原点となった。
 研究者から知事に転身し、米兵による少女暴行事件が起きると、知事権限を駆使して政府に基地縮小を迫った。国籍を問わず沖縄戦で命を落とした人々の名を刻む「平和の礎(いしじ)」建設にも尽力した。沖縄を「基地のない平和な島」にするのが大田さんの目標だった。
 残念ながら今なお沖縄には全国の米軍専用施設の約70%が集中する。政府は普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、県民の反対を押し切って工事を進めている。北朝鮮のミサイルや中国の海洋進出もあり、地理的要衝の沖縄に展開する米軍の抑止力維持は重要−というのが政府の論理だ。
 しかし、基地の集中はそれだけ沖縄が相手から攻撃される可能性を高める。大田さんは辺野古移設を「政府は沖縄を捨て石にし、今日に至っている」と批判した。
 晩年の大田さんは、戦争体験のない議員が安全保障問題を議論することに懸念を抱いていた。沖縄戦から何を学び、将来にどう生かすか。大田さんが残した問いを受け止め、考え続けたい。鎮魂の日に改めてそう思う。


沖縄慰霊の日 痛み、受け止めているか
太平洋戦争末期の沖縄戦で、日本軍が組織的な戦闘を終えた日から、きょうで72年になる。
 本土決戦を先延ばしするための「捨て石」作戦ともいわれた地上戦では、3カ月で日米双方の約20万人が尊い命を奪われた。県民の4人に1人が亡くなったともいわれる悲劇に、あらためて思いを致したい。
 当時を知る人は年々少なくなり、「痛み」を広く共有することが、ますます難しくなっているからだ。
 今月12日には元沖縄県知事の大田昌秀さんが92歳で亡くなった。反戦平和を掲げ、米軍基地負担軽減に力を尽くした。原点にあったのは学徒として駆り出された沖縄戦の体験という。多くの友を失った「生き残り」として過重な基地負担を強いられる沖縄の不条理を訴え続けた。
 沖縄では昨年末、米軍北部訓練場の約4千ヘクタールが返還された。それでもなお在日米軍専用施設面積の約70%が集中している。「捨て石」にされ続け、不条理が増すばかりの現状を大田さんはどう見ていただろう。
 象徴的なことが、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題である。名護市辺野古では反対の民意を無視した埋め立て工事が強行されている。移設を巡って日本政府は翁長雄志(おなが・たけし)知事との対立を深めてきた。菅義偉官房長官は翁長知事が求めた話し合いの継続を拒み、昨年末、県側が敗訴した最高裁判決を背に強引に突き進む。
 選挙などでたびたび示されてきた沖縄の声を聞かない問答無用のやり方といえよう。それでは、「銃剣とブルドーザー」で沖縄の土地を軍用地として奪った米軍を責められまい。
 沖縄県は辺野古での工事を巡り、国が県知事の許可を得ずに「岩礁破砕」を行うのは違法として、工事の差し止めを求めて来月にも国を提訴する。
 沖縄の人たちは、地上戦の悲劇を体験しながら敗戦後もずっと朝鮮戦争やベトナム戦争など米国の戦争と隣り合わせの苦難を強いられた。米兵らによる犯罪も後を絶たない。そうした歴史を踏まえれば、なおさら沖縄の声は無視できないはずだ。
 最後の激戦地となった糸満市の平和祈念公園ではきょう全戦没者追悼式がある。翁長知事は平和宣言で、昨年末に米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが浅瀬に突っ込み大破した事故などを引き合いに米軍を批判する。
 この事故でも地元の声は軽視された。かねて住民たちが訴えてきた危険性が現実になったにもかかわらず、日本政府は「不時着」とする米軍の言い分を受け入れ、事故から間もなく飛行再開を認めた。住民の命をあまりにも軽んじている。
 それだけではない。北部訓練場のヘリコプター離着陸帯建設現場では、警備に来ていた大阪府警の機動隊員が抗議活動する人を「土人」となじった。
 驚くのは沖縄北方担当相や大阪府知事がそれを差別と認めず擁護したことである。政治家も国民も沖縄に対する認識や人権感覚がまひしていないか。胸に手を当て、いま一度考えたい。
 ことしは沖縄の本土復帰から45年の節目でもある。政府は、地上戦の悲惨とその後の沖縄の状況をきちんと理解した上で、丁寧に対話を重ねるべきだ。私たち国民も、「痛み」を共有する努力を忘れてはならない。


沖縄戦「最大の犠牲者」への訴えを、裁判長はわずか10秒で退けた この国の司法は、彼らを見捨てるのか
栗原 俊雄
戦争は天災ではない
今から72年前の6月23日、日米両軍が激突した沖縄戦で、組織的戦闘が終わった。沖縄は米軍に占領された。この沖縄戦は歴史の教科書に書かれ、広く知られている。だがいまだにその地上戦の後遺症に苦しみながら、国と闘っている人たちがいることは、あまり知られていないだろう。今回は沖縄戦国賠訴訟について報告しい。
第二次世界大戦末期の1945年3月26日、米軍は沖縄・慶良間諸島に、ついで4月1日に沖縄本島に上陸した。兵力で圧倒的に優位な米軍は、空襲や艦砲射撃を間断なくあびせた。それは後に「鉄の暴風」と評されるほど激しかった。
日本軍は本土防衛の時間稼ぎをすべく持久戦を展開したが、多くの一般住民が巻き込まれた。戦死者は一般住民約9万4000人、旧日本軍9万4136人、米軍1万2520人、計約20万人が犠牲になったとされる。ただ沖縄県民の死者については、当時の人口の4分の1に当たる15万人とする推計もあり、正確な数字は不明だ。
よく知られているように、県民は日本軍からも危害を受けた。貴重な食料を奪われたり、避難していた地下壕を追い出されたりすることもあった。家族などが集団で自殺に追い込まれることもあった。
戦争は人為的な天災ではない。為政者たちの誤った判断や不作為によって起きる人災である。まして大日本帝国時代の日本では、国民は為政者を選ぶことができなかった。
日中戦争を泥沼化させ、破滅的な対米戦争へのレールを敷いた近衛文麿首相と、勝てるはずのない戦争に突き進み、国民を自国の底に引きずり込んだ東条英機首相が、いずれも国民に選ばれた議員ではなかったことが象徴的だ。最大の戦争責任は為政者、大日本帝国政府にあった。
「みんなひどい目にあったから」が理由?
大日本帝国の後継である日本国政府は本来、戦争で被害を受けた国民たちに応分の補償をしなければならない。
政府はサンフランシスコ講和条約が発効し独立を回復した1952年、まず「戦傷病者戦没者遺族等援護法」(援護法)という法律を作った。さらに翌年、占領中はGHQによって停止させられていた軍人恩給(旧軍人と旧軍属、遺族に支給される恩給)を復活させた。こうした補償の総額は2016年現在累計60兆円に及ぶ。
ところが、国は同じように戦争で被害を受けた民間人は補償の対象外とした。国の言い分は「旧軍人軍属らは、国と雇用・被雇用の関係にあったが、民間人とはなかった」というものだ。
60兆円対ゼロ円。民間人の被害者たちが「差別だ」と憤るのは当然だ。このため空襲被害者や敗戦によって海外での財産を失った人、ソ連(当時)によってシベリアなどに抑留された人たちが、国を相手に損害賠償請求をする訴訟を相次いで起こした。
ところが、ことごとく原告敗訴。裁判所は「民間人には国が補償しなくても違憲、違法ではない」という趣旨の判決を下し続けた。その論拠は、昨年6月25日公開の本欄(現代ビジネス)拙稿の「『旧軍人・軍属には50兆円』『民間人にはゼロ』戦後補償の差を示す、あまりに残酷な数字 戦争受忍論をご存じですか?」で紹介したように、「戦争被害受忍論」だった。詳細は前掲記事に譲るが、要するに「戦争でみんなひどい目に遭った。だからみんなで我慢しなければならない」という法理論である。
裁判官は、難関大学を出た人が、超難関な試験に合格してなる職業だ。さぞ頭のいい人が判決文を書いているのだろうが、こと「戦争被害受忍論」に関する限り、およそまともな理屈とは思えない。
負の戦後レジーム
たとえば、同じ民間人でも空襲で命を奪われる人もいれば、地方にいるなどして幸い戦火が及ばなかった人もいる。両者の被害は大きくことなる。その違いを無視して「みんなでがまん」という理屈に説得力は一ミリもない。
沖縄戦の被害者も、民間人は補償の対象とならなかった。当然の如く批判が高まる中、厚生省(当時)は1957年、民間人被害者のうち「戦闘参加者」と扱う20項目を定め、これらの項目に該当する人は「準軍属」とし、補償されることになった。
(1)直接戦闘 (2)弾薬、食糧、患者等の輸送 (3)陣地構築 (4)炊事、救護等の雑役 (5)集団自決 (6)スパイ嫌疑による斬殺(米軍の「スパイ」として疑われ、日本軍によって殺害された) (7)飛行場破壊 (8)遊撃戦協力、など。対象者は5万2332人(2016年3月現在)である。
戦後補償という観点からすれば「一歩前進」ともみえそうだが、そう単純ではない。まず(1)〜(20)に該当して補償の対象となるためには、第三者3人以上による証言が必要だった。しかし未曽有の激戦であったことを考えると、この条件はあまりにも厳しい。このため申請したものの、認定されないケースが続出した。
その結果、沖縄戦では推計で死者7万人近く、また後遺障害者5万人が「戦闘参加者」とみなされず、無補償で放置された。つまり、同じ民間人被害者でも補償される人とされない人がいることになった。その結果、県民の世論は分断され、救済を求める運動は下火になってしまった。「準軍属」認定にもれた人たちは元軍人・軍属との間で差別され、さらに「準軍属」である県民との間でも差別されたことになる。
いっとき「戦後レジームからの脱却」というフレーズが保守系政治家の間で流行ったようだが、こうした戦後未補償問題、「負の戦後レジーム」こそぶちこわしてほしいものだ。
79人の原告と手弁当の弁護団
政府や政治家が動かないうちに、沖縄戦を巡るこの「負の戦後レジーム」を乗り越えようとする動きが、沖縄戦被害者たちによって起こされた。2012年8月15日、戦闘でけがをしたり家族を亡くしたりした人たち79人が、国に謝罪と1人当たり1100万円の賠償を求めて那覇地裁に提訴したのだ。
弁護団長は瑞慶山茂氏。1943年南洋諸島パラオで生まれた。1歳の時乗っていた船が米軍機の攻撃で沈没、母に助けられ奇跡的に生還。姉は3歳で水死した。1946年に両親の出身地・沖縄県に引き揚げた。1966年琉球大法文学部卒。1971年弁護士登録。
集団訴訟当時、戦後70年近くが過ぎていた。この時点で80人近い原告団を組織することがいかに難しいか、想像にあまりある。自身、戦争被害者で戦没者遺族でもある瑞慶山氏ならではのエネルギーだ。同氏は、南洋戦被害者たちによる国賠訴訟でも弁護団長を務めている。
瑞慶山氏は2006年、後述する東京大空襲の被害者たちによる国家賠償訴訟の弁護団に加わった。戦争被害の調査を進める中で、沖縄戦の甚大な被害を改めて知り、さらに被害者が未補償のまま放置されていることが明らかになった。事務所は千葉県内だが、救済活動のため2009年、那覇市内に法律事務所を開設。300人以上の相談に乗った。
弁護団は沖縄弁護士会の弁護士を中心に、41人に上った。弁護士費用は勝訴した場合のみ一定額を受け取るというもので、着手金、交通費もなし。完全な手弁当であった。
経済的に厳しい被害者が少なくなかった。訴訟費用の印紙代6万円を納めることができず、加われない人もいたという。
このままでは死にきれない
いずれにしても、なぜもっと早く訴訟に踏み切らなかったのだろうか。これは他の戦後補償裁判にも言えることだ。たとえば東京大空襲被害者による集団訴訟は2007年、大阪空襲のそれは2008年に始まった(それぞれ2013年、2014年に最高裁で敗訴が確定)。
被害者の多くが、自分の生活を再建し維持することに大きなエネルギーを割かざるを得なかった。さらに長い東西冷戦期、東側諸国と対立している中で自国を訴えるのははばかられた。
しかしその冷戦は終わった。さらに人生のゴールが見えてくるにつれ、「やはり納得できない。このままでは死にきれない」という気持ちになる人が多いのだ。
さて沖縄戦裁判では、原告側は驚くべき証拠を提出した。原告のうち39人が精神科医の診察を受けたところ、実に37人が戦場体験に起因する心的外傷後ストレス障害(PTSD)など外傷性精神障害を負っていることが分かった。戦争体験が、戦後70年近くたった裁判当時まで、原告を苦しめていることを医学的に証明したことになる。これを提出したのだ。
一方被告の国は、不法行為の時から20年(除斥期間)が経過することで請求権が消滅し、責任を負わなくてすむという「除斥期間経過論」を展開した。だが、先に見た証拠によれば、被害者たちは戦後70年近く自分が戦争に起因するPTSDなどであることを知らず、したがってその間は補償請求の権利行使ができなかった。国の言う「20年」は説得力に乏しい。
冷たすぎる地裁判決
また、裁判で明らかになった被害は、沖縄戦の過酷さを改めて印象づけるものであった。
【女性、1937年生まれ】 父が首里市で戦死。祖父とおじも死亡。本人は両足腿を銃弾が貫通。現在も後遺障害があり通院している。
【女性、1931年生まれ】 渡嘉敷島で家族6人が集団自決。本人と長女らは生き残ったが、長女は集団自決で背中から胸を貫通する傷を負い、2006年に亡くなるまで長く後遺症に苦しんだ。
【男性、1929年生まれ】 豊見城の自宅から糸満方面に避難、家族が民家に身を潜めているところに米軍の弾が飛来し母と妹が死亡。父も行方不明に。本人は戦災孤児となった。
 判決は昨年3月16日、那覇地裁。鈴木博裁判長は判決を読み上げた。「原告らの請求をいずれも棄却する」。わずか10秒、主文の読み上げだけで裁判は終わった。
同地裁は「戦時中の行為には47年施行の国家賠償法は適用されず、民法の不法行為を根拠に現行憲法施行前の行為について国に賠償や謝罪を求めることはできない」などとし、訴えを退けた。
筆者が見る限り、少なくともこの10年に出た戦後補償裁判の判決の中で最悪の判決であった。すなわち、空襲被害者やシベリア抑留経験者らによる国賠訴訟も原告敗訴、という点では同じだ。しかしこれらについては、裁判所は多くの場合原告の被害を認定し、かつ原告たちが「差別だ」と感じる心情に理解を示した上で、立法による解決を促している。
ところが、この那覇地裁判決の場合、心情理解もなく、立法をうながしてもいない。さらに、画期的な外傷性精神障害の証拠についても言及がなかった。
沖縄戦国賠訴訟の原告は、福岡高裁那覇支部に控訴した。7月20日に結審する。判決は10月ごろの見込だ。那覇地裁の南洋戦国賠訴訟は4月19日に結審し、こちらも10月ごろ判決が下される。
他の戦後補償裁判にも言えることだが、裁判所はある意味でチャンスをもらっているのだ。行政が踏みにじった被害者たちの人権と尊厳、立法が放置してきた人権侵害を救済し、司法の役割を果たす、というチャンスである。これまではことごとく、この好機を逃してきた。被害者たちの年齢を考えれば、この先大規模な集団訴訟は難しいだろう。司法はその存在意義を試されていると思う。
10月の判決に注目したい。


自民・豊田氏のパワハラ これが国会議員かと驚く
 自らの立場を利用したすさまじいパワハラ行為である。
 豊田真由子衆院議員(42)が秘書に暴力を振るい、暴言を浴びせた責任を取り自民党に離党届を出した。
 テープから流れてくるのは、聞くに堪えない罵声だった。「死ねば。生きる価値がない」等々、国会議員としてというより、一社会人として問題だ。私たちは、こんな人が議員をしている深刻な現状をまず厳しく認識すべきだろう。
 先日辞めたという豊田氏の秘書が録音テープを「週刊新潮」に提供し、同誌が報じたものだ。それによれば、この秘書はハンガーでたたかれるといった暴行も受けたという。
 確かに日本の政界では議員と秘書の間の明確な上下関係が今も目立つ。だが、民間企業でもパワハラに対する目は厳しくなっている。当然の社会の流れである。
 ところがそれをまるで知らないかのような振るまいだ。厚生労働省の官僚出身で、社会的弱者への視点が不可欠な社会保障政策を主なテーマとしている議員とは思えない。
 今回、自民党が豊田氏の処分を急いだ理由は明白だ。「加計学園」問題などにより、ただでさえ安倍晋三内閣の支持率は急落している。東京都議選を控え、さらなる悪影響を最小限に抑えるためだろう。
 ただし何度も見てきた光景だ。
 豊田氏は自民党が政権を奪還した2012年の衆院選で初当選し、現在2期目だ。大量に当選した自民党の同期議員には、金銭トラブルで離党した武藤貴也氏、不倫疑惑で議員辞職した宮崎謙介氏、女性問題で離党した中川俊直氏らがいる。
 ほかにも失言や不祥事で批判を受けた議員は多く、かねて「自民党の2012年問題」と言われてきたほどだ。きちんと候補者選びをしてきたのかやはり疑問が募る。
 加えて豊田氏らは2度当選したことで「当選したのは自分の力だ」といったおごりが生まれたのかもしれない。もはや組織的な問題ととらえるべきで、党として若手議員の再教育を本格的に実施すべきだろう。
 安倍政権では最近、問題を起こした閣僚らへの対応が総じて甘くなっている。これがモラルの低下を招いているのだとすれば、考え直す必要がある。


支持率以上の政権弱体化
 ★支持率が下がらないと過信していた安倍政権の支持率が各社軒並みダウンしている。それまでは「民主党政権から日本を取り戻した」「民進党など野党に任せてもいいのか」との首相・安倍晋三の問いに国民は大きくうなずいてきたから支持率は高止まりだった。しかし、政権を奪取して4年。また以前のおごりが自民党に出てくれば支持はダウンする。確かに安倍チルドレンといわれる当選2回の若手議員の不祥事が相次いだ。それでも支持率は下がらなかった。 ★「この手の議員は与野党に大勢いる。民主党政権では閣僚のレベルも低かったし政権運営が上手にできなかった。しかしこの内閣の閣僚も当時の民主党内閣の顔ぶれに比べて失言、暴言、無能という意味ではさして違いはない程度の低レベル」(自民党関係者)。首相にとっては、せっかく温情を見せ引退前の初入閣を演出してやってもこの体たらくで政権の評価を下げたとご立腹だろう。 ★結局、安倍政権とて首相と周辺のチームが政権を運営していることになる。ただ今回は事情が違う。若手議員の質の低下や閣僚の失言でもない。官邸の「最高レベル」ならぬ「最低レベル」の失言どころか「ウソ」が国民の信用を失わせつつある。イギリスでは「ライアーライアー」というウソつきとする歌が各地で歌われ政権の信用は失墜した。 ★過去の民主党政権でも、今の野党の攻撃でもなく、官邸は自らのウソで崩壊寸前だ。そこに首相の関与があるかどうかはわからない。しかし、首相や首相夫人、官邸という権力を守るために、妙な閣議決定を続けウソとわかる発言で政局をほんろうさせたのは紛れもなく官邸だ。自民党内では「7月の世論調査の結果を待って」という雰囲気だが、現実の政局の流れは速い。政権は支持率低下以上に弱っている。

露呈した安倍政権の傲慢さ、海外メディアも指摘 2つのスキャンダルで拙い対応
 最近の世論調査で安倍内閣の支持率が急落している。原因は、森友学園、加計学園問題などのスキャンダルへの対応のまずさや、テロ等準備罪法案を強行採決したことなどが有権者に不信感を持たせたためと海外メディアは見ており、圧倒的な支持を受けてきた長期政権に起こった異変に注目している。
◆官邸や自民党のやりたい放題に国民の不信感増大
 ロイターは、数ヶ月前までは安倍政権は3期目も視野に入れ、憲法改正の夢へ向かって順調に進んでいたが、縁故主義への疑惑や、国会での強行採決などが原因で支持率が急落したと報じている。特に影響したのが加計学園問題で、疑惑そのものより、4年以上も1強状態で傲慢な安倍首相とその側近が、首相に歯向かった前川前事務次官を中傷したこと、また追及をかわそうと大急ぎでテロ等準備罪法案を成立させ国会を閉じたことによって、スキャンダルをもみ消そうとしたという印象を多くの有権者に与えたことが問題だったと指摘している。
 シンガポールのストレーツ・タイムズ紙(ST)は、安倍首相は6ヶ月弱で2つのスキャンダルに襲われ、いずれの場合も自民党が重要人物の証人喚問に消極的で、これが傲慢で何かを隠しているという印象につながったという観測筋の見方を伝えている。
 イーストアジア・フォーラムに寄稿したニューサウスウェールズ大学のオーレリア・ジョージ・マルガン教授は、たとえ安倍首相が危機を乗り越え、鉄板ならぬ「テフロン(加工)首相」であることを証明したとしても、2つのスキャンダルによっていかに首相と側近のふるまいに問題があるかを露呈したと述べる。2014年の内閣人事局設置で、「官邸ルール」が発動したと同氏は述べ、中心人物の菅官房長官とその側近が霞が関の人事権を握っているため、官僚は官邸の意思に逆らえないという政府関係者のコメントを紹介している。また、日本の政権運営における官邸主導は非常に明白だが、制度的、組織的、または政治的メカニズムによってチェックされていないと指摘しており、加計学園問題が単に必要な「リアリティ・チェック」になっているのかもしれないと皮肉を述べている。
◆都議選が指標。自民大敗は政権への脅威
 2018年までは総選挙の必要はないことや、野党の低迷と衆参両院を自民党がしっかり押さえていることから、海外メディアは支持率低下が安倍政権の終焉を意味するとは見ていないが、7月の東京都議選への影響が政権にとっては心配の種だと述べている。
 STは、自民党は裏切り者である小池知事の「都民ファーストの会」との接戦に挑むとし、下村博文自民党幹事長代行が都議選への危機感を強めていると報じている。また、首相が19日の記者会見で謝罪と反省を述べたのも、都議選で大敗すればさらに支持を失い、政権維持の脅威となるからだとする東京財団の加藤創太氏のコメントを紹介している。
 ロイターは、小池氏が築地の移転を遅らせたことでいくらか人気を失い、最大野党の民進党も支持率が1ケタ台としながらも、日本全体のトレンドを先導するのが都の世論だと述べ、「もし都議選で自民党が議席の半分を失えば、安倍政権の不安定さを心配する声が出る」というあかつき証券の藤本知明氏の意見を紹介している。


性犯罪の法改正 被害者守る議論さらに
 「もっと早ければ」との感は拭えないが、被害者感情や社会の要請に応えた法改正と言えよう。
 性犯罪の規定を大幅に見直した改正刑法が、来月施行される見通しだ。
 「魂の殺人」と呼ばれる強姦(ごうかん)罪は「強制性交等罪」とし、法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げた。被害者に男性を含むとともに、性交類似行為も処罰対象にしている。
 家庭内の性的虐待などを念頭に、親などの立場を利用した「監護者性交等罪」も新たに設けた。
 被害者本位の法体系に、より近づいたと評価できる。当局はプライバシーに十分目を配りつつ、適切に運用してもらいたい。
 今回の改正の大きな特徴の一つに、被害者の告訴が起訴の前提となる親告罪規定の削除がある。
 事件の潜在化や加害者の逃げ得を許さない効果が期待できる。
 半面、被害者への配慮がこれまで以上に求められる。強姦罪などを親告罪としていたのは、被害者が望まなければ裁判にしないことで、プライバシーを守るのが目的だったからだ。
 事件化しても被害者に心的な負担を負わせない。そうした制度や環境の整備を徹底すべきである。
 被害者の氏名などを法廷で明らかにしない、証人尋問は別室とのビデオリンク方式で行う―などは既に実施されている。さらに改善すべき点がないか、捜査機関や裁判所は検討を重ねてほしい。
 一方、積み残した課題もある。
 強制性交等罪などは改正前の強姦罪などと同様、被害者の抵抗を著しく困難にするほどの「暴行や脅迫」が成立要件となっている。
 被害者側は「暴行や脅迫がなくても、体が凍り付き、声が出なくなることもある」と要件の撤廃を求めていたが、実現しなかった。
 暴行・脅迫要件を除くと、性行為の同意・不同意を巡る証明が難しくなる。そうした考えが、司法の現場や専門家に少なくないからだ。議論を深めねばなるまい。
 その点で残念だったのは、与党が「共謀罪」法の成立を優先させたあおりで、刑法改正の審議時間が衆参両院の委員会で計十数時間しかなかったことだ。
 政府や国会は今後も被害者らの声に耳を傾け、性犯罪対策に力を注がねばならない。
 もちろん、求められるのは法律の整備だけではない。被害者への支援体制をはじめ、学校での人権教育、刑務所での矯正プログラムなどもさらに充実させたい。


憲法の岐路 自民たたき台 根本議論が置き去りだ
 憲法9条への自衛隊明記に向けた自民党憲法改正推進本部のたたき台が判明した。
 党内論議を本格化させたばかりだ。党総裁である安倍晋三首相の提案を踏まえ改憲へと急ぐ姿勢が鮮明である。結論ありき、日程ありきでは議論の名に値しない。
 推進本部は21日に全所属議員を対象とした全体会合を始めた。8月末まで開き、教育無償化などを含めた4項目を中心に一通り議論する。年内の改憲案策定を目指し早ければ秋にも公明党と条文案の調整に入りたい考えだ。
 たたき台は「9条の2」を新設している。戦力不保持などを定めた9条を受ける形で「前条の規定は、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織として自衛隊を設けることを妨げるものと解釈してはならない」とした。
 首相は先月、現行の9条を残しつつ自衛隊を書き込む考え方を示した。これを受けて党内では「前項の規定にかかわらず自衛のための自衛隊を置く」「前条の規定に反しない範囲内において、自衛隊を保持する」など、さまざまな案がこれまでに出されている。
 自衛隊明記を既定路線とし、具体的にどう書き込むかの議論が今後、慌ただしく進められる可能性がある。そもそも書き込む必要があるのか、根本的な議論が置き去りになりかねない。
 首相は、9条に明記しても自衛隊への制約は「基本的に変わらない」とする。保岡興治本部長は政府の憲法解釈を「1ミリも動かさない」と述べている。そうだとすれば、書き込むことにどんな意味があるのか。改憲のための改憲と言われても仕方ない。
 首相の唐突な提案には「これまで一度も党で議論していない」など異論も出ている。推進本部は党総裁としての考えを首相が説明する機会を設ける予定だ。
 行政府の長であり、憲法に縛られる立場の首相が主導する形で改憲を目指す。いびつな姿も改めて浮かび上がる。
 全体会合では「7、8月で議論して案を作るのは、あまりにも性急過ぎる」「時間の制約を設けずに議論する必要がある」との声も上がった。当然の指摘である。
 政府が「合憲」とする自衛隊をあえて書き込まなければならないのか、明記することで活動が変質する恐れをどう考えるのか。議論するなら、まずは首相の提案の是非を掘り下げるべきだ。


内閣支持率急落◆政策より姿勢に不信強まる◆
 加計(かけ)学園問題や「共謀罪」法を巡り安倍政権に国民の視線が厳しさを増している。共同通信の世論調査で内閣支持率は44・9%となり、前回5月から10・5ポイントも急落。加計学園の獣医学部新設計画で「行政がゆがめられたことはない」とする政府の説明には73・8%が「納得できない」と回答した。
 共謀罪についても、与党が参院法務委員会の採決を省略し成立を強行したことに67・7%が「よくなかった」と批判する。
不都合な事実にふた
 過去に特定秘密保護法や安全保障関連法の成立直後に支持率が急落したことはあったが、今回は個別の政策ではなく政権の姿勢そのものに国民が不信を深めた結果で、より深刻な状況といえよう。
 政府は世論を正視すべきだ。安倍晋三首相の昭恵夫人の存在が焦点となった森友学園問題で噴き出した数々の疑問に説明や調査を拒み続け、「問題ない」と繰り返した。加計問題では世論の反発により文部科学省が再調査に追い込まれたが、不都合な事実にふたをする政府の姿勢は変わらなかった。
 与党は野党が求める閉会中審査や証人喚問を拒んでいる。そんなことで不信は払拭(ふっしょく)できない。
 加計問題を巡る一連の調査で真相が「明らかになったと思う」はわずか9・3%にすぎず、84・9%が「思わない」と答えた。自民、公明両党の支持層でも、それぞれ76・7%、80・0%がそう回答している。また森友問題も含め、政権に「問題があると思う」が全体の57・1%に達した。
 不信の背景には、2月に森友問題が発覚して以来、解明に背を向け続ける政府の姿勢がある。森友学園は評価額より8億円余りも安く国有地を取得。野党は売り手の財務省側に忖度(そんたく)が働き、学園が優遇された疑いがあると追及した。
 しかし財務省は省内規則により学園側との交渉記録を廃棄したとし、値引きに至る詳しい経緯を明らかにせず、野党が求めた調査も「必要ない」と拒否した。
問われている公平性
 加計学園が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡っては、文科省が再調査で「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の記録した一連の文書の存在を確認し内容を公表した。
 首相側近の萩生田光一官房副長官から指示があったようだとして、学園に有利になるよう獣医学部新設の要件が修正された経緯を記したメールも出てきた。だが内閣府は1日足らずの調査で「内閣府からは総理の意向とは一切言っていない」と主張。要件の修正についても「山本幸三地方創生担当相の判断」とした。
 首相とつながりのある人が特別扱いを受けたのではないかとの疑念は深まり、行政の公平性と透明性が問われている。疑念を持たれたなら、説明を尽くすという当然の責務を果たすことが政府には求められている。


「加計」問題で臨時国会召集要求 解明迫る野党 渋る自民
 民進、共産、自由、社民の野党四党は二十二日、憲法五三条の規定に基づき、臨時国会召集の要求書を衆参両院に提出した。安倍晋三首相の友人が理事長を務めている「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡り、文部科学省幹部に対して萩生田(はぎうだ)光一官房副長官が早期開学を求めたと受け取れる文書が見つかったことなどを受け、四野党は臨時国会で真相解明に取り組む必要があると訴えている。同時に、内閣人事局長として、幹部官僚の人事に影響力を持つ萩生田氏を局長から外すことも求めた。 (我那覇圭)
 自民党の竹下亘国対委員長は記者団に「召集は内閣の専権事項だが、早期に行わなくても良いのではないか」と否定的な考えを示した。菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「要求があれば、与党と相談して決めていく」と話すにとどめた。
 要求書提出に先立ち、野党四党の幹事長・書記局長が国会内で会い、文科省の前川喜平前事務次官ら加計学園問題にかかわったとされる関係者の証人喚問を求めることで一致。週明けに首相官邸を訪れて、首相に直接、臨時国会召集を求める方針を決めた。
 民進党の蓮舫代表は記者会見で「閉会中審査の開催を求めたが、自民党が拒否したので、臨時国会を求める」と説明した。公明党の山口那津男代表は党中央幹事会で「必要があれば閉会中審査を開くなど適切な措置を、国会対策委員会として検討していただきたい」と閉会中審査には前向きな姿勢を示した。
 憲法五三条は衆院か参院のいずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は召集を決定しなければならないと定めている。いつまでに召集しなければならないかは明記しておらず、政府は合理的な期間内に通常国会が召集される場合、臨時国会を召集しなくても憲法違反にならないと解釈してきた。
 一九七〇年六月に野党が日米安保や公害問題の審議を理由に要求した際は、約半年後の十一月下旬に召集された。二〇一五年十月に当時の民主党などが、安全保障関連法の運用や環太平洋連携協定(TPP)などの審議を求めた時、安倍政権は外交日程や予算編成を理由に応じなかった。


安倍官邸、疑惑追及の女性記者の身辺調査を指示 印象操作企む
 危機管理の失敗は菅義偉官房長官(68)の「ホーム」でも露呈した。いつもは気心知れた番記者ばかりが集う定例会見に、突如、「アウェイ」の社会部記者が参戦。容赦なく責め立てられ、堪忍袋の緒が切れた長官は、また強権的な「反撃」に乗り出したという。
 ***
最近はムキになってばかり……
 バトルは、再調査の発表前日に当たる8日午前の会見で勃発した。
「官房長官会見では見かけない女性記者から、前川喜平前文科事務次官の出会い系バー通いについて質問が飛びました」
 と、菅長官の番記者。
「なぜ官邸は事前に把握できていたのか、全省庁の次官の行動確認をしているのか、この件を報じた読売新聞と連携しているのかという内容です。菅さんはムッとしながら“今言われていることは、失礼な話だと思います”と答えていた」
 しかし、なおもその舌鋒鋭い追及は続き、
「文科省の役人がリークしたとされる文書について、政府が文書の存在を認めて公開するか第三者の調査を行うよう、畳みかけるように何度も求めたのです。その度に“文科省が調査の必要はないと判断した”と繰り返す菅さんを見かねて、スタッフが“同趣旨の質問の繰り返しはお控えください”と注意する場面もありました」(同)
 終わってみれば、全体の半分程の20分弱が彼女の質問に費やされ、菅長官の顔には「辟易」の二文字が刻まれていたのだった。
■赤ワイン
 この勇ましい女性の正体は、2004年に日本歯科医師連盟の闇献金疑惑をスクープしたことで名を上げた、東京新聞社会部の美貌のエース記者。
 東京新聞の同僚が言う。
「彼女は駆け出しの頃に横浜支局で神奈川県警の担当をしていたのですが、当時の刑事部長が所轄の全刑事課長を集めた会議で、“気を付けろ”とクギを刺したくらい、食い込み方が凄かった。その後、東京本社で裁判所や地検を担当し、今は加計問題の取材班に入っています」
 その後の会見でもヤリ手の女性記者に「ホーム」を荒らされ続けた菅長官は、怒り心頭。密かに前川前次官の時と同様の「印象操作」まで企んでいるのだ。
 官邸関係者の話。
「菅さんが官邸スタッフに、警察組織を使って彼女の身辺調査をするよう命じました。というのも、以前から法務省関係者や警察官などに赤ワインを贈ることで食い込んでいるという噂があったので、そのネタ元をリストアップしろという指示です。さらに、取材用のハイヤーをプライベートで使っていたことはなかったかということまで調査対象になっている」
 一記者といえども、歯向かう者はとことん潰そうとするとは、空恐ろしい。
 当の女性記者に話を聞くと、
「前川さんと同じことが自分にあったら、怖いなぁとは思っていましたけど。贈り物なんてしてません」
 なり振り構わない「強権政治」によって、今では自分が「完全アウェイ」にいることに、お気づきか。


疑問と不信に背向けるな/加計問題 臨時国会要求
 民進党など4野党は憲法の規定に基づき臨時国会の召集を要求した。安倍晋三首相の友人が理事長を務める加計(かけ)学園の獣医学部新設計画を巡り、首相最側近の萩生田光一官房副長官の発言を記録したとされる文書が文部科学省で新たに見つかり、国家戦略特区における事業者選定が「加計ありき」で進められたとの疑念が深まったためだ。
 「総理のご意向」といった内閣府側の発言を書き留めた文書などについて文科省は再調査で存在を確認。だが内閣府は内容を全面否定し、二つの調査結果に食い違いを残したまま国会は閉幕した。
 憲法は「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求」があれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと定めている。ただ召集期限は切っておらず、実際に開催するかの判断は政権に委ねられる。
 とはいえ、説明を拒み続けたり先延ばしするようなら、それは国民の疑問と不信に背を向けることになる。安倍首相は国会閉幕後の記者会見で「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と述べたはずだ。
 新たな文書は「10/21萩生田副長官ご発言概要」の見出しで「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「官邸は絶対やると言っている」などの記述がある。文科省によると、昨年10月21日に萩生田氏と高等教育局長が会った際のやりとりについて専門教育課の職員が局長からの説明などを基に個人の備忘録を作成。メールにより省内で共有していた。
 政府の国家戦略特区諮問会議は昨年11月に獣医学部新設計画の方針を決定したが、文書には「加計学園事務局長を課長のところに行かせる」との発言もあり、萩生田氏が学園と文科省の協議をあっせんしたともとれる。
 事実なら「加計ありき」が裏付けられることになるが、萩生田氏は内容を全面否定した。松野博一文科相も「萩生田氏の発言ではないものも含まれているようだ」と説明。職員が内閣府から集めた情報なども混在させ、正確性に欠けるとしている。
 だが、どこまでが事実で、どこからが事実でないかは、はっきりしない。文科省に官邸と内閣府が手続きを早めるよう迫り、行政がゆがめられたのではとの疑念を解消したいなら、真摯に説明するしかないだろう。


「加計」新文書 国民の疑念に堂々答えよ
 「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」。英国の歴史家アクトンの名言だが、現代の識者はこれに付け加えた。「権力は腐敗しても持続する」
 日本の政治権力とは言うまい。ただ、国民の不信感や厳しい批判の声が噴出しているにもかかわらず、真摯(しんし)に耳を貸そうとしない安倍政権はどうなのか。
 学校法人「加計(かけ)学園」問題などを巡る国会対応の高飛車ぶりは目に余る。長期政権をもくろむ安倍晋三首相にとって、かつてない打撃となって返ってきた。
 主なマスコミ各社の内閣支持率は軒並み10ポイント前後減少。安倍政権の政治理念や政策に親和性のある読売新聞では12ポイントも下落した。
 安倍首相は軽く「まあ、こんなもんでしょ」と周囲に漏らしたが、こうも言っている。「ああいうふうに報道されたらしょうがない。スキャンダルでも何でもないことをそう仕立て上げられた」(20日付産経新聞)。これではトランプ米大統領がメディア攻撃に使う「フェイクニュース(偽記事)」と同じではないか。
 安倍首相は会見で「政府への不信を招いたことは、率直に認めなければならない」「深く反省する」と低姿勢に徹し、「指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく。国会の閉会、開会にかかわらず…」と言明したはずだ。発言は真意ではなかったのか。
 自民党内には都議選を控え危機感も漂うが、国会が閉じれば国民の関心は薄れ「自然と支持率は戻る」と楽観視する向きもある。
 しかし、疑惑の中心にある「加計学園」問題の本質は、新設を巡り「総理のご意向」があったのかどうかである。国民はただ事実が知りたいのだ。
 政府の国家戦略特区制度を活用した加計学園の獣医学部新設計画で、もし政権トップの介入があったとすれば、明らかな権力の乱用であり「行政がゆがめられた」(前川喜平・前文部科学事務次官)ことになる。いびつな「安倍1強」体制のなせる業であろう。
 文科省内にあった「総理のご意向」文書は、まず前川氏が会見で「本物」と認めた。官邸は「怪文書」扱いにしたが、文科省は再調査で文書の存在を確認。その後、首相側近の萩生田光一官房副長官の発言を記録したとされる新文書が見つかり「加計ありき」の疑念は一層深まった。
 しかし、それも一転。文科省は事実を真っ向否定した萩生田氏の記憶を優先し「正確性を欠く」と結論付け、松野博一文科相は陳謝に追い込まれた。背景には国会閉会で強引に幕引きを図る官邸の圧力が漂う。
 官邸や内閣府が全面否定するなら、反論の証拠を出すべきだ。文科省もどの内容が事実と異なるのか真偽を明確にする必要がある。「正確性を欠く」だけでは隠蔽(いんぺい)と変わらない。
 野党は臨時国会召集を要求している。首相が「国会の閉会、開会にかかわらず」と言っているのに、それでもなお国民の疑念を黙殺するなら、議会制民主主義の否定につながる。


加計問題で新文書 首相は今すぐ説明責任を果たせ
 また「加計学園ありき」を強くうかがわせる文書が、文部科学省で見つかった。官邸対応の内幕を明かす文書やメールの相次ぐ発覚に、国民の政府への不信は深まる一方だ。
 首相は国会閉会の会見で「何か指摘があればその都度、説明責任を果たす」と明言した。新文書を松野博一文科相が公表したのは、その翌日。首相は今こそ急いで、会見や国会の閉会中審査、臨時国会を開いて説明責任を果たさねばならない。それをしないのであれば、会見は国民の目を欺いただけで終わる。
 新たな文書には、今治市への獣医学部新設に絡み、萩生田光一官房副長官が「総理は『平成30(2018)年4月開学』とおしりを切っていた」などと述べたと記されている。事実であれば「総理の意向」が働いた裏付けになり、「行政がゆがめられた」との疑念は一層強まる。萩生田氏は「首相からいかなる指示も受けていない」と否定するが、文書が残る以上、十分な説得力は持ち得ない。
 文科省の対応も問題だ。新文書の内容は、過去の調査結果や前川喜平前文科次官の証言と符合する。にもかかわらず「備忘録としての個人のメモ」と過小評価し、萩生田氏らの否定を根拠に「正確性を欠く」と判断した。職員のメモを否定するのであれば、何が事実で、何が事実でないかを調べなければならない。部下を守るべき立場の文科相が首相側近の萩生田氏をかばい、事実解明を阻もうとするのなら、大臣としての資質を疑わざるを得ない。
 山本幸三地方創生担当相も、文科省の新文書に対応した調査に「文書をよく見てから検討する」と及び腰だ。所轄官庁に疑惑がある以上、調査の見送りはあり得ない。
 野党は昨日、憲法の規定に基づき臨時国会の召集を求めた。首相は当然、応じなければならない。安全保障関連法成立後の15年10月にも野党は臨時国会を求めたが、安倍政権は開かなかった。召集見送りは憲法違反であり、今回も逃げを打つことは許されない。
 内部情報が次々と明らかになる事態に、政権から職員の発言を締め付けるかのような発言が出ていることは看過できない。菅義偉官房長官の「(新しい文書は)行政文書のつもりはなかったと聞いている」とのコメントには、公にすべき情報ではなかったとの真意が透ける。菅氏は「職員の公文書管理の意識を高める研修充実を考える」とも述べるが、公開よりも情報流出防止に重きを置き「都合の悪い内容は公文書として残さない」という逆の方向に行きかねず、強く危惧する。
 公文書は国民共有の知的財産で、公開が原則である。政府がすべきは情報の囲い込みではなく、いかなる情報も詳細に記録し、国民と共有することだ。行政の公平性や透明性を担保するために情報があることを、忘れてはならない。


深まる萩生田氏“横ヤリ”疑惑「加計ありき」へ空白の1時間
 萩生田官房副長官の関与を示すメールにあった「加計ありき」の応募要項は2段階で修正されていたことが新たに分かった。
 修正された昨年11月1日に内閣府職員が文科省職員に送ったメールには<萩生田副長官からの指示>との記載があるが、萩生田氏本人は指示を否定。山本幸三地方創生相は「指示したのは私」と言い張っている。しかし、政府が22日、民進党の「加計学園疑惑調査チーム」に明かした修正当日の経過を追うと、怪しいやりとりが浮かびあがる。
 応募要項の修正について、文科省と内閣府との打ち合わせが始まったのは当日の午前10時45分。内閣府からは特区担当の藤原審議官、佐藤参事官とメールを送った課長補佐の3人、文科省は浅野課長と企画官、課長補佐の3人が出席した。この段階では先に文科省側が出してきた修正案に、内閣府側は記載の1行を二重線で削除するにとどめていた。
■空白の1時間になにがあった?
 事態が急転したのは正午前後から始まったとみれる2度目の打ち合わせだった。突然、藤原審議官が<広域的に存在しない地域に限る>という文言になるよう指示。手書きで修正された。その結果、実質的に加計学園しか応募できなくなったわけだ。
 内閣府の笹川課長は22日、「10時45分の打ち合わせが終わった後、山本大臣から藤原審議官に<広域的に>などの修正の指示があった。終わってから1時間以内、恐らく11時台だと思う」と説明したが、1時間も経たないうちに何があったのか。
 説明通りなら、山本大臣は事実上、加計学園に事業者を絞り込む重要な修正をなぜ、事前に藤原審議官へと伝えていなかったのか。最初は1行削除で「了」とした山本大臣が、これだけ大事な修正を急に追加で指示するのは不自然だ。
「山本大臣とは別の、強い力を持った誰かが指示したとみるのが自然でしょう。萩生田副長官の記述はメールに残っていますが、山本大臣の指示を示す記録は一切出てきていない。証拠の観点からも、記述通りに萩生田副長官が指示した可能性がきわめて高いと思います」(民進党・玉木雄一郎衆院議員)
 後から取り繕うのはもう限界。「官邸の強い力」は明白だ。


“安倍さまのNHK”に変化? 『クロ現』総理圧力新文書スクープを後押しした上田新会長、一方で政治部によるスクープ潰しも…
 萩生田光一官房副長官の直接関与と安倍首相が開学時期を切っていたことが判明した、加計学園をめぐる文科省の新文書。安倍首相が「腹心の友」のために、官邸を動かし、行政をゆがめ、国家戦略特区を利用して便宜を図っていたことが実証されたも同然だが、今回、もうひとつの衝撃が走った。それは、この新文書をスクープしたのがNHKの『クローズアップ現代+』だったことだ。
 NHKといえば、籾井勝人会長時代、リニューアル前の『クロ現』で国谷裕子キャスターが菅義偉官房長官を集団的自衛権の憲法解釈変更をめぐり質問攻めにしたことで官邸が激怒。2016年3月で国谷キャスターを降板に追い込んだほか、露骨に報道内容に介入した結果、NHKの報道は完全に萎縮し、「安倍チャンネル」などと揶揄されてきた。
 それが、ここにきて加計学園問題の決定打となる文書を突きつけた──。もっともこの報道までには、大きな障害があったらしい。
「今回のスクープを取ってきたのは社会部の文科省担当記者で、数日前には取材を終え、いつでも報道できる体制が整っていた。ところが、政治部出身の小池英夫報道局長の横槍が入って、国会閉幕後、しかも安倍首相の記者会見後に放送をずらされたんです。安倍首相や政権幹部が新たな材料で追及されてしまうのを避けるという忖度です。新文書の第一報が『クロ現+』だったのも同様で、政治部が主導権を握るニュース枠で第一報をやるのを拒否されたためです」(NHK関係者)
 それでも、『クロ現』のこの新文書報道は籾井氏が会長だった時代なら、絶対に考えられなかったスクープ報道だ。以前なら、そのままお蔵入りどころか、取材前につぶされていただろう。
 これだけではない。最近、NHKでは他にも、安倍政権の不正を報じる社会部発のニュースが時折、流されるようになった。たとえば、同じ加計学園をめぐる問題では、6月2日に他メディアに先駆けて、文科省の現役職員の証言というかたちで、「官邸の最高レベル文書は今も職員のPCなどに保管されている」事実を報じた。
上田良一NHK新会長が「国家権力に追随するのは望ましい形ではない」
“安倍さまのNHK”のこうした変化の背景にあるのは、今年1月にNHK新会長に就任した上田良一氏が理事会で発した発言だったという。
「上田会長は、就任してしばらくたった後、公共放送であるNHKの権力を追随する姿勢に対して海外メディアから予想以上に厳しい批判や疑問の声があがっていることを知って、理事会で“ジャーナリズムの使命を果たす必要がある”“調査報道にも力を入れていかなければならない”といった趣旨の発言をしたようなんです」(NHK関係者)
 上田会長は、経営委員のひとりとして登壇した昨年5月の「視聴者のみなさまと語る会in函館」でも、「放送、ジャーナリズムが国家権力に追随するような形というのは、必ずしも望ましい形ではありません」と発言。この発言は受信料についての話題であったとはいえ、「籾井前会長よりは公共放送局としての意識をもっている」という声も局内に広がっていた。そこに、この発言があり、籾井時代から、現場の報道に圧力をかけまくっていた小池報道局長ら忖度官僚の圧力が弱まったということらしい。
「この発言は我々現場にも伝わっていて、籾井時代に牙を抜かれ、ガタガタにされていた社会部が息を吹き返した。少しでも、調査報道をやろう、権力チェックをやろうという空気が出てきた」(社会部記者)
 だが、上述したように、これはあくまで籾井時代と比べた場合であって、けっして自由に報道できるようになったわけではない。社会部はたしかに頑張っているが、安倍首相の代理人、岩田明子記者が牛耳る政治部は相変わらず安倍政権の広報機関という姿勢を崩さず、相変わらず社会部の報道に圧力をかけて、政権批判潰しを続けている。
 たとえば、NHKの社会部は5月、朝日新聞がスクープした最初の文科省内部文書についてもその存在と告発の動きをいち早くキャッチ、朝日より前に報道する準備を進めていた。ところが、これも政治部と小池報道局長の圧力によって、『文科省の審議会が加計学園の獣医学部設置に課題があると報告をまとめた』というニュースのなかで少し触れるという扱いにされ、肝心の『官邸の最高レベル』などの文言は黒塗りにされてしまったのだ。
 また、社会部は文科省前事務次官の前川喜平氏が記者会見する前に独占インタビューを収録済みだったが、これも同様にお蔵入りをしている。
それでも社会部の政権不正追及は政治部と報道局長に潰され続けている
 実は、こうした政治部の社会部に対する圧力は、今回の『クロ現+』の放送内容からも如実に伝わってきた。
 たとえば、新文書の内容を報告するVTRを受けてのスタジオでは、社会部の大河内直人記者とともに政治部官邸キャップの原聖樹記者が出演。そこで原記者は「(国家戦略特区の手続きに)間違いが起きるはずがない」「規制を緩和したくない文科省」など、手書きのフリップを持ち込んでまで官邸の方針をそのまま垂れ流すように解説を行った。対して大河内記者は、原記者の解説を「表の議論」とし、今回発覚した新文書を「内閣府と文科省の水面下の交渉が記録された文書のひとつ」「公平性・透明性が保たれたかどうかは、こうした省庁間の交渉も含めて検証する必要がある」と“反論”。両記者は横並びで座りながら、真っ向から対立したのだった。
 さらに同番組では、国家戦略特区諮問会議の民間議員で今回の獣医学部新設にもかかわった八田達夫氏の「どこを選ぶなんてことを贔屓するなんてことはない」「各省庁に対してリーダーシップを発揮できる制度」などという言い分まで放送。特区制度に疑問を投げかけた立命館大学の高橋伸彰教授の発言と“両論併記”するという忖度も見せた。
 また、今回のNHKの報道に官邸は激怒しており、今後、官邸の意を受けた政治部、「忖度の塊」と評される報道局長がこれまで以上に圧力を強めるのは必定だろう。上田会長も「籾井氏よりはマシなだけ」で、「とてもじゃないが官邸に楯突くような人物ではない」というのが大方の見立てであり、事態はまったく楽観できる状況にはない。
 ただ、それでも現場ではその官邸と政治部の圧力に抗おうという動きが広がっている。
 たとえば、今回の『クロ現+』放送を受けて、20日に萩生田副長官が「不確かな情報を混在させてつくった個人メモ」と反論すると、21日にNHKは「行政文書であることは法的に疑いがない」という専門家による見解をニュースにするなど、再反撃に出た。これは最近のNHKではありえなかった姿勢だ。
 社会部を中心に出てきたこうした動きは、官邸─政治部の力によって押し潰されてしまうのか。それとも、公共放送としてあるべき姿を取り戻し、“安倍チャンネル”という汚名を払拭できるのか。正念場にあるNHKの状況を注意深く見守る必要がある。(編集部)


前川前次官が田崎史郎、山口敬之、読売、NHKら安倍応援団を批判!安倍政権によるメディアの私物化は、民主主義を殺すと
「総理自ら先頭に立って、説明責任を果たしていただきたい」──本日、日本記者クラブ主催の記者会見に出席した前文科省事務次官の前川喜平氏は、毅然と安倍首相の姿勢を問いただした。
 きょうの記者会見の開催については、萩生田光一官房副長官の関与を示す新たな文書の発覚を受けてのものではないか、あるいは東京都議選の告示日であることから何か関連があるのではないかと見られていたが、記者会見をオファーしていた記者クラブ側と前川氏の都合を調整した結果だといい、前川氏は「私には政治的意図はございません」と強調。
 だが、前川氏は前事務次官として、官邸および内閣府の態度に対して「責任を果たしていない」「真相を明らかにすることから逃げようとしている」と厳しい評価を下し、安倍首相による「規制改革派と岩盤規制に固執する抵抗勢力」という主張を、「勧善懲悪のような構図」「問題の本質を見誤る考え方」と喝破。「『岩盤規制』対『規制緩和』という構図は、為にする議論のすり替え」と言い、プロセスの不透明さと加計学園しか該当しないような規制が加えられていったという「穴の開け方」をあらためて問題にすると、第三者機関による選定プロセスの検証・調査を求めた。
 さらに前川氏は、新たに発覚した萩生田官房副長官の発言がまとめられた新文書についても言及。萩生田官房副長官は、作成者である専門教育課課長補佐の「不確かな情報を混在させて作った個人メモ」と処理しているが、前川氏は「(課長補佐は)極めて優秀ですし、しっかりした人物」「虚偽の内容を盛り込んだり聞き間違いが入ったりした文書をつくることはあり得ない」「内容はほぼ事実だと思う」と証言。対して、萩生田官房副長官など官邸の対応を「情報発信者の信頼を失わせることで情報の信頼を失わせる意図」と見破り、「萩生田官房副長官の何らかの関与があった可能性は高いと思っています」と述べたのだ。
 ただし、前川氏は「全体のシナリオを描いていた」人物として、萩生田官房副長官とは違う名を挙げた。和泉洋人首相補佐官だ。
「私の目から見ますと、和泉総理補佐官がいちばんのキーパーソンではないかと」
「10月21日付けの萩生田副長官のご発言の内容を見ても、萩生田さんは和泉さんと話をした結果として、それを文科省に伝えている。やはり情報発信源になっているのは和泉さんではないか。和泉補佐官がいちばん全体のシナリオを描いて、全体の統括もしている、そういう立場にいらっしゃったのではないかと思っています」
 前川氏は以前より、昨年9月上旬に和泉首相補佐官に呼び出され、「総理は自分の口から言えないから私が代わって言う」として特区における獣医学部新設を早く進めるようにと迫られていたことを証言している。そのことからも、「いちばん総理のご意志に近いところ」にいたのは和泉首相補佐官ではないかと前川氏は見るのだ。
 また、森友問題と加計問題について前川氏は「よく似ている」とし、この森友・加計のように地方と国、国のなかでも複数の省庁にまたがる問題では「全体を調整する機能がどこかに必要」「どこかに司令塔がなければできないと思う。その司令塔の役割を果たしている人がいる」と論及。会見では具体的な名前を挙げていなかったが、「週刊朝日」(朝日新聞出版)6月23日号のインタビューではその“司令塔”について、こう語っていた。
「役所のどこを押せばどう動くかということを熟知した人間がいなければなりませんし、そういう才能を持った人なんて、そう多くはいません。官邸の中でも、私には今井尚哉首相秘書官(叔父は安倍首相と近い今井敬経団連名誉会長)、和泉首相補佐官くらいしか思い当たりません」
 今井秘書官といえば、本サイトでもたびたび報じてきたが、安倍首相の行動日程やスピーチ原稿をすべて仕切り、永田町では“影の総理大臣”とまでいわれるほど安倍首相に対する影響力が強いとされる人物。加計、森友問題のプロセスでもなにかしら役割を担ったのだろうか、解明が必要だ。
 このように、本日の会見では新証拠が飛び出したわけではないものの、理路整然と問題の焦点を明らかにした前川氏。しかし、会見でもっとも注目すべきは、いたって冷静に事実関係や見解を述べた前川氏が、スピーチの最後にはっきりと強い口調で「もうひとつの問題」に踏み込んだことだろう。
「この(獣医学部をめぐる)一件を通じて、まったく別の問題として認識を新たにしたのは、国家権力とメディアとの関係です」
「ひとつは、私に対する個人攻撃だと思われる記事が5月22日の読売新聞に掲載されました。私としては不愉快な話でしたが、その背後に何があったのかはメディアの関係者のなかできっちり検証されるべき問題だと思っています。私は個人的には、官邸の関与があったと考えております」
 官邸の関与で読売の醜聞記事はつくられた──。たしかに、前川氏はこれまでも記事が出る2日前から読売の記者よりコメントがほしいと求められ、その一方で、記事が出る前日には文科省幹部を通じて「和泉補佐官が話をしたいといったら応じるか」というアプローチがあったことを明かしている。前川氏はこの和泉首相補佐官の動きを「私の想像ですが『嫌な報道をされたくなかったら抑えてやる』ということかと思いました」と語ったが、もはや官邸が読売を使って前川氏に揺さぶりをかけたことは疑いようがないだろう。
 だが、前川氏はメディアへの指摘をつづけた。次はNHKの不可解な報道についてだ。
「私に最初にインタビューを行ったのはNHKです。ですが、その映像はなぜか放送されないままになっています。いまだに報じられておりません。真相を表す内部文書のなかでも非常に決定的な『官邸の最高レベルが言っていること』という文言が入った9月26日という日付けつきの文書がございますけども、これは朝日新聞が報じる前の夜にNHKは報じていました。しかし、核心の部分は黒塗りにされていました。これはなぜなんだろうと」
 本日、本サイトで伝えたように、これらのあからさまな“加計学園問題封じ”は、安倍首相に忖度する報道局長と、安倍首相にもっとも近い記者と呼ばれる岩田明子が幅を利かせる政治部によって断行されたものだ。権力にすり寄るためにインタビューがお蔵入りとなる、前川氏はその当事者としてNHKの姿勢を問うたのだ。
 さらに前川氏は、「報道番組を観ておりますと、コメンテーターのなかには、いかなる状況証拠や文書が出てきたとしても、官邸の擁護しかしないという方がいらっしゃいます」と発言。「そういう方のお名前は差し控える」と述べたが、誰がどう考えてもこれは田崎史郎のことだろう。そして、「森友学園のときもそういうことが繰り返し行われていた」とし、田崎と並ぶ御用ジャーナリストである山口敬之の問題にまで言及したのだ。
「森友学園の問題で官邸を擁護するコメントを出しつづけた方のなかには、ご本人の性犯罪が警察によってもみ消されたのではないかという疑惑を受けていらっしゃる方もいるわけでございます」
 官邸に刃向かって問題を告発しようとした前川氏にはメディアを使って恫喝まがいの行為を働き、片や安倍首相という最高権力者と一体化したジャーナリストには、起こした犯罪さえもみ消してあげる。──本サイトはこうした安倍政権のやり方こそが民主主義を破壊行為であり、メディアも同罪だと指摘しつづけてきたが、前川氏も同じようにこれを問題視したのだ。
「(読売新聞の報道への官邸の関与について)もしこういうことが私以外の人にも起きているとするならば、これは大変なことだというふうに思います。監視社会化とか警察国家化と言われるようなことが進行していく危険性があるのではないか。あるいは“第4の権力”とまで呼ばれているメディアまで権力に私物化されてということになると、これはもう日本の民主主義は死んでしまうと。その入口に我々は立っているのではないかという危機意識を私自身ももったんですね。そのことがこの問題の大きなインパクトだというふうに思っています」
 民主主義の死。前川氏はもっとも強い言葉でそう表現し、「国家権力とメディアの関係を国民の視点から問い直すという必要性、またそのメディアの方々のなかで自浄作用が働くことを私は強く期待したい」と述べたのだ。
 しかし、前川氏から発せられたこの大きな指摘に、当のメディアの一部は相変わらず向かい合おうとしなかった。実際、一般質疑で最初にマイクを握った産経新聞の記者は「文書を流出させたのは前川氏か」と質問。取材源の秘匿というジャーナリストの倫理をもち合わせているならこんな質問を行うわけがなく、前川氏も「情報流出源にはコメントしない」と返答した。無論、読売新聞からの質問は出なかった。
 前川氏はきょうの会見のなかで、「重要な人物で、一切発言しておられない人」として加計学園理事長の加計孝太郎氏の名前を挙げ、メディアに向けて「加計孝太郎さんを早くつかまえてほしい」と氏への取材を呼びかけた。問題の最重要人物がメディアから追いかけられていないという異常事態、それこそがメディアの弱腰を裏付けているだろう。
 果たして前川氏からの警鐘を、どこまでメディアは真摯に受け止められるか。加計学園問題の真相究明に、いま、メディアの力が試されているのである。(編集部)


フランス総選挙/若き大統領の手腕に注目
 フランス国民議会(下院)総選挙で、5月に就任したマクロン大統領率いる新党「共和国前進(REM)」の連合が約6割もの議席を獲得し、大勝した。
 ルペン党首が率い、動向が注目された「反イスラム」「反移民」を訴える極右「国民戦線(FN)」は完敗した。
 フランス国民の選択が社会の安定につながるのであれば、同じ先進7カ国(G7)のメンバーである日本にとっても歓迎すべき結果だろう。
 英国の欧州連合(EU)離脱決定、排他的なトランプ米政権誕生など欧米で広がりを見せていた排外主義にもブレーキがかかることを期待したい。
 オランド前政権の経済相だったマクロン氏が、REMの前身となる市民運動を立ち上げたのは、1年余り前のことだ。大統領選で勝利を収めたものの固い組織票がないため、総選挙では不安視する声があった。
 しかし「超党派内閣」の結成で左右の既存勢力を取り込む巧みな戦略を取る一方、FNの封じ込めにも成功した。首脳外交でトランプ大統領らと堂々と渡り合い、有権者に好感を持たれたことも追い風となった。
 何より二大政党による既成政治を刷新したいという有権者の思いが、「右でも左でもない」と訴えるマクロン氏への支持につながったといえる。
 新人議員は全当選者の約4分の3を占める。REMの連合もボランティア活動家など多彩な顔ぶれだが、多くは政治的な経験がなく実力は未知数だ。歴史的な低投票率は政権の不安定さを表している。
 期待を裏切るようなことになれば、国民の間で失望が広がり、民意が大衆迎合主義(ポピュリズム)へ、排外主義へと向かう恐れがある。
 マクロン政権のフィリップ首相は「われわれは明白な多数派となった。改革を力強く推進する」と述べた。大統領には、EUの統合強化や労働市場改革に本腰を入れるとともに国民への説明責任を果たし、ともに歩む姿勢を示すことが求められる。
 フランス社会は相次ぐテロや格差の拡大、高失業率など重い課題を抱える。険しい道を歩みだした39歳の若き大統領の手腕に注目したい。


英国の男子生徒がスカートで登校し始めた理由
記録的な高温が続いている英国で、男子学生の通学ファッションに劇的な変化が起こっている。
デヴォン州エクセターにあるISCAアカデミーに通う14歳の男子生徒は、制服のスラックスで汗だくになって登下校していた。その様子を見た母親は学校に電話をかけて、半ズボンで登校することを許可してほしい、と掛け合った。しかし教師は、校則にないから、とあっさり却下。さらに、「もし穿いてきたら今週いっぱい隔離室で過ごさせます。そしてもし学校を休ませるなら、無断欠席扱いにしますので」と言い渡したという。
学校の対応に業を煮やした男子生徒たちは団結し、抗議行動に打って出た。友人や姉妹に借りたスカートで登校し始めたのだ。
もともと、このアイデアは校長が出したものだったという。校則に規定されていないことから半ズボンの着用を頑なに禁じているエイミー・ミッチェル校長は、生徒たちの嘆願を受け「そんなに言うならスカートで来たらいいじゃない」と発言。もちろん、彼女は冗談のつもりだったが、「じゃあやってやろうぜ!」と男子生徒が実行に移したというわけだ。
男子生徒の1人は、「1日中、スラックスでは座っていられません。暑すぎるんです」と語り、風通しの良いスカートを満喫。
また、前述した14歳の生徒の母親は地元紙の取材に対し、「女子は1年中スカートを穿いても良いのに、男子が半ズボンを穿けないのは不公平ですよ。この暑さが子どもにどんな影響があるのかもわからず、本当に心配です。私は彼らが自分たちの権利を主張するために立ち上がったことを心から誇りに思います」とコメントしている。
また、ミッチェル校長はBBCの取材に、「ここ数日、例外的に気温が高いことは認識しており、我々スタッフも生徒が心地よく過ごせるようできる限りのことはしています。半ズボンは現時点で男子の制服として規定されておらず、生徒および保護者と協議をせぬまま一方的に変更を加えることはできかねます。しかし、このような高温状態が続くようであれば、将来的に変更を考慮することはやぶさかではありません」と語った。


城田優が「ガイジン」と言われたいじめを告白…秋元才加、ざわちん、青山テルマらも明かすハーフ・クォーターへの偏見と差別
 今月18日、俳優の城田優がツイッターに投稿したある文章が話題を呼んでいる。
〈今日、小さな子供に"外人" と言われて、驚いた。 おれが毎日のようにそう言われていたのは、今から25年ほど前の話。 これだけ時代が変わったにも関わらず、もし、未だに学校等で、ハーフの子供達が"外人"と呼ばれているのだとすると、すごく悲しいことです。 そうではないと信じたい。〉
 彼はスペイン人の母と日本人の父との間に生まれたハーフ。誰もが知る通り端正なルックスの彼だが、実は生い立ちゆえに、その外見に劣等感を抱いていた時期もあったと告白したことがある。
 2014年に『オペラ座の怪人』をミュージカル化した『ファントム』の舞台で主演を務めることになった際、城田は主人公がもつ外見へのコンプレックスを、自分の生い立ちと重ね合わせながら、このように語っていた。
「彼のもっているコンプレックスを、僕が完全に理解することなんてできないと思います。ですが同時に、容姿に関するコンプレックスを僕ほどもっていた人は周りに絶対見つからないだろうとも自信をもって言えます。なぜならみなさんは日本という国で生まれ育ち、『ほかの人たちと違う』という感覚に襲われたことはないですよね。顔がかわいいとかブスだとか、濃い薄いっていう話じゃなく、根本的に『他人と違う』。僕はスペインと日本のハーフだからこそ、それを経験してきているんです。(母の母国)スペインにいた小さいときは『チノ』という中国人を指す差別用語を浴びせられ、日本に帰ってきてからは『ガイジンだ、ガイジン』って言われてきた。いまでは僕も自分の容姿を受け入れられていますが、20歳くらいまではひどくコンプレックスだったんです」(ウェブサイト『映画.com』)
 06年にピークに達したあと、国際結婚するカップルは減少傾向にあるとはいえ、13年に国際結婚したカップルは2万組以上。婚姻数全体から見ても、30組に1組は国際結婚と、現在の日本において国際結婚はさほど珍しいものではなくなっている。
 そんな流れを受けて、現在の芸能界ではハーフやクォーターの人たちが多く活躍しているのはご存知の通り。栗原類、ユージ、ウエンツ瑛士、JOY、SHELLY、トリンドル玲奈、ダレノガレ明美、春香クリスティーン、マギー、中条あやみ、ホラン千秋、藤田ニコル、市川紗椰など、具体名をあげていけば枚挙に暇がない。
 しかし、城田の一件が象徴する通り、出自を理由にした差別やいじめは、いまでもなくなってはいないだろう。そして、そういったいじめは、欧米の白人以外をルーツとしている場合、より苛烈になる傾向がある。
「ブサイク!」「肌の色が違う!」青山テルマが語る壮絶ないじめ体験
 トリニダード・トバゴ人の祖父をもつクォーターの青山テルマは、今年2月に放送された『人生が変わる1分間のイイ話』(日本テレビ)で、幼稚園のときに受けたいじめをこのように語っていた。
「小さいときはもう、辛かったけどね。『あの子、肌の色が違う!』みたいな。『何だ、アイツ』みたいな。『黒人だ!』みたいなとかさ。なんか、『ゴリラ! ゴリラ!』とか、超近所の子に言われたりとかさ。『テルマって黒人だから将来心配だよね』とか。『ホント、テルマちゃんってブサイクだよね』とか普通に言われてた」
 いくら幼稚園児の言葉とはいえ、これは到底許容できるものではない。傷ついた心中は察するに余りある。そういったいじめを避けるため、彼女は小学校入学にあたり、奈良の家から往復4時間もかかる大阪のインターナショナルスクールを選ぶことになるのだが、いじめられた側がそういった不便を強いられることになったのは、なんとも理不尽な話である。
 作家のサンドラ・ヘフェリン氏は、著書『ハーフが美人なんて妄想ですから!! 困った「純ジャパ」との闘いの日々』(中公新書ラクレ)のなかで、知人の体験談としてこんなエピソードを紹介している。
 外国人を母親にもつ子どもが何人か通っていたある日本の小学校でのこと。保護者がダンスなどの余興を発表することになった際、「ドイツ人のお母さんが『私、ダンスを踊ってもいいですか?』と申し出たところ、まわりのママたちから『素敵!踊りってバレエですか?』」などと盛り上がったのだが、「フィリピン人のお母さんが、『私もダンスを踊っていいですか?』と聞いたところ、お母さん方の間でシラーッとした微妙な雰囲気が流れ」、「後で『あの人、ダンスできるとか言っているけど、水商売で習ったダンスなんじゃないの』と陰口三昧だった」のだという。
 こうした「『お母さんがフィリピン人なの』と言うと、すぐに相手は『お母さんは水商売で、お父さんは元お客さんに違いない』と勝手に決め付ける風潮」に対し、著者のヘフェリン氏は「決め付けはよくないのはもちろんのこと、たとえその子のお母さんが水商売をしていたとしても、だから何?」と言う。そもそもハーフでなければ、父親と母親がどこで出会ったかなどいちいち詮索されること自体ないだろう。
秋元才加、ざわちんは偏見を恐れ、ルーツを明かすのを躊躇していた
 こういった事情があるため、なかには自分のルーツを隠すべきどうか思い悩むケースもある。
 フィリピン出身の母親同士の仲が良かったことから高安関と幼なじみであるとの報道が出たことも記憶に新しい元AKB48の秋元才加は、著書『ありのまま。』(徳間書店)のなかで、「デビュー当時は、ハーフってことを隠したほうがいいんじゃないかと言われたことがある」と記している。
 現在はフィリピンの観光親善大使も務め、テレビ番組でフィリピンを案内するなど、自分のルーツについても積極的に語っている秋元だが、以前は「ハーフだから何がいけないの?」という思いを常に抱えていた一方で、「フィリピン人のハーフっていうと、“偏見”だったりというのもたまに。ほかの海外のハーフとはちょっと違うと思っていた」と感じていたと言う。小学校低学年のときに、「フィリピン人、フィリピン人」といじめられたこともあったそうだ。なので、心配した母親は、秋元がフィリピンで生まれたということを隠し、長い間「日本で生まれた」と話していたのだと言う。
 ものまねメイクでおなじみのざわちんも、同じような葛藤を抱えていた。彼女は、2014年9月に放送された『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS/現在は『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』に改題)で初めて母親がフィリピン人のハーフであることを告白したが、その際、日本の小学校で差別といじめを受けていたと明かし、色黒であることを理由に「ガングロ」「ヤマンバ」などといじめられた過去を語っている。
 こういう現象を見ていると、やはりこの構図は、戦前の日本から続く同質幻想や純血主義がベースにあると考えられる。もちろん、本稿冒頭で紹介した城田優のように白人系のハーフで差別やいじめを受けている人も少なくないだろうし、芸能界などで白人系のハーフをチヤホヤしているのもまた、差別感情の裏返しに過ぎないと断じざるを得ないだろう。
 前述のヘフェリン氏は、ハーフの問題を考えるとき、「日本人とは何か」が問われていると指摘する。
「片方の親が日本人で、日本語も話せ、和食や浴衣が好きで、国籍が日本、というふうに『血』『日本語能力』『国籍』『心』の面で、『日本人であること』をクリアしていても、顔が欧米人のようだと、『容姿』の壁が立ちはだかり、いつまで経っても『日本人』だと認められない」
「『日本人に見られたい』『自分は日本人』と思っているハーフにとっては、言葉、心や国籍の問題をクリアしていても、『アナタはココが『普通の日本人』とは違う』と指摘されてしまうことはつらい」
 ご存知の通り、現在日本では「在日」「帰化人」などと出自や国籍をあげつらう言説や、外国に出自をもつ者に対し「イヤなら日本から出て行け」という罵声、ヘイトスピーチが平気で飛び交っている。
 保守化がどんどん進み、排外的な考えが日本社会に広がりつつあるいま、城田が危惧しているように、出自をあげつらったいわれのない差別やいじめはこれからさらに増えていく可能性すらある。
 多様な日本人も、日本人でない人も生きやすい社会にすべく、こうした差別に我々は異議の声をあげ続けていく必要があるだろう。(新田 樹)


藤井四段28連勝 目を見張る14歳の快進撃
 まだ14歳、中学3年生である。将棋の最年少棋士、藤井聡太四段が、公式戦の連勝記録を歴代最多に並ぶ「28」に伸ばした。若い才能の快進撃をたたえたい。
 28連勝は、1987年の神谷広志八段以来、30年ぶりとなる。将棋界では破るのが困難と言われた大記録に、デビューから負け無しで並んだのは驚異的である。
 記録ずくめの道を歩んできた。5歳で将棋を始め、棋士養成機関「奨励会」ではプロの一歩手前の三段に歴代最年少の13歳で上がった。昨年10月、14歳2カ月で四段に昇段してプロとなり、加藤一二三九段の持っていた最年少記録を62年ぶりに塗り替えた。その加藤九段と対戦した初陣以来、快進撃を続け、4月には新記録となるデビュー後11連勝も果たした。
 一日中将棋と向き合うのが当然のプロの世界で、藤井四段が中学校生活と将棋の研究を両立させていることには驚かされる。強さの理由にはまず、抜群の集中力や負けん気の強さが挙げられよう。幼稚園時代には、難解な詰め将棋の問題に没頭し続けて「考えすぎて頭が痛い」と口にするほどだったという。
 連勝中は、相手に先行されながら諦めずに逆転勝利した対局もあった。3月にはプロ棋士も参加する詰め将棋の選手権大会で3連覇を果たしている。緻密な読みの力が鍛えられる詰め将棋を通じて、鋭さに定評のある終盤力を鍛えてきたようだ。
 藤井四段の活躍は将棋ファンにとどまらず、広く人々を魅了している。28連勝を達成した後の記者会見で「連勝は幸運。もっと強くなるよう精進したい」と述べた。強いだけでなく、年齢に似合わないほど謙虚で礼儀正しい受け答えも、好感を呼んでいる理由だろう。
 今年、将棋の世界では人工知能(AI)の嵐が吹き荒れた。AIを搭載したコンピューターソフトが、最も権威のある名人の佐藤天彦棋士に2戦全勝した。将棋よりも勝負の展開の幅が広く、人間に勝つのはさらに困難とみられていた囲碁でも、ソフトが「世界最強」とされる棋士との3番勝負で全勝した。
 AIが人間の頭脳を追い越した節目の年と言えよう。その年に、若い藤井四段が記録破りの活躍を見せ、人間同士が知力を尽くす戦いの魅力や、人の持つ可能性を改めて実感させてくれた。10代が世界で力を発揮している卓球界なども含めて、才能あふれる若者の活躍は社会全体に活気を与えてくれる。
 藤井四段は26日、前人未踏の29連勝を懸けて対局に臨む。新記録に期待が高まるが、結果にかかわらず、さらに研さんを積んでその先を目指してほしい。屋敷伸之九段の持つ18歳での最年少タイトル獲得記録や、谷川浩司九段が21歳で達成した最年少名人記録など、さらなる高みも見えてこよう。


藤井四段の活躍 新しい世代に期待したい
 プロデビュー以来、無敗の最年少棋士、藤井聡太四段の快進撃で将棋ブームが起きている。トップ棋士がコンピューターにかなわない時代に入ったが、人間同士の対局の魅力は失われず、多くの人の心を動かすことを示した意義は大きい。
 人工知能(AI)やロボット技術の発達によって人間が仕事を奪われる未来が予測されているが、将棋ソフトを使った研究やネット対局で力をつけ、人間らしいドラマを見せてくれる新しい世代の活躍を、将棋ファンならずとも参考にしたい。
 藤井四段は中学生でプロ入りした史上5人目の棋士だ。加藤一二三・九段が持っていたプロ入り最年少記録を62年ぶりに塗り替えた上、その加藤九段を破ってデビュー戦を飾った。デビュー後の連勝記録だった10連勝を書き換え続け、連勝記録の最多タイの28連勝を達成した。
 1人の棋士の活躍がこれほど話題をさらうのは、羽生善治3冠が、1996年に初の7冠同時制覇を果たして以来だろう。当時と比べ、情報技術の発達で将棋を取り巻く状況は大きく変わった。
 ネット対局の普及で、遠隔地にいる相手と容易に対局できるようになった。またソフトが発達し、人間は歯が立たなくなった。棋士の存在意義を問う声が出る一方、積極的にソフトを研究に活用する棋士も多い。
 藤井四段の心理面の安定ぶりには驚嘆する人が多いだろう。「記録は意識せず、自然体で指す」と繰り返し話しているが、なかなかできないことだ。本人の性格や努力によるのだろうが、ソフトの活用によって集中力が鍛えられる面があるのかもしれない。
 将棋ソフトが現役のプロ棋士に初めて勝ったのは2013年。その後、着実に強くなり、人間に対する優位が確定したのは今年4月〜5月に行われた佐藤天彦名人とソフト「PONANZA(ポナンザ)」の2番勝負だ。将棋界で最も伝統のある名人が完敗し、将棋ファンからは落胆のため息が漏れた。
 昨年来、将棋界はソフト不正使用疑惑で揺れてきた。三浦弘行九段が対局中のソフト使用を疑われ、出場停止処分を受けたが、その後の調査で不正はないと認められた。この問題で暗雲が垂れこめた将棋界にとって、藤井四段の活躍は願ってもない光明となっている。
 囲碁は将棋に比べ、強いソフトの作成がはるかに困難で、トップ棋士が負けるのは遠い将来だと長年いわれていたが、やはり人間の敗北が確定した。今年5月下旬、世界最強とされる中国人棋士と米グーグル傘下のAI開発ベンチャーの囲碁ソフト「アルファ碁」が対決した3番勝負で、ソフトが圧勝した。
 6冠を保持する日本の囲碁界トップの井山裕太碁聖は、人間同士の対局について「心理面が影響するからこそ、極限の状態で下す人間の判断に、ミスを含めて心が揺さぶられる。今後もその価値が下がるとは思わない」と話していたが、そうした価値を藤井四段は示してくれているようだ。
 囲碁界でもソフトの戦法に触発された研究が盛んに行われ、井山碁聖を追う若い棋士たちが台頭してきている。コンピューターに仕事を奪われる脅威に一足先に直面する新しい世代の棋士たちが、どのようなドラマを見せてくれるのか。期待して見守りたい。(共同通信・上村淳)


[藤井四段の活躍] 新星から目が離せない
 デビュー以来、負け知らずの快進撃はどこまで続くのか。14歳の新星から目が離せない。
 最年少の中学生棋士、藤井聡太四段が公式戦で歴代最多タイの28連勝を達成した。
 28連勝は1987年に神谷広志八段が樹立した大記録だ。30年ぶりに肩を並べ、無敗のまま成し遂げた快挙である。
 藤井四段は「思ってもみなかったことで幸運だったし、つきもあった」とあくまで謙虚だ。あどけない笑みを浮かべ「もっと強くなるよう精進したい」とも語る。
 まだ成長の過程で、今後の伸びしろも大きい。将棋ソフトを使った研究などで力をつけ、新たな将棋の時代をつくる活躍に期待したい。
 藤井四段は昨年10月、14歳2カ月の若さでプロ入りした。先日引退した加藤一二三・九段の最年少記録を62年ぶりに塗り替え、話題を呼んだ。
 中学生がプロ棋士になること自体、非凡さの証左だ。これまで藤井四段らを含め谷川浩司九段、羽生善治3冠、渡辺明竜王の5人しかいない。
 藤井四段は5歳のころ祖母からもらった子ども用の将棋セットで覚え、夢中になった。小学4年でプロ棋士養成機関の奨励会に入会した。
 なぜこれほど強いのか。幼少期から並外れた集中力と、負けると泣きじゃくるほど負けず嫌いで知られていた。
 才能の開花には、温かく見守る周囲の目もあった。師匠の杉本昌隆七段は「意識的に技術指導はしなかった」とし、母親の裕子さんは「何かに集中しているときは極力、邪魔をしないようにしてきた」と話す。
 持ち味の一つが終盤の指し回しだ。今年3月にはトップ棋士も参加する「詰将棋解答選手権チャンピオン戦」で3連覇した。
 こうした詰め将棋で培った力に加え、コンピューターソフトを使った将棋の研究も始めている。今の勢いなら、連勝記録を伸ばし続けることも夢ではない。
 将棋界が昨年来、ソフトの不正使用疑惑で揺れたことは記憶に新しい。これもソフトの急速な発達がもたらした事態といえる。
 実際、トップ棋士がコンピューターに歯が立たない時代を迎えている。それでも、人間同士が死力を尽くして戦う対局の魅力が失われることはない。
 人工知能(AI)の発達で人間が仕事を奪われる未来も予測される。将棋界はその脅威に一足先に直面する。藤井四段ら新世代が示す人間の可能性を信じたい。


藤井四段の活躍/新しい世代の活躍に期待
 プロデビュー以来、無敗の最年少棋士、藤井聡太四段の快進撃で将棋ブームが起きている。トップ棋士がコンピューターにかなわない時代に入ったが、人間同士の対局の魅力は失われず、多くの人の心を動かすことを示した意義は大きい。
 人工知能(AI)やロボット技術の発達によって人間が仕事を奪われる未来が予測されているが、将棋ソフトを使った研究やネット対局で力をつけ、人間らしいドラマを見せてくれる新しい世代の活躍を、将棋ファンならずとも参考にしたい。
 藤井四段は中学生でプロ入りした史上5人目の棋士だ。加藤一二三・九段が持っていたプロ入り最年少記録を62年ぶりに塗り替えた上、その加藤九段を破ってデビュー戦を飾った。デビュー後の連勝記録だった10連勝を書き換え続け、連勝記録の最多タイの28連勝を達成した。
 1人の棋士の活躍がこれほど話題をさらうのは、羽生善治3冠が、1996年に初の7冠同時制覇を果たして以来だろう。当時と比べ、情報技術の発達で将棋を取り巻く状況は大きく変わった。
 ネット対局の普及で、遠隔地にいる相手と容易に対局できるようになった。またソフトが発達し、人間は歯が立たなくなった。棋士の存在意義を問う声が出る一方、積極的にソフトを研究に活用する棋士も多い。
 藤井四段の心理面の安定ぶりには驚嘆する人が多い。「記録は意識せず、自然体で指す」と繰り返し話しているが、なかなかできないことだ。本人の性格や努力によるのだろうが、ソフトの活用によって集中力が鍛えられる面があるのかもしれない。
 将棋ソフトが現役のプロ棋士に初めて勝ったのは2013年。その後、着実に強くなり、人間に対する優位が確定したのは今年4月〜5月に行われた佐藤天彦名人とソフト「PONANZA(ポナンザ)」の2番勝負だ。将棋界で最も伝統のある名人が完敗し、将棋ファンからは落胆のため息が漏れた。
 昨年来、将棋界はソフト不正使用疑惑で揺れてきた。三浦弘行九段が対局中のソフト使用を疑われ、出場停止処分を受けたが、その後の調査で不正はないと認められた。この問題で暗雲が垂れこめた将棋界にとって、藤井四段の活躍は願ってもない光明となっている。
 囲碁は将棋に比べ、強いソフトの作成がはるかに困難で、トップ棋士が負けるのは遠い将来だと長年いわれていたが、やはり人間の敗北が確定した。今年5月下旬、世界最強とされる中国人棋士と米グーグル傘下のAI開発ベンチャーの囲碁ソフト「アルファ碁」が対決した3番勝負で、ソフトが圧勝した。
 6冠を保持する日本の囲碁界トップの井山裕太碁聖は、人間同士の対局について「心理面が影響するからこそ、極限の状態で下す人間の判断に、ミスを含めて心が揺さぶられる。今後もその価値が下がるとは思わない」と話していたが、それを藤井四段は示してくれているようだ。
 囲碁界でも井山碁聖を追う若い棋士たちが台頭してきている。新しい世代の棋士たちが、どのようなドラマを見せてくれるのか。期待して見守りたい。


河北春秋
 将棋の中原誠16世名人(69)=塩釜市出身=は小学生時代、塩釜や仙台で盛んにプロ棋士やセミプロと対局し腕を磨いた。9歳の時には飛車角落ちで現役八段を破ることもあった。いわば伝説の始まりである▼「将棋界は天才というバケモノの世界、タダナラヌヒトの集団だ」と書いたのは文壇の強豪、故山口瞳さん。一流棋士と対局した奮闘記『血涙十番勝負』にある。プロ棋士160人余り。その世界はまさに一人一人が伝説を持ち寄っている▼ひときわ輝きを放つ伝説が誕生した。昨年12月のデビューから無敗を続ける最年少、藤井聡太四段(14)が公式戦最多連勝記録の「28」に並んだ。30年誰も踏破できなかった高き峰。頂に立ち「非常に幸運。つきがあった」と言った。何と落ち着いた物腰であろう▼山口さんの言葉をもう一回借りる。当時23歳の中原さんを「天才の中の天才、オバケの中のオバケ、野球でいえば長嶋茂雄」と評した。藤井四段は挑戦権を得られるA級に入れば史上初の10代で名人になる可能性があり、ついにはカミサマとでも呼ばれるかもしれない▼将棋界ではくしくも現役最高齢の加藤一二三・九段(77)が引退。「神武以来の天才」から藤井四段に伝説のバトンが託された。新たなる高みへ挑み、いまだ見ぬ景色を見せてほしい。

小林麻央さん死去 支え続けた夫・海老蔵「まおの存在で私は変わった」
 乳がんを公表し、闘病中だったフリーアナウンサーの小林麻央さんが亡くなったことが23日、分かった。34歳の若さだった。
 昨年6月に夫で歌舞伎俳優の市川海老蔵(39)が病を公表。抗がん剤や輸血などの治療を続け、今年5月29日には在宅医療に切り替えていたが、7月21日に迫った35回目の誕生日を前に力尽きた。海老蔵は「まおの存在で私は変わった」というほど愛情と信頼を寄せた女性を失った。
 海老蔵は2016年6月9日に会見し、麻央さんの病状を公表した。報道陣の質問に時折、笑顔を見せて答えながらも明らかにされる病状は深刻だった。
 乳がんと診断された日について「忘れもしません。日本橋のホテルで2人で話し合い、私自身、途方に暮れた」と振り返った。
 今年1月に日本テレビ系で放送された特番「市川海老蔵に、ござりまする。」では「絶対に治らないレベルの病気だったんです」と打ち明けた。
 このインタビューは昨年10月時点でのもので、「早かったら3、4、5月でたぶんダメだった。今年の夏は絶対無理だと思った。今10月でしょ。もう既にこの時点ですごいことが起こってる」と、奇跡が起こっているという思いを明かしていた。
 麻央も同番組のインタビューを受け、「役者・市川海老蔵をパートナーとして支えられるチャンスを、神さまくださいっていつも思うんですよね」と、夫を支えたいという強い思いを披歴していた。
 海老蔵は毎日何十回となく更新する公式ブログで、妻へのあふれる愛情を明かしていた。今月12日には「日々戦っている妻 本当に言葉ではあらわせない、強さというか信念というか、愛なのか、そういう生きる力を感じます」とし、16日には「一緒に過ごすことがこんなにも幸せと思える人と会えて良かった。私は まおの存在でなにか変わったのかもしれませんね」と、深い感謝の思いを表していた。


小林麻央さん死去 海外からも注目された闘病 英BBCに「私の人生は豊か」
 乳がんを公表し、闘病中だったフリーアナウンサーの小林麻央さんが亡くなったことが23日、分かった。34歳の若さだった。昨年6月に夫で歌舞伎俳優・市川海老蔵(39)が麻央さんの病を公表。抗がん剤や輸血などの治療を続けていた。
 麻央さんが公表、発信してきたがんとの闘病の日々は、海外でも紹介されていた。
 昨年11月、英BBCの公式サイトにがんとの闘病について寄稿。病気によって生きることへの考え方が変わったこと、母としての思いなどをつづった。BBCは毎年、「100Women」と題して、世界中から影響力を持ち、人の心を動かす女性100人の物語を掲載しており、麻央さんの記事も同シリーズでの掲載だった。
 「人の死は、病気であるかにかかわらず、いつ訪れるか分かりません。例えば、私が今死んだら、人はどう思うでしょうか。『まだ34歳の若さで、可哀想に』『小さな子供を残して、可哀想に』でしょうか??私は、そんなふうには思われたくありません」と胸中を吐露。
 「なぜなら、病気になったことが私の人生を代表する出来事ではないからです。私の人生は、夢を叶え、時に苦しみもがき、愛する人に出会い、2人の宝物を授かり、家族に愛され、愛した、色どり豊かな人生だからです。だから、与えられた時間を、病気の色だけに支配されることは、やめました」と思いをつづった。
 麻央さんはこの寄稿について「私なりの葛藤の先にたどり着いた思いです」と、自身の公式ブログで説明していた。


小林麻耶「麻央ちゃんのためなら命も差し出せる」献身的サポートも願い届かず
 フリーアナの小林麻耶(37)は、乳がんと闘病する妹・麻央さんを献身的にサポートしてきた。
 昨年5月19日のフジテレビ系「バイキング」の生放送中に過労のため倒れ、緊急搬送。体調不良のため長期休養に入り、翌月に麻央さんが乳がん闘病中であることが明らかになった。今年の4月3日に同番組にVTR出演し、テレビ復帰。5月27日には都内で行われた著書の発売記念イベントで、約1年3か月ぶりに公の場に登場した。
 著書では「『病的に妹のことが好き』です。どれくらい病的かというと『麻央ちゃんのためなら命も差し出せる』くらいでした」などと妹への愛をつづっている麻耶。ほぼ毎日病室に面会に通っていることを明かし、「妹は本当に強い。何度も危険でしたが乗り越えてくれた」と明るい様子で取材に応じた。
 だが、麻央さんの体調を報道陣から問われると、表情が一転。「う〜ん、妹の体調は、そうですね…。本当に、すごく頑張っています」と言葉を濁していた。
 5月17日の麻央さんのブログでは、懸命に妹の足をマッサージする麻耶の姿が掲載されるなど、姉妹愛あふれる2人の様子が話題になっていた。


小林麻央さん、最期の言葉は「愛している」叶わなかった夏の計画
 乳がんで闘病中だったフリーアナウンサーの小林麻央さんが6月22日夜、34歳の若さで死去したことを受け、夫で歌舞伎俳優の市川海老蔵が東京都内で会見を行ない、麻央さんの最期の様子を語った。
「一昨日まではしゃべれたんですけど昨日はずっとしゃべれずにいたので……。これは本当に不思議な話ですけど、息を引き取る瞬間を私は見ていました。そのとき、不思議なんですけど彼女が『愛してる』と言って……。そのまま……旅立ちました」
 姉の小林麻耶さん、麻央さんの母親、長女の麗禾ちゃん、長男の勸玄くん、そして海老蔵が麻央さんの最期を看取った。
 2014年10月に乳がんを告知されてからの2年8カ月間、海老蔵は「奇跡を信じます」「必ず麻央は治ると信じています」と、いつも麻央さんに寄り添い、共に病魔と闘ってきた。
 22日のブログでも「日々の戦い、まおは日々、病と戦っています。支える側の家族も懸命に戦い。日常を何事もないかのように過ごしながら家の中でひたすら戦ってます」とし、「必ず光明がさすとひたすら信じて支える」と綴っていた。
 在宅医療を始めてからは、家族全員が看護に戸惑いながらも、一つ屋根の下で家族一緒に過ごせることの幸せを噛みしめていた。麻央さん、海老蔵のブログには、そうした日々の様子が細かく記され、同じ病気で闘病している人たちにも勇気と希望を与え、悲しみや喜びを分かち合ってきた。
 麻央さんは7月3日から行われる「七月大歌舞伎」に出演する勸玄くんの晴れ姿を見ることを最大の目標にしていた。
「勸玄くんは、夜の部の演目『駄右衛門花御所異聞』(だえもんはなのごしょいぶん)で白狐(びゃっこ)役を演じ最年少の宙乗りに挑戦します。当初は反対していた麻央さんも、これを闘病の支えにしようと決意し、楽しみにしていました」(テレビ局関係者)
 だが、家族にはもう一つの大きな目標があったのだという。
「7月の舞台が終わったら、海老蔵はまとまった夏休みをとる予定でした。子どもたちも夏休みになりますし、今まで以上に家族そろって過ごすことができる。この時期に海老蔵は、いろいろと模索していた新しい治療法を試そうと考えていたそうです」(芸能関係者)
 海老蔵は会見で「笑顔・勇気・愛情・思いやりが麻央の力。二人の子どもに対しては、心残りが多いと思います。(勸玄くんの)舞台もきっと見てると思うけど、心配で心配でしょうがないと思う」と麻央さんの思いを代弁した。
 7月の舞台鑑賞と夏休みの計画、そこを目指してきた家族のスケジュールの中に、もう麻央さんはいない。でも、これからは天国から家族を見守り続けてくれるだろう。<取材・文/小窪誠子>


Mao Kobayashi: Japanese cancer blogger dies at 34
A former Japanese newsreader who won legions of admirers after deciding to publicly chronicle her battle with cancer has died of the disease.
Mao Kobayashi, who was named one of the BBC's 100 Women in 2016, died late on Thursday at home in Tokyo, aged 34.
Her husband, famous kabuki actor Ebizo Ichikawa, said in his own blog it was "the day I cried most in my life".
Ms Kobayashi's blog was ground-breaking in a country where people do not like to discuss personal issues.
Like many others, she had initially concealed her battle with breast cancer from public view, scared of "being associated" with illness as she continued to aspire to the ideal of "the perfect mother".
Writing for the BBC last year, the mother-of-two admitted: "I had been blaming myself and thinking of myself as a 'failure' for not being able to live as I had before. I was hiding behind my pain."
It was only after a Japanese media outlet published a story about her illness that she decided to "step into the sunlight" and discovered how much support there was for her in Japan.
Ms Kobayashi's last entry onto the blog was posted on Tuesday, describing how she was enjoying the taste of orange juice squeezed by her mother.
She had been hoping at see a performance by her four-year-old on 3 July.
Unfortunately, that was not to be.
Mr Ichikawa, who lost his father, the famed kabuki actor Danjuro Ichikawa XII to pneumonia four years ago, told a press conference on Friday that the family gathered on Thursday after Ms Kobayashi's mother realised her condition had taken a turn for the worse.
"Mao was able to talk the day before yesterday, but yesterday, she was unable to speak. When she passed, she was looking at me. She said 'I love you' and left us."
Mr Ichikawa said his wife continued to think only of her family and "show them her smile" until the last, adding: "She fought the cancer hard, she thought she could be of help to others if she could cure the illness.
"That's why she started her blog. Because of the media, her illness became public, and in a way, it was a good thing.
"By starting the blog, she could share feelings with those who're fighting the same illness. She was incredible. I know I'll keep learning from her."

ディアモールでげたんは/編入学??

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Le Japon ouvre les yeux sur le viol
Tokyo a adopté, le 16 juin, une nouvelle loi sur les délits sexuels, un texte qui n’avait pas évolué depuis plus d’un siècle. Cette révision de la loi intervient alors qu’une affaire de viol qui aurait été étouffée fait débat sur les réseaux sociaux.
La loi sur les délits sexuels, qui n’avait pas été modifiée depuis 110 ans, a été réformée au Parlement japonais le 16 juin. Selon le nouveau texte, qui entrera en vigueur le mois prochain, les agresseurs seront passibles de cinq ans d’emprisonnement, au lieu de trois actuellement. Les hommes pourront désormais porter plainte en tant que victimes, alors que jusqu’ici seule la pénétration vaginale par un pénis correspondait à la définition du viol. L’acte pédophile sera condamnable, même dans les cas d’absence de menaces ou de violences physiques, éléments qui étaient nécessaires jusque-là. Les enquêtes pourront être lancées sans que les victimes portent plainte au préalable.
Voilà une réforme qui a été saluée par les associations portant secours aux victimes. Ces dernières craignaient que cette modification de la loi soit remise à plus tard par le gouvernement. “Le Parti libéral-démocrate [PLD, au pouvoir] a donné la priorité à la loi très controversée sur la lutte antiterroriste [contestée pour son caractère liberticide], au détriment de l’urgence de la réforme de la loi sur les délits sexuels” , déplore le Tokyo Shimbun.
Une affaire étouffée
Or le débat autour du viol embrase les réseaux sociaux japonais, notamment depuis que l’hebdomadaire Shukan Shincho a publié fin mai un dossier sur le cas d’une plainte qui aurait été étouffée. L’agresseur présumé, Noriyuki Yamaguchi, 51 ans, est un journaliste politique de renom, réputé proche du Premier ministre Abe. Suite à cette publication, une conférence de presse inhabituelle a été donnée par la plaignante, Shiori, une journaliste free-lance de 28 ans.
Dans un pays où 75 % des victimes de crimes sexuels renoncent à porter plainte, le fait qu’une plaignante apparaisse en public en divulguant son identité a eu l’effet d’un pavé dans la mare… Si l’affaire a enflammé la Toile, les grands titres nationaux ont été rares à faire mention de l’affaire.
Plusieurs chaînes de télévision et des hebdomadaires ont relayé l’information selon laquelle la plaignante a lancé un recours contre la décision du parquet de ne pas poursuivre celui qu’elle accuse de l’avoir violée il y a deux ans. M. Yamaguchi s’est gardé de tout commentaire aux médias, mais a réagi dans un post Facebook, niant d’avoir porté atteinte à la loi.
Selon le témoignage de Shiori, en avril 2015, lorsque Noriyuki Yamaguchi était correspondant à Washington de la Tokyo Broadcasting System, une chaîne de télévision privée, il lui aurait fait miroiter un recrutement pour abuser d’elle après l’avoir droguée. Lorsque la jeune femme s’est décidée à porter plainte, la police a d’abord tenté de l’en dissuader, avant de lancer l’enquête. Le Shukan Shincho écrit :
Malgré des témoignages et des documents réunis, le mandat d’arrêt qui a d’abord été émis par la police locale a été annulé, un fait très inhabituel.
Pendant que l’affaire suit son cours, Akie Abe, la femme du Premier ministre, a liké le post de défense de M. Yamaguchi, un acte qualifié de “second viol” par de nombreux internautes ainsi que par le site d’information Litera.
“J’ai décidé de me montrer et d’élever la voix pour affirmer qu’il n’est pas normal qu’une victime doive se cacher comme une criminelle. Je veux sensibiliser, et dénoncer cette justice inégalitaire” , a affirmé Shiori dans une vidéo qui a fait le tour des réseaux sociaux.
Ysana Takino
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ETV特集「南阿蘇 傷ついた大地で〜熊本地震から1年2か月〜」
去年4月、震度6強の地震が南阿蘇村を襲った。広大な草原は崩れ、観光業も壊滅的打撃を被った。傷ついた故郷と向き合い、懸命に前を向いて生きようとする人々の姿を追う。
ペンション「野ばら」は、九州のペンションの草分け。地震で崖から落ちそうになった。栗原有紀夫さん(52)は、集団移転するか、模索が続く。老舗旅館・地獄温泉「清風荘」は、地震と大雨による土石流で埋まった。河津誠さん(55)は、再開に3年はかかると考えている。その間、どう食いつなぐか。阿蘇の草原も、亀裂が入り崖が崩れた。牛を放牧する農家はかつてない危機に直面している。困難な現実に向き合う人々を見つめる。


先日たまたまディアモールを通ったときに「鹿児島うんまか さつまいもの館」というイベントをやっているというのを知り,行ってみようと思いました.ご飯が食べられるのだと思っていたら,お土産などを売っているのでした.げたんは買おうかどうか迷ったけれど,とりあえず今回はパスにしました.
夜に編入学に関してのメール.どういうこと??なのですが明日返事しましょう.

<富士登山>被災高校生 田部井さん遺志継ぐ
 登山家で昨年10月に77歳で死去した田部井淳子さん(福島県三春町出身)らが発案し、東日本大震災の被災高校生を対象に実施してきた「東北の高校生の富士登山」は今年も7月25〜27日、2泊3日の日程で実施される。田部井さんの長男で会社経営、進也さん(38)らが田部井さんの遺志を継いだ。被災地の将来を支える若者に富士山(3776メートル)への登山を通じ、元気と勇気を育んでもらう。
 富士登山は田部井さんと山と渓谷社・日本山岳遺産基金(東京)の主催で2012年夏に始まり、5回目の昨年までに延べ415人の生徒が参加した。
 進也さんによると、田部井さんは生前、「1000人の被災高校生を富士登山させたい。日本一の山から次なる東北を支える力をもらい、前へ進んでほしい」と話していたという。
 田部井さんは5回全てに参加。昨年7月の前回は腹膜がんと闘病中だったが、「無理のない範囲で迷惑を掛けないように(登る)」と強く望んだため、進也さんらが承諾。登頂は断念したが、標高3010メートルまで高校生と一緒に登った。
 今年は震災遺児2人を含む宮城、福島両県の高校生73人が参加する予定。既に募集は締め切った。
 進也さんは「母が命を賭けた富士登山を終わりにする選択肢はなかった。一歩ずつ進めば、どんなにつらくても必ずゴールが来ることを感じてほしい」と呼び掛けている。
 高校生の参加費は1人3000円。交通費、山小屋宿泊代といった必要経費は1人約7万5000円だが、差額を企業などからの寄付金で賄っている。
 主催者は寄付金を募集している。スマートサバイバープロジェクト事務局(東京)がインターネット上で運営する「スマートサプライ」https://smart-supply.org/#/tabeiと、郵便振替で受け付けている。
 連絡先は東北の高校生の富士登山事務局03(3264)6426。


<仮設再利用>花山に交流施設完成
 栗原市花山の中心部に24日、東日本大震災のプレハブ仮設住宅を再利用した交流施設「有隣亭」がオープンする。過疎化が進む地域を活気づけようと、同地区の太陽光発電施設管理会社「花山サンゼット」が建設した。ヨガや児童向け英会話などの講座を開くほか、地域の集会所としても活用する。阿部幹司社長(45)は「地区内外の人が足を運びたくなる場所にしたい」と意気込む。
 岩沼市の仮設住宅を改修した交流施設は延べ床面積約100平方メートル。親会社の太陽光発電会社が資材置き場などに使うため取得した約10棟のうち、1棟を譲り受けてリフォームした。総事業費は約800万円。
 使用する電力の大半を、敷地内に設置した太陽光パネルで賄う。伝統行事「花山鉄砲まつり」で行列が練り歩く目抜き通りに面している立地を踏まえ、建物の周囲に鉄骨を張り巡らせたデザインにした。
 阿部さんは東日本大震災後、仙台市から花山に移住。本業の傍らカフェを営業したり県の移住促進事業を請け負ったり、地域おこしに積極的に関わる。高齢化が進む地域に人を呼び込もうと、昨年秋から交流施設の準備を進めてきた。
 阿部さんの妻幸子さん(39)がヨガ療法士の資格を生かして教室を開くほか、外部講師による書道やクラフト講座なども展開する。近隣に集会所がないため、住民の茶話会などにも活用する。
 幸子さんは「地元のお母さんやお子さん、地域外の人たちも含めた多彩な層が気軽に集える交流拠点にしたい」と力を込める。
 午前9時〜午後9時。連絡先は幸子さん070(5095)5325。


震災対応で過労死 遺族、奥州の建設会社提訴
 住宅建設の一条工務店仙台(奥州市水沢区)の社員だった仙台市若林区の男性=当時(46)=が、東日本大震災後に過重労働を強いられて過労死したとして、男性の遺族が21日までに、同社に5000万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。
 訴えによると、男性は新築一戸建ての地盤調査の報告書作りなどに従事。震災後に岩手、宮城両県の沿岸部を中心に受注が急増し、2015年度は震災前の倍に当たる月15〜17件の物件を担当していた。男性は15年7月、勤務中に倒れ、くも膜下出血で死亡した。
 仙台労基署は16年10月に労災認定した。同署によると、15年3〜7月の時間外労働は、5月を除いて過労死ラインとされる月80時間を超え、亡くなる直前の15年6月は109時間だった。
 遺族側は「会社から膨大な量の業務を強いられ、十分な睡眠時間を確保できていなかった。従業員の健康に対する配慮が欠けていた」と主張している。
 同社は「詳細は法廷で明らかにする」と話した。


河北春秋
 ホヤ刺し、ホヤ酢、へそホヤ、蒸しホヤ。石巻から直送の味が先夜、東京で飛ぶように売れた。宮城県の若手漁業者らの団体フィシャーマン・ジャパンがJR中野駅前で直営する「宮城漁師酒場 魚谷屋(うおたにや)」の催し。同市鮫浦の阿部誠二さん(33)が水揚げした▼客は70人余り。「こちらではホヤを初めて食べる人が多いが、新鮮な味は大好評だ」と店長魚谷浩さん(37)は語る。神戸市出身で、石巻の浜で被災地支援を続けた。1年前にできた店では毎月「漁師ナイト」を企画し、漁業者と東京の人々をつなぐ▼新鮮さには秘密がある。「活(い)け越し」という方法だ。「水揚げしたホヤを出荷前に水槽で1日落ち着かせ、ふんも出させ、健康な状態にしてやる」と阿部さん。臭みのない本来の味を保てる▼宮城県のホヤ産地では、大消費地の韓国が輸入規制を続けるため、昨年から養殖の生産過剰分を処分している。これも風評被害。「今季のホヤは育ちが良く大きい。処分に出すのが残念」という阿部さんは、魚谷屋の催しに参加し客と語りあった▼「地元の浜でないと食べられないうまさだ」と横浜の居酒屋の主人らがうなったという。「魚谷屋のような直送先を開拓できれば、傷みの早さが難だったホヤを全国にも広められる」。漁師が陸に上がって売り込む。

大火から半年 本格復興へ力合わせよう
 焦げ跡が残る住宅の基礎が広がる被災地は今、重機の音も聞こえない。更地になった街からは離れた通りを歩く人の姿が見通せる。
 糸魚川市の中心部で昨年12月に147棟、約4万平方メートルを焼いた大火から22日で半年となった。
 8月末に復興まちづくり計画が策定されれば、本格的な復興が動きだす。つち音が響き、人影が戻ってくるだろう。
 計画は市の検討委員会が協議中で、大火を防ぐまちづくり、糸魚川らしいまちなみ再生など六つのプロジェクトを掲げている。
 市は検討委の提言を受けて計画をまとめ、市民の意見も反映させて策定する。再生につながる計画作りに全力を挙げたい。
 計画にはまちの復興を統一した景観で進めるなど、各団体からも提言が続いている。
 県内外の金融機関や地元経済団体は連携して復興事業に取り組むための特別部隊を発足させ、資金調達や経営再建を支援する。
 被災地は市の中心部で、古くから暮らす人が多い。その分、高齢化率が高くなっている。
 資金力がある人、子や孫と同居している人ばかりではない。既に再建をあきらめた人もいる。公営住宅の整備を急ぐ必要もある。
 復興では区画再編時の道路幅を6メートル以上にする方針も示されている。延焼を防ぐための措置だ。
 広くなる道の一部を歩行者専用レーンにすることや、雁木(がんぎ)を再生する案も出されている。
 現地は焼け跡と、変わらずに生活している家々が細い道を挟んで接している。その様子は東日本大震災の津波の被災地に似ているという指摘がある。
 まちづくりの学習会では全国の復興支援に携わる弁護士から「被災していない地域も巻き込んだまちづくりをしなければ、『なんで被災地ばかり』という温度差が生まれる」という声が上がった。各地の教訓を生かしていきたい。
 火災に強いまちづくりも課題である。市は設置が任意とされている小規模店も含め、市内の全飲食店に消火器の設置を義務づける。
 総務省消防庁は住宅用の火災警報器を、隣接する複数の建物でも連動させる仕組みを検討中だ。
 糸魚川には大火に強いまちを実現し、全国に手本として示していく責務がある。
 この半年間の被災者の心境を思う。疲れから、体調を崩す人がいた。先を見通せないままの人もいる。そうした人々が少しでも安心できる復興を進めたい。
 市は復興まちづくりに向けたスローガンを「カタイ絆で よみがえる 笑顔の街道 糸魚川」と決めた。目指すのは地元で採れるヒスイのように固い絆だ。
 復興が現実に動き始めれば、さまざまな課題に直面することもあるだろう。想定外の課題も出てくるかもしれない。
 困難を越えて前進するために市民が一丸となって力を合わせることが大切になる。より良い地域をつくる機会とも位置づけたい。
 被災地に笑顔が広がる日に向けて、復興を見守り、支える力も必要だ。全県から後押ししたい。


「森友」強制捜査/全容解明の突破口にしたい
 学校法人「森友学園」(大阪市)を巡る一連の問題で、大阪地検が詐欺容疑などで強制捜査に乗りだした。
 疑惑発覚から約4カ月。いまだに真相はベールに包まれたままになっている。この事件を突破口にして全容を解明すべきだ。
 容疑は、法人が経営する幼稚園で、教員が専任の場合に支給される人件費や、障害のある園児の受け入れ補助金について虚偽の申請をした。大阪府から計約6200万円を不正に受け取った詐欺の疑いなどが持たれている。
 園児らに教育勅語(ちょくご)を暗唱させ古い道徳観を押し付ける一方、公金をだまし取っていたのだとしたら極めて悪質だ。
 渦中の籠池泰典前理事長(64)の刑事責任が問われるのは必至とみられるが、今回の容疑は学園を巡るさまざまな疑惑の一端にすぎない。
 核心は、大阪府豊中市の旧国有地が昨年6月、当初の鑑定価格から8億円も値引きされ、小学校の建設用地として学園に売却されたことだ。
 学園と親交があった安倍晋三首相や妻昭恵氏の関与の有無が取り沙汰される中、籠池氏は証人喚問で昭恵氏付きの政府職員から自身に送られたファクスの存在を明かした。
 中身は土地の借地契約などについて財務省に要望を伝えてもらった回答だったが、その後の土地取引が順調に進み、籠池氏は「神風が吹いた」などと証言した。
 昭恵氏からの指示はなかったのか。首相夫人としての影響力の大きさが、官僚の判断をゆがめたのではないか。国民の疑念は残されたままだ。
 旧国有地問題は、近畿財務局が不当に安く売却したとする背任容疑で告発状が提出され、地検は受理している。
 しかし、財務局は籠池氏との面会記録などの文書を廃棄し「事案終了」を決め込む始末だ。そうであればなおさら、地検は断固とした決意で解明に踏み込むべきだろう。
 ただ、疑惑発覚後、時間がたっており、証拠隠滅の恐れがないとは言えまい。なぜ、もっと早く捜査に着手しなかったのか、疑問を感じざるを得ない。さらに国会の閉会直後というタイミングは、政治への配慮もありありだ。
 取材に対して籠池氏は「国策捜査であり、逮捕されると認識している」と覚悟を決めている。一方で旧国有地問題については「立件となれば総理夫妻が捜査対象になる。総理のご下命があり、それを忖度(そんたく)する形で動いたと思っている」と改めて指摘する。
 小学校開設を目指した籠池氏の計画は、実現寸前で頓挫したものの、経営的に多くの問題を抱えていた小さな法人が、なぜ国の官庁と対等に渡り合えたのか。どうやって首相夫妻と懇意になれたのか。
 その不透明な経過が明らかにならなければ、政治はまた同じ轍(てつ)を踏むことになる。昭恵氏の説明責任は果たされなければならない。


「森友学園」に強制捜査 問題の核心を見落とすな
 森友学園問題とは何だったのか。その核心を見落としてはなるまい。
 大阪市の学校法人「森友学園」が、詐欺と補助金適正化法違反の容疑で、大阪地検特捜部の強制捜査を受けた。
 籠池泰典前理事長は、小学校建設に関して虚偽の契約書を国土交通省に提出し、補助金約5600万円を不正受給したほか、幼稚園の専任教員数を偽るなどして大阪府から補助金を詐取した疑いが持たれている。
 しかし、捜査がそこでとどまっては、疑惑の解明には至るまい。
 学園は小学校開設に関して、国と大阪府からそれぞれ異例の厚遇を受けている。なぜそれがまかり通ったのか。そこに問題の核心がある。
 府の私学審議会は慎重な意見があったにもかかわらず、「認可適当」と答申した。
 財務省近畿財務局は、売却を原則とする国有地について当初は学園の要求通り借地契約を結んだ。そして、地中からごみが見つかると、鑑定価格から約8億円も安い1億3400万円で売却した。
 財務局は、地中から見つかったごみの処理費用を8億円と見積もったという説明だが、交渉記録を破棄したとして学園との詳しいやり取りは明らかにしていない。
 籠池氏は強制捜査について「国策捜査だ」と述べた。自らが政治的な犠牲者だと言わんばかりの勝手な発言だ。
 しかし、籠池氏は複数の政治家の名前を挙げて国や府へ学校開設への支援を求めてきた。安倍晋三首相の妻昭恵氏が一時期、名誉校長に就き、官僚が政権の意向をそんたくしたとの指摘もある。政治的な要素が背景にあることは否定できない。
 特捜部は、財務局が不当に国有地を安く売却し、国に損害を与えたとする背任容疑の告発状を受理している。立件へのハードルは高いと見られるが、疑惑の核心に迫るべく捜査を尽くすべきだ。
 国会では、野党が求める昭恵氏や財務省幹部らの証人喚問を与党側が拒み続けた。「昭恵氏から100万円の寄付を受けた」という籠池氏の証言も真偽不明のままだ。
 刑事責任の追及とは別に、国会も引き続き、問題の真相究明に努める必要がある。


森友学園強制捜査 国有地値下げの経緯を解明せよ
 国民の財産である国有地が、大阪市の学校法人「森友学園」に近隣地の約1割の価格で売却されていた疑惑が発覚して約4カ月。ようやく大阪地検特捜部による強制捜査が始まった。
 直接の容疑は、学園の籠池泰典前理事長が国と大阪府の補助金を不正に受け取った詐欺と補助金適正化法違反ではあるが、問題の核心は国有地が格安に売却された経緯と、不可解な学校設立認可だ。特捜部はそこまで踏み込み、疑惑の全容を解明しなければならない。
 学園が開設を目指していた小学校の名誉校長を安倍昭恵首相夫人が一時務めるなど、政治の深い関与が疑われている。特捜部が家宅捜索に入ったのも、通常国会が閉会した直後と、政権への配慮がうかがえる。追及が籠池氏だけに終われば、政権に都合のいい「国策捜査」との批判は免れまい。国民が厳しい目で捜査の行方を見守っていることを自覚しておくべきだ。
 籠池氏には、運営する幼稚園で教員数と障害のある園児数に応じて支払われる大阪府の補助金をだまし取った疑いがある。小学校の建設に絡んでも、金額の異なる3通の工事請負契約書を作成し、国などから補助金を不正受給した疑いがある。
 籠池氏は「故意ではない」と釈明しながらも「逮捕されるだろうと認識している」と話している。立件は比較的スムーズに進むと推測されるが、捜査がそこで終わっては意味がない。
 国有地が大幅に値引きされた経緯について、財務省は学園との交渉過程に関する行政文書を「すべて廃棄した」として、国会での答弁を事実上拒否した。3月の国会証人喚問で、籠池氏は国との交渉の節目ごとに昭恵夫人に報告したと証言した。夫人から100万円の寄付を受け取ったとも主張したが、与党は夫人らの喚問を拒み、疑惑の核心には迫れなかった。
 だからこそ、司法への期待は大きい。特捜部は値引きを決めた財務省職員に対する背任容疑の告発を受理している。背任罪での立件は「国に損害を与える目的が確定的にあった」ことの立証が必要で、ハードルは高いとされる。だがこの疑惑を解明できなければ、特捜部の威信は大きく低下しよう。財務省が交渉記録を本当に廃棄したのかも含めて、先に検査に着手している会計検査院ともども、真相解明に尽くしてほしい。
 森友学園は幼稚園児に「教育勅語」を暗唱させるなどの教育方針が疑問視された。系列の保育園でも保育士の数が規定を満たしていないなど、ずさんな運営も明らかになった。こうした学園が小学校を開設する一歩手前だったことに改めて驚く。
 財務省などからの働きかけがあった可能性が高いとはいえ、学校の設立を認可しようとした大阪府の責任も大きい。特捜部の捜査に協力し、問題の経緯を明らかにするとともに、政治の不当な介入を許さない仕組みを構築しなければならない。


【森友強制捜査】本筋は国有地売却にある
 大阪地検特捜部が学校法人「森友学園」への強制捜査に踏み切った。一連の疑惑は全容が見えないまま、刑事事件へ発展した。
 大阪府や元PTA会長らが告訴、告発していた。特捜部は、国有地を学園に不当に安く売却したとして財務省職員への背任容疑の告訴も受理している。
 政府も絡む疑惑に検察がどこまで迫れるのか。通常国会の閉幕後の強制捜査入りにさまざまな臆測が飛ぶ中、捜査の行方が注目される。
 府によると、学園は大阪市内で運営する幼稚園の人件費と、障害などで特別な支援が必要な「要支援児」受け入れの両補助金で、計約6200万円を不正受給していた。
 人件費の補助は教員が専任の場合に限られるが、学園の幼稚園では、系列保育園の職員名簿にも名前が記載されている教員がいた。要支援児の受け入れ補助金も保護者の同意を得ずに申請するなどしていた。
 学園は大阪府豊中市に開設を目指していた小学校の建設でも、国の補助金約5600万円を不当に受け取った疑いがある。検察は籠池(かごいけ)泰典前理事長が主導したとみている。
 事実であれば、教育に携わる組織の責任者としてあるまじき行為だ。子どもたちや保護者に与えた影響も大きい。検察は真相を明らかにしてほしい。
 捜査はこれら不正受給の解明を中心に進むとみられるが、森友問題の最大の疑惑は、小学校建設のために払い下げられた旧国有地の取引にある。この本筋の解明なくして一連の問題に決着はない。
 旧国有地は、地中のごみを撤去する費用を考慮したとして、評価額より8億円以上安い1億3400万円で売却された。財務省は国会で「適正な価格で売った」などと繰り返し答弁したが、国民の理解を得られない値引きである。
 払い下げに至る経緯では、安倍昭恵首相夫人の関与も取り沙汰されてきた。夫人付の政府職員が国有地を巡って財務省に問い合わせをしていたことが判明している。昭恵氏は一時、開設予定の小学校の名誉校長にも就任していた。
 学園に有利な取引になるよう官僚の忖度(そんたく)が働いた可能性はないのか。家宅捜索を受けて報道陣の取材に応じた籠池氏は「総理のご下命があり、それを忖度する形で全て動いたと今も思っている」と述べている。
 当事者がここまで語り、検察の本格捜査も始まった。安倍首相も昭恵夫人も説明を尽くす必要がある。
 報道各社の世論調査で安倍政権の支持率は軒並み急落している。背景には「共謀罪」法の採決強行や加計(かけ)学園の問題があるが、政府与党の不誠実な国会対応は森友問題も同じである。
 安倍首相は記者会見で、国会での対応が国民の不信を招いたことを認めた。国民の疑問に誠意を持ってこたえる気があるのなら、加計問題はもちろん、森友問題でも果たすべき責任があるはずだ。


「加計」新文書 国会での究明しかない
 疑惑が浮上しては、政府側が否定する。こんなことをいつまでも繰り返すわけにはいかない。
 ことは行政の公正性に関わる。国会での徹底審議が不可欠だ。
 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設をめぐる問題で、首相官邸の関与をうかがわせる新たな文書が明らかになった。
 萩生田光一官房副長官が開学時期に関する安倍晋三首相の意向を文部科学省に伝えたとの内容だ。
 菅義偉官房長官は、首相がこれについて説明する機会は考えていないという。自民党は、閉会中審査での究明を拒否した。
 しかし首相は先日、「指摘があれば真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と述べたばかりだ。「国会の開会、閉会にかかわらず」とも言っている。
 国会は閉会中審査をただちに行うべきだ。
 文書には、文科省局長に対する萩生田氏の発言として「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「官邸は絶対やる」などの記述がある。
 萩生田氏は「首相からいかなる指示も受けたことはない」と内容を全否定した。ならばなぜこうした文書が存在するのか。その背景にはどんなことがあったのか。
 文書が何らかの事実を反映しているとすれば、官邸の圧力を示す証拠となり得る。水掛け論ではいつまでも疑いだけが残る。首相も萩生田氏も本意ではあるまい。
 閉会中審査では、萩生田氏の証人喚問も視野に入れるべきだ。
 そもそも今回の文書はなぜ、これまで公表されなかったのか。
 松野氏は、前回調査は野党が示した文書が対象だったと釈明したが、説得力を欠く。都合が悪いことは隠し通す「隠蔽(いんぺい)体質」が、政権の随所に感じられるからだ。
 政権内からは、隠蔽どころか、内部告発の抑制ともとれる発言まで出ている。
 義家弘介文科副大臣は国会答弁で、この問題を告発した文科省職員の証言が「国家公務員法違反になる可能性がある」と述べた。
 公益通報者保護法の対象外との認識を示したのだろうが、法律の本旨は内部告発の抑制ではなく、その保護にある。
 法の要件を外れても、公益性があれば通報者が保護されることは国会の付帯決議で明らかだ。
 いわば監視される立場にある副大臣がその趣旨を無視し、告発をけん制するとは、あきれる。
 「1強」の力ですべてを抑え込もうとしても国民は納得しない。


加計問題 萩生田氏「知らない」と言うけど… 自身ブログに3氏写真
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り、文部科学省幹部に対して、萩生田(はぎうだ)光一官房副長官が加計学園の早期開学を求めたと受け取れる文書が見つかった問題。萩生田氏は文書の内容を否定し、首相と加計孝太郎理事長が「腹心の友」であると最近まで知らなかったと明言している。しかし、自身のブログに首相、加計氏との「スリーショット」写真を掲載するなど、学園との密接な関係は際立っている。 (金杉貴雄)
 萩生田氏は十六日の参院予算委員会で、首相が加計氏を「どんなことでも打ち明け相談できる仲」という「腹心の友」と呼んでいることを知っていたか問われ、「報道でそう形容されていると知った。確認も承知もしていない」と答えた。
 ただ、萩生田氏は二〇一三年五月十日付のブログで、缶ビールを片手に首相、加計氏と休暇を楽しむ写真を掲載した。ブログに書き込んだ説明によると、山梨県内の首相の別荘でバーベキューをした際の一コマとみられる。
 萩生田氏自身、学園との関係は深い。〇九年の衆院選で落選した翌年から返り咲く一二年まで、学園が運営する千葉科学大学(千葉県銚子市)の客員教授に迎えられ、月額十万円の報酬を得ていたことを明らかにしている。自民党議員は「議員報酬が得られない落選時に安定収入を得られるのは非常にありがたい存在だ」と指摘する。
 国会答弁で萩生田氏は、学園の客員教授となったのは首相からの紹介ではないとしている。
 萩生田氏は福田、麻生両政権の〇八〜〇九年に文部科学政務官だった。福田政権で初めて、学園と協力する愛媛県今治市が当時の構造改革特区に獣医学部新設を提案した。萩生田氏と学園はこの時からの関係だったとの指摘がある。
 安倍内閣では、文科省出身で昨年九月まで内閣官房参与だった木曽功氏も千葉科学大学の学長に就任している。前川喜平前事務次官は、参与退任前の木曽氏から獣医学部容認を働きかけられたと証言している。


公益通報制度 告発者を守れるのか
 組織の不正や過ちを正そうとする内部告発者を幅広く守れるのか―。加計学園の獣医学部新設を巡る記録文書問題は、公益通報者保護法の不備を改めて浮き彫りにした。
 「総理のご意向」などと書かれた文書の存在を証言した文部科学省職員について、義家弘介文科副大臣が国会でこんな発言をした。
 「一般論として、告発の内容が法令違反に当たらない場合、行政運営上のプロセスを流出させることは国家公務員法違反になる可能性がある」
 守秘義務違反での処分もあり得ることを示唆している。
 「内容が法令違反に当たらない場合」としたのは、公益通報者保護法の“弱点”を突いている。
 この法律は、企業の社員や官庁の職員らが組織内の不正を告発しても解雇や降格、減給などの不利益を被らないよう定めている。リコール隠しや食品偽装などの不祥事が内部告発で発覚したのを機に、告発者保護の重要性が認識され、2006年に施行された。
 ただ、告発者が保護される通報内容は限られる。刑法など刑事罰がある法律に違反する「犯罪行為」を告発した場合だけだ。加計学園問題では、存在する文書を文科省が「確認できない」と言い通してきた。それ自体は犯罪行為と言えず、公益通報の保護対象にならない可能性が高いとされる。
 消費者庁の有識者検討会は昨年末、制度の見直しについて報告書をまとめた。保護の対象を広げることについて「対象事実に公益性や明確性があるかを踏まえた上で、今後さらに検討する」と結論を先送りしている。
 記録文書問題での国民への誤った説明に対し「本当のこと」を告発するのは、十分公益性がある。今回の問題をきっかけに保護制度を再び議論し、法改正につなげる必要がある。
 保護法の対象でないとしても、文書の存在を明かすことが守秘義務違反なのかという問題もある。
 国家公務員法は「職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない」と規定し、罰則を設けている。だが、内部文書が全て秘密というわけではない。最高裁判例は「実質的に保護するに値するもの」と限定している。
 行政の文書は役所のものではない。「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法)である。むやみに秘密扱いにし、真相を証言した職員を処分するようでは、民主主義を危うくする。


豊洲移転表明/都民の不安は解消するか
 「築地は守る、豊洲を生かす」。東京都の中央卸売市場を巡る問題で、小池百合子知事が基本方針を示した。現在の築地と新たに整備した豊洲、どちらも共存させる道を選択した。
 知事によると、中央卸売市場としての機能は豊洲に移し、築地は5年後をめどに再開発する。将来的には、豊洲は情報技術(IT)を使い、冷凍冷蔵や加工機能を強化した総合物流センターとして整備し、築地は立地のよさを生かして「食のテーマパーク」にしたいという。
 アイデアとしては可能性を秘めているかもしれないが、財源を含め具体的な手だては示されなかった。移転延期の決定から10カ月、今になって実現性が見通せない方針を出されても、困惑する都民は多いだろう。
 23日には東京都議選の告示が控えている。市場移転を巡る結論を先延ばしし、「決められない」と批判された知事が、優位に選挙戦を進めようとしている。そんな見方もある。
 この問題では、知事自らが「食の安全・安心」を掲げてきた。豊洲市場の開場条件とした地下水汚染の「無害化」は達成できず、陳謝したばかりだ。
 知事が明言したのは、取りあえず市場を豊洲に移転させることだが、豊洲は安全対策が必要な状況にある。その見通しとスケジュールをはっきり示し、市場関係者や都民の不安を取り除くことを最優先すべきだ。
 追加工事で有害物質が市場に入らないようにした上で、環境影響評価を実施し、知事が先頭に立って「安全宣言」を出すことが求められる。
 生産者と小売業者の直接取引や直売所の広がりなどで、各地の卸売市場の流通量は右肩下がりだ。築地も例外ではない。高齢者を中心に加工された総菜の需要が増え、生鮮食品の利用自体も減っている。
 その中で、場外にも飲食店が広がる築地のブランドを、観光資源として生かそうという発想は理解できる。ただ、それも豊洲へのスムーズな移転があってのことだろう。
 危機感を募らせる関係者が求めるのは、人々が安心して利用できる市場の未来像である。そのための具体的な計画の取りまとめを急ぐべきだ。


豊洲と築地 具体像浮かばぬ小池案
 「築地は守る、豊洲は生かす」と言うが、具体像は浮かばない。これで消費者や市場関係者は納得できるだろうか。
 東京都の小池百合子知事が記者会見で、築地市場の移転問題についての基本方針を発表した。
 市場を豊洲に移して築地を再開発し、5年後をめどに市場機能を一部戻して「食のテーマパーク」にする。豊洲は卸売市場を兼ねた物流拠点として使うという。
 築地は道産水産物が年500億円規模で取引されるなど、産地にとって重要な存在だ。豊洲との両立には、そのブランド力を生かす意図もあるのだろう。
 ただ、財源は示さず、記者会見も質疑応答の時間はわずか5分だった。23日告示の都議選を前に、「決められる知事」のアピール材料にしたと指摘されかねない。
 市場問題は都議選の大きな争点の一つでもある。しっかりとした説明が求められよう。
 豊洲の最大の難点は、土壌汚染問題が収束していないことだ。
 都は、土壌や地下水の有害物質を環境基準以下にする「無害化」を開場の条件にするとしてきた。
 だが今年になって地下水から環境基準を大きく超すベンゼンが検出されたことが分かり、小池氏は無害化を事実上断念した。
 都は、地上の建物は法令上も科学的にも安全だと説明する。
 問題は、その説明が必ずしも市場関係者の不安払拭(ふっしょく)につながっていない点にある。
 小池氏には、豊洲の安全性を自らの言葉で重ねて説明する義務がある。追加の汚染対策を進め、風評被害も防がねばならない。
 豊洲移転後に市場機能を一部築地に戻す方針も、市場業者の重荷となろう。目利き力で築地を支える業者の廃業を誘発しかねない。
 大消費地を抱える東京の市場が揺らげば、北海道などの産地にもマイナスだ。首都の知事として、そこにも気を配る必要がある。
 こうした問題点をクリアしたとしてもなお残るのは、豊洲と築地を本当に両立させられるのかという根本的な疑問だ。
 卸売市場は生産者から生鮮品を集め消費者へ届ける社会基盤だが、取り巻く環境は変わった。
 消費者の魚離れは進み、スーパーと産地の直接取引といった市場外流通が増えている。築地の水産物取扱量も30年前の半分だ。
 なのに、築地と豊洲に分かれれば、流通は非効率にならないか。小池氏には、時代が求める市場のあり方の提示も望まれる。


豊洲・築地共存  政策の詰め甘く心配だ
 東京都の築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題について、小池百合子知事が基本計画を示した。市場を豊洲に移転したあと、築地は売却せずに5年後をめどに観光拠点として市場機能を持たせて再開発する内容だ。 豊洲新市場には汚染対策費を含めて整備費6千億円がすでに投じられている。しかも、毎年92億円の赤字が見込まれる。築地市場を売却して資金を得る計画は白紙に戻して、「食のテーマパーク」として新しい施設で再生するという。
 築地市場は開場から82年になって、手狭で老朽化したことを理由に2キロ余り離れた豊洲市場が新設された。しかし、施設の地下部分に設計通りに盛り土がなく、ベンゼンなどの汚染物質が相次いで検出され、東京都は昨年8月に移転延期を決めていた。
 いくら東京都とはいえ、二つの中央市場は必要なのか。取り扱いの仕分けもなく、構想は場当たり的にすぎないか。
 新市場の資金調達の方法も示さずに、豊洲移転の具体的な時期についても、会見で明言を避けた。旧知の一部顧問とは話を重ねたものの、都庁幹部との協議不足は明らかだ。政策の詰めが甘く、実現性は見通せない。
 小池知事は、「築地は守る、豊洲は生かす」を基本方針にしたという。移転延期後、市場関係者は豊洲への移転を希望する人と築地残留派に分かれていた。23日告示の東京都議選を直前に控え、小池知事が緊急会見で方針を示した。
 移転を巡って「何も決められない知事」として小池知事への批判を強める自民党に対して違いを演出したのだろうが、関係者には玉虫色の決着にしか映らない。
 いったん豊洲に移った業者が再び築地に戻る際の費用負担も大きい。冷凍や冷蔵施設が必要なことを考えれば、わずか5年ほどに2度の引っ越しは酷だろう。年々、取扱量が減少しているのも気掛かりだ。
 それでも築地は国内最大規模の市場で、各地から魚介類や青果が集まる。その将来像は首都圏だけでなく、全国の産地に影響する。築地は銀座にも近く、日本の魚食文化を代表する市場として外国人観光客が多く訪れる。
 最も大事なのは安全性の確保だろう。豊洲の安全をどう確かめるのか。地下水は食品には直接は触れないとはいうものの、「風評被害」をぬぐい去るには時間と工夫が必要だ。豊洲の「安全宣言」が優先すべき課題だ。


[豊洲移転表明] 市場の具体像見えない
 東京都の小池百合子知事が、築地市場を豊洲市場へ移転させることを正式に表明した。築地跡地は売却せず、競りなどの市場機能を持たせ、観光拠点として5年後をめどに再開発する。
 豊洲には追加の安全対策を実施した上で、来年5月ごろの移転を目指す。
 小池知事が昨年8月に移転延期を決定して以降、混迷していた市場移転問題でようやく打ち出した都の基本方針である。
 だが、移転や再開発の具体像は示されなかった。築地か豊洲かの二者択一を避け、玉虫色の共存案で課題を先送りした印象が強い。市場関係者らから戸惑いや反発の声が上がるのは当然だろう。
 豊洲では昨年以降、土壌汚染対策の盛り土がないことが判明し、地下水から環境基準を超えるベンゼンなどが検出された。小池氏が移転をストップし、延期したことで明らかになり、全国の注目を集めた。食を扱う市場の在り方に関心を喚起した意義は大きい。
 今後、都は地下空間の床をコンクリートで覆い、有害物質が市場に入り込むのを防ぐ追加工事を行う。環境面での安全性を確保する万全の策が求められる。
 とはいえ、食の安全への疑念を払拭(ふっしょく)するのは難しいだろう。汚染物質のモニターを常時公開するなど、市民の安心につながる努力を積み重ねるしかあるまい。
 また、築地にも市場機能を持たせるというが、豊洲との役割分担はどうするのか、観光拠点としてどんな活用方法を見込んでいるのか。そもそも築地跡地を売却せずに、豊洲整備で抱えた3000億円超の負債をどう返済するのか。
 小池氏は「築地は守る、豊洲を生かす」と基本方針を強調する一方で、具体的計画には踏み込んでいない。丁寧に説明する姿勢が見えないのは残念だ。
 都職員は発表直前まで計画内容を知らされていなかったという。実際に具体的な計画を策定し、事業を進めるのは都職員である。移転延期から10カ月が経過したにもかかわらず、実現性や財源が十分に練られた計画とは言えない。
 それでもこのタイミングで発表したのは、23日の東京都議選告示をにらんでのことだろう。
 豊洲移転推進派を納得させ、築地残留派にも期待を抱かせる内容で、小池氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」への追い風を計算したとみられる。
 鹿児島を含む全国の食材が集まる、日本を代表する市場の信頼に直結する問題である。政争の具にして関係者を振り回すようなことがあれば、将来に禍根を残す。


豊洲・築地共存 拭えぬ実現性の不透明さ
 「豊洲か、築地か」をめぐって混迷する東京都の市場移転問題に、一定の方向性が示された。小池百合子都知事が緊急記者会見を開いて打ち出した基本方針は「築地は守る、豊洲を生かす」という共存案だった。
 それによると、土壌汚染問題などを抱える豊洲市場に追加の安全対策を行った上で築地市場を移転させる。豊洲市場は中央卸売市場の機能に加え、将来的にはITを活用した総合物流拠点を目指す。
 築地市場の敷地は売却せず、立地条件やブランド力などを生かし、観光拠点として5年後をめどに再開発するという。跡地は当面、2020年東京五輪・パラリンピックの輸送拠点として活用する。大会後に、食のテーマパーク機能を持つ新たな市場にしていく考えだ。希望する業者は築地に戻れる。
 小池知事がこの時期に基本方針を発表した背景には、23日に告示が迫った都議選の存在がうかがえる。判断を先送りしてきた小池知事に対し、自民党は「決められない知事」と批判を強める。知事が自ら率いる地域政党「都民ファーストの会」の立候補予定者も知事の立場を尊重して、移転の是非には触れられなかったという事情もある。
 さらには、移転賛成派と反対派の業者間対立が深まる中で“二者択一”となれば、結論がどちらになっても批判を受けかねない。双方の顔を立てる共存案は、選挙戦での集票をにらんだ腐心の玉虫色決着とも言える。
 そもそも豊洲地区のガス工場跡地に整備された豊洲市場は、昨年11月に開場予定だった。だが、8月に就任した小池知事が「安全性への懸念」などを理由に移転の延期を表明した。
 その後、豊洲市場では建物地下に土壌汚染対策の盛り土がないことが判明し、地下水からは環境基準を超える有害物質が検出された。安全・安心は大きく揺らいでおり、追加の安全対策が講じられることになった点からも、知事の判断には一定の成果があったと言えよう。
 だが一方で、示された基本方針には課題や疑問点が数多くある。豊洲と築地のすみ分けをして相乗効果を得たいという意向がうかがえるものの、そこに向けた具体策や財源などは示されず、実現性となると定かには見通せない。
 築地市場の跡地を売却せずに、豊洲市場の整備で抱えた3千億円超に上る負債を返済できるのか。会見で小池知事は「市場会計が痛まないよう方策を検討させている」と述べるにとどめた。豊洲から築地への復帰を望む業者にとっては、かさむ費用負担への不安も募ることだろう。
 全国最大規模の市場の行方は、東京だけでなく国内の各産地にも大きな影響を及ぼすことになる。小池都政には、早く具体的な市場の将来像を示すとともに、情報提供や説明に努めるよう求めたい。


豊洲移転 築地跡地の再開発慎重に
 東京都の小池百合子知事が、「日本の台所」とも称される築地市場を、豊洲市場へ移転させる方針を発表した。昨年8月の就任直後、「立ち止まって考える」として移転をストップしてから、移転の決断まで時間がかかったことは否めない。
 小池知事は、豊洲の地下水の安全性が確認されれば移転を判断するとみられていた。だが、今年1月に環境基準を大幅に上回る汚染が見つかったことなどから、移転を早期に表明するシナリオが狂ったとも分析できる。
 もともと土壌汚染があった東京ガス工場跡地に、市場を移転すること自体にリスクがあった。このため都側が無害化を約束し、移転同意を取り付けた経緯がある。対策をしたが無害化はできなかったとして、小池知事が謝罪したのは、都行政のトップとして当然の責任だと言える。
 ただ、汚染によって「豊洲が危ない」とする風評が広がったのは、環境相を経験した知事としてはいただけない。地下水を市場で使うわけではなく、汚染が残っていることと、豊洲市場の安全性には、あまり関係がないことは分かっていたはずだ。
 消費者の安心を得るため、科学者や行政も含めた幅広い対話を進めて市場の安全性を確認するなど風評被害を抑える努力をもっとすべきだった。
 小池知事が明らかにした方針で、首をかしげざるを得ないのは、築地市場跡地の再開発だ。これまでの売却方針を撤回し、競りなど市場機能を持たせた「食のテーマパーク」として5年後をめどに整備するという。
 豊洲市場は約6千億円かけて整備され、追加の汚染対策も施す。さらに年間100億円近い赤字が見込まれる。この穴埋め策を探すという知事の問題意識は分かる。
 だが豊洲と築地の二つの市場が両立するかは、慎重な分析が必要だ。現在の築地でも、産地直送が広まり魚の取扱量は減ってきている。外国人観光客が市場を見学することは観光の一つの目玉だろうが、衛生面を考えれば限定的であるべきだ。
 知事は築地ブランドを強調するが、築地という場所がブランドではない。築地に出荷するため行う漁師らの魚の処理に始まり輸送、築地での卸売りと仲卸の業者による魚のていねいな取り扱い、そして東京での食事までのトータルがブランドを形成する。築地に施設を造れば観光客が集まるわけではない。行政主導の再開発がうまくいった例は乏しいということも、肝に銘じるべきだ。
 小池知事が示した「築地は守る、豊洲を生かす」というのは、23日に告示される都議選に向けたキャッチフレーズのように映る。再開発後の築地に市場機能を持たせるというのは、移転反対派に対する政治的な配慮と言えるだろう。
 小池知事は自らが創設した地域政党「都民ファーストの会」代表として都議選を戦う。名古屋や大阪の例を見ると、首長が地域政党を率いることによって、議会内の対立が激化し、首長が進めたい政策に対する反対が強まる傾向がある。政策の中身より、党利党略が優先されるからだ。
 都議選後、議会でもこの移転方針が焦点となる。議会は知事をチェックするためにある。東京の未来を描くような骨太の議論によって、実現可能性が高い築地再開発になることを期待したい。(諏訪雄三)


豊洲・築地市場の「共存」 再開発は肉付け欠かせぬ
 市場移転問題で小池百合子都知事が、「日本の台所」とも称される築地市場を豊洲市場へ移転させる方針を示した。加えて築地市場跡地を再開発し市場機能を持たせることも明らかにした。
 都議選を目前に控え「決められない知事」との批判をかわす狙いもあったのだろう。だが、移転時期や計画案、財源は明らかにされず、「豊洲・築地共存」という玉虫色の方針に戸惑う市場関係者も少なくない。早く具体案を示すべきだ。
 知事が示した基本方針では、豊洲移転後、2020年東京五輪前に環状2号線を開通させ、跡地は当面五輪用の輸送拠点として活用。移転5年後をめどに再開発し、食のテーマパーク機能を有する新たな市場にする。関係者によると、豊洲へは安全対策を実施した上で、来年5月ごろにも移転するという。
 知事は会見で「地下空間工事、モニタリングなどをしっかりとすることが必要」とした。専門家からは汚染地下水を市場で使うわけではないと指摘されていた中で、「豊洲が危ない」とする風評が広がってしまった。安全対策の一方で、こうした風評を払しょくするよう努めてもらいたい。
 ただ、築地の再開発については首をかしげたくなる。「築地のブランド力と地域の魅力を一体化させた食のワンダーランドをつくりたい」などとしたが、どんなものを整備するのかが見えてこない。市場関係者が「築地ブランドは場所ではなく、ここでやりとりしている魚や人」と反論するのもうなずける。
 方針は、都議選に向けて市場内の移転推進派、反対派双方、さらには都議会内の推進、反対両勢力に配慮した苦肉の策との見方もある。自民都議から「八方美人みたいな、どこでもいい顔をするプランだ」と揶揄(やゆ)する声も出ている。
 豊洲は約6千億円掛けて整備され、追加の安全対策費も必要になる。移転後には毎年100億円近い赤字が見込まれる。そのため再開発した築地の稼ぎで穴埋めしようとの考えだが、再開発の費用がどの程度なのかが示されないのでは、都民は納得しないだろう。
 知事は、移転反対の声が強かった仲卸業者が豊洲から築地へ戻ることも認めた。「業者の経営判断」と知事は業者任せにするが、取扱金額、仲卸の業者数はこの25年で半減している中、豊洲、築地で卸、仲卸業者が分断する形になるのでは、市場の一体性への悪影響や、赤字の増大につながりかねない。二つの市場が両立するのか、慎重な見極めが必要だ。
 都議選では各党が移転問題を争点とする構えの中、多くの疑問を残したままでは、知事が代表を務める「都民ファーストの会」の候補者たちはどう説明するのか。「築地は守る、豊洲は生かす」には、まだまだ肉付けが必要だ。


慎重な分析 欠かせない/豊洲移転 築地再開発
 東京都の小池百合子知事が築地市場を豊洲市場へ移転させることを正式表明した。昨年8月の就任直後、「立ち止まって考える」として移転を延期してから、決断まで時間がかかったのは否めない。
 小池知事は、豊洲の地下水の安全性が確認されれば移転を判断するとみられていた。だが、今年1月に環境基準を大幅に上回る汚染が見つかったことなどから、移転を早期に表明するシナリオが狂ったとも分析できる。
 小池知事が明らかにした方針で、首をかしげざるを得ないのは、築地市場跡地の再開発だ。これまでの売却方針を撤回し、競りなど市場機能を持たせた「食のテーマパーク」として5年後をめどに整備するという。
 豊洲市場は約6千億円かけて整備され、追加の汚染対策も施す。さらに年間100億円近い赤字が見込まれる。この穴埋め策を探すという知事の問題意識は分かる。
 だが豊洲と築地の二つの市場が両立するかは慎重な分析が必要だ。現在の築地でも、産地直送が広まり魚の取扱量は減ってきている。外国人観光客が市場を見学することは観光の一つの目玉だろうが、衛生面を考えれば限定的であるべきだ。
 知事は築地ブランドを強調するが、築地という場所がブランドではない。築地に出荷するため行う漁師らの魚の処理に始まり、輸送、築地での卸売りと仲卸の業者による魚のていねいな取り扱い、そして東京での食事までのトータルがブランドを形成する。築地に施設を造れば観光客が集まるわけではない。
 小池知事が示した「築地は守る、豊洲を生かす」というのは、23日に告示される都議選に向けたキャッチフレーズのように映る。再開発後の築地に市場機能を持たせるというのは移転反対派に対する政治的な配慮と言えるだろう。
 小池知事は自ら創設した地域政党「都民ファーストの会」代表として都議選を戦う。名古屋や大阪の例を見ると、首長が地域政党を率いることによって、議会内の対立が激化し、首長が進めたい政策に対する反対が強まる傾向がある。政策の中身より、党利党略が優先されるからだ。
 都議選後、議会でもこの移転方針が焦点となる。議会は知事をチェックするためにある。骨太の議論によって、実現可能性が高い築地再開発になることを期待したい。


沖縄 あす慰霊の日 大田元知事を偲んで
 沖縄県の大田昌秀元知事が亡くなりました。鉄血勤皇隊として激烈な沖縄戦を体験し、戦後は一貫して平和を希求した生涯でした。沖縄はあす慰霊の日。
 人懐っこい笑顔の中に、不屈の闘志を感じさせる生涯でした。
 今月十二日、九十二歳の誕生日当日に亡くなった大田さん。琉球大学教授を経て一九九〇年から沖縄県知事を八年間、二〇〇一年から参院議員を六年間務めました。
 ジャーナリズム研究の学者として沖縄戦の実相究明に取り組み、知事時代には「絶対に二度と同じ悲劇を繰り返させてはならない」との決意から、平和行政を県政運営の柱に位置付けます。
◆「平和の使徒」として
 敵味方や国籍を問わず戦没者の名前を刻んだ「平和の礎(いしじ)」を建立し、沖縄県に集中する在日米軍基地の撤去も訴えました。
 「全ての人々に、戦争の愚かさや平和の尊さを認識させるために生涯を送った『平和の使徒』だった」。長年親交のあった比嘉幹郎元県副知事は告別式の弔辞で、大田さんの生涯を振り返りました。
 大田さんはなぜ、学者として、そして政治家として一貫して平和の大切さを訴えたのでしょうか。
 その原点は、大田さんが「鉄血勤皇隊」として、凄惨(せいさん)な沖縄戦を体験したことにあります。
 太平洋戦争末期、沖縄県は日本国内で唯一、住民を巻き込んだ大規模な地上戦の舞台と化します。当時、四十万県民の三分の一が亡くなったとされる激烈な戦闘でした。
 鉄血勤皇隊は、兵力不足を補うために沖縄県内の師範学校や中学校から駆り出された男子学徒らで編成された学徒隊です。
 旧日本軍部隊に学校ごとに配属され、通信、情報伝達などの業務のほか、戦闘も命じられました。女子学徒も看護要員として動員され、学校別に「ひめゆり学徒隊」などと呼ばれます。
◆醜さの極致の戦場で
 沖縄県の資料によると、生徒と教師の男女合わせて千九百八十七人が動員され、千十八人が亡くなりました。動員された半数以上が犠牲を強いられたのです。
 沖縄師範学校二年に在学していた大田さんも鉄血勤皇隊の一員として動員され、沖縄守備軍の情報宣伝部隊に配属されました。大本営発表や戦況を地下壕(ごう)に潜む兵士や住民に知らせる役割です。
 当初は首里が拠点でしたが、後に「鉄の暴風」と呼ばれる米軍の激しい空襲や艦砲射撃による戦況の悪化とともに本島南部へと追い詰められます。そこで見たのは凄惨な戦場の光景でした。
 最後の編著となった「鉄血勤皇隊」(高文研)にこう記します。
 「いくつもの地獄を同時に一個所に集めたかのような、悲惨極まる沖縄戦」で「無数の学友たちが人生の蕾(つぼみ)のままあたら尊い命を無残に戦野で奪い去られてしまう姿を目撃した」と。
 多くの住民が戦場をさまよい、追い詰められ、命を落とす。味方であるべき日本兵が、住民を壕から追い出し、食料を奪う。
 「沖縄戦は、戦争の醜さの極致だ」。大田さんが自著の中で繰り返し引用する、米紙ニューヨーク・タイムズの従軍記者ハンソン・ボールドウィンの言葉です。
 その沖縄戦は七十二年前のあす二十三日、日本軍による組織的な戦闘の終結で終わります。大田さんも米軍の捕虜となりました。
 戦後、大学教授から県知事となった大田さんが強く訴えたのが沖縄からの米軍基地撤去です。
 背景には「軍隊は住民を守らない」という沖縄戦からの教訓に加え、なぜ沖縄だけが過重な基地負担を強いられているのか、という問い掛けがあります。
 沖縄県には今もなお、在日米軍専用施設の約70%が集中しています。事故や騒音、米兵による事件や事故は後を絶ちません。基地周辺の住民にとっては、平穏な暮らしを脅かす存在です。
 七二年の本土復帰後を見ても、本土の米軍施設は60%縮小されましたが、沖縄では35%。日米安全保障条約体制による恩恵を受けながら、その負担は沖縄県民により多く押し付ける構図です。
◆進まぬ米軍基地縮小
 九五年の少女暴行事件を契機に合意された米軍普天間飛行場の返還でも、県外移設を求める県民の声は安倍政権によって封殺され、県内移設が強行されています。
 そこにあるのは、沖縄県民の苦悩をくみとろうとしない政権と、それを選挙で支える私たち有権者の姿です。大田さんはそれを「醜い日本人」と断じました。
 耳の痛い話ですが、沖縄からの異議申し立てに、私たちは誠実に答えているでしょうか。
 慰霊の日に当たり、大田さんを偲(しの)ぶとともに、その問い掛けへの答えを、私たち全員で探さねばならないと思うのです。


国連「指針」違反 人権理事国らしい対応を
 日本政府が、東村高江や名護市辺野古の新基地建設で行ってきた警備活動は国連のガイドライン(指針)に反していることが明らかになった。
 政府は国連人権理事会の理事国として、あるいは国際社会の一員としてガイドラインに従わなければならない。
 国連人権理事会へ国連特別報告者が提出した報告書に、市民の抗議活動を各国が制限する際のガイドラインが示されている。国連ビルで開かれたシンポジウムでは、国連特別報告者が日本政府に熟読するよう求めた。
 昨年2月に提言されたガイドラインは(1)長期的な座り込みや場所の占拠も「集会」に位置付ける(2)座り込みなどによる交通の阻害は、救急車の通行といった基本的サービスや経済が深刻に阻害される場合以外は許容されなければならない(3)集会参加者に対する撮影・録画行為は萎縮効果をもたらす(4)力の行使は例外的に(5)集会による渋滞や商業活動への損害も許容されなくてはならない−という内容だ。
 米軍北部訓練場のヘリパッド建設や、辺野古新基地建設に反対する抗議行動に対する警備は、国連ガイドラインを逸脱していることになる。国際基準と言わずとも、ビラやチラシ、集会やデモ行進、座り込みなどは憲法21条の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」として保障されている。
 ヘリパッド建設に対する抗議行動中に逮捕され、5カ月間勾留された山城博治沖縄平和運動センター議長について、国連特別報告者は「不均衡な重い罪を課している」としてガイドラインに反するとの認識を示した。
 米法学者も国際人権規約第9条違反と指摘し「山城さんのケースは明らかに微罪。米国の警察なら、仮に逮捕してもこの程度の微罪ならその日のうちに保釈している。これで長期勾留するなど民主国家としてあり得ない」と語っている。
 ガイドラインには「法執行者の構成は、そのコミュニティー(地域)を代表するものでなければならない」という規定もある。法執行機関と地域の「信頼」を重視したものだ。
 しかし、北部訓練場のヘリパッド建設で政府は、全国から500人以上の機動隊員を派遣し抗議する市民を排除し続けた。その過程で大阪府警の機動隊員が市民に「土人」と発言し、県民を深く傷つけ信頼が著しく損なわれた。
 日本は昨年、国連人権理事会の理事国選挙に、特別報告者との対話を重視すると共に「人権理事会の活動に積極的に貢献していく」と公約し当選したはずだ。
 山城さんに対する特別報告者の指摘に真摯(しんし)に向き合わなければならない。ところが「法に基づく適正なもので国際法違反はない」と開き直っている。理事国選挙の公約に反し、特別報告者を軽視する態度は許されない。


東芝は原発事業から撤退すべき 中堅・若手社員の思い
 東芝は原発事業の失敗のツケを払うため、半導体事業の売却交渉を本格化させる。同時に、会社本体の再建に必要な主力事業を失うことにもなる。中堅・若手社員は迷走が続きそうな会社の将来をどうみているのか。 (伊藤弘喜)
 「福島の事故が起きたのだから、原発は造らない方がいい。廃炉を除き事業から撤退すべきだ」。原発設備の溶接を手掛ける四十代男性は強調する。事故前は定期点検で東京電力福島第一原発を訪れ、事故後も汚染水タンクの据え付け工事に半年ほど取り組んだ。今では「東芝で原発を造っていると周りに言えない」。
 「この半年で『原発に将来性はないから』と辞める若い人が増えた」が、自分は会社を辞めない。「私より上の世代は転職先がない。二人の子どもはまだ幼く、会社にしがみつくしかない」のが理由だ。「一生かけて廃炉に関わる」という使命もある。
 IT部門の三十代男性も「損失の影響で新規事業が中断し、転職を一時考えた」と原発事業に恨み節だ。それでも会社に残るのは「仲間たちと挑む人工知能(AI)の新規事業がある」からだ。
 入社動機となった「技術の会社」という印象は今でも変わらない。だが、経営危機のため、新しい主力事業の開発資金は乏しい。「一本の柱で支えるのではなく、十億円の事業を百個つくるような挑戦あふれる会社にしたい」と願う。
 「職場の雰囲気は前向き」と明かすのは、売却に向け優先交渉相手が決まった半導体子会社「東芝メモリ」で働く四十代の男性技術者だ。半導体のフラッシュメモリーはスマートフォンなどのデータ処理を担い、未来は明るい。
 「十分な投資をしてくれればまだまだ成長できるので、不安はない。どこに買われてもいい。もう東芝に未練はない」
◆半導体売却 日米韓連合優先
 経営再建中の東芝は二十一日、半導体子会社「東芝メモリ」の売却で政府系ファンド産業革新機構や米ファンドなどの連合と優先的な交渉に入ると発表した。韓国半導体大手SKハイニックスも実質的に加わる「日米韓連合」は買収金額約二兆円を提示。株主総会を開く二十八日までに合意し、来年三月までの売却完了を目指す。 
 連合は革新機構、日本政策投資銀行、米ファンドのベインキャピタルからなる。SKハイニックスと三菱東京UFJ銀行は融資という形で参画する。連合の提案によると、東芝メモリ株の議決権の66・6%を日本勢が握る。
 東芝は日米韓連合案が「技術流出の懸念、雇用の確保などの観点から最も優位性が高いと評価した」と説明。米原発事業による巨額損失で資産より借金が多い債務超過に陥ったため売却を急ぐが、三重県四日市市の半導体工場を共同運営する米ウエスタン・デジタルが売却に反対している。


日米原子力協定 「再処理」見直しが先だ
 米国から濃縮ウランや原子力技術を提供してもらう代わりに、核拡散防止の観点から関連機器や核物質の扱いで規制を受ける日米原子力協定が、来年7月で30年の期限を迎える。
 この協定により、日本は非核兵器保有国には本来許されない原発の使用済み核燃料の再処理を特権的に認められてきた。プルトニウムを取り出して再利用する構想を描いたが、今なお実現していない。日本政府は協定の今後を考える前に、再処理や核燃料サイクルを含めた原子力政策全体を見直すべきだろう。
 特に高速増殖炉は、運転しながら燃料のプルトニウムを増やせるため「夢の原子炉」と呼ばれたものの、原型炉もんじゅはほとんど稼働しないまま廃炉になる。実用化していれば、輸入依存のエネルギー資源を「国産化」できる見立てだった。ただ、どの国もうまくいっていない。再処理政策は破綻したと言わざるを得ないのではないか。
 もんじゅの失敗で、兵器に転用できるプルトニウムをため込む事態に陥った。使い道がないのに大量に保有しているため、いつでも核武装できる潜在能力を日本は維持しているとの疑念を国際社会から向けられている。テロリストに狙われないよう十分な警戒も欠かせない。
 この協定が発効した1988年以降、東西冷戦体制が崩壊するなどで核を巡る国際情勢は大きく変化した。インドとパキスタン、北朝鮮が核実験を強行するなど懸念されていた核拡散が現実のものとなった。旧ソ連のチェルノブイリ原発や日本の東京電力福島第1原発で史上最悪クラスの事故が発生した。
 そうした被害の甚大さを重く見て、脱原発にかじを切る国も増えている。日本政府は、この30年に国内外で起きた激変を踏まえて、あらためて協定の必要性や、原子力の在り方を考え直すことが筋だろう。
 ところが、日本政府にそんな覚悟はうかがえない。期限を示さずに協定を更新する「自動延長」を軸に米国と交渉する方針という。選択肢は他にもある。例えば終了なら、日米のどちらかが文書で通告したら半年後には実現できる状態になる。長期延長や大幅改定であれば、両国政府間の交渉や両国議会での承認などハードルは高くなる。
 現在の協定を結ぶ際、プルトニウム輸送の危険性や核拡散への懸念などから米国議会では反対論が上がり、承認手続きが難航した。米国では今も、核拡散防止の観点から再処理自体に反対する声は根強い。むしろ余剰プルトニウムが約48トンと核兵器6千発分に達した日本の現状を考えると、さらに視線は厳しくなっているかもしれない。
 トランプ米政権では、国務省やエネルギー省をはじめ関連部署の態勢が十分整っていない。本格的に交渉するのが難しい面もあるだろう。ただ、それをいいことに、国際的に批判の多いプルトニウム問題の議論を避けようと、日本政府がもくろんでいるとすれば、許されまい。
 国内でも米国との交渉でも透明性のある議論が求められる。まずは再処理や高速増殖炉について、技術的に可能なのか、経済的に見合うのか、そもそも何のために必要なのか。さらに核のごみをどうするか。そうした基本的な課題から議論することが不可欠である。


「民主社会では認められず」 「共謀罪」採決強行に国連報告者
 「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法について、プライバシー権に関する国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が「成立を強行したことに失望した」とのコメントを、日弁連共謀罪法案対策本部副本部長の海渡雄一弁護士に寄せ、21日、東京都内での日弁連主催の学習会で紹介された。
 同氏は法案審議中、プライバシー権の侵害に懸念を示していた。「共謀罪」法は、参院法務委員会での採決を省略する「中間報告」という形で15日に可決、成立。コメントは同日付で、同氏は日弁連を通じて紹介してほしいと希望したという。
 コメントでは「政府は、テロに対する市民の恐れを利用して成立を押し通した」と批判。参院で議論が打ち切られた点を「重要な法案を検討、導入するのに適切な方法とはいえない。このような強硬手段は真に民主的な社会では認められない」とした。これまでの指摘に、政府からの回答はないという。
 21日に参院議員会館(千代田区)であった学習会には約150人が参加した。立命館大大学院の松宮孝明教授(刑事法)は法案成立過程の違法性を指摘。国会法では「特に必要があるとき」に中間報告を求めることができ、中間報告があった案件は「特に緊急を要すると認めたとき」に本会議で審議ができる。松宮氏は「必要性や緊急性の根拠が説明されておらず、成立自体に疑義がある」と話した。 (山田祐一郎)


9条改憲「性急すぎる」 自民全体会合で異論も
 自民党の憲法改正推進本部(本部長・保岡興治元法相)は二十一日午前、党所属の全議員を対象とした全体会合を党本部で開いた。安倍晋三首相(党総裁)が五月三日に提起した憲法に自衛隊を明記する案を巡り意見交換した。参加議員からは首相提案を受け入れる意見が出される一方、時間をかけた議論や戦力不保持などを規定した九条二項の削除を求める声もあった。
 保岡氏は冒頭、「いよいよ憲法のどの部分を、どのように改正するか具体的な案を(国会の)憲法審査会に提案し、議論を進める段階に入った」と党の改憲案づくりを急ぐ考えを強調。遅くとも年内をめどに党改憲案をまとめる方針を説明した。首相が自身の改憲提案を説明する機会を検討していることも紹介した。
 会合には五十人程度が出席。戦争放棄を規定した九条一項と二項を維持して自衛隊の存在を明記する首相提案に対し、佐藤正久参院議員は「九条一、二項をそのままにして、九条の二として自衛隊を位置付けるのが実現可能な選択肢だと思う」と支持を表明した。
 石破茂元幹事長は「三項に自衛隊の明記はあり得ると思うが、交戦権とは何かについて答えを出さなければ自衛官は一体どうなるのか」と指摘。二〇一二年の党改憲草案について「何のために草案をつくったのかを説明する機会をつくってほしい」と訴えた。
 このほか「八月に一定の結論を出すのは、あまりにも性急すぎる」と発言した議員もいた。
 保岡氏は終了後、記者団に「二項を変えるという方向で改正案をまとめるとすれば、出口の発議で大きな荷物になる。絶対に(議論の)期限を区切るなという強硬な意見ではなかった」と話した。
 推進本部は八月まで会合を開く。九条改憲に加え、大学など高等教育までの無償化や、大災害などの発生時に国会議員の任期を延長できるようにする緊急事態条項の新設、一票の格差と参院選挙区の合区解消を中心に議論する。

音楽の祭日/RSが少ない/共謀祭

ブログネタ
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共謀祭170621

Fête de la musique 2017 à Paris : notre sélection
La 36e édition invite le public à être à l'écoute de toutes les musiques. Classique, jazz, électro, rock, Le Figaroscope propose une sélection d'événements tous azimuts.
Musiques électros à La Villette
CARE/MESS envahit le parc de la Villette en proposant deux rendez-vous. A l'extérieur le jardin techno avec des sons puissants et bouillonnants comme POLAR, Powrtoch et S'il Te Plaît Bruno, à l'intérieur une scène House plus chaleureuse et mélodique en compagnie de BIM, Diogo Alfredo et LLY. Deux univers sonores pour une soirée endiablée.
Parc de la Villette, Folie L2. 26, avenue Corentin Cariou (XIXe). De 18h à 02h. Entrée libre.
36 heures de concerts gratuits à Saint-Eustache
Dans ce haut lieu de recueillement spirituel et historique, les concerts s'enchaînent. Du mardi 15h au mercredi 20h, se côtoient de la musique folk, rock, électro, musique sacrée. À la suite d'une idée du curé, il y a douze ans, un festival est né. Chaque artiste revisite dans son genre, une œuvre liturgique de son choix (gospel, requiem, ave maria, psaume, negro-spiritual...). Les artistes Rubin Steiner, Buvette, JP Nataf, Palatine ou encore Yeti Lane s'y retrouvent. Les 33 mètres de voutes donnent une acoustique exceptionnelle.
Festival 36h. Église de Saint-Eustache. 2 impasse St Eustache (Ier). Du mardi 20 juin à 15h au mercredi 21 juin à 20h. Entrée libre.
Les Dindons Virtuels reviennent à la Bastille
Depuis 2007, pour la Fête de la Musique, Les Dindons Virtuels enflamment la petite place devant le restaurant du Paradis du Fruit. Ils sont cinq à sublimer les plus grands titres des plus célèbres groupes et artistes du monde... Les Stones, les Beatles, Lenny Kravitz, Prince, Arctic Monkeys, Radiohead, Dandy Warhol... Le concert est très attendu par les amateurs de rock sur 3 générations dans une ambiance bonne enfant et festive.
Les Dindons Virtuels. Devant le Paradis du Fruit. 1, rue des Tournelles (IVe). À partir de 19h30. Entrée libre
L'Orchestrerie en plein air
Cet ensemble musical se définit comme un orchestre ovni, amateur mais joyeusement ambitieux. Il réunit une trentaine de musiciens de tous niveaux et de tous âges, motivés par les arrangements originaux d'une chef aussi débridée que pointue. Dans la fraîcheur d'un des plus beaux parcs de Paris, les thèmes sont éclectiques: de la symphonie au punk en passant par le jazz et l'électro, sans oublier la BO et le jingle pub
L'Orchestrerie. Kiosque à Musique du Parc Montsouris. 2 Rue Gazan (XIVe). De 19h30 à 20h30. Concert gratuit.
Musiques classiques et folkloriques italiennes
Le Consulat d'Italie organise une après-midi musicale avec plusieurs concerts interprétés par des artistes de la Péninsule. Une première partie est consacrée au classique avec un concerto pour hautbois, des airs lyriques accompagnés par un pianoforte. Puis place aux chansons napolitaines et chants folkloriques pour conclure la soirée.
Consulat d'Italie. 5, boulevard Émile Augier (XVIe). De 15h à 20h. Entrée libre.
Musiques en Terrasse à Bercy village
Fêtez l'été avec trois concerts gratuits sur la scène de Bercy Village. Dans un style funk et soul, Ludwig Nestor reprend des grands artistes avec talent. (18h30). La jeune chanteuse aux inspirations hip-hop et de la chanson française, Rakia, se définit plutôt comme Neo Soul / Rythm & Blues. (19h45). Chine Laroche, jeune chanteuse de région parisienne, écrit, compose et interprète tous ses titres sur un ton trip-hop et plus largement pop-électro. (21h).
Bercy Village. Sur la scène de Bercy Village devant la FNAC, (XIIe). Concerts gratuits entre 18h30 et 22h.
La Garde Républicaine au musée d'Orsay
Sous la direction du Lieutenant-colonel Sébastien Billard, les musiciens de l'orchestre militaire vont faire résonner trombones et tambours dans la nef du musée. Au programme Strauss, Berlioz, Ravel. De quoi mettre de l'ambiance dans les allées parsemées de statues.
Musée d'Orsay. 1, rue de la Légion d'Honneur (VIIe). À 20h30. Entrée libre.
Amazing Keystone Big Band dans le 1er
Dès 20h, la scène du QG parisien du jazz reçoit le Quartet du saxophoniste Jon Boutellier et du pianiste Fred Nardin, l'incarnation du renouveau du jazz français. Et à 22h, un verre à la main, on est tout oui pour une jam session spéciale ≪fête de la musique≫ avec les fondateurs du désormais prestigieux Amazing Keystone Big Band!
Duc des Lombards. 42 rue des Lombards (Ier). À partir de 20h, entrée libre, consommation obligatoire.
Vivaldi à la boutique Saisons
Àdeux pas de la place Beaubourg, rendez-vous mercredi soir devant la boutique de Frédéric et Mariette pour fêter la musique et l'arrivée de l'été. Après la fermeture du magasin, le fromager mélomane et violoncelliste invite David Braccini, violon solo, et ses amis. Ils interprèteront l'intégrale des Quatre Saisons de Vivaldi devant la boutique.
Saisons - Fine épicerie et Fromages d'exception. 30 rue Grenier Saint-Lazare (IIIe). À partir de 20h.
Musique et danses traditionnelles italiennes dans le Marais
Danser et manger des glaces. Pour son 12e anniversaire, le 21 juin, le glacier italien du Marais, fait la fête. Et ça tombe plutôt bien. Au programme tarentelle, Tammurriata et musique traditionnelle italienne avec la participation de l'association Sudanzare et Dj sets de Dj Barbetta, Osso et Pozzetto.
Pozzetto Gelato Caffè Paris. 39 rue du Roi de Sicile (IVe). À partir de 18h.
Fête de la Musique à Paris en en Ile-de-France: certaines lignes du RER, de métro et de bus fonctionnent toute la nuit. Renseignements sur le site de RATP.

フランス語
フランス語の勉強?

ランチにブイヤベースをいただきました.満足ですね.そのあとJR大阪駅を通ったら音楽の祭日のイベントをやっていました.オトノミコトという2人組が演奏していました.
今日はRSが少なくてがっかりですが仕方ありません.
ヘップ前では共謀祭で頑張っていました.わたしも少しだけ参加しました.

津波被災マリンパル元職員 愛着ある観光で再起
 東日本大震災で被災した石巻市中心部に30日、観光交流施設「いしのまき元気いちば」がオープンする。支配人は、津波で甚大な被害を受けたマリンパル女川事業協同組合(宮城県女川町)の元事務局長遠藤泰雄さん(52)=石巻市小船越=。昨年8月の組合解散を経て、再起の場に選んだ。遠藤さんは「観光を通じて復興に貢献したい」と意欲を見せる。
 木造2階の元気いちばは昨年11月に着工し、今年5月に完成。延べ床面積約1500平方メートルで、1階は鮮魚や青果などを販売するマーケット、2階はフードコート形式のレストランが入る。
 遠藤さんは施設の運営会社「元気いしのまき」の現場責任者として、パート従業員の研修など開店準備に奔走する。「今が最も忙しい。これを乗り越えて、お客さまに喜んでもらえる施設にしたい」と語る。
 震災当時、女川港に面したマリンパルの事務所で働いていた。翌日のカニまつりの準備作業中、激しい揺れに襲われた。「津波が来る」。職員と山に避難。マリンパルの建物が津波にのまれる様子が見えた。
 再開に向けた動きは早かった。内陸に仮設店舗を確保し、2011年10月に仮営業を開始。本格再建を目指したが、まちづくりが進むにつれて組合の維持が難しくなり、昨年8月末に解散した。
 観光客や組合員が喜ぶ姿が好きで、マリンパルの仕事に愛着があった遠藤さん。「観光業に携わりたい」。インターネットで見つけた元気いちばの求人に応募し、採用された。
 30日の開店が間近に迫る。施設は周辺住民の買い物の場となり、観光客が土産を求める拠点の役割も期待される。
 遠藤さんは「好きな観光の仕事をまたできるのがうれしい。石巻観光の核施設として旬の食材を発信したい」と話す。


津波で全壊 仙台藩大肝入屋敷復元へ基金
 東日本大震災で全壊した陸前高田市気仙町今泉地区の大肝入(おおきもいり)屋敷「吉田家住宅」の復元を目指し、市が基金を創設することになった。藩制時代に気仙郡政の拠点だった歴史的建造物の再生を、地区復興のシンボルにしたい考えだ。
 大肝入は仙台藩村方役人の最上位職だった。旧藩内に唯一残る屋敷だったが、津波で伝統的な街並みとともに壊滅した。
 市は復興計画に屋敷の復元を掲げており、市議会で20日に基金条例が可決、成立した。ふるさと納税や寄付、一般財源からの組み入れにより、4年間で計2億円の積み立てを目指す。
 事業費は4億円以上を見込んでおり、屋敷を文化財に指定した岩手県の支援も期待する。
 震災後、県立博物館は散乱するがれきの中から多くの部材を回収した。市が倉庫を建てて保管しており、将来的に吉田家から寄贈を受ける予定だ。
 市は今後、回収した部材が建物のどこに使われていたかや、実際に使用できるかどうかを調査して復元計画を作成し、県に提出する。実際の復元を通じて伝統の気仙大工の技を継承する狙いもある。
 屋敷の復元と並行して、市は今泉地区の歴史的街並みの形成を図る。民家や店舗を再建する際は外壁、屋根などの景観に配慮するよう求めていく。
 今泉地区では震災後、住民の大半が転居。高台造成やかさ上げに時間を要し、商業地の整備は2020年度までずれ込む見通しだ。
 往時のにぎわいが復活するか懸念される中、市民有志でつくる「陸前高田・今泉地区明日へのまちづくり協議会」会長の村上孝嘉さん(70)は「大肝入屋敷はさまざまな活用が見込まれ、まちづくりの起爆剤になり得る。復興の象徴としてぜひ残してほしい」と期待する。


<復興CSR>前向けば世界広がる
 復興の進路を照らすCSR(企業の社会的責任)。企業や社員は私益を超え、東北の被災地で貢献の在り方を模索する。人材、投資と消費、教育。展開の場は多岐にわたる。被災地の自治体は企業の力をどう引き込むか対応力が問われる。(「被災地と企業」取材班)
◎トモノミクス 被災地と企業[49]第10部 展開(5完)よびこむ/行政の感度
 東日本大震災後、東北の被災自治体は支援の手を差し伸べる世界の企業とつながった。その回路をどう生かすか。復興CSR(企業の社会的責任)と向き合う行政の対応力が問われた。
 釜石市の「にこにこバス」。予約状況に応じ経路を決めるオンデマンドバスだ。トヨタ自動車が2012年、システムを提供した。
 コンサルタント会社ドリームインキュベータ(東京)の小川貴史さん(30)はトヨタの依頼を受け、11年秋から支援先の自治体を探して歩いた。
 震災直後の混迷期。「それどころじゃないと次々と提案を断られた。最も好感触を得たのが釜石だった」
 市内は仮設住宅団地が点在し、移動手段の確保が課題だった。「公共交通のモデルになる」。市総合政策課長の佐々木勝さん(56)らは事業を受け入れた。
 かつての製鉄のまちは外部に開かれた気風がある。1970年代に新日鉄(当時)の合理化が始まると、いち早く企業誘致を推し進めた。
 震災後は「よそ者と手を組むことに抵抗感が少ない土地柄」(佐々木さん)が奏功し、大手人材派遣会社や国際金融グループの支援が続々と決まった。
 企業連携の要となる市オープンシティ推進室長の石井重成(かずのり)さん(31)はコンサルタント会社出身。任期付きで転身し、100社以上の支援に応対した。
 石井さんは「復興後を見据えた取り組みが必要。外部とのつながりが釜石の力になる」と力を込める。
 同市と並び企業の支援が集中したのが、宮城県女川町だ。
 「あたらしいスタートが世界一生まれる町」を掲げる。JR女川駅前の商店街「シーパルピア女川」には手作りせっけん工房など個性豊かな店がそろう。
 復興の起点は、被災直後にできた町復興連絡協議会が担った。会長の高橋正典さん(66)が呼び掛けた。
 「若い人が自由にやってくれ。還暦(60歳)以上は口を出すな」
 地元の大手水産加工会社社長の鶴の一声に、若手経営者は主体となって再生へ走りだす。商店街の店舗はテナント制を採り入れた。新規出店が容易になり、震災後に起業したり誘致したりした店が半数を埋めた。
 気仙大工の技術を取り入れたギターを販売するセッショナブル(仙台市)もその一つ。梶屋陽介社長(33)は「女川には新しいことに果敢に挑戦し楽しもうという空気がある。良い製品が作れるという直感があった」と出店理由を語る。
 「被災事業者が再建するだけなく、社会の変化に対応できる商店街にしたかった」。復幸まちづくり女川合同会社の阿部喜英代表社員(49)はかみしめる。
 「開かれたまち」の風土は企業と自治体というセクターの壁を超え、復興CSRを引き寄せた。地域の感度、そして展開力が持続可能なまちをかたちづくる。


<トモノミクス>多様なCSR 驚きと共感
 20日に開かれた河北新報朝刊の連載「トモノミクス 被災地と企業」の公開フォーラムでは、東日本大震災の被災地で展開された多様な復興CSR(企業の社会的責任)の事例が紹介された。幅広く、継続的な取り組みに、参加者からは驚きや共感の声が聞かれた。
 東北大経済学部4年の吉田優花さん(21)=いわき市出身=は、キリンが発売した福島県産果物を使った缶酎ハイがCSRの一環との説明に「東京電力福島第1原発事故の風評被害の払拭(ふっしょく)のためだと知って納得した」と打ち明けた。
 大学卒業後は古里で公務員を目指す。「復興は行政だけではできないと実感した。企業やNPOと協力した取り組みができるよう広い視野を持ちたい」と力を込めた。
 企業人も学びを得た。廃棄物処理のサイコー(仙台市)は震災直後、事務所が被災しながら古紙回収用トラックで宮城県南三陸町に支援物資を届けた。
 人事広報課長の小幡秀樹さん(45)は「被災地支援を続ける企業の話を聞き、支援とビジネスを結び付けることを前向きに考えたい」と語った。
 「企業が行政や住民と共に歩む力を付けることが大切だ」と言うのは、仙台市泉区の1級建築士仲村孝俊さん(66)。「社会課題の先進地である東北の被災地は震災を乗り越え、他の地域より良くなる、という議論が印象に残った」と話した。


河北抄
 松尾芭蕉は1689(元禄2)年のちょうど今頃、東北南部を旅している。『おくのほそ道』によれば、福島を経て6月19日に白石市に入ったと思われる。
 宿泊後の翌20日には仙台へ下る途中、平安時代の中古三十六歌仙の一人で名取市愛島にあった藤原実方(さねかた)の墓に句を手向けている。<笠島はいずこさ月のぬかり道>。雨で道がドロドロとなり、山際の笠島にある墓までは行けなかった。
 きょう、東北全域で梅雨入りした。芭蕉が歩いた仙南地域の山々は雨露の恵みを受けて緑の濃さが増したかに見える。ただ、周辺にも目を凝らすと、土肌をむき出したままの斜面も。「東日本大震災からの復興事業です。被災地閖上のかさ上げなどに使っており、ぜひご理解を」と名取市復興区画整理課。
 陸側が身を削り、海側に手を差し伸べる。傷つく山の姿は、実は地域と地域がつながっている証しでもある。
 悲しみ、苦しみ、喜びを四季折々の風景に絡めて絶妙に詠んだ芭蕉。大災禍に遭った地域に雨が降る。吟行する俳聖の姿を、空を見上げながら想像してみる。


“水産の日”旬のホヤなど販売
宮城県が「水産の日」と定めた第3水曜日の21日、石巻市で旬のホヤなどを販売するイベントが開かれました。
このイベントは震災で減少した宮城県産の水産物の消費拡大をはかろうと毎月第3水曜日を水曜日の「すい」と第3の「さん」のごろ合わせで定めた「みやぎ水産の日」に旬の食材の販売を行っているものです。
今月はこれから旬を迎えるホヤで、石巻市にある県の合同庁舎では21日朝、石巻市で水揚げしたばかりのホヤや蒸して加工したホヤ、それにカキのオイル漬けなどが売られました。
15センチを超える大きなホヤは一個100円と市価よりも2割から3割ほど安く売られていて、用意した400個は20分ほどで売り切れてしまいました。
ホヤは石巻市や女川町などで養殖が盛んに行われてきましたが大きな輸出先だった韓国が原発事故をうけて輸入禁止を続けているため国内での消費拡大が課題です。
ホヤを養殖している渥美政雄さんは「これから旬を迎える新鮮なホヤを多くの人に食べてほしいです」と話していました。


安倍首相会見/「説明責任」果たしていない
 強気一辺倒で鳴らす安倍晋三首相がおわびと反省の言葉を口にするなど、いつになく低姿勢を見せた。通常国会の閉会を受けた19日の記者会見。「疑惑封じ」かのように強引に国会の幕引きを図りながら、今更何を弁解しても後の祭りではないか。
 しかも、学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡る問題などに真正面から答えず、説明責任を自ら積極的に果たそうとする姿勢が、感じられなかったのは極めて残念だ。
 安倍首相は国会答弁について「印象操作のような(野党の)議論に強い口調で反論してしまう私の姿勢が、結果として政策論争以外の話で盛り上げてしまった。深く反省している」と述べた。
 あたかも野党の執拗(しつよう)な追及が引き金と言わんばかりの発言だ。それこそ「印象操作」ではないか。
 「総理のご意向」などと記載された加計学園を巡る文部科学省の記録文書について、当初「怪文書」として再調査を拒んだ揚げ句に、国会閉会間際になって存在を認めた問題。「二転三転した形となり、長い時間がかかった。国民の不信を招いたことは率直に認める」とおわびした。
 ならば、首相が出席して国会の閉会中審査に応じるかどうかとなると、「何か指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と延べ、具体的には答えなかった。逃げた印象は拭えない。
 安倍首相が謙虚さを見せざるを得なくなったのは内閣支持率が急落したのが大きい。
 共同通信が実施した世論調査(17、18日)によると、安倍内閣の支持率は44.9%で、前回5月から10.5ポイントもダウンした。マスコミ各社の調査も同様な傾向で、30%台に落ち込んだところもある。
 最近は失言や不祥事など「失策」を重ねてきても安定飛行を続けてきた内閣の支持率だが、「潮目」が変わってきたのではないか。安倍内閣の強権政治に対する国民の不信感が、「沸点」に近づいていることがうかがわれる。
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を、参院法務委員会の採決を省くため中間報告という「禁じ手」を使って成立させたのも、「安倍1強」ゆえの数の力による横暴と映ったはずだ。
 一方で、民進党など野党の支持率も低迷したままで、反転攻勢の兆しさえ見えない。内閣不支持層が行き場を失っているように映る。逆に言えば、野党の存在意義も問われる事態と言ってもいい。
 安倍首相は「信なくば立たず」という、三木武夫元首相が座右の銘とした言葉を使った。周囲からの信頼がなければ、自分の目的を達することはできないという意味だ。
 国民からの信頼は政治の要諦である。「私は何も恐れない。ただ大衆のみを恐れる」。安倍首相はこの三木元首相の至言も拳々服膺(ふくよう)すべきだ。


首相会見/「反省」を示すのは行動だ
 「反省」を口にしているが、真意なのかと疑ってしまう。
 通常国会が閉幕したことを受け、安倍晋三首相が会見した。「加計(かけ)学園」や「森友学園」に関する野党の追及に「強い口調で反応した私の姿勢が、政策論争以外の話を盛り上げた。深く反省する」などと謝罪した。
 報道各社の世論調査で軒並み支持率が大きく下落したことを受け、低姿勢を見せた形だ。
 だが言葉だけで終わっては困る。責任を持って行動で示してもらわねばならない。
 加計学園の獣医学部新設をめぐる問題では、文部科学省が作成した「総理の意向」と記された文書に焦点が当たった。官房長官が「怪文書」とし、文科省による最初の調査では存在が確認されなかった。前川喜平前文科次官が文書の存在を証言すると、一気に批判が高まった。
 閉会直前になって追加調査で文書が確認されたが、内閣府の調査とも食い違ったまま時間切れとなり、疑惑解明に後ろ向きだと非難された。
 賛否が割れている「共謀罪」法にいたっては、参院の委員会採決を省略し、奇策の「中間報告」を使って本会議で強行可決に踏み切った。
 このような安倍政権と与党のかたくなな姿勢と不十分な説明に、国民は納得していない。
 共同通信の世論調査では、政府の調査で文書の真相が「明らかになったとは思わない」が84・9%に上っている。
 過去にも特定秘密保護法や安全保障関連法を強行採決した後に支持率が下がった。その後、内閣改造や「1億総活躍社会」の実現など、新たな目標を設定して盛り返してきた。
 今回、内閣改造や人材育成への投資担当閣僚の新設などを打ち上げた。支持率上昇を期待していることが透けて見えるが、こうした体質も問われている。
 世論調査では、政権を支持している人の46・1%が「ほかに適当な人がいない」という消極的な理由だ。やり過ごせば切り抜けられると思っているのであれば、国民を愚弄(ぐろう)するものだ。
 「丁寧に説明する」と言うのなら、野党が要求する閉会中の審査に応じ、前川氏の証人喚問をすることだ。それが「反省」を行動で示すことになる。


首相の「反省」 口先だけでなく行動を
 岡山市の学校法人加計学園の獣医学部新設計画を巡り、新たな文書が文部科学省内で見つかった。「加計学園ありき」の疑いをさらに深める内容だ。
 安倍晋三首相は国会閉会を受けた記者会見で、加計学園や大阪市の学校法人森友学園を巡る国会答弁について「深く反省する」とした。説明責任を果たしていくとも述べている。口先だけでなく、行動で示す必要がある。
 新たな文書は、萩生田光一官房副長官と文科省幹部とのやりとりをまとめたものとされる。「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた。工期は24カ月でやる」「官邸は絶対やると言っている」などの記載がある。萩生田氏は発言を否定している。
 先の国会は与党が共謀罪法を強引に成立させ、閉幕した。加計学園の計画を巡る政府の説明は矛盾を残したままだ。「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向」などの文書の存在を文科省が認める一方、内閣府はそうした発言はなかったとしている。
 事実上の国会閉幕後に共同通信社が行った電話世論調査では内閣支持率が急落した。加計学園を巡る政府側の説明に対し「納得できない」が7割強、共謀罪法の採決方法が「よくなかった」は7割弱を占めている。これらを踏まえての首相の「反省」だろう。
 「建設的な議論とは懸け離れた批判の応酬に終始した。大変申し訳なく感じている」とした。神妙そうに見えて実のところ、野党への責任転嫁だ。「印象操作のような(野党の)議論に強い口調で反応した私の姿勢が政策論争以外の話を盛り上げた」と述べている。
 規制改革の意義を強調し、野党側を改革への「抵抗勢力」と位置付けてもいる。それこそ印象操作ではないか。
 首相は「特区を巡る調査に長い時間がかかった。政府への不信を招いたことは率直に認めなければならない」とも述べた。不信を生んでいるのは調査に手間取ったことよりも「怪文書」「存在を確認できない」などと知らぬ存ぜぬで逃げ切ろうとする姿勢だ。
 民進、共産、自由、社民の野党4党は、首相が出席する予算委員会での閉会中審査を要求する方針で一致した。前文科事務次官の証人喚問を求めることを確認したほか、森友学園の国有地払い下げ問題について首相夫人の証人喚問の必要性でも一致している。
 既に自民に要求を伝えた。「信頼を得られるよう努力する」と言うのなら、応じるべきである。


首相「反省」会見 本心なら国会の場でこそ説明を
 いくら「反省」を口にしても額面通りに受け取ることはできない。
 国会を閉じた途端、安倍晋三首相が記者会見し、学校法人加計学園や森友学園を巡る問題の対応について「深く反省する」と切り出した。これまでの強権的な態度を一転させ、低姿勢を強調したが、野党をおとしめて責任転嫁する姿勢は変わらず、今後具体的にどうするかについて触れることもなかった。
 本当に反省しているのなら、直ちに審議をやり直すべきだ。加計学園の今治市での獣医学部新設問題一つ取っても、疑惑は何も解明されていない。昨日また新たに、萩生田光一官房副長官と文部科学省幹部とのやりとりをまとめたとされる文書が公表された。野党が要求する首相出席下での閉会中審査や関係者の証人喚問に堂々と応じ、国会の場でこそ説明しなければならない。
 今国会での政府、与党の強権ぶりは目に余った。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法について「丁寧で分かりやすい説明を心掛ける」としつつ、参院での委員会採決を省略する「禁じ手」を使い、数の力で押し切った。両学園に関する数々の質問にも、まともに答えようとしなかった。
 国民の政権への不信感は確実に高まっている。閉会後の各メディアの世論調査で、内閣支持率は軒並み急落。都議選を控えて、会見で謙虚さをアピールして批判をかわす思惑があったことは想像に難くない。
 だが、国会では何も語らず、会見という場で一方的に言い分を述べ、幕を引こうとするようなふるまいは、そもそも国民を愚弄(ぐろう)している。疑問に答えようともしない傲慢(ごうまん)な態度を改め、国会という公の場で誠実な対話を進めない限り、信頼は取り戻せまい。
 安倍首相の言う「反省」とは「印象操作のような(野党の)議論」に「つい強い口調で反論した」ことで「政策論争以外の話を盛り上げた」ことを指すらしい。野党の質問が的外れで、乗せられて議論がずれたと言いたいのだろうが、責任転嫁も甚だしい。政府主導の国家戦略特区の選定で公平さを欠いていたかどうかは、政治の本質的な問題である。その認識も持ち合わせていないのなら、政治家としての資質を疑う。
 首相はことあるごとに「丁寧な説明」を口にする。今回もまた「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」としたが、反対が根強い安全保障関連法の成立を強行した2015年9月の通常国会閉幕時の会見を思い出したい。「理解が得られるよう説明する努力を続ける」と強調したものの、それ以降、説明の努力は全く見られない。
 国民は度重なる口先だけのごまかしにうんざりしている。今回も同じことを繰り返すなら、手痛いしっぺ返しを覚悟しなければなるまい。


森友学園捜査 検察が試される時だ
 国政を揺るがす森友学園の問題を巡り、大阪地検が強制捜査に着手した。首相との関係が臆測を呼んだ特異な学校法人が舞台である。“忖度(そんたく)”せず疑惑の核心に迫るか。検察が試される捜査だ。
 家宅捜索を受けた森友学園の籠池泰典前理事長は二十日朝、さっそく報道陣の取材に応じ「逮捕されるだろうと認識している」と語り、「国策捜査だ」と批判した。
 国有地がひそかに格安売却されていたという問題の発覚から四カ月。政府が情報開示に背を向け続ける中、「キャラが立つ」とも言われる籠池氏の言動が注目を集めてきた。入り乱れる情報の真偽を精査し、国民の疑問に答えるべく捜査を尽くすことが検察の使命である。
 今回の容疑は、学園が運営する幼稚園への大阪府の補助金約六千二百万円をだましとったとする詐欺と、小学校新設を巡り国の補助金約五千六百万円を不正受給したとする補助金適正化法違反。特捜部は、押収した資料を解析するとともに籠池氏からも事情聴取し、まず、この詐欺容疑などの解明を進めることになる。
 一方、国民が最も関心を寄せているのは、国有地の格安売却とその不透明な交渉過程である。
 国有地は、言うまでもなく国民の財産である。森友学園は、小学校用地として国有地を借りる契約を結んだ後、地中から大量のごみが見つかったことを機に買い取りに変更。ごみ撤去費として八億円超を差し引いた一億三千四百万円で払い下げを受けた。
 異例の手続きを重ねた近畿財務局は当初、売却価格を非公表としていた。財務省は一連の交渉記録を既に破棄したとしている。
 学園は当初「安倍晋三記念小学校」の触れ込みで寄付を募り、その名誉校長を安倍首相の妻昭恵氏が一時務めてもいる。首相との関係が、国有地売却に影響を与えはしなかったか。
 首相は衆院予算委で「私や妻が関わっていれば首相も国会議員も辞める」と述べたが、国会での追及に対し、とても政府が説明責任を果たしたとはいえまい。行政の忖度は、ありやなしや。疑問は一向に解消されていない。
 補助金不正も、事実とすれば無論、許される話ではない。だからといって、捜査が“籠池たたき”だけに傾くようであれば、国民も「国策捜査」と見抜いて検察への失望を重ねるばかりだろう。疑惑の核心に迫る気概はあるか。検察の姿勢が問われることになる。


「森友」強制捜査/国有地売却の疑惑に迫れ
 大阪地検特捜部が大阪市の「森友学園」を巡る疑惑の強制捜査に踏み切った。容疑は詐欺と補助金適正化法違反で、国と大阪府から公金を不正に受給した疑いが持たれている。
 着手は国会閉会の翌日というタイミングとなった。政治状況への「配慮」がうかがえる。
 公金の不正受給は重い犯罪だが、疑惑の本丸は、国有地が約8億円もの大幅な値引きで売却されたことにある。捜査の行方次第では国民の目に、政権の意をくんだ「国策捜査」と映りかねない。
 今回の詐欺容疑は、大阪府から学園運営の幼稚園に支給された補助金を巡るものだ。教員や障害のある園児の数を偽って申請し、約6200万円の補助金を詐取したとされる。
 補助金適正化法違反では、豊中市で開校を目指した小学校の建設に絡み、国の補助金約5600万円を不正受給した疑いが持たれている。
 一方、国有地売却の疑惑では、学園の籠池(かごいけ)泰典前理事長が国会で「想定外の値下げにびっくりした」と証言している。小学校の名誉校長を一時、安倍昭恵首相夫人が務めていたことから、その影響下で交渉が優位に進んだとの印象も口にした。
 実際、首相夫人付の政府職員が財務省に照会したやりとりを記すファクスは、関与を疑わせる内容だった。昭恵氏に配慮した官僚の「忖度(そんたく)」はあったのか。不透明な売買交渉の解明が求められる。
 大阪地検には、不当に安い価格で売却し国に損害を与えたとする背任容疑で、財務省の近畿財務局職員の告発状が出され、地検は受理している。
 背任罪は、国に損害を与える認識の有無など立証のハードルが高い。加えて財務省は「交渉の記録は既に廃棄した」としている。捜査は一筋縄ではいかないだろうが、検察は疑惑の核心に切り込んでもらいたい。
 検察の捜査と並行して、国会も昭恵氏の証人喚問を視野に、引き続き解明に努めるべきだ。
 安倍首相は先日の会見で、国民への説明責任を果たすことを約束した。国民は森友学園や加計(かけ)学園の問題で納得のいく説明を求めている。どう応えるか、首相の姿勢も問われている。


「森友」強制捜査 土地取引に迫ってこそ
 通常国会の焦点の一つだった学校法人「森友学園」を巡る問題が、新たな局面を迎えた。
 補助金不正受給疑惑について大阪地検特捜部が、籠池泰典前理事長に対する詐欺と補助金適正化法違反容疑で強制捜査に着手した。
 これ自体、事実であれば看過できない重大な犯罪だ。特捜部が徹底捜査を行うのは当然である。
 その上で、指摘しておきたい。
 学園は小学校用地として、大阪府の国有地を鑑定評価額より約8億円も安く取得していた。巨額の値引きがなぜ行われ、そこに政治的な関与はなかったのか。これが解明すべき疑惑の核心である。
 特捜部は不透明な土地取引に踏み込んで、疑惑の全体像に迫らなければならない。
 大阪府などが告訴・告発している籠池前理事長の不正受給疑惑は大きく二つだ。
 《1》幼稚園教員の人数などに応じた府の補助金約6200万円を不正に受給した詐欺の疑い《2》小学校の校舎建設工事で、国の補助金約5600万円を過大に受給した補助金適正化法違反容疑―である。
 籠池前理事長は疑惑について、「反省するべき点はあるが、故意ではない」と釈明している。
 「不正」の認識などに関して言い分があるのかもしれないが、子どもを教育する施設の責任者として胸を張れるだろうか。
 一方、国有地払い下げでは、特捜部が既に財務省職員に対する背任容疑の告発を受理している。
 国は、値引きは廃棄物の撤去費用などを差し引いたためで、適正だったと説明している。
 だが、詳細な算定根拠は示しておらず、肝心の学園側との交渉記録は廃棄したという。これでは、まったく説得力がない。何より国民の多くが、この説明に納得していない。
 国有地の取引を巡っては国会で、安倍晋三首相の夫人昭恵氏が「森友」の小学校の名誉校長を一時務めた影響や、国側の関与の有無で激しい議論となったが、うやむやのうちに閉会してしまった。
 首相は19日の記者会見で、「国有地売却は会計検査院が検査に着手しており、政府として全面的に協力していく。指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と述べている。
 ならば、自ら内部調査を速やかに行い、昭恵氏の国会招致に応じるなど、国民に説明を尽くすのが筋ではないか。
 特捜部の捜査にかかわらず、すべては首相のやる気一つである。


森友学園強制捜査 疑惑の核心解明に力注げ
 学校法人「森友学園」(大阪市)が国や大阪府の補助金を不正に受け取ったとされる問題で、大阪地検特捜部が籠池泰典前理事長の自宅など関係先の家宅捜索を行った。森友学園をめぐる一連の疑惑は刑事事件へと発展した。
 容疑の一つは籠池氏による詐欺の疑いである。学園が運営する塚本幼稚園(同市)で専任教員や、障害などで特別な支援を要する「要支援児」の数を水増しし、府の補助金約6200万円をだまし取ったとして府が告訴した。
 もう一つは、大阪府豊中市の旧国有地に開校を目指した小学校建設に絡む補助金適正化法違反容疑での告発を受けたものだ。金額の異なる3通の工事請負契約書を作成、国の補助金約5600万円を不正受給したとされる。籠池氏が、開校を認可する大阪府には最も低い金額を示して財務状況を良く見せ、国には最も高い金額を報告して多く補助金を受けようとした疑いが持たれている。
 教育を預かる立場にもかかわらず、欺いて貴重な税金を不正に手に入れたことが事実とすれば由々しき問題だ。しかも、「要支援児」の受け入れ補助金申請では、保護者への説明や同意なしに子どもの診断書を使ったケースや、改ざんの疑いなども指摘されている。
 特捜部は籠池氏から事情を聴くなどして捜査を進める。国会の証人喚問で籠池氏が「刑事訴追の可能性」を理由に証言を拒否したものもあり、捜査から何が導き出されるか注目される。なぜ不正が見抜けなかったのかなど、行政の体質も含め明らかにするよう求めたい。
 ただ、この問題は疑惑の一部にすぎない。核心は、小学校用地として旧国有地を国の鑑定評価額の14%という安値で売買した経緯の不透明さにある。この小学校の名誉校長を一時務めた安倍昭恵首相夫人や、国側の関与の有無などが大きな焦点だった。
 特捜部は、財務省近畿財務局担当者が不当に安く国有地を売却して国に損害を与えたとする背任容疑の告発も受理し、担当者に説明を求めるなどしていた。背任の立件には、国に損害を与えるという認識の有無が問われるなどハードルが高いとされるが、この疑惑に踏み込まなければ全容の解明はおぼつかない。
 これまでの国会質疑では、野党と政府・与党の議論がかみ合わず、加計学園問題と同様に追及はうやむやに終わった。引き続き、真相の解明に向き合わなければならない。
 国会閉会後の記者会見で安倍晋三首相は、自らの国会答弁の反省を口にし、「国会の開会、閉会にかかわらず、指摘があれば真摯(しんし)に説明責任を果たす」と語った。内閣支持率の急落を踏まえて低姿勢ぶりを示したのだろうが、言葉だけに終わらせず率先して実行すべきだ。国民が納得する説明が果たせないままでは、信頼回復は遠のこう。


森友学園強制捜査 土地取引の核心に迫れ
 学校法人「森友学園」に、大阪地検特捜部の強制捜査のメスが入った。
 特捜部は、詐欺と補助金適正化法違反の疑いで、大阪府内の学園事務所や籠池泰典前理事長の自宅など関係先の家宅捜索を行った。
 一連の疑惑で、刑事事件として強制捜査するのは初めてだ。全容解明が急務である。
 特捜部は5月、学園が運営する大阪市の塚本幼稚園を巡って、籠池氏が府の補助金約6200万円を詐取したとする詐欺容疑の告訴を受理していた。
 調査した府は、2011〜16年度に塚本幼稚園に支給された経常費補助金のうち、教員が専任の場合のみ支給される人件費約3440万円を不正受給とした。勤務や給与の支払い実態がないケースが確認されている。
 障害などで特別な支援が必要な「要支援児」の受け入れ補助金についても、11〜15年度分の2744万円で不正があったとした。約20人が支援を受けておらず、申請書類にも疑義があったという。
 事実とすれば、由々しき問題である。
 旧国有地で開校を目指していた小学校校舎の建設でも、籠池氏は国の補助金約5600万円を不正に受け取ったとする補助金適正化法違反の疑いが持たれている。
 特捜部の家宅捜索が始まったのは、安倍晋三首相の記者会見が終わった直後だった。
 籠池氏は家宅捜索を「国策捜査だ」と批判した。だが、証拠を収集し容疑を固めるために、強制捜査を行うのは不自然とは言えまい。
 疑惑の発端となったのは、旧国有地が約8億円も値引きされていた事実が発覚したことだ。
 検察は、不当に安い国有地売却で国に損害を与えたとする財務省近畿財務局担当者への背任容疑の告発も受理している。捜査を尽くし、核心に迫ってもらいたい。
 籠池氏だけを追及して、疑惑に幕を引くことがあれば、国民の納得は得られまい。
 旧国有地の値引きに関しては、安倍昭恵首相夫人や国側の関与が国会で焦点となったが、詳しい経緯は分からないままである。
 野党が昭恵氏の証人喚問を求めたのに対し、与党は拒否し続けている。
 共同通信社の最新の全国電話世論調査では、安倍首相に対する国民の厳しい見方が浮き彫りになった。
 首相の友人が理事長を務める加計(かけ)学園の問題や、森友学園への国有地払い下げを巡って、安倍政権に「問題があると思う」としたのが57・1%だったのに対し「思わない」は33・2%だった。
 首相は会見で、国会答弁に関して反省の弁を述べたが、何よりも国民に対する説明責任を果たすべきだ。
 昭恵氏の関与や首相側に対する財務省の忖度(そんたく)はなかったのか。旧国有地売却の疑問を、うやむやに終わらせることはできない。


[「森友」強制捜査] 疑惑の核心を忘れるな
 大阪地検特捜部が、詐欺と補助金適正化法違反の疑いで大阪市の学校法人「森友学園」の強制捜査に踏み切った。
 学園側に意図的な補助金の不正受給があれば、厳に正す必要があるのは言うまでもない。
 ただ、学園を巡る疑惑の発端は国有地の不透明な払い下げ問題である。こちらの真相も、いまだに解明されていない。
 国民の財産である国有地がどういう経緯で約8億円も値引きされたのか。安倍昭恵首相夫人の関与や官僚の忖度(そんたく)はあったのか。特捜部は疑惑の核心を忘れることなく真実に迫ってもらいたい。
 大阪府の調査結果では、学園が運営する塚本幼稚園への2011〜16年度の経常費補助金のうち教員が専任の場合のみ支給される人件費や、11〜15年度分の「要支援児」の受け入れ補助金で不正があったとしている。
 小学校の校舎建築費でも金額の異なる3通の工事請負契約書を作成し、補助金を不正に受給した疑いがある。
 籠池泰典前理事長は、実態解明に向け、捜査に全面的に協力するべきだ。
 懸念されるのは、国有地払い下げを巡る問題が置き去りにされないか、ということだ。
 森友学園は昨年6月、小学校用地として、大阪府豊中市の国有地を評価額9億5600万円の約14%に当たる1億3400万円で取得した。
 地中のごみの撤去費用を差し引いたというのが値引きの理由だが、撤去費が適正に算出されたのか、疑問は解消されていない。
 特捜部は今年4月、不当に安い価格で国有地を売却し、国に損害を与えたとして財務省近畿財務局担当者への背任容疑の告発状も受理している。
 真相解明には財務省と学園との交渉の精査が不可欠だ。だが、財務省は記録を破棄したと説明している。国有地の売買を後に検証できなくするような記録の破棄が許されるはずはない。
 会計検査院は公文書管理法の趣旨に照らして不適切だった可能性があると指摘している。財務省は記録を復元し、経緯を説明する責任があろう。
 安倍晋三首相は通常国会閉会を受けた記者会見で、森友学園問題や加計学園(岡山市)の獣医学部新設計画を巡る自身の国会答弁を反省し、「真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と述べた。
 発言が口先だけでないのなら、財務省に資料の提出を促すとともに、昭恵夫人の証人喚問などにも応じるべきだ。


森友学園強制捜査は疑惑隠しの国策捜査だ! 国有地払い下げを捜査対象から外して安倍夫妻を守った検察の忖度
 19日夜、大阪地検特捜部が学校法人森友学園の強制捜査に乗り出したことで、マスコミの間では、これで森友問題の真相究明に一歩近づく、新事実が出てくるかもしれない、という期待の声も上がっている。しかし、残念ながらそういう結果にはなりそうにない。今回の捜査はどうも、官邸も織り込み済みの出来レースらしいのだ。
 それは、強制捜査のタイミングを見ても明らかだ。大阪地検特捜部が籠池泰典前理事長の自宅や塚本幼稚園などを捜索したのは、19日午後7時頃。これは、通常国会閉幕を受けた安倍首相による記者会見が始まってわずか1時間後だ。どう見ても、官邸を忖度、配慮したとしか思えないだろう。
 いや、タイミングよりもっと怪しいのは、その捜索の容疑だ。今回の捜索は、小学校建設費をめぐる補助金適正化法違反容疑と、大阪府が告訴していた幼稚園従業員などをめぐる補助金不正受給の詐欺容疑で行われた。そう。そこには「国有地払い下げ」にかんする容疑がすっぽり抜けおちているのだ。
 財務省近畿財務局が不動産鑑定評価額9億5600万円の国有地をわずか1億3400万円で森友学園に売却し、しかも、条件面でもさまざまな優遇をしていたというこの国有地払い下げ疑惑は森友疑惑の核心部分だ。国民の財産をただ同然で売却した財務省近畿財務局の責任を厳しく問う必要があるのはもちろん、さまざまな政治家、さらには安倍首相や昭恵夫人の関与も指摘されている。ところが、大阪地検はそれを完全にスルーしてしまったのである。
 大阪地検幹部は「今回の捜索は刑事告訴を受けて、粛々と進めただけ」などと言い張っているようだが、刑事告発なら、国有地払い下げ問題に対しても行われている。今年3月、豊中市議の木村真氏ら市民230人が、背任容疑で財務省近畿財務局職員を告発し、検察もこれを受理していた。
 もちろん、財務省近畿財務局は9億5600万円の土地を約8億円も不当に値引きし、国民の財産に損害を与えているのだから、十分「背任罪」の対象となるし、これまでのパターンを考えると、森友学園への強制捜査でこの背任容疑もいっしょに調べるというのが普通のやり方だった。それが一切そういう動きを見せなかったのである。
近畿財務局の捜索をつぶし、国有地払い下げ捜査を止めた地検上層部
 いや、正確に言うと、大阪地検は一時、近畿財務局を強制捜査しようとしていた。
「関西ではいまも国有地問題の真相究明を求める声が強く、大阪地検特捜部の現場もそれに押されて、今回の強制捜査で、この背任容疑も加えて近畿財務局もいっしょにガサ入れしようという動きが出てきていた。直前まで準備をしていたようなんですが、地検の上層部が首を縦に振らなかったようです」(大阪地検担当記者)
 つまり、国有地払い下げ捜査は、途中でつぶされていたということらしいのだ。しかも、今後も検察がこの問題を本格捜査する可能性は極めて薄いという。
「実際は今回の容疑と別に、単独で背任を捜査することも可能なんですが、大阪地検特捜部は、2009年の村木厚子(厚生労働省局長)さんの冤罪逮捕・証拠改ざん事件を引き起こして以降、信用は地に落ちたままですからね。他省庁の不正を単独で捜査する力はまったくない。そういう意味では、今回の森友強制捜査とセットでやるのが最後のチャンスだったんですよ。それがなくなったということは、もう無理だと思いますね」(前出・大阪地検担当記者)
 地検上層部が近畿財務局へのガサ入れを止め、国有地払い下げ問題に触れさせないようにしたのは、もちろん、安倍首相や昭恵夫人が捜査対象になる可能性があるからだ。
「法務省から大阪地検には相当なプレッシャーがあったようです。地検幹部が毎日のように本省から連絡が入ってくる、とぼやいていましたから」(検察関係者)
 いずれにしても、この間の動きをみるかぎり、検察は真相究明どころか、むしろ組織をあげて、安倍首相、昭恵夫人の疑惑に蓋をしようとしているとしか思えない。
 しかし、それはある意味、当然ともいえるだろう。というのも、今回の強制捜査は、最初から官邸の息のかかった「国策捜査」としてスタートしたとの見方が根強いからだ。
官邸と法務省、大阪府松井知事の間で、籠池逮捕をめぐる裏取引が?
 森友問題で次から次へと疑惑が噴出していた時期、永田町では、法務省と官邸をめぐるある密約の情報がかけめぐっていた。
「法務事務次官の黒川弘務氏と菅義偉官房長官の間で、法務省の悲願だった共謀罪の成立とバーターで、籠池理事長の口封じ逮捕の密約が交わされたという情報が駆けめぐったんです。共謀罪とのバーター説については眉唾なところもありますが、黒川氏は甘利明元経済再生担当相の賄賂事件の捜査をつぶした“官邸の代理人”と言われている法務官僚。官邸の意向を受けて、森友捜査をコントロールしようとしていたのは間違いありません」(全国紙政治部記者)
 さらにもうひとつ噂されていたのが、今回、森友学園の強制捜査という結果を生み出した大阪府と官邸の動きだ。安倍官邸と松井一郎大阪府知事の間で、「刑事告訴は大阪府が引き受ける」という裏取引があったと言われているのだ。
「3月頃、松井一郎大阪府知事が『小学校設置は近畿財務局の要請。国は相当親切』『安倍首相は忖度を認めよ』などと批判、橋下徹氏もテレビ番組で『国から相当の圧力を受けたらしい』と口にするなど、責任を押し付けていた。これに官邸が激怒したという情報も流れ、両者の間は相当にぎくしゃくしていた。ところが、4月に入って、両者が手打ち。安倍首相が関与する国有地問題に触らせないために、大阪府が籠池理事長の刑事告訴を引き受けて、大阪府の補助金詐欺事件として処理させる、という約束が交わされたんじゃないかと言われています」(在阪の社会部記者)
 実際、松井知事は4月に入って、突如、森友学園への刑事告訴の検討を表明するのだが、それ以降、国や安倍首相を批判する言動を一切封印している。一方、政府は4月11日に2025年万博の大阪誘致を閣議了解している。また、この前後、維新側は悲願であるカジノ構想での協力などを取り付け、官邸は共謀罪法案での維新の協力を確かなものとすることで手打ちにしたとの見方が広がっていた。
 そして、今回、共謀罪が成立して、国会も終わり、もっとも影響の少ない時期、噴出する加計学園疑惑からも話題をそらすことのできる絶妙のタイミングで、官邸や昭恵夫人に触らなくても済む大阪府の補助金詐欺に限定して、森友学園への強制捜査が行われた。
 強制捜査当日、籠池夫人は、「安倍さん、これ以上いじめないで」と叫んだというが、夫人ならずともほとんどの報道関係者は、この捜査は官邸がコントロールした「国策捜査」だと感じたはずだ。
 賭けてもいい。このままいくと、ほどなく籠池前理事長だけが逮捕され、森友学園事件は“詐欺師的な学校経営者が引き起こした補助金詐欺事件”として片付けられてしまうだろう。
 この流れに唯一抗える方法があるとすれば、マスコミが諦めずに、徹底的に取材調査をして、新たな事実を暴いていくことだけだ。加計学園問題とともに、いまこそ、マスコミの真価が問われている。(編集部)


また新文書 流出止まらない萩生田氏の“加計ありき”発言録
 もはや言い逃れはできないのではないか。萩生田光一官房副長官が、“加計ありき”の首謀者だった証拠がまた一つ見つかった。
 20日文科省内で存在が確認された「10/21萩生田副長官のご発言概要」。「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「官邸は絶対やると言っている」「文科省だけが怖じ気づいている」と萩生田副長官が、加計学園の獣医学部新設を強硬に推し進めていたことが生々しく書かれてある。
 萩生田副長官は「心当たりのない内容」ととぼけているが、ここまで具体的な発言を官僚が捏造するはずがない。この内部文書は、突然、見つかったが、文科省内には、こうした“萩生田発言録”がいくつもあるとみられている。いずれ決定的な文書が出てくるのではないか。
 松野博一文科相は記者団に「タイトルから見ると内容は正確性を著しく欠いていた」と萩生田副長官をかばったが、この記録はかなり正確である可能性が高い。
 文科省の説明では昨年10月21日に常盤豊高等教育局長と萩生田副長官が面談。面談後、常盤局長が獣医学部新設を担当する課長補佐に概要を説明している。その際、課長補佐が、関係者から聴取した周辺情報などを補足したうえ、萩生田副長官の発言でない内容も含めて記載したという。このため正確ではないという。しかし、たしかに“タイトル”は不正確だが、“内容”はほぼ正確だとみられている。文科省関係者が言う。
「課長補佐は分かりやすい議事にするため、局長の説明に周辺情報を加えて記録したまでです。誰が作成したかも分かるメモです。自分の責任になるのに、役人が事実をねじ曲げて間違った議事をわざわざ作るでしょうか。一部が萩生田副長官の発言ではないとしても、書かれている内容が両者で話し合われたことは間違いありません」
 萩生田副長官の「ご発言語録」が明らかになるのは、これで2つ目だ。両者を並べて読むととてもしっくりくる。発言は、首尾一貫しているのだ。
 先に民進党が入手した「10/7萩生田副長官ご発言概要」(文科省は未確認)では、<加計学園が誰も文句が言えないような良い提案をできるかどうかだな><構想をブラッシュアップしなければいけない>と“懸念”が示されている。今回の文書はその2週間後。まさに“ブラッシュアップ”された提案がゴロゴロあるのだ。
<ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設><既存大学を上回る教授数(72名)とカリキュラムの中身を増やすこと>
 この先、萩生田発言録はワンサカ出てくる可能性が高い。21日の民進党の会合で文科省の松尾泰樹審議官はこう言った。
「萩生田副長官は従来、文科政務官をされていた。日常的に文科省職員がいろんなことでご説明、ご相談に行っていました」
 メモを残している職員も少なくないはずだ。実際、今回も新たに見つかっている。しかも、発端は文科官僚の勇気あるリークだった可能性が高い。
「文科省がこの発言録の存在を慌てて調査して公表したのは、前日にNHKの『クローズアップ現代+』で報じられたからです。NHKは他にも内部文書を入手しているといいます。社会部は報道する気満々です」(政界事情通)
 今ごろ、萩生田副長官は、第2、第3の内部文書が出てくることに怯えているに違いない。


「萩生田氏発言」の新文書 官邸ぐるみが疑われる
 首相官邸の関与説を補強する材料がまたひとつ増えたのではないか。
 学校法人「加計学園」による獣医学部新設をめぐり、萩生田光一官房副長官が文部科学省幹部に発言したとされる新たな文書が判明した。
 「官邸は絶対やると言っている」と手続きを急ぐよう萩生田氏が迫り、2018年4月までに獣医学部を開学するよう安倍晋三首相の意向が伝えられたなどとする内容だ。
 加計学園の獣医学部新設については文科省の内部文書が「総理のご意向」など官邸の関与を指摘し、首相らがこれを否定するという展開をたどっている。
 萩生田氏については、国家戦略特区による獣医学部新設の条件を加計学園に有利に修正するよう指示したとする内容のメールが判明している。だが、萩生田氏は指示を否定し、山本幸三地方創生担当相は自らが修正を指示したと主張している。
 今回の文書は、萩生田氏が昨年10月21日に文科省の高等教育局長と面会した際のやりとりを担当課がまとめたものだ。
 「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「(16年)11月には方針を決めたい」と首相の意向が記されている。官邸ぐるみで「加計」を応援していたことをうかがわせる内容である。
 獣医学部新設に関しては加計学園に有利な特区の条件が昨年11月に決まり、今年1月に事業者に選定された。文科省の各種文書は昨年秋ごろに官邸サイドから働きかけがあったとする点では一貫している。
 今回は萩生田氏の発言という形で官邸の関与がより具体的に記されている。萩生田氏は文書にある発言や首相の指示を全面的に否定するコメントを出した。一方で、文科省がわざわざ虚偽の文書を内部で共有する必要性は感じられない。
 新文書は19日夜のNHK番組が報じた。文科省が再調査結果を発表してから5日足らずだ。他にもまだ文書があるのではないか。
 安倍首相は国会閉幕にあたっての記者会見で加計問題の文書をめぐる対応などが「不信を招いた」と認め「今後も分かりやすく説明していく」と約束した。腹心である萩生田氏の関与の有無について、約束通り丁寧に説明すべきだ。


加計問題で新文書 「説明責任」行動で示せ
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画に、安倍首相や官邸が関与したのではないかという疑惑が一層深まった。文部科学省で新たな文書が見つかり、萩生田光一官房副長官の発言として「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」と記されていたのだ。
 文書は、昨年10月下旬、萩生田氏と文科省高等教育局長が会った際のやりとりを、職員が局長の説明などを踏まえ作成したもの。省内の共有フォルダーに保存されていた。
 国家戦略特区制度を利用した獣医学部新設については、政府の特区諮問会議が昨年11月に新設方針を決定。事業者に加計学園が決まったのは今年1月だ。ところが文書によると、新設方針すら決まっていない10月の段階で萩生田氏が「加計学園」の名前を挙げ、局長に「何が問題なのか、書き出してほしい。その上で、加計学園事務局長を課長のところにいかせる」と依頼していた。
 特区への新設計画が、そもそも加計学園ありきだったことを強く疑わせる内容だ。文書には、安倍首相が開学時期の期限を示したことに加え、「官邸は絶対やると言っている」とも記されている。
 萩生田氏は「加計学園の便宜を図るため、調整を行うとか指示を出すことはあり得ない。首相からいかなる指示も受けたことはない」と文書内容を否定。松野博一文科相も「萩生田氏の発言でないものも含まれているようだ」と文書の信ぴょう性に疑問を示したが、ならば内容の真偽を確かめなければならない。
 通常国会は閉幕したが、野党は衆参両院の予算委員会での閉会中審査などを求めている。与党は真相究明に向け、開催を早急に受け入れるべきだ。
 共同通信社が17、18日に行った世論調査では、安倍内閣の支持率は44・9%と前回5月から10・5ポイント急落し、不支持率43・1%と拮抗(きっこう)。加計学園問題と、改正組織犯罪処罰法審議での与党の強引な国会運営が影響したとみられている。特に、加計問題で行政がゆがめられたことはないとする政府の説明に、「納得できない」と答えた人は7割を超えた。
 安倍首相は19日の会見で、加計問題に関する政府の対応が国民の不信を招いたことを認め、「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく。国会の閉会、開会にかかわらず丁寧に説明していきたい」と述べた。
 本当に反省しているのなら、言葉だけでなく行動で示してもらいたい。今回の文書の内容は疑惑の核心部分に関わるものだけに、首相をはじめ政府が説明責任を尽くす必要がある。加計問題を巡る政府側のこれまでの説明は、客観的な根拠に乏しく説得力を欠いている。政府、与党は関係者の証人喚問を含め、自ら真相を明らかにすべきだ。


加計新文書 反省あるなら真相究明を
 国家戦略特区への獣医学部新設が「加計(かけ)学園ありき」で進められていたのではないか。そんな疑念を強く抱かせる文書である。
 記載内容は事実かどうか。政策がゆがめられていなかったか。政府には重ねて、誠実に説明責任を果たすよう求める。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設を巡り、官邸側と文部科学省とのやりとりを記した新たな文書が見つかった。
 松野博一文科相らの説明では、萩生田光一官房副長官と常盤豊高等教育局長が昨年10月21日に面会した際の記録をまとめたものだ。
 まず驚くのは「加計学園」に触れていることである。政府の国家戦略特区諮問会議が獣医学部新設に向けた方針を決めたのは昨年11月9日だ。その前に具体名が出ていたとすれば、「加計ありき」の疑いは深まる。
 文科省への「圧力」のような内容にも驚かされる。
 「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「官邸は絶対やると言っている」「農水省は了解しているのに、文科省だけがおじけづいている」
 「総理」や「官邸」が、文科省を是が非でも押し切ろうとしているかのようである。「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」とした文書の指示を、よりはっきりさせたものと読める。
 萩生田氏は新文書に記載された内容について「全く心当たりのない発言」として、否定するコメントを出した。
 加計文書を巡っては、存在を否定した文書が再調査で出てくるなど政権のずさんな対応が問題になってきた。
 これまで出てきた文書の内容に関しても、官邸サイドの関与などを巡り文科省と内閣府の食い違いが目立っている。
 新たな文書も含め、求められるのは真相の究明だ。国民もそれを望んでいるはずである。
 共同通信の世論調査では、加計学園の獣医学部新設計画で行政がゆがめられたことはないとする政府側の説明に「納得できない」との回答が7割を超えた。
 文書問題では、政府による調査で真相が「明らかになったと思わない」が8割以上である。
 野党は閉会中審査を要求している。「総理のご意向」文書の存在を明言した前川喜平前文科事務次官は、証人喚問に応じる意向である。与党はしっかりと対応しなければならない。
 安倍首相は通常国会閉会を受けた記者会見で「反省」の言葉を口にした。だが国会答弁で強い口調で反応した自身の姿勢に問題があったとの認識が中心であり、いかにも表面的な印象が強い。
 自らが正しいと言い張り、異論や疑問に耳を傾けない。加計文書でも、採決を強行して成立させた「共謀罪」法の審議でも、問題の核心は政権の独善的、強権的といえる体質である。
 会見で首相は、真摯(しんし)に説明責任を果たすと誓った。それが本気なら、まず加計文書に関して約束を守ってもらいたい。


加計学園 専門家「新文書は法的に行政文書」
加計学園の獣医学部新設をめぐり、文部科学省は萩生田官房副長官が局長と面会した時の発言を記録したとする新たな文書の存在を認めましたが、個人の備忘録だとして行政文書ではないと主張しました。これに対し、専門家は「省内で複数の職員が共有した文書であり、行政文書であることは法的に疑いがない」と指摘しています。
加計学園の獣医学部新設をめぐり、文部科学省は、去年10月21日に萩生田官房副長官が文部科学省の局長と面会し、官邸や内閣府の考えを伝えた発言をまとめたとする文書について、20日存在を認めて公表しました。
この文書の性質について、文部科学省は「職員の個人的な備忘録で不正確な内容が含まれている。本来、共有すべきものでない」として行政文書ではないと主張しました。
公文書の管理について定めた法律では、行政文書は「職員が職務上作成し、組織的に用いるため行政機関が保管しているもの」と定義されています。今回見つかった文書は専門教育課の共有フォルダーから見つかり、3つの部署の少なくとも6人の職員にメールで送られ、共有されていたと文部科学省も認めています。
東京のNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「書かれている内容の正確性にかかわらず、職務上作成したものを複数の職員が共有しており、法的に行政文書であることに疑いはない。第三者による調査を実施して不透明な決定過程を国民に明らかにすべきだ」と指摘しています。


首相会見で内閣記者会は国民の近くにいるか
 ★国会が閉会して、首相・安倍晋三が記者会見を開いた。直接テレビで見た方、メディアの報道で発言を知った方、さまざまだろう。首相は「この国会では、建設的議論という言葉からは大きくかけ離れた批判の応酬に終始してしまった。政策とは関係ない議論ばかりに、多くの審議時間が割かれてしまった。国民に大変申し訳なく感じている。印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反論してしまう。そうした私の姿勢が結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している」とした。 ★いささか都合のいい解釈と説明だ。率直な謝罪と反省を評価する一方、何も解明されていないと感ずるのが国民のこれまた率直な感想だろう。そして、事前に決められた質問を決められた記者がただし、模範解答が用意されている会見の意味は、どこにあるのだろうか。事務方は「限られた時間の中で効率的に多くの記者の質問を受けたい」という考えのもとで、この仕組みが作り上げられたのだろうが、それを許容する内閣記者会も情けない。 ★記者会見は、国民の近くにいる“はずの”記者が国民の気持ちや疑問を率直にただす場所でありたい。時間の都合や公務を理由にするのなら、無論批判を承知で、テレビかラジオで首相演説を放送すればいい。記者会見は質問を受ける場であり、その覚悟を持って臨むべきである。都合のいい話だけ、または言いたいことを記者に質問させる場ではない。記者会見に臨むのならば、国民のどんな疑問にも答える覚悟が必要であり、それに臨むために時間も十分に取るべきである。会見ではそんな感想しか残らなかった。

安倍政権の新政策 人気取りの「ばらまき」か
 学校法人「加計学園」や「森友学園」問題、さらに「共謀罪」法などを巡る国会対応で、おごる安倍政権の本質が露呈。国民の不満や反発は支持率急落という形で表れた。矢面に立つ安倍晋三首相はどう立て直しを図るのか。まず注目されるのは経済政策である。政府は経済財政運営の指針となる2017年版の骨太方針と成長戦略「未来投資戦略」を決定した。これが支持率回復につながるのか、先行きは不透明だ。
 新たな骨太方針では、働き手不足をカバーする人材投資に加え、幼児教育・保育の早期無償化、待機児童対策など教育、子育て支援に重点を置いている。
 先細る人口、深刻なマンパワー不足は日本の未来を危うくするため、長期的な観点で積極政策を打つのは評価できよう。
 しかし、肝心な財源確保が不明なままで、具体的な論議は年末に先送りした。これでは人気取り先行政策にも映る。本当に「未来への投資」といえるのか。待機児童対策では、公約に掲げた17年度末までの解消を3年先送りしたように、「スローガン政治」であってはならない。
 政策の目玉は幼児教育・保育の無償化である。既に義務教育の小・中学校が無償化されており、子育て世代には朗報だ。出生率向上につながる可能性もある。
 ただ、文部科学省の試算では年約7千億円の追加財源が必要となる。財源といえば、財政の効率化や増税、新たな社会保険方式の検討を併記するにとどめている。真剣に取り組むなら恒久制度に向けた安定財源の確保を明確にすべきだ。
 これが子供たちの将来に負担が回るような仕組みや赤字国債発行で賄うことは許されない。不人気の増税を将来にわたって断行する覚悟があるのかも問われる。もし増税分を充てれば、社会保障に支障が出かねないジレンマもある。
 自民党では現役世代の年金保険料に負担を上乗せする「こども保険」創設が財源の有力案となっている。しかし、これとて問題がある。子供がいない家庭や幼児教育の対象年齢でない家庭には、負担だけがかぶさってくるからだ。
 また、経済的余裕のある家庭にまで無償化の恩恵を広げるのかという問題も出てくる。教育無償化を巡って与野党入り乱れ「教育国債」創設など百家争鳴の状況。困難な課題を乗り越えてこその「骨太」である。
 一方、財政では健全化に向け20年度までに基礎的財政収支を黒字化する目標を維持。その上で、新たに国内総生産(GDP)に対する政府債務残高比率を引き下げる目標を併記した。
 1千兆円を超える巨額赤字状況にたがをはめるようにみえるが、実質は健全化目標の未達成という失政を覆い隠す手段ともなる。
 既に財政黒字目標は形骸化している。アベノミクスの成長戦略は思うように機能せず、税収も期待以下。結局は、ばらまき政策を止められない政権の姿が一層浮き彫りになる。国民は冷静に判断する必要がある。


仏総選挙マクロン新党大勝/次は公約を実行する時だ
 フランス国民議会総選挙で、マクロン大統領が1カ月前に立ち上げた新党「共和国前進」が約6割の議席を獲得し、大勝した。定数577のうち75%が非現職という大変動。4月の大統領選第1回投票まで、半世紀以上続いていた左右二大政党を中心とする「既成政治」はわずか2カ月で雲散霧消した。
 マクロン大統領は就任から約1カ月で、米ロを含む各国首脳と会談、39歳の若さながら巧みな弁舌で安定感のある指導者との評価を得た。組閣で左右両派さらには政界以外から人材を登用する手腕も鮮やかだった。総選挙で盤石の権力基盤を得て、次は政策の実行で公約である欧州連合(EU)統合強化とフランスの変革を図る時だ。
 今回総選挙では、大統領選の決選投票で争った極右、国民戦線(FN)の党勢衰退が明らかになった。当初は50議席以上の躍進も予測されたが、FN内部の分裂もあり8議席にとどまった。それは、有権者が再び親EUの側に戻ってきたことを意味する。
 フランスは国連安全保障理常任理事国だが、一国で大国の米中ロに立ち向かうことはできない。欧州が結束するときだけEU中核国として世界に影響力を広げることができる。米国が抜ける温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の維持や、自国中心の保護貿易主義にどう対抗するか。英国の離脱で一時崩壊の危機すらささやかれたEUを再構築できるかどうかが鍵となる。
 試金石になりそうなのが、いまだに続くギリシャの債務問題だ。EUと国際通貨基金(IMF)は先頃、財政難のギリシャへの追加融資で合意した。欧州債務危機の始まりから8年、欧州経済が浮揚できない要因の一つは、ギリシャの債務返済期限が訪れるたびに広がるデフォルト(債務不履行)不安だ。
 IMF側はギリシャの債務軽減による抜本的な解決を望むが、EU側は最大債権国ドイツの強い反対で応じていない。そのドイツを説得できるのは、おそらくマクロン氏が率いるフランスだけだろう。
 ドイツでは9月に連邦議会選を控え、メルケル首相の与党キリスト教民主同盟の優位が伝えられる。選挙後、マクロン氏とメルケル氏が、EUを主導する独仏の結束を新次元に高めれば、EU再生への嚆矢(こうし)となる。
 国内では、グローバル化の影響による分断や格差、疎外状況を克服することが大きな課題だ。それはイスラム過激思想に染まる自国生まれのテロリスト対策にも重なる。
 大勝したとはいえ、総選挙の投票率は約43%と史上最低レベルだった。マクロン政権への支持は、パリなど大都市圏に偏っている。政治に失望し、投票に参加しなかった「声なき声」に耳を傾けることが必要だろう。
 マクロン氏は大統領選の勝利集会で、対抗馬の極右ルペン候補に投票した有権者に「あなたがたは怒り、狼狽(ろうばい)、信念を表した。私はそれを尊重する」と呼び掛けた。これは支持者のブーイングを招いたが「(任期5年の間に)極端な主張に投票する理由をなくすため、あらゆる手段を取る」と続けると拍手に変わった。マクロン大統領の言葉には力がある。それを実現できるか、大統領の挑戦が本格化する。


EU強化、改革どう進める/仏マクロン新党大勝
 フランス国民議会総選挙で、マクロン大統領が1カ月前に立ち上げた新党「共和国前進」系が約6割の議席を獲得、大勝した。定数577のうち75%が非現職という大変動。4月の大統領選第1回投票まで、半世紀以上続いていた左右二大政党を中心とする「既成政治」はわずか2カ月で雲散霧消した。
 マクロン大統領は就任から約1カ月で、米ロを含む各国首脳と会談、39歳の若さながら巧みな弁舌で安定感のある指導者との評価を得た。組閣では左右両派さらには政界以外から人材を登用した。総選挙で盤石の権力基盤を得て、次は政策実行のときだ。公約である欧州連合(EU)の統合強化やフランスの変革をどう進めるのか、手腕が注目される。
 今回総選挙では、大統領選の決選投票で争った極右、国民戦線(FN)の党勢衰退が明らかになった。当初は50議席以上の躍進も予測されたが、FN内部の分裂もあり8議席にとどまった。それは、有権者が再び親EUの側に戻ってきたことを意味する。
 フランスは国連安保理常任理事国ではあるが、一国で大国の米中ロに立ち向かうことはできない。欧州が結束するときだけEU中核国として世界に影響力を広げることができる。米国が抜ける温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の維持や、自国中心の保護貿易主義にどう対抗するか。英国の離脱で一時崩壊の危機すらささやかれたEUを再構築できるかどうかが鍵となる。
 試金石になりそうなのが、いまだに続くギリシャの債務問題だ。EUと国際通貨基金(IMF)は先頃、財政難のギリシャへの追加融資で合意した。IMF側はギリシャの債務軽減による抜本的な解決を望むが、EU側は最大債権国ドイツの強い反対で応じていない。そのドイツを説得できるのは、おそらくフランスだけだろう。
 国内では、グローバル化の影響による分断や格差、疎外状況を克服することが大きな課題だ。それはイスラム過激思想に染まる自国生まれのテロリスト対策にもつながる。
 大勝したとはいえ、総選挙の投票率は約43%と史上最低レベルだった。マクロン政権への支持は、パリなど大都市圏に偏っている。政治に失望し、投票に参加しなかった「声なき声」に耳を傾けることが、政権の今後を占うことになろう。


【ヘイト法1年】解消の成果積み重ねを
 差別や排斥感情をむき出しにし、特定の人種や民族を公然とののしる「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」をなくすための対策法が、施行から1年を経過した。
 対策法は、在日コリアンらに対し、身体や財産などに危害を加える旨を告知したり、侮辱したりして、地域社会から排除することを扇動する行為を差別的言動と定義。そうした人権侵害を「許されない」とし、国や自治体に解消に向けた取り組みを求めた。
 それまで過激な差別デモなどは半ば野放し状態だった。対策法は遅きに失した感はあったものの、抑止効果が期待された。半面、憲法が保障する表現の自由との兼ね合いから、罰則や禁止規定は設けられず、実効性が疑問視された。
 国会で対策法が成立以降、各地の自治体で具体的な規制の動きが出始めている。立法化が後押ししているとみていいだろう。
 川崎市は2016年、在日コリアンの排除や差別を叫ぶデモを繰り返していた団体に対し、集会を目的にした公園使用を不許可とした。川崎市は「差別的言動は許されない」とした対策法を支えにした。
 コリアンタウンで激しいヘイトデモが横行していた大阪市は、差別的言動のあった団体・個人名の公表を盛り込んだ条例を施行した。ヘイトの抑止条例は全国初で、被害や加害の審査制度を設けた。ほかにも、京都府や神戸市議会が対策作りを目指している。
 司法も不当な差別デモにノーの判断を突き付けている。横浜、大阪両地裁は在日コリアン排除のデモを禁じる仮処分を決定した。対策法を踏まえ「違法性は顕著で、表現の自由の範囲外」と断じた。
 警察庁によると、右派系市民グループによる差別デモは対策法施行後にほぼ半減したという。警察庁関係者は法施行や社会的関心の高まりなどを要因として推察するが、民族差別などのデモは後を絶たず、その形態も巧妙化、陰湿化している。
 インターネット上には、人権侵害の中傷の書き込みがあふれる。ヘイトに反対する人の顔写真などプライバシーがさらされる「二次被害」も起きている。2016年1年間のネット上の人権侵害は過去最悪の1900件余りに上った。自治体などの監視も追いつかず、卑劣な差別が横行している。許されない。
 デモを計画するグループが、どんな発言をするのかを事前に把握するのは難しい。過度の監視や制限は表現の自由など憲法規定に抵触しかねない。一つ一つのケースを冷静、丁寧に検討し、差別解消の成果を積み重ねていくことだろう。
 沖縄の基地反対運動の住民に大阪府警の機動隊員が暴言を吐いた。東日本大震災の被害を「東北で良かった」と言った閣僚の放言も、差別の根は同じだ。自由を掲げてきた大国のトップは公然と宗教・人種批判をぶつ。欧米で排外主義が膨らむ。断ち切らなければならない。


韓国大統領「慰安婦問題、日本は謝罪すべき」
【ワシントン聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は20日付の米ワシントン・ポスト紙のインタビューで、旧日本軍慰安婦問題を巡る2015年末の日本との合意について、「前政権で行われた日本との慰安婦合意は韓国人、とりわけ被害者に受け入れられていない」と述べた。
 また、問題を解決するポイントは「日本政府がその行為について法的な責任を負い、公式に謝罪すること」と話した。ただ、この一つの問題で韓日関係の進展が妨げられてはならないと強調した。
 文大統領の発言は慰安婦合意の再交渉に乗り出す考えを示す一方、同問題とは別に冷え込んだ韓日関係の改善を図る姿勢を示したものと受け止められる。


山田邦子「キムタクはたばこ吸いすぎ。坂上忍くんも楽屋がくさい」
 タレントの山田邦子(57)らが20日、都内で開かれた「NO MORE! 受動喫煙〜僕たち、私たちの未来に〜」プロジェクト発足共同主催者会見に出席した。
 2007年に乳がんが発覚し、克服した山田は「芸能人はともするとイメージを付けられるので、中ぶらりんでいるほうが儲かる。だが、そろそろいい年齢だし、たばこの煙について向き合ってみようと思った」と、活動に至った経緯を説明した。
 続けて「昭和のお父さんは皆たばこを吸っていたが、今はもう健康に悪いとわかっているのだからやめるべき。がん患者は飲食店などでたばこの煙(副流煙)を吸って再発、転移するのではと、おびえている」と、がん患者の気持ちを代弁した。
 そして「日本の空気は海外に比べてくさい。喫煙所は設置され始めたが、煙はダダ漏れ。3段階の扉があるとか、強力な空調とか、システムも考えていく必要がある。五輪開催を控えて“本当のおもてなし”とは何なのか考えないといけない」と持論を述べた。
 自身も病気をするまでは喫煙者だった。「芸能界ではかわいいアイドルから演歌の大御所まで、8割方が吸っている。楽屋、廊下はたばこくさくて困るが、なんとか愛煙家と共存できないかと考えている。中条きよしさん(71)、舘ひろしさん(67)らの先輩はたばこをやめてくださった」という。
 山田はあえて個人名を挙げ「キムタク(木村拓哉=44)は、たばこを吸いすぎ。やめてほしい。坂上忍くん(50)も楽屋がくさい、くさい。やめてもらいたい。子役から知っているが、気付いたら吸っていた。影響力のあるメンバーを狙って、たばこをやめさせるように説得したい。中には電子たばこに代えた方もいるが、これも大勢で固まられるとくさい」と自身、そして家族や周りの健康のためにやめるよう訴えた。
 会見には山田の主張に賛同する和太鼓奏者の鼓太郎(46)、元「Wコロン」の木曽さんちゅう(46)、女優・相原愛(年齢非公表)、タレント・服部真湖(56)、声優・一谷伸江(71)、俳優・須藤公一(39)も出席した。

HvsY 2人が言い争い/Vと友達の主張/でっかいけどナイーブ

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Incendie de Londres : le bilan monte à 79 morts, de nombreux corps ne pourront être identifiés
Les secours continuent de trouver des victimes dans la tour Grenfell. Pour la première fois, ils ont pénétré dans ce qu'il reste du 24e et dernier étage du bâtiment.
L'incendie d'une tour de logements sociaux à Londres a fait 79 morts ou présumés morts la semaine dernière, a déclaré lundi un chef de la police, Stuart Cundy. Il a ajouté que le bilan de ce terrible incendie, survenu dans la nuit de mardi à mercredi dernier, pourrait encore grimper, la liste des disparus n'étant pas définitive. Une minute de silence a été observée lundi à à travers le pays en hommage aux victimes.
Le précédent bilan de samedi faisait état de 58 morts ou présumés morts. Après une pause vendredi à cause de problèmes de sécurité dans l'immeuble, les recherches de victimes ont pu reprendre samedi. A présent les recherches, en coopération avec les secours, se poursuivent jusqu'au 24e et dernier étage de la tour après stabilisation de la structure et des sols par des équipes spécialisées.
≪Il s'agit d'un moment particulièrement éprouvant pour les familles et elles ont l'assurance que nous ferons aussi vite que possible≫, a ajouté ce chef de la police alors que les proches des victimes ont violemment exprimé leur colère vendredi soir contre un processus jugé trop lent. Ils reprochent aussi aux autorités de ne pas avoir entendu leur signaux d'alerte envoyés depuis des années sur la sécurité de ce bâtiment qui logeait quelque 600 personnes.
Cinq victimes identifiées
Les larmes aux yeux, Stuart Cundy a décrit un bâtiment complètement dévasté par les flammes et prévenu une nouvelle fois que certains corps pourraient ne jamais être identifiés.
Pour le moment, seules cinq victimes ont été identifiées. Il s'agit de Mohammad Alhajali, un réfugié syrien de 23 ans qui étudiait l'ingénierie civile, d'une photographe britannique de 24 ans, Khadija Saye, de deux hommes, Anthony Disson, 65 ans, et Abufars Ibrahim, 39 ans et d'une femme, Khadija Khalloufi, âgée de 52 ans. Sept Marocains figurent probablement parmi les victimes, a annoncé le ministère des Affaires étrangères de ce pays.
La polémique des parois d'isolation
Stuart Cundy a assuré que l'enquête s'intéresserait aux récents travaux de rénovation de l'immeuble, et notamment aux parois d'isolation installées l'an dernier sur la facade, qui auraient contribué à favoriser la propagation de l'incendie. ≪Ce revêtement était-il autorisé pour ce type d'immeuble, ou faisait-il partie de ceux qui sont interdits?≫ s'est interrogé dimanche le ministre des Finances Philip Hammond, sur la BBC. ≪Ce sera à l'enquête de le dire≫, a-t-il ajouté.
Face à la polémique, le gouvernement a demandé à toutes les municipalités et associations de logements de vérifier si ce revêtement avait été utilisé dans les bâtiments qu'elles gèrent. La Première ministre conservatrice Theresa May a aussi annoncé le déblocage d'urgence de 5 millions de livres en faveur des survivants, qu'elle promet de compléter ≪si nécessaire≫, alors que le maire de Londres s'en est pris dimanche au gouvernement.
Elle a également reconnu que le soutien initial apporté aux familles à la rue depuis l'incendie était ≪insuffisant≫, et a annoncé le déploiement de personnels supplémentaires sur place ainsi que la promesse de reloger sous trois semaines les habitants de la tour dans le borough de Kensington et Chelsea ou à proximité.
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HyさんとYoさんの2人が言い争いです.どちらも頑固で見ていてやるせないというか,ああはなりたくないと思いました.そんなにしてまで主張したい自分の意見があるのはわからないでもないけど,少しは相手のことも理解するよう考えたら???
ちょっと問題があったと報告を受けていた件でVと友達の主張を聞きました.とりあえず良い方向でした.
Uの男子はでっかいけどナイーブなのでした.

<奇跡の一本松>布素材に再生 衣装やスカーフに
 岩手県陸前高田市の高田松原のマツ7万本のうち、東日本大震災の津波に唯一耐えて残った「奇跡の一本松」を原料に布を織るプロジェクトが19日、始動した。衣装やスカーフに加工し、米国ニューヨークのカーネギーホールで開くコンサートで披露する。
 原料となるチップの搬出作業が同日、陸前高田市であった。奇跡の一本松は保存のため内部がくりぬかれ、その部分は約1800キロのチップにして保管されていた。今回、所有者の日本ユースホステル協会が一部を無償提供した。
 布の製作は、大阪府阪南市の繊維メーカー「和紙の布」が請け負った。チップ約660キロから木糸をより、幅1.2メートル、長さ2500メートルの布を織り上げる。
 布の製作を依頼したのは、奇跡の一本松の枝から木製の笛「コカリナ」を作って演奏活動をしているNPO法人日本コカリナ協会(東京)。カーネギーホールで11月にあるチャリティーコンサートに出演する同協会の合奏団の衣装210人分などになる。
 和紙の布社長の阿部正登さん(59)は「気持ちを織り込み、勇気や希望を与えたい」と意気込む。協会長で演奏家の黒坂黒太郎さん(67)は「被災地のことを世界に伝えるとともに、津波犠牲者や一本松の命をつないでいきたい」と話す。


桜ノ木は残った 震災で地盤隆起、伐採見直し
 宮城県は19日、河川堤防建設に伴い伐採する気仙沼市神山川の桜並木を巡り、60本のうち17本を残す方針を示した。当初は全ての桜を切る計画だったが、東日本大震災後の地盤隆起を考慮し、見直した。整備が必要な堤防の長さが約200メートル短縮し、伐採本数が減った。
 気仙沼市田中前の公民館で同日あった住民説明会で県気仙沼土木事務所が説明した。残る43本の伐採時期は9月とし、挿し木をして別の場所で桜を育てる考えも明らかにした。
 対象となる桜並木は気仙沼市大川支流の神山川左岸約600メートルに並ぶソメイヨシノ。県は、国土地理院が今年2月に改定した工事の基準で使う水準点を基に計画を練り直した。
 国土地理院が新たに示した水準点は2011年10月との比較で22センチ隆起。県が計画する津波の越流を防ぐ海抜3.7メートルの堤防に関し、隆起分を差し引いて造るため上流分190メートルの区間で堤防が不要となった。
 神山川の桜並木を巡り、県は昨年3月に全ての桜の伐採する計画を示したが、地元住民が反発。県は昨年8月、震災後の隆起分を考慮して5本程度残す考えを明らかにしていた。
 説明会には住民ら約80人が参加。「安全と同時に景観を残す方法を考えるべきだ」「もっと多くの桜を残してほしい」などの意見が出された。


<リボーンアート・フェス>草間弥生氏が出展へ
 東日本大震災で被災した宮城県石巻市の牡鹿半島を中心に今夏開かれるアートと音楽、食の総合祭「リボーンアート・フェスティバル2017」に、世界的に活躍する前衛芸術家の草間弥生氏の作品が出展されることが決まった。
 草間氏は水玉や網模様をモチーフにした絵画、鏡や電飾を使った彫刻など独創的な作品で知られる。世界各地で展覧会を開き、東北では十和田市に作品が展示されている。16年に文化勲章を受章した。
 作品の詳細や設置場所などは、実行委員会が今後発表する。
 総合祭には草間氏のほか、ファッションブランド「ミナペルホネン」のデザイナー皆川明氏や、派手な装飾を施した焼き芋販売車「金時」で岡本太郎賞を受賞した現代アートのユニット「Yotta(ヨタ)」、フランス出身のJRら国内外のアーティストが参加する。
 総合祭は7月22日〜9月10日の51日間にわたって開催される。実行委と一般社団法人APバンク(東京)が主催し、宮城県や河北新報社などが共催する。


タマネギを被災した島の光に 応援職員が橋渡し
 東日本大震災で津波の被害を受けた宮城県塩釜市浦戸諸島・寒風沢島で、同市の農業加藤信助さん(35)がタマネギ栽培に挑戦し、24、25日の催事で初めて一般向けに販売する。名産地の兵庫県淡路島の栽培品種で、同県から市に派遣された職員が橋渡しをした。潮風のミネラルを含んだ「島そだち野菜」としてブランド化を目指し、長ネギやイチジクなども手掛ける予定だ。
 加藤さんは市内の自宅から船で寒風沢島にある自分の畑に通う。15日、約10アールの畑で約1トンのタマネギを収穫した。聴講生として学んだ県農業大学校(名取市)の畑で種から育苗し、昨年秋、島の畑に植えた。「思ったほど収量は伸びなかった」と言うが、初めての販売に期待感がにじむ。
 淡路島産タマネギの種を用意したのは、塩釜市水産振興課の奥野満也さん(63)。兵庫県南あわじ市を退職後、同県臨時職員として採用され、2014年から塩釜市に派遣されている。淡路島の生産者の助言を得ながら、寒風沢島で加藤さんと試験栽培を続け、本格出荷にたどり着いた。
 島での野菜作付けは船の輸送費がかかるなど条件は良くないが、「潮風のミネラルを含み、甘みが引き立つ」(加藤さん)のを売りにブランド化を目指す。規格を統一し「島そだち寒風沢野菜」のシールを貼って出荷する予定だ。
 加藤さんは塩釜市出身。東京・八丈島のホテルで働き、大震災時は仙台市の電子部品販売店に勤務していた。12〜16年、寒風沢島の復興を進めるNPO法人に雇用され、コメの栽培に携わった。寒風沢は父親の出身地で親しみもあった。
 島には約21ヘクタールの水田があるが、震災の津波で浸水。人口減少と高齢化が進み、作付けをやめる住民が相次いでいる。加藤さんは畑を「寒風沢農園」と名付け「島で農業をしている人間がいることを知ってもらいたい」とアピールする。耕作していない水田の活用を視野に入れ、ニンジン、サツマイモ、カボチャの栽培も手掛ける考えだ。
 タマネギは24、25の両日、塩釜市のマリンゲート塩釜で開かれる「夏野菜マルシェ」で販売する。午前10時〜午後3時。


<復興CSR>民間部門が担い手に
◎トモノミクス 被災地と起業[48]第10部 展開(4)ひろがる/公益
 公共は行政の専売特許ではなくなりつつある。復興を担う主役は誰か。「私」である企業のパワーが「公」の領域で存在感を放つ。
 東日本大震災からの自立的な復興を目指す経営者らが設立した「東北未来創造イニシアティブ」が3月、5年に及ぶ活動を終えた。
 代表発起人は大山健太郎アイリスオーヤマ社長(71)と大滝精一東北大大学院教授(64)。「創造と自立への挑戦が被災地のテーマ」を活動理念に、民間の立場から復興まちづくりへの参加と人材育成に関わった。
 経済同友会が協力し、釜石、大船渡、気仙沼各市などに企業人35人を送り込み、市職員と地域再生につながるテーマを探した。
 大船渡市では有数の水揚げを誇るサンマに焦点を当てた。発送するサンマに子どもたちの手紙を入れたり、生サンマ1260匹を並べギネス世界記録に挑むなどして地域を活気づけた。
 「人材育成道場」と名付けた塾は大手監査法人の社員らが指南役を務め、被災地の事業者150人以上の経営手腕に磨きをかけた。
 気仙沼市の卒塾生らは「気仙沼水産資源活用研究会」を設立した。14年、水産関連会社約30社が共通ブランド「kesemo(ケセモ)」を創設。サメのコラーゲンを使った化粧品などを全国に発信している。
 一企業の枠を超えた連合型の復興CSR(企業の社会的責任)だった。
 大滝教授は「復興を担う中心は企業人。行政、企業などセクターの壁を越え、地元のリーダーを輩出した。卒塾生は地域を変革するエンジン役になりつつある」と成果を語る。
 震災は企業が公の使命を自覚する転換点になった。
 行政、企業、NPO、財団など異なる組織が共通の目標を掲げ、特定の課題解決に当たる「コレクティブインパクト」という取り組みがある。互いの得意分野を生かし「公」に参画する、欧米で広がる手法だ。
 被災地支援を続けるNPO代表や起業家ら約70人が16年に旗揚げした「新公益連盟」(東京)は、その萌芽(ほうが)だった。
 駒崎弘樹代表理事(37)は病児保育事業を展開するほか、仙台市などで待機児童解消に取り組むNPOフローレンス(東京)の代表を務める。事務局長には被災地と企業の橋渡し役を担う一般社団法人RCF(東京)の藤沢烈代表理事(41)が就いた。
 駒崎代表理事は「震災を機に個々の団体が孤軍奮闘するのではなく、企業などさまざまなアクター(役者)と手をつなぐ機運ができた。一過性に終わらせず、社会変革を加速させたい」と未来を描く。
 「災後」に芽生えた新しい公共、新しい公益。成熟社会の公共像は、着実に形を見せ始めている。


性犯罪の厳罰化/被害者の人権保護が第一だ
 多くの被害者の苦しみを和らげる着実な一歩といえる。性犯罪の規定を大幅に見直す改正刑法が成立した。
 被害者が女性に限定されていた強姦(ごうかん)罪を廃止し、加害者、被害者の性差を問わない「強制性交等罪」に変更する。法定刑の下限は懲役3年から5年に引き上げた。明治時代の刑法制定以来の大改革だ。
 人権を重視し、性差別のない社会を目指す時代にふさわしい法整備は、長年の課題だった。厳罰化を犯罪抑止につなげるのはもちろん、被害者支援など関連対策の充実を進める契機とすべきである。
 今回の改正では、強姦罪などで加害者を起訴する際、被害者の告訴が必要だった「親告罪」規定について、実情を踏まえて削除した。
 「犯罪白書」によると、強姦の認知件数(2015年)は1167件だったのに対し、起訴は453件。内閣府の調査では、「無理やり性交された」という女性117人に対応を聞いたところ、「警察に連絡・相談した」は4.3%。「誰にも相談しなかった」が67.5%に上った。
 裁判まで行き着かないどころか、表沙汰にもなりにくいのが性犯罪の実態だ。多くの被害者が恥辱や罪悪感を抱え込み、泣き寝入りしたり孤立に追い込まれたりしている。
 非親告罪化は、告訴するかどうかの判断を迫られる被害者の心理的負担を軽減する。加害者側からの示談交渉も容易に進まなくなるはずだ。
 加害者は厳正に処罰されることになるが、被害者は逆に法廷などで忌まわしい体験と何度も向き合わねばならなくなるかもしれない。捜査や公判の過程では、被害者のプライバシー保護に細心の注意が払われなければならない。
 今後の課題も少なくない。強姦罪の成立要件だった「暴行・脅迫を用いる」という規定を巡る問題である。被害者支援団体の中では「脅された証明が難しい」などと撤廃を求める議論があった。
 改正法ではこの要件は残った。その上で、父母などが立場を利用し18歳未満の子どもに性的な行為をした場合に限り、暴行や脅迫がなくても処罰できる規定を設けた。
 親に逆らえず、子どもが言いなりになるしかない家庭内での性的虐待の深刻さに配慮したが、「同意のない性行為は全てレイプと認めてほしい」と言う支援者は依然多い。
 付則には、施行3年後の見直し規定が盛り込まれた。改正後の経過を見ながら柔軟に対応してほしい。
 性暴力は人間の尊厳を冒す最も卑劣な犯罪だ。改正法の精神を踏まえ、何よりも被害者の人権と生活の平穏が保証されなければならない。
 二次被害を防止するためにも、被害者が落ち着いた中で声を上げやすい環境をつくる公的支援は急を要す。加害者の再犯防止プログラムや、偏見の是正などにも総力を挙げて取り組むべきだ。


安倍首相が記者会見 形だけ反省を口にしても
 国会を強引に閉じた後、審議が不十分だった課題について「今後、真摯(しんし)に説明する」と言われても困る。
 国会閉会を受け、安倍晋三首相がきのう、記者会見に臨んだ。首相は反省の言葉も口にしたが、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題や「共謀罪」法などに関する基本的な考えや姿勢は一切変えなかった。
 これでは異論を排する首相の政治手法が大きく変わるとは思えない。
 「つい強い口調で反論してしまう私の姿勢が、結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった」
 首相は自らの国会答弁についてこう語った。だが、野党の質問は「印象操作のような議論」だというのが前提だ。質問自体が事実ではないといわんばかりの口ぶりだった。
 「加計」問題では文部科学省の内部文書調査が二転三転し、時間がかかったことが国民の不信を招いたと認めた。ただし新設方針については「岩盤規制改革を進めることは首相としての意思だ」と言い切った。
 先週までの国会審議とは一転して首相が低姿勢を示そうとしたのは、直近の報道各社の世論調査で内閣支持率が急落したためだろう。毎日新聞の調査では支持率は5月調査から10ポイントも下がって36%だった。
 「森友学園」問題が浮上した今春はここまで落ち込まなかったのに、今回急落したのはなぜか。それは安倍政権の強権的な手法が「一線を越えた」と多くの有権者が感じたからではないだろうか。
 「共謀罪」法の審議が不十分なのは明らかだったにもかかわらず、与党は会期内の成立を急ぎ、参院法務委員会の採決を省略する異例の方法をとった。その強引な姿勢がかえって反発を招いたと思われる。
 調査で「加計」問題に対する政府の説明に「納得していない」と答える人が大半だったのも当然だ。
 これまでは民進党の低迷も手伝って、安倍政権が高い支持率を保ってきたのは確かだ。しかし、それが首相や与党の増長を招いてきたのではないか。
 「加計」問題に関して首相は「その都度、真摯に説明責任を果たす」と語った。ならばまず、前川喜平前文科事務次官らの証人喚問の実現を自民党に指示したらどうか。それが不信解消の第一歩である。


内閣支持率急落 国民の怒りを侮るな
 内閣支持率が急落した。「共謀罪」法の成立を急いだ強引な国会運営や、学校法人「森友」「加計」両学園の問題に対する国民の怒りの表れにほかならない。安倍政権は、侮ってはいけない。
 安倍晋三首相の記者会見で表明した「率直な反省」が、内閣支持率急落の深刻さを物語る。
 通常国会閉会にあたって報道各社が行った世論調査の結果が出そろった。共同通信社の全国電話世論調査では、内閣支持率は44・9%と、五月の前回に比べて10・5ポイントの急落である。
 調査主体にかかわらず、傾向に変わりはない。政権不信がより高まったとみて間違いないだろう。
 内閣支持率が、なぜここに来て急落したのか。その理由の一つは強引な国会運営である。
 安倍政権がテロ対策に必要と主張した改正組織犯罪処罰法は「共謀罪」の趣旨を盛り込み、一般市民の内心に踏み込んで処罰する危うい内容と指摘される。
 懸念が払拭(ふっしょく)されていないにもかかわらず与党は参院法務委員会での審議を打ち切り、本会議で直接採決する「中間報告」というやり方で成立を強行した。
 共同通信の調査では、委員会採決の省略について67・7%が「よくなかった」と答えた。
 首相は会見で「国会での審議、指摘を踏まえながら適正に運用する」と述べたが、強引な国会運営を反省するのはもちろん、改正法の危険性を深く認識して、審議をやり直すべきではないか。
 もう一つの理由は「森友」への国有地払い下げや「加計」の獣医学部新設計画で、公平・公正であるべき行政判断が「首相の意向」や忖度(そんたく)によって歪(ゆが)められたとの疑いが払拭されないことである。
 「加計」をめぐる政府の説明には73・8%が「納得できない」と答え、「森友」の問題でも、安倍政権に「問題があると思う」は57・1%と半数を超えた。
 首相は会見で「真摯(しんし)に説明責任を果たしていく。国民から信頼が得られるよう丁寧に説明する努力を積み重ねていく」と述べたが、首相と近しい人ばかりが優遇される政権の在り方への不信の根深さを、世論調査は物語る。
 安倍内閣を支持する理由で最も多いのは「ほかに適当な人がいない」の46・1%だ。
 なお40%を超える支持率も内実は消極的理由にすぎない。国会や政権の運営を強引に進めても、これからも国民が大目に見てくれると思ったら見当違い、である。


[内閣支持率急落]政権の暴走に歯止めを
 通常国会が閉会したのを受け、週明けの19日、メディア各社の世論調査結果が一斉に公表された。
 共同通信の調査によると、安倍内閣の支持率は44・9%で、前回5月から10・5ポイント急落した。毎日新聞の調査では、不支持率が支持率を上回った。他のメディアの調査でも内閣支持率は軒並み急落している。 
 中選挙区制度の下で派閥が健在だったかつての自民党であれば、党内から猛省を促す声がわき上がり、倒閣運動に発展したかもしれない。
 だが、今や党内の異論はほとんど表に出ない。自民党周辺には「想定の範囲内」という余裕の声さえあるという。各社の調査で依然4割台の支持率を維持しており、野党が政権批判の受け皿になっていないからだ。
 下落した支持率は時間を置けば回復する、と楽観的にみているのかもしれない。特定秘密保護法や安保関連法がそうであったように。
 こうした楽観論は「1強」のおごりにどっぷりとつかった、あまりにも皮相で傲慢(ごうまん)な見方というほかない。
 森友学園をめぐる国有地売却問題、加計(かけ)学園の獣医学部新設問題、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正問題。これらの問題に対する政府の対応に、多くの国民は納得していない。いや、事態はもっと深刻である。
 安倍晋三首相は19日の記者会見で、「政府への不信を招いたことは率直に認めなければならない」と述べた。これまた既視感を強く感じさせる低姿勢だ。
■    ■
 国会審議で見せた強権的姿勢と、国会閉会後に見せた低姿勢の隔たりは、あまりにも大きい。
 「共謀罪」法の審議で与党は、運用次第では国民の人権を侵害するおそれがあるにもかかわらず、十分な説明もないのに参院法務委員会の採決を省略し、本会議で採決するという強引な手法をとった。
 少数意見を尊重し言論の府の権威を守るため先人が築き上げた国会の先例が一方的に踏みにじられたのである。
 審議時間を形式的に確保するだけで議論は一向に深まらなかった。
 加計学園問題では、文科省の内部メモを調査もせずに「怪文書」と決めつけ、公表した文科省の元幹部を個人攻撃した。
 国会審議は形骸化し、行政府に対する立法府のチェック機能は失われてしまった。
 安倍首相は会見で「建設的議論からかけ離れた議論に終始した」と国会を振り返ったが、会期中に浮かび上がったのは、数の力を背景にした独善的な対応である。
■    ■
 安倍政権は野党に対する敬意がなさ過ぎる。野党の質問に正面から答えようとせず、揶揄(やゆ)したり、見くびったり、はぐらかしたりする姿勢が、特に安倍首相に目立った。
 「政権を支えつつも言うべきことは言う」という政府批判が自民党や公明党の中から出てこなければ、国会はますますチェック機能を失い、劣化するほかないだろう。
 与野党には末期症状の国会を建て直す責任がある。


内閣支持率急落 1強のおごりへの批判だ
 数に物を言わせた強引な国会運営への反発が数字に表れている。
 共同通信社が実施した全国世論調査によると、安倍内閣の支持率は44・9%で、前回5月から10・5ポイント下落した。
 今回の調査結果の特徴は「首相への信頼」を疑問視する世論が広がっていることだ。安倍政権は「丁寧に説明する」と言いながら、異論に耳を貸さない。今回の結果は「1強」のおごりに対する批判である。この事実を重く受け止めるべきだ。
 内閣不支持の理由で最も多かったのは「首相が信頼できない」の41・9%。同じ不支持理由は森友学園問題が話題となった4月調査で25・0%、5月調査で37・4%と上昇、今回40%台に跳ね上がった。政策判断ではなく、政権の体質が問題視されている。
 例えば、共謀罪法について反対が賛成を上回った。政府が十分説明しているかどうかについては「思わない」が81・3%に達した。法律に賛成した人ですら67・9%が「思わない」と回答した。
 監視社会や捜査権乱用につながるとして、慎重審議が求められたにもかかわらず、参院法務委員会の審議はわずか17時間50分だった。世論調査結果は当然だ。
 参院で共謀罪法を委員会採決を省いて本会議採決に持ち込んだ「中間報告」という異例の手続きにも批判が集まっている。67・7%が「よくなかった」と批判した。法案に賛成した人でも「よくなかった」が「よかった」を上回っている。議会政治を骨抜きにするやり方も安倍政権の体質として認識されている。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画への対応も問題視されている。「行政がゆがめられた」とする前川喜平前文科事務次官の主張に対し、政府はゆがめられたことはないと反論した。この政府説明に「納得できない」としたのは73・8%に上っている。
 国家戦略特区の指定や獣医学部の新設認可について政府は「法令上何も問題ない」と強調してきた。問題は法令ではなく、認可の判断が公正・公平だったのかである。この点を野党に指摘されると首相は「印象操作」と猛反発。「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」と記述された文書について、曖昧なまま参院を強引に幕引きした。こうした政権の体質が批判されている。
 通常国会は18日で閉会した。加計学園問題はなお多くの疑問が残る。首相が出席した閉会中審査が必要である。
 第2次安倍内閣以降、特定秘密保護法や安全保障関連法の強行採決によって支持率は大幅に落ち込んだが、その都度、外交や経済の「成果」を強調して回復させてきた。
 今回は共謀罪法を強行に成立させた結果、支持率が急落した。過去の「成功体験」はもう通用しない。


内閣支持率急落 「1強政治」のおごり反映
 安倍晋三内閣の支持率が急落した。18日閉幕の通常国会で、国民の疑問や懸念に正面から向き合おうとしなかった経緯を振り返ると、当然といえるだろう。
 共同通信社の全国電話世論調査によると、内閣支持率は44・9%と前回5月から10・5ポイントも低下した。不支持率は43・1%で8・8ポイント上昇した。各報道機関の調査もほぼ同様の傾向を示している。
 理由は明白である。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法で、与党が参院法務委員会の採決を省略したことについて67・7%が「よくなかった」と批判した。学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡る文書の政府調査で「真相が明らかになったと思わない」は84・9%に達した。
 このほか学校法人「森友学園」への国有地売却問題や国連平和維持活動(PKO)で南スーダンに派遣した陸上自衛隊の日報を巡る問題もある。全てに共通するのは政権が苦言や批判に耳を傾けず、説明責任を果たさないことだ。
 こんな独善がまかり通るのはなぜか。衆参両院で自民党が単独過半数を占め、党内の異論も封じるような「1強政治」の弊害だろう。その危うさを国民が感じ取ったことが、内閣支持率に反映したのではないか。
 首相はきのうの記者会見で「信頼を得られるように一つ一つ丁寧に説明する」と述べた。本当だろうか。政権内部には「10ポイント程度の支持率低落は織り込み済み。今回もすぐに回復する」と楽観的な声があるという。
 安全保障関連法や特定秘密保護法が成立した際もいったん落ち込んだ支持率がV字回復した。それが念頭にあるのだろう。しかし、世論を甘く見ない方がいい。
 いずれ内閣改造や党役員人事で新味を出せば、何とかなる−。もし、そのように安易に考えているとするなら、それこそ1強のおごりだ。今回の支持率急落を深刻に受け止め、謙虚な政権運営に努めるのか。それとも、数の力を頼る「1強政治」で突き進むか。引き続き厳しく見つめていきたい。


政府は世論を正視せよ/内閣支持率急落
 加計(かけ)学園問題や「共謀罪」法を巡り「説明責任」と「熟議」を放棄した安倍政権に国民の視線が厳しさを増している。共同通信の世論調査で内閣支持率は44.9%となり、前回5月から10.5ポイント急落した。加計学園の獣医学部新設計画で「行政がゆがめられたことはない」とする政府の説明には73.8%が「納得できない」と回答した。
 共謀罪についても、与党が参院法務委員会の採決を省略し成立を強行したことに67.7%が「よくなかった」と批判。過去に特定秘密保護法や安全保障関連法の成立直後に支持率が急落したことはあったが、今回は個別の政策ではなく政権の姿勢そのものに国民が不信を深めた結果で、より深刻な状況といえよう。
 政府は世論を正視すべきだ。安倍晋三首相の昭恵夫人の存在が焦点となった森友学園問題で噴き出した数々の疑問には説明や調査を拒み、ひたすら「問題ない」と繰り返した。加計問題では世論の反発で文部科学省が再調査に追い込まれたが、不都合な事実にふたをしようとする姿勢は変わらなかった。与党は野党が求める閉会中審査や証人喚問を拒んでいるが、それでは不信を払拭(ふっしょく)できない。
 加計問題を巡る一連の調査で真相が「明らかになったと思う」は9.3%にすぎず、84.9%が「思わない」と回答。自民、公明両党の支持層でも、それぞれ76.7%、80.0%がそう回答している。
 加計学園が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡っては、文科省が再調査で「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記録した一連の文書の存在を確認し、内容を公表した。首相側近の萩生田光一官房副長官から指示があったようだとして、学園に有利になるよう獣医学部新設の要件が修正された経緯を記したメールも出てきた。
 だが内閣府は、1日足らずの調査で「内閣府から総理の意向とは一切言っていない」と主張。要件の修正は「山本幸三地方創生担当相の判断」として、文科省の調査結果と食い違っている。
 森友問題も含め、首相とつながりのある人が特別扱いを受けたのではないかとの疑念は深まり、行政の公平性と透明性が問われている。疑念に対し、説明を尽くすという当然の責務を果たすことが政府には求められている。


内閣支持率の急落 政府は世論に目を向けよ
 【論説】森友学園への国有地の格安払い下げや加計学園の獣医学部新設を巡る疑惑には説明を尽くさず、「共謀罪」法では熟議を放棄するなど安倍政権の姿勢に国民が不信を募らせている。共同通信社の世論調査で内閣支持率は44・9%となり、前回5月から10・5ポイントも急落した。特に「首相が信頼できない」が41・9%と4月に比べ16・9ポイントも増え、政権の体質に国民から疑問符を突き付られた形だ。
 共謀罪では与党が委員会採決を省き本会議での採決を強行したことに67・7%が「よくなかった」と回答。加計学園疑惑では「行政がゆがめられたことはない」との政府の説明に73・8%が「納得できない」とした。議論に真正面から向き合わず、議会のルールを軽視し、数の力で押し切る強権姿勢に、国民は批判を強めている。政府は世論に目を向けるべきだ。
 「共謀罪」法案の審議では安倍晋三首相は「丁寧で分かりやすい説明を心掛ける」と述べていたが、金田勝年法相の答弁は質問とかみ合わないばかりか、衆参両院の委員会で与党委員長が官僚を出席させる「禁じ手」を強行。揚げ句「中間報告」による強行採決に踏み切った。委員会中心主義という国の議会制度を否定する愚挙に及んだ。
 森友、加計両学園を巡る疑惑では、首相や首相夫人に近い人物に異例の優遇措置がとられたのではないかという疑念が膨らんだ。首相は野党の指摘に対してまともに答えず「印象操作だ」を繰り返した。やじを飛ばすなど、不誠実さを極める場面もあった。
 森友学園に関しては、「首相から寄付を受けた」と発言した当時の理事長に対して、与党が「首相に対する侮辱だ」とし、国会での証人喚問を行った。一方で、加計学園について「総理のご意向」などと書かれた文書を「本物」と証言した前川喜平・前文部科学事務次官の招致は拒否した。
 加計疑惑に対して会期末が迫る中、文科省が文書の存在を確認。それを打ち消すかのような内閣府の調査結果も出された。山本幸三地方創生相は「総理のご意向」などと言った職員はいないとし、萩生田光一官房副長官が要件の修正を指示した疑いにも「私が指示した」と言い切った。
 世論調査では一連の調査結果で真相が「明らかになったと思う」はわずか9・3%。「思わない」は84・9にも上った。自民、公明支持層でも各76・7%、80・0%が「思わない」と回答。今週後半に告示される都議選への影響回避へと幕引きを図ったつもりだが、影響は少なくないはずだ。
 与党は野党の閉会中審査や証人喚問要求を拒否している。国民の忘却を待っているとしたら、しっぺ返しは必定だろう。行政の透明性と公平性は政権の根幹である。不都合なものにはふたをする安倍政権。国民の不信は増幅するばかりだ。


内閣支持率急落/世論を正視すべきだ
 加計学園問題や「共謀罪」法を巡り「説明責任」と「熟議」をおろそかにした安倍政権に対する国民の視線が厳しさを増している。共同通信の世論調査で内閣支持率は44・9%となり、前回5月から10・5ポイントも急落した。加計学園の獣医学部新設計画で「行政がゆがめられたことはない」とする政府の説明には73・8%が「納得できない」と回答した。
 共謀罪についても、与党が参院法務委員会の採決を省略し成立を強行したことに67・7%が「よくなかった」と批判。過去に特定秘密保護法や安全保障関連法の成立直後に支持率が急落したことはあったが、今回は個別の政策ではなく政権の姿勢そのものに国民が不信を深めた結果で、より深刻な状況といえよう。
 政府は世論を正視すべきだ。安倍晋三首相の昭恵夫人の存在が焦点となった森友学園問題で噴き出した数々の疑問に説明や調査を拒み続け、ひたすら「問題ない」と繰り返した。加計問題では世論の反発により文部科学省が再調査に追い込まれたが、不都合な事実にふたをするという政府の姿勢は変わらなかった。
 今週後半に告示される東京都議選への影響を避けるためか、会期末ぎりぎりに文科省や内閣府の調査結果を公表した。与党は野党が求める閉会中審査や証人喚問を拒んでいる。だが、そんなことでは不信は払拭(ふっしょく)されないだろう。
 加計問題を巡る一連の調査で真相が「明らかになったと思う」はわずか9・3%にすぎず、84・9%が「思わない」と答えた。自民、公明両党の支持層でも、それぞれ76・7%、80・0%がそう回答している。森友問題も含め、政権に「問題があると思う」は全体の57・1%に達した。
 不信の背景には、2月に森友問題が発覚して以来、解明に背を向け続ける政府の姿勢がある。森友学園は評価額より8億円余りも安く国有地を取得。そこに開校を目指していた小学校の名誉校長に昭恵夫人が就任していたことから、野党は売り手の財務省側に忖度(そんたく)が働き、学園が優遇された疑いがあると追及した。
 しかし財務省は省内規則により学園側との交渉記録を廃棄したとし、8億円の値引きに至る詳しい経緯を明らかにせず、野党が求めた調査も「必要ない」と拒否した。
 加計学園が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡っては、文科省が再調査で「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記録した一連の文書の存在を確認し、内容を公表した。
 首相側近の萩生田光一官房副長官から指示があったようだとして、学園に有利になるよう獣医学部新設の要件が修正された経緯を記したメールも出てきた。だが内閣府は1日足らずの調査で「内閣府から総理の意向とは一切言っていない」と主張。要件の修正についても「山本幸三地方創生担当相の判断」とした。
 首相官邸にも疑いの目は向けられている。二つの調査結果の食い違いを放置しておいていいのか。森友問題も含め、首相とつながりのある人が特別扱いを受けたのではないかという疑念では、行政の公平性と透明性が問われている。政府は、当然の責務として説明を尽くすべきだ。


内閣支持率急落  国民を甘く見ていないか
 不安や疑問が拭えない法律を強引に成立させ、都合が悪い問題は幕引きを急ぐ。国民が怒りを募らせるのは当然だろう。
 共同通信社が行った全国電話世論調査で、安倍内閣の支持率が44・9%と、前回の5月調査から10・5ポイント急落した。不支持率は43・1%で、8・8ポイント上昇した。
 政権や与党からは「謙虚に受け止めたい」といった発言が相次いだが、外交・経済の成果や内閣改造で回復させるとの声も聞こえてくる。
 だが、小手先のイメージ対策で国民の目をそらせようとするなら、楽観的過ぎよう。
 求められるのは、数の力に頼る姿勢を改め、「1強」から来るおごりをなくすことである。
 安倍内閣の支持率が40%台になったのは、2016年4月以来だ。下落幅は、特定秘密保護法を強行採決で成立させた13年12月の際の10・3ポイントを上回り、第2次内閣以降で2番目の大きさである。
 とりわけ不信感を強めたのは、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡る問題だ。
 世論調査では、行政がゆがめられたことはないとの政府側の説明に73・8%が「納得できない」とし、真相が明らかになったと思わない人は84・9%に達した。
 「総理の意向」などと記された文書が文部科学省内で見つかり、首相の側近が、加計学園しか応募できないように新設条件を修正した疑いも浮上した。政府がいくら正当性を主張しても、納得を得られるはずがない。
 自民党支持層でも、真相が明らかになったと思わない人が76・7%もいる。前文科事務次官の証人喚問を含め、与党は閉会中審査に応じて真相の究明に努めるべきだ。
 もう一つの問題が、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を成立させたことである。
 調査では、参院法務委員会の採決を省略した与党の手法に67・7%が「よくなかった」と回答し、政府の監視が強まると思う人が50・7%と過半数に上った。
 これまで安倍内閣は「強行採決」と批判されるのを避けようと、野党の一部を取り込むなどしてきた。ところが今回は「禁じ手」を使い、あからさまな強硬手段に出た。
 早く国会を閉じ、加計学園問題の追及をかわしたかったのだろうが、民主主義を否定するやり方は許されない。
 内閣を支持しない人のうち「首相が信頼できないため」と答えた人が41・9%もいた。4月の25・0%から5月は37・4%と上昇傾向だ。
 支持率が一時的に下がっても、しばらくすれば回復すると高をくくる政権の体質が見えてきたのが要因だろう。
 強引な国会運営を繰り返し、疑惑の解明に誠実さを欠いたままでは、信頼は到底回復すまい。国民を甘く見てはいけない。


【内閣支持急落】国民の不断の監視が要る
 通常国会閉幕を受けて安倍内閣の支持、不支持を問うメディア各社の世論調査が出そろった。
 共同通信の調査では支持率44・9%で、前回から10・5ポイント急落した。他社の調査でも10ポイント前後、下落しており、傾向は共通している。
 「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題や、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法での政府・与党の説明不足、強引な国会運営が直撃した形だ。批判は与野党の支持層にまたがって幅広い。
 安倍首相は6月19日の記者会見で、加計学園問題では、「政府の対応が二転三転し、不信を招いたことは率直に認める」とし、「真摯(しんし)に受け止め今後も、丁寧に説明していく」と述べた。「共謀罪」法は国民の理解が得られていないと認めつつ、「一般の方が対象になることはない」と従来の主張を繰り返した。
 しかし「共謀罪」法では、参院で委員会採決を省略し、本会議採決に持ち込んだ「中間報告」という奇手を繰り出した安倍政権である。民主主義の破壊につながりかねない行為であり、首相のいうことをうのみにはできない。
 共同通信の調査では「共謀罪」法について、政府は「十分説明しているとは思わない」と答えたのは約8割に上る。同法に賛成した人のうち自民、公明両党の支持層でさえ7〜8割近くがそう回答した。
 「中間報告」という異例の手続きも、「よくなかった」が「よかった」を上回った。批判は「安倍1強」政権の体質に向けられている。首相の説明は要するに「私を信じてほしい」という口約束にすぎず、「内心の自由」を侵害しないなどの歯止め策はないに等しい。
 加計学園問題を巡っては、文部科学省と内閣府の説明の食い違いが明らかになって、突然、国会が閉じられた。議論は当然、継続しなければならず、野党が閉会中審査を要求しているのは当然だ。
 首相の説明は冒頭から、建設的議論で結果を出そうとしたが、国会は「批判の応酬に明け暮れた」と野党を暗に批判することから始まった。これでは、与党が閉会中審査に応じることを期待する方が無理だろう。
 世論調査の政党支持率を見ると、民進党など野党が世論の受け皿になっていないことも分かった。野党は閉会中も加計学園問題の新事実を掘り起こすなど、真相解明の努力を続け、世論に応えるべきだ。
 首相周辺からは、「世論調査の結果に一喜一憂すべきでない」(菅官房長官)、野党の疑問は「げすの勘繰り」(高村・自民党副総裁)といった、世論を軽視するかのような発言が相次いでいる。
 内閣支持率の急落を受けても、世論は「やがて忘れる」と高をくくっているとすれば言語道断だ。目先を変えるためだろうが、首相は2017年夏の内閣改造・党役員人事を積極的に検討する姿勢を見せた。
 首相の政権運営に国民の不断の監視が、今ほど必要なときはない。


内閣支持率急落 政府は世論を正視せよ
 加計学園問題や「共謀罪」法を巡り「説明責任」と「熟議」を放棄した安倍政権に国民の視線が厳しさを増している。共同通信の世論調査で内閣支持率は44・9%となり、前回5月から10・5ポイントも急落した。加計学園の獣医学部新設計画で「行政がゆがめられたことはない」とする政府の説明には73・8%が「納得できない」と回答した。
 共謀罪についても、与党が参院法務委員会の採決を省略し成立を強行したことに67・7%が「よくなかった」と批判。過去に特定秘密保護法や安全保障関連法の成立直後に支持率が急落したことはあったが、今回は個別の政策ではなく政権の姿勢そのものに国民が不信を深めた結果で、より深刻な状況といえよう。
 政府は世論を正視すべきだ。安倍晋三首相の昭恵夫人の存在が焦点となった森友学園問題で噴き出した数々の疑問に説明や調査を拒み続け、ひたすら「問題ない」と繰り返した。加計問題では世論の反発により文部科学省が再調査に追い込まれたが、不都合な事実にふたをするという政府の姿勢は変わらなかった。
 今週後半に告示される東京都議選への影響を避けようと、会期末ぎりぎりに文科省や内閣府の調査結果を公表して逃げ切りを図った。与党は野党が求める閉会中審査や証人喚問を拒んでいる。だが、そんなことで不信は払拭(ふっしょく)できない。忘れられることもないだろう。
 加計問題を巡る一連の調査で真相が「明らかになったと思う」はわずか9・3%にすぎず、84・9%が「思わない」と答えた。自民、公明両党の支持層でも、それぞれ76・7%、80・0%がそう回答している。また森友問題も含め、政権に「問題があると思う」が全体の57・1%に達した。
 不信の背景には、2月に森友問題が発覚して以来、解明に背を向け続ける政府の姿勢がある。森友学園は評価額より8億円余りも安く国有地を取得。そこに開校を目指していた小学校の名誉校長に昭恵夫人が就任していたことから、野党は売り手の財務省側に忖度(そんたく)が働き、学園が優遇された疑いがあると追及した。
 しかし財務省は省内規則により学園側との交渉記録を廃棄したとし、8億円の値引きに至る詳しい経緯を明らかにせず、野党が求めた調査も「必要ない」と拒否した。
 加計学園が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡っては、文科省が再調査で「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記録した一連の文書の存在を確認し、内容を公表した。
 首相側近の萩生田光一官房副長官から指示があったようだとして、学園に有利になるよう獣医学部新設の要件が修正された経緯を記したメールも出てきた。だが内閣府は1日足らずの調査で「内閣府から総理の意向とは一切言っていない」と主張。要件の修正についても「山本幸三地方創生担当相の判断」とした。
 首相官邸にも疑いの目は向けられ、このまま二つの調査結果の食い違いを放置しておくことなどできない。森友問題も含め、首相とつながりのある人が特別扱いを受けたのではないかとの疑念は深まり、行政の公平性と透明性が問われている。疑念を持たれたなら、説明を尽くすという当然の責務を果たすことが政府には求められている。(共同通信・堤秀司)


[内閣支持率急落] 批判の声を謙虚に聞け
 安倍内閣の支持率が急落した。共同通信社の全国電話世論調査によると、支持率は前回5月から10.5ポイント下がり44.9%となった。不支持は8.8ポイント上昇の43.1%である。
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画で、行政がゆがめられたことはないとの政府側説明に「納得できない」が73.8%。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法で、与党が参院法務委員会の採決を省略したことを「よくなかった」と回答した人が67.7%に上った。
 支持率低下は、安倍政権の説明不足や与党の強引な国会運営に対する国民の強い不満の表れである。安倍晋三首相は批判の声に謙虚に耳を傾けるべきだ。
 世論調査で浮かび上がったのは自民党支持層や、「共謀罪」に賛成の立場からも厳しい視線が注がれている実態だ。
 改正組織犯罪処罰法に賛成した人のうち67.9%が、法改正について政府が「十分に説明していると思わない」と答えた。「中間報告」という異例の手続きで本会議採決に持ち込んだことも46.1%が「よくなかった」とした。
 市民生活にかかわる可能性がある法律にもかかわらず、国会での政府答弁は二転三転した。そんな中で熟議を放棄した安倍政権の姿勢に国民は不信感を抱いている。
 「加計学園」問題でも、自民党支持層の76.7%が政府の調査で真相が「明らかになったと思わない」と回答した。「行政がゆがめられたことはない」という政府の説明にも「納得できない」が55.9%だ。
 野党は首相の出席する予算委員会の閉会中審査や証人喚問を求めたが、与党は拒んでいる。通常国会の閉幕で問題の幕引きを図るなら、支持層からの信頼をも裏切る行為であり、許されない。
 政権幹部からは「1週間もすれば世論は冷静になる」という声も上がっているようだ。
 7月の20カ国・地域(G20)首脳会合など、外交で成果を上げれば支持率は回復するとの思惑があるのだろう。
 だが、内閣不支持の理由で最も多いのは「首相が信頼できない」の41.9%だった。森友学園問題が話題となった4月調査では25.0%、5月は37.4%と上昇している現実を直視すべきだ。
 今回の調査では、内閣の支持と不支持が逆転する事態には至っていない。
 しかし、「1強」に慢心し、異論を抑え込む政権運営が続けば、国民の不信は拡大する。首相は肝に銘じてもらいたい。


通常国会閉幕 目立った審議の形骸化
 通常国会は会期を延長せずに閉幕した。最大の対決法案だった「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法は、与党側が参院の委員会採決を省略し本会議採決で成立させるという非常手段を取った。
 野党側は最終盤で、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡り「首相の指示」や「官僚の忖度(そんたく)」がなかったかの追及に力点を置いた。与党側は7月2日投開票の東京都議選などへの悪影響を避けるため、国会を早く閉じた方が賢明と判断したようだ。
 ただ改正法は、実行犯の処罰を原則とする日本の刑法体系の大きな転換となる。野党に加え国連関係者からもプライバシーや表現の自由を制約する恐れが指摘されていたにもかかわらず、審議時間が十分に確保されたとは言い難い。共同通信社が今月17、18両日行った世論調査で、参院の採決手続きについて「よくなかった」と答えた人が67・7%に上った。
 安倍首相は「丁寧な説明を重ねる」と繰り返してきたが、最後は数の力に頼ったと言わざるを得ない。7月に施行される見通しの改正法は、適用対象をテロ組織や暴力団など「組織的犯罪集団」と規定しているが、一般市民への影響や捜査権の乱用などについて注視していく必要がある。
 加計学園の学部新設に関し「総理の意向」などとする文書が野党側から国会に示された。しかし、昭恵夫人が小学校の名誉校長を務めた学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題と同様に、首相は自らの介入や関与を強く否定するだけで、野党側の追及に「印象操作だ」と反発する場面が目立った。
 文部科学省による再調査にも当初、消極的だった。しかし世論の高まりを受け、会期末間際になって、文科省と内閣府が調査結果を発表、参院予算委員会の集中審議にも応じたが、アリバイ的行動という印象が強い。
 衝撃的だったのは、9条を含めた憲法改正を2020年までに行いたい―と表明した直後に「(掲載した)読売新聞を読んでいただきたい」と述べた首相答弁。国会論議の形骸化をもたらす発言と言われても仕方ない。
 野党側の追及に決め手がないのも事実だ。同時に「安倍1強」が続く中、政権内に慢心が出て、緊張感や謙虚さが失われつつある。共同通信社の世論調査で、安倍内閣の支持率が前月比10・5ポイント減の44・9%に急落、不支持の43・1%と拮抗(きっこう)したのは国民の「警告」ではないか。


通常国会閉幕◆民主主義の危機招く運営だ◆
 法案審議は真摯(しんし)に行われたか。指摘された疑惑の解明に取り組んだのか。日本の将来に関わる本質的な課題は議論されたのか-。閉幕した通常国会を振り返ると、いずれにも及第点は付けられない。
 150日の会期中に安倍政権が示したのは、議論に真正面から向き合わず、議会のルールを軽視し、数の力で押し切る強権的な国会運営だった。
 政権は選挙を通じて有権者に選ばれる。ただし選挙は白紙委任ではない。野党の後ろにはそれを支持する有権者がいることを認識し、少数意見を尊重するならば、政権は権力の行使に抑制的に振る舞うのが当然だろう。数の力による政治は、議会制民主主義の深刻な危機を招いている。
法律の懸念払拭せず
 象徴的な場面は、委員会に臨む安倍晋三首相の態度に表れていた。森友学園と加計学園の二つの学校法人を巡る疑惑に関し、野党の指摘に対して真正面から答えず、「印象操作だ」と繰り返した。
 共謀罪の構成要件を取り込んだ組織犯罪処罰法改正案の委員会質疑では、答弁しようと挙手した金田勝年法相を首相が制し、官僚に答弁させた。信じがたい光景だ。
 審議の中身はどうか。「共謀罪」法案について、首相は参院審議前に「丁寧で分かりやすい説明を心掛ける」と述べていた。しかし金田法相の答弁は最後まで不安定で、法律に対する懸念を払拭(ふっしょく)できたとは言い難い。その揚げ句、延長できる会期を延ばさずに、委員会での採決を省略し本会議採決を強行した。法案を委員会で審議する「委員会中心主義」をとる日本の議会制度の否定である。
 森友学園や加計学園を巡る疑惑は、首相に近い人脈に異例の優遇措置が取られたのではないかという政権中枢に直結する問題だった。だが政権は真相解明に後ろ向きの姿勢に終始した。加計学園関係の文書再調査は会期末になってようやく行った。
再考すべき統治体制
 国会軽視はこれにとどまらない。2020年までの憲法改正施行を目指すと表明した首相の発言は、衆参両院の憲法審査会で積み上げてきた議論を無視したものだ。
 天皇陛下の退位を実現する特例法などが成立したものの、多くの時間が疑惑を巡って費やされたのは残念だ。財政再建や社会保障制度の在り方など、本来取り組むべき課題の議論は今国会でも置き去りにされた。
 1990年代からの「政治改革」が目指したのは、時代の変化に対応できる統治体制の構築だった。強い政権基盤をつくる小選挙区制を柱とする選挙制度の導入や、首相の権限を強化する行政改革はそのための方策だ。
 しかし招いたのは、政権が数の力で押し切り、与党内からも異論が出にくいという閉塞(へいそく)的な状況である。政治改革から20年以上が経過した。統治体制の在り方を真剣に再考すべきだ。


安倍首相会見 どちらが「印象操作」か
 「深い反省」を口にはした。
 しかしそれも、「政策とは関係のない印象操作のような議論に、つい強い口調で反論した」ことについてである。
 つまりは野党の責任と言いたいのだろう。これこそ「印象操作」ではないか。
 安倍晋三首相はきのう、国会閉会を受け記者会見した。
 学校法人「加計(かけ)学園」をめぐる問題では、政府の対応が二転三転し、「国民の政府への不信を招いた」と述べた。
 中間報告という奇策を使って「共謀罪」法を成立させた手法についても「必ずしも国民的な理解を得られていない」と認めた。
 安倍内閣の支持率は、政府・与党の強引な国会対応を受けて急落し、与党内にも厳しい受け止めが広がる。異例の反省の言葉は、そんな危機感の反映かもしれない。
 だが、内閣支持率の急落は何よりも、「安倍1強」に安住し、異論や批判に向き合おうとしてこなかった政権の姿勢に起因する。
 それを認識しないまま「反省」したところで、独善的な政治手法の変化は期待できまい。
 首相には、謙虚な姿勢で国政運営に臨むようあらためて求める。
 今回、各種世論調査での支持率の下落は10ポイント前後に達し、一部では不支持率が支持率を上回った。与党内からは「首相の身から出たさび」と厳しい声も漏れる。
 反省の言葉には、そんな不満に答える意味があるのだろう。
 だが首相は会見で、加計学園をめぐる問題で「岩盤規制の改革」を強調。政府内の忖度(そんたく)から行政の公平性がゆがめられたのではないかという疑念については、自らの立場の正当化に終始した。
 「共謀罪」法も、テロ対策の必要性ばかりを唱えた。捜査対象の線引きの曖昧さや恣意(しい)的な運用に対する国民の不安には、向き合おうとしていない。
 首相は、特定秘密保護法や安全保障法制も成立後、国民に丁寧に理解を得る考えを示した。
 しかし、それが果たされたとは到底言えない。同じ手法を繰り返しても国民の納得は得られまい。
 信頼を回復したいのならばまずはそうした姿勢をただすべきだ。
 加計学園問題では、野党が求める閉会中審査の実現に協力する必要がある。学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る問題の説明責任も忘れてはいけない。
 国民の疑念に正面から答えないままでは、「政府への不信」が高まるばかりだ。


首相閉会会見  おごらぬ政権運営こそ
 力を持つからこそ、異論や指摘に虚心に耳を傾けるべきだ。政権はそれを肝に銘じてもらいたい。
 通常国会の閉会を受けて安倍晋三首相が記者会見し、衆参両院で大きな焦点となった森友学園への国有地売却や加計学園の獣医学部新設を巡る問題での自らの対応について反省を述べ、国民に釈明した。
 「共謀罪」法にも言及し、国民の理解が深まっていないと認めた。最新の世論調査で内閣支持率が急落したのを意識してのことだろう。
 「1強」体制のおごりが、随所に見えた150日間だった。
 「共謀罪」法の成立の過程では与党が参院の委員会採決を省略する奇策に出て、強引に審議を打ち切った。
 首相の関与が指摘されている二つの学園の問題では、当初から政権側に誠実に答弁する姿勢が欠けていた。森友問題では首相自身が野党の質問を封じるかのように「印象操作だ」と述べ、財務省の官僚も学園側との交渉記録の確認を拒否し、関係資料は「破棄した」としてほとんど公にならなかった。加計問題でも菅義偉官房長官が文部科学省の内部文書を頭から「怪文書」呼ばわりし、かえって疑念を深めた。
 後ろ暗いところがないなら、首相が速やかに調査や資料開示を指示すればそれを客観的に証明できたはずだ。貴重な審議時間を空費することもなかっただろう。首相は会見で行政文書の「管理の質を高める」と述べたが、なぜ早い段階で対応しなかったか、なぜ与党内で首相へ忠告する声が強まらなかったか、それこそが問題だ。
 これまでの安定した支持率にあぐらをかいた面がなかったか。首相の意向を忖度(そんたく)し、逆らわないことが公明党を含む与党議員の習い性になっているのではないか。そんな危惧(きぐ)を抱かざるを得ない。
 世論調査では「首相が信頼できない」との回答が増えた。政権に厳しい目が向けられているのは明らかだ。
 1990年代の行政改革を通じ、首相官邸に権限が集中した。選挙の洗礼を受けない官僚機構主導の構図を変えるとの考えがあったが、今の状況は本来目指すべき政治主導の姿にはほど遠い。
 少数意見も排除せず、丁寧な合意形成の努力を重ねた上で多数決で決める。議会政治の基本に立ち返る必要がある。
 立場や主張の異なる相手の後ろに多くの国民がいることを、政府・与党は忘れてはならない。


安倍政権に教えたい。前川前次官を「逮捕」するのは不可能です プロが解説「守秘義務違反」本当の基準
牧本 公明 松山大学法学部准教授
学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題で、「総理のご意向」を示す内部文書が存在すると、文部科学省の職員が内部告発したことについて、義家弘介文科副大臣が「(一般論と前置きしつつ)国家公務員法違反になる可能性がある」と発言したことが、大きな波紋を呼んでいる。
義家副大臣の発言があった6月13日の参議院農水委員会については、「勇気を持って告発した職員たちの権利を守ってほしい」という自由党の森裕子議員の訴えに対して、処分の可能性を示唆した義家副大臣に対し、ネット上に「ペーパーの棒読みに見えた」といった意見が相次いだ。
発言の真意が見えない、というのが現状ではあるが、いずれにしても今回の内部告発を理由に、文科省が現職の職員たちを処分することは本当に可能なのか。公務員による公益通報に詳しい松山大学の牧本公明准教授は、義家副大臣の言う「国家公務員法違反になる可能性」を否定する。
保護される「秘密」は限られる
今回の一連の問題は、「国家公務員の守秘義務」と「公益通報者保護法」の両面から考える必要があると考えています。
まず、国家公務員の守秘義務との関係です。
国家公務員法100条は、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と定めています。国家公務員に守秘義務を課し、その違反者に対しては、同法109条十二号の規定により「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という刑事罰が用意されています。
しかし、最高裁の判例上は、世間一般に知られていないすべての事実の漏洩が、処罰の対象となるわけではないとされています。
マル秘や極秘などの判が押され、形式的に秘密とされている事実(これを「形式秘」と言います)の中でも、真に秘密として保護されるべき事実(これを「実質秘」と言います)のみが秘密として保護され、その漏洩行為のみが国家公務員法違反に問われるべきであると考えられています。
本来、国家機関が保有する情報は、すべて主権者である国民のものであり、政府の都合で隠したりすることは許されません。例外的に、外交関係上、またはプライバシーの保護などの人権保障上必要と正当化できるものだけが、秘密とすることを許されているのです。
今回のケースについて言えば、そもそも国家戦略特区の認定についての議論は、できるだけ国民にオープンな形で進められるのが望ましい。
また形式的には、そもそも当該メール文書が文部科学省内部で秘密指定されていたのか不明であり、内容的にも、外交機密というわけでも個人の人権に関わるような内容というわけでもないので、今回の漏洩行為を国家公務員法違反に問うことができるかはかなり怪しいと言わざるをえません。
副大臣発言はきわめて問題
一方で義家文科副大臣の発言は、公益通報者保護法との関係でも注目されています。
じつは、国家公務員の内部告発、公益通報行為の保護については、現行法上かなり限定的な保護しか認められていません。
同法によって保護される通報者の中に、公務員は確かに含まれているのですが、保護の対象とされる通報対象事実がいわゆる「犯罪行為」に限定されており、さらには、報道機関などの外部への告発・通報行為が保護される条件もかなり厳しく設定されています。
そんなわけで、文部科学省の職員らによる告発行為が、公益通報者保護法による保護を受けられる可能性は、ほぼないと言っていいと思います。
以上のことを総合して考えますと、今回のケースでは、公益通報者保護法による保護を受けられる可能性はかなり低いものの、一方で、国家公務員法の解釈に関する最高裁の判例に鑑みて、国家公務員法違反に問われる可能性は低いと思われます。
とはいえ、国家公務員法による刑事罰の対象とならなくても、懲戒処分の対象となったり報復的人事が行われたりすることはありえます。
そのような人事上の措置も含めて、通報者を不利益に取り扱ってはならない、とするのが公益通報者保護法の趣旨です。その意味で、対象事実の範囲や外部通報の取り扱いなど、その保護の適切な範囲については、まだまだ再考の余地が多いと思います。
確かに、行政を円滑かつ能率的に運営するためには、秘密保護の考え方が必要だとは思います。
しかし、国家機関が保有する情報は本来国民のものであるという民主主義の大原則を踏まえれば、今回の義家副大臣の発言は、我が国において、内部告発行為に対して従来から存在している負のイメージを増大させるものと言わざるをえません。
さらに報道機関の取材、そしてそれに対する国家公務員の対応について、過度な萎縮効果をもたらしてしまう恐れがあり、きわめて問題のある発言だったと言えるのではないかと思います。
安倍首相が「今後もわかりやすく説明する努力を積み重ねていく」と6月19日の記者会見で話したように、加計問題は国会閉会中も議論が続きそうです。義家副大臣の発言など、今後の動向を注視する必要があります。


NHK『クロ現』が加計問題で総理圧力の決定的証拠を報道! 萩生田副長官が「総理は30年4月開学とおしりを切っている」
 ついにNHKが加計学園問題で決定打となるスクープを報じた。昨夜、放送された『クローズアップ現代+』が、独占入手した文科省作成の“新たな内部文書”を公開。その内容は、萩生田光一官房副長官が文科省に対し、はっきりと「総理案件」であることを伝えている衝撃的なものだった。
 先週、「安倍首相の側近中の側近」である萩生田官房副長官が、「広域的に」「限る」という事実上の「京都産業大学外し」を指示していたことが発覚したが、今回、NHKがスクープしたのは、その指示の1週間前ほどにあたる2016年10月21日、萩生田官房副長官が文科省の専門教育課長である浅野敦行氏に対して語った言葉を記録した「10/21萩生田副長官ご発言概要」という文書だ。
 そこには、まさに「決定的」な文言が並んでいる。
「和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官邸は絶対やると言っている」
「総理は「平成30年4月開学」とおしりを切っていた。工期は24ヶ月でやる。今年11月には方針を決めたいとのことだった」
「何が問題なのか、書き出して欲しい。その上で、渡邉加計学園事務局長を浅野課長のところにいかせる」
「農水省が獣医師会押さえないとね」
 和泉洋人首相補佐官については、前川喜平・前文部科学事務次官が昨年9〜10月に「総理は言えないから私が代わって言う」として、獣医学部新設を早く認めるように複数回言われたことを証言してきた。今回の新文書は、そうした“圧力”をかけたにもかかわらず抵抗する文科省に対し、萩生田官房副長官が「官邸は絶対やる」「総理は2018年4月開学と決めている」とはっきり“総理案件”だと宣告し、その上で、加計学園事務局長を浅野課長のもとにまで行かせるとまで言っていたことを示すものだ。何より、開学時期を切ったのは、安倍首相その人だというのである。
指示はやはり岩盤規制改革ではなく“総理のご学友”の加計学園開学!
 さらに、萩生田官房副長官は、和泉首相補佐官や内閣府と話し合った上、四国で獣医学部新設を行うためにはどうすればいいかを具体的に列挙。萩生田官房副長官が「広域的に」「限る」という新設条件を手書きで修正したとされるメールが送られたのは、この約10日後のことだ。
 だいたい、安倍首相は一貫して「岩盤規制改革をスピード感をもって進めるように、つねに指示してきた」と言い、内閣府の藤原豊審議官も申し合わせたように「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」という発言について「首相はつねづね規制改革全般について『スピード感をもって実現すべきだ』と発言している。関係省庁と議論する際に、こうした首相発言に言及することは十分にある」と説明してきた。ようするに、安倍官邸と内閣府は「国家戦略特区全体の話をしているのに、文科省が勝手に『総理のご意向』などと記載しただけ」と逃げてきたのだ。
 だが、常識的に考えて、あからさまな虚偽のメモを官僚が作成するわけがない。今回、発覚した萩生田官房副長官の発言メモは、安倍首相自ら開学時期を設定していた。さらには「加計学園事務局長を文科省に行かせる」とまで言及し、実際、この6日後に両者は面談したという。やはり、獣医学部新設は「岩盤規制改革」などではなく「加計学園のための規制緩和」だったのだ。
 それだけではない。NHKは今回、元文科省OBで加計学園の理事を務めていた豊田三郎氏が、2015年11月17日に文科省職員と会った際、このように語っていたことがメール文書として残されていたと報じた。
「安倍総理の留学時代のご学友である現理事長と安倍総理と食事をする仲になった」
「いざ総理が進めた時に、「お友達内閣ですね」と週刊誌などに書かれないように、中身がしっかりしたものにしないと総理に恥をかかせることになるから、ちゃんと学園として構想をしっかりしたものにするよう、私からは言っている」
「総理に恥をかかせてはいけないから中身をしっかりさせろと加計理事長に言っている」
 この発言は、今治市が国家戦略特区に指定される約1カ月前のもの。つまり、獣医学部新設が「総理マター」として出発していることを示すものだ。しかも、このメールを保管していた文科省現職職員は、顔を隠した上でNHKの取材に応じ、「政治的に事が進められる可能性が高い案件という認識をもっていた職員は多いと思います」と証言。豊田氏は2016年9月6日、加計孝太郎理事長とともに松野博一文科相と面談していたことがわかっているが、こうやって加計学園と文科省を繋ごうとする役割を担っていたのだろう。
圧力をかいくぐって国会閉会後にようやく報道したNHK
 しかし、ここまでの証拠をいまNHKが出してきたとは驚きだ。NHKは最初の内部文書をスクープできたのに、肝心の「総理の意向」部分を黒塗りにしてニュース内で消化するという“忖度”報道を行い、翌朝の朝日新聞にスクープを譲ってしまった。さらに、早い段階で前川氏の独占インタビューも収録していたにもかかわらずお蔵入りにしてしまった。取材にあたっていた現場の記者たちは、さぞかし忸怩たる思いを抱えていたことだろう。それが、国会閉会と安倍首相の記者会見を終えたタイミングでこの決定的証拠をようやく出すことができた、というわけだ。
 だが、NHKが踏み込んだ新事実を出しても、官邸の姿勢は相変わらず。NHKの取材に萩生田官房副長官は「具体的に総理から開学時期について指示があったとは聞いていませんし、私の方からも文科省に対して指示をしていません」「「加計学園に力を貸すため」に、和泉補佐官や関係省庁と具体的な調整を行いとか、指示を出すことはあり得ません」と事実を否定。「心当たりのない内容が、私の発言・指示として文書・メールに記載されていることについて、非常に理解に苦しむとともに、強い憤りを感じております」とまで述べている。
 つまり、萩生田官房副長官は先日の手書き修正指示と同様、「これは文科省の捏造だ!」という反論なのだ。
 文科省の証言ラッシュの立役者となった前川氏は「あったものをなかったものにできない」と語ったが、安倍官邸は「あったものは嘘っぱちの改竄文書だ!」という陰謀論しか口にしない。もはや、この姿勢のどちらが信用たり得るか、そんなことは歴然としているだろう。
 安倍首相は昨日の記者会見で、「何か指摘があれば、その都度、真摯に説明責任を果たしていく」と言い張った。では、それを実行していただこうではないか。この新証拠に対して「国民に丁寧に説明」するべく閉会中審査に応じなければ、それは「安倍首相はクロ」と決まったも同然だ。(編集部)


「萩生田副長官の発言」文書=首相の意向示す記述−加計問題、新たに確認・文科相
 松野博一文部科学相は20日の閣議後記者会見で、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、萩生田光一官房副長官の発言概要とされる文書が新たに文科省内で確認されたと発表した。「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」など首相の意向を示すと読める記述がある。
堂々と受けて立つ=萩生田氏
 表題は「10/21萩生田副長官ご発言概要」。文科省によると、昨年10月21日に常盤豊高等教育局長が萩生田氏と面会し説明した際のやりとりを、獣医学部設置を担当する専門教育課の課長補佐が局長の説明を基にまとめた。
 「総理は」で始まる項目には、開学時期のほか、「工期は24ヶ月でやる。今年11月には方針を決めたいとのことだった」との記載もあった。
 また、「和泉(洋人首相)補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいていると言われた」「官邸は絶対やると言っている」という記述があったほか、「加計学園事務局長を(専門教育)課長のところにいかせる」とも記されていた。
 加計学園が国家戦略特区での獣医学部設置の事業者に認定されたのは、今年1月だった。
 19日の一部報道を受け、文科相が調査を指示。同省によると、文書は専門教育課の共有フォルダ内で見つかり、同課から私学行政課と大学設置室の職員にメールで送信されたことも分かった。
 関係者から聴取した周辺情報なども補足してまとめた個人のメモで、萩生田氏の発言でない内容も含まれているという。
 文科省が萩生田氏に確認したところ、「詳細はよく覚えていないが、(既存の)獣医師養成との差別化の具体的内容や、(首相の言葉としての)具体的開学時期などの発言はしていない。加計学園関係者を文科省に紹介することもなかった」と返答があったという。
 会見に同席した義本博司総括審議官は「『副長官ご発言概要』という表記と(内容の関係で)正確性を欠いた文書が職員間で共有されていたことは大変遺憾で、萩生田副長官、関係者にご迷惑をお掛けしたことをおわびしたい」と述べた。


籠池氏の口封じ画策 安倍政権“国策捜査”で追及逃れの悪辣
 国会を強引に閉幕し、加計学園疑惑追及の“時間切れ”に続き、間髪入れず、安倍政権は森友学園疑惑の幕引きを図るつもりらしい。森友学園の補助金不正受給を巡って、近く強制捜査するという報道が相次いでいるが、検察は近畿財務局への告発を受理しながら、国有地払い下げ問題や昭恵夫人の疑惑には目をつむっている。国家権力中枢の巨悪は見逃し、盾突いた民間人は立件する。籠池泰典前理事長の口封じ目的の国策捜査はミエミエだ。
 刑事告発されている籠池前理事長の容疑は2つ。3月と5月に大阪地検特捜部がそれぞれ受理した。まず森友学園が豊中市に計画していた小学校の建設費。実際の金額とは異なる工事契約書を国交省に提出し、補助金5600万円を不正に受け取った補助金適正化法違反の疑いがある。
 2つ目は、学園が運営する塚本幼稚園が専従職員の人数に応じて支払われる補助金約3400万円と、特別な支援が必要な園児の人数に支払われる補助金約2700万円を不正受給した詐欺の疑いだ。
 元大阪高検公安部長の三井環氏は強制捜査報道に首をひねる。
「返せばいいわけではありませんが、森友学園は3月28日に小学校建設の補助金を全額返金しています。幼稚園の補助金も、行政と学園側がじっくり話し合って解決するのがスジです。両方とも特捜部が強制捜査する案件とはとても考えられません」
■本丸の国有地払い下げ、昭恵疑惑は無視
 それに比べて、安倍昭恵夫人や国に対する告発については、検察の動きは極めて鈍い。
 前出の三井氏は、昭恵夫人とお付きの職員3人を、選挙応援に関与していたとして、国家公務員法(政治的行為の制限)違反の疑いで4月に告発している。三井氏いわく「受理はしましたが、東京地検はまったくやる気はないようです」。
 また、8億円値引きの国有地払い下げ問題を明るみに出した木村真・豊中市議ら市民230人が「著しく低廉な価格であることを知りながら国に損害を与えた」として、財務省近畿財務局を背任容疑で告発。4月に受理されたものの、「検察の動きは伝わってきません」(関係者)というありさまだ。籠池氏への対応とはえらい違いである。
「森友問題の本質は、国有地払い下げと昭恵夫人の疑惑です。それらは不問にして、検察は補助金問題という“端っこ”の案件になぜか熱心です。特捜部の捜査は“籠池氏をヤレ”という『総理のご意向』でもあったのでしょうか。強制捜査は籠池氏に“悪人”のレッテルを貼る『印象捜査』。捜査情報を垂れ流すマスコミも問題です。何でもアリの安倍官邸のこと。疑惑の口封じのため、場合によっては籠池氏の逮捕に踏み切るかもしれません」(三井環氏)
 2014年の都知事選に立候補した田母神俊雄氏は公選法違反容疑で逮捕され、保釈されるまで5カ月以上もかかった。半年近くも籠池氏の口を封じれば国民も疑惑を忘れてしまう。強制捜査のドサクサで加計逃れの国会閉幕、共謀罪成立の横暴もカキ消されかねない。
 安倍官邸の狙い撃ち捜査を許してはダメだ。


支持率急落でついに 「菅vs麻生」の醜い権力闘争が表面化
 世論調査で安倍内閣が軒並み10ポイント近く支持率を落とす中、“ポスト安倍”をめぐり、権力闘争が始まろうとしている。女房役の菅官房長官が「森友問題」と「加計問題」で危機管理能力の欠如を露呈。今後、“陰の総理”の寝首をかこうとする動きが加速しそうだ。
 グラつき始めた安倍政権の中で急速に存在感を増しているのが、副総理でもある麻生財務相。麻生派は7月3日に山東派と谷垣グループの一部を吸収合併し、最大派閥の細田派に次ぐ60人規模の勢力になる段取りとなっている。ますます官邸との関係が微妙になりそうだ。
「麻生氏の新派閥結成はポスト安倍に向けた受け皿づくりが狙いなのは間違いありません。今の安倍政権からはどんな疑惑が出ようが数の力で押し切れるという、おごりが垣間見えます。そうした政権運営に対する世論の反発は強まる一方で、麻生氏に同調する自民党議員が増えそうです。当然、官邸は麻生氏の動向に警戒を強めているはずです」(政治評論家・伊藤達美氏)
■昨年から水面下でツバぜり合い
 麻生氏は官邸の中でも特に菅氏にわだかまりを持っているようだ。昨年の消費税見送り問題やダブル選の方針をめぐり2人は水面下で対立を続けてきた。昨年10月の衆院福岡6区補選で麻生氏の推す候補が、菅氏の推す候補に惨敗。関係悪化がいよいよ決定的となったという。
 その後、麻生氏は表舞台から姿を消していた甘利前経済再生相と神奈川県選出の議員4人を自派閥に入れた。同じ神奈川県を地盤とする菅氏に対する嫌がらせだったようだ。今では2人は“犬猿の間柄”といい、加計学園の疑惑噴出の裏では日本獣医師会会長や文科省とパイプを持つ麻生氏の“黒幕説”も流れた。
「麻生副総理に再登板を狙う気があるかどうかは分かりません。ただ、石破元幹事長や岸田外相がポスト安倍を担うのは時期尚早と考えているフシがうかがえます。安倍政権に万が一のことがあれば当然、自分が動きだすつもりでしょう。無派閥で自前の勢力を持たない菅氏は必然的に権力闘争から取り残されることになります」(伊藤達美氏)
 醜いコップの中の争いには違いないが、強権政治瓦解へのアリの一穴になるのではないかと期待したくなる。


仏マクロン新党の躍進 欧州安定へ改革を着実に
 フランス国民議会(下院)の総選挙でマクロン大統領率いる中道新党「共和国前進」が躍進し、過半数を制した。
 「前進」は約1年前に旗揚げした市民運動を母体としている。政党になったのは、わずか1カ月前の大統領選直後だ。
 経済が低迷するフランスの改革と、欧州連合(EU)の強化を目指すマクロン氏にとって、安定した政権基盤を得た出発点となる。
 ただ、投票率は過去最低の42%台にとどまり、有権者の関心の低さを示した。社会、共和の2大既成政党の退潮が著しかったことの表れであろう。
 マクロン新党が擁立した候補者の約半数は、政治経験のない人々だった。しかも多くは若く、男女ほぼ半々で、学者、医師、女優、五輪選手らもおり、新鮮さが目立った。
 また、選挙に先駆けて起用した閣僚は、共和党からフィリップ首相、社会党からルドリアン外相ら、保革陣営からの引き抜き組が多い。マクロン氏が掲げる「右でも左でもない」超党派のイメージを反映した。
 だが、多くが「政治素人」の上、左右を広範に取り込んだ中道勢力は、同時に、主義主張を巡り分裂する不安をもはらんでいる。
 マクロン氏は欧州で比較的厳しい国内の労働法を改正し、労働市場の自由化を進め、企業活動を促進し失業率の改善を目指す。しかし、労働者の権利意識が強いフランスでは、改革案に労組の反発も予想される。
 フランスは今も失業率が約10%と高く、若年層(25歳未満)は20%以上とされる。雇用状況の悪さは、極右勢力などによる反グローバリズムと反EUの声にもつながってきた。
 マクロン氏は国内で構造改革を進め、フランスを経済的に復活させ、ドイツと並んでEU統合深化をけん引したいところだが、その道のりは容易ではない。
 具体的な成果を上げられなければ、期待は失望にも変わりうる。
 欧州では昨年来、英国がEU離脱を表明し、テロが各地で吹き荒れ、極右勢力の台頭も懸念されるなど、不安定感や不透明感が漂っていた。
 親EUで、国際協調を唱えるマクロン政権には、欧州の安定のためにも改革を着実に進めてほしい。


マクロン派圧勝 「輝き」を取り戻せるか
 仏総選挙でマクロン大統領率いる新党が圧勝したのは、数十年間も経済停滞を打破できなかった既存政治の刷新を国民が求めたからだ。分断が目立つ社会の融和も、新政権の喫緊の課題である。
 「忘れられた人になるリスクをとるか、それとも私に付くか」
 結党からわずか一年余りの新党の圧勝劇は、日本なら「風が吹いた」と見られがちだが、マクロン政権は違った。綿密な戦略で勝つべくして勝ったといわれている。
 凋落(ちょうらく)傾向の社会党の有力議員は、動揺を突いて自党に引き抜いた。共和党に対しては主要閣僚ポストに起用したり、候補者調整を持ち掛けたりして懐柔。「左派でも、右派でもない」の標語通りに支持基盤を広げた。
 とはいえ最大の要因は、この数十年、交互に政権を担った二大政党が経済の低迷から一向に立て直すことができず、若者の四人に一人が失業という事態を常態化させてきたためである。
 終戦後、「栄光の三十年」といわれる高度経済成長のレールを敷いたドゴール氏や、一九八〇〜九〇年代に欧州連合(EU)の基礎を築いたミッテラン氏のような偉大な大統領が率いた時代の輝きは失われたままだ。
 社会保障や労働問題などの古いテーマに拘泥し、移民とテロという難題に翻弄(ほんろう)され、グローバル化と国家主権の相克に立ちすくむ。そのすきに極右勢力の伸長を許した。それが二大政党の姿である。
 マクロン大統領は安定的な政権基盤を手に入れた。パリ郊外に住む幼稚園教諭、ルイーズ・マフディさんは「テロの影響による陰鬱(いんうつ)な雰囲気を変えてほしい。大統領は戦略的で熟考型の交渉術をもち、米独などと渡り合える姿を示した。国際的な地位向上を実現してほしい」と口にした。
 パリの上級会計士、ステファン・ベランジェさんは「経済構造、そしてグローバル化教育を含め欧州統合におけるフランスの役割など古びたものを『現代化』するような改革が必要」と注文した。
 投票率が低く国民の広い支持を得たとはいえないと指摘される。社会の分断を修復し、かつての輝きを取り戻す絵を描けるか。国民の支持はそこにかかっている。


マクロン大統領 欧州安定へ役割発揮を
 フランス国民議会(下院)の総選挙で、5月に就任したばかりのマクロン大統領率いる新党「共和国前進(REM)」のグループが6割の議席を獲得し、圧勝した。
 形の上では、マクロン氏が議会に確固とした足場を築いたといえる。今後はそれを基盤に、欧州連合(EU)の統合強化などの公約を進めていくことになる。
 気になるのは、投票率が42%台と史上最低水準に落ち込んだことである。
 国民は新党を積極的に支持したというよりも、既成政党に任せられない一方、極右にも警戒感を抱く中、消極的な選択をせざるを得なかったとみることもできよう。
 投資銀行出身で、新自由主義的な政策を掲げるマクロン氏に不信感を持つ国民も少なくない。
 英国のEU離脱を控え、欧州でフランスの果たす役割はますます大きくなる。欧州政治を安定させるためにも、マクロン氏は国内でより幅広く、積極的な支持を得る必要がある。
 マクロン氏はもともと議会に足場がなく、総選挙でも当初は新党の苦戦が予想されていた。
 そこで、左右両党の政治家を政権に迎え入れるとともに、米ロ首脳との会談もそつなくこなし、大統領として無難に滑り出した。それが、有権者に一定程度評価されたのだろう。
 半面、社会党系は8割以上、中道・右派連合も約3割の議席を失った。
 新党の躍進は、高い失業率や貧富の格差、テロ対策に有効な処方箋を見いだせない既成政治への異議申し立てともとれる。
 それだけに、マクロン氏が政権基盤を維持できるかどうかは、そうした難題に応えられるかにかかってくる。
 新党の当選議員の多くが政治経験がほとんどない「新人」だ。不慣れな政権が対応を誤れば、一気に失望感が広がる恐れがある。
 マクロン氏の公約である企業の労働時間の延長、公務員の大幅削減など痛みを伴う経済改革にも、労働組合などの抵抗が必至だ。
 マクロン氏にとって、これからがまさに勝負どころである。
 「右でも左でもない」との言葉通り、左右の分断を越えて、指導力を発揮しなければならない。
 マクロン氏は今後、ドイツのメルケル首相と連携を強めていく構えだ。EUの統合を強化して「自国第一主義」や排外主義を押しとどめる力となれるか。マクロン氏は、その重責を担う。


核兵器禁止条約/日本は交渉参加すべきだ
 核兵器を非合法化し、廃絶を目指す史上初の「核兵器禁止条約」制定に向けた2回目の交渉が、ニューヨークの国連本部で始まった。核兵器の非保有国の主導で、会期末の来月7日までに採択される見通しだ。
 核戦争になれば一瞬にして世界を破滅へと導く恐れがある。絶対に許されるものではない。交渉には核保有国などが参加しておらず、効力を疑問視する声がある。とはいえ、制定されれば人類の未来にとって、新しい一歩になるのは間違いない。
 残念なことに日本は、今年3月にあった1回目の交渉に続き、2回目の参加を見送った。広島や長崎の被爆者からは落胆の声が上がる。唯一の被爆国で、国是として「非核」を掲げているにもかかわらず、交渉に全く加わらない姿勢は奇異に映るだろう。「責任放棄」と批判されても仕方がない。
 日本と同様、米国の「核の傘」の下にいる韓国やドイツなども不参加だ。北大西洋条約機構(NATO)加盟国からは唯一、オランダが交渉に加わっている。政府は条約反対の立場を表明しているが、草の根の市民運動で参加を求める署名が集まり、民意に押された形だ。どう対応するのか注目される。
 交渉のたたき台となっている条約草案は核兵器の使用、開発、製造、保有、移転などを禁止した。加えて前文で「核兵器使用の犠牲になった人々(HIBAKUSHA)や、核実験の被害者の苦しみに留意する」との表現で「被爆者」の苦難に言及した。日本にとって大きな意味のある一文だ。
 被爆2世でもある松井一実(かずみ)・広島市長は交渉の会場で、「核廃絶を訴え続けてきた被爆者は存命中に核兵器の禁止を見届けたいとの強い願いを持っている」と演説した。高齢を迎えた被爆者に残された時間は少なく、その訴えは重い。
 トランプ米大統領は核戦力の強化を公言し、北朝鮮は核・ミサイル開発に突き進む。日本を取り巻く安全保障の環境は厳しさを増している。それでも唯一の被爆国として、取るべき道は何かを再考すべきである。
 今からでも交渉の席に着くことだ。保有国と非保有国の「橋渡し」役を果たすためにも。


精神福祉法改正案 差別生むリスク直視を
 監視社会の到来を懸念する声を無視し、「共謀罪」法の採決強行で幕を閉じた通常国会。もう一つの監視法案、精神保健福祉法改正案は継続審議となった。
 相模原市の障害者施設殺傷事件の被告に措置入院歴があったことを受け、患者の退院後の支援を強化する法案。監視強化につながるとして障害者団体などが反対していた。
 だが、反対の声が成立を押しとどめたとは言い難い。加計学園問題の早期幕引きを図る与党が国会会期を延長せず、審議時間を確保できなくなったことが大きい。延長していたら、成立していた可能性は高かっただろう。
 塩崎恭久厚生労働相は16日の会見で「次の国会で速やかに成立するよう努力しないといけない」と述べた。懸念の声を真剣に受け止める努力こそ求められるのに、やはり聞く耳は持っていないようだ。
 結果論にせよ、成立先送りで、法案の問題点を考える時間が生まれた。事件の根底にある差別思想に向き合わず、措置入院制度の見直しで再発を防止するという安直な発想でいいのか。なぜ日本の精神保健医療福祉施策は貧しいのか。考えてほしい。
 参院で先に審議された法案は、異例の経過をたどった。厚労省は当初、法案の目的を「事件の再発防止」と説明文書に記していたが、「精神科医療に犯罪防止を担わせるのはおかしい」と野党から批判され、この記述を削除した。
 そもそも1月、安倍晋三首相は通常国会の施政方針演説で「精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります」と述べた。審議段階で改正の目的を削除しようと、本音は見え透いている。
 治安維持のため精神障害者を隔離する施策は、1900(明治33)年制定の精神病者監護法にさかのぼる。座敷牢(ざしきろう)の悲惨な監禁実態を調査した東京帝大の呉秀三博士は、「精神病者は実にこの病を受けたるの不幸の外に、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし」と嘆いた。
 以来、100年余。地域共生をうたいつつも、なお隔離収容の歴史を乗り越えられないこの国は、さらなる不幸を生んだのではないか。相模原事件の被告の「障害者は不幸をつくることしかできない」との発言に象徴される、極端な差別思想だ。
 今の法案のまま成立すれば、精神障害者全体を危険視する風潮を強めかねない。さらに、精神障害者の幸せを願い、入院形態の別なく支援に奔走している保健師や精神科医らの努力に水を差す恐れもある。法案がさらなる差別を生むリスクを直視すべきだ。


性犯罪厳罰化 「重大犯罪」の認識共有を
 性犯罪は重大犯罪であるということを社会で共有し、撲滅に向けた取り組みを強めたい。
 性犯罪を厳罰化する改正刑法が成立した。強姦(ごうかん)罪の法定刑引き上げや、起訴するのに被害者の告訴が必要となる「親告罪」規定を削除することなどが柱となる。
 強姦は「魂の殺人」ともいわれる。被害者の尊厳を踏みにじり、長期間にわたって心に深い傷を残すからだ。
 ところが性犯罪に関して刑法は、女性に参政権がない明治時代の制定から大きく変更されることがなかった。
 今回の改正で、懲役3年だった強姦罪の下限は5年に引き上げられる。これまで指摘されてきた強盗罪(懲役5年以上)との不均衡がようやく是正された形だ。
 強姦罪の名称も「強制性交等罪」に変更される。被害者に男性も加え、性交に類似する行為を「強姦」とみなす。
 約110年ぶりの大幅改正は、現実に起きている犯罪の実態を考えれば当然の流れだ。むしろ遅すぎたとも言えるだろう。
 厳罰化には被害者らから評価の声がある一方で、構成要件などに関し改善を求める意見もある。
 今回を第一歩とし、さらなる改正へ向けた議論を行い、社会の認識を変えていく必要がある。
 その一つとして挙げられるのが「親告罪」規定の削除だ。
 被害者にとっては、加害者の処罰を求めるかどうかを判断させられることは負担が重い。これが性犯罪が表面化しにくい一因とされてきた。
 親告罪規定がなくなることで、性暴力は被害者の告訴がなくても罪に問えることになる。
 しかし被害者の中には被害を知られたくない人や、誰にも言えずに自分を責めている人も多いといわれている。
 「被害者に問題はなく、加害者は裁かれるべきだ」と誰もが認識し、被害者が声を上げやすい社会を築かなければならない。
 国や自治体には、気軽に相談できる窓口の拡充など、被害者支援の充実を求めたい。
 改正法でも、被害者が13歳以上の場合は暴行や脅迫の要件がなければ加害者を強姦に問えないことが残ったことも課題だ。
 親などの「監護者」は、立場を利用して18歳未満に性的な行為をすれば、暴行や脅迫がなくても罰することができるようになる。
 だがこれは家庭内での性的虐待が念頭にあり、「監護者」は同居していたり、経済的に支えていたりしている人を想定している。
 同じような力関係にある教師や指導者への対象拡大を求める声は強い。検討に値しよう。
 被害者らの「厳罰化だけでは犯罪抑止につながらない」との声にも耳を傾ける必要がある。
 加害者の刑期が延びても、いずれ社会復帰することに変わりはないからだ。
 刑務所では更生プログラムが実施されているが、指導者不足が指摘されるなど体制は十分ではない。加害者の更生に向けた取り組みの充実、強化が求められる。


天下り調査 全容解明なき幕引き許されない
 文部科学省の組織的な天下り問題を受け、内閣人事局が全府省庁を対象に調査した結果を公表した。現役職員による再就職のあっせんなどを禁じる国家公務員法に違反する疑いがある事例が12省庁で27件あった。
 文科省では、約2カ月間の調査で62件の違法事案が見つかった。今回、政府は調査に約半年間もかけたが、違反疑い事例は文科省の半数以下で、違法性の有無の認定は「再就職等監視委員会に委ねる」と丸投げした格好だ。組織的関与は「確認できなかった」としたが、調査に強制力はなく、調べられなかった退職者は800人超もいる。詰めの甘い調査で早々に結論付けたことに疑問が残る。国民の疑念は全く解消されず、かえって不信感を増幅させたと言わざるを得ない。不正の全容を徹底的に解明するよう求めたい。
 公表が国会の会期末間際となったのは、あまりに不自然だ。人事局は作業量が膨大だったためと釈明する。だが「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法や、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り安倍政権への批判が強まる中、さらなる逆風となりかねない調査結果をどさくさに紛れて公表し、批判をかわそうとする狙いがあったのは想像に難くない。問題に正面から向き合おうとしない政権の不誠実な姿勢に強い憤りを覚える。
 関係省庁名や再就職先など各事案の詳細を明らかにしなかったのも疑問だ。山本幸三国家公務員制度担当相は「まだ疑いの段階」として拒んだが、不正を把握した以上は省庁名やあっせんの手口を全て公表し、国民に説明する責任がある。関係者に時間的猶予を与え、証拠隠滅の機会を設けたと受け止められても無理はあるまい。文科省だけを「悪者」にして、幕引きすることは到底許されない。
 既に官僚に対する天下り規制が形骸化しているのは疑いようがない。再発防止策として、再就職届け出制度の見直しや、2008年に設立した再就職あっせんを一元的に担う「官民人材交流センター」のさらなる活用などを盛り込んだとアピールしているが、十分とは言えない。法の抜け穴を狙った逸脱行為に終止符を打つには、罰則を科す仕組みを導入し実効性を高める必要があろう。「天下り根絶」を強調する安倍晋三首相の本気度が問われていると肝に銘じねばなるまい。
 もはや身内による調査には期待できない。文科省の調査では複数の弁護士らが途中から参加し、違反件数の報告が倍増した経緯がある。天下り問題に限らず、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠し問題を見ても、防衛省が3月から特別防衛監察を行っているが、結果の公表時期すら明示しようとしない。政府を普段から監視し、権限を持って調査する第三者機関を設置するべきだ。数々の疑惑や問題を曖昧なままで終わらせてはならない。


暴挙か快挙か…須藤凜々花の「結婚宣言」識者はこう見た
 17日に沖縄で開催された第9回AKB48総選挙。予定されていたビーチでの大イベントが本番前日に悪天候で中止となるなど当初から波乱含みだったが、それを超える超ド級のサプライズは誰にも想像できなかった。
「えっと、私、私、須藤凜々花は結婚します!」
 総選挙で第20位にランクインした須藤凜々花(20)の発言に無観客の公民館が一瞬、凍りついた。司会の徳光和夫アナ(76)が「今、自分が何を言っているかわかりますか?」と問うと、「結婚する気持ちは本気です」――。この前代未聞の結婚宣言の前では指原莉乃(24)の3連覇も、2位渡辺麻友(23)の卒業発表も雲散霧消。それほどの衝撃だった。
 ただ、この身勝手ともいえる発言にファンやAKBのOGたちは猛反発。大島優子(28)は「FUCK」と書かれた帽子をかぶって動画を投稿するなど怒り心頭だが、芸能界に精通する識者の反応もさまざまだ。
 ベテラン芸能記者の青山佳裕氏は言う。
「番組を見て感じたのは、総選挙に出る彼女たちは皆、命を懸けているくらい必死にやっているということ。須藤さんはトップになることはできないにしても、話題でスポーツ紙の1面を取りたかったのではないか。暴挙は暴挙ですが、その願望は成し遂げたわけですから、その意味では満足しているのかもしれません」
「『女』である前に『アイドル』という役割を全うすることを望まれる、須藤さんの不憫さを感じました」と、恋愛ジャーナリストのおおしまりえ氏はこう言う。
「恋愛禁止というルールがあるとはいえ、それはあくまでも暗黙であり、当事者であった元メンバーや現メンバー以外は、批判する資格はありません。それなのに、外野は彼女が『今までのAKBメンバーが守っていたものを壊した』とか『ファンを大事にしていない』と猛烈批判する。その頭ごなしに批判する空気に日本の『個人の幸せより役割を全うすること』を大事にする張り詰めた空気を感じました」
 芸能リポーターの城下尊之氏の見方はこうだ。
「インパクトは強かった。視聴率で見れば、瞬間風速のように上がるのが順位発表の場面でしたけれど、ある意味それを上回る瞬間になった。須藤さんだけで考えたのか、そうじゃなかったのかは分かりませんが、そうした結果も見通してのサプライズであったとすれば、演出として頭が良いと私は思います」
■「壮大なアイドルの実験場」という原点
 作家でアイドル評論家の中森明夫氏は「間違いなく今年の主役は須藤。僕は評価します」とこう総括する。
「そもそもAKBとは何かを考えてほしい。既成の概念にとらわれない壮大なアイドルの実験場だったはずなんです。それがCDを買わせて人気投票を行う総選挙も批判の的だったのが9回目を迎えて当たり前の行事になってしまった。そして指原1強にうんざりしていた閉塞感。それを須藤がぶち壊したことで爽快な風が吹いたのです。ドーム球場でやる野球はそれはそれで快適ですが、天候と同じく予定調和ではなく、思い通りにいかないからこそ人生は面白い。賛否両論、激論を喚起した須藤の行為こそが、これぞAKBという痛快な出来事なのです」
 くしくも今回の総選挙のキャッチコピーは「さあ、革命の時間だ。」。少々デキ過ぎな感もあるが、大きくなった組織の土手っ腹に風穴をあけた革命児が、AKBの体現者であるのは間違いない。


河北抄
 一部の加害者が犯行を繰り返すのだろうか。痴漢に遭ったことのある人がネット上のアンケートでは半数に上るという。未成年も多い。言うまでもなく、意思に反する性的行為は尊厳を踏みにじる卑劣な犯罪だ。逃げ得は許されない。
 痴漢を訴えられた乗客が線路内に立ち入る事件が都心で相次いだ。列車にはねられるなどして命を落とした例もある。真相は分からないが、潔白を主張しつつ逃げるのは、容疑を晴らす難しさや社会的制裁の恐怖が浸透しているからか。
 拘束され、職や人間関係を失う。裁判で真実が明らかにされるとは限らない。人生を棒に振る。ぬれぎぬならば理不尽極まりない話だ。不安は膨らむ。
 世情を反映し、痴漢に間違われたときに弁護士と連絡の取れる保険サービスが人気を呼んでいる。満員電車に揺られる息子や夫の冤罪(えんざい)被害を案じる女性からの問い合わせが増えているそうだ。
 痴漢事件の被害者は男女を問わない。犯行は未然に封じ込めたい。ポスターや車内アナウンスでの警告など、事業者側にできる対策はもっとある。


「寿命の尽きた原発稼動はセウォル号と同じだ」 … 文大統領、国民の生命権強調
発展途上国型エネルギー政策を廃棄
安全・環境にやさしいエネルギーに大転換
大統領府経済首席室が担当していた原発政策
社会首席室との協力課題として担当させる

 19日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「脱原発国家スタート宣言」は、既存のエネルギー政策のパラダイムを根本から変えるという意志の表現だ。安い発電単価と効率性を重視する発展途上国型エネルギー政策から環境と国民の生命権を重視する先進国型清浄エネルギー政策への転換を明らかにしたのである。
 文大統領がこの日、釜山市機張郡(キジャングン)の韓国水力原子力古里(コリ)原子力本部で開かれた古里 1号機永久停止宣言式で発した核心的メッセージは「安全」だ。 文大統領は去年9月に発生した慶州(キョンジュ)の大地震に言及し、韓国がもはや地震安全地帯ではないことを強調した。 特に古里原発から半径30キロメートル以内に382万人の住民が密集して住んでいるという点をあげ、韓国で原発事故が発生した場合、福島よりもっと惨憺たる悲劇が起こり得るという点を力説した。彼が記念演説で「安全な大韓民国はセウォル号の子供達との固い約束だ」として「設計寿命が尽きた原発の稼動を延長することは、船舶運航の船齢を延長したセウォル号と同じだ」と力をこめて言ったのも、このような脈絡だ。文大統領はこれと共に「脱原発は逆うことのできない時代の流れだ。数万年この地で生きて行く私たちの子孫のために、今始めなければならないことだ」と述べ、過去のエネルギー政策に回帰することはできないことを明確にした。
 文大統領のこの日の演説は、大統領選挙候補者時代の公約を具体的に履行する出発点でもある。文大統領は▽新規原発の全面中断および建設計画の白紙化▽設計寿命が尽きた原発は直ちに閉鎖▽新古里5号機, 6号機の工事中断、月城(ウォルソン)1号機閉鎖などを約束したことがある。大統領は昨年末、原発事故を扱った映画『パンドラ』を見た時にも「(古里原発が近くにある) 釜山市民にとっては、枕元にいつ爆発するか分からない爆弾を一つ置いて暮らすようなものだ。パンドラ(原発)の箱を開けてはいけないと言うのではなく、パンドラの箱自体を取り除かねばならない」とも言った。
 ソウル大のユン・スンジン環境大学院教授は「これまで脱原発は研究者がいなくてできなかったのではなく、政府の意志が足りなかったからできなかったのだ」として「新しい政府になり、古里1号機の閉鎖に次いで、今回の演説でエネルギー政策転換を宣言し脱原発の意志を明らかにしたことは大きな意味がある」と評価した。彼はまた「今や具体的に脱原発のロードマップを立てる段階だ」として「先進国はエネルギー電力消費を減らしている。韓国と産業構造が違うので平面的な比較は難しいが、今後私たちもエネルギーの効率的な消費という方向に進むことができるだろう」と付け加えた。
 文在寅政府の脱原発の意志は、これまで大統領府経済首席室傘下の産業政策秘書官が担当していた原発政策を社会首席室の気候環境秘書官との「協力課題」として担当させたことにも表れている。エネルギードリームセンター長出身であり「緑の連合」の創立メンバーでもあるキム・ヘエ気候環境秘書官は、産業資源部で長期間エネルギー政策を担当してきたチェ・ヒボン産業政策秘書官と呼吸を合わせている。与党圏のある関係者は「もともと韓国水力原子力の側では古里1号機閉鎖について (原発の価値を強調する)「美しい退役式」というコンセプトを立てたのだが、大統領府が脱原発・エネルギー政策の転換点という話をすることで全く変わった」として「文大統領は脱原発の意志が固く、長いこと準備もしてきたと聞いている」と言った。
チョン・ユギョン、イ・ジョンエ記者

時間変更はダメ/Wが増えて/赤チェック終了

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Fig49

Japon : impopulaire et accusé de favoritisme, Abe va remanier son gouvernement
Il n’a plus les sondages pour lui. Pour la première fois depuis près de deux ans, le taux de désapprobation du Premier ministre japonais Shinzo Abe dépasse son taux de soutien. Le verdict populaire intervient alors que le chef du gouvernement doit jongler avec les affaires de corruption et un agenda de réformes impopulaires. Va-il avoir une incidence sur le mandat du leader conservateur bien décidé à rester en place jusqu’en 2020 ?
C’est un sondage explosif que révèle le Mainichi aujourd’hui 19 juin. Lors d’une enquête nationale menée ce week-end par le quotidien tokyoïte, 44 % des personnes interrogée ne soutiennent pas la politique du gouvernement contre 36 % de personnes satisfaites. Une première depuis octobre 2015 et le passage d’une nouvelle législation controversée sur la défense nationale. Si les chiffres proposés par l’agence de presse Kyodo ou l’ Asahi Shimbun ne sont pas aussi catastrophiques, la popularité du Premier ministre reste en chute libre. Face à ce camouflet, la presse internationale fait ses pronostics. Selon le quotidien économique nippon Nikkei que cite le Straits Times, un remaniement ministériel devrait avoir lieu en aout ou en septembre. La vieille garde du chef du gouvernement comme Taro Aso qui cumule les fonctions de vice-premier ministre et de ministre des finances ou le secrétaire général du cabinet Yoshihide Suga devrait être épargnée. Néanmoins, pour le Japan Times, l’avenir du ministre des Affaires étrangères Fumio Kishida ou de la ministre de la Défense Tomomi Inada au sein du gouvernement peut être plus incertain.
Si ce sondage fait autant de bruit c’est qu’il constitue un dernier coup de boutoir dans la popularité d’un premier ministre bien écornée ces derniers temps. Déjà accusé en février d’avoir autorisé la vente pour un prix dérisoire d’un terrain à une école privée d’extrême-droite, Shinzo Abe aurait également fait pression pour accélérer les démarches engagées par un de ses amis voulant ouvrir une école vétérinaire. A cela s’ajoute le passage en force d’une loi sur le ≪ crime de conspiration ≫ que beaucoup jugent disproportionnée et liberticide, rappelle Channel News Asia. Pour le Japan Times, la carte du remaniement ministériel est une tentative d’Abe pour redonner du crédit à son administration.
Plus que son bilan politique c’est l’attitude générale du chef du gouvernement qui pose problème. La presse fustige ses manœuvres pour faire passer sa loi sur la conspiration in extremis, en ayant recours au vote en commission plutôt qu’en assemblée plénière. L’éditorialiste Yoshio Yamada n’hésite pas à comparer son intransigeance à un manque de morale. Dans un éditorial, le quotidien Mainichi l’accuse de ne pas avoir prolongé la session parlementaire, qui s’est achevée hier 18 juin, pour empêcher l’opposition d’interroger le gouvernement sur les récents scandales. Il parle même de crise du système parlementaire : ≪ Le Premier ministre n’a certainement pas oublié que les parlementaires de l’opposition aussi sont des représentants du peuples légitimement élus. ≫ L’Asahi quant à lui rappelle au bon souvenir du premier ministre que ≪ l’article 41 de la constitution dispose que la Diète est l’organe suprême du pouvoir de l’É tat. L’article 66 rend le gouvernement responsable des actes de l’administration devant le parlement. ≫ Abe entretient en effet des rapports exécrables avec les élus du parti démocrate progressiste, n’hésitant pas à employer un ton agressif ou ironique lors des questions au gouvernement. Le quotidien japonais rappelle ainsi qu’il y a quelques mois, il a répondu à un parlementaire, questionnant le faible crédit des justifications gouvernementales sur le scandale du Moritomo Gakuen auprès de l’opinion : ≪ Je vous rappelle que le taux de soutien au gouvernement est de 53 %, vous connaissez ceux des libéraux et des démocrates. ≫ Une popularité dans laquelle Abe ne peut désormais plus se draper pour contourner ses opposants.
Par Emeric Des Closières
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金曜日に時間変更の件で相談したのですが連絡がないので,イラッとしています.こちらから電話するとダメとのこと.残念ですが仕方ありません.
夕方はWが増えて少し安心しました.
月曜日は提出物の赤チェックができないのですが,今日は早めに終了できてうれしい気持ちです.

<復興マラソン>再生願い1400人健脚競う
 東日本大震災の支援に感謝し、復興に立ち向かう石巻市の姿を発信する第3回いしのまき復興マラソン(石巻市、市体育協会、河北新報社など主催)が18日、石巻専修大を発着点に行われ、全国から集ったランナー約1400人が健脚を競った。
 ハーフ、10キロ、5キロ、3キロ、2キロの5コースで18種目を実施。開始式でゲストランナーの谷川真理さんが「石巻を満喫してほしい」と激励した後、ハーフの出場者から種目ごとに勢いよくスタートを切った。
 震災から6年3カ月が過ぎた最大被災地は復興の途上で、コース沿いにはプレハブ仮設住宅が立ち並ぶ。ランナーは沿道の声援を浴びながら、力強い走りで被災者にエールを送った。


<復興マラソン>各種目V20人に特製冠
 東日本大震災で被災した石巻市を約1400人が駆けた18日の第3回いしのまき復興マラソンで、オリーブで作った特別な冠が優勝者に贈られた。「復興のシンボル」として、オリーブの北限産地を目指す市の取り組みをPRする初めての試み。2020年の東京五輪・パラリンピックでメダリストにオリーブ冠を贈る構想もあり、関係者は活動をさらに推進する。
 オリーブ冠は直径約30センチ。枝葉を編み込んで輪にし、親子参加を含む18種目の優勝者計20人分を用意した。表彰式で賞状やメダルとともに贈呈。オリーブ冠を頭に載せた受賞者は、写真を撮ってもらうなどして喜んだ。
 2キロの小学1〜3年男子の部で優勝した石巻市大谷地小3年武山徠稀(らいき)君(8)は「頭がちくちくするけれど、うれしい。家に飾りたい」と笑顔を見せた。
 市内のオリーブ栽培は14年7月にスタート。国内最大産地である香川県の生産法人アライオリーブから指導を受け、北上、雄勝、河北、牡鹿の4地区で現在、計約500本が育つ。
 今年1月に市や生産団体、石巻専修大などが産学官連携の石巻市北限オリーブ研究会を設立し、栽培技術の向上を図っている。冠の授与も研究会活動の一環で企画。市内で採れる枝葉の量はまだ少なく、今回は大半をアライオリーブからの支援で賄った。
 研究会会長の阪井聡至・市復興担当審議監は「今回は広く知ってもらうためのチャレンジ。技術向上や栽培規模拡大により、東京五輪でメダリストに冠を贈る夢の実現へ地元の機運を高めたい」と語った。


<復興マラソン>選手力走 声援が後押し
 東日本大震災で被災した石巻市で18日開かれた第3回いしのまき復興マラソン。沿道には地元住民らが集まり、出場者たちに熱い声援を送った。
 5キロ折り返し付近では、南境東部行政区の住民ら約30人が「頑張ってけらいん」と書かれた横断幕を掲げ、選手を激励した。
 3月まで区長を務めた自営業佐々木文雄さん(69)は「震災後は地域の行事が減り、コミュニティー形成がより難しくなった。マラソンはつながりをつくる良い契機になる」と語る。
 同市水明町の無職佐々木秀雄さん(78)は、沖縄県在住の長女の応援に駆け付けた。かつては自身もランナーとして県内外の大会で度々入賞したが、震災後はマラソンから遠ざかっている。「応援していると自分も走りたくなる。約6年分のブランクを取り戻し、来年は出場を目指したい」と意気込んだ。
 大会には、被災地支援に取り組む企業の社員も参加。ソフトバンクCSR統括部の池田昌人統括部長(42)は「温かい声援のおかげでハイペースで走り続けられた。被災地を応援するつもりだったが、こちらが励まされた」と感謝した。
 石巻市の友好都市、中国・温州市からも2人がハーフマラソンに出場。張秀聴さん(47)は「中国では石巻の報道はほとんどないが、復興が進んでいると感じた」と話し、呉建さん(45)は「環境が良く、景色を楽しみながら走ることができた」と喜んでいた。


<復興CSR>起業家精神 変革の鍵
◎トモノミクス 被災地と企業[47]第10部 展開(3)そだてる/人材
 ある日の教材は偉人の伝記だった。自らに置き換え、決断の是非や理由を徹底的に議論する。自分ならどう考え、どう行動するか。正解はない。
 東日本大震災が発生した翌年の2012年4月、仙台市内に「グロービス経営大学院仙台校」が開校した。マーケティング、ファイナンス、人材マネジングなどを実践的に身に付け、経営学修士(MBA)を取得できる。
 「正解を教えてもらう場ではない。答えがない課題を生徒それぞれが互いに考え抜く『スポーツジム』のような鍛錬の場所だ」
 仙台校リーダーの梶屋拓朗さん(36)が説明する。
 総合人材サービス「NEO STAFF」(仙台市)の大矢敦男社長(41)は同校に4年近く在籍した。「なぜ会社を大きくしたいのか、何を大切にしたいのかを考え続け、見えてきた答えが『取引先、従業員、地域のために』だった」
 入校したのは創業8年目の12年。経済団体の勉強会に出席した際、講師を務めた大手企業の社長が言った「若手経営者が復興をけん引すべきだ」という激励が胸にあった。
 本業と雇用で被災地を支援したい。学びの日々を通し、「事業の拡大が、自分ができる復興への貢献だ」と強く認識していく。
 売上高は今、入校前の数倍に拡大した。仙台を拠点に東京や海外への進出を視野に入れる。大矢社長は「いつか仙台を代表する企業に成長し、復興の旗振り役を担いたい」と決意する。
 グロービスは震災前、東京、大阪、名古屋の3校体制だった。仙台進出のきっかけは11年秋、経済人らの議論の中で、堀義人学長(55)が耳にした「東北には起業家精神がない」という一言だった。
 堀学長は震災直後から復興支援策を模索していた。「起業家精神は育てられる」という思いが揺さぶられ、たんかを切った。
 「教育機関がないだけだ。12年中にグロービス仙台校を設立する」
 開校から5年。入校した東北の経営者や会社員らは約200人に上る。被災地でベンチャー事業を興し、地域を活性化させている企業も少なくない。
 堀学長は「経済のダイナミズムを起こす起業家マインドを持った人材の育成が仙台校の役割だ。卒業生たちが本業で地域に関わり、東北の創造と変革を進めてくれると信じている」と期待を込める。
 復興は長い時間軸で進む。被災地の経済が持続し、復興のエンジンであり続けるには、志ある企業人が必要だ。長期的視点で被災地を見つめる経営者の育成。それは被災地の願いであり、復興CSR(企業の社会的責任)の原点になる。


トモノミクス/公益で育むポスト資本主義
 上場企業の2018年3月期の純利益合計が過去最高を更新する見通しになった。絶好調にすら映る経済循環だが、東北ははじき飛ばされているかのようだ。
 日本政策金融公庫仙台支店の調査(1〜3月期)によると、東北の主軸である中小企業の景況感は2期ぶりに悪化した。復興需要の減速や力強さを欠く個人消費が響き、慎重な見方が強まったという。
 気掛かりな数字はほかにもある。宮城県内の16年の労災死傷者数は、雇用のミスマッチに苦しむ建設業を中心に3年ぶりに増加に転じた。
 アベノミクスの恩恵は大都市圏の大企業だけで、地方の中小企業には、一向に滴り落ちていない現実を裏付けている。この著しい格差は今後さらに拡大しそうな気配で、抜き差しならない段階にまで来ているのではないか。
 「企業は社会の公器」と語ったのはパナソニック創業者の松下幸之助だ。戦後の豊かな社会の主役は、常に企業だった。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興で企業が果たす役割は、今なお大きい。
 とはいえ、企業の良心とも言えるCSR(企業の社会的責任)が光を放つほど、その陰も際立つ。
 大手建設会社が福島県内の除染事業で作業員数などを改ざんし、発注自治体に水増し請求していたことが分かった。除染事業を巡っては、幾層もの下請け企業の労働者に対する理不尽な賃金引き下げ、経費削減に伴う過酷な労働環境が指摘されている。
 津波被災地では高台移転先などで投機まがいの土地の争奪戦が起きた。復興マネーに群がるグレーのビジネスは引きも切らない。
 共感なき経済行為の横行。その裏には「ビジネスの唯一の社会的責任は株主利益の最大化だ」という根強い思考がうかがえる。「公器」としての矜持(きょうじ)は感じられない。
 「公益資本主義」という概念がある。企業は株主だけでなく、従業員、消費者、地域へ富を公平に分配し、中長期的な未来を考える経営が結果的に持続的成長につながるという発想だ。
 事業を通じて社会に貢献し、貢献でもうけ、もうけでさらに社会に貢献する。CSRと重なり、「三方よし」「利他」といった公益を大切にする商いの源流に通じる。
 本紙朝刊で1月から連載する「トモノミクス 被災地と企業」は、東北の被災地で復興支援を展開する企業の取り組みを伝えている。
 あくなき利益の追求と一線を画し、本業と社会貢献の親和を目指す活動は、被災地で芽吹いた新たな経済価値と言える。企業と地域が「友」として、「共」に利益を伴う新しい資本主義の姿だ。
 企業と個人が得る充足感、幸福感を等しく最大化していく「トモノミクス」を東北の地から発信し続けたい。


新規原発計画、全面白紙化=福島事故を教訓に−原子力政策転換・韓国大統領
 【ソウル時事】韓国の文在寅大統領は19日、東京電力福島第1原発事故を教訓に、原子力発電に関する政策を全面的に再検討する方針を表明、「新規原発建設計画を全面白紙化し、原発の寿命も延長しない」と述べた。また現在稼働中の原発の安全基準も大幅に強化すると強調した。国民の安全向上を優先課題に掲げる文大統領は、原子力政策の根本的転換に乗り出した。
 大統領は、韓国国内で最も古い釜山市の古里原発1号機の稼働停止に合わせた式典で演説。「(福島の)事故は原発が安全ではなく、低価格でもなく、環境にも優しくないという事実を明確に示した」と指摘した。
 さらに、昨年9月、南東部・慶州で、過去最大規模となるマグニチュード(M)5.8の地震が発生したことに言及、「韓国はもはや、地震の(起きない)安全地帯ではないことを認めなければならない。地震による原発事故は致命的となる」と訴えた。
 特に、韓国では原発周辺に人口密集地があるため、「可能性は極めて低いが、万一原発事故が発生した場合、想像できない被害が出る恐れがある」と警告。「現在稼働中の原発の耐震設計は事故以降、補強されているが、十分かどうかを再度点検する」と約束した。


作業員被ばく事故 もんじゅ廃炉、万全を期せ
 事故は繰り返される。その多くがヒューマンファクター、つまり人的要因である。茨城県の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで起きた作業員被ばく事故はどうだったか。
 「想定外」との声も聞かれるが、明らかにずさんな管理に起因する。同じ核燃料を扱う高速増殖原型炉もんじゅの廃炉作業に影響を与えるのは必至だ。
 事故はセンターの燃料研究棟で発生。プルトニウム酸化物などが入った貯蔵容器を5人の作業員が点検中だった。1人が放射性物質の飛散を防ぐ設備に手を差し入れ、ふたを開けた瞬間、中のビニールバッグが破裂し粉末が飛び散った。
 原子力機構によると、1人の肺から2万2千ベクレルのプルトニウム239が計測された。その後、放射線医学総合研究所はプルトニウムは計測されなかったと発表したが、一部の人からプルトニウムが変化したアメリシウムが計測されている。より詳細な調査を望みたい。
 数日で退院、事故を過小評価する向きもあるが、プルトニウムは長期間アルファ線を出し続けて細胞を傷つける。特に肺がんリスクの高さが懸念される。
 原因究明が本格化する中で、見えてきたのは安全管理を徹底すべき組織体制の弱さ、意識の欠如である。既に廃止が決まっている研究棟で起きたのも偶然ではあるまい。しかも、貯蔵容器に26年間、一度も点検されず放置状態。容器の中には成分不明の物質も入っており、事故の一因になった可能性が出ている。
 原子力規制委員会がこの2月に管理上の改善を求めていたにもかかわらず、適切な対応を怠った。機構側は点検方法を定めた要領もなかったと弁解している。
 規制委の田中俊一委員長は作業の「慣れ」を指摘するが、それこそヒューマンファクターの最たるもの。職員らが装着していた鼻と口を覆う半面マスクにしても、顔をずらせば隙間ができてしまうのだ。
 1999年に茨城県東海村で起きたジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の臨界事故も「モラルハザード(倫理観の欠如)」が指摘された。工場の隅でウラン溶液をバケツで扱い2人が死亡。住民ら663人も被ばくし、国内原子力史上最悪の被害となった。安易な「慣れ」が常態化した違法作業が要因だ。
 原子力機構の事業はなし崩し的に整理、縮小され、所有89施設のうち44施設を廃止する計画だ。士気も低下し、モラルハザードが起きやすい状況といえる。
 廃炉措置が決定したもんじゅは、大量の機器点検漏れや相次ぐ保安規定違反が寿命を縮めた。規制委から「運転する資格がない」と痛罵された原子力機構が廃炉に取り組む。まさに研究開発機関としての存在意義が問われよう。
 地元敦賀市や隣接町などからは廃炉作業での事故を懸念する声が高まる。地元雇用にもつながるだけに、安全管理が生命線である。「マニュアルにない」「想定外」などという言い訳が通用するはずもない。


性犯罪厳罰化法  被害者支援も充実させよ
 性犯罪を厳罰化する改正刑法が成立した。明治時代の1907年に刑法が制定されて以降、初めての抜本的な改正である。7月13日に施行される見通しだ。
 改正法の柱の一つは、刑事事件として公にするかどうかの判断を被害者に委ねていた「親告罪」規定を削除したことだ。これにより、性犯罪の被害者がさまざまな理由で告訴に踏み切れず、泣き寝入りしていたケースでも、検察官の判断で起訴できるようになった。
 改正内容を施行前の事件にさかのぼって原則適用するとした点も、被害者の精神的な負担の軽減や、性犯罪を潜在化させない上で必要不可欠な措置だろう。
 性犯罪は、長期間にわたり被害者の心と体に傷を残す極めて悪質な犯罪である。にもかかわらず与党は、改正刑法より2週間遅く国会に提出された「共謀罪」法を先に審議入りさせた。
 改正法は、強姦(ごうかん)罪の成立に必要な暴行や脅迫の要件を維持している。これに対し、被害者の支援団体などは「軽い程度の暴行や脅迫しかないケースでは、意に反する性交でも罪にならない」として要件の撤廃を求めている。
 国会でしっかりと審議すべき論点は多かった。国民生活に密接に関わる改正刑法の審議入りを後回しにした与党の責任は重い。
 家庭内の性的虐待を巡っては、親などの「監護者」が影響力を利用して18歳未満の者に性的な行為をすれば、暴行や虐待がなくても罰する規定を新たに設けた。
 これまで児童福祉法といった比較的軽い刑罰で対応せざるを得なかっただけに、大きな前進だろう。
 ただ、肝心の「監護者」に教員やスポーツ教室のコーチなどが含まれておらず、現実を反映したものではないとの指摘がある。改正法の付則には、施行後3年ごとの見直し規定が明記されている。どの範囲までを監護者とするのが適正か、政府は引き続き検討してもらいたい。
 現行刑法が女性に限定している被害者に、男性を含めた上で、性交類似行為も強姦の対象となる。性犯罪の実態を考えれば当然の流れであり、もっと早く見直すことができなかったか。
 厳罰化に関しては、法定刑の下限を「懲役3年」から、殺人と同等の「5年」に引き上げた。とはいえ、厳罰化だけで性犯罪が撲滅できるとは言い難い。
 加害者は刑期を終えると社会に復帰する。しかし、刑務所で行われる更生プログラムの指導者不足が指摘されるなど、体制は十分でない。再犯防止に向けた取り組みの強化は重要課題だ。
 改正法の付帯決議に盛り込まれた通り、被害者支援の体制も充実させなければならない。国などの関係機関は、市民への啓発活動や学校での性暴力防止教育などに努める必要がある。


[性犯罪厳罰化]声を上げられる社会に
 性犯罪を厳罰化する改正刑法が成立した。
 明治時代に制定されて以来約110年ぶりとなる大改正に盛り込まれたのは、人間の尊厳に対する罪の重さである。
 改正の柱は、強姦(ごうかん)罪の名称を「強制性交等罪」に変え、法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げたことだ。被害者の告訴が起訴の条件となる「親告罪」規定や「加害者は男性、被害者は女性」といった性別規定も撤廃された。
 「魂の殺人」と言われながら現行の強姦罪は強盗罪の懲役5年以上より軽く、不均衡だとの指摘が以前からあった。心身ともに深い傷を負い、その影響が長期に及ぶことを考えれば当然の流れである。
 告訴がなくても加害者を起訴できる非親告罪化は、被害の潜在化を防ぐ狙いがある。実際、性犯罪被害の申告率は2割に満たず、周囲の目を気にして沈黙を強いられている人が多い。被害の潜在化は、被害の継続と新たな被害を生むことにもつながりかねない。
 今回の改正では男性の被害に加え、年少者の被害という実態も重く見ている。
 家庭内の性的虐待の加害者の多くは親など「監護者」の立場にある人だ。
 新設された「監護者わいせつ罪」「監護者性交等罪」は、監護者が立場を利用して18歳未満の者に性的な行為をした場合、「暴行や脅迫」がなくても適用される。
 自ら訴えることが難しい子どもの被害を救い上げる確実な一歩としたい。
■    ■
 積み残された課題もある。
 監護者が加害者のケースと違い、強制性交等罪には暴行や脅迫の要件が残された。被害者が抵抗できないよう暴行や脅迫を受けた場合でなければ罪に問えないのである。
 突然の出来事に「恐怖で抵抗できなかった」という人も少なくないが、被害者は強く抵抗すべきという偏見がまだあるのだろうか。だとしたら被害者が泣き寝入りするケースはなくならない。 
 子どもへの性的虐待は、監護者と同じような力関係にある教師やスポーツ指導者にも起こりうることが指摘されている。
 被害を訴えることができない間に時効が成立してしまうなど、公訴時効の規定が残されたのも懸念材料だ。
 付則には施行3年後の見直しが盛り込まれており、要件緩和や対象拡大は次の大きな論点となる。
■    ■
 1世紀以上も変えられなかった刑法を動かしたのは、つらい体験を実名で語り、性暴力撲滅を訴えてきた被害者たちだ。
 同じ思いをする人を少しでも減らしたいと、訴え出やすい環境を整える活動を続けてきたのである。
 「被害者は悪くない。裁かれるのは加害者」という認識を社会全体で共有していくためにも、性暴力被害への理解が欠かせない。
 声を上げやすくする仕組みづくりには、ワンストップ支援センターの充実など被害者ケアも同時に進めていく必要がある。


性犯罪厳罰化 社会の意識も変えよう<
> 性犯罪を厳罰化する改正刑法が国会で成立した。起訴に被害者の告訴が必要となる「親告罪」規定の削除や、親などの「監護者」による罪の新設が柱である。性犯罪に関する刑法の大改正は明治期の制定以来ほぼ110年ぶりで、性犯罪一掃へ確かな一歩には違いない。
 しかし被害者側が改正を強く望んだものの、先送りされた課題もある。付則には施行3年後の見直し規定が盛り込まれており今回がゴールではない。
 性犯罪は「魂の殺人」と呼ぶ被害者もいるほど、重大な人権侵害である。被害者が自尊心を取り戻せるよう、そしてその手助けができるよう、厳罰化と合わせて、私たちの社会の意識も変わらなければなるまい。
 法改正では、強姦(ごうかん)罪の名称を「強制性交等罪」に変更し、女性に限定されていた被害者に男性を含め、法定刑の下限も懲役3年から5年に引き上げた。男性の被害実態を社会が理解する転機になろう。被害者の心身に深刻な傷痕を残す性犯罪の罪が軽いのではないか、という指摘は根強くあり、法定刑の下限の引き上げもうなずけよう。
 親告罪の規定をなくしたのは画期的だ。従来は事件にするかどうかを被害者の判断に委ねていた。そのため加害者側から告訴取り下げを迫られるケースもある。今のままでは被害者の心理的負担が大きく、本来罪に問われるべき加害者が起訴されなければ、新たな被害者を生むことにもつながりかねない。
 ただ起訴を望まない被害者もいよう。今後も被害者の事情が配慮されなければならないということは言うまでもない。
 もう一つ、家庭内の性的虐待を念頭に、親などが立場を利用して18歳未満の者に性的行為をした場合適用する「監護者わいせつ罪」と「監護者性交等罪」が新設されたことも、評価できよう。「暴行や脅迫」がなくても起訴できるのが特徴だ。
 一つ屋根の下、子どもには声を上げることができない。自分に何が起きているかも分からず誰にも言えない。あらがえない人間関係の中で人知れず悩んできた被害者も少なくない。
 一方、同居していたり経済的に支えていたりする人を想定した「監護者」の範囲は狭すぎる、という指摘もある。教員やスポーツ教室のコーチなどは対象ではない。被害者側の意見を丁寧に聞き、3年後には見直しを検討すべきではないか。
 また、強制性交等罪には被害者が抵抗できないほどの「暴行や脅迫」が成立要件だ。だがこれも、恐怖で体が動かない、頭の中が真っ白になる、といった状況に追い込まれて抵抗できないケースはどうみるのか、という疑問があろう。懸案として指摘しておかねばなるまい。
 今国会では2週間遅く提出された「共謀罪」法を先に審議入りさせたため、改正刑法が衆院本会議で審議入りしたのは今月2日だった。このため審議時間は計12時間40分にとどまった。法案の重みを思えば、与党の対応に首をかしげたくなる。
 とはいえ、法改正が日本社会への強いメッセージになることは間違いない。法改正に合わせて、今後は相談窓口を充実させるなど、被害者支援を強化し、声を上げた被害者、声を上げようとする被害者をサポートしていかなければならない。


安倍政権に“96億円カツアゲ”された今治市、地元住民の声【加計学園問題】
 愛媛県今治市の加計学園獣医学部新設で、「総理の意向」が働いたかどうかが大問題になっている。その「意向」は文科省だけでなく現地にも及んでいた!? 地元住民を直撃、その声をリポート。
貧乏自治体にお金を出させて、国は1円も出してくれない!?
 今治市は愛媛県北東部、瀬戸内海に面した人口約16万人の都市。陸部と島嶼部をつなぐ「しまなみ海道」はサイクリングの聖地としても知られる。そんなのどかな地方都市が今、加計学園問題に揺れている。
「加計学園問題は、国による地方の“カツアゲ”です!」
 そう憤るのは、今治市民で「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の黒川敦彦氏。
「国がお金を出して獣医学部をつくってくれると勘違いしている今治市民もいます。でも実は、国は1円も出してくれないんです。今治市は今年3月に37億円相当の土地を加計学園に無償譲渡し、さらに最大で約96億円、つまり獣医学部建設費の半額を税金から拠出することになっています。これは市の歳出の12%にも当たります」
 今治市の財政状況は全国でも最低レベルで、本来は財政健全化に注力しなければならない状況なのだという。
「今治市の試算では、獣医学部誘致によって年間3000万円の税収増が見込めるというのですが、これでは元が取れるまで320年もかかってしまいます。私たちは、千葉県銚子市と同じような状況になることを危惧しています。銚子市の財政は破綻寸前ですが、その大きな原因となったのが、加計学園系列の千葉科学大学を設立するための補助金支払いでした」(黒川氏)
 千葉科学大学建設による銚子市の税収増は、水道利用料などの財政効果が年間2億6000万円ほど。一方、建設費支払いのための地方債負担は年間4億6000万円で、年間2億円の負債を20年間分増やす要因になった。
「結局、銚子市は千葉科学大学のために77億5000万円を投じたあげく、40億円も赤字を増やして財政破綻寸前まで追い詰められました。同じことが今治市でも起きない保証はありません」(同)
 先月、「今治加計獣医学部問題を考える会」では今治市民を対象とした電話世論調査を行った。その結果、莫大な市税を大学誘致に使うことに疑問や不安の声が多かったという。
「『大学の誘致より住民のために市税を使ってほしい』という意見が全体の62%、『多額の市税を誘致に使うことに不安』という意見は80%に上りました」(同)
 すでに今治市の財政は逼迫していて、多くの行政サービスが十分に提供できていない状況だ。例えば、地元商工会が求めている「しまなみ海道での自転車レース」も、わずか数十万円の予算が確保できずに開催できていない。子供の医療費補助もなく、生活保護申請も水際で拒否されるケースが多発している。
「先日も老夫婦が生活苦から無理心中するという事件が起きました。それなのに、加計学園のためには土地の無償提供を含めて100億円以上をポンと出すなんて、到底納得がいきません。どうせ税金を使うなら、もっと地元のために使うべきです。例えば、島嶼部の人々は病院などに通うために陸部に来ると、橋の通行料を往復で3000円近くも取られるんです。生活に不可欠な道路なのですから、通行料への補助を行ったほうがよっぽど住民のためになります」(同)
「安部総理がやってくれる」という言葉で市長が説得!?
 そんな逼迫した財政状況のなか、事業の見通しの詳細や、地元議会や住民などへの説明が置き去りにされ、獣医学部の建設だけが急ピッチで進められている。その背景には、「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」といった圧力が、文科省だけでなく今治市に対してもあったのではないか?との疑問が上がっている。というのは、流出したとされる文科省の内部文書だけでなく、今治市側の資料にもそれが散見されるのだ。
 例えば、昨年9月26日付の今治市国家戦略特区特別委員会の議事録には、「平成30年4月の開学」を急かす内閣府の意向を受けて、同市企画課の課長が「スピード感を持って臨んでまいりたい」と発言した記録がある。
 さらに、菅良二・今治市長は自身の支持者や市議会議員に「加計学園のことは安倍総理が全部やってくれる、地元が口をはさむ余地はない」と説明していたという。
 菅市長をよく知る後援会関係者はこう証言する。
「市長が件の発言をするようになったのは、昨年の秋頃からだったと思います。国家戦略特区の公募は今年1月でしたから、その前に決まっていた可能性が高い。昨年10月には、まだ事業者に認定されていないのに、市有地でボーリング調査を行っています。“出来レース”と言われたら、そうなのかもしれませんね。菅市長も73歳と高齢で、次の市長選には出ないでしょうから、最後に実績を残したかったのかもしれません」(A氏)
 この発言について記者が問い合わせたところ、市長は「そういった発言をしたことはございません」と否定。
 しかし、今治市政関係者のB氏も「そうした発言を市長がしていたということは、私も聞いています」と語る。
「私だけでなく、地元議員など複数の人がその発言を聞いています。市側にとってもほとんど情報もなく、不安の多い獣医学部新設を説得するためには『安倍首相がやってくれる』としか言うことができなかったのだと思います」
なぜ獣医学部なのか……住民には何の説明もなし
 獣医学部設立をめぐる説明不足も不安を招いている。B氏は「大学誘致自体は、今治市政が長年取り組んできたことです。でも、獣医学部設立が果たして今治市のためになるかどうか……」と表情を曇らせた。
「内閣府とともに加計学園建設を進めている今治市の企画財政部は、『年間20億円の経済効果がある』などと発表していますが、加計学園の具体的な事業計画については、市の担当者も実はよく知らないのです。市議会にもまったく説明がありません。獣医学部建設での建築の見積もりや図面も提出されていない。『世界でも先駆的な獣医学部をつくる』という話なのですが、教授陣すら誰であるかもわからない状況です。他大学をリタイアした先生や、まだ経験の浅い若手の先生が来るとも聞いていますが、詳しいことは知らされていません」
 今治市出身の愛媛県議である福田剛氏も説明不足を指摘する。
「加計学園の獣医学部設立については、愛媛県も最大で約30億円を支出するという話がまことしやかに流れていますが、県の地域振興課に問い合わせても『今治市からそうした要請は今のところ来ていない』とのことです。我々のまったく知らないところで、話がどんどん進んでいるようです」
 おそらく、国家戦略特区での他の大学設置の事例と同様に、市や県で共同負担をするというプランを国がトップダウンで決めてくるというやり方なのだろう。
「県議会にろくに説明もしないまま建設だけが進むというのは、いかがなものかと思います。昨年11月に、菅良二・今治市長に県議らが呼ばれ『加計学園についてよろしくね』とは言われましたが、それ以降は連絡なしです」(福田氏)
 さらに地元では「そもそも、なぜ獣医学部なのか」という疑問の声も上がっている。
「今治市周辺は牧場などが少なく、むしろ造船や繊維など、全国有数の工業地域です。工科大学ができるなら地元にも大きなメリットがあると思うのですが……。獣医学部では学生が集まるのかどうかの見通しもなく、卒業したとしても就職口がないので外に出ていってしまいます。やはり『加計ありき』ということで獣医学部だったのかもしれません」(同)
 前出の黒川氏も呆れ顔でこう語る。「市民に対する説明会が行われたのは、今年4月に入ってから。そのときはもうすでに学校建設が始まっていました。『なぜもっと早く説明会をしなかったんだ』と、多くの市民が疑問に思っています。民進党の調査チームが5月19日に今治市に来た際も、市の担当部署は聞き取りのための面会を拒否。建設現場の職員にも、『敷地の中には一歩たりとも入れるな』と上から指示が出ていたそうです」。
 さらに地元住民たちにとっては、獣医学部の「最先端研究」も不安材料の一つだと黒川氏は言う。
「バイオラボではウイルスや病原菌の研究を行うという話です。『バイオセーフティレベル3』という、最高レベルのひとつ下、例えばSARSなどかなり危険な病原菌を扱う施設になるそうです。それについても地域住民にはほとんど説明がなく、市議会でもこの問題はたった2分しか語られませんでした」
 国会だけでなく、建設地でも異論・不満が高まりつつある加計学園問題。自身の「意向」が、安倍総理の首を絞めることになりそうだ。 取材・文/志葉 玲 横田 一


本日会見、安倍首相にだまされるな! 加計、森友、共謀罪から学歴詐称まで安倍はこれだけウソをついてきた!
 週末の各社世論調査で、安倍内閣の支持率が軒並み急落している。政権御用新聞の読売新聞ですら12ポイント減の49%と過半数割れ。毎日新聞は36%、日本テレビは39.8%と30%台にまで落ち込んでいる。
 支持できない理由としては、各社共通して「安倍首相の人柄を信用できない」というもの。加計学園問題の説明については、8〜9割の人が納得できないとしている。
 それも当たり前だろう。加計問題も、森友問題も、疑惑が一層深まるなかなんらまともな説明もしないまま、委員会採決をすっ飛ばしいきなり本会議採決で共謀罪を強行成立させてしまうというとんでもない横暴な手段まで用い、国会を閉じて幕引き、逃げ切りをはかった安倍首相。
 安倍首相は本日夕方、記者会見を開き説明するというが、真摯に説明する気があるならば、国会会期を延長し、前川喜平・前文科省事務次官をはじめ関係者を国会に招致し、自らも集中審議に応じればいい。それをせず、自分の都合のいい話を一方的にできる会見での説明という時点で、疑惑解明に本気で取り組む気などさらさらないことがわかる。
 記者たちには菅義偉官房長官の会見で食い下がった東京新聞の望月衣塑子記者のような追及をしてほしいところだが、安倍首相が例によって「岩盤規制に穴を開けようとしただけ」などとウソを垂れ流し詭弁を弄するだけなのは、火を見るより明らかだ。
 今国会では、自分に都合の悪いところを突かれるたびに、安倍首相が「印象操作」と相手を攻撃する場面が話題になったが、これまで数々のウソ、二枚舌、詭弁、論点スリカエ、捏造、デマで「印象操作」を繰り返してきたのは、当の安倍首相のほうだ。まさに“息するように嘘をつく”その大嘘つきぶりは、もはや病的と言わざるをえない。
 本日の会見で安倍首相は、いったい、どんなウソ、詭弁、ごまかしを吐くのか。


高知県大川村 「総会検討」重い問いかけ
 離島を除き日本で一番人口の少ない村の投じた一石は、地方自治のあるべき姿を考える重い問いかけとなっている。
 人口約400人の高知県大川村が、議会に代わって全有権者が直接、予算案などを審議する「村総会」の設置検討を始めた。
 過疎、高齢化が進み、議員のなり手が不足し、議会が成り立たなくなる懸念があるためだ。
 和田知士村長の真の狙いは住民に村政、議会への関心を持ってもらい、なり手を増やし議会の存続を図ることにある。
 議会維持を最優先し、そのための課題を洗い出し、年明けに結果を村民に示す。それでも村民の関心が薄いようであれば総会の検討に入るとの位置付けだ。
 大川村は愛媛県境の山あいにあり、1960年ごろには4千人余が住んだが、鉱山の閉鎖や中心地がダムで水没するなどして人口は10分の1に減少した。村民の約45%が65歳以上と高齢化が進む。
 村議会の定数は減り続け、現在は6だ。2年前の村議選は引退予定の現職が後継を見つけられず出馬し、無投票になった。平均年齢は71歳。75歳以上が半数いて、近い時期の引退が予想される。
 後継がおらず、2人以上の欠員が出れば再選挙となり、繰り返せば村政が混乱するというのが和田村長の最大の懸念であり、総会検討の動機となった。
 地方自治法では町村は議会をなくし、総会を設置できると規定する。しかしこれまで設置したのは1950年代に東京都の離島にあった旧宇都木村の1例だけだ。
 約350人の有権者を一堂に会することや、どう議案を審議し、採決するかなどさまざまな困難が予測され、ハードルは高い。
 議員の担い手不足はどの自治体でも少なからずあるのが現状だ。理由には兼職兼業の問題や、議員報酬の低さが挙げられる。
 同じ悩みを抱える全国の過疎の自治体の中には、報酬の引き上げや夜間議会の開催など対策を講じる動きがある。
 北海道浦幌町議会は本業を持つ人が議員と兼職しやすくする休職制度の創設を国に要望している。
 人口約370人の粟島浦村はじめ本県など地方は過疎、高齢化が止まらない。国も協力し、こうした取り組みを一層進めるべきだ。
 和田村長は今月の議会で「行政にも議会にも村民の関心が薄れてきている」「誰かに任せていれば誰かがしてくれる。そんな空気を感じる」と述べた。
 議会維持へ住民の自治意識の高まりを期待する。
 地方自治法は日本国憲法と同じ日に施行され、70年の節目を迎えた。憲法が定めた二元代表制に基づき、首長と議員を選び、行政を議会がチェックする仕組みで、住む地方を自分たちで治める。
 ところが過疎、高齢化に加え、議会の形骸化、議員と有権者の対話不足などが重なり、仕組みは揺らいでいる。
 大川村の危機は人ごとでない。行政、議会、有権者が改めて地方自治の大切さを認識し、その原点に戻る努力を続ける必要がある。


高知で「村総会」検討 地方自治を考える契機にしたい
 過疎化が著しい高知県大川村が、地方自治に一石を投じた。議員のなり手不足を背景に、定数6の村議会に代わり、村民が予算などの議案を直接審議する「村総会」設置の検討を本格化させている。愛媛県でも、議会のあり方や住民の地方自治参加を考えるきっかけにしたい。
 首長と議会が抑制、均衡し合う二元代表制の地方自治で、議会が機能しない状況はあってはならない。和田知士村長は「議会の維持が大前提」としつつ、次の2019年村議選で候補者がそろわないことを懸念する。議会維持と並行した総会設置の検討は、現実的な選択肢だ。
 新居浜市などと接する大川村は人口約400人。公選法は欠員が6分の1を超えた場合、欠員分を補う再選挙実施を規定しており、大川村は欠員が2人以上なら再選挙となる。
 議員のなり手確保は難しい。村民の45%が65歳以上。高知県で最低の報酬月額16万円を、全国の町村議平均21万円にしても議員職だけでは生活が厳しい。議会の夜間・休日開催、職場の休職制度など、兼業議員が出席しやすい方法も検討事項だ。
 一方で、総会の運営も解決すべき課題が多い。地方自治法は「町村の議会に関する規定を準用」とするのみで、詳細の決まりはない。総会成立は有権者約350人の半数の出席が必要。村民は審議のため、専門的な知識を習得しなければならない。
 専門家には「住民に政治参加の機運が高まる」との期待がある。しかし、住民が審議を担えないと、首長による独走状態になりかねない。
 実際の運営は、村任せではなく国や県の支援が必要だ。総務省は来月、有識者検討会を設置する。各地の実態を踏まえ、総会の運営方法、効果的な議員のなり手確保策などを打ち出す責務がある。本業と議員とを兼業しやすくする方策、雇用創出策などを大川村と共同で協議する高知県の役割も大きい。
 町村議のなり手不足は全国共通で、15年統一地方では24%が無投票だった。愛媛の9町議会では、それぞれの直近選挙で無投票は15年の松前町だけだったが、特に過疎町村では今後、候補者不足が深刻度を増すのは間違いない。
 04年に合併で上島町になった旧魚島村は当時、人口約280人。定数6だった村議選は合併前、無投票が続いたが、最後の村長の佐伯真登さんは「対立を避けるためで、なり手がいなかったわけではない」とし、大川村について「現実的に総会運営は困難だろう。候補が少ないのは報酬の問題ではない。郷土愛の強い人に立候補を働き掛けることが大切だ」と述べる。
 地方議会に対し、首長へのチェック機能を果たしていないとの批判は強く、近年は政務活動費不正問題もあって、厳しい視線が向けられている。大川村の問題提起をきっかけに、議会改革や機能強化につなげていかなければならない。


【天下り調査】逃げ切りは許されない
 内閣人事局が全府省庁を対象に実施していた天下り調査の結果を公表した。違法性が疑われる事例は27件あり、少なくとも12省庁が関係しているという。
 文部科学省の天下り問題を受け、ことし1月から調査に入っていた。決して少なくない数だ。国民につまびらかにし、国会でも論議が不可欠であろう。
 しかし、政府の対応は理解に苦しむ。違法性の有無の認定を第三者機関である「再就職等監視委員会」に委ねることを理由に、報告書には職員名や再就職先はおろか省庁名や違反の概要も記さなかった。
 それでいて文科省のような組織的な違反事案は「確認できなかった」とした。報告書からはその根拠を見いだすことはできない。
 公表のタイミングも疑問だ。国会会期末を目前にした15日となり、「共謀罪」法を強引に成立させ、文科省が「加計(かけ)学園」文書の再調査結果を発表した日と重なった。
 政権にとって逆風になりかねない問題の調査結果を会期ぎりぎりまで延ばし、どさくさに紛れるようにして発表したとの批判は免れまい。
 発表した山本国家公務員制度担当相は地方創生担当相も兼ね、加計学園の獣医学部新設計画にも関係しているからなおさらである。問題に真摯(しんし)に向き合わず、逃げ切ろうという政権の姿勢が明らかだ。
 調査は、外部弁護士を含む計41人のチームを編成して当たってきた。現行の再就職規制になって以降、企業などに再就職したOB約6400人を対象に書面で行い、府省庁の現役幹部や人事担当者からも聞き取りをしたという。
 その結果、再就職に現職職員が関与した疑いが25件、在職中に求職活動を開始した例が2件あった。
 文科省の天下り問題では、最終的に62件の違法事案が確認された。関係者が処分され、事務次官も辞職した。他の府省庁でも早急な実態把握が必然だった。
 だからこそ人事局は態勢を整えて調査してきた。違反の疑いがある事例を把握した以上、省庁名や個別の概要など国民の疑念に一定応える報告書とすべきだった。文科省の対応と比べ、甘さを指摘する声が出るのは当然だ。
 しかも、回答が得られなかった退職者が1割以上いた。再就職の届け出漏れが多数あることも分かった。調査の限界を示しており、信頼性も問われよう。
 報告書では、違反の疑いが確認されたことを受け、再発防止策も挙げた。再就職に至る詳細な経緯を届け出る制度に改めることや、監視委の体制強化などだ。
 重要ではあるが、肝心な部分は伏せたり、監視委に丸投げしたりしておきながら、再発防止策は掲げるという姿勢は素直に評価することが難しい。
 国会でも検証を急ぐべきだ。加計学園問題と同様、曖昧なままの幕引きは認められない。


河北春秋
 「たばこをやめてほしい」−。子どもにそう頼まれたら、親はさすがに禁煙に努めるらしい。東松島市大曲小学校で児童が親に禁煙を勧めたら、うち2割の親が喫煙をやめたという。自ら禁煙を決意した人の成功率は5%というから、率はかなり高い▼石巻市の石巻赤十字病院の矢内勝副院長から聞いた話である。同病院は「防煙教育」に力を入れる。小中高校でたばこの害を教え、将来たばこを吸わないよう説いている。子どもに限らず、大曲小のように親への効果も出ている▼「授業では喫煙者を悪者にしない」と矢内副院長は語る。父母や祖父母の世代はニコチン依存症などの情報を知らず、知らぬ間に依存症になった人が多い。「被害者だ」と伝えている▼他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙を巡り、厚生労働省が提案した飲食店の原則禁煙に自民党が激しく反対。対策を強化する健康増進法改正案は18日閉会した国会に提出されなかった。喫煙者が広げる被害には、やはり規制が必要ではないか▼飲食店での禁煙は今や、世界の趨勢(すうせい)だ。自民党は「2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて」と「共謀罪」法を強引に成立させたのに、同じ理由で規制を図る飲食店禁煙には腰が引けている。自民党議員にこそ、防煙教育が必要なようだ。

河北抄
 きょうは小説家太宰治をしのぶ「桜桃忌」だ。亡くなったのは昭和23(1948)年。死の1カ月ほど前に発表され、忌日名ともなった短編の一節だ。「蔓(つる)を糸でつないで、首にかけると、桜桃は、珊瑚(さんご)の首飾りのように見えるだろう」
 分かるのは、この赤い実が美しく高価なことか。山形県内でも戦時中にサクランボの木は切り倒され、豆や麦が植えられたというから、戦後間もないころは高根の花だったに違いない。
 今の時季、仙台圏の市民にとってその存在は金銭的にではなく、時間距離的にちょっぴり遠いかも。国道48号の「サクランボ狩り渋滞」である。7月初めまでの土・日曜は、行きも帰りも最大で各1時間前後、余計にかかる。
 渋滞は、仙山交流の太さを表すとしても快適に移動し楽しめてこその観光だ。
 渋滞緩和へ「早朝の出発を」「有料でも山形道の利用を」などと関係機関は呼び掛ける。午前の早い時間のサクランボ園入園料を割り引くなどして車の分散化に取り組むのは東根、天童両市。「となりまち」の知恵と努力には頭が下がる。

父を思い出して/休日出勤だけど逃避

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Japon : les disparus trouvés morts dans le destroyer inondé
Les corps des marins américains disparus dans une collision nocturne de leur destroyer avec un cargo au Japon ont été retrouvés dimanche dans des espaces de couchage envahis par les eaux, a annoncé dimanche la marine américaine.
Sept membres de l'équipage de l'USS Fitzgerald étaient portés disparus depuis plus de 24 heures, après un violent choc survenu au large de la côte pacifique de l'archipel nippon samedi matin avec un porte-conteneurs beaucoup plus massif.
"La recherche et les secours sont terminés", a déclaré au cours d'une conférence de presse le vice-amiral Joseph Aucoin, commandant de la 7e Flotte.
Celle-ci avait annoncé dans la matinée de dimanche qu'un "certain nombre" de ses hommes avaient été retrouvés.
"Les marins ont été découverts décédés par des plongeurs", avait déclaré séparément le commandement des forces navales sur son compte Twitter.
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明日へつなげよう 復興サポート▽温かな手と手をつないで〜熊本・益城町Part2
熊本地震で大きな被害を受けた益城町東無田集落。住民の多くは仮設住宅に移ったが、入居期限はあと1年ほど。住民は自宅を自力再建するか、災害公営住宅かを選ぶことになる。しかし災害公営住宅がどこに建てられるか分からず不安を抱えている。番組では、東日本大震災の復興を手がけた専門家を招き、公園や集会所の配置など、今後どんな集落を作っていくのか、農業などなりわいをどう再生するか、住民や支援者、行政が話しあう。
民俗研究家…結城登美雄,東京大学大学院工学系研究科教授…石川幹子, 後藤千恵, 濱中博久

NNNドキュメント わたしは、LGBT
同性愛者や心と体の性が一致しないトランスジェンダーといった性的少数者を表す「LGBT」。13人に1人が該当するとの調査結果もある。今年度から高校の教科書にLGBTが初めて取り上げられるなど、取り巻く環境も変わりつつある。偏見を無くす活動を続けるレズビアン女性、家族との関係や自身の将来に悩むトランスジェンダーの大学院生。そして、性転換し教壇に立つ小学校教諭。地方で生きるLGBTの等身大の姿を伝える。
YOU  山形放送

モヤモヤさまぁ〜ず2「パリ」
シャンゼリゼ通りでアビーロード?▼爆笑開発!トリュフバーガー▼遊園地博物館で恐怖体験▼パリで絶品ラーメン発見▼パリNo.1クロワッサンに興奮▼三村inエッフェル塔
さまぁ〜ずと福田アナが色々な街や国をただブラブラする世界一ドイヒーな番組。
 さまぁ〜ず(大竹一樹、三村マサカズ)  福田典子(テレビ東京アナウンサー)
http://www.tv-tokyo.co.jp/samaazu2/

サイエンスZERO「最新報告!探査機ジュノーが明かす木星の謎
5月26日、NASAの木星探査機「ジュノー」の最新情報が発表され、大きな注目を集めている。木星の大迫力の画像が公開されたほか、特に注目されるのは木星の内部構造についての驚きの情報。巨大でゆるやかな核の存在が示唆されたのだ。この発見で、太陽系の形成の歴史が明らかになる可能性も出てきた。ZEROはジュノーミッションの最高責任者への独占インタビューを敢行。最新成果から見えてきた木星の真の姿に迫る!
【ゲスト】国立天文台 副台長…渡部潤一,【キャスター】南沢奈央,竹内薫,【語り】土田大

NHKスペシャル「睡眠負債が危ない〜“ちょっと寝不足”が命を縮める〜」
がんや認知症など、重大疾病につながる睡眠不足。「十分眠っている」と思っている人でも、実はわずかに足りておらず、リスクを抱えている場合があることが分かってきた。研究者たちは、これを“睡眠負債”と名付け、対策が必要だと指摘している。今回、拡大生放送で研究の最前線や予防&改善の秘策を伝える。また、データ放送や特設HPではリスクチェックを実施。ツイッターなどで寄せられた疑問・質問には専門家が直接回答する。
優木まおみ,陣内智則,尾形貴弘,睡眠評価研究機構代表…白川修一郎,東京医科大学教授…井上雄一,明治薬科大学准教授…駒田陽子,早稲田大学助教…岡島義, 青井実,寺門亜衣子, 窪田等


父の日です.父を思い出して何となく悲しい気持ち.
花を買うのを忘れてしまいました.
休日出勤しけれれど雑用が多くなんだか現実逃避してしまいました.
夏のパワーの準備は全然進んでいません.

いしのまき復興マラソン開幕 変わりゆく街確認
 東日本大震災で被災した石巻市を舞台にした第3回いしのまき復興マラソン(石巻市、市体育協会、河北新報社など主催)が17日開幕し、ウオーキングの部に参加した約110人が旧北上川河口周辺を巡った。マラソンの部は18日に行われる。
 午前10時に同市中瀬の石ノ森萬画館を出発。左岸の湊地区から日和大橋を渡り、右岸の南浜、門脇両地区を通って萬画館に戻る約8キロのコースを歩いた。
 途中には新しく完成したマンションタイプの災害公営住宅などがあり、参加者はゆっくり歩を進めながら、震災で移り変わった町並みを確かめていた。
 震災直後の石巻市でボランティアをした縁で結婚した浜松市の自営業西田公城(まさき)さん(34)、蕗子さん(32)夫妻は「毎日のように泥出しをした場所もあって懐かしかった。新しい発見もあった」と語った。
 以前の職場仲間と訪れた仙台市若林区の無職石垣友秀さん(68)は「被災地を歩く良い機会になると思って参加した。日和大橋から見渡した石巻の全景が印象的だった」と話した。
 18日のマラソンの部は石巻専修大を発着点にハーフ、10キロ、5キロ、3キロ、2キロの5コースを設定。性別や年齢などに応じて18種目に分かれて順位を競う。


<ほっとタイム>思い出が一番のお宝
◎亡き父の遺品鑑定
 宮城県利府町の会社社長松本鉄幹さん(53)は5月下旬、石巻市清水町の実家にある不用品の鑑定を業者に依頼した。東日本大震災の津波に耐え、自身と同じよわいを重ねた実家。道路新設に伴い取り壊すことになった。
 8畳ほどの納屋には、約25年前に亡くなった父泰二郎さんの遺品が山ほど。焼き物、置物、画集、掛け軸…。「何でこんな物買ったのかね」「好きな人に使ってもらおう」。とりとめのない多趣味に苦笑しつつ、思い出話が尽きない。鉄幹さんの写真、きょうだい3人のへその緒まであった。
 鑑定した仙台市青葉区の古物商「大黒屋」の桜井鉄矢社長(36)は「どの家にも必ずお宝は眠っている」。貴重な美術品や資料が見つかることも。近年は「終活」相談も多いという。
 この日の買い取り額は、金歯やペンダントを含めて計3万円。何より、父と家族の歴史をいとおしく振り返った鉄幹さん。「いい時間だったよ。ありがとう」
 物にまつわる人それぞれの思い。お金には換えられない「お宝」を引き出した桜井さんもまた、満足げだった。(報道部・村上浩康)


<あなたに伝えたい>手作りのぬか床 今も大切に
 小野寺諭(さとし)さん=当時(25)= 陸前高田市職員で、同市内のアパートに1人で暮らしていた。勤務中に東日本大震災の津波に遭い、2日後の3月13日、同市の廻舘橋付近で遺体が見つかった。震災の前日、気仙沼市赤岩石兜の実家に泊まり、夜に母礼子さん(66)と会話を交わした。
◎勉強熱心で何でも挑戦した息子/小野寺礼子さん(気仙沼市)諭さんへ
 礼子さん 次男の諭は仙台の大学に入り、それ以降離れて暮らしていました。市職員になり、まだ1年たたないうちに震災が起きました。
 陸前高田は車で通える距離ですが、「職員が市民税を気仙沼に払うのはおかしい」と話し、1人暮らしを勧めました。少ない月給の中で家計をやりくりし、図書館で難しい専門書を読む姿に、たくましさを感じていました。
 震災前日、諭は気仙沼であった飲み会に参加するため実家に戻っていたのです。赤ら顔で居間に入ってきて、お茶漬けを食べていました。「何も食べてこなかったの?」と尋ねたのが最後の会話になりました。翌朝、ご飯も食べずに陸前高田に向かい、津波に襲われました。
 一度興味を持つと、積極的に何でも試してみる性格。高校受験の直前、急に「ぬか漬けを作る」と言い出してぬか床を作った姿が忘れられません。料理漫画でも読んで影響されたのでしょうね。今もそのぬか床を大事に使っています。
 ふとした瞬間に諭のことを思い出すことがあります。先日、長男の息子で中学2年の孫がパソコンに向かう後ろ姿を見てドキッとしました。「何で諭が…」と思うぐらい似ていました。今も諭のことは忘れられません。
 私は震災直後に気仙沼市役所を退職し、今は家庭菜園やプールで体を動かしながら老後を過ごしています。
 生きていれば32歳。結婚していたのかなあ。諭は25年の人生を十分に楽しんだかもしれないけど、もっと長生きしてほしかったよ。


<CSR>従業員 自治体派遣64人
 東日本大震災の復興支援として、企業や団体から岩手、宮城、福島3県と各被災自治体に派遣されている従業員は3月1日現在、48社、64人に上ることが河北新報社の調べで分かった。地方創生の施策推進や起業支援など政策・産業部門を中心に活動。CSR(企業の社会的責任)を介し、行政側は民間の専門知識の導入、企業側は人材育成をそれぞれ狙う。
 県ごとの受け入れ数は県と市町村を合わせ、岩手18人、宮城25人、福島21人。主な派遣先は地図の通り。東京電力福島第1原発事故への対応が続く福島県が18人でトップ。市町村別は最大被災地の石巻市が最多の8人だった。
 配属先別はグラフの通り。最も多い企画・政策部門では、主に地方創生の地方版総合戦略に位置付けた施策の推進やICT(情報通信技術)化促進を担当。気仙沼市に派遣された6人は水産資源の利用策を検討し、商品化につなげた。
 産業部門は起業支援や雇用確保、観光振興が中心。大船渡市では4人が起業支援室に配属され、人材育成講座の運営を担った。
 環境部門は福島県のみ。原子力関連の研究機関などから、県環境創造センターに3人が派遣され、原発事故に伴う放射性廃棄物処分の研究などに協力した。
 派遣元は都市再生機構が最多の4人。名取市の土地区画整理事業や福島県の災害公営住宅整備に関わった。東京海上日動火災保険3人、東邦銀行3人、リクルートホールディングス2人が続く。
 企業からの社員派遣は、国が被災自治体の人手不足対策の一環として2013年度に始めた。全国の自治体からの職員派遣、任期付き職員の採用に続く支援策。企業が独自に社員を派遣するケースもある。
 河北新報社の調べでは派遣された社員らの累計は今回の64人を含め、3県24市町村で178人に上る。
 福島県の人事担当者は「医療関連産業の集積や避難地域の文化財保存、風評被害の払拭(ふっしょく)など幅広い分野で協力してもらっている。震災から7年目だが業務はいまだ膨大。今後も企業の支援は必要だ」と訴える。


<復興CSR>両翼で支える
◎トモノミクス 被災地と企業[46]第10部 展開(2)かんがえる/投資と消費
 投資と消費が社会を変える。より高い配当、より安価を追求する私的な経済行為が社会性を帯びたとき、復興を支える「意思ある投資と消費」に昇華する。
 東日本大震災から8カ月後の2011年11月、気仙沼信用金庫とNPOプラネットファイナンスジャパン(東京)が「三陸復興トモダチ基金」を設立した。目的は気仙沼市で被災した中小企業や起業の支援。金融機関とNPOの連携は国内初という。
 資金は3億6700万円。米国のNGOメーシーコープと半導体製造大手エヌビディアなどが拠出した。同信金が融資先を選定し、経営支援に当たった。
 終了までの5年間で起業76社、雇用助成94社、利子補給244社の実績を上げた。同信金の菅原務理事長(76)は「リスクばかり考えていたら産業基盤は再建できない。外部の力を得て、地域に密着した融資を実現できた」と振り返る。
 13年には日本財団、三菱商事復興支援財団と「気仙沼しんきん復興支援基金」を設立し、今も継続する。
 特定の社会課題解決に向けた資金提供や融資プログラムは「社会的責任投資(SRI)」の一形態だ。短期的な見返りは求めない。環境や人権、法令順守など財務指標に表れないCSR(企業の社会的責任)の視点で、企業活動や基金の意義を評価する。
 投資や出資で復興に貢献したい。企業にCSRを促したい。SRIは投資家や企業の思いを酌み、復興の過程で存在感を発揮した。
 震災は、消費者意識にも変化をもたらした。
 仙台市出身で東京在住の会社員森由美さん(46)は15年、震災の風化を食い止めようと宮城県出身の知人らと有志の会をつくった。数カ月に1度、宮城の食材を扱う飲食店に集い、会員制交流サイト(SNS)で店の情報を発信する。
 「米や海産物は宮城県産を選ぶようになった。被災地支援というよりは、おいしいから買って、薦めている」と気負いはない。
 震災後、被災地の商品を購入する「応援消費」が広がった。生産者の労働環境や生活水準を考え、適正な価格で長期的に取引する「フェアトレード」や環境、社会問題に配慮した消費行動「エシカル(倫理的)消費」に通じる。
 何げない日々の買い物は消費者が企業を選別する「投票」になる。
 一般社団法人エシカル協会(東京)の末吉里花代表理事(40)は「消費は個人的な行為に見えるが、お金を払った瞬間に環境や未来に影響を与えていることを知ってほしい。社会問題を解決する一端を誰でも担える」と呼び掛ける。
 社会的投資や倫理的消費の起源は、18世紀の欧米にさかのぼる。その底流にある思想は「隣人愛」だ。


10年前の震災 乗り越えた秘蔵酒 柏崎・原酒造、来月に発売
 2007年7月16日の中越沖地震で大きな被害を受けた柏崎市の原酒造が、奇跡的に難を逃れたタンクで10年間熟成させた秘蔵酒の純米大吟醸「越の誉 蔵の至宝」を7月10日に発売する。関係者は「多くの人から支援を受け復興できた。10年の節目に味わってほしい」と呼び掛けている。
 原酒造は地震により木造の酒蔵5棟や事務所など、建物の約7割が全壊した。日本酒を貯蔵していたタンクも約80本が損壊し、1万本以上の酒瓶が割れた。
 しかし、全壊した酒蔵の中で一つのタンクが被害を免れ、その年に仕込んだ純米大吟醸が無事だったことから、地震10年の節目まで熟成させ販売することにした。
 原吉隆社長(59)は「地震当日は偶然祝日で、社員が会社にいなかったので犠牲者が出なかった。みんなが無事だったから再建できた」と振り返る。
 倒壊した酒蔵の中から奇跡的に残った大吟醸酒は、原酒造にとって「希望の光」だった。原社長は「社員が10年間、復興に向け進んできた強い思いが込められた酒。わが子を送り出す思い」と話す。
 10年間常温熟成され、口当たりが良く、深みのある酒に仕上がったという。四合瓶(720ミリリットル)で7千円(税別)。限定1200本を県内の酒販店などで販売する。問い合わせは原酒造、0257(23)6221。


JR脱線無罪へ/遺族の無念に応えるには
 乗客106人の命が奪われた尼崎JR脱線事故はなぜ防げなかったのか。責任は誰が負うべきなのか。事故から12年、答えが示されないまま、司法の場での区切りを迎えた。
 業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長について、一、二審の無罪判決が確定することになった。最高裁が検察官役の指定弁護士の上告を棄却する決定をした。
 既に無罪が確定している元社長を含め、刑事責任を追及された経営トップは誰も罪に問われないことになる。
 3社長に対する裁判では、現場カーブの危険性を認識できたのか、自動列車停止装置(ATS)設置など業務上の注意義務はあったか、などが争われた。
 最高裁は、現場での脱線の危険性が特別高いとの認識が社内になかったことや、ATSの設置がまだ義務づけられていなかったことなどを挙げ、3社長の過失を否定した。
 個人の責任を問うためには、事故の危険を具体的に予測できたかどうかが鍵となる。経営トップについて立証するのが難しい点は否めない。現行の司法の限界が示された形だ。
 事故原因では、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時)が、日勤教育などの懲罰的な労務管理や利益重視の企業風土が背景にあったと指摘した。
 これらを横に置いて、経営トップを免責するのはおかしい。そう遺族や被害者が感じるのは当然だろう。
 神戸地裁の一審判決は、日勤教育などに言及し、裁判長が「これだけの大事故で、誰一人刑事責任を問えないのはおかしいとの思いはもっともだ」と述べている。最高裁も広く安全対策の在り方などについて、裁判官の少数意見の形ででも触れるべきではなかったか。
 どうすれば、被害者の無念の思いに応えることができるのか。事故後の取り組みの中に、法人の責任を問う組織罰を求める運動がある。責任の追及は事故の原因究明と再発防止につながるとの訴えには、共感の声が広がっている。
 規制や制度を改め、命を預かる企業の安全意識を高めることも必要だ。今後も社会全体で議論を深めたい。


議論封じて国会閉会 これは議会政治の危機だ
 「安倍晋三首相1強」体制のひずみが一段とあらわになった150日間だった。
 国会がきょう閉会する。会期を延長しなかったのは、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題で、これ以上追及されたくないと首相や与党が考えたからにほかならない。
 次の言葉が、この国会を象徴していたように思える。
 「首相に対する侮辱だ」
 「森友学園」問題で、それまで自民党が消極的だった籠池泰典・同学園前理事長に対する証人喚問を一転して行うことを決めた際、同党の竹下亘国対委員長はそう語った。
 籠池氏が安倍首相の妻、昭恵氏から100万円の寄付を受け取ったと語ったのは首相への侮辱で、それをただすために喚問するというのだ。
 一体、誰のために政治をしているのだろう。しかも喚問はかえって疑問を深める結果となり、与党はその後、昭恵氏らの国会招致を拒み続けて問題の解明を封印してしまった。
 行政がゆがめられていないか。与党であろうと厳しくチェックするのが国会だ。「加計」問題の対応も含め、今の自民党は首相の意向を絶えずそんたくする政党のようだ。
 改正組織犯罪処罰法(「共謀罪」法)の審議では、参院法務委員会の採決を省略してまで成立を急いだ。奇策で自ら議論を封じるのは言論の府の自殺行為だと言っていい。
 一方、首相は唐突に憲法9条に自衛隊の存在を追加して明記するなどの改正案を言い出し、自民党ではこれに沿って議論が加速している。
 宿願の改憲に向け、首相は自民、公明、維新の3党だけで改正発議に踏み切るつもりかもしれない。だが、他の野党の議員も正当な選挙で選ばれた国民の代表であることを首相は忘れていないだろうか。
 確かに最後は多数決で決めるのが議会制民主主義のルールだ。しかし、その過程では多様な意見に耳を傾け、極力一致点を見いだしていくことが大切だ。先人が作り上げてきた、その原則が壊され始めている。
 首相の姿勢や手法に対して自民党から異論がほとんど出ず、公明党も自民党の独走を抑止する役目を果たしていない。深刻なのはそこだ。
 議会政治の危機だ。この国会で何が起きたか忘れないようにしたい。


週のはじめに考える 立法府の危機を憂う
 通常国会が、きょう閉会します。国民の暮らしのために建設的で活発な議論を行うべし、との期待はむなしく、浮き彫りになったのは立法府の危機です。
 国会終盤、与党側は驚くような挙に出ました。改正組織犯罪処罰法を会期内に成立させるため、参院法務委員会での採決を省いて、本会議で直接、可決、成立させる「中間報告」という手法です。
 国会法にある手続きで、過去にも例はありますが、今回のように与党(公明党)議員が委員長を務める場合では極めて異例です。
◆政府の下請け機関か
 この改正法は、犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の趣旨を含み、罪を犯した「既遂」後に処罰する日本の刑事法の原則を根底から覆す内容の重要な法律です。
 官憲が善良な人々の内心に踏み込んで処罰し、人権を著しく侵害した戦前、戦中の治安維持法の復活との懸念も指摘されました。
 審議には慎重を期して、懸念が解消されない限り、廃案にすることも国会には必要でした。
 しかし、印象に残ったのは安倍晋三首相の「一強」の下、政府の言い分に唯々諾々と従う、下請け機関のような国会の姿です。
 国会議員から首相を選ぶ議院内閣制ですから、首相の意向を与党議員がある程度、尊重するのはあり得るとしても、度が過ぎれば三権分立は骨抜きになります。
 国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関です。国会の決定に首相が従うことこそ、あるべき姿であり、憲法で権力を律する立憲主義なのです。
 首相はかつて行政府の長でありながら「私は立法府の長」と言い放ったことがありましたが、この国会でも、まるで首相や政府が国会を支配するかのような、不可解な国会運営が散見されました。
 その典型例が、先に述べた「共謀罪」法案の中間報告なのです。
◆国政調査の責任放棄
 この手法は野党の委員長が法案の採決を強硬に拒んだ場合や、本会議で直接、採決した方が適切な場合に、やむを得ず採られるのが通例です。国会法も「特に必要があるとき」と定めています。
 委員会での審議を打ち切り、議会としての責任を放棄するようなこうしたやり方に、与党側はなぜ踏み切ったのでしょう。立法府の自殺行為になるとの危機感が欠如していたのではないか。
 そもそも、金田勝年法相の不誠実な答弁を国会が延々と許してきたことも、理解に苦しみます。
 法務行政のトップがまともに答弁できないような法案が、なぜ国会を通ってしまうのか。ましてや人々の内心にまで踏み込んで処罰する恐れのある法案です。
 政府がいくら必要だと主張しても、国民の懸念が解消されなければ、突っぱねるのが立法府の責任のはずです。それとも与党には国民の懸念が届いていないのか、届いていても無視しているのか。
 二つの学校法人をめぐる問題も同様です。「森友学園」に対する格安での国有地売却問題と、「加計学園」による愛媛県今治市での獣医学部新設問題です。
 いずれの学園も、首相や昭恵夫人との親密な関係が明らかになっています。国有地売却や学部新設という、公平・公正であるべき行政判断に「首相の意向」が反映されたのか否かが問われています。
 国政調査権を有する国会には真相を徹底的に究明する責任があります。それが国民の期待です。
 野党の政府追及は当然ですが、与党側から真相を究明しようという意欲が伝わってこないのは、どうしてでしょう。
 そこに安倍官邸への配慮があるとしたら、国政調査権の行使という国会としての責任を放棄し、国民に背を向けているとしか思えません。
 こうした状況は、安倍首相自身にも責任があります。
 国会の委員会で、二〇二〇年までに憲法九条を改正する考えを表明した真意を問われた首相は「読売新聞に書いてあるから、熟読していただきたい」と答弁を拒んだり、質問する野党議員に自席から「いいかげんなことを言うんじゃないよ」とやじを飛ばしたり。
◆首相の言動にも原因
 自民党総裁でもある首相が、野党を軽んじる言動を繰り返すからこそ、与党内で国会軽視の風潮がはびこるのでしょう。
 三権分立に反して、国会が政府の下請け機関となり、内閣提出法案をただ成立させるだけの採決マシンに堕してしまったら、立法府の危機です。国会は言論の府であることを忘れてはならない。
 そして、その国会に議員を送り出したのは有権者自身であることも、私たちは深く心に留めなければなりません。立法府が危機にひんしているとしたら、私たち有権者も、その責任から逃れることはできないのです。


通常国会閉幕 強引さ目立った巨大与党
 通常国会はきょう、会期末を迎え閉幕する。巨大与党の「数の力」で押し切る強引な運営ばかりが目に付き、最後はあぜんとするような幕切れだった。
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の審議では、政府の説明が揺れ動き、国民の不安や懸念の多くが払拭(ふっしょく)されずに積み残された。熟議には程遠く、与党は委員会採決を省略して本会議で可決、成立させる異例の「奇策」まで弄(ろう)した。
 「国会に丁寧に説明する」とした政府の言葉とは裏腹の決着である。加計学園(岡山市)問題での野党の追及を避けるため、一度は浮上した会期延長を見送って「逃げ切り」を図ったと言われても仕方なかろう。
 政府は閉会間際になって、加計問題を巡る文部科学省内の記録文書の存在をようやく認めた。これまで繰り返し、文書は存在しないとしてきながら、問題の幕引きを図るようなタイミングで調査結果を公表した。国会が閉じれば、国民の反発も沈静化すると踏んだのだとすれば、あまりに誠実さに欠けた対応だ。
 加計問題の核心は「総理の意向」で行政が不当にゆがめられたのか、どうかである。事実上の最終日の集中審議では、文科省と内閣府の説明が食い違い、文書の内容の真偽も判然としなかった。幕引きがかえって、真相解明に及び腰の印象を強める結果になったのではないか。
 疑惑はほかにも今国会で次々と噴き出したが、解明は進んでいない。
 南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)の日報問題は、現地の緊迫した状況と政府の説明の食い違いが指摘され、組織的隠蔽(いんぺい)も疑われた。稲田朋美防衛相は特別防衛監察による全容解明を約束したが、いまだに結果が公表されないままだ。
 国有地が不当に安く売却された疑いのある森友学園問題も、理事長の証人喚問は実現したが、交渉記録は廃棄したとする財務省側と学園側の主張は対立している。
 国会が閉幕しても、問題をうやむやにすることは許されない。政府は閉会中審査などに応じて説明責任をきちんと果たす必要がある。
 一方で、野党の力不足も目立った。疑惑に対して攻め手を欠き、「共謀罪」審議では成立を急ぐ与党の戦略を読み切れなかった。
 そのためか、安倍首相の答弁には野党への攻撃的な姿勢が目立ち、真摯さが国民に伝わらなかったのは極めて残念である。長々と自説を語り、時折挑発も交える。相手の批判を「印象操作だ」と決めつける。「安倍1強」だからこそ、異論にも丁寧に応じるのは当然であろう。
 与党が「強い首相」の意向を忖度(そんたく)するような「結論ありき」の国会運営を続ければ、政治不信は確実に増していく。国会の役割をいま一度、自覚してもらいたい。


【国会閉幕】「言論の府」は死んだのか
 通常国会はきょう会期末を迎え、閉会する。
 政治への国民の不信が今国会ほど高まったことは、近年なかったのではないか。
 学校法人「森友学園」や「加計(かけ)学園」を巡っては、ともに安倍首相に近い両学園側に政権の働き掛けや官僚の忖度(そんたく)があったのではないか。政治の「私物化」が疑われる重大な問題にもかかわらず、真相解明への姿勢は極めて消極的だ。
 加計問題では総理や官邸の意向と書かれた文書を当初、「怪文書」と切り捨て調べようともしなかった。世論に押されて調査した結果、存在を認めるお粗末ぶりを露呈した。
 南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題もしかり。派遣部隊は現地の情勢を「戦闘」と表記していたのに、政権側は「衝突」と強調していた。この日報も「廃棄した」とされていたのが、後日見つかっている。
 野党の批判や追及を避けるためには「ある」ものを「ない」と強弁し、「黒」を「白」と言い換える。こうした強権的な姿勢が、5年近く続く「安倍1強」政権のおごりや慢心からきているのは間違いない。
 そもそも安倍首相自身、立法府をどれだけ尊重しているか疑わしい。
 5月、憲法に自衛隊を明記する「9条加憲」を読売新聞の紙上などで提起した。国会でただされると「新聞を読んでほしい」と言ってのけた。行政府の長ゆえ改憲への言及を避けた事情はあるにせよ、そこに憲法問題を国民に広く、丁寧に説明する姿勢は見えない。
 会期末を目前に、「共謀罪」法を成立させたことも極めて問題が大きい。とりわけ批判されるべきは、与党が参院法務委員会での採決を省略する「中間報告」という強硬手段に打って出たことだ。
 中間報告は国民の代表である国会議員から、審議の場を奪うことにほかならない。だからこそ実施には十分な慎重さが求められる。「良識の府」とも呼ばれる参院には、衆院での多数与党の行き過ぎをチェックする役割もあるはずだ。
 にもかかわらずこうした乱暴な運営がまかり通っていけば、参院の与党議員自ら「参院無用論」に拍車をかけることにつながろう。
 「国会は死んだのかもしれない」―。作家の高村薫さんが緊急インタビューに答えてそう語っていた。
 野党の批判を封じるために情報を隠蔽(いんぺい)し、異論に耳を傾けず、議論の場さえ取り上げる。もしも与党がそうした国会運営を行うなら、「言論の府」は確実に死んでしまおう。
 多くの問題を抱える政権を攻めあぐねる野党の「ひ弱さ」にも問題はある。だが、まずは巨大与党が謙虚に、誠実に説明責任を果たさなければならない。
 森友、加計問題やPKO日報に関する疑惑は何一つ晴れていない。「共謀罪」法への国民の懸念もそのままだ。国会が負う責任はますます重い。


通常国会閉会 議論放棄は立法府の自己否定だ
 通常国会がきょう閉会する。今回ほど「国権の最高機関」であるべき立法府のふがいなさが露呈した国会はなかった、と言っても過言ではなかろう。審議を通じて行政の行き過ぎをチェックするという最大の責務を全く果たせなかった。特に、安倍政権の「下請け」と化した与党には猛省を促したい。
 最たるものが、参院による改正組織犯罪処罰法案の強行採決だ。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ法案は、審議を重ねるごとに疑問が噴き出した。与党は、批判の声に応えない政府の姿勢を容認。わずか18時間、しかも「中間報告」という異例の手続きで審議を一方的に打ち切り、法案を成立させてしまった。
 多数決自体は民主主義の一ルールではある。しかし、採決の前に熟議があってこそだ。今回のように十分な審議をしないまま「数の横暴」で押し切ることは許されない。自民党は先の衆院選や参院選でも「共謀罪」法案を争点化しなかった。国民は自民に「白紙委任」したわけでは断じてない。議論を放棄した国会は、存在意義を自ら否定するのに等しい。
 学校法人「森友学園」や「加計学園」に絡む行政文書、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報など、政府による情報隠蔽(いんぺい)疑惑にも迫れなかった。国会が動いたのは、森友学園の前理事長の証人喚問だけ。しかもその理由は「安倍晋三首相の名誉を汚した」という恣意(しい)的なもので、与党は疑惑の中心人物とも言うべき首相の妻昭恵氏の喚問を拒んだ。さらに、加計学園問題のキーパーソンである前文部科学事務次官の喚問にも応じようとしなかった。
 国会には本来、国政調査権という強い権限がある。行政府が都合の悪い情報を隠すなら、国会が開示させるべきだった。国民の代表であることを忘れているとしか思えない。
 国会審議を空疎なものにした最大の責務はもちろん、政府にある。首相は、野党議員の質問にまともに答えないばかりか、繰り返し「印象操作」だと「レッテル張り」し、時には「質問に責任が取れるのか」と脅しのような反論もした。官僚たちも行政文書を「廃棄した」などとして、事実上の答弁拒否を続けた。膨大な時間を無駄にしたことは到底容認できない。
 今の国会は、問題が多い法案でも条文を修正しづらい仕組みになっている。与党が「事前審査」し、修正を受け付けない姿勢を貫いているためだ。野党は「廃案」を訴えるしか対抗方法がなく、中身の議論も深まらない。欠陥がある法律を押し付けられるのは結局国民だ。
 安倍政権は一昨年、通常国会を95日間も延長した揚げ句、安全保障関連法案の採決を強行した。今回は疑惑にふたをするためだろう。閉会を急いだ。政府与党の「ご都合主義」が目に余る。党首討論もない国会は異常だ。何よりもまず、国会を「議論する場」に戻すべきだ。 通常国会がきょう閉会する。今回ほど「国権の最高機関」であるべき立法府のふがいなさが露呈した国会はなかった、と言っても過言ではなかろう。審議を通じて行政の行き過ぎをチェックするという最大の責務を全く果たせなかった。特に、安倍政権の「下請け」と化した与党には猛省を促したい。
 最たるものが、参院による改正組織犯罪処罰法案の強行採決だ。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ法案は、審議を重ねるごとに疑問が噴き出した。与党は、批判の声に応えない政府の姿勢を容認。わずか18時間、しかも「中間報告」という異例の手続きで審議を一方的に打ち切り、法案を成立させてしまった。
 多数決自体は民主主義の一ルールではある。しかし、採決の前に熟議があってこそだ。今回のように十分な審議をしないまま「数の横暴」で押し切ることは許されない。自民党は先の衆院選や参院選でも「共謀罪」法案を争点化しなかった。国民は自民に「白紙委任」したわけでは断じてない。議論を放棄した国会は、存在意義を自ら否定するのに等しい。
 学校法人「森友学園」や「加計学園」に絡む行政文書、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報など、政府による情報隠蔽(いんぺい)疑惑にも迫れなかった。国会が動いたのは、森友学園の前理事長の証人喚問だけ。しかもその理由は「安倍晋三首相の名誉を汚した」という恣意(しい)的なもので、与党は疑惑の中心人物とも言うべき首相の妻昭恵氏の喚問を拒んだ。さらに、加計学園問題のキーパーソンである前文部科学事務次官の喚問にも応じようとしなかった。
 国会には本来、国政調査権という強い権限がある。行政府が都合の悪い情報を隠すなら、国会が開示させるべきだった。国民の代表であることを忘れているとしか思えない。
 国会審議を空疎なものにした最大の責務はもちろん、政府にある。首相は、野党議員の質問にまともに答えないばかりか、繰り返し「印象操作」だと「レッテル張り」し、時には「質問に責任が取れるのか」と脅しのような反論もした。官僚たちも行政文書を「廃棄した」などとして、事実上の答弁拒否を続けた。膨大な時間を無駄にしたことは到底容認できない。
 今の国会は、問題が多い法案でも条文を修正しづらい仕組みになっている。与党が「事前審査」し、修正を受け付けない姿勢を貫いているためだ。野党は「廃案」を訴えるしか対抗方法がなく、中身の議論も深まらない。欠陥がある法律を押し付けられるのは結局国民だ。
 安倍政権は一昨年、通常国会を95日間も延長した揚げ句、安全保障関連法案の採決を強行した。今回は疑惑にふたをするためだろう。閉会を急いだ。政府与党の「ご都合主義」が目に余る。党首討論もない国会は異常だ。何よりもまず、国会を「議論する場」に戻すべきだ。


[国会閉幕] 国権の最高機関が泣く
 これほど熟議と程遠く、乱暴な国会運営があっただろうか。国権の最高機関が泣く。
 通常国会はきょう閉幕する。150日の会期中に安倍政権が示した姿勢は、議論に真正面から向き合わず、議会のルールを軽視する強権的な振る舞いだった。
 範を示すべき安倍晋三首相が誠実さに欠ける答弁に終始し、率先して国会の空洞化を進めたといえよう。責任は極めて重い。
 犯罪の計画を罰する「共謀罪」の構成要件を取り込み「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議には、あぜんとせざるを得ない。
 それを象徴する場面が5月の参院法務委員会であった。民進党の質問で答弁に立とうとした金田勝年法相を隣席にいた安倍首相が慌てて押しとどめ、政府参考人の法務省刑事局長に答えさせた。
 金田法相の答弁はちぐはぐで、およそ法案の中身を理解していないのではないかと思わせるのに十分だった。
 所管大臣がまともに説明できないこと自体、異常である。官僚に答弁させ取り繕おうとしたが、政府としての説明のほころびを覆い隠すことはできなかった。
 首相は「丁寧で分かりやすい説明を心掛ける」と述べていたはずだ。結局、委員会での採決を省いて本会議で採決を強行した。
 法案を委員会で審議する国会の「委員会中心主義」の否定にほかならない。
 森友学園への国有地の格安払い下げや加計学園の獣医学部新設を巡る疑惑は、首相や首相夫人に近い人脈に前例のない優遇措置がとられたのではないかという政権中枢につながる問題である。
 だが、政権は真相解明には及び腰で、野党の批判を封じるために情報を隠したとしか思えない。
 加計学園問題で、「総理のご意向」などと記した記録文書の存在を証言した前川喜平前文部科学事務次官に対し、個人攻撃に出た政府のやり方はひどい。
 今国会で焦点となった忖度(そんたく)の横行は、官邸による行き過ぎた官僚締め付けが根っこにある。首相は「決める政治」を看板に掲げるものの、ともすれば「独断政治」に陥るに違いない。
 論戦を通じて政策や法案の趣旨を明らかにし、問題点があれば見直す。国会の基本的な役割を放棄すれば議会政治は根腐れする。
 日本の喫緊の課題は共謀罪でも憲法改正でもなかろう。国民の暮らしを守るため、社会保障の改革や財政再建などに取り組むことこそが、喫緊の課題であることを与野党とも自覚すべきだ。


毎日新聞調査 内閣支持率36% 前回から10ポイント減
 毎日新聞は17、18両日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は36%で、5月の前回調査から10ポイント減。不支持率は44%で同9ポイント増加した。不支持が支持を上回ったのは2015年10月以来。「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法を参院委員会採決を省略して成立させた与党の国会運営や、学校法人「加計学園」の問題への政府の対応などが影響したとみられる。
 調査はコンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に調査員が電話をかけるRDS法で実施した。


加計ありきの“首謀者” 萩生田氏捜査に検察は乗り出すのか
 安倍首相の「腹心の友」に安倍官邸が便宜を図ったとされる加計学園疑惑。ここへきて、萩生田光一官房副長官が“加計ありき”の首謀者だった可能性が高まってきている。昨年11月に内閣府が文科省に送ったメールによると、獣医学部新設を希望していた京産大を排除するために「広域的に」などの修正を加えたのは萩生田副長官の指示だったという。萩生田副長官と加計学園の密接な関係も明らかになっている。いったい萩生田副長官は加計学園のためにどんな働きをしたのか。
 萩生田副長官と加計学園との“特別な関係”は8年前から始まった。2009年衆院選で落選した後、萩生田副長官は加計系列の千葉科学大の客員教授に就任し、報酬も受け取っていた。現在も無給の「名誉客員教授」の肩書を持っている。落選中に手を差し伸べてくれた恩は大きいだろう。
 どうにも怪しいのは、安倍政権がムキになって萩生田副長官をかばっていることだ。
 16日、山本幸三地方創生担当相は会見で、「修正を指示したのは自分だ」と名乗り出た。いままで黙っていたのに、萩生田の名前が出た途端に、である。参院内閣委で修正した理由を聞かれると「他の地域につくらせないため」とまで口にした。他でつくらせないということは、ほとんど“加計ありき”だったことを認めたも同然になるのにだ。午後の参院予算委では、修正指示の質問が萩生田副長官に集中するのを見かねて、「私が決めてるんですから、私に聞いてください」と横やりを入れている。
■立件の可能性は?
 山本大臣が萩生田副長官の防波堤になろうとしていることは明らかだ。内閣府が文科省に送ったメールには「指示は萩生田副長官からあったようです」とハッキリ書かれている。誰が見たって、萩生田副長官が指示したのは明らかだ。なぜ、萩生田副長官をかばうのか。
「明らかに安倍政権は、萩生田さんから目をそらさせようとしています。萩生田さんにメスが入ると総理にも直結するので、ヤバイと思っているのでしょう。あるいは、萩生田さん本人に重大な疑惑があるのか」(政界関係者)
 この先、萩生田氏の問題はどう進むのか。萩生田副長官は加計学園と近いだけでなく、カネまで受け取っていた事実がある。いまでも加計学園の利害関係者だ。場合によっては、捜査のメスが入ることもあるのか。地検が関心を持つ可能性もゼロではないのではないか。
 元検事の落合洋司弁護士は「刑事事件として立件するのは難しいでしょう」とするが、元大阪高検公安部長の三井環氏は「可能性はなくはない」と言う。
「一つは共犯での立件です。例えば、内閣官房参与だった現・加計学園理事で千葉科学大学長の木曽功氏と萩生田副長官の共犯です。木曽氏は学園から理事としての報酬を受けながら、文科省の次官だった前川喜平氏に『獣医学部の新設よろしく』と働きかけている。萩生田氏が木曽氏の“手足”となって、加計有利に便宜を図ったという構図です」
 また、落選中に受けた客員教授の報酬と当選後の職務を結ぶことも可能だという。
「報酬を受けた時は公務員でなくても、公職に就いてから、その報酬に対する見返りとして便宜を図れば、収賄罪になる余地はあります」(三井環氏)
 歪んだ行政の全貌を明らかにしないとダメだ。


文科省文書の検証尽くせ/加計問題再調査結果
 加計学園が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡り、松野博一文部科学相は「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記録したとされる一連の文書が再調査で確認されたと明らかにした。個人メモやメールも含め計14の文書が担当課や個人のパソコンに残っていたという。
 民進党などが入手した文書は19あり、大半が「怪文書」ではなく、文科省内で作成・保存されていたことが裏付けられた。萩生田光一官房副長官から獣医学部新設を認める要件の修正で指示があったようだと記載したメールも新たに見つかった。この修正で、加計学園以外の申請は事実上不可能になったとされる。
 内閣府も調査結果を公表。続いて参院予算委員会の集中審議で野党が追及を強める中、安倍晋三首相は友人が理事長を務める加計学園の学部新設計画について「具体的に指示をしたり、働き掛けをしたことはない」と述べた。
 しかし否定を重ねるだけでは、疑念を解消できない。文書の内容について検証を尽くし、国民がその真偽を見極めるのに必要となる判断材料を十分提供することが求められる。国会が閉じても、閉会中審査で解明を継続すべきだ。
 獣医学部新設に慎重だった文科省に首相周辺や内閣府が設置認可の手続きを早めるよう働き掛けを強めていたとの疑念は今も残されたままだ。松野文科相は文書の真偽について判断を示さなかったが、再調査の聞き取りで「総理のご意向」文書などを作成したとみられる担当者は「こうした趣旨の発言があったと思う」と話したという。その真意まで突き詰めなかったというが、文科省側が押し込まれているとの認識を持ったのは想像に難くない。
 山本幸三地方創生担当相は急きょ内閣府の調査結果を発表し「内閣府から総理の意向とは一切言っていない」とし、獣医学部の新設要件の修正についても「私が判断した」と述べた。だが、この説明をすんなり受け入れるのは容易でない。文書の内容を否定するため調査の体裁を取り繕ったともみられるからだ。
 ここで解明を打ち切るのは許されない。実際に「総理のご意向」があったか、官僚が忖度(そんたく)して動いただけか、そして行政の公正公平が損なわれることはなかったかをしっかり見定めなければならない。


「加計文書」再調査 疑惑の幕引き許されぬ
やはり「怪文書」ではなかった。学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っていること」など生々しい言葉が躍る一連の文書である。
 1カ月も前から存在が指摘されていたが、文部科学省は当初の調査で「ない」としていた。ところが国会が終わる直前に再び調べたら、19文書と同じ内容の14文書が省内に「あった」という。あまりにもずさんだ。これまで隠していたと批判されても仕方あるまい。
 安倍晋三首相は「調査に時間がかかったことを率直に反省したい」と国会で答弁したが、それでは済まされない。
 文書が投げ掛けるのは、安倍首相の友人が理事長を務める加計学園が愛媛県今治市に獣医学部を新設できるよう、国家戦略特区の制度をゆがめて利用したのではないか、との疑惑だ。
 文科省の再調査で見つかった新たなメールは、疑惑をさらに深めるものだった。獣医学部新設の条件として「広域的に存在しない地域に限る」と修正する指示が、萩生田光一官房副長官からあったと記載されていた。それが本当なら、加計学園以外の申請が事実上不可能になる指示が、首相の側近からあったことになる。真偽が問われるのは当然だろう。
 しかし、その後の内閣府による調査結果は、文科省の調査結果と大きく食い違う。「総理の意向」などの発言をした内閣府職員はいない、という。国会が事実上閉会する16日にようやく開かれた参院予算委員会の集中審議で、萩生田氏は「指示を出したことはない」と否定した。誰も言ってないことがなぜ文書に書いてあるのか。首をひねるばかりである。
 表に出ると困る文書だったのか、閣僚らから霞が関の職員に圧力をかけるような発言が相次いでいるのも問題だ。
 山本幸三地方創生担当相は、萩生田氏の指示があったとするメールの送信者について「文科省からの出向者で、陰に隠れ本省にご注進した」と非難した。だがそもそも、行政の手続きは内外にオープンにするのが原則だ。他の省と連絡を取ることを公然と批判するのはおかしい。
 義家弘介文科副大臣が報道機関などに文書の存在を証言した職員について、一般論としながら、国家公務員法違反の恐れを指摘したことも理解し難い。内部告発を封じるような発言には、国民ではなく組織を守ろうとする姿勢がにじむ。
 行政は本当にゆがめられていなかったのか。疑惑の解明こそ求められる。自民党の高村正彦副総裁は「げすの勘繰り」と語ったが、国民の感覚からずれているのではないか。
 菅義偉官房長官は、文科省と内閣府の矛盾した説明を解消するための追加調査はしない見解を示した。だが、それでは到底納得できない。政府の十分な検証もなく、再調査後の国会審議をわずか3時間で打ち切り、国会閉会とともに疑惑の幕引きをすることなど許されない。
 閉会中審査でも証人喚問はできる。まずは「文書は本物」と証言した前文科事務次官の前川喜平氏の証人喚問を実施すべきだ。さらに文科省や内閣府などで加計学園の計画に関わった担当者、幹部らも呼び、詳しい証言を聞く必要がある。


山城氏国連で声明 人権侵害やめ民意尊重を
 沖縄平和運動センターの山城博治議長がスイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で声明を発表した。米軍北部訓練場のヘリパッド建設工事を巡る反対運動中に逮捕され、5カ月にわたって長期勾留されたことについて「私は自供と抗議行動からの離脱を迫られた。当局による明らかな人権侵害だ」と訴えた。

 捜査当局が山城氏への取り調べで、抗議行動からの離脱を求めたなら、表現の自由を侵害する越権行為ではないか。逮捕が運動への弾圧であることを裏付けるものだ。
 山城氏が最初に逮捕された容疑は有刺鉄線1本を切断したとする器物損壊罪だ。その後、傷害と公務執行妨害の容疑で再逮捕された。逮捕と同時に、山城議長が所属する平和運動センターの事務所などが捜索を受け、パソコンや記憶装置のUSBメモリーなどが押収された。捜査対象の主眼が運動組織にあると疑わざるを得ない。
 山城氏の長期勾留中、保釈請求は10回以上も却下され、家族の接見も禁止された。この状況に国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが保釈を求めて緊急行動に取り組むなど、国内外の人権団体から批判が相次いだ。
 山城氏が声明を発表した国連人権理事会では、日本政府の代表が反論声明を発表した。長岡寛介公使は「拘束は刑事手続法に従い、裁判所の許可も得た。法に基づく適正なもので、国際法違反はない」と発言している。
 1988年の国連総会で採択された「被拘禁者人権原則」は「拘禁された者または受刑者と外部、特に家族や弁護人との間のコミュニケーションは、数日間以上拒否されてはならない」と定めている。山城氏は家族との接見を5カ月近く認められなかった。明らかに人権原則に反している。長岡公使発言は、日本がこの原則を無視すると世界に宣言したことになる。
 国連はこれまでも、日本の司法制度にたびたび改善を勧告している。長期勾留や家族の接見禁止を認めた日本の裁判所の判断こそが国際社会から見ると異常ではないか。
 言論と表現の自由に関する国連特別報告者のデービッド・ケイ氏も12日に国連人権理事会に提出した報告書で「不均衡な重い罪を課している」と指摘している。人権理事会とは別にジュネーブで開催された沖縄の基地問題と表現の自由に関するシンポジウムでも、ケイ氏は「軽微な罪にこれほどの圧力を与えるのか」と疑問を投げ掛けた。
 新たな米軍基地の建設に反対する人々への圧力が強まる中、名護市辺野古では新基地建設が強行されている。山城氏が声明の最後で呼び掛けた言葉こそ、県民の多くの要求ではないだろうか。
 「私は、日本政府が人権侵害を止め、新しい軍事基地建設に反対する沖縄の人々の民意を尊重することを求めます」


作業員被ばく 安全管理がずさんすぎる
 極めて危険な物質を扱っているという自覚に欠け、組織に油断がまん延してはいないか。
 日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県)で、作業員の被ばく事故が起きた。
 作業員5人が放射性物質の貯蔵容器を点検するため、ふたを開けたところ、中に収められていたビニールバッグが破裂し、放射性の粉末が飛び散った。
 事故直後の検査で1人の肺から2万2千ベクレルのプルトニウムが測定されたが、体表に付着した放射性物質が影響した「誤測定」だった可能性が高いという。
 放射線医学総合研究所の再検査では、5人の肺からプルトニウムは検出されなかったが、一部の作業員から他の放射性物質が計測された。長期的に治療を進め、経過をチェックする必要がある。
 「想定外の事故」という機構の釈明は、到底納得できない。
 貯蔵容器は1991年に封印され、以降一度も開封されずに放置されていた。放射線の影響でガスが発生して内圧が高まり、ビニールバッグが破裂したとみられる。専門家なら予見できたはずだ。少なくとも警戒すべきだろう。
 作業員は鼻と口を覆う半面マスクしか装着していなかった。
 放射性物質の漏出対策のため、作業員は3時間以上、汚染された室内で待機させられた。
 人命保護第一の視点に立てば、疑問を抱かざるを得ない措置ばかりだ。放射能のリスクに対する警戒感が鈍ってはいないか。
 機構のお粗末な安全管理は、繰り返し表面化してきた。
 高速増殖原型炉「もんじゅ」では2012年に、約1万点もの機器の点検漏れが発覚した。
 13年は茨城県東海村の実験施設で放射性物質が漏れ、30人以上が内部被ばくした。
 原子力研究を担う資格がない−と批判されても仕方あるまい。
 機構は事故を徹底的に検証するとともに、安全に対する姿勢を根本的に問い直す必要がある。安全管理に対する国民の信頼こそ、原子力研究の土台と心得るべきだ。


小さな村の問題提起 自治に生気を取り戻す
 高知県土佐郡大川村に向かった。
 山肌が迫る曲がりくねった道の先に、離島を除くと「日本で一番小さな村」が見えた。
 人口400人余のこの村は、議会を維持できるかどうかの瀬戸際にある。議員のなり手がない場合に備え、有権者全員で議事を決する「村総会」を置く検討も始めている。
 何が何でも400人の人口を守る―。こんな目標を掲げる村で、自治のこれからを考えた。
 吉野川が村を横切っている。川といっても、早明浦(さめうら)ダム堤にせき止められたダム湖で、中心集落だった167世帯が湖底に沈んでいる。“四国最大の水がめ”ができたのは40年ほど前。住民の必死の反対も、四国総合開発の国策にはね返された。
 同じ時期に、村の北東にあった「白滝鉱山」が閉山する。江戸時代に開かれたという銅山の周りでは2千人が暮らしていた。
 和田知士(かずひと)村長は「ダムは過疎化の大きな要因だ」と話す。建設に伴い、生まれ育った人たちが補償金を手に村を去った。1960年に4千人を超えた人口は10年後に半減し、75年に千人を切った。
 過疎化に歯止めをかけようと村も知恵を絞ったが、国の勧めに従った林業は輸入材に押されて芽が出ない。よそに先駆けたペレットストーブの製造計画、小水力発電、地熱を利用したシイタケ栽培も成果を上げられなかった。
 和田村政はいま、雇用の場として「土佐はちきん地鶏」「大川黒牛」のブランド化に力を入れる。山村留学や移住促進と合わせ、効果が表れてきている。
   <注目浴びた村総会>
 それでも高齢化率は45%と高く、議会の6議員の平均年齢も70歳を超えた。3人は75歳以上だ。2年後の選挙で定数6に達しなかったら…。危機感が「議会を廃し村総会を置く」という注目を集める動きにつながった。
 和田村長は12日の議会で村総会の検討を正式表明し、朝倉慧(あきら)議長も5月、議会運営委員会に「村総会の条例の検討が必要か」を諮問した。ただ、村も議会もあくまで議会存続を前提とする。「検討」はいわば、村民と将来を考えるための問題提起だった。
 議員のなり手が出ない理由を聞くと、朝倉議長は「議員になれる環境にない」と答えた。
 村内の主な就労の場は役場や学校、社協、公社、森林組合、農協だ。現役世代は議員との兼職・兼業を禁じる法律に反するか、その恐れがある。議長は立候補の支障となる規定を洗い出し、国に改正を求めるつもりでいる。
 和田村長が気になることを言った。「議員のなり手が現れないのは、人任せにし過ぎる風潮が村にもあるのだろう」
 なり手不足は長野県でも深刻になっている。2011年から4年間の58町村議選のうち、無投票は24に上った。今年4月の東筑摩郡生坂村議選は初の定数割れに。15年の駒ケ根市議選も市制始まって以来の無投票となった。
 他県も同じで、各地の議会が定数削減や議員報酬の増額といった対策を練る。そうしたことだけで打開できるのか。
 平成の大合併は自治の枠組みを度外視して行政効率を優先した。現政権が唱える地方創生でも、地方都市の機能を集中させる「コンパクトシティー」という似た発想が繰り返されている。
 憲法に明記された「地方自治の本旨」から離れ、国による統制色が濃さを増す。産業構造が変わり、住民の地縁による共同体意識が薄れていることもあるだろう。二元代表制も直接民主制も形骸化しているように思われる。
   <住民の力を高めて>
 19世紀のフランスの政治家トクヴィルは、著書「アメリカの民主政治」に書いている。権力に侵されやすい共同体が強力な政府に対抗するには、共同体を営むもろもろの仕組みが住民の思想や習慣に根を張り、伸び広がっていなければならない、と。
 こうも言う。〈自由な民族力が内在しているのは、共同体においてである〉。共同体を支える仕組みが〈自由を人民の手のとどくところにおくのである〉。
 和田村長は「住民力をもっと高めること」を課題に挙げた。突然の村総会の投げかけに戸惑う住民はいるものの、「議員任せでなく村政に関心を持たなくては」との声が聞かれた。
 少子化を例に取っても、それぞれの自治の営みを積み重ねるほかに改善の道はない。地方自治法の施行から70年。自治制度の内容や運用のあり方を地方が率先して検証し直し、生きた制度にしていかなければならない。


「伝説の裁判官」が実名告発!なぜ裁判官は政府に逆らえないのか? 上司からの「圧力」をリークした男
岩瀬 達哉
裁判所というもっとも閉鎖的な空間で起きた出来事を、新聞社にリークする――そんな行動が許されるわけはなかった。自身の出世と引き替えにそれをやった裁判官が、50年越しに真相を語る。
「僕は出世できないのか」
第15代最高裁長官を務めた町田顯は、2004年10月、裁判官として採用された新任判事補への辞令交付式の挨拶でこう述べた。
「上級審の動向や裁判長の顔色ばかりうかがう『ヒラメ裁判官』がいると言われている。私はそんな人はいないと思うが、少なくとも全く歓迎していない」。
皮肉なことに、これは町田長官に対する批判でしばしば使われる言葉だった。
町田が、東京高等裁判所の民事部裁判長だった時のことだ。知り合いの法曹関係者に、こう零していた。「僕は、高裁長官にはなれないのかねえ」。
当の法曹関係者は、その時の驚きを、いまも鮮明に覚えている。
「町田さんと無駄話をしていた時のことです。ポツリと、本人の口から飛び出したので、非常にびっくりした。そんなこと、気にしたってしょうがないじゃないですか。
お声がかかる時はかかるし、かからないなら仕方が無い。割り切ることですよと話したことがあります」
のちに最高裁長官にまで登り詰めた町田が、これほどまでに上司の評価に気を揉んでいたのは、若い頃、青年法律家協会の会員だったからだ。
すでに脱会から25年以上の時間が経っていた。にもかかわらず、過去の会員歴が重荷となっていたのは、当時はまだ、青法協への「人事差別」が横行していたからである。
青法協は、「すべての政治的立場をはなれて、(略)平和と民主主義を守る会」として裁判官、弁護士、検事など若い法律家の参加を得て、冷戦時代の1954年に発足した。最盛期には、全裁判官の2割近い「350名」が会員に名を連ねたこともある。
しかし「70年安保」の前後から最高裁は、青法協を目の敵にし、その後30年近くにわたって、会員の裁判官だけでなくシンパと目された裁判官にも、「人事差別」をおこなってきた。
その徹底ぶりは、共産主義者を社会から排除した「レッドパージ」になぞらえ、「ブルーパージ」と呼ばれている。
「70年安保」の前々年、政府は、札幌市郊外の長沼町に自衛隊の「長沼ナイキ基地」の建設計画を公表。翌年には基地建設に必要な土地を確保するため、農林省が、同地域の保安林指定を解除し、伐採の許可を出している。これに対し、地元住民が、その執行停止を求めて行政訴訟を起こした。
この訴訟は、国と地元住民が、権利関係を争うという単純なものではなく、日本の防衛が関係していたうえ、背景には「ドミノ理論」に基づく米軍の極東戦略があった。
ひとつの国が共産化すれば、ドミノ倒しのように周辺諸国も共産化するという、一種の強迫観念から生まれた理論である。
非常にやっかいな訴訟であり、当時の札幌地裁の裁判官たちは、「来るぞ、来るぞ」といっては、日々緊張を高めていたという。
「国家」の意を尊重せよ
この裁判を担当したのが、札幌地裁民事1部の福島重雄裁判長(当時39歳)だった。
青法協の機関誌『篝火』の編集責任者を務めたこともあるアクティブメンバーであった。提訴から約1ヵ月後、福島が下した決定は、「憲法違反の疑いがある自衛隊のために、保安林を伐採するのは問題であり、保安林指定解除処分の執行を停止する」だった。
本来なら、決定を不服とする国側は、直ちに本訴を起こし、さらなる争いへと発展していくのだが、このケースは違っていた。
この決定が国側に告知されるまでの間、予想外の展開が起こった。札幌地裁のトップだった平賀健太所長が、決定内容を変更するよう、福島に「圧力」をかけたのだ。
ことの経緯はこうだ。
まずは、数度にわたり所長室に呼びだし、「君、慎重にね」と話しては、暗に再考を促した。
しかし、いっこうに福島が翻意する様子がないので、しびれを切らした平賀は、福島の官舎に宛て、直筆の「書簡」を届けている。
「大兄の人柄を信用した上での老婆心ですから、なにとぞ小生の意のあるところを素直にくみとって下さるようお願いいたします」と断ったうえで、こう書いていた。「裁判所も農林大臣の裁量によるこの判断を尊重すべきものである」。
命令とも受け取れる文面であった。
この書簡の存在は、憲法の解説書でも、「裁判にたいする不当な干渉であり裁判官の独立を侵害するものであった」(『注釈 日本国憲法』)と批判されている。
そしてこの決定的証拠がマスコミ各社に流れたことで、当時、第5代最高裁長官だった石田和外のもと、長期的な人事政策として、「ブルーパージ」が実施されることになった。
「『平賀書簡』をマスコミにリークしたのは、青法協の裁判官以外考えられないわけですから、青法協を中央から徹底して遠ざける必要があった。なぜって、外部と結託して、裁判所を批判するような裁判官は危なくて置いておけないからです」(ある裁判官)
ただ書簡が、いつ、どのようにしてマスコミ各社の手に渡ったのか。これは、最高裁の調査でも解明できなかった。
初めて語られる真相
マスコミが「平賀書簡」を大々的に取り上げた2日後、札幌地裁から、札幌高裁長官の熊野啓五郎に、事態の「経過説明報告書」が提出されている。そこにも外部流出の経路は解明できなかったとある。
当時の事情をよく知る元裁判官は言う。
「この報告書は、札幌地裁での裁判官会議の議論をまとめたもので、平賀所長への、行政上の処分を下す必要性と理由についても記載されている。
要するに、私信といえど、自己の見解を記載した書簡を届け、裁判権の行使に不当に影響を及ぼすおそれを生み出したのは、きわめて遺憾。だから、所長を厳重注意するというものです」
同地裁に所属する全裁判官を徴集して開催される裁判官会議は、裁判所法によって定められた意思決定機関で、ここで決まったことは、所長といえども従う義務がある。
普段、管理されている裁判官たちが、上司である所長を「厳重注意」したことなど、かつてなかったことだ。これには、最高裁のみならず、高裁長官たちも激高した。
当時、最高裁で開かれた会議に出席した、元裁判官はこう回想した。
「会議に際して開かれた食事会の席で、この一件が雑談の話題にのぼった。隣の席の最高裁判事と、その向かいに座っていた東京高裁長官が、『平賀君も下手なことをした。しかしそれ以上に、若い判事補が集まって、上司である所長を注意するなどもってのほか。けしからん』と、息巻いていました。
それを聞きながら、つくづく、裁判所という階層社会では、踏み越えてはいけない領域があるんだなと思ったものです」
跳ね返りの若手裁判官を震え上がらせるとともに、政府の理解を得て「平賀書簡問題」を収めるには、スケープゴートが必要だった。
そのターゲットとされたのが、青法協の中心メンバーであった宮本康昭判事補(当時35歳)である。
裁判官は、10年ごとにその適格性を審査され、不適格と認定されると、裁判官の地位を失う。宮本は、理由を告げられることなく、再任拒否となり、裁判所を追われた。
宮本は、冒頭の町田元長官とは司法修習生の同期で、ともに青法協のアクティブメンバーだった。
町田は脱会し、順調にエリート街道を歩み、宮本は会員に留まったことで、弁護士への転身を余儀なくされた。それほどまでに、最高裁の青法協への人事政策は徹底していた。
当時、書簡を受け取った福島は、退官後の現在、郷里の富山市で弁護士をしている。
多くの裁判官を翻弄した「平賀書簡」は、いったい、誰が、マスコミに流出させたのか。
86歳の高齢ながら矍鑠としていて、一徹な性格そのまま、書簡流出の真相をはじめて語った。
「いろいろ考えた挙げ句、かなり早い段階で、僕が、新聞社に渡した。これを放置したんじゃ、いずれまた、同じような裁判干渉が起こる。
だけど、裁判所の中だけで問題にしても、結局、もみ消されるだけですから。まずは、公表しないと戦えない。世論を喚起しようと、地元の北海道新聞に送ったわけです」
福島の話が続く。
「だけど、道新の記者は、裁判所の所長が、裁判干渉になるような書簡を出すなんて信じられないと言って動かない。それで朝日、毎日、読売の各東京本社に、御中と書いて送った。知り合いの記者はいないわけだから。
しかし彼らもまた、この書簡が本物かどうかわからない。ガセネタを掴まされて、踊らされたんじゃかなわないと言って動かない。
なかには、平賀所長の署名の入った判決文を取り寄せて筆跡鑑定をやった新聞社もあったようだが、なかなか記事にはならなかった」
早くから「平賀書簡」を入手していたマスコミが、その重い腰を上げたのは、前述した札幌地裁で裁判官会議の開催が決まってからだ。
その会議で、「平賀書簡」問題が取り上げられるのを知って、自分たちの手許にある書簡が本物との確信を得た。以後、激しい取材合戦が繰り広げられ、日本中を巻き込んだ一大騒動へと発展していくのである。
苛立ちをにじませながら、福島はこう語った。
「僕も、その後、冷や飯食わされますわね。しかし、冷や飯食わされるのは嫌だから、出世コースから外れないために、もみ消しを認めるんですか。もみ消しされたほうがいいですか」
結果論だが、福島の誠実さと使命感の代償は、あまりにも高くついた。
再び、福島が語る。
「あれ以来、青法協の裁判官は次々と、裁判所を追い出されていった。いまは、クビを切るなら切れという気概のある裁判官は少なくなりました。政府の方針が間違っていても、逆らわない。骨抜きにされちゃったということなんでしょう」
ブルーパージが残したもの
石田長官から「ブルーパージ」を引き継いだ第11代最高裁長官の矢口洪一は、1999年11月、「宮本判事補再任拒否事件」をきっかけに生まれた「全国裁判官懇話会」で講演をおこなった。
約30年という時間の経過が、両者の感情的対立を幾分か癒やしてくれたのだろう。一種の「和解講演」であった。
強烈な個性の持ち主の矢口は、しかしここでも、聞きようによっては「ブルーパージ」を正当化する発言をおこなっていた。
「国を保っておくことにおいて積極的な作用をなすものは、立法であり、行政でありまして、司法は積極的な助長行政をやるという性質のものではありません。これは当たり前のことです。
司法が勝手に走り出したら、それこそ大変なことになります。あくまで司法は、最小限のコントロール機関であるということになると思います」
ある程度は国の政策を牽制してもいいが、やりすぎると日本の運営がおかしくなる。裁判所の機能を健全に保つには、司法行政による裁判官の統制が必要と、言外に言っているのである。
あるベテラン裁判官が言う。
「やっぱり、福島さんの、その後の裁判官人生を見ていると、誰しも、最高裁の方針には逆らわないほうがいいと思いますよ。
あれだけ能力のある人が、ずっと家庭裁判所に据え置かれましたからね。家裁を低く見るわけではないけれど、もっと活躍の場が与えられてもよかったと思います」
「ブルーパージ」は、いまや過去の遺物となった。しかし直接的な効果以上に、多くの裁判官を心理的な意味で支配した、その影響はいまに引き継がれている。だからこそ、既存の枠組みを越えることに躊躇し、国策を公正かつ公平に審理する裁判官が少なくなったのである。
(文中敬称略)岩瀬達哉(いわせ・たつや)55年、和歌山県生まれ。'04年『年金大崩壊』『年金の悲劇』で講談社ノンフィクション賞を受賞。その他著書多数


作品を模倣して性犯罪が起きたと警察が漫画家に“描くな”の圧力! 作家たちが一斉に反発、共謀罪施行後を危惧
「放射能の調査」を口実に少女の身体を触ったとして、強制わいせつ容疑などで再逮捕された男が、「成人向けの同人漫画の手口を真似た」と供述したことを受け、埼玉県警が漫画の作者に対して、事実上、模倣した犯罪が起きるような作品を描かないよう圧力をかけていたことが明るみとなった。
 容疑者の男は昨年1月、埼玉県草加市内の民家に「放射能を調べる調査をしたいから入っていいですか?」などと言って侵入。当時中学生だった少女を「死にたくなければ声を出さないで」と脅迫して、身体を触ったとされる。男は「性的欲求を満たしたかった」と容疑を認めているという。
 そこで、埼玉県警は今月7日に漫画家を訪ね、作品内容が模倣されないよう配慮することや、作中の行為が犯罪に当たると注意喚起を促すことなどを要請したというのだ。毎日新聞の報道によれば、漫画家は「少女が性的被害に遭うような漫画は今後描かない」と了承したという。また、これに関し県警幹部は同新聞の取材に「表現の自由との兼ね合いもあり難しいが、社会に与える影響を考慮した。同様のケースがあれば今後も申し入れを検討する」とコメントしている。
 犯罪に模倣されないよう著作物の作者に対して警察が申し入れをするのは異例のこと。しかも、表向き「注意喚起」というかたちをとってはいるが、性表現の取り締まり権限をもっている警察からそういうことをちらつかされたら、ほとんどの作家は「描きません」と言うしかなくなる。誰がどう見ても、圧力というべきだろう。
 実際、これに対しネットは大炎上。特に、漫画家や小説家など、創作に関わるクリエイターたちから異論が相次いだ。たとえば、漫画評論家の伊藤剛氏はこのようにツイートしている。
〈埼玉県警が同人マンガ作家に行ったという「申し入れ」ですが、いかなる法的根拠で、どんな権限で、誰が責任者で、どのような議論を経て行われたことなのか、公開してもらいたいです。常識外れもいいところだし、意味も意図も分からない。〉
 また、小説家の深町秋生氏もこのような文章をツイッターに投稿した。
〈んなアホな。県警が変態野郎の言い訳を口実に「忖度せんかい」とヤクザのごとく無茶振りかざしたとしか。この申し入れとやらが、異例ではなく通例になる時代が来る予感。〉
〈ミステリ作家は、いつも人殺しのくだらない駄ボラに気を使って「真似されぬように注意しろ」と警察に目をつけられながらお仕事せんといかんのか。人の文章、黒塗りにでもするか。おまわりさんに睨まれながらお仕事するしかないんかの。なんぼでも理屈つけてブタ箱に引っ張れる法律もできそうだしのー。〉
確かに作品内容に問題はあるが、警察のこの動きは危険
 この事件で犯人が模倣したのは、クジラックス「がいがぁかうんたぁ」だとされている。この作品は、少女が一人で留守番をしているところに、市役所の環境業務課に属していると名乗る男が、「先の震災に伴う政府の要請で東日本全域の各世帯内における放射線レベルの一斉検査を実施しております」と理由をつけて訪問。信用して家に招き入れた少女を男はカッターナイフで脅し、そのまま性的暴行を加えるといった内容だ。
 描かれている内容は、一般的な感覚から見れば不快極まりないし、女性差別的だ。ともすれば「こんな最低な漫画を描く作家には警察が行っても当然だ」と言ってしまいたい気にもなる。
 しかし、だからといって表現に責任を負わせるのは間違っているのではないか。漫画家の榎本ナリコ(野火ノビ太)氏はこのようにツイートしている。
〈現実と空想は違います。表現は入力も出力も思考実験であり、現実にはなりえない。読み手のなかで犯罪に繋がることがあったとして、それを逆流させて表現に犯罪の責任を負わせるのは絶対に間違っています。表現の内容がどんなにあかんものでもです。〉
 この一件は、漫画業界のなかでは重く受け止められているようで、『ラブひな』や『魔法先生ネギま!』といった作品で知られ、日本漫画家協会(理事長:ちばてつや)の理事も務める赤松健氏はツイッターを通してこのように述べている。
〈毎日新聞だけ、「今後描かないと了承した」という報道になってますね。まだ分かりませんが事実なら大変困ったことです。今週末の日本漫画家協会の総会でも問題提起します。〉
 また、法律的な視点から見ても、今回の埼玉県警の動きには看過できない部分がある。弁護士の山口貴士氏はツイッターでこのように意見を述べている。
〈警察が作品内容が犯罪者に模倣されないように配慮することを求めることを認めれば、作品の受け取り方は人それぞれなので、「社会に与える影響」を口実として、警察は、いかなる作品についても「因縁」をつけられるようになります。非常に危険な動きです。〉
とり・みきや島田虎之介は県警の対応に共謀罪への危惧を募らせる
 もうひとつ、この騒動が示唆していることがある。それは、いわずもがな、共謀罪施行後の社会に何が起きるか、ということだ。漫画家のとり・みき氏や島田虎之介氏は、この騒動に共謀罪を重ね合わせ、以下のようにツイートしている。
〈共謀罪は心配しすぎという人いるが、現行法でもこういうことしちゃう取り締まり側がいる以上心配なわけですよ……〉(とり・みき)
〈「あのマンガのせいで犯罪しました」というテキトーな言い訳を根拠にしてマンガ家に注意を与えた警察が、「あの人たち何か企んでますぜ」というテキトーな密告で一般市民をしょっぴかない訳がないのだ共謀罪〉(島田虎之介)
 上述の小説家・深町秋生氏も〈なんぼでも理屈つけてブタ箱に引っ張れる法律もできそうだしのー。〉と共謀罪を危惧していた。
 共謀罪をめぐる反対意見の根拠となるもののひとつに「公権力による恣意的な解釈への危惧」があるのはご存知の通り。警察が法律の拡大解釈を繰り返し、結果として大規模な思想弾圧を招いた治安維持法の失敗が繰り返されるとして、共謀罪には反対の声が相次いでいたわけだが、この一件はまさしく、公権力が恣意的な解釈の果てに作家に対して圧力を加える可能性があるということを示唆した騒動である。とり・みき氏や島田虎之介氏が言うように、共謀罪が施行された後には、こういった光景は日常で繰り返されるものになるだろう。
 今回は、一般的なモラルから逸脱した漫画作品が対象とされ、表立って反対を唱えるのに躊躇する声も聞かれたこと、また出版社など組織的な後ろ盾のない同人作品だったことについて、朝日新聞の丹治吉順記者や前述の山口貴士弁護士はこのようにツイート。そのような反論の出しづらい案件だからこそ警察はこのような動きに出たのではないかと指摘している。
〈犯罪の手法を伝えるのが問題なら、警察はまず新聞社やTV局、あるいは犯罪ルポや推理小説の出版元に申し入れなさい。弱い立場の同人作家から始める。炭鉱のカナリア案件かもしれぬ〉(丹治吉順記者)
〈犯罪者に模倣されそうな作品は、映画でもドラマでも小説でも、エロではないマンガでも幾らでもあるのに、埼玉県警が「エロ同人誌」をわざわざ選んだところに、先例を作り、突破口を開きたいという意図を感じます。〉(山口貴士弁護士)
ちばてつやが戦前と比較して語る、国家権力による規制の始まり
 これは歴史が証明している。漫画家のちばてつや氏は、戦前に起こったことを例に出し、エロ・グロ・ナンセンスの規制こそが、国家権力による過度な規制の始まりであると警鐘を鳴らしたことがある。
〈戦前もまず、「エロ・グロ・ナンセンス」がやり玉にあがりました。エロ小説とかエロ写真とか…。「日本がこんな大変な時に、こんなものが出回っている」「こんな下品なものはこの世から消してしまえ」という雰囲気があった。そういうものは取り締まりやすいし、そのための法律も作りやすかったんですね。
 そのうち、同じ法律で新聞記事や本、放送の規制にまで広げていきました。国民の目をふさぎ、耳をふさぎ、口をふさぐというように、国民の考えそのものを取り締まっていくことになっていった。権力を持つ人たちは自分たちが持って行きたい方向へ、国民ごと国を持って行く。反対する人、自分たちにとって都合の悪い余計なことを言う人はどんどん牢屋に入れられた。それが戦前の日本だったんです。
 ぼくも5人の子どもがいました。世間には子どもに見せたくないものはたくさんあります。でも、たとえば何が「児童ポルノ」かは、権力を握った人たちが判断して取り締まることになる。しかも、ただ持っているだけでも処罰される。処罰の対象が漫画やアニメ表現にまで広げられると、さらに拡大解釈されかねない。どういう表現をするのか、報道をするのか、どういう集会が許されるのかということに発展しかねません〉(14年9月7日付しんぶん赤旗日曜版)
 政府は共謀罪について一般人は対象ではないなどと詭弁を弄し続けたが、彼らが対象としている人間はテロ組織などではなく、権力に楯突く人間すべてであることは火を見るより明らかである。共謀罪などまだ施行されていない状況ですらこんなことが起こるのだ。共謀罪が施行された後になにが起こるかなど推して知るべしである。
 そう遠くない未来、この国はもの言えぬディストピアとなる。この一件は、その先駆なのかもしれない。そうはならないことを願う。(編集部)

John LenonのImagine/ゴーの準備/文献調査

ブログネタ
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mhok1

Japon: Le pays durcit sa législation sur le viol, vieille de 110 ans
Ce vendredi, le Parlement japonais a adopté une série d’amendements à la législation sur les délits sexuels, qui n’avait pas évolué depuis 1907.
La notion de viol se trouve élargie et les sanctions renforcées.
Cinq années d’emprisonnement
Après sa mise en application, les violeurs risqueront ainsi cinq années d’emprisonnement contre trois ans aujourd’hui. La définition du viol, qui ne concernait jusqu’ici que la pénétration vaginale par un pénis, deviendra également moins restrictive et intégrera d’autres formes d’agressions sexuelles.
Dans cette nouvelle mouture, les autorités pourront elles-memes qualifier les faits et décider de lancer une enquete sans dépot de plainte au préalable. Une véritable avancée quand on sait que les victimes ont tendance, par peur des représailles, à ne pas exiger de procédure.
Les hommes reconnus également comme victimes
Autre évolution : les hommes pourront désormais etre reconnus comme victimes. ≪ J’espère que la révision de cette loi va conduire à une punition plus appropriée des agresseurs et à une meilleure prise de conscience de la réalité de la criminalité sexuelle ≫, avait déclaré devant une commission parlementaire un quadragénaire, Jun Yamamoto, abusé par son père dans son enfance.
75 % des victimes ne portent pas plainte
La police nippone dit avoir pris en charge 1.200 cas de viols au Japon en 2015, avec une baisse de 40 % en une décennie. Mais une étude du ministère de la Justice avertit que 75 % des victimes ne portent pas plainte auprès des forces de l’ordre.
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NHKスペシャル「天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」
将棋界最高の頭脳・羽生善治が、人工知能開発の最前線を訪ねる。このまま人工知能が進化していけば、どんな社会が到来するのか。羽生は、その進化に何を見るだろうか。
2016年3月、グーグルの開発した囲碁の人工知能が、世界最強の棋士に圧勝し、世界に衝撃が走った。その人工知能は、人間に頼らず、自ら進化する異次元のモンスターだった。囲碁だけではない。人間の医師でも見逃すガンを見つける人工知能、運転の仕方を覚えぶつからない車を実現する人工知能、自らの発想で絵を描く人工知能。人間の能力を超える人工知能がさまざまな分野に出現している。人工知能は世界をどう変えるのだろうか
羽生善治, 林原めぐみ

週刊 ニュース深読み「休みが増えれば皆ハッピー?広がるか“週休3日”」
最近、大手企業を中心に導入が相次いでいる“週休3日”。人手不足の中で人材をつなぎとめる方法として、また介護や育児を抱える社員に多様な選択肢を用意できるなど期待されているが、現在の日本の職場で導入するには課題も多いとの指摘も。休みを増やせば明るい未来が待っているの? 休みが取りづらい本当の原因は? 週休3日ってどこまで広がるの? ニッポン人の「休み方」を深読みします。
高田延彦,いとうまい子, 法政大学教授…武石恵美子,東レ経営研究所主任研究員…渥美由喜,NHK解説委員…竹田忠, 首藤奈知子,小松宏司, 南利幸ほか

助けて!きわめびと選「夫に内緒で消臭術」
年をとると気になる“夫のにおい”。あんなにベタベタしていたのに、今は近づくのもいや!なんてことも。でも直接クサイと言うのも難しい。そこで登場!夫に内緒で消臭術!
きわめびと・医師の五味常明さんは、30年にわたり、「におい」に悩む1万人以上の患者と向き合ってきた“におい治療のパイオニア”。ちょっと生活習慣を変えるだけで消臭効果が得られる驚きの極意や、大してお金のかからない消臭テクニックで、悩める患者たちを救ってきた。スタジオには、ミニ自宅セットを再現。きわめびと・五味先生監修の“寸劇”で、すぐに使える“夫に内緒で消臭術”の極意を伝授する。4月15日放送分。
藤井隆,濱田マリ,小野塚康之, ニオイ治療のパイオニア…五味常明, 紅壱子,鍋島浩, 木元美香

buu‏ @buu34
昨日の内閣委をツラツラ聞き直してるんだけど
山本太郎「大臣、持続可能な国造りのために必要なことって何でしょう?」
答えを知ってるぞ、安倍内閣退陣

毎日新聞写真部‏@mainichiphoto
宮城県で、ホヤの水揚げが最盛期を迎えています。東日本大震災前に県内生産量の約7割を輸出していた韓国の禁輸措置が続き、今年も大半を廃棄せざるをえませんが、その一方で国内消費は伸び、漁師たちはさらなる消費拡大に希望を託しています

John LenonのImagineの絵はがきに守口で風景印を押してもらって,投函しました.届くのは月曜日かな?
月曜のゴーの準備が全然できていないことに気がつき慌てて頑張りました.結構疲れました・・・
Yaさんとのメールのやり取りで文献調査が必要だと感じ,頑張ることにしました.文献は今すぐ手に入るものではないのですが,それなりに情報収集できただろうという気がしています.

孤立防止へ「つなぐプロジェクト」で交流後押し
 東日本大震災の災害公営住宅で暮らす人の孤立防止や自治会活動の活性化に向け、仙台市社会福祉協議会などは、入居者らのニーズに応じ、支援団体を紹介する「つなぐ・つながるプロジェクト」を始めた。音楽演奏や料理教室、生活相談などメニューは多岐にわたる。市社協は「自治会の催しなどに活用してもらい、コミュニティーづくりを後押ししたい」と言う。
 プロジェクトは市社協と仙台市が実施。参加する支援団体の情報をまとめた冊子「つなカタログ」を市内の災害公営住宅に配布し、希望に合う団体や内容を選んでもらう。必要に応じ、入居者らへの広報のチラシ作成なども支援する。自治会は直接、または社協を通じて支援団体と交渉し日程などを調整する。
 支援団体は現在、市内外の学生ボランティアやNPO法人、民間企業など約20団体に上り、楽器演奏や踊り、健康教室などのメニューを用意する。今年2月の冊子配布後、4カ所以上での実施が決定。入居者からは「情報が得られて助かる」「催しのマンネリ化を防げる」と好評だという。
 市社協などによると、5月下旬までに、仙台市内の災害公営住宅全40カ所で、自治会の設立や地域の町内会などへの加入が完了したが、住民の交流が希薄なケースも少なくないという。
 市社協中核支えあいセンターの吉田幸江所長は「組織をつくって終わりにならないよう、プロジェクトを通じて継続的に支援したい」と強調。今後、支援対象を防災集団移転団地や津波浸水地域の自治会などにも広げる方針だ。支援団体も随時募集している。連絡先は同センター022(217)7234。


鯨と海の科学館 7月15日再開
 東日本大震災で被災、休館していた岩手県山田町の「鯨と海の科学館」が、施設の復旧や展示品の修復を終えて7月15日に再オープンする。震災前と同規模の展示内容を維持し、新たに施設の復旧復興の様子を紹介する。
 科学館は津波で床上約5メートルまで浸水。外壁などが損傷し、2000点あった展示用資料の半数近くが流失した。呼び物だった世界最大級のマッコウクジラの骨格標本(体長17.6メートル)は、土砂をかぶったものの大きな損傷はなかった。
 スタッフは、東京海洋大や800人を超える市民ボランティアと共に展示品を洗浄、修復に取り組んできた。復旧費約9億2000万円は、災害復旧費と復興交付金を活用した。
 湊敏館長は「皆さんの支援でようやく再開までこぎ着けることができた。訪れる人が楽しく、癒やされる空間にするので期待してほしい」と話した。
 再オープンの7月15日は入館無料で午前10時から。通常の開館は午前9時〜午後5時。火曜定休(祝日は開館)。入館料は一般300円(小中学生150円、高校生、大学生200円)。連絡先は0193(84)3985。


<復興CSR>企業人のスキル 威力
 復興の進路を照らすCSR(企業の社会的責任)。企業や社員は私益を超え、東北の被災地で貢献の在り方を模索する。人材、投資と消費、教育。展開の場は多岐にわたる。被災地の自治体は企業の力をどう引き込むか対応力が問われる。(「被災地と企業」取材班)
◎トモノミクス 被災地と企業[45]第10部 展開/(1)わかちあう/プロボノ
 ITサービス大手のプロチームが、東日本大震災の被災地の課題を一つ、解決した。
 宮城県女川町でスペインタイルを制作・販売するNPO法人「みなとまちセラミカ工房」。昨年、顧客情報管理システムを導入し、紙ベースで煩雑を極めた業務の効率化に成功した。阿部鳴海代表(56)は「制作に充てる時間が増えた」と喜ぶ。
 システムを構築したのはSCSK(東京)。社員4人がボランティアで半年かけて作り上げた。阿部代表とテレビ会議で要望や課題を確認。業務終了後や休日を使い完成にこぎ着けた。
 車載システム事業本部の石井裕(ひろし)さん(36)は仙台市出身。津波で父と祖父母を亡くした。被災地には特別な思いがある。「いつもの仕事相手は大企業の一部門。規模は小さくても事業全体の流れを体感できたのは得難い経験になった」と働きがいをかみしめる。
 高度な知識や技術を持つ企業人や専門家による社会貢献活動は「プロボノ」と呼ばれる。
 同社は2014年、社内でプロボノの募集を始め、14件に52人が参加した。その一つがセラミカ工房への支援だった。流通システム事業部門の西園友美さん(29)は「阿部さんの喜ぶ顔を見て、自分のスキルで社会貢献できることを知り、自信になった」と語る。
 震災直後、泥かきなど数の力が求められたボランティアへの期待は、時間とともに多様化、複雑化した。応えたのがシステムエンジニアや公認会計士、ウェブデザイナーら、その道のプロたちだった。
 広告代理店の東急エージェンシー(東京)社員渡辺敬子さん(31)もその一人。命を守る学びの機会を子どもたちに提供しようと、石巻市のNPO法人「ぐるぐる応援団」などが今年3月設立した「こども防災協会」をサポートする。
 渡辺さんが受け持つのは防災キャンプの広報戦略や情報発信だ。「思いを伝えるのが広告。内容は本業と違っても、本質は変わらない」と言う。
 宮城県内の女性建築士約20人は、津波で流失した家屋の間取りを再現する「記憶の中の住まい」事業を手掛ける。これまで26軒の間取り図を被災者に届けた。
 呼び掛け人の西條由紀子さん(66)=仙台市=は「震災前の暮らしを思い出す手だてになってくれれば。息長く続けたい」と労力を惜しまない。
 震災の前後でボランティアの風景は変わった。その象徴の一つが企業人のプロボノだ。ラテン語の「公益のために」が語源という。


いわて内陸避難者の支援 伴走型で成果
 東日本大震災からの暮らし再生で「いわて内陸避難者支援センター」の「伴走型支援」が成果を上げている。住宅再建を後押しするセンターの開設から1年余り。きめ細かな支援で、つらい境遇に置かれた避難者の悩みを受け止める。
 盛岡市のアルバイト斎藤道男さん(73)は、福島市から東京電力福島第1原発事故の難を逃れてきた自主避難者。2011年6月以降、アパートに身を寄せてきた。
 福島県による自主避難者向け住宅の無償提供が打ち切られる直前の今年3月、盛岡市の市営住宅に入居できた。センターの相談業務が奏功した一例だ。
 「打ち切りが迫り、焦りが大きかった。精神的な支えはもちろん、細かい手続きの相談にも乗ってもらえて助かった」と斎藤さん。センター相談員の川村みゆきさん(42)は「支援はここで終わりではない。今後も定期的な見守り活動を続ける」と力を込めた。
 昨年5月に開設したセンターは、被災者やひとり親家庭の支援に取り組むNPO法人「インクルいわて」が岩手県から運営を受託。戸別訪問などで住宅再建を支援する。必要に応じて不動産会社や社会福祉協議会とも連携する。
 戸別訪問は、主に岩手県や被災市町村から依頼を受けた782世帯が対象になる。このうち2割は再建方針を決めかねたり、連絡が取れないなどのケース。既に再建方針が決まっても途中で問題が発生し、再び住宅を探し直すこともある。
 訪問先は県内にとどまらず、北海道から九州まで全国に及ぶ。直接面談することで信頼関係を築き、悩みを打ち明けてもらえるよう心掛けているという。
 県は5月、沿岸の被災6市町にある仮設住宅の入居期限を最長19年夏までとする方針を発表。併せて、みなし仮設住宅の供与も終了する見通しだ。
 山屋理恵センター長は「ただ新しい家を確保すれば終わりではなく、その先の人生に対しても支援が求められる。今後も一人一人に向き合った伴走型支援を続けたい」と話す。
[いわて内陸避難者支援センター]2016年5月、盛岡市材木町に開設。スタッフは社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を持つ9人。開設初年度の相談件数は延べ計2463件で、内訳は電話対応1499件、戸別訪問858件、センターでの面談106件。今年4月現在の岩手県の内陸避難は1375世帯、2858人。


河北抄
 略して「ひとぼう」。こんな呼び方をされる東西2棟の建物が、神戸市中央区に立地する。「人と防災未来センター」は阪神・淡路大震災の経験を基に、防災・減災のために必要な情報を発信する施設として震災7年後の2002年4月(東館は翌年4月)にオープンした。
 圧巻なのは、最初に案内される「1.17シアター」。再現した地震の衝撃や破壊のすさまじさを、大型映像と音響で体感できる。数多くの震災関係資料で復旧復興の道筋を学べるのも魅力だ。東館では、宮城県南三陸町や陸前高田市などの被災者を取り上げた東日本大震災の3Dドキュメンタリー映画を放映している。
 センターには、災害対応の現地支援や防災専門家の育成など大きく六つのミッションがあり、国際防災復興協力機構といった国内外の名だたる機関が入居する充実ぶりは、うらやましささえ覚える。
 にもかかわらず、東館(旧ひと未来館)は09年3月、入場者の低迷に伴い一時的に閉館した経緯があるという。天災を前に最も警戒すべきは、われわれの油断と無関心、風化にほかならない。


原発自主避難の中3男子が自殺
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島県から新潟県長岡市に自主避難していた中学3年の男子生徒が自殺していたことがわかりました。
長岡市教育委員会の高橋譲教育長は16日開かれた市議会で「いじめやトラブルはなかったが、気づいてやれなかったかという思いでいっぱいだ」と述べました。
長岡市教育委員会などによりますと、原発事故のあと、家族と長岡市に自主避難していた中学3年の男子生徒が、今月12日、自宅で死亡しているのが見つかり警察は自殺とみて調べています。
中学校によりますと男子生徒は授業の欠席はなく、いじめなど学校でのトラブルはなかったということです。
長岡市教育委員会の高橋譲教育長は、16日開かれた市議会の文教福祉委員会で「将来ある生徒の命が失われたことは大変残念だ。学校と警察の調べでは、学校生活でいじめやトラブルはなかったと承知しているが、何とか気づいてやれなかったかという思いでいっぱいだ」と述べました。
長岡市教育委員会は男子生徒が自殺したいきさつを調べることにしています。


放影研 被爆者に謝罪へ ABCC時代、治療せず研究
 原爆による放射線被ばくの影響を追跡調査している日米共同研究機関「放射線影響研究所」(放影研、広島・長崎両市)の丹羽太貫(おおつら)理事長(73)が、19日に被爆者を招いて広島市で開く設立70周年の記念式典で、前身の米原爆傷害調査委員会(ABCC)が治療を原則行わず研究対象として被爆者を扱ったことについて被爆者に謝罪することが分かった。放影研トップが公の場で直接謝罪するのは初めてとみられる。丹羽理事長は「人を対象に研究する場合は対象との関係を築くのが鉄則だが、20世紀にはその概念がなかった。我々も被爆者との関係を良くしていかなければいけない」としている。
 ABCCでは被爆者への治療は原則行わず、多くの被爆者の検査データを集めた。被爆者たちは「強制的に連れてこられ、裸にして写真を撮られた」などと証言。「モルモット扱いされ、人権を侵害された」と反発心を抱く人が少なくなく、「調査はするが治療はしない」と長く批判を浴びてきた。
 丹羽理事長は取材に「オフィシャルには治療せず、多くの人に検査だけやって帰らせていた。被爆者がネガティブな印象を持って当然で、さまざまな書物からもそれははっきりしている」とし、「おわびを申さなければならない」と語った。歴代の理事長らトップが被爆者に直接謝罪した記録はなく、放影研は今回が初めての可能性が高いとしている。
 記念式典では、冒頭のあいさつで「原爆投下の当事者である米国が、被害者である被爆者を調べることに多くの批判や反発があった。不幸な時期があったことを申し訳なく思う」などと述べる方針。この内容は1995年に放影研作成の施設紹介の冊子で言及されているが、ほとんど知られていなかった。
 一方、被爆者を裸にして検査をしたり遺体の献体を求めたりしたことについて、丹羽理事長は「米国側が日本の習慣などを十分理解しておらず、文化摩擦があった。だがサイエンスとしては必要だった」との見方も示した。
 放影研歴史資料管理委員会委員の宇吹暁・元広島女学院大教授(被爆史)は謝罪について「放影研は被爆2世、3世の研究を今後も続けるには、組織として謝った方が協力を得られやすいと判断したのだろう」とみている。【竹下理子】


河北春秋
 劇の筋がなかなか読めぬ中、目の前で幕が下りた。と思ったら、楽屋から何やらガタゴトと音がする。騒々しい。「あれっ、舞台は終わったのに…」。これでは後ろ髪が引かれて帰るに帰れない▼会期末を18日に控える国会は16日、事実上閉幕した。国民の多くは消化不良のままで納得できないのではないか。本編の肝である「共謀罪」法の審議は議論不足の印象を拭えず、その一方で「加計(かけ)学園」絡みの文書調査が新たな疑念を生んでいる。さらに12の省庁で天下り違反の疑い事例が27件あったという▼いずれも楽屋話で済まされる問題ではない。まず加計文書。内閣府が獣医学部新設の条件で文部科学省へ送った「広域的に存在しない地域に限る」というメールは、内閣府の担当外の職員が事実関係を確認せず伝聞を記したらしい。国の行政はその程度で動くのか▼天下り問題は調査元の内閣人事局が関係省庁名の公表を「まだ疑いの段階」として拒んだ。組織ぐるみだった文科省だけが悪者であったかのよう。調査結果の発表も「共謀罪」法の成立直後でドタバタした中だった▼そう言えば舞台劇には「幕あい」がある。大勢の観客は「ところで黒幕は一体誰なんだ?」と首をかしげている。「続きをぜひ」。この声、楽屋に届いているかどうか。

「加計文書」調査/国会閉会後も徹底解明を
 18日の国会閉会間際になって、事態がこうも急展開するのか。その意図に不信感を持たざるをえない。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設を巡る文書問題である。
 国家戦略特区諮問会議で決める新設要件に関し、内閣府の山本幸三地方創生担当相はきのう、自らが判断し「広域的に存在しない地域に限る」と原案を修正していたことを明らかにした。昨年11月のことだという。
 文部科学省が15日に明らかにした文書では、萩生田光一官房副長官からの指示だったとされていた。山本担当相が首相周辺の関与を否定したが、この修正自体が大きな意味を持つと言っていい。
 「広域」要件が入ることで、獣医学系大学がない四国の愛媛県今治市で計画を進める加計学園以外の申請はできなくなったとされるからだ。
 加計学園を前提にした学部新設の手続きが進み、「行政がゆがめられた」と文科省の前川喜平前事務次官が指摘した疑念の核心部分でもある。
 特区行政の担当相が、どのような意図でこの要件を加えたのか。明確に説明すべきである。
 一連の問題の発火点になった「総理の意向だ」「官邸の最高レベルが言っている」といった文言を含む文書については、きのうの参院予算委員会の集中審議でも取り上げられた。山本担当相は「そのような発言をした内閣府職員はいない」と、ヒアリングの結果を説明した。
 これらの文書は文科省の再調査の結果で省内に存在していたことが前日、確認されたばかり。「こうした趣旨の発言があったと思う」と文書を作成した文科省職員が証言しており、言い分が食い違う。
 内閣府側は「スピード感を持って取り組むようにという首相の常日頃の指示が、そのように伝わったのではないか」などと指摘し、受け止めた文科省側の責任に転嫁しようとしているように映る。
 国民不在の省庁間の責任のなすり合いではないか。
 具体的にどういうやりとりがなされたかは、第三者による徹底した調査や、前川前次官の証人喚問などで究明する以外にはあるまい。
 原点の文書問題を越え、「平成30年4月開学」を前提にしたスケジュール管理など政府と今治市の情報共有が早い段階から進んでいたとする新たな資料も確認されている。疑念は一段と深まっている。
 安倍首相は「岩盤規制を突破する過程で、ぶつかり合うこともあるが、政府全体で決定した。私一人で決めることはない」と関与を否定した。
 国民の不信が払拭(ふっしょく)されないのは、当事者である首相が十分な説明責任を果たしてこなかったからだ。国会閉幕での幕引きは許されるものではない。閉会中審査で真相を徹底解明すべきだ。


「加計」問題で集中審議 苦しい弁明だけだった
 これで多くの国民が納得するとは、まさか安倍晋三首相も思っていないだろう。
 首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題を中心とする参院予算委員会の集中審議が、国会の実質的な最終日となるきのう、やっと実現した。
 審議では文部科学省の内部文書を当初、「怪文書」呼ばわりをしていた菅義偉官房長官を含め、政府側はその存在を国会の場で認めた。
 だが認めると一転して今度は、これまでの説明との矛盾を突かれて苦しい弁明に追われることになった。
 文書の大半は文科省が内閣府とのやり取りを記録し、残したものだ。
 これに対し内閣府の藤原豊審議官らは文書に残る「総理のご意向」などの発言自体を否定した。だとすると文科省が勝手に作文したというのだろうか。ところが内閣府には関係する文書は残っていないという。これでは説得力がない。
 国家戦略特区諮問会議が昨秋、獣医学部の新設は「広域的に存在しない地域に限り可能」との規制緩和策を決めたことが、加計学園だけが候補に絞られる結果につながった。その経緯も焦点の一つだ。
 萩生田光一官房副長官の指示で、「広域的」などの文言が追加されたとする内閣府から文科省に宛てたメールも新たに確認された。
 これも萩生田氏は「指示を出したことはない」と否定し、山本幸三地方創生担当相はメールを送信したのは文科省から内閣府への出向者であり、「陰で隠れて本省(文科省)にご注進した」とまで語った。職員をスパイ扱いするような答弁には驚くほかない。
 首相は「意向を示したことも指示したこともない」と従来の答弁を繰り返し、この日は山本氏が「規制緩和策は私が決めた」と強調する場面が目立った。それでも首相の意向を周辺がそんたくし、行政がゆがめられたのではないかという疑問の核心は解消されなかったということだ。
 野党は文書の存在を初めて公言した前川喜平前文科事務次官の参考人招致を求めたが、自民党は拒否した。関係者がそろわず、わずか3時間の審議で幕引きできるはずがない。
 国会で解明を続けるよう改めて求める。閉会中審査もできる。


「加計文書」存在 知る者たちに語らせよ
 加計学園獣医学部新設を巡る「総理のご意向」などと記された文書が、文部科学省にあった事実は重い。首相官邸によるえこひいきはあったのか、なかったのか。そもそも調べる気がないのか。
 獣医学部の早期開設を、内閣府が文科省に働きかけたことを示す一連の文書だ。文科省は五月の調査で「確認できなかった」としていたのに、職員のパソコンを再調査したらあっさり見つかった。
 「怪文書」扱いし、文書の存在を証言した前川喜平前次官を攻撃した菅義偉官房長官は謝罪すべきだ。きちんと確かめもせず、不都合な事実を隠そうとしたとしか思われない。
 一方、内閣府の調査では、文科省の文書に記載されているような「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」と伝えた職員はいなかったという。あたかも文科省の職員が勝手に解釈したものとして、責任を転嫁した形だ。
 役所の職員同士のやりとりの記録やその真偽は、調べる気があればすぐに分かるはずだ。国会会期末ぎりぎりまで、政府はなぜ調べようとしなかったのか。
 ふたを開ければ、すべては文科省の自作自演だったかのように見える。この間、義家弘介文科副大臣は、内部告発者は国家公務員法違反に問われる可能性があるとさえ公言している。職員の良心を抑えつける威嚇というほかない。
 問題の本質は、国家戦略特区での規制改革の是非ではない。愛媛県今治市での獣医学部新設は、加計学園ありきで行政手続きが進められたのではなかったか。そういう疑いが持たれていることだ。
 文科省の再調査では、獣医学部新設の要件について、加計学園しか事実上応募できないように、萩生田光一官房副長官が内閣府の藤原豊審議官に対し、変更を指示したことをうかがわせるメールが明らかになった。
 事実ならば、萩生田氏を通じ、安倍晋三首相の意向が働いた構図も浮かぶ。山本幸三地方創生担当相は自らの指示だったとして記載内容を否定する。だが、不自然なのは内閣府の調査結果だ。
 メール作成者は文科省から出向中の職員で、伝聞の曖昧な内容を事実関係を確認しないまま発信したという。極めて重要な情報をそんなにいいかげんに扱うのか。
 これでは文科省と内閣府の水掛け論だ。前川氏ら意思形成過程に関わった人物の国会での証言が欠かせない。知る者たちに語らせないままでの幕引きは許されない。


加計学園問題/許されない疑惑の幕引き
 政府が「怪文書」としていた記録文書は実在した。世論の反発が政府を突き動かし、文部科学省の再調査で確認された。
 文書は、国家戦略特区を使った学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、特区担当の内閣府が「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと伝えたことを記す。
 文科省の前事務次官は会見で文書の存在を認めていた。そして「(政治によって)公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」と語った。
 文書の存在が裏付けられたことは、前事務次官の証言が重みを増したことを意味する。
 安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める加計学園の計画実現に、首相周辺の後押しがあったのか。行政はゆがめられたのか。
 通常国会はきのうで事実上閉会したが、これで疑惑の幕引きを図ることは許されない。真相解明は始まったばかりだ。
 内閣府も調査結果を発表した。しかし文科省とは異なり、「総理の意向」などのやりとりを否定する内容だった。どちらかの発表に、ごまかしがある。
 驚いたのは、参院集中審議で内閣府の山本幸三・地方創生担当相が行った答弁だ。内閣府の意向を伝える文書を「文科省の出向者が、陰に隠れて本省にご注進したものだ」と述べた。
 信頼性をおとしめる意図が感じられ、前事務次官に対する「人格攻撃」を思い起こす。
 前事務次官は一連の文書を、幹部で共有していたと証言している。内閣府への対応が文科省内で重要視されていたことは間違いない。関係者の国会での証人喚問を強く求めたい。
 今国会では安倍政権のみならず、与党のおごりも目に余るものがあった。「禁じ手」の中間報告を使った「共謀罪」法の採決では、反対する野党議員に「共謀罪で逮捕するぞ」とヤジが飛んだ。
 加計学園問題では、自民党の高村正彦副総裁が役員連絡会で、野党の追及を「げすの勘繰り」と表現した。いずれも聞き捨てならない暴言である。
 野党は引き続き、閉会中審査での解明を求めている。後ろ向きの与党の姿勢は、国民の目には「逃げ腰」としか映らない。


加計学園問題 閉会中も究明緩めるな
 18日に会期末を迎える国会は、与党が数の力で押し通した「共謀罪」法に続き、性犯罪の厳罰化を柱とする改正刑法を成立させ、きのうで事実上閉会した。
 焦点の一つだった学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡る疑問は、何ら解消されていない。にもかかわらず、与党は会期延長のそぶりすら見せなかった。
 参院予算委員会はきのう、安倍晋三首相も出席して集中審議を開いた。しかし質疑はわずか3時間。与党は、野党が求めた参考人招致も認めなかった。
 政府は文部科学省と内閣府を再調査し、政府内で「総理の意向」などの言葉が交わされたとする文書の存在を認めながら、真意の解明は素通りしようとしている。
 結局、来週告示の東京都議選への影響を避けるため、「調べた」「審議した」という形だけを整えたかったのだろう。
 政府と与党は一貫して疑惑を否定している。
 ならば、野党の求める閉会中審査に応じ、文科省や内閣府、官邸の関係者の証人喚問や招致も行って、真相究明に務めるのが筋だ。
 首相はきのう、確認できないとしてきた文書が存在したことについて「調査に時間がかかったことを反省したい」と述べた。
 だが当初、「怪文書」と一蹴(いっしゅう)したのは菅義偉官房長官だ。調査を避け、事実を隠した責任は重い。
 文面を作成した文科省職員は、内閣府から「総理の意向」などの発言があったと証言している。対して、山本幸三地方創生相は、関連文書の存在を認めたが、発言は「確認できなかった」とする。
 正面から食い違っている。発言の確認と経緯の解明が急務だ。
 なのに政府は、追加調査に消極的だ。矛盾した結果でこと足れりとする姿勢は理解に苦しむ。
 この問題の核心は、首相と学園理事長との親密な関係が特区選定に影響し、行政の公平性がゆがめられたのか、という点にある。
 首相はきのう「私が個別具体的に指示したことはない」と述べ、自らの関与を重ねて否定した。
 首相が忘れてはならないのは、官邸が省庁の人事権を握る現状では「総理の意向」は極めて強い影響力を持つという現実である。
 直接の指示はなくとも、政府内に忖度(そんたく)を招いたのだとすれば、行政の長としての責任を免れまい。
 不都合な事実は隠蔽(いんぺい)し、矛盾は強弁で糊塗(こと)して、最後は数で押し切る―。政府・与党がこの手法を繰り返すことは、許されない。


千葉県銚子市、加計学園のために払った補助金のせいで「第2の夕張」級の借金地獄に
話題の加計学園系列の千葉科学大学のせいで、立地自治体の銚子市が財政破綻寸前にまで追い込まれています。今治市でも同じ事が繰り返されるのでしょうか?
先日からBUZZAP!でも度々報じている加計学園系列の千葉科学大学。この大学は大学を構成する薬学部・危機管理学部・看護学部すべてにおいて偏差値35〜40に留まっており、薬剤師国家試験合格実績から見た薬剤師教育の状況も惨憺たるものとなっていることは既にお伝えしたとおり。
そんな千葉科学大学の現在の学長を務めるのは第2次安倍内閣において内閣官房参与(2014年4月〜2016年9月)に就いていた木曽功氏であり、現在も前川前事務次官への圧力の有無に関して加計学園問題の渦中の人物のひとり。
さらには萩生田光一官房副長官、江島潔参議院議員(安倍首相の地元である下関の元市長)、井上義行参議院議員(第1次安倍内閣時の首相補佐官)らが落選期間中などに客員教授を努めていたなど、安倍政権と加計学園の結節点とも言える大学です。
この千葉科学大学が開校したのは2004年の事ですが、そこには今回の岡山理科大学の獣医学部新設問題と極めて似通った構図が存在していました。そして、その構図が立地自治体である銚子市を財政破綻寸前というレベルの借金地獄に叩き落としているのです。
◆千葉科学大学開校の経緯とは?
千葉科学大の誘致を行ったのは野平匡邦元銚子市長。この人物は銚子市で育った後に自治省を経て岡山県副知事を務め、2002年には加計学園系列の岡山理科大の客員教授に就任しました。
そしてこの年の7月に千葉科学大の地元誘致を訴えて銚子市長選を戦って初当選を果たしたのです。その結果2004年に千葉科学大学は開校し、現在に至ります。
つまり、野平氏は加計学園の本拠地である岡山県の副知事から加計学園の運営する岡山理科大学で客員教授という地位に就き(公式サイトによると現在も客員教授)、同じ加計学園の千葉科学大学の誘致という大きなお土産を携えて銚子市長となったということになります。
政治家が加計学園に客員教授などの立場でお世話になる。また、加計学園にお世話になった人物が政界に進出する、返り咲くという前述の濃密な構図がここでも繰り広げられています。
◆誘致のために銚子市が多額の補助金を負担するハメに
しかし、この実現のために銚子市が加計学園に提供した補助金は92億円にも上っており、さらには市有地9.8ヘクタールを無償貸与することを余儀なくされました。しかし金額があまりに大過ぎるとして再交渉が行われた結果、加計学園が補助金14億6千万円を返還することで市と合意。
市側はさらに約8億円の辞退を要請し、加計学園が市民に貢献できる施設を建設することに協力することになりましたが、この約束は未だに果たされていません。加計学園側は2014年に看護学部を設置した際、津波の避難に対応できる高い建物を建設。万一の時に地元の人もここに避難できるから、約束した『市民への還元』にあたると主張しています。
また、野平市長(当時)は「半分は国から持ってくると約束した」と約束したもの結局びた一文持ってくることはできず、全額が銚子市の財政負担となりました。
要するに、加計学園の客員教授が加計学園系列の千葉科学大学を銚子市の多額の補助金で建てさせ、土地も無償貸与させたということ。結局はやすく好条件で大学を作れた加計学園のひとり勝ちとなり、そのツケを銚子市、ひいては銚子市民が払わされているのです。
◆いったい負担はどれほど大きいの?
もちろん誘致に当たって大学誘致の経済効果は69億円、財政効果79億円とされましたが、2014年に市が試算した経済効果は約21億円、財政効果は約14億円にとどまっています。
そんな中で千葉科学大への補助金支払いのための借金の利子を含めた返済額は84億円にも上っています。毎年約4億円を返してきましたが、14年度末で約44億円もが借金として市の財政を圧迫しています。
このため銚子市は斎場の使用料金を6千円から1万2千円と2倍に値上げし、ゴミ袋の値段も1.5倍に。2008年には市立病院の経営危機が起き、市職員も市長など特別職の給与を減額するなどして支出削減を図っていますが、17年度には北海道夕張市に続く財政破たんに瀕するとされており、まさに「第2の夕張」と呼ばれる事態に陥っているのです。
さらには千葉科学大学の卒業生らの多くも銚子市に残ることはなく、こちらも期待されていた人口増には繋がっていません。
こうした状況の中、2017年4月23日の市長選で野平氏は返り咲きを狙って「国家戦略特区で(加計学園の)水産・獣医学部の新設」を掲げていました。その途中で森友学園問題から家計学園問題にまで飛び火が予測される事態となり、この公約は取り下げ。結果的にはダブルスコアで現職だった越川信一氏が再選を果たしました。
◆今治市のケースとの類似点
千葉科学大学の開校と岡山理科大学の獣医学部新設で非常に似通っている点は、立地自治体の大きな負担です。愛媛県今治市は、学校用地として約17万平方メートルを約36億7400万円で市土地開発公社などから買い戻し、加計学園に無償譲渡することを決めています。
これに加えて愛媛県と今治市で校舎建設費の総額192億円のうち、最大96億円を助成することも決まっています。このうち愛媛県は最大で32億円を、今治市は64億円を負担することになります。
このまま岡山理科大学獣医学部が新設されたとしても、他大学獣医学部の平均の3倍という定員160人が集まらなければ大学は経営難に陥り、当然ながら地域振興に繋がる経済効果も期待できません。当然ながらそのツケは今治市と今治市民に重くのしかかることになります。
現時点でも今治市の財政はこちらも「第2の夕張」が懸念されるほど悪化しており、下手をすれば財政破綻のトリガーともなりかねません。
加計学園の大規模な「補助金ビジネス」が、その補助金の担い手である立地自治体とその市民の生活を圧迫し、崩壊させる可能性があるとすれば、おいそれと見逃すわけにはいかないのではないでしょうか?


「加計」内閣府調査1日足らず 文科省文書と照合のみ
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部を早期に新設するよう、内閣府が文部科学省に迫ったとされる文書に関し、再調査を行った内閣府は「総理の意向」などと発言した職員は確認できなかったと発表した。獣医学部新設の条件に関する萩生田(はぎうだ)光一官房副長官の指示も否定。わずか一日足らずの調査は、文科省の再調査と食い違う結果だった。 (中沢誠、小林由比)
 「課内で飛び交っている話を聞いて確認しないままに書いた」。十六日、山本幸三地方創生担当相は会見で、内閣府側から文科省側に送信された獣医学部新設の条件の修正を求めるメールについて弁明した。
 メールは「藤原審議官曰(いわ)く、官邸の萩生田副長官から」との記述から、官邸が加計学園に有利になるよう便宜を図ったことをうかがわせる内容。十五日に文科省が公表した再調査結果で明らかになった。
 内閣府は、このメールの存在は認めたが「作成した職員の勘違いだった」と説明。井内正敏・総括審議官は「事実じゃないことを書いており指導した。本人も『反省している』ということだ」と述べた。記者から「なぜ萩生田氏と勘違いしたのか」と問われると、井内氏は「(職員が萩生田氏に)報告に行くこともあると思う」としどろもどろ。記者の質問を遮り、調査結果の説明を打ち切った。
 ■加計ありき
 内閣府からのメールにあった「萩生田氏の指示」の通り、獣医学部の設置条件に「広域的な」の文言が追加されたことで、加計学園に事実上絞り込まれた。隣接の大阪府に獣医学部がある京都産業大学は要件を満たせなくなるためだ。
 萩生田氏は指示を否定。内閣府は「加計ありき」ではないと反論する。
 しかし、事業者公募の二カ月前に、加計学園は愛媛県今治市の学校予定地でボーリング調査を始めている。内閣府が文科省に迫っていたとされる「二〇一八年四月」の開学時期は、早くから内閣府と今治市が情報共有していた記録も残っており、加計学園を前提にしたような文書や手続きが散見される。
 ■答え合わせ
 内閣府の再調査は、文科省の再調査結果に対する「答え合わせ」にすぎない。調査の目的が、文科省が存在を認めた文書やメールの存否や内容の確認が中心だったからだ。
 「一点の曇りもない」。十六日の国会審議で、安倍晋三首相は、特区選定の妥当性を強調してみせたが、その根拠を示すような文書は一枚も示されていない。野党はこれまでも「特区の選定プロセスについて明らかにしてほしい」と説明を求めてきたが、政府側は「政策の意思決定過程は回答できない」と拒み続けた。
 内閣府の再調査でも選定過程は明らかにされず、むしろ「加計ありき」の疑惑は強まったといえる。


加計問題文書 閉会中審査で徹底解明を
 「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」と内閣府から迫られたとする文部科学省の文書はやはり存在していた。
 これまで文書の存在そのものを政府が頑強に否定したため、存否が政治問題化したが、本当に解明すべき焦点はそこではない。
 安倍晋三首相の親友が理事長の学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が政府の国家戦略特区を使って進める獣医学部新設計画を巡り、官僚の忖度(そんたく)が働いたのか。首相自ら官僚に何らかの指示をしたのか。公平・公正であるべき行政がゆがめられていないか−との疑念だ。
 民進党が先月17日に国会で追及した直後の調査で、文科省は「文書は確認できない」として早期の幕引きを図ろうとし、再調査も拒否してきた。菅義偉官房長官に至っては「怪文書」と切り捨てた。
 ところが、前川喜平前文科事務次官らから存在を認める証言が相次ぎ、再調査に追い込まれた結果が「確認できた」だった。一転した調査結果について松野博一文科相は陳謝したが、お粗末とはこのことだ。追及を回避するため再調査を拒み、公表も国会会期末直前にしたと疑われても仕方ない。
 「ご意向」や「最高レベル」と記された文書を作成したとみられる職員は「(内閣府側から)こうした趣旨の発言があったと思う」と話したという。文科省はさらに、獣医学部新設の要件を加計学園に有利な文言に修正するよう萩生田光一官房副長官が指示したとするメールと文書も公表した。
 これに対し、内閣府も急きょ調査に乗り出したが、山本幸三地方創生担当相は「ご意向」「最高レベル」の発言をした内閣府職員はいないとの調査結果を発表した。萩生田氏も指示を否定した。
 同じ政府の文科省と内閣府で調査結果が食い違うとはどういうことか。真実はどうなのか。
 参院予算委員会できのう首相も出席して集中審議があったが、わずか3時間の審議で全容を解明できるはずもない。国民の疑問や不信を取り除くには閉会中審査や関係者の国会招致が不可欠だ。


加計「総理の意向」 「うそ」放置は許されない
 調査結果が食い違うのは、どちらかの調査に「うそ」があるからにほかならない。自浄能力のない組織に任せることはできない。あらゆる手だてを尽くし、真相を徹底解明すべきだ。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画の記録文書を巡り、文部科学省と内閣府の調査結果が異なっている。両者の調査が不十分なことの証しである。
 文科省は再調査で「総理の意向」と記された「内閣府の回答」文書や、「官邸の最高レベルが言っている」との記述がある「内閣府からの伝達事項」文書の存在を確認した。だが、担当の課長補佐は「総理の意向」について「発言者の真意は分からない」としている。発言の真意が理解できないとは、にわかには信じ難い。
 一方、内閣府は職員への聞き取りで「総理の意向」などと「発言した者はいない」と結論付けた。
 事実は一つしかない。文科省、内閣府の言い分の食い違いはあまりにも醜い。いずれかの職員が事実を覆い隠していることは明らかだ。
 国家公務員法は「すべての職員は国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務」することを求めている。関係職員は「一部の奉仕者」であってはならないことを改めて認識すべきだ。国民に「うそ」をつき通すことは許されない。
 「総理の意向」の真偽が不明なままで、幕引きにしてはならない。菅義偉官房長官が言う「怪文書」ではなかったことで、行政への圧力があった可能性は高まった。問題の核心部分である獣医学部新設に「総理の意向」が働いたのかとの疑惑を放置することがあってはならない。行政がゆがめられたと証言した前川喜平前文科事務次官をはじめ、関係者の証人喚問の早期実施は当然だ。第三者機関の公正な調査も必要である。
 文書問題で浮き彫りになったのは、安倍政権の隠蔽(いんぺい)体質だ。その責任は厳しく問われなければならない。
 文書発覚後、不十分な調査で幕引きを図り、再調査を否定した松野博一文科相だけではない。文書を怪文書扱いした菅官房長官、内閣府での再調査を拒んでいた山本幸三地方創生担当相の責任も重大である。どう抗弁しようとも、真相究明に後ろ向きだった事実は覆らない。閣僚失格だと断じるほかない。
 「総理の意向」文書の存在が確認されても、安倍首相は獣医学部新設計画に関して「個別具体的に指示したことはない。法律にのっとった意思決定だったことに一点の曇りもない」と述べている。
 安倍首相は「文書は確認できなかった」との文科省のずさんな先月の調査を正当化していた。自らの関与を否定する安倍首相の言葉を信じる国民が現時点で、どれだけいるだろうか。


[「総理の意向」文書]再々調査で検証尽くせ
 松野博一文部科学相は15日、「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと書かれた記録文書が確認されたと発表した。
 政府の国家戦略特区制度を活用した「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡る内閣府側の発言である。5月の調査から一転、再調査で文書の存在が明らかになった。
 翌16日、今度は内閣府が調査結果を公表。国家戦略特区を所管する山本幸三地方創生担当相は、このような発言をした職員はいないことを確認したと述べた。 
 両者の言い分は食い違っており、どちらかが嘘(うそ)をついていることになる。なかった発言を記録に残すのは考えにくいというのが、世間一般の受け止め方ではないか。
 これまで政府は一連の文書の存在を認めず、真相究明に及び腰だった。
 最初から「怪文書」と切り捨てた菅義偉官房長官、前回調査で「存在は確認できなかった」と早々と収拾を図ろうとした文科省、調査に否定的だった内閣府、今となっては疑惑にふたをしようとしたとしか思えない。
 世論に押し切られる形で文科省が着手した今回の再調査では、民進党などが入手した19文書のうち14文書が省内にあったことが確認されている。
 「存在しない」としていた文書が確認されたのだから、政権へ不信感が募るのは当然だ。事実に向き合うことなく「怪文書」と切り捨てた責任は厳しく問われなければならない。
■    ■
 文科省の再調査では、萩生田光一官房副長官が獣医学部新設を認める要件の修正を指示したとする新たなメールも見つかっている。「広域的に存在しない地域に限る」との修正により、加計学園以外の申請が事実上不可能になったと指摘されている。
 この修正について萩生田氏は指示を否定、山本担当相は自らの判断で追加したことを明らかにした。
 不可解なのは調査に後ろ向きだった内閣府が文科省文書が出ると、半日で調査を終え結果を公表したことだ。
 文科省と内閣府の調査にこれだけ矛盾があるのだから、内容が本当なのか、忖度(そんたく)が働いていないのかきちんと検証しなければならない。
 国民は行政がゆがめられたのではないか、疑念を持っているのである。「文書は本物」と証言した前川喜平前文科事務次官の証人喚問を含め、関係者を呼び再々調査するのが筋である。
■    ■
 16日の参院予算委員会で山本担当相が、萩生田氏の指示があったとするメールの送信者を「文科省からの出向者で、陰に隠れ本省にご注進した」と非難する場面があった。
 自分たちにとって都合の悪い人物には、人格攻撃を加えるのが政権のやり方なのか。
 問題の核心は獣医学部新設で行政の公正公平が損なわれることがなかったかである。
 数の力による強引な国会運営で、国民の疑問は完全に置き去りにされている。逃げるかのように国会を閉じ、問題の幕引きを図ることは許されない。


加計学園問題  疑惑放置は許されない
 政府の国家戦略特区制度を利用した加計学園(岡山県)の獣医学部新設を巡り、松野博一文部科学相が「総理のご意向」などと記された内閣府とのやりとりを記録した文書があったと認めた。
 一方、特区を担当する山本幸三地方創生担当相も内閣府内の調査結果を公表したが、文科省の文書に記録された内閣府側の関与を完全に否定。政府内部の調査結果が食い違う形になった。安倍政権は国会閉会で問題の幕引きを図ろうとしているが、このままでは国民の理解は得られない。閉会中審査による事実の徹底解明を求めたい。
 文科省の調査は2回目で、先月の調査が文書の存在を隠すためだったとみられる。松野文科相や、「怪文書」扱いしてきた菅義偉官房長官らの責任は厳しく問われよう。
 再調査で見つかった文書には、内閣府側から「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などの発言があったことが記録されていた。学部新設について、他大学からの申請が事実上不可能になる条件が、萩生田光一官房副長官の指示で加えられていたことを示すメールも明らかになった。
 16日午後にあった参議院予算委員会の集中審議では、文科省側が記録の存在を認めたのに対し、相手方の内閣府は「記録がない」と繰り返した。萩生田氏は「決定に関わって指示したことはない」などと関与を否定した。
 重要な政策を実現する過程で、官庁が記録を作らないことがあるだろうか。特区担当ではない官房副長官がなぜ、内閣府や文科省内で取りざたされるのか。どう考えても不自然だ。
 安倍晋三首相は「特区手続きは法律に沿っている」と述べた。しかし、問題の本質は、首相の長年の友人が理事長を務めている同学園が行政面で優遇されたのかどうかにある。
 そもそも特区制度は地域を限定して規制緩和を進め、産業の国際競争力強化を目指す制度だ。加計学園の獣医学部新設がそれとどうつながるのか。内閣府は獣医師の将来的な需要を十分に検証したのか。多くの疑問が残っている。
 学部新設予定地の愛媛県今治市が開学時期に関し、国が発表する約3カ月前に知っていた可能性も指摘されている。
 加計学園問題では、前川喜平前事務次官が文書の存在を指摘してきた。事実の解明には前川氏の国会証言が欠かせない。国会は疑惑解明を徹底して行うべきだ。


これで幕引き?
 柝(き)の音がチョンと響いて幕引きとなる。いい芝居を見たあとは、余韻をさかなに一杯やりたくなる▼歌舞伎では幕引きも大事な演出。演目や役者、演技に合わせて、幕を引くタイミングや速さが違ってくる。裏方さんの腕の見せどころだ▼国会の舞台は、加計学園「総理のご意向」の段。ようやく役所が文書を出し、これから見せ場というのに、会期末の時間切れというのだ。幕引きを見計らっていたとしか思えない▼さても「怪文書」呼ばわりは引っ込んだ。文部科学省が出した文書に「官邸の最高レベルが言っている」の記載ありだ。ところが内閣府は知らぬと。文科省に届いた内閣府のメールに官房副長官の指示とあるが、これも内閣府は否定する。ご両所のさやあてはなにを物語るのか▼はたして「1強」の首相が親友の学園のために意向を働かせたのか、役人の忖度(そんたく)が行政をゆがめたのか。きのうの委員会を見れば、疑惑解明の正念場からほど遠い。委員長から注意されるほど、1強首相は同じ答弁を長々と繰り返す始末。国会舞台で当の主役が自分で幕を引こうしている図だ▼大向こうからブーイングや半畳を入れたくなる。閉会中審査で続きをやるべきだ。政治家の十八番は、時間がたつうちに問題をうやむやにする芸。柝をチョンと打つのは早い。

加計問題集中審議 真相解明は政府の責任
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画に関し、官邸からの指示や官僚の忖度(そんたく)はなかったのか。参院予算委員会で昨日、集中審議が行われたが、わずか3時間という短いやりとりで、疑問は解消されなかった。
 野党は、新設計画の扱いについて「公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」と批判した文部科学省の前川喜平前事務次官の参考人招致を求めたが、自民党は応じなかった。政府、与党には疑念を払拭(ふっしょく)しようという姿勢が感じられない。
 国会閉会直前というタイミングで短い審議を行い、事実関係をうやむやにしたまま幕引きを図ろうというのであれば許されない。政府は国民への説明責任を自覚し、徹底的に真相を解明すべきだ。
 国家戦略特区への獣医学部新設計画について、これまでは、「総理のご意向」などと記された文書の存否が焦点になっていた。存在が指摘された19文書のうち、文科省の再調査で14文書が省内の共有フォルダーなどにあることが判明。焦点は書かれた内容の真偽に移った。
 確認された主な文書やメールの内容をまとめるとこうだ。2018年4月の獣医学部開設はスケジュール的に難しそうだと心配する松野博一文科相の指示で、担当者が特区を所管する内閣府に問い合わせると、「『最短距離で規制改革』を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている」との回答を受けた。
 さらに、内閣府審議官との打ち合わせでも文科省側は「逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること」と求められた。特区諮問会議に提出する文書の文案に、同審議官の指示で修正が加えられたが、指示は「審議官曰(いわ)く、官邸の萩生田(光一)副長官からあったようです」という。
 集中審議で野党は、修正により新設計画が加計学園に限定され、初めから加計学園ありきだったのではないかなどと追及。萩生田氏や審議官は「指示していない」と内容を否定、安倍首相も「個別具体的な指示をしたことはない」と述べた。
 特区担当の山本幸三地方創生担当相は、打ち合わせなどに関する内閣府側の記録は残っていないと答弁したが、文科省側が細かく文書を残していたことを考えれば、にわかには信じ難い。本当に内閣府に文書が残っていないのか文科省並みに調べ、内容を突き合わせるべきだ。
 いずれ、「怪文書のようなもの」とまで言われた文書が本物であることが分かった。ならば書かれた内容も「本物」と考えるのが自然だろう。真相解明に後ろ向きな政府、与党の姿勢が、国民の不信感を増幅させている。前川氏ら関係者の証人喚問に応じ、事実を明らかにしてもらいたい。


存在した「加計文書」 「幕引き」は納得できぬ
 「隠すより現る」。物事は隠そうとすれば不自然さが目立ち、かえって他人に知られてしまうということわざが、これほどぴったりくる事例もない。
 学校法人「加計学園」が政府の国家戦略特区制度を活用して計画した獣医学部新設に関する文書が、会期末ぎりぎりになって文部科学省の再調査で見つかった。
 文科省が特区担当の内閣府から「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」と伝えられた文書も含む。松野博一文科相は前回調査で存在を否定していた。いいかげんな調査で済ませてきた同省の責任は大きい。
 公表された文書には、萩生田光一官房副長官が獣医学部新設を認める条件を、加計学園に有利なように修正を指示したという生々しいメールもある。
 萩生田官房副長官は否定。16日になって山本幸三地方創生担当相が自らの判断で条件を追加したことを明らかにしたが、その真偽も、なぜその判断が必要だったのかもはっきりしない。
 一方、内閣府も調査結果を発表し、文書にある発言をした職員はいないとした。では文科省の文書は偽りなのか。16日に参院予算委員会で集中審議が行われたが、1日だけでは真相が見えない。
 この日で今国会は事実上閉幕。疑惑を解明せずに幕引きするなら、国民から厳しい批判を浴びるだろう。閉会中審査を行って究明すべきだ。
 この問題への政権の対応は異常ともいえるものだった。「総理のご意向」文書が明らかになると、菅義偉官房長官は「怪文書」と切り捨てた。前川喜平前文科事務次官が存在を証言すると、人格攻撃にも等しい表現で証言の信頼性を否定し続けた。
 過剰な反応はかえって疑惑を招く。加計学園の理事長が安倍晋三首相の友人であることは紛れもない事実。それによって行政がゆがめられたのか否かが最大の焦点だ。曇りがないならば、初めから丁寧に説明すればいい。
 いつか見た風景だ。南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の「日報」は当初、廃棄したとしていたが、実は存在していた。その内容は、「駆け付け警護」の新任務付与を左右しかねない重大なものだった。
 この政権は、不都合なことは隠そうとしているとしか思えない。加計学園問題で問われているのは、政治の公正さだ。国民の信頼が失われれば政治は成り立たない。
 しかし、「1強」にあぐらをかくうちに国民の負託を受けて絶大な権力を預かっている自覚と謙虚さを忘れたのではないか。不誠実な対応は政治不信を招くばかりだ。


文科省文書の検証尽くせ/加計問題再調査結果
 加計学園が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡り、松野博一文部科学相は「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記録したとされる一連の文書が再調査で確認されたと明らかにした。個人メモやメールも含め計14の文書が担当課や個人のパソコンに残っていたという。
 民進党などが入手した文書は19あり、大半が「怪文書」ではなく、文科省内で作成・保存されていたことが裏付けられた。萩生田光一官房副長官から獣医学部新設を認める要件の修正で指示があったようだと記載したメールも新たに見つかった。この修正で、加計学園以外の申請は事実上不可能になったとされる。
 内閣府も調査結果を公表。続いて参院予算委員会の集中審議で野党が追及を強める中、安倍晋三首相は友人が理事長を務める加計学園の学部新設計画について「具体的に指示をしたり、働き掛けをしたことはない」と述べた。
 しかし否定を重ねるだけでは、疑念を解消できない。文書の内容について検証を尽くし、国民がその真偽を見極めるのに必要となる判断材料を十分提供することが求められる。国会が閉じても、閉会中審査で解明を継続すべきだ。
 獣医学部新設に慎重だった文科省に首相周辺や内閣府が設置認可の手続きを早めるよう働き掛けを強めていたとの疑念は今も残されたままだ。松野文科相は文書の真偽について判断を示さなかったが、再調査の聞き取りで「総理のご意向」文書などを作成したとみられる担当者は「こうした趣旨の発言があったと思う」と話したという。その真意まで突き詰めなかったというが、文科省側が押し込まれているとの認識を持ったのは想像に難くない。
 山本幸三地方創生担当相は急きょ内閣府の調査結果を発表し「内閣府から総理の意向とは一切言っていない」とし、獣医学部の新設要件の修正についても「私が判断した」と述べた。だが、この説明をすんなり受け入れるのは容易でない。文書の内容を否定するため調査の体裁を取り繕ったともみられるからだ。
 ここで解明を打ち切るのは許されない。実際に「総理のご意向」があったか、官僚が忖度(そんたく)して動いただけか、そして行政の公正公平が損なわれることはなかったかをしっかり見定めなければならない。


加計文書 政権の言葉が信用できぬ
 安倍政権の言うことは信頼に足るのか。不都合を隠蔽(いんぺい)しようとしていたのではないか。疑念を募らせた国民も少なくないはずだ。
 16日に開かれた参院予算委員会の集中審議では疑問が一層深まった。事実の解明へ、さらなる調査が不可欠である。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める岡山市の学校法人「加計(かけ)学園」の国家戦略特区への獣医学部新設計画を巡り、内閣府が文部科学省に早期開学を促したとされる文書はあった。
 文科省の再調査で、特区担当の内閣府側発言として「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」と書かれたものなど14の文書が省内に存在していたことが分かった。
 先月、文書が発覚した直後、松野博一文科相は文書の存在は確認できないとする省内調査の結果を公表していた。
 それが覆った。最初の調査はアリバイ作りだったのか。ずさんな調査で疑問を封印しようとしたとも見える。松野文科相の責任は免れまい。ところが、その自覚は乏しいようである。
 文書があった以上、次は「総理のご意向」などの記述の真偽が問題と考えるのが当然だ。政策がゆがめられたかどうかに関わる重要なポイントだからだ。だが文科相はそこに踏み込まなかった。
 文科省の再調査を受け、もう一方の当事者といえる内閣府も文書を巡り調査を行った。
 戦略特区を所管する山本幸三地方創生担当相は、「総理のご意向」などと発言した職員はおらず、裏付ける文書も見つからなかったとの結果を発表した。
 両者の食い違いは、真相がまだ明らかになっていないことの証左といえる。
 新たな疑問も浮上した。萩生田光一官房副長官が文科省に、獣医学部新設条件の修正を指示したことをうかがわせるメールが明らかになった。
 修正により加計学園に有利になったとの指摘もある。萩生田氏は否定し、指示したのは山本担当相とされるが、文科省の混乱を見れば素直に納得できない。
 内閣府と獣医学部新設予定地の愛媛県今治市が、新設方針の決定前に10回以上協議していたことも分かっている。
 それにしても依然理解できないのは、この問題を巡る政権や与党の態度である。
 文書の発覚当初、菅義偉官房長官は「怪文書」と切り捨てた。文書の存在を明言した前川喜平前文科事務次官への人格攻撃発言もあった。前川氏は証人喚問に応じる姿勢にもかかわらず与党は消極的な姿勢に終始した。
 「共謀罪」法の成立を急いだのも、加計文書問題が長引き、23日告示の都議選にマイナスになることへの懸念があったとされる。大半の国民に関係ない地方議会選挙を国政と絡めるのはおかしい。
 自らの正当性は強調するが、異論や疑問は封じ込めようとする。加計文書を巡る問題は、安倍政権の独善的体質への反省を厳しく迫るものでもある。


「加計疑惑」文書存在 閉会中審査で解明すべき
 学校法人「加計(かけ)学園」が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡り、「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記したとされる文書の存在が文部科学省の再調査で確認された。
 これを受け16日の参院予算委員会などで野党が追及を強めたが、文科省の文書と内閣府の主張の食い違いがあらわになっただけで、「加計学園ありき」の疑惑は払しょくされないままだ。国会を閉じても閉会中審査で解明すべきだ。
 解せないのは内閣府の対応だ。文科省が再調査結果を発表したのを受け急きょ、内閣府でも調査を行った。その結果、山本幸三地方創生担当相は「官邸の最高レベル」「総理のご意向」との発言をした内閣府職員はいないとした。
 文科省側が「真意は分からない」としながらも「こうした趣旨の発言はあったと思う」としたのを真っ向否定した形だ。文書と職員のヒアリングのどちらが正しいのか真偽を確かめる必要がある。
 さらに、昨年11月の国家戦略諮問会議で「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限る」との要件が出され、今治市で計画する加計学園に絞り込まれたとされる件では、文科省の文書には、修正を指示したのは「官邸の萩生田(光一官房)副長官」とある。
 しかし、山本氏は「私が判断した」と述べ、メールの送信者について「文科省からの出向職員で、陰に隠れ本省にご注進したもの」と語気を荒らげた。自らが所管する組織の職員をスパイ扱いするのはいかがなものか。経緯を明らかにすべきだ。内閣府の調査自体が、文書を否定するため取り繕ったとしか思えない。
 安倍晋三首相は参院予算委で「個別具体的に指示したことはない。法律にのっとった意思決定だったことに一点の曇りもない」などと強調。国会の事実上の閉会日に集中審議に応じたのも自らの主張を印象づけたかったからではないか。NHKの直近の内閣支持率は3ポイント減の48%、不支持率は6ポイント増の36%。機を見るに敏なりだろう。
 だが、これで幕引きでは国民は納得しないし、許されるはずがない。今治市が野党の情報公開請求に応じて開示した文書などには、かなり早い時期から「加計ありき」で進められてきたことがうかがえるものも含まれている。行政の公正公平が損なわれることがなかったのか、しっかり解明しなければならない。
 そのためにも、閉会中審査の場に、「文書は本物」と証言した前川喜平前文科次官、文科省や内閣府で関わった担当者らを呼ぶ必要がある。再調査などに関して首相は「対応に批判があることについて真摯(しんし)に受け止めたい」と述べた。「国会が決めること」などと逃げずに、閉会中審査を自ら主導すべきだ。


加計問題再調査/疑念残したままにするな
 加計学園が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡り、松野博一文部科学相は「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記録したとされる一連の文書が再調査で確認されたと明らかにした。個人メモやメールも含め計14の文書が担当課や個人のパソコンに残っていたという。
 民進党などが入手した文書は19あり、大半が「怪文書」ではなく、文科省内で作成・保存されていたことが裏付けられた。萩生田光一官房副長官から獣医学部新設を認める要件の修正で指示があったようだと記載したメールも新たに見つかった。この修正で、加計学園以外の申請は事実上不可能になったとされる。
 内閣府も調査結果を公表。続いて参院予算委員会の集中審議で野党が追及を強める中、安倍晋三首相は友人が理事長を務める加計学園の学部新設計画について「個別具体的な指示をしたり、働き掛けをしたりしたことはない」と述べた。しかし会期末ぎりぎりまで、まともな調査をしようとしなかった政府に対する不信は根強い。
 否定を重ねるだけでは、疑念を解消できないだろう。文書の内容について検証を尽くし、国民がその真偽を見極めるのに必要となる判断材料を十分提供することが求められる。国会が閉じても、閉会中審査で解明を継続すべきだ。
 今回の文書確認で、獣医学部新設に慎重だった文科省に首相周辺や内閣府が設置認可の手続きを早めるよう働き掛けを強めていたとの疑念はより深まった。松野文科相は文書の真偽について判断を示さなかったが、再調査の聞き取りで「総理のご意向」文書などを作成した担当者は「こうした趣旨の発言があったと思う」と話したという。
 その真意まで突き詰めなかったというが、文科省側が押し込まれているとの認識を持ったのは想像に難くない。さらに「萩生田副長官から指示があったようです」とし、加計学園に有利になるよう獣医学部の新設要件が修正された経緯を説明したメールも出てきた。
 要件は最終的に「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限る」となり、これに当てはまる事業者は、今治市で計画を進める加計学園に絞り込まれたと指摘されている。山本幸三地方創生担当相は急きょ内閣府の調査結果を発表し「内閣府から総理の意向とは一切言っていない」とし、修正についても「私が判断した」と述べた。
 だが山本担当相の説明をすんなり受け入れるのは難しいだろう。世論の反発に追い込まれる形で文科省が再調査を表明したときも、内閣府は動かなかった。それが一連の文科省文書が出てくると一転、調査を始めた。文書の内容を否定するため調査の体裁を取り繕ったようにも見える。
 ここで「問題ない」と解明を打ち切れば、国民の疑念は残ったままになる。本当に行政の公正公平が損なわれることはなかったのかをしっかり見定めるためにも、「文書は本物」と証言した前文科次官の前川喜平氏はもちろん、文科省や内閣府などで加計学園の計画に関わった担当者、幹部らを閉会中審査の場に呼び、詳しい証言を求めることが必要だろう。


加計問題再調査 深まる疑惑の徹底解明求める
 疑惑は一層深まっている。国会閉幕の時間切れを狙い、真実を明らかにしないまま幕引きを図ることは断じて許されない。
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り、文部科学省が一転して「総理の意向」などと記された文書の存在を認めた。さらに、今治市に限定する新設要件の起案に、安倍晋三首相に近い萩生田光一官房副長官が関与していたことをうかがわせるメールも公開した。国家戦略特区の選定を巡り、公平性を欠いたのではないかとの疑惑の核心に触れる重大な資料だ。
 だが、昨日の参院予算委員会の集中審議でも文科省と内閣府の言い分は食い違い、メールの真偽は明らかにされなかった。問題の本筋は文書の有無ではなく、「腹心の友」が理事長を務める加計学園に決めるため、首相の関与や官僚の忖度(そんたく)によって「行政がゆがめられた」かどうかである。国会はあす会期末を迎えるが、国民が納得できるまで、徹底検証しなければならない。閉会中審査や関係者の証人喚問も強く求めたい。
 新たなメールは、新設を認める条件を記した文書の原案を事前調整する内容で、藤原豊内閣府審議官の発言として、萩生田氏から「広域的に存在しない地域に限る」と修正するよう指示があったと記載されている。この修正によって、今治市と並んで京都で設置を希望していた京都産業大は申請の断念を余儀なくされた。事実上加計学園だけが残れる仕組みに変えられた重大なポイントだ。
 萩生田氏は指示を否定し、山本幸三地方創生担当相は自らの判断で条件を付けたと述べた。一方で、事業者が決まる以前から加計学園ありきで計画が進んでいたとうかがえる状況が、今治市が開示した文書などによって次々浮かび上がっている。選考に当たって中立性はどう担保されたのか、政府には具体的に説明する責務がある。
 安倍首相は集中審議で「個別具体的に指示したことはない」と繰り返した。そうだとしても周囲が首相の名をかたって行政に不当に介入しているとしたら首相の監督責任は免れず、うやむやにはできないはずだ。
 政府はこれまで文書が明らかになるたび「怪文書」扱いして切り捨ててきた。「確認できなかった」とした最初のずさんな調査に関しては、隠蔽(いんぺい)の意図を疑わざるを得ない。今回の発表も国会閉幕直前。世論の反発をにらみ、調査の「実績」を残した上で早々に収拾させ、国民が忘れるのを待つ思惑が透ける。
 告発した前川喜平前文科事務次官への執拗(しつよう)な個人攻撃に加えて、調査のさなかには、義家弘介文科副大臣が、文書の存在を証言した職員に関して守秘義務違反での処分を示唆。口封じの脅しとも受け取れる言動は全く看過できない。不公正な行為を表に出し、改善していこうとする「公益通報者」の身分を守った上での、中立的な第三者による調査を改めて実施すべきだ。


「加計」巡る再調査 ようやく結果は出たが
 これで国民は納得するだろうか。不信感がますます深まったといえる。
 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡って、文部科学省が再調査結果を公表した。国家戦略特区を担当する内閣府とのやりとりを記録したとされる19の文書のうち、14の文書が省内にあったとしている。
 文書の存在が指摘されてから約1カ月。文科省が「確認できない」としてきた文書はやはり存在した。
 前回調査のずさんさとともに、「怪文書」と切り捨てるなど再調査を否定してきた菅義偉官房長官の対応のまずさも改めて浮き彫りになった。
 国会会期末を控えて、十分な説明をしないまま、幕引きを図ろうとした姿勢は厳しく問われよう。
 政府は当初から、この問題と真摯(しんし)に向き合うつもりはなかったと言わざるを得ない。
 文書の発覚後、前川喜平前文科事務次官が「昨年9〜10月に部下から受け取ったものと同じ文書」と証言し、現役職員も追認した。
 省内で文書を共有したとするメールの存在も明らかになったが、政府は再調査を否定し続けた。
 安倍晋三首相も「(加計学園の)理事長は昔からの友人だが、政策に影響を与えたというのは印象操作だ」と反論し、前川氏に対しては「(次官当時に)なぜ反対しなかったのか」と批判した。
 政府は、かたくなに文書の存在を認めようとせず、記載内容の真偽の解明に後ろ向きな態度を示してきたことを大いに反省すべきである。
 もとより、文書の存在が確認されただけで終わる問題ではない。肝心なのは、「総理の意向」などと記された内容の真偽であり、行政が不当にゆがめられた事実がなかったのかという点だ。
 今回、文科省の再調査で新たに発覚した内閣府から送られたメールには、萩生田光一官房副長官の指示で新設条件の文言が修正されたとする記述があった。
 だが、萩生田氏や内閣府はメールの内容を否定した。
 内閣府の調査結果では、「総理の意向」などと発言した職員はいないとしている。しかし、文科省職員が省内で共有する文書に書き残している以上、疑問が解消されたとは言い難い。
 両者の調査結果が、食い違ったままでは真相の解明はおろか、政治に対する国民の信頼が失われるばかりだ。政府は検証が不十分なことを認識すべきである。
 きのうの参院予算委員会の集中審議で、安倍首相は、野党が求めている前川氏の国会招致を巡っては「どう審議を進めるかは国会で決めること」として、事実上拒否したが、なぜ招致を受け入れないのか。
 国会は事実上閉幕したが、獣医学部新設計画を巡る問題の解明はこれからである。国民の厳しい目が注がれているのを忘れてはならない。


【加計再調査】真相は見えないままだ
 国会会期末を前に、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡る問題はさらに疑惑が深まった。
 文部科学省と内閣府が内部文書の新たな調査結果を相次いで発表したが、双方の主張が大きく食い違う内容となった。
 文科省は、内閣府側の発言として「総理の意向」などと書かれた文書が存在することをようやく認めた。対する内閣府は「発言した者はいない」と結論付けた。
 学園の理事長は安倍首相の「腹心の友」とされる。最大の問題は、手続きに官邸の働き掛けや官僚の忖度(そんたく)があったかどうかだが、松野文科相は問題はないとしている。
 疑惑の真相は依然、見えないままだ。文科省の前事務次官が「行政がゆがめられた」とまで発言した問題である。このまま幕引きになることは許されない。
 文科省は、5月の調査では文書の存在を完全否定していた。前事務次官や現職の職員が存在を認めたが、松野氏はかたくなに再調査を拒否してきた。
 世論の批判によって再調査を余儀なくされた結果が今回だ。担当職員は聞き取りに対し、内閣府側から総理の意向とする趣旨の「発言があったと思う」と回答したという。
 松野氏は対応を謝罪したが、最初の調査がいかにずさんであったかが分かる。
 内閣府の調査は文科省の再調査結果を受けて急きょ実施された。多くの部分で文科省の公表内容を否定したが、内閣府側の文書などは示しておらず説得力を欠いている。
 山本地方創生担当相は文科省文書は「作成者の受け止めを記したものと考えられる」とも述べた。文科省の担当職員に責任を押し付けるかのような発言だ。
 獣医学部の新設は50年以上認められてこなかった。加計学園は国家戦略特区の制度を利用し、愛媛県今治市に設置を目指している。
 特別に認めるのだからこそ、公正公平で慎重な審査が求められるが、加計学園ありきと疑われても仕方がない文書や証言は少なくない。調査結果を信用したとしても、両府省は意思疎通も不十分なまま手続きを進めていたことになる。
 こうした疑問に対し、政府の対応はあまりに不誠実だ。
 菅官房長官は文書を「怪文書」と切り捨て、前事務次官の個人攻撃までした。自民党の高村副総裁は野党の追及を「げすの勘繰り」と表現した。義家文科副大臣は、省内の内部告発者が国家公務員法違反に問われる可能性も指摘した。
 会期末が迫っての調査や、「共謀罪」法を強引に成立させた混乱の中で発表したことも、政権の姿勢が疑われよう。
 きのう参院予算委員会では集中審議が行われたが、疑問は募るばかりだ。学部新設の条件を記した文書を加計学園が有利になるよう加筆した疑いも出ている。国会の閉会中審査は不可欠だ。


加計問題再調査 文科省文書の検証尽くせ
 加計学園が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡り、松野博一文部科学相は「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記録したとされる一連の文書が再調査で確認されたと明らかにした。個人メモやメールも含め計14の文書が担当課や個人のパソコンに残っていたという。
 民進党などが入手した文書は19あり、大半が「怪文書」ではなく、文科省内で作成・保存されていたことが裏付けられた。萩生田光一官房副長官から獣医学部新設を認める要件の修正で指示があったようだと記載したメールも新たに見つかった。この修正で、加計学園以外の申請は事実上不可能になったとされる。
 内閣府も調査結果を公表。続いて参院予算委員会の集中審議で野党が追及を強める中、安倍晋三首相は友人が理事長を務める加計学園の学部新設計画について「個別具体的な指示をしたり、働き掛けをしたりしたことはない」と述べた。しかし会期末ぎりぎりまで、まともな調査をしようとせず、幕引きを急ぐ政府に対する不信は根強い。
 否定に否定を重ねるだけでは、疑念を解消することはできない。文書の内容について検証を尽くし、国民がその真偽を見極めるのに必要となる判断材料を十分提供することが求められる。国会が閉じても、閉会中審査で解明を継続すべきだ。
 今回の文書確認で、獣医学部新設に慎重だった文科省に首相周辺や内閣府が設置認可の手続きを早めるよう働き掛けを強めていたとの疑念はより深まった。松野文科相は文書の真偽について判断を示さなかったが、再調査の聞き取りで「総理のご意向」文書などを作成した担当者は「こうした趣旨の発言があったと思う」と話したという。
 その真意まで突き詰めなかったというが、文科省側が押し込まれているとの認識を持ったのは想像に難くない。さらに「萩生田副長官から指示があったようです」とし、加計学園に有利になるよう獣医学部の新設要件が修正された経緯を説明したメールも出てきた。
 要件は最終的に「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限る」となり、事業者は、これに当てはまる今治市で計画を進める加計学園に絞り込まれたと指摘されている。山本幸三地方創生担当相は急きょ内閣府の調査結果を発表し「内閣府から総理の意向とは一切言っていない」とし、修正についても「私が判断した」と述べた。
 だが山本担当相の説明をすんなり受け入れるのは難しい。世論の反発に追い込まれる形で文科省が再調査を表明したときも、内閣府は全く動かなかった。それが一連の文科省文書が出てくると一転、調査を始めた。文書の内容を否定するため調査の体裁を取り繕ったとしか見えないからだ。
 ここで「問題ない」と解明を打ち切るなど許されない。実際に「総理のご意向」があったか、官僚が忖度(そんたく)して動いただけか、そして行政の公正公平が損なわれることはなかったかをしっかり見定めなければならない。
 真相究明に向けて「文書は本物」と証言した前文科次官の前川喜平氏はもちろん、文科省や内閣府などで加計学園の計画に関わった担当者、幹部らを閉会中審査の場に呼び、詳しい証言を求めることが必要になろう。(共同通信・堤秀司)


[「加計」再調査] 真相解明はこれからだ
 「怪文書」とされた文書が、約1カ月で本物に変わった。まさに奇々怪々である。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り、内閣府の幹部が発言したという「総理の意向」と書かれた記録文書など14の文書が、文部科学省の再調査で確認された。
 松野博一文部科学相は陳謝したものの、計画手続きに問題はないとの見解は変えず、菅義偉官房長官も「行政がゆがめられたことは一切ない」と強調した。
 しかし、「ない」とされていた文書が確認されたのである。記載内容の真偽の解明が急務だ。
 安倍首相らが出席して行われた、きのうの参議院予算委員会の集中審議でも真相は解明されず、むしろ疑惑は深まった。
 政府の狙いは、国会の会期末を控えたタイミングで再調査の結果を公表し、時間切れで逃げ切りを図ることに違いない。
 だが、国会は閉幕しても閉会中審査はできる。文書の存在を証言した前川喜平前文部科学事務次官や国家戦略特区を担当する内閣府の担当者らを証人喚問し、事実関係を検証すべきだ。
 文書が明らかになったのは5月17日だ。すぐに菅官房長官は「出どころが明確でない怪文書じゃないか」と切り捨てた。松野文科相も「文書の存在を確認できなかった」と結論づけた。
 しかし、前川氏が「部下から受け取ったものと同じ文書」と証言し、現役職員も追認した。
 野党の追及を受けて実施した最初の調査がずさんだったことは明らかだ。それでも政府は再調査に応じようとしなかった。
 だが、世論の反発の高まりや、来週に迫った都議選告示への影響などを踏まえ、再調査に追い込まれたといえよう。
 内閣府が急きょ、公表した調査結果にも納得できない。文書の中身を否定するために調査の体裁を取り繕ったとしか見えない。
 再調査では、内閣府から文科省に送信された新たなメールの存在も分かった。
 藤原豊内閣府審議官の発言として、萩生田光一官房副長官から「(獣医学部は)広域的に存在しない地域に限る」と修正するよう指示があったと記載されている。
 この修正によって、獣医学系大学が存在しない四国の愛媛県今治市で計画を進める加計学園以外の申請は、事実上不可能になったとみられる。
 政府の一連の対応に国民は不信感を募らせている。幕引きを図ることは許されない。


<共謀罪>「民主主義 崩壊する」
◎自衛隊監視差し止め訴訟の原告団長 後藤東陽さん
 仙台市宮城野区の写真家後藤東陽さん(92)は、15日に成立した「共謀罪」法に強い危機感を抱く。軍国主義下で少年時代を送り、近年は自衛隊に市民活動を監視されたとして、国を相手に法廷闘争を繰り広げてきた。後藤さんは同法を「べらぼうな悪法」と呼び、「国民は徹底的に監視され、民主主義が崩壊する」と警鐘を鳴らす。
<地獄絵が脳裏に>
 「とうとうここまで来たか…」
 15日朝、後藤さんは自宅で国会中継の様子を見詰め、嘆息した。委員会採決を飛ばし、本会議で早期の幕引きを図った巨大与党の力業。反対運動のかいもなく、徒労感に襲われた。
 後藤さんは治安維持法が制定された1925年、宮城県岩切村(現仙台市宮城野区岩切)で生まれた。
 「天皇陛下は神様じゃない」。10歳の男児の発言が教師を激怒させ、警察に連行されそうになった。拷問の恐ろしさを見聞きし、「連行されるなら死んだ方がいい」と鉄路に寝そべった。自殺するつもりだった。
 「自由な思想は許さない。それが当たり前だった」と後藤さん。国は太平洋戦争へと突入し、19歳の時、召集令状が届いた。陸軍1等兵として迎えた45年7月の仙台空襲の地獄絵は今も脳裏に焼き付いている。
<監視の恐怖訴え>
 二度と若者を戦地に送ってはならない−。自衛隊のイラク派遣が始まった2003年、平和運動を本格化させた。06年に市民団体を設立し、護憲を呼び掛けた。
 自衛隊の情報保全隊が後藤さんらを「監視」し、個人情報を収集していると知ったのはその頃。「人権侵害だ」。07年5月、監視差し止めと損害賠償を国に求め、仙台地裁に提訴、原告団長を務めた。
 後藤さんは監視による不安や恐怖を法廷で訴え続けた。原告1人にのみプライバシー侵害を認める一方、監視差し止めの訴えを退ける判決は16年10月、最高裁で確定した。「共謀罪」法で、権力による市民監視は強まると懸念する。
 「今まで隠れてやっていた監視が、今後は堂々とできる。政府に都合の悪いことは何も言えなくなる。戦争を経験した世代の責任として、死ぬまで平和運動はやめない」。後藤さんは覚悟を決めている。(報道部・斉藤隼人)


「共謀罪」施行へ 捜査への監視こそ必要だ
 実際に犯した罪を罰する「既遂罪」を原則とした刑事法体系から、大きく踏み出す懸念は強い。
 犯罪を計画段階で処罰する共謀罪の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」が改正組織犯罪処罰法で新設された。近く施行される。
 刑法の未遂罪や予備罪よりさらに前の段階の「準備行為」を取り締まる。恣意(しい)的な解釈や運用を許さないためにも裁判所のチェックなど厳格な運用を強く求めたい。
 改正法の対象となる「組織的犯罪集団」とは、重大な犯罪を目的に作られた「継続的な結合体」とされ、政府は一般市民は含まないとしている。
 では、警察は捜査対象が犯罪集団であることや、準備行為の有無をどんな方法で認定するのか。情報を収集するしかない。組織内部からの通報や密告も含まれよう。
 とりわけ捜査当局が着目しているとされるのは、警察が電話を傍受できる通信傍受法である。政府は、テロ等準備罪は同法の適用外とする一方、将来同罪にも拡大する可能性を否定していない。
 電話の傍受は通信の秘密を侵す恐れがあるため、歯止めとして裁判所から傍受令状を受けなければならない。それでも法務省によると、一昨年傍受した約1万4千回の通話のうち3分の2近くは犯罪と無関係な内容だった。
 テロ等準備罪の対象犯罪は、特許法や著作権法などテロとは直接関連性のないものを含む277に及ぶ。改正法施行でこれまで以上に幅広い情報収集が迫られる。
 裁判所には厳格な令状審査を求めたい。最高裁によると、逮捕や傍受などの全令状請求の却下率は2015年度でわずか0・008%にすぎなかった。
 捜査の対象は既遂の犯罪ではないため自白偏重も懸念される。取り調べの可視化(録音・録画)は不可欠だ。可視化は相次ぐ冤罪(えんざい)事件の反省から始まった。
 「共謀罪」反対論の背景には、捜査当局に対する国民の不信があることを忘れてはならない。警察による市民監視が常態化するようなら民主主義の根幹は揺らぐ。


「共謀罪」法成立 1強のおごり許されず
 賛否が二分する重要法案の審議に当たり、国会議員が議論をすっ飛ばして採決に持ち込む。そんな事態を目にするとは思わなかった。「安倍1強」体制下での数のおごりそのものであり、許されるものではない。
 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が15日朝、参院本会議で可決、成立した。7月11日にも施行される見通し。
 自民・公明の与党は、参院法務委員会の採決を省略する「中間報告」という手続きを使い、本会議での採決を強行した。国会法で認められた手法であり、前例もある。しかし、刑法の原則を大きく変える法案の重要性と、専門家でも意見が割れる状況を鑑みるとき、この手法は、実質審議の機会を奪い、議会制民主主義の否定につながると言わざるを得ない。
 加計(かけ)学園問題を巡る野党の追及をかわし、23日告示の東京都議選への影響を避けるため、与党側が18日までの国会会期を延長したくなかったのでは、と臆測を呼んでいる。中間報告という異例の禁じ手は、抜け道に使われたのではないか。
 そもそも、疑問点の多い法律である。対象犯罪は277。適用対象は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」。政府、与党は「一般人が対象になることはない」と強調してきた。
 だが、金田勝年法相をはじめ政府側の答弁は一貫性を欠き、組織的犯罪集団の構成員だけでなく、その「周辺者」まで処罰されることも明確に。議論が進むほど、曖昧さや不完全さを露呈した。
 また、安倍晋三首相は同法をテロ対策に不可欠と主張しているが、岩手県立大の石堂淳教授は「テロへの抑止効果は疑問だ」としている。最近のテロは単独行動が目立ち、組織犯罪を取り締まる改正法の趣旨とはそぐわない点もあるからだ。
 一昨年にも、安倍政権は安全保障関連法案を強行採決した。つくづくこの政権は、国会での数に頼って自らの主張を押し通す場面が目立つ。そんな中で今回も、捜査当局による拡大解釈や恣意(しい)的な運用などの懸念が拭えない法律の成立を強行した。その姿勢に、同法に賛成する専門家からも疑問の声が上がる。
 さまざまな市民団体や労働組合が、「圧力が強まる」と不安を募らせている。日本を監視社会にしてはならない。自由に物を言い、表現する権利を奪われてはならない。そのためにも、今後は市民の側から権力の動向をチェックする必要があろう。


林真理子が山口敬之を告発した詩織さんへのバッシングと捜査圧力を批判! でも「文春」では山口問題がタブーに
 被害者女性の実名会見で準強姦疑惑が発覚したにもかかわらず、相変わらず雲隠れを続けている “安倍御用達ジャーナリスト”山口敬之氏。
 女性の“魂まで奪う”と言われる卑劣なレイプ行為を告発され、官邸による捜査揉み消しが濃厚になっているこの問題だが、しかし、ネットでは、実名告発した被害者女性の詩織さんに対するセカンドレイプ的なバッシングまで巻き起こった。
 家族の希望で苗字を伏せていた詩織さんの苗字を暴くだけではなく、〈詩織さんはシャツの胸元開け過ぎで説得力ない〉〈同情を逆手に取った売名行為です、女から誘って男がはめられた〉〈はい、詩織さん、左翼まわしもの確定ですね〉といった罵詈雑言が溢れ、さらに、安倍昭恵夫人までも山口氏がFacebookに公表した“セカンドレイプ的”反論に「いいね!」と賛同、擁護する始末だった。
 そんななか、詩織さんへのセカンドレイプに声を上げた女性著名人がいる。作家の林真理子氏だ。
 林氏は「週刊文春」(文藝春秋)6月22日号連載コラム「夜ふけのなわとび」で〈胸がムカムカするような事件〉として山口氏のレイプ事件を紹介、詩織さんへのセカンドレイプにこう憤った。
〈勇気ある行動にきりっとした美人だったので、たちまちマスコミは飛びついたが、こういう時、わらわらとボウフラのようにわき出てくるネットのヨタ情報。それ「ハニートラップ」だの「美人局」「左翼のまわし者」だのと書かれ、女性はインタビュー中涙ぐんでいた。
 中には、
「一緒に酒飲んでるっていうことは、もうOKってことなのに文句言うな」
 といった論調があって驚いた。〉
 そして林氏は現代の女性がいかにさまざまな罠や危険にさらされながら、それをかいくぐっていること、特にモラルが薄いマスコミ業界の女性は気を使っていることを指摘しながら、こう断言している。
〈重要なことはどんなギリギリのところへ行ったとしても、女性がNOと言ったら、絶対にNOなのだ。それを無視したら絶対に犯罪なのだ。〉
“山口レイプ疑惑”が「文春」でタブーな理由とは
 さらに林氏は、今回のレイプ事件で、“上からの圧力”によって逮捕が直前に取りやめになったことを記した上で、〈それを訴えようとすると大きな力が働く。いつのまに日本は「恐怖政治」の時代になったのか。本当におっかない〉と嘆くのだ。そして、皮肉交じりにこんな恐怖感まで吐露して、原稿を締めている。
〈私もこんなことを書いていると、何かされそうな気がする。私ごときでまさか尾行なんかしてませんよね。〉 
 女性への卑劣な性暴力が、大きな力によって封印、隠蔽されることを問題にした林氏の指摘はまさに正論だが、このコラムにはもうひとつ重要な意味がある。
 というのも、山口氏のレイプもみ消し疑惑が発覚して以降、「週刊文春」では、この問題について触れることが完全にタブーになっていたからだ。
 実際、“文春砲”とまで称され、数々のスキャンダルをスクープ、世間で騒がせている問題については必ずなんらかのコミットメントをしてきた同誌だが、山口氏の準強姦疑惑については完全にスルー。不自然なくらいに触れていない。
 その理由はこの問題をライバル誌の「週刊新潮」(新潮社)がスクープしたからではない。山口敬之氏というジャーナリストと「週刊文春」が非常に密接な関係にあるからだ。
 すでに知られているように、山口氏はTBSを退社後、2016年に幻冬舎から安倍ヨイショ本『総理』を出版。安倍首相と官邸の言い分を代弁する御用フリージャーナリストとして本格的に活動を開始したのだが、実はそのきっかけをつくったのが「週刊文春」だった。
 その前年の2015年、山口氏はまだTBSワシントン支局長だったが、「週刊文春」4月2日号(3月26日発売)に韓国軍がベトナム戦争の時に慰安所を設けていたという記事を会社に無断で発表。それがきっかけでTBSを退社することになったのである。ちなみに、この記事はレイプ事件とも深い関わりがある。
「事件が起こったのは15年4月3日。山口氏はこの際、“ビザの更新のため”一時帰国したと詩織さんには説明していますが、実は『文春』記事を問題視したTBSが、山口氏から事情聴取するために一時帰国をさせていたようなんです。レイプを告発された場所のホテル代もTBSか文春かどちらかが支払っていたと思われます」(TBS関係者)
 いずれにしても、この記事によって、山口氏はTBSを退社。前述のように『総理』を出版するのだが、実はその発売日と同じ6月9日発売の「週刊文春」でも“TBSエース記者独立第1弾!”として安倍官邸をテーマにした集中連載をスタートさせているのだ。その後も参院選の内幕や福岡補選をめぐる麻生太郎と菅義偉の確執、トランプ大統領会談での内幕秘話など、1年間で18本もの特集企画を執筆している。
山口敬之と「文春」新谷編集長の懇ろな関係
 ようするに、「週刊文春」は山口敬之氏というジャーナリストを生み出したメディアだったのだ。しかも、その背景には現編集長の新谷学氏との密接な関係があった。
「山口氏を引っ張ってきたのは、新谷編集長。TBS退社のきっかけになった韓国軍の慰安婦記事も新谷編集長の企画でした。以来、非常に密接な関係を築いたようです」(週刊誌関係者)
 実際、新谷編集長は山口氏をことあるごとに絶賛、また“安倍首相御用記者批判”から擁護さえしている。たとえば今年4月に文庫化された『総理』では、解説をほかならぬ新谷編集長が書いているのだが、ここにはこんな記述があった。
〈ジャーナリストの中には山口さんのことを、「御用記者だ」と批判する人物もいる。それは私に言わせればナンセンスだ。政治記者にとって、総理大臣ほど強力なネタ元はいない。〉
〈問題なのは、政治家に食い込み、仲良くなることが目的化してしまった記者だ。癒着した結果、書くべき事実をつかんでも、政治家に気兼ねして書けなくなってしまう。〉
〈ただし、この『総理』において、山口さんのそうした配慮はまるで感じられない。〉
 山口氏のような露骨な癒着記者に何を言っているのか、という感じだが、それくらい新谷編集長と山口氏の関係は親しいということだろう。
 さらに、両者の関係には、安倍官邸が介在しているのではないかという見方もある。周知のように、「文春」の新谷編集長はもともと、第一次安倍政権が誕生する2006年の自民党総裁選の準備運動として出版された安倍首相の著書『美しい国へ』(文春新書)を仕掛けた担当編集者。以来、新谷編集長は安倍首相や官邸周辺に深く食い込んできたといわれる。「文春」編集長になったあとも、政権スキャンダルを仕掛ける一方で、官邸関係者に深く食い込み、“新谷マター”といわれる官邸リークにのった記事も数多く掲載してきた。
 山口氏もこの官邸人脈に紹介された可能性がある。実際、山口氏がTBSワシントン支局長時代に「文春」に発表した前述の韓国軍の慰安婦問題レポートについて、新谷編集長は『総理』の解説で「あるディープなネタ元から」紹介されたと書いているが、この“ディープなネタ元”というのは官邸幹部のことではないのかといわれている。
 ようするに、新谷編集長と山口氏は官邸人脈を巡って、ある種の共犯関係にあるため、批判したくてもできないのではないのか。
 もちろん、新谷編集長の場合は、山口氏とまったくちがい、官邸に深く食い込みながらも、そこにからめとられずに、一方で安倍政権のスキャンダルを徹底的に暴いてきた。しかも、山口氏のレイプ問題が浮上して以降、加計学園問題で前川喜平・前文科次官の実名証言を最初に掲載するなど、潔白証明をするかのように、政権に批判的スタンスを強めている。
 その点については高く評価したいが、しかし、その一方で山口問題への沈黙はいくらなんでも不自然すぎるだろう。後顧の憂いなく安倍政権を徹底追及するためにも、「文春」は山口問題を総括しておくべきではないか。


国会閉幕 役割を果たさないまま
 国会は18日の会期末を前に、きのう事実上閉幕した。
 政府の方針を追認し数の力でごり押しする与党の姿勢は相変わらずだ。疑惑の解明も進まない。国会の空洞化を改めて印象付ける150日間だった。
 与党の強引さは「共謀罪」の法案審議で際立った。法相を補佐する政府参考人として法務省の刑事局長を出席させることが賛成多数で認められた。全会一致で認める慣例を破るものだ。
 参院では「中間報告」と呼ばれる手続きを使い、法務委員会での採決を省略して本会議で可決、成立させた。
 与党による採決強行はこのところ当たり前のように繰り返されている。昨年の臨時国会でも環太平洋連携協定(TPP)承認案、年金制度改革法案、カジノ解禁の統合型リゾート施設(IR)整備推進法案と相次いだ。今回はさらに乱暴なやり方だ。
 加計学園の問題を巡り野党の追及が続く中、会期延長を避けるために急いだのだろう。告示が迫る都議選への影響も考えたとみられる。党利党略である。
 何が処罰の対象になるのか、容疑を裏付けるための捜査はどう進められるのか。曖昧な規定、恣意(しい)的な運用に対する不安や疑問は置き去りにされた。
 政府の裁量次第の危うさは特定秘密保護法や安全保障関連法にも共通する。行政をチェックすべき国会が役割を果たしていない。官邸の言いなりでは、行政の下請け機関だ。
 次々に明るみに出た政府の疑惑も積み残された。
 大阪の学校法人森友学園への国有地売却は、加計学園問題の陰にかすんでいる。評価額9億5600万円の土地が1億3400万円の安値で払い下げられた。どんないきさつがあったのかは、いまだに分からない。
 加計学園と同様に行政による決定の公平さ、公正さが問われている。財務省は交渉記録を廃棄したの一点張りだった。国会で徹底的に解明すべきなのに、与党は森友学園の理事長の証人喚問だけで幕引きを図った。
 南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)は日報問題について説明がないまま、陸上自衛隊の部隊が撤収している。済んだこととうやむやにはできない。
 熟議を欠いた国会では存在意義が問われる。数任せの強引な国会運営を続けていては、政治不信が深まるばかりだ。与党は厳しく自覚すべきである。


次々バレる安倍さまのための嘘 姑息な幕引きは大失敗
「天知る、地知る、我知る、人知る」
 ウソにウソを重ね過ぎて、安倍サマの取り巻きたちも一体、何が真実なのか分からなくなっているに違いない。安倍首相の「腹心の友」である加計孝太郎氏が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、「総理のご意向」や「官邸の最高レベルが言っている」と書かれた文書の存否問題。文科省で再調査した結果、民進党が入手して確認を求めた19文書のうち、14文書の存在が確認されたほか、内閣府から文科省担当者へ送られたメールの存在も新たに判明。メールには、国家戦略特区を所管する内閣府の藤原豊審議官の発言として、萩生田光一官房副長官が、昨年11月の特区諮問会議が獣医学部新設を認めた文書(原案)の設置条件に「広域的」の文言を追加するよう指示した――と記されていた。
 再調査でようやく、コトの発端となった文科省職員による「内部告発」の内容が真実だったことが裏付けられ、やはり官邸が主導して「加計ありき」で獣医学部新設の話が進められていた可能性がさらに強まったワケだ。
 松野博一文科相は「文書の存在は確認できなかった」と発表した前回調査について、シレッとした表情で「大変申し訳なく、真摯に受け止めている」と謝罪したが、複数の文科省職員が「文書は省内パソコンにある」との声を上げていたにもかかわらず、聞こえないフリをして事実上の隠蔽を図っていた張本人である。ズサンな調査とウソで幕引きを図ろうとした責任は極めて重大だろう。
 松野と一緒に内部文書の存在を必死に隠そうとしていたのが義家弘介文科副大臣。参院農林水産委では「行政運営上のプロセスを上司の許可なく外部に流出されることは、国家公務員法違反になる可能性がある」と発言。明らかに内部告発した職員の処分をチラつかせたドーカツだ。「ヤンキー先生」と呼ばれ、過去には北海道内の私立高の教師だった経歴の持ち主だが、今の姿を見る限り、イジメを見て見ぬふりする陰湿教師と何ら変わらない。安倍政権は「道徳の教科化」を声高に叫んでいたが、松野も義家もどのツラ下げて子どもに道徳を説けるのか。
■部下をスパイ扱いした山本大臣のホンネ
 文科省の再調査結果を受け、急きょ実施された内閣府の調査内容を公表した特区担当の山本幸三地方創生担当相はもっと最悪だ。
 山本は、ヒアリング対象となった9人の職員すべてが「(総理のご意向などと)発言していないと回答した」とする一方、内閣府から文科省へのメールの存在は認めた上で、追加条件を指示したのは萩生田ではなく、山本自身だったと明かした。
 だが、たった数人の職員の聞き取り調査だけで事実関係が明らかになるワケがない。なぜ議事録をきちんと精査、確認しないのか。それとも内閣府では会議や他省庁とやりとりした内容を文書で保存しない役所なのか。あり得ない話だ。メールになぜ、萩生田の名前が記されていたのかの説明も一切ナシ。そんなインチキ調査の結果を基に「総理のご意向はなかった」と断言している。これぞ三百代言だ。揚げ句、きのうの参院予算委では、内閣府から送信されたメールについて「文科省の出向職員がカゲに隠れてご注進のようなメールを出向元に送っていた」と仰天答弁した。自分の部下をスパイ扱いするとは、いやはや、内閣府職員も唖然ボー然だろう。元文科省審議官の寺脇研氏(京都造形芸術大教授)がこう言う。
「山本大臣の発言には呆れました。『文化学芸員はがん』と発言して問題になりましたが、自分の部下もがんと思っているのではないか。部下を平気で切り捨てるような政治家が地方創生を担当していることがおかしい。とにかく謝罪は口先だけで、事実解明する気もなく、反省もしていない。本当にヒドイ政権です」
閣僚や官僚が息を吐くようにウソをつく原因は安倍首相にある
 安倍サマを守るための詭弁、ウソの中でも、極めて悪質だったのが菅官房長官の発言だ。
 菅は内部文書をハナから「怪文書」と切り捨て、野党が再調査を求めても「我が国は法治国家。法令に基づいて適切に対応している」と取り付く島もなかった。しかもだ。菅は文科省が再調査する前に内部文書の存在を認めた前川喜平前文科次官を執拗に“口撃”。読売新聞の出会い系バー報道に乗っかり、「教育行政の最高の責任者にあるまじき行為」「地位に恋々としがみついていた」などと前川証言をおとしめる発言を連発。だが、その「怪文書」は事実と判明。つまり、菅の完敗となったのだが、謝罪や発言撤回はナシ。それどころか「怪文書という言葉が独り歩きしたことが残念」「当時の状況と違う」などと開き直っているから呆れる。
 安倍と同じで、間違いを絶対認めず、言い逃れに終始する表情は悪相ここに極まれりだ。
■「閣議決定」の乱発で安倍発言擁護の愚
 内部文書が確認され、前川証言が真実と認定された意味は大きい。前川前次官が会見で明かした通り、“アベ友”に便宜を図るために「行政がねじ曲げられたのではないか」という話の信憑性がより高まったからだ。安倍サマを守るために大臣から現場職員に至るまで「あるもの」を「ない」とウソをつき通し、政策をねじ曲げる――。親友を厚遇し、国政を私物化した疑獄で罷免された韓国の朴槿恵前大統領もビックリだ。
 親が親なら子も、ではないが、閣僚や官僚が息を吐くように国民にウソをつく歪んだ状況になったのもまた、安倍自身がウソつき政治家だからだろう。精神科医の和田秀樹氏は一昨日(15日)の文化放送のラジオ番組「SAKIDORI!」で、安倍の人間性をこう分析していた。
「安倍首相は一般家庭ではなく政治家の家庭に生まれたので、子どものころから『ウソをついてもかまわない』という教育を受けていたのだと思います。とにかく、その場をごまかせればいいという感覚を持っているのではないかと疑います」
 良心の呵責を感じるマトモな神経の持ち主であれば、とてもじゃないが、あれほど多くのウソはつけない、というのだ。そして、今やそんなウソつき安倍を守るためのウソが霞が関や永田町で常態化していると言っていい。それは安倍政権が乱発している「閣議決定」の異様さを見ても一目瞭然だ。
 閣議決定は本来、法律や予算など国政に関する重要事項について、内閣の意思決定が必要と判断したものについて、全閣僚が合意し、政府方針を決定する手続きだ。ところが最近は違う。
「森友学園の国有地払い下げで政治家からの不当な働きかけはなかった」「安倍首相の妻・昭恵氏は公人でなく私人」「そもそもという言葉には、基本的にという意味もある」「安倍首相はポツダム宣言を当然読んでいる」……。一体どこが国政に関する重要事項なのか。どれもこれも安倍発言を擁護する内容ばかりだ。
 政治評論家の森田実氏はこう言う。
「19世紀後半のイギリスの政治家、グラッドストンは『政治の目的は善が為し易く、悪の為し難い社会をつくることにある』と言い、同じイギリスの政治家、ディズレーリは『誠実に勝れる知恵なし』と言っています。2人の言葉に共通するのは、政治の目的は人間的善の追求にあるということです。正反対なのが国民にウソばかりついて不誠実極まりない安倍政権です。ウソがバレても平気の平左。責任を役人に押し付け、自分たちだけは甘い汁を吸い続けている。これほど魂が腐った政治家たちは見たことがない。森友、加計問題でこの卑しい本性が国民にも分かったと思う。何としてでも引きずり降ろさないと、この国はとんでもないことになります」
 安倍政権は国会が閉会してしまえば国民は加計問題を忘れるとタカをくくっているのだろうが、塗り固めたウソがバレて幕引きのシナリオは完全に崩れた。さらなる徹底解明を求める声が強まるのは必至で、逃げ切れると思ったら大間違いだ。


天下り違反の疑い27件 省庁名も公表しないとは
 文部科学省の組織的な天下りあっせん問題を受けて、内閣人事局が全府省庁の実態調査結果を公表した。
 国家公務員法に基づく、再就職規制違反の疑いは12省庁で計27件あった。このうち文科省と同様、職員による再就職のあっせんが疑われるケースが12省庁で18件あった。組織的関与は「確認できなかった」とした。
 同法は、現職職員が再就職を仲介あっせんすることを禁止している。
 文科省は組織ぐるみで天下りに関与した。他省庁でも同様のケースがあるのではないかと指摘されていた。規制が守られず、形骸化していることを疑わせる内容だ。
 調査結果で疑問なのは、政府が違反の疑い事例の具体的な中身を公表しなかったことだ。法令違反に当たるかどうか、再就職等監視委員会の最終認定を待つことを理由に、省庁名すら公表しなかった。
 だが「疑いあり」とした以上、最低限、省庁名は公表すべきだ。あっせんがどのように進められたのかも説明する必要がある。
 文科省の天下り問題を巡っては、前川喜平前文科事務次官が引責辞任した。前川氏について、菅義偉官房長官は「地位に恋々としがみついた」などとまで公言し、批判した。前川氏はこれを否定している。
 綱紀粛正をしきりとアピールした文科省のケースに比べると、政府の今回の対応は、甘いと見られても仕方がないのではないか。
 調査に強制力はなく、調べられなかった人も800人以上いるという。さらに「再就職に広くOBが関与している」とも認めている。組織的関与について、政府が早々に結論付けたことに疑問が残る。
 この件について、内閣人事局は、1月末から調査を始めた。当初は3月末に結果をまとめることを目指していた。
 結果的に3カ月近く遅れた理由を同局は「作業量が膨大になった」と説明している。
 だが、加計問題で政府への批判が強まる中、国会の閉会日直前に公表したのは不自然だ。
 今後は、監視委の調査に焦点は移る。結論がいつまとまるかははっきりしていない。できるだけ早く結果を公表する必要がある。うやむやに終わらせてはならない。


ホームレス法 官民協働の支援さらに
 国や自治体がホームレスの就労や住宅確保を支援することなどを定めた法律の十年延長が決まった。路上で孤立している人々の窮状を見逃さず、民間の力を借りながら、生活再建を応援したい。
 ホームレス自立支援法は二〇〇二年に十年の時限立法として施行され、五年の延長を経て今年八月に期限が迫っていたが、NPO法人「ホームレス支援全国ネットワーク」などが延長を要請。今国会で二七年まで延長する改正案が全会一致で可決、成立した。
 支援法は国に対してホームレス問題の可視化を求め、公園や河川敷、駅構内などで起居する人の実態調査を義務づける。当事者が働く場や住まいを得て自立できるよう、路上生活者支援に取り組んできた民間団体に財政的な援助をすることなどを定めている。
 自立に向かう責任を当事者だけに負わせない。官民が協力しながら支援に取り組む根拠となる法が維持された意義は大きい。
 就職活動する人に期間限定で住まいを提供する自立支援センター事業やシェルター事業、巡回相談などを進めてきた結果、ホームレスは減少傾向にある。〇三年の国の初調査では二万五千二百九十六人だったが、今年の調査では五千五百三十四人。東京都では、自立支援センター事業の利用者のうち就労者は半数に上る。
 一方で、ホームレスの数は大幅に減っても、路上で過酷な生活を送っている人は依然として大勢いる。高齢化が進み、路上生活が十年以上に及ぶ人が少なくない。ほとんどの人が貧困は衣食住だけでなく、身寄りがいない、心身に障害があっても医療や福祉の支援を受けられていないなど、問題を複合的に抱える。より困難な人が取り残されているともいえる。
 新たな問題も見えている。支援法はホームレスの定義を「屋外で生活する人」に限っているため、住まいのない困窮者の全体に対応できていない。
 低賃金の非正規雇用が四割を占めるようになり、若年層でその割合はさらに高い。アパートを借りられるだけの収入を得られず、ネットカフェや友人宅を転々としたり、違法まがいの脱法ハウスで生活する人もいる。
 公的な支援を必要とする人は法の枠外に広がっている。住まいは生活を支える基盤である。ホームレス問題を広げないために、政府が低家賃の公営住宅をもっと増やしていくなど、取り組むべき方策はいくつもあるはずだ。


追悼…野際陽子が語った戦争を知らない政治家へのメッセージ「戦争の真実を知ってほしい」
 女優の野際陽子さんが今月13日に亡くなっていたことがわかった。死因は肺線がん。81歳だった。3年前よりがんを患い、闘病しながら仕事を続けており、現在放送中のドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日)にも出演していた。
『キイハンター』、『ずっとあなたが好きだった』、『ゲゲゲの女房』など多くの人気作品に出演し、日本の映画・ドラマには欠くことのできない名女優だったことは誰もが知る通りだが、彼女にはもうひとつ重要な顔がある。
 野際は、特定秘密保護法や安保法制など、戦争へと突き進む昨今の社会状況に向けて反対の意を表明し続けてきたことでもよく知られている。
 2013年には高畑勲や山田洋次らが呼びかけた「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」に賛同、法案に対して反対の意思を示した。
 また、安保法制が国民的な議論を巻き起こしていた2015年には、「映画人九条の会」などによる安保関連法案への反対意見に賛同。大竹しのぶ、吉永小百合、是枝裕和、周防正行、井筒和幸、山本晋也、高畑勲、山田洋次、大林宣彦といった映画人らとともに安倍政権が強権的に進める安保法制に異議を申し立てた。
 野際がこのような意見表明を起こした背景には、1938年生まれの彼女が体験した戦争の記憶を後世に語り継がなくてはならないという思いがあるのは間違いない。
 2007年、上戸彩が主演した『2夜連続ドラマスペシャル・李香蘭』(テレビ東京)で、現在の李香蘭役を演じた際、番組の公式ホームページに掲載されたインタビューで彼女は、戦争に翻弄された李香蘭の人生を通じて、若い世代にも戦争の恐ろしさを知ってほしいと訴えかけていた。
「戦後60何年たちまして、もう総理大臣も戦争を知らない人になってしまったし、どんどんあの戦争が忘れられていく中で、あれは何だったんだろうか?何でこういう李香蘭のような運命を引き受けなければならない人が出たんだろうか?とか、それをどういう風に我々は受け止めて、活かしていかなきゃいけないのかなっていう…戦争を知らない人たちにもあの時代にあったことのできる限りの信実を知って欲しいという気持ちはしますね、私自身も知らないことはたくさんありますし、知っていることが真実なのかどうかもよくわかりませんけれども、あの戦争の中を生きて、少しは今の若い方たちよりはあの時代のことを想像することができます。李香蘭の境遇は想像するしかないんですけれども、それを想像することはできるので、それをお伝えしたいし、そこから色んなものを見ている方に汲み取って頂きたい。あの時代のことをもう一度思いだして頂きたいと思いますね。」
野際陽子が語った自らの空襲体験
 その思いはそれから先も変わらなかった。15年9月に放送された『ザ・インタビュー〜トップランナーの肖像 戦後70年特別編 戦争を語り継ぐ人たち』(BS朝日)では、千玄室大宗匠(茶道家元)、倉本聰(脚本家)、奈良岡朋子(女優)、藤城清治(影絵作家)、瀬戸内寂聴(作家)といった人々に戦争体験を聞くインタビュアーを務めていたのだが、そのなかで彼女自身もこのように自らの戦争体験を話していた。
「私は、天沼っていう荻窪に(ある町に)住んでいて。夏でしたかね、いったん疎開先から(東京に)帰ってきてから、次に(疎開先に)行くまでの間、11月に空襲にあったんですよ。そのときにダーンって(爆弾が落ちて)。うちはまだ防空壕ができていなかったので、押入の布団を全部出して、押入の前に布団を積んでそのなかに隠れるっていう方式をとってたんです。(中略)よくB-29のお腹がこう、ずっと行くのを見ていました」
 野際は、戦中に見た忘れられない光景について、「革新懇ニュース」(全国革新懇)11年9月号でこのように語っていた。
「私自身は戦争の悲惨な体験はありませんが、小学3年のとき、東京の自宅で空襲にあいました。ドーンというすごい音とともに縁側に面したガラスが割れ、びっくりしました。
(中略)
 戦争が終わって12月に東京に戻り、東京駅から中央線に乗ると、焼け野原が広がり、驚くような光景でしたね。
 集団疎開していた東京の下町の6年生は、国民学校を卒業するので疎開先から帰ってきて、すぐに3月10日の空襲で犠牲になりました。後年その話を聞き、とてもショックでした。本当にかわいそうです」
野際陽子は瀬戸内寂聴とともに戦争へ向かういまの日本を憂いていた
 このような光景を実際に目の当たりにしているからこそ、野際は戦争を知らない世代が社会を動かすようになり、戦争に向かいかねない状況に危機感を募らせたのだろう。
 2015年に放送された前掲番組『ザ・インタビュー』で野際は、「いまは昭和17年(1942年)ぐらいの感じですね。どんどんどんどん戦争に向かっていっている。それはとても気持ちが悪いですね」、「いまの政治家は戦争を知らない人たち」と危惧を語る瀬戸内寂聴の言葉に大きく頷き、「(戦争中は)私はまだ小学生だったんですけど、時々ね、ふっとあの頃のことを思い出すことがあるんですよね」と語っていた。
 戦争を体験した世代がどんどん鬼籍に入っていく。ここ数年でも、水木しげる、野坂昭如、永六輔、大橋巨泉、愛川欽也など、実際に戦争を体験し、その悲劇を語り継ぐことで反戦の思いを訴えていた人々が次々に亡くなっている。
 安倍政権の強権的な姿勢を支持する人がいる背景に、そういった戦争の悲劇を学んでいない人間が多く存在するという事実は確実にあるだろう。だからこそ、我々は彼らが送り続けていたメッセージを改めて読み深め、代わりになってその体験を発信し続ける義務がある。
 野際は平和への思いをこのように語っていた。その言葉を噛み締めながら、ご冥福をお祈りしたい。
「いま核兵器をもっていても、使うと地球はたぶんおしまいです。「平和にしよう」と考えている人はいっぱいいるわけですから、戦争をなくすことはできないことではないと思います」(前掲「革新懇ニュース」11年9月号)(編集部)


性犯罪厳罰化/前進だが課題も残された
 性犯罪を厳罰化する改正刑法が成立した。性犯罪に関する大幅な見直しは、明治の刑法制定以来約110年ぶりだ。
 性犯罪は「心身に多大な苦痛を与える悪質、重大な犯罪」(金田勝年法相)である。苦しんできた被害者の人格と尊厳を守るために、現代に即した内容に見直すのは当然だ。
 与党は慣例に反して国会に早く提出された刑法改正案より、「共謀罪」の趣旨を加えた組織犯罪処罰法改正案の成立を優先した。党利党略で審議が会期の最終盤まで後回しになったことは猛省すべきである。
 主な改正点は、法定刑の下限を引き上げ、厳罰化を図ったことだ。具体的には懲役3年だった強姦(ごうかん)罪を5年に、強姦致死傷罪は5年から6年にした。女性の心身を傷つけ、「魂の殺人」と言われる強姦が、強盗より刑が軽いことに批判があった。
 起訴するのに被害者の告訴が必要な「親告罪」の規定は削除した。告訴することが心理的な負担となり、性犯罪が潜在化する一因と指摘されていた。
 また「強姦罪」の名称を「強制性交等罪」とし、心身の侵害の度合いは同じとして類似行為も処罰の対象にした。これまでの被害者は女性だけだったが、男性を含めたのも実情に合った判断といえる。
 家庭内での性的虐待を念頭に、親などの「監護者」が影響力を使って18歳未満の者に性的な行為をすれば、暴行や脅迫がなくても罰することができる「監護者わいせつ罪」などを新たに設けた。
 大きな前進だが、課題も残された。教員やスポーツのコーチなどによる被害も多いとされるが、「監護者」には含まれず、改善を求める声が出ている。
 強姦罪の成立に必要な「暴行」「脅迫」の要件も維持された。被害者の支援団体は「軽い程度の暴行や脅迫しかない場合、意に反する性交でも罪にならない」と撤廃を求めている。
 与野党の修正によって、付則に施行3年後の見直し規定が、付帯決議に被害者の二次被害防止に努めることなどがそれぞれ盛り込まれた。残された課題についてさらに協議を続け、法律以外の制度面や支援体制も整えていくことが重要だ。


釈由美子 借金、芸能界反対…亡父と対立していた時代語る
6月18日は「父の日」。そこで、近年に父親が他界した有名人女性が、“親子の絆エピソード”を語ってくれた。愛を込めて――天国のお父さんへ「ありがとう」。
「父は私の芸能界入りには反対していました。それを振り切って大学在学中にデビューしたのですが、20代からお仕事も順調だったので、父にとっては“生意気な娘”だったことでしょう」
そう語るのは、女優の釈由美子さん(39)。当時、父・謙司さん(享年66)は古物商を営んでいて、東北地方を中心に全国を巡っていた。
「ところが、私がどんどん忙しくなっていくのと反比例するかのように、父の事業が傾いていったのです。父が抱えた借金を私が返済するようになり、当時の私の収入はほとんど父の借金に充てられました。ゴールのない返済に私は父に対して堪忍袋の緒が切れて『釈家から籍を抜く!』と宣言したこともありました」
結局、東日本大震災をきっかけに古物商を畳むことになったが、謙司さんはふさぎがちになり、家から一歩も出なくなってしまった。そこで釈さんは箱根に温泉付きの家を買い、両親にプレゼントすることにした。自然豊かな環境に移ると、謙司さんは徐々に元気を取り戻し、昔好きだった登山もするようになった。
「そのころ、私はNHKの自然紀行番組『実践!にっぽん百名山』でMCを務めることになったのです。父に話すと、それまで私が出演している番組にはまったく興味を示してくれなかったのに、その番組だけは、楽しそうに見てくれていました。父は高校時代に山岳部に所属しており、私たちが子どものころ、夏は山登り、冬はスキーに連れていってくれて、とても楽しかったのを覚えています」
うれしくなった釈さんは、「山のことをもっと知りたいから、どこかに連れていって」と、お願いし、石川県の白山に登った。それが彼女の“山デビュー”だった。
「2,000メートル級で、とても大変だったのですが、山頂に到着したときに、『気持ちいいねえ』と、父を見たら、『そうだろう?』と得意げで(笑)。父のそんな生き生きしたよい表情は初めてでした」
以来、釈さんはオフになるたびに謙司さんを誘って登山をした。富士山、中央アルプス、南アルプス、そして涸沢カールの美しい北アルプス……。
「登山をしながら父の山岳部時代の話や武勇伝をたくさん聞きました。うれしそうに話す父の姿は私にとっては新たな発見でした。山を通して私たち親子のわだかまりは、どんどんと解けていったのです」
ところが、2人で奥穂高に行った1カ月後の'14年10月、謙司さんがステージ4の肺腺がんであることがわかる。謙司さんの体調はどんどん悪化し、3カ月後に永眠……。
「父とやりたいことは、まだたくさんあったのに、あっという間でした。父が亡くなってから慰霊登山をしようと、遺影を持って、2人の思い出の山々や、一緒に行けなかった山々を巡っています。山道を登っていると、後ろからハアハアと父が上がってくる息遣いや、『急ぐとばてるから、ゆっくり歩け』という声が聞こえてきます。山はお墓よりどこより、父と交流できる場所なんです」


父さんの9割は疲れている 解消法は飲酒と睡眠
 お父さんのほとんどが疲れている−。18日の父の日を前に、大阪市の健康機器メーカーが行った「お父さんの疲労事情と解消法調査」で、父親約2千人の約9割が、日頃から「疲れを感じている」と答えた。疲労の原因はやはり、「仕事」。加齢のほか、職場の人間関係も疲れの一因になっているようだ。
 疲れの程度は、「とても疲れている」19・2%、「疲れている」30・3%、「やや疲れている」38・3%で、計87・8%の男性が「疲れている」と回答。疲れの中身を尋ねると、「肉体的疲労」が31・6%、「精神的疲労」は17・9%、「肉体的・精神的どちらも」は50・5%だった。特に働き盛りの30〜40代の疲労度が高く、肉体的にも精神的にも疲れている人が6割を超えた。
 肉体的、精神的疲労の原因は、どちらもトップが仕事だ。2位は肉体的疲労では「加齢」、精神的疲労で「人間関係」だった。疲れる人間関係の相手は、1位に上司、2位に同僚、3位に部下が続く。
 そんなお父さんたちの疲労解消法は、「お酒を飲む」が42・1%で最も多い。次いで、「睡眠」40・8%、「テレビ・映画・DVDを見る」34・6%の順に多かった。
 調査は、マッサージチェア製造販売のフジ医療器が、同社のメルマガ会員を対象にインターネット上で4月に実施した。子どもがいる20代以上の男性1969人から回答を得た。


カール販売終了の3つの要因 健康志向、PB台頭、おじさん
 5月25日、『明治』がスナック菓子カール(128円)の東日本での販売終了を発表した。9月以降は、「チーズあじ」と「うすあじ」を西日本のみで販売することとなるが、どうして東日本での販売終了となったのだろうか。その原因を分析する。
◆健康志向
 カールといえば手に粉がつきやすいという特徴がある。スマホ全盛のこの時代では、「手が汚れる」ことは大きな弱みとなったと言えるだろう。そして、コンビニ研究家の田矢信二さんは、「手が汚れる」ことに加えて「消費者の健康志向」もカール販売中止の後押しになった理由だと指摘する。
「近年の消費者は健康意識が高く、体によいヘルシー系や素材にこだわったオーガニック系のお菓子が人気で、カールのようなスナック菓子はどうしてもコンビニの売り場で縮小されてしまいます」
 確かにコンビニのお菓子棚を見渡すと、大豆やこんにゃくなどを利用した商品や「ノンフライ」「カルシウム配合」といった健康志向が目立つ。定番商品の『かっぱえびせん』(カルビー)にも「塩分50%カット」を謳ったシリーズがある。
◆プライベートブランド(PB)の台頭
 PBはコンビニやスーパーが独自に開発した商品でメーカーとコラボすることもある。パッケージや商品名は画一的だが、味は定番商品に負けず劣らずの上、安価なため、採算を重視してPBを導入するコンビニは多い。
「PBにおされて“棚争奪戦”に敗れたメーカーの定番商品は売り上げを維持するのが難しくなります。コンビニの棚にあるのはエリート商品ばかりなんです」(田矢さん)
◆カールおじさんのキャラの強さ
 最近のお菓子は「高級化」が大きなトレンドで、アダルト向けの「大人の〇〇」という商品が目立つ。カールも2016年2月からチーズの濃厚な味わいを盛り込んだ『大人の贅沢カール』を販売した。だがカールには高級路線が困難な事情があった。
「国民的人気キャラのカールおじさんですよ。愛されキャラのほんわかしたイメージが強すぎて、急に『大人の贅沢カール』といわれても消費者がピンと来なかった。愛着度の高い定番商品だからこそ、モデルチェンジが難しかったんです」(田矢さん)
 カールおじさん同様“濃いキャラ”で知られたのが『ベビースターラーメン』(おやつカンパニー)のキャラクター「ベイちゃん」と「ビーちゃん」だ。チャイナ服をまとって人気の2人だったが、2016年をもって“引退”した。
「今年から新キャラクターの『ホシオくん』が誕生しました。キャラの認知度が高いとカールおじさんのように商品にイメージが付きすぎるため、若い世代を意識した新キャラクターに変えたと考えられます」(田矢さん)

チラシ配布/本町激辛カレー/電話でお見合いのお話を聞く

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Le Japon adopte une loi sécuritaire controversée
Le nouveau texte, va permettre de surveiller et d'arrêter des personnes se livrant à des activités potentiellement terroristes ou criminelles.
L'ONU a fait part de son inquiétude.
La réunion, tout au long de la nuit, de milliers de manifestants près des bâtiments de la Diète, le Parlement japonais, aux cris de ≪ Non à l'autocratie ! ≫ n'a pas fait fléchir le gouvernement conservateur du Premier ministre, Shinzo Abe. Tot dans la matinée de jeudi, l'exécutif a réussi à faire adopter sa loi, très controversée, censée aider le pays à mieux se protéger contre des attentats ou des actes criminels. Le texte, déjà approuvé fin mai par la Chambre basse, a été voté, à la suite d'une manoeuvre législative inhabituelle, par le Sénat.
Depuis des semaines, le gouvernement expliquait que le pays avait besoin de muscler son arsenal législatif pour faire face à de nouvelles formes de criminalité et être en mesure d'assurer la sécurité, en 2020, des Jeux Olympiques de Tokyo. Cette modernisation était par ailleurs rendue nécessaire, selon l'exécutif, par la mise en oeuvre dans le pays de la Convention des Nations unies contre la criminalité transnationale organisée, que Tokyo avait signée dès l'an 2000.
La nouvelle loi bouleverse en profondeur la philosophie du Code pénal japonais, qui se concentrait jusqu'ici sur la punition de crimes déjà effectués, en introduisant désormais des poursuites contre la simple préparation d'actes répréhensibles. En annexe du texte, une liste définit ainsi 277 ≪ activités ≫ susceptibles de donner lieu à des poursuites pour ≪ conspiration ≫.
Des pouvoirs de surveillance, déjà considérables
Si la loi va sanctionner des faits graves liés au terrorisme, elle se focalise aussi sur des situations dont la portée criminelle est questionnée par les opposants à la réforme. L'organisation, sans licence, de courses de bateaux, les atteintes à la propriété intellectuelle ou encore la cueillette de champignons sauvages dans des forêts protégées pourront en effet, désormais, être associées à de la conspiration et ouvrir la voie à des lourdes peines de prison. Pour justifier cette sévérité, un haut fonctionnaire du ministère de la Justice a expliqué, au cours des débats, que le trafic de champignons pouvait potentiellement alimenter un réseau financier criminel ou terroriste.
Moquant ces explications, de nombreux juristes accusent le gouvernement de vouloir encore renforcer les pouvoirs de surveillance, déjà considérables, de la police et de réduire les libertés civiles. ≪ Cette loi s'inscrit dans un agenda politique beaucoup plus large qui vise à constamment réduire les droits individuels tout en dopant les pouvoirs de l'Etat ≫, explique Lawrence Repeta, un professeur de droit à la Meiji University de Tokyo. ≪ C'est un outil de plus pour limiter la liberté de parole et, éventuellement, l'opposition politique ≫, assure l'enseignant, qui rapproche le texte d'une loi sur la protection des secrets d'Etat votée en 2013. ≪ Le parti majoritaire rappelle souvent que le Japon n'est pas une société occidentale et que le concept de droit naturel des individus n'a pas ici la même portée ≫, souffle-t-il.
Cette différence d'approche a d'ailleurs donné lieu, ces derniers jours, à une vive empoignade entre le gouvernement japonais et plusieurs experts de l'ONU. Tokyo s'est ainsi publiquement agacé d'une récente lettre ouverte destinée à Shinzo Abe dans laquelle Joseph Cannataci, le rapporteur spécial sur le droit à la vie privée, s'inquiétait des restrictions malvenues à la protection de la vie privée et à la liberté d'expression.
Yann Rousseau, Les Echos Correspondant à Tokyo
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ビーバップ!ハイヒール イロイロ話題のアノ謎の研究施設『理化学研究所』に潜入!
近年、何かと話題のアノ謎の研究施設「リケン」こと『理化学研究所』に特別潜入! 研究所には何があるのか?何を研究しているのか? ベールに包まれた正体を解き明かす!
ハイヒールの二人が世の中の様々な常識にハテナ?と疑問を抱き、スタジオのメンバー達と深く考えていく知的好奇心バラエティ
謎の研究施設“理化学研究所”〜その技術が暮らしを変える… 毎日使う「衣料用洗剤」も「天気予報」も、リケンが無ければ生まれていない!? 謎の研究施設には日本中から知能も技術も最高峰が集められていた! ▼スパコン「京」▼髪も歯も!「最新再生医療」(他)
ハテナの自由研究は、チュートリアルの新企画『おにゅ〜ぎりー1GP』… 今、SNSでは見た目が斬新で華やかな、おにぎりが大流行中! そこで一流料理人に「おNEWなおにぎり」を考えてもらったらどんなものができるのか!?検証する!
ハイヒール(リンゴ・モモコ) チュートリアル(徳井義実・福田充徳) たむらけんじ 永尾まりや 大野聡美(ABCアナウンサー) 江川達也 筒井康隆
山根一眞(理化学研究所相談役・ノンフィクション作家)… 獨協大学経済学部特任教授。情報の仕事術、先端科学技術、地球環境問題、などの分野で取材・執筆活動を継続。ベストセラー『小惑星探査機はやぶさの大冒険』は渡辺謙主演で映画化された。

mold‏ @lautrea
アベはスピード感をもって辞任してください。

昨日チラシを印刷してToさんにお願いしました.今日はKaさんが配布してくれたそうです.でもまだまだこれからです.
本町に激辛カレーを食べに行くとき,御堂筋でアベはヤメロのデモをしていました.そうです.声を上げ続けるのは大切ですね.カレーは激辛で口のなかがヒリヒリ.でもたまに激辛も悪くないね.
9時過ぎに電話がかかってきました.お見合いのお話を聞きました.10以上も年上の人とお見合いするのはちょっと・・・なのだそうですが,わたしはどうしたらいいのでしょうか?

<汚染廃>焼却灰搬入反対 大崎市に陳情書
 東京電力福島第1原発事故で生じた国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の汚染廃棄物について焼却処理の方針を示している大崎市に対し、焼却灰の搬入が想定される同市三本木の最終処分場に近い伊賀地区の住民が15日、焼却灰搬入反対の陳情書を266人分の署名を添えて提出した。
 陳情書は行政区や水利組合、PTA組織など8団体の連名。(1)搬入時などに被ばくの恐れがある(2)風評被害が懸念される(3)浸出水の汚染による健康不安がある−と方針転換を求めている。伊賀行政区の相沢雅弘区長(64)は「将来的に不安がある。ぜひやめてほしい」と訴えた。
 陳情を受けた高橋英文副市長は「みなさんの陳情を重く受け止める。協議のテーブルは持ち続けたい」と述べたものの、従来の市の方針をあらためて説明し、理解を求めた。


<汚染廃>受け入れ困難と岩沼市が回答
 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物を巡り、岩沼市は15日、県が提案した一斉焼却への反対を求めた市民団体に、「一斉焼却の前提となる全市町村の合意が整っていない現時点では、受け入れは難しい」と伝えた。
 放射能から岩沼を守る会などが5月に申し入れた内容に回答した。小川栄造代表は処理方法を話し合う市町村長会議が18日に開催されることを念頭に「菊地啓夫市長は住民に不安があると分かっているのだから、賛成できないと言ってほしい」と述べた。
 市内には亘理名取共立衛生処理組合の焼却炉が立地している。


<内陸地震9年>大震災 期待打ち砕く
 岩手・宮城内陸地震の最大被災地、栗駒山麓中腹の標高600メートル前後に位置する栗原市栗駒耕英地区が活気を失いつつある。内陸地震以降、地区民の暮らしを支えてきた観光業と農業は衰退し、高齢化と人口減が加速。東日本大震災に伴う福島第1原発事故の放射能汚染と風評被害が追い打ちをかけた。内陸地震から9年を迎えた耕英地区の今を取材した。(若柳支局・横山寛)
◎再興の曲がり角 栗原・栗駒耕英(上)観光
<施設 廃虚のよう>
 日に日に緑に深みが増す栗駒山麓の所々で、茶色い山肌がさらされている。地震による地滑りや土砂崩れの跡だ。観光施設も激しく傷んだ。登山道入り口に通じる県道沿いには、休業したオートキャンプ場管理棟が廃虚のようにたたずむ。
 温泉宿泊施設「いこいの村栗駒」は取り壊され、更地になった。土石流で全壊した温泉旅館「駒の湯温泉」は2015年、小規模日帰り温泉として復活したが、かつての集客力はない。
 「耕英はさみしくなった。観光施設を再建してほしいところだが、採算が合わないのだろう」。今年3月まで耕英地区行政区長を12年間務めた金沢大樹さん(74)はため息をつく。
 区長になったころ、耕英に住民票がある世帯は50ほどだったが現在は30に。実際に住んでいるのは23世帯にすぎない。
 内陸地震直後、全世帯が避難を強いられる中、住民らは「山に戻る」と一丸になった。戦後、ブナの原生林をおのとくわで切り開いた土地だ。住民はライフラインの復旧を行政機関に強く要請。避難指示が解除されたのは09年5月だった。
 養殖イワナの釣り堀、食堂で出す塩焼きや山菜料理が好評で、耕英の観光スポットだった熊谷養魚場は10年春に営業を再開した。全国から観光客が押し寄せ、30台分の駐車場は平日でも満杯になった。
 「我慢が報われた」。経営する熊谷昭さん(72)は高揚感を抱いた。ふ化場や食堂を直すための借金はすぐ返済できた。休業する降雪期は道路の除雪が生活の糧。雪解けを楽しみにしていた11年3月、東日本大震災が発生し、観光客が激減して経営は赤字に陥った。
<「不透明」な将来>
 12年は放射能汚染が深刻化し、栗駒山麓では山菜が出荷制限に。養殖イワナは風評被害で見向きもされない。「もう限界だ」。13年3月、養魚場は休業に追い込まれた。一緒に働いていた長男も山を下りて新たな職に就いた。
 栗駒山麓利用組合が運営する観光施設「山脈(やまなみ)ハウス」も10年は売り上げ好調だったが、11年は3分の1に落ち込んだ。今も売り上げは減ったままだ。
 組合長の大場浩徳さん(56)は、「くりこま耕英震災復興の会」の会長を務めていた。会が描いた構想では今頃、内陸地震前の仕事を軌道に乗せ、活気ある地域づくりに乗り出しているはずだった。
 「仲間と耕英の将来について語り合うと『限界集落』『不透明』という話になる」。大場さんはやるせない表情で語る。それでも山脈ハウスを拠点に、踏ん張るつもりでいる。


<内陸地震9年>地域資源信じ前向く
 岩手・宮城内陸地震の最大被災地、栗駒山麓中腹の標高600メートル前後に位置する栗原市栗駒耕英地区が活気を失いつつある。内陸地震以降、地区民の暮らしを支えてきた観光業と農業は衰退し、高齢化と人口減が加速。東日本大震災に伴う福島第1原発事故の放射能汚染と風評被害が追い打ちをかけた。内陸地震から9年を迎えた耕英地区の今を取材した。(若柳支局・横山寛)
◎再興の曲がり角 栗原・栗駒耕英(中)中核世代
 内陸地震発生直後、耕英復興の中心になったのは「2世」と呼ばれる世代だった。当時は40代から50代の働き盛り。戦後、栗駒山麓を開拓した入植者の跡取りらが、復興計画作りやイベントを通じて地区民の連携を図り、折れそうになる心を支え合った。
 「あの頃、耕英にわれわれ2世世代は15、16人いた。でも山を下りたり、亡くなったりして半分になった。ほとんどが60代でパワーも落ちた」。行政区長の農業斎藤英志さん(67)はさみしげな表情を浮かべる。
<働く場所少なく>
 耕英に住む3世は7人。地域の中核になる世代だが、地元で働いている人はいない。耕英にあった化粧品会社の工場に勤務していた斎藤さんの長男仁志さん(38)は、内陸地震に伴う工場閉鎖で解雇された。現在は耕英から一関市のリサイクル工場に通勤する。
 仁志さんは「同世代の仲間が耕英にいて、ちょくちょく顔を合わせていればイベント開催など活性化に向けた話もできるのだが、(住んでいる人が)少ないから顔を合わせる機会もない」とうつむく。
 栗駒小耕英分校の同級生の多くが山を下りた。冬季は雪に埋まる山で暮らすのは容易ではない。働ける場所も少なく、過疎化に歯止めがかからない。
 そんな中、1969年開業の温泉旅館「くりこま荘」の娘夫婦が東日本大震災後、Uターンしたことを仁志さんは心強く感じる。
<帰郷し家業継ぐ>
 くりこま荘社長の菅原次男さん(75)の次女南寿美恵さん(42)は、内陸地震と震災による経営悪化で父が廃業を検討していることを知り、家業を継ぐ意志を固めて12年に仙台から帰郷した。
 「くりこま荘は私の実家。実家が無くなるなんて考えられなかった」。介護施設に勤務していた夫の成裕(なりひろ)さん(40)も、今は支配人として働く。
 家族経営の温泉宿だから、住み込みの24時間勤務みたいなものだ。湯の出が悪いと、雨風が強くても約2キロ離れた山中にある源泉やパイプを点検しなければならない。寿美恵さんは情報発信に努め、経営立て直しに躍起になった。
 苦労は徐々に報われ、「どん底だった」という経営状況は、内陸地震前の7割程度にまで回復した。「少しだけ光が見えてきた」と寿美恵さんは前を向く。
 栗駒山麓では新緑や紅葉が楽しめる。高層湿原の世界谷地を散策すれば高山植物に出合える。5店が味を競うイワナ丼も名物だ。資源はある。それが地域活性化のため生かし切れていないところに、寿美恵さんはもどかしさを感じている。


<内陸地震9年>里の力が山を活性化
 岩手・宮城内陸地震の最大被災地、栗駒山麓中腹の標高600メートル前後に位置する栗原市栗駒耕英地区が活気を失いつつある。内陸地震以降、地区民の暮らしを支えてきた観光業と農業は衰退し、高齢化と人口減が加速。東日本大震災に伴う福島第1原発事故の放射能汚染と風評被害が追い打ちをかけた。内陸地震から9年を迎えた耕英地区の今を取材した。(若柳支局・横山寛)
◎再興の曲がり角 栗原・栗駒耕英(下)息吹
 栗原市の耕英地区では一年を通じて「山」で暮らす人と、降雪期は市内の「里」に下りて建設会社などで働く人に分かれる。山での主な仕事は夏は農業や観光業、冬は県道や市道の除雪だ。雪深い耕英で、人々はそんな生活を続けてきた。
<定年退職で回帰>
 春から秋にかけての週末、会社員鈴木信一さん(62)は耕英の実家に通う。同市志波姫の自宅で同居する90代の父は山に戻ることが少なくなった。全農県本部を定年退職した鈴木さんは昨年、パワーショベルを購入して畑の水はけをよくする工事を施すなど農業基盤の整備を始めた。
 「耕さないと畑はあっという間に荒れてしまう。夏場だけでも農業をやろうと思い立った」。鈴木さんはこう話す。
 高校入学と同時に耕英を離れた。子どもの頃は原木ナメコ栽培の駒打ちやイチゴの摘み取りなど農作業は嫌で仕方なかった。だが振り返ると、山での暮らしが懐かしく思えた。
 「耕英小中学校の同級生は多くが山を下りたが、そろそろ定年を迎え時間に余裕ができたはず。農業関係者に知り合いもいる。声掛けして、耕英を農業を通じた交流の場にしたい」と鈴木さんは語る。
<野菜栽培へ準備>
 仰ぎ見る栗駒山は栗駒地区のシンボルだ。高齢者介護事業を展開するリツワ(本社・栗原市栗駒)社長の佐々木輝さん(42)は「そんな栗駒山に位置する耕英は特別な存在」と言い切る。
 内陸地震直後、耕英から避難した高齢者を自社の介護施設で受け入れた。内陸地震以降、山の衰退は感じていた。活性化を目指して今年、耕英の別荘地区にある土地を1ヘクタール購入。高原ダイコンや花卉(かき)栽培に向けて準備を進めている。
 「高齢化が急速に進む栗原市で、介護事業の充実と発展は地域づくりを担う」と佐々木さんは自負する。体力が衰えた高齢者の世話をすることだけが介護ではない。地域を活性化することで高齢者が生き生きすれば、間接的な介護になると考えている。
 高原ダイコンを収穫できるようになれば、施設での給食に使いたい。花が咲けば観光客の立ち寄りスポットになってほしい。佐々木さんはこう願う。
 里から耕英に通い始めた人がいる。耕英に思いを寄せる人がいる。
 内陸地震のときボランティアのため栗駒に通い、今も耕英の人たちと親交がある、せんだい・みやぎNPOセンター(仙台市)事務局長の青木ユカリさん(50)は「耕英では人と人とのつながりが強いし、観光資源はたくさんある。外の力をうまく活用すれば、復興に結びつくのではないか」と期待を寄せる。


<共謀罪法成立>強行「許せない」怒りと抗議
 多くの疑問が消えることなく、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が15日、成立した。一般人が捜査対象になる恐れや、表現の自由とプライバシーが脅かされ、「監視社会」を招く懸念は残ったまま。数の力で押し切った「安倍1強」政権に、東北でも反対する市民や法曹関係者が怒りと抗議の声を上げた。
 「憲法を守る青森県民の会」など4団体共催の抗議集会が青森県庁前で開かれ、約50人が改正法の廃止を求めた。「絶対反対」のプラカードが掲げられ、青森市の無職石川景子さん(68)は「法成立で監視社会になるのでは。集会に出るのも怖くなる」と話した。
 盛岡市中心部で改正法廃止を訴えるデモ行進があった。130の市民団体でつくる「戦争させない・9条壊すな!岩手の会」の主催。約300人がシュプレヒコールを上げた。
 岩手県庁前での集会で、いわて労連の金野耕治議長(56)は「政府の暴挙に怒りの声を上げ、民主主義を取り戻すスタートの日にしたい」と訴えた。
 仙台弁護士会は仙台市中心部で緊急の街頭活動を行った。刑事弁護委員長の阿部潔弁護士は「民主主義の根幹を破壊する暴挙だ。犯罪の準備行為の定義は曖昧なままで説明は尽くされていない」と強調。元会長の斎藤拓生弁護士は「通信傍受など多くの捜査手続きが拡大しかねない」と危ぶんだ。
 秋田県平和センターなどはJR秋田駅周辺で法の問題点を解説したビラを配り、撤回を呼び掛けた。
 センターの山県稔共同代表は「議論が不十分で中身も不透明なままでは民意は得られない」と主張。約50人が市中心部をデモ行進し「監視社会をつくるな」「思想の自由を守ろう」と声を張り上げた。
 連合山形は山形市の繁華街に街宣車を出し、組合員らがプラカードを手に改正法廃止をアピールした。
 岡田新一会長は戦前の治安維持法を挙げ「個人を対象にしない前提だったが、思想弾圧に使われた。二度と悲惨な歴史を繰り返してはいけない」と憤った。
 福島市のJR福島駅前で大学教授らでつくるグループが強行採決を非難する集会があり、約25人が参加した。代表の坂本恵福島大教授は「原発再稼働への反対や安倍政権への復興施策批判が共謀罪に適用され、罰せられる可能性も出てくる。審議をすっ飛ばして異例の強行採決をした政権の偏った手法は許せない」などと叫んだ。


<共謀罪法成立>弁護士、元裁判官に問題点聞く
 「共謀罪」法の成立を受け、市民への捜査権乱用などを懸念する声が相次いでいる。弁護士や裁判官として長年、刑事司法に携わってきた2人に問題点を聞いた。
◎冤罪事件が増えるのでは/青木正芳氏(82)松山事件再審主任弁護人
 証拠に基づかない捜査が進められ、人の供述だけで有罪判決が導かれる。計画・準備の段階を処罰対象とした「共謀罪」法の成立は、「疑わしきは罰せず」とした刑事裁判の原則を根底から揺るがしかねない。
 33年前、仙台地裁で再審無罪を勝ち取った「松山事件」は捜査手法がいくつも問題となった。被告の男性は虚偽の自白を強要され、捜査側に都合の良い物証が作られた。当初は最高裁さえ見抜けず、誤った死刑判決を下してしまった。
 再審で証拠の矛盾を明らかにできたが、運が良かったにすぎない。供述に依存して重い刑が言い渡され、後に検察が隠していた証拠によって無罪が証明される。過去、何度もそうした事態が繰り返されてきた。「共謀罪」成立で冤罪(えんざい)事件は増えるのではないか。
 冤罪は予断や偏見、思い込みに加え、「犯人を捕まえたい」との焦りから生まれる。新しい「武器」を手にする捜査機関は、情報を得るために電話などを盗聴したり、市民に密告を促したりする危険性がある。
 日本全体が監視社会になり、疑わしい人に目を付けていく。自由な発言ができない社会のすさんだ人間関係など誰も望まない。
◎刑法の基本原則に反する/泉山禎治氏(81)元仙台地裁所長
 「共謀罪」法は適用対象が曖昧で抽象的だ。社会のどのような行為を罪とし、何の罰を科すかを法律で定める刑法の基本原則「罪刑法定主義」に反している。憲政史上の一大汚点と言わざるを得ない。
 犯罪行為の準備段階を処罰できる「共謀罪」は、実際の実行行為を処罰の対象としてきた従来の刑法体系とは大きく異なる。犯罪の準備段階を裏付けるには、結局は内心に立ち入らないと分からない。言論は萎縮し、社会全体が「事なかれ主義」に陥りかねない。
 裁判官が令状を審査するが、歯止めにはならない。令状は捜査当局の一方的な見立てや推認であっても、一定の合理性があれば出さざるを得ない。裁判官時代、何度か令状請求を却下したが、個々の裁判官によって考え方は異なる。審査が通りやすい裁判官を狙い撃ちした令状請求も出てくるだろう。
 戦前の治安維持法は、政府の使い勝手がいいように何度も改訂され、最終的に異を唱える人たちが社会から排除されていった。
 「共謀罪」が同じ道をたどる可能性がないとは言い切れない。戦争を知る世代として強い危機感を拭えない。


<共謀罪法成立>東北は思う 有権者の声
◎軽く決めすぎだ
 どのようなときに法律が適用されるのか、いまひとつ分からない。具体例を挙げて説明してほしい。これだけ国民が注目している法案を、しっかりした手順を踏まずに可決したことにも疑問を感じる。軽く決めすぎだと思う。(青森市 青木謙典さん 大学生 22歳)
◎不信感強まった
 委員会採決を省略するなど議論が十分にされないまま、成立してしまった印象。国民の意見が全く反映されず、不信感が強まった。権力が国民を監視するようになり、自由に発言できない世の中になりそうで怖い。(盛岡市 山陰真穂さん 専門学校生 20歳)
◎テロ防止へ当然
 テロの脅威に備えるため、法案成立は当然だ。オウム真理教の信者がサリン事件に関与したように、犯罪者が市民に紛れ込むことも考えられ、見分けるのは難しい。法律で未然に防止できればいいと思う。(仙台市宮城野区 高橋政文さん 会社員 60歳)
◎監視社会へ怖さ
 普通の暮らしでさえ監視されているのではないかと思い、怖さを感じてしまう。市民生活に関わる重要な法案はじっくり議論を重ね、しっかり中身を示してほしかった。国会での強行採決の様子を見ると、不信感が募る。(秋田市 高橋恵さん 主婦 39歳)
◎望むは継続審議
 中身が専門的で分かりにくかった。与野党の双方とも、国民の理解が深まる論戦は展開できなかった。東京五輪を控え、ある程度は必要性もあるだろうから、採決を強行するより、継続審議でじっくり議論すれば良かった。(山形市 杉本政則さん 無職 74歳)
◎首相にがっかり
 安倍首相にがっかりした。私たちもまだまだ分からないことばかり。自分の生活に影響はないと思うが、何が降りかかるか分からない。もしもの時、怖い世の中にならないか。日本は今後、どうなってしまうのか心配だ。(福島市 篠木洋子さん 無職 77歳)


<共謀罪成立>東北の議員 憤りと理解求める声
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法は15日朝、参院本会議で強行採決の末に成立した。東北の野党議員は法務委員会の採決を省いた想定外の手続きに「民主主義をないがしろにした」と批判。与党議員は「野党は反対ありきで議論は進まない。審議時間は十分」と切り返した。
 民進党の増子輝彦氏(参院福島選挙区)は、本会議での強行採決に持ち込んだ与党の対応を「熟議すべき良識の府の自殺行為。安倍政権は『国会は数の力』と強行採決を繰り返している。政権交代が絶対に必要だ」と語気を強めた。
 同党の加計(かけ)学園疑惑調査チームの先頭に立つ桜井充氏(参院宮城選挙区)は「国会が開いていると延々と追及される。政府・与党は会期末の18日で閉じてしまい、閉会中審査にも応じないだろう」と政権の意図を見透かした。
 「政権による議会制民主主義の破壊だ」と憤ったのは自由党の木戸口英司氏(参院岩手選挙区)。法の成立を「監視社会に陥る危険がある。審議するほど必要性が揺らいだ」と批判した。
 与党側は強行採決への世論の動向を気にしつつ、法の必要性を訴えた。
 自民党の秋葉賢也氏(衆院宮城2区)は「会期末まで丁寧に議論すべきだったが、反対ありきの野党とは妥協点が見いだせない。どこかで採決が必要だった」と理解を求めた。捜査機関による恣意(しい)的運用への懸念に対しては「裁判所の審査の下、厳格に運用される」と強調した。
 日本のこころの中野正志氏(参院比例)は「金田勝年法相らの問責決議案を提出し、参院法務委の審議を打ち切ったのは野党だ。これ以上審議ができないのなら会期内に成立させるしかなかった」と振り返った。


河北春秋
 「政府の答弁しどろもどろ 更(あらた)めてやり直し」「法律に暗い大臣が属僚(官僚)の答弁するところまで口を差し入れた結果がこの矛盾」。きのう成立した改正組織犯罪処罰法の審議中、金田勝年法相が演じた失態の話ではない。が、そっくりだ▼1925(大正14)年、旧帝国議会で成立した治安維持法の審議を報じた河北新報の記事。旧ソビエト連邦建国で革命波及を恐れた政府が、天皇制国家の変革を企てる「無政府主義、共産主義」「危険極まる社会運動や宣伝」を取り締まるのを目的にした▼現代風に言えばテロを企てる結社と加入者、実行の相談や宣伝、資金提供をする者を摘発し罰する。「対象の定義が曖昧」「国民の思想を支配するのは誤り」「労働組合も含まれかねない」「武断政治家に乱用されないか」。反対論も当時の審議で相次いだ▼改正組織犯罪処罰法は「テロ等準備罪」と銘打たれるが、実行行為がなくても人を取り締まれる強権という点で治安維持法以来か。国会や世論の批判も92年前と重なる▼与党の強行採決後、菅義偉官房長官は「恣意(しい)的運用はされない」と語った。が、治安維持法は、その後の権力者が戦争、国家総動員のため都合良く改正し、異を唱える者への弾圧の道具とした。「怪物」のよみがえりはご免である。

「共謀罪」法が成立/「1強」の数の横暴極まる
 「安倍1強」の強権政治が、如実に現れた結末と言えよう。数の横暴が頂点に達したという思いを強くする。
 自民、公明の与党はきのう、参院法務委員会の採決を省略するため「中間報告」という「奇策」までをも使って、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の会期内成立に突き進んだ。
 国会は法案の審議などを通じて、政府の暴走をチェックするのが責務である。中間報告は国会法で認められているとはいえ、審議の機会を事実上奪う「禁じ手」にほかならない。
 与党の参院議員は「再考の府」としての責任を放棄したに等しい。参院自らの存在を否定する「自殺行為」だ。「国会の歴史に大きな汚点を残した」(民進党)と非難の声が上がるのも当然だろう。
 なぜそんなに急ぐのか。安倍晋三首相の周辺でくすぶり続ける「疑惑」と無関係であるまい。
 安倍首相の親しい知人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の記録文書問題や、首相夫人との関係が取り沙汰された同「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題がクローズアップされてきた。
 当初は会期(18日まで)の小幅延長を検討していたとされるが、このまま延長すれば野党の追及にさらされるのは明らかだ。東京都議選(7月2日投開票)への影響も考えて、早期に幕を引きたかったのではないか。「疑惑封じ」と指摘されても仕方があるまい。
 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法案は過去に3度廃案になった経緯があり、野党は「内心に踏み込み、監視社会につながる」と強く批判してきた。
 にもかかわらず、委員会での審議時間は衆院で約30時間、参院では約18時間。到底審議が尽くされたとはいえず、しかも「生煮え」だった。
 一般人が捜査の対象となるのか、組織的犯罪集団の定義とは何か、どうやって準備行為を見極めるのか−。
 国会審議では、こうした根本的な疑問に対する政府の答弁は一貫性を欠き、審議すればするほど、曖昧で不完全な法の実態が浮かび上がった。
 論議が深まらなかった最大の理由は、答弁が定まらない金田勝年法相の迷走ぶりだ。
 同じ答弁を繰り返したり、追及されると立ち往生して事務方に助け舟を求めたりして、「時間の浪費」と非難された。安倍首相の任命責任が問われよう。
 この法律で日本の刑事法の原則が変わる。国民の権利を脅かす疑念が残されたまま、運用が捜査機関に委ねられることに不安は拭えない。
 歴代の自民党政権には野党の異なる声にも耳を傾ける謙虚さがあったが、安倍政権の体質は全く違う。
 首相が執念を見せる憲法改正を展望する時、その強引な手法に懸念は募る一方だ。


「共謀罪」法の成立 一層募った乱用への懸念
 テロなどを防ぐ治安上の必要性を認めるにしても、こんな乱暴な手法で成立させた政府を容易に信用することはできない。
 「共謀罪」の構成要件を改め、テロ等準備罪を新設する改正組織犯罪処罰法がきのう成立した。与党側は、参院法務委員会の採決を省略するという異例の方法をとった。
 警察などの捜査機関が権限を乱用し、国民への監視を強めるのではないか。そこがこの法律の最大の懸念材料だった。
 しかし、政府・与党は懸念解消どころか増幅させる振る舞いに終始した。法律への不安は一層深まった。
 組織犯罪の封じ込めは必要だ。ただし、こうした活動はあくまで広範な国民の同意の下でなされなければならない。そのため、私たちは、大幅な対象犯罪の絞り込みと、捜査権乱用の歯止め策を求めてきた。
 組織的犯罪集団が法の適用対象だ。それでも、一般人が捜査対象になるかどうかが、法案審議では一貫して焦点になってきた。
 参院段階では、政府から「周辺者」も適用対象との説明が新たにあった。これでは、一般人とは、警察の捜査対象から外れた人に過ぎなくなる。重大な疑問として残った。
 法は来月にも施行される見通しだ。法務省刑事局長は国会答弁で「犯罪の嫌疑が生じていないのに尾行や張り込みをすることは許されない」と述べた。国民の信頼を損ねない法の運用を重ねて警察に求める。
 仮に強制捜査が行われる場合、令状の審査に当たる裁判所の責任が重いことは言うまでもない。
 捜査機関が捜査を名目に行き過ぎた監視に走る可能性があることは、これまでの例をみても明らかだ。
 2010年、警視庁の国際テロ捜査に関する内部文書がインターネット上に漏えいした事件があった。そこには、テロとは無縁とみられる在日イスラム教徒らの個人情報が多数含まれていた。「共謀罪」法によって、こうした監視が今後、社会に網の目のように張り巡らされていく危険性は否定できない。
 政治的な活動を含めて国民の行動が警察権力によって脅かされてはならない。監視しようとする側をどう監視するか。国民の側の心構えも必要になってくる。


「共謀罪」法が成立 「私」への侵入を恐れる
 「共謀罪」が与党の数の力で成立した。日本の刑事法の原則が覆る。まるで人の心の中を取り締まるようだ。「私」の領域への「公」の侵入を恐れる。
 心の中で犯罪を考える−。これは倫理的にはよくない。不道徳である。でも何を考えても自由である。大金を盗んでやりたい。殴ってやりたい−。
 もちろん空想の世界で殺人犯であろうと大泥棒であろうと、罪に問われることはありえない。それは誰がどんな空想をしているか、わからないから。空想を他人に話しても、犯罪行為が存在しないから処罰するのは不可能である。
◆犯罪の「行為」がないと
 心の中で犯罪を考えただけでは処罰されないのは、根本的な人権である「思想・良心の自由」からもいえる。何といっても行為が必要であり、そこには罪を犯す意思が潜んでいなければならない。刑法三八条にはこう定めている。
 <罪を犯す意思がない行為は、罰しない>
 そして、刑罰法規では犯罪となる内容や、その刑罰も明示しておかねばならない。刑事法のルールである。では、どんな「行為」まで含むのであろうか。
 例えばこんなケースがある。暴力団の組長が「目配せ」をした。組員はそれが「拳銃を持て」というサインだとわかった。同じ目の動きでも「まばたき」はたんなる生理現象にすぎないが、「目配せ」は「拳銃を持て」という意思の伝達行為である。
 目の動きが「行為」にあたるわけだ。実際にあった事件で最高裁でも有罪になっている。「黙示の共謀」とも呼ばれている。ただ、この場合は拳銃所持という「既遂」の犯罪行為である。
 そもそも日本では「既遂」が基本で「未遂」は例外。犯罪の着手前にあたる「予備」はさらに例外になる。もっと前段階の「共謀」は例外中の例外である。
◆市民活動が萎縮する
 だから「共謀罪」は刑事法の原則を変えるのだ。
 「共謀(計画)」と「準備行為」で逮捕できるということは、何の事件も起きていないという意味である。つまり「既遂」にあたる行為がないのだ。今までの事件のイメージはまるで変わる。
 金田勝年法相は「保安林でキノコを採ったらテロ組織の資金に想定される」との趣旨を述べた。キノコ採りは盗みと同時に共謀罪の準備行為となりうる。こんな共謀罪の対象犯罪は実に二百七十七もある。全国の警察が共謀罪を武器にして誰かを、どの団体かをマークして捜査をし始めると、果たしてブレーキは利くのだろうか。暴走し始めないだろうか。
 身に覚えのないことで警察に呼ばれたり、家宅捜索を受けたり、事情聴取を受けたり…。そのような不審な出来事が起きはしないだろうか。冤罪(えんざい)が起きはしないだろうか。そんな社会になってしまわないか。それを危ぶむ。何しろ犯罪の実行行為がないのだから…。
 準備行為の判断基準については、金田法相はこうも述べた。
 「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、(犯行場所の)下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っているという外形的事情がありうる」
 スマートフォンの機能には地図もカメラのズームもメモ帳もある。つまりは取り調べで「内心の自由」に踏み込むしかないのだ。警察の恣意(しい)的判断がいくらでも入り込むということだ。
 だから、反政府活動も判断次第でテロの準備行為とみなされる余地が出てくる。市民活動の萎縮を招くだろう。こんな法律を強引に成立させたのだ。廃止を求めるが、乱用をチェックするために運用状況を政府・警察は逐一、国民に報告すべきである。
 ロシアに亡命中の米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン氏が共同通信と会見し、米国家安全保障局(NSA)が極秘の情報監視システムを日本側に供与していたと証言した。これは日本政府が個人のメールや通話などの大量監視を可能にする状態にあることを指摘するものだ。「共謀罪」についても「個人情報の大規模収集を公認することになる」と警鐘を鳴らした。「日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものになる」とも。
 大量監視の始まりなら、憲法の保障する通信の秘密の壁は打ち破られ、「私」の領域に「公」が侵入してくることを意味する。
◆異変は気づかぬうちに?
 そうなると、変化が起きる。プライバシーを握られた「私」は、「公」の支配を受ける関係になるのである。監視社会とは国家による国民支配の方法なのだ。おそらく国民には日常生活に異変は感じられないかもしれない。だが気付かぬうちに、個人の自由は着実に侵食されていく恐れはある。


「共謀罪」成立/民主主義が脅かされている
 夜通し続いた与野党の国会攻防を経て、組織犯罪処罰法の改正案が成立した。
 過去、国民の反対で3度にわたって廃案となった共謀罪が盛り込まれた。犯罪の実行を罰する日本の刑法の原則を変え、計画(共謀)段階での摘発が可能になる。実現に向け、政府が掲げたのがテロ対策だった。
 どこまで国民の自由や権利は制約されるのか。共謀の有無をつかむ捜査や監視が、私たちの日常の会話やメールに及ぶことはないのか。国民の不安や疑念は膨らんでいる。
 政府は「一般の市民が捜査の対象になることはない」と繰り返すばかりで、納得のいく説明は聞かれないままだ。さらに自民、公明両党などは一方的に審議を打ち切り、禁じ手とされる「中間報告」で採決に持ち込んだ。暴挙と言うしかない。
 社会の根幹をなす民主主義が脅かされている。
      ◇
 成立した「共謀罪」法は犯罪を共謀するだけでなく、その準備行為がないと処罰できない。政府は捜査の対象は組織的な犯罪集団に限定されるとして、過去に廃案となった共謀罪との違いを強調した。
監視が強まる社会
 審議を重ねるにつれ、「一般市民」との線引きが曖昧になった。犯罪集団の構成員でなくても、周辺にいれば捜査の対象になる可能性がある。「捜査対象になった時点で一般市民ではない」との答弁もあった。
 確かなことはまず捜査当局が犯罪に絡んでいるか否かを調べ、認定するということだ。
 そうなると、広く会話やメールの内容を調べる必要が生じる。警察による盗聴と監視が強まる恐れがある。今後、通信傍受の対象範囲を広げるための法改正の動きが出てくることは十分に考えられる。
 その先にどんな社会が待っているのか。どんなメールの文面や電話などの会話が法に抵触するのか、疑心暗鬼になる。そんな心理が広がれば社会は萎縮へと向かう。自首と密告によって刑を軽減することを奨励する条項も盛り込まれた。何も言わない、言えない社会の姿が浮かび上がるようである。
 今回の国会審議で、国民から上がった意見の中に、良心の自由など憲法が保障する権利を記すよう求める声がある。
 しかし、政府は耳を傾けようとはしなかった。その頑迷さは「対話拒否」と言ってもいいだろう。安倍政権が強行採決した法案はいくつもある。それでも特定秘密保護法では、付帯決議で表現の自由への配慮条項が追加された。安保法制では少なくとも審議時間は予定を大きくオーバーした。今回の強行ぶりは際立っている。
 影を落とすのが、安倍晋三首相との不透明な関わりが浮き彫りになった「森友学園」と「加計(かけ)学園」の問題だ。官僚の「忖度(そんたく)」への批判と詳細な調査を求める声は強まるばかりである。
 採決を待っていたかのように、文部科学省は「総理のご意向」と記したとされる内部文書を公表した。しかも追及を避けるかのように、国会の閉会直前にである。姑息(こそく)と言われても仕方がないだろう。
 さらに公明党の意向が重なったとされる。東京都議選を前に、公明党議員が委員長を務める参議院の委員会で、採決強行の荒っぽい光景が広がるのを避けたいというものだ。
国民は蚊帳の外に
 法案の審議が深まることも、幅広い声が反映されることもなく、不安の声が上がる中、与党の数の力と奇策の「中間報告」によって法が成立した。国会の在り方が問われる事態だ。
 何より「国民が主役」であるはずなのに、その国民が蚊帳の外に置かれている。
 神戸出身で「暮しの手帖」の編集長だった花森安治さんは言った。「国家とは庶民である」。テロ対策として何が必要なのか、どこまで自由や権利は制限されていいのか。最終的に判断するのは、私たち一人一人でなければならない。
 「かつてここまで国民と国会が軽んじられた時代があっただろうか」。ノーベル賞受賞者の故湯川秀樹博士らが人道主義と平和主義に立つ有志で結成した「世界平和アピール七人委員会」が先日、発表した緊急声明に危機感がにじむ。今は写真家の大石芳野さん、作家の高村薫さんらが名を連ねる。
 この国の民主主義が岐路に立っている。広く危機感を共有し、声を上げていきたい。国民が主役の原則を守り、政治の過ちを正すために。


「共謀罪」法成立 国会の本分捨てたのか
 「共謀罪」の構成要件を変更しテロ等準備罪を新設する改正組織犯罪処罰法は、与党が参院の委員会採決を省略する中間報告という強硬手段に出て、徹夜国会の末に可決、成立した。
 多数決で結論を出すまでに熟議を重ね、少数意見にも耳を傾け、できる限り合意形成に努める―。国会は、その過程を何より大切にする場でなければならない。
 野党の後ろにも、主権者である国民の存在があるからだ。
 ましてや、憲法が保障する基本的人権の重大な侵害につながりかねないと批判された「共謀罪」法である。与党はそれを、議論を封じる奇策で押し切った。立法府の本分を捨てたに等しい。
 中間報告は主に、野党の委員長の下で審議が滞ったとき、与党が採決を早めるために使ってきた。それでも例外中の例外の手段だ。
 現在の参院法務委員長は与党・公明党の秋野公造氏である。本来なら中間報告などあり得まい。
 委員会の審議時間も衆院の3分の2にも達しておらず、疑問点も次々と指摘され、採決の環境にはほど遠い状況だった。
 なのに与党が強行したのは、学校法人加計(かけ)学園問題を抱え、国会を早々に閉じたいという安倍晋三首相の意向を、参院自民党が「忖度(そんたく)」したためとの見方がある。
 国権の最高機関の役割を国会が自ら否定したことにならないか。
 本来なら自民党のブレーキ役になるべき公明党にとっても、中間報告は渡りに船だったようだ。
 委員会で採決すれば秋野氏が野党議員に取り囲まれるなど混乱し、重視する東京都議選にマイナスイメージになりかねないと懸念したとされる。国民不在の選挙優先姿勢だと言わざるを得ない。
 野党側にも注文しておきたい。
 民進、共産両党は参院法務委の審議途中で金田勝年法相の問責決議案を参院に提出した。これが、「野党が審議拒否した」と与党の中間報告の口実に使われた。
 野党が不信任や問責などで審議引き延ばしを図る日程闘争は、与党の「数」に対抗するやむを得ない面もあるとはいえ、「会期」にとらわれすぎてはいまいか。
 徹底的な論戦で法案の問題点を顕在化させ、政府・与党を論破する。国会外の市民とも連携する。「共謀罪」法に限らず、これが正攻法だろう。そうでなければ、いつまでも数の力をはね返せない。
 安倍1強政治に立ち向かう国会戦術の在り方について、野党間で議論を尽くしてほしい。


口つぐむ国民にはならぬ
 安倍晋三首相がかつて繰り返した「戦後レジーム(体制)からの脱却」とは、詰まるところ「戦前回帰」だった。そうした思いが募るばかりだ。
 4年半前の政権復帰以来の道のりをあらためてたどってみたい。
 まず、特定秘密保護法で国民の目と耳に覆いを掛けた。情報を遮断した上で整備したのが、違憲の疑いが強い安全保障法制である。
 そして、今度は、口封じの「共謀罪」法だ。
 正式には、「共謀罪」の構成要件を変えて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法と言うべきなのかもしれない。
 しかし、その内実は国民の内心の自由を脅かし、発言や行動を萎縮させる法律にほかならない。
 だからこそ、私たちは廃案を訴え続けてきた。ところが与党は、疑問点を解消しないばかりか、委員会採決という手続きをすっ飛ばす「中間報告」という奇手まで繰り出し、押し切った。
 極めて異常である。
 憲法の理念に沿わない法律は廃止するべきだ。
 同時に国民は、法の運用に監視の目を光らせ、言論統制につながる動きにはしっかりと「ノー」を突きつけなければならない。
 法案審議を通じて目立ったのは、金田勝年法相の不安定な答弁ぶりである。もちろん、資質もあろうが、法自体が不安定だから、答弁も揺れたのではないか。
 たとえば、一般人が捜査対象になるか否かの問題だ。
 特定秘密保護法や安保法制をめぐっては、多くの市民団体が反対の声を上げた。危機感を持った若者たちの自発的な行動は、大きなうねりとなった。
 「共謀罪」によって、そうした動きにブレーキをかける。そんな思惑すら透けて見える。
 事実、金田氏は「環境保護や人権保護を隠れみのとし、実態は重大犯罪を実行する団体と認められる場合は処罰される」と述べた。
 「隠れみの」かどうかを判断するのは捜査機関だ。一般人が捜査対象にはならないとは言えまい。
 政府は裁判所があるから恣意(しい)的な適用はできないとも強調するが、実際は捜査機関が請求した逮捕状の却下はわずかだ。一般人が逮捕されれば、後に嫌疑なしとされてもダメージは大きい。
 基地反対運動に絡み、器物損壊容疑などで逮捕された沖縄平和運動センター議長の山城博治さんは、約5カ月も勾留された。
 「共謀罪」がなくてもこうなのである。政府に盾を突く行動に出れば捕まる―。そんな心配が広がるのは当然ではないか。
 政府が「テロ等準備罪」と宣伝してきた今回の法律の条文にはもともと「テロ」の文字がなかった。与野党の批判を受け、あわてて「テロ」を追加した。
 つまりは、政府の「印象操作」の産物である。
 ましてや、国会は数の力ばかりが横行する目を覆う惨状だ。
 そうであれば、問われるのは私たちのこれからの行動である。
 物言わぬ国民にはならない。


「共謀罪」法成立 民主主義の破壊許さず
 数の力を借りた議会制民主主義の破壊は許されない。
 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法が参院本会議で成立した。自民、公明両党が参院法務委員会での審議を省略する「中間報告」と呼ばれる手続きで採決を強行し、与党と日本維新の会などの賛成多数で可決した。
 この法律は監視社会を招き、憲法が保障する「内心の自由」を侵害する。捜査機関の権限を大幅に拡大し、表現の自由、集会・結社の自由に重大な影響を及ぼす。
 衆院は十分な論議もなく法案を強行採決した。「良識の府」であるはずの参院も20時間足らずの審議で同様の暴挙を繰り返したことに強く抗議する。法案の成立は認められない。もはや国民に信を問うしかない。
 中間報告は国会法が定める手続きだが、共謀罪法は熟議が必要であり、一方的に質疑を打ち切るのは国会軽視である。学校法人「加計学園」問題の追及を避けるためだとしたら本末転倒だ。
 政府は共謀罪法の必要性をテロ対策強化と説明し、罪名を「テロ等準備罪」に変更した。テロ対策を掲げて世論の賛同を得ようとしたが、同法なくしては批准できないとする国際組織犯罪防止条約(TOC条約)は、テロ対策を目的としていない。
 TOC条約の「立法ガイド」を執筆した米国の大学教授は「条約はテロ対策が目的ではない」と明言している。政府が強調する根拠は崩れている。
 日本政府は共謀罪法を巡り、国連人権理事会のプライバシーの権利に関する特別報告者からも「プライバシーや表現の自由を制約する恐れがある」と指摘されている。だが、理事国である日本政府は国際社会の懸念に対して真剣に向き合っていない。
 共謀罪法は日本の刑法体系を大きく転換し、犯罪を計画した疑いがあれば捜査できるようになる。政府は当初「組織的犯罪集団」のみが対象であり一般人には関係がないと強調してきた。しかし参院で「組織的犯罪集団と関わりがある周辺者が処罰されることもあり得る」と答弁した。周辺者を入れれば一般人を含めて対象は拡大する。
 さらに人権団体、環境団体であっても当局の判断によって捜査の対象になると言い出した。辺野古新基地建設や原発再稼働、憲法改正に反対する市民団体などが日常的に監視される可能性がある。
 かつてナチス・ドイツは国会で全権委任法を成立させ、当時最も民主的と言われたワイマール憲法を葬った。戦前戦中に監視社会を招いた治安維持法も、議会制民主主義の下で成立した。
 共謀罪法は論議すればするほどほころびが出ていた。強行採決によって幕引きしたのは「言論の府」の責任放棄である。過去の過ちを繰り返した先にある独裁政治を許してはならない。


[「共謀罪」採決強行]極まった暴挙 信を問え
 「再考の府」参院の自殺行為に等しい。
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が参院本会議で成立した。審議中だった参院法務委員会の採決を飛び越し、本会議で採決するという「禁じ手」を使った上での異例の採決強行だ。
 いわゆる「中間報告」と呼ばれる国会の運営手法で、過去に衆院で4回、参院で18回使われた。しかし大抵は、野党が委員長を務めることによる審議停滞解消を目的としてきた。直近2009年の改正臓器移植法成立時も、与野党から相次いで修正案が出されるなど、曲がりなりにも活発な審議の末の行使だった。
 だが今回はどうか。自公が圧倒的多数を占める国会で、審議停滞の懸念は全く見当たらず、早期成立の必要性もない。逆に、各社の世論調査では、法案の徹底した審議を求める声が根強くあった。
 必要のない「中間報告」の行使は、国会での議論を一方的に封じ込める暴力にほかならない。
 「共謀罪」の参院での審議は20時間に満たず、自公が目安としてきた衆院法務委員会の30時間にも遠く及ばない。審議不足の同法が、テロ対策を口実に国民の監視強化を招く危惧は深まっている。
 「共謀罪」成立を受け安倍晋三首相は「東京五輪・パラリンピックを3年後に控えている。一日も早く国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結し、テロを未然に防ぐため国際社会としっかり連携していきたい。そのための法律が成立したと考えている」と発言した。
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 しかし首相のこの言葉こそが、審議の未成熟さと異常さを露呈している。
 首相が同法成立の目的とするTOC条約は、マフィアなどの経済犯罪が対象だ。条約の「立法ガイド」を執筆した米国の大学教授ニコス・パッサス氏も「テロ対策が目的ではない」と切り捨てる。
 こうした条約締結とテロ対策の必要性の「すり替え」は、早くから国会内外で指摘されてきたが、政府は同法の通称を「テロ等準備罪」とするなど、見解を改めるどころか前面に打ち出した。
 首相は衆院代表質問で「条約を締結できなければ東京五輪を開催できないと言っても過言ではない」とも明言。だがそれが事実なら、そもそも五輪招致などできないはずで、答弁には疑問符が付く。
 あからさまな矛盾でさえ、今国会では修正されることもなかった。
 それどころか、二転三転する答弁で厳しい批判を浴びた金田勝年法相の挙手を、首相や副大臣が制止。代わって法務省刑事局長が説明に立つなど、これまでの国会では見たことがない醜態をさらした。
 結果として審議は一向に深まらず、逆に審議するほど同法への疑念が新たに湧いてきた。当初「組織的犯罪集団に限定」と説明した対象者についても、審議終盤で「環境保護団体」や「周辺者」も対象とするなど、捜査機関による恣意(しい)的運用への疑念はますます高まっている。
 異なる意見に耳を貸さない。「印象操作」や「レッテル貼り」などの発言を繰り返し質疑に正面から答えない−。参院審議では、これまでもあった安倍政権の特異な国会対応がさらに際立った。
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 今回の採決は、横暴とも言えるこうした政権の本質を表しているといえよう。首相が矢面に立たされている「加計(かけ)学園」や「森友学園」問題の早期の幕引きと、都議選を念頭に置いた党利党略にほかならない。
 異例の「禁じ手」が断行された15日、松野博一文科相は、これまで「確認できない」と突っぱねてきた「総理のご意向」文書の存在を一転認めた。
 奇妙なタイミングの一致に「国会が閉会すれば追及もされまい」との「安倍1強」のおごりが透けて見える。
 「特定秘密保護法」「安保法」など、数を盾に「違憲立法」の採決を次々と断行してきた安倍政権の強行姿勢は、ついにここまできた。行政府・内閣をチェックするはずの立法府・国会がその役割を放棄するなら、ただすのは国民しかいない。
 安倍首相は選挙で国民に信を問うべきである。


「共謀罪」法成立  行き過ぎた運用に歯止めを
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が、委員会採決を省略する異例のかたちで可決、成立した。
 これにより、捜査機関は犯罪を実行後だけでなく、計画段階で処罰できるようになる。
 戦後民主主義の基本となる「内心の自由」を侵しかねない。適用基準が明確でなく、捜査機関が乱用する恐れがある−野党にとどまらず、多くの国民、有識者らが指摘してきた。
 政府は、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結するために必要だ、とするとともに、2020年の東京五輪・パラリンピック開催に向けて、有効なテロ対策になると強調する。
 だが、恣意(しい)的な運用をされないか、一般市民が捜査対象にならないか、国会で質問されても、政府の説明は二転三転し、国民の不安を解消できなかった。
 この段階で、本会議採決に踏み切る必要が本当にあったのか。首をかしげざるを得ない。将来に禍根を残すのではないかとの思いが、ますます強くなってくる。
 熟議を要する案件にもかかわらず、異例の経緯をたどり、参院で可決、成立した。
 民進党など野党4党は当然、廃案を目指していた。法案を審議していた参院法務委員会で、与党が採決の兆しをみせたため、金田勝年法相への問責決議案が提出された。
 委員会の採決を省略
 これに対して与党は、問責決議案提出を、これ以上審議する必要がないという意味だと主張し、委員会審議を打ち切って本会議で直接採決する「中間報告」の手続きを取った。
 中間報告が、過去になかったわけではない。
 09年の臓器移植法改正案の衆院審議では、所管する厚生労働委員会で意見集約できず、本会議で中間報告ののち採決した。
 だがこれは、法案の内容が個人の死生観に深く関わり、ほとんどの政党が党議拘束を外したので、委員会採決の必要がなかった。
 今回は、審議を尽くすため、会期を延長するという選択肢もあったはずだ。与党の対応は、立法府において、委員会審議を否定する暴挙だ、といわれても仕方ないだろう。
 ここまで政府・与党が会期内の決着にこだわった背景の一つには、終盤国会での迷走がある。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関する問題では、「総理の意向」などと書かれたメールの写しを含む文書が、真偽不明のまま、「怪文書」などとして放置された。
 幕引き急ぐ意図あり
 文部科学省は、前事務次官や現役の職員が文書の存在を主張するに至って、ようやく追加調査に乗り出したが、対応は後手後手に回っていた。
 加えて、獣医学部新設の必要性に対しても、関係者から疑問の声が上がった。
 「共謀罪」法と、性犯罪の厳罰化を柱とする改正刑法を成立させて、なるべく早く国会を閉じ、問題の幕引きをしたいとの意図があったのは間違いない。
 もう一つの背景には、今年最大の政治決戦ともいわれる東京都議選(23日告示、7月2日投開票)が、目前に迫ってきたことが挙げられる。
 18日までの今国会会期を延長すれば、選挙戦に加計学園問題と「共謀罪」法案の両方を持ち込んでしまう。そうなれば、昨年、自民党が支援した候補を破って当選した小池百合子都知事率いる地域政党「都民ファーストの会」の攻勢をはねのけるのは難しい。
 所属議員が参院法務委員長を務める公明党にも、重視する都議選前に、委員会採決で混乱する姿を見せたくない気持ちがあったとされる。
 本会議採決は、党利党略でもあったようだ。
 共謀罪を新設する法案は過去3回、国会に提出されたが、「市民団体が処罰される」といった批判が相次ぎ、廃案になった。
 政府は、対象となる犯罪を676から277に絞り込んだから心配ないとする。しかし、森林法違反や刑法の墳墓発掘死体損壊などテロとの関連が薄いものも含まれており、その狙いは不可解だ。
 拡大解釈の可能性も
 捜査の対象となるのは、暴力団やテロ組織など「組織的犯罪集団」と規定された。2人以上で犯罪を計画し、少なくとも1人が資金の手配などの「準備行為」をした時、計画に合意した全員が処罰される。一般市民は除外されるというが、「嫌疑が向けられた段階で一般人でなくなる」との答弁もあった。
 これでは、条文が将来、拡大解釈される可能性が残る。共謀を立証するのは難しい面があるため、捜査が肥大化する恐れもある。
 法が施行されれば、市民活動を萎縮させ、思想の自由やプライバシーを脅かす監視社会を招くかもしれない。
 行き過ぎた運用に対する確かな歯止めを、施行前に整えておくべきだ。


公明が認めた「中間報告やむなし」
 ★共謀罪は、中間報告からの本会議採決といういわば禁じ手を使っての成立と相成ったが、与野党から疲労と怒りの声が相次いだ。しかし、この強引な手法は、自民党が早く国会を閉じたいという思いで行ったというのが定説だが、一方で公明党の責任を問う声も多い。まずは参院法務委員長・秋野公造が職権で法務委員会を開いた。加えて援護射撃するように同党代表・山口那津男が「中間報告やむなし」としてこの与党作戦を認めたことに尽きる。 ★山口は「テロ行為などを防止することができるという点で(共謀罪)成立は大変よかった。質問の機会をつくったにもかかわらず、野党側は委員長の解任決議案を出し、自ら審議の機会を奪った。また法相の問責決議案を出して審議を止めた。そういう姿勢の下では、委員会審議を続けることは困難だと判断せざるを得なかった」と理屈をこねたが、都議選に集中したい公明の利害が、共謀罪成立を急がせたといっていい。 ★この際、野党の体たらくは無視するが、劣勢が伝えられる都議選の公明党テコ入れのため、共謀罪すら材料に使ったといえる。自民党にとっても、これはあしき前例といえる。荒っぽい国会運営は「丁寧な審議を尽くして国民の理解を得る」には程遠く、公明党の事情に乗っかり責任を回避したい様子。結局、野党が自らチャンスをつぶしたとか、正当性を主張したところで、力で押し切ったのは間違いない。首相・安倍晋三は「国民の生命、財産を守るために、適切に効果的に運用していきたい」と述べたが、成立過程が不適切で正当性に欠くものだった。自民・公明両党は、本当の権力の恣意(しい)的運用というルビコン川を渡ったといえる。

急がば回れ
 「急がば回れ」のことわざは、古歌の<もののふの矢ばせの舟ははやくとも急がばまはれ瀬田の長橋>が語源とされる▼草津の矢橋(やばせ)と対岸の大津を結ぶ渡し舟は、近道だが突風の危険がある。だから、遠く迂回(うかい)する陸路の瀬田の長橋を渡る方が安全だとうたっている▼悲しいかな、そんな先人の知恵は、「安倍1強」を支える参院の与党議員にはみじんもなかったらしい。「共謀罪」法案を審議する法務委員会の採決を「中間報告」と呼ばれる禁じ手を使ってすっ飛ばし、本会議で採決を強行した。「良識の府」や「熟議の府」といわれる参院にあるまじき乱暴さである▼国民の間に疑問や批判がうずまいても説明責任を果たさず、一方的に審議を打ち切って幕引きを図る。法が成立さえすれば、そのうち忘れるとでも思っているのなら国民も随分と見くびられたものだ▼奇策を使ってまで決着を図ったのは、首相への疑惑封じとの見方がもっぱらだ。加計学園問題への追及を避けるには、極力早く国会を閉じたいというわけである。だが、そんな隠蔽(いんぺい)にも似たやり方は、かえって疑惑を深めることにならないか▼自由や人権を脅かす監視社会を招きかねない法の成立を、回らずして急いだ与党。安倍一党を乗せた舟が荒波を無事に渡り切ったとは、まだ言えない。

「共謀罪」法成立 憲政史上に汚点残す暴挙
 市民社会を脅かしかねない法律が十分な審議を経ないまま、奇策に類する手段によって成立した。これを暴挙と言わずに何と言うのか。議会制民主主義の放棄、国民無視も甚だしい。自民、公明の与党は憲政史上、取り返しのつかない汚点を残したといえよう。
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法がきのう、参院本会議で与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。与党は「中間報告」という手続きで参院法務委員会の採決を省き、本会議の採決を強行した。
 ●「禁じ手」の中間報告
 国会は委員会の審議と採決を経て本会議に議案を付すのが原則だ。委員会が専門的に審議し、論点を深めるのが狙いである。例外として国会法は、衆参各院が特に必要とするときは委員長らに審議の中間報告を求め、それを受ける形で本会議の審議を認めている。
 臓器移植法やその改正法で、ほとんどの党が死生観に関わるとして党議拘束を外したため、本会議で議員個々の判断に任せようと中間報告をしたのが代表例だ。
 今回は特別の事情などない。与党は改正処罰法を成立させて国会を早く閉じたいだけだ。文部科学省の再調査で「総理のご意向」文書が確認され、安倍晋三首相が矢面に立つ学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題で野党の追及を避けたかったのだろう。
 公明党が重視する東京都議選の告示も23日に迫っており、18日に会期末を迎える今国会は延長せず閉じるに越したことはない。いわば「禁じ手」の中間報告による採決強行は、首相と与党の事情を優先した結果である。
 衆参両院で単独過半数を占める巨大与党の「自民1強」に支えられ、首相の在任日数が戦後3位(第1次政権を含む)になった長期政権だからこそ成し得た強権的な政治ともいえるだろう。
 今回の「共謀罪」法成立が、いわば1強政治の頂点となるのか、それとも、首相が悲願とする憲法改正へつながる潮流となるかは、なお予断を許さない。
 政府は「東京五輪に備えたテロ対策」「組織犯罪防止の国際条約締結のため」と主張した。テロ対策や国際条約と言えば国民の理解が得やすいと考えたのだろう。
 対象犯罪は277もあり、テロと無関係と思われる森林法や商標法などを含む。条約はマフィアなどの経済犯罪防止が目的で、現行法で締結可能との指摘もある。
 結局、政府から明解な説明はなかった。いくら「テロ対策」と力説したところで改正法は実質的に国民や野党の反発を浴びて過去3回も廃案になった共謀罪の焼き直しにすぎなかったことを物語る。
 多くの人は「テロや組織犯罪とは無関係な市民に影響はない」と考えるだろう。だが金田勝年法相らは「一般の団体が組織的犯罪集団に一変した場合に構成員は一般の方々でなくなる」と答弁した。
 一般の団体がいつ組織的犯罪集団に変わるか、捜査当局の市民監視は強化されるだろう。しかも組織的犯罪集団の定義は明確でない。法相は「組織的犯罪集団の構成員でないと、犯罪が成立しないわけではない」とも語った。捜査対象は当局の恣意(しい)的判断でいくらでも拡大する。
 ●権力の暴走を許さず
 安倍政権は、国民の知る権利を侵害しかねない特定秘密保護法、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法に続いて、市民社会を萎縮させかねない今回の改正法も強引に押し通した。野党の反対、国民の不安、専門家の懸念を「数の力」で一蹴する政治手法は共通する。
 しかし、このまま市民が縮こまってしまってはいけない。国家権力や捜査当局がどんなことをしようとしているのか、逆に私たち市民は監視していく必要がある。
 2003年の鹿児島県議選で公選法違反に問われた12人全員の無罪が確定した志布志事件、16年の参院選で大分県警別府署員が野党の支援団体が入る建物の敷地に隠しカメラを設置した事件など不正捜査や冤罪(えんざい)事件は後を絶たない。
 国家権力や捜査当局の暴走を許してはならない。憲法の国民主権、平和主義、基本的人権の三大原理をよりどころに、物言う市民であり続けたい。また私たちは、そんな市民を支え、守るメディアであり続けたいと思う。


「共謀罪」成立 野党、決議連発し抵抗 審議打ち切りを批判
 与野党は「共謀罪」法が成立した十五日朝まで、二十一時間余り断続的に論戦を交わした。十四日午前に開会した参院本会議を皮切りに、野党が成立阻止を目指して連発した問責決議案などを巡る討論と採決を繰り返し、最後は与党が「数の力」で押し切った。 (清水俊介)
 「共謀罪」法の採決直前の討論で、民進党からは蓮舫代表が登壇。「権力に国民の内心の自由を侵されるのではないか」と反対を訴えた。野党が審議の続行を求める中、与党が法務委員会での採決を飛ばし本会議で採決する中間報告に踏み切ったことに対し「究極の強行採決だ」と抗議した。
 共産党の仁比聡平氏も「審議すればするほど、国民が内容を知れば知るほど、反対や説明不十分の声が大きく広がっている。内心に踏み込んで処罰しようとする」と強調した。
 これに対し、自民党の西田昌司氏は、同法がテロ対策強化につながると主張。二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向け「万全の対策を講じなければならない」と語った。日本維新の会の東徹氏も「国民の生命や安全を守るのが国の責務だ」と強調した。
 参院本会議では十四日、野党がそれぞれ提出した山本幸三地方創生担当相の問責決議案、金田勝年法相の問責決議案、山本順三議院運営委員長の解任決議案を順次否決。十五日未明の衆院本会議では、野党提出の安倍内閣不信任決議案を否決した。そのたびに与野党が賛成・反対に分かれ、討論を行った。
 金田法相に対する問責決議案を巡っては、共産党の山添拓氏が討論で「無責任な答弁を繰り返した」と批判。金田氏は同法成立後、記者団に「しっかりと制度の理解を求め、周知していく努力が大事だ」と話した。


「共謀罪」法成立 廃止あきらめない 採決強行、来月施行へ
 犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法は十五日朝の参院本会議で、自民、公明の与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。参院法務委員会での採決を省略し、本会議で「中間報告」を行う異例の手法で、十四日から徹夜の攻防が続いた後、与党が野党を押し切った。施行日は七月十一日の見通し。
 採決の結果は、賛成一六五、反対七〇。参院で自民党と統一会派を組む日本のこころも賛成した。民進、共産、自由の各党は反対し、自由党の森裕子氏、社民党の福島瑞穂、又市征治両氏の計三人は採決を引き延ばす「牛歩戦術」をして、時間切れとみなされ「投票せず」とされた。
 安倍晋三首相は成立を受け「適切、効果的に法律を運用していきたい」と官邸で記者団に強調。民進党の蓮舫代表は、採決に先立つ討論で「究極の強行採決に強く抗議する」と批判。成立後、廃止を目指す考えを表明した。共産党の志位和夫委員長は「法案は審議するほど矛盾点が噴き出し、加計(かけ)学園疑惑でも行政がゆがめられているのでは、との事実が出てくる。追い詰められての暴挙だ」と語った。
 民進など野党四党は成立阻止を目指し、十四日夜に安倍内閣不信任決議案を出したが、衆院本会議で十五日未明に与党などの反対多数で否決。これを受け同三時半ごろ、参院本会議で秋野公造法務委員長(公明)が中間報告を実施。朝になって採決が行われた。
 与党は十八日までの会期を延長せず、国会を閉会する方針。


共謀罪強行成立をテレビがスルー、なかったことに! 安倍政権の暴挙を許したのはメディアの責任だ
 いったい、この国のマスコミはどうなっているのか。禁断の暴挙「中間報告」によって、強行採決で成立してしまった共謀罪だが、本来、法案の異常さを徹底糾弾すべきテレビメディアは、参院可決からわずか半日も経ずして、ほとんど共謀罪の話題に沈黙してしまったのだ。
 いや、一昨日の時点でその兆候はあった。国会では“平成の治安維持法”を成立させまいとする議員たちによる必死のフィリバスターが行われていたのに、テレビをつけると、ロンドンのマンション火災事件や将棋の藤井聡太四段の話題などにかかりっきりで、共謀罪は数分VTRが流れればいいほうだった。
 とくにひどかったのがNHKだ。夜のニュース帯でも「与野党の攻防」に矮小化したうえで軽く触れるだけで、法案の危険性にはまったく突っ込まない。だいたい、こんな危険な法案が国民に十分な説明なしに強行突破されそうなときに、NHKは国会を中継せず、日が昇ってから言い訳程度に投票の映像を流しただけだったのである。
 だが、本当に驚かざるをえなかったのが、昨日朝の民放の情報番組。周知の通り、参院本会議での強行成立の時刻は午前7時46分。当然、『スッキリ!!』(日本テレビ)や『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)など、8時からの情報番組では、トップニュースでこの強行採決も模様を伝え、共謀罪の危険性や、この間の政府の矛盾答弁を振り返り、スタジオでもコメテーターたちが侃侃諤諤の議論をするものだろうと思っていた。ところが、たったいま、この世紀の悪法が無理やり成立させられたにもかかわらず、各番組ともまともに取り上げなかったのである。
 たとえば、『スッキリ!!』では、共謀罪を扱ったのは冒頭のたった5〜10分のみ。そのあとは、ロンドンのタワーマンション火災とインパルス堤下敦の意識朦朧運転を長尺でやった。『羽鳥慎一モーニングショー』では番組冒頭、MCの羽鳥に対してテレビ朝日の玉川徹が、共謀罪の強行採決について振り「ふつうの政権ならとても通らないはずの法案が次々と成立している。この横暴は政権は支持率が下がらないことがアシストしているのではないか」などと批判したものの、そのあとは、いくら経っても共謀罪の特集は放送されず、やはりロンドンマンション火災と堤下朦朧運転、あとは将棋の藤井四段の話題。番組の最後の最後になって、ようやく少し取り上げただけだった。
『とくダネ!』では官邸の代弁者・田崎史郎が「安倍総理の論理が正しい」などと政権擁護
 フジテレビの『とくダネ!』もそう。番組冒頭こそ共謀罪成立を速報したものの、そのあと続いたニュースはというと、堤下朦朧運転に約15分、小出恵介の淫行疑惑について「週刊文春」での17歳少女の告白の紹介を約15分、カフェイン摂取で死者急増という話題が約10分など、共謀罪の話題に入ったのは番組開始から実に1時間も経過してからだった。しかも、電話出演した“安倍官邸の代弁者”こと田崎史郎・時事通信社特別解説委員が、安倍首相が掲げた「テロ対策」の矛盾について「安倍総理の論理が正しいのか、国連の関係者の方が語られることが正しいのかよくわからないんですよ」などと擁護する内容。その後は、AI搭載の家電の特集へと入って行った。
 堤下の朦朧運転にせよ、ロンドンの火災にせよ、本当にこれがいま、国民に伝えるべきニュースなのかと聞きたくなるではないか。繰り返すが、朝の情報番組がスタートする8時のわずか十数分前、国会では福島瑞穂議員や山本太郎議員らが牛歩戦術で最後まで抵抗したにもかかわらず、「時間切れ」で投票が締め切られ、共謀罪が多くの反対の声を踏みにじるかたちで成立してしまったのだ。
 しかも、小出恵介の淫行問題については、すでに先週