フランス語の勉強?

avril 2018

コインランドリー→疲れているけど出勤

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嵐電180322

Saké : la boisson des dieux japonais
Alcool de riz japonais, le saké n'a pas toujours bonne presse en France. Au pays du Soleil-Levant, il est pourtant considéré comme un trésor national.
En France, le saké est parfois proposé, dans certains restaurants, à la fin du repas dans des verres un peu "spéciaux". Pourtant, il est bien plus qu'un banal digestif. Au Japon, il est surnommé "la boisson des dieux" et est considéré comme un trésor national. Comme la bière, le saké est un alcool fermenté, fabriqué à partir de riz, d'eau, de levure.
Entre 15 et 20 000 saveurs différentes
Au Japon il existe un peu moins de 2000 brasseries, dans lesquelles le saké repose d'abord dans des cuves, pendant 20 à 40 jours. Chaque matin il faut contrôler la qualité du breuvage, sa température, son acidité, son taux d'alcool et de sucre. Pour faire un bon saké, il faut surtout un bon riz. Au Japon il en existe 260 sortes, mais moins de la moitié peut produire du saké. Il doit être rond et poli à 70% pour garder les meilleurs arômes. Pour apprendre à apprécier les richesses du saké, il faut le déguster. Le plus souvent il est servi entre huit et 12 degrés dans des verres à vin pour mieux apprécier les arômes. Fruité, fort en caractère, froid ou chaud, il y aurait environ entre 15 et 20 000 saveurs différentes de saké.
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大阪に帰ってきて一服したいところですが,洗濯物がたまっているのでまずコインランドリーへ直行.普段は使いませんが,今回軽く乾燥までしました.
さらにその後出勤して少し仕事.疲れているけど仕方ありません.

<大川小津波訴訟>高裁判決で避難場所に指摘「バットの森」歩けば20分で到達可能
 宮城県石巻市大川小津波訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は危機管理マニュアルに事前に記載しておくべき避難場所として「バットの森」を挙げた。判決文を読み解きながら、避難経路を歩いた。(大川小事故取材班)
 バットの森は、大川小から約700メートル離れた市有林で、海抜20メートル以上の高台にある。2007年11月、全校児童と教職員、保護者ら約300人がバットの原木となるアオダモなど約550本を植樹。少なくとも震災当時の4〜6年生は訪れたことがあった。
 大川小の校庭(海抜約1メートル)から県道を通り、震災当日に児童らが目指した北上川の堤防道路(三角地帯、海抜6〜7メートル)まで約4分。国道398号を雄勝方面に向かう。片側1車線の道路には大人2人が並べる幅の歩道がある。緩やかな下りは最も低い場所で海抜約2メートル。津波到達の碑があり、その先は浸水していないことが分かる。
 約11分後、大川小の裏山に通じる林道の入り口に着く。整備された坂道を約3分上ると、バットの森だ。校庭からは約14分。低学年を含む大勢の移動を考慮しても、20分あれば到達できる。児童が植えた苗木は高さ5メートル余りに育っていた。
 高裁判決は、原告が強く主張した裏山への避難は「崩落の危険性」から不適当とした上で、バットの森を「最も有力な避難場所の候補」として、10年度作成の危機管理マニュアルに明記すべきだったと指摘した。
 被告側は「学校から距離があり避難場所として不適切」などと主張したが、判決は校長ら学校幹部が地域と協議したり、雨風をしのぐ小屋、照明の整備を市教委に相談したりしていればクリアできたと退けた。
 避難経路は、川沿いの三角地帯を通るという難点を抱える。しかし判決は、地震6分後に大津波警報を知らせた防災行政無線を受けた早期の避難開始で十分に回避できると結論付けた。高裁の小川浩裁判長らは17年10月の現地視察の際にバットの森を訪れており、これらの認識を早期に固めていたとみられる。
 原告の只野英昭さん(46)の長男で、5年時に被災し奇跡的に助かった長男哲也さん(18)も植樹に参加した1人だ。只野さんは「児童の半数が来たことがある場所。事前に周知や訓練し、整備されていれば避難に適した場所になったはずだ」と判決に理解を示した。


<大川小津波訴訟>二審判決は「当然」原告、控訴反対市議に結果報告
 宮城県石巻市大川小津波事故訴訟の原告団が29日、2016年10月の市議会臨時会で市が提出した控訴関連議案に反対した議員8人の事務所などを訪れ、控訴審判決の結果を報告した。
 今野浩行原告団長(56)ら5人が判決の受け止めと原告団への理解に対する感謝をつづった文書を、議員らに手渡した。
 今野団長は面会した議員に「画期的な判決と言われるが、危機管理マニュアルを地域の実情に合ったものにし、市教委がその内容を確認するという当たり前のことが示されただけだ」との認識を伝えた。
 一方、亀山紘市長ら市幹部は同日、市役所で市議会2会派の議員に判決文を配り、内容を説明した。


<大川小控訴審判決 3氏の見方>教員の多忙化解消急務/和光大准教授・制野俊弘氏
 石巻市大川小津波訴訟の控訴審判決は、事前の備えを放置した校長ら学校幹部と市教育委員会の組織的な過失を認め、それぞれに安全確保の義務を課した。求められる教育行政や教員の資質とは何か。教育専門家の3氏に判決への評価と、「学校の安全」の実現に向けた課題を聞いた。(大川小事故取材班)
 控訴審判決は、いざという時、学校側が地域住民の意向を乗り越えてでも「子どもの命を守る」ことを強く要請した。現場にとって非常に厳しい判断と言える。
 事前防災の実効性を担保するには、校長ら教員が高度な知識と経験を持っていなければならない。そのためには絶えざる研修が不可欠で、人的・財政的措置を講じる必要がある。
 学校側が身に付けた高度な知識や経験を地域住民と共有し、学校が「地域の防災センター」の役割を果たすことも求められる。
 だが、実現するには「学校の多忙化」という大きな関門がある。教員の業務量は既に限界を超えている。仕事の持ち帰りや土日出勤が当然視され、特に小学校の教員は朝から晩まで働きづめだ。
 「子どもの命を守り抜く学校」「命を真ん中に置いた学校・学級づくり」に取り組みたくても、物理的な時間も精神的な余裕も全くないのが現状だ。
 仮にマニュアルを精緻に作っても、「命を吹き込む」のは現場の教員たちだ。校長ら幹部と教員がじっくり膝を交え、「子どもの命」について話し合える時間の確保や、精神的なゆとりをどう保障するかも問われる。
 災害時、学校が臨機応変に判断を下せる体制が整っているかどうかも大きな課題だ。学校は教員独自の判断やワンマンプレーが極度に嫌われる世界で、教員の判断力は次第に鈍っていく。
 教員の考課システムが強化され、多くの学校で「思い切ってやってごらん」という風土が薄れている。教員は、「どうしますか」と校長にお伺いを立てる習性が染み付いている。
 教科書やマニュアル通りの授業を行い、及第点だけを目指す「事なかれ主義」が横行する学校ほど、災害時の危険度は増す。職員が堂々と意見を言える学校づくりが大切だ。
 今後はあらゆる教科や行事などを命という視点で総点検した上で、地域住民と防災についてじっくり話し合う環境整備を進めなければならない。それが、大川小の教訓を正しく引き継ぐ最善の道ではないか。
 大川小事故は現場の教員一人一人の問題ではない。硬直化した教育システムの問題点が露見したと捉えるべきだ。


<大川小控訴審判決 3氏の見方>閉鎖的教育行政改めて/元明治大教授・三上昭彦氏
 石巻市大川小津波訴訟の控訴審判決は、事前の備えを放置した校長ら学校幹部と市教育委員会の組織的な過失を認め、それぞれに安全確保の義務を課した。求められる教育行政や教員の資質とは何か。教育専門家の3氏に判決への評価と、「学校の安全」の実現に向けた課題を聞いた。(大川小事故取材班)
 仙台高裁は、子どもの生命や身体の安全を確保することが学校保健安全法上、教育委員会と学校の「根源的義務」だと認定した。災害が起きる前の時点で適切な対応・準備をし、安全確保の義務を果たさなければならないと示した点で踏み込んだ判断と言える。
 仙台地裁は被災7分前に初めて津波が予見できたとし、教員の避難誘導ミスを過失とした。だが、切羽詰まった状況で教員は正しく判断できただろうか。地裁の論旨には多くの問題が指摘されていた。
 高裁判決は「震災前」に着目し、市教委や学校の組織的な対策を吟味した。校長ら幹部が大川小の立地条件などを考慮した適切な危機管理マニュアルを作らず、市教委は提出された内容を点検・指導する義務を怠った、と認めた。
 安全を確保する「根源的義務」を果たすには、まず管理職と教職員に子どもの命と尊厳を守り切るための(1)子ども観(2)力量(3)資質−が必要となる。
 教員研修の在り方も改めて考えたい。噴火や地滑りなど、日本列島では災害が頻繁に起きている。全国共通のリスクと各学校が置かれた個々の特性について、教員は把握してほしい。
 学校は子どもを集団で預かる特殊な場所で、高い安全配慮義務が課されている。一方、現場は多忙だ。行政が防災研修などを行っても教職員一人一人にまで十分共有されていない現実がある。
 国を含めた教育行政は、こうした事情を踏まえて条件整備する必要がある。私たち教育に携わる専門家を含めた関係者も、より良い環境を追い求めていかなければならない。
 防災は教育行政だけではカバーできない。多様な災害から安全・確実に身を守るには、土木など一般行政部門との連携が非常に重要だ。
 判決は学校管理職や教職員が平均3年程度で異動する宮城県の人事政策にも触れ、「学校の実情を継続的に蓄積できる体制になっていない」と指摘した。学校も教委も閉鎖的で、地域に根ざした体制になっているとは言えない。上意下達の学校管理政策などをはじめ、教育行政全般の抜本的な改革が不可欠だろう。
 防災は教育学全体の中で、これまで非常に隅に位置付けられてきた。大川小事故が提起するさまざまな問題を受け止め、真摯(しんし)に対応していかなければならない。


<大川小控訴審判決 3氏の見方>防災指針有効か検証を/国士舘大准教授・堀井雅道氏
 石巻市大川小津波訴訟の控訴審判決は、事前の備えを放置した校長ら学校幹部と市教育委員会の組織的な過失を認め、それぞれに安全確保の義務を課した。求められる教育行政や教員の資質とは何か。教育専門家の3氏に判決への評価と、「学校の安全」の実現に向けた課題を聞いた。(大川小事故取材班)
 学校防災の問題を真正面から捉えた画期的な判断だ。2009年4月に施行された学校保健安全法の意義を踏まえ、防災指針となる危機管理マニュアルについて学校と教育委員会それぞれの法的責務・役割を具体的に示した点は大きい。
 特に、市教委には内容を是正・指導すべき義務があったと認めた。防災を含めたさまざまな対策が学校任せになりがちな中、教育行政の果たすべき役割に言及したことは意義深い。
 教育関係者は学校や地域の実情に応じたマニュアル改訂が強く求められる。学校防災関連の国の通知・手引などをもう一度独自に検討し、想定を尽くした具体的な対策が欠かせない。
 「臨機応変」は確かに大切だが、ゼロからではかなりハードルが高い。子どもを預かる学校の臨機応変の幅を少しでも減らし、迅速に安全を確保する作用がマニュアルにはある。現場にいた教頭は校庭から次の避難場所を判断できなかった。適切なマニュアルを事前に作り、校長は内容を教職員と共有しておく法的義務があった。
 第二の大川小を生まないために、津波が想定されていない地域や学校も「決して人ごとではない」と認識したい。学校はマニュアルを確認し、地域の実情について自治体の防災計画やハザードマップなどを考慮した上で、全教職員で改善点を検討することが必要だ。
 教委も事前防災を学校任せにせず、自治体の防災行政と連携しながら、実効性のあるマニュアルの策定に向けて指導や助言、積極的な人的支援を進めていかなければならない。
 大川小事故を受け、マニュアルの見直しや防災教育の充実が各地で進む。判決を受け、本当に学校と地域の実情を反映した内容になっているか、災害発生時に本当に有効か、改めて検証してほしい。マニュアルの内容は子どもや保護者、地域住民の視点から検証することも大切だろう。
 教育現場は多忙化が進み、根本的には教職員定数の改善を含む法改正を要請したい。国は被災の危険性が高い自治体や学校に対して最新の知見・事例を提供し、マニュアルの改善を支援すべきだ。
 高裁は大川小を地域の避難場所に指定したこと自体を誤りと判断した。自治体が想定を改めるのはもちろんだが、市民も行政の情報をうのみにするのではなく、日常的に防災意識を高め、災害発生時には常に最善を尽くした主体的な避難行動が求められる。


被災女性の抱える心情 メッセージ付き写真で発信 東京のNPOが40回超える展示会
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被災した女性たちの心情を、メッセージ付きの写真で発信する展示会が国内外で開かれている。開催は40回を超えており、主催団体は「被災女性が抱える問題を伝えつつ、自身のケアにもつながる」と意義を語る。
 仙台市内でも2月中旬に展示会が開かれ、約100点の写真が並んだ。
 東京に自主避難する宮城県出身の女性は、県から届いたアンケート用紙を撮影した。添えられたメッセージは「故郷からの便りはほとんどが私にとって意味がなく感じてしまう」。住み慣れた土地を離れた苦悩がにじんだ。
 仮設住宅で独り暮らしする女性は、防犯のために男性用の靴を置いた玄関の写真を展示。放射能汚染を心配して子どもと関東地方に避難した母親は、メッセージで孤独感を吐露した。
 展示会はNPO法人フォトボイス・プロジェクト(東京)が主催する。共同代表を務める米ミシガン大社会福祉学大学院の吉浜美恵子教授が、被災地支援の一環として活動を立案。2011年6月から避難所などで被災者に協力を呼び掛けた。
 当初は懐疑的だった女性も写真を撮り、話し合いを重ねるうちに涙を流して体験を明かすようになったという。
 当初5人だった参加女性は、首都圏への避難者を含めて約50人に増えた。吉浜教授は「個人の問題を発信して広く共感を得ることで、精神的に満たされる効果も大きい」と話す。
 展示会はフランス、米国などでも開き、今年2月には作品集「被災した女性たちが提示する防災・復興の課題−東日本大震災のフォトボイス」を発行した。1部2500円。連絡先はフォトボイス・プロジェクトのメールアドレスphotovoicejapan@gmail.com


思い切り野球を 東北楽天寄贈「南三陸こどもスタジアム」オープン
 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町志津川の荒島パークの一角に、「南三陸こどもスタジアム」が29日、オープンした。プロ野球東北楽天が復興支援活動「東北スマイルプロジェクト」の一環で寄贈し、芝生の公園内に野球用のベースやボールの壁当てができる壁面を設けた。
 贈呈式で楽天野球団の大石幸潔事業本部長は「子どもたちが元気にスポーツを楽しむ場所になることを期待している」とあいさつした。関係者がテープカットを行い、完成を祝った。
 ベースランニングやティー打撃の体験イベントがあり、子どもたちの歓声が響いた。志津川小5年の斎藤奏音君(10)は「思い切り体を動かせて楽しかった。今度は友達を誘って野球をしたい」と笑顔を見せた。
 荒島パークには滑り台やブランコなどの遊具があり、スタジアムの完成で整備は終了。新名称は「荒島・楽天パーク」になった。


<南三陸福興市>7周年 ホヤの詰め放題に行列
 宮城県南三陸町で毎月恒例の「福興市」が29日、同町志津川の仮設魚市場であった。「志津川湾ほやまつり」と銘打ち、旬のホヤを詰め放題で販売するコーナーに行列ができた。
 町内外の20団体が出店。ホヤやカキなど海産物を使った多彩なメニューでもてなした。初めて訪れた山形県高畠町の大工曽根和也さん(32)は「カキは粒が大きく、おいしかった。会場がお祭りのような雰囲気で楽しかった」と話した。
 ホヤのむき方講座に多くの人が集まり、漁師が「ホヤを塩水で洗うと色がきれいになる。冷凍するときも塩水を入れて」と助言した。
 福興市は2011年4月に始まった。今回で7周年を迎え、関係者が餅まきをして来場者と共に祝った。実行委員長の山内正文さん(68)は「今後もお客さんに喜んでもらえるよう、旬のものを出していきたい」と話した。


河北春秋
 東日本大震災で損壊し、今春、現地再建された気仙沼市の図書館。開館に至るまでのワークショップが興味深い▼旧館敷地内のスイセンを残そうと、解体前の2016年、気仙沼小の3年生が球根を別の場所に仮移植した。表土も保存した。専門家を招き、小さな生き物が表土を分解して、それが木の栄養になると学んだ。来月、元の場所に戻す作業が始まる。担当は仮移植時と同じ児童、今の5年生だ▼「命の大切さ、つながりを伝えたかった」。企画した岡田新一設計事務所(東京)の柳瀬寛夫社長(64)が語る。移植できない巨木への思いも同じ。建物はスズカケノキ(プラタナス)4本を避けて造られた。「今の小学生の父母が子どもの頃からあった木。被災地の命と記憶を残した」▼こちらはミスで、積み上げたものを絶たれた。気仙沼市魚町で宮城県が建設中の防潮堤。計画(海抜4.1メートル)より22センチ高かった。海を遮断する壁を巡り、海の人々が時間をかけて合意した高さなのに。造り直せば堤内側の街づくりが遅れる。ならば許容するか。「造る(時の合意形成)より疲れる」。住民の声を県は何と聞く▼命を守り震災の記憶を伝える施設だ。嘆きの壁にはするまい。図書館同様、誇りあるものにできるか。あすから説明会。港町よ、再び結束を。

<災後に育つ>(中)防災の教訓 進む教員交代 伝承模索
 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の発生後、2011年度に生まれた子どもたちが今春、小学1年生になった。災後の混乱に見舞われた地域や家庭で育った児童らを、いかにケアするか。震災の風化が危惧される今、「あの日」の経験や古里をどう伝えるか。学校や子育て支援の現場から、7年を経た現状と課題を見つめる。(震災取材班)
<息のむ写真>
 津波に襲われた校舎、避難住民でごった返す体育館。生々しい被災直後の写真がスライドに映し出される。今春着任した10人ほどの教員が息をのんだ。
 仙台市若林区の七郷小。今月3日、東日本大震災後の学校の歩みを伝える転任教員向けの研修会が行われた。研究主任の加藤孝教諭(49)が「教訓を受け継ぐことは被災地の学校の使命。共に防災教育を考えていこう」と呼び掛けた。
 七郷小は震災時、1000人以上の避難者を受け入れ、被災して閉校した旧荒浜小と2016年4月に統合された。教員の世代交代が進み、震災時を知るのは統合時に荒浜小から移ってきた1人を残すのみ。経験を後世につなぐため研修などに力を入れる。
 小学校に今春入学した1年生は全員、11年4月以降の「災後生まれ」。震災の経験の乏しい教員が、震災を知らない子どもと向き合う段階に突入した。加藤教諭は「地域や中学校と連携し、上の世代とのつながりの中で学ぶ取り組みが大切になる」と実感する。
 着任間もない山本志帆講師(23)は震災時、青森県内の高校生だった。仙台沿岸部を襲った津波をテレビで見ていた。「いざという時、自分の身をどう守るか。勉強しながら伝えていきたい」と気を引き締める。
<地域枠を増>
 教員間で経験をいかに継承するか。宮城県教委は昨年の教員採用試験から、気仙沼市と南三陸町の小学校で10年間勤務する「地域枠」を新設した。今夏は石巻地方の枠も追加する。県教委教職員課の担当者は「地域に根差す教員を増やし、持続的な防災教育につなげたい」と狙いを話す。
 住民1000人以上が津波の犠牲になった釜石市。市は06年度から津波防災教育を実施し、内陸部から赴任する教員に避難などの研修も続ける。その成果は、市内の全児童生徒の99.8%に当たる2921人が無事避難した「釜石の出来事」として表れた。
 ただ、震災時と同じ学校に残る教員は本年度、市内で最も被害が大きかった鵜住居地区にある釜石東中の1人となった。宇夫方朋子教諭(40)は今月上旬、同校の全職員を前に当時の緊迫した様子を説明した。
 生徒がどこの斜面を駆け上がり、避難所でどう過ごし、学校再開の日を迎えたのか−。宇夫方教諭は「子どもがどんな気持ちでいるのかを知らなければ、寄り添うことなどできない」と強調。「異動まで経験を伝え続ける」と力を込めた。
<負担集中も>
 震災の経験者が限られる一方、伝えるべき対象は年を追って増える。現状では特定の教員に負担が集中しかねない。佐々木一成副校長(50)は「個人に寄り掛かるのではなく、被災地の内外や教員、児童生徒を問わず伝承する仕組みが今こそ必要だ」と指摘した。


大川小津波判決 検証欠かせぬ学校防災
 極めて高いレベルの防災対策を教育現場に求めたと言えよう。
 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童の遺族が、市などに損害賠償を求めた訴訟で、仙台高裁が一審に続いて賠償を命じた。
 注目すべきは、一審よりも踏み込んだ判決理由である。
 津波発生時の避難誘導といった緊急対応だけでなく、震災前の防災対策を重視して学校や教育委員会の「組織的過失」を認めた。
 大川小の津波被害では、児童や教職員計84人が死亡したり行方不明になっている。
 判決を教育行政全体への重い警鐘と受け止めるべきだ。
 防災への意識をいっそう高め、現行の対策で十分か絶えず検証する必要がある。
 大川小の児童は当時、学校よりもやや高い所にある川の堤防付近に向かって移動し始めた直後、津波に襲われた。
 一審は、児童を適切な場所に避難させなかった教職員の過失を認めたが、震災前に津波を予測することは困難だったとして防災対策上の過失は認めなかった。
 一方、高裁は校舎の立地条件から津波の危険性を予見できたと指摘。付近の高台である「バットの森」を避難場所に指定しておけば被害は防げたと、危機管理マニュアルの内容の不備を批判した。
 市教委に対しては、マニュアル改訂の指導を怠ったと断じた。
 裁判官が、現地を視察して示した見解だけに説得力がある。
 石巻市のハザードマップは大川小を予想浸水域に含めず、学校側はそれを根拠に津波の予見性を否定した。この主張についても、高裁は「危険がないことを意味しない」と採用しなかった。
 全体的に学校に厳しい判決との見方もあろうが、それだけ子どもの命を預かる責任は重い。
 大川小の悲劇を繰り返さないため、学校現場は危機管理マニュアルの見直しや避難訓練などの充実に万全を尽くさねばならない。
 とはいえ、すべての対応を教職員に委ねるのは酷だ。
 東日本大震災を機に、専門家を「学校防災アドバイザー」として学校に派遣したり、防災担当の教職員に対する研修に力を入れる自治体が増えている。
 自然災害のリスクは日本の至るところに潜んでいる。こうした取り組みを、全国のすみずみに行き渡らせることが大事だ。
 そのためには国に、財政措置を含む幅広い支援を求めたい。


大川小控訴審判決 学校の事前防災考えよう
 子どもたちの生命、安全を守る学校としてなすべきことは何か。教育現場に重い課題を突き付けた判決だ。全国の各学校は我が事として受け止め、徹底した防災対策に力を入れてほしい。
 東日本大震災の津波で児童74人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小の遺族が、市と県を訴えた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は市や学校の震災前の防災体制について過失を認めた。
 組織的な事前防災の責任を認めた初の司法判断である。一審に続き市と県に賠償を命じ、市や学校の責任を厳しく指摘した。
 大震災直後、大川小の児童は教職員の指示で約50分間校庭にとどまった。裏山ではなく、川近くの堤防に避難し始めた矢先に津波にのまれた。
 一審判決は、過失を現場の教職員による避難誘導にとどめていた。高裁判決は、校長をはじめ組織的な事前防災の不備を追及し、踏み込んだ。
 高裁判決の特徴は、教員個々人よりも組織の責任を強調した点だ。加えて、校長らが持つ災害への知識は「地域住民よりはるかに高いレベルでなければならない」と指摘した。多くの命を預かる学校としては当然のことだ。
 学校の危機管理マニュアルの在り方も問われた。マニュアルは2009年施行の学校保健安全法で、全学校に策定が義務付けられたものだ。
 石巻市教委は震災前の10年4月末までに、各学校の実情に応じてマニュアルを改定するよう求めていたが、大川小側は怠っていた。
 判決は、学校側がマニュアルを改定し、避難場所や経路方法を記載していれば、多くの児童が命を落とす悲劇は防げたと断じた。不備を指導しなかった市教委も批判した。
 市が作ったハザードマップで、大川小は津波浸水予想区域ではなく、災害時の避難場所に指定されていた。判決はこの判断を「誤り」と結論づけ、川に近い立地条件を踏まえれば「津波は十分に予見できた」と言及した。
 沖縄県内でも海岸沿いに敷地のある学校は多い。危機管理マニュアルが有名無実化していないか、この機会に改めて点検してほしい。
 避難場所はどこが最適か。経路は確保できるか。障害物はないか。実際に学校周辺を歩いて地形や立地条件を確認し、さまざまな状況を想定して実効性のあるマニュアルを策定することが大事だ。机上の計画では役に立たない。
 学校の安全に対しては文部科学省も対策を講じる。19年度からは大学の教職課程で、事前防災などをテーマにした「学校安全への対応」を必修科目にする。災害時の子どもの安全確保は喫緊の課題だと意識付けたい考えだ。
 学校の防災体制づくりには自治体の協力、支援も不可欠だ。大川小のような悲劇を二度と起こさせないためにも、各学校の本気の取り組みが求められる。


大川小控訴審判決 学校防災を再点検したい
 全国の学校に対しても、災害への備えの再点検を求める判決といえるだろう。
 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁が14億円を超える賠償を命じた。
 現場の教職員による避難誘導の過失を認めた一審判決より大きく踏み込み、震災前の市教委や学校の防災体制に不備があったと認定した。
 大川小(今年3月末で閉校)は河口から約4キロ離れた地区にあった。北上川をさかのぼった津波が川から約200メートル離れた学校にも押し寄せ、避難が遅れた児童74人、教職員10人が犠牲になった。
 控訴審では津波の予見性や、学校の危機管理マニュアルの妥当性などが争点となっていた。
 市がつくった津波ハザードマップで大川小は浸水予想区域から外れており、避難場所にも指定されていた。学校側は「津波の予見は不可能」と主張したが、判決はハザードマップは結果的に誤りで、川に近い学校の立地などを踏まえれば、校長らは被害を「予見できた」と指摘。市のハザードマップについても「教職員は独自の立場から信頼性を検討することが求められていた」と学校の事前の防災体制を批判した。
 2009年施行の学校保健安全法に基づき、大川小は大震災前に危機管理マニュアルをつくっていたが、津波からの避難先は「近隣の空き地、公園など」とし、具体的な場所や避難経路は決めていなかった。こうしたマニュアルの不備を見過ごし、指導を怠った市教委の過失も認めた。
 仙台高裁の裁判長らは事前に現地を訪ね、大川小の周辺を徒歩で視察した。その上で判決は、校庭から約700メートル先にある標高20メートルを超える高台を事前に避難場所と決めておけば、1年生の児童でも約20分で移動でき、被災を回避できたと断じた。
 判決は公式の被害想定なども疑った上で想定外にも対応できる備えを求めており、自治体や学校に防災対策の練り直しを迫るものだ。
 学校側にとっては極めて厳しい判決といえる。だが、学校の管理下において児童は教職員の指示に従わざるを得ず、子どもの命を預かる学校の責任は極めて重い。児童の遺族は「第二の大川小を出したくない」との思いで一貫して学校の事前防災の不備を指摘してきた。大川小の悲劇が示す教訓を全国の学校が学ばなければならない。
 南海トラフ巨大地震なども想定される中、自治体や学校は防災体制の見直しを求められている。危機管理マニュアルが形式的なものになっていないか。学校の立地条件などを踏まえ、実態に即したものになっているか。あらためて検証したい。学校は地域の防災拠点であり、地域住民の協力や専門家の支援も得ながら取り組むことが必要だ。


【大川小津波訴訟】学校防災を再検証したい
 学校は多くの子どもの命を預かる。その責任の重さを改めて問うた判決といってよいだろう。
 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童23人の遺族が、市や県に賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁が14億3千万円余りの支払いを命じた。
 大川小は津波ハザードマップの浸水予想区域ではなかったが、児童74人、教職員10人が犠牲になった。裁判では、校長や市教委が津波を予見できたかどうかが争われた。
 判決は、予想区域外でも「北上川近くにあることから津波の危険性はあり、十分予見できた」と指摘。学校側は対策を怠ったとした。
 津波訴訟は各地で起きているが、企業や学校の震災前の過失が認定されるのは初めてだ。しかもハザードマップを超えた高いレベルの安全対策を求めた。今後の学校防災の在り方に一石を投じそうだ。
 判決によると、地震発生後、児童はまず校庭に避難した。津波発生を知らせる市の広報があったが、教職員は高台への避難決定に手間取り、児童らは津波に襲われた。
 裁判で遺族は、津波は予見でき、学校側は危機管理マニュアルの見直しも不十分だったなどとして賠償を求めた。学校側は、浸水予想区域外にあり、津波避難場所にも指定されており、予見は不可能だったと反論していた。
 一審の仙台地裁は、賠償を命じたが、認定した過失は教職員の避難誘導にとどまっていた。これに対し、控訴審判決は過失の対象を大きく広げた。
 浸水予想区域は「区域外に津波が来襲する危険がないことを意味していない」と指摘。津波ハザードマップについて教職員は「独自の立場から信頼性を検討することが求められていた」とした。
 その上で、学校は安全な避難場所や経路を定めるべきで、市教委はそれを指導する義務があったと結論付けた。市が大川小を津波避難場所に指定していたことも「誤りだった」とした。
 東日本大震災の大きな教訓は自然の脅威を過小評価してはいけない、ということだ。大川小の悲劇もそれを示している。
 今回の司法判断により、学校防災に一層の強化を求める声が強まるのは必至だ。学校関係者からは戸惑いの声も聞かれるが、「想定外」による子どもの犠牲を繰り返してはならない。学校防災の在り方を再検証するきっかけにしたい。
 東日本大震災では、想定外の津波が襲来する中、いち早い避難行動で大半の児童生徒が難を逃れた岩手県釜石市の例がある。「釜石の奇跡」と呼ばれる。大川小と単純に比較してはならないが、防災体制や防災教育の重要性を痛感する。
 「釜石の奇跡」では、小中学校間や学校と住民の連携も注目された。学校防災の強化には、避難の方法や課題などについて地域との共有が大切であることも忘れてはならない。


判決4日後 大川小学校にも多くの人が
 30日は、震災の津波で児童ら84人が犠牲になった宮城県の石巻市立大川小学校にも多くの人が訪れ、慰霊碑に向かい静かに手を合わせていました。
 宮城県石巻市の大川小学校には、ゴールデンウイークを利用し、県内外から多くの人が訪れました。訪れた人たちは、慰霊碑に手を合わせたあと、震災当時の状況を説明したパネルや被災した校舎などを見て回り、震災と防災について考えている様子でした。
 大川小学校を巡っては、先週、仙台高等裁判所が、震災前の学校の防災態勢の不備を認める判決を下したこともあり、現場を見て学びたいという教育関係者の姿も見られました。
 震災の津波で被災した大川小学校は、「震災遺構」として保存されることになっています。


<東北大>大野英男新総長に聞く/世界トップの研究拠点に 被災地の産業振興支援も
 東北大の第22代総長に今月1日付で就任した大野英男氏(63)に、今後の大学運営の展望などを聞いた。電子が持つ電気的な性質と磁石の性質の両方を併せて使う「スピントロニクス」など、世界水準にある研究をさらに強化し、世界でトップレベルの研究拠点を形成する考えを強調した。(聞き手は報道部・山口達也)
 −「世界30傑の大学」との方針を掲げている。
 「30傑は欧米の専門誌などが毎年公表する大学ランキングに入るということではない。そういったランキングとは一線を画し、研究活動の面で世界に尊敬される大学を目指す」
 「東北大が本当に強い部分をさらに強化する。特に『材料科学』『スピントロニクス』『未来型医療』『災害科学』の4分野は世界でトップと自負している。災害科学は学問として確立されておらず、研究を進めることで世界の防災対策などの貢献につながる」
 −国際共同大学院の設置などグローバル化を見据えた運営を進めている。
 「国際共同大学院は博士号を持つ院生が中心。海外の有力大学と連携し、共同教育を実践する。生命科学分野など5年以内に10大学院を創設する予定だ。院生は6カ月間、海外に留学することを義務付けており、グローバルな人材育成にもつながる」
 「日本の科学技術研究は孤立していると言われる。グローバルで戦うには海外と連携していくしかない。その中でも共同大学院を通して、東北大が中心的な役割を果たしていきたい」
 −次世代放射光施設の拠点整備計画がある。
 「放射光施設は世界中の研究者が利用する。放射光技術で先導でき、世界のネットワークも形成できる。産業界の応援も強みだ。企業側の使用も期待できる。世界中の研究者が東北大を訪れたついでに東北各地を回るなど、観光面でも効果をもたらすだろう」
 −被災地にある大学として今後、被災地とどう向き合っていくのか。
 「予算的に終了したプロジェクトもあるが、臨機応変に被災地の心のケアにつながる活動を続けていく。被災地域の産業振興も支援する。特に被災地でベンチャーによる起業をどうもり立てていくか。事業を始める上での教育の場などを提供したい」
 −総長自身、ノーベル賞候補と言われている。
 「期待されるのはありがたいが、賞というものは研究の結果、後から付いてくるもの。総長の立場としては東北大の研究者が受賞してほしい。東北大が素晴らしい研究を進めてきたことを世界に示せるし、学内の励みにもなる」


戦後復興期の沿岸部鮮やかに あすから仙台で米軍医の写真展
 米軍医だった故ジョージ・バトラーさんが1951年に宮城県沿岸部を撮った写真を紹介する「写真展MIYAGI 1951」が5月1日、仙台市若林区のせんだい3.11メモリアル交流館で始まる。
 バトラーさんは宮城県内に9カ月間滞在し、約2000枚を撮影。写真展で約130枚を「仙台」「松島・塩釜」「東松島」「石巻」のエリアに分けて展示する。
 国内で当時普及していなかったカラー写真が多く、戦後復興の途上だった当時の風物や暮らしぶりを鮮やかに写し出している。
 長男アランさん(69)が写真を復元。ウェブサイトで公開してきた。「父が宮城の人々と温かい関係を築き、日本に強い愛情を抱いたことが分かる」と話す。
 東日本大震災で失われた風景も多く、交流館が展示を企画。写真はアランさんが米カリフォルニアの自宅で大きく引き伸ばした。
 交流館交流係の飯川晃さん(36)は「当時のことを知る世代と若い世代、国内外で震災に心を寄せる人たちが訪れ、新たな交流が生まれるといい」と語る。
 8月26日まで。月曜と7月17日は休館。入場無料。5月19日午後2時から、アランさんのライブトークがある。定員40人で申し込みが必要。連絡先は交流館022(390)9022。


震災の石綿禍/幅広い救済の取り組みを
 肺疾患の中皮腫で亡くなった兵庫県警の元警察官について、阪神・淡路大震災の救護・警戒活動中に吸い込んだアスベスト(石綿)が原因とする公務災害が認定された。
 県警では、震災時の過労などで死亡した警察官に公務災害が認定されたケースは4件ある。だが、石綿吸引の疾患が認められたのは初めてだ。
 震災直後、被災地では多くの建物が倒壊し、がれきの撤去などが急いで進められた。その過程で飛散した石綿を多くの人が吸い込んだとみられる。
 とりわけ復旧作業など現場での業務に長く当たった人には、健康への影響が心配されている。被害の柔軟な認定と手厚い救済を考えねばならない。
 この警察官は1995年の震災時、神戸市内の警察署に勤務していた。発生直後から約1カ月間、長田署に派遣され、被害者救護や犯罪警戒に当たった。
 定年退職後の2014年に石綿の吸引が原因とされる「悪性胸膜中皮腫」と診断され、公務災害を申請した。だが結論が出る前に亡くなったという。
 髪の毛の5千分の1の微細な石綿繊維は肺の組織を傷つけ、十数年〜40年後に中皮腫や肺がん、石綿肺などを引き起こすリスクがある。
 06年に使用や輸入が全面禁止されたが、それまで建材として用いられ、阪神・淡路の当時は復旧工事などで特段の飛散防止策は講じられていなかった。
 その影響か、阪神・淡路でがれき処理に携わった労働者に中皮腫を発症するケースが出ている。この警察官も昼夜交代で被災地を巡回する勤務を続けた。それ以外に石綿と結びつく記憶はなかったという。
 環境省は県内で神戸、尼崎、西宮、芦屋、加古川の5市と連携して健康調査を進めている。一方、明石市では、震災時にがれき収集などに従事し、中皮腫で亡くなった元職員の遺族が認定を求め訴訟を起こしている。影響はかなり広い地域に及んでいると考えるべきだろう。
 労災や公務災害に該当しない一般住民には、石綿健康被害救済法で医療費や遺族に弔慰金などが支給される。こちらも給付水準の引き上げなど、支援策を拡充しなければならない。


水俣病確認62年 救済は「終わっていない」
 この悲痛な叫びに国は真剣に応えなければならない。「最後だと思って来ました。何べんでも言ってきました。水俣病は絶対に終わっておりません」
 胎児性水俣病患者の坂本しのぶさん(61)は、スイスで昨年9月に開かれた「水銀に関する水俣条約」第1回締約国会議で訴えた。
 水俣病が公式確認されてからあす5月1日で62年となる。昨年の条約発効により、水俣病は名実ともに世界が協力して防ぐ公害病となった。
 にもかかわらず、国内では今なお1500人余が被害を訴え、国や原因企業のチッソを提訴するなど救済を求めている。「最終解決」をうたった水俣病被害者救済法の成立から来年で10年になる。それでも「終わっていない」という坂本さんの訴えは痛切だ。
 ここまで解決しなかった理由は明らかである。国が「疑わしきは救済する」という姿勢をかたくなに避けてきたからだ。症状や居住地域を限定的に捉えたため、認定した患者はこれまでに2200人余にすぎない。
 最高裁は国の認定基準より幅広い救済を認めた。これを受け、超党派の議員立法で生まれたのが被害者救済法である。
 この法律に基づいて国は認定患者とされていない5万3千人余を被害者と認めて救済の道を開いた。それでも対象外となった人々の提訴は続いている。
 救済法の対象地域は熊本、鹿児島両県の6市3町の範囲に限られる。一昨年、新たな問題が提起された。地元医師らが対象外地域に住む1600人余を調べたところ、9割の人に水俣病特有の感覚障害などが認められたという。被害は行政が指定した狭い地域にとどまらないと考える方が自然ではないか。
 全面解決するには対象地域を広げて的確な健康被害調査を実施することが不可欠だ。水俣病の教訓は、被害の実態から目をそらし、原因を隠した国とチッソの体質にこそある。
 「苦海浄土」の作者、石牟礼道子さんが2月に亡くなった。90歳だった。執筆活動に取り組む傍ら、患者団体の裁判や救済活動に深く関わった。「最終解決」の場に立ち会えず、さぞ無念だったことだろう。
 公害は人間がつくり出した災害である。経済成長が優先され、何の落ち度もない人たちが犠牲になった。有機水銀に汚染された魚介類を食べ、心身をむしばまれた。
 水俣条約は水銀による健康被害や環境汚染の防止を目指す。日本の教訓を世界に広めなければならない。その前提は、まだ終わっていない水俣病の「最終解決」である。


「フェイク政権にはファクトで」辻元清美氏語る野党の戦略
 いよいよ断末魔の安倍政権だが、5年という長期にわたったことで、この国の政治の劣化は著しい。行政府も立法府も主権者である国民をないがしろにしているのではないか。与野党攻防の最前線にいる野党第1党の立憲民主党で国対委員長を務める辻元清美氏にあらためて聞いた。
■意見の違う人を説得し合意点を見つけるのが政治
  ――今の政治状況について率直な感想は?
 ……。もう、言葉に詰まるほど。初当選から22年ですが、こんな酷い状況は見たことがない。フェイク政権が膿とツケをどんどん噴出している、という印象です。
  ――どこに根本的な原因があるのでしょう。
 安倍政権はちょっと特殊な政権です。ひとつは保守ではない。右派というか、日本会議に通ずるような人たちの上に成り立ち、一定のイデオロギーで思考停止している気がします。同時に、全能感というか、安倍首相は全て自分が正しいというような姿勢。「こんな人たち」という発言に代表されるように、多様性を認めるのではなく、意見の違う人たちを敵だとみなす。稚拙です。
  ―――意見の違う人は敵。安倍政治はまさにそうですね。
 安倍首相は国会で、「国民投票こそが最も国民の声を聞くこと」だと言いましたが、それは間違っている。なんて単純な、奥行きのない感覚なのでしょう。国民投票は、特に憲法について言えば、7、8割の人が変えたいと希望して初めて、主権在民で主権者の声を入れるために行うものです。
 ところが今は、憲法を守りたい人と変えたい人との間で、ヘイトが起きたり、ネット上にデマが飛んだりしている状況。そうした国論を二分している問題を国民投票にかけると、国民を戦わせ、社会の分断をあおることになる。政治が絶対にやってはいけないことです。意見の違う人に対しても、粘り強く説得して、合意点を見つける。それが政治です。
  ――社民党議員時代、自社さ政権で連立を組みました。当時と比べ自民党は変わりましたか?
 あの時は自民党にバランス感覚がありました。野党の意見も聞いて、落としどころを探した。今は野党の意見を全く無視したりする。それに、かつての自民党には、いい意味で日本の良さを生かしていくという意識があった。「美しい国」「道徳を大事に」などと言いながら、不道徳なことを平然とやっているように見える今の政権とは違いますね。
 長く続く権力は腐敗するといいます。自民党が総裁任期を2期までとしてきたのは、先人の知恵だったのではないでしょうか。それを自分が長くやりたいからと3期までに変更したのが安倍首相なのです。
国会議員は官邸の「家来」、官僚は「使用人」になっている
  ――政治信条が違っても守るべきルールがあるはず。しかし、今の政府や国会ではそれが見えません。
 国会議員こそが国民の代表です。国会は国権の最高の府。国会を通さないと法律も成立しないわけですから。ところが国会議員が官邸の「家来」になり、官僚は「使用人」になっている。この状態を正常に戻さなければいけません。嘘をついたり、おかしなことをおかしいと言えない国は滅びると思います。
  ――野党第1党の国対委員長として、与党とタフな交渉を続けています。
 国対委員長になったときに、自民党の森山裕国対委員長と「いい立法府にしましょうね」という話をしたのです。立法府の舞台、土台をつくるのが国対の仕事。その上でいろいろな議論をしてもらえるいい立法府をつくりましょうね、と。加えて、いい立法府というのは、三権分立ですから行政のチェックも大事。そこに与党も野党もない。こうしたことを基本にして、お互いに国対委員長として仕事を始めました。
 それで裁量労働制のインチキなデータの問題では、最後は与党も野党の意見を取り入れ、法案から裁量労働制拡大の部分を切り離すことに賛同して、政府に一緒に迫ったわけです。森山委員長は私に、「政府の方針を変えさせた野党の予算の審議に敬意を表します」とおっしゃった。
  ――しかし、モリカケ問題では終始、与党は政権擁護に回っています。
 佐川前国税庁長官の答弁が嘘や虚偽だと分かり、財務省の決裁文書の改ざんまであった。国会が請求した資料が嘘に合わせて改ざんされたら、立法府の審議は成り立ちません。行政府が立法府に対して大きな間違いを犯したのですから、立法府は与野党関係なく、厳しくあたるのが当然です。いい立法府をつくろうと思ってやってきたのですから、ここは与党の自浄能力に期待したい。
 野党は6党(立憲、希望、民進、共産、自由、社民)がまとまって、一定の力を発揮し、散々問題を指摘してきた。物証も出てきて、野党の指摘が正しいことも分かった。ここまで来たら、与党が安倍政権をリセットさせて、政治を前に進めるのかどうかです。
  ――野党側は6党がまとまって合同ヒアリングで行政を追及するなど、機能してきていると?
 戦略的に心掛けているのは、ファクトで戦うということ。毎日のようにヒアリングをするのは、フェイク政権に対して、とにかくファクトを積み上げている。情報も6野党で惜しみなく共有しています。
  ――よく野党はバラバラと言われてきましたけれど……。
 私は大阪のおばちゃんですから、「何言うてんの」「ガタガタ言わんで一緒に来て」などと言って、まとめる努力をしています。衆院の野党を、維新を除いて私が全部束ねる。もう野党はバラバラだと言わせない。そんな気持ちで、日々走り回っています。実際、国対では、6党のうち1党でも反対したらやらない。そこは党の規模にかかわらず平等。全員が納得するまで議論して、この線ならやれるというコンセンサスを取ってから自民党と接触するようにしています。
■共通のワンボイスを決めれば戦える
  ――その延長線上に野党の受け皿ができる可能性は?
 希望と民進が新党へ移行する見通しです。立憲はぶれずに戦う政党でいきたい。今は、連立政権の時代だと思う。安倍政権だって自公の連立。自民党は公明党と協力しないと選挙も戦えない。民主党政権も国民新党、社民党との連立でした。その前も自自公、自公、自社さ。1993年の細川政権以降、ずっと連立なんです。だから次も、どの組み合わせの政権がいいかという選択になる。
  ――立憲が希望・民進の新党と合流することはないということでしょうか。
 私たちは中道リベラルで、新党は中道保守という感じなのかしら。中道を中心に一緒に協力していけばいい。合同ヒアリングも、予算の振り替え動議も野党6党でというのは、私の中では次の政治を担う連立政権の練習・準備を一緒にやっているイメージです。
  ――選挙協力は?
 選挙では野党が競合するとダメなので、小選挙区では候補者を一本化する。それぞれの政党は政党で戦うけれども、共通のワンボイスを決めれば、十分戦えると思っています。自社さ政権を思い出して下さい。社民党(社会党)と自民党が、全ての政策で一致することなんて絶対にない。そこで、この政権でやることとやらないことを決めたのです。
 政治って、そういうものなんですよ。全部一致したら同じ党になるわけで、違いがあって当たり前。だけど、この政権は何をする政権なのか、何をするグループなのか、合意できるところをやればいいと思います。
  ――野党6党を絶対にまとめる。ものすごい決意ですね。
 国対委員長に就任したばかりの頃は、緊張して眠れなかった。朝も4時ごろに目が覚めて、食事も喉を通らず、3キロぐらい痩せてしまって。野党をまとめるのって、チューニングなんです。不協和音がちょっとでもあると、まとまらない。それに自民党も強気で来たので、与党と野党の板挟みになって、食べられない、眠れないという日々が続きました。
 平昌五輪の頃は、国会のことがほとんど報道されず、「このままだと2月中旬に予算が通過するぞ。野党の国対は何をやっているんだ」って批判ばかりされて。歴代の国対委員長の家にまで行って教えを請うたりしました。裁量労働制のデータ問題の頃から、少し手ごたえが出てきましたが、それまではしんどかったですね。(聞き手=本紙・小塚かおる)
▽つじもと・きよみ 1960年奈良県生まれ、大阪育ち。早大教育学部卒。学生時代にNGO「ピースボート」を創設。96年衆院選で社民党から出馬し初当選。09年からの民主党政権では、国交副大臣、首相補佐官を務めた。大阪10区選出。当選7回。


セクハラと日本社会 これが21世紀の先進国か
 セクハラの実態を正確につかむことは不可能に近い。被害がなかなか報告されないのだ。なぜか。
 財務事務次官を辞任した福田淳一氏のセクハラ問題は、その答えをわかりすぎるほどわからせてくれた。
 調査もせず口頭注意で済ませる。それが発覚直後の財務省の態度だった。報道した週刊新潮が問題発言の録音を公開し、「調査」を始めたが、被害者に「名乗り出よ」と言わんばかりの乱暴な手法だった。
 福田氏は「全体として見るとセクハラではない」と説明にならない説明を繰り返し、法廷で争うという。
 だが最も深刻なのは、次官を監督する立場にある閣僚が、セクハラの本質やその重大性をおよそ理解しているとは言い難い点である。
被害者批判の理不尽
 「(加害者扱いを受けている)福田の人権は、なしってわけですか」「(福田氏が女性に)はめられて訴えられたとの意見も世の中にはある」。安倍政権ナンバー2の副総理でもある麻生太郎財務相は、福田氏をかばう一方で、被害女性があたかも福田氏をワナにかけたかのような発言をためらいもなく重ねた。
 財務省はようやく福田氏のセクハラを認め、処分を発表したが、その場に麻生氏の姿はなかった。セクハラと正面から向き合うという姿勢がみじんも感じられない。
 21世紀の先進国政府で起きているとは信じ難い恥ずべき事態である。「女性の活躍」を看板政策に掲げる安倍晋三首相はなぜ怒らないのか。
 さらに驚くのは、女性側の仕事に制限を求めるような主張が少なくないことだ。日本の経済界を代表する経団連の榊原定征会長は、福田氏の行為を「極めて不見識」と批判する一方、記者が異性と1対1で会うことは「さまざまな誤解を生みかねない」と記者会見で述べた。
 取材を受ける側の大半が男性である現状と合わせて考えれば、女性記者は誤解を招かぬよう夜間の1対1の取材は控えよ、という意味になる。また、異性間のセクハラのみを前提にするのも時代遅れだ。
 影響力のある人たちによる見当違いの発言は、被害者たたきをしても構わないという間違ったサインとなる。インターネット上で中傷が勢いづく。セクハラに甘い環境はそのままで、被害はいつまでも減らない。
 今回のセクハラ問題は被害者が記者だったことから、報道する側の倫理を問う意見も少なくなかった。
 まず、セクハラにせよパワハラにせよ、被害者の職業は無関係だということを指摘しておく。政治家でも警察官でも被害者は守られるべきだ。その上で述べたい。
 セクハラの立証は非常に厳しい。音声や画像など客観的証拠が乏しければ、逆に加害者から名誉毀損(きそん)で訴えられかねない。今回の録音は被害を訴える際不可欠な証拠である。
社会全体が損をする
 セクハラ被害の報告を受けたテレビ朝日は自ら財務省に抗議し、そのことを報じるべきだった。それができなかったがために、記者はやむなく情報を週刊誌に提供した模様だ。もし彼女が途中であきらめていたら、今も福田氏はセクハラ発言を続けていたことだろう。
 今回の事例は氷山の一角だ。声を上げられないまま精神を病んだり、命を絶ったりする被害者もいる。発信の手段を持つ記者でさえ、セクハラと闘おうとすればひどい目に遭う。今回の事例が多くの女性に無力感を与え、口をつぐむ被害者が増えはしないか心配だ。
 あらゆるハラスメントは悪い。ただ、男性被害者も多いパワハラに対し、セクハラの被害者は女性に集中している。有効な防止策が打たれず被害が闇に葬られ続ける背景には、改善を主導できる地位にあまりにも女性が少ない現実がある。
 働く女性が性的対象としてしか見られない、尊厳が傷つけられてもあまり問題にされない社会で損をするのは女性ばかりではない。社会全体が活力を失い、国際社会からも尊敬されない国になる。
 英国では先週、女性の参政権100周年を記念し、運動家ミリセント・フォーセットの銅像が国会議事堂前の広場に建立された。「勇気は至る所で勇気を呼ぶ」。自身の演説の一節を記した旗を手にしている。
 基本的な権利を守ろうと立ち上がった一人の勇気がつぶされ、至る所で勇気の芽が摘まれる。そんな国は、現代の国際社会で名誉ある地位を占めることなどできない。


#MeToo余話
 財務次官のセクハラ問題が起きてから心身の不調を訴える女性が少なくない。過去のつらい経験を思い出すからだ。そんな中で性暴力問題に取り組むグループから、メディアで働く女性たちの被害を調べるための匿名アンケートに協力してほしいと求められた。
 日ごろは取材する側にいる自分が今は尋ねられる側にいる。記者になって二十五年を思い出しながら答える。チェックボックスに印をつけるだけの簡単な調査なのに気が重くなる。被害はずっと前。一見華やかなメディアの職場にも愕然(がくぜん)とする現実がある。話したくないことを思い出すのはこんな気持ちになるのかと気づかされる。一方で私の小さな回答が社会を変えていくために役立てられるならと願いのような思いも。「ありがとう」。アンケートをする人たちにお礼を言いたかった。
 こうして社会から関心を持ってもらえる私たちはまだ恵まれているのだと思う。「はめられた」という麻生太郎財務相らの発言は、政府の掲げる「女性が輝く社会」が、いかに陳腐で空虚なものかを白日の下にさらした。
 セクハラは立場の強い者が立場の弱い者に対して行う加害であり、それは至るところに存在する。我慢を強いられ、顧みられることもなく、声をあげたくてもあげられない人がたくさんいる。次官の問題はそこにまで光を照らすものでなくては、また忘れ去られる。それでは意味がない。 (佐藤直子)


大相撲の「女人禁制」問題 伝統を再考する契機に
 日本相撲協会はおととい、土俵に女性が上がれない「女人禁制」問題について有識者の意見を聞き、男女市民への意識調査を実施する方針を決めた。これまで大相撲の伝統を理由にかたくなに禁制を守ってきた協会である。広く声を聞く姿勢を示したことは一歩前進と捉えたい。
 老若男女の幅広いファンに支えられてこその大相撲である。新たな伝統を切り開く覚悟で、専門家の意見や世論に今後しっかり耳を傾けてほしい。
 八角理事長(元横綱北勝海)は今回、緊急事態の際は例外として土俵に女性が上がれるとの見解を示した。当然である。人命より伝統が優先されるはずがない。それすら理事長見解として示さなければならないほど、協会内部には「女人禁制」にとらわれる空気があるのだろう。
 京都府舞鶴市での巡業の一場面に、多くの国民があぜんとしたに違いない。土俵上で倒れた市長を見て、客席を飛び出した女性の看護師たちが心臓マッサージを始めた。救命措置を続ける女性たちに対し、行司が土俵から下りるように場内放送で数回促した。さらに、下りた後には大量の塩がまかれた。
 協会側は不適切な対応だったと謝罪し、塩は力士がけがをした後にまくのと同じ対応と釈明した。だが、一連の出来事を踏まえれば、女性をさらにおとしめる行為だったと受け止められても仕方あるまい。
 「女人禁制」の理由として、八角理事長は「男が必死に戦う場。女性は土俵に上がることはないという習わしが受け継がれてきた」と説明する。日本書紀には女相撲が記され、江戸時代には女相撲の興行があったとされる。「女人禁制」は明治期に始まったとの指摘もある。協会があくまで「伝統」と主張するなら、まずその根拠をきちんと示す必要がある。
 これまでこの問題は何度も批判を浴び、議論を繰り返してきた。1990年に森山真弓官房長官、2000年には太田房江大阪府知事が土俵に上がるのを拒まれた。春巡業でも兵庫県宝塚市の中川智子市長が土俵上でのあいさつを希望したが、かなわなかった。7月に夏巡業がある大津市の越直美市長は、男女での「異なる扱い」を見直すよう協会に要望している。
 協会の方針について、中川市長は「大いに評価できる」と支持した。さらに「これまで女人禁制の根拠は伝統の一点張りだった。みんなが納得する形で議論を進めてほしい」とも求めた。「壁」の高さを知っているからこそ、わずかの前進でも期待が膨らむのだろう。協会側も真剣に取り組んでほしい。
 協会が併せて示した「ちびっ子相撲」の一時休止は残念だ。巡業中の力士に小中学生が土俵上でぶつかる人気の催しである。春巡業から女子の参加を断っていたが、安全面を考慮して男子も含めて全面休止となる。各地で楽しみにしていた子どもたちを思うと心が痛む。男女そろっての、一刻も早い再開が求められる。
 日本相撲協会は、公益財団法人である。国から税法上の優遇措置を受ける公的団体が、性別で異なる対応を続けるのなら明確な理由が必要だろう。時代は移り変わっている。「伝統」を守る意義も含めて、丁寧に説明しなければならない。


[金氏、日朝対話に意欲]拉致の解決につなげよ
 日朝関係も大きく動きだしそうな気配だ。
 27日の南北首脳会談で、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が「いつでも日本と対話を行う用意がある」と言及していることが分かった。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が安倍晋三首相との電話会談で伝えた。韓国大統領府が明らかにした。
 外交チャンネルがないまま長年、交渉の糸口さえ見いだせない手詰まり状態が続いていただけに、日朝関係の大転換となる可能性がある。
 安倍首相は南北首脳会談前に、文氏に日本人拉致問題や日朝関係を提起するよう要請していた。6月初めまでに開かれる米朝首脳会談でトランプ米大統領も拉致問題を取り上げると明言している。
 日朝関係に横たわるのは核・ミサイル・拉致問題である。拉致問題は人道に反する国家的な犯罪だ。拉致被害者家族が高齢になっていることを考えれば、この機会を逃してはならない。
 北朝鮮は昨年まで日本海で弾道ミサイル実験を頻繁に行い、日本を射程に収める中距離弾道ミサイルを大量に配備している。これも焦点だ。
 安倍首相は「対話のための対話は意味がない」との立場を崩さず、米韓が対話路線に転換する中、日本は「蚊帳の外」に置かれていた。
 日朝首脳会談が実現するかは、米朝首脳会談の成否にかかる。それだけに失敗の許されない歴史的な会談となる。
 短期間に「完全非核化」を求める米国と経済的な見返りを得ながら段階的に進めたい北朝鮮との間には溝があり、不透明感も漂う。
■    ■
 日朝間には2002年、小泉純一郎首相が電撃的に訪朝し、金正日(キムジョンイル)総書記と署名した「日朝平壌宣言」がある。
 北朝鮮工作員らが1970〜80年代に日本人を拉致。金総書記が拉致を認めて謝罪し、被害者5人の帰国が実現した。北朝鮮は安否不明の12人に関し「8人死亡、4人未入国」と主張している。拉致の可能性を否定できない「特定失踪者」も多数存在する。
 宣言では「日本国民の生命と安全にかかわる懸案事項」との表現で拉致問題が取り上げられ、「適切な措置をとる」ことを確認している。
 核・ミサイル・拉致問題を包括的に解決して国交を正常化し、その後に戦後補償の形でさまざまな経済支援が盛り込まれている。
 日朝が戻るべき宣言はすでに存在するのだ。日米韓3カ国は緊密に連携を取りながら取り組んでもらいたい。
■    ■
 拉致問題は米韓と協力するのはもちろんだが、最終的には日朝2国間で主体的に解決すべき問題だろう。日朝首脳会談実現に向けて周到な交渉準備を整えてもらいたい。
 南北、米朝の間で今年に入って急速に対話ムードが高まっている。今度は日朝である。しかし対話路線は緒に就いたばかりだ。
 朝鮮半島の非核化と平和構築は日本、とりわけ在日米軍基地の7割を抱えている沖縄に直結する問題だ。
 関係国は外交努力を尽くし東アジアで醸成されている平和と安定の機運を後戻りさせることがあってはならない。


エネルギー計画 方針転換に踏み込む時
 方針転換を先送りにした計画では、エネルギー安定供給の要請に応えられない。
 経済産業省が有識者会議に示した次期エネルギー基本計画の骨子案である。国の中長期的なエネルギー政策の指針となる。
 原発依存度をどう下げるか。再生可能エネルギーをどう拡大するか。道筋を示していない。
 計画は3年ごとに見直される。いまの計画は、2030年度の原発の発電割合を20〜22%、再生エネを22〜24%としている。骨子案は、これを据え置いている。
 原発は12年の原子炉等規制法の改正で、運転開始後40年の廃炉が原則になった。現在ある原発は老朽化が進む。ルールを徹底すると、30年の原発比率は2割を大きく下回ると指摘されている。
 据え置かれた原発の割合を達成するには、新増設や運転延長が前提となる。福島第1原発事故を踏まえれば、安全面からも認められない。世論の批判が強い原発を温存するのに加え、「重要なベースロード電源」との位置付けも踏襲している。
 原発が低コストとする根拠も揺らいでいる。
 事故後に厳しくなった国の新規制基準に対応するには、大規模な安全対策が必要だ。仮に20年の運転延長が認められても、最長60年で廃炉になる。出力が小さい原発ほど採算は合わない。四国電力伊方2号機など、採算面から廃炉を選ぶ事例も増えている。
 骨子案は原発の「再構築」を提言しているが、具体的内容がはっきりしない。これではエネルギー政策の指針の役目は果たせない。新増設は経済面からも厳しくなっている現実を直視すべきだ。
 次期計画は、2050年に温室効果ガスを8割削減する国際公約に対応する必要がある。このため、30年に加え、50年に向けた長期戦略を含む内容となる。
 骨子案は太陽光や風力などの再生エネについて、主力電源化を進めると明記した。一方、50年の発電割合目標を示すことは見送った。本気度が疑われる。
 原発が実質的に高コスト化する一方で、再生エネへのシフトは世界的な潮流となっている。日本は立ち遅れている。再生エネの普及に向けた課題解決には、公正な競争を促す電力市場の整備や、送電網の適正な運用といった取り組みが欠かせない。
 原発依存から脱却して再生エネに比重を移す―。政府は、転換方針を計画でより具体的に打ち出していくべきだ。


海賊版サイト 接続「遮断」に拭えぬ懸念
 対策が必要なことは理解できる。だが、憲法に抵触する恐れがあるだけに、拙速な「遮断」には懸念が拭えない。
 漫画などをインターネット上で無料で読める海賊版サイトについて、大手プロバイダー(接続業者)のNTTが、接続を遮断することを発表した。
 横行する海賊版サイトの緊急対策として、プロバイダーが利用者のネット接続を遮断するのが「適当」とした政府の決定を受けた措置だという。
 政府が緊急対策で特に悪質と名指しした3サイトが対象で、他社に先駆けて踏み切った。
 政府が緊急対策を決めたのは被害が多額に及ぶからだ。主な海賊版サイトだけで約4千億円に上るとの推計もある。
 無料の海賊版サイトは深刻な著作権侵害に当たり、本来入るべき収入が奪われることは、著作権者にとって死活問題だ。
 漫画家や出版社が海賊版サイトへの批判を強めるのは当然であり、放置すれば出版文化の衰退になりかねない。
 ただ、遮断は憲法21条で定める「通信の秘密」に抵触する恐れがある。
 遮断は利用者が接続しようとしているかどうかをサーバーで機械的に判別する。通信履歴のチェックが「検閲」につながりかねず「表現の自由」にも関わる問題といえる。
 政府は通信の秘密を形式的に侵害すると認めている。その上で、著作権侵害が著しく、削除要請など他の方法で権利を保護できない場合は緊急措置として容認されるとの見解だ。
 法学者からは「検閲に当たる遮断を立法なしで行うことを立ち止まって考えてほしい」との意見や、政府による恣意(しい)的な悪質サイトの指定が拡大することへの懸念も示された。
 大手プロバイダーの足並みがそろっていないのも問題の複雑さを示しているのではないか。
 政府は業者に要請しないとするがNTTは政府決定に基づくとし、責任の所在が曖昧だ。
 今回の対象サイトの中には自主的閉鎖か既に閲覧できないものもある。「いたちごっこ」となる可能性も否定できない。
 著名な漫画家は緊急対策を「心強い」と評価しながらも「もろ刃の剣になりかねない。守るべき自由の理念と醜い現実のはざまで身を引き裂かれる思いだ」と複雑な心境を吐露した。
 遮断が唯一認められている児童ポルノの場合は警察庁や総務省など関係官庁で幅広く検討された上で実施が決まった。今回はそうした形跡が見られない。 緊急対策には漫画やアニメといったコンテンツを日本の強みと捉え、海外に展開して経済成長につなげたい安倍政権の考え方が背景にあるとされる。
 副作用の大きい「劇薬」に等しい方法を経済優先で認めたのだとしたら、「憲法軽視」の懸念がさらに膨らむ。
 海賊版サイトを利用しないよう呼びかけ、訴訟などの対抗措置を強める対策もあるはずだ。安易に遮断に頼ることなく、今後も慎重に議論を重ねたい。


TOKIO山口達也の強制わいせつをNHKが隠蔽か? 事件直後に被害者が訴え、過去にも同様の噂があったのに
 TOKIO山口達也の強制わいせつ事件が、連日大々的に報じられている。ジャニーズタレントとはいえ、未成年への強制わいせつという重大性もあり山口には厳しい批判がなされている。しかし一方で、相変わらずの忖度でジャニーズ事務所の責任について追及するような動きは大手マスコミではまったく見られない。
 本サイトでは先日指摘したが、山口が会見で説明したところによれば、ジャニーズ事務所は4月頭にはこの事件を把握していたにもかかわらず、25日まで1カ月近くもその事実を公表することなく隠蔽。20日の書類送検後ですら、そしらぬ顔で山口をテレビ出演させ続けてきた。今回の山口の事件の背景には、こうしたジャニーズ事務所の隠蔽体質と女性蔑視体質という構造的な問題もある。しかし、大手マスコミはジャニーズの問題をまったく指摘せず、もっぱら山口を個人攻撃するだけだ。
 そして、ジャニーズ事務所ともうひとつ問われるべきなのは、NHKの問題だろう。今回の事件は、4月25日夕方NHKの第一報により明るみになった。しかし、山口と被害女性はNHK・Eテレの『Rの法則』を通じて知り合っており、NHKは第一報よりかなり前から事件を把握していた可能性が高い。にもからわらず、NHKはジャニーズへの忖度から隠蔽に加担していたのではないかという問題だ。
 それを裏付ける情報も出てきた。被害女性の両親は事件のあった12日に、警察に被害届を出すとともにNHKにも関係者を通じ抗議していたというのだ。これは、27日放送の『バイキング』(フジテレビ)が報じたものだが、フジテレビがNHKに対し事実関係を問い合わせたところ、「聞いていない」「そうした問題は、一義的に警察に届ける問題」という回答だったというこの曖昧な回答を聞くかぎり、それに類することがあった可能性は高い。
 また、少女側が直接、NHKに抗議していなかったとしても、警察に被害届を出したのだから、NHKの番組関係者には、警察が問い合わせや事情聴取を入れているはずだろう。
山口達也が過去にも『Rの番組』出演者に同様の行為をしていた疑惑が
 いずれにしても、NHKは第一報を報じる4月25日夕方よりかなり前に、この事件を知りながら、被害者の訴えを放置していたことは間違いない。
 いや、それどころではない。NHKはこの事件が起きる前から、山口の行状を把握していた可能性もある。
 というのも、『Rの番組』をめぐって、山口はほかにも同様の事件を起こしていたという話があるからだ。
 たとえば、そのひとつが、事件後ネットで話題になった「実話ナックルズ」(ミリオン出版)が報じた1件だ。
 2月28日発売の「実話ナックルズ」2018年4月号によると、〈日本人なら多くの方が知っているであろう、朝の人気情報番組『ZIP!』に出演するメンバーZ〉がレギュラーを務める〈様々なジャンルの若手芸能人が多数出演している〉人気番組の舞台裏で、Zが共演者である女子高生アイドルに手を出しトラブルになったという。
 Zはある女子高生を気に入り、〈楽屋で連絡先を交換し、プライベートでも交流を持つようになって〉、Zのマンションに彼女を招き入れたのだという。しかしそれが関係者の知るところとなり、〈Zさんがトラブルを起こした直後くらいに、何の前触れもなくレギュラーだった当時17歳のJKアイドルが、発表もなく降板〉してしまったのだという。
『ZIP!』に出演する男性芸能人のなかで、若手芸能人が多数出演する番組のレギュラーをもっているのは山口しかいないため、Zは山口を、番組はNHK・Eテレの『Rの法則』を指していると思われる。
 ただし、「ナックルズ」に掲載されているトラブルは、現在はすでに離婚している山口にパートナーがいた頃の話であり、そのほかに事件の詳細についても明らかに異なる点も多々あることから、今回の事件とはまったく別のトラブルだ。
 これが事実なら、山口は以前にも、未成年の共演者にわいせつ的な行為をおこなっていたケースがあるということになる。
 この「実話ナックルズ」は今回の事件発覚前の取材と報道によるものだが、今回の事件が発覚した後、複数のメディアが「以前から山口が『Rの法則』の出演者にセクハラやわいせつ行為を働いていた」という情報を書き立てている。
 今回は被害女性と両親が毅然と声をあげたことから事件が公になったが、これまで山口から被害に遭いながら泣き寝入りしている女性がいる可能性は高い。ジャニーズ事務所やTOKIO山口達也がもっている芸能界における力を考えると、今後も芸能界に残りたいと考えるのであれば、少女から被害を言い出すことはかなり難しいからだ。
 いずれにしても、「実話ナックルズ」編集部にまでこの手の話が漏れているのに、直接山口とやり取りをするジャニーズ事務所や、その現場にいた『Rの法則』のスタッフがこのような事情をまったく関知していなかったとは考えにくい。
山口の行為を放置し続けてきたジャニーズとNHKの責任
 そういう意味で、問題なのはやはり、山口の行為を放置し続けてきたジャニーズ事務所、そして、番組制作の現場で起きていたトラブルに対して適切な対処を怠ったNHKである。
 もっと早くジャニーズ事務所やNHKが適切な対応をとっていれば、今回の強制わいせつという事件は起きず、被害者女性が傷つくこともなかったかもしれない。
 しかも、ジャニーズ事務所のこのような姿勢は昨日今日始まったものではない。
 本サイトも先日お伝えしたように、Hey! Say! JUMP中島裕翔が路上で女性に抱きついた痴漢行為、嵐の大野智による大麻吸引および3P 疑惑、同じく嵐の松本潤がAV女優の葵つかさを「性のはけ口」扱いした件など、ジャニーズ事務所はこれまでも所属タレントの私生活における問題行動を放置し、その結果引き起こされた不祥事を揉み消してきた。
 ジャニーズ事務所は、所属タレントの問題行為を諌めもせず、もしもそれが問題となれば、今度はメディアに圧力をかけて「なかったこと」にさせてしまう。ジャニーズタレントには「ジャニーズだから何をやっても大丈夫」という意識は少なからずあるだろう。山口の事件は、事務所のこういった姿勢が引き起こしたものともいえる。
 そして、テレビ局はジャニーズ事務所への忖度から、こうしたトラブルが起きても、見て見ぬふりをし増長させる。紅白歌合戦をはじめNHKとジャニーズ事務所の癒着はたびたび指摘されてきたが、それはNHKだけではなくほかの民放も同じこと。ほかのテレビ局でも起こりうる問題だ。
 ジャニーズ事務所とメディアの姿勢が変わらない限り、山口以外にも同じような事件は引き起こされ続けてしまうだろう。(編集部)


加害行為とされる展示 復活を
大阪の平和資料館、「ピースおおさか」で3年前、旧日本軍の加害行為とされる展示などが撤去されたことをめぐって展示の復活を求める市民団体が発足しました。
この市民団体は「設置理念に則ったピースおおさかを取り戻す会」で、大阪・北区で開かれた結成集会には呼びかけ人となった元大学教員や市民ら60人あまりが参加しました。
「ピースおおさか」では、以前、大阪空襲や旧日本軍の加害行為とされる内容を展示していましたが、「自虐的だ」などの批判が寄せられたことから、3年前、展示が撤去されました。
結成集会では参加者が次々と平和への思いを述べたあと、全員で「戦争の悲惨さと戦争責任を学べる施設が今こそ必要です。撤去された加害や被害の展示を復活させるためこの会を発足させます」とする結成宣言を採択しました。
「ピースおおさか」をめぐっては、今回の会で共同代表を務める竹本昇さんが、展示内容の変更について情報公開が認められなかったのは違法だとして裁判を起こし、大阪府と大阪市に2審で勝訴しています。
共同代表の1人、黒田伊彦さんは「二度と戦争をしない国にするためには、加害展示などの復活が必要です」と話していました。


哀れ! 南北会談で安倍首相が「蚊帳の外じゃない」と強弁してまわるが、トランプにも北朝鮮にもいいようにあしらわれ
 どこまで恥を晒したら気が済むのだろう。昨日付の産経新聞が安倍首相の独占インタビューを掲載したのだが、またも安倍首相は「蚊帳の外なんかじゃない!」と強弁した。
 まずは、その“釈明”を紹介しよう。
「昨秋の衆院選で、北朝鮮に対して圧力を最大限まで高めていくと申し上げました。「圧力だけかけてもしょうがないじゃないか。まず話し合え」との声もありましたが、まず国際社会がしっかりと連携して「テーブル上にあらゆる選択肢がある」という米国の姿勢を支持する中で、北朝鮮から話し合いを求めてくる状況を作らねばならないと私は主張しました。
 洋上で積み荷を移し替える「瀬取り」にも「抜け道は許さない」という姿勢で国際社会と協調し、日本も役割を果たしてきた。その結果として平昌五輪を契機に北朝鮮が話し合いを求めてきた。
 まさに日本が国際社会をリードしてきた成果ではないですか。決して日本が蚊帳の外に置かれていることはありません」
 まったくよく言うよ、という話である。たとえば昨年9月、北朝鮮情勢の緊張を緩和するため平和的手段での解決を呼びかけた各国首脳を尻目に、米ニューヨークの国連総会での演説で安倍首相は「私の討論はただ一点、北朝鮮に関して集中せざるをえません」と宣言すると、持ち時間のほとんどを北朝鮮への非難に費やし、「対話とは北朝鮮にとってわれわれを欺き、時間をかせぐため、むしろ最良の手段だった」「必要なのは対話ではない。圧力なのです」と何度も強調。
 その上、安倍首相も「契機」と認める平昌五輪に際しておこなわれた日韓首脳会談では、文在寅大統領に「米韓合同軍事演習を予定通り進めることが重要だ」と言い出して融和ムードへ冷や水を浴びせかけ、五輪開催中の日米電話会談後には「北朝鮮に最大限の圧力をかけつづけていく点で完全に一致した」などと発言。さらに、韓国が南北首脳会談実現に向けて動くと、外務省を通じて韓国に「まだ時期が早い」「思いとどまるべき」だと、再三にわたって圧力をかけつづけた。
 3月6日、韓国大統領府が文大統領と金正恩委員長の南北首脳会談合意を発表したときも、菅義偉官房長官や河野太郎外相、小野寺五典防衛相らは合意について非難するコメントを発し、安倍首相も国会で「圧力を最大限に高める」と言い放った。
 しかし、わずか数日後の3月9日に米国のトランプ大統領が北朝鮮の金正恩委員長と首脳会談を開く意向を表明。金委員長が親書で「非核化」の意志を表明していることも明らかになる。実際は5日の段階ですでに、北朝鮮は米朝首脳会談や非核化の意志も表明し、平和的解決への流れが決定的になっていたのだが、日本だけがこの動きを知らず、圧力をがなり立てていたのである。完全に“蚊帳の外”だったことが明らかになり、安倍首相は世界にとんだ赤っ恥をさらしたのだった。
哀れ!安倍首相がトランプとの電話会談を30分と発表するも実際は10分程度
 にもかかわらず、この期に及んで「国際社会と協調して」きたと主張し、今回の朝鮮半島の非核化に向けた動きを「日本が国際社会をリードしてきた成果」と言い張る──。もはや失笑を通り越し、哀れささえ漂っているではないか。
 しかし、より哀れさが際立ったのが、昨日におこなわれた文大統領との電話会談後のコメント。安倍首相はまたもこうやって虚勢を張ったからだ。
「南北首脳会談は我々が決めていたラインにのっとっておこなわれたことが確認できた」
 南北首脳会談後からずっと文大統領からの「電話連絡待ち」だったというのに、「俺が主導したもんね」と言わんばかりの態度……。だが、いくら勝ち誇ったポーズをとってみても、不都合な事実はどんどんあきらかになっていく。
 実際、いまや安倍首相はあれだけ尻尾を振ってきたトランプ大統領からもほとんど無視されており、28日の夜にようやく電話会談にこぎ着けたが、文在寅・トランプの同日の電話会談が1時間15分だったのに対して、安倍首相の会談時間はたったの30分。
 しかも、この数字もかなり怪しい。というのも、首相動静では電話会談がはじまったのは22時33分で、終了が23時3分となっているが、トランプは22時45分に“安倍首相に交渉を伝えた”と過去形でツイッターに投稿。さらに22時54分にもまったく別の話題をツイートしているのだ。
 もちろん、トランプの側近が“中の人”としてツイートしている可能性もあるが、もし首相官邸が時間を“水増し”していたとすれば、電話会談は22時45分より前に終了、すなわちものの10分程度、通訳を介することを考えれば正味数分の会話だった可能性もあるのだ。あるいは、トランプがツイッター投稿の片手間に安倍首相の話を聞き流していたか……。
 さらに、トランプは22時45分のツイートでは、同日おこなわれた文大統領との電話会談については「talk」(=互いに話し合うというニュアンス)と表現して、しかも「a long and very good talk」と形容したのに対し、安倍首相との電話会談については「speak」(=話し手が一方通行的に話すニュアンス)で「to inform him」と事務連絡レベルの書き方だった。
平和的解決に向けた国際社会の努力を無視し、「圧力」をがなり立て続けた日本
「蚊帳の外」感がここでも浮き彫りになるようだが、極めつきは岡田充・共同通信客員論説委員のレポートだ。「ビジネス インサイダー ジャパン」が27日に配信した氏の記事によれば、日本政府は米朝首脳会談の実施が決定して以降、〈日朝首脳会談を希望する安倍首相の意向を、さまざまなチャネルを通じ北朝鮮に伝えた〉ものの、「意向を平壌に伝達したが、本国からは『一切とりあうな』と指示された」と北朝鮮情勢に詳しい在京消息筋が明かしている。
 その上、朝鮮中央通信は28日、日本政府の対応について、このように厳しく非難した。
〈朝鮮半島と地域に流れる平和の流れをきちんと感知できない〉
〈急変する情勢下で朝鮮民族や国際社会の願いは眼中になく、自分たちの利害ばかり計算している〉
〈南北の同胞はもちろん国際社会も、対話ムードを壊そうとする行為を決して許さないだろう〉
 ようするに、米朝首脳会談の開催決定で焦った日本政府は取り残されないために必死になって日朝首脳会談の実施に動いたが、それもすべてなしのつぶて。「圧力」一辺倒の外交によって、北朝鮮に「平和の流れをきちんと感知できない」などと言われてしまう事態に陥っているのである。これを「外交の大失態」と呼ばずして何と言おう。
 そして、昨日、韓国大統領府が発表したところによれば、南北首脳会談の席で金委員長は「いつでも日本と対話する用意がある」と述べたという。
 この金委員長の「対話の用意がある」発言を受けて、ネトウヨたちは「安倍外交の勝利!」「やっぱり蚊帳の外じゃなかった!」などと喜んでいるが、何を言っているのだか。北朝鮮は日本が接触したくて仕方がないことを承知の上で、「対話してやってもいいよ」と言ってきているわけで、主導権は完全に北朝鮮に握られているのである。
 いや、安倍首相も日朝首脳会談が実現にいたれば、「外交の成果が出た」などと自画自賛し、マスコミもそれに同調するだろう。事実、マスコミは既報の通り(http://lite-ra.com/2018/04/post-3982.html)「南北合意は不十分」「北朝鮮は信用できない」と南北首脳会談を攻撃するような報道に終始している。拉致問題を端緒とする“反北感情”で圧力重視の外交を支持するなど“愛国ヒステリー”状態に染まりきったせいで、対話による平和的解決という道筋を見失ったこの国は、安倍首相とともに、今後どんどんと対北朝鮮問題で世界から孤立していくのだろう。(編集部)


平和の流れを感知できない日本
 ★日本の外交は本来の外交ではなく、好き嫌い、包囲網と外交を敵味方に分けたもの。それを俯瞰(ふかん)するとしてきた安倍外交の因果といえる。28日、朝鮮中央通信は、北朝鮮が核実験中止などを発表したにもかかわらず、「日本は最大限の圧力維持を表明した」と指摘し、「朝鮮半島と地域に流れる平和の流れをきちんと感知できない」と論評した。それは、安倍外交が平和という言葉を安全保障と言い換え続け、圧力を絶えず平和維持の道具としたからだ。 ★同日、副総理兼財務相・麻生太郎は自民党福岡県連大会で講演し、南北首脳会談について「北朝鮮が核を放棄するといっても、核開発に携わった数千人の科学者がいる間は、情勢が変われば核開発を再開できる」とした。これではまるで、南北の平和を認めるわけにはいかない、永遠の仮想敵国でいてほしいと願っているようだ。共同宣言署名の後、共同発表の中で朝鮮労働党委員長・金正恩は「合意したことは、過去のように死文化した歴史を繰り返さないよう、ひざを突き合わせて協議した。必ず成し遂げられるよう努力していく」。今の安倍外交には、この度量がない。 ★共産党副委員長・市田忠義は、フェイスブックに次のように記した。「歴史的な南北会談に、世界が注目。朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和構築のための大きな一歩が踏み出されることを、心から期待する。日本の政府関係者は『友好ムードを印象付けるような演出に惑わされてはいけない』『うまくいくかわからない』と。なんという情けない、傍観者的なコメントか。圧力一辺倒の外交(いや、これは外交とは言えない)からは、何も生まれない。うまくいくように力を尽くすことこそが、かつて植民地支配をしていた日本政府の責任ではないのか」。29日、首相・安倍晋三は「南北首脳会談は、我々が決めていたラインにのっとって行われたことが確認できた」と記者団に述べた。もうやめてくれ。

浜松から浜名湖→うなぎ茶漬け/袋井でワイン

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つくばエクスプレス180323

Moon Jae-in transmet à Shinzo Abe l'intention de Kim Jong-un de dialoguer avec le Japon
Le président sud-coréen Moon Jae-in s'est entretenu avec le Premier ministre japonais Shinzo Abe au téléphone pour partager les résultats du sommet intercoréen tenu vendredi dernier. Il lui a fait savoir que le leader nord-coréen Kim Jong-un a souhaité dialoguer avec Tokyo, qui avait exprimé la même volonté par son biais.
Durant l’échange téléphonique, Shinzo Abe a espéré que la déclaration de Panmunjom issue de ce sommet historique déboucherait sur des actes concrets. Il a par ailleurs remercié le président Moon d'avoir évoqué lors de la rencontre avec Kim la question des Japonais enlevés par la Corée du Nord il y a quelques décennies.
Le chef de l'Etat a ensuite eu un contact téléphonique avec son homologue russe Vladimir Poutine, qui a exprimé son souhait que le dernier sommet intercoréen puisse générer des projets de coopération tripartite.
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昨日はおでんで飲み過ぎた感じ.ぼんやりしながらJRで浜松まで移動です.新幹線でなくても1時間くらい.そこからさらにバスで40分くらいと結構長旅です.浜名湖もなかなかいい感じ.海とか湖が好きなんだと実感.レンタサイクルで回ります.と言ってもそんなに広くないので気楽です.
ランチはうなぎ茶漬け.おいしいです.湖の眺めもとてもいいです.
浜松に戻ると4時くらいでホテルの展望台から市内を眺めました.
どこか行ってみたいな?と思って駅のスタバで少し調べて袋井という街に行ってみました.目指していたお店は開店時間が遅いので別のワインのお店.なかなか楽しく飲みました.

<大川小・止まった刻>防災に強い教師育成/被災地宮教大の取り組み 村松隆学長に聞く
 児童と教職員計84人が津波で犠牲になった石巻市大川小の事故を筆頭に、東日本大震災では教職員の防災意識が問われた。宮城教育大の前防災教育未来づくり総合研究センター長で、本年度、学長に就任した村松隆氏は「教師の最も重要な使命は子どもたちの命を徹底して守ること」と断言する。被災地の教育大として教員養成にどう取り組むか、現状と構想を聞いた。
(大川小事故取材班)
 −学校管理下で多数の犠牲を出した大川小事故をどう受け止めていますか。
 「震災前は教員養成課程で防災教育に力を入れていたわけではない。その意味でわれわれは非常に大きな責任があると認識している。教員養成大として、あのような事故を絶対に繰り返さぬよう、子どもの命の大切さを前面に出した教育環境を早急に整えたい」
 −教員の卵に防災をどう教えていますか。
<全学生に必修化>
 「防災を教員になるための基礎科目と位置付け、震災2年後に全学生に必修化した。2016年度には防災教育の研究センターを設けた。今後は知識や経験を積んだ学生を認定する『防災マイスター制度』を整備・促進し、さらに教育の質を高めていく」
 「知識・手法だけが大事なのではない。被災地に赴き、肌で感じ取ることは多くある。大川小事故などの新聞記事を教材として『君はどう思うか』と学生に問い掛けることも重要だ。実習や研修、授業などを通じて深く考え、追求してもらうよう工夫している」
 −被災地の教育大の役割をどう認識していますか。
<手法 社会に発信>
 「今後も全国各地で自然災害は起きる。防災力は教員が必ず備えるべき資質だ。宮教大の教員養成課程を通じて、学校現場で防災のけん引役になれる自信を学生に身に付けさせたい。被災地の大学の役割を追求し、具現化していく考えだ」
 「宮教大は課題解決型などさまざまな教育手法で防災の力、考え方を養う仕組みを導入している。こうした教育を社会に発信していくことも被災地東北の教員養成大としての役割だ」
 −今後の展望は。
 「学生の被災地ボランティアなどを通じ、7年間で多様なノウハウや情報が集積されてきた。防災教育プログラムにどう活用するかが今後の課題だ。3月に東北大災害科学国際研究所と連携協定を結んだ。多様な研究成果を基にした質の高い防災研究・学習ができるのではないか」
 「教師は児童・生徒の命を預かっている。その最も重要な認識の下、防災に強い教師の育成、現職教員の研修を進め、全国モデルになり得るように取り組み、発信していきたい」


<災後に育つ>(上)混乱の影響 ストレス連鎖ケア課題
 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の発生後、2011年度に生まれた子どもたちが今春、小学1年生になった。災後の混乱に見舞われた地域や家庭で育った児童らを、いかにケアするか。震災の風化が危惧される今、「あの日」の経験や古里をどう伝えるか。学校や子育て支援の現場から、7年を経た現状と課題を見つめる。(震災取材班)
<笑顔の奥に>
 「『家では自分を抑えてしまっているのかな』と感じさせる子が少なくない」。震災の津波で被災した宮城県沿岸部の保育園長は、あどけない笑顔の奥底に見え隠れするストレスを懸念する。
 園児は全員、震災後生まれ。大半の家庭が被災し、5歳以上の年長児や小学校に今春入学した11年度生まれの卒園児の多くは、プレハブの仮設住宅で赤ちゃん時代を過ごした。
 運動不足とみられたり、親のストレスの影響か集団に入りたがらないなどのケースがあるという。上の子が震災で犠牲になり、園に通う下の子に対する心配が強まってしまう親もいた。
 「子どもは少なからず被災の影響を受けて育っている」との見方を示す保育園長。現在も自宅再建を機に引っ越す園児が多く、環境変化は続く。保育士の確保が難しい中、昨年から園児の受け入れを減らしてきめ細かなケアに腐心する。
<不安伝わる>
 震災と原発事故から7年。「災後生まれ」が就学期を迎え、直接被災していない子どもの発達に及ぼした影響を指摘する声が相次ぐ。岩手県沿岸部の保育園長は「全て震災関連とは言い切れないが、混乱期に生まれた子は大人の顔色をうかがうような傾向があった」と振り返る。
 避難が長期化する福島県では「子どもの落ち着きがない」「頭が痛いと言って不登校になった」などの報告も寄せられている。
 県外避難した母親の交流会を開いているNPO法人ビーンズふくしま(福島市)で、子ども支援センターの事業長を務める三浦恵美里さん(41)は「被ばくに対する両親の意見の不一致などを子どもは敏感に感じ取っている」と語る。帰還後も「逃げた人だ」と言われて母親が孤立し、不安感が子に及ぶケースもある。
 岩手医科大などのチームが岩手、宮城、福島3県の沿岸被災地で11年度生まれの子どもを調査した結果、語彙(ごい)に半年程度の遅れがあり、情緒、行動上の問題が目立った。母親は3割強が精神面の不調を抱えていた。
<加配継続を>
 学校現場も「災後生まれ」へのケアの重要性を認識している。宮城県教委は本年度、沿岸部の小中学校3校で、教員らへの助言を担う主幹教諭に養護教諭の有資格者を充てた。
 被災3県などは、被災地に教員を多く配置する国の「復興加配」の長期継続を求める。国の手厚い支援が保証される復興期間の終わりが20年度に迫る中、福島県教委の担当者は「家庭環境を含めて落ち着きを取り戻すには、まだまだ時間が必要だ」と強調する。
 兵庫県立大大学院減災復興政策研究科の冨永良喜教授(臨床心理学)は、阪神大震災時に幼く、記憶が薄い子にも落ち着きがないなどの事例があったと指摘。「親への支援が今後も求められる。親自身が悩みを分かち合う場づくりなどが重要ではないか」と問題提起する。


大川小津波控訴審判決 学校防災の礎としたい
 東日本大震災の津波で児童と教職員84人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小の惨事は、学校管理下では戦後最悪の災害である。多くの保護者が「きっと避難しているはずだ」と思っていた。その教訓を全国の学校現場が共有しなければ、子どもたちは報われないだろう。
 児童23人の遺族が起こした訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は震災前の市や学校の防災体制について初めて過失を認定した。約14億円の賠償を命じた点は一審とほぼ同じだが、「事前防災」の責任とその重さを突き付けた点で際立っている。
 これまでの津波訴訟では、企業や学校の震災前の過失が認められたケースはなかった。大川小訴訟の一審仙台地裁判決は、教職員による避難誘導の過失の認定にとどまったが、控訴審はさらに踏み込んだ形だ。
 大川小の児童は地震発生後、校庭に避難する。そこから堤防付近に教職員が誘導しようと移動した直後に津波が襲い、児童74人、教職員10人が犠牲になった。津波は地震発生から約50分後に第1波が到達し最高水位は高さ8・7メートルに達した。
 控訴審判決によると、大川小は津波浸水予想区域には含まれていないものの、北上川近くにあることから津波の危険性はあり、十分予見できたという。市がハザードマップで学校を津波の避難場所に指定していたことも誤りだったと断じた。
 児童は教職員の避難誘導に従わなければならないことを考えれば、学校にも独自の判断が求められてしかるべきだ。
 一審判決に比べてハードルが高くなったとしても、命には代えられまい。教職員だけでなく、学校や教育委員会が連携して防災の策を練る。その重要性をあらためて浮き彫りにしたのが、今回の判決だといえよう。
 訴訟では、学校の裏山への避難は可能だったかどうかも大きな争点だった。裏山は急傾斜で崖崩れなどの危険もあったとの見方がある一方、一審判決は児童たちを裏山に避難させなかった判断ミスを指摘した。
 これに対し控訴審判決は、危機管理マニュアルの上で、大川小から約700メートル離れた標高20メートルを超える高台(通称バットの森)を避難先に指定していれば、津波を回避できたと結論付けた。1年生の足でも20分ほどでたどり着くことができるため、迅速に判断していれば津波到達までには間に合う。
 むろん、学校現場にしてみれば、児童の安全に関する高いレベルの知見を備えるには今の教職員は忙し過ぎるという声もあろう。被告側の弁護士が「教職員に多大な法的義務を課している」と控訴審判決に納得していない点も見過ごせない。
 学校や教委に対し、高いレベルの「事前防災」の構築を求めたことは、南海トラフ巨大地震への備えを進める地域をはじめ全国に強いメッセージを送ったともいえよう。現状の防災が学校任せになっているとすれば、自治体ぐるみ、地域ぐるみの備えが求められる。
 控訴審判決の後、遺族は「学校防災の礎になる判決だ」「もう誰にもこんな思いはしてほしくない」と語っていた。震災から7年が過ぎ、記憶の風化も懸念される。判決を機に、子どもたちにとって安全とは何か、考え直す機会にもしたい。


大川小二審判決 「事前防災」の充実求めた
 実効性ある防災体制を整備できているのか。判決に込められた警鐘を真摯(しんし)に受け止めたい。
 備えは万全なのか、それぞれの組織で、改めて足元の防災体制を点検してもらいたい。
 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小児童の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決があった。仙台高裁は、震災前の学校側の防災体制について初めて過失を認めた。
 一審判決が過失を現場の教職員による避難誘導にとどめたのに対し、控訴審判決は組織的な過失があったとして市や学校の責任に踏み込んだ。
 事前防災の充実に向けて学校現場のみならず、行政などにも重い責任を課したといえよう。
 控訴審で焦点となったのは、震災前の平時における市や学校の防災体制だ。具体的には、避難の判断を左右した津波の予見性と、危機管理マニュアルの在り方が争点となった。
 大川小では、避難が遅れた児童74人と教職員10人が巨大津波で命を落とした。
 津波の予見性について学校側は、市のハザードマップで津波浸水予想区域から外れていたことから「予見不可能」とした。しかし、判決は北上川と約200メートルの距離にあることなどから「十分予見できた」と退けた。
 その上で、ハザードマップは児童の安全に直接関わるとして、「教職員は独自の立場から信頼性を検討することが求められていた」と、学校側の対応を厳しく批判した。
 大川小の危機管理マニュアルを巡っては、その内容とともに適切な見直しが行われたかなどが争われた。
 判決は内容について「極めて不十分」とした遺族側の主張を認め、「避難経路や方法をあらかじめ定めておくべきだった」と不備を指摘。「震災前の段階で明記する義務はない」とした一審の判断を覆した。
 さらに「地域の実情を踏まえた内容か確認し、不備があるときは指導する義務があるのに怠った」として、マニュアルの不備を見過ごした市教委の過失を認めた。
 マニュアルが適切であれば被災を回避できたと断じ、事前防災が被災回避に大きく関わると指摘した。
 学校側に極めて高い安全確保義務を課した判決に、長時間労働にあえぐ教育現場からは「負担増につながる。厳しい内容」と戸惑いの声も上がる。
 だが、子どもたちの命を預かる学校に、災害への備えを徹底するよう求めた高裁の指摘は理解できる。
 問題は、あるべき防災体制をいかに実現するかであろう。
 子どもたちが学び、住民交流の場ともなっている学校は地域の共有財産だ。
 危機管理マニュアルの検証には専門知識も必要となろう。
 教職員にのみ負担を強いるのではなく、地域や行政も学校の事前防災に関わることで、子どもたちの安全確保をサポートしてほしい。


宮城・名取市閖上では語り部と被災地歩く催し
 このゴールデンウィークに合わせて、宮城県名取市閖上地区では津波の被災地を語り部とともに歩く催しが開かれました。
 名取市閖上地区では29日津波で自宅を流され、現在語り部活動をしている小齋正義さんが、全国から訪れた人に自宅の跡などを案内し自然の脅威を伝えました。小齋さんらが被災地を案内する活動の拠点としてきた震災伝承施設「閖上の記憶」は、区画整理に伴い、5月下旬、近くの「ゆりあげ港朝市」の敷地に移ることになっています。およそ500万円かかる移転費用が懸案となっていましたが、全国から寄せられた寄付金で賄われることになりました。「閖上の記憶」では5月3日から6日にも語り部の会を開くことにしています。


震災翌月開始 宮城・南三陸町「福興市」7周年
 宮城県南三陸町では東日本大震災の翌月から行われてきた福興市が7周年をむかえ、賑わいを見せました。
 7周年の記念撮影とともに始まった南三陸町の「福興市」。震災翌月から地域の活性化を図ろうと月に一回、旬の海産物を販売してきたこのイベント。今回はけさ水揚げされたばかりのホヤ1トンが用意され、1袋500円の詰め放題が企画されたほか、ホヤとメカブをトッピングしたそうめんも販売され、訪れた人たちが旬の味覚を堪能していました。
 また29日は地元の漁師がホヤをおいしく食べるためのむき方のコツを紹介していました。実行委員会では今後2年間は福興市の開催を続けたいと話しています。


エメラルドの海 悠々散歩 非日常の世界へ 東松島・嵯峨渓
 春の大型連休がスタートした28日、東北は晴天となり、各地は帰省客や行楽客でにぎわった。
 宮城県東松島市宮戸地区の奥松島にある嵯峨渓では、スタンドアップ・パドルボードの愛好者が海上散歩を楽しんだ。日本三大渓の一つに数えられる嵯峨渓は、雄々しい岩肌や潮が引くと現れる洞窟など野趣に富む景観が広がる。
 光の角度や透明度など条件が重なると海の色がエメラルドグリーンに見える洞窟に入った石巻市の会社員桑沢高(たかし)さん(49)は「神秘的な色。非日常の世界に浸れた」と話した。
 仙台管区気象台によると、東北地方は大型連休の始めは高気圧に覆われて晴れるが、その後は低気圧の影響で曇りや雨の見込み。


<旧優生保護法>強制不妊で全国弁護団 提訴支援 来月27日結成 仙台で準備会
 旧優生保護法(1948〜96年)下で強制不妊・避妊手術が繰り返された問題で、各地の被害者救済に向けた全国優生保護法被害弁護団(仮称)が5月27日に結成されることが、仙台市青葉区の仙台弁護士会館で28日に開かれた結成準備会で決まった。宮城、秋田両県を含む全国15カ所の弁護団・弁護士が参加する見込み。
 全国弁護団は電話相談を受け付けるホットラインを開設するなどして被害者の把握に努める。各地の弁護団・弁護士が情報交換しながら、提訴の支援や行政に対する補償制度の提案も行う方針。
 1月に全国初の国家賠償請求訴訟を仙台地裁に起こした宮城県の60代女性の弁護団長を務める新里宏二弁護士(仙台弁護士会)が共同代表に就く。新里氏は準備会後の記者会見で「被害者が手を挙げにくいのが課題。この問題が忘れられないよう一人でも多くの被害者を掘り起こし、提訴に結びつけたい」と話した。
 準備会では、いずれも70代の男女4人が5月17日、仙台、札幌、東京の3地裁に追加提訴する方針も決めた。


<奥羽の義 戊辰150年>(4)天皇の信頼得て国政主導
◎第1部 開戦への道/八月の政変
 1863(文久3)年8月18日早朝、三条実美(さねとみ)ら尊王攘夷(じょうい)を唱える強硬派公卿(くぎょう)7人と長州藩が、京都から追放された。「八月の政変」と呼ばれる。仕掛けたのは会津藩と薩摩藩。決断したのは孝明天皇だった。
 天皇は攘夷論者だったが、倒幕は望んでいなかった。むしろ「天誅(てんちゅう)」と称して幕府役人を暗殺するなど騒乱をあおる尊攘派浪士や、長州藩を後ろ盾として自身の意に反する勅書(偽勅)を勝手に連発する公卿たちに頭を悩ませていた。
 政変でこうした勢力は京都から一掃された。喜んだ天皇は会津藩主松平容保(かたもり)に「私の思いを実行してくれ感謝する」「心を合わせて一緒にやっていこう」と直筆の手紙と和歌を送った。容保は感涙を流し、生涯この手紙を肌身離さず持って心の支えにした。
 天皇はその後も手紙を送り、自身の考えや容保への信頼をつづっている。わざわざ「くれぐれも内密に」と付け加えて。政変を機に天皇の信頼を得た会津藩は、国政を主導する立場へと駆け上がった。
 幕末史に詳しい大阪経済大の家近良樹特別招聘(しょうへい)教授(68)は「悲劇のイメージの強い会津藩はこの時点では勝者だった。容保は、後の15代将軍一橋慶喜、実弟の桑名藩主松平定敬(さだあき)と共に朝廷を掌握し、支配的な位地を占めた」と指摘する。
 後に戊辰戦争で敵対する薩摩藩も、このときは盟友だった。家臣同士の交流もあり、元会津藩重臣の山川浩は「唇と歯」のように密接だったと回想している。
 この政変によって、長州藩は御所南門の一つ、堺町御門の警備任務を解かれて帰国した。翌年には失地回復を図ろうと、同藩などの浪士が容保の暗殺と天皇連れ去りを企てたが、事前に察知した新選組に阻止されて、指導者7人を斬殺される、いわゆる「池田屋事件」により、大打撃を受ける。
 やり込められて表舞台を去った長州藩内には、会津藩への恨みがマグマのようにたまっていった。
(文・酒井原雄平 写真・岩野一英)
[八月の政変]尊王攘夷派の公卿と長州藩が京都から追放された事件。薩摩藩が会津藩に持ち掛け、中川宮が参内して孝明天皇から「国家の害を取り除け」との勅令を取り付けた。米沢、盛岡など在京諸藩の多くも協力した。御所に九つある門を武装兵で封鎖し、長州藩の参内を禁じた。失脚した公卿7人は長州藩を頼って落ち延びたため「七卿(しちきょう)落ち」とも言われる。会津藩は任務交代で国元に帰ろうとしていた部隊を急いで呼び戻し、兵数を倍の2000にするなど、最大兵力で政変の中心を担った。


カジノ法案を国会に提出 賭博が観光の目玉なのか
 賭博の一部を合法化する法案だ。懸念が払拭(ふっしょく)されたとは言えない。
 政府はカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案を国会に提出した。今国会での成立を目指す。
 法案の一番の問題は、約320万人と推計されるギャンブル依存症者の増加につながりかねないことだ。
 対策として、日本人客の入場回数を「7日間で3回、28日間で10回」に制限する。さらに、1回6000円の入場料を徴収する。
 だが、この入場制限では不十分だ。上限まで通えば、ギャンブル依存そのものではないか。
 入場料の6000円は、シンガポール並みの8000円を主張した公明党と、5000円が上限とする自民党の妥協の産物だ。
 カジノは高額の賭け金が動く。政府が当初与党に提示した1回2000円の入場料よりはましだが、利用者心理に照らせば、入場の歯止めにはなりにくいだろう。
 設置数は3カ所だが、最初の認定から7年後に見直され、さらに増える可能性がある。ギャンブル依存症者が全国に広がりはしないか。政府が強調する「世界最高水準の規制」とはとても評価できない。
 観光の目玉、東京五輪後の成長戦略の柱といった声もカジノ誘致を後押しする。
 だが、自然や文化資源にめぐまれた日本でなぜ観光の目玉が賭博なのか。根本的な疑問として残る。
 米国ではカジノ施設の倒産も相次いでいる。また、韓国ではカジノができた町で自己破産や多重債務による自殺者が増えたという報告がある。ギャンブルにのめり込む人の財布を糧に成長する産業が、長い目でみて地域を潤すだろうか。
 カジノ設置に前のめりな政府や一部の自治体は冷静に考えるべきだ。
 暴力団の介入や治安の悪化、青少年への悪影響などさまざまな負の作用が懸念される。世論調査でカジノ反対の意見が多数を占めるのは、国民の不安の反映だろう。
 国会には、ギャンブル依存症対策の法案が提出されている。与党がその審議を先行させるのは当然だ。
 さらに、カジノ設置の必要性について、根本から議論すべきだ。国民の理解がないまま、解禁ありきで進めてはならない。


カジノ法案閣議決定/まず依存症対策の論議を
 政府がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案を閣議決定した。これに先立つ与党協議で、全国のIR整備箇所数を最大3カ所と決定し、日本人客の入場料を6千円、入場回数を週3回で月10回までとするなど法案に盛り込む規制内容がまとめられた。しかし多くの国民が懸念するギャンブル依存症拡大への対策は遅れている。
 昨年12月に与野党がそれぞれ提出した依存症対策法案の審議は全く進んでいない。パチンコや競馬などで入場制限を制度化する個別の対策も示されているが、十分とはいえない。カジノ解禁で避けられないとみられる依存症拡大をいかに防ぐか。まずは腰を据えた議論が求められる。
 法案の規制はIRのあるシンガポールなどを手本にした。ただ日本の場合、既にパチンコのほか、競馬や競輪、ボートレースといった公営ギャンブルがあり、依存症の疑いがある人は320万人とも536万人ともいわれる。中でもパチンコ店は駅前や郊外にあふれ、ギャンブルにのめり込む入り口になりやすい。
 そこへ、カジノが入ってくる。依存症のリスクは海外の比ではない。カジノで負けても、パチンコや競馬で取り返せばいいと深みにはまりかねない。IR法案を通すために形ばかりの対策をいくら並べても、国民の懸念解消にはつながらないだろう。
 オーストラリアのゲーム機協会が、カジノのスロットマシンなど世界中でギャンブルに使われるゲーム機について2016年の設置状況をまとめた。法律上は賭博ではないが、景品を換金できる日本のパチンコ・パチスロも含まれ、世界のゲーム機の6割近い457万台余りが日本国内にあるという結果になった。
 世界1位で、2位米国のほぼ5倍。依存症が疑われる人の推計値は調査により異なるが、最も金をつぎ込んだのはパチンコ・パチスロという点は共通している。また依存症問題に取り組む団体の調査では、依存症患者の家族の約8割が借金を肩代わりしたことがある。
 依存症は家族を巻き込み、犯罪の引き金にもなる。16年に全国で摘発された刑法犯のうち、動機・原因がパチンコは1329件、競馬や競輪などは999件に上った。
 政府はIR法案に依存症対策としてカジノの入場制限や入場料徴収を盛り込んだが、6千円の入場料では効果が薄いというのが大方の見方だ。パチンコや公営ギャンブルでは、依存状態にある本人や家族の申し出に基づき入場を制限する制度を検討している。
 しかしカジノへの入場を制限されても、パチンコ店には入れるというのでは意味がない。問題のある人については、すべてのギャンブルでの入場回数や賭け金の額を一元的に把握し、制限を加える仕組みも必要だろう。
 気になるのは自民党の前のめりぶりだ。与党協議で自治体の誘致合戦や事業者の要望を背景にIRの整備箇所数を4、5カ所、入場料も5千円とするなど大幅な規制緩和を主張した。
 万全の依存症対策を整えてから、IR法案の審議に入るのが筋だ。さらに、そもそも依存症の人が増えるのを前提にして語られる成長戦略なるものが必要なのかも改めて議論してもらいたい。


再生エネ転換  主力電源化へ具体策示せ
 経済産業省が新しいエネルギー基本計画の骨子案を策定した。再生可能エネルギーの「主力電源化」を初めて盛り込む一方、原子力や火力発電も温存し、時代遅れの感は否めない。太陽光や風力といった再生エネへの転換を急ぐ世界的な潮流に日本だけが取り残されてはなるまい。
 経産省の有識者会議がまとめた2050年を見据えたエネルギー長期戦略の提言を踏まえ、30年に向けた指針に加え、50年への戦略を示した。新計画は今夏にも閣議決定される。
 温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」に基づき、日本は50年に温室効果ガスの排出量を8割削減する目標を掲げている。脱炭素化に向けて、これまで軽視されがちだった再生エネ転換に本腰を入れる姿勢は一歩前進であり、評価できる。
 だが長期的な電源ごとの発電割合や具体的な道筋は示さなかった。技術革新の進展の予想は難しいとはいえ物足りない。
 日本は原子力や火力を重視してきたため、再生エネの発電比率は15年で14・6%にとどまり、イタリア39・8%、スペイン35・3%、ドイツ30・6%などに比べ遅れが際立つ。コスト面でも16年に欧州平均で1キロワット時当たり10円の太陽光発電費用が日本では20円と割高だ。
 再生エネ転換の遅れを取り戻すには、価格引き下げや安定供給への技術開発が鍵となる。
 発電効率の向上に加え、発電量が天候に左右されやすいため需給の調整技術や高性能な蓄電池の開発、電力需要の大きい都市部への送電網の増強−といった課題を一つずつ着実に解決していかねばならない。
 最も疑問符が付くのは原発の将来像だ。東京電力福島第1原発事故後、脱原発を求める世論は根強く、「原子力政策の再構築」を掲げた。「可能な限り依存度を低減する」という現行の政府方針を維持して原発の新増設にも言及しなかったものの、安全性の高い原子炉の開発や核燃料サイクル政策を進めるという。原発のあり方が曖昧な状況が今後も続きそうだ。
 国内産業は発電コストの安い原発抜きに海外と勝負できないとの経済界の意向が透ける。だが福島事故後、安全対策費用がかさむ原発は割安な電源と言い難い。脱原発を鮮明にしてこそ、原発に頼らない新技術の開発や投資も強い動きとなろう。
 「化石燃料の効率的・安定的利用」にも固執した。効率の悪い石炭火力を廃止してCO2の排出が比較的少ないガス火力への移行は当然だが、火力発電の温存は脱炭素化に逆行する。
 これとは別に政府は先日、本年度から5年間程度で取り組む第5次環境基本計画を閣議決定した。環境省主導で再生エネ活用を推進する方針だが、経済活動への影響を懸念する経産省の戦略とは相いれない。双方の整合性が欠かせない。
 新計画でも再生エネの発電割合を30年度に22〜24%という目標は据え置くが、原子力や火力に過度に依存していては再生エネへの転換は進まない。国際水準に比べて遜色なく、国民の理解を得られる再生エネ戦略の道筋を明確に示すべきだ。


[前次官セクハラ認定]訴えの壁なくす一歩に
 前次官の謝罪もなければ、大臣の監督責任も問われない、極めて不十分な対応である。
 財務省は、女性記者へのセクハラを報じられ事務次官を辞任した福田淳一氏について、セクハラ行為があったと認定し、退職金を減額する処分に踏み切った。
 立場を利用した人権侵害という批判に抗しきれず、追い込まれた末の決定である。
 福田氏はセクハラを否定しているが、テレビ朝日の女性社員と一対一で飲食したことは認めており、テレ朝側の主張を覆すだけの反証が示されていない。処分として5319万円の退職金から141万円が差し引かれるという。
 セクハラ認定されたとはいえ、両者の主張は食い違ったままである。再発防止のためにも詳細な調査が求められているのに、政権への影響を考え、早々に幕引きを図ったとの印象は否めない。
 公表された音声データを聞けば、セクハラ発言があったことは明らかだ。本人の謝罪もないまま、辞職後にセクハラ認定するという財務省のやり方にも疑問が残る。
 この問題を巡っては「はめられ訴えられているんじゃないか」など麻生太郎財務相から耳を疑うような発言も飛び出した。
 永田町や霞が関といった男性中心社会で権力を持つ人たちの人権意識の欠如が、セクハラに寛容な土壌をつくっているのではないか。
 もちろん猛省してもらわなければならないが、再発防止策を、この組織に任せることはできない。
■    ■
 福田氏のセクハラ認定を受け女性社員は「ハラスメント被害が繰り返されたり、被害を訴えることに高い壁がある社会ではあってほしくない」とコメントを出した。
 労働政策研究・研修機構の調査で、セクハラを受けた女性の6割以上が泣き寝入りしたとの報告がある。女性の社会進出の遅れから、告発した側が嫌がらせを受けたり、配置転換されるなど不利益を被ることが多いからだ。
 女性社員が次官との会話を録音し、週刊誌に提供したことのモラルを問う声がある。しかしその目的は自らの人権を守るためで批判は的外れだ。
 セクハラ対策で重要なのは告発した社員を会社が守るということである。今回、女性社員はセクハラ被害の報道を上司に相談しているが、適切な対応が取られなかったことは残念である。
■    ■
 メディアに身を置くものとして、力関係に差がある取材相手からのセクハラは人ごととは思えない。情報を取ることを優先し理不尽な振る舞いに目をつぶり、やり過ごしてきたという女性の何と多いことか。振り返ればその沈黙が、セクハラ被害を軽視する風潮を生み出したのかもしれない。
 新聞労連は22日、女性集会を開き「セクハラに我慢するのはもうやめよう」「こんな不条理や屈辱は終わりにしよう」との声明を発表した。仲間の勇気ある行動を、セクハラがはびこる社会を変える分岐点にしなければならない。


【セクハラ処分】「女性活躍」の姿勢を疑う
 女性記者へのセクハラを報じられて財務事務次官を辞任した福田淳一氏について、財務省がセクハラ行為があったと認定した。
 6カ月の減給20%の懲戒処分に相当するとし、減給分の141万円を差し引いた上で、退職金5178万円を支払うという。
 これまで事実認定に慎重な姿勢を見せていた財務省が一転して処分を急いだ格好だ。早期の幕引きを狙う意図が透けて見える。
 福田氏はテレビ朝日の女性社員と一対一で飲食したことは認めたが、セクハラ行為は依然、否定している。財務省は、福田氏から特段の反論・反証がないという理由で事実と認定した。
 疑問が多い。女性記者の訴えをそのまま認めるのならば、福田氏の辞任前に処分できたのではないか。財務省はテレビ朝日以外からも匿名で1件の電話相談があったことも明らかにした。そうであれば、他に被害者はいないのか。さらには、事実を認めていない福田氏は説明も謝罪もしていない。
 テレビ朝日は、財務省に再発防止のための詳細な調査継続と、福田氏本人による謝罪を求めている。当然の反応だろう。
 麻生太郎財務相をはじめ財務省はこの問題でセクハラへの認識の低さや人権意識の欠如を露呈してきた。
 麻生氏は問題が発覚した当初、福田氏への口頭注意で「十分だと思っている」とし、追加の調査や処分はしない考えを示していた。
 その後の外部調査も、財務省の顧問弁護士に委託。女性記者に名乗り出るように呼び掛け、出てこなければセクハラの事実認定はしないという姿勢を見せた。被害者保護の観点を著しく欠いている。
 被害者への配慮を欠く言動も相次いだ。その筆頭も麻生氏だ。福田氏が女性記者に「はめられて訴えられているんじゃないかとか、いろいろな意見がある」と言い放った。
 財務省の矢野康治官房長は「(女性記者が名乗り出るのが)そんなに苦痛なことなのか」と発言。下村博文元文部科学相は、女性記者が福田氏の発言を録音し、週刊誌に渡したことを「ある意味で犯罪だ」と述べ、撤回、謝罪に追い込まれた。
 安倍政権は「女性活躍」や「女性が輝く社会」も看板政策として訴えてきた。政府・与党の中枢がこの程度の認識では政策の本気度を疑う。
 男女雇用機会均等法に基づき、厚生労働省は2006年、事業主に職場でのセクハラ防止を義務付ける指針を策定した。しかし、加害者が取引先など立場が強い場合や、監視が行き届かない職場で起きた場合は、効果が十分とはいえない状況だ。
 その典型例が、範を示すべき中央官庁で起きた。中途半端な調査でふたをしては、有効な再発防止策につながるのかさえ心もとない。
 財務省は森友学園を巡る決裁文書の改ざんや口裏合わせの疑惑も抱えている。麻生氏の責任が引き続き問われるのは言うまでもない。


国会空転 与党がまず不誠実な対応改めよ
 空転国会の正常化に向けた出口が見えない。与党は野党の反対を押し切り、安倍晋三首相が出席する衆参両院の予算委員会集中審議を断行した。さらに、首相が今国会の最重要課題に位置付ける働き方改革関連法案の衆院本会議での審議入りも強行した。立憲民主、希望、民進など野党6党は審議拒否を続けており、対立は深まるばかりだ。政策を審議・決定する場である国会が完全に機能不全に陥っている状況を、強く危惧する。与野党には、この異常事態を一刻も早く打開するよう求めたい。
 空転のそもそもの原因は政府・与党の不誠実な対応にある。加計、森友問題や前財務事務次官のセクハラなど、噴出する疑惑や不祥事に正面から向き合おうとしない。財務省の文書改ざんや防衛省の日報隠蔽(いんぺい)など、国会を欺く看過できない事態に対しても「調査中」と繰り返す。野党の反発はもっともだ。
 「野党抜き審議」でも首相は「率直に反省しなければ」「必ず全容を解明」「丁寧な上にも丁寧に説明していく」と、いつもの答弁を重ねた。本気で解明を目指すのなら、まずは加計問題で野党が求める柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問を行うべきだ。首相は自身の関与が疑われているにもかかわらず、喚問を求められて「何らかの機会があれば、知っていることを全て明らかにしてもらいたい」と人ごとのように答える。その姿勢からは真相究明への意志は感じられず、不信感が拭えない。
 柳瀬氏は昨年、参考人招致で愛媛県職員らとの面会について「記憶がない」と否定したが、その後、面会内容を示す県職員の備忘録や、裏付ける内閣府職員のメールの存在が明らかになった。疑惑解明には、偽証が罪に問われる証人喚問が欠かせない。それは国会正常化の第一歩でもある。
 数々の不祥事に対して、与党が政府を擁護する姿勢にも問題がある。立法府としての行政監視の役割は、野党だけでなく与党にも当然ある。その責務を忘れてはならない。
 一方、野党も「欠席戦術」だけでは先が見通せない。非公式のヒアリングを実施して官僚をただしながら、首相との国会論戦を拒否し続けることには矛盾があろう。与党が強引に推し進める働き方改革関連法案の審議に関しても、一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」創設など、長時間労働や過労死を助長しかねない深刻な問題をはらむ。法案の見直しには野党の追及による徹底論戦が不可欠であり、国民の代表としての重大な責任を放棄することは許されない。
 国会の正常化をよそに、自民党幹部が衆院解散に言及して野党をけん制したり、野党が離合集散に走ったりすることに国民の失望は募っている。空転が続けば、政治への信頼はますます失われる。その重大性を与野党が自覚し「言論の府」を取り戻すことが急務だ。


事実なら辞任必至 小池知事は“やらせ質問”に関与したのか
 事実だとしたら、これこそ“ブラックボックス”だ。小池百合子都知事が“やらせ質問”に関与していた疑惑が浮上している。
 “やらせ質問”があったと疑われているのは、昨年8月末の都議会。小池知事が率いる「都民ファーストの会」に所属する都議の質問だ。自分で質問を考えず、東京都の職員が“原案”を考え、小池知事が“添削”したモノを質問していた疑惑が浮上したのだ。
 質問は築地市場の豊洲移転に関するモノで、「築地は守る、豊洲を生かす」という小池知事の意向に沿ったものだった。「知事の判断を高く評価する」などと称賛もしていた。
 27日、以前、都民ファーストに所属していた音喜多駿都議が、会見で疑惑を明らかにした。音喜多議員によると、昨年8月下旬、都民ファーストの都議から「党本部からもらった」と、<28の質問と答弁>がつづられた文書をメールで受け取ったという。メールの作成者は「東京都」だった。さらに、直前の保存者名は小池知事のツイッターアカウントと同じ「ecoyuri」になっていた。都民ファーストの都議の質問は、「文書」とまったく同じ表現もあった。
 小池知事は27日、「文書」の保存者名になっていた「ecoyuri」は、「パソコンのユーザー名として事務所で複数人が使っているのは事実」と認めた上で、「質問づくりには関与していない」と否定した。
 しかし、都民ファーストの「やらせ質問」疑惑は、すでにもうひとつある。次々に「やらせ疑惑」が浮上するのは異常だ。もし、都議会の審議を自分の都合のいいように操っていたとしたら許されない話だ。
「ただでさえ都民ファーストは、小池知事の下請けとみられています。もし、知事が質問づくりに関わっていたとしたら、もう政党としての存在意義はない。潔白を証明するためにも、知事と都民ファーストは、この問題をすべて明らかにすべきです」(政治評論家・山口朝雄氏)
 かつて東京都の副知事は、百条委員会で“やらせ質問”が認定され、辞任に追い込まれている。


南北会談 文在寅大統領を手玉に取った金正恩のシナリオ
 すべてシナリオ通りだ――。こうほくそ笑む姿が目に浮かぶ。11年ぶり3度目の南北首脳会談は北朝鮮が譲歩を迫られることなく、金正恩委員長の思惑通りの結果に終わった。世界は歓迎ムードで、トランプ米大統領も上機嫌で祝福ツイートを連発。もはや誰も史上初の米朝首脳会談を破談させられなくなってきた。
 現地で取材するジャーナリストの朴承氏はこう言う。
「金正恩委員長の振る舞いは予想以上に丁寧で、韓国世論をすっかり味方につけてしまった。文在寅大統領に対する言葉遣いは礼儀正しく、常識人という印象を与えた。その一方で抜け目がなかったのが、会談冒頭の挨拶。〈失った11年〉を強調し、〈いくら良い合意や文書が発表されても、きちんと履行されず、良い結果に発展しなければ期待を抱いた方々をむしろ失望させる〉と言及した。これは前回の南北首脳会談で盧武鉉大統領が金正日総書記に約束したインフラ整備を中心とする経済協力の不履行を指しています。当時、側近だったあなたが大統領になったのだから着実に実行してください、という含みのある発言です」
 トップ会談はおおむね予定通りに進行。板門店宣言では▼年内に朝鮮戦争の終結宣言をし、休戦協定を平和協定に転換するための会談を推進▼文在寅大統領が今秋に平壌訪問▼敵対行為の全面禁止――などで合意した。もう文在寅は金正恩を裏切れない立場となった。
 注目を集めたのが、秘書もカメラマンも遠ざけ、2人きりで30分にわたって議論した“ベンチ会談”だ。
「2人の位置取りが絶妙で、手前に腰かけた文在寅大統領は望遠レンズで撮影するムービーカメラに背を向け、口元がまったく見えなかった。文在寅大統領はトランプ大統領と3回会談し、頻繁に電話でもやりとりしています。金正恩委員長に米国側の感触を率直に伝え、今後の段取りを協議したとみられています。金正恩委員長の表情はみるみる真剣な顔つきに変わっていきました」(朴承氏)
 韓国は米朝会談の成功を全面的にバックアップするつもりだ。
 会談終了後、国際社会も祝福一色に染まった。中でも前のめりなのが米国と中国だ。米国は会談開始直前、極秘訪問したポンペオ前CIA長官(現国務長官)と金正恩のツーショット握手写真を公開し、側面支援。会談終了後にはトランプが〈朝鮮戦争は終わる! 朝鮮半島で起きていることを誇りに思うべきだ〉などとツイート。〈私の親しい友人である中国の習近平国家主席の多大な助力を忘れないでほしい〉ともつぶやいた。
 中国も共産党機関紙・人民日報系の環球時報の社説(23日付)で「国際社会は制裁の部分的取り消し、交流の回復を通じ、北朝鮮による情勢安定化への行動を奨励すべきだ」と主張。早期の制裁解除まで求めている。習近平主席は米朝会談前後に平壌を訪問する予定だ。金正恩が訪中した時、米国の軍事攻撃を絶対に阻止すると確約したと言われている。
 国際ジャーナリストの春名幹男氏はこう言う。
「トランプ大統領本人が南北会談の成功を盛り立て、米朝首脳会談の雰囲気づくりに躍起になっている。11月の中間選挙に向けて成果を積み上げたい一心ですから、前提条件を上げてクギを刺してはいるものの、よほどの不測の事態でも起きない限り、米朝会談は実施されるでしょう」
 ディールのトランプ、戦略の金正恩。直接対決はさらに見ものになりそうだ。


南北首脳会談開催でも「騙されるな」と水を差し続ける日本マスコミの異常! 安倍政権の失政ごまかしに協力
 韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長が板門店で行った南北首脳会談は、朝鮮半島の平和や非核化はもちろん、朝鮮戦争終戦に向けても大きな可能性を感じさせる歴史的な会談となった。
 もちろんこれはスタートであり、今後も交渉に紆余曲折はあるだろうが、つい数カ月前まで、米朝開戦の危機が目前に迫っていたことを考えれば、この会談がいかに画期的だったかは誰でもわかる。
 実際、各国の政府も、「朝鮮戦争が終わろうとしている! 米国とその偉大な全国民は、いま朝鮮半島で起きていることを誇りに思うべきだ」とツイートしたトランプ大統領はじめ、一斉に歓迎の意を示している。あれだけ会談を妨害してきた安倍首相もトランプ大統領との電話会談で「歴史的な一歩」と言わざるをえなかった。 
 ところが、そんなかで首を捻りたくなる反応を見せているのが、日本のテレビ、新聞だ。南北会談が決まって以降も「韓国の暴走」「北朝鮮に騙されている」「対話より圧力」と会談そのものの開催を批判してきた日本のマスコミだが、文在寅大統領と金正恩委員長が固い握手をかわし、手をつないで38度線を超える映像が流されたあともあいかわらず、安倍政権に近いメディアやコメンテーターを中心に、対話に“冷や水”を浴びせかけるような報道、コメントが続出したのだ。
 代表的なのが、会談当日の『ひるおび!』(TBS)だろう。ゲストとして登場した政治学者の中林美恵子・早稲田大学教授が「これが本当に平和につながるのか」と牽制。両首脳が軍事境界線を越えて平和をアピールしたことを「おそらく世界中の人がほとんど騙されかけようとしてるんじゃないか」などと“フェイク”扱いする始末だった。さらに「世界がどう報じるかがいまこそ大事ですよね。これを間違って伝えると、間違ったワンステップになってしまう可能性がありますから」と、メディア報道に対してもプレッシャーをかけた。
 また、立川志らくは「北朝鮮に韓国が飲み込まれているようにも見えますね」「まだ信用しきるわけにはいかない」と警戒心を煽り、最近、安倍応援団であることをまったく隠さなくなった八代英輝弁護士も、金正恩委員長を「心の底からの笑顔ではないと僕は思ってますけども(笑)」などとからかいつつ、「(金正恩氏は)相当なおじさんキラーですよね」なるトンチンカンな論評で、首脳会談の意味を矮小化しようと必死になっていた。
 さらに八代弁護士は、「この融和ムードのきっかけというのはやはり、日米が中心となって、かつてない圧力をかけた結果、動き出したということですよね」と、驚くことに“蚊帳の外”である安倍政権の手柄にすり替える始末だった。
 他にも、読売テレビの『情報ライブ!ミヤネ屋』では、南北宣言がどういう内容になるかという話題のなかで、コメンテーターのガダルカナル・タカが「どんな決め事をしても、その文書にたいする効力を両国がどう思うのか。イメージで言うと、どちらの国も不可逆的という言葉の意味をあんまりご存知ないような気がするので」と言うと、MCの宮根誠司が「まあ、(約束を)守ってないですからね」と同調。スタジオはグロテスクな笑いに包まれていた。
NHK岩田記者は「南北関係だけが進展すると包囲網が崩れる」と会談批判
 さらに、夕方になって南北の共同宣言が出されると、各局のニュース番組はそろってキャスターや政治部記者らが「核放棄は具体的に宣言されていない」「今後、北朝鮮がどう動くかわからない」というふうに解説。“金正恩を信じるな!”の大合唱となってしまった。
 なかでも露骨だったのがNHK。たとえば『ニュース シブ5時』では、“安倍首相にもっとも近い記者”と言われる岩田明子解説委員が、「日米韓が連携して圧力をかけてきたから北朝鮮が対話を求めてきた」「南北関係だけが進展すると包囲網が崩れかねない」などと言い出し、まさに圧力一辺倒の安倍首相が乗り移ったかのような調子で、今回の南北会談が裏目に出るとの珍説まで展開したのだ。
 他にも、夜の『ニュース7』では国際政治学者の平岩俊司・南山大学教授が南北共同宣言について「朝鮮半島の非核化に具体的な道筋についての言及がなかった」「この共同宣言では高く評価することはできない」などと否定的に解説していた。
 また、FNN(フジテレビ)は、南北首脳会談が始まった直後に、「米『米朝会談決裂すれば“北”攻撃』と日本に説明」と題する奇妙なニュースを出した。「先週行われた日米首脳会談で、アメリカ側の出席者が、『米朝首脳会談が決裂すれば、軍事攻撃に踏み切るしかない』と日本側に伝えていたことが、FNNの取材で明らかになりました」という。
 おそらく、本音は強硬路線を取りたい安倍官邸が南北対話に水を差し、自分たちの失態を隠すために“米国は圧力路線を捨てていない”ことを強弁しようとリークしたのだろうが、まったく逆の状況が進行している南北会談の際中にこんな出所不明の適当な戦争扇動情報を出すというのは、神経を疑わざるを得ない。
 こうした態度はテレビだけではない。一夜開けた28日の新聞各社朝刊も、まるで申し合わせたかのように南北共同会談の評価に留保をつけている。
 とりわけ否定的だったのが政権寄りの読売新聞と産経新聞。たとえば読売は〈段階的な廃棄で、制裁緩和や体制保証などの見返りを得ることも狙っているのではないか。国際社会は警戒を続けねばなるまい〉〈拙速な(平和協定の)締結は、日米韓の離間を招き、北東アジアの安定を崩すことになりかねない〉などと書き、圧力維持が必要との見解をはっきりと示した。
 産経に至っては、〈融和の演出は十二分に行われたが、これで実質的にも大きな前進があったようにとらえるのは、大きな間違い〉と意義を強く否定し、〈「融和」に騙されるな〉との小見出しのもと、「北朝鮮が具体的な行動を取ることを強く期待する」と述べた安倍首相を〈当然である〉とヨイショし、〈「最大限の圧力」をかけ続けなくてはならない〉と追従。社説を韓国政府に対するこんな逆ギレで締めくくった。
〈文氏が安倍首相に対して取り上げることを約束した拉致問題は、共同宣言でも共同会見でも触れられなかった。どうなっているのか。日米韓の連携という基本を文氏は忘れてはならない。〉
安倍応援団が南北会談をエクストリーム攻撃、百田尚樹は“替え玉”説主張
 日本のマスコミの国際政治に対するセンスはどうなっているのか。冒頭でも指摘したが、この会談は朝鮮半島の平和や非核化はもちろん、日本の平和にとっても非常に大きな一歩だ。実際、29日には北朝鮮が6月中の核実験場閉鎖、外国メディアへの公開を発表するなど、南北会談を実現させたことで、情勢は確実に良い方向に向かっている。安倍政権ががなりたてていた「圧力一辺倒」では絶対にこんな状況にたどりつくことはできなかっただろう。
 つまり、理想主義的な意味合いでなく、マキャベリスティックに考えても、米韓が主導している対話路線が唯一最良の策であることはもはや疑う余地がないのである。にもかかわらず、なぜこの期におよんでなお、日本のマスコミだけが、「不十分だ」「圧力を続けるべきだ」「北朝鮮に騙されるな」など攻撃し続けているのか。
 その理由の一つはもちろん、安倍政権への忖度だ。本サイトで何度も指摘しているように、南北会談を必死で妨害してきた安倍首相だが、会談の開催が決定して以降、その情報を全く知らされず、蚊帳の外にいることを隠すために必死で「トランプ大統領と圧力に意地で一致した」「私が司令塔」などと、自分がコミットしていることを強調してきた。
 しかし、南北会談が実現し、米朝首脳会談の実現もほぼ確実になったが、客観的に見て安倍首相の貢献度はゼロに等しい。なにしろ、安倍首相はいまや、トランプ大統領からもほとんど無視されている状態なのだ。トランプは南北会談後、Twitterで「私の友人である習近平国家主席が、とりわけ北朝鮮との国境において、米国に素晴らしい手助けをしてくれたことを忘れないでほしい。習氏の存在抜きでは、もっと長くタフなプロセスになっていただろう」と中国の尽力に感謝したが、それとは対照的に、日本と安倍首相については28日夕方まで一言も触れなかった。
 28日夜になってようやく安倍・トランプの電話会談にこぎつけたが、文在寅・トランプの同日の電話会談が1時間15分だったのに対して、安倍首相の会談時間は30分。しかも、この30分というのも官邸がかなり盛っている数字で、実際は10分ちょっとに過ぎなかったのではないかといわれている。
 しかも、この状態はたんに安倍首相が恥ずかしい思いをしたというだけではない。南北、米朝の対話のなかで、拉致問題のプライオリティが低くなったのも、安倍首相が南北会談を妨害するような動きをして、交渉から外されたことによるものだ。
 いずれにしても、この南北会談実現で、安倍首相と政権の対北政策の失敗と“蚊帳の外”状態は隠しようがないところまできてしまった。そのため、安倍政権を忖度し続けてきたメディアやコメンテーターたちは、もはや大元の南北首脳会談が無意味なものであるかのように攻撃するしかなくなったのだ。
 実際、安倍応援団のコメンテーター連中にいたっては、「南北合意は不十分」「北朝鮮に騙される」ということを無理やり強弁するために、アクロバティックとしか思えないようなロジックまで持ち出してきている。
 その典型が「共同声明は『朝鮮半島の非核化』となっているが、『北朝鮮の非核化』でないと意味がない」なる主張だ。無条件で北朝鮮だけ一方的に非核化させろ、という主旨らしいが、だったら、彼らは韓国が核武装するのは認めるということなのだろうか。
 もはや錯乱しているとしか思えないが、さらに笑ったのが、作家の百田尚樹センセイだ。百田センセイは南北会談をdisりたいあまり、Twitterで握手する金委員長と文大統領の写真について、こんな替え玉説まで口走っていたのだ。
〈写真に映っている人物は明らかにニセモノやね。密室での会談では、本物が出てくるのかもしれんが〉
 ちなみに今朝の『ワイドナショー』(フジテレビ)で松本人志も金正恩は指して「これはホンモノなんですか?」と、百田と同じことを言っていた。
北朝鮮拉致タブーに縛られ「対話」を言い出すことができないマスコミ
 こうした御用メディアや安倍応援団の支離滅裂な言動は、森友・加計問題で彼らが見せた態度とまったく同じものだ。モリカケでは、小学生でも言わないレベルの無茶苦茶な安倍擁護を繰り返す彼らに対して“エクストリーム擁護”なるツッコミの言葉が登場したが、今回もまさに、安倍首相をなにがなんでも擁護するための“エクストリーム南北会談批判”と言ってもいいかもしれない。
 しかし、今回の南北会談を批判しているのは、安倍御用メディアや応援団だけではない。前述したように、むしろ、南北会談を前向きに評価しているメディアでさえ、最後には必ず「北朝鮮は信用できない」「圧力を続けていくべき」「慎重に対応しないと」などの意見を紹介して、留保することを忘れない。
 これはやはり、この15年間、日本のメディアを縛り続けている“拉致タブー”のせいだろう。2002年、小泉訪朝によって北朝鮮による拉致が明らかになると、国民の間には拉致被害者やその「家族会」への同情と、反北感情が巻き起こった。
 しかも、当時、官房副長官だった安倍晋三や、拉致問題に取り組んでいた極右団体「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(「救う会」)が中心になって、日本国民の反北感情を煽り、ある種の“愛国ヒステリー”のような状況をつくりだした。
 その結果、「圧力を強めて北朝鮮の体制を崩壊させる」ことが拉致解決の唯一の方法だという主張が日本社会を支配。少しでも北朝鮮との対話の必要性を口にしたり、妥協の道を探ることを提案したら、袋叩きにあうという状況が生まれてしまった。
 実際、日朝会談の仕掛け人である田中均・外務省アジア大洋州局長(当時)などは、拉致被害者帰国を実現させた功労者であるにもかかわらず、圧力強化に抵抗したことで、安倍氏らから「売国官僚」との徹底糾弾を受け、自宅に爆発物を仕掛けられるというテロ未遂被害にまであった。
 こうした攻撃にメディアは震え上がり、以来、北朝鮮問題を報じるときには必ず「北朝鮮の言い分を鵜呑みにしてはならない」「圧力を強化せよ」という一言を入れるようになってしまった。そして、北朝鮮との対話を模索すべき、という議論を一切封印してしまった。
 おそらく、今回、御用メディア以外のテレビ、新聞までが、南北首脳会談を前向きに評価できないのも、この記憶があるからだ。「北朝鮮への歩み寄りを少しでも評価したら、“売国”と総攻撃を受ける」という恐怖がメディアを縛り、無理やり「まだ具体的な成果はなにもない」「圧力を緩めてはならない」というエクスキューズを入れさせているのだ。
強硬路線一辺倒の安倍政権とマスコミが拉致問題の解決を遅らせた
 しかし、メディアは自分たちのこうした姿勢こそが、拉致問題の解決を遅らせてきた最大の原因だということをもっと自覚すべきだろう、
「圧力の強化」だけで拉致問題が解決できないこと、ある程度の妥協や対話が必要であることは、最初からわかっていた。ところが、安倍首相や「救う会」は、「家族会」を洗脳して彼らに北朝鮮への圧力強化を叫ばせ、それをやらせなかった。安倍首相や救う会が拉致問題解決でなく、自分たちの右翼思想や憲法改正に拉致問題を利用することを目的としていたからだ。その結果、拉致問題は解決の糸口さえ見えない状態になって、完全に放置されてしまった。
 そのことは、元家族会の蓮池透氏がはっきり指摘しているし、「家族会の顔」として活動してきた横田早紀江さんも、最近、「圧力一辺倒でよかったのか」と安倍首相らのやり方に懐疑的な姿勢を示している。
 しかし、マスコミは「強硬路線以外ありえない」というタブーに抗えず、こうした問題や対話の必要性をきちんと国民に知らせようとしなかった。
 そして今回、南北、米朝の対話の流れがでてきてからも、マスコミはまったく同じ轍を踏もうとしている。南北会談の開催が決まったときも、安倍首相の圧力政策が失敗であることは完全に明らかになったのに、そのことを一切報道しようとせず、国内の右翼勢力のことしか見ていない安倍首相の対北朝鮮強硬路線に乗っかり、「北朝鮮に騙されるな」と叫び続けたのだ。
 そのあいだに米中韓北の4カ国によって和平の枠組みが決まり、日本は蚊帳の外に追いやられ、拉致問題は後回しになってしまった。
 何度でも言うが、南北首脳会談から米朝首脳会談へと続くいまの対話路線は、はプラグマティックな視点から見ても、唯一にして最善の選択なのだ。それを「北朝鮮に騙されるな」「圧力を続けろ」などと攻撃して水をさそうとするのは、(改行をとった)安倍政権の“ネトウヨ脳”に侵され、戦中レベルの思考停止状態になっているとしか思えない。
 メディアもいい加減、目をさますべきではないのか。すでに流れは変わっているのだ。このまま愛国右翼趣味の無能宰相に引きずられていては、拉致問題が永遠に解決しないどころか、日本だけが“平和の蚊帳の外”に置かれてしまうことになるだろう。(編集部)


前川喜平・前文科事務次官が語る「加計問題に安倍総理が積極的関与」の“動かぬ証拠”
 全国各地を飛び回り、講演行脚を続けている前川喜平・前文科事務次官が4月15日、広島県尾道市で「今こそ伝えたい これからの教育、これからの日本」と題して講演を行った。そこから本四架橋を渡った先は、獣医学部が開学したばかりの加計学園がある愛媛県今治市。講演は教育がメインだったが、質疑応答に入って加計問題についての質問が出ると、前川氏は「待ってました」と言わんばかりに一気に語り始めた。
“あの人”のために、行政の私物化が行われた
「私は(加計問題では)行政が歪められたと思っています。公平さ、公正さ、透明性ではない。不公平、不公正、不透明。なぜ歪められたのかというと、『行政の私物化』が行われたから。本来の国民全体のためではなく、一部の人たちのために行政組織が使われてしまった。誰の私物化なのかというと、“あの人”の私物化だと(笑)。はじめから加計学園ありきだったのです」
 前川氏はさらに「重要な文書が最近になって出てきた」と語る。
「2015年4月2日、加計学園の事務局長、今治市企画課長、愛媛県地域政策課長の人たちがそろって官邸を訪れ、柳瀬唯夫さんという首相秘書官(当時)と面会した。その面会の際の記録が残っていました。同じ日の午前中には、内閣府に行って藤原豊さんという特区担当者からさまざまな話を聞いている。そちらの記録も『備忘録』ということで残っていました。これは『真正』、つまり本物だということを中村知事は断言しているわけで、私も愛媛県の担当者が作ったものだと思います。
 同じ文書が農水省からも出てきた。ですから、この文書の存在自体も内容も疑う余地はない。嘘を書く必然性はどこにもないですから。むしろ『この人はこう言った』ということを愛媛県(の担当者)は中村時広知事に、今治市は菅良二市長に説明をしないといけない。恐らく加計学園の事務総長も同様のメモを作っているでしょう。加計孝太郎(加計学園理事長)さんに説明をしないといけないでしょうから」
文書に書かれた内容は、言い逃れできない「動かぬ証拠」
 そして前川氏は、加計問題に安倍晋三総理が積極的に関与していたと断言した。
「そこに書かれているものは疑う余地がなく、安倍総理が自ら積極的に関与している。自ら意思表明・意思表示をしていることがハッキリしています。柳瀬氏が『首相案件だ』と言っていますが、柳瀬氏と首相の間に入っている人はいない。首相秘書官というのは首相と直接やりとりをする人ですから。その秘書官が『首相案件だ』と言っているということは『首相から言われた』以外にないわけです。
このやりとりの中に出てくる『加計孝太郎氏と会食をした』というのも事実でしょう。その際に、獣医学部新設が話題になっていることも書いてありますね。下村博文文科大臣(当時)が『加計学園に対して出した課題に対して回答がないというのがけしからん』と言っていたことを、安倍さんが加計孝太郎さんに言っているわけです。
だから文科省と加計学園の間には(下村文科大臣らと)やりとりがあって『回答が出ていないじゃないか。ちゃんとやってくれないと私も応援できないよ』ということを言下に言っていたのだと思います。
それが加計学園の事務局長に伝わって「『ちゃんとやれ』と言われたのだけれども、どうしたらいいのでしょうか」ということを事務局長が柳瀬氏に聞いているやりとりがあるわけです。これはもう『語るに落ちる』というか、ここでハッキリとしてしまっている。
安倍総理自身が積極的に関与しているのは間違いない。加計孝太郎さんとの間で加計学園獣医学部新設のことを話し合ったことは、この文書のようなものを“動かぬ証拠”と言うのです。
これを否定するのなら、それをひっくり返すぐらいの証拠がなければいけない。『覚えていない』というのを繰り返すだけではひっくり返せない。裁判になれば、決定的証拠として採用されるものだと思います。『言い逃れできない』と私は思います」
佐川氏も柳瀬氏も、政と官のゆがんだ関係の中でイジメられている
 こう言い切った前川氏は講演後、囲み取材に応じて「柳瀬さんにはどんな期待をされていますか」との質問にこう答えた。
「柳瀬さんはもう逃げられないと思います。『覚えていません』を100連発するしかないのだろうと思いますが、あまりにも惨めで、かわいそうですね。私は、そもそも佐川さんにも柳瀬さんにも同情と憐憫の気持ちがある。『政と官』の歪んだ関係の中でイジメられている。だから『悪いヤツ』というよりも『弱いヤツ』と言った方がいい。かわいそうだと。ジャイアンにいじめられているスネ夫のようなところがある」
 最後に「安倍総理は虚偽答弁をしたと前川さんはおっしゃいましたが、内閣総辞職、首相辞職に値すると思いますか」と聞くと、前川氏はこう断言した。
「あれだけ嘘をついたら、内閣総辞職に値すると思います。1年間も嘘をついていたわけですから」
<取材・文・撮影/横田一> ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数


京大立て看規制、大学は対話拒否 学生と対立、自由の学風どこへ
 京都大の吉田キャンパス(京都市左京区)の名物「立て看板」が、京都市の屋外広告物条例に違反するとして市から指導を受けている問題で、京大は新ルールを5月1日から適用し、大幅な規制強化に乗り出す。一部の学生は「表現の自由を奪う」と反発、4月30日に講演会を開いて問題を広く訴える予定だ。話し合いを求める学生の要求に大学は応じず、両者の対立は深まっている。
■立て看板すべて「違法の恐れ」
 「詳しくはビラか新勧担当」「子どもの居場所ボランティア募集!」「吉田寮への退去通告どうなん!?」。百万遍交差点の京大の石垣にカラフルな立て看板が並ぶ。運動部や文化系サークルなどの活動紹介や、学生寮に関するアピール、山極寿一総長を風刺するイラストと内容も多彩だ。学生だけでなく教職員も含め、学内外に向けてメッセージを発信する手段として定着している。
 しかし屋外広告を所管する市広告景観づくり推進室によると、石垣に立てかけたり道路上に設置されたりしている立て看板は全て条例や法律違反に当たる恐れがあるという。市は2012年度から京大に法令違反を是正するよう指導してきた。市によると、市内の他の大学では違反は確認していないという。
 指導を受けた京大は昨年12月、立て看板を大幅に規制する「京都大学立看板規程」を発表した。道路に面した場所の看板設置を認めず、大学が撤去できるという内容だ。キャンパス内についても、大学の公認団体だけが原則1カ月、指定場所にのみ、大きさ2メートル四方以内の看板を設置できると規定。市の指導以上の制約を課している。
■学生は反発、署名活動も
 反発した学生たちは、2月に自治会などが連名で、公開の場での話し合いや説明会を求める要求書を大学に出した。大学側は「既に決定されている」と拒否。3月には「5月1日から、キャンパス周辺の外構への設置が確認され次第、撤去する」という通知を出した。
 山極総長は3月の記者会見で「今回は特に強く文書で指導があった。学生の表現への思いは強いだろうが、われわれは市内の公的機関。何も対応しないということはできない」と強調した。
 学生有志は「立て看規制を考える集まり」準備会を立ち上げ、署名活動を続けている。関係する男子学生は「学生の自主的な文化芸術活動の案内や、大学と学生間でどのような問題が起きているかなど社会にアピールする重要な表現方法。多くの人に見られてこその立て看板だ」と強調する。
 30日の講演会は、京大出身の映画監督瀬々敬久氏を招き、午後5時から京大文学部第7講義室で開く。問い合わせは田所さん070(5269)9989。
■学内まで規制強化に違和感
 屋外広告の法規制に詳しい高村学人・立命館大教授(法社会学)の話 憲法は表現の自由を保障しており、京都市の屋外広告物条例でも、非営利よりも営利目的の広告を厳しく規制する価値序列を設けている。規制すべき商業広告はまだ多く、何十年と続く立て看板に対しては条例を柔軟に運用すべきだ。指導対象外の学内まで、京都大が独自に規制を強める方針にも違和感がある。安全面に最大限に配慮し、京大生ならではのユーモアあふれる立て看板で通行人をくすりと笑わせ続けることができれば、多くの市民に受け入れられるのではないか。
<京都大立て看板問題>
 京大では道路に面した場所に立て看板を設置する習慣があり、従来から設置主体や大きさを制限する学内の規定はあったものの、柔軟に運用してきた。京都市は2007年度、景観保護と安全性確保の観点から市全域の看板の規制を強化するため屋外広告物条例を改正し、指導を強化。市によると、石垣に看板を掲げることは同条例で禁じており、路上に看板を置くことは道路の占有を禁じた道路法違反の可能性が高いという。


部落解放リーダー朝田善之助の記念館 京都、7月オープン
 京都から戦前戦後を通じ部落差別反対運動を引っ張るリーダーの一人だった朝田善之助(1902〜83年)の蔵書や解放運動の冊子など約5万点を収蔵する「朝田善之助記念館・付属図書室」が29日、京都市左京区浄土寺西田町に完成し、内覧会があった。戦前からの貴重な運動資料を含み、公益財団法人朝田教育財団が研究や差別問題を考える拠点として7月にオープンする。
 朝田は京都市左京区の被差別部落に生まれ、全国水平社創立大会(22年)に参加。京都市のオールロマンス事件などを通じ差別行政反対闘争の理論的基礎を築き、67年から部落解放同盟中央執行委員長を務めるなど、戦前戦後を通じ全国の部落差別解放運動の先頭に立った。
 記念館は木造2階建て延べ約160平方メートル。朝田の蔵書や手元にあった運動資料など寄贈された約5万点を収蔵する図書館とし、市民や研究者の調査に利用してもらう。被差別部落の地名や人名などの記載がある歴史資料は閉架式の資料庫に収め、人権に配慮した利用のあり方を数年かけて探る。左京区の市営住宅の居室に若者たちを招き学習や議論を重ね、多くの運動家を育てたことから、愛用の家具などで居室を再現したコーナーも設けた。
 竣工(しゅんこう)式には孫の朝田華美さん(63)や門川大作京都市長らが参加。朝田教育財団の松井珍男子理事長は「差別と闘い続けた生きざまに学び、人権啓発の場にしたい」と話している。

三保の松原から富士山/今川さん/静岡おでん

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PERU180325

Japon : un concours de pleurs de bébés
Une tradition étonnante se déroule à Tokyo au Japon : une compétition de pleurs de bébés.
Portés par des sumos amateurs, les bambins s'affrontent sur un ring installé devant un temple à coups de cris et de larmes.
Un événement qui peut nous paraître scandaleux, mais au Japon, un bébé qui pleure, c'est un signe de bonne santé.
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フランス語の勉強?

静岡に来ました.駅前のネットカフェで一服してから清水駅へ.レンタサイクルをホテルで借りました.水上フェリーで移動もできるそうですが,よくわからず自転車で三保の松原に行ってみました.結構遠いです.でも三保の松原から富士山がキレイに見えました.それに波の音は聞いていて飽きません.駿河湾でのんびりです.お昼はマグロズケ丼
駿府串まつりで今川さん.静岡のご当地キャラは今川義元みたいです.その後の神楽はよくわかりませんでした.
静岡おでんをいただきました.ふわとガツが???

大川小控訴審判決 組織的過失認定に文科相言及せず
 石巻市大川小津波事故訴訟の控訴審判決で仙台高裁が26日、学校側の組織的過失を認めたことに関し、林芳正文部科学相は27日の閣議後記者会見で「宮城県や石巻市と遺族との間の訴訟なのでコメントは控える」と述べた。
 判決が、教育行政や学校現場に及ぼす影響についても言及はなかった。「文科省は震災の教訓を基に、実情を踏まえた安全推進体制の構築支援に取り組んできた。引き続き災害時に児童生徒の安全が確保されるように努める」と話した。


気仙沼の国有形文化財「武山米店」 被災建材で「昭和」復元、営業再開へ
 東日本大震災の津波で被災した気仙沼市魚町の国登録有形文化財「武山米店」の復元工事が終わり、30日に営業を再開する。被災建物の資材が6割以上使われ、昭和初期に建てられた当時の雰囲気が残った。
 気仙沼大火があった翌年の1930年に建てられた店舗兼住宅は、津波で1階部分が被災。米穀店を運営する有限会社「武山」は2011年5月から市内の倉庫兼店舗で営業を続けてきた。
 同社は被災した建物を解体し、柱など約3分の2の建材を保存。かさ上げした元の土地で旧建物を再現した。隣接する蔵も修復。住居としては活用しない。
 木造2階延べ床面積257平方メートル。1階は店舗と事務所があり、2階の和室を一般公開する。蔵には新旧の炊飯器を並べた「炊飯博物館」を設け、稲の歴史などを説明するパネルも展示する。蔵と店舗を結ぶ平屋も増築し、調理場付き交流施設として活用する予定。
 再建費用は1億数千万円で、歴史的建造物の保存を目指す市の一般社団法人「気仙沼風待ち復興検討会」の基金なども活用した。
 27日に報道関係者に建物を公開した同社の武山文英社長(70)は「多くの方々の支援で再建することができた。内湾地区のにぎわいにつなげたい」と話した。
 風待ち復興検討会の菅原千栄会長(65)は「気仙沼市の復興のシンボルとしての役割も担ってほしい」と期待している。


潮風トレイル22キロ開通 来月6日記念イベント
 東日本大震災で被災した東北太平洋岸に国内最長の自然歩道を設け、歩いて復興を支援する環境省プロジェクト「みちのく潮風トレイル」で、名取、岩沼両市の約22キロが24日、開通した。ルート沿いには仙台空港が立地し、本部も置かれることから、関係団体はPRイベントなどを通じて、海外からもハイカーを呼び込みたい考えだ。
 開通したのは名取市側約10キロ、岩沼市側約12キロ。仙台市境に架かる閖上大橋から亘理町境の阿武隈橋までの沿岸部で、沿線にはゆりあげ港朝市や仙台空港、津波の威力を減衰させる緑の防潮堤「千年希望の丘」、ヒツジ牧場「いわぬまひつじ村」などがある。
 同省東北地方環境事務所の常冨豊次長が24日、両市役所を訪問。山田司郎名取市長と菊地啓夫岩沼市長にそれぞれ、ルートなどを記した地図を手渡し、「国内、海外のさまざまな方に歩いてもらいたい。仙台空港がその玄関口となることを期待する」と述べた。
 地図はトレイルの公式サイトから閲覧、取り寄せが可能。取り寄せ申込書は同サイト上でダウンロードできる。
 同省は八戸市から相馬市までの4県28市町村に全長900キロ超のルートを設定する。名取、岩沼両市内を含め既に約711キロが開通。名取市閖上地区では本部機能を持つ「トレイルセンター」が建設中で、12月の完成後は沿線五つの支部を統括し、ハイカーへの沿線情報提供などを担う。
 開通を記念し、名取市は5月6日午前9時からウオークイベントを開く。対象は市民か市内への通勤、通学者らで、定員約50人。連絡先は市クリーン対策課022(724)7159。


地域の安全再び守る 野蒜、牡鹿駐在所が移転新築
 東日本大震災の津波で流失し、移転新築した石巻署野蒜駐在所が東松島市野蒜ケ丘の防災集団移転団地内に完成し、現地で27日、落成式があった。23日には石巻市鮎川浜の牡鹿駐在所でも落成式があり、同署の被災交番・駐在所計7施設のうち、野蒜、牡鹿両駐在所を含む4施設が復旧した。
 野蒜駐在所は震災前の場所から約1.3キロ内陸側に移った。木造平屋約105平方メートル。宮野森小の向かい側に位置し、所員1人が勤務する。
 落成式で佐々木公署長は「震災後、コミュニティーの変化でこれまでと違う課題が出ている。地域に密着し、地域の安全を守っていく」とあいさつした。渥美巌市長は「待ちに待った完成。市民に親しまれる駐在所であってほしい」と歓迎した。


岩手・大槌 あす「風の電話」庭園で音楽祭 町出身の音楽家ら出演
 東日本大震災の遺族に亡き人と語り合ってもらう「風の電話」が設置されている岩手県大槌町の庭園で29日、音楽祭がある。癒えない悲しみを共有し、未来を担う子どもたちに想像力や感性を育んでほしいと、有志でつくる実行委員会が企画した。
 風の電話に思いを寄せる町出身のトランペッター台隆裕さんら音楽家や、小中学生の合唱団が出演する。
 所有する庭園の一角に回線のつながっていない電話ボックスを設置した佐々木格(いたる)さん(73)も実行委の一人。音楽祭で「見えないものを見て、聞こえないものを聞く力を子どもたちに伝えたい」と語る。
 震災後、生き残った者の道しるべを探していた佐々木さんは宮沢賢治が提唱する「利他の精神」に感銘を受けた。大槌宮沢賢治研究会を結成し、詩碑の建立などに取り組んできた。
 佐々木さんは「震災を悲しむだけでなく、一人一人が生き方を考えて未来に生かさなければいけない。世界から音楽家が集い、子どもたちが本物に触れられる音楽祭に育てていきたい」と話す。
 午前11時〜午後3時。参加無料。30日には風の電話と賢治をテーマにした佐々木さんの講演もある。連絡先は佐々木さん0193(44)2544。


<女川原発>大津波高さ22メートル想定 東北電力が震災3年前
 東日本大震災の3年前の2008年3月、東北電力が、女川原発(宮城県女川町、石巻市)の敷地が水没する高さ18〜22メートルの津波想定をまとめていたことが27日、分かった。東京地裁であった東京電力福島第1原発事故の公判で、東北電が太平洋沿岸に原発を持つ東電、日本原子力発電などに想定を説明した会議の資料が示され、明らかになった。
 東電も08年に第1原発に最大15.7メートルの津波が達する想定をまとめたが、津波対策は先送りされた。東北電、東電ともに「東北の太平洋岸ではどこでも大津波の危険がある」とした02年の政府・地震調査委員会の長期評価を踏まえた計算結果で、両社は同じように原発の敷地を超える大津波を想定していたことになる。
 東北電は建設時に女川原発の敷地を高くしており、震災の津波にも耐えたが、過去に敷地が水没する想定をしていたことはこれまで明らかにしてこなかった。
 東北電は1896年の明治三陸地震津波を基に計算。宮城県−福島県の沖合で同様に地震が起きた場合、女川原発に達する津波は高さ18.16メートルで、14.8メートルの同原発の敷地を大きく上回った。
 さらに想定が過小評価である恐れを考慮すると22.79メートルまで上昇した。


筆洗
 止まった時計というものがある。例えば長崎。原爆の爆風によって、十一時二分で止まったままの柱時計は、記憶が薄れることへの警鐘のように、原爆の悲惨を伝え続ける。東日本大震災をはじめ、大きな災害にも時計はあった。二度と動かない針は取り返せないものの象徴だろう▼一九五三年に休戦協定が結ばれてから六十年以上、板門店も時が止まったような空間ではなかったか。軍事境界線は南北各二キロに地雷が多数埋まった恐怖の世界でもある。幅五十センチ、高さは五センチほどだろうか。軍事境界線の縁石を北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、簡単に越えた▼うれしそうに、韓国の文在寅大統領と手をつないで行き来するのを見て、針が動き始めたように思えた。南北を結ぶあの通路も、警備の人々の姿も、永遠に変わらない景色ではないかと感じていたが、世界に背を向けてきた正恩氏その人が「なぜこんなに時間がかかったのか」と話すのをニュースで聞けば、時代が変わるのかと感じずにいられない▼もちろん、これから順調に時が刻まれはしないだろう。非核化の具体的な道筋も明らかではない▼<本当の和解とは、ただ過去を忘れ去ることではない>。ネルソン・マンデラ氏の言葉だ。両首脳は笑顔を浮かべ続けたが、真の和解も、長く困難な道だろう▼そして、止まった拉致問題の時も、先に進むことを切に願う。

大川小高裁判決/事前防災の重要性示した
 子どもの命を預かる学校は、より高いレベルで災害に備えるべきだ。司法が防災の新たな指針を示したといえる。
 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童23人の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決だ。仙台高裁は市や学校の震災前の防災体制が不十分と初めて過失を認定し、約14億3600万円の賠償を命じた。
 一審は、津波が来る直前の教職員による誘導に過失を限定したが、高裁は事前防災の組織的な不備に問題の核心があったと踏み込んだ。必要な危機管理があれば、74人の児童と教職員10人の命が奪われる事態は避けられたと判断した。
 当事者だけでなく、学校の安全対策を進める全国の教育関係者も重く受け止めるべきだ。
 大川小は津波浸水予想区域外にあり、地域の避難場所にもなっていた。このため市側は、津波の予見は不可能だったと主張していた。
 高裁判決は、津波がさかのぼった北上川沿いにある大川小の危険性は十分に予見でき、避難場所に指定していたことは「誤りだった」と断じた。
 注目されるのは、災害時に避難する場所や方法が明確でなかった危機管理マニュアルの不備を指摘したことだ。改定する義務を怠った校長と指導しなかった市教委を厳しく批判した。
 高裁判断の基本にあるのは、児童生徒の行動を拘束する立場にある学校の責任の重さだ。
 津波が到達したのは地震発生から51分後で、高台への避難には十分な時間があった。だが、教職員らが対応を協議して避難開始の決定が遅れ、多くの犠牲者を出す悲劇を招いた。
 避難場所や児童引き渡しのルールなどを定めたマニュアルが広く周知されていれば、冷静な判断と行動ができたはずだ。
 判決は、平時の備えを組織として積み重ねることの重要性を教育現場に突き付けている。
 兵庫県内では、南海トラフ地震による被害が想定されている。学校ごとにマニュアルの不断の見直しが求められる。
 それは自治体や企業などでも同様だ。地域で共有しながら、実情に応じた危機管理を構築していかねばならない。


河北春秋
 例年5月初めが満開だという山里の桜を先日、少し早く眺めた。福島県飯舘村の長泥地区。福島第1原発事故後、帰還困難区域とされた。通行止めのバリケードの内側の峠道に、見る人もない桜並木が続いている▼「半世紀以上、大事に育ててきた」と行政区長の鴫原良友さん(67)。村は昨年3月末に避難指示を解除されたが、長泥では住民が要望した除染の計画もなく、74世帯の住民の多くは福島市など避難先で新しい住まいを得た▼復興拠点。国が帰還困難区域で除染とインフラ整備を行い、住民が帰還できる場を設ける事業だ。利便な地区が条件とされ、村はずれの長泥は国から一度、対象外と扱われたが、事情は一変。県内の被災地で5番目となる復興拠点づくりがこのほど決まった▼「もろ手を挙げて賛成したわけではない。受け入れねば古里に希望は見えず、苦渋の選択だった」。再生される約110ヘクタールの農地には、除染された土が造成の資材として再利用される。環境省が先に工法の安全性を試験で確かめ、国内初の実用化事業とされる▼国は5年後までの避難指示解除を目指し、計画される公営住宅に鴫原さんも入るつもりだ。「今も草刈りや神社の祭りに20人余りが集まる。皆、60〜70代だが、自分は体の続く限り古里を守りたい」

きょうから多賀城で「東大寺と東北」展
 東大寺の寺宝を公開する特別展「東大寺と東北 復興を支えた人々の祈り」(復興祈念−東大寺展実行委員会主催)が28日、多賀城市の東北歴史博物館で開幕する。27日に開会式が同館であった。
 実行委員長の菊地健次郎多賀城市長が「東大寺は人々の力を結集して復興してきた。この歩みを被災地の未来に重ね、道しるべとしたい」とあいさつ。第222世東大寺別当の狹川普文(さがわふもん)氏は「宝物が伝承されてきたのは、人々が懸命に守ってきたから。その思いを感じてほしい」と述べた。
 特別展成功と復興を祈願する東大寺による法要もあった。
 同展は、創建当時に造られた「誕生釈迦(しゃか)仏立像・灌仏(かんぶつ)盤」(国宝)や、鎌倉時代に復興に尽力した重源上人の晩年を表した「重源上人坐像(ざぞう)」(国宝)など計170点を展示し、東日本大震災からの復興を祈る。
 6月24日まで。午前9時半〜午後5時。月曜休館。観覧料は一般1500円、小中高校生600円、65歳以上1300円。


東北放射光施設「仙台案」 行政負担割合示さず
 東北大青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)への次世代放射光施設の整備を目指す産学連携組織「光科学イノベーションセンター」(同)と宮城県などが文部科学省に提出した提案書の内容が27日、分かった。地元が負担する150億円の財源はセンターが主体となって確保するとしたが、県や仙台市の具体的な負担割合は示さなかった。
 提案書によると、センターはビームライン10本のうち5〜7本(40億円)を整備。建屋(85億円)と研究準備交流棟(25億円)は整備主体となり、「地域一体で支援する」とした。財源は企業からの1口5000万円の出資金を充てる。県が造成費用を負担することは明記された。
 研究開発拠点の集積に向けた新たな自治体支援は、県が「地域未来投資促進法に基づく税負担軽減などの支援を検討する」と記すにとどまった。
 提案書について、文科省の担当者は「科学技術・学術審議会の小委員会できっちり審査する」と話している。同省は6月、選定結果を発表する。


南北首脳会談/非核化へ具体的な道筋示せ
 綿密に練られたシナリオ通りだったのだろうか。北朝鮮の完全な非核化に向け、明確な意思と行動を確認する場とはならなかった。
 10年半ぶりの南北首脳会談がきのう、融和ムードの高まりの中、軍事境界線のある韓国側の板門店で開かれた。
 韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が初めて膝詰めで協議。共同宣言で両首脳は「南北は完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島を実現するとの目標を確認した」と表明した。
 漠然とした内容で日米など国際社会が求める「完全で、検証可能な後戻りできない非核化」とは隔たりが大きい。「新たな歴史の出発点」とうたった割には、期待外れの印象が拭えない。
 しかも「朝鮮半島の非核化」は、在韓米軍撤退も含む南北双方の取り組みを指す。従来の北朝鮮の主張の焼き直しにすぎないのではないか。
 6月初旬にも開かれる米朝首脳会談に引き継がれさらに議論を深めることになろう。
 北朝鮮は宣言内容をどう実行していくのか。口先だけでなく行動を通じ、具体的な核兵器廃棄の工程計画を示さねばならない。安倍晋三首相も「具体的な行動に期待する」とくぎを刺している。
 宣言では、現在も休戦状態にある朝鮮戦争(1950〜53年)の終戦宣言を年内に行い、「平和協定」に転換する。米中を交えた4カ国で推進することも合意した。
 朝鮮半島の平和構築は非核化とリンクする重要な課題だ。正式な戦争終結は北朝鮮に対する米国の敵視政策をストップさせ、体制の保証を取り付ける根拠になるからだ。
 「体制保証と米軍の軍事的脅威がなくなれば、核を保有する理由はない」と今年3月に韓国特使団に伝え、非核化議論に火をつけたのは金氏自身である。
 国家体制の永続こそ北朝鮮の最終目標だ。この脈絡から言っても、北朝鮮は半島の平和に向けた取り組みとともに、核放棄を速やかに実行に移す必要がある。
 これまでのように問題を先延ばしして、様子を見ながらその都度見返りを求める手法は到底許されまい。
 安倍首相が文氏に提起を要請した拉致問題は、宣言の中には見当たらなかった。トランプ氏も米朝会談で議題に取り上げることを請け合っているが、もとより他国に頼るような問題ではない。
 北朝鮮が今後、注力するという経済建設の道筋では日本の経済支援が不可欠だ。政府はさまざまなチャンネルから日朝会談を自力で設定する努力を行うべきだろう。
 朝鮮戦争の休戦協定から65年。平和協定の道筋を付け、共同宣言に最低限「非核化」の文言を盛り込んだ。それも歴史の一歩とはいえる。このことが東アジアの実質的な平和と安定にどうつながるか。ゴールはまだ先にある。


11年ぶりの南北首脳会談 非核化への流れ止めるな
 最大の課題だった北朝鮮の核・ミサイル問題よりも、南北の融和を優先させた印象は否めない。それでも、ようやく芽生えた非核化の流れを決して止めてはならない。
 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が南北軍事境界線のある板門店で会談し、共同宣言を発表した。
 今回の会談は、6月までに行われる米朝首脳会談を前にした「橋渡し」との位置付けだった。金委員長には、北朝鮮の外交や軍の責任者が随行していた。核問題で思い切った決断がなされるとの期待感があった。
 しかし、発表された「板門店宣言」では「完全な非核化により、核のない朝鮮半島を実現するとの共通の目標を確認した」との表現にとどまった。会談後の共同発表で、金委員長は「我々の民族の新しい未来」などと南北関係改善を強調するだけで、核問題に触れなかった。
演出された融和ムード
 「朝鮮半島の非核化」は、米国による韓国への核の傘を問題視する北朝鮮に配慮した表現だ。韓国政府は「米朝の立場をすべて考慮した現実的な方法を議論する」と説明する。議論の行方次第では在韓米軍の縮小や撤退に道を開きかねない。
 米朝首脳会談を前に原則的合意にとどめたのかもしれないが、北朝鮮の具体的な行動が盛り込まれなかったのは残念だ。
 一方宣言では、朝鮮戦争の終戦宣言を年内に行うと明記された。中でも平和協定への転換に向け「南北と米の3者ないし南北米中の4者会談の開催を積極的に推進する」との合意は目を引く。
 これまでも2007年の南北首脳会談後の共同宣言で「直接関連する3者ないし4者の首脳が朝鮮半島地域で終戦を宣言する」と盛り込まれたことがある。朝鮮戦争の休戦協定は米国を中心とする国連軍と、北朝鮮軍及び中国軍が署名した。韓国は休戦協定に反対して署名しなかったが、現場は朝鮮半島だった。
 休戦状態が完全な終戦に向かえば、日本をはじめとする北東アジアの安定化に大きく寄与する。年内と区切ったのは、北朝鮮の非核化を同時に進める狙いがあるのだろう。
 そうであればこそ、日本やロシアも加わる枠組みが必要だ。北朝鮮の核問題は、朝鮮戦争終結のレベルにとどまらず、この地域の安全保障環境に重大な影響を与えている。韓国政府は、地域の平和構築に向けた協議の重要性を改めて検討すべきだ。
 きのうの会談では終始、南北融和ムードが演出された。金委員長は徒歩で軍事境界線を越え、北朝鮮の最高指導者として初めて韓国側に足を踏み入れた。板門店宣言署名後、両首脳は抱き合った。
 金委員長は核開発の当事者であるにもかかわらず、文大統領が金委員長の「勇気と決断」を盛んに持ち上げたのは奇異でもあった。
合意の肉付けが必要だ
 今回の会談について、トランプ米大統領は「良いことが起きている」と歓迎した。北朝鮮は米朝首脳会談での成功を目指し、当面融和姿勢を取り続けるだろう。また文大統領には、朝鮮半島を再び危機に陥れないとの強い思いがある。
 南北は合意と破棄の歴史を繰り返してきた。1972年には平和的な統一で合意した南北共同声明を発表した。92年には南北非核化共同宣言を発効したが、いずれも完全な履行には至らなかった。
 このため、文政権は今回、米国との連携に力点を置いた。日本や中国など周辺国との協調姿勢も示している。着実な合意履行のため、韓国政府は今後も国際社会との連携を重視すべきだ。合意が着実に履行されれば、米朝首脳会談での北朝鮮の非核化議論を後押しするだろう。
 北朝鮮は核保有国としての立場に変化はなく、米国と軍縮交渉に臨むに過ぎないとの否定的な見方と、場合によっては核放棄を含めた大胆な決断もありうるとの観測が交錯している。
 とはいえ、北朝鮮核問題解決に向けた好機との見方は関係国の一致するところだ。合意履行が不十分な状況での行き過ぎた融和政策は禁物だが、信頼関係構築に向けて努力すべき時でもある。
 安倍晋三首相は「北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的な解決に向けた前向きな動き」と評価してみせたが、内容の論評は避けた。北東アジアの平和と安定のために日本が果たすべき役割を改めて検討すべきだ。


南北首脳会談 非核化へ具体的に行動を
 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が会談し「板門店宣言」に署名した。
 「完全な非核化を通して、核のない朝鮮半島を実現する」ことを共同目標とした。休戦状態が続く朝鮮戦争の終戦を年内に宣言することも盛り込んだ。
 宣言に「完全な非核化」を明記した意義は大きい。
 70年以上にわたる南北分断を決定づけた朝鮮戦争を終わらせることも、北東アジアの平和と安定には不可欠である。
 ただそこに至る道筋を示したとは言えない。
 金氏は会談で「対決の歴史に終止符を打つために来た」と語り、生中継のカメラの前でも合意を「徹底履行する」と強調した。
 言葉だけではなく、実際に行動が伴わなければならない。
 過去の合意は北朝鮮の核・ミサイル開発や挑発的な軍事行動により、ほごにされてきた。同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。
 日米韓など国際社会が求めているのは「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」である。
 金氏は6月上旬までに開かれる史上初の米朝首脳会談に向け、完全非核化の手順、方策を具体的に示す必要がある。
■宣言の履行が大切だ
 金氏は、朝鮮半島を分断している軍事境界線を北朝鮮のトップとして初めて越え、韓国側に足を踏み入れた。
 文氏が笑顔で出迎え、2人は固い握手を交わした。そろって北朝鮮側に入る場面もあった。
 南北の融和を内外に強く印象づける狙いがあるのだろう。
 だが、大切なのは融和のイメージづくりではないはずだ。
 金氏は先に核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)試射の中止を表明した。
 一方、開発済みの核兵器や日本も射程に入る中・短距離の弾道ミサイル廃棄には触れなかった。
 今回の宣言でも、この点は明確になっていない。はっきりと廃棄を約束すべきである。
 いつまでに完全な非核化を実現するのかや、査察の受け入れなど非核化の検証の仕方を明示する必要があるのも当然だ。
 気になるのは、金氏が記者団の前で「非核化」という言葉を使わなかったことだ。
 北朝鮮の核実験は6回にのぼり、ICBMは完成間近とされる。
 合意にある「核のない朝鮮半島」を目指す際、米軍が韓国に与えている「核の傘」や、在韓米軍の縮小、撤退が協議の対象になる可能性もある。
 宣言では、完全な非核化は南北の「共同目標」と位置付けた。韓国が果たす責任も重くなる。
 日米とも連携し、北朝鮮の真意を慎重に見極めつつ、北朝鮮が後戻りすることのないよう、促していかなければならない。
■和解に向けた一歩に
 朝鮮戦争の終結、そして南北の統一は民族の悲願である。
 日本の植民地統治をへて米国と旧ソ連によって分割された朝鮮半島は、朝鮮戦争で同じ民族の血を流す悲劇を経験した。
 数百万人が死亡し、1千万人を超える離散家族も生んだ。
 3年後に北朝鮮と米国、中国との間で休戦協定が結ばれたが、今も軍事境界線をはさむ非武装地帯(DMZ)では双方の兵士がにらみ合いを続ける。
 南北双方が機関銃や対戦車ロケット砲を装備し「世界で最も重武装された国境」とも言われる。
 2000年、金大中大統領、金正日総書記の間で開かれた初めての南北首脳会談では、南北それぞれの統一案に共通点があることが確認された。
 しかし、北朝鮮が対立と不信をあおり、実を結んでこなかった。
 今回の宣言には、休戦協定を平和協定に転換するため米中を交えた会談を推進していくことも明記した。今度こそ、和解と統一が前に進むことを期待したい。
 文氏が北朝鮮の首都平壌を今秋訪問することや、南北共同連絡事務所を北朝鮮・開城に設置することでも一致した。
 朝鮮半島で緊張が緩和され、対立が解消されることは、北朝鮮の非核化を後押しすることになるだろう。逆に朝鮮戦争を終結させなければ、完全な非核化は望めないとも言える。
■日本は戦略練り直せ
 板門店宣言に日本人拉致問題についての記述はなかった。
 北朝鮮と米韓の交渉が進む中、圧力一辺倒の日本は、自国の問題について両国に要請するしかない立場に追い込まれている。
 首相は「私が司令塔となって北朝鮮に早期解決に向けた決断を迫っていきたい」と強調する。
 だが、司令塔となりうるだけの条件を整えているのか。戦略の練り直しが求められる。


南北首脳会談/核放棄にどうつなげるか
 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が、軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)の韓国側施設で会談した。
 両首脳は「南北は完全な非核化を通して、核のない朝鮮半島を実現するという共通目標を確認した」とする共同宣言に署名した。年内に朝鮮戦争の終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換するため、米国や中国を交えた会談の推進でも合意した。
 非核化の表明は、世界の平和にとって前進である。朝鮮戦争を巡る戦争状態に終止符を打つことも東アジア地域の安定に大きな意味を持つ。
 一定の評価はできる。これを核の放棄につなげたい。
 ただ、非核化の完了時期や検証方法などに触れていない。ミサイル放棄についての記述もなかったことは、不満が残る。
 南北首脳会談は10年半ぶり、通算3回目となる。過去の会談では、南北統一の推進や交流・経済協力の強化で合意し、離散家族再会など一定の成果も見られた。だが、北朝鮮が核・ミサイル開発を継続し、合意の多くが棚上げとなった。同じことを繰り返してはならない。
 共同発表で文氏は「われわれは決して、後ろには戻らない」と述べた。金氏は「全ての合意を徹底履行する」と強調した。そのためには両国の緊密な連携が不可欠になる。
 前提となるのは信頼関係だ。首脳間の直通電話の開設や当局者が常駐する事務所の設置なども決まった。秋には文氏が平壌(ピョンヤン)を訪問する。一つずつ丁寧に積み上げてもらいたい。
 一方、日本人拉致問題についての言及はなかった。文氏は安倍晋三首相に、拉致問題を「金委員長に述べる考えだ」と話していた。日本政府は、韓国政府の説明を聞いて解決に結びつける方法を探らねばならない。
 今後の焦点は6月上旬までに予定される米朝首脳会談に移る。今回の会談で、文氏は米朝間の仲介役として役割を果たしたとも言える。
 トランプ米大統領はツイッターで南北会談を「良いことが起きている」と評価した。核・ミサイルの放棄に向けて、具体的な協議をどう進めるのか。これまで以上にトランプ氏の手腕が問われることになる。


南北首脳会談 非核化宣言を行動へ
 十年半ぶりに開かれた南北首脳会談で、焦点となっていた核問題は、「完全な非核化」で双方が合意し、宣言文に盛り込まれた。次は実行に移す段階だ。
 これほど南北の距離が縮まり、首脳会談、そして共同記者会見まで行われるとは、誰も想像できなかったに違いない。
 昨年北朝鮮は、ミサイルの発射実験を十五回繰り返した。「水爆実験」と称する六回目の核実験まで強行した。
 米国との軍事衝突の危険性がささやかれ、不安が高まった。
◆想像できない接近
 ところが今年一月一日になって金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が新年の辞を発表し、一転して韓国で開かれる平昌冬季五輪への協力を表明し、一気に動きだした。
 まず北朝鮮を対話に導いた文在寅(ムンジェイン)・韓国大統領の粘り強い努力を高く称賛したい。
 韓国側で会談に応じた正恩氏の決断も評価したい。
 その上で、首脳会談後に発表された「板門店宣言」を見ると、不十分な点もある。
 会談の最大の焦点だった「非核化」については、「完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」という表現になった。
 韓国は、これまで正恩氏が間接的に表明してきた「核放棄」の意思について、「完全な非核化」という表現で、宣言文に盛り込むことを目指していた。
 そして、六月初旬までの開催で調整中の、米朝首脳会談につなげる考えだった。
 北朝鮮側は、韓国側を含めた「朝鮮半島の非核化」を主張しており、将来的な在韓米軍の縮小、撤退を念頭に置いているようだ。
 正恩氏は共同記者会見で、「過去に結ばれた南北の宣言についての徹底した履行」を求めた。
◆非核化で食い違い
 これは一九九一年十二月に韓国との間で合意、発表した「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」を指すとみられる。そうなら、北朝鮮は自国だけの非核化を、拒否しているとも受け取れる。
 核問題について北朝鮮は今月二十日、朝鮮労働党中央委員会総会を開き、核実験や、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の中止と、北東部・豊渓里(プンゲリ)核実験場の廃棄を決定した。
 この決定には、核放棄をうかがわせる表現がなく、逆に「核保有国宣言であり、核は放棄しない」と受け取る見方もある。
 宣言は、南北の食い違いを残したまま意見を折衷した。それでも正恩氏の非核化への意思を、文書化できたことは価値がある。
 合意文を土台に、北朝鮮はできるだけ早く、核施設の公開、査察の受け入れといった具体的行動に進むべきだ。実行がなく理念ばかりなら、米朝首脳会談は不調に終わってしまう。
 さらに発表文には、朝鮮戦争(一九五〇〜五三年)について、区切りをつける「終戦宣言」が盛り込まれた。
 朝鮮戦争は休戦中であり、法的には戦争が継続している。
 南北は「いかなる武力もお互いに使わない」とし、平和的な共存を宣言した。北朝鮮は体制の存続に安心感を抱き、核放棄へ踏みだしやすくなるだろう。
 朝鮮半島の緊張状態を根本的に解消するには、朝鮮戦争の正式な終結が欠かせない。
 今後、南北朝鮮、米中の関係国首脳が集まり、この宣言を再確認したうえで、休戦協定を平和協定へと早急に切り替えるべきだ。
 この他、南北首脳会談の定例化に合意した。秋には文氏が、平壌(ピョンヤン)を訪問するという。
 過去の南北首脳会談は、一時的な和解ムードの盛り上げには成功したが、韓国側の政権交代や、軍事的な摩擦によって、関係がたちまち冷却化した。
 その反省を生かしながら、今後も、密接な意思疎通を欠かさないでほしい。
 朝鮮戦争後に「国境」として設置されたのが「非武装地帯(DMZ)」だ。
 その中にある板門店(パンムンジョム)の軍事境界線を午前九時半、正恩氏が徒歩で越え、文氏と握手した。
◆壁がなくなる期待
 板門店は、朝鮮半島の希望と悲劇の縮図だった。鉄条網なしで南北が接触する場所として設けられ、多彩な交流が実現した。一方で、乱闘、銃撃、地雷の爆発が起き、多くの人命が失われている。
 二人はその後、高さ五センチ、幅五十センチのコンクリート製境界線をまたぎ、今度は北朝鮮側に立った。
 わずか十秒の出来事だったが、南北の壁が取り払われる予感を感じた人も多かったに違いない。世界は歴史の瞬間を目撃した。裏切らないでほしい。


南北首脳会談 非核化へ大きな一歩
 完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島の実現、恒久的平和へ向け大きな一歩を踏み出した。
 韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が板門店で初会談し、共同宣言に署名した。10年半ぶり3回目の南北首脳会談は、年内に朝鮮戦争の終戦宣言をし、休戦協定を平和協定に転換するための会談を進めることで一致した。米国や中国を交えた会談を推進することで合意しており、歴史的な共同宣言と言えるだろう。
 非核化に向けた道筋は示さなかったが、完全な非核化実現という共通目標を確認した。今後、6月初旬までに予定される米朝首脳会談で、非核化実現に向け、さらに踏み込んでもらいたい。
 共同宣言は一切の敵対行為を全面的に停止することや、現在双方が火器を配備している非武装地帯の実質的な非武装化を進めることでも合意した。韓国の文大統領が今秋に訪朝することや、北朝鮮の開城に南北共同連絡事務所を開設することで一致した。
 南北は2000年の第1回首脳会談で統一問題の自主的解決などで合意した。07年の第2回会談では朝鮮戦争の「終戦宣言」実現への努力を約束したがいずれも政権交代などで実現しなかった。
 3回目の首脳会談に、金委員長は北朝鮮の最高指導者として朝鮮戦争後初めて軍事境界線を越え南側の韓国に入った。金委員長は「対決の歴史に終止符を打つ」と表明し、文大統領は「分断の象徴だった板門店が平和の象徴になった」と応じた。
 朝鮮半島の恒久平和へ向けた意気込みを感じさせた。南北対立を乗り越え、北東アジアに新しい秩序が構築されようとしている。
 一方、朝鮮半島の恒久平和実現は、沖縄が担わされてきた基地の過重負担に変更を迫ることを意味する。
 嘉手納基地を中軸とする沖縄の米空軍は、朝鮮戦争と深く関わっていた。さらに嘉手納基地、米軍普天間飛行場、ホワイトビーチ地区は、在日米軍だけでなく朝鮮国連軍の基地でもある。
 現在でも、朝鮮半島の制空権確保のバックアップとして嘉手納基地にF15戦闘機が配備され、ステルス戦闘機F35Aも暫定配備されている。北朝鮮で核開発の動きがあると電子偵察機が米本国から嘉手納へ飛来する。
 朝鮮戦争が終結すると在沖米軍基地は、国連軍基地ではなくなり、北朝鮮の攻撃対象から外れる。朝鮮半島情勢が安定すると沖縄の基地の価値は低下する。海兵隊の地上戦闘部隊が沖縄に駐留する必要もない。普天間飛行場を維持し続けることや、名護市辺野古への新基地建設は大義名分を失うことになる。
 南北首脳および日米中ロの関係各国は、朝鮮半島を含む北東アジアで生まれつつある平和共存の枠組みを後戻りさせてはならない。


南北首脳会談 緊張緩和から非核化へ進め
 朝鮮半島の緊張緩和を象徴する光景だった。北朝鮮の最高指導者が初めて軍事境界線を越え、笑顔で韓国大統領と握手したのだ。
 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による南北首脳会談が開かれた。両首脳は会談後、「板門店宣言」に署名し「朝鮮戦争の終戦」と「核なき朝鮮半島」をうたい上げた。
 昨年末まで、北朝鮮の挑発による偶発的な軍事衝突や、米国の先制攻撃さえ憂慮されていたことを考えれば、今回の会談は朝鮮半島の安定化に向けた前進と位置付けられ、一定の評価ができる。
 しかし最大の課題は、合意された「非核化」をこれからいかにして実現するかである。過去の南北会談のように融和ムード醸成だけに終わるのか、それとも北朝鮮の実質的な核放棄へと進むのか。その成否は、非核化交渉の本番となる米朝首脳会談に委ねられる。
 ●具体性には乏しく
 最大の焦点である「非核化」について、両首脳は宣言に「南北は完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」と明記した。
 金正恩氏は3月、韓国特使団との面会で「朝鮮半島の非核化は(祖父や父の)遺訓」と述べた。しかし、今月20日に発表した新方針では、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の中止を打ち出したものの、既に保有する核については堅持するのではないか−との疑念が広がっていた。
 今回は金正恩氏が既存の核放棄や具体的な非核化へのロードマップ(行程表)に踏み込むのではないかとの期待もあったが、抽象的な表現にとどまった。その意味では疑念を払拭(ふっしょく)したとは言い難い。
 北朝鮮としては、非核化を巡る実質的な協議は米国だけを相手にする構えで、南北ではこの問題に深入りするのを避けたのだろう。
 北朝鮮はこれまでにも、非核化や核放棄を国際的に約束しながらも、実際には水面下で、または公然と核開発を続けてきた。約束破りの「常習犯」ともいえる北朝鮮が、今回の「非核化」宣言を守る保証はあるのだろうか。
 金正恩氏は会談で「どんなに素晴らしい合意が発表されても、きちんと履行されなければ、大きな失望を抱かせる」と語った。これまで経済協力が中止されたことを暗に批判したとみられる。だが「合意履行」を肝に銘じるべきなのは、むしろ北朝鮮の方だろう。
 ●「終戦」で安定化を
 板門店宣言には「朝鮮半島にもはや戦争はなく、新しい平和の時代が開かれた」との文言が盛り込まれた。年内に朝鮮戦争の「終戦」を宣言し、現在の休戦協定を平和協定に転換するための協議を進めるとしている。
 終戦ではなく、60年以上も「休戦」のままであることは、朝鮮半島情勢の不安定さを象徴していた。休戦協定の実質的な主体は米国、中国、北朝鮮であり、南北両国だけでは国際法的に平和協定へ転換できないため、まず「終戦宣言」をした上で、米国や中国も含めた会談を進める狙いがある。
 朝鮮戦争の「完全終結」が実現すれば、半島情勢は劇的に改善され、緊張も遠のく。ただし、これは米朝会談で非核化協議がどれだけ進展するかに左右されそうだ。
 板門店宣言では、南北両国の間で「衝突の根源となる敵対行為を全面中止」「偶発的な軍事衝突の防止」などでも合意した。
 これが、文面通り実行に移されれば、少なくとも南北間での軍事的緊張のレベルは当面、かなり下がるものと期待できる。
 ●日米韓の連携こそ
 日本にとっての最重要課題である拉致問題については、安倍晋三首相との電話会談で文大統領が会談で提起すると約束していたが、少なくとも板門店宣言や共同発表では触れられなかった。
 元々この問題は、米韓両国にとって日本への「側面支援」という位置付けだ。安倍政権は米韓に頼るのではなく、日朝首脳会談の実現も視野に入れ、主体的に独自の交渉へ乗り出すべきである。
 今回の南北会談は実質的に、6月上旬までに開催が予定される米朝首脳会談の前哨戦だった。今後は米朝会談に向け、北朝鮮の唱える「非核化」がどういう意味か、また北朝鮮に約束を守らせるにはどうしたらいいか、日米韓で戦略を練り上げる必要がある。戦略の構築には直接交渉した文大統領の情報が土台となろう。
 今回の会談を単なる「政治ショー」に終わらせないためにも、日米韓3カ国の首脳間の意思疎通と連携が、ますます重要になる。


[南北首脳会談]非核化へさらに努力を
 北朝鮮の「非核化」に向けた道筋は結局、示されなかった。日米双方から懸念や失望の声が上がるかもしれない。 ただ、だからと言ってこの会談が失敗だった、と決めつけることはできない。
 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョウン)朝鮮労働党委員長は27日、軍事境界線のある板門店(パンムンジョム)で会談した。
 北朝鮮の首脳が軍事境界線をまたいで韓国に入るのは初めてである。
 「対決の歴史に終止符を打つためにきた」。表舞台で見せた素顔、立ち居振る舞い、ソフトな受け答えによって、金委員長は、北朝鮮の変化を世界に印象づけた。
 ホスト役の文大統領は、至る所で南北融和を演出し、昨年までの軍事衝突の「危機」を平和への「機会」に変えることに成功した。
 会談の主な議題は「非核化」と、朝鮮半島の「平和構築」だった。
 「非核化」について共同宣言(板門店宣言)は「南北は完全な非核化を通して、核ののない朝鮮半島を実現するという共同目標を確認した」ことを明らかにしている。
 「非核化」は、その方法から範囲、手順、査察に至るまで、極めて複雑なプロセスをたどる。その道筋が共同宣言には示されていない。
 「共同目標」という言葉は、達成時期が明示されていないため、それだけでは実効性をもたない。
 6月初旬までに開かれる予定の米朝首脳会談に向け、北朝鮮が「非核化」カードを温存したとも考えられる。不透明感は残ったままだ。
■    ■
 「平和構築」について両首脳は、年内に朝鮮戦争の終戦宣言をし、休戦協定を平和協定に転換するため、米国や中国を交えた会談を推進することで合意した。 
 朝鮮戦争の犠牲者は民間人を含め400万人とも500万人ともいわれる。1953年に休戦協定が結ばれた後も、朝鮮半島は、冷戦の下で、半世紀以上にわたって「戦争にはならず、平和でもない状態」が続いた。
 休戦協定を平和協定に転換するということは、朝鮮半島に残る冷戦構造に終止符を打つ、ということである。
 北朝鮮の「非核化」と平和協定への転換は、密接に関係している。米朝首脳会談が成功すれば、両者が同時並行して進む可能性があり、その場合、日本と北朝鮮の国交正常化も浮上するだろう。
 関係国が共同歩調を取ることによって、東アジアの平和秩序形成の第一歩となることを期待したい。
■    ■
 安倍晋三首相が文大統領に要請した拉致問題は、首脳会談の公式の場では取り上げられなかったという。
 文氏と金氏は、公式会談の合い間に屋外で、2人きりで話し込んでいる。そのときに取り上げた可能性もあるが、まだはっきりしない。
 北朝鮮に対して、安倍政権は、圧力一辺倒の強硬路線を続けてきた。米国が対話方針に転じたことで、日本の孤立感が深まった。
 米国オンリーの外交は危うい。韓国や中国との関係改善が急務である。


分断の川
 韓国でイムジンガン、北朝鮮でリムジンガンと呼ばれる臨津江は、朝鮮半島の北緯38度線付近を流れる川だ。朝鮮戦争で南北分断が固定され、離散家族の悲劇の象徴ともなってきた▼在日コリアン2世のソプラノ歌手・田月仙(チョンウォルソン)さんは水鳥がこの川を自由に行き交う姿に託して祖国統一を願う「イムジン江」を長年歌い続けてきた。朝鮮戦争後に北朝鮮で作られ、ザ・フォーク・クルセダーズが歌った「イムジン河」のベースとなった曲だ▼ただし歌ってきたのは、帰ることが許されない故郷への切々とした思いがにじむ1番だけ。2番は「対立する南を誹謗(ひぼう)するような内容」で政治宣伝色が強く、田さんの願いからは遠かった。自身も1千万人と言われる離散家族の悲哀を味わってきた1人である▼北朝鮮の歌が禁じられていた韓国で「イムジン江」を許可を得て歌い始め、感動を呼んだのは1996年。その後も、祖国への思いを託した在外コリアンの歌を歌い続けるなどし、民族の心をつないできた▼昨日の南北首脳会談で文在寅、金正恩両氏が朝鮮半島の完全非核化や年内の終戦宣言を目指す共同宣言を発表した。大きな変化である。だが、その道筋は不透明な部分が多い▼田さんたちの祈りが届き、臨津江が平和と融和の象徴に変わる日は来るのだろうか。

南北首脳会談  非核化確認も道筋は見えず
 歴史的な南北首脳会談だったが、朝鮮半島の非核化へ具体的な道筋は示されなかった。
 韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が会談し、共同宣言を発表した。
 年内に朝鮮戦争の終結宣言を行い、休戦協定を平和協定に転換するための作業を進めていくことなどを明言した。南北関係にとっては大きな前進といえるだろう。
 だが、核問題に関しては、「核のない朝鮮半島を実現する共同目標を確認した」とするにとどまった。非核化への日程や手順、方法についての言及はなかった。
 北朝鮮はすでに、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を中止し、核実験場を廃棄することを決定している。共同宣言の内容は、その方向性を確認したにすぎないようにみえる。
 非核化をめぐる詳細な交渉は、6月上旬までに見込まれる米朝首脳会談に持ち越しとなった。
 だが、北朝鮮はこれまで、時間をかけて非核化を進める「段階的措置」が必要と主張しており、一気に進めたいとするトランプ米政権の方針とは隔たりがある。
 「核保有国」が狙いか
 北朝鮮は、体制の保証に向けて米国を最重視している。米朝交渉ではトランプ氏と金氏が合意できる条件をどう設定できるかが非核化実現への鍵となろう。両氏の決断が問われることになる。
 すでに米朝両国は水面下での接触を始めている。トランプ氏の特使として、新たな国務長官に就任したポンペオ中央情報局(CIA)長官=当時=が訪朝し、金氏と会談した。金氏は段階的な非核化構想を示し、拘束された米国人3人の解放も請け負ったという。
 北朝鮮が米国まで射程に入るICBM発射実験の中止を決めたことは、核弾頭の再突入技術が確立されていないとみられるだけに、米国にとっての意味は大きい。
 だが、北朝鮮はすでに所持している核兵器の廃棄にまでは踏み込まず、完全な核放棄を見据えているかどうかは不明だ。「核保有国」であり続けることを狙っているようにもみえる。
 トランプ政権は「完全かつ検証可能で不可逆的」な非核化を方針としており、北朝鮮の非核化構想とは大きく隔たっている。北朝鮮が過去に経済支援を受けながら非核化の約束をほごにしてきた経緯をふまえ、対話のための制裁緩和はしない原則も確立した。
 ただ、北朝鮮が核に関して柔軟な姿勢に転じ、南北共同宣言で「核のない朝鮮半島実現」との目標を国際社会に明言したことで、トランプ政権はこの方向性を拒否しにくくなった。米朝首脳会談に向け、北朝鮮が巧みに主導権を握ろうとしているといえるだろう。
 その北朝鮮も、国内に向けて打ち出した核実験などの中止方針を取り消すようなことになれば、金氏の威信は大きく揺らぐ。
 トランプ氏、金氏ともに、首脳会談では一定の結論を出す必要に迫られる。非核化の具体化に向け、両首脳の歩み寄りを求めたい。
 一方、朝鮮戦争の終結宣言に向けて休戦協定を平和協定に転換するとした共同宣言は、朝鮮半島の緊張緩和を促すことになろう。
 「平和協定」は転換点
 共同宣言では、恒久的な平和構築のため、南北と米国の3者、または南北と米中の4者による会談を積極的に進めるとしている。
 休戦協定は、朝鮮戦争で1953年7月に米軍を中心とする国連軍と北朝鮮の朝鮮人民軍、中国人民義勇軍の3者が結んだ。休戦に反対した韓国は調印を拒否した。
 国際法上は現在も戦争状態が続いており、体制維持を図りたい北朝鮮は平和協定への転換を繰り返し求めてきた。
 金氏と首脳会談を行った中国の習近平国家主席も3月にトランプ氏と電話会談した際、南北と米中の4者による「新たな安全保障の枠組み」構築を提案していたことが分かっている。具体的に話が進めば、東アジアの安全保障にとって重要な転換点となろう。
 世界の注目が南北首脳やトランプ氏の動向に集まる中、置き去りにされかねないのが日本だ。
 拉致問題は公式議題にはならないとされていたが、文氏は会談で言及する考えを示していた。しかし共同宣言に盛り込まれず、宣言署名後の両首脳の発言でも言及されなかった。安倍晋三首相は米朝会談でも拉致問題を提起するようトランプ氏に要請している。
 日本は戦略練り直せ
 最重要課題の解決の糸口を外国首脳に頼らざるを得ないのが日本外交の現状である。
 北朝鮮が決めた発射実験中止はICBMであり、日本に向けられているとされる短中距離ミサイルには言及されていない。脅威は消えていない。
 平和協定への転換プロセスは、日本の安全保障にとっても重要な意味を持つ。日本はこの枠組みに入っていないが、地域の安全に関わる問題だけに、能動的に働きかけ、関わっていかねばならない。
 東アジアの政治状況は変動局面に入った。北朝鮮への圧力一辺倒では流れを見失うことになりかねない。各国との連携を密に、骨太の戦略を練り直さねばなるまい。


南北首脳会談 非核化へ歩み止めるな
 朝鮮半島を南北に隔てる北緯38度線。その軍事境界線にある板門店できのう、現代史の新たな一ページが刻まれた。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が会談し、「核のない朝鮮半島の実現」を目指す共同宣言を発表した。
 「板門店宣言」に続いて両首脳は共同会見で「南北の完全な非核化」を訴え、南北の融和に向けた努力をアピールした。米ソ冷戦を背景とする朝鮮戦争(1950〜53年)で分断された民族が同じ方向を向いて歩き始めること自体は国際社会としても喜ぶべきことだろう。
 ▽保有核どう処分
 ただ最大の焦点だった非核化を巡る評価は分かれよう。達成時期や、北朝鮮が既に保有する核弾頭をどう処分するかを明確にしなかった。ゴールを決めても道筋に触れないのでは絵に描いた餅に終わる恐れもあろう。
 言葉に酔うのではなく、現実を見据えた対応や覚悟が求められる。6月上旬までに予定される史上初の米朝首脳会談では、板門店宣言の理念や具体的なプロセスを示さねばなるまい。
 10年半ぶりとなる3回目の南北首脳会談は、日本など周辺国のみならず、世界が驚きと期待をもって見つめたに違いない。
 ▽周到に融和演出
 金委員長は1人で歩いて軍事境界線を越え、北朝鮮の最高指導者として初めて韓国の地を踏んだ。文大統領も笑顔で出迎えて握手をし、韓国側の施設「平和の家」にいざなった。対面から会談冒頭までテレビ中継を認め、板門店に記念植樹をするなど、融和ムードの演出は用意周到だった。
 ただ会談でどこまで突っ込んだ話があったかは分からない。
 非核化にしても、北朝鮮は20日の党中央委員会総会で核実験場廃棄を決定したものの、核放棄には言及せず、むしろ核保有継続の立場表明ではないかとの疑念を生んだ。金委員長は会談冒頭で「必ず必要な話をして良い結果をつくる」と表明したが肝心の中身はどうだったのか。
 既に6回の核実験を重ね「国家核戦力完成」を宣言している北朝鮮である。これまでの技術的な蓄積から、核弾頭をいつでも増産できるとの指摘もある。
 米国や日本が求めるのは「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」だ。金委員長は自らの地位を含む「体制保証」の交換条件に非核化を挙げるが、どこまで本気だろう。同じことはミサイル問題についても言えよう。
 北朝鮮は以前にも増して、したたかになった。年明けまでは誰しも予想だにしなかった南北首脳会談を実現させた。挑発的な言動で「瀬戸際外交」を続けてきた金委員長の姿勢が一変したのは、ことし2月の平昌冬季五輪だった。妹で側近の金与正(キムヨジョン)氏を韓国に派遣し、「ほほえみ外交」で手はずを整えた。
 これだけで北朝鮮の政治変化を期待するのは楽観的過ぎよう。心変わりの背景には、経済制裁が効いていたとの見方もある。年内の終戦宣言を目指すとした朝鮮戦争にしても、平和協定を締結し、米国の敵視政策を変えさせたいのが本音だろう。
 ▽核廃絶の契機に
 文大統領も、これまでの北朝鮮の手のひら返しを忘れてはならない。「自主的な南北統一」を掲げた2000年の共同宣言でも、合意した軍事緊張の緩和や経済交流が挫折している。今回も安易な妥協や譲歩は、禍根を残すことになりかねない。
 注目された日本人の拉致問題への言及はなかった。トランプ米大統領が被害者救出の協力を約束しており、米朝首脳会談での進展を期待したい。
 「核のない朝鮮半島の実現」との言葉には韓国も当然含まれ、「核の傘」や在韓米軍の位置付けにも関わることは避けられない。日本が自らを省みるべき問題でもあり、世界の核廃絶に向けた道しるべとしたい。
 金委員長は公開された会談冒頭でこう述べた。「過去のようにいくら良い合意や文章が発表されても、きちんと履行されず良い結果に発展しなければ、期待を抱いた方々をむしろ失望させる」と。南北首脳会談を確かな一歩としなければならない。


非核化の確実な出発点に/南北首脳会談
 朝鮮半島の民族分断を象徴する板門店で3回目となる南北首脳会談が行われ、朝鮮半島の「完全な非核化」を盛り込んだ板門店宣言が発表された。朝鮮半島の冷戦構造を平和共存体制へと転換する歴史的課題は、過去2回の南北首脳会談でも試みられたが実現しなかった。平和共存の歩みを定着させるためにも、非核化を確実に進める出発点としなくてはならない。
 軍事境界線を越え韓国側に入った北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が韓国の文在寅大統領と固く握手する場面は、対立の象徴である板門店から平和共存のメッセージを発信しようとする両首脳の決意を示した。宣言の共同発表に際し文大統領と並び演説するという、これまでの北朝鮮の指導者にはなかった金委員長の姿も国際社会を驚かせた。
 文大統領は開かれた指導者像を金委員長から引き出した。しかし、共同会見で金委員長の口から直接「完全な非核化」という言葉は聞かれなかった。非核化の具体的な措置は米朝首脳会談で論議するという腹づもりなのだろう。
 今回の宣言を非核化の確実な出発点とするため、米韓はじめ関係国の連携が一層求められる。文大統領は5月半ばに訪米する見通しだ。米朝首脳会談を前に、非核化への具体的シナリオを練り上げるべきだ。
 日本の対朝鮮半島外交も転機に立たされている。朝鮮半島で構造転換のうねりが起き始めていることを見据え、中国やロシアは存在感を発揮しようと動きだしている。
 3月に電撃的に行われた金委員長の訪中、それに続く北朝鮮外相のロシア訪問は、平和共存に進む朝鮮半島で影響力を維持したいとの中ロの思惑を北朝鮮が最大限に利用、米朝首脳会談に向け外交的な足場固めを図ったといえる。
 日本も朝鮮半島で起きているうねりに翻弄(ほんろう)されないよう、日朝関係だけでなく朝鮮半島、さらには北東アジアの新秩序づくりに主体的に関与し、地域の近未来像を描く必要がある。
 特に、南北が平和共存する朝鮮半島が日本と対立するような反日的な存在になってしまっては、日本のアジア外交にとって、長期的な負担となる。それは、日本人拉致問題の解決を遠のかせることにもなってしまう。朝鮮半島を巡る関係国間の思惑も見極め、日本独自の存在感を模索する柔軟な対応が求められる。


南北首脳会談 非核化の道筋、明確に示せ
 南北首脳会談が、軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)の韓国側施設「平和の家」で開かれた。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「板門店宣言」に署名し「南北は完全な非核化を通して、核のない朝鮮半島を実現するという共同目標を確認した」と表明した。
 朝鮮戦争(1950〜53年)の終戦宣言をし、休戦協定を平和協定に転換するため米国や中国を交えた会談を年内に推進することでも合意した。
 文大統領が今秋に北朝鮮の首都平壌(ピョンヤン)を訪問することや、南北共同連絡事務所を北朝鮮・開城(ケソン)に設置することでも一致した。
 首脳会談に先立ち文大統領と金委員長は軍事境界線上で握手をし、金委員長は徒歩で韓国側に入った。北朝鮮の最高指導者が、韓国側の地に足を踏み入れるのは初めてだ。
 南北首脳会談は10年半ぶりで3回目となる。過去2回はいずれも北朝鮮の首都平壌で行われた。南北分断の象徴である板門店で、北朝鮮の最高指導者が初めて韓国側に入って行われた首脳会談は、分断による対立を続けてきた南北関係にとり、歴史的転換となるだろう。
 金委員長は会談で「対決の歴史に終止符を打つために来た」と表明した。文大統領もまた「分断の象徴だった板門店が平和の象徴になった」と述べた。
 最大の焦点となっていた非核化では、板門店宣言は南北の完全な非核化をうたったものの、北朝鮮の非核化への道筋には触れなかった。実質的な非核化は、6月上旬までに開かれる予定の米朝首脳会談に委ねられることになったと言えよう。
 北朝鮮は、非核化まで何年もかかる可能性がある「段階的で歩調を合わせた措置」を追求しており、制裁緩和などの見返りを得ながら核放棄を進めたい考えとみられる。
 これに対し、トランプ氏は「非核化まで最大限の圧力を加える」としており、米朝首脳会談の行は不透明だ。
 米朝首脳会談が決裂すれば、再び緊張が高まることになりかねない。
 北朝鮮は、南北首脳会談、米朝首脳会談に向けて核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射中止、核実験場の廃棄などを朝鮮労働党中央委員会総会で決定した。
 だが、核放棄への言及はなく、事実上、核・ミサイル開発の凍結にとどまっていた。
 北朝鮮が実質的に非核化に応じるのか予断を許さない。米朝首脳会談では、非核化の道筋を明確に示すべきだ。


南北首脳会談 非核化への道筋見えず
 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、板門店で南北首脳会談を行い、「完全な非核化を通して核のない朝鮮半島を実現するという共通目標を確認した」とする共同宣言を発表した。しかし、会談の焦点だった北朝鮮の核、ミサイル放棄に向けた具体的な道筋については言及しなかった。非核化へのシナリオは6月上旬までに予定されている米朝首脳会談に持ち越された。
 会談は10年半ぶり3回目で、今回は軍事境界線がある板門店の韓国側施設「平和の家」で開催された。北朝鮮の最高指導者が軍事境界線を越えて韓国の地を踏んだのは初めてで、徒歩で韓国側に入った金氏が文氏と握手するなど南北融和を内外にアピールする演出が目立った。
 会談では、南北首脳が完全な非核化への共通目標を確認したほか、休戦中の朝鮮戦争(1950〜53年)について年内に終戦宣言をし、休戦協定を平和協定に転換するための会談を推進、北朝鮮・開城に南北共同連絡事務所を設置、文氏が秋にも訪朝することでも合意、共同宣言に盛り込んだ。
 金氏は先週、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験や核実験を中止し、核実験場を廃棄すると宣言。非核化については「北朝鮮への軍事的脅威が解消されれば、核を保有する理由はない」と言及していた。
 非核化を巡っては、金氏が米韓の「段階的措置」が伴うべきとの姿勢を示しているが、トランプ政権は時間稼ぎを許すような交渉には興味がないとしており、双方に隔たりがある。
 会談で文氏は残念ながら、金氏から非核化の時期や方法まで引き出すことができなかった。しかし「完全な非核化」を目標とすると共同宣言に盛り込んだことで、米朝間の橋渡し役として一定の評価ができる。
 共同発表で金氏からは「完全な非核化」という言葉は聞かれなかった。具体的な道筋は米朝首脳会談で集中的に論議するという考えではないか。そうであれば金氏とトランプ氏の首脳会談の行方が今後の大きな鍵を握る。
 文氏は日本人拉致問題について取り上げるとしていたが、共同宣言や共同発表での言及はなかった。被害者家族は高齢化が進んでおり、早期の解決が求められる。政府は米朝首脳会談に向けて働きかけを強化するとともに、自らも解決に向けた取り組みを進めたい。
 過去2回の南北首脳会談では経済協力を中心に合意したが、軍事的緊張が高まったことなどで、その多くは棚上げとなった。同じ轍(てつ)を踏んではならない。
 共同宣言が完全履行されて初めて、朝鮮半島の平和構築、発展につながる。宣言には、朝鮮半島非核化に向けた国際社会の支持と協力を得るため、積極的に努力するとの文言も入っている。北朝鮮、韓国の本気度が問われている。


南北首脳会談 確実な非核化へ向かえ
 「新しい歴史は今から」。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、朝鮮半島の分断を象徴する板門店(パンムンジョム)にある南北首脳会談の会場「平和の家」の芳名録に書き込んだ。
 それが、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との会談で現実になるかが最大の焦点だった。
 会談では「核のない半島の実現」で一致。共同宣言に署名した両首脳は朝鮮戦争を終結させ、民族を和解させる決意を語った。「新しい歴史」を裏付けた。
 北朝鮮の最高指導者として建国以来初の韓国訪問。金委員長は軍事境界線を越えて、韓国側に徒歩で入った。10年半ぶり、3回目の南北首脳会談だが、これほど「歴史的」という形容がふさわしい場はない。
 北朝鮮の核・ミサイルが世界の脅威となった中で、史上初の米朝首脳会談が控える。重みはこれまでとは比べものにならない。
 北朝鮮は今月、核実験場の廃棄と大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験の中止を発表した。しかし、それはあくまで核兵器開発が実現したためだ。肝心の核廃棄は明言せず、核保有国として振る舞う姿勢を隠していなかった。
 南北の共同宣言では非核化はまだ「目標」にすぎず、核廃棄への具体的な道筋には言及していない。北朝鮮は核問題の交渉相手は米国と主張してきただけに、これが限界かもしれない。
 次の舞台は6月上旬までに予定される米朝会談。完全非核化を求める米国に対して北朝鮮がどんな回答を見せるか。半島非核化はいよいよ正念場を迎える。
 北朝鮮が急転直下に国際社会との融和に向かい始めた理由は何か。第一には米国から体制保証を取り付ける狙いがある。
 それに加えて、核開発を中止すれば、核と経済の「並進路線」から経済一本に専念できるからだろう。二兎(にと)を追うことが難しくなるほど、国際社会の圧力が効いていたとみられる。
 南北会談が実現したきっかけは金委員長の新年の演説だった。韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪への代表団派遣と南北関係改善を表明した。
 五輪を経て、米韓両国との首脳会談が固まると、金委員長はこれに先立ち中国を電撃訪問し、習近平国家主席との首脳会談を行った。
 日本は、急激に対話路線に動いた北朝鮮に対応できなかった。中国から始まって、韓国、米国へ続く北朝鮮の首脳外交。このリレーのたすきが日本にはない。
 肝心の拉致問題も韓国と米国の「他国まかせ」にせざるを得ない悲哀。東アジアでの存在感を高める戦略が問われている。


南北首脳会談 非核化にどうつなげる
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領が板門店の韓国側施設で会談した。2007年10月以来、10年半ぶり3回目の南北会談である。
 最大の焦点は、北朝鮮の核開発問題だった。6月上旬までに初の米朝首脳会談の開催が見込まれている。韓国にとって今回の会談は北朝鮮の非核化への意思を再確認し、トランプ米大統領に橋渡しする意味合いが強かった。
 署名した板門店宣言は「完全な非核化を通して、核のない朝鮮半島を実現するという共通目標を確認した」としている。
 これまで何度も約束をほごにされてきた。今度こそ確かな道筋を付けなくてはならない。
<融和をアピール>
 南北軍事境界線を挟んで両首脳が笑顔で握手する―。数カ月前には想像できなかった光景だ。金氏が1月の「新年の辞」で韓国・平昌冬季五輪に参加する意向を示したのを機に、首脳会談の実現へ急展開した。
 会談前、金氏が歩いて境界線を越えた後に、文氏と手をつないで北朝鮮側に戻るサプライズも演出し、融和をアピールしている。
 核実験や弾道ミサイル発射を繰り返してきた北朝鮮は「国家核戦力完成」を宣言している。核技術を向上させる中、一段と重い会談だった。過去2回は北朝鮮の首都平壌で開かれており、北朝鮮の最高指導者が韓国に足を踏み入れた点でも歴史的だ。
 「対決の歴史に終止符を打つために来た」と意欲を示す金氏に対し、文氏も「板門店は分断の象徴ではなく平和の象徴となった」と述べた。
 記念植樹の後で付近を散策する途中、2人だけでベンチに座って言葉を交わすなど会談は終始、和やかな雰囲気を印象付けた。
<具体的な行動は>
 韓国側は▽非核化▽朝鮮半島の平和体制構築▽南北関係発展―を議題に挙げていた。
 板門店宣言では、南北関係に関わる合意事項が目立つ。年内に朝鮮戦争の終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換するため米国や中国を交えた会談を推進することで合意した。
 文氏が秋に平壌を訪問することや共同連絡事務所の設置でも一致している。
 核問題を巡っては、核のない朝鮮半島を実現する目標のほか、非核化に向けた国際社会の支持と協力を得るため積極的に努力することが盛り込まれた。
 あくまで第一歩にすぎない。大事なのは、これからだ。北朝鮮の具体的な行動が鍵になる。いつまでにどう進めるのか、はっきりさせなければならない。
 今回の会談を前に、北朝鮮は核実験と大陸間弾道ミサイル発射実験の中止や核実験場の廃棄を打ち出していた。ただし、核放棄は明言していない。核保有を宣言したとも受け取れるものだった。
 共同発表でも金氏は非核化に直接触れなかった。核を手放す意思はあるか。見返りを得るカードに使うのなら進展はおぼつかない。
 南北の過去2回の首脳会談では南北統一の推進や交流・経済協力の強化で合意した。一定の成果も見られたものの、北朝鮮は核・弾道ミサイル開発を続け、関係が行き詰まった経緯がある。
 交渉が停滞し、再び北朝鮮情勢が緊迫化する展開は避けなければならない。
 今後は米朝首脳会談が焦点になる。今回の南北の合意を朝鮮半島の非核化へ、どうつなげていくのか。トランプ政権の適切な対応が求められる。
 非核化の方法を巡って考え方の隔たりは大きい。北朝鮮は、米韓の「段階的な措置」が必要だとしている。一方、米側は非核化を達成するまで制裁緩和しない方針である。過去の交渉は緩和を急ぎすぎて失敗したとみているためだ。
 日韓や中国をはじめ、関係国が連携して非核化への青写真を描かなくてはならない。
<問われる日本外交>
 共同宣言を受け、安倍晋三首相は「前向きな動きと歓迎する」と記者団に表明した。南北の「過去の声明と比較、分析を行いながら今後の対応を取りたい」と述べている。
 日本にとって核・ミサイル開発と並んで気掛かりなのは、拉致問題の行方だ。
 文氏は会談で取り上げるとしていたものの、宣言や共同発表では触れられていない。首相は金氏の発言について文氏から詳しく聞き取りたい意向だ。
 北朝鮮は「解決済み」としており、容易ではない。北朝鮮の韓国向け宣伝サイトは、トランプ氏が米朝会談で日本人拉致問題を提起すると明言したことを非難する論評を掲載している。
 米韓頼みでは限界がある。首相も国会で「米韓との協力も重要だが、最終的には(自分で)解決しなければならない」と述べた。外交戦略が改めて問われる。北朝鮮との対話、交渉に向けた取り組みを強めなくてはならない。


南北首脳会談 非核化への道筋どう描く
 南北の首脳が「完全な非核化」の意思を確認したと宣言した意義は大きい。問題は、実現できるかどうかだ。
 完全非核化ができてこそ、会談が「新しい歴史の出発点」として、歴史的な意味を持つ。
 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が27日、南北軍事境界線を徒歩で越えて韓国入りし、文在寅(ムンジェイン)大統領と会談した。
 北朝鮮の最高指導者が韓国の地を踏んだのは初めてだ。南北首脳会談は2007年10月以来3回目となる。
 板門店の軍事境界線には文氏が出迎え、両首脳が笑顔で握手を交わし南北融和を演出した。
 両首脳とも、6月上旬までの開催が見込まれている米朝首脳会談をにらみ、会談を実りあるものにしようという強い思いがあったのは間違いない。
 会談では、完全非核化に向けた具体的な道筋は示されなかった。それでも、金氏が合意を「徹底履行する」と約束したことは前進だろう。
 北朝鮮は会談に先立ち、核実験場廃棄や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験中止などを決定した。しかし、現有核兵器の廃棄には踏み込まず、開発凍結にとどめる内容だった。
 米国が求めるのは完全な核廃絶だ。金氏がその意思を示したことで、米朝首脳会談への地ならしはできたといえる。
 ただ、楽観はできない。北朝鮮と米国の思惑には大きな隔たりがあるからだ。
 北朝鮮は核放棄まで段階を設けて、達成されるたびに経済的な成果を得ることを目指しているとみられる。
 これに対し米政府は、北朝鮮が核廃棄に向けた重要な行動を取るまでは大幅な譲歩はしない構えだ。トランプ大統領は、制裁緩和を急いだ歴代政権の失敗を教訓に「過去の過ちを繰り返すつもりはない」と強硬だ。
 北朝鮮にとって最大の関心は米国から体制保証を勝ち取ることとされる。米国との交渉が不調と見れば、再び核開発路線に舞い戻る可能性がある。
 会談では、年内に朝鮮戦争の終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換させるための会談を推進することも合意した。
 朝鮮半島の安定は、北東アジアの平和と繁栄につながる。
 ただ1953年の休戦協定は、米軍を中心とする国連軍と北朝鮮の朝鮮人民軍、中国人民義勇軍の3者の間で締結されたものだ。韓国は当時、休戦に反対して調印を拒否した。
 協定転換に向け当事者の米国と中国の理解を得るためにも、韓国には北朝鮮が完全な核廃絶を実行するよう粘り強く働きかけることが求められる。
 北朝鮮による日本人拉致問題に関しては宣言に記載はなく、署名後の発言でもどちらからも言及がなかったのは残念だ。
 拉致問題は、トランプ米大統領が米朝首脳会談で議題にすると約束している。
 安倍政権は今回の会談内容を分析し、米韓と緊密に協調しながら、全面解決へ全力を尽くしてほしい。


【南北首脳会談】非核化へ行動重ねてこそ
 北朝鮮の非核化へ向けた確かな出発点としなければならない。
 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領がきのう、板門店(パンムンジョム)で会談。両首脳は「完全な非核化を通して核のない朝鮮半島を実現する」という共同目標を盛り込んだ板門店宣言に署名し、共同発表を行った。
 焦点の非核化をどう実現するか。道筋は示されておらず具体性に欠ける。今後予定される米朝首脳会談などを通じて、北朝鮮が核放棄のための有効な行動を取るよう、働き掛けを強める必要がある。
 北朝鮮の最高指導者が初めて韓国の地を踏んだ今回の首脳会談では、融和ムードが際立って見えた。
 軍事境界線を文氏と手をつなぎ、ひとまたぎで軽々と越えた金氏。今度は文氏に北側へ徒歩で越えるよう、その場で提案。両首脳による「行き来」をサプライズで演出してみせた。
 板門店宣言では朝鮮戦争の終戦宣言を年内に行い、休戦協定を平和協定に転換するため米国や中国を交えた会談を推進することで合意。文氏が今秋、平壌を訪問することや南北共同連絡事務所を北朝鮮・開城(ケソン)に設置することも決めた。
 朝鮮戦争が終結すれば歴史の一ページに刻まれる。どれも大切なテーマであり合意を歓迎したい。それでも一抹の不安が拭えないのは北朝鮮を巡っては、こうした国家間の「約束」がほごにされたことが過去に何度もあったからだ。
 とりわけ核・ミサイル開発に関して北朝鮮は、国民に多大な犠牲を強いながら推し進めてきた。金正恩体制になってからも核実験や弾道ミサイル発射を繰り返し、「国家核戦力の完成」を宣言するまでになっている。そうまでして手中にしたとする「核」を本当に手放すのか。
 金氏はこれまで、非核化には米韓の「段階的な措置」が必要と訴えてきた。制裁緩和や在韓米軍の撤退など「代価」をつり上げてくる可能性はないのか。
 板門店宣言はそうした課題に触れていない。各国メディアの前で初めて共同発表に臨んだ金氏は直接、「非核化」について語ることさえなかった。北朝鮮が従来の立場を大きく転換させた、とは言えないかもしれない。
 それでもなお国際社会は今回の首脳会談を、今度こそ南北対立の歴史に終止符を打つ契機としなければならない。そのためには会談の成果を米朝首脳会談につなげていくことはもとより、日本や中国、ロシアも加わった北朝鮮を巡る対話のチャンネルを再始動させることだ。
 拉致問題についても日本は、同じ被害を受けている韓国と緊密に連携して北朝鮮に解決を働き掛けていきたい。
 一切の敵対行為の停止、南北首脳の定期交流、北朝鮮に対する核査察の実施…。行動を一つ一つ積み上げて初めて板門店会談は後世、「歴史的」と評価されることになろう。


南北首脳会談 非核化への確実な出発点にせよ
 「民族が、戦争のない平和な土地で、繁栄と幸福を享受できる新たな時代を切り開く」―。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が同国の最高指導者として初めて韓国側に入り、文在寅大統領と会談した。朝鮮半島の完全非核化への決意や、朝鮮戦争終結への会談促進を共同宣言として明文化。「歴史的会談」として南北融和を大々的にアピールした。北朝鮮は昨年まで核実験やミサイル発射で国際社会に挑発を続けてきた。平和への意思表明は歓迎したい。
 だが、焦点だった非核化に関しては「核のない朝鮮半島を実現するとの共通の目標を確認した」と宣言したものの、その期限や手順など具体的な道筋は全く示さなかった。共同発表で金氏は、非核化への言及を一切せず、不透明感が拭えない。
 6月上旬までに見込まれる米朝首脳会談でどれだけ具体策が協議されるかが焦点となる。文氏は橋渡し役を果たしたといえるが、今後、北朝鮮の核放棄に向け、一つ一つの工程を詰めなければならない。
 まずは、今後、国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れ態勢の構築や核弾頭の解体、廃棄への手続きの透明性確保などが必要となろう。
 宣言では、「国際社会の支持と協力を得るため、積極的に努力することにした」と国内外に約束した。両国と国際社会が連携して朝鮮半島の非核化の歩みを着実に後押ししたい。
 国際社会が求めているのは、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化であり、北朝鮮が見返りを求めつつ、段階的な非核化を望むようなら、調整はさらに難しくなる。トランプ米大統領には、根気強く交渉に向き合ってもらいたい。
 非核化対象を北朝鮮とせず、あくまで「朝鮮半島全体」としたことや朝鮮戦争の終戦宣言に言及したことで、米韓の軍事協力にも影響を及ぼす可能性が出てきた。共同宣言では、朝鮮戦争の終戦宣言に向け、米国を加えた3者、もしくは中国も含めた4者による会談を積極的に推進していくと明記された。北東アジアの一員である日本は「蚊帳の外」に置かれないよう綿密な外交を展開することが重要である。
 日本人拉致問題について宣言や共同発表で言及がなかったことを懸念する。日本は南北・米朝の首脳会談に拉致問題解決への望みをつなぐしかないのが現状だ。もはや北朝鮮への圧力一辺倒では糸口を見いだせまい。独自の外交ルートを確保するなど、対話を模索することが欠かせない。
 「対決の歴史に終止符を打つために来た」と金氏は語った。両氏は今後、定期的に会談し、秋には文氏が平壌を訪問することが決まった。今回の会談はスタートラインにすぎない。非核化と北東アジアの平和に向け、南北両国も国際社会も、これからこそが正念場だと自覚しなければならない。


南北首脳会談 完全な非核化の具体策を
 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領による南北首脳会談が板門店できのう行われ、「南北は完全な非核化を通して、核のない朝鮮半島を実現するという共通目標を確認した」とする共同宣言を発表した。
 核実験とミサイルで世界の緊張を一気に高めた北朝鮮が、本当に核を放棄する意志があるのか。行方を世界が注視した歴史的会談だった。
 北朝鮮の指導者が韓国の地を踏むのは初めてだ。会談は冒頭から、南北融和ムードに包まれ、両首脳が手を取り合って南北の軍事境界線を越える劇的なパフォーマンスで幕開けした。
 「未来を見据え手を取り合って進みたい」(金氏)「板門店は分断の象徴ではなく平和の象徴になった」(文氏)といったやりとりを交わし、関係改善を強調しあった。朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換するための会談の推進や文氏の訪朝でも合意した。朝鮮半島の緊張緩和にとってひとまず前進と言える。
 だが肝心の非核化については、両国の共通する目標として掲げただけで、具体的な道筋は一切宣言に明記されなかった。金氏は会見の場でも触れていない。
 この点は極めて不満だ。これでは核・ミサイルの完全放棄への強い意志を、北朝鮮が明確に示したとまでは言えまい。北朝鮮は党の中央委員会総会で核実験と大陸間弾道ミサイル発射実験の中止などを決めたが、核放棄には言及せず、核保有国の立場をあらためて強調したとの疑念も拭えていない。
 条件が整わなければ、非核化は断念する。あるいは段階的に行動を起こし、その度に見返りを求める。そんな思惑も透けて見える。
 こうなれば、6月上旬までに予定されるトランプ米大統領との米朝首脳会談で、金氏がどこまで核放棄に言及するかが次の焦点になる。今回は切り札のカードを温存したととれなくもない。
 米国は日本とともに「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を求めている。トランプ氏は首脳会談で、核放棄に向けた重要な行動を取るまでは制裁緩和はしない、との立場を伝えるとみられる。
 金氏は、核の完全放棄でなければ国際社会に受け入れられないことを十分に自覚し、今度こそ非核化に向けた工程表を示すべきだ。
 今回の会談を、文氏は米朝首脳会談への「橋渡し」ともとらえていたはずである。米朝の対立解消や非核化に関して金氏と突っ込んだやりとりをしているのなら、トランプ氏や安倍晋三首相とも情報共有しながら、次の会談を成功に導いてほしい。
 一方、日本にとって重要な拉致問題に対しては、どんなやりとりがあったのかは不明である。南北融和の影に隠れて問題がうやむやにならぬよう、今後も日米韓で十分な連携が必要だ。


南北首脳会談 「非核化」の道筋見通せず
 朝鮮半島の民族分断を象徴する板門店(パンムンジョム)で10年半ぶりに南北首脳会談が行われ、「完全な非核化」を盛り込んだ「板門店宣言」が発表された。「完全な」が日米首脳の言う「完全かつ不可逆的で検証可能な非核化」を意味するものなら一定程度、評価されるべきだろう。
 ただ、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は直接「非核化」を口にすることはなかった。さらに非核化の具体的な道筋にも触れずじまい。これでは6月上旬までに予定されている米朝首脳会談でトランプ大統領を納得させるには不十分と言わざるを得ない。米朝会談まで温存する構えなのだろうが、今後、水面下の米朝交渉などを通じ、具体的な要件を提示できるか否かが鍵になる。
 金委員長が軍事境界線を越え、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と固く握手するシーンや、宣言の共同発表で文大統領に続き演説した姿、自然な立ち居振る舞いなどは、核・ミサイル開発を推進し、幹部を粛正する指導者像とは異なり、国際社会を驚かせたのではないか。米国との初の首脳会談を意識したとの見方もできる。
 北朝鮮にとっては、体制保証を得ることが最優先なのは明らかであり、南北会談である程度の妥協を見せる必要があったともいえる。「完全な非核化」もその一つだろう。20日の党中央委員会総会で核実験場廃棄などを決定したが、核放棄には言及しなかった。むしろ核保有継続の立場表明との疑念を生んだが、今回の首脳会談でも払しょくされたとは言い難い。「核のない朝鮮半島の実現」は在韓米軍の撤退を求めるものでもある。
 板門店宣言には、年内に朝鮮戦争の終戦宣言をし、休戦協定を平和協定に転換する会談を積極的に推進することも盛り込まれた。文大統領が今秋、平壌を訪問することでも合意した。板門店宣言の全ての合意を「徹底履行する」と約束することで、米国へのアピールにしようとの思惑もうかがえる。
 先月の中朝首脳会談で金委員長は「段階的で歩調を合わせた措置を講じれば、朝鮮半島非核化の問題は解決できる」とした。米国に「段階的」を認めさせ、その都度、見返りを得ようとの腹づもりは変えていないのではないか。
 米韓は、今回の宣言を非核化の確実な出発点にするため、こうした北朝鮮の思惑を分析し、戦略を練る必要がある。文大統領は5月半ばに訪米する予定だ。日本も緊密に連携すべきだ。
 日本にとって「最重要課題」の拉致問題に関しては、文大統領、金委員長双方の演説では一切触れられなかった。2人で語る場もあり、そこで言及した可能性もある。文大統領から詳細を即刻聞くべきだろう。
 拉致問題を含め日本の対朝鮮半島外交は転機に立たされていることは明白だ。中国やロシアは存在感を発揮しようと動きだしている。日本独自の存在感を模索する必要がある。そうでなければ、拉致問題の解決は遠のくばかりとなる。


めぐみさん
中学1年生の頃はどんな毎日を送っていただろう。部活動に汗を流し、家に帰って夕食を食べれば、宿題もそこそこ眠りに落ちる。友達と遊び回り、テレビの話に興じて楽しく過ごした▼横田めぐみさんもそんな普通の中1だったのではないか。母早紀江さんの著書では、バドミントンに打ち込み、カッコイイ男の子の話で盛り上がることもあったそうだ▼そのめぐみさんが北朝鮮に拉致され41年。事態は動くのか。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)委員長が南北首脳会談に臨み、「完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島を実現する共同目標を確認した」と表明した。ただ非核化への具体策は言及されず、拉致問題についても公式発表はなかった▼かと言って、落胆ばかりはしていられない。正恩氏は「将来に向け一歩一歩前進していこう」と語った。融和ムードの高まりは、次の米朝首脳会談への期待を膨らませる▼次は何としても拉致問題の進展に期待したい。トランプ米大統領も取り上げると言っている。心配なのは日本が蚊帳の外に置かれていることだ。安倍晋三首相は、「私が司令塔となり北朝鮮に決断を迫る」と言う。だが、内政は問題山積で足元は揺らぐ▼以前、早紀江さんはこう話していた。「命には限りがあります。死んでしまったらもう会うことはできません」。父親の滋さん85歳、早紀江さん82歳。時間は限られている。

危険だらけのオスプレイ横田基地配備を止めようとしない小池百合子都知事、 やはり“都民ファースト”は大嘘だった!
 横田基地に今夏配備されることになった米空軍輸送機のオスプレイ。抗議行動もおこなわれるなか、しかし首長である小池百合子都知事はその賛否を未だ明確にしてはいない。
 そんな小池百合子都知事が二階俊博幹事長や小泉純一郎元首相ら自民党重鎮と会食をした2日後の4月20日、都庁の記者会見に向かった。
 2017年9月29日、希望の党合流で一部民主党議員に対する「排除」発言を引き出した筆者だが、以降、記者会見で手を上げても一度だけしか当てられず、この日も最初から手を上げ続けたが、指名されなかった。仕方がないので会見終了が宣言された瞬間、「二階幹事長に日米地位協定改定を求めなかったのか。オスプレイから都民を守るには不可欠ではないか」と声を張り上げた。
 しかし小池知事は、一言も発しないまま会見場から立ち去った。この日の知事会見では、幹事社の共同通信も指名された複数の記者も誰もこの会合について質問しなかったので、「政権『人心一新の時』=小泉元首相、小池都知事ら会談」(4月19日の時事ドットコムニュース)などと報じられた会談内容は一切明らかになることはなかった。
 2週間前の6日の都知事会見でも、小池氏は全く同じ対応をした。この日も指されなかった私は、「知事、日米地位協定についてどうお考えですか。オスプレイの危険な飛行は沖縄の現実からすると止まりませんよ」と会見終了直後に聞いたのだが、全くの無回答だった。
 指名なしでも質問を繰り返したのは、事故頻発で「未亡人製造機」の異名がついたオスプレイの横田基地配備への都の対応が不十分と思ったからだ。小池知事は6日の会見で「国に対して十分な説明責任を果たすことと安全対策の徹底や環境への配慮などを要請している」「国に必要なことを申し入れる」と答えた。
 しかし「国への要請・申し入れ」だけではオスプレイの危険飛行から都民を守れないのは、沖縄の現実に目を向ければ、すぐに分かることだ。沖縄の地元紙記者はこう話す。
「オスプレイはプロペラ機とヘリの機能を併せ持ちますが、危険なのはヘリモード。そこで『米軍基地周辺の市街地上空ではプロペラ機モード、基地内に入ってからヘリモードにする。ヘリモードでは市街地上空を飛ばないようにする』という約束を日米で交わしている。しかし実際は市街地上空をヘリモードで飛んでいるのを多数目撃されています。住民が抗議をしても政府は『確認していません。米国はやっていないと言っています』と約束違反を調べようともしない。『違反したら一定期間運行禁止にする』という実効性のある罰則規定を盛り込んだ『日米地位協定改定』にまで踏込まない限り、危険な飛行は止まりません」
 小池知事は「都民ファースト」を掲げて都知事選や都議選で圧勝したが、その言葉通り、都民の安全を第一に考えているのなら、オスプレイは絶対に止める必要がある。そして、そのためには、日米地位協定改定を安倍政権に求めるべきなのだ。
「国際報道番組『ワールドビジネスサテライト』の元キャスターの経歴が泣く。イタリアやドイツの地位協定改正を知らないほど海外事情に疎いのか」という疑問も沸いてきた。先の沖縄の記者はこう続けた。
「ドイツは1959年に北大西洋条約機構(NATO)と結んだ協定をその後に改定し、低空飛行禁止を定める国内の航空法が米軍機にも適用できるようにした。イタリアでも1988年に低空飛行訓練中の米軍機がロープーウェイのケーブルを切断、ゴンドラが墜落して乗客20名が死亡する事故を機にアルプス地方の最低飛行高度を150mから600mに引き上げた。習慣になっている昼寝の時間には、米軍機の飛行が許されないことにもなった。
 また米軍は通常、墜落の危険性や騒音などによる住民への悪影響を考慮、基地周辺の土地利用を禁止する『クリアゾーン』を設けている。ドイツやイタリアの米軍航空基地にも適用されているが、沖縄の普天間基地ではクリアゾーンに約800世帯が暮らす実態がある。諸外国では自国の航空法を米軍にも適用する例が多いのに日本は『日米地位協定』という米国との約束事を何よりも重視、歴然とした差があるのです。先進国の首都上空を、自国の航空法が適用されない外国の軍用機が飛ぶのは国際常識からすると考えられないこと。他国と日本で決定的に違うのは安倍政権が今でも続く占領国状態を黙認していることなのです。
 横田基地の上空はアメリカが管制権を持っています。日本の民間機は飛べないのです。西日本からの飛行機も千葉を経由して飛んでくる。石原慎太郎・元都知事は一時期、横田基地の管制の見直しを求めると言いましたが、途中から言わなくなりました。小池知事も都知事選で同じ主張をしたが、具体的行動を開始したという記事は読んだことはない。横田基地の管制を日本に渡して民間機が飛べるようにしたら、東京と大阪間の航空便が30分早くなるのですが」
「トランプ大統領の忠実な従属的助手(Trump's loyal sidekick)」とワシントンポストに酷評された安倍首相は「戦後レジーム脱却」を掲げたが、日本を未だに占領国扱いする不平等な日米地位協定を見直そうとしていない。そんな米国の言いなりの安倍首相に足並みをそろえているのが小池知事なのだ。
「都民ファースト」は看板倒れで「米国ファースト」の安倍首相に追随しているだけ。そう言われても仕方がないのだ。(横田 一)


「国民の敵」罵倒の自衛隊三佐の弁明で明らかになった“クーデター”より恐ろしい事態! 自衛隊で進む“安倍私兵化”
 やっぱりと言うか、なんと言うか。自衛隊統合幕僚監部に所属する三等空佐の“「国民の敵」罵倒問題”で、ネット右翼が民進党の小西洋之参院議員を「捏造」「嘘つき」「国賊」と炎上させている。
 周知の通り、防衛省が24日に発表した調査の中間報告によれば、この幹部自衛官は小西氏に向かって「日本の国益を損なう」「気持ち悪い」などと罵倒したことは認めた一方、「お前は国民の敵だ」との発言については否定したという。これを受けていま、ネトウヨたちがこんなふうに騒ぎ立てているというわけだ。
〈自衛官は国民の敵とは言ってないみたいで小西の捏造嘘でした。〉
〈「国民の敵」発言は小西の捏造らしい 正確には「国益を損なう」〉
〈息を吐くように嘘をつく小西某の言葉の信用度は「ゼロ」%です〉
〈ほんまクズ、嘘吐き小西洋之〉
〈小西氏はその場で和解したと安心させ翌日政争の具に供した。小西よ、あなたは国賊だ〉
 ネトウヨ連中のいつものやり口ではあるが、それにしてもこいつら、ことの重大性がまったく分かっていないらしい。
 だいたい、実力組織である自衛隊の幹部自衛官が、国会議員に対し敵意をむき出しに口撃したことは事実で、そのこと自体が極めて異常なのだ。人々を殺傷、制圧可能な部隊を指導する立場の者が、選挙で選ばれた政治家を誹謗中傷する。この意味は、暴言の銃口を小西議員だけでなく有権者たる国民に向けているのと同義だ。
 そこをネグって小西がどうのこうのとほざくのは、まあ、ノーテンキというか、それこそ連中の大好きな言葉を借りれば「平和ボケのお花畑」ってやつだろう。
 そのうえで言うが、今回、防衛省が三佐本人から聞き取ったという供述の内容には、客観的に見て不自然な点がいくつもあった。さらに、その不自然さを差し引いても、この幹部自衛官の話ぶりからは、むしろ「国民の敵だ」発言よりも何倍もヤバいとしか言いようがない、“劣化した自衛隊”の現実がダダ漏れになっていたのである。
罵倒問題の自衛隊三佐「国民の敵と言ってない」という弁明の明らかな矛盾
 どういうことか。まず、供述内容によると、幹部自衛官は国会議事堂近くをランニング中、偶然いた小西氏を追い抜く際に顔が見え本人と確信。交差点で赤信号を待っているときに目が合って、会釈した小西議員に対し「国のために働け」と大声で言ったという。
 小西議員は反論した。三佐の供述では、この小西発言が「国のために働いています。安倍政権は、国会で憲法を危険な方向に変えてしまおうとしているし、日本国民を戦争に行かせるわけにいかないし、戦死させるわけにもいかないから、そこを食い止めようと思って、私は頑張ってやっているんです」と極めて詳細に語られている。
 対する三佐は、「俺は自衛官だ」と名乗ったうえで、「あなたがやっていることは、日本の国益を損なうことじゃないか」「東大まで出て、こんな活動しかできないなんてばかなのか」などと発言したという。
 他方、小西議員が「週刊朝日」(21日オンライン版)で語るところによれば、三佐は「俺は自衛官なんだよ。おまえは国民の敵だ!」と言い放ったという。両者の証言は食い違っているが、そもそも自ら「自衛官だ」と言いながら国会議員を罵倒した時点でアウトであることに変わりはない。
 しかも、自衛官の供述はこの後、どんどん不自然になっていく。
 たとえば供述によれば、三佐は小西氏から「あなたは現役の自衛官なのか。現役の自衛官が、そんな発言をするのは法令に反する」と言われたというが、これに対する三佐自身の発言はかなり曖昧にされているのだ。
〈はっきりとは覚えていませんが「私の発言は、自衛官の政治的行動に当たりません」というようなことを言ったと思います〉(三佐の供述)
 それだけではない。三佐が小西議員から名前と所属を聞かれたやりとりの供述にも、いかにも歯切れの悪い留保がついていた。
〈その後、小西議員は「撤回しなさい。現職の自衛官がそんなことを言うのは問題だ。防衛省の人事局に今から通報する」といって携帯電話を出しました。このやりとりの際に、はっきりとは覚えていませんが、「何が悪いんでしょうか?」と類似するような言葉を使ったかもしれません〉(三佐の供述)
 つまりこの幹部自衛官は、食ってかかった相手が発したセリフははっきりと諳んじてみせるのに、自分の発言は「はっきりとは覚えていない」というわけである。
 なんとも不自然だが、他方の小西議員によると、このとき「お前は国民の敵だ」という発言の撤回を求めたが三佐が撤回を拒否したため、防衛省の豊田硬事務次官に電話し、「自衛隊員を名乗る者から国民の敵などと暴言を受けている」と伝えた。その内容は、豊田事務次官も認めているという。
 また、この後、折り返しで同省の武田博史人事教育局長とも通話しており、武田局長は小西氏から「国民の敵」と言われたとの内容をメモしているとされる。すなわち、少なくとも小西氏は、三佐のそばで防衛省幹部に「『国民の敵』との暴言を受けた」というふうに電話していたのは間違いない。
 ところが、である。やっぱり三佐の供述では、この場面がかなりうやむやなのだ。
〈小西議員は、電話先で「私は参議院の小西ですが、今、現職の自衛官と名乗る男性から私のことを罵倒したり、冒涜するような発言をしている者がいます。これは大問題ですから…」と通話しており、この後の語尾の方は、明確には聞こえませんでした。〉(三佐の供述)
自衛隊を“私兵”として扱い始めた安倍首相、それに呼応する自衛隊
 見ての通り、電話口での「国民の敵との暴言を受けた」という小西氏の発言が、なぜか、三佐の供述からはすっぽりと抜け落ちている。繰り返すが、そこにいたる小西氏の他の発言については、こと細やかに供述しているにもかかわらずである。
 なお、防衛省は今回の調査のなかで小西氏に事情を一切聴いていないという。また、小西議員によれば、同省の調査担当者は豊田次官と武田人事教育局長に文書による報告を求めただけで、直接のヒアリングをせず、さらに〈「本日の調査報告書の発表の段階でも、両者による正式の文書報告が調査担当者に提出されていない」とのこと〉(小西氏のブログより)だという。
 まるで「お前は国民の敵だ」発言の存在を否定するため、その後に出てくる小西氏の「国民の敵だと暴言を受けた」という発言を“聞き取れなかったことにした”としか思えないではないか。これでは「あったことをなかったことにする組織ぐるみの隠蔽ではないか」(小西氏)との疑いが生じて当然だろう。
 しかし、この幹部自衛官の“記憶力”の都合のよさ以上に、唖然とさせられたのは、なんと言っても小西氏を罵倒した“動機”にある。三佐はこう供述している。
〈私はもともと、小西議員に対しては、総合的に政府・自衛隊が進めようとしている方向とは違う方向での対応が多いという全体的なイメージで小西議員をとらえていました。小西議員から会釈された際、私はあいさつを返すのもどうかと思ったし、最初に見たとき、一言思いを述べたいという気持ちが高まりました。そして、交差点で一緒になり、会釈された際に、私は小西議員へのイメージもある中、あいさつを返したくない気持ちもあり、無視をするのもどうかと思って、思わず「国のために働け」と聞こえるように、大きい声で言ってしまいました〉
 つまり、「政府・自衛隊が進めようとしている方向とは違う」という理由で小西議員に暴言をはいたといっているのだ。これは、この幹部自衛官が「政府」に反するとみなした者は、自国民であっても攻撃すべし、という思想をもっていることの証明だろう。そこには自衛隊が「国民を守るための組織」だという自覚は微塵もなく、むしろ「政府=安倍政権のための実力部隊」といわんばかりの姿勢が伝わってくる。
 しかも、こうした“安倍政権への忠誠”は、ほかでもない自衛隊の最高指揮官である安倍首相が求めてきたものだ。安倍首相は3年前、国会で自衛隊を「我が軍」と呼んだ。さらに、昨年3月の防衛大学校卒業式の訓示では、これから自衛官に任官しようという学生たちに向けてこう述べた。
「警戒監視や情報収集に当たる部隊は、私の目であり耳であります」
「つまり、最前線の現場にあって指揮をとる諸君と、最高指揮官である私との意思疎通の円滑さ、紐帯の強さが、我が国の安全に直結する。日本の国益につながっています」
「そして将来、諸君の中から最高指揮官たる内閣総理大臣の片腕となって、その重要な意思決定を支える人材が出てきてくれる日を楽しみにしています」
 まるで自衛隊が安倍首相の“私兵”であるかのような言い草だが、今回の自衛官の行動をみると、こうした安倍首相の自衛隊への姿勢に呼応したものとしか思えないのだ。
クーデター計画よりも深刻、自衛隊をおおう“安倍の私兵”意識
 そう考えると、今回の三佐の罵倒はよく言われるような「5.15事件や2.26事件などのクーデターを想起させる」行動ではない。もっとレベルの低い、グロテスクなものだ。
 そもそも、軍事クーデターあるいはその未遂事案は、軍事力を背景にした暴力や圧力、テロルによってときの政府を打倒し、自分たち軍隊の意に沿う変革を企図するものである。
 5.15事件や2.26事件など、戦中の青年将校らによるクーデターはもちろん、戦後の自衛隊でもこうした「クーデター」は何度か計画された。たとえば元警察官僚の亀井静香衆院議員は、雑誌「月刊日本」2017年12月号のインタビューで、〈いまだから言ってもいいと思うが、私が警視庁にいたとき、現職の自衛官によるクーデター計画があったんだよ〉と告白している。亀井氏によれば、その計画を事前にキャッチして動きを止めるために防衛省へ連絡、理由を言わずに首謀者3名を即座に配置転換するよう要請したという。
 また1992年には、現役自衛官が「クーデター」に関する論文を「週刊文春」に寄稿し、大問題になったこともあった。陸上自衛隊高射学校の戦史教官だった柳内伸作氏という幹部自衛官だが、〈もはや合法的に民主主義の根幹である選挙で不正を是正することは不可能です。それを断ち切るにはどのような手段があるか。革命かクーデターしかありません〉〈軍隊も手段ならば、クーデターも単なる手段に過ぎず、穏健な民主的方法のみが民衆を救うための手段ではないというときがあります〉などと書いて、結果、懲戒免職の処分がくだされた(処分撤回を求める裁判を起こしたが敗訴)。ちなみに、柳内氏はこのクーデター論文を執筆した当時、自衛隊の三等陸佐。くしくも、今回の小西罵倒事件を起こした幹部自衛官と所属は違えども同じ階級だ。
 しかし、こうしたクーデター発言と今回の自衛隊三佐の暴言とは根本的な思想がまったく違う。柳内氏の「クーデター論文」はまがりなりにも政治腐敗から「民衆を救う」という大義名分を掲げていたが、小西議員を罵倒した自衛隊三佐には「民衆」や「国民」という視点すらない。前述したように“安倍政権の敵”だから罵倒しているだけなのだ。
 だが、それは危険がないということではない。むしろ、一部の跳ね上がりにすぎないクーデター発言よりも、今回のほうがもっと事態が深刻かもしれない。それは、前述した“安倍首相の私兵”“安倍政権のための軍隊”という意識が自衛隊という組織全体に浸透している危険性を感じるからだ。
 実際、防衛省の日報隠蔽問題での防衛省・自衛隊幹部の行動を見ても、安倍政権を庇うためなら、平気で国民を欺き、不正を働くようになっている。そして、日報問題で引責辞任したはずの黒江哲郎・前事務次官がNSCの新設ポストに抜擢されたように、安倍政権にさえ逆わなければ、どんな不正を働いても厳しい処分はされない。
 そういうことがどんどん積み重なった結果、自衛隊には「我々は安倍さまの軍隊」であり「安倍さまに逆らうものは国会議員であろうと、一般市民であろうとすべて敵だ」という意識が根付いてしまったのではないか。
 本サイトは、今回の事件が示しているのは「シビリアンコントロールの欠如」だけでなく「国民を敵と味方に分断する安倍政治の反映」だと指摘してきたが、三佐が供述している“動機”は、まさにこれを裏付けるものだろう。
 今回は暴言だけで済んだが、安倍政権がこのまま続けば、まさに自衛隊が“政権の弾圧装置”と化して、国民に銃口を向けるという事態も起こりなりかねないのだ。(編集部)


開き直ることがセカンドセクハラ
 ★財務省の一連の隠蔽(いんぺい)や改ざん、口裏合わせスキャンダルのスピンアウトとして浮上した前財務事務次官・福田淳一のセクハラ辞任。我が国の女性への扱いや人権意識、果ては財務省のエリート意識と、男尊女卑の実態などが明らかになった。思えば首相・安倍晋三や副総理兼財務相・麻生太郎のテレビ局の“お友達”が、準強姦(ごうかん)容疑をかけられているにもかかわらず、警察権力を私的に運用して無罪放免にしたのではないかとの疑惑が、国民や女性の頭の中から消えていない。その延長線上にセクハラ問題が鎮座していることを念頭に置かなければならない。 ★弁護士・太田啓子はツイッターで「福田次官の件で『ハニートラップ』『はめられた』という言葉を、『可能性』というレベルでも口にしたことがある人は、全員まとめて、あらゆる組織の意思決定に関わる部署から退かせるべきだ。あまりに人権意識が低すぎ、事実認識能力が低すぎるわ」。麻生の「はめられた」発言に、テレビ朝日アナウンサーの小川彩佳は「そういった声が予想されるから、声を上げられない。他の同じような被害に苦しんでいる人の傷口も広げた」と指摘する。 ★財務省官房長・矢野康治は、国会で被害女性に名乗り出るよう求めた手法を問われると、「そんなに苦痛なことなのか」とした。「道徳」の教科化を推進した元文科相・下村博文は、「テレビ局の人が隠してとっておいて、週刊誌に売ること自体が、はめられてますよ。ある意味犯罪だと思う」。発言は撤回したものの、手法への疑義については、なお懸念を持っているようだ。つまり福田のセクハラ行為よりも麻生や下村、矢野らのセクハラを認めず、またはセクハラのどこが悪いと開き直ること自体が、セカンドセクハラだということだ。それを正論として言い続ける限り、事態は収拾などしない。

ちびっこ相撲 「女子出られないのおかしい」子供たち疑問
 大相撲の巡業で、力士が土俵で子どもたちと相撲を取る「ちびっこ相撲」に、女の子が参加できなくなった問題で、毎日小学生新聞に子どもたちから意見が寄せられた。ほとんどが「危ないからといって、女の子だけ出られないのはおかしい」など、日本相撲協会の対応に疑問を投げかけている。
 今月8日、静岡市で開かれたちびっこ相撲で、日本相撲協会から「女の子は遠慮してほしい」と連絡があり、女の子が参加できなくなった。協会は「昨年秋、安全のため女の子を参加させないことを決めた」とし、土俵に女性が入ってはならないという「女人禁制とは関係がない」と説明している。
 しかし、子どもたちの視線は厳しい。「力士の名前や技を大体知っています」という大阪市天王寺区に住む相撲ファンの小4の女子は「『女子でけがをする人がいるから』は変な理由だと思います。私は、男女どっちも人間なのでどっちもけがをすると思います」。山梨市の小5の男子も「安全のためならば、男の子も危ないのではないかなあ?」と疑問を投げかける。
 また、千葉県流山市の小学6年生の女子は「男の子でも体形に差はあるのだから、『危険』だというのなら、体重なども制限すべきだと思います。それに力士と相撲を取るのだから、本気の相撲ではないように力加減もするだろうと思います」と矛盾点を指摘。「女の子だけ出られなくする十分な差別だと思います」と書いている。
 東京都清瀬市在住で、自分も相撲を取る小6の女子は「女の子だからと言って決して弱くはありません。ちびっこを集めたのだから、女の子もちびっこです。『けがを防止するためで、土俵の女人禁制という理由ではありません』というのはうそだと私は思います」と冷ややかだ。
 実は、よく似た問題は以前も起きている。今から40年前の1978年、東京都荒川区で行われた「わんぱく相撲東京場所」(東京青年会議所主催)の予選で、飛び入り出場の小学校5年生の女の子(10)が準優勝した。しかし「女の子だから」と国技館での東京場所には出場できなかった。
 このとき労働省(今の厚生労働省)の婦人少年局長だった森山真弓氏(のちの官房長官)が「男女差別だ」と抗議した。これに対し、当時の相撲協会の理事が「国技館の土俵に女性をのぼらせたことはない」「伝統は守りたい」と話している。
 国技館ではなく、巡業のちびっこ相撲からも女子を締め出すなど、今更女人禁制を強化するのは時代に逆行し、批判を浴びるのは明らか。だが宗教と観光、スポーツの関係などについて研究している岡本亮輔北海道大学准教授(宗教社会学)は「何かと批判が高まっている今だからこそ、日本相撲協会は改めて女人禁制を強化することで、自分たちは伝統文化を背負う価値ある団体なんだと強調する狙いがあると考えられる。ただちびっこ相撲については、女人禁制が理由ではないと説明したため、混乱を大きくしたのではないか」と分析している。
「けが防止、うそだと思います」
 東京都清瀬市の小学6年生の女の子の手紙の全文は以下の通り。
 「私は2年生から毎年、わんぱく相撲に参加しています。学校の校庭にシートの土俵をしいて開催します。女の子も、たくさん参加しています。
 今回の問題は、大相撲の本物の土俵だから、女の子のけがを防止するために、土俵に上がれないということでした。女の子だからといって、決して弱くはありません。ちびっこを集めたのだから、女の子もちびっこです。『けがを防止するためで、土俵の女人禁制という理由ではありません』というのはうそだと私は思います」


ハリル会見で見えた協会の機能不全「組織刷新されない限り、もう海外には二度と追いつけない」 「協会にはKPIもPDCAもなく、未来へのビジョンもない」
Tatsunori Tokushige 徳重辰典 BuzzFeed Social News Editor, Japan
サッカー日本代表の前監督バヒド・ハリルホジッチ氏が4月27日、都内で記者会見を開いた。
93分に及んだこの会見をサッカーの専門家はどう見たのか。
BuzzFeed Newsではサッカーサイト「フットボールチャンネル」編集長の植田路生氏、サッカー雑誌「フットボリスタ」編集長の浅野賀一氏に話を聞いた。
本音と建前、日本式コミュニケーションによる問題が浮き彫りに
まず2人が挙げたのが日本サッカー協会( JFA)の機能不全だ。
「今回の記者会見を聞いてわかったのは、コミュニケーションに問題があったのは協会側ということです。選手の不満は普段代表を取材していれば分かることですが、それがまったくハリルホジッチさんに伝わっていない。協会で多くの時間をすごしてコミュニケーションをとる時間があったのに」(植田氏)
「ハリルが雇い主であるJFAサイドから『危機シグナル』を出されていなかったのはテストばかりの選手起用からも想像していましたが、本人の証言で確証が取れたなと思いました。田嶋会長からメッセージがなかったのは予想していましたが、技術委員長の西野さん(朗=現代表監督)からも『危機シグナル』がなかったのは意外でした。ハリルをサポートする体制がまったく整っていなくて、外から見えていた以上にハリルは孤立していたんだなと。ただ、本人は何も言われないのでそれを自覚していなくて、いろんな場所でボタンのかけ違いが起きていたんでしょうね」(浅野氏)
さらに浅野氏は、コミュニケーション文化の違いによる問題であるとも話す。
「協会とのコミュニケーション、選手とのコミュニケーション、双方に言えることですが、自身のビジョンを説明できなかった責任はハリルにもあります。ただ、今日の会見からもうかがえましたが『うまくいっていると思っていたので、説明する必要がない』と感じていたら、不幸なすれ違いですし、本音と建前の日本式コミュニケーションの問題、あるいは異なる文化を持つ人間同士を繋ぐ間に入っている人の機能不全もあったのでしょう。そこは組織体制の問題とも言えます」
ハリル解任は「旧時代的な決定」
またこの会見では、ハリル氏が11月、3月の欧州遠征をあくまでテストと捉えてたことがはっきりした。
「サッカー的にはブラジル、ベルギー、マリ、ウクライナの欧州遠征4試合はあくまでW杯への準備試合で結果にこだわっていなかったと明言していたのがトピックでした。自身のことを『最後の詰めが得意な監督』と見ていて、『ここまでのチーム作りはうまくいっていて4週間の準備が楽しみ』とも話していた。解任は本当に寝耳に水だったんでしょうね」(浅野氏)
「あらためてハリルホジッチさんの解任は残念です。W杯に向けて入念な準備をしていて、そのための種まきをしていたのに収穫の手前で追放されてしまった。ハリルホジッチさんのサッカーは日本サッカーにこれまでなかったもの。いわゆる『戦術家』で、相手があり、そこにどう勝つかを戦略的に考えられる人だった。解任でその知見を放棄してしまった」(植田氏)
植田氏はハリル氏解任という事態に至った、日本サッカーの未来も危惧する。
「日本サッカーをレベルアップさせることよりも、印象論で重大な決定をしてしまう旧時代的な決定をしてしまった。KPIもPDCAもなく、未来へのビジョンもない。このような体制では日本代表の目標は永遠にW杯ベスト16進出。運がよければベスト16、悪ければ敗退。それを永遠に繰り返すでしょう」
「日本より強い国は、日本より速いスピードで進化している。協会の体制が刷新されない限り、もう二度と追いつけないでしょう」

W女子2人が元気/原稿もらってチラシ準備も時間切れ

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Le gros scandale qui secoue le show-business japonais
En France, il n'est connu que d'une poignée de fans. Au Japon, c'est une immense vedette de la chanson et de la télévision. Tatsuya Yamaguchi est le bassiste du groupe TOKIO, un groupe de J-Pop fondé en 1990 par le surpuissant label Johnny & Associates (Johnny's), celui-là même à l'origine de la plupart des groupes d'idoles masculines du pays parmi lesquels Arashi ou SMAP.
Comme il est de coutume dans l'industrie des médias japonaise, ces chanteurs mêlent plusieurs activités. Ainsi, Yamaguchi est musicien mais aussi animateur et chroniqueur dans de très nombreuses émissions de télévision, en plus de faire l'acteur dans des drama (feuilletons TV). L'artiste de 46 ans cultivait depuis quelques années, l'image du mari parfait et du père modèle. En effet, il avait été l'un des seuls Johnny's à se voir autoriser à se marier et fonder une famille. Un mariage qui finira en divorce au bout de 8 ans.
En ce début de semaine, le monde de Yamaguchi s'est écroulé avec l'annonce de ce que les Japonais aiment appeler un scandale l'accusant d'avoir forcé une jeune fille mineure de l'embrasser alors qu'ils étaient tous les deux accompagnées d'une amie de la victime au domicile du chanteur. Yamaguchi, qui a reconnu les faits, a avancé l'excuse d'une consommation excessive d'alcool (une bouteille entière de shōchū), lui qui se bat déjà depuis plusieurs années contre des problèmes de foie.
Sur la jeune fille, l'on sait simplement qu'elle travaille avec Yamaguchi à la télévision dans une émission de la NHK destinée à un jeune public et qu'elle a déposé plainte pour agression. Néanmoins, et avant que la machine médiatique ne s'emballe, un arrangement à l'amiable semble avoir été trouvé et la plainte retirée. Peine perdue pour le chanteur car bien plus que la décision de justice, c'est celle de l'opinion publique qui prévaut, et en la matière, difficile de dire aujourd'hui de quoi seront faits ses lendemains.
C'est par le biais d'une conférence de presse aux allures de tribunal populaire que Yamaguchi s'est exprimé pour la première fois sur l'affaire.
≪ Je vais passer mes journées à me regarder durement et à prier pour que la victime, sa famille et son amie puissent un jour retrouver la paix et retourner dans leur vie telle qu'elle était avant que cela ne se produise. ≫ a-t-il affirmé peu de temps après s'être incliné pour s'excuser pendant 30 secondes.(ses premiers mots à 7min25)
Yamaguchi a été suspendu indéfiniment de ses activités auprès de Johnny & Associates, et comme ce sont eux qui gèrent toute sa carrière, il se retrouve sans rien. Depuis, les télés du Japon entier ne parlent que de ça. C'est l'affaire de l'héritage de Johnny puissance 1000.
Le plus grand tube de TOKIO, le groupe de Yamaguchi et l'un des seuls groupes Johnny's à être composé de musiciens s'intitule "Only you" :
et "Be Ambitious" dont une partie est utilisée comme jingle dans les trains Shinkansen (à partir de 2min33) :
フランス語
フランス語の勉強?
異邦人 @Beriozka1917
例え同盟国アメリカから不興を買おうとも、地道に対話の努力を続けてきた韓国外交は今、アメリカをも引き込み次々と実を結んでいる。これが本来の外交の姿。逆に、対話を否定して国難と騒ぎ立て、門戸を閉ざした日本は拉致問題すら外注せざるを得ない有様。これの何処が「地球儀俯瞰外交」なのか。
伊地知紀子 @chejusaran
金正恩委員長「平壌冷麺を持参しました。遠くから持ってきたので、あ、遠くからといってはいけないですね」と笑った部分について、生放送アナウンサー「昨晩いろいろ考えたでしょう。これからこの言い方は流行りますね」と。山あり谷ありだとは思いますが、朝鮮半島が大きく動き出したことは確かです。
greatpunkin @greatpunkin
昨日、うちのボスが「自分の面白い講義を聞いて寝てしまう学生がいるのは講義室のCO2濃度が高いからだ」と言って、CO2モニターを持って講義に出かけた結果、実際に2,000ppm!(眠気に襲われるには十分すぎるレベル)を超えたそうです。学生が眠ってしまった理由はともかく、換気は本当に重要。

W女子2人が元気です.いいことです.若いっていいな.わたしもかつてはあんなに元気だったのでしょう.
男子2人から原稿もらってチラシ準備しましたが,時間切れでアウト.後で頑張ります.

<大川小津波訴訟>「ハザードマップ至上主義」と完全に決別 防災対策に根底から見直し迫る
 【解説】学校の事前防災の是非が争われた大川小津波事故訴訟の控訴審判決は、津波被害予測地図(ハザードマップ)を科学的知見として予見可能性を判断してきた従来の津波訴訟の「ハザードマップ至上主義」と完全に決別した。マップへの依存を否定した司法判断は、学校現場に限らず各種の防災対策に根底から見直しを迫った形だ。
 大川小が津波浸水予想区域外に立地する点を捉えて「津波予見は不可能」としてきた市・宮城県側の主張を、判決は「マップの信頼性を独自の立場で検証することが要請されていた」と一蹴した。「校長らは平均的な知識を上回る防災知見を得て適切な危機管理マニュアルを整備すべきだった」と言及し、予見可能性を肯定した。
 控訴審判決が事前対応の過失認定まで踏み込んだ背景の一つに、津波襲来直前に市広報車が避難を呼び掛けた時点で避難しなかった教員らの過失を、戦後最悪とされる学校事故の直接原因とした一審仙台地裁判決が、納得感をもって広く受け入れられたと言い難いことがある。
 個人が対応できる限度を超えた未曽有の大災害に、組織で立ち向かわざるを得ないのは自明だ。控訴審で地震発生後の対応について実質的な審理が行われなかったのは、十分な証拠から導かれた一審の不十分な認定を、仙台高裁が一から見直す必要があると判断した可能性が高い。
 マニュアルの見直しの指導を怠った市教委の過失を認めた意義も大きい。マニュアル整備を各校に要請していたのに、内容を一度も確認しなかった「怠慢」を指弾。教員らが高台避難を決断できなかった遠因であることを示唆した。
 判決が教育行政に課した責務は極めて重いが、学校現場の多忙化を考えると酷な側面もある。判決を現場教員の負担軽減も含め、命を守る組織の在り方を問い直す里程標としてほしい。(報道部・横山勲)


<大川小津波訴訟>危機管理指針の見直し必至 専門家「限界がある」
 石巻市大川小を巡る訴訟の仙台高裁判決は26日、東日本大震災当日の避難行動が遅れ、多数の児童が犠牲になった背景に危機管理マニュアルの不備があると認定した。マニュアルは緊急時に教職員が取るべき行動を定めた学校防災の指針。事前の備えを教育界に強く求めた画期的判決を受け、全国の教育現場は安全管理の見直しを迫られる一方、専門家は学校と教育委員会のみの対応は限界があると指摘する。
 判決は大川小の校長や教頭らと市教委に対し、「宮城県沖地震を想定した避難場所や避難経路・方法をマニュアルに記載するなど、適切な内容に改訂する義務があった」と指摘。津波対応の規定がなかったことを「避難開始が遅れた原因」と認めた。
 マニュアルには校庭から次の避難場所が「近隣の空き地・公園等」とだけ記載され、具体的な場所や移動の判断基準、避難経路については示されていなかった。一審仙台地裁は大川小が浸水予想区域外だったことなどを「学校の実情」として事前防災の不備を免責したが、高裁は「実際の立地条件に照らし、より詳細な検討が必要」と判断した。
 その上で(1)北上川から約200メートルの立地(2)想定されていた宮城県沖地震が発生した場合、隣接する北上川からの越流や堤防決壊の恐れがあるなどの知見−を「最も重要な大川小の実情」と強調。市教委に対してもマニュアルの内容の確認や不備の指導を求めた。
 国の調査によると、岩手、宮城、福島の被災3県では震災前、9割の学校がマニュアルを整備していたが、浸水予想区域の内側でも4割近くが津波対応を規定せず、訓練も実施していなかった。「学校のアリバイづくり」(学校防災関係者)に陥り、形骸化していた側面がある。
 国は2015年3月、マニュアルの策定に関して「自治体の地域防災計画や国民保護計画等についても考慮」するよう学校側に通知。「未策定の学校は公表する」と締め付けを図った。
 国士舘大の堀井雅道准教授(教育法学)は「さすがに地域防災計画まで学校に『調べて』と言うのはかなり酷だ」と指摘。「管理職を含め教員は異動があり、学校のみに『実情』を把握させ改善を求めるのは限界がある。マニュアルの改善は、自治体の防災行政部署による支援や助言が不可欠だ」と提言する。
<危機管理マニュアル> 2009年4月施行の学校保健安全法29条で明文化され、幼稚園から大学までの全ての学校に作成が義務付けられた。学校と教育委員会は「学校の実情」に応じた内容の策定が必要になるが、国は「実情」の具体的内容を示していない。同法は校長に対し、教職員への周知や訓練実施など危険時に適切な対応ができるよう事前の準備も求めている。


<大川小津波訴訟>「学校防災の礎に」 遺族「やっとスタート」
 石巻市大川小津波事故訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は26日、学校側の組織的過失を認めた。わが子を失った悲しみ、真相が見えない苦しみ、理不尽な事後対応への憤りに苦悩した末の提訴から4年。「学校防災の礎になる判決」「子どもの願いがかなった」。遺族らは涙を流し、抱き合って喜びを分かち合った。
 判決後の記者会見には遺族15人が参加し、時折涙に声を詰まらせながら思いを語った。
 「ほっとしている。子どもの命を救うために必要な主張が認められた」。6年だった長男大輔君=当時(12)=を亡くした原告団長の今野浩行さん(56)は、学校防災の在り方を左右する裁判の重責から解放され、安堵(あんど)と喜びを語った。
 二審は、一審で争われた現場の教職員が津波の襲来を予見できたかには触れず、震災前の備えに争点を絞った。高裁判決は避難場所などを定めた危機管理マニュアルの整備や指導における校長ら学校幹部と市教委の過失を認定。適切な備えがあれば、地震発生6分後には避難を開始できたと判断した。
 「やっとここまで来たという思いと、7年もかかったという思い」。3年の長女未捺(みな)さん=同(9)=が犠牲となった只野英昭さん(46)は複雑な胸中を明かし、「やっとスタートライン。悲劇を繰り返さないために、行政や学校も同じ方を向いて進むことを願う」と語った。
 津波襲来に至る約50分間の真相は明らかになっておらず、唯一生き残った男性教務主任(57)の証人尋問も実現しなかった。今野さんは二審が問わなかった市教委の事後対応も念頭に「検証の再開につながる」と期待を込めた。
 一審判決時は被告側が即座に控訴を判断した。6年の三男雄樹君=同(12)=を失った佐藤和隆さん(51)は「判決には、県と市が何をするべきか明記されている。子どもの命を守るための判決を重く受け止めて判断してほしい」と上告断念を強く訴えた。


<大川小津波訴訟>「大変厳しい判決」石巻市長、宮城県知事は上告の明言避ける
 石巻市大川小を巡る訴訟の仙台高裁判決を受け、亀山紘石巻市長と村井嘉浩宮城県知事は26日、「大変厳しい判決」と表情をこわばらせた。一審に続いて主張は退けられ、学校の組織的な過失を認める初判断を突き付けられた。上告方針など今後の対応を問う報道各社の問い掛けに「判決内容を把握していない」「しっかり精査する」と繰り返した。
 亀山市長は市役所で記者会見し、「大変厳しい結果と受け止めている」と手元の資料を読み上げた。「現時点で上告するかどうかは白紙の状態」とし、早期に判断する姿勢を示した。
 校長ら学校幹部と市教委の過失が認定されたことには「市と市教委の事前防災の取り組みが認められなかった」と不満をにじませつつ、今後の学校防災に関し「さらに強化する必要性が高まった」と語った。約1年半前の控訴判断を振り返り、「控訴したこと自体は間違っていない」と強調。自身の責任に関しては「判決内容を詳細に検討したい」とかわした。
 村井知事は県庁で報道各社の取材に答えた。終始険しい表情を崩さず、「裁判結果は大変厳しいと受け止めている。判決が出たばかりなので、しっかりと精査したい」と述べた。
 判決が、学校の危機管理マニュアルの改訂など事前防災の過失を認定した点には「人知を超える災害にどこまで対応できるのか、考えないといけない」と言葉を選んだ。マニュアルの改訂作業に関し「訓練で一歩ずつ進める方法が良かった。今回はそこまでの次元に至らなかった」と話した。上告などの対応を尋ねる質問には明言を避け、取材対応は約5分で終わった。


<大川小津波訴訟>事前防災に過失 市教委の責任も認定
 東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった石巻市大川小の児童23人の19遺族が、市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は26日、教員らの避難対応の過失のみを認定した一審仙台地裁判決を変更し、「学校は津波避難場所を定めておくべきだった」として市・県に計約14億3610万円の賠償を命じた。校長ら大川小の幹部と市教委に組織的な過失があったと判示した。学校の事前防災を巡り、法的責任を認めた司法判断は初めて。
 小川浩裁判長は「校長らは児童を守るため、平均より高いレベルの防災知識を収集・蓄積しなければならない職務上の立場にある」と強調。一部学区が津波浸水予想区域を含み、校舎が北上川堤防から西に約200メートルと近接することから「津波で浸水する危険性はあったと言うべきで、予見は可能だった」と認定した。
 大川小の危機管理マニュアルが校庭からの避難場所を「近隣の空き地・公園等」としたのは「不適切」と指弾。校長らは遅くとも市教委にマニュアルを提出した2010年4月までに、堤防付近の三角地帯(標高6〜7メートル)を経由した林道を避難場所と明記し、市教委は内容を確認して不備を指摘すべきだったと判断した。
 マニュアル整備の段階で、保護者への児童の引き渡し手順や周辺住民との認識の共有を進めていれば、震災当日に約35分間、校庭に待機しなかったと指摘。「適切なマニュアルがあれば、地震発生から6分後の大津波警報発令時点で林道への避難を開始し、事故を回避できた」と結論付けた。
 大川小では児童74人と教職員10人が津波で死亡・行方不明になった。16年10月の地裁判決は市・県に計約14億2660万円の賠償を命じ、遺族と市・県の双方が控訴した。
 高裁判決を受け、石巻市の亀山紘市長は「大変厳しい結果だ。上告するかどうかは白紙。早い段階で方針を決めたい」と述べた。村井嘉浩知事は「今後の対応は、学校設置者の石巻市の意向を最大限尊重して決める」と話した。
[大川小津波事故]2011年3月11日午後2時46分に宮城県沖で起きたマグニチュード(M)9.0の東北地方太平洋沖地震による津波で、石巻市大川小の児童108人のうち70人が死亡し、4人が今も行方不明。教職員11人のうち男性教務主任を除く10人も犠牲となった。校長は休暇で不在だった。学校は北上川河口から約3.7キロ離れ、海抜約1.1メートル。市の津波ハザードマップでは浸水予想区域外だった。地震発生の約50分後に津波が襲来し、最高水位は高さ約8.7メートルに達した。学校管理下で戦後最悪の事故とされる。


<大川小津波訴訟>教育現場「対応どこまで」 高度な安全策に困惑
 仙台高裁で26日にあった石巻市大川小津波事故訴訟の控訴審判決は、教育関係者に衝撃を与えた。判決は、事前の防災対策の過失を認めつつ、地域住民の知識や経験を超える高度な防災対策を学校側に求めた。教育現場は極めて重い課題を突き付けられ、「対応できない」と困惑が広がる。
 「次の犠牲を出さない教訓と受け止めるが、安全安心をどこまで突き詰めればいいのか分からなくなる」。宮城県沿岸部の小学校の校長は、判決を知ってがくぜんとした。
 判決は、校長ら学校側に必要な知見について「住民が有する平均的な知識、経験よりもはるかに高いレベルのものでなければならない」と要請した。
 沿岸部の校長は「住民の話を聞き、地域で発生する災害の特性を把握するだけでは不十分なのか」と戸惑う。高度な安全確保義務が求められ「普段の野外活動でも敏感になり、落ち着いて取り組めなくなる」と判決の余波を懸念する。
 判決は、津波ハザードマップが示す浸水予想区域についても「教師は、独自の立場から批判的に検討することが要請される場合もある」と指摘した。
 「マップを疑うのは無理。厳しすぎる」。岩手県の元小学校長は判決に耳を疑った。学校現場が混乱しないように、行政や学識者の支援を求めた。
 太平洋を望む千葉県の市教委担当者は「私たちはそもそも土木や気象の専門家ではなく、学校も市教委も本当に多忙で手が回らない」と打ち明ける。
 宮城県教組は教職員の多忙化を解消し、教職員間のコミュニケーションを高めなければ実効性ある危機管理マニュアルの見直しは進まないと指摘。「学校で多くの命が失われたことを重く受け止めている。学校が子どもの命を守るために機能するように教育条件の整備を求めたい」との談話を出した。
 判決は、石巻市教委が大川小の危機管理マニュアルの不備を指導しなかった点についても過失を認めた。
 南海トラフ巨大地震に備えた対策を進める兵庫県教委の担当者は「科学的知見に基づき、学校現場をフォローすることが大切だと改めて認識した。児童生徒に対する実践的な防災教育をさらに進める」と話した。


<大川小津波訴訟>健太はいつも心の中に 真実を追い続けた7年
 一人息子の「ただいま」の声が聞けないまま、7年余りの月日がたった。
 大川小津波訴訟の控訴審判決言い渡しから約15分後、原告副団長の佐藤美広(みつひろ)さん(57)が仙台高裁前で原告仲間と一礼し、判決内容を示す垂れ幕を掲げた。
 「子供たちの声が高裁にも届いた」
 上着のポケットに小さな軟球を入れていた。大川小3年だった健太君=当時(9)=の形見。震災前まで、この球で親子でキャッチボールを楽しんでいた。
 健太君は2年の秋、スポーツ少年団「大川マリンズ」で野球を始めた。下級生ながら公式戦に出場し、ヒットを1本打った。「どこの高校が強いの? プロ野球選手になっかな」。大きな夢を描いていた。
 生きる希望を失った佐藤さんと妻とも子さん(54)は、何度も命を絶とうと考えた。ただ、息子が巻き込まれたのは、戦後最悪とされる学校管理下で起きた事故。「しょうがねえ、で済ませたくない」との思いで踏みとどまった。
 2017年夏、夫婦で健太君の遺影と共に兵庫県西宮市の甲子園球場を訪れた。バックネット裏近くで全国高校野球選手権大会の開会式を見守った。
 力強く行進する球児たちに、白球を追っていたわが子の姿を重ね合わせた。生きていれば高校1年。「夢を追える。それだけでいい」。2人の目に涙があふれた。
 26日の高裁判決後、原告が掲げた3枚の垂れ幕の中には「勝訴」の2文字も。目を凝らすと、原告19遺族の児童23人の名前が小さな字でつづられていた。
 佐藤さんは「『行ってきます』と家を出た子どもを、『ただいま』と帰すのが教育の原点ではないか」と強調する。とも子さんは「裁判には勝ったけれど悔しい。助かったはずの命だと思う」と素直に喜べない。
 やりきれない思いは募るが、夫婦で必死に真実を追い続けた7年だった。「健太は心の中にいつもいる」と語る佐藤さん夫婦に今、息子の声がはっきりと聞こえる。
 「おっとう。おっかあ。7年間、俺のことを思って頑張ってくれたな」


<大川小津波訴訟>石巻市議会と宮城県議会 迫られる賛否
 学校の事前防災の過失を認め、石巻市と県に賠償を命じた26日の大川小津波事故訴訟の控訴審判決。市議会と県議会は、上告する場合に賛否を迫られる可能性が出てきた。市議選(5月13日告示、20日投開票)を間近に控える議員からは「専決処分を」との本音が漏れる。一方の県議会は、村井嘉浩知事が専決処分で控訴を決めた経緯を踏まえ、議会の招集を求める声が相次いだ。
 「一審と同様、賠償を命じた判決を重く受け止める。議会としても慎重に対応しなければならない」。石巻市議会の丹野清議長は厳しい表情で語った。
 控訴を巡る2016年10月の市議会臨時会では賛否が割れ、賛成16、反対10で関連議案を可決した。
 大川小の事前防災の不備にも踏み込んだ控訴審判決を受け、控訴に賛成した議員は「市側の勝訴が困難になったとの印象だ」と指摘。反対に回った議員は「市教委は誠実に受け止め、議論を積み重ねてほしい」と上告に否定的な見解を示した。
 市議選は定数30に対し、26日現在で計38人が立候補を予定し、激戦が予想される。市議会で賛否を明らかにすることが選挙戦にどう影響するのか、多くの現職が測りかねている。
 ベテラン議員は「選挙が近づき慌ただしくなる中、上告について判断する余裕はない。専決処分を望む議員は少なくないのでは」と打ち明けた。
 控訴時は議論の場さえなかった県議会からは、丁寧な議会対応を望む声が上がる。民進党系会派「みやぎ県民の声」の藤原範典会長は「全員協議会で議員の意見を聞き、県の態度を決める際は臨時会を開くべきだ」とくぎを刺す。
 「専決処分とせず、県民代表の議会の声を聞くべきだ」。共産党県議団の遠藤いく子団長も足並みをそろえ、社民党県議団の岸田清実団長は「知事が議会の場で今後の方針を説明するのが筋だ」と強調した。
 知事を支える最大会派「自民党・県民会議」の菊地恵一会長は「厳しい判決で厳粛に受け止めないといけない」としつつも、今後の対応については「推移を見守る」と明言を避けた。
 与党には上告断念を求める声もある。控訴に反対した公明党県議団の庄子賢一会長は「一審と変わらない対応になるだろう。判決が速やかに判例になるようにすべきだ」と促す。
 自民会派の被災地選出議員は「全面敗訴と言っても過言ではない。(市と県は)猛省すべきだ」と苦言を呈し、「(上告は)あってはならない。仮にするならば追及する」と語気を強めた。


<大川小津波訴訟>「災害対策充実を」 跡地来訪者が願い託す
 大川小津波事故訴訟の控訴審判決が仙台高裁であった26日、児童74人と教職員10人の計84人が死亡・行方不明になった石巻市釜谷の学校跡地には、祈りをささげる人たちが絶え間なく訪れた。学校の事前防災の過失を認めた判決に「遺族の心情を考えると妥当」「災害に備え、教育現場はしっかり対策を講じてほしい」との声が上がった。
 東京都の歯科技工士大目公嗣さん(64)は献花台で手を合わせ、校舎周辺を見学した。「渡り廊下がねじれていた。勢いがすごかったのだろう」と津波の威力を確認。「子どもを亡くした親たちの気持ちを無駄にしないよう、判決を生かしてほしい」と願った。
 「この場に立つと子どもたちの声が聞こえてくるようだ。どんな気持ちで避難したかを考えると込み上げてくるものがある」。初めて現地を訪れたという東京都の主婦奥山京子さん(63)は、当時の児童らの置かれた状況に思いを寄せた。
 控訴審では、震災時の大川小の危機管理マニュアルが適切だったかどうかが最大の争点となった。
 仙台市内の高校の講師男性(65)は「現場を見ると、なぜ裏山に逃げなかったのか疑問に思う。子どもたちを預かる学校が、危機管理の面でどう行動するかを常に考えないといけない」と語った。


<大川小津波訴訟>控訴審の傍聴券 倍率7倍超
 大川小津波事故訴訟の控訴審判決で、仙台高裁には26日、傍聴券を求めて多くの人が詰め掛けた。一般傍聴46席に対して希望者は335人に上り、抽選倍率は7倍を超えた。
 亘理町の実家が震災で津波被害を受けた仙台市太白区のアルバイト鈴木晶子さん(43)は「誰もが納得する判決は難しい。司法がどのような判断を下すか見守りたい」と話した。
 塩釜市の元中学校教員の60代男性は「大川小では若い先生も犠牲になった。教員も含め、安全を保障する学校防災の在り方を考えるきっかけになる判決を望む」と述べ、法廷に向かった。


大川小・控訴審判決/学校の事前防災 責任は重い
 子どもを預かる組織として適切な「備え」がなされていたかどうか−。学校に事前防災の責任とその重さを突きつけた判決といえる。全国の全ての学校で、安全管理の在り方をもう一度、詳細に検証すべきだ。
 東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった石巻市大川小の児童23人の19遺族が市と宮城県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は26日、事前防災の不備を認め、市・県に約14億3610万円の支払いを命じた。
 控訴審の焦点は、平時における学校や市の防災体制の在り方だった。判決はそこに組織的過失を認め、過失がなければ児童らが犠牲にならずに済んだと判断した。学校の事前防災を巡り、法的責任を認めたのは初めてで学校現場に与える影響は大きい。
 判決は校長ら学校の管理職と市教委の対応を批判し、児童の安全を確保するため、職務上の義務を果たすべきだったとした。保護者から子どもたちの生命を託される学校としては当然のことだ。
 判決はさらに、大川小が北上川に近い立地条件などから震災前に地域の実情を検証していれば「津波の危険は予見できた」とした。一審では地震後に津波の到達を予見できたかどうかが争われたが、控訴審判決はそれ以前の備えに問題があったとした点が大きく異なる。
 市が作ったハザードマップも学校を避難場所としたのは誤りだったと明確に指摘。学校が2010年3月に改訂した危機管理マニュアルについては、津波の避難場所や避難経路などを定めていれば、津波を回避できたと校長らの過失を認めた。市教委はマニュアルの検証と不備の是正指導を怠ったとしている。
 こうした判決を市側は謙虚に受け止め、自らの誤りを深く反省すべきだろう。
 遺族側が勝訴した一審の仙台地裁判決は、地震後の教員の避難誘導の判断ミスを認めたが、マニュアルについては、震災前に津波は予見できず、「具体的な津波避難場所や避難方法を明記すべき義務はなかった」としていた。
 危機管理マニュアルは、09年4月施行の学校保健安全法で、全ての学校に策定が義務付けられた。今回の判決を踏まえ、各学校は単にマニュアルを作成するだけでなく、地域の状況に応じた適切な備えが求められる。不断に検討を加え、マニュアルの不備を是正する必要もある。
 控訴審判決が指摘しているように、学校に最も求められるのは、保護者の信頼と児童生徒の安全だ。従って極めて高度の注意義務が学校には課せられており、子どもの生命を守るために考え得るあらゆる手だてを事前に講じておかなければならない。
 安全な学校をどうつくるのか。児童74人、教職員10人が犠牲になった大川小の教訓を生かさねばならない。


河北春秋
 <また来ん春と人は云(い)ふ しかし私は辛いのだ 春が来たつて何になろ あの子が返つて来るぢやない>。詩人中原中也が2歳の長男文也を亡くした時に作った『また来ん春…』の一節。<おもへば今年の五月には おまへを抱いて動物園 象を見せても猫(にやあ)といひ 鳥を見せても猫(にやあ)だつた>▼葬儀で中也は愛児の遺体を抱いたまま離さなかった。やがて精神を病んで入院し、退院後しばらくして30歳で亡くなった。自分の命より大切なわが子の死の悲しみはどれほどだったか▼児童74人の命が津波で奪われた石巻市の大川小。遺族が損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が言い渡された。一審に続いて、遺族側の勝訴。津波避難に対応した危機管理マニュアルの改訂を怠ったとして学校の責任を認めた▼「山さ逃げよう」。法廷で遺族は子どもが津波を予見していたと証言した。先生の指示に従った児童たち。しかしマニュアルに避難先の具体的な場所はなかった。判決は「救えた命」と認め、学校現場の防災対策に一石を投じた▼「あの日」まで子どもたちは命を輝かせていた。太陽の光に照らされ、親の愛に見守られ、笑顔だった。だがもう帰ってこない。「失われた命を無駄にしないで」。学校防災の向上につながる判決を望んだ遺族。願いは通じた。

防災責任認めた大川小判決 教育現場への重い警鐘だ
 子供の命を預かる学校が担うべき防災責任を重くとらえた判決だ。
 東日本大震災の津波で84人の児童と教職員が犠牲となった宮城県石巻市立大川小学校の児童の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟で、仙台高裁が14億円超の賠償を命じた。
 判決は、学校管理の最高責任者である校長をはじめ、教頭や教務主任らによる組織的な防災対応の不備を明確に指摘した。
 津波の襲来を知った後、津波を回避し得る裏山とは別の場所に児童を避難させた教師の判断ミスだけを認めた1審と比べ大きく踏み込んだ。
 学校保健安全法は、災害時など危険発生時における対処要領の作成を学校に求めている。石巻市教委は、宮城県沖の地震の発生に備え、危機管理マニュアルを2010年4月までに作成するよう各学校に求めた。
 市の当時の防災計画では、大地震の際に河川が決壊して周辺が浸水する想定があったという。
 校長らは津波の襲来を予測し対策を講じるべきだったのに、マニュアルでは津波の際の避難先を「近隣の空き地・公園」と記載しただけだった。避難経路や具体的な避難先の記載はなく、校長らは安全対策を講じる義務を怠った−−。判決はそう認定した。
 防災計画はあったものの、市が作成するハザードマップでは、学校は浸水予想区域外にあった。市側は、それを根拠に津波は予見できなかったと主張した。だが、児童の安全に直接かかわる以上、校長らは、地域住民よりもはるかに高いレベルの知識に基づいてハザードマップの信頼性を検討すべきだったとして、判決はそうした主張を一蹴した。
 災害には想定外がつきものだ。ハザードマップはあくまで目安であり、限界があることを改めて認識する必要がある。
 全国の教育現場への影響は極めて大きい。子供の命を守る備えは十分か。学校の立地条件も考慮し、防災対策を検証すべきだ。
 学校は災害時に地域住民が集まる防災拠点でもある。マニュアルの整備にとどまらず、地域を巻きこんだ防災訓練を実施することなども重要だろう。大川小の悲劇を繰り返さないための取り組みを全国で進めなければならない。


大川小、防災に不備 津波訴訟、二審で過失初認定
 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童二十三人の遺族が、市と県に約二十三億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は二十六日、震災前の市や学校の防災体制について初めて過失を認定した。一審判決を変更し、浸水予想区域外にあった大川小への津波襲来の危険性は予見可能だったと判断。賠償額も約一千万円増額し約十四億三千六百万円の支払いを命じた。
 これまでの津波訴訟では、企業や学校の震災前の過失が認められたケースはなかった。大川小訴訟の一審仙台地裁判決は、教職員による避難誘導の過失認定にとどまったが、二審で校長や市の組織的過失も認定。高いレベルの防災体制を求める判決で、全国の教育関係者に大きな影響を与えそうだ。
 判決理由で小川浩裁判長は「大川小が津波浸水予想区域に含まれていないとしても、北上川近くにあることから津波の危険性はあり、十分に予見できた」と言及。市が大川小を津波の避難場所に指定していたことも「誤りだった」とした。
 大川小の危機管理マニュアルについては「避難場所や経路、方法をあらかじめ定めておくべきだった」と不備を指摘した。


娘に報告やっと 学校防災問い続けた7年 大川小訴訟、過失を認定
 宮城県石巻市立大川小の津波被害を巡り、事前防災の過失を認定した仙台高裁判決を受け、五年生だった次女の千聖(ちさと)さん=当時(11)=を亡くした紫桃(しとう)隆洋さん(53)は「短かった娘の命が未来につながる判決で、やっと娘に報告できる」とほっとした表情を浮かべた。あの日の悲劇から七年余り。これからも命と向き合い、歩き続ける。
 一九九九年のクリスマスイブに生まれた千聖さんは、三人きょうだいの末っ子。活発で気配りのできる子だった。大工の隆洋さんが自宅で作業をしていると「はい、お父さん」と道具や材木を渡し手伝ってくれた。「教えたわけでもないのに。すごいんだ、千聖は」
 「ただいま」と玄関を開けると「お帰りー」と言いながら、ぽんと飛びついてくるあの感触。「ドアを開けたら、来てくれないかなと今も思うことがある」
 なぜ亡くなったのか。大川小であの時、何があったのか。東日本大震災後の保護者説明会で市の説明は二転三転した。第三者による検証委員会の報告も、納得には程遠かった。「なぜ」は解消されず二〇一四年三月、提訴に加わった。
 悔しさ、悲しみを押しとどめ、できることは何でもやった。地域住民や専門家への聞き取り、現地調査。市に情報開示請求し、内容が分かる文書を得るまで一カ月近く交渉したこともあった。
 一六年十月の一審判決が学校側の過失を認めたのは、津波襲来前の七分間だけ。事前の対策や事後対応の不備は認められなかったが、市に判決受け入れを期待した。ところが、市はわずか二日後に控訴を表明。「あの時は本当につらかった」
 控訴審でも、市教育委員会の元職員が、各校が提出した危機管理マニュアルの内容を確認していなかったとの証言を聞き、あぜんとさせられた。
 苦しい時は被災校舎に行く。千聖さんが過ごした教室の前の廊下には、荷物を掛けるフックの上に「紫桃千聖」の名前シールが今も残る。「もう少し頑張るよ」。名前に触れ、決意してきた。
 昨年末、被災地で活動を続ける女性歌手のライブを聴きに同県女川町を訪れた。楽しんだ後に募る寂しさを恐れ、そうした場は避けてきたが、妻のさよみさん(52)が「いい歌だから」と背中を押してくれた。「夫婦で、家族で、少しずつ新しいこともしていきたい。千聖もそう望んで、一緒に笑っていると思う」


大川小高裁判決  学校の防災再点検迫る
 全国の学校に、児童の命を守る防災体制の再点検を迫る判決といえよう。
 東日本大震災の河川津波で犠牲となった宮城県石巻市の児童23人の19遺族が、市と県に約23億円の損害賠償を求めた控訴審の判決で、仙台高裁は約14億円の支払いを命じた。
 一審と異なり、控訴審では震災前の学校や市、県の防災体制が主な争点になった。判決は学校の実情に応じて危機管理マニュアルを見直すのを怠るなど、組織的過失があったとした。
 学校の安全管理を真正面から問う司法判断は初めてとみられる。南海トラフ大地震など大規模な災害が想定されるなか、多くの学校で防災計画や避難マニュアルなどを作成している。
 しかし、表面的に形を整えただけになっていないか。判決は教育現場に一石を投じたといえる。
 遺族側は、学校の標高は低く、近くに河川があり津波の危険を認識すべきなのに、学校は周辺の状況を確認せず、適切な対策を取らなかったと主張。危機管理マニュアルには、津波からの避難先や方法の具体的記載がないまま、検証や修正もなかったとした。
 これに対し市側は、学校はハザードマップの津波浸水区域外にあり、津波の予見は不可能と反論。マニュアルの中身も当時の科学的知見では十分とした。
 学校の備えはどこまで求められるのか。教育関係者の間でも注目された。
 2009年施行の学校保健安全法は、子どもたちの安全を守るためのマニュアルや危機対応の周知、訓練を学校側に求めている。その中で明記されているのは「学校の実情に応じて」の文言だ。
 ハザードマップを参照するだけでなく、学校周辺の地形や障害物などを実際に歩いて調査し、マニュアルを修正する。そうした取り組みを重ねることで、とっさの危機にも臨機応変に対処できると専門家は指摘している。
 学校の教員は忙しく、防災は後回しになりがちとも聞く。一方で、防災を授業に取り入れ子どもたちと一緒に地域を点検して回る事例もある。学校の防災を教育の観点からアプローチし、命を守る行動を身に付けることも考えたい。
 高裁が教員個人の判断ミスではなく、組織的過失に焦点を当てた意味をくみ取りたい。同じ災禍を繰り返さないよう、それぞれの持ち場で誤りを検証し、オープンに示す必要がある。教訓の継承が子どもたちを守ることになる。


大川小控訴審判決 事前防災の指摘は重い
 今後の学校防災を進める上で、極めて意義深い判決だ。東日本大震災津波で児童74人が犠牲になった宮城県石巻市の大川小の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は一審に続き市と県に賠償を命じた。
 最大の争点となった震災前の防災体制。判決は「危機管理マニュアルを大川小の実情に応じて改定する義務を怠った」などと、備えの不備を厳しく指摘した。
 一審では、津波直前の教員の避難誘導については過失を認定したが、事前防災の不備は認めなかった。高裁判決は大きく踏み込んだ。
 子どもの命を守ることこそ、教育の使命。備えがあればこそ、命を守ることができる。市側は判決を真摯(しんし)に受け止め、学校を命を守る組織に生まれ変わらせるべきだ。
 控訴審で市側は「マニュアル策定は努力義務にすぎず、内容も当時の科学的知見としては十分だった」などと主張していた。
 震災遺構として保存が決まった旧校舎で、大川小遺族が定期的に実施しているガイドに参加し、当日の避難行動を追体験すると、市側の主張が「組織防衛」のための理屈にすぎないことがよく分かる。
 地震後、校庭に集められた子どもたち。約50分間にわたり、そこにとどまり続けた。児童から安全な裏山に逃げようとの声が上がったが、聞き入れられなかった。避難行動を開始したのは、津波の7分前、市の広報車が避難を呼び掛けた後だった。
 目指した先は裏山ではなく、川近くの堤防付近。裏道を通って向かったが、道は行き止まりだった。民家の軒先を通って県道に出ようとしたら、川から波が来た…。
 マニュアルは役に立たなかった。記された避難先は「近隣の空き地・公園など」と、具体性を欠いていた。結局、意思決定は混乱し、悲劇を招いた。教員が実際に地域を歩き、実効性のあるマニュアルを作成して訓練を重ねていれば、こんなことにはならなかったはずだ。
 判決は、津波の予見性も認定。津波浸水予想区域に学校は含まれていなかったが「北上川の近くにあることから津波の危険性はあり、予見は十分に可能だった」とした。
 大川小の標高は1〜1・5メートルと低く、河川も近い。ハザードマップを絶対視せず、地形を考慮していれば、危険性は予想できただろう。
 一連の震災訴訟で、事前防災の過失認定は初。全国の教育関係者にとっても、重い課題が突き付けられた。
 本県の学校現場では、さまざまな状況を想定した避難訓練を重ねている。判決を踏まえ、関係機関が連携して備えを強化してほしい。


大川小判決 学校防災への重い問い
 学校防災の在り方に大きな影響を与える内容といえる。子どもたちの命をあずかる全国の学校は、重く受け止める必要がある。
 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市大川小学校の児童の遺族が市と県を訴えた訴訟の、控訴審判決である。仙台高裁は地震が起きる前の学校の防災対応について、市側の過失を厳しく指摘した。
 震災発生時、子どもたちは、津波の危険が迫る中で約50分間、教職員の指示で校庭に並んでいた。裏山への避難を求める声も上がったが、教職員から明確な答えはなかった。裏山ではなく、高さ約7メートルの堤防付近を避難先に決めて移動を始めた直後、津波が子どもたちをのみ込んだ。
 子ども74人と教職員10人が死亡・行方不明になっている。
 一審判決は、津波襲来の少なくとも7分前には市の広報車が避難を呼び掛けていたことから、現場の教職員は危険を予見できたと指摘し、市側の過失を認めた。事前の防災対応については、市側の責任を認めていなかった。
 控訴審は、事前の防災対応が適切だったかが争点になった。遺族側は避難マニュアルについて、改定して安全な高台に逃げるよう記されていれば、早い段階で避難できたと主張した。
 市のハザードマップで大川小は津波浸水予想区域ではなく、災害時の避難場所に指定されていた。市側は、マニュアル改定の義務はなく、当時の科学的知見では十分だったと反論していた。
 判決は、市と学校がマニュアルを実情に応じ改定する義務を怠ったと認定。浸水予想区域でなくても学校は川の近くで、危険性の予見は可能だったとした。
 遺族たちは、安全なはずの学校で子どもたちが犠牲になった事実の徹底検証を求めてきた。生き残った男性教員や児童から聞き取ったメモを破棄するなど、市側には不信感を招く対応もあった。遺族と悲しみを共有して検証する姿勢は十分だったか、市側は見つめ直すべきだろう。
 悲劇を繰り返さないよう、全国では、学校防災の強化に取り組む教育現場も出ている。三重県尾鷲市の宮之上小学校は、速足で高台に避難する訓練を昨年5回実施した。大分県では昨年度、県教委の要請で県立の全校の管理職が防災士の資格を取得した。
 日々の業務の中、実効性のある防災が後回しになってはいないか。学校で起きた最悪の災害が残した、重い問い掛けである。


大川小控訴審判決 安全管理の見直しは学校の責務
 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童23人の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は市と県に賠償を命じた。争点だった震災前の市や学校の防災体制については過失を初めて認定した。
 全国の教育関係者に学校の安全管理の見直しを促す判決となった。事前防災の過失が認定されたことを受け、学校は高いレベルに踏み込んだ実効性のある危機管理マニュアル作成に取り組まねばならない。
 大川小の危機管理マニュアルの適否について、判決は不備を指摘し、校長らと市教育委員会は改定する義務を怠ったと判断した。一審判決では、地震発生後、現場の教職員が児童を適切に避難させなかったとして学校側の過失を認めたが、事前防災の不備は認めなかった。マニュアルは全ての災害時対応の指針になるため最適を求めて修正し続ける必要があり、今回の判断は当然だろう。
 2009年4月施行の学校保健安全法に基づき大川小がマニュアルを改定した後も、津波からの避難先は「近隣の空き地・公園など」のままだった。判決は「避難先として標高20団兇旅眤罎鮖慊蠅靴討い譴弌津波を回避できた」と指摘する。具体的な避難先の場所が記載されていないために避難行動が遅れたことは明白だ。不完全なマニュアルを放置していた学校や市側の責任は重い。
 津波の予見可能性についても判決は、「広報車の避難呼び掛けを聞いた段階で津波の襲来を予見できた」とした一審の判断からさらに踏み込んで、震災前に予見できたとした。
 大川小は市の津波ハザードマップで津波浸水予想区域から外れ、避難場所にも指定されていた。このことを踏まえてもなお「川の近くにあることから危険性はあり、予見は十分に可能だった」と指弾。被害想定は完全なものではないとして、市や学校に安全対策を厳しく求めた判決の意義は大きい。
 一審、二審ともに遺族側が求めていた、現場にいた教職員で唯一生き残った男性教諭の証人尋問は行われなかった。第三者委員会による検証や裁判を通じても、震災発生時に避難行動が遅れた経緯は不明な点が多く、遺族は納得できていない。真実を知りたいという遺族の痛切な思いに応えることが市や県に求められている。遺族の心情を思えば、市と県は判決を受け入れるしかない。
 大川小は3月末で閉校した。被災した旧校舎は震災遺構として保存されることが決まっている。遺族は亡くなった子どもが戻ってこないという無念さに向き合うとともに、学校が本当に安全な場所となることを願っている。多くの児童が命を奪われた大川小の悲劇は、語り継いで教訓としなければならない。行政には遺族に寄り添い今後も検証を続け、学校の安全管理体制に万全を期す責務がある。


<宮城・東松島>野蒜ヶ丘にホテル建設 「交流人口増やし沿岸部の活性化を」
 エネルギー事業会社「ガス&ライフ」(宮城県東松島市)は、宮城県東松島市野蒜ケ丘3丁目に「ホテル松雲」(仮称)を建設する。来春のオープンを目指す。
 鉄骨2階で延べ床面積は約2000平方メートル。和室3部屋、洋室26部屋を備え、最大64人が宿泊できる。レストランを併設し、地元の海産物を提供する。
 総事業費は約5億5000万円。県の沿岸部交流人口拡大モデル施設整備事業に採択され、補助金2億円を活用する。
 東松島市は東日本大震災で同市野蒜にあった「かんぽの宿松島」などが被災し、観光客の受け皿となる宿泊施設の確保が課題になっていた。
 現地で24日、地鎮祭があり、約30人が出席。菅原平勝社長(39)は「交流人口を増やすという役割と期待に応え、沿岸部を活性化させたい」と意気込みを語った。


<宮城・山元>坂元地区の治安拠点再開 被災の駐在所が新築移転
 東日本大震災の津波で大きな被害があった宮城県山元町坂元地区の亘理署坂元駐在所が新築移転されて業務を開始し、26日、山元町のふるさとおもだか館で開所式があった。
 旧駐在所はJR常磐線が移設される以前の旧坂元駅西側にあったが、大津波で流失。約1.2キロメートル内陸の新市街地の一画に新駐在所が再建された。木造平屋で面積約100平方メートル。所員は1人。
 開所式には斎藤俊夫町長や住民ら約30人が出席。山元町山寺の山下駐在所を拠点に業務をしてきた坂元駐在所の木村康所長は「地域の安全安心の実現に向け決意を新たにした」と述べ、亘理署の菅原優署長は「多くの方のご助力で治安拠点を新築することができた」と感謝した。
 亘理署管内では荒浜、山下駅前両駐在所も津波で被災。荒浜駐在所は5月に開所式を予定しており、山下駅前駐在所の再建計画も進められている。


除染土再利用に中止意見相次ぐ
除染で出た土を道路の土木資材として使う二本松市での実証事業について、環境省が説明会を開き、住民からは事業の中止を求める声が相次ぎました。
環境省は、原発事故後の県内の除染で出た土を公共工事で再生利用することで将来的に最終処分する廃棄物の量を減らす計画で、二本松市では、来月から道路の土木資材として使う実証実験を本格化させる予定です。
26日夜環境省が開いた説明会には地元の住民およそ80人が参加し、担当者が、再生利用する土が流れ出ないようにしたり、放射線量の監視を徹底したりするなどの対策を説明しました。
住民からは、「再生利用した土が流出する可能性は否定できない」、「風評被害が懸念される」といった不安の声や、「安全だと言うなら東京オリンピックの公共事業で使うべきだ」とか、「除染した土を道路の下に埋めるのは事実上の最終処分だ」といった批判が相次ぎました。
二本松市の担当者に対しても、市が実証事業を受け入れたいきさつの説明が不十分だとして、誰の判断で受け入れたのかを明確にするよう求める意見が出されました。
実証事業を中止するよう求める意見も相次ぎ、出席した住民らが賛同しましたが、環境省側は、明確な回答を避けました。


国会の混乱 与党の責任はより重い
 国会で不正常な状況が続いている。政府の一連の不祥事を受け、野党側は真相解明と責任明確化を求めたが、与党側の対応が不誠実なためだ。責任の大半は与党側にあることを忘れてはならない。
 衆参両院の予算委員会できのう外交などをテーマに、安倍晋三首相が出席して集中審議が行われたが、日本維新の会以外の野党は欠席した。国会は、国民を代表して交わす議論を通じて実行する政策を決め、課題を解決する場である。野党の欠席戦術は決してほめられたものとは言えない。
 かといって、与党に野党の責任を問う資格はない。不正常な国会が続く責任のほとんどは、不誠実な対応を続ける政権の側にあるからだ。野党側に責任を押し付ける姿はあまりにも見苦しい。
 そもそも、野党側が真相解明と政治責任の明確化を求めているのは、政府の不祥事である。
 森友学園への国有地売却の経緯と財務省による決裁文書改ざん、加計学園の獣医学部新設をめぐる元首相秘書官の関与、陸上自衛隊部隊の日報隠蔽(いんぺい)、福田淳一前財務次官のセクハラ疑惑、などなど。
 首相はきのうも「信頼回復に向けて、必ず全容解明し、うみを出し切る」と述べたが、これまでの言動を見る限り、真相解明に真剣に取り組んできたとは言い難い。
 本気であれば、野党が求める柳瀬唯夫元首相秘書官ら関係者の証人喚問に応じ、関係者の処分を検討するよう、政府の関係部局や自民党執行部に指示したらどうか。
 政権を構成するとはいえ、与党も行政監視の役割を負う。政府の不祥事には野党と協力して真相解明を迫るべき立場にあるにもかかわらず、政権を擁護し、野党側に不誠実な対応を続けるのは、長期政権のおごりなのだろうか。
 自民党内では衆院解散論もささやかれ始めた。審議に応じない野党をけん制する狙いなのだろう。
 安倍政権の是非を問う意義は積極的に認めるが、政府の不祥事の真相を解明しないまま解散するのは、佐藤栄作首相による「黒い霧解散」と同じく疑惑隠しと批判されても仕方がない。
 与党は野党要求を誠実に受け止め、事態打開の道を探るべきだ。
 野党側にも注文がある。与党の不誠実さは、野党の力不足にも原因がある。数が少ない上に四分五裂状態で、十分な交渉力がない。新党協議を進める民進党と希望の党に限らず、幅広い野党勢力の結集に努め、政権の選択肢を一日も早く国民に示すべきである。


国会の混乱 与野党とも正常化へ動け
 異常な国会の混乱である。憲法が「国権の最高機関」「唯一の立法機関」と定めた国会の本来あるべき姿へ早急に立ち返るべきだ。
 衆参両院の予算委員会はきのう、立憲民主党や民進党など主な野党が欠席したまま、安倍晋三首相が出席する集中審議を行った。野党の質問時間は長い沈黙に包まれ、異様な国会を象徴していた。
 野党は、森友学園への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざんや前財務事務次官のセクハラ疑惑に伴う麻生太郎財務相の引責辞任、加計(かけ)学園の獣医学部新設で関与が指摘される柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問を要求している。
 これに対し、与党は「ゼロ回答」で、野党の意向に構わず審議を進めるというのが混乱の構図だ。集中審議も野党不在の予算委理事懇談会で決めた。
 25日には野党欠席の衆院厚生労働委員会で生活保護法改正案などを可決した。政権が今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案もきょう、審議入りの予定だ。「野党抜き国会」が進む異常事態である。
 混乱の第一義的な責任は疑惑や不祥事が相次いで発覚しているのに、迅速で的確な対応を怠っている政府と与党にある。
 事務方トップの事務次官と国税庁長官が辞任に追い込まれた財務省などを念頭に首相は「うみを出し切る」などと語るが、真相解明に指導力を発揮しているようには見えない。
 財務相として任命責任を問われる麻生氏だが、当事者能力を欠くような言動には与党内からも批判を浴びている。その与党も柳瀬氏喚問を拒むなど、全容解明に前向きとは言い難い。
 議席数で圧倒する与党が無理を押し通せば国会はさらに混乱する。野党の審議復帰へ環境を整えるのは与党の務めだ。
 一方、欠席戦術しか見いだせない野党も知恵が足りない。少数野党に攻め手が限られるのはやむを得ない現実だが、審議拒否だけでは疑惑解明を願う国民の期待に応えられまい。
 野党6党は欠席戦術をとりつつ、ほぼ連日の「合同ヒアリング」で関係府省庁を追及している。であるなら、国会審議で新たな事実や政府説明の矛盾点をぶつけ、野党主導で解明につなげることも可能ではないか。
 混乱の影響で、野党が対案を出していた生活保護法などの改正案は、議論が深まらないまま衆院厚労委で可決された。これでは野党も国民に対する責任を果たしたことにはならない。
 政治や行政に対する国民の不信を解消するのは立法府の使命である。与野党は「言論の府」へ国会を正常化させるべきだ。


国会の混迷 反省だけでは打開できぬ
 相次ぐ政権の不祥事に起因する国会の混乱だ。行政府の長である安倍晋三首相が反省を表明するのは当然である。
 ただ、それで打開できるほど状況は甘くない。与党が責任を自覚し、国会正常化に道筋をつけるべきだ。
 森友、加計学園問題などを巡る国会の混迷が続く。26日は首相が出席して集中審議が開かれたが、主要野党は欠席した。
 首相は、昭恵夫人や友人の加計孝太郎・加計学園理事長に関わりのある森友、加計問題について「国民の疑念が向けられるのはもっともだ」と述べた。
 さらに「私の意識が必ずしも十分でなく、国会審議が政策論争以外に集中してしまう状況を招いた」と国会混乱の責任を認め、「率直に反省しなければならない」と語った。
 首相の答弁は、既に多くの国民の共通認識に違いない。いまさらの感がある。
 求められるのは反省に沿って与党が国会正常化へ実効性ある提案ができるかどうかだ。にもかかわらず、開き直りのような姿勢が見えるのは嘆かわしい。
 象徴的なのが、「内閣不信任案が出されれば、解散も一つの選択肢」という25日の森山裕・自民党国対委員長の発言だ。
 衆院解散について首相は26日の審議で「私の頭の中には全くない」と述べたが、森山発言で野党側の態度は一層硬化した。
 野党の要求に「ゼロ回答」を続け、さらに解散を盾に追い込むような物言いだ。反発は無理もない。野党との折衝・調整に当たる国対委員長としても丁寧さを欠く。
 野党は、加計問題に関する柳瀬唯夫元首相秘書官への証人喚問と、森友問題や財務事務次官セクハラ疑惑での麻生太郎財務相辞任を求めている。
 国民の政治不信と政治の機能不全を招いたことを思えば理解できる。同時に、審議拒否が国民生活を犠牲にすることにならないか見極めも必要だろう。
 国会の重要な責務は、民意を背景に、政府をチェックしていくことである。
 森友、加計問題、セクハラ疑惑、自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)、現職自衛官の国会議員への暴言など不祥事や失態が続発し、政権を巡る状況は目を覆うばかりだ。
 こうした中で安倍政権の支持率が下落を続ける一方、自民党支持率は落ち込んでいない。首相や政権を守るより、国会で問題をただしていくことこそが支持に応える道だろう。
 野党が政権と対峙(たいじ)し、不祥事を追及していくのは自然な姿だが、欠席戦術によって国民生活に深い関わりのある法案の審議が不十分となれば、その不利益もまた大きい。
 政権が最重要と位置付ける働き方改革関連法案が27日、衆院で審議入りする。柱の一つである高度プロフェッショナル制度には、「過労死が増える」との指摘が根強くある。
 党利党略や政略を排し、国民のために最善の行動を選ぶ。与党にも野党にも、そうした姿勢を求めたい。


防衛省が内部告発漏らす 辺野古警備問題、個人特定可能な形
 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設工事を巡る約七億四千万円の過大請求問題で、警備会社が過大請求をしている疑いがあるとの内部通報を受けた防衛省沖縄防衛局が、元請けの大成建設に対し、内部通報者を特定可能な形で告発内容を伝えていたことが二十六日、同省への取材で分かった。
 防衛省は「個人情報保護の観点で不適切だった」と説明。通報者が社内で特定されたか、不利益を受けたかについては把握していないとしている。
 防衛省によると、二〇一六年一月、海上警備を受託した警備会社「ライジングサンセキュリティーサービス」(東京都)の従業員を名乗る人物が防衛局に電話し、警備に当たった人数の水増しがあると通報した。同局は工事の元請けの大成建設に調査を指示し、通報内容を記した文書を渡した。その際、通報者の氏名と連絡先は黒塗りにしていたが、社内での行動の情報などはそのままだった。
 同省は「他の情報と照合すれば、通報者を特定できる可能性があった。配慮が不十分だった」と話した。
 工事を受注した大成建設は、海上警備をライジング社に委託。ライジング社は仕様書より少ない人数で警備しながら、人件費約七億四千万円を水増しした書類を大成建設に提出した。


【国民投票法】不備を改め公正な制度に
 国の最高法規である憲法の改正には高いハードルが設けられている。国会が改憲案を発議しても、最終的には国民が投票によって可否を決める。
 その手続きを定めたのが国民投票法だが、市民団体などからは不備が多いという指摘も出ている。改憲論議を急ぐ前に、国民の意思を適正に反映し得る投票ルールに作り直すことが欠かせない。
 国会の発議から投票までには60〜180日間の運動期間が設けられるが、運動は原則として自由だ。誰でも署名活動や街頭宣伝などのほか、公選法が禁じている戸別訪問もできる。国民の活発な議論と自由な発言を促すことを狙いに、規制は最小限にとどめた。
 例外はテレビCMだ。投票14日前から賛成、反対への投票を呼び掛けるのを禁止する規制を設けている。14日前は期日前投票が始まる日で、大きな影響力を持つテレビCMをなくして、冷静に判断してもらおうということのようだ。
 もっとも、禁止前は自由にCMを流せるわけだ。テレビCMは高額だから、資金力のある側が圧倒的に有利といってよい。チラシやポスターなど他の広告・宣伝も含めて、運動費に制限はない。
 資金力が投票行動に影響を及ぼしかねない危うさがある。市民団体からはCMや運動費の制限を求める声が上がり、立憲民主党などはCM規制などを主張している。活発で自由な議論は大切にするにせよ、運動費に上限を設けるといった何らかの対応は必要だろう。
 改憲案承認の要件についても議論がある。国民投票法は有効投票総数の過半数の賛成で承認されると定めている。例えば投票率が30%で、うち半数を少し上回る人が賛成に投じた場合、全有権者の15%程度の賛成で改憲が成立することになる。
 これを国民の意思とみなすことには疑問が生じるだろう。一定の投票率に達しないと投票そのものを不成立とする最低投票率を導入すればよいが、国民投票法案の議論段階から続いている難問でもある。
 海外では各国それぞれに知恵を絞っている。英国やフランスは有料のテレビCMを禁止し、英国では運動費に上限がある。韓国やロシアは有権者の過半数の最低投票率を設けている。デンマークなどのように、有権者の一定割合の賛成がなければ不成立となる「最低絶対得票率」を導入している国もある。
 このほか、国民投票と参院選などの国政選挙が同時に実施されてもよいのかという問題もある。改憲の賛否と政権選択が結び付き、冷静な判断ができなくなる恐れなどが小さくないからだ。
 改憲の最終的な決定権を持つ国民が、国民投票の結果に納得できるかどうか。それが最も重要な点だ。そのためには国民が信頼して投票できる公正なルールが欠かせない。前のめりの改憲論議を排し、与野党がしっかりと議論を重ねてほしい。


窮地の安倍政権 限界近づく1強支配
 「1強」を誇る安倍政権が、政府内の不祥事の連鎖で窮地に立たされている。森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざん、加計学園の獣医学部新設を「首相案件」と述べた首相秘書官の発言記録が次々と発覚。これまで「存在しない」とされた自衛隊イラク派遣部隊の日報も見つかった。さらにセクハラ疑惑で財務事務次官が辞任に追い込まれるなど、まさに泥沼化の様相だ。
 国会では野党が麻生太郎副総理兼財務相の引責辞任を要求して審議拒否を続け、正常化の糸口がつかめない。内閣支持率も低迷し、9月の自民党総裁選で安倍晋三首相(党総裁)が目指す連続3選も微妙になりつつある。
 この惨状をどう立て直すか、問われているのは政権の行政管理・危機管理能力だ。だが、安倍首相は「うみを出す」と強調するだけで、事態収拾に向けて指導力を発揮する場面は見られない。
 首相や閣僚は官僚の暴走や逸脱行為に対し、自らの政治責任を明確にしつつ、制度上の指揮監督権者として実効性ある統制と制裁を実行して綱紀粛正を図るべきだが、それができていない。安倍政権の現状は「1強支配」が足元で揺らぎ、限界に近づきつつあることを示している。
 政権担当5年余となる「安倍1強」の構造は、小選挙区制導入や官邸主導体制構築を主眼とした1990年代以降の政治改革、行政改革の成果を制度的な支えとし、内閣人事局や国家安全保障局を新設するなどして内閣官房組織を強化、官邸中枢への権力一元化を進めたのが特徴だ。
 経済政策アベノミクスや特定秘密保護法、安全保障関連法など主要施策はこの体制下で発信され「強い官邸」を印象付けた。
 しかし、強力なリーダーシップと「強権政治」は紙一重であるのもまた事実だ。
 安倍首相の国会軽視、野党軽視の政治姿勢や、一連の不祥事で明らかになった官僚の暴走、忖度(そんたく)、逸脱行為は「1強」のおごりに起因した弊害と言えよう。
 共同通信が4月中旬に実施した世論調査によると、内閣支持率は37・0%で、2012年の第2次安倍政権発足以降では自民党が惨敗した東京都議選直後の昨年7月に35・8%の最低を記録したのに次ぐ低い数字だった。不支持率は52・6%で、その理由として「首相が信頼できない」を挙げたのが58・4%にも上った。
 相次ぐ不祥事の中で、首相の政治姿勢が厳しく問い直されている。


政治が信用取り戻すには「首相交代しか」
 ★25日朝、自民党国対委員長・森山裕は「解散も1つの選択肢」と野党をけん制したが、もし解散すればそのネーミングは「セクハラ解散」「改ざん総選挙」になるだろう。自民党幹部は「連休中の自民党独自の世論調査の実施」を示唆したが、これも解散含みだとのブラフ(はったり)にすぎない。今の自民党に解散できるだけの力はあるのか、自民党支持者の評価や女性支持者の評価はどうかなど、解散できる環境が整ったかを調べることになるだろう。 ★黒い霧解散というが、1966年当時の自民党の黒い霧は、複合的な複数の事件が政界を覆い、解散してリセットしたものだ。今回の騒動の大半は、首相夫妻が軸。いずれも首相・安倍晋三が遠因とみられる交友関係や、首相側近の官僚たちが政権維持のために法を犯してまで守ろうとした、順法精神なき官僚の暴走と強引な政治がもたらしたものだ。それに自民・公明全体が巻き込まれることになる。財務省の公文書改ざんや森友学園口裏合わせ疑惑、防衛省日報隠蔽(いんぺい)、厚労省データ改ざん問題などは、政権の思惑や政権維持のために官僚が動いた結果といえる。 ★つまり選挙後にリセットはできない。野党の国会空転を批判する向きがあるが、政府が「調査中」という時間稼ぎをしている限り、その説明責任は政府にあり、出してこない限り審議に応じられないという野党の言い分には、一定の説得力がある。森山は鹿児島選出議員だが、その他の自民党議員が鹿児島の県紙、南日本新聞23日付でコメントしている。 ★鹿児島3区・小里泰弘は「真相究明を果たして(政府側は)国民に納得のいく説明が必要だ」。鹿児島2区・金子万寿夫は「森友・加計問題の発覚時に(政権側が事実上の)答弁拒否をしたのが失敗だった」。参院比例・園田修光は「国民からの疑念を持たれた問題は、認めるべきは正直に認めればいい」。参院鹿児島選挙区・野村哲郎は会合で「国会日程は真っ暗闇の状態。今日は安倍首相のことは言わないが、皆さん方と気持ちは一緒だ」とした。取材に応えて「このままでは来年の参院選は戦えない」とし、「政治が信用を取り戻すには、首相が交代するしかない」と結んでいる。世論調査の必要はなさそうだ。

安倍政権は嘘ばかり 国民が知りたい南北会談の裏と今後<1>
 両首脳とも満面の笑みで手を握り合った。27日、午前9時29分、予定より1分早く、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がついに歩いて軍事境界線を越えた。板門店で出迎えた韓国の文在寅大統領と右手、左手と交互に入れ替えて何度も固く握手。共に手をつないで、境界線の北朝鮮側に渡る予定外の“サプライズ”演出を披露する余裕まで世界に見せつけた。
 儀仗隊を伴う歓迎式の後、韓国側施設「平和の家」で首脳会談はスタート。南北分断の歴史に新たな一ページが刻まれた。北朝鮮の最高指導者による訪韓は初めて。
 朝鮮戦争後初めて軍事境界線を越え、“敵地”に赴く金正恩について、北朝鮮は党幹部を対象にした教育用資料で、「元帥様が人民のため、命をかけて1人で南側に行かれる」と説明。南北会談を正恩の「神格化」に利用しているが、圧力の拳を振りかざし、融和ムードに取り残された安倍政権は今後どうするつもりなのか。国民が知りたい真相と今後を徹底検証する。
■なぜ、北朝鮮は急に歩み寄ったのか。日本のメディアが書かない金正恩の能力と評判
 金正恩は単なる「カリアゲデブ」ではなかった。6月にも予定されている史上初の米朝首脳会談を前に「核・ミサイル実験中止」を宣言。昨年、長距離弾道ミサイルを相次いで発射し、米朝間で緊張関係が一気に高まり、「開戦前夜」などと大騒ぎになった当時がウソのようだ。
 2月の韓国・平昌冬季五輪参加から始まり、電撃訪中、南北会談など、北が一気に融和ムードにカジを切った背景には何があるのか。
 安倍政権は米国を中心とした経済制裁などの「対北包囲網」や「圧力」を要因に挙げているが、全く信用できない。国際ジャーナリストの堀田佳男氏は「核兵器を保有し、米国と対等に交渉できるだけの自信を深めたから」と言う。
 つまり、インドやパキスタンと同じ核保有国となった今、核・ミサイル実験を行う必要性は乏しく、近隣諸国をこれ以上、刺激して自国を窮地に追い込んでも意味がない。それよりも、米朝会談に前向きなトランプ米大統領から有利な条件を引き出したい――。金正恩の狙いはここにあるというのだ。
 これまで、日本メディアの多くは金正恩を“狂人”扱いしてきた。しかし、最近の外交姿勢を見る限り、シタタカな側面が随所に垣間見える。26日のロイター通信も、金正恩の人柄について「悪賢い指導者」と評していたが、南北会談も米朝会談も、金正恩が描いたシナリオ通りに進んでいるように見える。
「日本では、金正恩の危うい人物像ばかりが注目されていますが、海外メディアでは『合理的な判断をする人物』との論調もあります」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)
 北朝鮮が制裁に音を上げて対話を持ちかけたというのは、安倍政権にとって都合のいい見方に過ぎないのだ。


安倍政権は嘘ばかり 国民が知りたい南北会談の裏と今後<2>
■「圧力」一辺倒で来て、今さら「拉致でお願い」の安倍外交の醜態
 頭越しに金正恩との会談を決めたトランプ大統領の別荘にわざわざ出向き、「拉致問題を取り上げて」と懇願。南北会談直前の24日には文在寅韓国大統領に「拉致をお願い」と電話で泣きつく。安倍首相は昨年9月の国連演説で、「対話による(北朝鮮)問題解決の試みは、一再ならず、無に帰した」と豪語したが、今のみっともない姿はとても同じ人物とは思えない。
 安倍は北に対する「圧力」一辺倒の姿勢を散々政治利用してきた。モリ・カケ疑惑で昨年、支持率低迷にあえいだ頃、北が太平洋に向け弾道ミサイルをぶっ放すと、もっけの幸いとばかりに早朝から不穏な音のJアラートをかき鳴らした。
 弾道ミサイルを想定した政府主催の避難訓練も、昨年度は北は北海道から南は鹿児島・徳之島まで25自治体で実施。農家のオジサンを用水路にはいつくばらせ、頭を抱え込ませるバカバカしい光景が各地で繰り広げられた。
 こうして国民の不安や危機感を煽りまくった揚げ句、北の脅威を「国難」と称して解散・総選挙を断行。勝利を収めた直後、麻生財務相は「明らかに北朝鮮のおかげ」とまで言ってのけた。
「いざ東アジア情勢が緊張緩和へ劇的にカジを切ると、悪目立ちの対北強硬路線がアダとなり、日本だけが蚊帳の外。政権復帰から5年間も安倍首相が『最重要課題』に掲げたはずの拉致解決も、圧力一辺倒で北との外交ルートを失い、就任1年足らずの文大統領に頼み込む情けなさ。嫌韓反中の外交姿勢で両国との良好関係も築けず、今や八方塞がり。何ごとも好き嫌いで決めてしまう安倍政治のツケです」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)
 安倍外交の醜態は自業自得なのである。
■急転直下の展開でよく分かったテレビ専門家のトンチンカン
 米中両大国の向こうを張って交渉テーブルに着かせ、急転直下の展開に持ち込んだ金正恩。バランスに長けた大胆かつ冷静な外交戦略は、圧力バカの安倍の単細胞外交をあざ笑うかのような狡猾さとしたたかさだ。日本のテレビ専門家たちが、しきりに流布したイメージとは百八十度異なる。前出の五野井郁夫氏はこう言った。
「日本のメディアはこぞって金正恩委員長を側近を平気で殺す“狂った3代目”のように扱い、予測不能な戦争屋として『交渉しても意味がない相手』というレッテル貼りを続けました。ミサイル発射のたび『圧力しかない』との前提に立ち、安倍政権の強硬姿勢とそれに伴う軍拡路線をアシストしてきたようなものです。冷静に考えれば、北が対米戦争を仕掛ける可能性はゼロに近いのに、専門家たちまであり得ない想定に基づき、安倍政権の圧力路線に便乗して北の脅威を煽ったのです。彼らの話を聞いても、北朝鮮の実情は何ひとつ掴めないことが、よく分かりました」
 南北会談の実現はメディアが作り上げた金正恩へのトンチンカンな印象操作の瓦解を意味する。訳知り顔の専門家を信じ、今なお安倍の強硬姿勢に騙され続けている国民は、そろそろ目を覚ました方がいい。


安倍政権は嘘ばかり 国民が知りたい南北会談の裏と今後<3>
■北朝鮮の非核化、これが現実的なシナリオ
「平和実現に向けて段階的で歩調を合わせた措置を取るなら半島の非核化は実現できる」――。金正恩は中国の習近平国家主席との首脳会談で、こう断言した。
 カギは「段階的で歩調を合わせた措置」のくだりだ。これは中国が主導した6カ国協議で、朝鮮半島の非核化と平和構築について明文化した2005年9月の共同声明に盛り込まれた〈約束対約束、行動対行動で段階的に進む〉を意味する。つまり、金正恩は「段階的な非核化」であれば実現可能であり、過去には米国や韓国、日本も同意していたではないか――というメッセージを発しているのだ。
 元韓国国防省北朝鮮情報分析官で拓大客員研究員の高永テツ氏はこう言う。
「この『段階的な非核化』が時間稼ぎではないか、と批判的に見られているワケですが、現実問題として、いきなりのCVID(完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化)の実行は難しい。IAEA(国際原子力機関)の査察受け入れから始まり、具体的なロードマップを作り、一歩ずつ進むしかありません。そうして共同声明の『約束対約束、行動対行動』の原則に沿って、北への経済支援なども行う。そうやって南北関係だけではなく、米中日ロが北との信頼関係を醸成し、平和体制を構築する以外に現実的な非核化のシナリオはありません。北にとっても大きく経済成長するチャンスであり、体制維持のためにも悪い話ではないはずです」
「北は絶対に核を手放さない」との声もあるが、中国国内では、中朝国境に北の核を保管、封印する倉庫をつくり、5カ国共同で監視する――といった意見も広がっている。いずれにしても、金正恩が「もはや核を持つ必要はない」と思うまで地道な協議を続ける以外にない。
■北が核放棄、平和条約となれば日本の安全保障はどう変わる?
 南北会談で非核化と並ぶもうひとつのキモは、1953年に米軍中心の国連軍と朝鮮人民軍、中国人民義勇軍の3者が調印した「朝鮮戦争」の休戦協定に区切りをつけ、平和条約へと転換する道筋をつけられるか、だ。
 仮に北が核放棄、平和条約締結をスンナリ受け入れた場合、これまで北に対して「対話のための対話はしない」「最大限の圧力が必要」と拳を振り上げてきた日本の安全保障はどう変わるのか。
 元外交官の孫崎享氏は「まず、休戦協定の当事者は南北だけではなく、平和条約までこぎ着けるには米国の同意が欠かせない。核放棄と同様にハードルが高いでしょう」と前置きした上で、こう続ける。
「北が平和体制の構築へとカジを切れば、日本の安全保障も当然、見直しを余儀なくされるでしょう。これまで『北の脅威』を理由に迎撃ミサイルや在日米軍などを拡充してきたわけですからね。本来は日本も早い段階で北との対話交渉に乗り出すべきですが、安倍政権は圧力一辺倒を主張してきたため、対話のルートを何も持っていません。
 今後、どう展開していくか分からない朝鮮半島情勢に対して明確な外交方針も戦略もない。頼みの米国も『日本は黙っていろ』というスタンス。ポンペオCIA長官と金正恩との会談が日本政府に対して事前に何ら知らされていなかったのが証左です。対米従属の日本の安全保障の仕組みを見直すべき時が来ているのです」
「困ったときの北頼み」の安倍無策外交も終わりだ。
■それでも予断を許さない悪夢のシナリオの可能性
「非核化するまで補償はない」。強硬路線から対話路線にカジを切った北に対し、トランプ政権が繰り返し言い続けているのが、核放棄先行、補償は後――という「リビア方式」の受け入れだ。
 リビアのカダフィ大佐は2003年、米英両国との水面下での交渉を経て、核を含む大量破壊兵器の放棄を宣言。核施設の公開や弾道ミサイル廃棄に応じた。ところが、カダフィは11年、米欧が支援する反政府勢力によって殺害された。
 北の機関紙「労働新聞」は〈米国の誘惑と軍事的恐喝によって銃床を下ろすことが、どれほど残酷な結果を招くかはイラクとリビアの悲劇的現実が物語る〉と報じていた。米朝会談で北が主張する「段階的な非核化」が受け入れられなければ、たちまち「交渉決裂」となりかねない。そうなれば、どんな展開が待ち受けているのか。外交評論家の小山貴氏はこう言う。
「トランプ大統領は北に対して綿密な外交戦略を持っているわけではありません。米側の要求が金正恩委員長に早々に突っぱねられて感情的に陥り、『軍事行動だ』などと言い出す可能性は十分あります」
 駐豪大使に指名されていたハリス太平洋軍司令官が急きょ、駐韓大使に起用される見通しになったのも不気味だ。「米軍はいつでも動ける」という北へのプレッシャーとも受け取れるからだ。
「交渉決裂の場合、11月の中間選挙を控えたトランプが低迷する支持率の回復を狙って北の空爆に踏み切るかもしれない。当然、北は反撃し、韓国、日本も巻き込まれるでしょう」(高永テツ氏=前出)
 言うことが全く信用できない安倍政権が続く限り、交渉からは蚊帳の外で、戦争リスクだけが高まっていく。悪夢のシナリオを回避するには安倍退陣が最低条件だ。


「安倍政権は一切取り合うな」と平壌指示——北朝鮮問題で日本孤立浮き彫り
岡田充 [共同通信客員論説委員]
北朝鮮との日朝首脳会談の可能性を打診した安倍政権に対し、北朝鮮当局が「一切取り合うな」との指示を出していたことが明らかになった。
平壌の反応が明らかになったのは初めてで、4月27日の南北首脳会談と米朝首脳会談など、国際的対話の枠外に置かれる安倍政権は当面、北との対話の契機をつかめないまま孤立を深めることになる。
北朝鮮情勢に詳しい在京消息筋によると、日本政府は3月初めに米朝首脳会談の開催が決まって以降、日朝首脳会談を希望する安倍首相の意向を、さまざまなチャネルを通じ北朝鮮に伝えたという。消息筋は「意向を平壌に伝達したが、本国からは『一切とりあうな』と指示された」と明らかにした。
「謝罪と賠償が先」と最高会議議長
同消息筋によると、平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開会式(2月9日)に出席した安倍首相は、北朝鮮代表団の金永南・最高人民会議常任委員長との立ち話で、「平壌宣言と(拉致被害者らの再調査を約束した)日朝ストックホルム合意に立ち戻ろう」と呼び掛けたのに対し、金議長は「謝罪と賠償が先」と取り合わなかったという。
韓国大統領府は2月9日、安倍首相と金議長の2人が握手しながら立ち話をしたと発表しているが、話の内容と北の反応は伝えられていなかった。金永南氏がこのほど、日本からの訪問団に対し立ち話の「秘話」を明らかにしたという。
金永南氏は「文在寅韓国大統領主催の歓迎レセプションに出席した後、文大統領に促され会場を出ようとすると、後ろから駆け寄って日本の通訳が私を呼び止めた。すると安倍首相が近寄ってきたため立ち話になった。安倍首相は『平壌宣言と日朝ストックホルム合意に立ち戻りましょう』と言うので、日本の植民地支配に対する謝罪と賠償が先だと、私は答えた」と話したという。


中国、南北会談に臨んだ両首脳の「勇気」を称賛 漢詩の一節引用
中国は27日、この日会談に臨んだ韓国と北朝鮮の両首脳を称賛し、南北軍事境界線上での両首脳が握手したことを「歴史的瞬間」と評した。
 中国外務省の華春瑩(Hua Chunying)報道官は定例記者会見で、「南北両首脳の歴史的な一歩に拍手を送るとともに、両氏の政治判断と勇気を評価する」と述べた。
 その上で「両首脳がこれを機に、朝鮮半島(Korean peninsula)の長期的安定に向かう新たな旅路をさらに開いていく機会をつかんでくれることを、われわれは望み、期待する」と述べ。
「荒波を渡り尽くせば兄弟あり、互いに会って笑えば恩讐(おんしゅう)も滅びる」との詩の一節を引用した。


南北会談“蚊帳の外”安倍首相がイタすぎる! 会談実現を妨害したのに「私が司令塔」、トランプにも無視され…
 きょう、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領による南北首脳会談がおこなわれ、史上初めて北朝鮮の指導者が軍事境界線を越えて韓国入りした。
 分断された南北のリーダーが軍事境界線を越えて両国の地で握手を交わし合う光景はまさしく歴史的瞬間と言えるものだったが、肝心の共同宣言も、「完全な非核化を通じ、核なき半島の実現を目標にする」「休戦協定締結から65年になる今年に終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換する」「南と北は一切の敵対行為を全面的に中止する」「南北とアメリカの3者、または南北と米中の4者会談の開催を積極的に推進する」と、平和に向けて大きく前進する内容だった。
 さらに、共同宣言署名後には共同発表がおこなわれ、カメラの前で金委員長が「合意したことは、過去のように死文化した歴史を繰り返さないよう、ひざを突き合わせて協議した。必ず成し遂げられるよう努力していく」と発言。北朝鮮への警戒は今後もつづくことになるだろうが、今回の南北首脳会談が大きな一歩になったことは確かだろう。
 だが、この世界が注目する動きから完全に蚊帳の外に置かれているのが、日本だ。
 しかも、蚊帳の外に置かれているにもかかわらず、安倍首相は共同宣言を受けて、こんなコメントを発表した。
「北朝鮮の非核化等について真剣に議論したことを、北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的な解決に向けた前向きな動きと歓迎する」
「今回の会談の実現に至るまでの韓国政府の努力を称賛したい」
 さらに、記者から「日本が蚊帳の外に置かれるという懸念があるが」と質問されると「それはない」と躍起になって否定した。
「歓迎します」「韓国の努力を称賛したい」とは、よくもまあ厚顔無恥にも程があることを言えたものだ。なぜなら、この歴史的な南北の対話をなんとか潰そうと必死になってきたのが日本政府だからだ。
 そもそも、南北対話の動きは年明けからはじまっていた。今年の元旦には金委員長が平昌五輪に代表団を送る用意があると表明、その後おこなわれた南北閣僚級会談は国際的にも評価され、韓国の外交も奏功し、北朝鮮選手団の参加にくわえ応援団の訪韓実現に至った。
 ところが、安倍首相は1月の南北閣僚級会談を尻目に、外遊先で“北朝鮮の脅威”言いふらしてまわった。
国際社会が平和的解決に努力を続けるなか、水を差し続けた安倍首相
 2月の五輪開会式に際した日韓首脳会談では、文大統領に「米韓合同軍事演習を予定通り進めることが重要だ」と内政干渉的なことまで言い出して融和ムードへ冷や水を浴びせかけ、五輪開催中の日米電話会談後には「北朝鮮に最大限の圧力をかけつづけていく点で完全に一致した」などと発言。さらに、韓国が南北首脳会談実現に向けて動くと、外務省を通じて韓国に「まだ時期が早い」「思いとどまるべき」と、再三にわたって圧力をかけつづけたのである。
 まさに米韓の足を引っ張り、北朝鮮との対話を食い止めようと必死で動き回っていたのだ。
 さらに驚いたのは、3月になって韓国大統領府が韓国の文在寅大統領と金正恩委員長の南北首脳会談の合意を発表し、その後の米朝首脳会談や平和的解決への流れが決定的になったあとも、その態度を変えなかったことだ。
 たとえば、菅義偉官房長官は、南北首脳会談合意について「対話のための対話であっては意味がない」などと非難に近いコメントを発表し、河野太郎外相も「経済制裁で困っているので、(金委員長は)必死にほほ笑み外交をやっているのだろう」と挑発した。
 そして、安倍首相も、3月8日の参院予算委員会で対話路線を完全否定し、「圧力を最大限まで高める」と言い放った。
「対話に応じたからといって、たとえば制裁を緩める対価を与える、対話に対して対価を与えるということがあってはならない」
「核・ミサイル計画を放棄させるため、安保理決議の完全な(制裁)履行など、あらゆる方法で、圧力を最大現まで高めていく考えであります」
 はっきり言うが、こんな態度を示したのは、世界中で日本の政府くらいだ。南北首脳会談合意のあと、トランプ大統領はすぐに「世界にとって素晴らしいことだ」と言明し、対話に意欲を示したことを「北朝鮮は真剣だと思う」と評価。そのほかロシアや中国、EUも歓迎姿勢を示した。ところが、日本政府と安倍首相だけは交渉の進展を期待するようなコメントは一言も出さず「対話に対して対価を与えるな」「まだまだ圧力を高めるぞ」と息巻きつづけた。
 その上、金委員長と習近平国家主席の電撃的な首脳会談がおこなわれた際には、安倍首相も河野外務相もまったく情報を得ていなかったことが露呈。挙げ句、3月28日の参院予算委員会では、安倍首相は「北朝鮮の側から対話を求めてきた。圧力を最大限まで高めるわが国の方針を、国際社会の方針にするためにリーダーシップを取ってきた結果だ」と宣ったのである。
 完全に孤立状態なのに「俺の成果」と言わんばかりに勝ち誇る──。まさに「裸の王様」としか言いようがないが、忘れてはいけないのは、安倍首相は北朝鮮問題を「国難」と呼んできたことだ。
南北対話の足を引っ張り続けたくせに、「私が司令塔」と言い出す厚顔
 しかし、今回の南北首脳会談では、金委員長は弾道ミサイルの発射について「(未明に)もう叩き起こさない。私が確約する」と述べた、というのである。
 ご存じの通り、安倍首相は昨年9月、「北朝鮮問題への対応について国民に問いたい」などと言い出し、北朝鮮問題を「国難」と呼んで解散総選挙をおこなったが、その「国難」は足を引っ張りつづけた南北の対話によって突破の道を切り拓かれようとしているのである。悪い冗談のような話だ。
 ようするに、安倍政権はこれまで北朝鮮問題の解決や非核化の実現を目指していたのではなく、ただ北朝鮮危機を煽ることで政権浮揚をはかってきただけ。改憲を推し進めてきた安倍政権にとって、朝鮮半島情勢が安定し非核化が実現することは、むしろあってはならない事態だったのだ。
 ところが、対話による平和的解決に米韓をはじめ国際社会が本格的に向かうと、安倍首相は今度は政権浮揚の道具に拉致問題をもち出しはじめ、今月22日におこなわれた拉致被害者家族会などが開いた国民大集会の場では、鼻息荒くこう述べた。
「南北、そして米朝首脳会談の際に、拉致問題が前進するよう私が司令塔となって全力で取り組んでいく」
 まったく開いた口が塞がらない。この「私が司令塔」発言に対しては、拉致被害者家族である蓮池透氏も〈司令塔? この期に及んで。どうやって?〉とツイートしたが、至極ごもっともだ。
 現に、先日おこなわれた日米首脳会談の共同記者会見で安倍首相は「ドナルド、あのときのあなたの言葉は、マール・ア・ラーゴで過ごした素晴らしい思い出とともにいまなお、私の胸に深く刻まれている」などと気持ちの悪い親密アピールを繰り出したが、対するトランプ大統領は安倍首相を見放しており、海外メディアも“安倍首相はトランプから見捨てられた”と伝えた。つまり、安倍首相の対北朝鮮外交はすべて失敗し、挙げ句は部外者扱いで拉致問題も文大統領やトランプ大統領任せという体たらく。きょうにしても「文大統領からの電話待ち」という状態で、それで「私が司令塔」とは片腹痛い。
 しかも、トランプ大統領は南北首脳会談を受け〈朝鮮戦争が終結へ!〉などと興奮気味に祝福ツイートしたのに続き、中国の習近平主席についても〈私の良き友人・習近平主席の多大な尽力を忘れないでください〉〈彼がいなければ、もっと長く厳しい道のりだっただろう〉と謝辞をツイート。一方、「司令塔」で「リーダーシップをとってきた」らしい安倍首相については、今のところ一言も触れられていない。
 改憲という自分の悲願のために危機を煽り、平和的解決を認めないような言動を繰り返した挙げ句、蚊帳の外に置かれているのにもかかわらず、いまだにあたかも自分の成果のように誇る。これぞまさに「外交の私物化」と言うべきだろう。これ以上、この男をリーダーにしていれば、どんどん世界から孤立を深めていくだけだ。(編集部)


東大の元教授は懲戒解雇相当 論文不正、退職金不支給
 東京大は27日、論文不正が認定された元分子細胞生物学研究所教授の渡辺嘉典氏は懲戒解雇相当と発表した。渡辺氏は2月末に退職、この時点で退職金の支給を差し止めていたが、不支給が決まった。
 東大は昨年8月、渡辺氏と元助教について、著名な科学誌サイエンスやネイチャーなどに発表した5本の論文でデータの捏造や改ざんなどの不正を認め、処分を検討していた。元助教は渡辺氏の指導下にあったとして懲戒対象から外した。
 当初、東大は調査対象の論文を渡辺氏が教授就任後に発表した33本としていた。だが、昨年末に追加で9本の論文について「不正なし」とした他は、調査しないとしている。

データもらっていろいろ整理/大川小裁判判決/チェルノブイリ32年

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ひえい叡電180401

Au Japon, la nouvelle génération de chanteurs français
Au Japon, quand on parle de chanson française, il y a bien sûr les grandes vedettes toujours évoquées, de Juliette Gréco à Charles Aznavour, en passant par Sylvie Vartan. Mais aujourd’hui, une nouvelle génération de chanteurs français tente sa chance au pays du Soleil levant, y compris des figures inconnues en France mais qui représentent à merveille une certaine "French touch".
Le nom de la chanteuse Clémentine revient sur toutes les lèvres des interlocuteurs croisés. Inconnue en France, adorée là-bas, elle a vendu plus de deux millions d’albums depuis le début de sa carrière, il y a maintenant vingt-deux ans. Son secret ? Chanter en français des chansons formatées pour un public japonais : romantique, avec des airs de bossa et une voix douce et sucrée.
Cet immense succès, elle le doit à sa productrice : Loumi Kawai. Parfaitement francophile, elle a vécu près de dix ans à Paris et à son retour au Japon, elle a inventé ce personnage calibré parfaitement pour le public japonais. Pari gagné ! Pourtant, ce marché est très opaque. Même Beyoncé ne vend que 10 000 disques là-bas.
"90% est détenu par le marché domestique, nous raconte Loumi Kawai dans son bureau de Tokyo. Avec ces fameux boys band de pop japonaise, produits tout fait, marketés au possible, qui rendent folles les adolescentes japonaises. Difficile de passer derrière avec la musique française qui est souvent associée ici à celle qu’écoutaient les grands-parents, hyper populaire, oui, mais perçue comme d’un autre temps".
Albin de la Simone, tellement français
La preuve est que même le Bureau Export français a fermé ses portes l’année dernière. Pourtant, Loumi Kawai ne se désespère pas. Bien au contraire… Si Albin de la Simone a sorti son disque là-bas à l’automne dernier, c’est grâce à elle ! "Il est tellement français, avec ses très belles chansons aux paroles compréhensibles pour les Japonais, il est si kawaï (mignon) et en plus il parle japonais ! cela ne peut que plaire aux Japonaises", nous explique la productrice.
En effet, à force de venir au Japon et amoureux de ce pays, Albin peut aujourd’hui parsemer son tour de chant de quelques mots en japonais… Venu à deux reprises en 2016 pour les siestes acoustiques de Bastien Lallemant, Loumi a retrouvé à cette occasion le chanteur qu’elle avait fait venir en 2002 pour accompagner Clémentine (encore !) et Mathieu Boogaerts qui remportait alors un certain succès là-bas.
Sans le savoir, Loumi offrait alors à Albin de la Simone sa toute première scène. Quinze ans plus tard, Loumi Kawaï, accompagnée de Yasuko Fujimori, s’occupent absolument de tout : la sortie du disque sur son propre label, la promotion, le logement de l’artiste (dans son bureau vers Omotesando en plein cœur de la capitale où une chambre est réservée pour les artistes) à l’organisation des concerts.
Grâce à l’appui de l’Institut français et notamment de Nourredine EssaIdi, elle a lancé les concerts "tandem", un concert et deux artistes ! Albin a partagé la scène avec Yu Sakaï, une grande vedette japonaise. A charge de revanche en France où le chanteur japonais doit venir chanter dans quelques mois. L’année dernière, Les Innocents et Jil Caplan se sont essayé avec bonheur au même exercice. Pour Juliette Armanet, attendue en ce mois d’avril, c’est un peu différent. Elle a participé au Gala de la Chambre de Commerce, qui chaque année, organise un prestigieux concert dans une grande salle de Tokyo. Alex Beaupain, Camélia Jordana et Brigitte y ont déjà participé, comme Julien Doré venu pour la première fois en 2010 (avec Sylvie Vartan !)
De Julien Doré à Jane Birkin
Depuis ce premier voyage, le chanteur français ne souhaitait qu’une seule chose : revenir au Japon ! Il n’y a qu’une seule règle dans ce pays pour faire carrière : la persévérance. Les Japonais sont très attentifs et particulièrement sensibles à la fidélité. Julien Doré vient régulièrement et donne des concerts qu’il parsème de quelques mots de japonais. Quand il est revenu en France, il a même enregistré une version japonaise de la Javanaise pour le seul public français, pour le moment.
Tété l’a éprouvé aussi et cela a fini par payer ! En novembre 2013, le chanteur est parti là-bas pour une tournée acoustique de 6 dates et en a profité pour réaliser un documentaire diffusé dans quelques salles dans le pays. Il est ensuite revenu en 2015, en 2016 et a réussi à fédérer un public fidèle.
Comme Zaz devenue en 2014 avec son disque de reprises Paris, la réincarnation d’Edith Piaf, avec cette gouaille purement française et cette voix si particulière et très appréciée là-bas. D’autres artistes comme Claire Elzière, du label Saravah en France et produite au Japon par Respect Records fondé par Kenichi Takahashi, remporte un vrai succès aussi en reprenant des chansons de Barbara, Pierre Louki, Serge Gainsbourg, Léo Ferré…Depuis dix ans, Claire Elzière a tourné dans tout le Japon et s’apprête à repartir sur la route en juin prochain.
Toujours nostalgique de cette époque bénie des années 60, Jane Birkin bénéficie d’une aura particulière surtout depuis qu’elle collabore avec Nobuyuki Nakajima, arrangeur notamment de son dernier disque Gainsbourg Symphonique. En août 2017, elle a rempli la salle du Bunkamura, en plein cœur de Shibuya à Tokyo, de plus de 3000 places et sa présence fut relayée par une presse importante.
Comme ses filles, Lou Doillon et Charlotte Gainsbourg, Jane Birkin représente une certaine image de la Parisienne. Si les Japonais ont adoré nos chansons, ils continuent à vénérer notre mode. La marque franco-japonaise Kitsuné l’a bien compris en lançant une ligne de vêtements et en sortant quelques compilations de musique électro choisie avec soin et diffusée dans leurs magasins.
Underground et modernité à la japonaise
Mais, ce pays est aussi un pays mystérieux et parfois insondable pour les étrangers … Il y a par exemple un groupe, les Pascal’s, fan des chansons du musicien français Pascal Comelade. A l’instar de leur idole, ils jouent de la musique avec toutes sortes d’instruments qu’ils dénichent un peu partout. Le résultat est surprenant, tout à fait décalé et absolument formidable.
Il faut dire que la scène underground japonaise est très vivante et inventive. Dans les bars de Golden Gaï, quartier noctambule de Tokyo, on peut notamment croiser Baguette Bardot qui reprend les chansons de son idole et d’autres vedettes françaises avec des baguettes au bout des doigts. Particulier mais si "frenchie" … pour les Japonais !
Carton plein depuis plusieurs années et nombre de musiciens français ont aujourd’hui acquis un écho important grâce à ces disques : Yelle, Cascadeur, Housse de Racket, Lescop, Fauve et Superpoze peuvent leur dire merci ! De leur côté, Les groupes Justice et Phoenix remplissent les stades, ils ont remplacé "les chanteurs romantiques et intellectuels" dans le cœur des Japonais.
Grâce à leur tourneur, Creative Man et des festivals d’été comme Summer Sonic, les petits "Frenchies" cartonnent et remplissent les salles et les stades. Même si la véritable star française reste David Guetta. Il a réussi à rassembler 12 000 japonais lors de son concert à Tokyo (et 8 000 à Osaka) durant l’été 2016. Du jamais vu ! La "French Touch" a encore de belles heures devant elle…
Par : Clémentine Deroudille
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データもらっていろいろ整理してみました.なかなか面白いことになりそうな予感が・・・
大川小裁判決・チェルノブイリ32年と悲しいことばかりです.

<大川小津波訴訟>きょう控訴審判決 マニュアル適否、どう判断
 東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった宮城県石巻市大川小の児童23人の19遺族が、市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、仙台高裁(小川浩裁判長)は26日午後、判決を言い渡す。当時の大川小の危機管理マニュアルが適切だったかどうかが最大の争点で、学校の事前防災の是非を巡る初の司法判断となる見通し。
 控訴審では震災前の津波に対する危険認識や、学校と市教委の組織的な防災対応が主な争点となった。津波被害を想定していなかったマニュアルの適否を軸に、遺族側と市・県側の主張は対立している。
 遺族側は仙台地裁での一審でもマニュアルの不備を主張したが、2016年10月の地裁判決は「震災前に具体的な津波被害を予見することは困難で、マニュアルを改訂すべき注意義務は認められない」と、事前の過失を否定した。地裁の判断を高裁がどう認定し直すかが焦点となる。
 一審は地震発生後の津波の予見可能性が争点の中心だった。地裁判決は津波襲来の約7分前に市広報車が避難を呼び掛けた時点で、校庭にいた教員らは具体的な危険の予見ができたと判断。市・県に計約14億2660万円の賠償を命じた。


<大川小・母たちの7年>大輔が見守っている
 児童74人と教職員10人が津波の犠牲になった石巻市大川小を巡る控訴審判決が26日、仙台高裁で言い渡される。東日本大震災から7年、幼いままのわが子の写真を見つめ、葛藤を抱きながら数々の「なぜ」を追い続けてきた母親たち。判決に寄せる思いは高まる。(大川小事故取材班)
◎(下)今野ひとみさん
<面影追って>
 時は流れ、周りだけが変化している。
 石巻市の今野ひとみさん(47)は、大川小6年だった長男大輔君=当時(12)=を失った。「あの日から時間が止まっている」。流れについていけないもどかしさを感じる。
 大輔君の友人が車を運転していると聞いた。「同じように免許を取り、私を乗せてくれたかな」。つい思ってしまう。
 大輔君は今年11月12日に20歳になるはずだった。6年になり1人部屋を与えても、週1回は「お母さん、一緒に寝っぺ」と布団に潜り込んできた。甘えん坊のイメージのまま7年が過ぎた。成人した息子の姿をどうしても想像できない。
 市内のビジネスホテルで働く。夕食時、宿泊客の若い男性が何度もお代わりした。「大輔もよく食べる子だった」。ついおかずをサービスする。知らず知らず息子の面影を追っている。
<原告席で涙>
 石巻市教委や第三者検証委員会の説明を何度聞いても納得できなかった。「子どもたちは最後の最後まで怖い思いをさせられた。親として悔しい」。息子の無念を思い、大川小事故を巡る訴訟に参加した。
 仙台高裁での審理は、危機管理マニュアルの不備など事前防災に焦点が当たった。市教委側は「マニュアルを点検していなかった」などと証言。「大人がきちんと仕事をしていれば、子どもたちを守れた」と知り、原告席で悔し涙があふれた。
 一審、二審を通して原告側が何度も申請したが、生き残った男性教務主任(57)の証人尋問は実現しなかった。「証言を強要するくらいなら、出てこない方がいいと思っていた」と打ち明ける。
 亡くなった子どもに対する思いは心底聞きたい。ただ、本当の気持ちは自らの意思で出てこないと話せないのではないか−。時が来るまで待ち続ける。
<夫を励ます>
 夫の浩行さん(56)は原告団の団長を務める。真面目な性格で、26日の判決が近づくにつれて「負けたら、自分の責任になる気がする」と不安げな表情を見せる。「気をもんでもしょうがない」「大輔が見守っている」。重責を担う夫を励ますことが、団長の妻の役目だと思っている。
 月命日の今月11日、夫婦で同市針岡の松山寺を訪ねた。「今野家之墓」には、自宅で大輔君の帰りを待っていて津波の犠牲になった長女麻里さん=同(18)=、次女理加さん=同(16)=、義父浩さん=同(77)=、義母かつ子さん=同(70)=も眠る。
 彼岸の際に供えた花を替え、「こっちの事は心配しないで」と手を合わせた。
 判決後は墓前にこう報告したい。
 「学校側が間違っていたと認められたよ。ごめんねと言っていたよ」


大川小裁判 判決前に遺族が祈り
多くの児童が犠牲になった石巻市の大川小学校では、26日朝早く、裁判所に向かう前に慰霊碑に手を合わせる遺族の姿が見られました。
大川小学校を訪れた今野浩行さんは、当時小学6年生だった長男の大輔くんを学校で亡くしました。
今野さんは今回の裁判の原告団長を務めていて、26日の判決が全国の学校の防災対策を見直すきっかけになってほしいと考えています。
今野さんは、大川小学校の校舎の前に設けられた慰霊碑に向かって静かに手を合わせたあと、ゆっくりと校舎をめぐり、大輔くんが震災前に過ごしていた教室を眺めていました。
今野さんは「判決まで、つらく苦しい時間を過ごしてきましたが、一番つらいのは亡くなった子どもたちだと思います。『なぜ死ななければならなかったのか』という子どもの疑問に対し、大人としてきちんと答えを出してあげられるような判決を望んでいます」と話していました。


大川小津波訴訟 遺族、2審も勝訴「学校の事前防災不備」
 東日本大震災の津波で児童と教職員計84人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校を巡り、児童23人の遺族が市と県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は26日、1審・仙台地裁判決とほぼ同額の約14億3617万円の賠償を市と県に命じた。小川浩裁判長は「校長らは震災前に校舎周辺への津波襲来を予見できたのに、危機管理マニュアルに避難場所を明記するなどの対策を怠った」と指摘。遺族側の訴えをほぼ全面的に受け入れ、学校や市の震災前の対応の不備が過失に当たると認定した。
 同種の津波訴訟で、事前防災の不備による賠償責任が認められたのは初めて。戦後最悪とされる学校災害を巡る司法判断は1審より踏み込んだ内容となり、全国の教育現場に大きな影響を与えそうだ。
 大川小は北上川河口から約4キロ、川べりから約200メートルにあった。2011年3月11日、地震発生から約50分後に津波が襲来、児童108人のうち70人が死亡し、現在も4人が行方不明になっている。
 1審判決は、津波襲来の約7分前に高台避難を呼びかける広報車が通り、教員らは大津波襲来を予見できたのに、標高の高い裏山への避難を怠ったとして、地震後の教職員らの「判断ミス」を過失と認定。遺族、市・県の双方が控訴した。
 控訴審では、学校や市教委の震災前の対応に不備がなかったかが主に審理された。判決は、校長らは児童の安全を確保する上で「地域住民よりはるかに高いレベルの知識と経験が必要だった」と指摘。校舎は津波浸水予測区域外だったが、立地を考えれば津波被害は予見できたと認定した。
 その上で学校は、10年4月に改定し市へ提出した危機管理マニュアルに、具体的な津波避難場所として標高20メートルの高台を明記し避難経路や避難方法を具体的に定めておく義務があったのに怠り、児童らの被災を招いたと結論付けた。市教委も「地域の実情に応じてマニュアルの是正を指導すべき義務を怠った」と組織的過失があったとした。
 遺族側の吉岡和弘弁護士は「地震前でも、校長らに児童の安全確保義務があったことを認めており、非常に画期的だ」と評価した。一方、石巻市側の松坂英明弁護士は「教職員に多大な法的義務を課すもので、上告を検討する」としている。【百武信幸、遠藤大志】
解説 教育現場に影響必至
 大川小津波訴訟の控訴審判決は、認めた賠償金額自体は1審判決とほぼ同額だった。しかし理由については、地震発生後の教職員らの判断ミスのみを過失と認めた1審から大幅に変更し、津波襲来に対する事前の対策を怠った学校側と石巻市教委の過失を指摘した。学校の安全確保に向け、厳しい課題を突きつけた内容で、教育現場に影響を与えそうだ。
 判決は、子どもたちの安全確保に対し、学校や市教委が果たすべき責務を強調。校長らに高いレベルの知見と経験を求め、市教委にも学校を指示・指導する義務があったとした。
 控訴審では、昨年10月の証人尋問で象徴的なやり取りがあった。出廷した市教委の元学校教育課長に対し、潮見直之裁判官が「仮に」と前置きした上で、震災前に保護者から「津波の危険があり子どもを通わせたくない」と求められた際の対応を尋ねた。
 潮見裁判官は「教育専門家として『児童の安全は教職員が守るから安心してください』と述べませんか」と尋ね、明言を避けた元課長に強い口調で「『心配には及びません』という話はしませんか」と畳みかけた。
 この問いかけは、すべての教育組織に向けられたものといえる。教育行政は判決を受け止め、児童・生徒や保護者が安心でき、教職員が学校防災に全力で取り組める体制づくりが求められる。【百武信幸】


<大川小津波訴訟>二審も賠償命令 石巻市と宮城県に14億円
 東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった石巻市大川小の児童23人の19遺族が、市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は26日、「学校は適切な避難場所を定めておくべきだった」と事前防災の過失を認め、市・県に計約14億3610万円の賠償を命じた。教員らの避難対応の過失を認定した一審仙台地裁判決を変更し、校長ら大川小の管理職と市教委に組織的な過失があったとした。学校の事前防災を巡り、法的責任を認めた司法判断は初めて。
 小川浩裁判長は「学校組織には児童に及ぶあらゆる危険を積極的に認知すべき職務上の注意義務がある」と強調。一部学区が津波浸水予想区域を含み、校舎が北上川堤防と近接することから「地域の実情を独自に検証すれば、津波の危険は予見できた」と判断した。
 大川小の危機管理マニュアルが2次避難場所を「近隣の空き地・公園等」としたのは「不適切」と指弾。校長らは遅くとも市教委にマニュアルを提出した2010年4月までに、堤防付近の三角地帯(標高約7メートル)を経由した林道を避難場所と明記し、市教委は内容を確認し不備を指摘すべきだったとした上で「適切にマニュアルを整備していれば、地震発生から6分後の大津波警報発令時点で林道への避難を開始し、事故を回避できた」と結論付けた。
 大川小では児童74人と教職員10人が津波で死亡・行方不明になった。16年10月の地裁判決は市・県に計約14億2660万円の賠償を命じ、遺族と市・県の双方が控訴した。


大川小裁判 遺族側が会見
判決のあと遺族や遺族側の弁護士は仙台市の弁護士会館で記者会見しました。
この中で吉岡和弘弁護士は「地震が発生する前の平時の段階において子どもの安全を確保する学校側の義務を認めていて、全国の学校防災にも大きな影響を及ぼすものだ。画期的な判決で高く評価したい」と述べました。
そのうえで「かけがえのない子どもたちのために遺族1人1人が証拠を集める努力をしてきた。子どもたちの声が高等裁判所に届き、画期的な判決を勝ち取ることができた」と振り返りました。
小学6年生の長男を亡くした原告団長の今野浩行さんは判決のあと記者会見し「判決前から足が震えいまだに止まらない状態です。それだけ緊張感を持って臨んだ判決でした。1審の判決では本当にこれで子どもの命が救えるのか疑問に思いましたが、今回は未来の子どもの命を救うための判決になり喜んでいます」と話していました。
原告側の記者会見に出席した遺族の1人の佐藤和隆さんは「感無量の判決です。南海トラフ地震など大地震が予想されている中、この判決を礎にして全国の教育行政が防災マニュアルの改訂にいち早く取り組んでほしい。それこそが亡くなった子どもたちの命が“生きる”すべだと思う。子どもたちは戻ってこないが同じような子どもはもう1人も出てもらいたくない」と訴えました。
原告団長の今野浩行さんは、記者会見で、「石巻市と宮城県には判決を重く受け止めて、上告は断念してほしい」と語りました。
また、原告の1人で小学6年生の三男を亡くした佐藤和隆さんは、「きょうの判決には、子どもたちを守るために市や県が何をすべきか明記されている。それを重く受け止めた上で判断してほしい」と話していました。
原告の1人で、小学6年生の長男を亡くした今野ひとみさんは涙を流しながら、「主人も私も“自分がいけなかったのか”とみずからを責め続けた7年間でした。あの日あの時の子どものことを思ったら何にでも耐えられると思い、裁判に参加してきましたが、きょうの判決で学校の不備が認められ胸がすっと下りた気持ちです」と話していました。


大川小2審 14億円余賠償命令
東日本大震災で犠牲になった石巻市の大川小学校の児童の遺族が起こした裁判で、仙台高等裁判所は「地震発生前の段階で津波の被害を予測できたのに防災対策を怠った」として、石巻市と宮城県に対し、1審より多い14億3000万円余りの賠償を命じました。
遺族の弁護団によりますと、地震発生前の対策の不備を認め、賠償を命じる判決は初めてだということです。
石巻市にあった大川小学校では、74人の児童が津波の犠牲になり、このうち、児童23人の遺族が起こした裁判で、1審の仙台地方裁判所はおととし10月、地震の後の避難についての過失を認め、石巻市と宮城県に賠償を命じました。
双方が控訴した2審の審理では地震の前の防災対策が適切だったかどうかが重点的に争われました。
26日の判決で仙台高等裁判所の小川浩裁判長は、石巻市と宮城県の責任を認め、1審よりおよそ1000万円多い、あわせて14億3000万円余りの賠償を遺族全員に支払うよう命じました。
判決では、「地震発生の前の段階で石巻市が作った地域防災計画では、大地震が発生した場合、学校近くの河川の堤防が決壊して周辺が浸水する事態が想定され、校長らは津波の被害を受ける危険性を十分予測することができた」と指摘しました。
そして、「危機管理マニュアルに避難場所や避難経路などを定める義務があったのに怠り、市の教育委員会も指導しなかった」として、1審では認めなかった地震発生前の防災対策の不備を認めました。
また、判決では、「児童は教師の指示に従わなければならず、行動を拘束される以上、校長や教頭らは児童の安全について独自の立場から信頼性を検討するべきだった」と述べ、子どもたちを預かる校長らには地域の住民よりはるかに高いレベルの知識や経験が必要だと指摘しました。
遺族の弁護団によりますと、震災の津波をめぐる裁判で、地震発生前の防災対策の不備を認め、賠償を命じる判決は初めてだということです。


<災害公営住宅>宮城の家賃、本年度9万円アップの世帯も「こんなに高くなるなら入居しなかった」岩手は減免措置
 東日本大震災の被災者が暮らす宮城県内の災害公営住宅で、入居4年目から割り増しされる収入超過世帯の家賃が本年度、仙台市など6市町の56世帯で最大9万3200円上昇することが、各自治体への取材で分かった。岩手県は県営住宅に入居する被災世帯の減免措置を通じて家賃格差の是正を促しており、宮城県との対応の違いを指摘する声も上がる。
 「こんなに高額になるのだったら最初から入居しなかった」「働き盛り世代が次々退去し、高齢化が進行する」。今月中旬、仙台市青葉区であった災害公営住宅入居者の意見交換会で収入超過世帯の家賃急増に不満が相次いだ。
 市内では2014年度に入居が始まった上原、田子西、荒井東、若林西、鹿野の5災害公営住宅で39世帯が収入超過となる。4万1000円から13万4200円に増えた世帯もあり、県内で最も上昇幅が大きい。
 市は割り増し分の減免はしない方針のため、入居者らは今後、市に助成措置を要望する構えだ。市の担当者は「市内は民間賃貸住宅が豊富で沿岸市町とは住宅事情が異なる。一般の市営住宅も満室状態にあり、特段の対応は難しい」と理解を求める。
 県内ではほかに南三陸町7世帯、亘理町4世帯、美里町3世帯、大郷町2世帯、大崎市1世帯が収入超過に該当する。子どもの就職による収入増加や家財など雑損失の繰り越し控除の終了が主な要因で、多くが数万円単位で上昇した。
 一方、沿岸の5市町は割り増し分を独自に助成している。石巻、東松島両市は入居8年目まで、塩釜市と山元町は18年度分の家賃を据え置く。女川町は助成を10年目まで継続。19年度以降に対象世帯が生じる気仙沼市は10年目までの減免を表明している。
 岩手では被災者が入居する県営住宅の家賃上限を県が設定し、沿岸7市町が足並みをそろえた。県建築住宅課は「災害公営住宅間の家賃格差をなくす必要があった」と説明する。
 福島ではいわき市や相馬市が独自助成を講じ、県も県営住宅への入居が4年目となる19年度以降に減免措置を講じる方針。県建築住宅課は「岩手の例を参考に制度設計を急ぎたい」との考えを示す。
 宮城県は独自の減免措置はせず、家賃引き上げの判断を市町に委ねる方針を崩していない。被災自治体からは「財政規模が小さい市町ほど負担が大きく、県がリーダーシップを取るべきだ」との要望が出ている。
[収入超過世帯]公営住宅法では入居3年が経過し、所得月額が15万8000円を超えると4年目以降の家賃が段階的に引き上げられる。宮城県の試算では、将来的に災害公営住宅の987世帯が対象になる。入居5年が経過し、所得月額が2年連続で31万3000円を超えた「高額所得」に該当する212世帯と合わせて1199世帯に達する見通し。


救われた命で日中つなぐ 3・11被災の中国女性、日本へ人材派遣
 宮城県女川町の水産加工会社「佐藤水産」で、技能実習中に東日本大震災に遭遇した中国人の叢偉(そうい)さん(36)=遼寧省大連市=は現在、日本の企業に中国人の研修生や技能実習生を派遣する仕事をしている。津波で亡くなった会社の元専務=当時(55)=の機転で救われた命。「これからも日本と中国の懸け橋であり続けたい」。小中学生の娘二人を日本に留学させるのが夢だ。 (中国総局・安藤淳)
 叢さんは二〇〇九年八月から技能実習生として佐藤水産に勤めていた。一一年の地震発生直後、元専務が宿舎で休憩していた二十人の実習生を「もっと高いところへ行け」と高台へ誘導してくれた。
 元専務はその後、再び宿舎に戻り、津波に流され帰らぬ人に。危険を顧みず誘導に当たった行動が中国でも報道され、感動を呼んだ。
 実習生は、佐藤水産を含め女川町の水産加工業界が連携して受け入れていた。「会社で預かっている大事な若い子」という共通の認識があり、同町は震災で人口の一割近い八百人が犠牲になったが、約百六十人の実習生全員が無事だった。
 叢さんはいったん中国に戻ったが、翌一二年に他の実習生とともに再来日。残りの実習期間を終えて帰国した後の一三年、会社の関係者から「誰かうちに来てくれる人はいないだろうか」と相談を受けた。被災地は復興へ向かい始めたものの、まだ人手が足りない状況だった。
 「当時は誰も日本に行きたがらなかった」と振り返る。中国では「地震がまた起きるかも」「放射能が心配」という不安があった。
 日本での生活だけでなく震災後の状況も理解していた叢さんは「会社や元専務に恩返しをしたい」と、周囲の中国人たちに日本人や日本の社会の良さを根気よく説明。「安全性も問題ない」と繰り返し、少しずつ派遣する人を増やした。
 これまでに五百〜六百人を日本各地の企業へ派遣。水産業だけでなく、プラスチック成形や自動車製造、農業、免税店の店員など派遣先は多岐にわたる。
 「日本人から全力で打ち込む姿勢や、人のために生きることを学んだ」と叢さん。今も佐藤水産との交流は続く。最近も中国に来た幹部と会い、新しい工場の様子や一緒に会社にいた人たちの思い出話に花を咲かせた。


東松島・防災体験施設「KIBOTCHA」完成 7月本格オープン
 東日本大震災で被災した宮城県東松島市の旧野蒜小校舎を改修した防災体験型宿泊施設「KIBOTCHA(キボッチャ)」が完成し、現地で25日、内覧会があった。今月末にもプレオープンし、食堂や屋内遊具などを開放する。7月21日から本格営業する予定。
 同市の防災教育事業会社「貴凛庁(きりんちょう)」が運営する。鉄筋コンクリート3階、延べ床面積約2600平方メートルの校舎を改装し、1階に食堂と物産店、浴室を配置。2階を防災体験スペースとし、3階は14部屋計68床の宿泊フロアにした。
 防災体験スペースは子ども向けに、滑り台やボルダリングなどの遊具を備える。地域の歴史や震災の記録を流すシアタールーム、学習ゾーンも設けた。
 内覧会で、館長の大泉裕人さん(55)は「震災の継承と交流人口の拡大が施設の目的。遊具やバーベキューを用意しているので、気軽に立ち寄ってほしい」と利用を呼び掛けた。
 旧野蒜小は1階が浸水し、同市小野の仮設校舎に移転。2016年に閉校し、旧宮戸小と統合して宮野森小になった。住民が旧校舎を解体せずに残すよう要望していた。
 営業後の利用料は中学生以上700円、小学生300円、未就学児無料。宿泊は朝食付き1泊5000円で検討中。連絡先は0225(25)7319。


<災害公営住宅>宮城・本年度収入超過世帯、家賃9万円増も 岩手では減免措置
 東日本大震災の被災者が暮らす宮城県内の災害公営住宅で、入居4年目から割り増しされる収入超過世帯の家賃が本年度、仙台市など6市町の56世帯で最大9万3200円上昇することが、各自治体への取材で分かった。岩手県は県営住宅に入居する被災世帯の減免措置を通じて家賃格差の是正を促しており、宮城県との対応の違いを指摘する声も上がる。
 「こんなに高額になるのだったら最初から入居しなかった」「働き盛り世代が次々退去し、高齢化が進行する」。今月中旬、仙台市青葉区であった災害公営住宅入居者の意見交換会で収入超過世帯の家賃急増に不満が相次いだ。
 市内では2014年度に入居が始まった上原、田子西、荒井東、若林西、鹿野の5災害公営住宅で39世帯が収入超過となる。4万1000円から13万4200円に増えた世帯もあり、県内で最も上昇幅が大きい。
 市は割り増し分の減免はしない方針のため、入居者らは今後、市に助成措置を要望する構えだ。市の担当者は「市内は民間賃貸住宅が豊富で沿岸市町とは住宅事情が異なる。一般の市営住宅も満室状態にあり、特段の対応は難しい」と理解を求める。
 県内ではほかに南三陸町7世帯、亘理町4世帯、美里町3世帯、大郷町2世帯、大崎市1世帯が収入超過に該当する。子どもの就職による収入増加や家財など雑損失の繰り越し控除の終了が主な要因で、多くが数万円単位で上昇した。
 一方、沿岸の5市町は割り増し分を独自に助成している。石巻、東松島両市は入居8年目まで、塩釜市と山元町は18年度分の家賃を据え置く。女川町は助成を10年目まで継続。19年度以降に対象世帯が生じる気仙沼市は10年目までの減免を表明している。
 岩手では被災者が入居する県営住宅の家賃上限を県が設定し、沿岸7市町が足並みをそろえた。県建築住宅課は「災害公営住宅間の家賃格差をなくす必要があった」と説明する。
 福島ではいわき市や相馬市が独自助成を講じ、県も県営住宅への入居が4年目となる19年度以降に減免措置を講じる方針。県建築住宅課は「岩手の例を参考に制度設計を急ぎたい」との考えを示す。
 宮城県は独自の減免措置はせず、家賃引き上げの判断を市町に委ねる方針を崩していない。被災自治体からは「財政規模が小さい市町ほど負担が大きく、県がリーダーシップを取るべきだ」との要望が出ている。
[収入超過世帯]公営住宅法では入居3年が経過し、所得月額が15万8000円を超えると4年目以降の家賃が段階的に引き上げられる。宮城県の試算では、将来的に災害公営住宅の987世帯が対象になる。入居5年が経過し、所得月額が2年連続で31万3000円を超えた「高額所得」に該当する212世帯と合わせて1199世帯に達する見通し。


在宅被災者対策/教訓踏まえた支援の拡充を
 大災害で自宅が損壊したものの個々の事情で仮設住宅や災害公営住宅に入れず、劣悪な住環境で暮らす在宅被災者の対策が遅れている。東日本大震災で顕在化した問題は2016年の熊本地震や台風10号豪雨で繰り返され、支援の隙間に陥る被災者が続出した。大災害の時代、早急な制度構築や法整備が求められる。
 石巻市の津波浸水区域には今、一見無傷に見える住宅が点在する。内部は津波で損壊。災害救助法に基づく応急修理の支援金や、被災者生活再建支援金など公的制度を活用して補修したが、資材や人件費の高騰で行き届かず、床下から雑草が生える家もある。
 一方、公的制度を使うと「居住する住家がある」と判断され、原則として仮設住宅に入れない。災害公営住宅も「住居に困窮していることが明らかな者であること」(公営住宅法)という要件に合致せず、入居を拒否される。
 石巻市は本年度、津波避難区域に住む在宅被災者を対象に、住宅補修費を最大76万円補助する独自制度を設けた。対象世帯数は4600。「復興へラストスパートをかける」(村井嘉浩宮城県知事)時期の制度新設が、在宅被災者対策の遅さを物語る。
 熊本地震では、在宅被災者の問題が「軒先避難」などとしてクローズアップされた。
 震度7の揺れに2度見舞われた熊本県益城町の場合、大規模損壊した自宅や軒先の倉庫で暮らす被災世帯が、今なお500以上ある。公的支援で応急対応したため仮設住宅に入れず、復旧工事の集中で修理のめどが立たない。
 東日本大震災と同じ事態が繰り返された事実は重い。
 在宅被災者は震災直後、被災者と見なされず、物資支援や情報提供が後回しになった。高齢や病気、障害で避難所に行けず、在宅避難を余儀なくされた事例もあった。時間がたつほど、無力感や諦めを抱く被災者が増えている。
 仙台弁護士会は15年11月から2年間、宮城県の沿岸自治体で在宅被災者563世帯の戸別訪問型法律相談を展開した。相談者は大半が65歳以上で年金受給者ら低所得者が多く、支援制度が実態に合わない現実が浮き彫りになった。
 同会は今年2月、8項目の提言を発表した。弁護士の側から災害弱者を訪ねて支援策を探る「アウトリーチ型法律相談」の法制化、被災者生活再建支援金の大幅増額を求めたほか、個別状況に合った支援を行う「災害ケースマネジメント」の構築を訴えた。
 東日本大震災では、住宅再建への公費投入など踏み込んだ対応があった半面、被災の規模、形態が想定を超え、支援制度の隙間が多数現れた。
 首都直下型地震や南海トラフ巨大地震が発生すれば、在宅被災者は10万人単位で発生すると言われる。復興に周回遅れする災害弱者を再び生み出さないためにも、過去の教訓を踏まえた対策が急務だ。


再稼働見直しへ連携 女川原発反対住民が総会
 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に反対する住民団体「女川原発UPZ住民の会」(事務局・美里町)が25日、涌谷町で本年度の総会を開いた。
 立地2市町を除く5市町(登米市、東松島市、美里町、南三陸町、涌谷町)と東北電力が2015年4月に交わした安全協定に、再稼働に対する「拒否権」を盛り込むよう訴える方針を確認した。
 再稼働の是非を問う住民投票条例制定の署名活動を主導する市民団体「女川原発再稼働の是非をみんなで決める県民投票を実現する会」(多々良哲代表)が14日に発足したのを受け、会として協力することも申し合わせた。
 代表の勝又治子さん(70)=美里町=は「設立から2年たち、住民の意識と連携は強まっている。本年度は『原発ゼロ』へ向けた活動をより広げ、加速させたい」と話す。再稼働反対の申し入れを県や立地自治体に要請するなど実績を積み重ね、協定の見直し実現につなげたい考えだ。
 会は女川原発の30キロ圏で緊急時防護措置区域(UPZ)に指定されている7市町のうち、立地2市町を除く5市町の住民が2016年に設立した。


GWの気仙沼ベイクルーズ 大橋人気で今季倍増
 宮城県気仙沼市の大島汽船は28日〜5月6日の大型連休中、離島・大島と本土を結ぶ気仙沼大島大橋(長さ356メートル)の下を通る「気仙沼ベイクルーズ」を運航する。昨年初めて設けた橋をくぐる航路が好評で、今年は期間中の合計便数を倍に増やす。
 期間中は平日も1日4便運航する。昨年より運航日は3日長くなり、1日当たりの便数も1本増やした。
 内湾地区のフェリー発着所と大島の外浜付近を往復する約50分の航程で、橋の下を2回くぐる。社員がガイドを務め、橋の概要や島の歴史などを説明する。
 利用者数に合わせ、旅客船「海来(みらい)」(160トン、300人乗り)と「グリーンパールII」(19トン、95人乗り)を使い分ける。
 同社は例年、大型連休中にベイクルーズを実施。昨年3月に架設作業を終えた大島大橋を真下から見られる珍しさから、昨年の大型連休中の乗船客数は前年実績(459人)の約4倍となる1799人に達した。
 今年も既にベイクルーズに関する問い合わせが多く寄せられているという。担当者は「橋を下から眺める機会はめったにない。迫力ある光景を楽しんでほしい」と呼び掛ける。同社は8月にもベイクルーズを運航する。連絡先は同社0226(23)3315。


デスク日誌 橋と街と
 「来た来たっ」「でっけぇな」
 「気仙沼つばきマラソン」が開催された15日。気仙沼市の離島・大島へ向かうフェリー発着場に、子どもたちの声が響いた。
 幼い頃、南町の実家からフェリー発着場まで歩いて5分ほど。海水浴のため大島行きのフェリーに乗船するのは、いつだって「非日常」だった。浮き立つ気持ちを、今も覚えている。
 その大島に、橋が架かったんだと。いまだに信じられない。でも、15日に船から見た橋は、雨上がりの空から差す光に白くきらきら輝いていた。「夢の懸け橋」とはよく言ったもの。道路や建物の完成とはまた違う未来が、そこにはある。
 翻って南町を含む内湾地区は、すっかり姿を変えてしまった。震災の被害と街の衰退と、両方あろう。
 交番、銭湯、大きなバスターミナル、駄菓子屋、銀行、高校の頃にアルバイトをした書店「文信堂」。全部ない。防潮堤の内側で、街の再生はそれほど進んでいないように見える。
 個人的な話だが、市長選投開票日の22日は、誕生日だった。縁でしょう。古里がどう生まれ変わるのか。少しの間、見守りたい。(気仙沼総局長 村上朋弘)


<汚染廃>市民団体が県に仙南の試験焼却の中止を申し入れ 
 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物を巡り、焼却処理に反対する市民団体が25日、仙南クリーンセンター(角田市)で行っている試験焼却を中止するよう県に申し入れた。
 「放射能汚染廃棄物『一斉焼却』に反対する県民連絡会」の6人が県庁を訪れた。センター近くのモニタリングポストが機器の不具合で基準値を超える空間線量を示したことに触れ、「住民に知らせず焼却を続けたことに抗議する」と強調した。
 中嶋信共同代表は「中止するよう県が指導してほしい」と話した。対応した県放射性物質汚染廃棄物対策室の担当者は「内容を確認した上で対応したい」と述べた。


熊本地震 阿蘇・北登山道が開通 山上への全ルート復旧
 熊本県阿蘇市の阿蘇中岳第1火口方面と南阿蘇村の国道57号を結ぶ県道298号阿蘇公園下野線(北登山道)が26日、約2年ぶりに規制解除され、通行が再開された。北登山道は2016年4月の熊本地震で被災した山上への主要な3ルートのうち最後まで規制が続いていた。
 晴天となったこの日、県内外から訪れた観光客の車やバイクが列をなし、午前10時の規制解除に合わせて山上へ向かった。熊本県大津町の自営業木村修久さん(55)は「妻とよくドライブした思い出の道。またバイクで走れるのを楽しみにしていた」と笑顔だった。
 中岳第1火口は24日に立ち入り規制が解除されたばかり。


河北春秋
 「これ、君のポケットマネーで買ってくれんか」。パナソニック創業者の故松下幸之助さんはある政治家からこう尋ねられ、戸惑った。何億円もするような骨董(こっとう)品。「とても買えない」と断った。松下さんの著書『危機日本への私の訴え』(PHP研究所)にある▼当時、松下さんは膨大な冠婚葬祭費をそれこそポケットマネーで負担し、さっぱり余裕などない。その政治家に感じたのは「感覚のズレ」だという。こうした人が政治家では「政治がうまくいかない面が多いのもやむを得ない」と松下さんは嘆いている▼与野党対立で少しも前に進まない国会。政治家の「感覚のズレ」をほとんど毎日、目にする。元財務事務次官のセクハラ問題を巡って、被害者の人権を無視した議員や官僚の問題発言が相次いでいる▼元次官は「全体を見ればセクハラに該当しない」と語った。下村博文元文部科学相は、元次官の発言を録音し雑誌に渡した女性記者の行動を「犯罪」と発言した。麻生太郎財務相は「はめられたとの意見もある」と火に油を注ぐ▼下村さんは「日本のメディアは日本国家をつぶすために存在しているのかと思う」とも語った。なぜ批判されるのか。そこに目をつぶって批判の矛先を変えようとする。これじゃ、政治がうまくいくはずがない。

チェルノブイリ事故から32年 核燃料除去に「500年」
【キエフ共同】旧ソ連ウクライナで1986年に起きたチェルノブイリ原発4号機の爆発事故から26日で32年を迎えた。原発の解体、廃炉の立案を行うチェルノブイリ原発のドミトリー・ステリマフ戦略計画部長(41)は共同通信に「原発の核燃料除去まで500年以上かける方策が現実的」との見通しを語った。
 4号機は2016年11月に耐用100年の鋼鉄製シェルターで覆われた。ステリマフ氏によると原発解体に向けた第1段階となるシェルター内の電気配線やクレーンの設置、換気システム整備が年内に完了する予定だ。
 26日には、首都キエフなどで事故犠牲者の追悼式典が行われた。


膠着状態の与野党対立 国会の機能回復を求める
 きょう衆参両院の予算委員会で外交をテーマに集中審議が行われるが、野党の大半は欠席するという。
 国際情勢は激動期にあり、朝鮮半島ではあす南北首脳会談が開かれる。先週の日米首脳会談を受け、日本の外交方針を議論すべきときに、国会は機能不全に陥っている。
 一義的な責任は、安倍政権の不祥事が相次ぐ中でその真相究明に及び腰の与党にある。
 加計学園の獣医学部新設をめぐっては、柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問を与党は拒み続けている。
 柳瀬氏は昨年7月に参考人として国会に招致された際、愛媛県職員らとの面会について「記憶にない」と否定した。だが、その後、面会内容を記録した県の文書が見つかり、柳瀬氏の説明根拠は揺らいでいる。
 虚偽の証言をすれば偽証罪に問われる証人喚問が必要だろう。面会があったかどうかの事実すら確認できないようでは真相究明は進まない。
 森友学園への国有地売却問題でも、国会の行政監視機能を生かすことに与党は消極的だ。決裁文書を改ざんしていた財務省の内部調査に任せる姿勢を崩していない。
 財務省ではセクハラ疑惑もあり、国税庁長官に続いて事務次官も辞任に追い込まれた。麻生太郎副総理兼財務相の政治責任は重い。
 だからといって、麻生氏が辞任しないのを審議拒否の理由にする野党の対応も疑問だ。野党だけの合同ヒアリングという非公式な場に官僚を呼んでただすのもいいが、その前に国会で政権の責任を追及すべきだ。
 与党の数の力に対抗する手段として審議拒否を完全に否定するものではない。しかし、重要法案の審議を遅らせる日程闘争が目的であれば、国民の理解は得られないであろう。
 国会審議が膠着(こうちゃく)している裏で、希望の党と民進党が新党協議を進めているのにも違和感を拭えない。
 自民党の森山裕国対委員長がきのう「内閣不信任決議案が出されれば、衆院解散も一つの選択肢」と発言した。態勢の固まらない野党側の足もとを見透かしての脅しだろう。
 「ウミを出し切る」と宣言したのは安倍晋三首相であり、与党は率先して「ウミ」を明らかにすべきだ。野党も早急に審議に復帰し、国会の機能を回復させるよう求める。


国会の停滞 政治不信が募るばかり
 空転が続いていた国会で、与党はきのう野党6党欠席のまま法案採決に踏み切った。参院本会議で条約承認案が、衆院厚生労働委員会では生活保護法の改正案などが可決された。
 あすには衆院本会議を開き、働き方改革関連法案の趣旨説明と質疑をしたいと、野党側に提案もした。だが、加計学園問題などへの対応が不十分として野党は審議に応じず、反発を一層強めている。
 議論すべき法案が山積しており、行政府の不祥事で立法府がまひしていいのかとの声も聞かれる。だが一方で、追及、解明すべき政府の不祥事や疑惑が多くある。行政のチェックもまた国会の使命である。そこをなおざりにしたまま、与党が突き進んだのでは、国民は納得すまい。まずは政府・与党が誠実な対応を示すことが正常化への第一歩ではないか。
 加計学園の獣医学部新設を巡る疑惑で、与野党の溝は深い。「本件は首相案件」と発言したとされる柳瀬唯夫元首相秘書官について、与党は参考人招致を提案するが、野党は虚偽証言すれば刑罰もある証人喚問を要求して譲らない。
 面会と発言の記載が愛媛県側の記録文書にはあるが、柳瀬氏は「記憶にない」と否定してきた。だがそこへ面会をうかがわせる内閣府から文部科学省へのメールが明らかとなった。
 新設計画が官邸主導で進められた状況も浮かぶ。面会の前に学園理事長が安倍晋三首相と会食し、学部新設に言及していた可能性も出てきた。首相答弁の矛盾が指摘されている。
 今月半ばに共同通信が実施した世論調査では、「加計」疑惑に対する首相の説明に「納得できない」という回答が8割近くに及んだ。
 首相は丁寧に説明するとしてきたが、疑惑はむしろ深まっており、解明には柳瀬氏の証言が不可欠である。政府・与党は証人喚問に応じるべきだろう。
 財務省を巡る問題もある。森友学園関連文書の改ざんで国税庁長官が辞任し、セクハラ疑惑の浮上した事務次官も閣議で辞任が了承された。
 野党は政治責任を問い、麻生太郎財務相の辞任を求めるが、麻生氏は進退を考えていないと繰り返している。
 ほかにも防衛省では日報問題や自衛官の暴言発言、文科相による公用車の不適切使用問題など、不祥事は枚挙にいとまがない。政府・与党は襟を正し、重く受け止めねばならない。
 一方で法案がたなざらしなのも憂慮される。審議拒否が長引く場合、どんな展望を描いているのか、野党も問われそうだ。
 そこへきのう、自民党の森山裕国対委員長が衆院解散の可能性に言及した。「野党から内閣不信任決議案が出されれば解散も一つの選択肢」と述べた。与党として当事者意識が薄過ぎはしないか。疑惑を積極解明する姿勢を示さないまま、空転の責任を野党に負わせようとするのは筋が違うだろう。そもそも解散している場合なのか。
 「脅すのか」。野党が一斉に反発するのも無理はない。国会正常化を遠ざける、無責任な発言だと言わざるを得ない。
 国民の政治不信と行政への信頼失墜は深刻度を増す。与野党とも疑惑解明に当たるとともに国会正常化を急ぐべきだ。


混迷国会 正常化は首相の腹一つ
 国会の混迷は、一向に収まる気配がない。森友、加計問題や財務事務次官のセクハラ疑惑など、一連の不祥事を受け立憲民主、希望、民進、共産、自由、社民の野党6党が審議を拒否する中、自民、公明両党は、与党だけで法案を成立させるべく動きだした。
 きょう26日には安倍晋三首相も出席して衆参両院の予算委員会で集中審議を実施。27日には衆院本会議を開き、後半国会の最重要課題に位置付ける働き方改革関連法案を審議入りさせるという。
 各世論調査とも内閣支持率は下落がやまず、「1強」のけん引力には陰りが顕著。無理やり回される国政の歯車の悲鳴が聞こえるようだ。
 今週末には韓国と北朝鮮の南北首脳会談が開かれる。6月上旬までには史上初の米朝首脳会談も予定されるなど、国際社会が大きな転換点を迎える中で、日本だけが浮いている感は否めない。
 数の上では与党で押し切ることも可能だろう。だが「多弱」野党も、国民の声を背にしている。日本の存在感が問われる時に、分断に輪を掛けるような国会運営は厳に慎まなければならない。
 安倍首相は、一連の疑惑や問題に「全容解明」を口にし「うみを出し切る」と国民に誓った。国会正常化へ、その通りに実行すればいいのに、セクハラが疑われる財務次官の辞任を、何のとがめもなく閣議で認めたのは世論に背を向ける所業だろう。
 安倍首相の親友が理事長を務める加計学園による獣医学部新設を、「首相案件」と言ったとされる柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問は、全容解明に欠かせない。与党方針に従い審議に応じている日本維新の会の参院国対委員長も、実施を要請したという。
 与党は虚偽答弁に罰則がある喚問を嫌い、参考人招致を主張。「犯罪性がないから」とする釈明もあるが、拒否の理由にはなり得まい。
 「首相案件」発言を2015年4月2日の日付とともに記した愛媛県職員作成の文書が一方にあり、柳瀬氏は「記憶にない」と否定する。どちらかがうそをついている状況で、なぜ公人である柳瀬氏の証人喚問を拒むのか。
 文書には、首相と加計学園理事長が会食した際に獣医学部新設が話題になったことを示唆する記述がある。17年1月まで計画を知らなかったとする首相答弁との整合性が問われる事態でもある。
 安倍首相は「私をうそつき呼ばわりするなら証拠を示してもらいたい」と言った。うそつきと呼ばれたくないのなら、その腹一つで証明できる立場ではないか。国会が混迷を深めるも正常化するも、ひとえに安倍首相次第。責任を果たしてもらいたい。


与党国会対応 疑惑にふたの審議強行
 野党の審議拒否が続く国会で、与党が強硬姿勢を見せている。
 衆参両院の予算委員会はきょう安倍晋三首相が出席する集中審議を行う。立憲民主、民進など野党側が欠席したまま、理事懇談会で開催を決めた。
 安倍政権が今国会の最重要法案に位置付ける働き方改革関連法案については、27日に衆院本会議で審議入りさせる方針を自民、公明両党の幹事長が確認している。
 国会が不正常な状態に陥っているのは、政権の相次ぐ不祥事や疑惑が原因である。強引なやり方に野党が反発を強めるのは、もっともだ。与党は事態の収拾に努めるべきである。
 働き方法案を審議予定の衆院厚生労働委員会は生活保護法などの改正案を賛成多数で可決した。生活困窮世帯の大学進学時の一時金支給などを盛っている。日本維新の会を除く野党は欠席した。対案を提出していたものの、議論は深まらなかった。
 今国会で働き方法案を成立させたい与党は、正常化しなくても審議に入る構えだ。残業規制に実効性はあるか、高度プロフェッショナル制度でかえって長時間労働が助長されないか…。掘り下げるべき点は多い。野党抜きで進めていい法案ではない。
 野党は、前財務事務次官のセクハラ疑惑などを踏まえて麻生太郎財務相の辞任を迫っている。加計学園問題への関与が指摘される元首相秘書官の証人喚問を含め、要求が実現しない限り、審議に応じない方針を改めて確認した。
 財務次官について政府はセクハラ疑惑の事実認定を棚上げして辞任を認めた。麻生氏は「はめられたとの意見もある」と述べ、かばう姿勢を続ける。森友学園への不透明な国有地売却、文書改ざんの問題も抱える。トップとして責任を問われるのは当然である。
 秘書官だった柳瀬唯夫氏は「首相案件」と発言したことが愛媛県の文書に記されていた。柳瀬氏は面会した記憶がないとするものの信ぴょう性が揺らいでいる。面会予定を伝えるメールが文部科学省で見つかった。なぜ与党は喚問に応じようとしないのか。
 公明党の山口那津男代表は党会合で「野党には自己主張のみでなく、国会議員の責任を果たす努力を期待したい」と述べた。野党が不当な要求をしているかの言いようだ。疑惑解明に後ろ向きな与党の姿勢こそ問題ではないか。
 行政をチェックするのは国会の役割だ。責任をどう果たすか、与党は真剣に考える必要がある。


国会の混迷 与党は着地点探る努力を
 財務省などで相次いで発覚した不祥事を受けて、国会が混迷の度合いを深めている。
 立憲民主党など6野党は、先に辞任した福田淳一財務事務次官のセクハラ疑惑や、学校法人・森友学園に関する決裁文書の改ざんなどを巡り、麻生太郎財務相の辞任などがない限り、審議に応じられないとしている。
 だが、与党側に要求を受け入れる姿勢は見られず、きのうも野党側が欠席したまま審議が行われた。双方の溝は埋まらず、膠着(こうちゃく)状態を打開する糸口は見えてこない。
 野党が反発を強めた背景にあるのは、国会軽視とも言うべきお粗末な政府の対応だ。森友学園への国有地売却を巡っては、国会に提出された決裁文書が大幅に改ざんされていたことが発覚した。国会議員を欺き、行政に対する立法府の監視機能を損なわせる行為であり、ひいては国民に対する背信でもある。
 「ない」とされていた、陸上自衛隊のイラク派遣に関する日報が見つかった件なども含め、政府は、野党や国民の多くが納得できるような説明に努めてきたとは言い難い。まずは混乱を招いた責任を重く受け止め、事態の収拾に努めるべきである。
 野党側は麻生氏の辞任のほか、学校法人・加計学園の獣医学部新設に関して、官邸で愛媛県職員らと面会したことについて「記憶がない」と述べている柳瀬唯夫元首相秘書官に対し、偽証罪に問うことができる証人喚問に応じるよう求めている。
 一方の与党は、参考人招致にとどめる姿勢を崩していない。問題の面会については、内閣府からのメールに面会予定が記されていたと文部科学省が公表するなど、柳瀬氏の発言の信ぴょう性に疑問が生じている。真相解明のためにも、与党はすすんで証人喚問に応じるべきではないか。一連の問題にふたをするかのように、かたくなに野党の要求を拒む姿勢は無責任と言われても仕方があるまい。
 今国会は6月20日に会期末を迎える。残された審議時間が次第に少なくなる中で、心配なのは、不正常な状態が長引いて法案審議への影響が広がることだ。
 今国会には、過度な残業を規制するための働き方改革関連法案や、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案といった国民生活に密接に関わる法案がめじろ押しだ。働き方改革では、残業規制の不十分さや、一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」などに懸念も指摘されている。与野党が真摯(しんし)に議論を重ねる必要がある。
 一連の不祥事について、野党が真相究明を求めるのは当然であり、国会で徹底して追及してもらいたい。同時に、法案の審議では国会として求められる機能を果たすべきだ。双方が課せられた責務をしっかりと自覚し、国会の正常化に努めねばならない。


女人禁制 角突きも? 新潟「山古志闘牛大会」でも議論へ
 大相撲をはじめ「女人禁制の壁」論争があちらこちらで噴き出すなか、来月4日に初場所のせまった国重要無形民俗文化財、山古志闘牛大会でも、この問題が議論されることになった。巨体同士が激突する牛の角突き。場所の初日が終了後、女性の参加を巡る牛主たちの話し合いの火蓋(ひぶた)が切られる。【若狭毅】
 よく晴れた22日の午後、山古志闘牛会のメンバーらが、山古志闘牛場(新潟県長岡市)に集まった。初場所に備え「場所づくり」をするためだ。ここで闘牛会の松井富栄会長は「場内に女性が入れない習俗をこれからも続けるかどうか、みんなで考えたい」と切り出した。
 山古志の角突きは滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」で紹介され、遠方からの見物も多かった。江戸時代の盛況ぶりを「五百頭もの牛が集まった」と「山古志村史」に記される。
 だが現在、角突きに出られる牛は54頭。牛を持つオーナー、牛主は山古志の人だけではなく、関西在住の女性で牛を持つ人もいる。中越地震後、山古志への支援が広がり、男女や世代を超えて角突きを楽しみ、育てる雰囲気ができたからだ。国重要無形文化財指定40周年の節目となる今年、松井会長は「話し合いをするのにちょうどいい機会」と思ったという。
 角突きの闘牛場に、女性がまったく入れないわけではない。場所前、酒と塩で場内を清めた時から女人禁制となるという。そのため、角突きを終えた牛の健闘をたたえ、ねぎらうための場内の周回、この時の牛の綱引きが、牛主であっても女性はできない。
 長岡市在住の森山明子さんは牛主の一人。森山さんは昨年、角突きを頑張った愛牛「小豆丸」を、自身で引き回しねぎらいたいと思い、松井会長に打ち明けたという。松井会長は「森山さんは朝から晩まで牛をかわいがってくれる。牛舎ではすべての牛を大事にしてくれる。そんな人の思いをどう受け止めるか。これからの牛突きをみんなで考えたい」と言う。話し合いの行方が注目される。


大相撲と「女人禁制」 伝統だけでは通用しない
 大相撲で女性を土俵に上げない「女人禁制」の是非が議論を呼んでいる。
 京都府舞鶴市での巡業で、救命のため土俵に上がった女性に「下りてください」と若手行司が促した不適切な対応がきっかけだ。
 日本相撲協会は春巡業から、力士が子供に稽古(けいこ)をつける「ちびっこ相撲」への女児の参加も拒んでいる。
 女児のけがが目立つため、安全上の観点から参加を認めないことにしたと、協会は説明した。だが、安全性は参加する子供全員に配慮すべきだ。女児を外すことで確保するという理屈に説得力はない。
 もとより「ちびっこ相撲」は稽古というより触れ合いの意味合いが強い。力士と同じ土俵に立ち、押したり組み合ったりすることは、大相撲を身近に感じる貴重な機会となる。
 まして協会は、「相撲道普及に努めるとともに、全国の子供たちに夢を与える」ことを巡業の目的に掲げている。女児を参加させない判断は目的に背き、ファンを相撲から遠ざける行為に当たらないか。
 また、兵庫県宝塚市の女性市長が、巡業で男性と同じく土俵に立ってあいさつをしたいと要望した際、協会は「伝統」を理由に断った。
 夏巡業が予定されている大津市の女性市長は「(大相撲は)国技とされる公共性の高いスポーツで、男女平等が求められる」と指摘した。土俵下からあいさつを求められた場合は辞退すると表明した。
 土俵が女人禁制になったのは明治時代ともいわれ、協会は女性を土俵に上げないことを「伝統」と説明してきた。
 大相撲の本場所や巡業は、ファンなど多くの人が参加して成り立っている。土俵上での表彰やあいさつも支援する人々による儀式である。
 相撲界が、男女平等の価値観が根付いている一般社会と隔絶して存在できない以上、あいさつまで拒むというのでは時代にそぐわない。
 協会は過去にも、外国人力士に門戸を開くなど時代の変化に対応してきた。そうした変革が大相撲にまた新たな活力を生み出してきた。
 今週末、協会は「土俵と女性」を議題にした臨時理事会を開く。見直すべきは見直す柔軟さが求められている。


英国人特派員が考える「それでも日本の#MeTooが進まない理由」 財務次官セクハラ疑惑で明らかになった、この国の女性たちが直面する高いリスク
 ジャスティン・マッカリー(Justin McCurry)氏は、英国ガーディアン紙の東京特派員として、日本や朝鮮半島報道に10年以上携わっている。4月19日にも、財務次官セクハラ疑惑をめぐって東京発でJapan's #MeToo: senior bureaucrat resigns over sexual misconduct allegationsという記事を書いている。
 昨年は、イギリスの政界でも#MeToo運動が大きなムーブメントとなり、女性ジャーナリストに対するセクハラが原因で国防大臣が辞任する事態にまでなった。
 一連のセクハラ疑惑についてどう考えるのか、寄稿してもらった。
日本の番がやってくるのも時間の問題だった
 今月、財務省の福田淳一事務次官が、女性記者に対して性的に不適切な言葉遣いをしたという疑惑を指摘されて辞任を表明したとき、私を含む多くのジャーナリストは、「この一件は日本における#MeToo運動の起点になるかもしれない」と予想しました。
 オンラインのハッシュタグに端を発して世界中で報道されるようになった数ヶ月間の#MeToo運動を追ってきた私たちにとって、日本の職場環境でもセクハラが起きているという事実は驚きではありません。#MeTooはすでにイギリスやアメリカなど、各国で大きなうねりとなっているのです。いずれ日本の番がやってくるのも、時間の問題でした。
日本社会は未だにセクハラと戦うことに消極的
 ただし、昨年ハリウッドの大物映画プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ騒動によって社会的な議論が沸き起こったことはフェミニストたちから賞賛されましたが、福田氏の一件は日本社会が未だにセクハラ(場合によっては、より深刻な性的暴行も含む)と戦うことに消極的であることを示しました。
 福田氏の辞任表明の2日後、アメリカ国務省が「日本の職場でセクハラが依然として横行している」と最新の人権報告書に明記したことに意外性はありませんでした。報告書は、日本の厚労省による2016年の調査結果を引用しており、それによるとフルタイムもしくはパートタイムで働く日本人女性の30%が職場においてセクハラを受けていると回答しているとのことです。
イギリスでも雪崩のようなセクハラ報告が
 ただ、ハッキリ言っておく必要があるでしょう。職場でのセクハラは、全世界共通の現象です。私の母国・イギリスでワインスタインのケースの後に起きたのは、大きな組織の要職に就いている人間が、女性に対して不適切な、そしてときには犯罪的な態度を取っているという雪崩のような報告でした。
 いくつかのケースは、日本とも類似しています。昨年のある時期、イギリスの政界に激震が走りました。複数の国会議員に、議会職員や女性ジャーナリストへのセクハラ疑惑が浮上したのです。その後、人道支援の分野でも同じようなレポートが出されました。国際NGO「オックスファム」は、「過去12ヶ月間に性的虐待の疑いがあった」としてスタッフ22人を解雇したことを認めました。
 福田氏の辞任は、必然的に日本におけるジャーナリズムのあり方、そして大半を男性が占める高級官僚と新聞やテレビ局の女性記者の力関係に注目を集めさせることになりました。
麻生財務相は無知をさらけ出した
 同じようにセクハラと戦っている人は少なくないようです。英字紙ジャパン・タイムズは、複数の日本人女性ジャーナリストから「取材の過程でセクハラを受けたことがある」とメールがあったことを明らかにしています。セクハラを受けた女性(そして男性)記者のうち、上司に報告した人はほとんどいなかったそうです。
 その理由は想像に難くありません。テレビ朝日による抗議文を受けて、「もう少し大きな字で書いてもらった方が、見やすいなと思った程度に見ました」と漏らした麻生太郎財務相のことを思い出してください。彼がセクハラの事実認定をめぐって「(告発者)本人が出てこなければどうしようもない」と述べたことは、戦うことを決意した日本の女性が直面するリスクについて、信じられないような無知をさらけ出したと言うしかありません。
 女性記者の所属していたテレビ朝日の当初の対応を見れば、セクハラに関する訴えが深刻に受け止められると確信できる日本人女性があまりに少ない理由がよくわかります。実際、彼女たちの多くは、セクハラ被害を訴え出ることによって自分たちのキャリアに傷がつくと恐れています。
 報道によると、テレビ朝日が当初、福田氏の問題行動についての報道を拒否したことで、被害女性は週刊誌に証拠を持ち込んだそうです。また、彼女の上司は、彼女の名前が公になることによって新たなハラスメントが発生することを憂慮していたといいます。テレビ朝日が福田氏の言動をきちんと報じたいと望んだ女性記者の意思を尊重しなかったことは誤りですが、一方では事件が公になることによる結果についてはあながち予想が間違っていたとはいえません。
SNSで「ハニートラップ」と非難の標的に
 ジャーナリスト・伊藤詩織さんのケースを思い出してみましょう。昨年、彼女はかなり異例の、そして彼女自身にとってリスクの高い方法で、ある年長のジャーナリストによって2015年にホテルの一室でレイプされたと公表しました。伊藤さんの主張は一部で報道されましたが、それは主として外国の報道機関によるもので、日本国内ではおおむね黙殺されました。一方、伊藤さんのことを「売春婦」だとレッテルを貼るソーシャルメディアのユーザーたちによって、敵対勢力を誘惑した「ハニートラップ」であると非難の標的にされたのです。
 セクハラ疑惑を否定した福田氏をめぐる論争は、公的機関におけるセクハラ対応が根源的に変わることの難しさを物語っています。
 一部では、記者たちと取材対象である官僚たちの関係は大きく変わるだろうとの声もあります。彼らは「本当に両者が適切な関係であると言えるのだろうか」と問うているのです。「女性記者と男性官僚が、仕事が終わってから、ときには一対一になってバーで一緒に飲む? そんなのはトラブルを起こしてくれと自分から言っているようなものだろう」と。
 ただ、私に言わせれば、これは的外れな意見です。一人の職業人としては“ヨウチアサガケ”の取材手法には疑問を感じないわけではありませんが、だからといって男性記者でも、女性記者でも、通常のオフィスアワーの後に官僚と話せる機会は必要です。省庁の記者会見室であろうが、やや薄暗いバーであろうが、性的に不適切な言動に怯えることなく取材できる。それが動かぬ大前提のはずです。
韓国の#MeTooデモには文在寅大統領の姿も
 東アジアにおいて、ようやくセクハラ撲滅に向けて重い腰をあげたのは日本だけではありません。男性社会であるとされる韓国でも、現役の女性検事ソ・ジヒョン氏が「2010年に葬儀場で元法務省幹部からセクハラを受けた」と告発した際には、何百人もの女性が抗議活動を行いました。
 中国でさえ、当局による検閲や社会的圧力ではセクハラをめぐる議論の勃興を抑えることができず、主として大学生たちが一番槍となってネット上で広がりをみせています。
 緩慢ではありますが、日本でも物事は変化しています。総務相・女性活躍担当相である野田聖子氏が、メディア業界で働く女性たちとセクハラについて積極的な意見交換の場を設けたいと表明したことは好意的に受け止めたいと思います。
 ただ、財務省のスキャンダル自体がセクハラ被害に悩む女性たちを勇気づけるわけではなく、また問題は政治やメディアの世界に限った話ではありません。より不安定な職に就いている何百万人もの女性たちは、補償を求めることによって失うものが大きいのです。
 つい最近、韓国の女性たちが#MeTooデモをソウルで行った際には、演説者の一人は文在寅大統領でした。彼はこう主張していました。
「法だけで解決することはできない。私たちの文化と態度を変える必要がある」
 あるいは、次は「女性活躍社会」を掲げる安倍晋三首相が、同じようにセクハラを根絶すべく立ち上がる番なのかもしれません。時代遅れの財務大臣がいくら怒ったとしても。


セクハラ問題 一層の意識改革が必要だ
 セクハラ疑惑で財務次官が辞任した。「最強の官庁」といわれる財務省の事務方トップになった人物が、セクハラをしていたとなれば「日本の社会はそんな程度か」と落胆せざるを得ない。男女雇用機会均等法でセクハラ防止が義務化され、職場でさまざまな措置が取られていてもまだ不十分ということだ。さらなる意識改革が必要である。
 財務省の福田淳一事務次官が女性記者と会食し「抱き締めていい?」などとセクハラ発言をした疑惑である。週刊誌で報道されると、福田氏は「あんなひどい会話をした記憶はない」と否定、週刊誌を名誉毀損(きそん)で訴えるとまで言った。
 テレビ朝日は自社の職員が被害者だと明らかにした上で「セクハラは事実だ」として財務省に抗議している。
 福田氏は58歳、東京大法学部を卒業し、1982年に大蔵省に入った。エリート官僚中のエリートである。入省後の89年、セクハラが新語・流行語大賞を受賞、その後、改正男女雇用機会均等法でセクハラ防止が企業に義務付けられた。当然、セクハラが何たるかを知る立場だった。
 週刊誌に記載された内容について「あんなひどい会話」と発言していることから、会話内容自体はセクハラに該当する認識はあるのだろう。セクハラ発言が事実であるとすれば、良識があるエリート官僚がなぜそのような行為をするのかということだ。財務次官としてのおごりや慢心、女性差別があったと指摘されてもやむを得ない。
 女性記者は「社会的に責任が重い立場の人物による不適切な行為が表に出なければ、今後もセクハラ被害が黙認される」と思い、週刊誌の取材を受けたという。まっとうであり、勇気ある告発だ。
 それを自民党議員が「週刊誌に売ること自体がある意味で犯罪だ」と述べる。抗議する女性議員について、別の自民党議員は「セクハラとは縁遠い方々」とやゆする。こうした言葉を聞くと、一般常識とずれがあるのではないか、と思える。
 独立行政法人の労働政策研究・研修機構は2016年、職場でのセクハラ経験女性は28・7%という調査結果を発表している。そのうち63・4%が「我慢し、特に何もしなかった」と泣き寝入りしていた。
 最近公表された米国務省の人権報告書では「日本の職場でセクハラが依然として横行している」と書かれている。今回の疑惑は残念ながらそれを裏付ける実例となった。日本の男性社会は猛省を迫られている。


福田次官辞任/常識と乖離直視すべき
 セクハラ疑惑で福田淳一財務事務次官の辞任が閣議で承認された。週刊誌が報じ、福田氏の音声データを公開。さらにテレビ朝日が、被害者は自社の女性社員と明かし「福田氏から、わいせつな言葉などセクハラ行為が相当数あった」と財務省に抗議したが、福田氏は「あんなひどい会話をした記憶はない」と、最後まで全面否定を通した。
 今後、セクハラ行為が公式に認定されたとしても、既に一般人であるため、懲戒処分の対象にはならない。野党は辞任前の処分を要求したが、顧問弁護士事務所に調査を委託している財務省はいまだ、まともな説明ができない。その間に福田氏が逃げるようにして表舞台から去った形だ。
 麻生太郎財務相は退職金の支払いを保留し、調査結果次第で減額する考えを示したものの、処分は見送った。一方で下村博文元文部科学相がテレ朝の女性社員が音声データを週刊誌に提供したのは「ある意味で犯罪」と述べるなど、セクハラ被害に対する理解不足やいびつな人権感覚から来る発言が後を絶たない。
 セクハラ防止の人事院規則を誰も読んでいないと思わせるほど、深刻なありさまだ。麻生氏と財務省、自民党は一連の対応がいかに世間一般の常識と乖離(かいり)しているかを直視する必要がある。速やかに調査結果を公表し、被害女性に謝罪すべきだ。
 セクシュアル・ハラスメントの防止に関する人事院規則は「各省庁の長は防止や排除に努めるとともに、問題が生じた場合には必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない」と規定。運用指針は、セクハラは「信用失墜行為、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行などに該当し、懲戒処分に付されることがある」としている。
 音声データには「胸、触っていい?」「抱きしめていい?」などの発言が残されていた。運用指針の「セクハラになり得る言動」であるのは明らかだが、福田氏は「自分の声か分からない」と述べ、財務省は全面否定の聴取内容を公表。継続調査を委託した顧問弁護士に被害女性が名乗り出るよう呼び掛けた。
 被害者保護の視点に欠けると批判されると、財務省幹部は「弁護士に話すことは、そんなに苦痛なのか」と答弁。テレ朝は直後に記者会見で被害を公表し、財務省からの調査への協力要請に「慎重に検討する」と答えた。
 ところが下村氏は「隠しとって週刊誌に売ること自体がはめられている。ある意味で犯罪だと思う」と発言。批判を受け撤回したが、今度は麻生氏が福田氏辞任を認めた閣議後の記者会見で「はめられ訴えられているんじゃないかとか意見はある」と語った。
 それ以前にも麻生氏は福田氏をかばうような発言を繰り返している。財務省側によるこれまでの言動からは「たかがセクハラ」との意識もうかがえる。テレ朝が調査に協力しても、真相解明につながるかどうかは不透明と言わざるを得ない。
 中立の第三者が調査を手掛けるのが本来の在り方だが、麻生氏は「知らない弁護士に頼めない」と言う。ならば財務省が調査結果を取りまとめるに際し、少なくとも事実関係の認定についてテレ朝側がチェックできるようにする必要がある。


前財務次官セクハラ 被害者孤立させぬ制度づくりを
 セクハラ被害を訴えた女性記者を、加害者扱いするかのような言動に憤りを覚える。
 疑惑を報じられた財務省の福田淳一事務次官は辞任したが、謝罪はなく、処分も先送りされた。その一方、女性記者を批判する発言が国会議員から相次いでいる。「はめられ訴えられているんじゃないかとか、ご意見はいっぱいある」「隠しテープでとって週刊誌に売ること自体犯罪」…発言の主は麻生太郎財務相や下村博文元文部科学相である。人権意識の低さは、到底看過できるものではない。
 今回の疑惑は、セクハラ防止を企業に義務付けた改正男女雇用機会均等法の施行から20年近くたったにもかかわらず、女性への差別が根強く残る日本社会の姿を浮き彫りにした。海外の報道でも注目されており、問題の本質を正しく認識すべきだ。公益通報者保護法など法や制度の拡充により、被害者を孤立させず、安心して訴えられる社会とし、男女が差別されずに働ける場をつくるという均等法の理念を実現せねばならない。
 福田氏の疑惑に対し、テレビ朝日は被害を受けたのが自社の社員だったと発表し、報道内容も認めている。しかし福田氏は一貫して否定し、「音声データの全体を見ればセクハラではない」などと反論。辞職理由も騒動で仕事にならないからといった、まるで八つ当たりのような説明を繰り返している。
 福田氏や財務省の一連の対応は、被害を訴えた女性記者に対して極めて誠実さを欠くものであり、国民の感覚と懸け離れていると言わざるを得ない。「うみを出し切るところか、うみにふたをしてセクハラを容認することになる」(希望の党の山井和則衆院議員)との指摘はもっともだ。
 さらに問題があるのが麻生氏や下村氏の発言だ。女性記者への新たな人権侵害を生み出しているとの理解さえ欠いている。本来なら、憲法で「全国民の代表」とされる国会議員こそが、セクハラ根絶への姿勢を率先して示さねばならない。
 セクハラは働く女性が増える中で広く起きている。米国務省が発表した2017年版の人権報告書では、日本の職場でセクハラが依然として横行していると明記する。日本の女性が職場での不平等な扱いに懸念を持ち続けているとも言及している。
 社会的に力がある人間が、相手の弱みにつけ込み我慢を強いるというセクハラの構造から、被害を受けた人は、後ろ盾もなく、恥ずかしさや働きづらくなるかもしれないという思いで相談さえできない場合も多い。なぜ被害者が泣き寝入りを強いられねばならないのか。
 会社や社会が、被害者を守る姿勢を示し、こうした状況を変えていく必要がある。疑惑をきっかけに公益通報の定義や在り方も問われている。被害者に寄り添う形での調査や救済、支援が得られるよう、法や制度を早急に構築せねばならない。


セクハラ問題 日本社会の現実は「告発した女性が悪い」
 それは“あの夜”の翌々日の昼間のことだった。4月6日、東京・六本木にあるテレビ朝日本社。隣接する毛利庭園の桜は早めの満開を迎え、すでに見頃を過ぎていた。
 社屋の一室では、2人の女性が向き合っていたという。1人は、その翌週に発売された『週刊新潮』で福田淳一財務事務次官の“あの夜”のセクハラ音源を告発した30代の女性記者Aさん。もう1人は、Aさんの上司にあたる50代の女性管理職Bさんだった。Aさんは、こう訴えた。
「テレビ朝日の放送で、この録音テープを流すことはできないでしょうか?」
 気骨があって信頼できる上司のBさんなら、私が置かれた状況を理解してくれるはず。そう信じて思いの丈をぶつけたAさんに、逡巡しながらBさんはゆっくりと時間をかけて語りかけた──。
「日本ではセクハラが横行」。米国務省が4月20日に発表した2017年版の「人権報告書」は、セクハラが横行する国として日本を名指しし、働く女性の3割が職場でセクハラを受けていると指摘した。
 一方、海の向こうでは、セクハラ疑惑を報じて「♯MeToo」運動を起こしたとして、ニューヨーク・タイムズ紙とニューヨーカー誌がピュリツァー賞を受賞した。日本文学研究者のロバート・キャンベル氏はこの受賞について、「女優たちがひとりひとり実名を名乗れたのは、自分たちが不利を被らないという自信と、社会が彼女たちを支えるという暗黙の了解があったからだ」と指摘した。
 残念ながら、日本がそんな社会になるまでの道のりはあまりに長い。私たちは「セクハラを告発した女性が悪い」と堂々と発言することが許される社会に暮らしている。
『週刊新潮』(4月19日号)が報じた福田次官のセクハラ問題。福田次官が財務省担当の女性記者を自宅近くのバーに呼び出し、「おっぱい触っていい?」「手しばっていい?」などのセクハラ発言を繰り返したとの内容だった。
 4月18日に福田次官が辞任を表明するとテレビ朝日は同日深夜0時から会見を開き、自社の女性社員が1年半ほど前から福田次官によるセクハラ被害を受けていたと公表し、財務省への抗議を表明した。この女性社員が、冒頭に登場したAさんだ。
「Aさんはテレビ朝日入社後、他の部門の報道に携わり、2年ほど前に経済部に異動した女性です。経済部記者としての経験は浅かったですが仕事熱心で正義感が強く、粘り強く取材活動をしていました」(Aさんと近しい関係者)
◆「浮気しようね」が取材活動という妄言
 テレビ朝日が出したコメントには、こんな一文がある。
《当社社員が取材活動で得た情報を第三者に渡したことは報道機関として不適切な行為であり、当社として遺憾に思っています》
 報道局長は会見で、録音テープを『週刊新潮』に渡したことについてAさんのコメントを求められると、《「不適切な行為だった」と反省している》と返答した。
 下村博文元文科相は22日の講演でこう発言した。
「たしかに福田事務次官がとんでもない発言をしてるかもしれないけど、そんなの隠し録っておいて、テレビ局の人が週刊誌に売ること自体がはめられてますよ。ある意味、犯罪だと思う」
 この3つのコメントは強弱は違うが、まったく同じことを言っている。つまり、「セクハラを録音したテープを週刊誌で告発した女性は悪者」ということだ。
 あまりの見識の低さに愕然とするが、日本の社会には本気でそう思っている大メディアの報道局長や“大物政治家”がいるのも事実だから、どこがおかしいのか明確にしておく必要がある。
 1つは、福田次官とAさんの会話は、「取材活動ではない」ということ。「取材」とは、「質問と回答がある」ことが大前提だ。Aさんが質問したことはたしかだが、福田次官は回答しておらず、取材はまったく成り立っていない。どこの世界に、「おっぱい触っていい?」「浮気しようね」というバカげた回答があるのか。このテープに録音されているのは、ただの「性的嫌がらせ」であり、取材活動でも何でもない。もしテレビ朝日が「これが自分たちの取材のやり取りだ」と胸を張るなら、日常的にどんな取材をしているのか、気になって仕方ない。
 もう1つは、犯罪行為や反社会的行為、社会規範に照らして逸脱した行為を目の当たりにしたジャーナリストが、もし自社の媒体で報じられないとなったとき、それが社会的に報じられる価値があるならば、ありとあらゆる手段で報じようとするのは、ごく当然の行為だ。週刊誌でも、新聞でも、テレビでも、SNSでも、動画サイトでも、手作りのビラでも、何でもいい。報じられるべき事実を「ウチの会社じゃできないから闇に葬ろう」というのが、ジャーナリズムなのか。それではただの“御用聞き”だ。
 テレビ朝日の会見に出席した日本テレビの男性記者は、「この音声の提供に際して、いわゆる謝礼金みたいなものが発生しているのかどうか」と質問した。謝礼を受け取ろうが、受け取るまいが、「福田次官のセクハラ発言」という事実は不変だ。記者は「Aさんはカネ目的で福田次官をハメた」と貶めたかったのだろう。これが日本の記者のレベルだ。(念のために、Aさんは謝礼を受け取っていないという)
「告発した女性が悪い」と言い立てるのが日本社会の現実だ。女性が実名で声を上げられるはずがない。


夏目三久もセクハラ被害を告白、50代芸人たちからは次々飛び出す無理解発言
 福田淳一元事務次官のセクハラ報道を端緒として、ようやく日本でも社会的議論となったセクハラ問題。今回声をあげたのはテレビ朝日の女性記者だが、メディアではこういったセクハラは常態化しており、業界内でのセクハラ被害を訴える声が日増しに増えている。そのひとりが、フリーアナウンサーの夏目三久(33)である。
 夏目三久アナは4月25日放送『あさチャン!』(TBS)で、「かつて、取材相手からセクハラとも取れる言葉を受けたことはたびたびありました。その人については、取材する側も皆がもうそういう人なんだなぁと諦めて、私自身も声を上げるということが、イコール、“仕事が出来ない”“心が弱いヤツ”だと思われるのが怖くて、その時は皆が黙認しているという空気ができあがっていたんですね」と、セクハラ被害に遭っていたうえ、社内の「空気」からその被害を我慢していたことがあると告白した。
 そのうえで夏目アナは、「今回の報道をきっかけに思ったのは、この黙認こそが、セクハラをはびこらせている一番の大きな要因になっているのではないかと思いました。ですので、女性男性ともに、一人一人がセクハラ問題を考えて、根本から意識を変える、そういう時代にきているのかなと強く思いました」と提言。元日本テレビアナウンサーから飛び出したこの告白は、社会的議論の巻き起こっている渦中において、非常に勇気ある行動であるといえる。
 しかしその一方、芸能界でのセクハラに関する認識は惨憺たるものであるようだ。さまぁ〜ずの三村マサカズ(50)は4月23日に更新したツイッターでセクハラ問題について持論を展開している。
 三村マサカズは、まず〈セクハラ問題。触れられないぐらい過熱しています。女性が嫌な思いをしています。でもパワハラが大部分入っている案件な気がします。全てに笑いが入ってない。そこにも問題点が。。。パワハラは、最悪です。。。パセハラにしますか。そろそろ〉と投稿。
 さらに続けて、〈私も昔。MCハラを受けました。それは、作家さんや、番組ディレクターなど面白半分で、台本に司会として出来てない、噛んでる、進行が出来ない、という内容が。これは、ゲストの方から見たら格好の餌食です。当時。先輩方のゲストが沢山いましたから。台本で植え付けたらいかんな。。〉ともツイート。自分もかつて、番組スタッフによるパワハラを受けてつらい思いをしたと綴った。
 これに対し、ツイートを見た人々からは「お前が言うな!」の声が殺到した。〈ご自分がセクハラ、パワハラしてることには気づいてない?〉〈三村さんが番組内でグラビアアイドルの胸を触っているセクハラ映像を何度も見ています。自信が過去に行ったセクハラに関する反省や謝罪はないのでしょうか〉といったリプライが多く寄せられたのだ。
 多くの人が指摘しているように、三村はカメラの前で共演者のアイドルやアナウンサーに公然とセクハラを行ってきた。
 たとえば、元アイドリング!!!メンバーのタレント・谷澤恵里香(27)は、2015年3月10日放送『さまぁ〜ずのご自慢列島ジマング』(フジテレビ)で胸を揉まれた。そのとき、彼女は笑いながら「いま触った!」と反応。カメラの前で胸を触ったそのくだりはカットされずにお茶の間に流れ、公衆の面前で堂々とセクハラ行為におよんだその模様は話題となった。
 谷澤恵里香はその直後に更新したブログで〈番組が盛り上がるなら体を張ります!信頼してますから!〉と書いているが、この行為をめぐる構図こそパワハラそのものである。前述の番組で胸を触られた後、谷澤は笑いながら「あ〜、恥ずかしい。ありがとうございます」と返しているが、収録現場の雰囲気を壊さないようため、彼女はそのようにするしか選択肢がなかったことは容易に想像できる。さらに、谷澤とさまぁ〜ずは同じホリプロの所属タレントで、事務所の先輩後輩関係でもある。さまぁ〜ずの冠番組に彼女が呼ばれたのも、その力関係が無縁ではないはずで、そうであれば、より一層セクハラを拒むことは難しかっただろう。
 また、数多くいる被害者のなかで、最も三村によるセクハラの餌食となったのが、2007年の番組開始から2013年まで『モヤモヤさまぁ〜ず2』(テレビ東京)で旅を共にしてきた大江麻理子アナウンサー(39)だろう。
 大江アナは長きにわたる共演のなかで、数多くのセクハラ被害に遭っている。谷澤が被害に遭ったような胸を揉まれる行為以外にも、大江アナがまたがった自転車を彼女に密着する姿勢で三村が後ろから押す、どさくさに紛れて尻を触る、真夏のロケで大江アナのワキ汗を指摘しイジる……など、セクハラをギャグとして使ってきた。
 三村は先ほど引用したツイートで〈全てに笑いが入ってない。そこにも問題点が。。。〉と書いている。しかし、わざわざ指摘するまでもなく、そもそもセクハラをすること自体が許されない行為だ。そこに「笑い」が入っていようといまいと、そんなことは何の関係もない。そもそも、女性タレントの胸を触ったり、女性アナウンサーの尻を触ったりすることの何が面白いのか? 前述した谷澤恵里香の一件のとき、同じスタジオにいたハライチの澤部佑(31)は、一連の胸を触るくだりを見て、笑うどころか、「頭おかしいんじゃねえの!?」とツッコミを入れていたが、それが真っ当な感覚だろう。
 しかし、芸能界のなかでセクハラに関する意識がどこかズレていると認識させる言動はこれだけではなかった。
 4月24日深夜放送『爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)にて、爆笑問題の太田光(52)は、福田元事務次官の報道の話題のなかで、女性記者たちのいわゆる「女を武器にする」という行為を称賛した。
 太田は「あのケースがそうだっていうわけじゃないけども」とエクスキューズを置きながら、「記者っていうのは、スクープをとるために女を武器にするっていうことだって、したたかにやっていいと思うんですよ。それは、男社会に対するカウンターだからね。そういうケースも絶対あるんですよ。会社がそういう綺麗な娘をわざと行かせて、口を割らせるみたいな、軽くさせるみたいなことは実際にあるし、それをわかっててやってる女性記者も、したたかで俺は立派だと思う」と意見を述べた。
 一応、太田自身も「問題は、日本の政治家に、特に、重要なポジションについている政治家が男ばっかり」とは指摘しているが、しかし、そもそも、「女を武器にしてスクープをとる」ことを褒めそやすような女性蔑視の社会構造が残っているからこそ、テレビ朝日の女性記者のような被害者が生まれる。差別的な環境に過剰適応して「女を武器」にしながらスクープをとることは「男社会に対するカウンター」でもなんでもない。今回被害を告白したテレビ朝日の女性記者以外にも、多くのマスコミ関係者が続々とセクハラ被害を告白し始めている状況での「したたかで俺は立派だと思う」は、今回の問題を理解しているとは言い難い。
 現在のテレビ界で中心にいる三村マサカズや太田光のような芸人がこのような認識では、芸能界のセクハラ被害は確実に消えないだろう。「根本から意識を変える、そういう時代にきている」のは、報道セクションだけではなくバラエティ班も同じである。(倉野尾 実)


山口達也とジャニーズ事務所は「バレずに隠蔽できる」と考えていた? 女子高生強制わいせつ事件、メンバーや仕事関係者に申告せず
 TOKIOの山口達也(46)が、強制わいせつ容疑で書類送検されたことが報道され、強いショックを受けたファンは多いだろう。ジャニーズ事務所のアイドルというだけでなく、高視聴率のテレビバラエティや情報番組で司会を務める人気タレント。大手企業のテレビCMや東京五輪のアンバサダーも任されていただけに、衝撃は大きい。
 容疑は強制わいせつで、山口達也は今年2月に東京都港区の自宅マンションの部屋に番組共演で知り合った女子高校生2人を呼び出し、酒を飲むように勧めたうえ、1人に無理やりキスをするなどの行為をした疑い。サンケイスポーツがもっとも詳細に事件概要を伝えているが、それによれば、被害に遭った女子高生は山口から性的に迫られたためトイレに駆け込み、携帯電話で母親に連絡をとったという。母親が現場である山口の自宅マンションに駆けつけ、娘たちを連れ出したうえで警視庁麻布署に被害届を出したとされている。
 山口達也は容疑を認めており、被害者とは和解したという。しかし2月に事件を起こし、報道される4月25日夕方までの間、山口達也および彼の犯罪行為を知り示談交渉に動いたジャニーズ事務所は、TOKIOメンバーはおろか仕事関係者にもこのことを報告していなかったようだ。示談で被害届を取り下げにすることで事件そのものを隠し通し、活動を継続していくつもりだったのだろうか。
 山口達也と30年来の仲間としてTOKIOで活動してきた国分太一(43)は、司会を務める『ビビット』(TBS系)の4月26日放送冒頭で、黒いスーツにネクタイを着用し一人で各方面への謝罪を述べた。真矢ミキが後ほど語ったところによると、この日、スタジオ入りしてから国分太一はずっと泣きながらスタッフたちに謝りどおしだったという。国分太一の冒頭コメントは以下の通り。
「番組冒頭ではありますが、同じメンバーである山口達也が、強制わいせつ容疑でご迷惑をおかけしました。深くお詫び申し上げます。なにより被害に遭われた女性に、メンバーとして謝罪させていただきます。本当に申し訳ございませんでした。
正直、自分の頭の中も整理がつかない状況ではありますが、山口が起こしてしまったことは絶対に許される行為ではありません。
20年以上、一緒にいるメンバーが、こんなことを起こしてしまった。驚き、悲しみ、悔しい思い、いろんな感情が湧き出てきます。
なによりも、山口を信じずっと追い続けてくれましたファンの皆さん、本当に申し訳ありませんでした。
そして、山口を信じずっと一緒に仕事をしてくれた皆さん、悲しい思い、落胆する思い、たくさんの感情をつくってしまい、本当に申し訳ございませんでした」
 国分太一をはじめTOKIOメンバーが今回の件を知ったのは、4月25日18時半頃。TOKIO5人でフジテレビのレギュラー番組『TOKIOカケル』の収録があり、それを終えて楽屋に戻ってから、スタッフの動きが慌しくなるなどの異変を感じたという。
国分「ちょっとマネジャーさんたちの動きがおかしいなと思い、山口以外のメンバー4人が同じ場所に入って衣装から私服に着替えるときに、わいせつ行為があったと報道されていますと近くにいたマネジャーから聞きました。メンバー全員頭が真っ白で、何の話をしてるのかもまったくわからなく……」
 しかし2月に事件があって被害届を提出されており、水面下で示談交渉をしているにしても、メンバーや関係者に報告すべきだったのではないだろうか。何食わぬ顔で新たな放送回も収録や生放送出演、インタビューやイベントなどの現場に臨んでいいものか。番組ではテリー伊藤がこの点を追及。
テリー「2月に事件を起こして、それからも大きな仕事たくさんしている、彼の行動は(現場では)どうだったの?」
国分「TOKIO全員が顔を合わせるのは最近は一カ月に一回くらいだったんですけど、申し訳ないですけど自分はいつもの山口達也にしか見えなかったので。うちのメンバー4人気付いていなかったと思う。昨日も普通に収録、スイッチを入れて収録に挑んでいたのかもしれないですけど、収録中はいつもの山口達也にしか見えなかったです」
テリー伊藤「46歳の男が、酒を飲んで、普通、高校生を家に呼ばないよね、泥酔状態で。『酒飲んでるから覚えていない、でもそうかもしれない』。でも酒を飲ませようとしたという報道もありましたよね。彼自身がそのことをどう思ってるのか。昨日の事務所が発表した謝罪文には未成年に酒を飲ませようとしたことについては何もないよね。女子高生はどう思うか、本当はもっと違うことがあったんじゃないか。
たぶん明日以降、週刊誌などが後追い取材していけばまた違う話が出て来て、さらにTOKIO含めて山口メンバーが悪くなっていく。早く出て来て会見をして本当のことをしゃべったほうがいい」
国分「4人でメールのやり取りをして、どんなことがあってもグループは連帯責任だと。どんな処罰でも自分たちは受けなければならない、という話はしまんですけども。本人からは、話ないしメールなり連絡はまだとれていないので。本当にあってはならないことなので、山口達也がどうしてこんなことをしたのか本人の口から聞かないとみんな納得できないので、僕もテリーさんと同じ思い。
自分たちも収録が終わって、何があったのかわからない状況。事務所としても関係各所に迷惑をかけているということで動いていたと思います。いろんなことが自分たちにわかってきたのは夜中12時近かった。
デビューして23年ですけど、ジュニア時代を入れると30年近く一緒にいるメンバー。彼がやったことの責任を自分たちも自覚しながら、対応をしっかりしていかないといけないねとメンバー同士で話しました」
 しかし関係各所に迷惑をかけることは、被害届が提出され警察に事情聴取された時点で確実にわかっていたことだ。おそらく示談を成立させ被害届が取り下げられれば、この事件は報じられることなく、なかったことのように隠蔽できると目論んでいたのだろう。そして何の問題もなくこれまで通り大きな仕事をこなしていくつもりだったと見られる。
 事件がテレビや新聞で報じられ、全国に知れ渡ったときに初めて「謝罪」し、活動を自粛し、関係各所にお詫び行脚をする。その対応はあまりに遅すぎると言わざるを得ない。


ジャニーズ事務所が姑息なメディア工作! TOKIO山口達也の強制わいせつを1カ月近くも隠蔽し、「キスしただけ」と矮小化
 強制わいせつで書類送検されたTOKIOの山口達也が本日、記者会見をおこなったが、予想通り、事件の核心部分について語られることはなく、一方で、ジャニーズ事務所の姑息な対応が浮き彫りになった。
 まず、会見では、ジャニー喜多川氏による自社タレントへのセクハラをめぐる報道の裁判をはじめ、ジャニーズ事務所の代理人を務めてきたのぞみ総合法律事務所の矢田次男弁護士が冒頭に挨拶。矢田弁護士は「会社が知ったのはつい最近。本来ならもっと早く報告すべきだった」と述べた。
 だが、これがとんだ嘘であることがすぐにバレる。というのも、被害届が出されたのは3月末のことで、山口がこのことをジャニーズ事務所に報告したのは「4月上旬」と説明したのだ。つまり、ジャニーズ事務所は山口の事件を20日あまりも隠していたことになる。「知ったのはつい最近」とはとても言えないだろう。
 実際、山口が書類送検されたという一報はNHKが流したが、これもNHKはジャニーズ事務所と相談の上、発表時期を決定していたはずだ。そもそも、山口と被害者の女子高生はNHK・Eテレの番組『Rの法則』で共演して知り合っていることから、NHKは事前に山口の事件を把握していたことは確実。そして、報道が昨日になったのは、ゴールデンウィーク前で軒並み週刊誌が合併号となっており、すぐに後追いできないタイミングを見計らったのは明らかだ。つまり、ジャニーズ事務所は社会的・道義的責任よりも、自社のダメージを最小限に抑えることを優先させ、公表時期をコントロールしてきたのである。
 しかもこの間、山口が出演する番組は通常通り放送され、昨日も山口は報道も扱う『ZIP!』に普段通りに生出演していた。ようするに、完全にジャニーズ事務所はテレビ局を舐めきった対応をおこなっていたということになる。もし、これが弱小の芸能事務所であれば、テレビ局は激怒して出入禁止や他の所属タレントの出演見合わせなどの処置をとってもおかしくない。
 にもかかわらず、ジャニーズ事務所の顔色を伺うワイドショーはいずれも弱腰な姿勢を露呈。どの番組も山口の事件を大きく報じ、被害者が女子高生だということもあって山口を批判はしたが、酒の問題をもち出したり離婚したことで寂しかったのではないかなどと同情的な見方も示し、さらにTOKIOメンバーの国分太一が述べた「連帯責任」という言葉に象徴される“TOKIOの絆”といった話題がクローズアップされる始末。
 なかでも『とくダネ!』(フジテレビ)では、コメンテーターの古市憲寿が「政権にとってはラッキー」などと被害者感情を無視した無神経発言をしたかと思えば、司会の小倉智昭も「強制わいせつで本人が出てきて謝罪をするというのは、本人にとって過酷なこと」「会見でもしも記者に質問の時間が与えられたら吊し上げをくう。そこまで彼を晒してしまうというのは……」「彼にも人権はある」などと言い出したのだ。
 セクハラ問題における麻生太郎財務相の「福田の人権はなしってわけですか」という発言が思い出されるが、小倉もまた、性暴力を受けた被害者よりも加害者である山口への配慮を口にしたのである。これは事件の重大さをまったく理解していない証拠だ。もちろん加害者の人権も守られるべきなのは当然だが、普段のワイドショーは人権への配慮などまったくなく、事件の加害者のプライバシーや真偽不明の悪評を平気で垂れ流したり、弱小事務所の犯罪でもない不倫などを叩きまくっているではないか。ようするに、ジャニーズ事務所という大手事務所の所属タレントに対する忖度を、「人権」にすり替えているだけだ。
 こんな卑劣な事件が起きてもジャニーズ事務所への忖度を優先させるなど、いったいどういう神経をしているのか。
 事件をなんとか矮小化しようとする。これはジャニーズ事務所の対応によく表れている。昨日、NHKの報道を受けてジャニーズ事務所がマスコミに出したコメントFAXは、こういうものだった。
〈お酒を飲んで、被害者の方のお気持ちを考えずにキスをしてしまいましたことを本当に申し訳なく思っております。被害者の方には誠心誠意謝罪し、和解させていただきました〉
 一部引用したのではなく、これが全文なのである。46歳にもなった立派な大人が、しかも未成年の女子高生だと知りながら家に呼び出したことの問題には言及せず、〈お酒を飲んで〉〈キスをしてしまいました〉とあっさり書いて謝罪しただけ。企業対応を叩かれることは絶対にないとわかっているがゆえの、ジャニーズ事務所のマスコミに対する傲岸不遜な態度が透けて見えるようだ。
 だいたい、山口は被害者とその友人の女子高生2人に対し、部屋に入るやいなや卑猥な言葉を投げかけ、2人はその場で驚いて立ちすくんでしまったといい、無理矢理キスされた際も被害者はトイレに逃げ込み、そこで母親に電話をして助けを求めたというほどだから、その恐怖はいかばかりのものだったか、想像に難くない。
 しかも、山口は「何もしないなら帰れ」とまで言い放ったとされる。つまり女子高生が逃げたからキスにとどまっただけで、場合によってはキスだけにとどまらなかった可能性もあるのだ。番組司会者で、しかもジャニーズという大手事務所に所属する芸能界の先輩という立場を悪用したパワーハラスメントも指摘されているが、女子高生を性的対象とする倫理的な問題、さらなる性暴力に晒される危険があった事件だということは強調しておかなくてはならない。
 いや、そもそもジャニーズ事務所は、今回被害を受けた女子高生などの10代の女子たちによって支えられてきた企業であり、今回の事件に対する道義的責任は極めて重い。だが、きょうの会見でも、被害者のプライバシーには及ばない事件当日についての踏み込んだ質問が出ると、すかさず矢田弁護士が割って入り、「捜査中」であることを理由にコメントを拒否。「会社が知ったのはつい最近」という嘘や、前述したFAXからも顕著なように、事件に真摯に対応しようという姿勢はまったく見られない。
 今後、山口は被害届が取り下げられていることもあり起訴猶予処分となって刑事処罰を免れる可能性が高いが、じつは山口をめぐっては今回の件にかぎらない問題が浮上している。この件については追ってお伝えしたいが、ともかく、ジャニーズ事務所やそれに忖度するマスコミの姿勢には、厳しい目を向けていかなくてはならないだろう。(編集部)


幻の科学技術立国 第1部 「改革」の果てに/4 将来が見えぬポスドク 不安定な就職事情 正規研究職、不採用40回
 <科学の森>
 「人が何かを見たり、記憶したり、考えたりできるのが不思議で、その仕組みを明らかにしたいと思い、研究の道に進んだ。でも将来があまりに不透明で……」。関東の国立大の30代の男性助教は言葉を詰まらせた。大学院で認知心理学を専攻し、錯覚や錯視について研究。博士号取得後、二つの研究機関で任期付き博士研究員(ポスドク)として計5年働いた後、昨年、現在のポストを得たが、あと2年で任期が切れる。
 ポスドクは通常、正規の研究職に就く前の修業期間と位置付けられるが、国内ではポスドクを何カ所も渡り歩いても安定した職に就けない問題が続く。
 男性助教は優れた若手研究者を支援する日本学術振興会の特別研究員に選ばれ、新規採択率が25%程度の文部科学省の科学研究費補助金も切れ目なく受け取ってきた。国際的な学術誌に論文が掲載されるなど、「研究者としては平均以上だと思う」。しかしこの間、正規の研究職に約40回応募したが、いずれも不採用になった。そもそもポストが少なく、地方大でも数十倍の競争率だという
 現在の職に就く前の年収は約450万円。ポスドクの中では比較的高い方だったが、高校卒業後すぐに企業に就職した友人より少なかった。結婚願望はあるが、いつ無職になるかもしれない不安定さを考えると積極的にはなれない。気がつけば民間企業への就職は難しい年齢になった。深夜、次の就職活動のために履歴書を書きながらふと思う。「もし将来、子供ができたとしても、研究者になることは勧めないな」
大学教員の道崩れ
 1990年代、研究力向上をうたい、大学院の定員を増やす「大学院重点化」が東京大を皮切りに進んだ。博士課程修了者は90年からの10年で倍以上に増え、近年は1万5000人以上で推移。大学教員の新規採用数はその伸びに追いつかず、博士号を取得して大学教員へという進路からあふれるケースが増えた。
 科学技術・学術政策研究所の調査では、2009年度に33・8歳だったポスドクの平均年齢は、15年度には36・3歳に上昇。11大学を対象に同研究所が任期付き教員の割合を調べたところ、07年度に25〜29歳で70%、30〜34歳で49%、35〜39歳で35%だったのが、13年度にはそれぞれ79%、72%、58%に増えた。政府は96年に「ポスドク等1万人支援計画」を打ち出したが、不安定雇用は解消できていない。企業も博士の採用に消極的で、厳しい現状を受けてか、博士課程進学者は03年度をピークに減少に転じた。「優秀な学生が博士課程に来ない」と将来を危ぶむ大学関係者は多い。
「生活が一番大事」
 研究者の道に見切りをつけた人もいる。大型トレーラー運転手の佐藤和俊さん(37)=千葉県富里市=は98年、全国で初めて「飛び入学」で大学に入った3人のうちの1人だ。才能ある人材を早く優秀な研究者に育てようと、千葉大が工学部で初めて導入した。
 16歳で合格した佐藤さんは、同大大学院で光を自在に操る結晶を研究し、博士号を取得。この分野の研究をしていた仙台市の公益財団で1年契約のポスドクに採用された。
 だが月給は額面で22万円。学生結婚をして長女もいた佐藤さんの生活は厳しかったという。引っ越し代や保険代、奨学金の返済がかさみ、銀行から借金もした。「食べるものもない日もあった」。結局、契約は更新せず、1年でやめた。
 その後も千葉大の特任研究員や非常勤講師など、いずれも1年契約の研究職を転々とした。年度末が近づくたび「更新できなかったらどう生活しよう」と不安に襲われた。物理に対する情熱は捨てきれなかったが、13年、元々好きだった車の運転の仕事で正社員になる道を選んだ。
 「いい大学を出たのにもったいない」。同僚にそう言われることもあるが、「1年契約でも、何十回と更新できるならそれでもいい。でも現実はそうじゃない。やっぱり生活が一番大事ですよね」と佐藤さん。今は休日に市民向けの科学教室でボランティアをするのが楽しみだという。
上司から嫌がらせも
 不安定な雇用を背景に、上司の嫌がらせや過酷な研究生活に苦しむポスドクも少なくない。
 「私が教授になれば、君を雇ってやる」。関西の大学医学部に勤める40代の男性助教は、ポスドクだった10年ほど前、当時の上司の准教授の口約束を信じ、実験に没頭した。努力は実を結び、神経細胞の形成に関わる新しい分子を発見。脊髄(せきずい)損傷などの治療につながる成果として注目され、国際的な学術誌に論文が掲載された。
 准教授は晴れて教授就任が決まったが、思いもよらない一言が待っていた。「申し訳ない。ポストがない」。自ら発見した新分子の研究をライフワークにしようと考えていたが、これも新教授に奪われた。
 任期が切れると、企業の研究所を含め3カ所を転々とした。どこも3〜5年の有期雇用。2年前、ようやく任期のない助教の職を得たが、研究室の過去の実験データに不信を抱いて指摘すると、教授から「やめてもらっていい」と怒鳴られた。現在は企業も視野に入れ、転職先を探している。
 40代前半の女性研究者は、かつてポスドクとして在籍した国立大の医学系研究室で、男性上司の日常的なセクハラに悩まされた。教授に相談しても口頭注意だけで効果はなく、上司が移籍するまでセクハラは続いた。「非正規で雇われているポスドクと終身雇用の上司とでは立場が圧倒的に違う。仮にあらがったところで何も良い結果は生まれないし、訴える場もない」。言葉には諦めが交じる。
 午前2時までの14時間勤務は珍しくなく、妊娠中でも午前0時まで実験する日々が続いた。出産時は退院数日後から教授とメールで仕事のやりとりを再開し、授乳しながら論文の原稿を書いた。週末、赤ちゃんをおぶって実験していた女性の同僚もいる。「世界との激しい競争をしている中では普通のこと」と振り返る一方、「後輩のためにもう少し働きやすい環境を作りたい」と願う。
 1年契約を更新しながら5年以上勤めたが、ある年の2月、大学の事務から、雇用が年度末に打ち切られることを知らされた。教授に確認すると、「(雇う資金が)ないものはないよ」と認めた。ぎりぎりまで金策に走り回っていた教授を責める気持ちにはなれなかったが、「もっと早く言ってほしかった」。幸い、知り合いの研究者がポスドクとして雇ってくれ、キャリアの中断は避けることができた。
 日米でポスドク経験のある鳥居啓子・米ワシントン大卓越教授は「ポスドクは研究者としてのキャリアを築く重要な訓練期間であるとともに労働者でもあるという視点に立ち、身分と福利厚生について明確化する時期なのではないか。大学教員の評価で、過去に雇用した全ポスドクがその後どのような役職についているかを評価することも効果的だろう」と指摘する。


東工大 出題ミス、4人追加合格に 外部からの指摘で判明
 東京工業大は25日、3月に実施した入試に出題ミスがあったことが、外部からの指摘で判明したと公表した。すべての受験生について、ミスのあった問いと関連する問いを満点として改めて合否判定し、4人を追加合格とした。入学や補償などの対応をとるほか、再発防止策として、非公表だった入試の出題の意図を開示することも検討する。
 生命理工学院の後期日程の問題にミスがあった。化学の思考力を問う記述式の問題で解法を二つ用意したが、物質量を誤って設定したため、一つの解法でしか正解を導くことができなかった。7人の入試担当教員が11回チェックしたが、ミスを見つけられなかった。
 20日に入試問題集の出版社が指摘し、24日に学内でミスを認めた。追加合格者には連絡済みという。水本哲弥副学長は「新たな合格者に誠心誠意、対応したい。チェック体制を検証して改善を図る」と述べた。【水戸健一】


大学の再編 学問と地域どう守るか
 将来の大学再編の行方を占う試金石となるに違いない。国立の名古屋大学と岐阜大学が運営法人の統合に向けて動きだした。地域に根差した学問の府を守り、強める手だてをぜひ打ち出してほしい。
 国立大が国の直営から独立法人の運営に切り替えられたのは二〇〇四年だ。大学の個性を伸ばして競争力を高める狙いがあった。
 だが、公立大や私立大とは異なり、国立大では法律上、一つの法人は一つの大学しか運営できない。国は経営合理化策として、一つの法人が二つ以上の国立大を傘下に収めて運営できるよう仕組みを見直す構えだ。
 名古屋大と岐阜大は先駆けとなりそうだ。新法人として設立する東海国立大学機構(仮称)が両大学を運営する。大学名や学部、学科を残して管理部門を集約し、教養課程を共通化する構想だ。
 経営の効率化と規模の拡大で生まれる人員や財源を、それぞれの特色のある教育研究分野に重点配分して機能強化を図るという。
 法人統合がもたらす利益は、大学の競争力の向上や地域の活性化にしっかりと振り向けられなくてはならない。国に経費節減の口実を与えては元も子もなくなる。
 どういう青写真を描くのか今後の協議を注視したい。生き残りを模索する国立大の手本となるよう期待する。地元の自治体や産業界、学内の教職員、学生の声に耳を傾けて理解と協力を仰ぐ。民主的手続きを尊重してもらいたい。
 大学を取り巻く環境は年々厳しさを増している。
 避けられないのは十八歳人口の著しい減少だ。近年は百二十万人前後で落ち着いていたが、今年から再び減り始め、四〇年の推計では八十八万人にまで縮小する。
 グローバル化に伴い、アジアをはじめ外国の大学に進学する高校生が目立ってきた。海外の大学の卒業生を積極的に採用する企業も多い。国公私立を問わず、大学力に磨きを掛けなくてはならない。
 名古屋大と岐阜大の試みは、大学の自前主義からの脱却を意味する。もはや個々の大学が学生を奪い合うという旧来の発想では、間違いなく立ち行かなくなる。国公私立の枠を超えた大学再編スキームも検討に値する。
 大学は知の拠点であり、地域の重要な一員だ。市場原理にすべてを委ね、経営難に陥ったら直ちに退場を迫るべき存在か。教育を受ける権利に応え、地域に貢献する。その役割をどう果たすか。再編論議はそこから出発したい。


[辺野古警備員水増し]杜撰極まる税金の扱い
 名護市辺野古沖の新基地建設予定海域の警備を請け負っていたライジングサンセキュリティーサービス(東京都)が警備員の人数を水増し(約7億4千万円分)して元請けの大成建設(同)に報告していたことが分かった。
 さらに防衛省沖縄防衛局が直接契約に切り替えた2015〜17年にもライジング社は、海上警備4件を1社だけの応札で受注。防衛局にも約19億円分の水増し報告をしていたことが明らかになった。
 ライジング社は、防衛局から大成建設が受注した桟橋などの仮設工事で、14年8月、海上警備業務の委託を受けた。16年1月、ライジング社の従業員の内部告発で不正が発覚し、防衛局が大成建設に調査を指示。水増しが判明し、大成建設の契約から水増し分に相当する約7億4千万円を減額したという。
 不可解なのは防衛省の対応である。同省の内規では「不正または不誠実な行為」があった場合は指名停止することが定められている。しかし防衛局はライジング社を口頭注意しただけだった。
 小野寺五典防衛相は「適当ではなかった」と不手際を認めたが、不正を知りながらなぜ、内規に反して契約を継続したのか。説明が必要だ。
 ライジング社は防衛局から口頭注意を受けた後も同じように水増し報告をしていたことになる。防衛局は「実績に応じて警備員数を清算して減額措置をした」と過大な支払いはなかったとするが、契約中止や指名停止をしておらず、とても納得できない。
■    ■
 ライジング社の行為は悪質である。内部告発によると、定員通りの人数がそろった日に服装やホワイトボードの日付を変えたりして1週間分をまとめて撮影する偽装工作をしていた。内部告発者は偽装についても防衛局に訴えていたが、防衛局は本紙取材に調査したか回答していない。
 調査した上で口頭注意で済ませていたのなら防衛局も「共犯」であり、調査していないのであれば不作為のそしりを免れない。
 ライジング社が15年から受注した4件は1社だけの応札による受注だったため、人件費の見積もりも同社の「言い値」になっていた。4件のうち3件を調査した会計検査院は17年、1億8千万円余りが過大、と税金の無駄遣いを指摘した。ライジング社の最初の不正行為が発覚した時点でペナルティーを科さなかった防衛局の責任は重い。
■    ■
 防衛省も、ライジング社の対応も、国民の税金であるとの認識が極めて薄く、杜撰(ずさん)というほかない。
 問題は防衛省が地元の理解が得られないまま何が何でも新基地を建設するということを最優先にしていることにある。その延長線上に不正行為を許す土壌が生まれ、ツケが予算の膨張となって国民に跳ね返ってきているのである。
 防衛省は税金の不適切な執行を猛省するとともに、この間の経緯を徹底調査し、公表する義務がある。
 国会でも不透明な税金の使い道について厳しく追及し、行政へのチェック機能を果たしてもらいたい。


自衛官の暴言 文民統制を軽んじている
 一人の自衛官の個人的な言動として見過ごすべきではない。「政治と自衛隊」の関係に照らして、大きな問題をはらんでいるからだ。
 防衛省統合幕僚監部に勤務する30代の3等空佐が16日夜、民進党の小西洋之参院議員に対し執拗(しつよう)に暴言を浴びせていたことが明らかになった。抗議を受けた防衛省は暴言の経緯や内容を調査し、中間報告を公表した。
 報告によると、3佐は国会周辺をジョギング中に小西氏を見かけ、小西氏に向かって「国のために働け」と大声を上げた。
 小西氏が「国のために働いている」などと反論すると、3佐は「俺は自衛官だ。あなたがやっていることは日本の国益を損なうようなことじゃないか」「こんな活動しかできないなんてバカなのか」とののしった。
 小西氏がその場で「自衛官を名乗る男から暴言を吐かれている」と防衛省幹部に電話したところ、3佐は「そういう行為が気持ち悪い」と罵倒を続けた。
 防衛省によると、3佐は小西氏について「政府や自衛隊とは違う方向での対応が多い」と不満を抱いていたという。
 小西氏は「3佐は確かに『国民の敵』と発言した」と指摘している。一方、3佐は「国民の敵」の言葉は否定している。
 自衛官は何もしゃべってはならぬ、などと言うつもりはない。自衛官が現場の経験に基づいて発言することは地に足の着いた防衛論議にプラスに働く。
 しかし、この3佐の発言からは「政治家は何も分かっていない」という独善と傲慢(ごうまん)が感じられる。民主国家の大原則である「文民統制(シビリアンコントロール)」を軽んじた言動だと言わざるを得ない。
 今回の暴言は1938年に帝国議会で起きた「黙れ事件」を想起させる。議会に法案の説明にきた陸軍中佐が、国会議員に対し「黙れ」と一喝した事件である。軍が議会を軽視して暴走し、無謀な戦争に突入していった歴史を象徴する出来事だ。
 小野寺五典防衛相は、今回の暴言の発覚直後「若い隊員なのでさまざまな思いもある」とかばうような発言をしたが、問題の重大性を理解していない。
 自衛隊では日報隠蔽(いんぺい)問題でも、政治家である防衛相の指示に背いて、見つかった日報を「ない」と報告していた。これも「文民統制の軽視」という点で根っこは同じだといえる。
 自衛隊は災害派遣などを通して国民の信頼を得る努力を続けてきた。国民の代表である国会議員を「バカ」とののしるようでは、これまでに築いた信頼が失われる。自衛隊は偶発的事案として矮小(わいしょう)化せず、組織として猛省し、襟を正すべきである。


自衛官の暴言 文民統制分かっていない
 異論や批判は許さない。そんな偏狭さを、如実に物語る言動である。政治が軍事に優越する文民統制の揺らぎを懸念する声が上がるのは無理もない。
 防衛省、自衛隊が厳正に対処することは当然だ。同時に、個人の問題に帰するのではなく、組織全体が危機感を共有し、規律の徹底に取り組まなければならない。
 防衛省統合幕僚監部の3等空佐が民進党の小西洋之参院議員に暴言を吐いた問題に関し、調査の中間報告が公表された。明らかになったのは、3佐が説明した内容である。
 3佐は16日夜、国会議事堂周辺をジョギング中に小西氏に出会い、自衛官と名乗って「ばかなのか」「国益を損なう」などの暴言を浴びせた。
 小西氏は「おまえは国民の敵だ」と言われたとしているが、3佐は否定した。さらに詳しい調査が必要だ。
 中間報告の段階であり、双方の主張に食い違いが見られるにしても、発言のあまりのひどさに驚き、あきれる。
 3佐は動機について、小西氏に政府や自衛隊とは違う方向での対応が多いというイメージを抱き、「一言思いを述べたいという気持ちが高まった」と語ったという。
 政府の方向とは異なると考えて小西氏に反発したのなら、政治的主張と受け止めても差し支えあるまい。
 自衛隊法では隊員に品位を保つ義務を課し、政治的行為を制限している。「ばか」といった言葉を含め、この規定に抵触する印象が強い。
 問題がさらに深刻なのは、自衛隊にとって大原則である文民統制に触れることにもなりかねないからだ。
 軍事力を持つ実力組織である自衛隊の暴走や独走を防ぐために、国会に責任を負う文民の大臣がコントロールする。
 この文民統制は、軍部の主導で突き進んだ先の戦争の反省を踏まえたものだ。
 国民の負託を得て国政に参画する政治家を、幹部自衛官が路上で批判する。こうした行動に出た3佐は文民統制を知っていたとしても、その本質を理解しているとはいえまい。
 安全保障関連法の施行や防衛省の組織改編で自衛隊の地位が高まり、おごりが生じているのではないか。専門家からはそんな指摘も出ている。
 陸上自衛隊海外派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)で揺れる中での、新たな問題発生である。3佐の行為は自衛隊という組織の在り方に疑念を抱かせただけだろう。
 今回のような問題を再び起こしてはならない。自衛隊には国民のための組織だということを改めて肝に銘じてもらいたい。
 自衛隊を巡る国民の考え方は一様ではなく、批判的な見方も当然存在する。それでも国民全体を守ることが、自衛隊に課せられた使命だ。
 災害救援など地道な活動を通し、自衛隊は着実に信頼を広げてきた。不祥事や失態はそれを損なうだけである。


[自衛官の暴言] 文民統制が危ぶまれる
 防衛省統合幕僚監部の幹部自衛官が、民進党の小西洋之参院議員に暴言を吐いたことに批判が高まっている。
 小西氏は16日夜、都内の参院議員会館近くの路上で、現職の自衛官を名乗る者から「おまえは国民の敵だ」と繰り返し罵声を浴びたという。
 防衛省は調査の中間報告を公表し、3等空佐が自衛官と名乗って「国のために働け」「ばかなのか」などと発言したとする本人の説明内容を明らかにした。
 ただ、「おまえは国民の敵だ」との発言は否定しており、双方の主張に食い違いがある。
 自衛官が国民の代表である議員に対し暴言を吐くのは言語道断だ。シビリアンコントロール(文民統制)が危ぶまれる事態だ。
 隊員に品位を保つ義務を課し、政治的行為を制限している自衛隊法の観点からも問題がある。
 小西氏は中間報告に「事実に反する点が多々ある」と指摘している。防衛省は事実関係を徹底的に調査し、厳正に対処すべきだ。
 中間報告を基に再現すると、ジョギング中の3佐が小西氏に向かって「国のために働け」などと大声を上げた。
 小西氏は「国のために働いている。安倍政権は国会で憲法を危険な方向に変えてしまおうとしている。国民を戦争に行かせるわけにはいかない。戦死させるわけにもいかない」などと反論した。
 これに対し、航空救難隊の災害派遣で遺体を取り扱ったことがある3佐は「戦死」という言葉を軽く感じたとして、「あなたがやっていることは、日本の国益を損なうようなことじゃないか」などと小西氏を非難した。
 小西氏は国会で陸上自衛隊のイラク派遣日報問題を追及。「安倍内閣は総辞職すべきだ」などと発言しており、3佐が不満を持っていたことが考えられる。
 だが、今回の暴言を単に一人の自衛官の資質の問題と片づけるわけにはいかない。
 軍事ジャーナリストの前田哲男さんは「戦前の軍部を思わせる信じ難い出来事だ」と憂慮する。
 安全保障関連法の施行で自衛隊の活動が拡大し、防衛省の組織改編や国家安全保障会議(NSC)の設置で、制服組の立場が相対的に強くなったという。
 「自衛隊の地位が高まったことで生じたおごりを反映しているのではないか」との指摘は重い。
 自衛隊は実力組織だ。その統制が揺らげば、民主主義の脅威になる恐れがある。自衛隊は今一度、文民統制の重要性など教育を徹底することが求められる。


平壌にトランプタワー構想 密約で「対北経済支援」加速か
 6月上旬までの実施が予定される史上初の米朝首脳会談に向け、米国と北朝鮮が駆け引きを続けている。表向きのテーマは北朝鮮の非核化プロセスとその見返りだが、水面下で交渉が進められているのが大規模開発を伴う対北経済支援だ。なんと、平壌市内を流れる大同江沿いに「トランプタワー」を建設する構想が浮上しているという。
 朝鮮半島情勢に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は言う。
「商売人のトランプ大統領と、国内経済を上向かせたい金正恩委員長の思惑は一致している。米朝接近を機に互いに儲けることです。地下資源が豊富で未開の北朝鮮は、米企業にとって垂涎の的。これまでも参入のチャンスを虎視眈々と狙ってきた。そこで持ち上がっているのが、融和の象徴ともなる『トランプタワー平壌』の建設です。米企業がノウハウを持ち込み、北朝鮮労働者を大量動員すれば双方が潤う。観光地化すれば、世界中から物見遊山の旅行客が押し寄せるという計算です」
■不人気DMZ付近の地価急騰
 金正恩委員長は20日の党中央委員会総会で「核開発と経済建設の並進路線」の終了を宣言。経済を重視する新方針に舵を切ったものの、国際社会による制裁で国内経済は疲弊し、資金も足りない。海外からの投資を喉から手が出るほど切望している。
 北緯38度線で南北を隔てるDMZ(非武装地帯)の開発計画も浮上。東西248キロ、南北4キロにわたるDMZに「KTX」(韓国高速鉄道)と高速道路を走らせ、朝鮮半島の西海岸に位置する韓国の仁川空港と東海岸にある北朝鮮の金剛山を1時間でつなぐ計画だ。すでに、韓国側のDMZ付近の坡州、議政府、東豆川、抱川、漣川などの地域で買いが広がり、地価が急騰しているという。操業停止中の開城工業団地からもほど近い。
 韓国メディア「ブレークニュース」の編集主幹の文日錫氏はこう言う。
「太陽政策を進めた金大中元大統領は、かつて南北によるDMZ共同開発を提唱していた。その構想がいま再燃しています。65年前の朝鮮戦争休戦以来、手つかずの自然が残る広大なDMZには多様な動物がすんでいる。その地勢を生かし、サファリパークなどを造成すれば世界的な観光地になる可能性を秘めています」
 ゴルフ場やカジノ、ホテルなどを誘致するプランもあるという。27日は11年ぶりの南北首脳会談が開催され、主題は南北統一とみられている。米朝もアッという間に手を握ってしまうのか。


盲導犬「拒否」6割が経験 父危篤…病室入れず
 盲導犬を利用している人の六割がこの一年間に、病院や飲食店で受け入れ拒否を経験したことが二十五日、日本盲導犬協会のアンケート結果で分かった。障害者差別解消法の施行から、四月で二年。法律は盲導犬の受け入れ拒否を不当な差別として禁じているが、公共施設でも事例があり、なお社会の理解が進んでいない実態が浮かんだ。(城島建治)
 アンケートは法施行二年を機に実施。三月に百九十五人を対象に電話で聞き取り調査を行い、百八十三人から回答を得た。
 「盲導犬を理由とする差別(受け入れ拒否)はあったか」との質問に「はい」と答えたのは59%の百九人。協会が前年に実施した同様の調査より4ポイント増えた。
 拒否の内訳は、飲食店などが最も多く二百八十九件。病院十五件。宿泊施設十三件と続いた。タクシーなどの乗車拒否は十一件。地方自治体は法律で差別解消を進める役割が規定されているが、神奈川県内の市民ホールなど、公共施設で七件の拒否があった。一年間に十回以上拒否された人は九人もいた。
 神奈川県内の女性(68)は二月、福岡県の父親(93)=当時=が危篤との知らせを受け、独立行政法人が運営する福岡県の病院を訪れたが、盲導犬を伴っての入室を拒否された。病院側は「前例がない」「他の患者の迷惑になる」などと理由を説明したという。
 女性が「押し問答している間に父に何かあったら、あなたを一生恨む」と言っても、返答は変わらなかった。女性は仕方なく夫と交代で病室に入り、一人は病院の出入り口付近で盲導犬と待機。協会が何度も電話で法律の趣旨を説明し続けると、四日後にようやく盲導犬の入室を認め、拒否したことを謝罪した。女性は本紙の取材に「父のそばにいられない間は不安でたまらなかった。本当に悔しくて、切ない気持ちになった」と振り返る。
 協会の安保美佳さん(33)は「盲導犬を拒否されると、利用者は自分が拒否されたと感じる。盲導犬と共に生きる決断そのものを否定されるからだ。それを理解してほしい」と話した。
 <障害者差別解消法> 2016年4月に施行された。障害のある人もない人も共に暮らせる社会を実現するのが目的。国の機関、地方自治体、民間事業者に対し、障害を理由とした差別を禁止し、合理的配慮を義務づけた。合理的配慮とは、車いす利用者のために建物入り口に段差スロープを設置するなど、障害者が社会生活を営む上で必要な対応を指す。

印鑑+鍵忘れて/おもちゃ2個買いました

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"Yoga sexy": nouveau scandale embarrassant pour le gouvernement japonais
Le ministre japonais de l'Education a présenté mercredi des excuses pour avoir utilisé une voiture de fonction afin de se rendre dans un club de yoga mais il a contesté les propos d'un magazine affirmant que ce lieu proposait des séances individuelles de "yoga sexy".
Cette situation embarrassante vient s'ajouter à deux scandales de favoritisme et à des accusations de harcèlement sexuel à l'encontre du plus haut fonctionnaire du ministère des Finances qui minent actuellement le gouvernement du Premier ministre Shinzo Abe.
L'hebdomadaire Shukan Bunshun a rapporté mercredi que le ministre de l'Education Yoshimasa Hayashi avait pris des cours particuliers dans un club de yoga du quartier huppé d'Ebisu à Tokyo où il se rendait à bord d'un véhicule de l'Etat.
"Je m'excuse d'avoir créé la confusion dans un contexte parlementaire tendu", a déclaré M. Hayashi à la presse. "Le gouvernement étant actuellement confronté à de sévères critiques, je vais servir le pays avec davantage de discipline", a-t-il déclaré, dans une allusion apparente aux scandales qui ont frappé ces dernières semaine l'exécutif.
"J'aurais dû tracer une frontière entre le public et le privé bien que ce cas ait été conforme au règlement", a-t-il ajouté.
Les ministres sont autorisés à utiliser des voitures de fonction à des fins personnelles entre deux rendez-vous professionnels ou activités liées à leur travail, ont précisé les médias japonais.
Le magazine parle d'un club de "yoga sexy" dirigé par une ancienne actrice de films pornographiques et qui propose des cours particuliers et des massages à l'huile.
M. Hayashi a dit qu'il se rendait simplement à des "leçons classiques de yoga et des séances de massage par pression des doigts" pour entretenir sa santé.
"Je démens formellement cet article qui présente une image indécente (du club, NDLR) et ne correspond en rien à la réalité", a déclaré la présidente du club qui a présenté son établissement à une chaîne de télévision. Elle a dit demander une correction et des excuses au magazine.
Le site internet du club dit proposer des cours particuliers pour hommes et couples.
La cote de popularité du Premier ministre japonais, habituellement élevée, a chuté ces dernières semaines après des révélations de favoritisme et de falsifications de documents. Son soutien a aussi été affecté par des critiques sur la façon jugée légère dont le ministre des Finances a traité des accusations de harcèlement sexuel de femmes journalistes par un de ses plus hauts collaborateurs.
La moitié des électeurs ont à présent une opinion négative du gouvernement de M. Abe et une proportion similaire veulent la démission du ministre des Finances Taro Aso, selon des sondages publiés lundi.
Ces enquêtes jettent une ombre sur les perspectives de réélection de M. Abe à la tête de son parti en septembre.
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yukinokakera @yukinokakera
差別発言繰り返すトランプに対し、セリーヌ・ディオンやエルトン・ジョンら有名歌手は、大統領就任式への出席を次々と辞退。マドンナやアンジェリーナ・ジョリーも猛批判。レディーガガはトランプタワー前でプラカード持って抗議。#桜を見る会 を辞退する人が1人も伝えられない日本とのあまりの違い。

出勤簿を目の前にして印鑑忘れてきたことに気が付きました.それに郵便の鍵も忘れてました.鍵は合鍵で開けてもらいましたが・・・
本屋さんでおもちゃ2個買いました.プレゼント用です.

エネルギー戦略 再エネ普及拡大へ具体策を示せ
 経済産業省の有識者会議が、2050年時点の国の長期エネルギー政策で、再生可能エネルギーの「主力電源化」を目指すとする報告書をまとめた。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出をなくす「脱炭素化」に向け、総力戦で取り組むと掲げた。一方で、原発については「可能な限り依存度を低減する」との現在の政府方針を維持するにとどまった。
 提言は、今夏に閣議決定するエネルギー基本計画に反映される。太陽光や風力などの再生エネを「主力」と位置づけた点は評価できる。だが、電源ごとの発電割合や具体的な工程表は、技術革新の行方を予想するのが困難として示されておらず、実効性には疑問が多い。政府は、計画が絵に描いた餅とならないよう、再エネ普及策の具体化に本腰を入れなければならない。
 有識者会議では、日本が温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」で掲げた、50年に温室効果ガスを8割削減する公約を踏まえた。15年の日本の再エネの発電比率は14.6%で、3割程度の欧州に比べて出遅れている。原発大国のスウェーデンでは、40年までに再エネで全ての電力需要を賄う目標を掲げた。日本の「主力化」は当然の流れで、むしろ遅きに失したといえる。
 ただ、再エネの普及には越えなければならないハードルが多い。報告書では、再エネの発電価格を国際水準並みに引き下げることや、送電網の増強、高性能で低価格な蓄電池や水素システムの開発といった課題が挙がった。これらの解決には「人材・技術・産業基盤を強化し、官民が結束して課題解決に挑戦していくことが必須」と指摘しており、国による技術開発や人材育成を支える政策づくりが欠かせない。
 原発を巡っては、経済団体や電力業界が求める新増設には触れなかったものの「脱炭素化の選択肢」と位置づけた。だが、東京電力福島第1原発事故を受け、安全性への懸念が依然として拭えていない。使用済み核燃料の再処理や「核のごみ」の最終処分場などの問題も残ったままだ。安全対策費の大幅増などで、原発はコストが上がり、採算も取れなくなっている。
 政府は30年時点の原発の電源比率を20〜22%とする方針を維持する考えだが、これは現存する全ての原発を再稼働することで達成される水準だ。近年は3基中、2基が廃炉となった四国電力伊方原発など、老朽原発の廃炉が進んでおり、この点でも原発の活用方針は現実に則していない。政府は、原発に頼らない前提で早急に計画を見直すべきだ。
 30年後を見据えた長期計画では、こうした原発の状況や再エネを巡る技術革新の進捗(しんちょく)などに柔軟に対応することが重要だ。今後の政策提言では、従来政策を主導した経産省や電力業界にとどまらず、より幅広い分野の専門家から意見を聞く仕組みの構築が求められる。


【PKO武器携行】派遣の正当性が揺らぐ
 南スーダンに国連平和維持活動(PKO)で派遣中の陸上自衛隊部隊が2016年7月、大規模戦闘に巻き込まれる危機に陥り、全隊員に武器携行命令が出されていた。隊員の証言で明らかになった。
 証言した隊員は「戦争のど真ん中。部隊は全滅すると思った」と最悪の事態をも覚悟したという。もはや「戦場」だ。
 部隊が武装警戒を要する状態だったとすれば、停戦合意などを要件にするPKO参加5原則や、海外での武力行使を禁じる憲法9条に抵触しかねない。「戦争」の恐怖を訴える隊員の肉声は、派遣の正当性を根底から揺るがす。
 これまでに公表された部隊の日報には「戦闘」などと記され、現地の情勢悪化が報告されていたことが分かっている。だが「警備の態勢」の部分は黒塗りにされた。
 派遣隊員の証言は、当時の部隊の切迫した様子を臨場感をもって浮かび上がらせる。日報の非開示部分に「戦争」という言葉や、武器携行命令などが記録されていた可能性がある。
 銃撃戦が発生した当時、中谷防衛相は「武力紛争とは考えていない」との説明にとどめ、武器携行命令には言及しなかった。昨年、日報を公表した稲田防衛相も「戦闘」を「武力による衝突」と言い換えるなど強弁を通した。
 だが、隊員が語る現地の実像は「戦闘」「紛争」そのものであり、「戦争」の証言である。防衛省の釈明を覆すだけの具体性と信用性を持つ。命の危機にさらされたPKO派遣の実態が、国民に正確に伝わっていないもどかしささえもがその証言ににじむ。
 戦闘発生当時は、政府が安全保障法制に基づく「駆け付け警護」の初の付与を検討していた時期と重なる。安倍政権が掲げる「積極的平和主義」を優先し、情勢悪化を過小評価しようとしたのであれば、5原則や9条規定をゆがめる行為だ。
 武器携行の発令は、部隊派遣の継続や撤収の判断を迫られていた事態を意味する。文民統制(シビリアンコントロール)の下、国民が派遣の是非を検証するため、政府は説明責任を果たすべきだ。
 南スーダン日報と同様に「不存在」から一転して公表されたイラク派遣の日報も、宿営地への攻撃が多発した時期の報告が抜け落ちていた。派遣隊員が現地情勢をつぶさに記載する日報は当局には永久保存に値する一級資料のはずだ。廃棄するとは考えにくい。
 現に、自衛隊からまた新たに約4万3千件もの日報などが見つかったとして公表された。小野寺防衛相は自衛隊に捜索を指示して出てきたと強調し、統制を利かせたとアピールするが、国民には響くまい。隊員の証言が組織の隠蔽(いんぺい)体質の根深さを告発するようだ。
 国民の検証を可能にする信頼関係があってこそ、自衛隊活動の正当性は確保される。


安倍首相“司令塔宣言”も 米に丸投げの拉致問題は頓挫危機
 日米首脳会談で、トランプ大統領に「鉄鋼・アルミの輸入制限適用除外」や「TPP復帰」を拒まれた上、「武器購入」と「通商協議」を突き付けられ、惨敗だった安倍首相。その中で、唯一“成果”として持ち帰ったのが、米朝首脳会談で「拉致問題」を取り上げるという約束だ。帰国した安倍首相は鼻息が荒くなっているが、米朝会談で、北が「解決済み」と突っぱねたり、無言だったら、トランプはどこまで食い下がってくれるのか。
 安倍首相は22日、北朝鮮による拉致被害者家族らが出席した都内の集会で「拉致問題は安倍内閣の最重要課題。前進するよう、私は司令塔となり全力で取り組みたい」とあいさつした。トランプに丸投げしておいて「司令塔」とはお笑いだが、内憂外患のドツボにはまる安倍首相は、米朝会談での拉致問題で失地回復をもくろんでいる。
 河野外相も日本時間23日、カナダ・トロントの「G7外相会合」で拉致解決を各国に呼びかけた。拉致問題を巡って、安倍政権はにわかに色めき立っている。世論もサプライズに期待しているが、ちょっと待ってほしい。
■北の「解決済み」にどう応える?
「日米首脳会談でトランプ大統領は、できる限りの努力をすると約束しましたが、米朝会談で拉致問題に言及すれば、結果がどうであれ、ベストを尽くしたことになる。北の具体的な譲歩が事前に練られているわけではない。このままでは、『言及しただけ』になりかねません。一方、米国は『ポンペオ訪朝』で、米国人の拘束者解放を取り付けるなど、着実に北の譲歩を引き出しています。日本は、ポンペオ訪朝時に、拉致被害者の解放も要求してほしいとお願いすべきでした」(外務省関係者)
 4月初めに極秘訪朝したポンペオ米中央情報局(CIA)長官は1日、金正恩委員長と初めて会談。金正恩は、米朝首脳会談に合わせて、拘束中の米国人3人の解放を保証したという。
 ここで、ポンペオ氏が、日本の拉致被害者も合わせて要求すれば、北は何らかの対応をしたかもしれない。しかし、安倍政権がポンペオ訪朝を知ったのは会談から10日も経った4月11日。まさに後の祭りだ。
 北は、米朝会談の雰囲気醸成のため、3人の拘束者を会談前にも解放するとみられている。そんな和やかなムードの中、トランプが日本の拉致問題を切り出すわけだ。元レバノン大使の天木直人氏が言う。
「北は『拉致問題は解決済み』『約束を破ったのは日本の方だ』と主張するはずです。日本側は、事前に経緯などを説明していて、トランプ大統領が、会談の場で北の主張に納得することはないでしょうが、グイグイ交渉することもない。考えられるのは、北に、日朝両国での話し合いを促すことでしょうか。もし、トランプ大統領の仲介にもかかわらず、北が突っぱねて、日朝会談すらできなければ、拉致問題は暗礁に乗り上げる。期待が大きかっただけに、安倍政権に対して、家族や世論の批判が爆発するでしょう」
 安倍政権は4月以降、平壌での日朝首脳会談開催を猛プッシュしているが、北は無視を続けているという。トランプの威を借りても訪朝できなければ、安倍政権はオシマイだ。


立民 枝野代表「いま選挙あれば議席は確実に上積み」
自民党幹部が衆議院の解散の可能性に言及したことについて、立憲民主党の枝野代表は、仮にいま衆議院選挙が行われれば党の議席は確実に上積みできるという認識を示しました。
立憲民主党の枝野代表は25日午後、都内で講演したあと会場からの質問に答えました。
この中で枝野氏は、自民党の森山国会対策委員長が衆議院の解散の可能性に言及したことについて「与党が相当困っていることの現れだが、総理大臣の恣意的(しいてき)な解散は時代遅れだ」と指摘しました。
そのうえで「野党だから単純に解散を求めるのは一種無責任だが、立憲民主党のことだけを考えると、いま解散してもらえれば間違いなく議席が増える」と述べました。
また、国会で与野党の対立が続いていることについて「いま問われているのは財務省などのガバナンス=統治の問題なのに、その問題を審議せずに与党側のやりたいことだけをやるのは論外で、全貌解明が優先だ」と述べ、政府・与党の対応を批判しました。


安倍首相続投“望ましい”73% 不可解なロイター調査の実態
「安倍首相続投『望ましい』73%」――。ロイター通信の調査結果に、ネトウヨ、安倍シンパ、右翼メディアが大ハシャギしている。ロイターが資本金10億円以上の企業に調査した結果、なんと、73%が「安倍首相の総裁3選が望ましい」と答えたという。ツイッターには、<さすがロイターはマトモか。日本のメディアとは違う>と喜びのコメントが書き込まれている。
 しかし、ロイターの調査に対して冷静な識者から「おかしい」と疑問の声が上がっている。“英文”と“日本文”の中身が違うというのだ。たとえば、英文では調査対象は“542社”となっているのに、日本文では“400社”となっている。さらに、英文では実際に調査したのは「日経リサーチ」と明記されているのに、日本文では表記されていない。もし、調査したのがロイター自身ではなく、日本企業だとすると、ちょっとニュアンスが変わってくる。イタリアのブランド服を買ったのにタグを見たら「メード・イン・チャイナ」だったようなイメージか。
 加えて「日経リサーチ」に対しても疑問の声が上がり、ますます調査結果に不審の目が向けられているというのだ。
「2016年の参院選の時、日経リサーチは日経新聞と読売新聞から委託を受けて世論調査を行っています。その時、立候補者を列挙して投票先を答えてもらっているのですが、すべての候補者名を挙げずに聞いた、とネットメディアに報じられているのです。もし、候補者名を省略したならば、正確な調査にはなりません」(政界関係者)
 なぜ、ロイターの調査は英文と日本文では違うのか。日本企業が調査したのか。ロイターと、日経リサーチはこう回答した。
「日本文の400社は間違いです。指摘を受けて、先ほど訂正しました。調査は日経リサーチに委託しました」(ロイター)
「参院選の時の調査については、コメントしません」(日経リサーチ)
 いずれにしろ「安倍3選支持」73%というのは、一般の有権者を対象にした調査とは大きくズレている。なぜなのか。経済評論家の斎藤満氏が言う。
「アベノミクスを象徴する調査結果です。安倍首相が誰のために政治をやっているのかが、よくわかります。大企業はボロ儲けしているが、個人には恩恵がありませんからね」
 普通の国民の支持率が30%、大企業の支持率が73%というのは、そういうことだ。


【特集】近畿財務局OBが激白 「無理筋の仕事」をさせられた現役職員たちの思い
森友学園に関する財務省の公文書改ざん問題。この改ざんの舞台となった近畿財務局のOBが取材に応じました。OBは現役の職員たちから今回の問題に関して話を聞いたといいます。
現役職員「無理筋な仕事をしてしまった」
改ざんが行われた学校法人「森友学園」の国有地売却に関する財務省の決裁文書。300か所に上る改ざんでは、国と学園側の事前の価格交渉をうかがわせる記述や政治家のほか安倍総理大臣の妻・昭恵氏の前などが削除されていました。
財務省は改ざんについて去年2月〜4月にかけて財務省理財局と近畿財務局の職員が行ったとしていますが、改ざんの舞台となった近畿財務局に数年前まで在籍していたOBが、MBSの取材に応じました。
「何で変な無理な処理が行われたのかというのが残念で仕方がない」(近畿財務局OBの男性)
男性は40年近い勤務経験のほとんど、国有地の鑑定や売却に当たっていました。
「微々たるものかもしれないが、財政が厳しい中で不要不急の財産についてきちんと入札や売却をして、国家財政を少しでも補填していく。これも国有財産の大きな仕事。誇りを持ってやってきたつもり」(近畿財務局OBの男性)
小学校の土地が約8億円も値下げされていたことが国会で大きな問題となった直後、土地の売却に関わった後輩の現役の職員たちから話を聞いたといいます。
「自分たちはちょっとややこしいうか、間違っていたかなと。後で思ったら『無理筋な仕事をしてしまった』ということは大きな反省点だと」(近畿財務局OBの男性)
現職たちが口にした「無理筋の仕事」とは一体どういう意味なのでしょうか。
いまも引っかかる“1億3000万円”という金額
そもそもこの国有地は伊丹空港の騒音対策のため国土交通省航空局が所有していた土地でした。土地の評価額は9億5600万円。2015年にこの土地を借りうけた森友学園側は、地中からゴミが出たとして土壌改良工事を実施。この際、国はかかった費用として約1億3000万円を支払いました。その後、地中からさらにゴミが出てきたとしてその処分費用約8億円分が値下げされ、最終的に1億3400万円で売却されました。
OBの男性は最初に国が学園側に支払った“1億3000万円”という金額にいまもひっかかっていると言います。
「(2015年)4月に(処理費の)1億3000万円を(国から)籠池さんは現金でもらっているんです。16年6月に8億円値引きして1億3000万円で売っているんですけど、その金額と見事に合うんですよね。数字見たときに、1億3000万円目がけていろいろややこしいことが起こったん違うかなと」(近畿財務局OBの男性)
担当者わざと残した?特異な経緯をたどった土地取引の記録
改ざんが行われる前の文書には、学園を訪れたとされる政治家などの名前や交渉の経緯が詳しく記されていました。これについてOBは、特異な経緯をたどった土地取引の記録を当時の担当者がわざと残しておいたのではないかと話します。
「これを見てびっくりした。基本的にあんなことは書かない。公文書には書かないんです、特別に書いているんですね。後のアリバイ作りというか、これだけ押し込まれて議員から何から言われて、本当に大変な思いをして処理してやっているんですよと。『無理筋な仕事』をやらされたことが、将来オープンになったときにみんな書いているから東京(本省)も含めて、みんなわかっているじゃないですかと」(近畿財務局OBの男性)
そして、3月27日。国会で佐川宣寿前国税庁長官に対する証人喚問が行われました。
「官房や官邸からの指示もございませんで、本件は理財局の中で対応したということでございます」(佐川宣寿前国税庁長官)
「部下たちへ何かメッセージはありますか?」(公明党 竹内譲衆院議員)
「書き換えの有無に関わる話なので、その点も答弁を控えたい」(佐川宣寿前国税庁長官)
「部下にひと言」と促されても刑事訴追を理由に証言を拒否しました。
「反省とか公務員の矜持というのが示されるのではないかと思ってテレビを見ていたが、残念無念というか」(近畿財務局OBの男性)
あいつが死んだのに誰も責任を取らない
今年3月、改ざんに関わったとされる近畿財務局の54歳の男性職員が自ら命を絶ちました。自宅にはメモが残されていたと言います。
『上からの指示で書き換えをさせられた』(メモより)
「2月から(男性は)見ている間に顔つきが変わってしまったと言う職員もいた。おかしな顔してコピーをしていたとか」(近畿財務局OBの男性)
男性職員は約3年前、近畿財務局の管財部に配属されました。当初は森友学園の担当ではありませんでしたが、決裁文書の作成が終わった直後の人事異動で森友学園の担当になりました。
その後、8億円の値引きが国会で大きな問題となり、直後の去年2月に本省の理財局から近畿財務局に決裁文書を改ざんするよう指示が出されたということです。亡くなった男性は改ざんを命じられた職員の1人でした。
「本当に辛かったんだろうなと、周辺の子も泣いていた。現職の課長に声をかけたが『本当に言葉がない』って。訃報があればアナウンスをするが、それもなかったと。葬儀に近畿財務局の有志で花束を贈ってくれた。財務局じゃなくて有志ですよ職員の。それを聞いたとき僕は泣きました。当局はそんな冷たい、あいつが死んだのに誰も責任を取らない、あいつがどこで葬式をやっているか本当はみんなに言って、代表が(葬儀に)行って焼香の一つでもするけど、そんなのも何もない」(近畿財務局OBの男性)
大阪地検特捜部の任意の事情聴取を受けた佐川前長官。周辺には改ざんへの関与を認めているということですが、改ざんは一体何のために行われたのか、真相は明らかになるのでしょうか。


授業料の出世払い 魅力的に映る制度だが
 教育無償化政策の一つとして検討されている「出世払い制度」を巡り、自民党と財務省が対立している。
 在学中は大学など高等教育機関の授業料や入学金を国が立て替え、卒業後に所得に応じて一定割合を徴収するのが同制度だ。
 自民党の教育再生実行本部が教育無償化の一環として昨年5月に提言。しかし、政府が年末にまとめた「人づくり革命」などの政策パッケージには盛り込まれず、検討を継続していた。
 そして今月、同本部が原案を提示。それによると、対象を家計総年収1100万円程度未満の世帯に限定し、利用は学生の選択に任せる。財源は財政投融資か一般会計のどちらかとし、財政投融資の利息も国が負担するとした。
 これに対し財務省は、制度導入は不適切とする方針を示した。財政支出が増える懸念が強いからだ。さらに、高所得世帯も利用できるため格差が拡大することや、卒業後に返済しきれない分を誰が負担するのか不明な点を指摘している。
 学生や家庭にとっては魅力的に映る制度に違いない。大学生活に掛かる負担は重く、家計を圧迫するからだ。
 授業料は国立大でも50万円を超す。また、日本学生支援機構の調べでは、2016年度の大学生(夜間部を除く)の年間平均生活費は69万円で、14年度の前回調査より2万円増えている。
 本県などの地方から大都市圏の大学に送り出す家庭の負担はかなり重いことだろう。
 そのような事情を踏まえれば、就職後に一定割合を支払う仕組みは、進学の機会と意欲を促すだろう。
 しかし、財務省が懸念するように、財政負担など問題点は少なくない。将来的に耐えられる制度なのだろうか。対象が「総年収1100万円程度未満」では格差解消にもつながらない。
 また、就職後の年収が基準に満たず返済を免除される人が増えたり、捕捉できない人からの未回収が膨大になる恐れがある。それによる損失額は後世へのつけとなる。
 一方、後払いの負担は将来の生活を束縛しかねない。また、強力な回収がなされれば、日本学生支援機構の奨学金のように本人や親族の自己破産続出をもたらすだろう。
 教育支援としては、既に低所得世帯を対象とした授業料減免や給付型奨学金制度などがある。まずはこれらの拡充が有効ではないか。有利子が多い貸与型奨学金を無利子にすることも求められよう。
 出世払い制度は、適切な運営姿勢を欠く大学を温存するとの批判もある。大学教育に関する総合的な視点も欠かせない。


「底辺校」出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由 知られざる「文化と教育の地域格差」
阿部 幸大 文学研究者
名門校出身者たちを目の当たりにして
教育と格差の問題といえば、しばしば話題にのぼるのが東大生の親の年収である。2014年の調査によれば、東大生の育った家庭の半数強が、年収950万円以上の比較的裕福な家庭だという。
ここで問題視されているのは、階級の固定化である。つまり、裕福な家庭は多額の教育費を支払うことができるので、子供は高学歴化する傾向にある。学歴と収入は比例することが多い。結果的に、金持ちの家系はいつまでも金持ちだし、逆に貧乏人はいつまでも貧乏から抜け出せない――という問題だ。
だが、こうした問題提起に出くわすたび、いつも「ある視点」が欠けていると私は感じる。それは都市と地方の格差、地域格差である。
田舎者は、田舎に住んでいるというだけで、想像以上のハンディを背負わされている。
あらかじめ、どんな地域で育ったどんな人物がこの記事を書いているのか、簡単に紹介しておこう。
私は高校時代までを、北海道の釧路市で過ごした。初代の「ゆとり世代」であるらしい1987年生まれの男性で、これは2000年に中学に入学し、2006年に高校を卒業する学年である。
中卒の母親と小学校中退の父親という両親のもとに生まれ、一人息子を東京の大学に通わせるだけの経済的な余裕はある家庭に育った。
高校卒業後は浪人して東京大学の文科三類に進み、3年次で文学部へ進学、その後5年間の大学院生活を経て、現在はニューヨーク州立大学の博士課程に籍をおいている。
釧路市は、見渡す限り畑が広がり家屋が点々と建っている、というほどの「ド田舎」ではないものの、若者が集まる場所といえば「ジャスコ」しか選択肢がなく、もっともメジャーな路線のバスは30分に1本しか来ず、ユニクロやスタバがオープンすると大行列ができるような、ある種の典型的な田舎町だ。
私が住んでいた当時は、ちょうど人口が20万人を割ったころであり、現在も小中高のクラス数とともに、人口は減りつづけている。
そのような田舎町で育った私は、東大に入学して、都内の名門校出身者をはじめとする「サラブレッド」たちに出会い、いたく驚かされることになった。
文化と教育の地域格差が、想像以上に大きかったからである。
問題は「貧富の差」ではない
私が主張したいのは、「貧富の差よりも地域格差のほうが深刻だ」ということではない。そうではなく、地方には、都市生活者には想像できないであろう、別の大きな障害があるということである。
田舎では貧富にかかわらず、人びとは教育や文化に触れることはできない。
たとえば、書店には本も揃っていないし、大学や美術館も近くにない。田舎者は「金がないから諦める」のではなく、教育や文化に金を使うという発想そのものが不在なのだ。見たことがないから知らないのである。
もちろん、文化と教育に無縁の田舎で幸福に暮らすのはいい。問題なのは、大学レベルの教育を受け、文化的にも豊かな人生を送れたかもしれない田舎の子供たちの多くが、その選択肢さえ与えられないまま生涯を過ごすことを強いられている、ということだ。
「文化的」とは、おそらく、いまあなたが思い浮かべている次元の話ではない。たとえば私が想定しているのは、わからないことがあればひとまず「ググる」という知恵があり、余暇の過ごし方として読書や映画鑑賞などの選択肢を持ち、中卒や高卒よりも大卒という学歴を普通だと感じる、そういったレベルの話である。
この記事は、以下のツイートの拡散をきっかけに執筆依頼を受けて執筆している。
私は社会学者ではない。田舎から運良く東京の国立大学に進学できたので、上記のような格差と落差を、身をもって体感した一個人にすぎない。
だがこのような格差の紹介は、日本ではまだまだ驚きをもって受けとめられている――つまり十分に認識されていないようなので、私のような経験者がひとつの実例を提出してもよいだろうと考えた次第である。
そしてこの「十分に認識されていない」という事実が、逆説的にこの格差の大きさを物語っているように思われる。
大学生を見たことがなかった
私の育った釧路市のような田舎に住む子供の多くは、おかしな話に聞こえるかもしれないが、まず「大学」というものを教育機関として認識することからして難しい。
言い換えれば、大学を「高校の次に進む学校」として捉える機会がないのだ。
高校生の頃の私が「大学」と聞いたとき思い浮かべることができたのは、「白衣を着たハカセが実験室で顕微鏡をのぞいたり、謎の液体が入ったフラスコを振ったりしている場所」という貧しいイメージのみであった。仮に当時の私が「大学には18歳の若者が通ってるんだよ」と教わっても、驚くどころか、意味がよくわからなかっただろう。
たとえば釧路市民にとっての「都会」といえば札幌だが、釧路と札幌は300km、つまり東京―名古屋間と同じくらい離れている。市内には2つの大学があるが、いずれも単科大学である(当時は知らなかったが)。
日本の各都道府県にはそれぞれ総合大学(ユニバーシティ)が設置されているので、最寄りの総合大学からこれほど地理的に離れている地区というのは、全国を見渡しても、離島と北海道の端っこくらいのものであろう。
都市部にも「大学と無縁の環境で育った」という人はいる。だが、この点において田舎と都会で根本的に異なると思われるのは、「文化」や「大学」といった存在が視界に入るかどうか、という差である。
釧路にも大学は存在すると書いたが、しかし子供たちにとってそこは病院などと区別されない「建物」にすぎず、「大学生」という存在にじかに出会ったことは、すくなくとも私は一度もなかったし、また私の場合は親族にも大学卒業者が皆無だったため、高校卒業後の選択肢として「大学進学」をイメージすることは、きわめて困難であった。
それに対して都市部では、たとえば電車に乗れば「〜大学前」といった駅名を耳にすることになるし、そこで乗ってくる大量の若者が「大学生」であることも、なんとなく理解するチャンスはかなり大きくなるだろう。上京して、じっさい私は「世の中にはこんなに大学があったのか」と驚いた。
さらに言えば、私が東大に入学し、なかば憤慨したのは、東大と同じ駒場東大前駅を最寄り駅とする中高一貫校が存在し、その東大進学率が抜群に高いということだった。なんという特権階級だろう! しかも彼らには、自らがその地理的アドバンテージを享受しているという自覚はない。まさに文化的な貴族である。
遠すぎて想像がつかない
地域格差の大きさを考えるために、以下のような比較をしてみたい。
たとえば東京に隣接したある県の家庭で、ひとりも大学卒の親族がおらず、しかし、抜群に成績が優秀な子供がいたとする。この子と、たとえば釧路市に住む、やはりひとりも大学卒の親族を持たない、同程度に優秀な子供とを比べてみよう。
それぞれの家庭の親が、「この子を大学に入れようかしら」という発想に至る可能性を想像してみてもらいたい。
前者の場合、仮に経済的な問題があっても、すくなくとも「将来、うちの子はもしかしたら東京の学校に通うことになるのかもしれない」という想像までは働くだろう。なにしろ東京まで電車で1時間程度なのだし、それに都内でなくとも、関東には大学がいくつもある。
だが、後者の場合、親はせいぜい子供の優秀さをなんとなく喜ぶ程度で、大学進学などという発想はいちども脳裏をよぎることがなく、高校の終盤に先生から打診されてはじめてその可能性を知り、やっとのことで「『大学』って……どこにあるんですか?」と反応するといったありさまだ。大袈裟に聞こえるかもしれないが、これは私の実例である。
釧路のように地理的条件が過酷な田舎では「街まで買い物に行く」ことも容易ではないので、たとえば「本やCDを買う」という日常的な行為ひとつとっても、地元の小さな店舗で済ませる以外の選択肢がない。つまり、まともなウィンドウ・ショッピングさえできないのだ。
したがって、私が関東に引越して自宅浪人しはじめたとき、まっさきに行ったのは、大きな書店の参考書売り場に通いつめることであった。見たこともない量の参考書が並んでいる東京の書店で、はじめて私は「釧路では参考書を売っていなかったのだ」ということを知り、悔しがったものである。
田舎者(私)の無知と貧弱な想像力の例をいくつか挙げたが、まさに問題は、この「想像力が奪われている」ということにある。こうした田舎では、とにかく文化と教育への距離が絶望的に遠いがゆえに、それらを想像することじたいから疎外されているのだ。
あまりに遠すぎて想像すらできないこと、これが田舎者の本質的な困難なのである。
サバイバーズ・ギルト
田舎の小中高生にとっては、「将来のために勉強する」という発想もまた、かぎりなく不可能に近い。これは「何のために役に立たない勉強なんてするの?」といった不満とは異なる話である。
たとえば当時の釧路市では、高校入試の倍率はどの学校でもほぼ1.0倍であり、進学先は中学校の成績で自動的に割り振られた。いわば、いつのまにか「生涯の偏差値」が――その意味さえわからぬまま――決定されていたわけだ。
田舎から抜け出すには大学入試がおそらく最大のチャンスだが、しかし、その可否は中学時代にすでに決まっている。
なぜなら、「都会には『大学』なる組織が存在し、自分も努力次第でそこへ入学するチャンスがある」という事実を教わることができるのは、中学で教師の言われるままに学区トップの高校に進学した者だけだからだ。
高校で初めて「大学進学」という選択肢の存在を知った私の場合は、この事実を驚愕と、いくぶんかの後ろめたさをもって受け止めた。なぜなら自分の学力が高くて大学に行けるのだとしても、それは「努力の成果ではなく、偶然の結果にすぎない」としか感じられなかったからである。
田舎から都市圏の大学に進学するということは、たまたま容姿に恵まれて街角でスカウトされるのにも似た、きわめて確率的な事象である。
それをプライドに転化することもできるだろうが、いわゆる「底辺」と形容される中学に通っていた私には、高い学力を持ちながらも、その価値を知らず道を誤ってしまった親しい友人を多く持っていたため、むしろ自らが手にした幸運の偶然性に寒気がしたものであった。
この「後ろめたさ」は、一種の「サバイバーズ・ギルト」のような感覚だと言える。じっさい、そうした友人たちは中学のある時点で未成年による犯罪のニュース報道とともに学校から姿を消し、のちに鑑別所か少年院で撮影されたらしい変色した写真が卒業アルバムに載っているのを目にするまで、生死さえわからない状態であった。
その中には私よりも成績が良い者もいたのだが、彼らは大学どころか中学校にも通えなかったわけだ。私が同様の運命を辿らずに済んだのは、たんに運が良かったから――たとえば犯罪行為が露見した日に一緒に遊んでいなかったから――にすぎない。私は、彼らが学力の価値を少しでも知っていたらどうだったろう、と考えないわけにはゆかない。
かように田舎において、学力というポテンシャルの価値は脆弱なのである。
東京との根本的な違い
仮にめでたく大学進学という選択肢が与えられ、十分に学力があり、経済的にも恵まれ、いざ大学進学を志したとしても、田舎の子供にはさらなる障壁がいくつも立ちはだかっている。思いつくままに羅列してみよう。
○「せめて県内の大学に行ってほしい」と希望する親(北海道はとくにこの傾向が強かった)
○「女性は大学・都会になど行くべきでない」という根強い価値観
○都会に出ようとする若者への激しい嫉妬と物理的・精神的妨害
○受験に対する精神的な負担(多くの人は飛行機に乗ったことも大都市に行ったこともない)
○単身で「都会へ引越す」ことへの精神的負担
○都会での大学生活について相談できる大人の不在
○塾や予備校の不在(都会にどんな機関があるのか知る機会もない)
○近所の本屋に受験参考書が揃っていない(取り寄せるべき参考書を知る機会もない)
○過去問を閲覧することができない
○各種模擬試験の案内がない
田舎者は、こうした数多の困難によって、教育から隔絶されている。
こういう話をすると、かならず「いまはインターネットで教育が受けられる」という反応がある。だがこれは、くりかえすが、機会の問題ではなく想像力の問題なのだ。田舎ではそのような発想じたいが不可能なのである。
田舎者は、教育の重要性はもちろん、インターネットの使い方もろくに知らない人がほとんどである。そのような情報弱者に、みずからの社会的地位の向上のためにインターネット教育を利用することを期待するという発想は、都会人の想像力の貧困を示していると言わざるをえないだろう。
「幸せかどうか」とは別問題
「田舎だけの問題じゃない」「うちの田舎のほうがキツかった」「都会の貧困層には都会特有の問題がある」といった数々の異論があると思う。それはもっともだ。しょせん私はひとつの経験しか持たない。とくに都会特有の問題については無知である。
だが、別の事例と問題点を挙げるとき、念頭においてほしいのは、弱者同士でケンカすることなどまったく不毛だということである。
たんに私は、「教育の格差といえば貧富の差」という一般論において消去されがちな地域格差という側面にスポットを当てたにすぎない。別の問題を知るひとは、また別の問題として提起すればよい。
また、「田舎は田舎で楽しくやってる」というのはまったくそのとおりだが、その事実と、都会と田舎のあいだには「格差」が存在するという問題は位相が異なる。田舎の幸福は格差を容認する理由にはならないのだ。
ましてや、「知らないほうが幸せ」という意見は、「家事こそ女の幸福」と主張して女性差別を温存するのにも似た、差別と搾取と格差を是認するロジックと同じである。
偶然に翻弄される地方の子供たち
地域格差が存在することは理解してもらえたとしよう。ではどうすればいいのか?
教育における地域格差の帰結をあらためて言い換えれば、それは「同じ学力の子供が、田舎に住んでいるという理由だけで、都市に住んでいれば受けられたはずの教育の機会を奪われている」ということである。そして、「知っていたら大学に行っていた」人口は、間違いなく、かなりの数にのぼる。
先にも述べたように、私自身が偶然によって東京の大学に進んだ。ということはつまり、別の偶然によって田舎に留まることも大いにありえたのである。
そして私は、もし過去に戻ってみずからの意思によって進路を選択できるのなら、迷うことなく前者を選ぶ。なぜなら、大学進学は選択肢を可視化するためである。「知らなくて損をする」という可能性を小さくするためである。
私が必要だと思うのは、こうした偶然性に翻弄される田舎の子供たちに、彼らが潜在的に持っている選択肢と権利とを想像させてやることであり、ひいては、東京をはじめとする都市部に住む人びとに、もうすこし田舎の実態を想像してもらうことである。
本稿がその実現にむけた小さな一歩となることを願っている。


辺野古工事着工から1年の節目に重大不正発覚! 反対派に対する警備代7億円水増し請求と防衛省の黙認が意味するもの
 辺野古への新基地建設で政府が護岸工事に着工して、きょうで1年を迎える。そしてきょうも辺野古キャンプ・シュワブゲート前では新基地建設に反対する市民たち約300人が抗議活動をおこない、海でも「海上大行動」としてカヌーから「海を壊すな」「工事をやめろ」と抗議。対する機動隊や海上保安官は市民を次々に強制排除、拘束していった。
 沖縄の民意を無視し、力づくで市民を抑え込む安倍政権の強権的な姿勢は言語道断と言わざるを得ないが、そんななか、とんでもない問題が発覚した。
 なんと、防衛省が発注していた基地反対派に対する警備代が、約7億4000万円も過大請求されていたというのだ。
 問題となっているのは2014年6月に防衛省沖縄防衛局が発注した桟橋などの仮設工事で、大成建設が約59億円でこれを受注。その契約には新基地建設反対運動の海上警備が含まれていたといい、大成建設は渋谷区に本社を置く警備会社・ライジングサンセキュリティーサービスに警備を委託した。そして、このライジング社が、警備にあたった人数を水増しして約7億4000万円を過大請求したのである。
 だが、驚くべきはこのあと。この過大請求は2016年1月に沖縄防衛局に内部通報があり、大成建設が調査して事実と判明。契約額から水増し請求分を減額したが、沖縄防衛局は大成建設に注意をしただけで、ライジング社との契約を解除させることもなく、その後もライジング社と契約をつづけていたのだ。
 しかも、このライジング社の100%子会社で実際に海上警備にあたっていたマリンセキュリティーをめぐっては、燃料を海に廃棄していたことが発覚しており、そのほかにも警備艇船長による暴言や嫌がらせといったパワハラ行為、船内での飲酒、従業員への月最大200時間以上の残業代未払いなどが問題となってきた。その上、不正な請求をした会社と契約をつづけるという異常な事態に、防衛省や政治家の介入があったのではないかと指摘する声も出ている。
 実際、ライジング社は海外での民間武装警備の訓練にも参加するなど、テロ対策への進出なども視野に入れている会社で、同社の八木均社長は、自衛隊や右派にも太いパイプをもつ人物といわれている。
 いずれにしても、この背後には“不正があろうがなんだろうが、工事さえ進めるなら手段を選ばない”というなりふり構わない安倍政権の姿勢があるのは明らかで、辺野古新基地工事にはこうした不正がほかにも山ほどあるのではないかともいわれている。
 だいたい、水増し請求額が約7億4000万円ということは、この額よりはるかに超える警備費が海上だけでも投入されているということ。そんな巨額の国民の血税を使って市民を排除するための警備をおこなっていること自体が許しがたいものだ。
「新基地建設工事はジュゴンに影響なし」の環境アセスメントも嘘だった
 しかも、ここにきて、新基地建設工事の妥当性にも疑問が出てきた。新基地建設工事によって国の天然記念物であり絶滅危惧種のジュゴンに影響を与えるという指摘に対し、米国防総省は「影響なし」と結論づけ、その根拠に沖縄防衛局がまとめた環境影響評価(アセスメント)や米国防総省の専門家による報告書を挙げてきたが、18日付の沖縄タイムスのスクープによれば、2009年に沖縄防衛局がまとめたアセスの土台となった準備書に記されたジュゴンの調査について、翌2010年、国防総省の専門家チームによる報告書では同調査の不適切さを指摘し「ほとんど価値を持たない」という見解を示していたというのだ。
 国防総省の専門家チームによる報告書では、「ジュゴンの生息地であり(新基地建設は)餌場の海草藻場にも直接影響を与える」とし、基地建設がジュゴンの減少・絶滅の一因になることは「明白だ」と断じている。さらに、専門家のひとり、海洋哺乳類学者トーマス・ジェファーソン氏は米海兵隊に対し、「アセスは非常に不十分で科学的検証に耐えられるものではない」「ジュゴンへの影響が予想される」とメールで沖縄防衛局のアセスを批判していたという(琉球新報19日付)。にもかかわらず、国防総省は「影響なし」と結論づけ、日本は工事を進めてきたのだ。
 隠蔽体質は日本だけではなくアメリカも同じということだが、これによって、アセスの不備および工事の妥当性は揺らぐことになる。今後、アメリカでおこなわれているジュゴン訴訟の動きによっては基地建設にも影響が出るだろう。
 今週、辺野古では、少しでも工事を遅らせることで海を守ろうと、ゲート前に多くの市民が集まり、身を挺して抗議をおこなっている。公文書改ざんをはじめとする安倍政権による民主主義の破壊行為の最前線は、沖縄にある。いまこそ「本土」が沖縄とともに抵抗を示していかなくてはいけないだろう。(編集部)


TOKIO山口達也の強制わいせつでまたマスコミの忖度! 先週書類送検もNHK沈黙、今朝の日テレ『ZIP!』にも出演
『ZIP!』に出演する山口達也
 驚くようなニュースが飛び込んできた。すでに各所で大きく報じられている通り、TOKIOの山口達也が自宅マンションで女子高生に無理やりキスしたなどとして、強制わいせつの疑いで書類送検されたのだ。報道によれば、山口は事情聴取に対して当初は否認していたというが現在は事実関係を大筋で認めているという。報道を受け、ジャニーズ事務所も「お酒を飲んで、被害者の方のお気持ちを考えずにキスをしてしまいましたことを本当に申し訳なく思っております。被害者の方には誠心誠意謝罪し、和解させていただきました」とコメントを発表した。
 報道を受けてネットでは、またぞろ、「ハニートラップ」などと女子高生を非難するような言説が飛び交っているが、現在報じられている内容を見れば、それはあり得ないことだ。事件があったのは今年2月のことで、女子高生が友人と2人で山口宅を訪れ、酔った山口から無理やりキスをされたため驚いて、友人と2人で山口の部屋から帰ったとされている。また、山口と女子高生が知り合ったのはNHK・Eテレの『Rの法則』だったと報じられている。
『Rの法則』は山口が司会を務める、中高生ら十代を対象にした情報バラエティで、中学生から大学生の十代の出演者たちがレギュラーを務めている。その番組を通じて知り合ったのなら、相手の女性が高校生・未成年と知らなかった可能性は限りなく低いし、友人と2人で訪れていたのであればまさかわいせつ行為にいたるなど被害女性は想像もしていなかっただろう。しかも女子高生が『Rの法則』関係者だとするなら、山口は番組MCも務める芸能界の大先輩で、パワハラ的な要素もあったと考えなくてはならない。示談が成立し、すでに被害届けは取り下げられたとの報道もあるが、芸能界のパワーバランスのなかで、被害者に不当な圧力が加えられることがないよう注視が必要だろう。
 それにしても、相変わらず情けないのはメディアの対応だろう。山口のことを例によって「山口メンバー」なる珍妙な呼称で呼び、「爽やか」だの「やさしい」だのとその人柄をほめる始末だった。しかも事件が起きたのは2月で、書類送検も先週のことだ。しかし、この間メディアが報じることはなく、山口は事件のあった2月以降も、今朝の『ZIP!』(日テレ)まで、何食わぬ顔でテレビに出演し続けていた。とくに事件のきっかけとなったNHKはかなり早い段階から事件を把握していたはずで、おそらく被害者側との和解を待って、NHKが第一報を報じるという段取りがジャニーズ事務所との間でできていたのだろう。
 しかし、それでも今回は各メディアで事件が報じられているだけ、マシかもしれない。
Hey! Say! JUMP中島裕翔の痴漢、嵐・大野の大麻疑惑を芸能マスコミは報じず
 今回の山口の強制わいせつは書類送検にまで事態が発展したため各メディアで事件が報じられているが、これまでジャニーズ事務所の所属タレントが引き起こしてきたわいせつ関連の不祥事は、ほとんどの場合、“なかったこと”として葬られてきた。ワイドショーやスポーツ新聞などの芸能マスコミがジャニーズの意向を受けそれらの不祥事を報じることがなかったからだ。
 最近でいえば、Hey! Say! JUMP中島裕翔による、一般女性への痴漢事件だ。
 これは「週刊文春」(文藝春秋)2016年5月26日号の記事で明るみになった。「週刊文春」によれば、その年の4月1日早朝、30代の女性会社員から「男性に路上で抱きつかれ、上半身をさわられるなどした」という110番通報があり、駆けつけるとそこには泥酔した中島の姿があったという。中島は警察署に連れて行かれ、任意の事情聴取まで受けた。
 この事件については、ジャニーズ事務所も「週刊文春」の取材に対し、事実を認めたうえで、「泥酔下とはいえ、このような事態になりました点について、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。本人も深く反省しております」と謝罪。その後、女性が被害届を出さなかったため事件化は免れたが、見知らぬ女性に抱きついたとなれば立派な痴漢行為である。
 だが、ジャニーズタブーのある大手メディアは「週刊文春」報道を一切後追いせず、完全に黙殺。どころか、その年の7月には、中島の主演ドラマ『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』(フジテレビ)が、なにごともなかったかのように放送された。ほかの芸能人なら、番組降板や謹慎は不可避、場合によっては芸能界追放に追い込まれかねない不祥事のはずだが、中島にはなんのお咎めもなかった。
 こういった話はまだまだある。そのひとつが、「週刊現代」(講談社)08年8月9日号が取り上げた、大野智のスキャンダル。記事によると、渋谷区のカラオケボックスで行われた「飲み会」で一緒になった女性二人と大野は、宴会中に回したジョイントで気分がよくなったのか、そのまま女性のうちの一人の自宅マンションで飲み直すことに。そこで大麻をやって3P状態になったという告白が参加者から語られた。この「週刊現代」報道が事実だとすれば、大麻取締法違反の疑いもあったが、これもまたワイドショーなどでは取り扱われることはなく、うやむやになって終わっていった。
松本潤・葵つかさのスキャンダルが物語るジャニタレの女性蔑視体質
 ちなみに、犯罪行為ではないが、嵐といえば、櫻井翔と松本潤の二人も複数人での破廉恥な姿をスッパ抜かれている。「FLASH」(光文社)08年4月22日号には、彼らが少女と体を寄せ合っている写真が掲載された。記事によれば、それは櫻井、松本の二人がまだジュニアだった時代、当時アイドルグループに所属していた女の子二人と4Pにおよんだときに撮られたものだという。
 また「週刊文春」10年11月11日号には、櫻井以外の嵐のメンバー4 人がAV女優の女性と関係しひどい扱いをしたという衝撃的な記事も掲載されている。その女性は、当時、オーディション番組発の小室哲哉プロデュースによるユニットのメンバーだった。グループ解散後は、レースクイーンなどを経て、08年にAVデビュー。後に自殺により逝去しているのだが、彼女は前掲「週刊文春」で当時のことを証言し、松本に関しては「中学生のくせに大胆で、口の中に出されてけっこうビックリした」と告白をしている。また、二宮とは体だけが目当てのセフレのような関係であり、いきなり品川に呼び出されて公衆トイレで性行為を求められたりもしたという。
 本稿で紹介してきた事例が物語るように、こうしたわいせつ関連の不祥事がくり返されるのは決して偶然などではなく、ジャニーズ事務所のタレントが女性を「性のはけ口」として「モノ扱い」するような構造的な問題があると言わざるを得ない。
 それを端的に示したのが、「週刊文春」17年1月5日・12日号で報じられた、松本潤がAV女優の葵つかさと4年にもわたって浮気をしていたスキャンダルだろう。周知の通り、松本は井上真央と長年交際しており、これは葵にも井上にも手酷い裏切りと言わざるを得ないわけだが、ワイドショーは当然のごとくこのスキャンダルを黙殺。後追いするテレビ番組やスポーツ新聞は皆無だった。
 この報道で明かされた松本による葵の扱いは、「性奴隷」と表現しても言い過ぎではないほどひどいものである。
 交際が始まった当初、葵は松本と井上の関係を知らなかったが、後にネットの情報などで知り、一度だけ松本に井上の存在を問い質した。そのとき、松本は「それ以上、彼女のことを言ったら殺すよ」と返したという。
 また、2人はいつも松本が彼女を呼び出すかたちで逢瀬を続けていたというが、煮え切らない松本の態度にだんだんと関係が怪しくなり、葵のほうから「タクシー代くらい欲しい」と告げると、松本は「お金を払うような関係じゃないよね?」と返したと記事には書かれている。
ジャニーズのタレントは刑事事件を起こしても「○○容疑者」とは呼ばれない
 この言葉を聞いて、葵は逆に「大事にされている」と嬉しく感じたというのだから、この関係がどれだけ泥沼化していたのかを伺い知ることができるが、それはともかくとして、タクシー代すら出し渋るとは国民的アイドルグループのメンバーらしからぬ態度である。
 葵が松本のマンションを訪れるのはきまって深夜で、しかも数時間後の明け方には部屋をあとにしている。一度はインターホンに反応がなく帰っており、4年に及ぶ交際にもかかわらず合鍵も持たせてもらえてないのだろう。いくら二股とはいえ、交際相手に対するものとは思えない扱いだ。
 実際、この関係について「週刊文春」記者にあてられた松本は、葵のことを「その人がわかんないんで」と切り捨てた。ようは、二股どころか、都合のいい“カキタレ”扱いして利用していたということだろう。
 さらに忘れてはならないのは、女性たちに対するこうした理不尽な体質に芸能マスコミも加担しているということだ。弱小プロダクションに所属するタレントの不倫スキャンダルにはまるで犯罪行為のごとく大騒ぎするのにも関わらず、ジャニーズのタレントについては犯罪まがいの不祥事であっても黙殺するかアリバイ的にストレートニュースで報じるだけという構図が続いている。
 どんな不祥事を起こしても(それがたとえ警察沙汰になろうとも)、大手メディアが報じないため、ジャニーズのタレントは批判にさらされることもなく、むしろ被害者である女性のほうが攻撃されるような状況を生み出し、その結果ジャニーズタレントたちは「何をやっても大丈夫」という意識がどこかにあるだろう。この構造が、ジャニーズタレントたちの不祥事をくり返させているのは明らかだ。芸能マスコミをめぐるこの理不尽な状況はいったい、いつになったら変わるのであろうか。
 山口達也の事件では、被害女性と出会った場とも報じられている『Rの法則』の放送休止が発表されたのをはじめ、出演番組の放送中止が相次いで発表されている。
 明日以降、ワイドショーなどが今回の事件をどのように報じるか。また被害女性に対して落ち度をあら探しするような卑劣な個人攻撃がなされないか、注視していく必要がある。(編集部)


俳優・宍戸開が真っ当な安倍首相批判を連発!「嘘つきがウソつき呼ばわりするなと言っている!」
 森友文書改ざん問題、加計学園の首相案件文書と、次から次へと嘘が発覚している安倍首相。しかし、この男はまったく反省するそぶりも見せず、開き直り続けている。たとえば、象徴的なのが11日の衆議院予算委員会だった。
 柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と愛媛県や加計関係者の面会記録について、次々と逃げをうち、嘘に嘘を塗り重ねた。あまりのひどさに希望の党の玉木雄一郎代表が「私、残念です。日本の総理が嘘をついているかもしれないと思って質問するのは」と述べると、安倍首相は「私に対して嘘つきと明確におっしゃった。嘘つきと言う以上は明確に私が嘘をついているという証明を示していただかなくてはならない」と激高したのだ。
 まったく開いた口がふさがらないとはこのことだが、その予算委員会の中継を見ていたと思われる、ある芸能人がこんなツイートをしていた。
〈嘘つきがウソつき呼ばわりするなと言っている!〉
〈内閣総理大臣を証人喚問に呼ばざるを得ない!〉
〈愛媛県の文書に対して何でコメントできないの?〉
 このツイートの主は、俳優・写真家の宍戸開。俳優業や『食いしん坊!万才』(フジテレビ)のレポーターなどでおなじみの彼だが、実は、ここ最近の宍戸開は前記以外にも、安倍政権に怒りを込めたツイートを多く投稿している。
 たとえば、前述した衆議院予算委員会前日には〈もう認めて謝り辞めれ!〉とツイートしたうえで、翌日の予算委員会のスケジュールを〈明日は刺激的メニュー!4/11(水)安倍入り衆院・予算委「公文書管理問題」10:30柴山昌彦(自民)11:05伊佐進一(公明)11:30川内博史(立憲)13:00枝野幸男(立憲)14:10玉木雄一郎(希望)14:50今井雅人(希望)15:17岡本充功(希望)15:44原口一博(無所属の会)16:12宮本岳志(共産)〉(改行は筆者で改めた)とツイートし、真相究明への希望を投稿している。
 また、ベトナム戦争に関する重要資料を公開しようとするメディアと、圧力をかけてそれを潰そうとするニクソン政権の戦いを描いたスティーヴン・スピルバーグ監督作品『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』を見た直後だと思われる今月5日には、同作品のポスター画像を添付したうえで、〈『アベニクソン』あっ間違えた!『ペンタゴンペーパーズ』日本人が今観るべき映画!〉とのコメントを添えてツイートしていた。確かに、宍戸が投稿した文章の通り、卑劣な手を使ってメディアをコントロールし、国民を騙そうと画策する劇中でのニクソン大統領の姿は、現在私たちが目の当たりにしている安倍首相の姿と重なって見える。
世界中を旅してきた宍戸開が語っていた「世界の貧困」
 宍戸開といえば、前述の通り、俳優や『食いしん坊!万才』レポーターなどの姿が印象的だが、その一方で、『地球サポーター』(テレビ東京)のレポーターとして、東ティモール、タンザニア、中国、インドネシア、カメルーン、ベトナムなどに赴き、現地のNGOの活動を取材するなどしてきた。
 また、宍戸は「五影開」名義で写真家としても活動しており、世界中を旅したなかで目の当たりにした光景をカメラにおさめ、作品にしている。そういった作風として、ヒマラヤで撮られた作品を収録した写真集『もっと高く、もっと遠くへ 宍戸開の世界 Nepal 1997』(近代映画社)などがある。
 宍戸は世界中を旅しているなかで色々なことを感じてきたという。「婦人公論」(中央公論新社)2010年6月22日では、旅を通じて見てきたものについてこのように語っている。
「外国に行くたびに思うのは、日本は恵まれすぎているということ。平和が当たり前で、かえって閉塞感が漂っている。外国の人たちは、生きることにもっと貪欲ですよ。僕はそこで実感したものを、日本に戻ってきて誰かに伝えたい。名前が「開」なので、自分を開いて、橋渡しをする。そういう役目だと思います」
 旅をするなかで感じた「日本に戻ってきて誰かに伝えたい」という思いを具現化させるもの、そのための武器がカメラだった。「婦人公論」08年3月7日号に掲載された黒柳徹子との対談ではこのように語っている。
「世界には大変な状態に置かれている人たちがゴマンといる。手助けになることが何かないかと考えた時に、「そうだ、俺には写真がある」と。微力だけれど、何もしないよりはマシだろうと思いまして」
あまりのひどい状況に「反安倍」でなかった人たちまでが声を上げ始めた
 とはいえ、宍戸開はこれまで、政治的なメッセージを発信し続けてきた人ではない。Twitterは08年から始めているが、基本的には、撮影した風景写真を掲載したり、仕事の告知や進行報告をしたり、鑑賞した映画の感想を述べたりといった、一般的な芸能人と同じ使い方をしてきた。昨年からは、安倍政権批判に関するメディアのニュース記事をリツイートしたりもしているが、しかし、政権批判を自らの言葉でツイートすることなどほとんどなかった。それが、ここ数カ月、ついに〈嘘つきがウソつき呼ばわりするなと言っている!〉といったツイートをするようになったのだ。
 前述した写真家としての活動や、それに関するインタビュー発言などを勘案すると、宍戸開がもともとリベラル寄りな考えの持ち主なのは間違いない。しかし、声高に「反安倍!」を掲げるようなタイプではなかったのも、また事実だ。
 だが逆言えば、現在ではそういった人ですら、直接的に安倍政権への怒りを表明するようになっている。というか、まともな感性の持ち主ならば、普通はそうなるのだろう。
 公文書改ざんなどという、先進国としてあるまじき事態まで引き起こしながら、それでもなお嘘に嘘を塗り重ねる安倍政権。こんなものをいまだにエクストリーム擁護し続けるのは、もはや、カルト的安倍応援団だけなのである。(編集部)

JR福知山線・尼崎脱線事故から13年/Sが少ない

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Le Malien Oussouby Sacko, premier étranger doyen d'université au Japon
Oussouby Sacko, qui a été nommé doyen de l'Université Kyoto Seika au Japon au début du mois, a partagé son expérience avec la BBC.

Il est l'un des rares rares ressortissants étrangers à atteindre un poste élevé au Japon.
Il dit que le Japon et son Mali natal partagent une culture de respect pour les aînés, mais que le Japon, avec ses faibles chiffres d'immigration, est une société relativement fermée aux étrangers.
Le professeur d'architecture contraste son expérience de vie en Chine dans les années 1980 avec son séjour au Japon.
"Quand je vivais en Chine dans les années 80, les gens vous touchaient pour voir si vous étiez vraiment sombre ou si c'était de la peinture. Mais au Japon cela n'arrivera jamais - ils sont curieux mais ne veulent pas vous offenser."
"D'après mon expérience, si vous devenez de bons amis avec les Japonais, ils commenceront à vous toucher les cheveux et à vous demander "pourquoi votre peau est-elle si sombre? J'essaie d'être proche d'eux et d'expliquer d'où je viens. Ils ont une vision superficielle de l'Afrique parce qu'ils n'ont pas d'informations. Ils pense que la vie est dure, que vous avez beaucoup d'animaux."
Le professeur aime injecter des éléments de sa propre culture dans la vie universitaire, s'adressant même aux étudiants en Bamanankan lors d'une cérémonie d'accueil ce mois-ci.
Il dit que la plus grande différence entre les cultures ouest-africaines et japonaises est dans la communication non-verbale.
"Au Japon, les gens s'attendent à ce que les autres réagissent immédiatement, c'est un grand code de communication pour eux."
Le taux de natalité au Japon a atteint un creux record et plus de 20% de la population à plus de 65 ans.
On a beaucoup parlé du besoin du Japon d'élargir l'immigration pour atténuer cette bombe à retardement démographique.
Professeur Sacko estime que ce sera un grand défi.
"C'est très délicat pour eux même de parler. Pour moi, il est très important qu'ils commencent à accepter les Japonais et les étrangers qui peuvent leur donner de nouvelles idées sur la façon dont leur société peut se développer. Ils n'ont pas à voir tous les étrangers comme identiques, ils devraient commencer à penser que ≪ces gens peuvent faire partie de nous."
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雨上がりの「Aさんの話」〜事情通に聞きました!〜ロングセラーの秘密&島最強の男
「大阪発!進化を続けるロングセラー」その秘密を“衣・食・住”それぞれで調査!▽実録!サッカーワールドカップ「信じられないアホ事件簿」▽漁師の島で最強の男を探せ!
Aさんの話は「大阪発!進化を続けるロングセラー」について調査!大阪ならではの住居・長屋が劇的に進化!?大阪のオバチャンのロングセラー、ヒョウ柄ファッションは若者へ受け継がれていた!?食のロングセラー「大阪王将」の焼き餃子を支えた3人のレジェンドとは?笑い飯・西田調査員は「こんなフザけたことがあるのか…!?ワールドカップ・アホ事件簿」を調査!サッカーワールドカップのこれまでの歴史の中で実際に起こった「信じられないアホな事件」の数々!名ストライカーに対し、なぜか相手のマークが緩くなった試合があったという。その衝撃の理由とは!?アキナ調査員は「屈強な漁師の島で最強の男は誰だ?」を調査!家島諸島にある漁業の盛んな坊勢島へ!数珠つなぎで島最強の男を探すが、またまた屈強な男たちが次々と現れ…!今回は島に常設された飛び込み台を土俵に見立て、海上デンジャラス相撲に挑むが、作戦が裏目に…? 雨上がり決死隊、ケンドーコバヤシ、海原やすよ ともこ、麒麟・川島、笑い飯・西田、アキナ、スマイル ABCテレビ


JR福知山線・尼崎脱線事故から13年になります.今年は忙しくて頭の中にあったけど何もできないまま今日を迎えました.せめて新聞記事でもしっかり読もうというところです.
キソキソRはまあまあですがSが少ないようです.うーんん.

大川小津波訴訟26日に2審判決
東日本大震災の津波で犠牲になった石巻市の大川小学校の児童の遺族が訴えた裁判で、2審の判決が26日、言い渡されます。
1審では学校側の過失を認めて石巻市などに賠償を命じていて、裁判所が学校側の過失の有無をどう判断するか注目されます。
石巻市にあった大川小学校では、震災の津波で74人の児童が犠牲になり、このうち児童23人の遺族が起こした裁判で、1審の仙台地方裁判所はおととし10月、「早期の避難をしていれば、児童の被災を免れることができ避難についての過失があった」として、石巻市と宮城県に対し、あわせて14億円余りの賠償を命じました。
その後、双方が控訴し、2審の審理では津波の到達を事前に予測できたかどうかや、小学校の事前の防災対策が適切だったかどうかが争われました。
遺族たちは「津波の到達を予測できたのに、小学校は適切な避難のマニュアルを作る義務を怠り、市の教育委員会も学校を指導せず、組織的な過失があった」と主張したのに対し、市と県は「津波の到達を予測できなかったので、津波を前提としたマニュアルを作ることは求められておらず、震災前の防災対策に不備はなかった」と主張しました。
判決は26日午後、仙台高等裁判所で言い渡されます。
大川小学校では学校の管理下としては震災で最も多くの子どもたちが犠牲になり、裁判所が学校側の過失の有無をどう判断するか注目されます。


<大川小津波訴訟>「備え」の適否に教育界注視 控訴審あす判決
 東日本大震災の津波で児童・教職員計84人が犠牲になった石巻市大川小を巡る損害賠償請求訴訟で、全国の教育関係者が26日の控訴審判決を注視している。災害発生後の行動を重視した一審と異なり、控訴審の焦点は「備え」の適否。専門家は「司法判断次第で全国の学校で安全管理の再検討が迫られる」と指摘する。(大川小事故取材班)
 主な争点は大川小の危機管理マニュアルの是非。2010年3月の改訂で「津波発生の有無を確認し、二次避難場所へ移動する」と明記された。市教委は各校に提出させたマニュアルの内容を確認せず、不備を正すこともなかった。
 校庭から次の避難場所は「近隣の空き地・公園等」とだけ記載され、具体的な場所を明記していなかった。当時の校長柏葉照幸氏は、児童引き渡しで使う防災カードを「見たことがなかった」とも述べた。
 マニュアルは09年4月施行の学校保健安全法で明文化された。同法は学校と教育委員会に危険発生時、教職員が取るべき行動を具体的に定めたマニュアルの作成を義務付け、校長には教職員への周知や訓練を課した。
 ポイントは「学校の実情」に応じた内容を求めた点。16年10月の仙台地裁判決は大川小の「実情」について、ハザードマップで学校が浸水予想区域外だったことなどを挙げ、「具体的な津波避難場所や避難方法を明記すべき義務はなかった」と判断した。
 学校の安全管理に詳しい国士舘大の堀井雅道准教授(教育法学)は「大川小の学区には浸水予想区域が含まれており、当然『学校の実情』に当たる。子どもを預かる学校はハザードマップを参考にしつつも、より踏み込んだマニュアルを作成すべきではないか」と指摘する。
 同法が定めた「学校の安全管理」を正面から問う司法判断は初とみられ、判決は教育現場の「指針」となる公算が大きい。
 南海トラフ巨大地震に備える高知県教委の担当者は「津波防災の方向性がこのままでいいのか、見直す材料になる」、兵庫県教委の担当者は「備えはどこまで求められるのか。学校防災の指針になり得る判決として注目している」と話した。
[学校保健安全法]2009年4月施行。大阪教育大付属池田小の校内児童殺傷事件(01年)を受け、全ての学校に「学校安全計画」「危機管理マニュアル」の策定などを義務付けた。文部科学省は各種災害について「各校の実情に応じた適切な対応に努める」「マニュアルは毎年度適切な見直しが必要」などと通知した。


<大川小津波訴訟>控訴審あす判決 事前防災の是非争点
 東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった石巻市大川小の児童23人の19遺族が、市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、仙台高裁(小川浩裁判長)で言い渡される。地震発生後の津波の予見可能性が争われた仙台地裁での一審と異なり、控訴審は学校の事前防災の是非が主要な争点となった。震災前の津波に対する危険認識や、市教委を含めた組織的な防災対応が適切だったかどうかに司法が判断を示す。
 控訴審の主な争点は表の通り。遺族側は学校と河川堤防が近接することや海抜の低さ、学区の一部が津波浸水予想区域だった点などから「児童の津波被災の危険を認識できた」と指摘。当時の校長らは周辺の地理状況を独自に調査確認し、津波避難に対応した危機管理マニュアルを整備すべきだったと主張した。
 市・県側は学校が津波浸水予想区域外に立地し、過去に浸水した記録もないことから「具体的な津波襲来の予見は不可能だった」と強調。マニュアルは学校が避難所に指定されていたことを踏まえた地域の実情に応じたもので、「内容は必要十分で不備はない」と反論した。
 組織対応を巡っては、遺族側が「市教委は津波避難場所の検討や避難訓練を実施しなかった大川小を指導監督すべき注意義務を怠った」と訴え、市・県側は「各校に標準的なマニュアル見本を示し、防災研修会や学校訪問の際に必要に応じた指導や助言をしていた」と強調した。
 大川小には高さ8メートル超の津波が押し寄せ、児童74人と教職員10人が死亡・行方不明になった。2016年10月の地裁判決は、津波襲来の約7分前に市広報車が避難を呼び掛けた時点で、教員らは具体的な津波の危険を予見できたと判断。市・県に計約14億2660万円の賠償を命じ、遺族と市・県の双方が控訴した。


<大川小・母たちの7年>安全な学校、子に誓う
◎(中)狩野正子さん
<消えぬ後悔>
 石巻市針岡の狩野正子さん(45)には、忘れられない会話がある。
 「また大きな地震が来る。学校にいたら危ないから、行きたくない」
 2011年3月10日の朝、自宅の台所で、起きてきた大川小5年の長男達也君=当時(11)=が訴えた。
 前日午前、地震に遭った。石巻市は震度4で、50センチの津波を観測。学校にいた達也君と2年の長女美咲さん=同(8)=ら全校児童が一時、校庭に避難した。
 達也君は地震が嫌いだった。地震や津波について調べ、自作の壁新聞にまとめたこともあった。怖がる息子に、狩野さんは優しく諭した。「学校にいれば先生がついてるし、守ってもらえるから大丈夫だよ」
 翌11日、東日本大震災が起きた。達也君は3月22日、美咲さんは4月2日に、それぞれ亡きがらとなって見つかった。「結局、達也の言った通りだった。学校は安全じゃなかったんだと思うと、2人に本当に申し訳なくて…」。いつもの朝の、何げないはずの会話。後悔とともに思い返す。
<証言聞けず>
 あの日まで信じて疑わなかった学校で、なぜ子どもたちは亡くなったのか。石巻市教育委員会の説明会も第三者検証委員会も、「避難が遅くなって亡くなった」としか言わない。むしろ、危機管理マニュアルの不備などを知るほど、「なぜ」が深まった。
 14年3月、夫達弘さん(45)と裁判に参加した。当時の校長らの証人尋問は、不十分な対策の責任逃れにしか聞こえなかった。在校の教職員で唯一助かり、達也君が慕っていた男性教務主任(57)の証言は聞けなかった。法廷は全てを明らかにしてくれなかった。
 大川小から約4キロ離れた自宅は無事だった。学習机も、服も、おもちゃもあるのに、持ち主の仲良しきょうだいはいない。生きるのがつらかった。
 「もう一度、お父さんとお母さんになりたい」。14年10月に次女ひなたちゃん(3)が生まれた。早産で生後すぐは心配されたが、今では散歩が大好きで元気な女の子に育った。
 ひなたちゃんが達也君と美咲さんの写真を見て言った。「お兄ちゃんとお姉ちゃん、私に会いに出てきてくれない」。狩野さんは胸を詰まらせながら、優しく教えた。「見えないけど、いつもそばにいるよ」
<新たな目的>
 真実を知りたい。自分たちと同じ思いを誰にもしてほしくない。裁判の目的が、もう一つ加わった。ひなたちゃんが大きくなる頃、学校は安全な場所であってほしい−。
 26日の控訴審判決。天国の達也君と美咲さんに、報告したい。「達也が言う通り、学校は危なかったね。でも今度は、安心して行けるような学校になるんだよ」。誇らしげな達也君の顔が浮かぶ。「ほらね言ったでしょ、お母さん!」


津波被災の宮城農高跡地にメガソーラーが完成
 東日本大震災の津波で全壊し移転した宮城農高の跡地(宮城県名取市)に、再生可能エネルギー開発の日本アジアグループ(東京)が建設していた大規模太陽光発電所(メガソーラー)が完成し、現地で24日に式典があった。
 広さ29.8ヘクタールの敷地に太陽光パネル約9万7400枚を設置した。出力26.3メガワットを計画し、年間発電量は一般家庭約7700世帯分に相当する約2800万キロワット時を想定。事業期間は20年で、全量を東北電力に売電する。
 宮城農高は校舎が津波で全壊し、内陸部に移転を余儀なくされた。跡地へのメガソーラー建設は再生エネの普及に県有地を活用する取り組みの一環で、白石市内の水道事業用の遊休地に続き2例目。グループは年間2400万円で県から宮城農高跡地を借り受けた。
 式典には関係者約40人が出席。山下哲生会長兼社長は「復興のため使命感を持って発電事業を進める」と意欲を語った。村井嘉浩知事は「再生エネの重要性を津波で被災したこの場所から発信してほしい」と述べた。


<震災遺構>保存の議論足踏み 費用負担が重荷 陸前高田
 東日本大震災で被災した陸前高田市で、震災遺構の保存や活用策に関する議論が足踏みを続けている。遺構は全て国や岩手県が整備する「高田松原津波復興祈念公園」(約130ヘクタール)内に位置し、いまだに誰が管理するのかもはっきりしない。関係者からは早期の対応を求める声が挙がっている。(大船渡支局・坂井直人)
 3月の復興祈念公園有識者懇談会で、委員の一人が「遺構は現時点で触らずに置いておくとしているが、壊れたり何かあったときにどう対応するのか」と問題提起した。
 懇談会では、2020年度の公園完成に向けて国、県、市が、それぞれ国営追悼施設や県営祈念公園、市施設の整備スケジュールを説明。遺構の在り方には触れず、戸羽太市長は「管理をどこでやるかも決まっていない」と明かした。
 市はタピック45(道の駅高田松原)、陸前高田ユースホステルなどの保存を決めている。このうち津波の脅威を伝える旧気仙中校舎と定住促進住宅については市が県と協議して解体方針を撤回、保存に転じた。
 今年に入って県は、市に管理を打診。これに市当局は「保存に至った経緯を考えれば、全部を市が管理するのはおかしい」と本音を漏らす。
 保存の初期費用に復興交付金を活用できるのは1自治体1施設とされており、その後の維持管理など被災自治体には費用負担が重くのし掛かる。
 復興祈念公園内の遺構について国、県、市の基本計画は、外側からの見学を基本としているが、地元には整備して内部の公開を望む声もある。
 陸前高田市の語り部釘子(くぎこ)明さん(59)は「人々に興味を持ってもらっている間に、手だてを講じてほしい」と要望。市も理解を示すが、復興祈念公園と遺構の整備は表裏一体とあって「他地域のように単独では進められない」と困惑している。


旧野蒜小 防災学ぶ施設に改修
東日本大震災で被災した東松島市の野蒜小学校の校舎が防災などを学べる施設として改修され、25日、地元の住民などに公開されました。
25日、公開されたのは東松島市の防災教育施設、「KIBOTCHA」です。
震災の津波で浸水し大きな被害をうけた東松島市の旧野蒜小学校の校舎を改修して整備されました。
施設は3階建てで入り口には押し寄せた津波の高さが示されているほか、2階には震災の被害や復興について学べるシアタールームや語り部の話を聞くことができる部屋が設けられています。
また、3階には宿泊できる部屋が設けられていて、県内外の子どもたちの修学旅行や防災教育を受け入れ、災害時の炊き出し方法を学ぶ防災キャンプも開催される予定だということです。
野蒜小学校の卒業生の34歳の女性は「野蒜小学校について伝えるニュースが少なくなっているので施設を訪れて震災の被害を知ってもらいたい」と話していました。
施設の大泉裕人館長は「気軽に訪れ震災や防災について学んでもらうとともに地域の交流人口の増加にも貢献していきたい」と話していました。
施設は準備が整い次第、今月末にも1階と2階部分がプレオープンし、ことし7月に3階も含めて全面オープンする予定です。


ウーマン村本が聞いた被災者の本音。東日本大震災から7年跡の気仙沼 乙武氏「"鏡"を見せられているみたい」
 東日本大震災から7年。被災地の"いま"を探るべく、お笑い芸人・ウーマンラッシュアワーの村本大輔が気仙沼を訪れた。
 「1年目の話と2年目の話と3年目の話と、全然違う話のはず。今7年でしょ?」。気持ちを率直にぶつけ合いたいと、村本は居酒屋「福幸酒場 おだづまっこ」で酒を片手に気仙沼市民を直撃した。
■今だから話せる「困惑した支援物資」
 今でこそ笑いを交え、明るく話す被災者たちだが、7年前は深い悲しみに暮れ、立ち上がることすらできなかった。気仙沼最大の水産会社である阿部長商店の営業リーダー新沼雄さん(32)は祖母を、観光を通じ気仙沼の魅力を発信する一般社団法人気仙沼観光コンベンション協会次長の熊谷俊輔さん(41)は友人を亡くした。創業100年を超える老舗すがとよ酒店の長男菅原豊樹さん(44)は父を、そして亀山精肉店次期社長の柴田静佳さん(35)さんは夫と娘を亡くしている。
 村本が柴田さんに「息子さんにその時の話はするの?」と尋ねると、「全部教えた。(現在小1の息子も)わかってきた。どうやって死んだの?とか聞いて来るようになった。あの子にとって、もういないことが当たり前なので」と柴田さん。「みんな"重い"って言うでしょ?」と言う質問には「もうちょい軽く生きたいが、みんなが気にするかなと思って。"震災後処女"って冗談を言うと固まる(笑)」と、明るく切り返した。
 今だから言えるテーマの一つが、「支援物資」にまつわるもの。水やトイレットペーパーなど、災害時には無くてはならないものが届けられる一方、中には被災者たちが不要と感じてしまった"善意のかたまり"もあったという。
震災後に気仙沼に入り、長期間ボランティア活動に従事、その後定住した加藤拓馬さん(29)は、「もう着られないような、捨てる直前の古着もあった。でも皆ありがとうとしか言えなかった」と振り返る。
 菅原さん(44)は「必要な物資は時系列で変わってくる。最初は何でも良くて、"これでいい"だったのが、徐々に"これがいい"に変わってくる。服だったらやはりサイズがピッタリのものが欲しくなるし、色も"白でいいや"から"ちゃんと色があるものがいい"となってくる」と本音を明かした。
2人の話を聞いた村本は「世間の人は"ぜいたく"と言うかもしれないけれど、それはぜいたくではなく、"元に戻る"ということだと思う」と慮った。
 柴田さんによると、メッセージが書かれた家族写真や色紙、お守りや宗教的な物資も届けられたという。「娘を探しているということで新聞記事に出させてもらったときがあった。それを見た人から『本当のあなたとは』だとか、スピリチュアルな本がいっぱい送られてきた」。
 また、加藤さんは「鉛筆とか、文具も物資として送られて来る。有り難いことだが、その弊害として学校の先生が嘆いていたのは、"全部タダでもらえるから"と、子どもたちがものを大切にしなくなったとも聞いた」と明かす。
■復興の道筋にズレも
 震災から8年目を迎えた今、気仙沼の人たちは街の未来をどう考えているのだろうか。
 新沼さんは「前よりも道路はすぐできるし、インフラも前より発展したと思う。地元の人だけではなくて、よその人もどんどん働ける町になってほしい」、熊谷さんも「正直、震災があったからこそ変われるチャンスをいただいたとも思っていて、そこを大切にしていきたい。地域創生とか、地方創生とか言われているが、田舎の子どもたちがでかい夢を持てれば良いな」と話す。
 柴田さんは「震災でやっぱりゼロになったので、ここからどうやって町を作っていくか。震災が起きただけの町からどう変えるか、大人の私たちがやるべきこと。子どもにはサッカー選手でもYouTuberでもなんでも好きなことをやってほしいなと思う」と話した。
 着実に復興に向けて進んでいる気仙沼だが、行政と住民との意識の差から生じる問題も抱える。海岸の美しさが特徴でもある気仙沼港では、防潮堤の建設が進んでいる。しかし、それは住民の総意ではなかったため、妥協案の一つとして設けられたのが"窓"だ。
「欲しくない、いらないという意見が多かった。市も色々、勉強会とか説明会とか、何回もしてくれたが、結局建つことに決まった」(柴田さん)「気仙沼は海から色々な物をいただいて発展してきた街で、漁師さんを基本にして栄えた街なので、海は切り離せないもの。そういった精神的なものを視覚的に区切ってしまうということが、地域の教育上、果たしてプラスかどうか」(熊谷さん)。
■乙武氏「『鏡』を見せられているみたいだと思った」
 加藤さんは「僕は被災者ではなく、入ってきた立場。だから言えることもあると思っている。東北がんばれ、気仙沼がんばれと言われるけど、頼むから言ってくれるな、俺らは十分頑張ってるんだから、これ以上どうやって頑張れって言うんだよ、という気持ちもあった」と振り返る。
 この意見に新沼さんも「正直思っていた。頑張れと言ったって、ないものはない。なくなったものはなくなったし」と賛同した。
 こうした被災者たちの話に村本は「この町は悲しんだ分、その何倍も幸せになってほしい。その権利がある町だから、どんどんわがままになって忘れさせたらいい。被災者ビジネスというレッテルのまま、大儲けして大幸せになってほしい」と言い切った。
 村本の取材を受け、作家の乙武洋匡氏は「現地の方は、僕らが驚いてしまうような冗談をおっしゃっている。向こうは明るく笑っているのに、僕らはびっくりしてしまう。僕も自分のことについて冗談を言うことがあるので、まるで『鏡』を見せられているみたいだと思った。また、震災直後から前向きに活動を始められている方々と出会うと、"元気をもらえた""勇気をもらえた"と思った。でもその瞬間、"これ、俺がいつも嫌だと言ってるやつ"だとも思った。僕自身は周りの人たちを感動させようと思って生きてきたわけじゃないし、『五体不満足』を書いたわけでもない。ただ、自分の人生を前向きにしたいだけったのに、勝手に周りが感動する。それが鬱陶しいなと思っていた。でも、それと同じことをやってしまっていた」と振り返った。
 一面的ではない被災地の姿や、今だから話せる被災者の声に耳を傾け続ける必要がある。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


宮城・気仙沼の「ホテル望洋館」倒産 震災直後に被災者受け入れる
 東京商工リサーチによると、宮城県気仙沼市魚町の「ホテル望洋館」(加藤英一)が仙台地裁気仙沼支部から破産手続きの開始決定を受けた。負債総額は約7億円。
 同社は気仙沼市の高台でホテル望洋を経営。平成23年3月の東日本大震災発生直後から約70日間、避難所として被災者を受け入れた。接客業務が被災者のケアに生かされるなど、宿泊施設の緊急時への準備や対処の指針となり、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)主催の第17回「人に優しい地域の宿づくり賞」で最優秀の厚生労働大臣賞を受賞していた。
 昭和39年に設立。多くの観光客が訪れたほか、地元市民の結婚式や会合の場としても利用され、平成3年2月期には売上高7億6500万円を上げていた。
 しかし、その後は観光需要の落ち込みや施設の老朽化などで減収に転じた。震災で津波の被害を免れ、復旧工事関係者やボランティアの利用で一時的に業績が回復したが、昨年3月に営業を終了していた。


尼崎JR脱線事故、現場で献花 発生から13年
 乗客106人と運転士が死亡し、562人が重軽傷を負った尼崎JR脱線事故は25日、発生から13年となった。兵庫県尼崎市の事故現場では早朝、JR西日本の来島達夫社長が訪れて献花した。
 昨年12月に新幹線のぞみの台車に破断寸前の亀裂が見つかった問題で、JR西は異変を感じながら3時間以上運行を継続。脱線事故の教訓だったはずの「安全最優先」の姿勢が問われる事態となった。
 電車が激突した9階建てのマンションは保存工事が進み、階段状の4階建てとなった。現場一帯は慰霊碑を設置するなどして今年夏ごろまでに整備を終える。


JR事故13年/安全対策は現場最優先で
 乗客106人と運転士が死亡した尼崎JR脱線事故は、きょうで13年になる。
 加害企業のJR西日本は、被害者遺族とともに事故原因や組織風土を検証する異例の取り組みを重ねた。その議論を基に、第三者による安全管理のチェックや、ミスを処分せず再発防止に生かす仕組みを導入した。
 だが昨年12月に発生した新幹線の台車亀裂事故は、安全最優先の意識が第一線に浸透していないことを浮き彫りにした。
 JR西が事故の根絶を従業員の研修や意識向上だけに頼るのなら、個人を追い詰める精神主義がよみがえる恐れがある。それが尼崎事故を招いた遠因とされてきた。人は必ず間違いや思い込みなどのミスを起こす。その前提に立って、事故防止対策を講じねばならない。
 今回の事故では、走行中に車掌や保守担当者が異音や異臭などを確認したのに運行を続けた点が問題となった。保守担当者や車両運用を管理する指令員も、状況を楽観視し「止める」との判断に至らなかった。
 JR西の対応を検証する有識者会議が事故の要因と推測するのは、「確証バイアス」と呼ばれる心理状態だ。無意識に自身に有利な情報ばかりを集め、それ以外の情報を軽んじる「人間の特性」である。
 新幹線が止まればJR東海や九州にも影響が及ぶ。判断が萎縮するのは容易に想像できる。それを踏まえれば、現場判断が最優先との認識をJR各社と絶えず共有し、確認するのが経営の責務ではなかったか。
 安全最優先の組織風土を実現するには、経営陣の積極的な関与が欠かせない。
 失敗に学び、経験の蓄積を生かす。鉄道技術は「経験工学」とされる。安全対策についても、大事故が発生するたび改良が加えられてきた。
 しかし有識者会議は、「未知のリスク」への対応を求めた。日常業務で創意工夫を重ねることが現場の柔軟な対応力を高める、との指摘はうなずける。
 第一線の社員が創意工夫を重ねれば、組織は活力にあふれ、経営にも好影響を及ぼす。安全対策はコストではなく、未来への投資との認識を、JR西の経営陣は持つべきだ。


尼崎JR脱線 2両目乗車の男性 就職先で安全管理に奔走
 乗っていた電車内であの日、乗客が一瞬で視界から消え、気がつくと頭上に車窓があった−。尼崎JR脱線事故当時、同志社大2年だった加藤英樹さん(33)=兵庫県宝塚市=は、マンションに衝突した2両目に乗っていたが、奇跡的に大きなけがはなく救出された。現在、大手マンション建設会社の法務部で建築に関わる法律のチェックやリスク回避などに携わる。「生かされた自分だからこそ、なすべきことがある」と安全管理の徹底の大切さを心に刻む。
 中山寺駅(宝塚市)で乗り込んだ快速電車は伊丹駅でオーバーランし、発車が遅れたという。その後、窓から見える景色の流れが明らかに速く、スピード超過を察した。男性客が「運転士、焦ってるんちゃう」とつぶやいた。塚口駅を通過した際も減速している様子はない。加藤さんは「速すぎる」と恐怖感を覚え、かばんを床に置いて両手でつり革をつかんだ。
 ブレーキ音とともに、立っている人も座っている人も前方に一斉に流された。「洗濯機の中にいるようだった」といい、つり革を握りしめたが、両足が浮いていた。気がつくと、土ぼこりの中、頭上にあった電車の窓からわずかに日差しが。横転したと分かった。
 2両目はマンションに巻き付くように「く」の字に曲がっていたが、加藤さんの周囲には狭い空間ができ、右手の切り傷と打撲で済んだ。近くにいた3人のうち女性が下半身が鉄の塊に挟まれていた。車体をたたいて「早く来てくれ」と叫び、4人とも救助された。
 ニュースで多くの乗客が犠牲になったことを知り、「車内は満員だったのに、回りに4人だけだった。残りの人はどうなったのか」と胸が苦しくなった。
 事故後、関西学院大学のロースクールに通い、企業法務の道を目指した。「企業はリスクをコントロールすべきで、安全を優先する意識を高める仕事がしたかった」。大手マンション建設会社法務部で主任として契約書のチェックや訴訟を担当。法律にのっとり、設計図の不備や建物の強度不足、建設現場の危険といったリスクを社内全体で共有し、回避する業務に携わる。
 「企業の利益追求は安全を守って初めて成り立つ。最優先は人の命で、安全性は絶対に軽くみてはいけない」と仕事に向き合う。(小谷千穂)


尼崎JR脱線事故から13年 早朝から献花の列
 乗客106人と運転士が亡くなった尼崎JR脱線事故は25日、発生13年の朝を迎えた。快速電車がマンションに衝突した兵庫県尼崎市久々知の事故現場には、早朝から犠牲者を悼む人々が献花に訪れた。JR西日本は尼崎市で追悼慰霊式を開き、事故が起きた午前9時18分に黙とうする。
 現場は、JR西が一帯を「祈りの杜(もり)」として整備する工事が進む。マンションの上層部は解体され、保存される1〜4階部分がアーチ状の屋根で覆われた。慰霊碑や犠牲者の名碑なども設置する予定で、来年以降の追悼慰霊式開催も検討されている。
 JR西は昨年12月、新幹線のぞみの台車で破断寸前の亀裂が見つかったにもかかわらず運行を続け、国が「重大インシデント」と認定。遺族からは「脱線事故当時と何も変わっていない」との批判も出ている。


尼崎JR脱線事故から13年 追悼慰霊式で黙とう
 乗客106人と運転士が死亡した尼崎JR脱線事故は25日、発生から13年となった。発生時刻の午前9時18分ごろ、追悼慰霊式が営まれたあましんアルカイックホール(兵庫県尼崎市)では、遺族やJR西日本の関係者らが黙とうし、犠牲者の冥福を祈った。
 一方、ほぼ同時刻に塚口−尼崎間の現場に差し掛かる快速電車は午前8時58分に宝塚駅を出発。現場のカーブに差し掛かると長い警笛を響かせ、乗客らが窓の向こうに向かって手を合わせるなどした。


尼崎脱線 13年で慰霊式 「二度と発生させない」誓う
 兵庫県尼崎市で2005年4月、乗客106人と運転士が死亡し、562人が負傷したJR福知山線脱線事故から25日で13年を迎えた。遺族らは事故現場や追悼慰霊式で犠牲者の冥福を祈り、事故発生時刻の午前9時18分、黙とうをささげた。
 JR西日本主催の慰霊式は同日午前、尼崎市内のホールで開かれ、遺族ら868人が参列した。JR西の来島達夫社長が、昨年12月に起きた新幹線「のぞみ」の台車亀裂問題に触れ「鉄道の安全に対する信頼を大きく揺るがし、申し訳ない」と謝罪。「安全の取り組みの原点は福知山線事故。事故を二度と発生させないことは責務であり、変わらぬ決意」と述べた。
 式典では、犠牲になった上田昌毅さん(当時18歳)の叔母の木下和子さん(58)、いとこの裕梨さん(28)が歌を献唱。裕梨さんは「JRの方々には安全とは何か今一度考えてほしい。二度と悲惨な事故を起こさないで」と訴えた。【山下貴史、生野由佳】


尼崎脱線 弔意の警笛11秒、電車の車内で犠牲者悼む
 25日に発生13年となった兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故。電車の衝突痕が残るマンションが一部保存された現場に、今年も多くの人が足を運び、犠牲者を悼んだ。
 事故が起きた時刻の直前に現場のカーブを通過したJR福知山線の新三田発同志社前行き快速電車(7両編成)の車内では、犠牲者の冥福を祈る乗客の姿があった。
 事故現場にさしかかると、電車は時速25キロに減速して弔意を表す警笛を11秒間鳴らした。車内には「安全運行に努め、改めてお客様から安心と信頼をいただけるよう全力を挙げて取り組んでまいります」と放送が流れ、乗客たちは手を合わせたり、目を閉じて一礼したりしていた。
 通学で福知山線を利用する同志社大4年の西村貴さん(21)は「突然日常が奪われ、無念だったと思う。『二度と事故は起きないでほしい』という思いで手を合わせた」と話した。【松本紫帆】


尼崎脱線 意識不明5カ月、重い障害「仕事がうれしい」
 2005年4月に兵庫県尼崎市で起きたJR福知山線脱線事故で生死の境をさまよい、重い後遺症を負った兵庫県西宮市の鈴木順子さん(43)が昨夏から同県伊丹市内の介護施設で働き始めた。高次脳機能障害となり、事故車両に乗っていたことを覚えていないが、イラストレーターだった記憶は残る。「昔の生活にね、ちょっと近づいたように思うの」。少し寂しげな顔をした後、笑みを見せた。
 今月9日。施設に出勤した鈴木さんは、横に長い施設印の端を両手の親指と人さし指で持ち、書類に一枚一枚押していた。サポート役の石井仁美さん(64)に助けてもらいながら、約2時間かけて500枚。「誰かの役に立てるのは、本当にうれしい」と喜んだ。
 鈴木さんはあの日、事故車両から心肺停止状態で救出された。脳挫傷や腹腔(ふくくう)内出血など瀕死(ひんし)の重傷で、5カ月ほど意識が戻らなかった。
 「娘は0歳に戻った」。母もも子さん(70)は自らに言い聞かせながら介護した。事故から1年、2年と過ぎるうちに会話し、文字が書け、支えがあれば歩けるようになったが、記憶や言語に重度の障害が残った。
 終わりのないリハビリ生活が10年過ぎた頃、もも子さんは「自宅の他にも居場所を」と知人に相談。昨春、介護施設を運営する石川智昭さん(34)から「うちで働きませんか」と声をかけられた。鈴木さんは昨年7月から毎週月曜、自宅近くに住む石井さんと一緒に車で施設まで出勤するようになった。
 勤務時間は1日5時間半で、単純作業が中心。久しぶりの社会生活に疲れ、夕飯を食べずに眠ってしまうことがある。「私には事故の記憶がないの。障害者になったつもりはないの。だけど、できると思っているのに、できない事実がとても悲しいの」。たどたどしい言葉からもどかしさが伝わってくる。
 イラストレーター時代とは全てが違う。それでも鈴木さんは「仕事を休みたい」とは言わず、「お金をもらえるのはうれしい」と繰り返す。その感性を生かし、昨年末には施設の年賀状のデザインを任され、施設の利用者に渡すバースデーカードも色や柄を組み合わせて作った。
 働き始めて約9カ月、手にした給料は約9万円。まだ一度も使っていないが、「稼ぐ」ことが自活の証しとなる。「創作することが、仕事になるのが、一番うれしい」【生野由佳】


尼崎脱線 亡き兄に誓った救命の道 ICUの看護師に
 JR福知山線脱線事故で兄昌毅(まさき)さん(当時18歳)を亡くした上田篤史さん(28)=神戸市中央区=は、救急患者らを受け入れる集中治療室(ICU)の看護師となり、7年目を迎えた。「あんな思いをする人を一人でもなくしたい」と選んだ道。命を救いきれず、泣き崩れる家族に「あの日」の自分が重なり、心が折れそうになる時もある。「大丈夫、篤史ならできる」。生前の兄の言葉に支えられ、命の重みに向き合う。
 13年前の4月25日、高校1年生だった上田さんは夕方まで事故の発生を知らなかった。部活が終わって携帯電話を見ると、母から何度も着信があった。折り返すと「兄ちゃんが大変」とだけ伝えられた。家へと急ぐ途中の電車内で乗客が読んでいた夕刊に目が留まった。マンションに車両がへばりついた異様な写真が大きく載っていた。「まさか」と思ったが、帰宅した途端、母は「あかんかった」と泣き崩れた。
 現場近くの体育館にはたくさんのひつぎがあり、その一つに案内された。「何で兄ちゃんが死ななあかんねん」。目を閉じたままの兄に泣きながら問い続けた。
 マイペースでのんびりした兄とせっかちな弟。性格は正反対だが、仲は良かった。2人でゲームをしたり、家族4人でキャンプやスキーを楽しんだりした思い出がよみがえった。「兄ちゃん、僕は人の命を助ける職業に就く」。兄と一緒に安置所から帰宅した日、こう決めた。
 上田さんは兵庫県立大看護学部に進学した。卒業後に神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)の看護師となり、すぐにICUに配属された。「手の施しようがないこともあり、自分の限界を感じる。『命の重さ』に打ちのめされることもある」
 そんな時に兄を思う。「18歳で死んで、無念だったはず。だから、兄の分まで自分が頑張らないといけない。胸を張って兄に報告できるようになりたい」。生死を分かつ最前線に身を置き続けている。
 「一人っ子」とうそをつき、周囲に兄の死について話すことを避けた時期もあった。4年前の追悼慰霊式で、初めて遺族代表として言葉を述べた。事故の風化も懸念される中、今は「少しでも心にとどめてくれる人がいればうれしい」と仕事の合間を縫って兄や事故のことを語る。
 上田さんはこの日、父弘志さん(63)と慰霊式に出席した後、事故現場に行った。そして、こう伝えた。「兄ちゃんの分まで頑張っているよ」【近藤諭】


JR福知山線脱線事故13年追悼
兵庫県尼崎市でJR福知山線の電車が脱線し、107人が死亡した事故から25日で13年です。
現場近くのホールでは事故が起きた時刻に合わせて追悼慰霊式が行われ、遺族やJR西日本の幹部などが亡くなった人たちを悼みました。
13年前の平成17年4月25日、兵庫県尼崎市でJR福知山線の快速電車がカーブを曲がりきれずに脱線し、線路脇のマンションに衝突して乗客ら107人が死亡、562人がけがをしました。
25日午前、現場近くのホールでは、遺族やけがをした人たち、それにJR西日本の幹部などが参列して追悼慰霊式が行われ、事故が起きた午前9時18分に黙とうをささげました。
このあと、JR西日本の来島達夫社長が「13年前、私どもは皆さまのかけがえのない命を奪ってしまった。さらに去年は、新幹線の台車で亀裂が見つかる重大インシデントを発生させ鉄道への信頼を揺るがした。これまでの取り組みに何が足りなかったのかしっかり向き合いたい」と述べました。
また、午後には、遺族らの主催で3年ぶりに鉄道の安全性を考えるシンポジウムが開かれました。
このなかで安全工学の専門家は、「命を犠牲にしてまで遂行すべき業務はなく、経営のトップから現場まで安全を最優先する風通しのよい組織が求められる」と指摘し、遺族も「JR西日本は社員全員で安全対策に取り組んでほしい」と改めて訴えました。
去年12月、東海道・山陽新幹線の台車に亀裂が見つかった問題では、乗務員らが異常に気づいていたにもかかわらず走行を続けたことが明らかになり、脱線事故以来、安全を最優先させるとしたJR西日本の姿勢が改めて問われています。
また、事故現場のマンションは、追悼の場とする工事が進んで屋根で覆われるなど姿を大きく変えており、こうしたなかで事故の記憶をいかに伝えていくかが課題となっています。
【事故の遺族や負傷者は】
脱線した電車の3両目に乗り大けがをした兵庫県伊丹市の玉置富美子さん(68)は現場に設けられた献花台を訪れ、「現場の様子はすごく変わってしまいましたが、13年たってもけがの苦しみは続いています。その苦しさや事故の悲惨さを伝えていくのが、生き残った私の役割だときょう、改めて感じました。新幹線の台車に亀裂が見つかる問題が起き、JR西日本の体質はなかなか変わらないように思いましたが、事故の教訓をむだにせず、安全優先の取り組みを進めてほしい」と話していました。
脱線事故で当時23歳の長女を亡くした神戸市北区の大森重美さん(69)は、「新幹線のトラブルもあったので、JRには改めて、人の命を運んでいることを認識し安全対策に取り組んでもらいたい」と話しました。
そのうえで、「これだけ大きな事故を起こしたのに、誰も責任を取らないのはおかしいと感じる。引き続き組織罰の導入のための法整備を求めていきたい」と話し、大事故を起こした企業など、組織の刑事責任を問う法律の制定を求めていきたいと強調しました。
大きく姿を変えた現場のマンションについては、「印象がずいぶん変わりましたが、一番重要な車両がぶつかった壁を残してくれたので、社員の安全教育に役立ててほしい」と話していました。
事故で当時63歳の妻を亡くした兵庫県西宮市の西野道晴さん(78)は「『天国でゆっくり休んでください。こちらは元気でやっています』と妻に伝えてきました。
現場の様子が去年と全く違っていて驚きました。事故から13年が経ちましたが忘れてはいけないこともあると思うので、これからもここに来ます」と話していました。
脱線事故でいとこを亡くしたという神戸市東灘区の木下裕梨さん(28)は、追悼慰霊式のあと献花台を訪れ、「いとこには、これからも私たちのことを見守ってほしいと心の中で呼びかけました。いまの現場は屋根などに覆われ、まるで隠されているようです。新幹線の台車に亀裂が見つかり、JR西日本は何も変わっていないような気がします」と話していました。
脱線事故で当時37歳の息子を亡くしたという兵庫県伊丹市の斉藤堅一さん(75)は25日午後、現場を訪れ、「JR西日本については、安全面に関して改善すべき点がまだ出てくると思うので、遺族としてきちんと見守っていきたい」と話していました。
斉藤さんの妻の百合子さん(75)は「毎日、息子のことを思って手を合わせ続けた13年間でした。
きょうは息子に『天国から見守ってくれてありがとう』と心の中で呼びかけました。現場の様子が変わっても、追悼施設が完成したら手を合わせに来ようと思います」と話していました。
【負傷者や家族がしおり配布】
JR福知山線の尼崎駅では、脱線事故でけがをした人やその家族などが、事故の記憶を風化させまいとしおりを配りました。
脱線事故でけがをした人やその家族などでつくる「負傷者と家族等の会」は、毎年、事故に対する思いをメッセージに記したしおりを配っています。
事故から13年となる25日は、メンバー6人がJR福知山線の尼崎駅の改札近くで、「きょうで福知山脱線事故から13年になります」と呼びかけながら、およそ1000枚のしおりを配りました。
しおりの表側には、事故当日が晴れだったことから、青空の挿絵とともに、あの日を忘れてはいけないという思いが英語で書かれています。
そして、しおりの裏側には、「あの日を決して繰り返すことなく、心安らかに暮らせる社会を育んでいきたい」と再発防止を訴えるメッセージが記されています。
しおりを受け取った60歳代の女性は「思い出したくないような事故でしたが、思い出さないといけないと思いしおりをもらいに来ました」と話していました。
会のメンバーで、事故で娘がけがをした三井ハルコさんは、「事故が忘れられつつあるように感じることもありますが、足を止めて話を聞いてくれる人もいて、積み重ねが大事だと思いました。みんなが安心して暮らせる社会になっていけばいいなと思います」と話していました。      
【「命の畑」で安全誓う】
JR福知山線の脱線事故現場に近い、兵庫県尼崎市の畑では、JR西日本の社員などが「命」という文字の形に並べた花を囲み、犠牲者を悼むとともに安全運行への決意を示しました。
脱線事故の現場から300メートルほど離れた線路沿いにある畑には、毎年この時期になると、真っ白なダイコンの花が「命」という文字の形に並べられ、「命の畑」と呼ばれています。
25日は午前10時ごろからJR西日本の社員やOBなど、およそ200人が集まり、「命」の文字を取り囲みました。
そして、電車が通過するたびに、犠牲者の追悼と安全運行への決意を込めて、青色の画用紙を高く掲げました。
すると、白い「命」という文字が青色をバックにくっきりと浮かび上がりました。
参加したJR西日本労働組合の西村勝副委員長は、「脱線事故が起きた当時から企業体質があまり変わらないように思う。今後もこの取り組みを続け、事故の風化を防ぎたい」と話していました。
畑をつくっている農家の松本三千男さん(82)は「事故は絶対してはいけない。JRの社員の皆さんに協力してもらいながらできるかぎり続けたい」と話していました。


JR福知山線脱線事故から13年
兵庫県尼崎市でJR福知山線の電車が脱線し、107人が死亡した事故から25日で13年です。
現場近くの献花台にはJR西日本の幹部などが訪れ、亡くなった人たちに祈りをささげています。
平成17年4月25日、兵庫県尼崎市でJR福知山線の快速電車がカーブを曲がりきれずに脱線し、線路脇のマンションに衝突して乗客ら107人が死亡、562人がケガをしました。
現場近くに設けられた献花台では25日朝早くから花を手向けて手を合わせる人の姿が見られます。
午前6時40分ごろ、JR西日本の来島達夫社長が役員らとともに訪れ、黙とうをささげたあと、献花しました。
献花台を訪れたのはJR西日本の来島社長のほか、真鍋精志会長や垣内剛元社長など、歴代の元社長4人と役員などあわせて31人です。
全員は深く頭を下げ、およそ1分間にわたって、黙とうをささげたあと、献花台に花を供えていました。
来島社長は「事故から13年が経過し、亡くなった方、けがをされた方に改めておわびを申し上げます」と謝罪しました。
その上で、去年12月に起きた新幹線の台車に亀裂が入った問題などを踏まえ、「脱線事故のあと、安全最優先の取り組みを進めてきたが、まだ不十分で弱点があった。
改めて安全・安心を提供していける会社になるため会社全体で取り組んでいきたい」と話していました。
事故で当時40歳だった長女を亡くした大阪・城東区の藤崎光子さん(78)は、25日朝事故現場付近を訪れて、「娘はいつも一緒にいて声が聞こえてくる気がします。私たち遺族は今も事故のあった日をきのうのことのように思い出し、苦しみを感じています」と話しました。
その上で、新幹線の台車に亀裂が見つかった問題について、「JR西日本は、ひとつも福知山線の事故を教訓にできてないないと感じますし、亡くなった娘も悲しんでいると思います。JR西日本は、命をあずかる公共交通機関として、事故が忘れられないようにしてほしいです」と話していました。
事故現場にある献花台には、午前8時ごろ、国土交通省の秋本真利政務官が国土交通省の幹部らとともに10人で訪れ、およそ30秒間、黙とうをささげたあと花を供え、頭を下げていました。
現場近くのホールでは遺族などが参列して追悼慰霊式が行われ、事故が起きた午前9時18分に黙とうを捧げたあと、JR西日本の来島社長がおわびと追悼のことばを述べることになっています。
去年12月、東海道・山陽新幹線の台車に亀裂が見つかった問題では、乗務員や保守担当の社員などが異常に気づいていたにもかかわらず、運行管理の担当者が走行を続けさせていたことが明らかになりました。
遺族からは「脱線事故の教訓が生かされていない」という意見も出ています。
25日は3年ぶりに、遺族らの主催で鉄道の安全について考えるシンポジウムが開かれることになっていて、脱線事故以来、安全を最優先させるとしたJR西日本の取り組みが改めて問われています。
【事故の発生時刻の現場では】
13年前に事故が起きた午前9時18分とほぼ同じ時刻に現場を通過した快速電車は、速度を落としながら警笛を鳴らし、亡くなった人たちへの哀悼の意を表しました。
線路沿いの道路では、遺族やJRの関係者などが「4月25日を決して忘れない」などと書いた横断幕を掲げて、電車やマンションに手を合わせていました。
現場に設けられた献花台では、事故が起きた午前9時18分とほぼ同じ時刻に快速電車が通り過ぎる際、電車に向かって手を合わせる人や、涙を流す人の姿が見られました。
また、午前9時18分にあわせて花を手向けに訪れた人たちは黙とうをささげ、事故の犠牲者を悼みました。
【現場を訪れた負傷者や遺族は】現場の献花台の近くには遺族やけがをした人たちが訪れています。
脱線した電車の2両目に乗り、右足の骨を折る大けがをした兵庫県多可町の小椋聡さん(48)は、「事故現場が当時の状況からすっかり様変わりして驚いていますが、それでも、生かされたことに感謝して祈りをささげました」と話していました。
新幹線の台車に亀裂が見つかった問題については、「とても残念です。JRは事故の後の13年間、安全対策に力を入れてきたと思うが、さらに気を引き締めて対策に取り組んでもらいたい」と話していました。
脱線した電車の2両目に乗っていて、骨盤を折る大けがをした大阪・豊中市の増田勇人さん(32)は、25日朝9時すぎに現場を訪れて献花をしたあと、「現場が大きく様変わりし、とても驚いています。
いまだに電車に乗るときは少しでも揺れたら怖く感じますし、事故のことを思い出してしまうので満員電車には乗れません」と話しました。
増田さんはいまは結婚し、3人の娘がいるということで、「大切な誰かが電車に乗った時のことを考えると、JRには安全面に関してさらに徹底してもらいたい」と話していました。
中学3年生のときに、事故で母親を亡くした中村海里さんは、発生時刻に現場を訪れ、「事故の日、母は、私を見送ってから仕事に出かけました。もう少し早く自分が家を出ていれば、母は事故に巻き込まれなかったのではないかと思えて悔しいです。13年がたって現場の様子は変わっても、母に会いたいという気持ちはまったく変わりません」と話していました。
【発生時刻の電車内と乗客は】
13年前に事故を起こした電車と、ほぼ同じ時刻に走るJR福知山線の快速電車は、午前9時ごろに宝塚駅を出発しました。
事故の現場に向かう途中の車内では、「本日で福知山線列車事故から13年を迎えます。私たちは、この事故を心に刻み、安全運行に努め、改めてお客様から安心と信頼をいただけるよう、全力をあげて取り組んでまいります」とアナウンスが流れました。
そして、事故が起きた午前9時18分とほぼ同じ時刻に、兵庫県尼崎市の事故現場のカーブにさしかかると減速したうえで10秒ほど汽笛を鳴らし、哀悼の意を表しました。
車内は通勤や通学の人たちで混み合っていましたが、事故現場にさしかかると、手を合わせる人や窓の外をじっと見つめる人がいました。
この快速電車の乗客で、事故当時、福知山線を通学で利用していたという女性は「人ごとは思えませんでした。事故が起こってほしくないと現場付近では手を合わせました」と話していました。


自治体の公文書管理/国を引っ張る取り組み期待
 自治体は他山の石とすべきだろう。安倍政権を揺さぶっている公文書管理である。
 公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」である。そう公文書管理法に書いてある。法は自治体に対し適正管理の努力義務も定める。
 自分たちの手で自分たちのための政治を行うには、仕事を任せている政治家や公務員がどんな考えで、いかに仕事を進めているかをチェックできなければならない。
 自衛隊日報や森友学園の問題ではチェックの判断材料となる公文書が隠されたり、勝手に書き換えられたりしていた。それで「民主主義の破壊だ」と大騒ぎになっている。
 足元を振り返ってみる。国政も大事だが、自分が住んでいる町の民主主義は機能しているだろうか。判断材料をチェックできるよう環境が十分に整えられているだろうか。
 全国的にはお寒い状況にあることが、総務省の調査で明らかになった。公文書管理条例を制定している自治体は2017年10月時点で、全体の1%に当たる21自治体にすぎないというのだ。
 調査によると、条例制定済みの都道府県は東京、鳥取、島根、香川、熊本のわずか5都県。政令市は札幌、相模原、名古屋、大阪の4市のみ。市町村は12にとどまり、東北では秋田市だけ。全体の92%に当たる1638団体は規則、要綱などでルール化し、ルールがないところは全体の7%の116団体もあった。
 規則などを含め管理のルールがある約1600市区町村(政令市を除く)のうち、保存期間が過ぎた文書の全てを廃棄すると答えたのは40%に上る。「一部の永年保存」は半数を下回る47%、「一部を公文書館等に移管」は13%だった。
 自治体の規則などは議会の審議を必要とせず、森友問題でも明らかなように公務員の恣意(しい)的な判断で文書が廃棄されてしまう恐れがある。まずは住民代表でつくる議会の場で条例を作り、文書管理の手続きを透明で検証しやすいものにすべきだろう。
 自治体によっては「条例化すると管理体制づくりで人的、資金的手当てが必要になる」と及び腰なところもある。だが公文書を何のルールもなく、あるいは緩いルールで次々に捨て去る状況を放置すべきでない。今取り組まないと東日本大震災の被災地で、後世に残すべき震災関連公文書が廃棄される心配もある。
 まずルールを作り、重要な文書を選別し、経費を節約し残していく手があるはずだ。統廃合された学校校舎に文書を置くのも方法だろう。公文書への理解と知識を持ち、保存の正しい判断ができる人材も必要だ。自治体がそうした人材を抱えることは、地域社会が健全に発展する基礎となろう。情報公開は地方が先行した。公文書管理も国を引っ張る取り組みがほしい。


河北春秋
 背番号「3」といえば、元巨人の長嶋茂雄さんを思い浮かべる。そして、この人もまた記録にも記憶にも残る名選手だ。元広島の衣笠祥雄さん。1970〜80年代に一時代を築いた「赤ヘル軍団」の主軸で、プロ野球記録の2215試合連続出場の金字塔を打ち立てた▼当初、背番号は「28」。このため漫画の『鉄人28号』にちなんで「鉄人」の愛称に。その鉄人の連続試合出場の“不死身伝説”の始まりは、70年10月。以後、引退までの17年間、何と1試合も休まなかった▼79年8月の巨人戦。死球で左肩の骨にひびが入り、出場が危ぶまれたが、翌日、代打で出場した。相手は剛速球を武器にする江川卓さん。結果は3球三振。力いっぱいバットを振った姿が記憶に残る▼ルー・ゲーリッグ選手の大リーグ記録を抜く2131試合に連続出場記録を伸ばし、世界一になったのは87年6月。40歳だった。「記録の秘訣(ひけつ)は」との問いに「野球が好きで好きでたまらなかった」といかにも衣笠さんらしく▼通算本塁打は504本で歴代7位。一方で、三振は同9位の1587個、死球は同3位の161個にもなる。フルスイングを貫いた。最後までけがと格闘しながら、ボールに立ち向かった。昭和を代表する名選手がまた一人、惜しまれつつ亡くなった。

衣笠祥雄さん死去 「鉄人」の歩み、忘れない
 「私に野球を与えてくださいました神様に感謝します」
 短くても心に残るあいさつが、きのうのように思い出される。当時の世界記録を更新する2131試合連続出場を果たした栄光の1987年6月13日。プロ野球広島東洋カープの中軸打者だった衣笠祥雄さんは、球場でそう切り出した。
 あれから31年の歳月が流れたとはいえ、召されるにはあまりに早過ぎる。野球の面白さと楽しさだけでなく、一つのことを成し遂げる大切さを教えてくれた正真正銘のヒーローである。老いても「鉄人」として熱く語り続けてほしかった。
 世界新記録を達成した時、巨人監督だった王貞治さんは「夢みたいな記録だね。一つ途切れたらおしまい。その点、ホームランだと今日ダメでも明日があるからね」と祝福している。衣笠さんは野球人としての限界に挑んだというより、人間としての限界に挑んだのだ。
 あるいは、かつてチームメートだった江夏豊さんのコメントを借りるなら「人間衣笠祥雄の記録」ともいえよう。
 試合中に死球で骨折しようと、痛みを押して出場した。普通なら休養する、治療に専念するという選択肢があるのだろうが、「ケガをした時には、どうしたら野球がやれるか真っ先に考えるね」と語っていた。「休まぬ男」「休めぬ男」だった。それが衣笠さんの生きざまであり、いつまでも野球は「オレの青春」だったのだろう。
 「好きな野球をやってメシが食えるんだから、オレは幸せだよ」
 「オレ節制なんかしていないし、深くも考えていない。ただ野球が好きなんだ。ほんとにこれだけなんだ」
 1247試合連続出場の日本新記録を達成した頃からの、衣笠さんの語録である。既に「赤ヘル軍団」の主砲にもかかわらず、その言葉は少年のように真っすぐである。説教めいたところがみじんもない。
 今なら多くのアスリートが「楽しんでプレーしたい」という言い回しをよく使う。勝利のために我慢し忍耐するだけが全てではないのだろう。
 衣笠さんが達成した記録はたゆまぬ努力のたまものではあるものの、好きなことに打ち込んだ爽やかさは今なお共感をもって受け止められよう。
 カープは長く優勝から遠ざかっていたが、2016年に25年ぶりのリーグ優勝、17年に連覇を果たす。衣笠さんがそれを見届けてくれたのは何よりだ。
 「小中学生が10年、15年たって、あの時優勝したんだよな、といい思い出にしてくれたらうれしい」とテレビの取材に答えていた。広島という街の記憶はそうして世代を超えて語り継がれていくに違いない。
 衣笠さんの数々の記録と勇姿をいま一度思い起こす。その死は悲しいが、それもまた記憶の継承のよすがとしたい。
 カープの本拠地、マツダスタジアムは10年目を迎え、入場者数はここ数年伸び続けている。ファンがスタンドを真っ赤に染め、応援歌の大合唱で選手を鼓舞する。チームは球団史上初の3連覇を目指し、さらに34年ぶりの日本一をうかがう。
 今はどこかで見守る鉄人に、いずれは吉報を届けたい。そう願うばかりである。


差別禁止条例 共生できる町づくりへ
 LGBT(性的マイノリティー)や外国人への差別を禁じる条例づくりが各地で広がっている。性別や民族などの違いを超え、共生できる社会を目指す「宣言」だ。この流れをさらに押し広げたい。
 今月、東京都の国立市と世田谷区でそれぞれ条例が施行された。
 国立市の条例は「女性と男性及び多様な性の平等参画を推進する条例」。性的指向(恋愛対象の性)や性自認(自分の性をどう認識するか)による差別を禁じる。個人の事情を公表するかしないかの選択は個人の権利とし、他者が本人の意に反してアウティング(暴露)することを禁じた。
 国立市では三年前、一橋大の大学院生が同性愛者であることを同級生に暴露された後、転落死した。
 性的指向や性自認に対する偏見は命さえも奪いかねない。
 罰則はなくても行政が条例をつくり、率先して啓発に取り組む意義は大きい。
 世田谷区は「多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」。条例名に性自認や性的指向、LGBTなどの言葉はないものの、総則では性別を「生物学的な性別及び性自認並びに性的指向」と定義している。
 性的マイノリティーへの差別を禁止したり、支援を行う自治体は増えた。条例では二〇〇二年の堺市を全国初として、東京都内では多摩市と文京区が一三年に性的指向や性自認による差別を禁じる条例を制定。法的婚姻とは異なるが、同性カップルなどをパートナーとして公的に認める「パートナーシップ制度」は世田谷や渋谷両区、那覇市などで導入されている。
 条例ではないものの、大阪市や千葉市などでは自治体窓口で当事者にどう対応すべきかをまとめた手引を作成し、職員研修も進めている。自治体職員だけでなく、教師や医師など専門知識を持って働く人たちの役割は大きい。LGBTへの偏見をなくし、正しい理解の下で職責を果たしてほしい。
 五輪憲章は性的指向による差別禁止を掲げる。世界中から多様な人が訪れる二〇年の東京五輪・パラリンピックを前に、自治体の条例づくりはさらに進みそうだ。この流れに期待したい。
 一方で条例だけでは一部地域に限られ象徴的な動きにとどまりかねない。国や都道府県も差別禁止の制度化に本腰を入れる時ではないか。合理的説明のつかない区別や排除は尊厳を傷つける人権侵害にほかならない。偏見や無理解がもたらす差別は終わりにしたい。


日本の #MeToo:沈黙を破り始めた女性たち
日本ではこの2週で、モデルが著名写真家を搾取で批判し、2人の政府高官がセクハラ疑惑で辞任した。セクハラ被害者を支援する「Me Too」運動に長らく乗り気でなかったこの国で、一連の事件は議論を再燃させると共に、女性にとっての厳しい現実を明らかにした。
世間からの非難が幅をきかせる日本で、声を上げた女性が妨害されるのはそう驚く事ではない。米国務省のは昨年、日本に関する人権報告書で、職場でのセクハラが「幅広く」残っていると指摘した。短期間にこれだけの事件が発覚した今回も、加害者とされる著名人が批判され公人が辞職しただけでなく、声を上げた女性たちも反感の対象となっている。
最大の事件は、財務省の福田淳一事務次官が女性記者に性的な言葉をかけたことで辞任に追い込まれたことだ。福田氏は先週、辞意を表明したが、疑惑を報道した週刊新潮を名誉毀損(きそん)で訴えるとしている。
辞任劇の後、テレビ朝日が自社の社員が被害者だったと明かし、財務省に抗議するとの声明を発表した。
被害者に厳しい社会
この事件で最も興味深いのは、関係各所の対応だろう。財務省は事実解明のために被害者に名乗り出るよう求め、各方面から非難を浴びた。野田聖子総務相兼女性活躍担当相も、この要求は被害者に対し、加害者とされる人々に会うことを強いていると反対した。
被害者の雇用主の対応も日本の現状を如実に示している。テレビ朝日の篠塚宏取締役報道局長は、女性記者は上司から自身の体験を記事にすることを反対され、事件を週刊新潮に持ち込んだと説明した。
篠塚氏は「社員からセクハラの情報があったにも関わらず、適切な対応ができなかったことに関しては深く反省しております」と述べ、被害者の感情が第一の懸念だと話した。
福田氏の辞任発表に先立ち、日本新聞労働組合連合(新聞労連)は声明を発表した。
声明では、多くの女性記者が「屈辱的で悔しい思いをしながら、声を上げられず我慢を強いられてきた」と強調し、「記者が取材先からセクハラ被害を受けたと訴え出た場合、会社は記者の人権や働く環境を守るため、速やかに毅然とした態度をとるべきだ」としている。
一方で、被害者の女性記者はソーシャルメディアや著名人から大きな反感を買った。多くは、彼女が取材の録音を週刊新潮に渡したことについてだ。
著名なコメディアンの松本人志氏は22日、テレビ朝日が女性記者に対する福田元次官のセクハラを知っていたなら、なぜこの記者に取材を続けさせたのかと疑問を投げかけた。
松本氏は、もしテレビ朝日が女性記者の意思に反して「そこ(福田氏の取材)に行かせたんだったら、これはパワハラじゃないのか」と指摘した一方、テレビ朝日がパワハラと認めないなら、女性記者が1年半もの間、自らの意志で取材してきたことになり、「そうなったらなったで、これはハニトラじゃないのか」とも語った。
写真家と「ミューズ」
テレビ朝日の女性記者が声を上げる少し前、ダンサーのKaoRiさんが、日本の写真界を震撼させた。
KaoRiさんはブログで、日本で最も著名な写真家の一人、荒木経惟氏のモデルをしていた時期の体験をつづり、荒木氏から経済的・芸術的に搾取されていたと告白した。
荒木氏はポルノとアートの狭間を突く作風で知られる。裸はもちろん、女性が緊縛され、空中に吊り上げられている写真が有名だ。女性蔑視や性差別といった批判も浴びてきた一方、本人はそれを単なる解釈だと切り捨ててきた。KaoRiさんは荒木氏の「ミューズ」として、こうした作品の被写体となってきた。
KaoRiさんは2016年に荒木氏との仕事を辞めているが、昨今の「Me Too」運動がミューズ時代の経験を話す勇気をくれたという。
ブログによると、荒木氏はKaoRiさんと契約書を交わさず、撮影報酬がないこともあった。部外者の前で過激な写真を撮られた一方、ヌード写真は彼女の許可なく使用された。
そして写真の商用利用を止めてほしいと訴えたところ、KaoRiさんは一方的に切り捨てられたという。ミューズとしての経験は、彼女の心身に多大な傷を残した。
BBCの取材でKaoRiさんは、ブログの発表後に荒木氏と話をしたものの、彼女の訴えは全て退けられたと語った。
KaoRiさんは荒木氏に性的な不正行為を受けたとは言っていない。しかし一連の疑惑は、アーティストと「ミューズ」という関係、そしてアートであれば同意の有無を左右できるという考えに対する疑問を投げ掛けてくる。
荒木氏に対しては、別のモデルもフェイスブックで被害を訴えている。彼女はBBCの取材に対し、撮影後に突然、荒木氏に体を触られたと説明。この一件を経てパニック障害に陥り、療養のために日本を離れていたと語った。
撮影現場には雑誌編集者も含め多くの目撃者がいたが、荒木氏を止めに入ってくれた人はいなかったという。
彼女は日本のアート業界や出版業界に対する強い不信感を語った一方、フェイスブックに投稿したことで応援の声ももらったと話した。
「同じ状況にある女性たちから沢山、メッセージが来ました」
荒木氏はこれらの疑惑について、公の場でコメントしていない。BBCの取材にも返答はなかった。
「NO」と言わない社会
KaoRiさんもこのモデルも、メディアで大きく取り上げられたり、訴えに対する世間からの支持を得ていない。
人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長の伊藤和子弁護士は、日本の性的搾取に関する法律は他の先進国に比べ極めて遅れていると指摘する。2017年6月、110年ぶりに強制性交等罪が改定されたものの、問題はもっと深いところにあるという。
「性犯罪や人権に関する法律の整備がされていない現状と、我慢を強いる文化が、若い女性の立場を危うくしています」
伊藤弁護士はBBCに対し、「日本人が『NO』と言わない教育を受けてきた」ことも、自分が危機的な状況になっても拒否できない背景にあると説明した。
「必要なのは女性たちが横のつながりを持つこと。一人ではなくみんなで声を上げることが大事です」
伊藤弁護士は、自らへの性暴力被害を訴えたジャーナリスト、伊藤詩織さんの国連本部での記者会見にも同行している。
詩織さんは仕事上の知人から強姦されたと顔と名前を出して話した最初の日本人だ。しかし彼女の場合もやはり、男性だけでなく女性からもその声は無視された。
BBCの取材に対し詩織さんは、メディアを通して自分の体験を語ろうとしたが上手くいかず、個人として声を上げるしかなかったと話した。
「私には、(性暴力よりも)その後の展開の方がショックでした。本当に絶望的になりました。自分はこんな社会で暮らしているんだと、それまで気づいていなかったので」
詩織さんはそれでも、社会は少しずつ変化していると前向きさを崩さない。被害者を支援して、手を差し伸べるようにすれば、被害者が次の一歩を踏み出せるようになると語った。
KaoRiさんの告白にいち早く賛同した女優の水原希子さんにも、その勇気に称賛の声が上がった。
水原さんはインスタグラム上に「(KaoRiさんが)長い間どれ程苦しかったか、想像するだけでも心が痛みます。勇気をもってこの話をシェアして下さった事に感謝します」と投稿した。
「モデルは物じゃない。性の道具じゃない。みんな同じ人間。心を交わし合う事を忘れてはいけない」
(取材: 白石早樹子、加藤祐子 BBC)(英語記事 #MeToo Japan: What happened when women broke their silence


[次官辞任 処分なし]麻生氏はけじめ付けよ
 問題が発覚した当初から、やること成すこと、すべてがちぐはぐである。政治家の責任意識や官僚の職業倫理は一体、どこへいってしまったのか。
 政府は24日の閣議で、セクハラ疑惑が報じられた福田淳一財務事務次官の辞任を正式に決めた。
 財務省のセクハラ調査も終わっていないのに、何の処分も謝罪もないまま、疑惑の当事者の辞職を認めてしまったのである。
 テレビ朝日は女性記者が取材の過程で福田氏から度重なるセクハラ被害を受けたことを記者会見で明らかにし、財務省に文書で抗議している。 公表された音声データを聞く限り、セクハラ発言があったことは明らかだ。
 しかし、福田氏は、辞任を表明した18日の会見でもセクハラを認めなかった。辞職を表明したのは「次官の職責を果たせなくなった」からである。
 辞任は当然だとしても、このような形で辞任を認めるのは納得できない。内部調査の対象になっているのだから、辞職願いを凍結し、「官房付」の人事を発令して真相究明を急ぐべきであった。
 閣議後の会見で麻生太郎財務相は、セクハラ疑惑について「はめられて訴えられているんじゃないか、との意見もある」と発言をした。
 一体、何の根拠があってそこまで言うのか。
 根拠もなく語ったとすれば、これは第2のセクハラであり人権侵害である。大臣としての資格を著しく欠いており、辞職すべきだ。
■    ■
 麻生財務相だけではない。
 自民党の下村博文元文部科学相は、女性社員の行動を「ある意味で犯罪だ」と講演会で批判した。
 自民党の長尾敬衆院議員は、「♯Me Too」のプラカードを掲げて抗議する野党の女性国会議員に対し、ツイッターで「セクハラとは縁遠い方々」だとやゆした。
 二人とも批判を受けて陳謝し謝罪しているが、軽率な発言で済まされる話ではない。
 麻生財務相であれ下村元文科相であれ長尾議員であれ、そのような失言が相次ぐということは、「セクハラは許されない」という価値規範が世間の常識よりも低いことを物語る。
 財務省は顧問弁護士の事務所に調査を委託し、女性記者に協力を求めた。要するに、弁護士に名乗り出てほしい、というのである。
 セクハラ被害者をどう喝するような無神経極まる発想である。
■    ■
 世界経済フォーラムが昨年11月、発表した男女格差の国別ランク(2017年)で、日本は144カ国中114位だった。
 日本は、「女性活躍」を政策に掲げながら、意思決定の場に女性は少ない。非正規雇用が多く、男女の賃金格差も大きい。
 こうして生じた男女格差は男女の上下関係を固定し、多くの場合、この力関係の下でセクハラが生じる。
 今回、セクハラ被害が認められなければ、日本は世界から「セクハラ社会」だと見なされるに違いない。 


財務次官辞職 認識違いも甚だしい
 耳を疑う発言である。福田淳一財務次官のセクハラ疑惑をめぐり麻生太郎財務相が、はめられたとの意見がある、などと擁護した。被害を受けた女性を加害者扱いする暴言だ。認識違いも甚だしい。
 これが安倍政権の共通認識なのだろうか。麻生財務相がきのう閣議後の記者会見で、辞職した福田氏のセクハラ疑惑に関連して「はめられ訴えられているんじゃないかとか、いろいろなご意見は世の中いっぱいある」と述べた。
 被害女性の人権を侵害しかねない内容だ。確たる根拠はあるのか。首相を経験し、今は副総理の地位にもある財務相が公式の場で根拠なく発言したのなら、その責任は重大である。
 そもそも麻生氏は、福田氏の監督責任を問われる立場だ。社員が福田氏から度重なるセクハラ被害を受けたとするテレビ朝日の抗議を受けて、まずは事実を確認し、厳正に対処すべきではないか。
 にもかかわらず自省の顧問を務める法律事務所に調査を委託し、被害女性に名乗り出ろと呼び掛ける手法で、公平さが保てるのか。
 退職金の支払いは留保したが、福田氏をとがめることなく、処分前に辞職を認めたことは、身内に甘いと批判されて当然だ。
 被害を訴える側をおとしめようとするのは、麻生氏に限らない。
 自民党の下村博文元文部科学相は二十二日の講演で、テレビ朝日社員が音声データを週刊新潮に提供したことを「はめられている」「ある意味犯罪だ」などと発言。
 同党の長尾敬衆院議員はセクハラ撲滅を訴える野党の女性議員らの写真とともに「私にとって、セクハラとは縁遠い方々」との文章を自身のツイッターに投稿した。
 いずれも撤回し、謝罪したが、セクハラ被害の重大性を認識していないのではないか。国会議員として行政監視の役割を果たしているとは到底、言えない。
 安倍晋三首相は、財務次官のセクハラ疑惑や自衛隊の日報隠し、森友・加計両学園の問題を念頭に「徹底的に調査し、全容を明らかにしてうみを出し切って組織を立て直す決意だ」と述べた。
 しかし、安倍首相が言葉通りにやりきれるかどうか、国民の目は厳しい。報道各社の世論調査で内閣支持率が軒並み続落していることがそれを示している。
 政府・与党はいずれの問題も、事実認定や処分、責任を曖昧にしたまま、国会審議を進めようとしている。そのような態度が続く限り、国民の信頼回復は望めない。


財務省は戦々恐々…矢野官房長に囁かれる“次のセクハラ”
 アノ人で本当に大丈夫なのか――。
 事務次官、国税庁長官と次官級ポストの辞任が相次ぎガタガタの財務省内で、新たな不安の声が広がっている。その理由が驚きだ。福田次官の後任として「次官代行」に就く矢野康治官房長の人事である。しかも「セクハラ言動が飛び出すのではないか」というから穏やかじゃない。
 矢野官房長といえば18日の衆院予算委で、財務省が福田次官のセクハラ疑惑で被害女性の記者に名乗り出るよう求めていることを憤る野党議員に対し、「(名乗り出ることが)そんなに苦痛なことなのか」と逆ギレ。時折、質問者を小バカにするようなふてぶてしい態度と、そのメガネ姿から「リトル佐川」と呼ばれている。セクハラの認識が低いとの指摘には「私は相当高いと思います」と断言していただけに「セクハラ言動」が懸念されているなんて、にわかに信じがたい話だ。
 矢野官房長と一緒に飲んだ女性記者がこう言う。
「酔っぱらって体に寄りかかってくることはしばしば。『奥さんが怖い』なんて言いながら、ベロベロになった姿も見ていますね。ただ、それをセクハラと捉えるかどうか。ちなみに、ショパンの曲をピアノで弾かせるとうまいですよ」
 安倍首相と同じ山口県出身。一橋大経済学部を卒業し、1985年に入省。主税局総務課長や審議官など主税畑を歩んできた。
「ざわつく省内で矢野さんが強気でいられるのは、菅官房長官の存在が大きい。第2次安倍内閣で官房長官秘書官を務めていましたからね。東大卒ばかりの“最強官庁”で、一橋大卒の矢野さんが次官候補まで上り詰めたのは、菅さんの覚えがめでたかったからだともっぱらです」(財務省担当記者)
■家庭では2人の娘の父親
 2005年には「決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために―」(東信堂)を上梓。日本の財政を分析した内容で、<あとがき>では財政赤字を先送りする日本の将来をこう憂えている。
<私には2人の娘がいますが、その無邪気な寝顔を見ていると、時折りなんともいえない申し訳ないような思いに駆られます。(中略)これから有権者になる平成生まれの若者たちや、これから生まれてくる未来の日本人たちに、彼ら/彼女らが胸を張って祖国を語れるような恥ずかしくないきちんとした国を引き継いでいきたい>
 娘が2人もいるのであれば、福田次官のセクハラ被害に遭った女性記者の深刻な訴えは届くはず。くれぐれも間違いがないことを祈るばかりだ。


財務次官辞任 セクハラの認識甘すぎる
 事の重大さをどこまで理解しているのか。疑惑解明が中途半端なまま、逃げ切りを図ることは許されない。
 政府は24日、セクハラ疑惑を報じられた福田淳一財務事務次官の辞任を認め、野党が求めていた懲戒処分を見送った。
 福田氏の辞任を巡っては、規定により財務省を退職した時点で懲戒処分の対象から外れることから、野党は辞任前の処分を強く求めていた。
 問題となっていたのは、財務省を取材する女性記者に福田氏がセクハラと受け取られる言動を繰り返していたとされる疑惑だ。被害者からの告発を受け、週刊新潮が報じた。
 その後、テレビ朝日が、被害を受けた社員が、録音データを週刊新潮に提供したことを公表した。福田氏は一貫して疑惑を否定している。
 とはいえ、疑惑は財務省の事務方トップに関わるものだ。
 やむにやまれず告発に踏み切った被害者の心情を思えば、政府は厳格な調査で事実を明らかにし、処分を確定させることを何より優先すべきだったろう。
 疑惑を巡る一連の動きの中で明らかになったのは、財務省や政権のセクハラに対する認識の甘さである。
 被害者に名乗り出るよう求めるなど人権意識を疑わせるような対応は、身内の与党幹部からも「社会常識がない」などと批判を浴びた。
 セクハラは、立場の強い者が弱い者の人権を踏みにじる卑劣な行為だ。
 疑惑を否定する福田氏の言い分に沿ったかのような措置に、「セクハラを助長する」と危惧する声も上がっている。もっともな指摘だ。
 告発した女性に問題があるかのような言動が、政府与党で相次いでいることも深刻だ。
 下村博文元文部科学相が、福田氏の発言を録音し週刊誌に渡した被害者の行為を「ある意味で犯罪」と非難し、24日には麻生太郎財務相が「(福田氏は)はめられたとの意見もある」と述べ、波紋を広げた。
 麻生氏は、これまでも事実解明の責任を被害者に転嫁し、福田氏をかばうような発言を繰り返してきた。その言動は理解しがたい。
 23日には、佐川宣寿前国税庁長官が大阪地検特捜部の聴取に、森友学園への国有地売却を巡る決裁文書改ざんに関与したことを認めたことが分かった。
 財務省の次官級2人が疑惑の渦中で辞任する事態が続き、野党は麻生氏の辞任を強く求めて国会審議を拒否している。
 だが、政府与党に麻生氏の責任を問う声は目立たず、麻生氏は続投の構えを崩していない。
 自らの足元で起きた不祥事が政治の機能不全を招いた責任感が、全く感じられない。財務省トップとしての適格性を疑わざるを得ない。
 疑惑にふたをするような姿勢を続けている限り、本人の言う「原因究明」も「再発防止」も到底、望めまい。麻生氏は責任を自覚し、潔く退くべきだ。


セクハラ疑惑 麻生氏止まらぬ擁護 女性活躍ポーズだけ?
「1対1でも密室でも、しないのは基本中の基本」の批判も
 セクハラ疑惑で24日に財務事務次官を辞めた福田淳一氏を擁護する麻生太郎財務相の発言が止まらない。麻生氏は同日の記者会見でも「はめられたとの意見もある」などと述べた。被害女性の方が悪い−−とも言いたげな姿勢は、政府が成長戦略の柱とする「女性活躍」を真っ向から否定するものだとの声が出ている。【中村かさね、中川聡子】
 政府や与党内からも批判が出ている麻生氏の発言や財務省の対応に、コラムニストの小田嶋隆さんは「男女2人きりならセクハラをしてもいいのか。加害者に責任があるのは当然で、まともな人間なら1対1でも密室でもセクハラをしないのは基本中の基本だ」とあきれている。
 週刊新潮によると麻生氏は12日、自派のパーティー後の懇親の場で「(セクハラが嫌なら)次官担当を男性記者に代えればいい」と語ったという。これについて麻生氏の事務所は毎日新聞の取材に「記録がなく確認できない」と回答した。事実なら女性差別発言で、政権の掲げる「女性活躍」とも矛盾する。
 小田嶋さんは言う。「いろんな場所でいろんな仕事をする女性がいる。セクハラが発生するから女性を使うな、という発想は時代錯誤も甚だしく、女性活躍の場を狭める。セクハラのない世の中にしよう、というのが普通の発想だ」
 上智大の三浦まり教授(政治学)は「麻生氏は次官や大臣のポストを男性のものと思い込んでいるのだろう。女性記者の排除は論外だ」と批判する。
    ◇
 今回の疑惑をきっかけに、女性記者の取材活動を制限すべきだとの発言も出ている。
 経団連の榊原定征会長は23日、記者会見で「異性と1対1ではさまざまな誤解を生む。取材で夜でもお酒の場でも行くのはどうか。マスコミ側にも規律や規範があってもよい」と語った。19日には千葉市の熊谷俊人市長がフェイスブックに「(報道機関は)女性記者を使って情報を引き出す取材態勢について総括すべきだ」と投稿した。
 ジャーナリストの青木理さんは「本末転倒だ」と反論する。「守秘義務もある当局者から情報を取るために、記者はあらゆる機会を捉えて接触を試み、公式発表を超えた情報が世の中に伝えられる」と取材規制が強まることを心配している。
 「異性と1対1の夜の会食」の否定は、記者職のみならず、営業職や外交員の女性も縛りかねない。性被害に詳しい斉藤秀樹弁護士は「痴漢にあった女性を『夜道を1人で歩くのが悪い』と非難する理屈と同じ。責任を被害者に転嫁している」と指摘。「女性がセクハラを受けることを前提に、男性との関わりを抑制すべきだという議論が広がれば、女性の社会進出は遅れる」と懸念する。
 「男女雇用機会均等法上も問題がある」と言うのは労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員だ。同法は労働者の配置で性別による差別を禁じる。「大臣や経団連自ら民間企業に法律違反をそそのかすのか」と憤る。


品性欠ける麻生財務相「お前、NHK? 見かけない顔だな」福田擁護質問され悪態
財務省の福田淳一事務次官の辞任が24日(2018年4月)の閣議で承認され、当面、矢野康治官房長が代行するという。いわば逃げ切りだが、閣議後の麻生太郎財務相の発言が火に油を注いだ。
司会の羽鳥慎一が「エッ!?」と驚いたのは、「(福田前次官は)はめられて、訴えるんじゃないかと、いろいろご意見がいっぱいありますので」と、被害者を加害者扱いにしたような発言だ。また、記者から「裁判の結果が出ないと処分できないんでしょうか」と質問されると、「本人が裁判で争うとなれば、財務省として処分を判断するのは難しいでしょうね。俺に聞いたってダメだって言ってんだろ!」
さらに、「いったん官房付にして処分後に辞任を認めるという意見が出ていますが」と質問されると、「給料は誰が払うの? 野党は税金で払うべきだと言っているの? もう少し常識的なことを聞けば? 朝日新聞なら」
しかし、朝日新聞の記者から「さっき(質問した)のはNHKです」と訂正されると、「お前、NHK? 見かけない顔だな」と、もうヤクザのような口ぶりだ。
公の場で部下呼び捨て、俺、お前・・・滑稽な親分肌気取り
ゲストの元財務官僚の山口真由氏はあきれ顔で「なんでこんなことをこの場で言うんだろうなという感じですよね。親分肌とかいうことで許される言動じゃないんじゃないですかね」
浜田敬子(「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長)「記者を見下したように、公式の場で、俺とかお前とか、大臣の言葉としてふさわしくないですよ。品性に欠けています。テレビ朝日から抗議を受けている立場なのに、真摯に受け止めて調査をしておりますという発言を、(麻生財務相から)1度も聞いたことがありません」
さらに、下村博文元文部科学相は講演で「テレビ局の人が隠して録っておいて週刊誌に売ること自体、はめられていますよ。ある意味犯罪だと思う」と、テレビ朝日記者を犯罪者扱いだ。
山口氏「ここまで被害者を中傷するのは、どう考えてもアウトだなと思います」
浜田「なぜセクハラの被害者が声を上げにくいのか、こういうことがあるからなんですよ」


国会の混乱 不信の解消が最優先だ
 国会はきのう衆院本会議で民法改正案などの趣旨説明と質疑を行った。福田淳一前財務次官のセクハラ疑惑や加計(かけ)学園問題で野党が欠席する中、与党側が強行した。
 野党側は麻生太郎副総理兼財務相の辞任や、柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問を求めている。
 国会混乱の最大の原因は、そんな要求を歯牙にもかけない政府・与党のかたくなな姿勢にある。
 安倍晋三首相が掲げる働き方改革法案の成立のため、審議を急ぐ動きもある。強引な運営が続けば国民との距離は広がる。国会は不信の解消を最優先すべきだ。
 政府はきのうの閣議で、福田氏の辞任を承認した。
 麻生氏は、福田氏の5300万円の退職金について「懲戒処分に相当すると判断された場合は相当額を差し引く」と説明。当面は支払いを留保すると述べた。国民の反発を避ける狙いだろう。
 ただ麻生氏は自らの進退については「考えていない」という。
 森友学園問題では佐川宣寿前国税庁長官が辞任し、大阪地検の任意聴取を受けた。事務方トップ2人が不在となる異常事態である。
 セクハラ問題では、被害者に名乗り出るよう求める非常識な対応で麻生氏自身が傷口を広げた。
 「はめられ訴えられているんじゃないかとか、意見はある」と被害者の立場を否定する口ぶりである。進退が問われるのも当然だ。
 柳瀬氏は加計学園問題で、官邸を訪れた愛媛県職員に対し「首相案件」と述べたと記した県作成の文書が明るみに出たにもかかわらず、面会の事実すら認めない。
 農林水産省でも同様の文書が見つかり、内閣府が文科省に面会を伝えたメールも公表された。
 与党は参考人招致で済ませようとしているが、事実と異なる証言が偽証罪に問われる喚問にはなぜ応じないのか、理解に苦しむ。
 課題はまだある。防衛省では陸自海外派遣の日報隠蔽(いんぺい)疑惑に加えて、幹部自衛官が野党議員に暴言を吐き、文民統制が危ぶまれる。
 なのに究明が進まないのは、野党が数の上で劣勢にあり、国会の主導権を握れないのも一因だ。
 審議への出席を拒んで譲歩を引き出すのは、限られた手段の一つである。ただ、与党の集中審議などの提案を単純に拒み続けるだけでは、国民には伝わりにくい。
 集中審議で追及しつつ、麻生氏の辞任や柳瀬氏の喚問をさらに求める方法もあろう。野党は国会戦術に拘泥せず、国民の疑問に答える最善の道を探ってほしい。


どうなってる沈黙の政権
 ★自民党は小物から大物まで、今まで許されていた軽口も通用しなくなっている。結局政治家は社会の動きをリードしていると勘違いしているが、実は社会の動きや変化についていけず国民の機微が分からないということだろう。形は違えど世界的に広がる「MeToo」運動も理解できないだろう。確かこの政権は「女性活躍」を政策の軸に据えていたはずだが政権からのメッセージもない。 ★民進党参院議員・小西洋之に国会近くの路上で「お前は国民の敵だ」などと罵声を浴びせた統合幕僚監部指揮通信システム部に所属する30代の3等空佐に対して防衛省統合幕僚長・河野克俊は、議員や国民に謝罪した上で「いかなる理由があろうとも国会議員に対してあのような暴言を吐くことは許されない。自衛隊として組織として絶対許さない」とするものの、政治家など文民が軍事力を統制することが原則の「シビリアンコントロールが崩れているとは思っていない」とした。 ★財務省事務次官・福田淳一のセクハラ発言辞任や一連の財務省幹部たちのセカンドセクハラとも思える人権意識のなさや同省顧問弁護士に「被害者」が名乗り出なければセクハラはなかったことになるという理屈の副総理兼財務相・麻生太郎の物言いはすべてにおいて勘違いだ。 ★シビリアンコントロールが崩れているか否かは幕僚長がジャッジすることではない。幕僚長の仕事は事案の3等空佐の即座の懲戒免職だが、いまだに「調査中」とのらりくらりだ。河野が決めないなら防衛相・小野寺五典は幕僚長を解任・更迭、小野寺も辞任すべきだ。財務省に至っては福田の辞表を受理したことも間違いといえるが、身内の判断で事態を収拾しようとするオレ様官庁の低レベルにあきれるとともに、内閣が黙っていることに怒りを禁じえない。

国会混迷 正常化へ着地点を探れ
 国会は、政府の一連の不祥事への対応を巡って混迷を深めている。立憲民主党など野党6党は加計(かけ)学園問題に関する柳瀬唯夫元首相秘書官らの証人喚問や福田淳一前財務事務次官のセクハラ疑惑での麻生太郎財務相の辞任を求めて審議拒否を続ける一方で、与党は要求拒否の姿勢を崩していない。24日の衆院本会議も野党は欠席、打開のめどは立っていない。
 学校法人・加計学園の獣医学部新設を巡っては、2015年、官邸を訪れた愛媛県の職員らに柳瀬氏が「本件は首相案件」と発言したとする文書が見つかり、文部科学省では柳瀬氏と県職員らとの面会予定を知らせた内閣府からのメールも出てきている。一方の柳瀬氏は「記憶する限りでは会っていない」と正反対の発言をしている。
 安倍晋三首相の「学園の新設計画を初めて知ったのは17年1月」とする答弁にも影響する問題である。柳瀬氏は昨年の国会に参考人として呼ばれているが、新たな事実が明るみに出た以上は、正当な理由のない証言拒否や虚偽証言が刑罰の対象となる証人喚問は避けられない状況にあるのではないか。
 福田氏のセクハラ疑惑では福田氏は辞職したものの、疑惑については全面否定したままである。政府は麻生氏の辞任は不要だとの認識で、菅義偉官房長官は「財務省の陣頭に立って信頼回復に努めてほしい」と話している。
 しかしセクハラへの認識の甘さ、福田氏を処分しないままに辞任させたことを含めて麻生氏の政治、監督責任は重大である。財務省も身内の顧問弁護士ではなく、中立的な第三者に調査を委託し、説明責任を果たすとともに真相を解明することが求められる。
 安倍首相は「徹底的に調査し、うみを出し切る」「丁寧に説明責任を果たす」と述べているほか、自民党の森山裕国対委員長は「国民の関心が非常に高い。審議なくして問題解明はない」と野党の審議拒否を批判。これに対して立憲民主党の辻元清美国対委員長は「徹底的に議論をしたいが、うみにふたをするような条件を出して、『はい、審議しなさい』とはいかない」と正当性を主張し、双方歩み寄る気配はない。
 身内をかばう、丁寧さに欠けた説明など一連の不祥事への政府の対応は目を覆うばかりだ。必要であれば証人喚問を行う。けじめをつけるべきところはしっかりとつける。まだ隠しているものがあれば明らかにする。政府与党に求められているのは極めて当たり前のことである。
 与党はきょう25日も、野党不在でも参院本会議などを開き審議を進める方針だ。このまま審議を強行すれば世論からの強い反発が予想される。与野党ともに、どうすれば真相を解明できるか、国会を正常化できるかについて早急に着地点を見いださなくてはならない。


外国人就労資格  実習制度見直しが必要
 政府が日本で働く外国人の新たな在留資格制度を検討している。
 最長5年間の技能実習制度の修了者で一定の条件をクリアした人に、さらに最長5年間、就労を認める方向だ。合わせて10年間働けることになる。
 安倍晋三首相が経済財政諮問会議で検討を指示し、内閣官房の検討部会で議論が進められている。
 人手不足が深刻化していることが背景にある。
 だが、技能実習制度は低賃金や劣悪な労働環境などの問題を度々引き起こしている。この制度を前提にしていいのだろうか。
 実習制度の検証や抜本的見直しが必要ではないか。
 日本で働く外国人労働者は昨年10月時点で、過去最高の128万人に上る。このうち約26万人が技能実習生だ。
 技能実習制度は、技術や知識の習得を通じた国際貢献が本来の目的で、実習後は帰国することが前提になっている。
 実際に、工業や食品加工などの分野で技術を取得して、自国で活躍している人も少なくない。
 しかし、地方の農業や紡績などの産業分野では、実習生が安価な労働力となっている実態もある。雇用者側からは、実習生が継続して就労できるようにとの要望が上がっている。
 こうした中で長時間労働や労災隠し、パスポートの取り上げといった違法な処遇が問題になってきた。
 昨年11月には、制度の不正運用に監視を強める適正化法が施行された。受け入れ事業所などには実習計画の作成などを義務づけ、人権侵害には罰則も設けた。
 一方で、実習の期間を3年から5年に延長し、対象職種を拡大して介護職などを追加した。
 この上、新たな制度を追加するなら、適正化法施行後の実態調査や検証を、まず行う必要がある。
 日本は単純労働を目的とした外国人の受け入れを公式には認めていない。安倍首相も「移民政策をとる考えはない」と明言している。
 建前と実態があまりにもかけ離れていることに問題の原因がある。海外の人権監視団体からも厳しい視線が注がれている。
 技能実習制度と同様、新しい制度でも家族の入国は認めない方針だ。「働きたいなら、家族とさらに5年離れて」。そんな制度に問題はないだろうか。
 多くの外国人が働くことを前提とした社会システムの整備を急がねばならない。


仕切り直して議論尽くせ/放送改革
 政府の規制改革推進会議が公表した放送改革の検討課題は、番組の政治的公平を定めた放送法4条の撤廃をはじめ、政府の内部文書で打ち出していた大胆な改革方針がほとんど盛り込まれなかった。
 森友、加計学園問題などで安倍政権が揺らぐ中、民放の強い反発に遭い、改革方針を事実上撤回した形だ。
 内部文書によると(1)通信と放送の制度を一本化し、放送だけに課せられた放送法4条などの規制を撤廃する(2)放送局のソフト(番組制作)、ハード(伝送設備)部門の分離を徹底する(3)NHKのみ規制を維持し、インターネットによる放送番組の同時配信を認める−ことで、新規参入と競争を促す方針だった。
 この改革が実現した場合、NHK以外の放送は不要になり、民放がネットに移行すれば、空いた放送用電波をオークションで新たに割り当てる、と明記していた。
 放送法4条については、権力による番組介入の口実に使われてきた歴史があり、放送関係者からも廃止論が出ていた。しかし、政治的公平にとどまらず、報道の真実性や公序良俗も定めた4条をなくせば、偏った番組やフェイクニュース、過激な性・暴力表現などが放送に登場する恐れもある。4条撤廃が視聴者のためになるのかどうか、政府も業界も仕切り直しによる慎重な吟味が必要だ。
 改革方針は、ネット動画配信事業者も、在京キー局や地方局も、制度的には同等に扱い、将来、民放から電波を取り上げる方向を示した。いま家庭にあるテレビが、NHKしか映らなくなるのだとしたら、あまりに乱暴だろう。
 受信料に支えられ、全国にあまねく番組を届けるNHK。広告収入で成り立ち、原則として都道府県を単位とする、より自由な民放。両者が競合し、互いに補完してこそ、視聴者に多様な情報を提供できるはずだ。
 民放も時には商売抜きで、民主主義に不可欠な基本的情報や娯楽を地域に届けているのだ。一定の規制を残すことで、こうした公共的メディアを存続させるか。それとも、規制を撤廃して、市場競争に任せるか。あるいは、番組のネット同時配信を容認してNHKを強化するのか、民放とのバランスを考え、むしろ縮小するのか。通信と放送が融合する時代のメディアはどうあるべきかを、幅広く議論しなければならない。

センセキ・図を考える/土地買い取り書類届く

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Au Japon, le calvaire des étrangers sans papiers
Yuta Yagishita ,
Quelque 1 300 étrangers en situation irrégulière sont détenus au Japon, dans des conditions déplorables.
Plusieurs d’entre eux se sont mis en grève de la faim après le suicide de l’un des leurs, il y a dix jours.

De notre correspondant
Devant la façade du centre de rétention de l’Office japonaise de l’immigration, dans l’est de Tokyo, Mehriban Dursun embrasse quelques amis venus la féliciter de sa mise en liberté. Ce jour restera gravé dans la mémoire de la jeune femme kurde, de nationalité turque, âgée de 22 ans. Elle voit enfin le bout du tunnel après quatre mois de rétention. ≪ C’était long, trop long. J’ai pleuré de plaisir quand j’ai su que je pourrais sortir ≫, raconte celle qui s’exprime dans un japonais impeccable.
Arrivée sur le sol nippon il y a dix-sept ans, alors qu’elle était enfant, pour fuir la répression exercée par Ankara sur sa communauté, Mehriban Dursun ne possède toujours pas de passeport japonais, ni de visa. Il y a quelque temps, sa demande d’asile a été rejetée par les autorités japonaises. Celles-ci l’ont malgré tout libérée, dans le cadre de la mise en liberté provisoire, un dispositif permettant aux étrangers sans papiers de sortir du centre pour une durée d’un mois ou deux. S’ils veulent la renouveler, il faut respecter certaines conditions comme l’interdiction de travailler, faute de quoi ces étrangers en situation irrégulière sont aussitôt renvoyés dans un des établissements.
1 300 étrangers en situation irrégulière
Au Japon, l’Office de l’immigration détient actuellement plus de 1 300 étrangers ne disposant pas de papiers en règle, y compris des demandeurs d’asile comme Meriban Dursun, dans le but de les renvoyer dans leurs pays d’origine. ≪ Ces centres, c’est comme des prisons ≫, s’insurge Asahi Oda, militante engagée pour la défense des droits des Kurdes au Japon. Et d’énumérer les manquements élémentaires au droit à la personne relevés dans plusieurs établissements : repas servis alors que la nourriture est en partie avariée, comportements agressifs de certains surveillants, notamment.
Mais ce qui scandalise le plus les travailleurs humanitaires au Japon, c’est le retard systématique constaté dans l’accès aux soins médicaux pour les étrangers en situation irrégulière. ≪ Lorsqu’un détenu se plaint d’être souffrant d’une façon soudaine, les surveillants attendent deux semaines pour vérifier s’il est vraiment malade, car ils considèrent d’abord que c’est du mensonge, explique Takeshi Ohashi, avocat qui défend les droits des demandeurs d’asile. Pour cela, ils le mettent dans une cellule individuelle de 3,5 mètres carrés. Et si le détenu est encore malade deux semaines plus tard, ils l’amènent chez le médecin. ≫ La conséquence de cette ≪ vérification ≫ peut être fatale. Depuis 2014, au moins quatre personnes sont décédées dans les centres, selon l’avocat.
Un suicide et 70 grèves de la faim
Le suicide, le 13 avril dernier, d’un ressortissant indien d’une trentaine d’années dans le centre de détention d’Ushiku, au nord-est de Tokyo, provoque un émoi particulier dans le pays, d’autant que 70 de ses codétenus se sont déclarés en grève de la faim, selon un responsable de l’établissement. Ce mouvement de protestation s’est propagé à d’autres structures similaires.
De quoi raviver la critique sur les mauvais traitements infligés dans ces centres, où le nombre de détenus est en constante augmentation : plus 45 % depuis 2013. Les autorités, en effet, multiplient la pression sur les étrangers en situation irrégulière en vue des JO de 2020.
En avril 2016, Hiroshi Inoue, ancien président de l’Office de l’immigration, avait adressé une lettre aux responsables des centres de rétention. ≪ Pour réaliser une société sûre ≫ afin de mieux accueillir les touristes à l’occasion des JO, il est important de ≪ réduire massivement le nombre des étrangers effectuant un séjour illégal qui pourraient troubler la sécurité du pays ≫.
L’Office, pour sa part, ne fournit toujours pas d’informations précises sur les conditions d’obtention ou d’annulation de la mise en liberté provisoire. Cette opacité pèse lourd, elle aussi, sur la santé psychologique des détenus, qui ignorent leur durée de rétention. ≪ Je vois des gens devenus complètement fous. J’ai peur de devenir comme eux un jour ≫, confiait Mehriban Dursun lorsqu’elle était encore détenue.
Seulement 20 demandes d’asile accordées en 2017
Les militants et associations, qui réclament de longue date une réforme du système japonais de détention des migrants, critiquent aussi les règles très strictes sur la délivrance du statut de réfugié. En 2017, seulement une vingtaine de personnes ont obtenu l’asile, sur environ 20 000 demandes. Le gouvernement affirme pour sa part que la plupart des demandeurs sont des migrants économiques. Mais l’ONU et les associations estiment que le Japon impose des conditions quasi-impossibles à remplir pour les demandeurs.
フランス語
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昨日のセンセキショックですがいつまでも落ち込んでいるわけにはいきません.センセキのための図を考えました.立体的で書くのがめんどくさそうですがそのうち?頑張ろうと思います.
土地買い取り書類届いてなんだかなぁ〜という感じです.

東松島 野蒜地区にホテル建設へ
東日本大震災で被災した東松島市の野蒜地区に観光客を呼び込もうと、新たにホテルが建設されることになり、24日、地鎮祭が行われました。
ホテルが建設されるのは、東松島市野蒜ケ丘のJR東名駅からおよそ500メートル離れた高台の造成地です。
東松島市の野蒜地区には震災前、多数の宿泊施設がありましたが、津波で流されるなどして、すべて閉鎖されました。
このため、観光客を呼び込もうと、新たにホテルが建設されることになり、24日、関係者などおよそ30人が出席して地鎮祭が行われました。
このホテルは、東松島市内のガスの販売などを行っている会社が運営し、地上2建てで、およそ30の客室や多目的ホールなども設けられるということです。
工事はことし6月に始まる予定で、来年春の営業開始を目指しているということです。
ホテルの運営を行う会社の菅原平勝社長は「震災によって失われた沿岸部の交流人口を活性化させるような建物にしたい」と話していました。


<こいのぼり>春風に乗る 800匹に復興を願う 白石
 白石市小原の材木岩公園で、東日本大震災からの復興を願って全国から寄せられたこいのぼり約800匹が白石川の上を元気に泳いでいる。5月12日まで。
 30日の「春の検断屋敷まつり」に合わせ、地元住民による実行委員会が企画。国天然記念物「材木岩」近くの川岸に約100メートルのワイヤを渡して8列にこいのぼりを掲げ、園内にも取り付けた。
 来場者は桜の散る中、こいのぼりの大群が豪快にはためく眺めを楽しんだ。実行委の岩松義則会長(76)は「震災から7年すぎたが、復興への思いを込めて掲げ続けたい」と話す。
 まつりは30日午前10時半から。和太鼓演奏や紙芝居など多様なイベントを予定している。雨天中止。


鎮魂、憩い5ゾーンで構成 名取市、震災祈念公園概要示す
 名取市は23日の市議会議員協議会で、東日本大震災で被災した閖上地区に造る「震災メモリアル公園」の整備概要を明らかにした。鎮魂と伝承、人々の憩いを図る五つのゾーンで園内を構成する。今年夏に着工し、来年5月の利用開始を目指す。
 市によると、公園の整備地はゆりあげ港朝市北側の3.35ヘクタール。(1)閖上地区が見渡せる日和山(6.3メートル)を含む日和山ゾーン(2)慰霊碑がある祈りのゾーン(3)遺構と伝承ゾーン(4)海を望む丘ゾーン(5)憩いのゾーン−から成る。総事業費は約3億円。
 (2)には慰霊碑を高さ1.2メートルの土塁で囲んだ円形の広場を造成。(3)は、震災がれきを再利用した三色のブロック板で震災前の閖上地区の地形などを表現し、日和山から眺められるようにする。閖上大橋南側の五差路に架かっていた歩道橋のうち「閖上小学校前歩道橋」と書かれた部分や、旧商店街にあった「すずらん灯」5基も設置する。
 慰霊碑は工事期間中も現在地から移さず、訪問者が追悼できるよう配慮する。公園整備に合わせ、犠牲者の名前を記した現行の芳名板を石材に変え、記載を望まなかった犠牲者の遺族に改めて意向を確認する。
 山田司郎市長は「亡くなった方を慰霊し、震災の教訓を語り継ぐ場にすると同時に、新しい閖上地区の中心として人々が集う場になってほしい」と述べた。


<母たちの7年>(上)佐藤かつらさん 真実求める心癒えず
<膨らむ疑問>
 「服を買いに行きたい」
 石巻市福地の佐藤かつらさん(52)は2011年3月上旬、大川小6年だった次女みずほさん=当時(12)=に初めてせがまれた。
 普段は二つ年上の長女のお下がりが大好きな子だった。春休みに友人たちと東京ディズニーランドに行く予定がある。「夢の国」に着ていく服は特別だ。
 あの日、みずほさんの小さな願いは、命もろとも奪われた。2日後、校舎西側の山沿いで遺体で見つかった。将来の夢は通訳。4月から中学校で習う英語の授業を楽しみにしていた。
 同市河南西中の美術教諭だった佐藤さんは、4月の入学式で新入生を迎えた。みずほさんと同じ学年だ。
 「僕たちと同じ新中学生になるはずだった人たちの分まで頑張る」。新入生代表のあいさつに、立ったまま涙が止まらなかった。
 なぜ大川小だけ大勢の子どもたちの命が失われたのか−。「経験のない揺れだった。教員なら大げさなくらい最悪の事態を考えて避難するはずではないか」。疑問は膨らむ一方だった。
<教員を退職>
 6月4日、2回目の遺族説明会に出席した。市教委側は顔見知りの教員ばかり。誠心誠意、説明を尽くしてくれるとの期待は裏切られ、説明会も質疑途中で一方的に打ち切られた。
 「先生たちは組織を守ろうとする態度だった。信じられない光景がショックで、言葉を失った」。会場を去る教員らをぼうぜんと見送るしかなかった。
 中学校への行き帰りの車中で、校舎の廊下で、涙が突然あふれた。「こんな状態では授業にならない」。1学期末の退職を考えたが、同僚らに支えられ年度末まで勤めた。
 合唱コンクールや部活動に懸命な教え子らの姿に感動を覚えつつ、「みずほは、こういう素晴らしい中学校生活を味わうことができなかった」と、悔しさと悲しみが募った。
<提言に幻滅>
 13年2月に発足した第三者検証委員会にも幻滅した。生存児童らから聞き取る努力が足りないと感じ、最終報告書に盛り込まれた24の提言は「大川小を踏まえていない」と映った。
 元中学教諭で夫の敏郎さん(54)や他の遺族と共に独自に検証を進め、必死に真実を求めてきた心がまた折れた。
 「裁判しかないのでは…」。頭をよぎったが、敏郎さんは当初から裁判は念頭になかった。「お父さんの判断でいいよ」と伝えた。
 震災から7年。「気持ちはあまり前に進めてないのかな」。児童らに聞き取った証言メモを廃棄したり、説明を二転三転させたりした市教委や、踏み込み不足の検証委に「つぶされた心」は今なお癒えない。
 仙台地裁や高裁にも何度か傍聴に通った。原告遺族と「ずっと同じ気持ち」でいる。「後世の教訓となる判決が出る」。そう心から信じている。


希望の音色高らか トランペット奏者・大野さんが絆づくりコンサート
 宮城県塩釜市の伊保石災害公営住宅集会所で23日、「絆づくりコンサート」があり、世界的に知られるトランペット奏者で米ニューヨーク在住の大野俊三さんが一流の音色を披露した。
 「おぼろ月夜」や「セントルイスブルース」など約10曲を大野さんが演奏。参加した約50人は「斎太郎節」で手拍子を取ったり、「ふるさと」を一緒に歌ったりして、澄んだ切れのある音色との共演を楽しんだ。
 大野さんは東日本大震災の被災地で支援コンサートを開いてきた思いや渡米当初の苦労、奏者として致命的なけがを負った交通事故とがん治療から復活した体験談を披露した。
 南米アマゾンでスコールに遭い大きな虹を見た友人の経験を紹介し、「虹は雨が降らないと出ない。大変なことがあっても乗り越えると虹が出る」と希望を持つことの大切さを語った。


郡市長「寄付金は被災者に使う」
仙台市の郡市長は、記者会見で、22日行われた祝賀パレードの出発式で羽生結弦選手から受け取った寄付金について、「被災者の方のために有効に使わせていただく」と述べ、東日本大震災からの復興事業に活用する考えを示しました。
羽生選手は、22日、祝賀パレードの出発式で宮城県と仙台市にそれぞれ500万円ずつ、寄付金の目録を手渡しました。
これについて郡市長は、「本当に感謝している。羽生選手からは、被災地や震災復興のために使ってほしいということだったので、被災者の方のために有効に使わせていただく」と述べ、震災からの復興事業に活用する考えを示しました。
羽生選手からの寄付金をめぐっては、村井知事も23日、被災者のケアなどに活用する考えを示しています。
また、パレードに10万人以上が訪れたにも関わらず、沿道に残されていたゴミが90リットルの袋でわずか6袋分だったことについて、「羽生選手の偉業をたたえたいという方が、マナー良く集まってくれた。ファンもすごいが、ファンをそういう気持ちにさせる羽生選手もすごい」と述べました。


河北春秋
 「震災について語るのは難しい。僕に何ができたのか考えてしまう」。フィギュアスケートの羽生結弦選手(23)=仙台市出身=が2014年、ソチ五輪で金メダルを取った時の言葉だ。日本男子初の偉業なのに笑顔がないと記者会見で問われて▼東北の多くの人が東日本大震災で運命、境遇を変えられた。羽生選手も市内のスケートリンクで練習中、大地震に遭った。自宅は壊れ、家族と避難所で過ごした。リンクも一時期閉鎖され、練習場所を転々とする試練を味わった▼だが、金メダル獲得の翌日の本紙には「わが事」のように被災地の喜びの声があふれた。それから4年。平昌五輪での連覇を祝うパレードが仙台で催された22日、10万8千人の声援が沿道に満ちた。「地元だからこその光景だった」と温かさを羽生選手は記者会見でかみしめた▼「世界中の方々に、復興の手助けのきっかけとなるような行動をしていけたら」。スケートを続けていいのか−と悩んだという日々の後、被災地の思いと一つになった生き方がにじみ出た▼「無限への軌跡」。国内のフィギュアスケート発祥地とされる市内の五色沼に立つ記念像だ。同じく仙台育ちの荒川静香さん、そして羽生選手に続く金メダリストが、パレードに触れた子どもたちから育つといい。

<羽生選手祝賀パレード>観覧マナー満点 路上にごみなし 通行も混乱なし
 仙台市で22日にあった平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2大会連続の金メダルを獲得した羽生結弦選手(23)=仙台市出身、ANA、宮城・東北高出=の祝賀パレードは、大きな混乱もなく終了した。宮城県内外から10万8000人が詰め掛けたが、ごみの路上放置はほんのわずか。駅や歩道でも混雑による大きなトラブルはなかった。
 主催した実行委員会によると、終了後は学生ボランティアや県、市の職員ら約1000人でごみを回収。集まったのは90リットル入りの業務用ごみ袋6個分にとどまった。
 若林区の東北学院大3年佐藤公佳さん(20)は「たくさんの人がいたのでもっと落ちていると思った。きちんと持ち帰った人が多かったのではないか」と驚いた。4年前の前回パレードでボランティアをしたという太白区の50代の女性公務員も「前回より人出は多かったのに、きれいだった」と感心しきりだった。
 羽生選手のファンが会員制交流サイト(SNS)でごみ拾いを呼び掛けたことも理由の一つとみられる。
 会場に近い市地下鉄南北線でも大きな混乱はなかった。勾当台公園駅と広瀬通駅では混雑防止のため、出入り口の一部を閉鎖。人の流れが一番町や中央通のアーケード街に分散したため、終了後の通行がスムーズになったようだ。
 実行委会長の伊藤勝也市文化スポーツ部長は「沿道の皆さんのマナーが良く、ボランティアの人たちが力を貸してくれたおかげで円滑に運営できた」と感謝した。


<仙台短編文学賞>珠玉の小説味わって ジュンク堂仙台TR店にコーナー特設「地元の賞盛り上げたい」
 第1回仙台短編文学賞(実行委員会主催)の受賞作を掲載した月刊文芸誌などが出そろい、仙台市青葉区のジュンク堂書店仙台TR店は店内の一角に特設コーナーを作った。

 集めた雑誌は、大賞受賞作掲載の「小説すばる5月号」(集英社)、大賞とプレスアート賞の2作品を載せた「Kappo仙台闊歩(かっぽ)5月号」(プレスアート)、東北学院大学賞と同奨励賞の2作品掲載の「震災学第12号」(東北学院大)の3誌。大賞受賞者の岸ノ里玉夫さん=大阪府=が三咲光郎(みさきみつお)名義で3月に刊行した「上野の仔(ノガミノガキ)」(徳間文庫)も併せて紹介している。
 担当の大原和裕さん(31)によると、同店の小説すばるの仕入れは通常3冊だが、今号は40冊近く発注。普段は旅行雑誌コーナーに置くKappoは、文芸誌の棚でも重複展開した効果もあり、早々と追加発注した。
 もともと文学賞受賞作は注目されるが、特に著者や作品の舞台が東北関連だと売れ行きが伸びるという。大原さんは「地元に生まれた文学賞を盛り上げたい。掲載誌を通じて多くの人に知ってほしい」と話す。特設コーナーは5月も続ける予定だ。
 仙台短編文学賞に協力する宮城県書店商業組合は、受賞作の掲載誌を一覧にした実行委作製のポスターを加盟約100店に送り、掲示を呼び掛けている。


「今すぐATMさ行ってけろ」詐欺の実例方言で紹介 遠野署と語り部協力講演活動50回達成
 特殊詐欺の被害を食い止めようと、岩手県遠野署と遠野市の民話語り部菊池タキさん(72)がタッグを組んだ講演活動が50回を数えた。被害の実例を身近な方言で紹介する取り組みで「親しみやすくて、聞きやすい」と好評だ。
 「ある時、ばさま家にいたっけ市役所の人って人から電話が来たんだど。『あなたの医療費が5万円多がったから、返したい。今すぐコンビニのATMさ行ってけろ』」
 遠野市の松崎地区センターで11日にあった講演では、集まった市民約15人に菊池さんが還付金詐欺の手口を物語仕立てで紹介。遠野署の市野川直樹生活安全課長が岩手県内の被害状況を解説した。
 主婦大橋琴さん(85)は「自分の知り合いでも被害に遭いそうになった人がいた。話を聞いて改めて人ごとではないと感じた」と話した。
 2015年に遠野市の男性が特殊詐欺の被害に遭ったのをきっかけに、遠野署が遠野物語の語り部を務める菊池さんに協力を依頼。月に2〜3回の講演をこなしている。
 最近は電子マネー取引に絡む架空請求が増えており、企業向けの講演を準備しているという。
 「新しい手口が登場するたび、内容を少しずつ変えて工夫してきた」と菊池さん。市野川課長は「特殊詐欺の被害件数は高止まりしている。講演活動を継続し、被害を未然に防ぎたい」と話す。


<エスパル仙台>開業40周年 28日から音楽イベント 来春まで毎月
 エスパル仙台は開業40周年記念イベント「楽都仙台 マンスリーライブ」を28日に始める。来年3月まで毎月1回、地元で活躍するアーティストらが演奏や歌を披露。来場者が楽器の試演やイントロクイズなどを楽しむ場も提供し、「楽都」を盛り上げる。
 時季に沿ったテーマを毎回設定。初回は「草原の春風ライブ」と銘打ち仙台で結成された馬頭琴とピアノのデュオ「SUHO」、東北大ブルーグラス同好会が出演する。
 5月12日は「母の日感謝ライブ」とした。シンセサイザー・ピアノ奏者の高橋泉さんが、昭和の歌や仙台ゆかりの曲などを歌い、演奏する。
 9月はJR仙台駅東西自由通路で、定禅寺ストリートジャズフェスティバルの応援企画を行う。エスパル仙台の担当者は「『楽都仙台』の認知度を高めることで街全体の活性化に貢献したい」と話す。
 マンスリーライブは、定禅寺ジャズフェスなど市内のイベント制作に携わるオフィスQが共催。エスパル仙台本館1階エスパルスクエアを会場に午後2時開演する。


特別豪雪地帯なのに 除雪補助なし 不満積もる 国、配分基準明示せず
 国が3月下旬に決定した道路除雪費の臨時特例措置に、補助の対象外となった東北の自治体から不満の声が出ている。特別豪雪地帯の小規模自治体が対象から漏れた一方、普段は積雪量の少ない市町村に厚く配分された。国は補助基準を明示しておらず、疑心暗鬼を生んでいる。(横手支局・野内貴史)
 臨時特例措置はこの冬の大雪を受け、国土交通省が総額133億円を配分。東北は92市町村が計39億8700万円を受けた。仙台市にも8900万円が出た。
 一方、特別豪雪地帯に指定されている東北の69市町村のうち18市町村は対象外となった。
 栗駒山麓に位置する秋田県東成瀬村の除雪費は7830万円で、2014〜16年度平均の1.36倍に上った。村は00年以降、国交省による計8回の臨時特例措置で一度も対象となっていない。町建設課の谷藤登課長は「除雪費は村の一般財源で賄っており、他の事業費に影響する」と渋い顔だ。
 山形県鮭川村は県内の特別豪雪地帯で唯一、補助対象から外れた。毎日の観測値を合算した積雪量は130.9メートルと、07〜16年度平均の1.30倍に達している。
 国交省によると、今回の臨時特例措置を実施するに当たり、都道府県を通じて市町村に累計積雪量や除雪費などの申告を求めた。積雪量の地点選定は市町村に委ねた。
 担当者は「臨時特例措置のため補助基準は公表していないが、平年と今回の積雪量の比較などを基に機械的に配分した。観測地点の選定も市町村合併などで地域事情が異なるため基準を統一できない。各市町村には説明可能な場所を選ぶよう伝えている」と話した。
 由利本荘市は笹子(じねご)(旧鳥海町)の積雪量を報告し、1億1200万円の臨時特例措置を受けた。仙台市は青葉区新川(旧宮城町)のデータを使用したという。いずれも市内の中でも雪深い地域だ。
 補助対象から漏れたある首長は「役場周辺の積雪量は比較的少ないが、人家の集まる地点として申告した。正直者がばかをみる結果になっている」とこぼす。
[特別豪雪地帯]豪雪地帯のうち積雪量が特に多く、冬期間の住民生活に著しい支障が生じている15道県201市町村を国が指定。豪雪地帯対策特別措置法に基づき、公立小中学校施設の新築・改築費の55%を国が負担し、基幹道路の改修は道県が代行している。


尼崎脱線13年 安全誰のため 台車亀裂、現場に浸透せず
 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故から13年を迎える25日、「追悼と安全のつどい」が3年ぶりに開催される。事故で妻と妹を亡くし、次女も大けがをした浅野弥三一(やさかず)さん(76)=同県宝塚市=が、JR西日本の新たな安全計画が今月始まったのを機に企画した。「安全は誰のためにあるのか一から議論したい」。浅野さんは訴える。
 つどいは遺族らでつくる「4・25ネットワーク」などによる実行委員会が主催し、事故翌年の2006年から15年まで毎年開かれていた。浅野さんはネットワークの世話人を務め、JR西と問題点を探る検討会を設けたり、有識者を交えた会議を発足させたりして再発防止のため事故原因を分析。つどいの場で報告してきたが、10年間の取り組みで「一定の成果が出た」として16年以降はつどいを開いていなかった。
 3年ぶりの開催を思い立ったのは昨年12月。5カ年の安全計画が18年4月に更新されるのを機に公の場でもう一度議論したいと大学教授らに呼びかけた。
 直後の昨年12月11日、東海道・山陽新幹線「のぞみ」の車両の台車に亀裂が生じていたことが発覚。異変に気付きながら3時間以上走行し、社員間の情報伝達の欠如が露呈した。「脱線事故後の安全に対する会社の取り組みが、現場に浸透していない」。浅野さんはそう感じた。
 狭心症や脳梗塞(こうそく)に悩まされた時期もあったが、つどいの当日は自ら登壇してJR西の幹部らと意見を交わし、呼び掛けるつもりだ。「JR西を定期的に点検、監視する仕組みを構築するきっかけを作りたい」
 つどいは25日午後1時半から尼崎市のあましんアルカイックホール・オクトで。入場無料。【石川勝義、山下貴史】
目視に加え、超音波検査
 「のぞみ」の台車亀裂は、国の運輸安全委員会が新幹線では初の重大インシデントと認定する事態となり、JR西は安全管理体制の見直しを根底から迫られることとなった。
 問題の台車は、川崎重工業(神戸市)が社内規定に反して底面の鋼材を削って溶接した結果、強度不足で亀裂が生じたとみられる。JR西は問題発覚直後から、鋼材内部の傷を確認できる超音波検査を導入。博多総合車両所(福岡県那珂川町)で今月20日、その様子を報道陣に公開した。
 担当者6人が、921台ある同型の台車を対象に1台当たり1時間以上かけてチェック。これまでに26台で傷を見つけ全て交換した。松井元康所長は「目視だけだった検査では不十分だった。いろんなリスクを想定し、事前に手を打つ努力を重ねたい」と語った。
 台車亀裂を巡っては、異音や異臭を確認した車掌や、新幹線に乗り込んだ車両保守担当者、東京の指令員が運転停止の判断を互いに任せた点も問題になっている。ある中堅指令員は「経験したことがない問題で停止にちゅうちょしたのかもしれない」と推測する。
 これを受け、新たな安全計画には「安全が確認できない時は迷わず止める」と初めて明記。JR西によると、異音などを理由に山陽新幹線の運転を止めて点検したケースは、昨年4月から同12月の亀裂発見時までは1件だけだったが、亀裂発見後から今月17日までで25件に達している。
 来島達夫社長は18日の記者会見で「安全最優先に向けた努力はまだまだ徹底できていなかった。安全を考えた行動をできる組織になっているのか点検し、新しい計画の中で着実に成果をあげたい」と述べた。【山下貴史】


あの時、生死を分けたもの 尼崎JR脱線、野田さん
 乗客106人が死亡、500人以上がけがをした尼崎JR脱線事故からまもなく13年になる。昨年12月、台車の部品が破断寸前のままJR西日本が新幹線を走らせ続けていたことが分かり、再び「安全」が揺らいでいる。脱線した快速電車がマンションに激突した4月25日、安全が失われた空間で何があったのか。今こそ乗客の証言に耳を傾けたい。あの日の車内でのこと、そして事故後に生きた13年を−。かけがえのない、「安全」を見つめ直すために。
 ◇ ◇
【1両目に乗車、西宮市の野田純嗣さん】
■あのとき
 大阪で会議があり、いつもより遅い時間に、たまたま1両目に乗った。車内はそこそこ込んでいて、座席は埋まっていた。私は運転席に向かって左側、三つ目のドア後方の座席に座り、小説を読んでいた。
 ずっと下を向いていたので、周囲にどんな人がいたかは分からない。ただ、左側に座っていた女性のスカートが明るい花柄だったことは覚えていた。
 急に「ガタンガタン」と音がし、座席ごと後ろに倒れた。とっさに2両目の方を見て、「(車体の)角度が違う」と思った。車両は左に横転。自分の背中が下になり、「ガガガー」と地面をこするような感じで、マンションの立体駐車場に突っ込んでいった。
 あっという間だった。車両が横転し、向かいにいた数人が「自分の上に乗ってくる」と思った瞬間、衝撃があり、その人たちは、木の葉が舞うように前方に飛んでいった。すごい速さで、身体ごとくるくると。私は無意識に座席のシートを右手でつかんだ。その後、私も前に飛ばされたが、そこから記憶がない。
 気付いたとき、真っ暗な中でガソリンのにおいがした。「爆発する。早く出ないと!」と思ったが、暗い上、眼鏡を失い、ほとんど何も見えなかった。明かりを頼りに四つん這いで進み、自分がどこにいるのか分からないまま、垂れ下がったネットをよじ登ると地上に出た。
 事故からしばらくし、尼崎東署で当時のことを聞かれた。亡くなった人の情報を探していたようで、「こんな服装の人を知りませんか」と何枚か写真を見せられた。花柄のスカートに見覚えがあった。
 なぜ隣の女性が亡くなって、自分が生きているのか分からなかった。何が生死の分かれ目だったのか、分からない。
■それから
 事故当時、大阪市の職員だったが、全身打撲と頸椎捻挫で約1年間休んだ。夜眠れず、体が痛く、横転した車両が地面をすっていく音が耳から離れなかった。
 なんで自分だけが助かったのか。車内で誰かにぶつかったかもしれない。自分の代わりに亡くなった人がいるかもしれない。そんな思いが今もずっとある。
 そして「生かされた」自分は、4月25日から2回目の人生が始まった、と。JR西日本が安全第一になるのを見届けなければと思い、JR西の説明会にはこれまですべて参加してきた。
 JR西は「変わった、変わった」と聞き心地の良いことを言うけれど、新幹線の台車に亀裂があった問題で「変わらんな」と思った。
 今年2月、JR西が伊丹市内で開いた被害者説明会には妻と参加した。台車について、JR西は「点検していた」と言うけれど、あんな異常が出るなんて、どんな点検だったのか−。
 大阪市を退職後、出荷前の水道管やバルブ、蛇口を検査する仕事に就いた。強度や材質をチェックし、合格のものしか出荷できない。飲み水の安全がかかっているので責任を感じて働いている。だからこそ、JR西が言う点検や検査には疑問がわいた。
 人の命を預かる電車は、基本の点検や検査にこそ力を入れるべきで、利益より安全第一。事故後、姫路市に保管されていた1両目を見に行き、ひしゃげた車体に「誰が死んでもおかしくなかった」と思った。安全以外、大事なものはない。(中島摩子)


尼崎で3年ぶり「追悼のつどい」 遺族、JRに呼び掛け開催
 尼崎JR脱線事故で、妻と妹を失った兵庫県宝塚市の浅野弥三一(やさかず)さん(76)が25日、尼崎市で3年ぶりに開かれる「追悼と安全のつどい」にパネリストとして出席する。JR西日本を巡っては昨年12月、走行中の新幹線の台車に亀裂が入り、乗務員らが多くの異変に気付きながらも高速運転を続けていた問題が発覚。脱線事故から13年を迎える今、「安全という問題をもう一度、原点に戻って考える場が必要と感じた」と浅野さん自ら、JR西などに呼び掛けて開催が決まった。(上田勇紀)
 2005年4月25日、浅野さんの妻陽子さん=当時(62)=と、妹の阪本ちづ子さん=同(55)=は、脱線した快速電車に乗っていて亡くなった。関東にいる親類を見舞うため、新幹線に乗り換える予定だった。
 浅野さんは都市計画コンサルタントとして長年、阪神・淡路大震災などの災害で肉親を突然失った被災者を目の当たりにしてきた。自分が遺族となり、あらがいようのない不条理と苦しみに直面する中で、こう思ったという。「なんであんな事故が起きたのか。本当の原因が知りたい」
 脱線事故の遺族らでつくる「4・25ネットワーク」の中心メンバーとなり、09年には事故の課題検討会に参加。遺族と加害企業のJR西が同じテーブルに着いて事故を分析した。12年には遺族、専門家、JR西幹部らで構成する「安全フォローアップ会議」にも加わり、JR西への提言をまとめた。
 「なぜ事故が起こったのか。相手を憎むだけでは見えてこない」と浅野さん。「自分でも、遺族なのに冷徹やと思います。憎む相手がいない災害の遺族を見てきた経験からかなあ」とつぶやく。
 事故翌年から同ネットワークなどが毎年開いていた「−つどい」は15年で一区切りとなっていた。JR西が第三者機関による安全評価を採用するなど、遺族らの提言が実を結んだことに加え、原因究明に走り続けて浅野さんの体力や気力も限界に達していた。
 ただ今回、「まだ安全への根源的な認識や道筋が見えない」と3年ぶりの開催に声を上げた。新幹線の台車亀裂問題を踏まえてJR西は2月、18年度から5カ年の新たな安全計画を発表したが、浅野さんは「計画は十分なのか。経営の根幹を成す安全について幅広く議論し、チェックできる場にしたい」と力を込める。
 つどいは午後1時半から、尼崎市昭和通2のあましんアルカイックホール・オクトで。JR西の緒方文人副社長の講演、浅野さんや有識者らによるパネル討議がある。申し込み不要、無料。


終末期をどう迎えるか 元気なうちに話し合おう
 どのように人生の終末期を迎えるかは切実な問題だ。
 医療現場では延命治療を続ける傾向が強いが、ただ生命を維持するだけの治療に否定的な人は増えている。認知症や昏睡(こんすい)状態で意思表示ができなくなったときのことを考え、元気なうちから家族などと話し合って文書に残しておくことが大事だ。
 厚生労働省は11年ぶりに終末期の医療や介護のガイドラインを改定した。病院での延命治療に関することだけでなく、医療やケアの方針を判断するチームに介護スタッフを含めて検討することの重要性などを新たに明記した。
 現在は病院内で死亡する人が約8割を占めるが、自宅で最期を迎えたいという人は多い。介護施設でのみとりも増えている。医療に任せるだけでなく、もっと介護スタッフが人生の最終段階を支える役割を担えるようにしなければならない。
 自らの意思を書面で残しても、心身の状況の変化によって意思が変わることはよくある。このため、家族や看護師が治療や介護の方針を本人と繰り返し話し合って計画を立てていく「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」という取り組みが諸外国で始まっている。
 新ガイドラインでは「ACP」を医療・介護の現場に普及させるため、繰り返し話し合った内容をその都度文書にまとめておくこと、本人・家族と医療や介護の従事者がそれを共有することが重要と指摘した。家族や介護従事者に対する研修や啓発を徹底すべきだ。
 尊厳死や安楽死について法律で定める国は欧米で増えている。日本は障害者や難病の支援団体からの反対が強いこともあって議論は停滞している。ガイドラインに基づいて実践を積み重ねていくことが大事だ。
 最も人口の多い団塊世代が75歳以上になる2025年を過ぎると、年間の死亡者が現在より約2割増の160万人に上る。特に独居の高齢者が急増するのに伴い、現在年間3万人とされる孤独死はさらに増えていく見込みだ。
 家族以外で信頼できる人を治療や介護の方針を決めるチームに入れることも考えないといけない。目前に迫った「多死社会」に向けて議論を深めていくべきだ。


「破棄」メモ発見/あまりに不誠実な対応だ
 「存在しない」とされたメモや日報が発見された。今度は中央省庁ではなく、学校現場の話である。
 神戸市垂水区の市立中学3年の女子生徒が2016年10月に自殺した問題で、神戸市教育委員会は「破棄した」と説明していた同級生の聞き取りメモが校内で見つかったと発表した。
 当時の教頭が聞き取り内容について日報を残していたことも分かった。
 女子生徒の自殺を巡っては、市教委が設置した第三者委員会がいじめの有無を調査し、17年8月に同級生によるいじめ行為を認定した。だが自殺との関連を明示しておらず、遺族が再三、追加調査や新たな調査委員会による再調査を求めてきた。
 今になってなぜメモが発見されたのか。会見で市教委は現校長からメモの存在を知らされながら確認を怠るなどの職務怠慢が原因と釈明した。
 失われた命への不誠実な対応に憤りを感じる。
 第三者委員会にはこれらのメモや日報は提出されていない。調査の信頼性を揺るがせる事態である。遺族が「隠蔽(いんぺい)でしかない」と猛反発するのは当然だ。
 神戸市は市教委から独立した外部の弁護士でメモ破棄の経緯を調べるとするが、遺族が求める再調査も行うべきである。
 13年に施行されたいじめ防止対策推進法は、重大なケースについて教委や学校が調査組織を設けることを義務付けた。被害を受けた子どもや保護者に事実関係や必要な情報を適切に提供するよう明記している。
 しかし、残念ながら十分機能していないのが現状だ。今回の女子生徒の自殺のように、学校や教委の対応が事実解明を願う遺族をさらに傷つけ、不信から対立に発展してしまうのだ。
 再発防止のためには、事実を明らかにすることが不可欠だ。亡くなった生徒のつらさや無念に向き合い、遺族の気持ちに寄り添うことが大前提となる。
 いじめの調査結果はプライバシーに関わるだけに慎重に取り扱うのは当然である。だが安易に非公表とすれば、社会で課題や教訓を共有できない。
 悲劇を繰り返さないためにも、調査や公表のあり方を議論する必要がある。


武器携行命令 陸自の活動 検証不可欠
 南スーダンの首都ジュバで2016年7月、政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘が起きた際、国連平和維持活動(PKO)派遣の陸上自衛隊部隊が全員に武器携行命令を出していたことが分かった。
 第7師団(千歳)を主力とする10次隊の派遣隊員の生々しい証言と併せ、「紛争当事者間の停戦合意」などPKO参加5原則を逸脱していたのではないかとの疑念を一層深めるものだ。
 PKO派遣の是非を含めた今後の議論に生かすためにも、防衛省は南スーダンでの活動の全容を公表し、検証を徹底すべきである。
 ジュバのPKO部隊の日報は16年7月の状況を「戦闘」と伝えているが、警備態勢は黒塗りにされるなどして分かっていなかった。
 戦闘発生時、隊員は宿営地内の避難用コンテナに身を寄せていた。砲弾が付近に落ちた衝撃で体が宙に浮いたという。
 派遣隊員は「戦争のど真ん中」だったと振り返る。「発砲事案」と言った当時の中谷元・防衛相の説明は実態とかけ離れていよう。
 後任の稲田朋美防衛相は日報の隠蔽(いんぺい)疑惑が発覚した昨年の国会で、「戦闘」を「武力衝突」と表現してきたことに関して「憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではない」と答弁した。
 現場の貴重な教訓を政府の派遣判断に生かすどころか、治安状況の悪化に目をつぶり、つじつま合わせの説明を繰り返す。その陰で真実の記録を国民に伏せる。
 政府はこんな姿勢で11次隊から安全保障法制に基づく「駆け付け警護」の任務も命じ、戦闘に巻き込まれるリスクがより高まった。
 犠牲者なく撤収できたのは幸いだったが、本来は戦闘発生時点で速やかに帰国させるべきだった。
 国連PKO活動は近年、停戦監視から治安維持へと比重が移り、自衛隊が5原則の要件を満たすのは困難になっているとされる。
 南スーダンでその矛盾が露呈したにもかかわらず活動を続け、情報を出さなかったのは、政府が結局は隊員の安全より海外派遣の実績作りを優先したからだろう。
 同じ傾向は陸自のイラク派遣にさかのぼって見て取れる。
 先週公表されたイラク日報とは別の報告書に、警備隊員が群衆と至近距離で対峙(たいじ)し、武器使用に発展しかねない状況が記載されていたことが判明した。
 イラク日報も黒塗りや欠落が目立ち、活動の全容解明からは遠い。隠蔽疑惑の調査を急ぎ、さらなる情報公開を進めるべきだ。


武器携行命令  不都合な現実説明せよ
 憲法との整合性が疑われかねない、当時の状況がまた一つ明らかになった。
 2016年7月、南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣中の陸上自衛隊部隊が、通常は武器を持たない隊員も含め全員に武器携行命令を出していたことが分かった。現地で政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘が起きた際、銃撃戦の拡大に備えて宿営地内の武器庫から小銃を取り出し、実弾を装塡(そうてん)したという。
 隊員の一人は「戦争だった。彼らが宿営地内に入ってくれば部隊が全滅すると思った」と語っている。極めて緊迫した状況を裏付ける生々しい証言だ。
 国造り支援の途中で戦闘が再燃した南スーダンPKOは、「紛争当事者間の停戦合意」などからなる日本のPKO参加5原則、平和憲法との整合条件を満たさないのではないか−。当時、国会で何度も議論となり、検証の必要性が指摘されてきた。だが17年5月まで5年間に及んだ派遣の総括はいまだ不十分で、政府は部隊撤収の理由を、現地の治安悪化ではないと説明し続けている。
 世界の紛争とPKOの任務が複雑化する中、日本の国際平和貢献はどうあるべきか。必要不可欠な議論が進まないのは、政府が不都合な現実から逃げ、国民への情報開示に後ろ向きだからではないのか。
 南スーダンでは13年12月にも首都ジュバで戦闘が起きたが、安倍政権はいずれも法的な意味での「武力紛争」には当たらないとして、PKOの実績づくりを優先してきた。16年7月の大規模戦闘時の陸自の日報の開示を求められた防衛省は「廃棄した」としていたが、後に日報が残っていたことが判明し、今になって防衛相が釈明に追われている。
 日報は「戦闘」があったことを報告している。しかし重要な部分が黒塗りで、部隊対応の詳細は公表されないままだ。防衛省・自衛隊幹部の隠蔽(いんぺい)体質は根深く、イラク復興支援部隊の日報をめぐる問題にも表れている。
 安全保障関連法で自衛隊の役割が広がり、他国の戦闘に巻き込まれたり、誤って現地市民を傷つけたりする懸念が増した。そのリスクと結果責任を負うのは隊員だけでなく、国民全体である。
 「国民には(派遣地の)本当のことを知ってほしい」という南スーダン派遣隊員の言葉は重い。国会にも、自衛隊明記の改憲発議より先にやるべきことがある。


南スーダン派遣 妥当性を問い直さねば
 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた陸上自衛隊部隊を巡り、新たな事実が分かった。
 全ての隊員に武器携行命令を出していたという。切迫した状況が改めて浮き彫りになった。派遣を続けた政府の判断は妥当だったのか、問い直さなければならない。
 2016年7月に政府軍と反政府勢力による大規模な戦闘が起きた際のことだ。報道などで概要は判明している。陸自部隊の日報にも「戦闘」との表記がある。一方で「警備の態勢」の項目は黒塗りされ、部隊がどう対応したのかは分かっていない。
 派遣隊員によると、宿営地近くのビルに反政府勢力約20人が立てこもり、政府軍と激しい銃撃戦になった。そのため、普段は銃を持たない施設部隊を含め、武器携行命令が出された。小銃に実弾を込め、銃撃戦が拡大した場合の正当防衛などに備えたという。
 当時、政府は「銃撃戦の発生は確認しているが、隊員が被害を受けてはいない」「武力紛争に該当する事態ではない」などとしていた。緊迫感を欠いた説明は実態と懸け離れている。隊員の証言でさらに鮮明になった。政府は都合の悪い情報を隠し続けるのか。
 自衛隊のPKO参加には、紛争当事者間の停戦合意など5原則がある。大規模戦闘時、隊員は「彼らが宿営地内に入ってくれば部隊は全滅すると思った」とも話している。派遣を続けられる状況ではなかった可能性が高い。
 陸自部隊が首都ジュバで活動を始めたのは12年1月だ。治安状態は当初から不安視されていた。11年にスーダンから分離独立した南スーダンの安定と開発支援を目的としたものの、13年末以降、内戦状態に陥った。
 大規模戦闘後も派遣を続けた背景として、一つには安倍晋三首相の「積極的平和主義」が挙げられる。他国に先んじて撤退するわけにはいかず、無理を重ねた印象が強い。「駆け付け警護」の新任務も付与した。安全保障関連法の実績作りに利用した形だ。
 日報隠しが追及される中、政府は唐突に部隊を撤収させた。施設部隊として派遣期間が過去最長となり「一定の区切りを付けることができると判断した」との首相の説明にも疑問が募る。
 今後のPKO参加の在り方を考えるためにも、南スーダンでの活動を総括しなくてはならない。国会や国民が検証できるよう政府は日報の黒塗り部分をはじめ、情報開示を進めるべきである。


「女性議員増」法案 理念、実現できる社会に
 国会や地方議会選挙の候補者数を、できる限り男女均等にするよう促す議員提案の「政治分野の男女共同参画推進法案」が衆院を全会一致で通過し、今国会で成立する見通しになった。
 社会を構成する多様な声を反映するためにも男性が多数を占める議会に、女性議員が増えることは重要である。その第一歩にしなければならない。
 超党派の議員連盟が検討を重ねてきた。昨年の通常国会で成立するとみられていたが、審議入りしたまま時間切れに。続く昨秋の臨時国会では、冒頭の衆院解散で廃案になった。今回は森友・加計問題などで与野党が対立する中、議連が各党に優先審議を働き掛けるなど必ず前に進めようとの意欲を見せた。
 法案は政党や政治団体が選挙の候補者数をできる限り男女均等にするよう求め、目標値の設定などの取り組みを促す。国や地方自治体にも、議員活動と生活が両立できる環境整備や人材育成、国民の関心と理解を深める啓発活動に努めるよう定めている。ただ、具体的に何を求めているのかが見えない。
 罰則規定は設けず、自主性に委ねられるだけに、候補者を選ぶ政党などの役割も大きい。理念にはうなずけるが、実効性があるのか疑問が残る。
 野田聖子女性活躍担当相は法案成立の見通しを受け「新たな考え方を伝えるという意味で大きなインパクトがある」と述べた。法案が世の中の流れを変えるとも話したが、どう流れを変えるのか具現化が問われる。
 日本の女性議員比率は国際的にも低い。衆院で10・1%、都道府県議会では1割を切る。世界の国会議員が参加する列国議会同盟(本部ジュネーブ)が先月発表した昨年の各国議会の女性進出に関する報告書によると、女性議員比率の世界平均は23・4%。日本は193カ国中158位で、先進7カ国では最低だった。
 数さえ増やせばいいのかという異論もある。女性というだけで議員の器ではない人間が候補になるのではとの懸念だろう。だが適性が問われるのは女性に限るまい。圧倒的に男性が多い議会を、一般社会と同じ男女均等に近づけ、政治分野の意思決定に多様な意見を反映させることが必要である。
 女性が増えれば、例えば選択的夫婦別姓を望む人の声が届きやすくなるかもしれない。問題にされにくかったセクハラへの認識も変わるのではないか。
 実際に女性議員が増えるかは今後の国や自治体、議会での取り組みや議論にかかっている。
 女性の政治参画を阻む壁は、まだまだ厚い。政治は男性の仕事といった意識は男女とも根強いのではないか。今後国政選挙で候補者数の男女均等を実現するには、既に各選挙区に立っている男性を女性に代える必要がある。調整は難航しそうだ。
 家事や育児などの負担が女性に偏っている現状もあるが、理解やサポートが社会に十分あるとは言い難い。昨年、熊本市議が乳児を連れて議場に入り、議事進行を妨げたとして厳重注意を受けたのは記憶に新しい。
 法案は国に対し、必要な法制上、財政上、その他の措置を講ずるものとする―ともうたう。何が女性の参画を阻んでいるかをつぶさに点検し、一つ一つ壁を壊していかねばならない。


セクハラ疑惑 財務次官の辞任承認 退職金の支払いは保留
 政府は24日の閣議で、セクハラ疑惑が報じられた財務省の福田淳一事務次官について同日付の辞任を承認した。福田氏への退職金の支払いは保留し、調査結果次第で減額も検討する。立憲民主党など野党6党は麻生太郎副総理兼財務相の辞任を要求して同日午前も国会審議を拒否。正常化の見通しは立っておらず、安倍晋三首相は改めて厳しい政権運営を強いられそうだ。
 財務省の事務次官が任期途中で辞任するのは、旧大蔵省時代に金融機関から接待を受ける見返りに職員が便宜を図っていた1998年の接待汚職事件以来、20年ぶり。今年3月には学校法人「森友学園」を巡る問題で財務省の前理財局長の佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任。事務方2トップが不在となる異常事態に陥った。福田氏の後任は当面置かず、矢野康治官房長が職務を代行する。
 閣議後の記者会見で麻生氏は「事務方トップがセクハラ疑惑などで辞任する事態になったことは、はなはだ遺憾」と説明。一方、自身の進退については「考えていない」と語り、「一連の不祥事に対応するため、原因究明と再発防止に対する手当てをきちんとすることが大切」と強調した。これまで財務省は福田氏の退職金が約5300万円になると説明し、野党議員らが「(懲戒処分を受けないまま)辞任が了承されれば、満額の退職金を受け取ることになる」と批判していた。
 麻生氏は「懲戒処分に相当すると判断した場合、相当する金額を差し引く」と述べ、セクハラ疑惑の調査結果次第で退職金を減額する考えを示した。
 福田氏は18日、セクハラ疑惑を否定したうえで「次官としての職責を果たすことが困難になった」と辞任を表明。一方、翌19日未明にはテレビ朝日が、女性社員が福田氏からセクハラ行為を受けていたと公表した。24日の記者会見で麻生氏は事実関係の解明について「向こう(テレ朝側)の話を聞いてみないと分からない」と述べるにとどめた。
 野党6党は24日午前、衆院厚生労働、環境両委員会を欠席した。民法改正案などを審議する午後の本会議にも出ない構えだ。希望の党の泉健太国対委員長は24日午前の記者会見で「セクハラ問題に対する財務省トップとしての対処、方針、発言を国民は受け入れられない。(麻生氏は)辞任に値する」と述べた。


セクハラ問題 認識の甘さ変えていこう
 財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑で、テレビ朝日が自社の女性社員が被害に遭っていたと公表し、財務省に抗議文を提出する事態となっている。
 辞任を表明した次官本人はなお、疑惑を否定している。一方で「会話の全体をみればセクハラに該当しない」とも述べており、音声データの声の主が自分だと認めているかのようでもある。
 ここに至っても、財務省や麻生太郎財務相の反応はあまりに鈍い。テレ朝が抗議した後も、麻生氏は「(抗議文は)もう少し大きな字で書いてもらった方が見やすい」「この一件をもって本人(福田氏)が全否定されるべきものではない」などと述べた。問題に真剣に向き合おうとする姿勢は伝わってこない。
 一連の対応は「官庁の中の官庁」といわれる財務省の幹部、それを指揮すべき閣僚のセクハラに対する認識の甘さを浮き彫りにしている。
 テレ朝の女性社員が音声データを週刊誌に提供したことについては報道倫理に照らして問題との批判も出ている。女性社員は当初、自社で報道したいと上司に提案したが、二次被害の心配などを理由に「難しい」と言われたという。セクハラ被害に詳しい弁護士からは「告発は公益性がある」との指摘もある。
 テレ朝は社員の訴えに直ちに適切な対応ができなかったことについて「反省している」とした。社員が取材先でセクハラ被害に遭った際、組織としてどう対応すべきか。メディア業界全体として考えねばなるまい。
 ただ、今回、被害を訴えたのは報道関係者だが、働く女性が増える中、こうした問題は営業職など多くの職種でも共通する。
 労働政策研究・研修機構が2016年に公表した調査では、女性労働者のセクハラ被害の相手は上司(24・1%)と同僚・部下(17・6%)が多いが、取引先や顧客も7・6%あった。
 男女雇用機会均等法では事業主にセクハラの防止措置が義務付けられている。加害者の対象には取引先や顧客も含まれる。ただ、社内にセクハラ相談窓口を設ける企業は増えているものの、取引先など外からのセクハラについての防止対策は十分とは言えない。職場が守ってくれると思えなければ、被害を訴え出ることもできまい。
 こうした中、鳥取県はハラスメント全般について県職員が外部の人とトラブルになった場合の窓口を設置するなど、対策を強化する方針を示した。ほかの団体や企業も対策を見直したい。
 セクハラは人権侵害であり、その共通認識のもと、あらゆる場所で被害を防ぐ努力を進めなければならない。安倍政権は「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げる。その前提は、セクハラが許容されるような社会を変えていくことである。


疑惑だらけの下村氏 セクハラ告発「犯罪」呼ばわりの仰天
 どの口が言っているのか。福田次官のセクハラ暴言を告発したテレ朝の女性記者に対し、下村博文元文科相が22日に都内で開かれた講演で「テレビ局の人が隠してとっておいて週刊誌に売ること自体が、はめられてますよ。ある意味犯罪だと思う」と語った――と報じられた。
 福田次官のセクハラに抗議した野党の女性議員に〈こちらの方々は、少なくとも私にとって、セクハラとは縁遠い方々〉などと“トンデモツイート”して大炎上した自民党の長尾敬衆院議員は当選3回のヒヨッコだが、下村氏は当選8回の大臣経験者である。そんなベテランがセクハラ被害を訴えた女性記者を「犯罪者」呼ばわりだから救い難い。
 下村氏は23日、〈テレビ朝日の説明に違和感を覚えたので、その疑問をクローズの会合で発言した〉〈「ある意味犯罪」と述べたのは不適切だった〉との謝罪コメントを出したが、とんでもない。大体、下村氏が女性記者を犯罪者呼ばわりできるのか。
「首相案件」疑惑がくすぶる加計問題では、下村氏の関与が濃厚だ。21日付の東京新聞によると、学園幹部や愛媛県職員が2015年4月2日に官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会した際、文科省と農水省から内閣官房に出向していた職員が同席。獣医学部開設が「首相案件」という趣旨が両省に伝えられていたとみられている。
 当時の文科相は下村氏だ。当日の首相動静によると、下村氏は15時35分から13分間、官邸で安倍首相と面会している。学部設置の認可権者である下村氏が、加計学園は「首相案件」と把握した上で、安倍首相と密談したとみられても仕方あるまい。
■200万円の闇献金疑惑もウヤムヤ
 下村氏には17年7月の都議選前に噴出した、加計学園からの200万円の“闇献金”疑惑もある。加計学園は13〜14年、下村氏の後援会「博友会」のパーティー券を購入したのに政治資金収支報告書には記載がなく、政治資金規正法違反疑惑が浮上。下村氏は「都議選後に説明する」と話していたが、いまだに説明はされていない。
「下村氏の方が過去に“犯罪”に近いことをやっていたのに、自らの問題を棚に上げて、セクハラ被害者を『犯罪者』呼ばわりする資格はありません」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
 安倍首相の周辺にはロクな人物がいない。


あした元気になあれ 後悔を越えていく=小国綾子
 財務事務次官のセクハラ疑惑に対して、日に日に募るのは「私はいったい何をしてきたんだろう」という思いだ。あの時、引きつった笑顔でやりすごし、声を上げようとしなかったせいで、若い世代の記者たちが今なお、セクハラに悩んだり苦しんだりする羽目になったのではないか、と。
 駆け出しの頃は、肩や腰に回される手は、決して角を立てぬよう、取材相手の膝の上に戻すものだと思い込んでいた。上司に「適当にあしらいました」と平気を装うことが、男性記者と区別なく安心して仕事を任せてもらう条件だと信じていた。「女は面倒くさい。男の方がずっといい」と取材先や、あるいは同僚や上司に思われ、仕事のチャンスを与えてもらえなくなるのが何より怖かった。
 ひわいな言葉を投げては反応を楽しもうとする取材相手に、平気な顔をしたり、時にはもっとどぎつい下ネタで切り返したりするすべを覚えた。物理的なセクハラは拒んでも、言葉だけなら笑ってやりすごすのも仕事のうち、と勘違いしていた。
 「女性ならではの記事を」と言われるのが嫌いだった。雑誌グラビアの女性モデルのヌード写真をわざと自分の机の前に張っていたこともある。「この手のモノにも平気なヤツ」と思われたかった。
 その後も「なぜきっぱりと反論できなかったのだろう」と繰り返し悔やむのがしんどくて、そんな20年前のあれこれを忘れたふりをしていた。
 その結果がこれだよね、私の感覚、古かったね。もう自分が情けないんだよ−−。2歳年下の女性記者仲間にグジグジと吐露したら、叱られた。
 「私は後悔なんかしない。あの時、そんなふうにやり過ごしてなかったら、私たちは社内で干されたか、つらくて仕事を辞めていただろうから。でも、ようやく時代が変わろうとしてるんだよ。ならば、今やるべきは後悔することではなく、声を上げる被害者の側に立ち、彼女らを一人にしない、と声を上げることでしょ」。そっか。
 今回の件を麻生太郎財務相が「次官の番(記者)を全員男にすれば解決する」と話したと聞いた。冗談じゃない。私が情けないくらい、男社会だか仕事文化だか分からない何かに過剰適応しようとしたのは、誰からもそう言われたくなかったからだ。繰り返したくない。(統合デジタル取材センター)


柳瀬氏招致問題/駆け引きより解明優先で
 学校法人・加計学園の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官の国会招致が流れた。与党は23日の参考人招致と衆院予算委員会の集中審議を提案したが、野党は正当な理由のない証言拒否や虚偽証言が刑罰の対象となる証人喚問を主張した。さらに財務事務次官のセクハラ疑惑などで麻生太郎財務相の辞任を求め、攻勢を強めている。
 野党が国会審議を拒否する中、自民党は野党欠席のまま集中審議を行う構えも見せた。だが強行は世論の反発を招きかねないと見送り、疑惑解明は宙に浮いた形になっている。双方とも歩み寄る気配はなく、混乱からの出口は見えてこない。
 3年前、官邸を訪れた愛媛県の職員らに柳瀬氏が「本件は首相案件」と発言したとする県の記録文書が見つかり、文部科学省では柳瀬氏と県職員らとの面会予定を知らせた内閣府からのメールも出てきた。柳瀬氏は「記憶する限りでは会っていない」としているが、当時の内閣府関係者の証言もあり、面会の事実は間違いないとみていい。
 愛媛県文書により、安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める加計学園を官僚が優遇したとされる「加計ありき」の疑惑は一層深まり、首相答弁にも疑問が指摘されている。柳瀬氏の証言は不可欠で、与野党は駆け引きよりも、まず招致と解明に道筋を付けることを考えるべきだ。
 獣医学部新設に絡む新たな疑惑を指摘されるたび、政府は解明より火消しに躍起になった。とにかく全面否定。それが難しいと、野党の質問に正面から答えず時間を稼ぐような対応に終始する。与党も足並みをそろえ、多くの疑問が置き去りにされてきた。
 愛媛県職員らの官邸訪問もその一つだ。柳瀬氏は昨年の国会に参考人として呼ばれ「記憶にない」と証言。当時の萩生田光一官房副長官も「官邸訪問者の記録は保存されていない」とし、うやむやになりかけた。だが県職員が作成した記録が出てきた。
 獣医学部新設計画を説明するため2015年4月2日、今治市や加計学園の関係者とともに訪れた官邸で柳瀬氏が「本件は首相案件」と話し、国家戦略特区制度の活用を提案。同じ日に面会した内閣府の地方創生推進室次長だった藤原豊氏も国への提案書の作り方について助言したことなどが詳細に書かれている。
 愛媛県の中村時広知事は「職員作成の文書を全面的に信頼している」とし「それぞれの機関が正直に話すべきだと思っている」と語った。柳瀬氏は改めて面会を否定したが、県職員らが先に訪問した内閣府から文科省に「柳瀬総理秘書官とも面会するようです」とのメールが送られていたことが明るみに出た。
 藤原氏は文書にある発言などは否定したものの、面会した記憶はあるという。また文書には、面会の前に首相と加計孝太郎理事長が会食し、獣医学部新設が話題になったのをうかがわせる記述もある。加計氏と頻繁に会食やゴルフを重ねていたのに、17年1月まで学園の新設計画を知らなかったとする首相答弁も論戦の焦点になるだろう。
 財務省による森友学園関連文書の改ざんや口裏合わせなども含め、首相は「うみを出し切る」と強調した。その本気度をしっかり見極めたい。


まるで卒業旅行…安倍政権“渦中の人物”が続々と米訪問の怪
 モリカケ、日報、セクハラ、暴言……。問題の渦中にある人物が、同時期に相次いで米国を訪問している。
 まずは17日、日米首脳会談のため、安倍首相が昭恵夫人を伴って訪米。加計問題のキーマンとして、野党が証人喚問を求めている柳瀬唯夫経済産業審議官(元首相秘書官)も同行している。
 財務省の福田次官がセクハラ疑惑で辞任した翌日の19日には、麻生財務相がG20出席のためワシントンに出発した。
「国税庁長官に続いて、財務次官まで辞任する異常事態なのに、大臣が日本を不在にする感覚が信じられません。それに、森友問題で公文書改ざんが発覚したため、3月にアルゼンチンで開かれたG20は直前に出席を取りやめた。今回も無理に行く理由はなく、足元の問題収拾を図るべきなのに、議運理事会での了承を得ないまま訪米してしまった。日本にいると矢面に立たされるので、逃げ出したようなものです。その直後、小野寺防衛相も国会の了承を得ずに訪米してしまいました」(野党国対関係者)
 小野寺大臣はマティス国防長官と会談するため、20日に成田空港を出発。日報問題に加え、現役の自衛隊幹部が国会議員に「国民の敵」と罵声を浴びせるという文民統制を揺るがす事態が発覚したばかりなのに、問題を放置してワシントンに行ってしまった。 
 野党が小野寺大臣の訪米に反対していることを受け、菅官房長官は19日午後の会見で、「北朝鮮の核・ミサイルは、これまでになく差し迫った重大な脅威となるなど、我が国を取り巻く安全保障環境は極めて厳しい状況だから、マティス米国防長官と会談し、日米同盟の抑止力の強化を図ることが重要だ」と、訪米の意義を強調していた。
 そんな最中、北朝鮮が「核実験も中距離弾道ミサイルの発射も中止する」と発表。菅長官が説明した小野寺大臣の出張理由は出任せだったということになる。一体、何をしに行ったのか。問題人物がこぞって米国に卒業旅行か。
「これだけ問題が噴出すると、安倍政権が米国から相当なプレッシャーを受けているのは間違いない。説明を求められている可能性もあるし、不利な条件交渉になっても、お伺いを立てに行かなければならないのかもしれません。内政がこんなにグチャグチャになっても、安倍政権は結局、米国に頼るしかないのだと、諸外国からも足元を見られている。この政権を一刻も早く終わらせないと、国益を損じる一方です」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
 麻生大臣は22日、成田空港に帰国。進退などについて記者から質問が飛んだが、無言で空港を後にした。思い詰めた表情だったのは、“飼い主”の米国にお別れの挨拶をしてきたからか。安倍政権は、手仕舞いに入りつつあるように見える。


安倍昭恵夫人がまた…今度は桜井誠・在特会元会長を支持する“ヘイト”運動家主催のデモに感謝のメッセージ
 いまだに森友学園問題の説明から逃げ続けている安倍昭恵夫人が、今度は、ヘイト運動関係者が主催した政権応援デモに“感謝のメッセージ”を送っていたとして話題になっている。
 その政権応援デモとは、大阪府で21日に行われた「偏向報道に負けるな!安倍政権がんばれ大行進in大阪」なる運動。デモの模様は動画サイトにも複数アップされている。参加者は「安倍チャン、太郎クン、がんばれ! 私たちが付いてる!」との文言が書かれたワゴン車に導かれ、「安倍政権を応援しまーす!」「偏向報道をゆるさないぞー!」「国難を突破できる政権は安倍政権でーす!」などとコールしながら行進。参加者の手には日の丸の旗が握られていた。
 おわかりの通り、森友・加計学園問題や福田淳一財務次官セクハラ問題から安倍政権を擁護し、支持率低下はマスコミの偏向報道のせいだと主張するデモ活動なわけだが、このデモの終了後、参加者のミーティングの動画がネットにアップされた。その動画をみてみると、主催者がこんな挨拶をしていたのだ。
「これを言うとですね、この昭恵さんがですね、関わったとかですね、いろんなことを言い始めますので、きょう、いまここでですね、おられる方だけにお伝えしたいなと思います。あの、最初にですね、安倍昭恵さんからメッセージをいただいておりました」
 さらに、主催者はスマートフォンの画面を見ながら、その「安倍昭恵さんからのメッセージ」をこのように読み上げた。
「『これから日本を求めて世界の人が来そうですね』と。『21日の行進はどこでございますか?』と。本当に、まあ昭恵さんの、おおらかな方っていうのは、本当に素晴らしい方だなと思って、本当に感動いたしました。で、『いつも応援ありがとうございます』というメッセージもいただいております」
昭恵夫人がメッセージを送った人物は自らも「在日は有害」と差別ツイート
 このデモの主催者は、日の丸を掲げ日本唱歌を歌いながら行進するという運動を行っているU氏という人物で、Twitterのプロフィールを見ると、「日本会議議員」とある。また、ヘッダーやアイコンには安倍首相と中山泰秀・自民党衆院議員とのスリーショット写真が使用されているうえ、Facebookを見ると昭恵夫人とは「友達」だ。さらに、2012年の総選挙のときは、安倍首相の応援演説の際にバイオリンで君が代を演奏したといい、親密な関係にあることがうかがえる。
 ようするに、昭恵夫人は、またぞろ自分や夫の“右翼仲間”に感謝のメッセージを送っていたらしいのだ。先日の葛飾区議・立花孝志氏との“同和デマ”をめぐる一件(本サイトの過去記事参照)といい、この人の無神経ぶりにはつくづく呆れさせられるが、話はそれではすまない。
 というのも、昭恵夫人が感謝の言葉を寄せたデモの主催者・U氏は、たんなる右派ではなく、ヘイト団体・在特会元会長の桜井誠氏を支持し、自らもヘイトスピーチを行っている人物だったからだ。
 実際、U氏はTwitterで、桜井誠氏が映る日本第一党の選挙ポスターを拡散していた。周知の通り、桜井氏の日本第一党といえば、「移民受け入れ反対」「外国人参政権付与反対」「入管特例法の廃止」「一部の外国人に対する優遇処置を撤廃」「外国人の国民健康保険への加入を制限」「外国人に対する生活保護を廃止」「朝鮮総連を解散し、朝鮮学校への補助金支給に断固反対」「マスコミの通名報道を禁止」などの公約を掲げる差別主義政党である。
 しかも、U氏は桜井氏の動画のURLを貼りつけながら、自らも“地方公務員が民団や朝鮮総連と癒着し血税で裏金をもらっている”“地方公務員は韓国朝鮮と癒着した極左暴力集団の意見まで聞いている”という旨の差別的陰謀論をツイートしていた。また、他のツイートを見ても〈在日韓国朝鮮人は日本にとって有害である〉などのヘイトスピーチを何度も繰り返している。差別主義にシンパシーを感じているのは疑いない。
 しかも、もう一つ指摘しておかなければならないのは、このデモのミーティングで昭恵夫人の感謝メッセージが読み上げられた動画をアップした人物だ。実は、この動画は、在特会の元京都支部長で、日本第一党の京都本部長・西村斉氏のYouTubeおよびニコニコ動画のチャンネルでアップされたものだった。
安倍応援デモ動画を拡散したヘイト運動家のおぞましい差別発言の数々
 西村氏はヘイト運動界隈では名の知れた人物。2009年、複数メンバーとともに京都朝鮮第一初級学校(現・京都朝鮮初級学校)の前で「日本から叩き出せ」「スパイの子どもや」「犯罪者に教育された子ども」「朝鮮ヤクザ」などとヘイトスピーチを行い、のちに威力業務妨害などで起訴、有罪判決を受けた。また、朝鮮学校側が在特会側を訴えた民事裁判でも、学校周囲200メートル以内での街宣活動の禁止と約1200万円の損害賠償が確定している。
 さらに西村氏は、2017年6月にも同校に対する拡声器を使ったヘイトスピーチによる名誉毀損を告発され、今月20日付で在宅起訴されていたと、昨日、共同通信が伝えたばかり。ヘイトスピーチをめぐる刑事事件で名誉毀損罪が適用される初の事例だという。
 なお、西村氏はこの4月にも桜井誠党首らとともに沖縄を訪れ、辺野古の在日米軍新基地に反対する市民のテント村などでヘイト街宣を行っている。そのなかで桜井氏は機動隊に向かって「本来であれば、君たちがここにいるね、違法にいるアホども、撃ち殺さなければいけないんだよ」と反対派市民の銃殺まで扇動。西村氏も「チョンコ、チョンコいますか〜!」「アンニョハセヨー! 乞食の罪で逮捕しろー! 日本国民に迷惑をかけるな!」「北朝鮮へ帰りなさい!」「臭い臭い、トンスルでも漬けとんのか?」と絶叫するなど、耳を塞ぎたくなるようなヘイトスピーチをがなりたてていた。
 西村氏は今回の“安倍政権応援デモ”の動画をTwitterでも拡散している。本人は〈取材〉と称してはいるが、このデモを支持していたのは間違いないだろう。
 いずれにしても、昭恵夫人はこうした差別主義者や差別運動家たちが関わり、支持しているデモの主催者に「いつも応援ありがとうございます」とのメッセージを送っていたというわけだ。
 しかも、主催者のU氏が読み上げたメッセージによると、昭恵夫人は「21日の行進はどこでございますか?」など、かなり前のめりなコメントをしている。頼まれて仕方なくとか、よくわからず利用されたという言い訳は通用しない。昭恵氏は明らかに主体的にこうした差別主義者と関係を持ち、積極的にメッセージを届けているのだ。これは、欧米ならば、それだけで夫の政治生命が終わるレベルの重大な事態だ。実際、夫人が感謝のメッセージを伝えることで、ヘイト運動が勢いづき、人々の尊厳を傷つける差別行為、さらにはジェノサイドを正当化するような空気がさらに広がる恐れもある。
 もっとも、昭恵夫人にそんな自覚を促したところで、馬の耳に念仏だろう。実際、森友問題では、昭恵夫人が来園し名誉校長に就いたことで、国民の財産が異常に安く売られ、それを隠蔽するため公文書が改ざんされ、自殺者が出るという事態にまでなっているのに、この総理大臣夫人はまるで他人事のように知らんぷりを決め込んでいるのだ。そして、夫を支持し、自分をちやほやしてくれる差別主義者たちの言葉だけを聞こうと、自分から接近を図っている。
 安倍首相を総理大臣の座から引きずりおろし、昭恵氏から“総理大臣夫人”という肩書きを剥奪しないかぎり、この国のグロテスクな差別はますますエスカレートしていく一方だろう。(編集部)


動員力で圧倒 “元SMAP映画”がジャニーズに突きつけた現実
 元SMAPの稲垣吾郎(44)、草なぎ剛(43)、香取慎吾(41)が主演したオムニバス映画「クソ野郎と美しき世界」が、今月6日からの2週間限定で86館の公開ながら、入場者数が28万人を突破して話題だ。
「全国週末興行成績によると公開初週は8位でトップ10入り。なかなかこの規模でのトップ10入りは難しい中の大善戦。おそらく、客単価は1500円ぐらいなので興収は4・2億円ほどでしょう。3人の合同ファンクラブ『新しい地図』の会員は13万人ほどといわれていますが、やはり動員力は別格。続編の製作も決定しました」(スポーツ紙芸能デスク)
 そんな中、ジャニーズがプッシュするグループのタレント主演の映画はなかなか苦戦を強いられているようだ。
「昨年公開されたHey!Say!JUMPやSexy Zoneのメンバーの主演映画は元SMAPの映画よりも大規模公開だったにもかかわらず、興収は1億にも満たない惨敗。中高生の女性たちには大人気のグループかもしれませんが、結局、大人は興味がない」(映画ライター)
 今年に入ってからは、JUMPの知念侑李(24)主演の「坂道のアポロン」は290館、目下売り出し中の「King&Prince」のメンバーである平野紫耀(21)の「honey」が145館で公開されたが……。
「集客はイマイチ。元SMAPの3人は取材NGのメディアがほとんどなく、ネットで自由にPR活動できます。それに対して、ジャニーズはまだまだ取材NG媒体が多く、ネット上の宣伝活動で制約もあります。根本的に見直さないと難しいでしょう」(前出の芸能デスク)
 元SMAPが突きつけた現実は、ジャニーズ事務所にとって直視したくないものばかりのようだ。


河北抄
 おなかをなでるたびに、運動不足を反省する身に、追い打ちを掛けるようなデータを見つけた。仙台市民の1日の平均歩数が全国平均より少ないという。
 6000人を対象にした市の調査で、20〜60代の1日の平均歩数は男性が5108歩、女性4597歩。全国平均と比べると、3割以上も少ない。国が掲げる成人の目標は男性が9000歩、女性は8500歩。10分歩いて約1000歩とすると、男女ともに約40分も足りない計算になる。
 少ない理由は、車を利用する機会が多いことらしい。ちゃんと歩かないと体重は増える一方だし、メタボリック症候群や生活習慣病にもつながりかねない。
 市健康政策課は「今より10分多く体を動かそう」と呼び掛けている。「歩くことは最も手軽に取り組める運動。生活スタイルに合わせた工夫を取り入れ、ぜひチャレンジを」と担当者。
 マップを手に新緑の街歩きを楽しんだり、歩数を増やすルールを仲間と決めたり。あと一歩の積み重ねが必要。一番の近道は「地道」かもしれない。

センセキでパワポやり直しにショック大

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Fig92

L'Akita, le chien japonais qui a conquis les coeurs étrangers
Qu'ont en commun l'acteur américain Richard Gere, l'icône française du cinéma Alain Delon et la jeune patineuse russe Alina Zagitova? Ce sont tous des amoureux des chiens Akita, une race japonaise qui suscite un engouement croissant dans le monde entier.
Ces dernières années, le nombre de propriétaires étrangers de ces chiens aux airs de husky roux a bondi, dépassant même la demande nationale. Et la renommée de cette espèce s'est encore accrue en début d'année lorsqu'Alina Zagitova a proclamé son amour pour ces chiens après en avoir aperçu alors qu'elle s'entraînait dans l'archipel. Dans la foulée, des responsables locaux lui ont promis de lui en offrir un.
Cet enthousiasme n'étonne pas Osamu Yamaguchi, 64 ans, éleveur de chiens Akita à Takasaki, dans la région de Gunma (nord-ouest de Tokyo). "Mes clients étaient auparavant pour moitié Japonais et pour moitié étrangers, mais récemment le nombre d'étrangers a augmenté", raconte-t-il à l'AFP dans son jardin, où il élève une vingtaine de chiens.
Selon les chiffres de l'Association de préservation du chien Akita, le nombre d'animaux répertoriés comme ayant des propriétaires étrangers était de 33 en 2005, 359 en 2013 et 3.967 l'an dernier.
Longtemps élevés pour la chasse, ces chiens doivent leur nom à la région du nord du Japon dont ils sont originaires. Ils sont grands, mesurant entre 60 et 70 centimètres et pesant entre 40 et 50 kg, avec des oreilles bien droites, des yeux un peu enfoncés et une tête pouvant évoquer celle d'un ours.
"Trésor naturel"
C'est une des six races japonaises reconnues officiellement comme "Trésor naturel" du pays. Si le Shiba, de plus petite taille, reste très populaire, à la fois dans l'archipel et ailleurs, les Japonais se sont peu à peu détournés de l'Akita, avec moins de 3.000 nouveaux canidés enregistrés par an ces dix dernières années, contre 40.000 dans les années 1970.
"Beaucoup de gens voudraient en avoir un mais ils ne peuvent pas parce que le règlement de leur immeuble l'interdit ou parce qu'ils vivent dans un endroit trop petit", explique Kosuke Kawakita, responsable de l'antenne de Tokyo de l'Association de préservation du chien Akita.
Les étrangers ont pris la relève et Osamu Yamaguchi effectue environ 20 voyages par an pour livrer en personne ses Akitas, vendus autour de 200.000 yens (1.500 euros), surtout aux Etats-Unis, en Russie, en Chine, mais aussi en France, en Egypte, au Koweït ou en Indonésie.
Selon lui, ce chien est apprécié pour sa "sensibilité". "Il comprend comment vous vous sentez, rien qu'en étant près de vous, et il est loyal". Les Japonais connaissent tous l'histoire vraie de Hachiko, un chien Akita qui, dans les années 1920, attendait chaque jour que son maître revienne du travail à la gare de Shibuya à Tokyo. Un jour, son maître est mort durant un de ses cours à l'université impériale de Tokyo, mais le chien a continué à l'attendre devant la gare pendant dix ans.
Moindre engouement des Japonais.
Une statue de Hachiko trône aujourd'hui à Shibuya, et il a inspiré un film en 2009, avec Richard Gere dans le rôle du professeur. "La race Akita est devenue très populaire" partout dans le monde après ce film, souligne Kosuke Kawakita, qui a possédé lui-même plus de 30 chiens en quelque soixante ans.
Le gouverneur d'Akita en a par exemple offert un au président russe Vladimir Poutine. Et en Chine, ils sont devenus tellement recherchés que des magasins vendent de "faux Akitas", en falsifiant les certificats de pedigree, ajoute-t-il.
Osamu Yamaguchi espère que le Japon continuera d'élever des Akitas, malgré le moindre engouement des Japonais. Il s'inquiète de les voir disparaître "si leur pays d'origine arrête de les produire".
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メールでセンセキの件を教えてもらいました.つまりパワポやり直しです.ある程度できたと思っていたのでショック大.

<気仙沼市長選>復興遅れ、残る不満 懐深い市政運営不可欠
 22日投開票が行われた気仙沼市長選は、無所属現職の菅原茂氏(60)が、無所属新人の行政書士斉藤巳寿也(みつや)氏(53)を破り、3選を果たした。8年ぶり、東日本大震災後では初となった選挙戦は、今後の復興の在り方が大きな争点となる中、「継続」を訴えた菅原氏が制した。
 気仙沼市長選は、菅原氏が新人を退け3選を果たした。ただ、陣営が描いたほどの票差はつけられず、2期8年の実績を市民が高く評価したとは言い難い。
 無名に近い新人相手に陣営が描いた合格ラインは、得票率75%前後。結果は62.1%で、現市政への反発は予想以上に大きかった。
 「復興完遂」と、復興後を見据えた地方創生を軸に93項目もの政策を並べた。子育て支援や人材育成など、どれも重要なテーマではあるが、やや焦点がぼやけ、有権者に伝わりづらかった印象は拭えない。
 3月に公表された県の県民意識調査で「復興を実感する」と答えた住民の割合は、気仙沼・本吉が46.2%と県内最低を記録した。
 区画整理など復興事業の遅れに困惑する住民は多く、災害公営住宅の自治会はコミュニティーづくりに苦労する。水産加工業者は販路縮小と人手不足に悩む。若者が働く場も、十分確保されていない。
 斉藤氏が一定の票を集めた背景に、震災後、住民が持ち続けた行政への不満があったと見るべきだろう。
 国の「復興・創生期間」が終わる2020年度末まで3年しかない。市政の「一丁目一番地」は言うまでもなく震災復興。総仕上げの時期であり、被災者に対し、今まで以上に丁寧かつ迅速な対応が求められる。
 当選を重ねると、庁内外の事情を熟知し、職員ら周囲の意見に耳を傾けなくなるトップは少なくない。今回の批判票を謙虚に受け止め、懐の深い市政運営に当たらなければ、課題山積の港町の再興は難しい。(解説=気仙沼総局・大橋大介)


防災・減災 震災伝承拠点/宮城発の理念 具現化急げ
 3.11の記憶や教訓を被災地としてどう伝え継ぎ、内外に発信していくか。遅れていた東日本大震災の伝承と防災啓発の統合的な展開がようやく本格化することになる。
 宮城県が昨年夏に発足させた有識者による検討会議の議論が3月末に終了し、県としての震災伝承の考え方や具体化の方向性がまとまった。
 「震災と同じ犠牲と混乱を繰り返さない」を基本理念に掲げ、官民連携の拠点組織の創設により、伝承の複層的なネットワークを構築する。
 県民総参加による「防災・減災の地域文化の創造」まで目指す内容であり、被災県の責務と覚悟が読み取れる。
 震災から既に7年が経過し、風化の進行や伝承の難しさが現実化していることを踏まえれば、もはや理念の確認をしている段階ではない。
 「周回遅れ」とも言える現状を踏まえた上で、宮城発の新しい災害伝承のかたちを示せるか。発災10年の大きな節目を控え、スケジュール的にはぎりぎりの時期にある。
 焦点になる伝承拠点組織の立ち上げ、関連施設の整備など理念の具現化に、県は早急に取り組む必要がある。
 有識者会議は伝承の主体を行政や研究機関、企業、メディア、民間組織、住民など「全ての県民」と確認した。
 震災で被災したかどうかにかかわらず、津波被災がなかった内陸部の団体、住民も含め、県民運動として伝承と防災発信に取り組む考えを基盤に据えた意義は大きい。
 ことし6月で40年になる宮城県沖地震、10年になる岩手・宮城内陸地震など大災害をたびたび経験した地域として発信できる知見は幅広い。
 震災被災では沿岸部だけでなく、避難先や復興支援地として内陸部が果たした役割も伝え継ぐべき記憶になる。
 構えが大きくなるだけに散漫な取り組みに終わらないよう、点在する既存の施設や語り部活動などを有機的につなぎ、全体で発信の総合力を高める機能こそが鍵になる。
 その機能を発揮しネットワークを運営する官民連携の拠点組織の必要性は、有識者会議で特に強調された点だ。
 ともに公益法人として活動する阪神淡路大震災のひょうご震災記念21世紀研究機構(人と防災未来センター)、新潟県中越地震の中越防災安全推進機構のように、公的な資金に裏打ちされた責任ある伝承と啓発の拠点組織の立ち上げは、必須の状況にある。
 資金や人員、予算はどの程度にするか、本拠はどこに置くか、展示公開施設を伴うのか、調査研究を担うのか。
 拠点組織を作る上で精査が必要な項目は多いが、理念が明確になったからには早期に準備組織を設け、具体的に動きだすことが先決だ。
 未曽有の震災を経験した地域として、宮城県と県民は特別の覚悟をもって伝承に取り組む−。強い姿勢とメッセージを内外に示してほしい。


河北春秋
 刺し身やそばなど和食に欠かせないワサビは日本原産の植物。海外でも「Wasabi」で通る。栽培は江戸時代、駿河国(現在の静岡県)で始まった。根っこを大きくするためワサビ田で育てられる水ワサビと、林の中で育てる畑ワサビがある▼畑ワサビは、花や葉がおひたしや漬物用として出荷される。しゃきっとした歯ごたえと、鼻を抜けるさわやかな辛み。福島県内では伊達市の月舘町や霊山町で盛んに作られていた。約300人の生産者がいたが、東京電力福島第1原発事故の影響で出荷できなくなった▼特産品の復活を目指し、地元のふくしま未来農協は2014年に試験栽培を開始。東京農大などの協力を得て、林の表土を剥ぎ取ったりして育てたものの、放射性物質の濃度は思うように下がらない▼そこで、平地にある畑やハウスに圃場を変更。日光を遮るシートを掛けるなどして栽培方法を模索した。放射性物質が検出されなくなり、今年3月に出荷制限がやっと解除された▼先日あった7年ぶりの出荷を祝う式典で、農家の代表は「一歩を踏み出せた」としみじみ語った。ただ、生産量は事故前と比べればごくわずか。東京市場向けの出荷が大半で、地元ではなかなか手に入らないのがさみしい。本格的な生産再開が待ち遠しい。

「南三陸ハマーレ歌津」1周年
津波で被災した南三陸町歌津地区の店舗によって再建された「南三陸ハマーレ歌津」が、23日でオープンから1年を迎えました。
秋以降、客の減少傾向が続いていて、集客力をどう高めていくかが課題になっています。
「南三陸ハマーレ歌津」は、震災の津波で流された店舗などが集まり、かさ上げされた造成地に再建された商店街で、仮設商店街での営業を経て、去年4月にオープンしました。
商店街によりますと、この1年間に訪れた人は30万人あまりに上り、直後の去年5月には、ひと月で8万人が訪れるなど、観光客を中心に多くの人が訪れました。
一方、去年の秋以降は1か月で1万人あまりの月もあるなど、減少傾向が続いているということです。
被災地で復興を果たした商店街では、同じ南三陸町にある「さんさん商店街」を含めて、オープン2年目以降、集客力をどう高めていくかが課題になっています。
商店街には去年12月に休憩スペースやキッチンを備えた交流施設がオープンしていて、特産のウニの殻むき体験や音楽イベントを企画して観光客の増加を目指す計画です。
また、大きなイベントのない時でも地元の小中学生に自習場所として施設を開放するなどして、地元住民の利用も促し、集客力を高めていくことにしています。


祝賀パレードのゴミは”6袋”
22日、仙台市で行われた羽生結弦選手の祝賀パレードには10万人以上が訪れましたが、パレード終了後、沿道に残されていたゴミはわずかで、インターネット上では、称賛の声も上がっています。
22日、仙台市中心部の東二番丁通りで行われたパレードでは、1.1キロの区間に、およそ10万8000人が詰めかけました。
実行委員会は、パレードの終了後、1000人近くのボランティアにゴミ拾いにあたってもらいましたが、沿道にはあまりゴミが落ちておらず、会場全体で集まったのは、90リットル入りのゴミ袋6袋分にとどまったということです。
ツイッターでは、ゴミ拾いにあたったボランティアから「パレード終了後、見回りをしましたが、ゴミひとつ落ちていませんでした」などという投稿もあり、ファンのマナーがすばらしいなどと称賛の声が上がっています。
実行委員会の事務局を務める、仙台市の担当者は、「思った以上にゴミが少なくて驚いています。パレードの最中から、待機していた沿道のボランティアがごみを見つけるとすぐに拾っていたことに加え、ファンの意識も高かったのではないか」と話しています。


<羽生結弦パレード>「ただいま」輝くユヅスマイル「SEIMEI」ポーズも披露
 真夏を思わせる陽気の中、ユヅスマイルが輝いた。五輪2連覇を祝って仙台市内で22日にあった羽生結弦選手(23)=ANA、仙台市出身、宮城・東北高出=のパレード。日本全国、海外からの10万を超えるファンが声援を送る中、全身で「ありがとう」と感謝を伝えた。仙台市役所であった記者会見では故郷への思いを語った。
 「2連覇して金メダルを持って、仙台に『ただいま』と言える状況になり、本当にうれしい」。パレードの出発式、抜けるような青空と強い日差しの下で笑顔を輝かせた。日本選手団のブレザー姿に首から金メダルを下げてパレードカーに立ち、約1.1キロのコースを約40分かけてゆっくりと進んだ。
 常に手を振り声援に応えた。先導する仙台市消防局の音楽隊が平昌冬季五輪のフリープログラムの曲「SEIMEI」を演奏する中、「遠くの方から見ている人にも届けばいい」と何度も決めポーズを披露し沿道を沸かせる場面もあった。
 コース沿いのビルからも多くの人が見守った。街路樹の陰に隠れそうな時は、かがんで顔を見せるなど、羽生選手らしい気遣いを随所に見せた。
 記者会見で「平昌の時も地元の多くの人に応援してもらった。その力が自分の背中を押してくれたのだと、このパレードで感じた」と感慨深げに振り返った。
 自身も避難所生活を余儀なくされた東日本大震災にも触れ「復興途上にある中、大規模なパレードを開いてもらった。世界の人が復興の手助けをするきっかけとなるような行動をしていきたい」と決意を見せた。


<羽生結弦パレード>故郷に感謝 記者会見で思い語る
 言葉にあふれるのは、古里に対するあせることのない思いだった。
 仙台市役所のホールに、けたたましいシャッター音が響く。約300人の報道陣が詰め掛けた記者会見場。羽生結弦選手はメダルに手を当て、深々とお辞儀した。いつもの凜(りん)とした振る舞いの中に落ち着きもあり、帰郷した安心感がにじむ。
 目に映ったのは、故郷のファンの温かい姿だった。「地元だからこその光景。自分にしか味わえない光景が心に焼き付いた」
 ソチ大会はフリーで失敗し、頂点に立っても心から満足できなかった。平昌の金メダルは、右足首のけがに耐えながら圧巻の演技でつかんだ。歓喜のあまりほえ、涙を流した。「みんなの期待と応援を受け止め切れた」。パレードを終え、4年の足跡に思いをはせた。
 得られる限りの栄光を手にした今、地元フィギュアスケート界を気に掛ける。宮城県内の通年リンクは仙台市泉区のアイスリンク仙台のみ。一般営業も行うため、練習時間は限られる。
 2011〜12年シーズンまでアイスリンクで練習を重ね、翌シーズンからカナダに拠点を移した。「本気で世界のトップを目指せる施設の環境が整っていなかった。だからカナダに行き、金メダルを取って戻ってこられた」と回想する。
 「仙台でまたスケートをしたいと思うこともある」と言うほど仙台に強い思い入れがある。一方で「施設が整わなければいけないという現実も感じた」とも。
 4年後の北京大会については明言しなかった。「(自分の活躍で)スポーツが発展し、施設面で苦しむ人を笑顔にするきっかけになれば」。最後まで古里への思いが口をついた。(スポーツ部・佐藤夏樹)


<羽生結弦パレード>出発式で県民栄誉賞など贈る
 スタート地点の東二番丁小前では、祝賀パレードに先立って出発式が行われ、羽生選手に宮城県の県民栄誉賞、仙台市から賛辞の楯(たて)が贈られた。
 村井嘉浩知事は「2度目の県民栄誉賞おめでとう」と祝福し、表彰状を授与した。郡和子市長は「たゆまぬ努力の末の見事な金メダル。108万市民と共に栄誉をたたえたい」と、賛辞の楯と特別表彰の表彰状を贈った。
 金メダルを首から下げて、ステージに立った羽生選手は、市民やファンに「金メダルは、多大な応援や支援があったからこそだと思う。皆さんの気持ちや声をずっと胸に刻んで生きていきたい」と感謝した。
 羽生選手は「(東日本大震災からの復興に)ぜひ役立ててください」と、村井知事と郡市長にそれぞれ寄付金500万円の目録を手渡した。
 県議会議長と市議会議長の特別表彰もあった。


<羽生結弦パレード>熱気とともに気温上昇 観衆、熱中症対策
 観衆10万8000人の熱気に包まれた羽生選手の祝賀パレード。仙台管区気象台によると、仙台市はパレード出発直前に最高気温29.9度を記録、4月としては観測史上最高となった。観衆は暑さ対策に追われながら羽生選手の雄姿を見守った。
 新潟県から訪れた主婦藤田奈保子さん(62)は羽生選手が出演した映画「殿、利息でござる!」の特製手ぬぐいを首に巻き、日傘と帽子で完全防備した。「熱中症に備え、お茶や水を飲み、梅干しで塩分も補った」と話した。
 宮城野区の介護士女性(52)は「最初は日なたにいたが、耐えられないほどの暑さ。日陰に移動して観覧します」と汗をぬぐった。
 沿道のコンビニエンスストアは冷たい飲み物を買い求める客で混み合った。芳賀匠店長(32)は「スポーツ飲料やお茶は普段の2倍、アイスクリームは3倍の売れ行き。想像以上の早さだった」と驚いていた。
 あまりの暑さに体調を崩す人も。若林区の看護師吉田まき子さん(60)は「混雑が激しく、万一の時にどうするのかと心配していたら実際に近くの人が倒れた。救急隊はなかなか来なかった」と振り返った。救護所では頭痛やめまいを訴えた観客や、すり傷を負った人が訪れた。市消防局によると、会場付近には救急車が7台出動した。6人が病院に搬送され、うち2人は熱中症の疑いがあるという。


<羽生結弦パレード>東北の復興見てほしい/夢実現、全ての瞬間大切
 羽生選手は記者会見で、凱旋(がいせん)を果たした感慨やこれまでの声援への感謝の気持ちを語った。
◎一問一答
 −パレードを終えて。
 「パレードが待ち遠しく、ワクワクしながら数日過ごしていた。改めて仙台に帰ってきたんだという気持ちがある」
 −地元の声援を聞き、何を感じたか。
 「仙台でスケートができたのは、荒川静香さん(宮城・東北高−早大出)がトリノ大会で優勝し、アイスリンク仙台を支援してくれたから。そして、カナダに行けるようになり、パレードを開いてもらえるまでになった。自分もそういう存在になれたらと思う」
 −国内外から大勢のファンが集まった。
 「東日本大震災からの復興が進んでいない場所にも足を運んでほしい。また、復興が進んで新しくなった街を見て、こんなにきれいになったんだな、とも思ってほしい」
 −ソチ大会後と今回とで心情に違いはあるか。
 「違いはない。この瞬間にありがとうと伝えたい気持ちでいっぱいだった」
 −地元の子どもたちに伝えたいことは。
 「夢をかなえる過程にはつらいことも楽しいこともある。全ての瞬間を大切にしてほしい」
 「夢は全てがかなうわけではない。(かなえるためには)したいことができなかったり、したくないことをやらなければならなかったりする時間がある。だからこそ、夢がかなったときの達成感はものすごい」


<羽生結弦パレード>仙台駅西口で号外配布
 羽生選手の五輪2連覇を祝うパレードを受け、河北新報社は22日、JR仙台駅西口で号外を配布した。
 午後3時10分ごろに配布が始まると、買い物客や観光客らが列を作って次々と受け取った。口々に「羽生選手は仙台、東北の宝」「地元で勇姿を見せてくれてありがとう」などと喜んだ。
 仙台市青葉区の東北福祉大2年竹原絵里子さん(19)は号外を握り締め、「改めて金メダル獲得おめでとうという気持ちです」と満面の笑み。岐阜市から来た会社員松村佳華さん(33)は「パレードは背中しか見えなかったが、気品があふれていた。号外はいいお土産になります」と満足そうに話した。


パレードの失敗写真が人気
22日の羽生結弦選手の祝賀パレードでは、多くの人がスマートフォンなどで羽生選手の写真を撮影していましたが、ツイッターでは、うまく撮影できなかった面白い写真を投稿しあう動きが広がっています。
22日の羽生選手のパレードには、沿道におよそ10万8000人が詰めかけ、車道の両側から大勢の人が羽生選手をスマートフォンやカメラで撮影していました。
羽生選手は、パレード中、前後を振り返りながら声援に応えていたため、うまく撮影できなかった人も多くいました。
ツイッターでは、「#羽生結弦の写真撮るの下手くそ選手権」と名付け、うまく撮れなかった写真や、偶然撮れたユーモラスな写真を見せ合う動きが 広がっています。
具体的には、▽街路樹と羽生選手の後ろ姿しか写っておらず、羽生選手が森の中にいるようなものや、▽手前で声援を送っている人の手やうちわにピントがあってしまったものなどがありました。
また、NHKは、パレードの臨場感を伝えようと、羽生選手が乗った車の上に360度撮影可能なカメラを設置していましたが、投稿された写真の中は、丸いカメラが羽生選手の顔と重なり、ロボットのように見えるものもあり話題となっています。


<一ノ蔵>酒蔵を一般開放 日本酒好き集結 大崎で春祭り
 大崎市松山の酒造会社一ノ蔵は21日、酒蔵を開放する恒例の春祭りを開いた。県内外から日本酒ファン約2800人が集まり、試飲や蔵の見学を楽しんだ。
 試飲コーナーで無料4種、有料は純米吟醸など3種を提供した。ファンによる人気投票が行われ、同社製造の約40種の中から「発泡清酒 すず音(ね)」が初代王者に選ばれた。
 職場の同僚と参加した仙台市太白区の鈴木玖実(くみ)さん(25)は「一ノ蔵は口当たりが良い。飲むたびに好きになる」と味わっていた。
 春以降に本格販売を始める今季の仕込みは、1月の気温が低かったため、コメの発酵が通常よりゆっくり進んだという。鈴木整社長は「ベテラン杜氏(とうじ)でも調整が難しかった。寒造りの醍醐味(だいごみ)が詰まった味を楽しんでほしい」と話した。


島根県西部地震/住宅再建に被災地の実情を
 今月9日発生した島根県西部を震源とする地震で受けた住宅被害に対し、島根県は一部損壊まで支援制度を拡充する方針を決めた。今回限りの特別措置とし、大田市など被災地域に適用するが、将来の災害に備えて県独自の恒久的な対策も構築してほしい。
 今回の地震で最大震度5強を観測した大田市では屋根瓦がずれたり、壁にひびが入るなど住宅被害の報告が相次いでいるが、大半は一部損壊であり、全壊や大規模半壊を支援対象としている現行制度では対応できない。
 しかし人口減と高齢化が進む被災地では自力で住宅再建が困難な人も多い。そうした人たちが住宅を補修する際に補助金を支給して負担を軽減する狙いだが、私有財産である住宅被害に税金をどこまで投入すべきかという議論はつきまとう。
 損壊がひどく住み続けることができなかったり、危険だったりするケースに限って公的支援を適用するのが現行制度の考え方である。被災者の自己責任を一定程度求めながら、支援に伴う財政負担が無制限に膨らまないよう歯止めをかけている。
 確かに個人が所有している住宅は私有財産だが、他方で今回の被災地のような所では定住を維持するための地域資産とみることもできるのではないか。住み続けることで地域を存続させ、そのための費用を公的負担で軽減する考え方もある。
 震災からの復旧を急ぐとともに、支援制度拡充に当たって県はその根拠を含め説明を尽くさなければならない。
 住宅被害が集中した大田市では県の制度拡充に合わせて被害の程度に応じ1戸当たり半壊に最大100万円、一部損壊に40万円まで助成金を支給する。対象世帯は全半壊含め市全体の1割に相当する1500戸を見込み、1億7700万円の関連予算を臨時市議会で成立させた。助成金は県と大田市が半分ずつ負担する。
 地震など災害による被災者生活再建支援制度は全壊戸数など被害の程度に応じて国と県が助成金を負担する仕組みとなっている。
 全壊戸数が国の基準に達しない場合、島根県では被災地自治体と折半で全壊に最大300万円、居住が困難な大規模半壊に同250万円の助成金を支給。しかし半壊と一部損壊に対する金銭的な支援措置はない。
 今回の震災は、既存の支援制度上は国が乗り出すほどでもないが、高齢化など被災地の実情に応じて被害の影響に違いがあることを浮き彫りにした。一律の支援基準では住民生活に支障が出るため、その空白部分を埋める措置として受け止めるべきだろう。
 県は今回の震災をきっかけに、将来の災害に備えて支援金を県内各市町村と積み立てる基金構想も進めている。国の支援基準に届かない災害が発生した場合、被災自治体の財政力では対応できない。
 災害はいつ襲ってくるか分からない。その意味で地震に限らずあらゆる自然災害を想定しながら、各市町村が財政面でも助け合う互助制度を早期に創設すべきだ。
 その際国の支援をどこまで求めることができるか。今回の震災を通じて島根県が主導して国の関与を引き出す役割も果たすべきではないか。


尼崎JR脱線事故13年 追悼式、来年は現場で
 2005年4月25日に乗客ら107人が犠牲になった尼崎JR脱線事故の事故現場(兵庫県尼崎市久々知)で、JR西日本による保存工事が進み、列車が衝突したマンションを覆うアーチ状の屋根が姿を現した。JR西は「祈りの社(もり)」とする現場一帯の整備について今夏をめどに終える予定で、来年からの追悼慰霊式開催を検討している。あましんアルカイックホール(尼崎市)での式開催は今年が最後となるという。(竹本拓也)
 脱線した列車の1、2両目が9階建てマンション「エフュージョン尼崎」に衝突した。JR西はマンションや周辺地を買い取り、保存などについて遺族や負傷者にアンケートを実施。全撤去から全部保存まで意見は分かれたが、一部保存案を採用し、16年1月に整備が始まった。
 マンション4階部分までを階段状にし、アーチ状の屋根で覆う。東側に慰霊碑を設置するほか、犠牲者の名碑や碑文も置く。資料室や休憩室などを備えた管理棟も整備する。
 同ホールでの追悼慰霊式には毎年千人規模の参列者があったが、現場に同規模の収容スペースはない。JR西の来島達夫社長は「遺族らの意向も踏まえ、来年以降の追悼のあり方や、(現場跡地の)活用については慎重に検討したい」と話した。
【尼崎JR脱線事故】2005年4月25日午前9時18分、尼崎市のJR宝塚線塚口−尼崎間のカーブで宝塚発同志社前行き快速電車が脱線。線路脇のマンションに衝突し、乗客106人と運転士が死亡、493人が重軽傷(神戸地検調べ)を負った。業務上過失致死傷罪で在宅起訴されたJR西日本の山崎正夫元社長は12年、無罪判決が確定。井手正敬元会長ら歴代3社長も同罪で強制起訴されたが、神戸地裁が13年9月に無罪を言い渡し、大阪高裁は15年3月に控訴を棄却。最高裁は17年6月に上告を棄却し、無罪が確定した。


「安全対策足りない」 尼崎脱線の遺族団体、集い3年ぶりに 新幹線亀裂「新たな課題」
 2005年4月に起きたJR福知山線脱線事故から13年となる25日、遺族やJR西日本が鉄道の安全対策を話し合う「追悼と安全のつどい」が3年ぶりに開かれる。企画したのは、遺族らでつくる「4.25ネットワーク」の浅野弥三一さん(76)。17年12月には新幹線の台車に亀裂が入ったまま走行した問題も起きており「取り組みは前進しているが、まだ足りない」と、安全の大切さを訴え続けるつもりだ。
 「何してるんや」。昨年12月、新幹線の亀裂問題に接し、憤りを隠せなかった。同時に「安全対策を見直すいい機会では」とも思ったという。
 4.25ネットワークは、事故から2カ月後の05年6月に遺族らが結成した。世話人として心がけたのは「事故の責任追及と、原因究明は分けて考えなければならない」という視点。脱線事故は「組織事故」で、犯人捜しは事故の原因を分かりにくくすると考えた。
 当初、JR西は運転士個人の責任を強調し、ダイヤを優先する企業風土を問題視する遺族側とのやり取りは紛糾した。それでも、浅野さんは「遺族としての自分は封印する」と決め、遺族側と共同で事故原因を調べた上で対策を講じるよう冷静に訴え続けた。
 こうした姿勢は経営陣にも響き、JR西とネットワークは09年、事故の背景を共同で検証する「課題検討会」を設置。12年には有識者を加えた「安全フォローアップ会議」も立ち上げた。会議の提言を受け、JR西は第三者機関による安全評価や、人為的なミスを社内処分の対象から外す制度を導入した。
 「一定の到達点に達した」。こうした思いもあり、毎年開いていた追悼と安全のつどいは16年に取りやめたが、昨年12月に新幹線の亀裂問題が起きた。JR西が今年2月にまとめた5カ年の安全計画は評価できるものの「組織全体への浸透には時間がかかる。脱線事故の遺族として後押ししたい」と、安全対策に関わる決意を新たにした。
 妻の陽子さん(当時62)と妹の阪本ちづ子さん(同55)は13年前、親戚の見舞いに行くため事故を起こした電車に乗り合わせた。ぼうぜん自失になった時期もあったが、「なぜ家族が死ななければならなかったのか」という変わらぬ思いが自身を突き動かす。
 新幹線の亀裂問題の発覚後、定期的に会合を持つJR西幹部には「新幹線の安全を過信していた証拠。新たな課題が見つかった」と注文を付けた。同社は事故後に入社した社員が4割を超えており、浅野さんは「惨事を起こした鉄道会社がどう安全を再構築するか、これからも遺族の立場から見守りたい」と話している。
■4.25ネットワーク 脱線背景、JR西と検証 他の事故遺族と連携も
 4.25ネットワークは事故の原因究明やJR西日本との補償交渉などについて遺族間で連携することを目的として発足した。国に対しても事故の徹底調査を求める意見書を出すなどしているほか、他の事故被害者の遺族らとの交流も深めている。
 鳥取県江府町のJR伯備線で2006年1月、作業中の保線員3人が特急にはねられ死亡した事故では、補償問題などで情報を共有し助言。山梨県の笹子トンネル崩落事故の遺族らと連携し、企業など法人に刑事責任を問う「組織罰」の導入に向け動くメンバーもいる。
 ネットワークの活動について、関西大の安部誠治教授(公益事業論)は「被害者側から企業に働きかけて組織上の問題点を追及する動きは、福知山線脱線事故以前には例がなかった」と指摘。その上で「問題提起をきっかけにしてJR西が自らの安全管理を見つめ直し、具体的な制度改革につなげた点に大きな意義がある」と話している。


静かな車内「死にたくない」 目覚めると集中治療室に 尼崎JR脱線、山下さん
 乗客106人が死亡、500人以上がけがをした尼崎JR脱線事故からまもなく13年になる。昨年12月、台車の部品が破断寸前のままJR西日本が新幹線を走らせ続けていたことが分かり、再び「安全」が揺らいでいる。脱線した快速電車がマンションに激突した4月25日、安全が失われた空間で何があったのか。今こそ乗客の証言に耳を傾けたい。あの日の車内でのこと、そして事故後に生きた13年を−。かけがえのない、「安全」を見つめ直すために。
 ◇ ◇
【1両目に乗車、伊丹市職員・山下亮輔さん】
■あのとき
 当時は18歳。大阪の大学に入学したばかりだった。私は最寄りの伊丹駅で1両目に乗った。車両前方に立ち、イヤホンを耳に、音楽を聞きながら大学に向かっていた。手にした文庫本越しに、同じ大学生のような男性3人が座り、会話していたことだけを覚えている。
 小説に夢中で、直前まで異変は感じなかった。尼崎駅の手前にあるカーブにさしかかり、車体の傾きが収まらなかった。つり革につかまったが耐えきれず、電車の窓に右手を突き、座る男性たちの上に倒れ込んだ。「ガー」というごう音とともに、窓越しに地面の砂利が迫るのが見えた。それを最後に、記憶は途切れた。
 気付くと、コンタクトレンズが外れ、視界がぼやけていた。周囲は真っ暗だった。マンションに激突した1両目は立体駐車場に潜り込み、私は運転席の中に飛ばされていた。
 聞こえたのは人の声だけ。「苦しい」「痛い」。少なくとも10人ぐらい。「うるさい」と制止する声、うめき声もあった。体はリクライニング席に座ったあおむけのような状態。脚の付け根あたりが車体の一部に挟まれ、ズボンのポケットに入れた携帯電話に手が届かなかった。「助けて、ここ!」。声を張り上げた。
 次第に、うめき声が減っていった。静かな車内で身動きがとれないまま、果てしなく長い時間が続いた。「死にたくない」。繰り返し、そう考えていた。
 視線の先に動く光を見つけ「生存者がいるぞ」と聞こえた。「何人おる?」と問われ、「4人」と答えた。自分以外に3人の声が聞こえていたから。初めて「助かった」と思った。約11時間かけて手作業で車体の残がいが取り除かれ、事故翌日の午前3時前、助け出された。事故から約18時間後。再び、意識を失った。
■それから
 何日後だったのかは分からない。目が覚めると、集中治療室のベッドだった。40度の高熱が1カ月続いた。脚の感覚がなく、約2カ月寝たままだった。「目を開けるのも、まばたきもしんどかった」
 下半身が圧迫されたため、脚の筋肉が壊死し、毒素が体内に回る「クラッシュ症候群」と診断された。一般病棟に移って、初めて包帯で巻かれた動かない脚を見た。「何でこんな目に遭ったのか」。泣くことしかできなかった。
 歩く準備を始めたころ、不安が押し寄せた。学校に行けるのか、就職できるのか、結婚できるのか…。付き添いの女性看護師に、家族にも話さなかった事故の記憶と苦しい胸の内を吐き出した。人に話すだけで、救われた気持ちになった。
 事故から約10カ月後に退院した。「生活は不便でも、この事故は人生を変えるきっかけ」。そう思うようになった。
 事故から3年後に症状が固定。歩けるが、つえを手放せなくなった。退院後、講演の依頼が相次ぎ、戸惑った。一緒に救助された4人のうち、2人は亡くなったと聞いていた。「自分は被害者の代表じゃない」。でも、入院中の「救われた」経験は伝えたくて引き受けた。
 大学卒業後は、地元の伊丹市役所に入庁した。事故の犠牲者を追悼するチャリティーコンサートには毎年参加し、ギターで弾き語りを続けている。
 あの事故から13年。JR西日本や安全に対して「思いはあるけど、話さない」。事故はなかったことにならないし、けがが治るわけでもないからだ。ただ、事故を乗り越えた経験は自分にしか伝えられないし、伝えたい。(竜門和諒)


命の尊さ呼び掛ける「花文字」 尼崎JR脱線事故
 尼崎JR脱線事故から25日で丸13年。今年も事故現場に近い兵庫県尼崎市久々知西町2の畑に、大根の花でかたどられた「命」の文字が浮かび上がっている。線路沿いに咲く花文字は、車窓越しに命の尊さをそっと呼び掛ける。
 近くの農家松本三千男さん(82)が犠牲者を供養するため、2009年から事故現場の南西約350メートルにある畑に種をまく。満開となった花はJR宝塚線の下り電車から見ることができる。
 「体力が続く限り続けたい」という松本さん。「車窓に流れる文字を見て、改めて命の大切さをかみしめてもらえたら」と話していた。(大山伸一郎)


夫婦別姓で相次ぐ訴え 選べぬ不自由さいつまで
 結婚する男女が同じ姓を名乗らなければならない状況はいつまで続くのだろうか。夫婦別姓を選択できないことに疑問を投げかける訴えが今年、相次いでいる。
 ソフトウエア開発会社の男性社長は、夫婦別姓を選べない法制度は憲法に違反するとして、国に損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。
 社長は妻の姓を選択した。仕事では旧姓を使うが、取引や国外出張で手間がかかり、企業経営の足かせになっていると口頭弁論で訴えた。
 別の訴えも起きた。事実婚の夫婦4組が、別姓の婚姻届の受理を求めて家裁に審判を申し立てた。
 ともに大学教員として論文を書いてきた夫婦は、研究の継続性から名前の変更を望まず、事実婚を余儀なくされた。別姓を認めない規定が、法律婚の制約要因となっている。
 こうした訴えは決して特殊なケースではない。高齢世帯を除く共働き世帯の割合は約6割に上る。結婚で名字が変わることに「違和感を持つ」人は、世論調査で2割超だ。社会の変化に伴い、別姓を選べない現状に不都合を感じる人は増えている。
 最高裁は2015年、婚姻時に夫婦どちらかの姓を名乗るよう定める民法の規定を合憲とした。
 ただし、一枚岩の判断ではなく、15人の裁判官のうち女性裁判官3人全員を含む5人が憲法違反の意見だった。さらに、選択的夫婦別姓の導入について、最高裁は国会での議論を促した。今もって立法府が動こうとしないのは残念だ。
 結婚の形は多様化している。
 別姓反対派は、別姓を容認すれば家族の絆を損なうと主張する。だが、日本以外に夫婦同姓を義務づける国はない。外国には家族の絆がないとは言えまい。
 政府は国家公務員の旧姓使用を大幅に認め、民間を含め社会全体で旧姓使用の拡大を図っている。
 だが、多くの国家資格は今も戸籍の姓で登録される。パスポートや銀行口座も戸籍の姓が原則だ。二つの姓を使い分ける煩雑さを大勢の当事者が訴えている。旧姓使用の拡大は、根本的な解決にはならない。
 選択的夫婦別姓制度は、同姓の選択も自由だ。選べない不自由さの解消を図りたい。国会はこの問題を放置せず議論していくべきだ。


また昭恵夫人が…ヘイト常習者のデモに感謝のメッセージ?
 まさかと思うが、あの夫婦ならあり得るか。
「ヘイト街宣の常習者が参加するデモに首相夫人が感謝のメッセージを寄せたらしいというので、驚きの声が上がっています。デモの主催者は『日本会議議員』を名乗っていて、排外差別デモの在特会とも関係が深いとされる。安倍首相が大阪に選挙応援に来た際、演説の前にバイオリンで君が代を演奏したこともあります」(大阪府警関係者)
 安倍首相主催の「桜を見る会」が東京・新宿御苑で開かれ、昭恵夫人も出席した21日、大阪では「偏向報道に負けるな!安倍政権がんばれ大行進in大阪デモ」なるものが行われていた。
 デモの案内には、「偏向報道を糾弾し、かけがえのない安倍政権を応援して憲法改正を絶対実現したい」「凜として和やかで晴れやかな国旗『日の丸』を持ち寄って安倍政権を応援する国民行進」などと書かれている。
 ネット上にアップされたデモ当日の動画を見ると、御堂筋を南下し、解散地点で主催者らしき男性が「安倍昭恵さんからメッセージをいただいておりました」と誇らしげに声を張り上げる様子が写っている。
 男性は手にしたスマホの画面に目をやりながら、昭恵夫人からのメッセージらしきものを読み上げ、こう続ける。 
「『これから日本を求めて世界の人が来そうですね。21日の行進はどこで行いますか』と。本当に昭恵さんのおおらかな方っていうのは、本当に素晴らしかったと思って感激いたしました。いつも応援ありがとうございますというメッセージもいただいております」(発言ママ)
 これが本当なら、昭恵夫人はまったく反省していないのだろう。応援してくれる人なら誰にでもいい顔をしてしまう。これでは第二、第三の森友問題が起こりかねない。


森功氏が看破 モリカケ問題の根底は「安倍夫妻ビジネス」
 あらゆる疑惑が今もくすぶったままだ。愛媛県今治市に4月、開学した加計学園の岡山理大獣医学部。安倍首相が「腹心の友」と公言する加計孝太郎理事長に「便宜」が図られ、獣医学部設置が決まったのではないか――。
 昨年3月から1年以上にわたって国会で追及され続けてきた「加計問題」は今月、当時の柳瀬唯夫首相秘書官が愛媛県や今治市職員と面会した際に「本件は首相案件」と発言していたという文書の存在が発覚。疑惑が再燃した。「悪だくみ『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)の著者で、この問題を追い続けるノンフィクション作家の森功氏に改めて問題の本質を聞いた。
■国家戦略特区で規制緩和の弊害が拡大
  ――まず、加計問題を取材するきっかけを教えてください。
 もともと、構造改革特区や小泉内閣の規制緩和に疑問を持っていました。例えば、特区構想のひとつである株式会社立高校では、国から学校に支払われる就学支援金を当て込んで、幽霊生徒でぼろ儲けしている実態がありました。国家戦略特区は、それがバージョンアップされて形を変えただけ。加計問題の本質も構造改革特区の問題の延長にすぎないのです。
  ――国家戦略特区制度のどういう点を不審に思い、調べたのでしょうか。
 国家戦略特区とは規制緩和です。教育特区を活用した株式会社立高校ではろくに勉強せずに卒業できる仕組みになっているなど、規制緩和による弊害があり、それを検証しようと思いました。そこで特区制度で2017年4月に新設された千葉県成田市の国際医療福祉大医学部を取材すると、土地の無償貸与と補助金をめぐり、地元から「おかしいよね」という声が多数あることが分かりました。
 その後、森友学園の国有地払い下げや、特区制度を使った加計学園・獣医学部新設の問題に注目が集まったため、国際医療福祉大よりも根が深そうな加計学園に取材の軸足を移しました。
  ――今月、2015年4月2日に愛媛県と今治市の職員、加計学園関係者が官邸を訪問し、当時の柳瀬首相秘書官と面会した際の文書の存在が明らかになりました。どう思いましたか。
 率直に言って、ようやく(文書が)出てきたな、という感じです。愛媛県や今治市、加計学園の幹部がわざわざ官邸を訪ね、1時間半も会議をしているわけですから、やりとりを記した文書が存在するのはある意味、当然のことだからです。愛媛県の中村時広知事は「備忘録」と言葉を濁していますが、行政文書に近いと思いますね。ただ、なぜか、その文書が「ない」とされてきたのです。
  ――いつ出てきても不思議ではない文書だったのですね。
 いわゆる「愛媛文書」の存在は、NHKのスクープ報道がきっかけです。これによって、県は文書が本物かどうか、中身を含めて正直に答え、そこに柳瀬さんの名前が記されていた、ということでしょう。これは当然の対応ですが、一方で今治市はいまだ柳瀬さんとの面会を認めていない。その問題もあります。
  ――それでも安倍首相は加計学園が獣医学部をつくることを知ったのは「2017年1月20日」と強弁しています。
 加計理事長は第1次安倍政権の前から千葉科学大で獣医学部をつくろうとしていました。おそらく加計理事長は安倍首相と獣医学部新設についてずっと密に連絡を取り合っていたと思います。加計問題がこれほど大騒ぎになっていなければ、もしかしたら愛媛と千葉に2つの獣医学部ができていたかもしれません。
  ――安倍政権は誰でもわかるウソをなぜ、つき続けるのでしょう。
 誰がどう考えても柳瀬さんは愛媛県や今治市の職員と会っているとしか思えないのだけれど、首相秘書官というのは首相の代理ですから、仮に認めてしまうと、面会自体が首相案件になってしまう。だから、会ったことは絶対に言えないし、野党に追及されても「会ってない」と言わざるを得ないのでしょう。
強固に首相を守る経産省に財務省が対抗
  ――そんな柳瀬氏をめぐり来週の国会招致が浮上しています。
 正直言って証人喚問をしてもあまり期待できません。「記憶の限りにおいては」などと枕ことばをつけて否定することが容易に想像つくからです。おそらく、柳瀬さんはこれを繰り返さざるを得ないし、それだけの覚悟もできていると思います。野党がここを切り崩すのは難しいでしょう。<刑事訴追の恐れがないから追及しやすい>といった観測もありますが、甘いでしょうね。
  ――森友問題の佐川前国税庁長官と同様、国会招致でも疑惑は晴れず、何も変わらないということですか。
「記憶の限り」という枕ことばをつければ偽証罪には問われない。ならば、柳瀬さんがいかにオカシな証言をしているかということを浮き彫りにするためには、野党が努力するしかありません。例えば、官邸の入館記録が残っていないことを問題にするべきでしょうし、官邸の会議録が存在していないという不自然さをもっと追及するべきでしょう。
  ――霞が関官庁はなぜ、そうまでして安倍政権を守ろうとしているのでしょうか。
 霞が関官庁というよりも、安倍首相に近い取り巻きの人たちでしょう。例えば柳瀬さんだけでなく、首相秘書官の中で経産省グループは財務省よりも突出して首相に対する忠誠心が高い。衆院予算委でやはり経産省出身の佐伯耕三首相秘書官が野党議員にヤジを飛ばしていましたが、首相を守るという強固なスタンスが一貫していますね。
■特区の議論はトップダウンの出来レース
  ――森友問題の国有地売却で決裁文書改ざんが明らかになった財務省も同じということでしょうか。
 おそらく財務省の中で、安倍首相に覚えめでたい経産省よりも「後れをとっている」という強い危機意識があるのではないでしょうか。推測ですが、森友問題は、財務省が経産省に対抗し、首相に対してアピールしたために問題が起きたのではないかと思っています。
  ――著書「悪だくみ」の中で森友問題は「第2の加計」と言っていますね。
 兵庫県神戸市にある加計グループの「御影インターナショナルこども園」で安倍昭恵さんが名誉園長をやっていることに、森友の籠池さんが着目し、<うちも昭恵さんを名誉校長にすれば発展できるだろう>と考えたのは容易に推測できる。実際、その後、籠池夫妻は昭恵さんと一緒にこども園や広島県福山市の英数学館に足を運んでいますからね。
 その意味では一連の問題の原型は加計であり、森友が第2なのです。教育の名のもとに首相や首相夫人をうまく介したビジネスモデルと言っていいでしょう。
  ――安倍首相や昭恵氏はその教育ビジネスのために利用されたということですか。
 安倍首相などの興味は、ビジネスというよりも教育勅語に象徴されるような愛国心を植えつける教育です。どう実現していくかを考えた時に利用したのが規制緩和。つまり教育の自由化です。小泉政権からの流れですが、特区制度を活用した株式会社立の学校も含め、新規参入を容易にする仕組みづくりに力を入れてきた。その過程で公私混同というのか、さまざまな思惑が絡み、問題が起きたのだと思っています。
  ――まさに行政の私物化が起きたと。
 特区という規制緩和によってある意味、行政の「利権化」のパターンが出来上がってしまった。その結果、加計学園のように首相との関係を背景にしたエコヒイキが生まれ、その利権をうまく利用した業者が甘い汁を吸う。それがまさしく「行政の歪み」の構造というわけです。
  ――国家戦略特区の制度そのものに問題があると。
 国家戦略特区のワーキンググループ(WG)について安倍さんは「一点の曇りもない」とか言っていますが、都合の良いことしか議事録に載せていないから「一点の曇りもない」に決まっています。一番の問題は首相がトップの議長として決めてしまうことでしょう。かつての労働政策審議会(労政審)のように、徹底的に議論し合う審議会もありましたが、大半は官僚が主導して「こうしましょう」ということに追随しているのが実態です。
 国家戦略特区の場合、内閣府の藤原豊元次長が音頭をとって、その上に和泉洋人首相補佐官がいて、方向を決めて導いていった。こういう仕組みを変えない限り、加計問題のような事態はまた起きるでしょう。(聞き手=本紙・高月太樹)
▽もり・いさお 1961年福岡県生まれ。岡山大学卒業後、出版社勤務を経て、03年フリーランスのノンフィクション作家に転身。「悪だくみ」(文芸春秋)の他に、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)など著書多数。


戦略特区活用 「加計」だけ助言?
 「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り、二〇一五年四月に愛媛県や学園の幹部らとそれぞれ面会した柳瀬唯夫首相秘書官(当時)や藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(同)は、安倍政権が導入した国家戦略特区の活用を助言したとされる。藤原氏は「特別な対応ではなかった」とコメントしているが、そんな助言を実際にもらえるのか、ほかの自治体にも聞いてみた。 (池田悌一)
 「地域活性化につながると思って二回続けて構造改革特区に申請したが、国からは、『難しい』とあっさり退けられ、箸にも棒にもかからなかった」
 そう冷ややかに話すのは熊本県の担当者。一四年と一五年、自治体だけでなく農協も「道の駅」の設置者になれるよう申請したが、認められなかった。「国家戦略特区活用の助言なんて全くありませんでしたね」
 構造改革特区は自治体の提案を国が認証する手続きで、窓口は内閣府。愛媛県と今治市も〇七〜一四年に獣医学部の新設を十五回申請し、すべて却下されたが、柳瀬氏らとの面会を境に流れが大きく変わった。
 愛媛県作成の文書によると、柳瀬氏は「本件は首相案件」とした上で「国家戦略特区の方が勢いがある」と推奨。藤原氏も面会の際、「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と述べたとされる。
 面会の事実を柳瀬氏は否定。藤原氏は認めながらも「各自治体に国家戦略特区制度をPRしていた。特別な対応ではなかった」と内閣府の調査に答えている。
 だが、構造改革特区を一〇〜一三年に三回申請し、すべて却下された神奈川県鎌倉市の担当者は「内閣府から国家戦略特区を案内された記憶はない」と話す。
 市の申請内容は、選挙経費を節約するため、時期が近接する市長選と市議選を同じ日にできるようにするもの。状況の似ている埼玉県所沢市も一二、一三年は共同提案していた。
 所沢市の担当者も「経費削減と投票率アップの一石二鳥の提案と自負したが、国には理解されなかった。国家戦略特区の話もなかった」と振り返る。
 実際、内閣府のある職員は「こちらから自治体に『これは国家戦略特区で申請して』と言うことはない」と証言する。
 今治市は一七年一月、国家戦略特区で獣医学部新設が認められ、加計学園が事業者に決定した。実は、市が国家戦略特区で認定された事業には、道の駅の民営化も含まれている。
 藤原氏は調査に「自治体との面談はルーティンだった」と話しているが、道の駅を却下された熊本県の担当者は「藤原氏と面談したことはなく、内閣府とも電話のやりとりだけだった」と強調する。「国の対応は一貫性がないですね。一度くらい官邸に呼ばれたかった」とこぼした。
<構造改革特区と国家戦略特区> 構造改革特区は、地域限定で規制を緩める仕組みで、小泉政権が2002年に創設した。自治体などが国に自らアイデアを提案するのが特徴。一方、国家戦略特区は、国が指定した地域に限って規制を緩和する制度で、安倍政権が13年に導入。国主導の「トップダウン型」で、国が「東京圏」「愛知県」「広島県・今治市」など全国10地域を指定し、各地域が農地でのレストラン開業や民泊など特例的な事業を行っている。


佐川前理財局長を任意聴取 大阪地検特捜部
森友学園をめぐる財務省の決裁文書の改ざん問題で、大阪地検特捜部が佐川宣寿前理財局長から任意で事情を聴いたことが、関係者への取材でわかりました。佐川氏は、先月の証人喚問で「刑事訴追のおそれがある」などとして改ざんの経緯についての証言を拒否していて、特捜部はみずからの関わりなどについて詳しい説明を求めたものと見られます。
この問題で財務省は、決裁文書の改ざんは去年2月下旬から4月にかけて佐川氏の国会答弁との整合性を取るために行われたと説明していますが、佐川氏は先月27日の証人喚問で改ざんの経緯やみずからの関わりについて「刑事訴追のおそれがある」などとして証言を拒否しました。
佐川氏をめぐっては市民団体などから虚偽公文書作成や公文書変造などの疑いでの告発状が検察当局に提出されています。大阪地検特捜部はこれまで財務省や近畿財務局の担当者などから事情を聴くなどして捜査を進めてきましたが、新たに佐川氏本人からも任意で事情を聴いたことが関係者への取材でわかりました。
関係者によりますと、理財局の複数の職員が近畿財務局に改ざんを指示するメールを繰り返し送っていたほか、特捜部の調べに対し財務省の担当者は「改ざんは佐川氏の指示だったと認識している」などと説明しているということです。
特捜部は佐川氏から改ざんの経緯やみずからの関わりについて詳しい説明を求め、今後、刑事責任を問うかどうか判断するものとみられます。
佐川氏のこれまでの答弁
財務省は先月12日、森友学園との国有地の取り引きに関する決裁文書に改ざんがあったことを認め、国会に報告しました。
改ざんは14の文書で300か所以上に上り、学園側との事前の価格交渉をうかがわせる記述や、安倍総理大臣の妻の昭恵氏や政治家などの名前が記された部分が削除されていました。
これまで財務省は、文書の改ざんは去年2月下旬から4月にかけて、佐川氏の国会答弁との整合性を取るため、同省理財局の指示で、近畿財務局などが実行役となって行われたと説明しています。
そして、職員への聴き取り調査などから「佐川氏の関与の度合いは大きく、書き換えを知っていたと認識している」としています。
これに対し、佐川氏は先月27日の証人喚問で、改ざんへのみずからの関与や改ざんをいつ、どのように認識したのかについて「刑事訴追のおそれがある」ことなどを理由に証言を拒みました。
一方で、佐川氏は、改ざんには安倍総理大臣や妻の昭恵氏、麻生副総理兼財務大臣、総理大臣官邸の関係者からの指示はなかったと説明しました。
また、改ざんが「なぜ」行われたのかについても詳しい答弁をしませんでしたが、去年2月17日に安倍総理大臣が「私や妻が関係していたら、総理大臣も国会議員も辞める」と答弁したことについては、みずからの答弁などに影響は与えていないうえ、財務省内や総理大臣官邸との間で、対応の協議も行っていないと説明しました。
さらに、国有地の取り引きに「政治家の関与や影響」があったのかどうかをめぐっても、安倍総理大臣や妻の昭恵氏のほか、総理大臣官邸の関係者からの指示や圧力はなく、その存在の影響もなかったと説明していました。
一方、佐川氏は、学園側との事前の価格交渉を否定したみずからの答弁について「正しかったと思っている」と述べましたが、学園側との面会記録を「廃棄した」と答弁したことについては「丁寧さを欠いていたのは間違いない」と陳謝していました。
財務省官房長 無言で退庁
財務省の矢野官房長は、財務省を出る際、記者団から「森友学園をめぐる財務省の決裁文書の改ざん問題で大阪地検特捜部が、佐川宣寿前理財局長に任意で事情を聴いたことについて把握しているか」と問われましたが、なにも答えず退庁しました。


再生可能エネ 主役に起用するのなら
 「再生可能エネルギーを主力化する」−。経済産業省の有識者会議からの提言だ。風力や太陽光を電力の未来を担う主役に据える、というのなら、それなりの舞台と待遇を用意すべきではないか。
 風力や太陽光といった再生可能エネルギーを「主力電源」にすると持ち上げる一方で、原発は温暖化対策のための「選択肢」として維持し続ける−。
 二〇五〇年のエネルギー政策はどうあるべきかを考える、経済産業省の有識者会議による提言だ。
 風力や太陽光は増やしましょう。だが原発に関しても、依存度は小さくするが、なくすわけではないという。相変わらず、どっちつかずと言うしかない。
 第一に「主力電源」という位置付けが、よく分からない。
 四年前に閣議決定された国の第四次エネルギー基本計画でも、再生可能エネは「有望かつ重要な低炭素の国産エネルギー」と位置付けられて、最大限、導入を加速するとされてきた。
 政府は現在、三〇年時点の再生可能エネの比率は、原発とほぼ同じ、22〜24%と決めている。
 “先進国”と言われるドイツは、五〇年までに消費電力の少なくとも80%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げている。
 そのために、太陽光と風力を最優先で利用してもらい、足らない分を揚水発電やバイオマス発電などで補うよう、電力の供給体制も変えてきた。
 「主力電源」とうたうからには、少なくとも現行を大幅に上回る導入の数値目標、そして、基幹送電線への優先接続など給電システムの改革案を具体的に明示すべきなのである。
 送電網の拡充などに時間と費用がかかるという意見もある。
 しかし、3・11を経験し、原発の新増設は、もう不可能と言っていい。老朽化していく原発に膨大な費用を投じて安全対策を施しながら、あと三十年、恐る恐る使い続けていくよりは、はるかに安上がりかつ合理的ではあるまいか。
 原発維持は、温室効果ガスの排出をなくしていくためだという。しかし、原発の燃料であるウランの採掘などの過程で、かなりの二酸化炭素(CO2)が排出されるという指摘もある。
 再生可能エネ普及の加速こそ、脱炭素化の王道でもあり、世界の主流なのである。「脱炭素化のため」と言われても、原発維持の口実にしか聞こえない。


働き方改革法案 時間規制の強化を優先に
 安倍晋三政権が今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案が、審議入りのめどすら立たない事態に陥っている。
 なぜか。関連法案の根拠ともなったデータを厚生労働省が不適切に処理していたことに加え、森友・加計(かけ)学園問題など政府を巡る疑惑や不祥事が次々に発覚し、与野党対立が激しさを増しているためだ。
 関連法案を所管する衆院厚生労働委員会でも、加藤勝信厚労相が野村不動産社員の過労死を知りながら特別指導の好事例として国会で紹介したのではないか−と指摘され、野党の猛反発を招いている。
 6月20日の会期末までの成立は極めて困難との見方が与党内でも語られ始めたという。
 であるなら、与党も審議や採決を急ぐのではなく、与野党で胸襟を開いて残る課題をじっくり協議すべきではないか。
 労働基準法など8本の改正案をまとめた関連法案は労働時間規制の強化と緩和が混在する。労働者にとって「アメとムチ」の法案だ。そもそも方向性が異なる内容を一括するのは無理がある。これでは政府が誰のために、どんな働き方を実現しようとしているのか見えてこない。
 働く人が健康的に安心して働けるようにすることか、成長戦略の柱として経営者が期待する効率的で柔軟な働かせ方か。
 長時間労働による過労死や自殺が相次ぎ、非正規労働者の厳しい待遇が社会問題化する中、時代の要請が前者であることを改めて確認したい。
 その点で関連法案にはなお課題が残る。野党は対案の国会提出を準備しているという。
 不適切データ処理の発覚で、政府は規制緩和策の柱だった「裁量労働制」の対象拡大を関連法案から削除した。野党や過労死遺族などは「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」創設の削除も求めている。
 高プロは、年収1075万円以上の一部専門職を「1日8時間、週40時間」の労働時間規制から外し、残業や深夜、休日出勤をしても割増賃金を払わない−という制度で、長時間労働を強いるとの批判が根強い。
 一方で関連法案は、時間外労働(残業)時間の罰則付き上限規制▽同一労働同一賃金など正社員と非正規労働者の格差是正▽終業から翌日の始業までに一定の休憩時間を確保する勤務間インターバル制度の導入促進−といった規制強化策も含む。
 ここにも不十分な点はあるが、働く人たちが待ち望んだ規制強化策の一環である。規制の強化と緩和を分離し、まず強化策の成立を図ってはどうか。働く人たちのために与野党で一致点を探ってほしい。


イラク日報 派遣判断の検証が必要だ
 自衛隊をイラクに派遣した判断は妥当だったのか。それを問う内容と言える。
 政府は活動の徹底的な検証を行い、国民への説明責任を果たさなければならない。
 防衛省は、2004〜06年にイラクに派遣された陸上自衛隊部隊の日報を初めて公表した。
 そこには「戦闘」の記述が複数あり、派遣された南部サマワの治安情勢について「戦闘が拡大」と分析している。
 イラク派遣に際しては、海外での武力行使を禁じた憲法9条との整合性が問われた。
 これに対して当時の小泉政権は、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」との理屈で世論を押し切った経緯がある。
 「戦闘」が複数あった地域が「非戦闘地域」といえるのだろうか。疑問が募る。
 小野寺五典防衛相は、自衛隊が活動した地域は「非戦闘地域の要件を満たしている」と改めて正当性を主張している。
 政府の解釈では、戦闘は組織性や継続性で判断するとし、「国または国に準ずる組織の意思で遂行されていると認められないもの」は戦闘行為に当たらないというのである。
 陸自が15年に全文を公開した「イラク復興支援活動行動史」には、迫撃砲などによる宿営地への攻撃が十数回あったと記され、派遣部隊責任者は「純然たる軍事作戦」と指摘していた。
 日報にも「戦闘が拡大」とあるのに、「非戦闘地域」というのは強弁にしか聞こえない。
 さらに解せないのは、公表された日報には宿営地への攻撃など、攻撃が多発した時期の大半が欠落していることだ。黒塗りの部分も多い。
 これでは隊員がどのような状況に陥り、どう対処したのか分からない。
 そもそも防衛省が「存在しない」としていた日報は、昨年3月に存在が把握されながら1年以上隠蔽(いんぺい)されていた。
 同じく隠蔽されていた南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報にも、「戦闘」「攻撃」といった言葉が並び、大規模戦闘に巻き込まれる危険性が指摘されていた。
 イラク日報で攻撃があった日の多くが抜けているのも、「不都合な文書」として隠蔽しているのではと疑いたくなる。
 発見された日報はこれだけなのか。まだ残っていないのか。徹底調査することを求めたい。
 安倍政権は15年、憲法違反の疑いが濃厚な安全保障関連法を、強行的な形で成立させた。
 これにより、国際紛争時の自衛隊の後方支援活動の場所が「現に戦闘行為が行われている現場(戦場)以外」に拡大された。
 自衛隊には「駆け付け警護」などの新任務も付与され、隊員のリスクはさらに高まると指摘する声も強い。
 イラクでの厳しい状況が分かっていれば、安保法の国会審議に影響があった可能性もある。
 イラクや南スーダンでの自衛隊の活動をしっかり検証し、安保法の見直し論議を行うことも必要ではないか。


オスプレイ配備  住民の懸念受け止めよ
 米空軍の輸送機CV22オスプレイ5機が今月5日、東京の米軍横田基地に到着した。当面は訓練などを行い、今夏に正式配備されるという。国内での米軍のオスプレイ配備拠点は沖縄県の普天間飛行場と合わせて2カ所になる。
 オスプレイは2016年12月に沖縄県名護市沖で不時着して大破したほか、緊急着陸や部品の落下などトラブルが相次ぎ、安全性を懸念する声は根強い。住宅が立ち並ぶ横田基地周辺の住民から不安視する声が上がるのは当然だ。
 オスプレイは有事の際、兵員や物資輸送といった後方支援を主な任務とする。横田基地への配備の背景には、朝鮮半島情勢や中国の軍拡などアジア地域の安全保障環境の厳しさがあるとされる。
 13年10月には陸上自衛隊と米海兵隊が高島市の饗庭野演習場で実施した共同訓練に参加したこともある。首都圏への配備によってオスプレイの行動範囲が広がり、恒常的に日本各地を飛行するようになるかもしれない。
 横田基地に来たCV22は特殊作戦用の機体で、アフガニスタンでの作戦にも投入された。すでに普天間飛行場に配備されている海兵隊のMV22オスプレイより厳しい環境で訓練を行う可能性もあり、さらに危険性が高まるのではないか。
 沖縄配備時に日米両政府が合意した安全確保策では、低空飛行訓練の際は航空法に定めた安全高度150メートル以上で、人口密集地上空は回避するとしているが、順守されていないとの指摘もある。
 米軍を巡るトラブルはオスプレイだけではない。昨年12月、普天間飛行場に所属する大型輸送ヘリコプターから重さ7・7キロの窓が隣接する小学校の運動場に落下した。今年2月には青森県の三沢基地所属のF16戦闘機がエンジン火災を起こし、シジミ漁船が操業中の小川原湖に燃料タンク2個を投棄した。
 にもかかわらず、米軍や日本政府による地元への説明は不十分と言わざるを得ない。今回、横田基地がある東京都福生市の加藤育男市長は「突然の配備決定に加え、正確な日時が市に伝えられないまま飛来したことに驚いている」と指摘している。
 住民や自治体の理解を得ないまま、オスプレイの横田基地への正式配備を強行することは到底認められない。日本政府は米軍に対して住民の懸念を伝え、危険な訓練を行わないよう強く求めていく必要がある。


永田町にオスプレイを!
 ジャーナリストの広瀬隆氏が『東京に原発を!』を出版して、もう三十年以上になる。
 原発がそんなに安全というなら東京のど真ん中につくればいい、東京につくれないものを地方に押し付けるな。過疎の浜の人は死んでも仕方ないということか−そんな訴えの書は、東京電力福島第一原発の惨事を予言していたともいえる。
 東京には原発も再処理工場もない。都会人が原発の危険性を実感するには相当な想像力を要し、現実には困難だろう。
 米空軍の輸送機CV22オスプレイが横田基地(東京都福生市など)に五機配備される。決まっていた時期より二年程度前倒しとなり「唐突だ」「連絡が遅い」と騒ぎになった。
 もし沖縄県民の苦難を共有するといった意志があったならば、周辺住民や都民が横田配備に慌てて反対するのは本来おかしい。
 口で沖縄県民に寄り添うと言いながら、どこかひとごとで済ませてきたのではないか。実感もなく、きれい事を言ってきただけではないか−沖縄県民にはそう映りかねない。
 問題はいうまでもなく、不条理で不公平極まりない日米地位協定である。そこに真正面から向き合わず、基地周辺の住民に苦痛を強いて安穏としているのが政府・与党だ。
 無責任な現状を打破するには、このモンスターの脅威を肌で感じてもらうしかあるまい。「オスプレイを永田町に」 (久原穏)


自衛官の暴言 組織の「緩み」総点検を
 日報隠蔽(いんぺい)疑惑で揺れる防衛省で再び、あってはならないことが起きた。統合幕僚監部に所属する3等空佐が参院議員に「おまえは国民の敵だ」との暴言を吐いた。相次ぐ不祥事に、軍事組織の暴走を許さない文民統制(シビリアンコントロール)が機能しているか、国民の不安を募らせたと言わざるを得ない。
 この3佐は今月16日夜、参院議員会館近くをランニングしていて、小西洋之民進党参院議員を見掛け、罵声を浴びせた。抗議されるなどしたため、発言はその場で撤回したという。
 小西氏は国会で陸上自衛隊のイラク派遣部隊の日報問題を熱心に追及し、「安倍内閣は総辞職すべきだ」などと述べていた。そうした発言に3佐は反発したのだろうか。
 防衛省は調査して厳正に対処するという。当然だろう。どんなことを言ったのか。なぜこんなことをしたのか。狙いや背景も明らかにせねばならない。
 自衛官としての品位を保つ義務や、政治的行為を制限した自衛隊法に抵触していた恐れもある。責務や制約を間違って理解していなかったか、きちんと調べることが不可欠である。
 制服組トップの河野克俊統合幕僚長は「いかなる理由があっても、国民の代表である国会議員にあのような発言は許されない」と謝罪した。そうした認識を末端の隊員にまで改めて教育、徹底させることが急がれる。
 一方、小野寺五典防衛相の対応はどうしたことか。当初は、「(3佐も)国民の一人なので思うことはあると思うが、口にするかどうかは自分が置かれた立場をおもんぱかるべきだ」と述べた。心情に理解を示したとも受け取れる。事の重大さが分かっていないと批判されるのも無理はない。
 「あってはならないこと。発言を擁護するつもりはない」。その後、参院外交防衛委員会で謝罪した。ところが、「内心の自由は認められているが、言動には気を付けないといけない」とも述べている。軍部が政治を差し置いて独走した戦前のようにならないか、大臣として厳しい姿勢を示すのが筋である。それができないのであれば、役職を離れるべきだろう。
 暴言の背景に制服組のおごりがあるとも指摘されている。安全保障関連法の施行で自衛隊の活動が拡大した上、国家安全保障会議(NSC)設置で制服組の立場は確かに強くなった。地位が高まって、おごりが生じたとしたら放置はできない。
 河野統幕長自身も昨年、憲法9条に自衛隊を明記するとの安倍晋三首相の提案について「一自衛官として申し上げるなら非常にありがたい」と発言して批判を浴びた。2014年の訪米時には、国会審議が始まる前にもかかわらず、安保関連法案が翌年夏までに成立するとの見通しを米軍幹部に伝えていた。
 統合幕僚監部が、安保関連法成立を前提に部隊運用に関する内部資料を作成したこともあった。大臣だけでなく、制服組トップがこれでは、組織に「緩み」が広がっているように映る。そんな懸念も拭い切れない。
 今回の暴言を個人の問題として片付けず、組織全体を再点検するきっかけにすべきである。おごりや緩みを正さないと、国民の自衛隊への信頼が一層揺らぐことになりかねない。


アマゾン「当日配達ドライバー」の過酷な実態 記者が潜入!疲弊する都内の下請け配達現場
木皮 透庸 : 東洋経済 記者
4月の平日午前10時、記者を乗せた軽ワゴン車は都内のとある物流センターに到着した。ドライバーたちが地図を片手に、「amazon」のロゴが入った段ボール箱を車に積み込んでいる。
ここはアマゾンから地域限定で配達を請け負うデリバリープロバイダ(DP)の拠点だ。アマゾンの配達の大半を担ってきたヤマト運輸が配送量を抑制したため、昨春からアマゾンがDPによる自社配送網の拡大に着手。注文した当日や翌日の配達を主とする。記者は、あるDPの下請け物流会社の「一日見習い」として、アマゾンの自社配送の現場に潜入した。
間近で見た敏腕ドライバーの手さばき
同行したのは、30代の男性ドライバーだ。昨秋からDPの下請け配達業務に携わる。このセンターには約30の配達コースがある。協力会社5社が下請けを担い、ドライバーの3分の2を占める。残る3分の1はDPが契約する個人事業主だ。
まず、荷物の積み込みを手伝う。千葉県市川市のアマゾンの倉庫から朝7時に届いた荷物だ。ドライバーは、ラベルの住所と氏名を見て瞬時に、積み込む荷物と、センターに残す荷物に分けていく。「この家は日中不在なので、夜配達に行く」と話す。配達先の状況をすべて頭にたたき込んであるのだ。
配達コースに慣れていないと各世帯の事情がわからないうえ、地図に目印をつけながら作業するため、積み込みに1時間半を費やす人も多いという。この敏腕ドライバーは、わずか20分ほどで作業を終えた。
午前11時、最初の配達に出発。マンションや戸建てを中心に訪問するが、ドライバーの予測どおり在宅率は高い。不在でもマンションでは宅配ボックスを使えるため、荷台の荷物はどんどん減る。アパートでは住民が不在だったが、不在票は入れなかった。夕方以降、住民の帰宅を見計らい、再度出向くという。
配達途中、ドライバーの携帯電話にセンターから連絡が入る。午前中の配達指定の荷物が残っていたのだ。センターに戻り、再び配達に向かう。このDPでは、4月から配達時間の指定に対応した。従来、時間指定は主にヤマトが対応していたが、DPの運用本格化で機能が充実してきたようだ。
受取人の在宅状況を熟知
午前の配達を12時半で終え、昼休憩に入る。1時間半で35箱の配達が完了。かなりのハイペースだが、普段も同様だという。
13時過ぎ、センターに4トントラックが到着。アマゾンからのこの日2回目の搬入だ。段ボールを満載したかご台車12台を下ろし、コースごとに仕分ける。台車1台に100箱以上はある。
仕分けを終え、午後の配達に出発。ポストに投函できる薄い箱や封筒状の荷物が多い。不在だった戸建てでは、荷物を軒下に置いた。何度も届ける中で住民と話をし、不在時の「置き配達」で合意したという。
1時間ほど配るとセンターに戻り、休憩もほどほどに再度アマゾンから届いた荷物を仕分ける。夕方からの配達では、仕事や学校から帰ってきた住民に荷物を渡していく。夜8時まで配り、配達完了は142個、不在配達はわずか7個、率にして5%だった。ほかのドライバーは不在率が1〜2割。受取人の在宅状況を熟知し工夫をすれば、不在配達は大幅に減らせるのだ。
潜入したセンターには、「当日お届け130個」という張り紙が目立つ位置にあった。数カ月前までは「110個」だったという。同行したドライバーのように実働10時間で150個配る人もいれば、13時間で110個程度の人もおり、配達効率にバラツキがある。
荷物が増える中、配達効率を高めるようにとのプレッシャーは強い。同行したドライバーが勤める会社の社長によると、アマゾンはDPに対し、1時間平均9個の配達完了を求めている。配達拠点ごとに毎日報告させ、平均を下回り続けると、エリアごとDPを差し替えるケースもある。
DPの報酬体系を通しての圧力も強い。前出の社長によれば、DPは新規の協力会社に、最初の3カ月間は配達個数にかかわらず車両1台当たり1日2万数千円を支払う。その後は配達完了の荷物1個につき200円程度を支払う体系に変わる。効率が悪いドライバーは稼げなくなり、自然と淘汰されていく構図だ。
アマゾンを頂点とするピラミッド構造
DPが協力会社を使うのには、自社ドライバーを抱えずに固定費を抑え、繁閑の差に柔軟に対応したいという事情がある。宅配大手と違い、DPには集荷や代金引き換えの業務がないため、アマゾン側は配達効率の向上を期待した。だが、協力会社への依存度の高いことが配達効率を下げるという皮肉な現象も起きている。「配達で遅れが生じても、協力会社同士が連携することは難しい」(前出の社長)。
今回潜入したDPの拠点には協力会社の下請け会社も入っていた。アマゾンを頂点とする物流のピラミッド構造が生じている。宅配大手も下請けや孫請けに依存しており、構造は同じだ。人手不足の物流業界では大手が社員の待遇改善を進めるが、末端には十分に行き届いていない。アマゾンは配送の一部をヤマトからDPにシフトしたが、問題の構図は何ら変わらない。自社配送網の拡大を阻む大きなリスクといえそうだ。


記者を夢見る女性たちが、セクハラ問題で感じたこと 入り混じる不安と勇気。背中を押す「#metoo」の声とは
Kota Hatachi 籏智 広太 BuzzFeed News Reporter, Japan
財務省の福田淳一事務次官からセクハラを受けたと、テレビ朝日の女性社員が告発したことを受け、メディア内からは自らのハラスメント経験を訴える声が続々と上がっている。
匿名、実名問わずして、「私も」といううねりは収まる気配がない。記者たちの「#metoo」だ。
マスコミの新入社員は、記者を夢見る大学生たちは、一連の動きをどう捉えたのだろうか。
仕方ない、というあきらめ
「自らも同じ目に遭った時に、声をあげる勇気をもらったのは確かです」
そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、この4月から全国紙の記者になった20代のAさんだ。
かねてからマスコミを目指してきたAさん。先輩たちの話を聞いていくなかで、記者の仕事をする上では、会社内外からのハラスメントや長時間労働がつきものだということは、ある程度イメージできていた。
「こうしたことが起きてしまうのは、仕方ないかなとも思っていました。そもそも日本は、まだ男性社会で、世代間のギャップも大きい。警察や行政だって、記者自身だってそうですよね。その人数比はすぐには変わらないですから」
ただ、もし何かがあった時に、その時に会社が助けてくれるのか、という不安もある。テレビ朝日のケースでは、女性記者の訴えが社内で退けられていたことがわかったからだ。
「この女性は一度自分の会社に相談したのに守ってもらえなかったのかと、驚きました。私も同じ目にあったとしたら、まず自分の会社に相談すると思うので……」
このことはちょうど研修中だったため、新入社員の間でも大きな話題になった。
会社側もすぐにハラスメント対策に触れ、ホットラインが機能していることなどを伝えられた。自社のサポートの厚さを知り、ひとまずは、安心することができたという。
「バッシング」への違和感
ただ、それ以上に勇気をもらったのは、今回の問題が公になってからの社会の動きだ、という。
「もしセクハラを受けても、黙っていなくていいし、我慢しなくていいんだというのは、今回のことでより、はっきりしました。自社が守ってくれなくても、支持してくれる先輩たちは必ずいるんだということがわかったからです」
一方で、告発した女性記者への「バッシング」が生まれることには違和感を覚えているという。
「一部の人たちが、動きをうっとおしく思っているような空気も感じるんです。またセクハラはいけない系の話か、というような」
実際、告発をしたテレビ朝日の女性社員に対するバッシングは過熱している。
被害を告発する過程で録音データを提供した行為に批判が集まるなど、マスコミへの不信感がこれを機に噴出している面もある。Aさんはいう。
「無断録音に関する批判的な声があがったことも、衝撃でした。ハラスメントに遭っていて、その証拠をなんとかおさえようとした手段なのに、なぜそれを卑怯だなどと言って批判するのか、ショックでした」
「セクハラする人たちはもちろんですが、この層の意識が変わらないと、結局勇気を出して告発した被害者がバッシングされてしまう構造は変わらないと思いました。この溝をどうしたら埋めていけるのか、わかりません」
いつかは、いま声をあげる多くの「先輩たち」のように。こうした社会の構造を少しでもよく変えていける記者になりたいと、強く思っている。
もしかしたら…という願い
将来は記者になりたいと思っている女性たちはどうか。都内の私立大学に通う3年生のBさんは、こう言葉に力を込める。
「逆に、やっていきたいという気持ちが強まりました」
来年の就職活動に向けて、準備を進めている。記者の仕事のイメージはつかめていないことも多かった。そうした中で今回のような実態を知り、「ハラスメントが身近にあること」に驚いたという。
「今回の問題が発覚した後、多くの記者やジャーナリストなどの人たちが、声をあげたことに驚いたんです。社会にはまだこんな状況があるんだ、という悲しみもあった」
記者になったら、自分がそうした目にあうかもしれないという不安も大きくなった。ただ、Bさんの場合はそれ以上に「使命感」が強くなった、とも語る。
「日本では『#metoo』の動きが海外ほど進んでいなかった。それでも、今回の問題を受けて、多くの人たちが声をあげている」
「もしかしたら、変化が生まれるきっかけになるんじゃないかなと、思えたんです。自分の中で『伝えなくちゃ』という使命感みたいなものが、より強まったように感じています」
今回の問題を受けて「私もバイト先の店長に同じようなことがある」「インターン先でセクハラをされたけれど、我慢した」と、堰を切ったように話をする友人たちがいた。そうした声も、Bさんの背中を後押しした。
「女性だけではなく、男性がかかえるハラスメントの問題だってあるはず。社会として考えるときなんだと思います。少しでも、この現状を変えていきたい」
記者への希望を捨てないで
一方でこうした女性たちを受け入れる人事側は、何を思っているのだろうか。
テレビ局で人事を担当している元記者の30代女性は、BuzzFeed Newsの取材にこう語る。
「今回の問題に関する報道によって、記者の仕事を目指す若い人たちがまた減ってしまうのではないか、と心配しています」
ちょうど新人研修をしているといい、これから記者を目指す人、記者への一歩を踏み出した人たちには、こう言葉を投げかける。
「事件の深層や社会的に意義のあるテーマに迫るために、熱意をもってぶつかっていくと、呼応してくれる取材相手は絶対にいます。ハラスメントをする人だけじゃないよ、と伝えたい」
「誠実に仕事をしていたら、自分の得意なやり方でネタをとれる日が、いつか来るはずです。だから、記者の仕事への希望を捨てないでほしいのです」


長尾氏の炎上だけじゃない 安倍自民の呆れた“女性蔑視”観
 “安倍チルドレン”がまたやった。
 福田淳一財務次官のセクハラ問題をめぐって、野党の女性議員が中心となって「♯Me Too」と書かれたプラカードを掲げ抗議したことについて、自民党の長尾敬衆院議員がトンデモ発言である。
 20日、ツイッターに〈こちらの方々は、少なくとも私にとって、セクハラとは縁遠い方々です。私は皆さんに、絶対セクハラは致しませんことを、宣言致します!〉と投稿し、大炎上している。
 ネット上では、〈この方々じゃなければセクハラするかも…ってことかよ〉〈このツイート自体がセクハラ〉〈心底軽蔑する〉と非難の嵐。長尾氏は22日午前、ブログで〈お詫びと真意〉と題して謝罪したものの、〈(野党は)身内のセクハラ問題には無関心〉などと未練がましく批判を展開した。それでも長尾バッシングは収まらず、夕方になって20日付のツイート自体の削除に追い込まれた。
 一体、長尾氏とはどんな人物なのか。
 もともと民主党に所属していたが、12年の衆院解散と同時に離党。同年12月の選挙では、安倍総裁の“ご意向”で自民党の公認を得たが落選。14年衆院選で再選後、安倍首相の誘いを受け総裁派閥の「清和政策研究会」に入会したバリバリの“安倍チルドレン”だ。15年6月には党内勉強会で、「(沖縄メディアは)左翼勢力に完全に乗っ取られている」と放言し、厳重注意を受けたことでも注目された。
■米国務省が「日本でセクハラ横行」と報告の矢先
 もっとも、「女性蔑視」とも取れるトンデモ発言は自民党では“日常”だ。“魔の3回生”の大西英男衆院議員は16年、自民党を好きではないという女性について「巫女さんのくせになんだと思った」と暴言。セクハラ福田次官の監督責任者である麻生財務相も08年、高知県議選の応援で「婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった」と、持論を展開していた。10年経っても変わらぬ筋金入りだ。
 米国務省が20日、2017年版の人権報告書を発表し、「日本の職場でセクハラが依然として横行している」と明記したばかり。選良であるはずの国会議員が女性に対してこんな意識では、さもありなんである。
「自民党議員の女性を軽視するような数々の言動は、政権が掲げる『女性活躍』からは程遠い。東京五輪を控えながら、先進国として非常に恥ずべきことです」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
 安倍政権が推進するのは“女性が輝けない社会”ではないか。


テレ朝女性記者による告発は、ジャーナリストとしてまっとうな行為だ 財務次官のセクハラ疑惑を考える
 財務省・福田淳一事務次官のセクハラ疑惑が、ひどいことになっている。被害を訴え、『週刊新潮』に情報提供したとされる女性記者の名前や写真がネット上で暴露され、批判され、事実に基づかない誹謗中傷まで飛び交っているのだ。被害者が新たな被害にさらされているうえ、このような二次被害を恐れて、今後、セクハラ被害の申し立てを尻込みする人が増えるのではないかとも懸念される。
最初の批判はテレ朝の会見の中だった
 最初に彼女の批判がなされたのは、こともあろうにテレビ朝日の記者会見の中でだった。同社は、「当社社員が取材活動で得た情報を第三者に渡したことは報道機関として不適切な行為であり、当社として遺憾に思っています」との見解を示し、女性社員も反省していると述べた。
 一方で同社は、録音は「自らの身を守るため」に行ったものとも言っている。第三者の目撃者もいない状況で行われるセクハラは、証拠がなければ、加害者が否認した場合には被害が認められず、うやむやにされてしまう。今回も、福田次官や麻生財務相は、音声データの一部が公表された後でも、女性の声を含めた全てが公表されていないとして、セクハラの事実を認めない。録音データなしに被害を訴えても、まったく相手にされなかったろう。
 今回の件は、女性記者が相談した上司が、自局では報道できないと1人で判断し、財務省への抗議もしていないなど、会社側の責任は重い。テレ朝は、音声データという証拠がありながら、適切に対応できず、彼女がそれを第三者(週刊新潮)に提供する状況を作った会社の非をもっぱら反省すべきであって、彼女の行為を批判できる立場ではない。
「報道倫理」に触れると問題視する声もある
 この記者会見の質疑やその後の報道で、女性記者が相手の同意を得ずに録音していたことや、それを他社に提供したことを、「報道倫理」に触れるとして、ことさら問題視する報道機関もある。
 その筆頭が読売新聞だ。テレ朝の会見を報じた4月19日付朝刊の社会面では、〈テレ朝「録音提供 不適切」〉の見出しで、「識者からは今後の取材活動への影響を懸念する声も上がっている」と書いた。記事の趣旨に沿ったコメントを寄せている「報道倫理に詳しい元共同通信記者の春名幹男・元早大客員教授」は、テレ朝の対応を批判する中でこんな発言もしている。
「音声データが週刊誌に提供されたことで、結果的にセクハラという人権上の問題が興味本位に扱われた面があったことは残念だ」
 いったい、今回の問題を報じた週刊新潮の記事の、どこが「セクハラという人権上の問題」を「興味本位に」扱っていると言うのだろうか。
 確かに、週刊誌が著名人の不倫などのスキャンダルを、「興味本位に」扱う傾向はある。関係者の人権への配慮が足りない、と感じる記事にもしばしば出会う。その一方で、新聞やテレビが切り込むことができずにいた様々な政治や社会の問題を、週刊誌が果敢に掘り起こしてきたのも事実だ。
オウム真理教の問題を粘り強く報じたのは週刊誌だった
 私が関わったオウム真理教の問題では、新聞やテレビがほとんど伝えない中、粘り強く報じたのは『週刊文春』や当時の『フォーカス』(新潮社)などの週刊誌媒体だった。ちなみに、週刊新潮の現在の編集長宮本太一氏は、同社の週刊誌でオウム問題を地道に取材してきた腕利きの記者であり編集者である。
 その週刊新潮は、安倍首相と近しい男性ジャーナリストから性被害を受けた、という女性ジャーナリストの訴えを取り上げ、逮捕状まで出ていたのに、執行直前で警察の捜査が突如止まった経緯も詳細に報じた。それもあって、女性記者は同誌を情報提供先に選んだのではないか。
 政治家の問題などは、週刊誌の報道を新聞が後追いすることも多い。それをよそに、週刊誌=「人権上の問題を興味本位に扱う」イメージを識者コメントで強調し、今回の記事の評価を貶める手法はアンフェアだ。
 読売新聞は19日付夕刊でも、週刊新潮への音声データ提供を批判的に報じた。記事には、TBSが坂本堤弁護士のインタビュー映像を放送前にオウム真理教幹部に見せたケースなど、他メディアの5つの事例を表にして、「取材情報を第三者に提供した過去の事例」として添付している。
同じように悪質なものだという印象を与えたいのか
 読売新聞は、自分たちが何を報じているのか分かっているのだろうか?
 今回は、自社では適切に対応してもらえなかったセクハラ被害者が、報道目的で報道機関に被害の証拠を提供したケースだ。
 他方、TBSのケースは、敵対する両者のうち、一方の取材情報を他方に提供したというもの。しかも見せた相手は、当時すでに『サンデー毎日』などで反社会的体質が指摘されていたオウム真理教だった。まさに言語道断の行為で、今回のセクハラ告発とは構図も目的も異なる。他の4事例も、警察の情報を捜査対象に教えたり、民事訴訟の原告の記者会見の音声データを被告側に渡したりといった、今回とはまったく関係がない事例ばかりだ。
 まったく無関係なものを並べ立てて、今回のケースも、それと同じように悪質なものだという印象を与えたいのだろうか? だとしたら、悪質な印象操作でしかない。
放っておけば今後も自他に対する重大な人権侵害が続く
 読売新聞はさらに、20日付朝刊掲載の社説でこう書いた。
〈取材で得た情報は、自社の報道に使うのが大原則だ。データを外部に提供した記者の行為は報道倫理上、許されない。
 取材対象者は、記者が属する媒体で報道されるとの前提で応じている。メディアが築いてきた信頼関係が損なわれかねない〉
 しかし、今回の音声データは、「取材で得た情報」というより、取材の場で受けた被害を記録した証拠である。
 しかも、自社が報じず、放っておけば今後も自他に対する重大な人権侵害が続くと予想される中、その証拠を抱え込むのではなく、事実を世の中に知らしめるために使うことは、被害者の行いとして正当であるばかりでなく、ジャーナリストとしてもまっとうな行為ではないのか。
 私たちフリーランスの記者だけでなく、新聞社やテレビ局、出版社などの組織に所属する記者も、もちろんジャーナリストである。会社員として組織に忠実である以上に、報道を通じて、人びとに事実を知らせ、様々な問題解決に役立ててもらうことこそ、ジャーナリストの倫理に適う、と思う。
 読売は、会社が適切な対応をしない以上、彼女が諦めて被害を自分の胸に納め、証拠も表に出すべきではなかった、と言いたいのだろうか。
人権が損なわれながら維持される「信頼関係」とは
 今回の一件が報道された後、多くの女性記者が取材の過程でセクハラ被害に遭った体験を明らかにしている。取材先でいきなり胸をわしづかみにされるなどの被害を受けながら、「取材先との信頼関係を損ねる」ことを恐れ、あるいはそれを懸念する上司に指示されて、泣き寝入りを強いられてきた体験も語られている。このように、記者の人権が損なわれながら維持される「信頼関係」とは何だろうか。今、まさにそこが問われているのだ。
 この社説は、記者を守らなかったテレ朝を批判する。それ自体は適切な指摘だと思うが、それでは聞きたい。自分の会社には、取材先でセクハラを受けながら、黙って堪え忍んできた記者は1人もいないと言い切れるのか。これを書いた論説委員は、あまりに現場を知らないように思えてならない。
 各メディアは、テレ朝を批判するだけでなく、取材先から自社の記者が被害にあったことがないかを確かめ、記者たちを守るためにどうするかを考えるべきだ。その際、くれぐれも、女性記者を現場に出さない、というような後ろ向きな対策にならないようにと願いたい。


セクハラ疑惑 国会で黒服抗議 女性記者へ連帯示す
 財務省の福田淳一事務次官による女性記者へのセクハラ疑惑をめぐり、ジャーナリストや研究者などが23日、国会に黒い服で集まり、被害を告発したテレビ朝日の女性記者への連帯を示した。
 中野麻美弁護士は「ジャーナリストの自由と人権は報道という民主主義の動脈を支えるもの。女性記者の告発はこの国の民主主義に課せられた課題だ」と強調。ジャーナリストの林美子さんも「今が分岐点。男性も女性も普通に仕事ができるようにしなくてはならない」と訴えた。
 米ハリウッドの大物プロデューサーによる女優たちへのセクハラ発覚を機に始まった「#MeToo」運動では、ゴールデン・グローブ賞の授賞式に出席者が黒の衣服で参加し、セクハラへの抗議の意思を示した。だが、今回の緊急集会のタイトルは「セクハラ被害者バッシングを許さない」。テレビ朝日の女性記者が福田氏の発言を無断で録音したことや週刊誌に音源を提出したことが「ハニートラップ」などとバッシングされていることへの抗議を込めている。
「政治利用せず建設的な議論を」
 上智大の三浦まり教授(政治学)は「日本社会でこれまでたくさんのMeTooがあったのにスルーされてきた。被害者バッシングは加害者の責任を転嫁させる仕組み。次世代にはこういう悔しい思いをさせてはいけない」と話す。
 一方、今回のセクハラ疑惑を政権批判の政治運動に結びつけようという動きを警戒する声もある。20日には安倍晋三首相の退陣を求める野党の合同集会で黒服をまとった女性議員が「#MeToo」のプラカードを掲げて抗議。
 ジャーナリストの白河桃子さんは「ハラスメントは国民の生活を左右する大事な問題。政治利用せず、与野党一丸となって建設的な議論をしてほしい」と話している。
 福田氏は「言葉遊びだった」「全体を聞けばセクハラではない」として疑惑を否定。麻生太郎財務相も福田氏を擁護している。【中村かさね/統合デジタル取材センター】


セクハラ被害のテレ朝記者を「犯罪者」呼ばわりの下村博文・元文科相の“犯罪性”! 加計問題では疑惑まみれのまま遁走
 一体、どこまで安倍政権は女性を愚弄すれば気が済むのか。本日付のしんぶん赤旗の報道によると、昨日、都内でおこなわれた講演会において下村博文・元文科相が、財務省の福田淳一・事務次官のセクハラ問題でテレビ朝日の女性記者が会話を録音していたことについて、こう発言したというのだ。
「確かに福田事務次官はとんでもない発言をしたかもしれないけど、テレビ局の人が隠してとっておいて、週刊誌に売ること自体が、はめられてますよ。ある意味犯罪だと思う」
 福田次官は女性記者に嵌められた、無断録音は犯罪だ。──この期に及んで下村元文科相はそう主張したのである。
 何度でも言うが、セクハラやパワハラの被害者がその証拠として録音をおこなうのは当然のことで、相手の了解を取る必要などない。証拠の有無は裁判にも大きく影響するし、今回も音源という決定的証拠を突きつけられ記者が社名を公表してもなお、セクハラの事実を否定しつづける福田次官の態度を見れば、もし記者が録音していなければ「捏造」などと攻撃されセクハラの事実が葬り去られていたのは想像に難くない。
 さらに、安倍官邸からの報道圧力に晒されるなかで、記者のセクハラの訴えを報じようというテレビ局が果たしてあるのか。たとえ直属の上司レベルが報じようとしたとしても、上層部の横やりで潰されていたのは火を見るより明らかだし、テレ朝のように事後に記者会見で事実を公表することさえ異例の対応だったと言わざるを得ない。大手マスコミの現実を見れば、セクハラの事実を広く公にするためには週刊誌にもち込むしか方法はなかった。そしてそれは正しい選択だった。
 いや、セクハラやパワハラの被害がなくとも、絶対的権力者である為政者などに対する取材において、記者が無断で録音をおこない、それを公開しても、何ら問題はない。オフレコが前提の場でも、それが重大な問題を孕んでいる場合、信義誠実の原則よりも国民の知る権利が優先されるべきだからだ。
 女性記者の行為が「犯罪」ではないのはもちろん、下村氏が今日になって釈明した「取材倫理違反」にも当たらない。  
下村博文・元文科相はセクハラ被害者を「犯罪」と罵る一方、自身の不正にはダンマリ
 だが、下村元文科相はそうしたセクハラ被害者の正当な行為や、報道の自由、国民の知る権利を「はめられた」「犯罪」と罵った。これは二重の意味で看過できない発言だ。むしろ、セクハラ被害に遭ったテレ朝女性記者のおこないではなく、こうした下村元文科相の発言こそ、名誉毀損罪や侮辱罪に問われるような「犯罪」的行為だろう。
 しかも、下村元文科相はほかにもこんなことを語っていたことが、共産党が公開した音声データによって明らかになった。
「日本のメディアは日本国家をつぶすために存在しているのか、と最近つくづく思う」
「(安倍首相は)よく精神的に堪えないでがんばってる」
「安倍支持を言うような人をテレビ局は使わない。安倍反対の人ばっかりを使う」
「テレビ局の大半は安倍降ろしだ」
 セクハラ問題はもちろん、公文書の改ざんに加計疑惑において安倍首相と官邸がついた嘘が明白になるなど、国民から不信を買っているのはすべて自分たちの問題だというのに、この歪んだ認知……。セクハラ被害者を犯罪者呼ばわりまでしてメディアを敵視し圧力をかけ、この国を潰そうとしているのが安倍首相や下村元文科相をはじめとする安倍自民党と官邸ではないか。
 だいたい、下村元文科相は、何かに対して「犯罪だ」などと言えるような立場では断じてない。
 昨年6月末、「週刊文春」(文藝春秋)は、加計学園が下村氏の後援会「博友会」の政治資金パーティ券を2013年と2014年にそれぞれ100万円、計200万円分を購入していたことを報道。しかも、この加計学園によるパーティ券購入の事実は、政治資金収支報告書に記載がない。政治資金規正法では20万円を超えるパーティ券購入には支払った者の氏名や住所などを報告することが規定されており、同誌は政治資金規正法違反の疑いを指摘していた。
 しかし、下村元文科相は記者会見で、加計学園の秘書室長が窓口となり「加計学園以外の個人や企業から」現金を集め、取りまとめ役として持参しただけだと主張し、しかも、ほかの個人名や企業名を公表するかについては「確認について努力したい」とお茶を濁した。
 こんな方法がまかり通るなら闇献金し放題になってしまうが、下村元文科相の説明はその違法性や闇献金疑惑を何ひとつ払拭するものではなかった。詳しくは過去記事を参照いただきたいが、下村元文科相は政治資金規正法違反の疑いだけでなく、教育行政のトップが特定の学校法人関係者と金銭のやりとりをおこなっていること自体が口利きなどの癒着を疑われることは間違いなく、事実上、賄賂事件とも言えるのだ。
 にもかかわらず、下村元文科相はこの会見で「記事は事実無根」と否定するばかりか、このとき「週刊文春」が入手していた下村事務所の「入金リスト」のデータを持ち出したのは、当時、都議選に立候補していた元秘書だと攻撃。この元秘書とは都民ファーストの会から立候補していた平慶翔氏のことだが、下村元文科相は平氏が事務所費を横領していたと言い、「元秘書による選挙妨害が目的」だと主張しはじめたのだ。
加計学園からの闇献金疑惑にも、「秘書が横領」「選挙妨害」と論点スリカエ攻撃
 だが、いま問題の焦点となっている2015年4月2日の面会記録文書にしても、加計学園の獣医学部新設について当時文科相だった下村氏と安倍首相が話し合うなど、下村元文科相と加計のかかわりは重大なポイントとなっている。さらに、加計幹部らが官邸訪問したとき、下村文科相と安倍首相は官邸で面会しており、その上、下村文科相は官邸内で加計幹部らに「やあ、加計さん。しっかりやってくれよ」と声をかけたと「週刊朝日」(朝日新聞出版)が伝えているのだ。
 しかし、下村元文科相は昨年6月末に開いた記者会見で、選挙中であることを理由に「都議選が終わったら丁寧にお答えします」と述べたきり、都議選が終わって約10カ月が経ついまも「丁寧にお答え」などしていない。
 ようするに、自身に向けられた闇献金疑惑から目をそらせようと、本題とは何の関係もない横領疑惑をもち出して「選挙妨害だ」とがなり立てた。──これは、福田次官のセクハラ行為が問題になっているのに、無断録音を俎上に載せて「犯罪だ」と強弁する態度とまったく同じの、醜い話のすり替えではないか。そして、いまなお下村元文科相は疑惑の説明から逃げつづける一方で、セクハラの矮小化と女性記者の名誉を毀損するような暴言だけはしっかり吐いているのだ。
 こんな人物が文科相だったのかと思うだけでおぞましいが、しかし、これが安倍自民党の正体なのだ。たとえば、セクハラ問題に抗議する野党の女性議員たちに対して自民党の長尾敬衆院議員が〈少なくとも私にとって、セクハラとは縁遠い方々です。私は皆さんに、絶対セクハラは致しませんことを、宣言致します!〉などと投稿し炎上、昨日になって投稿を削除、謝罪をしたが、同じく自民党衆院議員の杉田水脈氏も今回の問題を〈冤罪〉〈現代の魔女狩り〉と主張。麻生太郎財務相にいたっては、オフレコの場で記者たちに対して「男の番(記者)に替えればいいだけじゃないか」「ネタをもらえるかもってそれでついていったんだろ。触られてもいないんじゃないの」と開き直っている。
 国民に説明責任も果たさない疑惑の元大臣がセクハラ告発した女性記者の行為を「犯罪だ」とのたまい、頑として他人事の担当大臣が「男に替えればいいだけ」と言い放つ──。安倍政権が必死に喧伝してきた「女性が輝く社会」という政策は、結局、こういった女性の権利、国民の権利を奪う“自分勝手”な本音でできあがっている。そのことを忘れてはいけないだろう。(編集部)


新大学入試の英語 民間試験導入には不安拭えない
 2020年度から始まる「大学入学共通テスト」で、大学入試センターは、英語で活用する7団体8種類の民間検定試験を認定した。
 英検やTOEICなど、目的や方式が異なる民間試験を公平に比較できるのか、検定料などの負担が新たな教育格差を生み出さないか、といった教育現場からの疑問はなおざりにされたままだ。東大は「導入は拙速」として民間試験を合否判定に使用しないことを決め、他大学が追随する可能性もある。このままスケジュールありきで進めても、実践的な英語力を測るとの趣旨に沿った成果が得られるとは思えない。文部科学省は現場からの指摘を重く受け止め、見直しを急がねばならない。
 共通テストでは、これまでの「読む、聞く」に加え、新たに「話す、書く」の能力を評価する狙いで、英語の民間試験を導入した。受験生は高3の4〜12月に2回受験でき、結果は語学力の国際基準の6段階評価に置き換え、判定される。
 しかし、認定された8種類の試験は、留学者の選抜や、ビジネス用の語学力測定など、目的はさまざまだ。「話す」力の判定も録音形式だったり、面接だったりと、ばらつきがある。わずかな点数差で合否が決まる大学入試で、本当に一律、公平に判定できるのかという現場からの疑問はもっともだ。
 多くの受験生が受けると予想される試験では、筆記とリスニングの合格後に面接を課すこれまでの方式を、1日で完結させるよう変更する。試験監督の増員や採点の体制を改める動きも出ている。認定のための慌ただしい変更であり、本番までに運用を安定させる必要がある。
 中高生の英語力に地域差があるというデータも明らかになっている。文科省の17年度調査では、最初に民間試験を受ける世代となる中3で、英検3級以上の力がある生徒の割合は、トップの福井県の62.8%に対し、最下位の新潟県は31.0%と大きな差が生じた。
 福井県のコミュニケーションを重視した授業改善などが成果を上げた形だが、入試に際して住んでいる地域で有利不利が生じないよう、文科省も対応せねばならない。教員の英語力・指導力向上策充実や民間試験検定料補助制度の整備など、予算措置も含め、自治体の底上げや支援に努めるべきだ。
 新制度開始まで3年を切り、具体的な制度設計が進められている。しかし、東北大入試センターが3月に行った調査によると、民間試験に「賛成」の高校は、わずか8.5%にとどまっている。受験生の不安や大学・高校の懸念は全く解消されていない。「話す、書く」力の育成という導入目的におおむね異論はないが、高校生の進路を左右する入試が、これほど信用を得られていない状況では、本番での混乱は必至だ。多くの人が納得できる仕組みづくりを進めねばならない。


拉致被害者集会で異変 安倍首相に「もう帰るのか」とヤジ
 安倍首相は22日、都内で開かれた北朝鮮による拉致被害者の救出を求める「国民大集会」に出席。「即時帰国に向け北朝鮮への働き掛けを一層強化する」と意気込んだ。
 今月27日に予定される韓国と北朝鮮の南北首脳会談、その後の米朝首脳会談と北朝鮮情勢は激動の渦にある。ただ、メインテーマは「非核化」で、安倍首相が拉致被害者帰国へ「働き掛けを強化」と言っても、すべてトランプ大統領頼みの体たらくだ。集会出席者にも苛立ちがあるのだろう。安倍首相が挨拶を終え、退席しようとすると、会場からヤジが飛んだという。
「司会が『安倍首相は政務のためお帰りになります』と告げ、安倍首相は壇上に座る家族会代表の飯塚繁雄さんや横田めぐみさんの母親の早紀江さんなどと握手をして立ち去ろうとした時でした。1000人弱が座る会場から、男性の声で『なんだ、もう帰るのか』『最後まで席にいろよ』とヤジが飛んだのです。安倍首相は苦々しい顔をして帰っていきました」(現場にいたメディア関係者)
 集会出席者はほとんどが安倍シンパだ。トランプが米朝会談で拉致問題を議題にすると約束し、本来なら解決への期待感が高まっているはずだが、冷ややかな空気も少なからずあるようだ。
 元家族会事務局長の蓮池透氏がこう言う。
「拉致問題を米朝首脳会談で扱って欲しいとトランプ大統領に頼みにいくということは、日本政府としては“お手上げ”ということです。それはさすがに安倍首相のシンパにも分かる。嫌気が差している人も少なくないと思います。被害者家族にいつまでも“幻想”を与え続ける安倍首相は罪つくりです。もし、トランプ大統領が金正恩委員長から『拉致問題は解決済みだ。戦後賠償を要求する』と言われたと伝えてきたら、安倍首相はどうするつもりでしょう」
 安倍首相は訪米直前の今月15日に、入院中の横田滋氏を見舞ったが、実は横田家サイドが「体調がすぐれないので、遠慮して下さい」と伝えていたのに強行したらしい。安倍首相はどこまでも拉致を“利用”する。
「政務」のため先に退席したはずの安倍首相は、私邸に直行。訪問客もなかった。


外来種駆除 伝統の「かい掘り」生かそう
 汚れた池の水を抜き、底をきれいに清掃するテレビ番組が人気だ。在来種を捕食するなど生態系を脅かす外来種をごっそりと駆除する光景も高視聴率の要因になっている。東京都千代田区にある日比谷公園の雲形池を池干しした際には、佐賀藩主鍋島家ゆかりの家紋入り軒丸瓦の破片が見つかるなど、予想外の発見もあった。
 佐賀県内では2017年、神野公園(佐賀市)で池干しが実施された。公園を管理する佐賀市が、定期的に池底の泥を浚渫(しゅんせつ)している。自然保護団体のメンバーから外来種の肉食魚「アリゲーターガー」を池で見たとの情報が前年に寄せられていた。
 アリゲーターガーは北米などに生息する外来種で、ワニの口のような細長い口、鋭い歯が特徴。名古屋城の外堀や兵庫県姫路市の揖保いぼ川、琵琶湖など西日本を中心に生息が確認されている。主にペットとして輸入され、飼えなくなった飼育者が無断で放流し、繁殖するケースが多い。肉食系で在来種の魚類を捕食し、全長3メートル近くまで大きくなる種もいる。人間を襲うことはないとされるが、水産資源や生態系への影響が懸念されている。
 佐賀市が調査を進めたが、確認できず、17年5月にポンプで水をくみ上げる「池干し」を実施した。アリゲーターガーこそ確認できなかったものの、ガー科の「スポッティッドガー」が見つかった。全長40センチほどのメスで、卵巣が成長していた。大きいものでは1メートルほどになる。もし、つがいで放流されていたら、公園の池で繁殖していたかもしれない。
 アリゲーターガーは「特定外来生物」に追加指定されており、今年4月から規制対象として輸入、販売、飼育が禁じられた。すでにペットとして飼育しているケースでも、申請の許可が下りなければ飼い続けることはできない。ペットとして飼いにくくなったからといって、勝手に放流すると、罰則が科せられる。
 ちなみに、07年に佐賀城南堀でハスが全滅した際は、ミシシッピアカミミガメによる食害が原因だった。ペットとして広く飼われているため、まだ特定外来生物には指定されていない。
 クリークが網の目のように広がる佐賀では、昔から池干しや堀干しが地元住民によって実施され、年末の風物詩として継承されてきた。底にたまった泥をくみ上げることから「かい掘り」とも「ごみくい」とも呼ばれる。
 以前は堀や水路の水を足踏みの水車で抜いていたが、水路がクリークとして整備されてからは水門を開けて水抜きをしている。地区の高齢化が進み、人手不足となり、近年は池干しや堀干しを見ることが少なくなった。ポンプでの排水作業になれば、百数十万円単位の費用がかかる。
 これからの時代、行政や地域のみで実施していくことは難しい。今回、神野公園内で実施された池干しは、市民と大学生が環境問題について考えるフォーラムも併せて実施された。環境教育の一環として組み込むことで、市民や地域を巻き込んでいる。「かい掘り」や「ごみくい」には、佐賀ならではの地域性がある。昔ながらの伝統を生かし、官民一体となって外来種を駆除して生態系の回復を図ってほしい。(藤生雄一郎)


「高速バス通勤」の実態とは 住宅街から座って都心へ 理想的スタイルは現実的か
成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)
所要時間が1時間程度の高速バス短距離路線では、サラリーマンが通勤のために毎日乗車する姿が目立ちます。「遅刻が心配では?」「定期券はあるの?」と、様々な疑問が思い浮かびます。高速バス通勤の実態はどのようなものなのでしょうか。
アクアライン経由の通勤高速バスは「地下鉄並み」の本数
 大都市の郊外から都心への通勤は電車が一般的かもしれませんが、なかには高速バスを通勤に利用する人もいます。そのような「高速バス通勤」をする人の姿が最も目立つ路線群のひとつが、千葉県の木更津市や市原市などから東京湾アクアラインを経由して東京や神奈川に向かう各路線です。
 木更津から海を渡って通勤といえば、一定の年齢の方の中には、『男女七人秋物語』(1987年に大ヒットしたテレビドラマ)で、明石家さんま扮する今井良介が川崎の会社までフェリー通勤しており、船上で様々なシーンが展開されたことを覚えている人もいるでしょう。1997(平成9)年にアクアラインが開通し、フェリーは廃止され代わりに高速バスが運行を開始しました。都心へ直通する便利さが人気を博し、路線新設や増便を繰り返しています。
 たとえば、東京湾アクアラインの木更津金田ICにほど近い木更津金田バスターミナルからは現在、平日午前7時台の1時間の間に東京駅行きの高速バスが18便も発車します。平均すると約3分間隔ですから「地下鉄並み」です。さらに、品川、新宿、川崎、横浜行きなども発車します。
 木更津金田〜東京駅間の所要時間はおよそ40分、運賃は1250円です。一方の鉄道は、平日朝7時台にJR木更津駅から発車する東京方面の列車は8本(うち3本は千葉駅止まり)で、所要時間は約1時間22分(内房線・総武快速線直通列車の場合)、運賃は1317円(IC利用の場合)となっています。
 千葉県から東京都心へは、千葉市(内陸部および幕張地区)、佐倉市(ユーカリが丘など)、浦安市などからも、通勤利用をおもなターゲットにした高速バスが運行されています。このほか、たとえば神奈川県からは、東急田園都市沿線の住宅地から渋谷駅へも、朝のラッシュ時に高速道路を経由して運行する直通バスがあります。
東京以外でも見られる「高速バス通勤」 回送を有効利用した例も
 東京以外の都市でも、通勤利用をおもなターゲットにした高速バス路線は数多く運行されています。たとえば、愛知県豊田市や三重県桑名市郊外の住宅地から名古屋都心、京都府京田辺市の住宅地から京都および大阪都心などへの路線です。このほか、山形と仙台のように県庁所在地どうしを結ぶ都市間路線でも、鉄道より速くて運賃も安いことから通勤利用が目立つ路線もあります。
 神戸市の郊外にあたる垂水区の住宅地から、都心の三宮に向かう路線も、増便を繰り返している人気路線ですが、この路線は誕生の経緯がユニークです。
 山陽バス(当時は山陽電鉄の自動車営業本部)は1998(平成10)年、明石海峡大橋の開通と同時に三宮と徳島を結ぶ高速バスの運行を開始しました。同社の営業所(車庫)は垂水区にあるので、そこから三宮のバスターミナルまでバスを回送したうえで、徳島行きとして運行していました。営業所の周囲は新興住宅地で三宮に通勤する人が多く住んでおり、同社の路線バスと鉄道を乗り継いで通勤をしていたので、「どうせ車両を回送するなら、運賃をいただいて営業運転しよう」と考えたのが、誕生のきっかけといわれています。乗り換えが不要なうえ、リクライニングシートに必ず座れることから予想外の人気となり、高速バス車両をわざわざ増備して増便を繰り返す「ドル箱路線」に成長しました。
 この路線のほか、前出の豊田市、桑名市などの路線は、郊外の住宅地内できめ細かく停車してから都心へ向かいます。一方、木更津金田バスターミナルのように、巨大な「パークアンドライド駐車場」が乗り場に隣接し、マイカーから高速バスへの乗り換えに便宜を図っているケースも。環境のいい郊外に住み、自宅の前から、あるいはマイカーでバスターミナルまで向かい、高速バスに乗り込めば、あとはリクライニングシートでくつろいでいるうちに都心へ到着している――理想的な通勤スタイルのひとつと言っていいのではないでしょうか。
遅延は大丈夫? 定期券は?
 ところで、通勤のために高速バスを利用するとなると、多くの方は「遅延」を心配するかもしれません。
 たしかに、高速バスは道路事情によって遅延することもあります。しかし、道路の混雑状況は、ある程度、毎日同じ傾向であるので、バス会社はそれに合わせてダイヤを設定しています。突発的な事故渋滞などで遅れることはありますが、事故で遅延するのは鉄道も同じです。
 ただし、鉄道が遅延して会社に遅刻しても「仕方ない」とされるケースもあるかもしれませんが、高速バスが同じように扱われるとは限りません。高速バスの遅延が遅刻扱いとならない正当な理由と認めてもらえるかどうか、会社の理解が必要かもしれません。
 また、列車通勤の場合は定期券を購入する人が多いと思いますが、高速バスの場合はどうでしょうか。これは、バス会社(路線)によって異なります。定期券を販売している路線もあれば、大幅に割引された回数券のある路線、「PASMO」などのICカードで利用すると割引となる路線など、様々です。
 前出の木更津金田バスターミナル〜東京駅間でいえば、通勤定期券(1か月)が4万5000円です。鉄道の定期券(木更津駅〜東京駅)が3万4950円ですから、1か月のうち22日出勤する想定で計算すると、片道あたり200円ちょっとの追加出費となります。近年はICカードが普及していることもあり、定期券を購入せず日によって、あるいは往路と復路で高速バスと鉄道を使い分けている人もいるかもしれません。
 なお、短距離の高速バスはほとんどが定員制(先着順乗車)で、事前の予約は不要です。逆に言うと、補助席になってしまったり、満席で乗車できなかったりすることもありますが、バス会社としてもニーズに合わせて増便したり臨時便を運行したりして対応しています。もちろん、ピーク時間帯を外したり、始発に近いバス停から乗車したりする方が確実に乗車できます。
 今回はおもに通勤利用を主目的として設定された路線の例を紹介しましたが、通勤で利用できる高速バスはこの限りではありません。たとえば、神奈川県内の東名高速上にあるバス停(東急田園都市線 あざみ野駅から徒歩約10分の「東名江田」など)では、箱根や静岡方面からバスタ新宿、霞ヶ関、東京駅などへ向かう高速バスに乗車できます。兵庫県内の中国道上のバス停(西宮北ICなど)から大阪駅へも同様です。もしも家の近くに高速道路が通っているならば、高速バスを通勤に利用するという選択肢もあり得るかもしれません。


爆死案件が続々「クールジャパン」はこんなにひどいことになっていた もちろん、最終評価は先の話だが
原野 城治 政治・外交ジャーナリスト
クールジャパン投資事業で44億円の損失
大々的に喧伝されてきたクールジャパン政策が迷走している。
日本の文化を海外に紹介し、マンガ・アニメ、食、ファッションなどの輸出を支援すると官民ファンドの産業革新機構が投資した事業が成果ゼロのまま次々に打ち切られ、その株式が民間企業に極めて廉価で売却されている。
中には20億円以上の「全損」案件もあり、税金の無駄遣いがはなはだしい。特に、2013年11月に鳴り物入りで設立された「海外需要開拓支援機構」(クールジャパン機構、東京都港区)のいくつもの投資事業案件が苦戦続きとなっている。
会計検査院は4月13日、アベノミクスの推進役として相次いでつくられた官民ファンドの投資損益調査結果を発表した。それによると、2017年3月末時点で全14のファンドの4割強にあたる6つのファンドが損失状態になっていることが判明した。
言うまでもなく、官民ファンドの財源の大半が公的資金(税金)である。日本文化・インフラの輸出促進やベンチャー支援などのため企業や事業に投融資し、ファンドごとに保有株売却などで最終的に利益を確保、回収前することを目指している。
もちろん、官民ファンドの中には利益を上げて順調なところもある。しかし、出資先の純資産などをもとに時価評価額を試算したところ、6ファンドで回収額と保有株などの評価額合計が投融資額を下回り、損失状態となっていた。
各ファンドは10〜20年程度の設置期間を終えるまで運用実態が外部から見えないだけに、この損失状態を放置するとリスクを膨らませる可能性が高い。
その中でも、クールジャパン機構の損失が突出している。具体的には、2017年3月末時点での投融資17件、総額約310億円のうち損失は約44億円に上る。「森友学園」へ国有地売却での8億円値引き疑惑に劣らぬ無責任ぶりだといえる。
当然、官民ファンドの損失が拡大すれば、今後は省庁をまたぐ再編が政治問題化するのは避けられず、当然、クールジャパン機構もその統廃合の対象になる可能性が高い。
中身の薄い官製”クール”
第二次安倍政権の誕生(2012年12月)のあと、内閣府、経産省の主導で開始された「クールジャパン戦略」は、外国人が爛ール″ととらえる日本の魅力を情報発信して、海外への商品やサービスを展開、さらに観光によるインバウンドの増加を図ろうというもの。
アベノミクスが掲げる成長戦略のひとつの柱であり、クールジャパン機構が大々的に事業を展開してきている。
同機構の名称からすると文化事業と勘違いするが、コンテンツへの補助金を配分する機関ではなく、海外需要を取り込むため民間事業者に対し投融資で支援する組織である。換言すれば「日本の魅力」を産業化し、海外需要獲得のためリスクマネーの供給を軸とする民間企業支援を行うというものだ。
しかし、ブランド戦略である「クールジャパン」の戦略的コンセプトはイメージ先行で、コアが判然としない。
経産省商務情報政策局によれば、爛ール″とは「日本の生活文化の特色を生かした商品又は役務を通じて日本の生活文化が海外において高い評価を得ていること」と官庁用語で説明をするが、要は外国人がクール(かっこいい)と捉える日本の魅力のに他ならない。
具体的にはマンガ・アニメ、ゲーム、ファッション、食、伝統文化、デザイン、ロボット、環境技術などを挙げている。しかし、マンガ・アニメを除けば、先進国の大半が広報戦略で普通に挙げる項目の羅列に過ぎない。官製クールの倏っぺらさ″が透けて見える。
この中で、最も無責任な失敗投資が株式会社「ALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKS」(ANEW)といえるだろう。
ANEWは、経産省が主導し官民ファンド・産業革新機構が2011年に総額60億円、100%出資という形で設立された官製映画会社である。その事業目的は、コンテンツの海外展開として日本の知的財産を活用しハリウッドで映画を製作するというものだった。
しかし、ANEWは映画7作品の企画開発を打ち上げたが、1本も映画制作に至ることなく、2017年5月にベンチャーキャピタルに3400万円という破格の価格で身売りした。その結果、産業革新機構が投資した22億2000万円の出資をほぼ全額が損失した。
設立当時から問題を抱えたANEWは日本側の最高執行責任者が次々と交代し、国会でも追及されたがうやむやになり、困った果てた末に損切り。しかも、身売り先の新会社は、所在地も人員も旧ANEWの業務執行体制を引き継いだだけ。不透明極まりない身売りだといえるだろう。
官製クールジャパンの甘い計算で巨額公的資金が消えた出来事と指摘できる。関係者によると、6年間の総売上高が1500万円にも関わらず、外国人幹部には1回のボーナスで2000万円を支払っていたというような杜撰な経営が行われていた。
低空飛行の海外放送事業
特に注目度の高いクールジャパン機構の出資金は2017年4月時点で、政府出資586億円、民間収支107億円で総額693億円に上る。対象は、1)メディアコンテンツ、2)ライフスタイル、3)食・サービス、4)インバウンド、5)分野横断――の5ジャンルで、既に25件、約529億円が投資されている。
ところが、設立から満4年を経過した時点で、投資案件の4割にあたる事業で赤字が累積しているという苦戦状況だ。
同機構の太田伸之社長は、『月刊経団連』(2017年5月号)への寄稿で、日本の魅力的コンテンツの海外展開の呼び水として、犇中戦″の海外放送事業「WAKUWAKU JAPAN」と狠肋綫錙蹐料幹曠ールジャパンの百貨店「ISETAN the Japan Store」(クアラルンプール)を紹介しているが、この代表的案件がともに迷走状態にある。
海外放送事業「WAKUWAKU JAPAN」は、スカパーJSATとの合弁事業で、日本のアニメ、ドラマ、スポーツ、音楽、情報などの番組を現地語で放送し、2020年までに22カ国で展開するのが目標。
しかし、著作権や版権さらにはコンテンツ自体の質的問題などから番組の視聴率は低迷し、赤字を垂れ流している。「日本へのインバウンド誘導に貢献できる」と太田社長は強調したが、電通関係者によると「やればやるほど赤字が増える」というのが実情のようだ。
アグリージャパンとならぬように
狠肋綫錙蹐梁緝塾磴箸靴撞鵑欧蕕譴拭ISETAN the Japan Store」も、2016年11月にクアラルンプール中心部に地下1階、4階までという日本商品だけを展示したデパートとしてオープンしたが、歓迎されたのは初めだけ。
太田氏は「この店を舞台に日本のテレビ局がドラマを製作、マレーシアでも人気となった」(同誌)と自賛したが、現地の価格設定がバラバラで高すぎる上に、ありきたりな酒、寿司、そば、工芸品といった展示は自治体の「アンテナショップ」の拡大版でしかないというのが現地の冷めた評価だ。
計画を推進した三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋前社長も2017年3月、独善的な経営手法が批判を浴びて突然失脚した。
現地の在留邦人の間では「マレーシア進出の日本企業は3年以内に7割が撤退」というジンクスがある中、日本製品特化のデパートはまさに、スタートから採算度外視のビジネスだとしか言えないのかもしれない。
クールジャパン機構はそれに10億7000万円を投資している。日本ブランドの紹介で日本への観光インバウンドを期待することのようだが、税金が投入されている組織の仕事としては十分な説明が必要だ。そもそも、爛ールジャパン″は商売用の看板ではない。
しかも、投資案件は出資した民間企業23社(1社5億円、地方銀行2行は1億円)が手掛ける事業への投資が目立つ。
三越伊勢丹HDもその1つだが、ニューヨークで人気のあるラーメン店「一風堂」を展開する「力の源ホールディングス」に7億円を融資し、ラーメンダイニング形式の店舗を展開している。融資枠は最大13億円まで確保されている。
しかも、クールジャパン機構が2014年12月に投資決定をした半年後に、「力の源ホールディングス」は東京証券取引所マザーズ市場へ上場した。
しかし、海外展開を望む他の中小サービス企業への支援ならいざ知れず、海外で認知度が高く営業利益を上げている有力企業に敢えて支援する理由が分からない。
まさに、事業を手掛ける民間企業は、安倍内閣と類似したような爐友達″企業への投資が優先しているように見えてしまう。
さらに問題なのは、クールジャパン機構内で今年2月に従業員に対するセクハラ問題が表面化し裁判沙汰になるなど、組織自体のガバナンスも極めに杜撰としか言いようのない状況に陥っていることだ。
経産省は3月、クールジャパン機構の太田社長を6月開催予定の定時株主総会で、ソニー・ミュージックエンタテイント元社長の北川直樹氏に交代させる人事を発表した。
組織立て直しの意図は明瞭だが、果たしてこうした人事で爛ールジャパン″の現場に立ち込める不可解な霧が晴れる保証はどこにもなさそうだ。
もちろん、投資案件は10年の期間を経て最終的に評価されるが、他の官民ファンドの苦戦状況と合わせて考えれば、省庁をまたぐ官民ファンドの整理や統廃合問題の中で、クールジャパン機構もその対象になる可能性は十分にある。
官庁主導の"クールジャパン"はクールでないとの批判が常にあるが、いい加減な事業展開を続け一部で言われる「アグリージャパン」にならないよう最大限の注意が必要だろう。

今日も日曜出勤はぁ~/データまとめの続き頑張る

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Décès à 117 ans de la doyenne de l'humanité
JaponNabi Tajima, la présumée doyenne de l'humanité née le 4 août 1900, est décédée samedi sur son île japonaise.
La Japonaise Nabi Tajima, qui était vraisemblablement la doyenne de l'humanité, est décédée samedi à 117 ans, a annoncé dimanche un responsable local japonais. Mme Tajima, née le 4 août 1900, est morte vers 20H00 (11H00 GMT) sur son île natale de Kikai dans la région de Kagoshima, a précisé Susumu Yoshiyuki, un responsable du département de la Santé.
Devenue la doyenne des Japonais en septembre 2015, elle était probablement aussi la doyenne de l'humanité depuis le décès en septembre 2017 à 117 ans de la Jamaicaine Violet Brown, selon les médias japonais.
Mais le Guinness des records, qui menait l'enquête depuis le décès de Mme Brown, n'avait pas encore reconnu officiellement à Mme Tajima le titre de doyenne. L'organisation a en revanche annoncé le 10 avril que le doyen de l'humanité était le Japonais Masazo Nonaka.
≪Mme Tajima vivait dans une maison de retraite. Elle s'était affaiblie en janvier et avait été hospitalisée≫, a précisé à l'AFP M. Yoshiyuki. ≪Elle y est décédée (samedi) du fait de son grand age.≫
Le Japon, connu pour la longue espérance de vie de ses habitants, peut se prévaloir d'avoir été le pays de plusieurs doyens, dont Jiroemon Kimura, mort en juin 2013 à 116 ans, et Sakari Momoi, qui s'est éteint en juillet 2015 à 112 ans.
Il y avait environ 68'000 centenaires répertoriés au Japon l'an dernier, selon les statistiques officielles. Le record de longévité pouvant être prouvé officiellement, tous sexes confondus, est toujours détenu par la Française Jeanne Calment, décédée en 1997 à 122 ans et 164 jours, selon le Guinness.
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関口宏 岸井成格(他) 橋谷能理子 唐橋ユミ 伊藤友里 水野真裕美(TBSアナウンサー) 張本勲(他) 三枝成彰 ◇番組HP http://www.tbs.co.jp/sunday/ 制作プロデューサー西野哲史 番組プロデューサー金富 隆 TBSテレビ

テレメンタリー 「ボンドの家 〜女性保護シェルターの半年〜」
虐待やDV、性暴力。様々な問題を抱え、自分の家から逃げてきた女性たちを守るため、2017年夏、都内に新しい女性専用の民間シェルター「ボンドのイエ」が誕生した。対象者は20代前後の若年女性。一時的な保護を受け、将来的に自立する方法を探す「期限付きの居場所」。番組では、この「ボンドのイエ」で暮らす2人の女の子の半年間を見つめることで、今の日本が抱える女性支援の問題に迫る。 上野樹里 テレビ朝日
明日へ つなげよう ふるさとグングン!▽ひとりぼっちのいない町〜高槻冨田地区2
大阪府高槻市の中学生たちが、「ひとりぼっちのいない町」を合言葉に、大人たちの協力も得て、子どもたちの「居場所」づくりに挑戦した。ゲストは関ジャニ∞の横山裕ほか。
今、全国で問題となっている、子どもの孤食や貧困などの課題。誰にも相談できずに一人で悩む子が多くいる。今回の舞台・大阪府高槻市富田地区では、地元の中学生たちが、子ども食堂などの、子どもたちの「居場所」づくりに挑戦した。中学生自身が、子どもの“ひとりぼっち”の課題と向き合い、地域の人々の協力のもとで解決策を考えていく、全国でも珍しい授業が始まった。ゲストは関ジャニ∞の横山裕さんとぺこ&りゅうちぇる。  幸重忠孝,横山裕,ぺこ,りゅうちぇる, 山本哲也, 柴田祐規子

NNNドキュメント 57年目の告白 強制不妊 産み育てる尊厳奪われ

知的障害や精神障害からの「不良な子孫の出生を防止」するとして、本人の同意なしに生殖不能とする手術を行った旧優生保護法。北海道に住む76歳の男性は「19歳の時に手術された」と主張する。足が不自由なうえ「精神分裂病」と診断され、断種手術が行われたという。全国で不妊手術を受けたとされるのは約1万6000人。行政の資料は失われ、当事者の高齢化も進んでいる。「産み育てる」という人権が強制的に奪われた残酷な歴史から、国の責任を問う。 湯浅真由美 札幌テレビ放送
バリバラ「テレビのバリアフリー」(2)
障害者の声からテレビに潜むバリアをあぶりだす企画。第2回は、知的障害者の「ニュースがわからない!」という声と向き合う。「難しい漢字が多い」「読むのが早くて聞きとれない」、さらに「政治のニュースがわからず選挙で困る」という深刻な問題も。前回に続き、NHKアナウンサーがわかりやすいニュース解説に挑戦!知的障害者にもわかる伝え方を考えると、“わかりづらくて実は困っていた”というあなたにも役に立つ!? 鈴木奈々, 山本シュウ,大西瞳, 玉木幸則, 伊藤雄彦, 神戸浩,ベビー・バギー

残念ながら今日も日曜出勤です.月火が忙しいのに,その準備があまりできていないんです.当分日曜出勤が続くかなぁ~
データまとめの続きをぼちぼち頑張りました.

<大川小・争点を語る>(下)結果回避 事前防災検討不足か
◎東大大学院法学政治学研究科 米村 滋人准教授
 石巻市の大川小津波訴訟で、一審仙台地裁の審理は東日本大震災発生後に津波を予見できたかどうかが争点の中心だった。地裁判決は、津波襲来の約7分前に市の広報車が避難を呼び掛けた時点で具体的な危険を予見できたと判断。校舎近くの裏山に避難させなかった教員らに過失があるとして、児童らの死亡との因果関係を認定した。
 国家賠償法に基づく法的責任の認定には、公務員による「故意または過失」の特定に加え、過失行為と事故結果との因果関係の立証が必要となる。控訴審は事前防災が最大の争点で、過失判断は基本的に震災前の経過に絞られる。
 東大大学院法学政治学研究科の米村滋人准教授(民法)は「学校と河川の近さなどを考慮して、万が一の津波避難場所を事前に決めていれば、迅速な避難で助かった可能性がある。控訴審判決は、危機管理マニュアルの内容が適切だったかどうかが重要なポイントになる」と話す。
 事前防災と事故との因果関係の判断は、行員ら12人が犠牲となった宮城県女川町の七十七銀行女川支店を巡る津波訴訟(最高裁で原告敗訴確定)でも争点の一つだった。確定判決は、事前に支店屋上を避難場所に加えたのは科学的知見に照らして合理性があるとし、マニュアルに従って屋上避難を決めた支店長の判断を巡る法的責任を否定した。
 支店は震災前に津波避難ビルの指定を受け、独自の被害想定で作成した災害対応プランの周知や津波避難訓練を実施していた。
 米村准教授は「一定の情報収集を行い、慎重に検討した結果の防災対策であれば、内容が著しく不合理でない限り責任を問えないというのが裁判所の考え方。だが、大川小がマニュアル内容を作成する際、女川支店のような情報収集や避難先の検討をしたかは疑わしい」と言い切る。
 ただ、事前防災が主眼の過失判断の枠組みでは、因果関係の認定ハードルは高くなる。仮に高台避難を明記したマニュアルを整備していたとしても、実際に教員らが避難を判断できたかなど、不確定要素の検討が必要になるからだ。
 米村准教授は「一般的に事故から時間的・物理的に離れた行為に過失が認定されると、過失行為がなければ結果を回避できたと言いにくくなる」と指摘。その上で「大川小事故は校庭で約50分間も待機した特殊性がある。適切にマニュアルを整備して平均的な避難行動を取れば、容易に事故を回避できる時間があった。マニュアル不備は事故という結果から近いところにある」とみる。
 学校の事前防災の是非を巡る司法判断は、控訴審判決が初めてとなる。「具体的な予見可能性がないから何もしないのでは、防災は成り立たないはずだ。抽象的な危険がある段階で、どの程度の対策が学校管理者に義務付けられるかが問われている」と判決を注視する。


<復興を生きる>世界一の味 復活に力
◎3・11大震災/不屈のビール醸造家 原 勉さん(77)=仙台市
 甘い香りが鼻に抜ける。口に含むとホップの風味に負けじと、果実の酸味が広がった。爽やかな飲み口に酔客がテンポ良くグラスを傾けていく。
 花巻市の地ビール製造「夢花まき麦酒醸造所」が、生産開始から5年を迎えた。工場2階で運営するビアホールの売れ筋は3種類のフルーツビール。1次発酵後の麦汁にワイン酵母と濃縮果汁を加え、ひと月ほど熟成させる。
 工場はかつて「鳥の海ブルワリー」という名で宮城県亘理町にあった。社長の原勉さん(77)=仙台市泉区=が本場ベルギーで出合った木イチゴビールに一目ぼれし、1997年に開業した。
 試行錯誤の末に完成した亘理産イチゴのビールは2005年、地ビール日本一を決める「ジャパンビアカップ」で最高賞に輝く。年間生産量60キロリットルの小規模ブルワリーながら、その後も品評会で受賞を重ねてきた。
 「世界一うまいビールを造って毎日飲みたい」。そんな「夢」に手が届く寸前、全てを東日本大震災の津波が押し流した。
 海沿いの醸造所は流失。空のタンクは約2キロ離れた住宅街に漂着した。品評会で獲得してきた五つのメダルもさらわれた。
 「廃業」の2文字が頭をよぎる。だが、復活を願う愛好家の声は予想以上に大きかった。
 「いつか必ず、震災前の生産規模でよみがえる」。新たな「夢」を工場名に冠して13年、花巻市へ移転した。機材購入費をインターネットで募ると、宮城県のファンが何人も何人も出資してくれた。
 ビール発酵に適した温暖な亘理町と異なり、花巻市は冬場の冷え込みが厳しい。狙い通りの味を再現するのに苦心した。工場は手狭で、年間生産量は被災前の3分の1にとどまる。
 困難は尽きないが「自分のビールを取り戻せない限り、復興ではない」。
 今年1月、販路拡大を目指して大きな決断をした。仙台市青葉区に直営店「定禅寺通り地ビール館」をオープン。フルーツビールは赤ブドウ、イチゴ、リンゴの3種類が楽しめる。
 「一度味わえば、8割以上がリピーターになる」と、丹精込めた自慢の商品を毎週末、自ら仙台へ運ぶ。
 近く、工場を宮城県内に戻すと決めている。直営店も仙台近郊でさらに2店舗増やす構想だ。
 だが、原さんにはもう一つ大きな目標があった。
 「次はどぶろくを造りたい。仙南地域や福島の米を原料にして復興を応援するんだ」
 必要な酒造免許は、もう取得した。不屈の醸造家の「夢」は終わらない。(盛岡総局・斎藤雄一)


<かもめ通り商店街>記念イベント 復活1年、にぎわい少しずつ
 東日本大震災で被害を受けた気仙沼市鹿折地区で、地元商店主らが昨年4月に復活させた「かもめ通り商店街」の1周年を記念するイベントが21日、現地であった。地元住民と商店主が餅まきなどをして祝い、さらなる振興を願った。
 商店街の核となる、約110メートルの「かもめ通り」にある各商店は特別セールを実施。市内の農家らは野菜を販売した。鹿折地区で再建した水産加工業者は缶詰の詰め放題イベントを開き、人気を集めていた。
 約60年の歴史があった旧商店街は最盛期には約60店舗あったが、津波で全壊。市が区画整理事業でかさ上げした土地に再建した6店舗が、昨年4月に再出発を果たした。
 近くの災害公営住宅に住む無職畠山みつ子さん(70)は1周年を祝う餅まきに参加。「歩いて来ることができる商店街は必要。助かっている」と話した。
 市の区画整理事業が進み、商店街には現在9店舗が加入する。商店街の佐川真一会長(63)は「少しずつだが街がにぎわいを取り戻しつつある。地域に根付き、地域に愛される商店街であり続けたい」と話した。


河北春秋
 「利害を調整するのが政治の役割の一つ。だから夫婦間にも政治はある」。大学で政治学のゼミに入ると、恩師が言った。縁遠いと思っていた政治がすとんと自分の胸に落ちた。以来、政治の働きに関心を持って見るようになった▼東日本大震災の復興でもそう。住民主導でまちづくりを進めた自治体では、新たな自治の息吹を感じた。例えば東松島市。復興の制度などの情報を提供し、政治の場を役所から住民に広げた。住民は議論を重ねて意見を調整し、まちづくりに生かした▼逆に政治の不在を感じることも。岩手県大槌町の旧役場庁舎の問題。解体か震災遺構として残すか、住民の意見がまだ分かれているのに、町は先月、議会に解体予算案を提出。賛成、反対が同数となり、議長裁決で可決された▼町はもっと住民に情報を提供し、時間をかけて丁寧に議論を尽くすべきだったのではないか。保存の財政負担が問題なら、新潟県中越地震の被災地に倣って公益法人を設立して管理するなどの方法もあった。熟議という言葉からは遠く、結論を急いだ印象が残る▼被災した住民には、今なお、さまざまな思いが宿る。今回のような方法を取ってしまっては、多くの住民に不満を残すことになる。「政治の役割の一つ」に思いを巡らせてほしかった。

松川浦観光復活を 相馬・市道大洲松川線が7年ぶり再開
 東日本大震災の津波被害に遭った相馬市沿岸部を縦貫する市道大洲松川線が復旧工事を終え、一般通行が21日始まった。観光地松川浦の周遊が7年ぶりに可能となった。
 太平洋と松川浦に挟まれた市道は、高さ9メートルを超える大津波で堤防ごと決壊して不通となった。通行が再開したのは新設部分を含め約5.9キロの区間。うち約2.5キロ以上で直線が続く。
 海岸堤防と一体構造で、復旧に関する新法に基づいて県が工事を代行した。堤防を震災前より約1メートルかさ上げし、津波が堤防を越えてもすぐに全壊しない粘り強い構造とした。事業費は海岸線の整備を合わせて約220億円。
 現地であった式典で、立谷秀清相馬市長は「この道がない限り再生はあり得ない。風光明媚(めいび)な風景と復興を喜びたい」とあいさつ。関係者らがテープカットして通り初めをした。
 市観光協会の伊東博之事務局長は取材に「夏には近くの原釜地区の海水浴場も再開予定。被災地から観光地に向けた一歩となる」と期待した。


被災美術品、三陸の歴史語る 宮古・盛合家できょうまで公開
 東日本大震災の津波で被害を受けた宮古市の国登録有形文化財「津軽石盛合家主屋」で、修復を終えたびょうぶなど5点を含む美術品が一般公開されている。22日まで。入場無料。
 盛合家は藩制期にサケ漁や回船業を営み、江戸との海産物取引で富を築いた商家。震災で主屋が浸水し、居間に保管していた美術品も海水に漬かった。
 専門家による文化財レスキューで5点の修復が完了した。このうち「扇面貼交屏風(せんめんはりまぜびょうぶ)」には戯作者滝沢馬琴らが作った72枚の扇が貼り付けてある。当主が鑑賞用にびょうぶに仕立てたとみられる。江戸後期の書家が漢詩を書いたふすまも展示されている。
 市教委の仮屋雄一郎・市史編さん室長は「三陸の海が玄関口となり、江戸文化が伝わっていた証しでどれも貴重」と話す。5点は28日〜6月28日、同市の崎山貝塚縄文の森ミュージアムでも展示される。


<千年希望の丘>いつかこの木が力に 1500人参加し植樹祭 宮城・岩沼
 東日本大震災で被災した宮城県岩沼市玉浦地区に造成中の「千年希望の丘」で21日、津波の威力を減衰させる緑の防潮堤を造るための植樹祭が開かれ、県内などの約1500人が約1万5000本の苗木を植えた。
 沿岸部の南北約10キロにわたり整備された14カ所の丘(高さ約10メートル)のうち、8号丘近くの約4000平方メートルが会場。参加者は丘と丘の間に約3メートル盛り土された津波よけの遊歩道を移動し、両脇ののり面にタブノキなど33種を植えていった。
 同市玉浦中2年見目空翔(けんもくそらと)さん(13)は「万が一、また津波が押し寄せても、今日植えた木がみんなのためになると思って頑張った」と話した。
 千年希望の丘では2013年から5年間、市などが大規模な植樹祭を実施して計約29万本を植えてきた。今年からは各種団体が個々に植樹活動をしており、今回の植樹祭は一般社団法人森の防潮堤協会(仙台市)などが主催した。


<311次世代塾>第2期開講 「世界に発信」震災との関わり模索
 2期目を迎えた河北新報社など運営の通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」は21日開講し、前年度を上回る132人が受講登録した。東日本大震災の風化が指摘される中、震災にどう向き合い、教訓を伝え継ぐか。開講式に続くグループワークで大学生や社会人が語り合った。
 登録者の内訳は、大学生113人、社会人19人。青森や東京など、宮城県外からの参加者も16人いる。開講式には90人が出席した。
 宮城県山元町に復興派遣職員として赴任している兵庫県朝来市職員の桑島悠地さん(26)は「被災地の現状を自分の地元の人にも伝え、復興に役立つことができるよう学びたい」と受講の動機を語った。
 東北福祉大職員のブライアン・スターキーさん(43)は「海外から震災の質問をよく受ける。正しく答えられるように学んで、世界に震災のことを発信していきたい」と意欲を見せた。
 講座は講義とグループワークの2本立て。被災者や支援者ら当事者の証言と訴えを聞き、1班10人前後のグループに分かれて感想や意見を語り合い、震災と防災の知見を習得する。
 開講式後の第1回講座では、震災から思い浮かぶキーワードを出して討議した。各班で意見をまとめ「被災者の生の声を聞き、経験をみんなが生かせるよう学びたい」「自分たちが復興にどう関われるのか考えたい」などと発表した。
 講座の意義について、「311次世代塾推進協議会」顧問の今村文彦東北大災害科学国際研究所所長は「手探り状態だった1期目と異なり、2期目は次の世代に伝える仕組みづくりを拡充させていきたい。受講生がより理解を深められるように努める」と話した。
 同じく顧問の舩渡忠男東北福祉大防災士協議会会長は「被災した人が語る経験を受け止め、皆さんで話し合うことで震災を伝え、災害に備えることにつなげてほしい」と語った。
 次回の次世代塾は5月19日、仙台市沿岸部と東松島市に出向き、被災直後の仮埋葬の現場などを視察して担当者らの話を聞く。


復興願う「こいのぼり」飾りつけ
白石市を流れる白石川で、東日本大震災からの復興を願って全国から寄せられたこいのぼりを川の両岸に渡したワイヤーに飾りつける作業が行われました。
こいのぼりの飾りつけは、白石市小原地区の住民で作る活性化推進協議会のメンバーやボランティアなどが、毎年この時期に行っています。
飾りつけたこいのぼりは、東日本大震災からの復興を願って全国から寄せられたおよそ800匹で、白石川の両岸に渡した8本のワイヤーに1つ1つ丁寧に取り付けていきました。
作業が終わると、色や形の違う大小さまざまなこいのぼりが、さわやかな春の風を受けながら元気に泳いでいました。
活性化推進協議会の岩松義則会長は、「震災から7年が過ぎ、道半ばの復興に少しでも元気を与えられるようにと願いを込めて飾りつけました。ことしも多くの人に見てもらいたいですね」と話していました。
白石川の上を泳ぐこいのぼりは、来月12日まで見ることができます。


<羽生結弦>五輪王者凱旋 仙台でパレード
 平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2大会連続金メダルを獲得した羽生結弦選手(23)=仙台市出身、宮城・東北高出=の祝賀パレードが22日、仙台市青葉区の東二番丁通であった。五輪直前のけがを乗り越え、66年ぶりの偉業を成し遂げた五輪王者の凱旋を多くの市民が拍手や歓声で出迎えた。
 羽生選手は午後1時半すぎに南町通交差点をスタート。大きなパレードカーに乗り、ポーズを決めたり笑顔で手を振ったりしてファンの声援に応えた。


<羽生結弦>ユヅれない熱い思い ラバーバンド発売にファン殺到
 平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2大会連続の金メダルを獲得した羽生結弦選手(23)=仙台市出身、宮城・東北高出=の祝賀パレードが22日、仙台市青葉区の東二番丁通で行われる。一大イベントを前に21日、応援用ラバーバンドが市内の商業施設7カ所で発売された。宮城県内外のファンらは早速、手に着けてパレードを心待ちにした。
 青葉区の藤崎本館前には午前10時の販売開始前に約500人が並んだ。東北各県や京都、福岡のほか、海外から訪れた人もいた。
 ラバーバンドは紫と水色の2種1組で1000円。青葉区の大学1年阿部香奈さん(18)は「Tシャツも買ったので両方を身に着けてパレードに行く。スタート地点で観覧する」と大喜び。栗原市の主婦熊谷初枝さん(66)は孫の翔太さん(13)と一緒に並び、4組購入した。「女の子の孫たちが羽生選手の大ファン。パレードは自宅のテレビで楽しみたい」と話した。
 パレードの実行委員会は運営費を工面するため、1万組製作した。藤崎で1500組、仙台三越(青葉区)では1600組が正午前に完売した。
 パレードは午後1時半、東二番丁通の南町通交差点をスタート。40分をかけて1.1キロ先の市役所前に向かう。全8車線のうち、6車線が観覧エリアとして開放される。実行委は観衆12万人を見込む。


<奥州の義 戊辰150年>(3)開戦への道 守護職の栄誉・悲哀を今に
◎容保桜
 京都市上京区にある京都府庁旧本館(国重要文化財)の中庭に、1本の桜の木がある。「容保(かたもり)桜」。会津藩9代藩主で、幕末に京都守護職として赴いた松平容保にちなんで命名された。旧本館は、かつて京都守護職の上屋敷があった場所だ。
 中庭には枝ぶりのよい桜が計6種、7本あり、花見の穴場として地元住民に知られる。1904(明治37)年に完成した旧本館の欧風の建物も相まって、優美な雰囲気を醸し出す。
 容保桜はヤマザクラとオオシマザクラの特徴を併せ持つ変種とみられ、一般的なヤマザクラより花弁が一回り大きい。樹齢は推定70〜100年で、自然に生えた野性の桜らしい。
 異彩を放つこの木に着目したのが、「桜守」として知られる著名な造園家佐野藤右衛門さん(90)=京都市=。調査したところ、珍しい桜だと分かった。佐野さんは2010年、府の依頼を受けて、立地の歴史的な背景を取り入れて名付けた。松平家現当主の了承も得ている。
 佐野さんは「落ち着いた品のある咲き方で、不思議と人を引き付ける。武家を思わせるたくましさも残す」と評する。「京都の今昔を知るこの地に根付いたのも何かの縁。大切に守り育てたい」
 松平容保は京都守護職にあった5年余で、幕末の国政の中心に躍り出る一方、その後の明治維新では「賊軍」とされ、栄誉と悲哀の双方を味わった。短く咲き、散る桜は、容保の姿を体現するかのようだ。
 いわれを記した看板を見た京都市の女子大生(20)は「会津藩が守護職として京都の治安を守っていたことを初めて知った」と感心した様子。故郷を遠く離れた地で職責を遂げようと粉骨砕身した藩士の姿を、容保桜は今に伝える。(文・酒井原雄平/写真・鹿野智裕)
[松平容保]1836年、美濃高須藩主松平義建(よしたつ)の六男として誕生。会津藩主松平容敬(かたたか)の養子に迎えられ、9代藩主となる。62〜68年に京都守護職。幕末の尾張藩主徳川慶勝(よしかつ)は実兄、京都所司代の桑名藩主松平定敬(さだあき)は実弟。戊辰戦争では鳥羽・伏見の戦いに敗れて江戸へ戻った後、藩主を養子の喜徳(のぶのり)に譲り、ともに会津へ帰国。鶴ケ城での1カ月に及ぶ籠城戦の末、降伏した。72年に謹慎を解かれ、80年に日光東照宮宮司。93年死去。


企業処罰の特別法制定訴え…脱線事故遺族ら
 JR福知山線脱線事故から25日で13年になるのを前に、遺族らでつくる「組織罰を実現する会」が21日、兵庫県宝塚市でシンポジウムを開き、重大事故を起こした企業を処罰する特別法の制定を改めて訴えた。同会は、署名活動にも取り組んでおり、今秋にも法務大臣に提出する。
 脱線事故ではJR西日本の歴代社長4人が業務上過失致死傷罪で起訴されたが、昨年6月までに全員の無罪が確定。刑法は個人を処罰対象とし、企業の責任を問えないため、遺族らが2016年4月に同会を設立した。
 シンポには脱線事故や中央道笹子トンネル天井板崩落事故の遺族ら約80人が参加。脱線事故で長女を亡くした同会代表の大森重美さん(69)は神戸製鋼所の検査データ改ざんなど企業の不正が昨年から相次いで明らかになっているとし、「組織ぐるみが目立つ」と指摘。「今のままでは事故が繰り返される。特別法制定に向け、遺族が声を上げるのが効果的だ」と話した。
 署名活動では約9000筆が集まっており、1万筆を目標にしているという。


JR事故13年組織罰を求めるフォーラム
 JR福知山線脱線事故の遺族らが公開フォーラムを開き、事故を起こした企業に刑事責任を負わせる法律が必要だと訴えました。
 乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故で、JR西日本の歴代3社長の刑事責任を問う裁判では去年、無罪が確定しました。遺族らは「加害企業が罪に問われないのはおかしい」と事故を起こした企業など組織を罰する法律が必要だと呼びかけています。
 フォーラムでは「欧米には組織を罰する法律があり、安全管理の意識を高めるため日本も導入すべき」との声が上がりました。
 「誰も罰せられていないので、一つのけじめとして罰してほしい」(大森重美さん・JR事故で次女を亡くした)
 遺族らは今年秋には署名とともに国に組織罰の創設を求める嘆願書を提出する方針です。


リハビリ13年、働く喜び 脱線事故で瀕死状態から回復の女性
 2005年4月に起きた尼崎JR脱線事故で、瀕死(ひんし)の状態に陥った兵庫県西宮市の鈴木順子さん(43)が、伊丹市の介護施設で働き始めた。「ずっとリハビリやったから、お金をもらう作業ができることがうれしい」。施設の印鑑を丁寧に押しながら笑みをこぼす。事故から約1カ月後に目を開き、「生きること」に必死の毎日を過ごしてきた。リハビリを重ねて13年。脳に後遺症を抱えつつ、社会参加の一歩を踏み出した。(中島摩子)
 伊丹市鴻池3の通所介護施設「スイッチオン伊丹」。順子さんは昨夏から週1回、午前10時から午後3時半までパートで働いている。事故の後遺症で、歩くことや記憶すること、手を動かすことに困難が伴うため、勤務には知人女性(64)が寄り添う。印鑑を押したり、紙を切り離したりしながら、前向きな言葉を口にする。「笑顔でする作業はプラスになる」「楽しくやらな損やん!」−。
 事務作業にも徐々に慣れてきた。パソコンで文章を打ち、施設利用者の誕生日カードや年賀状のデザインも任されるようになった。事故前、絵が得意だった順子さんは「自分の世界に入れるからデザインはうれしい」。給料が振り込まれたり、利用者のお年寄りと会話を楽しんだり、「働くことはすごく貴重で感動的」と話す。
     ◇
 05年4月25日、当時30歳の順子さんはパソコンの講座に通うため、快速電車の2両目に乗っていた。電車はマンションに激突。約5時間後に救出され、ヘリコプターで大阪市内の病院に運ばれた。脳挫傷や出血性ショック、脾臓(ひぞう)破裂などで意識不明が続いた。
 搬送当時は「99パーセント助からない」とされたが、「1パーセント」に望みをつないできた。約5カ月後に言葉を発し、約11カ月後に退院。「立った」「食べた」「書けた」…。一つ一つを家族と喜んだ。歩行訓練や水泳に励み、周囲が驚くほどの回復の道のりを歩んできた。
 今、トイレや食事は一人でできるが、歩くのは支えが必要で、自宅内は車いすで移動する。光をまぶしく感じる後遺症もあり、サングラスが欠かせない。脳挫傷の影響で「高次脳機能障害」と診断された。直前のことが記憶に残らないことや、同じ質問を繰り返すこともある。
 そんな中、母もも子さん(70)が介護施設経営者の母と知り合い、パートの話が舞い込んだ。「思ってもみなかった」と驚きつつ、社会参加のチャンスと捉え、挑戦することにした。
 あの日から13年になる。「事故でゼロになって、ここまできた。時間がかかったけれど、事故前の『当たり前』が戻ってきた」と、もも子さん。朝、元気にあいさつしたり、順子さんと姉がけんかしたり、そんな日常がかけがえのないものに思える。
 順子さんは「私は悪いことしてないのに、事故があってこうなったことが悔しい」と話し、こうも言った。「私、負けず嫌いやから」


高プロで働くこと 時間の歯止めがない怖さ
 都内の編集プロダクションで働いていた女性は、午前1時半まで働くことが珍しくなかった。出勤は午前6時で、残業は月100時間以上。職場でけいれんして意識を失い、最後は退職した。
 職場は裁量労働制だった。実態に関係なく、労働時間は労使間であらかじめ決めた「みなし労働時間」になる。
 プロダクションが決めたみなし時間は8時間。乖離(かいり)は明らかでも、労働基準監督署には「残業代を払わせることは難しい」と告げられた。労働組合「裁量労働制ユニオン」(東京)に寄せられた相談の事例である。
   <残業という概念なし>
 裁量制は、仕事の進め方が労働者に委ねられる職種が対象だ。労働時間に関係なく賃金は一定で、出社や退社時間はある程度、労働者が決められる。仕事が少ない日は早めに帰宅し、忙しい日は遅くまで働くなど、めりはりの利いた働き方ができるとされる。
 その一方、みなし時間を超えて働いても残業代は支払われない。過剰な業務を課されて、長時間労働の温床になっているとの指摘は根強い。残業代を抑えるため導入する企業も多いとされる。
 それでも、深夜や休日に働かせると割増賃金が発生する。厚生労働省労働基準局は、みなしと実態の差が大きい場合は、改善するよう指導もしている。指導には法的根拠がなく強制力はないものの、長時間労働防止には一応の歯止めがあることになる。
 裁量制からこの歯止めを取り除いたもの―。それが高度プロフェッショナル制度(高プロ)である。政府が今国会に提出し、成立を目指す働き方改革関連法案に盛り込まれている。
 高収入の一部の専門職を、労働時間や休日、深夜の割増賃金の規制から外すことができる。裁量制を超える長時間労働を招く可能性が高い。このまま成立させることは認められない。
 高プロの導入は、車の運転に例えれば、速度規制を撤廃するようなものだ。100キロ以上の速度超過でも、簡単には取り締まることはできない。
 労働時間規制がない高プロは、企業がどれだけ長時間労働をさせても、違反を問うことが困難になる。「残業代がゼロ」になるというより、「残業という概念がなくなる」と考えるべきだ。みなし労働時間を基本とする裁量労働制とは、根本的に異なる制度である。
 法案の問題点を整理したい。
 まず、休日が十分に取れない可能性があることだ。
 企業は「年間104日」かつ「4週で4日」以上の休日を確保する義務がある。制度上は4連休を取れば、24日間の連続勤務も可能だ。しかも、1日の労働時間には制限がない。極端にいえば24時間の連続勤務を24日間続けても、違法にはならない。
 労働者の健康確保に有効とされる「終業後の一定時間の休息」(勤務間インターバル)が完全に義務化されていないのも問題だ。
 対象となる職種も法案成立後に省令で決まるため、不明確だ。年収1075万円以上という要件は労働者の前年の実績ではなく、新たな契約によって見込むことができる所得額である。しかも年間換算のため、1カ月約90万円という短期契約で、ほぼ休みなく働かせることも可能だ。
 導入には「労使委員会での5分の4の決議」「本人同意」などが必要だ。これは裁量制の企画業務型と同じである。裁量制では労使委員会が機能せず、違法に適用されたケースが後を絶たない。高プロでも同じ問題が発生する懸念は拭えない。
   <経済界の長年の悲願>
 高プロは2005年に経団連が提言した「ホワイトカラー・エグゼンプション」が前身だ。15年4月に法案が国会に提出されたものの、過労死を増やす懸念で審議入りが見送られてきた経緯がある。経済界の悲願ともいえる制度だ。導入されると、かつての派遣労働者などと同様、対象が際限なく広がる可能性がある。
 法政大の上西充子教授は「労働時間規制は、労働者には身を守る手段であり、経営者にとっては重しのような存在」と指摘する。安倍晋三首相が主張する「労働者の視点に立った働き方改革」ではない。経営者視点の「働かせ改革」ではないか。
 政府が高プロの利点と指摘する「柔軟な働き方」は、裁量制などが正しく運用できれば可能だ。高プロを導入するまでもない。
 法案に盛り込む予定だった裁量制の対象拡大は、調査データの不適切処理問題で見送られた。裁量制は違法運用が後を絶たず、過労死も相次ぐ。対象拡大も時期尚早だ。まずは裁量制の実態を詳細に調査し、運用を改善するべきだ。


イラク日報問題/後世に生かす検証を
 2004年から06年にイラクに派遣された陸上自衛隊の活動状況を記載した日報が防衛省から公表された。イラク戦争終結後の人道復興支援を名目に「非戦闘地域」に限定した派遣だったが、日報には現地の治安情勢に関連し「戦闘」との記述が複数回あり、緊迫した状況だったことがうかがえる。
 戦争を主導した米国や参戦した英国は開戦の是非を厳しく検証しているが、日本政府は詳細な検証をしていない。
 貴重な活動の記録はその後の自衛隊活動に生かされたのか。15年に成立した安全保障関連法では、自衛隊の活動地域が非戦闘地域から拡大された。イラク派遣の検証が行われていれば、その議論にも影響したと想定される。
 イラク派遣の日報は昨年2月、国会で当時の稲田朋美防衛相が「存在しない」と答弁したものだ。その後、陸自内で見つかりながら1年以上も隠されていた。文書管理・公表の在り方も含め、後世に生かす徹底した検証が必要だ。
 課題を三つ挙げたい。一つ目はイラク派遣の検証の必要性だ。防衛省が公表した日報は延べ435日分、約1万5千ページに上るが、活動の全量ではなく黒塗りにされた部分も多い。しかし公表された日報だけでも緊迫した状況が浮かび上がる。例えば派遣先のイラク南部サマワの治安情勢について、英軍のパトロールに反感を持った地元民兵が射撃し始めたことに関して「戦闘が拡大」と記載されていた。
 派遣当時の小泉純一郎首相は「自衛隊が活動する地域が非戦闘地域」などと無責任な答弁をしていた。今回の日報公表を受け、小野寺五典防衛相も「自衛隊が活動した地域は非戦闘地域の要件を満たしている」と正当性を主張しているが、精査が求められる。
 10年以上も前の派遣とはいえ、自衛隊の活動の実態はどうだったのか。当時の政府判断の妥当性も含め、改めて検証すべきだ。
 検証はその後の活動に生かされなければならない。自衛隊の海外派遣では12〜17年の南スーダン国連平和維持活動(PKO)への陸自派遣も、緊迫した状況にあったことが指摘されながら、その活動は検証されていない。活動をきちんと検証し、後の活動の安全性確保につなげる仕組みを制度化すべきではないか。
 二つ目は、イラク派遣が検証されなかったことが、その後の安保関連法の議論に与えた影響だ。
 イラク派遣の特別措置法の「非戦闘地域」は「現に戦闘が行われておらず、活動期間を通じて戦闘行為が行われることのない地域」と定義された。しかし安保関連法では、国際紛争時の自衛隊の後方支援に関する活動場所は「現に戦闘行為が行われている現場(戦場)以外」に拡大された。イラクでの「非戦闘地域」の厳しさが国会で共有されていれば、この議論にも影響があっただろう。安保関連法の再検討を求めたい。
 三つ目は、文民統制の在り方だ。イラク派遣の日報は昨年、南スーダンPKO部隊の日報問題の過程で取り上げられた。日報は二つとも「存在しない」とされ、その後も確認されながら防衛相への報告は遅れた。文民である防衛相が自衛隊を統率できていたのか。文民統制を再確認する厳しい対処が必要だ。


NPO法20年  営利、非営利の違い超え
 営利を目的としない市民の社会貢献活動を後押しする特定非営利活動促進法(NPO法)が成立して20年になった。
 この間、医療や福祉、環境、まちづくり、国際協力などさまざまな分野で、新たなNPO法人が全国に生まれた。その数は既に5万を超え、京都は約1400、滋賀は約600を数える。
 人材や資金の面で悩みを抱える団体は多いが、市民が行政や企業とは異なる自由な立ち位置で、自発的に社会の課題と向き合い、解決の道を探ってきた活動は貴重だ。住みよい社会を目指し、息の長い取り組みを続けてほしい。
 NPO法制定のきっかけは「ボランティア元年」と呼ばれた1995年の阪神大震災だ。救援活動を通じてボランティアが新たな社会の担い手として認知され、法人格を与えて活動をしやすくするため超党派の議員立法で生まれた。
 多くの寄付が集まった2011年の東日本大震災は「寄付元年」と呼ばれたが、その際にも公益性の高いNPO法人が寄付を受けやすくするよう法改正されるなど、制度面ではNPOの活動はかなりやりやすくなったといえる。
 それらによって問題意識を持った多種多様な民間団体が生まれ、国や自治体も対等な協働のパートナーとして考えるようになってきたのは大きな成果だ。
 ただ、資金や人材の面ではまだまだ十分とはいえない。
 NPO法人の収入は、事業収入、補助金・助成金、会費、寄付などだが、寄付は全体の1割にも満たず、過半数が寄付集めをしていなかった。
 ネットを使ったクラウドファンディングなどを活用する団体も増えてきているが、寄付文化をどう育てていくかは今後の大きな課題の一つだろう。
 一方、この20年間の大きな変化の一つは、事業で得た資金を元に社会の課題を解決していく事業型NPOが増えたことだ。介護保険制度に合わせて事業参入したNPOも多く、「ソーシャルビジネス」や「社会的企業」といった言葉も広がった。
 内閣府が全国のNPO法人を対象に昨年実施した調査によると、年間事業収益1千万円以上の団体が半数を占める。
 非営利組織に詳しい深尾昌峰龍谷大教授によると、とりわけ地域に関わる活動で最近顕著なのが、「営利」と「非営利」を分ける意味が薄れてきたことだという。
 例えば、過疎化が進む東近江市君ケ畑町では、市内の住民を株主にした地域おこし会社「みんなの奥永源寺」が、地元で絶滅危惧種のニホンムラサキを栽培し、薬効のある根を使って化粧品を開発、商品化している。
 地域の暮らしを持続可能にすることを目的にした社会的企業の一つだが、利益を出すことが社会の課題解決に直接つながっている。こうしたケースは、厳しい状況に置かれた地域ほど顕著だという。
 市民が主体となり、営利、非営利の違いを超えた多様な取り組みでよりよい社会を目指す。そんな流れが大きく広がっていくことを期待したい。


阪神教育闘争 70年 学びの場、奪わないで 朝鮮学校保護者ら、訴え今も /大阪
 在日コリアンらが民族教育を受ける権利を求め、当局による朝鮮学校弾圧に抵抗した「阪神教育闘争」から今年で70年になる。今も各地にある朝鮮学校だが、高校無償化の対象除外に象徴されるように、政治的圧力にさらされる構図は変わらない。教員や保護者らは「子供たちの学びの場を奪わないでほしい」と訴えている。【金志尚】
 「先生を続けたくても続けられない」「差別とは不当に区別すること。その先陣を切っているのが行政だ」
 17日、朝鮮学校の教員や保護者、日本人支援者らが府庁前に集まり、朝鮮学校に対する府などの対応に抗議の声を上げた。2012年4月以来、ほぼ毎週続く光景だ。
 府内には朝鮮学校が10校あるが、府は10年度から高級学校、11年度から初中級学校への補助金支給を停止。大阪市も同年度に打ち切った。「北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係性」が理由だ。国も一貫して高校無償化の対象から外している。
 朝鮮学校の保護者らでつくる「オモニ連絡会」代表の玄順愛(ヒョンスネ)さん(47)=八尾市=は「公的助成を受けられないのに税金は支払う。二重の負担になっている。経済的事情から、日本の学校に行かせざるを得ない家庭もある」と嘆く。
 それでも自身は朝鮮学校にこだわり、今年3月に高級学校を卒業した長女を含め4人の子供を通わせている。「子供が社会に出た時に、自分の根っこをしっかりと持って生きてほしい」からだ。
 玄さんらは文部科学省に無償化の適用を繰り返し求めているが、答えはいつも「省令に基づいて対応している」。北朝鮮への非難に絡め、朝鮮学校に冷ややかな視線を向ける社会の風潮もあり、「どうせ何も変わらない」と諦める保護者も出てきているという。
 玄さんは「私たちは日本人が好きだし、子供たちには朝鮮半島と日本をつなぐ懸け橋になってほしい」と話す。その上で「朝鮮学校は民族的なアイデンティティーを養う場所。民族教育を受ける権利を認めてほしい」と訴える。
 ■ことば 阪神教育闘争
 終戦後、在日コリアンが子供たちに朝鮮語や民族性を身につけさせるため各地に朝鮮学校を開いた。文部省(当時)は1948年1月、「朝鮮人子弟も市町村立または私立の小中学校に就学させなければならない」との通達を出し、朝鮮学校の閉鎖に乗り出した。各地で抗議活動が起こり、特に兵庫と大阪で激しかったことから阪神教育闘争と呼ばれる。大阪では同年4月、16歳の少年が警官の発砲で命を失った。


閣僚が次々造反 安倍政権は「麻生辞任」が終わりの始まり
 まさに政権末期だ。次々にスキャンダルが押し寄せている安倍政権。末期的なのは、閣僚たちが半ば公然と“造反”し始めていることだ。閣僚をコントロールできなくなったら、政権の終わりは近い。
 アベ1強が続いた、この5年間、閣僚が安倍首相に逆らうことは皆無だった。独裁者に恨まれたら、どんな仕打ちをされるか分からないと怯えたからだろう。ところが、ここにきて空気が一変している。安倍首相が困ると承知しながら、自分の考えに従って行動し始めているのだ。
 そもそも、モリカケ疑惑が再びここまで大きくなったのは、斎藤健農水大臣が「省内に残っていた」と、愛媛県の職員が作った「備忘録」を公表したことが発端である。愛媛県と今治市の職員が、柳瀬唯夫秘書官(現・経産審議官)と官邸で面会し、柳瀬秘書官が「これは首相案件」と明言したことを証明する文書である。愛媛県の職員が農水省の官僚に手渡していた。
 20日は、林芳正文科大臣が「文科省にあった」と「内部文書」を公表。こちらは、愛媛県と今治市の職員が官邸を訪問した当日、内閣府から文科省にメールされたもの。「本日15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです」と具体的に記されていた。
 農相と文科相の2人が「内部文書」を公表したことで、もはや柳瀬審議官が「会ったことはない」と嘘をつき続けるのは不可能となった。
 さらに、野田聖子総務相は、財務省の福田淳一次官のセクハラについて、「メディアで働いている女性の生の声を聞きたい」と、近々、セクハラ被害の実態を聞く場を設けると発表した。総務大臣が女性記者と懇談すれば、またセクハラ問題が話題になるのは間違いない。
「安倍首相は内心、農相、文科相、総務相の3人に対してはらわたが煮えくり返っているはずです。3人とも、わざわざ騒動を大きくして、結果的に安倍首相に打撃を与えていますからね。閣僚への抑えが利かなくなるのは、政権末期の特徴です。アベ1強が続いていたら、農相も文科相も内部文書を公表しなかったでしょう。ポイントは、3人とも、もともと安倍首相とは“敵対関係”にあることです。安倍首相本人は、うまく取り込んだつもりだったのでしょうが、完全に裏目に出ています」(政治評論家・山口朝雄氏)
■麻生財務相は連休後に辞任か
 いま「いつ安倍首相を見放すのか」と注目されているのが麻生財務相だ。第2派閥を率いる麻生財務相が安倍首相に見切りをつけたら、安倍政権は完全に終わりだ。
「意外にスジを通すタイプの麻生さんは、閣内にいるうちは安倍首相を支え続けるでしょう。でも、閣内を離れたら、もう義理はない。問題は、いつ財務大臣を辞めるのかです。タイミングは、公文書の改ざんについて、財務省の調査がまとまり、誰を処分するか決まった時でしょう。調査結果と処分を発表する時、麻生さんは『トップの私が責任を取る』と辞任するつもりでしょう。時期は、連休明けだとみられています。検察の捜査も連休後に決着するとみられています。麻生さんが辞める時が、安倍政権の終わりの始まりになるのではないか」(自民党事情通)
 政権が弱体化したら、この先、閣僚の“造反”が、さらに増える可能性が高い。“造反”が続けば、さらに政権が弱体化していく。安倍政権の終わりが近づいている。


教授も安倍シンパ 加計獣医学部参考書に朝日新聞“批判本”
 開学にこぎつけた「加計学園」の獣医学部。「首相案件」だった証拠が次々に発覚し、大炎上中だが、「授業内容まで首相案件か!」と批判が噴出している。
 加計学園「岡山理科大」の公式ホームページに掲載された「講義概要(WEBシラバス)」によると、なんと獣医学部1年生の教養科目「現代人の科学A」で、参考書として「『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(小川榮太郎著)を採用しているのだ。
 同書は、タイトル通りモリカケ問題を巡る朝日新聞の報道を徹底批判。著者の小川氏は、民主党政権時の2012年、「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」の発起人を務めたほどの“安倍シンパ”である。同書で「安倍晋三は、報道犯罪の被害者である」「森友学園、加計学園問題は、いずれも安倍首相とは何ら全く関係ない事案だった」と断じているのだ。朝日新聞は小川氏と出版元を名誉毀損で訴えている。
 さらに、岡山理科大の客員教授にも“安倍シンパ”が採用されている。
 一人は、ツイッターで「STOP!朝日新聞プロパガンダ」などと投稿し、安倍首相を礼賛している米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏だ。今月初旬、ネットのニュース番組で客員教授に就任したことを告白。さらに、番組で「(経済評論家の)上念司さんも客員教授になった」と打ち明けていた。その上念氏も、小川氏同様、「有志の会」の発起人メンバーだ。
 なぜ、小川氏の著書を参考書として採用し、安倍シンパの2人を客員教授にしたのか。加計学園に見解を求めたが、返答はなかった。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「加計学園は、理事長が総理と近かったから優遇されたとの疑惑を招いているわけです。これでは、参考書や教員まで“縁故主義”で選ばれたかのように見えてしまいます。本来、参考書などはできる限り偏らないように選ぶべきです。学園は、『マスコミの報道は間違いで学園の考えこそ正しい』と生徒たちに印象づける狙いがあるのではないか。そう疑われても仕方がありません」
 加計理事長は、言いたいことがあるのなら、国会に来て語った方がいい。


「安倍首相はトランプから見捨てられた」と海外メディアが日米首脳会談を酷評!北朝鮮問題でも完全に置いてけぼり…
 北朝鮮の金正恩委員長が、核実験と大陸間弾道ミサイル実験の中止の方針、核実験場の廃止を発表、さらに国際社会との緊密な連携と対話への積極化を明言した。先月の米朝首脳会談の電撃決定に続き、朝鮮半島問題の平和的解決に向けて極めて大きな進展だ。
 ところが、いや、やっぱりと言うべきか、これに水をさしたのが日本の安倍政権。トランプ米大統領が〈北朝鮮にとっても世界にとっても朗報、大きな前進だ! 首脳会談が楽しみだよ〉と歓迎のツイートをしたのとは対照的に、小野寺五典防衛相は「圧力を緩めるタイミングではない」「引き続き最大限の圧力を加える姿勢に代わりない」などと述べ、安倍首相も「注視していきたい」と敵意をあらわにしている。
 まったく、米国と韓国を中心に国際社会が平和的解決へ向かうのと逆行し、かたくなに圧力強硬路線を続けようとする安倍首相は、誰が見ても正気の沙汰とは思えない。だいたい、今回の金委員長による発表も、日本政府が完全に米国から置き去りにされていたのは明らかだろう。
 いずれにしても、まさに日本だけが国際社会からひとり置いてけぼりを食らっているわけだが、どうやらトランプ大統領は、安倍政権に対し完全に見切りをつけたらしい。実際、海外メディアはそうした状況を見抜いており、日米首脳会談に際し、続々と安倍首相の“醜態”を報じていた。
 たとえば、イギリスの高級経済紙フィナンシャル・タイムズは、18日付(電子版)のオピニオン記事で、日米関係における安倍首相の“失点”を冷静に並びたてている。タイトルこそ「トランプの近視眼的な日本への不遇」(Trump’s short-sighted mistreatment of Japan)で、結論としては日米同盟関係に亀裂が生じることを懸念する趣旨だが、中身を読むとこれが皮肉に感じるほど、安倍首相の外交的失態を書き連ねているのだ。
トランプ大統領は共同会見で、中国の習近平国家主席をくり返し賞讃
 記事ではまず、TPPをめぐって安倍首相の目論見が外れたことを指摘。今回の会談に先駆けて、日本でもトランプ大統領がTPP復帰への再交渉検討を指示したとの報道があったが、周知の通り、実際にはトランプが17日に〈日韓は復帰してもらいたいようだが、私は米国にとってTPPは望ましいとは思わない〉〈二国間協定のほうが効率的で利益になるし、われわれの労働者にとってよっぽどいいじゃないか〉とツイートしたように、完全に蹴飛ばされてしまった。当然、フィナンシャル・タイムズの論評は手厳しい。
〈安倍首相は自身を、TPP協定の利点を説明し、米国が署名するよう説得もできるかもしれない“トランプの助言役”(Trump whisperer)のごとく見せてきたから、今回のトランプの転向は安倍首相がくらった直近の痛手となった。〉
 もちろん「直近」というからには、安倍首相はこれまでもトランプから散々痛めつけられてきたとの認識だ。記事ではその例として、日本が米国の友好国のなかで唯一、鉄鋼とアルミニウムの高関税をかけられたこと、また、トランプ大統領が金委員長との会談を電撃決定したことを挙げ、〈これを日本政府は驚きをもって受けとめ、安倍首相は大慌てで平壌と日本の地理的近さとミサイルのことをホワイトハウスに思い出させなければならなかった〉と書く。そのうえで、こう続けているのだ。
〈水曜日の安倍首相との共同記者会見でトランプ大統領は、繰り返し中国の習近平国家主席への賞賛を重ねた。大統領は習国家主席を“私にとって非常に特別な人だ”と明言した一方で、安倍首相に対する親近感は抑えられていた。〉
 ようするに、北朝鮮の非核化に尽力する中国と対照的に、安倍首相はただただ圧力をがなりたてているだけで、とっくに見切りを付けている。そんなトランプの心中が、共同会見での態度に表れていたとの指摘である。安倍首相からしてみれば完全にケチョンケチョンに言われているわけだが、英国一流紙によるダメ出しはここで終わらない。さらにクリティカルな論評が続くのだ。
〈この日本の最も重要な同盟国からの外交的軽視は、安倍首相にとって最悪の時期に到来した。世論調査では政権発足以降最悪の支持率低迷を見せており、安倍首相は国内での一連のスキャンダルを振りはらおうと必死になっている。もし支持率が回復しなければ今年中に総理辞任に追い込まれるだろうとの見通しを語る自民党の有力者もいるほどだ。
 そのダメージは、日本では極めて感情的な問題である拉致問題についてトランプ大統領が北朝鮮政府への圧力を確約することで、幾分かは相殺されることになる。しかし日本では、安倍首相が自負しているトランプ大統領に対する特別な影響力を信じる人は、ほとんどいなくなるだろう。〉
安倍応援団が喧伝してきた「外交の安倍政権」は、ただのまぼろしだった
 どうだろう。安倍首相はこれまで散々「深い信頼関係で結ばれている」「世界で一番、トランプと話ができる」と吹聴し、国内メディアも「ドナルド・シンゾー関係」などと誉めそやしてきたが、それも今や昔の話。現実は、安倍首相はすでにトランプから見放されており、その現状を海外メディアが冷静に伝えているのだ。
 言っておくが、海外でこうしたトランプの“安倍切り”やその醜態を伝えているのはフィナンシャル・タイムズだけではない。
 たとえば米紙ワシントン・ポスト17日付(電子版)の「日本の弱ったリーダーを迎える気難しいトランプ」(A grumpy Trump welcomes Japan’s weakened leader)と題した記事では、外交問題を専門とする記者が、安倍政権はトランプの北朝鮮との対話外交の決定に驚かされたとしたうえで、〈昨年、トランプ大統領が日本を訪れた際、両国首脳のゴルフのなかで安倍首相はバンカーに落っこちた。今年、首相は自らが作り出したさらに大きなトラップのぬかるみにはまっているように見える〉と皮肉をきかせて分析。
 また、16日付で「スキャンダルまみれの安倍首相がトランプに会いに行く」(As Scandal-Tarred Abe Meets Trump)との直球タイトルの記事を出した米紙ニューヨーク・タイムズは、21日(電子版)のコラム「今週のアメリカ政治で最大の話」において日米首脳会談をとりあげ、〈トランプ大統領が他のアジア諸国との関係を築くことは、脇に追いやられてしまったことを恐れている日本にとってさらなる打撃となった〉と指摘している。
 つまるところ、安倍政権はトランプが大統領選に勝利するや否や各国首脳に先駆けて会談をぶっ込み、日米同盟の強固さと外交的イニシアチブをアピールし続けたが、結局はトランプのほうが何枚も上手。安倍応援団が喧伝する「外交の安倍政権」がまぼろしであることは歴然だ。さらに、いまや狂気としか言いようがない圧力一辺倒の対北朝鮮政策(政策と言えるかすら怪しいが)によって、安倍首相は愛するトランプから完全に鬱陶しがられており、それは国際社会からも共通認識となっているのだ。
 なんどでも繰り返す。いま、日本は、安倍首相の外交的失敗により国際社会から孤立し、頼みの綱であるアメリカからもハシゴを外されかけている。沈みゆく泥舟状態の安倍政権と心中する必要などない。一刻も早く安倍首相に引導を渡さねばならない。(編集部)

大日でランチ/2年分仮まとめ→Sを訂正

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Femmes de réconfort : Tokyo et Séoul ne referment pas la plaie
Malgré un accord signé en 2015, le Japon et la Corée du Sud ne parviennent pas à régler le scandale des ≪femmes de réconfort≫ lors de la guerre de Quinze Ans. Un antagonisme attisé par les militants d’extrême droite qui entourent Shinzo Abe.
Tout semblait réglé. Mais il faut se méfier des apparences dans un contentieux qui enflamme régulièrement les relations diplomatiques entre la Corée du Sud et le Japon. Depuis la fin de la Seconde Guerre mondiale, Tokyo et Séoul n’ont jamais trouvé les mots et les gestes pour tourner la page douloureuse des quelque 200 000 ≪femmes de réconfort≫, ces esclaves sexuelles enrôlées de force dans les bordels de l’armée impériale nippone lors de la guerre de Quinze Ans (1931-1945).
Lors de sa venue dans la capitale sud-coréenne le 11 avril, le ministre japonais des Affaires étrangères, Taro Kono, a appelé la Corée du Sud à respecter l’accord que les deux Etats avaient paraphé en décembre 2015. Mais il faut craindre que dans une péninsule chamboulée par de nouvelles retrouvailles intercoréennes et une très probable rencontre Trump-Kim fin mai ou début juin, les femmes de réconfort ne seront pas la priorité des diplomates. L’histoire bégaye à nouveau.
En décembre 2015, longue année de commémoration de la fin de la guerre en Asie, l’administration de Shinzo Abe au Japon et celle de la présidente sud-coréenne Park Geun-hye s’étaient entendues sur un accord ≪définitif et irréversible≫. Le Japon présente ses ≪excuses et ses regrets sincères à toutes celles qui ont enduré une douleur incommensurable et des blessures physiques et psychologiques incurables en tant que femmes de réconfort≫.
Compensations
Il reconnaît que ≪l’honneur et la dignité de nombreuses femmes ont été gravement atteints avec l’implication de l’armée japonaise≫ et que de ce point de vue, le ≪gouvernement japonais assume pleinement sa responsabilité ≫. Tokyo verse alors un milliard de yens (7,55 millions d’euros) de dédommagements à une fondation afin d’aider la trentaine de survivantes. En 1965, les Japonais avaient déjà versé des indemnisations alors que les deux pays normalisaient leurs relations. Et en 1995, un fonds privé avait également versé des compensations.
Mais, en décembre, Séoul déchire l’accord et fâche Tokyo. Dans un communiqué ferme, le nouveau président, Moon Jae-in, triomphalement élu en mai, fustige un texte ≪très imparfait. […] Bien que l’accord de 2015 fût un accord officiel approuvé par les dirigeants des deux pays, je tiens à souligner que l’accord ne règle pas le problème des femmes de réconfort≫. Kan Kimura, professeur et spécialiste des études coréennes à l’université de Kobe, indiquait à Libération en début d’année que l’impopularité et la destitution de Park Geun-hye ≪ont changé la donne. Le nouveau président Moon est entouré de gens, une société civile et d’électeurs qui souhaitaient revoir l’accord très mal accueilli en 2015. Par ailleurs, les discours entendus au Japon dans la classe politique, les médias et la société montrent un minimum de compréhension sur les termes de l’accord présenté comme une "capitulation inconditionnelle" de la partie sud-coréenne. Ces déclarations ont irrité la société sud-coréenne et brisé la base des accords de 2015≫.
Malaise
Soucieux de composer avec une opinion publique parfois chauffée à blanc par des courants nationalistes sur le passé militariste de l’armée impériale, Moon s’est montré intransigeant. En mars, commémorant le début de la lutte pour l’indépendance, il avait harponné le Japon, lui demandant de revoir ses ≪vues erronées sur l’histoire. […] En tant que bourreau, le gouvernement japonais ne devrait jamais dire que la question est finie≫, a-t-il ajouté face aux fins de non-recevoir de Shinzo Abe.
L’une des raisons du malaise qui perdure tient à l’ambiguité sur la sincérité de Shinzo Abe. Si le chef du gouvernement a exprimé des remords, nombreux sont ceux qui gardent en mémoire ses déclarations de 2007 selon lesquelles ≪il n’y a pas d’éléments prouvant qu’il y avait coercition≫ sur les femmes de réconfort. Petit-fils d’un ancien criminel de guerre qu’il vénère, Abe s’affiche toujours avec des courants nationalistes et d’extrême droite (à commencer par la très influente Nippon Kaigi, la Conférence du Japon) qui fustigent une ≪vision masochiste≫ de l’histoire. Ces milieux, parfois ouvertement xénophobes et révisionnistes, continuent de faire croire qu’en mentionnant les exactions militaristes des autorités nippones dans les années 30 et 40, on ne cherche qu’à discréditer et humilier le Japon dans son ensemble. Et ils savent toujours donner de la voix.
Arnaud Vaulerin
フランス語
フランス語の勉強?

どこでランチにしようかな??と思っていたらなんと大日まで来てしまいました.イオンモールが大きくていろんなお店があって楽しいです.
さて頑張って仕事.2年分のまとめをしました.仮まとめですが.と思ったらSに間違い発見.ですぐさま訂正しました.

東京の学校法人が東松島に私立高計画 旧鳴瀬未来中など活用 進学、アスリート養成視野
 東松島市で私立の全日制高校を開校する計画が進んでいる。幼児教育やスポーツの人材育成に取り組む学校法人タイケン学園(東京)が、移転新築した鳴瀬未来中の旧校舎と2021年に移転する鳴瀬桜華小の現校舎をそれぞれ校舎と生徒寮に改修する。学校設置には宮城県の認可が必要で開校時期は未定。
 計画では、防衛大や防衛医科大の受験を目指す「進学コース」、五輪・パラリンピックに出場する選手を育成する「アスリート養成コース」、国際的に活躍できる人材を育てる「グローバルコース」を設ける。
 定員は各学年120人(1コース40人)。進学コースは航空自衛隊松島基地が立地する特色をアピールし、生徒を募集する方針。他の2コースも全国から生徒を受け入れ、留学生が学ぶ環境も整える。
 校舎として使う鳴瀬未来中の旧校舎は築45年の鉄筋コンクリート3階。昨年12月の移転後は空き校舎になっている。約300メートル離れた鳴瀬桜華小は築48年の鉄筋コンクリート3階で、21年1月の新校舎移転後に改修し、生徒寮にする。
 市は昨年11月、全国で大学や専門学校などを運営するタイケン学園と福祉や子育てに関する連携協定を締結した。今年1月には空き校舎を利活用する事業者を公募し、学園が私立高の設置を提案した。
 現在、学園が市との優先交渉権者となり、認可申請の準備を進めている。
 渥美巌市長は「新しい高校ができれば地域の活性化につながる。東日本大震災からの創造的復興を目指す被災地の姿として挑戦したい」と語る。


<大川小・争点を語る>(中)組織的過失 震災前に対策の余地
 仙台高裁は昨年3月29日の控訴審第1回口頭弁論後の非公開協議で、「本件(大川小の津波被害)は教員個人の責任の限度を超える事案」と指摘した。その上で、遺族と石巻市・宮城県の双方に東日本大震災前の学校や市教委の「組織的過失」について主張立証を求めた。
◎大阪市立大大学院法学研究科 高橋真教授
 組織的過失とは何か。大阪市立大大学院法学研究科の高橋真教授(民法)は「学校や企業など人の行動を制約する組織には、管理下の人の安全環境を確保する義務が生じる。そうした組織の管理者による職務上の安全配慮義務違反とも言える」と説明する。
 「学校や市教委は児童の生命安全を守る目的を達成するために行動する一つの組織体。大川小の教員らが地震から約50分間、校庭から動かなかった事実を読み取ろうとすると、直前の出来事よりも事前対応から過失を検討する方が、自然で適切な着眼点だ」という。
 遺族側は仙台地裁の一審段階でも、事前に危機管理マニュアルを改訂して津波対応の避難場所や方法を明記すべきだったと主張。2016年10月の地裁判決は「震災前に具体的な津波被害は予見できず、マニュアルを改訂すべき義務は認められない」と退けた。
 震災前、大川小は学校周辺の地理状況を独自に調査していなかった。高橋教授は「地域の実情を確認する過程で防災を担う人材も育つ。適切なマニュアル整備のための調査をしていれば、地震後の早い段階で高台避難を決断できた可能性もある」との見方を示す。
 市・県側の「学校までの津波到達は例がなく、事前の予見は不可能。当時のマニュアルに不備はない」との主張に対しては、「科学的知見に照らした評価と、置かれた現状を認識する取り組みをしたかどうかは別問題」と疑問を呈する。
 学校現場で起きた事故の予見可能性を巡り、学校側に厳しい責務を課した判例もある。落雷の予見の可否が争われたサッカー落雷事故訴訟の最高裁判決(06年)は、落雷に関する一般的な知見が引率教員や大会関係者にあれば、雷鳴が聞こえた段階で試合を中止して生徒への落雷を回避できたと判断。予見可能性を否定した高松高裁判決を破棄、審理を差し戻した(後に原告勝訴確定)。
 最高裁判決の意義について、高橋教授は「教員らが落雷の危険について無知ならば、知見を引き上げるのが管理者の義務であることを示唆した」と強調。「客観的に存在する危険を主観的に認知できなかったとしても、言い訳にはならない」と断じる。
 大川小津波訴訟の一審判決は、広報車が避難を呼び掛けた津波襲来の約7分前までに予見できたと判断、教員の過失を認めた。ただ、高橋教授は「事故直前の過失を捉えると(学校の)マネジメント段階の問題が隠れる。約50分間も校庭にとどまり続けた不自然さは、偶然的な出来事に左右されるものではないはずだ」と、震災前の不備による「必然」を指摘する。


<大川小・止まった刻>検証の実情や課題を専門家に聞く 事実認定報告書が限度
◎前文部科学省事務次官 前川喜平氏
 東日本大震災で児童と教職員計84人が犠牲になった石巻市大川小を巡り、学校管理下における事故検証の在り方が論議を呼んだ。有識者らによる事故検証委員会の設置を主導した文部科学省前事務次官の前川喜平氏(63)と、学校事故・事件に詳しい京都精華大の住友剛教授(48)に検証の実情や課題を聞いた。(大川小事故取材班)
 −検証委の設置を文科省が主導した背景は。
<市への不信感大>
 「遺族から大臣宛てに『市の対応は非常に問題があり、文科省が指導してほしい』という手紙が届いた。遺族は市への不信感が大きかった。事情を聴けば聴くほど、文科省がかなり実質的に関わらないと事態が動かないと考えた」
 「東日本大震災時、学校管理下で最も多くの子どもの命が失われたのが大川小だ。大川小事故の検証抜きに、今後の学校防災は議論できないと思った」
 −委員の人選を巡り、遺族から異論が出ました。
 「委員は文科省が決めた。遺族の同意を丁寧に得ることを考え、委員から外した方もいた。遺族が推薦する委員は、中立性や客観性を確保する意味で検討しなかった。最終的に納得してもらえる態勢でスタートできたのではないか」
 −検証委は市教委や学校、教員の過失や法的責任を追及しませんでした。
<法的責任 裁判で>
 「検証の目的は、悲劇を繰り返さないための教訓を得て、今後の学校防災に役立てること。法的責任を追及すると、検証本来の目的が果たせなくなる。法的責任の追及は裁判でやることであり、検証委が踏み込むべきではない」
 −遺族は検証委の報告書に納得していません。
 「100パーセント納得してもらえるとは思っていなかった。法的責任は追及していないし、一部の遺族が考える事実にたどり着いていない」
 「事実関係はできるだけ丁寧に客観的に確認した。事実をねじ曲げたり、証拠があるのに事実認定しなかったりはしていない。残っている証拠や証言からは報告書が限度だった。教訓は引き出せたと思う」
 −教員の責任を認めた仙台地裁判決をどう受け止めましたか。
 「教員の過失認定は意外ではなかった。(津波を目撃してUターンし、高台避難を呼び掛けた)市広報車の問題は大きい。後知恵だが、学校に立ち寄り、『逃げなさい』と言っていればと思う。市と宮城県の控訴について、文科省はまったく相談にあずかっていない」
 −検証委の調査資料の保管先が決まらず、4年以上宙に浮いたままです。
 「市がコンサルタント会社に事務局の運営を委託した立場であり、本来は市が調査資料を保管するべきだ。コンサルは市が求めれば返すはずだ。市は『訴訟に影響がある』と言うかもしれないが、コンサルが返還を拒む理由はない」
 −学校管理下で起きた事故の補償の在り方をどう考えますか。
 「学校管理下で起きた事件事故や災害で身体や生命に損害が生じた場合、学校側の責任の有無を問わない無過失責任の考えに立って全て補償するべきだ。まだ文科省にいれば、制度化を進められたかもしれない」


<大川小・止まった刻>検証の実情や課題を専門家に聞く 遺族の知る権利尊重を
◎京都精華大教授 住友剛氏
 東日本大震災で児童と教職員計84人が犠牲になった石巻市大川小を巡り、学校管理下における事故検証の在り方が論議を呼んだ。有識者らによる事故検証委員会の設置を主導した文部科学省前事務次官の前川喜平氏(63)と、学校事故・事件に詳しい京都精華大の住友剛教授(48)に検証の実情や課題を聞いた。(大川小事故取材班)
 −学校事故の遺族支援や遺族の「知る権利」をどう考えますか。
 「大川小事故の場合、専門家集団が遺族と対話しながら、5年、10年かけて調査研究する枠組みが必要だったのではないか。学校事故の調査研究と被害者支援を同時に進める仕組みが日本にはまだなく、検討する必要がある」
 「遺族は、わが子の生きていた最後の姿を知りたいと願う。これに積極的に応じていくことが遺族支援の出発点となる。しかし、その制度自体が未整備だ。子どもの安全に関する包括的な法律である学校保健安全法に、遺族の『知る権利』などを盛り込むべきだ」
 −大川小事故検証委の人選や事務局の選定についてどう思いますか。
 「遺族が一貫して求めているのは『空白の50分、なぜ校庭から動けなかったのか?』。学校の中での出来事なのに委員に学校の専門家は1人しかいない。もっと増やした方がよかった」
<責務は自治体に>
 「亡くなった子どもと教職員の記憶を継承し、同様の災害を防ぐ責務は石巻市と宮城県にある。自らの在り方を問うために調査・検証し、遺族と共に再発防止策を探る検証委にすべきだった。事務局は民間コンサルタントではなく、批判はあっても学校防災を担う自治体に置く方がよい」
 −行政の危機管理に求められる姿勢とは何ですか。
 「行政や学校は従来、提訴された際の対応を危機管理のメインに据えてきた面があるのではないか。本来、行政や学校にとって、子どもの命を守れなかったこと自体が危機のはずだ」
 −検証委は「中立公正」や「ゼロベース」を掲げましたが、遺族は結果に納得していません。
<専門家と勘違い>
 「遺族は知りたいという思いが切実だから猛勉強する。委員は自分を専門家と勘違いしているが、地域や学校、子どもについては遺族の方が詳しい。検証委は遺族の持つ知恵や情報を生かすべきところ、自分たちの思うゼロベースや中立公正にこだわりすぎたのではないか。中立公正、ゼロベース、専門性という言葉の内実を問う必要がある」
 −遺族が真相究明を求めて訴訟を提起せざるを得ない現状をどう考えますか。
 「訴訟が新たな対立をつくり出している側面はないのか。自治体側は訴状を見て言い訳を考えたり、時には荒唐無稽な主張をしたりする。その度に遺族は傷つく。金銭的な補償と責任者の処分を除き、できるだけ話し合いで決着すべきだ」
 −学校事故に「無過失責任」を適用すべきだとの意見がありますが。
 「遺族の『お金なんか要らないから、子どもを返して』という思いにどう向き合うか。わが子が戻らないなら、せめてこの悲しい出来事を機に世の中が変わってほしい。そう願う遺族の思いに早く気付くべきだ。無過失責任の話の前に学校や行政、専門家にはするべきことがある」


河北抄
 イギナシ(とても)なまった4こま漫画やツイート。人気のゆるキャラ「仙台弁こけし」の公式サイトが面白い。オダズモッコ(ひょうきん者)な着ぐるみが笑顔と元気を届けてくれる。
 この人も案外、オダズモッコの一面を持っているかも。平昌冬季五輪で2大会連続の金メダルに輝き、あす仙台市でパレードを行う羽生結弦選手(23)。
 「ユヅは練習の合間によく、いたずらっ子のような表情を浮かべたり、カメラの前でピースサインをつくったりしています」。彼が10歳の時からずっと取材している知人のスポーツカメラマンが話していた。麗しくクールだが、ユーモアのセンスも兼ね備えている。
 自らの演技を通して、いつも東日本大震災の被災地にエールを送ってきた羽生選手。以前、「多くの人が仙台に来て、杜の都の良さを知ってもらうことで、復興に携わりたい」とパレードへの思いを語っていた。
 いよいよあした。どんなおちゃめなユヅを見せてくれるだろうか。今からハカハカ(どきどき)スルッチャネ。


気仙沼港 最も早いカツオ水揚げ
震災で大きな被害を受けながら、去年まで21年連続で生鮮カツオの水揚げ量日本一を記録している気仙沼港で、ことし初めての水揚げが行われました。
記録が残る昭和62年以降では最も早い水揚げです。
気仙沼港には、21日朝8時ごろ、静岡県沼津市の巻き網運搬船が入港し、およそ26トンのカツオを水揚げしました。
港では、漁協の作業員たちが、ベルトコンベヤーにのせられたカツオを大きさや重さごとに手際よく仕分けていました。
ことしの初水揚げは例年より1か月以上早く、気仙沼市によりますと、記録の残る昭和62年以降で最も早い水揚げだということです。
21日に水揚げした船の船長によりますと、例年ならこの時期は千葉県などで水揚げしているということですが、まとまった漁獲量だったため、値崩れを懸念して気仙沼港に入港したということです。
気仙沼港は、震災で大きな被害を受けた3か月後に施設を復旧させ、去年まで21年連続で生鮮カツオの水揚げ量で日本一を記録しています。
地元の水産会社の阿部泰浩さんは、「水揚げが早ければ、それだけ漁期も長くなるので、例年になく、たくさんのカツオが入ればと期待しています」と話していました。


大分の山崩れ/「わがこと」として備え磨こう
 命を守るため、どう備えればよいのか。「わがこと」として、自治体や住民一人一人が土砂災害対策に思いを巡らす必要がある。
 大分県中津市の耶馬溪(やばけい)町の集落が襲われた大規模な山崩れでは、幅200メートル、高さ100メートルにわたって裏山が崩落した。住宅4棟が巻き込まれ、5人が死亡、1人の安否が分からない。
 大雨や地震があったわけでもないのに、山が突然崩れた。山林が国土の7割を占める日本。山林の崩壊メカニズムを究明し、今後の防災・減災に生かすことが重要だ。
 災害はいつ、どんな形で起きるのか分からない。地域や自治体は土砂災害について、危険箇所の把握や備えを急がねばならない。
 耶馬溪町の現場一帯は、火砕流による堆積物や溶岩が風雨で浸食された脆弱(ぜいじゃく)な地盤だという。大分県は昨年3月、崩落現場を土砂災害防止法に基づく土砂災害特別警戒区域に指定。「非常に危険だった」と認めている。
 「特別警戒区域」は宅地開発が規制されるほか、移転の場合は補助が受けられる。著しく危険とみなされた区域だったが、十分な対策は取られていなかった。
 これは「ひとごと」ではない。東北6県では今年2月末現在、土砂災害の際、住民に危害が生じる恐れのある「警戒区域」は2万7160カ所、このうち特に危険とされる「特別警戒区域」は2万1808カ所に上る。
 青森県や山形県は、危険だとされる区域全てを土砂災害警戒区域に指定し、指定が完了したのに対し、宮城県は対象の8482カ所のうち、実際に指定したのは4133カ所(3月30日現在)。指定率は50%に満たない。
 指定区域を抱える市町村は災害情報伝達や避難の体制を地域防災計画で定め、ハザードマップを作って住民への周知が義務付けられる。宮城県は、遅れている指定作業を早急に進めてほしい。
 住民側も意識の見直しが求められる。自分が住む場所は安全かどうか、周囲の災害リスクを知る努力が必要だろう。日頃から周囲の状況に目を配り、異変を察知できることも大切となる。
 大分県中津市の山崩れでは、ある家族は山が崩れる前、自宅の壁に石がぶつかるなどしたことから家を飛び出し、間一髪で助かっている。2、3日前から「ゴー」という地鳴りがしたり、山から石が転がる音が聞こえたりしたとの証言もある。
 山崩れの予兆現象だった可能性が高く、山の異変を住民が共有し対処できていれば、との思いが募る。
 崩落現場は、過去にも何回か山が崩れているという。地域の災害の記憶や経験を受け継ぐことも欠かせない。
 個人や行政だけの防災は限界がある。地域でわが身を守る心構えを磨きたい。


混乱極める財務省 政治家が責任を取る時だ
 森友学園への国有地売却と関連文書の改ざん問題で大揺れになる中、財務省の福田淳一事務次官がセクハラ発言問題で辞任を表明した。
 税と予算を担当する強大官庁の混乱は収まる気配がない。しかもこうした時こそ麻生太郎財務相ら政治家が自ら収拾に乗り出すべきなのに、対応は後手後手に回っている。
 なぜ、こんな事態に陥っているのか。やはり「政と官」双方が自らの保身に走り、責任を取ろうとしないからだろう。
 セクハラ問題では、テレビ朝日が、被害を受けたのは同社の女性社員だったと発表し、週刊誌報道の内容を認めた。ところが福田氏はその後も「セクハラに当たらない」と否定し、報道で騒ぎになって仕事にならないから辞めると言わんばかりの説明を繰り返している。
 財務省は被害女性に名乗り出るよう呼びかけるというお門違いの対応に出て火に油を注いだ。麻生氏もなお福田氏をかばっているようだ。
 野党は麻生氏の辞任を求めて、国会審議を拒否している。政治全体が今、混乱の極みにある。
 麻生氏は改ざん問題の調査を終えて自ら決着をつけた段階での辞任を考えているのかもしれない。そこには辞任後も自民党内で発言力を保ちたいとの狙いが透けて見える。
 しかし森友問題では財務省が学園側にうその口裏合わせをしようと要請していたことなど新事実が次々と発覚し、信用は既に失墜している。麻生氏の下での改ざん問題の調査に国民はどこまで納得するだろうか。
 佐川宣寿氏の後任の国税庁長官も決まらない異常事態である。泥沼を抜け出すためには早急に人心一新を図る必要がある。
 一方、安倍晋三首相は福田氏の早期辞任を望んでいたというが、対応は鈍かった。秋の自民党総裁選で協力を求めるため麻生氏には遠慮しているのだろうか。麻生氏が辞任すれば、次は首相の責任論につながるのも避けたいのだろう。そんな政治的思惑を優先する姿勢が逆に政権の統率力を鈍らせているように見える。
 首相は「行政のトップとして一つ一つの問題に責任を持って全容を解明し、ウミを出し切る」と語った。そのウミは「政と官」双方にたまっていると言うべきである。


セクハラ問題 事の本質を共有したい
 財務省の事務次官による女性記者へのセクハラ疑惑が明らかにするのは、対応を誤り続ける政官だけではない。男女雇用機会均等法施行から三十年を経た今も変わらぬ女性に差別的な社会の姿だ。
 民放女性記者に対するみだらな言動の音声データを公開された福田淳一事務次官は、辞任を表明してもなお「音声データの全体を見ればセクハラではない」と反論、疑惑を否定し続けている。
 恥ずべきは福田氏だけではない。福田氏をかばい立てする麻生太郎財務相も「番記者を男性記者に交代させたらいい」などと認識のずれた発言を繰り返している。
 米国女優が大物プロデューサーから受けた被害を告発したのをきっかけに、性暴力の被害者が名乗り出る「#Me Too(私も)」の潮流が生まれた。セクハラの本質は権力構造の内で起きる性暴力だと、国内外から関心が向けられている中で、福田氏も麻生氏もリーダーとしての資質が著しく欠けている。
 財務次官のケースで被害を訴えたのは記者の女性だったが、セクハラは働く女性が増えるなかで広く起きている。営業職では、取引相手からセクハラに遭って上司に相談しても、会社が取引先に抗議せず、女性社員の側が我慢を強いられる場合もある。職場が守ってくれると思えず、相談すら諦めてしまうことも少なくない。
 男女雇用機会均等法が一九八六年に施行されて三十二年。
 男女が差別されずに働ける場をつくるという法の理念はいまだ実現していない。決定権を持つ役職は男性が主流だ。国会や市町村の議会、役場などでも男性上司が女性の部下たちを不快にさせる性的言動を繰り返している。
 管理職に女性の割合を増やすしかない。
 欧州の議会などで広く導入されている「クオータ制(人数割り当て制)」は、制度として女性議員を増やす。日本も社会の意識を変えるのなら、採用を検討したらどうか。
 音声データを他媒体に提供した女性記者に対し、記者としての倫理に反するとの批判が起きているが、事実を矮小(わいしょう)化してはいけない。本質はセクハラという加害にどう向き合うかだ。
 公益通報者保護制度をきちんと確立しなければならない。被害者個人がよく守られなければ、被害者は安心して訴えることができない。問題の本質を共有すべきだ。


調査手法改め再聴取を/福田次官セクハラ疑惑
 福田淳一財務事務次官のセクハラ疑惑で、テレビ朝日が被害者は自社の女性社員と明かした。さらに財務省に「福田氏から、わいせつな言葉などセクハラ行為が相当数あった」と抗議、徹底調査と早期の結果公表を求めた。一方、福田氏は「会話の全体をみれば、セクハラに該当しないことは分かるはずだ」と、なお疑惑を否定している。
 ただ週刊誌による疑惑報道の直後に「あんなひどい会話をした記憶はない」と明言したが、テレ朝の抗議を挟んで否定のトーンが弱まり、公開された音声データに残っている声の主が自分であることを半ば認めたとの見方が広がっている。
 財務省は調査手法を見直すなど対応を急ぐべきだ。まず報道各社の女性記者らに顧問弁護士による調査への協力を要請した文書を撤回し、テレ朝側に詳細な説明を求める必要がある。その上で福田氏を再聴取し、速やかに事実関係を明らかにしてもらいたい。
 福田氏は辞任を表明し、近く閣議で承認される見通しだが、疑惑は一層深まっている。セクハラ行為をうやむやにしたまま辞めるようなことは許されない。
 だが財務省の反応は鈍いと言わざるを得ない。依然として福田氏をかばうような姿勢を見せている。これでは、森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざんで地に落ちた信頼を取り戻すことなど到底できない。
 財務省が被害者に顧問弁護士事務所へ名乗り出るよう要請した調査手法を巡り、与党内からも「被害者の苦痛を理解していない」などと批判が噴出した。それでも矢野康治官房長は「弁護士に話すということは、そんなに苦痛なのか」と答弁。麻生太郎財務相は「申し出てこないと、どうしようもない」と言った。
 その後、テレ朝が会見し、財務省に抗議。麻生氏は「しっかり受け止めないといけない」としたが、自らの任命責任については「事実かどうか定かではない。きちんと調査しないと、なんとも言えない」と述べた。さらに福田氏に関して「本人が全否定されるものではない」とも話している。
 野党は福田氏が辞任した後では懲戒処分ができないと早期処分を求めたが、財務省側は「麻生財務相が判断する」と述べるにとどめた。いつまでも福田氏をかばうことの愚を悟るべきだろう。


財務次官の更迭 しっぽ切りはもう限界
 財務省の福田淳一事務次官が事実上、更迭された。かねて政権が「適材適所」と擁護してきた佐川宣寿前国税庁長官への手のひら返しの対応に輪を掛けて、トカゲのしっぽ切りという印象が拭えない。
 トカゲの頭に当たる麻生太郎財務相は、ぶら下がり方式の記者会見で「しっぽ」を切ったその足で、米ワシントンでの20カ国・地域(G20)財務省・中央銀行総裁会議に出席するため日本を空けた。
 同じく安倍晋三首相も、米トランプ大統領との首脳会談のため訪米。任命権者不在の財務次官辞任劇は、成果が目立たない首脳会談の結果と相まって、首相の立場を一層苦しくしたのは否めまい。
 福田氏の辞任理由は「現在の状況を鑑みると職責を果たすことが困難」というもの。問題となった女性記者へのセクハラ疑惑は認めていない。
 週刊新潮が疑惑を報じた直後の今月12日、麻生氏は福田氏を口頭注意で済ませようとした。批判が高まると、セクハラの被害者に名乗り出るよう要請。「福田にも人権がある」と語るなど、世間と懸け離れた「常識」を露呈した。
 佐川氏の時も同様、記者会見を拒むなど国民の前に姿を見せない国税庁長官をかばい続けた揚げ句の更迭には、国政の混乱よりも政権の体裁を重く見る「トカゲの頭」の思考回路が透けて見える。
 閣僚出張時の取り決めにより麻生氏訪米の是非が協議された衆院議員運営委員会が、野党の反対で「非」としたのは当然だろう。決定に強制力はなく、麻生氏の訪米は政府判断で決めたが、政権の屋台骨が揺らぐ事態に首相も副総理兼務の麻生氏も国を空ける対応には、政府の危機感の程を疑わざるを得ない。
 日本の借金は1千兆円を超え、財政状況は先進国の中で最悪だ。来年10月には消費税10%への引き上げが予定されるが、歳入確保へ、今後さらに引き上げを検討せざるを得ない局面があるだろう。
 少子高齢化の進展で社会保障費を中心に膨らむ歳出をいかに削り、歳入を増やすか。国民に痛みを強いる政策にリーダーシップが求められる政治も、実行官庁である財務省も不信や疑念にまみれる現状では、待ったなしの財政健全化の見通しは開けまい。
 野党側は麻生氏の進退や森友、加計問題などで圧力を強め国会は空転気味。政権が後半国会の最重要課題に位置付ける働き方改革関連法案も、意義が伝わらない。
 自民党にも「日本国全体を考え、自民党を考え、麻生氏が判断すること」(石破茂元幹事長)と突き放す見方や、大規模な内閣改造を促す声がある。不祥事の連鎖にひたすら「頭」をかばうことが、国益にかなうだろうか。


麻生財務相 出処進退を考える時だ
 森友学園問題に加え事務次官のセクハラ疑惑で財務省の信頼は失墜している。組織の立て直しに向け、トップの責任は重大である。
 麻生太郎財務相は任に堪えるのか。任命した幹部による不祥事や問題が相次ぐ状況を見ると、疑問が拭えない。
 セクハラ疑惑では、被害を受けた女性記者らに協力を要請した財務省の対応に政府、与党内からも批判が上がった。
 麻生氏は被害女性が「申し出てこないと、どうしようもない」と述べ、名乗り出なければ事実認定できないとの考えを示してきた。
 福田淳一事務次官をかばう姿勢は当初からだ。女性の声の上げづらさを指摘されると「福田の人権はなしってわけですか」と反論した。きのうも「仕事ぶりは遜色ない」とし、今回の疑惑で「本人が全否定されるものではない」とも強調している。
 問題をどこまで重く受け止めているのか。疑惑が報じられてからの対応には、セクハラに対する認識の低さが表れている。「女性が輝く社会」の実現に取り組むという内閣の主要閣僚とは思えない言動である。
 森友学園への国有地売却は、適正さが揺らいでいる。評価額から約8億円値引きする根拠となったごみについて「撤去費が相当かかり、トラック何千台も走った気がするといった言い方をしてはどうか」と財務省理財局の職員が口裏合わせを依頼していた。
 決裁文書改ざんは理財局の一部の職員によるものとされ、当時の局長だった佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任した。国会を欺いた重大な問題だ。職員に自殺者も出ている。あずかり知らないところで行われていたのなら、組織を掌握できていないことになる。
 交渉記録は廃棄したとの国会答弁を繰り返し、批判されていた佐川氏である。麻生氏は国税庁長官に起用し、「適材適所」と擁護し続けた。結果として長官が事実上不在となる事態を招いている。その点でも責任が問われる。
 国会では、麻生氏辞任を迫る野党の要求を与党が拒んでいる。野党6党は衆参両院で新たな国会日程の協議に応じない方針を確認した。主要野党の議員が審議を欠席する不正常な状態が続く。
 議論すべき課題は内外に山積している。このままでは実のある審議にならない。自民党内からも麻生氏を含む大幅な内閣改造の実施や、麻生氏自身の「判断」を求める声が出ている。政治家として自ら出処進退を考える時である。


安倍政権 危機的な状況と認識せよ
 政府や官僚が「ない」と否定していたものが、実際は「あった」と裏付ける文書や証言が次々と出てきている。
 安倍政権への不信は募るばかりだ。もはや危機的な状況にあると言えるのではないか。
 安倍晋三首相は国民の疑念や不信の声に真摯(しんし)に向き合い、真相解明に努めねばならない。
 加計(かけ)学園の獣医学部新設を巡って出てきた「首相案件」文書の、信ぴょう性を高める文書が文部科学省で見つかった。
 セクハラ疑惑を巡って財務省の福田淳一財務事務次官が辞任し、テレビ朝日が女性社員が被害者だと公表した。
 野党は、麻生太郎財務相の辞任要求などに与党が応じなかったため国会審議を拒否し、欠席戦術の長期化も辞さない構えだ。異常事態といえる。
 加計学園の獣医学部新設を巡る「首相案件」文書は、愛媛県職員が2015年4月に首相官邸を訪問した時の備忘録だ。
 当時の柳瀬唯夫首相秘書官と面会し、柳瀬氏が「首相案件」と発言したと記されている。
 柳瀬氏は面会自体を否定し、安倍首相も国会で文書の内容を否定している。
 ところが愛媛県職員らが官邸を訪問した当日、内閣府から文科省にその予定を伝えるメールが届き、それが文科省内に残っていたことが分かった。
 メールには「柳瀬総理秘書官とも面会するようです」と記載されており、面会の情報が政府内で共有されていたことが裏付けられた。
 「面会は記憶にない」とする柳瀬氏の説明に対する疑念が、さらに深まったといえよう。
 そもそも加計学園の獣医学部新設を巡っては、安倍首相と加計孝太郎理事長の親密な関係から、計画が「加計ありき」で進められたのではないかとの疑念が持たれてきた。
 行政の大原則である公平性や公正性に関わる重大な問題である。真相解明のため、柳瀬氏の証人喚問などを行うべきだ。
 財務次官のセクハラ疑惑では、麻生財務相と財務省のお粗末な対応が批判を浴びている。
 麻生氏は当初は口頭注意にとどめた。その後に調査に乗り出したものの、被害女性に調査を委託した外部の弁護士事務所に名乗り出るよう求めた。被害女性の心情へ著しく配慮を欠く対応と言わざるを得ない。
 財務次官は辞職したが「職責を果たすことが困難」という理由でセクハラは否定している。
 セクハラは立場を利用した人権侵害だ。セクハラであるなら辞任では済まされない。
 財務省では「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書の改ざんが明らかとなり、3月には改ざん当時の財務省理財局長だった佐川宣寿氏が国税庁長官を辞めている。
 安倍政権では、陸上自衛隊のイラク派遣部隊の日報隠蔽なども発覚した。文民統制を揺るがしかねない重大事だ。
 行政府の長としての安倍首相の責任は重い。首相は、それを強く自覚しなければならない。


福田次官セクハラ疑惑/速やかに再聴取すべきだ
 福田淳一財務事務次官のセクハラ疑惑で、テレビ朝日が被害者は自社の女性社員と明かした。さらに財務省に「福田氏から、わいせつな言葉などセクハラ行為が相当数あった」と抗議、徹底調査と早期の結果公表を求めた。一方、福田氏は「会話の全体をみれば、セクハラに該当しないことは分かるはずだ」と、なお疑惑を否定している。
 ただ週刊誌による報道の直後に「あんなひどい会話をした記憶はない」と明言したが、テレ朝の抗議を挟んで否定のトーンが弱まり、公開された音声データに残っている声の主が自分であることを半ば認めたとの見方が広がっている。財務省は調査手法を見直すなど対応を急ぐべきだ。
 まず報道各社の女性記者らに顧問弁護士による調査への協力を要請した文書を撤回し、テレ朝側に詳細な説明を求める必要がある。その上で福田氏を再聴取し、速やかに事実関係を明らかにしてもらいたい。福田氏は辞任を表明し、近く閣議で承認される見通しだが、疑惑は一層深まっている。セクハラ行為をうやむやにしたまま辞めるようなことは許されない。
 だが財務省の反応は鈍いと言わざるを得ない。依然として福田氏をかばうような姿勢を見せている。これでは、森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざんで地に落ちた信頼を取り戻すことなど到底できない。
 テレ朝によると、女性社員は1年半ほど前から数回、福田氏と会食。そのたびにセクハラ発言があり、身を守るために録音した。今月に入り「胸、触っていい?」など発言の報道を上司に相談したものの、本人が特定される恐れがあることなどを理由に「難しい」と言われ、週刊誌に音声データを提供したという。
 記者会見した報道局長は「私どもはセクハラは事実と考えている」と語った。また報道見送りについて「批判は甘んじて受ける」とし「情報を第三者に渡したのは報道機関として不適切な行為で、遺憾」とも述べた。
 取材で得た情報を週刊誌に流したのは報道倫理に照らし問題との指摘があり、それを意識した発言だろう。ただセクハラ行為に悩まされ、報道も認めてもらえず、女性社員にほかに取るべき道があったとは思えない。
 財務省が被害者に顧問弁護士事務所へ名乗り出るよう要請した調査手法を巡り、与党内からも「被害者の苦痛を理解していない」などと批判が噴出した。それでも矢野康治官房長は「弁護士に話すということは、そんなに苦痛なのか」と答弁。麻生太郎財務相は「申し出てこないと、どうしようもない」と言った。
 その後、テレ朝が会見し、財務省に抗議。麻生氏は「しっかり受け止めないといけない」としたが、自らの任命責任については「事実かどうか定かではない。きちんと調査しないと、なんとも言えない」と述べた。さらに福田氏に関し「本人が全否定されるものではない」とも話している。
 野党は合同ヒアリングで、福田氏が辞任した後では懲戒処分ができないと早期処分を求めた。しかし、財務省側は「麻生財務相が判断する」と述べるにとどめた。いつまでも福田氏をかばう姿勢では信頼回復は難しいだろう。


【柳瀬氏と面会】証人喚問は避けられない
 加計学園の獣医学部新設を巡り、2015年4月2日に首相官邸を訪問した愛媛県職員らは、柳瀬唯夫・首相秘書官(当時)と面会したのではないか。それをうかがわせる新たな「証拠」が見つかった。
 職員らの訪問を示す内閣府からのメールが、文部科学省内に残っていた。愛媛県側がこの日のやりとりを記した「備忘録」と、大筋で一致する内容が書かれている。「柳瀬総理秘書官とも面会するようです」とも記載されていた。
 「記憶の限りでは会っていない」と否定している柳瀬氏の主張が揺らぎ、愛媛県文書の信ぴょう性が高まったと言える。
 政府が柳瀬氏らの証人喚問を拒む理由はいよいよなくなった。
 メールによると訪問した愛媛県職員や今治市職員らに対し、藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)が「制度改正の実現は首長のやる気次第。熱意をどれだけ示せるか」などと説明した内容が記されていた。
 愛媛県文書に「獣医大学だけでいくか、関連分野も含めるかは、県・市の判断によるが、幅広い方が熱意を感じる」とあるのと呼応しよう。藤原氏はこれまで愛媛側への助言などを否定してきたが、メールはそれに疑いを生じさせる。
 県文書には、この後に面会した柳瀬氏が「首相案件」と発言したと記されている。そうした発言はもとより、面会自体も否定してきた柳瀬氏はどう説明するのか。
 内閣府の当時の事務官はメールの作成、送信を認めている。愛媛県文書は農林水産省内でも見つかっている。県側と官邸の接触は、政府内で広く共有されていたことがうかがえよう。にもかかわらず、柳瀬氏一人が面会さえ否定している不自然さが際立ってみえる。
 今治市の対応も理解に苦しむ。
 市職員による官邸訪問の記録を一貫して非開示としてきた。
 菅良二市長は理由について「国や県は一緒に取り組んできた仲間だから、迷惑は掛けられない」と言う。面会相手が柳瀬氏だったかどうかも「コメントを控える」と、明言を避けている。
 加計問題の核心は安倍首相が「腹心の友」と呼ぶ学園理事長に対し、官僚の忖度(そんたく)や便宜があったのかどうか。公平・公正であるべき行政がゆがめられたのではないかという不信であり、国民の関心は極めて高い。獣医学部新設に関し今治市側に一点の曇りもないのであれば、堂々と経緯を明らかにすべきである。
 柳瀬氏らの証人喚問を要求している野党に対し、政府、与党は参考人招致にとどめたい意向だ。柳瀬氏は以前、参考人招致された際の面会を否定した証言に疑義が持たれている。そうである以上、虚偽証言をした場合に罰則がある証人喚問を求める野党の側に道理があろう。
 「徹底的に調査して全容を解明しうみを出し切る」。安倍首相が本気でそう考えているのなら、証人喚問の実施は避けられない。


財務次官辞任へ◆麻生氏の任命責任免れない◆
 女性記者へのセクハラ発言疑惑が週刊誌に報じられた財務省の福田淳一事務次官が辞任を表明した。週刊誌の報道を否定していたが「現状を鑑みると職責を果たすことが困難だ」として麻生太郎財務相に辞任を申し出た。財務省は、森友学園を巡る決裁文書改ざん問題で佐川宣寿前国税庁長官が3月に辞任したばかり。次官と同庁長官が実質不在となる異常事態だ。国民の税金を扱い、国家予算を決める「官庁の中の官庁」とされる財務省の信用の失墜は目を覆う。
当初から対応不適切
 麻生財務相はこれまで「福田氏の人権はどうなる」などと擁護する姿勢を示し、混乱を長引かせる結果となった。任命責任を免れることはできまい。野党は麻生氏の辞任を求めている。信頼回復と組織の立て直しのため、きちんとしたけじめをつける必要がある。
 森友、加計学園問題や防衛省・自衛隊のイラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)など、安倍政権で続く一連の不祥事は、「政と官」の間で、信頼と緊張の関係が失われ、政権が統治能力を喪失していると言える。
 安倍晋三首相は「国民の行政への信頼が揺らいでいる。徹底的に調査し、うみを出し切る」と強調する。しかし森友、加計学園問題では、安倍首相や夫人の関与が問われている。一連の問題で、政治家は責任を取っていない。政治はすべて「結果責任」である。政治家が責任を逃れようとする姿勢では、信頼回復は極めて厳しい。
 財務省の対応は、発覚当初から不適切だった。報道を否定した上で、財務省の記者クラブに加盟する報道各社の女性記者に調査への協力を呼び掛けた。麻生氏は「この種の話は双方の言い分が分からないといけない」と述べ、被害者に名乗り出るよう求めた。セクハラが被害者に与える重い心理的な負担とともに、取材源の秘匿という二重の意味で配慮を欠いた対応と言うしかない。
第三者の調査必要だ
 さらに問題なのは、調査を委託したのが財務省の顧問弁護士だったことだ。真相を明らかにできると考えたのだろうか。財務省は顧問弁護士ではなく、中立の第三者に調査を任せ、被害者が心置きなく話せる環境を整えるべきだ。
 政府内からも、野田聖子女性活躍担当相が「セクハラ被害者は家族にも相談できないのが現実だ。あえて加害者側の関係者である弁護士に説明することはできないのではないか」と、問題点を指摘する声が出ていた。内閣支持率が急落する中、セクハラ問題を巡る混乱をこれ以上長引かせれば政権への打撃はさらに深刻になるとの懸念が深まっていた。
 安倍政権は「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げる。しかし主要官庁の幹部やそれを指揮すべき閣僚まで、セクハラ問題への認識がこの程度のお粗末さだったとすれば、看板倒れのスローガンでしかない。目指す社会像を本当に共有できているのかを問いたい。


ゆがむ官僚 政府の異常事態だ
 極めて異常な事態である。
 学校法人「森友学園」に関する文書改ざん問題を受けた財務省の佐川宣寿前国税庁長官辞任の衝撃からわずか1カ月余りで、女性記者へのセクハラ発言を週刊新潮で報じられていた福田淳一事務次官が辞任する。
 改ざんやセクハラ発言への対応に加え、ツートップの不在で最強官庁とされる財務省は事実上、機能不全状態に陥っていると言っても過言ではないだろう。
 深刻なのは財務省が大きく揺らいでいることだけではない。佐川、福田両氏が職を辞しながらも、肝心の改ざんやセクハラ発言に正面から向き合おうとせず、省庁トップとしての説明責任を果たさないでいることだ。
 同様の状態にあるのは財務省だけではない。
 加計学園の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫首相秘書官や藤原豊内閣府地方創生推進室次長(いずれも当時)が否定している2015年4月の愛媛県職員との面会の事実や「首相案件」などの内容を県職員が詳しく書き記していたことを中村時広愛媛県知事が公表、柳瀬氏は国会に参考人招致されることになっている。
 柳瀬氏は現在、経済産業省の経産審議官を、藤原氏は同省の官房審議官を務めている。
 防衛省・自衛隊では昨年、陸上自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報【ルビ注意】隠蔽いんぺい問題で事務次官が事実上更迭されたが、その後、日報が発見され、現在はイラク派遣部隊の日報も見つかっている。
 安倍晋三首相が昨年、衆院を解散する際に理由とした北朝鮮の核・ミサイル開発などの「国難」への対応に全精力を注がなければならないはずの防衛省・自衛隊は日報問題への対応に追われ、疲弊している。
 一連の問題に共通するのはうそとごまかしである。自分たち、あるいは所属する省庁や安倍政権に都合の悪い事実からは目をそらすかのように否定、それができなければはぐらかす。
 公表したくない文書は「無い」あるいは「捨てた」と言い、そう言えない場合は隠す、揚げ句の果ては改ざんする。
 かつて、「うそは泥棒の始まり」ということわざの「泥棒」を「政治家」に入れ替えた風刺があったが、今は「官僚」が取って代わっている。
 官僚組織トップによるうそやごまかしの横行が国家の一時的な運営を任されているにすぎない安倍政権どころか国家というシステムにダメージを与え続けている。
 国民にとって究極の不幸は、そんな官僚の行動を閣僚、ひいては内閣が統制できていないことだ。このままでは機能不全が政府全体に広がりかねない。もはや安倍首相は稚拙な政権運営を続けた旧民主党政権を批判できる資格を失っていると言わざるを得ない。
 問題の要因を省庁幹部の人事を一元的に管理する内閣人事局に求める声もあるが、むしろ安倍政権に忠実な人物を登用する運営の仕方の方にあるのではないか。
 政府全体の威信が失われれば、信頼に基づいた民主主義というシステムを無視し、実力で事態を打開しようとする勢力が生まれかねないことは歴史や現在の世界情勢が証明するところだ。
 そんな事態を招来しないようにする責務を政治家も官僚も強く肝に銘じてほしい。(共同通信・柿崎明二)


「女性記者お断り」セクハラ防ぐには女性排除を、という暴論は“新たな差別”を生むだけだ
メディア女性の働き方が揺れている。テレビ朝日の女性社員が財務省の福田淳一事務次官からセクハラを受けていたとされる問題を受けて、「セクハラされたくなければ男性と2人で会わなければいい」「もう会わない」という声が上がっているのだ。“女性活躍”から排除へ、時代の針は逆戻りするのか。
女性記者と2人で会わなければセクハラは起きない?
「男の番(記者)に替えればいいだけじゃないか」「次官の番(記者)をみんな男にすれば解決する話なんだよ」
麻生太郎財務大臣は4月12日、派閥議員や秘書、番記者らとの懇親会で記者から福田氏のセクハラ問題について尋ねられ、そう答えたという(週刊新潮4月26日号より)。
セクハラ被害を防ぐには、女性を排除すればいいと言うのだ。
これほど極論ではないが、メディアの女性の働き方を制限するべきだという意見はSNSでも見られた。特に多かったのが、取材を踏まえて行う夜の会食についてだ。
舛添要一前東京都知事は「次官と2人きりで食事など論外だ」「優秀な女性記者たちは朝は6時、夜は深夜まで自宅の前で待っていて、私に政策の取材をした。他社を出し抜いて来るので1対1だが、財務次官のように食事をしながらとは大違い。周りに警察官もいる。会食なしでも取材はできる」とツイッターでつぶやいた。
熊谷俊人千葉市長は「異性の記者と1対1で会う時点で脇が甘すぎる」と福田事務次官を批判。「結婚している家庭人としても妙齢の女性と二人きりで会食することに疑問を持つべき」「私は女性記者とは絶対に二人きりで会食しませんし、女性の政治家とも極力二人きりで食事はしないようにしています」というFacebookの投稿をツイッターでシェア。
すると、それこそ性差別だという批判が起きた。
南川麻由子弁護士は「記者が男性なら一対一で会うけど女性なら会わない」のであれば、それも性差別だと思いませんか? 公人としては、男女関係なく取材は受けるべきです。 相手のセクシャリティに関わらず、セクハラとなる言動、そう疑われかねない言動をしなければよいだけだと思います」と主張。「そういうことを言い出す人がいるから、報道機関は取材への障壁となることを恐れてセクハラ対応に及び腰になりがちなんだと思う」とツイッターで述べ、テレビ朝日の女性社員からのセクハラ被害の報告があったにもかかわらず、上司が二次被害を恐れた理由ではないかと推測している。
こうした批判に対し熊谷氏は「そんなに夜の一対一会食にこだわる理由が分かりません。こんなものは取材でも何でもないでしょう」と反論。
スタートラインで男女差がつく、「ペンス・ルール」は日本にも広がるか
確かに二人きりで会ったり、お酒を飲みながら情報を聞き出すような取材方法に疑問を感じる人は多いだろう。しかし、こうした時間が欠かせないと感じている女性記者は多い。Business Insider Japanの「緊急アンケート!メディアで働く女性たちへ。 『なぜ私たちはセクハラに遭ったことを言い出せなかったのか』」には、今後のセクハラ対策として女性の仕事が制限されるのを危惧する声もあった。
「お酒の力をかりてリラックスした空気で情報交換する貴重な時間です。昼間に取材した言葉の裏の意味を聞き出したり、お互いを知ったりするのに欠かせません」(30-34歳、テレビ局、記者)
「『二人きりで会わなければいい』ということは、女性記者に対しては酷な注文です。ほかの第三者がいない場でのみ聞き出すことができる証言もあるのですから。『二人きりで会うな』を実行した途端に、スタートラインを手前に設定されるようなものになります」(35-39歳、記者、新聞社・通信社)
もちろん、こうした男性たちの動きに反発する声も多い。
「『こういうことがあるから女性にこの仕事はさせられない』と言って女性の仕事を奪って行くところまで含めてセクハラです」
「政治家が『担当記者を男性に替えればセクハラは起こらない』と言うなら、『政治家のほうを女性に替えましょう』という提案をしたくなるよね」
だが、メディアの中にはセクハラに対しての認識が厳しくなった数年前から、社内でのコミュニケーションでは、すでに女性との接触を制限する動きがあるという。
セクハラ・パワハラ対策として管理職の男性に自分より役職が下の女性社員と一対一で食事をしたりお酒を飲んだりしてはいけないと指導しているメディアは複数社ある。普段はできない仕事の相談や上司の成功・失敗談を聞くことができる機会だが、その機会を制限されたことで「不利益を被っている」と感じる女性たちもいる。ある女性記者は、自身の会社にこうした規定があることを知り、強く憤ったと言う。
「ああ、こういう制限の仕方をするんだなと。男女差が生まれるだけですよね。男性が『セクハラはヤバい』と思ってくれればよいだけなのに」
「まともなリスク感覚のある政界関係者だったら、今後はメディアに対して『女性の番記者はやめてくれ』と要請するよ。男女平等は結構だけど、社会的地位のある男性にとっては、女性と距離を置くことが最大のリスク回避策になった」というツイートに対して、こんな提案もあった。
「『女性記者お断り』ってのがまともなリスク感覚ってのがまともじゃないんだが。わからん人は『女性』を他のマイノリティーで置換してみよう」
韓国では#MeToo運動の高まりにより、妻以外の女性と一緒に食事をしないと報じられているペンス米副大統領の名をとった「ペンス・ルール」という言葉が広がっている。男女の出張や食事に過度な警戒をする企業も出てきており、ガラスの天井がより強固なものになると危惧されているという。日本も後を追う形になるのだろうか。(文・竹下郁子)


長尾敬、杉田水脈…自民党の安倍チル議員が次官セクハラで暴言! 野党女性議員を指し「この方々にはセクハラしない」
 この国のセクハラに対する意識の低さが一気に露呈している、財務省・福田淳一事務次官のセクハラ問題。ネット上ではネトウヨまとめサイトなどによる被害女性の実名拡散、正当な自己防衛のためのセクハラ現場の録音を取材倫理の問題にすり替える論調、はたまたこの期に及んでセクハラを正当化しようとする言説や被害者叩きが後を絶たない。
 しかも、ここにきて信じがたい暴論を吐いた人物がいる。これまで数々のヘイトデマを垂れ流してきた自民党の長尾敬衆院議員だ。
 長尾議員は昨日、セクハラ問題に抗議する野党の女性議員が中心となった写真を投稿。それは、抗議のための黒い服に身を包んだ女性議員たちが「#Me Too」のプラカードを掲げた写真だが、これに長尾議員はこんなコメントを寄せたのだ。
〈セクハラはあってはなりません。こちらの方々は、少なくとも私にとって、セクハラとは縁遠い方々です。私は皆さんに、絶対セクハラは致しませんことを、宣言致します!〉
 お前にセクハラなんかしない──。こうやって長尾議員は、女性を、「性的対象になり得る女」と「性的対象になり得ない女」に分けて分断している。つまり、「性的対象か否か」でしか女性を見ていないのである。こうした「女は男に選ばれるもの」という価値観こそが女性差別の根幹にある問題であると同時に、男性による「セクハラをする=女として認めてやっているんだから喜べ」という女性蔑視も甚だしい犯罪的なセクハラ容認論を生んできた。この長尾議員のツイートは、疑いようのないど真ん中のセクハラであり、到底看過などできない。
 このツイートには反論や抗議が相次いだが、長尾議員はその後も〈この方々(編集部註・野党女性議員)ヘは、セクハラをしませんと宣言することが、セクハラになる時代なのでしょうか?〉などと投稿。その上、本日おこなわれた安倍首相主催の「桜を見る会」に何食わぬ顔で参加していたのである。
 いや、セクハラを正当化し助長させる言動をおこなっている自民党議員は、長尾議員だけではない。ネトウヨと一体化した極右思想の持ち主で、安倍首相が自らスカウトし自民党から出馬、当選した「安倍首相の秘蔵っ子」である杉田水脈衆院議員だ。
杉田水脈議員「セクハラと騒ぐのは魔女狩り」「#MeToo運動はもう辞めよう」
 杉田議員といえば、これまでも国会で「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想です」と主張したり、最近ではフェミニズム系研究者を攻撃対象にするなど、“名誉男性”として女の立場から女性の権利を貶めるような言動をとってきた人物だが、今回、テレビ朝日が被害は事実だと公表した記者会見後も〈違うシュチュエーションで違う女性に対して発した音声テープを示されて「女性記者に対するセクハラだ」と言われること自体 問題でしょう!貶められたという以外ない〉とし、なんと福田次官のセクハラを「冤罪」だと主張。その上で、〈とにかく女性が「セクハラだ!」と声を上げると男性が否定しようが、嘘であろうが職を追われる。疑惑の段階で。これって「現代の魔女狩り」じゃないかと思ってしまう。本当に恐ろしい。〉などと投稿した。
 しかも、杉田議員はテレビ朝日記者の上司の実名を挙げるという被害者特定につながるプライバシー侵害のツイートを発信し、こう綴ったのだ。
〈セクハラ、セクハラと騒ぐ裏には思惑があります。昨日も「魔女狩り」と書きましたが、#MeToo運動も含め、そろそろ女性が「辞めよう」と声を上げた方がいいと思います。このまま行けばいずれ女性が女性の首を絞める結果になりますよ〉
 セクハラと声を上げることは魔女狩りだ。女性はセクハラと騒ぐのはもうやめよう。……これが、まだまだ国会には数少ない貴重な女性議員の発言なのである。
 だが、根本の問題がどこにあるかといえば、いまだに福田次官の冤罪を訴える杉田議員や、紛うことなきセクハラ投稿をおこなった長尾議員を注意もせず、野放しにしている安倍自民党にあることは明々白々だろう。
 そもそも、責任の当事者たる麻生太郎財務相は、テレ朝が提出した抗議文に「もう少し大きな字で書いて」などと述べ、セクハラ問題に真剣に取り合う気がまったくないことを態度で示してみせたが、カメラが回っていない場では、もっと酷い暴言を連発している。
麻生太郎財務相「だったら男の記者に替えろ」「ネタ欲しさについていった」「触られてもいない」
 たとえば、担当記者との懇親会では、記者から「次官のセクハラ、さすがに辞職なんじゃないですかね」と尋ねられると、こう答えたという。
「だったらすぐに男の番(記者)に替えればいいだけじゃないか。なあそうだろ? だってさ、(週刊新潮に話した担当女性記者は)ネタをもらえるかもってそれでついていったんだろ。触られてもいないんじゃないの」(「週刊新潮」4月26日号/新潮社)
 さらに、福田次官の辞任に伴い、事務次官代行も務めている矢野康治官房長にしても、被害女性に名乗り出ろという対応を迫ったことに批判が集中したにもかかわらず、「(名乗り出ることは)そんなに苦痛なことなのか」と呆気にとられるような無神経発言をおこなったが、それでもなお「(セクハラの認識について)私は相当高いと思いますよ」と断言。セクハラ調査について「“一応”つづけることになると思いますけど」「“一応”最善を尽くしますよ」などと述べた。
害者への配慮もセクハラに対する問題意識もまったくない人物を福田次官の代行に充て、当の大臣は“男に替えればいいだけ”“ネタ欲しさでついていったのなら自業自得”“触られてもないんじゃないの”などとセクハラ発言を連発する──。麻生財務相を辞任させず、このような人事を黙認しているのは、もちろん安倍首相である。
 ようするに、上が上でセクハラの認識もなくセクハラ発言を再生産しつづけているから、自民党内からも女性の権利など微塵も考えない暴論が飛び出す。そして、安倍自民党は注意をおこなうこともなく放置して、問題を悪化させつづけている。これはすべて、安倍首相のセクハラに対する認識の甘さを表しているとしか言いようがない。
 リスクを承知で勇気ある告発をおこなった女性がいるのに、結局は被害者が叩かれ、政府は問題解決をはかるのではなく、女性にすべての罪をかぶせようとしている。こんな国で生きていかなくてはならないのかと考えると女性にとっては絶望しかないが、森友・加計問題だけではなく、セクハラ問題においても「こんな国」を主導する安倍首相の責任を、もっと問わなければならないはずだ。(編集部)


東海第2原発/事前同意を広げる先例に
 原子力規制委員会による日本原子力発電東海第2原発(茨城県)の再稼働審査が最終盤を迎えた。再稼働すれば東日本大震災の津波被害に遭った原発では初となるが、審査資料の提出は大幅に遅れている。
 運転開始から40年の老朽原発は本来動かせない。日本原電が例外扱いを求めるのは、原発専業会社としての存廃に関わるからだ。出資する電力業界にとっても再稼働は至上命題である。
 避難計画の対象となる半径30キロ圏には、全国最多の96万もの人口を抱える。緊急時を想定して、安全かつ迅速に避難できる計画を練り上げるのが再稼動の大前提だ。日本原電や業界は強く認識しなければならない。
 日本原電の再稼動に向けた対応は、異例づくしだった。
 これまで立地自治体のみだった事前同意の対象を、初めて半径30キロ圏の5市に拡大した。立地する東海村の前村長が「村と県、原電だけでは事故時の責任を負えない」と要求していたことに応えた形だ。
 関西でも福井県の大飯原発の再稼動に対して、30キロ圏の京都府が事前同意の対象にするよう関西電力に求めている。万一の事態が起これば影響が広範囲に及ぶことを考えれば、対象拡大は他の原発再稼動にも適用すべきである。
 安全対策費は想定の倍以上の1740億円に膨らんだ。規制委は、原発停止で収入の柱を欠く日本原電の資金繰りに懸念を示していた。そこで打ち出したのが、東京電力と東北電力からの支援受け入れだ。両社は日本原電から電力供給を受けることを、支援の理由に挙げる。
 過酷な事故で被災地に甚大な被害を招き、巨額の国民負担で支援を受ける東電が、他社の再稼動を支援できる立場にないのは明白だ。東電の損害賠償打ち切りで生活再建に苦しむ被災者にどう説明するのか。
 日本原電に全電力会社が出資しているのは、日本に商用原発を導入する目的で発足した経緯があるからだ。
 設立から半世紀以上が過ぎ、原発を取り巻く環境は一変した。多様なエネルギー源が生まれ原発の必要性が低下する中、日本原電の存在意義をゼロから問い直す必要がある。


医師不足の地域どうする 医学部の「地元枠」拡大を
 医師不足を解消するため、国は医学部の新設や定員増を図っている。ただ、いずれは人口減少のため、医師が過剰になり、医療費の膨張を招くことが懸念される。
 厚生労働省の推計では、働く医師の総数は2028年に約35万人になり、そのころに必要とされる医師数と均衡する。2年前の推計に比べて医師不足解消は4年遅れる見込みだ。若い勤務医の過労死や過労自殺が後を絶たないことを受け、勤務時間に上限を設けることが検討されていることなどが影響したという。
 琉球大医学部の新設(1979年)以降、国は一貫して医師の抑制策を取ってきた。医学部志望熱は高いが、医師の供給体制を拡大すると、過剰になったときに減らすのが難しいとされるためだ。
 国が方針転換をしたのは、00年以降に病院の閉鎖が相次ぎ、「医療崩壊」が問題となってからだ。
 医師不足といっても、実際には地域差が大きい。人口10万人当たりの医師数で最も多いのは徳島県で316人。埼玉、茨城、千葉各県はその半数程度しかいない。
 このため医師不足の地域の医学部に定員を上乗せした「地域枠」を認め、定員増を図るようになった。地域枠の学生には奨学金を支給し、医学部卒業後の臨床研修はその地域で行うことを義務にした。
 医学部の新設についても16年に仙台市、17年には千葉県成田市の大学で実現した。
 「地域枠」は08年に始まってから導入する大学が増え続け、現在の定員は計1600人を超える。医学部を16カ所新設したのと同じ規模だ。ただ、その半数ほどは他の地域から入学する学生で、義務とされる臨床研修を終えると、都市部の医療機関に移るケースも多い。
 一方、地元で生まれ育った学生は卒業後も地元の医療機関に定着する確率が高い。地域枠を拡充する中で、地元の学生の割合を増やす方策を検討してはどうだろう。柔軟な発想で対策を練ることが求められる。
 地域の医療ニーズは診療科によっても異なる。現在は都道府県が地域の実情に応じて地域医療計画を策定することになった。医師の養成や定着も含めて、実効性のある医療供給体制を整備しなければならない。


「3佐暴言」防衛相辞任が適当
 ★16日夜、統合幕僚監部・指揮通信システム部の30代の3等空佐が民進党参院議員・小西洋之に国会近くの路上で偶然遭遇し、「お前は国民の敵だ」「お前の国会の活動は気持ち悪い」と繰り返し罵声を浴びせたが、自衛隊トップの統合幕僚長・河野克俊は「自衛官としてあるまじき行為」、防衛相・小野寺五典も「あってはならない」「擁護するつもりはない」と火消しに必死だ。 ★小西の説明では近くにいた複数の警察官が駆け付けた後も同様の発言を繰り返し、小西が「防衛省に連絡する」と告げても発言をやめなかったが、最終的には発言を撤回し、その場で謝罪したという。小西は謝罪を受け入れたものの17日の参院外交防衛委員会でこのやりとりを披歴した。野党幹部が言う。「小西の怒りもわかるが個人的には1度決着している話。改めて蒸し返すことでこの問題は個人の問題を超えてしまう。政治家としての決着の仕方があるのではないか。19日の野党会合では『2人が辞職しない限り、将来日本で自衛隊のクーデターが起きる』と小野寺と河野の辞任を求めたが、これ以上は小西ひとりに言わせず野党全体として対応すべきだ」と小西の手を放すべきと指摘する。 ★小西が言い続ける限り防衛省はのらりくらりを繰り返すだろう。小西の私怨(しえん)になるからだ。だが、この自衛官の発言は統幕議長が否定したところでシビリアンコントロールの危機に他ならない。本来なら当該3佐の懲戒免職、統幕議長更迭、そして防衛相の辞任が適当だろう。その処分をしない限り国会は譲るべきではない。少し防衛省はこの問題を軽く見すぎている。

混迷政局 「うみを出す」約束果たせ
 首相訪米の間に、セクハラ疑惑が報じられた財務省の福田淳一事務次官は辞任に追い込まれた。首相の盟友として政権を支える麻生太郎財務相には与党内からも責任論がささやかれる。
 首相の帰国に合わせるように、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り内閣府から文部科学省に送られたメールの存在が新たに明らかになった。
 愛媛県や同県今治市の職員らが首相官邸を訪問した2015年4月2日当日のメールで、当時の柳瀬唯夫首相秘書官との面会予定が記載されている。
 この日のやりとりを愛媛県が「備忘録」として記した文書では、柳瀬氏が
「首相案件」などと発言したとされる。柳瀬氏は「記憶の限りでは会っていない」と説明するが、疑惑は一段と深まったといえよう。
 柳瀬氏の国会招致は不可避だが、虚偽証言をした場合に偽証罪に問える証人喚問を求める野党と参考人にとどめたい与党の対立は激しくなる一方だ。
 与党側は、ここで柳瀬氏の喚問に応じれば、次は麻生氏の辞任要求を野党がさらに強めると警戒しているのだろう。副総理でもある麻生氏の進退は政権の命運を左右しかねない。
 結局、23日の衆参予算委員会の集中審議は見送りになった。これでは、与党は一連の疑惑解明に後ろ向きだと国民に受け止められるのではないか。「うみを出し切る」という首相の約束は本当に果たされるのか。そんな疑問を禁じ得ない。
 疑惑解明に与党も野党もないと私たちは繰り返し指摘してきた。政治と行政の信頼回復に向け、ここは「国権の最高機関」である国会が動くべきである。
 首相の外交日程は今後もめじろ押しだ。大型連休中は中東歴訪、連休明けに日中韓首脳会談、ロシア訪問、そして6月上旬にはカナダで主要国首脳会議(G7サミット)と続く。
 国民からの信頼が揺らぐ政権が、外交で顕著な成果を上げるのは難しいだろう。そもそも外交の得点で内政の失点を取り戻そうとする発想に無理がある。
 首相自ら先頭に立って国民の疑問に答え、不信を解消しない限り、政権浮揚はあり得ないと心得るべきではないか。


「愛国心」育成狙う日本政府の危うい教育方針 海外メディアは日本をこう伝えている
リチャード・ソロモン : 経済ライター、Beacon Reports発行人
日本を再び「偉大な国」にしようとしている
東京大学大学院教育学研究科の教育社会学者、本田由紀教授は、日本の義務教育制度において国家が後押しする権威主義の台頭を懸念している。学習指導要領において愛国心が教えられていると危惧しているのだ。
高校を皮切りに今後数年にわたって、新学習指導要領が導入される予定だが、子どもたちには第2次世界大戦、また、それ以前にも増して類を見ない形で国へ貢献するよう、さらに大きなプレッシャーがかけられるかもしれない。「その目的は生徒の能力を育てるのではなく、日本を再び『偉大な国』にするために人々を利用しようしている」と本田教授は指摘する。
本田教授は、安倍晋三首相が教育勅語の精神の復興を望んでいることを危惧している。教育勅語とは1890年に明治天皇が発布した315文字による教育に関する布告で、当時多様化していた日本国民を統一するためのものだった。
具体的には、「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家の為につくせ。かくして神勅のまにまに天地と共に窮りなき宝祚(ほうそ)の御栄をたすけ奉れ(=緊急事態が発生した場合、勇気を持って国家に身を捧げよ。そうすることで、天地と共にある我々の皇位の繁栄を守り、維持せよ)」と書かれている。
大日本帝国の戦争指導者は第二次世界大戦中、軍国主義へ青年を決起させるためにこの主張を採用。生徒はこれを暗記し、学童の間で忠誠心、親孝行、愛国心が促された。
本田教授は、3つの同心円を描き、その中心を差して日本全国の学校のうち、1〜2割程度が超国家主義的であると解説。この中には、地域的に国家主義的なところが含まれている。加えて、その外側にあたる全体の2〜3割程度は権威主義的な学校だと見ている。「全体主義は日本の学校教育でよく見られる特徴だ」と同教授は話す。
全体主義の例として、毎日、生徒に厳しい練習を課す部活動がある。中学校では、スポーツ系部活の約半分が、活動頻度が高すぎたり、教師による体罰が行われていたりと「ブラック的」な性質を持つと言われている。教師と生徒は大会で勝つというプレッシャーがあるため、練習を「緩める」ことができないのである。
また、毎日新聞は先日、「ブラック校則」なるものがここ40年でピークに達していると報じた。中には、生徒が眉毛を剃るのを禁止したり、下着の色を規制するものまである。「問題は全体主義の特徴を持たない学校でさえ、厳格な規則が存在することだ」と本田教授は話す。
1クラスの人数が多い理由
厳しい指導が行われる理由の1つは、大人数のクラスを維持するためだ。1クラスあたり生徒数30〜40人というのは、OECD(経済協力開発機構)の国々の中でも最大規模だ。
クラスでは、生徒たちは皆と同じように振る舞うことが求められる。教師はたいていの場合、「ほかと歩調を合わせられない生徒を良く思わない」と本田教授。1学級の人数があまりにも多すぎるため、個別に指導できないからだ。
厳しい指導が行われるもう1つの理由は、生徒たちを「よい大学」に入れるためだ。一流大学に入るための競争は、大学志望者数が急増するにつれ、第二次世界大戦以降急激にエスカレートした。1953年は、高校に進学するのは全生徒の半数ほどで、大学に入学するのは約1割だった。現在では、ほぼすべての生徒が高校に進学し、約6割が大学に進学している。一流大学の競争率は依然高い。
学校における厳しい指導は極右政治家により促されている。そうした政治家は学習指導要領への取り組みにおいて70年にわたり主導権を握っている。日本の義務教育制度における国家主義の歴史的な発展については、テンプル大学ジャパンキャンパス・アジア研究ディレクターのジェフ・キングストン教授が以下のように説明している。
1945年に日本が降伏した後、日本の行政機関を占拠していた米国は、学校での国家主義を抑圧した。連合国軍最高司令官総司令部(SCAP)は、日本が再び軍国主義にならないよう予防したかったのだ。
SCAPは軍を解体し、民主主義憲法を導入した。第9条では、戦争の放棄、戦力の不保持を謳っている。SCAPはまた、学校で教育勅語を読むことを禁止し、民主主義的な教育基本法に置き換えた。さらに、新たな教科書検定制度も導入した。
が、極右国家主義者は1953年に朝鮮戦争が休戦した後、失われた地盤を取り戻した。その時までには、米国の占領軍はすでに日本を去っていた。たとえば、文部大臣は教科書に南京虐殺を記載するのを禁じた。1960年代、1970年代、そして1980年代には一連の有名な訴訟が行われ、家永三郎という名のリベラルな歴史学者が教科書検定制度の合憲性を争った。
安倍政権下で着々と進む「愛国心」教育
家永は、文部省は教科書を不正に書き直し、歴史的事実とは異なると思われる公式見解を記載したと異議を唱えた。家永は大部分の裁判で敗訴したが、最終的に最高裁判所は文部省が憲法に違反して教科書を検閲したとの判決を出した。
1989年の昭和天皇の崩御に続き、政府は以前よりも率直に戦争時の日本の過去を認めるようになった。軍人が日記を公開し始めた。「慰安婦」が登場し、その苦痛を訴えた。日本政府は1993年、河野洋平談話を発表し、戦争中に女性を軍の運営する売春宿で強制的に働かせたことを認めた。政治家は補償を約束し、政府は日本の戦争史をより正確に反映させるよう教科書を書き改めた。
国家主義者からは反発が起きる。「新しい歴史教科書をつくる会」は『新しい歴史教科書』という題の愛国心の強い国家主義的歴史教科書を発行。この教科書を授業で使った中学校はわずかだったが、市販の2001年版は幅広く販売され、メディアからも大きな注目を浴びた。
それ以来、教科書では戦争の歴史について不適切な要素が取り除かれ、受け入れられる記述が大幅に増えている。「1997年には、すべての主要な教科書に『慰安婦』が登場している。2017年までに記載のないものはない」とキングストン教授は語っている。
2007年、安倍政権(多くが国家主義団体日本会議に所属している)の最初の任期中、学校の教室で愛国心が教えられるよう教育基本法が改正された。読み、書き、計算の基本的な技能を教わるのと同様に、生徒は国への愛を学ばなければならない。最近採用されたガイドラインでは、公式見解に合った学校教科書を使うことが要求されている。たとえば、問題となっている領土(尖閣諸島など)は、日本名で呼ばれている。そして、この新学期から、道徳が小中学校の通常授業に追加された。
2019年に発表される次の改訂学習指導要領では、さらに国家主義色が強まるだろう。


羽生結弦パレード「日の丸配布」の裏側! 背景に右派の猛圧力、4年前からネトウヨ議員和田政宗や在特会・桜井誠も…
 五輪2連覇を果たしたフィギュアスケート男子金メダリスト・羽生結弦選手の祝賀パレードが、22日、出身地の仙台市で行われる。羽生選手の人気ぶりについてはいまさら言うまでもなく、宮城県警は過去最大の2000人態勢で警備にのぞむというが、一方で気がかりなのは、この“羽生フィーバー”を右派が盛んに政治利用していることだ。
 そもそも、金メダルを獲得した夜に安倍首相が祝福の電話をかける模様をマスコミに報じさせたり、国民栄誉賞を授与するなど政権による露骨な政治利用が相次いでいるが、羽生選手をめぐっては、兼ねてから右派界隈も便乗して“ナショナリズムのアイコン”に仕立て上げようと躍起になっている。
 事実、22日のパレードでは、実行委員会が「日の丸」の手旗約2万本を参加者に配布することになっているが、その背景には右派のきな臭い動きがあった。実は、4年前のソチ五輪の際の羽生選手凱旋パレードでは、主催者側は「日の丸手旗」を配らなかったのだが、これに対して“激しい抗議”が殺到していたのである。
 実行委員会に連なる仙台市のスポーツ振興課によれば、「4年前のパレードでは時間と費用的問題で小旗の配布を見送った」が、「その際、『どうして配らなかったのか』『次回はぜひ配ってほしい』というご要望が市の方に多く寄せられました」(同課担当者)という。また、同じく羽生選手が平昌五輪で金メダルを獲得したこの間も、「いろいろな方」から市に「どうして日の丸を配らないのか」とのクレームの電話等が多数寄せられていた。
 断っておくが、羽生選手に限らず、スポーツ関連のパレードで自治体が大量の日章旗を参加者に配布するケースはほとんどない。思想的な問題以前にこうしたパレードは寄付も募って運営するなど予算は限定的で大半は警備費用に割かれ、日の丸に限らず配布物にお金を回す余裕などないのが実状だ。実際、当時の報道によれば、実行委員会も理由のひとつとして「前例がない」として配布を行わなかったというが、それが今回は一転、配布が決まったのである。
 今回のパレードをめぐっては、羽生選手と日の丸を結びつけ、「日の丸手旗」配布の強い働きかけがあった。たとえば2月には仙台市議会で渡辺拓市議が4年前に実行委員会が手旗を配布しなかったことを問題視、郡和子仙台市長に対して重ねてこう訴えかけている。
日本会議系の仙台市議が「パレードで日の丸を振らないと都市ブランドを毀傷する」
「日本国を背負って、世界の頂点に2度までも君臨した国民的英雄を国旗日の丸の旗波で熱烈に迎えようではありませんか。(中略)ついては、少なくとも数万人にのぼる観客のため、十分な国旗の小旗を用意していただけるよう、当局には配慮いただきたく存じます」
「前回ですね、国旗日の丸を背負って、ナショナルな代表としてオリンピックを勝ち抜いて金メダルを勝ち取った羽生選手を故郷でお迎えするにあたって、国旗のお迎えがなかったんですね。これ、世界的に見ても極めて異様な光景に映ってしまいました。本市の都市ブランドにとっても本当にですね、毀傷する可能性がある」
 渡辺市議は日本会議系のシンポジウムやイベントで司会を担当するなど、極右界隈に人脈を持つ地方議員だが、こうした働きかけは議会の中だけにとどまらない。実に、この羽生パレードをめぐる「日の丸手旗」運動は、4年前から右派が取り組んでおり、その運動が実を結んだものだったのだ。
「仙台にパンダはいらない仙台市民と宮城県民の会」なる名称の団体がある。その名の通り中国からのパンダはいらないと主張するだけではなく、中国領事館建設反対や移民反対の趣旨のデモ活動などを行なう市民団体だ。
 同会は4年前、ブログで〈ご存知の通り、羽生結弦選手はオリンピック選手の中でも、日の丸と君が代を特に大切にされる選手です〉などとして、日の丸の旗を持参するほか、〈慶事なので旭日旗も推奨〉と呼びかけていた。そして、ブログによれば、4年前のパレードの際、仙台市議を通じて日の丸紙旗の用意を市に求めたが、市や県ら主催者側が協議した結果、「前例がない」「警察に迷惑がかかるかもしれない」との理由で用意を見送ると市議に回答したという。
4年前の羽生結弦パレードで和田政宗が日の丸配布を牽引!在特会・桜井誠まで協力
 そこで同会と関係者が各所に呼びかけて日の丸の手旗を集め、当日、協力者ともに参加者に配布。ヘイト団体・在特会の桜井誠会長(当時)も手旗を寄贈したという。しかも見逃せないのは、その「日の丸手旗」運動を、あの自民党の“ネトウヨ広報副本部長”こと和田政宗参院議員が牽引していたことだ。
 同会ブログによると、4年前のパレードでは〈当日は和田政宗参議院議員の呼びかけのもと、1,600枚の日の丸紙手旗を有志で配布することができました〉という。実際、和田議員も2014年4月27日のツイートで言及し、こうアピールしていた。
〈昨日の羽生選手のパレード。主催者より国旗日の丸が配られないという事態にあたり、仲間が国旗約2000本を調達し、配らせていただいた。関係各所より、羽生選手のパレードに国旗が無いのはおかしいとご支援いただいた。本当に有難うございました!〉
 和田議員はもともと2013年にみんなの党公認で宮城選挙区から当選している。ツイートでは「仲間」が調達や配布をしたというが、自分の選挙区で有価物をばらまいて“手柄”として公言するなんて、ちょっと公職選挙法的に大丈夫なのだろうか。
 まあ、それはおくとしても、実は、この「仙台にパンダはいらない仙台市民と宮城県民の会」の代表を務める及川俊信氏は、4年前の「日の丸手旗」配布の中心を担った「杜人の会(和田政宗交流会杜人の会)」なる団体の事務局長でもあり、和田議員の支援者。また、和田議員は、前述の仙台市議会で「日の丸を振らないと都市ブランドを毀傷する」なる意味のわからない要求をした渡辺拓市議についても、仙台市議選を控えた2015年6月に〈党派は違いますが、しっかりとした方にはぜひ勝ち抜いてもらいたい〉とTwitterでエールを送っていた。
 いずれにしても、こうして4年前の羽生パレードの時点で、極右議員と右派の草の根運動が連携することで「日の丸手旗」という「前例」が作られた。また同時にネット右翼層に「日の丸配布しなかった問題」をアピールすることで、市などに対するクレームが続出したと考えられるのだ。
羽生結弦選手自身はパレードについて「震災からの復興につながってほしい」
 というか、そもそもの話だが、彼ら極右界隈が羽生選手を持ち上げて「日本の誇り」だのと“日本スゴイ言説”をがなり立て、日の丸掲揚という復古的ナショナリズムそのものの運動に繋げていること自体、かなり無理があるとしか言いようがないだろう。
 羽生くんはスゴイ!→羽生くんは日本人!→だから日本人はスゴイ!みたいなバカ丸出しの思考回路だけを指摘しているのではない。右派のやり方を見てうんざりするのは、さらに、羽生くんはスゴイ!→日の丸を振りましょう!という極めて理解しがたいことを得意げに喧伝しているからだ。
 言うまでもないが、羽生選手の金メダルは、個人の才能と努力はもちろんのこと、カナダ人であるブライアン・オーサーコーチをはじめ、カナダ人の振付師、アメリカ人のデザイナーによる衣装、チームメイトもスペイン人、ベトナム人の両親のもとに生まれたカナダ人、韓国人など、実に日本人に限らないさまざまなルーツをもつ人たちに支えられてのものだ。それを「日本スゴイ」に利用しようというのは端的に言って卑しい。
 しかも、羽生選手自身が会見でパレードについて問われて、「やっぱりパレードするにはたくさんの費用がかかって、そしてどれだけ特別な支援があってのことかということは非常にわかっています」としたうえで、「ちょっとでも仙台の復興に、宮城の復興に携われたらいいなと思っています」と述べている。つまり、あくまでパレードは復興のためと考えていて「日本の誇り」などではなく、費用の問題も理解しているのである。実行委員会が金をかけて日の丸を配布することなど、羽生選手の本意ではないだろう。
 本サイトでも以前報じたように、羽生選手をめぐっては、今回の右派による「日の丸手旗」運動への利用にかぎらず、極右界隈から政治利用されてきた。たとえば、羽生選手は2012年3月4日に開催された「東日本大震災復興祈念の集い」なるイベントに出席しているが、その実態は日本会議が仕切る極右思想の啓蒙イベントだった(過去記事参照)。
 しかし恐ろしいのは、おそらく22日のパレードで、羽生選手に向かって日の丸をふる多数の参加者がメディアに映し出されることで、スポーツ選手の個性や考え方などおかまいなしに、こうしたグロテスクな光景が当たり前のようになってしまうことだ。是非とも羽生選手には、「日本国旗を振るよりも先に、復興に協力してください」ぐらい言ってもらいたいものだが……。(編集部)

パワポ資料が一応形に→ブツを考えるけど・・・

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Japon: après un scandale de harcèlement, début d'un véritable #MeToo?
Une affaire de harcèlement sexuel, impliquant le plus haut fonctionnaire du ministère des Finances, connaît un retentissement inhabituel au Japon et pourrait annoncer le début d'un mouvement #MeToo dans ce pays resté jusqu'ici relativement à l'écart.
Junichi Fukuda, vice-ministre administratif au ministère des Finances, a démissionné mercredi alors qu'il est accusé d'avoir harcelé sexuellement plusieurs femmes journalistes, une affaire révélée la semaine dernière par un hebdomadaire.
Il nie farouchement tout comportement déplacé et affirme vouloir poursuivre le magazine, mais a estimé que le scandale l'empêchait désormais de rester à son poste.
Chose inhabituelle dans le pays, l'affaire fait les gros titres des médias depuis plusieurs jours, signe pour certains observateurs que le Japon pourrait connaître son moment de libération de la parole des victimes de violences sexuelles.
"Le mouvement mondial #MeToo a probablement encouragé les femmes victimes de harcèlement à s'exprimer, en leur faisant prendre conscience qu'elles n'ont pas à tolérer ce genre d'actes", estime Sumire Hamada de l'ONG Asia-Japan Women's Resource Centre.
Mais ce scandale montre aussi à quel point il reste difficile de dénoncer les violences sexuelles au Japon.
Une des journalistes ayant accusé Junichi Fukuda de l'avoir agressée en avait d'abord parlé à son supérieur de la chaîne japonaise TV Asahi, a révélé ce média, mais on lui a conseillé de ne pas ébruiter l'affaire, arguant que les conséquences seraient encore plus difficiles pour elle puisque son identité serait divulguée.
La chaîne a aussi dit regretter qu'elle ait finalement témoigné dans un autre média.
- Enquête critiquée -
Et quand les accusations sont sorties dans la presse, le ministre des Finances Taro Aso a d'abord semblé les minimiser, en déclarant qu'il ne comptait pas lancer d'enquête car le fonctionnaire s'était montré "suffisamment repentant".
Les critiques prenant de l'ampleur, il a ensuite assuré que M. Fukuda serait licencié si les faits étaient prouvés, et le ministère a finalement ouvert une enquête en appelant les victimes à se faire connaître, ce qui a suscité des doutes sur l'impartialité de cette investigation.
"La manière dont l'anonymat de ces femmes journalistes et leurs postes seront protégés n'est pas claire", s'est inquiétée l'association des journalistes couvrant l'activité du ministère des Finances dans une lettre citée par les médias japonais.
Une pétition lancée sur la plateforme Change.org pour demander au ministère de mieux protéger les victimes a déjà réuni plus de 25.000 signatures.
"Beaucoup de personnes ont critiqué la manière dont le ministère des Finances a tenté de gérer la situation... C'est pour cela que cette affaire pourrait avoir une énorme répercussion ou conduire à un changement dans la société japonaise", estime Mari Miura, professeure de sciences politiques à l'université Sophia de Tokyo et spécialiste des questions de genre.
Selon un sondage réalisé par le gouvernement en 2017, seulement 2,8% des victimes de viols ont dit en avoir parlé à la police, dans un pays où on attend "que les victimes de harcèlement souffrent en silence", selon Sumire Hamada.
Pour avoir accusé publiquement un homme de télévision très en vue de l'avoir violée l'an dernier, la journaliste Shiori Ito a été durement attaquée sur internet et a même reçu des menaces de mort.
- 'Une honte' -
Ailleurs en Asie, la parole s'est un peu libérée, par exemple en Corée du Sud où un homme politique influant a démissionné et été mis en examen après avoir été accusé par une collaboratrice de l'avoir violée à de multiples reprises. En Chine aussi, le ministère de l'Education a décrété une politique de "tolérance zéro" après le harcèlement sexuel de plusieurs étudiantes par un professeur.
Au Japon, le Premier ministre Shinzo Abe a réagi jeudi sur l'affaire de M. Fukuda, mais seulement pour juger "regrettable" les circonstances de la démission du haut fonctionnaire, et pour promettre de restaurer la confiance dans son gouvernement.
"C'est une honte que les deux principaux dirigeants du Japon, le Premier ministre et le ministre des Finances, ne saisissent pas la portée des affaires de harcèlement sexuel", s'est indignée Mari Miura.
Elle espère que cela n'empêchera pas d'autres femmes victimes de s'exprimer, à l'image de Seiko Noda, l'une des deux seules femmes membre du gouvernement de M. Abe, qui a témoigné mercredi, en pleine session parlementaire, avoir été sexuellement harcelée lorsqu'elle avait une vingtaine d'années.
"C'est tellement difficile que vous ne pouvez pas en parler facilement à votre famille, vos amis, ou à votre supérieur", a-t-elle déclaré, critiquant elle aussi la réaction du ministère des Finances.
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ビーバップ!ハイヒール 知らず知らずにやっている!お金が貯まらない『貧乏習慣』
毎日アナタが何気なくやっている行動が実は、『お金を貯まらなくする残念な習慣』かも!? お金持ちになりたい人は必見です!▼筒井康隆のセコい節約術&驚愕の貯金術
ハイヒールの二人が世の中の様々な常識にハテナ?と疑問を抱き、スタジオのメンバー達と深く考えていく知的好奇心バラエティ
『だからあなたは貯まらない!隠れ貧乏習慣克服法』… 「朝、カフェラテを飲む」「カード払いでよく買い物する」「住宅ローンの繰上げ返済に必死」「夫婦別財布」「玄関にビニール傘が複数」 これらは実はすべて貧乏な人に共通する残念習慣!習慣改善でお金が貯まる!?
ハテナの自由研究は、チュートリアルの『妄想キャラ-1グランプリ』… あの人気企画が久しぶりに帰ってきた! 名前はよく知ってるけど、「姿・形は見たことがないキャラクター」に姿・形を与えてあげようという企画。一体どんなキャラが飛び出すのか!? ハイヒール(リンゴ・モモコ) チュートリアル(徳井義実・福田充徳) たむらけんじ 加藤小夏 大野聡美(ABCテレビアナウンサー) 江川達也 筒井康隆 横山光昭(家計再生コンサルタント・ファイナンシャルプランナー)… 司法書士事務所勤務を経て独立。債務整理に関する知識を活かし「家計の負債」を解決に導く。著書に「「お金が貯まらない! 」が治る本」「「隠れ貧乏」から「貯蓄体質」へ大変身!」ほか多数

岡口基一 @okaguchik
日本の指導者層が、実は とんでもない奴らであったことが、連日のように明らかになってるね(^_^)
しかし,そういう指導者層に従うしかない非力な国民・・。
こういう状況に近似している国って、北朝鮮くらいしか思いつかないよ。

AT教団兵 @atkyoudan
三浦瑠麗、別に学者というほど実績も学力もないのに、「物事を冷静に捉えて的確な指摘をする識者」みたいな商売のキャラが内面化しちゃってて、時事に対してわざわざ言及をしては(実際は能力がないので)瑕疵を指摘されるの繰り返しで、なんか可哀想になってきた

この間頑張ってきたパワポ資料が一応形になりました.形になったというだけでまだまだ修正はあるはずですがとりあえずのところまできました.
次はブツを考えなくてはなりません.どうしていいか???とか考えましたがとりあえず明日以降頑張ります.

<大川小・争点を語る>(上)危険の予見 ハザードマップ頼み/多忙化で防災後回し
 東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人が犠牲となった石巻市大川小を巡る損害賠償請求訴訟の控訴審判決が26日、仙台高裁で言い渡される。控訴審は学校の事前防災が主要テーマとなり、津波の危険認知や組織的な対応の是非について遺族と市・宮城県の主張は真っ向から対立した。判決を前に、争点に関する有識者の意見を聞いた。(報道部・横山勲)
 大川小は北上川河口から約3.7キロ上流にあった。海抜約1メートル。河川堤防(高さ約5メートル)まで西に約200メートル。震災前、周辺の最大予想津波は5.1メートルで、校舎はハザードマップの津波浸水予想区域から外れ、避難所に指定されていた。
◎静岡大防災総合センター 牛山素行教授
 静岡大防災総合センターの牛山素行教授(災害情報学)は「震災クラスの津波襲来は誰も予測できなかった」とした上で「津波防災の専門的知見に照らせば、学校周辺は肌感覚でも『嫌だな』と感じる地形だ」と指摘する。
 北上川は河口が幅約1.5キロと広く、勾配の緩やかさ(高低差の小ささ)が特徴。「周辺を海岸から延びる事実上の細い湾と見た場合、大川小は湾の一番奥に位置する。陸域が限られているため、津波の水量が多いと波の勢いが衰えず、水位上昇が起きやすい」と説明する。
 大川小の危機管理マニュアルは2007年度の改訂時に「津波」の文言を盛り込んだが、2次避難場所は「近隣の空き地・公園等」と記すにとどめた。過去に周辺が津波浸水した記録はなく、浸水予想区域は学校の手前約800メートルにとどまる。津波の河川遡上(そじょう)は堤防でカバーできると考えられたためだ。
 「地震の規模や範囲の予測は困難で、不確実性が高い。浸水予想は防災計画を作る目安にすぎないのが常識だが実務上、ハザードマップの想定に依存せざるを得ない状況は理解できる」という。
 マニュアルの内容は「堤防の決壊を警戒して校舎2階や屋上へ避難する検討はできたと思うが、遺族が主張する校舎近くの裏山や堤防付近の三角地帯(標高約7メートル)を経由した林道への避難を、震災前の知見で現実的に考えられたかは疑問だ」との見解を示す。
◎和光大現代人間学部 制野俊弘准教授
 元東松島市鳴瀬未来中教諭で和光大現代人間学部の制野俊弘准教授(教育学)は、学校を巡る全般状況を背景要因に挙げる。「学校周辺の地理状況の分析は校長ら管理職が責任を持ってすべき仕事で、不備があれば市教委にも責任の一端がある」と強調する。
 津波に対する当時の危険認識は「浸水予想区域から外れている以上、事前想定は避難行動より避難所対応を優先した可能性がある。避難所に指定されていれば、教員は社会的責任を考えて学校を離れられないという感覚が働く」と指摘。
 「学校現場は年々多忙化しており、防災は後回しにされていたのが当時の実情だ。全国の多くの学校が同じ問題を抱えている。なぜ教員は地震から約50分間も校庭にとどまったのか。背景に踏み込む司法判断を期待したい」と語る。


仙台・沿岸部で被災前の運動会再現へ 東京五輪に合わせプロジェクト始動
 2020年の東京五輪・パラリンピックに合わせ、東日本大震災で被災した仙台市沿岸部で、恒例行事だった住民の運動会を再現するプロジェクトが動きだす。離散した元住民が交流し、思い出を共有する機会をつくろうと市民団体が企画。21日にスタッフの初会合を開き、本格的に準備を始める。
 被災地の記憶の伝承に取り組む同市の市民団体「3.11オモイデアーカイブ」が計画した。若林区荒浜地区や宮城野区蒲生地区などの被災地を巡るバスツアーを行った際、参加した元住民らが当時の運動会を懐かしんで盛り上がる姿に触れたのがきっかけだった。
 会合には、古里の継承に取り組む住民団体の代表者らも出席する予定。スポーツの祭典で国内外が沸き立つ五輪イヤーの実施を目標に広く証言を集め、内容や場所などを具体化させる方針だ。
 かつて市沿岸部では、15年度で閉校した旧荒浜小や旧中野小などを会場に長年、運動会が開かれ、準備も含めて地域に溶け込んだ一大行事となっていた。震災後、地域の大半が災害危険区域に指定されて住民は地区外に移転。被災前の町内会も解散するなどし、開催が難しい状況になった。
 オモイデアーカイブ代表の佐藤正実さん(54)は「思い出を再現し、笑顔になることで感じられる復興もあると思う」と強調。「『復興五輪』と位置付けられることに違和感はあるが、タイミングを利用し、未来へとつながる催しにできればうれしい」と話す。
 会合は21日午後3時から、青葉区のせんだいメディアテークで。オブザーバー参加も自由。連絡先はオモイデアーカイブ事務局022(295)9568。


タオル帽子好評! 気仙沼の女性らが復興支援 子どものプール用便利グッズ
 東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市の女性らが、子どもがプールなどで使うタオル帽子を製作し、保護者に好評だ。販売金額の一部が収入になる仕組みで、既に100枚近く売れた。関係者らは「相互支援の取り組みを通じ、震災の風化防止につなげたい」と話す。
 タオル帽子はフェースタオル1枚を縫い合わせて作り、頭にかぶるだけでぬれた髪の水分を吸い取れる便利グッズ。
 子ども用品作りを通じた被災地支援を続けている仙台市のフリーアナウンサー大坂裕子さん(45)が企画した。震災後、布製品作りに取り組む気仙沼市唐桑町の女性グループ「Coco( ここ )唐(から)」の50〜70代の4人が製作に当たっている。
 グループが新商品を模索していることを知った大坂さんが昨年夏に提案し、同年11月に発売した。ウサギの形など3種類で、材料のタオルは企業からの寄付で賄っている。実用性が人気を集め、今後も追加で製作する予定だ。
 Coco唐の代表梶原尚子さん(70)は「復興支援の購入が減り、売り上げ低迷に悩んでいた。タオル帽子は評判が良く、多くの親子の役に立てるのが何よりうれしい」と語る。大坂さんは「普段使いの手頃な商品。被災地に思いを寄せ続けてもらうきっかけをつくりたい」と話す。
 タオル帽子は1枚900〜1200円。送料が別途必要な場合もある。大坂さんや、みやぎ生協の復興応援商品カタログで注文を受け付けているほか、宮城県利府町の県総合運動公園内セントラルスポーツ宮城G21プールでも販売中。
 連絡先は大坂さんのメールenjiapron@gmail.com


「綾子桜」りんと咲く 津波犠牲の保健師しのぶ 「生きた証」が初開花
 岩手県陸前高田市の民有地に植えた「綾子桜」が今年、初めて花を付けた。東日本大震災で犠牲になった同市の保健師畑田(はたけだ)綾子さん=当時(53)=が見つかった場所に、遺族と地権者が「生きた証しを残したい」と協力して植えたシダレザクラだ。
 「控えめだけど、りんとしたアヤにどこか似ているね」。畑田さんの両親の山下悠さん(87)と玲子さん(88)らが、色づいた桜を見上げて目を細めた。
 畑田さんは、市役所裏の倉庫に防災毛布を取りに行って津波にのまれたとみられる。地域住民に慕われるベテラン保健師だった。畑田さんの両親らは、市役所から3キロ近く離れた遺体が見つかった場所を確認。以後、何度も訪れて花を供えてきた。そこは大坂芙美子さん(78)の自宅跡地だった。
 大坂さんも、震災前に市職員で社会福祉士の次男養輝(ようき)さん=当時(39)=を亡くしていた。偶然にも、畑田さんとは共に保健福祉に情熱を注ぐ仲間だった。
 「養輝が供養してと言っている」。大坂さんは多くの遺体が流れ着いた自宅跡地を守ると決意。花を植え、草取りに汗を流してきた。「綾子桜」も、こうして植えられた1本だった。
 畑田さんの姉千葉洋子さん(62)は「大きくなったらすごくいい桜になると思う。アヤは自分の名前を付けられて恥ずかしがっているかもね」とほほ笑んだ。


羽生選手に「あっぱれでござる」
羽生選手のパレードが22日に迫る中、羽生選手が出演した映画の舞台となった大和町では、当時のグッズがあらためて生産されるなど盛り上がりをみせています。
大和町の吉岡地区は2年前に公開された映画、「殿、利息でござる!」の舞台で羽生選手は、仙台藩の7代藩主・伊達重村を演じました。
町は、パレードの会場からおよそ20キロ離れていますが、地元をアピールする絶好の機会だと22日に向けて、さまざまな準備が進められています。
このうち、町の観光案内所では、ファンが訪れることを期待して、映画の公開にあわせて生産した、羽生選手が演じた殿のマスコット人形を急きょ、あらためて生産し、並べています。
案内所には羽生選手のファンから、パレードにあわせて町を訪れたいという問い合わせがすでに複数寄せられているということです。
大和町観光物産協会の今野美由紀さんは、「22日は町の桜のイベントと重なってしまい羽生選手に会いに行けないのがすごく残念です。町を訪れる人から、パレードの熱狂の様子を聞くのを楽しみにしています」と話していました。
また、地元の商工会の女性部は、映画のタイトルにかけて「殿、あっぱれでござる」と書いた横断幕を用意し、当日、パレードの沿道で掲げ、アピールすることにしています。
くろかわ商工会女性部大和支部の高橋栄子支部長は「目立つ横断幕を作ったので羽生選手にも吉岡宿を知ってもらいです」と話していました。
一方、地元の酒蔵も映画の中で、羽生選手演じる「殿」が命名したのと同じ、「殿の春風」と名付けた日本酒を、今回のパレードに合わせておよそ1000本用意しました。
映画を公開した2年前にも発売し、当時は、1万2000本が売れたということで、今回も、パレードの会場近くのデパートなどで販売することにしています。
大和蔵酒造の本郷憲吉さんは、「映画を見た人も見ていない人も大和町が羽生選手のゆかりの地であることを知ってほしい」と話していました。


<柳美里さん>書店併設の劇場でイベント 震災後の死生観問う
 芥川賞作家の柳美里さんが福島県南相馬市小高区に開いた書店「フルハウス」併設の劇場で14日、東北大大学院の佐藤弘夫教授(日本思想史)を招いたトークイベントがあった。9日の書店オープン後、ほぼ毎週土曜日に組み込むイベントの第1弾。東日本大震災後の死生観を巡り意見を交わした。
 愛知、埼玉両県などから柳さんのファンら約25人が訪れた。2人は東北の霊場や磨崖仏を一緒に巡って記した写真エッセー「春の消息」(第三文明社)からそれぞれ一節を朗読した。
 トークで佐藤教授は「死者を封印し、遮断することが今の社会にゆがみをもたらしている。生きている人間は本来、死者を必要としている」と持論を展開。柳さんは「死者と他者は自分のテーマ。震災後は計画通りに生きるのをやめた。思い通りより、思いがけない人生にしたい」と語った。
 トークイベントは、詩人和合亮一さん(21日)小説家中村文則さん(28日)小説家角田光代さん(5月5日)らを予定。入場料は前売り2000円(当日2500円)、高校生以下無料。


財務次官辞任/うやむやで終わらせるな
 女性記者へのセクハラ疑惑が浮上した財務省の福田淳一事務次官が辞任を表明した。事実上の更迭と言える。
 福田氏はセクハラの事実は認めず、あくまで「次官の職責を果たすことが困難になっている」ためとしている。一方テレビ朝日は、社員の女性が被害を受けていたことを発表した。
 福田氏は財務省の事務方トップで、セクハラは立場を利用した人権侵害だ。辞任でうやむやに終わらせるわけにはいかない。事実を明らかにし、福田氏の行為と認められれば、責任を追及しなければならない。
 麻生太郎財務相と財務省の対応は常に後手に回っている。
 福田氏の女性記者に対するセクハラ疑惑は、週刊新潮が報じた。当初は口頭注意にとどめたが、音声データが公表されてようやく調査が行われた。
 調査結果はさらに非難を浴びることになった。福田氏が完全に否定しただけでなく、女性記者に対し、財務省と顧問契約のある弁護士に事実関係を申し立ててほしいと要請したためだ。
 野田聖子総務相は、加害者側の関係者である弁護士に話すのは「ハードルが高い」と疑問を呈した。橋本聖子自民党参院議員会長が「国民の感覚とずれている」と指摘したのも当然だ。
 こうした声にも、麻生氏は「(女性記者が)週刊誌には言っても、守秘義務を守る弁護士には言えないのは理解できない」と述べている。
 結局、福田氏は世論の厳しい批判を受け、与党からも迫られ、辞任に追い込まれた。麻生氏の任命責任も問われる事態である。安倍政権への打撃は避けられないだろう。
 テレビ朝日の対応にも疑問がある。女性社員は、セクハラの被害を報道するべきだと上司に相談した。しかし上司は「二次被害になるため報道は難しい」と退けたという。
 セクハラでは、声を上げられない女性が少なくない。今回の問題に厳正に対処することが多くの被害者に勇気を与える。
 「すべての女性が心から働きやすい社会になってほしい」。女性社員のこの思いを実現するためにも、セクハラ根絶に向けて社会全体が真剣に取り組む必要がある。


財務次官セクハラ更迭 麻生氏も責任とり辞任を
 被害者への配慮に欠ける傲慢(ごうまん)な対応をとり続けた揚げ句の醜態だ。
 週刊誌が報じた財務省の福田淳一事務次官による女性記者へのセクハラ疑惑を巡り、麻生太郎財務相は福田氏を事実上更迭した。当然であり、むしろ遅過ぎた。麻生氏も任命責任をとって退くべきだ。
 疑惑について財務省は省内で調査を尽くさず同省の顧問弁護士に調査を任せている。身内に頼むのでは公平性が保てない。調査は中立の第三者機関に委ね、疑惑を徹底究明すべきだ。
 福田氏が提訴も辞さないと発言している中で、財務省は報道各社に女性記者に名乗り出るように呼び掛けたことは恫喝(どうかつ)に等しい。記者は職業倫理上、取材源の秘匿を求められる。財務省の要求は受け入れられない。
 セクハラ疑惑は先週発売の週刊誌が報じた。福田氏は女性記者らを夜の飲食の席にたびたび呼び出し「抱きしめていい?」「浮気しよう」などとセクハラ発言を繰り返したという。福田氏の発言とされる音声も週刊誌のニュースサイトで公開された。
 麻生氏は音声について「聞いて福田かな、という感じはした」と半ば認めざるを得なかった。しかし声紋鑑定をしようとしなかった。
 セクハラ疑惑の相手女性が名乗り出なかった場合の対応を問われると「取り扱いのしようがない」と開き直った。
 安倍晋三首相は、セクハラ疑惑や公文書管理など一連の問題に関し「私自身が一つ一つの問題について責任を持って全容を解明し、うみを出し切っていく決意だ」と述べた。だが麻生氏に疑惑を徹底解明する気はないようだ。被害者は声が上げづらいと指摘されて「福田の人権はなしってわけですか」と、言い返した。人権感覚を疑う発言であり、もはや大臣の職を辞すべきだ。
 野田聖子女性活躍担当相は財務省が同省の顧問弁護士に調査を委託したことに関し「セクハラ被害者は家族にも相談できないのが現実だ。あえて加害者側の関係者である弁護士に説明することはできないのではないか」と語った。当然の批判だ。
 自民党内には「女性が接客する店での発言の可能性もある」と福田氏擁護論が出ているが、言語道断である。
 厚生労働省によると、セクハラ認定は職場だけでなく、取材先や取引先と打ち合わせをするための飲食店なども含まれる。セクハラは個人の尊厳を不当に傷つける行為である。女性が接客する店であれ、セクハラ発言をしたのなら社会的に許されない。
 米紙ウォールストリート・ジャーナルは「(日本では)権力者が性的な違法行為についての主張を真剣に受け止めない」と伝えている。米ワシントンで19日に開幕する20カ国・地域(G20)財務省・中央銀行会議に麻生氏が出席する資格はない。


[福田財務次官辞任]麻生氏の責任は免れぬ
 女性記者へのセクハラ発言を週刊誌に報じられた福田淳一財務事務次官(58)が、麻生太郎財務相に辞任を申し出て受理された。近く閣議で正式決定する。
 福田氏は辞任の理由について「職責を果たすことが困難」と述べ、混乱の責任を取ったとする。一方でセクハラ発言は否定。週刊誌は女性記者とのやりとりを録音した音声データを公表したが、これに対しても「自分の声かどうか分からない」「周囲は似ていると言っている」などあいまいな証言に終始した。疑惑は残ったままで、辞任による幕引きは許されない。
 事実関係の調査として財務省は、記者クラブに加盟する報道各社に対し、被害を受けた女性がいれば同省が委託した弁護士事務所に連絡するよう依頼したが、セクハラ対応としては論外だ。「取材源秘匿」を生命線とする記者の立場からすれば、「名乗り出るな」と言っているのと同じだからだ。
 調査するのが同省の顧問弁護士という点も公平さを欠く。
 財務省では、森友学園を巡る決裁文書改ざん問題で佐川宣寿前国税庁長官が3月に辞任したばかりだが、この間、麻生氏の対応は後手に回っている。
 麻生氏は、森友問題では、8億円もの不透明な値引きについて「手続きは適正」と答弁し続けた佐川氏を追認。今回のセクハラ発言も「実績を踏まえれば、処分すべきでない」「福田の人権はなしってわけですか」などと福田氏を擁護し続けた。
 組織の長として問題に対処できておらず、麻生氏の任命・監督責任は免れない。
■    ■
 「官庁の中の官庁」といわれる同省の次官引責辞任は、旧大蔵省時代の接待汚職事件以来20年ぶり。大蔵官僚などが収賄容疑で逮捕・起訴された事件は「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」とも呼ばれ、金融機関を監督する権力をかさに着て風俗店での高額接待を強要する官僚の姿が露呈した。セクハラ疑惑への財務省の一連の対応をみれば、体質は変わっていないと言わざるを得ない。
 相次ぐ不祥事について安倍晋三首相は「行政への信頼が揺らいでいる。徹底的に調査し、うみを出し切る」と強調するが、森友・加計問題では首相自身や夫人の関与が問われている。そんな安倍政権下での調査に、果たして国民の納得が得られるのか疑問だ。
■    ■
 否定し続ける福田氏に対し、テレビ朝日は、自社の女性記者が告発の当事者だと発表した。女性は1年半にわたりセクハラを受け、身を守るため録音。同社に告発報道を提案したが断られたため、週刊誌に情報を提供したという。
 報道機関も、セクハラを軽んじる雰囲気に覆われていないか。女性記者が事実上名乗り出た後もなお否認を通す福田氏の姿をみれば、被害を軽んじる社会の雰囲気そのものが、セクハラをまん延させていると分かる。
 世界的なムーブメント「#Me Too」がこの国で広がらないゆえんでもある。


財務次官更迭  麻生氏の責任は重大だ
 週刊誌で報じられたセクハラ疑惑に批判が集中したことを受け、財務省の福田淳一事務次官が辞任の意向を表明した。事実上の更迭である。
 財務次官が引責辞任するのは1998年の旧大蔵省時代の接待汚職以来、20年ぶりという。財務省では、文書改ざん問題で佐川宣寿前国税庁長官が3月に辞任したばかりだ。
 事務方トップ級の2人が相次ぎ辞任する異例の事態に、国民はあきれかえっている。「最強官庁」が、なぜこんなありさまになったのか。麻生太郎財務相の任命責任はもちろん、安倍政権の行政管理能力も厳しく問われる。
 福田氏はセクハラを否定し続けており、辞任は「報道後の状況を見ると、次官の職責を果たすことが困難と判断したため」という。だが「録音された声が自分のものか分からない」との説明には首をかしげざるをえない。
 民間でも自治体でもセクハラには厳しく対応しているところが多い。財務省は引き続き、事実解明に徹底して取り組む必要がある。その上で、懲戒処分を含め組織としてのけじめをつけるべきだ。
 この問題で、テレビ朝日は同社の女性社員が被害を受けたと明らかにした。相談を受けた上司が報道を見送った経緯があり、報道局長が「適切な対応ができなかった」と反省の意を示した。
 加害者と被害者、双方の属する組織でセクハラに対する意識の低さが浮き彫りになった。
 セクハラ疑惑は週刊新潮が先週報じた。麻生氏は当初、口頭で注意しただけで追加の調査や処分は行わないとした。音声データが公表されると、被害を受けた女性記者に名乗り出るよう求めた。
 疑惑そのものに加えて、報道後のこうした対応が世間の常識、国民の人権感覚とかけ離れていると厳しい批判を呼んだ。麻生氏の責任は重大である。
 支持率が落ち込む安倍政権にとって、追い打ちとなるのは間違いない。
 それなのに麻生氏は、野党の責任追及にこたえず、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議出席のため米国に向かった。慣例となっている国会の了承がないまま閣僚が海外渡航するのは異例だ。
 不祥事の連鎖に国民の不信感は募る一方だが、政権内に問題に誠実に取り組もうという姿勢が見えない。「うみを出し切る」と繰り返す安倍首相は、うみの原因がどこにあるのか向き合うべきだ。


務次官更迭 セクハラ認識、甘過ぎる
 女性記者へのセクハラ発言が報じられた財務省の福田淳一事務次官が辞任に追い込まれた。
 報道の内容を全面否定しながら説明を避け続け、日を追うごとに反発や批判が高まった揚げ句のことだ。事実上の更迭となったが、遅きに失した。セクハラ問題に対する財務省の認識は甘過ぎる。世論と大きく懸け離れていることにあきれる。
 先週発売の週刊誌が報じたのがきっかけだった。福田氏が女性記者を飲食店に呼び出して「抱きしめていい?」「浮気しよう」などとセクハラ発言を繰り返したという。福田氏の発言とされる音声データの一部もインターネット上で暴露された。
 ところが、麻生太郎財務相をはじめ財務省の対応は鈍く、危機感に欠けていたといえよう。
 報道された後、麻生氏は口頭注意にとどめ、事実確認も、処分もしない考えを示していた。その上、「実績を踏まえれば、この一点で能力が欠けるとは判断していない」とも語った。セクハラを容認するかのような発言はあまりにも時代遅れだ。
 一方で、財務省は福田氏から事情を聴取し、疑惑を否定する反論を発表した。被害女性が確認できないとし、出版社を名誉毀損(きそん)で訴えるという福田氏の一方的な言い分を公開した。セクハラを受けた女性記者に名乗り出るよう協力も要請している。
 被害者に二次被害を生じさせかねない人権軽視の対応に野党だけでなく、政権や与党内からも批判が相次いだのは当然だろう。身内をかばうような姿勢が国民の不信感を増幅させた。
 福田氏の辞任表明を受け、テレビ朝日がきのう未明、同社の女性社員がセクハラ被害を受けていたと明らかにした。女性社員は1年半前ほど前から数回、福田氏と会食し、そのたびにセクハラ発言があり、身を守るために録音していたという。
 むろん取材で得た情報を第三者の出版社へ提供した点は報道倫理の面で問題がある。さらに、女性社員からセクハラの事実を報じることを相談された上司が見送るなど、組織として適切に対応できなかったことも反省点だろう。
 ただ、セクハラ疑惑という問題の本質がすり替わってはならない。福田氏はセクハラの事実をかたくなに否定し続けたままだ。辞任の理由も「現状に鑑みると、職責を果たすのが困難」だからとしている。
 音声データについて「自分のものかどうかよく分からない」とまともに答えようとしない。問題とされる発言そのものは否定したが、「言葉遊びを楽しむことはある」とした。セクハラ問題の根幹が分かっていない。辞任したからといって、逃げ道を与えてはならない。
 森友学園問題を巡る決裁文書の改ざんにより、財務省の信頼は地に落ちた。省の在り方が問われているさなかである。安倍晋三首相は「徹底して調査し、うみを出し切る」というが、ごみ撤去作業での口裏合わせや、撤去費の過大見積もりの疑いが相次いで浮上している。不祥事の連鎖に歯止めがかからず、信頼を回復するための道筋が全く見えてこない。
 何より麻生氏の責任は重い。単に任命責任にとどまらない。統率力や指導力を発揮できないのであれば、身の処し方を自ら決断すべきである。


財務次官辞任 うやむやは許されない
 財務省の福田淳一事務次官が辞任することになった。報じられたセクハラ疑惑は否定している。事実関係を曖昧にしたまま幕引きにはできない。
 女性記者にセクハラ発言をしたと週刊新潮が先週、報じた。音声データも公開している。福田氏は報道が「事実と異なる」とするコメントを発表、名誉毀損(きそん)で提訴の準備を進めているとして職務を続ける意向を示していた。
 一転、麻生太郎財務相に辞任を申し出たのは「報道後の状況を見ると、職責を果たすことが困難だと判断した」からだという。
 「報道が出ること自体、不徳の致すところ」と述べ、セクハラ発言については「あんなひどい会話をした記憶はない」と重ねて否定した。潔白を主張するのなら、なぜ辞める必要があるのか。納得のいかない説明である。
 疑惑そのものに加え、財務省の対応が世論の反発を高めた。事実を解明するには福田氏の言い分だけでなく、女性記者らの話を聞く必要があるとして調査への協力を報道各社に要請した。調査を委託したのは、財務省の顧問を務める弁護士事務所だ。
 被害女性への配慮を欠いたやり方に批判が集中したのは当然である。社会一般の常識とは懸け離れている。麻生氏は女性記者から連絡がなければ、セクハラを事実と認定できないとの考えを示していた。名乗り出ることはないと高をくくっていたのか。
 福田氏の辞意表明を受け、テレビ朝日は社員が被害者であることを明らかにした。1年半ほど前から数回、会食していた。そのたびにセクハラ発言があり、身を守るために録音したという。
 セクハラを認めないまま辞めてしまえば、問題がうやむやになる恐れがある。真相がはっきりするまで辞任を閣議で了承すべきではない。財務省は徹底調査する必要がある。
 麻生氏の責任も問われる。疑惑が報じられた当初、口頭注意にとどめる考えを示していた。その後もかばい続けた末、辞意を受け入れる形での更迭である。森友学園に関する文書改ざん問題で、佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任した際も同様だった。
 財務次官と国税庁長官が実質不在の異常事態だ。菅義偉官房長官は麻生氏について「財務省の陣頭指揮に当たり、信頼回復に努めてほしい」と述べ、辞任の必要性を否定している。官僚を処分するだけで済ませるなら、国民の信頼は取り戻せない。


[財務次官辞任へ] 麻生氏の責任は大きい
 週刊誌でセクハラ疑惑を報じられた財務省の福田淳一事務次官が辞任に追い込まれた。
 「現状を鑑みると職責を果たすことが困難」とし、混乱の責任を取った形だが、安倍政権が与野党や世論の批判に耐えられないと判断したからに他なるまい。事実上の更迭と言える。
 財務省は、森友学園への国有地売却を巡る国会対応で佐川宣寿前国税庁長官が3月に辞任したばかりだ。2トップが不在という異常な事態を招いた麻生太郎財務相の任命・監督責任は大きいと言わざるを得ない。
 麻生氏は疑惑が報じられた際、「この種の話は双方の言い分が分からないといけない」と述べ、被害者に名乗り出るよう求めた。
 調査を依頼したのが財務省の顧問弁護士だったことも問題視され、「二次被害も起こりうる。被害女性の心情への配慮が足りない」といった批判が続出した。
 それでも麻生氏は「福田氏の人権はどうなる」などと部下を擁護し、混乱を長引かせてしまった。あまりに無責任と言えよう。国民の批判に応えようとしなかった財務省に、厳しい視線が向けられたのは当然だ。
 こうした状況の中、テレビ朝日は同社の女性社員がセクハラの被害者だと公表した。この女性社員が今月4日に福田氏と会食し会話を録音、データを出版社に提供したことも明らかにした。
 テレ朝は「セクハラは事実と考えている」とし、財務省に抗議した。だが、福田氏はいまだにセクハラ行為があったことを認めていない。
 セクハラ被害者の証言が出てきた以上、今度は財務省が自ら事実の解明を進めるべきである。
 テレ朝の女性社員は会食した日を特定しており、福田氏のスケジュールと照合できる。インターネット上で公開された音声が福田氏のものか確認することも必要だ。
 安倍晋三首相は、福田氏の辞任に「一層の緊張感を持って、行政の信頼回復に取り組む」とのコメントを発表した。不祥事や疑惑が相次ぎ、国民の不信感が高まっている。官僚が責任を取り、身を引いただけで信頼を取り戻すのは困難だろう。
 問われるのは政権の統治能力である。官庁の幹部を指揮し、事実を解明していかなければならない。だが、閣僚が部下をかばってばかりでは安倍内閣の統治能力に疑問符を付けざるを得ない。
 野党は麻生氏の辞任を求めている。麻生氏は政治家としての責任を自覚し、きちんとしたけじめをつけるべきである。


首相の訪米団に安倍昭恵夫人の監視役 自由行動一切ない
 様々な疑惑を抱えた状態で日米首脳会談のために訪米した安倍晋三首相(63才)。その傍らには妻の昭恵さん(55才)の姿があったが、現地での昭恵さんの言動が心配されている。そもそも、彼女には“前科”がある。
「2017年2月の訪米では、安倍夫妻とトランプ夫妻が会食する機会がありました。トランプ大統領は“酒は身を滅ぼす”という主義でお酒は一切口にしない。もちろんメラニア夫人も飲みません。安倍首相は潰瘍性大腸炎を患った過去から、そもそもほとんどお酒を飲めない。そんななか、昭恵さんひとりが白ワイン、赤ワインと杯を重ね、ほろ酔い状態に。
 その様子をトランプ夫妻は訝しげに眺めていましたが、たまりかねたメラニア夫人が“こういう大切な場で、しかも主役である夫が飲んでいないのに、酔っぱらうのはいかがかしら”とつぶやいたそうです」(全国紙政治部記者)
 昭恵さんはメラニア夫人を前に、自分の好きなK-POPアーティストの「カッコよさ」について饒舌に話し続けたこともあった。
「メラニア夫人は呆れた顔で、“あなたは日本人なのに、なぜ韓国の話ばかりするんですか?”と昭恵さんを遮りました。当然のツッコミですが、それで昭恵さんは不機嫌になり、また酒をあおっていました」(前出・政治部記者)
◆ドナルドに誘われちゃって
 妻は国内でも敵だらけなのに、アメリカまで行ってトラブルを起こされてはたまらない。そう安倍首相は神経を尖らせているという。
「昭恵さんは外遊に出かけると、大好きなお酒を浴びるように飲むのがいつものこと。ロシアに行けばウオッカを、ヨーロッパに行けばワインをあおります。イスラム圏の国に行ったときでも、“お酒を飲みたい”と言ってひんしゅくを買ったこともありました。
 しかし、今回はそんな悠長なことを言っている場合では全然ありません。記者団の前で森友関連で口を滑らせでもしたら大事です。訪米団の中には、今回新たに昭恵さんの“監視係”のようなスタッフも複数加わりました。現地での自由行動は一切なく、厳戒監視態勢の下に置かれます」(官邸関係者)
 とはいえ、夫の安倍首相だって、どこかピントがずれている。
「今回の訪米でもトランプ大統領とゴルフを予定しています。打診を受けた時には“国会会期中だし、問題の渦中でのんびりゴルフなんかしていたらますます批判される”と心配する声が政府内に上がりましたが、首相本人は“ドナルドに誘われちゃって”とまんざらでもない様子で…」(官邸筋)
 アメリカでゴルフを楽しむ姿を見て、国民が「こんな時に」と苛立つことさえ首相には想像できないらしい。
 さらなる長期政権を可能にするために、自民党総裁の任期を「2期6年」から「3期9年」へと改正させた安倍首相。この9月には総裁選を迎えるが、「『安倍一強』と呼ばれた時代は今や昔のこと。自民党内からも“安倍首相では来年の参院選は戦えない”という声が噴出しているので“3選”はもはや絶望的でしょう。一部には、今国会会期末の“6月辞任説”も出ている」(自民党関係者)という。
 国内では挽回する余地はないので、今回の訪米を「起死回生」の唯一のチャンスと期待していたようだ。
「トランプ大統領との蜜月をアピールし、“やはり外交は安倍首相でなければ”というイメージを植えつける腹づもりでした。ところが、訪米を前にトランプ大統領がシリア空爆に踏み切ったのが大誤算。日本人、とくに主婦層は反戦感情が強いので、トランプがますます評判を下げることになり、それに擦りよるように見える安倍首相のイメージも悪化するばかりです」(別の全国紙政治部記者)


野党 セクハラ疑惑に抗議 黒い服で「#MeToo」
 立憲民主党や希望の党など野党6党は20日、安倍政権の退陣を求める集会を国会内で開いた。財務省の福田淳一事務次官によるセクハラ疑惑に抗議の意思を示すため、女性議員は黒い服で統一して参加。立憲の尾辻かな子氏は「私たち、めちゃめちゃ怒ってます。セクハラを認めない財務事務次官、財務省、麻生(太郎)財務相、安倍政権にもう我慢ができない」と訴えた。
 欧米で広がっている性被害の告発運動に習い、出席議員は全員で「#Me Too」(私も)のプラカードを掲げ、「セクハラで泣き寝入りするような社会には絶対しない」と気勢を上げた。【遠藤修平】


野党、セクハラ疑惑に抗議 黒服で「#MeToo」
 立憲民主、希望など野党6党は20日、不祥事が続く安倍政権の退陣を求める集会を国会内で開いた。財務事務次官のセクハラ疑惑に抗議の意思を示すため、英国アカデミー賞の授賞式で女優らが黒いドレスを着たのにならい、黒い服の女性議員が参加。欧米で広がった性被害告発の運動を見習い「#MeToo」(「私も」の意)と書かれたプラカードを掲げ、セクハラ撲滅を訴えた。
 会合では「セクハラを認めない財務事務次官や安倍政権に我慢できない」「政権は女性の活躍推進や働き方改革を訴える前に、次官のセクハラを認めるべきだ」といった批判が相次いだ。


【特集】彼女は反省する必要などあるのか 財務事務次官のセクハラ疑惑
 福田淳一財務事務次官のセクハラ疑惑で、テレビ朝日は4月19日未明、緊急記者会見を開いた。それを見て、大きな違和感を覚えた。
 会見でテレ朝の篠塚浩報道局長は、同社の女性社員が福田氏のセクハラの被害者であること、何度か被害に遭った本人が、自身の身を守るために福田氏との会食におけるやりとりを録音し、週刊新潮に提供したこと、当初はテレビ朝日で報じるべきだとして上司に相談したが、上司は2次被害の心配などを理由に「報道は難しい」と判断したことなどを説明した。その上で、被害者の女性社員が音声データなどを週刊新潮に提供したことについて「取材活動で得た情報を第三者に渡したことは、報道機関として不適切な行為で、遺憾」と述べ、この女性社員も今は「反省している」と話した。
 しかし、彼女は反省する必要があるのだろうか。そもそもこの録音データは「取材活動で得た情報」と言えるのか。
 ■根深い障害■
 強調したいのは、この女性社員が一度は自身が所属する媒体で報道することを提案したという点だ。勇気を奮って決断したはずだ。それなのに、上司に握りつぶされる結果となった。よくぞ絶望せずに、週刊誌に持ち込んでくれたと思う。
 おかげで真実が表に出た。市民にとって、この情報は極めて重要なものだった。いま、財務省は疑惑の渦中にある。その事務方トップが卑劣な行動を続けていたという新たな疑惑なのだから。
 さらに、女性が働く上でセクハラの問題がどれほど根深い障害になっているかを浮き彫りにした。誰もが加害者・被害者になり得る、身近で大事な問題である。
 記者である私にも、似たような経験がある。手を握らせてくれたら一つ教えてやる。キスをさせてくれたらもう一つ教えてやる。全容を知りたいなら、一晩つきあう気で来い―。重要な取材先から、夜回りで毎回のように言われた。今も時々思い出し、悔しく、情けない気持ちになる。
 そのとき私は、情報戦で他社に後れを取っていた。ネタがほしかった。だから「そんなことを言うと、書きますよ」などと言ってかわしながら、取材を続けた。こっそり録音もしていた。不安だったからだ。
 ■傷つくのは自分■
 でも、社内の人間には黙っていた。それまでの経験で、誰かに相談する気にはなれなかったからだ。例えば社内でのセクハラ被害を周囲に訴えても「酔っぱらっていたんだから許してやれ」と言われる。それどころか、酒席の笑い話にされたこともある。うわさになるのも怖かった。不利益を被り、傷つくのは自分だ。
 最も恐れたのは、担当を変えられることだった。こんなことでキャリアを傷つけられたくなかった。「女は使えない」とレッテルを貼られるのも嫌だった。後輩の女性記者たちにも迷惑をかけるかもしれない。
 今もマスコミは圧倒的な男社会である。取材現場には女性が増えたが、組織の幹部や重要な取材先は、男性の論理で動いている。
 ■恥ずべきは誰か■
 今回、その壁を突き破ったのはテレ朝の女性社員の行動だった。彼女がもし週刊新潮に音声データを持ち込まなければ、この話は闇に葬られていたはずだ。
 彼女は今、世間の批判を受けて落ち込んでいないだろうか。社内でけん責されていないだろうか。とても気になる。「全ての女性が働きやすい社会になってほしい」と話していたという。共感と敬意を伝えたい。
セクハラが起きたとき、最も恥ずべきは加害者である。しかし、それをうやむやにし、結果的に容認している周囲も自らを恥ずべきだ。
 テレ朝は女性社員の訴えを受けても、当初は適切な行動を取れなかった。これはテレ朝だけの問題ではないだろう。
 どのようにして、組織に内在する不合理に切り込み、差別や不公正を正していくのか。それこそが、問われている。 (共同通信文化部編集委員・田村文)


時代の正体〈589〉「#YouToo」と言う
【時代の正体取材班=田崎 基】問題の本質を理解していないのは私自身もそうだった。思慮を欠いた一言一言は、私がセクハラを受ける側ではないという属性に根ざしているのは間違いなかった。
 19日朝、財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑について記事を書くため、私は民放の女性ディレクターの携帯電話を鳴らした。
 ―セクハラの被害は受けたことはありますか。
 「それはね。言い出したら切りがない」
 ―ちょっと教えてもらえませんか。
 「いいけど。メールで送ります」
 ―この電話で話してもらえれば、メモを取ります。
 「…」
 一瞬の沈黙。答えに詰まった後、返ってきたのは「そんなの恥ずかしい」だった。
 同業のよしみという勝手な甘えも手伝って、ぶしつけに証言を強いたことを悔いた。数時間後、送られてきたメールに愕然とした。
 〈取材相手に「やろうよ。やらないと相性が分からないじゃん」と言われた〉
 〈上司に抱きつかれ下半身を押しつけられた〉
 「恥ずかしい」どころではなかった。わいせつ事件と呼ぶべき被害を受けていながら、封印しなければならなかった二重、三重の苦しみを思った。
 簡単に口にできるはずがなかった。言葉にするには記憶を呼び起こさなければならない。そして実際に話すという行為は、自分は辱められた、もてあそんでよい存在とみなされたということを自ら再確認する作業にほかならない。
 その屈辱を乗り越え、ようやく第三者に伝えることができたとしても、大抵は「よくあることだ」「うまく立ち回れ」などと被害が軽く見積もられる。尊厳が軽んじられ、踏みつけにされるという人権侵害はここでも繰り返される。それが分かっていて、どうして自ら傷をさらすことができるだろう。
 電話口で気安く教えてくださいなどと求めた自分の振る舞いに恥じ入るほかなかった。女性たちは沈黙を強いられてきた。そうして被害はなかったことにさせられてきた。黙らせている側にこそ目を向ける必要があった。
底流に温存
 19日夕、福田事務次官のセクハラ発言報道を巡る財務省の調査方法に抗議する署名を呼び掛けた弁護士が開いた会見は、沈黙を強いてきた側、被害をなかったことにしたい側の問題をただすものだった。
 報道各社に女性記者への「協力」を要請しながら、その告発先が財務省の顧問弁護士であるという倒錯。麻生太郎財務相は報道陣に向かって「全然付き合いのない弁護士さんにお願いできますか。常識的に話してくれ」と言い放ったが、署名の呼び掛け人の一人である内山宙弁護士はその非常識ぶりを指摘した。
 「付き合いのある弁護士だからこそ駄目だということが分かっていない。中立性を欠くことは明白。加害者側に立つ弁護士に一体、誰が名乗り出られるだろうか」
 名乗り出られるなら名乗り出てみろという強者の傲慢(ごうまん)、恫喝(どうかつ)の意図までもが透けている。事実、同省の福田事務次官は名誉毀損(きそん)だとして問題を報じた新潮社を提訴する準備をしていると明かしている。
 さらに18日の衆院財務金融委員会での答弁。財務省の対応を批判する野党議員に対し、同省の矢野康治官房長は「(名乗り出るのが)そんなに苦痛なのか」「『加害者』『被害者』と言っているが、本件は『加害があったかどうか』ということに疑義が生じている」と答えた。
 「加害があったかどうかに疑義がある」ことが問題なのではない。「加害があった可能性がある」こと自体すでに問題があるのだ。それを「双方から話を聞かなければいけない」と口にした途端、被害の訴えは疑いのまなざしにさらされることになる。
 それが目的であるかのように、財務省はホームページで一方の当事者である福田事務次官が「セクハラ発言をしたという認識はない」との聴取結果を掲載している。これでは告発者をうそつき呼ばわりしているも同然ではないか。
 1989年に日本で初のセクハラ訴訟の原告代理人になった角田由紀子弁護士は言った。「あれから30年近くが経った今、こんなことが起きて本当に愕然する。この間、私たちは性被害や女性の人権問題の取り組んできたはずなのに」
 訴訟当時は「セクハラ」という言葉自体がなかった。報じるニュースに胸を痛めた。サラリーマンが笑いながら「そんな細かいこと言っていたら仲良く仕事ができないよ」と街頭インタビューで答えていた。
 当時はそれが一方の「意見」とみなされ、メディアが伝えた。笑い飛ばす振る舞いそのものがすべての女性を見下し、人権を毀損しているという自覚すらないままに。
 さすがにいまでは「仕事を円滑に進めるためにはセクハラも必要で、いちいちとがめるな」などという発言をおおっぴらに口にすることはばかられるようになった。角田弁護士はだからこそ「社会は少しずつ変わってきたと思っていたが、これっぽっちも変わっていない社会が官僚組織の中枢に生き残っていたことに愕然とする」。
 調査方法の撤回を求める署名を始めたのも、声を上げることを許さないという社会を容認できないからだ。「こういう調査方法も許されるのだという誤った理解が世の中に発信されることを止めなければならない」
 社会的強者である「男」の側、それも政府という権力から発信される錯誤を打ち消す発信がメディアに求められている。今回、テレビ朝日の女性記者が自らの被害を自社で報じることができなかったことが示すように、旧態依然とした男社会であるメディアがどう報じるかが問われている。記者会見を取材しながら、私はそう感じていた。
「男」の問題
 インターネット上で性被害を告発する「#MeToo」(「私も」の意)の運動が世界的に広がる。自らが受けた性被害を女性たちが自ら打ち明け、「あなただけではない、私も」と勇気を鼓舞し合うようにして告発が続く。
 しかし、前述の女性ディレクターがそうであったように、女性に告発を求めるのはあまりに酷だ。「#MeToo」には「私があのとき声を上げなかったから、いまも被害が絶えない」という自責までもがにじむ。痛めつけられている側が心を強くして名乗り出て、そうでなければ解決できないという問題ではないはずだ。
 セクハラをなくす根本は、している側にやめさせることにある。だから自分はセクハラはしないというだけでは足りない。勇気ある告発を応援しているだけでも根絶には届かない。セクハラを見聞きした時、非難し、やめさせる行動なしにはなくならない。その主体が女性でなければならないというはずもない。
 だが、容認、放置する冷笑的な態度が現実を物語る。調査方法の撤回を求める署名は20日までの4日間で3万8千筆を超えた。財務省へ提出した角田弁護士がこのときのやりとりを明かした。
 「積み上げた署名を見て、受け取りに来た財務省の男性担当者は終始にやにや笑っていた。調査方法を撤回せよと要求されているのに一体何がおかしいのか」
 私は自問する。
 「そういうお前も、あの男の振る舞いを黙認したではないか」「それほどの問題かと軽視してきたからではないのか」
 だからこそ口火を切らなければならない。おかしいことをおかしいと言うことに勇気が必要なこと自体がおかしい。「#MeToo」という苦悶(くもん)の叫びが、不正義がまかり通る社会のゆがみを教えてくれている。
 「#YouToo」と言うべきなのだ。あなたのそれもセクハラだ。素通りしているあなたも人権侵害に加担しているのと同じだ。沈黙を強いているのはあなたでもあるのだ。そして、セクハラをする側、見過ごして平気でいられるあなたこそが自らを顧み、セクハラをやめさせる主体になるべきなのだ、と。
※財務省による調査方法の撤回を求めるネット署名はこちらかでサインできる。


次官セクハラで「そんなに苦痛なことか」暴言の財務省・矢野官房長、テレ朝『報ステ』に圧力メールを送った過去!
「もう少し大きな字で書いてもらったら見やすいなと思った程度に見た」「名乗り出ているので、本人に話を聞かせてもらう」
 財務省の福田淳一事務次官による女性記者へのセクハラ問題について、テレビ朝日の抗議文を受けて、麻生太郎財務相は一切謝罪することなくこう居直った。
 麻生財務相の暴言だけでもおなかいっぱいだが、麻生財務相が乗り移ったかのような暴言を連発しているのが、女性記者へのセクハラ問題で福田淳一事務次官の辞任に伴い、事務次官代行も務めている矢野康治官房長だ。
「(名乗り出ることは)そんなに苦痛なことなのか」
「(調査法が不適切では?と聞かれ)より良い方法があれば考えますけど、ご提案があれば」
「テレ朝の会見は見ていません」
「(セクハラへの意識が低いのでは?と聞かれ)私は相当高い」
「財務省としての調査は、“いちおう”続けますよ」
 矢野官房長は、被害者への配慮も、セクハラに対する問題意識もまったくない、上から目線の暴言を連発している。
 佐川宣寿前国税庁長官といい、福田次官といい、出てくる人出てくる人、上から目線のパワハラ気質丸出しで、財務省にはまともな人はいないのかと言いたくなる。 
 しかも、この矢野官房長は、安倍官邸の意を受けて報道機関に圧力をかけていたということが明らかになった。それも、テレビ朝日の『報道ステーション』に圧力メールを送っていたというのである。
 本日20日、元経産官僚の古賀茂明氏がこんなツイートをした。
〈テレ朝早河会長と篠塚報道局長は、自民党の報ステ女性プロデューサー宛圧力文書が来た時報道せず隠蔽 私がI am not ABEと発言した時も菅官房長官二人の秘書官中村格(詩織さん事件もみ消し警察幹部)矢野康治(現財務省官房長)の圧力メールを隠蔽 報ステプロデューサを更迭 記者が新潮に行くのは当然〉
「私がI am not ABEと発言した時」というのは、後に古賀氏の『報道ステーション』降板につながった一件のことを指している。 
 当時の放送を振り返ると、レギュラーコメンテーターだった古賀氏は、2015年1月23日の放送でISによる後藤健二さん、湯川遥菜さんの人質事件について、安倍首相が「ISILと闘う周辺各国に総額で2億ドル程度支援をお約束します」と宣戦布告とも取られかねない発言を行ったことを批判。その上で古賀氏はこう述べたのだった。
「“私はシャルリー”っていうプラカードを持ってフランス人が行進しましたけど、まあ私だったら“I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要があるんじゃないかと思いましたね」
 この発言に、官邸は大激怒。本サイトでも当時伝えているが、このとき「菅官房長官の秘書官」が番組編集長に電話をかけまくり、先方が出なかったために今度はショートメールで猛抗議したという。
 このときのことを、古賀氏は著書『日本中枢の狂謀』(講談社)のなかで、この「菅官房長官の秘書官」のひとりの実名をあげながら、こう書いている。
〈一月二三日の最初の「I am not ABE」発言の直後、なんと番組放送中に、まず中村格官房長官秘書官(当時)から、報道局ニュースセンター編集長の中村直樹氏に電話があったという。たまたま中村編集長が電話を取り損ねると、今度はショートメールが入った。テレ朝関係者に聞いた話では、その内容は「古賀は万死に値する」といったような、強烈な内容だったそうだ〉
〈報道によると、この日、菅官房長官は、秘書官と一緒に官邸で番組を見ていたそうだ。その真偽はさておき、仮に直接聞いていなくても、私の発言を知れば、菅官房長官が激怒することは容易に推測できる。
 秘書官としては、アリバイ作りのためにも、すぐに抗議しておかなければならない。それが秘書官の務めだ。そこで、とにかく放送中にアクションを起こしたことを菅官房長官に示すため、ショートメールを送ったのではないか、といわれている〉
 中村格官房長官秘書官(当時)というのは、現在、警察庁総括審議官を務める警察官僚で、刑事局長時代に安倍御用記者の山口敬之氏の準強姦罪での逮捕を直前でストップさせるなど、「菅官房長官の側近」として知られる人物だ。
 そしてその中村氏とともに、菅官房長官と一緒に官邸で番組を見ていて、菅官房長官が激怒したのを受け、テレビ朝日に「古賀は万死に値する」などのショートメールを送ったのが、当時菅官房長官の秘書官だった矢野官房長だというのだ。
 この矢野氏と中村氏からの“脅迫”が決定打となって、古賀氏は2015年3月27日放送分を最後に降板に追い込まれることになったのだった。 
 ちなみに、矢野官房長と安倍官邸の関係については、安倍官邸の代弁ジャーナリスト・田崎史郎氏もこう明かしている。
「安倍は新内閣発足に当たり、首相秘書官に財務省が推薦した人物を拒否し、官房審議官だった中江元哉を引っ張った。安倍が財務省出身秘書官の候補に描いていたのは中江と、主税局総務課長だった矢野康治の2人。安倍が中江を起用したため、官房長官・菅義偉は矢野を官房長官秘書官に据えた。
 ポイントは財務省が送り込んだのではなく、安倍も菅も財務省から自分が信頼する人材を“一本釣り”したことだ。これまでは財務省が推薦する秘書官をそのまま使うことが多かったが、官邸人事の初っぱなから財務省の思い通りになっていないのがこの政権の特徴だ」(「現代ビジネス」2013年2月11日)
 つまり、いま安倍政権が抱えるあらゆる問題に共通する官邸の人事掌握による官僚支配の象徴のひとりが、矢野官房長なのだ。
 そして、この古賀茂明降板事件を思い起こせば、「なぜ、テレ朝は自局でセクハラを報道しなかったのか?」なる批判が、いかに愚問かわかるだろう。できるわけがないのだ。
 この古賀氏降板事件以外にも、古舘伊知郎の報ステ降板、『朝まで生テレビ!』のゲスト論客ドタキャン事件、選挙報道への“公平圧力”など、テレビ朝日にはこの間、安倍官邸から陰に陽に数々の報道圧力がかけられている。
 先日深夜にセクハラ公表会見を行った篠塚浩報道局長も、昨年の加計報道が盛り上がる最中の5月に早河洋会長とともに安倍首相との会食に参加、政権批判を牽制されたことがある。
 テレ朝の会見以降、ネット上では被害者の女性記者とされる実名や画像がさらされセカンドレイプとも言うべき卑劣な個人攻撃がなされているが、彼女がセクハラを相談した上司とされる人物の名前や画像もあげられ、攻撃の対象となっている。
 しかし、これまでの安倍官邸からテレ朝への圧力の数々を見れば、直属の上司レベルが報じようとしたところで、上層部の横やりで潰されていたのは火を見るより明らかだ。
 もちろん、これはテレビ朝日に限ったことではない。TBSでもNHKでも岸井成格氏や国谷裕子氏が降板させられたり、NHKでは前川喜平・前文科次官のインタビューがお蔵入りになったり、萩生田光一筆頭副幹事長(当時)の選挙報道をめぐる圧力文書は在京キー全局に送られた。ほかの局の記者が被害者だったとしても、結果は同じだろう。いや、テレビ朝日のように事後的にも公表することすらできなかった可能性のほうが高い。
 実際、今週発売の「週刊文春」(文藝春秋)には福田次官のフジテレビの女性記者に対するセクハラ的言動も掲載されているが、フジがセクハラについて社内調査などに動いた様子はない。
 あの木村太郎氏ですら「『週刊新潮』に言ったのが、いちばんいい方法だった。でなければ、ここまで大きく報じられることはなかった。自社で報道なんて、できるわけないじゃないですか、絶対どこかで潰されてますよ。そんなこと、ゴタゴタ言わないほうがいい」と語っていたほどだ(フジテレビ『直撃LIVE グッディ!』4月20日放送)。
 むしろ注視しなければならないのは、このあとテレ朝へさらなる圧力がかけられないか、だ。そして、圧力の結果、とくに被害者である女性記者や、記者からセクハラの相談を受けていた上司に対して、左遷などの人事で報復がなされないか。彼らはすでにネトウヨたちの卑劣な攻撃にさらされているが、勇気をもってセクハラを告発した者がこれ以上不利益や二次被害を被ることのないよう、社会全体で監視する必要がある。
 テレ朝からの抗議を受け、矢野官房長はきょう、記者団に対し「テレビ朝日に連絡しました」と語っていたが、まさか圧力の連絡でないといいのだが。(編集部)


「巡業先の土俵は“女人禁制”ではない」慶大名誉教授が解説
「相撲協会は『伝統』と『人命』のどちらが大切だと思っているのか。女性に対して失礼だし、対応に疑問を抱いています」(50代女性)
4月4日、京都府舞鶴市で行われた大相撲春巡業で、土俵上で倒れた男性の救命措置を施した女性に、行司が「女性の方は下りてください」とアナウンスしたことについて、怒りの声は高まるばかりだ。
さらに8日、静岡市駿河区に開かれた春巡業でも、力士が土俵で子どもに稽古をつける「ちびっこ相撲」に参加予定だった小学生の女の子が、日本相撲協会からの要請で土俵に上がれなかったことが判明したのだ――。
「江戸時代から親しまれている大相撲ですが、『土俵は女人禁制である』と取りざたされたのは、じつは'70年代、子供相撲の女子代表が国技館の土俵に上がれず、参加を拒否されたことからです。その後、森山眞弓元官房長官、太田房江元大阪府知事らが、表彰のために土俵に上がることを拒否されて以降、問題が表面化しています」
そう語るのは、文化人類学が専門の慶應義塾大学名誉教授の鈴木正崇さんだ。
「今回の報道や情報を収集すると、女性は土俵に上がる前に『上がっていいですか?』と問いを投げかけています。女性が上がった後、観客から『なぜ女性が土俵に上がるのか』という声が起きて、若い行司が慌ててアナウンスしたようです」
ここで疑問なのは、なぜ「女性は土俵に上がってはいけない」という考えを持つ人がいるのか、ということ−−。
諸説あるなか、大相撲の歴史について、鈴木さんはこう説明してくれた。
「大相撲は1350年の伝統があるともいわれていますが、古代からの『相撲節会(すまいのせちえ)』はいまの大相撲とは別物。現代の大相撲のはじまりは、江戸時代に土俵が作られてからだと考えています」(鈴木さん・以下同)
じつは、その当時は女相撲の興行も人気だったようで、男女の取り組みなども見世物として行われていたという。
「ところが明治5年、文明開化の日本において、男女相撲は“公序良俗に反する”と禁止されたのです。女相撲の人気は続きましたが、いっぽうで“土俵の神聖化”が進められました」
そして明治42年、大相撲が“国技”と名付けられ、2年後には国技館を設置。昭和6年には、国技館の屋根が伊勢神宮と同じ神明造りに。新たな儀式も作り出されて、土俵が神聖化されていった。
「土俵は本場所が始まる1週間前に壊して、“清浄な土”を使い、4日間かけて新たに作ります。初日前日の土俵祭では、相撲三神と東西南北の四方の神を祭って、行司が神道式の祝詞をあげ、五穀豊穣を祈って《神迎え》をするんです。古来、日本人は神聖な場所と世俗の場所をしっかり区別していました。神聖な場所に入るときには、水や塩で清めたり、肉類を1週間食べないなどの作法を必要としていました」
大相撲では土俵の神聖化が進み、一般人は男性でも作法を守らないと上がれなくなり、特に女性には厳しく、土俵に上がることはできなくなってしまった――。
「平安時代以前より、神聖な場所において『血』はタブー視されていました。出産や月経のある女性は“不浄な穢れがある”、と刷り込まれてしまっていたのでしょう」
霊山に女性が登拝すると天変地異が起こるといった伝承も、多く残っているという。“神聖な場所に女性は立ち入ることができない”……いつしかそこがこの国では暗黙のルールとなってしまった。
「現在は年間6回行われる大相撲の『本場所』は、初日の前日に、土俵に神を迎えるために、女人禁制とする、という理屈なのです。しかし……今回のような、本場所ではない巡業先の土俵に女性が上がっても、問題はないわけです。本場所でも、千秋楽を終えてすぐ“神送り”をすれば、女性も土俵に上がれるのですが……」
「人命」より優先してまで守る「伝統」とは何なのか。あなたはどう思いますか?


460年の“女人禁制”打ち破った古武道「継承に性別関係ない」
「相撲協会は『伝統』と『人命』のどちらが大切だと思っているのか。女性に対して失礼だし、対応に疑問を抱いています」(50代女性)
4月4日、京都府舞鶴市で行われた大相撲春巡業で、土俵上で倒れた男性の救命措置を施した女性に、行司が「女性の方は下りてください」とアナウンスしたことについて、怒りの声は高まるばかりだ。
さらに8日、静岡市駿河区に開かれた春巡業でも、力士が土俵で子どもに稽古をつける「ちびっこ相撲」に参加予定だった小学生の女の子が、日本相撲協会からの要請で土俵に上がれなかったことが判明した。
「江戸時代から親しまれている大相撲ですが、『土俵は女人禁制である』と取りざたされたのは、じつは'70年代、子供相撲の女子代表が国技館の土俵に上がれず、参加を拒否されたことからです。その後、森山眞弓元官房長官、太田房江元大阪府知事らが、表彰のために土俵に上がることを拒否されて以降、問題が表面化しています」
こう語るのは、文化人類学が専門の慶應義塾大学名誉教授の鈴木正崇さんだ。「人命」より優先してまで守る「伝統」とは何なのか。
そんななか、最近、460年もの“女人禁制”の歴史を変えたのは、古武道の宝蔵院流槍術、第二十一世宗家の一箭順三さんだ。
「戦国時代、興福寺の子院である宝蔵院の住職が流祖になります。通常、槍は先がまっすぐですが、宝蔵院流は十字形で、重い。敵の槍を巻き込んだり、引き落としたりする槍術なんです」(一箭さん・以下同)
その実践的な宝蔵院流は槍の一大流派となり、江戸時代には4000人の門下が集まったという。
「槍は武家の男子が習うものであって、その後も男性ばかりに継承されました。いっぽうで、背筋をまっすぐにして腰を落として槍を構える姿は美しく、10年ほど前から女性からの問い合わせを受けるようになったんです」
そのたびに一箭さんは「男性のみ伝承してきた歴史」と断っていたが、自分でもなぜ女性ではダメなのか、明確にわからなかったという。
「そんな私の説明に相手の方が納得されたかどうかわかりませんが、当時の方たちには気の毒な思いをさせてしまったと思っていました」
男性だけでも仲よくやっていたし、継承者もおり、何も困らない。だが、“女人禁制への疑問”が根強く心に残っていたという。
「それで一昨年の10月、免許皆伝者を集めた会議で、女性を入れることを提案しました。『伝統を、あえて変えなくてもいい』という意見もありましたが、いちばん大事なのは宝蔵院流の技を継承していくこと。後世に伝えていくのに、男女は関係ないのではないかという結論になったんです」
昨年1月から女性を募集し、4月には女性3人が入会した。
「長くて重い槍は、女性には負担です。でも1回2時間の稽古を年間30回以上こなし、さばき方にもなれ、上達しています。今年の4月7日には、史上初の女性の昇級者が出て、うれしく思っています」
宝蔵院流のように、伝統を変えることには反対意見も当然生まれる。だが、前述の鈴木さんはこう指摘する。
「変わらない伝統は、途絶えてしまうもの。段階的にでも、時代に即した変化を続けなければ、次世代に伝えていけないのではないでしょうか」


「神様は女性」なのに…山、海も“女人禁制”だった過去
4月4日、京都府舞鶴市で行われた大相撲春巡業で、土俵上で倒れた男性の救命措置を施した女性に、行司が「女性の方は下りてください」とアナウンスしたことについて、怒りの声は高まるばかりだ。
さらに8日、静岡市駿河区に開かれた春巡業でも、力士が土俵で子どもに稽古をつける「ちびっこ相撲」に参加予定だった小学生の女の子が、日本相撲協会からの要請で土俵に上がれなかったことが判明した。
「江戸時代から親しまれている大相撲ですが、『土俵は女人禁制である』と取りざたされたのは、じつは'70年代、子供相撲の女子代表が国技館の土俵に上がれず、参加を拒否されたことからです。その後、森山眞弓元官房長官、太田房江元大阪府知事らが、表彰のために土俵に上がることを拒否されて以降、問題が表面化しています」
こう語るのは、文化人類学が専門の慶應義塾大学名誉教授の鈴木正崇さんだ。女人禁制は土俵だけではない。女人禁制が“伝統”とされてきた場所はまだまだある。
「信仰や修業の場であった霊山、たとえば今では女性に人気の高尾山や富士山も、かつては『女人結界』が設けられ、女性が立ち入ることを禁じていました。山には神が宿るとされ、トンネルを掘る工事現場にも、女性が立ち入ることは近年までなかったとされています」(鈴木さん)
日本の多くの山々から「女人結界」が解除される大きなきっかけとなったのは、明治5年、明治政府による通達だ。
「同年、京都で博覧会が開催されるため、外国からの訪問者が妻同伴で比叡山などを観光すると予想されました。文明開化を推し進めているのに、西洋から“遅れている”と思われたくない政府が、女人結界の解禁を進めたのでしょう。それほど慎重な議論があったとは思えません」
このように近代化に向けて変化した伝統もあるが、いまだに女人禁制とされている山、島もある。
「代表的なのは、沖ノ島(福岡県)や大峰山の山上ヶ岳(奈良県)など。大峰山は'04年にユネスコの世界遺産に登録され、その前に抗議運動が起こりました。しかし禁制を解除する動きはあり、'00年に解除が検討されていましたが、'99年、『女人禁制は女性差別』と訴えるグループが、強行登山を行い、地元住民の感情を逆なでしたので理解を得られませんでした。沖ノ島は、現在でも島全体が女人禁制で、男性でも儀式をしてからでないと上陸できません」
山と同じように、海も“異界”であり、神のいる聖域と捉えられていた。
「漁に出るのは男だけ。女性は漁船に乗れなかった時代がありました。でも、山の神様は女性ですし、そして船の守り神様も、女性なんですよ」
自然界ばかりではなく、日本酒の製造場も、神が宿るといわれている。
「麹の出来具合で、酒の品質が左右されます。その偶然性を人々は神意と捉えていたためでしょう。いまでも酒樽にしめ縄を巻くことがその証拠です。女性杜氏も増えてはきましたが、かつては男性ばかりの世界でした」


二階幹事長が暗躍か 首相訪米中に“安倍おろし”計画が着々
 これで麻生財務相の辞任も必至だ。セクハラ疑惑が報じられ、日本中の女性を敵に回した財務省の福田淳一事務次官が18日、辞意を表明した。これまで、報道は「事実と異なる」と疑惑を完全否定し、名誉毀損で提訴する準備をしているというコメントを発表するなど強気の姿勢だったのが、一転しての電撃辞任。更迭論を退け、かばい続けた麻生大臣も無傷ではいられない。
「職責を果たすのが困難な状況になっている」
 福田次官は辞任の理由をこう説明した。セクハラ暴言の音声データまで公開され、その後の「被害者は名乗り出ろ」という財務省のフザケた対応にも批判が殺到。
 財務省の記者クラブが珍しく協力要請を拒否し、抗議文を提出する事態になっていた。辞任は遅すぎるくらいだ。
「辞任の流れを決めたのは二階幹事長です。麻生大臣は夏の定例人事まで続投させるつもりでしたが、18日朝の自民・公明の幹部会合で、二階さんが『福田次官は自ら早くけじめをつけてもらいたい』と激怒していたという話が伝わり、財務省側も観念した。内閣支持率の下落で、党の発言力が強まり、二階さんの意思で物事が動くようになっている。官邸サイドが拒んでいた佐川前長官の証人喚問も、二階さんの鶴の一声で決まりましたからね」(財務省関係者)
 最強官庁の財務省で次官が任期途中で辞めるのは、98年の大蔵省接待汚職以来のこと。ノーパンしゃぶしゃぶの次がセクハラ辞任では目も当てられない。
 当面は矢野康治官房長が次官を兼任するというが、財務省では、文書改ざんで佐川宣寿前国税庁長官が3月に辞めたばかり。国税庁も次長が長官を代行していて、トップ2人が不在という異常事態だ。
「当然、麻生財務相の監督責任は避けられません。福田氏も佐川氏も人格が破綻しているとしか思えず、自分の保身のために、こんなイカれた人物を擁護してきた麻生氏の責任は重大です。即刻、辞任するしかない。しかも、こんな混乱を招いておいて、19日からのG20出席のために訪米するという無神経も信じられません。『セクハラ次官を擁護した女性蔑視大臣』と海外でも報道されているのに、どのツラ下げて国際会議に出られるのか。日本の恥です」(政治評論家・森田実氏)
■高まる麻生大臣への辞任圧力
 そんな中、福田次官に引導を渡して麻生大臣の防波堤を決壊させた二階氏が同じ18日の夜に出席した会合が話題になっている。赤坂の料亭で小泉元首相、山崎拓元副総裁、武部勤元幹事長、東京都の小池知事と会談したのだ。
「昨年の4月18日にも同じメンバーで会食し、その際は、偶然を装って同じ店にいた安倍総理とも会話をした。しかし、今回は総理が訪米で日本を留守にしているタイミング。小泉さんは最近、『総裁3選は無理だ』とバッサリだし、ヤマタクさんも“反安倍”の立場を鮮明にしている。そこへ二階幹事長が加わり、総理の不在中に『安倍降ろし』について話し合われたのではないかとみられています」(自民党関係者)
 小泉元首相は「週刊朝日」のインタビューで「安倍さんの引き際、今国会が終わるころじゃないか」と話していた。財務次官の辞任で、今後は麻生大臣への辞任圧力も高まってくる。
「財務次官の辞任が政権退陣の引き金です。麻生氏が辞めれば、安倍政権は持たない。総辞職しかありません」(森田実氏)
 不在にしている間に張られていく包囲網――。帰国したら、政治の景色は一変しているかもしれない。訪米中の安倍首相は気が気じゃないはずだ。


二階が次官に引導?政権の終焉演出か…
 ★首相・安倍晋三がトランプ大統領と日米首脳会談を繰り広げている最中、国会では財務事務次官・福田淳一のセクハラ問題の攻防が激化していた。18日、衆院財務金融委員会では官房長・矢野康治や副総理兼財務相・麻生太郎はセクハラ調査を行い、あくまでも次官を守る姿勢を野党に説明し続けていたが、その後麻生は次官の辞表を受理し、辞任が確定した。だが、首相訪米中に守り抜くはずだった次官の辞表を受け取る判断は、麻生自身のものだったのだろうか。 ★無論、官邸からの指示があったかもしれない。しかし官邸の主(あるじ)不在の中で、どんな指示があったのだろうか。自民党元幹事長・石破茂は「あの全否定は何だったのか。いったん全否定し、週刊誌を告訴すると。そのような記者がいるなら、名乗り出なさいと財務省の名前で言って、一転辞める。何なんだという感じがする」というように、党内でも唐突感を持って受け止められている。一方、立憲民主党幹事長・福山哲郎は「財務省は国税庁長官と次官が不在という異常な状況だ。麻生の責任は大きい」とすると、自民党幹事長・二階俊博は「重く受け止める」と応じた。 ★政界関係者が言う。「二階が次官に直接引導を渡したのではないか。つまりそれは政権の終焉(しゅうえん)の演出を党主導で始めたということでは。官邸の主不在の中で、ゆっくりと歯車を動かしたのではないか」。麻生は19日に米ワシントンで行われるG20に出発した。その出発前に次官の進退の決着をつけるべきと考えたのだろう。ただ週明けからは、麻生自身の去就が焦点となる。国会は衆参で空転。来週、政権は重大な局面を迎える。

安倍首相と官邸の欺瞞 記録厳重保存をタモリに自慢の過去
「記録が官邸には全部残っているんですね」――。
 加計学園の獣医学部新設を巡り、2015年4月2日に官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と愛媛県や今治市職員らが面談した際、「首相案件」と語ったとされる文書が見つかった問題。柳瀬氏は「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」などとシラを切り続けているが、官邸の入邸・面談記録を見れば事実関係は一発でわかる。内閣府担当者は「記録は廃棄した」などとはぐらかしているが、かつて安倍首相自身が、官邸の厳重な記録保存の体制を自慢していた。
 17日の参院農水委。民進党の桜井充議員が「2015年4月2日」の官邸の面談記録に関する質問で、安倍首相が14年3月21日にフジテレビ系の「笑っていいとも!」に出演していた際の発言を取り上げた。当時、安倍首相と司会のタモリの間で交わされた発言内容は、ざっとこんな通りだ。
〈現役の総理がバラエティーに出るのは、おそらく初めてじゃないかと思います〉(タモリ)
〈国民的番組ですからね。5000回の時に小泉総理がね。あの時、私、官房副長官をやっていまして。当時の小泉総理が『官邸に来ませんか?』と誘ったんですよね。そういう記録が官邸には全部残っているんですね〉(安倍首相)
 ちなみに小泉元首相が電話で番組出演したのは03年1月15日。生放送中に秘書官を通じてタモリとやりとりしたのだ。
 安倍首相が胸を張った通り、10年以上前の記録も「官邸には全部残っている」のであれば、たかが3年前の記録が残っていないはずがない。桜井議員が「廃棄した」と言い続ける内閣府職員に「バラエティー(番組で)のやりとりは残っているのに、なぜ、面談記録がなくなるのか」と怒りをあらわにしたのも当然だ。
「森友問題で『破棄した』と説明されていた公文書が後で見つかったように、面談記録も残していると考えるのが自然です。それに官邸の入邸者はすべて映像に録画し、セキュリティー室で管理、保存しているといわれている。残っていないなんて到底、信じられません」(野党議員)
「即アウト」の面談記録が見つかるのも時間の問題だ。


嘘で固めた「安倍一強支配」 見るも無残に自壊の必然<上>
財務次官の恥の上塗りと最強官庁が聞いて呆れる危機管理
 セクハラ問題が炸裂した財務次官が、決定的な証拠を突き付けられても認めず、みっともない強弁を続ける。安倍強権政治の無残な末路を見る思いである。
 19日未明、財務省の福田淳一事務次官からセクハラ被害を受けたのは、テレビ朝日の女性社員だと分かった。同社は音声データも確認し、セクハラを認定。ところがそれでも、福田氏はセクハラ行為を認めず、「全体としてみればセクハラに該当しない」とのたまった。
 一般の感覚からいえば、理解不能だ。「胸触っていい?」の一言だけでアウト。言われた相手がそう感じたら、即セクハラなのだ。「太ったね。妊娠したの?」でもダメだという声もあるほどで、「胸触っていい?」なんて言語道断。国民の感覚からズレまくっている。
 そのうえ、一昨日まで「自分の体を通してなので、自分の声なのかわからない」と屁理屈を言って音声データを認めていなかったのに、「全体としてみれば」という発言は、自分の声だと認めていることになる。
 麻生財務相も同類で、省を挙げて次官を守り、女性記者に「名乗り出ろ」と恫喝。それだけでも唖然なのに、福田氏も財務省もやっていることが支離滅裂で、恥の上塗りでしかない。最強官庁が聞いて呆れる。
「財務省はもともと古い体質を引きずった官庁なんです。建物内の廊下には、いまだに赤じゅうたんが敷いてありますからね。そのうえトップの大臣とナンバー2の事務次官がセクハラに対して化石みたいな感覚ですから、誰も鈴をつける人がいない状況。大臣と次官の対応が結果的に傷口を広げ、財務省への批判が高まるのは明らかなのに、誰も責任を取りたくないから、大臣や次官に何も言えない。組織としてのガバナンスが機能していないのです」(元経産官僚の古賀茂明氏)
 史上最低政権の最悪官庁の実態があらわになったということだ。
なぜバレる嘘をつき続けるのか、正気を失っている政権の迷走
 東大卒がうじゃうじゃいる優秀な霞が関の官僚たちが、一体なぜ、子供でも分かるような嘘をつき続けるのか。
 財務省は次官のセクハラ問題だけじゃない。森友問題での決裁文書改ざんもそうだし、「パソコン上のデータは短期間で自動的に消去されて復元できないシステム」などと腰を抜かす国会答弁もあった。
 厚労省による裁量労働制のデータ捏造、防衛省の日報隠蔽、そして加計学園の獣医学部新設をめぐる柳瀬唯夫元首相秘書官の「首相案件」発言。愛媛県の文書に官邸を訪問して柳瀬氏に会った記述があるのに、「記憶にない」と言い張る。いずれもみな、すぐバレる嘘なのに、官僚たちは“完璧”に隠せていると思い込んでいる。その感覚がすでに正気を失っているとしか言いようがない。
「嘘で塗り固めるというのはこの5年間の安倍首相の政治手法であり、その下で出世する官僚は皆それを真似るようになっていったのではないか。私は安倍手法について、街頭演説での『こんな人たちに負けるわけにはいかない』と、国会で当時の佐川宣寿理財局長にメモで渡したとされる『もっと強気で行け』という2つの発言が象徴的だと思っています。つまり、自分にとって不都合な人は力で制圧し、事実は二の次で突っ込む。証拠を突き付けられても、認めない。盲信的なネトウヨそのもので、そこにまっとうな議論はありません。残念ながら、霞が関にもそれが浸透したということでしょう」(上智大教授の中野晃一氏=政治学)
 安倍政治はまさに悪魔のサンプルだ。


嘘で固めた「安倍一強支配」 見るも無残に自壊の必然<中>
安倍5年間で失われた役所のガバナンスと良識
 それにしても、怒涛のような2カ月だ。森友文書の改ざんが発覚したのが3月2日。それ以降、次から次へと不祥事が表ざたになる動きが止まらない。鉄壁の官僚機構が自ら音を立てて崩れ、安倍政権などしょせん、砂上の楼閣だったことが、国民の目にも連日、くっきり映し出された。
 ここへきて、一気に膿が噴き出したのはなぜなのか。前出の古賀茂明氏はこう見る。
「安倍1強に陰りが見えてきたことが背景にあるでしょうが、官僚心理には、佐川前国税庁長官の悲惨な姿が影響していると思います。森友問題で財務省の決裁文書改ざんが見つかり、佐川氏の『交渉関連の文書は廃棄した』という国会答弁が虚偽だったことが明らかになりました。佐川氏がそこまでして安倍首相を守っても、結局、更迭され、官邸にも財務省にも切り捨てられた。霞が関の官僚たちは、『隠すと後で大変なことになる。勢いを失った政権は自分を守ってくれない』という恐怖感を抱き、隠すのをやめたのです。安倍首相のために愛媛県職員らと面会したことを否定している柳瀬元首相秘書官も、この先どうなるのかわからなくなっていますしね」
 膿が出たのは不幸中の幸いだが、それでも5年は長い。この間、全体に奉仕する「公僕」という意識が薄れ、ヒラメのように上を見て、“アベ様”のために仕事する官僚ばかりになってしまった。役所のガバナンスと良識が失われてしまった。安倍本人がそういう官僚を望んだからであり、破廉恥極まりない。
文科省と自衛官が垣間見せた反安倍狩りこそ、この政権の正体
 犬は飼い主に似るというが、国政を動かす政権が狂っていれば、支える政治家も仕える官僚も、それ相応の人間の吹きだまりになっていく。
 前文科次官の前川喜平氏の講演に政治介入した問題は露骨だった。前川氏は安倍首相の“腹心の友”が進めた加計学園の獣医学部新設をめぐり、「総理のご意向で行政が歪められた」と告発した“政権の敵”だ。名古屋市立中学が授業の一環で依頼した講演について、文科省が市教育委員会に経緯から内容に至る詳細な報告を要求。文教族の2人の“安倍チルドレン”による圧力の結果だった。
 現職自衛官の暴走も起きた。防衛省統合幕僚監部に所属する30代の男性3等空佐が、ジョギング中に鉢合わせた民進党の小西洋之参院議員を恫喝。再三の警告を無視し、「おまえは国民の敵だ」「おまえの議員活動は気持ち悪い」などと20分間にわたって罵声を浴びせ続けた。選挙権行使を除く政治的行為を制限し、信用失墜行為を禁じる自衛隊法に反するのは言うまでもないが、民間人の振る舞いとしても許されない行為だ。
 元文科省大臣官房審議官の寺脇研氏は言う。
「彼らに共通するのは、安倍政権に盾突く人間は許さないという思想です。安倍首相シンパが秘密警察のごとく周囲を監視し、恣意的に動き回るさまは異常としか言いようがない。前川氏の一件もトンデモないですが、3等空佐のような行動を霞が関の官僚が取ったらどうなると思いますか。輪を掛ける騒ぎになって、即刻厳罰処分が下されるでしょう。それぐらいの一大事なのに、〈若い隊員なのでさまざまな思いがある〉などと容認するような発言をした小野寺防衛相の見識を疑います」
 まさに、腐ったリンゴの方程式だ。
安倍政治5年間、法制局から財務省までの死屍累々
 安倍政治の5年間で霞が関に、異常な「忖度」の嵐が吹き荒れるようになった要因はひとつ。安倍政権の常軌を逸した人事権の乱用である。
 12年に政権に返り咲いた当初から、内閣からの独立性や中立性を無視し日銀総裁や内閣法制局を「わが意」をくんだ人物にすげ替え、やりたい放題。安倍の注文通りの異次元緩和で黒田日銀の国債保有量は450兆円に達し、今や発行全体の約4割を占める。歴代政権の解釈通り集団的自衛権は違憲とする法制局長官も「合憲」と言い張る外務官僚に差し替え、解釈改憲を断行と、人事をテコに禁じ手に次ぐ禁じ手の繰り返しだ。
 3年前には元首相秘書官で“お気に入り”の財務省の田中一穂氏を強引に事務次官にネジ込んだ一方で、官邸に盾突いた官僚は必ず飛ばされる。ふるさと納税創設をめぐる規制緩和に反対した総務省幹部、官邸の人事介入に抵抗した外務省幹部、TPPで農家側に立った農水省の次官候補……。昨年は知人との会合の席で政権の方針に不満を漏らしただけで、釜山総領事が更迭された。まさに壁に耳あり、密告奨励の恐怖支配で、霞が関は死屍累々のありさまだ。
「安倍政権の尋常ではない人事権の乱用が官僚の誇りやモラルを引き裂き、ゴマスリ、嘘つきがのさばる惨状を招いたのです。常に官邸の顔色をうかがう官僚だけが厚遇された末、ついに財務官僚は民主主義の根幹を破壊する公文書改ざんという大罪にまで手を染めた。その財務省トップは、かつて見たこともない下品な官僚だったのです」(政治評論家・森田実氏)
 この国の中枢は安倍政権によって堕落、腐敗しきっている。
こんな首相にひれ伏していた自民党がポスト安倍争いの笑止千万
 政権浮揚をかけた訪米で主が留守の最中、安倍1強のもと押し黙っていた自民党が“ポスト安倍”をにらんで動きを活発化させている。失笑噴飯モノである。
 禅譲待ちと冷やかされ、渡米前の安倍と高級焼き肉をつついていた岸田文雄政調会長は態度を一変。18日の岸田派パーティーで「私自身は飛べない男と揶揄されることもあるが、国難に立ち向かい、国を動かす決意を新たにしなければならない」と気炎。会場で配布した政策集も反アベ一色で、9月の総裁選への意欲を見せた。
 政治評論家の野上忠興氏が言う。
「安倍首相は死に体だという党内の認識が強まったのを受けて、岸田氏もようやく腰を上げたのでしょう。安倍1強を支えてきた麻生財務相の辞任は時間の問題ですし、政権を去った麻生氏が総裁選へのスタンスを見直す可能性は大。第2派閥の麻生派が動けば、安倍首相を取り巻く派閥地図はガラリと変わる。それを織り込み、ポスト安倍争いの激化は必至です」
 きのうも「総理のおっしゃる〈膿は徹底的に出し切る〉をどう実践していくかだ」ともチクチクやった石破茂元幹事長は、「私どもと似た方向になっている」と岸田派の政策骨子を評価。反アベ勢力の形成に向けて秋波を送る。
 野田総務相もかまびすしい。セクハラ疑惑で財務省が被害者に協力を求めたことについて、「セクハラは被害者の保護、救済が最優先の中で取り組みが違うのではないか」と批判。麻生の進退をめぐっては、「麻生氏の任命権者である安倍首相が判断されること」と突き放した。
 いずれも念頭にあるのは、週末に実施される報道各社の次期首相を問う世論調査だ。安倍にひれ伏し、傍若無人を助長させた連中がゴーマン政権が自壊に差し掛かるや、こぞってポスト安倍争いとは……。その鉄面皮には愕然とする。


嘘で固めた「安倍一強支配」 見るも無残に自壊の必然<下>
迷走政権「亡国外交」のツケはとてつもないものになる
 北朝鮮問題で国際社会から“置き去り”にされ、焦った安倍が押しかけた形の日米首脳会談。不祥事続きでボロボロの安倍の訪米は、世界中の笑いものだった。
 米主要紙には、「イラつくトランプが衰弱した日本のリーダーを迎える」(ワシントン・ポスト=17日付)、「スキャンダルまみれの安倍首相、トランプに会う」(ニューヨーク・タイムズ=16日付)とコケにされ、英「フィナンシャル・タイムズ」(18日付社説)からは「安倍首相に大恥をかかせてはいけない」とお慈悲をかけられる始末だった。
 案の定、会談はワンサイドゲーム。19日の共同記者会見で、トランプ大統領は「拉致問題の重要性」に言及したが、安倍を喜ばせたのはそれだけ。次々と、日本に要求を畳みかけた。
「日本の防衛能力向上の手助けを早める」と米国製の武器を売り込む一方、鉄鋼・アルミの輸入制限の日本への適用除外は拒んだ。安倍が熱望する米国のTPP復帰は「私は2国間協議の方が好きだ」と一蹴。日米閣僚級の新しい通商協議をスタートすることになった。
「トランプ大統領は現在、ロシア疑惑や女性問題などを抱え、追い詰められています。また、秋の中間選挙に向け、民主党が力を増している。そのタイミングで、サンドバッグのように、叩いても何も言わない日本の首相がやってきたわけです。米朝会談で拉致を取り上げるというイージーな一点と引き換えに、トランプ大統領は、日本にいくつも要求を突き付け、米国民にアピールできたわけです。閣僚級協議は明らかに日米FTA(自由貿易協定)を狙ったもの。米側のライトハイザー通商代表はタフネゴシエーター。今後、米国はますます厳しい要求で攻めてくるでしょう」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)
 亡国外交のツケを払わされるのは国民だ。
腐った政権と官僚機構を立て直すことなどできるのか、何年かかるのか
 安倍退陣で仮に岸田首相になれば、ハト派の宏池会出身だから揺り戻しがある、改憲も吹っ飛ぶ、などという見方もあるが甘い。安倍によるこの国の破壊は、そんな次元で修復できるものではない。無理が通れば道理が引っ込むで、政権も官僚機構も骨の髄まで腐ってしまった。嘘をつき続け、その嘘を通すために、公文書改ざんという犯罪まで犯し、この国の政治から「正義」が消えてしまったのだから。
 引責辞任の財務省の2人、福田・佐川両氏と同期入省だった自民党の片山さつき参院議員が、堕落した出身官庁について、19日、「落城1日、再築城は10年以上だ」と言っていたが、これは政権全体にも当てはまる。前出の中野晃一氏がこう言う。
「ただ安倍政権が倒れれば正常に戻るのかといえば違う。事実をねじ曲げるという安倍政治の異常性について、きちんと検証しなければ次には進めないでしょう。下手すれば、ネトウヨなどが、『朝日新聞の陰謀だ』などと言い出し、安倍政権の時代を美化しかねません。私たちは5年もの長期にわたって、嘘に慣らされ、民主主義を踏みにじられ、徐々に正常な感覚を麻痺させられてきた。正気を取り戻すためにも、『王様は裸だ』と言い続けなければなりません」
 ナチスの手口で強権を振りかざし、やりたい放題の政治が5年も続いた結果、国民は内政でも外交においても、嘘で塗り固めた幻想を見せられてきた。その間、官僚は独裁に怯え、忖度し、マトモな議論が通用しない国になってしまった。立て直しは容易ではない。
もう蠢き出した小泉、小池百合子がかき回す政局も胡散臭さプンプン
 政局ゴロも蠢動を始めた。その中心は、発売中の「週刊朝日」のインタビューで「安倍さんの引き際、今国会が終わる頃じゃないか。総裁選で3選はないね」と引導を渡した小泉元首相だ。小泉政権の同窓会という名目で18日に会合を持ち、小池都知事、自民党の二階幹事長、山崎拓元副総裁、武部勤元幹事長の5人で1年ぶりに卓を囲んだ。
 山崎によれば、疑惑と不祥事まみれの安倍政権について「人心一新のときがきている」という認識で一致。小泉は「安倍首相の3選は難しい」と繰り返したという。正論ではあるが、このタイミングでこの面々だ。どうも胡散臭さがプンプンする。
「小泉氏の安倍退陣論は一種のクセ球。陸上自衛隊のイラク日報隠蔽問題で、派遣決定当時の小泉首相が口にした〈自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ〉が虚偽答弁だった疑いが浮上している。世論に敏感な小泉氏の目くらましでしょう」(野上忠興氏=前出)
 小池は排除する側からされる側となり、存在感ゼロ。常にスポットライトを探し求めているし、二階にとっては格好の揺さぶり材料。公然と安倍批判を展開する会合への参加がさまざまな臆測を呼び、求心力が上がると計算ずくなのである。
暗黒の官邸が5年間やってきた権力の私物化、乱用、粛清の悪事
 この5年間、1強支配にあぐらをかいた暗黒の官邸は権力を完全に私物化。国家戦略特区を舞台として「利権屋」たちに規制緩和で滴り落ちた甘い蜜を吸い続けさせた。
 モリカケ疑惑にスパコン詐欺事件も根っこは同じ。安倍に近い“お友だち”同士で利権を分け合ってきたのだ。
 人事権をバックに強権を振るい、官邸の意向より国民の利益を重視する「公僕」には粛清の嵐。政権に逆らった前川前次官には辞めた後も「出会い系バー通い」のレッテル貼りで人格攻撃の粘着質である。
 安保法制などの重要法案は強行採決の連続。昨年は委員会審議を途中で打ち切る「中間報告」という禁じ手で、現代の治安維持法と呼ばれる共謀罪も成立させた。
 とにかく、一度決めたら、世論の批判には耳を貸さず、立憲主義など、どこ吹く風で、何もかも議会の数の力を頼りに押し通してきた。前出の森田実氏はこう言った。
「安倍政権は運だけに支えられてきた。衆参両院選挙で5連勝し、強大な権力を持ちえたのも、旧民主党政権の自壊とその後の野党分裂で政権交代の芽がついえたせいです。それでも“勝てば官軍”で襟を正すことなく、お友だちのために権力を私物化し、右翼思想にかぶれ、数々の違憲立法をゴリ押し。民主主義をぶち壊し、憲法を破壊しても平気の平左。新自由主義に根ざした無責任な経済政策で格差を広げ、生活を悪化させた揚げ句、官僚機構も腐敗させ、国民を諦めと絶望の淵に突き落とした。安倍政権は間違いなく、史上最悪の政権として歴史に名前を刻むことになる。この政権を即刻終わらせることが日本国民のためですよ」
 安倍辞任と内閣総辞職で「膿の源」を絶たなければ、この国の堕落と腐敗は止まらない。見るも無残な政権の空中分解の巻き添えになりたくなければ、国民は全力を挙げて安倍強権政治に一日も早く終止符を打つ必要がある。


文科省でも証拠メール発見で、もう嘘は無理! 柳瀬唯夫首相秘書官が「官邸の“安倍さん命”の空気についていけない」とグチ
 安倍首相の嘘を実証する証拠が、また新たに出てきた。本日、林芳正文科相は、加計学園幹部と愛媛県・今治市職員らが2015年4月2日に官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会する予定であることを記したメールが見つかったと公表したからだ。
 これは面会当日に内閣府から文科省宛てに送信されたメールで、送信された時間は12時48分。送信者である内閣府の地方創生推進室の職員は、11時30分から1時間にわたって内閣府でおこなわれた藤原豊・地方創生推進室次長(当時)と加計幹部らの〈面会の結果〉を報告し、その上で〈本日15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです〉と書いているのだ。
 柳瀬氏は「記憶の限り会っていない」と言い張ってきたが、愛媛県が作成した面会記録文書以外にもこのメールが発見されたことによって、「会っていた」ことは確定的になったと言える。
 しかも、だ。このメールでは前述したように内閣府での〈面会の結果〉が報告されているのだが、その内容は、すでに公表されている愛媛県の面会記録文書に記された〈藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11時30分〉とほぼ同じ内容が記載されているのだ。重要な問題なので、以下、比較しよう。
【内閣府→文科省宛てメール】
〈・今月(又はGW明け?)に予定する国家戦略・構造特区の共通提案に出してみては。
・反対派の同意を得るためにも、構想の内容(コンセプト、カリキュラム、自治体の取組等)を検討いただき、ご相談いただきたい。〉
【愛媛県作成の面会記録文書】
〈・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始。
・ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい。〉
〈・獣医師会等と真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴、例えば、公務員獣医師や産業獣医師の養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応に加え、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しなどもしっかり書きこんでほしい。〉
柳瀬唯夫首相秘書官が「官邸の“安倍さん命”という空気についていけない」とグチ
 このように、今回、発見されたメールの記載と愛媛県の面会記録文書の記載に齟齬がないということは、愛媛県の面会記録文書は面会時の発言をきちんと残した文書であるということを裏付ける。
 つまり、「本件は、首相案件」という柳瀬氏の発言や、安倍首相と加計孝太郎理事長が会食時に獣医学部新設について話し合っていたとする発言も、その信憑性はさらに高まり、信頼に値する文書だとあらためて実証されたことになるのだ。
 しかも、じつは柳瀬氏は首相秘書官時代、こんな言葉を漏らしていたということが、昨日発売の「週刊文春」(文藝春秋)に掲載された。
「どうも官邸の“安倍さん命”という空気には私はついていけません」
「今井さんが首相に近い企業を押し込んでくる」
  この「今井さん」とは、言うまでもなく安倍首相の懐刀として知られる今井尚哉首相秘書官のこと。森友学園問題では、土地取引から文書改ざんまで関与し、官邸の司令塔となってきたのではないかと目されている人物だ(詳しくは過去記事参照)。
 柳瀬氏が言う「今井さんが首相に近い企業を押し込んでくる」というのは、安倍首相の外遊についてのこと。安倍首相は外遊の際に財界人を同伴させて原発や新幹線などのセールスを展開してきたが、そうした人選を担当していたのが柳瀬氏だった。だが、その際に今井首相秘書官が「首相に近い企業を押し込んでくる」ことに、柳瀬氏は嫌気がさしていたらしい。
 そして、じつはこの「首相に近い企業」には、加計学園も含まれている。実際、2013年5月24〜26日におこなわれたミャンマー訪問には加計理事長が同行。なんと政府専用機にまで加計理事長を搭乗させていたことがわかっている。
 本サイトでは、このミャンマー訪問直前の2013年5月6日、安倍首相と加計理事長がゴルフに興じた際に柳瀬氏も一緒にプレイしていたことを伝えたが、この時期から柳瀬氏は加計学園が「首相案件」であることを、あらゆる面で認知していた。そして、加計理事長のミャンマー訪問同行も、今井首相秘書官がねじ込んでいた可能性が出てきたのだ。
“影の首相”今井尚哉首相秘書官が「柳瀬はこっち側の人間じゃない」とパワハラ
 柳瀬氏にとって今井首相秘書官は、経産省の2期上の先輩。そんな今井氏による首相中心のゴリ押しや、官邸に流れる「安倍さん命」の空気に馴染めないでいた柳瀬氏を、どうやら今井首相秘書官は感じ取っていた。「週刊文春」によれば、今井氏は「柳瀬はこっち側の人間じゃない」として、2013年11月、それまで歴代の経産省出身秘書官が担当していたマスコミ対応の仕事から柳瀬氏を外したのだという。
 この“パワハラ”が功を奏したのだろう。柳瀬氏は経産省に早く戻りたい一心で、安倍首相に尽くすべく、2015年4月の官邸での加計幹部らの訪問対応などを担当。無事、同年夏に経済政策局長という次官コースのポストを用意され念願の経産省に戻った、というわけだ。
 しかし、ここにきて焦点となる面会記録文書が出てきたことで、再び矢面に立たされることになった柳瀬氏。もはや、柳瀬氏の「記憶にない」という言葉を信用する国民は安倍応援団くらいしかいないだろうが、柳瀬氏がそんな見え透いた嘘を吐きつづけているのも、すべては安倍首相の国会答弁との整合性をとるため。さらに、今井首相秘書官との関係を考えれば、相当なプレッシャーをかけられていることは火を見るよりあきらかだ。──ようするに、森友問題における佐川宣寿・前理財局長と同じ立場にあるのだ。
 完全に安倍首相の下僕と化した佐川氏とは違い、首相秘書官時代から“面従腹背”の状態だった柳瀬氏。望みはかなり薄いが、すでにばれている嘘をつきつづけるよりも、ここは前川喜平・前文部科学事務次官のように反旗を翻してほしいもの。最後に、前川氏が佐川氏の国会招致前に送ったメッセージを、柳瀬氏にも送りたい。
「知っておられることをありのままにお話しいただきたいなと思います。これから20年、30年と生きる人生のなかで、ほんとうのことを話したほうがこれからの人生が生きやすいのではないかと思いますけどね」(編集部)


コムアイが奥田愛基のイベントに参加! かつて明かした“政治的発言やデモ参加への葛藤と無力感”にどう向き合ったのか
 ついに、コムアイ(水曜日のカンパネラ)が動き出すのだろうか。
 元SEALDsの奥田愛基氏が中心になり、「音楽×アート×社会をつなぐ都市型フェス」と銘打ったイベント「THE M/ALL」(5月26日、27日開催)に、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)らと並んで、コムアイも出演することが発表された。
 このイベントは「音楽×アート×社会をつなぐ都市型フェス」とのキャッチコピーの通り、政治ではなくカルチャー寄りのイベントだが、かといって、政治や社会的イシューを無視するようなイベントでもない。奥田氏は「政治も社会も恋も音楽も全部横断的に話していく」(「ハフポスト日本版」4月15日付インタビュー)と言い、トークセッションなども行うと語っているが、たしかにどんな「カルチャー」も「生活」も「政治」と無関係ではいられない地続きにあるものだ。
 クラウドファンディングサービスのウェブサイト「CAMPFIRE」上にあるイベントの趣旨説明には〈すべての表現にはそれが生まれた理由があり、そこには必ず社会的な背景があります。アートを楽しむこととは、その作品にまつわるものを「知り、学び、考え、行動すること」につながっていく体験だったはずです。そこでTHE M/ALLでは、「ライブやアートを楽しむ空間」とともに「カルチャーを学び、考え、参加する空間」を用意し、その二つを自由に行き来できる場をつくります〉との文言もあり、実際、「THE M/ALL」では、ミュージシャンやDJによるライブのほかに、社会問題について語り合うトークセッションも予定されているという。
 そんな「THE M/ALL」に出演するコムアイだが、彼女は若い世代のミュージシャン(1992年7月生まれ)としては珍しく、政治や社会に関する発言を臆することなくすることでよく知られている。
 とくに、共謀罪に関する議論が白熱していた昨年5月にツイッター上に投稿した言葉は、短いながら大きな反響を呼び起こした。
〈FUCK共謀罪〉
 そもそもコムアイは、ミュージシャンになった経緯もかなりユニークだ。後藤正文が編集長を務めて発行している新聞「THE FUTURE TIMES」特別号にて、コムアイは後藤と対談しているのだが、そのなかで彼女は水曜日のカンパネラという音楽ユニットを結成しミュージシャンになったユニークな経緯を語っている。
「16歳の誕生日は六ヶ所村で…」コムアイが十代の頃から抱いてきた問題意識
 彼女は十代の頃から社会的な問題意識を強く抱えていた。それは思索のみにとどまらず行動を伴うものであり、「16歳の誕生日は六ヶ所村で過ごしてて」との驚くべき思春期の思い出を披露しつつ、そのときに感じた思いをこのように語っている。
「ピースボートの事務所で会った人たちと映画『六ヶ所村ラプソディー』を観て、夏休みに六ヶ所村に行ってみようって。ただ、行っても別に何もできることはないし、見て感じるしかないじゃないですか。でも再処理工場の近くで畑をやってる人たちが印象的だったな。ものすごい罪深いものを抱えながら、でもポジティブで、もうどっか切り離してるような感じもあって」
 そもそもコムアイはミュージシャンになる気があったわけではない。しかし、そんな彼女と現在のマネージャーの出会いが運命を変えることになる。コムアイが自身の抱える社会的な問題意識を語ったところ、「だったら音楽家になって発信したほうが一番世の中に広く伝わりやすいし、言っても悪く見られない」と、ミュージシャンになることを薦められ、現在にいたるキャリアがスタートするのだ。
 自身が発信したいメッセージをより広く届けるために、敢えてカルチャー的なクリエイティブを突き詰める方向に進む──そのような道を選んだ背景には、もうひとつこんな出来事もあった。
「クイック・ジャパン」(太田出版)16年3月号にて、コムアイは奥田氏と対談で共演しているのだが、その記事ではこんなエピソードを語っている。彼女は原水爆禁止日本国民会議(原水禁)のデモに参加した際、そこで配られたビラを見てデザイン的な配慮がまったくなされていないことを感じ、「これはなにも伝わらない」と感じたというのだ。
「そこで配られているビラに衝撃を受けて怖くなかったんです。これを街の人に配る自分の無力さを感じた。ピンク色の紙に、筆ペンでびっしり意味不明の文字が書いてあって、「これはなにも伝わらない」って」
「この状態を変えるには、自分がスキルを高めるか、有名になるしかないって。だから、そこで1回デモとは距離を置こうと」
 現在の日本の音楽業界において、社会的なイシューに踏み込んでいく若手ミュージシャンは非常に少ない。ベテランになれば、吉川晃司、長渕剛、佐野元春など、まだまだ現役で活躍する歌手が複数存在するが、20〜30代となると「キョウボウザイ」で共謀罪強行採決にいたるまでの安倍政権の欺瞞を突いたSKY-HI(AAAの日高光啓)など数えるほどしかいない。
 そんなコムアイだが、ここ最近はインタビューで政治や社会問題に関する話題を積極的にはしなくなってきていた。前述した〈FUCK共謀罪〉のツイートはむしろ珍しいケースであるといえる。
「水曜日のカンパネラを大きくして、世の中を変える力を発揮できるようになりたい」
 そのように姿勢を変えたのは、「炎上するから」とか「圧力をかけられて業界から干されるから」といった理由ではない。
 昨年12月に出版された「ele-king」vol.21のインタビューで彼女は「めっちゃ我慢してるんですけど」と語り、社会的イシューに関するメッセージの出し方について模索していると語っている。
 なぜ模索するのか。それは、どうすれば、より自分とは遠い場所にいる人のもとにまで言葉を届けられるかを考えているからだ。「SPA!」(扶桑社)16年6月21日号のインタビューではこんなことを語っていた。
「政治的な意見って、音楽の趣味と違って、個人の考え方と密接に繋がったものだから、同じ意見を持ってる人としか遊べなくなっちゃうみたいなのがイヤなんですよ。(中略)例えば、いま私がデモに行っても、その力は何万人分の1にしかなれないじゃないですか。それが悔しい。デモに参加した時点で、「あの人はそっち系か」と思われるじゃないですか。そうなると、“そっち”のなかの一人にしかならない。それだったら、水曜日のカンパネラを大きくして、気づかぬうちに世の中を変える力を発揮できるようになりたい。私、そんなに欲浅くないので」
 この言葉は、先に挙げた原水禁のビラを配ったときに無力感を感じたエピソードの延長線上にあるものだろう。何万人分の1になることにも大きな意味はあるし、コムアイのようなアーティストがデモに参加すれば、それ以上の影響力もある。たとえば先日14日に国会前で行われた安倍政権への抗議デモには5万人もの人が参加、メディアでも大きく報じられその影響は政治家たちも無視できないだろう。しかし一方で、朴槿恵を退陣に追い込んだ韓国のデモや、アメリカの反トランプデモに比べれば、まだまだ圧倒的に参加人数が少ないのも事実だ。コムアイがはがゆさを感じているのも、そういうところかもしれない。
 その意味で、奥田氏が「同じジャンルで固まっていっても、外には開かれていかないじゃないですか。デモに行く人が『クラブなんて…』とか、クラブを楽しむ人が『デモなんて…』ってもったいない。音楽を聴く人も、社会を考えたい人も全部を混ぜていきたいんです」(前掲「ハフポスト日本版」)と語るイベント「THE M/ALL」は、コムアイの問題意識ともかなり通じるものがあるのだろう。
 水曜日のカンパネラは昨年3月、初の日本武道館単独公演を成功させた。その後もグループの勢いは止まらず、NHK Eテレ『にほんごであそぼ』に「江戸っ子どこどこ」を提供したうえで番組とコラボしたり、その一方で、上海と北京で行われる中国最大の野外音楽フェス「Strawberry Music Festival 2018」に出演が決まったりと、その活動の規模はより大きく、そして多岐にわたっている。
 かつて語っていた社会的発信への葛藤から一歩踏み出す何かを見出したのだろうか。「THE M/ALL」で、コムアイがどんなパフォーマンス、メッセージを見せてくれるか。今後のコムアイの活動にも注目していきたい。(新田 樹)


「大さか」最古の地名記述か 蓮如直筆の和歌草稿に
 本願寺中興の祖・蓮如直筆とみられ、「大さか」の文字がある和歌の草稿が見つかり、所蔵する京都市山科区の本願寺文化興隆財団は20日、大阪の地名が記述された最古の原本とみられると明らかにした。
 「なにわ」「なみはや」と呼ばれていた時代から「おおさか」へと土地の呼び方が変わる過程をひもとく史料といい、財団の藤田香奈子学芸員は「真宗史のみならず、日本史上極めて貴重」としている。
 財団によると、見つかったのは、室町時代末期の明応7(1498)年11月8日付で、和歌5首がしたためられた草稿。2011年に京都市内の古美術商から購入した。