フランス語の勉強?

avril 2019

テレビがつまらない/天皇制なくても困らない

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関学190420

Demain, c'est la fête du muguet: découvrez la tendance de cette année
C’est demain qu’il faudra l’offrir : le muguet reste la tradition parfumée du 1er mai. Sa cueillette s’est intensifiée ces dernières semaines. Chez nos voisins, c’est à Nantes qu’on le trouve. Le bassin nantais assure 85& de la production en France. L’objectif était de récolter 60 millions de brins de muguet pour le 1er mai. Julien Modave.
Yvon Guedon, cultivateur dans la région nantaise, se penche pour cueillir le résultat de plusieurs mois de travail. Il est satisfait, un brin ému: "c’est un muguet qui se tient bien, le muguet c’est une loterie un peu". Et cette année 2019 est un très bon lot, grâce à l’alternance de pluie et de soleil, "si vous voyez la nature, tout pousse en ce moment" ajoute Yvon.
Météo...et savoir faire
Mais la météo n’est pas la seule responsable de cette belle cuvée. C’est aussi grâce aussi au savoir-faire des cultivateurs nantais : 50 millions de brins chaque année car oui, un bon muguet dépend de la météo mais c’est presque une science de faire en sorte qu’il soit prêt pour le premier mai. "Au début il fait très beau, ce qui fait qu'il a fallu retarder un peu le muguet" avance encore Yvon.
Retarder le muguet, c'est quoi ?
Retarder le muguet… c’est-à-dire le plonger dans le noir sous des bâches pour qu’il ne voit pas le soleil mais depuis quelques jours, ces 7.000 saisonniers ont un autre problème : "s’il pleut, on recouvre parce que si l’eau tombe dessus, le muguet est perdu" précise le cultivateur.
Un euro 50 le brin
Entre deux averses il faut avoir l’œil pour ramasser des brins avec au moins 4 clochettes ouvertes. L’assemblage se fait en chambre très froide pour préserver les fleurs avant expédition. Le brin devrait se vendre 1.5€ mais la nouvelle tendance est de les offrir avec leurs racines ; 12 € le pot de trois pour un rendu plus naturel.
Pour l'arrivée du nouvel empereur et l'entrée dans une nouvelle ère, les Japonnais ont eu droit à des vacances exceptionnelles. Ce qui ne ravit pas tout le monde.
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フランス語の勉強?
内田樹@levinassien
トランプのレッドカーペット問題、トルドーの言い間違い問題、どちらも、諸国の首脳が日本の首相に対して「あまりていねいな配慮する気がない」ということを露呈していると僕は思います。敬意や友情を感じている相手にはまずこんな「無思慮なふるまい」はしないですから。
岩上安身 @iwakamiyasumi
ホワイトハウスの公式のツィッターでは、日米首脳同士の晩餐会ではなく、トランプ夫人の誕生日を祝うディナーに、安倍夫妻が陪席した、ということ。トランプと安倍が首脳同士、同等の関係を築いているという虚構をホワイトハウスがあっさり打ち砕く。このアカを世界中の1200万人もの人々がフォロー。President Trump and First Lady Melania Trump will have dinner tonight with Prime Minister Shinzo Abe and Mrs. Abe in honor of the First Lady's birthday!
内田樹@levinassien
十三まで『主戦場』を見に行きました。満席。いや、これは必見です。2時間どきどきしっぱなし。劇映画ではこの緊張感はまず味わえませんね。最後に日砂恵ケネディのきわめて誠実な告白のあとに修正主義者を代表して加瀬英明が出てきて圧倒的なフィニッシュを決めてくれましたた。
ドキュメンタリーを見ると、インタビューを受けた人たちが「Q&A的に仮想された反論を封じるために高飛車に話している」場合と「目の前にいる聴き手にぜひ理解してもらおうと思ってはなしている」場合で、説得力がまったく違ってくるということがわかります。それは両方の立場について言えます。
加瀬英明は「自分に対する反論をまったく想定していないが、目の前の聴き手の理解もまったく求めていないでしゃべっている」という点でただ一人例外的なインタビュイーでした。最後にこの日本会議の大物を持ってきて、慰安婦問題の本質をあきらかにした監督の編集の鮮やかさに脱帽。

伊地知紀子 @chejusaran
『主戦場』鑑賞。映画を製作したミキ・デザキ監督に深く感謝します。両論併記でないことは観ればくっきりわかります。吉見さんたちの資料や分析、証言は80%くらい知っていますので、歴史修正主義者の出す論点との重ね具合に感心しました。ぜひ授業で使いたいのでDVDになるのを心待ちにしています。
初めて生き証人として声をあげた金学順さんの証言集会に行ったときの衝撃。あの時代の韓国で、日本軍慰安婦にされた自分を晒し口から言葉を発する重さは想像を絶するものでした。そうまでして訴えなければならなかったことへ想像力を広げるには、この映画にある幾つもの論点に向き合う必要がある現代。
wam渡辺さんたちの資料や証言映像は持っていますが、事前に色々知らない学生たちは、否定論者の意見も合わせてみないと、彼らの語る範型の薄さがわからないのです。生活史を長年聞いて来た者としても、数や一貫性の問題に回収できない、また熱情に駆られすぎない問いを育てたいと改めて思いました。

棗一郎 @natsumeichiro
今のNHKニュースはとても見るに耐えません。安倍政権のヨイショ報道ばかりで、権力批判は皆無。時の権力批判は報道機関の核心的役割のはず。それができないなら、ジャーナリズムとは言わないので報道機関の看板を下ろすべきです。勿論、NHK特集やクローズアップ現代+は頑張っている人達もいるので。
なうちゃん @nauchan0626
今、テレビをたまたま見たら例によって「平成」の特集をやっていました。その中で田崎史郎氏が、「世界に冠たる天皇制」と言っていました。申し訳ありませんが、それは日本人が勝手に考えているだけであり、世界の人たちはそのようには思っていないのです。世界では君主制と言えば英国王室なのです。
私が天皇制を批判すると「ヨーロッパでは君主制と民主主義が両立している」という反論が必ずあります。しかし英国などの王室は、全てにおいてオープンであり、日本の保守的で閉鎖的な皇室とは根本的に違うのです。もちろん私は王室制度もないほうがいいと思いますが、それはその国で決めることです。

想田和弘@KazuhiroSoda
天皇が交替するだけで時代が変わるという感覚は、見事に日本国内でしか通用しないガラパゴスな感覚ですよね。日本以外の世界は1ミリも時代は動きません。
想田和弘@KazuhiroSoda
ニューヨークタイムズの記事。新天皇即位の儀式に、新しい皇后となる雅子さんさえ出席を許されないことについて報じている。皇室や日本社会における女性の低い地位を示すものだと痛い指摘。本当にその通り。→Japan Will Enthrone a New Emperor. His Wife Won’t Be Allowed to Watch.
池田香代子 「100人村 お金篇」 @ikeda_kayoko
天皇皇后は個人としては立派な方々だと思う。でも、この頃の報道を見るにつけ、今日の儀式をテレビで見るにつけ、天皇制というのは奇怪な制度、それを受け入れているこの国は変わった国だとの思いを強くするばかりです
北村肇 @bkhajime
天皇の戦争責任問題も象徴天皇制の定義もすべてをあいまいにしたまま、戦後70年余りをもっぱら経済に目を向けることで過ごしてきたこの国は、いままた思考を放棄して代替わりというイベントに浮かれる。本来、この空疎さをシビアに指摘すべきマスメディアはむしろあおる側にいる。暗澹たる気分の今日。
野間易通 @kdxn
みんな東日本大震災が平成何年かパッと言えないでしょ。元号って、その程度のもんだよね。これが昔みたいに改元が頻繁で一つ一つの時代が短いと、逆に使いでがある。「安政の大地震」とかね。安政は5年しかないからそれなりにタイムマーカーになるよな! でもビジネスに使えないな!
本田由紀 @hahaguma
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190425-00000051-sasahi-soci&p=1 …「右派にとっては人々から仰ぎ見られ高みから提灯を振る天皇こそ理想の天皇であった。だが彼らの期待に反してこうした天皇像が平成に定着することはなく、それとは正反対の天皇像が定着してゆく…右派…にとって常に天皇に寄り添う皇后の姿は目ざわり以外の何物でもなかった」
杉原こうじ(NAJAT・緑の党) @kojiskojis
「現在においても、天皇制による「心の支配」は、「異端者」洗い出しの「踏み絵」として機能している。天皇・皇室に対する姿勢・言葉遣いが、「社会人」としての「踏み絵」になっており、それは、権威的なもの、伝統的なものへの無条件の尊重という心性の育成を促す機能を果たしている」(山田朗さん)
よんひゃん @cucamber_milk
身分制度が好きな人がいっぱいいるのを見てへこむ。
わたしは、生まれながらに尊い人や、生まれながらに卑しい人がいるという考えは、どうしても受け入れられない。

池内さおり @ikeuchi_saori
私が生きる時間軸を、勝手に区切られたくない。ここ最近の報道に辟易する。
今日と明日で、何も変わらないし、まして貧困や格差や性差別やレイシズムや歴史修正の醜さなどこの国の政治の酷さは我々人の手による具体的実践と努力でしか改善されない。無かったことになどさせるものか。
2019年4月30日

kinokuniyanet @kinokuniyanet
改元を大騒ぎする政府方針か、テレビは平成の回顧一色。
国民が皆「10年20年30年前はもっと生活ラクだった」と思い出してしまう罠。www

yoshitani @yoshitani_tetu
現代においても元号で時代を束ねるという囚われに陥っていたと気付かされた。想田和弘監督の書かれた記事を朝に拝見し、ずーっと考えてたよ。
第75回:僕が天皇制にも元号にも反対する理由(想田和弘) #maga9

山崎 雅弘 @mas__yamazaki
2019年4月30日のNHKは、完全に「天皇チャンネル」と化している。
ある番組では、明日の「初日の出」をどこで迎えるか、などと舞い上がった話をしていたが、本当に天皇を大事だと思うなら、生前退位を恒久的制度にしたいという天皇の願いを安倍首相と日本会議が無視した事実を問題視すべきだろう。

m TAKANO @mt3678mt
「平成」から「令和」へ。大半の国民にとっては、2019年4月30日が終わって5月1日が始まるに過ぎない。今日が終わって明日になるだけの話だ。大騒ぎする意味などどこにもない。
Kazumasa Kawaguchi @kazsoul
NHKラジオで、万葉集の研究者・品田悦一さんがコメント。メディアが改元への礼賛一色の中、「万葉集を国書とするのは、外国に背を向けるもの」「かつて戦意高揚に利用された歴史もある」と一石を投じた。聞き手のアナウンサーも「でも今は政治利用されませんよね…」と、おっかなびっくりだった。
品田さん「万葉集が天皇から庶民までの歌が入った国民歌集というのは誤り」「令和のもとになった、大伴旅人の歌には、国境や時代を越え、多くの人々と理解し合おうという意味もある。平成の時代には、ヘイトスピーチや、アジアの隣人を敵視するなどの動きもあった。その風潮をはねのけてもらいたい」
「礼賛ムード一色の中、よくぞ言ってくれた」といったリスナーのツイートも、番組で紹介していた。ラジオが成せる技なのかな。

Sお @clarissabloom
「皇太子と結婚するにあたり、小和田雅子は今まで自身にとって大切だったもの、キャリア、旅行、自立の全てを諦めた。しかし他の人が気にしているのは彼女が男児を産めるかどうかだけのようだった」NYTとかでないとツイートできんでしょうな。
The New York Times @nytimes
To marry Japan's crown prince, Masako Owada gave up everything that had previously been important to her: career, travel, independence. But all anyone else seemed to care about was whether she could give birth to a son.
VOTE for DEMOCRACY @supportV4D
平成最後の大スクープでは⁈
飯塚幸三のひき逃げ揉み消しは、やっぱり安倍友案件でした。
ネット民による追求凄すぎで、抹消したはずの証拠が掘られまくってる!
飯塚幸三の息子は飯塚洋(安倍晋太郎・晋三の秘書)!孫はレイプ犯?

悠輝 @yukisnow1214
世間は10連休でも、病院にGWは一切ありません。患者さんは連休明けまで待ってくれないので。今週末は100時間連続勤務です。木曜日に病院行って月曜日まで拘束されることを意味します。日本の医療は病院で働くみなさんの自己犠牲で成り立っていることをご理解ください。

テレビが面白くないです.退位関連ばかり.普段からテレビ見ていないとか,そもそもテレビないなんていう知り合いもいますが,そんな人たちの気持ちがわかります.
それにしても生まれによって扱いが異なる,というのは民主主義的ではないと思います.中学生に「さま」をつけて呼ぶって,おかしいと気がつかないのかなぁ?天皇制なくても困らないし,皇族とされた人も自由に生活でき,今までなかった基本的人権を獲得できるし.

東京・新宿で反天皇制訴え集会 右翼抗議、逮捕者も
 東京のJR新宿駅近くの広場では30日夕、天皇制に反対する市民らが集会を開いた。天皇の存在は法の下の平等に反するなどと主張し、「天皇制を終わらせよう」「代替わりを行わず、今の天皇で廃止すべきだ」と声を上げた。右翼活動家らが抗議に集まって騒然とし、逮捕者も出た。
 主催者によると、集会には約150人が参加した。周辺では約40人の右翼活動家らが「今すぐ集会をやめろ」と抗議。
 警視庁公安部は、混乱を抑えようとした機動隊員らに暴行したとして、公務執行妨害容疑で、右翼団体幹部の前田健一容疑者(38)と職業不詳江川麻莉容疑者(27)を現行犯逮捕した。


天皇制反対の集会も=警官取り囲み、一時騒然−東京・新宿
 東京都新宿区のJR新宿駅前では30日、天皇制に反対する市民団体の集会が行われた。これに対抗し、右翼団体も街宣活動を展開。警察官約80人が取り囲むようにして警戒に当たり、周囲は一時、騒然となった。
 警視庁公安部は、同駅前の歩道で同日午後4時55分〜同5時ごろ、警察官に頭突きするなどの暴行を加え、業務を妨害したとして、公務執行妨害容疑で右翼団体幹部前田健一容疑者(38)=神奈川県横須賀市長浦町=ら2人を現行犯逮捕した。
 近くを通り掛かった都内の高校1年の男子生徒は、節目の日の集会に「迷惑だ。選挙で候補者を立てて主張すべきだ」と訴えた。また、別の男性は「日本だけなぜ、元号を使うのか分からない。(集会参加者の)気持ちは理解できる」と語った。


平成の沖縄 基地問題に苦悩し続けた
 平成がきょうで終わる。基地問題に苦悩し続けた平成の沖縄だった。米軍基地の過重な負担を押し付ける構図は次の令和で断ち切るべきだ。
 平成に入って7年目。激動の今につながる起点として忘れてはならないのが1995年から96年にかけての出来事だろう。
 95年9月に発生したのが米兵による少女乱暴事件である。このおぞましい事件を機に、くすぶっていた県民の怒りが噴出、県民大会につながった。県民要求で掲げられたのが日米地位協定の改定、基地の整理縮小だった。
 振り返ると、地位協定は改定されておらず、運用改善もおざなりだ。基地の整理縮小に向けた動きは始まったものの、普天間飛行場の返還も県内移設の条件付きであり、多くの県民が納得できる道筋は示されていない。
 そして少女乱暴事件の前後で進行していたのが大田昌秀知事(当時)の代理署名問題だった。米軍用地の契約拒否地主に代わって署名するよう国から求められ、大田知事は拒否した。国が職務執行命令訴訟を起こすに至り、結果的に96年8月、県は敗訴した。
 米軍基地の前に人権や自治権は踏みにじられ、それが今も続いている。
 事件は後を絶たない。2016年に元海兵隊員の軍属の男がうるま市で女性を暴行し殺害した。そして今月も北谷町で米海軍兵が女性を殺害している。
 事故も相次ぐ。04年に宜野湾市の沖縄国際大学に米海兵隊のCH53D大型輸送ヘリが墜落した。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイは、反対の声を押し切って強行配備され、16年12月に名護市安部に墜落した。
 元号が平成から令和に変わっても沖縄が置かれる厳しい現実に変わりはない。
 それでも基地から目を転じれば希望と期待の萌芽(ほうが)もあちこちに見られた平成だった。景気の浮き沈みはあったものの、観光は好調で、18年度は1千万人近い人々が来訪した。
 文化面では2000年にユネスコが首里城をはじめとする琉球王国のグスクと関連遺産群を世界遺産に登録した。伝統芸能の組踊も10年、無形文化遺産に登録された。
 芸能面も県出身者らの活躍が目覚ましかった。記憶に新しいのは安室奈美恵さんの昨年の引退だ。県民に自信と勇気を与え、有終の美を飾った。
 スポーツ面では、甲子園で沖縄水産が準優勝、沖縄尚学が優勝、興南が春夏連覇の偉業を達成し、県民を沸かせた。
 女子プロゴルフの宮里藍さんの大活躍も記憶に鮮明だ。バスケットボールBリーグの琉球ゴールデンキングスやサッカーJ2のFC琉球など、プロスポーツチームも次々誕生した。
 令和の時代には、県民の望む方向で基地問題を解決させ、子どもたちが健やかに育ち、その才能を開花させる沖縄を築かなければならない。


時評
パリ中心部の世界文化遺産、ノートルダム寺院(大聖堂)で大規模な火災が起き、大量のオーク材を使った屋根組みや尖塔(せんとう)が焼け落ちる大きな被害が出た。宗教を超えてフランスの象徴として市民に親しまれている寺院だけに、衝撃は大きく、火災に涙を流す人もいた。
 マクロン大統領は翌日、テレビ演説し、今後5年以内に修復することを目指す考えを表明し「この惨事を皆がまとまる機会に変える」と国民の結束を訴えた。ノートルダム寺院火災の惨事を、政権への不満の高まりで分裂する国民意識を再び結束させる転機にできるだろうか。
 ヒントが一つある。パリ市の消防隊員の懸命な消火活動が、国民に悲しみを上回る強い印象と感動を与えたことだ。その意義は大きい。
 火災通報を受けた消防当局が迅速に特別態勢を組んで500人を動員して消火に当たり、15時間後に鎮火した。消防隊の懸命の活動で、ステンドグラスが有名なバラ窓は大きな被害を免れ、西側正面の二つの鐘楼も延焼から辛うじて守られ、寺院の貴重な文化財も救出された。
 寺院の修復には国内外から寄付の申し出が相次ぎ、高級ブランドグループ「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン」(LVMH)と化粧品大手ロレアルは、それぞれ2億ユーロ(約248億円)の寄付を表明。その総額は10億ユーロ(約1240億円)規模に上るという。
 しかし、火災後の週末、政権に抗議する黄色いベスト運動のデモが、23週連続で行われた。被災したノートルダム寺院の修復に巨額の寄付が集まる一方、自分たちは放置されたままだと反発、「貧困者への対策に回すべきだ」などと訴えた。
 マクロン大統領は25日の就任後初の記者会見で、昨年から続く政権への大規模な抗議デモを受けた新たな施策を発表した。中間層と貧困層を主な対象に、50億ユーロ(約6200億円)規模の所得減税を実施するほか、批判の強い高級官僚の養成制度を変えるとして、エリート育成校の国立行政学院(ENA)の廃止を表明した。
 ノートルダム寺院は1163年に着工、1345年に完成した。1804年にナポレオンが皇帝の戴冠式を行い、ビクトル・ユゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」で広く知られる。宗教を超えた国民的な象徴として、世界中から年間1300万人が訪れる観光名所でもある。その再建を、新たなフランス国民の結束を固める好機として生かしてほしい。


<平成考>女性の生き方 私らしく歩いていこう
印南 敦史 : 作家、書評家
 サザエさん一家のような大家族が暮らす光景は、遠い面影となった。「家」に縛られる感覚は薄れ、離婚によるひとり親、未婚の単身世帯もまた増えている。女性の生き方とともに、家族の形も多様になりつつある。
 県内に住む40代女性は、シングルマザー。息子は小学校低学年の頃から不登校気味だった。バトルゲームに興じ、思い通りにならないと暴れたが、夫は素知らぬふり。「学校に行け」と、ランドセルを外に放り投げるだけだった。
 父親との関係がこじれていた息子のためにも環境を変えたいと思ったが、自立できる状況にない。「お前が働けるところはない」とののしられながらもアルバイトから始めた。数年後に離婚。看護学校を卒業している女性は一度は諦めた道へと勉強し直した。
 中学校に入っても引きこもりがちで、学校や相談機関を駆け回った。崩れ落ちそうになる時もあったが、母としての覚悟と、周囲に支えられて踏みこたえてきたという。先日、下の子の成人を祝って母子3人でお酒を酌み交わした。何気ない日常の積み重ねが、今日を支えている。
 働く女性が増え、就業率は約7割に達した。とはいえ、半数が非正規雇用とも言われる。ひとくくりにはできないが、ひとり親が経済的困窮を抱えがちな実情も知られるようになった。子どもの将来の可能性が狭められ、貧困の連鎖が続く。希望を見いだせない現実がある。
 団塊ジュニアが65歳以上になる2040年には、日本の高齢者は3900万人を超える見込みだ。未婚なども背景に高齢単身世帯が増え、しぼむ家族の姿が見えてくる。
 高度経済成長期、核家族世帯があふれた。猛烈に働く夫を支え、家事・育児全般を担った妻。この時代を専業主婦として過ごした母は「女性も仕事を持ち続けた方がいい」と、事あるごとに言った。
 平成の初め、共働きが専業主婦世帯数を上回るようになる。女性の生き方は「仕事か家庭か」の二者択一ではなく、「仕事も結婚も子育ても」と求められるようになった。何なら「もっと活躍せよ」とも。
 50歳まで一度も結婚したことがない人の割合を示す生涯未婚率は上昇し続け、15年時点で男性23%に対し、女性14%。離別や死別で誰もが、おひとりさまというシングルの時代を生きる可能性もある。人とのつながり、社会保障など支える仕組みは急務だ。
 女と男、シングルとそれ以外…。あらゆる格差解消にはまだ遠い。価値観の違いを乗り越え、私らしく生きる。女性たちがスキップして進めるような、令和の時代にしたい。(赤石真美)


日本のおかしさ映す「東京貧困女子」の問いかけ 幸せな青春を送った世代は現実に気づいてない
『東京貧困女子。――彼女たちはなぜ躓いたのか』(中村淳彦著、東洋経済新報社)の著者は、1990年代半ばから20年以上、AV女優や風俗の取材をしてきたというフリーライター。2006〜2007年あたりから、「もしかして日本はおかしくなっているのではないか?」という違和感を抱くようになったそうだ。
自分のあられもない姿の映像を世間にさらして売るというリスクを抱えたAV女優に、「出演料が安すぎて、とても普通の生活ができない」という層が現れたというのだ。2000年代半ばから援助交際や売春の代金が大幅に下降し、体を売りたい女性が急増。その結果、価格が急降下したためだ。
人々が貧しくなる、お金がなくなることは恐ろしく、誰かを陥れるいがみ合いや犯罪が当たり前のように起こる。急激に景気が悪くなった裸の世界では、関係者が関係者を恐喝するみたいな事件が頻発して、私はウンザリして圧倒的な需要があると注目されていた介護事業所をはじめた。
介護という福祉事業に逃げれば、醜い諍いから逃れられると思っていたが、介護の世界はそれまで見たこともないような困窮した人々の巣窟だった。
介護福祉士という国家資格を持つ専門家が、行政の監視の下で手取り14万〜16万円程度の低賃金で労働をさせられて、「ご利用者様のありがとうが報酬です。高齢者様に感謝しましょうね。みんな、本当に素晴らしい仕事に就けてよかったですね」などといった信じられないロジックが正論として定着していた。(「まえがき――いったい女性たちになにが起こっているのか」より)
そんな現実を目の当たりにしたことから、最終的に中村氏は介護職から身を引く。しかし、社会と隔絶されたAVや風俗業界というグレーゾーンビジネスの渦中で取材を繰り返し、そこを抜けてからも目先の介護に忙殺されたその経験が、中村氏の内部に「(本当に)日本がおかしくなっている」ことを実感させたというのだ。
3年間の取材で明らかになった貧困の現実
かくして「女性の貧困」を目の当たりにすることになった中村氏は、古くからの知り合いである女性編集者との再会をきっかけとして、2016年4月から東洋経済オンラインで「貧困に喘ぐ女性の現実」をスタートさせる。いうまでもなく、本書のもとになっている連載である。
この連載では、女性、特に単身女性とシングルマザーの貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて取材している。貧困に苦しむ読者からの取材申し込みを随時受け付けており、その中から取材先を選定している。(「まえがき――いったい女性たちになにが起こっているのか」より)
貧困は生まれや育ち、家庭環境、健康状態、雇用、政策や制度、個人や配偶者の性格、人格など、さまざまな要因が重なって起こるものだ。現実は十人十色であり、同じ事例が重なるようなものではないということ。
だからこそ、問題解決の糸口を見つけるためには、ここの生活をつぶさに見ることで真実を浮かび上がらせるしかないと中村氏は考えた。取材は3年間に及んだ。
国立大学医学部の現役女子大生、その現実
読んでみてまず衝撃的だったのは、最初に紹介される国立大学医学部に通う現役女子大生の事例だ。「お金のためにパパ活をし、それとは別に歌舞伎町の風俗店でも働いている」とだけ聞けば、多くの人は「欲しいものを買うためのお金が欲しいから、好きでやってるんじゃないの?」というようなイメージを抱くかもしれない。
パパ活というものにかねて不快感を覚えていた私も、最初はそう感じた。ところが現実は、もっとシビアなものだった。
父親は数年前にリストラされた。両親は非正規の共働きだ。世帯収入はせいぜい500万円程度で、弟が2人いるので「高校と大学、私立は絶対に無理」と母親に何度も言われていた。小学校時代から必死に勉強して挫折することなく、高偏差値をキープしている。
国立大学なので医学部でも学費は高くはない。入学金28万2000円、年間授業料53万5800円で、学費は日本学生支援機構の奨学金を借りている。学費は奨学金、そのほかの費用はアルバイトで稼いでほしいというのは両親の意向だ。
入学前は実家からの通学なのでなんとかなると思っていたが、体育会系の部活に所属したことと、教科書や雑費が予想以上に高額で、時間とお金が足りなくなった。(30〜31ページより)
大学は朝9時の1限からで、部活は夕方から週2〜3日。スーパーマーケットでもアルバイトをしているが、部活のない日にしかできない。ただし大学の同級生や友人はみな家庭が裕福なので、経済的な苦境は誰にも理解してもらえない。だが、勉強では味わえない達成感がある部活は、大学でも続けたかったのだそうだ。
ところが、すぐ経済的に苦しくなる。大学1年の夏に教材費がかさんだうえ部費の支払いがあったため、どれだけ節約しても3万円が足りない。親に頼んで乗り切ったものの、すぐに夏合宿が待っている。親にはもう頼めないと悩み、高額求人サイトで風俗の仕事を見つける。
無駄遣いしないし、なにも欲しいものはないし、部活をやって大学を留年しないで無事に卒業したいだけです。それだけ。やっぱり月3万円くらい、どうしても足りない。風俗は気持ち悪くなってしまうので、本当はすごくやりたくない。やらなくていいなら、すぐに辞めたいです。なんていうか、自分がやっていることが気持ち悪い。自己嫌悪です。全然知らない人と裸で寝ているとか変だし、おかしいことをしているなって。彼氏にも悪いし、なにもいいことはないです。(36ページより)
この女子大生の話を読んでいて、わかることがいくつかある。まずは、貧しい家庭環境にありながらもきちんと勉強し、学生としての本分を全うしようとしていること。そして、風俗に嫌悪感を持っていること。
それでもやらざるを得ないのは、唯一の心の拠り所になっている部活を続けたいからだ。それが、彼女をギリギリのところでつなぎとめていることが、文字を追っているだけでもわかる。
誹謗中傷で埋まったコメント欄
ところがこの取材記事が東洋経済オンラインに掲載されると、コメント欄が誹謗中傷で埋まったというのだ。
売春の是非は論点ではなく、国の未来を支える優秀な学生が望まない換金をするしか勉強を続けられない、という現実に問題があるのだ。日本に取り返しのつかない異変が起こりつつあることに、幸せな昭和を送った世代を中心に大多数は気づいていない。
コメントをしている人々の年齢はわからないが、おそらく上の世代の男性の方々としよう。日本の1800兆円の個人金融資産(日本銀行調べ)の6割は60歳以上の高齢者が所有し、世帯平均貯蓄は2000万円を超えている(総務省調べ)と言われている。一方、奨学金を利用する大学生(昼間部)は半数近くになっている(日本学生支援機構調べ)。
さらに、貧困に苦しむ若者たちが学生生活の継続のために「選択肢がそれしかない」と誘導されている風俗や売買春の利用者は中高年層がメインだ。
妹、または娘や孫の世代にローンを背負わせた挙げ句、性的奉仕をさせる社会になってしまっている。自分たちが絶望の淵に誘導した娘や孫のような次世代を担う女の子たちに、気分に任せて誹謗中傷を浴びせて、自分がさらに気持ちよくなっている。どこまで都合がいいのだろうか。異常としか言いようがない。(43〜44ページより)
大学生の親世代が青春時代を送った30年前と比べ、現在は可処分所得が減り、子どもに必要なお金を出すことができないという状態になっている。そして、日本の未来のため若者たちに対して教育に投資すべき国も、奨学金制度、国立大学の運営交付金の削減による学費高騰、定員の厳格化など、大学生の貧しさに拍車がかかる政策をどんどん進めている。
当然の結果として大学生たちは困窮に陥っているが、大学時代に幸せな青春を送った親世代は、その苦境に理解を示さないまま、自分たちの価値観だけで判断し、若者をさらに追い込んでいるのだ。
テレビもパソコンもない家賃5万円の福祉物件
しかも、困難な状況は学生だけを苦しめているわけではない。たとえば読了後も頭から離れなかったのは、非正規雇用の図書館司書として働く37歳の女性のケースだ。図書館で働く司書の8割前後は非正規雇用で給与は安く、しかも未婚で一人暮らしであるため、毎日不安と焦りばかりだという。
給与の総支給額は17万円。所得税、住民税、社会保険料を引かれ、手取り金額は13万3442円。賞与はなく、年収204万円で手取りは160万円程度。東京で一人暮らしをするには厳しい金額だ。
その日暮らしは十分できます。もっと経済的に厳しい人がいるのも十分承知はしています。けど、ずっとギリギリの生活で、なんの贅沢もしていないのに貯金すらできない。嘱託は1年契約、更新は最長5年と決まっていて、いまは4年目です。来年はすごく頑張っても、仕事で成果を出しても確実にクビになります。低賃金なので蓄えはないし、年齢ばかり重ねて、私はいったいどうなってしまうのだろうって。(190〜191ページより)
最寄り駅から15分で築年数も古い、福祉物件と呼ばれる家賃5万円の部屋で暮らす。仕事帰りには、割り引かれた食材や総菜をスーパーマーケットで買う。低賃金でお金が貯まらないので、部屋にはテレビもパソコンもない。調べ物は、分割で買ったスマートフォンでしている。
不安しかない日々に悩んだ結果、学芸員の資格を取得しようと、通信制大学の科目履修生になった。中村氏によると、公的機関の非正規雇用に悩み、貧しさから抜けたいのに学芸員の資格取得を目指すというのは、真面目で貧しい人の行動パターンなのだそうだ。
図書館司書は専門職だ。「私は子どもたちのための児童書や児童文学に詳しくて、たまに自分が企画してフェアみたいな企画をやっています」という言葉からも推測できるように、彼女は自分の仕事にプライドを持って臨んでいる。
ところが、現場職員がどれだけ業務にプライドを持って前向きに取り組んだとしても、雇用主である自治体はそれを認めない。非正規は安く使える駒にすぎず、期間に上限のある有期雇用なので、決まった期間働いてもらえばいいだけだという考え方だ。だから彼女のような立場にいる人は、どうあがいても貧困から抜け出さない。
役所は誰でもできるって考えているし、いくらでも交換ができる部品くらいにしか思われていません。だから、非正規なのでしょう。私は司書の仕事をどうしても続けたくて、いまここが2カ所目です。前は他県の図書館で働いて、満期5年で契約が切れてしまったので都内に引っ越しました。また、あと1年半しか仕事ができないって考えると不安で、たまに眠れなくなることもあります。(196ページより)
結婚も出産も、貧しい自分には関係のないこと
悩んでしまうのは、あと何年でクビという不安から逃れたいから。ひとり暮らしで貯金がゼロなので、働き続けないとホームレスになっちゃいます。だから、本当に、働ける期限があるのは怖いです。(198ページより)
単身で暮らす20〜64歳の女性の3人に1人(32%)が貧困状態(国立社会保障・人口問題研究所)にあり、さらに65歳以上の単身女性になると47%と過半数に迫るのだという。そうでなくとも図書館は、財政難の自治体にとってはお荷物的な存在だ。女性が1人で生きていくには困難な材料がそろいすぎているが、そんな渦中にいる彼女に対して、中村氏は結婚する意思はないのかと尋ねている。
結婚すれば生活が変わるみたいなことはよく言われていますが、非正規で低収入な自分にまったく自信ないし、誰かが見初めてくれるとはとても思えない。やっぱり結婚とか出産は、普通以上の収入がある人の特権というか、自分にかかわることとはとても思えないです。(201ページより)
一緒に働く2割くらいが正規の公務員の方々です。正規の方々が職場で話していることは、買い物とか旅行とか、子どもの教育とか、そういう話です。正規でちゃんとしたお給料があって、家族で暮らしている人たちは、子どもにたくさん習い事をさせて、年に何度か海外旅行に行くんだ……って。なにか別世界というか。私は飛行機代がなくて、いまの職場で働き出してから一度も実家に帰れてないのに。この差って、なんなのでしょう? 仕事を真面目にやっているだけではダメなのでしょうか。(201〜202ページより)
とても真面目な人なんだなということがよくわかる。裏を返せば、いまの日本は真面目な人にとって生きづらいということになるのではないだろうか。
いったい日本は、東京は、どうなってしまうのだろうか。
たぶん、どうにもならない気がする。
東京の貧困女性のさまざまな声に耳を傾け、こうやって文章化することで一通り検証したが、ほぼほぼ国の制度と法律改定が原因だった。あとは男性からの暴力と精神疾患だ。自分なりに一生懸命に生きてきたが、理不尽に追い詰められてその絶望を「自己責任」という一言で封をしているのが、現状だ。(333〜334ページより)
貧困は、「欲しいものが買えない」「食べたいものが食べられない」という消費活動の鈍化だけでは終わらないと中村氏は指摘している。貧困が貧困を生み、世代を超えて苦しみが続き、逃れることができなければ、最終的に死という領域が見えてしまうとも。
つまり日本は、「安全と安心」などではなく、「不安と恐怖」を駆り立てることを推奨する社会になってしまったということだ。
やがて中年男性にシフトチェンジする?
しかも、見逃しがちなポイントがある。本書は女性に焦点を当てているものだが、それは現在、女性をターゲットに貧困化が進行しているからにすぎない。だから、中村氏の次の言葉をひとごとと考えるべきではないのだ。
国民の誰かを転落させなければ国がやっていけないならば、どこかのタイミングで女性から中年男性にシフトチェンジするかもしれない。私自身、取材で出会った彼女たちと遠くない未来の自分の姿がダブって怖くなった。(335ページより)
「母親から虐待を受けてうつ病になり、生活保護を受けて暮らす25歳」
「有名女子大卒業後、上場企業に就職するも、精神的な問題を抱えた姉の介護のため離職をしたことで転落した53歳」
「冷暖房がなく、満足に光も入らない屋根裏部屋で暮らす、55歳のキャリア官僚元夫人」
「東京大学大学院卒という肩書きを武器に仕事をするも、パワハラで病に倒れ、電動車椅子の生活を余儀なくされる45歳」
本書に登場する女性たちはみな、こちらの想像をはるかに超える日常を生きている。だから読み進めていくうちに、どんどん気持ちは沈んでいった。しかし、それでもわれわれは、こうした現実から目を背けるべきではないのだ。なにしろ、決してひとごとではないのだから。


平成から令和へ 「縮小社会」への軟着陸を
 「平成」が今日、幕を下ろす。天皇陛下が退位され、元号は明日から「令和」に改まる。
 30年余の平成は、どのような時代だったのか。激動の昭和史を併せて顧みれば「戦争がなかった平和な時代」と言えよう。
 だが、多くの人が犠牲になる大災害が相次いだ。阪神大震災、東日本大震災と福島原発事故。九州でも雲仙・普賢岳噴火や福岡沖地震、熊本地震などが起きた。台風や豪雨災害も深い爪痕を残した。
 人の営みはどうか。バブル景気の絶頂期に始まった平成。うなぎ上りの株価や地価に浮かれているうち、膨らみきった泡はあっけなくはじけた。不良債権を抱えた金融機関が倒れ、多くの企業が経営難に陥った。米国発の世界同時不況が追い打ちを掛け、日本は「失われた20年」という長い不況のトンネルの中であえいだ。
 ●立ちすくんだ30年
 〈楽天家たちは、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながらあるく。のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶(いちだ)の白い雲がかがやいているとすれば、それをのみ見つめて坂をのぼってゆくであろう〉
 近代国家を目指し日露戦争に突き進む明治日本を描いた「坂の上の雲」で、作者の司馬遼太郎さんは当時の高揚感をこう表現した。高度成長期を経てバブル景気に狂奔した昭和の日本の姿に重なる。
 「坂の上の雲」を追い求めた明治、大正。アジアの盟主を自負した軍事国家がたどり着いた頂は、無残な敗戦だった。その焼け跡から再び、懸命に坂を駆け上った昭和。猛烈に働き、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と胸を張った経済の頂でつかんだのは、はかないバブルの雲だった。
 「右肩上がり」神話の終焉(しゅうえん)。昨日より今日、今日より明日、暮らしはもっと良くなるという、庶民のよりどころは失われた。再びころがり落ちた坂の下から、目指すべき雲を求めてもがき続けた。平成はそんな時代ではなかったか。
 自信を失って立ちすくむ日本を尻目に世界は大きく動いた。
 平成が始まった年、ベルリンの壁が崩れた。東西冷戦の終結で高まった平和への期待を、米中枢同時テロが打ち砕いた。テロの脅威が増す中で、民族、宗教間の対立は深まり、移民や難民を排斥する「不寛容」が世界を覆った。
 欧州が一つの経済圏となり、中国は米国と肩を並べる世界経済の主役に躍り出た。インターネットやIT分野では新興の巨大企業が生まれた。この間、日本はどうだったか。企業の時価総額ランキングを見るとよく分かる。平成元年、世界の上位50社のうち日本企業は32社を占めた。平成30年は35位にトヨタ自動車1社だけである。
 ●減り続ける働き手
 視点を国内に戻せば、平成はかつて経験したことのない社会への入り口だったことに気付く。
 日本の人口は2008(平成20)年をピークに減り続けている。「縮小社会」の到来である。人口増加と経済成長を前提とした国家の枠組みが根底から崩れた。
 少子高齢化は労働の担い手となる「生産年齢人口」の減少を意味する。人手不足はもう始まっている。一方、政府は不況対策として財政出動に過度に依存し、国と地方の借金は1100兆円を超えた。今後、増え続ける医療や介護、年金の財源はどうするのか。
 目先の選挙や政権維持に税金を大盤振る舞いし、付けを先送りする政治のありさまを目の当たりにすれば、若者に「将来に希望を持て」と言う方が無理ではないか。
 人口減や高齢化は九州など地方にとってより深刻だ。消滅が危ぶまれる「限界集落」も各地で現実味を増す。政府は「地方創生」の看板を掲げるが、地方経済は停滞し、若者が大都市に流出する状況に歯止めはかからない。地方自治や分権の在り方を抜本的に改めない限り、「東京栄えて国滅ぶ」という不幸な未来図が浮かぶ。
 光明がないわけではない。例えば、訪日外国人が大幅に増えた観光政策と外国人労働者の受け入れに踏み込んだ、二つの「開国」だ。外の力を国の活力にどう結び付けるか、これからが正念場だ。
 拡大社会から縮小社会への軟着陸はいや応なしである。女性が出産や育児と仕事を両立できる環境を整え、元気な高齢者の力も借りなければなるまい。私たちの暮らし方や働き方、社会の在り方そのものを大きく変える時だ。
 平成の大人は子や孫に重い付けを残した「楽天家」−。後世、そう指弾されないよう、見上げる令和の空に確かな将来の道しるべとなる変革の雲を見いだしたい。


平成の30年…自信を失った日本“非寛容の社会”に変貌
明仁天皇の年号「平成」終了カウントダウン 
文具店では平成プリントファイルを販売 
スカイツリーで日章旗照明点灯など、各種行事 
日本人には戦後平和の時代だったが 
世界2位の経済大国から退いた国力衰退の時期 
自信喪失は社会の保守化につながり 
安倍政権長期執権の土壌として機能

 明仁天皇の在位期である平成(1989年1月8日〜2019年4月30日)の終わりを翌日に控えた29日、東京台東区にある大型文具店シモジマに入ると、店舗の最前面に“平成”と大きく書かれた書類保管用ファイルが陳列されていた。ファイルの裏面には、この時期に起きた主要事件が年度別にぎっしり記されていた。NHK放送はこの日、明仁天皇の一代記を扱ったドキュメンタリー『天皇 運命の物語』を4編連続放映し、新聞も過去30年を回顧する特集記事を載せた。
 平成の最後の日である30日には、各種の記念行事が開かれる。高さ634メートルの東京の名物スカイツリーでは、午後10時から「ありがとう平成」という名前で日章旗形の光を電波塔に投影する行事を行う。池袋のサンシャインシティ60ビルディングの展望台では、年号が令和に変わる深夜12時に合わせてカウントダウン行事も準備されている。天皇の退位式は午後5時に東京の皇居で開かれる。
 日本人にとっての平成期は「複雑な時代」だった。「天地、内外ともに平和が達成される」という意味にふさわしく平和が続いたが、国力はピークを経過して衰退した。NHKが昨年9〜11月に成人3554人を対象に実施したアンケート調査(複数応答許容)で、79%が平成期に対して「戦争がなく平和だった」と答えた。しかし「経済的に豊かだった」という答は40%に終わった。朝日新聞の昨年3〜4月のアンケート調査でも「揺れ動いた時代」という応答が42%で最も多く、「低迷した時代」(29%)が後に続いた。「明るい時代」という応答は5%にとどまった。
 ある50代の日本のジャーナリストは、ハンギョレにこの時期を「平和だったが幸せなことはなかった時代」と要約した。その前の裕仁天皇の昭和期には、戦争の痛みを体験したが、1945年の敗戦以後は高度経済成長がなされた。そのために、日本人は昭和期を希望にあふれた「肯定的時代」として記憶する。日本は、戦争を否定した平和憲法の下で経済発展に重点を置き、驚くべき成果を成し遂げた。敗戦からわずか23年後の1968年、日本は国内総生産(GDP)基準で米国に次ぐ世界2位の経済大国に躍進した。
 平成期に入り経済の矛盾が一気に爆発した。バブル崩壊直前の1989年12月29日、日経指数は3万8915まで沸き騰がったが、30年が経過した29日現在は2万2000台に留まっている。経済規模は2010年に中国に押されて3位に下がった。
 日本の企業家は、平成期の経済を「敗北」という一語で整理する。経済3団体の一つである経済同友会の代表幹事を務める小林喜光氏は、雑誌「文藝春秋」4月号「日本経済 平成は『敗北』の時代だった」という文を載せた。彼はこの文で、日本は次世代通信規格の5世代(5G)通信などで米・中国企業らに負けているとし、「基幹技術を米国、欧州、中国から持って来れなければ、産業と社会の立つ場所がなくなるだろう」と警告した。人口も少子化の影響で2008年に1億2808万人でピークに達した後、10年連続で減っている。この時期は、阪神大震災(1995)、オウム真理教事件(1995)、東日本大震災(2011)などの事件・事故が起きた時期でもあった。
 経済の不振が続き、日本社会は内向的に変わった。放送では、日本製品と文化の優秀性を強調する番組が流行している。ある30代の日本の会社員は「東日本大震災以後、ますます『日本はすごい』と褒め称える番組が増えた。以前は反対に海外旅行を扱った番組が多かった」と話した。
 こうした流れをリードしている人物が、2012年12月に再登場した安倍晋三首相だ。安倍首相は「日本を取り戻す」というスローガンを前面に出して再執権した後、日本のアイデンティティを強調する愛国主義教育を強化した。安倍政権に鋭い批判を向ける中野晃一上智大学教授は、ハンギョレとのインタビューで「日本の政治が過去の『利益(配分)』から『アイデンティティ』を強調する形に変わった」と診断した。それによって日本社会には『ヘイトスピーチ』に象徴される排外主義的ムードが拡散している。共同通信の先月の調査を見れば、日本人の57%が平成期を他者に対して「非寛容になった時代」と答えた。 東京/チョ・ギウォン特派員


水俣病公式確認63年 「昭和の公害」解決遠く令和へ
 「公害の原点」とされる水俣病は5月1日、公式確認から63年を迎える。毎年、熊本県水俣市で営まれる犠牲者慰霊式(市と実行委員会主催)は新天皇即位に伴い10月に延期し、同日は水俣湾埋め立て地の慰霊の碑前に献花台が置かれる。
 4月22日現在、熊本、鹿児島両県に患者認定を求めている人は1706人(熊本598人、鹿児島1108人)。認定や救済を巡る訴訟は各地で続き、昭和前期に端を発した水俣病は平成の30年を経ても全面解決せず、令和の時代に持ち越される。
 両県がこれまで認定した患者は2283人(うち22日時点で1946人死亡)。熊本県は22日、3年ぶりに1人を患者認定した。
 献花台は、不知火海を望む慰霊の碑前に午前10時〜午後2時に設置。これとは別に、患者団体「水俣病互助会」(上村好男会長)が午後1時半から、同市袋の「乙女塚」前で慰霊祭を開き、犠牲となった全ての命を悼み、祈りをささげる。


安倍首相が皇太子に新元号案を事前説明 学者は違憲と批判
 安倍首相が新元号発表を3日後に控えた3月29日、皇太子と1対1で面会し、「令和」を含む6つの原案を提示していたことが判明した。30日の朝日新聞が特報した。憲法4条は天皇の国政関与を禁じており、安倍の行為は「新天皇が元号の選定過程に関与したのでは」という違憲の疑いを招きかねない。
「令和」の典拠の万葉集は皇族から農民まで幅広い層の歌を収めたとされる。安倍は「1億総活躍」のイメージを重ねて気に入り、3月28日の官邸幹部らによる協議で「令和」を本命に6案を原案とする方針を決定。4月1日に有識者懇談会、衆参両院正副議長への意見聴取、全閣僚会議など国民代表の意見を聴取して新元号を決める前に、安倍は新天皇に元号案を説明したことになる。
 皇太子への事前説明は日本会議など保守派が求めたもので、自らの支持基盤への政治的配慮。憲法4条は政治の側が天皇の権威を利用することも禁じている。特定の政権支持層を意識した安倍の行為は「新天皇の政治利用」にあたりかねず、憲法学者からも「違憲の疑いがある」との批判が上がっている。


世論も後押し「愛子天皇」 安倍政権狙う改憲との抱き合わせ
 現在、皇室には天皇陛下の孫世代の男子は悠仁さましかいない。「男系男子」しか皇位を継げない現行のルールでは、悠仁さまに男子が生まれなければ、皇位継承者がいなくなる。これは天皇家にとって、最大規模の危機を意味する。
「天皇家にとって『皇統の継続』は何にも増して重要な使命であり、天皇陛下含め皇族方は、皇統を途切れさせず、安定的に継続させることを常に最優先事項と考えていらっしゃいます。それゆえ、女性天皇容認や女性宮家創設を含めた、皇統の継承のためのさまざまな議論を進めるべきだと、皇族方もお考えなのです」(皇室ジャーナリスト)
 そこで浮上するのが「愛子天皇」待望論である。
「高校生になられた愛子さまには皇族の一員としての自覚が芽生えられ、沿道の市民などに向かって手を振る姿も堂々と、自然な笑顔が見られるようになりました。
 幼い頃は“将来の天皇の一人っ子”であることを理解できず、周囲からの視線に戸惑われて不登校気味になったこともありましたが、最近はすっかり落ち着いていらっしゃる。その気品あふれる姿から“愛子さまを天皇に”という声が上がっています。
 天皇皇后両陛下も、男系にこだわる方ではなく、胸の内には『愛子天皇』という考えもあったそうです」(前出・皇室ジャーナリスト)
 秋篠宮家が抱える不安も、愛子天皇への期待の高まりとは切り離せない。秋篠宮ご夫妻による「個人の意思を尊重する子育て」の結果、眞子さまの結婚延期という事態が引き起こされ、いまだにご夫妻は眞子さまとご結婚の真意について話し合いもできていないとされる。
「ご夫妻のそうした教育のもと、姉の背中を見て育たれた悠仁さまが“将来の天皇”であることに、不安を感じている皇室関係者は少なくない」(宮内庁関係者)
 生まれた時から、「皇太子の長子」の立場であり、皇太子さまの謙虚で穏やかな立ち居振る舞いを身近で学ばれてきた愛子さまに期待が集まるのも自然なことだろう。
 世論も女性天皇の誕生を後押しする。朝日新聞が4月18日に公表した世論調査では、安定した皇位継承のために「女性天皇」を認めてよいという人が76%に達した。愛子天皇が実現すれば、女性を中心とした多くの国民に勇気と自信が芽生え、世の中が明るくなることだろう。諸外国からも好反応を得られるはずだ。
 押し寄せる民意に政府も重い腰を上げた。菅義偉官房長官は3月18日の参議院予算委員会で、「(新天皇の)即位後にすみやかに検討を始める」として、女性天皇や女性宮家についての議論を始める意向を示した。
「男系男子で天皇を維持したい保守層を支持基盤とする安倍総理としても、女性天皇誕生に期待を寄せる国民の声は無視できません。また安倍総理としては、悲願である憲法改正を実現するためにも、多くの人が賛成でまとまりやすい女性天皇の是非を巡る国民的議論を巻き起こし、“国の在り方を左右する大切な事柄”として、改憲も一緒に俎上にのせたいわけです」(政府関係者)


「美しい調和を乱すな」という暗黙のメッセージに潜む危険性。メディアも問題意識を
beautiful harmonyという名の異論の抑圧
 5月1日から元号が「令和」に変わる。令和は英訳すると 「beautiful harmony」なのだそうだ。最初、「令和」の「令」が「命令(command、order)」を意味する言葉として外国メディアで紹介されたため、外務省があわてて「beautiful harmony」だと対外的に発表したらしい(朝日新聞4月3日:令和の令、政府「命令を意図せず」 海外の報道を否定)。
「和を乱すな」という「命令」なのか、「美しい調和」という「願い」なのか。後者なのだとしても、それが「同調圧力」=「異論の抑圧」につながることには警戒が必要だ。  実際のところ、政府がみずから先導して、同調圧力を強め、異論の抑圧を始めている現状がある。気配を感じる感度が強い人は、既に注意喚起している。
異論を抑圧する内閣サイバーセキュリティセンターの要請
 4月25日に、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)による、サイバーセキュリティ関連の注意・警戒情報発信用の公式アカウント(@nisc_forecast)が、こうツイートした。
”【お願い 1/3】ニュージーランド、及びスリランカのテロ事件を受けてお願いします。事件発生時のSNSでの情報拡散は、攻撃者にとって狙い通りの恐怖と悪名の拡散であり、みなさんの感情がハッキングされていることになります。拡散しないようにしましょう。続”(内閣サイバーセキュリティセンターのツイートより
”【お願い 2/3】また二次的には、それにかこつけて、偽情報で、国、宗教、思想、人種を分断し互いに攻撃し合うように仕向ける投稿が行われています。我々が拡散しなければ、少なくとも情報面では、こういった攻撃を弱めることができます。続”(内閣サイバーセキュリティセンターのツイートより
”【お願い 3/3】SNSやネットを恐怖と悪名の拡散の場にせず、楽しいこと、幸せなこと、ほっこりすることで満たせるように、ぜひご協力ください。仲間、友だち、家族のみなさんにも、このお話を共有してくださいね。”(内閣サイバーセキュリティセンターのツイートより
 この3番目のツイートに対し、コラムニストの小田嶋隆氏は28日9:48に、こうツイートしている。
”私がいまさらのように、《「より正義を語らないほう」を選ぶ》のtwを蒸し返したのは、「内閣サイバーセキュリティセンター」のtwに通底する何かを感じたからです。 「ほっこり、楽しく、幸せに」は、もちろん望ましい態度ではある。でも、それって、政府が上から推奨すべきことではないぞ。断じて。”(小田嶋隆氏のツイートより
”国民が「ほっこり」できるための環境を整えるのが政府の仕事であることは否定しない。ただ、お上が国民に向けて「ほっこり」を推奨するのはスジが違う。政府がそれを言うと、「文句を言うな」「不満を持つな」「現状に満足せよ」「政府の指示に従え」というメッセージになる。ヤバい。”(小田嶋隆氏のツイートより
 小説家の盛田隆二氏も28日10:50に、上記の内閣サイバーセキュリティセンターの3つ目のツイートに対し、こうツイートしている。
”確かに「楽しいこと、幸せなこと、ほっこりすること」で満たされた世界は望ましいけれど、現実には楽しくない報道が溢れています。SNSはそれらを受けて個々人が発信するツールでもあります。政府による「ほっこりするツイートを」という要請は、国民が有する表現の自由と齟齬をきたします。要注意です”(盛田隆二氏のツイートより
”たとえば、トランプ大統領が安倍首相とゴルフを楽しんだというツイートを、内閣サイバーは「楽しいこと、幸せなこと、ほっこりすること」と受け取るのかもしれませんが、そのように受け取らない人も多いでしょう。政府はSNSの発信内容に関し、国民に要請すべきではありません”(盛田隆二氏のツイートより
 小田嶋氏は、政府が異論の抑圧に動くことに異を唱え、盛田氏は、政府がSNSの発信内容に関して国民に要請することは国民が有する表現の自由と齟齬をきたすと指摘している。いずれも大事な指摘だ。
 テロ対策として、差別や人権侵害にあたる投稿を行わないように、と政府が求めることは問題ないだろう。けれども、上記の内閣サイバーセキュリティセンターの投稿は、差別や人権侵害にあたる投稿を行うなとは言わない一方で、SNSを「楽しいこと、幸せなこと、ほっこりすることで満たせるように、ぜひご協力ください」と求めている。
 そのような要請は何を抑圧するか。異論を抑圧し、正当な批判を抑圧するのだ。
「令和」発表の記者会見で安倍首相が行った異論の抑圧
 それは読み込みすぎだ、と思う人がいるかもしれない。けれども、私はそうは思わない。内閣サイバーセキュリティセンターのアカウントの認識不足だとも思わない。「令和」への改元の機会をとらえて、異論を抑圧し同調圧力を強めていこうという政府の方針が、確かに背後にあるはずだ。根拠を示そう。
 4月1日に「令和」という新元号が発表された際の安倍首相の記者会見を確認してみよう(参考:首相官邸HP「平成31年4月1日 安倍内閣総理大臣記者会見」)。  菅官房長官による新元号発表とは別にわざわざ記者会見をひらいた安倍首相は、万葉集の文言に言及した上で、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められております」と語った。誰がそのような意味を込めたのか、主語を曖昧にした形で。
 自らが政権を担う時代を命名したわけでもないのに、安倍首相が記者会見をひらき、「込められた意味」を語るのにも違和感があるが、さらに問題なのは、そのあとの質疑応答で安倍首相が語ったこの部分だ。
”変わるべきは変わっていかなければなりません。平成の30年間ほど、改革が叫ばれた時代はなかったと思います。政治改革、行政改革、規制改革。抵抗勢力という言葉もありましたが、平成の時代、様々な改革がしばしば大きな議論を沸き起こしました。他方、現在の若い世代、現役世代はそうした平成の時代を経て、変わること、改革することをもっと柔軟に前向きに捉えていると思います。ちょうど本日から働き方改革が本格的にスタートします。70年ぶりの労働基準法の大改革です。かつては何年もかけてやっと実現するレベルの改革が、近年は国民的な理解の下、着実に行われるようになってきたという印象を持っています。”
 働き方改革関連法は「令和」の元号を発表したこの4月1日に施行された。元号とは何の関係もないその法の施行に安倍首相が言及したのは、この記者会見の幹事社である産経新聞社の最初の質問に答える中において、だ。映像で確認できるように、安倍首相は原稿を読んでいる。事前に用意された質問と答えであったことは明らかだ。
「かつては何年もかけてやっと実現するレベルの改革が、近年は国民的な理解の下、着実に行われるようになってきたという印象を持っています」と安倍首相は語っている。具体的に名指しはしていないが、文脈的にはそれは、働き方改革関連法を指していることは明らかだ。ではそれは、「国民的な理解の下」に成立したのか。
 決してそんなことはない。主要野党はそろって、高度プロフェッショナル制度の創設に反対し、法案からの削除を求めた。労働者がその制度を求めているという立法事実はないことを国会審議の中で明らかにした。労働者のニーズを聞いたとされるヒアリングで、高度プロフェッショナル制度は労働時間、休憩、休日、深夜業の規制がなくなる働き方であることをちゃんと説明したのかと問うた福島みずほ議員に対し、山越敬一労働基準局長(当時)は「いずれにいたしましても」とその質問をスルーした。「全国過労死を考える家族の会」の方々が安倍首相に面会を求めても、政府は面会要請のFAXを官邸に送ったか否かも明言せず、「このあと面会を」と求める柚木道義議員の質問に対しては、加藤勝信厚生労働大臣(当時)が抗議の声にかき消される中で平然と別の内容の答弁を続けた。
 その一連の経緯を、私は国会パブリックビューイング「第1話 働き方改革―高プロ危険編−」に解説つき映像記録として残した。
【街頭上映用日本語字幕版】国会パブリックビューイング 第1話 働き方改革−高プロ危険編−(収録映像一覧情報あり)

 また、高度プロフェッショナル制度の削除を家族会の方が求めているとの柚木議員の指摘に対し、安倍首相が高度プロフェッショナル制度を「など」の言葉の中に隠して、あたかも過労死の悲劇を二度と繰り返さないために働き方改革の法改正をするのだと言わんばかりの極めて不誠実な答弁をしたことも、国会パブリックビューイング「第2話 働き方改革―ご飯論法編―」に解説つき映像記録として残した。
【街頭上映用日本語字幕版】国会パブリックビューイング 第2話 働き方改革−ご飯論法編−(音質改良版)(収録映像一覧情報あり)

 国会議員だけではない。労働組合のナショナルセンターである連合も全労連も、高度プロフェッショナル制度の創設には反対の声をあげていた。新聞の社説も高度プロフェッショナル制度が長時間労働を助長し過労死を増やすことに懸念を示し、慎重な審議を求める主張を掲載していた。テレビやラジオでも、懸念の声や反対の声は紹介された。私も論陣を張った。
 にもかかわらず、安倍首相は元号「令和」発表時の記者会見で、働き方改革に向けた法改正が、「国民的な理解の下、着実に行われるようになってきた」という印象操作を行った。これは事実に反する、悪質な印象操作だ。少なくとも高度プロフェッショナル制度については、「国民的な理解」などされていない。理解を得る努力も政府は行っていない。逆に、国民を欺く答弁、論点ずらしの答弁、時間つぶしの答弁を繰り返してきた。
 この記者会見では、さりげなく「抵抗勢力」という言葉も使われている。「改革」に反対する者を「抵抗勢力」と名づけることによって、あたかも政府の改革に反対する者は「変わるべき」ものに固執する「抵抗勢力」のように位置づけられた。そして、「抵抗勢力」の声は小さくなり、「改革」は「国民的な理解の下、着実に行われるようになってきた」かのように印象づけた。それが今、安倍政権が行っていることであり、その安倍政権が「令和」を「beautiful harmony」と英訳したわけだ。
 この記者会見における「異論の抑圧」の動きも、国会パブリックビューイングでは4月9日の新宿西口における街頭上映で取り上げた(下記の映像参照)
「多様な働き方を選択できる社会」とは!?働き方改革関連法の4月に施行を受けて #国会パブリックビューイング 2019年4月9日

異論の抑圧に警戒を
 新元号の制定からしばらくは、お祝いモードが続くのだろう。けれども、そのお祝いモードの中で「同調圧力」=「異論の抑圧」の空気が作られていくことには、十分な警戒が必要だ。政府は明らかにそのような空気を作ろうとしている。一部のメディアもそれに同調し、加担しているように見える。
 小川淳也議員(立憲民主党・無所属フォーラム)は3月1日の根本厚生労働大臣不信任決議案趣旨弁明の中で、政府は良い数字ではなく悪い数字にこそ目を向けるべきで、そこにある社会の矛盾にこそ目を向けるべきであることを語った(下記映像の1時間38分54秒より)
【字幕つき映像】3月1日衆議院本会議 根本厚生労働大臣不信任決議案趣旨弁明 小川淳也議員(立憲民主党・無所属フォーラム)#国会パブリックビューイング

”もし、この国の総理大臣が、
「良い数字はもういいから。そこはうまくいってんだろう? 悪い数字はないのか。そこに困っている国民はいないか。そこで抱えている社会の矛盾はないか」
 そう問いかける内閣総理大臣がいれば、そもそも、こんな不毛な数値論争は、起きてないじゃないですか。
 表面的な言葉だけでなく、数値だけでなく、真に国民に寄り添い、国民生活を思い、国家の威信や国家の尊厳に勝るとも劣らぬ重要な国民生活への思い、民のかまどを憂う思いを、総理に求めたいと思います。”(参照:筆者による文字起こし
 枝野幸男・立憲民主党代表は2018年7月20日の内閣不信任案趣旨弁明において、民主主義とは単純な多数決とイコールではないことを指摘し、「少数意見を納得させようという意思もない多数決は、多数決の濫用です」と指摘した(ハーバー・ビジネス・オンライン編『枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』扶桑社、2018年、p.76−)。
 異論を強権的に抑圧せずとも、異論は「美しい調和」を乱すものだと感じる雰囲気が広がっていけば、異論を唱える者、正当な批判を行う者の声が世の中に届かなくなる。人々も耳をふさぐようになる。それは一見、平穏な世の中のようだが、権力者にとっては都合がよい状態であり、社会的弱者の声が抑圧された状態、社会の矛盾が可視化されないまま蓄積した状態だ。そして自分は社会的弱者ではないと思っている者に危険が迫っていても、それに気づけなくなる状態だ。
 そのことに私たちは警戒感を持っておかなければいけない。メディアにも強く問題意識を求めたい。
<文/上西充子 Twitter ID:@mu0283> うえにしみつこ●法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『就職活動から一人前の組織人まで』(同友館)、『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆。間もなく、新刊『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)が刊行される


総理と「桜を見る会」でハシャぐ有名人の気持ち悪さ/古谷経衡
総理と「桜を見る会」のえも言われぬ気持ち悪さ
 毎年恒例とはいえ、今年も総理主催の「桜を見る会」が新宿御苑で開催された。今次は、いつになく盛況でその参加者は1万8000人。その模様が複数のメディアから出ているが、絵面からして本当に気持ちが悪いの一言に尽きる。有象無象の芸能人やらタレントやらが、権力者にすり寄って散り際の桜の下で笑顔を振りまいている。いつから日本人には「恥」という概念が喪失したのであろう。首相官邸ウェブサイトには「芸能人やスポーツ選手は政府与党が推薦する」とあるが、こんな魑魅魍魎を推薦したのは誰なのだろうか。
 そして一層問題なのは、このような権力者からの招待制パーティに参加することそれ自体が、本人の思想信条に関係なく、外部からは権力への迎合と捉えられかねないという危惧が、この連中にはまったくないことである。まして、言論人と自称している連中が、この会の至るところに見られたのは興味深い。
 なにも私はペンを握る者は反権力でいるのが正しい、だのと言うつもりはないが、ここにも「恥」という概念が欠落している。権力者に近しいことが一等のステータスであるという考え方を、何の躊躇もなく開陳する彼らの神経のマヒ、よく言えばずぶとさは、この世界で喰っていくために連中が考案した知恵か何かなのだろうか。
 少なくとも私は、時の総理大臣の横でにやにやと笑って写真に納まるのは、言論人としての死を意味すると思うし、そういった連中のオピニオンや書籍は何の価値もないカストリに堕ちたと思っているが、そういう感覚が一切ないということ自体に、異常な不気味さと知能の暗愚さを感じる。
権力者と桜を見る権利に8万円の値段がつく?
 聞けばこの「桜を見る会」、各自民党員に招待枠が設定され、16日に配信された「FRIDAYデジタル」の情報では、ダフ屋が8万円の値で捌いているともいう。真偽のほどは定かではないが、「国家の最高権力者と一緒に桜を見る権利」が、招待を受けることのない市井のでしゃばりにとっては8万円の値になるということだ。アホらしさもここまで来ると一種の「伝統」の終焉のようで興味深い。
 豊臣秀吉はその晩年、全国の諸大名から約1300人の女房女中衆を動員し、「醍醐の花見」(1598年)を開催した。“派手”を好む秀吉の、最晩年の大宴会としてその模様が後世に伝わっている。裸一貫、尾張中村の足軽の倅から(諸説あり)天下人に大出世をした秀吉の最後の晴れ舞台であった(秀吉は同年没)。しかしその陰では、二度にわたる朝鮮侵略により政権内部は疲弊し、その間隙をついて徳川家康が実質的な秀吉の後継人として信頼を集めていた。実際、この壮大な花見からわずか17年後、大坂夏の陣にて豊臣家は徳川家に敗れて滅亡する。
 現代人も同じで、所詮浮世の権力者は、その最後の最後、我が世の春を謳うべき巨大なハレを演出して終わるのではないか。絶頂は常に衰退と共にある。「桜を見る会」の狂騒が、ちょうど絶頂から衰退の端境期にあたるのではないか、と想像する知恵者は、おそらく御苑にはいなかったのであろう。
古谷経衡 ふるや・つねひら。‘82年北海道生まれ。文筆家、評論家。一般社団法人日本ペンクラブ正会員。ネット保守、若者論、社会、政治などで幅広く評論活動を行う。著書に『日本を蝕む極論の正体』(新潮新書)ほか多数。新刊に初の長編小説『愛国奴』(駒草出版)


「歴史認識」決着できず=悔やまれる保守本流の劣化・平成政治−田中元経企庁長官
 平成の31年間を通じて、日本を取り巻く内外情勢は大きく変化した。新党さきがけ代表代行や経済企画庁長官として「平成政治史」に深く関わった田中秀征元衆院議員(78)に話を聞いた。
 −政府は4月1日に新元号「令和」を発表したが、どう感じたか。
 言葉の響きがりんとしていて引き締まった印象だ。僕は気に入っている。前回は昭和天皇の崩御があり、改元はそれに付随している印象だった。今回は「平成が終わる」ということが事前に公表されたので、より印象が強い。
 −平成とはどんな時代だったか。
 一言で言うなら「停滞の時代」だ。ただ、このまま衰弱していくと結論が出たわけではなく、上へ登るための「踊り場の時代」に変えることもできる。だからこそきちんと平成を総括し、反省した方がいい。
 −平成のスタートとほぼ同時期に東西冷戦が終わった。
 冷戦が終わってグローバル経済が始まったが、内外の環境変化に日本が前向きな対応をしたかと言えば、残念ながらしなかった。バブルが崩壊し、「空白の20年」が始まった。対応を急がなければいけない時代に後片づけに追われた。自民党には軽武装・経済重視の保守本流と、結党の理念に忠実な自民党本流がある。この時期、保守本流が圧倒的な数と力を得たが、思想性のない人間や2世議員がどんどん入り、本来持っていた政策的な意地や筋をおろそかにし、権力抗争が始まった。
 −保守本流と自民党本流の違いは。
 一番大きな差は歴史認識だ。終戦直後にあの戦争は間違っていたという認識の下に政権を担当した人たち、その流れを保守本流と呼んでいる。対する自民党本流は、米国の対日方針が180度変わって日本を反共のとりでにするという米側の思想に乗っかった人たちで、代表選手は安倍晋三首相のおじいさんに当たる岸信介元首相だ。
 冷戦が終わったら自民党はまた分かれて切磋琢磨(せっさたくま)すればいいと思ったが、それを駄目にしているのが、今の選挙制度だ。
 −1993年に自民党が初めて下野し、細川連立内閣が発足した。
 冷戦時代は自由主義と社会主義・共産主義の目先の対立がすさまじく、戦争の総括が棚上げされていた。僕は92年に細川護熙氏と3時間ぐらい話して「(戦争の総括が)棚から降りてくるから、なるべく早くあの戦争への認識を明らかにしないと、謝り続けることになる」と言った。それで細川氏は(首相就任後の)93年8月に記者会見し、侵略戦争を認めた。その年の11月には韓国・慶州で当時の金泳三韓国大統領と会談し、植民地支配を認めて謝った。
 95年には村山富市首相が談話できちっと「たが」を締めた。歴史認識が明確化され、東アジア諸国との友好連携の流れが拡大していくかに見えた。もし村山氏から(自民党総裁だった)河野洋平氏に政権が移ったら(歴史認識で)相当大きな再編が起きたはずだ。うまい具合に二つに割れた可能性があったのに、非常に残念だ。結局、その後は「数あわせの政界再編」になった。民主党だ。
 ◇「悪夢の2000年」
 一度は決着したと思われた歴史認識問題が、21世紀に入って曖昧にされていく。僕は「悪夢の2000年」と呼んでいるが、田中角栄元首相の流れを受け継ぐ政治家が次々に亡くなった。二階堂進元自民党副総裁、小渕恵三元首相、竹下登元首相、梶山静六元自民党幹事長。もう一方の保守本流である宏池会(現・自民党岸田派)が「加藤の乱」という、ばかなことを起こして空中分解した。加藤紘一氏は野党と組んで権力争いを始めた。その結果、長い間、伏流水だった岸(元首相)、福田(赳夫元首相)、安倍(首相)と続く自民党本流的な考え方が拡大していった。
 −加藤の乱を鎮圧する側だった小泉純一郎氏はその後、首相になった。
 彼は人脈上は清和会(現・自民党細田派)、すなわち自民党本流だが、英国留学経験もあって歴史認識は僕と変わらない。ただ、僕はイラク戦争(への日本の協力)を批判した。
 −現在、安倍政権が安定している理由は。
 自民党本流が表に出てきたひとつの理由として、冷戦が終わり、ナショナリズムが野放し状態になった。その流れの中に安倍政権があった。平成の最初の頃は中韓両国ともうまくいっていたが、「靖国問題」で一気に崩れた。
 −自民党は割れそうにないが。
 割ろうと思えば割れる。それだけの腹構えの人物がいない。どうもリベラルと呼ばれる人たちは主体性に欠ける。どこかにくっつこうとする。国家意識が薄いから、(韓国艦による自衛隊機への火器管制)レーダー照射のような問題が起きると、(立憲民主党代表の)枝野幸男氏のように口をつぐんでしまう。それなのに、やたらと保守に憧れる。
 −立憲は自民党に代われるか。
 あそこだけでは何もできない。小さな「控室」という感じだ。希望の党という小池百合子東京都知事の大型船が沈没するとき、ちょうどそこを走っていた救命ボートのように見える。
 −平成を「停滞」ではなく「踊り場」の時代だったと振り返ることはできそうか。
 そんな簡単な話ではないが、3、4人の保守本流のDNAを持った人間が立ち上がるしかない。そうすれば一気に動く。


平成の最後までマスコミがスルーし続けた…天皇・皇后の護憲発言と安倍政権へのカウンター
 本日4月30日、明仁天皇が退位する。メディアではここのところ連日、明仁天皇と美智子皇后の軌跡を振り返る特集が繰り返し流れている。しかし、そうした回顧特集のなかでほとんど触れられていないことがある。
 それは、明仁天皇と美智子皇后の、平和と護憲の思い。そして、それを壊そうとする安倍政権へのカウンターを発信してきたことだ。
 もともと即位後の朝見の儀でも「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い」と表明したように、明仁天皇は以前から日本国憲法を遵守する考えそして平和への思いを強調してきたが、とくに第二次安倍政権発足以降は、安倍首相の“戦争のできる国づくり”政策、改憲に強い危機感を抱き、政権に警鐘を鳴らしているとしか考えられない、踏み込んだ発言を繰り返し行なってきた。
 マスコミがふれないのなら、平成最後の日に、本サイトがきちんとその軌跡と発言の詳細を残しておきたいと思う。
 まず、第二次安倍政権が誕生した翌年2013年の10月には、美智子皇后が誕生日に際した文書コメントで護憲の姿勢を示唆した。美智子皇后は、一年で印象に残った出来事を「5月の憲法記念日をはさみ、今年は憲法をめぐり、例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます」としたうえで、以前、あきる野市五日市の郷土館で「五日市憲法草案」を見たときの思い出をこのように語った。
「明治憲法の公布(明治22年)に先立ち、地域の小学校の教員、地主や農民が、寄り合い、討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で、基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務、法の下の平等、更に言論の自由、信教の自由など、204条が書かれており、地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が、日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが、近代日本の黎明期に生きた人々の、政治参加への強い意欲や、自国の未来にかけた熱い願いに触れ、深い感銘を覚えたことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で、市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして、世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います」
 日本国憲法と同様の理念をもった憲法観が日本の「市井の人々」によってもつくられていたことを強調し、基本的人権の尊重や法の下の平等、言論の自由、信教の自由などが、けっして右派の言うような「現憲法は米国の押しつけ」などではないことを示唆したのだ。
 そして、同じ年の12月、今度は、明仁天皇が80歳の誕生日会見でこれまでの歩みを振り返って「やはり最も印象に残っているのは先の戦争のことです」と語り、こう続けたのである。
「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います」
 日本国憲法を「平和と民主主義を守るべき大切なもの」と最大限に評価する明確な“護憲発言”だった。
 しかも、明仁天皇はわざわざ憲法制定過程における「知日派の米国人の協力」に言及していた。これは、右派の言う「米国による押し付け憲法」なる批判を牽制したものとしか思えなかった。安倍首相は2012年に党のネット番組で「みっともない憲法ですよ、はっきり言って。それは、日本人が作ったんじゃないですからね」と日本国憲法を罵倒していたが、明仁天皇の誕生日会見での発言は、それと真っ向から対峙するものだった。
天皇が安倍政権に危機感を抱いた始まりは「主権回復の日」式典
 こうしたリベラルな考え方の持ち主と言われる明仁天皇だが、実は、践祚してからの誕生日会見を振り返ってみると、記者から具体的に社会情勢や政治的な話題についての質問が飛んでも、一般論を短く話すか、一言か二言、憲法や平和、民主主義についてふれるというのがもっぱらだった。
 それが、憲法4条に反しないギリギリのラインを保ちつつも、ここまで踏み込んだ発言をするようになったのは、第二次安倍政権発足以降のこと。これらの発言が、安倍政権の戦争政策や改憲への危機感から発されたものであることは、明らかだ。
 実際、この年の天皇・皇后の誕生日会見の前に、安倍政権に対して危惧を抱かせたであろう決定的な出来事があった。
 2013年4月28日に行われた「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」のことだ。4月28日は1952年にサンフランシスコ講和条約が発効し、本土がアメリカの占領から独立した日。第二次安倍政権はこの日を「主権回復の日」と位置付け、政府主催で初めて式典を開き、天皇と皇后を出席させた。
 式典は極めて復古的な、右翼色の強いものだった。当日、菅義偉官房長官が閉式の辞を述べ、天皇・皇后が退席しようとしたとき、突然、会場の出席者らが両手を挙げて「天皇陛下万歳!」と叫んだのである。安倍首相らも壇上でこれに続き、高らかに「天皇陛下万歳」を三唱。天皇と皇后は、足を止め、会場をちらりと見やり、わずかに会釈してから会場を去ったが、その表情は固まったままだった。
 実は、この式典の開催は、自民党が野党時代から公約にかかげるなど、安倍首相の強いこだわりがあった。しかし、天皇・皇后は事前段階から周辺に拒絶感を吐露していたといわれている。実際、2016年12月24日付の毎日新聞朝刊記事によれば、〈陛下は、式典への出席を求める政府側の事前説明に対し、「その当時、沖縄の主権はまだ回復されていません」と指摘されていた〉という。
 前年の衆院選公約で「国防軍の明記」を盛り込んだ改憲案を掲げた安倍自民党は、政権を奪取し、その動きを本格化させていた。そんななか明仁天皇の誕生日会見に“変化”が起きた。上述のように、傘寿を迎えた明仁天皇は、会見のなかで、安倍政権へのカウンターとしか取れない、護憲発言を行ったのだ。
 いずれにしても、明仁天皇が安倍首相による復古的プロパガンダへの政治利用と、その憲法軽視の姿勢に危機感をもっており、それが、誕生日会見での言葉にあらわれたのだろう。
 ところが、こうした明仁天皇の動きに対して、安倍官邸は宮内庁へのプレッシャー、締め付けを強めていく。たとえば翌2014年の4月、「正論」(産経新聞社)5月号に「憲法巡る両陛下のご発言公表への違和感」と題した文書が掲載された。〈両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない〉〈宮内庁のマネジメントはどうなっているのか〉と、明仁天皇の“護憲発言”を批判する内容だ。執筆したのは、安倍首相のブレーンのひとりと言われる八木秀次・麗澤大学教授だ。すなわち「改憲の邪魔をするな」という安倍側からの攻撃に他ならなかった。
 そして、本サイトでもレポートしてきたように、こうした安倍首相に近い右派からの“天皇批判”は、その後、どんどんむき出しになっていった。
「大戦への深い反省」を語った天皇、「A級戦犯」に言及した皇后
 しかし、陰に陽に圧力がかけられるなか、それでも天皇と皇后は、自分たちにできるやり方で、安倍政権による平和の破壊と改憲に強い疑義を呈すような姿勢を続けた。
 たとえば美智子皇后は2014年の誕生日文書コメントで「来年戦後70年を迎えることについて今のお気持ちをお聞かせ下さい」という質問にこう答えている。
「私は、今も終戦後のある日、ラジオを通し、A級戦犯に対する判決の言い渡しを聞いた時の強い恐怖を忘れることが出来ません。まだ中学生で、戦争から敗戦に至る事情や経緯につき知るところは少なく、従ってその時の感情は、戦犯個人個人への憎しみ等であろう筈はなく、恐らくは国と国民という、個人を越えた所のものに責任を負う立場があるということに対する、身の震うような怖れであったのだと思います」
 この皇后発言の2カ月前には、安倍首相がA級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要に自民党総裁名で哀悼メッセージを送っていたことが報じられていた。連合国による裁判を「報復」と位置づけ、処刑された全員を「昭和殉難者」として慰霊する法要で、安倍首相は戦犯たちを「自らの魂を賭して祖国の礎となられた」と賞賛したという。そうしたタイミングで皇后は、A級戦犯に踏み込む異例のコメントを出したのだ。
 明仁天皇も、2015年の安倍首相による戦後70年談話が公開された翌日の8月15日、戦没者追悼記念式典で「さきの対戦に対する深い反省」を明言した。
「終戦以来既に70年、戦争による荒廃からの復興、発展に向け払われた国民のたゆみない努力と、平和の存続を切望する国民の意識に支えられ、我が国は今日の平和と繁栄を築いてきました。戦後という、この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき、感慨は誠に尽きることがありません。
 ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」
 明仁天皇が、戦没者追悼式典で戦争に対する「深い反省」を使ったのはこの年が初めてのことだった。そのため、この夏強行成立されようとしていた、憲法の平和主義を解釈改憲によって骨抜きにする安保法制関連法案に対する天皇からの「反論」ではないかとも取り沙汰された。以降、天皇は同式典で「深い反省」の言葉を用い続けている。
 だが、安倍政権と皇室の対立が深くなるにつれ、官邸の“天皇封じ込め”は一層露骨になっていた。たとえば、2016年に天皇がビデオで直接国民に語りかけた「生前退位」をめぐる軋轢だ。
 そもそも、天皇側はこれ以前から、女性宮家の創設や「生前退位」について政府に検討を要請していた。にもかかわらず、官邸は無視をし続けた。そうした背景があって、天皇側から「生前退位の意向」をNHKにリーク、そして、明仁天皇自らの「おことば」公開という流れになったわけだが、これに対し、官邸は激怒。天皇の「おことば」表明後、風岡典之・宮内庁長官(当時)を事実上、更迭し、次長に子飼いの警察官僚・西村泰彦氏をあてて牽制するという報復人事に出たのである。
 しかも安倍政権は、国民世論におされてしぶしぶ「生前退位」だけは認める方向に転換したものの、その政府有識者会議やヒアリング対象者には、安倍首相直々の指名で“生前退位反対派”の日本会議系メンバーを複数送り込み、制度化を望む天皇の希望を無視して「一代限り」とした。さらに、この有識者会議のヒアリングでは、安倍首相が人選した平川祐弘・東京大学名誉教授が「ご自分で定義された天皇の役割、拡大された役割を絶対的条件にして、それを果たせないから退位したいというのは、ちょっとおかしいのではないか」と天皇を批判する始末だった。 
皇后は安倍首相が無視したICANノーベル賞を賞賛
 こうした安倍政権の“報復”に、天皇はショックを受けたとも報じられているが、いずれにしても、官邸は皇室と宮内庁への圧力を強化し、天皇の発言を封じ込めようとしたのだ。事実、2016年と2017年の誕生日会見では、2013年のように憲法に関する踏み込んだ発言は完全に封印され、一年の動静を端的に振り返るかたちとなっていた。
 しかし、それでも、天皇・皇后は安倍政権へのカウンターを発信し続けた。
 美智子皇后が、2017年10月の誕生日に際し、宮内記者会からの質問に答えるたちで出した文書では、この年のノーベル平和賞に「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」が選ばれたことに言及。「大きな意義があった」と評価してこう綴ったのだ。
〈平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン「ICAN」が受賞しました。核兵器の問題に関し、日本の立場は複雑ですが、本当に長いながい年月にわたる広島、長崎の被爆者たちの努力により、核兵器の非人道性、ひと度使用された場合の恐るべき結果等にようやく世界の目が向けられたことには大きな意義があったと思います。そして、それと共に、日本の被爆者の心が、決して戦いの連鎖を作る「報復」にではなく、常に将来の平和の希求へと向けられてきたことに、世界の目が注がれることを願っています。〉
 周知のように、100カ国超のNGOが参加し、日本からも7団体が加わっている連合組織であるICANは、被爆者の証言を聞く会合を開き、各国政府に直接働きかけるなどして、2017年7月の国連核兵器禁止条約の採択に貢献。そのことが評価されてノーベル平和賞を受賞した。
 だが、国連核兵器禁止条約の交渉にすらのぞまず、批准を拒否するという強硬な態度をとってきた安倍首相は、ICANの平和賞受賞には一言もコメントを出していない。
 そのなかにあって、美智子皇后が誕生日文書のなかでICANについて掘り下げ、その受賞の意義を大きく評価したのは対照的だ。しかも、これは一般論ではなく、明らかに核兵器廃絶の世界的潮流に逆らい、さらに北朝鮮の核・ミサイル問題を利用して好戦的世論を扇動している安倍政権の動きを意識したものと解釈できる。
 実際、文書では〈戦いの連鎖を作る「報復」〉と、わざわざカッコに入れ、「報復」を強調するかたちで否定していた。美智子皇后が当時、緊張状態が高まっていた朝鮮半島情勢を念頭に置いていたとしても、何ら不思議ではない。
沖縄いじめの安倍政権に対して、天皇は沖縄への強い思いを
 憲法の問題とならび、天皇が発信し続けてきたのが、沖縄をめぐる問題だ。昨年の最後の誕生日会見でも、今年2月に行われた在位30年式典でも、天皇・皇后は沖縄への強い思いをくりかえし発信した。
 明仁天皇は、昨年12月20日に宮中で行われた誕生日会見で、途中、何度も言葉をつまらせ、ときに涙声になりながら、自らが天皇として皇后とともに歩んできた道のりを振り返るかたちで、戦後の平和と反戦にかける思い、戦争の犠牲の大きさを正しく伝える姿勢、沖縄への気持ち、日本人だけでなく外国人への心遣い、そして日本国憲法における「象徴」の意味などについて語った。
 なかでも印象的だったのが、安倍政権による“いじめ”と言える状況が苛烈を極める沖縄への強い言及だ。
 周知の通り、昨年9月に行われた沖縄知事選では、逝去した翁長雄志前知事の遺志を継ぎ、辺野古新基地建設に明確にNOを示した玉城デニー氏が当選した。だが、安倍政権はこの沖縄の“民意”を無視して辺野古の海への土砂投入を強行。しかも、「辺野古移設反対なら普天間基地の返還はない」という卑劣な二択を迫り、基地に反対する人々を恫喝している。
 そんな状況のなか、明仁天皇は「沖縄に心を寄せていく」ことを訴えた。1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約の発効(本土の主権回復)から、沖縄の復帰までに、20年の歳月を要したことを振り返ったうえで、あらためて「沖縄は、先の大戦を含め実に長い苦難の歴史をたどってきました」と、本土から見捨てられてきた歴史を強調。「皇太子時代を含め、私は皇后と共に11回訪問を重ね、その歴史や文化を理解するよう努めてきました」と続けたあと、声を震わせ、会見場を見やりながら、こう力を込めた。
「沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていくとの私どもの思いは、これからも変わることはありません」
「心を寄せていく」ことを強調したのは、明らかにいまの日本政府による沖縄切り捨てを意識してのものだろう。「先の大戦を“含め”実に長い苦難の歴史」、「沖縄の人々が“耐え続けた”犠牲」という言い回しからも、それが本土に“捨て石”とされた沖縄戦のみを指すものではないことは明白だ。
 本サイトでも何度か紹介してきたように、もともと、明仁天皇の沖縄にかける思いは極めて強いものがある。現在も米軍基地の押し付けという「犠牲」を強い、県民の基地反対の意思を潰そうとしている安倍首相の姿がその目にどう映っているかは想像にかたくない。
 上述したように、2013年の4月28日、安倍首相の肝いりで行われた「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」にあたっては、政府側の説明に対し「その当時、沖縄の主権はまだ回復されていません」と反論し、出席に難色を示していたという。
 また、皇太子時代の1975年に沖縄を初訪問したときには、火炎瓶を投げつけられるという事件が起きたが、事前に「何が起きても受けます」と覚悟を決めていた現在の明仁天皇は、その日の夜、こんな談話を公表した。
〈払われた多くの犠牲は、一時の行為や言葉によってあがなえるものでなく、人々が長い年月をかけてこれを記憶し、一人一人、深い内省の中にあって、この地に心を寄せ続けていくことをおいて考えられません〉
 在位中最後となった今年の訪問も含め、沖縄を11回訪れた明仁天皇。天皇としての最後の誕生日会見で、あらためて、「沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていくと宣言したことは、現在も政府が沖縄を虐げていることを深く憂慮する発言に他ならないだろう。
在位30年記念式典で天皇皇后作詞作曲の琉歌「歌声の響」が
 天皇・皇后の沖縄への強い思いは、今年2月24日に行われた「在位30年記念式典」でも十分にうかがえた。式典では、沖縄出身の歌手の三浦大知が、明仁天皇が作詞し、美智子皇后が作曲した「歌声の響」を歌唱したのだが、これは天皇・皇后の明確な“メッセージ”だった。
 そもそも「歌声の響」は琉歌(沖縄の島々に伝わる8・8・8・6調の定型詩)だ。〈ダンジユカリユシヌ/ウタグイヌフィビチ〉(だんじよかれよしの歌声の響)と始まり、〈ミウクルワレガウ/ミニドゥヌクル〉(見送る笑顔目にど残る)と続く。「だんじゅかりゆし」というのは旅立ちを祝って歌われる沖縄の歌で、「ほんとうにめでたい」という意味。ここには、天皇・皇后にとって忘れられない沖縄のエピソードがこめられている。
 明仁天皇が「歌声の響」を詩作したのは皇太子時代、美智子皇后(当時は皇太子妃)と沖縄を初訪問した1975年に遡る。当時の沖縄は3年前に本土へ復帰したばかりで、天皇の戦争責任を問う声も多く、皇室に対する強い反感があった。実際、この訪問で明仁天皇がひめゆりの塔で献花した際、火炎瓶を投げつけられるという事件が起きている。だが、明仁天皇の沖縄訪問は覚悟の上だった。訪問前、琉球文化研究などの第一人者である外間守善氏から「何が起こるかわかりませんから、ぜひ用心して下さい」と心配された今上天皇は、「何が起きても受けます」と述べたという(朝日新聞2016年12月18日付)。
 その火炎瓶事件の翌日に向かったのが、辺野古のある名護市の国立ハンセン病療養所「沖縄愛楽園」。療養所の人々が二人を見送る際に歌った歌が「だんじゅかりゆし」だった。そして、東京に戻った明仁天皇がこの思い出を琉歌として詠み、沖縄愛楽園の人々に贈ったのが、先に紹介した一首だ。
 みなさんの「だんじゅかりゆし」と歌うその響が、わたしたちを見送るその笑顔が、いまでも目に浮かんで消えません──。そこに美智子皇后が琉球民謡風のメロディをつけたのが、琉歌「歌声の響」なのである。
 つまり、いまの天皇と皇后にとって、「歌声の響」はまさに、自分たちを受け入れるかどうかわからなかった沖縄で、社会的弱者であるハンセン病を患う人々から、自らの旅路(進むべき道)に祝福をもらったという思い出そのものだった。
 そして、その歌を30周年式典、最後の在位式典で沖縄出身の三浦が歌うことになったのは、まさに天皇・皇后が在位の最後まで、沖縄に対する贖罪の念を抱き続けたという証だろう。それは、いまも沖縄に米軍基地押し付けを強行し続けるばかりか、反対する沖縄県民を恫喝・攻撃し続ける安倍政権とは対照的なものだった。
天皇タブーより強大になった安倍政権タブー
 どうだろう。こうして、7年間の言動を振り返ってみれば、天皇と皇后がいかに、安倍政権による民主主義や平和主義の破壊に心を痛め、なんとかそれを押しとどめようとギリギリのところで発言を繰り返していたことがよくわかるはずだ。
 しかし、天皇・皇后のこうした発言や姿勢はテレビなどのマスコミで報じられることはほとんどなかった。NHKが2013年の誕生日会見で憲法に触れた部分をカットして放送したのをはじめ、多くのメディアは戦争や憲法と関係のない当たり障りない部分ばかりをクローズアップ。全文紹介したとしても、その意図をきちんと報じることはほとんどなかった。
 そして、いま、平成から令和への代替わりにあたっても、「振り返り」のなかで、護憲や反戦、安倍政権へのカウンター的発言が紹介されることはほとんどない。
 いったいなぜか。それは、前述したように、安倍政権が天皇・皇后のそうした動きに陰に陽に圧力をかけ、それをメディアが忖度しているからだ。天皇よりも安倍政権を恐れたメディアは、政権批判につながる天皇の発言を封印してしまったのだ。
 昭和から平成の代替わりでは大規模な自粛が起きて、メディアにおける天皇タブーの存在が浮き彫りになった。しかし、平成から令和への代替わりで浮かび上がったのは、天皇よりも安倍政権批判がタブーになってしまったという、日本の状況だったのである。


改元を1億総慶祝 令和で安倍首相の疑惑も恩赦になるのか
 いよいよ、30日、平成の時代が幕を閉じる。元号が変わる時代の節目に主役気取りの安倍首相には強烈な違和感を覚える。
 新天皇即位後の大嘗祭など「身の丈にあった儀式」を望む皇族の意向を顧みず、安倍は皇位継承のいずれの儀式も「国事行為」に指定。
 30日夕の「退位礼正殿の儀」で天皇に国民代表として感謝の辞を述べ、あす昼前の「即位後朝見の儀」でも再び国民代表としてあいさつ。2日連続でしゃしゃり出て、代替わりセレモニーを自ら主導している感を見せつける。
 そもそも改元の日程さえ、安倍は“自己都合”を優先させたフシがある。2017年10月に朝日新聞が「4月1日に新天皇即位」と1面トップで伝えると、朝日嫌いの安倍は「朝日は恥をかくことになる」と周囲に怒りをあらわにしたと複数の週刊誌が報じた。
 背景には即位を巡る官邸と宮内庁の主導権争いがあったというが、同年12月に自ら議長を務める皇室会議で「5月即位」を決めた。
 安倍が朝日に恥をかかせた結果、年末でも年度末でもなく、暦の上では不自然な4月30日退位、5月1日即位を決めたのなら、恐れ知らずの不敬なヤカラだ。揚げ句に即位の日を祝日にして史上初の10連休まで出現させ参院選前の人気取りに役立てるのは、宮中行事の政治利用ではないのか。
 新元号発表で総理談話ゴリ押し後にTV行脚、まだ5年も先の新紙幣発表と続いて、5月4日には10月26日の予定だった新天皇即位後初の一般参賀を前倒し。5月25日から訪日するトランプ米大統領を国賓として新天皇に引き合わせ、即位後初の国賓との会見を演出――。安倍は改元に乗じて新時代到来ムードをあおり、あたかも平成に犯した悪事をチャラにする気マンマンである。
「元号は災厄や大きな不幸があった際、天皇が時間の支配者として時代の空気を一変させるのに使われてきました。安倍首相も時間の支配者気分で、改元でモリカケ問題に安倍・麻生道路など積み上がった国政私物化の疑惑をご破算にしたいのでしょう。民主主義の世に時代錯誤も甚だしい発想です。時の主権者は国民であることを忘れてはいけません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏)
 皇位継承に合わせた「恩赦」の実施で、安倍の大罪まで無罪放免なんて絶対に許されない。
令和以降も忘れてはいけない無数の大罪
 平成最後の6年余り、安倍の所業を並べ立てるだけで、それこそ「斬奸状」になり得るくらいだ。
 アベノミクスの失敗をゴマカすため、虎の子の年金基金や日銀マネーなどを鉄火場相場に大量投下し、株高を演出。働き方改革と称した労働規制の破壊で、働く人々に定額使い放題の残業地獄を押しつけ、事実上の移民解禁で外国の安い労働力と競わせ、さらなる賃下げ圧力を加える。
 公約違反のTPP発効で農家は自由貿易の巨大な波にのみ込まれ、水道法改正と種子法廃止で命の源の水と食まで外資に献上。特定秘密保護法や共謀罪で国民監視を強化する半面、子飼い議員の差別発言は野放しだ。
 内閣人事局を通じて霞が関幹部を牛耳り、歯向かえば報復人事の憂き目に遭わせる。おかげでヒラメ役人の忖度がはびこり、森友文書の改ざんを筆頭に隠蔽、捏造のオンパレード。数の力に頼る採決強行乱発で国会を軽視し、安倍の答弁も攻撃的な物言いで野党を非難し、はぐらかす。息を吐くような嘘も100回繰り返せば怒る気力も失せ、国民の諦めが何回吹っ飛んでもおかしくない内閣の延命を許す。
 あろうことか首相に近い人物のレイプ事件のもみ消し疑惑もくすぶり、今や三権はボロボロだ。メディアも官邸の難クセに屈し、ちょっとでも政権に意見するコメンテーターは総パージ。完全に権力の飼い犬に成り下がってしまった。
「『地方創生』『1億総活躍』『人づくり革命』など次々ブチ上げたスローガンの成果はゼロ。“お友だち”への恩恵や五輪、カジノ、万博など目先の利益を優先させ、国家百年の大計をかなぐり捨てる。安倍首相は国民の目をくらますだけで長期政権を築き上げた稀有な政治家です」(政治評論家・森田実氏)
 応援団メディアに「外交のアベ」とおだてられながら、ロシアとの北方領土交渉は頓挫、北朝鮮との拉致交渉は1ミリも動かず、対韓関係は史上最悪レベルに達した。それでいて米国には隷従し、解釈改憲で集団的自衛権行使に踏み切り、土地やカネに加えて自衛隊というヒトまで差し出す。
 米国製の高額兵器を爆買いするため、社会保障費の自然増分を総額2兆円近くも削減。大体、熊本地震から3年、東日本大震災から8年経っても、計約1万8000人もの被災者が仮設暮らしを強いられているのに、国のトップが改元に浮かれている場合なのか。
「天皇大権の威を借りて破滅戦争に突入した戦前の軍部と政府が代表例ですが、いつの世も天皇は時の為政者のハク付けに利用された苦い経験がある。そうした負の歴史を知っていれば、改元の政治利用は論外。違憲の疑いもある天皇の国事行為による『7条解散』を繰り返すのも問題です。安倍首相には、象徴としてのあり方に苦心する天皇の気持ちが理解できないのでしょう。首相の大きな欠点は歴史を知らず、心がないことです」(森田実氏=前出)
 4月30日、5月1日にかけ改元特番をタレ流し、安倍の薄汚い魂胆に全面協力するTV局も同罪だ。1億総慶祝を扇動する同調圧力に、10連休中の国民は屈してはいけない。


天皇制に終止符を
 アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)は日本で唯一、日本軍性奴隷制(日本軍「慰安婦」制度)の被害と加害を記録し記憶する資料館として、2005年8月に開館しました。
 日本軍は、中国侵略に始まりアジア太平洋戦争が終結するまで、アジア太平洋各地に夥しい数の慰安所を設置しました。しかし、連合国による東京裁判やBC級戦犯裁判ではごく一部の性暴力が裁かれただけで、日本軍性奴隷制の責任者が裁かれることはありませんでした。戦後の日本もまた、自らの手で自国の戦争犯罪を裁いてきませんでした。
 2000年12月に東京で開かれた「日本軍性奴隷制を裁く 女性国際戦犯法廷」では、アジア各国・各地域での性暴力被害を明らかにし、日本軍性奴隷制度の責任者として天皇裕仁と軍高官9名に有罪判決を下しました。wamはこの「女性国際戦犯法廷」の思想を引き継ぎ、日本の戦後社会が向き合わなかった戦争責任と植民地支配責任を問い続けてきました。
 2019年2月、韓国の文喜相国会議長はインタビューで、日本軍の性奴隷にされた被害者に対して「天皇陛下が謝罪すれば解消される」と発言しました。現行憲法では天皇に政治的権能はありませんが、天皇の名のもとに行われた朝鮮植民地支配の実態を考えれば、この議長の心情は当然理解できるものでした。「常軌を逸して」いたのは、日本政府やメディアによるバッシングです。
 国事行為にはない「慰霊の旅」を続けながら、「昭和天皇は平和を愛していた」と繰り返し、「象徴天皇の務めが途切れることなく、安定的に続いていくこと」を目的に退位を表明した明仁を、安倍政権よりはマシであると評価することはできません。また、血統主義によって継承される天皇制は、女性が「産む機械」となることを強い、女性差別を再生産し続けています。何よりも、高齢化が進み生存者がわずかになってしまった被害女性たちが、最期まで被害事実の認定と謝罪・賠償・責任者処罰を求めていたことを思い起こすと、「新元号だ」「代替わりだ」と浮かれているわけにはいかないのです。
 天皇制は、自由と平和、平等と民主主義に反する制度です。日本の戦争責任、植民地支配責任を果たすためにも、日本人が自らの手で天皇制に終止符を打つ、その歩みをみなさんとともにこれからも進めていきます。
2019年4月30日
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)


安倍政権が明仁天皇「生前退位のおことば」に介入していた! 安倍首相の指示で日本会議系の衛藤晟一補佐官が…
「今日をもち、天皇としての務めを終えることになりました」
 本日夕方、明仁天皇は皇居で行われた「退位礼正殿の儀」で、天皇としての最後の「おことば」を語った。
「象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します」という言葉からは、「象徴天皇」のあり方を模索し日本国憲法を遵守してきたことが、そして、「明日から始まる新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願い、ここに我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります」という締めくくりには、日本だけでなく、世界全体の戦争や貧困、差別の問題を見据えた平和主義が、それぞれ滲み出ていた。
 いずれも、明仁天皇が在位を通じて表現してきたものだが、意外だったのは、この最後の「おことば」が、極めて短くまとめられていたことだ。中継していたテレビ局のスタジオでも「思ったより短かった」という感想が聞かれた。実際、明仁天皇が話した時間は2分足らず、書き起こせば数行の内容だった。
 また、最後の「おことば」の前には安倍首相が「国民代表の辞」を述べ、明仁天皇もこれを受けて、短い「おことば」のなかに、わざわざ「ただ今、国民を代表して、安倍内閣総理大臣の述べられた言葉に、深く謝意を表します」との文言をいれていた。
 安倍首相の言葉を受けて天皇が「おことば」を述べるという段取りについては、事前に報じられており、官邸の意向が反映されたといわれている。では、その内容や文言についてはどうなのか。
 現段階では官邸から介入があったかどうかはまだ判明してないが、安倍首相周辺は2016年8月8日の「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」(以下、「生前退位のおことば」)の際にも、天皇と皇后がつくりあげた内容を“削除”させていたことがわかっている。
 毎日新聞のベテラン記者・伊藤智永論説委員が、4月に出した著書『「平成の天皇」論』(講談社現代新書)のなかでその内幕を明かしているのだ。
 そもそも、「生前退位のおことば」は突然出てきたものではない。明仁天皇は生前退位について熟考を重ね、数年前から宮内庁を通じて官邸に打診してきたが、安倍首相らがずっと棚ざらしにしてきたという経緯がある。
 当時の風岡典之・宮内庁長官は、2015年ごろから杉田和博官房副長官らと水面下で交渉を続けてきた。だが、官邸は一向に首を縦にふらず、天皇周辺は焦燥感と危機感を募らせた。そんななか、2016年7月13日の夜、NHKがスクープしたのが「天皇陛下 生前退位のご意向」だった。安倍首相らにとってはまさに青天の霹靂。官邸は激怒し、風岡長官を更迭するなどの“報復”に出るわけだが、結局、「生前退位のご意向」は明仁天皇がビデオで国民に直接語りかけるかたちで「おことば」となった。
『「平成の天皇」論』には、その間の天皇側と官邸側の攻防が生々しく描かれている。安倍首相や杉田官房長官らは、〈天皇自ら起草し、皇后の助言を入れながら一年以上置いて何度も読み返していた原稿〉を、NHKのスクープ後に初めて読んだ。そして、安倍首相の指示でその文言を点検したのが、安倍首相の“右派の兄貴分的存在”である衛藤晟一首相補佐官だったという。衛藤補佐官は日本会議の中核をなす極右団体・日本青年協議会出身で、日本会議と現政権の直接的窓口ともいわれている人物だ。
欧州の王室に言及したくだりを削除、皇族の負担軽減の箇所にも介入姿勢
 伊藤氏は、その安倍周辺が「生前退位のおことば」へ介入した部分を具体的にこう書く。
〈関係者によると、原案には欧州の王室における生前退位の近況を引用した部分が二ヵ所あった。王室は国民に語り掛ける機会が多く、先代が亡くなった後、喪に服す期間が日本ほど長くないことが書かれていたという。衛藤氏はこれを「神話から生まれた万世一系の天皇が、権力闘争の末に登場した欧州の王室の例に倣う必要はない」という理由で削除し、宮内庁も受け入れた。〉
 つまり、明治期につくられた“万世一系の神話的イメージ”を現代の天皇制に押し付け、明仁天皇が美智子皇后とともに築いた“象徴天皇像”を矮小化しにかかったわけである。まさしく、安倍政権の復古的天皇観を裏付ける話だ。
 しかも、伊藤氏によれば、安倍側による「生前退位のおことば」への介入はこれだけではなかった。〈天皇の葬儀とその後一年続く関連行事、さらに天皇即位の行事に終われる皇族の負担を懸念する箇所も「絶対的な立場の天皇が、進退を決める理由に家族の問題を引き合いに出すのは庶民と同じでいかがなものか」と指摘され〉、摂政を置くことを明確に否定した部分についても削除を求めていたという。
 結果的に、これらは〈天皇の強い意思〉で残ったというが、いずれにせよ、安倍首相周辺や日本会議は、たとえ天皇であったとしても、自分たちの“都合”に合わないならば平気で「おことば」をねじ曲げようとするのだ。
 生前退位をめぐっては、安倍応援団の右派から「憲法違反の疑いがある」「天皇の政治利用につながる」などと言って反対の声をあげるという、ある種の逆転現象が起きたが、実際はどうだ。「生前退位のおことば」の主な内容は、日本国憲法が定める「象徴天皇」の安定化を訴えるという至極まっとうなものだったが、官邸の介入は明らかに、天皇を絶対的な頂点とした戦前・戦中のイメージ復活への欲望が透ける。安倍首相のほうがよっぽど「天皇の政治利用」としか言いようがあるまい。
 いま、特番を流しているテレビや特集を組んでいる新聞は、明仁天皇・美智子皇后への“慰労ムード”ばかりを醸し出しているが、今回の天皇退位を巡る一連の流れの裏に、安倍官邸と自称「保守派」による復古的イデオロギー剥き出しの抵抗があったことを忘れてはならない。
 そして、こうした右派の欲望は、明日、天皇に即位する徳仁皇太子へ必ず向けられていくだろう。実際、その具体的な動きも少しずつ表沙汰になっている。これについては近日中に稿を改めてお伝えすることにしよう。


【耕地】日本農業の深刻さ 後継者不足で東京都8個分が減少
 農水省によると、日本の農林水産物・食品の輸出額は、2018年に9068億円となり、6年連続で過去最高を更新したという。前年に比べると、牛肉が3割、日本酒が2割近くの伸びで、いちごは4割以上、卵は5割近くも増えた。
 その背景には世界的な和食ブームがあるとされ、政府は「19年に1兆円」を目標に掲げている。なんとも鼻息が荒い。
 ところが、その一方で、日本の農家はどんどん減っている。農水省の農業構造動態調査によると、1989年に418万戸だった全国の実農家数は、2017年に119万戸まで落ち込んだ。300万戸の農家が廃業したことになる。
 その面積も466万ヘクタールから288万ヘクタールに減少。差し引き178万ヘクタールは、ざっと東京都8個分だ。実際、地方に行けば、面倒を見る人がいなくなって荒れ放題の畑や田んぼが目につく。後継者不足は深刻だ。


【風俗】2人に1人はパイパン嬢 剃毛はネイルケアと同様に
 昭和に大ブレークしたノーパン喫茶は、1985年に施行された改正風営法で姿を消す。多くはファッションヘルスに転業したとされ、風俗業界のサービスは過激化。平成になると、パイパンクラブが登場する。
 風俗ライター歴40年の伊藤裕作氏が言う。
「平成を象徴する風俗というと、僕はパイパンだと思うな。当時は、水着にはみ出るアンダーヘアを処理したりする女性はいましたが、一般人のパイパンはまれ。風俗デビューをキッカケに、男性客の気を引こうとヘアを剃る。あるいはSMプレーの一環として剃毛します。あくまでも、パイパン女性は風俗業界の中だけでしたが、今は違う。風俗デビュー前の女子高生が、フツーにパイパンですから」
 そういえば、昭和を代表するAV女優のひとり、黒木香は「わき毛の女王」の異名を取り、毛がエロスの象徴だった。一転して毛をなくす方向にシフトしたのが平成だ。
「アンダーヘアがゼロでなくても、ハート形や好みの形にカットするのは当たり前。女性にとって剃毛はネイルケアのような感覚になっています。今や風俗嬢の半分は、パイパンですから」
 スゴイ時代だ。

朝眠くて少し/忘れた弁当を配達/退職の人に

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Japon : le ras-le-bol des vacances
Au pays du Soleil levant, c'est un peu comme si le temps s’était soudainement arrêté.Tout le pays fonctionne au ralenti. Les bourses et les banques sont fermées, tout comme l'administration et les entreprises. Dix jours de vacances exceptionnelles ont été décrétés à l'occasion de l'abdication de l'empereur, ce qui ne plait pas à tout le monde. "Je n'ai pas beaucoup d'argent, je ne peux pas partir en vacances. J'aurais préféré travailler", explique un Japonais. "Moi ça ne m'arrange pas, toutes les crèches sont fermées", ajoute une maman. Ces congés inattendus sont un choc culturel lié à un événement historique : un nouvel empereur, le 126e, et une nouvelle ère, celle de l'harmonie.
Seulement 18 jours de congé par an
Mais dans ce pays qui a la réputation de travailler beaucoup, on n’en revient pas. Au Japon un salarié n'a droit qu'à 18 jours de congé annuels et l'an dernier, ils n'en ont pris que neuf, la moitié. Les métiers de la restauration ou du tourisme s'en frottent les mains. Les Japonais devraient dépenser plus de 8 milliards d'euros pendant cette période.
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朝7時前に目が覚めて,2人でご飯食べました.その後8時過ぎくらいに猛烈に眠くなってきて,ちょっと横になって…気がつくと10時前でした.
弁当を持っていくのを忘れたみたいなので配達です.メールで連絡があったのが1時過ぎで無事に配達しました.仕事忙しいんだね.
退職の人に八ッ橋と阿闍梨餅と炭酸せんべいをもっていくとのこと.

<安住の灯>近所付き合い「ない」4割 7市町の災害公営住宅世帯 民医連調査
 宮城県民主医療機関連合会(民医連)が東日本大震災の災害公営住宅に入る世帯に実施した調査で、日常的な近所付き合いが「ない」という答えが40%に達した。家賃支払いなどの経済的な負担感を訴える人ほど、周囲との人間関係が希薄になっている傾向が見られた。
 家賃の支払いが「大変苦しい」としたのは19.1%、「やや苦しい」は29.6%で、半数近くを占めた。「普通」は39.7%、「やや余裕」は1.8%、「余裕」は0.5%だった。
 近所付き合いについて聞く質問では、40.0%が「ない」「あまりない」と回答。家賃負担が「苦しい」と感じる世帯のうち49.0%が「ない」「あまりない」を選んだ。
 困ったときの相談相手が「いない」は23.3%。家賃の支払いが「苦しい」世帯に限ると33.6%に上昇した。
 自由記述では「出費を抑えるために出歩かないようにしている」と窮状を訴える声があったほか、「家賃が上がってしまうので、これ以上は働けない」と、家賃補助縮小への不安を口にする被災者もいた。
 県民医連は「家計が苦しいと、日常のつながりに影響が出る実態が分かった。家賃や消費税が上がれば、その傾向はますます進むだろう」と危機感を示した。
 調査は2018年10月、仙台など被災7市町の災害公営住宅に入る2503世帯に調査票を配り、622世帯(24.9%)から回答を得た。うち51.1%の318人が70代以上だった。


震災の記憶を語り継ぐ必然/大阪本社記者が振り返る
<元社会担当・高木茂久>
さらば平成、ありがとう平成。30余年にわたる平成が終わります。あんなことがありました。こんなこともありました。プロ&アマ野球、サッカー、芸能、社会、中央競馬…と平成を通してがっつり取材してきた日刊スポーツ大阪本社のベテラン記者陣が、それぞれの分野での取材を振り返りながら、平成を語ります。
 ◇  ◇  ◇
平成7年(95年)1月17日の阪神・淡路大震災以降、実家のある神戸から阪急の西宮北口まで徒歩で何度も往復した。大阪からの電車が到達する最西端が西宮北口だったからだ。電車で15分ほどの道程が徒歩だと片道3時間。大阪と神戸を結ぶ唯一の道路となっていた国道2号線は、どこまで続くか分からない渋滞の列。歩く方が早かった。
原稿も写真も抱えていたが、送る手段がなかった。当時出回り始めた携帯電話は何の役にも立たない。公衆電話の長蛇の列。ようやく自分の番となっても、つながることはほぼない。後ろの人に譲っては歩くを繰り返す。店なんて開いておらず、お金が何の用も足さないのは後にも先にもこの時だけだ。
悲しみにくれる原稿か、少しでも前向きな原稿か、デスクとよく衝突した。実家を含め、ずっと被災地にいる私は前者、そしてデスクは後者だった。どちらが正解か、今も分からない。東日本大震災の時、東京でデスクをしていたが、やはり分からないままだ。
ただひとつ言えることは、語り継ぐ必然だろう。震災から8年後、被害が大きかった地域に転居した。いくつか残っていた付近の傷痕も15年がたち、いつの間にか、すっかり消えている。新入社員も震災後生まれがほとんどとなった。それでも記憶をたどり、平成の重大事として令和につないでいきたい。私がたどり着けなかった正解を託す意味でも。


津波で被災 子どもみこし修復完成 女川・白山神社 来月3日お披露目
 東日本大震災の津波で被災した宮城女川町の白山神社の子どもみこしが修復され、5月3日の例大祭で、2010年以来9年ぶりにお披露目される。
 みこしは高さ120センチ、幅60センチで、同神社が新潟県の神仏具を扱う業者に修復を依頼した。半年をかけて表面に漆を塗り直すなどの修復作業を施し、今月17日に同町へ届けられた。
 震災当時、みこしは津波で全壊した神社本殿に保管されていた。流失は免れたものの海水をかぶり、漆が浮き上がったり、金属製の飾りがさびたりするなど大きく損傷した。
 修復に当たり、サッポロホールディングス(HD)がNPO法人アスヘノキボウ(女川町)を介して資金を支援した。昨年東京で開いたイベントでのビール売上金の一部を充てた。
 同町で19日、支援金の目録贈呈式があり、須田善明町長は「津波で多くのものを失ったが、次の世代に伝承できるものを手にできたことはうれしいことだ」とあいさつした。
 神社総代会の佐藤良一会長(73)は「地域のつながりが深まるきっかけになる」と期待を寄せた。


『あまちゃん』で追求された“ドラマにしかできないこと”…震災でテレビ局に生まれた覚悟
 5月1日、いよいよ新元号「令和」が施行され、「平成」時代が幕を閉じる。
 平成元年時の“月9”枠は『君の瞳に恋してる!』(主演・中山美穂)、NHK大河ドラマは『春日局』(主演・大原麗子)、NHK朝の連ドラは『純ちゃんの応援歌』(主演・山口智子)であった。一方、平成最後の月9は『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(主演・窪田正孝)、大河は『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(主演・中村勘九郎、阿部サダヲ)、朝ドラは『なつぞら』(主演・広瀬すず)である。
 この30年余の平成の御代、ドラマは時代を映し、またドラマが時代に影響を与えもし、数々の名ドラマ・迷ドラマが生まれた。この間、ドラマはどう変わり、そして何が変わらなかったのか、ニッポンのドラマに精通した2人の猛者が語り尽くす。
 ひとりは、テレビドラマ研究の専門家で、『ニッポンのテレビドラマ 21の名セリフ』(弘文堂)などの著作もある日本大学芸術学部放送学科教授の中町綾子氏。対するもうひとりは、本サイトにて「現役マネージャーが語る、芸能ニュース“裏のウラ”」を連載する某芸能プロマネージャーの芸能吉之助氏。
 芸能界の“オモテ”を知る女性研究者と、“ウラ”を知悉する現役マネ。この両者は、平成のドラマ史をどう見るのか? 平成31年から令和元年をまたぐゴールデンウィークの短期集中連載として、全10回を一挙お届けする。
 対談連載第4回目のテーマは、「震災」。東日本大震災が起こった2011年3月11日。エンターテインメント業界もその日を境に大きな変化を求められた――。ドラマ制作現場が向き合った“2011年”という大きなターニングポイントについて語ります!
【対談者プロフィール】
中町綾子(なかまち・あやこ) 日本大学芸術学部放送学科教授。専門はテレビドラマ研究。文化庁芸術祭テレビドラマ部門審査委員、 国際ドラマフェスティバルinTokyo 東京ドラマアウォード副審査委員長、ギャラクシー賞テレビ部門選奨委員を務める。“全録”(全チャンネル録画)できるHDDレコーダーがなかった時代から、研究室に5台以上のレコーダーを設置してドラマを見まくり研究してきたというドラマ猛者。
芸能吉之助(げいのう・きちのすけ) 弱小芸能プロダクション“X”の代表を務める芸能マネージャー。芸能ニュースを芸能界のウラ側から解説するコラムを「ビジネスジャーナル」で連載中。ドラマを観るのも語るのも大好き。最近の推しドラマは『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(NHK総合)。
『あまちゃん』はNHKドラマの“存在証明”
中町教授 えっと、『あまちゃん』の話に戻りましょうか。『あまちゃん』が放送された2013年って、ほかにも良いドラマがすごく豊富だったんです。『半沢直樹』(TBS系、2013年、主演・堺雅人)があり、『最高の離婚』(フジテレビ系、2013年、主演・瑛太)があり、『泣くな、はらちゃん』(日本テレビ系、2013年、主演・長瀬智也)があり、そして『あまちゃん』があった。というのも、2011年に東日本大震災という未曾有の大災害が起こり、ドラマを作っている関係者の人たちもいったん立ち止まって考えざるを得なかったのではないでしょうか。そこから再起し、いろんな覚悟を持って世にドラマを送り出していったのが、この2013年だったと思うんです。
吉之助 そういう作り手の空気の変化は、現場でもものすごく感じました。あれだけの災害でしたから、「こんなときにドラマだなんて能天気なことをやっていていいのか?」とか、逆に「今こそドラマが必要だ」と、いろんな思いが渦巻いていた。あの震災を境に、ドラマ現場の空気が一変しましたね。
中町教授 それは、エンターテインメントを扱うすべての現場で起こったことでしょうね。
吉之助 そうですね。そして、「震災」そのものをドラマで扱うかどうかがやはり難しいところで。「震災」に関する単語は聞きたくない、思い出させるような内容は見たくないという意見ももちろん多かった。
 たとえば、これは有名な話だけど、サザンオールスターズは最大のヒット曲である「TSUNAMI」を、震災以降、ライブで一度も歌ってないそうです。「聴きたい」という声もものすごくあるけれど、一度も演っていないという。それはやっぱり、ほんとにいろんな考え方、感じ方があるからですよね。音楽にしたってテレビにしたって、エンターテインメント業界全体が、2011年のあの日にものすごく大きな転換点を迎えて、そこにかかわる人々は、“自分は何をするべきか”、すごく自覚的になったと思います。
――2011年以降、ドラマをどう作っていくか、そしてドラマの中でも“2011年”をどう描くのか、という大きな葛藤があったということですね。
中町教授 そうですね。特にNHKの場合、災害時の情報インフラとしての役割が、やはり報道機関としての大切な存在意義ですからね。そこで、「じゃあドラマなどの娯楽番組は必要なのか?」という葛藤を超えて、「いや、ドラマにしかできないことがあるんだ!」と堂々と宣言したのが、『あまちゃん』だったのだと思います。ドラマの存在証明を示した。
『あまちゃん』はあの大震災をどう描いたか
吉之助 『あまちゃん』が震災をどう描くか、というのは、放送開始からずっと注目されていましたよね。2008年の岩手を舞台にスタートしたあの明るいドラマが、ドラマの中の“2011年3月11日”が近づくにつれて、「北三陸の人たちはどうなっちゃうの……?」などと、SNSでも大きな話題となっていました。結果、実際の津波や震災時の映像などを使うことなく、東京にいる主人公のアキ(能年玲奈)が、ニュース映像を見ている表情、電車に乗っていたユイ(橋本愛)がトンネルの外を見たときの表情、ドラマの中で使用されていた模型が崩れている様子など、直接的ではなく、でもその恐ろしさが十分に伝わる見事な表現でした。さすが宮藤官九郎だと思いました。
中町教授 クドカンさんの登場は、平成のドラマ史の中ではかなり大きなトピックですよね。視聴率はそんなに高くないドラマも多いのですが。その中でも『あまちゃん』の場合は、「たくさんの視聴者に見てもらわないと意味がない」と、本当にたくさんの要素が詰め込まれていて、その熱量が視聴者に届いたのではないでしょうか。
 また、第3回で“朝ドラ=アイドルの応援商法”というお話をしましたが、ネットやSNSを通じてドラマを応援するという形があんなに盛り上がったのも、『あまちゃん』が最初じゃないでしょうか。もちろんそれまでもありましたけど、あんなふうに“祭り”状態になって盛り上がった朝ドラは、それ以前にはなかなかなかった。SNSでの盛り上がりがドラマ人気に繋がるという、今ではかなり一般的になりつつある状況の礎を築いたドラマだったと思います。
吉之助 宮藤さんは初めての映画脚本が『GO』(2001年、金城一紀原作)だったんですけど、その時点からとんでもなくおもしろいものを書いてました。実際の映画撮影のときにはかなりカットされてましたけど、撮影前の初稿台本は本当に今まで読んだことがないくらいのおもしろさで。あんなにページを読む手が止まらない台本は初めてだった。その後の活躍はみなさんも知っての通りだと思いますが。
 だから『あまちゃん』も、脚本が宮藤さんだと聞いた時点で「そんなの絶対におもしろいでしょ!」と思ってました。だから、しつこいようですけど『いだてん』がおもしろくないわけないんですって!!(笑) 視聴率はイマイチですけど、ぼくは『いだてん』を推し続けますよ〜!
(構成=白井月子)


テレビ各局の“平成事件振り返り”から「福島原発事故」が消えた! 広告漬けと政権忖度で原発事故をなかったことに
「平成」の終わりまであと数時間。この1、2カ月テレビ各局はこぞって「平成振り返り」特番を放送してきた。しかし、そのなかで、気になったことがある。どの番組を見ても、あの福島原発事故のことがほとんど出てこないのだ。
 たとえば、4月6日に放送された『池上彰のニュース そうだったのか! 3時間スペシャル』(テレビ朝日)。その内容は「平成30年大ニュース」と題し、平成の時代に起こった事件や出来事を「昭和」と比較し分析するというもので、ゆとり教育や消費税導入、テロの激増、そして「日本を大きく変えた自然災害」として西日本豪雨、雲仙・普賢岳などともに東日本大震災にも触れられていた。ところが、その震災についても「SNSが普及」「LINEに既読機能が」といった災害対策がメインで、多くの国民に甚大かつ深刻な被害を与えた福島原発事故についてはクローズアップしなかった。
フジテレビが3月31日に放送した『報道スクープ映像 昭和・平成の衝撃事件!大追跡SP』も同様で、昭和のロス疑惑まで取り上げているのに、原発事故にフォーカスすることはなかった。
 NHKでも同じ現象が起きている。『NHKスペシャル』ではこの間、「平成史スクープドキュメント」と銘打った回顧シリーズを放送していたが、「大リーガーNOMO」「山一証券破綻」「小選挙区制導入」「安室奈美恵」などがテーマで、原発事故は結局、テーマにならなかった。
 情報番組やワイドショーも、この間、レギュラー枠の中で平成ふりかえり企画を放送したが、やはり原発事故をクローズアップした番組は皆無。
 とくに、唖然としたのがきょう、平成最後の日の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ系)だ。「年表で振り返る30年間」として平成の事件を振り返り、小泉政権の誕生、高橋尚子のシドニー金メダル、ライブドア事件などはたっぷり映像で放送したのだが、2011年になると、「災害の多かった平成、なかでも東日本大震災、いまだに復興道半ば」という短いコメントとともに、津波で押し流された町の写真パネルが一瞬、映されただけで、すぐに「それから2012年、東京オリンピック開催決定、スカイツリー開業、えーそんな前になんの?」と、宮根がおちゃらけトークで別の話題に移してしまった。
 そのあと、天皇・皇后の東日本大震災被災地慰問の映像が流れて、再び震災の話題になるのだが、ここでも不可解なことが起きる。「被災による避難者数」というフリップが映され、林アナが「およそ4万8000人の方が避難している、そのうちおよそ4万人は福島県の方」と解説したのだが、そのあと、原発のゲの字も口にせず、その「4万人の福島県の避難者」の原因についてネグってしまったのだ。
「この間、原発事故のことをきちんと取り上げていたのは『報ステ』やTBS、それも報道局が作った番組くらいじゃないですか。他の民放も、NHKも明らかに原発事故を避けていた」(民放関係者)
 言っておくが、この原発事故は当事者である吉田昌郎・福島第一原発の所長(当時)がいったんは「東日本壊滅を覚悟した」と回想したくらいの危機的な状況だった。そして、いまも4万人以上の人々がこの原発事故の影響で故郷を追われ、避難生活を強いられている。そんな重大事故をテレビの平成振り返り企画が不自然なくらいに避けまくっているのだ。これはいったいなぜなのか。
東京五輪を控えて強まる忖度、そして原発広告の復活
 もちろんその理由のひとつは安倍政権に対する忖度だろう。現在、安倍政権は、原発被災者への支援打ち切りと強引な帰還政策を推し進める一方で、まるで事故などなかったかのように、原発再稼働を推し進めている。また、東京五輪を来年に控えて、原発事故の影響などないことをアピールしようと必死になっている。
「直接的な現場への圧力というのはないが、局の上層部には、『五輪を前に日本の安全をアピールする必要がある。協力してほしい』というプレッシャーがかかっているようです。そのためか、原発事故をクローズアップしようとすると、上から『風評被害を助長するのはどうか』とクレームがつく。振り返り企画でも、そういう空気を忖度したということでしょう」(前出・民放関係者)
 さらに、もうひとつメディアが原発事故を取り上げない理由がある。それが電力会社によるメディアへの“原発広告”の復活だ。
 事故以前、東京電力をはじめとする電力各社やその司令塔・電力事業連合会(電事連)は新聞、テレビ、週刊誌などのマスコミに広告を大量出稿することで、原発に批判的な論調を封じ込めてきた。しかし原発事故が起こされると、安全神話を作り出してきたマスコミ、そして広告に出演していた芸能人や学者たちにも批判が高まり、電力会社からの広告は一時なりをひそめたかに見えた。
 ところが事故から3、4年が経った頃から、メディアでは“原発広告”が完全に復活。さらに、原発再稼働政策を推し進める安倍政権と歩調を合わせるように、電力業界は広告費を増やし、再びマスコミを“カネ”で漬け込んで“原発タブー”を作り出しているのだ。
 実際、電力業界の広告宣伝費は総じて右肩上がりだ。日経広告研究所が毎年発行している『有力企業の広告宣伝費』によれば、大手電力10社のうち、東京電力ホールディングスこそ福島原発事故以降の広告費は下降基調だが、他9社は全体として上昇の傾向にある。
関西電力、九州電力の広告費は3倍増に! 広告漬けでマスコミが再び
 たとえば、関西電力は美浜、大飯、高浜の3原発を擁するが、年間広告費は2015年度の31億円から翌16年度に92億円と実に3倍増。2017年の大飯、2018年の高浜再稼働とリンクしていると考えられるだろう。
 川内原発、玄海原発を持つ九州電力も露骨だ。専門家から火山のリスクなどが散々指摘されながら2015年に川内原発を再稼働し、昨年は玄海原発も続いた。前後の年間広告費を見てみると、2014年度に12億円だったものが、17億円(2015年度)、30億円(2016年度)、41億円(2017年度)と3年で3倍に膨れあがった。
 また、浜岡原発をかかえる中部電力は2014年度に36億円まで下がったが、2015年度は76億円と倍以上伸ばし、2016年度が約80億円、2017年度が76億円。これは福島原発事故前の2010年度(80億円)と同じ水準まで広告費を回復させたことを意味している。
 他にも、東北電力は2016年度に66億円、2017年度に64億円と2年連続で60億円台を記録(2010年度=85億円)、中国電力は2017年度に35億円(2010年度=42億円)、四国電力は2017年度に24億円(2010年度=30億円)まで上昇しており、いずれも福島事故前の水準に迫ろうという勢いだ。
 非公開の電事連や原子力発電環境整備機構(NUMO)など関連団体の広告予算もかなりの水準で上昇しているのは間違いない。事実、新聞や雑誌の広告だけでなく、すこし前からはテレビでも電事連のCMがごく普通に垂れ流されるようになっている。
 こうした“原発広告漬け”の中、メディアの原発事故関連の報道は激減し、原発再稼働に対する批判も行われず、そして今回のように「平成の終わり」という大イベントでの振り返り特番でも、原発事故は「なかったこと」にされてしまったのだ。 
 おそらく本日から明日にかけて大量に流される各局の「即位特番」や「平成振り返り特番」でも、福島原発事故が正面から取り上げられることはないだろう。 
 安倍政権への忖度、原子力ムラによる大量の広告出稿によって、マスコミは再び原発安全神話に加担し、原子力ムラと一体化しつつある。平成の最大の人災でもあり、世界でも未曾有の原発事故を平成の終わりとともに「なかった」ことにされてしまうのだろうか。


<羽生結弦>ファン、ユヅと決めポーズ 五輪連覇 新モニュメント完成
 平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2連覇した仙台市出身の羽生結弦選手(24)=ANA、宮城・東北高出=の新モニュメントを一目見ようと、仙台市青葉区の市地下鉄東西線国際センター駅前は29日、ファンらの熱気に包まれた。
 モニュメントには平昌五輪のフリープログラム「SEIMEI」の冒頭で動きだすシーンをデザインした。山形市の日大山形高2年工藤楓(かえで)さん(16)は「ソチ冬季五輪の前から羽生選手のファン。実際の決めポーズもすてきだけど、モニュメントも格好いい」と大喜びだった。
 羽生選手と同じ格好で写真を撮ったのは泉区の宮城教育大1年小野寺友芽さん(18)。「足首のけがを治すことを最優先に、これからも華麗な演技をしてほしい」とさらなる活躍を期待した。
 モニュメントの除幕式にはフィギュアスケートの練習に励む市内の小中学生ら約70人が参列。郡和子市長はあいさつで「羽生選手のように世界で活躍する選手の誕生を期待している」と子どもたちに呼び掛けた。
 ひもを引いた青葉区の台原中1年佐藤麻緒さん(12)は「一生懸命練習して羽生選手のようになりたい」と力を込めた。


<羽生結弦>あの場面 感動も倍増・仙台 新モニュメント完成
 平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2連覇した仙台市出身の羽生結弦選手(24)=ANA、宮城・東北高出=の偉業をたたえる新モニュメントが29日、仙台市青葉区の市地下鉄東西線国際センター駅前に設置された。
 2017年4月に置いたソチ冬季五輪で最初の金メダルを獲得した羽生選手、トリノ冬季五輪金メダリストの荒川静香さん(37)=宮城・東北高−早大出=のモニュメントの隣に配置された。高さ230センチ、幅160センチ。平昌五輪のフリープログラム「SEIMEI」の冒頭の一場面をあしらった。
 除幕式には、県内外のファンら約600人が集まった。羽生選手は式に出席しなかったが、「フィギュアスケート発祥の地と言われる五色沼の近くに自分のモニュメントが増えたことを大変うれしく思います」とのメッセージを寄せた。


デスク日誌 納豆と後三年
 JR奥羽線の横手駅の北隣に後三年駅がある。駅名の由来はずばり後三年の役(1083〜87年)だ。
 駅から東に数キロ離れた所に当時あった金沢(かねざわ)柵に、清原家衡・武衡連合軍が立てこもった。源義家・清原清衡連合軍が包囲して兵糧攻めにしたのが後三年の役の「金沢柵の戦い」だ。
 奥羽線で横手駅と大曲駅の間を通るたび、この駅が気になっていた。4月半ばの週末、電車とバスを乗り継いで金沢柵跡を訪ねた。
 金沢公園前というバス停で下車。上り坂を十数分ほど歩き、金沢八幡宮に続く石段にたどり着いた。
 金沢柵跡に足を運んだ目的の一つは、ここにあると聞いた「納豆発祥の地」の碑を見ることだった。どこにあるか分からず、しばし探して石段脇に見つけた。
 碑は、後三年の役の折に義家が「農民に煮豆を俵に詰めて供出させた所、数日をへて香を放ち、糸を引くようになった…」と文字を刻んでいた。納豆発祥の伝説が秋田の古戦場に息づいていることを確認できた。
 現場に出向き自分で見聞きすることがやはり取材の基本だなあと、静寂な金沢柵の二の丸跡で原点に立ち返った気分になった。(秋田総局長 松田博英)

山田朗講演会/ミョウガを食べる/新幹線にwifiない

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聖天さん190406

Être gai au Japon : poursuivre l'État pour pouvoir se marier
Anyck Béraud
Le jour de la Saint-Valentin, 13 couples ont porté plainte contre le gouvernement japonais; ils veulent que les mariages de même sexe soient autorisés. Ces couples espèrent que le changement d'ère impériale - symbole de renouveau au pays - sera aussi synonyme d'avancée pour leur cause.
Les deux quadragénaires nous ont donné rendez-vous dans un parc de Tokyo, tout près du départ du défilé annuel de la fierté. Il faut jouer du coude, tellement il y a du monde. Une foule bigarrée est venue de tous les coins du Japon, en famille, en amoureux, entre amis; beaucoup d’expatriés sont là aussi.
Puis, parmi les petites tentes blanches installées en rang d’oignon: celle bardée d’affiches qui réclament le mariage pour tous au Japon. Pour obtenir les mêmes droits que les familles et les couples hétérosexuels.
Halou Ono explique que c'est un tracas juridique de trop qui les a incitées à lancer cette poursuite contre l'État, avec d'autres couples, le 14 février dernier dans 4 villes du pays: ≪ Quand mon enfant a été hospitalisé, l'administration n'a pas permis à Asami de signer les papiers en nous disant qu'elle n'avait pas de lien de sang ≫.
Sa partenaire précise que les protections sociales au Japon sont basées sur le mariage, sur l'unité familiale classique.
Les plaignants assurent que rien dans la Constitution japonaise n'interdit le mariage homosexuel, quoiqu'en dise le gouvernement de Shinzo Abe, politicien de droite dans ce Japon conservateur. L'article 24 stipule que le mariage ne peut être conclu que sur la base de l'accord de personnes des deux sexes.
Leur avocat, Maitre Shinya Maezono, est catégorique : ce texte, rédigé après la guerre, n'en est pas un d'exclusion de ses clients, il était même très libéral. ≪ À l'époque, le mariage forcé par le chef de famille était souvent pratiqué légalement, contre la volonté du couple. Après la Seconde Guerre mondiale, cette nouvelle Constitution a supprimé cela, dans une volonté de protéger la liberté individuelle de la famille ≫.
Il croit qu'une victoire contre l'État constituerait grande étape pour que la société accepte davantage les droits des homosexuels au Japon.
Asami Nishikawa et Halou Ono fondent des espoirs sur le changement d'ère impériale au Japon, souvent perçu comme une occasion de renouveau. ≪ Déjà, on aura les Jeux olympiques l'an prochain, et c'est probablement ce qui a poussé la ville de Tokyo à garantir et à protéger les droits de la communauté LGBT. On espère bien que cette loi tokyoite va s'étendre au reste du Japon sous l'ère Reiwa ≫ .
C'est la préfecture de Shibuya, un quartier branché de Tokyo, qui a lancé le bal il y a quatre ans, suivie par d'autres administrations locales au Japon. Elle a proposé aux couples de même sexe un ≪ certificat d'union ≫. Ce document leur permet d'éviter le genre de problèmes que celui qu'ont vécu les Nishikawa-Ono à l'hôpital, et de les protéger contre les discriminations.
Près de la tente du mariage pour tous, Hiroshi Keida mène une campagne. Il incite les couples de même sexe à se présenter dans les préfectures récalcitrantes pour demander à se marier : il veut comptabiliser les refus, afin d’étoffer le dossier contre l’État .
≪ Cela va nous aider aussi à calculer combien de couples de même sexe il y a au Japon. Plusieurs se cachent ≫, assure-t-il. Il s’est lui-même marié en Nouvelle-Zélande. Mais il ajoute que son époux ne peut obtenir un visa pour venir s’installer au Japon.
La communauté LBGT composerait jusqu'à 10 % de la population au Japon.
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フランス語の勉強?
ペロンパー @klezmer722
徐京植さんが天皇制を肯定しながら他者、とりわけ植民地支配や侵略の被害者と平和的な関係を構築することなどできないというのは、本当にその通りだと思う。人によって天皇制に反対する根拠は様々だろうけど、自分にはこれが一番大きい。
鮫島浩 @SamejimaH
トランプがレッドカーペットに入る安倍首相を制止したのが事実なら単なる笑い話ではなく米大統領が世界へ見せつけた強烈な政治的メッセージだ。その場にいた日本メディアがこれを報じないのはどういうことか。情報は拡散している。忖度している場合ではない。現場で何が起きたのか早く事実の報道を。
盛田隆二 @product1954
レッドカーペットの外に立つ安倍首相夫妻。「もっと近づいて」と記者に言われて安倍首相がカーペットに片足だけ入れると「STOP」とトランプ氏は制止したが、文大統領は対等だったと韓国のテレビ。なんかこれ脚色してない?と思ったら、トランプ氏は本当にSTOP!と言っていた。
[비하인드 뉴스] 트럼프에 "STOP" 당한 아베?…레드카펫 굴욕

エルネスト金@erukimnen
これ普通ならば扱いが不当だとアメリカに文句を言うのが筋だよね。ところが安倍晋三を筆頭とした日本のネトウヨ共は、どういう訳かアメリカにはではなくて韓国にジェラシーを募らせてまた更なる無理矢理の敵対に展開するのである。先進国意識が欠落した、旧宗主国根性を克服できない人権後進国日本。
島薗進 @Shimazono
T・ラフ「フクシマ原子力災害から8年」
http://chikyuza.net/archives/93005
IPPNW共同会長ICAN創設者のティルマン・ラフ (T.Ruff) 氏〈 医学博士/メルボルン大准教授 〉による福島原発事故の現状の概括。「日本政府は、フクシマは正常に戻ったのだという、人を惑わすファンタジーをつくり上げようと企む一方」
ティルマン・ラフ「フクシマ原子力災害から8年」
http://chikyuza.net/archives/93005
「大惨事から8年経った今も、市民が受ける年間追加積算被ばく量の許容量を20 mSvと決めそれを適用している。原子力災害の後、これほど高い追加積算被ばく線量をこれほど永年の間、容認した国は世界中で日本だけである。」
IPPNWドイツ支部が打ち出したキャンペーン「2020東京放射能オリンピック」ホームページが3月に解説された。こちらが日本語版→ http://www.radioactive-olympics.org/information-in-japanese.html … IPPNWによるこれまでの重要な発信が集約されている。

4・29「昭和の日」反対!大阪集会――天皇代替わりの今だからこそ弾劾する!――
講師:山田 朗さん(明治大学教員/明治大学平和教育登戸研究所資料館館長)
2015年の戦争法の成立でアメリカの侵略戦争への自衛隊の参戦を可能とし、安倍政権は本格的な戦争国家に踏み出した。今回の天皇代替わりはそのなかで行われる。私たち日本の民衆は、「明治」以来の侵略と戦争の歴史、そして「平和」とされる戦後をもふりかえるとき、心穏やかではおれない。天皇の戦争責任を「言葉のアヤ」(75/10/31記者会見)と否定した裕仁は戦後も日米安保の土台をつくり、天皇明仁はアフガン戦争への参戦など自衛隊の外国派兵に役割を発揮したのだ。米日の支配層は新天皇徳仁に何を期待するのか。 安倍政権は5月26日ごろに、天皇即位後最初の国賓にトランプ米大統領を招き新天皇・トランプ会見を画策している。日米同盟を盤石にするためには天皇の「おもてなし」が最高というわけだ。いうまでもなく日米同盟とは戦争同盟であり、安倍政権は中国や朝鮮民主主義人民共和国をにらんだ戦争態勢の飛躍的強化に必死だ。だから、新天皇を「戦争天皇」としてデビューさせたいのである。日本の支配階級とマスコミは天皇明仁を「平和天皇」として持ち上げきた。天皇裕仁も角度が違うが、同じだ。朝日新聞の元日、3日、7日の一面トップの記事はそれを端的に示している。「平和を願う心、国民への思い」(1月1日)と、裕仁の「心」を集約し褒めそやす。これまでも「独白録」の発表(1990年11月)、「玉音放送」原盤の公開(15年8月)、そして何よりも祝日「昭和の日」の創設(05年5月成立、07年施行)で、天皇裕仁の「偉業」、つまり戦後復興と繁栄と平和の基礎をつくったとする「終戦の聖断」⇒「平和天皇」を人民に叩き込んできたのである。支配階級にあっては、こうした歴史の改竄がこれからも必要なのである。「平和」を口にしながら戦争を進める「戦争天皇」が欲しいのだ。トランプ・新天皇会談はその最初の示威である。  「昭和の日」とは何か。天皇代替わりの今だからこそ弾劾する!
参加費:1000円(経済的事情のある方は受付まで)
主催:参戦と天皇制に反対する連続行動


行こうかどうか迷っていたのですが,いろいろ考えていくことにしました.山田朗さんの講演会.朝の洗濯はキャンセルです.天皇制というもの,天皇の戦争責任についてとても分かりやすく,ときには笑いもある有意義な講演会で参加してよかったと思いました.
ミョウガがたくさんあまっているので醤油かけてバリバリとを食べました.
新幹線にwifiないのですが,雑用をして過ごしました.あっという間につきました.

<東日本大震災>復興・創生期間後の21年度 被災3県15市町村で応援職員なお454人必要
 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の15市町村で、復興・創生期間(2016〜20年度)が終了した2021年度も計454人の応援職員を必要としていることが河北新報社の調べで分かった。多くの自治体は20年度までに復興事業を終えるが、東京電力福島第1原発事故に見舞われた福島県や被災規模が大きかった自治体を中心に支援の必要性が浮き彫りになった。(報道部・東野滋、高橋鉄男)
<残る整備事業>
 21年度も応援職員が必要な3県の内訳は岩手が陸前高田市のみで15人。宮城が石巻、気仙沼の2市で187人。福島が12市町村の252人。最多は石巻市の132人で、福島県浪江町83人、気仙沼市55人、福島県富岡町46人、双葉町31人と続く。
 職種は土木など技術系が中心。気仙沼市は21年度も道路や上下水道の整備、区画整理事業が残る。土木系以外では住環境が変わった被災者の心のケアに当たる保健師らのニーズが高い。
 3県の市町村への応援職員の推移はグラフの通り。各市町村は全国の自治体からの派遣職員や最長5年の任期付き職員らを採用し、必要数を確保してきた。復興・創生期間の最終年度となる20年度は、3県38市町村で計1484人を必要とし、このうち23市町村は21年度の必要数をゼロとしている。
<見えぬ国方針>
 これらの数字は昨年10月時点の見通し。復興事業の遅れなどで引き続き応援職員が必要になる可能性がある。人件費は国の震災復興特別交付税で賄われてきたが、復興庁は21年度以降の方針をまだ示していない。
 石巻市が21年度に必要とする応援職員132人は本年度スタート時点(361人)の約3分の1にとどまるが、最長5年の任期で採用した職員が次々に任期満了を迎える。市人事課は「技術系の人材は民間との奪い合いになっており、獲得競争に負けている」と先行きを懸念する。
 原発事故後、復興拠点づくりが加速する福島県は「長期的に応援職員は必要だが、自前での採用は厳しい自治体が多い」(市町村行政課)と説明する。
 21年度の必要数をゼロと答えた自治体にも危機感は残り「復興事業で増えた公的施設の管理など、増大した業務量をプロパー職員だけで担う余裕がない」(岩手県田野畑村)といった声も上がっている。


<東日本大震災>21年度以降応援職員ゼロも 自治体体制縮小へ苦慮
 東日本大震災からの復興で多数の応援職員に支えられてきた岩手、宮城、福島3県の被災自治体が、人員体制の縮小に向けた対応を迫られている。復興・創生期間(2016〜20年度)が終わる2021年3月を見据え、業務の外部委託や組織再編による「出口戦略」を進めている。
 「震災発生時、家族が心配で職場を離れて帰った職員がいた」。石巻市役所で11日、本年度採用された職員向けの研修があり、市の元危機管理監二上洋介さん(60)が震災対応の難しさを伝えた。
 市は14〜18年度、退職者と同数を新規採用する「フル補充」で人手を確保してきた。19年度以降は職員数の適正化にかじを切り、ピーク時(17年度)の2140人から近い将来、震災前の約1300人まで削減する方針だ。
 21年度以降も続く復興事業を見越し、人手不足をカバーするため業務の外部委託を導入する。手始めに8月から市民課の窓口業務を民間に委ねる。
 陸前高田市は4月、岩手県で初めて窓口や庶務の業務を外部委託した。職員の減少に備えるとともに、人件費の抑制による財政健全化の狙いもある。
 21年度以降、多くの被災自治体で応援職員がゼロになり、職員数は震災前の水準に戻る見込みだ。
 現在、約80人の応援職員がいる岩手県大槌町は本年度、震災後に創設した総務部、総合政策部、復興局など5部局を全て廃止し、17課室から14課室へ大幅にスリム化した。総務課は「本当は引き続き応援が欲しいが、復興・創生期間が終わる現実と向き合わなければいけない」と説明する。
 一方、津波被災と東京電力福島第1原発事故からの復興を目指す福島県浪江町は「帰還困難区域を抱え、復興事業も多く残る。先のことを考える段階にない」(総務課)という。将来、適正な職員数を算定する目安となる人口、それに基づく町の財政力も見通せず苦悩する。
 岩手大地域防災研究センターの福留邦洋教授(地域防災)は「国は自治体の状況を把握した上で必要な支援策を継続すべきだ。自治体側も求める人材像を精査し、人数だけでなく質を確保しなければならない」と指摘する。


<仙台・蒲生>暮らしの記憶堤防に刻む 元住民ら銘板設置、変わる街並みに危機感抱く
 東日本大震災の津波で被災した仙台市宮城野区蒲生地区で、津波を防ぐ河川堤防に震災前にあった施設などの名称を刻んだ銘板を付ける取り組みが始まった。震災後の区画整理事業で移転した元住民のグループが、暮らしの記憶を残そうと計画。震災のあった日付と同じ11の箇所(地図)への設置を目指す。
 蒲生干潟に面した堤防の2カ所には25日、横60センチ、縦40センチのステンレス製銘板が設置された。1枚には国指定の鳥獣保護区特別保護地区になっている干潟、別の1枚には震災前に3軒のウナギやコイの養殖業が営まれていたことを記す「養魚場」の文字が刻まれた。
 2枚は堤防の工事を担ったファインテック(仙台市)が製作し、元住民らでつくる「蒲生の河川堤防に銘板をつける会」に贈った。約20人が見守る中、会代表笹谷由夫さん(72)と同社統括部長若生不二夫さん(61)らが堤防に固定。笹谷さんは「立派な銘板を作ってもらった。一歩踏み出せた」と顔をほころばせた。
 震災後、蒲生地区は大部分が住宅の新築などができない災害危険区域になった。このうち七北田川北側の北部地区約92ヘクタールは倉庫などの業務用地として大規模な土地区画整理事業が進む。
 川と干潟の内側には2.8キロにわたり高さ7.2メートルの堤防ができ、地区の2方を囲む。道路や町割りは変わり、震災前に3000人以上が暮らしていた街の面影は消えつつある。
 「どこに何があったか分からなくなる」。この地で生まれ育ち、津波で息子2人やきょうだいを亡くした笹谷さんは危機感を持った。昨年末に仲間約20人と団体をつくり、堤防を管理する宮城県や市と交渉を重ねてきた。
 堤防が完成したら地区のコミュニティーセンター、小学校、バス停跡など残る9カ所にも設置したいと願う。笹谷さんは「高い堤防の上から眺め、この場所にあった施設や地名を知ってもらえたらいい」と話す。


被災者の健康守り7年半 釜石・平田、仮設住宅団地の診療所閉鎖
 東日本大震災で釜石市内最大の仮設住宅団地になった平田地区の診療所が閉鎖された。7年半にわたり被災者の健康を守ってきたが、住宅再建が進み受診者が減っていた。所長の医師八島良幸さん(72)は「これも復興の一つの節目。役割は果たせた」と語る。
 仮設住宅が集中立地する平田地区には医療施設がなかったため、市が地元の医療法人仁医会に協力を要請。平田第6仮設住宅の一角に2011年10月1日、平田診療所を開所し、仁医会の医師1人が週3日の診療に当たってきた。
 平田地区には六つの仮設住宅団地が立ち並び、11年9月には508世帯、1105人が入居した。来院は13年度がピークで1日当たり9.2人。予防接種などで多くの復興工事関係者も来院したという。
 しかし仮設住宅の入居者は年々減少し、今年3月末時点で31世帯44人になった。昨年度の患者は1日当たり2.4人で「経営的にはずっと大赤字」と八島さんは語る。
 「たくさんの患者を診療したわけではないが、本当に困っている被災者の役には立てたと思う」と振り返った八島さん。震災当時は岩手県立大船渡病院の院長だったが退職して12年5月、医療の復興に尽くしたいと仁医会の医師になり、診療所長を務めた。
 市はこのほど、仁医会に感謝状を贈呈。野田武則市長は「被災者は本当に助けられた。災害医療のモデルになった」とたたえ、八島さんは「患者が少ない分、仮設住宅でさまざまな悩みを持っている人の話を聞いてあげられた」と話した。


災害関連死/事例をデータ化して共有を
 もうすぐ幕を閉じる平成の時代は、多くの災害に見舞われた30年余だった。大規模な災害が起きるたびに、避難後の過労やストレス、持病の悪化などで亡くなる「災害関連死」が問題視されてきた。
 平成に発生した災害で、関連死と認定された人は5000人近くに上る。その犠牲者の数は、大規模災害に匹敵すると言っていい。しかし、災害ごとの関連死の正確な数や実態を把握している国の省庁はない。
 ここにきて国もやっと重い腰を上げる。内閣府は本年度から、関連死の実態把握に乗り出す。都道府県に人数の報告を求めるという。死亡までの経緯などを報告に含めることも検討している。
 関連死は対応次第では減らせたはずの犠牲だ。減らすには、これまでの事例を収集して分析し、教訓を導かなくてはならない。これ以上犠牲を出さないため、国は早急に実態を把握し、実効性のある施策を講じてほしい。
 関連死は、1995年の阪神大震災から認定されるようになった。このときは避難所でのインフルエンザ流行も要因となり、関連死は921人に上った。
 東日本大震災では関連死が3701人に達し、うち9割近い3279人が66歳以上の高齢者だ。東京電力福島第1原発事故があった福島県が全体の6割を占める2250人、宮城県は928人、岩手県は467人となっている。
 新潟県中越地震(2004年)や熊本地震(16年)では、車中泊によるエコノミークラス症候群などで亡くなる人が相次ぎ、関連死の数は直接死を上回った。
 復興庁は12年、東日本大震災の関連死に関する報告をまとめたが、避難所での生活や心のケアなど改善すべき課題を挙げたにすぎない。どうすれば命を救えたのか。そうした視点からの検討はほとんどなされなかった。
 地震や津波などから助かった命が、その後の避難生活で失われることがあってはならない。平成に置き去りにされた関連死対策は今後、防災・減災の重点的な施策と位置づける必要がある。
 関連死で亡くなった一人一人の背景には、われわれが見過ごしてきた事前防災の弱点が潜むケースもあろう。国は収集し分析した事例を分類・公表し、自治体などが検索できるようデータベース化することが望ましい。
 それは、日本弁護士連合会や専門家がこれまで指摘してきたことである。プライバシー保護に留意しつつ、社会で共有してこそ、命を守るために役立つ資料となる。
 関連死は、遺族の申請を受けて市町村の審査委員会などが可否を判断する。認定されると最大で500万円の災害弔慰金が支給される。遺族が制度を知らずに申請しない事例もあるとされ、制度の周知も大事な課題となる。


<平成考>災害の多発 なお遠い「人間の復興」
 「死にたい死にたい死にたい…」(夫を失った女性)。
 「(シリア難民問題をテレビで見ながら)なんか、俺みたいだよね」(家を流され、内陸に避難した男性)。
 この8年の取材メモを読み返す。安易な共感を拒む、むき出しの言葉に、何度も無力感にとらわれた。
 平成は終わっても、東日本大震災は終わらない。見た目の復興が進んでも、心の復興が進むとは限らない。
 災害が多発した平成時代。東日本をはじめ阪神大震災、岩手・宮城内陸地震、台風10号豪雨、熊本地震、西日本豪雨などの被災地を巡り、住民や支援者と語り合った。
 よく話題に上ったのが、どの時点で「復興した」と言えるのか。「仮設の解消」など行政的な節目はいくつかあるだろう。だが、「被災者自ら復興したと思えた時」という定義が最もしっくり来た。
 その意味では、平成初めの阪神ですら「復興した」とは言えない。今、借り上げ復興住宅の契約期間(20年間)満了に伴う入居者退去問題が起きている。神戸市などは提訴に踏み切り、今年2月の判決で住民側敗訴が相次いだ。
 ついのすみかと思っていたのに、立ち退きを迫られ不安を募らせる高齢の住民たち。心中、察するに余りある。
 この30年、各地でいくつもの悲しみが積み重ねられてきた。仮設や災害公営住宅での孤独死。被災した自宅に住み続ける住民の困窮。大切な人が行方不明のままで、生きているか死んでいるか分からず「あいまいな喪失」を抱えた家族の苦悩。住宅支援が打ち切られ、帰郷か避難先への定住かで揺れ動く、福島原発事故の自主避難者の葛藤。
 東日本大震災復興基本法は「一人一人の人間が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにする」と基本理念に掲げるが、現実とはかけ離れたまま。ハード面重視の復興施策の下、一人一人が大切にされていない。
 そんな中、限られたマンパワーで被災者のケアや孤立防止に奮闘を続ける専門職や民生委員らの疲弊は色濃い。 苦しみを終わりにしたい。心身ケア、生活・住宅再建、コミュニティーの再構築など総合的、長期的に被災者を支える制度構築が求められる。
 自らを難民に重ねた男性は、古里の復興の進展を見届けることなく死去。「寂しいね」と冗談めかしてつぶやいたのが最後だった。「死にたい」を連発していた女性は、心理の専門家のサポートを得て「天国の夫に会うのは、もうちょい先でもいいかな」という気持ちが芽生えている。
 一人一人の言葉を、深みそのままに継承しなければならない。「人間の復興」推進の原動力として。(黒田大介)


南三陸海の幸で感謝 朝採りホヤ詰め放題 福興市8年
 宮城県南三陸町で毎月恒例の福興市が28日、同町志津川の志津川仮設魚市場であり、大型連休中の観光客ら多くの来場者でにぎわった。
 町内外の16団体が出店。志津川湾で朝に水揚げされたホヤの詰め放題や殻付きホタテの販売コーナーには行列ができた。
 多賀城市から家族で訪れた会社員伊勢亨さん(63)は「新鮮な海産物が安いので、よく足を運んでいる。ホヤは生で味わいたい」と語った。
 福興市は東日本大震災後の2011年4月に始まり、8周年を迎えた。実行委員長の山内正文さん(69)は「他県の商店街やボランティアの応援のおかげで続けることができた」と話した。


河北春秋
 ずらりと並んだ農業用ハウスが圧巻だ。先日、福島県大熊町に完成したイチゴ植物工場を訪ねた。東京電力福島第1原発事故による避難指示が今月10日に解除された大川原地区で、農業の復興を先導する▼驚いたのは外観だけではない。管理棟に入る時点で健康状態をチェックされ、マスクの着用、手の消毒を求められる。病害虫の防除対策を講じ、第三者認証制度GAPに基づく生産工程管理を構築。加えて、放射性物質の全量検査を行う設備も数千万円を投じて用意した▼安心・安全に徹する背景には原発事故に伴う根強い風評がある。8年がすぎ、避難指示が解除されても逆風はやまないのだから厄介だ。「安全データを積み重ねていくしかない」。町が整備した植物工場を運営する第三セクター社長の吉田淳副町長は強調する▼専門家が「科学的に安全だ」と言っても、誰もが安心できるわけではない。「安全」=「安心」の構図が事故によって成り立たなくなったのが原発の世界だ。安倍晋三首相が言う「アンダーコントロール」は、社会的な安心を担保するに至っていないと言うしかない▼社会の安心を得るのに欠かせないのが信頼だろう。安心・安全とともに「おいしさ」「笑顔」を届けてこそ、道は開けると信じたい。初出荷は7月ごろ。

原発テロ対策 安全優先の判断は当然だ
 原発に設置が義務付けられているテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重施設)について原子力規制委員会は、定められた期限内に完成できない場合は原発の運転を停止させることを決めた。電力会社側は工事の遅れを理由に期限の延長を求めていたが、規制委は認めなかった。安全を最優先した規制委の判断は当然だろう。
 特重施設は、大型航空機を衝突させるなどのテロ攻撃を受けて原子炉が大規模に破壊された場合でも遠隔操作で冷却を維持し、放射性物質の大量放出を防ぐための施設だ。2013年に施行された原発の新規制基準で5年後までの設置が義務付けられた。
 しかし、再稼働に向けた審査が長引いたのを受け、規制委は「原発本体の工事計画の認可から5年」に延長した。
 これに対し、関西、四国、九州の電力3社は再稼働済みを含む5原発10基について施設の完成が1〜2年半ほど遅れるとの見通しを示し、規制委に再延長を求めていた。「想定を上回る大規模で難易度の高い工事になった」といった理由を挙げている。
 新基準施行から6年近く経過したが、完成した特重施設はまだない。本来なら再稼働前に完成しているべき施設であり、猶予をもらいながら間に合わせられず、さらなる延長を求める電力会社の対応は甘すぎよう。「原発へのテロは起きないだろう」「差し迫った状況になれば規制委が救済してくれる」という認識があったとすれば、安全意識の欠如を指摘されても仕方あるまい。
 規制委が厳格な対応をとった背景には、電力会社との癒着を批判されて解体を余儀なくされた、以前の経済産業省原子力安全・保安院の戒めがあろう。延長を認めれば、「電力会社に甘すぎる」と批判されかねないといった判断もあったのだろう。高い独立性に基づいて安全を追求する本来の姿勢を今後も貫いてもらいたい。
 該当する原発のうち、最初に期限を迎えるのは来年3月の九電川内原発1号機(鹿児島県)だが、完成には今後2年程度を要するという。このままでは、再稼働している原発の多くがテロ対策が間に合わず、ドミノ倒しのように停止するケースが相次ぎそうだ。電力会社からは、経営への影響を懸念する声が聞かれ、電気料金のアップなどもささやかれる。
 しかし、原発を運用する上で何より重要なのは安全の確保であり、万が一とはいえ、テロに備えたバックアップ体制は必要だ。起きないと思っていた“想定外”の事態に見舞われた東京電力福島第1原発事故の教訓を重く受け止め、備えの意識を高めていくことが欠かせない。
 規制委と電力会社は、核燃料を抱える原発のリスクをしっかり認識し、それぞれの立場で安全の確保に力を注ぐよう求めたい。


<気仙沼大島大橋>背景にパチリ 亀山展望台にぎわう
 気仙沼市の大島は本土と結ぶ気仙沼大島大橋の開通後、初の大型連休を迎えた。好天に恵まれた28日、亀山(235メートル)には大勢の観光客が訪れ、橋を眼下に望む景色を楽しんだ。
 頂上展望台から360度のパノラマが広がる。北には7日開通した大島大橋。気仙沼湾を挟み、奥に東日本大震災からの復興が進む街並み。南には小田の浜、岩井崎、遠くに金華山も見える。
 一関市田村町の会社役員田中和彦さん(67)は「コバルトブルーの海と白い橋のコントラストが見事。復興の様子もよく分かる」と話した。栃木県真岡市の介護士古川純子さん(46)は「ぐるりと海に囲まれた景観は、海のない栃木県民の憧れ」で年に2度、大島の旅館に宿泊するという。
 市営亀山リフトは震災で被災。山頂への県道は狭く、気仙沼市は駐車場(1台500円)から無料シャトルバスの利用を案内している。連休中とお盆期間を含む土日祝日に運行する。


関越道バス事故から7年 遺族などが追悼 群馬
群馬県の関越自動車道で乗客7人が死亡した高速ツアーバスの事故から29日で7年となり、現場近くには朝早くから遺族などが訪れ、犠牲者を悼みました。
平成24年4月29日の早朝、群馬県藤岡市の関越自動車道で、石川県から千葉県に向かっていた高速ツアーバスが道路脇の壁に衝突し、乗客7人が死亡、38人がけがをしました。
事故から7年となる29日、事故が起きた現場近くには遺族など20人余りが訪れました。
そして、事故が発生した時刻の午前4時40分に合わせて献花台に花を手向け、手を合わせて犠牲者を悼みました。
事故で44歳だった母親を亡くし、4年前に群馬県警の警察官になった山瀬俊貴さん(26)は、ことし、念願の白バイ隊員になりました。
山瀬さんは「遺族として、そして白バイ隊員として、事故を減らせるように頑張っていきたいと母に伝えました。事故を起こさないために取り締まりや事故防止の活動に力を入れていきたいです」と話していました。
遺族「絶対に忘れない日」
事故で当時17歳の娘を亡くした石川県白山市の岩上剛さんは「4月29日という日は死ぬまで絶対に忘れない日でつらいですが、娘に会うためにことしも来ました。長いようで短い7年でしたが、今でも交通事故のニュースを見ると悲しいです。これ以上つらい思いをする人が出ないよう、社会全体で対策を考えて世の中から事故がなくなってほしいです」と話していました。
日航機墜落事故遺族「被害者の支援を」
昭和60年の日航ジャンボ機の墜落事故で当時9歳の次男を亡くし、遺族の連絡会の事務局長を務める美谷島邦子さんも、事故が起きた時刻に合わせて現場近くを訪れ、犠牲者を悼みました。
美谷島さんは「同じ被害者として、被害者の支援が進んでほしいという気持ちで手を合わせました。私たちも地域の人たちに支えられてきたので、被害者としてこの事故を風化させないという思いを一緒に共有して活動したいです」と話していました。


癒えない心の傷、関越道バス事故遺族 「事故のない世の中に」 発生7年追悼式
 2012年4月に群馬県藤岡市の関越自動車道で乗客7人が死亡、38人が重軽傷を負った高速ツアーバスの事故から7年を迎えた29日、事故現場で追悼式があった。事故発生時刻の午前4時40分に合わせ、遺族らが事故現場の高速道路下に設けられた祭壇に線香や花を手向け、犠牲者の冥福を祈った。
 「区切りなんてない。この日が人生で一番つらい」。一人娘の胡桃(くるみ)さん(当時17歳)を亡くした石川県白山市の会社員、岩上剛さん(47)は7年たっても癒えることのない心の傷を明かした。
 岩上さんは、軽井沢スキーバス事故(16年)やJR福知山線脱線事故(05年)の遺族と交流を深め、交通事故の根絶を訴えてきた。だが、最近も東京・池袋で暴走した乗用車に母子2人がはねられ死亡するなど悲劇は後を絶たない。「事故を見るたび、『またか』と思う。社会全体で何とかしないと事故はなくならない。少しでも事故のない世の中になってほしい」と願った。
 事故は12年4月29日に発生。金沢市から東京ディズニーリゾート(千葉県)に向かっていた高速ツアーバスが道路左脇の防音壁に衝突し大破した。運転手の居眠り運転が原因だった。【神内亜実】


天皇代替わりの儀式 憲法や常識と折り合いを
 天皇陛下の代替わりに伴う儀式がこれから本格化する。伝統を尊重するにしても、憲法の政教分離原則や今日の常識から外れたものであってはならない。
 天皇、皇后両陛下は、伊勢神宮(三重県伊勢市)を参拝し天照大神(あまてらすおおみかみ)に退位を報告した。神話に基づいて皇位の証しとされる三種の神器のうち、皇居内にある剣とまが玉の箱を侍従がささげ持ち、随行した。
 退位については、11の儀式のうち、4月30日の「退位礼正殿の儀」だけが政府の責任による国事行為で、他は全て天皇家の私的行事である。政府は公的支出も検討したようだが、宗教色が濃い行事であり、天皇家の私的費用である内廷費で賄われた。
 5月1日には皇太子殿下が「剣璽(けんじ)等承継の儀」で神器や天皇の印、国の印を受け継ぎ即位する。政府は皇室経済法で神器を「皇位と共に伝わるべき由緒物」と定めていることなどから、儀式は「宗教的意義を有するものではなく、政教分離の原則に反するものでもない」と説明する。
 同じ理屈で、即位を内外に宣明する10月の「即位礼正殿の儀」や「饗宴(きょうえん)の儀」まで即位に関する五つの行事は、全て憲法上の国事行為に指定されたが、何とも分かりにくい。
 しかも「承継の儀」は成年男子皇族だけが立ち会い、女性皇族は入れない。明治末に作られ戦後廃止された旧法に基づく「前例」にならった措置というが、今の一般的な社会感覚に照らし不自然さは拭えない。
 さらに曖昧なのは大嘗祭(だいじょうさい)の位置づけだ。新しい天皇が即位した年の収穫物を神々に供え、自ら食して祈る神道色の強い儀式である。政府も「国事行為ではなく皇室行事」と認めるが、同時に憲法が定める皇位継承儀式の公的性格を重視して、多額の費用は公費から支出する。
 大嘗祭は大正天皇が即位した時、天皇の宗教的権威を中心に国家統治を強める狙いで大規模なものになった。ところが平成の代替わりで戦前の形式が踏襲され、今回もほとんど議論がないまま引き継がれる。
 秋篠宮さまは昨年、「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と異例の発言に及んだ。
 代替わりを祝うだけでなく、皇室行事のあり方を社会の原則や現代の考え方に即して議論していきたい。


メーデーを前に/人間らしい労働とは何か
 「労働者の祭典」である5月1日のメーデーが目前だ。
 8時間労働制の実現を求めた1920(大正9)年の第1回メーデーから1世紀。改元と重なる今年は、働き方を巡るルールが大きく変わる中で迎える。
 心身をむしばむ長時間労働の是正は急務だ。しかし、それ自体がゴールではない。働きがいのある人間らしい労働とは何か、生産性の向上とどう両立させるのか−。今後の人口減少も見据え、考える必要がある。
 4月から順次施行が始まった働き方改革関連法は、残業時間に初めて上限規制を設けた。月45時間、年360時間を原則とする。年5日以上の有給休暇(有休)の取得も義務づけた。罰則規定があり、多くの企業が対応に追われている。
 「パートも有休が取れるか」「どうすれば残業が減らせるか」。神戸市にある厚生労働省所管の「兵庫働き方改革推進支援センター」には、働く人や経営者から問い合わせが相次ぐ。
 何より、働き方改革関連法の中身が十分に知られていない。国会審議が深まらないまま政府、与党が数の力で成立させたためだ。国は省力化投資への助成など複数の支援策を設けるが、浸透していない。
 就業者の約7割が勤める中小企業への丁寧な周知が欠かせない。2年後には中小にも同一労働同一賃金が適用される。意欲のある企業が働きやすさと競争力を高められるよう、政府には人材開発に対する支援などきめ細かな対応を求めたい。
 「三六(サブロク)協定」への理解を深めることも重要だ。労働基準法36条に基づく協定を結ばず従業員に残業させれば、法律違反になる。厚労省によると、時間外労働の協定を結ぶ中小企業は4割強という。雇用主としての自覚を促したい。
 女性の育成や登用も途上といえる。夜勤は男性、事務作業は女性など、固定的な役割分担意識の解消を掲げるのが女性活躍推進法だ。企業努力はもちろん、女性自身も分業意識を自ら乗り越えようとする勇気を持ってほしい。
 女性が能力を発揮できる職場は男性にとっても働きやすいはずだ。働き方の多様化を企業の成長の原動力にしたい。


GW、働いているのは俺だけ…居酒屋副店長が嘆く現場の実態
ロケット梅内
 新天皇の即位により、今年のGWは10連休になる。だが、世間は「仕事休める、嬉しい」といった楽観的な様子ではない。時事通信が行った調査によると、大型連休に対し「うれしくない」との回答が4割に上ったのだ。
 この調査に対し「激しく同意します。10連休、まったく嬉しくないですよ。てか僕、0休ですよ、多分」と語るのは、大手居酒屋チェーンで副店長を務める吉原稔さん(29歳・仮名)だ。
働き方改革なんて、どこの話?
 吉原さんが勤めるのは都内にある店舗。しかも郊外ではなく、繁華街だ。当然、GWといえど店舗は休まない。
「最近の働き方改革ムードで、ウチの会社でも『従業員の働きやすい環境』を作ろうとしてるみたいです。でもしょせん、それは本部の机上の空論。現場は常に死ぬ物狂いで仕事をしています」
「まず圧倒的に人が足りない」と吉原さんは続ける。
「飲食=ブラックっていう印象が強いのか、最近ではバイトも新しい人が入らないですね。ウチは都内だから、近隣の学生くんたちが来てくれるだけいいですけど、彼らは平気で当日に休んだりする。以前は1か月前にシフトを提出させてたんですけど、あまりにも急な休みが多いから、2週間前に変更した。まあ効果はなかったですけどね」
 この学生バイトの影響で、吉原さんの大型連休は無いに等しいものになるという。
「学生ですから、GWはみんな遊びたいじゃないですか。旅行はもちろん、里帰りのケースもあると思うけど。だから、4/27〜のシフト希望表が悲惨なことになっています。ほぼ空白、もしくは斜線が引いてあって、誰も勤務に入ってくれないんです。当初の予定では、僕は10日中3日休める予定だったんだけど、これじゃあ休めない。店長と僕で協力して穴を埋めるしかないのが現実です」
 そんなワケで、大型連休は仕事一色に染まる気配濃厚な吉原さん。この時期に店を支えるのは社員と、そして外国人労働者だと話す。
「今のメイン人材は、外国の方です。どこの店でもそうだけど、最近急激に外国人店員が増えましたよね。彼らは勤勉ですごく働き者。助かることも多い。ウチの店舗では苦学生も多くて、年末年始でも国に帰らず、ほぼ毎日働いてくれていて。本当にありがたい」
10連休 近年増加する飲食店の外国人労働者。特に夜の時間帯は、日本の企業が運営する店舗でも、ほとんどが海外の従業員であることも珍しくない。
「GWは観光客も多いはずで、当然海外のお客も増える見込み。だから、彼らは適任なんですよ」
休日にクレームの対応をすることも…
 だが、外国人労働者のみでシフトが埋まる時期は必ず、吉原さんら責任者が出社しなくてはならないという。
「もちろん店舗によりますが、ウチの店は古株の外国人従業員がほとんどいないんです。だからレジ作業やクレーム対応を彼らだけに任せられないのが本音です。本部は『休みなよ…』とか気軽に言ってくるんですけどね」
 実際に、休日にも拘わらず「クレーマーの対応」を迫られたこともあった。
10連休 「去年の年末ですね。店長がインフルエンザで、僕も風邪気味で休みを貰ったんです。けど、23時頃かな? 店の子から電話が来て、『外人の教育がなってないから教育担当者呼べ』と客が騒いでいると。収まりそうになかったので仕方なく店に行きました。別に外国人の子が悪いんじゃないんですよ。でも、難癖を付けられて対応できるほどのコミュニケーションスキルがあるのは稀。
 結局1時間近く説教に付き合いました。こういうことがあるから、たとえ休みを貰ったって旅行なんか絶対にできない。家でダラダラしつつも、緊張状態を保っているほかない。だったら、店に出て働いてた方がまだ気が楽です。こんな状況なので、当然10連休なんて嬉しくないよ…ということです。むしろ憎んでるの表現の方が適切なのかな」
 働き方改革が進む現代社会。だがそれを打ち出す側と、享受する側の間にはズレが生じているのが現実のようだ。


平成の賃金 検証不能 統計不正 政府廃棄で8年分不明
 令和への改元を控え、「平成経済」を知るための重要な指標の一つである「賃金伸び率」の検証が、今年一月に発覚した政府の統計不正のためにできなくなっている。政府が毎月勤労統計の集計で不正を行っていた期間の資料を廃棄したことで、八年分の賃金が分からなくなったからだ。公表された資料には空欄が並ぶという、異様な状況となっている。 (渥美龍太)
 ルールでは全数調査をしないといけない東京都分の大規模事業所を、厚生労働省が二〇〇四年に勝手に抽出調査に切り替える不正を始めたため、以降の調査結果が実態より低く出るずれが生じていた。これにより、延べ二千万人超が雇用保険などを過少に給付されていたことが分かった。
 問題発覚後、厚労省は一二年以降の結果を再集計して本来の数値を再現したが「〇四〜一一年分は調査票などの資料を廃棄・紛失していて再集計ができない」(厚労省の賃金統計担当者)ため、公表資料を空欄とした。この空欄部分については政府統計を統括する統計委員会からも再集計を指示されたが、実現可能かはまだ明らかになっていない。
 さらに、前年比1・4%増と大幅な伸びとなった一八年については、それまで行ってきた補正を止めるなど、算出方法を大幅に変えた影響でかさ上げされた。ところが、その説明を付けずに伸び率を載せているため、経済情勢が良くなって賃金が伸びたとの誤解を招きかねない状況もはらんでいる。
 大和総研の小林俊介氏は「平成の経済はデフレからの脱却が最大の課題であり、物価に大きな影響を与える賃金の動向は極めて重要だ。それなのに、統計不正によって検証ができなくなった。過去の政策判断を誤らせた可能性さえある。国民全体が被害者だ」と批判している。


令和の課題・科学研究 支える大学を立て直せ
> 30年余り続いた「平成」も、あと2日を残すだけになった。
 この間、自然科学系のノーベル賞を受賞した日本人は米国籍取得者を含めて18人に上る。21世紀に限ると17人で、米国に次いで2番目に多い。ほぼ毎年選ばれている計算になる。
 「50年間にノーベル賞受賞者30人程度を輩出する」。1995年に成立した科学技術基本法に基づき、2001年度に政府が策定した科学技術基本計画では、そんな壮大な目標を明記していた。達成に向けて、順調にスタートしたと言えそうだ。
 ただ、評価された研究の多くは90年代までのものだ。今後も受賞者が相次ぎ生まれるのか、先行きは決して明るくない。
 科学研究を支える大学、特に国立大の研究・人材育成機能がボロボロになっているからだ。背景には、今年春で丸15年になった法人化がある。この間、政府は国立大への運営費交付金を1割以上も削減した。大学が比較的自由に使える資金の減少で人件費が抑制され、任期付きのポストが増加、安定して研究できる若手が少なくなっている。
 政府は一方で、見込んだ分野には研究費を重点配分する「選択と集中」政策を推し進めた。選ばれれば「競争的資金」が集中して得られるが、残りの多くの分野への配分は薄まった。
 大学教員は、競争的資金を得るための書類の準備に追われ、肝心の研究時間を削らざるを得ない。仮に資金を得ても期限があり、それまでに成果を出さなければならない。データの改ざんや盗用など不正の温床になってはいないか。
 環境の厳しさは、文部科学省が今月発表した、研究に従事する人たちの意識調査でも明らかだ。2年前の前回調査に比べ、経費や時間、人材などの面で基礎研究の状況は悪化したとの認識が広がっている。
 「基礎研究は全ての分野・レベルで急速に衰退しつつある」「目の前の研究費獲得が最大の目標となっている現状では、将来を見据えた研究成果は出にくい」…。いかに切実か、現場の声から浮かび上がってくる。
 危機的な状況を打開しようとノーベル化学賞を受賞した白川英樹筑波大名誉教授や物理学賞の梶田隆章東京大宇宙線研究所長らが立ち上がった。「大学の危機をのりこえ、明日を拓(ひら)くフォーラム」を2月に設立し、160人を超す賛同者を集めた。シンポジウム開催などで問題の早期解決を広く訴えている。
 文科省も重い腰を上げた。低下した研究力を回復させる方策を先週公表した。しかし具体策は乏しい。必要な予算を確保できるか疑問だ。掛け声だけの対策をまとめても科学研究や大学の先細りは食い止められまい。
 日本の科学研究は失速していると、英科学誌ネイチャーが指摘したのは2年前だ。論文の本数が減り、質も低下しているのは、政府が研究開発への支出を手控えた状況の反映だとまで分析していた。にもかかわらず事実上放置してきたのは政府であり、その責任は重い。
 科学技術は、わが国と人類社会の発展の基盤である―。そう科学技術基本法が示している。成果や利益は、研究そのものの目的ではないことを政府は再認識し、大学の在り方を含めた科学政策を中長期的視点で抜本的に見直すべき時ではないか。


新キャンパス間に合わず…大阪市立大と大阪府立大の統合
 大阪府市が令和(れいわ)4(2022)年度に、新大学への統合を目指している、大阪市立大と大阪府立大をめぐり、新しい“顔”でもあるメインキャンパスの整備が開学には間に合わないことが確実となっている。候補地には森之宮地区(大阪市城東区など)が有力視されているが、詳細は決まっていない。両大学の運営法人は今春統合されたが、新大学への統合自体は府市両議会で関連議案の可決が必要。メインキャンパスの整備や開学時期をめぐり、議論を巻き起こしそうだ。
 今月1日に「公立大学法人大阪」が誕生、「1法人2大学」としてスタートした両大学。現在、「1法人1大学」となった場合の運営計画を取りまとめる作業が進められている。
 法人の担当者によると、4年度に開学するためには、遅くても2年10月には文部科学省へ認可申請しなければ間に合わないという。申請の際には、新大学の授業科目や学部学科・大学院の構成、入学者の受け入れ方針、教員配置など多岐にわたる書類が必要だ。
 「今年の夏ぐらいにも構想、骨格をまとめ、事前に文科省へ相談にいきたい」と担当者。確実に認可を得るため、大型連休明けの5月から、急ピッチで骨格づくりを進める予定だ。
 中でも新しく整備されるメインキャンパスは、名称とともに注目される。
 現在の両大学のキャンパスは計5カ所。府市と両大学は、メインキャンパスを交通アクセスがよく、産学連携がしやすい大阪市中心部の都心に設置する構想を描いてきた。
 そこで浮上したのがJR大阪環状線に近い森之宮地区だ。昨年10月、市議会で当時市長だった吉村洋文・府知事は同地区南側の府立成人病センター跡地(東成区)が有力候補との考えを提示。知事に就任直後の今月にも、森之宮地区がふさわしいとの考えを示し、「スピード感をもって進めたい」と強調した。
 大学側も賛同しているが、同跡地が活用できたとしても工事期間などを踏まえると、開学の目標までにメインキャンパスの整備は間に合わない。
 その上、4年以上は既存のキャンパスを利用することになる可能性が高く、メインキャンパスに通わずに卒業する学生が出る恐れも。「名ばかりの統合といわれてしまうのでは…」。大学関係者からは懸念する声も上がる。
 財政面にも課題が残されている。メインキャンパスの開設には巨額の建設費が必要だからだ。府市は財源に既存のキャンパスの土地売却益を充て、足らなければ負担する考えを示すが、財政難の中どこまで可能かも見えていない。
 今年度中にも府市両議会に「1法人1大学」とする議案が提案される予定だ。可決され、統合が実現すれば学生数は計約1万6千人となり、国内最大の公立大学が誕生することになるが、課題は山積している。


NGT48問題を無視し続ける秋元康の無責任 山口真帆さんの"たった一人の反乱"
ジャーナリスト 元木 昌彦
「私はアイドル、そしてこのグループが大好きでした」
「ここには私がアイドルできる居場所がない」
新潟を中心に活動しているNGT48の山口真帆(23)が、4月21日、新潟市で開かれたNGT48劇場の公演の舞台でこう話し、「NGT48から卒業」することを宣言した。
昨年12月、アイドルハンターといわれる不良たちに待ち伏せされ、帰宅直後に襲われた被害者である山口が、なぜ、NGT48から追われるように退団しなくてはいけないのか。
誰が考えても理不尽なこの結末に、ファンばかりではなく、各方面から憤りの声が上がっている。山口の言葉を続けよう。
「私はアイドル、そしてこのグループが大好きでした。だからこそ、このグループに変わってほしかったし、自分がつらかったからこそ、大切な仲間たちに、同じ思いをして欲しくないと、すべてを捨てる覚悟で取った行動でした。
事件のことを発信した際、社長には不起訴になったイコール、事件じゃないことだと言われ、そして今は会社を攻撃する加害者だとまで言われていますが、ただ、メンバーを守りたい、まじめに活動したい、健全なアイドル活動ができる場所であって欲しかっただけで。何をしても不問なこのグループに、もうここには、私がアイドルをできる居場所はなくなってしまいました。
目をそらしてはいけない問題に対して、そらさないなら辞めろ、新生NGT48は始められないというのが、このグループの答えでした。だけど、この環境を変えなければ、同じ事が繰り返されると思い、今日までずっと耐えて、最善を尽くしましたが、私にできたことはほんのわずかなことでした」
(朝日新聞デジタル<「ここにはアイドルをできる居場所ない」NGT山口さん>2019年4月21日21時56分)
そして山口は、「NGT48のために自分ができることは卒業しかない」というのだ。
「正しいことが報われない世の中でも、正しいことをしている人が損をしてしまう世の中ではあってはいけないと、私は思います」
5月5日と6日が最後の「握手会」になるが、そこでは握手をせず、話だけをするそうだ。
山口の批判の矛先は、アイドルハンターたちに帰宅時間などを教えたメンバーだけではなく、こうした事件が起きてしまったのに、何ら有効な手を打たず責任も取らない運営会社AKSと、こうした危ういAKB商法の生みの親であり、NGT48のプロデューサーでもある秋元康に向けられていると、私は思う。
「暴行を受けた」と告白したら、会社側に謝罪を要求された
これに対して、HKT48の指原莉乃(26)がこうツイッターでつぶやいている。
「本当だとしたら未成年の子も預かっている会社としておかしい。大人数を預かっておいてその感覚の人とは思いたくない。(中略)いま預けられている人の不安さ不信感がわかっていないような、全体的に怖いしおかしい」
山口真帆は何という勇気のある女性だろう。
事務所側が事件を公にしないことに憤り、自身のツイッターで「自宅玄関でファンの男2人に顔をつかまれるなどの暴行を受けた」と告白したことで、事は公になった。
しかし、AKSの松村匠取締役からは逆に、謝罪を要求されたというのである。山口真帆はツイッターにこう書いている。
私は松村匠取締役に1月10日の謝罪を要求されました。
私が謝罪を拒んだら、
「山口が謝らないのであれば、同じチームのメンバーに生誕祭の手紙のように代読という形で山口の謝罪のコメントを読ませて謝らせる」と言われました。
他のメンバーにそんなことさせられないから、私は謝りました。
このAKSというのは、山口がいうように、正しいことが何かということが分からないデタラメな組織なのであろう。
未公開の音声データに「まだどこにも出ていない核心」が
その後も、AKSは形だけの第三者委員会をつくったが、警察が違法性はないとしたことをいいことに、処分者を出すこともなく幕引きを図ろうとした。
週刊文春(5/2・9号)によれば、暴行現場に駆け付けた村雲颯香(21)と、山口を襲った2人の男たちがいい争いになった時、村雲が録音していたデータが存在するという。
実際に聞いた人物は、山口が日頃とは違う厳しい声で犯人を追い詰めるところが録音されているという。
「あのテープにこそ、まだどこにも出ていない核心がある。あれを聴けばいろいろと見えてくる。ここまで問題が大きくなった以上、公開すべきだと思います」(聞いた人物)
これは第三者委員会にも提出されているそうだが、いまだに公表されていない。
「特定のファンとの私的交流」には回答できず
山口は3月22日、運営会社のAKSの松村取締役が事件について会見している間に、5回ツイッターで投稿して、「なんでうそばっかりつくんでしょうか」「記者会見に出席している3人は、事件が起きてから、保護者説明会、スポンサー、メディア、県と市に、私や警察に事実関係を確認もせずに、私の思い込みのように虚偽の説明をしていました。なんで事件が起きてからも会社の方に傷つけられないといけないんでしょうか」と書き込み、それをもとに質問する記者を使って、松村たちAKS側を追い詰めるという見事な戦術を繰り広げたのである。
AKS側は山口の謝罪を要求されたというツイッターに、「要求はしておりません」と否定したが、続く「特定のファンとの私的交流はメンバーのみならずファンも知っている」との指摘に対しては、回答できなかった。
たまりかねたAKS側は、この事件の真相を葬るためだろう、NGT48のチームNIII(9人)、チームG(11人)をそれぞれ解散し、山口真帆、長谷川玲奈、菅原りこの3人を除く17人を「1期生」「研究生」と分けたうえで、再スタートを切ると発表。そして先の山口の「卒業宣言」になるのだ。
新潟県も「スペシャルサポーター」の再契約は見送りへ
被害者である山口と、彼女と仲のいい2人のメンバーを"追放"して、事態を収拾しようというのかと、ファンからの反発は激しく、スポンサーなども離れていった。
大手アパレルのアダストリアが、自社のファッションブランド「ヘザー(Heather)」のプロモーションにNGT48の荻野由佳を起用することを4月17日に発表した。だが、「なぜこの時期に起用するのか」という、荻野起用を疑問視する声が同社のSNSなどに殺到して、このプロモーションは中止に追い込まれたのである。
9月に地元で開催する「国民文化祭」「全国障害者芸術・文化祭」のスペシャルサポーターにNGT48を起用していた新潟県も、再契約しないといわれている。
新潟県には、今年の1月以来、県の内外から3000件近い苦情のメール、電話、手紙が来ているという。
これではNGT48を再結成しても、以前のような熱い感動は生まれはしないだろう。まさに初期対応を間違えた運営側、AKSの完敗である。
アイドルを夢見る女の子を、男たちに触れさせる商法
「会いに行けるアイドル」をうたい文句に、手の届かない存在ではなくなった彼女たちを、自分の彼女にしようという不逞の輩が出てくるのは必然だった。
そのため、彼女たちを預かっている大人たちには、彼女たちのプライバシー保護や身辺の警護、多感な年頃の心のケアなどに十分配慮することが求められていたはずである。
アイドルを夢見る若い女の子たちを集め、カネさえ払えば彼女たちと握手できる、触れられると、男たちを集める商法は、キャバクラやガールズバーと変わるところがない。
東京スポーツ(4月24日付)は、このアイドルハンターたちが、「山口らが卒業発表したことで、ハンター集団が"勝利宣言"して大騒ぎ。(中略)素性が判明している数人の悪質ファンはグループから出入り禁止処分になっていますが、出禁になっていない者も多い。さらに、顔バレしていない者を募集して、"刺客"として新潟に送り込もうと盛り上がっている」(ハンター集団に詳しい関係者)と報じている。
「AKB商法」を生み出した秋元康は、なぜ発言しないのか
こうしたさまざまな問題が噴き出ているのに、AKB商法を生み出し、大儲けしてきた秋元康が、表立って発言しないのはなぜなのか。
さらにいえば、AKB人気に便乗して、メンバーの写真集を何冊も出したり、総選挙などというバカ騒ぎをあおって、この商法の根にある深刻な問題を報道してこなかった週刊誌やテレビ、新聞の責任も追及されなくてはいけないはずだ。
タレントのスキャンダルを売り物の柱にするフライデーやFLASHは、AKB48のスキャンダルを進んで自ら封印して、彼女たちをグラビアに出し、写真集を何冊も出版して儲けることを最優先した。FLASHの編集長が、「オレの仕事はAKBだ」と豪語していると聞いたこともある。
講談社や小学館のように、女性誌や少年少女雑誌を多く出している出版社の週刊誌は、元々ジャニーズ事務所のタレントのスキャンダルはやりにくかった。だが、それでも、何とか工夫してSMAPや嵐の熱愛、密会などをスクープしてきた。
部数が低迷してきたことが背景にあるのだろうが、見事なぐらい、先の2誌に週刊現代(講談社)、週刊ポスト(小学館)にAKB48のスキャンダルは載らなかった。
メディア合同で秋元康に記者会見を求めてはどうか
文藝春秋は女性誌が少ないということもあり、一時、彼女たちのスキャンダルは文春の一手販売だった。ようやくAKBを含むグループの人気が下降線になり、今回のNGT48問題も各誌載せるようになったが、その前に、AKB商法についての見解を誌面で発表するべきではないのか。
提案がある。各誌が合同で秋元康に、NGT48問題とAKB商法について質問状を出し、秋元に会見を開いてもらったらどうか。
もちろん、テレビや新聞にも入ってもらって、ニコ動かAbemaTVで生中継したらいい。それでも逃げるようなら、秋元康神話は一気に崩れる。
山口真帆さんは、たった一人で戦い、男たちに勝利した
それにしても、このところ女性の活躍が目覚ましい。安倍首相と親しいだけが売りだった元TBSの記者に、酒を飲まされて性的虐待を受けたことを、名前も顔も出して告発した伊藤詩織。
大林組の幹部リクルーターに就職を餌に性的関係を結ばされたと告発した新入社員や、在イラン日本大使館公使室で、駒野欽一イラン大使から強制ワイセツ行為を受けていたと女性外務官僚が3月に刑事告訴をしたが、伊藤の行動が、そうした女性たちに勇気を与えたのではないか。
秋篠宮佳子さんが、大学を卒業するにあたって記者の質問に答えた中で、姉の眞子さんと小室圭との結婚を支持すると表明、さらに、今のメディアの報道のあり方に疑問を呈したのも、勇気ある行動だった。
週刊新潮(5/2/9号)によれば、宮内庁関係者が、佳子さんの書いた内容を宮内庁の担当職員が見て、佳子さんに修正をお願いしたそうだ。
「一個人」という表現や、あからさまなメディア批判だったから、物議を醸すと判断したからだそうだが、佳子さんは「父もしていることなのに、なぜいけないのですか」と押し通したという。
あっぱれではないか。山口真帆は、たった一人で秋元康の威光を笠に着て、自分たちのことなど金儲けの手段としてしか考えていないAKSと戦い、勝利したのである。
東大の新入生歓迎の祝辞で、上野千鶴子名誉教授は「社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながら例外ではありません」と、まだまだ女性にとって生き難い時代だと話し、大きな話題を呼んだ。
上野教授、こうした若い女性たちがこれからの未来を切り拓いていくのだから、そんなに心配しなくても大丈夫だと思う。心配なのはふがいない男たちのほうだ。(文中一部敬称略)
元木 昌彦(もとき・まさひこ) ジャーナリスト 1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)、『編集者の教室』(徳間書店)、『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)、『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)などがある。


アベノミクスは「過去の失敗の集大成」、平成の終わりの“既知感”の正体
金子 勝:立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授 
 4月5日に発表された内閣府の「社会意識に関する世論調査」で、現在の生活に「満足している」という答えが7.4%、「やや満足している」が57.3%で、合計64.7%の人々が現在の生活に「満足」していると答えた。
 とくに1980年代後半の「平成バブル」を全く知らない18〜29歳は71.6%と高い。まれに見る高水準である。
 他方で、ネット調査(マクロミル「2019年 新成人に関する調査」)では、若い世代では、日本の未来を「暗い」と思うが63%を占めた。
 未来に期待がもてないとすれば、「今が一番よい」という感性が社会を支配するのは自然なことかもしれない。
「今だけ、金だけ、自分だけ」の気分がまん延した平成の初めに戻ったかのようだ。
平成の“振り出し”に 一巡して戻った日本経済
 確かに、株価はそこそこ高い。日本銀行が470兆円を超える国債を買って金融緩和を続け、25兆円弱のETF(指数連動型上場株式投信)を買い、年金基金などにも株を買わせているからだ。
 日銀はREIT(不動産投資信託)も5000億円以上買い支えているので、不動産価格も大都市商業地を中心に上昇している。
 おまけに、この超低金利と金融円滑化法(中小企業等が返済負担の軽減を求めた際に、貸し付け条件の変更に務めることを義務づけた法律)があれば、利払いをほとんどせずに借金をつないでいけるので、倒産件数は増えない。
 だが、その間に、世界では情報通信、エネルギー、バイオ医薬など技術の大転換が起きており、日本の産業衰退がどんどん進んでいる。
 平成の始まった80年代後半から30年以上たつと、バブル崩壊の痛みを忘れてしまったのか、再び「ゆでガエル」状況が生まれている。「平成」が終わるというのに、振り出しに戻ってしまったかのようだ。
不良債権の先送りに象徴 本質見ずに財政金融政策で糊塗
 このデジャブにこそ、平成の「失われた30年」への無反省が象徴されている。何度でも同じ失敗を繰り返し、そして沈んできたのだ。
 1990年代初めにバブルが崩壊して、宮沢喜一首相(当時)は、1992年8月末の経団連の軽井沢セミナーで、公的資金を投入してでも不良債権を早期に処理する必要性があると発言した。
 ちょうど、米国でも整理信託公社(RTC)ができ、公的資金注入が始まっていた。しかし、経済界、官僚、政治家たちの反対にあって、公的資金注入はタブーとなった。
 銀行経営者も監督当局も不良債権問題をごまかし続け、地価の回復に期待し、それが難しいとなると、小出しに公的資金を注入して、ずるずると処理する方式をとった。
 本来なら不良債権の査定を厳格に実施し、銀行は十分な貸倒引当金を積んで、また貸し付け先の企業も再生のために事業再構築を行うべきだった。
 あるいは、銀行を国有化し、不良債権を切り離して、残る部分を再民営化するなどの根本的な処理策をとるべきだったのである。
 実際、海外ではそうだった。
 一見、両極端に見える、市場原理主義をとる米国も、高福祉高負担の北欧諸国も大胆な不良債権処理策をとった。
 米国はRTCを設け、経営者を監獄に入れ、中小銀行の貯蓄銀行(S&L)や州法銀行から不良債権を買い取り、経営統合させて救済した。
 北欧諸国は銀行を国有化し、不良債権を切り離して再民営化する方式をとった。
 そして両国とも情報通信技術を基盤としたイノベーション研究開発投資に金を注ぎ込んだ。それによって両国ともV字回復を果たしたが、日本はそうならなかった。
 監督官庁の責任も経営者責任も問われず、日銀は金融緩和を続け、巨額の財政赤字を出して景気対策を繰り返した。
 その後、経済政策は振り子のように振れた。
 閉塞状況を打破すると称して、規制緩和や「小さな政府」を軸とする「構造改革」路線がとられたが、当然のように行き詰まる。
 すると、今度は景気対策としての「マクロ経済政策(拡張的な財政政策と金融緩和政策)」がとられた。
 政策と政権はこの両者の間で行ったり来たりした。それは、まるで、「供給サイド」に立つか「需要サイド」に立つかという主流経済学の対立軸をそのまま再現しているかのようだった。
 問題の本質を直視せず、抜本的な改革をしないまま、財政金融政策で需要をかさ上げし企業を支える政策が繰り返された。
「無責任体制」を変えられず 97年を境に経済は変わった
 2011年の東日本大震災で福島第1原発事故が起きた時も、経営者も監督官庁も政治家も責任をとらず、原発という不良債権を抱えて東京電力や東芝が実質的にゾンビ企業化したまま生き残ることになった。
 当面もたせればいいと、ひたすら惰性の政策をずるずると続けてきた結果、世界的に起きているエネルギー転換や、情報通信、バイオ医薬などの先端産業の競争で取り残され、貿易赤字が定着するようになった。
「ゆでガエル」状況から抜け出せないまま、ついに「我が亡き後に洪水よ来たれ」と言わんばかりのアベノミクスに行き着いてしまったのだ。
 だが、平成の時代は1997年を境に多くの経済指標が、日本経済の構造変化と「限界」を示すようになった。
 たとえば、名目GDPと国の借金(長期債務残高)の推移を見れば、国の借金はうなぎ上りのように増加しているのに、97年を頂点にして名目GDPは停滞したままである。
 平成の「長期停滞」は膨大な財政赤字でようやく経済成長率を持たせているだけなのである。
同じように、97年を頂点に、多少の山谷はあるものの、雇用や賃金は低下傾向を示している。
 統計改ざん事件によってその信頼性が揺らいでいるが、毎月勤労統計調査によれば、名目賃金(現金給与総額)は1997年の37.2万円から2015年の31.4万円へと約16%も減少している。
 実質賃金指数で見ても、1997年を100とすると、2015年には88.7まで落ちている。
 世帯所得の中央値(その半分が相対的貧困率を決める貧困線となる)も1995年の550万円をピークに1997年以降急速に減少し、2015年には427万円まで落ちている。
 主たる働き手である生産年齢人口(15〜64歳)も、1995年の8717万人をピークに減少し、2015年には7592万人と1100万人も減った。
 その一方、低賃金で不安定な非正規雇用数は1995年には約1000万人だったが、97年以降、急速に増加して2016年には倍の2000万人を超えた。
「3本の矢」のもとで進む劣化 産業の衰退や賃金の減少
 平成の終わりに、今なお「衰退」が続いているのは、アベノミクスは過去の失敗した政策の集大成にすぎないからである。
「3本の矢」の一つとされてきた「成長戦略」は、かけ声倒れで成果は皆無といっていい。
 財政支出と「異次元の金融緩和」に偏重し、しかも財政金融政策はただ規模を大きくして一斉に実施しているだけである。
 それは、肺炎にかかっているのに、風邪薬が効かないからと、一瓶飲んでしまえと言っているようなものだ。
 当然のことながら、「マクロ政策依存症」のような経済の衰退は止まらない。以下のような症状がどんどん進行している。
1.産業の衰退がひどい
 特に情報通信、バイオ医薬、エネルギー、先端部門で決定的な後れをとっている。電気自動車(EV)転換で残った自動車も危ない。
2.貿易収支が赤字化している
 2016〜17年にわずかに黒字化したものの、米中貿易戦争の影響で再び赤字化し、事実上の日米FTA交渉次第では一層の赤字化が進むことが懸念される。
3.継続的に実質賃金も家計消費も低下している
 特に所得の 継続的低下は教育の機会均等を奪い、格差の固定化を招いている。
4.少子高齢化と地域衰退が止まらない
 基盤産業である農業の衰退も著しい。空き地・空き家率が上昇を続け、町や村の崩壊が進んでいる。
5.マイナス金利で銀行経営が困難に陥っている
 特に地銀・信金の経営悪化がひどく、バブルが崩壊すれば、引き取り手のない中小銀行が破綻するという戦前型の金融危機を招きかねない。
6.日銀の中央銀行としての機能がまひしてきた
 異常な金融緩和政策は出口を失っているが、もしバブル崩壊や対外ショックが発生した場合、日銀が債務超過に陥り、政策手段(政策金利誘導、量的金融緩和、預金準備率操作)を失ってしまう。
 これらは、アベノミクスの「6つの大罪」である。
自壊が始まったアベノミクス 金融システム不安再燃のリスク
 一体、こうした状況はいつまで持つのだろうか。
 多くの人々はまだ気づいていないかもしれないが、実は、アベノミクス自体の自壊が始まっているといっていい。中核をなす異次元金融緩和はすでに破綻している。
 まず第1に、「2年で2%の物価上昇」というデフレ脱却目標はすでに破綻している。当初は「2年」の短期間での達成するとしていたが、6年経っても達成できていない。
 3月の消費者物価上昇率は、総合で0.5%、コア指数(生鮮食品を除く)で0.8%、コアコア指数(生鮮食品とエネルギーを除く)で0.4%にすぎない。
 この上昇分も、トランプ政権によるイラン制裁やサウジアラビアの減産などによるエネルギー価格の上昇や、円安による輸入食品の上昇が大きく、金融緩和の効果ではない。
 日銀はいまや、物価目標の達成時期を「展望レポート」から消してしまったのに、ただ延々と金融緩和政策を続けているだけである。日銀は金融正常化の「出口」を失い、一方で金融市場もゆがみは拡大するばかりだ。
 第2に、何より量的金融緩和自体が破綻しつつある。
 日銀はデフレ脱却のために、表向きは年80兆円の国債を買うとしている。しかし、実際の日銀の国債購入額は減少の一途をたどっている。日銀の国債積み増し額は、2017年度は49兆4232億円、2018年度は33兆188億円と落ち込んできている。
 すでに国債残高の42%を日銀が保有する一方で、金融機関の保有割合は15%まで落ち込んでいる。つまり、銀行はほぼ売れる国債は売ってしまい、日銀は「弾不足」になっている。
 もはや金融機関には、過去の利回りの高い国債を売って、当座預金(せいぜい0.1%の金利しかつかない)に換える動機が働かないからである。
 国内運用先のない金融機関は、まだ金利がわずかにプラス圏にある超長期債を買うが、それによって超長期債の価格がまた上昇(つまり金利が下がり過ぎて)、将来、銀行が評価損を被るリスクを生じやすくするので、日銀は買い入れを縮小せざるをえないという「矛盾」に突き当たっている。
 第3に、そもそもインフレターゲット論は論理としても破綻した。
 インフレターゲット論は人々の物価上昇「期待」に働きかけるものだが、日銀が金融緩和を行っていることに、7〜8割に及ぶ人々は関心がない。
 したがって、そもそも人々の「期待」を変えることができると想定すること自体に無理があるのだ。
 日銀が実施している「生活意識に関するアンケート調査」によると、「物価の安定目標」を実現するために、「日本銀行が積極的な金融緩和を行っている」ことを、「見聞きしたことがあるが、よく知らない」という回答が38.1%、「見聞きしたことがない」という回答が35.1%を占める。
「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」にいたっては、「見聞きしたことがあるが、よく知らない」が31.8%、「見聞きしたことがない」が50.4%と半数を占めている。
 第4に、減税などで企業や富裕層が豊かになれば、その富が滴が下に落ちるように中小企業や普通の人たちにも回ってくるという「トリクルダウン」は起きていない。
 企業の内部留保(法人事業統計の利益剰余金)が2012年の304兆円から2017年度の446兆円まで増えている一方で、継続的に労働分配率は下がり、実質賃金や実質家計支出も下がり続けている。
 アベノミクスのもとで、賃金が下がり続けていることが、毎月勤労統計の改ざんにも影を落としていたと考えざるを得ない。
 2015年の3月31日に、当時の首相秘書官が厚労省幹部を呼んで、賃金統計が「下振れ」する問題を問いただしたのは、ちょうど、日銀が「2年」で物価目標を達成すると宣言していた期限直前だった。
 トリクルダウンが起きておらず、インフレターゲット論は破綻しているとの批判が強まっていた時だった。
 第5に、超金融緩和で、銀行とりわけ地銀・信金の経営を困難に陥れていることだ。
 前述したように、超低金利政策で金利負担が少なく、借り換えを続ければ、企業は倒産しないですむが、それは金融機関に負担を強いることになる。
 4月17日に発表された日銀の金融システムリポートは、人口減少と低成長に伴う資金需要の先細りで、約6割の地方銀行が10年後の2028年度に最終赤字になるとの試算を示した。
 同時に、不動産業向け貸し出しが1980年代後半のバブル期並みの過熱サインが出てきており、不動産業向け貸出比率が高い金融機関ほど「自己資本比率が低い傾向」もあり、市況の悪化局面では「貸し出しよりも大きく価値が毀損し得る」とした。
 日銀は、自ら進めてきた政策が危うい結果を招きかねなくなっているのを認めたようなものだ。
 不動産市場の過熱が反転すると、不動産融資にのめり込んでいる地銀・信金が危なくなる。大手は店舗の整理や人員整理で何とかなっても、引き取り手のない破綻する地銀・信金が出てくるリスクがある。
 こうした事態に陥れば、地域経済の崩壊を促進するだろう。
技術などの大転換期に 「需要の問題」で対応した間違い
 こうして金融システム不安の再燃するリスクが高まる一方で、財政赤字の拡大は止まらず、日銀の国債購入がなければ金利は急騰しかねない。とはいえ国債は「弾不足」――アベノミクスは自壊の様相を呈している。
 もとはといえば、平成の時代に起きた社会構造や産業、技術の大転換期の問題を、財政や金融政策の「需要」の問題にすり替え続けてきたことが根本的に間違いなのである。


安倍首相が選挙対策でトランプ大統領に国益差し出し! 農産物関税引き下げを“参院選後”に延期するため巨額武器購入
 26日におこなわれた、安倍首相とトランプ大統領の10回目となる日米首脳会談。メラニア夫人の誕生日会に馳せ参じ、いつものゴルフで親密ぶりをアピールした安倍首相だが、いまネット上では、「親密どころか完全に馬鹿にされている」とする動画が話題を集めている。
 その動画とは、日米首脳会談後の夕食会の直前、トランプ大統領とメラニア夫人が安倍首相・昭恵夫人と写真撮影したときのもの。トランプ夫妻と安倍夫妻のあいだに距離があったため、記者団から「もう少し近づいて」とリクエストを受けた際、安倍夫妻が近づくものの、レッドカーペットの上に立つトランプ大統領から「ストップ」と制止され、結局、安倍首相はレッドカーペットに片足しか乗せられなかった……というものだ。
 まあ、この動画ではトランプ大統領のセリフが聞こえないため、本当に安倍首相がトランプに「ストップ」と言われ、制止されたかどうかはわからないが、しかし、この日米首脳会談ではそんなエピソードなんかよりも、安倍首相が“トランプの奴隷”であることを示す、もっととんでもないことが起きていた。
 当のトランプ大統領が、安倍首相との会談後の27日におこなわれた集会で、安倍首相と交わした“約束”について、こう述べたのだ。
「安倍首相は、日本企業が400億ドル(約4兆4600億円)を米国の自動車工場に投資すると話した」
「日本は大量の防衛装備品を買うことに合意した」
 庶民には消費増税でさらなる“痛み”を強要しようとしながら、一方で安倍首相は法人税率を引き下げて大企業を優遇し、企業の内部留保は6年連続で過去最高を更新しつづけている。こうした庶民の犠牲の上に成り立った大金が、またもトランプ大統領の顔色伺いのために貢がれる──。しかも、これまでもさんざん買わされてきた武器を、日本政府はまた大量購入するというのだから、開いた口が塞がらない。
 これを“犬外交”“奴隷外交”と言わずして何と言うかと思うが、しかも、国民にとって許しがたいのは、この巨額の貢ぎ物、血税投入が安倍政権にとっての選挙対策でしかない、という点だ。
 鍵を握るのは日米首脳会談の冒頭、記者団がいる前でトランプ大統領が語った言葉だ。「首相がここにいるのは主に貿易交渉のためだ」「農産物について強力に交渉していく」「日本は重い関税を課している。我々は撤廃させたいと思っている」と、なんと農産物の関税撤廃を要求したのである。
 そして、米メディアの記者に日本との貿易交渉の合意時期を尋ねられると、こう答えた。
「かなり早く進められると思う。たぶん(5月末に)訪日するまでか、訪日の際に日本でサインするかもしれない」
 アメリカ抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)の発効によって、アメリカの農業界ではいま、日本の農産物関税への不満がこれまで以上に高まっている。来年11月に大統領選を控えるトランプはこの問題で点数を稼ごうと、早急な関税引き下げの圧力をかけてきたのだ。
 実は、トランプ大統領のこうした姿勢は官邸も事前に予測済みだった。しかし、もしトランプの言うとおり、日本政府が5月までに農産物の関税大幅引き下げなどの交渉に応じたら、日本国内の農業関係者から猛反発を受け、7月の参院選で安倍自民党は地方票を大幅に失いかねない。
 そこで、農産物の関税問題についての具体的な交渉を参院選が終わるまで待ってもらおうと、5月のトランプ大統領来日を間近に控えたこんなタイミングでわざわざ安倍首相がアメリカまで出向き、前述したような“巨額の手土産”まで用意したのだ。
政権広報紙・読売が明かした安倍首相とトランプの選挙目的“裏交渉”
 実際、トランプ大統領の「農産物の関税撤廃を5月までにサインする」という発言に、〈首相は首をかしげ、顔を一瞬しかめた〉というが(朝日新聞4月28日付)、読売新聞(4月28日付)によると、そのあと、記者団が退室すると、安倍首相はトランプ大統領に「7月の参院選があるから、それまでは無理だ。20年秋の大統領選のことはきちんと考えている」と説明したという。
 政権広報紙の読売なので、その発言を批判するようなトーンはまったくないが、これは、安倍首相が参院選が終わるまで待ってくれれば、こっちも大統領選に配慮して関税の大幅引き下げに応じると、トランプに約束したということではないか。
 しかも、関税の大幅引き下げを約束しただけでなく、前述したように、安倍首相はこのあと、用意してきた約4兆4600億円の投資や武器の大量購入などの“手土産”まで持ち出しているのだ。
 実際、前出の読売記事では、「7月の参院選があるから、それまでは無理」と安倍首相が言ったあと、〈州ごとに自動車分野などの投資案件を示した資料を見せた〉という。この資料は〈大統領選を念頭に、どの州に投資が集まるのか、カラーで一目でわかるようにした〉もので、トランプ大統領はそれに見入ったらしい。
 参院選に影響を与えないよう、関税引き下げ交渉をかたちだけ延期し、その一時しのぎのために自動車工場への投資や大量の武器購入を約束する。そして、7月の参院選が終われば、トランプ大統領の言うがままに農産物の関税を引き下げる──。これでは、安倍首相は自分たちの選挙のために日本の国益をトランプに差し出したようなものだろう。 
 まさに国民を舐めきっているとしか思えないが、しかし、もっと暗澹とさせられるのは、この首脳会談の中身を批判しようとないメディアの姿勢だ。日米首脳会談のあと、新聞やテレビはこの問題をほとんど追及することなく、代わりに、安倍首相の「次は私自身が、金正恩朝鮮労働党委員長と向き合い、(拉致問題を)解決する。トランプ大統領からは全面的に協力するという力強い言葉があった」という拉致問題に関する勇ましい発言や、韓国の禁輸措置を容認した世界貿易機関(WTO)への日本の抗議を“アメリカが日本を支持した”などといった話ばかりを強調している。安倍首相が約束したという「400億ドル投資」や「武器購入」などの朝貢外交に対する批判にいたっては、まったくないに等しい。
 たんなるトランプの犬でしかない安倍首相の外交の問題点を、政権の言いなりであるメディアが伝えない。そして、国民は自分たちがおさめた税金が選挙対策としての武器購入費に投入され、選挙後に日本の農業界に大打撃を与える関税の大幅引き下げがおこなわれようとしている可能性が高いことを知らされないまま、「外交の安倍」という虚構だけがイメージづけられてゆく。まったくこの国の状況は、絶望的というしかない。


新時代に意識すべきは“知的感性”が息づいていた大正時代
 5月1日、元号が「令和」となります。この元号を最終決定したのは安倍首相ですが、その首相が繰り返し発言してきたことを、改元前のこの機会に、改めて思い返してみる必要があると思います。
 安倍首相が好んで使う言い回しに、〈明治の日本人にできて、今の日本人にできないわけはない〉というのがあります。「明治時代」とはすなわち「富国強兵」の時代です。そのために「殖産興業」を進める。その国家的努力に貢献した人々が「立身出世」を遂げることができる。そういう時代でした。あの頃と同じことが現代の日本人にだって「できる」と説いているのです。つまり、1億総活躍=1億総動員の国家を標榜して、「明治時代の日本人に負けないでください」と鼓舞しているわけで、そんな口車に決して乗ってはいけない。
 ですから、「明治」に生きた日本人のようになることを現代の日本人に求める首相が決めた新元号には、注意を要します。それが新時代に託された課題なのかもしれません。
〈ある時期の日本人にできて、今の日本人にできないわけはない〉と言うのであれば、むしろ我々が意識すべき「その時期」は「大正時代」ではないでしょうか。「大正デモクラシー」や「大正ロマン」が大きく花開いた時期のことです。
 それはまさに、日本人が民主主義と人権意識を初めて本格的に自分たちの知性の中に取り込んだ時代であり、泉鏡花や菊池寛といった風変わりで破天荒な作家が活躍して、自由奔放で遊び心のある感性や心意気が息づいていた時代でもありました。大正時代は短期間でしたが、ひょっとすると日本人が最も独自性や独創性を発揮した時期だったかもしれません。
■安倍首相が好む「明治」では断じてない
 こうした感性や心意気が、今の時代の我々には必要です。「1億総活躍」などと称してのしかかってくる政治的重圧を笑い飛ばしたり、蹴飛ばしたりする“知的感性”こそ、今、我々が必要としているものなのではないかと思うのです。今の我々が意識すべき特定の時代があるとすれば、安倍首相の思い描くようなイメージでの「明治」では断じてありません。
 平成には「グローバルスタンダード」がはやりましたが、今や「SNSスタンダード」でお互いを評価し、そして人からの評価が気になって仕方がない時代です。でも、個性的で独自性のあった大正時代の人は、自分の外にスタンダードを求めるのではなく「マイスタンダード」を高く掲げていたのではないでしょうか。そうした「マイスタンダード」同士が時としてぶつかり、時として融和し、お互いに創造的感性を引き出し合うことができていた。
 新時代に日本人が目を向けるべきは、大正。それとは対照的な時代への回帰を振りかざしている首相の存在を警戒しつつ、大正時代の面白い日本人を目指したい。
 私自身も大正という時代を、改めてしっかり勉強してみたいと思っています。


近寄る安倍首相に「ストップ」と叫んだトランプ大統領…「レッドカーペット上の屈辱」
安倍晋三首相がホワイトハウスのレッドカーペットで写真撮影中、トランプ米大統領に「ストップ」と言われる屈辱的な場面がオンライン上で話題になっている。安倍首相は26日(現地時間)から2日間、トランプ大統領との首脳会談のため米ワシントンを訪問した。
会談後、夫妻同伴の夕食会をする前、記念写真の撮影があった。ニュースの映像によると、写真撮影当時、安倍首相夫妻は記者の「もう少し近づいてほしい」(closer)」という声を聞いてトランプ大統領側に近づいた。しかしこれに対してトランプ大統領が「ストップ」と叫んだのだ。結局、安倍首相はレッドカーペットに片足だけをのせた姿を記念写真の中に残すことになった。
儀典の規則上、レッドカーペットを敷いた場合、両首脳ともにカーペットの上に立つのが原則だが、今回は守られなかった。
こうした状況は、10日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領がホワイトハウスを訪問した時と対照的だという韓国ネットユーザーの評価が出ている中、さらに浮き彫りになっている。文大統領の場合、トランプ大統領とレッドカーペットの上に並んで写真を撮影したからだ。
また、文大統領と撮った写真ではトランプ大統領はスーツ上のボタンをかけているが、安倍首相と撮った写真ではそうでない。カーペット上のフォトラインのマークも異なる。
これに対し日本ネットユーザーはトランプ大統領を批判しながらも、「どこかの国の2分会談よりはましだ」と韓米首脳会談を皮肉る人もいた。また、韓国メディアのこうした報道に不快感を表したりもした。
一方、写真撮影後に続いた夫妻同伴の夕食は1時間45分続いた。翌日の27日午前、トランプ大統領と安倍首相はゴルフ会談をしながら親近感を誇示したが、農産物関税撤廃と対米投資拡大など貿易交渉をめぐっては激しい駆け引きがあったという。


徴用工問題は解決済みではない。日本の主張の問題点とは!?
 第2次世界大戦中に朝鮮半島から動員され、日本本土の工場などで過酷な労働環境で働かされたという、いわゆる徴用工問題。昨年10月、韓国の最高裁判所にあたる「大法院」は、元徴用工の人々の主張を認め、新日鉄住金に損害賠償を支払うことを命じる判決を言い渡した。
 この判決に、安倍政権は強く反発。日本の各メディアも一斉に韓国側を批判するという、ある種の集団ヒステリー状態となっている。こうした日本での反応の背景には、ナショナリズムだけでなく、国際法や人権への無理解があるのだろう。
 4月20日、日本弁護士連合会が主催したシンポジウムで基調講演を行った山本晴太弁護士(日弁連人権擁護委員会特別委嘱委員)は「徴用工問題は解決済み」とする日本側の主張の問題点を指摘した。
徴用工問題、日本側の主張の問題点は?
 端的に言えば、徴用工問題を巡る日本側の主張の問題は以下の点であろう。
●日本側の主張「日韓請求権協定で解決済みの徴用工問題を韓国側が蒸し返した」

●同協定で「解決済」とされて放棄されたのは、国家対国家の「外交保護権」であることは、日本側も国会質疑で認めている。被害者である元徴用工の、加害者である日本企業に対する「個人の請求権」は現在も有効。

●日本側の主張「『個人の請求権』は消滅していないが、これで訴えても救済は拒否される」

●この主張の元となっている最高裁の判断(2007年4月27日)は根拠に乏しい。また同判決も、「個人の請求権」を完全否定したわけではなく、加害者側の「自発的対応」を促すものだった。韓国の大法院は「個人の請求権」と「裁判による権利行使」を認めている。

●日本側の主張「韓国側の主張は国際法上あり得ない」

●「裁判による権利行使」を認めないということの方が、むしろ国際法上あり得ない。
徴用工問題は「解決済み」ではなかった
 以下、順に解説していこう。徴用工裁判での韓国・大法院の判決に、「解決済みの問題を蒸し返した」「ちゃぶ台返し」「国際法上ありえない判断」など日本の政府関係者やメディアは一様に猛反発した。
 徴用工問題についての安倍政権の見解は、「1965年の日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決している」というもの。だが、これはあくまで国家の権利である「外交保護権」のこと。
 山本弁護士は「日韓請求権協定によって放棄されたのは『外交保護権』であって、個人の請求権は消滅していません」と指摘する。「外交保護権」とは、外国によって自国民の身体・財産が侵害された場合、その侵害を自国に対する侵害として、国家が相手国の国際法上の責任を追及すること。
 これに対し「個人の請求権」とは、被害者が加害者を直接、裁判等で責任追及するもの。実際、日韓請求権協定が締結された当時の政府刊行物『時の法令』別冊やその後の国会質疑(1991年8月27年柳井俊二・外務省条約局長)などでも「放棄されたのは『外交保護権』」、「『個人の請求権』は消滅していない」とされている。
 最近でも河野太郎外務大臣及び、外務省の三上正裕国際法局長が同様に答弁している(2018年11月14日衆院外務委員会)。
個人が加害企業を訴えることはまったく問題ない
「個人の請求権」が有効なのであれば、元徴用工である被害者が、加害者である日本企業を訴えることはまったく問題ないはずである。だが、上記した河野外相及び三上国際法局長が答弁したように、日本政府は「『個人の請求権』は消滅していないが、法的に救済されない」との立場を取っている。
 その根拠とされているのが、西松建設による中国人強制連行・強制労働訴訟、中国人慰安婦訴訟に対する最高裁判決(共に2007年4月27日)。山本弁護士は「これらの判決では、独自の『サンフランシスコ平和条約の枠組み』論を展開しています」と語る。
「この『枠組み』論は、平和条約締結後に混乱を生じさせる恐れがあり、条約の目的達成の妨げとなるので、『個人の請求権』について民事裁判上の権利を行使できないとするというものです。日中共同声明や日韓請求権協定も『枠組み』に入るものとして、日本政府側は『個人の請求権』を裁判で行使できないものと解釈するようになりました。しかしサンフランシスコ平和条約には、『個人の請求権』について民事裁判上の権利行使をできないようにするとは、どこにも書いていません」(山本弁護士)
中国人被害者と西松建設は和解
 そもそも、第二次世界大戦後の連合国と日本の講和条約であるサンフランシスコ平和条約には、中国も韓国も参加していない。
「サンフランシスコ平和条約の『枠組み』が、同条約を締結していない国々にもその効果が及び、戦争被害者から民事訴訟による解決機能を奪うことは無理があります。2007年の最高裁判決では、その根拠を『サンフランシスコ条約の重要性』としか述べませんでした。これは、法的説明を放棄したという他ありません」(同)
 また、2007年の最高裁判決は「個人の請求権」を完全否定したわけではない。 「判決は“任意の自発的な対応を妨げられるものではない”としており、この判決をもとに、強制連行・強制労働の中国人被害者と西松建設は和解しています」(同)
 つまり、「枠組み」論に基づく「日韓請求権協定によって『個人の請求権』は権利行使できない」という日本政府の主張は、法律論とは言い難い主張だというわけだ。
「国際法上あり得ない判断」は日本側の対応!?
 元徴用工の人々に対する賠償を支払うよう、日本企業に命じた韓国・大法院の判決について、安倍晋三首相は「国際法に照らしてあり得ない判断」だと批判。日本のメディアもこれに同調した。
 だが、山本弁護士は「韓国では条約を解釈する権限は大法院にあり、大法院は条約法に関するウィーン条約の元となった慣習国際法に依って解釈しています。ですから、その判断は”国際法に照らしてあり得ない”ものではありません」と指摘する。
「しかも、日本は世界人権宣言10条、国際人権規約14条に定められた、裁判を受ける権利を保障するという国際法上の義務を負っています。訴訟によって請求できないとする日本側の主張こそ、国際法に照らしてあり得ないものです」(同)
 徴用工問題をめぐって、安倍政権は国際司法裁判所に提訴する方針だが、それこそ日本の恥を世界に晒すことになりかねないのだ。
冷静かつ事実に基づいた論議が必要
 徴用工問題への安倍政権やメディアの逆ギレぶりは滅茶苦茶だ。
「『徴用工問題については韓国政府が処理することを約束したはずだ』という日本政府やメディアの批判は曲解です。韓国政府が制定してきた国内の戦争被害者への支援法・条例は日韓請求協定によるものではなく、あくまで『人道的見地』『国民和合』のためのもの。
 韓国政府に大法院への“対処”を要求する日本政府やメディアの言説は、三権分立を無視しています。被害者個人と民間企業の訴訟に介入して支払や和解を妨害したり、事実に基づかない批難を繰り返したりということはあってはならないことでしょう」(山本弁護士)
 山本弁護士が「鹿島建設や西松建設が中国人被害者と和解し、謝罪したように、韓国の徴用工問題においても同様の解決は十分可能でしょう」と語るように、今の日本に必要なのは、あくまで加害側であることを自覚した振る舞いだ。植民地支配や人権侵害に対する反省を踏まえ、感情論ではなく冷静に事実を受け止める。その方が日本にとっても望ましい道なのだ。
【ニュース・レジスタンス】 文/志葉玲(ジャーナリスト)


ゲノム編集ベビー 日本は法規制へ 科学者自ら危うさ察知
画期的なバイオ技術である「ゲノム編集」の医療応用について日本は法律による規制を検討することになった。中国で誕生した「ゲノム編集ベビー」のように、命の操作や優生思想につながるテクノロジーを禁ずるのは当然の判断といえる。政府は当初、規制にとどめる方針だったが、科学者たちがみずから研究にブレーキをかけた。
刑事罰が焦点
法規制を求めた有識者会合の報告を受け、厚生労働省が中心になって今後、詳細を詰めていく。受精卵の遺伝子を操作し赤ちゃんが生まれた場合に、研究者や医師らに刑事罰を科すかどうかが焦点になりそう。2020年の通常国会にも法案を提出する。
最近のテクノロジーの進化は著しい。指数関数的な勢いで伸びるデータ技術と双璧をなすとされるのがゲノム技術だ。
ゲノムを調べるコストが急激に下がり、ゲノム情報を利用した医学研究はこの10年で大きく進んだ。がんの分野では画期的な新薬や治療法が登場した。患者一人一人のゲノム情報にもとづく「パーソナル医療」も臨床の現場に入りつつある。
今回、法規制の対象となるゲノム技術は分析ではなく編集するテクノロジーだ。ゲノム編集ベビーで使われた「クリスパーキャス9」の登場で、従来とはまったく異なる手法で遺伝子を自在に切り貼りできるようになった。遺伝子治療にとっては期待の技術で、中国や米国では臨床試験も動く。
一方、ゲノムは命の設計図といわれる。病気や健康を左右する。生まれながらに決まった不変の情報でその人そのものでもある。とても精度の高い編集技術だったとしても、医療目的とはいえ、いじるのは人権侵害にあたる。
期待より恐怖感
政治や経済でなくテクノロジーが社会を変える「技術決定論」という考え方がある。金融業界を揺るがすフィンテックや政治のあり方を変えるSNSがそうした典型例だ。わたしたちの暮らしや価値観にも大きな影響を与える変革に、便利さ以上に不安が増す。
米スリーエムが世界14カ国で実施した調査によると、ゲノム編集やヒトクローンに対し期待感より恐怖を感じる人が7割前後いた。日本は世界の平均よりもさらに数字が高かった。
かつて科学者たちがテクノロジーの危うさに目を向け、自主規制を呼びかけたことがあった。米カリフォルニア州の小さな町で開かれたアシロマ会議だ。一般人の常識を置き去りにして暴走する研究に、科学者自身が待ったをかけた出来事として科学史に残る。当時の遺伝子工学は、原爆を生み出した核物理学と同じくらい脅威ととらえられていた。
新しいテクノロジーのすごさとともに怖さを最も知っているのが科学者たちだ。社会に受け入れられるよう適切に進展させていくには、アクセルの踏み方だけでなくブレーキのかけ方も大切になる。(編集委員 矢野寿彦)


福岡事件再審運動、玉名市の寺で法要 シュバイツァー博士の遺髪託され50年 [熊本県]
 1947年に起きた殺人事件「福岡事件」で罪に問われ死刑執行された、西武雄元死刑囚の再審請求に取り組む玉名市立願寺の生命山シュバイツァー寺が28日、シュバイツァー博士の遺髪を託されて50年となるのを記念した法要を行った。
 同寺を設立した古川泰龍さん(1920〜2000)は、教誨師(きょうかいし)として西元死刑囚と面会を重ねる中で無実を確信し、1963年から再審請求を求め全国で托鉢(たくはつ)の行脚をした。神戸市で托鉢していた69年4月27日、アフリカの医療支援に尽くしたシュバイツァー博士の遺髪を博士の支援者から託されたという。古川さんは、博士の「生命への畏敬」という思想に共鳴し遺髪を本尊にした。
 法要は27、28日に行われ、再審請求の支援者が西元死刑囚や古川さんの生涯を振り返った。古川さんの長男で同寺代表の龍樹さん(59)は「遺髪をいただいたのも再審運動が50年続いているのも奇跡。これからも頑張りたい」と述べた。
 福岡事件は47年5月、福岡市博多区で軍服の闇取引をしていた中国人と日本人計2人が射殺された事件。西元死刑囚は無実を訴えながら死刑が確定し、75年に死刑執行された。西元死刑囚の再審を請求できる親族がいないため、同寺は刑事訴訟法の改正を訴えている。

釜ヶ崎 センターが閉まってる!/散髪で寝癖が…/ついにロープ

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Japon : une période exceptionnelle de dix jours de congés
Les autorités japonaises s’attendent à plus de 24 millions de personnes voyageant dans le pays ou à l’extérieur durant une période exceptionnelle de dix jours de congés qui commence ce week-end au Japon.
Pour avoir ces dix jours de congés, les Japonais combinent deux jours fériés célébrant l’abdication de l’empereur Akihito ce mardi 30 avril 2019 avec la traditionnelle ≪Golden Week ≫, une série de jours chômés. Hier, samedi, 60.700 personnes ont pris un vol à Narita, le principal aéroport de Tokyo pour partir à l’étranger. A la gare de Tokyo, les vacanciers ont également formé de longues files d’attente pour prendre le train à grande vitesse Shinkansen, tandis que les autoroutes autour de la capitale nippone étaient engorgées d’automobilistes quittant Tokyo.
Attention donc pour ceux qui se rendent au Japon, les infrastructures du pays sont saturées pendant ces congés : trains bondés, vols remplis, hôtels complets… Les autorités du tourisme nippon conseillent même de prévoir assez de liquidité : les banques étant fermées jusqu’au 6 mai, les distributeurs peuvent manquer de billets. Déjà, dès vendredi, certains distributeurs de Tokyo étaient ainsi à court de billets, dans un Japon où l’on préfère encore le cash au paiement par carte.
Et nombreux sont ceux qui se plaignent d’un accès réduit aux services publics et médicaux, ou de problèmes de garde d’enfants. Alors que l’abdication de l’empereur Akihito est prévue mardi, avant l’accès au trône le lendemain de son fils aîné, le prince héritier Naruhito, 45 % des Japonais ne ≪se sentent pas heureux ≫ d’avoir un aussi long congé, selon une enquête du quotidien Asahi Shimbun.
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サンデーモーニング
時代は平成から令和へ天皇陛下の思いは?▽露朝首脳会談の裏で▽衝撃スリランカテロ▽プロ野球▽12歳の天才▽桐生がアジア初V▽MLB▽柔道女子▽風をよむ
一週間の見逃せないニュース&スポーツをサンデーモーニングならではの視点でお送りします!◎世界と日本の出来事を掘り下げるカバーストーリー▽ ◎おなじみ・スポーツ御意見番「喝!&あっぱれ」◎関口宏の「一週間」ニュース◎時代と社会の断面を切り取るコーナー「風をよむ」〜〜 関口宏 橋谷能理子 唐橋ユミ 伊藤友里 水野真裕美(TBSアナウンサー) 張本勲(他) 三枝成彰 ◇番組HP http://www.tbs.co.jp/sunday/
 西野哲史 金富 隆

明日へ つなげよう 証言記録▽被災地を“まるごと”支援せよ〜名古屋市役所の挑戦
津波で職員の4分の1が犠牲になり、行政機能がまひした陸前高田市役所。震災前、地方自治体への支援は国の仲介で行われていた。しかし名古屋市は独自の判断で最初の1年だけで136名の職員を派遣、陸前高田市の全ての部署の要望に応えた。ベテラン保健師は全国の支援団体や地元NPOの司令塔を務め、土木技師は議論が百出する復興計画を作り住民の賛同を得た。大規模で長期間の”まるごと支援”はどのように実現したのか探る。 柴田祐規子
明日へ1min.「おいで、東北」君に見せたい東北がある〜春 秋田・田沢湖編〜
「君に見せたい東北がある」見る・食べる・体感する!楽しみがいっぱいの秋田・仙北市田沢湖へ、「おいで、東北」。番組特設サイトに旅プラン掲載中!
東北各地を舞台に、まちを愛する男性が方言をまじえながら、おすすめのスポットをご案内!今回は秋田・田沢湖編。ふるさと大好き鈴木裕樹さん。田沢湖周辺をサイクリング!日本一深いという湖の神秘的な色を楽しむ!地元産の甘ーいハチミツに漬け込んだポークのピザが絶品!そして地域密着「わらび劇場」の舞台から元気を発信する鈴木さんに会える!お楽しみいっぱいの田沢湖へ「おいで、東北」。番組特設サイトに旅プラン掲載中! 「君に見せたい東北がある」地元案内人…鈴木裕樹

𓅐別班マン𓆃 @beppanman
安倍夫妻、トランプ夫妻が立つレッドカーペットから弾かれたため、記者から「もうちょっと寄って」と促された安倍が近寄ると、トランプが「止まれ」と一喝。片足だけレッドカーペットに乗った状態が日米外交の全てだ、ムンジェイン大統領はトランプ大統領に同等の扱いを受けたとテレビで解説される。草
チーちゃん @chilcochiko0121
安倍夫婦はトランプにとって客人じゃなかったみたいだね。トランプ夫婦はレッドカーペットの上.安倍夫婦はレッドカーペットの外.記者からもっと近づいてと言われた安倍がレッドカーペットに足を入れると「ストップ!近づくな!」とトランプに言われる!可哀想な飼い犬…(>_<。)
駐日欧州連合代表部@EUinJapan
東京レインボープライドにて、駐日EU代表部のフィニ公使を含む欧州の大使たちがステージに上がり、平等と多様性を訴えた。EUは世界中で、LGBTI人権擁護を広く提唱し続けていく #TRP2019 #EU4HumanRights #EUinJapan @Tokyo_R_Pride
Kyoko Ogura‏ @22seashells
私が、男しか天皇になることを認めない皇室典範1条を改正して女帝を認めるべきだと考えない理由は、天皇が男だろうと女だろうと、天皇制に反対だからです。
天皇家が私的な宗教的団体として存続するならば、教祖が男だろうと女だろうと、私は関知しません。


釜ヶ崎に行ってみました.確かにセンターが閉まってます.まわりにおっちゃんがのんびりしてたり寝たたりしてました.いつもより,というほど足を運んでいないのですが,おっちゃんが多い気がします.休みで仕事ないのかも.
散髪で寝癖が左のほうにあるねって言われてしまいました.
ついにロープ.

元JR運転士が気仙沼大島に移住、傷ついた古里盛り上げる、大型連休に初イベント
 気仙沼市の大島と本土を結ぶ気仙沼大島大橋の開通を機に、JR東日本の運転士だった男性が島に移り住んだ。同市出身の斉藤仁さん(55)。東日本大震災で傷ついた古里を元気づけようと、手探りの地域おこしを始めた。
 斉藤さんが島に移住したのは3月下旬。同市外畑にあった築50年の2階建ての空き家を購入し、妻由理さん(55)と暮らす。本土まで車で買い物に行けるようになり、不便は感じない。近くの田中浜を散歩すると、島民から声を掛けられるようになった。
 「緑の真珠と言われる島だけに自然はきれい。人も温かいし、宝の宝庫。一度離れると古里の魅力に気付くよ」と表情が緩む。
 一関商工高卒業後、旧国鉄に就職。山手線や京浜東北線、東北線など首都圏で運転士を務め、埼玉県久喜市に自宅を建てて長女(28)、長男(24)を育てた。
 震災時は都内でフットサルを楽しんでいた。クラブハウスのテレビで、実家があった気仙沼市潮見町周辺を津波が襲う光景を見た。
 実家は全壊。家族は無事だったが「人生観が変わった。古里のために何かしたいと思うようになった」。震災当時の気仙沼の写真を集め、久喜市で写真展を2度開いた。
 2人の子どもが社会人となり、地元に戻る決意をした時、ふと思い浮かんだのは大島大橋だった。
 子どもの頃に海水浴を楽しんだ大島は、昔から大好きな場所。「海の近くがいい」と話していた由理さんの要望にも応えられる。橋の開通に合わせた島暮らしのスタートを決め、昨年末に早期退職した。
 「地元に戻ったら島や気仙沼の魅力を観光客に伝えたい」と考えていた斉藤さんは、早速動きだした。
 橋の本土側近くにある閉校した旧浦島小の校庭を活用し、28、29の両日と5月3〜5日の計5日間、地元の仲間と協力して催しを開く。アマチュアバンドの演奏や魚介の浜焼きを提供する出店もある。学校の裏山に購入した小さな土地にはハンモックを設置し、休憩場所を確保した。
 初めてのイベントで不安もあるが「人生一度きり。できるうちに、やりたいことをやらないと」。古里を盛り上げたいという気持ちでいっぱいだ。


特産かきのバーベキューまつり
東松島市の防災教育施設で、地元で採れたかきなどの特産品を味わうとともに、子どもたちが遊具などを使って防災について学ぶ催しが開かれています。
この催しが開かれているのは、東日本大震災の津波で被害を受けた東松島市の旧野蒜小学校の校舎を改修して整備した体験型の防災教育施設「キボッチャ」です。
この施設では、10連休の期間中、駐車場に多くのテントが張られて、地元の特産品のかきや野菜などをバーベキューで楽しむことができ、28日は午前中から親子連れなどが次々と訪れていました。
また、2階は体験型の防災教育を受けられるコーナーとなっていて、子どもたちは、遊具を使って災害で建物が壊れたことを想定して壁の隙間から避難したり、津波から身を守るため縄をつたって避難したりしながら楽しく防災について学んでいました。
親子で福島県から訪れていた41歳の男性は「楽しみながら震災について学ぶことができるので、防災について身につく機会になると思いました。帰ってからも津波が来たら高台に逃げることなど子どもたちに教えてあげたい」と話していました。


「松川だるま」新時代待つ、仙台で、あすから販売
 伊達家ゆかりの「松川だるま」を受け継ぐ仙台市青葉区の「本郷だるま屋」が、「令和」の文字を入れただるま作りに励んでいる。
 赤と群青色に彩られた胴体に、藩祖伊達政宗が好んだ金色で書かれた「令和」の文字が鮮やかに浮かぶ。大きな目で四方八方に目を配り、無病息災や家内安全の御利益をもたらしてくれるという。
 本郷だるま屋10代目の本郷久孝さん(71)は「元号の由来となった梅が松川だるまにも昔から描かれており、縁を感じる。良い時代になるよう願いを込めて仕上げた」と話す。
 新元号の松川だるまは高さ約10センチ、1404円(税込み)。数量限定。仙台市青葉区のしまぬき本店で29日から販売する。


<GW・10連休>観光地へ大移動、松島もにぎわう
 平成から令和へ−。皇位継承に伴う10連休が始まった27日、東北各地の行楽地を訪れた人々は思い思いに休日を楽しんだ。
 日本三景の一つ、松島がある宮城県松島町も外国人を含む多くの観光客でにぎわった。雨交じりの肌寒さの中、名所巡りや遊覧船での松島湾周遊を体験した。
 「平成の大修理」を終え、昨年6月に落慶法要を行った国宝・瑞巌寺を拝観した長野県松本市の女性会社員(33)は「初めて松島に来た。瑞巌寺の外観はシンプルだが、内部が豪華だ」と感嘆した。
 仙台管区気象台によると、東北地方は29日にかけて高気圧に覆われ、晴れるところが多い見込み。大型連休の中頃は低気圧の影響で雨となるが、その後は晴れや曇りが続くという。


<GW・10連休>行楽地へ心弾む、新幹線や高速混雑
 天皇代替わりに伴う10連休が始まった27日、東北の各新幹線や高速道路は帰省客や行楽客らの利用で終日混み合った。例年より長い休みを満喫しようと大勢の人々が遠出し、行楽地を訪れた。
 JR東日本によると、この日が下りの混雑のピーク。東北、山形、秋田各新幹線は指定席がほぼ満席となり、東北新幹線の一部の便は自由席の乗車率が100%に達した。
 東北自動車道下り線は正午ごろ、二本松インターチェンジ(IC)付近を先頭に16キロの渋滞が発生した。事故による一部区間の通行止めもあった。混雑のピークは下りが5月2日、上りが5日の見込み。
 東北道上り線の菅生パーキングエリア(宮城県村田町)には、帰省や行楽地に向かう車が次々と駐車。お土産を買ったり休憩をしたりする人でにぎわった。
 宮城県川崎町で開催される野外音楽イベントに向かうという花巻市の建設業伊沢俊さん(41)は「テントを張り、のんびりしながら家族と一緒に大好きなロックを楽しみたい」と笑顔を見せた。


時評
 青森県内でガソリンスタンド(給油所)が減り続けている。最近20年余でほぼ半減し、市町村内に3カ所以下しかない「給油所過疎地」も増えている。自家用車や農業用機械の給油、暖房用の灯油配達など地域社会と密着しているだけに、閉鎖が与える影響は大きい。生活が不便になると住民が離れ、さらなる過疎化を招きかねない。
 経済産業省の統計によると、国内の給油所は1994年度をピークに年々減少。県内も968カ所あったが、2017年度には543カ所に減った。このうち給油所過疎地は大間、佐井、風間浦など7町村あり、西目屋は1カ所もない。
 県内の事業者が加盟する県石油商業組合は「ガソリンは隣接自治体に行けば詰めることができ、灯油も広域での配達が行われている。大きく困っている現状ではない」との認識を示す。しかし、人口減少や低燃費車の普及で需要の落ち込みが続くことを考えると、広域で見ても経営環境は楽観視できない。
 給油所が減少した全国的な要因の一つとして、埋設タンクの改修がある。老朽化による油漏れ事故多発を受け、40年以上経過したタンクに交換や改修を義務付ける改正消防法が11年に施行された。
 県内の事業所は対応済みだが、同組合によると、交換で1基当たり1千万円、腐食を防ぐ改修で同100〜200万円かかる。しかも油種ごとに必要となる。数年後の再検査で腐食の可能性が指摘されれば、再度対策が求められるという。国の補助が最大で3分の2受けられるものの事業者には大きな負担だ。
 給油所は災害時、警察や消防の緊急車両や避難所、病院などで非常用発電機を動かすための燃料確保の拠点になる。公共性が高いともいえよう。過疎地にとって不可欠な生活インフラでもあり、民間事業者の経営ではあるが、税金を投入してでも自治体が支援して存続させることが必要ではないか。
 県内では自治体による支援などの動きはないが、和歌山県すさみ町では閉鎖中の給油所を買い取って町営で再開させたり、高知県四万十市では住民が出資し合って新会社を設立し、事業を継承したりした事例がある。奈良県川上村では村民主体の法人が運営し、移動スーパーや日用品の宅配事業といった買い物弱者支援のサービスにも乗り出した。
 全国での取り組みも参考にしながら、地域の実情に合った存続のための対策を話し合う必要があろう。


女の子「まきび」と猫の「ごろー」が主人公 漫画で描く「真備の復興」
西日本豪雨被害 岡山・倉敷の夫婦、まず第1話をツイッターで公開
 昨年7月の西日本豪雨で傷付いたまちの復興を漫画で伝えようと、岡山県倉敷市真備(まび)町地区に住む漫画家夫婦が、取材や作画を進めている。地区に暮らす女の子と猫を主人公に、明るいタッチの作品を目指し、第1話を今月、ツイッターで公開した。夫婦は「多くの人に見てもらいたい」と話し、シリーズ化も検討している。
 夫婦は、「かぼちゃ」のペンネームでライトノベルの挿絵や漫画を手がける松田博義さん(35)と、「オオハマイコ」の名で活動する妻斐子(あやこ)さん(30)。夫婦宅は浸水を免れたが、地区は面積の3割が水につかり、甚大な被害を受けた。
 周囲で復興が進む中、夫婦は被災の様子や復興の動きを漫画で発信しようと考えた。小中学生ら子どもや若者にも興味を持ってもらいやすく、「写真や映像よりも伝えたいものによりフォーカスできる」(博義さん)と漫画のメリットを生かせると思ったという。
 作品は、地区に住む女の子「まきび」と猫の「ごろー」が主人公で、第1話は4ページ。被災したジャズ喫茶をまきびたちが訪れ、男性店主の思いを聞く。被災直後には再開断念も考えた店主だが、片付けを手伝いに来たボランティアらに励まされて人同士のつながりの大切さを再認識し、再開に向けた決意を語る。主に博義さんがキャラクターデザイン、斐子さんがコマ割りを担当し、「明るい話題を描こう」と話し合ってストーリーを決めた。
 ジャズ喫茶は実在し、博義さんは2月、再開に向けて改修中の店を訪れ、店舗の横にテントを張って仮営業する店主に取材した。「『若者が被災の経験を生かし、社会にどう貢献してくれるか楽しみだ』と前向きに語る店主の笑顔が印象的だった」と振り返る。
 博義さんは倉敷芸術科学大(倉敷市)のメディア映像学科で助教も務め、来年度の授業で学生も交えて漫画制作に取り組み、続きを一緒に作るつもりだ。「漫画を見て真備に興味を持ってくれる人が増えれば」と期待する。漫画はツイッターのほか、イラスト投稿サイト「pixiv」向けにも発信する予定という。【高橋祐貴】


4・28「屈辱の日」 沖縄の切り捨て許されぬ
 今から67年前の1952年4月28日にサンフランシスコ講和条約が発効した。日本が独立する一方で、沖縄、奄美、小笠原は切り離された。この「屈辱の日」を決して忘れてはならない。
 沖縄は去る大戦で本土防衛の時間稼ぎに利用され、日本で唯一、おびただしい数の住民を巻き込んだ地上戦が繰り広げられた。戦いは凄惨(せいさん)を極め、日米合わせて20万人余が犠牲になった。
 このうち9万4千人が一般人で、現地召集などを含めると12万2千人余の県出身者が亡くなった。民間人の死者が際だって多いことが沖縄戦の特徴である。
 激戦のさなか、日本軍はしばしば住民を避難壕から追い出したり、食糧を奪ったりした。スパイの嫌疑をかけられて殺された人もいる。
 戦後は米統治下に置かれ、大切な土地が強制的に接収された。米国は、講和条約の下で、軍事基地を自由に使用することができた。
 72年に日本に復帰したものの、多くの県民の願いを踏みにじる形で米軍基地は存在し続けた。沖縄戦で「捨て石」にされたうえ、日本から切り離された沖縄は、今に至るまで本土の安寧、本土の利益を守るために利用されてきたと言っていい。
 そのことを象徴するのが、名護市辺野古の海を埋め立てて進められている新基地の建設だ。2月24日の県民投票で「反対」票が有効投票の72・15%に達したが、政府は民意を黙殺した。
 反対の意思は、昨年9月の県知事選、今月の衆院3区補選を含め三たび明確に示されている。それらを平然と無視し続けるメンタリティーの根底にあるのは、「切り捨て」にほかならない。問答無用でとにかく「国の方針に従え」という姿勢だ。
 1879年の琉球併合(琉球処分)から140年になる。沖縄はいまだに従属の対象としか見なされていない。
 安倍政権は、普天間飛行場の危険性除去と返還のためには「辺野古移設が唯一の解決策」と判で押したように繰り返す。できない理由をあげつらう前に、どうすれば県内移設を伴わない普天間飛行場の返還が実現できるかを追求すべきである。
 国土の0・6%しかない沖縄に、全国の米軍専用施設(面積)の7割が集中している現状は誰の目から見ても異常だ。沖縄に対する構造的差別としか言いようがない。
 基地から派生する凶悪事件、米軍機の墜落といった重大事故が繰り返され、軍用機がまき散らす騒音は我慢の限度を超える。有事の際に攻撃目標になるのが基地だ。この上、新たな米軍基地を造るなど到底、受け入れ難い。そう考えるのは当然ではないか。
 これまで繰り返し指摘してきた通り、県民が切望するのは平和な沖縄だ。政府はいいかげん、「切り捨て」の発想から脱却してほしい。


[きょう「4・28」]今も続く「構造的差別」
 詩人の山之口貘は、講和会議を目前に控えた1951年夏、異郷で沖縄の行く末を案じ、一行また一行と悲痛な思いを書きつづった。
 「琉球よ 沖縄よ こんどはどこへ行くというのだ」
 戦後日本の針路を決定づけたサンフランシスコ講和条約と旧安保条約は51年9月8日、サンフランシスコの別々の場所で締結され、翌52年4月28日、発効した。
 講和条約によって日本は主権を回復したが、沖縄は切り離され、米国に施政権が委ねられた。
 条約発効からきょうで67年になる。
 56年11月、琉球列島民政長官によって行政主席に任命された保守の重鎮、当間重剛は施政方針演説で琉球政府の性格を「米国民政府の代行機関」と表現した。
 米国民政府とは、沖縄統治のための米国政府の出先機関のことである。琉球政府は出先機関の、そのまた代行機関というわけだ。
 旧安保条約の締結に伴い、52年4月28日、条約と同じ日に、米軍の特権などを盛り込んだ日米行政協定が発効した。
 協定は、極端な不平等性を備えていた。作家の山田風太郎は52年4月8日の日記にこう書き記している。
 「独立の曉は−などというが、日本は独立などできはしないではないか。講和条約は発効しても、行政協定が新たに結ばれたではないか。自由未だ遼遠なり」
 条約が発効して間もないころ、日本本土には600余りの米軍基地があったという。
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 基地問題を巡る沖縄と本土の関係が逆転し、米軍基地が沖縄に集中するようになるのは講和発効後、50年代に入ってからである。
 そのころ、全国各地で米軍がらみの事件・事故が多発し、反対運動が高まった。米軍統治下の沖縄でも基地建設のための土地接収が相次いだ。
 日本本土の基地問題は、憲法が適用される日本の施政下での問題であり、強権的に対応すれば反米感情を高め、安保体制そのものを脅かすおそれがあった。
 憲法の適用を受けない米軍統治下の沖縄では軍事上の必要性がすべてに優先された。米国民政府と米軍は「布令布告」と「銃剣とブルドーザー」によって住民の抵抗を押し切って基地建設を進めた。
 講和条約第3条が、基地の沖縄集中を可能にしたのである。日本政府は「日本の安全にかかわる問題」としてそれを追認してきた。
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 「構造的差別」の源流は、ここにあると言っていい。「4・28」は、決して過ぎ去った過去の話ではない。
 安倍政権は講和条約が発効した4月28日を「主権回復の日」と定め、2013年、沖縄側の強い反対を押し切って、政府主催の記念式典を開いた。
 ここに安倍政権の沖縄に対する向き合い方が象徴的に示されていると言っていい。
 講和・安保によって形成されたのは「沖縄基地の固定化」と「本土・沖縄の分断」である。
 それが今も沖縄の人びとの上に重くのしかかっている。


おひとりさま  スキルとインフラが要る
 「長生きすればするほど、みんな最後はひとりになる」「女のひとは、そう覚悟しておいたほうがよい」
 10年以上前に初版が出たロングセラーの「おひとりさまの老後」で、こう指摘していたのは東京大名誉教授の上野千鶴子さんである。
 すでに少子高齢化は進行中だったから、指摘の内容を、きちんと受け止めておくべきではあった。なのに若い世代の多くは、わが身に当てはめて考えておくことを、していなかったきらいがある。
 2040年には、日本の高齢者世帯の4割が1人暮らしになる−。国立社会保障・人口問題研究所が、先に公表した「日本の世帯数の将来推計」の中で明らかにした。
 こう予言されてしまうと、誰しも単身高齢者の「おひとりさま」になる可能性があると、リアルに認識するだろう。
 「推計」は、15年の国勢調査をもとに、40年までの状況を見通した。それによると、世帯総数は5333万から5076万に減少する。人口減社会に突入しているのだから、予想された結果ともいえる。
 一方で、世帯主が65歳以上の高齢者世帯数は16・9%も増えて2242万となり、全国の世帯の半分近くを占める。これに驚く人は、少なくなかろう。
 年間の出生数が200万人を超え、第2次ベビーブームを起こした1971〜74年生まれの「団塊ジュニア」世代が、40年には65歳以上となることが、大きく影響している。
 問題は、事態が高齢者世帯の増加にとどまらないことだ。
 高齢者世帯のうち1人暮らしの世帯数が、2015年の625万から、40年には896万に増加する。高齢者世帯に占める割合は、32・6%から40%に上昇。都道府県別では、東京の45・8%を筆頭に、京都が42・9%、滋賀が35・6%となる。
 同研究所は「高齢化に加え、未婚の増加が背景にある」といい、識者は「非婚化や晩婚化で扶養してくれる子どものいない人は今後も増える」とみる。
 間もなくやってくる令和が、「おひとりさま」の時代となるのは避けられないようだ。
 上野さんは、「おひとりさまの老後」にはスキルとインフラが必要だ、と訴える。
 これに従えば、離れて住む家族や親類だけに頼らず、単身高齢者の社会的孤立を防ぎ、安心して暮らせるインフラと仕組みを、地域に整えるべきだ。
 居場所となる交流の拠点を設けたり、配食や買い物代行、見守りを通じて、異変があれば介護、医療につなげるシステムを築いたりしておきたい。
 スキルは、先進的な取り組みから得よう。
 1人暮らしの人を自宅でみとるのは無理、と思われがちだ。しかし、昨年、本紙に「『おひとりさま』で生きる」を連載したNPO法人理事長の三国浩晃さんは、医療や福祉の関係者らとチームを組んで、何とか対応した。ほかにも、参考となる事例は多い。
 「おひとりさま」だからこそ孤独ではいられない、と三国さんは説く。この言葉を心に留めて、新たな時代を迎えたい。


災害多発した平成 「想定外」をなくすために
 地震、津波、そして原発事故と未曽有の衝撃が続いた東日本大震災当時の本紙を読み返すと、「想定外」の表現は発生2日後、3月13日の朝刊から登場していた。
 「想定超えた」の見出しで、東北地方に壊滅的な被害をもたらした地震が、防災関係者の想像を上回る規模だったと伝えている。以降、想定外は、災害に際し頻繁に聞かれる言葉になっていく。
 平成は多くの人にとって、思いも寄らない大災害が相次いだ時代だった。東日本大震災をはじめ、阪神大震災や熊本地震など震度7を記録する地震が計6回起きた。火山活動が各地で活発化した。集中豪雨が多発し、土砂災害によって多くの犠牲者が出た。
 だがこれらを、想定外で片付けてはなるまい。「仕方なかった」ことになりかねないからだ。とりわけ行政など安全管理を担う側は安易に使ってほしくない。
 災害後の検証によって、事前の対応次第では被害を軽減でき、多くの命が助かっていた可能性が指摘された例は珍しくない。
 東日本大震災を経て、日本列島は地震や火山の活動期に入ったとの見方がある。豪雨や台風の激甚化には地球温暖化が影響しているとの指摘もある。
 地震や豪雨は次の時代にも襲ってくるだろう。平成の経験は備えに生かせているか。国や自治体、私たち一人一人は、いまできることを進めているだろうか。
<問われる事前の備え>
 「なにぶん初めての経験で」。1995年1月の阪神大震災直後、政府の対応の遅れを指摘された当時の村山富市首相の国会答弁だ。批判が集中した。危機管理の不備が明白になったからだ。
 実は震災前から、兵庫県南部に大きな地震が起きる可能性は学者の間で知られていた。住民はもちろん防災行政にも伝わっていなかった。これを反省し、同年、研究の取りまとめや社会への発信を担う政府の地震調査研究推進本部が設置されている。
 現在の科学で確実な予測はできない自然現象を前に、どんなリスク管理が必要なのか。曖昧にならざるを得ない災害情報をどう伝え、どう受け止めるか。
 耐震化の重要性や地下の活断層の恐ろしさを見せつけた阪神大震災は、不確実性を伴う災害への事前の備えが本格的に問われる時代の幕開けでもあった。
 「想定外の津波が原因」。東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故について、東電はそう繰り返した。だが実際には、政府の地震本部が2002年、東北沿岸で考えられる大規模な津波地震の発生予測を公表していた。
 なぜ防災対応を先送りし続けたのか。安全より経営を優先したのではないか。現在、責任について刑事、民事の両方で訴訟が続く。民事では既に、国と東電の責任を認める判決が相次ぐ。
 地震や火山と切り離せない日本列島に原発が存在してよいのか。改めて問われるべきだろう。
<進展した情報発信>
 「直ちに噴火に結び付くとは考えませんでした」。2014年9月の御嶽山噴火後、噴火警戒レベルの判定を担う気象庁が強調していた。突発的とされた噴火だが、実は17日前から前兆とも受け取れる小さな地震が観測されていた。それでも警戒レベル引き上げを見送った。この判断に対しても、責任を問う訴訟が続いている。
 経験を踏まえ、たとえ不確かでも危機感を共有しようとする取り組みは、一定程度進んだ。
 地震本部は、全国の活断層の調査を順次進め、何年以内に何%の確率で地震が起きるかを推定した結果を公表している。火山では御嶽山噴火を受け、レベル引き上げに至らなくても異変があれば臨時情報を出すようになった。水害や土砂災害については、市町村によるハザードマップ(危険予測地図)作りが進んだ。
 30年以内に70〜80%の確率で起きるとされる南海トラフ巨大地震は、従来の東海地震のみを対象とした監視体制を拡大した。曖昧だが重大な注意情報が、広大なエリアに出ることになった。
 避難や備えに結び付かなければ意味が無い。政府や自治体は住民への分かりやすく正確な情報提供に努めなければならない。
<曖昧さと向き合う>
 いつ起きるか分からない災害は、目を背け続けても当面は問題にならない。人間と自然は時間軸に大きな開きがある。一生何もしなくても、問題ないかもしれない。
 政府も国民も、そんな感覚をどこかに引きずっていなかったか。起きてからでは遅い。それが平成の教訓だ。曖昧さと正面から向き合っていくしかない。
 自宅は土砂災害や洪水の危険エリアに入っていないか、活断層の直上ではないか―。不都合な現実に目を向けることにもなるだろう。それぞれの気付きが、想定外をなくしていく一歩になる。


子ども食堂 地域全体で後押ししたい
 食事の提供などを通して地域の子どもを支援する「子ども食堂」が岡山県内で増えている。「子どもたちのために何かしたい」という地域住民の自発的な取り組みが広がっていることは心強い。一過性の活動で終わらせないよう、地域全体で後押ししたい。
 子ども食堂は2012年に東京で始まったとされ、支援団体の調べでは昨年までに全国で2千カ所を超えた。岡山県内では15年から開設が進んだ。県内の運営者らでつくる「こどもを主体とした地域づくりネットワークおかやま」によると、低額や無料で食事を提供する食堂は県内で30カ所以上、学習支援や遊びを提供する居場所も含めると50カ所程度あるという。
 運営するのは民間団体や個人、NPO法人などさまざまだ。公民館などの公共施設、自宅や店舗の一角などで、週1回や月1回など運営者側が決めた頻度で開いている。
 子ども食堂は子どもの貧困対策として注目されるが、実際には家庭の経済事情は見えづらく、特定の子どもだけを集めるのは難しい。このため、県内の多くの食堂は地域の子どもや大人に広く参加を呼び掛け、みんなで食事を作り、食卓を囲む形だ。1人暮らしの高齢者を受け入れているところもあり、地域の中での孤立を防ぐ交流の場としての役割が大きくなっている。
 自発的に始まった取り組みだけに運営基盤の弱さは全国的な課題だ。支援者から食材の無償提供などを受ける食堂もあるが、資金やスタッフは限られ、県内でも開催が月1回にとどまる食堂は多い。
 注目されるのは近年、財政的な支援に乗り出す自治体が全国的に増えていることだ。背景には国や自治体の責務を規定した「子どもの貧困対策推進法」が14年に施行されたことがある。対策を進めるため岡山県が設置した官民協働組織は昨年提言をまとめ、子ども食堂などの居場所を各小学校区ごとに設置するのが望ましいと指摘した。
 岡山県と政令市の岡山市はそれぞれ本年度から、子ども食堂などの居場所を新規開設する際の一部助成を始める。調理器具などの備品購入が対象となる。さらに県は子ども食堂の運営者をアドバイザーに任命し、開設を目指す人の相談に応じる体制も整える。
 新規開設が増えることが期待される一方、継続していくための課題は残る。運営費にも公的助成があれば安定するが、行政に依存し過ぎると活動が制約されるとの懸念が運営者側にもあるようだ。
 「こどもを主体とした地域づくりネットワークおかやま」には県内の社会奉仕団体などから寄付が寄せられており、子ども食堂などに配分している。金額はまだ少ないが、食材は地元の商店で購入するよう呼び掛けており、地域への還元を目指すという。
 住民主体の良さを生かしながら活動が続けられるよう、官民で知恵を絞りたい。


特重施設で規制委判断 完成遅れなら原発停止は当然だ
 テロなどに備えて原発に設置が義務付けられている特定重大事故等対処施設(特重施設)について、国の原子力規制委員会は、期限までに完成できない場合、原発の運転を停止させることを決めた。四国電力伊方原発3号機は、完成が期限の2021年3月から1年程度遅れる見通しとなり、期限超過で運転を停止する可能性がある。
 特重施設は、航空機衝突などのテロ攻撃を受けても、遠隔操作で原子炉の損傷を防ぐためのバックアップ施設であり、原発の安全性向上には欠かせない。独立した立場で原発の安全追求と監視を担う規制委が、四電をはじめ、関西、九州の3電力会社が求めていた期限の延長に応じず、新規制基準を厳格に適用したのは当然の判断だ。
 3電力会社は、規制委の審査が長引き、特重施設の頑健性を高める工事が大規模、高難度になっているため完成が遅れていると説明。各社とも「見通しが甘かった」と認めながらも、規制委に延長を求めた。運転を継続して収益を確保したい思惑はなかったのか。経済性を優先して安全性を軽視したとも取れる姿勢は看過できない。
 特重施設の完成期限を巡っては当初、一律18年までに区切っていたが「原発本体の工事計画の認可から5年」に変更した経緯がある。現在も新規制基準で求められた安全設備が全てはそろっていない状態で運転が続いている。さらに、原発は運転を停止しても強い放射線や熱を放出する使用済み核燃料が保管されているリスクがあり、施設の完成を急がなければならないことに変わりはない。
 ただ、安全性が最優先であることは言うまでもない。四電の佐伯勇人社長は「早く国の審査に合格して、昼夜や休日作業で工期短縮することに最善の努力をする」と述べた。工事を急ぐあまり、作業が粗雑になったり労働環境が悪くなったりしては本末転倒である。規制委は今後も慎重に工事計画などの審査を続け、監視の目を行き届かせることが肝要だ。
 特重施設に関する規制委の審査が、保安上の観点からほぼ非公開で行われていることにも留意しなければならない。設置場所や具体的な設備の仕様などは公開されておらず、ベールに包まれている。原子炉建屋に新たに設置する設備もあり、緊急時の対応はより複雑化する。訓練や人員の確保など、どのように新たな施設を運用するかについて分かりやすく説明しなければ住民の信頼は得られまい。
 全国で相次ぐ原発の運転差し止めを求める仮処分申請で司法判断が割れているのに加え、特重施設の完成遅れにより各地で原発が停止する可能性が高まった。原発の運転は不安定で、30年度の電源構成割合で原発を20〜22%とする政府目標の達成がより厳しさを増している。安全性、必要性、経済性、あらゆる角度から、原発政策の在り方を問い直す時期に来ている。


【ロシア疑惑】お次は米議会の出番だ
 「大統領が犯罪を行ったとは結論付けないが、潔白ともしない」―トランプ米政権を巡るロシア疑惑で、モラー特別検察官の報告書が一部公表された。
 疑惑捜査を妨げたとされるトランプ氏の司法妨害について、捜査介入を繰り返し試みたことが明らかになった。報告書はそれらを「クロ」とは断定しなかったが、「シロ」でもなく潔白証明には程遠い。
 大統領の権力乱用を阻止する憲法上の権限がある議会の対応を報告書は求めている。中間選挙で下院の過半数を確保した野党・民主党は追及を強める考えだ。一方で、政権を支える共和党は上院で多数を占め、このままでは疑惑解明が進まない可能性が強い。
 だが、ことは「大統領の犯罪」への疑惑だ。三権分立を担う議会として与野党の違いを超えて徹底的に解明すべきだろう。
 報告書には、捜査の進行に動揺したトランプ氏が介入する様子が記されている。
 初期の捜査を仕切ったコミー連邦捜査局(FBI)長官に、側近への捜査をやめさせようと「大目に見てくれ」と求めたが断られる。さらに、自身が捜査対象ではないと公言するよう要求したが、これも拒否された。コミー氏解任はトランプ氏の立腹が理由だと示す「有力な証拠がある」と報告書は指摘する。
 また、2016年の米大統領選を有利にするため、トランプ陣営がロシア側の働き掛けに積極的に応じていた状況も調べている。
 「司法妨害」「ロシアとの共謀」が疑われる数々の「証拠」があるにもかかわらず、「クロ」とならなかったのはなぜか。ことし2月に就任したバー司法長官の存在が大きいとされる。
 モラー氏が司法省に提出した報告書は400ページ近くあったが、バー氏が議会に当初出した概要はたった4ページ。捜査機関の機密情報があるにしても開示にあまりにも消極的だ。
 さらに、最終的な判断を委ねられたバー氏は、司法妨害罪の立証に必要な故意に関する証拠の欠如などに留意し、証拠不十分と結論付けたという。モラー氏らが調査し集めた、さまざまな「証拠」はいったい何だったのか。
 民主党の幹部は「司法省の独立性や信頼より大統領を守ることを選んだ」と批判する。当初から側近政治と独断専行が目立つトランプ政権らしいといえばそれまでだが、信頼はさらに失われてしまった。
 そんなトランプ氏も本音を漏らしている。17年5月、特別検察官にモラー氏が任命されると「これで大統領として終わりだ」と周囲に話したという。報告書で明らかになった。
 民主党は一部黒塗りで公表された報告書の全文提出を司法省に要求し、モラー氏には議会証言を求めている。トランプ氏は報告書の公表後、ツイッターに「ゲームオーバー」と、いつものように投稿した。思い違いも甚だしい。


国民はファシストを望むのか 令和で民主主義は消滅の危機
 平成が終わり、令和を迎える。果たしてどんな時代になるのか。せめて、マトモな政治に期待したいが、絶望的な気分になってくる。平成という時代をひと言で振り返れば、最後の最後になって、民主主義が徹底的に破壊され尽くされた時代ではなかったか。選挙は行われるが、形だけ。実際は1党独裁、安倍様ファシズムの時代ではないか。ファシズム研究の第一人者、慶大教授の片山杜秀氏は3月30日付の東京新聞、<考える広場 我が内なるファシズム>でこう書いていたほどだ。
〈現実主義の自民党と理想主義の社会党が対立した五五年体制が崩壊し、現実主義の政党ばかりになった。似たような価値観の政党ばかり。その中では、経験豊富な自民党が選ばれやすい〉
〈「政治主導」の名の下に内閣人事局が設置され、内閣に官僚は抵抗できなくなった。今の内閣は各官庁の情報を吸い上げて力が肥大化し、戦前・戦中にはなかった強力なファシズム体制を実現させたと思います〉
 似たような政党ばかりだから、「それならば、一日の長で自民党を選ぼう」となる。何度やっても安倍自民党が勝つものだから、人事権を押さえられている官僚も逆らえず、言いなりになる。内閣に不利な情報は隠蔽、改ざんされ、忖度が横行し、ますます1強政権がのさばる。片山氏が指摘する通り、安倍政権はすでに「強力なファシズム体制を実現させた」ということだ。しかも、それが「政党に差異がない以上、経験豊富な自民党」という選挙民の意思によるものなのだから、絶望的になってくる。元外務省国際情報局長の孫崎享氏も嘆くひとりだ。
「例えば、米国の民主党は世論調査をもとに国民目線に立った政策を訴え、共和党のトランプ政権を本気で倒そうとしている。しかし、日本の野党は国民が何を望み、どんな政策を訴えれば支持が得られるのかを勉強していない。ハッキリ言って努力不足なのです」
 日本では、米国のサンダースのような候補者がてんで出てこないのだから、どうしようもない。選挙民は選択肢のない絶望から、安倍ファシズムを選んでしまう。令和になってそれが変わるのか。ますます、こうした傾向が強まるのではないか。令和で民主主義は「消滅危機」と言ってもいいのである。
■現代の民主主義の死は「選挙」から始まる
 ともにハーバード大教授のスティーブン・レビツキー、ダニエル・ジブラット両氏の共著「民主主義の死に方〜二極化する政治が招く独裁への道〜」(邦訳・新潮社)によると、かつての民主主義は革命やクーデターによって死んだが、現代の民主主義の死は「選挙」から始まる、という。
「選挙」というプロセスを経た強権的なリーダーが、異論を唱える政敵やメディアを公然と批判して二極化を促す。そして、司法機関などを支配して対立相手を恣意的に罰し、選挙制度や憲法を変えて独裁体制を確立させるというのだ。この指摘には背中が寒くなるではないか。
 少数野党の意見に全く耳を貸さず、アリバイ的に審議時間だけを重ねて強行採決を繰り返す「アベ政治」。こんな政治が常態化したのも、選挙を経て衆院で3分の2超という圧倒的多数の議席を確保したからだ。安倍首相が特定メディアを名指しで批判している姿も同じ。そうやってケンカを仕掛け、二極化を促す。そういえば、イタリアのムソリーニやドイツのヒトラーも選挙の大勝によって、「ファシズム」を完成させた。「ファシズム」とは、ある日突然、ファシストが登場して、国民の権利を制限するのではなく、選挙民が強大な権力を与えた結果、暴走するものなのである。
 当時のイタリアもドイツも国民の間には経済的な不満が渦巻いていた。独裁者はそれを利用し、巧みなプロパガンダで民衆を洗脳した。当時と今はそっくりだし、問題は、この傾向が日本だけではないことだ。
経済のグローバル化で格差拡大、右傾化が加速
 9日に投開票されたイスラエル総選挙では、ネタニヤフ首相率いる右派政党リクードが勝利。昨年は、ハンガリーで反移民政策を掲げたオルバン首相率いる右派フィデス・ハンガリー市民連盟が圧勝した。
 ロシアのプーチン大統領やトルコのエルドアン大統領ら、ファシズム化が懸念される政権を挙げればキリがない。
 これらの政権に共通しているのが、「危機」や「脅威」を訴えて自分の政権運営を正当化し、反対勢力を封じ込めて民主主義を「破壊」するやり方だ。例えば、エルドアン大統領は一部の国軍クーデター未遂を理由に世論不安を煽り、多数の兵士や公務員、記者を拘束した揚げ句、大統領に権限を集中させる憲法改正を実施。プーチン大統領も、チェチェン共和国の「独立派によるテロ」を口実に「垂直の権力」と呼ばれる体制を構築した。
 人権監視団体「フリーダムハウス」が2月に公表した「世界の自由度調査」によると、世界の自由度は13年連続で低下。今や世界中で「民主主義」は後退する一方だ。
■右派政治家は大衆の不満を煽って支持を集める
 埼玉学園大学経済学部教授の相沢幸悦氏は「巨大な資本主義による経済のグローバル化が世界中で富裕層と貧困層の格差拡大を招き、右傾化の動きを加速させた」と言い、こう続けた。
「先進国、途上国に限らず、今やどの国でも人々の不満が高まっており、その怒りの矛先が外国人や移民に向けられつつあります。米国第一主義を掲げる米トランプ大統領が象徴的ですが、EU加盟国で起きている移民排斥の運動もその流れでしょう。日本を含む右派思想と呼ばれる政治家はその大衆の不満を煽り、支持を集めているのです。世界経済の減速が叫ばれる中、こうした動きはさらに強まるでしょう」
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は「選挙という民主的な手続きを経て権力を集中させた上で、やりたい放題を正当化するのが現代の『ファシズム』。選挙制度、主権者教育など、あらゆることを見直さないといけない」と言った。
「令和」は戦前に逆戻りなのだろうか。


「現代における貴族」茂木氏がNHK報道を痛烈批判
脳科学者の茂木健一郎氏(56)が、NHKのニュース番組が報じた内容に疑問を呈し、同局の報道関係者を「現代における『貴族』になってしまっている」と厳しく批判した。
茂木氏はこれまでNHKの報道姿勢について「世界認識の甘さと、批評性のなさが絶望的」「救いようがない。国際性なし、批評性なし、編集ぬるい、ジャーナリストとしてのスタンスゼロ」などと批判を繰り返しているが、ゴールデンウイークに突入した28日のブログでも「昨日、たまたま出張先で19時にホテルにいたから、悠仁さまのことが気になって珍しくNHKニュースを見ようと思ってつけたら、その件は少なくとも最初の方では報じられずに(報じないという方針自体は1つの見識かもしれないが)10連休のことをだらだらだらだら報道していたのであきれてしまった」と書き出した。
「NHK報道はジャーナリストの集まりのはず。ならば、そもそも、現代の日本で、10連休でカレンダーどおり休める人たちがどれくらいいると思っているのか? 昨日の夜7時のニュースでは、大型客船のクルーズの話を延々とやっていたが、物流やサービスなど、休めない人たちがそれを見てどう感じるか?」と疑問を呈し、「政府が決めた10連休を、クルーズにもいけちゃう、とだらだら報じるのはジャーナリズムの役割ではない」と指摘。「ぼくが一番懸念するのは、NHK報道にかかわっている方々が、受信料制度に守られ、安定した雇用に守られ、ご自身たちはカレンダー通り休めないかもしれないけれども、社会の中でカレンダーどおり休める人たちと同じ、いわば『余裕こいた階層』に属しているということに気づかないでいることである」と私見を述べた。
続けて、「ニュースの作り方として、今の社会の本質に刺さる批評性のある切り口が出ないのは、自分たちが記者クラブを含むいろいろなものに守られているからじゃないか」と推測。「報道に限らず、NHKの職員の方々や、その志にもかかわらず、結果として現代における『貴族』になってしまっているのは事実なのだと思う。その結果、ニュース事象に対する切込み方がぬるま湯的になってくる。世の中で苦しんでいる人たちや、10連休なぞできるはずもない人たちへの想像力が欠けている」と批判した。


強制排除の理不尽! 大型連休はぜひ「西成あいりん総合センター」に来てください! 国と大阪府、大阪維新の非情かつ冷酷なやり口を見にきたらええねん! 
4月1日から自主管理が続いている大阪市西成区の「西成あいりん総合センター 」(以後センター)には約100名の人たちの寝起きしていた。閉鎖が予定された3月31日、深夜まで国と大阪府との攻防が続いていたが、無責任にも管理を放棄し、「撤収」したのは大阪府と国の方だった。
私たちの方はその後も何度も話し合いを要求してきた。国と大阪府はメディアには「話し合う方向で」ときれいごとを言うが、話し合いには一切応じず、そんな中大勢の警官をひきつれて強制排除に掛かってきた。 一番人がいない12時昼過ぎを狙い、いきなり、暴力的に。あの日何があったのか、追い出された労働者はどうなったのか、釜ケ崎から報告する。 
◆排除はいきなりはじまった!
4月24日12時半すぎ、夜中テントに泊まりながら、昼間仕事に出る仲間から電話が来た。仕事中もセンターが気になり、仲間のtwitterを見ていたようだ。見ると「釜ヶ崎センター開放通信」が悲鳴をあげていた。
「【緊急】やばい。急にシャッター閉めにきた。皆さん、集まれたら集まってください!!」12:27
出先から急いで戻りながら、私も悲鳴をあげていた。
◎はなまま「話し合いにも応じず、いきなりだ!100人ものおっちゃんらが生活しとるんだぞ!すぐに向かいます」。12:38。
30分後センターに到着。
◎はなまま「すべて閉鎖。中にはいれず」。1:03
◎はなまま「中のものも持ち出せない!『明日アルミ缶集めなあかん。チャリンコ出してくださいよ。お願いしますわ』と」警官に訴える労働者。『張り紙もなく、こんな抜き打ちおかしいやろ』と怒鳴りつける労働者。メチャクチャや」1:08
◎はなまま「センター北側に来た。仕事から戻ったおじさん、一番南側(三栄食堂周辺)に寝泊まりしていた。『荷物どうすんねん。大事なものぎょうさん置いてあるんだで。明日から表で寝れってかよ』と怒っている」1:20
センター南側、 規制線の前にジャンベが到着。大勢が集まり再び声を上げ始める。3月31日のように。
長丁場になると思い店に戻り、炊き出しの飯を炊き始めたとき、仲間から規制線が解かれたと連絡。
◎はなまま「長引くと思い、ご飯を仕込みにきていたところ、閉鎖されていた道路が解かれたそうです。規制線で分断されていた仲間と合流。
『シャッター開けろ!』とまだまだ訴えていきます。来れる人はどんどん集まって!」4:09
◎はなまま「『荷物あるからシャッター開けろ』言うたが、国は警官に守られ帰っていった。『俺の荷物どうするねん』と集まる労働者。」4:35
◆身体ひとつで放り出された人たちは……
今日寝る布団も毛布も、大事な貴重品を入れたカバンも中に置いたまま。途方に暮れシャッターを力づくで開けようとする人たち。当然だ。夕方のニュースを見て、人もどんどん集まってきた。
騒然となるなか、再び数十人の警官がすっ飛んできて、シャッター周辺の人たちを蹴散らす。長年釜ヶ崎で活動していた車いすの男性にまで体当たり。「何すんねん」と介護者が怒鳴る。
別の場所では悲鳴があがる。悔しくて大声で泣く声。警官とはいえ、ここまで非情かつ冷酷になれるものか? 
その後釜合労の大型バスが緊急に解放された。 身体を休めに乗り込む労働者、でも多くの労働者は蹴散らされたまま、どこへ行ったのか?
「釜に40年いるで」と話していた労働者も夜の寝場所を探しに行ったのか?
高度成長期にはバリバリ働き、日本の経済を末端で下支えしてきた人たちが、使えなくなったらポイと棄てられていく。
◆国と大阪府は長年働かせた労働者と荷物を ゴミ扱いするのか?
国(労働局)と大阪府は翌25日、荷物を返却すると約束した。しかし当日、国と大阪府がやったことは前日の強制排除にも増して酷かった。
4月25日朝8時、センターで抗議集会したあと、稲垣さんが大阪府に「どういう形で荷物の引き渡しをやるのか? 今日仕事で来れない人はどうしたらいいか?」と電話を入れて聞いた。大阪府の返事は「決まってない、昼もう一度連絡する」。
しかし電話はかからなかった。当然だ。あんな人を馬鹿にしたやり方を、事前に伝えられる訳がない。中の荷物は数ヵ所にまとめられているとも聞いていたが、 あれだけ非情に叩き出した人たちを、素直に入れるはずはない、と嫌な予感。
15時前、予定された9番シャッター前に人が集まりだすと、すぐさま大阪府警第三機動隊、100人あまりが制圧するかのように9番シャッター前に集結する。
ほどなく全ての入口が規制線で塞がれた。中に入れない大勢の人たちの顔が見える。また分断。
その後、機動隊に守られた大阪労働局総務課長コバシが、機動隊の指示で「中の荷物は職員たちが外に運び出します」とアナウンスする。職員の制服を着た若者が次々とセンターの中から荷物を運び出し、表に並べていく。
吹きっさらしの表、集合住宅のゴミ集積所のように。それで「はい持って言ってください」だと。
◎はなまま「これビックリします。荷物を外に出して『1ケ月は置いて置きますよ』と。外ですよ。吹きっさらしの外。人が普通に通る外。『関係ない方は立ち入らないで』『人のものは持ち去らないで』とか書いてない。悪気なくても持ち去る人いますよ。カバンの下にいれた古い写真が宝物なんだという人もいてます」。
◆ここは無法地帯か?
4月24日、吉村新知事は「一部不法占拠のような状態であり、放置するわけにはいかなかった。国や警察と調整やリーガルチェックを受けながら、今日実行することを判断した」と記者会見。スラップ訴訟やりまくり、弱者虐めが得意の大阪維新の弁護士でもある、吉村知事のリーガルチェックとは、どのようなものなのか?
ご自身も地元の静岡で野宿者支援活動を続ける憲法学者・笹沼弘志さんがFBで重要な指摘を発信してくれた。
「行政代執行は身体に対しては行えません。占有権限なく設置された物件に対して行えるのが行政代執行です。センターからの立ち退きを求める場合、身体的強制を行政が行う法的根拠はありません」。「センター内に、たとえ占有権限なく設置していた物件であったとしても、それを行政代執行法などの法的手続きをとらずに撤去するのは違法。荷物を持ち去ったら泥棒。国による泥棒。泥棒国家は許されない」。
しかしセンターの場合、この法的手続きすら行われていない。民主主義とか人権とか、法の下の平等とか……まったく適用されていない。ここは何でもありの「無法地帯」か?
◆「耐震性」と「代替地」の罠
センターの建て替えは「耐震性に問題あり」がその理由だったが、センター1階からは労働者、野宿者を追い出して置きながら、上の住宅や医療センター、そして南側1階のNPO釜ヶ崎支援機構の休憩所はまだ残されたままだ。
「耐震性」とは、1階から労働者らを閉め出す口実ではないのか。またその広大なスペースと1、3階で37個の和式トイレがあり、誰に気兼ねなく寝転べたセンター1階の代わりに用意された「テント、ベンチ、簡易トイレ2台」の代替場所。これを見て「勝ち取れてよかった」と言えるのか?
センターからの排除は、天皇代替わり、G20大阪サミット、更には2025大阪万博に向けて強行されただけではない。大阪維新の「都構想」実現にむけ突破しなくてはならない、西成特区構想(ジェントリフィケーション)を遂行するためだ。
しかし釜ケ崎の闘いはまだまだこれからだ。シャッターの外に建てられたテントは現在増殖中! 大型連休はぜひ釜に来てください。国と大阪府、大阪維新の非情かつ冷酷なやり口を見にきたらええねん!
▼尾崎美代子(おざき・みよこ)https://twitter.com/hanamama58
「西成青い空カンパ」主宰、「集い処はな」店主。


神戸空港の国際線就航を検討へ 関西3空港懇、次回会合から
 関西、大阪(伊丹)、神戸空港の役割分担を話し合う「関西3空港懇談会」(座長=松本正義関西経済連合会会長)の次回会合で、メンバーの自治体や経済団体が、運営会社の関西エアポートによる神戸空港への国際線就航検討を認める方向で調整していることが27日、関係者への取材で分かった。現在、国際ビジネスジェットは認められているが、国際定期便を含めて検討するのは初めて。関空とともに国際線の受け入れ能力を域内全体で引き上げ、アジアなどの経済成長を取り込む。(長尾亮太、竜門和諒)
 次回会合の日程は、5月11日などが候補に挙がっている。3空港懇は、2018年4月に始まった3空港一体運営を受けて、同年12月末に8年ぶりに開かれ、次回会合で新たな役割分担を決める見通しだ。関係者によると、次回会合で取りまとめる文書に、神戸空港の「国際化」について検討することを盛り込む。
 事務局の関西経済連合会(関経連)は同年末の会合で、各空港の機能見直しについて、生涯スポーツの国際大会が関西で開かれる21年ごろまでの「短期」▽大阪・関西万博がある25年ごろまでの「中期」▽リニア中央新幹線の大阪延伸(37年)などが予定される30年代の「長期」−に分けて議論する方針を示した。
 神戸の国際化は3区分のうち、中期の検討課題に位置づけられる。今後、新たなターミナルビルの建設などが焦点になりそうだ。
 関空の18年度の発着回数は約19万回と10年度の1・8倍に増え、環境アセスメントで想定される上限の年間23万回に迫っている。ただ、今後もアジアからの訪日需要が高まる見通しであるのに加え、海外から350万人の来場が見込まれる大阪・関西万博も25年に控える。関空が域内で唯一担ってきた国際線の受け入れを神戸に補完させることで、関西全体の空港機能を強化する狙いだ。
 また、昨秋の台風で関空が一時閉鎖に追い込まれたため、災害時の代替機能の必要性が生じていた。
 神戸の国際線就航を巡っては、すでにスカイマーク(東京)がサイパンやパラオなどに飛ばしたい意向を表明している。一方、大阪空港については、騒音問題を抱え、国際化にはさまざまな課題の解消が求められそうだ。
【関西3空港懇談会】神戸空港の整備が進んでいた2003年、関西と大阪(伊丹)両空港と合わせた3空港の相互補完のあり方を検討する目的でスタート。05年に役割分担に合意した後、10年に「一元管理」を盛った取りまとめを出した。メンバーは大阪府・市や兵庫県、神戸市、堺市、和歌山県、京都府の自治体に加え、大阪、神戸両商工会議所、3空港を運営する関西エアポートなど。関西経済連合会が事務局を担う。


仏の黄ベストデモ、24週連続 参加者減少、約2万3600人
 【マドリード共同】フランスでマクロン政権に抗議する黄色いベスト運動のデモが27日、24週連続で行われた。長引くデモを受け、マクロン大統領は25日に所得減税などの新施策を発表したが、運動関係者らは内容への不満を表明しデモを継続した。規模は前週から縮小した。
 内務省によると、全国の参加者は約2万3600人。前週は約2万7900人だった。5月1日のメーデーのデモへの参加を優先し、動員が少なかったとの見方もある。
 パリの参加者も前週の約9千人から約2600人に減少。前週はノートルダム寺院修復への巨額の寄付に反発する趣旨がデモに加わり、パリでの参加者が多かった。


電撃訪朝で7.10“拉致解散”か 永田町で流れる仰天シナリオ
「拉致問題で7月10日に衆院解散」――。永田町で、こんな仰天シナリオが囁かれ始めた。安倍首相が電撃訪朝して、拉致問題解決の期待を高め、衆院解散に打って出るというのだ。
  ◇  ◇  ◇
「消費増税の延期で国民に信を問うパターンは3回目となるとインパクトが弱い。野党も増税反対だから選挙の争点にもなりません。そこで浮上しているのが、北朝鮮の金正恩労働党委員長とのサプライズ首脳会談で支持率を上げ、一気にダブル選になだれ込むシナリオ。7月7日に日朝会談、同10日解散、8月4日に衆参同日選挙という具体的な日程も囁かれています」(官邸関係者)
 北朝鮮問題で蚊帳の外に置かれている安倍政権がいきなり日朝会談とは、にわかには信じがたいが、官邸が画策している兆候が、この1週間で次々と明らかになってきた。
 まず、23日の閣議で報告された2019年版の「外交青書」から、「北朝鮮に対する圧力を最大限に高めていく」という表現が削除されたこと。対話路線に舵を切ったことをうかがわせる。
 また、菅官房長官は25日の会見で、5月9日から訪米することを正式に発表。「拉致問題担当相として、解決に向けた日米の緊密な連携を確認する」という。
 22日から欧米外遊中の安倍首相も、行く先々で拉致問題に触れて回っている。初訪問のスロバキアでは、北朝鮮と国交がある東欧4カ国(V4)の首脳らに協力を求めた。
 27日、ワシントンで行われた日米首脳会談でも北朝鮮問題に多くの時間が割かれ、会談後、安倍首相は日朝首脳会談実現について「トランプ大統領から『全面的に協力する』と力強い言葉があった」と語った。
 これまで頬かむりを決め込んでいた安倍首相と菅官房長官が突然、拉致解決をアピールし始めたのだ。
「官邸は当初、6月の日ロ首脳会談で、北方領土の2島先行返還に合意して信を問う『北方領土解散』を目論んでいました。しかし、日ロが行き詰まり、拉致問題に切り替えた。平壌に飛んで首脳会談を行うのは小泉元首相の猿マネですが、外交成果を上げるには北朝鮮問題しか残っていないのです。安倍首相は北との関係をこじらせた張本人だし、外交オンチで拉致問題や国交正常化などの難題を解決することは不可能でしょうが、瞬間的に支持率が上がり、ダブル選挙で大勝すればいい。今は北も追い詰められて苦しい状況です。制裁解除に日本が動くなら首脳会談に乗ってくる可能性はある。もちろん米国の了承を得る必要がありますが、トランプ大統領と異例の3カ月連続会談を行う理由のひとつが、日朝首脳会談の地ならしでしょう」(政治評論家・本澤二郎氏)
 小泉訪朝当時、米国から「テロ支援国家指定」をされて追い込まれていた北朝鮮は、ブッシュ大統領との蜜月をウリにしていた小泉氏を利用しようとした面がある。金正日総書記が後ろ盾を頼って訪ロした際、プーチン大統領は会談の席で「コイズミは信頼できるから会うべきだ」と口添えしたとされる。その直後に平壌での日朝首脳会談が実現した。
 北朝鮮を取り巻く現状が似ているのは確かだ。今年2月にベトナムで開かれた首脳会談が不調に終わり、米朝関係は膠着状態にある。トランプべったりの安倍首相は外交成果で功を焦っている。そんな中、金正恩委員長が訪ロして25日にプーチン大統領と初会談。ロシア側は「朝鮮半島をめぐる交渉の仲介役になる」と伝えたという。「シンゾーは交渉進展をチラつかせればカネを出すから会うべきだ」などと口添えした可能性もある。
 選挙に勝つためなら何でもアリの政権だから、電撃訪朝でダブル選は十分あり得る話だ。


話が噛み合わず…元号を忌避する人々に対する狭量な反論
 山根二郎弁護士らが、元号を違憲とする訴訟を提起した。その主張は、大要、次のものである。
仝宜罎蓮⊃佑生活の中で有する「連続している世界の時間」を切断し、その故に個人の尊厳(人格的自律)を一方的に侵害し、憲法13条に違反する
¬声0聞漾天皇絶対思想の下で今の一代一元の元号制が始まり、それが、天皇陛下のためだと言って戦争して敗北した結末に至り、それでも今も変わっていないなら、それは近代(現代?)国家と言えるのか?
 もちろん、このような主張に反対する者も多い。
 例えば、(1)元号は日本の文化である。(2)元号が嫌な者には西暦を使う自由があるではないか。ところで、西暦はキリスト教暦であるが、元号を嫌う者は日本人なのか?
 何か話が噛み合っていない。
 元号に反対する人々の思いの根底にあるものは、古代の中国の皇帝が「時の支配者」であるという思想に由来した元号制を今でも踏襲していることに対する疑問である。
 国民一般に情報が公開されていなかった文明の発達段階に武力で国家を統一した王家が「神の子孫」だと自称していた時代は終わって久しい。今は、国民大衆が情報を共有し全国民の勤労の成果で国を支え、全国民の意思に基づいて国家機関が運営されている国民主権国家の時代である。そこにおいて、天皇(これは紛れもなく日本の王家の長)の代替わりで時を区分することの本質的矛盾が突かれているのである。「文化」と言っても、それは時の流れの中で変化してきたし、また、変化していくべきではないか? と問われているのである。
 さらに、西暦がイエス・キリストが生誕したとされる年を起点としていることは公知の事実である。しかし、現実にそれを「意識して」年号を数えている者などほとんどいないはずである。政教分離原則を確立したアメリカでも、それは、宗教に由来したものでありながら、もはや誰もそれを意識してはいない「習俗」である……と遥か昔に最高裁判決で確認されている。つまり、それはもはや単なる世界共通暦なのである。


10連休で大ピンチ 非正規労働者の家族と生活はどうなる?
 今年のGWは史上初の10連休。仕事で休めずボヤいている人もいるだろうが、働けるだけマシかもしれない。仕事が休みになることで不安を抱えているのが、非正規労働者たちだ。10日も仕事がないと、彼らの生活はどうなるのか。
 派遣で事務職をしている34歳女性は、「給料は時給計算ですから、10連休は厳しい。月収の3分の1がなくなるわけですから」とため息。連休にどこか行かないのか尋ねると、「来月の収入を考えたら、お金は使えません。それでも、私はひとりだから、まだいい。シングルマザーの友達は、『保育園に子どもを預けられず、連休でも仕事がある派遣先なのに、休まざるを得ない』と言いますから」とさらに大変だ。
 貧困問題に取り組む「ほっとプラス」代表理事で、聖学院大学客員准教授の藤田孝典氏はこう話す。
「2000年以降は、1億総中流ではなく、二極化が進んでいます。旅行に行けるのは、そのうち上流にいる人。10連休では格差があらわになるでしょう。最も影響を受けるのは、日給や時給で働く人々です。連休中に仕事がなく、かといってどこかに行くこともできない。そんな人は多いでしょう」
 日雇い労働者らが、もしこの間に生活困窮状態になってしまったらどうなるのか。
「役所は閉まっているので、連休が明けるまで公的サービスを受けることはできません」
 生活保護の支給については、毎月1〜5日のところ4月26日までの平日に前倒しされたが、保護を受けずに働きながらネットカフェ暮らしをしているような人にとっては厳しい連休になるだろう。しかし、つらい思いをするのは大人だけではないという。
「子どもたちの間でも、家族でどこかへ出かけられる子と、そうでない子がいます。体験の格差は、将来的にもさまざまな影響を及ぼします。大人も子どもも、余裕のある家庭の連休の過ごし方をテレビなどで見て疎外感を感じることもあるかもしれません」
 疎外感、孤立感といったマイナスな感情を抱える人々が増えれば、経済など社会全体のムードが悪くなる。
「政府は消費喚起だけに目を向けず、不利益を被る人がいないかに目を配ったり、家計支出を軽減する政策が必要です。給与の引き上げはもちろんで、お金がなくても豊かな時間を過ごせるような地域コミュニティーの再形成も欠かせません」
 格差是正は待ったなしだ。


池袋事故で“上級国民”批判が広がる理由とは…安倍政権や検察・警察の身内優遇に鬱積される国民の怒り
“上級国民”批判が止まらない。周知の通り今月19日、東京・池袋で87歳の男性が運転する乗用車が暴走。31歳の母親と3歳の娘がはねられ死亡、8人が重軽傷者を負ったが、男性はその場で逮捕されなかった。ネット上では男性が通産省(現・経産省)の元高級官僚であったことが注目され、「上級国民」なるスラングが爆発的に拡散。「上級国民だから逮捕されなかったのだ」といった憶測が広がるとともに、男性に対する口を極めた批判がSNSで相次いだ。
 たしかに、東大卒業後に通産省入りし工業技術院のトップまで務め、退官後も大手メーカーの副社長となり、2015年秋の叙勲では瑞宝重光章を受け取っている男性の経歴は“エリート”と言われるに値するだろう。また、多数の死傷者を出した交通事故の場合、警察は容疑者をその場で逮捕、拘留して取り調べを進めることが多い。高齢者の場合でも逮捕されている例は数多くあり、この男性が逮捕されないというのは一見、不自然な感じもする。
 もっとも、一方では人身事故を起こしても、健康状態などを警察が考慮して、現行犯逮捕をしないというケースもある。今回の池袋事故の場合も、事故を起こした男性が怪我で入院したことが主な理由とされており、本当に「上級国民だから逮捕されなかった」のかどうかはまだ判然としない。
 だが、現段階で「加害者が元官僚だから、当局が忖度したのではないか」との疑問が出て、ネットで「上級国民」なる概念が拡散してしまうのは、相当の理由がある。
 それは、逮捕・拘留が当局の裁量次第で恣意的に運用され、身内の官僚に甘い処分が下されるケースが多いのは明らかな事実だからだ。実際、前回の記事でも指摘したように、現役検事や元検察幹部が人身事故を起こしたにもかかわらず、逮捕されなかったり、事故そのものが報道されなかったりというケースも相次いでいる。
 交通事故だけではない。安倍政権下では、政治家や安倍首相に近い人物たちが、通常なら逮捕や起訴されるケースで不可解にも免れたということがたびたび起こっている。
 典型的なのが、伊藤詩織さんから準強姦の被害を告発された“安倍官邸御用ジャーナリスト”山口敬之氏をめぐる一件だ。 2015年4月、山口氏は詩織さんを仕事のためのビザについて話をしようと食事に誘う。そして、詩織さんをタクシーで自分が宿泊しているホテルの一室に連れ、性行為に及んだ(この点は山口氏も詩織さんへのメールで認めている)。詩織さんは警察に被害を訴え、ホテルの防犯カメラに残された映像などから、高輪署が事件として捜査を進め、その後、逮捕状も発布された。
 ところが、2015年6月8日、複数の捜査員がアメリカから成田空港に帰国する山口氏を準強姦容疑で逮捕するため、空港で待ち構えていたところに、直前でストップがかかった。2017年5月の司法記者クラブでの会見で、詩織さんはこう語っている。
「『警察のトップの方からストップがかかった』という話が当時の捜査員の方からありました。『これは異例なことだ』と。当時の捜査員の方ですら『何が起こっているのかわからない』と」
 このとき、山口氏の逮捕取りやめを指示したのは、当時の警視庁刑事部長・中村格氏だった。「週刊新潮」(新潮社)の直撃に本人が「(逮捕は必要ないと)私が決裁した」と認めているのだが、この中村氏は、第二次安倍政権発足時に菅義偉官房長官の秘書官をつとめるなど「菅官房長官の片腕」として有名な警察官僚。つまり、「安倍首相に食い込むジャーナリストの逮捕を、菅官房長官の右腕が直前で食い止めた」という構図であり、“政権を忖度した逮捕取りやめ”ではないかと強く疑われている。
 その後、山口氏は準強姦罪で書類送検こそされたものの、2016年7月に「嫌疑不十分」として不起訴に。詩織さんは実名顔出しでの会見を開いた2017年5月に検察審査会に審査を申し立てたが、同年9月に「不起訴相当」の議決がなされ、現在は民事で山口氏と係争中だ。
安倍政権に近い政治家や官僚は逮捕さらず、権力にたてつく者はずっと拘留
 他にも、政治家の汚職や不正疑惑をめぐっても不可解なことが相次いでいる。国会議員は憲法で定められたいわゆる「不逮捕特権」があるため、そもそも逮捕のハードルは高いのだが、2000年代ぐらいまでは大物政治家の逮捕がたびたび世間を賑わせてきた。だが、第二次安倍政権が始まって以降、そうした話はパタリと止む。起訴確実と思われながらも不起訴になるというケースが多発したのだ。
 たとえば、小渕優子経産相(当時)の政治資金収支報告書をめぐる疑惑や、甘利明経済再生担当相(当時)のあっせん利得疑惑がそうだ。検察特捜部が捜査に乗り出したが、結局、逮捕もせず不起訴にした。とくに小渕のケースの場合、パソコンのハードディスクをドリルで破壊するなどの証拠隠蔽まで行われていた。だが、司法当局は小渕自身はおろか秘書を逮捕することもなかった(秘書は在宅起訴で執行猶予付きの有罪判決)。
 森友事件をめぐる当局の対応の差も記憶にあたらしい。財務省の佐川宣寿・元理財局長は、森友学園に約8億円も値引きして国有地を売却した問題に絡む決裁文書の改ざん等、虚偽公文書作成などの疑いをかけられたが、大阪地検特捜部は佐川氏を不起訴にした。もちろん逮捕もされていない。この不起訴をめぐっては市民団体が検察審査会に審査申し立てをし、先月には「不起訴不当」の議決が出ている。
 一方、森友問題では、森友学園の籠池泰典理事長夫妻が10カ月もの長期にわたって拘留された。籠池氏は国会の証人喚問でも安倍昭恵夫人の存在によって「神風が吹いた」などと証言した後、国有地売却問題と全く関係のない補助金詐欺容疑で逮捕されたのだ。これは明らかに“口封じ”のための逮捕と言わざるをえないものだった。
「上級国民」批判の正当性とあやうさ、怒りは本当の悪に向かっているか
 ようするに、第二次安倍政権では、権力にたてついたり、告発したりした人間は長期勾留される一方、政権中枢に近い政治家や官僚は、身柄を拘束されない、という状況がこれまで以上に顕在化しているのだ。そして、そのことに対する不満や不信感が国民の間に蓄積され、それがいまネット上で「上級国民」批判というかたちで噴き出しているということだろう。
 ただ、気がかりなのは、その怒りを向ける方向だ。こうした「上級国民」批判には、問題の本質は公権力の不公正、格差社会であるにもかかわらず、近視眼的になって、怒りを身近な話題、わかりやすい小さな対象に向けてしまう傾向がある。政権や、検察・警察という組織や幹部の不正を追及するのではなく、末端の公務員や事件の当事者批判に拘泥してしまう。さらには、在日特権などのようなデマに踊らされ、弱者攻撃に発展するケースも少なくない。
 今回の池袋事故にもその傾向は見て取れる。ネットを支配している“上級国民バッシング”の多くは、事故を起こした男性への攻撃なのだ。「早く逮捕されろ」、「死ね」などの感情的な言葉も少なくない。
 しかし、わたしたちはもっと本質的な問題、本当の悪に目を向けるべきだろう。今回の事故でも、最も批判されるべきは逮捕と不逮捕を恣意的に決めていると疑われる日本の警察のやり方や司法制度の方であるはずだ。そのことを改めて念押ししておきたい。


水原希子が入国審査官の排外姿勢を真っ当批判するも理不尽な炎上! 水原攻撃の裏に潜むヘイトとミソジニー
 水原希子がまたもやひどい炎上に巻き込まれている。
 きっかけは、4月25日に投稿したインスタグラムのストーリーだ。ここで水原は成田空港の入国審査官の対応に苦言を呈した。
 ストーリーなのですでに消えているが報道によると、水原は空港の自動化ゲートで手順がわからず困っている人を見かけ、そのときの状況をこのように説明していたという。
「係の人が助けてあげればいいのに、遠目から見たりはしてるけど、なかなか助けに行く気配はなくて、入国審査官の人も席に座ったまま、日本語で『指、押して下さい』とか言って、そんなのどう考えたって分かる訳ないと思って、ようやく5分後くらいに係の人が対応してたけど。空港で5分待つってなかなか長いよ。効率良く仕事して、英語くらいちょっと勉強してPress your fingerぐらい中学生でもできるよ」
 その後、水原は自分の順番が来たときに上記のようなことを入国審査官に告げたという。すると、返ってきたのは「そう言われましても、入国審査官がメインデスク?本部を離れる事はできない」という言葉。これに対し水原はこのように主張したという。
「私が言いたいのはそういう話じゃなくて、人が少なくて本部を離れられなくても、自動化ゲートは日本人とは違って、外国人は入国審査官が結局パスポートをチェックするんだから、困ってる人に対して、日本語で説明せずに英語で説明してあげて、むだな困る時間を作らない様に早く対応すればいいだけの話。『指、押して下さい』ぐらい英語で説明するべきでしょ。成田“国際”空港なんだから。地方の空港とかなら分かるけどさ。遠くから見て助けないとか何? その時間何?」
 水原の指摘は至極もっともなものだろう。入国管理局収容施設における人権侵害問題をはじめ、入管は外国人に対してまったく寄り添う姿勢を見せないが、それがこの場面にもよく表れている。イレギュラーな場面で高度な英語を要求されているわけでもなく、ゲートでの手順説明というルーティンですら英語を使おうとしないというのは、理解に苦しむ。外国人労働者問題でもあらわになっている、外国人を迎え入れ共生するのではなく選別・管理するという入管の排外主義的体質がにじみ出ている。
 水原の発言は真っ当なもので、炎上を起こさせる要素などどこにもないのだが、しかし、この投稿を受けてインターネット上には罵詈雑言が飛び交っている。
「日本なんだから日本語で対応するのは当然」「日本に入国する者は日本語を学んでくるべき」といった発言も散見される。ネトウヨの内向き志向には笑うほかないが、それよりも目立ったのは、こんなヘイト発言だ。
〈そもそもお前日本人じゃないだろ〉
〈うるせえお前韓国人だろうが!〉
〈米国人と韓国人のハーフが日本人の振りして偉そうに日本人を批判してんじゃねーよ?(笑)〉
〈その前に日本人のフリするの止めろ馬鹿野郎!〉
 水原はアメリカ人の父と、日本生まれの韓国人の母の間に生まれているが、彼女の発言が話題になると、必ずこの出自を攻撃する卑劣なヘイトが起こる。
卑劣な差別攻撃にさらされ続けてきた水原希子
 たとえば、2016年にはこんなことがあった。はじまりは、中国のネット上で「水原が靖国神社に参拝している」「水原が旭日旗を背景にポーズをとっている」とされる写真が出回って批判が起きたことだった。
 これを受けて、水原が中国の動画サイトに靖国神社と旭日旗の写真に写っているのは自分ではないことなどを説明する動画をアップすると、今度は日本のネトウヨが発狂。
「迷惑だから日本人の振りすんなや、クソ外人が」「在日は出ていけ」「都合の良い時だけ、日本人。悪くなったら、日本人じゃない」などといった、口にするのもはばかられるヘイトスピーチを水原に投じ始める。
 ネトウヨだけではない。ネットニュースも「中国に謝るのはけしからん」と大合唱。「中国の芸能界で稼ぎたいから尻尾をふっている」「日本人じゃないから許しては都合よすぎ」などと、水原への攻撃を展開した。
 もともと、水原はネトウヨたちから目の敵にされていたが、これをきっかけに、そのヘイト攻撃がエスカレートしていく。
 2017年9月には、水原がサントリー「ザ・プレミアム・モルツ」(以下、「プレモル」)のイメージキャラクターとしてCMに出演すると、プレモルの公式ツイッターアカウントがヘイト攻撃によって大炎上する事態に発展した。
〈日本人じゃないのに!通名と同じ作戦か!?サントリーは当分、不買だろ〉〈エセ日本人がcmしてるから買いません〉〈水原希子は見たくもない=アメリカ国籍の朝鮮人。なんでサントリーは、こんなのをCMに起用するんだ?。反日企業と言われてもしょうがないね!。〉などという、おぞましいヘイトスピーチを含んだリプライが大量に押し寄せたのだ。
 また、たびたび起きる水原の炎上には「出自」以外にも、もうひとつ要素がある。ミソジニーの問題だ。SNSを見ると、この炎上に対してこうしたコメントもある。
〈こういう偉そうな女一番嫌い〉
 要するに、「女は社会への不満など口にせず、黙って言うことを聞いていればいいんだ」ということだ。
 これと同種の攻撃に晒されているのがローラだろう。
 昨年末、辺野古基地反対署名を呼びかけたローラがネトウヨから大炎上したのは記憶に新しい。
水原希子、ローラ攻撃の裏に「女は物申すな」というミソジニー
 ローラはインスタグラムのストーリーで〈We the people Okinawa で検索してみて。美しい沖縄の埋め立てをみんなの声が集まれば止めることができるかもしれないの。名前とアドレスを登録するだけでできちゃうから、ホワイトハウスにこの声を届けよう〉と書いたのが原因だったが、ローラがこうした批判に晒されるのは、これがはじめてではない。熊本地震で炊き出しボランティアをおこなったり、ユニセフのイベントに参加し1000万円の寄付をおこなったことをインスタグラムで報告した際などには、SNS上では〈偽善者〉〈売名行為〉というバッシングが起こった。
 こういった動きはつまるところ「物を言う女はウザい」というミソジニー心性に他ならない。野党の女性議員が執拗に攻撃対象とされるのも、これと同じ構造を有している。
 しかし、水原が素晴らしいのは、これだけ何度も理不尽な炎上に晒されても、決して口をつぐんだりせず、言うべきことを言い続けていることだ。
 もちろん水原とてこんなバッシングにさらされて平気でいられるはずがない。2018年4月2日付朝日新聞朝刊に掲載されたインタビューで水原はこれまでの炎上騒動を振り返り「あの頃は、2週間くらい泣き続けていました。いろんな人に迷惑をかけていて、プレッシャーもあっておしつぶされそうになって」と語っている。
 それでも水原は、こうしたヘイトとミソジニーの合体したグロテスクな攻撃に口をつぐむことはしない。上述した、中国向け動画でもプレモル騒動のときも、自分は「地球市民」であるとし反差別と相互理解のメッセージを発信してきた。
 たとえば、プレモル騒動のときは、ツイッターでこんなメッセージを投稿した。
〈今この世の中では色んな争いが起きてますが、どこの国で生まれても、どこの国で育っても、どこの国に住んでいても、みんな地球人である事には変わりません。全ての人に自分を理解してもらうのは難しい事かもしれない。でも、この世の中で私の事を理解してくれている人がこんなにもたくさんいるという事に気づく事ができました。一日も早く、この世の中の人種や性別などへの偏見がなくなってほしい。そして、世界中の人がどこにいても自分らしく生きていける世の中になるように、まずは私が私らしくこれからも強い心を持って、生きていこうと想います。全ての争いがなくなる事を心から祈っています。LOVE&PEACE〉
 今回の入国審査に関する主張も、こうした水原の信念から自然に発されたものだろう。
 ごく真っ当な出入国審査に関する彼女の主張が、出自や性別といった議論とはなんの関係もない部分で炎上する。そんなグロテスクな社会が一日でも早く消えることを願ってやまない。


「私が中核派だと知らなかった杉並区民もいたと思う」今も暴力革命を肯定?話題の新人区議・洞口朋子氏に迫る
 22日に開票された杉並区議会選挙で3275票を獲得、48議席中18位の上位当選を果たし話題を呼んでいる洞口朋子氏(30)。
 警察庁が「極左暴力集団」と呼び、「依然として"テロ、ゲリラ"事件を敢行する一方で、周囲に警戒心を抱かせないよう、暴力性・党派性を隠しながら大衆運動や労働運動に介入するなどして、組織の維持・拡大をもくろんでおり」と指摘する新左翼「中核派」の活動家でもある。
 "中核派区議"が誕生したことについて、区民はどう思っているのだろうか。駅前で話を聞くと、「中核派?知らない」(20代女性)、「私の中では昔の赤軍派とか、そういうイメージ」(50代女性)と、少し困惑気味の意見もある一方、「変革が起きるんじゃない。やっぱり壊して欲しいわけだよ、色んなものに対して」(70代男性)、「民意で選ばれたということから、出自がどうあれ当選したことは間違いない」(50代男性)と、見方は様々のようだ。
 そこで26日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では洞口区議本人を招き、その思想に迫った。
■「やっぱり暴力を使わないといけない場面もあると思う」
 「労働者による労働者のための社会主義国家」を目指して1963年に結成された中核派。正式名称を「革命的共産主義者同盟全国委員会」といい、共に分裂した「革マル派」と激しい"内ゲバ"を繰り広げ多くの死傷者を出す一方、成田空港の反対闘争、警察官が死亡した渋谷暴動など、デモ・暴力を重ねてきた。さらに火炎放射器による自民党本部放火事件(1984年)、東京サミットを狙い迎賓館に迫撃弾を撃ち込む(1986年)などの過激な活動も目立つ。
 現在も4700人の勢力があるといい、先月8日には警察が家宅捜索を行っている。番組では2年前、その活動拠点「前進社」に潜入取材を敢行していた。その際に取材に応じた洞口氏は、自らを監視する警察官たちの顔写真を貼った壁などを案内、「暴力を使ってでも民衆の側が国家に対して戦うということはあると思っているし、そういう運動が本当に社会を変える力を持つのではないかと思っている」と語っていた。
 「中核派の活動家」と呼ばれることについて「全くその通り」と洞口氏。「愛読書はマルクス以外でいうと松本清張」「(新天皇の即位で)祝賀ムードだが、天皇制には反対」。 宮城県仙台市で生まれ、中学生だった2003年、イラク戦争の反戦デモに参加。法政大学在学中の2010年には「学生自治闘争」等を理由に無期停学処分を受ける。2015年には安保法制反対の国会前闘争にも参加した。現在は「前進チャンネル」(YouTube)のキャスターとしても活躍する。
 「労働者を搾取して得た利益で資本主義経済が回っているし、労働者が社会を動かしているから富が分配されている。労働者がいなければ、資本家は何もできないと私は思う。だから労働者が主人公になっていく、決定権を持つ社会にしたい。こういう話をすると、原始時代に戻ると考える人もある。そうではなく、必要な人に必要なものが与えられる社会、富の正しい分配の仕方。貧困のない社会はそういう形で実現できるのではないか」。
 これまで中核派が引き起こしてきた数々の事件については「沖縄での闘いや東大での闘いなど、もちろん映像でしか見ていないが、その時代を象徴する出来事だと思うし、私はもちろん支持している。今後、中核派が独自で組織するかは分からないが、変わらずこういう闘いを実現できたらいいと思う」と肯定、「私たちの全ての活動が非合法だと言われることもあるが、合法的な領域でも活動している。それでも共謀罪の成立以降、国家の監視体制が強化されていて、中核派に対象が絞られていると思う」との見方を示す。
 さらに「学生運動の経験から、声を上げたり、抵抗したりしたときに襲いかかってくるのが国家の暴力だった。逮捕されたことも2回ある。そういう現実に対し、どう闘っていくのかということ。国家の暴力に対し、ところかまわず暴力を振るえばいいという考えではないが、やはり暴力を使わないといけない場面もあると思う」とし、「今でも革命のためには暴力を使うことも辞さないという考え方か?」との問いには「そうです。それは、はい」と答えた。
 その一方、「50年以上の歴史の中でやってきたゲリラの闘いを私も引き継ぎたいという思いはもちろんあるが、訴えかけるのは世の中の人がいてのこと。中核派がソフト路線になったということは公安警察も言っているが、訴え方とか闘い方は、世の中に合わせて変わっていくべきだとは思っている」との考えも示した。
 そこで作家の乙武洋匡氏が「なぜそんなに革マル派と仲が悪いのか」「既成の大きな政党の中で最も左と言われている日本共産党とは何が違うのか」と尋ねると、洞口氏は「革マル派とは何度かしか遭遇したことがないが、やはり革命の進め方が根本的に違ったんだろうなと思う。背後には国家権力がいると思っていて、国家権力と癒着して中核派を襲撃してきたこともあった」、さらに「日本共産党だけの問題ではもちろんないが、議会の中での革命に固執していると思っている」と主張。
 その上で「日本共産党だけではなく、既成の政党は"1票をお願いします、託してください"というが、一人が議会に行ったからといって何かが変わるという保証はない。議会だけで変えようというのは無理だ。やはり権利を持っている一握りの議員が議会の中でお喋りして法律を作って、というだけではなく、それが反映される現場が変わらなければ社会は良くならない。だから1票を入れてくれた人たちと一緒に声を上げていきたいというのが私のスタンス。SNS上には世の中、会社に対してこれだけの不満があるのに、なぜその怒りが発信されないのだろう、なぜデモやストライキや起こらないの、と思う」とした。
■「私が中核派のメンバーだと知らなかった人もいらっしゃると思う」
 しかし、中核派やその活動家としての洞口氏の思想が杉並区の有権者には十分伝わっていなかったのではないか、との意見は多い。
 実際、選挙戦では「若者の声を杉並から」をスローガンに、「貧困のない世の中を:若者と女性で社会を変えよう。非正規職、貧困、過労死のない世の中を」「阿佐ヶ谷再開発は撤回を:公立保育所の増設、児童館をつぶすな」「改憲とめよう」という政策を掲げており、"中核派色"はほとんど薄れていた。また、ピンク色を基調としたデザイン選挙ポスターやビラにもそれを匂わせる文言はない。
 洞口氏は「中核派の色を消してということはもちろんないし、争点として駅前の再開発の問題や貧困の問題を目立たせたいというのはあった。同世代の人たち、特に女性に訴えかけたいと思ってこういうビラにした」と説明。
 当選の理由については「杉並区の投票率は39%台だったので、6割以上はそもそも選挙に行っていない。その中で、憲法9条の改正の動きなどに対して若者が声を上げられる社会を作りたいという思いを訴えたことが響いたのかなと思っている。全国の中核派はもちろん、支援者の方たちにたくさんの支えて頂いた。大勢の中核派が杉並区に引っ越してきたということもない(笑)。ぶっちゃけた話、3275票の中には、私が中核派のメンバーということを知らなかった人もいらっしゃると思う。ただ中核派は杉並でずっと選挙活動をしてきて、これまでにも都議や区議の方がいた。だから私のことを中核派の"3代目"という認識で投票してくださった方もたくさんいらっしゃると思うし、選挙中にはいわゆる左派の人たちが誰に投票したらいいのか分からないという声も聞いた」とした。
 この点について乙武氏は「洞口さんの政治的なお考えとは全く相容れない。ただ、"中核派であることを隠すなんてとんでもない"という意見については、そんなことを言ったら、自民党の候補者だって、世間から反発を食らいそうな政策についてはあえてポスターに書かず、生ぬるいことだけを言ってお茶を濁す人はいくらでもいる。その選挙戦略の部分について洞口さんだけが批判されていることには同情する部分もある」と話した。
 また、「前進チャンネル」を視聴しているという元経産官僚の宇佐美典也氏は「分配するパイが膨らんでいくので、資本家も労働者もうれしいという時代が長く続いた。しかし成長が止まりつつあるのに、資本家と労働組合が完全に協調する体制ができあがってしまっていて、その既得権益から漏れている労働者たちがひどい目にあっていることは事実。その意味では洞口さんの主張通りの部分はあるし、既得権益のある正社員の方ばかり向いて労働者を守らない労働組合のケツを叩きたい有権者が票を入れたのかもしれない」と指摘。「洞口さんが中核派の色を隠しているというが、むしろ逆で、これほどYouTubeにも顔を出し、"私は暴力革命をする"と言ってきた中核派はいなかったと思う。そこに対して、"今のリベラル情けねえから入れるか"という人もいたと思う」と分析した。
 初当選を受け、今後について洞口氏は「"中核派がなぜ選挙に?"ということはよく言われる。私たちは議会だけでの革命ということは考えていないが、逆に議会に根ざして活動するのが突拍子もないこと、というわけでもない。政治集団なので、議会に行くこともある意味では流れなのかなと思う。中核派といっても色々な人がいるし、こういうふうにやりたい、もっとこうして欲しいというのは当然あるし、区民からの声はある。今回、区議会議員選挙に当選したが、これからもスタンスは変えない。資本主義社会ではない社会、働く人たちが主人公になれる社会が自分の目指している社会だ。その実現をしていきたいと思っている」と決意を語っていた。


水俣病資料館の語り部、6年ぶり新加入の胎児性患者が伝える実体験
 水俣病の公式確認から63年を迎える5月、熊本県水俣市立水俣病資料館の語り部に、胎児性患者の滝下昌文さん(62)が加わることになった。高齢化が進み水俣病被害の実体験を語れる人が減る中、新たな語り部が加わるのは5年8カ月ぶり。生まれながらに不自由な体で自立を目指し、仲間らと活動した体験などを資料館に来た子供たちに伝える。
 小学校の頃、病院から現在の特別支援学級に通っていたが、別の児童から「ばかたれ」と言われたり不自由な歩き方をまねされたりした。悔しさを胸に運動機能回復のリハビリに取り組んだ。
 20歳を過ぎて「皆に認められることをしたい」との思いから、1978年、熊本県出身の演歌歌手、石川さゆりさんのコンサートを同世代の患者仲間らと水俣市で開催。大きな自信になって仕事に就き、結婚もして一人息子を得た。しかし体調は次第に悪化し、車椅子に頼らざるを得ない生活になった。
 仲間らも次々と車椅子暮らしになって還暦前後に差しかかり「若かった患者の会」を結成した。会長として2017年、再び石川さんのコンサートを成功させた。その年の水俣病犠牲者慰霊式では患者代表として祈りの言葉を述べた。
 一方、患者や患者家族が務める語り部は昨春、滝下さんと同世代の女性が亡くなった。現在いる10人のうち3人も体調が優れず活動を休止している。滝下さんは、こうした状況を心配した県幹部から語り部になるよう誘われ、昨年10月から月数回、つらかった子供時代や就労支援施設での仕事、石川さんのコンサートのことなどを話して研修を積んだ。
 26日に語り部の会の総会が水俣市であり、滝下さんの加入が承認された。緒方正実会長は「滝下さんの水俣病人生を語ることで、水俣病の教訓が更に伝われば」と期待する。
 滝下さんはゴールデンウイーク明け以降に水俣市から委嘱状を交付され、正式に語り部活動に入る。「体はどんどんきつくなっているけれども、水俣病が忘れ去られないように自分の話せることを伝えていきたい」と意気込む。【笠井光俊】

太田昌国講演会/お初天神で懇親会/マンガコピー

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Notre-Dame de Paris et l’ex-première dame
Par Marcela Iacub
Contrairement à ce qu’a déclaré Michelle Obama, ancienne First Lady en voyage à Paris pour promouvoir son dernier livre, Notre-Dame n’est pas seulement un ≪symbole de la nation≫.
La destruction des grandes œuvres d’art est une perte bien au-delà des pays ou religions auxquelles elles sont censées appartenir. Elles sont l’expression de ce que l’humanité est capable de donner de mieux, d’une sublime générosité susceptible de nous faire oublier - pendant que nous les admirons tout au moins - que nous appartenons à une espèce prédatrice et criminelle. C’est ainsi, en substance, que le monde a réagi lorsqu’il apprit que la cathédrale de Notre-Dame de Paris avait brûlée.
Le monde, certes, mais pas l’ancienne première dame des Etats-Unis, Michelle Obama, présente à Paris au moment de l’incendie pour faire la promotion de son ouvrage Devenir (Fayard) écoulé à plus de dix millions d’exemplaires dans les dizaines de langues dans lesquelles il a été traduit. ≪Voir le symbole d’une nation s’effondrer, dit-elle. Je sais ce que c’est […]. Nous devons être forts, nous devons rester unis. Notre-Dame va être rebâtie.
En bref, à ses yeux, l’incendie accidentel du joyau de l’architecture gothique qui ne provoqua aucun mort est comparable aux attentats du 11 Septembre et notamment à la destruction des Twin Towers bâties en 1973, et la cathédrale ne serait qu’un ≪symbole d’une nation≫. Notre-Dame représente pour elle la France car ≪Paris a été mon premier voyage à l’étranger étant petite≫, un simple point de vue de touriste. La cathédrale serait un symbole de la France au même titre que les petites statuettes de la tour Eiffel et les bateaux-mouches. On a le droit aussi de manquer absolument de sensibilité artistique, de ne pas s’émouvoir devant les plus grands exploits de l’esprit humain.
Toute la question est de savoir comment et pourquoi cette femme fut acclamée par 20 000 spectateurs à Bercy, pourquoi son livre se trouve en tête des ventes d’essais et de documents en France, de ce pays qui pleure pour l’incendie de Notre-Dame. Selon le magazine M, le couple Obama aurait multiplié par 30 ou par 100 la fortune qu’il avait au moment d’accéder à la Maison Blanche. Mais ce n’est sans doute pas de sa ≪faute≫, plutôt celle des gens qui payent des fortunes pour les conférences ou qui achètent les livres de ceux que le hasard a mis au sommet de la politique mondiale pendant quelques années. C’est une drôle de corruption qui consiste à tirer des profits économiques fabuleux d’un poste politique, non pas en volant l’argent du contribuable, mais en incitant ce dernier à le lui donner volontairement. Qui plus est, sous les plus vives acclamations. Mais ne s’agit-il pas au fond d’un détournement, d’une perversion de l’idée démocratique de l’élu comme serviteur du peuple, comme mandataire désintéressé de la volonté de ce dernier ? Est-ce que cela compte vraiment que l’on s’enrichisse pendant ou après la fin de son mandat ? N’est-il toujours pas le fait de devenir milliardaire qui incite les gens à briguer les postes de plus hauts, les plus cruciaux des pays démocratiques ?
Cette chronique est assurée en alternance par Paul B. Preciado et Marcela Iacub.
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フランス語の勉強?
望月衣塑子 @ISOKO_MOCHIZUKI
#菅義偉 官房長官はその答弁能力に自信がないのか。過去に外国人特派員協会の会見で事前質問を要求。「そんなものは受け入れられない」と記者側に言われると、ならば司会者の1問目だけ教えてと要望。会見で1問目の質問が出ると、なんとその回答だけで45分話し続けたという。「呆れた」と外国人特派員。
官房長官の会見では現在、殆どの記者が事前に何を聞くか伝えていると見られ、菅氏が官僚が用意した文書を読み上げる姿が常態化してる。これを当たり前と勘違いしてるのか、国会でも「事前通告もないのだから」と発言した。海外記者から見たら事前通告そのものが「あってはならない」ものなのに
これは #菅義偉 官房長官側だけの問題ではない。事前質問を「きちんと答えるから」と安易に容認してる記者側の問題でもある。台本通りの会見は、安倍政権がどんな問題も的確に処理しているような印象を世論に与え、結果として会見で行うべき、権力の監視やチェックという要素が極めて鈍くなっている。

吉田寮祭 @yoshidaryosai
今回の訴訟は"吉田寮現棟の明け渡し"を大学が要求したものですが、既に吉田寮自治会は一定の条件下で吉田寮現棟の居住取り止めを大学に提案しています。にも関わらず今回の訴訟が起きたということは、京都大学執行部が学生との対話を"積極的に"拒否したということです。
中村U子@when_we_cry
【吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール】京都大学執行部による吉田寮生提訴にかかわる緊急抗議声明(4月27日)
"ただひとつわかることは、大学執行部が「学生を守る」という本来の役割を放棄して、教育機関としての自殺行為をあえておこなったことである" <異議なし★
京都大学執行部による吉田寮生提訴にかかわる緊急抗議声明

Ogawa Kyohei @kyototto
京都新聞朝刊紙面の見出しは普通だった。
しかし、広瀬記者の具体的なことを書かずに「もちろん寮生側にも問題があったろうが、」には同意できない。
京大が裁判までするんだから、寮生にもおかしなところがあるんだろうという雰囲気にのってるだけ。
私は寮生側には何の問題もないと思う。

きっこ@kikko_no_blog
今回の10連休、75%の国民が「お金がないから自宅で過ごす」と言っていて、海外旅行に行くのは2%だけなのに、混雑する国際空港を映して「出国ラッシュ」と報じるマスコミ各社。3%の富裕層のために97%の国民が虐げられている現状を「3%の側から報じる」のって、これも「安倍晋三への忖度」ですか?
天皇代替わりに異議あり!関西集会−私たちは、退位・即位とどう向き合うのか?
第1部:講演 太田昌国さん(現代企画室・編集長)
第2部:現場からの発言
宗教者から/教育現場から/労働組合から 他
(おおたまさくに さんプロフィール。 「民族・植民地問題・南北問題を基軸に据えて、世界・東アジア・日本の歴史過程を批判的に分析する作業を続けている。『反天皇制運動』誌上の連載「夢は夜ひらく」は一〇〇回を超えている。」)
主催:天皇代替わりに異議あり!関西連絡会


わたしは天皇制に反対する立場です.またいろいろなところでの太田昌国さんの発言や文章で考えさせるものを感じており,お昼ご飯を簡単に済ませてから会場に向かいました.FuさんやAnさんと会いましたが,ほかに知っている人は数人くらい.でも会場は満員でした.歴史を1国だけで見てはダメというのはもっともだと感じました.
夕方お初天神で懇親会があるので,少しだけ雑用をしました.ギリギリ間に合いました.お酒をたくさん飲みました.
その後マンガコピーしました.1時間くらい眠ってしまったけれど.

<GW>震災遺構に行こう 「気仙沼・伝承館」「仙台・荒浜小」
◎気仙沼・伝承館 語り部交流コーナー開設
 気仙沼市波路上瀬向の気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館に大型連休中の28日〜5月6日、来館者が常駐する震災の語り部と震災についてじっくりと語り合えるコーナーが設けられる。
 コーナーは伝承館内の体験交流ホールにできる。時間は午後1〜4時。語り部活動をする「けせんぬま震災伝承ネットワーク」のメンバー2、3人が常駐し、旧気仙沼向洋高校舎の震災遺構を回った入場者の疑問に答える。
 期間中は毎日午前11時から40分間、語り部による講演会もある。当時の気仙沼向洋高教諭が生徒の避難状況などを解説(28日、5月3日)。孤立した離島・大島の様子(5月1、6日)や津波の特性(5月5日)の講演もある。1日は気仙沼向洋高の生徒が授業で開発した酒かすミルクジャムやどら焼きなどのスイーツを販売する。
 佐藤克美館長は「来館者から寄せられた『語り部とじっくり話したい』との要望に応えた。防災、減災を考える機会にしてほしい」と呼び掛けている。連絡先は同館0226(28)9671。
◎仙台・荒浜小 開館1時間延長
 仙台市は27日〜5月6日、若林区の震災遺構「荒浜小」の開館時間を1時間延長し、午前10時〜午後5時にする。多くの来館者が見込まれるため、連休中は休まず開館する。
 荒浜小は2017年4月に一般公開が始まり、来館者は今月21日に15万6437人に達した。昨年の大型連休(4月28日〜5月6日)は5244人が訪れた。


矢本海浜緑地が再開 多彩な施設整備、集客期待 宮城・東松島
 東日本大震災で被災し、宮城県が再整備した東松島市の県立都市公園矢本海浜緑地が26日、開園した。園内にある県内最大級のパークゴルフ場は27日にオープン。遊具の広場など集客力のある施設を備え、市は交流人口の拡大に期待する。
 東西の両地区に分かれ、総面積は11.2ヘクタール。災害時、指定避難所の市大曲小への到達時間を短縮するため、震災前の場所から東に約2キロ移した。津波の一時避難場所として東地区に高さ8メートルの築山を造成した。
 東地区の約8ヘクタールには6コース54ホールのパークゴルフ場を整備した。日本パークゴルフ協会公認コースに認定され、国際大会も開催できる。無料の展望デッキからは、近隣の航空自衛隊松島基地を離着陸するブルーインパルスの飛行を間近で見ることができる。
 西地区には7000平方メートルの芝生広場やブランコ、シーソーなどの遊具、バーベキュー施設を設置。家族連れの来場を見込む。駐車場は3カ所で計約700台を収容できる。
 26日に現地で開園式があり、約100人が出席。村井嘉浩知事は「パークゴルフ場を核とする新たな交流拠点として、にぎわいを取り戻す一助となることを期待したい」とあいさつ。渥美巌市長は「沿岸で雪が少なく、年中パークゴルフができる。市の財産として活用したい」と語った。
 矢本海浜緑地は1980年に開園。石巻地方唯一の県立都市公園で、震災前は年約15万人が訪れていた。


<東日本大震災>被災の車2台引き揚げ 気仙沼・三ノ浜地区
 気仙沼署は24日、宮城県気仙沼市三ノ浜にある鶴ケ浦漁港近くの海で見つかり、東日本大震災で被災したとみられる車2台を引き揚げた。
 漁港の復旧工事をしていた作業員が3月、車両を発見。岸壁から約30メートル、水深約10メートルに沈んでいた白いワゴン車と黒い乗用車を、大型クレーンで順に引き揚げた。気仙沼署や気仙沼海上保安署の署員らが泥を取り除き、行方不明者の手掛かりを調べた。
 気仙沼署の菅原和警備課長は「震災から8年が経過したが、市内にはまだ200人以上の不明者がいる。少しでも手掛かりを見つけたい」と話した。


被災神楽面 再び復活 宮城・本吉地方に伝わる27枚 津波で流失、6年かけ制作
 宮城県本吉地方に伝わり、東日本大震災の津波で流失した本吉法印神楽の神楽面全27枚が、約6年の歳月を経て復元された。面は約60年前に火災で焼失しており、復活は2度目。手元に残るわずかな写真と記憶を頼りに制作された奇跡の面は、石巻市北上町の釣石神社で28日にある奉納神楽で披露される。
 東北各地の仏像修復などを手掛ける東北古典彫刻修復研究所(上山市)が、本吉地方で神楽の保存活動をする本吉法印神楽会の依頼を受け、2013年7月から制作に取り組んだ。
 スサノオノミコトや般若などの面はいずれも現存する写真が2枚ほどしかなかった。粘土や石こうで試作を重ね、口の開き方や目の大きさ、頬の肉付き、顎の張り出し具合などを調整。神楽会と意見交換し、憂いや若々しさといった微妙な表情を加味していった。
 同神楽会会長で釣石神社宮司の岸浪均さん(64)は「記憶に頼る部分が大きかった。作業は大変だっただろうが、納得できる形でほぼ修復できた」と語る。
 本吉法印神楽は江戸時代後半ごろに「古事記」を題材に形づくられ、現在に伝わったとされる。面は宮城県内の本吉、歌津、志津川、津山、北上の旧5町の各神社で神楽が奉納される際、代々使われてきた。
 震災当時、同県南三陸町にある戸倉神社の宮司斎藤直人さん(58)方で保管していたが津波で被災。刀や扇などの道具や装束とともに流失した。
 震災後は別の団体から面を借りて神楽を奉納したものの、伝統ある本吉神楽独自の面への思いは消えず、復元を決意。面にかかる約2000万円の費用は日本財団の地域伝統芸能復興基金の支援を受けた。
 被災した面は約60年前、火災で焼失した。1964年、仙台市の著名彫刻家翁朝盛(1906〜68年)が全27枚を制作し、復活した経緯がある。
 今回復元された面は3月17日に神楽会に届けられた。今月28日は新調した装束とともに「磐戸開(いわとびらき)」など7演目が披露される。
 面の復活を歓迎する一方、神楽は担い手不足が続き、存続の危機にある。岸浪さんは「お面の復元をきっかけに地域の伝統芸能を次の世代に引き継ぎたい」と期待する。


<私の平成 聞き語り>(3)震災経た交流が財産に/県漁協女性部連絡協議会会長 江刺みゆきさん(77)=石巻市荻浜
 宮城県漁協女性部の会長職を石巻地区、中部地区、県と順番にやってきた。石巻地区の女性部長になったのは平成に入ってすぐだった。
<救命衣着用訴え>
 一番印象に残っているのは、漁業者の救命胴衣の着用を呼び掛けたこと。漁船事故がきっかけ。雄勝町東部支所の活動が発祥だった。女性部員が各浜で一軒一軒歩いて回り、着用の必要性を訴えた。
 当初は「着ると邪魔だ」「仕事できねえ」と言われたこともあったけれど、石巻海上保安署の協力もあって今の着用率はほぼ100%になった。石巻発の活動が全国に広がった。本当に素晴らしいこと。漁船事故が起こってからでは遅い。
 荻浜集落はカキ養殖一本だ。私も元々カキをやっていた。若い頃は夫と船にも乗ったが、今は息子と孫がやっている。昭和の人はとにかく毎日、海に出て働いていた。平成に入り、今の人はある程度働いたら休んだり、遊びに行ったり。余裕がある。その割に収入もよくなってきているから、やり方が上手なんだろう。設備の進歩というよりは意識の変化だと感じている。
 昔の漁業者は飲んべえが多く、お酒を飲み始めれば何日もという感じだった。平成の人は時間を決めて飲んでいる印象だ。
<浜の風景が一変>
 東日本大震災の時は脳ドックで仙台市の病院に行っていた。他の家族5人は学校にいた孫2人以外、駄目かもしれないと覚悟した。発生から4日目に連絡が取れて安心した。集落では男性2人が亡くなった。
 震災で浜は大きく変わった。漁業をしていない人はほとんど出て行った。女性部の人数も震災前は県内で2500人ほどいたが、今は1100人ぐらいに減った。漁業をやめた人もいる。
 震災は大変だったけれど、震災をきっかけに全国の人と出会え、今でも交流を続けられたことはとても良かったと思う。
 仮設住宅暮らしだったとき、食事を提供してくれた愛知県の学生ボランティアが今も荻浜に来てくれる。秋の祭りに合わせて来て、神社の草取りをしてくれる。ボランティアで来てくれ、仲良くなった人とは親戚や友達のような付き合いをしている。
 元々、人との交流が好き。昭和も平成も自宅に来るお客さんは絶えなかった。それでも、震災前までは地元だけの暮らしだった。今は外部との交流が生まれ、世の中が広くなったような気がする。(聞き手は石巻総局・氏家清志)


デスク日誌 拍手
 よく晴れた空に映える真っ白な気仙沼大島大橋を通り、大島に行く機会が増えた。ちょっとドライブがてら出掛けてみようか。そんな感じだ。
 356メートルの大島大橋は、歩いてゆっくり往復しても15分程度。風が心地よく、眼下の海は緑に透き通る。大島に渡れば亀山(235メートル)や龍舞崎(たつまいざき)からの眺め麗しく、波穏やかな小田の浜海水浴場には癒やされる。
 見どころは他にも。いったいどこから話せば、大島という素敵(すてき)な空間の素敵さが全て伝わるだろう。
 だが、観光客向けの施設は何もない。宮城県や気仙沼市の事業の遅れが原因だ。なんてもったいない、と歯がゆく思っていた。
 ある民宿のおかみの言葉を聞いて考えが変わった。「大島は大島。急には変われないし、変わらない良さもある」。20日に島であった記念の祭りでは、実行委員長が「大島はあえて田舎を守っています」と堂々と宣言した。
 拍手。これぞ大島のオールドファッション(時代遅れだけど大切な伝統)だ。
 皆さん、今年は島の景色とゆったりした時間を楽しんで。来年、施設が完成したら、また来てください。 (気仙沼総局長 村上朋弘)


<吉川晃司さん>車内放送に登場 仙台市地下鉄・バス 仙台弁を交え乗車マナー呼び掛け
 「ご利用の皆さん、吉川晃司です」。仙台市地下鉄南北線、東西線と市バスの車内で26日、歌手・俳優の吉川晃司さんが、乗車マナーを呼び掛ける放送が始まった。6月30日まで。
 市地下鉄では混雑時の注意として「リュックを背負ったままだと周りの方がいずいので、前に抱えたり手に持つようにしましょう」と仙台弁を交えてアナウンス。市バスでは「走行中の車内移動は大変危険ですので、扉が開いてから移動しましょう」と啓発する。
 吉川さんが3月、若林区の東西線荒井車両基地であったラジオ番組の公開録音に臨んだ際、車内放送も録音してもらったという。


気分は伊達政宗公 400年前の仙台城へVRでタイムスリップ 青葉城資料展示館きょうツアー開始
 仙台藩祖伊達政宗が築いた400年前の仙台城を仮想現実(VR)で体感できるミニツアー「仙台城VRゴー」が27日、仙台市青葉区の仙台城本丸跡で始まる。豪華絢爛(ごうかけんらん)を誇った本丸御殿の大広間跡では、上段の間の壁面に描かれた勇壮な鳳凰をリアルに再現する。
 青葉城資料展示館が学芸員のガイド付きで実施する。解説を聞きながら本丸跡を歩き、大広間跡など所定の9カ所で専用スコープをのぞくと、VRで再現した仙台城や城下町の様子が見える。所要時間は約20分。
 VRは仙台城の上空、詰の門、御成門、大広間の外観、本丸東側の懸造(かけつくり)、大広間北側の能舞台、大広間の上段の間、上々段の間などが楽しめる。1回先着10人。4〜11月は1日11回、12〜3月は10回を予定する。
 VRに使用した映像は、故・佐藤巧東北大名誉教授や八戸工業高専の中村泰朗助教が監修した。上々段の間には、梅にウグイスが止まるふすま絵、ぼたんの彫刻が施された天井など、最新の研究成果を反映した。
 25日は報道機関向けに完成お披露目会があった。VRの懸造は、切り立った崖をのぞき込めるようになっており、参加者からは「怖い」と悲鳴が上がった。
 仙台城は明治維新に伴い取り壊された。展示館は、本丸跡を訪れた誰もが抱く「ここに何があったのか」という疑問に答えるべくVR映像を製作したという。
 田中於菟彦(おとひこ)館長は「市民や観光客に仙台城の在りし日の姿を見てほしい。起伏に富んだ地形をうまく生かしていることも知ってもらいたい」と話している。
 体験料は大人500円、中・高校生400円、小学生300円。申し込みは不要。連絡先は展示館022(227)7077。


<汚染廃棄物>大崎市の試験焼却中止申し立て却下 仙台地裁「理由がない」
 東京電力福島第1原発事故の放射能で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の汚染廃棄物を大崎市岩出山のごみ焼却施設で試験焼却する事業を巡り、周辺住民が大崎地域広域行政事務組合と大崎市に中止を求めた仮処分申請に対し、仙台地裁(関根規夫裁判長)は26日、申し立てを却下する決定をした。住民側は即時抗告する方針。(20面に関連記事)
 争点の一つで、旧岩出山町時代の1989年に住民組織が環境保全を目的として組合と交わした事前申し合わせの規定について関根裁判長は「機能や設備の変更や住民の範囲について具体的に特定しておらず、差し止め請求の申し立ては理由がない」とした。
 試験焼却が放射性セシウムの外部放出につながり、住民の人格権を侵害するという主張には「受忍限度を超える違法な侵害があるとはいえない」と判断した。
 決定通知書を受け取った住民側は仙台市内で記者会見し、住民組織「上宮協栄会」の阿部忠悦会長(79)は「極めて怒りを感じる。我々の訴えを全く聞いてくれなかった」と述べた。組合管理者の伊藤康志大崎市長は「司法の判断を踏まえ、なお一層の安全性に配慮し、試験焼却を進めてまいります」とコメントした。
 阿部会長らは組合の試験焼却予算の差し止めを求める住民訴訟を起こしており、仙台地裁で係争中。


<地上イージス>配備計画「反対を」 自由法曹団が秋田県知事、秋田市長に要請書提出
 秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を候補地とする地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」について、全国の弁護士有志でつくる自由法曹団は26日、秋田県庁と秋田市役所を訪れ、配備に反対し政府へ計画断念を申し入れるよう求める要請書を、佐竹敬久知事と穂積志市長宛てに提出した。
 新屋演習場は人口約1万3000の新屋勝平地区に隣接し、3キロ圏内には県庁や市役所、病院などの都市インフラが集中する。要請書は有事の際にイージス・アショアが標的となり住民を危険にさらすことを懸念し、配備の狙いは米国の弾道ミサイル防衛体制の強化だと指摘している。
 県庁で記者会見した自由法曹団の船尾徹団長は「配備すれば軍事的緊張をもたらすだけでなく、米国と中国との軍拡競争の一翼を担いかねない」と訴えた。
 泉沢章幹事長は、イージスに「盾」の意味があることに触れて「盾が強固になれば(相手側の攻撃手段の)やりも強固になる。住民の命を守ることと逆行する」と述べた。
 一行は新屋演習場周辺を視察し、新屋勝平地区の住民団体と意見交換した。


天皇と憲法(1) 未知の象徴をめざして
 今月末の天皇陛下の退位は近代天皇制では初となる。新天皇が即位し、「令和」が幕を開ける。憲法の観点から、日本の天皇制を考えてみたい。
 象徴たる天皇というイメージは、日本国憲法の制定当時は誰もがつかみにくかった。明治憲法下ではむろん、万世一系の皇統を継ぐ天皇が現人神として君臨する−という根本の建前があった。
 実は象徴の意味である「シンボル」の用語はまず、今では公になっている米国の機密電報に出てくる。一九四六年一月。連合国軍最高司令官マッカーサーから、ワシントンのアイゼンハワー参謀総長宛ての電文である。
◆「あこがれの中心」と
 <天皇はすべての日本人を統合するシンボルである。彼を滅ぼすことは、国を崩壊させることになる。日本人は、連合国の天皇裁判を自国の歴史に対する背信とみなし、憎悪と怒りを予見しうる限り長期にわたって永続させるであろう(以下略)>
 その翌月には連合国軍総司令部(GHQ)側から示された新憲法案の中に天皇を「シンボル(象徴)」と記してあった。英国のウェストミンスター法などにも、王位を「象徴」と記していた。
 しかし、新憲法制定の議会では、象徴とは何かが問われた。例えば四六年六月の帝国議会で憲法担当大臣の金森徳次郎は「あこがれの中心として、天皇を基本としつつ国民が統合している」と説明している。それにしても「あこがれの中心」とは、いかにも抽象的である。
 象徴とは何か−。この漠たる表現に最も悩まれたのは天皇陛下ご自身だったかもしれない。陛下がこのテーマについて考えを巡らしていたのは明らかで、退位の意思を事実上、示された二〇一六年八月八日のビデオメッセージに、それが色濃くにじんでいる。
◆国民の視界に入るよう
 「日本国憲法下で象徴と位置付けられた天皇の望ましい在り方を日々模索しつつ過ごしてきました」「国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます」。そんなお言葉である。
 憲法には国事行為のみが書かれていて、「象徴としての行為」に関する定めがない。国事行為とは首相や最高裁長官の任命などだ。法律や条約などの公布も、国会召集も、大臣らの任免も…。
 憲法は「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」とも定めている。
 そして、国事行為とは別に、天皇の私的な領域があることは自明の理である。私事である。しかし、天皇にいわゆる信教の自由などはあるのだろうか。もし、ないのなら、私人として全く自由な存在でもありえない。
 だから、天皇にはまず象徴という地位があると考えるしかない。「象徴としての行為」とは、それを具現化するためのいとなみである。だから憲法に規定はないが、国事行為とも私事とも異なる重要な公的行為が「象徴としての行為」となる。具体的には国民に寄り添い、苦楽をともにする−。例えば各地の被災地を見舞い、アジアの各国を慰霊のために旅をする−。そのような行為の姿である。
 ある喩(たと)えを用いよう。国内のどこにも天皇の姿が現れなくなったら…。国民の視界から天皇は消えてしまい、国民は象徴として考えにくくなる。だから、「象徴としての行為」こそ重要なのである。陛下が実践された旅する天皇像こそ象徴性を支えていると考えるのが自然ではないか。
 在位中に起こった阪神大震災や東日本大震災などの災害をお見舞いし、被災者を励ます。膝を折り、被災者に寄り添う姿は、陛下の時代から生まれた新しい象徴天皇の姿だったといえる。
 ただし、旅する天皇像は、国民に象徴としての姿を現す一方、憲法にその定めがない故に、政治利用の余地もある点は、留意が必要である。天皇が「動く」ことだけで政治的な意味を持つからだ。沖縄やアジア諸国などへ「動く」ことにも当然、意味が発生する。政権が意図しての旅ならば、まぎれもなく政治的利用にあたろう。
 五月一日に即位する新天皇は、グローバル時代にふさわしい旅をするかもしれない。新皇后は元外交官でもあったから…。
◆民主主義にふさわしく
 皇室外交の花を開くかもしれない。だが、当然ではあるが、外交は政治なのであり、あくまで儀礼の枠を出ない国際的な社交にとどまらねばならない。
 憲法が天皇に政治的行為を禁止した理由は、戦前の歴史を蘇(よみがえ)らせないためである。陛下は憲法に忠実に民主主義にふさわしい天皇像を実践されたと考える。国民の共感が生まれるゆえんである。


天皇はなぜ続いてきたか
 天皇はなぜ存在し続けてきたのか。源頼朝や織田信長ら権力者はなぜ自ら天皇にならなかったのか。日本史上重大な問題だ▼平清盛が後白河法皇を幽閉し院政を停止したり、承久の乱で鎌倉幕府が後鳥羽上皇を流罪に処すなど武力対決はあった。だが武家政権は表向き天皇の守護者であり続け、断絶させることはなかった▼簒奪(さんだつ)した権力は簒奪されるのが世の習い。「逆賊」とされれば権力維持は難しい。天皇は世俗的な権力こそ奪われたが、武家の行為を正当化したり調停する権威者として必要とされた▼「即位大礼の御儀(おんぎ)無益なり」。1502年、室町幕府の実力者細川政元は言い放った。中世末期の天皇は即位儀礼も満足に行えないほど困窮していた。その後豊臣秀吉や江戸幕府が資金を出し、京都御所の整備や儀式の復興が進む。天皇と武家は持ちつ持たれつだったとも言えよう▼天皇は長い歴史の中で姿を変えてきた。民主主義の今、政権の正統性を天皇が保証する必要はない。天皇陛下が震災の被災者たちに直接語りかけたのも、皇室が国民と向き合っていくことが大切と考えたからだろう▼多くの国で君主制が続いている。母国の歴史への思いは理屈だけでは説明できない。私たちにとって天皇とはどういう存在か、代替わりを機に改めて考えたい。

投球数制限/選手本位の議論が不可欠
 スポーツ障害の中で、しばしば問題になるのが投手の肩や肘の故障だ。日本高野連は元プロ野球選手や整形外科医、弁護士ら13人からなる「投手の障害予防に関する有識者会議」を発足させ、投球数制限の検討を始めた。11月中に答申を受ける。
 特に注目度の高い高校野球では、投げすぎによる故障予防の必要性は早くから指摘されてきた。野球人口が減る中、球児たちの健康を守り、長い目で才能を育もうとする取り組みは球界の将来にもつながる。選手本位の視点で議論を尽くし、あらゆる可能性を探るべきだ。
 事態を動かしたのは、新潟県高野連が今春の県大会で、投手は100球を超えたイニングで降板するルールを全国に先駆けて導入する、と表明したことだった。日本高野連の再考要請を受けて見送りはしたが、現役プロ野球選手や鈴木大地スポーツ庁長官らが新潟の試みを評価し議論を促した。一石を投じた意義は大きい。
 ただ、結論を導くのは簡単ではない。投球数制限を巡っては、部員が少なく複数の投手をそろえられないチームに不利との懸念が根強い。半ば強制的に交代させるのは選手の思いに反する場面もあるだろう。
 新潟県では早くから競技団体が小中学生も含めた故障予防に取り組んできた。県内校の約3分の2が導入に肯定的という調査結果も踏まえての挑戦だった点を考慮する必要がある。
 日本高野連は、1県だけに特例を認めるのは好ましくないとして待ったをかけた。だが、全国大会につながらない春季大会ならば各県の判断で試行を認めてもいいのではないか。その成果と課題を検証し、議論に生かすことも考えられる。
 日本高野連は、選手の健康管理を目的に昨春の選抜大会からタイブレーク制を導入した。昨年の加盟校調査で他に必要な対策を聞いたところ、「投手の負担軽減策」は12・1%にとどまった。最多は「大会日程の緩和」の54・5%、次いで「選手枠の増加」の23・3%だった。
 球数制限にとどまらず、指導や大会運営のあり方を含めた改革が求められている。ファンが多い高校野球だけに、オープンで多角的な議論に期待したい。


「不適合」原発 規制委の停止判断は当然
 原子力発電所の新規制基準は東京電力福島第1原発事故のような過酷事故を二度と繰り返さないために設けられた。その原点に立ち返れば、原子力規制委員会が下した判断は当然だ。
 規制委は、原発への設置が遅れているテロ対策施設「特定重大事故等対処施設(特重施設)」について、事業者側が求めた経過措置期間の延長を認めず、5年の設置期限内に完成しなければ「基準不適合」として運転を停止させることを決めた。
 新規制基準下で最も早く再稼働した九州電力の川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)は来年3月に、2号機は来年5月に設置期限を迎えるが、特重施設の完成は1年程度遅れる見込みという。期限後は完成検査が終わるまで運転できない。運転中の関西電力と四国電力の3原発5基も期限内に工事が終わらず順次、運転停止となる。玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)も同様に期限に間に合わず運転を停止させられる見通しだ。
 特重施設は大型航空機を衝突させるようなテロ攻撃に備える拠点だ。その性格上、詳細は公表されてないが、中央制御室に代わる第2制御室のほか、炉心損傷など重大事故が起きた際に放射性物質の外部放出を抑制するためのフィルター付きベント設備などが含まれる。「世界一厳しい」と政府が強調する新規制基準で義務付けられた。
 特重施設がないまま再稼働が認められたのは、規制の適用を猶予されたためだ。当初の期限は「新規制基準施行から5年」の2018年7月だったが、審査の長期化を受け、各原発での再稼働の主要審査終了を起点とする「本体の工事計画認可から5年」に延長された経緯がある。
 事業者にとっては、想定外の急展開だったかもしれない。
 九電の原子力発電本部長など電力5社の原子力部門の責任者が顔をそろえ、施設の完成が「遅れる」と規制委に伝えたのは17日の意見交換会の場だ。特重施設の審査に時間がかかり、工事も大規模になったと訴え、期限延長などの対応を検討してもらう腹づもりだったようだ。
 確かに期限が来たからといって、直ちに原発の安全性が損なわれるわけではない。しかし、期限が迫ってから突然、「実は間に合いません」と言って、何とかしてもらえると思っていたのなら論外だ。更田豊志委員長が「工事の見通しが甘かっただけでなく、規制当局の出方に対しても甘かった」と苦言を呈したのはもっともだ。
 新規制基準を守らず、原発の安全性向上にきちんと向き合わない事業者に、原発を運転する資格はない。このことを肝に銘じるべきだ。


原発のテロ対策施設 安全の要 拙速では済まぬ
 原子力規制委員会が原発のテロ対策施設の完成期限延長を認めず、施設が未完成なら原発は停止するとの判断を示した。関西、四国、九州3電力は、再稼働済みを含め5原発10基で完成期限が約1〜2年半遅れるとの見通しで、その間の停止は必至の状況だ。
 県内では関西電力の原発での完成期限は高浜3、4号機が2020年8月と10月、大飯3、4号機は22年8月で、いずれも期限を約1年超過する見通し。さらに、40年超運転を目指す美浜3号機は21年10月が約1年半、高浜1、2号機は21年6月が約2年半遅れる見込みとしている。
 大型航空機の衝突などのテロ攻撃に遭っても、原発の安全を確保するバックアップ施設で「特定重大事故等対処施設」(特重施設)と呼ばれる。原子炉建屋との同時被災を防ぐため、100メートル以上離れて設置。原子炉を冷却する注水設備や電源、緊急時制御室などを備え、遠隔操作で原子炉への注水などを行う。
 特重施設は、東京電力福島第1原発事故を教訓とした13年の新規制基準で義務付けられた。当初は施行から5年以内だったが、再稼働に向けた安全審査が長引いたため、各原発の工事計画審査終了から5年以内に改められた経緯がある。
 規制委の更田豊志委員長は「設置に手間取っているから、もう少しと繰り返していると、安全向上は望めない」と、期限延長を求める電力側を一蹴した格好だ。安全の要ともいえる施設であり「新規制不適合」状態である以上、稼働停止はやむを得ない。
 ただ、電力側にとっては「先例がない施設」だけに遅れを余儀なくされている面もあるようだ。関電によると、山を切り開いたり、工事用道路やトンネルなど大規模な工事を、24時間態勢で進めているという。
 難工事であることは、先月の高浜原発視察で、特重施設の現場を見た更田氏も確認したはずだ。「できるだけ強く、しっかりした施設を造ろうとしていると感じた」などと感想を述べている。各原発で地形などが異なり、工事は一様ではない。期限をひとくくりに切る前に、状況を丁寧に確認していく方が安全性の向上に資するのではないか。
 関電の岩根茂樹社長は25日の会見で「期限に間に合わせるために最大限の努力をする」と述べたが、工事の短縮で事故の頻発も懸念される。代替措置などを含め規制委に説明する考えを示したが、更田氏は「代替する手段があるとは極めて考えにくい」としている。
 原発を止めても、建屋内には多くの使用済み燃料があり、リスクは残ったままとの指摘もある。規制委はそうした疑問にも答える必要があるだろう。


【原発のテロ対策】規制委の存在も問われる
 原発が大型航空機の衝突などのテロ攻撃を受けた場合にも、原子炉を冷却し続ける「特定重大事故等対処施設」の設置について、原子力規制委員会は完成期限の延長を認めない方針を決めた。
 四国、関西、九州3電力が期限内の完成は難しいとして延長を求めていたが、拒否した格好だ。
 設置は、東京電力福島第1原発事故後の新規制基準で義務付けられており、期限内に完成しなければ、稼働中の原発も停止になる。四国で唯一稼働中の伊方原発3号機も2021年3月の期限に対し、完成が1年ほど遅れる可能性がある。
 原発の安全対策の約束が守れない電力会社に、原発を動かす資格はあるまい。規制委方針は当然であり、規制委は今後も厳格な姿勢を貫く必要がある。
 特重施設は、注水設備や電源、緊急時制御室などからなる原子炉冷却のバックアップ施設だ。テロで原子炉建屋と同時に被災することを防ぐため、建屋から100メートル以上離して設置する。冷却機能を失った福島第1原発事故を教訓にしている。
 敷地が狭い原発は山を切り崩すなどして建設する必要がある。確かに時間も経費もかかるだろうが、再稼働させた以上、電力会社は期限内に完成させるのが筋だ。
 しかも、完成期限は再稼働までに必要な手続きのうち「原発本体の工事計画の認可」から5年と定められている。どの原発も一定の工事期間が確保されている。
 ところが、再稼働原発を持つ3電力はそろって延長を求め、期限内に完成しそうな原発は1基もない状況だ。見通しの甘さというより、「甘え」と指摘されても仕方がない。
 関西電力はそれでもなお、規制委に代替の保安措置を示して、方針の適用除外を働き掛ける構えだ。
 規制委の更田豊志委員長は記者会見で「差し迫ってきて訴えれば何とかなると思われたのだとしたら、それは大間違いだ」と電力会社を厳しく批判した。各社は重く受け止める必要がある。
 原発は国策であり、電力会社はいわば護送船団方式で守られてきた。だが、原発事故を経験し、その甘えは捨てなければならない。
 規制委も原発事故後に発足した機関だ。前身の旧原子力安全・保安院は「電力会社のとりこ」「独立性、透明性、専門性の不備が安全対策徹底の遅れを招いた」と批判され、解体された。
 新たな組織となってからも、独立性や電力会社との関係は国民から常に監視されている。特重施設を巡って例外を認めるようなことになれば規制委の方が信頼を失うだろう。規制委の存在も問われているといってよい。
 原発を停止したとしても、原子炉建屋内の使用済み燃料プールには核燃料があり、テロ攻撃を受けた場合のリスクは残る。原発の安全確保には課題が多い。電力会社も規制委も一層の緊張感が求められる。


[新時代へ・原発] 後世に責任ある議論を
 2011(平成23)年3月の東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故は、世界的に原子力政策を見直すきっかけとなった。ドイツがいち早く脱原発にかじを切り、原発大国の米国やフランスも縮小傾向にある。
 世界の潮流が再生可能エネルギーの拡大に移る中、日本では一時期の原発停止を経て安倍晋三政権の下、原発の再稼働が進められてきた。
 福島原発事故の後始末はいまだに見通しが立たない。数万年もかかるとされる核のごみの処分法も定まらないままの「原発回帰」は許されまい。後世に重荷を負わすことのないよう、責任ある議論が求められる。
 東日本大震災の発生4カ月前の10年11月、当時の伊藤祐一郎鹿児島県知事が九州電力川内原発の3号機増設に同意する意見書を国に送付した。
 当時、国のエネルギー基本計画は原子力を「経済性に優れた準国産エネルギー」とし、原発14基以上の増設を明記していた。全国で原発54基が運用され、発電量の3分の1を占めていた。原発推進はまさに国策だった。知事の同意も国策に沿った判断と言える。
 福島の原発事故で状況は一変する。川内原発増設に向けた手続きが凍結されたほか、全国で運転停止が相次ぎ、原発ゼロの期間も2年近くあった。
 代替した火力発電の燃料輸入の費用がかさみ貿易赤字が問題になったが、家庭や企業を巻き込んだ節電の効果もあり、電力不足を乗り切った。
 12年に民主党政権下で行われた国民の意見聴取会では、意見表明を希望した人の7割が30年の原発依存度0%を支持した。事故を機に、国民に脱原発の意識が高まったのは確かだろう。
 だが、安倍政権は、原発を「ベースロード電源」と位置付け再稼働を進めた。再稼働した原発は現在、川内1、2号機など5原発9基。ほかに原子力規制委員会の審査に合格したものの未稼働の原発が6基あり、うち4基は例外としてきた原則40年の運転期間延長も認められている。
 なし崩し的な原発回帰の動きに危うさを感じずにはいられない。
 問題なのは、原発から出る高レベル放射性廃棄物の処分にめどが立たないまま稼働を進めていることだ。
 国は2000年に地中深くに埋める「地層処分」の方針を決め、候補地を公募したが進まなかった。鹿児島県内でも旧笠沙町や宇検村、南大隅町で首長が手を挙げる動きを見せても住民の反対で撤回に追い込まれた。
 住民が反対するのは、原発の負の遺産と言うべき核のごみを押しつけられることへの不安と不満が大きい。
 エネルギー政策は国民生活に直結し、影響は将来世代にも及ぶ。選択を誤らないよう、さまざまな観点から国民的議論を尽くすことが重要である。


コンビニの改革  経営モデルの再考必要
 「いつでも開いている」コンビニのあり方が問われている。
 セブン−イレブン・ジャパンなどコンビニ大手3社が、24時間営業の見直しに向けた実証実験や店舗へのセルフレジ導入などを盛り込んだ行動計画を発表した。
 深刻な人手不足に対応するためだ。アルバイトが不足した時に人材派遣会社からスタッフを送り込む制度を拡充させる社もある。
 コンビニを巡っては、フランチャイズ加盟店のオーナーが人手不足から独自判断で営業時間短縮を始め、24時間営業の是非について社会的議論が起きている。
 ただ、今回の行動計画がオーナーの負担軽減にどの程度つながるかは不透明だ。
 営業時間の短縮は売り上げの減少に直結する。時短を決めた店舗から、他の店舗に客が流れることも想定される。24時間営業に伴う本部からの資金援助が受けられなくなる懸念もある。
 人件費を抑制できても、こうした損得を考えれば、簡単に営業時間見直しには踏み切れまい。
 セルフレジ導入も即効性があるとはいえない。操作には慣れが必要で、高齢者は敬遠しがちだという。店舗でスタッフの補助が必要になれば、省人化に逆行する。
 コンビニは弁当などの配送・陳列といった商品供給体制が24時間営業を前提につくられている。時短営業の店舗が広がれば、3社は供給のあり方などに従来とは異なる対応を迫られる。
 ファミリーマートは加盟店支援の原資に充てるとして、来年度の定期採用を大幅に減らすという。
 ただ、オーナーからは「24時間営業を基本とする姿勢に変化はない」と行動計画に批判も出ている。特定地域に集中的に出店して商圏を押さえるコンビニ業界の戦略についても、競合にさらされるオーナーには不満がくすぶる。
 行動計画をたたき台に、さらに踏み込んだ具体策に知恵をしぼる必要がありそうだ。3社にとっては営業の根幹に関わる問題だが、従来のビジネスモデルの再考が求められているのではないか。
 3社が行動計画をまとめた背景には、加盟店の窮状を心配する経済産業省から強い働きかけがあった。公正取引委員会も24時間営業の強要が独占禁止法に抵触する可能性を示唆している。
 全国に普及しているコンビニの営業形態見直しは、「働き方」改革のモデルになりうる。スタッフにもお客にもプラスになる改革案を、3社は模索してほしい。


[嘉手納周辺高濃度汚染] 基地調査権が不可欠だ
 県民の飲料水となる嘉手納町の比謝川取水ポンプ場周辺の湧き水など6カ所から高濃度の有害物質が検出され、住民の不安が広がっている。
 体内蓄積による発がん性のリスクが指摘されている有機フッ素化合物のPFOS(ピーホス)やPFOA(ピーホア)である。
 県企業局は2016年、嘉手納基地周辺の水源や北谷浄水場の飲料水が汚染されていることを公表し、その後も調査を継続している。比謝川取水ポンプ場北西の長田川取水ポンプ場で昨年4月からPFOS濃度が上昇したため、比謝川周辺の調査を始めた。
 昨年5月から7月にかけて9エリア17地点で水質調査を実施。11地点で米環境保護庁の生涯健康勧告値(1リットル当たり70ナノグラム)を超え、屋良の住宅街にあるシリーガーなど6地点で千ナノグラムを超える高濃度を検出した。
 県企業局の調査で嘉手納周辺の汚染が湧き水まで及んでいることがわかるのは初めてである。県から連絡を受けた嘉手納町は子どもたちの遊び場になっている所もあることから、シリーガーなど3カ所に湧き水を飲まないよう呼び掛ける看板を設置した。
 勧告値は70年間摂取しても健康に影響がない値とされているが、日本には同様の基準はない。県企業局は北谷浄水場で活性炭フィルターを使ってPFOSやPFOAを取り除き、勧告値を下回る飲料水を供給しているという。
 米国では勧告値に対する疑義が出ており、もっと厳しい値を課している州もある。
 県民の健康被害に関わる重大な問題である。不安を取り除くには汚染源を絶たなければならない。
    ■    ■
 PFOSやPFOAは国内では製造・使用が禁止されており、汚染源が嘉手納由来であることはほぼ間違いない。
 本紙が米情報公開法で入手した米軍内部文書でも、嘉手納基地内で14〜17年にかけて調査した13カ所で勧告値をはるかに超える汚染があったことがわかっている。
 町役場から約200メートル離れた池などから検出された。PFOSを含む泡消火剤がスプリンクラーから噴出する事故も起きている。
 米軍普天間飛行場でもPFOSなど高濃度の汚染が米情報公開法で入手した米海兵隊の内部資料から読み取れる。普天間周辺の湧き水などからもやはり汚染水が確認されているのである。
 PFOSやPFOAが土壌に染みこみ、湧き水に混ざっているとみられる。
    ■    ■
 環境調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト」(IPP)の河村雅美代表が県企業局へ情報公開請求して明らかになった。
 自ら県民に説明する義務があることを県企業局には改めて認識してもらいたい。
 県企業局は汚染水を公表した16年6月に立ち入り調査を申請したが、嘉手納基地は理由を示すことなく拒否した。政府が自画自賛して締結した「環境補足協定」は結局、米軍の裁量次第であることを示している。県が要望すればすぐに立ち入り調査ができる仕組みに改めるべきである。


ジャパンライフ 実態解明し被害救済を
 磁気ネックレスなどの預託商法を展開し、多額の負債を抱えて経営破綻したジャパンライフ(東京)に強制捜査が入った。約7千人から約1800億円を集めたとみられる。実態の解明を急ぐとともに、被害者救済につながることを期待したい。
 警視庁や秋田県警など6都県警の合同捜査本部は、特定商取引違反の疑いで山口隆祥元会長の自宅や本県を含む12都県の代理店など33カ所を家宅捜索。詐欺容疑も視野に資金の流れを調べるとしている。
 ジャパンライフは2003年11月ごろから、契約者に数百万円する磁石入りのネックレスやベストを購入させた上で、同社が預かって第三者に貸し出し、レンタル料として年約6%の収入を得られるとうたって勧誘していた。しかし新規契約者が払った代金を、従来の契約者に対する配当に振り向ける自転車操業を続けていた可能性がある。
 購入したネックレスなどは契約者の手元に届かないまま、配当が渡されるだけのため、定期預金のような感覚を持っていた契約者もいたという。高配当を保証するためには、それ相応以上の利益を確保する必要がある。しかし自転車操業をしていたとみられることから、いずれ破綻は免れなかったと言わざるを得ない。
 国民生活センターには09年から今年4月中旬までに3千件超の相談が寄せられ、うち約7割が70歳以上の高齢者だった。秋田弁護士会の有志でつくる被害対策弁護団によると、本県の契約者は300人ほどいるとみられ、これまで約140人から相談が寄せられた。被害額は約20億円に達する見込みである。
 弁護団は同社の元役員らに対する損害賠償請求訴訟を秋田地裁に起こす方針を固めている。被害金の回収が急務である。
 預託商法の被害としては、11年に破綻した安愚楽牧場の約4300億円に次ぎ、1980年代の豊田商事事件の約2千億円に匹敵する規模とみられる。
 低金利時代にあって貯蓄はなかなか殖えない。1人暮らしで寂しさを抱えている高齢者も多い。こうした中で高配当をうたって、高齢者の心に巧妙につけ込み、老後のための蓄えをつぎ込むように仕向けたとしたら許されない。「お金を失ったショックで体調を崩した」「少しでもお金が戻ってほしい」と契約者から切実な声が漏れる。
 消費者庁は16年以降、ジャパンライフに年4回もの一部業務停止命令を出す異例の対応で警告を発してきた。しかし同社は次々と新手の商法を展開して営業を継続してきたという。
 預託商法を含む悪徳商法の根絶を図るためにも法規制を強化すべきである。ぬれ手で粟(あわ)をつかむように、簡単に高配当を得られる方法はない。行政には、高齢者を含む消費者が悪徳商法に引っかかることがないように啓発活動を一層充実させることが求められる。


<平成考>雇用劣化 安心して働ける社会を
 「店舗の閉鎖で解雇されることになった。突然言われた。手当はもらえるか」「仕事に落ち度があったとして、幹部から『懲戒解雇か、自主退職か選べ』と言われた。どうすればよいか」
 連合岩手の労働相談電話にはさまざまな相談が寄せられている。労働者の苦難は絶えない。そして、その内容は時代を映して変遷している。
 バブル崩壊後は雇用が悪化する中で解雇事件が多かったという。裁判で企業側が負けると、今度は嫌がらせによる自主退職に追い込む動きが目立っていった。その後はセクハラやパワハラ。
 昭和の経済成長を経て、バブル絶頂期に迎えた平成だったが、バブル崩壊で失速し、国際経済の荒波にもまれ、働く人がほんろうされた。弱い立場の人が厳しい仕打ちに遭った。
 立場を弱くした要因の一つは労働規制緩和だ。この影響もあって非正規雇用が増え、今や働く人の約4割を占める。不景気になると大量の派遣切り、雇い止めも。不安定雇用は「ワーキングプア」を数多く生み出し、格差の拡大が深刻化した。
 雇用劣化は非正規にとどまらない。正社員の負担は重くなり、厳しいノルマや過酷な労働が課されても、地位を守るために耐える。過労死が続出した。
 よく耳にした言葉に「閉塞(へいそく)感」がある。格差拡大が未来への希望を奪う。
 賃金はどうか。本県の場合を賃金構造基本統計調査の岩手労働局データで見る。10人以上の企業規模の男子の所定内給与平均は、平成に入って伸び続けたが、半ばごろから停滞・下落の傾向となる。
 2017年の26万200円は1995年の26万300円と同水準。平成の30年間では1・28倍になったが、上昇率はそれほど大きいとは言い難いだろう。女子は1・52倍に増えたが、男子との差は6万円以上ある。
 国内は平成の半ば以降、企業の利益が増えても賃金は増えなくなり、さらに賃金を削って利益を確保する構図に移行しているという分析がある。また、取引先の中小企業に対する大手の利益還元が乏しい構図も見られる。果実は広く分配してほしい。
 人手不足が深刻化する中、企業は生産性を上げていく必要がある。そのためには人材の確保と育成が欠かせない。働く人を大切にする企業に未来は開けていくはずだ。
 格差は個人の暮らしだけでなく社会全体を不安にする。教訓を踏まえ、安心して働ける社会の構築を目指したい。
 平成の終わりに働き方改革関連法の施行が始まった。令和はその成果が問われる時代になる。(菅原和彦)


平成回顧・ネット社会◆規制と自由を巡り議論続く◆
 1995年に「ウィンドウズ95」の発売が始まり、インターネットのブームに火が付いた。ただ、当時のサービスはホームページや掲示板くらいで、97年のネット利用者は1155万人。それがブログや会員制交流サイト(SNS)の登場、さらにスマートフォンの普及に後押しされ、2013年には1億人を突破した。
 11年の東日本大震災で、フェイスブック(FB)やツイッターが安否確認と情報発信に活用されたのはよく知られている。その半面、個人情報や利用履歴の漏えい、広告を無差別に送りつける迷惑メール、児童ポルノなどが社会問題化。その都度、法改正などで規制強化が進められた。
拡散する有害な情報
 平成の時代にすさまじい勢いで膨張したネットワークには国内外から絶えず膨大な有害情報や違法コンテンツが流れ込んでくる。
 だが、無理やり取り除こうとすれば、憲法が保障する「表現の自由」や「通信の秘密」との間に緊張関係が生まれる。規制を巡っては丁寧に議論と説明を重ね、幅広い理解を得る努力が求められる。
 今年、衝撃的な画像が世界を駆け巡った。ニュージーランドで3月に起きた銃乱射事件で、50人殺害の罪に問われたオーストラリア人の男は頭部に装着したカメラで乱射の模様を撮影し、SNSのFBを通じて生中継。動画はさらにユーチューブなどで拡散した。
 6月に大阪市で開催される20カ国・地域(G20)首脳会合で議長国を務める日本に、オーストラリアはSNSの規制強化を議題にするよう求める一方、4月初め連邦議会がテロなどの犯罪動画を迅速に削除しないソーシャルメディア企業の幹部に最長3年の禁錮刑を科す法案を可決した。年間売上高の10%という罰金刑も規定されている。
「緊急避難」に批判も
 国内では、かつて児童ポルノの氾濫が深刻だった。政府は10年に「児童ポルノ排除総合対策」を決定。11年4月から、ネット上にある問題の画像やサイトへのアクセスを通信事業者が強制的に遮断する「ブロッキング」が始まった。
 事業者側は利用者の通信をチェックし、特定のアクセスを遮る。通信の秘密を侵害する恐れがあると懸念されたが、政府は画像がネットで拡散すると重大な人格権侵害が生じると説明。ほかに被害回避の手段がない場合に、例外的に違法性が否定される刑法の「緊急避難」に当たるとした。
 同じ論法で政府は昨年、海賊版の規制に乗り出した。ネット上で漫画などを無料で読ませる海賊版による著作権侵害の被害が拡大しており4月、悪質なサイトについて事業者に自主的な接続遮断を促す緊急避難措置を決定。しかし「通信の秘密を侵す」など猛烈な批判にさらされ、予定していた法制化も含め断念に追い込まれた。規制は必要だが、ネットの自由とのバランスを忘れてはならない。


コンビニ行動計画 経営の刷新自らの手で
 加盟店主が置かれた苦しい状況を改善できるだろうか。
 人手不足を背景に24時間営業の見直しを迫られているコンビニ大手3社が、是正に向けた行動計画を公表した。
 営業時間見直し実験の実施や拡大、店員の負担軽減のためのセルフレジ導入、派遣会社の活用などを列挙している。本部に有利な取り決めとなっている契約内容の変更には触れず、従来の経営路線に沿った対策が目立つ。
 計画は、世耕弘成経済産業相の要請に応じて策定した。政府の介入は望ましくない。各社は加盟店の声を聴き、問題解消に本腰を入れて取り組むべきだ。
 コンビニ1号店の開業は1974年。40年余りの間に、店舗数は郵便局の倍以上の5万8千に増えた。現金自動預払機(ATM)を備え、公共料金の収納代行、通販の商品受託サービスも手掛ける。災害時には避難物資を提供する生活拠点に成長した。
 昨今は人手不足でアルバイトの確保が難しくなっている。サービスが増えて業務が複雑になり、学生に敬遠されがちともいう。
 加盟店が本部に支払う「ロイヤルティー」は、売上高から商品原価を除いた粗利益に基づいて計算する。店舗が増えて各店の売上高が伸び悩む中、深夜の人件費の負担が重くのしかかる。結局は店主や家族が店頭に立ち、長時間労働を強いられている。
 大阪府のセブン―イレブン店主が深夜営業を短縮し、本部から多額の違約金を請求されたことで、加盟店の苦境が表面化した。
 経産相自らの「行政指導」に対し、コンビニ業界からは、参院選を見据えた「選挙対策だろう」との不満がもれる。だとしても、各社の対応の遅れがこの事態を招いた事実は重い。
 公正取引委員会も先日、本部による24時間営業の強要が独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」に当たる可能性があるとの見解を示している。
 セブンは、店舗ごとの営業時間の選択を認める方向にかじを切った。ただ、店主でつくる「コンビニ加盟店ユニオン」が求めた団体交渉を拒否している。行動計画に「対話強化」を盛ったものの、本部が用意した土俵でのみ話し合うのでは意味がない。
 各社が本部の利益だけを重視したのでは、人手不足、過重労働、経営難の課題は克服できない。加盟店との対等な関係のもと、時代の変化に応じた事業モデルを自らの手で築いてほしい。


地下街の噴水、49年の歴史に幕 大阪・梅田「泉の広場」改装で
 大阪・梅田の地下街で待ち合わせ場所として親しまれてきた「泉の広場」の噴水が、リニューアル工事に伴い5月に撤去されることになった。現在の噴水は3代目で、49年にわたり行き交う人々の思い出を彩ってきた。工事が目前に迫り、別れを惜しむ人が相次いで訪れている。
 泉の広場は地下街「ホワイティうめだ」の一角にある。「地下街は味気ない」という市民の声に応え、1970年に初代の噴水が誕生。81年、白を基調にした2代目に交代した。
 大理石製の3代目はイタリア・ミラノの彫刻家がデザインし、2002年に登場したが、広場を多くの人が集まるイベントに使うため、撤去が決まった。


初のインド系区議よぎ氏はなぜTOKYOで政治家を志したのか
 インバウンド(訪日外国人)ビジネスが急成長しているなか、日本政府は人手不足に対応するために4月から外国人労働者の受け入れも始めた。定住外国人が増加する実質的な移民政策だが、政府や地方自治体は外国人との共生社会づくりに及び腰である。
 そのような中、全国地方統一選挙(東京都江戸川区議会議員選挙)で初当選した「よぎ」さん(41)は、外国人と日本人の架け橋を目指すとして日本初のインド系政治家となった。得票数は区議会議員定員44議席のなかで5番目の6477票と、立憲民主党の公認候補ではトップの得票だった。当選直後のよぎさんに話を聞いた。
■海外のリトル・インディア
 ――よぎさんが政治家を志した理由は何でしょうか。
「4年前に江戸川区のある政策に私は不満があって、区長のところまで行って反対したんです。紙にも書いてもっていって、あなたたちがやろうとしていることはやめてくださいと言ったんです。それは西葛西をリトル・インディア化しようという政策だったのです」
 ネットをみれば葛西周辺をすでに「リトル・インディア」と名指す記事が見つかるが、リトル・インディアとはインド国外におけるインド系住民の居住地域のことだ。江戸川区は在日インド人が日本一多い地域ともいわれ、県境の江戸川河川敷ではクリケットを楽しむインド人の姿も日常的に見かけるようになっている。江戸川区役所によると江戸川区全人口69万5699人のうち、外国人は3万5660人、そのうちインド人は4346人(いずれも2019年4月1日現在)。区南部の葛西周辺に定住インド人が多いといわれており、インド人学校もある。
「その政策で成功するということを私一人に説明してくださいと言ってもまったく説明できなかったんです。インド人コミュニティに説明してくださいというのにそのまま進めようとしました。そして推進する法人をつくっていた区議会議員からは脅されもしました。私は日本で脅していいのかどうか考えてください、あなたがやっていることは間違っている、私も区議になると言いました。
 これまでニューヨークや英国やシンガポールのリトル・インディアを見てきましたが、どれも隔離されていて失敗しています。自分たちのアイデンティティができた一方で、周りから嫌われてしまっているんです。海外では普通の会社員はリトル・インディアに行かないと言っています。
 彼らは世界のリトル・インディアがどうなっているのか知らないのでしょう。事例を真似すること以外考えていなかった。飲食店や雑貨屋をたくさん集める。そこにインドの大きな寺院やインド人向けの病院をつくるという。しかしインド人向けの病院ってなんなの。英語話せる医者がいれば足りるんです。財源だってどこから持ってくるかわからなかった。
 日本人は中華街で食べて帰るだけですが、私の別れた妻は中国人だったので横浜の中華街には花婿さんみたいに家に上げてもらえるんです。みなさん生活が大変です。子どもたちもいじめられていたりしています。中国のラーメンは日本食になりましたが、インド料理は日本食じゃないです。レトルトのカレーやりんごの入っているカレーは日本食でしょうけど、インド人が食べるカレーは月1回食べる程度でしょう。いま西葛西にはカレー屋さんが10件ありますが、毎年1件倒産しています。今年は3件倒産します。すでに売りが出ています。そのような実態を知らないんです。すでにホームページも閉じられていますが、あの政策は完全に失敗策でした」
■インドから日本へ
 ――国会議員、地方議員含めてインド系の政治家は日本では初めてではないでしょうか。
「そうみたいです。今日、インド大使館からおめでとうございますと電話がありました。インドの新聞では私のことで炎上していますね。ここ10年の大使はだめで、一般のインド人は大使館から離れていたのですが、運がいいことに今年1月から来た大使は具体的に働く大使なんです」
 ――そもそも日本に住むことに決めた理由は。
「はじめての外国が日本でした。私はインドでの大学時代は3つの大学や短大に通って午前中は物理を学び、午後はIT、夜は語学学校で日本語を学びました。日本の外務省がいくつかの国で1人づつを選び、日本で学ばせて帰国させるプロジェクトをやっていて、私はインドで選ばれました。私は牛と寝起きするような家で育ち、父親は工場で働いていました。4畳と6畳とキッチンだけの家でした。飛行機の窓から初めて見た日本の光景はビルがあって、海の中に飛行機が降り立っていた。留学期間はJICA(国際交流機構)が面倒を見てくれたのですが、夢のような1カ月でした。
 大学卒業後はニューヨークにあるIT企業からもオファーが来ましたが、2001年から日本のIBMの関連会社で働き始めました。その後、みずほ銀行の常務から日本語とITが得意だということで声をかけられ、銀行系ITの分野でコンサルティングをしています。2011年6月に帰化しようと思って法務省に行き、1年かけて帰化しました」
 ――いまのご家族は。
「息子がいてロンドンに留学しています。妻は私と同じように外務省のプログラムで選ばれた中国人でしたが、教員になりたい夢があり離婚して帰国しました」
■外国人の何を知っているのか
 ――現在のロンドン市長はパキスタン移民二世だ。英国ではインド系やパキスタン系の政治家が躍進している。今後、区議会議員として何をやりますか。
「区議会議員は区民みんなの代表なので、待機児童問題、学費の控除、高齢者のサービスの充実をやりたいです。私には年配の方の友人がたくさんいます。彼らは寂しいし、私が話やすいからなのでしょう。複合的なインフラビルや企業誘致もしていきたい」
 ――外国人との架け橋になりたいとおっしゃっていますが、具体的にはどのようなことでしょうか。
「江戸川区は実質的に区として外国人に何もしていません。江戸川区役所も私を呼ばないので、私は隣の江東区やほかの市役所まで行って研修をしていました。私はインド人に限らずすべての外国人の架け橋になりたいと思っています。そのための政策は大きく3つあります。
 1つは外国人に対する日本語のサポート。働くつもりで日本にやってきた外国人はインド人に限らず、言葉の勉強をしていますが、被扶養者の妻や子どもはしていません。それでは正直生活は楽しめませんよ。区が責任をもってサポートすべきです。
 2つ目は新しく入ってくる人に日本のマナーやルールや区についての研修をすることです。たとえばインドではゴミは分別しないし、ゴミ箱にも捨てません。それで近所トラブルなどが起きてしまいます。外国人もそういうことを知らないと仲良くなれないんですよ。
 3つ目は外国人と日本人が集う場所をつくっていきたい。具体的な交流の機会をつくっていきたい。日本人も外国人もそれぞれの国の人だけでお祭りもやっていますよね。日本人はインド人の何を知っているか聞くと、ボリウッド、バターチキン、ナンくらいでしょう。そういうレベルのお付き合いはもういいです。次にいきましょう。それに日本の公立学校もインターナショナルスクールやインド人学校などともうちょっと交流していきたいです。私はそういう本当の意味の架け橋になっていきたいんです」(取材・文=平井康嗣/日刊ゲンダイ)
▽よぎ(Yogendra Puranik/プラニク・ヨゲンドラ) インド生まれ。日本の外務省の国費留学生として1990年代に2度来日。2001年に日本に移住後、国内外のIT企業に勤務、みずほ銀行や楽天銀行などでコンサルタントとして勤務。葛西でインド・アジアン料理店を2店舗経営。2012年に日本国籍取得。2017年に東葛西に江戸川印度文化センターを設立。全日本インド人協会初代会長。2019年の江戸川区議会選挙で初当選。「よぎ」は生まれてからの通称。


石野卓球が業界の掟に風穴か ピエール瀧被告は活動再開も
 NHK紅白歌合戦に7年連続出場したグループ・AAAのリーダー、浦田直也(36)が、女性への暴行容疑で逮捕され翌日に釈放、その数時間後に謝罪会見をして活動を自粛するとした。AAAの写真展示会は即刻中止、空手の応援ソングも担当していたが、「薬物や暴行などがあれば契約解除」という付帯条項により、契約打ち切りになった。6月から予定されているグループのコンサートツアーが開催されるかどうかは、検討中だという。明け方にコンビニにいた女性に声をかけ、自分のことを知らないと言われて暴力を振るうなど言語道断、無期限謹慎も当然と思える。
 だが、他のメンバーにも影響が出るのはどうか。仕方ない部分もあるだろうが、「連帯責任だから」で済ませるのはどうかと思う。浦田を除いたメンバーで成立するならコンサートを開いていいし、世論もその流れになっていきそうだ。
 この個人の犯罪とグループの活動を分ける方向性は、ピエール瀧被告の検挙で電気グルーヴの楽曲の出荷・配信が停止された際、「楽曲に罪はない」という声が大きくなっていったことと関連しているのではないか。
 その昔、有名シンガー・ソングライターが覚醒剤事案で執行猶予判決を受け、その猶予中にアルバムを発売しても何も批判されなかった。僕はせめて記者会見ぐらいして“みそぎ”をすればいいのに……と思ったものだ。
 そして、この10年くらいは「執行猶予が明けるまで活動をしてはならない」という論調が主流を占め、活動自粛が当然とされてきたように思う。
 しかし例えば、会社員が犯罪を起こして解雇になったとしても、会社は連帯責任で営業を停止するだろうか。クビになった人間も執行猶予中だって働かなければならない。だから僕は、「楽曲に罪なし」論にうなずくのだ。テレビ、ラジオで何を流してもいいとは言わないが、納得して金を出して買う人がいれば、その商売は成立するとしていい。
 そこでもうひとつ思うのがピエール瀧の相方、石野卓球だ。彼は瀧被告について「えー、死刑じゃないの?」とツイートしたり、マスコミに瀧との会話を聞かれ、「エロい話」と言い、カメラマンに向かって「許してニャン」のポーズを取るなど、騒動をちゃかす言動を繰り返している。
 これは卓球の“演出”だ。執行猶予が予想される瀧被告が出てきた時、早期に電気グルーヴとしてのライブを行う流れをつくっているのではないだろうか。その根拠に、卓球は瀧被告が所属事務所から契約解除された後、「(私も)もう事務所は辞める。瀧もいないし」とツイートしていた。所属事務所の手かせ足かせに不満なのだろう。
 石野卓球は執行猶予中の活動再開という風穴をあけるかもしれない。


悠仁親王の“机に刃物”でもやまない秋篠宮バッシング! 事件まで“秋篠宮のせい”にする攻撃
 秋篠宮家の長男・悠仁親王が通う、お茶の水女子大学附属中学校の悠仁親王の机に刃物が置かれていたことがわかった。
 報道によれば、26日午後、悠仁親王の机の上に包丁のような刃物が2本置かれているのを学校関係者が発見し、通報したのだという。犯人や犯行の動機などはまだわかっていないが、悠仁親王を狙った嫌がらせ、脅しの意味があると考えて間違いないだろう。
 しかし、だとすると、考えなければいけないのは、このところ過熱していた秋篠宮バッシングとの関係だ。
 秋篠宮家の長女・眞子内親王と小室圭氏の結婚問題に端を発し、秋篠宮家に対して、ネットや週刊誌が猛烈なバッシングを展開してきた。
 眞子内親王が今も小室氏と結婚したいという意思を示していると報じられたこと、妹の佳子内親王が眞子内親王の結婚について「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と、個人の意思を応援するメッセージを発したことなどを、“ワガママ”のようにあげつらい、自主性を尊重する秋篠宮家のリベラルな教育方針を徹底批判。
 また秋篠宮が、大嘗祭について「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」として、天皇家の私的活動費である「内廷会計での実施」を提案したこと、あるいは、生前退位の特例法成立時に「兄が80歳のとき、私は70代半ば。それからはできないです」と即位辞退を示唆する発言をしていたことが最近になって報じられると、さらにバッシングは過熱。「単なるワガママ」「出すぎた発言」などと、総攻撃を受けた。
 こうした批判は、まだ12歳の悠仁親王に対しても向けられた。それまで慣例だった学習院ではなく、幼稚園からお茶の水女子大学附属に通い、この4月もお茶の水の中学に進学した悠仁親王の教育を問題視するとともに、その適性にダメ出しする報道まであった。
 そして、そのさなかに、悠仁親王の机の上に刃物が置かれるという事件が起きたのだ。政治家への実弾送りつけなど、同種の事件のパターンを考えると、今回も秋篠宮家バッシング報道が後押しした可能性は十分にあるだろう。
 しかも、こんな事件が起きたにもかかわらず、バッシングは全く止む気配がない。たとえば、きょうYahoo!トピックスにアップされた事件を伝える「週刊朝日」記事のコメント欄には、あたかも事件を引き起こしたのが秋篠宮の教育方針のせいだとでもいうような批判があふれている。
〈好き勝手やってる秋篠宮御夫妻と姉妹への反感かな。怖いですね〉
〈この事件は過激ですが、秋篠宮家に不満を持つ民意の表れではないかと思います〉
〈秋篠宮様は皇位や皇室を軽く考えすぎているのでは? 好きな学校に行けばいいとか、好きな人と結婚すればいいとか、結婚後は年収300万円で慎ましやかに暮らせばいいだけとか〉
〈秋篠宮家も皇位継承者が2名もいる家なのにお茶の水だICUだと、考え浅すぎ〉
〈皇室の安全の為には、学習院の方が警護慣れてると思うのに、敢えてお茶の水に行かせた結果、悠仁様だけでなく、お茶の水に通う子供やその親御さんも不安にさせる事になってしまったね。(中略)公より個人を優先し、皇族の自覚が足りないような〉
 それにしても、本来、批判がタブーだったはずの皇族に対して、なぜこんな前代未聞の激烈なバッシングが繰り広げられているのか。
 本サイトでは、つい先週、一連の秋篠宮バッシング報道のおかしさと、その背景に踏み込む記事を配信した。今回、記事を再編集してお届けするので、ご一読いただきたい。

眞子内親王結婚問題を機に「秋篠宮家の教育が悪い」バッシング
 眞子内親王の婚約相手・小室圭氏の金銭問題から始まったトラブルが、あらぬ方向へと広がりを見せている。
 眞子内親王がそれでも結婚したいという意思を示したと伝えられたこと、そして妹の佳子内親王がその眞子内親王の結婚について「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と、個人の意思を応援するメッセージを発したことから、ネットのみならず、週刊誌が姉妹と秋篠宮家に猛烈なバッシングを展開しているのだ。
 たとえば「週刊文春」は、「奔放プリンセス佳子さまの乱 全内幕」(4月4日号)、「佳子さま紀子さま ダンスで「母娘」断絶」(4月11日号)と、連続して佳子内親王批判。たかだかフィギュアスケートやダンスに熱中していたことや口げんかに強いなどというエピソードだけで「奔放」などと決めつけた。
 また、眞子内親王の結婚問題から秋篠宮家の問題にも話を広げ、小室氏との結婚問題が起きたことについても、学習院でなくICU(国際基督教大学)に進学したせいだと、その教育方針まで批判している。
〈悠仁さまに「帝王教育」施さない秋篠宮家の教育方針を、不安視する声もある〉〈秋篠宮家は「自主性を重んじる」教育方針です。そのため、過去に宮内庁参与が『(悠仁さまに)教育係を付けては』と進言した際に、秋篠宮さまは表情を曇らせていたそうです〉などと付け加えるのだ。
 さらに、今週発売の4月25日号では、「皇太子が漏らされた秋篠宮さまへの憂慮「抗不安薬」「千鳥足」」という特集を組み、皇太子が秋篠宮の「奔放な発言」について不満を漏らしていることを報じた上で、秋篠宮が抗不安薬を服用しているという記事まで掲載した。
「週刊新潮」も同様だ。4月4日号に「「佳子さま」炎上で問われる「秋篠宮家」の家庭教育」なるタイトルの記事を掲載し、佳子内親王「結婚は個人のもの」発言について「(女性皇族の結婚は)当人のお気持ちだけで成り立つものではありません」「誰でも好きになった人と交際し、そのまま結婚、とはいかないのです」「そもそも佳子さまは皇室という存在をどのようにご理解なさっているのか、訝ってしまいたくなるようなお答えでした」と全否定。眞子内親王の結婚問題や佳子内親王発言にかこつけて、秋篠宮家のリベラルな教育方針を徹底批判した。
 続いて、4月18日号でも、「「秋篠宮家」が「私」を優先して「愛子天皇」待望論」というタイトルで、秋篠宮家が“「公」より「私」を優先させている”と攻撃。 佳子内親王発言や秋篠宮家の教育に、美智子皇后も厳しい目線を送っていると指摘したうえで、“「公」より「私」を優先させる”秋篠宮家で育った悠仁親王より、愛子内親王が天皇にしたほうがいいと、女性天皇待望論まで持ち出す始末だった。
 しかし、これらの批判はほとんど言いがかりとしか思えないものばかりだ。たとえば、「結婚は個人のもの」とする佳子内親王の発言は本サイトが先日配信した記事で指摘したとおり、民主主義社会では当たり前の主張。眞子内親王の結婚問題も、小室氏や眞子内親王個人、あるいは秋篠宮家の教育方針に原因があるのではない。
 事実、結婚をめぐるトラブルは他の皇族や宮家でも起きている。個人の結婚や恋愛の自由が保障された民主主義社会と、血統を重視する差別的な天皇制・皇室制度は本来、相いれないものであり、その矛盾が皇族の結婚を複雑で困難にしているのだ。それを、秋篠宮家の問題だけに矮小化するというのは、どう考えてもおかしい。
秋篠宮バッシングは問題のすり替え、でっちあげと女性差別
 もっと不可解なのは、“美智子皇后が秋篠宮家の教育に眉をひそめている”などという記述だ。美智子皇后のこの問題に対するスタンスは昨年5月の宮内庁ホームページに掲載された「眞子内親王殿下に関する最近の週刊誌報道について」という声明ではっきりしている。
〈(眞子内親王の結婚問題について)両陛下は当初より一貫して変わらぬ対応をしてこられました。
 両陛下が第一に考えられたことは、これは眞子さまの内心に触れる事柄であり,何人といえども、恐らくはご両親殿下でさえ眞子さまのお考えを待つ以外おありでないということでした。そうした中、ご自分方として出来ることは,極力周囲の雑音から眞子さまを守り、静かな状況を保つ中で、眞子さまがご自分の考えを深められるよう助力なさるということでした。〉
 眞子内親王の結婚について、天皇・皇后は「内心」の問題であり、強引に立ち入るつもりはないし他の誰も立ち入るべきではないという姿勢を鮮明にしている。それが、佳子内親王の発言に、眉をひそめるというのはどう考えてもおかしいだろう。
 さらに、眞子内親王の結婚トラブルの原因を、自主性尊重やICUへの進学のせいにするにいたっては、ただの女性差別でしかない。週刊誌は秋篠宮や姉妹を叩くために、女性が自主性をもつことや本人が希望するレベルの高い大学に進学することが結婚トラブルにつながるかのような、男尊女卑丸出しの論理を口にしているのだ。
 週刊誌は秋篠宮を「『公』より『私』」を優先などと批判しているが、これもおかしい。秋篠宮は大嘗祭の費用問題などでもわかるように、公と私をきちんとわけるように主張するなど、現天皇皇后と同様、日本国憲法下の象徴天皇制について、高い意識をもっていることがうかがわれる。むしろ、「『公』より『私』を優先」というのは、雅子妃や愛子内親王との家庭生活に関心が集中している皇太子のほうではないか。
 それにしても、眞子内親王の結婚問題や佳子内親王の発言が、いったいなぜこうした過剰ともいえる秋篠宮バッシングに発展してしまったのか。いや、秋篠宮への批判は今週先週に限ったことではない。週刊誌では数カ月前から、批判記事や内部情報が散発的に掲載されてきた。それも、皇室タブーに強い「新潮」や「文春」だけでなく、ふだん、皇室のヨイショ記事しか掲載しない女性週刊誌までが秋篠宮を批判しているのだ。
官邸が流す秋篠宮批判情報、文春は安倍首相の秋篠宮批判を紹介
 これはもちろん、ネットが“秋篠宮家叩き”に盛り上がっているという状況が後押ししている部分もあるだろう。だが、もうひとつ、週刊誌の新たな情報源の影響も見え隠れする。それはズバリ官邸だ。週刊誌の皇室担当記者が証言する。
「これまでの秋篠宮バッシングは、保守的な他の宮家や宮内庁関係者、東宮周辺から出ていることが多かったが、ここ数ヶ月の秋篠宮家の記事は、それだけじゃない。皇室担当じゃなく、政治担当の記者が情報を入れてくるケースが増えてるんだ。官邸で皇室を担当している杉田和博官房副長官の周辺、それから内閣情報調査室あたりが、情報の出どころなんじゃないか、といわれている」
 また、全国紙の官邸担当記者に確認すると、官邸幹部や、安倍首相に近い自民党中堅幹部などが、秋篠宮への批判をオフレコでしゃべるようになっているという。
「皇太子殿下の秋篠宮批判や、抗不安薬の使用なども、宮内庁や皇室周辺ではこれまで聞いたことがなかった。もしかしたら、官邸や内調から出てきた情報なんじゃないでしょうか」(前出・週刊誌皇室担当記者)
 実際、一連のバッシング記事の中にも、安倍首相周辺や官邸が秋篠宮バッシングの情報源になっていることを物語る記述が出てくる。その典型が、「週刊文春」4月11日号に掲載されたこんな一文だ。
〈現天皇との“溝”を埋められない安倍首相。秋篠宮さまについても、昨年十一月の誕生日会見で「大嘗祭は内廷費で賄うべき」と発言されたことに対し、「反乱だね」などと言い放っていた。麻生氏も「内廷費も税金だし、なんで税金に介入してくるんだ」と不快感を見せていたという。〉
 さらに、同記事には、安倍首相に近い関係者のこんなコメントも掲載されていた。
「首相は眞子さまと小室圭さんの問題に関して『早いうちから色んな恋愛を経験していた方がいい。(眞子さまが)可哀想だ』と言っていた。悠仁さまの将来についても『多くの女性と接してもらった方がいいのかも』と。内定費問題をはじめ、首相には秋篠宮家への不信感が根底にあるようです」(前出・首相周辺)
「(前略、生前退位の意向報道について)首相はむしろNHKの情報源を気にしており『秋篠宮さまがリークしたようだ』と見ていました」(官邸関係者)
 どうも安倍首相自身が秋篠宮批判を口にし、それが側近を通じて外に漏れているようなのだ。そして、こうした安倍首相のスタンスを忖度した官邸スタッフや内閣情報調査室が、秋篠宮バッシング情報を週刊誌に流しているということらしい。
最後まで明仁天皇と敵対し続けた安倍首相は即位に乗じて新天皇取り込み
 もちろん、こうした官邸の動きの背景にあるのは、秋篠宮が現天皇・皇后のリベラルな考えを受け継ぐ姿勢を見せていることだろう。
 今さら説明するまでもないが、第二次安倍政権以降、明仁天皇と安倍首相は“対立”といっていい関係が続いてきた。護憲と戦争への反省、沖縄への思いを隠そうとしない明仁天皇と美智子皇后に対し、安倍政権は改憲と歴史修正主義を推し進めるために天皇夫妻の口をふさごうと、陰に陽にプレッシャーをかけ続けてきた。
 しかし、そんな安倍首相にとって、目の上のたんこぶになっているのが、明仁天皇のリベラルな姿勢を引き継ぎ、その意向を代弁し続けている秋篠宮の存在だ。とくに、昨年の誕生日会見で、大嘗祭について「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」として、天皇家の私的活動費である「内廷会計での実施」を提案したことは、国家神道復活を目指す右派勢力をバックにした保守派の安倍首相と相いれないものであり、相当な不快感を募らせたと言われている。
「秋篠宮殿下の発言は、明らかに天皇陛下の意向をくんだものでしたが、安倍首相は相当、危機感を持ったようです。その頃から、やたらと秋篠宮を批判するような情報が安倍首相の周辺から出てくるようになった。さらに今回、眞子さまの結婚問題がきっかけになって世論が秋篠宮家に批判的になったことに乗じ、殿下の影響力を封じ込めようと、官邸が一気にバッシング情報を流し始めたということじゃないでしょうか」(全国紙官邸担当記者)
 安倍官邸が、野党政治家や政権批判するジャーナリストや学者など敵対勢力のネガティブ情報を出し謀略攻撃を仕掛けてきたことは有名だが、まさか宮家まで標的にするとは……。とても「保守」のやることとは思えないが、しかし、この官邸の姿勢が、本来、タブーである秋篠宮報道の姿勢に影響を与えた部分はあるだろう。
 “官邸が発信しているくらいだから、われわれが秋篠宮を叩いたって大丈夫だろう”。そんな空気がいま、メディアに漂っている。
 いまや、皇室タブーよりも安倍政権の力がはるかに強大になった今、秋篠宮はこれからもどんどん追いつめられていくということかもしれない。


慰安婦問題検証映画『主戦場』で極右論客たちが衝撃のトンデモ発言! 櫻井よしこ、杉田水脈、テキサス親父、加瀬英明…
 戦中の日本軍による慰安婦問題を題材にした映画『主戦場』が、反響を呼んでいる。
 出演者には杉田水脈衆院議員やケント・ギルバート氏、藤岡信勝氏、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏、櫻井よしこ氏などといった従軍慰安婦を否定・矮小化する極右ネトウヨ論客が勢揃い。「慰安婦はフェイク」と喧伝する歴史修正主義者たちと、慰安婦問題に取り組むリベラル派の学者や運動家らがスクリーンのなかで“激突”するドキュメンタリー作品だ。
 同作の見所は何と言っても、慰安婦問題をめぐる国内外の“論客”を中心とする30名余りへのインタビューだろう。
 櫻井よしこ氏ら“極右オールスターズ”の面々は「慰安婦は売春婦だった」「合法であり犯罪ではない」「慰安婦像設置の背景には中国の思惑がある」などの主張を展開。これに対して、吉見義明・中央大学名誉教授や「女たちの戦争と平和資料館」の渡辺美奈事務局長、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の尹美香常任代表らが反論を展開する。
 出演者らは顔を付き合わせて討論するわけではないが、論点を明確にして構成されていることで主張の対立点や強度を意識しやすく、ハイテンポなカット割りも相まって飽きさせない。映画は双方の主張を取材や資料を用いて細かく比較・検証し、その矛盾や恣意性を明らかにしていく。
 とくに、本サイトがオススメする同作の鑑賞法は、歴史修正主義者の口から発せられる主張のトンデモさをじっくりと吟味することだ。
 たとえば保守派の重鎮で、慰安婦否定論者の加瀬英明氏(日本会議代表委員)の場合、「慰安婦問題に関して正しい歴史認識をしている歴史家は?」と聞かれて「私がそのひとり」と自認する。しかし驚くことに、加瀬は慰安婦問題研究の第一人者のひとりである吉見名誉教授のことは「知りません」と嘯く。それどころか、保守派の歴史家である秦郁彦・千葉大学名誉教授の著書すら「読んだことない」「人の書いたものあまり読まないんです。怠け者なもんで」などと宣うのだ。
 ちなみに、加瀬氏は「『慰安婦の真実』国民運動」という団体の代表も務めている。この極右団体は昨年、監事(当時)の藤井実彦氏が台湾で慰安婦像を蹴り、大きな国際問題になったことも記憶に新しい。他にも、同会は加瀬氏自身の名義で地方地自体が慰安婦問題を扱う映画を後援することにクレームをつけている。そんな人物が、基本的な慰安婦研究すら「知らない」「読んだことない」などと恥ずかしげもなく開陳するのだから、呆れてものも言えない。
 もちろん、右派のトンデモはこれだけではない。右派陣営のインタビューからは明確な人種差別・性差別の意識が浮かび上がる。
 たとえば杉田水脈は“米国での慰安婦像設置のバックにいるのは中国”などと言い出し、「どんなに頑張っても中国や韓国は日本より優れた技術が持てないからプロパガンダで日本を貶めている」と陰謀論を全開。さらには「日本が特殊なんだと思います。日本人は子どものころから嘘をついちゃいけませんよと(教えられてきた)」「嘘は当たり前っていう社会と、嘘はダメなのでほとんど嘘がない社会とのギャップだというふうに私は思っています」とヘイトスピーチを連発する。
 また、テキサス親父は「慰安婦像を見に言ったとき、私は(像の顔にかぶせるための)紙袋を持って行った。それがふさわしいと思ってね。ブサイクのガラクタには紙袋がお似合いだ」などと笑いながら語り、テキサス親父のマネージャーである藤木俊一氏は、「フェニミズムを始めたのはブサイクな人たちなんですよ。ようするに誰にも相手されないような女性。心も汚い、見た目も汚い。こういう人たちなんですよ」と言い放つ。
 映画のなかでもナレーションで「差別意識が元慰安婦は偽証しているとの考えに繋がっているようだ」とはっきり指摘されていたが、まさにその通りとしか言いようがないだろう。
暴かれるIWG報告書の虚構と櫻井よしこの調査費支払いの事実
 慰安婦問題をめぐる右派の性差別的・人種差別的な態度については、映画の後半でも「元修正主義者」と紹介される女性が証言する。保守界隈に身を置いた立場から否定主義者たちの振る舞いについて語るのだが、実はこの女性は、数年前まで「ネクスト櫻井よしこ」として保守論壇で注目を浴び、実際、右派の月刊誌にも何度か寄稿したことのある人物。だが、あるときから「ナショナリスト」たちの主張を疑うようになり、今は距離を置いているという。
 さらに、この女性が“否定主義者の嘘”を告白する場面は、映画『主戦場』のハイライトのひとつとなっている。詳しくは劇場で直接見ていただきたいのだが、ここでは予備知識として、あるいは鑑賞後のための補足情報として記しておこう。
 はじまりは、産経新聞が2014年11月1日の紙面で〈著名な米国のジャーナリストが日本の慰安婦問題の調査に本格的に取り組み始めた〉として、マイケル・ヨン氏というフリージャーナリストを紹介したことだった。これに続けて産経は、同月27日付で「慰安婦『奴隷化』文書なし 米政府2007年報告に明記」と題した記事を掲載。ともに古森義久・ワシントン駐在客員特派員による署名記事である。書き出しはこうだ。
〈米政府がクリントン、ブッシュ両政権下で8年かけて実施したドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査で、日本の慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織的な奴隷化」の主張を裏づける米側の政府・軍の文書は一点も発見されなかったことが明らかとなった。〉
 記事の言う「大規模な再調査」というのは、2007年に米政府がまとめた「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班米国議会あて最終報告」(通称・IWG報告書)のことを指している。産経は、〈慰安婦問題の分析を進める米国人ジャーナリスト、マイケル・ヨン氏とその調査班と産経新聞の取材により、慰安婦問題に関する調査結果部分の全容が確認された〉として、IWG報告書のなかに「慰安婦関連は皆無」だったことを根拠に〈日本側の慰安婦問題での主張の強力な補強になることも期待される〉と書いた。
 マイケル・ヨン氏は「IWG報告書をスクープ」ともてはやされ、「正論」(産経新聞社)や「週刊文春」(文藝春秋)でも「報告書は『二十万人の女性を強制連行して性奴隷にした』という事実が一切ないことを証明している」などと触れ回った。これ以降、保守界隈では「結果的にIWGは『慰安婦を軍が強制連行などして性奴隷とした証拠はなかった』とするもの」(ケント・ギルバート)などとして広く流通。ようするに、IWG報告書は右派陣営から“慰安婦問題の犯罪性を否定する切り札”として扱われてきた。
 ところが、である。映画『主戦場』では、このIWG報告書をめぐる右派の言説が見事にひっくり返される。実は、前述の「元修正主義者」の女性こそ、ヨン氏とは別の米国人とともにくだんの報告書を「発見」した人物で、いわば真のオリジネーター。その彼女が、映画のなかで後悔の言葉とともに語るのが、“IWG報告書をめぐる右派の宣伝がいかに虚構であるか”という具体的な説明なのだ。
 しかも、映画のなかでは名指しこそされていないが、マイケル・ヨン氏は慰安婦問題をめぐって、普通では到底考えられない額の「調査費」まで受け取っていたとされる。実際、ヨン氏は自身のブログに〈櫻井女史らは、私に調査をするようにお金を支払った〉と記しているのだ。あまりに生臭い話だが、映画ではこの「高額調査費」問題についても監督が櫻井氏に直撃しているので、ぜひ櫻井氏の“反応”をスクリーンで確認してほしい。
『主戦場』ミキ・デザキ監督が本サイトに語った「どっちもどっち」批判
 ちなみに、映画の公開前には、出演者に極右歴史修正主義者やネトウヨ文化人が多数ラインナップされていることから「否定派の宣伝になるのではないか」との懸念の声もネット上で散見された。だが、この映画は単なる「両論併記」で終わらない。
 本作が映画デビュー作となるミキ・デザキ監督は、1983年生まれの日系アメリカ人2世。日本での英語教師やYouTuber、タイでの僧侶経験もあるという異色の映像作家だ。2013年にYouTubeで日本社会のなかのレイシズムの存在を指摘したところ、ネトウヨに炎上させられた。そうしたなかで、朝日新聞の植村隆・元記者に対するバッシングを目の当たりし、慰安婦問題への関心を高めたという。両陣営から介入されないため、クラウドファウンディングで資金を集めて『主戦場』を製作した。
 デザキ氏は本サイトの取材に対し、「両方の主張のどちらがより筋が通っているかを比較するべき」と語る。
「論点を並べて“どっちもどっちだ”というやり方は、実のところ政治的なスタンスの表明に他なりません。慰安婦問題に関しては、いま日本では右派の主張がメインストリームになっている。そこに挑戦を示さないことは、彼らの言いなりになるということであり、その現状を容認することに他なりませんから。日本のメディアの多くは両論併記を落としどころにしていますが、それは、客観主義を装うことで、語るべきことにライトを当てていないということ。単に並べるだけでなく、比較することで生まれる結論があります」
 従軍慰安婦をめぐる否定派/肯定派の「論争」にスポットライトを当てながらも、決して“どっちもどっち”にならない映画『主戦場』。終盤では、日本の歴史修正主義の背景にある極右団体「日本会議」や安倍晋三首相に連なる戦後日本政治の流れもフォーカスされる。
 一般公開に先駆けて行われた日本外国特派員協会での上映会後の質疑応答では、デザキ監督に対し否定派の言論人から批判的な質問も飛んだ。4月19日には、日本会議が〈この映画には、日本会議に関して著しい事実誤認が含まれている〉などとする声明をHPで公表。4月25日発売の「正論」ではケント・ギルバート氏が「とても見るに値しない映画」などとこき下ろしている。まさに大慌てといった感じだが、ようするに、それだけ否定論者たちの核心に迫った映画だということだろう。いずれにせよ、判断するのは観客だ。
■『主戦場』 公式サイト http://shusenjo.jp 渋谷 シアター・イメージフォーラムにて公開中、4月27日(土)より名古屋シネマテーク、京都シネマ、大阪・第七藝術劇場にて公開、ほか全国順次


鮮やかピンク、エコパークに500株 昨年死去した小児性水俣病患者の女性しのぶ
 熊本県水俣市の水俣湾埋め立て地にあるエコパーク水俣バラ園に、昨年4月に64歳で亡くなった小児性水俣病患者の前田恵美子さんをしのぶエリアが設けられた。2009年のバラ園オープン以来、管理を手伝ってきた前田さん。エリアには、前田さんが好きだった色鮮やかなピンクのバラが咲き始めている。
 前田さんは同市明神町の網元一家に生まれ、3歳で発症。亡くなるまで、バラ園を管理する「グローバル園芸療法センター」に勤めた。自作の詩「ピンクの花が好き」は、13年10月に水俣を訪れた天皇、皇后両陛下に曲を付けて披露された。
 前田さんをしのぶエリアはバラ園南東側約700平方メートル。昨秋から植え替えた約20種計500株は、ほとんどがピンクの花で、同園で水俣ローズフェスタが始まる29日には見頃を迎えるという。
 同センターの本田洋志理事長は「水俣病という歴史の中で、このバラ園は生まれた。いつも笑顔を絶やさず人生を楽しんでいた恵美子さんを、ピンクのバラを見ながらしのんでほしい」と語った。
 ローズフェスタは5月26日まで。入場は無料。バラ園維持の協力金を募る。(山本遼)

英語の仕事が/S3時間頑張る/5-17のミニポスター

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梅田190430

Japon: Carlos Ghosn remis en liberté, mais strictement contrôlé
Au Japon, le tribunal a accepté la libération de l'ex-PDG de Renault-Nissan sous une caution de 4 millions d’euros après sa nouvelle arrestation, le 4 avril. Ce dernier a dû accepter des conditions strictes de remise en liberté, notamment l’interdiction de voir sa conjointe sans l’autorisation préalable du tribunal.
Le tribunal de Tokyo, chargé de l’affaire, avait à la mi-journée accepté sa requête en vue de sa libération, mais le bureau des procureurs avait aussitôt fait appel, jugeant ≪ regrettable ≫ que le juge ait donné son feu vert ≪ en dépit de crainte de destruction de preuves ≫. Ce recours a été rejeté quelques heures plus tard et sa libération est devenue effective peu après.
L’ex-PDG de Renault-Nissan est sorti à 22h22 (heure du Japon) d’un pas assuré, encadré par des gardiens. L’image tranchait avec celle de sa première libération sous caution le 6 mars : il était alors apparu déguisé, coiffé d’une casquette bleue, dans un uniforme d’ouvrier de voirie, le visage barré de lunettes et d’un masque de protection blanc, un accoutrement qui avait fait de lui la risée des médias alors même qu’il visait à duper les journalistes massés devant la prison.
Interdiction de voir sa femme
L’ancien grand patron est désormais à l’air libre, mais soumis à contrôle inflexible : ≪ Assignation à résidence, interdiction de quitter le Japon et autres conditions visant à empêcher destruction de preuves et fuite ≫, a précisé le tribunal.
Surtout, il n’a le droit de voir son épouse que ≪ si le tribunal approuve une requête ≫ en ce sens, a expliqué son avocat, Me Junichiro Hironaka, à la presse. Carole Ghosn, dans le viseur des procureurs pour son rôle supposé dans un des volets de l’affaire, est en outre soupçonné par le parquet d’avoir contacté des protagonistes du dossier. Pour Carlos Ghosn, ≪ restreindre les communications et le contact entre ma femme et moi est cruel et inutile ≫.
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メールで英語の仕事が舞い込んできました.うーん.明日考えよう.
夕方Sの人がいつも通りきました.3時間頑張りました.
5/17のミニポスターを作って掲示しました.

<気仙沼ネコ屋敷問題>14匹保護 不法占拠の災害住宅で執行
 埼玉県内に住んでいた50代の女性が不法に占拠している宮城県気仙沼市唐桑町の災害公営住宅で25日、退去を求める公示書を貼った仙台地裁気仙沼支部の執行官の判断でネコ14匹が保護された。仙台市内の動物愛護団体が一時的に預かる。
 気仙沼市が申し立てた強制執行の手続きの一環。市によると、執行官がネコを保護する必要があると判断し、市が指定する場所での保管を指示した。
 市や仙台市青葉区の動物愛護団体の職員ら7人が網を使い、約1時間かけてネコを捕獲。周辺住民が見守る中、職員らはキャリーケースに入れたネコを慎重に運び出し、愛護団体の車に乗せた。
 愛護団体の代表によるとネコは雑種で7歳程度が大半。健康な状態だったという。市などによると50代の女性は餌を与えに、頻繁に住宅を訪れている。
 市は明け渡しなどを求めて2018年12月に提訴。仙台地裁気仙沼支部は19年3月下旬、市の請求通りに明け渡しと支払いを命じる判決を言い渡した。
 判決確定前に退去を強制できることも認められたため、悪臭が出る夏前に強制執行の手続きに入った。
 公示書などによる退去期限は5月20日。市建築・公営住宅課の村岡直人課長は「近隣住民から臭いを心配する声もあった。ネコも健康で安心した」と話した。


被災の海洋スポーツ体験施設「B&G艇庫」グランドオープン 宮城・亘理
 東日本大震災で被災した宮城県亘理町荒浜鳥の海にある町の海洋スポーツ体験施設「町B&G海洋センター艇庫」が25日、グランドオープンした。鳥の海のレジャーの拠点として通年営業し、交流人口の拡大を目指す。
 水上バイクやカヌー、バナナボートが体験でき、レンタル自転車や海釣り道具もそろえた。7月までに立ちこぎボートや被災地視察の小型船を導入し、ドッグランを併設。海洋スポーツに限らず、幅広い観光客にアピールする。
 運営するのは、町から4月に業務委託を受けた同町の会社「海族DMC」。丸森町の訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致会社「侍」の社長太見洋介さん(42)が2月、設立した。
 海族DMCは水中ドローンを活用した震災行方不明者や遺品の捜索、沖合での海洋プラスチックごみの調査にも取り組む予定だ。
 海洋センターは1982年に設立され、津波で全壊。昨年5月に復旧し、町が昨年9月まで週末に運営してきた。業務委託を機に通年営業に切り替え、10連休中は予約や問い合わせが相次いでいるという。
 開所式が25日、現地であり、亘理町の山田周伸町長は「荒浜に活力を呼び起こし、交流人口の拡大、定住者の増加につなげたい」とあいさつ。太見社長はカヌーから海中に落ち、水上バイクで救出されるパフォーマンスを披露した。
 太見社長は「震災の影響で海離れが進んでいる。家族連れ、友人たちでマリンスポーツを楽しんでほしい。沿岸部の復興を促進させたい」と話した。
 利用は水−日曜の午前10時〜午後5時。料金はカヌーが1時間大人300円(10〜18歳150円)など。連絡先はB&G海洋センター艇庫0223(33)2210。


公務員宿舎からの退去問題 被団連が緊急集会で怒りの声
 福島原発事故の自主避難者のうち国家公務員宿舎に入居中の71世帯が、福島県から強制退去を迫られている問題。避難者支援団体の「原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」は25日、復興庁に撤回の申し入れを行った。福島県は3月28日付で入居者に対し、契約満了となる3月末での退去、退去しない場合は2倍の家賃を請求する旨を通告している。
 この問題について対応を問われた復興庁の担当参事官は「県の判断を尊重する」とまるで他人事。「ひだんれん」幹事の熊本美弥子氏は「国策として原発を推進しておきながら、事故後の対応は県に押し付けている。何のための復興庁か」と憤った。
 71世帯には、うつ病や障害などで健康面から引っ越しが困難だったり、低収入の非正規で、都営住宅にも落ちたため、民間の高い家賃を払えない人たちもいる。この日、衆院議員会館で開かれた緊急集会では、「県や国は、退去できない実態を見ようともせず、契約を盾に退去を迫っている。加害者は国や東電。被害者である入居者には何の責任もないはずだ」と怒りの声が上がった。
 集会後、前出の熊本氏は「復興五輪を掲げているため、国は20年までには“復興”を成し遂げたことにしたい。問題が残っていてもフタをしようとしています。今回の杓子定規な対応はその表れだと感じています」と語った。
 被災した福島県大熊町出身の40代女性はこう言った。
「私も、周りの避難者も、『復興五輪』と言われるとつらくなるんです。私は、テレビで五輪の話題になるとチャンネルを変えてしまいます。平成から令和へと盛り上がっていますが、平成を振り返って最大の出来事は、福島原発事故でしょう。だけど、誰も福島事故を挙げません。国中が復興五輪や令和など、新たな時代に切り替えようとしていますが、内実は今回の71世帯のように、被災者が切り捨てられているのです」
 これでは、復興見せかけ五輪だ。


原発テロ対策/電力会社の甘えは許されぬ
 新規制基準をクリアできない原子力発電所は稼働させるべきではない。極めて当たり前の判断と言える。
 原子力規制委員会は、原発の新規制基準でテロ対策拠点として義務付けられた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、期限までに完成しない場合、運転中の原発の停止を命じる方針を決めた。再稼働した原発を持つ関西、四国、九州の電力3社は特重施設の完成が期限より遅れるとして、期限延長を求めていたが、規制委は延長を認めなかった。
 電力会社の要請を退けたのは、独立した立場で安全を追及する規制委として当然の対応だ。新規制基準に適合しないまま原発の運転を続けさせる事態は看過できない。
 電力会社側は「工事の見通しが甘かった」と自らの不手際を認めつつ、原発の運転継続を望んだ。安全対策を軽視しているのではないか、と疑わざるを得ない。
 規制委の更田豊志委員長は記者会見で「差し迫った状況で当局に訴えれば、何とかなると思ったのだとしたら大間違いだ」と電力各社を批判した。工事の遅れを説明すれば、規制委は完成を猶予してくれる−。電力会社側がそう考えていたのなら言語道断だ。甘えは許されない。
 特重施設は、2013年施行の新規制基準で設置が義務付けられた。原発に航空機が衝突するなどのテロ攻撃を受けた場合、遠隔操作で原子炉の冷却を維持する。原子炉建屋から100メートル以上離れた場所に緊急時制御室や炉心冷却ポンプなどを備える。
 当初は新規制基準施行から一律5年、18年7月まで設置する必要があった。その後、審査の長期化を踏まえ、規制委が「原発本体の工事計画の認可から5年」と1度延長した経緯がある。
 規制委は原発の運転停止命令をためらうことなく、ルールを厳格に適応してほしい。
 関西、四国、九州の電力3社によると、再稼働済みを含め5原発10基で特重施設の完成が遅れる見込みだ。20年3月以降、原発は次々に停止するとみられ、停止期間は最長で約2年半となるという。
 女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を目指す東北電力にとっても、規制委の判断は重くのしかかる。特重施設について、東北電は「設計が定まっておらず、明確な工事期間を申し上げられる段階にない」という。
 女川2号機の安全対策工事費が既に3400億円に上っている東北電は、特重施設の費用に加え、再稼働しても運転停止という経営リスクを背負うことになる。
 今回の規制委の判断は、電力各社の経営に大きな影響を与えることになろう。
 だが特重施設は本来、再稼働に先立ち設置されるべき施設だ。電力各社は規制委の判断を厳粛に受け止め、安全対策に万全を期す必要がある。


原発テロ対策  規制委は厳格さを貫け
 原子力規制委員会が、原発に義務付けたテロ対策施設の設置期限を延長しない方針を決めた。
 「特定重大事故等対処施設」(特重施設)という。原発に航空機を衝突させるなどのテロ行為が発生した場合に、遠隔操作で原子炉の冷却を続ける設備などを備える施設である。
 東京電力福島第1原発事故後、新規制基準で整備することになったが、再稼働した電力3社が「完成が遅れる」として期限の延長を求めていた。
 独立した立場で安全を追求する規制当局として、電力側の主張を拒否したのは当然の対応だ。
 受け入れれば、何のための規制委かと批判は必至だったろう。そもそも期限は一度延長されており、電力側も「甘え」が過ぎる。
 完成は約1〜2年半遅れる見通しだ。再稼働済みを含めた5原発10基が次々と停止を迫られる可能性がある。
 現在停止中の関電高浜1、2号機のうち、1号機は2020年6月にも再稼働の見込みだが、特重施設は期限の21年6月から約2年半完成が遅れるという。その間は停止しなければならない。
 各社は運転継続で利益を確保する意図だったとみられる。だが、本来は再稼働の前に整備すべきではなかったか。安全軽視のツケが回ったと言わざるを得ない。
 経営に打撃となり、電気料金の上昇につながらないか心配だ。原発のコストは安くないことを改めて認識する必要がある。
 規制委は厳格な姿勢を貫くべきだ。今後、各社の事情を個別に考慮して延長を認めるようなことになってはならない。
 特重施設は緊急時制御室を設け、予備の電源や冷却ポンプなどを備える。建屋を新設する必要があり、当初から大がかりな工事が想定されていた。
 13年の新基準施行から5年以内が設置期限だったが、再稼働に向けた安全審査が長引き、原発本体の工事計画の認可後から5年以内と延長された。
 電力各社は今になって「工事の見通しが甘かった」と再延長を求めたが、そんな理由を持ち出すこと自体が厳しさを欠いている。
 原子炉を停止しても、根本的な解決にはならないことにも留意したい。使用済み燃料プールに核燃料があり、テロ攻撃を受けるリスクは変わらないからだ。
 安全を守るにはあらゆる面から実効性のある対策が求められる。政府は改めて原発推進の困難さに向き合うべきだ。


テロ未対策の原発 稼働停止は当たり前だ
 当然の判断だ。原子力規制委員会がおととい、期限内にテロ対策施設を設置できない原発の稼働を認めない方針を示した。
 原発に航空機を衝突させるなどのテロ行為が発生した場合に備える「特定重大事故等対処施設」である。気になるのは、未整備でも期限までは稼働を認めている点だ。直ちに稼働を停止すべきだ。それが万一に備えるということではないか。
 関西、四国、九州3電力が、工事が間に合わないとして延長を求めたことに対し、規制委が判断を示した。更田豊志委員長は「見通しが甘い」と3社の姿勢を批判した。厳しい姿勢を見せなければ、かつての「原子力ムラ」との批判を招きかねないとの判断もあったのだろう。
 電力会社側には、「想定外」との受け止めが目立つ。既に稼働している原発の停止は影響が大きい。そこまでは踏み込んでこないだろうと軽く見ていたのではないか。
 最も早く期限を迎える九電川内(せんだい)1号機(鹿児島県)は、来年3月に停止に追い込まれる可能性が強い。3電力では現時点で、再稼働済みを含めて5原発10基が順次、期限から1年〜2年半ほどの間、休止になるとみられる。稼働を認めた自治体にも説明はなかった。地元から「誠意がない会社が安全に管理できるのか」などの批判が出るのも当然と言えよう。
 そもそも規制委は1度、延長を認めている。当初の期限は一律2018年までだった。初めての安全審査が長引いたことから、原発ごとに本体の工事計画の認可から「5年以内」とすることにルールを変更した。
 その際、今度は期限を越えれば停止するとくぎを刺していた。それでも電力会社側が工事遅れを伝えたのは今月に入ってからという。テロ対策への切迫感が疑われる。
 テロ対策に本気で取り組もうとしているのか、規制委の姿勢にも疑問が残る。規制導入から6年を経ても、テロ対策施設は全国で1カ所も完成していない。それでも3電力で9基(うち1基は定期検査のため休止中)がすでに再稼働している。テロ対策施設が不可欠と考えているとは到底思えない。
 テロ対策も東京電力福島第1原発の事故を機に追加された安全規制である。電力会社もその重要性を認識し、早期完成に向けて全力を挙げるべきだ。
 同時被災を避けるため100メートル以上離れた地点に、遠隔操作で原子炉の冷却を続けるポンプなどの設置が求められている。原発をコントロールする設備を別に備えることは、電力会社にとって負担は大きい。関電の投資は高浜、大飯、美浜3原発で計4千億円余りに上るという。
 それでもテロ対策としては万全ではないとの指摘がある。原発を停止させても、プールに保管している使用済み核燃料が狙われるリスクは残るという。
 政府は昨年7月に策定したエネルギー基本計画でも原発は「ベースロード電源」という位置付けを変えていない。稼働させる以上、テロ対策に万全を期さなくてはならない。
 そもそも安全な社会を目指していく上では、保安対策を必要とする施設自体を極力減らしていくことこそ大事になっている。再生可能エネルギーの推進を一層強化すべきだ。


原発テロ対策 問われる危機意識の欠如
 原発が災害などの影響で過酷事故を起こせば、立地地域の住民の暮らしが脅かされる。東京電力福島第1原発事故はその厳しい現実を突き付けた。
 それを踏まえれば、テロ対策にも万全を期すことは当然のはずである。問われたのは、電力会社の甘さであり、危機意識の欠如といえよう。
 原子力規制委員会は原発のテロ対策施設である「特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、完成期限の延長を認めないことを決めた。施設が期限内に完成しなければ、原発は停止となる。
 特重施設は、福島第1原発事故を教訓に強化された原発の新規制基準で設置することが義務付けられた。
 大型航空機の衝突などのテロ攻撃を受けても原発の安全を確保することを狙いとし、原子炉建屋から一定の距離がある場所に設ける。
 遠隔操作によって原子炉の冷却を続ける設備や電源、緊急時制御室などを備えることになっている。
 設置期限については当初、新基準が施行された2013年から一律5年としていたが、原発審査の長期化を受け、「合格から5年」に延長された。
 期限延長は、関西、四国、九州3電力が求めていたものだ。規制委が認めないと決定したことで、再稼働済みを含めた5原発10基が停止を迫られる可能性がある。
 今回の規制委の判断に対して電力会社側には経営へのマイナスを懸念する声があるが、ずれているとしか思えない。
 既に原発を稼働させていながら、一方で特重施設設置期限の延長を求めることは電力会社の身勝手に等しい。延長をなし崩し的に認めては、それを許すことになる。
 特重施設の設置は、期限を含めルールとして定められているものだ。立地地域に暮らす住民の安心のためにも、それに沿って安全確保策を整えることが不可欠である。
 規制委の更田豊志委員長は記者会見で「(電力の)見通しが甘かった」「設置に手間取っているから、もう少し(延長しよう)と繰り返していると、安全向上は望めない」と述べた。
 電力会社はこれらの指摘を真摯(しんし)に受け止め、適切に対応しなければならない。
 福島第1原発事故を巡っては、東電の旧経営陣が津波対策を先送りしていたのではないかとの疑問が出ている。
 原発を運転する電力会社にとって危機管理が最優先であることを、もう一度思い起こす必要がある。
 大きな気がかりは、原子炉を停止したとしても使用済み燃料プールに核燃料があり、テロのリスクは変わらないと指摘されていることだ。
 原発がテロ攻撃によって危機的状況に陥るような事態は、絶対に避けなければならない。規制委や電力会社は油断することなく、テロへの備えを徹底してもらいたい。


原発テロ対策 安全軽視を繰り返すのか
 安全対策は二の次。電力大手の体質は相変わらずだ。
 関西、四国、九州の電力3社が、原発に義務付けられた特定重大事故等対処施設(特重施設)の建設期限の延長を求めたのに対し、原子力規制委員会はノーを突き付けた。
 更田豊志委員長は「見通しが甘い」と各社の姿勢を批判、期限までに完成しなければ稼働停止を命じるとした。当然だろう。
 膨大な費用がかかる原発の維持に、国も電力大手もいまだに固執する。安全で環境負荷も小さい自然エネルギーを中心とする電源構成に転換する時ではないか。
 特重施設は、意図的な航空機衝突といったテロ攻撃で原子炉が破壊された際、遠隔操作で冷却を続け、放射性物質の放出を抑えることを目的とする。緊急時制御室や予備電源、冷却ポンプを備え、原子炉建屋から100メートル以上離すよう定められている。
 東京電力福島第1原発の事故を受け、2013年に新規制基準が施行された当初は、一律に18年を建設の期限とした。再稼働の審査が長期化したのに伴い、規制委が「審査合格から5年後」に一度延期した経緯がある。
 再稼働した原発を抱える3社は「1〜3年超過する」と訴えていた。頼めば認められると高をくくっていたのだろう。本来なら再稼働前に建てておくべきで、原発立地自治体の首長の多くが規制委の判断を評価している。
 ただ、各地の原発は使用済み核燃料を貯蔵している。稼働中でも停止していても、重大事故が起きれば危険なことに変わりはない。特重施設の詳細は秘密事項で、有事に機能するのか、外部で検証することもできない。
 大手各社が原発の代わりに火力発電を使えば、電気料金が上がる可能性がある。原発、火力発電という大規模施設に依存する経営体質に問題の根がある。
 世界的には風力発電と太陽光発電がともに、原発の設備容量を追い抜いている。発電コストもどんどん下がっている。日本で実感が乏しいのは、電力大手が送電網を独占しているためだ。公平公正な発送電分離を実現し、自然エネ市場を広げる必要がある。
 若狭湾に多くの原発が集中する福井県の県議会は昨年11月、自衛隊の配備を求める意見書を可決した。テロ抑止と安心確保を理由に挙げている。住民の避難計画もおざなりのままだ。リスクの高い原発と隣り合わせで暮らす地域の不安の表れとも受け取れる。


原発テロ対策/危機意識が甘すぎないか
 卑劣なテロが、世界各地で続発している。危険な核物質を抱える原子力発電所が対象となって破壊されるような事態に陥れば、社会全体に甚大な影響を及ぼす。
 原子力規制委員会は、原発に義務付けたテロ対策施設が期限内に完成しなければ、運転停止を命じると決めた。当然の判断である。
 規制委は当初、2013年の新規制基準施行から5年後を設置期限としていたが、再稼動の審査が長引き、審査合格から5年に緩めた。それでも工事が間に合わないとして、電力各社は期限の再延長を求めていた。
 関西電力など3社の計10基で工事が難航し、完成は最長で2年半遅れる見込みだ。最も早く来年3月に期限を迎える九州電力川内原発1号機をはじめ、再稼働した原発の多くが停止する可能性がある。
 規制委の更田豊志(ふけたとよし)委員長は「(延長を)繰り返していると安全向上は望めない」と各社の姿勢を強く批判した。期限は最初から分かっていたはずだ。危機意識が甘すぎたのではないか。
 テロ対策施設は、原子炉建屋から離れた場所に電源や冷却ポンプ、制御室などを設ける。原子炉建屋に航空機が衝突するような事態が起きても、遠隔操作で原子炉を冷やし続けられるようにする。
 福島第1原発事故の損害賠償訴訟では、東京電力が津波を予見できたのに対策を怠ったとする判決が相次いでいる。万一の事態に備える意識に乏しければ原発を運転する資格がないことを、電力業界は改めて認識するべきだ。
 原発が止まれば経営に影響するとの声も電力会社からは聞こえる。何よりも優先すべきは安全だ。対策施設の建設を急ぐ必要がある。
 ただ、原発の運転が止まっても、構内には使用済み核燃料が保管されており、テロの標的となるリスクは残る。この点については、規制委も電力会社も緊迫感が欠けている。
 国際社会では、核物質や原子力施設を防護・保全する「核セキュリティー」が重要課題となっている。悲惨な事故の経験に立ち、政府は電力各社に対策を強く働きかけねばならない。


強制不妊救済法成立 旧法の違憲性は明らかだ
 旧優生保護法下での強制不妊手術問題で、被害者への一時金320万円支給を柱とする救済法が成立した。しかし、旧法の違憲性、問題を放置してきた国の法的責任を明確に認めていない点など、被害者の求める救済とは大きな隔たりがある。
 1948年に施行された旧優生保護法は、その目的を定めた第1条に「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」と優生思想を明記し、遺伝性とされた疾患や知的障がいのある人の不妊手術や人工中絶を認めた。医師が必要と判断すれば、本人の同意がなくても都道府県の優生保護審査会の決定で不妊手術を行うことが可能だった。
 障がい者らの人権と自由意思を無視し、心身に苦痛を強いた違憲性は明らかだ。国家が一部の国民を「不良」と見なし、子孫を残す権利を強制的に奪うという蛮行を繰り返した。その事実と真正面から向き合い、旧法が、憲法で保障された基本的人権を侵害していたことを国として認めるべきだ。
 優生保護法の前身は、ナチス・ドイツの「断種法」の考えを取り入れた戦時中の国民優生法だ。法の下の平等を掲げた新憲法が施行された直後でありながら、優生思想に基づく優生保護法を全会一致で成立させた立法府、本人同意のない不妊手術制度を執行してきた行政府の責任は重い。
 法律が母体保護法に変更され、障がい者への差別的な条項が削除されるのはようやく96年になってからだ。日弁連は旧法下での不妊手術の実施件数は2万4991件と指摘し、このうち同意のない強制手術は1万6475件に上るとしている。本人が自覚していないまま手術が施された事例も多くあり、被害の実態と真相の究明を急がなければならない。
 18年1月に仙台地裁に国家賠償請求訴訟が提起され、旧法下での強制不妊被害に補償を求める動きが全国に広がった。旧法の施行から71年が経過して成立した今回の救済法は、被害の補償へようやく一歩を踏み出したといえる。
 しかし、被害者らが求めた国会での意見陳述は行われなかった。各地の国家賠償訴訟で原告は最大3千万円台後半を求めている。失ったものの大きさに対し一時金の額はあまりにも低い。被害者や遺族の納得する解決とは程遠い。
 訪欧中の安倍晋三首相は初めて政府として謝罪する談話を発表した。だが、救済法の前文をなぞっただけで、旧法の違憲性について明確にしていない。しかも談話は肉声ではなくペーパーだ。誠実さが全く伝わってこない。
 16年7月に神奈川県相模原市の知的障がい者施設で起きた殺傷事件は、障がい者を排除する優生思想的な言動を繰り返していた元施設職員の男が、入所者19人を刺殺する最悪の凶行だった。社会から差別をなくす誓いを改めて深く胸に刻みたい。


[強制不妊救済法成立]国の責任があいまいだ
 旧優生保護法(1948〜96年)の下で、障がいなどを理由に不妊手術を強制された被害者への「反省とおわび」と一時金320万円を支給する救済法が参院本会議で成立した。
 旧法の「優生手術」規定が削除されてから23年。ようやく国の救済策が動きだす。被害者が高齢化する中、救済に向けて議論を急いだことは一定評価できる。
 だが、障がい者差別を認め、子どもを生み育てる権利を国によって奪われた被害を考えれば、遅すぎる。
 被害者が求めてきた旧法の違憲性に触れず、不十分な内容と言わざるを得ない。
 救済法は前文で、被害者が受けた心身の苦痛に対し「われわれは、それぞれの立場において、真摯(しんし)に反省し、心から深くおわびする」とうたう。しかし、「われわれ」とは主体があいまいで、国の責任を明確にしていない。
 安倍晋三首相は談話を発表し、反省と謝罪の意を示したが、前文の言葉をなぞる形だけにとどまり、国の責任には言及しなかった。
 長年にわたる非人道的な政策に対する国の謝罪は当然だが、責任の所在を明らかにすることなく被害者の人権と名誉回復は図れない。
 一時金にしても、優生手術を巡る全国の一連の訴訟の請求額は約1千万円〜3千万円台後半で、要求とはかけ離れている。
 救済制度の個別通知も盛り込まれず、申請期限も5年としたことで、被害者が見過ごされる恐れもある。解決すべき問題は多い。
    ■    ■
 旧法は48年に議員立法で成立。優生手術は40年余にわたって行われた。96年に手術規定が削除されたが、法改定後も国は謝罪や補償を拒んだ。国会も見過ごしてきた。
 医療・福祉分野の関係者でつくる「優生手術に対する謝罪を求める会」は97年の早い時期から国に被害者の実態検証などを求めていた。
 当時はメディアも含め真正面から問題視する議論は深まらなかった。被害者の切実な声を社会全体で受け止められなかったことも反省しなくてはならない。
 国によると不妊手術を受けたのは約2万5千人に上る。大半は裏付けとなる公的記録が残っておらず、被害の全容は明らかになっていない。
 救済法には旧法の経緯や被害実態の調査を行うことも明記された。被害者の悲痛な声に真摯に耳を傾け、継続的な補償と実態を掘り起こし、検証がなされるべきだ。
    ■    ■
 過去の過ちと向き合い、問題解決への着実な一歩とするためには、障がい者ら弱者への差別意識や排除の問題をなくすことが必要だ。
 5月には仙台地裁で宮城県の女性が起こした訴訟の判決が予定されている。国の責任と旧法の違憲性が焦点で、判決次第では救済制度の見直しなども迫られるだろう。
 国や国会は、被害者の訴えにしっかり寄り添い、何よりも尊厳回復を最優先とし、救済法の前文に掲げる「共生社会の実現に向けて努力を尽くす決意」の責任を果たさなければならない。


強制不妊救済法成立 尊厳回復への第一歩にすぎない
 旧優生保護法下で不妊手術を強いられた障害者らに一時金320万円を支給する救済法が成立した。障害者差別に当たるとして手術の規定が廃止されてから20年余り。遅きに失した国の救済がようやく始まる。
 しかし、救済法は強制不妊手術を推し進めた国の責任を明確にしておらず、一時金の額や周知方法も被害者の求めるものとは大きな隔たりがある。被害者は「納得できない」と各地裁で起こした国家賠償請求訴訟を継続する構えだ。真の解決にはまだ遠く、救済法成立は償いの第一歩にすぎない。国は救済の実効性を担保する法改正を含め、被害者の尊厳回復に一層の努力を尽くす責務がある。
 救済法は被害者への「反省とおわび」を前文に明記し、安倍晋三首相も同様の談話を発表した。だが、国の法的責任には触れず、「当時は適法だった」との姿勢を崩していない。
 救済法の主語も「われわれ」と玉虫色の表現にしたが、非人道的な差別が繰り返された責任の所在を曖昧にすることは許されない。救済責任が国にあることは明白であり、主語を「国」に改めるべきだ。
 一時金の額については被害者の長年の苦しみに見合っているのか疑問だ。国賠訴訟の請求額は最大3千万円台で、それと比べても大きな差がある。一時金は、日本と同様に強制不妊政策があったスウェーデンの例にならったが、同国が支払いを開始したのは1999年から。20年も謝罪や補償が遅れた日本とは事情が異なり、算定根拠としては納得し難い。
 救済制度の周知方法でも被害者の要求は十分に反映されなかった。国の統計では約2万5千人が不妊手術を受けたが、裏付ける個人記録は約3千人分しかない。被害者側は一時金の請求を促すため、この3千人への個別通知を求めていたが、国はプライバシーが漏れる恐れがあるとして見送った。
 本人が高齢だったり、知的障害があったりして制度を十分把握できない人は多い。それにもかかわらず、本人に通知することなく一時金の支給を請求するよう求めることは、最初から全員の救済を放棄しているのに等しい。鳥取県は「国のやり方は本当の救済につながるのか」と疑問を呈し、プライバシーに配慮した個別通知の仕組みを整えると表明した。国は都道府県まかせにするのではなく、周知の強化や支給方法の改善に率先して知恵を絞るべきだ。
 安倍首相は談話で、病気や障害で差別されることがない共生社会の実現に向け、「政府として最大限の努力を尽くす」と約束した。救済法には差別を繰り返さないために、問題の経緯を調査することが盛り込まれた。個人の尊厳を踏みにじる優生思想を社会から根絶しなければならない。そのためにも過去の過ちを徹底的に検証し、引き出された教訓を生かすことが不可欠である。


女性の政界進出 政府目標達成には程遠い
 「政治分野の男女共同参画推進法」が施行されてから初めての統一地方選で、女性の政界進出はどの程度進んだのか。やや前進とは言えよう。だが、まだまだ物足りない。
 41道府県議選の女性当選者は過去最多だったが、全当選者の約1割にすぎない。九州7県議選は全国水準を下回った。
 全国294市議選の女性当選者も前回より増え、改選定数全体に占める女性の割合は18・4%と過去最高を記録した。全国で唯一、市制施行から約60年間、女性議員がいなかった鹿児島県垂水市の市議選で初めて女性が当選した。政治の世界に向けて女性の背中を押す風が、九州でも吹き始めたのだろう。
 とはいえ、2020年までに指導的地位に占める女性割合を3割にするという政府目標の達成には程遠い。女性の政治参加は道半ばと言うほかない。
 市民が議員になろうと思い立っても、多くは政治に関する知識や選挙戦のノウハウに疎く、資金面の壁も立ちはだかる。
 女性政治家が党派を超えて協力しセミナーなどを通して女性の政治参加を後押ししている。共同参画法は候補者を男女均等にする努力義務を政党に課している。政党は女性候補を公募するだけでなく、育成や資金援助など、きめ細かい施策で女性議員増に取り組む必要がある。
 男性中心主義が定着している議会の在り方を、女性が存分に能力を発揮できる場に変えていくことも大切なことだ。
 国、地方を問わず政界では、女性政治家に対する隠微なセクシュアルハラスメントの存在が指摘されている。労働界と歩調を合わせ、セクハラ対策の強化を急ぐべきだ。
 妊娠・出産した場合の対応も課題である。女性に限らず、育児や介護などの事情を抱える議員が働きやすい環境を整えるべく、議会は会議規則の見直しなどに取り組んでほしい。
 世界経済フォーラムが昨年末に発表したジェンダーギャップ(男女格差)の小ささに関するランキングによると、日本は政治分野では149カ国中125位と「男性優位」が際立った。
 この夏には参院選が行われる。立憲民主党をはじめ野党が女性候補の擁立に積極姿勢を示す一方で、与党・自民党の動きは鈍い。率先して共同参画法の理念を具体化することこそ、政権党の役割ではないか。
 多様な市民の価値観や意見を政策に反映させる上で、男性が圧倒的多数を占める議会構成の現状は不自然でいびつである。
 私たち国民も意識改革を求められている。「政治は男の仕事」という古い通念は、平成を最後に捨て去ってしまいたい。


アイヌ支援新法/共生社会実現への一歩に
 アイヌの人たちが誇りを持って生活できる社会の実現を目指す「アイヌ民族支援法」が、このほど国会で成立した。
 アイヌを初めて「先住民族」と明記した法律だ。これまでもアイヌの文化振興を目的とした法律があったが、和人とは異なる歴史を持つ民族としての位置づけが曖昧なままだった。
 新法は文化の保護に加えて観光、産業の振興などでも国民の理解を促進する対策を、政府と自治体に求めている。現在、アイヌの人たちは全国に居住しており、北海道以外の地域でも、多民族・多文化共生を目指す取り組みを進めたい。
 もともとアイヌ民族は北海道など北方の地で独自の言語や文化を育んできた。しかし明治以降、政府による同化政策で伝統的な生活が抑圧された。
 流れが大きく変わったのは1990年代のことだ。
 復権を訴える萱野茂氏が初めて参院議員となり、アイヌ語で政府の考えをただした。差別的な北海道旧土人保護法が廃止され、「アイヌ文化振興法」が制定されたのもこの時期だ。
 国連での「先住民族の権利に関する宣言」を受け、国会も重い腰を上げる。2008年、衆参両院が政府にアイヌを「先住民族」と認めた上で対策を講じるよう促す決議を行った。
 それを受けて政府は検討を重ね、「先住民」の立場を明確にした。だが、時間がかかりすぎた印象はぬぐえない。
 新法に基づき、文化や産業、観光の振興に向けた交付金制度が創設される。北海道白老町では東京五輪・パラリンピック開催年のオープンに向けて、博物館や公園などを含む「民族共生象徴空間」の整備が進む。
 ただ、北海道が行った実態調査では、アイヌの人たちの生活は依然、厳しい状況にある。大学進学率は居住地域の平均より10ポイント以上低く、生活保護受給者の割合は1・1倍だった。文化振興などとともに生活支援にも力を入れなければならない。
 国連の宣言で「民族の権利」とされた自決権や教育権は、今回の新法には盛り込まれなかったが、国会は付帯決議で宣言を尊重するよう求めた。政府は国際社会の理念を踏まえ、幅広い施策を講じるべきだ。


安倍政権内に連立組み替え論 公明外し維新と組む強行意見
 消費増税の凍結で解散するのか。取り沙汰される夏の衆参ダブル選に付随して囁かれているのが連立入れ替え論だ。ダブル選後には公明外しの「自民・維新連立政権」が誕生する可能性がある。
 表立って解散風を吹かせたのは、安倍首相の最側近・萩生田幹事長代行だ。ネット番組で増税先送りを示唆。その場合は「国民の信を問う」と衆参ダブル選実施に踏み込んだが、他にもきわどい発言をしていた。「新しい時代になったら、自民党はワイルドな憲法審査を進めていかないといけない」と言い放ったのだ。
 25日、今国会初の衆院憲法審査会が開催されたが、萩生田発言を裏付けるように、与党側は「ワイルド」だ。国民投票法におけるCM規制について、連休明けの5月9日に参考人招致を行い、その日のうちに改正案の採決まで済ませるよう求めた。
 増税延期と衆参ダブル選は、憲法改正への布石との見方もある。
「自民党の一部には、改憲を強力に進めるため維新とも連立を組むべきとの考え方がある。維新は増税反対なので、組むには自民が増税を取り下げる必要があるのです。本気で“ワイルド”に改憲を進める気なら、公明と維新を入れ替える連立組み替えもあり得ます」(自民党ベテラン議員)
■橋下徹氏もツイッターで呼びかけ
 確かに公明の立ち位置は微妙だ。東京では小池知事の与党について以降、自民党都連との関係が悪化。大阪では維新と対立している。何より支持母体の創価学会は改憲に抑制的だ。
「自民党内の改憲強硬派が『嫌なら公明は連立から出て行って構わない』と強気に出る可能性はあります。しかし、公明との選挙協力という“麻薬”がなければ、国政選挙での圧勝は難しい。それでも改憲を優先するのか。妥協策で自公維連立が落としどころと考えているのかもしれません」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
 ここへ来て、維新前代表の橋下徹氏がツイッターで大阪の自民党議員に「維新と組んで公明議員を落選させれば憲法改正に道が開ける」と呼びかけたことも臆測を呼んでいる。政権側から漏れ伝わってくる改憲シナリオと同じだからだ。これは偶然なのか。衆参ダブル選の後は自維政権で改憲に一直線――。ボーッとしていると、そんな悪夢が現実になりかねない。


国連・労働機関ILOが「日の丸」「君が代」強制に是正勧告! 岸信介が復活させ安倍首相が拡大もくろむ“日の丸・君が代ファシズム”
 人質司法、報道圧力、外国人労働者に対する非人道的制度、ヘイトスピーチ……日本の人権後進国ぶりが、ここ数年相次いで国際機関から批判されているが、また新たな問題が通告された。
「日の丸」掲揚と「君が代」斉唱を学校教員らに強制し、従わない職員が懲戒処分されていることに関して、国際労働機関(ILO)が日本へ初めて是正を求める勧告を出したというのだ。3月30日付の東京新聞などが報じた。
 ILOは労働問題の幅広い改善を目的とする国連の専門機関。2019年現在、187カ国が加盟しており、日本は常任理事国のひとつだ。
 東京新聞によれば、ILOの理事会が採択した勧告は、「愛国的な式典に関する規則に関して、教員団体と対話する機会を設ける。規則は国旗掲揚や国歌斉唱に参加したくない教員にも対応できるものとする」「消極的で混乱をもたらさない不服従の行為に対する懲罰を避ける目的で、懲戒の仕組みについて教員団体と対話する機会を設ける」「懲戒審査機関に教員の立場にある者をかかわらせる」などを求めているという。
 とくに注目したいのは「消極的で混乱をもたらさない不服従の行為に対する懲罰を避ける目的で」との文言だ。これまで学校現場では、職員が国旗に向かって起立して国歌を歌っているかなどがチェックされ、それだけで「職務命令違反」などとして処分の対象とされてきた。本来「君が代を歌うかどうか」というのは個人の「思想・良心の自由」であるはずだが、それが平然と踏みにじられているのだ。今回のILOの勧告は、人権を重んじる国際標準から見て、日本での教員の内心の自由の侵害に対し強い懸念が表明されたものと解釈するべきだろう。
 そもそも「日の丸」と「君が代」は単なる国旗と国歌ではなく、戦中・戦前の大日本帝国が天皇を頂点とした国体思想の象徴として使ってきたものだ。たとえば戦中、「君が代」は主権者である天皇を讃えるものと教えられ、戦後も国威発揚の装置として用いられている。「日の丸」もまた、在日コリアンの虐殺まで扇動するヘイト団体が盛んに振りかざしていることをみても差別・排外主義的な国家主義と表裏一体なのは瞭然だろう。
 だからこそ、国家権力による抑圧を防ぐべき教育の場で、自らの思想・良心の自由に従った教員たちが児童や学生の前で起立斉唱を拒否するのは、至極当たり前のことだ。ところが、日本政府は以前からこうした教員たちを無理やり押さえつけてきた。「日の丸」「君が代」を使って見せしめとして処分することで、子どもたちに「国家に対する服従心」を刷り込ませる行為としか言いようがない。
 とりわけ、安倍首相はこの「日の丸」「君が代」による教育現場の支配をどんどん推し進めようとしている。
 簡単に振り返っておくと、「日の丸」「君が代」については敗戦後のGHQ統治下で一度は原則として学校から姿を消した(「日の丸」は申請による許可制、「君が代」はそもそも歌う者がいなかったと言われている)。天皇主権から国民主権に移行する民主化の流れと日本国憲法の制定を考えれば当然の話だ。
 しかし、1950年6月からの朝鮮戦争により潮目が変わる。米国の意向によって日本が再軍備に誘導されるなか、同年10月の「文化の日」(旧天長節・明治節=明治天皇の誕生日)直前に、天野貞祐文部相が“国民の祝日に学校で国旗を掲揚し、国歌を斉唱するべき”とする旨の談話を発表(天野談話)し、全国の教育委員会に通達を出した。
岸信介、中曽根、慎太郎、橋下徹…右派政治家が「日の丸」「君が代」強制を
 いわゆる「逆コース」の流れで、「日の丸」「君が代」は政府主導で復活へと向かう。国内の右派勢力は国旗・国歌制定運動や紀元節復活運動などを展開するなか、岸信介内閣だった1958年の学習指導要領改訂で、戦後GHQにより廃止されていた「修身」の授業が「道徳の時間」として復活、さらに戦後初めて「日の丸」「君が代」が登場する。その後、1964年東京五輪での国威発揚を経て、77年告示の学習指導要項で掲揚と斉唱が「指導するものとする」へ格上げ。時同じくして日本会議の前身団体らが“成功体験”として誇る1979年の元号法制定など「右傾化」のムーブメントが続く。1985年8月の中曽根康弘首相による靖国神社参拝の約2週間後には、文部省は「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱を「徹底」せよとの通知を出している。
 さらに、1999年の国旗・国歌法によって「日の丸」「君が代」が法文上で制定されると、起立斉唱を拒否する教職員に対する“弾圧”が加速。当時の石原慎太郎都知事は「斉唱を中止するいわれはない。嫌なら出てきゃいい」と公然と攻撃し、2003年10月に東京都教育委員会に国旗掲揚と国歌斉唱、ピアノ演奏を義務付ける通達を出させ、これによって多数の教職員が懲戒処分にされた。他自治体でも、たとえば2011年には当時の橋下徹大阪府知事のもと、教員に起立斉唱を義務付ける条例が成立。「君が代」を歌っているかチェックし、校長が脅威に報告することを求めるなど異常な監視体制が敷かれた。
「産経ニュース」(2018年1月29日)によれば、1997〜2016年の間に「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱に関して処分を受けた公立学校教員の数は1561人。年度別で見ると、国旗・国歌法制定や石原都政下での“義務通達”があった2000年前後と比べると近年では処分数が著しく減少しており、産経は処分の不当性をめぐって争われた諸裁判をめぐる最高裁判決(2007年「日野『君が代』伴奏拒否訴訟」での合憲判断)等の影響を指摘しているが、逆に言えば、政治による公立教職員への「日の丸」「君が代」の強制が完了し、現場が極めて萎縮しているということだろう。
 まさに「日の丸・君が代ファシズム」とでも呼ぶべき状況だが、これを拡大しようとしているのが安倍首相だ。第一次政権での教育基本法改悪など、国家主義的な教育への介入をむき出しにしてきた安倍氏だが、自民党下野時の2012年には国会で「オリンピックのときだけでなく、自然に国歌を奏で、歌う、そんな教育現場の実現に向けて、我々自民党は、もう一度全身全霊をささげる用意がある」(10月31日衆院本会議)と宣言。再び政権に返り咲くと、その言葉どおり、“君が代・日の丸強制”の範囲拡大に着手した。
保育園や大学でも「日の丸」「君が代」強制! 安倍政権の異常な国家主義
 たとえば2015年には、国立大学における国旗掲揚・国歌斉唱に関して「(大学が)税金によって賄われているということに鑑みれば、言わば新教育基本法の方針にのっとって正しく実施されるべき」(4月9日参院予算委)と答弁。その2カ月後、安倍首相の片腕である当時の下村博文文科相は、全国の国立大学の学長に対して卒業式・入学式での「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱を実施するよう事実上の要請をした。
 さらに、2017年2月に厚労省が公表した「保育所保育指針」改定案には、3歳以上の幼児に対象に「保育所内外の行事において国旗に親しむ」ことや、「正月や節句など我が国の伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり」と新たに記載。この保育所保育指針は実際に2018年に施行された。同年には、文科省も「幼稚園教育要領」改定案でそれまでにあった「国旗」だけでなく「国歌」への「親しむ」を追加していた。
 もはや、完全にマインドコントロールの域だろう。安倍政権は、戦中の天皇礼賛の意味も知らない幼児たちに「君が代」を刷り込ませようとしている。そう受け止めるしかない。
 こう言うと、必ずネット右翼や安倍応援団たちは「国民が日本国旗と国歌に敬意を払って何が悪い」「日本人として当たり前の愛国」「命令に従わない公務員は処分されて当然」などと言い出すが、「日の丸」「君が代」をめぐる問題は個人の思想信条の問題だ。よく考えてほしい。国歌斉唱や国旗に起立をしないことが、いったい誰の権利を侵害しているというのか。
 むしろ、こうしたネトウヨたちの声こそ、安倍政権が拡大しようとしている「日の丸」「君が代」強制の本質を示しているだろう。ようするに、それは「国家に服従しない人間は反日である」という国家権力による圧力なのだ。究極的に向かう先は、どれだけ個人が嫌だと思っていても「お国のために死に、お国のために殺す」ことを強いられた戦中の再現に他ならない。
 その意味でも、今回のILOによる是正勧告は極めて重要だ。これまでどれだけ国際社会から指摘されても、都合の悪いことはほとんど無視してきた安倍政権の体質を考えると、勧告を素直に受け入れるとは思えないが、少なくともわたしたちは、現在の「日の丸」「君が代」強制をめぐる日本の状況がいかに異常であるかをあらためて胸に刻むべきである。


日本大学元副総長決死の告白「私たちは日本大学を訴えます」 OBとして言わねばならないことがある
田中 圭太郎 ジャーナリスト
刑事、民事、両方で
「日本大学は、昨年起こったアメリカンフットボール部の反則タックルの問題で、学生を守らない大学というイメージがついてしまいました。そのために、私学助成金は35%カットされ、今年の入試では志願者が大幅に減っています。
にもかかわらず、執行部はなぜそうなったのかを未だに総括していません。田中(英壽)理事長は、トップとして説明もせず、最悪の事態を招いた責任を明らかにしていないのです。
私も日大の出身で、母校愛は人並み以上にあります。それだけに残念で、このままの状態を許すわけにはいきません。大学を正常化させ、新しい日本大学像を提起するためにも、法の判断を仰ぐしかないという結論に至りました」
そう話すのは、日本大学の元副総長の牧野富夫氏。牧野氏は教員OBらが中心となって立ち上げた「新しい日本大学をつくる会(以後、つくる会)」の会長を務めている。
つくる会は「田中理事長の責任を明確にしなければ日大の改革はない」として、近く田中理事長を刑事告発する方針を固めた。さらに、日大の関係者を精神的に傷つけたとして、理事全員を相手取り損害賠償を求める民事訴訟を起こすことも検討している。
助成金カット、志願者大幅減のダブルパンチ
繰り返しになるが、きっかけはもちろんアメフト部の危険タックル問題だ。去年5月6日、日大アメフト部の選手が悪質なタックルで、関西学院大学の選手に大けがを負わせた。タックルをした選手は内田正人前監督や井上奨前コーチから指示があったと記者会見で証言したが、内田氏は指示を否定。井上氏も「潰せ」と指示したことは認めたものの、けがをさせる意図はなかったと述べた。
タックルをした選手は傷害容疑で書類送検されたが、刑事告訴された内田氏と井上氏は捜査の結果「容疑なし」と判断されたことは、これまで報道されている通りだ。内田氏と井上氏は大学を懲戒解雇されたが、内田氏は懲戒解雇処分の無効を求めて日大を提訴している。
しかしこの間、法人トップの田中理事長は、会見にも姿を見せず、一度も公の場で説明をしていない。トップとしての責任を明確にしないままいまに至っており、ここに、つくる会は激しく憤っているわけだ。
反則タックル事件からまもなく1年。日大をめぐる問題の現状をみていきたい。
日本私立学校振興・共済事業団は今年1月、日大に対して、2018年度の私学助成金を35%カットすることを決めた。金額にして約32億円の減額で、大学経営にとって大きな痛手となることは間違いない。
減額の直接の原因は2つある。1つは、医学部の不正入試問題。東京医科大の贈収賄事件をきっかけに、医学部の不正入試が明らかになったが、日大でも過去3年間に追加合格者を決める際、医学部卒業生の子どもを優先的に合格させていたことが明らかになった。
もう1つの原因となったのが、昨年5月のアメフト部の反則タックル問題。タックルした選手が元監督やコーチからの指示を主張したのに対して、「指示はなかった」と結論づけたことが、助成金大幅減額の一因となったのだ。
しかし、タックル問題への不適切な対応による影響は、助成金減額だけにとどまらなかった。
最も大きな影響を受けたのは、今年の入試だ。国内最大の学生数を誇る日大には夜間部と短期大学部を除くと16の学部がある。この16学部を合計した一般入試の入学志願者は、昨年が11万4316人だったのに対し、今年は9万9972人。1万4344人のマイナスだ。私立大学全体の志願者は前年よりも約4%増加している中で、日大は12.5%も減少したことになる。
日本大学の入学検定料は、学部によっても受験方式によっても違うが、一般入試では3万5000円の学部が多い。異なる方式を併願する場合は2学科目から安くなる。減少した志願者数から考えると、数億円の減収になっているのは間違いない。
志願者の激減は、危険タックル問題以降、大学のブランドイメージが大きく低下していることを物語っている。
来月にも告発へ
揺れる日大に危機感を持った元教職員らによって、「つくる会」が結成されたのは昨年9月。その一カ月前、元副総長の牧野富夫氏ら5人が、田中理事長以下32人の理事会メンバーに辞任を求める要求書を内容証明郵便で送付。それに対して27人が「応じることはできない」と回答したことから、牧野氏ら元副総長経験者と教員OBらが世話人となってつくる会を立ち上げた。
つくる会の関係者によると、設立目的は「権力闘争ではなく、日大を改革すること」だという。具体的には、一連の問題について田中理事長の責任を追及し、公正で透明性の高い大学運営を実現することや、各学部の自主性を尊重した研究と教育の体制づくりを掲げている。
その趣旨に、教職員OBや学生OBなどから多くの賛同が寄せられている。今年3月21日に渋谷区で開催したシンポジウムには90人が参加し、用意した会場が満員になった。さらに、300人以上から寄付が寄せられ、その金額はこれまでに350万円を超えたという。
「新しい日大をつくるしかない」
つくる会には、副総長や法学部長を歴任した沼野輝彦氏など、法学部出身の教職員OBも少なくない。田中理事長の責任を法的に追求する方法を検討し、弁護士とも協議して、早ければ来月にも刑事告発する方針を固めた。
告発の容疑は「背任」。田中理事長は反則タックル問題が起きている中で、自己の利益を優先させて責任ある対応をせず、その結果、大学に助成金の減額などの大きな損害を与えた疑いがある、というものだ。
さらに、民事訴訟も検討している。田中理事長のほか、日大の理事全員を相手取る可能性もあるという。反則タックル問題への対応で大学のイメージや評価がダウンしたことにより、学生や教職員など関係者が精神的に傷つけられたとして、慰謝料などの損害賠償を求める予定だ。裁判費用はクラウドファンディングによって支援を呼びかけることも検討しているという。
5月6日には、反則タックル問題から1年を迎える。その翌日の5月7日、つくる会は記者会見を開いて、田中理事長に対する刑事告発と、損害賠償を求める民事訴訟について詳細を明らかにする予定だ。あわせて、文部科学省に対して、日大を指導するように求める監督請求も行う考えだ。
つくる会の会長の牧野氏は、田中理事長体制の1期目では常務理事の職にあった。田中氏と同じ経済学部で、田中氏の先輩にあたる。つくる会を立ち上げる直前にも、理事長として説明責任を果たすように促したが、全く受け付けなかったという。
「田中理事長には直接面会して、記者会見で説明して責任を取るべきだと話しましたが、耳を傾けることはありませんでした。彼は理事長1期目のときはまだわれわれの意見に耳を傾けていたのですが、2期目から明らかに変貌した。
日大は私立大学の中で、最も大きな大学でもあります。経営側が教学をコントロールするいまの日大のスタイルを許してしまうと、日本の私立大学全体に影響を及ぼしてしまうのです。
私も日大のOBとして、いまの現状は残念でなりません。問題の責任をはっきりさせて、新しい日大をつくっていくしかないと考えています」
私学助成金のカットや志願者の大幅減といった事態を引き起こしているにもかかわらず、田中理事長が一向に説明責任を果たさなかったことで、告発と民事訴訟という異例の事態に発展することになった。日大をめぐる問題は、反則タックルから1年を経て、新たな局面を迎えることになる。


京大、学生自治寮「吉田寮」の寮生20人に明け渡し求め提訴
 京都大は26日、退去要請に応じず学生自治寮「吉田寮」(京都市左京区)の「現棟」に住み続けている寮生20人に対し、不法占有などとして明け渡しを求める訴訟を京都地裁に同日付で起こしたと発表した。京大によると、学生を相手取って提訴したケースは過去初めて。寮自治会は「法的手段で追い出すのは非常に残念」としている。
 1913年建築で木造2階建ての現棟について、京大は耐震性不足などを理由に昨年1月以降の入寮を禁じ、寮生には同9月末までの退寮を要求。反発する寮自治会との協議は決裂し、同10月に退去通告し、加入電話も止めていた。
 京大は今年1月と3月、提訴を視野に占有者を固定する仮処分を京都地裁に申し立て、約80人の居住を確認。その後の調査で現棟に住んでいることが確実な20人について、今月23日の大学役員会で提訴を決めた。記者会見した川添信介副学長は「学生に対するこれまでの指導が実らなかったのは残念だ」とコメント。他の寮生についても調査を進めた上で「提訴を排除しない」と説明した。
 退去問題については、寮自治会がシンポジウムを開くなどし、京大の「自由の学風」を巡る教員やOBも巻き込んだ議論に発展。寮自治会は現棟の保存、寮生による管理などを条件に退去を表明しているが、京大は協議に応じていない。寮生で文学部4年の男子学生(23)は「退去の準備は進めているが、大学とのコミュニケーションが大切。提訴でかえって退去が遅れる可能性もある」と話した。【菅沼舞】


京大吉田寮生に明け渡し求め提訴
京都大学の学生寮「吉田寮」について、大学は26日会見を開き、老朽化が問題となっている古い建物に住み続けている寮生側に対して、明け渡しを求める訴えを京都地方裁判所に起こしたことを明らかにしました。
京都大学の学生寮「吉田寮」のうち、古い建物については、老朽化のため地震で倒壊するおそれがあるとして、大学側は寮生に去年9月までに退去するよう求めたうえで、ことし1月、訴訟の前段階として居住者を法的に確認する手続きを行いました。
これに対し、寮生でつくる自治会は、ことし2月、古い建物からの退去に条件付きで応じるなどと譲歩する提案を大学側に提出しています。
この問題について、京都大学は会見を開き、寮の古い建物に住み続けている20人の寮生に対し、居住は不法だとして明け渡しを求める訴えを、26日午前、京都地方裁判所に起こしたことを明らかにしました。
会見で、京都大学の川添信介理事は、「寮生側の提案は理屈の通らない内容で、これ以上の話し合いは不可能だと判断した。提訴は重い決断だった」と説明しました。
そのうえで、川添理事は、提訴の対象となった寮生に対し、今後も、代わりの宿舎をあっせんする用意はあるとする一方で、今後の調査で古い建物にほかに住んでいることが確認されれば、追加で提訴する可能性もあるとしています。
【吉田寮自治会“残念”】
京都大学が学生寮「吉田寮」の寮生に対して建物の明け渡しを求める訴えを起こしたことについて、寮の自治会の代表で文学部4年生の松本拓海さんは、「法的手段に訴えた大学の対応は問題の早期解決を妨げるものであり、残念だ。自治会としては大学側との交渉を即座に決裂させることは考えていない。いちばん大事なのは目の前の問題を早急に解決することであり、そのために必要な話し合いを今後も求めていきたい」と話しています。


上野千鶴子アーカイブ 34年前の主張「おんな並みでどこが悪い」 女の問題は、もう女〈だけの〉問題ではない
2019年度・東京大学学部入学式で、上野千鶴子さん・同大学名誉教授(認定NPO法人 ウィメンズ アクション ネットワーク理事長)の祝辞が話題を呼びました。『婦人公論』には何度もご登場くださっている上野さん。最初にご登場いただいたのは、34年前、特集「女にとって実力とは」内の一論考です(1985年4月号)。祝辞の中で上野さんは「フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」と語りました。本論考の中でも、その思想に変わりはありません。今回、上野さんに許可を得て、掲載させていただきます。ご覧になってどう感じられますか? ぜひ皆様のご意見お待ちしています
「女の解放」についての古くさいイメージ
女性解放とは、女の自立とは、どんなことをさすのか、しだいにわかりにくくなっている。女性解放が即職場進出と信じられた時代とちがって、「女が仕事を持っても、必ずしも女性解放につながるとは言えない」と答える女性が約35%もいる(総理府「婦人に関する世論調査」1976年)。
食事ひとつ作れない男の生活無能力ぶりを見れば、「経済的自立だけが自立とは限らない」という議論も出てくる。豊かな社会の中で、主婦がたっぷり自由時間を持てる生活をエンジョイできるとなれば、「女に生まれてトク」をしたという考えもあらわれる。女性解放が、「被害者の正義」を叫んでいればよかった時代は、終わりつつあるようだ。
現に、アメリカのウィメンズ・リブの創始者、ベティ・フリーダンは、「私の娘はフェミニストと自分を呼びません」と言う。「なぜって、もう彼女たちの世代はフェミニスト(女性解放論者)である必要がなくなったからです」。
フリーダンのように女性解放がすでに達成された、と考えるほど私はオプティミスティックではないが、ともあれ「解放」のイメージが錯綜し、見えにくくなってきたことだけは、たしかである。それは、女の状況が、ここ二、三十年のあいだに、確実に変化してきたことを反映している。その変化の速度は、思ったより早い。もちろん大状況は絶望的なほど遅々として変わらないが、少なくとも女の意識と暮らしの変化は、世代の交替のスピードより早い。
それなのに、いやそれだからこそ、女の解放についての古くさい固定したイメージが、人々の頭にまだこびりついている。その混乱を解きほぐすために、確実に変化してきた女性解放の諸段階が、いまどこまで来ているかを、順を追ってふり返ってみることにしよう。
「仕事か家庭か」という二者択一の時代 
〜「女性解放」第鬼
女たちは、長い間「仕事か家庭か」という二者択一の問いを、迫られてきた。男たちは誰もこの問いを迫られないのだから、考えてみれば、おかしな話なのだが、「男は仕事・女は家庭」の近代型性別役割分担の中では、「結婚したら主婦」になるのは当たりまえのこととされていた。
もちろん、結婚を避けることで、性別役割分担の罠に陥ることをまぬがれる、という「最後の手段」が女にはいつも残っていた。私の教える女子短大のクラスには、今でも毎年一人か二人、「わたし、結婚なんかしません」と突っ張る学生がいて、その悲壮な顔つきを、私はやれやれ、と眺める。彼女たちは、結婚が女にとってワナだ、というところまでは知っているが、逆に言えば、結婚とはこうあるべきだという固定したイメージで、頭ががんじがらめになってしまっているのだ。だから、結婚のなかみを変えようとは思わずに、結婚からオリることしか考えない。
「仕事か家庭か」の二者択一の時代には、仕事の場にとどまる女たちは、〈非婚〉の女たち――未婚の若い女、嫁(い)きおくれのハイミス、死別した後家さん、離別女性――つまり、結婚の外側にいる、あるいは結婚からはみ出した女たちで、「働かなければ食べていけない、かわいそうな女たち」だった。
職業婦人といえば、すぐに、やせぎすでヒステリー気味のハイミスというステレオタイプのイメージがついてまわった。「おおこわ、また欲求不満のオバサンのヒステリーだぜ」という揶揄(やゆ)を避けるために、職場のベテラン女性社員は、声を荒げることにさえ、気を使わなければならなかった。職場に居すわる女たちは、ブスで色気のない、男にもてない嫁かず後家と陰口をたたかれたが、事実、男社会である職場でがんばってきた先輩キャリアウーマンたちは、自分の女らしさを圧し殺してきたと言える。
男まさりのキャリアウーマンと言われる人々は、結婚・家庭・子どもをあきらめ、女らしさを犠牲にして、男社会に伍してきた。いま五十代から六十代、戦後の混乱期に男女共学教育の洗礼を浴びて職場に進出し、まっしぐらに駆け抜けてきたあと、功成り名遂げて、さまざまな企業で「初の女性重役」の地位にたどり着いたキャリアウーマンのパイオニアたちの多くは、このタイプ――独身か若くして後家さんになった人たちだ。
彼女たちの多くは、ふっと後を振り返った時に、自分のあとに随(つ)いてくる女たちがあまりに少ないのを嘆く。彼女たちの共通点は、結婚問題に悩む若い女性や、子どもを持って苦労している世帯持ちの同性の労働者に対して、同情がないことだ。もちろん男社会の中で男に伍して働くには、「男の三倍働いて、やっと男なみに認められます」といった苦労はあるだろう。
このがんばりやの女性たちは、後輩の女たちが、自分と同じように努力しないのが歯がゆい。職場の同僚で、家庭持ちの女には、同情するどころか、かえって家庭を顧みずに働くことを強要する。「女の上司だから女に理解があるなんて、ウソっぱちね」と、若い女たちがあきれるほどだ。自分が家庭を放棄し、女らしさを犠牲にしてきたという被害者意識がどこかにあるから、同性にはかえって容赦がないのだろう。
●職場にとどまるなら100%の有能な職業人に
このタイプの職業婦人のひとつのパラドクスは、自分が有能な職業婦人であることと「女の幸福は結婚」と考える頭のなかとが、いっこうに矛盾しないことだ。たとえば明治期の職業婦人のパイオニア、女教師たちは、自分は結婚制度の外側にいながら、女生徒たちには結婚生活の理想を説いた。実践女学校の創設者下田歌子は独身女性、跡見女学校の跡見花蹊は若くして夫に死に別れた未亡人だったが、二人とも女子教育の理想に、「良妻賢母」主義を掲げた。
考えてみれば、教壇に立つ女教師が、女の幸せは結婚にある、自分をモデルにするな、と説くのだから奇妙な話だが、この「謎」は、こう解けば謎でなくなる。つまり、彼女たちは「結婚するなら100%の良き妻・良き母に、職場にとどまるなら100%の有能な職業人に」の二者択一のモラルを内面化して生きているのである。結婚したら職業は放棄〈すべき〉だし、職業を持てば結婚は断念〈すべき〉なのだ。そしてこの二者択一の中で、自分はたまたま職業の側にいるから、100%のよき職業人でいるが、だからと言って、女の子たちに家庭人としての教育を授けることには何の矛盾もない。自分は故あって結婚の外側にいるが、彼女の仕事は、女の子を結婚の中に送りこみ、良き妻・良き母とすることなのである。彼女はただ自分の価値観を若い世代の女性に伝えているにすぎない。
女らしさを抑圧し、女であることのハンディを努力で補ってもなお、男と伍して働く独身の女たちは分が悪い。一人身は気ラクでいいじゃないの、という予想とは反対に、世帯持ちの男たちには、専業主婦という強力な援軍がついているからだ。帰ればフロがわき、メシの仕度がしてあり、洗濯物は放り出しておけばきれいになって戻ってくる、という男たちとちがって、独りものの女は、身のまわりのことを何から何まで自分でやらなければならない。だから女たちは「私だってヨメサンほしいくらいよ」と悲鳴を上げる。
後顧の憂いなく夫を働かせる銃後の妻あってこそ成りたっている、日本の仕事優先の企業社会では、専業主婦のいない男や女は、不利なのだ。まして女房が共働きで、夫に家事分担を要求するに至っては、悪妻ここに極まることになる。
「仕事か子どもか」に悩み続けて 
〜「女性解放」第挟
「仕事か家庭か」という二者択一の図式は、今ではもう古典的になってきた。女たちはもう、職場で女らしさを犠牲にしようとは思わないし、働くと婚期を逸するなどとは誰も夢にも思わなくなっている。職場で女らしさを意識したファッションは歓迎されるし、ある調査によると、化粧っ気のない女より、化粧した女性の方が職場で有能だ、という結果が出ているくらいだ。
働く女性はモテない、どころか、職場にでも出ないと男に出会う場所もない。働いている女性は生き生きして魅力的だ、と考える男性もふえているし、少しぐらいは自分の仕事をわかってくれた方が妻にするには好都合だ、という考えもある。働く女は十分に相手を物色できるし、結婚と仕事の両立は、むずかしいことではない。
だが、それも子どもを産むまでのことである。ファミリイ・サイクル第鬼の「子なし・夫婦のみ」の時期に共働きをつづけるのは、今では全く何の障害もない。大人二人の生活のための家事労働なんてたかが知れているし、家事は大幅に省力化した。どのみち独り暮らしでやらなければならない家事・炊事を考えると、結婚したらかえって家事がラクになった、というケースもあるくらいだ。夫は昼間家にいないし、専業主婦になればもてあましたヒマをTVでつぶすぐらいしかない。だからいまでは「結婚退職」は、ほとんど現実性を失ってきている。代わって深刻になっているのが、「出産退職」である。
「仕事か家庭か」の問いのうち、「家庭」のなかみは、ひと口で「家事・育児」と言われるけれども、家事と育児はずい分ちがう。家事は省力化も手抜きもできるが、育児はそうはいかない。家事は自分のつごうに合わせて「まとめて料理」なんてできるが、育児は、「今日ヒマだからまとめて育児」、というわけにいかない。育児は相手のある仕事で、子どものつごうにこちらが合わせなければならないという点が、他の家事と決定的にちがう。
だから、子どもという他人、しかも親に依存せずには一日たりとも生きていけない他人をかかえこんだ家庭生活は、大人だけの生活とは、大きく変わらざるをえない。私の友人の一人は、「結婚する時は悩まなかったのに、子どもを産むときには迷い抜いた」と述懐する。結婚は彼女の生活を変えなかったが、子どもは生活のしかたを根こそぎ変えるからである。その上、夫は返品可能だが、子どもはいったん作ったら返品がきかない。
●あちら立てればこちらが立たず
女性解放の第二段階は、「仕事か家庭か」から「仕事か子どもか」へ移って来た。働く女たちは、自分が子どもを犠牲にしていることに悩んでいる。キャリアを追求する女たちにとっては、子どもは仕事と完全にトレードオフ(あちら立てればこちらが立たず)の関係にある。子どもを持つことを先に引きのばしながら、自分のキャリアを確立してきた女たちの間に、いまアメリカでも日本でも30代のベビーブームが起きている。女の生殖可能な生理年齢は、思ったより短いから、30代の声を聞いて、女たちは締切りを目前にあわてふためくのだ。子どもを持って働いている女性たちも、この「仕事か子どもか」の二者択一の問いを内面化しているせいで、子どもに対する罪の意識に悩まされつづけている。子どもたちは「鍵っ子」と呼ばれ、まわりの大人たちから「お母さん働いてるの。ボク、かわいそうね」とよけいな同情を受ける。スクスク育ってる子どもさえ、「そう、ボク、かわいそうなんだ」と納得してしまいかねない。
その上、「お母さん、あなたの育て方が、子どもの一生を決定します」と、科学的な装いのもとに心理学が母親を脅迫する。共働きの母親のステレオタイプは、インスタントのそうざいパックの味気ない料理、手抜き家事と雑然とした室内、その中でかまわれずに育つ哀れな子ども、という図式だ。やれ非行だ、自閉症だ、となると、すぐに母親が働いていたから、に結びつけられる。実際には、母親が働いていない〈ふつう〉の家庭の子の方が、非行を多く起こしているにもかかわらず、である。
言うに言えない苦労をしながら、かつ周囲の無理解と非難に耐えた上で仕事をつづけてもなお、子持ちの女は、職場で半人前に扱われるという口惜しさを味わわなければならない。やれ子どもの病気だと言っては休み、試験だと言っては残業を断る。「やめりゃいいんだよ」という同僚の冷たい視線を背中に感じながら退社する。母親の不安定な気持ちを映し出すように、子どもが情緒障害や問題行動を引きおこす。結局は涙をのんで退職する女たちを、私は何人も知っている。
「仕事も家庭も」こなすスーパーウーマンの登場
〜「女性解放」第郡
女性の職場進出がこんな暗いハナシばかりでいろどられていたら、そこまで犠牲を払って得られる自立なんてまっぴら、と女たちが思っても無理はない。けれど戦後三十年余、女たちは強くなりつづけて、「仕事も家庭も」らくらくこなす女たちが現われた。
今では、バリバリのキャリアウーマンが、結婚して子どもを持っていても誰も驚かないし、女っぽい粧いであらわれたら、かえってセンスの良さをほめるくらいだ。たとえば「仕事か家庭か」の時代の私たちのヒーロー――ヒロインと言うべきだろうか?――は、結婚もせず、子どもも持たず、この道一筋に歩んだ大先輩、市川房枝さんのような人だが、今日、「仕事も家庭も」の時代のモデルは、労働省婦人少年局長を経験した森山真弓さんのような人だ。彼女は、自分自身が高級官僚で、衆院議員の夫を立派に持ち、二児の母である。主婦としての役割をこなした上で、なおかつ、男顔負けの仕事をこなすスーパーウーマンである。
もちろん、こんな生活は、誰にもまねができるものではない。家庭と仕事と、いずれの領域においても一人前の仕事をこなす女たちは、つまり二人前以上の能力のあるスーパーウーマンたちで、彼女らは、能力と、何よりも体力と、そしてそれに劣らず運に恵まれている。こういう女性の周囲には、たいがい姑か実家の母がいて子育てを助けてくれているものだし、何より肉体的にタフである。自分も、そして夫も子どもも、健康でなくては、こんな生活はもつものではない。
いつの時代にも、こういうずば抜けたスーパーウーマンは、人口の何パーセントかいて、彼女たちの姿は女たちの希望の星になってきた。だが能力も体力もないふつうの女がこのまねをしようと思ったら、まずただちにカラダをこわすのがオチだ。無理をしてへこたれる女たちを、責めるのは酷である。無理をしてもへこたれない方が、とくべつなのである。
なるほど、仕事も家庭もさっそうとこなすわれらがスーパーウーマンの姿はきらきらしい。もちろん能力に劣らず努力もしていることだろうが、女だってがんばれば、あんなふうに自立と解放をかちとることができる、というモデルを提供してくれそうに見える。仕事も家庭も、と欲ばって、それを全部実現してしまう、女の自己実現のお手本のように思える。だが、概してこういう女性たちは、自分の能力と努力のレベルを標準にものを考えるから、自分なみに力もがんばりもないふつうの女たちに対して厳しい。彼女たちは、ダメな女の甘えを批判するが、その裏には、できる女のおごりがある。アメリカの社会学者は、これをうまく名づけて「女王蜂症候群」と呼んだ。
彼女たちは、ダメな同性の力とがんばりの無さが口惜しくてたまらない。「私がこんなにがんばってるのに、あなたたちが女一般の評判を悪くしてるのよ、女の足を引っ張るのは女だっていうのは、ほんとうね」と嘆く。「女ってやーね」と同性批判をする彼女たちに、男の同僚は「そうだ、そうだ」と便乗する。「女って、責任感がなくて、自分勝手で、視野が狭くて、そのくせ注意されるとすぐにヒステリーを起こす。あれじゃ、職場で差別されても無理はないよ」「ちょっと待って、あたしも女よ」と切り返す相手には、こう言ってやればいい――「キミ? キミはとくべつだよ。キミは、ふつうの女じゃない」。彼女は自己満足にニッコリすること、うけあいだ。
かつて、「仕事か家庭か」の時代には、「女は職業を持たない方がよい」、はては「持つべきでない」という通念が支配的だった。その中で職場に入っていった女たちは、職場の女性差別を覚悟の上だったし、差別はやむを得ない、当然だ、と思われていた。だが「仕事も家庭も」の時代には、能力のある女は職場にとどまってもいい、となり、その上有能な女性が家庭にひきこもるのは社会の損失だ、というところにまで考えが変わってきた。そういう能力も努力もともなった女性に対して、職場の女性差別があるのは不公正だ、と考えるところまで、世論は変化してきた。
●「そこまでやらなきゃならないんなら、わたしオリルわ」
ただし、職場の女性差別は不公正だ、と答える大多数の女性たちは、内心じくじたる思いを抱えている。がんばってるあの女(ひと)には悪いけど、わたしはあそこまでやりたくないわ。だから、ほどほどに、身を入れずに仕事をしている自分は、とても男子社員なみに働いてるとは言えないし――もちろん企業は、男子社員なみのやりがいのある仕事なんて、女にはやらせてくれない――だから自分の仕事ぶりを考えれば、差別されるのも仕方がないという気にもなる。
スーパーウーマンは、万人のモデルにはならない。彼女らのかがやかしい姿を見れば見るほど、できる女(ひと)はやればいい、わたしは足を引っ張るようなことはしたくない、でも自分にはとても無理だわ、とただの女は思ってしまう。それを見たできる女は、「だから女は」とくやしがる。女同士のちがいは開く一方だ。
事実、仕事と家庭を両立させようと悪戦苦闘している女性の生活は、すさまじい。見ているだけでこちらが疲れてしまうほどだ。その実状を見て、そこまでやらなきゃならないんなら、わたしオリルわ、とエリートならぬただの女(ひと)たちが思ったとして、誰が責められるだろう? 今の若い女性たちの意識は、やりたい女はやればいい、でも私はべつ、というものだ。自分の能力の限界を知っている女の子たちに、能力以上の努力をしないからと責めるのは、そちらの方が見当ちがいというものだろう。
「仕事も家庭も」の自己実現は、今までのところ、エリート女の自己解放だった。エリート女とただの女の食いちがいは、労基法の女子保護規定の改廃をめぐってあらわれている。「深夜労働の禁止」規定の廃止に賛成するのは、新聞、TVなどのマスコミ労働者と管理職の女性たちだ。なるほど事件を追いかけている婦人記者が、「ハイ十時です。規定ですからお帰り下さい」となれば、仕事にならないにちがいない。こんな保護規定があるから出世の妨げになる、と彼女たちが考えるのも無理はないが、彼女たちは何十倍もの難関をくぐって男社会にもぐりこんだエリート女性労働者だ。
深夜業務禁止規定がなくなれば、大多数の底辺労働者の間で、深夜勤を妨げる理由がなくなる。とりわけ、これから花形のコンピュータ産業の中で働く、オペレーターなどの〈底辺〉女子労働者たちは、機械を遊ばせておくのがもったいないという理由で、機械に合わせて深夜勤を強いられる、女工哀史の現代版になりかねない。
平等が欲しければ保護は手放せという「保護か平等か」の二者択一を、政府は女性に迫っている。女性運動家たちが、この一見もっともな政府案に、「保護も平等も」という「非論理」で闘っているのは、平等の代わりに男なみに働くことを強いられるなんて、まっぴらごめん、という考え方からだ。この「保護ヌキ平等」が、一部のエリート女たちを残して、大多数のただの女たちを、職場から切り捨てる結果になることを〈論理的〉に見抜いているからだ。
「仕事も家庭も」両方望んで、どこが悪いだろう
〜「女性解放」第鹸
「あなたは仕事と家庭を両立しますか?」という問いは、ふつう男には向けられない。「両立」は、女だけの課題であって、そのためには女は二人前の能力と努力を支払わなければならない。男たちはとっくに「仕事も家庭も」手に入れているというのに、彼らのその「両立」は、人並み以上の努力の結果だろうか? ただの男があたりまえのようにして手に入れている仕事と家庭と子どもを、女が手に入れようと思えば人並み以上の努力を払わなければならないなんて、どこかおかしいんじゃないか。
もちろん、ただの男が「仕事も家庭も」両立してこれた背景には、女に家庭責任を全部押しつけたせいがあるが、世の中では、大して能力のないただの男が、大して努力も払わないでちゃんと仕事を得ているし、家庭も子どもも持っている。だとしたら、ただの女が、大して努力をしなくても、「仕事も家庭も」両方望んで、どこが悪いだろう。「仕事も家庭も」パート気、エリート女の自己解放だとしたら、「仕事も家庭も」パート兇蓮△燭世僚の居直り解放だ。
とくべつな女でなくても、どんな女でも、仕事も家庭も両方持てて当たりまえ、というところにまで、女性解放の考え方は進んできている。フェミニズムのすそ野は大きく拡がって、大衆化した。そうなれば、ただの女が「仕事も家庭も」持てるための条件が必要になってくる。
かつて「仕事も家庭も」手に入れようとしたエリート女たちは、自分のがんばりで両立させるほかなかった。職場に出れば、家庭を顧みず男なみに働くことを要求された。そうしてはじめて、一人前の労働者だと認めてもらえた。
そういう女性にとって、「お子さんが病気だからすぐに引き取りに来て下さい」という保育所からの電話は、仕事の妨げになる災厄と聞こえただろう。おそるおそる退出していく自分の背中に、同僚男性の冷たい視線を感じ、ああこれでまた責任ある仕事をまわしてもらえない、と思う。女性たちは、こんな時、病児保育があったら、と切実に望んだものだ。
しかし子どもの側からすれば、それでなくても病気で不安に陥っているのに、行きなれた保育園じゃなくなじみのない病児保育施設に放りこまれるのは、もっとかなわないにちがいない。病児保育を、というのは、大人の側の要求だ。いや、母親本人の要求というよりも、職場の側の要求だ。病児保育の代わりに、堂々と休みをとって子どもの側にいてやって、どこが悪い。どのみち仕事は他人が代わっても大差ない、という程度のものだ。それにくらべれば、子どもにとって自分はかけがえのない存在じゃないか。
●「男なみに働く」からオリはじめる女たち
病児保育を、という要求は、今では子どもの看病休暇を、という要求にとって代わりつつある。この変化には、実は大へん大きな発想の転換がともなっている。職場の中で男なみに働いてはじめて一人前、という考え方から、女たちはオリはじめている。生活の中で自分にとって何が大事かを考えれば、家庭を切り捨てての労働なんて、まっぴらごめん、と女たちは思う。女たちは、仕事なんて家庭を犠牲にしてまでやる値うちのあるものだろうか、と思っている。仕事優先の考え方は、職場のつごうで、わたしのつごうじゃない。そもそも男たちが、仕事優先で家庭を顧みずに仕事にうちこんで来られたのは、家庭責任を女に任せっきりにしたおかげじゃなかったのか。
里心労働者、という言葉がある。職場で晩のオカズのことを考えている女性のことを言うのだそうだ。生活者なら、晩のオカズは大問題だ。男が晩のオカズのことを考えずにすんでいるのは、ヨメさんに任せっぱなしにしてるおかげにほかならない。里心労働者でどこが悪い――これが女の論理である。
女は家庭を支えながら仕事をしている。仕事を愛しているが、家庭を犠牲にしてまでうちこむ値うちのあるものとは思わない。これが健全な生活者のバランス感覚というものだ。「男なみ」を要求されるのはまっぴらだ、「女なみ」でどこが悪い――女の自信と実力は、ここまで来ている。
だからと言ってこれを、女性差別の口実にされるのは困る。男と女の間の平等を達成するには、二とおりの方法がある。一つは、女が「男なみ」になることである。長い間、女性解放は、この路線で考えられてきた。だから、男女平等とは、女が女らしさを失って男性化すること、と短絡的に考えられてきた。もう一つの方向は、逆に男が「女なみ」になることで両性が平等になる方法だ。女はとっくに職場進出を果たし、男社会の中に食いこんだ。今度は、男たちが、家庭に戻ってくる番じゃないのか。男たちの側で、「仕事と家庭」の〈両立〉が、問われるべきじゃないのだろうか。
念のために付け加えておくが、男の「女なみ」化は、安直に考えられているように、男が「女々しく」なること、男の中性化を意味しない。逆に、男らしさの囲いでやっと守られた男のやわなアイデンティティに、ほんとうの自信を回復させてあげる道だ。
あたりまえの女と男の解放
まとめて見よう。女性解放の道すじは次のような段階を追って進んできた。
 第鬼「仕事か家庭か」
 第挟「仕事か子どもか」
 第郡「仕事も家庭も」パート
 第鹸「仕事も家庭も」パート
私たちは現在第鹸にいる。が、あいかわらず、女性解放のイメージを、古めかしい鬼や郡のステレオタイプでとらえる人々がいる。頭を切り換えなければ、何が解放か、についての議論は混乱するばかりだ。
機銑郡から鹸への転換には、大きな飛躍がある。それは、価値観の転倒と言ってよい発想の転換だ。機銑郡の女性解放は、ひたすら女の努力によって達成されるものだった。それは女の側の問題であり、女〈だけの〉問題だったのである。第鹸には、女の努力だけでは限界があること、むしろ男の変化こそがかんじんかなめなのだ、ということがわかってくる。つまり、ただの女の解放のためには、男と女と子どもを含めた社会の変化が不可欠なのだ。もう女の問題は、女だけの問題ではなくなっている。
そして、第機銑郡から第鹸へのこの転換には、1975年の性別役割分担の廃止を明言した国連婦人差別撤廃条約が、大きな力を果たしていることは、もう多言を要さないだろう。
女の集まりで話をするたびに、真剣で熱気を帯びた彼女たちに向かって、口がさけても言いたくないことばがある。それは「がんばって」という一言だ。私は「がんばって」と他人に言うのもイヤだし、他人から言われるのもイヤだ。がんばりたくなんか、ないのだから。それでなくても、女はすでに十分にがんばってきた。がんばって、はじめて解放がえられるとすれば、当然すぎる。今、女たちがのぞんでいるのは、ただの女が、がんばらずに仕事も家庭も子どもも手に入れられる、あたりまえの女と男の解放なのである。
※本記事には、今日では不適切とみなされることもある語句が含まれますが、執筆当時の社会情勢や時代背景を鑑み、また著者の表現を尊重して、原文のまま掲出します
※原文で傍点を付されていた箇所については、〈 〉で囲みました


『報道特集』金平茂紀と室井佑月が激論! なぜメディアは沖縄を無視し、韓国ヘイトに覆われてしまったのか
『報道特集』(TBS)キャスターの金平茂紀氏をゲストに迎えた室井佑月の連載対談。前編では、安倍政権下で萎縮するジャーナリズムや御用メディア化、テレビの現場で何が起きているかを語ってもらったが、後編ではさらに、無視される沖縄基地問題と嫌韓報道の増殖、リベラルの退潮と排外主義の蔓延がなぜ起きたのか、にも踏み込む。ヒートアップするふたりの対論をぜひ最後まで読んでほしい。(編集部)
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室井 メディアの御用化について話してきたんだけど、私が怖いのは、直接的な圧力とか忖度で黙らされてるうちに、みんなの価値観じたいが変わりつつあるということなんです。昔は社内的にマイノリティでも、カッコいいジジイがいて、頑張っていた。本多勝一とか筑紫哲也とか、リベラル左寄りのカッコいいジャーナリスト、メディア関係者が多かったと思うけど、いまは逆。ヘイト発言をするネトウヨみたいな人や、「高齢者の終末医療費を打ち切れ」なんて新自由主義的な主張する古市憲寿みたいな人、体制寄りの人がもてはやされて支持される。百田尚樹や高須クリニッックの高須克弥院長にも熱狂的ファンが付いている。いま、なんでこっち側が「カッコいい」と思ってもらえないんだろう。カッコよければ流れも変わると思うのに。
金平 “カッコいい”。それは大事なキーワードで、今後考えなければならないテーマだね。たとえば沖縄のキャンプシュワブの前で座り込んでいる人たちのスタイルは、確かにカッコよくはない。沖縄平和運動センター議長の山城博治さんとかが「すっわりっこめ〜♪ここへ〜♪」と歌うように促して。これって1950年代の三井三池闘争のときの労働運動歌なんです。それじゃあ若い人はついてこない。安保法制のときのSEALDsの成功を見て、ラップなど新しい試みが必要だね。ところが、いまの若者のなかには、「人と違ったりすることが嫌」という意識も大きい。自分の意見を自分だけで言うのがストレスだと。でも、戦前には自分の主張を貫いた若者もいた。先日『金子文子と朴烈』という韓国映画を観たんです。金子文子は大正天皇の暗殺を計画していたとされ、大逆罪で逮捕有罪(死刑判決、のちに無期に減刑)になった人物だけど、公判で「天皇陛下だって人間だろう。クソも小便もするだろう」と言い放ったらしい。それを演じる韓国人女優のチェ・ヒソもめちゃくちゃ魅力的で、セリフも自分たちで公判記録に基づいてつくって。“天皇陛下だって人間”のセリフも再現している。
室井 カッコいい人はいるんだもの。でも、それが広がらないしムーブメントにならない。若い人たちにもなかなか受け入れられない。そもそも弱者でもある若い人が、自分たちの首を絞めてる安倍政権を応援しているんだから。そういう人に議論を挑んだりもするけど、「自民党以外にどこがあるの?」「安倍首相以外、適任者いないですよ」なんて言われるだけ。
金平 僕も絶望的な気持ちになることもありますよ。僕からすると「格好いいな」と思う若い人はいるんです。でも、同世代にとってそういう若者は「怖くてついていけない」存在らしいしね。ラディカルだったり、自分で考え主張することを嫌う。お利口で聞き分けがいい。しかも30代、40代のメデア企業でいうと編集長とかデスク、キャップクラスがものすごい勢いで保守化している。韓国の金浦空港で厚生労働省の幹部が酔ってヘイト発言して逮捕されたけど、メディア関係者だって「いまの韓国政権なんか大嫌いだからあんなの叩きゃいいんだよ」って平気で口にする人もいるんだから。
ポータルサイトに氾濫する産経の記事、無視される沖縄の米軍基地問題
室井 そうした保守化というより国粋主義・排外主義化ってどうしてなの? わたしには本当に理解できない。
金平 はっきり言うとお勉強していないんです。たとえばここ数年、ベネズエラでは深刻な経済危機で略奪が頻発し、強権的な政権の下、危機的状況が続いている。でも、ベネズエラのことを語るとき、南米の国々が、これまでアメリカにどんなことをされてきたかを知らないと、まともな報道はできないはずです。しかしそうした歴史に興味を示さないし、勉強しない。
室井 勉強じゃなくても、映画とか小説からとかでもいいのにね。わたしはそうして勉強した。
金平 みんなスマホしか見てないからね(笑)。これってすごい大事なことで、つまり、知識を得るときに、最初の入り口がスマホだと、ここで目にするのはポータルサイト。そしてそこにはライツフリーの産経の記事が氾濫している。僕のようにアナログ世代は、新聞を読み比べることでリテラシーを取得してきたけど、それがない。しかもネットニュースの字数は少ないから、ロジカルに物事を考える機会も少なくなる。しかもコミュニケーションの基本が変わってきているから、考え方も大きく変わる。僕らの仕事も、スマホとPCがないとなりたたなくなっている。
室井 価値観も大きく違っちゃってるしね。でも、ある意味、楽。若い編集者は飲み会もしないし誘ってもこない。原稿をメールで送って終わりだから(笑)。
金平 でも、そうした変化には弊害も感じますよ。ポリティカル・コレクトネス(PC)ってあるじゃない。PCがあらゆるところに行き渡った社会ってどういう社会になるかって話をある哲学者が書いていたけど。ベトナム戦争の時代にアメリカ軍が空爆してナパーム弾で村が焼かれて、裸の女の子が逃げてくるピューリッツァー賞を取った写真があった。戦争の悲惨さを伝える写真の一枚でベトナム戦争終結にも寄与したはずだけど、いまあれはダメなんだって。女の子が真っ裸で局部も写っているから、PC的に言うとNG、ダメだと。その話を聞いてびっくりして。それがまかり通ってる。
室井 すごい時代になった。文脈とか一切無視なんだね。効率主義がここまできたのか。
金平 だから右の政治家たちが「文学部とか廃止しよう」なんて言い出す。そしてポスト・ヒューマニティ、つまりAI・人新世・加速主義といった社会の諸問題が絡み合うという新潮流のことだけで。でも、効率主義で言うと、これは実は沖縄問題にも通じると思っています。沖縄の基地や経済について東京のメディアは「面倒臭い、関わりたくない、数字取れない」と。沖縄のことは自分たちに関係ないというスタンスがまかり通る。彼らにとって沖縄のことは実感がない=バーチャルなんでしょうね。それがいまの沖縄と本土、そして政府との関係を二重写しにしている。だから沖縄タイムスや琉球新聞が報道しようが、東京のメディア関係者には関心さえない。これはひどいよね。
室井 基地だって、アメリカのまともな学者や軍人は「いらない」って言ってるんでしょ。しかも沖縄では1995年に小学生の少女がアメリカ兵3人に暴行されたというひどい事件があったじゃないですか。それで沖縄だけじゃなく日本全体が反基地・反米感情で盛り上がって。でも、いまは沖縄問題を取り上げない。テレビ関係者は「視聴率が取れない」って言うけど、それは言い訳で嘘だと思う。東京オリンピックだってこれからますます盛り上げる気満々でしょ? テレビで取り上げた商品も爆発的に売れるでしょ? そう考えると、能力はあるくせに、基地問題をやろうとしない。安倍政権になって沖縄と政府の関係が悪くなって。だから忖度している部分もあるんじゃないかと勘ぐってます。
局内にアンチ筑紫哲也の人たちがたくさんいることに気づかなかった
金平 残念ながら、いま僕が担当している番組だって、「沖縄の基地問題をやろう」って言ってもあまり反応はないと思います。生活密着型と称して、身近な、小さなストーリーを取り上げるのは一定の意味はあるでしょう。けれども一方で、社会的なこと、政治的なこと、世界のホットスポットで起きている論争や対立を取り上げることは、どこかで面倒臭いという意識が強いのではないかと思う。
室井 でも、韓国軍のレーダー照射問題とかは喜んで延々と放送して。みんな拳をあげて「けしからん。韓国許せない」って。政治評論家もコメンテーターも煽ったほうが儲かるからか、煽る煽る。しかもネトウヨ評論家になったほうが、講演の仕事も来るし。わたしは安倍政権前は講演がたくさんあったのに、いまはほとんどこない! 原発事故もそう。放射能はきちんと測るべきと言ったらバッシングされ、メディア関係者も「そういうことを言うのはいじめだ。福島の物を食べて応援しよう」って。食べてもいいけど、まず測れって言っただけなのに。本当に変な世界にいると思っちゃった。
金平 すぐに風評被害を持ち出すのがメディア。子どもの甲状腺がんにしても、すごい数になったら「検査をしちゃいけない」って。室井さんの言うように本当に変な世界に迷い込んだようだ。昨年、文科省の放射線副読本が改定され、そこから「汚染」という文字が全部消えた。その代わりに強調されるようになったのが、「復興」と「いじめ」という言葉なんですから。
室井 でも、こうして金平さんと話していると、考え方は似てるけど、ひとつ違うのは年代です。金平さんの時代は筑紫さんとかカッコいいジャーナリストがいたけど、わたしたちの世代にはいない。上の世代から引き継げなかった。
金平 僕らの時代にしても、先行世代の背中は見てた。日本赤軍とか連続企業爆破とか、三島由紀夫とか。それらの現象は、内実が解明されないまま、いまだに突出している、宙づりになっている、と僕は思ってるんです。そして、幸いなことに筑紫哲也というオヤジがいた。一緒に何でも話し合い、好き放題できた。迂闊だったのは、それを快く思っていなかった人が局内にいっぱいいたってこと。気づかなかった(笑)。だから筑紫さんが死んだ瞬間に、「なんだこのやろう」と反発を受けた。本当に迂闊だった。いまのテレビがなぜダメになったかというと、こうした継承がうまくいかなかったというのはあると思う。
室井 それで逆に左翼オヤジでもヒドいのが広河隆一。あれは本当に許せない!
金平 実際、ひどいことをされた被害者がいっぱいいたわけで、僕も申し訳ないけど、知らなくて。昔、「DAYS JAPAN」のDAYS国際フォトジャーナリズム大賞の審査委員を3、4年やったけど、結構勉強になったんです。3日間くらい写真ばかり見るんだけど、報道写真は目に焼きついているものが多い。広河さんが編集部でそんな権勢をふるって、そんなことをやっていたなんて思いもよらなかった。
室井 御用ジャーナリスト山口敬之の事件と重なっちゃう部分もあるしね。自分の立場を利用したっていう。でも、山口事件のような、体制寄りの人が、性暴力ふるってもあちらの陣営は権力を使ってもみ消すけど、広河さんみたいな人がやると致命的になる。わたしが正直に思うのは、右のオヤジと左のオヤジがいて、両方女性差別主義者なんだけど、右のオヤジは「女は自分より下で弱いものだ」と思っているから庇ってくれることもある。でも左のオヤジはそれさえなくて、ただ差別してくる(笑)。「どうせバカなんだから」って。女性差別オヤジで言うと、右も左もひどい。ちなみに左のオヤジは食事しても割り勘にしようとする。でも右のオヤジは「俺が払うよ」って金は払う。
金平 わかりやすすぎる。ただそれでその人の、写真家としての業績も同じように終わっちゃう、全否定されるというのは……難しい問題も残りますね。
室井 ピエール瀧が逮捕されたときに作品をお蔵入りにしたのとも似ている話で、ピエールには被害者がいないけど、広河問題は被害者がいる。単なる愛人問題とかじゃなく、性暴力の問題だから。
エコー・チェンバー・エフェクトをどう乗り越えるか
室井 それにしても金平さんと話していると、メディア状況は最悪だし、その背後の安倍政権を言葉や言論によって倒せそうにないし、どうしたらいいんですか!
金平 並大抵じゃないんですよ。今回の対談もそうだけど、結局、室井さんと僕の考え、ベースは同じでしょ。それは市民運動をやってる人たちや、“良心的”ジャーナリストなどもそう。“内輪”だけで話をしても、「そうだよね」「そうだよね」となる。それは密室のエコー・チェンバー・エフェクト、こだまになっちゃう。これではやはり、政権は倒れないし、カッコ悪いと思っていて。そこから一歩進んで、安倍政権を支持している人々とも対話する。マイケル・ムーア監督の映画『華氏119』なんかいい例だと思うけど、ムーアはドナルド・トランプの熱狂的支持者と話をすることで、トランプ大統領を誕生させたアメリカ社会に切り込んだ。そして全員が「トランプ! アメリカファースト!」と叫んでいるなかで、講演をする。すごかったのが「お前たちの言っていることはわかるし、だけどお前たちも俺もアメリカ人で、こういう方向を目指してたじゃないか」って言うと、みんなトランプ支持者だった奴らが泣き出して。最後は「マイケル・ムーアが選挙出ろ!」みたいなことになる。日本でもこれは可能なんじゃないか。もちろんネトウヨや在特会なんかはしんどいかもしれないけど、安倍政権を支持している普通の人とは会話ができると思っている。「他に誰がいるの?」くらいに思っている人たちって、結構いっぱいいるはずだからね。
室井 確かに、一方的なテレビの報道で、ここ数年で考える正義の方向性がちょっと歪んでしまった人、いびつになっちゃった人って多いかもね。でも、そういう人たちに対して、上から目線で距離を置いたり、自分が無関係なスタンスを大人だと考えている人はずるいよね。
金平 安倍首相の自民党総裁4選も大っぴらに語られているし、元号が変わって大騒ぎしてるけど、このままでは何も変わらない。変わったのはむしろ若い人たちの考え方、思考様式だと思う。望月衣塑子記者の件でも思ったけど、たとえばスマホの普及で、スマホ的価値、つまり記者会見で「なに面倒臭いこと言ってるんだよ」「もっと簡略にお願いします」「質問は10秒以内」などと邪魔する人間は、すでにそうした価値観に毒されている。ロジカルに長々と質問することだって記者にとっては大切なはずだし、面倒臭いことは大切なんことだと思う。面倒臭い奴は必要だとさえ思う。
室井 わたし、生まれたときからずっと面倒臭い人間だから。あっ、金平さんも同じだね。

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Affaire Narumi : une demande d'extradition du suspect chilien va être formalisée
L'ancien petit-ami de Narumi est le principal suspect dans la disparition de l'étudiante japonaise en 2016, à Besançon.
Une demande d’extradition du Chilien Nicolas Zepeda Contreras, principal suspect dans la disparition fin 2016 à Besançon de l’étudiante japonaise Narumi Kurosaki, sera ≪formalisée≫ à l’automne, a annoncé jeudi le procureur de la République de Besançon.
≪La perspective d’une demande d’extradition va être formalisée à l’automne par les autorités judiciaires françaises aux autorités judiciaires chiliennes≫, a déclaré Etienne Manteaux lors d’une conférence de presse organisée à son retour d’un déplacement au Chili. ≪Extradition ou non, (...) la seule certitude, c’est qu’il y aura un procès à Besançon≫, a-t-il ajouté.
Étudiante en français, Narumi a disparu dans la nuit du 4 au 5 décembre 2016, alors qu’elle avait regagné ce soir-là, accompagnée de Contreras, sa chambre sur le campus universitaire franc-comtois. Elle avait rencontré le Chilien deux ans plus tôt au Japon. Une relation était née, que Narumi avait souhaité stopper mi-2016. Le Chilien est la dernière personne qui a vu Narumi vivante.
La sœur de Narumi témoigne : “Nicolas Zepeda-Contreras est coupable’’
Pour la première fois depuis la disparition de sa sœur Narumi, fin 2016 à Besançon, Honami Kurosaki accepte de témoigner dans la presse. La jeune étudiante livre à L’Est Républicain son sentiment sur Nicolas Zepeda-Contreras, qu'elle pense ≪ bien sûr coupable ≫, tout en évoquant la souffrance des siens. Le tout avec une grande pudeur.
C’est finalement par écrit qu’Honami, l’une des deux sœurs de Narumi Kurosaki, a accepté de répondre aux questions de L’Est Républicain. Étudiante de 21 ans, l’âge qu’avait Narumi lorsqu’elle a mystérieusement disparu du campus de Besançon, Honami a rompu le silence que s’imposait sa famille. Elle lève, avec pudeur, le voile sur le cauchemar intime vécu par les siens. Aux yeux d'Honami, la culpabilité de Nicolas Zepeda-Contreras ne fait plus aucun doute. "Ce qu’il voulait, c’était avoir Narumi pour lui tout seul", confie la jeune Japonaise. Entretien.
Comment aviez-vous appris, à l’époque, que Narumi était portée disparue ?
J’ai été informée de la disparition de ma sœur par l’université de Tsukuba (où était scolarisée Narumi, N.D.L.R.), par un coup de téléphone.
Qu’avez-vous d’abord pensé, lors des premiers jours ayant suivi cette annonce ?
Je me suis dit qu’on allait la retrouver. Je n’ai pas compris que c’était aussi grave…
Face au vide laissé par la disparition de Narumi, dans quel état d’esprit êtes-vous aujourd’hui ?
C’est tellement difficile que je ne trouve pas les mots… Quand elle était à Besançon, j’étais en contact avec ma sœur chaque jour. La dernière fois que je l’ai vraiment vue, c’est quand elle a quitté le Japon pour venir en France.
Comment vos parents réagissent-ils face à cette situation ?
Je crois que mes parents n’espèrent plus que la vérité… Ma mère est tombée très malade, mentalement et physiquement. Elle ne quitte plus son lit depuis quelques temps.
Pourquoi était-ce si important, en juin dernier, de faire le voyage jusqu’à Besançon ?
C’était tellement difficile pour nous que je ne peux pas l’exprimer, mais mes parents et moi avons fait ce qui nous paraissait être le mieux pour Narumi. Rencontrer notre avocate Me Sylvie Galley était également très important pour nous. Nous voulions que les choses avancent.
Selon vous, qu’est ce qu’il a pu se passer dans la chambre de votre sœur, cette nuit-là ?
Je n’arrive pas à répondre à cette question…
La police suspecte Nicolas Zepeda-Contreras du pire : pensez-vous qu’il est coupable ?
Oui. Bien sûr qu’il est coupable.
Vous l’avez déjà rencontré, quel genre de personne était-il avec Narumi ?
J’ai passé beaucoup de temps avec Narumi et lui. Il était gentil avec moi, mais tout ce qu’il voulait, c’était avoir Narumi pour lui tout seul. Il prenait pour acquis le fait que Narumi lui donne la priorité dans sa vie, plutôt qu’à sa famille. Je ne pouvais par exemple pas profiter du temps avec ma sœur, quand elle revenait de Tsukuba et qu’elle rentrait à la maison.
Est-ce que Nicolas Zepeda-Contreras est entré en contact avec vous ou votre famille depuis le 5 décembre 2016 ?
Non.
"L'espoir d'une famille" finalement vain
Me Sylvie Galley, avocate de la famille Kurosaki.
Comme l'expliquait son avocate Me Galley, la famille de Narumi Kurosaki espérait que l'interrogatoire de Nicolas Zepeda-Contreras permette de lever le mystère entourant la disparition de l'étudiante nippone. Un vœux resté vain : face aux magistrats français et chiliens, mercredi 17 avril dernier à Santiago, le suspect a préféré garder le silence.
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フランス語の勉強?
ETV特集「連合赤軍 終わりなき旅」
連合赤軍事件から47年。事件の記憶が薄れていく中、連合赤軍とは何だったのか知りたいと、取材班は7年前から、服役を終えた元メンバーへの取材を続けてきた。理想の社会を目指しながら、数多くの人々の命をあやめるという大きな過ちを犯してしまったメンバーたち。終わりなき、葛藤の人生を追った。 國村隼
やまと むすひ @enmusubi_happy
3月から、#京大 は、#吉田寮 に対し、理事の寮生恫喝、即、対話拒否等の一方的な権限行使を休止、対話を模索している事は歓迎です。が、対話の主要論点に関し自らの主張への事前同意の条件付けや適切な修繕、管理の自らの不履行の説明無き一方的な非難では、従来通りの対話拒否にも見えるので再考を!
釜ヶ崎 センター開放通信 @OpenKamaCenter
何度でも言おう。老朽化を口実にするなら、労働福祉センターの階上にある医療センターも閉鎖しなければ辻褄が合わない。それなのに医療センターは閉鎖されてないし、閉鎖されるのは2年後だという。つまり行政はセンターが老朽化で危険な建物だと考えていないのだ。なぜ労働者だけが追い出されるんだ!

前から気になっていた9V製品.アマゾンで注文しました!使い心地はどうかな?
4月の促進者報告をしていなかったので,その依頼をしました.連休明けでOKです.
いい?思いつきかな?予定変更を検討しています.

南三陸町 生涯学習センター再建
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた南三陸町で、中心街にあった公民館と図書館が「生涯学習センター」として再建され、町が管理する公共施設はこれですべて再建されました。
南三陸町は、震災の津波で全壊した街の中心部の公民館と図書館を統合して「生涯学習センター」として再建を進め、25日、オープンを迎えました。
記念の式典には、住民や町の職員などおよそ100人が出席し、テープカットのあと、地元の保育所の子どもたちが歌を歌って開館を祝いました。
「生涯学習センター」は、町の小学校や保育所に近い高台の住宅団地に整備され、木造一部鉄骨造りの平屋建てで木材の8割に町内の杉が使われています。
建物には、住民がサークル活動などを行う研修室や多目的ホールとともに、3万5000冊ほどの蔵書がある図書スペースが設けられています。
「生涯学習センター」の完成で、震災の津波で被災した南三陸町が管理する公共施設は、震災から8年を経てすべて再建されました。
南三陸町の佐藤仁町長は「公共施設がすべて復旧したのは感慨深い。この施設が住民や子どもたちの憩いの場所になってくれればと思う」と話していました。


被災のマリンスポーツ施設が再建
東日本大震災で被害を受けた亘理町のマリンスポーツ施設が8年ぶりに再建され営業を再開しました。
亘理町荒浜地区に昭和57年に設立された「亘理町B&G海洋センター」は、マリンスポーツの遊具を貸し出す町営施設ですが、震災の津波で建物が流され、亘理町は1億400万円をかけて震災前と同じ場所に再建しました。
25日は役場の担当者や地元住民の代表などおよそ30人が集まって記念式典を行い、施設の再開を祝いました。
亘理町B&G海洋センターでは、水上バイクやカヌーなどを有料で貸し出すほか、町内の小学生たちに海に親しんでもらうための催しやライフジャケットを着た救命訓練の体験会などを定期的に行っていくということで、マリンスポーツを通して地域の交流人口を拡大することが期待されています。
施設の運営を委託された海族DMCの太見洋介代表は「震災から8年が経過し、海離れも進むなかで、マリンスポーツを通して海に親しんでもらい沿岸部の復興を促進できる施設にしたいと思っています」と話していました。


「かわまちてらす閖上」オープン
震災で大きな被害を受けた名取市閖上地区に、25日、初めての商業施設「かわまちてらす閖上」がオープンしました。
被災地ににぎわいを取り戻す拠点として期待されています。
名取市閖上地区の「かわまちてらす閖上」は、市や出店業者が出資する会社が名取川の堤防に3億円あまりをかけて建設した地区で初めての商業施設です。
25日は関係者がテープカットを行い、オープンを祝いました。
施設に入るのは飲食店や青果店、鮮魚店、それに美容室など27店舗で、このうち9店舗は震災で被災し、仮設商店街などで営業を続け、8年余りを経て地元に戻ってきました。
各店舗はオープンを記念して、取れたての野菜や県内で水揚げされた海産物を格安で販売し、大勢の人でにぎわっていました。
閖上地区では、これまで災害公営住宅など住まいの再建は進んだものの、買い物など生活環境の整備が課題になっていました。
閖上に住む20代の女性は「きょうは大好きなホヤが安かったので、たくさん買いました。とてもにぎやかな閖上に戻ってきたと実感します」と話していました。
施設を運営する「かわまちてらす閖上」の櫻井広行社長は「震災で何もかもなくなったことが昔のことだと感じられるほど、多くの人が来てくれました。これから商売を繁盛させて、若い人が増えるような町にしていきたいです」と話していました。


<再出発・かわまちてらす閖上>(下)私の部屋ふるる/語りの輪 女性和ます
 名取市閖上の商業施設「かわまちてらす閖上」がプレオープンした22日、美容室「私の部屋ふるる」は開店を待ちわびた常連客の笑顔であふれた。
 「待っていてくれるお客さんがいるのは幸せ。人が集まってくるのがいい」と、店主の中橋栄子さん(69)。手際よく来店客の髪を整えながら、軽妙な語り口で世間話の輪を盛り上げる。
<無料送迎評判に>
 東日本大震災後、閖上に戻るつもりはなかった。
 1978年から閖上4丁目に構えた旧店舗は改装したばかりだったが、震災の津波に襲われ、跡形もなく流された。中橋さんも迫る津波から必死に逃げ、「今でも生きていることが不思議」と思える体験をした。
 「閖上には絶対に戻らない。戻れる場所じゃない」。古里を思い出すだけで頭が痛くなった。
 名取市美田園の仮設店舗「閖上さいかい市場」で、美容室を再開したのは2012年2月。市内の仮設住宅などから利用客を無料送迎し、評判を呼んだ。
 一人きりの仮設住宅で誰とも会話することなく過ごす客らが訪れ、被災地の現実と向き合った。「みんな疲れている。女性が気分をすっきりさせる場所も必要」。色とりどりの花で店内を彩るなど居心地の良い空間づくりにも心を砕いた。
<毎朝犠牲者弔う>
 さいかい市場で仕事を続けて7年。「泣かない日はなかったけど、涙して地固まったかな」。震災からの歳月がかたくなだった心を和らげ、閖上に再び店を構えようという気になった。
 毎朝、東の方角に向かい、犠牲者に手を合わせる。客足は震災前に比べ5分の1程度に落ち込み、先行きも不透明だが、「あのとき死んだと思えば怖くない」ときっぱり。「(被災者らに)寄り添う場所でありたい」と願う。
[メ モ]ふるるパーマ7300円、カラーリング6300円、カット3300円など。着付けも受け付けている。営業時間は午前10時〜午後6時で、毎週火曜と第1、3日曜は定休。予約優先。連絡先は022(385)8048。


切手の唾液で身元判明遺骨遺族へ
 東日本大震災の約1カ月後に石巻市泊浜で見つかった身元不明遺体が宮城県女川町女川浜の平塚真澄さん=当時(60)=と判明したことを受け、県警は24日、市が保管していた遺骨と遺品を遺族に引き渡した。
 平塚さんの異母弟で八戸市の農業鈴木正樹さん(47)ら3人が、石巻市南境の石巻霊園で引き渡しを受けた。鈴木さんは「ほぼ諦めかけていたがやっと対面できた」と語った。
 鈴木さんは15歳の頃、父親の葬儀で平塚さんと初めて会った。平塚さんはスタイリストをしており、明るい性格だったという。「突然姿を現すのではないかと思ってきた。(亡くなったことの)実感がようやく持てる」と話した。近く平塚さんの母親が眠る女川町内の墓地に納骨する。
 県警作成の似顔絵を見た鈴木さんのいとこの女性(53)=気仙沼市=が鈴木さんに似ていることに気付き、3月16日に気仙沼署に出向いて情報提供した。女性は取材に「ずっと胸に引っ掛かっていた。平塚さんが母親と一緒に埋葬されると聞いて、本当に良かった」と語った。
 平塚さんの遺体は震災後の2011年4月9日、泊浜漁港の防波堤近くで見つかった。親族が同4日に行方不明届を出していたが、身元は特定されずにいた。
 平塚さんの身元判明により、県内で発見された身元不明遺体は9体となった。県警捜査1課の菅原信一検視官は「今回のようにわずかな情報でも身元判明につながる」と述べ、改めて情報提供を呼び掛けた。


河北抄
 阪神から東北へ。被災地復興への祈りを音楽でつなぐ機会になりそうだ。
 石巻市の石巻栄光教会で27日にあるチャリティーコンサート。神戸市の教会でも同時に別の有料コンサートが開かれる。途中、インターネット電話「スカイプ」で二つの会場を結び、演奏を聴く。YMCA後援団体の石巻広域、神戸ポートの両ワイズメンズクラブが企画した。神戸会場での収益は、災害公営住宅の集会所訪問といった支援に取り組む石巻のクラブの活動費に充てる。
 石巻会場にはゴスペルデュオや石巻好文館高吹奏楽部、児童生徒のジャズオーケストラが出演。地元の中小企業が福祉事業所との連携で作った水産加工品を神戸に向けてPRする。
 復興の支援者を支えるコンサートの趣旨は神戸のクラブ関係者のアイデア。石巻会場の司会を務める石巻栄光教会牧師の川上直哉さん(45)は「ネットワークの強みを生かし、つながりの大切さを確かめる場になれば」と願う。午後1時半開演で入場無料。連絡先は川上さん090(1373)3652。


尼崎事故14年/いまだ遠い「安全最優先」
 乗客106人が犠牲になった尼崎JR脱線事故は、きょうで発生から14年になる。
 JR西日本は今年の慰霊式を、事故現場一帯に整備した追悼施設「祈りの杜(もり)」で開く。木々で囲まれた慰霊碑には、遺族から「生々しさを消そうとしている」との批判が上がる。
 悲惨な記憶が、JR西の社内で風化しかねない。遺族らがそんな懸念を強く抱くのは、事故を招いた企業体質の刷新が、いまだ道遠しと受け取れる出来事が相次いでいるからだ。
 新幹線「のぞみ」が破断寸前の台車で運行を続けた問題で、国の運輸安全委員会は異音があっても終点まで走らせるのが「恒常化していた」と指摘した。新幹線のトンネル内に社員を座らせ、高速走行の風圧を体感させる危険な研修を行っていたことも明るみに出た。
 安全点検より運行継続を優先する。研修でも社員の安全を軽視する。尼崎事故の教訓をないがしろにする対応に、社内で異論は出なかったのか。
 経営陣を筆頭に全社員が安全を行動原理として心に刻み、実践に移せるよう、不断の努力を続けねばならない。
 6月には、1991年に発生した信楽高原鉄道事故の遺族や弁護士らでつくる民間組織「鉄道安全推進会議(TASK)」が、26年の歴史に幕を下ろす。
 真相究明や再発防止を国に求め、鉄道事故調査の専門組織設置を実現させた。国土交通省が公共交通事故被害者の支援窓口を設けたのも、尼崎事故の遺族らとともに申し入れを重ねた成果だ。遺族の無念が、行政を動かす力となった。
 一方、大企業は多くの部署に責任が分散し、自らの努力だけでは体質は容易に改まらない。死亡事故などを起こした企業・団体の刑事責任を問う「組織罰」の法整備を前向きに検討する必要がある。
 「祈りの杜」では、衝突の痕跡を残すマンションの現場に遺族らが花や菓子などを供える。時を経ても、肉親や友人を失った悲しみは心に重くのしかかり続ける。
 それが少しでも和らぐ日がくるとすれば、安全最優先の企業に変貌を遂げたと、JR西が社会の評価を受けるときだ。


JR福知山線脱線事故14年 追悼施設で慰霊式
乗客など合わせて107人が死亡したJR福知山線の脱線事故から14年の25日、追悼施設が整備された兵庫県尼崎市の現場で初めての慰霊式が行われ、JR西日本の来島達夫社長がおわびと追悼のことばを述べました。
追悼慰霊式は去年9月に事故現場に整備され「祈りの杜(いのりのもり)」と名付けられた施設で初めて行われました。
14年前の25日に起きたJR福知山線、通称、宝塚線の脱線事故ではカーブを曲がり切れなかった快速電車が線路脇のマンションに衝突して乗客と運転士合わせて107人が死亡し、562人がけがをしました。
式では、はじめに遺族やけがをした人たち、それにJR西日本の幹部など参列者が黙とうをささげました。
そしてJR西日本の来島達夫社長が「あの日、何ものにも代えがたい尊い命、夢や希望にあふれた掛けがえのない人生を奪ったことを改めて心から深くおわびします。この『祈りの杜』を事故を反省して安全を誓い続ける場として将来にわたりお守りします」と述べました。
現場では事故が起きた午前9時18分とほぼ同じ時刻に通過した快速電車が、速度を落として警笛を鳴らし、哀悼の意を表しました。
9階建てだったマンションは5階より上が取り壊されて全体が屋根で覆われました。現場の姿が大きく変わる中で、JR西日本も事故のあとに入社した社員が全体のほぼ半数を占めるようになり、事故の記憶や教訓をどのように引き継いでいくかが課題となっています。
脱線した電車の2両目に乗っていて負傷した神戸市北区の土田佐美さん(50)は「14年がたち、日常生活を送る中で、事故の事は忘れがちになりますが、慰霊式に参加して、改めてあの日を思い起こす機会になりました。事故現場で慰霊式が行われることにはいろんな意見はあると思いますが、亡くなった人の思いが集まる場で事故が起きた日に手を合わせることは意味があると思います」と話していました。
脱線した電車の2両目に乗り右足の骨を折る大けがをした兵庫県多可町の小椋聡さん(49)は「慰霊式は事故現場で行うべきだと思う。式の途中も、近くを走る電車の大きな音が聞こえてきて改めて事故の大きさを思い起こした」と話していました。
脱線した電車の3両目に乗っていて、車外に投げ出され大けがをした兵庫県伊丹市の玉置富美子さん(69)は「追悼施設での初めての慰霊式でしたが、事故現場の臨場感や切迫感というものが全くなくなっていました。けがからのリハビリでまだ苦しんでいる人は私も含め大勢いるのに、それを忘れたように感じられました」と話していました。
事故で当時、31歳だった長男の吉崇さんを亡くした菅尾美鈴さんは「事故現場を整備してもらい感謝しています。『祈りの杜』が完成して初めての慰霊式ということで、あの時のことが鮮明によみがえります。息子を失った悲しみは決して薄らぐことはなく、年とともに増してきています」と話していました。
脱線事故で当時40歳の長女を亡くした藤崎光子さん(79)は、慰霊式が行われている間、「娘の近くにいたい」との思いから用意された席には座らず、電車が衝突したマンションの近くで黙とうをして長女を悼みました。
追悼施設ができて大きく姿を変えた現場について藤崎さんは「そのまま残してほしいと訴えてきたので、周囲に高い木が植えられて外からよく見えなくなってしまったのは残念だが、遺族の集まる場所ができたのはうれしく思う」と話していました。
神戸市北区の上田弘志さん(64)は脱線事故で当時18歳だった次男の昌毅さんを亡くしました。
上田さんは「事故から14年がたっても息子のことが諦められず、気持ちの整理がつきません」と話しました。
そして慰霊式が初めて、追悼施設が整備された現場で行われたことについては「胸がざわざわして落ち着かず、電車が通る音や警笛を聞くたびに事故当時が思い出されて倒れそうになりました。とてもつらい慰霊式で、二度と現場で開催してほしくない」と話しました。
昌毅さんの弟で神戸市東灘区の上田篤史さん(29)は事故をきっかけに医療の道を志し、救急部門の看護師として働いています。
篤史さんは「年々、兄のことに思いを寄せるようになりました。命の瀬戸際にいる人たちを救えるよう最前線で頑張りたいと、きょう気持ちを新たにしたと兄に伝えたい」と話していました。
追悼慰霊式に参列した国土交通省の工藤彰三政務官は「JR西日本には社員一人一人が事故の事を胸に刻み、将来にわたり安全な鉄道の実現に取り組んでもらいたい。国土交通省としても、改めて公共交通機関の安全確保に全力で取り組んでいく」と話しました。
JR西日本社長「重大さを改めて感じ おわび」
追悼慰霊式のあと、JR西日本の来島達夫社長は「私たちが引き起こした事故で多くの方の希望ある人生を奪ってしまった、その重大さを改めて感じ、おわびを申し上げるしかない」と話しました。
また追悼施設が整備された現場で、初めて式を行ったことについては「さまざまなお気持ちがあると思うが、とても大切で意味のあることだと思う」と話しました。
同時刻に現場を通過した電車内では
事故が起きたのとほぼ同じ時刻に現場を通過する快速電車は、午前9時ごろ宝塚駅を出発しました。
車内では途中、車掌が「本日で福知山線列車事故から14年を迎えます。私たちはこの事故を心に刻み、安全運行に努め、改めてお客様から安心と信頼を頂けるよう全力を挙げて取り組んで参ります」とアナウンスしました。
そして尼崎市の現場のカーブにさしかかると、通常よりも速度を落として6秒ほど警笛を鳴らし、哀悼の意を表していました。
車内は通勤や通学の人たちで混み合っていましたが、話し声がやんで静かになり、窓からじっと外を見つめる人もいました。
千葉から来たという44歳の男性は「鉄道が好きで、事故を忘れてはならないという思いで毎年来ています。二度と事故を起こしてはいけない」と話していました。


JR福知山線脱線 墓参700回の母「平成最後の戒めに」 式典で朗読
 JR福知山線脱線事故から25日で14年となった。時と共に変わりゆく現場、愛する人への変わらない思い。事故現場には早朝から遺族らが訪れて犠牲者を悼み、JR関係者らは鉄道の安全を誓った。
 事故で長男満(みつる)さん(当時37歳)を亡くした兵庫県伊丹市の斎藤堅一さん(76)、百合子さん(76)夫妻が同日、事故現場の慰霊施設「祈りの杜(もり)」(同県尼崎市)で初めて営まれた式典に参列し、百合子さんが追悼の言葉を読んだ。「天国から帰ってきた満へ」。今も二人の中で生きる満さんに語りかけた。
 斎藤さん夫妻はこの日朝、自宅を出る前に花々や折り鶴が飾られた仏壇に手を合わせ、式典に臨んだ。ここに足を運ぶのは施設が完成し、遺族に公開された昨年9月以来だ。
 百合子さんは昨年8月、満さん宛ての手紙をしたため、祈りの杜にある「追悼の空間」に納めた。「もっともっと話をしたかった――」。手紙には率直な気持ちをつづった。ただ、事故状況を展示する隣のスペース「事故を伝える空間」は正視できなかった。
 事故後に続けてきた週末の墓参は700回を超えた。墓は大阪(伊丹)空港の滑走路沿いにある。命日が近づくと春風が心地よく、ヒバリのさえずりが聞こえる場所だ。「満、来ましたよ」と語り掛け、花を添える。「年月は過ぎても寂しく悲しい気持ちに変わりはありません。でも訪れる場所が『祈りの杜』と二つになり、満も私たちも忙しくなるかもしれませんね」。少しだけ明るい表情を見せた。
 祈りの杜は2015年に整備計画がまとまり、16年に着工。完成には時間を要したが、これまで遺族が立ち寄れる所がなく、斎藤さん夫妻は追悼の場ができたことを前向きに捉えている。「『天国から私たちの近くに帰ってくるんだな』と思えるようになりました。本当に電車が好きでしたから、車輪の音や警笛を聞きながら安全な運行が続くよう見守ってくれると思います」。現場に花々が咲き、四季を感じられる場所になればと願う。
 亡くなった乗客106人の遺族には、それぞれの気持ちがある。思い出したくない人も、心の中にとどめたい人もいる。「でも私はね、大好きな我が子に話しかけたかったから。『平成最後の戒め』との思いもあります」。百合子さんは追悼文の朗読を決めた理由をそう語り、堅一さんもうなずいた。「今日は悲しい顔はやめて、笑顔でお別れしましょうね。また会えるから。またね」【高尾具成】


「直文さんが生きたこと知ってほしい」初展示の遺族 原爆資料館リニューアル
 25日に再開館した広島市の原爆資料館本館に、今も遺骨が見つかっていない昆野(ひの)直文さん(当時13歳)の弁当箱やかばんが初めて常設展示された。3世代にわたり遺品を大切に保管してきた遺族は「直文さんが確かに生きたこと、悲しむ家族がいたことを多くの人に知ってほしい」と静かに願う。
 直文さんは瀬戸内海に浮かぶ倉橋島(現広島県呉市)生まれ。1945年、県立広島第二中学校への進学を機に広島市の寄宿舎に入った。
 8月6日は爆心地から約600メートルの旧中島新町(現広島市中区)で、空襲による火災の延焼を防ぐため建物を取り壊して防火地帯を作る「建物疎開」に動員され、作業中に被爆死したとみられる。7日未明に姉の勝美さんらが島から漁船で広島に向かったが遺体は見つからず、食べられないままの弁当箱が入ったかばんだけが残されていた。資料館によると、同級生300人以上は12日までに全員死亡した。
 直文さんのめいに当たる安枝さん(70)=広島県呉市=は戦後生まれで、直文さんを直接知らない。祖母のマス子さんは息子についてほとんど語らず、「原爆」という言葉が出ると何も言わずにテレビを消した。毎年8月6日は平和記念式典などを見るのを避けるように早朝から畑に行き、家にいなかった。母の勝美さんも弟についてほとんど話すことはなかったが、「2人とも深い悲しみの中にいるのが伝わってきた」と振り返る。
 それでも、親戚の話から叔父の平穏な日常をうかがい知ることができた。「ひょうきんで面白い子だった」という直文さんは、よく周囲を笑わせていた。家で取れた芋で作った菓子を親戚宅に届けた時、勧められても自分は手をつけず、全員が食べ終わった後に「実はね、そのお芋はちょっと腐りかけてたんよ」といたずらっぽく話したという。
 マス子さんは45年ほど前に亡くなるまで遺品の弁当箱やかばんを形見として仏壇にしまっていた。引き継いだ勝美さんも2004年8月に82歳で亡くなった。安枝さんも大切に保管していくつもりだったが、広島を襲った大型台風で自宅は浸水し、仏壇もぬれた。幸い遺品は無事だったが、「守り続けてくれる所に」と約10年前に資料館に寄贈した。
 安枝さんは「祖母が誰にも語れなかった悲しみが展示を通じて伝わればうれしい」と語った。【寺岡俊】


<安田純平さん>戦地取材の重要性強調 東北大で講演
 シリア取材中に武装勢力に3年4カ月にわたり拘束されたジャーナリスト安田純平さん(45)が23日夜、東北大川内北キャンパスで講演した。映像や資料を基に「現地に入るジャーナリストは絶対に必要だ」と、厳しい戦場を取材する重要性を訴えた。
 学生自治会が主催し、150人超が参加した。安田さんは2015年6月にトルコからシリアへ入ったところで拘束され、18年10月に解放された。
 安田さんは講演で撮影したシリアの映像を公開。混乱する野戦病院や砲撃を受けた子どもの遺体の映像もあった。「戦争は弱い立場の人が亡くなる。フェイクニュースが広がる中、情報が正しいかどうか検証する第三者の現地取材は必要だ」と訴えた。
 自身を巡る「自己責任論」の批判については「自己責任は当然で、『自己責任だから行くな』という政府の態度は矛盾している。言葉自体を批判の道具にしている」と指摘した。
 安田さんは「『平成』は戦争のない時代と言われるが、日本はイラク戦争の後方支援で明らかに戦争に加担した。若者はぜひ、さまざまな現場を見てほしい」と呼び掛けた。


原発のテロ対策遅れ 安全に猶予は認められぬ
 原発の新規制基準は、航空機テロなどに備えた施設の設置を義務づけている。その期限は、再稼働に向けた審査終了後5年以内だ。
 これまで再稼働した原発は関西、四国、九州の3電力で計9基ある。いずれも、施設は未完成だ。
 3電力は、想定より大規模な工事が必要になったなどとして、設置期限の延長を求めていたが、原子力規制委員会は認めない方針を決めた。
 これにより施設が未完成の原発9基は順次停止に追い込まれる。しかし、安全確保に猶予は認められない。規制委の決定は当然のことだ。
 テロ対策施設は「特定重大事故等対処施設」(特定施設)と呼ばれる。2001年の米同時多発テロを契機に、米原子力規制委員会がまとめた対応策を参考に導入された。
 原子炉建屋などに航空機が衝突しても、遠隔操作で原子炉の冷却が続けられるよう、緊急時制御室を設け、非常用発電機や冷却水を送り込むポンプなどを備える。
 3電力会社によれば、稼働中の原発9基すべてで施設の完成が期限より1年程度は遅れる可能性がある。最も早く期限が訪れるのが、九電川内原発1号機の20年3月だ。
 電力各社は、規制委に提出した資料で「本体施設でテロ対策に必要な機能は満たしている」などと訴えてきた。だが、原発の安全対策に終わりはない。対策の手を抜くと、重大な事態を招く。これは福島第1原発事故の教訓だ。
 川内1、2号機の場合、特定施設の設置費用は2000億円を超すという。再稼働を優先し、安全対策の更なる強化が後回しになったと見られても仕方がない。
 そもそも、特定施設の設置期限は一度延長された。当初は13年の新基準施行から5年以内だった。だが、再稼働に向けた安全審査が長引いたことから、原発の工事計画の審査後5年以内に見直されていた。
 本来なら、再稼働に先立ち設置されるべき施設である。再度の延期を規制委が認めていれば、その存在意義を問われることになったろう。
 原発が停止しても、電力不足を心配する必要がないことは、3・11後の経験から明らかだ。むしろ、原発はテロへの備えが脆弱(ぜいじゃく)であることを見つめ直す機会とすべきだ。


原発テロ対策 期限延長却下は当然だ
 原子力規制委員会はきのうの定例会合で、原発に義務付けられているテロ対策施設の設置期限延長を認めないことを決めた。
 関西、四国、九州の電力3社が再稼働済みを含む5原発10基で施設の完成が遅れる見通しを示し、期限の延期を求めていた。
 九州電力川内原発1号機は最も早く、来年3月に期限を迎える。その時点で完成していなければ、工事完了まで運転停止となる。
 テロ対策施設は、原子炉が航空機の衝突などによる攻撃を受けた際に深刻な事故を防ぐために不可欠なものだ。未整備のまま運転を続けることは看過できない。規制委が延長を認めないのは当然だ。
 原発でひとたび過酷事故が起きれば、広範囲に甚大な被害が出る。それが東京電力福島第1原発事故の教訓だ。
 にもかかわらず設置期限に間に合わず、延長まで求めるのは安全軽視と言わざるを得ない。
 規制委はルールを厳格に適用し、期限内に完成しなかった原発にはためらわず運転停止を命じ、安全確保に徹してもらいたい。
 テロ対策施設は、航空機が衝突した際に遠隔操作で原子炉の冷却を続ける設備などを備える。福島の事故を踏まえた原発の新規制基準で設置が義務付けられた。
 3社は大規模な土木工事が必要となったことなどから、完成が期限より1〜3年ほど遅れると説明している。
 当初の期限は一律で昨年7月だったが、審査の長期化を踏まえ原発ごとに「工事計画の認可から5年」に改め、事実上延長された。
 だが、対策が施されていない原発を稼働していること自体、大きな問題である。
 その上、さらなる延長を求めるのは虫がよすぎる。新規制基準に適合するという再稼働のルールをなし崩しにしようとしているとみられても仕方ない。
 福島の事故から8年がたち、業界全体に緩みが生じているのではないか。再稼働していれば運転を停止されることはなかろうという甘い認識も透けて見える。
 北海道電力を含め大手電力は、原発に対するテロが起こりえないと考えていないか。「想定外」としていた事故が起きた福島の経験を肝に銘じなければならない。
 ただ、テロ対策施設は攻撃自体を防げるわけではない。危険な核燃料を扱っている原発はテロの格好の標的とされる。原発の存在そのものが安全保障上の脅威となりうることを再認識すべきだ。


[原発テロ] 対策規制委の判断は当然だ
 九州電力川内原発1、2号機など再稼働中の原発の多くが運転停止に追い込まれる可能性が出てきた。
 原子力規制委員会はきのう、原発本体の工事計画認可から5年以内に設置が義務づけられているテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重施設)について、完成期限の延長を認めないことを決めた。
 川内1号機は最も早い来年3月、2号機は5月に期限を迎える。それぞれ完成が約1年超過する見通しで、期限切れ時点で停止となる公算が大きい。他の原発も1〜3年超過しそうだ。
 再稼働した原発を持つ九電と関西、四国の電力3社は完成が遅れるとして今月17日、期限延長を求めていた。
 規制委が要請を拒否したのは、新規制基準に適合しない状態で稼働することを認めない当然の判断と言える。
 東京電力福島第1原発事故後、独立した立場で安全を追求するために発足した規制委である。電力各社は規制委の判断を厳粛に受け止め、安全対策に万全を期さなければならない。
 特重施設は、原発に航空機を衝突させるなどのテロ行為が発生した場合を想定し、遠隔操作で原子炉の冷却を維持する安全対策の主要施設である。原子炉建屋から100メートル以上離れた場所に緊急時制御室や炉心冷却ポンプの設置を求めている。
 当初から大がかりな工事が予想され、新規制基準が施行された2013年7月から5年の猶予期間が設けられた。その後、規制委の審査が長期化したことから、15年11月、工事計画認可の下りた日から5年に変更。これにより川内原発は約2年期限が延びた。
 ところが、この期限にも間に合わないとして、電力側が規制委にさらなる延期を認めるよう要請。電力側は、遅れの理由として大規模な土木工事が必要となったと説明した。
 期限延長から約3年半、残り1年を切った時点での延期要請である。見通しの甘さを批判されても仕方ない。
 この間に九電は川内1、2号機に続き、18年には玄海3、4号機を再稼働させ原発4基がフル稼働している。
 一方で、電力が供給過剰になって大規模停電に陥る可能性があるとして、太陽光など再生可能エネルギー発電の出力制御を常態化させている。
 規制委への要請の背景に、原発の運転継続で利益を確保したいという意図はなかったか。そうであるならば、安全軽視と言わざるを得ない。
 福島の原発事故を検証した国会事故調査委員会は、規制当局が電力会社の「とりこ」となり、規制行政がゆがめられたと指摘した。
 規制委が独立の立場で厳格に対応し、電力会社は安全を最優先に取り組む。そうした姿勢が国民の信頼を得ることを肝に銘じるべきである。


強制不妊救済法が成立 謝罪の主体が曖昧なまま
 旧優生保護法で強制不妊手術を受けた障害者らの救済法が成立した。
 宮城県の60代の女性が初めて国を提訴してから1年3カ月。被害者の高齢化に配慮して与野党の国会議員らが救済を急いだ結果だ。
 しかし、被害者が計7地裁に起こした国賠訴訟は今後も継続するという。一時金の320万円が著しく少ないことだけが理由ではない。
 不妊手術の被害者は約2万5000人いるが、記録で氏名が特定できたのは3079人しかいない。しかも、プライバシーへの配慮を理由に本人へは通知しないという。これでは一時金が得られるのは少数にとどまる可能性が強い。
 旧優生保護法は1948年に与野党議員の主導で成立した。当初は手術件数が少なく、議員らは何度も国会で予算増を要求した。厚生省(当時)は増えた予算を消化するため都道府県に手術の推進を求めた。「身体の拘束」「麻酔」「欺罔(ぎもう)(だますこと)」を用いることも認めた。
 憲法違反ではないかとの地方からの質問に、法務府(当時)は「憲法の精神に背くものではない」と見解を示した。都道府県の優生保護審査会の決定に異議のある時は再審査を申請できることが根拠とされた。
 ところが、厚生労働省が開示した資料では81年までの20年間で再審査申請はわずか1件しかない。
 救済法では「おわび」の主語が「我々」という曖昧な表現にされた。安倍晋三首相は「政府としても真摯(しんし)に反省し、心からおわび申し上げる」と談話を発表したが、これで曖昧さが解消されたとは言えない。国の責任を明記するのが当然だろう。
 救済法には国会が問題の経緯を調査することも盛り込まれた。
 疑問の声は当初からあり、70年代には厚生省内でも強制不妊手術を疑問視する意見があったが、国家による人権侵害は続き、長年顧みられることがなかった。その構造を解明するには、独立した第三者機関による検証が必要ではないか。
 「障害者は生きる価値がない」と元施設職員が19人もの重度障害者を殺害した相模原事件、性的少数者を「生産性がない」という自民党議員など、優生思想をうかがわせる風潮は今も根強い。過去の過ちに対する不断の検証が求められる。


強制不妊救済法/国の責任は曖昧なままだ
 旧優生保護法下で不妊手術を強制された被害者への一時金支給を柱とする救済法がきのう、国会で可決、成立した。
 多大な苦痛に対する「反省とおわび」を明記し、本人が手術に同意したケースも事実上の強制とみなして救済対象とする内容だ。与野党が法案を一本化し立法化にこぎ着けた。
 各党、とりわけ与党には参院選前に解決姿勢を打ち出したい思惑があったのだろう。
 法改正で「優生手術」の規定が削除されてから23年がたち、高齢の被害者も少なくない。救済が実現したことは前進だ。
 ただ、神戸地裁など全国7地裁で被害者らが国家賠償訴訟を起こしているが、国は「当時は適法だった」と争う姿勢を崩していない。それでは救済法の趣旨と矛盾するのではないか。
 救済法では「反省とおわび」の主体は「われわれ」とされている。「それぞれの立場において」反省することで、責任の所在を曖昧にした形である。
 安倍晋三首相は「二度と繰り返さないよう、政府として最大限の努力を尽くす」との談話を発表した。その言葉を実行するためには、国の法的な責任をまず明確にする必要がある。
 一方、救済法は国会にも問題の経緯を調査するよう求めている。衆参両院で謝罪決議を行う案も検討されているが、その調整は進んでいない。
 国賠訴訟は、5月28日に仙台地裁で初の判決が言い渡される。同じく被害者らが賠償を求めたハンセン病訴訟では、当時の小泉政権が国の責任を認めた司法判断を受け入れ、控訴を断念した。国会も謝罪決議を行い、議員立法で補償法を成立させた経緯がある。
 今回も、その例に倣って被害者が納得できる方策を講じなければならない。一律320万円の一時金の額も、訴訟の請求額とは開きがある。被害に応じて柔軟に見直すべきだろう。
 国会も自ら謝罪決議を行い、立法府の立場で事実の検証に乗り出す責任がある。
 この問題では、全国に先駆けて「不幸な子どもの生まれない県民運動」を展開した兵庫県のように、都道府県も深く関与した。当時の自治体の対応を検証する取り組みも欠かせない。


強制不妊救済法  国の責任不明確なまま
 被害者が納得しないままでいいのか、疑問が残る。
 旧優生保護法下で障害者らに強制不妊手術が繰り返された問題で、「反省とおわび」と一時金320万円の支給を盛り込んだ救済法が、参院本会議で可決、成立した。
 しかし、被害者らは、国会の場で意見聴取されずに法案が勝手に出来上がった、と不満の声を上げている。超党派議員連盟が昨年3月から議論を始め、法案作成の段階で意見を聞いたというが、それで十分であるはずがない。
 被害者が高齢化する中で救済法の成立は一歩前進だろう。しかし、急ぐあまり肝心なところをあいまいにし、被害者の痛切な声に耳をふさいでしまった。
 その一つは、おわびと謝罪の主語を「われわれ」とした点だ。国と国会を意味するというが、国の責任は極めて重く、ここは被害者が求めるように主語を「国」とすべきだ。救済を進める責任は、国にあることを明確にするためでもある。
 全国各地で知的障害や遺伝性疾患、ハンセン病を理由に不妊手術が続けられたのは、旧優生保護法(1948〜96年)があったからだ。その後も被害を放置し続けたことを、国は重く受け止めないといけない。
 もう一つは一時金の額だ。スウェーデンの事例を参考にしているが、被害実態に見合うのか。仙台地裁などに被害者らが求めた国家賠償額は最大3千万円台後半であり、大きくかけ離れている。
 救済法が施行されても、裁判所は被害者の訴えを聞き、実態に即して判断してもらいたい。
 一時金支給の手続きにも懸念がある。被害者本人が請求する仕組みだが、知的障害の人や不妊手術を隠したい人もいる。
 国の統計では約2万5千人が不妊手術を受けたが、裏付ける個人記録は約3千人分しか確認されていない。記録がなくても本人の証言などで申請に柔軟に対応すべきだ。被害者には救済制度を知らせ、請求をサポートする必要がある。
 これで幕引きではない。被害の全容を調査し、実態を直視しないといけない。「不良な子孫の出生を防止する」という優生思想を、克服したといえるのか。遺伝子解析による出生前診断やゲノム編集など医療技術が急速に進んでいる。一方で、障害者を「不要」とみて殺害した事件が起きている。
 新しい生命倫理に直面する今日、強制不妊手術の問題をめぐる議論を改めて深める必要がある。


強制不妊救済法 「尊厳回復」への第一歩だ
 旧優生保護法(1948〜96年)により、不妊手術を強制された障害者らを救済する法案が参院本会議で可決された。法成立と同時に、安倍晋三首相が政府としての「反省とおわび」の談話を発表した。
 旧法から障害者差別に該当する部分が削除され、母体保護法に改正されてから23年がたつ。不妊手術は少なくとも2万5千人に施された。遅きに失したとはいえ、ようやく法の光が当たったことは評価できる。
 ただ、内容は不十分だ。被害者の尊厳回復へ向けた第一歩にすぎないことを確認しなければならない。
 法案は、旧法が議員立法だった経緯から与野党議員が合意の上、今国会に提出した。成立した救済法は前文に、被害者に対し「われわれは、それぞれの立場において、真摯(しんし)に反省し、心から深くおわびする」と明記した。「われわれ」とは旧法を制定した国会、執行した政府を特に念頭に置いているという。
 首相談話は「政府としても、旧法を執行していた立場から、真摯に反省し、心から深くおわび申し上げます」としている。被害者らが明確化を求める国の法的責任には触れておらず、救済法の前文をなぞった内容だ。
 被害者に支給する一時金は320万円で、ここでも被害者側の要求とは大きな隔たりがある。熊本地裁など各地で起こされた国家賠償訴訟の請求額は最大で3千万円台後半だ。
 旧法は元々、食と住が不足する戦後の劣悪な環境下、中絶を一部認め母体を保護する狙いがあった。同時に優生思想に基づき障害者を「不良な子孫」と規定し、不妊手術を合法化した。
 問題は、つい二十数年前まで、日本社会がその誤りに気付かなかったことである。70年代には、兵庫県庁などが「不幸な子どもの生まれない対策室」を設置し、「異常児」の出産減を公然と推奨した。現在から見れば驚くべき名称と施策である。
 激しい異議を唱え、方針転換させたのは障害者団体だった。彼らは当時既に、健常者と同じように生きる権利を主張していた。それが旧法改正に結び付くまでに長い時間が費やされた。
 そうした問題意識を持てずに人権侵害を見過ごす形となった私たち報道メディアをはじめ、強制手術を励行した医療機関など各種団体にも「真摯な反省」は当然、求められている。
 来月には被害女性が初めて起こした国賠訴訟の判決が仙台地裁で言い渡される。優生政策を遂行した国の責任と旧法の違憲性が焦点だ。結果によっては成立したばかりの救済法も見直しを迫られる。議論を続け、被害者が納得する制度に高めたい。


優生手術の救済 法成立で解決はしない
 障害者らに不妊手術を強いた旧優生保護法が改定されてから23年―。被害者に一時金を支給する救済法が議員立法で成立した。
 司法の判断を待たずに国会が動いたことは評価できるものの、障害者への差別や人権侵害に正面から向き合って被害回復を図ったとは言いがたい。これで問題が解決するわけではない。
 救済法は、旧法の違憲性に触れず、国の責任を明確にすることも避けた。真摯(しんし)に反省し、深くおわびすると前文に記したが、主語の「われわれは」とは誰を指すのか、肝心な点が曖昧だ。
 一時金であること、支給額が320万円にとどまることも、深刻な被害の実態に見合わない。手術による後遺障害や体調不良に苦しんできた被害者もいる。継続的な補償を考えるのが本来だ。配偶者の被害に目を向けていないことを含め、不十分な面は多い。
 とりわけ心配なのは、被害者の切り捨てにつながらないかだ。個別に通知をしないことに加え、申請の期限を5年間と区切ったため、声を上げられない被害者が埋もれてしまう恐れがある。
 偏見は根強く、名乗り出るのをためらう人は少なくない。家族が手術を受けさせた負い目を引きずっている場合もある。
 手術を受けた人は、政府の統計で2万5千人近くに上る。その大半は、裏づけとなる記録が残っていない。被害の全容は明らかになっていない。実態の掘り起こしを続けるとともに、申請は期限を設けずに受け付けるべきだ。
 旧法は戦後の1948年に議員立法で成立し、優生手術は40年余にわたって行われた。法改定後も、政府は謝罪や補償を拒み、被害の調査にも応じてこなかった。国会もそれを見過ごした。
 過ちと向き合い、差別や優生思想を克服していくには、政府、国会の責任を明確にすることが第一歩になる。安倍晋三首相は談話を発表して反省と謝罪の意を示したが、形だけのものだ。救済法の前文と同じ言葉を連ね、国の責任には言及していない。
 優生手術をめぐっては、被害者が昨年以降、国家賠償を求める裁判を各地で起こしている。政府は「当時は適法だった」となおも主張し、旧法の違憲性については認否を拒んでいる。何よりもその姿勢を改める必要がある。
 被害者の尊厳を回復し、人権の救済を図るために司法が果たすべき役割は大きい。その判断も踏まえて、補償のあり方を見直していかなければならない。


強制不妊救済法 もっと被害者に寄り添え
 これでは、国は自らの責任に正面から向き合ったことにはならない。
 旧優生保護法下で不妊手術を強制されるなどした被害者の救済法が成立した。旧法の「優生手術」規定が削除されてから23年を経て、国による救済がようやく始まる。
 救済法は、被害者への「反省とおわび」と一時金320万円の支給を盛り込んでいる。
 最大の焦点となったのは、「おわび」の在り方だった。
 救済法の前文は「われわれは、それぞれの立場において、真摯(しんし)に反省し、心からおわびする」とうたうが、国の法的責任は明記されていない。
 「われわれ」との表現が誰を指すのか玉虫色だと、被害者側は批判してきた。
 反省すべきは、立法府であり、法を執行してきた政府のはずだ。そこを曖昧にして謝罪にはなり得ない。
 旧優生保護法は終戦直後の1948年に議員立法で制定された。「不良な子孫の出生防止」を目的に、知的障害や精神疾患などがある人の不妊手術を後押ししてきた。
 子を持つ権利を強制的に奪うことは、人間の尊厳を踏みにじる行為だ。人権侵害と理不尽な差別を受け、今なお苦しんでいる被害者は大勢いる。
 法案は、3月に自民・公明両党の合同ワーキングチームと野党を含む超党派議員連盟で正式決定された。批判があったにもかかわらず、その後の国会審議でも、被害者の意見を聞くことさえなかった。
 それだけに、救済法に盛り込まれた「おわび」は、言葉だけと取られても仕方がない。
 救済を言うなら、当事者の話にきちんと耳を傾け、それを反映するのが筋だろう。「勝手に救済法を決めるな」と被害者から批判が出るのも当然だ。
 与野党が救済法の成立を急いだ背景には、夏の参院選を前に成果を国民にアピールしたいという事情があったとみられる。これでは被害者の思いよりも、政治の都合を優先させたと言わざるを得ない。
 救済法成立を受けて安倍晋三首相は談話を発表し、「政府としても真摯に反省し、心から深くおわび申し上げる」と、謝罪の意を初めて表明した。
 今回の談話は、閣議決定した公式見解ではない。救済法と同様に、国の法的責任にも触れていない。
 首相は、被害者に面会することもなかった。首相のおわびも形だけと言っていい。
 救済法で盛り込まれた一時金の額も、被害者の思いとは大きく隔たっている。各地の国家賠償請求訴訟で、被害者からなる原告は、最大3千万円台後半を求めている。
 訴訟は継続され、5月には初の判決が仙台地裁である。その後の訴訟でも、国が認めていない旧法の違憲性や一時金の額などが争われる見通しだ。
 国は判決を踏まえつつ、被害者にきちんと寄り添い、必要に応じた法改正を行うべきだ。


強制不妊救済法 最初の一歩にすぎない
 旧優生保護法下で障害者らに不妊手術が繰り返された問題で、被害者に一時金320万円を支給する救済法がきのう、参院本会議で全会一致で可決、成立した。
 被害者の高齢化を考慮し、超党派の議員立法で速やかに救済に動いた点は評価できよう。
 しかし、主体があいまいな謝罪の言葉や一時金の金額など、多くの点で被害者の求めるものとは大きく隔たっている。
 「不良な子孫の出生を防止」を掲げ、国会や行政が、旧法で不妊手術を徹底するよう促した。その結果、戦後半世紀近くの間に、約2万5千人が不妊手術を強いられ、長く放置されてきた。
 こうした歴史を考えれば、被害者は到底納得できまい。
 これで終わりではなく、救済法の成立は最初の一歩にすぎない。国には、被害者の尊厳の回復に向けた取り組みに、一層の努力を傾け改善を図る責務がある。
 救済法は「反省とおわび」を前文に記し、安倍晋三首相も同様の談話を発表した。
 だが、被害者が強く求めた国の法的責任は明記されず、旧法の違憲性も認めなかった。
 一時金も、各地の国家賠償請求訴訟で原告が求める額とは、かけ離れている。
 配偶者も、子どもを持つ権利を奪われた点では同じ被害者だ。にもかかわらず、一時金の対象外とされたのも疑問だ。
 プライバシーの保護に配慮するとの理由で、本人には通知せず、広報活動にとどめるため、救済を知らない人が出る恐れもある。
 鳥取県の平井伸治知事は、これを問題視し、個別に通知する仕組みを整える方針を示している。プライバシー保護と両立させる工夫が欠かせない。
 手術記録の残っていない人が圧倒的に多いことも問題だ。被害者が救済からこぼれ落ちることがないよう、各都道府県は調査を尽くす必要がある。
 記録のない人の被害認定は、厚生労働省内の審査会が、間接的な記録や本人の訴え、医師の所見などで総合的に判断する。
 厳格な人選で、審査会の公平性を確保すべきだ。
 救済法の成立まで、衆参両院とも審議時間はあまりに短く、議論は深まったとは言い難い。被害者は国会で意見を述べる機会さえなかった。
 政府も国会も過去を直視し、もっと被害者に寄り添う誠実な姿勢が求められる。


<強制不妊救済法成立>被害者不満、隔たり大きく
 24日に成立した旧優生保護法の被害者救済法は、国の責任に関し直接の言及を避けた。旧法を巡る一連の国家賠償請求訴訟への影響を最小限に抑えるためとみられ、被害者らから不満の声が漏れた。5月28日に仙台地裁が言い渡す全国初の判決は旧法の合憲・違憲性を含めて判断する見通し。原告側の主張が認められれば、弁護団は救済法の見直しを求める構えだ。
 「早期に救済制度ができたことは評価したいが、内容が十分だとは誰も思わない」。都内で記者会見した全国被害弁護団共同代表の新里宏二弁護士(仙台弁護士会)はこう強調し「今は開かずの救済の扉が開いた段階でしかない。国は司法判断を受け、制度の改善を図るべきだ」と続けた。
 一連の訴訟で国は旧法の合憲・違憲性に関する主張を「主要争点ではない」と回避し続けている。救済法も前文の「反省とおわび」の主体は「われわれ」とあいまいな表現となった。
 20年以上前から被害を訴えてきた仙台訴訟の原告飯塚淳子さん=70代、活動名=は「これまで何度も国に謝罪と補償を求めてきたのに相手にされず、苦しんできた。国の明確な謝罪がなければ、納得できない」と訴える。
 1人当たり320万円とされた救済法の一時金についても、原則3000万円超とした各地の訴訟の請求額と隔たりが大きい。
 仙台訴訟で原告側は手術による生殖機能の喪失を「死亡と同等程度に深刻」と主張。一般的な交通事故の死亡慰謝料を参考に損害額を算出した。
 救済法で示された一時金は、過去に同様の手術が繰り返されたスウェーデンの補償額に物価変動を反映させただけで、根拠に乏しい。
 仙台訴訟原告の60代女性の義姉は「(女性の)侵害された人権はたったこれだけの価値なのかと思ってしまう。できるなら判決を待って救済法を作ってほしかった」と語った。


<強制不妊救済法成立>対象者広がり見通せず
 東北6県で旧優生保護法に基づく手術記録が残るのは少なくとも951人で、うち900人を宮城が占める。他の5県では手術実施を裏付ける記録がほとんど残っておらず、救済法の対象者がどこまで広がるかは見通せない。
 厚生労働省のまとめによると、宮城の900人は都道府県別で全国最多だったが、旧法施行期間(1948〜96年)内の手術実施件数を示すとされる旧厚生省統計の1406人には届かなかった。
 山形は統計の445人に対し、手術記録を確認できたのは49人。統計が206人の青森、97人の秋田は各1人のみ。284人の岩手、378人の福島はゼロで、大多数の記録は見つかっていない。
 旧法に基づき作成された手術申請書や手術実施を「適」とした資料は手術実施を確実に裏付けるものではないが、東北で計約700人分ある。公的記録が残っていない被害者は、さらに多いとみられる。
 救済法は手術記録がない被害者も一時金の申請を可能としたが、手術を受けたことが確定的な人以外は認定審査会の判断を待つことになり、法の対象となるか否かは審査に委ねられる。
 一時金対象者に対し、鳥取県は独自に個別通知する考えだが、宮城や山形はプライバシーへの配慮を理由に通知しない方針。周知などは申請の受け付けなどを担う都道府県によってばらつきも出そうだ。
 救済法成立を受け、村井嘉浩宮城県知事は「法成立で多くの人が救済されるよう、県も制度周知や丁寧な対応に努める」との談話を出した。


強制不妊救済法/本人への被害通知が必要だ
 旧優生保護法(1948〜96年)下で障害者らに不妊手術が繰り返された問題で、被害者におわびを示し、一時金320万円を支給する救済法が24日、成立した。旧法が母体保護法に改正されて以来、23年間も放置されてきた問題に対し、ようやく救済策が動きだす。
 救済法は与野党による議員立法で成立した。被害者の多くは高齢化しており、国会が早期の成立、施行を図った点は評価されていい。被害回復への第一歩となる。
 とはいえ、その内容は被害者の願いや思いとは懸け離れており、不十分と言わざるを得ない。
 救済法は前文で、被害者の心身の苦痛に対し「われわれは、それぞれの立場において、真摯(しんし)に反省し、心から深くおわびする」とうたう。
 「反省とおわび」は記したが、被害者が求める旧法の違憲性や国の法的責任には踏み込まなかった。反省とおわびの主体も「われわれ」とあいまいだ。
 政府は救済法成立を受けて安倍晋三首相の談話を発表し初めて謝罪の意を示した。しかし「このような事態を二度と繰り返さないよう、共生社会の実現に向け、政府として最大限の努力を尽くす」とする内容にとどまった。
 各地で続く国家賠償請求訴訟への影響を避けるため、国は不妊手術について「当時は適法だった」との姿勢は崩していない。国が施策の非を認め、責任を明確にすることなしに被害者の人権と名誉の回復は図れまい。
 救済制度の周知についても課題が残る。
 旧法下で不妊手術を受けたとされる障害者らは約2万5000人に上る。このうち個人が特定できる記録は約3000人分残っている。救済法では、プライバシー保護を理由に、こうした人たちへの個別通知は盛り込まれなかった。周知は広報活動にとどめ、自己申告が前提だ。
 国は強制不妊手術を受けさせるため「だましてもよい」と都道府県に通知した経緯があり、不妊手術だとの認識がない被害者も少なくない。障害特性などから意思表示が難しい人や、家庭の事情で言い出せない人もいる。
 全国被害弁護団の新里宏二共同代表(仙台弁護士会)は「請求数が極めて少なくなる恐れがある」と危惧する。多くの被害者の救済につながらないとすれば、一体、誰のための救済法なのか。政府や自治体はプライバシーに配慮しながら、被害事実を本人や家族に伝えるよう努力し、請求を支援する必要がある。
 国会が救済法制定へ動く契機となったのは、宮城県の60代女性が昨年1月、仙台地裁に起こした国賠訴訟だ。一連の訴訟で初となる判決は5月28日に言い渡される。旧法の違憲性を認める判決も想定され、内容次第では救済制度の見直しが迫られよう。


原爆資料館、展示一新 伝える役割さらに重く
 広島市の原爆資料館が、きょうリニューアルオープンする。2年前の東館に続いて本館の改装が終わり、25年ぶりに展示が一新された。原爆の悲惨さを伝え続ける中心施設になる。被爆者の話を直接聞く機会が減る中で、その役割はさらに重みを増すことになろう。
 ▽絶えず問い直せ
 本館は、遺品などの実物資料をより重視した展示に模様替えされた。来館者に一つ一つをじっくりと見てもらい、感性に訴える狙いがあるという。訪れた人の胸に、核なき世界を願う気持ちがこみ上げる展示になっているか。今後も絶えず問い続け、見直す姿勢が求められる。
 有識者による展示検討会議の9年に及ぶ議論がベースになった。本館は、原爆の実態をより被爆者の視線で伝えるコンセプトだという。
 被爆直後のむごたらしい写真を被爆者が描いた絵と交互に並べる展示が象徴的だろう。その光景を見つめた被爆者の心情がいっそう際立つようにも思える。遺品に持ち主や家族の写真、短いエピソードを添えて紹介する一角も、きのこ雲の下にいた一人一人に思いを巡らせるきっかけになるかもしれない。
 全般的には説明を最小限に抑えたという。来館者がじっくり遺品などと向き合うことで、原爆の悲惨さを自ら考えてもらう意図があるようだ。
 見る側に委ねている部分が大きい。
 例えば、来館者が本館に入って初めて対面する遺品は大型のガラスケースに入った動員学徒の衣服や持ち物である。そのケースを被爆した鉄骨や墓石などが囲む。あの日に居合わせたような感覚を持ってほしいという。だが、コースの序盤であり、その意図がどこまで届くだろうか。来館者の感じ方をつぶさに検証していきたい。
 ▽祈念館と連携を
 説明を減らした分、もっと被爆者の思いに触れたいと考える来館者もいるに違いない。近くには、被爆者の手記や証言映像を収集する国立原爆死没者追悼平和祈念館がある。さらに連携を深め、それぞれの役割を明確に知らせていくことも重要だ。
 今回から外国人被爆者の資料が常設展示になった。朝鮮半島出身者や東南アジアからの留学生の被爆を伝える展示は、原爆が日本人に限らず、罪のない市民の上に落ちたことを示すためでもある。
 昨年度の来館者152万人の約3割を外国人が占め、割合は年々高まっている。目立つのは欧米人だ。中国などでは、被爆地の訴えを「日本が戦争被害を強調している」と見る向きがある。アジアの人々の来館が少ない要因にもなっていよう。誤解を解き、海外の来館者の幅を広げなければならない。
 世界の目に耐え得る展示になっているか。私たち市民も資料館をあらためて訪れて、考えてみたい。
 原爆投下から74年となり、被爆体験を直接聞く機会は少なくなった。被爆建物が減り、痕跡をたどるのも難しい。
 ▽あらゆる核否定
 新たな展示では、被爆後の困窮した生活や消えない悲しみにも焦点が当たっている。今を生きる私たちには、まちの記憶を知り、受け継ぐ使命もある。資料館は、市民にも重要な学びの場所になっていくだろう。
 資料館は、開館翌年の1956年に「原子力平和利用博覧会」の会場になったことがある。原爆が悲惨だったからこそ、原子力を「平和」に生かそうという考えが被爆地にも芽生えた。時流に従ったことへの反省に立つなら、あらゆる核に対して毅然(きぜん)とした態度を示していかなければならない。それが核兵器のない世界への道筋を確かなものにもする。
 今回の改装で、長く展示されてきた被爆再現人形が撤去された。原爆が人間にもたらしたものをどう伝えるか。今回は実物資料を重視する方針が貫かれたが、絶対的な正解があるわけではない。有識者の展示検討会議が提言したように外部機関を設け、展示の在り方を冷静に議論し続けるべきだ。


液晶構想頓挫 政府主導の事業統合 検証が必要
 政府の主導による「日の丸液晶」構想が頓挫し、日本の液晶メーカーが事実上姿を消すことになった。
 業績不振の中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)が、中国と台湾の企業連合から総額800億円の支援を受けることで正式合意した。中台連合が筆頭株主となり、支配下に入る。
 JDIは、政府が主導して日立製作所、東芝、ソニーの事業を統合し、発足した。官民ファンドの産業革新機構(現INCJ)が出資するなど巨額の税金が投入されている。結果的に成果を上げられずに終わり、国策による合従連衡の限界を露呈した。失敗を重く受け止め、政府による介入の在り方を考え直さなければならない。
 2012年に発足したJDIは、赤字経営を脱することができなかった。19年3月期の連結純損益は5年連続の赤字になる見込みだ。国内に抱える工場の統廃合や人員削減も視野に入れている。日本企業からは支援を断られ、経営破綻を避けるには中台連合に頼るしかなかったのが実態だ。
 業績の悪化は、海外勢との価格競争に陥ったからだ。安値で売り込む韓国、中国メーカーを前に、高機能製品を得意とするJDIは価格の下押し圧力にコスト削減が追い付かなかった。経営悪化で投資余力も乏しく、競争力を一層失ってしまった。
 有機ELの開発が遅れたのも大きい。液晶から、より高精細の画像に対応できる有機ELへと軸足を移す世界の潮流から取り残された。寄り合い所帯で、意思決定が遅くなった結果だ。「親方日の丸」の意識が危機感の欠如につながった側面も否めず、経営責任は重い。
 今後、出資する中台連合は、JDIが持つ液晶や有機ELの技術力を取り込むことを狙っている。ただ、JDIの供給先の中で主要な顧客である米アップルとの取引関係に悪影響が出る懸念が拭えない。中国への技術流出についてはトランプ米政権が反発する恐れもある。米国の対米外国投資委員会(CFIUS)が安全保障の観点から口を出す可能性もあり、動向を注視する必要がある。
 液晶産業を巡っては、日の丸連合に参加しなかったシャープも台湾の鴻海精密工業の子会社となっており、日本の液晶産業はアジア勢に取り込まれる形となった。かつて隆盛を誇ったテレビやパソコンでも、韓国や中国のメーカーが世界の市場を席巻しており、日本の電機産業の衰退は深刻だ。
 しかし、どんなに重要な企業であっても国策で支援することには慎重になるべきだ。本来は淘汰(とうた)されるべき企業を救済すると、逆に市場の成長を妨げるケースがあり得る。役人が机上の論理で企業を再建するのには限界がある。今回の失敗を教訓として、政府は介入の手法を検証し、国会で産業政策について議論を深めねばならない。


変わらない隠蔽体質 11府省が大臣日程記録を「保存せず」
 財務省など11府省が、各大臣の面会や会合出席の日程を記した文書を、2017年度から約2年分、不存在としていることがきのう(24日)、NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の情報公開請求で分かった。
 クリアリングハウスは今年3月、17年4月から19年2月末までの大臣の日程表を各府省に公開請求。「開示決定の調整に時間を要する」とした防衛省以外の11府省から「不開示決定」の通知が届いた。不開示理由は「廃棄した」「保有していない」など。国交省は「事案終了後廃棄」と、即日廃棄を示唆したという。
 森友問題などを受け、政府は17年12月、行政文書管理の指針を改定。意思決定プロセスの検証に必要な文書などは保存期間を「1年以上」としたものの、日程表などについては「1年未満」とすることができる。日程表の廃棄は違法ではないが、改めて霞が関の“隠蔽体質”が浮き彫りになった格好だ。


安倍政権GW外遊ラッシュ 13閣僚“海外旅行”に血税5億の衝撃
 10連休になった今年のゴールデンウイーク(GW)。国内外は問題山積なのに、やっぱり安倍首相をはじめとする13閣僚は、巨額の血税を使ってノンキに外遊ラッシュだ。
 スリランカでは、消滅したとみられていたイスラム国と関連がある過激派組織による凄惨なテロが発生し、日本人が犠牲になった。首相と副総理の地元を結ぶ「安倍・麻生道路」を巡る“忖度”発言や、沖縄県の辺野古新基地建設問題もくすぶっている。そんな状況の中での外遊である。
「天皇の『退位礼正殿の儀』がある4月30日と、新天皇即位の儀式がある5月1日は、全閣僚が国内に滞在する」(永田町関係者)という。この2日間を挟んだ「前半」と「後半」に予定が分かれている。
■どんな成果が期待できるのか不明
 安倍首相は22〜29日、フランスやイタリア、米国など6カ国に出張中だ。公文書改ざんの責任を取らず居直って以降、評判が最悪の麻生財務相は25〜29日、首脳会談同席のため米国、カナダを訪問。後半の5月1日夜以降は、国際会議出席のためフィジーとフランスを訪問する。
 国税への口利き疑惑などで大揺れだった片山地方創生相は、要人との会談のため5月2日からインド、イスラエルを訪れる。危機管理の要諦である菅官房長官は、5月9日から要人との会談のため異例の米国出張だ。
 海外に出かけるのは閣僚だけじゃない。どんな公務があるのか、副大臣、政務官計10人もこぞって米国やフランス、パナマ、ペルーなどへの訪問予定が組まれている。
 本当に必要なのかよく分からない“海外旅行”の原資は、当然、国民の税金だ。
 野党の過去の質問主意書に対する答弁書などによると、安倍首相が過去、政府専用機で米国に3日間出張した際の費用は1億円を超えた。今回は8日間だから、単純計算で2億数千万にも上る。ファーストクラスで渡航する閣僚は日数や出国先にもよるが、1回あたり1000万〜2000万円程度の費用がかかるとみられる。ビジネスクラスを使う副大臣・政務官は閣僚の半分程度として計算すると、トータル経費は実に5億円を超える。「参院選を控え『無駄遣い』批判を避けるため、今年は絞った」(永田町関係者)というが、とんでもない金額だ。
 政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「要人との面会というのは、具体的にどんな成果が期待できるのか、巨額の費用をかける必要があるのか不透明です。とりあえず海外に行くための、取ってつけた理由にしか見えません。本当は、『連休中に日本にいてもやることがない』『海外に行くとVIP待遇を受けられる』という理由で、単なる“物見遊山”ではないのか」
 庶民は国内旅行すらままならないのに、フザケた話だ。


アンモニア 新たな製造法を開発
医薬品や肥料などの原料となる「アンモニア」を効率的につくる方法の開発に東京大学のグループが成功し、製造コストと二酸化炭素の排出を大幅に減らせる手法として注目されています。
「アンモニア」は医薬品や肥料、化学繊維などの原料となり、世界で年間およそ2億トンが製造されています。
現在の主な製造方法は、「窒素ガス」と「水素ガス」を数百度、数百気圧という高温高圧の状態にして反応させるものが主流で、製造の過程で大きな電力を必要とするほか、「水素ガス」は天然ガスなどの化石燃料から取り出しているため、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出が課題になっています。
これについて東京大学の西林仁昭教授のグループは、マメ科の植物に寄生する「根粒菌」と呼ばれる菌が空気中の窒素からアンモニアをつくり出していることに着目し、この菌が持つ酵素に似た働きをする触媒を開発しました。
そして、この触媒を使って実験したところ、化石燃料からの「水素ガス」を使わずに「水」と「窒素ガス」を反応させてアンモニアをつくることに成功したということです。
また、製造の際の温度は25度で圧力を上げる必要もなく、電力消費を大幅に減らすことができたということです。
研究グループでは今後、触媒をより効率的に働かせるために必要な化学物質のリサイクル技術などを確立して、さらに製造コストを抑え、実用化につなげたいとしています。
西林教授は「自然界の菌の働きを模倣することで温和な条件でアンモニアをつくり出すことができた。画期的な製造方法で、企業と共同研究を進めて実用化を急ぎたい」と話しています。


大分大、非喫煙者を優先採用 一部で疑問の声も
 大分大は、教職員採用について、非喫煙者を優先して採用する方針を明らかにした。3月に定めた選考の基本方針に盛り込んでおり、「喫煙者を排除するものではなく、喫煙者を採用した場合は、産業医による喫煙指導を受けさせる」としている。しかし、教職員の一部からは「個人の趣味、嗜好(しこう)を判断基準にすることは疑問だ」という指摘もあり、今後議論を呼びそうだ。
 大分大によると、採用選考の際に、喫煙習慣の有無を聞き取り、喫煙者と非喫煙者が同等の成績で並んだ場合などに非喫煙者を優先して採用する。採用後に喫煙者と判明しても罰則はないが、産業医の禁煙指導を受けさせる。同様の措置を巡っては、長崎大が19日、喫煙者は採用しない方針を明らかにしている。
 大分大は、「喫煙は喫煙者自身にとどまらず、すべての人々の健康に被害を与える」という考え方から2007年より禁煙を推進してきた。11年までに全キャンパスの屋内外を全面禁煙とし、喫煙所を撤去。14年からは学生と教職員を対象に無料の禁煙治療をしており、今年3月末までに延べ計459人が受診している。
 大分大は「禁煙環境を整え、禁煙の大切さを発信していきたい」としている。
    ◇
 非喫煙者を優先して採用する大分大の方針は、学内の教職員、学生の間で賛否の声が出ている。
 労働法に詳しい同大の小山敬晴准教授(経済学部)は「労働行政では採用時に個人の趣味や嗜好を基準にしないように推奨している」と指摘する。
 一方で、経済学部3年の女子学生(20)は自らは「吸わない」としつつ、「そこまで踏み込みすぎるのはよくないと思う」と疑問の表情を浮かべた。福祉健康科学部1年の女子学生(19)は「自分は吸わないので、たばこを吸う人の気持ちは分からないが、副流煙なども気になるのでそういう採用方針は良いと思う」と話していた。【田畠広景】


石野卓球が相棒ピエール瀧被告と再会「笑った!」
テクノユニット「電気グルーヴ」の石野卓球(51)が25日夜、ツイッターを更新し、麻薬取締法違反の疑いで逮捕された相棒のピエール瀧被告(52)と1カ月半ぶりに会ったと報告した。
「一カ月半ぶりに瀧くんと会ったよ。汗だくになるほど笑った!」
瀧被告は3月12日ごろ、東京都内のマンションで、若干量のコカインを吸引したとして同日、麻薬取締法違反の罪で起訴された。所属事務所ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)は2日付でマネジメント契約の解除を発表。瀧被告は4日に勾留先の警視庁湾岸署から23日ぶりに保釈されていた。
石野は18日午前にもツイッターで「もう事務所は辞める」とSMA退社する意向を示唆。「瀧もいないし」ともツイートし、瀧被告との絆の深さをのぞかせた。


ついに家宅捜索「ジャパンライフ」と安倍政権の黒い関係! 首相の最側近や田崎史郎らメシ友記者が広告塔に
 2000億円を超える負債を抱え、現在、破産手続き中の預託商法大手・ジャパンライフ社に、ついに捜査のメスが入った。債務超過の状態を隠して顧客を勧誘した疑いがあるとして、本日、警視庁など6都県警の合同捜査本部が特定商取引法違反(事実の不告知)容疑で創業者の元会長・山口隆祥氏の自宅や関係先など12都県30カ所を家宅捜索したのだ。
 同社の被害弁護団連絡会によれば契約者は約7000人にもおよび、現在、各地で損害賠償訴訟が起こされている。被害規模は史上最大の消費者被害を出した安愚楽牧場に次ぐもので、今後の捜査の行方に注目が集まっている。
 しかし、ジャパンライフをめぐっては、もうひとつ、注目すべき問題がある。それは、ジャパンライフと安倍首相の側近政治家、安倍応援団ジャーナリストとの関係だ。
 本サイトではこれまでも追及してきたが、安倍首相の側近である自民党の加藤勝信総務会長や二階俊博幹事長、さらに御用ジャーナリストの田崎史郎氏、NHKの島田敏男氏らといった“安倍首相のメシ友記者”たちがジャパンライフの“広告塔”をつとめてきた。さらに、2015年には安倍首相主催の「桜を見る会」に山口会長を招待。ジャパンライフは招待状と安倍首相の顔写真を宣伝チラシに載せてアピールに使っていたのである。
 その詳細をお伝えした昨年11月の記事を、今回、あらためて再録する。安倍首相の側近たちが被害の拡大に手を貸した事実は極めて重大であり、徹底した責任追及が必要だ。
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 マルチ商法としてこれまでにもたびたび社会問題化してきた「ジャパンライフ」が2400億円超の負債を抱えて破産、12日には最初の債権者集会が開催された。しかし債権者への返済はほぼ絶望的な状況も判明、大きな波紋を呼んでいる。ジャパンライフをめぐっては警察当局も特定商取引法違反や詐欺容疑を視野に本格捜査が開始される模様だ。約6800人にも及ぶと言われる被害者が予想されるが、さらに被害を増大させた一因がある。それがジャパンライフと安倍首相の側近政治家との関係だ。
 その最たる存在が、安倍政権下で内閣府特命担当及び一億総活躍担当大臣、厚生労働大臣などを歴任し、現在は自由民主党総務会長の要職にある加藤勝信議員だ。加藤氏はジャパンライフの内部向けの宣伝チラシに「ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価していただきました」と紹介されるだけでなく、ジャパンライフ創業者で“マルチのレジェンド”と称される山口隆祥会長と2017年1月13日に会食するなど、ジャパンライフの“広告塔”としての役割を果たしている。つまり被害者を安心させる“印籠”になっていたというわけだ。周知の通り、加藤氏は安倍首相の最側近で、最近では“ポスト安倍”としても名前があがることもある政治家。もともと勝信氏は、自民党の大物議員・加藤六月氏(故人)の娘婿で、六月氏は安倍首相の父・晋太郎氏の側近中の側近。安倍首相の幼い頃から安倍家と加藤家は家族ぐるみの付き合いであり、また六月氏の妻・睦子夫人と安倍首相の母・洋子氏との関係は相当に深く、大臣抜擢も、洋子氏の後押しがあったためといわれる。そんなオトモダチがジャパンライフの広告塔だったわけだから、それこそ安倍首相の責任は免れないだろう。
安倍首相主催「桜を見る会」にジャパンライフ会長を招待!
 しかし、ジャパンライフとの関係があるのは加藤氏だけではない。そもそもジャパンライフは政治家との関係をさかんにアピールしてきた。たとえば自民党の二階俊博幹事長も加藤議員同様、ジャパンライフの宣伝チラシに登場するだけでなくは山口会長主催の“自民党・二階幹事長を囲む懇親会”まで開かれていた。また2014年にはこれまた安倍首相側近の下村博文元文科相が代表を務める政党支部に献金がなされた。さらにこの問題を追及し続けてきた共産党の大門実紀史参院議員が入手した「お中元リスト」には安倍首相をはじめ、麻生太郎財務相や菅義偉官房長官、茂木敏充経済再生相らが名を連ねていたのだ。
 そして極め付けが2015年に開催された安倍首相主催「桜を見る会」だろう。2014年9月にジャパンライフは消費者庁から文書で行政指導を受けていたにもかかわらず、この首相主催の会にジャパンライフ創業者の山口会長本人が招待されているのだ。しかも、ジャパンライフは招待状と安倍首相の顔写真を宣伝チラシに載せ大々的にアピール、また勧誘や説明会で「招待状」を顧客に見せ、その関係を利用しようとしていた。つまり側近政治家だけでなく安倍首相もまた“広告塔”としての役割を果たしていたと言っていい。
 こうして安倍政権に食いこんだジャパンライフだが、さらに安倍首相と一体化している官庁である経産省を中心に官庁工作や人脈形成を盛んに行っていたことも判明している。
 実際、ジャパンライフは元内閣府官房長や元特許庁長官ら複数の官僚OBを同社の顧問や関連するNPO法人の理事長として招請し、報酬を支払っていたことが明らかになっているのだ。
 さらに問題なのは、こうしたジャパンライフの政界官界人脈が、悪質商法を行っている疑いがあるジャパンライフの行政処分を遅らせたという疑惑までがあることだ。これは昨年4月の国会で前述の共産党の大門議員が追及したものだが、ジャパンライフの業務停止命令が、2015年9月の立ち入り検査から1年3カ月と通常の倍以上も要した背景に、消費者庁の課長補佐が同社に天下りしていたことが指摘されているのだ。
 つまり加藤議員ら政治家が“協力”していたことで同社の「信頼」を演出、さらには関係官庁のOBが天下りしていたことで、これまでも悪質マルチ商法を行っている疑いがあったのに、その行政処分が遅れ、被害を拡大させた可能性すらあるということだろう。
田崎史郎、NHK島田敏男ら“安倍のメシ友”記者も広告塔に
 ジャパンライフの確信犯的とも思える政界官界への工作だが、もうひとつの疑惑が存在する。それがマスコミ“広告塔”工作だ。これはジャパンライフ問題が大きく取り上げられている現在においても、テレビや大手紙が一切沈黙を決め込んでいるが、通信社、全国紙、そしてNHKなど大マスコミの編集委員・解説委員クラスの幹部が、しかも安倍首相に極めて近い人物たちがジャパンライフの宣伝資料に実名・顔写真入りで登場していたというもの。
 この事実は今年2月、消費者問題の専門紙・日本消費経済新聞がスクープしたものだ。記事によると同紙はジャパンライフ元社員から、顧客の説明会で使用する資料を入手。その中に、2017年1月27日、二階幹事長を囲む懇談会を山口会長の主催で開催したことが紹介され〈トップ政治家やマスコミトップの方々が参加しました! このメンバーで毎月、帝国ホテルにて情報交換会を行なっています〉と打たれものがあり、その下に「参加者メンバー」が肩書きと顔写真入りでリストアップされていたのだ。
 そのなかには、TBS『ひるおび!』などテレビでおなじみ官邸御用ジャーナリストの筆頭、“田崎スシロー”こと田崎史郎・時事通信社特別解説委員(当時)や、安倍首相と寿司を食う仲から“しまだ鮨”との異名を持つ島田敏男・NHK解説副委員長(当時)、また芹川洋一・日本経済新聞社論説主幹(当時)の名前があげられている。田崎氏、島田氏が安倍首相の会食メンバーであることは言うまでもないが、日経の芹川氏も第二次安倍政権発足以降に少なくとも6回も安倍首相と会食を行なってきた。
 ただ、このジャパンンライフの広告塔になっていたのは、安倍首相の“メシ友”だけではない。元読売新聞社東京本社編集局長の浅海保氏、元朝日新聞政治部長の橘優氏、毎日新聞社の亡くなった岸井成格・特別編集委員と倉重篤郎・専門編集委員、『報道ステーション』(テレビ朝日)コメンテーターでもある後藤謙次・元共同通信社編集局長らまでが名前を連ねていた。ようするに、政治部トップ経験者が勢ぞろいしていたのだ。 こうした名だたるメンツが二階幹事長を囲み、その懇談会がジャパンライフの山口会長の主催だとアピールすることで、マスコミ関係にも強力な人脈があるとの印象を顧客に与えたのは想像にかたくない。 安倍首相に近い政官界、そしてマスコミ幹部までもがレジェンドマルチ商法大手であるジャパンライフと癒着、“広告塔”となっていた疑惑──。だが、ジャパンライフと安倍政権の関係について、さらなる疑惑が浮上している。それがジャパンライフと安倍昭恵夫人との関係だ。
 これは昨年末、日刊ゲンダイが報じたものだが、昭恵夫人が2017年10月に消費者庁から3カ月間の一部業務停止命令を受けたマルチまがい商法の「48ホールディングス」の淡路明人会長と一緒に写っている写真がネットで出回ったというもの。そして48ホールディングスの渡部道也社長はかつてジャパンライフの取締役を務めていたという。その関係の詳細は不明だが、しかしここでもまた昭恵夫人が登場したこと、さらにジャパンライフと安倍首相の蜜月を疑わざるを得ない。
 冒頭で記したように、今後ジャパンライフは当局の本格捜査が着手されるが、果たしてこうした安倍政権との癒着構造が解明されるのか。その動きを注視したい。


言論バトル『主戦場』を生んだミキ・デザキ監督の問題意識 Changing the Comfort Woman Narrative
朴順梨(ライター)
「慰安婦は性奴隷ではなく売春婦でした」。タレントであるケント・ギルバートのこんなせりふがある一方で、彼ら「歴史修正主義者」の言葉を吉見義明中央大学名誉教授がばっさりと否定する......。ドキュメンタリー映画『主戦場』は、慰安婦問題をテーマに繰り広げられる、さながら言論バトルのような作品だ。
監督のミキ・デザキはフロリダ州生まれの日系アメリカ人。医学大学院予科生として学位取得後、2007年から5年間、山梨と沖縄の学校で英語指導助手をしていた。その時の経験を基に「日本では人種差別がありますか?」という映像を制作し、2013年にYouTubeにアップしたところ、「でたらめ」「反日工作員」といった批判ばかりが寄せられた。いわゆるネトウヨ(ネット右翼)との初めての遭遇だ。
そんな折、元朝日新聞記者の植村隆が激しいバッシングにさらされていることを知り、その端緒となった慰安婦問題に興味を持ったという。
2015年に上智大学大学院進学のため再来日したデザキは、慰安婦問題についてのリサーチを始め、映画制作を進めていった。ニュース映像や資料を発掘するその傍ら、活動家や学者など約30人を取材。「被害者は20万人いたのか」「強制連行だったのか」「性奴隷か否か」といった論点に沿って、彼らの主張を映像に収めていった。
この作品の特徴は日本とアメリカ、韓国を横断して関係者を追っていることだ。韓国では『帝国の慰安婦』著者の朴裕河(パク・ユハ)世宗大学教授に、アメリカでは慰安婦にされた少女の像を建立した団体メンバーのフィリス・キムにインタビューしている。また、「女たちの戦争と平和資料館」(東京)の渡辺美奈や韓国挺身隊問題対策協議会の尹美香(ユン・ミヒャン)(当時)など慰安婦支援に関わる者だけでなく、ジャーナリストの櫻井よしこや杉田水脈衆議院議員など、慰安婦の強制性に否定的な者も多く登場する。
どちらも通常は自身に好意的なメディアには登場するものの、対立する相手と同じテーブルに着くことはほぼない。またどちらかの意見を支持するジャーナリストに、反対陣営が取材に応じることも少ない。
なのになぜ彼は、双方を取材することができたのか。
差別的な発言が多く登場
「撮影当時は大学院生だったので、相手の言葉をねじ曲げるようなことをすれば、自分の学者としての信頼に関わった」と、デザキは言う。「だから取材したい人には、『双方の意見を映し出す映画にしたい』とアプローチしていた」
デザキはまた「これは想像にすぎないが」と断りつつ、自分が日系アメリカ人ということも影響したかもしれないと考えている。「右翼の人たちはアメリカ人向けに『慰安婦は存在しない』というキャンペーンを張っていたので、私が自分たちの役に立つと思ったのだろう。それは左翼の人たちも同様だ」
題名の『主戦場』は、少女像がカリフォルニア州グレンデールに建つなど、慰安婦問題の対立が当事国の日韓ではなく、アメリカで起きているところから取っている。
「なぜ慰安婦と関係がないアメリカに少女像を建てるのか、私も最初は不思議だった。でも左翼系の活動家は日本でこの問題が忘れられているだけに、全世界に少女像を置きたいのだと分かった。一方の右翼系は、アメリカ人の歴史認識を変えられれば世界中に影響が及ぶと考えたのではないか」
誰のどんな主張が正しいかという先入観なしに始めたものの、取材中は自身の認識を問われることが何度もあった。「もともと慰安婦問題の知識があるわけではなかった」というデザキは、例えば否定派が米戦争情報局の「日本人捕虜尋問報告書49号」(慰安婦は売春婦もしくは「プロの従軍者」と記したリポート)を示した際などは、心がざわついたと語った。反論するだけの材料を持っていなかったからだ。「インタビュー後はよく、『自分はどう思っているのだろう』と揺れ動いた」
映画には歴史修正主義者らによる差別的な発言が多く登場する。デザキは自らも日系アメリカ人として人種差別を経験してきたため、「これは間違った発言だ」と感じる瞬間はあった。その差別意識は自分に向けられたものではなかったので、耐えることができたという。
韓国で上映したときは、多くの観客が心を乱されている姿を見た。「でもこの作品には慰安婦に差別的ではない日本人も登場する。そのことは韓国人の日本人に対する認識の幅を広げてくれたはずだ」と、デザキは言う。「私はこの映画を作ることで、人助けをしたかった」
なぜ慰安婦問題をテーマにした映画が人助けにつながるのか。そう問うとデザキは、正しい知識を得ることがヘイトクライムの抑止になるからだと語った。「私が教えていた沖縄の高校のスピーチ大会で、ある女子生徒が『反日運動をしている中国人や韓国人には怒りを感じる。きっと日本の成功や技術革新に嫉妬している』と言っていた」
デザキはそのとき、この発言は知識が足りないことが原因だと気付いた。なぜ他国の人が日本に怒りを持つのかを学んで理解すれば、相手と対話ができる、ヘイトクライムは防げる──。
知識がないならまだしも、かたくなに信じているものを覆すことは容易ではない。しかしこの作品には、それすらも可能と思わせる仕掛けが終盤に用意されている。かつて櫻井の後継者と目されていた女性の衝撃的な「証言」だ。
上智大学で上映した際、鑑賞後の感想でこんなことを書いた男子学生がいたそうだ。
「自分は右翼的な思想の持ち主だったけれど、この映画で左派の人たちの考え方を初めて知って意見が変わった」
この言論バトルには観客を傍観者で終わらせない力がある。

Koさんデビュー/米沢の親戚(41歳)亡くなる/自分が動かないと…

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Les victimes de stérilisation forcée au Japon vont être dédommagées
Une loi historique, adoptée mercredi, donne droit à une indemnité par personne de 3,2 millions de yens (25 000 euros) aux quelque 16 500 personnes concernées.
Des milliers de Japonais qui ont subi à l’adolescence une stérilisation forcée vont recevoir une indemnisation de l’Etat dans le cadre d’une loi historique, adoptée mercredi 24 avril par le Parlement. Après ce vote prononcé à l’unanimité, le premier ministre Shinzo Abe a exprimé dans une déclaration ses ≪ sincères regrets ≫ et les ≪ profondes excuses ≫ du gouvernement.
Quelque 16 500 personnes, selon les statistiques officielles, ont subi une intervention chirurgicale pour les empêcher de procréer, en vertu d’une loi eugéniste instaurée en 1949 et restée en vigueur jusqu’en 1996, qui visait des personnes souffrant de handicap mental héréditaire.
3,2 millions de yens par personne
Cette nouvelle loi donne droit à une indemnité de 3,2 millions de yens (25 000 euros) par personne, un montant ridicule au regard du préjudice enduré, ont dénoncé les militants de cette cause. ≪ Il est compréhensible que les parlementaires aient activé le processus pour les victimes âgées ≫, ont réagi des avocats dans une déclaration publiée avant l’adoption du texte. Mais en fixant un montant insuffisant, ils n’apportent pas de ≪ vraie solution au problème ≫.
Après des années de démarches infructueuses, le sujet a commencé à trouver un écho médiatique l’an dernier après la plainte d’une femme, maintenant âgée d’une soixantaine d’années, contre le gouvernement. Une vingtaine de victimes sont alors sorties de l’ombre, réclamant des dédommagements aussi élevés que 38 millions de yens (300 000 euros) par personne. Un premier jugement sera rendu le 28 mai. L’Allemagne, la Suède et d’autres pays ont eu des lois eugénistes similaires et les gouvernements ont payé des compensations aux victimes.
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フランス語の勉強?
レモンティー🦐大好き @ogr40001
洋書読んでると痴漢されにくいとは聞いていたが、先程電車内でむずかしいえいごの本を開いたところ隣のお股おっ広げおじさんがサッと足閉じたのでマジだったんだなと

夕方Koさんデビューです.女子と仲良くお話ししていました.
いきなりですが,米沢の親戚(41歳)が亡くなったとメールが来ました.41歳ならまだまだ若いです.あまりお付き合いのある方ではなかったのですが,香典をお願いしました.
Kaさんから,自分が動かないと…と言われました.でもね…というところです.

震災翌月発見 遺骨など遺族に
東日本大震災の翌月、石巻市で見つかった遺体が、行方不明になっていた女川町の当時60歳の女性とわかり、震災から8年余りを経て、遺骨などが遺族の元に戻りました。
身元が確認されたのは女川町女川浜に住んでいた平塚眞澄さん(当時60)で、震災が起きた翌月の平成23年4月に石巻市の漁港近くの海で見つかりました。
警察が、身元が分からない女性として似顔絵を公開するなどして調べていましたが、先月、平塚さんの弟が似顔絵に似ているという情報が寄せられ、弟に送った手紙に残されたDNAの型が遺体のものと一致しました。
平塚さんの遺骨は、震災から8年余りがすぎた24日、見つかった当時身につけていた服などとともに遺族の手に渡されました。
弟の鈴木正樹さん(47)は、「明るく元気な姉で、震災後もふとした時に現れるのではという思いもあったが、震災から8年がたち、あきらめかけていたところだったので、家族のもとに戻ってきて本当にうれしい。姉が住んでいた女川の町を見渡せるお墓で、ゆっくりと休んでほしい」と話していました。
震災の行方不明者は県内でいまも1200人余りにのぼり、警察によりますと、身元がわからないまま遺体で残されている人が9人いるということです。
県警察本部捜査一課の身元不明・行方不明者捜査班の菅原信一班長は、「10年以上前の手紙から身元を特定できたのは奇跡的で、ようやく遺族のもとに帰すことができ、感無量だ」と話していました。


<再出発・かわまちてらす閖上>(中)ももや/復活 懐かしのカツ丼
 名取市閖上の住民が「ソウルフード」と口をそろえるのが「ももやのカツ丼」だ。25日開業の商業施設「かわまちてらす閖上」で、懐かしの味が復活する。
<途絶えた店の味>
 かつて閖上2丁目にあった「お食事処ももや」は、渡辺重治さん=東日本大震災当時(70)=、由美子さん=同(68)=夫婦が切り盛りしていた。1番人気は肩ロース肉のカツに、甘じょっぱいたれが染み込んだカツ丼。しかし、震災の津波で2人とも帰らぬ人となり、店の味は途絶えた。
 「閖上のごちそうだった」と話すのは、閖上出身の洋食店料理長小斎悟史さん(37)=仙台市青葉区=。農作業後に出前で取ったカツ丼のうまさを忘れられず、レシピ再現に奔走した。
 カツ丼復活は2012年、栃木県内で働いていた小斎さんが閖上の復興支援に取り組む仙台市の飲食店経営「飛梅」の求人に応募したのが、きっかけとなった。採用面接で小斎さんが復活への熱意を語り、当時の松野勝生社長(73)が実現を約束した。
 小斎さんは、遺族からサバ節でだしを取っていたことやラードでカツを揚げていたことなどを聞き、仕入れ業者も調べて試行錯誤を重ねた。「地元復興のため、料理人としてできること」を追い求めた。
<試食会を重ねる>
 飛梅がかわまちてらす閖上に「ももや」を出店する計画が具体化し、小斎さんはレシピ作りを急いだ。今年1、2月に試食会を開き、かつての味を知る参加者の意見を踏まえて3月に完成させた。箸休めの白いたくあんや丼の質感など細部まで気を配った。
 「当時に近い味を出せたと感じる。食べた人から、ああだった、こうだったという話を聞くのが楽しみ」と、飛梅の松野水緒社長(39)。閖上の住民の舌に残った記憶を呼び起こす一杯となるに違いない。
[メ モ]メニューはカツ丼650円、親子丼600円、玉子丼550円、みそ汁100円の4種類。フードコートの一角に入る。営業時間は平日午前11時〜午後8時、土日祝日午前10時〜午後9時。年中無休。連絡先は飛梅022(398)9410。


熱気球から松島湾一望 新たな観光資源目指す
 アウトドア体験の企画会社「風の丘」(仙台市泉区)は27日、熱気球に乗って松島湾の眺めを楽しむ事業を東松島市で始める。松島の新たな観光資源として定着を図るとともに、東日本大震災で観光入り込み客が落ち込む奥松島エリアの活性化を目指す。
 熱気球は高さ30メートルまで上昇して3〜4分間停止する。四方に張ったロープで高さを保ち、天候に恵まれれば朝日に照らされる松島湾や蔵王連峰を望める。風が穏やかな日の出から午前8時ごろまで運営する。
 操縦は熱気球パイロット免許を持つ同社の山谷武繁社長(48)が担当。年齢制限はなく、車椅子でも搭乗できる。大人5、6人が一度に乗り込めるという。
 同市大塚の会場近くには19日に開業したリゾートホテル「奥松島レーンホテル」があり、宮城県松島町の宿泊施設を含めた観光客の利用を見込んでいる。
 風の丘は震災後、同県七ケ浜町でパラグライダー体験事業を展開した。山谷社長は「松島は定番の観光が続いており、新しいものを提供したかった。熱気球は最も気軽に空を飛べる乗り物。地域全体の活性化につながってほしい」と話す。
 営業は土、日曜。27日〜5月6日の大型連休中は毎日飛行する予定。中学生以上3000円、3歳〜小学生2000円、3歳未満無料。現地での先着順。優先搭乗券があり、同社の特設サイトで購入する。連絡先は山谷さん090(8255)9187。


<平成の東北・30年の軌跡>(6)プロ球団/仙台拠点3チーム誕生 「不毛の地」レッテル返上
 仙台が「プロスポーツ不毛の地」と呼ばれていたことを、平成生まれの人たちに信じてもらえるだろうか。1977年、プロ野球ロッテオリオンズが仙台を去ってから不名誉なレッテルを張られた時期があった。
<ベガルタが風穴>
 風穴を開けたのはサッカーのベガルタ仙台だ。
 前身は東北電力サッカー部。1993年のJリーグ開幕を追い風に、東北でもプロサッカークラブ創設の機運が高まった。旗振り役だった元宮城県サッカー協会理事長の伊藤孝夫さん(88)は「民意の後押しが心強かった」と述懐する。
 チーム創設を求めた署名は30万を超えた。「ゼネコン汚職の出直し知事選で当選した浅野史郎さんの得票が約29万。知事を支持する声を超えたとき、いけるかなと思えた」と伊藤さん。94年秋にブランメル仙台として設立。99年に現在の名前になった。25年たった今も市民クラブとして歩む。
 サッカーとは対照的に、プロ野球球団の誕生は落下傘的だったとも言える。
<球界再編契機に>
 2004年、近鉄とオリックスの球団合併構想に端を発した球界再編問題は、ライブドアと楽天のIT企業2社の競合を経て、東北楽天ゴールデンイーグルスの誕生で決着した。
 11月に大阪・藤井寺球場であった秋季キャンプ。まだユニホームが決まっておらず、真っ白な練習着で始まった。同時に宮城球場の改修工事も急ピッチで進む。球団副社長を務めた池田敦司仙台大教授は「4月の本拠地開幕に向けて死んでも間に合わせるぞ、とみんな必死だった。熱意だけの営業だった」と振り返る。
 参入1年目の05年は38勝97敗1分けの最下位。以後、12年まで8季でAクラス入りは1度きり。田中将大(現ヤンキース)ら生え抜きが主力に成長した13年は球団創設9年目で初の日本一に輝いた。観客動員も増え、昨年は初年度の2倍近い172万人が球場に足を運んだ。
 サッカー、野球に続くプロチームが男子バスケットボールの仙台89ERSだ。bjリーグ時代に発生した東日本大震災による活動休止を乗り越え、地道にファンを開拓している。


仙台市が新地域ブランド「都の杜・仙台」 来月デビューフェア
 仙台市は23日、仙台圏の新たな地域ブランド「都の杜・仙台〜緑と彩にあふれる街〜」とロゴマークを発表した。統一ブランドで地域の特産品やサービスを国内外に発信し、販路開拓につなげる。5月2〜8日には藤崎(青葉区)と連携し、「都の杜・仙台」のデビューフェアを開催する。
 新ブランド名は、豊かな自然と都市景観が調和し、魅力と活力に満ちた仙台の特色を表現した。ロゴは文化、歴史、国際交流、街・景観、ものづくりの「五つの彩」をイメージ。下部は仙台の頭文字の「S」にも読めるようデザインした。
 フェアは藤崎本館1階で開催し、新ブランドに合った23社の120点を販売する。新緑のケヤキ並木をイメージしたハーバリウム(植物標本)、仙台七夕の吹き流しをモチーフにしたお香、ずんだを使ったスムージーなどが並ぶ。
 新ブランド事業には現時点で60社が参画する。今後、こけしの絵付け体験などサービス分野も含め、新ブランドの品ぞろえを充実させ、百貨店の物産展やインターネットサイトでの販売を視野に入れる。ロゴ使用料の有無なども検討する。
 市にはこれまで、市内の事業者から「物産展などに出品する際、単独の商品では売り込みにくい」との悩みが寄せられていた。
 2018年度、多彩な商品をパッケージ販売するため、新たな地域ブランド開発に着手。市内のカフェや菓子店、雑貨店と6回開いたワークショップを踏まえ、新ブランドをつくった。
 郡和子市長は23日の定例記者会見で「杜が枝葉を広げるように、新ブランドがたくさんの商品を生み出せるといい。とてもいいネーミングで私も気に入っている」と話した。


<気仙沼大島大橋>GWに向けた交通対策が決定
 気仙沼市の大島と本土を結ぶ気仙沼大島大橋の開通で生じる交通問題を国、県、市が協議する「気仙沼大島大橋交通対策調整会議」が23日、県気仙沼合同庁舎であり、今週末からの10連休に向けた最終的な交通対策を決めた。市内に緊急的に設置する看板などは約100枚に上り、期間中は延べ140人態勢で交通誘導に当たる。
 市内の看板や電柱などに張り付けた仮の標識などはこれまでに60枚あり、26日までに39枚を追加する。このうち国土交通省仙台河川国道事務所は、国道45号の5カ所に計9枚の看板を出す。県、市は大島や市中心部だけでなく、周辺地域にも看板を設置する。
 市は10連休中、島に誘導員を1日14人張り付ける。観光名所の亀山への案内や、開通後の休日に駐車場が満車となっている龍舞崎周辺の交通整備を担う。
 大島大橋の両側にある転回場の警戒にも当たる。道を横切る観光客が続出し、危険性を指摘する声が多いため、県は誘導員を2人ずつ配置。横断する場所を制限するため、バリケードも設ける。
 調整会議は7日の開通後に市に寄せられた苦情などを基に、当面の目標として大型連休の交通対策を進めてきた。
 県気仙沼土木事務所の小野潤哉次長は「市、国、警察に協力してもらい、できる限りの対策を講じることができた」と話した。


「命の重みを胸に刻んで」 先輩亡くした看護師が教壇へ 尼崎脱線事故14年 
 JR福知山線脱線事故による先輩の死をきっかけに看護師となった前中夕紀(ゆうき)さん(31)=大阪市平野区=が今春、天理医療大看護学科(奈良県天理市)の助教になった。「命の重みを胸に刻んだ学生を育てたい」。事故14年を前に先輩宅を訪ねて遺影に報告し、遺族の思いを受け止めた。【生野由佳】
 前中さんは母校の三田学園中学・高校(兵庫県三田市)で柔道部に所属。3学年上にいたのが下浦善弘さんだった。背負い投げが得意だった先輩は、小柄だが体の大きな相手にひるまず、技も丁寧に教えてくれた。2005年4月25日。高3の前中さんはテレビで悲報を知った。授業中も机に伏せて泣いた。下浦さんはまだ20歳だった。
 「悲しみを味わう人を減らしたい」。前中さんは大学時代に看護師免許を取得し、12年に大阪府立急性期・総合医療センター(当時)に就職。救急医療の現場で自分なりに必死に患者と向き合い、志願して災害派遣医療チーム(DMAT)の一員にもなった。
 ただ、同じ看護師でも熱意に温度差があるように感じることもあり、「命に寄り添う医療人を育てたい」と思うように。16年に大阪大大学院に入り直し、患者やその家族と看護師の関わりを改めて学んだ。この4月から天理医療大の助教として、講義の間、教授をサポートしている。
 今月14日に下浦さん宅を訪ねた。下浦さんの父邦弘さん(70)は「立派になりはって」と迎え、「息子を知っている人が来てくれると、あの子がこの世に存在していたことをかみしめられる」と喜んだ。そして、息子の最期を知る医師とのエピソードを前中さんに語った。
 あの日、現場から運び出された下浦さんは酸素マスクをしていたのに、救護の優先順を決めるトリアージで蘇生不可能を意味する黒いタグ(識別票)が付けられた。邦弘さんらは医師を探し当て「助かる可能性があったのでは」と疑問をぶつけた。医師は「私が責任を持って判断しました」と言い切った。
 「それだけのことが言える責任の重い仕事。その姿勢が現実を受け入れさせてくれました」。邦弘さんの“はなむけの言葉”に前中さんは表情を引き締めた。「命と向き合う職業。そんな心構えを持つ看護師を育て、送り出したい」


尼崎脱線事故「わすれない」 追悼のあかり、浮かぶ
 乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故の現場(兵庫県尼崎市)で24日夜、ろうそく約600本をともす「追悼のあかり」があり、遺族らが犠牲者をしのんだ。
 JR西日本が昨年9月、現場に完成させた慰霊施設「祈りの杜(もり) 福知山線列車事故現場」の一角にろうそくが並べられ、午後6時に明かりがともされた。夕闇に「2005・4・25 わすれない」の文字が浮かぶと、遺族らは静かに目を閉じた。「天国から安全を見守っていて」「子供達も立派になりました」。ろうそくを覆うカバーにはそんな言葉が記された。
 遺族らによる実行委員会が事故の風化を防ごうと始め、5回目。委員長で義弟の中西聡さん(当時34歳)を亡くした上田誠さん(52)=大阪府八尾市=は「現場も様変わりし、事故が忘れられるのではないかと不安になる。事故を伝えていくのは遺族の責任。ろうそくをともし続けたい」と語った。
 発生14年となる25日の今年の追悼慰霊式は祈りの杜で行われる。【近藤諭】


[アイヌ新法成立]民族復権につなげたい
 アイヌ民族を初めて「先住民族」と明記した新法「アイヌ民族支援法」が国会で成立した。北海道旧土人保護法が廃止され、アイヌ文化振興法ができたが、新法は振興法に代わるものである。
 新法は「アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図る」ことをうたっている。
 アイヌであることを理由に差別や権利侵害をしてはならないことを明記し、アイヌ政策を国や自治体の責務と定めている。市町村が産業、観光などアイヌ文化を生かした地域振興策を作ると、国が交付金を支出するのが柱だ。
 1899年に制定され1997年まで続いた「北海道旧土人保護法」による同化政策で、アイヌ民族は土地を奪われ、狩猟や漁業が制限された。日本語を強制され、独自文化も衰退した。言葉が奪われる政策は沖縄を想起させる。
 新法は先住民族への配慮を求める国際的な要請の高まりに応えたものである。2007年に国連で「先住民族の権利宣言」が採択され、08年には衆参両院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択された。
 新法には国連宣言で民族の権利とされた自決権や教育権などが盛り込まれず、付帯決議で国連宣言を尊重するよう政府に求めるにとどまった。
 民族儀式に使う林産物の国有林での採取や河川での伝統的なサケ漁の許可を簡素化するが、本来はアイヌ民族が奪われた土地や資源である。新法には先住民族の権利は明記されておらず、国際水準からは程遠い。
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 アイヌ民族に対するいわれのない差別や生活・教育格差は依然、存在する。新法に生活・教育支援は盛り込まれておらず、充実を求めたい。
 アイヌ民族が居住する道内63市町村を対象にした「アイヌ生活実態調査」(17年)によると、アイヌの人たちの生活保護率は居住市町村の平均を超えており、大学進学率は12・5ポイント低い。
 「差別を受けたことがある」「他人が受けたのを知っている」を合わせると、36・3%に上る。一方、内閣府が昨年8月に発表した「アイヌ政策に関する世論調査」によると、明治以降、アイヌの人たちが非常に貧しく、独自の文化を制限された生活を余儀なくされたことを知っている人は4割にすぎない。
 差別解消やアイヌ民族の苦難の歴史を国民に知らせるのは政府の責任においてなされなければならない。
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 北海道白老町に「民族共生象徴空間」を建設し、復興・発展の拠点とすることも柱である。愛称はウポポイで大勢で歌うという意味だ。国立アイヌ民族博物館、アイヌ文化を体感できる国立民族共生公園、慰霊施設を整備する。
 政府は東京五輪・パラリンピックに先立つ20年4月にオープンする予定だ。初年度は100万人の来場を見込んでいる。観光重視の姿勢であることが気になる。
 アイヌ民族の尊厳と民族復権につながる空間でなければならない。私たちもアイヌ民族について学びを深めたい。


アイヌ新法成立  格差解消へ実効性こそ
 アイヌを法律上初めて「先住民族」と明記したアイヌ民族支援法が成立した。
 文化振興に偏った従来のアイヌ政策を修正し、地域振興を含めた総合施策へと踏み出す。一歩前進と受け止めたいが、先住民族としての権利には触れていない。アイヌの人々の誇りと尊厳の回復と併せ、いかに経済格差や偏見を解消するか。実効性が問われよう。
 2007年に国連で「先住民族権利宣言」が採択され、宣言を踏まえて翌年、国会決議でアイヌを先住民族と認めて10年余り。ようやく、との感は否めない。「日本は単一民族国家」といった誤った認識から、国として公式に決別したとも言える。意義は大きい。
 新法によると、国はアイヌ政策推進本部を設置し、基本方針を策定する。これに基づき市町村が文化、産業、観光振興のための地域計画を作ると、新たな交付金が関係事業に支出される。施策の実効性を高めるには、国や市町村がアイヌの人々の思いをくみ取り、具体的なニーズを把握しながら政策を進めていく必要がある。
 アイヌは明治政府によって同化政策を強いられた。生活基盤を失い、貧困を余儀なくされてきた。
 1997年に旧北海道土人保護法を廃止し、アイヌ文化振興法が制定された。民族文化や技術の継承などで一定の成果を上げたものの、アイヌの世帯収入や進学率の低さなど格差は残ったままだ。
 新法は先住民族としての権利回復の面で不十分さが目立つ。伝統サケ漁の許可は簡素化されたが、土地や資源の回復、教育権など具体的な権利保障に踏み込まなかった。国会は国連宣言の趣旨を踏まえるとした付帯決議を付けたが、法的拘束力はない。
 過去の政策への反省も謝罪もない。アイヌの暮らしを長らく侵害し、支配し、差別してきた歴史に真正面から向き合い、共生への道筋をきちんと描くべきであろう。
 安倍晋三首相は1月の施政方針演説で「アイヌの皆さんが先住民族として誇りを持って生活できるよう取り組む」と述べた。観光立国を巡り、国がアイヌ文化振興の拠点として来年4月開業を目指す「民族共生象徴空間」に言及したくだりだった。アイヌ文化を単に観光振興に利用するとの視点でしか捉えていないとすれば残念だ。
 先住民族アイヌの暮らしを元に戻すのは難しいが、国の責任は重い。私たちもアイヌの歴史と現況を知り、独自の信仰や言語、文化への理解を深めていきたい。


外交青書 「四島帰属」なぜ消した
 「北方四島は日本に帰属するというのが日本の立場である」―。
 河野太郎外相がきのうの閣議で報告した2019年版外交青書から、昨年まで盛り込まれていたこの文言が削除された。
 青書は日本の外交活動の概要を記録したものだ。すでにロシアとの交渉で「四島の日本帰属」を主張していないということなのか。
 河野氏は記者会見で「総合的に勘案した」と述べた。
 四島はロシアに不法占拠されたというのが歴史的事実だ。勘案する要素などない。外交青書からの削除は容認できない。
 安倍晋三首相は北方領土問題を自らの手で決着させることを急ぎ、歯舞群島と色丹島の2島返還を軸にした交渉にかじを切った。
 さらに最近は首相や政権幹部が「不法占拠」に言及しないなどロシアに対する卑屈なまでの譲歩姿勢は目に余る。
 そうした態度は足元を見られ、領土問題で成果を上げていないのは明らかだ。主張すべきは主張する外交を貫かなければならない。
 青書では従来「北方領土と平和条約締結交渉」の項目の冒頭で、四島の日本帰属を明記してきた。
 その上で、1956年の日ソ共同宣言、93年の東京宣言、2001年のイルクーツク声明など諸合意や法と正義の原則に基づき、四島の帰属問題を解決し平和条約を締結するのが基本方針と記した。
 今回、この交渉方針に関する記述も削除された。
 そこに記された三つの政治文書は、旧ソ連やロシアの歴代政権と交わした重要な合意だ。
 特に東京宣言は四島の帰属問題の存在を互いに認め「法と正義の原則」に基づく解決を確認したもので、領土交渉の基礎となろう。 河野氏は会見で「政府の法的立場に変わりはない」とも述べた。
 ならば、政府の基本方針を従来通り外交青書に明記し、日ロ交渉でも主張すればいいはずだ。
 極端に腰の引けた外交では、四島返還の実現は遠のく。
 青書では北朝鮮の核・ミサイル問題に関し、18年版に記述していた「重大かつ差し迫った脅威」などの文言を削除した。
 圧力一辺倒から転換し、対話による拉致問題の進展を図りたいという思惑もあろうが、核・ミサイルの完全廃棄を求める立場が後退したように見られはしまいか。
 外交上の複雑な問題を抱える相手国に誤ったメッセージを送ることがないよう、文書の記述には慎重を期さねばならない。


テロ対策施設未完成なら原発運転停止 原子力規制委
 原発の新規制基準で設置が義務づけられたテロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特定施設)を巡り、再稼働した原発を持つ関西電力、四国電力、九州電力の3社が施設設置が期限より遅れるとの見通しを示した問題で、原子力規制委員会は24日、期限の延長を認めないことを決めた。九電川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)は来年3月に期限を迎えるが、その時点で施設が完成していなければ運転停止となる。
 特定施設は、テロによる航空機の衝突などを想定し、遠隔操作で原子炉の冷却を継続するための施設。当初は2013年の新基準施行から5年以内に設置する必要があった。だが、審査の長期化を踏まえ、規制委は原子炉の工事計画の認可を受けてから5年に猶予期間を延長していた。
 3社は今月17日の規制委との意見交換で、再稼働している九電川内、関電高浜、大飯(おおい)、四電伊方(いかた)の計4原発7基で1年ほど設置が遅れることを明らかにした。九電玄海原発2基も遅れる見通しで、再稼働済みの全9基が停止を迫られる可能性が出てきた。
 各社は安全対策のため工事が大規模になったことを遅れの理由に挙げるが、24日の規制委の定例会で委員から「理由にならない」との意見が出た。【岩間理紀】


廃炉作業に外国人 適切な環境整備が先決だ
 東京電力が、新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者を、福島第1原発の廃炉作業などに受け入れる方向で準備を進めている。
 福島第1原発構内では現在、東電や協力会社の社員らが1日平均で計約4000人働いている。
 法令に基づく作業員の被ばく線量は、年間50ミリシーベルトかつ5年間で計100ミリシーベルトが上限だ。これを超えて働くことはできず、作業員の確保には、人海戦術的な側面がある。
 廃炉が終わるまで30〜40年かかるとされる。長期的な人材の確保は、その成否を左右する重要な課題だ。
 だが、法務省は廃炉作業への外国人技能実習生受け入れを認めてこなかった。特殊な作業で、「習得した技術を母国で役立てる」という制度の趣旨にそぐわなかったからだ。
 今回、東電が受け入れを想定するのは主に特定技能1号の外国人だ。技能実習生として3年間の経験があれば、無試験で資格を得られる。
 ただ、廃炉の現場は放射線被ばくの恐れがあり、専門用語も飛び交う厳しい環境にある。制度の見直しが、外国人労働力を確保する安易な方便となってはいけない。
 特に心配なのが日本語の問題だ。1号に必要な日本語能力は「日常会話レベル」だが、廃炉作業では、放射線関連用語を理解するなど、より高い語学力が欠かせない。
 本人が内容を理解できないまま、被ばくが伴う作業に従事させられるようなことが起きないだろうか。
 特定技能の外国人雇用について東電は「協力会社の判断だ」という。作業員の大半は何段階にも分かれた下請け企業に雇われている。東電には、発注元として末端まで管理の目を行き届かせる責任がある。
 外国人労働者に海外での被ばく経験がある場合、国内での被ばく量と合わせて管理する必要がある。ところが、海外での被ばく量は労働者の自主申告に委ねられている。的確な管理ができるか疑問が残る。
 労働者が帰国後に、被ばくが原因とみられる病気を発症した場合、労災申請を円滑に進めることができるのか。そんな心配も浮かぶ。
 廃炉作業へ外国人を受け入れるのなら、日本語能力の向上対策や被ばく管理体制の強化など、適切な受け入れ環境の整備が先決だ。


投票率の低落傾向 民主主義の土台揺るがす
 投票率の低落傾向に歯止めがかからない。21日に投開票された統一地方選挙・後半戦や衆院補選で顕著な傾向として表れた。自分たちの代表を選ぶ選挙で投票しない人が増えることは、民主主義の土台を揺るがす危機的な状況と言える。強く警鐘を鳴らしたい。
 総務省が22日発表した後半戦の全国の平均投票率は、59市長選挙で47・50%と過去最低を更新した。283市議選45・57%、東京特別区の20区議選42・63%、66町村長選65・23%、282町村議選59・70%と相次いで最低を更新した。
 前半戦も41道府県議選、6政令市長選、17政令市議選で平均投票率が過去最低を記録している。
 町村の議員選挙は住民に身近な分、投票者が有権者の過半数に達するが、市など都市部では過半数を割っている。
 県内でも東村長選挙、玉城デニー氏の知事転出に伴う衆院3区の補欠選挙が行われた。東村長選挙は87・00%と前回を2・14ポイント下回ったが、高率を維持した。しかし3区の補選にいたっては過半数に届かず、43・99%である。県内で実施された国政選挙では過去最低となった。
 補欠選挙は全国的にも投票率が下がる傾向がある。2007年の参院沖縄選挙区補選でも47・81%と過半数を割り込んだ。政権選択が懸かる総選挙ではなく、今回は沖縄と大阪の二つの地域に限られた。沖縄でも公開討論が行われないなど、政策論争が不十分だったことは否めない。
 とはいえ、衆院3区は名護市辺野古への新基地建設が最大の争点だった。国と県が鋭く対峙(たいじ)する中で、対立点は鮮明だったはずだ。
 全国的に選挙の大切さに対する国民の認識が薄れているのではないか。極めて危険な兆候だ。一人でも多くの有権者が投票所に足を運ぶように候補者、政党はできる限り、政策論争を深めていく必要がある。
 振り返れば、戦後沖縄は自治権拡大の戦いの連続だった。米軍占領下の1952年4月に発足した琉球政府の行政主席は任命制だった。公選制導入を求める住民の声は幾たびの米軍の弾圧、懐柔策にめげることなく主席公選を68年11月に実現するに至った。
 主席公選で投票権の大切さを身にしみて実感してから今年で51年になる。当時の人々の切実な思いを忘れてはならない。
 かつて、時の首相が「無党派層には寝ていてほしい」との趣旨の発言をして批判を浴びたことがある。彼が図らずも吐露したように、棄権することは為政者の思うつぼなのである。
 選挙は、このような国民主権を無視した為政者のおごりとも言える言動を、主権者がいさめる機会でもある。
 夏には参院選挙も控えている。一人一人に平等に与えられた大切な一票を、無駄にすることなく、しっかりと行使したい。


ゲノム編集 研究は社会の合意の下で
 ゲノム編集の技術によって遺伝子を書き換えた受精卵を子宮に戻すことは禁じる。一方で、遺伝性の病気を解明するための基礎研究は容認する―。
 政府の生命倫理専門調査会がまとめた報告書だ。子どもの誕生につながる臨床への応用を防ぐため、法規制の検討を求めた。
 技術が急速に進み、臨床応用が現実になっていることが背景にある。中国の研究者が昨年、ゲノム編集した受精卵で双子が生まれたと発表し、明確な規制を求める声が強まっていた。
 現在も子宮に戻すことを指針で禁じてはいる。ただ、あくまで研究指針のため、医療行為として行われた場合は規制対象にならないといった限界があった。
 ゲノム編集はまだ安全性が確立された技術ではない。遺伝子の働きは分かっていないことが多い。想定外の変異を起こす危険性に加え、狙い通りに改変できても予期しない問題が生じる恐れがある。臨床で使える段階にはない。法で厳格に禁じるのは当然だ。
 その上で、将来の臨床応用の可能性を視野に入れて基礎研究をどこまで認めるか。安全性だけでなく、ゲノム編集がはらむ倫理上の問題に目を向け、慎重に検討する必要がある。
 報告書は、生殖医療に目的を限っていた基礎研究の範囲を遺伝性の病気にも広げた。個別に妥当性を審査する仕組みを設け、安易な研究に歯止めをかけるという。
 受精卵に手を加えることは生命の根幹に関わる。改変された遺伝子は世代を超えて受け継がれ、人類の未来にも影響を及ぼす可能性がある。そもそも人為的に改変することは許されるのか。認めるとして、どこで線を引くのか。議論の積み重ねは足りず、社会的な合意もできていない。
 悪い遺伝子を取り除くといった発想から、優生思想に結びつく恐れもある。倫理、哲学など人文系の研究者とも対話、討論する場を設け、問題点や課題を掘り下げるとともに、議論を社会に広げていくことが欠かせない。
 フランスの取り組みが参考になる。受精卵の遺伝子改変を禁じた法の見直しを国会で審議するのに先立ち、議論の場として「全国国民会議」を設けた。昨年、何カ月にもわたって市民と専門家が意見を交わしたという。
 翻って日本はどうか。政府は新たな指針や審査制度の具体案を秋ごろにまとめる方針だ。急ぐ理由は見いだせない。政府内の検討だけで一方的に進めてはならない。


【原電の方針転換】廃炉時代への備え急げ
 電力大手各社が出資する卸電力会社の日本原子力発電(原電)が、廃炉の専業会社の設立を検討していることが分かった。
 原電は1966年、国内初の商用原発、東海原発(茨城県)の営業運転を始めたことで知られる。原子力専業であり、過去には最大4基を稼働してきた。
 いわば原発のパイオニアといってよい。その原電が、原発を廃止する事業に本格的に取り組む。日本の原発ビジネスが大きな転換点を迎えたことを感じさせる。
 福島第1原発事故を経験し、国民の多くは原発に依存しない社会を望むようになった。段階的な縮小と、一刻も早い脱原発が望まれるが、真の脱原発は安全な廃炉なしには実現しない。
 廃炉には1基30年以上かかるともいわれる。安全、着実に作業を進めるためには技術の蓄積や研究が欠かせない。原電が目指す国内初の廃炉専業会社の役割は大きい。
 業界や政府も現実を直視し、廃炉や脱原発への投資、政策を強化すべきだ。
 現在の原電は本業の収入が絶たれた状態にある。今後の好転も望みにくいといえる。
 原発事故後、国内では全ての商用原発が停止した。新規制基準が導入され、再稼働審査が進んでいるが、実際に再稼働できたのは5原発9基にとどまる。
 原電は東海第2原発(茨城県)と敦賀原発2号機(福井県)の計2基の再稼働を目指している。東海第2は最長20年の運転延長が認可されたが、地元合意が難航。敦賀2号機は地下に活断層が存在する可能性があり、審査に合格するめどが立っていない。
 敦賀への原子炉増設も目標に掲げているが、実現の可能性はないに等しいだろう。
 一方で、原電は老朽化した東海原発と敦賀1号機の廃炉に着手している。米国の廃炉専業企業とも提携関係にある。これまで培った技術を生かして生き残るために、廃炉事業にかじを切ったのは自然な流れともいえる。
 原発は全国的に老朽化が進んでおり、廃炉は今後も増えることが予想される。産官学を挙げて、廃炉時代の到来に向け、技術や人材の備えを急ぐ必要がある。
 原子炉メーカーなども今後、廃炉事業を強化する可能性が高い。切磋琢磨(せっさたくま)して、高い技術を確立することが求められる。原電は廃炉でもパイオニアを目指してもらいたい。
 政府は原発の輸出を目指してきたが、計画はアジアや欧州で相次いで頓挫している。海外でも原発への目は厳しくなっており当然だ。日本は国内での実績を積めば、むしろ廃炉で海外展開する道が開けよう。
 廃炉を進めると核のごみが必ず出る。日本は核廃棄物の最終処分場がまだ確保できていない。これも廃炉時代の避けられない課題であることを忘れてはならない。


韓国に敗訴WTO判決で安倍政権が嘘の説明!「日本産食品の科学的安全」を立証しなかった自分たちのミスを隠蔽
 安倍政権による“捏造”がまたも発覚した。今月11日、世界貿易機関(WTO)の上級委員会が、韓国による東京電力福島第一原発事故にともなう被災地などからの水産物を全面禁輸の措置を妥当とする判決を下したが、この日本が逆転敗訴した問題を受けて、安倍政権がフェイク丸出しの説明をおこなっていたことが朝日新聞の報道でわかったのだ。
 しかも、呆れたことに、安倍政権は訂正するどころか、明らかなゴマカシと嘘の上塗りを用いて、この問題を報道した朝日新聞に反論・抗議をおこなっている。
 誰が嘘をついているかをはっきりさせるために、一から経緯を説明しよう。そもそもこの紛争は、韓国が福島など8県の水産物の輸入を禁止していることに対して2015年に日本政府がWTOに提訴、2018年にはWTO紛争処理小委員会が日本の主張をおおむね認めて韓国に是正を勧告する第一審の報告書を公表していた。だが、前述したとおり、11日にWTO上級委員会は一転して第一審の判断を破棄し、日本は逆転敗訴となった。
 しかし、問題はここから。このWTOの判断について、翌12日におこなわれた定例記者会見で、菅義偉官房長官は「わが国の主張が認められなかったことは誠に遺憾だ。韓国に対し科学的根拠に基づき輸入規制の撤廃、緩和をするよう粘り強く働きかけていく」と主張。そして、こう強調したのだ。
「(WTOの)同報告書においては『日本産食品は科学的に安全であり、韓国の安全基準を十分クリアするものである』との一審の事実認定は維持されております」
「したがって本件事案について我が国が敗訴したとのご指摘は当たらない」
 また、河野太郎外相も12日にTwitterでこう投稿した。
〈日本産食品は科学的に安全であり、韓国の安全基準を十分クリアしているとしたWTOパネルの事実認定が、上級委員会でも維持された。〉
 WTOは「日本産食品は科学的に安全」だと認定している──。こうした安倍政権の主張にメディアも追随。読売新聞は14日付けで「WTO逆転敗訴 安全性を科学的に訴え続けよ」というタイトルで社説を掲載、産経新聞も13日付け社説で〈日本が主張した科学的な安全性が覆ったわけではない〉とWTOの判断に疑義を呈した。無論、ネット上でも「科学的に安全だと認めているのにWTOの判断はおかしい」「韓国の言いがかり」などといった声があがっていた。
 ところが、だ。朝日新聞が昨日の朝刊一面で「WTO判決「日本産食品は安全」の記載なし 政府と乖離」と見出しを掲げ、こう伝えたのだ。
〈日本政府が第一審の判断を根拠に説明している「日本産食品の科学的安全性は認められた」との記載が第一審の判決文にあたる報告書にないことがわかった。〉
 これが事実なら、菅官房長官や河野外相の「『日本産食品は科学的に安全』との一審の事実認定は維持された」という発言は、まったくの捏造ということになる。そもそも、日本が勝訴した一審でそんな事実認定がなされていなかったとすれば、逆転敗訴した上級審でその事実認定が維持されるはずがないからだ。
 本サイトもまさか、と思って、一審の報告書を一から確認したが、たしかに「日本産食品は科学的に安全」などという文言はまったく見つからなかった。
菅官房長官と河野外相の朝日への反論・抗議はゴマカシと嘘の上塗り
 ところが、冒頭でふれたように、安倍政権は、こうした問題を指摘した朝日の記事に対し反論・抗議をおこなった。菅官房長官は会見で「日本産の食品中の放射性セシウムの濃度が、日本および韓国の基準値を下回ることを第一審は認めている。上級委員会はこの事実認定を取り消していない」と述べた上、「自然な解釈だと思っている」と強弁した。
 また、河野外相も同様の主張を展開した上で「朝日新聞だったかが、やや正確性を欠く記事があって、日本産食品の安全性に疑念を抱かせかねないものがあった」と抗議した。
 しかし、これ、完全なゴマカシと嘘の上塗りだ。繰り返すが、朝日新聞が問題にしたのは、菅官房長官や河野外相の発言のうち、「科学的に安全と認められた」という部分が一審の判決文になかったことだ。
 ところが、菅官房長官も河野外相も、その「科学的に安全と認められた」という自分の発言を、一審の判決文で事実認定されている「日本産の食品中の放射性セシウムの濃度が韓国の基準値を下回っている」という話にすり替え、「上級審でもその認定が維持されている」などと強弁していのだ。
 しかし、「セシウム濃度の基準値クリア」を一審が認定していたことと「日本産食品が一審で科学的に安全と認められた」というのはまったく違う(しかもセシウム濃度の一審認定については朝日もきちんと記事にしていた)。
 しかも、菅官房長官はこの「セシウム濃度の基準値クリア」について、「上級審が取り消していない」などと言っていたが、これも明らかなまやかしだ。
 菅官房長官は「セシウム濃度の基準値クリアは維持されている」などと言い出したが、そもそも菅官房長官も河野外相も当初はセシウム濃度の話をしていたわけではなく「韓国の安全基準をクリアしている」と言っていたのだ。ところが、この「韓国の安全基準をクリアしている」というのは上級審ではくつがえされている。
 上級審は、韓国のALOP(衛生基準)が多面的な複数の要素で構成されているにもかかわらず、「食品中の放射性物質の量」だけをもって、ALOPを満たしているとしたパネル(1審にあたる小委員会)の議論は不十分であると指摘。そして、〈日本の提案する代替措置が韓国のALOPを達成しているとの判断は誤りだった〉と1審の判断を明確に否定し、〈我々は、包括的な輸入禁止の適用など韓国の措置が、SPS協定5条6に反する「必要以上の貿易制限」だとするパネルの結論を破棄する〉と結論づけている。
 また「恣意的又は不当な差別」を禁止するSPS2条3の適用においても、〈食品汚染の可能性に影響を与え得る他の地域的条件などに関する調査結果を調整させることなく、食品の現在の汚染レベルのみに依拠している〉などとして、1審の判断をくつがえしている。
 菅官房長官や河野外相は自分の発言の嘘をつかれたために、自分たちが設定した「食品中のセシウム濃度」というたったひとつの数値を持ち出して、話をすり替えているだけだろう。
日本政府は「日本産食品が科学的に安全」を立証しようとしていなかった
 ようするに、菅官房長官や河野外相は明らかな事実があるにもかかわらず、「『日本産食品は科学的に安全であり、韓国の安全基準を十分クリアするものである』との一審の事実認定は維持されている」という自分たちの嘘発言を「自然な解釈」だと言い張り、朝日新聞を「日本産食品の安全性に疑念を抱かせかねない」などと攻撃したのだ。
 まったく度し難い嘘つきぶりだが、しかし、連中がもっと悪質なのは、「日本の農産物の安全性アピール」や「韓国への対抗」というような目的だけで、このフェイクを流したわけではないことだ。
 菅官房長官、河野外相、外務省、農水省がわざわざ「科学的な安全が認められた」と強弁したのは、自分たちの政策ミスを糊塗するためだった可能性が非常に高い。
 じつはこのWTOへの提訴で、そもそも日本政府は「科学的に安全」であることを立証しようとしていなかったのだ。
 日本は韓国の輸入規制に対し、WTOのSPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)における「科学的な原則に基づいてとること」(SPS協定第2条2)では争わず、「恣意的又は不当な差別の禁止」(SPS協定第2条3)や「必要以上に貿易制限的でないことを確保する義務」(同協定第5条6)などの違反にあたるとして提訴しているのだ。
 一審の判決文に「日本産食品は科学的に安全」という記述がないのは当たり前で、日本政府のほうが「科学的に安全」を立証することから逃げていたのだ。
 そして、この「科学的な安全」の立証の放棄が、上級審で日本の逆転敗訴を許した大きな原因になった。実際、上級審の判決文を読んでも、その科学的な安全の立証の不十分さが指摘されているし、朝日新聞も同日の記事で、この問題を指摘していた。
 WTOに詳しい中川淳司・中央学院大学教授は「日本が2条の2違反を主張しなかったのは、立証が難しいと考えたからだろう」と推測。「日本が「王道」の議論を避けた時点で、この裁判は勝ち目が無かったと思う」と述べている。
 ようするに、「科学的に安全を立証」することを放棄した結果、逆転敗訴を招いたことを隠すために、官邸、外務省、農水省が一体になって「一審では『日本産食品は科学的に安全』と認められた」などと事実を“捏造”して国民に説明したのである。
国連グテーレス事務総長の発言まで捏造した安倍政権
 自分たちの失態を隠すために、国際機関の報告書まで捏造して国民に虚偽の説明をおこなう──。公文書を改ざんしてしまう政権とはいえ、国際社会での事実についてまでよくも嘘を平気でつけるものかと驚くほかないだろう。
 しかも、こうした安倍政権の国際問題での捏造は、この件にかぎったものではない。
 たとえば、共謀罪法案が審議されていた2017年には、安倍政権は共謀罪に懸念を示していた国連人権委員会の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏の公式書簡を猛批判していたが、G7サミットにあわせて安倍首相がアントニオ・グテーレス国連事務総長と懇談をおこなうと、その内容について、外務省はこう公表した。
〈安倍総理から慰安婦問題に関する日韓合意につき,その実施の重要性を指摘したところ,先方は,同合意につき賛意を示すとともに,歓迎する旨述べました。
さらに、安倍総理から,国際組織犯罪防止条約の締結に向けた日本の取組につき説明しました。この関連で,先方は,人権理事会の特別報告者は,国連とは別の個人の資格で活動しており,その主張は,必ずしも国連の総意を反映するものではない旨述べました。〉
 グテーレス事務総長が2015年末の日韓合意に賛意と歓迎を示し、ケナタッチ氏の件も「国連とは別の個人の資格で活動している」と明言した──。こうした政府説明を国内メディアもそのまま報じ、それによってネトウヨたちは「国連も日韓合意を歓迎」「国連の総意ではなく個人のスタンドプレーだったことが判明」などと騒ぎ立てた。
 しかし、このグテーレス事務総長の発言内容も、安倍政権の捏造だった。その後、国連のデュジャリック報道官は「慰安婦問題は日韓の合意により解決されるべき事案との点に同意した」が、「特定の合意の中身についての見解は示さなかった」という談話を発表し、「(2015年末の)日韓合意に賛意」を示したという日本政府の説明を否定したのだ。しかも、特別報告者についても、安倍首相には「独立した専門家で、国連人権理事会に直接(調査結果などを)報告する」という内容を伝えたとした(朝日新聞2017年5月30日付)。「国連とは別の個人の資格で活動している」という日本政府の説明と、「独立した専門家」では、まったく意味が違う。
 ようするに、安倍首相と政府は国連事務総長の発言を歪め、慰安婦問題の対応や共謀罪の正当化に利用したのである。
国際的な事実を次々歪曲、日本国民は英語ができないとバカにしているのか
 また、昨年も、安倍政権はアメリカとの交渉開始を合意した「新たな貿易協定」について、包括的なFTA(自由貿易協定)ではなく物品の関税引き下げに限った「TAG」(物品貿易協定)であると主張。だが、対するアメリカ側はTAGなどという略語は一切使用しておらず、その上、ペンス副大統領は来日時、Twitterに議論する中身について安倍首相に宛てて〈negotiations for a free-trade agreement〉、「FTA」だと宣言した。つまり、「TAG」なる言葉には何の実態もなく、「FTA」ではないと国民を騙すために言い換えただけの用語であることが露呈したのだった。
 国際機関であるWTOの報告書の内容や、国連事務総長の発言、貿易外交の中身まで……。安倍政権は不都合な事実をことごとくねじ曲げ、捏造して国民に伝えてきたのだ。
 もはや国民は英語ができないとバカにしているようにも見えるが、実際のところ安倍政権は、嘘だと後にバレても最初に大きく自分たちの主張が報道されればいいと考えているのだろう。実際、今回のWTO問題にしても、日本敗訴と「日本産食品の科学的安全性は認められている」という報道によって、韓国に対するバッシングがネット上で吹き荒れた。「韓国は反日」という空気を流すことに躍起になっている安倍政権にとっては、今回の件で国内の反韓感情を高めることに成功したといえるのだ。
 だが、国民を騙すための事実の捏造など、許されるはずがない。公文書改ざんや統計不正をはじめとして欺かれつづけてきたが、国民を馬鹿にする政権など、どうして是認できるだろうか。


取り戻せるか!? “パリの心臓”
大火災に見舞われたフランスのノートルダム大聖堂。
5年以内の再建をめざし、集まった寄付金はわずか1週間で1200億円にのぼる見通しです。
ところが、再建の期間や寄付金をめぐって、すでに論争も。
これからどうなっていくのでしょうか。
猛火に呆然…
「ノートルダムが燃えている!」
一報を受けたのは、今月15日の夜のことでした。
現場に向かうと、大聖堂があるパリのシテ島から避難してくる人たちや、シテ島に移動できなくなって立往生する人たちで、すでに道は大渋滞。
車から降りて、大聖堂が見える場所までたどりつくと、目に入ってきたのは燃え盛る大聖堂でした。
周辺には大きな人だかりができ、なすすべもなく、みるみる延焼していく大聖堂を見つめています。
近くに住む75歳の男性は、こう話しました。
「ノートルダムはキリスト教徒にとって、歴史あるかけがえのないものである以上に、パリの象徴。火災を知ってすぐに駆けつけました」
パリの“心臓”が燃えた
大聖堂があるのは、パリ中心部を流れるセーヌ川の中州・シテ島。“パリ発祥の地”とも言われています。
紀元前3世紀ごろ、ケルト系民族が住み始めたことが現在のパリの始まりだと言われています。
大聖堂が完成したのは14世紀と言われ、現在にいたるまでフランスのカトリック教徒の信仰の中心です。
この間、18世紀後半のフランス革命では、略奪や彫刻の破壊などの被害を受けたものの耐え抜き、20世紀の2度の世界大戦もくぐり抜けてきました。
パリのど真ん中にどっしりとたたずみ、人々とともに歴史を歩んできたのです。
ドゴール元大統領やミッテラン元大統領などが亡くなった際には、追悼ミサも開かれ、国民の祈りの場でもあります。
現場で出会った男性が「パリ市民の”心臓”が燃やされたのと同じ気持ちです」と話してくれたのが印象的でした。
大聖堂の周辺は今、立ち入ることができませんが、それでも多くの市民や観光客が一目見ようとやってきます。
大きな傷を負ってなお、大聖堂が惹きつけるのは人だけではありません。
実はミツバチも。
大聖堂では以前からミツバチをかっていて、毎年25キロの蜂蜜を採っていました。
火災で巣箱も全滅かと思われていたのですが、最近、無事であることがわかり、蜂たちが飛び交っている様子も確認されたそうです。
マクロン大統領「5年以内に再建」
最大の問題は、再建です。
“パリの心臓”をどう取り戻すのかーー。
マクロン大統領は、火災発生の報告を受けると現場にかけつけ被害状況を視察、大聖堂を必ず再建するとその場で誓いました。
火災の翌日の16日には、テレビ演説で「大聖堂を5年以内に、これまで以上に美しく再建させる」と述べ、国民に協力を呼びかけたのです。
なぜ5年なのか。理由は5年後の2024年に控える、オリンピック・パラリンピックだとみられます。
マクロン大統領は直接言及はしませんでしたが、世界中から大勢の人々が訪れる一大イベントを前に、パリのシンボルである大聖堂を何としても再建させたいというねらいが、かいま見えます。
IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長も、「フランスがオリンピックまでに大聖堂の再建を目指していることは私たちをより勇気づけてくれる。私たちも再建の努力に参加したい」としてします。
再建計画に批判も
しかし、たった5年で再建は可能なのでしょうか。
火災では、高さ90メートル余りのせん塔が焼け落ち、屋根の3分の2が崩落しました。
政府は国内外の建築家からアイデアを募って国際的なコンペを行い、新たなせん塔を作る方針を打ち出しました。これに対して、「なぜわざわざ新しいデザインを募るのか」とか「元のせん塔の姿に戻してほしい」という意見が相次いでいます。
それに、フランスでは歴史的建造物の修復などを担う人材が不足しています。政府は修復などを行う若者の育成も始めるとしていますが、こうした人材を育てるには少なくとも10年はかかるという指摘も。
専門家は、「時間をかけて取り組むべきだ。急ぐべきでない」と話し、これだけ大切な大聖堂を5年という期間で再建するという方針自体に疑問の声があがっているのです。
1週間で1200億円?!
再建に向けたもう1つの課題が、資金です。
火災でもろくなった大聖堂はいまだに入れないか所もあり、被害の全体像はわかっていません。火災の2日後、記者から「再建のための費用の推計はできているのか?」とただされたフィリップ首相は、「ノン」とだけ答えました。
そんな中、いち早く動き出したのは民間からの寄付です。パリ市内の地下鉄構内のスクリーンには、「インターネットで寄付をしましょう」と呼びかける文化遺産財団の広告が登場しました。
私の周りにいるフランス人も、火災の翌朝、「すでに寄付した」と話し、SNS上に大聖堂の写真や寄付を寄せる方法などを投稿している人も。パリで暮らしていると、「みんなの大聖堂をみんなで再建しよう」という連帯感が伝わってきます。
一方で、驚いたのが、火災直後から相次いで表明された高額の寄付金です。大企業やその創業者が次々と巨額の寄付を申し出ました。寄付の総額は、わずか1週間足らずで1200億円に達する勢いです。
批判の矛先は高額寄付金にも
ところが今、この高額の寄付金が大きな波紋を呼んでいます。
背景にあるのは、人々が感じている、高額所得者と貧困層の格差です。フランスでは去年11月、燃料税の引き上げは生活を圧迫すると、マクロン政権に反対するデモが全国に広がりました。
当初の規模に比べると参加者は減っていますが、今も、毎週土曜日に全国で3万人ほどが集まって、格差の解消などを訴えています。
火災後、今月20日に行われたデモでは、参加者から「大聖堂は大切だけれど、国にとってより大切なのは労働者なのではないか」といった声があがっていました。
大聖堂の再建に向けて寄付を表明した企業などが、思わぬバッシングを受ける事態になっています。
失われた大聖堂、投げかけたもの
そこに当たり前にあったはずの大聖堂の変わり果てた姿を突然、目の当たりにしたフランス。
「必ず再建すべきだ」という人々の思いからは、不思議なほどの連帯感が伝わってくる一方、大聖堂の大切さ故に、その方法や期間については意見が分かれています。
大聖堂の火災は、フランス国民が意識する格差の根深さまでも浮き彫りにした上、老朽化した各地の歴史的建築物の安全対策や修復を今後どのようにしていくべきか、といった議論も引き起こしました。
火災が起きた、寄付金がたくさん集まった、だから再建できた、それでみんながハッピーになった、と簡単にいかないのが、フランス社会の複雑さだと感じます。
国民の「心臓」ともいえる大聖堂をどう修復していくのか、これからも追っていこうと思います。
ヨーロッパ総局記者 古山彰子 平成23年入局 広島局をへて、国際部 平成30年よりパリを拠点に欧州情勢を取材


日本聖公会が桃山学院教育大に「入学式での君が代斉唱の中止を求める要望書」
 日本聖公会正義と平和委員会をはじめとする管区諸委員会は3月29日、桃山学院教育大学(梶田叡一学長)の2019年度入学式で「君が代」の斉唱が行われようとしていることについて、中止するよう要望した。同大学では2018年度の入学式で「日の丸」が掲揚され「君が代」が斉唱されていた。日本聖公会は2000年の第52(定期)総会で、「国旗『日の丸』、国家『君が代』の強制の反対を政府に要望する件」を採択しており、要望書は今回の件について「聖公会のキリスト教精神に反するだけでなく、何よりも建学の精神を大切にすべき私立大学の立場を離れるもの」と非難した。全文は以下の通り。
学校法人桃山学院 理事長 出田善蔵 様
         学院長 磯 晴久 様
桃山学院教育大学 学長  梶田叡一 様
桃山学院教育大学入学式での君が代斉唱の中止を求める要望書
 桃山学院教育大学の2018年度入学式において日の丸掲揚と君が代斉唱が行われ、来る2019年度の同大学の入学式において君が代の斉唱が行われようとしていることを知りました。日本聖公会正義と平和委員会をはじめ管区諸委員会は、2019年度の入学式における君が代斉唱を中止していただくよう、強く要望いたします。
 桃山学院教育大学の母体である桃山学院は日本聖公会や世界の聖公会との深いつながりの中で、その祈りと精神を大切にしながら今日を迎えておられると認識しています。
 日本聖公会は、1996年の第49(定期)総会で「聖公会の戦争責任に関する宣言」を決議し、2000年の第52(定期)総会において、「国旗『日の丸』、国家『君が代』の強制の反対を政府に要望する件」を採択し、教団として日の丸、君が代の強制に反対する態度を明らかにしています。その決議は、「『日の丸』は、アジアの国々を侵略し、植民地化する『大日本帝国』のシンボルであり、『君が代』は、『神聖不可侵』な天皇の統治する『御代』が永遠に続き、栄えることを祈願する歌であって、その法制化は戦後日本の基本的理念である主権在民、基本的人権、民主主義には到底なじまない」ことを指摘し、日の丸、君が代の強制の動きが「人間にとって最も大切な内心の自由、すなわち個人の思想・良心・信教の自由を侵し、ないがしろにするものである」として強く反対し、その後も一貫してその姿勢を貫いて参りました。
 聖公会に連なる桃山学院の建学の精神は、自由と愛の精神であり、世界市民の育成です。桃山学院教育大学も、この精神を共有されていると考えます。入学式における君が代の斉唱は、聖公会のキリスト教精神に反するだけでなく、何よりも建学の精神を大切にすべき私立大学の立場を離れるものではないでしょうか。また、大学においては行政府からも強制されていない中、政府の施策を忖度し、進んで君が代斉唱を出席者に強要することは、真の教育者を輩出しようとする貴大学の自治・自由を放棄することにつながります。
 上記の理由から、来る4月3日に挙行される桃山学院教育大学入学式における君が代斉唱を中止されるよう、強く要望いたします。
2019年3月29日
日本聖公会 正義と平和委員会
      日韓協働委員会
      青年委員会
      人権問題担当者
管区事務所 総主事


彼の無念晴らしたい 森友疑惑 自殺職員の元同僚
 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する公文書改ざんなどを巡り、舞台となった財務省近畿財務局OBが本紙の取材に応じ、あらためて真相解明を訴えた。問題を巡っては、大阪第一検察審査会は三月に佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官らの「不起訴不当」を議決。大阪地検が再捜査している。国有地の大幅値引きや改ざんに首相周辺や政治家らの関与や忖度(そんたく)があった疑念は解消されていない。 (望月衣塑子)
 このOBは、近畿財務局で国有財産の管理処分を担う管財部に長年在籍した喜多徹信さん(70)と田中朋芳さん(63)。財務省の指示で改ざんを強要されたという趣旨の遺書を残して昨年三月に命を絶った近畿財務局の男性職員=当時(54)=とは旧知の仲だった。
 学園が取得した国有地が八億円余り値引きされていたことが発覚したのは二〇一七年二月。学園が建設を計画していた小学校の名誉校長に安倍晋三首相の妻昭恵氏が一時就任していた。
 近畿財務局は本省と相談して学園に特例で国有地を貸し付け、その後に大幅値引きをした。喜多さんは「現場だけの判断でできるはずがない」と指摘。田中さんは「値引きの根拠となった地中のごみの処分量の口裏合わせも学園側に依頼していた。マル政(政治)案件だったからだとしか思えない」とみる。
 財務省の調査によると、安倍首相が一七年二月十七日に「私や妻が関係していたなら首相も議員も辞める」と答弁したのを機に、本省理財局が記録や文書の確認を開始。近畿財務局も本省の指示を受けて、政治家関係者との応接録などを廃棄した。首相答弁の九日後には、本省理財局の要請で近畿財務局職員が政治家関係者の照会状況削除などの改ざんも行った。
 そもそも改ざん前の文書には、昭恵氏との親密ぶりを強調する学園側の発言など、首相周辺や政治家に関する数々の記述があり、改ざんはのべ三百カ所以上に及んだ。
 喜多さんは「普通はこんなに記録を残さない。大幅値引きの言い訳がつかないから、あれほどの説明が付されたのだろう。『政治的意図があったのに自分たちのせいにされてはたまらない』という抗議の意思表示だったのでは」と考える。
 喜多さんらが職員に聞いた話では、改ざんを指示された男性職員は、職場の誰が見ても分かるほど顔つきがみるみる変わっていったという。喜多さんは「改ざんを命じられたときも相当抵抗したようだ。やっているのは犯罪。自分の信念や理に反して悔しかっただろう」とおもんぱかる。
 昨年三月二日に公文書改ざんが発覚すると、男性は財務省側の聴取を受けた翌日の同月七日、遺書を残して自殺。前日に男性を見かけた職員は「ひと言でも彼に声をかけていたら」と泣きながら喜多さんに電話してきた。
 公文書改ざんを巡る有印公文書変造・同行使容疑などについて検察審査会は、佐川氏ら当時の理財局幹部を不起訴とした大阪地検の判断を「不当」と議決。値引きを巡る問題でも、政治家らの働き掛けの影響について「さらに捜査を尽くすべきだ」と促した。
 「佐川氏は国会で『学園側との交渉記録を破棄した』と答弁したが、土地代金の支払いが済んでいない段階で破棄するわけがない。佐川氏が改ざんを指示したのは官邸を守るためと考えるのが自然だ」との見方を示す田中さん。「前代未聞の改ざんなのに、最高責任者の麻生太郎財務相が辞任しないのはおかしい。真相を明らかにして、男性の無念を晴らしたい」と決意を語った。


「上級国民」は忖度政治のツケ
★衆院補選の自民党候補2敗について政治部や政治評論家の面々は沖縄と大阪の特殊事情と解説する。いずれも野党支配が続いているということ、何度自民党が挑戦しても勝てないこと。だが、沖縄は辺野古の基地建設を反対する民意が知事選や県民投票、そして今回の補選でも明らかに出ているのにもかかわらず、その政策を変えない政府と与党にその問題解決のボールがあるにもかかわらず、向き合わないこと。大阪は維新と官邸の蜜月に政権与党が歯が立たないという有権者に分かりにくい構図がある。いずれも特殊な事情などではなく、問題をあいまいのままにした、やりっぱなしの政権の問題だ。★時を同じくして痛ましい交通事後が続いた。池袋の暴走では、事故を起こした87歳の男性は逮捕されず「さん付け」で報道され、神戸の暴走では、64歳のバス運転手が自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑で現行犯逮捕されて「容疑者」と呼ばれている。メディアにはそれなりの表記の理屈があるのだろうが特に、池袋の男性が元通産官僚幹部で元機械メーカーの副社長、さらには叙勲まで受けていることから「『上級国民』だから逮捕されないのか」という声がネットにあふれている。そもそも上級国民などないし、超法規が適用されるなどということはないはずだがなぜそんな声が上がるのか。★政治家は元号を決めるような立場。そんな人は無理を通せる、高級官僚は議事録を黒塗りにしたり、公文書を改ざんしたり、国有地の値下げにも政治家の口利きがあればやってくれる。発覚しても責任を取るどころか栄転したり天下ったり、とがめられるどころか評価されている。ここ数年、そんな状況を見せつけられていれば国民には見えない上級国民がいると思いたくもなる。忖度(そんたく)政治、忖度行政をやり続けて、決着を見なかったツケが上級国民の存在として出来上がったといえる。

大阪で次々生まれる「新路線」は何をもたらすか 「鉄道勢力図」塗り替えへ、各社の思惑が混在
伊原 薫 : 鉄道ライター
大阪周辺の新線計画が続々と進んでいる。
最近の目玉は、3月16日に開通したJR西日本「おおさか東線」の放出(はなてん)─新大阪間(通称「北区間」)だ。おおさか東線は、久宝寺(きゅうほうじ)─放出間(通称「南区間」)が2008年から営業しており、これで全線が開通することになった。
おおさか東線は、もともと城東貨物線という名称で、貨物列車のみが走る路線だった。大阪府東部を南北に走り、沿線には住宅地が広がる。旅客列車を走らせてほしいという地元の要望は強かった。
そこで複線化・電化したうえで旅客線化することになり、1999年に南区間の工事が先行してスタート。南区間の開通直前に、北区間でも工事が始まった。
“鉄道空白地帯”に新駅
北区間には4つの新駅が開業した。このうち南吹田駅と城北公園通駅があるエリアは、これまで最寄りの鉄道駅まで徒歩20分以上かかる“鉄道空白地帯”だった。
3月16日に放出(はなてん)駅から写真奥の新大阪駅までの「おおさか東線」北区間が開業した(筆者
とくに南吹田駅は、付近を走るバス路線もなかった。開通後は新大阪駅までわずか1駅という“一等地”に。数年後には、見違えるような発展を遂げているかもしれない。
おおさか東線には、このほかにも重要な役割がある。それは、ほかの鉄道路線との連携だ。同線は、大阪市中心部から放射状に延びるほかの路線と多く交わっており、その数は13にも達する。これまで、これらの路線への乗り換えには、いったん都心に出て、大阪環状線などを使う必要があった。
今後はおおさか東線を利用することで、時間短縮につながるのに加え、混雑するエリアを通る必要がなくなる。
さらに、新幹線駅から奈良へ向かうルートとしても有用だ。現状、新幹線の京都駅から奈良へ向かうには、JR奈良線か近鉄京都線を使う必要がある。だが、JR奈良線は単線区間があって利便性が低く、“身内”のJR東海ですら近鉄利用を勧める状態だ。
また、新幹線の新大阪駅から奈良へ向かう場合は、いったん大阪駅に出て奈良方面への快速に乗車する必要がある。おおさか東線を利用すれば、久宝寺駅で快速に乗り継ぐこともできる。
開業段階では、奈良─新大阪間を走る直通列車は朝夕ラッシュ時のみの運行だが、将来的には全日時間帯での運行、あるいは特急列車の導入があるかもしれない。
そして、「北梅田駅(仮称)」が開業することで、おおさか東線の魅力はさらに高まる。
キタの新たな玄関口
北梅田駅は、大阪駅の北側を通る梅田貨物線の地下化に合わせて、JR西日本が建設中の新駅である。同駅の開業により、これまで大阪キタエリアを“素通り”していた関西国際空港アクセス特急「はるか」が停車し、キタエリアと関西空港が直結されるようになる。
北梅田駅は、3月開業時のおおさか東線に含まれていないが、乗り入れ可能な構造となっている。JR西日本は、乗り入れについて「現時点で検討していない」とするが、念頭に置いていることは間違いないだろう。
北梅田駅には「なにわ筋線」も乗り入れる。大阪府・大阪市などが、1980年代から構想している路線だ。2004年には国土交通省が答申の中で「整備が望まれる新規路線」としたものの、建設費の高さがネックとなり、計画はなかなか進まなかった。
だが、急増する外国人観光客などの追い風を受け、ここ数年で議論が急進展。2017年5月に、2031年春の開業を目指すとした計画概要の答申が発表された。
この答申では、北大阪急行電鉄(北急)の千里中央─箕面萱野(みのおかやの)間、大阪モノレールの門真市─瓜生堂(うりゅうどう、仮称)間も盛り込まれた。前者は2020年度末、後者は2029年の開業を目指し、事業が進行中だ。とくに北急は大阪市中心部まで直結する路線であり、箕面市域からの通勤事情が格段に改善するに違いない。
大阪の南北を結ぶなにわ筋線
なにわ筋線に話を戻そう。2018年2月、大阪市が公開した環境アセスメント資料により詳細なルートが判明した。これによると、北梅田駅を出た同線はなにわ筋の下を通り、中央大通付近に建設される西本町駅(仮称)の南側で南海とJRが分離。JR線は南進してJR難波駅に至る。
一方、南海はJR線の下を南東へ進み、近鉄線大阪難波駅と大阪メトロ四つ橋線なんば駅に挟まれた場所に建設される新難波駅(仮称)へつながる。そこからは阪神高速道路の下を通り、今宮戎(いまみやえびす)駅の西側で地上へ出て、新今宮駅で南海本線と接続する。
なにわ筋線の開通により、南海にとって悲願でもあったキタエリアへの乗り入れが実現する。
一方、運賃面で劣勢のJRは、大阪環状線を経由する現ルートに比べて時間短縮が図れるうえ、「はるか」がなにわ筋線を通ることで大阪環状線のダイヤに余裕が生まれるなど、一定のメリットもある。だが、その一方で関西空港からキタエリアへ乗り換えなしで移動できる唯一の鉄道路線という、大きなアドバンテージを失う。
南海の“野望”はもう一歩先にある。北梅田駅の先、新大阪駅までの乗り入れだ。もちろんJRにとっては到底受け入れがたい話で、調整は進まなかった。
なにわ筋線構想に“伏兵”
ところが、ここに思わぬ伏兵が現れる。
阪急がなにわ筋線構想に参画し、十三(じゅうそう)─北梅田間の路線建設を打診したのだ。
阪急の既存路線はJRや南海と線路幅が違うが、この新線は幅をそろえ、関西空港までの直通を目指すという。十三駅で乗り換えが必要だが、阪急沿線から関西空港へのアクセスは格段に向上する。
さらに、阪急は十三─新大阪間の路線敷設免許を持っている。つまり、阪急が北梅田─十三─新大阪間の路線を建設することで、南海はJRに乗り入れることなく新大阪駅へ到達できるのだ。
阪急の参画で、ますます複雑になったなにわ筋線計画。今後の展開次第では、関西の鉄道勢力図を大きく塗り替える可能性がある。
そしてもう1つ、急展開を見せている路線構想がある。大阪メトロ中央線の延伸だ。終点のコスモスクエア駅から夢洲(ゆめしま)駅まで延ばす。
夢洲は、大阪府や大阪市が目指していた2008年大阪五輪の会場として整備が進行。中央線の延伸が計画され、道路と線路が一体構造の「夢咲トンネル」建設が進められた。
だが、五輪招致の失敗を受けて延伸計画は凍結され、トンネルは道路部分のみが開通。線路が敷かれることはなく、長い眠りに就くこととなった。
事態は昨年11月に急変した。2025年の万博(国際博覧会)開催地が大阪・夢洲に決まったからだ。
前述のとおり、工事の最難関であるトンネル部分はすでに完成しているため、技術面での大きなハードルはない。万博開催までの開通は十分に可能だろう。
一方で、経営面では大きな懸念がある。万博の開催期間中は多くの利用が想定されるものの、閉幕後にどれだけの利用があるのか、現時点ではまったく見通しが立たないのである。
夢洲の土地利用はほとんど進んでおらず、このままでは万博終了後の“惨状”が容易に想像できる。夢洲には、カジノを中心としたIR(統合型リゾート)誘致を大阪府と大阪市が進めているが、その先行きも不透明だ。
とはいえ、万博開催が決定した今、中央線の延伸は、ほぼ決まったようなものである。そこで、大阪メトロは夢洲地区の開発に乗り出すことを発表した。
自ら需要を生み出そうというわけだ。1000億円を投資して高さ275メートルの高層タワーを建設するという。かつて大阪市が開発に失敗したWTCタワーを思い出させる計画だ。これまで大規模開発を経験したことのない大阪メトロにとって、かなりリスキーであることは否めない。
JRや京阪、近鉄にも動き
一方、夢洲への交通アクセスをめぐっては、ほかの鉄道事業者も動きを見せている。JRは以前から桜島から夢洲への延伸構想を持っており、IR誘致の動きをにらみつつ検討を進めている。
また、京阪は中之島─大阪メトロ九条─西九条というルートを検討中だ。九条で中央線から京阪に乗り換えれば、伏見稲荷をはじめとする京都の観光地へアクセスできるようになる。
さらに近鉄がけいはんな線の線路を生駒駅で奈良線とつなぎ、奈良や伊勢志摩方面から夢洲への直通特急を走らせるよう検討していることも明らかになった。
インバウンドの好調を追い風に進み出したなにわ筋線と、大阪万博の開催決定で一気に現実味を帯びた夢洲への延伸。しばらく関西の鉄道情勢から目が離せない。

ひさしぶりのしきさい/Yumiさんにメール

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りんご190429

Carlos Ghosn : quatrième inculpation au Japon
Le dossier judiciaire de l'ancien patron de Renault-Nissan s'est encore épaissi. Le tribunal de Tokyo l'a inculpé lundi 22 avril pour abus de confiance aggravé.
Il y a trois semaines, Carlos Ghosn repartait en prison. Lundi 22 avril, son dossier s'est encore alourdi avec une quatrième mise en examen. Cette fois-ci pour abus de confiance aggravé. Il est accusé d'avoir détourné 4,5 millions d'euros de Nissan vers une holding au nom de son fils, Shogun Investisments LLC, qui elle-même regrouperait 30 autres sociétés. Le procureur de Tokyo enquête également sur le financement d'un yacht, le Shachou. Son coût : 12 millions d'euros.
Un complot ?
Autant de mises en cause que l'ancien patron de Renault-Nissan met sur le dos d'un complot. Dans sa prison de Tokyo, Carlos Ghosn est donc sous le coup d'une nouvelle garde à vue qui pourrait durer 23 jours. D'autant que les Japonais auraient les yeux rivés vers l'abdication de leur ancien empereur, la semaine prochaine. Le pays s'arrêtera alors pour 10 jours fériés.
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NNNドキュメント 防衛大学校の闇 連鎖した暴力...なぜ
幹部自衛官を養成する防衛大学校で「殴る」「蹴る」「下半身に火を付ける」などの暴力が起きていた。被害者の元学生(24歳)が起こした裁判で、加害者は「指導だった」などと主張し、元教官は「予測不可能だった」と証言。取材を進める中で我々は、防衛大OB等の貴重な証言と重要な内部資料を得た。見えてきたのは蔓延する暴力の実態。そこには"学生間指導"という独自の教育システムが介在していた。 二又一成 日本テレビ
千鳥の相席食堂平成最後の問題作!お花見相席で…せいじVS鹿戦争勃発!かまいたち(秘)
平成最後に大問題作!千原せいじが奈良公園でお花見相席▽流血!鹿と戦争!?悪魔超人せいじが大暴走▽世界一美味しい料理“ルンダン”調査でロケフォーム崩壊のかまいたち 千鳥(大悟・ノブ) 千原せいじ かまいたち
有名人が見知らぬ街で、地元民と突然、相席!▽偶然の出会いから始まる相席を通じて、街の魅力や新たな自分を発見する新感覚旅バラエティ▽ガチ交流ロケにMC千鳥がツッコミまくる!
旅人は4回目の登場となる千原せいじ!相席食堂いちばんの功労者が平成最後に相席食堂をぶっ壊す▽奈良公園でお花見相席…のはずが暴言!流血!鹿と戦争!せいじの暴走が止まらない!良い子は真似しないで下さい世界一美味しい料理に輝いた“ルンダン”とは?いまや千鳥と並ぶと言われるほどロケに定評のあるかまいたちが徹底調査▽いったい何が!?調査を進めれば進めるほどロケフォームが崩れる…千鳥VSかまいたち戦争勃発!?

中也‏ @41aki
防大怖い。こんなんじゃ 進学できない。
クソ学校はなくした方がよい。軍隊組織 旧日本軍みたい 暴力組織
シビリアンコントロールきいてない 自公政権 岩屋 バカ。
#NNNドキュメント
#防衛大学校の闇

赤色法師 @red_hohshi
安保法制が成立し、施行されたことで、自衛隊は海外の戦争に参加できることとなり、そのために防衛大生の任官拒否は増え、自衛隊員不足に拍車をかける状況を招いた。自衛隊を安保法制成立前の状態に戻すことが、日本の防衛力を高めることにつながる。安保法制廃止法案の国会での審議と成立実現を願う。

連休前の山場が今日です.
とりあえずランチはひさしぶりのしきさい.ちょっと高いけどおいしいです.
Yumiさんにメールで報告しました.

閖上に活気ワクワク、名取・新商業施設内覧会で住民楽しむ 25日に開業記念式典
 東日本大震災の津波被害を受けた名取市閖上地区で、新たな商業施設「かわまちてらす閖上」が22日、地域住民らを招いてプレオープンした。25日にグランドオープンする。
 商業施設は敷地面積約4500平方メートルで、名取川の堤防と同じ高さの側帯を盛るなどして整備した。木造平屋の施設3棟などが連なり、市内外の23事業者が飲食や物販・水産加工品販売など27店舗を出店する計画。当初は23店舗でスタートする。
 プレオープンに当たり、閖上地区の約1000世帯に案内のちらしを配布し、多くの住民が訪れた。名取市閖上の橋浦武さん(76)は「閖上に活気が出る」と歓迎した。
 運営会社の桜井広行(こういち)社長は「復興できたことへの感謝の気持ちを伝えていきたい。閖上には店がほとんどなく、地域の役に立ちたい。仙台近郊からも遊びに来てほしい」と話した。
 25日は午前10時から開業記念式典を開く。各店は5月6日までオープン記念セールを実施。25日〜5月6日はゆりあげ港朝市駐車場からシャトルバスを随時運行する。連絡先はかわまちてらす閖上080(9636)4832。


流失の歌碑奇跡の生還、相馬・市民団体が再建
 東日本大震災の津波で流失した相馬市のご当地ソング「ふるさと相馬」の歌碑が、元々あった市内の鵜ノ尾岬に8年ぶりに再建され、関係者らは「喜びで胸がいっぱいだ」と祝福した。
 地元の市民団体「ふるさと相馬を愛する会」が再建した。相馬地方の景勝地や文化が盛り込まれた歌碑は2002年に建立され、御影石製で幅約2.5メートル、重さ約2トン。津波で所在不明となり、会長の渡辺満洲さん(86)らが避難先から通って捜し続けた。
 1カ月後に約100メートル離れた崖下で、やはり歌碑の近くから流された百体地蔵尊の一体が見つかった。渡辺さんが頭をなでると、近くの泥の中に歌碑の一部が出ているのを発見した。
 渡辺さんは「何という奇跡。地蔵尊が『歌碑はここだよ』と教えてくれたようだった」と振り返る。
 ただ松川浦沿岸部は道路がずたずたで、歌碑を掘り起こせなかった。昨春の市道復旧後、歌碑再建計画が本格化。今年3月中旬に取り出したところ、上部に傷があるものの歌詞を彫った前面はほぼ無傷だった。地蔵尊と共に、元の場所だった鵜ノ尾岬駐車場の一角に再建することに決めた。
 20日の再建式には約200人が参加。実行委員会の鈴木一弘委員長が「みんなでかわいがってほしい」、立谷秀清市長は「復興に向かう一歩」と祝い、除幕した。「ふるさと相馬」を再発売した歌手さとう宗幸さんがステージで歌を披露。地元団体の歌や踊りもあった。
 歌碑は15年、当初再建は困難とみた愛する会が松川浦環境公園に歌が流れる新品を建てた。


河北抄
 仙台文学館で先日行われた第2回仙台短編文学賞の授賞式に、第1回大賞の岸ノ里玉夫さん(59)=大阪府=の姿があった。「新しい文学の芽がどんどん広がっている。一緒に書き続けていきましょうという気持ちが湧きます」。1年ぶりとなる仙台の印象をそう語った。
 岸ノ里さんの受賞後第1作が、東北学院大発行の雑誌『震災学』第13号に掲載されている。関東大震災から7年後の1930年の大阪を舞台にした「七年」。映画監督の白井戦太郎や作家の谷崎潤一郎ら実在した人物を配し、災後の人間模様を戦前の微妙な空気感とともに描く。
 第1回受賞作「奥州ゆきを抄」は、東日本大震災から7年目に、関西から東北に鎮魂の奥浄瑠璃を届けようと心を砕く物語だった。岸ノ里さんには阪神大震災(95年)から7年後に三咲光郎名義で書いた「忘れ貝」(文芸春秋)もある。震災で親を亡くした少年と、息子を事故で失った女性との交流が胸を打つ長編だ。
 図らずもそろった「震災7年」3部作。作家の視線は、復興の大合唱の中に埋もれがちな一人一人の声を見据える。


東北の日本酒、中村雅俊さんが応援ソング、日本酒造組合中央会東北支部が動画配信
 東日本大震災の影響で落ち込んだ清酒の消費拡大につなげようと、日本酒造組合中央会東北支部(仙台市)は22日、宮城県女川町出身の俳優中村雅俊さんによる応援ソングを盛り込んだ動画の配信を始めた。
 東京都内で同日、発表会があった。映像(5分15秒)は「大事な約束〜みちのくのお酒応援歌」と題し、動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開した。酒の銘柄を織り交ぜ、仙台七夕まつりや弘前城といった東北の風景を紹介した。
 中村さんは「花見にみちのくの酒が咲く」など日本酒と四季を絡めた歌詞を、なじみやすいメロディーに乗せて歌い上げた。
 蔵元216社でつくる同支部によると、東北の日本酒出荷数量は2017年度5万9927キロリットル。10年度に比べ約7%減った。東京電力福島第1原発事故に伴う風評被害の影響が残ることから、同支部は動画を制作。中村さんは復興支援の趣旨に快諾した。
 東北支部の小玉真一郎支部長は「動画を見て、東北の美しい景観と安全でおいしい酒を楽しんでほしい」と呼び掛けた。


<平成の東北・30年の軌跡>(5)文学/作家の「脱東京」強まる 直木・芥川賞受賞者身近に
 仙台市青葉区国分町の飲食店で、作家熊谷達也さん(60)の携帯電話が鳴った。2004年7月15日夜。第131回直木賞決定を賞の主催者に告げられ、周囲の友人や編集者らから一斉に歓声が湧き起こった。
 マタギが主人公の「邂逅(かいこう)の森」は初ノミネート作で、山本周五郎賞との史上初のダブル受賞。店内での記者会見で、熊谷さんは「一番大事な根っこは東北にある。これからも東北で書き続けたい」と語った。
<「不毛の地」一変>
 宮城県出身者の直木賞は第8回の大池唯雄以来65年ぶりだった。会見の窓口を担った出版社「荒(あら)蝦夷(えみし)」の土方正志代表(56)は「長く『文学不毛の地』と言われた宮城で、街の空気を変える大きな転機になった」と振り返る。
 山形の藤沢周平に井上ひさし、岩手の石川啄木と宮沢賢治、青森の太宰治や寺山修司と、東北各県は時代の代表的な作家を輩出している。だが宮城を顧みると、杜の都に文学の香りは乏しかった。
 平成以後。熊谷さんと直木賞同時ノミネートだった仙台市在住の伊坂幸太郎さん(47)は、一貫して当地からヒット作を放つ。佐伯一麦(かずみ)さん(59)が帰郷し、伊集院静さん(69)も妻の古里に転入。今や仙台は著名な作家が数多く暮らす街、文学が生まれる街のイメージが定着してきた。
 土方さんは「作家が身近になり、小説を書く若い人が刺激を受ける。いい循環が生まれている」とみる。
<震災経験発信も>
 通信環境の発達で原稿をメールで送受信でき、出版社が集中する東京で暮らすメリットは薄れた。東京を離れ、地域に根差した作品を発表する作家が増えたのは全国的な傾向でもある。
 17〜18年にかけて盛岡市の沼田真佑さん(40)ら東北ゆかりの作家が3期連続で芥川賞に選ばれた。17年に仙台短編文学賞(実行委員会主催)が誕生。東北は東日本大震災の経験を踏まえた、新たな文学の発信地としても注目が集まる。
 かつて直木賞受賞の記者会見を東京以外で行うことは、ほぼ前例のない試みだった。熊谷さんは「東京の都合に合わせる必要はない。新時代は経済優先の揺り戻しで、文学が本来あるべき姿を取り戻していくのではないか」と展望する。


デスク日誌 掘っ立て小屋
 作家高橋源一郎氏が著書「非常時のことば」で「掘っ立て小屋のような文章」の魅力を紹介している。一見粗末でも自分の言葉で書いた文章は胸に響く。政治家が防災服を着て発言するような「借り物の文章」よりよっぽどましだと。
 思えば自分も駆け出しの頃、デスクから「切れば血が出るような原稿を書け」と尻をたたかれた。決して「美文」は要らないから、簡潔にニュースの核心を伝えよ、との教え。言われたそばから中身の薄い冗長な原稿を出して脂汗をかいた記憶がある。
 今や人工知能(AI)も記事を書けるというが、個人的には懐疑的。整ってはいても、現場を歩いた人間でなければ紡ぎ出せない言葉があるし、血の通った文章にはならないはずだ。
 この春から主に社会面のデスクを担当している。事件事故や不祥事などの殺伐としたものから心温まるヒューマンストーリーまで、幅広い記事を扱う紙面はまさに社会を映す鏡。
 有為転変の世の中は必ずしも端正には切り取れない。時に粗末でもいいから読者の胸に響く紙面を−。そう願って半人前のデスクも脂汗をかいている。 (報道部次長 成田浩二)


京都・亀岡事故7年「娘の時間止まったまま」 法要で遺族悲しみ
 京都府亀岡市で集団登校中の児童らの列に車が突っ込み、10人が死傷した事故は23日、発生から7年を迎えた。同市篠町の現場の通学路では発生時刻に遺族が法要を営み、時が経過してもなお募る悲しみを胸に手を合わせた。
 午前8時前、遺族は現場に設けた献花台に花束を供え、笑顔の遺影に静かに祈りをささげた。亡くなった横山奈緒さん=当時(8)=の父博史さん(44)は「下の子が今年、奈緒が事故にあった時と同じ小学3年になり、時の流れを感じた。それでも娘の時間は止まったまま」と複雑な心情を話した。
 事故は2012年4月23日に発生し、横山さんと、小谷真緒さん=当時(7)、登校に付き添っていた妊婦の松村幸姫さん=当時(26)=が亡くなった。無免許で居眠り運転していた元少年=当時(18)=は懲役5〜9年の不定期刑が確定した。
 事故後、遺族らの活動などで無免許や飲酒運転が厳罰化されたが、暴走やあおり運転による事故は後を絶たない。小谷真緒さんの父真樹さん(36)は「ドライバーの気持ち一つで救えた命が多くあったはず。7年前を思い出してもらい、一人一人が責任を持ってほしい」と語った。


安保法制判決 何も答えぬ司法に失望
 健全な司法か。「安全保障法制は違憲」と訴えた訴訟の全国初の判決が札幌地裁であった。だが、「訴えの理由がない」と原告敗訴。原告や証人の尋問も認めず、一刀両断する司法には失望する。
 集団的自衛権の行使を可能にした安全保障法制は憲法に反するのではないか−。多くの国民が抱いた疑問だ。長く日本政府が個別的自衛権のみを認め、「集団的自衛権の行使はその枠を超え、憲法上、認められない」と国民に説明してきたからだ。明らかに矛盾している。
 原告四百人余りは国家賠償を求める形で訴訟を起こした。平和的生存権の侵害による精神的苦痛などを理由とした。だから、原告たちには法廷で語らせないと、苦痛への理解は深まらない。証人尋問をしてこそ、裁判官も事実の認定ができるはずである。それらを排斥し、強引に審理を打ち切ったのは、乱暴である。原告の弁護団が「司法権力の乱用だ」と反発したのも理解できる。
 判決では「不安は抽象的」「自衛隊の海外派遣の蓋然(がいぜん)性はいまだ低い」などとの言葉が並んだ。しかし、この訴訟の核心は法律そのものが違憲か否かという点だ。
 政府答弁の矛盾に加え、安保法制の合憲性の裏付けとしている「砂川判決」にも致命的な問題がある。駐留米軍に関する一九五九年の最高裁判例である。ここで確かに固有の自衛権を持つと明示した。だが、あくまで個別的自衛権であるのは常識である。集団的自衛権はここでは全く問題になっていない。さらに判例には「一見極めて明白に違憲」ならば、行政行為を「無効」とできると踏み込んだ表現もある。だから、裁判官は「一見極めて明白に違憲」かどうかのチェックが求められるのではないだろうか。
 憲法との整合性への検討が全く見られない。むしろ判断を回避する理屈を駆使しているように感じる。司法に期待される役割の放棄とも受け止める。自衛隊のイラク派遣訴訟で、二〇〇八年に名古屋高裁は「平和的生存権は基本的人権の基礎で、憲法上の法的な権利」と認めた。今回はそれを「具体的な権利と解せない」と後退させた。納得できない。
 判決の根底には、司法は政治的問題に関わりたくないという消極姿勢がありはしないか。あと全国二十四の裁判所の判断が残る。三権分立の基本を踏まえれば、司法権こそ個人の権利侵害の訴えに誠実に向き合うべきだ。


安保法訴訟判決 門前払いは納得できぬ
 集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法は憲法違反だとして、道内の原告が国に損害賠償を求めた集団訴訟の判決で、札幌地裁がきのう請求を退けた。
 全国で係争中の同種訴訟で、判決は初めてである。
 原告側は安保法の成立で平和的生存権を侵害されたと主張していたが地裁は認めず、自衛隊派遣の差し止め請求も却下した。
 安保法は、憲法9条のもとで戦後日本が堅持してきた専守防衛の原則から逸脱しており、違憲の疑いが濃い。
 にもかかわらず、地裁は憲法問題には踏み込もうとせず、「門前払い」に等しい結論しか示さなかったのは納得できない。
 司法のあり方として、疑問を抱かざるを得ない。
 札幌訴訟の原告は、集団的自衛権の行使や米軍などへの後方支援活動によって、日本が戦争の当事国となり、他国からの武力攻撃やテロ攻撃を招く恐れがあるとも訴えていた。
 これに対し、判決は「平和とは抽象的な概念で、原告が主張する平和的生存権は法律上保護された具体的な権利とは言えない」との判断を示した。
 その上で、武力攻撃などへの恐怖は「漠然とした不安感にとどまる」としている。
 これまでの解釈を、漫然と踏襲しているだけではないか。
 忘れてならないのは、安倍晋三政権が、歴代政権が積み重ねてきた憲法解釈を変えて、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、与党の数の力で安保法を強引に成立させた手法である。
 こうした行政府や立法府の行き過ぎをチェックできないとすれば、違憲立法審査権は何のためにあるのだろうか。
 審理の進め方にも大きな疑問符が付く。原告側が求めていた本人・証人尋問を行うかどうかの判断を示さぬまま、弁論を終結させたのは、立証の機会を奪い、裁判の公正・公平をゆがめかねない。
 裁判所は、法令の憲法判断に極めて抑制的だ。
 国民の代表である国会が決めたことは尊重すべきだとの考えが背景にあるのかもしれない。
 しかし、法律の内容に加え、成立の経緯にも疑義がある安保法のような問題を避けて通るようでは、「人権のとりで」としての役割を果たせまい。
 違憲立法審査権の重みを司法はあらためて直視し、正面から向き合うべきだ。


衆院2補選惨敗で自民真っ青…夏の“衆参W選”へ一気に現実味
 21日投開票の衆院2補選は、ともに自民党が敗北を喫した。国政選挙での2敗だから、政権へのダメージはデカい。党内では、夏の参院選に向けての危機感が広がり、一気に衆参ダブル選が現実味を帯びてきた。
 沖縄も大阪も、午後8時に対立候補の「当確」が報じられる“秒殺”だった。第2次安倍政権が発足した2012年以降、自民党が候補を立てた補選で負けたのは初めてだ。「ついに安倍1強時代も終焉か」と、改選を控えた自民党の参院議員は真っ青になっている。
 沖縄3区は、自民公認の島尻安伊子元沖縄北方相が「オール沖縄」が推す屋良朝博氏に惨敗。自民党議員の死去に伴う“弔い選挙”で楽勝だったはずの大阪12区も、自民の北川晋平氏が日本維新の会の新人に大差で敗れた。
「沖縄の敗北は当初から織り込んでいましたが、本来なら勝てるはずの大阪を落としたことが痛い。安倍総理が最終日に大阪入りし、12区だけで3カ所も応援演説をするという異例のテコ入れをはかっても、全く差が縮まらなかった。桜田前五輪担当相や塚田前国交副大臣が立て続けに失言で辞任したことも、有権者におごりや緩みと受け取られ、少なからず選挙に影響したと思う。ただでさえ、参院選は与党に“お灸を据える選挙”になりやすい。少しでも逆風が吹けば厳しい結果になる。補選の惨敗で、党内で衆参ダブル選を求める声が大きくなりそうです」(自民党関係者)
 参院選単独だと、与党が負けても政権交代しないという安心感もあって、“お灸を据える”心理が強く出る。そのうえ自民党が消費増税を掲げていては、とても戦えないというのだ。そこで根強く囁かれているのが、6月に安倍首相が消費増税延期を打ち出し、信を問うと言って衆院を解散するシナリオだ。衆参ダブル選なら与党に有利というセオリーがある。
「沖縄のように、野党が一本化して自民党との対決姿勢を鮮明にすると手ごわい。野党がバラバラで共闘の態勢が整っていないうちに、衆参ダブル選挙を仕掛けたいという誘惑に安倍首相が駆られるのは当然でしょう。側近の萩生田幹事長代行に消費増税延期を言わせて、観測気球をあげたのもそのためです。来年は東京五輪もあるし、この先、衆院解散を打てるタイミングはそう多くない。今夏が絶好のチャンスなのは間違いありません」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
■連休明けに首相が判断
 22日から安倍首相は欧米へ外遊。トランプ大統領との首脳会談が御用メディアで大々的に報じられる頃には、世間は10連休に突入する。
 連休中には皇位継承や「令和」への改元があり、お祭りムードのまま連休が明ければトランプ来日、6月に大阪で開催されるG20で安倍がホスト役と、“安倍劇場”が続く。
「夏まで野党の出番はどこにもない。安倍首相の求心力が高まる一方です。選挙を考えたら、こんなチャンスはめったにありません。連休明けの5月中旬までに、安倍首相が衆参ダブル選の可否を判断するとみられます」(官邸関係者)
 野党は一刻も早くまとまって、迎え撃つ態勢を整える必要がある。


自民補選2敗 「1強」不信と受け止めよ
 「1強政治」にあぐらをかく今の政権に対する批判と率直に受け止めるべきだ。
 衆院大阪12区、沖縄3区の両補欠選挙で自民党の公認候補がともに敗れた。2012年の政権奪還後、第2次安倍晋三政権下で自民党が補選で敗北したのは、公認候補を擁立できずに不戦敗となった16年の京都3区補選を除けば、初めてのことだ。
 自民党は現在、衆参両院の国政選挙で5連勝中である。補選も候補を擁立した選挙は勝ち続けて「選挙に強い」「負けない」という実績を積み重ねたことが、安倍首相の長期政権を支える原動力とされてきた。
 その補選で「まさかの2敗」である。与野党とも夏の参院選の前哨戦と位置付けていただけに、特に自民党は敗北から学ぶべき教訓があるのではないか。
 沖縄3区はその象徴と言っていい。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として政府が沿岸部の埋め立て工事を強行している名護市辺野古を含む選挙区である。
 衆院議員だった玉城(たまき)デニー氏の知事選出馬に伴う補選だった。沖縄県民は各種の選挙で「辺野古移設ノー」の意思を表示してきた。直近の民意を振り返ってみても、昨年9月の知事選で「移設反対」を訴えた玉城氏が圧勝し、今年2月の埋め立ての賛否を問う県民投票でも7割超が移設に「反対」した。
 そして今回の補選である。野党が支援する無所属新人の屋良朝博氏が自民党新人の島尻安伊子氏との一騎打ちを制した。
 昨年の知事選で移設問題に言及しない姿勢が「争点隠し」と批判されたため、島尻氏は「移設容認」を訴えたが、及ばなかった。自民党の選挙戦術がどう変わろうと「辺野古移設反対」という沖縄の民意は一貫して揺らぎがない−ということだ。
 それでも政府は「辺野古が唯一の選択肢」というかたくなな姿勢を改めないのか。沖縄の民意を一体何度、そしていつまで無視するつもりなのか。
 沖縄3区が野党の議席だったのに対し、大阪12区は自民の議席だった。結果は日本維新の会の新人藤田文武氏が自民党新人の北川晋平氏らを破って初当選した。自民党にとっては、今月7日の大阪府・大阪市ダブル首長選に続く敗北である。
 理解に苦しむのは、自民党内に沖縄は「辺野古」、大阪は「維新旋風」と、それぞれの地域事情を理由に過小評価するような声があることだ。地域に固有の事情があることは否定しないが、選挙結果を謙虚に受け止めないと、いずれはもっと痛烈な審判を受けることになる。それは過去の経験で自民党が最も熟知している教訓ではないのか。


自民2補選敗北  政権への不信の表れだ
 大阪と沖縄の二つの衆院補欠選挙で自民党が敗北した。
 第2次安倍晋三内閣の発足以来、自民党が衆参の補選で敗北したのは、2016年の衆院京都3区補選での不戦敗を除けば初めてだ。
 大阪では大阪都構想、沖縄では名護市辺野古沖での米軍基地建設問題がある。党内には、最初から与党優位ではなかったという声もあるようだが、甘いのではないか。
 安倍政権の支持率は依然安定しているが、政権におごりや慢心を感じている有権者が多いことを示したといえる。
 大阪12区は日本維新の会新人が自民党新人ら3候補を破った。自民議員の死去に伴う補選で安倍首相も応援に駆けつけたが、大差をつけられた。
 維新は、大阪府知事と大阪市長が入れ替わる「クロス選挙」で自民を破った。その勢いがあったという面はある。だが、敗因はそれだけではあるまい。
 今月に入って、塚田一郎元国土交通副大臣が道路整備で「首相や麻生太郎財務相に忖度(そんたく)した」と発言し、桜田義孝前五輪相は「復興より自民議員が大事」と発言して、いずれも辞任に追い込まれた。
 首相はなかなか任命責任を認めず、自民党内からは問題視しないという声が公然とあがった。
 政府・与党の感覚が国民のそれとずれている。選挙に強い自信を持っていても、失言一つで結果は大きく変わる可能性がある。
 沖縄3区では、基地建設を容認する自民新人が、反対する「オール沖縄」の新人に大差で敗れた。
 沖縄では、昨年9月の知事選で新基地移設に反対する玉城デニー氏が圧勝し、今年2月の県民投票は投票数の7割超が反対だった。
 建設を強引に進める安倍政権への厳しい批判といえる。政府は沖縄県が求めている工事中断と話し合いに応じるべきだ。
 共同通信の全国世論調査では、約69%が県民投票の結果を尊重すべきと答えている。政府の沖縄に対する姿勢は、全国的な政権不信につながる可能性もある。
 一方、立憲民主党など野党の存在感は希薄だった。
 大阪12区では共産元職が辞任して無所属で挑み与野党対決を演出したが、勝利には届かなかった。立民などの国会議員が応援に入ったが本腰を入れたとはいえない。
 安倍1強に対し有効な選択肢を示すのは野党の責任だが、共闘の本気度が疑わしい事態だ。参院選に向け調整できるかが問われる。


衆院補選、自民2敗 地方軽視への批判票だ
 夏の参院選の前哨戦となる衆院大阪12区と沖縄3区の補欠選挙は、いずれも自民党公認の新人候補者が敗れた。
 安倍晋三首相が2012年末に政権に復帰して以降、国政選挙の補選で自民党候補が敗れたのは初めてのことだ。
 問題発言による閣僚の辞任が相次ぐなど、長期政権の緩みやおごりが止まらない。政権、与党に厳しい審判が下った意味は重い。有権者の批判と不満の表れだと謙虚に受け止めるべきである。
 補選で問われたのは、政権が地域の声に真摯(しんし)に応えているかどうか、という姿勢だろう。
 沖縄3区の補選は、県知事に転出した玉城デニー氏の失職に伴うものだ。選挙区には、米軍普天間飛行場(宜野湾市)に代わる新基地の移設先である名護市辺野古があり移設問題が争点となった。移設計画に反対し、玉城氏の後押しを受けた野党系の無所属新人が、元閣僚の自民党候補を下した。
 「辺野古移設ノー」の民意はこれまで何度も示されている。昨年以降だけでも、新基地移設に反対する玉城氏が知事選で圧勝し、今年2月の県民投票でも反対が7割を超えた。
 これに対し、安倍政権は計画変更を求める沖縄県の声を無視するかのように、埋め立て工事を継続している。
 野党が推す候補の勝利は、高圧的な態度で新基地建設を強行する安倍政権への厳しい批判である。玉城知事は「対話で解決することが重要」と重ねて求めている。政府は直ちに工事を中断し、県側との話し合いに応じるべきだ。
 一方、大阪12区補選は自民党議員の死去に伴うもので、日本維新の会の新人が自民党の新人を含む4候補の争いを制した。
 統一地方選前半戦での府知事、市長のダブル選の勝利の勢いを保ったということだろう。加えて、大阪の復権を目指し、維新が掲げる「大阪都構想」も追い風になったに違いない。
 東京一極集中が加速する半面、大阪を中心とする関西経済の地盤沈下に歯止めがかからない。前議員の「弔い選挙」として戦った自民党は、そうした有権者の危機感に気付かなかったのではないか。
 関西に強い地盤を持つ公明党の支援を受けたにもかかわらず、ダブル選から3連敗という結果は政権、与党にとっては深刻だろう。
 選挙前には、桜田義孝前五輪相の東日本大震災の復興を軽んじる発言や、〓田一郎元国土交通副大臣による下関北九州道路の建設に絡んでの「忖度(そんたく)発言」もあった。なぜ支持を得られなかったのか。有権者が抱く不信感や不満を軽んじているようでは、信頼を取り戻すことなどできまい。
 統一選前半戦では、四つの県知事選で自民が分裂し、島根や福岡では党の推薦候補が敗れた。「地方の声に聞く耳を持たない」との不満の声も漏れている。今回の結果を受けて、地方の「安倍離れ」がさらに進む可能性も否定できない。
 自民党の一部には、今回の敗北は「地域の特殊事情を反映した」との声が多い。なぜ負けたのかをきちんと分析しなければ、流れを変えることはできないだろう。地方を軽視した結果を重く受け止めるべきである。
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補選自民全敗 民意にきちんと向き合え
 衆院沖縄3区、大阪12区の補欠選挙で、自民党公認候補が共に敗れた。2012年の第2次安倍内閣発足以降、自民党が衆院の補選で敗北したのは、候補を立てず不戦敗した16年の京都3区補選を除けば初めてだ。
 安倍政権内には「地域の特殊事情」との見方もあるようだが、それこそが「1強」政権のおごり、緩みに見える。民意が下した厳しい評価に向き合わなければならない。
 沖縄3区補選は、玉城デニー氏の県知事転身に伴って行われた。野党が支援する無所属新人の屋良朝博氏が、元沖縄北方担当相で自民党新人の島尻安伊子氏との一騎打ちを制した。
 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対派が、昨年9月の県知事選、今年2月の県民投票に続いて3連勝したことになる。
 参院議員を務め知名度に勝る島尻氏は今回、辺野古への移設容認を明言して戦い、敗れた。それだけに、半年余で3度も示された移設反対の民意を、安倍政権はしっかりと受け止めなければならない。
 政府は辺野古移設を「唯一の選択肢」と主張しているが、移設に向けた辺野古沿岸部の埋め立て工事をいったん中止し、打開の道を探るため沖縄県と協議すべきだ。
 大阪12区補選は自民党の北川知克元環境副大臣の死去に伴って行われた。4人で争い、日本維新の会の新人藤田文武氏が初当選した。北川氏のおいで自民党新人の北川晋平氏は2位で落選した。
 大阪都構想を掲げ、先の大阪府、市のダブル首長選に勝利した維新が勢いを維持した格好だ。自民党にとっては、保有していた議席を「弔い合戦」で失う手痛い敗北である。
 安倍内閣の支持率が比較的堅調に推移する中、選挙戦最終日には安倍晋三首相自身が現地入りしているだけに、影響は小さくなかろう。
 2補選は辺野古移設問題と大阪都構想を巡るそれぞれの地元の政治状況が影響した側面があることは間違いない。
 だが、塚田一郎元国土交通副大臣(参院新潟選挙区)の「忖度(そんたく)」発言や桜田義孝前五輪相の失言があったばかりだ。
 こうした問題が結果にどう影響したかも丁寧に分析し、より民意に沿った政権運営に努めなければならない。
 立憲民主党や国民民主党などの野党は沖縄では勝利したが、大阪では共闘を築けなかった。全国の統一地方選の結果を含めて総括すれば、野党が大きな存在感を示したとは言い難い。
 今回の2補選は夏の参院選の前哨戦と位置づけられた。野党の支持率が伸びない現実を踏まえれば、新潟選挙区などの1人区でどれだけ共闘できるかどうかが、参院選の結果を左右する可能性は高い。
 統一選と同時に行われた2補選は、与野党双方に課題を突き付けたといえる。より良い政治の実現に向け、それをきちんと見据えることが不可欠だ。


衆院補選で自民2敗/民意を厳しく受け止めよ
 参院選の前哨戦となる衆院大阪12区と沖縄3区の補欠選挙は、いずれも自民公認の新人が敗れる結果となった。大阪12区は日本維新の会の新人が、沖縄3区は野党各党が支援した無所属新人がともに初当選を果たした。
 自民は両補選で公明の推薦を受けたが2敗を喫した。安倍政権と与党は参院選を前に示された厳しい民意を謙虚に受け止め、足元を見直す必要があろう。
 両補選ともに地域的な事情はあった。大阪は「都構想」を掲げて先の府知事・大阪市長のダブル首長選で圧勝した維新が勢いを保っていた。沖縄では反対の声が強い米軍普天間飛行場の移設計画の是非が争点となった。
 だが、2012年の第2次安倍政権発足後、衆参の補選で自民が候補を立てて敗れたのは初めてだ。一定水準の内閣支持率を維持し、「1強」とされる政権だが、その足元は必ずしも盤石ではないことを示した結果と言えよう。
 補選の前には、桜田義孝前五輪相や塚田一郎元国土交通副大臣が不適切発言で事実上更迭される不祥事が相次いだ。長期政権のおごりや緩みが表れているのではないか。なぜ有権者の支持を得られなかったのか。参院選に向けて厳しい総括が必要だ。安倍晋三首相の今後の政権運営と衆院解散・総選挙の戦略に及ぼす影響も注視したい。
 立憲民主や共産など野党は、米軍基地問題という明確な争点の下で候補を一本化した沖縄で勝利した。一方、統一候補を立てられなかった大阪では議席を取れなかった。沖縄の成功例を今後に生かせるか。参院選や次期衆院選に向けて、遅れている候補者の一本化調整が課題となろう。
 補選で問われたのは、政権が地域の声に真摯(しんし)に応えているのかという、その姿勢だった。特に普天間移設先の名護市を選挙区に含む沖縄3区では、移設工事を続ける政権の対応が争点となった。
 沖縄は、移設反対を掲げた玉城デニー氏が圧勝した昨秋の県知事選、辺野古沿岸部の埋め立てに「反対」が7割を超えた2月の県民投票と、反対の声を上げ続けている。しかし安倍政権は埋め立て土砂の投入に踏み切り、区域を広げながら工事を続けている。
 今回の補選でも自由が擁立し、立民、国民民主、共産など野党各党が支援した無所属の屋良朝博氏が移設反対を訴えた。これに対して、自民新人で元沖縄北方担当相の島尻安伊子氏は移設容認を明言した。知事選では自民推薦候補は移設への賛否を明確にしていない。容認を明言した候補が敗北した今回の結果は、反対の民意がより明確に示されたものと言える。
 玉城知事は対立ではなく、対話を通じて解決策を見いだすよう呼び掛けている。政府は工事を強行するのではなく、選挙結果を踏まえ、県と真正面から向き合うべきだ。
 自民議員の死去に伴う大阪12区の補選では、自民は議員のおいの北川晋平氏を立てたが議席を守れなかった。維新の藤田文武氏が北川氏と、他の野党系候補2氏を破った結果は、大阪での維新の強さを改めて示したものだ。都構想にも追い風となろう。
 自民は安倍首相が応援に入りながら敗れた。地盤沈下が指摘される経済の再生など地域の思いを政権は酌んでいるのか。厳しい反省が必要だ。


時評
 自民党に厳しい審判が下された。夏の参院選の前哨戦となる衆院大阪12区、沖縄3区両補欠選挙で、大阪12区は日本維新の会の公認候補が、沖縄3区は立憲民主党など野党各党が支援した無所属候補が自民党公認候補を破り当選した。
 大阪は維新が府知事・大阪市長ダブル選で自民党に大勝した勢いを維持する。沖縄は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡って地元と政府の緊張関係が続く。自民党にとって逆風の地域情勢だったのは確かだ。
 だが敗因はそれだけだろうか。2012年の第2次安倍政権発足後、自民党が候補を擁立した衆参の補選で敗れたのはこれが初めてだ。安倍長期政権の慢心、官僚や政治家にはびこる忖度(そんたく)への不満や不信が有権者の底流に潜んでいたのではないか。
 菅義偉官房長官は「政権が取り組んできた経済と外交・安保の再生、全世代型社会保障の実現といった成果や課題を丁寧に説明する」と述べていただけに、政府、与党は補選敗北を安倍政権への厳しい評価と受け止める必要がある。
 野党陣営は沖縄で事実上の野党共闘が成功したことで、候補を一本化して敗れた北海道知事選のショックから何とか立ち直るきっかけをつかんだ。今後は参院選で32ある改選1人区での野党候補一本化に向け、どこまで調整を進められるかが課題になる。
 与野党は今回の補選が参院選の行方を占うとみて、総力戦で臨んだ。
 自民党は大阪12区が同党議員の死去に伴う補選だったことや、ダブル選に続き補選でも敗れると参院選の全体情勢にも影響しかねないとみて、議席死守に躍起だった。
 一方、辺野古を抱える沖縄3区では移設の是非が最大の争点に浮上。自民候補が「移設容認」を明言し、反対する無所属候補との対立が鮮明になった。
 その結果、移設反対の民意が示された意味は重い。
 政府は移設反対の玉城デニー知事が当選した昨年9月の知事選、辺野古埋め立て反対が圧倒的多数を占めた今年2月の県民投票後も、埋め立て工事を進めている。いつまで民意に背くやり方を続けるのか。不毛な対立に終止符を打つべきだ。
 安倍政権は補選敗北を受け、参院選に向けて態勢の立て直しを迫られる。不適切発言で更迭された桜田義孝前五輪相や塚田一郎元国土交通副大臣に象徴される「長期政権の緩みとおごり」の一掃こそが、まず求められよう。


女性議員 今度の結果をばねにして
 統一地方選挙で注目される一つに女性の頑張りがある。
 当選した女性議員数が過去最多となる議会が多かった。男女対等の理想にはまだ遠いものの手応えは得られた。意識改革や環境整備を進めて、男女共同参画の地方政治に変えていきたい。
 全国41道府県議の当選者のうち女性は237人で10・4%。人数、割合とも過去最高になった。長野県議選では7人が当選、改選前より2人増えた。当選者に占める比率は12・3%だった。
 市長選の女性当選者は、諏訪市の金子ゆかり氏を含めて、全国で過去最多の6人になった。
 県内77市町村議会の議員計1031人のうち、女性は計163人で改選前より18人増えた。比率は15・8%だった。
 それでも、求められる水準から懸け離れているのも事実だ。
 政府は指導的立場に占める女性の比率を2020年までに30%にする目標を掲げている。議員立法で昨年成立した政治分野の男女共同参画推進法は、政党に対し男女の立候補者数をできる限り均等にするよう求めている。
 上智大学の三浦まり教授(政治学)は、女性議員比率をまず30%にすることを提唱している。30%を超せば女性は男性に遠慮しないで発言でき、議会に突然の質的変化が起きる。それ以下では女性議員が“男性化”してしまい、体質は改まらない―と。
 議場の3分の1を女性が占めれば議会の雰囲気は変わりそうだ。地域が抱える問題への対応力も高まるに違いない。
 女性を増やすために必要なことは何だろう。第一は意識改革ではないか。政治は男のものという思い込みを、政治家、有権者の頭の中から追い出そう。
 第二は、議会を女性議員が働きやすい環境にすることだ。産休・育休の制度化、子育てと両立しやすい議事運営など、やるべきことはたくさんある。それはまた、男性議員にとっても活動しやすい議会への道である。
 列国議会同盟の調査によると、下院(衆院)の女性議員割合で日本は世界165位。最も後れた国の一つだ。各国が議席の一定数を女性に割り当てるクオータ制の導入など取り組みを進めてきたのに対し、日本は無為無策だった。その結果である。
 地方から行動を起こして、男性偏重の政治文化から抜けだそう。


[衆院補選後に]状況変える新たな手を
 衆院沖縄3区の補欠選挙で初当選したフリージャーナリストの屋良朝博さん(56)は一夜明けた22日、辺野古を巡る硬直化した議論を解きほぐしたい、と国会活動に強い意欲を示した。
 選挙戦では、玉城デニー知事の後継者として、県民投票の結果を踏まえ、新基地建設反対を前面に掲げた。
 「辺野古は解決策にならない。別のアプローチを考えるほうが現実的だ」
 反対を主張するだけにとどまらず、選択肢を示すことで、具体的に政治を動かしていく。その発想が屋良さんの持ち味だ。
 この考えは、対話による解決を求める玉城デニー知事とも共通する。
 玉城知事は言う。
 「県と政府の対立という言葉があるが、私たちが申し入れているのは対話であって、対立を持ち込んでいるわけではない」。見逃しがちだが、ことの本質を突いた重要な指摘だ。
 キャンプ・シュワブのゲート前で、反対派の市民に当選報告をした屋良さんは「当たり前の政治、当たり前の民主主義を」と訴えた。
 「当たり前の政治」とは「対話による解決」ということだろう。
 工事を強行する政府と、話し合いによる解決を求める県。数の力で押し切ろうとする政府と、埋め立てによらない解決を求める県。
 この違いを説得力のある言葉で発信し、県の主張を内外にもっとアピールする必要がある。何よりもスピード感をもって当たることが重要だ。
    ■    ■
 安倍晋三首相は、移設反対派が勝利したことを受け、「一日も早い普天間飛行場の全面返還を目指したい」と述べた。
 菅義偉官房長官も「辺野古が唯一だという考え方には変わりがない」と、移設方針に変更はないと明言した。
 お決まりの「ワンフレーズ・ポリティクス」である。キャッチフレーズのような言い回しは、現実から遊離し、思考停止を表す言葉になりつつある。
 軟弱地盤の改良で工事の長期化が避けられなくなった。工期さえはっきりしないのに、枕ことばのように「一日も早い」全面返還と言う。
 本心からそれを望むのなら米側と交渉し、早急に代替案を検討すべきである。
 県民投票や相次ぐ選挙で辺野古埋め立て「反対」の民意が示されてもなお、政府は「辺野古が唯一」だと言い募る。民主的な意思表示を無視した強権政治というしかない。
    ■    ■
 県は6月、外部有識者による「万国津梁会議」を設置し、基地負担軽減について専門家の意見を聴取する。玉城知事の言う「話し合いによる解決」の具体的な一歩だ。
 政府が司法決着にこだわるのは、県との主張の隔たりが大きく話し合いによる解決が困難だと考えているからである。
 政府をどのように話し合いのテーブルにつかせるのか。議論を通して沖縄側は何を目指すのか。リスクがあるのは確かだが、状況を変えていく取り組みなしに事態を前に進めることはできない。


NGT事件の秋元康批判にホリエモンがイチャモン! 一方、NHK新潟は“秋元の指揮監督”がガバナンスの問題点と本質を指摘
 NGT48暴行事件は被害者の山口真帆が卒業するという、最悪のかたちになった。暴行事件を告発した被害者が厄介払いのようにグループを追われるというのはどう考えてもおかしい。
 当然、世論は猛反発。ワイドショーでもさすがにAKSおよびNGT48運営への批判が大きく報道されている。また、ネットで改めて指摘されているのが、AKB48グループの総合プロデューサーである秋元康氏の責任だ。秋元氏は、NGT48についても深く関与しているのに、今回の事件については一切コメントを出していない。そうした姿勢に対して「無責任」「謝罪すべき」という声がくすぶってきたが、それがここにきて再燃しているのだ。
 ところが、そんななか、ホリエモンこと堀江貴文氏が秋元批判を攻撃するこんなツイートを投稿した。
〈そもそも組織のトップは秋元さんじゃねーだろ笑。ちゃんとみろ。世間一般がそう思ってるだけだろ笑。それにおれは事実関係知らんし。興味ないから調べる気も起きないそれお前らの吊るし上げ願望だろ。要は功なり名を遂げた有名人を事実関係がどーなのかとかに関わらず人民裁判に掛けて無理やり貶めてニヤニヤしたいだけじゃん笑笑〉
〈吊るし上げられたほうは堪らんぜ。だけどお前らは週刊文春みたいなクソ週刊誌が発明した『有名税』なる空虚な概念を利用して『仕方ない』とか言うんだろ〉
〈だからお前単に秋元さんが困ってる顔して出てきたりするのを面白がって溜飲下げて、つまらないお前の人生に少しでも潤い与えたいんだろ。可哀想なやつだな〉
 影響力の高い人間や企業が「社会的責任」を負うのは当たり前なのに、金持ちや権力者への物言いをすべてルサンチマンとみなし、強者の権益を守るために批判を封じ込める。相変わらず公共性のかけらもない新自由主義丸出しの妄言だが、しかし、堀江氏ほどの暴論ではなくても、「AKSと秋元康は関係ない。だから謝罪する必要はない」といった意見を言う人は多い。
 だが、こうした意見は完全に間違っている。たしかに、秋元氏は現在AKSの役員でなく株も保有していない\。だが、それは自分に責任が及ばないよう名前を出していないだけで、秋元氏がAKBビジネスから巨額の利益を得て、AKBグループ最大の権力者、事実上の最高責任者として君臨している状況は今もまったく変わっていないのだ。
 実は、意外なメディアがそのことを指摘していた。NHK新潟放送局が4月9日にNGT問題を特集し、そのなかで、「組織のなかでの役割と責任の所在が明確になっていないというのが、AKSという組織の特徴」として、秋元康氏の問題に踏み込んだのだ。
 まず、アナウンサーが「NGT48だけでなくAKB48グループ全体の総合プロデューサーとしてみなさんが広く認知しているのが、秋元康さんですよね。でも秋元さんは今回のこの問題についてあまり公での発言が聞こえてきてませんよね、なぜなんでしょうか」と口火を切る。すると、解説役の記者がこう答えた。 
「そうですね。記者会見で松村取締役は、NGTの運営はAKSが全権を握っているとしていて、秋元さんは音楽の提供や企画などクリエイティブな部分を担当していて、組織の運営にはタッチしていないと説明しています。しかし、松村取締役は、秋元氏が今回の問題についてたいへん憂慮しているとしたうえで、秋元氏からメンバーのケアをすることを考えなさいと叱責されたことを明らかにしているんです。
 ただですね、組織運営の権限がないとされる秋元氏が経営者を叱責するという事態は会社のガバナンスから見ても、こちらも問題があるんじゃないかと思います」
NHK新潟が「秋元康氏から叱責うけた」発言とりあげガバナンスの問題を指摘
 そう、NHK新潟は1月14日に開かれたAKSの会見で、松村匠取締役が秋元氏に「叱責されました」と語ったことにこそ、ガバナンスの問題があると指摘したのだ。そして、この問題について「企業のガバナンスに詳しい専門家に話を聞いた」として、若槻良宏弁護士のこんなコメントVTRが放送された。
「記者会見をしている取締役を叱責する別の人物がいるっていうのは、それはガバナンスとして機能しているのかというところは疑問として残るんだろうと思います。本来であれば、監督を受ける立場というのは上司であったり代表取締役であるわけですけれども、そうではない方(秋元氏)から指揮・監督・命令を受けているとなると、まさにガバナンスが問われるんじゃないかと思うんですね。この会社はいったい誰が意思決定をしていて、誰が責任を負っている会社なのか、ということが不明瞭になるような発言だったんじゃないかと思うんですよね。あの発言があることによって、まわりが疑心暗鬼になりますよね」
 このコメントを受けて、アナウンサーが「なるほど。やはりちょっと専門家の観点から言ってもおかしいんではないかということですね」と念押し。記者が「やはり経営トップの吉成社長やグループをプロデュースしてきた秋元さんが前面に出て、どうガバナンス体制の見直しに取り組んでいくのか。それが問われているんだと思います」と締めた。
 つまり、NHK新潟は、秋元氏が「運営統括責任者」である松村AKS取締役を「叱責」できる明らかに“上の立場”であり、“事実上の最高責任者”であることを示唆。にもかかわらず、秋元氏の存在が隠され、表に出てこないことが、組織を歪にしている最大の原因だと指摘したのだ。
 まさに何から何まで、NHKの言う通りだろう。実際、秋元氏がNGTの“事実上の最高責任者”であることを「証明しているのは、NHKが例あげた松村取締役の「叱責」発言だけではない。そもそも、今回のトラブルの元凶と言われる今村悦朗・前NGT48劇場支配人や松村AKS取締役じたいが、秋元氏の息のかかった人物なのだ。
 今村氏はNGT48劇場の支配人となった際、〈秋元(康)さんとは25歳のときからの付き合いだから約30年〉(「週刊プレイボーイ」2015年3月30日号/集英社)と語っていたし、松村氏は元フジテレビ社員で、秋元氏が関わってきた『とんねるずのみなさんのおかげです』でAD、ディレクターを務めてきた。
秋元康に暴行事件は報告されていた! そして、秋元のもう一つの責任
 さらに、秋元氏は今回の暴行事件についても、発生当初から報告を受けていた可能性が高い。それは、1月12日にニコニコ生放送で放送された『直撃!週刊文春ライブ』で公開された、一通のメールだ。これは山口真帆への暴行事件が起こった際に今村劇場支配人がメンバーに送ったとされるメールなのだが、そのなかでは、こんな一文も登場するのだ。
〈秋元さん、伸介さん、AKS、AKS弁護士への報告もしてあります。〉
 このメールが事実であれば、秋元氏は暴行事件の報告を受けながら、それを黙って見ていたことになる。いや、今村氏や松村氏との関係を考えれば、秋元氏が運営の対応を決めていた可能性だってあるだろう。
 しかも、メールに登場する「伸介さん」というのは、秋元氏の実弟であり、AKBグループのスキャンダル対策を率先しておこなってきた人物で、主に週刊誌やスポーツ紙を担当。カレンダーやパンフレット、公式本などといった“利権”を各出版社に分配することでメディアを手なづけてきたことで知られている。
 いずれにしても、これだけの関与、疑惑があって、「秋元さんは関係ない」なんてありえないだろう。秋元氏もまた、公の席で暴力事件の隠蔽について釈明し、謝罪する責任があるのは当たり前ではないか。
 また、秋元氏が本当にグループの運営にはノータッチだったとしても(メンバーの人事やスキャンダル対応まで口を出している以上、それはありえないが)、秋元氏には問われるべきもう一つの責任がある。それは「握手会ビジネス」を生み出したという責任だ。
 すでにメディアやネットでも指摘されているが、今回の暴行事件の根本には「握手会ビジネス」がある。AKB48グループのメンバーは、個別握手会の売上や総選挙の順位といった指標で常に激しい競争に晒されており、握手券を数十枚数百枚単位で買ってくれたり選挙で大量に投票してくれるファンを無下にできない状況がある。
 そういった過当競争を強いられることでメンバー間にも分断が起こる。私的交流を「営業」ツールとして使用し、握手券売上や選挙の順位を上げることをめぐっての分断だ。表向きのルール上は禁止されているにも関わらず実際は横行していたこれらの「営業」に関してメンバー間で諍いが起こり、それが暴行事件の背景となっているのはおそらく間違いのないところである。
 そして、メンバーに過酷な状況を強いるこの歪なシステムを生み出し、いまも、そのシステムによってCDを大量に売り、甘い汁を吸い続けているのが、他ならぬ秋元氏なのだ。少なくとも、この問題については、秋元氏に説明責任がある。
AKSは批判しても秋元康を批判しない東京のテレビ局、スポーツ紙
 しかし、現実には秋元氏は一貫して「他人事」の姿勢を変えず、側近たちも必死になって秋元氏を守り、表に出さない。これはどう考えてもおかしいだろう。
 しかも、おかしいのはマスコミだ。秋元氏の責任を追及しているのは、ネット、そしてせいぜい先に紹介したNHK新潟や新潟日報など地元のメディアだけで、東京のテレビ局、スポーツ紙はNGT48暴行事件に関して秋元氏の責任を指摘しようとはしないし、「握手ビジネス」の問題について批判しようとはしない。
 たとえば、4月22日放送『スッキリ』(日本テレビ)でMCの加藤浩次は「昔は隠す、隠ぺいするってことが色んなところであったと思う。でも、いまの時代、組織を守るためには、嘘をつかないで全部言うことが組織を守ることなんだと、いまはもう変わってきていませんか」と発言し、AKSの隠ぺい体質を明確に批判した。しかし、これだけ明確にAKS批判に踏み込んだにも関わらず、加藤の口から秋元康の「あ」の字も出てこなかった。
 そして、こうしたマスコミによる秋元隠し、“トカゲの尻尾切り”状況を、冒頭で紹介したようなホリエモンに代表される「訳知りのふりをした秋元擁護論」が容認する。
 しかし、何度でも繰り返すが、NGTで発覚した問題は、秋元康が生み出したシステムに起因するものであり、AKSの隠蔽体質やガバナンス欠如の背景には、秋元康氏が事実上の最高責任者でありながら、責任を取らないという歪な組織構造がある。
 この問題を改善しない限り、ほかの48グループ、坂道シリーズでも同じようなことが起きるのは目に見えている。そういった悲劇を繰り返さないためにも、メディアは秋元氏の責任を追及するべきなのだ。


毅然とした態度に称賛 NGT48山口真帆はモノ申すアイドルへ
 NGT48の山口真帆(23)が21日、新潟・NGT48劇場で卒業を発表した。運営側の曖昧とした発表と対照的な山口の“毅然とした態度”に、ネット上では「まほほんが一番まっとう」と称賛の声が上がっている。
 3月22日の運営側の会見に「なんで嘘ばかりつくんでしょうか」とツイッターで反論。卒業発表では「もうここには、私がアイドルをできる居場所がなくなった」とファンならずとも心に刺さる言葉を次々と発した。芸能リポーターの川内天子氏がこう言う。
「山口さんの文章力、問題点の見極め、問題提起の仕方は誰よりも明解。たったひとりで戦わなければならない中で、事件の本質を一番分かっているからこそ発信力もあり、人を動かす力も大きいのです。卒業後、事務所を移籍するなら、“発信力”を一番評価するのはYouTuberが所属する事務所では。おとなしいばかりがアイドルじゃない、新しい“モノ申す”アイドルになれるでしょう。また、いじめ、セクハラ問題など弱者のオピニオンリーダーとしても引く手あまたでしょう」
「皆さんが私を助けてくれたように、私も困っている人に手を差し伸べられる人でありたい」と語った山口。新たなジャンヌ・ダルクの登場かもしれない。


若手研究者の任期、原則5年以上に 文科省が改革プラン
柴山昌彦文部科学相は23日、日本の研究力向上に向けた改革プランを公表し、任期付き雇用の若手研究者の任期を原則5年程度以上に延ばす方針を示した。若手の研究者が一定期間、安定した身分で研究に取り組める環境を整える狙い。ただ、任期の長期化は研究プロジェクトの公募要件などで促す形にとどまるため、実効性をいかに確保するかが課題となる。
文科省傘下の科学技術振興機構(JST)などが公募する研究プロジェクトの要件を2020年度から順次変更し、プロジェクトで雇用する研究員の任期の目安を5年程度以上に延ばす。プロジェクトの研究だけに専念する義務も緩和し、若手が自らの研究活動にも一定程度取り組めるようにする。
文科省科学技術・学術政策研究所の15年度の調査によると、任期が3年未満の博士研究員(ポスドク)が全体の3分の2を占め、短期雇用の不安定な状況にある。若手研究者が研究に意欲的に取り組める環境を十分に整備できておらず、日本の研究力の低下を招く一因とされている。
文科省は若手の雇用を安定させることで、研究者を志して博士課程に進学する学生の増加にもつなげたい考え。ただ、大学などに任期の長期化を強制できるわけではないため、どこまで実効性があるかは見通しにくい。


会長の「終身雇用守れぬ」発言に隠された経団連の“本音”
 22日、都内で開かれた経団連と大学による産学協議会で、学生の通年採用の拡大を盛り込んだ報告書がまとまった。報告書では、春季一括採用に加え、個々の企業ニーズに応じて雇用する仕組みの必要性などが盛り込まれ、「(専門性の高いスキルを持つ人材などを通年採用する)ジョブ型雇用を念頭に置いた採用も含め、複線的で多様な採用形態に秩序をもって移行すべきだ」と明記された。
 従来の新卒一辺倒ではなく、既卒にも広く門戸を開くことにつながる採用活動は大いに歓迎すべきだが、気になるのは経団連の“本音”が別にあるのではないか、という疑いだ。
「企業は従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」「一括採用で入社した大量の人を効率よくトレーニングする考え方は、今の時代には合わない」
 22日の会見で、こう強調していた経団連の中西宏明会長(写真)。19日にも「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです」と発言して波紋を呼んでいるが、この言葉通りに解釈すると、経団連が必要としている人材とは「若く」て「人材育成の必要のない即戦力」かつ、「低賃金」で、「いつでもクビOK」ということだからフザケている。
■学生時代は雀荘通いだったクセに…
 勉強する学生がほしい――とも報じられているが、経団連加盟企業の幹部社員は学生時代、そんなに勉学に打ち込んできたのか。例えば中西会長が新卒で日立に入社した70年代は高度経済成長期〜安定経済成長期のまっただ中。終身雇用や年功序列賃金が導入されたのもこの頃で、中西会長だって十分、この恩恵を受けたはずだ。現金給与額は前年比2ケタ増(率)が当たり前。大学入学金は国立が5万円、私立大で9・5万円で、大学周辺は雀荘が林立し、学生たちは授業そっちのけで雀荘に入り浸っていた。そんなお気楽でノホホンとした学生時代を過ごしながら、たまたまエラくなったからといって、数百万円を超える入学金、授業料の借金返済に苦しむ大学生に対して「よ〜く勉強しろよ。でも終身雇用はないゾ」とはよくぞ言えたものだ。
 安倍政権にヘコヘコしてハリボテ株価を吊り上げ、内部留保ばかりため込んでいる経団連の経営者の方がよっぽど勉強不足だろう。自分たちの無能ぶりを棚に上げて「多様な採用」とは、へそで茶を沸かすような話だ。


部落差別に抵抗した人々 その歴史が刻まれた京都のまちを行く
トンネルを抜けて、東京からの新幹線が京都駅へと減速していく。鴨川を渡ると、車窓から金網に囲まれた空き地と、古い団地が見える。京都は今、観光客であふれ、京都駅周辺はホテル建設ラッシュに沸く。観光地へ急ぐ人たちは通り過ぎてしまうが、京都には部落差別に抵抗した人たちの歴史も刻まれている。部落差別は、地名を明記して地区の現状や未来を語ることさえ、抑圧してきた。再開発の波にさらされ立ち退きが迫る京都駅前のまちで、出身地を隠すことを強いられてきた人たちに、まちへの思いを聞いた。(京都新聞社・岡本晃明/Yahoo!ニュース 特集編集部)
迫る「改良住宅」からの退去
京都の人気観光スポット「三十三間堂」は、JR京都駅から東へ歩いて行ける。その途中、鴨川に架かる橋の手前には、フェンスに囲まれた更地と工事現場が目立つ。ここ「崇仁(すうじん)」と呼ばれる地域では、再開発が進む。
その一角に淡いグリーンの古い洋風の建物が見える。「柳原銀行記念資料館」という。明治時代、被差別部落の人たちが地域振興のために自ら設立した銀行の遺構だ。
崇仁地域は大正時代、被差別部落の人たちが誇りを取り戻そうと、差別撤廃に団結した「水平社運動」の拠点で、全国仮本部が置かれた。「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と呼び掛けた日本初の人権宣言「水平社宣言」は1922年、京都市内で採択されている。そうした運動の関連資料は、柳原銀行記念資料館で保管されている。
資料館のそばに5階建ての団地がある。戦後、部落差別をなくすための同和行政で建設された「改良住宅」だ。世帯向けで広さ35平方メートル。エレベーターも風呂もない。住民は、「市ブロ」と呼ばれる同和対策事業で建てられた市営浴場に通う。
築50年になる棟で一人住まいする高橋のぶ子さん(83)は、夫とともに、ここで子ども2人を育ててきた。勉強机を置くスペースはなく、こたつに家族全員は入れない。
改良住宅の建設前を高橋さんが振り返る。
「路地の8軒長屋で共同便所、共同ポンプの水場が一つ。子どもがどこの家も多かったから、朝はトイレの順番待ちで、『早よ出え』ってけんかになるし、雨の日はぬかるみの路地で傘をさして水汲みをしたもんです」
部落解放運動は1950年代に高揚し、住環境の改善を行政に求めた。高橋さんは生活と子育てに追われる中、解放運動と出合った。
「路地裏集会へ行くと、夫が怒ってな。部落差別では『寝た子を起こすな』という風潮があったから。集会や識字教室に行くときは、夫に『お風呂行ってくる』とうそをついて、洗面器持って出たもんや。改良住宅ができるのが、そら楽しみやった。工事を毎日見に行った。家ごとに蛇口があって、トイレもあって。極楽やなあいうて」
京都市は、郊外にある京都市立芸術大キャンパスを2023年に崇仁地域に全面移転する計画を進行中だ。駅東部を「文化芸術都市」のシンボルゾーンに、と掲げる。芸大移転に伴い、高橋さんたちが暮らす改良住宅の古い七つの棟や「市ブロ」は取り壊される。崇仁地域内に新設される市営住宅へ転居する日が迫る。
「納得できん、と言うてん、最初は。一人やったらここで十分や。思い出もあるしな。建てるまでの運動を思ったら離れたくない。でも崇仁の人口も減っているし、しゃあないなとも思う」
高橋さんは2年前、転倒して脚に障害が残り、階段の上り下りがつらい。新築の市営住宅にはエレベーターや風呂も完備される。それでも「納得できない」というのは、行政にほんろうされたまちづくりへの思いがあるからだ。
京都駅東側に密集していた劣悪な家屋やバラックを、京都市は1960年代から本格的に撤去してきた。指定した全域を市が買い上げ、同じ地区内に新設する改良住宅に、賃貸で入居してもらう「クリアランス」方式を取った。指定区域が広い崇仁地域では買い上げが難航、バブル期に地上げ業者が暗躍したあおりも受け、先行取得した市有地が更地のまま、虫食い状態で放置されている。
それが人口流出の一因となった。崇仁地域には改良住宅が計22棟、約1000戸。空き室が目立つ。かつて9000人だった人口は激減し、1400人に。半数近くは高齢者だ。
78歳の女性は「ここでは顔見知りがいるけど、立ち退き後の市営住宅ではどこに入居するか抽選だから、誰が隣にくるのか分からん。この年齢だと不安やねえ」と話した。
片岡親樹さん(72)は3年前に脳梗塞で倒れ、右脚が不自由だ。「新しい市営住宅に移ったら、家族が独立し、今は単身なので、入居要件で狭い部屋になるかもしれん。家族分の家具があるのにどうしたらええんや」と言う。「でも、今のままでは街は高齢者ばかりになる。芸大移転で若者が来てにぎやかになることを期待している」
芸大移転に伴う改良住宅立ち退きに、簡単に○か×の賛否で割り切れない思いがある。
一代限りのまち
2006年までに国土交通省は、公営住宅の家賃について「応能応益負担」や入居基準見直しを打ち出した。改良住宅を公営住宅と同じ扱いにできるよう変え、これが旧同和地区の改良住宅に暮らす人たちを揺さぶった。
公営住宅制度は低所得者層への住宅対策だ。何世代も定住する想定ではなく、住み替えを促すよう制度設計されている。事実上「一代限り」の施策だ。
一方、改良住宅は「住宅地区改良法」に基づく。公営住宅とは別の法律だ。同和地区などの劣悪な家々を街並みごと行政が取り壊し、代わりの住居を提供する制度で、入居資格には収入制限も同居親族要件もなかった。
高橋さんは改良住宅に入居したころ、こんなまちになるとは想像していなかった。
「ずっと住み続けられると思っていた。孫たち世代、子ども世代も、地域の人たちが住み続ける街や、と思っていた。今は家賃が応能応益負担で、所得があるほど高い家賃になった。お風呂もないこんな狭いとこやで。若い世代が住めん。そりゃ出て行かはるわな」
子どもたちが成人していったん地区外で暮らすと、低収入世帯という入居要件が、Uターンしたくても壁になる。入居者が亡くなった際、改良住宅では親族が引き継げたが、京都市は国に従い、「同居1年以上」などと厳格化した。同居して親を看取ったものの、同居期間がわずかに1年に足りず、退去を迫られた人もいる。
根強い部落差別と重なって、子育て世帯の減少が止まらない。
高橋さんは言う。
「応能応益にしたのはおかしい。ここは改良住宅で、差別から取り戻したんや。いつの間にか一般公営住宅になった。京都市は全戸にチラシ配って説明したというけど、字が読めへんとこにチラシ入れたところで、丁寧に目通す人いうのは少ない。今でもそうや」
改良住宅の建設ラッシュだった1960年代の被差別部落では、読み書きができず、入居契約書を読めない人も多かった。差別による貧困で学校に満足に通えなかった人たち。子どもが学校で渡されたプリントが読めない人、目的地の地名が読めずに駅の自動券売機を使えない人……。バスの行き先案内が分からず、無理をしてタクシーに乗る人が今もいる。
読み書きは「識字教室」で学んだ
崇仁地域では今も毎週土曜日、「識字教室」が開かれている。通うのは70代以上の高齢女性5、6人。何十年と通い、達筆な人がほとんどで、今は習字や手芸を楽しむ憩いの場だ。
高橋さんは30代だった1972年、子育てや箱にマッチを詰める内職に追われながら、地域の女性たちと「崇仁識字学級」を立ち上げた。
「最初に習った字は、なぜか『うま』という字やった。馬の絵を先生が見せたんや。ひらがなから一つずつ(教わった)。ぜんぜん書けへんかったから」
高橋さんは当時の作文にこう綴っている。
私は識字学級に通って、一字一字勉強しても、十文字ならっても三文字しか覚えられません
字をしらないことは、話すこともひかえめで、これも言っておけばよかったとあとでこうかいすることが多くあります。自分の子供だけは、こんな悲しみをさせたくないと思う気持ちが、何か私をさみしくしていく。なせ、こんな差別が出来たのだろう
差別で奪われたものと誇りを取り戻すため、文字を刻み、この地でひたむきに歩んできた歴史がこもる。
各地の識字教室は1970年代半ばから、行政が同和地区の隣保館(現コミュニティセンター)で運営するようになった。当時の教材を京都部落問題研究資料センターが所蔵している。
ひらがなの書き順から始まり、「府庁前(ふちょうまえ)」「祇園(ぎおん)」といったバス停の読み方を学んだことが分かる。作文のテーマ例には「しごと・楽しい・失対・苦しい」とある。失対とは失業対策事業の略語。日雇い労働する意味で使われた。被差別部落の暮らしに密着した言葉を教材にしたことがうかがえる。識字教室で学んだ人たちは、運転免許や調理士の資格を取り、就職につなげた。
識字教室に通い始めて3年目。高橋さんの作文には、京都市内の別の被差別部落のお年寄りから聞き取った内容が綴られている。
どろんこによごれてお風呂に行くと、外の風呂場は入れてくれない。「きたない人は、みんな部落民だけや」とののしられてきた。このように、きたながられてきたが、ようやく地区の中に風呂が建てられた。そのときのうれしさは、口では言いあらわすことができないほどだったそうです
わしらが子どものころは、子守りが仕事で、雨のふる日はお寺の門が、もりの集まる場所になっていた。せなかの子が泣くと、やかましいといって、門を追い出されるので、せなかの子と、もりとがいっしょに泣くことも多かった。みんなが苦しく悲しい中で、ふと出たことばから子守り唄をつくってうとうたもんや
おばあちゃんたちは、目をしょぼしょぼさせながら、たくさんの話をしてくれます。その顔のしわや、手の先まで、部落差別の長い長い苦しみがしみこんでいるのです
この作文の終わりには、高橋さんが採録した「盆がきたとて なにうれしかろ」の子守唄がある。フォークグループ『赤い鳥』などがアレンジし、『竹田の子守唄』としてヒット曲になった。
いま、全国の「旧同和地区」で人口減が起きている。
高橋さんは言う。
「追い出せば、出て行けば差別問題がなくなるという考え方は誤っている。生まれ育ったまちの名を、なんで隠さなあかんのや」
父の「すいろう」
崇仁地域に育った藤尾まさよさん(62)は4年前、「崇仁発信実行委員会」を立ち上げた。キャンパス移転を控えた市立芸大生らと一緒にフリーペーパー「崇仁〜ひと・まち・れきし〜」を発行。「ちょぼ焼き」といった崇仁で親しまれてきた料理、さまざまな商店の紹介だけでなく、人々が部落差別の中で生き抜いてきた歴史を伝えている。
そのフリーペーパーには、実名で、笑顔で、地域の人たちが登場する。藤尾さんは「ふるさとの名前を声に出したい。差別の中で出せなかった声を記録に残したい」と話す。
藤尾さんは実名で差別体験を語り、崇仁まち歩きの案内人を務める。小学生の頃の思い出。それはこんな内容だ。
両親は文字も書けないので就職ができず、日雇いの肉体労働で、顔を日焼けで真っ黒にして働いてました。懸命に働いて、やがて父は水道配管の仕方を覚えました。ある日家に帰ると、電話がひいてありました。貧乏な家に立派な電話なんて! 電話脇の壁に大きなカレンダーが貼ってありました。水道配管の仕事が入ったのでしょう、カレンダーに「すいろう」と書いてありました
わたしも姉も学校に通わせてもらってるので文字を知っています。私たちは「すいろう」の字を指してゲラゲラ笑ったのです。「あほちゃう、ホンマは、すいどう、やで! そんなことも知らんの?」。父は恥ずかしそうにして、わたしたちの前からいなくなりました
本当は「すいどう」です。でも父は、自分の耳に入ってくる音の中で、自分の知っている文字を並べて書くのです。小さい時から働いて働いて、やっと結婚できて、そして働いて、子どもが生まれ、かわいいわが子から、文字を書けないことをばかにされる。その「すいろう」という字は、その時の父の精一杯の文字でした。わたしはそんな親の痛みを知ろうともしませんでした
藤尾さんは、講演会でも語っている。
母は口癖のように、「まちの人は怖い」と言ってました。まちの人とは、同和地区外の人のことを言います。私は自分の出身を隠すため地元から遠いデパートの高級服売り場で働き始めたんです。
ある日、崇仁在住の顔見知りのおばちゃんが来店しました。「ええとこに就職したんやな、よう頑張ったな」と、わがことのようにうれしそうにおばちゃんが話しかけてくる。でも心の中で「ここはあんたらの来るとこやない。私が同和地区出身ってばれるやん。もう帰って」と考えていました。生まれた町から逃げ、家族から逃げ、自分自身からも逃げていた
藤尾さんはかつて、長く交際していた男性から結婚を申し込まれた。だが、男性の母は「地区外の女性と結婚させたい」と反対。藤尾さんは絶望し、自殺を図ったという。
その後、別の男性と結婚しましたが、差別のこともあって離婚し、9カ月の子どもを連れ崇仁に帰りました。仕事も結婚もうまくいかず、「こんなとこに産みやがって! お前らのせいや!」と親を責めたこともあります。(自分の)子どもが中学生になりPTA活動をしていたとき、差別にあった中学生が「どんなにがんばってもあかん。どうせ僕らを認めてくれへん」と叫ぶのを聞いて、鳥肌が立ちました
たった15歳なのに部落差別で人生をあきらめる。いや、あきらめさせられる……生徒たちの姿が自分の人生に重なり、部落差別への怒りがこみ上げて。やっと47歳から人権学習を始めました。「同和地区出身だから差別されても仕方ない」との偏見をそのまま受け入れ、私が私自身を差別してきたことに気付かされた。すり込まれた考え方に縛られ、社会の中に差別を生み出していたのは、知ろうとしてこなかった私自身だったのです
「知らない」ということは本当に残酷です。そして「知ろうとしない」ということは、結果的に人間に残酷なことをさせるんだなと思います
ネット時代の部落差別
差別の実態を伝えるのに「差別語」や、向けられた罵倒の言葉を記事にしていいのかどうか。部落解放運動は戦前からメディアの差別表現を告発してきた。1951年、雑誌の小説が、崇仁地域を含む駅周辺の地名や実名を明記して、暮らしぶりや特定職業などを「暴露小説」と銘打って描写。今のマスメディアは使わない「差別表現」を繰り返し用いた。雑誌名から「オール・ロマンス事件」と呼ばれる。怒りの声は大きなうねりになり、行政責任も糾弾して戦後社会運動の転換点になった。
被差別部落の地名が拡散される恐れは今、高まっている。情報化の進展を踏まえて2016年、「部落差別解消推進法」が制定された。
メディアが被差別部落の地名を特定し報じると、「○○さんは部落の人」といった差別を助長し、再生産する恐れがある。逆に報じないと、今もある差別や同和対策事業終了後の課題が、解決済みの過去として忘れさられてしまう。
インターネット上に繰り返される差別的な書き込み。京都駅東部エリアで、新聞紙面に実名で出たことがある人たちからも、こんな胸中を聞いた。
「ネットに写真が出るのは怖い」
「名前を伏せて」
この記事では地名や匿名扱いについて悩み、検討を重ねた。京都駅東部には他府県から移り住んだ人たちも、在日コリアンの人も多く暮らしてきた。同和問題の面だけ語ると、地名に刻まれたさまざまな人の足跡を消し去る危うさも伴う。
1990年前後から崇仁地域では、歴史を語り継ぐ住民運動が立ち上がった。それが被差別部落の歴史を隠さず、藤尾さんたちが誇りを持って語れる土壌となっている。柳原銀行遺構も解体計画から保存運動が守った。
「市ブロ」、市営崇仁第三浴場に行ってみた。
かつては同和対策事業で民間の銭湯より格安だったが、同対事業が打ち切られた今は京都市内の銭湯と一律の430円。男湯の扉を開けると服を入れた脱衣籠が三つ。お年寄りが「兄ちゃん、石けん持ってんのか? シャンプーは?」と声を掛けてくる。湯気でけむる風呂場に、顔なじみ同士の世間話がこだまする。「なじみの飲食店も市ブロも、芸大移転でなくなるそうや」。市営住宅への転居を待たずに地区外へ去った人のうわさ。高い天井に反響してよく聞き取れない。こだまするのが楽しいのか、女湯から子どもたちがオオカミの遠吠えをまねる声がする。
「昔の市ブロはぎょうさんの子どもで、そらぁにぎやかやったで」(肩書、年齢などは取材時のものです)

不満を聞く係?→お怒りメールでコワい

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白ワイン190429

"Au Japon, nous en sommes à la première étape de la libération de la parole"
Interview Kahina Sekkai
Shiori Ito, journaliste et réalisatrice de documentaire, signe avec ≪La Boite noire≫ un témoignage puissant, racontant son propre viol et dénonçant les violences sexuelles et les lois obsolètes les concernant, mais aussi l'impact du mouvement #MeToo dans son pays.
Paris Match. Comment avez-vous pris la décision d’écrire ce livre ?
Shiori Ito. Il y a deux ans, quand j’ai parlé publiquement de mon expérience, j’ai reçu un courrier de mon éditrice, une longue lettre dans laquelle elle m’incitait à écrire un livre. Elle m’incitait à utiliser mes propres mots, pour dire pourquoi nous devons parler de ce sujet, juste avant la réforme de la loi. Quand j’en parlais, les gens voyaient surtout un sujet scandaleux. Elle m’a encouragée, m’a dit que j’avais ouvert la porte et que je devrais parler. Mais me souvenir de tout était encore très traumatisant, je n’étais pas prête. Je lui ai demandé d’attendre trois ou quatre ans, le temps que j’assimile tout. Elle m’a poussée à le faire le plus tôt possible, tant que les gens m’écoutaient.
J’ai suivi son conseil. A l’époque, je ne pouvais toujours pas retourner chez moi, je me cachais chez des amis, c’était très dur de poursuivre ma vie à Tokyo, je ne me sentais plus en sécurité dans mon ancien quartier. Heureusement, j’ai eu une opportunité de travailler à Londres donc c’est là que j’ai écrit mon livre. J’ai tout écrit en trois mois, à un rythme effréné, mais je suis maintenant contente de l’avoir fait.
L’écriture était-elle cathartique pour vous ?
Sur le coup, pas du tout. Parfois, j’étais incapable de regarder le manuscrit pendant deux ou trois semaines. Mais au final, ça l'a été. Cela m’a permis d’ordonner tous les faits, tous les détails, mes souvenirs. Cela m’a donné plus de confiance dans mes souvenirs : tout était vrai et vérifié par les faits.
Votre livre est plus qu’un témoignage personnel, c’est un plaidoyer pour un changement de raisonnement et de lois au Japon.
Si le système légal et le soutien moral étaient assez forts, je n’aurais probablement pas écrit ce livre. Je l’ai fait car j’ai été surprise du constat de la société dans laquelle je vivais. C’était un sujet très difficile à évoquer, à mettre sur papier, à partager. J’éprouve toujours des difficultés en revenant au Japon.
"J’ai reçu beaucoup de messages négatifs, qui me font parfois craindre pour ma sécurité"
Quelles ont été les conséquences pour vous ?
Ca va de mieux en mieux mais c’est dur à évaluer, le pourcentage de Japonais qui n’aiment pas entendre parler de ce sujet. J’ai reçu beaucoup de messages négatifs sur Internet, qui me font parfois craindre pour ma sécurité et celle de ma famille. Ma famille ne voulait vraiment pas que j’en parle publiquement, et encore moins que j’écrive un livre, mais je savais que, pour me protéger, la seule façon était d’utiliser mes propres mots. Si je disais tout, je me pensais davantage en sécurité car s’il m’arrivait quelque chose ou à ma famille, les gens comprendraient peut-être.
Cela fait plus d’un an que le mouvement #MeToo a démarré. Qu’en pensez-vous ?
Il est né environ six mois après que j’ai publiquement évoque ce qui m’était arrivé. C’était exactement au moment où mon livre est sorti au Japon. Je me sentais alors très seule, j’ai été très surprise que tout le monde se décide à parler. Ma famille a été rassurée aussi de voir que je n’étais pas seule. Cela a eu un effet bénéfique pour toutes les survivantes qui ont pu libérer leur parole. Mais au Japon, c’est encore très difficile. L’attention médiatique a évolué, on a commencé à en parler dans la presse. Au Japon, nous en sommes à la première étape de la libération de la parole mais il nous reste beaucoup de chemin à parcourir, au Japon comme ailleurs.
Vous expliquez longuement les différences entre la législation japonaise et celles d’autres pays. Pensez-vous que le Japon est un pays à part ?
Sur le plan légal, oui. Le fait que notre loi sur les viols avait 110 ans, beaucoup de changements restent à faire sur le plan éducationnel, légal… Mais je pense que le problème essentiel est universel : les violences sexuelles, le harcèlement sexuel sont très liés au pouvoir.
Je travaille actuellement sur les mutilations génitales féminines et les violences sexuelles en Afrique, et bien sûr que le sujet est complètement différent qu’au Japon, mais les traditions, la mentalité des gens sont assez similaires. Réaliser, en tant que Japonaise, à quel point nous étions en retard sur les questions liées aux femmes… Cela m’a mis mal à l’aise, de mettre en lumière le retard que nous avons, car ce n’est pas ce que les Japonais veulent entendre, mais c’est le cas. Et c’est comme cela que le changement démarre.
"Ça a été dur pour ma famille, j’avais peur pour eux"
Votre affaire a-t-elle évolué depuis l’écriture de votre livre ?
Non. Mon affaire est close, la plainte criminelle l’est. Mais nous avons une plainte au civil en cours, nous l’avons lancée à la fin 2017. Nous allons bientôt tous les deux comparaître au tribunal et livrer nos témoignages mais il vient de lancer une contre-plainte, demande une somme énorme.
Dans les médias, certains ont fait des remarques en disant ; ≪C’est une victime, elle ne devrait pas sourire≫. C’est intéressant car, même depuis le mouvement #MeToo, les gens ont toujours des idées très traditionnelles. Mais je vais au civil car, si la plainte criminelle est classée, les gens estiment que les preuves rassemblées ne sont pas suffisantes et nous n’avons aucun accès aux preuves, la presse ne pousse pas l’enquête, se disant que si la justice ne poursuit pas, il n’y a pas d’affaire. Alors que devant une cour civile, vous pouvez présenter vos propres preuves, les gens peuvent y avoir accès. C’est plus ouvert et je pense que les gens verront quel système légal nous avons, pour constater ce qui dysfonctionne.
Durant votre parcours pour déposer plainte, les policiers vous ont plusieurs fois avertie que cela pourrait être problématique professionnellement parlant. Comment se porte votre carrière de journaliste ?
C’est intéressant. Quand je suis allée au commissariat, on m’a dit que je ne pourrais plus travailler au Japon. Ca a en effet été compliqué, certains disaient qu’il ne fallait pas accepter ma candidature à un poste car je mettais au point des guets-apens. Mais je pense que j’ai vu de près ce dont les médias japonais sont capables et incapables. J’ai appris comment on peut en parler.
C’est difficile de travailler dans des médias japonais mais c’est important car nous avons tellement de sujets à aborder.
Je suis libre aujourd’hui, j’ai ma propre société de production à Londres, pour réaliser des documentaires. J’avance au jour le jour.
Dans le livre, vous expliquez que votre sœur ne vous parlait plus à cause de la médiatisation de votre affaire. Vos relations se sont-elles améliorées ?
Après le mouvement #MeToo, je pense qu’elle a compris que ce n’était plus aussi effrayant d’en parler. Avant, elle avait peur de ce qui pouvait se passer. Mais cela nous a pris un an pour parler. Elle est plus jeune que moi, et je pense qu’elle avait peur de ne pas trouver d’emploi si les gens découvraient qu’elle était ma sœur, mais elle a commencé à travailler depuis.
Ca a été dur pour ma famille. J’avais peur pour eux. J’ai décidé d’agir, mais eux n’avaient rien choisi, je voulais les protéger autant que possible. Le fait que cela soit maintenant plus ouvert, ils me soutiennent davantage, me comprennent davantage. La libération de la parole, le fait que de nombreuses personnes ont parlé de leur expérience, a changé et m’a beaucoup aidé.
Publier ce livre en France, c’est tellement étrange. Je n’y aurais jamais pensé. C’est un parcours très intéressant.
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わたしに「不満を聞く係」というメールが来たので,茶化して返事したらお怒りメール.コワいです.不満をちゃんと聞くから許して.

津波に流されたハーレー展示 施設の除幕式にバイク200台結集
 東日本大震災で被災した米ハーレーダビッドソン社製のオートバイ2台を展示する「TSUNAMIハーレー展示館」の除幕式が21日、宮城県山元町のJR常磐線坂元駅前の農水産物直売所「やまもと夢いちごの郷」の敷地内であった。関係者は「全国のバイク乗りに立ち寄ってもらい、震災を語り継ぐ場にしたい」と語る。
 展示館は約25平方メートル、高さ約3.5メートル。町内の男性が所有していた1台は右ハンドルが取れかかり、車体全体に傷やサビが目立つ。もう1台は業者が亘理町で回収したサイドカー付き。
 3面に設置した窓越しに見学できる。震災の1年後、山元町からカナダに流れ着き、現在は米国のハーレーダビッドソン博物館に展示されているオートバイの大型写真も飾られている。
 同町の住民による一般社団法人「まちづくりやまもと」が約300万円で整備。代表理事を務める自動車販売整備業成毛政孝さん(65)が震災後、車の撤去作業をし、2台を保管してきた。
 除幕式には、成毛さんや県自動車整備振興会山元分会、県ハーレー会の関係者らが出席。宮城県や福島県などからオートバイ約200台が集結した。
 成毛さんは「山元町はハーレーがカナダに流れ着いた奇跡の発祥の地。震災の風化を防ぐため、多くの方に訪れてほしい」とあいさつした。
 石巻市などでボランティアをした熊本県八代市の自営業川尻真豪さん(43)はハーレーで19日夜に出発し、来場。「オートバイには津波にもみくちゃにされたダメージがあり、持ち主の痛みや津波の威力がまざまざと伝わる」と話した。


<いぎなり仙台>学食さ行ぐべ![1]「貧食」のカレーを再現/東北大「キッチンテラス クルール」
 仙台市青葉区の東北大川内北キャンパスの一角に、ガラス張りのしゃれた建物が立つ。ドアを開けると、スパイシーな香りが店内に漂う。学生が黙々と食べるのは、カレーばかりだ。
 「キッチンテラス クルール」は東北大に数ある食堂の一つ。安値でカレーを提供し「貧食(ひんしょく)(貧民食堂の略)」の愛称で親しまれ、2008年7月に閉店した川内第2食堂の後継として10年1月にオープンした。
 1日に出すカレーはなんと約1000食。1回で50人分を調理できる大釜二つで何度も煮込み、売り切れることはない。定番の「自家製カレー(中)」(324円)は、貧食の「普通カレー」と同じルーを使い、かつての味を再現した。
 「貧食のように、ぱっと食事を済ませたいとの声が多かった」。東北大生協食堂部の宮崎研次長がクルール誕生の背景を明かす。「周りを気にせず1人で食べたい」との要望を受け、17年10月には「ぼっち席」と呼ばれる立ち席も設けた。
 友人とよく利用するという法学部1年の清水文塔(もと)さん(18)は「肉や野菜が大きくてうれしい。単位を取るのに勉強が忙しいけど、ここでカレーを食べて頑張る」と笑顔で話す。
 席が空き始めたのを見計らい、記者もボリューム満点の「自家製ヒレカツカレー(大)」(583円)を注文。記者の在学中と変わらぬ味だった。青春の思い出に浸ったのもつかの間、その後の取材で胃がもたれ、卒業後10年で若さを失いつつあると痛感した。(報道部・鈴木悠太)

 仙台圏の名所や話題を取り上げるシリーズ「いぎなり仙台」第2弾は「学食」。一般の利用も可能な大学の食堂を紹介します。
[キッチンテラス クルール]仙台市青葉区川内41。カレーは200〜500円台。丼やイスラム教徒向け「ハラル」対応のメニューもある。平日午前8時〜午後3時、土曜午前11時〜午後2時半。日曜定休。連絡先は東北大生協食堂本部022(216)2162。


宝塚市議に原発避難の女性 8年前に千葉から兵庫へ
 21日に投開票された兵庫県宝塚市議選(定数26)で、立憲民主党の新人川口潤氏(44)が初当選した。東日本大震災が起きた2011年、福島第1原発事故で高い放射線量が測定された千葉県柏市から、子どもを連れて宝塚に母子避難した。当時6歳と4歳だった兄弟は中学生に成長。「この街で生きていく」と決意して立候補し、議席をつかんだ。
 原発事故後の11年8月、子どもを守りたい一心で、インターネットの会員制交流サイト(SNS)で知り合った友人を頼りに宝塚市へ避難した。PTA活動や震災に関する勉強会を通じ、宝塚で「ママ友」らのネットワークが広がった。15年には会社員の夫と家族4人で住民票を移した。
 関東で教員を6年務め、出産後は専業主婦に。「もともと政治には興味がなかった」が、避難生活で自治体ごとに子育て支援策や避難者対応が違うと気付き、政治に関心が湧いた。宝塚に暮らしの「土台」ができるにつれ、「自分らしく生きていきたい」という思いが膨らんだ。議員を志し、立憲民主の候補者公募に手を挙げた。
 訴える施策は、ママ友らと市の課題を話し合いながら練った。不登校や発達障害など、支援が必要な子どものサポートや食の地産地消−。「チームじゅん」を名乗るママ友らと、「子どもを笑顔に!」を合言葉に公園やスーパー前で支持を呼び掛けた。
 来援した党の枝野幸男代表とも並んで演説した。支援者から「全国の避難者に勇気を与えられたら」と声が上がり、選挙活動に一層力がこもった。
 21日深夜、仲間と当選を喜んだ川口氏は「ここからがスタート。一人一人の命を守り、一人一人の声に寄り添う。弱い立場の人が希望を持って生きられるよう、頑張りたい」と決意を新たにした。(中島摩子)


女性市議、最多1239人が当選 統一地方選後半戦
 統一地方選後半戦で実施された41都道府県の294市議選は22日未明、無投票を含めて6724人の当選が決まった。女性が1239人に上り、過去最多となった。総務省によると、これまでは2003年の1233人が最も多かった。
 党派別の内訳では、無所属が3960人で大半を占めた。自民党が698人、立憲民主党197人、国民民主党95人、公明党901人、共産党615人、日本維新の会(政治団体「大阪維新の会」含む)113人、社民党53人、諸派92人。自由党、希望の党は議席を獲得できなかった。
 改選定数は6726だったが、法定得票数に達せずに落選した候補が2人いた。


女性市長、過去最多6人 統一地方選、前回15年を上回る
 統一地方選で実施された市長選で女性候補の当選は6人となった。前回2015年の4人を上回り、過去最多。無投票で2人が当選したほか、新潟県加茂市と山口県周南市では女性候補が現職の男性を破って初当選。京都府木津川市、兵庫県芦屋市は女性候補同士の一騎打ちとなり、無所属新人の元市議伊藤舞氏(49)が元県議の新人に競り勝ち、初当選した。
 東京都三鷹市では現職の清原慶子氏(67)が女性市長初となる5選を目指したが及ばなかった。市長選では女性24人が立候補。内訳は現職4人、新人20人だった。町村長選には4人の新人女性が立候補したが、いずれも落選した。


衆院補選屋良氏当選 新基地断念しか道はない
 昨年9月の県知事選、今年2月の県民投票に続いて、名護市辺野古の新基地建設に反対する民意が示された。
 21日に投開票された衆院沖縄3区の補欠選挙で、フリージャーナリストの屋良朝博氏(56)=無所属=が元沖縄北方担当相の島尻安伊子氏(54)=自民公認、公明、維新推薦=を大差で下し、初当選したのである。
 今回の選挙は、玉城デニー氏の知事選出馬で生じた欠員を埋めるもので、屋良氏は玉城氏の後継候補だった。
 最大の争点である米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設に対し、屋良氏は反対、島尻氏は容認する姿勢を表明し選挙戦に臨んだ。
 名護市を含む沖縄3区で屋良氏が当選したことは、新基地に反対する有権者の切実な思いの表れと言えよう。
 政府は選挙結果を尊重し、新基地建設を速やかに断念すべきだ。ここまで再三再四、民意が示されている以上、県内移設を伴わない普天間飛行場の返還に大きくかじを切る以外に道はない。
 昨年の県知事選で自民、公明などが推した候補者は、辺野古移設を推進する安倍政権の全面的な支援を受けながらも、その是非について最後まで言及しなかった。
 今回、島尻氏が新基地建設への旗幟(きし)を鮮明にしたのは、政治家として当然の態度である。政権側の候補が賛否を明らかにしなかった最近の事例を考慮すると、ようやく正常な形で選挙戦が行われたことになる。
 屋良氏は「普天間飛行場は米軍の運用を変えるだけで辺野古の海を壊さなくても返還可能だ」などと選挙戦で訴えてきた。
 辺野古の埋め立て中止と普天間飛行場の即時運用停止のほか、日米地位協定が定める施設管理権の日本への移管、基地の立ち入り権などを定めた基地使用協定の締結などを掲げている。
 基地問題以外では、離島県沖縄の不利性を補う輸送コストの低減、北部を走る路面電車(LRT)構想の提起、北部の医療体制の充実、児童保育の拡充などを公約した。
 有権者に約束したこれらの政策課題の実現に向けて全力を挙げることは、屋良氏に課された使命だ。
 県選出・在住国会議員は衆院7人、参院3人の10人となり、屋良氏を含む5人が「オール沖縄」系である。玉城知事を支持しない国会議員は自民、維新の5人。このうち4人は比例代表選出であり、沖縄の有権者から直接信任を得ているわけではない。
 国会議員の構成を見ても辺野古新基地建設に反対する民意が大勢を占めていることは明らかだ。駄目押しとなる屋良氏の当選だった。政府は今度こそ沖縄の民意に沿った判断をすべきだ。
 選挙結果は玉城知事に対する信任とも言える。自信を持って政府との交渉に当たってほしい。


[衆院補選 屋良氏が当選]政権のおごりの結果だ
 まるで昨年の知事選を再現したような選挙だった。
 衆院3区の補欠選挙は「オール沖縄」勢力が推すフリージャーナリストの屋良朝博氏(56)が初当選を果たした。
 「オール沖縄」勢力は、急逝した翁長雄志前知事から玉城デニー知事へのバトンタッチに成功し、玉城氏が知事に転じたことで実施された補選にも勝利し、県内における政治基盤を固めたことになる。
 屋良氏は新聞記者として長く基地問題に取り組んできた。しかし政治経験はなく、一般的にはほとんど無名。知名度不足や組織体制の不備は明らかだった。
 相手候補の島尻安伊子氏(54)は沖縄北方担当相まで経験し、国政与党が全面的にバックアップ。菅義偉官房長官が来県し支援を訴えたほか、3区14市町村のうち13市町村長が支持するなど強大な組織力を誇った。
 一騎打ちの戦いで、屋良氏が勝利を収めた要因は何か。
 昨年の知事選を含めこれまでの選挙と決定的に違ったのは、島尻氏が米軍普天間飛行場の辺野古移設について「容認」の姿勢を鮮明に打ち出したことだ。
 有権者は「新基地ノー」「辺野古埋め立てノー」の意思を明確にしたのである。
 選挙期間中、本紙などが実施した調査で、安倍政権の基地問題への姿勢を「評価しない」と答えた人が68%にも上った。
 選挙結果は、2月の県民投票で辺野古埋め立てへの「反対」が投票者の7割超に達したにもかかわらず、政府が工事を続行したことへの抗議の意思表示でもある。
    ■    ■
 昨年の知事選がそうであったように、今回の選挙も「新しい政治の始まり」を予感させるものがあった。
 新基地建設を巡る屋良氏の主張は、海兵隊の運用見直しによる「辺野古不要の普天間返還プラン」だ。
 単に反対を訴えるのではなく、辺野古とは異なる選択肢という新たなアプローチで無党派層を含む有権者の幅広い支持を得た。
 振興策についても、政府とのパイプを強調する島尻氏に対し、屋良氏は県を通さず市町村に直接交付する補助金創設など国の関与の強まりを問題視した。
 一方、島尻氏の敗因は無党派層に支持が広がらなかったことにある。子どもの貧困対策に直接タッチしてきた実績を打ち出したが浸透せず、辺野古を巡る過去の言動のマイナスイメージも付いて回った。
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 補選の結果、沖縄選挙区は衆院4議席、参院2議席のうち5議席が、新基地に反対する議員で占められることになる。
 安倍政権は、一連の選挙で示された「沖縄の民意」に真摯(しんし)に向き合うべきである。
 日米両政府は19日、ワシントンで開かれた安全保障協議委員会(2プラス2)で「辺野古が唯一の解決策」だと再確認したという。沖縄社会に楔(くさび)を打ち込むための「恫喝(どうかつ)」というほかない。
 辺野古問題は、県との話し合いの中からしか解決の道を見いだすことはできない。


衆院沖縄3区補選 政権に問う3連敗の重み
 辺野古埋め立てを既成事実化して住民のあきらめムードを作り出す。そんな戦術が全く通用しないことを、政権はどう考えているのか。
 衆院沖縄3区の補欠選挙で米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する野党系無所属の屋良朝博(やらともひろ)氏が、自民党公認の島尻安伊子(しまじりあいこ)氏を大差で破り、初当選を果たした。
 玉城デニー氏の知事選出馬に伴う補選だった。沖縄3区は辺野古のある名護市など沖縄本島北部をエリアとする。2014、17年の衆院選で自民党候補を破った玉城氏の後を継ぎ、移設反対派が議席を守った。
 この半年余りを振り返れば、昨年9月の知事選、今年2月の県民投票に続き「辺野古ノー」の民意が三たび示されたことになる。
 安倍政権としては、沖縄の民意を無視する形で埋め立ての土砂投入に踏み切った上での3連敗である。
 選挙戦の構図は昨年の知事選と同じく、野党勢力が一致して支援する「オール沖縄」陣営と、自民、公明の与党に日本維新の会が協力する「自公維」陣営との対決だった。
 知事選で自公維は辺野古問題への言及を避ける戦術をとり「争点隠し」と批判された。その際、経済や福祉などさまざまなテーマが争点だと主張したのが菅義偉官房長官だ。
 今回の補選で島尻氏は、辺野古移設容認をあえて明言して敗れた。もはや論点をずらして結果をぼやかしたり、特殊な地域事情と片付けたりするようなことは許されない。
 島尻氏は参院議員を2期、沖縄・北方担当相も務めた知名度がありながら、全く及ばなかった。安倍政権がこの結果を真摯(しんし)に受け止めないなら、選挙という民主的手続きが何の意味もないことになる。
 自民党内には沖縄3区の負けを織り込み済みと強がる空気があった。第2次安倍政権以降の国政選挙で自民党は沖縄で敗北が続いても全国的には勝利を重ねてきたからだ。
 その結果、政権運営に支障さえなければ沖縄の民意は軽んじても構わないという、倒錯した意識が生まれてはいないだろうか。
 政府の正統性は国民に由来する。権力行使の正統性も時々の選挙によってチェックされる。安倍政権は直ちに工事を中止し、沖縄の民意と向き合うべきだ。


衆院2補選敗北 自民批判と受け止めよ
 きのう投開票が行われた二選挙区の衆院補選は、いずれも自民党の公認候補が敗北した。選挙区固有の事情はそれぞれあるにせよ、自民党に対する有権者の厳しい批判の表れと受け止めるべきだ。
 衆院沖縄3区補選は沖縄県知事選に立候補、当選した玉城デニー氏の議員失職に伴うもので、無所属のフリージャーナリスト屋良朝博氏(56)が自民党公認の島尻安伊子元沖縄担当相(54)を破った。
 沖縄3区には政府が米軍普天間飛行場(宜野湾市)に代わる新基地建設を進める名護市辺野古があり、選挙戦では新基地建設を容認する島尻氏と、反対する屋良氏が激しい舌戦を展開した。
 在日米軍専用施設の70%が集中する沖縄は長年、重い基地負担を強いられ、県民は新たな基地建設に反対する民意を示してきた。
 昨年以降だけでも、九月の県知事選で新基地移設に反対する玉城氏が圧勝し、今年二月の県民投票でも七割が反対票だった。
 こうした民意を背景に、沖縄県は政府に計画変更を繰り返し迫ってきたが、安倍内閣は一顧だにせず、埋め立てを強行している。基地負担を強いられる地元の声に全く耳を傾けようとしないのは、民主主義の軽視にほかならない。
 主要野党が推す屋良氏の勝利は新基地への重ねての反対表明であり、建設を強引に進める自民党政権への厳しい批判と受け止めるべきだ。安倍内閣は、沖縄県民に対する高圧的な態度を改め、新基地建設計画の変更を求める県側との話し合いに応じる必要がある。
 一方、大阪12区補選は、日本維新の会新人の藤田文武氏(38)が、自民党新人の北川晋平氏(32)ら三候補を破った。選挙戦最終日に安倍晋三首相自らが北川氏の応援に駆けつけたが、及ばなかった。
 大阪都構想を進める維新は、大阪府知事と大阪市長がそろって辞職し、立場を入れ替えて立候補する「クロス選挙」で自民党候補を破った。補選勝利はその勢いに乗った、という事情はある。
 とはいえ、道路整備を巡り首相や麻生太郎財務相への忖度(そんたく)に言及した塚田一郎元国土交通副大臣や復興以上に自民党議員が大事と発言した桜田義孝前五輪相が辞任に追い込まれたことも自民不信につながったのではないか。
 地域で相次ぐ自民党敗北は、有権者が長期政権のほころびを敏感に感じ取っている証左だ。首相をはじめ自民党執行部は有権者の批判を謙虚に受け止め、強引な政権運営を直ちに改めるべきである。


衆院補選 おごる政権への警鐘だ
 統一地方選とともに、きのう投開票された衆院大阪12区、沖縄3区補欠選挙は、大阪で日本維新の会の新人、沖縄で野党が支援する無所属新人が勝利し、自民党は議席を得られなかった。
 補選とはいえ国政選挙で与党に厳しい審判が下った意味は重い。
 塚田一郎国土交通副大臣、桜田義孝五輪相の問題発言による辞任など、安倍1強政権の緩みとおごりが止まらない。有権者の警鐘を、政権は重く受け止めるべきだ。
 玉城デニー氏の県知事転出に伴う沖縄3区補選は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設が争点となった。名護市は3区管内にある。
 当選を決めた屋良朝博氏は移設反対を訴え、終始優位に戦いを進めた。昨年の沖縄県知事選、2月の県民投票に続き、移設を認めない民意は揺らぐことがなかった。
 移設先海域で軟弱地盤の存在が明らかになり、県が土砂投入の中止を求めても政府は工事を継続している。補選結果はかたくなな姿勢への異議申し立てでもあろう。
 政府は直ちに工事を中止し、代替策について県と協議すべきだ。
 大阪12区は、維新が大阪都構想推進を掲げ圧勝した府知事と大阪市長のダブル選の勢いを保った。
 ただ、12区は自民党現職の死去に伴う補選だった。ダブル選から推薦・公認候補の3連敗という結果は自民党にとって深刻だろう。
 補選終盤では、日銀短観の結果次第で消費税増税の延期もあり得るとした自民党の萩生田光一幹事長代行の発言が飛び出した。
 リーマン・ショック級の危機がない限り予定通り実施すると繰り返してきた政府見解と異なる。
 萩生田氏は「個人の見解」と釈明したが、投票前に戸惑った有権者もいたのではないか。党幹部として無責任のそしりは免れまい。
 野党は塚田、桜田両氏の辞任や萩生田発言を受け衆参で予算委員会の集中審議開催を求めている。与党は後半国会で、補選結果も踏まえた真摯(しんし)な運営が求められる。
 大阪では野党共闘にも課題を残した。共産党は先月末に比例選出の現職議員を無所属で擁立し、野党統一候補としての支援を求めたが、支援態勢は広がらなかった。
 首をかしげたのは立憲民主党の対応だ。衆参で野党第1会派を握っていながら、共闘のまとめ役としての姿勢が見られなかった。
 沖縄の結果は政権との対立軸を明確にし、早くから候補を一本化して準備すれば、巨大与党にも太刀打ちできることを示した。参院選に向けた態勢構築が急がれる。


衆院補選 自民2敗◆民意を受け止め足元見直せ◆
 参院選の前哨戦となる衆院大阪12区と沖縄3区の補欠選挙は、いずれも自民公認の新人が敗れた。自民は両補選で公明の推薦を受けたが2敗を喫した。安倍政権と与党は参院選を前に示された厳しい民意を謙虚に受け止め、足元を見直す必要があろう。
 両補選ともに地域的な事情はあった。大阪は「都構想」を掲げて先の府知事・大阪市長のダブル首長選で圧勝した維新が勢いを保っていた。沖縄では反対の声が強い米軍普天間飛行場の移設計画の是非が争点。2012年の第2次安倍政権発足後、衆参の補選で自民が候補を立てて敗れたのは初めてだ。一定水準の内閣支持率を維持し、「1強」とされる政権だが、その足元は必ずしも盤石ではないことを示した結果と言えよう。
地域の思いが結果に
 沖縄は、移設反対を掲げた玉城デニー氏が圧勝した昨秋の県知事選、辺野古埋め立てに「反対」が7割を超えた2月の県民投票と、反対の声を上げ続けている。にもかかわらず安倍政権は埋め立て土砂の投入に踏み切り、区域を広げながら工事を続けている。
 今回の補選でも自由が擁立し、立憲民主、国民民主、共産など野党各党が支援した無所属の屋良朝博氏が移設反対を訴えた。これに対して、自民新人で元沖縄北方担当相の島尻安伊子氏は移設容認を明言した。知事選で自民推薦候補は移設への賛否を明確にしていない。容認を明言した候補が敗北した今回の結果は、反対の民意がより明確に示されたものと言える。
 自民議員の死去に伴う大阪12区の補選では、自民は議員のおいの北川晋平氏を立てたが議席を守れなかった。維新の藤田文武氏が北川氏と、元衆院議員で無所属の樽床伸二、宮本岳志の野党系候補2氏を破った結果は、大阪での維新の強さを改めて示したものだ。都構想にも追い風となろう。
 自民は安倍晋三首相が応援に入りながら敗れた。地盤沈下が指摘される経済の再生など地域の思いを政権は酌んでいるのか。厳しい反省が必要だ。
政権運営影響を注視
 立民や共産など野党は、米軍基地問題という明確な争点の下で候補を一本化した沖縄で勝利した。一方、統一候補を立てられなかった大阪では議席を取れなかった。沖縄の成功例を今後に生かせるか。参院選や次期衆院選に向けて遅れている候補者の一本化調整が課題となろう。
 補選の前には、桜田義孝前五輪相や塚田一郎元国土交通副大臣が不適切発言で事実上更迭される不祥事が相次いだ。長期政権のおごりや緩みが表れているのではないか。なぜ有権者の支持を得られなかったのか。補選で問われたのは、政権が地域の声に真摯(しんし)に応えているのかという、その姿勢だった。参院選に向けて厳しい総括が必要だ。安倍首相の今後の政権運営と衆院解散・総選挙の戦略に及ぼす影響も注視したい。


「殺人ロボ兵器」規制 現実の脅威となる前に
 人間の指示を待たず、人工知能(AI)が自ら考え、敵を見つけて襲いかかる。そんな殺人ロボット兵器の登場が現実味を帯びつつある。
 これまでは無人爆撃機であっても、遠隔地から人間が指図していた。人が介在するか否かは決定的な違いだろう。戦局の形勢はお構いなしに、ロボットが見分けた「敵」の殺傷を最大の目標に攻撃を続ける…。想像しただけで、底知れぬ不気味さにおぞけを震う。
 味方の兵士を失うリスクが減るため、戦争のハードルが下がる懸念も拭い切れない。まだ開発段階の今こそ、歯止めをかけ、規制する国際的な流れを強めなければならない。
 殺人ロボット兵器としては、自動運転で攻撃する戦車や自動認識で襲いかかる小型無人機ドローンが想定されているようだ。米国や中国、ロシア、韓国などが、水面下で開発にしのぎを削る。完成させた国こそ、まだ存在しないとされるが、日進月歩のAI技術を考えれば、いつ登場してもおかしくない。
 米中ロなど各国が開発を競うのには理由がある。兵力を温存しつつ、効率的に攻撃でき、戦局を有利に進められるからだ。人的ミスによる誤爆を防ぎ、過剰な攻撃も食い止められるとの主張さえある。
 本当にそうだろうか。AIにしても、プログラムの欠陥やハッキング(乗っ取り)で暴走しないとも限らない。味方や戦闘員ではない市民を「敵」と見なし、無差別に殺傷する事態が起きれば悪夢である。不利な戦局を打開しようと、人間なら考えないような残忍な攻撃を仕掛ける恐れも否定できない。
 にもかかわらず、規制に向けた動きは停滞している。
 規制を巡る国際的な議論は6年前、対人地雷などを禁止してきた特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みで始まった。しかし、開発国と禁止を求める国との溝は埋まらず、殺人ロボット兵器の定義すら、いまだに合意できていない。
 これまで日本政府は、AIの技術革新を阻害するとして規制に消極的な立場だった。だが、議論の行き詰まりに危機感が募ったのだろう。先月末にスイスであったCCW加盟国の会議に先立って、「人間による制御を確保すべきだ」との見解を初めて示し、国際ルール作りを主導する考えを表明した。
 ただ、日本の主張は中途半端と言わざるを得ない。殺人ロボット兵器は「開発しない」と明言したものの、自衛隊員の確保難を見越し、AI活用の防衛装備は開発・配備する方針を示した。「平和利用を妨げてはならない」とも強調する。
 これでは、他国からの支持が広がるはずもない。禁止条約の制定を求める中南米やアフリカの諸国からすれば、日本も自国の利益を最優先しているように映るのではないか。案の定、ルール作りの議論で主導権を握れないままでいる。
 今の状況が続けば、無秩序なまま、殺人ロボット兵器が現実の脅威となりかねない。完成してしまえば、核兵器のように保有国が既得権を主張し、手放させるのは極めて困難になろう。
 日本は、禁止条約の制定を求めている諸国と連携を強め、開発国にブレーキをかける先頭に立つべきである。


F35A墜落 原因の徹底究明が必要だ
 日本の「防空の要」と位置付けられる次世代主力戦闘機の、初めての墜落事故である。
 既に固まっている大量取得方針が妥当かどうかを改めて判断するためにも、原因を徹底的に究明しなければならない。
 航空自衛隊三沢基地(青森県)の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが墜落した。事故から10日以上が過ぎたが、パイロットや機体の捜索は難航している。
 F35Aは40代の男性3等空佐が操縦していた。9日夜に訓練のため三沢基地を離陸し、太平洋上で「訓練中止」と告げた後にレーダーから機影が消え、無線連絡も取れなくなった。
 機体が配備されたのは昨年1月だ。3佐は総飛行時間が3千時間を超えるベテランのパイロットで、F35Aの飛行時間は約60時間だった。
 F35Aの墜落は世界でも初めてという。最新鋭の機体を経験豊かなパイロットが操縦していながら、なぜ異例ともいえる事故に至ったのか。
 F35はレーダーで捉えにくいステルス性に優れた、「第5世代」と呼ばれる戦闘機だ。米ロッキード・マーチンが主体となり、米、英、日、イタリアなど9カ国が共同開発した。
 他の航空機や艦船と多くの情報が共有でき、高い機動力とミサイル探知能力を備える。
 防衛省はF35Aを次世代の主力戦闘機とし、昨年12月に閣議決定した防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画では、派生型のF35Bとともに大量取得方針を盛り込んだ。
 三沢基地に配備され、墜落事故が起きたA型は通常離着陸タイプだ。
 B型は短距離での離陸と垂直着陸が可能で、防衛省は護衛艦いずも型を「空母」に改修し、艦載機として運用する計画を持っている。
 将来はAB両型で、合計147機体制(うちB型42機)とすることにしている。
 F35Aの1機当たりの取得価格は2018年度契約ベースで約116億円であり、大量取得には巨費を要する。
 今回の墜落事故は、F35の安全性に対して重大な疑問を投げ掛けたといえる。
 事故を受け、事故機が過去に2回、飛行中の不具合で緊急着陸したことが明らかにされた。
 三沢基地に配備された13機のF35Aのうち5機が、今年2月末までに計7回、国内を飛行中に不具合が起き、緊急着陸していたことも判明した。
 こうした機体を既定方針通り次世代の主力と位置付け、従来計画に沿って配備していけるのか。不安を抱いている国民も少なくあるまい。
 事故原因の究明は、日本の国民を守る防衛力整備を適正に進めていくという観点からも極めて重要だ。
 19日の日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)終了後の記者会見で、岩屋毅防衛相はF35A墜落事故を巡り米側に協力を要請した。日米両国が連携し、原因の核心に迫ってもらいたい。


指原莉乃、NGT48山口真帆の卒業にコメント
アイドルグループ・HKT48の指原莉乃(26歳)が4月22日、Twitterを更新。21日に発表された、NGT48・山口真帆(23歳)の卒業についてコメントした。
コメントの全文は次の通り。
※※※ ※※※ ※※※
「信頼できる違う場所で輝けますように。」
「本当だとしたら未成年の子供も預かっている会社としておかしい。大人数を預かっておいてその感覚の人とは思いたくない。私も現社長とは一度しか会ったことも喋ったこともなかったしコミュニケーション不足もあるのか、いま預けられている人の不安さ不信感がわかってないような。全体的に怖いしおかしい」
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昨年12月にNGT48ファンの男2人から暴行被害を受けたと告発したものの、結果的には被害者である山口がグループを去ることになった一連の問題。21日に行われたNGT48の公演に出演し、卒業発表した山口は「事件のことを発信した際、社長には『不起訴になったことで事件じゃないということだ』と言われ、そして今は会社を攻撃する加害者だとまで言われています」「何をしても不問なこのグループに、もうここには私がアイドルをできる居場所はなくなってしまいました」などと語った。


お笑い文化台無し!安倍首相の吉本新喜劇出演に府民大激怒
〈大阪人を敵に回す気まんまんですな〉――。安倍首相が20日、大阪市中央区にある吉本興業のお笑い劇場「なんばグランド花月」を電撃訪問。現役首相として初めて舞台に立ったことに対し、ツイッター上に大阪府民や関西人とみられる人の怒りの声が相次いでいる。
■「吉本新喜劇」を政治利用した安倍首相
 安倍首相はこの日、衆院大阪12区補選の応援演説などで大阪入り。6月に開かれるG20大阪サミットの関連施設を視察後、吉本新喜劇の劇場に向かった。〈経済に詳しい友達〉として登場した安倍首相は、G20で貿易摩擦や地球温暖化などの問題を議論することを紹介。「『四角い仁鶴がまあるくおさめまっせ』という形で解決策を見いだしたい」などと上機嫌に語っていたのだが、このニュースがNHKや民放で報じられると、直後からネット上には怒りの書き込みが殺到した。
〈今日は特に気分悪い 大阪のお笑い文化台無しにした吉本が悲しい 吉本はこんなこともわからんかったんや〉〈安倍はん、アンタは吉本新喜劇で笑い取らんでえぇ〉〈どこが経済に詳しいねん。ど素人やないか、ドあほ〉〈パンとサーカス作戦にまんまと利用されてるやないか〉
 まるでケチョンケチョンだが、吉本も吉本だろう。喜劇王・チャプリンの風刺映画じゃないが、「喜劇」は観客を笑わせるだけじゃない。政治や社会のあり方を批判的に描く側面もあるはずだ。安倍首相を登場させるのであれば、どつき漫才にして「このバカたれ、日本をメチャクチャにしやがって」と、相方が安倍首相の頭を握り拳でバンバンぶっ叩くぐらいの演出があって当然だろう。
 それにしても、なぜ、安倍首相は吉本に出演することになったのか。
「安倍さんと維新は近しい関係だから、補選応援で前面に立って自民候補を支援しにくい。それで選挙色を薄めるために新喜劇に出たのでしょう」(大阪府政担当記者)
 歴代の吉本社長と近しい関係にある関西大の宮本勝浩名誉教授がこう言う。
「出演の詳しい経緯は知りませんが、吉本は大阪人に愛されている。それを(安倍首相は)人気取りに利用したのではないか。一議員ならともかく首相が舞台に立つのは行き過ぎだと思います。漫才で注目を集めるのではなく、政策を訴えるべきです」
 薄っぺらな「アベ政治」の正体見たりだ。


安倍首相の吉本新喜劇出演=お笑いの政治利用に、吉本所属のウーマン村本と星田英利が勇気ある批判!
 こんなことを許していいのか。そう、安倍首相が吉本新喜劇に出演した一件だ。安倍首相は20日、なんばグランド花月で吉本新喜劇が舞台に登場。「本物ですか?」と尋ねる出演者に「ほんまに本物です!」と大阪弁で返したり、「『四角い仁鶴がまーるく収め』る、そういう解決策を見いだしたい」などと、大阪に媚びるようなギャグを口にしたのだという。
 場内には笑いはほとんど起きず、デイリースポーツが「安倍首相 吉本新喜劇でスベる「ほんまに本物です!」、反応今イチ、飛び入り出演」と見出しを打つほど、サムい空気だったようだが、だからといって、この暴挙を見過ごすわけにはいかない。
 安倍首相の出演は、「G20のPR」ということになっていたが、20日は大阪12区の衆院選補欠選挙の投票日前日。実際、出演の直前には、大阪・寝屋川市など3カ所で応援演説を行っていた。安倍首相は明らかに吉本新喜劇を政治利用し、選挙のPRに使ったのだ。
「出演はハプニングでもなんでもない。大阪12区のテコ入れのために少し前、官邸が吉本にもちかけたようです。吉本はこれを受けてかなり入念に準備していた。また、マスコミも数日前から情報をつかみ、取材の体制をとっていました。いわばやらせの選挙PRショーですよ」(大手紙選挙担当記者)
 舞台はテレビと違って、放送法や公職選挙法の規制の対象ではないが、吉本新喜劇の場合はもはやテレビに近い公共的な存在である。それを公党の総裁である総理大臣が選挙運動に利用するというのは、倫理的にありえない行為だろう。
 それは、この非常識なオファーを受けた吉本興業も同様だ。本来、お笑いというのは庶民が権力や権威を笑い飛ばすためにあるもの。大阪の庶民文化に根付いた吉本新喜劇はその象徴でもあった。ところが、吉本の上層部はその“大阪の魂”ともいえる存在を権力者にいとも簡単に差し出してしまったのだ。
「いまの吉本興業は完全に政権にベッタリですからね。法務省のPRを会社ぐるみで受け、タレントにも政府や安倍政権のPRを積極的に引き受けさせている。
吉本は沖縄と大阪でカジノ利権への参入を狙っており、政権に“貸し”をつくっておきたいという狙いもあるのではないかといわれています」(週刊誌記者)
 まったくお笑いの風上にもおけない堕落ぶりだが、しかし、そんな吉本にも骨のある芸人はいる。空気を読み権力に媚びる芸人ばかりが幅を利かすなかで、この間、圧力に屈することなく、「言うべきことは言う」という姿勢をつらぬいてきた、ウーマンラッシュアワーの村本大輔と星田英利(ほっしゃん。)だ。
 二人は今回も吉本所属でありながら、安倍首相の吉本新喜劇出演にはっきりと異を唱えていた。
村本「社会に苦しめられ、笑いに救いを求めて来た客はその時、何を思ったか」
 まず、ウーマン村本は安倍首相が吉本新喜劇に出演した翌日21日お昼の12時すぎに、以下のようなツイートを投稿している。
〈おれは芸人だから総理大臣をこき下ろしても総理大臣を持ち上げて当たり障りのない時間は作らない。〉
〈金もらうなら金もらう芸をすべきだ。それは圧からの解放だ。いまの社会に苦しめられて笑いに救いを求めて劇場に来てたかもしれないその客はその時、笑いに対して、なにを思ったか。〉
「吉本新喜劇」とは明記こそしていないが、村本が何について書いているかは明らかだろう。
 SNSで政権批判をしたりデモに参加するなどしてきた星田英利(ほっしゃん。)も、安倍首相の新喜劇出演に憤りの声を上げている。安倍首相が吉本新喜劇に出演した当日4月20日の18時半すぎから、以下のようなツイートをした。
〈仕事終わってスマホ開いたら、、、
あまりにも気色悪い。反吐が出る。
私は恥ずかしい。〉
〈新幹線から。田舎生まれ田舎育ちなので、夕方に田んぼが景色を映し出す時間がちっちゃい頃から大好きだ。時代が変わっても昔から変わらない景色がある。時代が変わっても変わらない品格や矜持がある。芸能は庶民の味方であるべきこと。芸能は庶民に食べさせてもらうべきこと。〉
 村本同様、「吉本新喜劇」とか「安倍首相」とは書いていないが、仕事を終えた星田がスマホを開いて目に入ったものが、「安倍首相が吉本新喜劇にサプライズ出演」だったことは想像に難くない。星田は、さらに安倍首相の新喜劇初出演にこんな皮肉を飛ばしてみせている。
〈吉本新喜劇は初めてでも、日本新悲劇の座長です。〉
 そして、松尾貴史の以下のツイートもリツイートしている。
〈新喜劇の舞台は、誰も論理的な反論も質問もして来ない「絶対安全地帯」と踏んでの、華やかな選挙運動でしょうなぁ。観客も芸人の皆さんも、随分と見くびられ馬鹿にされたわかりやすい現象。〉
安倍に選挙PRをやらせる一方で、村本の政治発言を封じようとする吉本興業
 村本も星田も決して多くの言葉を語っているわけではないが、この2人の一連のツイートには2人の勇気と知性が詰まっている。何より感じられるのが、この社会のなかでお笑いがどうあるべきかという高い意識と矜持だ。
「芸人だから総理をこき下ろす」「圧からの解放」「いまの社会に苦しめられている者を救う笑い」「芸能は庶民の味方であるべき」
 村本も星田も、単に気に入らない人間が吉本新喜劇の舞台に立ったことを気に食わないと憤っているわけではない。
 ネトウヨたちから「活動家」などと揶揄される村本と星田だが、彼らはあくまで「芸人」として「お笑い」がどうあるべきかという視点に立って、「安倍首相の吉本新喜劇出演」をありえないと批判し、吉本の醜悪な“太鼓持ちぶり”に対して忸怩たる思いを吐露しているのだ。
 そして、庶民の側から権力者や現状への不満や怒りを皮肉や風刺の笑いに変えること、そのことで人々に救いや気づきをもたらすことこそが、お笑いの役割だと強く訴えている。
 しかし残念ながら、この勇気ある芸人たちの声は吉本興業の上層部には届かないだろう。届かないどころか、彼らは会社から政権批判などの言論に圧力を加えられているのが現実だ。
 実際、村本はレギュラーだった『AbemaPrime』(AbemaTV)の最終出演で、政治発言をするたびに所属の「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」から、沖縄の米軍基地問題発言をやめるよう圧力を受けていたことを明かしている。
「なんかこう、ちょっとでも僕が沖縄のことを書くと、いままでだったらスルーされていたことが『すごく許せない』ということで会社とかに電話があって。吉本という会社もちゃんとした会社なんで、やはり1件、2件とかで、社員さんなんかが『沖縄の発言、あれはやめたほうがいんじゃない』とか。毎回ですよね」
「番組終わった後、楽屋に毎回、吉本の社員とか偉い人が待ってて、そのまま取り調べみたいなの受けるでしょ? そうなんですよ。僕、最近、吉本の社員のこと、「公安」って呼んでるんですよ。治安維持法でね、ちょっと僕がつぶやいたらしょっぴかれて」
「この前なんか『ガキの使い』で『アウト!』って言う藤原(寛)さん、(よしもとクリエイティブ・エージェンシーの)社長ですよ。社長が楽屋に座ってるんですよ。アベプラが終わったら、『ちょっと来てください』って言われて、『こないだのTwitterの件やけども、これはどうにかならんか、百田(尚樹)さんや高須(克弥)さんのこと』ということで、楽屋に30〜40分も閉じ込められて、ずっと藤原さんに言われたんですよ。『ホンマにあかんときは「アウト!」って言わへんのや』っていうくらい(笑)」
安倍の選挙期間中の吉本出演を批判せず“楽しいニュース”にするマスコミ
 一芸人が安倍応援団批判や基地問題に言及しただけで詰問して止めろと圧力をかける一方で、選挙期間中に政党の総裁を舞台に立たせ、選挙PRに協力する。神経を疑いたくなる姿勢だが、これがいまの吉本興業の姿なのだ。
 これから先も吉本は安倍政権に全面協力をし続けるだろう。たとえば、改憲が発議されて、国民投票が実施されたとき、吉本の芸人が大挙して改憲CMに登場する、なんてこともありうるだろう。
 しかも、この政権への恭順は吉本だけの問題ではない。今回の件で、吉本のやり口以上に暗澹とさせられたのは、安倍首相の投票日前日の吉本新喜劇出演という問題行動を、新聞、テレビがまったく批判しなかったことだ。いや、それどころか、民放やスポーツ紙はもちろん、NHKまでがこれを“微笑ましいニュース”のように取り上げ、そのPRに全面協力していた。
「安倍官邸への忖度に加えて、民放は吉本興業の株主でもありますから、批判なんてできるわけがない。スポーツ紙も吉本とはべったりですからね。安倍首相の吉本出演はそれを見越しての行動なんでしょう」(前出・週刊誌記者)
 報道からエンタテインメントまで、すべての言論と表現が安倍政権に乗っ取られる。そんな日がやってくるのもけっして遠い話ではなさそうだ。


仏 ノートルダム大聖堂火災から1週間 再建本格化か
フランスのノートルダム大聖堂で起きた大規模な火災から、22日で1週間を迎えます。大聖堂は火災の後に行われた補強工事の結果、倒壊するおそれがほぼなくなったということで、今後、再建に向けた動きが本格化するか注目されます。
フランスのパリ中心部にあるノートルダム大聖堂では、今月15日、大規模な火災が発生し、高さ90メートル余りのせん塔が焼け落ちたほか、屋根の大部分が崩れ落ちる甚大な被害が出ました。
ノートルダム大聖堂ではキリストの復活を祝うイースターの恒例のミサが行えず、21日、近くの教会で代わりに行われました。
ミサの様子はフランス全土にテレビ中継で伝えられ、多くの信者が参列して大聖堂の再建にも祈りをささげていました。
ミサに夫婦で訪れた男性は「カトリック教徒との連帯を示し、大聖堂の火災で心を痛めた人々のために来ました」と話していました。
また信者の女性は「大聖堂のために祈りをささげました。できるだけ早く再建され、いままでどおりフランスを見守ってほしい」と話していました。
フランスのリエステール文化相は火災の後に行った補強工事で大聖堂が倒壊するおそれはほぼなくなったとしています。
フランス政府は大聖堂の再建を5年以内に終える方針を打ち出していて、今後、被害状況の詳しい調査をはじめ再建に向けた動きが本格化するか注目されます。
寄付 まもなく総額1250億円に
ノートルダム大聖堂の再建に向けては、国内や海外から相次いで支援が表明され、地元メディアは総額がまもなく10億ユーロ(日本円でおよそ1250億円)に達するとの見通しを伝えています。
ノートルダム大聖堂の再建に向けた支援は、火災から2日以内には高級ブランド、ルイ・ヴィトンやグッチを傘下にもつ2つの企業グループ、大手化粧品メーカー「ロレアル」の創業者、それに石油会社が、それぞれ1億から2億ユーロの寄付を表明し、この4者だけで寄付は合わせて6億ユーロ、日本円で750億円あまりにのぼることになります。
また、大聖堂にちなんだ作品を手がけたアメリカの娯楽大手ウォルト・ディズニーがおよそ5億6000万円、2024年にパリで開催されるオリンピック・パラリンピックを控える中、IOC=国際オリンピック委員会もおよそ6300万円の寄付を表明しました。
このほか、東京にあるフランス大使館にも寄付の申し出が相次ぐなど支援の動きは世界中に広がっています。
地元メディアは、これらすべてをあわせると、寄付の総額はまもなく10億ユーロ(日本円で1250億円)に達するとの見通しを伝えています。
一方で、大企業などからつぎつぎと巨額の寄付の申し出があったことに、フランスでは批判的な声も上がっています。
国内では格差の解消や生活の改善を求めて、去年11月から毎週末デモが行われていて、大聖堂の火災から初めての週末となった20日、パリで行われたデモの参加者からは「人よりも大聖堂への支援が優先され、貧しい人への支援がなおざりにされている」とか、「再建はもちろん必要だと思うが、もっと大事なこともあるのではないか」といった訴えが聞かれました。
地元メディアは、大聖堂の再建に寄付が集中するあまり、ほかの慈善事業への寄付が減るおそれがあるという懸念の声も伝えています。巨額の寄付をきっかけに、フランス社会の豊かさの偏在が改めて浮き彫りになり、格差の解消や所得の低い層への支援の在り方が議論になっています。


パリ「黄色いベスト」、ノートルダム寄付へ反発も デモ隊と警察が衝突
フランスのパリで20日、マクロン政権に抗議する「黄色いベスト運動」の23週目のデモが行われ、デモ隊数十人と警官隊が衝突した。
当局はデモが再び過激化する恐れがあると警告していた。
ロイターが撮影した映像によると、デモ隊数十人が警官隊に向かって投石。一部はスクーターに火をつけ、缶を投げるなどした。
警官隊は催涙ガスやスタングレネード(閃光音響弾)で応戦した。
フランス内務省によると、1200GMT(日本時間午後9時)時点でフランス全土で9600人がデモに参加。うち6700人はパリのデモに参加した。
参加者数は先週の7500人から増えているが、最初のデモが行われた昨年11月17日には28万2000人が参加していた。
パリの検察によると、1300GMT(同午後10時)時点で110人が逮捕された。
一部のデモ参加者は、ノートルダム大聖堂の火災後、多額の寄付金が寄せられたことを取り上げ「すべてがノートルダムに捧げられ、貧しい人々には何も捧げられない」とのプラカードを掲げた。
マクロン大統領は22日に、デモ沈静化に向けた対策を発表する予定だったが、ノートルダム大聖堂の火災を受けて演説を中止。25日に改めて対策を発表する予定だ。


野党共闘、共産党の“査定”は?
★統一地方選挙後半戦と衆院の2つの補選が終わった。メディアは自民党の2敗と幹事長・二階俊博、選対委員長・甘利明の責任論などが問われている。昨年秋からの沖縄県知事選挙、豊見城市長選挙、那覇市長選挙の沖縄3連敗に続いて福岡、島根の保守分裂選、大阪の知事、大阪市長と自民党は落としている。与野党対決で勝ったのは北海道知事選ぐらいといえる。★では野党はどうだろう。この補選で野党共闘が進んだのかといえば圧倒的に強い沖縄は、候補者の勝ち馬に乗るかのように野党が群がったものの、大阪では共産党の現職、宮本岳志前衆院議員が職を辞し、無所属で立候補。野党共闘の捨て石になろうと努力した。一方、その前に行われた大阪の市長選、知事選では維新対自民、公明、共産など野党の構図を作ったものの歯が立たなかった。「その時、党は候補者も立てず、さしたる議論もなく反維新を標榜(ひょうぼう)するだけで自民党候補を勝手連的に応援した。これには大阪の共産党支持者が納得していないという声が出た。その党のアンサーが宮本の無所属出馬ではないのか」(在阪政界関係者)。★それに対して、まともに宮本の応援に入ったのは自由党代表・小沢一郎ら幾人かの野党議員。立憲民主党代表・枝野幸男、国民民主党代表・玉木雄一郎は街頭などには立たず、事務所に激励に入っただけだ。共産党選対委員長・穀田恵二は「宮本の応援に駆けつけた議員は約40人いる」として、名簿にしていて応援の見返りに衆院選での選挙協力で配慮する可能性を示唆した。結果的には自由党、社民党大阪府連に加え、立民や国民、無所属の国会議員、前議員らが応援に入ったがここでも維新の前に敗北した。今回、野党共闘は勝てそうなところは都合よく、厳しいところは冷たくを各党は如実に見せつけたが、穀田の“査定”も面白い。まだまだ協力関係とはいえないが、それで間に合うのか。

「母の死刑執行の映像が頭に浮かぶ」林真須美死刑囚の長男が語る、和歌山毒物カレー事件
 1998年、夏祭りで提供されたカレーに毒物が混入され、それを食べた67人が中毒症状を起こし、うち4人が死亡した「和歌山毒物カレー事件」。
 21日に放送されたAbemaTV『カンニング竹山の土曜The NIGHT』に、この事件で死刑判決が出た林真須美死刑囚の長男が出演。林死刑囚の現在の様子や事件に対する自身の考えなどについて語った。
■長男が取材を受ける理由
 事件当時10歳だった長男は、現在31歳。これまで面会に行くのは1年に1、2回程度だったが、「平成の事件は平成の内にという新聞の見出しなどを見てからは、頻度を増やして月に1回は行くようにしている」という。
 自身がメディアに出たり取材を受けたりするようになった経緯については、「今までは主に父が取材に対応していたが、70歳を越えて判断力が鈍ってきたり、通っているデイサービスにメディアから電話がきたりする。5分ぐらい世間話をしたことが次の日にネットニュースになったりするのを見ていると、長男として自分が前に出てやるべきかなと。姉妹には静かに暮らしてほしいという思いがあり、自分が出る代わりに兄妹のところには(取材に)行かないでほしいという条件をつけた」と説明。一方で、姉妹からは反対の声もあるそうだ。
 長男がメディアに出演することで、死刑執行を止めようとしているのではないかという見方もある。それについては、「僕や父は死刑廃止論者ではない。罪を認めて、動機があって、物証があって、自白があってという事件であれば致し方ない部分はあると思う。母が殺意を持って無差別的に70人ほどの人を苦しめたと自分で言うのであれば、僕ら家族は受け入れないといけない。無理に死刑を回避しようという気持ちで動いているわけではない」と否定した。
■林真須美死刑囚の現在の様子
 事件から21年。林死刑囚の見た目について、「歯が抜け落ちて、治療もあまりしてもらえず、ほうれい線が深く入っていて、年齢の割には老けて見える」と長男。面会時の様子については、「感情に波があって、『あんたごはん食べてるの?』『車の運転気をつけなさいよ』『事件から離れて自分の人生生きなさい』と母親らしい時もあれば、『今日はドアが開くのも怖かった』など行く度感情に波がある」と、刑の執行に関しては恐怖を抱いているという。
 また去年、事件から20年が経って事件について踏み込んで聞いてみようと思ったといい、「保険金詐欺に関しては、父が働かない、ギャンブルで数千万スッてくる中で、子ども4人を育てるために詐欺をしてしまったと認めている。ただ本人曰く、私1人が主犯のように報道されたり裁判所に認定されたりしているが、何億円もの詐欺を1人でできるわけないと。父や居候の協力と、医者の診断書もないと保険は降りない、共犯じゃないかという話もしていた」と説明。
 長男自身も集まりは目にしていたそうで、「父曰く、殺意があって22回も失敗するかなとか。あいつ(林死刑囚)が出すものを食べて、お腹がその都度痛くなっていたら5回くらいで気づくよと。逮捕されたのは両親2人だけで、医者や仲間が集まって談合している景色を見ているので、何で共犯になっていないんだろうと思う」と述べた。
 事件について20年取材を続けている月刊『創』編集長の篠田博之氏は「保険金詐欺についてはそれなりの捜査をしている。当時の検察としては、林死刑囚をカレー事件で立件するために、夫妻含めて画策していたという筋書きがある」とした。
 また、林死刑囚は長男が番組に出演するにあたり手紙を託している。
「『国家殺し』。私は犯人ではなく 国に殺される理由はありません」
「私は犯人ではありません。京都大学の河合潤教授が鑑定して下さってきており、大阪高等裁判所第4刑事部樋口裁判長には、一日も早く、一日も早く、『再鑑定』、『河合潤教授』の証人尋問の決定をし、再審無罪としてもらい、恐怖の日に『鉛で死刑』とされており、『死刑台から生還』したいです。愛しい愛しい話されて21年近くになる4人の子供のもとへ帰してほしく 毎日、おびえてすごしてます」
 1日に1本ボールペンのインクがきれるほど訴訟を起こしているという林死刑囚。当時、過激な見出しを書いた週刊誌などに対して400件ほどの裁判を起こし、7割は勝訴しているという。
■冤罪の可能性は
 林死刑囚が保険金詐欺を行っていたことは事実。しかし、カレー事件については動機が解明されておらず、状況証拠などから死刑が確定し、林死刑囚は一貫して否定している。
 カレーの見張り番をしていた林死刑囚が当時、次女と話しているところや三女が家から遊びに来ているところを長男は見ていたというが、「取り調べで話したが、僕が見ているという証言は、家族をかばうということで採用されない」と説明。「机をバンバン叩かれながら取り調べを受けて、小学5年生の僕が『こう言えば母が有利になる』と考えるのは一切なかった」と話す。
 また、その日林死刑囚らはカラオケに行ったというが、カレーの被害を避けるためだったのか。その点については「計画的に保険金詐欺を繰り返してきた人間が作ったアリバイにしてはずさんじゃないかと思う。かばっているようにしか聞こえないかもしれないが、短絡的に人を殺してやろうと急に思いつくのかと。保険金が入ってくるならまだ動機としてはわかる。“状況証拠”と言われるが、僕としては状況証拠しか出せていない感覚。それで人の命を左右して良いのかという疑問がある」と説明。
 近所との軋轢の噂については、「隣の家の人とはティーパーティーをしたり、誕生日だったら招いたりする人もいれば、嫌いな人もいたという感覚。車が邪魔だとクラクションを鳴らしたり、腹が立ったら水をまいたりする性格で、そんな勝ち気の人がわざわざ家にヒ素を取りに帰って、カレー鍋に入れるという陰湿さは、僕が見てきた母とは質が違う」とした。
 冤罪の可能性について篠田氏は「争点になっているのはヒ素鑑定。当時、最新鋭の機械『スプリング8』で結果が一致したことに裁判所は飛びついたと思うが、検査期間が短すぎたし、十分なことがなされていないとわかってきた。成分が同じだといっても、シロアリ駆除のためにその地域でいろいろな人が使っていて、林家以外でも使われていた可能性がある。他の家にはないと立証されていない」と述べた。
■「自分の不幸話は、話したくないし知られたくもない」
 最後に、長男は事件に対する自身の考えについて次のように述べた。
 「テレビなどで(自分の)放送を見てみると、不幸話だとかイジメだとか、生活苦といったことばかり流れていて、正直僕としてはそんな事話したくないし、知られたくもない。一応は話すが、そんなことをしても事件に動きはなく、不幸な境遇でも母親に会いに行っているような美談にされている。本人は21年やってないと言い続け、冤罪の可能性も出て意見も半々ぐらいになってきた。そういうことを伝えたいが、テレビの看板を背負って当時あれだけ犯人だと盛り上げたのはメディアでもあるので、そこは言いにくいのかなと。
 Twitterなどを見ると『被害者ヅラするな』という声を目にするが、そのようなつもりは一切ない。4人の方が亡くなり、60人以上の方が(カレーを)食べて苦しんでいて、そこを飛び越して『自分が苦しかった』と言うつもりは毛頭ない。
 自立して、周りの友達が幸せそうになっていくが、自分だけ(母の)死刑ということを考えて、何をやっているんだろうと。何度も逃げたくなったが、自分の頭の中で、(母が)首にロープをかけられて『やっていない』と言いながら処刑されるのを映像化してしまって、それが定期的にフラッシュバックのようにやってくる。そういうこともあって、できるだけのことはしようと思っている。
 21年前の出来事にはなるが、欲にかまけた両親が世間をお騒がせしたことについては、家族として申し訳なく感じている。本人は21年間、一貫して無罪を主張しているので、長男としてはその言葉を信じて、事件と両親を見届けていきたい。自分の人生のためにも真相が知りたい」


「五つ星運動」でイタリア政治を変えたコメディアンに聞く
 コメディアンとして劇場やテレビなどで政治や経済がテーマのショーをやって人気を博したが、テレビ業界から干された。2005年に始めたブログは、コメント欄にノーベル経済学者のスティグリッツも書き込むほど注目され、最高で世界7位のアクセスを記録。インターネット言論空間「ルソー」も立ち上げ、そこでの議論や出会いが直接民主主義的な「五つ星運動」につながった。同党は18年3月の総選挙で単独政党として議席数トップを獲得し、連立政権を樹立。論争を呼びながら行動力と発信力でイタリア政治に風穴をあけてきた“台風の目”ベッペ・グリッロが来日、話を聞いた。
  ◇  ◇  ◇
  ――「五つ星運動」における現在の立場は?
 保証人だ。私がつくった「五つ星運動」の路線が外れそうになったときに元に戻す役割をしている。05年、ジャンロベルト・カサレッジョと私はお互いキャリアのピークにきていて、自分のためにではなく人のためになにかやろうとして、ブログや社会運動を始めた。自腹で生活しながら、ちょっとずつ運動をつくってきた。当時の政治家は、こうした政治状況を想像すらしていなかっただろう。われわれも最初はともかく自由になりたいと思って、叫び始めたんだ。
  ――07年から「Vの日」(くそったれの日)も主催し、汚職国会議員の除名を訴え、報道の自由の欠如などを批判してきました。日本語の動画やブログも公開していましたね。
 日本人のことを知りたかったんだ。でもとてもお金がかかったし、いろいろ負担だったから1回でやめちゃったよ。
■テレビに捨てられ市民の信頼を得た
  ――テレビ業界から干された原因は?
 イタリア公共放送と政党との癒着を公共放送ではっきり言ったから追い出された。でもこれは本当によかった。テレビが私を捨てたおかげで、私はマスメディアと闘っていると信頼感を得て、ネットで価値が高まったんだ。ネットはマスメディアと関係なく広がっている。権力はマスメディアを使う。日本をはじめ世界中でそうだろう。マスメディアは何かを教えるのではなく、何も教えないことで国民を操っている。マスメディアは権力集団のひとつなんだ。イタリアではマスメディアは国からお金をもらって政府と仲良くしている。「五つ星運動」はそのつながりをできるだけ切ろうとしている。ケンカを売りたいわけではない。
  ――05年に表紙を飾った「INTERNAZIONALE」誌では、海岸でヌードになって股間にノートブックを広げていましたね。
 私が物質的な存在ではなく、世界に広がるデジタルな存在になっているということを示したんだ。
  ――政治腐敗の要因は多選だとお考えですか?
 それより、議員がマフィアらと関係を持っていることが深刻な問題だ。
  ――政治や経済を「笑い」のネタにすることはイタリアでも日常的ではない?
 とても珍しいことだった。アイロニーやお笑いは政治にあまり入ったことはない。
  ――アイロニーとは皮肉の意味ですか。
 皮肉だけでなく、風刺とか、もう少し軽いもの。アイロニーがないと、人間の心が表れないんだ。政府はひとつの意見を押し付けてくるので、反対意見を言う人が必要だ。その意見にアイロニーがあれば、ファシズムやナチズムは大きくなっていかない。アイロニーの役割はそういう「壁」なんだ。
  ――日本では特に、政権批判の「笑い」はテレビから消えうせています。
 それは良くないことだ。ギリシャや欧州では暴力的な政党が与党になったりしているが、今のイタリアでは暴力的な政党や政治運動は広がっていない。暴力に暴力で応えると肥大化してしまうけど、アイロニーで対抗して大きくさせないようにしているからだ。これをするのはコメディアンの役割みたいなものでもある。
■マフィアがGDPの4%を握る構造を透明化
  ――マフィアが政党の代わりに暴力装置になっているからでは。
 それは違う。今のマフィアは、地方出身者でコカインも扱うような暴力的な人間は少数派。都会出身でハーバード大学に留学したりするような「コレット・ビアンコ」(白いワイシャツ襟の意)の経済エリートたち。完全に変わってしまった。南イタリアのマフィア「ンドランゲダ」はイタリアのGDPの4%を生み出していて、お金が国中に流れている。われわれはこういう状況を「壁」を作って変えようとしている。例えば今まで政府のコンペはオープンではなかった。われわれはそれを透明化した。税金を着服した政治家の政治活動を禁じる法律も作った。これはイタリアでは初めてのことなんだ。
  ――日本では与党政治家の便宜供与疑惑が延々と議論されていますよ。
 内部告発者保護法も作って有力政治家が逮捕されたよ。彼は悪さをしていても牢獄の外に居続けていたんだ。
  ――連立政権を組んだ「同盟」(レーガ)と不協和音はありませんか。
「レーガ」と「五つ星運動」は確かに真逆な点はある。やりたくない政策もあり、微調整をしている。25の政策リストを共有して政府をつくった。われわれは選挙公約は守っているし、実行もしている。
  ――移民排斥を訴えている極右政党の「レーガ」との連立に批判があります。
 イタリア経済には毎年20万人の移民が必要だし、イタリアとしても欧州としても移民の管理は必要だ。本当に深刻なのは、地中海ルートではなく東欧ルートの移民だ。これまで国として何の準備もしていなかった。「五つ星運動」はアンチファシズムだが、さまざまなアイデアを出してきた。旧来型の左翼政党はアイデアもアイロニーも失って消えつつある。しかし、移民問題は人種差別問題に関わるから、アンチ人種差別というアイデンティティーを左翼は得るだろう。
■貧困層800万人にBI導入へ
  ――アンチだけの政党への問題提起ですね。
 深刻なのは、イタリア国内に800万人の貧困層がいることだ。「五つ星運動」では、ベーシックインカム(BI)で普通の生活ができるように打ち出した。市役所から職業訓練などの提案がきてトレーニングなどに通うとお金が支給される仕組みだ。「黄金の年金」と呼ばれる政治家の高額年金を財源にして定額年金受給者の上積みを図ったり、議員特権も整理してきている。
  ――「五つ星運動」は5つの優先目標を掲げていますね。
 水道や再生可能エネルギー、高速道路やITなどをより公共のものにすることは重要な政策だ。AI(人工知能)やブロックチェーン(分散型台帳技術)で仕事の半分は消えるといわれている。われわれは5年後ではなく、30年後の国民や政治を考えて活動している。世界中の人とアイデアを生み出していきたい。
  ――どうやって?
「五つ星運動」では「ルソー」というOSを使っていて、身分証明書があれば誰でも「ルソー」に直接参加してどんな法律でも提案できる。メンバーは18歳から50歳くらいまでが多い。イタリアも日本と同じように高齢化している。彼らはネットはあまり使わず、メディアとの接点はもっぱら新聞やテレビ。ただ、メンバーにならなくても「五つ星運動」に参加できるし、人の数を増やすこと以上に良いアイデアが生まれることの方が大切だ。
  ――最後に少子高齢化への対策は?
 老人を殺そう。もちろん冗談だよ! イタリアではクルーザーを捨てる老人が多いんだ。だから、あれに乗せて沈めてしまえばいいんだよ。これも冗談! イタリア人はブラックジョークが好きなんだよ。そうだな、私には子どもが6人いるから、必要なら1人くらい日本に貸してあげるよ。なんでもやるから!
 *  *  * 
 ベッペ氏はインタビュー中も講演会でも1時間ほど経つと、次第に落ち着かなくなり、ジョークを言いたいのかそわそわしていた。来日中の講演会では17年に来日した「五つ星運動」のリカルド・フラカーロ議員にぶつけられたのと同じ質問がベッペ氏にも投げかけられた。「日本人はなにをすべきなのか」――。くしくも2人とも「日本のことはわからない。日本人がなすべきことでは」とピシャリ。笑いのない正論だった。 (聞き手=平井康嗣/日刊ゲンダイ)
▽Giuseppe Piero Grillo 1948年、イタリア・ジェノバ生まれ。コメディアン、俳優、ブロガー。欧州最大の食品会社の実情を倒産の2年前からデータを用いてショーで告発。米タイム誌の「欧州ヒーロー2005」に選出された。09年に設立されたネット政党の「五つ星運動」(M5S)の設立者にして保証人。「五つ星」は水、エネルギー、開発、環境、交通の5領域を意味する。議員任期2期10年、報酬の半額返上を掲げる。


上野さんの祝辞にモヤモヤ燻り気味な方へ。ようこそ、燃えるフェミニズムへ。
 東京大学入学式の上野千鶴子さんの祝辞が話題になっている。東大卒業生の女性(20代)によれば、「(オレらが世界で一番エライと思ってる)ヤツラへのメッセージとしては最良」と喜んでいた。念のために「全文、読んだ?」と聞くと「これから読む」と言っていた。読んではいないが、フェミニストによる祝辞というだけでそれは、東京大学のマッチョを一刀両断するような快挙なのですと、笑いながら。
 上野さんのフェミニズムは、常に私の斜め上の方向に強い存在感であった。上野さんを読むようになったのは高校生の頃で、それこそ「オレは世界一エライ」と思っている男性学者たちをバッサリバサバサ斬りまくる姿に「かっこいい!」とうっとりした。言葉の喧嘩で勝つ女に憧れたのだと思う。上野さんがバカにするものをバカにし、上野さんが斬るものを一緒に斬る。上野側にいることに心地良さを感じていた若者だった。そしてそういうフェミッ子は、きっと私だけじゃなかったはずだ。
 例えば、上野さんが一刀両断した青木やよひさん(故人)という研究者がいる。近代文明=男性原理として、自然の復権・身体性の復権=女性原理の復権をうたうエコロジカルフェミニズムを提唱していた。「男性原理、反対」と青木やよひさんを愛読していた私だが、上野さんが「エコフェミ?はぁ?女性原理とか言ってるから、日本の女の地位は低いんだよ!」(物言いの強さとしてはこのレベルで)という調子でバッサリ青木さんを斬りはじめたとき、「青木やよひさん、いいよね」と言いにくくなった気分は明確に覚えている。女性学から青木やよひさんが消えた(ように見える)のは、私のような「弱い人」が少なくなかったからだろう。青木さんはその後、ベートーベン研究を深めていかれたが、エコロジカルフェミニズムは日本のフェミ史上90年代で断絶・・・と言ってもいい。少なくとも上野さんが活躍するような「表舞台」からは。
 斬る。とにかく勢いよく。斬るべきではないものも斬ったり、刺したつもりが自分も流血することもある。それでもとにかく斬れ。それが上野流フェミだ。
 さすがに「慰安婦」問題に関する乱暴な斬り方や、「性暴力表現」に関するご発言に疑問を持ちはじめてからは上野流に距離を取り始めていたけれど、今回の東大の祝辞を読んで思ったのは、斬るタイミングや鮮やかな刀裁きは、あくまでも技という点で見事なのかもしれないが・・・というモヤモヤだった。多くの方が絶賛しているものに対して、どのように記していいか迷いつつ、大きな波に飲まれずにやはり言いいたいのは今回の祝辞で締めの言葉だ。上野さんは、長い祝辞をこう締める。
「フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」
 違うでしょう。
 上野さんの「弱者が弱者のままで〜」は、上野さんのお気に入りのフレーズだが、私がこのコトバに出会ったのは(何の本だったか覚えていないが)、上野さんご自身が小さくて非力であることが記されていたこととセットで記憶している。「成人男性」基準を目指さずとも、またそもそも目指せなくても、そのことにおいて二流市民扱いされるのではない社会を求めるのが上野さんの言うフェミだと私は理解した。だいたい人間は全員老いるし病む。つまりは人である以上誰もが宿命的にテンポラリーな弱者になるだろう。なので弱者に優しい社会とは結果みんなにも優しい社会・・・的な優しい理解が可能だ。
 わかりやすい。そしてもしかしたら、ちょっとウルっとくるかもしれない。「もう頑張らなくてもいいんだよ」と、頑張っているほど癒やされるコトバだとも思う。さらにこのコトバは「成人男性」に変革を求めないでいいから、使いやすくもある。「あなたのような強者が弱者の立ち場でものを考えてみて、そうすれば社会はもっとよくなるから!」と伝えれば、フェミも優しく聞こえてくるというものだ。しかも、弱者とは「自然発生」するので誰も責任を取らなくてよい。
 でも、違くないか? フェミニズムとは、少なくとも私が様々なフェミニストから学んだのは、弱者が弱者のまま尊重されるといった、お気楽レベルで留まる思想ではなかった。性差別に怒り、性暴力に怒り、構造的に不利な立場に追いやられる者が、強者に立ち続ける者に責任を求め変革を求める闘いの言葉だった。闘いたくて闘っているのではなく。闘いを強いられるからこその弱者なのだ。韓国のフェミニズムから、私はそう教わった。
フェミニズムとはだから、弱者の言葉が聞かれ、弱者を再生産する構造を変革する思想である。こんな構造は燃やしたい。喧嘩はせず、キッチリ闘う。相手を潰すのではなく、社会を変える。そのためにあげる燃える声の闘いだ。
 上野流の鮮やかさで目くらましされてから数日経っているので、そろそろ「なんであんなに感動したんだっけ」と振り返りたい方もいらっしゃると思いつつ。強烈なエリート意識集団への祝辞(または呪い)として溜飲を下げるような思いを味わった方も多いのだと思いつつ。女として生きるだけで満身創痍な頑張る自分に向けられた祝辞としてグッとくる思いも理解しつつ。女性学をつくった「主語」がないので、上野さん「が」女性学をつくった、みたいに読めちゃうことも含めて、あの祝辞にもやもやしていた方々とは、違和感を共有したい。フェミニズムの方法論は様々ではあるけれど、弱者が尊重されるなんて当たり前のことで満足せずに、フェミニズムは構造による弱者を生まない社会を求め、性差別構造を燃やし続ける原動力でありたい。だからこそ、「フェミニズムはみんなのもの」(ベル・フックス)なのよと。
ということを、春、性差別吹き荒れる日本を生きる女として考え中。
ようこそ、燃えるフェミニズムへ。

注1:パロディですよ、上野祝辞の。念のため。
注2:心の中の火のことですよ、念のため。決して灰にはなりませぬ。まだ。


マツコ「結婚しようがしまいが人間は一生孤独」「”女はこう生きたほうが正しい”に惑わされる必要はない」
タレントのマツコ・デラックスさんが4月20日放送の「マツコ会議」(日本テレビ)で話した結婚観がネット上で話題となった。同番組では、女医と年収800万円以上のハイステータス男性のみ参加できる婚活パーティーを中継。
マツコさんは、婚活のために福岡から東京に引っ越してきた女医(40歳)に、「みんな簡単にある程度の年がくれば結婚できるって思ってるかもしれないけど、そうじゃない」と諭す。
「『絶対結婚してやる』っていう精神力がないと。頑張ろう、結婚は結婚したいって思った人がするのよ」
孤独に耐性があり、仕事に邁進しているなら「なんら不幸な人生ではない」
また、金髪の女医(32歳)には、派手な髪色からか「特殊すぎると思います結婚するまでの間でいいので自我を若干抑えめにしましょう」とアドバイス。ただ、「誤解のないように知っていて欲しいんだけど、結婚していることが全て幸せかって言ったらそれも違う」とも言う。
「結婚はできると思うけど、幸せになれるって思わないでね。たとえ結婚できなかったとしてもそれは不幸なことではないってことよ」
東大卒の女性外科医(32歳)は4年間恋人がいないという。外科医という多忙な職務も相まって、時間が空いてもスキルアップなどに使っているようだ。友達もあまりいないが、孤独に強いため「人への興味があまりないままこの歳になってしまった」と話す。
スタジオにいるマツコさんが「興味は特にないけどマズイなと思って来た?」と聞くと、「結婚するとか子ども産むとかそういう選択をチェックつかないまま死んでいくことに最近恐怖を感じるようになりました」と説明する。マツコさんは、
「『女性』とか『女の人』とか『女子』みたいな冠がつく後に、すごくステレオタイプに『こう生きたほうが正しいのである』とか『こう生きたほうが幸福なのである』っていうのがあるじゃない。世間には。別に私、それに惑わされることはないと思うのよ」
と諭す。これまで一人で過ごすことが苦痛ではなく、自身の仕事に邁進して生きてきたのであれば、「それでなんら不幸な人生ではないと思うし、外科医でそれを極めようと思ったらプライベートなんてなくなるよね」という。
「周りの目もちょっとずつ変わっていく。私は無理して結婚することはないと思う」
マツコさんはさらに、女性はある程度の年になって独身でいると周囲が色々言ってくるので「OLさんやってたりお医者さんやってたりするとちょっと居心地悪くなってくる」と指摘。
「それもよくないと思っていて、そういうふうに見る周りの目みたいなものもちょっとずつ変わっていくんだと思うのよ。いまはすごくキツいと思うんだけど、私は無理して結婚することはないと思う」
とコメントした。参加者に結婚がすべてではないと説いたため、マツコさんは「今日は私ぶちこわしたわね」と反省したものの、
「こんなこと言ったら身も蓋もないんだけど、結婚しようがしまいが、子どもができようができまいが人間は一生孤独よ。それはもう絶対的に埋めてくれるものの存在なんてないから」
と改めて発言した。これに対してツイッターでは、「言い様のない孤独は結婚したって取り除けないからそれに対してどう向き合うかだよね」「マツコの言葉で救われた」という声が寄せられた。一方、「考えさせられるね。でもやっぱりわたしは結婚したいし、子供が欲しい」という声もあがっている。

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Poitiers : la famille de Tiphaine Véron prépare une nouvelle expédition au Japon
Neuf mois après la disparition de Tiphaine Véron, sa famille projette de se rendre une nouvelle fois au Japon pour des recherches. Explications.
La famille de Tiphaine Véron attendait ce rendez-vous depuis longtemps. Pour la première fois, ce jeudi 18 avril, les proches de la Poitevine, disparue en juillet dernier au Japon, ont rencontré la juge d’instruction en charge de l’information judiciaire ouverte pour "enlèvement et séquestration". Néanmoins, toujours pas de nouvelles informations sur l'affaire. Au cours de cet entretien de plus de deux heures, la juge d'instruction s'est dit favorable à l'envoi de policiers français au Japon.
Une expédition avec des pisteurs secouristes
De son côté, la famille de la jeune femme prépare une opération de recherches de grande ampleur en mai prochain. L'expédition est menée par le frère et la soeur de Thiphaine Véron. Une équipe de pisteurs secouristes sera présente pour la recherche en montagne et en mer.
Rappel des faits
Tiphaine Véron, une jeune femme de 36 ans auxiliaire de vie à Poitiers, n'a plus donné signe de vie depuis neuf mois. L'été dernier, cette grande passionnée du Japon fait une halte dans la ville de Nikko. Elle y avait réservé un hôtel pour deux nuits. C'est là qu'elle a été aperçue pour la dernière fois, dimanche 29 juillet, vers 10h30, alors qu'elle sortait de l'établissement. Sans nouvelles, la famille a d'abord pensé que sa connexion internet était mauvaise avant que, mercredi 1er août 2018, l'ambassade française au Japon l'avertisse de la disparition inquiétante de la touriste.
Un soutien constant
Depuis la disparition de Tiphaine, sa famille reçoit un soutien important," à Poitiers, de la part de la population de Nikko au Japon, de l'ambassadeur de France au Japon qui est aussi très présent, ainsi que la communauté francophone" installée dans l'archipel nippon. Cette dernière a d'ailleurs lancé récemment une nouvelle collecte pour réunir les fonds nécessaires aux recherches et aux voyages de la famille de Tiphaine au Japon.
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100分de名著 万葉集<全4回>一挙アンコール!
新元号「令和」の出典となった、現存する日本最古の歌集「万葉集」。代表的な歌人にスポットをあてながら日本人の心の原点を探るシリーズを100分一気にお届けします。
人類の偉大な遺産である名著の魅力を、25分×4回で、わかりやすくひもとく番組。今夜は「万葉集」をとりあげたシリーズを、特別アンコールでお送りします。額田王、柿本人麻呂、大伴家持…およそ4500首におよぶ歌の変化を明らかにしながら、古代の日本人の“心の歴史”を読み解きます。第1回「言霊の宿る歌」、第2回「プロフェッショナルの登場」、第3回「個性の開花」、第4回「独りを見つめる」。 歌人/早稲田大学名誉教授…佐佐木幸綱, 伊集院光,武内陶子, 檀ふみ, 徳山靖彦

サンデーモーニング
ノートルダム寺院炎上…大火災はなぜ発生?▽消費増税に延期の声▽再燃…ロシア疑惑が▽タイガー復活の秘密▽プロ野球▽大きな決断白鵬▽MLBは▽風をよむ(他)
一週間の見逃せないニュース&スポーツをサンデーモーニングならではの視点でお送りします!◎世界と日本の出来事を掘り下げるカバーストーリー▽ ◎おなじみ・スポーツ御意見番「喝!&あっぱれ」◎関口宏の「一週間」ニュース◎時代と社会の断面を切り取るコーナー「風をよむ」〜〜 関口宏 橋谷能理子 唐橋ユミ 伊藤友里 水野真裕美(TBSアナウンサー) 張本勲(他) 三枝成彰 ◇番組HP http://www.tbs.co.jp/sunday/ 西野哲史 金富 隆

テレメンタリー 「金シャチの憂鬱 〜天守だけが城じゃない〜」
名古屋城の天守は戦後に再建されたコンクリート製だが、創建時の木造で復元する計画が進んでいる。河村たかし市長は2022年までの木造復元を公約に掲げ、市長選で当選した。名古屋城は特別史跡であるため、再建には文化庁の許可が必要だ。調査で石垣の損傷が激しいことが判明。石垣の修復を優先しなければ天守の再建は許可されない。木造復元を急ぎ観光客を誘致したい名古屋市。名古屋城再建を巡る議論から、石垣の価値を再考する。 篠井英介 メ〜テレ
明日へ つなげよう ふるさとグングン!「みんなでふるさとを創る〜福島いわき市」
原発事故で避難した大熊町、双葉町などの人々は今多くの方がふるさとへの帰還を諦め終(つい)の住処(すみか)ともなる復興公営住宅に移り始めている。福島県いわき市の復興公営住宅では出身の町が違う人々がバラバラに移り住みコミュニティーづくりや孤独死防止が課題となっている。「向こう三軒両隣」を合言葉に孤独死対策で成果を上げた東京の団地などに学びながらどうすれば安心して暮らしていけるのか専門家を交えて話し合う りゅうちぇる,岩手大学三陸復興・地域創生推進機構…船戸義和, 山本哲也, 合原明子
NNNドキュメント 語るのは、私たち。 熊本地震3年の現在地
二度の震度7が襲った熊本地震から3年。全国で災害が相次ぎ記憶も薄れる中で、被災地は地震を語り継ぐ課題に直面している。東海大学の学生800人が暮らし"学生村"と呼ばれた南阿蘇村黒川地区。キャンパス閉鎖で村を離れた後も語り部を続けてきた学生たちは、卒業前にその活動を"地震を知らない世代"に託した。「私たちに伝えることができるのか」葛藤しながら語り始めた後輩たち。地震から3年を迎え"伝え続ける"意味とは。 橋本愛  くまもと県民テレビ
こたつぬこ『「社会を変えよう」といわれたら』4/17発売 @sangituyama
たしかに、吉本新喜劇の舞台に安倍さんが登場したとき、会場からどよめきの声があがりました。しかしそれは「帰宅して玄関のドアを開けたらチンパンジーがいた」時の驚きですよね。「そこにいないはずのモノがいる」。チンパンジー扱いの反応に気を良くする裸の王様。
松尾貴史 新刊「違和感のススメ」@Kitsch_Matsuo
新喜劇の舞台は、誰も論理的な反論も質問もして来ない「絶対安全地帯」と踏んでの、華やかな選挙運動でしょうなぁ。
観客も芸人の皆さんも、随分と見くびられ馬鹿にされたわかりやすい現象。

なうちゃん @nauchan0626
天皇制に関してやはり理不尽なのは、生まれながらに貴い人間とそうでない人間の存在を認める思想だと思います。典型的なのは皇族に対する敬語の事実上の強要です。テレビで皇族の赤ちゃんに対してまで「○○様がくしゃみをなさいました」などという敬語の報道など、私には滑稽にしか思えないのですが。

昨日頑張って書いた感想の返事が来ました.日曜なのに.うれしいです.調子に乗ってさらにその返事をメールしました.
Yoさんは**さんの印象が良くないみたいです.わたしは判断できるほど話もしていないのですが.

かかりつけ医院を停電から守る 震災経験の仙台医師が太陽光発電システム提案
 災害時に身近なかかりつけ医院を停電から守ろうと、宮城県内の産学医が連携して太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電源システムを開発した。東日本大震災を経験した仙台市の医師が提案。天気が悪い日でも蓄電できる点が新しく、宮城発のアイデアで地域医療のとりでを守りたい考えだ。
 提案者は仙台市医師会災害対策部長を務めるあんどうクリニック(太白区)の安藤健二郎院長(59)。「震災発生時、停電で休診を余儀なくされた民間医院が少なくなかった」との教訓を生かした。
 電源システムは1.2キロワットの太陽光パネルと容量2.7キロワット時の蓄電池のほか、一般電力との切換装置や遠隔監視システムを備える。「ワンダーパワーステーション」の商品名で、主に個人医院・診療所向けに2月から販売している。
 特徴は蓄電効率の高さ。東北大の白方雅人特任教授が開発したマンガン系リチウム電池を採用した。コンデンサーを使わないため、太陽光パネルから直接蓄電でき、雨や曇りでも蓄電が可能になった。
 晴れの日は3時間でフル充電できる。停電時は一般の個人医院・診療所で必要とされる使用電力360ワットを7時間半使えるという。白方氏は「蓄電容量は小さくてシンプルだが、充電効率や安全性が高く、非常時の支えになる」と太鼓判を押す。
 近年は個人医院も電子カルテや薬品の保存に電気を使用し、停電のリスクが高まっていた。大病院に比べて非常用電源の導入が進んでおらず、災害時に患者が大病院に殺到する原因にもなっていた。
 安藤さんは2016年に熊本地震の医療救援で現地を訪れた際も必要性を痛感し、母校の東北大に相談。大手メーカーで蓄電池開発に携わった白方氏らが3年がかりでシステムを完成させた。製造は古川電気工業(宮城野区)が担う。
 安藤さんは「非常時にかかりつけ医が機能すれば地域の安心につながる。震災の教訓を生かした備えを全国に発信したい」と話す。
 価格は270万円から。販売先は東和プロネッツ022(246)8481。


<龍宮まつり>気仙沼大島大橋開通、心の距離も近く 記念イベントに1万人、味と演舞楽しむ
 気仙沼市の大島と本土を結ぶ気仙沼大島大橋の開通を記念した「大島龍宮(りゅうぐう)まつり」が20日、島の旧フェリー乗り場近くの特設会場であった。7日の開通後、初となる島内のイベントには県内外から島民の約4倍に当たる1万人(主催者発表)が集まり、祭りを楽しんだ。
 好天にも恵まれ、午前9時の開始から約30分で300台の駐車場がいっぱいとなった。
 島内の飲食店や民宿、漁協など21団体が出店した「大島龍宮いちば」には蒸しガキやホタテ焼き、マグロのかぶと焼きなどの魚介類が並び、橋を記念して作られたTシャツなどの限定グッズも人気を集めた。
 ステージでは地元の団体が虎舞や太鼓の演奏を披露。大島中の生徒はソーラン節で盛り上げた。
 マグロのかぶと焼きや海鮮丼を買った大崎市の会社員橋元泰志さん(61)は「大島に来るのは約20年ぶり。橋がつながり、来やすくなった」と満足していた。大島出身の主婦高橋絵美さん(30)=気仙沼市=は「島にこれだけ盛り上がる祭りは今までなかった」と喜んだ。
 祭りは開通機運を盛り上げようと、漁協青年部や観光協会、振興協議会など約20団体が実行委員会をつくり、昨年末から総出で準備してきた。実行委員長の小松博文さん(48)は「多くの人から大島を愛してもらっていることを実感できた。何より島民が喜んでくれたことがうれしい」と話した。


<羽生結弦>ユヅが仙台巡りPR 市が観光ガイド作製
 仙台市は仙台観光アンバサダー(大使)を務める羽生結弦選手(24)が表紙を飾る着地型観光ガイドブック「仙台巡り」を作製した。羽生選手が仙台の魅力や故郷への思いを語った特集記事などを掲載した。10万部を発行し、6月下旬から市内で無料配布を始める。
 A5判42ページ。特集記事は「仙台の良きもの、美しいもの」と題し、市内で撮影したオフショット写真と共に10ページにわたり掲載した。
 昨年7月、仙台伝統の絹織物「仙台平」のはかまを身に着け、国民栄誉賞の授与式に臨んだ羽生選手。仙台平の技術伝承者で人間国宝の甲田綏郎(よしお)さん(90)と会った際の写真も載せた。
 羽生選手のファン層を意識し、市内のゆかりの地を巡るモデルコースを提案したり、「女子の二人旅」をテーマに女性に人気のスポットを紹介したりした。
 観光ガイドは20日のモニュメントデザイン発表式で、約2万通の応募から選ばれたファン約600人に先行配布された。東京都青梅市の会社員木村みよ子さん(53)は「まずは七北田公園(泉区)の桜を見に行きたい」と笑顔で話した。
 市は同日、「仙台巡り」専用サイトを開設。一般配布の日時、場所、方法を6月上旬ごろサイトで告知する。市内の旅館やホテルでも7月上旬から一定期間、宿泊者に1部ずつ贈呈する。対象となる施設は5月13日にサイトで公表する。
 連絡先は市観光課022(214)3018。


<羽生選手新モニュメント>「仙台の力」受け継いで 会見で地元ファンに感謝
 言葉の一つ一つに古里への思いがにじんだ。平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2連覇した仙台市出身の羽生結弦選手(24)=ANA、宮城・東北高出=。功績をたたえる新たなモニュメントが発表された20日、市内であった記者会見に臨み、偉業を誇るとともに地元ファンへの感謝を口にした。
 会見席に向かう足取りは、ゆったりとして、落ち着いていた。「五輪で2連覇し、(2年前のモニュメントを含め)2基分の活躍ができたことが誇らしい」
 今季は右足首のけがに苦しみ、銀メダルに終わった3月の世界選手権で激闘を演じた。シーズンを終えて地元に帰り「温かい気持ちになった」と、ほっと一息ついたような笑みをたたえた。
 活躍の跡が古里に残る意味をかみしめた。2006年トリノ五輪女子金メダリストの荒川静香さん(37)=宮城・東北高−早大出=の隣に羽生選手のモニュメントが二つ並ぶ。「僕の演技を見て競技を始める子もいると思う。僕が荒川さんに助けられたように、頑張れる環境をつくれるよう貢献したい」。受け継がれる思いを、羽生選手は「仙台の縁」「仙台の力」と表現した。
 東日本大震災からの復興も気に掛ける。「一人一人の力が集まって復興が進む。自分を媒体にし、人がつながるきっかけになってくれればうれしい」。どれだけの栄光を手にしても、古里への気持ちはあせることはなかった。


<羽生選手新モニュメント>ユヅ「連覇実感」 仙台でデザイン発表式
 平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2連覇した仙台市出身の羽生結弦選手(24)=ANA、宮城・東北高出=の新モニュメントのデザイン発表式が20日、仙台市青葉区の市青年文化センターであり、平昌五輪のフリープログラム「SEIMEI」をモチーフにしたデザインが披露された。
 モニュメントは高さ230センチ、幅160センチの強化ガラス製パネル。SEIMEIの冒頭で動きだすシーンが描かれた。市地下鉄国際センター駅前にある羽生選手、トリノ冬季五輪金メダリスト荒川静香さんのモニュメントの隣に設置し、29日に除幕式を行う。
 羽生選手は「荒川さんの隣に自分が『2人』並ぶのは恐縮だが、連覇したんだなと感慨深い」と語った。


<羽生選手カード付き乗車券>ユヅのカードゲット! 仙台市地下鉄・特典付き1日乗車券発売
 フィギュアスケート男子で五輪連覇した羽生結弦選手(24)のポストカード付き地下鉄1日乗車券が20日、市地下鉄5駅で発売された。駅構内には早朝から整理券を求める長蛇の列ができ、乗車券を手に入れたファンは喜びを爆発させた。
 乗車券には、特典として羽生選手が仙台伝統の絹織物「仙台平(ひら)」を着たり、笑顔を見せたりする写真のポストカード3枚、ゆかりの地を紹介するミニ観光ガイドが付いた。
 市地下鉄仙台駅で2セット購入した石巻市の主婦武山光子さん(65)は「次女と親子で羽生選手ファンなのでうれしい。一つは自分用、もう一つは埼玉県に住む次女にプレゼントする」と満面の笑みを浮かべた。
 市交通局は直接販売分として1万3000セット(各1500円)を用意し、午前7時前から整理券を配布。午後5時までに約6000セットを販売したが、完売はしなかった。残りは抽選による通信販売分(各2500円)に回すという。
 本宮市の佐々木真由美さん(58)は経営する美容室を休んで駆け付けた。乗車券を手に「市内で羽生選手ゆかりの地を訪ねたい」と話した。にかほ市の高校2年渡辺里奈さん(17)は午前2時に自宅を出た。「けがを乗り越え、活躍する姿に励まされる」と語った。
 整理券の配布開始時点で仙台260人、泉中央200人、長町南150人、荒井130人、八木山動物公園駅80人が列をつくった。
 あえて郊外駅を選んだ人も。荒井駅で買った東北大3年辻優郁さん(20)は「遠いが、確実に入手できる」、長町南駅に並んだ五橋中2年山田那由さん(13)は「仙台駅より混んでいないと思った」と話した。
 乗車券は、発売前からインターネットのオークションサイトに「出品」され、高額で取引されていた。実際に発売されると、一気に実物の出品が相次いだ。若林区の運送業佐藤利雄さん(45)は「ファンの心理を悪用した金もうけは、絶対に許せない」と憤った。


<羽生選手新モニュメント>Oly「n」pic? 複製品に誤表記
 20日にあった羽生結弦選手の新モニュメントデザイン発表式で、主催者の仙台市などでつくる実行委員会は、デザイン披露に使用した新モニュメントの複製品に、アルファベットの誤表記があったと発表した。
 「SEIMEI」の冒頭シーンを描いたデザインの隣に書かれた英文の中で、「Olympic(オリンピック)」の文字を「Olynpic」と誤記した。「m」を「n」と間違えた。外部からの指摘で、当日に誤りに気付いたという。
 29日に設置される実際のモニュメントに表記ミスはないという。市の担当者は「制作段階で確認漏れがあった」と釈明している。


<羽生選手新モニュメント>ファンがスケートの源/「令和」へ新たな武器を 一問一答
 記者会見の主なやりとりは次の通り。
 −モニュメントは2基目となる。
 「形として残るのは良かった。五輪の金メダルは特別なものだと思った」
 −デザインはSEIMEIのポーズだ。
 「このポーズは、天と地と人を全てつかさどるという意味がある。周りの環境、リンク全てを自分の支配圏に置くという強い気持ちを持って滑っていた」
 −荒川静香さんの隣に二つのモニュメントが並ぶ。
 「恐縮であり、胸を張ってもいられる。荒川さんの隣に建てるのは仙台との縁、力を感じる。仙台で僕が荒川さんに助けられたように、これから僕も仙台に対し、いろんなことをできたらと思う。僕の演技を見て競技を始める子たちに『こうなりたい』と思えるような人間で常にありたい」
 −式には定員600人に対し2万人を超える応募があった。羽生選手にとってのファンとは。
 「一言で言えば自分のスケートの源。つらいこともうれしいことも、自分よりつらく思ってくれたり、喜んでくれたりする存在だ」
 「直近2シーズンで2度も大きなけがをした。その時にメッセージや手紙をたくさん頂いた。そういう方々の思いが自分に還元されて、自分の演技になっていると強く思う。発表式の時、一人一人の顔を見て、ありがとうと思った。残念ながら会場に足を運べなかった人も含め、この場を借りて感謝したい」
 −「平成」で伝説をつくった。「令和」に向けた意気込みを。
 「4回転半(ジャンプ)に挑戦したい気持ちが強い。これから戦う上で、自分の武器となる何かを付け加えなくてはいけない。新たな武器をつくって、『令和』に向けて頑張りたい」
 −子どもたちへのメッセージとして「夢を持って」と発言した。自身の夢は。
 「1年前までは4回転半のジャンプだった。今はマスターしたいという具体的な挑戦になったので夢ではない。4回転半を、公式試合できれいに決める初めての選手になるのが夢だ」


<羽生選手新モニュメント>よみがえる「熱風」、発表式にファン600人 SEIMEIに興奮一気
 平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2連覇した仙台市出身の羽生結弦選手(24)=ANA、東北高出=の新モニュメントは、多くのファンが事前に予想した通り、同五輪のフリープログラム「SEIMEI」の印象的なシーンだった。市内で20日にあったデザイン発表式に集まったファンの脳裏に、けがの痛みに耐えながら奇跡を起こした歓喜の瞬間がよみがえった。
 応募総数2万113人の中から、33倍を超える倍率を突破した約600人が発表式に招かれた。東京から夜行バスで来たという関家友子さん(39)は、「まさか当選するとは思わなかった」とうれしそうだった。
 新モニュメントを設置する市地下鉄国際センター駅前には、ソチ冬季五輪で最初の金メダルを取った羽生選手、トリノ冬季五輪金メダリストの荒川静香さんのモニュメントがある。発表式の舞台にも、新モニュメントを含む3基の複製を並べ「聖地」を再現した。
 午前10時15分に開会すると、細身の体を包む黒スーツ、ピンク色のネクタイ姿で羽生選手が爽やかに登場。拍手で出迎えた会場から「おかえり〜」「かわいい〜」と歓声が上がった。
 ファンファーレを合図に羽生選手が幕を外し、「SEIMEI」のデザインが現れると、会場のボルテージが一気に上昇した。大阪府八尾市の会社員白崎由貴子さん(53)は「予想通りのデザインだったが、見た瞬間に興奮した。感動がよみがえった」と感激した。
 羽生選手自身もあいさつで「平昌、ソチでの演技が記録だけでなく、モニュメントによって歴史に刻まれることがすごい。自分が五輪連覇できたことに、誇りを持ちたい」と喜んだ。
 発表式で「これを機に、仙台に足を運ぶ人が増えればいい」「まだ(東日本大震災の)復興が道半ばの地域が多い。最大限のことをしたい」と地元愛を何度も口にした羽生選手。名取市のパート従業員斎千香さん(50)は「常に被災地のことを考えてくれる。本当にありがたい」と感謝した。


<羽生選手新モニュメント>ユヅ「連覇実感」 仙台でデザイン発表式
 平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2連覇した仙台市出身の羽生結弦選手(24)=ANA、宮城・東北高出=の新モニュメントのデザイン発表式が20日、仙台市青葉区の市青年文化センターであり、平昌五輪のフリープログラム「SEIMEI」をモチーフにしたデザインが披露された。
 モニュメントは高さ230センチ、幅160センチの強化ガラス製パネル。SEIMEIの冒頭で動きだすシーンが描かれた。市地下鉄国際センター駅前にある羽生選手、トリノ冬季五輪金メダリスト荒川静香さんのモニュメントの隣に設置し、29日に除幕式を行う。
 羽生選手は「荒川さんの隣に自分が『2人』並ぶのは恐縮だが、連覇したんだなと感慨深い」と語った。


第2再処理工場/料金転嫁は到底納得できず
 電力会社の電気料金の算定方法は一体、どうなっているのだろうか。関西電力と九州電力が料金改定を機に、新たな使用済み核燃料再処理のコストを電気料金に上乗せしたことが明らかになった。
 原発で燃焼させた後のウラン燃料から、プルトニウムなどを取り出すのが再処理。青森県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場が国内で唯一の施設になる。
 六ケ所工場のコストを電力各社が負担するのは当然だが、関電などが盛り込んだのは「第2再処理工場」も含む。具体的には何も決まっていないのに上乗せするのは、消費者無視も甚だしい。
 再処理工場を新たに建設するかどうかは、原子力発電の将来に重大な影響を及ぼす。何の議論もなしで、なし崩しに再処理を続けようとしているなら、原子力政策への信頼はさらに失墜するだけだ。
 再処理コストについて、関電は六ケ所工場と合わせ年間約600億円を見込んでいるという。九電は約500億円。六ケ所の分と比べると、いずれもかなり増えた。「制度上、料金原価に含めることになっている」という言い分で、他の電力会社が追随する可能性もあるだろう。
 1社で数百億円もの負担にになるのは、巨額のコストが必要になるからだ。六ケ所工場の事業費は16兆円に達し、第2再処理工場は12兆円近くと見積もられている。
 合わせて二十数兆円もの巨大なコストを電気料金に転嫁するのであれば、妥当性についてまず十分に議論し、結果を丁寧に消費者に説明するのが当たり前だろう。何も知らせないまま電気料金に含めるのは身勝手すぎるし、料金制度が土台からおかしい。
 国や電力各社は核燃料サイクル政策に従って、原発の使用済み核燃料を全て再処理するいう姿勢をいまだに崩さないが、その硬直性がそもそも問題だ。
 1993年に着工した六ケ所工場は、四半世紀が過ぎた今になっても未完成。この間に膨大な費用をつぎ込みながら、取り出したプルトニウムの使い道がなくなっている。そもそも計画がずさんだったとしか思えない。
 第2再処理工場は主に、ウランにプルトニウムを混ぜたMOX(混合酸化物)燃料用に想定されていた。いわゆる「プルサーマル発電」で使われる核燃料だが、六ケ所工場では再処理できない。
 そのために必要性が浮上した経緯があるが、通常の核燃料と同様、再処理すればむしろ厄介な問題を抱えかねない。使用済み核燃料をそのまま保管し続けるという選択肢も真剣に検討すべきだ。
 再処理を軸にした核燃料サイクル政策は破綻が明らかになっている。再処理からの撤退を本格的に議論することが求められているのに、知らぬ間に第2工場の費用を徴収するのはもっての外だ。


ひきこもり調査/中高年層への支援を急げ
 ひきこもりの長期化と高齢化が進んでいる現状が、国レベルで初めて明らかになった。
 内閣府は、ひきこもりの状態にある40〜64歳が全国で61万3千人いるとの推計値をまとめた。兵庫県は2万7千人に上る。
 5千世帯の訪問調査を基に、人口データを掛け合わせて算出した。実際はもっと多い可能性がある。家庭の「外」から見えにくく社会から孤立しがちなだけに、実態を浮かび上がらせた意義は大きい。
 これまで国は、ひきこもりを不登校の延長といった若者特有の問題ととらえていた。15〜39歳が対象の2015年調査では約54万人だった。今回初めて調べた中高年はこれを上回り、半数近くはひきこもり期間が7年以上に及んでいた。
 国や自治体は調査結果を深刻に受け止め、相談窓口などの支援体制を中高年にも広げるべきだ。当事者団体との連携も深めてほしい。
 親が80代、本人が50代ぐらいになって病気や介護などで生活が困窮する「8050(はちまるごーまる)問題」が顕在化している。親子の共倒れを防ぐためにも対策が急がれる。
 調査によると、ひきもこもりの中高年の約8割は男性だった。きっかけは「退職」が最も多く、「病気」「人間関係がうまくいかなかった」が続いた。
 就職氷河期世代の40〜44歳の3人に1人は、20代前半でひきこもり状態になっていた。全体の約半数が「関係機関に相談したい」と答えるなど、「外」に出るきっかけを求める割合は若年層の調査より多かった。
 国の支援策は若者想定のため就労支援に偏りがちだ。「中高年にはハードルが高く、プレッシャーから余計に動けなくなる恐れがある」と自助グループなどを運営するNPO法人「神戸オレンジの会」は指摘する。
 家族以外との接点を持てるよう、自宅訪問や居場所づくりを進めたい。就労だけでなく福祉制度の利用なども視野に入れ、孤立せずに生きていくための支援も求められる。
 女性のひきこもりは男性より見えにくいとの指摘もある。生きづらく、ひきこもらざるを得ないような社会について広く議論するときではないだろうか。


中高年ひきこもり61万人 立ち直り支える態勢急務
 「令和」という新時代が始まろうとしているさなか、内閣府がショッキングな数字を発表した。40〜64歳のひきこもり中高年が全国調査で推計61万3千人に上るという。2015年の調査で、15〜39歳のひきこもりは10年の調査に比べ約15万人減ったものの約54万人。15〜64歳でみれば約115万人に達する。
 本人は無論、家族の心労を思えば、少しでも外に出て自立するよう願ってやまない。ただ、中高年の場合、「7年以上」が半数近くを占め、心身に病を抱える人も少なくない。若年層以上に立ち直りは困難を極めるだろう。「新しい社会問題」(根本匠厚生労働相)との認識に立ち、きめ細かな対応を求めたい。
 ■平成のひずみ■
 きっかけ(複数回答)は「退職」が36・2%と最も多く、「人間関係がうまくいかなかった」「病気」「職場になじめなかった」が続く。
 40〜44歳の3人に1人は「20〜24歳」でひきこもり状態になっており、1993〜2003年ごろの「就職氷河期」に希望する仕事に就けなかったり、非正規など不安定な雇用が続いたりしたためとみられる。平成のひずみが生んだともいえる。
 深刻なのは父母の稼ぎや年金に頼る人が34%に上り、さらに、暮らし向きを上中下でみた場合、全体の3人に1人が「下」と回答したこと。親が80代、本人が50代で生活が困窮する「8050問題」は以前から指摘され、周囲にSOSを発信できず孤立する親子の状況を表してもいる。高齢の親が亡くなれば、途端に生活が破綻することになる。
 ■支援の輪■
 こうした共倒れを防ごうと全国各地で地道な取り組みが進んでいる。臨床心理士や税理士らでつくる支援団体は、ひきこもり中高年を抱える親たちに「手遅れになる前に対処を」と呼び掛けている。ただ、「子を刺激したくない」などと、行動を起こせない親も多いという。
 ひきこもりから立ち直った人が、同じ境遇の人を手助けようと動きだしたり、地域の保健師がひきこもり世帯を一軒一軒回って就労や社会参加につなげるべく努力を重ねたりするなど、支援の輪は広がりつつある。
 福井県内でも、坂井市の女性が支援団体を設立し、悩みや思いを語り合う月1回の「サロン」を開始。福井市では元警察官が「復帰まで寄り添う」と塾を開講するなど、民間レベルの活動の芽も育ってきている。
 悩んでいる人は、専門である県ひきこもり支援センターを活用したり、本人や親の会などに参加する方法もある。といっても二の足を踏む人は多く、家庭を訪問して相談に乗るといった態勢づくりがまずは求められよう。
 ■花を咲かせる■
 支援の柱となるべき国はといえば、不登校なら文部科学省、青少年問題は内閣府、就労や生活保護は厚労省の各部局と縦割りが歴然としている。「新しい社会問題」と捉えるなら、ひきこもりを専門にした組織や協議の場を設け、社会全体の意識を変えるような取り組みも求めたい。
 一方で、ひきこもりに陥らない社会を早急に築く必要がある。安倍晋三首相は「一億総活躍社会」を掲げ、新元号「令和」公表では「一人一人の日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる」を高らかに読み上げている。
 政府は「氷河期世代」の非正規雇用者に対する就労支援を本格化させ、3年間で集中的に取り組むとしている。外国人就労の拡大を目指す新制度が既にスタートしており、遅きに失した感が否めないが、経済界も挙げて着実に進めてもらいたい。


東京五輪の日程  「選手第一」の理想どこへ
 来年7月24日に開幕する東京五輪の詳細な競技日程が決まった。
 陸上のトラックやフィールドの計9種目の決勝が午前開始の時間帯で行われる。ビーチバレーやサッカー女子などの決勝も午前開始となった。異例の多さである。
 暑さ対策のほか、米テレビ局の意向が強く反映された形だ。競泳やバスケットボールなども、時差のある米国で夜のゴールデンタイム放送に合わせて設定された。
 大会の国際映像を供給する五輪放送サービス(OBS)が当初から、特定種目の午前決勝を国際陸上競技連盟などに求めるといった根回しを続けていた。
 過去の五輪や世界選手権では、予選は午前に行い、決勝は夕方から夜にかけて実施するのが一般的だった。
 午前中は体が動きづらく、調整に影響するとの見方もある上、東京五輪は酷暑が予想されている。選手のコンディションや体調を考えるなら、気温の下がる時間帯に競技を実施するのが妥当だったはずだ。
 そもそも東京五輪は「アスリート・ファースト(選手第一)」を重視するのではなかったのか。米国の視聴者を優先し、選手を置き去りにするのは主客転倒と言わざるをえない。選手の能力とパフォーマンスを最大限に引き出すのが五輪大会であることを忘れてはならない。
 大会組織委員会の室伏広治スポーツディレクターは「地元だけでなく世界の観客を意識した」「選手はこれ(競技日程)に合わせて調整し、ベストを尽くしてほしい」と語ったが、選手は従来とは異なる対応を迫られる。
 東京五輪を真夏の7〜8月に開催するのも巨額の放送権料を支払う米テレビ局の意に沿ったものだった。注目競技が北米向けの時間設定となるのは、2008年北京五輪や昨年の平昌冬季五輪などでも同様だ。
 国際オリンピック委員会(IOC)の収入源の47%は放送権料が占めている。放送権料は高騰しており、米テレビ局の発言力やIOCの商業主義が今後も高まらないか気がかりだ。
 今回の大会で注目されるのは、連日のように20種目以上の決勝がある日程が組まれたことだ。序盤から終盤まで日本勢の有望種目が途切れなく続く。特に終盤の8月6〜8日はメダルラッシュの可能性が指摘されており、期待も膨らむ。
 午前決勝となる競技団体関係者からは「海外では時差のあるところでやるのだから対応していくだけ」と冷静な受け止めがあるが、「午前中の暑い盛りになった」「コンディション調整が要る」との戸惑いがあることも心に留めておく必要がある。
 決勝が午前中になることで「どれだけ観客を集められるか心配」と集客への影響を懸念する声もある。
 大会開催まであと約1年3カ月となった。競技実施にあたりIOCは、選手がベストな体調で実力を発揮できる環境を主導して整えることに注力してもらいたい。組織委や各競技団体も万全の対策をとり、負担軽減に向けて努力すべきだ。


東京五輪 「選手第一」の万全運営を
 選手が十分に力を発揮できる「選手第一」の大会となるよう、万全な運営を行ってほしい。
 開幕まで1年3カ月余となった2020年東京五輪の、詳細な競技日程が発表された。
 目立つのは、午前に始まる決勝競技・種目の多さだ。
 既に午前決勝が決まっていた競泳に加え、陸上の9種目やバスケットボール、ビーチバレーの決勝も午前中に始まる。
 酷暑を避けるため男女のマラソンは午前6時、男子50キロ競歩は午前5時半スタートとなる。
 過去の五輪や世界選手権を見ると、陸上や水泳は予選は午前、決勝は夕方から夜にかけて実施するのが一般的だ。
 選手は午前中は体が動きづらく、調整が難しいといわれる。選手から不安の声も出ている。
 午前決勝だった08年北京五輪で平泳ぎ2冠に輝いた北島康介さんは、開幕の3週間前から起床や食事の時間を早めてレースに臨んだという。
 各国の選手がベストパフォーマンスを発揮できるよう、練習場所の確保や移動、食事を不便なくできる態勢をしっかりと整えてもらいたい。
 さらに重要なのは暑さ対策だ。サッカー女子の決勝は午前11時開始となり、野球など他の屋外競技でも酷暑の時間帯に実施される試合がある。
 競技は、開会式に先立つ7月22日、福島市でのソフトボールの日本戦で始まり、閉会式が行われる8月9日まで続く。
 昨年は全国的な猛暑となり、五輪と同じ期間中には東京都内で観測史上初の気温40度超えを記録している。
 熱中症予防のための国際指標の「暑さ指数」が、熱中症患者が著しく増加する28度以上の「厳重警戒」の時間帯があったのは14日に上った。このうち、31度以上の「危険」となる時間帯があった日は9日だった。
 日本スポーツ協会の指針では、31度以上は「運動は原則中止」、28度以上は「激しい運動は中止」としている。
 選手はもとより、観客やボランティアらスタッフが熱中症などにならないよう、細心の対策を取ることが求められる。
 暑さ対策として、日よけテントや大型冷風機、霧状の水をまくミストシャワーの会場周辺への設置を行うという。
 水の供給や熱中症患者に対応する医療スタッフ配置など、きめ細かな対策を取ってほしい。
 今大会で午前中の決勝が多くなったのは、巨額の放送権料を支払う米テレビ局の意向が反映されたためだ。米国での人気競技が、米国の夜のゴールデンタイムに生放送できるからだ。
 そもそも近年の夏季五輪の夏場開催が定着しているのも、米プロフットボールNFLなどのシーズンとの競合を嫌う米放送局の意向が強いとされる。
 だが、それが選手にとって過度な負担となるようでは本末転倒だ。国際オリンピック委員会(IOC)は、選手が最高の状態で力と技を競えるよう、開催地の気候に合わせた開催時期にすべきだ。


民放AM廃止 災害時に情報どう届ける
 民間のAMラジオ放送が転機を迎えている。
 広告収入の落ち込みなどで、老朽化した送信用施設の更新が難しいという。民放連が、事業者の判断でAMを廃止しFM放送に転換できるよう総務省に制度改正を要請した。2028年までの対応を求めており、実現すれば、民間のAMラジオ局の多くがいずれFMに転換するとみられる。
 民放連によると、放送を中断せずにAMの送信用施設を更新するには、ヤフオクドーム程度の広大な用地を別に手当てしなければならない。AMラジオの営業収入はピーク時の4割以下の水準だ。今後も減少傾向が続く見通しで、事業を続けるにはコストを削るほかない。
 経営判断に口を挟むつもりはない。ただ、ラジオには災害時に必要な情報を届ける役目がある。停電時でも乾電池と受信機があれば放送が聴ける。車載ラジオもある。東日本大震災や熊本地震の際も、ラジオが多くの有益な情報や励ましの声を被災者に伝えた。FM転換で放送を聴けなくなったり、電波が届かない地域が生じたりするのは好ましくない。ローカル番組が充実している民放ラジオの将来像は、暮らしに寄り添うライフラインとしての役割を踏まえた議論が必要だろう。
 現実にはラジオの聴取方法は多様化している。インターネットを利用してスマートフォンやパソコンで聴く人も増えている。山間部や高層ビルが立ち並ぶ都市部での難聴対策として、AMラジオの番組を同時にFMラジオで流す補完放送(ワイドFM)を多くの放送局が行っている。雑音が少なくきれいな音声が楽しめると好評だそうだ。
 それでも課題はある。ワイドFMはテレビの地デジ化で空いた周波数帯を使っているため、対応した受信機でないと聴くことができない。三菱総合研究所のアンケートによると、家庭にあるラジオのうち、ワイドFM対応機器は5割程度で、AMの番組をFMで聴けると知っている人は約3割にとどまった。
 海外まで電波が届くAMに比べ、FM波の到達範囲は狭く、山陰にも回り込みにくい。ワイドFMに一本化されれば、九州の一部の離島や山間部では放送を聴けなくなる恐れがある。ラジオを頼りにし、楽しみにしている人を切り捨てるような切り替えは避けるべきだ。
 NEXCO西日本によると、高速道路のトンネル内では、ラジオが途切れないよう外部で受信した電波を再放送している。こうした対応も必要になる。
 南海トラフ巨大地震など、広域が被災する事態も念頭に民放ラジオの在り方を考えたい。


日米2プラス2 軍事一体化の危険さらに
 米国との軍事分野での一体化がさらに加速することになる。
 日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書は、宇宙やサイバー空間など新たな防衛領域での連携強化を盛った。
 念頭にあるのは、ロシアや中国だ。軍拡競争に日本が加担し、助長することにならないか。国内で深く議論もせず、前のめりに進めるのは認められない。
 共同文書は宇宙、サイバーに加え、通信妨害が心配される電磁波の領域での急速な技術進歩に懸念を表明した。3領域を対処が必要な優先分野と位置付けている。日本へのサイバー攻撃は、米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用対象とも確認した。
 日本政府が昨年12月に閣議決定した新たな「防衛計画の大綱」と同じ趣旨である。新領域に対処する能力の獲得、強化を打ち出していた。従来の陸海空だけでなく新領域を含め、垣根を越えて運用する「多次元統合防衛力」を基本的な考えに据えている。
 防衛省は「サイバー防衛隊」を既に設立しており、2022年度には航空自衛隊に「宇宙領域専門部隊」の創設を予定する。米軍との一体運用により、自衛隊の活動が野放図に拡大しかねない。
 トランプ米大統領は1月にミサイル防衛強化のための新戦略を発表し、宇宙への重点投資を表明した。音速を大きく超える速度で精密攻撃する極超音速兵器など中ロが開発する新型兵器に対抗するため、宇宙配備型の迎撃システムの実現を目指すという。
 新戦略を発表した演説でトランプ氏は「米国は多くの裕福な国を守っている」とし、同盟国に「公正な費用分担」を求めていた。今後、安全保障に関わる費用の負担増や兵器購入の一層の拡大を迫られる可能性がある。
 中ロの脅威を強調し、力で張り合うことが地域や世界の安定に資するのか。かえって緊張を高める心配が拭えない。宇宙、サイバーを巡って急がなければならないのは、軍事に歯止めをかけるための国際ルール作りだ。外交にこそ力を傾けるべきである。
 中国に対して共同文書は、東シナ海、南シナ海情勢にも触れ「現状を変更しようとする一方的な試み」に深刻な懸念と強い反対を表明した。この先、中国との関係改善をどう図っていくのかも改めて問われる。
 日米一体化について政府はリスクを含め、国会や国民に考え方を詳しく説明する責任がある。


ブラックホール 国際協力が生んだ快挙だ
 理論上は存在するとされ、これまで数多くの想像図が描かれてきたブラックホールの実像が、人類史上初めて画像として捉えられた。
 日本を含む国際チームが、世界各地の電波望遠鏡を連携させ、地球から遠く離れた銀河の中心にある超巨大ブラックホールを極めて高い解像度で観測し、撮影した。画像では、高温のガスなどが放つ直径1千億キロの円形の光を背景に、ブラックホールが黒く浮かび上がった。
 世界初の快挙であり、専門家からは「ノーベル賞級」との評価も出ている。実像を捉えたことで、深遠な宇宙の謎の解明がさらに進むことが期待される。
 ブラックホールは非常に重く、重力も強い天体で、光さえも吸い込む。太陽の数倍〜10倍程度の重さを持つものは寿命を終えた星の残骸とされる一方、100万〜100億倍超の超巨大ブラックホールは、形成される過程に不明な点が多い。
 今回、高い解像度での観測が成功した鍵は、日本や欧米など世界の研究者ら200人以上が参加し、一つの目標に向かって国際協力できたことだ。南米チリにあるアルマ望遠鏡をはじめ欧州、南極などの望遠鏡を組み合わせることで、仮想的に直径1万キロという地球サイズの電波望遠鏡を作成して観測した。視力は人だと良くて1・5程度なのに対し、仮想望遠鏡は300万にもなる。
 日本の研究者らも大きな役割を果たした。日本は、欧州などと共同運用するアルマ望遠鏡のチームで参加し、現地では約40台の望遠鏡を連携させて観測データを提供した。データを処理して画像を作る技術でも日本の研究者が貢献した。
 6年前から本格運用が始まったアルマ望遠鏡で、日本が製作したのは16台ある。高い精度が要求される鏡面の加工を岡山県内の中小企業が担ったことにも注目したい。金属加工のタナカマシーナリー(総社市下林)と、オオタ(岡山市北区今保)だ。タナカマシーナリーは大量のアルミ板を精密かつ効率的に薄く削る工程を担い、オオタはその薄板を極めて滑らかに仕上げる工程に携わった。
 オオタでは、パネルは厚さ2ミリと変形しやすく、刃先を押し当てるだけでゆがみが生じてしまう難作業だったが、刃先を当てる同じ強さでパネルを裏から押し返す装置を考案し加工した。地域の中小企業の職人たちによる高度な技術が世界的な快挙に結びついたことを喜びたい。
 今回の撮影成功の次に期待されるのが、ブラックホールが周囲のちりやガスを吸い込む様子の詳細な観測だ。そこでの物質の動きを知ることで、ビッグバン前に超高密度だった初期段階の宇宙を知る手掛かりになると考えられる。星や銀河ができる過程も分かる。宇宙の歴史に一層迫れるに違いない。


[新時代へ・交通] 「生活の足」をどう維持
 2011年(平成23)年3月12日、県民の悲願だった九州新幹線が全線開業した。1991年9月の正式着工から鹿児島中央−新八代間の一部開業を経て新大阪まで直結した。
 高速道路の整備も進み、県内高速道の総延長は、89(平成元)年に比べて2.8倍に延びた。東九州道や南九州西回り道も延伸が続いている。
 利便性が格段に向上した陰で、在来線やバス路線の縮小を招いた。学生や高齢者らにとっての「生活の足」をどう維持するのか。事業者だけでなく、地元自治体や住民が解決策を模索していかなければならない。
 89年、西鹿児島(現鹿児島中央)−博多間は特急「有明」ハイパーサルーンで4時間5分を要した。全線開業によって博多まで最短1時間16分、新大阪まで最短3時間46分で結ばれ、大都市圏との距離感がぐっと縮まった。
 関西、中国方面から観光客が増加、福岡、熊本に販路を求める企業が増えた。通勤通学など日常の足としても利用されるようになった。こうした「新幹線効果」をさらに高めていきたい。
 89年当時、県内高速道は鹿児島市とえびの市をつなぐ九州道の約67キロだけだった。95(平成7)年にえびの−人吉間が開通、列島が高速道でつながった。92年には隼人道路(加治木−隼人東)が開通し大隅半島への東九州道建設が始まった。南九州西回り道は平成10年代から順次開通した。
 交通網の整備は車社会に拍車を掛けた。国鉄民営化に伴って昭和末期の87、88年にローカル鉄道が相次いで廃止された。その後も利用は伸びず、特に肥薩線や吉都線、指宿枕崎線の指宿−枕崎間で客の減少が著しい。
 昨年、県内の在来線は大幅に減便され、通学の高校生らは不便を強いられている。九州新幹線の一部開業で川内−八代間の並行在来線を引き継いだ第三セクター「肥薩おれんじ鉄道」は14年連続で経常赤字を計上している。
 人口減少が進む中、公共交通機関は今後一層、先細りしていく恐れがある。高齢ドライバーの事故も多発している。県内で広がりつつある高齢者向けの買い物バスの運行など多様な交通手段の確保が必要だろう。
 空の便は2002年にスカイマークの鹿児島−羽田線が就航して以来、「価格破壊」が進んだ。現在も格安航空会社(LCC)各社が鹿児島空港や奄美空港に乗り入れ、目的地などに応じて新幹線と航空機を使い分けられるようになった。
 だが、スカイマークが06年に一時撤退し、九州新幹線も昨年3月、減便になったように、利用が低迷すれば路線や便数の見直しは避けられまい。観光客の誘致など交流人口をさらに増やすとともに、県民に一層の利用促進を促す対策も不可欠である。


池袋暴走事故で元通産官僚の容疑者を逮捕せずネットで批判…元検察幹部の人身事故でも逮捕見送り恣意性丸出し捜査
 東京・池袋の都道で乗用車が暴走し、横断歩道を自転車で渡っていた31歳の母親と3歳の娘がはねられ死亡したほか、8人が重軽傷者を負った事故。運転していた男性は87歳の高齢で「アクセルが戻らなくなった」などと説明しているというが、警察は車体にトラブルが確認できないことから運転操作を誤った可能性を視野に捜査しているという。
  相次ぐ高齢者運転者による事故が社会問題となるなか起きてしまった痛ましい事件だ。報道によれば、乗用車は二つの交差点に赤信号を無視して進入。ドライブレコーダーに残された記録によると、同乗していた80代の妻から「危ないよ、どうしたの?」と声をかけられた男性は「どうしたんだろう」と返したものの、その後もスピードを上げていったという。男性は警察に対して事故を起こしたことを認めている。
 他方、ネット上で大きな関心が高まっているのは、警察が男性を逮捕していないことだ。各社の報道を総合すると、警察は男性がけがをしていることや証拠隠滅の恐れがないことから逮捕はせず、回復を待ってから詳しく事情を聴くという。
 Twitterなどでは、男性が通産省(現経産省)の元官僚で、大手機械メーカー・クボタの副社長などを務めた経歴に注目が集まり、「警察が忖度して逮捕しなかった」などという声が多数あがっている。さらには「上級国民」なる言葉までもがトレンドに浮上。〈日本が階級社会であることが証明された〉〈これぐらい功績を残しとけば数人轢いても逮捕されないのか〉などというのである。
 たしかに、池袋で事故を起こした男性が元高級官僚であったことは事実だ。男性は東京大学工学部卒業後、1953年に通産省の工業技術院計量研究所に入った。工業技術院は様々な研究を行う通産省の行政機関である(2001年に国立研究開発法人産業技術総合研究所に統合再編)。部長や所長などを務め、1986年にはトップの院長に上り詰めた。
 男性の経歴からは、一貫して技術・研究畑を歩んだエリートであったことが窺える。1986年に工技院長を退官した後も、国際的な技術系組織の委員などを務めながら、1991年にクボタへ常務として再就職。98年に同社副社長、2000年に顧問となった。2015年秋の叙勲では瑞宝重光章をうけている。
 いま、ネット上で「逮捕されなかった理由」として取りざたされている「上級国民」なる言葉は、こうした男性の官僚経験や社会的地位を意識したものだろう(ネット上では〈上級国民だから無罪か〉などという書き込みも散見されるが、逮捕と起訴は法的に別行為なので、これは早とちりである)。
 一般論としては、交通事故等に限らず、加害者を逮捕するかどうかは警察の裁量次第であることが多く、事件の悪質性に加えて、健康状態や容疑の認否などを考慮して、これまで人身事故の加害者を逮捕しなかったケースがないわけではない。
 ただし、今回の事件を機に、あらためて「警察は逮捕するかしないかを恣意的に決めている」との疑念が生じること自体は、至極まっとうではある。
 事実、加害者の様々な事情を考慮して逮捕しないケースがある一方で、容疑の認否や高齢等にかかわらず警察が身柄を拘束するケースはザラにある。とりわけ、今回のような複数人の死傷者を出した重大事故の場合は加害者が逮捕されることのほうが多いだろう。
 たとえば昨年1月9日、群馬県前橋市で通学途中の女子高生2人がはねられて一人が死亡、一人が重体となった事件では、同日夜に警察は運転していた男性を過失傷害の容疑で逮捕している(のちに検察は過失運転致死傷の罪で起訴)。男性は当時85歳と高齢だった。池袋事故のケースと同じく、加害者が容疑を認め、自身もけがを負ったが、群馬県警は在宅捜査ではなく逮捕したわけだ。
石川達紘・元高検検事長は暴走死亡事故を起こして否認しても逮捕されず
 今回の池袋事故において、警察が男性を逮捕しなかった背景に“過去の経歴への配慮”があったかどうかは現段階ではわかっていないが、こうした「法の下の不平等」が現実に行われている状況を考えると、やはり、「警察は恣意的に逮捕するかどうかを決めている」との疑念が強まるのは当然だろう。
 実際、日本の司法では、権力にたてついたり、告発したりした人間は、微罪でも長期勾留される一方、権力者、政治的な絡みがある相手、検察や警察といった身内に対しては、よほどのことがないかぎり逮捕しないということが相次いでいるからだ。
 たとえば、最近も元検察幹部に対するありえない処遇が発覚している。昨年2月、相手を死亡させる交通事故を起こし、容疑を否認したにもかかわらず、逮捕されないまま10カ月後になって書類送検、そして今年3月22日にようやく過失運転致死等の罪で在宅起訴されたケースだ。
 この元検察幹部とは、東京地検検事正、名古屋高検検事長などを歴任した石川達紘弁護士。しかも、石川氏はたんに検察幹部だったというだけではない。かの「ロッキード事件」の捜査に関わり、1989年に東京地検特捜部長に就任。以降、検察幹部として「東京佐川急便事件」で金丸信・自民党副総裁や、「ゼネコン汚職事件」で中村喜四郎元建設相の逮捕に関わったほか、野村証券などの「四大証券事件」では次々と社長、会長の身柄を取り、「大蔵省接待汚職」に至っては新井将敬衆院議員の逮捕許諾請求を国会の場でやってのけた(新井議員は直後に自殺)。事ほどさように「逮捕」にこだわり、名実ともに“特捜検察の鬼”の名をとどろかせた人物でもある。
 問題の事故は、東京都港区白金で昨年2月に起きた。トヨタの高級車「レクサス」を運転していた石川氏は道路の路肩でいったん停車し、知人を乗せようとした際に急発進して暴走。歩道を歩いていた37歳の男性をはねて死亡させ、さらに道路脇の金物店に突っ込んで建物の柱やシャッターなどをめちゃくちゃに壊す大事故を起こした。
 警視庁は、通常の交通死亡事故なら現場を所管する高輪警察署に任せるところだが、容疑のかかった相手が検察の大物OBだけに本庁が捜査に乗り出し、交通捜査課が担当した。これは異例のことだと言われている。
逮捕するかしないかを恣意的に判断する警察、日本に法の下の平等はあるか
 検察の交通事故といえば、後に特捜部長に就任することになる検事が東名高速で横転事故を起こしたことがある。同乗者に怪我を負わせたため、業務上過失傷害容疑で略式起訴され、罰金刑を受けるほどの事故だったにもかかわらず、発生直後、一度も報道されることはなかった。
 他にも、警察官による刑事事件で警察が逮捕をせずに捜査をしたというケースはザラにある。こうしたことからも、日本の司法当局の身内に甘い体質は、強く批判されるべきだ。
 念のため言っておくが、本サイトはなんでもかんでも逮捕して、身柄を拘束して取り調べを行う警察のやり方には反対の立場だ。また、今回の池袋のケースでいえば、事故を起こしたことを認めている男性の回復を待ってから事情を聞くという段取りは人権上、当たり前のことである
 あえて引用はしないが、ネットで加熱している男性への罵倒についてもいささか度を超えているように思える。問題なのは「恣意的な逮捕」を疑わせる警察の体質のほうであることを忘れてはいけない。「上級国民」なる表現で一括りにすることは、その問題の本質を見誤らせかねないだろう。最後にそのことは強調しておきたい。


大食い客から猛批判「やよい軒」おかわり有料化の視界不良
「ごはんのおかわり無料」をウリにしてきた定食チェーン「やよい軒」の方針転換に衝撃が走っている。約3%にあたる一部店舗で16日から、白米のおかわりはプラス30〜100円、十六穀米の大盛りはプラス50円へと「有料」にしたのだ。
 やよい軒を運営する「プレナス」は、メディアの取材に「同じ価格だと不公平感があった」と説明。有料化は試験的な実施で、顧客の評価を検証し、方向性を決めるという。
 どうやら、おかわりをしない利用客から「自分たちは損をしている」という不満の声が上がり、有料化したようだ。
 しかし、ネット上では、〈やよい軒の存在価値なくなるやん〉〈人が得してるのが気に入らないんだね〉などと批判の声が殺到している。タレントの伊集院光もラジオ番組で、「由々しき問題ですよ。やよい軒といえば、おかわり自由だったんですけども、我々の勝ち取った自由が脅かされている」と嘆いた。
 岡山商科大の長田貴仁教授(経営学)が言う。
「やよい軒がやろうとしていることは分からないではありません。今は、ガッツリ食べる若者があふれている時代ではない。高齢化社会や健康志向が強まる中、小食のニーズに配慮して、価格帯に“メリハリ”をつけたかったのでしょう。ただ、今回のやよい軒のやり方がうまくいくとは思えません」
■「経営としては愚策」
 やよい軒では、高齢者や女性、健康に配慮する客の割合は増えているが、半数のお客は白米をおかわりをするという。長田貴仁教授が、こう続ける。
「小食とおかわりのニーズが拮抗している中途半端な時に、おかわりを有料化するのは経営としては愚策ですよ。おかわり派は反発し、逃げてしまう客もいるでしょうし、他方、おかわりナシでも値段は変わらないのだから、小食派が増えるわけでもありません。価格差をつけたいのなら、おかわりナシの価格を少しでも下げればよかったのです。おかわり派の負担は増えないし、おかわりナシの値下げで新たな小食派を呼び込むことにもなります」
 確かに「おかわりの有料化」で、誰も“得”をしていない――。プレナスに取材を申し込んだが、「担当者が不在で対応できない」との回答だった。有料化の実験はどんな結末になるのか。


“貧困層への支援を” 仏大聖堂への多額寄付が批判の的に
フランスでは、火災で甚大な被害を受けたノートルダム大聖堂の再建に向けて、多額の寄付が短期間に集まる一方、これとは対象的に、貧困層への支援はなおざりだという批判の声が上がり始めています。
パリ中心部のノートルダム大聖堂の再建に向けて、フランスでは高級ブランドや化粧品メーカーなど4社が相次いで支援を表明し、地元メディアは寄付の総額は近く1250億円に達する見込みだと伝えています。
こうした中、市民からは、多額の寄付をめぐって批判の声が上がり始めていて、20日パリ中心部で行われたデモでは参加者が「人よりも大聖堂への支援が優先されている」などと訴えました。
工場で働く23歳の男性は、「再建に多くの寄付が集まる一方で、路上生活者や貧しい人への支援がなおざりなのはひどい」と話していました。
また、仕事がなく、半年間、車で寝泊まりしているという女性は、「再建はもちろん必要だと思うが、もっと大事なこともあるのではないか」と話していました。
地元メディアも、大聖堂の再建に集中するあまりほかの慈善事業への寄付が減るのではないかという懸念の声を伝えていて、フランス国内では大聖堂の再建と貧困層への支援の在り方が議論になりつつあります。

甲東園でいい話/久しぶりのぺピぺ→頑張って感想

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Japon : un village dépeuplé où les poupées ont remplacé les humains
Les communes se dépeuplent au Japon, et dans l'une d'elles, une artiste s'amuse à repeupler son village avec des poupées qu'elle fabrique.
L'école de Nagoro, au Japon, est fermée depuis sept ans. "Dans cette classe, j'ai reconstitué la journée de visite des parents, comme ça pouvait se faire avant, quand il y avait du monde et de l'animation", raconte Ayano Tsukimi. Ce petit village de l'ouest du Japon ne compte plus que 27 habitants et 270 poupées à taille humaine. Devant une épicerie abandonnée, une famille de ces poupées patiente.
40% des communes au Japon sont dépeuplées
Ayano Tsukimi place ses poupées un peu partout dans le village pour égayer la solitude. Elle les fabrique depuis seize ans. "La première que j'ai faite, c'est celle de mon père, se souvient-elle. Je lui avais mis ses vêtements et l'avais déposée dans mon potager. Certains voisins, pensant que c'était vraiment mon père, lui ont adressé la parole : 'Bonjour, t'es bien matinal aujourd'hui !'" Au Japon, environ 40% des communes sont dépeuplées. À défaut d'habitants, les poupées de Nagoro attirent aujourd'hui des visiteurs.
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フランス語の勉強?
平川克美 @hirakawamaru
ファシズムは、わかりやすい指標であれば、なんであれ利用し、国民の間に憎悪と排除の空気を作り出す。喫煙の良し悪しと、喫煙者を排除することは全く別のこと。理性の府であるべき大学が、それをいっしょくたにするとは。
堀 茂樹 @hori_shigeki
喫煙者である事と、職場で喫煙する事はまったく別の事なのに、知性の府である筈の大学が幼稚な倫理観で両者を混同し、喫煙者差別に乗り出すとは!思想統制まであと一歩の重大な勇み足。この手の「倫理」の暴走が自由権を侵し始めているのが、今日の社会の特徴の一つである。⇒大学で初か 長崎大 喫煙者を教職員に採用しない方針
フリップ村上 @fripp_murakami
『主戦場』舞台挨拶では、ミキ・デザキ監督の次の言葉が印象的だった。
誰かを反日と決めつける人々は、自分たちだけが「誰が日本人で、誰が反日かを決定する権利を持っている」と確信している。
これほど明確なネトウヨの定義はこれまでなかったのではないか。

鐘の音 @kanenooto7248
経済界「終身雇用なんて無理。全員非正規にしたい」
経済界「新人教育なんて無理。全員即戦力だけ欲しい」
経済界「残業代なんて無理。なくても働け」
経済界「定期昇給なんて無理。安いままで働かせたい」
経済界「おかしいな? 人手不足だ。腕のいい技術者が海外に流出する。愛国心がない」

放出中古車センター @olyziasspp
中学の時、初めて部落差別を授業で聞いた時に「こんなの知らんかったらいいことだからいらんこと教えんな」という俺に「お前みたいなのがどっかで歪んだ情報仕入れて偏見や差別が起こるのだから、今きちんと教えるんや」旨のことを言った国語の伊藤先生ありがとうございました。
石原俊@中公新書『硫黄島ー国策に翻弄された130年』1月18日発売 @ishihara_shun
あえていわせてもらうが、学校でのいじめや差別は、一度でも経験すると被害者の心身に取り返しのつかない影響を与える「犯罪」として扱われるべき。それが、取り返しのつかないこの女性の死から、わたしたちが得るべき「教訓」だと思います。“日本に戻らなければよかった”

阪急で甲東園に向かいます.駅近くにいろいろ喫茶店とかレストランとかあるけど,とりあえず坂を上って,安めのランチ.
いい話を聞くことが出来ました.そして久しぶりのぺピぺでした.帰りはお話ししながら帰りました.
しかし,まだ仕事があります.今日のいいお話し,頑張って感想をメールしました.
寝屋川に行ったらアベさんと会えたかもしれないけど,甲東園でよかったです.

被災住宅の修繕、仙台1万棟未完了 8割が「半壊」判定、支援対象外
 東日本大震災で半壊以上の被害を受けた仙台市内の住宅約1万棟の修繕が未完了であることが、市が昨年実施した損壊家屋の修繕状況調査で分かった。このうち8割が生活再建支援制度の対象外となる「半壊」判定だった。宮城県内で同様の調査をした自治体と合わせると、修繕未完了の家屋は少なくとも1万5000棟を超えるとみられる。
 震災から8年が過ぎ、生活困窮などの理由で今なお自宅を直し切れない被災者の実態がうかがえる。制度の隙間に陥る在宅被災者の存在を指摘する声もある。
 仙台市の調査は昨年9月、被災家屋に対する固定資産税軽減措置の減額割合を見直すため郵送で実施。半壊以上の罹災(りさい)証明書を交付され、2017年度時点で修繕が未完了かつ解体されていなかった約1万1000棟の所有者を対象とした。
 「修繕済み」「解体済み」「未修繕」のほか、完全に補修できていない「一部修繕済み」の四つから選択し、未修繕の箇所を具体的に記入する内容。
 市資産税企画課によると、非居住の建物を除いた住宅約1万棟のうち約5100棟が「未修繕」、約4400棟が「一部修繕済み」と回答した。「修繕済み」「解体済み」は計約330棟だけだった。
 市は適正な課税を目的に、14年度から毎年調査をしている。同課は「所有者の事情はさまざまで、生活再建の度合いを一概に評価はできない」と説明する。
 市の半壊世帯への修繕支援は応急修理制度(52万円)のみ。市社会課の和泉政博担当課長は「今の枠組みでは半壊世帯をカバー仕切れていない。(大規模半壊以上が対象の)加算支援金の未申請者がまだ多くいる。まずその問題を解決したい」と話す。
 同様の調査は県内の複数の自治体が取り組んでいる。16年度に行った石巻市の場合、被災などで評価額が8割以上減少した建物を除く半壊以上の約7400棟を調べ、住宅約3160棟が修繕未完了だった。他の自治体でも40〜1000棟が確認された。
 在宅被災者支援を続ける一般社団法人「チーム王冠」(石巻市)の伊藤健哉代表理事は「生活に余裕のない人が突然災害に見舞われ、公的支援が少なければ住宅を直せないのは当然。一人一人の状況を具体的に調査すべきだ」と提言する。


被災、再建の気仙沼「すがとよ酒店」が100周年 20日から感謝祭、限定酒販売も
 東日本大震災で被災した後、再建を果たした気仙沼市鹿折地区の「すがとよ酒店」が創業100周年を迎え、20、21の両日、感謝祭を開く。津波で夫と義父母を亡くした店主の菅原文子さん(69)は「生かされた意味をかみしめて頑張る」と決意を新たにしている。
 同店は1919年、初代の菅原豊吉さん、フエさん夫妻が雑貨商から始めた。平成となった89年、鉄骨の店舗に建て替えたが、震災の津波で全壊。文子さんは夫で3代目の豊和さん=当時(62)=、義父母の豊太郎さん=同(91)=、のり子さん=同(89)=を失った。
 仮店舗などでの営業を経て2016年12月、創業の地、鹿折で店を再建した。震災の翌年、豊和さんが発見された所のすぐ近くだ。
 「すがとよにとって、平成は激動の時代だった」と文子さん。「支援を受けた全国の皆さんと縁がつながり、今日があることを忘れてはいけない」と語る。
 支援の広がりや地域からの激励を受け、地元小売店としての役割、商いの大切さを再確認した。豊吉さん、豊太郎さんとも長く自治会長を務め、出漁する船に酒を積み込み、上棟式や結婚式などの重要行事に酒を提供してきた。
 地域と深く関わってきた歴史がある一方、今は大手スーパーやコンビニ、インターネット販売の時代。文子さんは「『小売店ははやらないから、もう(店を)やめたら』と言われたこともあった」と明かす。「でも、お客さんとの会話や地域とのつながりを大事にしたい。令和は小売店が存続できる時代であってほしい」
 店は現在、次男英樹さん(43)とめい、従業員の4人で切り盛りする。英樹さんは「店は母の生きがいですから」と温かく見守る。
 感謝祭は20、21日とも午前10時から。本数限定の記念酒「初代豊吉」を売り出す。20日はそばの振る舞いやピアノ弾き語り、21日は讃岐うどんの振る舞いなどもある。連絡先は、すがとよ酒店0226(24)1111。


<被災住宅修繕未完了>固定資産税軽減の評価見直し、宮城の自治体間で格差 気仙沼市などは未実施
 東日本大震災で損壊した家屋の固定資産税の軽減措置で、3年に1度の評価額見直しを巡り、宮城県内の自治体で格差が顕在化している。修繕状況に応じ適正額に戻す自治体がある一方、実態が把握されず軽減措置が続いているケースもある。
 軽減措置は2012年に始まり、総務省は震災から3年が過ぎた14年8月、修繕状況を評価に反映させるよう求める通知を出した。
 仙台市は同年10月、半壊以上の損壊判定を受け、解体されずに残っていた約6万3000棟を対象に郵送で調査を実施。回答結果を15年の評価替えに反映させた。調査は毎年行い、現在の減額対象は約1万1000棟となった。
 名取市も調査を継続しているほか、石巻市、塩釜市、多賀城市、亘理町、山元町などが過去に調査を行い、いずれも評価額見直しに反映させた。
 未実施の自治体のうち、気仙沼市は「21年の評価替え前にアンケートを実施したい」、栗原市は「震災から一定期間たったので見直しは必要。何らかの行動はしたい」と説明する。
 被災規模が大きい自治体の中には、人手不足などで対応が追い付かない事情もある。東松島市の担当者は「税の公平性の観点から見直しは必要だが、被災棟数に比べて人員が少ない」と嘆く。岩沼市、宮城県女川町も調査は未定という。
 次回の評価替えは21年に行われる。
[固定資産税の軽減措置]東日本大震災で被災した家屋の評価額を損壊判定に応じて減額し、固定資産税を軽減する措置。総務省は11年10月の通知で全壊60%、大規模半壊45%、半壊25%との目安を示した。仙台市と石巻市は同割合で軽減措置を取った。評価替えは3年に1度実施。自治体の裁量で毎年行うこともできる。


<被災住宅修繕未完了>底突く退職金、年金暮らし…自宅損壊のまま生活「追い詰められる」悲痛
 東日本大震災から8年が過ぎてなお、津波や地震で損壊した自宅での生活を強いられる被災者は少なくない。仙台市青葉区中山で暮らす無職菅沢啓子さん(67)の自宅を訪ねた。
 築45年の木造2階。激しい揺れで2階の複数の柱に深い割れ目が入り、1階の天井のはりはずれたままだ。市の修繕状況調査には「一部修繕済み」と答えた。
 震災で2階のコンクリート敷きのベランダがずれ落ち、屋根が引っ張られて天井がはがれた。1階のサッシは開閉できなくなった。
 天井の張り替え、玄関の修理など補修代金は約800万円に上った。25年勤めた会社の退職金や火災保険の見舞金を充てたものの、直し切れなかった。
 市の目視による損壊判定は「半壊」。異議を申し立てたが、2度目の判定でも覆らず「津波の被害でもっとひどい人がいる」と言われた。公的な支援は応急修理制度(52万円)と義援金(54万円)だけだった。
 生活再建支援制度では半壊住宅を解体して建て替えた場合、最大300万円が支給される。菅沢さんは知らなかった。「仕事が忙しく、誰に相談すればいいか分からなかった。知っていれば自宅を解体して新築していた」と嘆く。
 1人暮らし。震災後、過労や人間関係の悩みでうつ病を発症した。退職金は自宅修繕で使い果たし、年金で暮らしをつなぐ。菅沢さんは悲痛な思いで訴える。
 「時間がたつほど追い詰められる。どうすればいいか分からず困っている人は他にもいるのではないか」 (石巻総局・氏家清志)


<震災不明者>切手のDNAで身元判明 宮城県警公開の似顔絵が端緒に
 宮城県警は19日、東日本大震災の津波で流され、石巻市泊浜で見つかった遺体が女川町女川浜の平塚真澄さん=当時(60)=と判明したと発表した。県警が公開している身元不明犠牲者の似顔絵が情報提供の端緒となり、平塚さんが10年前に親族に宛てた手紙に貼った切手から採取したDNA資料が身元判明の決め手になったという。
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 県警によると3月16日、似顔絵を見た平塚さんの親族から「口元とあごの線が(平塚さんの)異母弟に似ている」と連絡があった。八戸市に住む異母弟から事情を聴くと、平塚さんから届いた複数の手紙を持っていることが分かった。
 このうち、2009年5月18日女川郵便局消印のある切手の添付面の唾液からDNA型を検出。鑑定の結果、遺体から採ったDNA型と一致した。
 平塚さんの遺体は震災から約1カ月後の11年4月9日、泊浜漁港防波堤近くの海上で見つかった。親族が同月4日に行方不明届を出していたが、身元を特定できずにいた。
 県警は24日、平塚さんの親族に遺骨を引き渡す。捜査1課の菅原信一検視官は「10年前に貼った切手が決め手になるとは思わなかった。少しの手掛かりが身元判明につながる場合もある。引き続き情報提供に協力してほしい」と話す。
 県警によると、平塚さんの身元判明により、県内で発見され身元が分からない遺体は9体となった。


<潮風トレイル>被災地巡る支援の道 閖上に拠点完成
 東日本大震災の沿岸被災地を歩いて支援する環境省のプロジェクト「みちのく潮風トレイル」で、本部機能を担う拠点施設「名取トレイルセンター」が名取市閖上に完成し、現地で19日、開所式があった。
 地元関係者ら約30人が出席し、テープカットで祝った。施設を管理するNPO法人みちのくトレイルクラブ(名取市)の佐々木豊志代表理事が「震災をいつまでも語り継ぐための記憶の道とすることが、大きな使命だ」とあいさつした。
 名取トレイルセンターは敷地面積約2万平方メートル。本館は木造平屋約1140平方メートルで、展示室や作業室のほか、ハイカー向けに休憩スペースや無料のシャワー室などを備えている。総事業費は約6億円に上る。
 名取トレイルセンターはみちのく潮風トレイルの沿線5カ所にある支部を統括する。全線のルート情報や宿泊、食事などの情報を集約し、センター内の大型パネルで掲示。スタッフ4人が常駐し、ハイカーの相談に応じる。
 みちのく潮風トレイルは八戸市から相馬市までの4県28市町村に全長約1000キロのルートを設定し、これまでに750キロが開通した。石巻市から仙台市や、岩手県内の一部区間など計250キロが未開通だが、6月9日に全線開通する。
 開所式に先立ち、津波被害から復興が進む閖上地区を歩く記念イベントがあり、約50人が2.5キロを散策した。名取市の今野弘身さん(78)は「5000歩以上も歩き、気持ちいい。1年ぶりに閖上に来たが、(復興は)だいぶ進んでいる」と話した。


<震災遺構>旧門脇小「部分保存」変更せず 石巻市、8月にも解体着手
 東日本大震災の遺構として宮城県石巻市が旧門脇小を部分保存する方針に地元住民が再考を求めている問題で、市は19日、方針は変更しない意向を地元住民でつくる「全体保存を要望する会」に伝えた。8月にも解体に着手する。住民側は「全ての説明が不足している」と反発を強めている。
 市は市民アンケートの再実施や市伝承検討委員会の開催はいずれも行わない考えを示した。費用については、全体保存の整備費(2017年3月時点)が9億4900万円(部分保存は5億5000万円)、維持管理費は10年で1億5400万円(9600万円)になると説明。部分保存には観察棟の経費が含まれない。
 「住民合意」に関する復興庁への説明が事実に反するとの指摘には、17年の市議会全員協議会や町内会役員との打ち合わせなどで異論が出なかったことを挙げ、理解を求めた。
 回答書を受けた同会の本間英一さん(70)は「市民の意見を大切にすると言っているが、意見を聞く場はなかった」と市の対応を批判。阿部豊和さん(67)は「遺構としても、この地を去った人たちにとっても今の形が一番貴重だ」と訴えた。
 市は20年度末までの整備を目指し、市議会6月定例会に関連議案を提出、8月にも解体に着手する方針。
 同会は3月22日、亀山紘市長にアンケートの再実施や全体保存する場合の費用の明示など4点を求める要望書を提出していた。


旧向洋高校の来館者 1万人超
東日本大震災の津波で被災し、震災遺構として整備された気仙沼市の気仙沼向洋高校の旧校舎への来館者が、19日、公開より1か月あまりで1万人を超えました。
気仙沼向洋高校の旧校舎は、震災で、4階建ての最上階まで津波が押し寄せるなど大きな被害を受け、気仙沼市は、震災の記憶を伝える震災遺構として先月、公開しました。
公開から1か月余りがたった19日、神奈川県の越原真奈美さんが1万人目の来館者として訪れると気仙沼市の菅原茂市長などが拍手で出迎え、震災後の被災地の写真集などを記念品として贈呈しました。
その後、越原さんは語り部の説明を受けながら、がれきや参考書が散乱する教室や建物の3階部分に流れ着いた車など津波の爪痕が残る旧校舎を見て回っていました。
遺構には、見学後、訪れた人たちが感想を付箋に書いて貼るスペースがあり、越原さんも「絶対に忘れない」という感想を付箋に書いていました。
越原さんは「震災遺構があるおかげで津波を経験していない私も当時のことを知ることができるんだと思います。私で1万人目ということですが、これからも多くの人に来てもらい、津波の脅威を感じてほしいです」と話していました。


<羽生選手カード付き乗車券>ゆづファン喜び爆発 発売の朝、地下鉄駅に長い列
 フィギュアスケート男子で五輪連覇した仙台市出身の羽生結弦選手(24)=ANA、宮城・東北高出=のポストカード付き地下鉄1日乗車券が20日、市地下鉄5駅で発売された。駅構内には早朝から整理券を求める長蛇の列ができ、乗車券を手に入れたファンは喜びを爆発させた。各駅とも目立った混乱はなかった。
 発売された乗車券には特典として、仙台伝統の絹織物「仙台平(ひら)」を着る羽生選手などオフショットを収めたポストカード3枚、ゆかりの地のミニ観光ガイドが付いた。市交通局は1万3000セットを用意し、20日午後5時まで販売する。
 仙台駅に並んで購入した青葉区の北仙台中1年辻楓(かえで)さん(12)は「羽生選手はジャンプも、着地もきれいですてき。オフショットの3枚は自分の部屋に飾りたい」と笑顔で話した。
 仙台駅には未明に整理券を求める人が集まり、配布開始の午前7時前には約260人の列となった。泉中央駅には約200人、荒井駅は約130人が並んだ。19日午後10時半ごろから泉中央駅で待機したという60代の女性は「夜はとても寒かった。羽生選手が小学生の時から応援していて、オフショットは確実に手に入れたかった」と語った。
 仙台駅に並んだ宮城野区の主婦秋田聖子さん(50)は「羽生選手は東日本大震災を世界にしっかり伝える姿が素晴らしい。乗車券は新元号の令和が始まる5月1日に使い、記念にするつもり」と声を弾ませた。


「SEIMEI」仙台でデザイン発表式
 平昌冬季五輪フィギュアスケート男子で2連覇した仙台市出身の羽生結弦選手(24)=ANA、宮城・東北高出=の新モニュメントのデザイン発表式が20日、仙台市青葉区の市青年文化センターであり、平昌五輪のフリープログラム「SEIMEI」の一場面を描いたデザインが披露された。
 モニュメントは高さ230センチ、幅160センチのガラス製パネル。SEIMEIの演技冒頭で羽生選手が動きだすシーンを描いた。市地下鉄東西線国際センター駅前にある羽生選手とトリノ冬季五輪金メダリスト荒川静香さんのモニュメント2基と並べて設置する。29日に除幕式がある。
 発表式には約2万通の応募から選ばれたファン600人が参加。羽生選手が登場すると大きな歓声と拍手に包まれ、「ゆづ〜」「おかえり〜」と声が飛んだ。
 羽生選手は「荒川さんの隣に自分が『2人』並ぶのは恐縮。でも、連覇したんだなと感慨深い」と語った。郡和子市長は「頂点を極めてなお高みを目指し、夢や希望、勇気、諦めないことの大切さを教えてくれた」と述べた。


ティラノサウルス類、久慈でも 宮古高生が歯の化石発見、白亜紀後期は国内初
 久慈琥珀(こはく)博物館(岩手県久慈市)は19日、久慈市小久慈町にある白亜紀後期(約9000万年前)の地層から、肉食恐竜「ティラノサウルス類」の歯の化石を発見したと発表した。宮古高通信制4年門口裕基さん(18)=宮古市=が昨年6月、同博物館の採掘体験場で発掘した。国内で白亜紀後期のティラノサウルス類と判明した化石は初めて。分析した早稲田大は8月、大規模な発掘調査に入る。(28面に関連記事)
 早大で19日、門口さんと鑑定した平山廉教授(62)=古生物学=が記者会見した。歯の化石は上顎前方左側に3本あるとされるうちの1本の先端部で、長さは9ミリ。体長は約3メートル程度と推定される。
 門口さんは高校の遠足で採掘体験をしていた際に発掘した。「ティラノサウルス類と聞いて驚いた。恐竜にますます興味が湧いた」と振り返った。
 平山教授によると、歯の断面がD字型で舌側面の中央部が隆起するなどティラノサウルス類の特徴がある。白亜紀後期の化石の発見例は世界的に少なく新種の可能性がある。
 ティラノサウルス類は、ジュラ紀から白亜紀前期(1億6500万年前〜1億年前)のプロケラトサウルス科や白亜紀後期(1億年前〜6600万年前)のティラノサウルス科など約30種類に分類される。国内では白亜紀前期の歯の化石が3点確認されている。
 平山教授は「手や足の骨が発掘できれば、新種として証明できるかもしれない。進化の過程の空白期を解明する手掛かりになる」と話した。化石は久慈琥珀博物館で21日から8月19日まで公開する。
[琥珀採掘体験場]久慈市小久慈町の久慈琥珀博物館から北東約300メートルにある大沢田川支流沿いの国内唯一の琥珀採掘体験場。白亜紀後期の「久慈層群玉川層」が分布し、絶滅したカメ類「アドクス」のほぼ完全形の甲羅や小型草食恐竜の腰骨(ともに2008年)、大型草食恐竜の歯(12年)など約20種の脊椎動物の化石約1800点が見つかっている。


<ティラノ類化石>宮古高生、学校の遠足で発掘 4月1日に連絡受け「冗談かと」
 白亜紀後期の地層からティラノサウルス類の歯の化石を発見した宮古高通信制4年門口裕基さん(18)は19日、早稲田大で記者会見し「すごい物を見つけたという実感はなかった。化石と確認されて驚いた」と笑顔を見せた。
 見つけたのは昨年6月24日。高校行事の遠足で久慈琥珀(こはく)博物館(久慈市)の採掘体験場を訪れ、アイスピックで地表をゆっくり削り、琥珀などを探していた。
 「牙のような物が転がり出たのが分かった。周囲の石よりも黒っぽかった。形から歯にも見えたので博物館のスタッフに知らせた」と振り返った。
 博物館からティラノサウルス類の化石と判明したと連絡を受けたのは4月1日。「子どもの頃からアニメやテレビゲームを通じて恐竜に憧れていた。本物の化石だったらいいなと考えていたが、エープリルフールの冗談かと思いました」と笑いを誘った。


<ティラノ類化石>久慈琥珀博物館で発見「福井に並ぶ名所に」
 ティラノサウルス類の歯の化石が発見された岩手県久慈市の琥珀採掘体験場の一帯では、これまでにも白亜紀後期の脊椎動物の化石約1800点が見つかっている。
 現在の地表から約8メートル掘り下げた9000万年前の地層は「久慈層群玉川層」と呼ばれ、軟らかい土質が特徴だ。発掘が容易なことから毎年約5000人が採掘体験に訪れるという。
 琥珀に交じって2009年、小型草食恐竜の腰骨の化石が初めて出土した。サメやカメといった水生生物の化石も多数発掘されており、一帯は当時、河口のような場所だったと考えられている。
 採掘体験場の近隣では12年、早大の平山廉教授(古生物学)の研究グループが発掘調査に着手。体長約20メートルという国内最大級の大型草食恐竜や肉食恐竜コエルロサウルス類の歯の化石を発掘する成果を上げた。
 久慈琥珀博物館は「恐竜の化石が多数発掘される福井県と並び立つような名所にしたい。採掘体験では琥珀と恐竜の化石の両方を掘り当てて楽しんでほしい」と話している。


<旧優生保護法>支援団体「法改正後も救済対象に」範囲拡大求める 岩手の男性が会見
 旧優生保護法(1948〜96年)が障害者差別に当たる条文を削除して母体保護法に改正後、精神障害を理由に不妊手術を強制されたケースがあるとして、支援者でつくる「全国『精神病』者集団」(東京)は19日、厚生労働省で記者会見し、旧法下の被害者を救済する法案に関し、改正後の強制手術も対象とするよう求めた。
 会見には2003年、精神障害を理由に不妊手術を強制された岩手県の男性(68)が同席した。
 国会で来週にも成立する見込みの救済法案は、旧法下で不妊手術を受けた被害者に一時金320万円を支給する。男性のようなケースは旧法の改正後で対象外となっている。
 法案に関し男性は「手術を受けさせられた理由は(旧法下の手術と)同じで対象にならないのはおかしい」と強調。「自分と同じような状況に置かれた人は全国にいると思う。ぜひ声を上げてほしい」と語った。
 男性は高校時代に統合失調症を発症。95年に交際していた女性と結婚を考えたが、兄夫婦から「籍は入れるな。子どもはつくるな」と反対された。女性は妊娠し流産したことを機に不妊手術を受けさせられた。男性も03年11月に兄夫婦から「手術を受けなければ一生入院させる」と手術を強いられたという。
 支援団体によると、全国から同様の相談が複数寄せられているという。


廃炉に外国人材  受け入れ対策を万全に
 新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者を、東京電力福島第1原発の廃炉作業に受け入れるとの方針を、東電が明らかにした。
 廃炉作業の現場は慢性的な人手不足が続いている。外国人に頼りたい思いは分からなくもない。
 ただ、廃炉作業には健康を損なう可能性もある困難な内容のものも少なくない。
 放射線の知識や仕事の手順を理解できるか、累積の被ばく管理を適切に行えるかなどは、日本人作業員にとっても難しい課題だ。
 万全の対策を講じる必要がある。在留に期限があるからといって、外国人の労働力を使い捨てるような扱いをしてはならない。
 福島第1原発では、東電や協力企業の社員ら1日平均約4千人が働いている。作業員の被ばく線量は法令で年間50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトが限度とされる。
 一定の被ばく線量を超えると作業を続けられなくなるため、労働力の確保が常に求められている。
 まず懸念されるのは言葉の問題だ。作業経験者によると、事前の講習は専門用語が多く、外国人が理解するのは簡単ではない。顔全体を覆うマスクを付けると日本人同士でも会話がしにくいという。
 今回受け入れが想定されるのは特定技能「1号」で、日常会話程度の日本語能力が必要とされる。東電は「外国人の雇用は協力会社の判断」としているが、言葉の能力は作業の進行にも関わる。企業に委ねるだけでは済まない。
 累積被ばく量も、在留期間終了後に帰国すれば把握することは難しい。海外の原子力施設で働く場合に支障がでる可能性もある。
 こうした懸念からうかがえるのは、政府が急いだ外国人労働者受け入れの制度設計の内容が、現場任せになっているという実態だ。
 政府は特定技能1号の受け入れを5年間で最大34万5千人とするが、多くは既存の技能実習生の移行を想定しているという。
 その技能実習生が過去に原発の除染作業に従事していたことが発覚した際、法務・厚生労働両省などは「被ばく対策が必要な環境は技能習得の実習に専念できるとは言い難い」として一律に認めないとの見解を示している。
 今回の東電の受け入れ方針を、世耕弘成経済産業相は容認する考えを示したが、1号と技能実習生で置かれた状況が大きく変わっているとは思えない。実習生に認めなかった原発関連の作業を、1号の外国人に容認するのはなぜか。政府はきちんと説明すべきだ。


1年で方針転換 廃炉作業に特定技能外国人を送る政権の狂気
 このために“移民法”成立を急いでいたとしか思えない。
 4月から始まった新たな在留資格「特定技能」で、外国人労働者が東電福島第1原発の廃炉作業に就くことが可能になった、と報じられた。東電はすでに、廃炉作業に当たる元請けのゼネコン関係者らに外国人労働者の受け入れについて説明したらしいが、被曝の危険性が高い廃炉作業の現場に外国人を送り込むなんて正気の沙汰じゃない。
 そもそも法務省は技能実習制度における外国人の除染作業でさえ禁止していたはずだ。昨年3月、技能実習生のベトナム人男性が福島原発の除染作業に携わっていたことが発覚。同省は、除染作業は一般的に海外で行われる業務ではないことや、被曝対策が必要な環境は、技能習得のための実習に専念できる環境とは言い難い――として〈技能実習の趣旨にはそぐわない〉としていた。それが改正法とはいえ、1年後には方針が百八十度変わるなんてメチャクチャだろう。
 福島原発の現場では元請け、下請け、孫請けの業者が複雑に絡み合い、日本人作業員でさえもマトモに被曝管理されているとは思えない。しかも廃炉作業は少しのミスも許されない過酷な現場だ。予期せぬトラブルが発生したり、大量被曝の危険が生じたりした時、言葉の理解が不十分な外国人にどうやって伝えるのか。要するに、廃炉作業に携わる日本人労働者の線量が限度になりつつあり、人手不足を解消するための手段として「特定技能」が利用されるのだ。重大事故が起きて、大勢の外国人労働者が被曝なんて最悪の事態になれば、日本は世界中から非難されるのは間違いない。
 元原子力プラント設計技術者で工学博士の後藤政志氏がこう言う。
「外国人労働者を受け入れるための環境を十分、整えているのであればともかく、数合わせのために廃炉作業に従事させるのは非常識極まりない。そもそも低線量被曝が長期間に及んだ場合の健康被害はよく分かっていないのです。国際的な批判も高まると思います」
 新たな徴用工問題になるのは間違いない。


IT大手規制  公正な取引を担保せよ
 取引のルールが、あまりにも一方的に変更される−。そんな不満が、IT大手の取引先にたまっていることが明らかになった。
 解消するには、関連する取引において、公正さと透明性を担保するしかない。法によって規制することも、やむを得ないだろう。
 「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業や国内大手のインターネット通販などについて、公正取引委員会が実態を調査し、結果を公表した。
 すると、調査対象となった5社に出品する業者のうち、少ない社で約5割、多い社では9割超が、「規約を一方的に変更された」と回答していた。変更には、出品者にとって不利益な内容が含まれていた、との訴えもあった。
 具体的には、出品者に責任がない場合でも、通販などを運営するIT大手の意向を受けて、返品や返金を強いられた、という。
 事実だとすれば、不平不満が積もるのは、当然である。
 いやなら、出品をやめれば、よさそうなものだ。
 ところが、不満はあってもIT大手との取引を利用せざるを得ないとの回答が、約8〜9割の高い水準にある。
 IT大手は、利用者の多さや、代わりとなる企業がないこと、別のサービスの利用を妨げる囲い込みなどで強い立場にあり、意向に逆らうのが難しいからだ。
 こうした状況を、見過ごしてはならない。取引先やユーザーに、不当に不利益を強要するようなことがあれば、独占禁止法に抵触する可能性が出てくる。
 公正取引委員会と経済産業省、総務省は合同で、IT大手と中小企業などの取引が公正に行われるよう、法規制や取引の指針策定を検討している。自民党は、新法の制定を政府に要請した。
 実効性のある法規制の導入を、急ぐべきだ。
 IT大手は検索にとどまらず、通販から決済、物流、交通にまで活動の領域を広げている。
 技術革新や消費者の利便性を高める動きに、規制によって水を差すのはよくないが、公正さと透明性を欠いてしまっては、まっとうなビジネスとはいえまい。
 既存産業、市民社会とのバランスを保つことが大切だ。
 IT大手をめぐっては、個人情報の独占や流出、収集したデータの扱い、課税のあり方にも、懸念が高まっている。先行する欧州などの事例をよく吟味し、解決に向けた道を探ってもらいたい。


空自F35A墜落 欠陥あれば調達見直しを
 航空自衛隊三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが9日に青森県沖の太平洋に墜落してから10日余が経過した。依然として原因は明らかになっていない。機体の欠陥、人為的ミスのいずれかに起因するとみられる。
 航空自衛隊は事故後、同型機の飛行を停止した。万一、陸上に落ちていれば大惨事を引き起こすところだ。自衛隊員の命を守るためにも、機体の欠陥による事故でないことがはっきりするまでは、飛行停止を継続する必要がある。
 消息を絶ったのは、操縦士の3等空佐が「訓練中止」と無線で連絡してから1分後のことだ。緊急時に座席ごと飛び出しパラシュートで降下する脱出装置があるが、使用された形跡はないという。
 行方不明の操縦士は総飛行時間が約3200時間のベテランだ。F35Aでは約60時間だという。経験豊富なパイロットでも致命的なミスを犯すことがあるのか。機体に問題がないとすれば体調に異変が生じた可能性もあるだろう。
 墜落したとみられる海域は水深が1500メートルもある。位置を特定し、機体を引き揚げるには相当な困難が予想される。だからといって諦めるわけにはいかない。事故機を回収し、フライトレコーダーを解析しなければ、原因を解明できないからだ。
 F35はレーダーで捉えにくいステルス性に優れ、政府が次期主力戦闘機と位置付けている。短距離離陸・垂直着陸が可能なF35Bと合わせ、計147機を米国から購入する方針だ。取得価格は1機約116億円(2018年度の契約ベース)に達する。
 安全性が確認されないまま、導入することがあってはならない。機体の欠陥が明らかになった場合は、調達計画を根本から見直すべきだ。
 F35を巡っては、米政府監査院(GAO)が昨年、966件の技術的問題が見つかったと指摘していた。これらの欠陥のうち111件は安全性や重要な性能を危険にさらす問題だという。
 空軍仕様のF35Aは、これまでに13機が三沢基地に配備された。このうち事故機を含む5機は、計7回、国内を飛行中に不具合が発生し、緊急着陸している。墜落との関連性はないのだろうか。
 F35は対外有償軍事援助(FMS)を利用して購入する。米国の見積額に基づく前払いが特徴だ。取得額はほぼ米国の「言い値」とみられる。
 昨年11月末の日米首脳会談の際、トランプ米大統領が記者団の前で「日本は『米国から数多くのF35を購入する』と約束してくれた。感謝を表したい」と述べ、安倍晋三首相との協議の中身を暴露したことは記憶に新しい。米大統領の求めに応じた「爆買い」との批判も根強い。
 防衛費を押し上げる高額な新装備の導入には疑問がある。まして欠陥を抱えた可能性があるものに莫大(ばくだい)な国費を投じることは許されない。


F35A墜落から10日 徹底した原因究明が先だ
 青森県沖の太平洋上で航空自衛隊三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが訓練中に墜落し10日がたった。依然、操縦士と機体の捜索が続いている。そんな中、防衛省はF35Aを含め最新鋭機の購入を来年度予算の概算要求に計上する方向で検討に入ったという。原因究明を待たずしての「購入」は筋が通らない。計画を見直すべきだ。
 空自によると、墜落したF35Aは9日午後7時ごろ、対戦闘機を想定した訓練のため、他の3機と三沢基地を離陸。午後7時25分ごろ、基地の東約135キロの太平洋上でレーダーから機影が消え、無線による連絡も途絶えた。その後、現場海域周辺で尾翼の一部が見つかっている。
 墜落の原因は、機体の不具合か、操縦士の人為ミスか、いずれかが想定される。不具合とすれば、機体固有のものか、日本で組み立てた際のものなのかの究明も欠かせない。防衛省は、事故機がこれまでに2度飛行中に不具合が発生し緊急着陸していたことや、同機を含め三沢基地配備の13機中5機が今年2月末までに計7回、緊急着陸していたことを明らかにした。
 いずれにしても機体やフライトレコーダー(飛行記録装置)の解析なくして原因は分からない。しかし、現場海域の水深は約1500メートルあり、機体の位置特定や引き揚げは難航しているもようだ。
 F35Aはレーダーで捕捉しにくいステルス性、機動性などにも優れている。訓練時は位置情報の自動発信装置が作動していたという。開発の中心は米ロッキード・マーチン。滑走路を使って離着陸するA型、垂直着陸が可能なB型、艦載機のC型の三つがある。
 日本政府は空自の次期主力戦闘機としてA型42機導入を決め、昨年1月に三沢基地へ初配備。事故は先月、飛行隊を新設した直後のことだ。政府は昨年12月に閣議決定した防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画で、A型102機、B型42機を配備する方針だ。
 原因が分からないままでは、配備される全国の基地周辺住民は不安を払しょくできない。三沢基地周辺の住民からは原因が検証されないままの飛行再開は認めないとの声が上がる。
 さらに、F35Aの墜落事故は世界で初めてのことであり、米国は無論、既に運用している英国やオーストラリアなどへの影響も大きい。将来的には世界で3千機以上が運用される見通しだけに、原因究明は世界的に注目されている。
 ただ「機密の塊」とされ、米側が原因を明確にしない可能性が指摘されている。仮に欠陥があるとすれば、1機116億円もする拒否を投じることに国民の理解は到底得られない。


中小業者をまた惑わす 「増税延期」発言
 消費税は10月に予定通り10%に上がるのか。懐疑的な見方があるため、準備を進められない中小の業者をまた惑わす発言が飛び出した。
 自民党の萩生田光一幹事長代行が、景気の行方によっては増税の延期もあり得るとの考えを示した。6月の日銀調査の結果を踏まえ、与党として対応するという。
 景況が厳しくなった場合、「崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない」と述べた。「景気が腰折れすれば、何のための増税なのか」とも語っている。
 きのうになって「個人の見解」としたが、臆測を呼ぶ言動と言えよう。萩生田氏は安倍晋三首相の側近で、官邸と示し合わせた上での延期論とも捉えられるからだ。
 しかも発言は、ある程度の現実味を伴う。安倍首相は消費税率10%への引き上げを2014年、16年と2度延期しており、「3度目」があるとの見方は消えない。
 さらに中国経済の減速などで景況感は悪化している。首相は2度目の増税延期の際、「リーマン危機前に似ている」と大げさな表現を使ったが、今回の方が環境は厳しいとの声は多い。
 「3度目があるかも」とのムードは拭えず、増税対応の準備は遅れている。10月スタートの軽減税率に対応するレジの補助金申請は、国想定の3割にとどまる。
 軽減税率は、食べ物を持ち帰ると税率8%だが、店で食べれば10%と複雑な仕組みになる。小売店は、税率を区別してレシートに明記するよう義務付けられる。
 政府は中小の店舗向けに、対応レジの導入を支援する補助金を用意した。しかし増税が半年後に迫っても、申請は極めて少ない。
 10月からキャッシュレスで買い物をする際のポイント還元も、政府が制度を固めるのに手間取っている。参加店は登録の必要があるが、ほとんど周知されていない。
 対策の遅れは、増税が予定通り行われるかの疑念に輪をかける。だが実際の増税延期はかなり難しい。消費税収で幼児教育・保育を無償化する予算が成立したからだ。
 このため萩生田氏の発言は「観測気球」との臆測が出ている。増税先送りなら「信を問う」と述べたことで、総選挙準備が整わない野党を揺さぶる戦術との見方だ。
 もし政治的な思惑で発言したとすれば許されない。増税を巡る政治の動きに振り回されてきた中小業者をさらに混乱させることになる。
 政権が本気で増税延期を視野に入れているならば、早い段階で首相自ら語るべきだ。その際、増税に耐える経済環境をつくれなかった説明責任を負うのは言うまでもない。


【萩生田氏発言】おごりと無責任が極まる
 国民生活への影響が大きい消費税増税を、またも政権運営の道具として都合よく使おうとしているのではないか。安倍首相周辺へのそんな疑念が拭えない。
 10月に予定される消費税率10%への引き上げについて自民党の萩生田光一幹事長代行が、6月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)が示す景況感次第で延期もあり得るという考えを表明した。
 萩生田氏はさらに、増税を延期する場合は、国民の「信を問うことになる」とし、衆院解散・総選挙の可能性もちらつかせた。
 首相は国会でリーマン・ショック級の事態が起きない限り、増税は予定通り実施すると説明してきた。景気は既に後退局面に入っている可能性が指摘されるとはいえ、日銀短観を基にした判断というのは唐突だ。
 自民党幹事長代行が衆院解散にまで言及するのも甚だしい越権行為だろう。党幹部が「そんな権限は与えていない」と憤るのも当然だ。
 閣僚らは発言内容を否定し、萩生田氏も「個人の見解」と釈明した。しかし、萩生田氏は官房副長官も務めた首相の側近である。与党内ですら、官邸と示し合わせた上での発言という見方が消えない。
 首相は、今通常国会の施政方針演説で、10月に増税を断行する方針を明言している。それでも延期への疑念がくすぶるのは、これまで2度にわたり増税延期を表明。その後の衆院選、参院選で大勝した「実績」があるためだ。
 今回も、増税が参院選で与党の不利な材料になるのを懸念し、選択肢の確保を狙った首相側の思惑が透ける。また、早期解散をちらつかせて首相の求心力維持を図る狙いも指摘されている。
 ただし、国民の迷惑を顧みず、政権の都合や選挙至上主義で増税判断をもてあそぶようなら、政権のおごりというほかない。
 2019年度予算は既に成立している。税率引き上げによる税収は、17年衆院選で自民党が示した政権公約である幼児教育・保育の無償化に充てられる。増税延期で無償化を取りやめれば、利用者や自治体に大きな影響が出る。実施する場合は代替財源が必要になる。
 また、民間事業者は軽減税率やキャッシュレス決済時のポイント還元に備え、既にレジや商品管理システムの改修を始めている。増税延期となれば、混乱は免れまい。
 そもそも消費税の増税は、高齢化で費用が増大する社会保障を持続させ、子や孫の世代へのつけ回しになっている借金依存の財政を立て直すことが目的だった。
 首相は、高齢者も若者も安心して暮らせる全世代型社会保障を目指す「人づくり革命」の断行を高らかに掲げてもいる。増税を延期するのであれば、その財源をどう賄うのか説明する責任があろう。
 首相側近の発言には、安倍政権のおごりと無責任さがにじむ。国民と誠実に向き合う発想を求める。


萩生田「消費増税延期」発言で安倍政権が墓穴! 大阪12区補選で野党の増税反対に勢い、一方、安倍首相はゴマカシ演説
「衆院大阪12区補選」で消費増税が一大争点として急浮上した。投開票2日前の19日、野党統一候補の宮本岳志・前衆院議員の応援に駆けつけた志位和夫・共産党委員長は、安倍首相の側近とされる萩生田光一幹事長代行の発言を紹介、宮本氏勝利で増税を止めようと訴えたのだ。一方、大阪ダブル選挙勝利で勢いづく維新の藤田文武候補も18日、「(大阪12区補選勝利で)消費税の増税までドーンと吹っ飛ばせるかも知れない」と補選の意味を有権者に呼びかけたのだ。
 志位委員長は翌20日に安倍首相と麻生副総理(財務大臣)が2人そろって大阪12区に入ることについて「宮本さん勝利の大きな流れを作って盛大に迎え撃とうではありませんか」と呼びかけ、補選が「安倍官邸vs市民と野党」という構図であることを強調。そして「消費増税の問題がいよいよ大争点になってきた」と切り出した。
「萩生田さんという安倍首相のお友だちの自民党幹事長代行が『10月の消費税増税の実施は見送りもありうる』と言い出しました。大問題になっています。『景気がこの先、危なくなるぞと見えてきたら、みんなを連れて崖のほうに行けない』という言い方で消費増税の実施見送りもあることを言い出した。みなさん、相手は動揺を始めたではないですか。ここが攻めどころではないでしょうか」
 そして「景気が危なくなるかも知れない」という萩生田氏の発言に対して「景気が悪化しているのはとっくの昔に分かっているではないか」と反論、こう続けた。
「衆議院予算委員会で安倍首相と議論をしましたが、消費税8%に増税をした2014年を機に5年連続で家計消費マイナス、増税前に比べて25万円も世帯当たり減っています。働く人の実質賃金は10万円も減っている。増税なんかやれる状況ではない。(家計消費と実質賃金の)グラフを見せて『安倍さん、水面下に沈みっぱなしではないですか』と言ったところ、安倍首相は『たしかにグラフでは水面の下に沈んでいて顔は出ていない』と認めました。人にたとえれば、人が溺れている状態じゃないですか。そこに増税を被せるということは、溺れている人の頭を押さえつけて足を引っ張って水の底に沈めちゃうような話ではないですか。景気の底が抜けてしまうのは明らかではないでしょうか。
 安倍首相は『そうならないように、頂いた分はすべてお返しをする対策をちゃんとやります』と言う。『返すぐらいだったら最初から増税をやるな』と言いたい」
 さらに志位委員長は、萩生田発言を逆手にとって、消費増税がまだ止められる証拠だと指摘し、だからこそ、補選で勝利することが重要だと訴えた
「萩生田さんは増税実施延期について『まだ間に合う』と言った。その通りですよ。これからでも止められる。税金を上げるのを決めるのは安倍首相ではない。主権者である国民の皆さんではないですか。この選挙で宮本さんを勝たせていただければ、大変なインパクトを持って永田町に衝撃波が走ります。そして止めることが出来ますよ。宮本さんを勝たせて増税を止めようではありませんか!」
 この演説には大きな拍手と歓声が起こり、続いてマイクを握った宮本氏は、次のように訴えた。
「安倍首相の政治は嘘と忖度の政治でしょう。明日、この場所(寝屋川市駅前)にやってくるのですが、安倍総理と麻生副総理といえば、まさに下関北九州道路で名前が上がった忖度コンビではありませんか。その2人を呼んで選挙をやろうというのですから、本当に呆れ果てた話です。『嘘と忖度の政治はノーだ』という声は党派を超えて、野党統一候補、宮本岳志に託していただきたい」
安倍首相は「消費税」に一切触れず、ゴマカシの応援演説
 今回の補選と消費増税を関連づけたのは、維新の藤田候補も同じだった。街宣で次のように訴えたのだ。
「(補選で)私を押し上げていただいたら『消費税の増税を吹っ飛ばせる』と言われている。(大阪12区の)寝屋川市、大東市の皆さんが維新と藤田文武にもう一回期待をかけてもらったら、消費税の増税までドーンと吹っ飛ばせるかも知れない。吉村さん(府知事)流に言えば、ダイナマイトみたいな戦いをさせて欲しい。もう火の玉になって突っ込んで行きますので是非とも勝たせて下さい」
 すると、続いてマイクを握った松井一郎市長(維新代表)もこう訴えた。「増税の前に(政治家の)自分達も身を切る改革をする。ここで増税を許すと、これから高齢者が増える中で、高齢者の社会保障費を掲げられて、どんどん大増税国家になります。増税を凍結するために藤田候補を勝たせて下さい」
 維新候補と野党統一候補が共に消費増税を一大争点と強調したのに対して、最終日の20日に麻生財務大臣と共に大阪入りをした安倍首相は3カ所で応援演説したが、萩生田発言について一言も触れなかった。消費税を財源とする「10月から幼児教育・保育の無償化を実施します」と言いながら、「消費税」という単語は一切出さなかった。そして、実質賃金が下がっているのに「安倍政権になって給与が増えた」という嘘を交えたアベノミクス自画自賛をまたぞろ口にしたのだった。
 大阪12区補選でも得意のゴマカシ、争点隠し選挙に徹した安倍首相。正々堂々と政策論争をしない安倍政権に対して、どんな審判が下されるのか。沖縄3区補選とともに大阪12区補選の結果が注目される。(横田 一)


増税延期だけじゃない 自民萩生田氏は問題発言連発だった
「6月の日銀短観で、この先は危ないと見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない」――。18日のネット番組でこう発言し、消費増税の延期の可能性を口にした自民党の萩生田光一幹事長代行。党内外から批判を浴び、きのう19日、「個人の見解を申し上げた」と釈明に追われた。
 あの麻生財務相が「日銀短観という言葉を知っていたか」と皮肉るほどだったが、実は萩生田氏の問題発言はそれだけじゃない。
 消費税発言が飛び出したのは、保守系ネット番組で知られる「真相深入り!虎ノ門ニュース」(DHCテレビ)。中心メンバーが安倍首相主催の「桜を見る会」に招待されるほど、安倍政権と“仲良し”の番組だ。
 安倍首相の最側近とされる萩生田氏にとっては、まさに“ホーム”。リラックスしすぎたのか、問題発言を繰り返したのである。
 まず韓国への経済制裁を示唆した上で「韓国から買うもので、(日本に)入ってこなくて困るものはあんまりない。ジンロと焼き海苔とキムチだから」と発言。韓国の反日感情を逆なでする暴言だが、なぜか萩生田氏はニヤけていた。
■二階幹事長にケンカ売ったも同然
 極め付きは、二階幹事長が200人の議員団を引き連れて訪韓するとの話題を振られたときだ。
 萩生田氏は二階氏を「政敵にも笑顔で接することのできる稀有な存在」と持ち上げつつも、半笑いで「200人って誰が行くの?」とチクリ。二階氏が聞いたら激怒しそうなものだが、萩生田氏の“ワンパク”ぶりは止まらず、二階氏が反対していた大阪都構想についても「二重行政を解消しようというのは極めてスッキリした提案」と、二階氏とは真逆の評価をしたのだ。これでは、二階氏にケンカを売っているのも同然である。
「萩生田さんは安倍首相の『スポークスマン』に等しい存在。『萩生田さんの発言=安倍首相のご意向』と考えるべきです。消費増税延期の可能性を示唆したことを『個人の見解』と釈明したところで、誰も額面通りに受け取りませんよ。もともと、安倍首相が子飼いの萩生田さんを幹事長代行に就かせたのは、二階幹事長の『監視役』としてだとみられていました。二階幹事長は『あの野郎』と怒っているはずです」(政治評論家・本澤二郎氏)
 萩生田氏は官房副長官時代に、野党の国会対応を「田舎のプロレス」とヤユし、謝罪・撤回したことがある。
 安倍政権には、まともに反省できる人はいないのか。


安倍首相に怯える公明 増税延期解散なら小選挙区壊滅危機
「増税延期もあり得る」――。自民党の萩生田光一幹事長代行が突然、消費増税の延期をぶち上げたことで、与党も野党も政界は騒然となっている。19日、萩生田氏は「政治家として私個人の見解を申し上げた」と、安倍首相の意向とは無関係だと釈明したが、萩生田氏が安倍首相の忠実なイエスマンであることは政界では常識。意向を代弁したのは間違いないだろう。
 政界では「やっぱり、安倍首相は消費増税をしないつもりだ」「衆参ダブル選挙をやるつもりだろう」と臆測が飛んでいる。その一方、「あれは公明党に対する安倍首相の脅しだ」という解説が流れている。
「消費増税を延期する場合、安倍首相は『国民に信を問う』と解散・総選挙に踏み切る可能性が高い。衆参ダブル選挙になるかどうかは別にして、いずれ衆院を解散することになるでしょう。いま、どこよりも解散に脅えているのが公明党です。安倍首相だってそれは百も承知のはず。一の子分である萩生田さんに発言させたのは、公明党へのメッセージですよ」(自民党関係者)
 公明党が極端に解散を嫌がっているのは、小選挙区で当選する議員がゼロになる可能性が高いからだ。前回(2017年)の衆院選の時、小選挙区で当選したのは8人。そのうち、実に6人が関西の選挙区(大阪4人、兵庫2人)から当選している。自民党はもちろん、「日本維新の会」が候補者の擁立を見送ったからだ。維新は「大阪都構想」への協力を取りつけるため、過去3回の衆院選で公明党の候補がいる選挙区への独自候補を見送り、選挙協力を行ってきた。
 ところが、大阪都構想をめぐって公明と維新は決裂。維新の設立者である橋下徹氏は「(維新公認候補を)全部立てていく。エース級のメンバーがもう準備できている。戦闘態勢に入っている」と、6つの選挙区に“刺客”を立てると宣言している。もし、維新が候補者を立てたら、公明党の6人は全員落選するのは、ほぼ間違いない。
 なのに、安倍首相のイエスマンが「消費増税延期」を口にし、一気に解散風が強まっている。
「公明党を殺すも生かすも、安倍首相次第。安倍首相は完全に生殺与奪を握った形です。解散をするかどうかだけではありません。いま、維新の会に『6選挙区には候補者を立てないで欲しい』と頼めるとしたら、安倍官邸しか見当たらないからです。安倍晋三と菅義偉、橋下徹と松井一郎の4人は蜜月ですからね。公明党も最後は官邸を頼るしかないでしょう。これまでは多少、公明党に遠慮していたが、弱みを握った安倍官邸はこの先、選挙はもちろん、どんな政策でも、有無を言わさず公明党に協力させるつもりでしょう」(前出の自民党関係者)
 ただでさえ“ゲタの雪”と揶揄されてきた公明党は、6選挙区を守るために、完全に安倍自民党のイエスマンになってしまいそうだ。


改革バカにケンカを売る山本太郎「れいわ新撰組」の本気度
 山本太郎が自由党を離党し、政治団体「れいわ新選組」を立ち上げた。団体名からして、維新的なもの=安倍晋三、菅義偉的なもの=改革バカにケンカを売っている。それだけでも笑えるが、打ち出した政策を見て声をあげて笑ってしまった。完全に保守のど真ん中。あまりにも直球なので優秀なブレーンがいるのだろうが、山本も政治家として急成長している。
 私は以前、週刊誌で山本を批判したことがある。国会で出される弁当は「ベクレてる(放射能汚染されている)」などと風評を流すデマ体質の左翼だと当時は思っていたが、自民党を筆頭に政治家が劣化していく中、山本のまっとうな部分が目立ってきたのは皮肉な話だ。
 まだ社会的には誤解されている人だと思うし、私も全面的に信頼しているわけではないが、政策の9割は高く評価できる。残りの1割もツッコむ場所があるといった程度の話。
 消費税の廃止、安い家賃で住める公的住宅の拡充、奨学金チャラ、最低賃金1500円……。平成の30年間にわたりメディアが垂れ流した「構造改革」神話に洗脳された人にはほとんどデタラメに聞こえるかもしれないが、実現までのプロセスは政策に書いてある。額に青筋を立てて「財源はー!」と騒ぐ前にその部分はチェックすべきだ。
「公務員数の増加」という項目も素晴らしい。「世界から見て日本は公務員の数が少なく」「1万人あたりの公務員数をみると日本は、英国の約3分の1、米国の約2分の1」とあるが、こちらも「民営化=善」という妄想からの脱却を目指しているように見える。
 1次産業戸別所得補償、防災庁の創設、国土強靱化、公共投資の拡充、独立国家を目指すための日米地位協定の改定、辺野古基地建設中止などの政策もいい。今大事なことは安倍政権の売国を止めることだ。これまで押し通されてきた「トンデモ法」(TPP、水道法、カジノ法、漁業法、入管法、特定秘密保護法、国家戦略特別区域法など)の一括見直し・廃止も唱えているが、これはすぐにやってほしい。
 実現には困難がつきまとうだろうが、日本にも「保守政党」がひとつくらいあってもいい。
 山本は「政策と言論を持って天誅を加える」と言っているが、本気かどうかはすぐに判明する。参院選に誰を擁立するかである。


東国原英夫「日本出身の方に」白鵬への発言に差別との指摘
4月19日放送の『バイキング』(フジテレビ系)では、大相撲の横綱・白鵬(34)が日本国籍取得に向けた動きを見せていると特集。そのなかで東国原英夫(61)による発言が波紋を呼んでいる。
白鵬はモンゴル国籍からの離脱を同国政府に申請。外国出身力士が親方になるには日本国籍が必要で、白鵬も以前から親方として部屋を持ちたいと希望していた。そのための日本国籍取得に向けた手続きと見られている。
番組では来年の東京オリンピック開会式では”横綱土俵入り”の実施が予想されており、白鵬が土俵入りを熱望していると紹介。これに東国原は「僕は貴景勝派だから」と貴景勝の土俵入りを願っていると語った。
司会の坂上忍(51)が「白鵬がいるのに?」と問うと、東国原は「私は貴景勝派なんです。日本出身といってしまうと…差別じゃないですよ。私は国籍が変わると寂しいと思う方ですから、できれば日本出身の方にやっていただきたいという気持ちが個人的にはあるもんですから、貴景勝派」と発言した。
Twitter上では東国原の発言に対し「差別ではないか」との指摘が相次いている。
《どこの出身だろうと力士は力士。横綱は横綱だ》
《横綱に国籍は関係ない。白鵬の問題行動と切り離して考えないと単なる外国人差別》
《白鵬の問題行動は賛成できないです。でも、日本国籍をとったならもう日本人なんだから。これだけ優勝経験のある横綱に土俵入りしてもらうのはありがたいでしょ》
‘98年の長野五輪では、アメリカ・ハワイ州出身で当時横綱だった曙(49)が土俵入りしている。
「東国原さんが白鵬と貴景勝、どちらのファンであっても構いませんが『日本出身かどうか』を理由にするのは問題があります。宮崎県知事や衆院議員も務めた東国原さんですが、在職中であれば辞職を求められてもおかしくない発言です」(スポーツ紙記者)


大聖堂火災 防火対策を再点検したい
 貴重な文化財を一瞬で損なう火災の恐ろしさをあらためて突き付けられた。
 フランスのパリ中心部にあるノートルダム寺院(大聖堂)の高層部から出火し、高さ約90メートルの尖塔(せんとう)と屋根が炎上する大火災となった。
 ゴシック建築の代表とされる大聖堂は1163年に着工し、約200年かけて完成した。焼失した尖塔は19世紀に増築されたものという。一帯は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されており、世界中から年間約1300万人が訪れる。
 フランスのみならず世界の宝というべき建造物であり、尖塔や屋根の多くが焼失した衝撃は大きい。ただ、内部の貴重な文化財の多くは運び出されるなどして難を逃れたのは不幸中の幸いだった。
 西洋の歴史的建造物は石造りが多いが、大聖堂の屋根や尖塔には多くの木材が使われていた。出火当時、大聖堂は改修工事中で、屋根の上には工事用の足場が組まれていた。火は足場周辺から出た可能性が指摘されている。
 地元紙の報道によれば、出火したのは夕刻で作業員は既に現場を離れていたとされる。火災警報装置が作動して警備員が確認したが、火元が特定できないうちに燃え広がったという。可能性の一つとして、改修工事用エレベーターの電気回線のショートも指摘されている。今後の防火対策につなげるためにも、原因の究明を進めてもらいたい。
 マクロン大統領は5年以内に尖塔などを再建する方針を示し、国内外から支援の声が寄せられている。再建に当たっては、耐火性の向上も重要な課題となろう。技術面などで日本も協力できることはないか。フランス側と十分に協議しながら支援したい。
 木造の歴史的建造物が多い日本にとっては、文字通り対岸の火事ではない。今回の火災で多くの日本人が思い起こしたのは1949年の法隆寺金堂(奈良県)の火災だろう。国宝の壁画が焼損した。壁画保存のための模写作業中で、原因は作業用に持ち込んだ電気器具の漏電とされる。
 この火災をきっかけに50年に文化財保護法が施行された。55年から「文化財防火デー」(1月26日)が設けられ、各地で防火設備の点検や消火訓練が行われている。だが、対策を重ねたつもりでも火災は起きる。岡山県内では2012年に天台宗の金山寺(岡山市北区)で国重要文化財の本堂が全焼した。
 文化庁はパリの大聖堂の火災を受け、国宝や国重要文化財の防火対策を徹底するよう都道府県に通知した。国宝などは近く緊急調査を実施するという。岡山県教委はきのう県内の関係機関などへ通知を出し、注意喚起を始めた。大聖堂や法隆寺金堂などの例を見ても、平時と異なる器材などが持ち込まれた場合、火災のリスクが高まる可能性がある。改修時の防火対策について、再点検してほしい。


トヨタ寄贈の「フランダースの犬」記念碑はなぜ中国資本寄贈の石像に置き換わったのか
 名作童話として読み継がれ、日本では1970年代にテレビアニメも大ヒットした「フランダースの犬」。ベルギー北部フランダース地方のアントワープにある聖母大聖堂は、主人公の少年ネロが最期を迎えた舞台として、今なお日本人観光客の「巡礼地」であり続けている。大聖堂の前にはかつて、日本とアントワープの友好の象徴として、物語をモチーフに建てられた記念碑があった。ところが2年半前に取り壊され、現在では中国資本が寄贈した新たな石像に置き換わっている。欧州で拡大する中国の影響力は、ここにも表れているのだろうか。フランダース地方出身のインターン記者と共に取材した。
大聖堂前の広場から消えた「日の丸」
 <パトラッシュ、疲れたろう。僕も疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ。パトラッシュ…>
 真冬のアントワープ聖母大聖堂。憧れの巨匠ルーベンスの祭壇画を目にすることができた少年ネロはその場で力尽き、愛犬パトラッシュを抱いて冷たい石の床に横たわったまま最期の時を迎えた。75年に放映されたアニメシリーズ「フランダースの犬」の印象的なエンディングである。
 このシーンを想起させる少年と犬の白い石像が、アントワープ中心部にある大聖堂前の広場に完成したのは、2016年12月のことだった。寄贈したのは中国・深センに本社を置くジュエリーブランド「周大生」。石像のわきにあるパネルには、中国の人々と周大生が、アントワープのダイヤモンド産業に貢献したことへの謝意が記されている。港湾都市アントワープは、世界で流通するダイヤモンドの原石の8割が集まるダイヤ取引の中心地だ。
 広場の同じ場所にはかつて、日本の関係者の協力で03年に建てられた記念碑が存在していた。「フランダースの犬」は英国の作家ウィーダが19世紀後半に発表した作品だが、舞台として描かれたベルギーのフランダース地方では、物語を知る人は多くない。ゆかりあるアントワープにも「フランダースの犬」にちなんだ記念碑などは存在せず、現地の日本人社会が建造を働きかけたのだった。
 03年5月9日。記念碑の完成式典には当時の駐ベルギー日本大使やアントワープ市幹部らが出席し、日ベルギーの友好の証しとして両国の国旗も記念碑の上にかけられた。御影(みかげ)石で作られた記念碑は縦1メートル・横2メートル・高さ45センチの箱形で、ネロとパトラッシュを描いた円形のガラスが中心部にはめ込まれていた。夜間になるとガラス部分の内側から赤い照明がともり、日の丸のように浮かび上がる仕掛けもあった。4万ユーロの建設費はトヨタ自動車の現地法人が寄付し、上面には日本語でこう刻まれていた。
 <この物語は悲しみの奥底から見出す事の出来る本当の希望と友情であり、永遠に語り継がれる私達の宝物なのです>
 碑文を考えたのは、ウェブデザイナーの日本人男性(50)だ。男性はそれまでベルギーを訪れたこともなかったが、「フランダースの犬」に関する情報を紹介するウェブサイト「PATRASCHE.NET」(パトラッシュ・ドット・ネット)を90年代後半から運営する筋金入りの愛好家として白羽の矢が立った。
 電話取材に応じた男性は「『フランダースの犬』は自分の人生にとって大切な宝もの。聖書と同じようなものです」と物語への思いを語る。テレビでアニメシリーズが放映されたのは、小学生の低学年のころだった。母がいない主人公ネロと同じ境遇で育った自分を重ね合わせて共感し、作品の持つキリスト教的なメッセージは、後にクリスチャンになるきっかけになったという。
 男性は数年前、記念碑が移動するかもしれないとの情報を現地の知人を通して耳にした。「最初はフランダースの犬が多くの人に広まるのであれば、残念だけどやむを得ないと思いました。でも……」。それからしばらくして記念碑は取り壊され、同じ場所にネロとパトラッシュの新しい石像ができたことを知った。
 男性は経緯を尋ねるために、現地の関係者や日本の外務省、在京のベルギー大使館などに問い合わせたが、現在に至るまで納得できる回答は得られていない。
 「寂しい思いしかない」。男性は何度も繰り返した。
「正しい方向であればスポンサーは誰でも構わない」
 記念碑はなぜ撤去されなければいけなかったのか。新しい石像の建造とスポンサー探しにかかわったアントワープの観光ガイド、タンギー・オットマーさん(37)を訪ねた。飼い犬をパトラッシュと名付ける彼もまた「フランダースの犬」に魅せられた一人である。
 「いつも記念碑が壊れているのを見るのが悲しかった」。オットマーさんは、建て替えが必要と考えた理由について、説明を始めた。記念碑は、広場を取り囲むレストランを回る配送トラックがたびたび接触し、破損と修復を繰り返していた。時には壊れたまま2カ月近く放置されることもあった。「フランダースの犬」を知らない地元の人たちから記念碑として関心を寄せられず、45センチというちょうどいい高さ故に腰掛けとして使われて「トヨタベンチ」と呼ばれていたことも残念に感じていたという。
 オットマーさんは16歳のころ、アントワープの歴史を調べる中で、ネロとパトラッシュの物語を偶然知った。観光ガイドとなってからその魅力に改めてひかれ、人気の背景を知ろうと日本を訪れたこともある。アントワープ市が観光資源として「フランダースの犬」を十分活用していない状況を変え、フランダース地方を含むベルギー全体で知名度を高めたいという思いを持ち続けていたという。
 オットマーさんは10年、「フランダースの犬」をモチーフにした新しい像の建造に向けた国際デザインコンクールを企画したが、市側の協力を得られずに開催には至らなかった。この時、日系企業のスポンサーも探したが、「良い反応は得られなかった」という。状況が変わったのは16年だった。ガイドの顧客だった中国のジュエリーブランド「周大生」の関係者を通して、同社から金銭的な支援を得られることになったのだ。
 市側の事情も変わっていた。アントワープ市政は13年からフランダース地方の分離独立を掲げる中道右派の新フランデレン同盟(N―VA)が握った。破損を繰り返す記念碑の修復費用を負担していた市側は、新しい像の寄贈を持ちかけたオットマーさんらの提案に乗った。
 観光客の動向も影響した可能生がある。アントワープ市を訪れる日本からの観光客は近年、顕著に減っている。07年には1万4700人だった日本人観光客は、17年には5500人まで落ち込んだ。取って代わるように中国からの観光客は増加を続けている。12年を境に日本人観光客を上回り、17年は9800人と日本人観光客の倍近くが訪れた。
 「フランダースの犬は、友情や信念、そして前向きな思考の大切さを伝える普遍的な物語です。(像が示すメッセージが)正しい方向であれば、スポンサーは誰であっても構わないはずです」とオットマーさんは言う。
 同じ16年の5月、「フランダースの犬」の原作にならって、受賞者がアントワープの王立芸術アカデミーで1年間勉強できる市長主催のデザインコンクールが開かれた。優勝したベルギー人アーティストがデザインした白い大理石のネロとパトラッシュ像は、記念碑の跡地に12月に完成した。くしくもこの年は、日本とベルギーが外交関係を樹立して150周年にあたる節目の年だった。
 オットマーさんは「私がガイドした多くの日本人からは、新しい像についてとても良い反応をもらっています」と笑顔を見せた。
軽視された物語の価値
 「記念碑が撤去されたことは残念でした。石像と互いに補完することができたはずだからです」。そう語るのは、ベルギーのドキュメンタリー作家、ディディエ・ボルカールトさん(47)だ。フランダース地方で知名度の低い物語が、日本で愛され続ける背景に迫ったドキュメンタリー映画「パトラッシュ、フランダースの犬 メイド・イン・ジャパン」を07年に製作し、これを基にした編著は「誰がネロとパトラッシュを殺すのか」(岩波書店)として邦訳もされている。
 「フランダースの犬は、異なる文化を結びつける力がある物語です。しかし、アントワープ市はその重要性を十分に認識しているとは思えません」とボルカールトさんは言う。実際、日本側の協力で記念碑が建てられた後も、アントワープでは「フランダースの犬」を使った観光キャンペーンなどは行われず、それを避ける雰囲気すらあった。その理由について、ボルカールトさんは「フランダース人の目から見ると、これは貧しく、何よりも人生に失敗する物語であり、自分たちが打ち出したいイメージとは違う」と著書で指摘している。
 欧州を代表する港湾都市アントワープは、ダイヤモンド産業のほかにもファッションの街として知られ、ベルギー経済を支える活力あふれる街だ。「アントワープにとって『フランダースの犬』は関心事ではありません。重視するのはダイヤモンドやチョコレートなど観光客に売れるものです。『フランダースの犬』は文化であり、アントワープには(経済的利益を)何ももたらしません。日本の人たちは、それは違うと言うかもしれません。しかし、ダイヤモンドがもたらすものとは比較にならないのは明らかです」
 「日本のアニメを見て育った」というボルカールトさんは、日本のアニメとオタク文化の研究で博士号を取得した。「フランダースの犬」をテーマにしたドキュメンタリー映画を製作したのは、ベルギーの人々に物語を広めると共に、「日本に恩返しをして、より良い関係につなげたいと考えた」からだという。
 ボルカールトさんたちの調査によると、フランダース地方の公用語オランダ語で「フランダースの犬」の完訳版が初めて発売されたのは85年と遅かった。きっかけとなったのは、アントワープに「巡礼」に訪れる日本人観光客だったという。英国人作家がフランダースを描いた物語は、日本を経由してその地で暮らす人々に知られることになったのだ。
 映画の発表から10年以上がたったが、ベルギー国内での状況は「何も変わらなかった」とボルカールトさんは嘆く。「本当の希望と友情」の証しだった記念碑の撤去は、それを象徴する出来事だった。【ヤーロー・マナート、八田浩輔】
地元出身インターン記者の思いは……
 私はフランダース地方のデンデルモンデという街で育ちました。現在はルーベン・カトリック大学大学院でビジネス・コミュニケーションを専攻しています。2018年8月まで1年間、九州大学に留学していました。
 「フランダースの犬」を初めて知ったのは、ベルギーの大学で受けた日本語の授業でした。日本語と日本に興味を持っていなければ、私は自分が育った地域を描いた話を知ることがなかったかもしれません。ベルギーで「フランダースの犬」は子供向けの本も漫画もなく、学校でも教わりません。日本で製作されたアニメシリーズは、さまざまな言葉に翻訳されていますが、ベルギーでは一度も放映されたことがありません。こうした事実は、フランダース地方とベルギーにおいて、この物語がどれほど知られていないかを示すものです。
 アントワープ聖母大聖堂の前の広場にあった日本とベルギーの友好を象徴する記念碑は、中国企業がスポンサーになった石像に置き換わりました。最初は中国による干渉も頭をよぎりました。しかし実際には、関わった人たちに悪意はなく、ネロとパトラッシュの物語への敬意から何かがしたいと考えた結果だと分かりました。
 私は、記念碑は取り壊されるべきではなく、新しい石像と共存することができたと考えています。記念碑が何度も損傷したことから、アントワープ市が撤去を決めたことも理解できますが、物語の価値と日本とのつながりを認識していない市を擁護する気にはなれません。
 日本でもテレビシリーズの放映から40年以上がたち、若い世代でこの物語を知らない人たちが増えることを心配しています。私の日本の20代の友人も「フランダースの犬」を知りませんでした。
 ネロとパトラッシュが日本とベルギーで忘れられないために、三つのことが必要だと思っています。一つはアントワープ市が、この物語を通して政治・経済を超えたレベルで日本とつながる重要性を認識することです。次に、フランダースの人々がこの物語を知り、たとえ自分が持つフランダースのイメージと異なるとしても、それを受け入れること。最後に日本の若い世代にこの物語を知る機会が増えてほしいと思います。友情の物語が、子供や孫たちの世代にも長く生き続けることを願っています。【ヤーロー・マナート(毎日新聞ブリュッセル支局インターン)】


週刊誌の秋篠宮バッシングの情報源は官邸か? 安倍首相が秋篠宮のことを「反乱だ」と批判したとの報道も
 眞子内親王の婚約相手・小室圭氏の金銭問題から始まったトラブルが、あらぬ方向へと広がりを見せている。
 眞子内親王がそれでも結婚したいという意思を示したと伝えられたこと、そして妹の佳子内親王がその眞子内親王の結婚について「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と、個人の意思を応援するメッセージを発したことから、ネットのみならず、週刊誌が姉妹と秋篠宮家に猛烈なバッシングを展開しているのだ。
 たとえば「週刊文春」は、「奔放プリンセス佳子さまの乱 全内幕」(4月4日号)、「佳子さま紀子さま ダンスで「母娘」断絶」(4月11日号)と、連続して佳子内親王批判。たかだかフィギュアスケートやダンスに熱中していたことや口げんかに強いなどというエピソードだけで「奔放」などと決めつけた。
 また、眞子内親王の結婚問題から秋篠宮家の問題にも話を広げ、小室氏との結婚問題が起きたことについても、学習院でなくICU(国際基督教大学)に進学したせいだと、その教育方針まで批判している。
〈悠仁さまに「帝王教育」施さない秋篠宮家の教育方針を、不安視する声もある〉〈秋篠宮家は「自主性を重んじる」教育方針です。そのため、過去に宮内庁参与が『(悠仁さまに)教育係を付けては』と進言した際に、秋篠宮さまは表情を曇らせていたそうです〉などと付け加えるのだ。
 さらに、今週発売の4月25日号では、「皇太子が漏らされた秋篠宮さまへの憂慮「抗不安薬」「千鳥足」」という特集を組み、皇太子が秋篠宮の「奔放な発言」について不満を漏らしていることを報じた上で、秋篠宮が抗不安薬を服用しているという記事まで掲載した。
「週刊新潮」も同様だ。4月4日号に「「佳子さま」炎上で問われる「秋篠宮家」の家庭教育」なるタイトルの記事を掲載し、佳子内親王「結婚は個人のもの」発言について「(女性皇族の結婚は)当人のお気持ちだけで成り立つものではありません」「誰でも好きになった人と交際し、そのまま結婚、とはいかないのです」「そもそも佳子さまは皇室という存在をどのようにご理解なさっているのか、訝ってしまいたくなるようなお答えでした」と全否定。眞子内親王の結婚問題や佳子内親王発言にかこつけて、秋篠宮家のリベラルな教育方針を徹底批判した。
 続いて、4月18日号でも、「「秋篠宮家」が「私」を優先して「愛子天皇」待望論」というタイトルで、秋篠宮家が“「公」より「私」を優先させている”と攻撃。 佳子内親王発言や秋篠宮家の教育に、美智子皇后も厳しい目線を送っていると指摘したうえで、“「公」より「私」を優先させる”秋篠宮家で育った悠仁親王より、愛子内親王が天皇にしたほうがいいと、女性天皇待望論まで持ち出す始末だった。
 しかし、これらの批判はほとんど言いがかりとしか思えないものばかりだ。たとえば、「結婚は個人のもの」とする佳子内親王の発言は本サイトが先日配信した記事で指摘したとおり、民主主義社会では当たり前の主張。眞子内親王の結婚問題も、小室氏や眞子内親王個人、あるいは秋篠宮家の教育方針に原因があるのではない。
 事実、結婚をめぐるトラブルは他の皇族や宮家でも起きている。個人の結婚や恋愛の自由が保障された民主主義社会と、血統を重視する差別的な天皇制・皇室制度は本来、相いれないものであり、その矛盾が皇族の結婚を複雑で困難にしているのだ。それを、秋篠宮家の問題だけに矮小化するというのは、どう考えてもおかしい。
秋篠宮バッシングは問題のすり替え、でっちあげと女性差別でしかない
 もっと不可解なのは、“美智子皇后が秋篠宮家の教育に眉をひそめている”などという記述だ。美智子皇后のこの問題に対するスタンスは昨年5月の宮内庁ホームページに掲載された「眞子内親王殿下に関する最近の週刊誌報道について」という声明ではっきりしている。
〈(眞子内親王の結婚問題について)両陛下は当初より一貫して変わらぬ対応をしてこられました。
 両陛下が第一に考えられたことは、これは眞子さまの内心に触れる事柄であり,何人といえども、恐らくはご両親殿下でさえ眞子さまのお考えを待つ以外おありでないということでした。そうした中、ご自分方として出来ることは,極力周囲の雑音から眞子さまを守り、静かな状況を保つ中で、眞子さまがご自分の考えを深められるよう助力なさるということでした。〉
 眞子内親王の結婚について、天皇・皇后は「内心」の問題であり、強引に立ち入るつもりはないし他の誰も立ち入るべきではないという姿勢を鮮明にしている。それが、佳子内親王の発言に、眉をひそめるというのはどう考えてもおかしいだろう。
 さらに、眞子内親王の結婚トラブルの原因を、自主性尊重やICUへの進学のせいにするにいたっては、ただの女性差別でしかない。週刊誌は秋篠宮や姉妹を叩くために、女性が自主性をもつことや本人が希望するレベルの高い大学に進学することが結婚トラブルにつながるかのような、男尊女卑丸出しの論理を口にしているのだ。
 週刊誌は秋篠宮を「『公』より『私』」を優先などと批判しているが、これもおかしい。秋篠宮は大嘗祭の費用問題などでもわかるように、公と私をきちんとわけるように主張するなど、現天皇皇后と同様、日本国憲法下の象徴天皇制について、高い意識をもっていることがうかがわれる。むしろ、「『公』より『私』を優先」というのは、雅子妃や愛子内親王との家庭生活に関心が集中している皇太子のほうではないか。
 それにしても、眞子内親王の結婚問題や佳子内親王の発言が、いったいなぜこうした過剰ともいえる秋篠宮バッシングに発展してしまったのか。いや、秋篠宮への批判は今週先週に限ったことではない。週刊誌では数カ月前から、批判記事や内部情報が散発的に掲載されてきた。それも、皇室タブーに強い「新潮」や「文春」だけでなく、ふだん、皇室のヨイショ記事しか掲載しない女性週刊誌までが秋篠宮を批判しているのだ。
官邸が流す秋篠宮バッシング情報、文春は安倍首相の秋篠宮批判を紹介
 これはもちろん、ネットが“秋篠宮家叩き”に盛り上がっているという状況が後押ししている部分もあるだろう。だが、もうひとつ、週刊誌の新たな情報源の影響も見え隠れする。それはズバリ官邸だ。週刊誌の皇室担当記者が証言する。
「これまでの秋篠宮バッシングは、保守的な他の宮家や宮内庁関係者、東宮周辺から出ていることが多かったが、ここ数ヶ月の秋篠宮家の記事は、それだけじゃない。皇室担当じゃなく、政治担当の記者が情報を入れてくるケースが増えてるんだ。官邸で皇室を担当している杉田和博官房副長官の周辺、それから内閣情報調査室あたりが、情報の出どころなんじゃないか、といわれている」
 また、全国紙の官邸担当記者に確認すると、官邸幹部や、安倍首相に近い自民党中堅幹部などが、秋篠宮への批判をオフレコでしゃべるようになっているという。
「皇太子殿下の秋篠宮批判や、抗不安薬の使用なども、宮内庁や皇室周辺ではこれまで聞いたことがなかった。もしかしたら、官邸や内調から出てきた情報なんじゃないでしょうか」(前出・週刊誌皇室担当記者)
 実際、一連のバッシング記事の中にも、安倍首相周辺や官邸が秋篠宮バッシングの情報源になっていることを物語る記述が出てくる。その典型が、「週刊文春」4月11日号に掲載されたこんな一文だ。
〈現天皇との“溝”を埋められない安倍首相。秋篠宮さまについても、昨年十一月の誕生日会見で「大嘗祭は内廷費で賄うべき」と発言されたことに対し、「反乱だね」などと言い放っていた。麻生氏も「内廷費も税金だし、なんで税金に介入してくるんだ」と不快感を見せていたという。〉
 さらに、同記事には、安倍首相に近い関係者のこんなコメントも掲載されていた。
「首相は眞子さまと小室圭さんの問題に関して『早いうちから色んな恋愛を経験していた方がいい。(眞子さまが)可哀想だ』と言っていた。悠仁さまの将来についても『多くの女性と接してもらった方がいいのかも』と。内定費問題をはじめ、首相には秋篠宮家への不信感が根底にあるようです」(前出・首相周辺)
「(前略、生前退位の意向報道について)首相はむしろNHKの情報源を気にしており『秋篠宮さまがリークしたようだ』と見ていました」(官邸関係者)
 どうも安倍首相自身が秋篠宮批判を口にし、それが側近を通じて外に漏れているようなのだ。そして、こうした安倍首相のスタンスを忖度した官邸スタッフや内閣情報調査室が、秋篠宮バッシング情報を週刊誌に流しているということらしい。
●最後まで明仁天皇と敵対し続けた安倍首相は即位に乗じて新天皇取り込み
もちろん、こうした官邸の動きの背景にあるのは、秋篠宮が現天皇・皇后のリベラルな考えを受け継ぐ姿勢を見せていることだろう。
 今さら説明するまでもないが、第二次安倍政権以降、明仁天皇と安倍首相は“対立”といっていい関係が続いてきた。護憲と戦争への反省、沖縄への思いを隠そうとしない明仁天皇と美智子皇后に対し、安倍政権は改憲と歴史修正主義を推し進めるために天皇夫妻の口をふさごうと、陰に陽にプレッシャーをかけ続けてきた。
 たとえば、2013年末、明仁天皇が誕生日に際した会見のなかで“護憲発言”を行うと、安倍首相のブレーンのひとりと言われる八木秀次・麗澤大学教授が「正論」(産経新聞社)に〈両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない〉〈宮内庁のマネジメントはどうなっているのか〉と、天皇を批判するような文章を発表したが、これなどは明らかに安倍首相からの“改憲の邪魔をするな”という圧力だろう。
 こうした対立は、天皇が「生前退位の意向」を明らかにすると、ますますエスカレート。官邸は天皇の理解者だった風岡典之宮内庁長官を更迭。次長の山本信一郎氏を長官に繰り上げ、後任次長には監視役として、警察官僚出身で内閣危機管理監だった西村泰彦氏を就任させた。
 その後も、「生前退位」をめぐる有識者会議では、安倍首相が送り込んだ日本会議系のメンバーが明仁天皇を公然と批判するなど、政権と天皇・皇后との溝はどんどん深まっていった。
 昨年10月23日に行われた「明治150年」を記念する式典に、天皇・皇后の姿がなかったが、これも、大日本帝国を礼賛する安倍首相の肝いりの式典に、天皇と皇后が出席拒否をしたとみられている(西村次長は「官邸からお声がけがなかった」と弁明したが、これは建前だろう)。
 そして、明仁天皇との関係修復をあきらめた安倍首相はいま、代替わりに乗じて、皇太子=新天皇を取り込もうとしきりに働きかけを行っている。
「安倍首相はこの間、2回も皇太子殿下と面談しています。皇位継承の流れを説明し、元号をあらかじめ伝えたといわれていますが、首相が皇太子に直接、面談するのはきわめて異例。これは、皇太子を取り込む作戦と推測されます。安倍首相としては、自分の改憲路線を天皇陛下に邪魔されたという思いがある。だから、即位を機会に、皇太子夫妻を取り込み、新天皇を政治利用できる関係を築く腹づもりなのではないか。実際、皇太子殿下は波風を立てるのが嫌いな性格ですし、雅子妃は小和田恆元外務省事務次官の娘で、本人もエリート外交官、政治的には安倍首相の考えに近い可能性がありますから、取り込まれてしまう可能性はありますね」(宮内庁担当記者)
安倍首相を激怒させた秋篠宮の「宗教色の強い大嘗祭は内廷費で」発言
 しかし、そんな安倍首相にとって、目の上のたんこぶになっているのが、明仁天皇のリベラルな姿勢を引き継ぎ、その意向を代弁し続けている秋篠宮の存在だ。とくに、昨年の誕生日会見で、大嘗祭について「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」として、天皇家の私的活動費である「内廷会計での実施」を提案したことは、国家神道復活を目指す右派勢力をバックにした保守派の安倍首相と相いれないものであり、相当な不快感を募らせたと言われている。
「秋篠宮殿下の発言は、明らかに天皇陛下の意向をくんだものでしたが、安倍首相は相当、危機感を持ったようです。その頃から、やたらと秋篠宮を批判するような情報が安倍首相の周辺から出てくるようになった。さらに今回、眞子さまの結婚問題がきっかけになって世論が秋篠宮家に批判的になったことに乗じ、殿下の影響力を封じ込めようと、官邸が一気にバッシング情報を流し始めたということじゃないでしょうか」(全国紙官邸担当記者)
 安倍官邸が、野党政治家や政権批判するジャーナリストや学者など敵対勢力のネガティブ情報を出し謀略攻撃を仕掛けてきたことは有名だが、まさか宮家まで標的にするとは……。とても「保守」のやることとは思えないが、しかし、これが安倍政権の本質なのだろう。
 ただ、秋篠宮のこれまでの姿勢や明仁天皇との距離の近さなどを考えると、秋篠宮のほうもこのままおとなしく黙らされるとは思えない。天皇vs安倍首相の対立は、秋篠宮vs安倍首相という形で引き継がれていく可能性は十分あるだろう。

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Au Japon, un professeur faisait fabriquer de l'ecstasy à ses étudiants
par Melanie Bonvard
Tatsu¬nori Iwamura, un enseignant de l'université de Matsuyama, au Japon, a été arrêté parce que, durant ses cours, il montrait à ses étudiants comment fabriquer de l'ecstasy.
"Parfaire leur éducation", c'est ce qu'a expliqué un professeur de l'université de Matsuyama quand il a été interrogé par les forces de l'ordre après avoir fait fabriquer de l'ecstasy à ses élèves en cours de classe. Les faits remontent à 2013 et le ministère de la Santé au Japon a récemment affirmé que l'enseignant a reconnu les faits en expliquant qu'il s'agissait de "parfaire l'éducation" de ses étudiants... Drôle de méthode vous nous direz. Mais ce n'est pas tout, le professeur qui enseigne la pharmacologie avait aussi fait produire, l'an dernier, de la 5F-QUPIC, une drogue similaire au cannabis, à une de ses classes. Cette drogue est interdite au Japon.
Bien évidemment, il est difficile de ne pas faire un parallèle avec la série américaine Breaking Bad où Walter White, un professeur de Chimie, se transforme en baron de la drogue pour payer le traitement de sa chimiothérapie et subvenir aux besoins de sa famille. Si dans la série, Walter s'alliait avec un de ses élèves pour fabriquer de la drogue, la réalité semble donc avoir carrément dépasser la fiction puisque Tatsu¬nori Iwamura, 61 ans, faisait fabriquer l'ecstasy à tout ses étudiants durant ses cours. Or, la loi exige qu'un chercheur doit obtenir une autorisation pour fabriquer des stupéfiants à des fins académiques. Ce qui n'a pas été le cas du professeur japonais. Suite à cela, le président de l'université, Tatsuya Mizo¬gami, a présenté ses excuses auprès des familles des étudiants "Nous présen¬tons nos sincères excuses aux parents et aux étudiants pour la grande inquié¬tude que cela a causé. " rapporte l'AFP. Le professeur est passible de 10 années de prison.
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フランス語の勉強?
エクセルホビー @EXCEL_HOBBY
おはようございます。
小池一夫先生がなくなられたとのことで、ご冥福をお祈りいたします。
先生の作品と言えば同棲時代。
中学の頃にすこしだけ読んだけど……
猿のような中学生にはひたすら「セリフ無ぇ〜〜〜」な理解出来ないものでした。

GENJI @innerlife_pro
上村一夫(uemura kazuo)
同棲時代
皆んな大好き、上村一夫の絵をご紹介。大正の浮世絵師と呼ばれた竹久夢二を連想させる女性像と独特の劇画タッチの画風を確立し、その作風から「昭和の絵師」とも呼ばれた!代表作の映画「同棲時代」のテーマ曲もお聞き下さい。https://youtu.be/wzeZlCNa12E #上村一夫

おわてんねっと @zzOMecpIvqvy9G9
たった今衝撃の一報
反天ウィークのために業者に発注をかけた横断幕が、文言の確認段階で「公序良俗に反する」という理由でキャンセルされました
これは、ひどい
なんということだ
公序良俗・・・えっーーー
ちなみに書いてもらう予定だった内容は、普通に「終わりにしよう天皇制!」でした って、このアカウント自体が公序良俗違反かい! もう天皇制の是非を表明することは、公序良俗に反するんですね。 次の公序良俗違反人間は、君だ! (ヤケクソ)


3月に約束していたskype会議.お互い声が聞こえたりそうでなかったりと少しトラブルがありましたが,無事にネット会議できました.なんだか面白いです.ちょっとお酒飲みながらでしたが…
ユニクロでチノパン.
質問に関連して新人のKoさんから資料がほしいとの声があったので,Toさんにお願いしました.Myさんにお願いしてもらいました.

津波に耐え今年も満開 気仙沼・神山川沿いの桜
 東日本大震災の津波に耐えた宮城県気仙沼市神山川沿いにある桜並木が、見頃を迎えている。県の河川堤防工事で震災前より本数は減ったが、地元の住民らは散歩をしたり、写真を撮ったりして楽しんでいる。
 満開となったのは神山川左岸の約190メートルにあるソメイヨシノ17本。ここ数日、暖かい日が続いたことで一気に開花した。
 神山川沿いには震災前、約60本の桜があった。地元の住民が40〜50年前に植え、手入れを続けてきた。震災の津波が押し寄せた後も大半が花を咲かせ、住民を励ました。
 県は当初、河川堤防を建設するため、全ての桜を伐採する方針だったが、地元の反対を受け、一部を残した。


<山元・旧中浜小遺構>屋上の倉庫内部 公開へ
 宮城県山元町教委は東日本大震災の遺構として保存する旧中浜小について、児童ら90人が避難して助かった校舎屋上の屋根裏倉庫を、内部から見学できるよう整備する方針を決めた。津波から命を守った場所を体感してもらう。
 約50平方メートルの倉庫は鉄筋2階の校舎屋上にある。避難時にコンクリートの床に敷いて児童らが寒さをしのいだ段ボール、保管していた学芸会や運動会の道具、タイムカプセルなどが、散乱した状態のまま置かれている。
 倉庫内部に一方通行の通路を設置し、両側に手すりを設ける。できる限り現状を保存するため、物を避けてルートをつくる。
 当初は倉庫壁面に窓を設置し、外側から見学する計画だったが、ガラスの反射で内部の様子が見えにくくなることが判明。ライトで照らすことも検討したが、暗闇で一夜を過ごした避難時の様子と異なり、防火面の問題もあった。
 町教委の担当者は「実際に内部に入って見ることで、児童が身を寄せ合った状況を肌で感じてほしい」と語る。
 町は本年度当初予算に保存工事費など約4億6000万円を計上。年度内に完成し、2020年度の展示開始を予定する。


震災から8年余 遺体の身元判明
東日本大震災の発生翌月に石巻市の海で見つかった身元不明の遺体が、女川町に住んでいた当時60歳の女性と確認されました。
決め手となったのは生前、弟に送った手紙だったということで、震災から8年余りたって、遺族のもとに戻ることになりました。
身元が確認されたのは、震災当時、石巻市の隣の女川町女川浜に住んでいた平塚眞澄さん(当時60)です。
平塚さんの遺体は震災の発生翌月の平成23年4月に、石巻市泊浜の漁港の防波堤近くの海で見つかり、身元が分からないまま、石巻市に引き渡されました。
親族からは行方不明届が提出され、警察がDNA鑑定などを行って調べていましたが、近い親族がいなかったため、特定できませんでした。
しかし、ことし3月、気仙沼市の女性から、「ことしの命日に、女川町に来た平塚さんの異母きょうだいの男性が、警察が公開している身元不明者の似顔絵に似ている」と情報が寄せられました。
警察が、平塚さんがきょうだいの男性に10年ほど前に送った手紙の封筒の切手からDNAの型を検出して照合したところ一致し、身元の特定に至ったということです。
遺体は今月24日に、遺族に引き渡されるということです。
県内で、震災で行方が分かっていない人は今も1200人余りいます。
警察によりますと、東日本大震災に関連して身元が確認されていない遺体はこれで9人となりました。


門脇小保存の回答書を手渡す
一部を取り壊した上で、震災遺構として保存することが決まっている石巻市の旧・門脇小学校について、校舎全体の保存を求めていた住民グループに、石巻市は19日、決定は地域の住民や関係者の合意を得て行ったものであり、再度、住民アンケートを行うことは考えていないなどとする回答書を手渡しました。
旧・門脇小学校について、石巻市は、津波と火災で被害を受けた3階建ての校舎の両端を取り壊した上で、震災遺構として保存する計画です。
地元の住民グループは、「独自に行ったアンケートで、回答者の8割が校舎の全体保存を望んでいる」などとして、先月22日、校舎の一部保存を決めたいきさつの説明などを求める要望書を石巻市に提出しました。
市が19日に住民グループに手渡した回答書では、一部を取り壊す案は保存派・解体派の双方の意見を取り入れた最善案として決定したもので、住民や関係者の合意が得られているとして、再度、住民アンケートを行うことは考えていないなどとしています。
住民側は、「それでは経緯がわからない。建物のすべてを保存して震災遺構として成り立つ」とか、「再度アンケートを行うと結果がひっくり返るためにやらないだけなのでは」などと訴えていました。
石巻市復興政策部の久保智光部長は、「これまで議論を積み重ねてきた経緯を踏まえると、これから再スタートするというのは難しい」と話していました。
また、住民グループ代表の本間英一さんは、「予想通りの回答書だ。市議会で今後についてはかってもらう」と話していました。


河北春秋
 福島県大熊町大川原は「調練原(ちょうれんばら)」と呼ばれた。町の郷土史家鎌田清衛さんの著作『残しておきたい大熊のはなし』(歴史春秋社)によると、江戸時代、馬の調教訓練の野原があったことにちなむ。相馬藩の南の国境を守る要衝だった▼多くの領民が餓死した天明の飢饉(ききん)の際、作物栽培のため開墾。昭和以降は豊かな田園風景が広がった。東京電力福島第1原発事故で姿は一変し、除染土を詰めた黒い袋が山積みされた▼大川原は他地区より放射線量が低く、全町避難した町の再生の中心的役割を担った。この地で新しい町をつくる計画が進む。先日、大川原、中屋敷の両地区で避難指示が解除された▼原発立地自治体では初の解除で、対象住民は全町民のごく一部。「移転先に生活基盤ができた」「自宅が中間貯蔵施設の建設地になった」。そんな理由で多くの町民は帰還を諦めた。しかし、どんなに姿を変えても、町民にとって唯一のかけがえのない古里であることに変わりはない▼大川原の坂下ダムにある500本の桜は今年も華やかに咲いた。原発事故後、樹勢を回復させたのは、町職員OBら6人による「じじい部隊」。町民に美しい故郷を思い出してもらおうと一本一本手入れをした。平成最後の桜。町民はそれぞれどんな思いで眺めたのだろう。

大熊町避難解除/早期帰還ありきは見直せ
 東京電力福島第1原発が立地する福島県大熊町全域に出ていた避難指示が、一部地域で解除された。内陸部で森林が多いが、政府は除染が終了したとしている。一方、中心部など町民の96%が住んでいた6割の地域は、「帰還困難区域」で原則立ち入り禁止が続く。
 新設した役場の開庁式が開かれ、6月には災害公営住宅への入居も始まる。しかし住民帰還の動きは乏しい。町のアンケートでは帰還の意向があるのは14・3%、戻らないとの回答は55%に上る。
 隣接する富岡町は2年前に避難指示が一部解除され、商業施設や医療機関の充実を図ってきたが、居住者数は事故前の7%にすぎない。「安全」を打ち出し施設整備を急ぐ国と、放射線を懸念する住民との意識の開きを示している。
 国はより多くの住民が古里に戻れるよう、手厚く支援しなければならない。同時に早期帰還ありきの政策を見直し、戻れない住民の声に正面から向きあう必要がある。
 原発立地自治体で初の避難解除には、来年の東京五輪に向け復興をアピールしたい安倍政権の思惑がうかがえる。一方、多くの住民は、廃炉が進まない原発や、森林に残る放射性物質への恐れを訴える。
 避難解除に伴う支援打ち切りなどを巡り、被災者が国や東電を訴える裁判の増加も、根本的な認識の違いの表れと言える。
 忘れてならないのは、住民の帰還は第1原発の廃炉が大前提であることだ。
 30〜40年とされてきた廃炉工程の行方が怪しくなっている。メルトダウンで溶け落ちた核燃料は取り出す見通しが立たず、使用済み核燃料の搬出も想定通り進んでいない。
 汚染された物を全て撤去して更地にするという計画の実現性を疑問視する声も上がる。8年間あいまいにしてきた工程を巡る議論の先送りはもう許されない。賠償や被災者の人生設計に大きく影響するからだ。
 事故で壊れ、劣化が進む原発からの核燃料取り出しは、前例のない厳しい作業となる。その近くに暮らすことへの不安に耳を傾けねば、被災地に寄り添う政策は描けない。


釈迦堂320年経て大修復 仙台・榴岡 伊達騒動と深い関わり
 仙台藩4代藩主伊達綱村(1659〜1719年)が母三沢初子の冥福を祈って建立し、東日本大震災の影響などで劣化が進んだ仙台市宮城野区榴岡の市登録文化財・釈迦堂が全面修復されることになり、解体工事が始まった。約320年前の創建以来初めての大修復で、完成当初に近い姿に復元する。2021年の作業完了を目指す。
 釈迦堂は仙台藩を揺るがした寛文事件(伊達騒動)と関わりが深く、母子愛を象徴する歴史的建造物として知られる。高さ11.8メートル、幅・奥行きは7メートル。当初は現在のみやぎNPOプラザ(宮城野区榴ケ岡)付近にあったが、1973年、宮城県図書館の建設に伴って初子の菩提(ぼだい)寺である日蓮宗本山・孝勝寺の境内に移った。
 さらに本堂の建設などに伴って境内で移築を繰り返し、震災では壁などが破損して倒壊の恐れが生じた。元は瓦屋根で白木造りだったとされ、周囲に縁側が張り巡らされていたが、移築を繰り返すうち縁側は外され、屋根は銅板に替わるなど大幅に改変された。
 孝勝寺は昨年、綱村の300回忌に合わせて修復を計画。総工費約1億3000万円のうち、6000万円の寄付を募っている。寄付者には税の優遇措置を適用する指定寄付金制度を活用する。
 今月初旬、施工業者が小山祐司東北工業大教授(日本建築史)の指導を受けて屋根の銅板などを外す作業を始めた。約2カ月かけて解体し、仙台藩が残した建築物に関する記録などと照らし合わせて作業する。
 孝勝寺の谷川海雅(かいげ)貫首(80)は「親子愛や慈悲の心を象徴する文化財として後世に受け継ぎたい」と意気込む。寄付に関する連絡先は同寺022(256)5402。
[釈迦堂]1695年建立。伊達騒動に巻き込まれた綱村の命を守ろうと、母初子が懸命に祈りをささげたことに感謝して建てられ、母子愛を象徴する。初子が身に付けていたとされる約5センチの仏像が守り本尊。綱村が釈迦堂周辺に多数の桜を植え、榴岡公園は桜の名所となった。近くに初子の墓「政岡墓所」がある。


青森・八戸の沖合で珍魚を発見 世界4例目のアンコウか
 青森県八戸市の沖合の太平洋で、世界でこれまで3匹しか確認されていないキタチョウチンアンコウとみられる魚が水揚げされたことが19日、分かった。関係者は「4例目なら非常に珍しく、貴重なデータだ」と話している。
 東北区水産研究所八戸庁舎によると、魚の体長は約25センチ、重さは906グラム。全身が黒く、獲物をおびき寄せるための突起の先端が、複数に分かれている。
 11日に水揚げされ、京都大や米国の専門家に調査を依頼した結果、突起の形などからキタチョウチンアンコウの可能性が高いことが分かった。
 これまでに日本の沖合で3匹が確認されただけの貴重な魚という。


尼崎JR脱線14年 遺族が組織罰実現を訴え「事故を風化させない」
 尼崎JR脱線事故の発生から14年になるのを前に、遺族らでつくる「組織罰を実現する会」主催の公開講演会「信楽事故と事故調査 そしてTASKの活動」が20日、兵庫県川西市栄町のアステホールで開かれる。同会代表で、長女を脱線事故で亡くした大森重美さん(70)は「事故を風化させないためにも、多くの人に関心を持ってほしい」と参加を呼び掛ける。(田中真治)
 同会は、死亡事故などを起こした企業・団体の刑事責任を問う「組織罰」創設を訴え、2016年4月に発足。山梨・笹子トンネル天井板崩落事故や長野・スキーバス転落事故などの遺族らもメンバーとして活動する。昨年10月、法制化を求める約1万人分の署名を法相に提出した。
 講演会では、同会顧問の安部誠治・関西大教授(交通政策論)が登壇。1991年5月に信楽高原鉄道(滋賀県)とJR西日本の列車が衝突して42人が犠牲となった事故を取り上げ、遺族らの結成した「鉄道安全推進会議」(TASK、6月解散予定)が鉄道事故の調査機関設置を実現させた活動をたどる。
 組織罰を実現する会メンバーで、脱線事故で長女を亡くした女性(79)はこれまで信楽事故の追悼法要にも出席してきた。「信楽の反省をきちっとしていれば、尼崎の事故もなかった」と話す。大森さんは「事故を繰り返さないため、組織罰について知ってもらい、法制化につなげたい」と訴える。
 午後2〜4時。無料、予約不要。同会事務局TEL0798・68・3161


外国人労働者 共生の保障はあるか
 外国人労働者を拡大する新制度が始まった。新組織である出入国在留管理庁も発足した。外国人への賃金不払いや長時間労働など人権侵害が問題となっただけに共生の保障はあるかと問いたい。
 「特定技能」と呼ばれる在留資格が創設されるのが、新制度の目玉であろう。今後五年間で最大約三十四万五千人にのぼる外国人労働者の受け入れを想定している。
 業務にあたる法務省の入国管理局を「庁」に格上げした。出入国在留管理庁である。出入国審査などのほか、在留外国人の生活支援なども行うことになっている。
 既に各国で日本語能力などの試験が始まり、やがて大勢の外国人が入国することになろう。ただ、福島第一原発の廃炉作業に就く予定であることも判明した。受け入れ業種の「建設」「電気」などに該当すると判断したからだ。
 廃炉作業にはむろん被ばくの恐れがあり、線量管理などが欠かせない。日本人作業員との意思疎通も不可欠だ。「慢性的に人手不足。喉から手が出るほど労働者がほしい」という現場だ。しかし、語学力の壁などで事故が起きる危険もまたある。外国人を使い捨てにするような仕組みではいけない。
 そんな懸念が生じるのは、外国人技能実習生の悲劇があるからだ。失踪した実習生五千二百十八人に関する調査結果を法務省は公表している。二〇一二〜一七年に事故や病気などで実習生百七十一人が死亡している。足場からの転落などの事故死が二十八人、レジャーなど実習外の事故死が五十三人、病死が五十九人、自殺が十七人、殺人や傷害致死による死亡が九人などだった。
 つまり新制度に盛り込まれている外国人労働者への支援構築が適切でないと、悲劇の二の舞いになる恐れもあるのだ。
 必要なのは法務省など関係する役所が外国人労働者の支援や保護、受け入れ企業の監督の強化を図ることだ。一定技能が必要な「特定技能1号」には、かなりの技能実習生が移行するとみられる。
 相談窓口設置や送り出し国との協力態勢など課題はなお残っている。人手不足解消の労働力としてのみ期待するなら人権侵害は続きかねない。外国人労働者の人権を重く見て、その保障がなされなければならない。
 法案成立から四カ月弱。準備不足の感があるままスタートした。目指すべきは共生社会である。悲劇の連鎖だけは避けたい。


【外国人材と原発】受け入れ態勢は大丈夫か
 4月から始まった新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者が、東京電力福島第1原発の廃炉作業に携わる公算が大きくなった。東電が受け入れ方針を明らかにした。
 建設業界の人手不足が背景にあるが、福島第1原発は普通の作業現場ではない。放射線による健康被害が懸念される厳しい作業を伴う。
 外国人を受け入れるなら、十分な環境を整えなければならない。日本語の理解や日本人との意思疎通は最たる課題だろう。
 福島第1原発事故関連では昨年、日本の技術を学びに来ている外国人技能実習生に、本来対象ではない野外の除染や原発内の作業をさせていたことが判明。大きな問題になったばかりだ。
 新制度によって外国人を原発作業員として受け入れることが可能になったからといって、安心して働くことができるわけではない。まずは課題を整理し、十分な受け入れ環境を整えることが重要だ。
 東電によると、実際に外国人を雇用するかどうかは協力会社の判断になる。採用規模も決まっていないという。
 対象職種は、特定技能制度で定める職種のうち、廃炉作業に直接関わる「建設」が主になる。他に「電気・電子情報関連産業」や事務棟などで作業員を支える「ビルクリーニング」「外食業」がある。
 東電は再稼働を目指している新潟県の柏崎刈羽原発の工事でも受け入れる意向だ。
 原発作業では放射線の被ばく線量に上限が定められている。油断すれば発がんリスクが高まる。
 外国人も日本人と同様に適切な教育を受け、しっかりとした作業ルールの中で働く必要がある。線量測定はもちろん、作業の時間や内容も踏まえた徹底した放射線管理が求められよう。
 スタートした新在留資格「特定技能1号」は、求められる日本語能力を「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度」と定める。
 これで安全は確保できるのだろうか。日本語が理解できなければ、本人の意に反して危険な現場で働かされる事態も起きかねない。現状ではこうした課題への東電側の対応は全く見えてこない。
 福島第1原発の廃炉作業は、下請け、孫請けといった協力会社が担う複雑な構造になっている。どこまで放射線管理や安全管理が徹底されるか気掛かりだ。東電も協力会社に任せきりにせず、責任ある対応が求められる。
 特定技能制度を導入した改正入管難民法は、十分な国会審議を経て成立したとは言い難い。外国人労働者の権利の保障や日本人社会での共生についても準備不足のままスタートした。
 技能実習制度を悪用し、外国人を安い賃金で長時間働かせる事例が相次いだ経緯もある。性善説に立つことはできまい。門戸を開いた政府には指導や監視の責任がある。


他国地位協定調査 政府は不平等に向き合え
 日米地位協定の抜本的な見直しに、政府は真剣に向き合うべきだ。
 県は2017年度と18年度に行った現地調査を基に、日本や欧州4カ国と米国との地位協定を比較した他国地位協定調査報告書をまとめた。報告書は、欧州各国では米軍基地への立ち入り権や米軍機の飛行などで、受け入れ側の国内法を米軍に適用していることを明らかにしている。
 在日米軍には原則として国内法が適用されないとする日本政府との違いが改めて浮き彫りになった。ところが県の調査報告に河野太郎外相は「何かを取り出して比較するということに全く意味はない」と開き直りとしかいいようのない態度を取った。
 国際的な事例比較を通じて課題を国民に分かりやすく示し、交渉によって改善に導くことは本来、外務省が率先して取り組む仕事のはずだ。
 幕末に欧米列強と結んだ不平等条約の改正まで約半世紀の歳月を要した明治政府の歴史を、河野氏が知らないはずはあるまい。国民の利益を損なう不平等から目をそむけ、現状を容認し続けるのなら、外相の資格はない。
 県によると復帰から18年12月末までに、米軍人等による刑法犯が5998件、航空機関連の事故が786件起きている。近年も米軍ヘリ沖国大墜落事故、名護市安部沿岸へのMV22オスプレイ墜落、東村高江の米軍ヘリ不時着・炎上など、民間地域で事故が多発している。
 そのたびに県警は事故現場に立ち入ることができず、米軍は機体を持ち去った。環境調査の立ち入りも認められていない。それにもかかわらず日米地位協定は1960年の締結以来、一度も改正されていない。米軍に裁量を委ねた運用の改善では歯止めがかからず、県民の安全や人権を守れないことはもはや明白だ。
 イタリアでは98年に米軍機によるロープウエーのケーブル切断事故で20人の死者が出たことをきっかけに、米軍機の規制をさらに強化することとなった。本紙記者の報告による連載「駐留の実像」は、米側に低空飛行訓練の見直しを迫るイタリア側代表の言葉を紹介している。
 「これは取引や協議でもない。米軍の飛行機が飛ぶのはイタリアの空だ。私が規則を決め、あなた方は従うのみだ。さあ、署名を」
 これこそが主権国家として取るべき態度だ。
 日米地位協定の不条理は沖縄に限った話ではない。日本の首都東京の空でさえも、米軍横田基地が管制を握っている。全国知事会は18年7月に「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択し、その中で日米地位協定の抜本的な見直しを求めた。
 県の問題提起に無視を決め込む政府の態度からは、主権国家としての気概が全く感じられない。米国に追従するだけの卑屈な態度を改め、協定の抜本改正を要求すべきだ。


[米兵 女性殺害事件]米軍は説明責任果たせ
 米海軍兵が日本人女性を殺害した後に自殺したとみられる事件で、被害女性との接触を禁止する「軍事保護命令」(MPO)を適用されていた同海軍兵に対し、米軍が事件当日、外泊許可を出していたことが分かった。
 衆院外務委員会で赤嶺政賢氏(共産)の質問に、外務省審議官が答えた。
 海軍兵は事件前夜から女性と一緒にいたことが確認されており、翌朝に2人は遺体で発見されている。外泊許可が出ていなければ事件は防げた可能性がある。
 関係者によると女性は、海軍兵にMPOが適用されたことを知り、これ以上の被害を受けないで済むと安心していた。そんな最中に事件は起きた。海軍兵が目の前に現れた時の、女性の驚きと恐怖は察するに余りある。
 MPOは、DV(ドメスティックバイオレンス)の訴えや男女間のトラブルがあった場合に、憲兵隊(MP)や軍の上司が適用を決める。適用された場合は接触したり、電子メールや電話で連絡したりすることが禁止される。例えば、買い物先で偶然居合わせたとしても、後から来た方が店を出なければならないなど細かくルールが決められ、破れば罰則も科せられる。深刻なケースの場合は、外出禁止などの行動制限と並行して発令されることもあるという。
 今回、女性に対するMPOが発令されている海軍兵に、米軍はなぜ外泊許可を出したのか。許可を出せば、海軍兵が女性宅へ行く懸念は当然あったはずだ。
    ■    ■
 海軍兵の女性に対するストーカー行為や嫌がらせは昨秋ごろ始まった。女性は当時から友人たちに「米軍や県警に何度訴えてもやまない」と話し悩んでいた。昨年10月には女性宅で海軍兵による器物損壊の訴えを受けて沖縄署員が現場へ。今年1月に入ると海軍兵が女性宅に押し入り暴行するなど、事件に至る経緯はエスカレートしていくDVそのものだ。
 MPO適用後いったんは姿が見えなくなった海軍兵だが3月下旬、再び女性宅周辺で目撃されたといううわさを聞き女性はおびえていたという。
 米軍は事件直前の4月上旬、女性に対する暴行について県警が捜査を終えた後もNCIS(米海軍犯罪捜査局)による捜査を続けていたとする一方、今回、事件当日に海軍兵に外泊許可を出していた。米軍の説明は矛盾しており到底納得できない。
    ■    ■
 他方、県警は事件後、女性からの訴えについて「わいせつ事案はあったものの、DVがあったかどうかは分からない」との見方を示している。度重なる嫌がらせや、自宅に押し入り暴行されたなどの訴えを「DVかどうか分からない」とする県警の判断にも大いに疑問が残る。
 日米双方の捜査機関が関わりながら、事件を防げなかった責任は重い。
 大切な命が失われた今、事件はなぜ防げなかったのか、同様の悲劇を防ぐにはどうすればいいのか。
 米軍は、事件に対しての説明責任を果たすべきだ。


辺野古取材の池上彰さんを撮影 「マスコミ特定」反対派リスト作成の警備会社が指示
「撮影は警備目的」とする政府答弁と矛盾
 沖縄県名護市辺野古沖で2016年、国が発注した海上警備業務の下、取材中だったジャーナリストの池上彰氏が撮影されていたことが明らかになった。毎日新聞は画像を入手。関係者は、警備を委託された会社側から取材者を撮るよう指示があったと証言した。この会社を巡っては、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する市民らの顔写真付きリストを作っていたことが判明している。「撮影は警備目的」とする政府答弁との矛盾が鮮明になった。


普天間爆音訴訟/司法の限界を認めるのか
 米軍普天間飛行場(沖縄県名護市)の周辺住民ら約3400人が米軍機の飛行差し止めと騒音被害の賠償を国に求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部は国に約21億円の支払いを命じた。しかし差し止めは一審と同じく認めなかった。
 過去の騒音被害は違法だが、生じさせているのは米国であり、日本政府が制限できる立場にない−。約390人の住民による第1次訴訟でも、那覇地裁と福岡高裁は同じ内容の判決を下している。司法の限界を自ら認めたような内容だ。
 1996年に日米両政府が返還に合意してから20年以上を経ても、多くの住民にとって、事故と背中合わせの安心できない状況が続く。政府は普天間の危険性除去の責務を改めて認識し、沖縄県民が納得できる対策を講じなければならない。
 判決は、睡眠妨害など住民の苦痛が「受忍限度を超えている」と指摘した。さらに日米間の協定に反する早朝や深夜の飛行が確認されたとして、「協定の履行を求める実効的措置を取っていない」と国を批判した。
 ところが賠償基準額は一審判決より3割以上も減額し、根拠を明確に示さなかった。国の不作為を認定しながら、「不当に高額」とする国の主張に沿うような判断は理解に苦しむ。
 米軍基地の騒音問題は各地で訴訟が起こされ、国に賠償が命じられている。原告側は被害の深刻さや国の無策を訴えて賠償を勝ち取ってきた。大幅削減はそうした流れに逆行する。
 一方で判決は、普天間での米軍の活動が国民全体の利益に寄与するとしながらも、周辺住民に「特別の犠牲」を強いる不公平は「正当化できない」と指摘した。
 普天間の負担解消へ政府が「唯一の解決策」とする辺野古移設は、県民の反発が根強い。沖縄に集中する基地負担のあり方を、日本全体で考えねばならないのは確かだ。
 厚木基地(神奈川県)の騒音訴訟で、横浜地裁が差し止めを認めた例もある。違法な騒音と認め、賠償を命じるのなら、さらに踏み込んで現状を直ちに改善するよう政府に強く迫るのが筋である。それが司法に求められる役割ではないか。


橋下徹が岩上安身リツイート裁判で矛盾を追及され逆ギレ!「こんな質問は無意味」「あなたにはわからない」と
 3月27日、大阪地方裁判所。原告本人として証言台に立った橋下徹氏は、被告席へ向けて、吐き捨てるようにこう言った。
「こんな質問は無意味。あなたには組織を運営したことがないからわからないですよ」
 4月7日に投開票された大阪W首長選は、大阪維新の会の松井一郎と吉村洋文が立場を入れ替えて当選、同日の地方選議会選でも維新の会は議席を伸ばした。その選挙のまっただ中、“維新の生みの親”である橋下氏が起こした裁判がハイライトを迎えていたことをご存知だろうか。
 橋下氏に訴えられたのは、インターネット報道メディア「IWJ」を主宰するジャーナリスト・岩上安身氏だ。以前、本サイトでもお伝えしている(https://lite-ra.com/2018/01/post-3754.html)ように、この裁判は2017年12月、橋下氏が、Twitter上で第三者のツイートをリツイート(RT)した岩上氏を相手取り、名誉を傷つけられたとして100万円の損害賠償等を求め提訴したものだ。
 そしてこの3月27日に大阪地裁で行われた第6回口頭弁論で、いよいよ橋下氏と岩上氏本人が出廷。法廷での全面対決が行われたのである。本サイト記者も裁判を傍聴した。
 当日10時頃、大阪地裁の大法廷にあらわれたスーツ姿の橋下氏は、時折、小声で代理人と話したり、憮然とした表情を浮かべていた。午前中に行われた証人尋問から、弁護士でもある橋下氏が代理人を通さず、自ら尋問を行うという“異例”の光景が随所で見られた。
 さらに、午後の本人尋問では、岩上氏に対し直接「(取材メモ等を)出すんですか!出さないんですか!」などと声を張り上げる場面も。一方で橋下氏への反対尋問では、被告側弁護団が橋下氏の主張の“矛盾”を追及するなど、両者が火花を散らす展開となった──。
 こうした法廷での模様は後に譲るとして、訴訟の経緯を簡単におさらいしておこう。
 この裁判で注目すべき主なポイントは、(1)第三者のツイートを単純RTする行為が名誉毀損に当たるのか、(2)元ツイート内容の真実性ないしは真実相当性、(3)訴訟自体が批判言論の萎縮を狙った「スラップ裁判」と認定されるかどうか、だ。
 訴状などによると、岩上氏は2017年10月29日、自身のTwitterアカウントで〈橋下徹が30代で大阪府知事になったとき、20歳以上年上の大阪府の幹部たちに随分と生意気な口をきき、自殺にまで追い込んだことを忘れたのか!恥を知れ!〉との第三者のツイートをRT。岩上氏自身はコメントを一切つけず単純にシェアする形のRTだった。岩上氏は「検証報道の必要性を感じ」て「すぐに取り消した」というが、RTから約1カ月半後、橋下氏側は内容証明等の事前通告を一切せぬまま、いきなり訴状を送りつけた。
 原告・橋下氏側は「リツイートの摘示する事実は全くの虚偽」であり、岩上氏のRTによって「社会的信用性を低下させられた」「精神的苦痛を受けた」などと主張している。他方の被告・岩上氏側は、「意見表明を名誉毀損と一方的に決めつけ、意見表明を止めなければ金銭請求する」ものとして、相手の言論を封殺することが目的の典型的なスラップ訴訟(訴権の濫用)の「手口」であると反論している。
 たしかに、橋下氏側の訴状や陳述書には不可解な点が多い。たとえば、原告側は元ツイートの内容について、「他者を自殺に追い込むまでのパワーハラスメントを行う人物であるとの印象を与える」として社会的信用性の低下を訴えているのだが、一方で、名誉回復措置としての謝罪訂正文掲載などは一切求めず、100万円と弁護士費用のみを要求している。
 また、元ツイートの内容を巡っては、橋下氏が府知事時代の2010年10月、府職員(当時、商工労働部経済交流促進課の参事)が水死体で見つかったことが深く関係しているのだが、「橋下府政下での複数職員の自殺」という事実自体は、これまで週刊誌や新聞等いくつものメディアが報じてきたものだ。
 それらの報道によると、自殺した参事は2009年9月5〜8日の日程で行われた橋下府知事の台湾訪問に携わっており、残された遺書には「仕事上の課題・宿題が増え続け、少しも解決しません」「もう限界です。疲れました」などと書かれていたとされる(裁判のなかでは、岩上氏側が大阪府による参事自殺に関する調査報告書の開示を求めるも、裁判所は大阪府に開示を認めない決定を下した)。
 また、当時の橋下府知事自身も記者団に対し「ご遺族の方には本当に申し訳ない。職員が責任感を持ってもらったがゆえに、全部背負ってしまったと思う」「(日程変更の)判断は間違ったとは思わないが、こまやかな配慮にかけていたことは否めない」(読売朝日新聞大阪版10年12月15日付)などと語っていた。そうしたことから、複数のメディアが、参事の自殺に橋下知事訪台をめぐる府庁内トラブルが影響を与えているのではないかとの見方をしたのである。
 ゆえに、元ツイートの真実性・真実相当性が争われたこの裁判でも、当時の知事訪台をめぐる「方針決定の過程」が問題となった。そして、被告側弁護団が橋下氏の主張の“矛盾”を追及したことから、冒頭の場面へと繋がる。
台湾訪問決定をめぐる橋下徹の主張と議事録に大きな矛盾
 もともと、裁判所に提出した陳述書のなかで橋下氏側は“訪台中に台湾政府要人とは会わない”という「方針」は、大阪府の意思決定機関である「大阪府戦略本部会議」で事前に機関決定されていたことであり、「大阪府戦略会議において、副知事や幹部たちと協議を重ねてきました」「私は大阪府戦略本部会議において入念に時間を重ね、大阪府知事の台湾訪問の方針をつくったのであり、その方針を、現場の一職員の判断で覆すということを認めるわけには絶対にいきませんでした」などと繰り返し述べてきた。
 橋下氏の申述書によれば、訪台時に初めて台湾の経済担当大臣との面会がセッティングされていることを知り、「ありえない」「絶対に認めるわけにはいかない」との心境になったという。また、帰国後に開かれた「大阪府部長会議」において「大阪府戦略本部会議で決めた方針について、担当部局の細部にまで意思共有ができていないことの問題点を指摘」し、「叱責と言われれば、そうかもしれませんが、それは組織上の注意として当然の範囲です」と述べている。
 ところが、である。裁判の被告側反対尋問のなかで、岩上氏はこの主張の矛盾を暴露した。岩上氏側は、橋下氏が議論のうえ機関決定したと主張してきた「戦略本部会議」と「部長会議」の議事録を丹念にチェックし、そこにまったく議題として取り上げられていないことを確認したと発言。それだけでなく、提訴後には大阪府へ直接取材し、府の担当者から「戦略本部会議で訪台について話し合われたことは一度もなく、決定もされていません」「非公開にしている議事録などなく、すべて公開しています」「部長会議についても同様です」と、橋下氏の主張を根底から覆す回答を大阪府から得たというのだ。
 本サイトも後日、あらためて大阪府に取材した。たしかに岩上氏側が言うように、「戦略本部会議」にかんしてHPで公開しているもの以外の「議事録」は存在せず、「台湾訪問について、戦略本部会議および部長会議で意思決定されたという実績はない」(政策企画部企画室政策課担当者)との回答だった。なお、当時の訪台方針の決定の過程についても確認を求めたが、「知事の海外出張の関連文書については、所定の保管期限5年を過ぎたものは廃棄されるため当時の詳細はわからない」(商工労働部成長産業振興室国際ビジネス・企業誘致課担当者)とのことだった。
 当然、橋下氏への反対尋問では、この決定過程をめぐる主張の“矛盾”が厳しく追及された。すると、橋下氏は訪台方針の決定時期は「はっきりしない」と言葉を濁し、さらに“訪台記載がない議事録”についてこう煙に巻いたのである。
「これは外交マターなので、非公開になっているのかはわからない」
「議事録には残っているはず。ただ、公開されているかはわからない」
 しかし、繰り返すが、こうした橋下氏の曖昧な発言は、岩上氏側が取材の上、確認をとった大阪府の回答とまったく矛盾するものだ。
矛盾を追及された橋下徹は「こんな質問は無意味」と逆ギレ
 そこで再度、岩上氏側の代理人から「方針を決定した会議」の正式名称を訊かれ、橋下氏が吐いたのが「あなたには組織を運営したことがないからわからないですよ」とのセリフだ。その姿はまさに、マスコミの記者を「勉強不足」「わかっていない」などと面罵した首長時代を彷彿とさせるものだった。
 さらに、閉廷の直前には、橋下氏は「岩上氏から謝罪があれば訴訟しなかった」「知事権限で(訪台は)やった」などとこれまでとは違う発言を口にした。前述の通り、訴状において原告は岩上氏に謝罪を求めていなかったにもかかわらず、である。
 結局、被告原告双方の本人尋問はかみ合うことなく、参事自殺をめぐる真相も明らかにならなかったが、この裁判ではもうひとつ、看過できない証言が橋下氏本人の口から飛び出した。
 実は、裁判所に提出した書類によれば、橋下氏は元ツイートの投稿主に対しては提訴していない。また前述のように、参事自殺と橋下知事訪台時のトラブルを結びつけた記事はいくつも存在している。たとえば「フライデー」(講談社)2011年10月28日号は、「大阪府幹部職員が爆弾証言「私の同僚は橋下徹府知事に追い込まれて自殺した!」」なる見出しで掲載。同じ記事は講談社のニュースサイト「現代ビジネス」にも転載され、2019年4月現在でも公開されたままになっているが、これに対しても裁判も起こしていなければ、削除要請もしていないのだ。
 であれば、なぜ橋下氏は単純RTした岩上氏をだけを提訴したのか。明らかに不可解だ。傍聴メモから、岩上氏側による橋下氏への尋問中のやり取りを紹介しよう。
岩上側「2011年10月23日の『現代ビジネス』には『橋下徹府知事に追い込まれて自殺した』とあります」
橋下氏「僕に『追い込まれて自殺した』は虚偽ですね」
岩上側「講談社に削除要請はされているのですか。提訴は」
橋下氏「してません。裁判もないです」
岩上側「岩上さんへの対応と講談社への対応が違う」
橋下氏「その記事は2011年のものですよね。僕が政治家時代の話。政治家時代にはいろいろ書かれましたが、公人ですから、よほど限度を超えていたもの以外は法的対応を控えてました」
岩上側「インターネット上で今も公開されていますが、放置するのですか」
橋下氏「しかたがない」
岩上側「仮に岩上さんが『現代ビジネス』の記事をRTしたとしたらどうなりますか」
橋下氏「(その記事は)匿名の関係者に取材するなどしている。問題のツイートとは違う」
 二重基準にしか聞こえないが、「政治家を辞めた今となっては私人」であり、「自分はなんの権力ももたない」などと強弁を続ける橋下氏。 念のため事実を補足しておくと、橋下氏は政治家時代に「新潮45」(新潮社)2011年11月号に精神科医でノンフィクション作家の野田正彰氏が寄せた「大阪府知事は『病気』である」という記事に対し名誉毀損で提訴している(2017年2月に最高裁が上告を棄却し、橋下氏の敗訴が確定)。
橋下徹は“リツイートを岩上自身のツイートと勘違い”していたと自ら証言
 だが、さらに呆れたのは、提訴のタイミングをめぐって尋問されたときのことだ。橋下氏は自らに関して“名誉毀損に当たりそうなツイートを事務所がリサーチしている”と証言したのである。
岩上側「ネットメディアもチェックしているのですか? そのなかにIWJも含まれていますか」
橋下氏「メディアは全部チェックしているはずです」
岩上側「事務所からの報告というのは、元ツイートが岩上さんにRTされたということの報告?」
橋下氏「いや、岩上氏のツイートとして(報告を受けた)」
岩上側「第三者のRTだということは、実際に見た段階でわかったということですか」
橋下氏「(そのときは)岩上さんのツイートだと思いました」
 ようするに、事務所のスタッフに橋下氏に関するツイートを随時チェックさせ、報告を上げさせているというのだ。しかも、橋下氏が言うには、理解しがたいことに、当初はRTではなくツイートだと誤認していたらしいが、もし、単純なRT行為に対して名誉毀損が成立するとすれば、同じRTをした複数のアカウントのなかから恣意的に選ぶことが可能となる。実際に今回、橋下氏はそのようにして岩上氏だけを提訴した。それもRTを削除した後に、だ。
 いずれにせよ、批判勢力を吊るし上げ、言論人やメディアを名指しながら罵倒して大衆を煽動するやり方は、もともと橋下氏が政治家時代から繰り返してきた手法である。しかも、橋下氏は「政界引退」を表明した後も、大阪維新の会の法律顧問を務め、安倍首相や菅義偉官房長官と会食を繰り返している。依然として、橋下氏が強い政治的影響力を有しているのは衆目の一致するところだ。
 これでは、政治的影響力を持つ人物に対する批判的な報道だけでなく、一般の人々の表現の自由までもが相当に萎縮してしまうだろう。裁判所には慎重な判断を望みたい。


労基署が大手に是正勧告…芸能プロはやはりブラックなのか
■裁量労働制の抜け穴
「現場」のスタッフほど、改善など期待できないようだ。
 原則月45時間とされる時間外労働(残業)の上限を超えさせたとして、サザンオールスターズなどが所属のアミューズ、お笑いの吉本興業、EXILEなどのLDH JAPANが労働基準監督署から是正勧告を受けていた件である。月に500時間働いたスタッフもいたというから、月平均80時間とされた「過労死ライン」など、どこ吹く風。いつスタッフが倒れてもおかしくないような酷使状態が見え隠れしている。
 この是正勧告に各社は労働環境の整備に乗りだす姿勢を公にした。だが某芸能プロデューサーはこう言うのだ。
「例えばタレントがある程度売れてきたとする。専任のマネジャーのほか、さらに付き人もいる場合、とても労基法の時間内で終わるような仕事じゃない。それでどうするか。この専任マネジャーをチーフマネジャーにして、さらに子会社の社長にして、この子会社がマネジメントをしていることにすると、マネジャーは労基法の対象とする被雇用者ではなくなる。法的には経営者ですから、残業代とか、最低時給とかの縛りはない。合法的に残業代を支払わないで済む裏技を熟知しているプロダクション経営者はいくらでもいますよ」
 今回是正勧告の出た3社のことではないだろうが、悪徳プロダクションになると「頑張っているから役員にしてやる、子会社の社長にしてやる」などと甘い言葉で誘い、年間一律の定額役員報酬だけでスタッフを酷使したりするケースもあるというから悪質だ。
「実態が雇用に近ければ、仮に裁判で争えば、こうしたマネジャーも会社にリベンジできます。しかし、現実には目の回るような激務で労基署や弁護士に相談する時間もなければ、過労や睡眠不足で心身共にいっぱいいっぱい。だいたい弁護士に仕事を委任する金銭もないでしょう。つまりは、悪徳プロが労基署から指導を受けたとしても、スタッフの処遇や書類などを触って、実態はそのままということは十分あり得る。裁量労働制は、ブラック企業が残業不払いを合法化するものでしたが、役員にするなどまだまだ逃げ道はある」(前出のプロデューサー)
 芸能界の仕事は人気で、有名プロダクションの求人倍率は今も高いが、一方で短期間で辞めてしまうケースも少なくない。
■売れた時の喜びは…
 不規則な労働時間、タレントの送迎にスケジュール管理、営業の他、打ち合わせという名の飲み会、マスコミや一部ファンからの護衛役、果ては私生活の雑事にまで及ぶこともあるというから、時間が不規則で長時間なのも致し方ない部分はある。それでも、担当するタレントがブレークした時の喜びは何物にも替えがたいという声も一方ではある。
「担当した新人が大ブレークして会社から数百万のボーナスをもらい、20代でベンツのEクラスを買ったなんて話はこの業界にはゴロゴロしています。でも、最近ではマネジャーとタレントの関係も、現地集合、現地解散だったり、現場に顔を出さないで何人ものタレントを担当するようなタイプも出てきている。本当にケース・バイ・ケース」と、某大手芸能プロダクション幹部は言う。働き方改革と芸能界が折り合いをつけるのは難しそうだ。


“安倍最側近”萩生田光一が批判されるべきは消費税延期論でなく「ワイルド」改憲発言と『虎ノ門ニュース』の身内化だ
 やっぱり出たか──。昨日、自民党の萩生田光一幹事長代行がフェイクデマ拡散ネトウヨ番組である『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)に出演。「消費増税の延期」に言及し、波紋を広げている。本日午後に萩生田氏は「政治家としての私個人の見解を申し上げた」と釈明したが、これはそんなレベルの話ではない。
 というのも、本サイトが先週、伝えたように、5月20日に公表される四半期別のGDP速報値がマイナスになる公算が強まっていることから、安倍政権では参院選に対する危機感が大きくなり、消費増税延期と衆院解散の「衆参ダブル選挙」を検討する動きが起きていたからだ(https://lite-ra.com/2019/04/post-4660.html)。
 今回、安倍首相の最側近である萩生田氏が消費増税延期の可能性を口にしたのだ。これは単なる「個人の見解」などではなく、安倍首相に代わって観測気球を上げたということではないのか。
 もっとも、消費税については、そもそも実質賃金が上がらないこんな状況下で逆進性の高い増税を実施しようとしていること自体がおかしいのであって、延期は当然とも言える(消費増税を前提にした予算を強行した政権が、いまさら選挙目的で、それをひっくり返そうという無節操さには呆れるが)。
 むしろ、問題なのは、萩生田氏のもうひとつの発言、憲法改正についてふれた部分のほうだろう。
 まず、萩生田氏は、今国会で憲法審査会がまだ1度も開かれていないことについて、「国会の一部の人たちが国民の主権を奪っている」「誰も国民は望んでいない」と憲法審査会の開催に反対する野党を批判した。
 あたかも国民が憲法改正に前向きであるかのような言い方をしているが、1月におこなわれたNHKの世論調査でも、国会での憲法改正に向けた議論について「早く進めるべき」と回答したのは23%にすぎず、「急いで進める必要はない」が50%、「憲法改正の議論をする必要はない」が14%という結果だった。つまり、国民は憲法改正の議論について喫緊の必要性をほとんど感じていないのだ。
 にもかかわらず、萩生田氏はこう明言したのである。
「ここまで丁寧に我慢してきた。令和になったらキャンペーンを張るしかない」
「ご譲位が終わって新しい時代になったら、少しワイルドな憲法審査を自民党は進めていかなければならない」
 国民から不信感が高まっている「忖度道路」をはじめとする問題についての予算委員会の開催を拒否しながら、国民から強い要請も緊急性もない憲法審査会を「ワイルドに」進めると明言するとは──。これは看過できない大暴言だ。
 憲法審査会はその名の通り、憲法という国の基礎となる最高法規を議論する場であるため、他の委員会とは違い与野党協調を重視し、与党と野党の合意の上で開催してきた。だが、与党は憲法審査会の開催を強引に迫り、野党がこれを拒否したところ、昨年には自民党の憲法改正推進本部長であり憲法審査会の幹事に就任する予定だった下村博文・元文科相が「職場放棄だ」とテレビ番組で暴言を吐くという問題が勃発。これを受けて自民党は下村元文科相を幹事と委員から辞退させた。さらに、同じく昨年には、衆院憲法審査会の開催を野党の合意なく自民党・森英介会長の職権を濫用して強行するという掟破りに出た。今国会でも、与野党の合意がないまま森会長が職権での幹事懇談会開催を決定するなど、自民党の暴走はつづいている。
消費税延期論と「ワイルドな憲法審査」発言が物語る安倍首相と側近の思惑
 よくこれで「丁寧に我慢してきた」などと言えたものだが、その上、飛び出した「ワイルドな憲法審査」なる発言。これはまさに、憲法審査会をすっとばして安倍改憲案を国会に提出し、強行採決を繰り返して国会発議にもっていくという暴挙さえ想像してしまうような乱暴な発言ではないか。
 そして、気になるのは、この発言が消費増税延期論と同時に出てきたことだ。
 安倍首相にとって、もっともプライオリティが高いのは、任期中に憲法改正を実現させることのほうだ。ところが、前述したように、5月20日に公表される四半期別のGDP速報値がマイナスになる可能性はかなり高く、萩生田氏が警戒する6月の日銀短観と合わせ、「アベノミクス失敗論」が出てくることは必至。もし、そのまま参院選に突入すれば、憲法改正勢力が3分の2割れし、憲法改正が不可能になるのは必至だ。 
 そうならないためには、消費税増税を延期するか、憲法審査会を強行して参院選前に改憲ムードを盛り上げるかしか、選択肢はないのである。
 政治状況を考えると、両方とも現実味があるとは思えないが、それくらい安倍首相とその側近たちが憲法改正に執着しているということだろう。
 しかも、暗澹とさせられるのは、萩生田氏が「消費増税延期論」と「ワイルド改憲」を口走った場がフェイクデマ拡散ネトウヨ番組である『真相深入り!虎ノ門ニュース』だったということだ。
ネトウヨ番組『虎ノ門ニュース』に5度出演し、今回は重大発言
 先日も、同番組の出演陣である百田尚樹や有本香、ケント・ギルバート、竹田恒泰、上念司などといったネトウヨ安倍応援団が安倍首相主催の「桜を見る会」にこぞって参加し、「税金を使ってお友だちの接待か」と問題となったばかりだが、じつは萩生田氏、昨日は5度目の出演。そこで飛び出した「増税延期論」にマスコミ各社が飛びついたのだ。
 もっともこの発言が『虎ノ門ニュース』での発言であることに大手マスコミはまったくふれておらず、曜日レギュラーの百田氏は、〈(発言がなされたのが)『虎ノ門ニュース』の中と報じているところはどこもない。他の番組の中の発言をニュースにするのはいいけど、名前くらい書けよ、クソメディア!〉と激怒していた。
 たしかに、本サイトも、萩生田氏の発言が『虎ノ門ニュース』でおこなわれたことをきちんと報じられるべきだったと思う。ただし、それは百田氏とは正反対の意味で、だ。マスコミは、安倍首相の最側近で政権与党幹部である人間が、フェイクデマを垂れ流しているネトウヨ視聴者しかいないような極右ネット番組で政局を左右するような発言をしたことを、もっと厳しく批判すべきだったのだ。
 しかも、萩生田氏は同番組で、日韓関係について「常軌を逸した反日行動がつづくのであれば党としては覚悟をもって望まなければならない」などと経済的な対抗策をとる可能性にふれ、「韓国から買うもので入ってこなくて困るものってあんまりないんですよね。JINROと焼肉とキムチだから」などと発言。日本にとって韓国は第4位の輸入相手国(2017年)であり、その内訳は石油製品や鉄鋼板、半導体などなのだが、そうした事実も無視して萩生田氏はネトウヨ全開のトークを繰り広げていた。
 一国の総理大臣の最側近がネトウヨフェイク番組に“身内”感覚で出演し、首相の意を受けた観測気球をぶちあげ、国の重大政策をひっくり返すコメントを平気で口にする。もっとも恐ろしいのは、安倍政権のなんでもありの傲慢さだろう。


自民・萩生田氏「消費増税延期」発言に隠された姑息な狙い
 自民党の萩生田光一幹事長代行が18日のネット番組で、10月予定の消費税率10%への引き上げについて、「6月の日銀短観次第で増税延期もあり得る」との考えを表明した。庶民にとって消費増税は論外。本来は歓迎すべき話だが、この萩生田発言にはウラがあると考えた方がいい。
  ◇  ◇  ◇
「景気はちょっと落ちている。6月の日銀短観で、この先は危ないと見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかない。違う展開はあると思う」
 安倍首相の側近とされる萩生田幹事長代行が、日銀短観を名指しして消費増税回避の可能性を示唆したのだから新聞・テレビが大騒ぎするのも当然だ。
 これを受け、日本商工会議所の三村明夫会頭は「信じられない」と言っていたが、何だかデキレースのにおいがプンプンする。
「今年のGWは10連休もあり、経済波及効果は2兆円超との民間試算もあるため、身の丈を超えた出費をしてしまう人も多いでしょう。しかし、連休後は節約志向で景気が低迷するともみられている。日銀短観の調査は、ちょうどその頃に行われるため、消費増税に反対する経営者が続出する可能性が十分にあります」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
 要するに、すでに6月の「日銀短観」の悪化は予想されているわけで、そのタイミングで「増税延期」を言い出せば、野党から「アベノミクスは失敗」と“口撃”されかねない。それを避けるため、今から増税延期をにおわせているのではないかというのだ。
「増税を推してきた麻生財務相の影響力が低下し、政権内は延期論が広がっています。16年は〈世界経済〉を口実に、伊勢志摩サミット後に安倍首相が増税延期を表明し、今回も大阪G20を踏まえての延期を考えていましたが、米中とも景気が盛り返しつつある。G20で世界経済を〈危機的〉とは言いづらいため、萩生田さんに日銀短観の結果という布石を打たせた。6月短観の発表は7月1日。通常国会は閉幕しているため、国会で野党からアベノミクスの失敗と追及されることもありませんからね」(官邸担当記者)
 立正大客員教授の浦野広明氏(税法)がこう言う。
「野党が準備不足なうちに、安倍政権は〈増税延期〉を手柄に選挙を勝ちにいくつもりなのでしょう。萩生田氏の『みんなを連れて行くわけにはいかない』という言い方が“英断”ぶっています。増税見送りは当然ですが、そういう日本経済にしたのは、アベノミクスが失敗したからです」
 消費増税を延期する本当の理由はアベノミクスの失敗を糊塗するため。失政すら政権浮揚に利用する悪辣政権を許してはダメだ。


「寺院守ってくれてありがとう」 パリの消防隊員たたえ式典
 【パリ共同】パリのノートルダム寺院(大聖堂)の火災で、懸命な消火活動で寺院の貴重な文化財を救出、鐘楼などへの延焼を食い止めたパリ市の消防隊員らの活躍をたたえる式典が18日、パリ市庁舎前の広場で開かれた。「勇敢さに感動した」「寺院を守ってくれてありがとう」。謝意を伝えようと数百人の市民らが会場に駆け付けた。
 火災では約500人の隊員が活動に参加。式典で、消防隊の代表者らが登壇し紹介されると、広場は割れんばかりの拍手に包まれた。
 パリのイダルゴ市長は「命を危険にさらし、私たちの一部(である寺院)を救ってくれた」と隊員らをたたえ、寺院再生への希望を訴えた。


ノートルダム寺院炎上 あるべき修復 腰を据えて議論を
 フランス・パリ中心部にある世界遺産ノートルダム寺院(大聖堂)が炎上し、尖塔(せんとう)に加え屋根の大部分が崩落した。同国だけでなく世界にとっての宝が大きく傷つき、非常に残念だ。
 この事態に国や宗教を超えて支援の動きが広がっている。寄付の申し出が相次ぎ、既に総額1千億円に達したという。世界中の連携で「私たちの貴婦人」の意味を持つ大聖堂が着実に修復され、元の美しい姿を取り戻してほしい。
 大聖堂は14世紀の完成以降、歴史の証人となってきた。ゴシック様式を代表する建築として知られ、ステンドグラスや彫刻などを含めフランス美術史上の至宝とされる。年間訪問者は1300万人に上り、首都随一の名所で、日本からの観光客も多い。閉館後で亡くなった人がいないのは不幸中の幸いだった。
 大聖堂は改修工事中で、捜査当局は作業のため設置されたエレベーターの電気回線がショートした可能性があるとみて調べている。原因を徹底究明して再発を防止し、他の貴重な文化遺産の保護にもつなげていくのがフランスの使命である。
 修復についてマクロン大統領は「5年以内の完了を目指す」と表明している。2024年に夏季五輪が開かれるパリの市長も同様の考えだ。一方で、少なくとも10〜15年かかるとの専門家の見方もある。完成から700年近い歴史を誇るフランスの象徴を再建する大事な事業であり、政治的スケジュールを優先すべきではない。
 今回の火災では、屋根や梁(はり)などに大量の木材が使われていたことが火勢を増した一因とみられる。以前から危険性は指摘されていたが、対策に膨大な費用がかかる上、建築的な価値に傷が付く恐れもあった。歴史と安全性をいかに両立するか、難しい問いが改めて投げ掛けられている。世界中の支援者に納得してもらうためにも、政府は広く意見を募って英知を結集し、今後のモデルとなるような修復の形をじっくりと議論すべきだ。
 歴史的建造物の焼損は世界各地で相次いでいる。昨年9月のブラジル・リオデジャネイロの国立博物館の火災は記憶に新しい。全ての関係者は「対岸の火事」とせず、自らの対策を再点検し改善する機会にしたい。
 日本に目を向けると、歴史的建造物の多くが木造であり、戦後も法隆寺金堂壁画の焼損、金閣寺全焼などがあった。愛媛でも13年、一遍上人ゆかりの松山の宝厳寺が全焼した。歴史的建造物は単に地域の歴史を伝えるだけでなく、文化や暮らしのよりどころでもある。後世に残すのは私たちの責務だ。
 国は、国宝や重要文化財の建造物に火災報知機の設置を義務付けているが、放水銃や消火栓などの設置は所有者の判断に任されている。フランスの火災を受け、文化庁は防火対策を近く緊急調査する。対策はまだまだ道半ばであり、国の後押しで強化しなければならない。


中高年のひきこもり/孤立と困窮を防ぐ支援策を
 社会参加を避け、半年以上にわたって自宅にいる40〜64歳のひきこもり状態の人が、全国で推計約61万3000人に上る。内閣府がそんな調査結果を公表した。
 中高年を対象にした調査は初めてだ。ひきこもりが若者だけの問題ではなく、長期化し高年齢化している実態が浮き彫りになった。根本匠厚生労働相は「大人のひきこもりは新しい社会的問題だ」との認識を示した。
 だが、中高年のひきこもりは以前から、多くの関係者が指摘してきた問題だ。歳月がたてば、ひきこもる若者は年を重ねる。自明の理なのに、国は対応をおろそかにしてきた。国や自治体は深刻な状況と受け止め、有効な対策を打ち出す必要がある。
 ひきこもりは不登校の延長などによる若者の問題と捉えられてきた。従来、調査や対策の対象は15〜39歳で、2015年の調査では推計約54万人だった。今回の調査で、若年層より中高年の方が多いという実態が分かった。合わせると100万人を超える。
 今回の調査は無作為抽出した全国5000世帯を調査員が訪問し、ひきこもりの人がいる場合、家族などから生活状況を聞き取った。
 目を引くのは、ひきこもる期間の長さだ。7年以上という人が46.7%に上り、このうち20年以上が19.1%、30年以上も6.4%いた。
 父親か母親が家計を支える世帯は3割を超え、親の年金が頼りという人もいる。就職氷河期世代の40代が約4割を占め、就職活動の失敗や職場になじめなかったことがひきこもる契機になっていた。
 80代の親、50代の子の家族が孤立し困窮する事例は「8050問題」と呼ばれる。今のままでは問題のさらなる深刻化が危惧される。「親亡き後」の生活も避けて通れない切実な問題だ。
 行政は、中高年のひきこもり解消に向けた施策を早急に検討するべきだ。本来は会社や地域の中核をなす年代の人々がひきこもっているのは、社会的にも大きな損失と認識しなければならない。
 中高年を含めた幅広い層のひきこもり支援については、東北でも一部の自治体や民間団体に先行例がある。
 住民約3300人の秋田県藤里町では、社会福祉協議会が地元企業と連携し、ひきこもりの人を地域社会の担い手として就労を支援する。10年ほど前に100人以上だった当事者の多くが仕事に就き、活動は成果を上げている。
 仙台市のNPO法人「わたげの会」は、家庭訪問などで家族を支えている。ひきこもりの人たちが語り合える居場所を提供し、段階的に就労につなげていく支援メニューを用意する。中高年に特化した寮の整備も進めている。
 そうした取り組みを参考にしながら、行政や地域、支援団体などが連携し、問題解決に向けた仕組みを築きたい。


ひきこもり支援/高年齢化への対応急がねば
 ひきこもりは若者特有の現象という従来のイメージを覆す結果である。背景を丁寧に分析し、有効な支援を打ち出す必要がある。
 内閣府が、半年以上にわたり家族以外とほとんど交流せず、自宅にいる40〜64歳のひきこもりの人が全国に61万3千人いるとの推計値を公表した。中高年の実態が明らかになったのは初めてだ。
 団塊ジュニアを含む40代以上はバブル崩壊後の就職氷河期を経験した人もいる。思うように仕事が見つからなかったり、職場でつらい経験をしたりして、ひきこもったケースもあるとみられる。
 2000年代初頭にはニートという言葉が登場し、国は30代までの就労支援を強化した。ただ半年以内の就労という性急な目標を掲げたため、さまざまな困難を抱えたり、年齢制限を超えたりした人が取り残され、今に至る可能性も捨てきれない。個別の事情をくんだ支援ができていたのか。国や自治体、関係機関は省みて今後の対応に生かさなければならない。
 課題は、就労にとどまらない。ひきこもりが長期化すると、同居の親も高齢化し、病気や介護、経済的困窮といった複合的なリスクが生じる。調査では3人に1人が高齢の親に経済的に依存していることも判明した。福祉の現場では親が80代、本人が50代で生活が困窮する「8050問題」も指摘されている。
 15年施行の生活困窮者自立支援法で、ようやく40歳以上が支援対象になったが、相談窓口を設置しているだけという自治体も多い。県内でひきこもりの人を支援する民間団体の担当者は「親が子を支えきれなくなってきている」と厳しさを増す現状を指摘する。きめ細かな支援が急務だ。
 ひきこもりの長期化や高齢化が調査によって裏付けられたが、県には、中高年のひきこもりを担当する部署がないのが現状だ。今回の調査結果を受けて、就労支援や生活保護など関連する部署の連携強化について検討を始めたというが、担当部署が明確でなければ、実効性のある対策を講じることは難しいのではないか。
 また、今回の調査で判明したのは全国の推計値であり、県内の状況は分からないままだ。秋田県藤里町では社会福祉協議会が2010年から1年半をかけて戸別訪問による実態調査を行い、自立を後押しした結果、8割以上が社会復帰した例もある。参考にしたい。
 ひきこもりの背景は十人十色だが生きづらさの原因は社会の側にもある。本人の視点に立った支援の形を社会も考えるべきだ。


高齢ひきこもり 親子の共倒れを防ぐには
 ひきこもり支援の現場では近年、当事者の高齢化がささやかれてきた。とはいえ、この数字には驚くほかない。
 ひきこもり状態にある40〜64歳の中高年の人は、全国で61万3千人に上るという。内閣府が昨年、5千人を対象に初めて実施した調査に基づく推計値だ。
 国はこれまで、ひきこもりを若年層(15〜39歳)の問題と位置付け、調査と支援に取り組んできた。2015年度調査に基づくこの層の推計値は54万1千人だったので、幅広い年齢層にわたって100万人規模の当事者がいることになる。国は対策を抜本的に見直す必要がある。
 今回調査では、ひきこもり状態の人の約8割が男性だった。期間は「5年以上」が約5割を占め、30年以上の人もいた。
 きっかけで目立つのは「退職」「職場になじめなかった」「就職活動がうまくいかなった」など仕事に関するつまずきだ。調査対象世代のうち40代が社会に出た時期は、バブル経済崩壊後の就職氷河期と重なる。非正規雇用が増え始めた頃でもある。ひきこもりの増加や高齢化には、こうした社会的要因が影を落としている側面もあろう。
 ほかに、小中高校での不登校や受験の失敗、病気や妊娠がきっかけになった人もいる。ひきこもりの端緒は、人それぞれであることがよく分かる。
 当然ながら、個々の当事者の実情に即した、多様な初期対応や支援が求められる。
 中高年の場合、期間が長引くほどに、就労は難しくなる。段階的に仕事になじむためにトレーニング期間を設けるなど、きめ細かな支援が欠かせない。
 支援は家族や本人の相談から始まることが多いが、孤立して問題を抱え込むケースも少なくないという。長期化した場合、当事者も家族も深い疲労感と無力感に陥り、身動きが取れなくなっている可能性もある。
 窓口で相談を待つだけではなく、行政と支援団体などが連携し、積極的に地域の当事者を見つけ出して、訪問支援などにつなぐ努力を重ねてほしい。
 今回の中高年対象の調査は規模が小さく、実態の一端を示したにすぎないと考えるべきだ。大分県のように、地域住民と接する機会が多い民生委員などの協力を得ながら、より丁寧な実態調査に乗り出している自治体もある。国も本腰を入れて実態調査を進め、要因や背景の分析を踏まえた総合的対策を打ち出すべきだろう。
 80代の親が50代の子どもを支える事態に至れば、生活は困窮し、親子共倒れの危機も高まる。いわゆる「8050問題」への対応は、もはや待ったなしの状況と考えるべきだ。


アサンジ容疑者 メディア規制を恐れる
 国家の暗部を暴く権力の監視人なのか、それとも機密を盗んだ犯罪者なのか−。英当局に逮捕されたウィキリークス創設者のアサンジ容疑者の評価は分かれる。その功罪を冷静に見極めたい。
 内部告発サイトのウィキリークスは、二〇一〇年に米陸軍の情報分析官から提供を受けたイラク戦争やアフガニスタン戦争の関連文書をはじめ機密指定された大量の資料を公開した。
 とりわけ、イラクで活動する米軍ヘリが一般市民やジャーナリストを武装勢力と誤認して殺害した映像は、世界に大きな衝撃を与えた。
 米司法省の起訴状によると、アサンジ容疑者の罪状は、この情報分析官が米当局のネットワークにハッキングで侵入するのをほう助するために共謀したことだ。
 憲法が保障する「報道の自由」に抵触しないように、機密漏えいに関わる罪状を適用したとみられる。
 合憲性が問われる関門を巧みに迂回(うかい)したとも言えるこの手法に対して、メディア規制に悪用されるという懸念が広がっている。ヒューマン・ライツ・ウオッチはじめ人権団体などは、アサンジ容疑者の身柄を米当局に引き渡さないよう英当局に求めている。
 権力監視の役割を持つメディアを黙らせるとともに、不正を内部告発しようという人を萎縮させる危険性があるからだ。公共の利益に資する情報の提供・公開に二の足を踏む風潮が広がり、国民の知る権利が侵害されるようなことがあってはならない。
 ただ、アサンジ容疑者には不透明感がつきまとうのも事実だ。
 ロシアが二〇一六年の米大統領選に介入したロシア疑惑を捜査したモラー特別検察官は、ロシアがクリントン陣営へのサイバー攻撃で大量のメールを入手し、ウィキリークスに提供したと断定した。
 選挙中は「ウィキリークスを愛している」と繰り返したトランプ大統領は、アサンジ容疑者が逮捕されるや、「私はウィキリークスについて何も知らない」と手のひらを返した。
 だが、トランプ氏の元側近はウィキリークスのメール暴露の計画をトランプ氏も事前に知らされていた、と議会証言している。
 トランプ陣営とロシア、それにウィキリークスの三者の関係は、全容が解明されたわけではない。ジャーナリズムを逸脱する行為はなかったのか、アサンジ容疑者には説明する責任がある。


トランプ氏「これで私は終わりだ」 司法妨害の疑い言及 米ロシア疑惑報告書
 【ワシントン古本陽荘】米司法省は18日、2016年米大統領選へのロシアの介入とトランプ陣営との癒着疑惑に関する捜査報告書を公表した。報告書では、司法省が疑惑捜査のためモラー特別検察官を任命した際、トランプ大統領が「これで私の大統領としての地位は終わりだ」と漏らし、モラー氏解任を側近に指示したことなどを指摘。トランプ氏が捜査を妨害した司法妨害については「犯罪行為がなかったと結論づけることはできなかった」として、疑惑が晴れていないことにあえて言及した。
 報告書公表に先立つ記者会見で、バー司法長官は「司法妨害を構成するには不十分」と主張したが、野党・民主党は反発し、モラー氏を議会の公聴会に招致し、証言を求める方針。ロシア疑惑を巡る与野党攻防の主戦場は議会に移る。
 捜査報告書は付属文書も含めて448ページ。継続中の捜査に関わる情報や第三者のプライバシーを侵害する恐れがある情報などは黒塗りとなっており、情報が伏せられた理由も示された。
 焦点のトランプ氏が一連の捜査を妨害した疑いについては、連邦捜査局(FBI)のコミー前長官の解任、モラー氏の解任要求、ロシアとトランプ陣営との接触に関する証拠開示を止めようとした動きなど計10件の行為について、司法妨害の罪に問えるか検証した結果を説明した。
 報告書は「捜査に影響を与えようという大統領の行為はほとんど成功しなかった」と指摘。理由について「主に大統領周辺が大統領の指示や要求に従わなかったため」とした。大統領の行動の意図が明確でないことなどから、司法妨害の罪を構成するまでには至らなかったが、「大統領が司法妨害の罪を犯さなかったと自信を持って言えるならそうするが、事実や法的基準に基づけば、その判断には至らない」と結論を留保したことを明らかにした。
 一方、ロシアがソーシャルメディアによる世論操作やハッキングを通じて米大統領選に介入したと認定。トランプ陣営の幹部らとロシア側が接触した経過も詳細に示したが、トランプ陣営関係者や米国人がロシアと共謀した証拠は見つからなかったと明確にした。
 トランプ氏は18日、ホワイトハウスであった会合のあいさつで「今日はいい日だ。共謀も司法妨害もない。こんなでっち上げが二度と大統領に起きてはいけない」と述べ、ロシア疑惑の捜査を改めて批判した。


ロシア疑惑の報告書 モラル逸脱した米大統領
 目に余る職権の乱用と言わざるを得ない。トランプ米大統領が必死になって身に降りかかる捜査をつぶそうとした実態が浮かび上がった。
 2016年米大統領選でトランプ陣営を勝たせようとロシアが介入した疑惑を捜査していたモラー特別検察官の報告書が公表された。
 トランプ陣営とロシアの「共謀」は認定しなかったが、トランプ氏による司法妨害の判断は見送り、「犯罪行為がなかったと結論づけることはできなかった」と疑念を残した。
 驚くのは、報告書に詳述されたトランプ氏による妨害工作の数々だ。
 報告書によると、トランプ氏はコミー連邦捜査局(FBI)長官に元側近への捜査を中止するよう要求し、「大統領は捜査対象ではない」と公言することも求めた。コミー氏が応じないと更迭した。
 司法省がモラー特別検察官を任命すると、トランプ氏は「私の大統領の地位は終わりだ」と焦り、マクガーン法律顧問にモラー氏解任の書簡を作成するよう指示した。しかし、マクガーン氏は拒否し、辞任した。
 セッションズ司法長官には捜査を監視するよう本人や側近を通じて要請したが、捜査に関与しない立場を貫いたため、やはり更迭された。
 これらの事実を確認しながら司法妨害の判断を見送ったのは、トランプ氏の意図を立証するのが困難なうえ、現職大統領は訴追できないという伝統的な憲法解釈によるという。
 だが、たとえ犯罪と認定されなくても、公正であるべき大統領としてモラルを欠き、その権威を傷つけたのは事実だ。トランプ氏の道義的、政治的責任はまぬがれない。
 マクガーン氏は、ウォーターゲート事件を捜査したコックス特別検察官をニクソン大統領が解任し、司法長官らが辞任した1973年の「土曜日の夜の大虐殺」になぞらえた。
 法律を順守し、過去の教訓に学んで命令や指示に従わなかった政権幹部がいたことは、せめてもの救いだ。モラー氏の解任にも捜査の中止にも至らなかった。
 報告書は「大統領の職権乱用」を監視する議会の役割にも言及した。トランプ氏は「ゲームオーバー」と決着を強調するが、野党・民主党はモラー氏の議会証言を求めており、これで幕引きとはならないだろう。


ロシア疑惑報告 大統領、潔白でしょうか
 トランプ米大統領は潔白どころか、限りなくクロに近い。公表されたロシア疑惑の捜査報告書の印象である。真相が不透明のままでは禍根を残す。モヤモヤを晴らす役目は議会と世論が担っている。
 よほど後ろめたいことがあったのだろう。報告書によると、トランプ氏はモラー特別検察官の任命を聞いて「なんてことだ。これで私の大統領の地位は終わりだ」と動揺した。
 報告書はトランプ氏の司法妨害疑惑の事例を十例に上って列挙。そのうえで「大統領は司法妨害をしていない、とわれわれが確信できたなら(報告書に)そう記した」とトランプ氏の潔白を否定した。
 これに対しバー司法長官は、トランプ氏には捜査への不満や怒りがあったが「不正の意図を持っていなかったとの証拠の方が重い」と、証拠不十分とした理由を説明した。
 だが、トランプ氏の事情聴取も実現できなかったのに、なぜ不正の意図はなかったと判断できるのか。説得力に欠ける説明だ。
 一方、報告書はロシアの米大統領選介入では、ロシアはトランプ氏の当選が自国の利益になると判断し、トランプ陣営もロシアの介入が有利に働くと期待したと指摘した。それでも証拠不十分で共謀の事実は立証できなかった。
 すっきりしない結論になったのは、トランプ氏が事情聴取を拒否したことも大きく響いただろう。自分に降りかかった疑惑である。トランプ氏は進んで事情聴取に応じて疑いを晴らすべきだった。これでは「逃げ得」と批判されても仕方がない。
 司法妨害疑惑をめぐるトランプ氏と同様の行動を、以前の大統領がしたら国民は許さなかっただろう。それがトランプ時代に入って、底が抜けたように政治から倫理性が薄れ、社会もそれを許容している。ロシア疑惑とその捜査結果は、「法の下の平等」という民主国家の支柱が揺らぐ危機に、米国が直面していることを示してはいないだろうか。
 モラー氏は報告書で、司法妨害の判断を見送った理由に、司法省が現職大統領を訴追しない方針であることを挙げ、最終判断は議会に委ねる姿勢を示した。
 米国は来年の次期大統領選に向けて政治の季節に入りつつある。ロシア疑惑を政争の具にすることは慎まねばならないが、議会は行政監視の機能を持つことを忘れてはならない。


ロシア疑惑/真相究明を議会に委ねた
 2016年の米大統領選を巡る「ロシア疑惑」で、モラー特別検察官による捜査報告書が公表された。すでにバー司法長官が4ページの概要版を公開しているが、今回は450ページ全文だ。
 全体の構図に大きな相違は見られない。トランプ氏が捜査を妨害した疑いについても「大統領が犯罪を行ったとは結論づけないが、潔白ともしない」との判断は変わっていない。
 トランプ氏は「共謀も司法妨害もなかった。ゲームオーバーだ」とネット上に投稿し幕引きを図ろうとしている。
 しかし報告書は、トランプ氏が捜査介入を画策したことを詳細に示した。疑惑は決して解消していない。徹底した真相究明が必要だ。
 報告書によると、司法省が2年前、モラー氏を特別検察官に任命した直後、トランプ氏は「これで大統領として私は終わりだ」と当時の司法長官に伝え、「捜査は不公正だ」と公言させようとした。
 ホワイトハウス法律顧問にはモラー氏の解任を命じている。いずれも拒否され実行されなかったが、あの手この手で捜査への介入を試みた実態が浮かび上がった。
 疑問を抱くのは、バー氏がなぜこうした点を概要版に盛り込まなかったかである。
 トランプ氏に配慮したのなら、公正に法をつかさどる司法長官の立場を逸脱している。単に政権への信頼を損ねるにとどまらず、民主主義政治の根幹である「法の支配」を揺るがしかねないことを認識するべきだ。
 一方、報告書は、大統領選に介入したロシアとトランプ陣営の共謀については立証できないとしながら、陣営幹部らがロシア政府関係者と数多くの接触を持っていたと言及した。
 ネット情報を利用して世論の誘導を図る動きが広がる中、来年の大統領選に向け警鐘を鳴らす中身だ。「大統領の犯罪」はくすぶり続けている。
 報告書は、大統領の権力乱用を阻止する憲法上の権限が議会にあると指摘する。
 刑事責任の追及が事実上壁に当たり、捜査の進展は見通せない。そのため真相究明を議会の手に委ねたと言えるだろう。米国政治の自浄能力が試される。


アイヌ新法成立 民族復権へ不断の改善を
 法律に初めて、アイヌ民族を「先住民族」と明記した。その意義は大きい。
 アイヌ民族の誇りを尊重し、共生社会の実現を目指す新法がきのう、参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。
 しかし、新法成立はゴールではない。今なおアイヌ民族への差別は残り、肝心の先住民族の権利を巡っては、国際水準に大きく後れを取っているからだ。
 政府と国会は、新法を第一歩と位置づけ、今後も権利保障に向け不断の改善を図る必要がある。
■主体的意思を第一に
 新法は、従来の文化、福祉施策から、地域振興を含めた総合施策へと踏み出す根拠法となる。
 特例措置として、文化伝承を目的とした国有林の林産物採取やサケ捕獲、アイヌ文化関連の商品に関する商標登録の手数料軽減を盛り込んだ。
 また、アイヌ文化の保存や継承、観光や産業振興、交流促進を含む地域計画を市町村が作成し、国が認定すれば交付金が出る。
 重要なのは、新法がこうした計画について、「アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ行わなければならない」と定めていることだ。
 計画の内容に、アイヌ民族の主体的な意思が確実に反映されなければ、復権にはつながるまい。
 国や自治体はこの点を常に念頭に置き、計画づくりを後押しするべきだ。
 胆振管内白老町に2020年4月開設予定の「民族共生象徴空間(ウポポイ)」は、アイヌ文化振興拠点と位置づけられている。
 ただ、政府の姿勢は観光に偏りすぎてはいないか。
 政府は、ウポポイ開設を20年の東京五輪前にこだわり、「年間来場者100万人」の目標を設定した。安倍晋三首相も1月の施政方針演説で、ウポポイを「観光立国」の項目の中で触れている。
 ウポポイは、アイヌ民族の権利と尊厳を発信し、息長く復権活動を支えていく場である。この基本を忘れてはならない。
■歴史を直視すべきだ
 アイヌ民族が求めた生活・教育の支援策は明文化されなかった。
 道が道内に住むアイヌ民族を対象に17年度に行った生活実態調査によると、その地域平均と比べ、生活保護率は4ポイント高く、大学進学率は12・5ポイント低かった。
 「差別を受けたことがある」と答えた人も2割を超える。
 新法は、基本理念でアイヌ民族に対する差別や権利侵害を禁じたが、実効性を確保する具体策が欠かせない。支援策の明文化に向けた再検討も求められよう。
 明治以降、政府は狩猟漁労によるアイヌ民族の生業を奪い、同化政策を進め、土地や文化、言葉などを奪ってきた。
 格差や差別がなくならない背景には、こうした歴史的経緯があるのは明らかだ。
 ところが、新法には法制化を必要とした理由が記されなかった。このため、「アイヌ民族にだけ特権を与えている」といった偏見を生むとの懸念も出ている。
 アイヌの人々が虐げられてきた歴史を考えれば、「特権」批判などできないはずだ。政府は過去を直視して心から謝罪し、国民に丁寧に説明を尽くす責務がある。
■国際水準へ高めたい
 権利保障に関し、衆参両院の国土交通委員会は、07年に国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」の趣旨を踏まえることを付帯決議に盛り込んだ。
 国連宣言には、自治権や教育権、土地やサケなど自然資源の利用権などが含まれており、日本も賛成票を投じている。
 これを受け、08年に衆参両院は「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」を採択し、新法を制定する流れができた。
 この過程を振り返れば、付帯決議を空文化させることがあってはならない。政府は国連宣言に沿って、施策の充実を図るべきだ。
 日本の先住民族政策の貧弱さは国連などで指摘されてきた。
 カナダは、儀式や文化伝承だけでなく、自家消費のためのサケの漁業権を認めている。
 米国は自治権や居留地での狩猟や漁業を認め、ノルウェーは先住民族の言語を公用語化し、独自の大学や議会を設けた。
 2000年のシドニー五輪では、オーストラリアの先住民族アボリジニが先住権などの問題を提起して復権が進んだ。
 これを参考に、オーストラリア国立大のテッサ・モーリス・スズキ名誉教授は、東京五輪をアイヌ民族による発信の機会とすることを提言している。
 アイヌ民族の声に真摯(しんし)に耳を傾け、国民一人一人が先住民族の権利に関する理解を深め、権利回復を前進させなければならない。


GAFA問題 日本のデジタル課税は?
★18日、自民党競争政策調査会(会長・伊藤達也)はGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と呼ばれる巨大IT企業を巡るルール整備に向けた提言をまとめ、取引の透明性を確保するため契約条件の明示を義務付ける「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法(仮称)」の制定や、独占禁止法違反に対する公正取引委員会の取り締まりを強化する新指針の策定などを求めた。★同調査会は3月にGAFA幹部を党本部に呼び、3回にわたりヒアリングを行った。だがこのヒアリングの出席は議員本人のみしか認めず、党政調会長・岸田文雄の冒頭あいさつもマスコミシャットアウトで行われ、いわゆる記者のカベ耳、立ち聞きも許されない厳しいもの。GAFAサイドが条件付きで出席したのではないかと党内外でうわさになったほどだ。3月28日の参院財政金融委員会では共産党の大門実紀史が「日本が受け取るべき巨額の税収が海外に流出している。まとめ役としても、日本独自でも両面の努力が必要だ」とG20でも議題とし、日本独自のルールも定めるべきとしており、GAFA問題は自民党から共産党までの共通テーマだ。★国際課税のルールでは、外国企業が支店や工場などの拠点を置かずにビジネスを行っている場合、当該国では法人税を課すことができない。つまりIT企業は税金逃れの温床になりやすい。一方、IT企業は新自由主義の先端企業。規制を嫌い自由を求めるが、世界中がGAFAにのみ込まれかねない状況でもある。既に英国では来年から売上高の2%のデジタル課税が決定。フランスでは課税が始まっているものの、EUでは一律課税の合意には至らなかった。そこでG20の議長国である日本に期待が寄せられたが、米中の反対で俎上(そじょう)には載らない可能性が高い。自民党はせめて国内法で課税化したいとの意欲を示したのだろう。

「美味しんぼ」原作者が鼻血問題の騒動後をブログで告発
〈私の鼻血問題を通じて言えることは、この国では真実を語ってはいけないと言うこと〉
〈一番悲しいのは、腐敗した支配者を糾弾することはせず、逆に支配者にとって不都合な真実を語る人間を、つまはじきにする日本の社会の姿です〉
 人気漫画「美味しんぼ」の原作者の雁屋哲氏がこう書きこんだブログが話題騒然だ。雁屋氏は「週刊ビッグコミックスピリッツ」(2014年4月28日発売号=小学館)に「美味しんぼ 福島の真実編」を掲載。東京電力福島第1原発を訪れた主人公らが鼻血を出す描写を巡り、安倍首相から「政府としては、根拠のない風評を払拭をしていく」などと痛罵され、世論の批判にさらされた。
「奇怪なこと」と題した今月15日付のブログには、騒動後の出来事が詳細につづられている。
 当時のスピリッツ編集部には抗議電話が殺到し、午前10時から午後10時近くまで電話が鳴りやまず、20回線が塞がって業務に支障をきたしていたという。15年に著書「美味しんぼ『鼻血問題』に答える」(遊幻舎)を発売後、対談したジャーナリストからは開口一番、「僕は雁屋さんに反対です」と非難され、今年3月中旬にテレビ番組のディレクターから「美味しんぼ」関連の出演依頼を受けて快諾するも、「上司からの進言で番組内容がガラッと変わった」などと告げられ、見送られたという。
 雁屋氏は安倍首相に「風評」扱いされて以降、〈おかしな感じ〉を抱くようになったという。
〈テレビ、雑誌、などのジャーナリズム関係の人が、妙に私に対して白々しい態度を取ることが気になり始めたのです〉
 メディアが政権を忖度し、雁屋氏の封じ込めに動いているのだとしたら、トンデモないことだ。


アメトーークが謝罪、大阪・西成に差別的表現 「トイレットペーパー盗まれる」
 テレビ朝日は19日、バラエティー番組「アメトーーク」(2月14日放送分)で大阪市西成区と同区の高校について、事実と異なる内容を伝え、差別的な表現があったとして同番組内で謝罪、番組公式サイトにも謝罪文を掲載した。
 テレビ朝日によると「高校中退芸人」と題するトークの中で、同高校について「椅子を投げる人がいるので鉄パイプで机とつながれている」「トイレットペーパーも盗まれるから、職員室に行かないとくれない」などと放送。これらを「不良生徒対策」だとしたが、「番組側の確認が足りず事実と異なっていた」と謝罪した。大阪府教委などによると、実際には他校でも同様の机・椅子が使われている。トイレットペーパーの予備を置かないのも紙資源節約のためという。
 また、西成については「『行かない方がいい地域』といった差別的な表現」があった。テレビ朝日は「問題のある学校や地域であるとの印象を与え」、学校関係者や住民らに「多大なるご迷惑と不快の念をおかけした」と謝罪している。
 テレビ朝日には、同校や府教委、部落解放大阪府民共闘会議から、正式な謝罪などを求める抗議文が届いていた。同局広報部は「勉強会の開催、研修の改善などを通じ、差別・人権問題について啓発に取り組む」としている。【最上聡】


NHKが「皇室の祖先は天照大神」と報道→「現人神宣言か」と疑問の声
神話と史実を混同するような伝え方だとして、疑問の声が出ている。
Kei Yoshikawa吉川 慧
退位を控えた天皇皇后両陛下は4月18日、伊勢神宮(三重県伊勢市)に参拝された。このニュースをめぐって、NHKが皇室の祖先は「天照大神」と報道。神話と史実を混同するような内容だとして、批判の声が出ている。
退位に伴う儀式をめぐる報道だった
天皇皇后両陛下は18日、退位を報告するため伊勢神宮の「外宮」と「内宮」を参拝された。退位に伴う一連の儀式の一つで、両陛下にとっては在位中最後の地方訪問となった。
この儀式について、NHKニュースは18日に「皇室の祖先の『天照大神』がまつられる伊勢神宮の内宮」と報道。その後に記事は更新され、「皇室の祖先をまつる伊勢神宮の内宮」と記されている。
NHKは、同日夜の「ニュースウォッチ9」でも「伊勢神宮の内宮は皇室の祖先の天照大神がまつられています」とナレーションで紹介した。
こうしたNHKの報じ方について、Twitterでは「NHKによる現人神宣言」「NHKは神話と現実を統合することにしたらしい」などと、批判や疑問の声があがっている。
漫画プリニウスの公式Twitterは、「NHKのニュースが『皇室の祖先とされている』ではなくて『皇室の祖先のアマテラスオオミカミ』と言った…』と、戸惑った様子で報告している。
「皇室の祖先とされる」などの表記が通例
皇室と天照大神の関係について説明する際、報道では「皇室の祖先とされる」「皇室の祖先神」などと表記し、天照大神はあくまで宗教上の存在であることを示すのが通例だ。
こうした表記がされる背景には、神格化した天皇を中心に構築された戦前の国家体制への反省がある。
戦前は「現人神」とされた天皇
戦前、天皇は「現御神(あきつかみ)」「現人神(あらひとがみ)」として神格化され、その存在は絶対的なものであった。大日本帝国憲法では「神聖ニシテ侵スヘカラス」とされ、国家神道の中心的な役割を担った。
教育現場では建国神話は史実として教えられ、国家神道は軍国主義と結びつき、利用され、当時のマスコミもその一翼を担った。やがて「天皇」の名のもとに、日本は戦争へと至った。
敗戦後、天皇の地位は大きく変わった。1946年1月1日、昭和天皇は詔書を発し、現人神であることを否定した。いわゆる「人間宣言」だ。
戦後、日本を占領統治した連合国軍総司令部(GHQ)は、1945年12月に神道指令を発し、国家神道の解体と宗教・国家の分離を促した。日本国憲法で、天皇は「象徴」として定義された。政治と宗教の分離も明記された。
今回の伊勢神宮への参拝は、国事行為ではなく皇室行事と位置づけられている。天皇陛下はモーニングコート、皇后陛下は参拝服で、馬車は使わない簡素なものとなった。これは天皇陛下の意向だという。儀式に参加する両陛下の交通費などは、私費である「内廷費」を充てる。
他社はどう報じた?
・朝日新聞「天照大神をまつる内宮」
・読売新聞「皇室の祖神とされる天照大神をまつる伊勢神宮」
・毎日新聞「天照大神を祭る内宮」
・産経新聞「皇祖神の天照大神を祭る内宮」
・日経新聞「皇祖神の天照大神がまつられている内宮(皇大神宮)」
・共同通信「皇室の祖神とされる天照大神を祭る伊勢神宮の内宮」
・時事通信「天照大神を祭る内宮」
・日本テレビ「皇室の祖先とされる天照大神をまつる伊勢神宮」
・TBS「皇室の祖先神である天照大御神を祀る伊勢神宮」
・フジテレビ(FNN)「天皇家の祖先とされる天照大神をまつった内宮」
・テレビ朝日(ANN)「皇室の祖とされる「天照大神」が祭られている内宮」
・テレビ東京「皇室の祖神とされる天照大神を祭る伊勢神宮」
NHK広報局「丁寧さを欠いた」
NHK広報局はBuzzFeed Newsの取材に対し、「伊勢神宮の内宮についての説明で、一部、丁寧さを欠いた表現がありました。今後はより丁寧な表現での報道につとめていきます」と文書で回答した。


櫻井よしこ氏は「慰安婦」を「日本軍強制説」で報じていた
『朝日新聞』の日本軍「慰安婦」の記事を「強制連行を捏造した」と非難している櫻井よしこ氏が、自身も「日本軍によって強制的に従軍慰安婦にさせられた女性たち」とテレビ、雑誌で報道していたことがわかった。
自身の報道を棚にあげ、他者を「捏造」呼ばわりするのはアンフェアではないだろうか。
櫻井よしこ氏がキャスターを務めていた日本テレビのニュース番組「NNNきょうの出来事」と見られる動画がある。1992年12月9日、東京で開かれた「日本の戦後補償に関する国際公聴会」を櫻井氏にうり二つの女性はこう放送した。「第2次世界大戦中に、日本軍によって強制的に従軍慰安婦にさせられた女性たちが、当時の様子を生々しく証言しました」。画面では「韓国人元慰安婦」の字幕とともにチマチョゴリ姿の元「慰安婦」が公聴会の壇上で叫ぶ。「私の一生を台無しにして! 日本政府は隠さないでしっかり謝罪したらどうなの!」
男性アナウンサーの声。「これは元従軍慰安婦らから事情を聴き日本政府に謝罪と戦後補償を求める公聴会です。今回初めて名乗り出たオランダや北朝鮮の元従軍慰安婦8人が当時の様子を生々しく語りました」
壇上では元「慰安婦」たちが泣いている。字幕の説明。「感極まって、韓国と北朝鮮の元慰安婦が抱き合った」。中国の元「慰安婦」、万愛花さん(64歳、当時)のインタビューもある。「私は15歳でした。日本軍に襲われて両手両足を押さえられ、乱暴されました」。約3分弱の動画だ。
フェイクの時代だ。万が一にもと日本テレビに動画の確認をお願いした。「放送したものがすべて。答えられない」。櫻井氏からも「裁判中なので」と取材を断られた。
「責任痛感すべき私たち」
しかし、櫻井氏は92年7月18日号の『週刊時事』(時事通信社)でも次のように書いている。〈東京地方裁判所には、元従軍慰安婦だったという韓国人女性らが、補償を求めて訴えを起こした。強制的に旧日本軍に徴用されたという彼女らの生々しい訴えは、人間としても同性としても、心からの同情なしには聞けないものだ〉〈売春という行為を戦時下の国策のひとつにして、戦地にまで組織的に女性達を連れていった日本政府の姿勢は、言語道断、恥ずべきであるが、背景にはそのような政策を支持する世論があった。とすれば、責任を痛感すべきは、むしろ、私たち一人ひとりである〉
櫻井氏は、この記事などを再録し『櫻井よしこが取材する』(ダイヤモンド社)を94年に出版した。少なくともこの年まで、櫻井氏は、日本が国策として強制的に「慰安婦」にしたと伝えていたことになる。ちなみに、手元にある本は櫻井氏のサイン入りだ。フェイク本ではおそらく、ない。(徃住嘉文・報道人、2019年4月19日号)
※編注:元『朝日新聞』記者の植村隆氏が、元日本軍「慰安婦」に関する記事を「捏造」とされ名誉を傷つけられたとして、櫻井氏を訴えた札幌訴訟について、4月19日(金)発売の『週刊金曜日』4月19日号が詳しく報じている。同誌は書店などで販売する紙版のほか、アプリを使った電子版でも購読できる。


帰化決意の白鵬が狙う理事長の座 相撲界を待つ暗黒時代
 日刊ゲンダイがこれまで何度も報じてきたように、横綱白鵬(34)が日本国籍取得に動いていることが17日、明らかになった。白鵬は母国モンゴルに同国の国籍離脱を申請したという。つまり、帰化の準備が整い、正式に動きだしたということだ。当の本人は巡業先で、「今の時点でどうこう言うのはまだ早い」と話したものの、「あとは結果を待つだけ」とも言っている。事実上、帰化申請を認めたような発言だ。
■国籍取得前から内弟子集め
 白鵬はかねて、「引退後は親方になりたい」と公言。銀座に相撲部屋を持つ夢を語ったこともある。しかし、親方になるには日本国籍を取得しなければならない。これは相撲協会の規約にも記載してあることだ。
 白鵬はこれを不満に思い、協会にさまざまな働きかけを行っていた。そのひとつが一代年寄制度。現役時代、特に功績のあった横綱は四股名のまま親方を名乗れる。貴乃花や北の湖が、その代表例だ。協会に105ある年寄名跡を取得する必要がないので、国籍を変える必要はない――というのが白鵬の主張だった。
 帰化もまだなのに石浦、炎鵬、山口と内弟子を3人も抱えたのは、なし崩しに親方になるための布石だ。
 そんな企みも協会にあえなく一蹴された。親方になるためには国籍を変更するしかなかったというわけだ。
■太いタニマチ
 もっとも、白鵬はすでに引退後の準備に向けて、余念がない。内弟子を集めたのも、前述の理由に加えて、将来的な独立を見越してのこと。さらに協会理事長のイスを狙って、さまざまな“根回し”を行っているという。
「理事長になるためには、まず理事にならなければいけない。理事選で勝つには、票が必要不可欠。つまり、選挙で自分に投票してくれる親方を今から増やそうというのですよ。白鵬が考えているのは、同郷のモンゴル人力士を中心とした外国人親方閥をつくること。すでに、数人の親方が年寄名跡を取得するためのバックアップを受けていると聞いている。金銭的な援助もしているとか……」(角界OB)
 白鵬は史上最多の42回優勝という実績もそうだが、カネという武器もある。なにせ、夫人の父親、つまり義父は「四国の山林王」と呼ばれる大金持ち。徳島県に莫大な不動産を所有しているという。太いタニマチも多い。
「そのひとりが、建築業界の大物です。もともとは別の横綱出身親方のタニマチだったが、白鵬はジジ殺しですからね。コロッとやられてしまった。白鵬もこの人物が外出する際は自分が迎えに行くなど、平身低頭ですよ」(前出のOB)
■醜いだけの過剰演出
 もちろん、白鵬が親方になりたいと思うのは勝手だ。しかし、まかり間違って野望を成就――理事長にでもなろうものなら、とんでもないことになる。
 白鵬は3月場所の優勝インタビューで、館内に三本締めを促した。本人は「盛り上げたかった」と話しているが、あまりに場違いな行動に相撲協会は激怒。すでに協会のコンプライアンス委員会に3度も呼び出しを食らい、近日中に処分が言い渡される見通しだ。
 白鵬は日馬富士による暴行事件直後の2017年11月場所でも、優勝インタビューで「日馬富士と(被害者の)貴ノ岩をまた土俵に上げたい」と言い、さらに万歳三唱を観客に要求した。
 当時、暴行事件はまだ警察が捜査をしていた時期。しかも、白鵬は暴行現場の酒席に居合わせた張本人だ。
 相撲取材歴50余年、評論家の中澤潔氏は「白鵬は横綱としての在り方を勘違いしている」と、バッサリやる。
「盛り上げたいならば、相撲で勝つことで盛り上げたらいい。過剰な演出は不要。醜いだけです。土俵入りや懸賞を受け取るオーバーなしぐさも鼻につく。相撲は礼に始まり、礼に終わるもの。そこでなぜ、これ見よがしに自己流を振りかざすのか。白鵬は『勝ってるオレが好きにやって、何が悪いんだ』くらいの考えでしょう。注意したところで聞く耳を持たないから厄介です」
 さらに中澤氏はこう続ける。
「横綱は全力士の手本となる存在。だからこそ、謙虚でなければいけないんです。歴代の横綱は『番付トップの人が、こんなに謙虚に振る舞うのか』と、周囲に尊敬されていた。他の力士もそんな横綱を尊敬し、『自分もああ在るべき』と見習う。そうやって相撲界は続いてきた。それがやりたい放題では誰も尊敬しない。手本不在ですよ。まして、白鵬をマネする力士が出てきたらどうするのか。そうした意味でも白鵬は横綱としてはもちろん、力士の本分を外れているとしか言いようがありません」
 白鵬親方の誕生は、終わりの始まりとなりかねない。