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août 2019

台所を少し/B入会手続き/だて正夢/鈴虫の声/クジラ

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松島・瑞巌寺参道190809

Asie: La Corée du sud officiellement exclue de la liste blanche du Japon
Séoul qui prône le dialogue invite TOKYO à retirer ses restrictions commerciales sur l’exportation des matériaux de fabrication des semi-conducteurs er d’écrans.
Les mesures commerciales prises par le Japon auront des graves répercussions sur l’ensemble de l’économie mondiale au-delà du secteur des TIC en perturbant leschaines d’approvisionnement sur l’échelle planétaire.
Au moment où ses dirigeants se battent de toutes ses forces pour contraindre Pyongyang à abandonner son programme d’enrichissement nucléaire et de fabrication des armes à destruction massive, Séoul a, depuis quelques semaines, un autre front sur les bras.
C’est le conflit économico-diplomatique avec le Japon.
C’est une affaire véritablement complexe, qui, si elle n’est pas réglée dans un meilleur délai, menacera au plus haut point, non seulement l’industrie sud-coréenne mais aussi l’économie mondiale dans son ensemble.
En effet, les relations entre Séoul et Tokyo se sontfortement refroidies du fait du conflit autour des verdictsrendus l’année dernière par la Cour Suprême de JusticeSud-coréenne qui avait ordonné à des entreprises japonaises œuvrant en Corée, d’indemniser les victimes coréennes du travail forcé durant le règne colonial japonais entre 1910-1945.
La dispute s’est étendue vers d’autres domaines commel’économie et la sécurité. Tokyo a imposé un contrôle plus strict sur des exportations des matériaux essentiels à la fabrication des semi-conducteurs et panneauxd’affichages contre la Corée du Sud. Alors que Séoul a décidé la semaine dernière de mettre fin à l’accord de sécurité générale d’informations militaires (GSOMIA)avec le Japon.
Le gouvernement de ce pays qui n’entend pas reculer, a, depuis le mercredi 28 Aout dernier, excluofficiellement la Corée du Sud de la liste blanche des pays bénéficiant d’un traitement préférentiel completdans le processus d’exportation.
Une situation qui complique davantage la Corée du Sudqui est appelée à revoir momentanément ses calculs quant à ses importations en provenance de l’Empire du soleil levant.
Pour nombre de spécialistes de politique internationale, les mesures prises par le Japon vont à l’encontre des valeurs qu’il prétend défendre. Jusqu’à présent et dans divers forums multilatéraux, le Japon a fait valoir qu’ilsoutenait le système commercial multilatéral fondé surdes règles notamment de l’OMC, du G20 et de l’APEC.
La déclaration des dirigeants du G20 à OSAKA orchestrée par le Japon, réaffirmant le principe de créerun environnement commercial libre, juste non discriminatoire, transparent, prévisible et stable.
Dégât dans les chaines d’approvisionnement…
Les restrictions à l’exportation imposées par le Japonont un impact négatif sur l’industrie coréenne en généralen provoquant une incertitude réglementaire et des retards dans les envois de certains biens et matièresintermédiaires importants. Certaines industriescoréennes qui dépendent de matières japonaises,pourraient connaître des reculs de leur production.
Ce qui est encore plus alarmant, c’est que ces mesuresauront des graves répercussions sur l’ensemble de l’économie mondiale, au delà du secteur des TIC, enperturbant les chaines d’approvisionnement mondiales.
La production des articles de base, notamment les semi-conducteurs, les panneaux d’affichage, les grandesmachines, les automobiles et les produits pétroliers, sera entravée.
En particulier les fabricants coréens de semi-conducteurs, de mémoires DRAM devront supporter le poids des mesures puisqu’ils représentaient 73,4% du marché mondial à compter de 2018. SAMSUNG ELECTRONICS 43,9%, SK Hynix 29,5%. Samsung et LG sont deux des fournisseurs d’écrans d’affichage les plus fiables au monde.
Raisons obscures, manque de preuves.
Selon l’agence de presse Yonhap, le Japon a été incohérent dans sa démarche. Les motifs de ces mesures sont en train de passer d’une ≪ méfiance entre la Corée et le Japon ≫ à une ≪ prétendueexpédition illégale de fluorure d’hydrogène à la Corée du Nord ≫ et plus récemment, à ≪ des échappatoires dans les contrôles fourre tout de la Corée sur le commerce des armesconventionnelles.≫
Le Japon n’a fourni aucun élément de preuve clair àl’appui de ses allégations concernant des failles présumées et des cas de contrôle inadéquat des exportations par la Corée, en dépit du fait que la Coréecontinuait de demander des détails.
La position de Séoul
Le porte-parole du Ministère Sud-coréen des Affaires Etrangères Kim in-chul a, dans un communiqué, exprimé les profonds regrets et une forte protestation de son gouvernement contre l’exclusion de la Corée du Sudde la liste blanche. Il a exhorté à nouveau (le Japon) à retirer immédiatement cette mesure. Séoul a décrit cette mesure comme ≪ des représailles commerciales clairescontre les verdicts sur le travail forcé ≫ et ≪ un défigrave secouant les bases des relations d’amitié et de coopération de longues dates entre les deux pays. ≫ En rejetant l’affirmation de Tokyo selon laquelle elle entre dans le cadre d’un réexamen de la gestion des exportations.
≪ Notre gouvernement exhorte, une nouvelle fois avec force, le gouvernement japonais à retirerimmédiatement toutes les mesures arbitraires et unilatérales et à revenir avec une attitude sincère à la table de dialogue et de consultations en vue ‘élaborer une solution constructive à cette question ≫ a-t-il souligné.
Jean Pierre SEKE
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cdb @C4Dbeginner
色々あるが今のところ香港警察によるデモのリーダー逮捕に対してツイッターで反対コメントを出した主要政党党首は日本共産党の志位和夫書記長だけであり、ふだんあれだけ吹きまくっている自民総裁も維新党首も香港のほの字も出さずだんまりであるということを愛国者のみなさんは覚えておいてほしい
バリバラ「敏感くんのゆううつ〜HSCの子どもたち〜」
ひといちばい敏感な子ども、HSCの知られざる世界を伝える。小6の元気くんは、他者のさまざまな感情や場の空気を感じひどく疲れてしまうため学校に行けない日も多い。しかし祖母からは「がんばれるはず!」と言われ続け悩んでいる。そこで「しんどい気持ちをわかってもらいたい!」と2人きりの旅へ!果たして2人の心は通じ合うのか?敏感な子どもたちに接するとき、周りの人はどうしたらいいかを考える。 りゅうちぇる, 玉木幸則, 山本シュウ,大西瞳, 東佳実,長沼睦雄, 神戸浩,ベビー・バギー

今日は台所を少し掃除しました.テフロンまな板をゴシゴシ.レンジ周りも.まだまだですがすこしづつ.
8月12日に入会準備していたBですが,やっと余裕が出てきたので手続きをしました.
AEONで売っていただて正夢を買って食べました.味は普通,というか上手に炊けてていないだけかも.
夜になって鈴虫の声が聞こえてきます.夜だからでしょうか?
帰りにスーパーでクジラベーコン等を買いました.イマイチな気がします.海鮮居酒屋で食べた新鮮なものと差があり過ぎ.しかたない?

「みそか盆」の灯ろう流し
東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼市で、震災で犠牲になった人たちや先祖への供養をしようと30日夜、灯ろう流しが行われました。
気仙沼市唐桑町の舞根漁港では「みそか盆」にあたる毎年8月30日に、地域に伝わる灯ろう流しを行っています。
ことしは漁港に地元住民50人余りが集まり、まず、この日のために設置した祭壇に線香をたむけ、祈りをささげました。
そして、漁港のへりに設置した提灯やおよそ250個の灯ろうに明かりをともしたあと、ひとつひとつ海へと流していきました。
舞根地区は震災の津波で、52世帯あった住宅のおよそ8割が流され、住民の4人が犠牲となり、一時は多くの人がこの場所を離れましたが、震災から8年余りたって、現在はおよそ30世帯が戻ってきているということです。
住民たちはほのかな光を放ちゆっくりと海を漂う灯ろうをながめながら、先祖や震災の犠牲者へ思いをはせていました。
灯ろう流しの実行委員の畠山環さんは「ご先祖さまや亡くなった住民へのめい福と私たちのことを見守ってくださいと思いを込めました」と話していました。


仮設入居延長は10世帯 宮城県内被災5市町で21年3月まで
 宮城県は30日、東日本大震災で被災した石巻、気仙沼、名取、東松島、女川5市町にある仮設住宅の入居期間を震災から10年の2021年3月末まで延長する対象が計10世帯になったと発表した。
 市町別では、石巻4、気仙沼3、名取1、東松島1、女川1。各世帯は現在、民間住宅を借り上げるみなし仮設に住んでおり、災害公営住宅への入居や土地区画整理事業地での住宅再建を予定している。
 県によると、20年3月末まで転居先に移れない世帯に限定した「特定延長」の対象は134世帯。うち124世帯は転居を終えたか、転居に見通しが立っているという。
 県震災援護室の担当者は「対象世帯の状況は異なる。少しでも早く再建できるように引き続き支援していく」と話す。


<ラグビーW杯>試合前に黙とうを 釜石市が大会組織委に申し入れ
 9月に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で会場の一つとなる岩手県釜石市は、釜石開催の2試合で東日本大震災の犠牲者を悼む黙とうを実施してほしいと大会組織委員会に要請した。29日に同市であった推進協議会で報告した。
 黙とうは試合前のセレモニーを想定。その際、震災からの復興支援に感謝する市内の子どもたちがしたためたメッセージも掲示できるよう求めた。
 市は、復興の象徴として大会を誘致したことを踏まえ、犠牲者への追悼と世界への感謝を形にして表したい考えだ。
 2011年のニュージーランド大会では、日本対ニュージーランドの試合前に3月の東日本大震災と2月のニュージーランド地震で犠牲になった人々の追悼セレモニーが行われた。


台風10号豪雨3年 共助の精神を守りたい
 3年前の変わり果てた光景を思い出しながら、岩泉町内を巡る。復旧した道路、真新しい災害公営住宅、にぎわう龍泉洞。台風10号豪雨からの復興の確かな歩みを感じる。
 24人が犠牲になった同町で30日、町主催としては最後の慰霊式が行われた。3年の節目に際し、町は記録集「この体験を未来へ」を発刊。教訓を確実に次代につなぐことを、あらためて誓いたい。
 とりわけ痛恨事が、高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」の悲劇。豪雨で小本川が氾濫し、入所者9人全員が死亡した。遺族が運営法人に賠償を求めた訴訟は今月、3回目の命日を前に和解が成立した。
 法人側が利用者らを避難させる義務を怠り死亡させた法的責任を認め、あらゆる災害を念頭に置いた避難計画策定も和解内容に盛り込まれた。
 各地で豪雨災害が頻発する中、未曽有の事態はどこでも起こり得る。「他の自治体や福祉施設で教訓が生かされれば」。遺族の思いにこたえ、実効性ある避難訓練など備えに万全を期してほしい。
 「楽ん楽ん」の悲劇の背景には、町が出した「避難準備情報」に「高齢者らが避難を始める段階」という意味があるにもかかわらず、施設側が「準備の段階」と受け止めていたことがあった。国は教訓を踏まえ、「避難準備情報」の名称を「避難準備・高齢者等避難開始」に変更した。
 だがその後、西日本豪雨でも多くの住民が逃げ遅れたため、今年5月から「大雨・洪水警戒レベル」の運用も始まった。レベル1「災害への心構えを」から5「命を守る最善の行動を」まで、リスクの度合いを分かりやすく示す。
 本県では、市町村の迅速な避難判断に寄与するため風水害対策支援チームが発足。受け手側も感度を高める必要がある。近年はスマートフォンなどで災害情報を簡単に入手できるようになっており、積極的に活用し、主体的な避難行動につなげたい。
 ただ、高齢化が進む中、自力での避難が難しい住民が増えている。地域の共助力をどう培うか。全国的な課題だ。
 この3年、折に触れ、台風被災地を訪問。力を合わせて土砂の撤去に励んだり、近所のちょっと心配な人に野菜を届けて見守ったりと、住民ができる範囲で「お互いさま」を実践している様子を目にしてきた。「岩手の強みは、地域が残っていること」。東日本大震災被災地に駆け付けた全国の支援者の指摘は、台風被災地にも当てはまる。
 地域の助け合いを土台に、防災士の育成、自主防災組織の連携など、教訓を踏まえた取り組みを強めたい。平時から、岩手ならではの共助をどれだけ培っているかが、有事に問われる。


佐賀にボランティア続々 水害地域、復旧本格化
 猛烈な雨で冠水被害に見舞われた佐賀県では31日、救援物資の仕分け作業や住宅の清掃を支援するボランティアが県内外から続々と集まった。住民らは朝から、使えなくなった家財道具の片付けなどに追われ、大町町では鉄工所から流出した大量の油の除去も進められた。初の週末を迎え、復旧作業が本格化した。
 武雄市や大町町など5市町の災害ボランティアセンターには、長靴姿の人たちが列をなした。ボランティアは複数班に分かれ、作業に当たった。
 西日本豪雨で被害を受けた広島県の災害復興支援団体の代表藤田和美さん(41)は武雄市のセンターにスコップ200本、タオル8千枚などを運び込んだ。


文科相発言 ヤジ排除「容認」は論外
 選挙の街頭演説はどんな内容であっても黙って聞けというのか。
 ヤジを飛ばした人が警察に取り押さえられ、現場から遠ざけられる事案が、7月の札幌に続いて今月24日、埼玉県知事選の応援演説で発生した。
 警察の過剰警備が続いていることは看過できない。
 それ以上に問題なのは、今回演説に立ち、ヤジを飛ばされた柴山昌彦文部科学相の発言だ。
 記者会見で「表現の自由は最大限保障されなければならない」と述べる一方、演説を聞きたい聴衆の思いにも触れ「大声を出したりする権利は保障されていないのではないか」との考えを示した。
 「表現の自由」を都合良く解釈していると言うほかない。
 閣僚が警察によるヤジ排除を容認すれば、過剰警備を助長しかねない。発言を撤回すべきだ。
 街頭演説は不特定多数の人に広く政策などをアピールする場である。支持者に限らず、さまざまな意見を持つ人が聞くのは当然だ。
 今回取り押さえられた男子大学生は大学入試改革への反対を訴え「柴山やめろ」「民間試験撤廃」などと声を上げた。
 来年度開始の大学入学共通テストを巡っては、新たに導入される英語民間検定試験の詳細が決まらず、受験生や学校現場には不安が広がっている。男子大学生の訴えもそうした声の一部だろう。
 公職選挙法は演説妨害を禁じている。だが、演説者が取り組む政策に反対の声を上げただけで排除するのはあまりに行き過ぎだ。
 柴山氏は、ツイッター上で自身に対し「抗議の電話しましょう」との呼び掛けがあったことに「業務妨害罪にならないよう気をつけて下さいね」と返した。
 威圧と受け取られかねない言いぶりだ。閣僚としての資質に欠けると言える。異論を受け止めない安倍晋三政権の不寛容さを象徴する態度だろう。
 菅義偉官房長官は一連の対応を問題視せず「警察の活動は不偏不党、公正中立を旨として行われるべきだ」と述べるにとどめている。
 道警によるヤジ排除を巡っては、鈴木直道知事が速やかな事実関係の確認を求めているが、排除した際の法的根拠など詳細な説明はいまだない。
 警察活動に公正中立を求めるのなら、政府がまずすべきは一連の対応の法的根拠を警察当局に説明させることだろう。表現の自由に対し、公権力の過度な介入を招かないようにしなければならない。


年金の財政検証 試算が甘く安心できぬ
 少子高齢化で厳しい年金財政から目をそらさず、政府は、不断の改革が求められる。
 厚生労働省は、公的年金の長期的な給付水準を5年に1度試算する財政検証の結果を公表した。
 現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合「所得代替率」に関し、2047年度も政府が掲げる「50%維持」は達成できるとの見通しを示す。
 ただ、経済成長と高齢者の就労が進むことが前提だ。これでは見通しが甘すぎるのではないか。
 財政検証は、年金制度の「健康診断」だ。年金の実質的な価値が先細りする中で、手をこまねいている場合ではない。
 「支える側」の現役世代も、「支えられる側」の高齢世代も、制度に対する不安や不信を払拭(ふっしょく)できるよう、持続可能な制度へと高める必要がある。
 試算は高成長から低成長まで6通りで示され、上から3番目の標準的なケースでは、19年度の61・7%から徐々に低下し、47年度に50・8%で下げ止まるとした。
 だが、50%を維持しても実質的な価値は約2割目減りする。
 国民年金に限れば、約3割低下する。保険料を40年間納めた場合でも現状で満額月6万5千円にとどまる。4割を占める非正規労働者への低年金対策が急務だ。
 低成長の3ケースは50%を割り、0・5%のマイナス成長だと30%台後半に落ち込む。「100年安心」とは到底言えない。
 対策の一つとして、パート労働者らの厚生年金加入拡大で給付水準を改善させる試算も出した。
 従業員501人以上の企業といった要件を廃止し、週20時間以上働き、賃金が月8万8千円未満の人も対象にすると、新たに325万人が支え手になる。
 低年金対策につながる一方、保険料は労使折半で中小企業の負担は重く、支援策が欠かせない。
 受給開始を65歳から75歳まで遅らせると、給付水準が最大約1・7倍になるとの試算も出した。
 働くことが生きがいの人も多く、環境整備が不可欠である。高齢者は体力の差が大きく、個々の生き方が尊重されるのが大前提だ。
 問題なのは、検証結果の公表が前回の6月上旬より大幅に遅れたことだ。夏の参院選への影響を嫌ったと疑われているが、年金制度に対する不信が一層膨らみかねず、政府の責任は重い。
 今後、政府は来年の法改正を目指すというが、与野党は垣根を越え、議論を尽くす責務がある。


年金財政検証 老後への不安は拭えない
 「老後に夫婦で2千万円の蓄えが必要」とした6月の金融庁審議会の報告書で高まった国民の年金不安を拭えたとは言い難い。厚生労働省が先日公表した公的年金の財政検証結果である。少子高齢化の中でも制度は持続できるが、そのために給付は抑えられることが改めて示された。
 厚生年金に40年間入る平均的な賃金の夫と専業主婦の妻のモデル世帯は2019年度の受給額が月22万円で、現役世代の平均手取り収入に対する割合を示す「所得代替率」が61・7%だ。受給額は47年度に月24万円となるものの、現役世代の収入も増えるため、代替率は50・8%に下がり、実質的な価値は2割近く目減りする。
 働き方や家族構成が多様化する中、こうしたモデルに当てはまる世帯は減っている。夫婦共働きや一人暮らしなどさまざまな世帯も示し、理解を広げることが求められる。
 実際、自営業者ら国民年金だけ受給する人の影響はサラリーマン世帯より大きい。夫婦での受給額は19年度の13万円から、47年度に12万4千円と額面上も減ることになる。
 これは経済成長が標準的に進むケースで、低成長の場合は給付がさらに減る。特に低年金の人への対策は、生活保護やその手前の生活困窮者自立支援制度などの備えも含めて喫緊の課題と言える。
 財政検証は長期見通しを5年に1度試算するものだ。この結果を基に厚労省は制度見直しを本格化させ、来年の通常国会に法案提出を目指す。
 改革案の一つが、厚生年金の対象拡大である。現在、加入義務があるのは従業員501人以上の企業で週20時間以上働くといった人である。これを広げると給付水準は上がるが、企業の保険料負担も増え、反発が予想される。
 実現の可能性が高いのは、受給開始時期を70歳を超えても選べるようにして受給額を増やす案だろう。高齢者にも働いて社会の支え手となってもらう流れに沿う。
 働いて一定の収入がある60代以上の年金を減額する「在職老齢年金制度」の縮小も政府は検討している。高齢者の働く意欲をそぐなどの指摘があるためだが、現役世代の保険料負担増が必要になる。恩恵を受けるのが主に高所得者であることも議論を呼ぼう。
 こうした今回の見直しは小幅にとどまる印象が否めず、年金不安をどれだけ拭えるか不透明と言わざるを得ない。
 財政検証で看過できないのは、前回と同じ時期の6月の公表とみられていたのが大幅に遅れたことである。年金の目減りが避けられず、7月の参院選への影響を懸念した与党に配慮し、厚労省が遅らせたという見方もある。
 こうした疑念は年金不信をさらに高める。政府が年金の安心をことさらに強調するのも逆効果ではないか。見直しで大切なのは、国民が納得できる議論を丁寧に重ねていくことである。


香港デモ長期化 「戒厳令」は火に油注ぐ
 香港行政長官が抗議デモを収束させるため、事実上の「戒厳令」発動を検討する考えを示したが、三十一日には大規模な抗議行動も予想される。強圧的な対応は火に油を注ぐ悪夢となりかねない。
 林鄭月娥長官は二十七日の記者会見で、「緊急状況規則条例」(緊急法)について「香港の法律を使い混乱を止める責任がある」と述べ、発動の可能性を示唆した。
 怖いのは、長官とその諮問機関が「緊急事態」と判断した場合、立法会(議会)の承認なしで「公の利益にかなう、いかなる規則も制定できる」という点だ。
 長官は、報道、ネット、集会などを幅広く制限でき、私有財産の没収さえ可能となる。
 議会の意向を無視した長官の独善的な判断にお墨付きを与えることになりかねず、民主派が「事実上の戒厳令だ」と反発するのは当然である。
 中国政府は、武力行使をちらつかせながらデモ隊への圧力を強めてきた。建国七十年を祝う十月までにデモを収束させたいとの習近平政権の思惑があろう。
 一方、中国の政治学者は「武力弾圧で国際的批判を浴びた天安門事件の苦い経験があり、武力行使の可能性は低い」とみる。
 こうした状況で、林鄭長官は「十月までの解決」の圧力にさらされ、武力行使に代わる沈静化策として「緊急法」を検討しているかもしれない。だが、その判断はデモ隊過激化の現状を見誤っているのではないか。
 八月中旬の百七十万人規模のデモは警官隊との衝突もなく、デモ隊は「和理非の初心忘れず」のスローガンを掲げた。
 「和理非」とは平和、理性、非暴力を指す。だが、「逃亡犯条例」の完全撤回やデモ参加者の釈放などの要求に香港政府は「ゼロ回答」を続け、失望した多くのデモ参加者が暴力を容認する強硬派に転じてしまった。
 八月下旬には鉄パイプをかざして襲いかかる若者らを威嚇するため、警官が空に向けて初めて実弾発砲する事態も起こった。
 民主的な選挙制度が確立していない香港で、デモは民意を示す有力手段である。それを香港政府が一方的に「暴乱」と決めつけ、警察力で抑え込もうとしたのが最悪の対応であった。
 状況は一段と厳しくなったものの、香港政府は対話の糸口を見つけるしかない。「戒厳令」は決して解決策にはならぬ。


防衛費概算要求 どこまで膨張するのか
 安倍政権下で防衛費はどこまで膨張するのか。防衛省の二〇二〇年度概算要求は六年連続で過去最大となった。情勢の厳しさを理由とするが、防衛力整備に節度を取り戻すことが必要ではないか。
 防衛省の二〇年度予算概算要求は一九年度当初予算比6・3%増の五兆三千二百二十二億円となった。「事項要求」にとどめた米軍再編関係経費などは含まれておらず、仮に一九年度と同額の二千五百五億円を計上した場合の実質的な前年度当初比は6・0%増となる。厳しい財政事情の中、増額要求が続くのは異例である。
 日本の防衛費は冷戦終結後、減少傾向が続いていたが、安倍晋三首相が政権復帰後に編成した一三年度に増額に転じ、二〇年度まで八年連続の増額要求となった。
 政府は昨年十二月、安全保障や防衛力整備の基本方針を示す「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と、それに基づいて防衛装備品の見積もりを定めた「中期防衛力整備計画(中期防)」を改定した。
 新しい中期防では一九年度から五年間の防衛費の総額を二十七兆四千七百億円程度と定めている。改定前の中期防では、五年間の総額を二十四兆六千七百億円としており、すでに五年間で二兆八千億円も増やすことになっている。
 防衛費を押し上げる要因はヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」型の事実上の空母化や、「いずも」型で運用する短距離離陸・垂直着陸可能な戦闘機(F35B)、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」など新しい装備の調達である。これらは新しい大綱や中期防に盛り込まれ、二〇年度概算要求に費用が計上された。
 F35Bやイージス・アショアはいずれも高額で、米国が価格や納期の主導権を持つ「対外有償軍事援助(FMS)」で調達する。事実上の空母運用やイージス・アショア導入には、専守防衛を逸脱するとの指摘や、そもそも日本防衛に必要なのか、という議論がある。
 トランプ米政権への配慮から導入を急げば、厳しい財政をさらに圧迫するばかりか、「専守防衛」という戦後日本の安全保障政策をも毀損(きそん)しかねない。
 真に必要な防衛力を整備し続けることは当然としても、アジア・太平洋地域で続く緊張緩和に向けた模索に背を向け、防衛力を増強し続ければ、日本自身が地域の不安定要因となりかねない。
 防衛費の増減は対外的なメッセージとなり得る。節度を持って予算編成に当たるべきである。


リクナビ是正勧告  学生への説明責任果たせ
 就職情報サイト「リクナビ」が就職活動中の学生の内定辞退率を算出しデータを企業に販売していた問題で、政府の個人情報保護委員会が同保護法違反と断じ、サイトを運営するリクルートキャリア(東京)に組織体制などの是正を求める勧告を出した。
 リクナビには約3万社以上が掲載されており、約80万人の学生が登録し企業情報の閲覧、エントリーシートの提出、説明会などへの申し込みなどで利用している。リクナビでしか応募できない企業もあるという。県内の学生や県出身の学生らの利用も相当数に上るとみられる。
 リクルートキャリアはサイト内の学生の閲覧履歴や志望動機などを基に、人工知能(AI)を使って個々の学生が内定を辞退する確率を算出していた。当初、学生の同意を得ていたとしたが、約8千人分は同意がなかったことが判明。さらに約7万5千人に関しても十分な説明をしていないなど、ずさんな運営だった。就活サイト最大手だけに社会的影響は大きく、個人情報保護委員会の是正勧告は当然といえる。
 問題は同委員会が「学生の人生を左右し得る」と指摘した点だ。リクルートキャリア側は採用の合否にはデータを活用しないことを販売先企業と同意書で確認していたとしているが、採用の現場でどこまで厳格に守られていたか。企業は内定辞退者が出ると採用計画に狂いが出るため、辞退しそうな学生を引き留めるというのが売りだった。
 ただ、価格は400万〜500万円という。引き留めるためだけに、そうした費用をかけるとも思えない。自分のどんなデータがAIでどう判定されたのか、就職希望先の企業に流れ合否に使われることはなかったのか―学生のこうした不安に対し、リクルートキャリアは説明責任を果たしているとは言い難い。人生を左右したケースはなかったのかを含め、全容を早急に明らかにすべきだ。
 内定辞退率予測を購入していたのはトヨタ自動車、ホンダ、りそなホールディングス、三菱電機など名だたる企業だ。購入企業も応募学生の情報をリクルートキャリア側に提供していたとされ、責任の一端は免れないだろう。学生は購入企業への不信感も募らせているはずであり、詳細を公表する必要がある。
 個人データの活用は巨大IT企業だけでなく、市場リサーチや営業戦略などあらゆる分野で欠かせないものになっている。一方で、他人に知られたくないプライバシー情報が含まれる。使い方を誤ると、多方面に不利益を生じさせる恐れがあるだけに、活用には高い倫理規範や厳格な方針が欠かせない。


[大学入試の英語] 受験生の不安解消急げ
 2020年度から始まる大学入学共通テストに導入される英語の民間検定試験について、国公私立大の3割が利用するかどうか「未定」としていることが文部科学省の調査で分かった。
 民間試験が始まる来年4月まであと7カ月と迫る中、試験の詳細が明確でなく情報も不足している。何より受験生が不安に駆られよう。文科省は事態打開を急ぐべきである。
 共通テストは現行の大学入試センター試験の後継で、今の高校2年生から対象となる。英語で民間試験を活用するのは、センター試験で評価していた「読む・聞く」に加え「書く・話す」の技能を問うのが目的だ。
 受験生は4〜12月に「英検」や「GTEC」など6団体7種類の中から受験し、最大2回分の結果を大学入試に利用できる。
 大学入試改革の目玉の一つだったが、今年7月になって「TOEIC」を運営する団体が共通テストへの参加を取り下げるなど準備不足が表面化。全国高等学校長協会が文科省に早期対応を求め、異例の要望書を提出する事態となった。
 要望書は「希望する時期や場所で試験を受けられる見通しが立っていない」「試験の詳細が明確でなく、指導計画が立てられない」など切実だ。
 これを受け文科省は「大学入試英語ポータルサイト」を開設したが、四年制大学の3割が民間試験の利用方針を「未定」とし、その他の大学も具体的な利用方法が空欄になっているなど不明確さが目立つ。鹿児島県内の四年制大学は全6大学が利用する予定だ。
 大学側が慎重なのは、制度の全体像が明らかになっていないからだろう。「情報が出そろっていない中では決断できない」「不透明な部分が多くて困惑している」などと戸惑いを見せる。
 背景には、大学入試センターと各実施団体の協定締結が遅れていることがある。センターが受験生一人一人の成績を共通IDで管理するシステムの利用料を巡って、実施団体側が「なぜ業者が負担せねばならないのか、協定書を交わす段階で突然示すやり方にも違和感がある」と疑問を呈するなど溝がある。
 協定は、試験の公平性が損なわれるなどのトラブルが起きた際の責任を明確化するものだ。課題を一つ一つ解決して厳格なものにしてほしい。
 文科省は全国の大学に遅くとも9月中に必要な情報を公表するよう求めたほか、自治体などに民間試験の実施団体から会場使用の依頼があった場合は協力するよう促す通知を出した。
 ただ、この段階でまだ全容が定まらないのは見通しが甘かったからではないか。制度を設計した文科省は、特に地方の受験生が不利益を被らないよう万全を期す責任を自覚すべきである。


イージス・アショア、地元の合意ナシで1399億円「前払い」の異様 ひどすぎる「既成事実化」の実態
半田 滋
防衛省は30日、来年度防衛費の概算要求を省議決定した。驚くのは、過去最高額の防衛費5兆3222億円を要求する中に、地元の合意がまったく得られていない地対空迎撃システム「イージス・アショア」の調達費が本年度に引き続き、含まれていることだ。
防衛省は「特定の配備地を前提とする経費は計上しない」と説明するが、秋田市の荒屋演習場と山口県萩市のむつみ演習場以外の候補地名はこれまで一切上がっておらず、まさに「特定の候補地を前提とする経費の計上」にほかならない。
米政府から「イージス・アショア」を買い込んで既成事実化を図り、両市への配備を迫る手口が透けて見える。
結論ありきの「候補地再調査」
概算要求に計上された「イージス・アショア」の調達経費は122億円。このうちミサイルの垂直発射装置(VLS)の購入に109億円を充てる。VLSは合計30基をまとめ買いするもので、イージス護衛艦分と「イージス・アショア」2ヵ所分が含まれる。
残り19億円は人材育成経費、調査費だ。調査費の大半は航空自衛隊の防空システム「自動警戒管制システム(JADGE)」と「イージス・アショア」を連結する費用に回される。
つまり、「イージス・アショア」はこれまで通りの2ヵ所で、自衛隊とのシステム連携も進めるという内容となっている。
問題は配備先である。
防衛省は28日、「イージス・アショア」の候補地が荒屋演習場、むつみ演習場以外にないか、民間業者に委託して調査すると発表した。
荒屋演習場を「適地」と断定した際の防衛省による調査は、職員が「グーグルアース」のデータを読み間違えたり、津波対策の必要があるにもかかわらず、「ない」と報告したりするミスが連続した。
もはや防衛省の再調査では住民から信用されないだろうから、部外の専門家に任せるというのだ。
業者に丸投げすること自体、当事者能力の欠如を認めたようなものだが、同日にあった秋田県と秋田市に対する説明会で、防衛省側は青森県と山形県で行う予定の調査について「予備的な位置づけ」と説明。すると、出席者から「荒屋演習場ありきではないか」と怒りの声があがった。
説明会後、「予備的とは何か」との報道陣の質問に、防衛省の山野徹審議官は「調査は公平に行うが、秋田、山口両県への配備が防衛上最も効率的との考えは変わらないということだ」と答えた。これでは「再調査はアリバイづくりに過ぎない」と告白したも同然だろう。
青森、山形での調査は6ヵ月半、山口での調査は2ヵ月としており、いずれも年度内に終わる。調査終了後、間髪を入れずに秋田市と萩市で説明会を開き、防衛省は「やはり秋田と萩が適地」との結論に誘導するのではないだろうか。
無理やり押し切るつもりか
地元が受け入れを表明すれば、来年度防衛費に積むことになる「イージス・アショア」の調達経費122億円は防衛省の思惑通り、来年度中に執行できることになる。
見方を変えて、防衛省の立場になれば、予定通りの予算執行ができなければ困るという「御家の事情」があることがわかる。
これまで何度も「現代ビジネス」で問題点を指摘してきた通り、「イージス・アショア」は米政府の特殊な武器売却方式である対外有償軍事援助(FMS)で導入される。
FMSとは、(1)契約価格、納期は見積もりであり、米政府はこれらに拘束されない、(2)代金は前払い、(3)米政府は自国の国益により一方的に契約解除できる、という米政府に有利な一方的な殿様商売である。「米政府が『FMSでなければ売らない』というのだから仕方がない」というのが防衛省の立場である。
「イージス・アショア」の導入においてFMSの異様さが際立っているのが、(2)の「代金は先払い」という点だ。本年度防衛費で予算化された「イージス・アショア」の調達費は1757億円にのぼる。
社民党の福島みずほ参院議員が「いくら支払ったのか」を防衛省に問い合わせたところ、8月20日付で「イージス・アショア関連経費の執行としては、現時点において、本年4月26日に米国政府と締結したFMS契約はイージス・アショア本体2基の取得費(約1382億円)と人材育成(約17億円)であり、FMS契約額は1399億円になります」との回答があった。
国内の防衛産業へ武器調達費を支払う場合、年度末の翌年3月とするのが一般的だが、FMSは米政府の求めた時期に支払う仕組みのため、本年度予算分は年度当初の4月に1399億円を支払ったというのだ。
今年4月といえば、秋田、萩両市などで住民説明会は開かれていたものの、知事や市長、議会は受け入れ同意を表明しておらず、今に至るまで同意していない。萩市に隣接し、まともにレーダー波(電磁波)を浴びかねない阿武町に至っては、町長、町議会とも「反対」を表明していた。
つまり防衛省は、場所も決まっていないのに「イージス・アショア」の本体を発注してカネを払い、まだ始まってもいない人材育成の費用まで前払いしたことになる。さらに来年度防衛費では発射装置を買い入れ、自衛隊とのシステム連携を進める段取りとなっている。
これを「既成事実化」といわずして何といえばよいのだろう。
防衛省は当初の計画通り、秋田市と萩市への配備を進めるハラを固めていると考えるほかない。両市が引き受けたくないやっかい者の「イージス・アショア」を他市町村が受け入れるはずもなく、最後は山野審議官の言葉通り「防衛上最も効率的」との理屈で、政府総がかりで押し切るのではないだろうか。
北のミサイルに対処できない可能性
防衛省は沖縄県の辺野古移設問題を抱えている。沖縄側は県知事選挙、県民投票、沖縄衆院3区補選、参院選挙と辺野古移設を争点にした4回におよぶ選挙や住民投票で、明確に「辺野古NO」の民意を示した。
これに対し、政府は「辺野古が唯一の解決策」(菅義偉官房長官)との立場を崩さず、埋立工事を強行している。
「ダブル・スタンダード(二重基準)」との批判を嫌う行政府の防衛省が「イージス・アショア」の配備をめぐり、どれほど地元が反対したとしても、沖縄と異なる対応を取れるはずがない。
また、防衛省は「イージス・アショア」の候補地となっている保守系の首長らについて、「いずれ受け入れる」とみているのではないだうか。現に米軍機の受け入れをめぐり、市長が反対を表明した山口県岩国市に対し、国の補助金を打ち切って兵糧攻めとし、市長交代に追い込んだ「成功体験」がある。「アメとムチ」はお手のものなのだ。
防衛省が「イージス・アショア」に巨額の調達費を計上している間に、北朝鮮は7月25日から8月24日までの1ヵ月間で7回、日本海に向けて短距離弾道ミサイルを発射した。
飛距離は600km前後で、防衛省は毎回、「日本の領域や排他的経済水域への飛来は確認しておらず、わが国の安全保障にただちに影響を与える事態ではない」との定型文を発表している。
本当にそうだろうか。
防衛省幹部は北朝鮮の「労働新聞」に掲載された写真をもとに「少なくとも3種類のミサイルが確認されている。外見がロシア製のイスカンデルと米国製のATACMS(エータクムス)に似た2つのミサイル、そして見たこともない形のミサイルだ」と話し、北朝鮮のミサイル開発が相当に進んでいることを指摘する。
岩屋毅防衛相は27日の記者会見で「7月31日および8月2日に発射されたものは、さらに分析が必要だ。通常の弾道ミサイルとは異なった航跡をとっているとみられる」と述べた。
これは通常の弾道ミサイルが宇宙空間に飛び出して放物線を描いて落下するのに対し、今回の北朝鮮のミサイルが大気圏内にとどまり、落下する途中で水平飛行に移り、最後にまた高度を上げてから落下するという変則的な軌道で飛翔したことを指す。
岩屋氏は「ミサイル防衛網の突破を狙ってのことではないかと考えている」と述べ、自衛隊が保有するミサイル防衛システムでは対処できない可能性を示唆した。
これでは、いくらあっても足りない
もともと「イージス・アショア」を含む米国が開発したミサイル防衛システムは、放物線を描く弾道ミサイルの軌道を予測して迎撃する仕組みになっており、変則的な軌道のミサイルの迎撃は困難とされている。
日本政府は2017年12月19日、「北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威」に対抗して「イージス・アショア」を導入することを閣議決定した。その北朝鮮のミサイルが、「イージス・アショア」をもってしても迎撃困難となれば、巨額の導入費は無駄金も同然だ。
さらなる迎撃手段を持とうとすれば、防衛費などいくらあっても足りないことになる。その迎撃手段を打ち破る弾道ミサイルは必ず開発されるからだ。
政府は中国の故事から生まれた「矛(ほこ)=弾道ミサイル」と「盾(たて)=ミサイル迎撃システム」を組み合わせた「矛盾」という言葉の意味を噛みしめ、武力に武力で対抗する硬直した政策そのものを見直すべきだろう。


エロ本がコンビニからなくなる日に、あるフェミニストが思うこと 昔、私はエロ本をつくる側だった
田房 永子 漫画家・ライター
2019年1月、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンら大手コンビニチェーンが相次いで、2019年の8月末をもって成人向け雑誌の販売中止を発表した(ミニストップは2018年1月1日より全店での販売を中止)。このことをきっかけに生まれた雑誌がある。“フェミマガジン”の『エトセトラ VOL.1 コンビニからエロ本がなくなる日』だ。
毎号、新しい編集長がいま伝えたいテーマを特集するという同誌。創刊号の編集長を務めたのは、毒親というワードを世間に認知させるきっかけとなったベストセラー『母がしんどい』や、母性神話の抑圧をはねのける育児マンガ『ママだって、人間』で知られる漫画家・ライターの田房永子さん。
2児の母であり、フェミニストでもある田房さんは、コンビニからエロ本がなくなることに「天にも昇るような喜び」を感じたという。でも、かつてはエロ本の漫画で生計を立てていた時期もある。そんな彼女がこの雑誌に込めた思いとは。
堂々とエロ話ができる「男」がうらやましかった
10代の頃、男の人たちは堂々とエロ話ができていいなーと思っていました。男の人たちがエロ話やオナニーの話をしている時、私が仲間に入ろうとすると、ギョッとされて会話が終わってしまったりしました。
20代になってから、飲み会などでエロ話をすると、眉間にしわを寄せて「女の子はそういうこと言わないほうがいいよ」と諭されたり、あとになって「性欲強いんだね」とセックスに誘われたりします。普通の話としてエロい話をすることは、女の私にはできないことなんだなと思い、しないようになりました。
「こんなこと言ったら女の人たちに怒られちゃうなあ〜」と男の人たちがヒソヒソ、クスクスとセックスやAVやオナニーの話をしているとき、女が求められるのは、「オーディエンス」力(りょく)です。「なんの話だか分かりません」とキョトンとした顔をするか、「ハイハイ」と呆れ顔で見守る、女はそのどっちかをすることが望ましい、ということを学びました。それが私の属する「女」という性なのでした。
当時の私にとって、その性は、「不自由」に思えました。生まれ変わるなら男がいい、とハッキリ思っている若い女でした。
エロ本業界で「自由」を得たかに思えた
25歳。漫画家でデビューしたもののうまく行かず、どうしても漫画を描くことで生計を立てたかった私は、男性向け成人誌、いわゆるエロ本業界の門を叩きました。
初めて、エロ本の編集者やライターのおじさんが数人集まる飲み会に行って驚きました。彼らにとって「エロ話」は、農業の人にとっての天候の話みたいな、当たり前の会話だったからです。私にも顔色を変えず、「一番興奮したセックスはどんなのですか?」と聞いてきます。単なる情報交換としてエロ話ができる。これが私にとって、とても嬉しかったのです。
エロ本で仕事を始めて、ハプニングバーや乱交パーティーなど、他人のセックスを肉眼で見ることができる場所に潜入し、そのレポートを漫画に描くようになりました。しかしどうしてもエロい行為には参加できず、見ているだけの取材でした。客に取り囲まれ、同行した男性編集者の丸出しの股間の目の前に座るよう指示され、「くわえちゃえ!」とコールされた時も、「……無理です」と断りました。意外にも「そっか〜」と客たちはすぐにあきらめて散ってくれました。
そんな風に意外と、いわゆる“変態さん”の集まるスポットというのは、マナーがしっかりしていたりしました。だからこそ、こちらの「断る技術」もアップしていきました。なにしろ“初対面でセックスを誘うのが当たり前という異常空間”なわけで、そこに潜入取材とはいえ自ら来ているのですから、「やめてくださいよ!!」とかヒステリックに怒ったりしたら場が白けてしまい、みなさんに申し訳ないことになります。だけど私は、どうしてもこういった場でセックスをする気にはなれませんでした。
そこで私は男性に欲情されてしまってそこから回避したい時は、「元気に断る」ことで対応するようになりました。
「松野明美化」で身を守る日々
性欲が体にいっぱい溜まってじっとりうっとりとこちらに近づいて誘ってくる人には、大きな声でハツラツとして早口で「すみませ〜〜〜ん、私もセックス大好きなのでね! したいんですけど! したいんですけど!! おにいさんとても清潔感ありますし、上手そうだし! でも今日ちょっとできない、できないんですよー!!」と同じフレーズを何度も言いながら敬意を持って断ると、いい感じで諦めてもらえるということを発見したのです。
これを極めると結果的に、マラソンランナーの松野明美さんのようなしゃべり方になります。体も自然と前のめりになり首も前に出て「あしゃっ! ごめんなさい! やりたいんですけどもね〜〜〜〜!!!」みたいな感じに仕上がります。淫(性欲)は陽(松野)で跳ね返せます。
そうやって松野明美化することで、変態プレイを回避し、家路につく。それが私の潜入取材の現実でした。だけど、レポート漫画の中では、かわいい女の子キャラが「編集者さんの、いきり立ってBIGになったおチ●ポ……くわえちゃいました!」とか「初対面のおにいさんに誘われて、プレイルームへ移動……ハプニングなナイト、すごく盛り上がっちゃいました!」と描かなければならないのでした。
エロ本の仕事はあくまで、「女性の体が好きな男性が求めるエロ」を作る場でした。そこでは意外にも、「実際の女の性欲についての話」などはニーズがないのでした。
男は本当の女について知りたくないらしい
例えば、「女はどんな時にセックスをしたがるのか」はエロ本の中で重要なテーマです。しょっちゅう「女の人はどんな時にしたくなるの?」と聞かれました。私は数名の女性の友達に確認したり自分の経験から踏まえて「セックスをした直後か、次の日が一番したいです」と答えました。しかし、私のその回答は誌面には使用されないのです。
 男性読者の欲望は「同じオフィスやスナックなどにいる女性とセックスしたい」というものであり、そういった“まだ俺がセックスしてない女”が出している「サイン」を、絶対に見逃したくない、という執念なのです。だから「女はこんな時にセックスをしたがっている」という記事に、「ミニスカートを履いてきた時」「髪型を変えてきた時」「白い靴を履いてきた時」など「え??」という情報が書いてあります。
私が答えた「セックスをした次の日に一番欲求が高まる女がいる」という情報は、すでに肉体関係にある相手にしか通用しないので、彼らが一番求めていない情報だったのです。女や女の体や性質を知りたがってるけど、別に本当のことが知りたいわけじゃないんだなと、思うようになりました。
2008年、リーマンショックの影響で、各エロ本の漫画のページが削減される事態になりました。実話誌に至っては続々と休刊、廃刊になりました。私も一気に仕事が減ったので、エロ本業界で見た私にとって本当の部分を書いた本を自費で作り、自分で売るようになりました。そのうち、「ラブピースクラブ」など女性向けの媒体での仕事が増え、意識がフェミニズムへと完全にシフトしていったのでした。
これは一体、なんなんだろう
エロ本業界から離れて4年、出産し、子育てに明け暮れました。その娘が4歳になった時のことです。一緒にコンビニに行くと、成人向け雑誌コーナーのところで「ママ、これなーに?」と聞かれ、困りました。「そういえば、これは一体、なんなんだろう?」と……。
某コンビニの成人誌コーナー
そのエロ本たちの表紙をよくよく見てみると、「オカズ女NO.1祭り」「姦禁〈美女50人に禁断中出し〉」「家出JK猥褻ナマ姦」「平成夜這い妻〈暗くて見えなきゃ相手が誰でも一緒だろ?旦那じゃなくてもいいじゃない〉」「働くレディお貸しします〈アソコでお口で手で性欲処理いたします〉」「淫乱五十路女」「お天気お姉さん、複数の男に犯され、悶え泣き!」と書き切れないけど、そういう言葉が並んでいます。そして悩ましげな表情の女性や制服をたくし上げてブラジャーを見せている女の子の写真が載っています。
そういった本と、箸を持つのもおぼつかない4歳の女の子が同じコンビニという空間にいることが、私の脳では処理しきれず、混乱してしまいました。「家出JK」も「働くレディ」も「夜這い妻」も「五十路女」も、私も娘も、全員「女」だからです。
例えば、この世界が男女逆転しているとしましょう。男に生まれたというだけで、エロ話に入れてもらえない世界です。コンビニに行くと「家出男子高生 猥褻ナマ姦」「オカズ男NO.1祭り」「働くリーマン、お貸しします〈性欲処理いたします〉」「淫乱五十路男」という、男の肉体だけを欲望の的にしたエロ本が並んでいます。
4歳の息子から「パパ、これなーに?」と聞かれたら。男性でも、きっと混乱するのではないかと想像します。
コンビニに、こういう本は置いて欲しくない、と思うようになりました。だけどそれと同時に、一緒に働いていたエロ本を作る人たちの姿も脳裏に浮かびました。母親になったからといって急に「コンビニで売るのはやめてほしい」と思うようになってしまった自分に罪悪感があったのです。
スーパーに行けない日は、保育園の帰りにコンビニに寄って、夕飯や翌朝の食材の買い物をしていたけど、娘とコンビニに行くのをやめました。周りのママ友たちも、その対策をとっている人が数多くいました。その客層を追いやってまで、成人向け雑誌を置くコンビニを不思議に思うようになりました。
それにやはり、「家出JK猥褻ナマ姦」などの文字が躍る本を、子どもたちにも見えてしまう位置に置いているのは、社会として問題なのではないか、とも思うようになったのです。
さきほどとは別のコンビニ店内。成人誌コーナーは大人の視線を避けるように低い位置に設置されていることが多い。でも、そこは子供からよく見える位置であるという皮肉
「コンビニにエロ本がある時代」を記録したい
そんな中、今年1月、大手コンビニ各社が8月末までに成人向け雑誌の販売を中止するというニュースが流れました。私は、天にも昇るような喜びを感じました。
しかしそのニュースはたちまち埋もれ、2〜3日でネットでもほとんど誰も話していない状態になりました。「コンビニにエロ本があること」自体、速攻で忘れられてしまう、と思いました。だけどママたちの、子どもを成人誌コーナーに近寄らせないようにしていたあの努力まで、なかったことになってしまうのは、悲しいと思いました。
コンビニにエロ本が売られていたことがつらかった、嫌だった。そのことを、「エロ本の発売中止」を喜ぶことで、世の中に伝えたい。どうしたらそれが伝わるのか。「エロ本販売をやめてくれてありがとう!」とコンビニに言って回る、感謝行脚のようなパレードを、ママたちとしたいと思いました。そのパレードで、記念として「コンビニでエロ本が売られていた時代」を記録した冊子を配りたい。
その案を、エトセトラブックスの松尾亜紀子さんに話し、フェミマガジンとして作ることにしました。
いまの時代の、ありのままの声を残したい
人々の声をありのまま保存したいと考え、Twitterで「コンビニからエロ本がなくなることについて、あなたの熱い思いを聞かせてください」と投稿を募りました。集まった120人ほどの声。半数以上は私と同じ「嬉しい」という内容でした。
その他の意見で一番多かったのは、「スマホを持っていない、地方に暮らす、車にも乗れない、コンビニでしかエロを調達できないおじいさんがかわいそう」というものでした。
他にも、「あの一画(成人向け雑誌コーナー)は男の性欲を肯定してくれた聖域だった」という男性や、スマホ時代にあっても男性の冒険心をくすぐる神秘的な「神社のようなものだった」という男性の意見も印象的でした。
コンビニのエロ本は、男性は消費する側であり女性はされる側というのがハッキリと目で見えるという特異な存在。される側の性である私には出てこない、貴重なお話をたくさんいただきました。
エロ本に対して肯定的な意見を載せるのはどうなんだ、という意見もありました。今までの歴史で、フェミ的な問題がメディアで取り上げられると両論併記されがちで、それによってフェミが訴えていることが過剰なことに映ってしまうということが幾度となくあったからです。
未来のフェミニストのために
でも、私は両論を載せることにこだわりがありました。25年前、女子高生ブームの頃に出た『女子高生解体新書』(1995年/新人物往来社)というムック本が印象に残っていたからだと思います。歴史関連本を出している出版社が、別冊歴読本の特別増刊としてつくったこの本には、女子高生のブルセラに関する扇情的な言葉も、社会学的な視点も、否定も肯定も、その時代のありのままが詰まっていたのです。
この時代、コンビニに置かれたエロ本はそれぞれの人にとってどんな意味をもっていたのか。一人ひとりが、どう感じていのか。コンビニにエロ本がない時代に生きる未来のフェミニストのために残したい。そんな思いが、『エトセトラ VOL.1 コンビニからエロ本がなくなる日』は、というかたちになりました。この雑誌が100年後も残ったら、その時代の人の目にどのように映るのでしょう。
明日から、コンビニにエロ本がない時代が、始まります。


<アフリカ開発会議>最後の植民地・西サハラの代表団が来日(3) ウルド・サーレク外相に聞く 岩崎有一
◆日本の発言は効力を持たない
8月30日、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が終わった。西サハラ代表団の初参加はかなったが、彼らの声が聞こえないままの会議だった。サハラ・アラブ民主共和国(RASD)の外相に、話を聞いた。
30日夕刻、まだTICADの余韻を感じる横浜のホテルの一階で、ウルド・サーレク外相を待った。
発言の機会がないままに終わった会議だ。開催前日の会合では苦渋の表情を見せていたとも聞いた。どれだけ憮然とした表情を向けられたとしてもしかたはないと、覚悟していた。
はたして、ホテルのロビーに現れたサーレク外相は、穏やかな表情だった。
カフェテリアの席に着いた。紅茶を注文した外相は砂糖をふた袋つかみ、全量を入れた。西サハラでは、甘いお茶が好んで飲まれる。西サハラの民・サハラーウィの友人たちのことを思い出した。
サーレク氏は博士号を持つ法学の専門家でもある。「まず一点」と、彼から話を切り出した。
「私たちは、日本がまちがったポジションを取っていることを知り、とても驚いています。『日本はすべてのアフリカに反し、モロッコを選んだ』と、私の友人たちも話していました。
これが一点目です。次にニ点目」と、彼は話を続けた。
「南アフリカやナイジェリアなど、日本が重要視するアフリカの大国のすべてが、RASDをサポートしています。ここで問題がひとつあります。いったい日本は、独自の戦略をもってTICADを進めているのでしょうか。それとも、モロッコの戦略に沿って進めようとしているのでしょうか。」
「どうやって(他の)アフリカ諸国ではなく、日本はモロッコを選ぶことができるのか、私は論理的な説明がどうしてもできないのです。日本がアフリカに与えたイメージは、極めて悪いものです。どうしてこのような決断をしたのでしょう。」
サーレク氏が言う「このような決断」とは、「TICAD7への“実体”の出席があろうとも、日本の立場に影響はない」とした8月27日の閣僚級準備会合での河野太郎外相の表明と、参加したにもかかわらず発言の機会がなかったことを受けてのことなのだろう。
再び、自身は法学の専門家であることをはさんだうえで、こう強調した。
「日本政府の発言は、偽りと言えるものです。違法な話しかたなのです。違法な話しかたは、効力をもちません。日本はRASDを承認していないと言いますが、TICADは、国連同様の多国間会議なのです。国連ではすべての国々が場を共にしています。北朝鮮も代表を置いています。北朝鮮を国家として承認する国もしていない国も、国連では同じ場にいるのです。ですから、多国間会議の場で承認の話を持ち出すのは、正しくありません。」
◆日本が理解しなければならないこと
「ここまでは、法的見解です。次に、政治の話をしましょう」と、彼は話を続けた。
「TICADの目的は2つあります。ひとつは政治的なもの、もうひとつは経済についてです。日本のアフリカへの経済的関心は、中国やロシア、アメリカと同様、ビジネスのチャンスを見出すことです。ここで、みなさんが理解しなければならないことがあります。アフリカは変わろうとしています。アフリカはもう、大国に支配されることを望んでいません。アフリカの国々は、アフリカ連合(AU)をリスペクトするパートナーを望んでいるのです。日本がこれまでにとってきた姿勢は、このAUの意志に対立するものなのです。」
サーレク氏がAUを持ち出して説明をするのは、単に、AU-EU方式を尊重すべきだと強調しているわけではなかろう。
アフリカ各地を取材していると、「モノではなく、援助ではなく、友人がほしい」との声を、あちこちで聞く。上下関係や主従関係のようなものではなく、対等な関係を築きたいのだとの思いを、アフリカの人々は強く抱いている。
そして、その関係に反するもの、つまりサーレク氏の言うような支配される関係には、極めて強い嫌悪感が抱かれる。誰にとっても、どんな国にであっても、従属を強いられるのが嫌なのは当たり前ではある。ただ、長く続いた奴隷貿易と植民地化の時代を経てきたアフリカで、そこに対する忌避感は、特に強い。
また、アジアと比べ、アフリカでの国境を超えた連帯感には強固なものがある。国籍を超えて、「私たちアフリカ人は」との意識は広く共有されている。AUの意志に対立するということは、広くアフリカと対立することなのだ、全アフリカを敵にまわすことに繋がりかねないのだと、サーレク氏は伝えようとしていたのだろう。
サーレク氏は、「次に、経済について」と続けた。
岩崎有一 ジャーナリスト。1995年以来、アフリカ27カ国を取材。アフリカの人々の日常と声を、社会・政治的背景とともに伝えている。近年のテーマは「マリ北部紛争と北西アフリカへの影響」「南アが向き合う多様性」「マラウイの食糧事情」「西サハラ問題」など。アジアプレス所属。武蔵大学社会学部メディア社会学科非常勤講師。
HP: https://iwachon.jp
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twitter: @iwachon
instagram: iwasaki_yuichi


厚労省 指摘無視で10兆円超のGPIF「損失リスク」を“隠蔽”
 厚労省が公表した年金の財政検証で、楽観的なケースでも30年後に給付額が2割減少することが分かり、国民の不安は募るばかりだ。さらに30日、同省は給付額確保のための積立金運用に潜む損失リスクを“隠蔽”していたことまで発覚した。
  ◇  ◇  ◇
 年金保険料の一部を原資とした約160兆円の積立金を運用する厚労省所管の「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」。国内外の株式などで運用しているが、昨年10〜12月期に14兆円の損失を出し問題となった。GPIFはそんな最悪の場合を想定し、損失規模を事前に試算する「ストレステスト」を実施しているのだが、会計検査院にその結果を公表するよう求められていたにもかかわらず、同省はヒタ隠ししていたのだ。30日の野党ヒアリングで明らかになった。
 検査院は今年4月に公表した報告書で、〈GPIFは、収益が減少するリスクについて国民に対して丁寧に説明を行っていく必要がある〉としたうえで、〈ストレステストの結果等中長期のリスクについて業務概況書に継続して記載することが重要〉と指摘。国民の年金を基に運用しているのだから、検査院の指摘はもっともだ。ところが、GPIFが7月5日に公表した概況書には、ストレステストの結果についての記載が一切ない。厚労省は検査院の指摘を「ガン無視」したというわけだ。
■参院選中の公表を避けた可能性
 ヒアリングで追及された年金局資金運用課長は緊張した様子で、非公表の理由を「(金融)市場等への影響に留意した」と説明。一方、検査院の厚生労働検査第4課長は、厚労省の対応に不満があるのか「引き続き、GPIFと厚労省の対応状況を確認していく」と厳しい表情で話した。
「4月に国会で追及された根本厚労相は『ストレステストの結果を含め、概況書への記載を検討する』などと答弁していました。しかし、概況書公表は参院選公示の翌日で『2000万円不足』問題も連日報道されていた。GPIFのマイナスリスクを公表すれば、さらなる“年金不信”を招き、安倍自民に大打撃です。“忖度”した厚労省は結局、検査院の指摘を無視してでも、公表を避けたかったのでしょう」(永田町関係者)
 同省は通常6月の財政検証公表も、今回は参院選後に先送りし、批判を受けている。そのうえ、GPIFの運用リスクまで“隠蔽”するとは。
「これまで、四半期単位で数兆〜十数兆円の損失が出てきている。ストレステストの結果は、少なくとも10兆円規模のマイナスでもおかしくない」(厚労省担当記者)
 経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「厚労省は昨年、14兆円もの損失を出したことをキチンと総括したようには見えません。身内である検査院の指摘まで無視したわけですから、国民の保険料を預かっているという意識が希薄なのでしょう。政権に忖度して情報を隠しているのなら、許されることではありません」
 そもそも、国民の年金を“株ギャンブル”につぎ込んだこと自体が大きな過ちである。

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Semi-conducteur : le Japon approuve une nouvelle salve d'exportation vers la Corée du Sud
Technologie : Malgré les tensions entre les deux pays, le Japon a autorisé l'acheminement de matériau sensible vers la Corée du Sud et les entrepôts de Samsung. De quoi souffler pour le constructeur sud-coréen.
Par Cho Mu-Hyun
Le Japon, en froid avec la Corée du Sud, a approuvé ce jeudi l'exportation de fluorure d'hydrogène à destination de Samsung en dépit des restrictions commerciales actuellement en vigueur à l'égard des entreprises sud-coréennes. Une décision qui a son importance : le fluorure d'hydrogène est en effet utilisé pour le nettoyage et la gravure des plaquettes de silicium, qui sont un composant essentiel de la fabrication des puces semi-conductrices de l'entreprise. L'autorisation d'exporter du fluorure d'hydrogène permettra à Samsung de commencer à utiliser ce matériau au début de l'année prochaine, a déclaré le radiodiffuseur national sud-coréen KBS.
Tout n'était pourtant pas gagné pour le constructeur sud-coréen, qui truste la première place mondiale des fabricants de smartphones. Le Japon avait en effet d'abord invoqué des raisons de sécurité nationale pour justifier l'interdiction du fluorure d'hydrogène, les responsables du pays ayant précisé par la suite que ce produit pouvait être utilisé pour fabriquer des gaz toxiques.
Plus tôt ce mois-ci, le Japon avait déjà approuvé l'exportation de deux lots distincts de résine photosensible - un autre matériau soumis à des restrictions commerciales - à destination des entrepôts de Samsung. Pour rappel, ce matériau est fondamental pour le constructeur sud-coréen, ce dernier étant utilisé pour son procédé de fabrication de puces EUV. Les restrictions commerciales japonaises bloquent actuellement l'exportation de trois matières - fluorure d'hydrogène, résine photosensible et polyimide fluoré - vers la Corée du Sud, ce qui signifie que le polyimide fluoré est aujourd'hui le seul matériau interdit d'exportation vers Samsung.
Samsung libéré, mais pas encore délivré
Avant la décision du Japon d'approuver l'exportation de fluorure d'hydrogène, Samsung avait commencé à chercher d'autres voies d'importation et à tester d'autres matériaux pour ses procédés de production de semi-conducteurs. L'autorisation d'exportation concédée par Tokyo atténuera probablement les préoccupations des investisseurs et des clients de Samsung, car la production de puces mémoire, un produit important dans l'industrie technologique mondiale, ne sera pas affectée par les problèmes de chaîne d'approvisionnement à court terme.
Malgré cette décision, les tensions commerciales entre les deux pays asiatiques continuent de s'intensifier. Le Japon a retiré la Corée du Sud de sa liste de partenaires commerciaux privilégiés au début du mois, tandis que la Corée du Sud a riposté en se retirant d'un accord de partage de renseignements avec le Japon.
Pour rappel, la décision du Japon d'imposer des restrictions commerciales à l'encontre de son voisin asiatique a été largement considérée comme une mesure de représailles contre l'ordonnance de la Haute Cour de Corée du Sud en 2018 ordonnant à Mitsubishi de verser une compensation pour son utilisation de travailleurs esclaves sud-coréens pendant la Deuxième Guerre mondiale.
Japan is a Trumpian paradise of low immigration rates. It’s also a dying country.
By Francisco Toro
KITAKYUSHU, Japan — For a sense of what the United States might look like in a reality where the hard right’s dreams of drastically reduced immigration come true, you could come to Japan and ask my father-in-law about the house across the street. The owner of the house died some time ago in this low-key, working-class suburb of Kitakyushu, in Japan’s southern island. The house has fallen badly into disrepair. None of the heirs seems interested in it: The taxes are too high, and there isn’t really a market for this kind of house anyway.
It’s far from a unique story. Japan’s population is shrinking, with far-reaching consequences that seep into every corner of life here. “Akiya” — abandoned houses like the one blighting my in-laws’ street — are just one sign of it. As the country ages and older people die with no one to replace them, neighborhoods across Japan are also slowly dying.
As many as 8 million houses in Japan are vacant, and the trend is only deepening. Rural villages are disappearing, and more and more Japanese towns and suburbs have become “dying communities” where children are a rare sight; authorities barely manage to find the care workers needed to look after legions of retirees.
Of course, Japan is hardly alone in having an aging population where native-born people’s death rates increasingly outnumber their births. But in just about every other developed country, the houses freed up by the elderly are snapped up by new arrivals — young workers from developing countries in the prime of their lives, eager for a better future for their families.
Not in Japan.
A solid political consensus has rejected mass immigration here for as long as anyone can remember, leaving this one of the most homogeneous countries on earth. You can think of Japan as a kind of Trumpian paradise: an ethnically defined national community with few foreigners. And no future.
Recently, sales of adult diapers outnumbered sales of baby diapers here for the first time, another harbinger of the demographic collapse that has left the country a pale shadow of the economic powerhouse that made Americans paranoid a generation ago. A chronic dearth of new workers has left economic growth lagging for a generation, turning “japanification” into economic shorthand for decline. All that — plus the ossified 1950s gender roles that simply never went away here — has turned Japan into one of the least attractive places for women to have children. Low birth rates only compound the demographic death spiral.
The problem has recently become bad enough to force even the conservative administration of Prime Minister Shinzo Abe to rethink its stance on migration. Under strong pressure from the business lobby, which has been desperate for extra workers for years, the government is opening up new routes into the country for foreign workers — but the political schizophrenia around migration is only too evident even in this partial new opening.
The government has begun making more work permits available to foreign workers, but makes little effort to help them integrate. Visa rules force most foreign workers to apply for extensions frequently and prevent them from bringing their families. By all accounts, discrimination in housing is rife, as well as perfectly legal. The foreign workers who do come can’t fail to hear the message: Come, work, but don’t think you’re welcome to stay.
Economic imperatives and cultural consensus are at war in Japan’s immigration debate: It’s no longer possible for the country to continue to pretend it can get by without migrants. But it’s politically impossible to truly welcome them, either. The result is that more and more jobs simply stay vacant, not just in industry and agriculture but also in the kinds of elder-care jobs this aging country most desperately needs to fill.
All the while, invasive bamboo shoots dig deeper into the grounds of the abandoned house across the street from my in-laws’. A huge glut of these kinds of homes and next-to-no demand have driven the market prices for homes like this one all the way down to zero in many cases, setting off a raft of click-baity “Japan Is Giving Away Abandoned Houses for Free” stories in global media.
It’s a half-truth, at best: Many of the houses require thousands of dollars in repairs and maintenance to be habitable, and property taxes have to be paid all the same. But even the half that’s true is misleading: This isn’t a fun, quirky story about “weird” Japan. It’s a bright red warning sign of demographic meltdown, and an indictment of a society that has chosen homogeneity over progress.
In the end, President Trump isn’t wrong: America does have a choice. Japan proves that the choice between homogeneity and diversity is real. It’s just that homogeneity leads to decline, while diversity offers at least a chance of ongoing vitality and prosperity.
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家が解体中のメールもらいました.1週間前は玄関あたりだけだったのがかなり解体されています.引っ越しor建て替え?立派な家だったのに.
一方で部屋のゴミ捨て開始です.少しづつなのですが間に合うかな?今日は古いシーツ・ハンガー・ゴム手袋などです.まだ道は遠いです.
夕方スパークリングを飲みました.ちょっと酔いが回りすぎてしんどくなってしまいました.でもなんだか寒い感じです.しばらく横になってから帰りました.

ボックス席など不評 BRTの観光型バス、新車両に変更 気仙沼・大船渡
 東日本大震災で被災した気仙沼、大船渡両線で運行するバス高速輸送システム(BRT)で、JR東日本が旅行客の創出を狙い、導入した観光型バスが29日までに運行を終えた。ボックス席や天窓がある斬新なデザインだったが、利用する高校生らから使い勝手の悪さを指摘する声が相次ぎ、引退に追い込まれた。
 観光型バスは2014年3月、気仙沼、大船渡両線で1台ずつ運行を開始。電車をイメージした内装で、車内を明るくする天窓もあった。沿線の観光パンフレットを置く場所もあった。
 日中に運行したが、観光客より通勤通学客が多かった。定員は59人で通常のBRTよりも約20少なく、他人と対面するボックス席を嫌う高校生もいた。天窓からの日差しで夏場は車内の温度が上昇。車窓からの景色を遮らないようつり革を付けなかったため、立ち客の利便性も悪かったようだ。
 中古車両を改装したバスで、JR東日本は今回、車両の老朽化を理由に廃止を決めた。既に8月上旬には運行をやめた。
 JR東日本盛岡支社BRT計画課の宇野宏課長は「少子化で学生の利用者は減少していく。観光にBRTをどう活用し、利用者増加につなげるかは今後の課題」と話した。
 JR東日本は気仙沼、大船渡両線で観光バス型2台を含む計6台に代わり、通常仕様の新車両計5台が9月上旬から運行を始める。


被災農地のイモ大きく 親子ら作業に汗 仙台・若林
 東日本大震災で被災した仙台市若林区東部の地域再生支援に取り組む「ReRoots(リルーツ)」は25日、若林区三本塚の畑で農業体験「おいもプロジェクト」を行った。
 市内の親子ら約20人が、プロジェクトが展開されているサツマイモ畑で、伸び過ぎたつるを土から引きはがす「つる返し」を行った。参加者はリルーツスタッフとイモを大きくするための作業に汗を流した。
 両親と訪れた太白区の幼稚園児古座岩太郎ちゃん(5)は「すごく楽しかった。大きくなってほしい」と笑顔を見せた。
 プロジェクトは農業体験を通じて若林区東部の魅力を感じてもらおうと2013年に始まった。リーダーの東北大2年久保直子さん(20)は「プロジェクトで、被災した農村に人を呼び込みたい」と話した。


晩さん会に被災地食材使った料理
横浜市で開かれているTICAD=アフリカ開発会議で29日夜、安倍総理大臣が主催する晩さん会が開かれ、東日本大震災の被災地の食材を使った料理がふるまわれました。
29日夜、開かれた安倍総理大臣主催の晩さん会にはおよそ50か国の首脳らが参加しました。
安倍総理大臣は、冒頭、「日本とアフリカのさらなる発展を祈念し、杯をあげたい」と述べました。
振る舞われたのはフレンチをベースにした創作料理で、東日本大震災からの復興を料理で感じてもらおうと被災地の食材がふんだんに使われています。
前菜は、宮城県産のアワビやワカメを使ったテリーヌ。
メインのうち、肉料理は、宮城県産の高級和牛のコンフィ。
魚料理は、福島県産のスズキのポワレです。
晩さん会の料理を監修したシェフの熊谷喜八さん(72)は、日本を代表するフレンチシェフの1人で、今回の献立はチームで3か月かけて考えたといいます。
熊谷さんは、「東北地方にはすばらしい食材がたくさんあり、それを知ってもらうのが大事だと思った」と話します。
熊谷さんは20代のころの4年間、アフリカのセネガルやモロッコにある日本大使館で料理人として勤務した経験があり、今回の料理が日本と現地とのかけはしになればと願っています。
熊谷さんは、「アフリカにお礼をしたい気持ちがあった。だからこそ、訪れた人たちの思い出に残る料理にしたかった」と話していました。


関学研究所が現行制度の改善訴え 住宅再建支給、最大600万円に
 関西学院大学災害復興制度研究所(兵庫県西宮市)が29日に発表した「被災者総合支援法案」。阪神・淡路大震災以降、各地の災害で多くの人々が支援から漏れ落ちてきた。法案を練り上げた関西大学の山崎栄一教授(災害法制・憲法)らは被災地を歩き、苦しみの声を聞き取った経験から、現行制度の改善点を訴えた。
 阪神・淡路の被災者が立法を働き掛け、公的資金で支える仕組みを築いた「被災者生活再建支援法」。当初は最大100万円の支援だったが、2度の改正で、支給額は最大300万円まで増額され、年収要件や使途制限も撤廃された。
 しかし、被災世帯の負担は重い。同研究所は、住宅の再建・購入に「最大600万円」とする支給額引き上げを求め、「大規模半壊以上」とされる支給要件の緩和も訴える。
 野呂雅之主任研究員は、東日本大震災では仮設住宅設置に1世帯あたり600〜700万円がかかったことに触れ「被災者が自宅を修理して住むことができればコミュニティーも維持され、仮設の建設コストも節約できる」と指摘。自宅修理の支給額を増やす必要性を強調した。
 また、避難生活中などに亡くなる「災害関連死」は、阪神・淡路で約920人、東日本大震災で約3700人、熊本地震で約220人に上る。応急救助としてホテルなどの宿泊支援や病気予防を記し、関連死を防ぐ義務を明記するよう訴える。
 阪神・淡路では重い後遺症に苦しむ震災障害者が置き去りにされてきた。災害弔慰金法では最大250万円が支給されるが、支給要件は両目失明などの重い後遺障害に限られる。そこで、同研究所の法案は、一定以上の片目失明や指の欠損などまで対象を広げる。
 東日本では、支援を受けられず傷んだ家で暮らす被災者、ふるさとを離れた広域避難者などへの支援が課題となった。日弁連災害復興支援委員長の津久井進弁護士=兵庫県弁護士会=は「法案で一人一人の切実な声を受け入れる仕組みを作り、丁寧に支えていく思想を広げたい」と述べた。(小林伸哉、前川茂之)


河北春秋
 岐阜県神岡町(現飛騨市)は鉱山の町だった。廃水のカドミウムでイタイイタイ病が発生する悲劇があったが、今は跡地に宇宙と素粒子の謎に挑む最先端の研究施設が集まることで知られる▼先駆けとなった「カミオカンデ」は超新星爆発に伴う素粒子ニュートリノを捉え、小柴昌俊さんがノーベル物理学賞を受賞した。後継の「スーパーカミオカンデ」はニュートリノ振動という現象を観測し、梶田隆章さんが受賞の栄誉に輝いた▼今度は「ハイパーカミオカンデ」だそうだ。「スーパー」の100年分のデータが10年で得られる次世代装置で、文部科学省が建設費の一部を来年度予算に要求する▼うらやましい。岩手、宮城両県境にまたがる北上山地が建設候補地の超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」誘致は難航する。宇宙の始まり「ビッグバン」を再現し、宇宙や物質誕生の仕組みを探る。「ハイパー」の10倍以上の7000億〜8000億円とされる建設費に、国は及び腰になっている▼素粒子物理学で、日本は世界のトップレベルだ。ILCは国際共同研究の拠点となるだけでなく、東日本大震災からの復興にも寄与する。建設費負担は参加国との協議で減らす余地があろう。文科省には「ILCもお忘れなく」と言っておく。

上野政務官辞任/口利き疑惑の説明責任は
 自民党の上野宏史厚生労働政務官が外国人労働者の在留資格を巡る週刊誌の口利き疑惑報道を受け、政務官を辞任した。
 週刊文春の報道によると、上野氏側は、東京都内の人材派遣会社が申請した187人分の在留資格が速やかに認められるよう法務省に問い合わせ、見返りに同社から金銭を得ようとしたとされる。
 事実なら、政治家が影響力を行使して公務員に口利きをし、その報酬を受け取る行為を禁じるあっせん利得処罰法違反に問われる恐れがある。
 上野氏は「違法な口利きの事実はない」と否定するコメントを出しただけで、報道後、厚労省にも登庁していない。
 辞任したからといって、生じた誤解や不信が解消するわけではない。上野氏は記者会見して事実関係を明らかにし、国民への説明責任を果たすべきだ。
 週刊文春は、秘書との会話とされる音声記録も公開した。「うちが(人材派遣会社から)お金をもらう案件になっている」と指示する声や、「あっせん利得になる」と指摘されて激高する声などが残っていた。
 外国人労働者の受け入れ拡大に伴い、厚労省は悪質な仲介業者の監視や排除などを所管する。上野氏は技能実習のあり方を検討する省内のチームでトップを務め、業界団体や地域の要望を聞く立場にあった。
 監督官庁の政務官という立場にありながら、業者から利益を得ようとしていたとすれば悪質だ。議員辞職も避けられない問題に発展する可能性がある。
 そうなる前に事態の沈静化を図ろうというのか、安倍晋三首相は早々に政務官辞任を認め、後任人事は9月に予定する内閣改造まで先送りした。
 安倍政権では政務三役の辞任が相次ぐ。先の通常国会中にも桜田義孝前五輪相、塚田一郎元国土交通副大臣が失言で辞任に追い込まれたばかりだ。
 首相の通算在任日数は佐藤栄作元首相の2798日を超え戦後最長となった。長期政権のおごりが自民党内にまん延していると言わざるを得ない。
 安倍首相の任命責任は重大だ。首相は上野氏に説明を促すとともに、自ら襟を正し、政権を引き締め直さねばならない。


厚労政務官辞任 説明責任軽視が目に余る
 疑惑を否定しながら、なぜきちんと説明もせずに辞めるのか。不可解さが募るばかりだ。有権者に対する責任を放棄した態度としか思えない。
 外国人在留資格の申請を巡る口利き疑惑報道を受け、上野宏史厚生労働政務官(自民党、衆院比例南関東)が28日に政務官を辞任した。
 上野氏は記者会見も開かず、事務所を通してコメントを発表しただけだ。「法令に反する口利きや、あっせん利得処罰法に触れる事実はない」とした上で、「誤解を招きかねない」として辞任を決意したとした。
 上野氏は8月16日を最後に厚労省に登庁していないといい、コメントでは「体調を崩し役所に出ることがままならない」とも記している。
 だが、政府の一員である政務三役に浮上した疑惑である。事実を明らかにしないまま、辞めれば済むというものではあるまい。記者会見を開いて説明するのが当然である。
 「雲隠れして、印象が悪かった。堂々と説明すべきだ」。地元からは、こうした声が出ているという。上野氏は真摯(しんし)に受け止めなければならない。
 疑惑は先週発売の週刊文春が報じた。
 それによると、上野氏は東京都の人材派遣会社が関わった在留資格認定証明書を迅速に交付するよう法務省に働き掛ける見返りとして、同社から現金を受け取ろうと計画したとされる。
 その根拠としたのは、上野氏と秘書が交わしたとされる会話の録音だ。
 ただし、上野氏はコメントで疑惑を否定している。ならば堂々と反論すればいいはずだ。にもかかわらず辞任したのは、ふに落ちない。公の場に姿を現さないというのは、疑念に拍車を掛ける。
 政務三役が辞任するのは、失言で4月に事実上、更迭された塚田一郎元国土交通副大臣と桜田義孝前五輪相以来となる。
 道路整備を巡る「忖度(そんたく)」発言が問題となった塚田氏は、7月の参院選新潟選挙区で敗れた。有権者の不信感が大きかった証しだろう。
 今回の上野氏の辞任も、安倍晋三首相の任命責任が問われなければならない。臨時国会できちんとただす必要がある。
 想起するのは、秘書に対する暴行疑惑が浮上した石崎徹衆院議員(自民党、比例北陸信越)である。
 地元新潟市で私設秘書を務めていた男性が、石崎氏から暴行を受けたとして県警に被害届を出したと週刊新潮が報じたのは7月中旬だった。石崎氏と秘書とみられる男性のやりとりの録音が残されていた。
 ところが今日に至るまで石崎氏は記者会見を開かず、公の場で説明をしていない。2度コメントを発表したが、肝心の暴行の有無には言及がない。
 政権与党の政治家が疑惑を報じられながら、説明責任を軽んじるような態度を続ける。1強政権のおごりの表れと見られても仕方あるまい。


柏崎刈羽の廃炉 約束になっていない
 地元自治体の求めに応じ、東京電力は柏崎刈羽原発の廃炉方針に言及したが、廃炉より再稼働を優先させたい本音が依然見え隠れ。福島の事故を起こした東電に、原発を動かす資格があるか。
 東電による柏崎刈羽原発の廃炉方針を、地元新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は「落第点ではないが、平均点までいっていない」と受け止めた。これでも、甘過ぎはしないだろうか。
 七基の原子炉を有する柏崎刈羽原発は、世界最大出力の原発だ。
 福島の事故で浮き彫りになった集中立地に伴うリスクを軽減すべく、桜井市長は、6、7号機再稼働の条件として、1〜5号機いずれかを廃炉にする計画を、基数、号機、そして期限を明らかにした上で、提示するよう求めていた。
 「6、7号機の再稼働後五年以内に、一基以上の廃炉を想定する」というのが、東電からの回答だ。基数、号機の特定はなく、期限についても「再稼働から五年以内」という。「再稼働ありき」だと、むしろ東電の方が、廃炉の前提条件を突きつけてきたようにも映る。本末転倒ではないか。
 「十分な規模の非化石電源確保が見通せる状況となった場合」という条件もつけている。洋上風力発電など、再生可能エネルギーの導入が進まなければ、廃炉にはしないということか。
 条件だらけ。これでは、廃炉を約束したとは言い難い。
 結局、東電の方針からは、原発への強い“こだわり”ばかりがにじむ。遅々として進まない福島第一原発事故の後始末に苦しみながら、なぜかくも、原発に執着し続けるのか。
 原発を再稼働させれば火力発電の燃料代を節約できて、短期的には、ある程度収益を改善できる。だが、中長期的にはどうだろう。
 原子力規制委員会は、柏崎刈羽6、7号機の再稼働に際して、「経済性より安全性を優先すべし」という趣旨の条件を付けた。東電が重大事故の当事者であることを重く見ているからだろう。
 その結果、再稼働にかかる安全対策費は、約一兆一千七百億円と、すでに当初見込みの二倍に膨らんだ。
 3・11を境に、原発で“もうかる”時代ではなくなった。その転換点をつくったのが東電だ。
 世界は「大廃炉時代」に入っている。廃炉技術こそ収益につながる時代。東電は、その先頭に立つべきではないか。


やじ排除発言 「表現の自由」の曲解だ
 選挙の街頭演説にやじを飛ばした人がまた、警察に取り押さえられた。柴山昌彦文部科学相は、やじは「権利として保障されていない」というが、「表現の自由」を理解していないのではないか。
 選挙の街頭演説を、私たち聴衆はひと言も発せず、黙って聞け、ということなのか。
 埼玉県知事選の投開票前日、二十四日夜の出来事である。JR大宮駅近くで自民、公明両党推薦候補の応援演説をしていた柴山氏に対し、「柴山辞めろ」とか大学入試共通テストの「民間試験撤廃」などとやじを飛ばした男性が、埼玉県警の警察官数人に囲まれ、遠ざけられた。
 柴山氏は二十七日、閣議後会見で「表現の自由は最大限保障されなければならないが、集まった人たちは候補者や応援弁士の発言を聞きたいと思って来ている。大声を出したりすることは、権利として保障されているとは言えないのではないか」と県警の行為を擁護したが、「表現の自由」を曲げて解釈しているのではないか。
 もちろん政治活動の自由は最大限尊重されるべきで、公職選挙法は選挙演説の妨害を禁じている。
 しかし、駅前という開かれた場での選挙活動である。そこに集まった人たちには政権の支持者もそうでない人たちもいて当然だ。そうした場でも、政策への賛否を言い表すことは許されないのか。
 埼玉の事例は、やじで演説が続行できなくなるような悪質な行為に当たるとはとても思えない。もし選挙妨害に当たらない段階で、公権力がやじを強制排除したのなら、明らかに行き過ぎだ。
 柴山氏が政治家として語るべきは、警察の介入を正当化することではなく、警察の公権力行使が表現の自由を侵しかねないことへの懸念ではなかったのか。
 七月の参院選でも、札幌市で行われた安倍晋三首相の街頭演説でやじを飛ばした男女が北海道警の警察官らに相次いで排除された。道警は「現場でのトラブル防止の観点から措置を講じた」とするだけで、詳しい説明はしていない。
 政権に異を唱える発言が、トラブル防止を名目に警察に排除される。公権力を行使する立場にある政治家は、表現の自由を尊重すると言うものの、実際に侵されても放置する。こんなことが安倍「長期」政権で続く。
 その背景に、批判や異論に耳を傾けようとしない不寛容な政権の体質があるとしたら、構造的問題であり、根が深い。


【文科相やじ発言】批判排除を是認するのか
 憲法で保障された「表現の自由」の下で、やじを飛ばした市民を強制排除する法的根拠を警察はまだ説明していない。安倍政権の下で、公権力による異論の封殺が常態化しつつあるとすれば危険である。
 先の埼玉県知事選で、JR大宮駅近くで応援演説をしていた柴山文部科学相にやじを飛ばした男性が、埼玉県警に取り押さえられる事案が起きた。男性は大学入学共通テストに反対して「柴山やめろ」「民間試験撤廃」と声を上げたという。
 柴山氏は記者会見で「表現の自由は最大限保障されないといけない」としつつも、やじを「大声で怒鳴る声」とし、「選挙活動の円滑、自由は非常に重要。そういうことをするのは権利として保障されていない」との見解を示した。
 やじも市民の意思表示の一手法である。表現の自由を閣僚が否定し、警察による実力行使を是認した発言と受け取られても仕方あるまい。
 7月の参院選中にも、札幌市で行われた安倍首相の街頭演説にやじを飛ばすなどした人が複数、北海道警によって現場から力ずくで排除されている。
 道警は「トラブルや犯罪の予防措置」とするばかりで、いまだに法的根拠は示していない。
 公職選挙法は演説妨害を「選挙の自由妨害罪」と位置付ける。だが、1948年の最高裁判決は「聴き取ることを不可能または困難ならしめるような」行為としている。拡声器を使うなど大規模な妨害が対象だとみられている。
 男性が1人でやじを飛ばした埼玉の事案も札幌のケース同様、これに該当するとは思えない。埼玉県警にも、市民の自由を奪った法的根拠の説明が求められる。
 政権を批判する言動の排除ばかりが続くのも気がかりだ。
 警察法は、警察が責務を遂行するに当たって「不偏不党」「公平中正」を旨とし、憲法が保障する個人の権利、自由に対する権限の乱用があってはならないとしている。
 埼玉のケースは時の政権への忖度(そんたく)はなく、不偏不党、公平中正だったのか。表現の自由に対する行き過ぎた実力行使ではなかったのか。この点も説明が要る。
 政治家の街頭演説は、支持者だけでなく、幅広い聴衆に訴えかける機会のはずだ。公権力の過剰な対応が続き、人々が萎縮して自由にものが言えなくなっては戦後民主主義に逆行する。
 こうした事案が続いていることを警察は組織全体で検証し、説明する姿勢を持つべきである。
 安倍首相は一昨年の都議選で演説中にやじを飛ばされ、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と気色ばんだ。異論に耳を傾けず、敵味方を「選別」する政治姿勢を象徴している。
 批判も聞く謙虚さ、懐の深さを欠く体質は既に政権全体にまん延しているように映る。その意味でも柴山氏の発言を危惧する。


大学入試英語 見切り発車、許されない
 2020年度に始まる新しい大学入学共通テストで導入される英語の民間検定試験を巡り、全国の四年制大学のうち約3割が試験を活用するかどうかさえ決まっていないことが文部科学省の調査で分かった。
 しかも試験がいつどこで受けられるのか、詳細はいまだに固まっていない。来年4月の開始まで7カ月と迫っているにもかかわらずだ。受験生の不安はいかばかりだろうか。
 試験を実施する民間団体も大学側も準備不足は明らかである。「見切り発車」による不利益を受験生に負わせることが決してあってはならない。
 民間試験の活用は、英語の「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測るのが狙い。大学入試センター試験に代わる新テストの柱と位置づけられている。
 現時点で民間の6団体が対象となる7種類の検定試験を実施する予定だ。来年4月から12月までに受験生はいずれかの検定試験を選んで受ける。最大で2回受験できる仕組みだ。
 ところが、それらの団体の多くが日程や会場などの具体的な実施方法を公表していない。多くの受験生は本番が近づく中、希望する試験を希望する時期に希望する場所で受けられるのかどうかも分からない状況だ。困惑するのも無理はなかろう。
 そんな中、予定されていた試験の一つである「TOEIC」を運営する団体は7月、運営の難しさなどを理由に突然撤退を表明した。これが学校現場の不安に拍車を掛けたようだ。
 全国約5200の国公私立高が加わる「全国高校長協会」は7月、英語の民間試験への不安解消を求める異例の要望書を文科省に提出した。地域・経済格差への対応が不十分、公平、公正に対する不信が解消されていない―と是正を求めた。
 47都道府県で試験の実施を予定しているのは、現時点で2団体だけ。団体によっては会場が大都市中心で、地方の学生にとっては不利になる恐れがある。
 中国地方でも、2団体を除く4団体は広島を中心に岡山、山口で実施するとしているが、どの都市になるか不明なままだ。
 受験料も2万5千円以上する試験もある。会場までの旅費や宿泊代などの負担も小さくない。経済事情で受験機会に影響が出かねない。これでは入試の大前提となる公平、公正さが担保できたとは言い難い。
 高校長協会からは「不安が払(ふっ)拭(しょく)されるまで実施を見送るべき」との声も上がる。学校現場の切実な訴えを文科省は重く受け止めなければなるまい。制度設計をした責任を自覚し、誠実に対応するべきだ。
 民間試験の活用が公表されたのは2年前のことだ。当初から「なぜ民間試験なのか」「異なる試験で公平さが保たれるのか」などと、さまざまな懸念が指摘されていた。
 有効な手だてを講じないまま、ここまで進んできた感が否めない。今年6月には大学教員らが民間試験の利用中止を求める請願を国会に提出した。これも異例のことである。
 文科省は従来型のマークシート式の試験も併用した上で、24年度には民間試験に全面移行する計画でいる。受験生に加え、高校や大学の現場も混乱したままだ。延期や中止も含めて再検討すべきではないか。


障害者の離職  働きやすい環境なのか
 中央省庁で退職者や裸眼視力が弱い人などを障害者として多数計上していた水増し問題が昨年8月に発覚して1年になる。
 政府は不足を補う大量採用を進め、今年末までに全省庁で法定雇用率(2・5%)達成を目指しているが、短期間で離職する人も多く、全35行政機関のうち13機関が未達成であることが分かった。
 各省庁は、職場が障害者の働きやすい環境になっているか、当事者の声を踏まえてしっかり検証してもらいたい。
 厚生労働省が、水増しのあった28機関を対象に離職者数などを調査したところ、昨年10月以降に採用した3131人のうち、5%にあたる161人が6月1日までに離職していた。
 大半が非正規職員で、理由は「体調悪化」が最も多く、転居などの「本人都合」、契約期間満了を含む「その他」などが続く。
 一方、採用された障害者を対象にした意識調査では、9割が仕事に「満足」または「やや満足」としているが、自由記述では「業務量が少ない」「職場で相談がしにくい」といった悩みを書いた人が目立った。
 実際に、当事者からは「手持ち無沙汰で、まるで社内ニート」といった仕事内容への不満の声が聞かれたという。
 政府は年末までに約4千人を雇用する計画だが、大事なのは「数あわせ」ではなく、職場に定着して働き続けられることだろう。
 やりがいや自己実現といった要求は満たされているか、意思疎通は不足していないか、仕事のミスマッチはないか、などについて各職場で点検し、適切に対応することが必要だ。
 水増し問題を受けて今年6月、行政機関への厚労省の監督機能強化を柱とする改正障害者雇用促進法が成立したが、障害者が働くための支援や合理的配慮の面で課題は多い。
 障害者支援のNPO法人は「サポートがあれば働ける人がたくさんいるのに、自立して働ける人しか雇用されない実態は改善されていない」と指摘し、介助者のほか障害者と職場の橋渡し役となる「ジョブコーチ」が必要と訴えている。
 加えて、在宅勤務などの柔軟な働き方も広げるべきだ。
 障害者雇用の趣旨は、能力を最大限発揮し、適性に応じて働くことができる社会を目指すことにある。中央省庁には、民間企業とも情報を共有し、模範となる雇用のあり方を模索してほしい。


年金財政検証 老後不安に向き合う改革進めよ
 厚生労働省が公的年金の財政検証結果を公表した。5年に1度、人口動態や経済情勢を想定し、将来受け取れる年金水準を試算するものだ。
 標準的なケースで、約30年後の年金水準は現在の65歳と比べ2割近く目減りするとの結果だった。特に基礎部分の国民年金は約3割も減少する。少子高齢化の進展がもたらす厳しい現実を直視せねばなるまい。安心して老後を迎えるためには、制度のさらなる改革は避けて通れない。厚生年金の加入要件を緩和し、支え手を増やす手だてを講じるなど制度の基盤強化を急ぐ必要がある。
 年金水準は、現役世代の平均手取り賃金と比較した「所得代替率」で示される。政府は2004年の年金改革で「所得代替率50%以上の維持」を掲げており、試算では現在の61.7%から約30年後は50.8%に低下すると予測した。
 政府が目標とする50%ラインはなんとかクリアしているが、楽観視はできない。50%以上を維持するのは実質成長率0.4%以上が前提となる。それ以下なら代替率は40%台に下がり、マイナス成長なら国民年金の積立金が枯渇し、30%台に落ち込むこともあり得るという。
 過度な経済成長への期待は禁物だ。年金財政の強化には地道に保険料収入を増やす取り組みが欠かせない。厚労省は今回、さまざまな改革を想定した試算を実施した。実現可能性が高いとみられるのは厚生年金の適用対象の拡大である。
 現在は正社員や大企業に勤めるパート労働者らにしか加入義務がないが、要件を緩和し中小企業のパートなどにも広げる。試算では厚生年金だけでなく、国民年金も給付額が一定程度上昇することが明らかになった。非正規で働く人の加入が進めば低年金対策になる。厚生年金の保険料は労使折半のため、企業側の負担は増すが加入できる職場は人材確保につながろう。政府はそうした利点を企業側に説き、理解を求めていくべきだ。
 年金の受給を遅らせると支給額が増える試算も示された。75歳まで働いて厚生年金を受け取ると、65歳までと比べ最大で約1.7倍になるという。制度を支える一人一人の役割が増しているのは確かだ。しかし、老後のための年金がいつまでも働き続けることで維持されるのでは本末転倒である。誰もが高齢になっても安心して生活できる、そんな社会環境を築かねばならない。
 財政検証の公表は当初6月とみられたが大幅に遅れた。厚労省が7月の参院選で火種にならないよう官邸や与党に配慮し、恣意(しい)的に遅らせたとの見方がくすぶる。当時は老後資金2千万円問題で年金生活への不安が高まった時期だった。こうした疑念は年金制度への不信につながり、看過できない。政府・国会には公表日程のルール化を含めて年金制度の信頼を高める改革を強く求めたい。


[図書館と捜査] 個人情報の管理 厳格に
 鹿児島県内の五つの図書館が、過去3年間に警察からの「捜査関係事項照会」の依頼を受け、うち4館で利用者情報の一部を提供していたことが分かった。
 いずれもどんな本を読んだかという履歴情報ではなかった。だが、任意捜査への協力で個人情報が提供されることは、プライバシーや思想、信条の自由を侵害する恐れがあり問題だ。
 利用者情報の管理は厳格に行われなければならない。図書館は個人情報保護の徹底に努めてもらいたい。
 日本図書館協会は「図書館の自由に関する宣言」の中で、強制力がある裁判所の令状を確認した場合以外は、読書記録や利用事実を外部に漏らさないと明記する。各図書館は「宣言」の原則を改めて確認し、慎重に運用していくべきだ。
 県内43全市町村教育委員会と大学図書館などに行った本紙アンケート調査によると、鹿児島、鹿屋、指宿、薩摩川内の4市立図書館が利用者情報を鹿児島県警に提供していた。
 鹿児島市は利用者の貸し出し日時が分かる資料を求められ書名が分からないよう黒塗りにした。鹿屋市、指宿市は利用者カードの発行有無を答えた。
 薩摩川内市は犯罪被害者の遺留品に利用者カードがあり、身元確認のため名前と住所の照会に応じた。アンケート結果を見ると、4館はプライバシーに配慮し、捜査協力したとみられる。
 鹿児島大学付属図書館は「盗難事件の捜査に必要な情報」の照会を受けたが、内容や提供の有無については明らかにしていない。
 捜査関係事項照会は、刑事訴訟法に基づき、官公庁などに必要な事柄の報告を求めることを認める。捜査に協力した図書館の対応は妥当だったのか。
 警察が実際にどんな理由で協力を求めたかは不明だ。捜査内容についても事案の詳細を説明することはないのが一般的である。図書館側がその必要性や緊急性がわからないまま、情報提供の可否を決めざるを得ないのが実情ではないか。
 捜査協力する場合の基準となる法令がないため、各図書館は難しい判断を迫られる。ならば、プライバシーを守る立場として、人命に関わるなどのケース以外は、令状をとった捜査に限るという原則に立ち戻るべきだろう。
 1954年採択の「図書館の自由に関する宣言」は、戦前戦中に特高警察の思想調査に協力した反省を踏まえたものという。79年に「利用者の秘密を守る」との項目を新設したのは、人権に配慮し、他の圧力や干渉を受けないとの決意だろう。
 近年は公立図書館の外部委託も進む。個人情報を守る図書館の体制は万全だろうか。市民が安心して利用できる透明性の高い運用を求めたい。


ゲイを暴露された一橋生の死から4年「事件を風化させない」行動する在学生や卒業生
一本麻衣 [フリーライター]
一橋アウティング事件から4年。なぜ、事件は起こってしまったのか。事件を風化させないためには……。それぞれの思いを抱いて活動する、一橋大学の在学生・卒業生たちを追った。
一橋アウティング事件:一橋大学(東京都国立市)の法科大学院生の男性が、同級生らに同性愛者だと暴露(アウティング)され、2015年8月、校舎から転落死した。男性は、教授やハラスメント相談室に一連の出来事や症状を相談していた。
「私が助けられなかった」
2019年8月24日、一橋大学アウティング事件が発生してから4年が経った。
この事件は、アウティング(他人のセクシュアリティを暴露すること)の問題を広く社会に知らしめたほか、性的マイノリティに対する大学側の適切なサポートの問題も呼び起こした。
筆者は、同大学でジェンダー研究のゼミを卒業した一人だ。ニュースを聞いた時、ジェンダー研究が盛んなこの大学で、こんな事件が起きたことが不思議でならなかった。
8月24日、事故現場となった構内のマーキュリータワーを訪れると、夏休みにもかかわらず多くの学生が出入りしていた。入り口のすぐ右手に、レインボーの旗に覆われた献花台が置かれている。事件で亡くなった男子学生の命日であるその日、設置されたものだ。
夏休み期間中にマーキュリータワーを出入りするには、学生証を所定の場所にかざす必要がある。献花台はカードリーダーのすぐ横に置かれているため、ほとんどの学生が「何だろう?」という様子で足を止め、事件の内容がつづられた文章を読んでから入館する。中には手を合わせる学生もいた。
命日の11時30分を過ぎたころ、被害者の両親が訪れた。献花台の前に来ると、母親は声を上げて泣き崩れた。
「息子の命日が近づくと、『私が助けられなかった』という思いばかり浮かんできます。体調もとても不安定になります。今日、ここまで来られる自信はなかったのですが、行けるところまで行こうと思い、なんとか来ることができました」
「一橋大生は絶対に忘れてはいけない事件」
献花台を設置したのは、一橋大学大学院経済学研究科修士課程の本田恒平さん。事件が起きたとき、本田さんは他大に通う大学2年生だった。
「生まれも育ちも国立なので、公園のように利用していた一橋大学は身近な存在でした。大学ではジェンダー研究もしていたので、事件が発生した場所だけでなく、その内容にもショックを受けました」
大学4年生になった本田さんは、一橋大学大学院への進学を考え始める。そのことを当時仲の良かった友人に話すと、一瞬、彼女は険しい顔つきになり、「私の兄は一橋大学で亡くなった」と本田さんに明かした。彼女はアウティング事件で亡くなった男子学生の妹だった。
「その瞬間、一橋大学アウティング事件は僕にとって特別な事件になりました」と本田さんは振り返る。
「進学したら、一橋大学をこんなことが二度と起きないような場所にしたかった」
今年の春から同院に通う本田さんは、昨年まで事件の献花を主催していた学生が卒業していることを知り、自ら大学に許可を取って献花を引き継いだ。テーブル、レインボー旗、事件の内容を伝える文章などは、全て本田さんが用意したものだ。
「一橋大生はこの事件を絶対に忘れてはいけないと思います。僕一人でできることは限られていますが、思いを持った在学生や卒業生は他にもいます。事件を風化させないために、そしてこの事件に対して一橋大学に真摯に向き合ってもらえるように、僕にできることを考えていきたいです」
「自分も同じことになっていたかもしれない」
本田さんの言葉通り、事件を風化させないために立ち上がっている一橋大生は、本田さんだけではない。
事件の一審判決が言い渡された2019年2月27日、一橋大学の卒業生である松中権さんは、任意団体プライドブリッジを設立した。
プライドブリッジは、一橋大学をLGBTQ学生を含む全ての人が安全に過ごせる環境にしたいと考える卒業生有志のネットワーク。
学内のジェンダー社会科学研究センターと協力して「一橋プライドフォーラム」を開始し、性の多様性への理解を促す在学生向け寄附講座の開講や、ジェンダー・セクシュアリティに関するリソースセンターの設置・運営を行う。
同団体の会長を務める松中権さんは、2000年に一橋大学法学部を卒業し、入社した電通ではゲイを公表して働いていた。「カミングアウトしてLGBTQを支援するNPOを立ち上げ、二足のわらじでキラキラ楽しく働いていました」と当時を振り返る。
ところが事件の翌年、両親が提訴後に記者会見を開いた2016年8月5日、ニュースでその内容を知った松中さんは言葉にできないほどのショックを受ける。
一橋大学在学中、松中さんはカミングアウトしていなかった。大学は性的マイノリティが安全に過ごせる場所ではないと感じていたからだ。事件を受けて、「状況によっては自分も同じことになっていたかもしれない」と、まるで被害者と自分自身が一体化したように感じたと話す。
この出来事がきっかけとなり、松中さんは電通を退社して性的マイノリティのための活動に専念することを決意。同大の卒業生とともにプライドブリッジを設立した。
松中さんは、学内で事件が風化しつつあることに警鐘を鳴らす。
「電通の寄付講座のひとコマとして、私は一橋大学生に向けてここ数年、LGBTQと社会活動について授業をしてきました。退社後も続けています。今年の受講生の中で、一橋アウティング事件の内容を理解している学生は約半分でした」
“悪意のない本音”をこぼす学生
事件後、ジェンダーに関する書籍を出版した一橋大生たちもいる。タイトルは、『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた——あなたがあなたらしくいられるための29問』。本著では、アウティングの定義や問題点、事件の内容についても丁寧に解説されている。
同パートの執筆を担当した学生の一人である、一橋大学社会学研究科修士一年の女性、Aさんは、アウティングに関する記載を本著に含めた理由を次のように話す。
「この事件は学内で起こったにもかかわらず、何が問題だったのかとか、この状況をどう改めなければいけないかとか、私のまわりではそこまで話題に上りませんでした。しかも『ゲイに告られたらどうするんだよ』という“悪意のない本音”をこぼす学生が1人や2人ではないことを、日常会話の中で実感していました」
事件後も、学内は性的マイノリティの人たちが安全に過ごせる場所になったとは言えない。改めてそう感じたAさんたちは、「この問題を取り上げないわけにはいかない」と考え、事件の問題点を広く伝える必要があると考えた。
「『性の多様性は守られなくてはならない』と考える私たちの立場を、明らかにしたいと思いました。ジェンダーを研究する立場として、この問題について沈黙したくなかったんです」(Aさん)
息子の魂はまだ生きている
被害者の両親は、このような在学生や卒業生の取り組みを前向きに受け止めていた。
父親は「息子を失ってからは寂しくてしょうがない」と振り返りつつ、「こうして支援していただく皆さんがいらっしゃることが、一番の心のよりどころです。それでなんとかやっています」と話す。
母親は、こう語る。
「私や家族だけじゃなく、少しでもみなさんがこうして行動に移してくださるので、息子の魂がまだ生きてるって思います。事件が忘れ去られるほど、つらく悲しいことはありません」
遺族は2016年3月、アウティングした同級生と一橋大学に対し、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。その後、同級生とは和解が成立している。
一方で、大学とは未だ係争が続いている。2019年2月の一審判決では遺族の訴えは棄却された。判決は、アウティングの問題点や重大性に一切触れることなく、大学の対応に落ち度はなかったとするものだった。その後、遺族は控訴した。
「大学は全くわかっていないです。一審で私たちは負けましたが、それで当たり前じゃないかぐらいに思っているのではないでしょうか」(母親)
「やっぱり、許せんですね。息子から相談を受けたときにちゃんと話をしてくれれば、こんな形にはなってなかったんじゃないかなって思いますよね。なぜ私たちが控訴したかということを理解してほしいです」(父親)
事件に無関係な人はいない
先出の書籍『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた——あなたがあなたらしくいられるための29問』に、アウティングの問題点は以下のように記されている。
「家族や友達、知り合いが自らのセクシュアリティをあなたに告げた場合、もしくは偶然知ってしまった場合などに、アウティングをするとどういったことが起こると考えられるでしょうか。わたしたちの社会では、今なお多くのセクシュアル・マイノリティが『普通でない』と烙印を押され、大きなリスクを負う危険性をもつため、場合によっては命を奪われたり社会的な死に追いやられたりすることもありえます」
他人のセクシュアリティを暴露することは、単に秘密をばらすことと同列で語ることはできない。アウティングは、人の命を奪ったり、社会的な死に追いやったりする可能性がある行為だ。そのため、本人の同意なくアウティングすることは絶対にしてはならない。
事件後の4年間で、性的マイノリティを取り巻く環境は確かに変わってきている。早稲田大学や名古屋大学、筑波大学、群馬大学などでは、性的マイノリティの学生への対応ガイドラインが策定された。国立市では、全国初のアウティング禁止条例が施行された。しかし制度だけでなく、一人一人の意識が変わらなければ本当の再発防止にはならない。
献花台は8月31日(土)まで設置される。


奪われた“批判する権利”〜憲法学者・木村草太さん
愛知県の国際芸術祭で、一部の展示が中止されてからまもなく1か月。そのことが、私たちに投げかけたものは何か、憲法学者の木村草太さんに聞きました。
批判する側のルールとは
今回、事務局には、展示内容に対する批判が相次ぎました。
まず、これをどう考えるかと木村さんに問いました。
「『表現の自由』というのは公権力などによって強制的に表現することを奪われない権利です。一方で、ほかの人々から表現を非難されないという自由は含まれませんから、作品の内容や、展示の決定に対して人々が自由に批判することはまさに表現の自由です」と語りました。
ただし、木村さんは、批判をする側にも、一定のマナーがあると力説しました。
「強制力を使ってやめるさせることと、表現者に対して『こういう表現は間違っているんじゃないですか?』と伝え作者が自律的に改善するというのは全く違うものです。彫刻などの作品は鑑賞しないと立体的な評価はできず、報道などで作品内容を知ったとしても鑑賞せずに非難するというのは批判者として誠実ではありません。展示自体が行われていないということは、これまでに行った人を除けば作品を批判することすらできない状態になってしまった。つまり、今回の展示中止は『作品を見てもらう権利』と同時に、『作品を批判する権利』すら奪われているんだという視点が重要だと思います」
さらに、今回、展示をめぐり相次いだ政治家の発言については、こう、くぎを刺しました。
「公職の方々がもっている権限というのは、あくまで公共的な価値を実現するために与えられたものです。個人としての好き嫌いであるとか、芸術作品について批評を行うことは、与えられた権限の範囲を超えているということです」
表現の自由以前の問題
そして、一部の展示会が中止されたことについて、木村さんは、表現の自由を論じる以前のテロ事件だと、危機感をあらわにしました。
「『脅迫されない権利』、『業務を妨害されない権利』といった、表現の自由よりもっと手前にある重要な権利が侵害されてしまった。脅迫で、イベントをつぶすことができてしまうというもろさが露呈した。これから行われる東京オリンピックの開会式前日に脅迫状が届いたらどうするのか?大阪万博は対処できるのかという将来的な問題も浮き彫りになりました。愛知県だけの問題ではなく全国の知事や警察が連携して対策を研究してほしい」
木村さんは、今回の一連の問題が私たちに投げかけたことを、憲法学者の立場から終始、冷静に語ってくれました。


池袋暴走事故、約30万人の署名集まる 遺族「心より感謝」1万通を超える手紙も
東京・池袋で暴走した自動車にはねられ、母親と3歳の女の子が死亡した事故で、厳罰を求める遺族の署名活動に29万1639人の署名が集まった。遺族の松永さんが8月30日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開き、明らかにした。
また、8月末までを予定していた署名活動を9月15日までに延長すると発表した。
松永さんは「1万通を超えるお手紙もいただきました。日々悲しみと苦しみの波の中、皆様の署名やお手紙に心から救われております。心より感謝いたします」と話した。
●「これを機に免許を返納した」という高齢者からの声も
松永さんは7月18日に開いた記者会見で、署名活動を始めると明らかにし、松永さんのブログから署名用紙をダウンロードして送る郵送形式に加え、8月3日には街頭で署名活動を行った。
9月15日まで延長する理由は、子どもがいる人から「8月は夏休み中なので、もっと長くやってほしい」という声が多くあったことや、ブログで期限を曖昧に書いており混乱を招いたためだという。
手紙や街頭署名では、子どもがいる人から「他人事と思えない」という声や、「交通事故が少しでもなくなってほしい」、「あまりに理不尽だ」などの声が寄せられた。「これを機に免許を返納した」という高齢者からの声もあった。
また、交通事故の被害者や遺族からの手紙や声かけも「驚くほど多くあった」と振り返り、「それぞれの方が大変な苦しみを背負われていると感じた。こうした痛ましい事故が減ることを願っている」と話した。
これほどまで署名が集まるとは思っていなかったと言い、「病院で2人の遺体を見た時から、絶望と悲しみとともに、このような思いをする遺族が2度と出て欲しくないと思った。その思いに賛同していただけたのかなと思っています」と語った。
●「二人の命を奪ったことに対する罪は償ってほしい」
松永さんは「被疑者には二人の命を奪ったことに対する罪は償ってほしいし、軽い罪で終わる前例を作りたくない。法制度の改善や技術向上、地方の足などの環境面向上などの整備がもっと行われてほしい」と呼びかけた。
署名は、書類送検されたタイミングで、東京地検に提出する予定。署名用紙は松永さんのブログ「東池袋自動車暴走死傷事故 遺族のブログ」https://ameblo.jp/ma-narikoからダウンロードできる。


室井佑月氏「ゴゴスマ問題」に苦言、韓国語に訳されたら…
 作家の室井佑月氏が30日夜、ツイッターを更新。TBS・CBC系の情報番組「ゴゴスマ〜GoGo Smile(以下ゴゴスマ)」の日韓関係をテーマにしたコーナーでのレギュラー出演者の発言が物議をかもしていることを受け、その放送内容を翻訳して韓国で放映されたらという仮定で、メディアの在り方に苦言を呈した。
 室井氏は「ゴゴスマの問題だけどさ、訳つけて韓国で流れたら韓国の人たちどう思う?反日感情持ってない人も持つようになってしまうかも」と指摘した。室井氏は具体的に記さなかったが、27日放送回での武田邦彦・中部大教授と29日放送回の元宮崎県知事でタレントの東国原英夫の言動を指しているものとしてコメントが続いた。
 武田氏は、韓国を訪れた日本人女性が暴行された事件について「路上で、日本人の女性観光客をその国のね、訪れた国の男が襲うなんてのはね、これはもう世界で韓国しかありませんよ」と発言。さらに「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しにゃいかないからね」と語り、「言い過ぎ」とたしなめられると、「物事はそうなるからああいう事件はダメだと言ってるんですよ」と正当化した。
 東国原氏は「正義だったら法を破ってもいいと思っている」などと韓国に対する見解を述べた際、「あの…」と口を挟みかけた金慶珠・東海大学教授に対して「黙ってろ、お前は!黙っとけ、この野郎!喋りすぎだよ、お前!」と罵倒。東国原はツイッターで「僕は金慶珠氏の発言内容に怒ったのでは無く、公平な発言時間を守らないので怒った」と釈明したが、「それならそう指摘すればいいこと」という意見や、「お前」「この野郎」という2人称で感情的に罵倒する姿勢に違和感を示す声もあった。
 こうした流れを受け、室井氏は「それってメディアがしてはいけないことでしょ。韓国といわず、世界で流れたら多くの人はどう感じるよ?迷惑なんだよね」と問題提起した。
 この日、番組MCの石井亮次アナウンサーは冒頭で「ゴゴスマとしてはヘイトスピーチはしてはいけないこと。ましてや犯罪を助長する発言は、人として許せないことと考えています。番組をご覧になって不快な思いをされた方々にお詫びいたします」と謝罪。発言者と内容には言及しなったが、「今週火曜日(27日)」と指定したことから武田氏の発言を指していることは明らか。謝罪文を通してヘイトスピーチだったという認識を示した。


[インタビュー]「関東大震災朝鮮人虐殺否定論、かつては右翼も想像できなかった」
ノンフィクション作家の加藤直樹氏インタビュー 
「2000年の『三国人』発言をした石原元知事も 
虐殺そのものを否定するという発想はなかった 
暗い歴史はなかったことにしようという空気」
 「(右派の)石原慎太郎元東京都知事ですら、関東大震災の朝鮮人虐殺を否定するという発想はなかった。少なくとも1990年代までは、右翼も虐殺を否定しようとする人はいなかった」
 韓国でも相当な反響を呼んだ『九月、東京の路上で―1923年関東大震災ジェノサイドの残響』を書いたノンフィクション作家の加藤直樹氏は、最近『TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』という新しい本を出版した。『トリック』は関東大震災当時の「朝鮮人暴動が実際にあった」「朝鮮人虐殺はなかった」という主張を論破する本だ。1923年9月1日に起きた関東大震災以降の数日間、日本では「朝鮮人が暴動を起こした」「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマが広がり、平凡な日本人で構成された自警団が朝鮮人や中国人労働者などを虐殺した。軍の一部も虐殺に加わった。朝鮮人虐殺被害者は数千人にのぼると推定される。
 10年ほど前までは、加藤氏がこのような本を書く必要はなかった。23日、東京でインタビューした加藤氏は「歴史修正主義が1990年代から日本の主流となり、日本の暗い歴史はなかったことにしてもいいという空気が出てきた。理屈に合わなくても大きな声で言えば通じるようになった」と悔しさをにじませた。加藤氏は『トリック』を出す前にすでに「朝鮮人虐殺否定論」を論破するインターネットサイトを運営していたが、「本の持つ力がある。ホームページだけでは足りないと感じた」と語る。
 実際、虐殺否定論は現実政治にまで浸透した。小池百合子東京都知事は3年連続で東京都墨田区の横網町公園で開かれる朝鮮人虐殺追悼行事に追悼文を送らないと明らかにした。小池知事は追悼文を送ることを拒否し、「東京で起きた大きな災害後、さまざまな事情で犠牲になられた方々に対し哀悼の意を表する」とし、朝鮮人を対象に別途の追悼文を送らないとした。しかし加藤氏は「『多くの事情で亡くなった方』は虐殺された人しかいない。だが小池知事は殺されたという表現すら使わなかった」とし、「虐殺否定論を信じたり(まともな)説だと考えられると思っているという証拠ではないか」と批判した。
 加藤氏が『トリック』で言及した虐殺否定論の“トリック”は精巧ではない。関東大震災直後、一部の日本の新聞は朝鮮人による暴動が起きたというデマをそのまま記事化したのだが、これを引用したり、朝鮮人の暴動の噂を聞いたが実際に行ってみたらそうではなかったという手記から前の部分だけを引用したり、正確でない数字を継ぎはぎしたりして、朝鮮人の大半は地震で死亡したと主張するなどだ。
 加藤氏は2000年、石原元都知事の「三国人」発言をきっかけに朝鮮人虐殺について調査し始めたと話した。石原元知事は当時、「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。大きな災害が起きたときには大きな騒擾事件すら想定される」と述べた。加藤氏はそのとき「朝鮮人虐殺は昔の話ではないと感じた」と語った。ところが、「そんな石原でも追悼文を送らない理由を見つけられなかった」という。
 加藤氏は「大きな災害が発生すれば少数者を犯罪者にする扇動は世界のどこでも発生する。重要な点は、政府と社会がこうした動きを防げるかどうかだ」と指摘した。
東京 チョ・ギウォン特派員


“日の丸外し”U18日本代表を攻撃した竹田恒泰や自民党政治家の戦中丸出し価値観! 玉川徹は「学徒出陣か」
 本日30日、韓国で開幕する野球のU-18ワールドカップをめぐり、先日、高校野球日本代表が「JAPAN」のロゴや「日の丸」を外した無地のポロシャツを着用して現地入りした問題。この対応を決定した日本高校野球連盟に批判が殺到し、選手たちは次の移動からロゴなどをつけることになったというが、問題は、この間、日本国内で巻き起こった高野連への批判だろう。
 たしかに、高野連の対応は過剰反応の部分もあったかもしれない。高野連の竹中雅彦事務局長は、日韓関係の悪化のなかで選手がプレーに集中できることを最優先にしたとして、「政治とスポーツは別ものだが、韓国の人の感情を刺激するのは得策ではないと考えた」などと説明したが、本サイトで何度も指摘しているように、韓国ヘイトに支配されつつある日本と違って、韓国の人たちは日本国民に嫌悪感情を募らせているわけではない。旭日旗ならともかく日章旗まで攻撃対象となっていると考えるのは、むしろ、韓国の国民感情を曲解するものと言っていいだろう。
 だが、高野連よりもはるかにおかしいのは、高野連を批判している連中だ。「頭おかしい」「高野連は共産主義の反日」「選手は全員とっとと帰ってこいよ」などといつもの口汚い「反日」攻撃を繰り広げているネトウヨはもちろん、極右文化人もここぞとばかりに、ファナティックなナショナリズムを押し付けていた。
 たとえば、竹田恒泰氏はTwitterで〈高野連の竹中事務局長はアホじゃないか? 日の丸を自粛することが、むしろスポーツと政治を結びつけてしまうことに、なぜ気付かない?〉と事務局長を「アホ」呼ばわりした上、こんなグロテスクな論理を展開した。
〈日の丸自粛は、教育上もよろしくない。日本人であることが後ろめたいような精神状態で、どうやって外国でいい試合をするのだ? 高野連は根本から考え直した方がいい。〉
 さらに、元海上保安官で尖閣ビデオ流出で知られる一色正春氏も〈だったら行くな 情けない〉〈国家を代表するチームが国旗を身に着けることができない国が何処にあるのか おそらく日本以外にはあるまい これを国辱と言わずして何と言うのか〉などとTwitterに投稿した。
 はっきり言って「アホ」はこいつらのほうである。連中は「日の丸を外すとスポーツに政治を持ち込むことになる」などと詭弁を弄しているが、これは試合で使うユニホームではなく、移動中の服装の話なのだ。本来なら、自由な服装でも一向に構わないというレベルのものだ。
 それを「JAPAN」や「日の丸」をつけることがスポーツをやる者の絶対条件のように語り、「教育上よろしくない」とがなりたてる。ようするに、スポーツをナショナリズムに利用し、「スポーツを政治化」させようとしているのはコイツらのほうなのである。
 いやはや、毎度のことながらその“エセナショナリストぶり”には辟易するが、しかし、もっと悪質なのは安倍政権の政治家だ。なんと連中は“日の丸をつけないなんてけしからん!”と鼻息荒くするばかりか、露骨な圧力発言まで繰り出していた。
自民党の武田良太元防衛副大臣は「日の丸外すなら参加するな、そんな気概では勝てない」
 たとえば、自民党の武田良太・元防衛副大臣は自民党本部で開かれた外交部会などの合同会議で「韓国が強要したのなら極めて非常識で失礼だが、強要されていないのに自ら日の丸を外すのはもっと問題だ」と高野連を批判。さらには「自ら日の丸を外すのなら、試合に参加しなくてよい。そんな気概では勝てない」と述べたという(産経新聞より)。
「日の丸を外すような気概では勝てない」って、旗手の兵士に「死んでも旭日旗を手放すな」と厳命した戦中の日本と同じ発想ではないか。
 また、安倍首相の覚えもめでたい和田政宗参院議員もTwitterに〈高野連は、日本代表として戦う選手に対して失礼だし、日本代表の誇りを持ち遠征する選手の気持ちをないがしろにしている〉〈高野連は意味不明な対応だ〉(28日)などと投稿。知りもしない選手の気持ちを利用して、「日本の誇り」を強要するグロテスクぶりを発揮した。
 そもそも、こいつらは今回、高野連がこうした判断をせざるをえなくなった理由をわかっているのか。完全に安倍政権の“嫌韓キャンペーン”で両国の関係が泥沼化しているからではないか。
 にもかかわらず、日韓関係を悪化させた張本人である政権の政治家たちが、その責任を完全にネグって、“お上”から「日の丸を外すな!」と恫喝、まして「日の丸を外すなら試合に出るな」と圧力をかけるとは……。ホント、何様なのか。
 だいたい、選手たちは政治的軋轢に左右されることなく、普通に試合をしたいはずだ。「高野連は選手の気持ちをないがしろにしている」と言うが、まず、政治のせいでこんな状況になったのを詫びるのが政治家としてのスジだ。それを、自分たちの責任はほっかむりして説教する。完全に“脳ミソが戦中仕様”としか言いようがあるまい。
 それは、マスコミも同様だ。自分たちで散々日韓対立を煽っておいて、この問題で政治家の圧力などをほとんど批判せず、「日韓関係の悪化が野球にも波及」などと澄まし顔で解説する始末だった。
玉川徹は自民党議員に「高校生に日の丸背負えって、学徒出陣か」と批判
 ところが、そんななか、昨日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)だけは、「日の丸」をめぐる政治家たちのイキリっぷりを正面から批判した。
 たとえば、女優の高木美保は高野連についても、「旗とかジャパンっていうのを外したことが、『忖度』っていうふうに批判されているんだけれども、『忖度』というものに該当するのか。むしろ積極的な平和的な友好の態度ではないかというふうにとるべきだと思います」と擁護したあと、政治家の勘違いぶりを真っ向から指摘した。
「政治家が旭日旗とスポーツウエアについていた日の丸を同列で扱うようなコメントとか、政治家がいっつも余計なことを言うんですよね」
「むしろ、日本の政治家に政治とスポーツをごっちゃにしている人がいるなっていうことが、韓国にわかってしまった、それが問題だと思います」
 続いて、コメンテーターの玉川徹氏は、「外したのは過剰反応だっただろうな。韓国の人たちは別に日本人のことを嫌いだ嫌いだと言っているわけじゃないですよね」と前置いたうえで、このように政治家の反応を徹底批判した。
「で、まさに問題なのは、高木さんもおっしゃったように、政治家です。もうね、この自民党の武田元防衛副大臣の話を聞いていると、なんだ?と。日の丸を外すなら試合に参加しなくてよい? どういうつもりで彼ら(選手たち)がその試合に臨むかっていうのは人それぞれですよ。選手個人の問題だけど、こういうふうな大会っていうのは、少なくとも高校生なんだから、高校生どうしの国際的な親善をはかるとか友好のためにやってる。ましてやこれはある種教育の意味も含めてこういうことをやってるわけでしょ。彼ら高校生に日の丸を背負えって言ってるようなもんじゃないですか、政治家が。学徒出陣か!?と思うわけですよ、こっちとしては」
 たしかに、玉川氏の言う通り、政治家による「日の丸を外すなら試合に出るな」という恫喝は、つまるところ「日の丸を背負ってお国のために働け」という意味だ。まして公権力が未成年の高校生たちに「日の丸」を押し付け、海外へ送り出すのは、なるほど、お上が戦中に未成年を徴兵し、戦地へ出征させた「学徒出陣」と同質のマインドだろう。
 さらに玉川氏は、「切り離すべきだと、まさに、切り離すって言うべき政治家が何を言ってるんだと。僕はここに一番の怒りを感じますね」と続けたが、まさしく、こうした政治家の戦前回帰的発言こそ強く批判されるべきだ。
デモ主催の韓国市民団体は「韓国国民は自国旗を付ける選手団を温かく迎える」と声明
 あらためて言うが、常套句のように繰り返されている現在の「最悪の日韓関係」は、本サイトが何度も指摘してきたように、安倍政権の仕掛けとそれを無批判に垂れ流し煽り立てている日本のマスメディアに、一番の原因がある。実際、日本で日経新聞などが「反日集会」と報じた韓国市民の抗議運動は、実際には「反安倍」を掲げるろうそく集会、つまり、安倍政権の卑劣な政治に抗する運動だった。
「コリアン・ポリティクス」編集長でソウル在住のジャーナリスト・徐台教氏のツイート(28日)によれば、〈6週にわたり「安倍糾弾デモ」を主催してきた市民団体の連合体が声明を発表〉し、そのなかには「日本高校野球代表チームは日章旗を外す必要はない」というものも含まれていたという。徐氏はこのようにツイートを続けている。
〈(声明は)「安倍政権の経済報復や軍国主義化に反対するもので、日本の国民を敵対視するものではない」とし、「韓国の国民は自国の国旗を付けてくる選手団を温かく迎える」と。〉
〈声明にはこんな内容も。
「人種差別と嫌韓デモを先導する一部の日本人以外の日本市民に対しては、遺憾の意を一切持たない」
「安倍糾弾市民行動は、8月24日のキャンドルデモの中で『もし韓国を訪問した日本市民に対し、不当な害を加える人を見たら積極的に止めて、共に保護しよう』と呼びかけた」〉
 これを見ると、日本の極右文化人やマスコミ、そして政治家がいかに下劣で、感情的で、対立を煽っているかがよくわかるだろう。
 わたしたちがなすべきは、政府とマスコミが焚き付ける「反日韓国」の虚像を敵視することでもなければ、ましてや、高校球児たちに「日の丸をつけないのなら試合をするな!」と吠えることでもない。この“嫌韓ファシズム”ともいえる状況の愚かさを直視し、日韓市民同士の連携で友好と平和のムードを取り戻すことだ。そのためにはまず、安倍政権と“嫌韓キャンペーン”を徹底批判していく必要がある。


芸術が抗議に屈するとき…あいトリで露呈した「政治的不寛容」の正体 私たちも「タブー」を排除している
井戸 まさえ
「マック・ジーザス」問題
「美術館は、宗教的もしくは政治的圧力に屈することはない」
「私たちは、発言の自由、芸術の自由、文化の自由を擁護し続ける。そしてそれらを壊すつもりもない」
あいちトリエンナーレの芸術監督、津田大介氏の言葉ではない。
今年1月、イスラエル北部にあるハイファ美術館のニッシム・タル館長が、当時同美術館で開催されていた消費品の聖化に捧げる展覧会「Sacred Goods(聖品)」の一環として設置された展示物に対しての抗議活動が起こった際に発したものである。
仏紙「ラ・フィガロ」によれば、問題の発端は「マック・ジーザス」と題された十字架に張り付けられたドナルド・マクドナルドの彫像だ。
他にも血まみれのイエス・キリストと聖母マリアを模したバービー人形などがあり、これらが「芸術的抗議行動としての提示が宗教の神聖なシンボルを軽視している」としてアラブ人キリスト教徒による抗議運動を引き起こし、デモが行われるに至った。
博物館側は「マック・ジーザス」は「多国籍企業による宗教的シンボルのシニカルな使用」を表現したものと回答、「展示会はあくまで社会が狂信的に崇拝する資本主義に対する批判を主旨とするものであり、撤回はあり得ない」との態度を表明し、教徒側との話し合いの上、作品の前に注意書きを設置する等の対処を行った。
しかし、暴徒により火炎瓶が美術館へ投げ込まれ、投石によって3名の警官が負傷。イスラエル警察当局が催涙ガスやスタン弾を用い、群衆を追い散らすなど騒動は拡大した。
この事態にイスラエルのミリ・レジェブ文化スポーツ大臣は作品の撤去を要請する書簡を美術館側に送り「芸術的な抗議行動の手段として神聖な宗教シンボルを軽んじることは違法であり、そのような作品を公共の文化施設に展示することはできない」と表明。芸術への検閲として非難されることとなる。
一連の事態に対し「屈しない」としていた美術館側だが、程なく撤去することを決断した。
世界各地で相次ぐ「抗議」と「撤回」
こうした一連の流れはあいちトリエンナーレでの経過ともかぶるが、実はこうした美術館での展示作品の「表現の自由」をめぐる動きは世界的に見ると近年あちこちで見られる現象でもある。
たとえば2014年の光州ビエンナーレ20周年特別展で朴槿恵(パク・クネ)大統領を風刺したホン・ソンダム氏の絵画「セウォル、五月(オウォル)」の展示に対して光州広域市側が修正を求めたが作家は拒否、展示自体が取りやめになり市の姿勢は検閲ではないかとの論争を呼んだ。
また、2017年のホイットニー・バイエニアルやグッゲンハイム美術館で行われた天安門事件の起こった1989年から、北京オリンピックが開催された2008年までの中国現代アートを総括する「Art and China after 1989」展も、大規ペン・ユーとスン・ユアン、シュー・ビン、ファン・ヨン・ピンの動物が用いられたを作品が「芸術のもとに行われる動物虐待」であると非難され、展示が取りやめとなった。
一方で展示を継続した美術館やギャラリーもある。
2017年、ニューヨークのチャイナタウンにあるジェームス・コーハン・ギャラリーで開かれたオマー・ファストの個展では、一部の作品が再開発で活性化される以前のチャイナタウンを想起させる人種差別的表現で、チャイナタウンに付随するネガティブなイメージをネタにした「貧困ポルノ」だとして展示の中止を要求したが、作者が不快な思いをしたギャラリー側は「どのような意見も真剣に受け止め尊重する。作品に対しどのような解釈を加えるのも自由であるが、検閲や脅迫という形態には与しない」と表明し、展示を継続した。こうした経過は「美術手帖」の記事に詳しい。
國上直子氏はこの中で「トランプ政権発足後、アメリカすら人種・文化・宗教・ジェンダーを巡る衝突がより顕在化し、異なる意見を受け入れる寛容さが急速に失われつつある。アートの世界では『検閲』というかたちで、この状況を目にすることが多くなった」と指摘している。
作品をジャッジするのは誰か
日本でも美術展覧会の展示品に対して「表現の自由」をめぐる論争はあいちトリエンナーレ以前にも起こっている。
2012年森美術館で開催された「会田誠展: 天才でごめんなさい」の際、児童への性的虐待を肯定する表現があるとして、市民団体から公共空間である美術館で展示することへの抗議が起こり、また2015年には東京都現代美術館「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展に会田家として出品した「檄」という作品が、東京都現代美術館友の会会員1名のクレームから、撤去要請が行われ、安倍政権批判を含む政治的意図を持った作品とされているのではないかとの論争になったことは記憶にある人も多いだろう。
ただ、あいちトリエンナーレでは会田誠氏ならびに会田家の作品は選ばれていない。
会田氏は自身のツイッターで芸術監督を務めた津田氏が「檄」を「不自由展」に加えたいと提案したが、委員が反対したため実現しなかった等の経緯を明かしている。
それは津田氏と「不自由展」の委員5名が一枚岩ではなく対立もあった証左とし、「芸術祭全体は、偏りより総合性を目指すべきとも思う(ヨーロッパの芸術祭などは、全体が一人のキュレーターの思想で偏ってることもありそうだけど、日本ではまだ時期尚早かな)」とした上で「ただし「檄」は性的な作品ではないので、たとえそれが参加したとしても、表現規制問題の議論がより広くなったとも限らないが」と自身の考え方を示している。
会田氏は今回の津田氏をこう評している。
「津田氏は男女比を同じくする大改革をした。しかしそれは世界の芸術祭の中では普通の流れ。同じように、政治的意見が明確な「不自由展」も大胆に選んだ。これも世界の〈普通〉を取り入れる考えだったのでは?」
「日本の美術館所属のキュレーターは、そういったことに慎重な人が大半である。日韓問題、天皇問題というセンシティブなものを忌避する傾向。それが美術外部の津田氏には物足りなく感じていたのではないか?自分がやるからには、そこを突破したい、と」
「ネットには津田氏を追い落とそうと待ち構えている敵が、潜在的にものすごい数いた。それは普通の美術キュレーターではありえない前提条件だった」(ツイッター抜粋 全文はhttps://twitter.com/makotoaida/status/1159318999311585280)。
確かに日本の美術キュレーターが忌避してきたものを越えようとした「美術外部」の津田氏の試みには反発が強かった。ただ、ある意味「炎上」は津田氏の狙うところでもあり、無難なところにとどまる展示で話題を呼ばず、では展覧会の開催意義自体がない。問題は展示の撤回で議論が遮られたことにあるのだ。
今回の展示の中で最も話題となった「少女像」は2012年に東京都美術館でミニチュア版が展示された際、「運営要綱に抵触する」として撤去されるに至った作品だ。2015年ギャラリー古藤で抗議や忖度等で「表現の自由」が与えられなかった作品を集めた「表現の不自由展」が開催され、あいちトリエンナーレへと続いていく。
美術館内の展示に対してどこまでが芸術であるのか、芸術表現の中での公序良俗とは何かを判断するのは難しい。
そもそも芸術が内在するメッセージに恣意的な意味を与えることは何より避けなければならないことであろう。作者が意図していない場合でも、鑑賞者がそう思ったならば、それは「政治的作品」とされ、さらには権力者や行政機関がそれを固定化して良し悪しの判断をするのは「検閲」そのものとなる。
美術家の横尾忠則氏は2016年、東洋経済オンラインのインタビュー「日本は芸術の『社会的役割』を理解していない 堡忠則氏『芸術作品は社会的発言をする』」の中で、作者の立場からこう述べている。
「プロパガンダ的なことは絵の中にいっさい入れない。だが、見る人によって絵自体が作家から自立して何らかの発言をしているかもしれない。同じ絵を見ても、人によってとらえ方は違う。それでいい。(中略)つまり意識しなくても、作品は社会的発言をするものなのだ。ポール・セザンヌがよくリンゴの絵を描き、パブロ・ピカソがしばしば裸の女性を描いているが、その絵が世界の歴史を変えたり、個人の意識革命にかかわったりしている。たった一個のリンゴや一人の女性を描いた芸術がそれなりの役割を果たす」
現実的な話として、マーケットがなければ人材も育たない。余談だが、日本において「表現の自由」を志向する作家はむしろ漫画やアニメに吸収されている傾向もあるという。
前出の横尾氏も「今の日本では、芸術は大きな問題を語っていると見ない人が多い。海外のほうが芸術の社会的役割は認識されている。日本では見える部分ばかり評価して、社会や人々にジワッと影響を与えるような見えない部分は評価しないし、感応しない。たとえば、日本ではアニメが社会的な評価を得ている。アニメは見えるものがすべてとして、言葉としても語らせている。だが、絵はそこまでやらない。むしろ言葉にならないもの、語れないものを描いている」との認識だ。
表現の不自由を最も感じているのかもしれない。
「裸婦」は良くて、「少女像」はダメな理由
知人の美術評論家の話によれば、美術館には少なからずの不展示作品が所蔵されているという。問題が起きることが予想される場合、美術館は展示を回避することも珍しくない。
特に作品の解釈や評価が固定化されていない現代アートの場合は、現在進行形で新しい作品が入ってくるという事情もあり、議論になりそうな作品は文字通り「お蔵入り」となったまま時の熟成を待つということになる。
評価が定まった「裸婦」や「リンゴ」は良いが、現在進行形の課題を想起させる「少女像」はダメ――。逆に言えば、展示撤回を求める側はそれだけ「少女像」が美術館という箱の中で、芸術的価値を持って展示されることで起こる波及に関し影響力を認めているということにもなる。
美術品の価値は誰がどういう経過で取得するに至ったのか、どの展覧会で展示されたか等の「履歴」「来歴」等の背景も大事であるから、そうした意味でも展示されたこと自体も含めて意味を持つとしているのかもしれない。
今回、作品は等身大で、作成意図を説明した作者の言葉と「戦争と性暴力をなくすための『記憶闘争』のシンボルとして、世界各地に拡散している」などと解説も加えられた。
にもかかわらず、「撤去」派は、慰安婦側の「少女像」に関する一連の活動が、日本政府に対する抗議が主目的であり、朝日新聞記事が誤りだったことを認めた以降も「強制連行」的行為が存在したとの主張を続け、世界中で「少女像」の設置や展示をすることプロパガンダを行っていると考えているということだろう。それを美術館で展示し、何らかの価値付けをすること自体が日本を貶めることになるからこそ「撤去」を求めるのだ。
この作品が「強制連行があったかなかったかという問題」ではなく、「戦時の性暴力への怒り」であると説明しようとも、一部はそうとは受け取ってはおらず「主張を隠蔽しながら、本来の目的を達成しようとしているのではないか」そして「展示を続けることによってその目的(日本を蔑むこと)達成してしまうのではないか」と思っているからこその抗議であろう。
相次ぐ政治家の発言とこだわり
慰安婦問題となると、どこか冷静でいられない政治家が存在するのはなぜなのだろうか。
既知の通り、名古屋市の河村たかし市長は「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展「表現の不自由展・その後」を視察したのちに、「平和の少女像」について即刻展示を中止するよう大村秀章・愛知県知事に申し入れを行った。
河村市長は、慰安婦問題について「事実でないという説も強い」などと発言。少女像展示には「表現の不自由という領域ではない。多額の税金を使ったところでしなくてもいい」との評価である。
また、神奈川県の黒岩祐治知事は8月27日の定例会見で表現の不自由展に関して「私なら認めぬ」とした。その理由として日本軍「慰安婦」を象徴する「平和の少女像」は「事実を歪曲したようなもの」と「慰安婦」の強制連行の事実を否定したが、少女像が「表現の自由から逸脱している」「県の税金を使って後押しすることは県民の理解が得られない」などと述べた。
黒岩知事は加えて「(少女像は)政治的なメッセージとして事実を歪曲したようなものですから、そういうこと自体がおかしい」「(『慰安婦』を)強制的に連行していったような、そう伝えられていますよね」と言った。
こうした「少女像」を否定する政治家の共通点は、河野談話ですでにその存在を認められていることには触れずに、前述したように朝日新聞記事の「強制連行」に関してとことんこだわるという共通点がある。
ちなみに河村たかし市長は「いわゆる南京事件はなかったのではないか」と南京大虐殺に否定的な見解を従来から示している。しかし、人権意識が鈍い訳ではなく、たとえば河村氏が衆議院法務委員として関わった名古屋刑務所受刑者放水死事件については強い贖罪の気持ちを持っているということを筆者に語ってもいた。
河村氏はこの事件の初期に刑務官による犯罪であるとして国会で追及していた。しかし途中から刑務官らは冤罪だという考えに変わっていった。誤った情報をもとに、冤罪を作り上げる側に自分がいたのではないかということに対して、責任を感じていた。
拙著『無戸籍の日本人』(集英社)で、河村氏と法務省民事局長のところを訪れる時のことを書いているが、国会から法務省へ行くタクシーの中で、河村氏はこの事件に関して「わしは間違ったことをしたんよ。許されんのよ。取り返しはつかんけど、そのまま見過ごすのはダメ」と事件については詳細に追い続けていると言っていた。刑務官の家族に対してもすまないとも。そうした感覚があるにもかかわらず、なぜ慰安婦問題や南京事件等の戦争関連のことについては頑ななのだろうか。
こうした発言をする政治家の中には、実は第二次世界大戦に「負けた」ことを受け入れられず、未だ植民地支配を心の中に残しているのではないか。それは世代を跨いで若い世代の一部にも浸透していっているのではないかと思う。
「わが国が敗戦後、戦争責任と正面から向き合ってこなかったことが多くの問題の根底にあり、さまざまな形で表面化している」
これは韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた際に自民党の石破茂元幹事長の発信だが「戦争責任と正面から向き合ってこなかった」のはそもそも「負けていない」と心の奥では思っているからこそ、その「責任」と対峙することができないのである。
慰安婦問題に関しても、河野談話が出ようがそこにいたのは「売春婦」だと女性を軽蔑、侮蔑、下に見ることで、彼女たちの痛みは当然なのだと転換させる。
戦争時においては「植民地支配」は国策であり、女性の中にも差別を設けることが是とされた時代に決着をつけることができていない、まさに不寛容の潜在的理由を、あいちトリエンナーレは芸術というスコープを通して可視化して見せたのである。
私たちも「表現の不自由」に晒されている
自分が真実で、正義だと思うことについて発信する事柄については「表現の自由」であり、逆に気に食わないこと、真実だと信じたくないことに対しては境界線を設け、制限する。
たとえば、河村市長も、黒岩知事も「マック・ジーザス」の展示は許可するだろうか。興味あるもの、自分の自尊心と直結するものに対しては反応するが、それ以外に関しては無反応か、もしくは逆に評価をするといったこともあるかのしれないなと思う。
ちなみに「マック・ジーザス」は他国での展覧会も、またイスラエルでの当該展覧会も開催から数ヵ月はなんら問題なく展示されていた。ある時にSNSで写真が投稿され、そこから批判が一気に増えたということだ。
作品の表層だけでイエス、ノーの流れができ、本来議論されるべきことが取り残されることは、作品を生み出した作家も、鑑賞者も、また美術館に行かないが興味を持っている人々をも多様で意見や表現の豊かさから遠ざかることにもなり、最終的には自由な議論にも繋がらないのである。
今回のあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」は近年公共の文化施設で「タブー」とされがちなテーマの作品が、当時いかにして「排除」されたのか、実際に展示不許可になった理由とともに展示するといった趣旨であった。
「慰安婦」問題、天皇と戦争、植民地支配、憲法9条、政権批判……こうしたテーマは美術館やだけが排除しているのであろうか。
私たちは家で、学校で、職場で、SNSでどこでも自由にこの問題を語ることができるのか。日々「表現の不自由」に晒され、逆に晒してもいるのではないだろうか。
例えば「表現の不自由」を克服するために、匿名性が使われるのはなぜか。それは「自由」なのか、「不自由」なのか。
そこで得た「表現の自由」の開放性と攻撃性に関する評価をどう見たら良いのだろうか。
あいちトリエンナーレが開いた議論の扉を閉じてはならない。


明石家さんまが吉本上層部と安倍政権の癒着に痛烈皮肉!「吉本も安倍さんとアレしてるから」「安倍さんと大崎とゴチャゴチャ」
「吉本もな、安倍さんとアレしてるからなぁ」
 今やすっかり幕引きされたかのように見える吉本興業問題。しかし29日放送の『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS)で、あの明石家さんまが痛烈な皮肉を口にした。
 この日放送された『モニタリング』は放送200回記念として明石家さんまが初出演、そしてブラックマヨネーズ・小杉竜一扮するコス麿呂と神楽坂の食レポをするというものだったが、問題の発言が出たのは、2人が訪れた神楽坂のうどん店「久露葉亭」でのことだった。豪華な個室に通された2人だが、小杉が「隠れ家的な感じですけど、有名な方も食べにきたりするのですか?」と女将に質問、「歴代の総理大臣や大臣が」と女将が答えたのを受け、さんまがこんなことを言い出したのだ。
「ああー、そうか。議員会館が近いからみんなこっちに来るんだ。だから今、吉本もな、安倍さんとアレしてるからなぁ。ここでやってるんとちゃうか? 安倍さんと大崎と、ゴチャゴチャ言うて。『ちゃんとしてくれよ!大崎くん』とか言うてやな」
慌てた小杉がすぐに話題をかえてしまったが、しかし、このさんまの発言は明らかに、吉本興業上層部と安倍政権の癒着を批判したものだろう。
「大崎」というのは、もちろん吉本興業の大崎洋会長のこと。この間の吉本報道でもクローズアップされたが、大崎会長率いる吉本興業は今、安倍政権と急接近している。それは、吉本新喜劇に安倍首相を出演させたり、所属芸人が官邸を訪問する、というだけではない。吉本は政府の公的ビジネスに食い込み、巨額の補助金を交付され、大崎会長は沖縄米軍基地跡地利用の有識者懇談会メンバーに選ばれている。さんまは、こうした実態に、痛烈なブラックジョークを放ったのだ。
 一連の騒動で吉本興業上層部を真っ向から批判することはなかったさんまだが、その言動の端々からは、明らかに吉本上層部に批判的であることがうかがえた。宮迫博之が契約解除となった当初から、「芸人の味方や」といち早く個人事務所で引き受けると発言。岡本社長の会見の時も、「言えないこととかグダグダにするときはテンポだけ出したらええねん」とギャグにしながらも「吉本をもとに戻さんほうがええ」と上層部の動きに釘を刺し、「大崎会長が辞めないなら、吉本興業を辞める」と発言しバッシングを浴びた加藤浩次を「加藤はああいう行動をとって僕は正しいと思います」「加藤のやっていることは、人としては賛同できます」と擁護した。
 騒動が鎮圧されほとんどの芸人がこの問題について語らなくなってからも、さんまはこの問題をあの手この手で蒸し返している。たとえば、8月24日放送の『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ)では、大崎会長べったりの島田紳助から「頼むから、(吉本の)会長と会うてやってくれ」と言われたが「お前、会長からなんぼもらってんねん!」とそれを拒否したことを暴露、また同番組では吉本が芸人と取り交わす「共同確認書」について、出演者の中川家らに「サインしてしもうたの? お前ら!」とツッコミ、確認書に問題ありとの姿勢を示している。
 そして、今回の『モニタリング』でも、さんまは食レポの前の小杉との打ち合わせシーンで「以前食レポをやったのは宮迫の番組」だったと闇営業問題を蒸し返し、小杉が「今回は吉本の案件をいったん置いといて」と話題を避けようとすると、さんまは「おまえ、ええな、置けるから」と返していた。
戦争協力を批判し、オリンピックの福島切り捨てを批判していた明石家さんま
 しかし、さんまが吉本と安倍首相との癒着に言及したのは、たんに今の吉本上層部が嫌いということが理由ではないだろう。
 さんまは、それほど数多く社会的発言をするわけではないが、本質はリベラルで、安倍政権とは相容れないものだ。たとえば2017年、トランプ大統領が北朝鮮や中東に対し、挑発的発言を繰り返した際、『MBSヤングタウン土曜日』(MBSラジオ)のなかで、戦争に予算を使う政府に憤り、税務署に文句を言いに行ったことがあるというエピソードをこう語っている。
「一度、俺は税務署に文句言いに行ったことあるから。湾岸戦争のときにね、日本が何億って、アメリカに武器をつくる代金として渡したことがあるんですけど、そのときは税務署行って、『俺はね、人殺しのアシストしたくて働いてるんじゃない』と。『こんなもんに金使うんだったら、俺は納めません』って言うて。ほんなら、コーヒー出してくれはって、『それはうちじゃなくて、違うところに言ってください』って。で、コーヒーいただいて、『お疲れさーん』言うて帰ってきた。それは、もっと上のほうに、法律をつくる人に言わなあかんから」
 また2013年、オリンピックの東京開催が決定した直後の『MBSヤングタウン土曜日』で、東京五輪について「いや、だからでも、福島のことを考えるとね……」としながら、こんな話をしている
「こないだも『福島から250キロ離れてますから大丈夫です』とかいうオリンピック招致のコメントはどうかと思って、やっぱり。俺までちょっとショックでしたけど、あの言葉はね」
 さんまがショックだったと言っているのは、同年9月4日に東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の竹田恒和理事長がブエノスアイレスでの記者会見で語った言葉だ。まるで福島を切り離すかのようなこの暴言に、さんまは「『チーム日本です!』とか言うて、『福島から250(キロ)離れてます』とか言うのは、どうも納得しないコメントやよね、あれは」と不信感を隠さなかった。
 さらに、さんまは、安倍首相はじめオリンピック招致に躍起になる人びとから「お荷物」扱いを受けていた福島に、こう思いを寄せている。
「福島の漁師の人にインタビューしてはったんですけど、『7年後のことは考えてられへん』と、『俺ら明日のことを考えるのに精一杯や』って言わはったコメントが、すごい重かったですよね。だから、あんまり浮かれて喜ぶのもどうかと思いますけどもね」
報復バッシングで吉本芸人たちが黙らされた今、さんまだけが上層部批判を
 お笑い芸人としては“いい加減キャラ”を演じているさんまだが、実は権力に屈しない反骨精神の持ち主であることは、若い頃からの様々エピソードから有名だ。しかも、今回は加えて、戦争協力、弱者切り捨ての政権に自分の所属会社がべったりになっていることが我慢ならなかったのではないか。
 そう考えると、さんまの存在は貴重だ。吉本問題は、あれだけひどいコンプライアンス違反や芸人へのパワハラが明らかになったにも関わらず、上層部は何の責任も取らないまま、なかったことにされようとしている。それどころか、上層部に違和感を表明した加藤浩次、友近、近藤春菜へのバッシング報道が展開されたことで、芸人たちは完全に黙らされてしまった。
 そんな中で、さんまはむしろ、以前より上層部への批判を強めているのだ。
 おそらくこれからも吉本上層部に抗することができるのは、吉本上層部と距離を置きながらも、文句が言えない人気を誇っているさんましかいないだろう。芸風と違うと言われることを承知で、さんまには、さらに踏み込んだ発言を期待したい。(伊勢崎馨)


<アフリカ開発会議>最後の植民地・西サハラの代表団が来日(2)モロッコの圧力で揺れる西サハラの参加 岩崎有一
◆波乱含みとなったTICADの歩み
今回のアフリカ開発会議(TICAD7)には、西サハラからの代表団が初めて参加している。では、なぜこれまでは参加してこなかったのか。
TICADは日本が立ち上げた国際会議だ。その会議に、日本が承認していない国を招こうと招くまいと、日本の勝手ではないか。そう思われる方もいるかもしれない。
西サハラの民によって建国されたサハラ・アラブ民主共和国(RASD)を国家として承認している国は少ない。しかし同時に、RASDを樹立したポリサリオ戦線は国連に代表部を置き、国連はポリサリオ戦線を西サハラ住民の代表として認めている。
また、西サハラがモロッコからの分離独立を求めているとする記事が散見されて久しいが、これは正確ではない。西サハラは国連によって、民族自決権の行使が望まれる「非自治地域」として定められている。国際法上は、西サハラはモロッコの施政下に置かれてはおらず、モロッコが力で支配しているに過ぎない。西サハラは今もモロッコの一部ではないため、「分離」とはならないのだ。
アフリカに残された最後の植民地であり非自治地域でもある西サハラは、長くTICADには参加していなかった。1993年以降に初めてのTICADが東京で開催されて以降、TICADの主導権は日本にあったからだ。どの国を招くかは、日本側に決める権利があった。
その後、2010年にAUが共催者となり、2013年のTICAD IV以降は3年ごとに、日本とアフリカ諸国で交互に開催されることとなる。AUが共催者となって変わったことは、会場が持ち回りとなっただけではない。AUが共催者となる流れの中で、TICADという国際会議において、AUはアフリカを代表する存在として大きな影響力を持つことになった。
これまで様々な国際会議に市民団体の立場で参加してきた、アフリカ日本協議会の稲場雅紀氏は、この事情に明るい。以下、今年7月3日に都内で開かれた西サハラセミナーでの稲場氏の言葉を借りながら、AUが共催者となった後の経緯をまとめたい。
◆モロッコ代表とつかみ合いになった会議も
TICADの存立を揺るがす「問題」として西サハラの課題が浮上したのは、2016年のことだ。ナイロビで開催されたTICADVIの準備のために、本会議の直前に開かれた高級実務者会合に、西サハラ住民を代表するサハラ・アラブ民主共和国(RASD)が出席。モロッコは猛反発した。結局、RASDと国交を持つケニアの調整により、本会議にはRASDの席は設けられず、TICAD6は実質上、西サハラを排除した形で閉幕した。
注意すべきことだが、RASDの高級実務者会合出席の動きは、決して、RASDが強硬手段に出ることで生じたわけではない。その前年なる2015年6月に開かれたAU(アフリカ連合)執行委員会27回通常会合で、以下の決議が採択されている。
(執行委員会は)アフリカ連合を当事者として含むパートナーシップの枠組みの中で、すべての加盟国が差別なく、組織されるすべての会合、活動、行事に参加する権利を再確認する。
この決議をもって、TICADの共催者であるAUの加盟国は、RASDを含めすべて等しく参加する権利が保障されることとなり、RASDは2016年の高級実務者会合に、当然のこととして出席したわけだ。
また、アフリカ諸国の中で唯一、モロッコだけはAUの非加盟国だったが、ついに2017年に加盟。モロッコもAUのルールの中でTICADに参加することとなった。
このままRASDも参加するかたちでTICADが進行すればめでたしではあるが、衝突が起こった。2017年8月にモザンビークで開催されたTICAD閣僚会議に出席したRASDの入場を、モロッコは力づくで阻止。国際会議の場で、モザンビーク当局が介入するほどの、つかみあいの乱闘が起こった。その後2018年に東京で開催されたTICAD閣僚会議では、RASDの外相とAU代表部大使が事実上参加したが、その代わり、RASDを含むアフリカ各国はすべて、国名や国旗を表示せず、「アフリカ連合メンバー」として参加するという、明らかに異常な国際会議となった。果たして、TICAD7を10か月後に適切に開催することができるのか、危ぶむ声も聞こえるようになった。
AUとEU間で開かれるAU-EUサミットでは、AUとEUの関係において会議が進められる。アフリカの各国の参加は、AUの責任で行われ、これについてEUは口を出さず、また責任も生じない。TICADでもこれに準じた方式が取れないか、という模索が始まった。この方針転換が功を奏し、今回のTICAD7開催にいたっている。この結果、RASD国家元首の初来日・初参加が実現した。
◆“実体”は認めないとされた
今回のTICAD7で、RASDはどのような扱いを受けたのだろうか。
28日のTICAD首脳会合開会式の冒頭で、河野外務大臣は、こう述べている。
「TICAD7の参加問題について、私は、(27日に開かれた閣僚級準備会合の冒頭で)日本政府の立場を明確に表明いたしました。閣僚級会合の審議はすべて円滑に進みました。すべての参加者に、心からの感謝をいたします。」
だが、河野外務大臣がその閣僚級準備会合の冒頭で表明した日本政府の立場とは、このような内容のものだった。
極めて和訳しにくい英文なのだが、直訳を試みた。拙訳は以下の通りだ。
「日本が国家として認めていない実体のTICAD7への出席は、その実体に対する国家(日本)の立場にいかなる影響も与えるものではありません。」
ここでの実体とは、RASD以外にないだろう。日本が国家として承認していないRASDがTICADに来ようとも、日本のRASDに対する認識は変わらない、との表明がなされたかっこうだ。
外務省のウェブサイトには、写真や本会議の映像など、TICAD7の様子が詳細に公開されているが、この表明についてはどこにも記されていない。皮肉にも、モロッコのメディアだけが、詳細に報じている。
27日のこの会合には、市民社会の代表として、アフリカ日本協議会代表理事の津山直子氏が参加していた。
「AU正式加盟国であるRASDのサーレク外務大臣を前にして、『entity(実体)を認めない』なんて、ひどい言い方です」
RASD外相は会場で、苦渋の表情を浮かべていたと津山氏は語っていた。
今回、AU加盟国すべての着席が認められたTICAD7とはなった。西サハラの民サハラーウィを代表するサハラ・アラブ民主共和国からの代表団の列席は、アフリカにおける民族自決の尊重という面で、重要な一歩が刻まれたとは言えよう。
しかし同時に、サハラ・アラブ民主共和国の“実体”は日本としては認めないものだとも、はっきりと表明された。準備会合とはいえ、わざわざTICAD7参加国が一堂に集う場で、である。
全AU加盟国の等しい扱いの実現をしているように見せつつ、実際はモロッコの意向を最大限に汲んだ表明をし、西サハラの声は無視されたに等しい。ガリ大統領をはじめ西サハラの代表団は、この対応をどう感じて日本を発つのだろうか。
西サハラ代表団の初参加がかなった記念すべきTICAD7は、西サハラの声が聞こえないまま、今日終わろうとしている。
岩崎有一 ジャーナリスト。1995年以来、アフリカ27カ国を取材。アフリカの人々の日常と声を、社会・政治的背景とともに伝えている。近年のテーマは「マリ北部紛争と北西アフリカへの影響」「南アが向き合う多様性」「マラウイの食糧事情」「西サハラ問題」など。アジアプレス所属。武蔵大学社会学部メディア社会学科非常勤講師。
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寿司/ゆうパック受け取り/北御堂で菊水丸

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大高森頂上から190809

Brexit : le tweet fleuri de Hugh Grant contre Boris Johnson
L'acteur britannique s'en est pris vertement au Premier ministre mercredi après l'annonce de la suspension du Parlement.
Il ne mâche pas ses mots. Comme de nombreux autres Britanniques, l'acteur Hugh Grant n'accepte pas la décision du Premier ministre Boris Johnson de suspendre le Parlement pour cinq semaines, qui renforce l'hypothèse d'un Brexit dur. Il exprime juste sa colère d'une manière un peu plus fleurie que la moyenne. Mercredi après-midi, le comédien a en effet enjoint le dirigeant conservateur à aller se "faire foutre" dans un tweet rageur, rapporte LCI.
"Tu ne vas pas foutre en l'air l'avenir de mes enfants", a écrit Hugh Grant à l'adresse de Boris Johnson, en citant une vidéo tweetée par le Premier ministre dans laquelle il justifie sa décision, validée par la reine Elizabeth II, de suspendre le Parlement. "Tu ne saboteras pas les libertés pour lesquelles mon père a combattu lors des deux guerres mondiales. Va te faire foutre, espèce de jouet de bain en caoutchouc sur-. Le Royaume-Uni est révulsé par toi et ton gang de branleurs", a-t-il poursuivi. À en croire le succès de ce tweet, la colère est partagée. Il a en effet été retweeté plus de 59 600 fois et "aimé" presque 250 000 fois ce jeudi matin.
Pétition et manifestations
Boris Johnson a demandé à la reine Elizabeth II, qui a accepté, de suspendre le Parlement après les débats du 9 septembre et jusqu'au 14 octobre. La session reprendra avec le traditionnel discours de la reine, dans lequel elle expose le programme du gouvernement. Si le Parlement est traditionnellement suspendu à la rentrée lors des conférences des partis, la suspension est ici plus longue et alimente les accusations de déni de démocratie, alors que des élus veulent tenter de bloquer un Brexit dur.
Des Britanniques ont défilé dans les rues des grandes villes du pays mercredi dont Londres, Manchester ou encore Edimbourg pour protester contre cette décision, et une pétition a été lancée sur un site gouvernemental. Plus d'un million de signatures ont été récoltées ce jeudi matin, ce qui doit entraîner une réponse du gouvernement, selon les règles de la plateforme.
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ランチでお寿司?送別会は2回もしてもらったって言ってたのに.別の部でのプチ送別会なんだって.
職場にゆうパック送ったら,受け取りがちょっと面倒.誰かが受け取ってくれるかと思ったら,郵便局の人が部屋まで持ってきてくれました.
雨降っていたけど晴れました.北御堂で河内屋菊水丸の河内音頭.とつなんになってしまったあの頃を思い出しました.

復興関連予算 概算要求で増額に
復興庁は、来年度予算案の概算要求で、東日本大震災の復興関連予算について、道路整備などの公共事業や原子力災害からの再生事業を中心に、1兆6980億円あまりとする方針を固め、要求額は6年続いた減額から増額に転じました。
復興庁は、来年度・令和2年度予算案の概算要求に盛り込む東日本大震災の復興関連予算の内容を固めました。
それによりますと、道路整備などの公共事業や原子力災害からの再生事業を中心とした概算要求の総額は1兆6981億円となり、今年度の要求額より1500億円あまり増え、要求額は6年続いた減額から増額に転じました。
この中では、東京電力福島第一原発の事故に伴う除染で出た土などを集中的に管理する中間貯蔵施設の整備などに5600億円あまり、避難生活の長期化や復興の進展によって生じる心のケアなどの支援に193億円を計上しています。
また、新たな事業として、東日本大震災から10年となる再来年3月に向けて、被災地の復興状況やこれまでの支援のノウハウを共有するイベントなどを実施するための費用として1億円を盛り込んでいます。


BRTの新車両を公開
東日本大震災の津波で被害を受けたため、BRTと呼ばれるバスが運行されている宮城県と岩手県とのJRの路線で、来月から新しいバスの車両が導入されることになり、29日、公開されました。
JR東日本は、震災で被害を受けた気仙沼線と大船渡線の一部の区間で、列車の代わりにバスを走らせるBRT=バス高速輸送システムを運用しています。
今回、6年ぶりに新しい車両が導入されることになり、29日、岩手県陸前高田市で報道陣に公開されました。
新しい車両は定員が72人で、車内にはUSBケーブルをつないで携帯電話などが充電できる設備が9か所設けられています。
また、海岸沿いの眺めを楽しんでもらえるようにと、座席の窓が従来の車両よりも大きく設計されています。
新しい車両は、来月上旬から導入される予定です。
JR東日本盛岡支社BRT計画課の宇野宏課長は「新たな車両は環境にも配慮したハイブリッド車両になっています。今後も被災地の足として、地元のニーズを聞きながら地域の活性化に貢献していきます」と話していました。


デスク日誌 お盆休み
 「お盆休みを1日減らして月末にずらしたいんですが」。東京に赴任して5カ月になる中堅が電話で連絡してきた。洗濯機が壊れてしまい、購入した新品の配達がどうしても平日の昼間になるという。「届いたらすぐ職場に戻ります」
 時代は働き方改革。参院選で忙しかったし年休も残っている。お盆は予定通り休み、洗濯機が届く日も無理せずに伝えると「いいでしょうか…」と遠慮気味。
 同じく今春加わったもう1人の中堅は、休みに入って風邪をこじらせた。メールで状況を尋ねると「だいぶ良くなりました。8月15日に立憲と国民の党首会談があるので取材します」。お盆のど真ん中に急な動きがあるとは思えず、出勤の必要なしと返信した。
 2人は休み前それぞれ、目黒区のNPOが東日本大震災の風化を防ごうと始めた気仙沼の物産店、宮城県女川町で震災に遭い豊島区で小料理屋を営む家族の記事を書いた。世知辛い東京で被災地を後押しする人の話は温かみが倍加する。
 成長株の2人。洗濯機は届き、体調も戻った。秋は内閣改造や臨時国会が控える。読ませる記事を増産してくれるだろう。 (東京支社編集部長 吉岡政道)


県内に大雨特別警報 問われる住民の防災意識
 予想もつかない甚大な災害だった。九州北部を襲った猛烈な雨で28日、県内に大雨特別警報が出され、いたるところで家屋の浸水や土砂崩れ、道路冠水が相次いだ。近年、九州北部地域はたびたび豪雨に見舞われてきたが、今回は佐賀市で1時間雨量が観測史上最大の110ミリを記録するなど、市街地での浸水被害が目立ち、都市機能のもろさを改めて浮き彫りにした。経験したことのない豪雨災害に向き合うには、住民自身の防災意識を抜本的に問い直す必要がありそうだ。
 今回の大雨は、停滞した秋雨前線に東シナ海から暖かく湿った空気が流れ込み、地形的要因も加わって積乱雲が次々に発生する「線状降水帯」が原因とされる。24時間の積算雨量は佐賀市で390ミリ、白石町で371ミリ、鳥栖市で343ミリといずれも観測史上最大で、8月ひと月の平年降水量の2倍にも達した。大量の雨が降ったのが有明海の朝の満潮時刻に重なったことが、県内の平野部で広範な浸水被害を招く結果となった。
 低平地の佐賀平野は河川の位置が高く、有明海の満潮時には海面が陸上よりも高くなり、水はけの悪さが宿命的な悩みである。これまで行政による河川の氾濫対策に力が注がれてきたが、近年は市街地化が進んで舗装面積が広がり、集中豪雨で一気に冠水する「都市型水害」の様相も呈している。公共交通の拠点であるJR佐賀駅が浸水によって一時機能まひに陥ったことは、都市基盤のあり方を考える上で深刻な問題と言わざるを得ない。
 こうした地域に暮らす私たち自身の防災意識はどうか。国は昨年7月の西日本豪雨を教訓に、災害リスクを分かりやすく伝達する5段階の「大雨・洪水警戒レベル」をこの夏から導入。今回の大雨では「すでに災害が発生し、命を守る最善の行動」を求められる最も重大な「警戒レベル5」が出された。自治体によっては浸水した避難所もあり、住民には戸惑いもあったろう。冠水した道路を車で進んだり、ほとんど普段着で歩くなど、その危険性が十分意識されていたとは言いがたいケースも目立った。過去の豪雨災害をどこか「よそごと」ととらえる甘さがなかっただろうか。
 雨はいったん小康状態になったとはいえ、なお土砂災害の危険など予断を許さない状況が続く。武雄市をはじめ、浸水被害が深刻な地域では、自衛隊や消防による救助活動で孤立状態の解消も進んでいる。避難所に身を寄せた被災者は心細い夜を過ごしたことだろう。今後さらに被害状況が明らかになっていけば、新たな課題も見えてくるはずだ。まずはライフラインの復旧を含め、一刻も早い「日常」の回復を祈りたい。(論説委員長・桑原 昇)


AI兵器 殺人ロボットは禁止を
 人工知能(AI)が人間の介在なく自ら判断して人を殺傷する「殺人ロボット兵器」の規制に向け、国連の専門家会合が初の国際的な指針をまとめた。
 兵器の開発や使用には国際人道法を適用し、兵器使用の判断は人間が責任をもたねばならないとしたものの、条約など法的拘束力のある規制は見送られた。
 極めて残念である。
 中南米諸国や非政府組織(NGO)などは禁止条約を求めたが、理念的な指針にとどまった。米国やロシア、イスラエルなど開発を先行する国が反対したためだ。
 ロボットが人間の生命を奪う判断を行うのは倫理的に許されるはずがない。開発推進国は非人道性を認識し、開発をやめるべきだ。
 ロボットが人間を攻撃するSF映画のような状況が現実味を帯びている。兵器が出現する前に生産や保有、使用を禁止する歯止め策を急がなくてはならない。
 対象は、AIが人間の命令なしに自ら敵を判断して殺傷する「自律型致死兵器システム」(LAWS)だ。殺人ロボットとも言われ戦争のあり方を根本的に変える。
 開発国はAIの判断の方が正確で速く、冷静に標的を選択し人的なミスも防げるといった理由を挙げる。誤爆や市民の巻き添えなどの被害も抑えられると主張する。
 相手が先に使えば甚大な被害を受けるため、それを恐れて開発競争はエスカレートしかねない。
 そもそもAIは本当に判断を誤ることはないのか。誤作動や暴走して人間を殺りくすることはないのか。懸念は尽きない。
 生身の兵士に代わって戦場に投入するので、開戦のハードルが下がるとの指摘もある。テロリストの手に渡るリスクもある。
 問題が山積したまま開発が進んでいる現状は危険だ。
 各国は2013年から、対人地雷などを禁止する特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みで議論を始め、17年からはNGOも含めた専門家会合で続けた。
 今月まとめた報告書では来年から2年間、協議を継続するとした。CCWは全会一致が原則のため厳しい規制を設けるのは簡単ではないが、実効性のある議論にしてもらいたい。
 日本政府は殺人ロボット兵器は開発しないとする一方で、民生ロボットやAIの技術革新を阻害してはならないとの立場を取る。
 民生用は軍事用への転用が容易である。殺人ロボットの禁止に向けた議論を主導するべきだ。


東電と柏崎刈羽原発 廃炉あいまいな再稼働策
 東京電力が新潟県の柏崎刈羽原発1〜5号機の一部の廃炉を検討すると初めて表明した。
 ただし、廃炉は東電が目指す6、7号機再稼働が前提だ。さらに、原発は温室効果ガスを出さない電源だとの理由で、1〜5号機を代替する再生可能エネルギー導入の見通しが立つことも条件にしている。
 地元の新潟県柏崎市長が6、7号機再稼働の是非を判断する前提として、廃炉計画を求めていた。東電はそれに応えたとするが、幾重にも条件を重ねたあいまいな「廃炉」表明は、再稼働手続きを進めたいがための方便にしか見えない。
 7基で構成する同原発は世界最大級の出力規模を持ち、福島第1原発事故前は東電の経営を支える大黒柱だった。半面、集中立地に伴う危険性が指摘されてきた。
 2007年の新潟県中越沖地震で被災した後、全基が運転停止しており、再稼働への地元の不安は強い。柏崎市長の廃炉要請の背景には、そんな住民の思いも反映されている。
 東電は廃炉にしたくないのが本音だろう。再稼働すれば1基当たり年間600億〜1300億円の収支改善効果があると見込むからだ。巨額の福島事故対応負担を迫られている東電は、国と作った再建計画で柏崎刈羽の全基再稼働を想定してきた。
 にもかかわらず、今回、廃炉の検討を表明したのは、地元の同意を得られないままでは、原子力規制委員会の審査を通過した6、7号機の再稼働さえ進まないと焦燥感を強めたためだろう。
 東電は原発が動かせなければ、福島事故対応のための収益確保も難しくなりかねないとも主張する。だが、柏崎刈羽の再稼働は、福島事故とは別問題で、あくまで新潟県も含む地元の同意が大前提だ。
 6、7号機の再稼働をめぐっては、安全対策費が当初の1・7倍の1兆1690億円に膨らんでいる。再稼働による収支改善効果も従来より大幅に縮小している可能性がある。
 新潟県も6、7号機再稼働に慎重姿勢を続ける中、東電が期待する21年度までの実現は困難なのが実情だ。東電は今年度内に国と再建計画の見直しを協議する見通しだ。原発をめぐる環境が一層厳しくなった現実を直視した内容に改めるべきだ。


商業捕鯨再開 「食文化」は守れるか
 国際捕鯨委員会(IWC)を脱退した日本は、この夏商業捕鯨を再開したが、肝心の消費は伸び悩む。鯨食は日本古来の「食文化」には違いない。だがこれで、持続可能になった、と言えるのか。 商業捕鯨再開初日に捕獲されたミンククジラの肉が、北海道・函館市水産物地方卸売市場で競りに掛かった七月四日。たまたま市内に滞在中だった。
 その晩、宿泊した旅館の夕食に、見慣れないものが出た。
 「これ何ですか」と配膳のスタッフに尋ねると、「オバケ(尾羽毛)です。クジラのしっぽの部分を薄くスライスしてゆでたもの」という答え。
 「今回、揚がったやつですか」と聞くと、「いいえ、道南では、お正月とかにクジラを食べる習慣があるんです」。江戸時代、松前藩が統治した時代から受け継がれてきた「食文化」なのだという。
 日本人は有史以前からクジラの肉を食べていた。しかし、それらは沿岸で捕れたもの。十九世紀末、捕鯨砲で銛(もり)を撃ち込む、効率のよいノルウェー式砲殺法が導入されると、近海の資源が減少し、北太平洋へと漁場が広がった。日本の捕鯨船団が南極海に進出したのは、一九三四年のことだった。
 しかし、そのころの遠洋捕鯨の目的は、食用ではなく、主に鯨油の採取。貴重な輸出品だった。
 太平洋戦争で途絶えた遠洋捕鯨を復活させたのは、連合国軍総司令部(GHQ)、すなわちマッカーサーだった。深刻な食料難に対処するため、タンパク源として目を付けた。食用としてのクジラが脚光を浴びたのは、実は戦後のことだったのだ。
 IWCを脱退してまで商業捕鯨を再開してはみたものの、六〇年代には年間二十万トンに上った鯨肉消費も、今では数千トン程度。肝心の消費は伸び悩む。牛肉や豚肉などが手軽に買える今となっては、ある意味当然のことではないか。
 一方、古式の沿岸捕鯨が栄えた三陸や安房(千葉)、紀州や西海(長崎)などにも、鯨食は「食文化」として根付いている。
 イルカ類やツチクジラなど近海の小型鯨類は、もともとIWCの規制対象外だった。IWCを脱退したことにより、そちらへの風当たりも強まることになるだろう。
 IWC脱退は、日本の食文化にとって、果たしてよいことだったのか。鯨食文化を守るためには、国際秩序への早期復帰を図るべきではないのだろうか。


年金財政検証/制度改革に踏み出さねば
 厚生労働省が公的年金の財政検証結果を発表した。5年に1度、人口や経済状況などが変化しても年金制度が持続するとの試算である。
 現役世代の手取り収入と比べた年金給付額の水準を示す「所得代替率」を、50%以上にするというのが政府の約束だ。5年前と同じく、今回の結果もこの水準を維持できるとした。
 だが標準的なケースでは、約30年後に年金の実質的な価値が現在の65歳と比べて約2割目減りする。制度を持続させるため、賃金や物価の伸びより給付額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」の影響だ。
 しかも経済が成長し、高齢者や女性の就労が進むとの前提条件が付いている。ゼロ成長で試算すれば、代替率は5割を割り込む。これでは、国民が老後の暮らしに安心感を抱けるとは言いがたい。
 幸い、年金財政に直ちに赤信号がともる状況までには至っていない。政府は今のうちに腰を据え、制度全体の改革に取り組まねばならない。
 年金財政を立て直す方策の一つは、担い手を増やすことだ。厚生年金の適用対象者を拡大した場合の試算では、給付水準が上昇した。
 国民年金も含めた年金財政全体の底上げにつながり、検討に値する。ただ、新たな保険料負担が生じる中小企業などに配慮し、税制面の支援も組み合わせた制度設計が必要だろう。
 深刻なのは基礎年金(国民年金)部分の落ち込みだ。試算では給付水準が3割目減りする。
 自営業者や非正規労働者など国民年金だけに頼る人は増えており、現状でも、給付水準は厚生年金と大きな開きがある。将来的な目減りが追い打ちを掛け、低年金で生活に窮する高齢者が多くならないか懸念する。
 そもそも財政検証自体、モデルとしているのは厚生年金受給者と専業主婦の2人世帯だ。男性正社員中心で女性の働く場が限られた高度成長期の発想であり、時代に即していない。
 少子高齢化に加え、働き方の多様化や単身世帯の増加など、社会構造は大きく変化している。その点を踏まえて給付と負担のあり方を見直し、年金制度を再構築する必要がある。


年金財政検証 問題の先送り許されない
 公的年金の長期見通しを5年に1度試算する財政検証の結果を厚生労働省が公表した。現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合「所得代替率」は2047年度以降、50・8%で下げ止まるとの見通しが示された。
 政府が掲げる「代替率50%維持」は達成される見込みというが、経済が順調に成長することを前提にしており、額面通りには受け取れない。
 「50%」の水準は65歳の受け取り開始時点であり、年齢を重ねるにつれて目減りする。将来的な給付水準は大きく低下することになる。
 国民年金(基礎年金)は20歳以上60歳未満の全国民が加入する。会社員や公務員などはこれに上乗せする形で厚生年金に加入する。現役世代が支払った保険料を高齢者への年金給付に充てる仕組みだ。
 検証によると、経済成長と就業が進む標準的なケースでも、約30年後にモデル世帯の年金の実質的な価値は2割近く減る。基礎年金部分に限れば約3割低下するという。
 経済成長が滞って不況に陥った場合は、さらに給付水準は下がる。自営業や短時間労働者など国民年金だけを受給する人は、特に深刻な事態に直面する。
 国民年金は保険料を40年納めていても満額月約6万5千円だ。納付期間が短いと受給額は下がる。蓄えがなければ生活は成り立たないだろう。
 少子高齢化によって、保険料を支払う現役世代は減り、年金を受け取る高齢者は増えている。若い世代ほど老後の生活は厳しくなる。
 試算では、現在20歳の世代が老後に現在と同じ水準の年金を受け取るには66歳9カ月まで働いて保険料を納め続けなければならない。
 年金の目減りを抑えるには、厚生年金の適用対象を拡大するなど、実効性のある対策を講じる必要がある。
 今や働く人の4割が非正規労働者だ。専業主婦のパート層や若年・中年層の非正規労働者が厚生年金に加入すれば、給付水準の改善が見込まれる。保険料は労使折半で負担するため、企業側の理解が不可欠であろう。非正規労働者を正社員化する取り組みも極めて重要だ。
 支払う人が減る一方で受け取る人が増え続ける以上、年金財政の悪化は避けられない。これ以上、現在の付けを将来の世代に先送りすることは許されない。世代間の不公平を是正するための改革が求められる。
 気になるのは政府の及び腰の姿勢だ。「財政検証」は5年前、6月に公表されていたが、今回は8月下旬までずれ込んだ。参院選で攻撃材料にされることを嫌ったからだと考えられる。
 「試算に時間を要した」という根本匠厚労相の釈明が本当なら、驚くべき怠慢である。国民生活に密接に関わる課題だけに、政府の勝手な都合で公表を遅らせることがあってはならない。


年金財政検証 多様化映すモデル示せ
 年金制度の将来に厳しい現実があらためて示されたと言えよう。厚生労働省が、公的年金の長期見通しに関する財政検証の結果を公表した。
 5年に1度の試算によると、約30年後に65歳のモデル世帯が受け取る年金の実質的価値は現在と比べ2割近く目減りする。
 日本の年金制度は、現役世代が納める保険料を今の高齢者の年金給付に回す「仕送り方式」だ。人口減少や高齢化で支え手が少なくなる分、一定の目減りはやむを得ない面もある。
 とはいえ、老後をしっかり支えることができなければ「100年安心」とは言えまい。支え手である現役世代も納得できる制度でなければならない。
 今回の検証で、厚労省は経済成長によって計6通りの試算を示した。半分の3通りは経済成長が進む前提だ。現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合「所得代替率」が50%を超すとした。政府が掲げる数値目標を達成する形となる。
 残る3通りは低成長やマイナス成長を想定し、代替率は50%を割り込む。こちらの方が現実味があると考える専門家も少なくない。最悪のケースでは、約30年後に国民年金の積立金が底を突く。まともな額を受け取れるはずがない。
 そんな事態を避けるための改善策も示された。会社員らが加入する厚生年金の対象拡大や、受給開始年齢の引き上げだ。
 特に厚生年金の拡大は、働く人の4割を占める非正規労働者の無年金・低年金対策にもなる。非正規は、40歳前後の「就職氷河期」世代に多い。老後の貧困リスクを減らし、かつ年金制度の支え手を増やす意味でもメリットは大きい。障害者や女性も含め、働く人の裾野を広げる施策も不可欠だ。
 ただし、もともと少ない手取りから保険料が天引きされる。保険料は労使折半であるため、雇用主の負担も増す。公的年金の意義が理解されなければ、絵に描いた餅に終わりかねない。
 理解を広げるためにも、財政検証のモデル世帯の設定を見直してはどうか。
 現行のモデルは、40年間サラリーマンだった夫と専業主婦の2人世帯である。政府が最低保障と考える「50%」の達成度をみるなら、単身者や共働きなど多様化した世帯もモデルにしたい。より納得できる検証を示すことで危機感も共有できよう。
 また、改善策で示された受給開始年齢の引き上げは75歳までを想定している。介護を受けず日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」は男性72歳、女性74歳である。健康寿命が延びてこそ実現できる。
 老後資金2千万円問題で、年金生活への不安は高まっている。目減りが避けられない年金制度をいくら検証しても、十分な安心感は得られそうにない。
 「ベーシックインカム」という福祉の新しい考え方も注目されている。政府が最低限の生活費を全国民に一律で配る制度だ。そんな社会保障全体のシミュレーションをもっと積み重ねていく必要がある。
 今回の財政検証は公表が大幅に遅れた。5年前は6月だったが、先の参院選への影響を避けたい官邸や与党の意向で延期したと批判された。政治状況に左右されないためにも、公表時期は固定すべきである。


年金の財政検証 将来見据え議論加速を
 厚生労働省は、公的年金制度の長期見通しを5年に1度試算する財政検証の結果を公表した。将来の人口や就業率、経済情勢を前提に制度の健全性をチェックした。
 約30年後に65歳を迎えた平均的な世帯の年金は、現在65歳の世帯の年金に比べ実質的に2割目減りするとの内容だ。果たしてその生活に耐えられるのか。現状でも低年金に苦しんでいる高齢者は多い。それがさらに下がっていくのである。暮らしは相当困窮するだろう。政府は国民一人一人の生活が立ちゆかない事態に至らないよう、あらゆる対策を講じる必要がある。
 政府はこの検証を踏まえ、制度自体は持続可能であることを強調している。持続可能性の目安となる「所得代替率」が、基準の50%をクリアしているためだ。所得代替率は、年金額が現役世代の手取り収入と比べてどれぐらいかを示す割合だ。現在65歳の世帯では61・7%となっており、今後下降し続けるものの、50・8%で下げ止まる。
 だが基準ぎりぎりであり、安定した状態とは言えない。しかも実質経済成長率が0・4%で推移することが前提となっている。不況で成長率が低迷すれば、年金の給付水準はその分下がる。楽観視は禁物である。経済の現状と先行きを冷静に見極め、悪化した場合についても十分検討しなければならない。
 国民年金と厚生年金を柱とする公的年金は、現在働いている現役世代が支払った保険料を高齢者への年金給付に充てる仕組みだ。少子高齢化がさらに進んで現役世代が減り、年金を受け取る高齢者が増えるのだから、やりくりが容易ではないことは明らかだ。だからこそ現行の年金制度を続けていて大丈夫なのか、修正点はないのかなどを真剣に考える必要がある。
 その点で、政府の今回の対応には疑問符が付く。財政検証の公表時期は前回の2014年が6月だったのに比べ、大幅に遅れた。金融庁の審議会が「老後に夫婦で2千万円蓄えが必要」とした報告書を公表したのを機に年金に対する不安が高まったため、参院選への影響を懸念した政府が先送りしたとみられる。選挙前に公表し、年金の在り方を巡る与野党による論戦の土台とするべきだった。
 財政検証では、厚生年金の適用を拡大することも案として示された。国民年金の額が低いことを踏まえて、現在は正社員や大企業に勤めるパート労働者らにしか加入義務がない厚生年金の要件を緩和して中小企業のパートなどにも拡大し、給付水準の改善を図る。厚生年金は労使折半のため、負担が増える企業側の反発は免れないだろうが、低年金対策は急務である。
 年金制度を維持するには、ある程度の負担増は避けられないだろう。ただ、そのためには国民の理解が大前提となる。財政検証をたたき台に、将来を見据えた議論を加速させたい。


年金見通し 悲観せず楽観はできず
 ようやくと言うべきか、公表時期を巡り、与野党の攻防が繰り広げられた「年金財政検証」の結果が出た。5年に1度の検証は、公的年金の健康診断に当たる。
 年金への関心は高いが、制度の仕組みを理解し、自分がいくらもらえるか知る人は少ない。分かりにくさが年金不信につながるだけに、定期診断の意義は大きい。
 検証では、経済成長が進む標準的なケースで、30年後の年金水準は2割減る。一方、制度そのものは持続できるとの結果になった。
 年金をもらう高齢者が増える半面、保険料を払う若い世代は減る。その中で制度を持続させるポイントを、政府は「所得代替率」に置く。現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合を指す。
 今は60%を超す所得代替率が将来下がるのはやむを得ないとしても、半分の50%を維持できるか。それが検証の大きな焦点になった。
 標準的なケースでは30年後、代替率は50・8%に下がるものの、その後は固定される。平均的な賃金の夫と専業主婦世帯の場合、65歳の時に月24万円もらえる。
 経済成長が進めば50%を確保できる。そう示した政府は「安心」を唱えたいところだろう。確かに今の仕組みでは制度の崩壊は考えにくく、過度な悲観は禁物だ。
 一方で「現役世代の半分」への受け止め方は、人それぞれに違いない。試算では30年後、物価や賃金が上がることで、現役世代の平均手取りが今より12万円高い47万円になるとしている。
 ここまで現役世代の給料が上がるのは現実的だろうか。経済成長に関する政府の見通しは常に甘いが、年金も決して楽観はできない。
 低成長を見込むケースだと所得代替率は50%を切る。いずれにしても、もらえる年金は「現役世代の半分」またはそれ以下との厳しい現実を踏まえる必要があろう。
 特に深刻なのは基礎年金(国民年金)だけの人だ。今でも受け取る額は月5万円前後だが、さらに3割減る。低年金・老後の貧困対策は一段と重要になる。
 検証では、厚生年金に入る人を広げれば、年金水準も上がるとの試算が示された。非正規で働く人も、老後の暮らしが多少は楽になる。
 やがては働く人全てが厚生年金に加入する形が望ましい。ただ保険料の半分を払う企業、とりわけ中小企業への影響が懸念される。税制などでの支援が不可欠だ。
 今回の公表は5年前の前回より3カ月遅れた。7月の参院選前に出し、論点とすべきではなかったか。与党への配慮で選挙後にしたとすれば、言語道断と言うほかはない。


年金財政検証 厳しさ直視して改革を
 約30年後、年金の給付水準は今より2割近く目減りする―。厚生労働省が公的年金の財政検証で示した将来の見通しである。
 結果を踏まえ、政府は制度の安定化などを議論し、関連法改正案をまとめる。少子高齢化の厳しい現実を直視し、改革を進める必要がある。
 財政検証は5年に1度、おおむね100年間の公的年金財政の健全性をチェックするものだ。経済成長のパターンに応じて将来の給付水準の見通しを示す。現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合(所得代替率)について政府は50%維持を掲げる。
 今回は6通りの試算を示している。このうち上から3番目、実質成長率0・4%の場合、厚生年金に40年間入る平均的な賃金の夫と専業主婦の妻のモデル世帯で65歳時点の代替率は現在の61・7%から次第に下がり、2047年度以降は50・8%で固定される。
 経済成長が見込めれば制度は持続可能と示した形だ。5年前の前回と同様の結果である。
 これで良しとはできない。経済状況次第で事情は変わる。成長率0〜0・2%の場合、40%台半ばになる。マイナス0・5%なら52年度に基礎年金(国民年金)の積立金が枯渇し、30%台後半に落ち込む。若い世代ほど低水準になる格差も見過ごせない。
 さらに深刻なのは低年金で暮らす人たちだ。自営業者や非正規労働者らが入る国民年金の水準は約3割低下する。現在、保険料を40年間納めた場合でも満額月約6万5千円にとどまる。国民年金だけを受給する人は生活が成り立たなくなる恐れがある。
 今回の財政検証で厚労省は、制度改正した場合の影響を見る「オプション試算」も示した。▽会社員らが入る厚生年金の適用対象を拡大▽受給開始の選択幅を75歳まで拡大―といったものだ。
 安心につながる制度の維持には支え手を増やすなど負担の分かち合いが避けて通れない。試算では例えば、厚生年金の加入者を増やすことで給付水準は上昇した。保険料は労使折半のため企業側の反発も見込まれる。だからといって先送りしてはならない。
 政府に対する信頼が前提になることも指摘しておきたい。
 検証結果の公表は前回の6月上旬より大幅に遅れた。試算に時間がかかったと釈明するものの、年金不安が高まる中で夏の参院選への影響を嫌ったのではないか。政府の振る舞いが国民の不信を招くようでは改革はおぼつかない。


年金財政検証 老後の不安募るばかりだ
 公的年金だけでは生活は成り立たない―。厚生労働省が公表した年金の財政検証でそんな実態が裏付けられる結果となった。
 現役世代の平均手取り収入に対する給付水準(所得代替率)は政府の言う通り、標準的なケースで将来も50%を維持できる見通しという。だが、この水準は65歳の受け取り開始時点のものであり、年を経るほどに目減りし、最終的には40%程度にまで下がる。
 例えば、65歳の人は2019年度の受給開始時は61・7%だが、70歳時は58・5%、80歳時に50%を割り込み49・1%、90歳で41・7%と大きく落ち込む。40歳、30歳の人は受給開始時に50%を少し上回る率でスタート。85歳時で40%のレベルにまで下がる。
 これは現役世代の減少や平均余命の伸びを踏まえて、年金額を物価や賃金の伸びよりも低く抑える「マクロ経済スライド」が47年度まで続くとの前提による試算だ。金融庁の審議会が示した「老後に必要な資金2千万円」が議論を呼んだ際、安倍晋三首相はこの仕組みを強調し、年金制度の「安心」を訴えた。
 制度自体の永続性は確保される一方、所得代替率が40%程度にまで下がれば、老後の暮らしは一層厳しいものになる。不足額は2千万円どころか、それ以上になる可能性があり、目減りする年金に加え自助努力による老後の生活設計は避けて通れない。
 約30年で受給開始時の額が2割近く目減りする厚生年金以上に厳しいのが、約3割も低下する国民年金だ。国民年金は保険料を40年間納めた場合でも現状、月額約6万5千円にとどまる。納付期間が短ければ受給額は少なくなる。将来的な目減りが追い打ちとなり、蓄えの少ない人は困窮に陥る恐れがある。
 前回14年の財政検証後、パート労働者の厚生年金加入拡大、女性や高齢者の労働参加促進により年金保険料を納めてくれる人は予想より200万人以上増えた。厚労省は今回、厚生年金加入者をさらに増やした場合などの試算も行っており、「年金水準確保に効果が大きい」との見解を示している。さらに、拡大や促進を図るべきである。
 雇用が不安定で収入が低い非正規労働者は今や、働く人の約4割に達している。こうした人たちの厚生年金加入も推進する必要がある。ただ、保険料は企業が半分負担することになるため、中小企業などへの配慮は欠かせない。
 前回の財政検証は6月に公表されたが、今回は2カ月余り遅れた。与党の参院選対策との指摘もある。臨時国会では財政検証の中身や、国民不安を払しょくするための対策など多岐にわたる熟議を求めたい。


年金財政検証/少子高齢化の現実直視を
 厚生労働省が、公的年金の「健康診断」に当たる財政検証を公表した。標準ケースの年金水準は約30年で2割ほど目減りするとの結果だ。世界でも少子高齢化の先頭を走る日本では、厳しいがやむを得ない流れだろう。
 金融庁の審議会が示した「老後必要な資金2千万円」が議論を呼んだが、目減りする年金と、自助努力の「2本柱」での老後生活設計が避けて通れない。
 自営業者らが加入する国民年金は給付が少なく、これのみに頼る高齢者など自助努力に限界がある弱者の保護は当然必要だ。今回の検証を、現実を見つめる機会としたい。
 日本の公的年金は、現役世代が納める保険料を今の高齢者の年金給付に回す「仕送り方式」だ。このため支える側と支えられる側の人口比率や経済状況を受けた賃金水準の変化が、年金の財政、給付に大きく影響する。
 これを前提に5年に1度行われるのが財政検証だ。将来の若者と高齢者の人口比率の変化、女性や高齢者の労働参加具合、経済成長の見通しなどを踏まえ、約100年間の公的年金の財政状況や給付水準がどうなるかを試算する。
 その際に指標となる「所得代替率」は、現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合だ。今回の財政検証の結果は、モデル世帯の現在の所得代替率61.7%が標準的ケースで2047年度に50.8%に下がるが、それ以降は固定されるという内容だ。前回14年検証では、当時の62.7%が43年度に50.6%になるとの結果だった。あまり変化はないが、わずかに改善したとも言える。
 出生率推計が少し上向くことや、年金積立金の運用利回りが予想より良かったことも寄与したようだ。だが厚労省が重視するのは別の点だ。一つは「マクロ経済スライド」を2度実施して足元の年金給付を抑制した効果。これは少子高齢化が進んでも年金財政を維持できるよう、物価と賃金が上昇した場合に給付の伸びを抑える仕組みだ。
 もう一つはパート労働者の厚生年金加入拡大、女性や高齢者の労働参加促進で年金保険料を納める人が予想より200万人以上増えたこと。前回の健康診断後の「治療」で効果が出てきたといえる。
 厚労省は今回、通常の財政検証に加え、条件を緩め厚生年金加入者をさらに増やした場合、保険料納付期間の延長や希望に応じた受給開始年齢引き上げをした場合などについて「オプション試算」も公表。いずれも「年金水準確保に効果が大きい」との見解を示した。
 多くの女性や高齢者にフルタイム、パートを問わず働いて保険料を納めてもらい、元気なうちは年金受給を待ってほしい−というのが厚労省が意図する改革の狙い。さらに公的年金の目減りを補うため個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」など私的年金の普及にも努めている。
 麻生太郎金融担当相は「老後資金2千万円」の報告書を「政府のスタンスと異なる」と受け取りを拒否した。だが、いかに火消しを図ろうと、政府が公的年金の目減りを前提に、自助努力を促す政策を今後も進めていくのは間違いないだろう。年金制度を未来に引き継ぐには、老いも若きも相応の痛みを分かち合う必要性を再認識したい。


【年金財政検証】不安解消する制度改革を
 公的年金制度の「定期健康診断」とも呼ばれる5年に1度の財政検証を厚生労働省が公表した。
 高齢化と人口減がやはり大きく影響している。厚生年金に40年間入る夫と専業主婦のモデル世帯の約30年後の年金の価値は、現在の65歳と比べて2割近く目減りするという。
 現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合は所得代替率で示される。2004年の年金改革で政府は将来にわたり「代替率50%」を維持するとしていた。
 検証では現在の61・7%から50・8%に下がってしまった。数字上は今回の検証でも50%ラインを維持したものの、モデルケースは実質成長率が0・4%と比較的高く推移し、労働参加も順調に進んだ場合だ。
 不況になったり、労働参加が進まなかったりしたケースでは30〜40%台に代替率は落ちてしまう。
 金融庁の審議会が、95歳まで夫婦で生活するには年金だけでは老後資金が足らず2千万円必要との報告書をまとめ、大きな問題になった。
 年金と恩給だけが収入という65歳以上の世帯は多い。「50%維持」といっても、このままでは将来に大きな不安を抱える世帯が多いだろう。
 特に心配なのは、公的年金の土台部分に当たる基礎年金(国民年金)の目減りだ。今回のモデルケースでも約3割低下する。
 国民年金には自営業者や非正規労働者らが入り、この年金だけに加入している人も少なくない。現状でも保険料を40年間納めた場合、満額月約6万5千円だ。納付期間が短ければ受給額は当然減る。3割の目減りはそうした人の暮らしを破綻させる恐れがあり、何としても防がねばならない。
 今回の検証を受けて厚労省はいくつかの改革案を示した。その一つが厚生年金の適用対象の拡大だ。正社員や大企業のパート労働者らにしか現在は加入義務がないが、その緩和を模索する。
 中小企業のパート労働者など非正規労働者にも加入を広げれば保険料が増えて給付水準は改善するという。国民年金だけの時より、新たな加入者の年金も増える。
 ただし、厚生年金の保険料は労使折半で負担が増す中小企業などからは異論が出るかもしれない。だが、非正規労働者は働く人の4割を占める。早急に見通しを付けるべきだ。
 国民年金の支払期間を現在の40年から45年に延ばす案もある。給付水準は改善されるが、国の財源確保などに課題がありそうだ。
 不可解だったのは財政検証の公表時期だ。過去2回はもっと早い時期だった。7月の参院選で問題になることを恐れた官邸や与党に配慮したとの臆測が飛び交った。恣意(しい)的ではなかったとしても、そう疑われた検証の在り方を反省すべきだ。
 年金は負担と給付のバランスが問われ続ける。定期健診を受け、制度をどう改革するのか。国民の不安を解消できないと、信頼度はさらに下がってしまう。


[年金財政検証] 低額受給者の対策急げ
 厚生労働省は、公的年金の5年に1度の「健康診断」にあたる財政検証を公表した。経済成長すれば、現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合である所得代替率50%を維持、将来にわたって制度は持続可能であると示している。
 しかし標準的なケースで、約30年後の年金の実質的な価値は現在の65歳と比べ2割近く目減りする。基礎年金(国民年金)部分に限ると約3割の低下である。
 年金給付水準の現実を見つめる機会として今回の検証を次の制度改正に生かし、とりわけ現行のままでは低年金での暮らしが懸念される人たちへの対策を急ぎたい。
 日本の公的年金は現役世代が納める保険料を高齢者の年金給付に回す「仕送り方式」だ。支える側と支えられる側の人口比率や賃金水準の変化が年金財政、給付に影響する。これを前提に行われるのが財政検証である。
 公的年金の国民年金と厚生年金は、老後生活を支える柱と位置付けられる。しかし、少子高齢化の進行により、保険料を支払う現役世代が減少する一方、年金を受け取る高齢者は増加してバランスが大きく変わりつつある。
 政府は年金制度を維持するため「マクロ経済スライド」で賃金や物価の伸びより年金給付を低く抑えている。このため、給付水準は目減りしていくことになる。
 年金財政の健全性を保つことは制度の根幹だが、給付水準の低下は特に低収入の国民の暮らしを直撃する。自営業者や非正規労働者らが入る国民年金は現状、保険料を40年間納めた場合でも満額月約6万5000円にとどまる。
 雇用が不安定で収入が低い傾向の非正規労働者は今や働く人の約4割を占める。納付期間が短いと受給額はさらに低く、蓄えの少ない人たちの生活が将来、立ちゆかなくなる恐れがある。
 厚労省は今回、条件を緩めて厚生年金加入者をさらに増やした場合や希望に応じた受給開始年齢引き上げをした場合などについての試算も公表、「効果が大きい」との見解も示した。
 多くの女性や高齢者に働いて保険料を納めてもらって「支え手」を増やし、元気なうちは年金受給を待ってほしい−というのが政府が意図する改革の狙いとみられる。
 だが、厚生年金の保険料は労使折半で、適用拡大すれば負担が増す企業には簡単にのめない話だろう。自身の健康状態や家族の介護環境によっては長く働けない人も多い。
 財政検証の公表が参院選後にずれ込んだことは、疑念を招いた。年金財政の厳しさは多くの国民が感じている。来年の通常国会で論議される制度改革に向けては、「自助」も含めて透明性を第一に進めるべきである。


[共通テストの英語]受験生の不安解消せよ
 受験生の不安は高まるばかりではないだろうか。
 現在の高校2年生から始まる大学入学共通テストに導入される英語の民間試験について、全国の国公私立大の3割が活用するかどうか決めていないことが文部科学省の調査でわかった。
 民間試験まで7カ月となる中であまりにも遅すぎる。
 琉球大は医学科が出願資格として活用し、それ以外の学科は共通テストの成績に加点する方針だ。
 受験生は来年4〜12月に「英検」や「GTEC」など6団体7種類の民間試験から最大2回受験する。その結果を大学入試センターを経由し出願先に提供する仕組みだ。
 文科省は「大学入試英語ポータルサイト」を開設。民間試験の実施方法などが掲載されているが、日程や試験会場の詳細が示されていないなどの遅れが目立つ。
 全国高等学校長協会は今年7月「まったく先が見通せないほどの混乱状況になっている」として、文科省に不安解消を求める異例の要望書を提出した。(1)希望する時期や場所で試験を受けられる見通しが立っていない(2)地域・経済格差への対応が不十分(3)試験の詳細が明確でなく、指導計画が立てられない(4)公平、公正に対する不信が解消されていない−など多岐にわたる。
 調査とサイト開設はこうした声を踏まえたものだが、民間試験の情報がすべて確定しているわけではなく、受験生は選択することができない。
 試験申し込みは早くて今年9月から始まることを考えると、学校長協会の不安は何も解消されていないのである。
    ■    ■
 英語の民間試験は、従来の「読む・聞く」に、「話す・書く」を加えた「4技能」を評価するものだ。
 だが、7種類の民間試験はそれぞれ目的が違う。日常生活から仕事まで幅広く使える英語力を判断したり、留学希望者向けだったりするなど出題形式や出題傾向が異なる。
 文科省は各試験の成績が語学力の国際標準規格「CEFR(セファール)」の6段階評価のどれに当たるかを示した対照表で確認するというが、目的の違う7種類の成績を横並びで比較することができるのだろうか。
 英語が専門の大学教授らは民間試験の利用中止を訴え、約8千人分の署名を国会と文科省に提出。羽藤由美京都工芸繊維大教授はCEFRについて「異なる試験を比較できるという科学的、学術的根拠はない」と批判した。
    ■    ■
 学校長協会が懸念するように、1回の受験料も試験によって約4倍の開きがある。会場が大都市にしかなく沖縄では受験できない試験もある。経済的に苦しい家庭や離島など交通の便が悪い地域の受験生が不利益を受けかねない。
 問題作成から試験、採点まで民間事業者に委ねるため、アルバイトが採点に当たることが想定され、情報漏えいへの危惧も残る。
 学校長協会の会合では「不安が解消できなければ、体制が整うまでは実施を見送るべきだ」との声も多く出たという。文科省は受験生の不安解消に全力を挙げるべきだ。


英語民間試験  受験生を困らせぬよう
 来年4月の開始まで7カ月と迫っているのに、受験生の不安は高まるばかりだ。
 大学入学共通テストに導入される英語民間検定試験の利用を巡り、全ての学部や選抜区分で「未定」とした四年制大学が204校に上った。
 英語民間試験の関連情報を集約するサイトの開設に向けた文部科学省の調査で分かった。未回答も22校あり、利用の有無が明らかになっていないのは全体の3割を占めている。
 そもそもサイトは、情報が足りないと訴える高校現場の声に応えて開設された。全国高等学校長協会が異例の要望書を提出したことがきっかけで、各大学の取り組みなどを一覧できるようにした。
 その結果、大学側も試験実施団体も十分な準備ができていない現状が浮き彫りになった。
 一部試験の申し込み開始は9月に迫っている。「来年4月に始められるとはとても思えない」「不安が払拭(ふっしょく)されるまで実施を見送るべき」との声が現場から出ているのはもっともだ。
 「受験生や先生方に不安が生じないよう、このタイミングで公表させていただいた」と柴山昌彦文科相は述べたが、混乱する現場の認識とかけ離れていないか。
 制度設計をした文科省は責任を持って事態の打開に取り組むべきだ。
 英語民間試験の導入は、大学入試センター試験に代わる新テストの柱として2年前に公表された。当初から、受験機会や評価の公平性などに懸念が示されてきた。
 今のマークシート式では語学力の「読む・聞く・話す・書く」の4技能のうち「話す・書く」は測れない。そうした改革の意義は理解できるとしても、なぜ民間試験となるのか、根本的な理由はなお分かりにくい。
 制度の細部が具体化するたびに課題が生じ、有効な対策のないまま進んできた印象がある。
 東京大が合否判定に英語民間試験を使わないと表明。さらに対象試験の一つ「TOEIC」の運営団体が参加を取り下げた。
 「情報が出そろっていない中では決断できない」―。現時点で利用は「未定」とする大学側の事情も一定理解できよう。
 文科省は、マーク式との併存期間を経て2024年度から民間試験に全面移行するとしているが、再検討が必要ではないか。
 「見切り発車」で受験生を困らせてはならない。残された時間はないことを理解するべきだ。


日米貿易交渉 譲歩強いられた大枠合意
 安倍晋三首相とトランプ米大統領が会談し、日米貿易協定に向けた交渉で大枠合意したと発表した。今後、詳細を詰め、9月末の首脳会談で署名を目指すという。
 安倍首相は「両国の経済にとって大きなプラス」と成果を強調するが、詳細な合意内容は明らかになっていない。判明分を見る限り、トランプ氏の強硬姿勢を前に、日本側が譲歩を強いられた印象が拭えない。
 そもそもオバマ政権時代に合意した環太平洋連携協定(TPP)では、日本が一定の農産物関税を撤廃する代わりに、米国は輸入車関税の25年後の撤廃などを決めていた。しかし、トランプ政権がTPP脱退を決め、日本に2国間での交渉を迫り、昨年9月に新たな貿易協定に向けた交渉入りが決まった。
 農産物では牛肉、豚肉、乳製品、小麦、ワインなどが関税引き下げの対象になった。TPPの水準が上限となる見込みだが、政府は詳細な合意内容を明らかにしておらず、具体的な数値などは不明だ。
 一方、日本が要求していた自動車の関税撤廃は見送られ、TPPの水準からは大きく後退する。米国向けのほかの工業製品の多くで関税が撤廃、削減されるとしているが、具体的な品目の公表は9月末になるという。
 日本車についてトランプ氏は過去に関税の撤廃どころか、追加関税や数量規制までちらつかせ、日本の自動車業界には危機感が広がっていた。日本政府も追加関税などの回避を優先し、関税撤廃については最終局面で要求を取り下げたとみられる。
 貿易協定とは別枠で、日本は米国産トウモロコシの購入も表明した。米中の貿易摩擦で対中輸出が減っており、日本が飼料用の約250万トンを民間企業を通じて買い入れる。備蓄する際の費用などを政府が支援するという。
 来年の再選を最重視するトランプ氏が交渉成果をアピールできるよう協力することで、日本政府としては自動車分野での圧力を回避したい思惑があったのだろう。
 懸念されるのは、これだけ日本が譲歩してもトランプ氏が日本車への追加関税や数量規制の発動をしないと確約していないことである。大枠合意を発表した翌日も、トランプ氏は「私が望めば今後できる」と述べ、将来的な発動は可能とする認識を示した。
 米国の対応方針がはっきりしない部分については、最終合意に至るまでの今後の交渉で慎重に詰める必要があろう。予測不能といわれるトランプ氏だけに楽観は許されない。これ以上、日本が不利益を被る事態を避けるよう政府には求めたい。
 輸入品の増加で影響を受ける農家などの生産者からは、早期の情報公開を求める声が上がっている。国内の不安を払拭(ふっしょく)するため、政府はできるだけ早く、合意内容について丁寧に説明するべきだ。


ヤジで排除…警察強権化の背後に“安倍政権のヒムラー”の影
「(演説会場で)大声を出すことは権利として保障されているとは言えないのではないか」。埼玉県知事選で応援演説中の柴山文科相に対し、ヤジを飛ばした慶大生が県警に取り押さえられた問題。柴山文科相は27日の会見で、警察対応に問題はなかった――との見方を示したが、とんでもない。ちょっと大声を出しただけで警察権力が一般市民をふん縛るなんて、戦前・戦中の特高警察さながらの世の中に逆戻りだ。
  ◇  ◇  ◇
 問題は、同様の“事件”が最近、全国各地で頻繁に起きていることだ。参院選でも、北海道札幌市や滋賀県大津市で、それぞれ応援演説中の安倍首相にヤジを飛ばした市民らが警官に排除された。
「最近の警察組織が強権的になったといわれている背景に、1月に警察庁警備局長に就いた大石吉彦氏の存在がささやかれています。大石さんは第2次安倍政権の発足と同時に警備課長から首相秘書官となり、安倍首相と食事やゴルフを重ねてきた。森友問題では、2015年9月に安倍首相が国会途中に大阪に出張した“謎の行動”が注目されましたが、この時、同行していたのが大石さんで、佐川元国税庁長官が国会答弁した時も背後にピタリとへばりついて答弁をチェックしていた」(司法ジャーナリスト)
 警備、公安、外事を担当する警備局は警察組織でもエリートコース。任務は海外の諜報機関への防諜や破防法に指定されている団体の監視、カルト集団の動向調査など多岐にわたるが、近年は沖縄の米軍普天間基地の名護市辺野古移設の反対住民を弾圧するなど、過剰な警備行動が問題化。
 岐阜県大垣市の風力発電所建設をめぐっては、県警大垣署の警備課長らが電力会社の子会社に反対住民の個人情報を漏らす事件も発生している。つまり、警察の警備畑といえば、これまでも治安維持や諜報活動の名のもとに“暴走”する傾向にあったが、それが大石警備局長体制後は大っぴらになってきたと言っていい。
「1月の警備局長交代をめぐっては、大石さんよりも採用年次が上で、『警備警察のエース』と呼ばれた関東圏の県警本部長が本命視されていたのですが、現場経験の乏しい大石さんが、安倍政権の覚えめでたく局長になりました。これに恩義を感じたかどうかは分かりませんが、大石さんは警備課を警備運用部へ格上げして体制を増員。国民の思想信条の自由や表現の自由、集会の自由などを“取り締まる”姿勢を強化したのです」(前出の司法ジャーナリスト)
 まるで狂気のヒトラー政権を支えたナチス・ドイツの“親衛隊”さながら。安倍政権には「官邸のアイヒマン」と呼ばれる警察庁出身の北村滋内閣情報官や、「宣伝相ゲッベルス」と呼ばれる菅官房長官がいるが、大石局長はゲシュタポ(秘密国家警察)長官のヒムラーといったところだろう。警察の全権を握り、忠実にユダヤ人への迫害を実行していった冷酷非情な男だ。
 安倍首相の取り巻きにはホント、ロクな連中がいない。


口利き疑惑で辞任も“雲隠れ”上野政務官に詐欺未遂の可能性
 外国人労働者の在留資格をめぐって、法務省への「口利き」疑惑が浮上し、28日、厚労政務官を辞任した上野宏史衆院議員。問題が発覚してもロクに説明しないで逃げ回り、次は「体調不良」を理由に雲隠れ。
 そして、いよいよ逃げ切れないと分かったら要職を辞任してチョンだ。
 公選法違反の疑いで経産相を辞任した小渕優子衆院議員、UR(独立行政法人都市再生機構)をめぐる口利きワイロ事件で経産相を辞めた甘利明衆院議員など、自民党はいつもこのパターンで「疑惑隠し」しているが、今回こそ逃げ得は許されないだろう。
 週刊文春によると、上野氏は6月、都内の人材派遣会社が在留資格を申請していた外国人について早期に認定が下りるように法務省に求め、1人当たり2万円の報酬を会社から得ることを画策していたという。疑惑が報じられると、上野氏は厚労政務官でありながら役所に姿を見せず、沈黙を貫いていたが、文春が9月5日号で音声テープに続き秘書が残していたメモの存在を報じた途端、逃げ切れないと思ったのだろう。「誤解を招きかねない」などと言って根本厚労相に辞表を提出した。
 上野氏は27日に公表された年金の「財政検証」の担当だ。それなのにナ〜ンも仕事せずに行方をくらましていたなんて冗談じゃない。根本厚労相は「しかるべく対応する」なんてのんきなことを言っていたが、すぐに上野氏を引っ張り出してメディアの前で説明させることが「しかるべき対応」だろう。このままノラリクラリはぐらかし、結局、問題ナシとか結論付けるのだろうが、国民を愚弄するにもホドがある。
 上野氏の行為はあっせん利得処罰法違反との指摘もあるが、逮捕することはできないのか。元特捜検事で弁護士の郷原信郎氏がこう言う。
「甘利氏のケースでは、巨大な政治的影響力を背景に口利きをしたことが明らかで、あっせん利得処罰法違反の可能性が高いと言える。しかし、上野氏に甘利氏ほどの影響力があるかというと疑問です。むしろ、自らに影響力があるかのように見せかけ、人材派遣会社からカネを受け取ろうとしたのなら、詐欺未遂の可能性がある。倫理上の問題も大きく、議員辞職が妥当でしょう」
 仮に上野氏がN国党入りなんて事態になったら、もはやマンガだ。


<アフリカ開発会議>最後の植民地・西サハラの代表団が来日(1)見えないこととされる55番目の国 岩崎有一
◆アフリカ開発会議(TICAD7)が横浜で開幕
8月28日、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が開幕した。1993年に日本が立ち上げたTICADは、アフリカ各国の首脳が勢ぞろいする国内最大規模のアフリカ関連行事だ。参加者は4500人を超えるとされており、会場となったパシフィコ横浜周辺はアフリカからの人々で溢れていた。TICAD開催中は、日本のメディアにもアフリカの記事が一気に溢れる。
どれだけ発表資料に目をこらしても、28日時点で、TICAD7の参加国数は記されていない。本会議場の座席に用意された国名の札を目視で数えてみたが、53を超えたところで断念した。着席するのも苦労するほどに、座席は密集している。人の出入りは絶えず、倒れた札もあり、数えきることができなかった。
初日の本会議場内。すれ違うのも困難なほどの配置だ。
現在、アフリカ連合の加盟国は55か国だ。いっぽう、日本でアフリカ諸国の国数が語られる際には、ほとんどの場合、54か国とされてきた。モロッコの植民地となっている西サハラが、日本では数えられることがない。
今回のTICADには、「初」参加国がある。西サハラの民サハラーウィが樹立したサハラ・アラブ民主共和国だ。同国のブラヒム・ガリ大統領が来日するのは初めてのことだが、本会議場でガリ大統領の初参加が語られることは一切なかった。
駆け足で、出展ブース周辺をめぐった。サハラ・アラブ民主共和国の国名は、どこにも見つけることはできなかった。西サハラという名称も、そうそう見られることはない。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のブースを訪ねた。壁面に掲げられた地図は、アフリカ北部がぼんやりと消されていた。
アフリカ北部のアルジェリアには、サハラーウィの難民キャンプがある。このキャンプでは、UNHCRによる支援が生命線となってきたが、この地図には、キャンプのある地域そのものが記されていない。なぜ北部だけ消されているのかを、案内員にたずねた。
「うーん、どうしてなんでしょう。ちょうどこの地図の作成にたずさわった者が不在でして…」とのことだった。
19時をまわり、すっかり人気がなくなってきた出展会場で、明日以降に開催されるTICADサイドイベントの告知が記されたチラシを手渡す人から、声をかけられた。
「今日は本会議からのお帰りですか? こちら(アフリカ)方面に詳しい方なのでしょうけれど、どちらに関心をお持ちの方なのですか?」
なにも隠す必要はない。「今回は、西サハラに関心があります」と答えると、「それはまた、ずいぶんとセンシティブなところを突かれますね」と言って、苦笑いをされた。
サハラ・アラブ民主共和国の名も、西サハラの名称も、TICADでは「センシティブ(繊細な事項)」とされている。日本はこの国を承認していない。
しかし、アフリカ連合はサハラ・アラブ民主共和国を正式な加盟国として迎え、ほかの独立国とまったく同様の敬意を払った処遇がとられている。
初めて来日し、初めて参加した西サハラの代表団がこの場にいるにもかかわらず、その名を語る人がいない。地図にも載せられていない。今たしかに目の前にいる代表団が、この会場では、見えないものとされてしまう。TICAD初日に、ガリ大統領の声がマイクを通して本会議場に届くことはなかった。
アフリカ最後の植民地である西サハラから初来日した、サハラ・アラブ民主共和国代表団を追った。44年もの長き月日を、周囲を砂漠に囲まれた難民キャンプで過ごしてきた西サハラの代表団が今、横浜にいる。


安倍政権が参院選後に先送りした年金「財政検証」の酷い中身!30年で年金制度破綻、支給開始年齢引き上げ誘導も
 ようやく厚労省が「財政検証」の結果を出してきたが、結果は「やっぱり」というものだった。
 おさらいしておくと、財政検証は少なくとも5年に1度、公的年金の健全性を点検するもの。前回は2014年6月3日に公表され、今年も同じ6月上旬に公表されると見られてきたが、安倍政権は「検証に時間がかかっている」と公表を参院選後に先送りしてきた。金融庁の「老後2000万円不足」報告書が明らかになって、国民から「早く年金の検証結果を明らかにしろ」と迫られても、頑として公表を拒んできた。そのため、「財政検証で悪い結果が出たら7月の参院選で自民党に不利になるから、わざと公表を遅らせている」と言われてきた。
 そして、実際に公表された結果をみると、その見立ては完全に裏付けられたかたちだ。
 参院選の選挙期間中、安倍政権は財政検証の公表が遅れている理由を「オプション試算を検証しているため」などと強弁してきたが、オプション試算は前回もおこなっているもので遅れる理由になっていなかった。その上、今回の財政検証では、前回は8段階にわたっておこなわれたシミュレーションが6段階に減少しているのだ。シミュレーションを2段階も省いたのに、前回より約3カ月も時間がかかっているのはどう考えてもおかしいのだ。
 それ以上に重要なのは、その中身だ。というのも、今回の財政検証の結果は、公的年金制度の破綻がより一層進んでいることをあきらかにする内容だったからだ。
 たとえば、根本匠厚労相は、「経済成長と労働参加が進む」という経済前提のケース1〜3を取り上げ、「所得代替率50%以上を確保できることが確認された。(年金制度は)おおむね100年、持続可能になる」と断言したが、このケース1〜3というのは、物価上昇率が2.0〜1.2%、実質賃金上昇率が1.6〜1.1%という、現在の状況とはかけ離れた“大甘”な試算によってはじき出されたものだ。それでも、このケース1〜3でさえ、所得代替率は現在の61.7%から、約30年後には50.8〜51.9%となり、モデル世帯の国民年金給付水準は約3割も減る計算だ。
 しかも、専門家からはケース1〜3は大甘のシミュレーションで、現実的ではないという指摘が相次いでいる。日本総研の西沢和彦主席研究員は〈過去30年の物価上昇率は平均0.5%で、近年は1%を切ることも多いなどと指摘〉した上で、「過去に照らせば、ケースキΔ現実的。 銑い蓮△△泙蠅乏擺囘だ」と述べている(朝日新聞28日付)。同様に、ファイナンシャルプランナーの小屋洋一氏も、28日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で“もっとも可能性が高いのは、経済成長率が0%のケース5”であると解説していた。
現実に近いケース5では39年後には所得代替率は44.5%、ケース6では公的年金制度破綻
 このケース5は経済と労働の成長が「一定程度進む」という前提のものだが、それでも24年後の2043年度には所得代替率が50%に。39年後の2058年度には所得代替率は44.5%となり、この場合、モデル世帯の“老後の年金不足分”は2000万円どころか3888万円にものぼる(28日放送『モーニングショー』より)。しかも念のため言っておくが、このモデル世帯というのは平均賃金で厚生年金に40年加入の夫と専業主婦の妻という想定であり、厚生年金に加入していない非正規労働者などの場合はこんなレベルではない、とてつもなく厳しい老後を強いられることになる。
 その上、現在の経済状況は、経済前提がもっとも最悪なケース6とダブる。たとえばケース6では、実質賃金上昇率が0.4%となっているが、2013〜2017年度の実績は平均マイナス0.6%(毎日新聞28日付)でケース1〜6のなかでもっとも近い。さらに、ケース6の全要素生産性(TFP)上昇率は0.3%だが、今年1〜3月期四半期別GDP速報でもTFP上昇率は同じ0.3%だ。
 そして、このケース6の場合、2052年には国民年金の積立金は枯渇する。つまり、いまのような経済状況だと「100年安心」どころか、公的年金制度は約30年程度で破綻するという結果が出ているのだ。
 こんな結果で「安心」などできるはずがなく、やはり安倍首相は参院選でこの結果を争点にしたくないために先送りにしたことは明々白々だろう。
 不都合な事実を隠し、しれっと参院選後に公表するとは、有権者を騙す行為にほかならない。しかし、安倍政権はこの隠蔽行為に悪びれるでもなく、めでたく参院選後の公表となったのをいいことに、結果を世論誘導に利用しはじめたのである。
 というのも、安倍首相が強調していた「オプション試算」では、会社員らが入る厚生年金の適用対象の拡大や「在職老齢年金制度」の廃止・縮小、受給開始の選択幅を75歳まで拡大したケースなどを提示。そして、試算結果として〈「保険料の拠出期間の延長」といった制度改正や「受給開始時期の繰下げ選択」が年金の給付水準を確保する上でプラスであることを確認〉と結論づけているのだ。
 75歳まで働き、年金受給開始も75歳まで伸ばすなどすれば、年金給付水準は確保できる──。端的に「死ぬまで働け」と言わんばかりだが、安倍政権がこうして国民に「年金制度を維持させるためには老体に鞭打ち、受給開始を我慢するのは当然」と浸透させようとしていることはあきらかだ。
安倍政権は反省なく財政検証を「支給開始年齢引き上げ」世論誘導に利用、小泉進次郎も協力
 実は、厚労省はもともと年金支給開始年齢の引き上げを狙っていた。「老後資金2000万円不足問題」の端緒となった金融審議会「市場ワーキング・グループ」では、4月12日会合において厚労省年金局企業年金・個人年金課の吉田一生課長が「高齢者の就労促進が重要な課題」「高齢期の就労期間の延伸を年金制度上も反映する」「より柔軟な受給のあり方について公的年金サイドで検討」などと発言。年金の支給開始年齢の引き上げを示唆していた。
 安倍首相も「人生百年時代の到来は大きなチャンス」などと宣い、5月には70歳まで働けるようにする「高年齢者雇用安定法改正案」の骨子を発表。昨年の総裁選討論会ででは「生涯現役であれば、70歳を超えても年金の受給開始年齢を選択可能にしていく仕組みをつくりたい。3年で断行していきたい」と宣言していた。
 そして、今回の財政検証で、選挙が終わったことをいいことに、悪化した結果を逆手にとって、「支給開始年齢の引き上げ」キャンペーンを開始した。
 今回の財政検証の結果が公表されるやいなや、“内閣改造の目玉”としてメディアが持ち上げている自民党の小泉進次郎・厚労部会長は「将来の給付水準は減るが、年金受給開始年齢の拡大など、増やせる改革の余地は大いにある。将来の給付水準を少しでも自分たちで上げることが可能になるような制度改革に、汗をかきたい」とアピール。御用メディアである読売新聞も、さっそく社説で〈年金の受給開始時期で選択の幅を広げることも検討課題だ。より多くの高齢者が長く働き、制度の支え手に回ることが期待できよう〉(28日付)とぶち上げている。
 今回の財政検証で厚労省は「前回より経済前提は控えめに設定」したと述べているが、これは良心などではなく、結局は安倍政権の方針である“年金「死ぬまで働け」改革”の必要性を強調するためだったのではないのかと勘ぐりたくもなる。しかも、何にせよ「100年安心」が大嘘であることはこれではっきりしたのだ。にもかかわらず、ワイドショーはあいかわらず嫌韓報道に熱をあげたままで、この国民全員にかかわる老後年金問題をほとんど取り上げていない。
 このままでは、安倍政権の「年金受給は75歳まで我慢しろ」「死ぬまで働け」「あとは自助努力でなんとかしろ」という恐ろしい政策を、国民が「仕方がないこと」と受け入れるのも時間の問題なのではないだろうか。


セブンの主張覆すファミマ実験の「爆弾」、深夜閉店でもオーナーは増益
ダイヤモンド編集部 岡田 悟:記者
深夜閉店を実施しても、オーナーの利益が必ずしも減るわけではない――。コンビニエンスストア業界2位のファミリーマートが深夜閉店の実験結果を公表し、業界を揺さぶっている。加盟店の約半数が時短営業を検討しているというアンケート結果もファミマは公表。「深夜閉店はオーナーの利益が減る」「時短営業を希望する加盟店は少数派」としてきた、業界王者セブンーイレブン・ジャパンの主張が覆されたことで、セブンの混乱に拍車をかけそうだ。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
減収でも減益になるとは限らないと結論
ファミマの半分の加盟店は「時短を検討」
 コンビニを深夜閉店すると、店舗の売り上げは減少傾向になるが、加盟店オーナーの利益は前年を上回ったケースもあった――。
 これは、コンビニエンスストア業界2位のファミリーマートが8月23日、都内で開いた加盟店オーナー向け説明会で明らかにした時短営業実験の結果である。
 ファミマが希望する加盟店を募り、時短営業の実験をしたのは6〜7月。毎日深夜に閉店する実験に参加したのは駅前、オフィス街、住宅地各1店、ロードサイド2店の計5店だった。
 まず、店舗の売り上げは総じて減少傾向だった。とりわけ、住宅地の店は、閉店時間を午後11時〜翌午前7時と他の実験店より長くしたこともあり、売り上げが大幅に減った。さらに本部から深夜営業の奨励金も支払われなくなった。
 ところが、深夜の従業員が不要になったことで、加盟店が負担していた人件費が減った。オーナーの利益は、6月は前年を下回ったが、7月は増益となったのだ。
深夜閉店を実施しても、オーナーの利益が必ずしも減るわけではない――。コンビニエンスストア業界2位のファミリーマートが深夜閉店の実験結果を公表し、業界を揺さぶっている。加盟店の約半数が時短営業を検討しているというアンケート結果もファミマは公表。「深夜閉店はオーナーの利益が減る」「時短営業を希望する加盟店は少数派」としてきた、業界王者セブンーイレブン・ジャパンの主張が覆されたことで、セブンの混乱に拍車をかけそうだ。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
減収でも減益になるとは限らないと結論
ファミマの半分の加盟店は「時短を検討」
 コンビニを深夜閉店すると、店舗の売り上げは減少傾向になるが、加盟店オーナーの利益は前年を上回ったケースもあった――。
 これは、コンビニエンスストア業界2位のファミリーマートが8月23日、都内で開いた加盟店オーナー向け説明会で明らかにした時短営業実験の結果である。
 ファミマが希望する加盟店を募り、時短営業の実験をしたのは6〜7月。毎日深夜に閉店する実験に参加したのは駅前、オフィス街、住宅地各1店、ロードサイド2店の計5店だった。
 まず、店舗の売り上げは総じて減少傾向だった。とりわけ、住宅地の店は、閉店時間を午後11時〜翌午前7時と他の実験店より長くしたこともあり、売り上げが大幅に減った。さらに本部から深夜営業の奨励金も支払われなくなった。
 ところが、深夜の従業員が不要になったことで、加盟店が負担していた人件費が減った。オーナーの利益は、6月は前年を下回ったが、7月は増益となったのだ。
「オーナーの収益確保」を理由に時短を否定
問われるセブンの“言い訳”の根拠
 SEJの主張の根拠は、3月に都内の直営店で始めた深夜閉店の実験だ。ところがこの時は、深夜の閉店中にも関わらず、3人の従業員が作業を継続。「閉店中にどれだけ人件費をかけるのか」と、加盟店オーナーの顰蹙を買った。今回のファミマの実験では、閉店中の1店舗のオーナーや社員を除くアルバイト従業員の配置人数は、多い店でも平均で0.9人。0人の店も多かった。
 セブン&アイ・ホールディングス(HD)の井阪楼貅卍垢SEJの永松文彦社長らは記者会見などの場で、「オーナーの収益を守らないといけない」と繰り返し、深夜閉店のメリットを躍起になって否定してきた。だが、店舗ごとの事情はあるとはいえ、ファミマの実験結果はこうした主張を覆した格好だ。
 また永松社長は、ダイヤモンド編集部を始めとするメディアのインタビューの場で、「時短営業を求める加盟店は少数派だ」と再三にわたって強調。「実験をしている店、希望している店は全体の1%のレベル」と語ったこともあった。
セブンの時短希望オーナーは“少数派”なのか
前社長の存在が“時短潰し”を後押し!?
 だが、本編集部が以前にも指摘した通り、時短営業を希望する加盟店は、SEJの主張よりも水面下でははるかに多いとみられる。なぜなら、「経営指導員」(OFC)と呼ばれる加盟店の窓口になる本部社員や、その上司である各地区の責任者らが、加盟店の時短営業の希望を軒並み阻止してきたからだ。深夜の閉店中にも従業員を残すことを要求したり、特定の商品の納入を止めることをちらつかせたりして、時短実験への参加を断念させる”時短潰し”が横行しているのだ。
 セブン-イレブンのある現役オーナーは、「地区の責任者が、嫌がらせのように2時間も3時間も店舗に居座って説得してきた」と怒りと共に振り返る。このオーナーは、約3カ月にわたる交渉の末に深夜の無人閉店実験にこぎつけたることができたが、「時短営業をしたいが、本部の圧力が怖くてできないと、他のオーナーから相談を受ける」と打ち明ける。
 あるSEJの関係者は「前SEJ社長の古屋一樹氏を、代表権がないとはいえ会長に残したことで、社内に誤ったメッセージを放ってしまった」と嘆く。「人手不足はわれわれの加盟店にとって問題だという認識はない」などと昨年末に言い放ち、守旧派で知られた古屋氏は、24時間営業問題をめぐる加盟店の"反乱"を抑えられず、4月に引責辞任した。しかしその後も会長職にとどまったことで、一部の社員を"時短潰し"に走らせる理由になったとの見立てである。
 全国2万店超のSEJの加盟店のうち、時短を希望し実験に参加している加盟店は、永松社長の語った「1%のレベル」である百数十店にとどまる。7000店超が時短を「検討する」としたファミマのアンケート結果とあまりに大きくずれている。
 ちなみにSEJも、深夜閉店などの意向を加盟店に尋ねるアンケートを7月中旬に実施している。あるセブンのオーナーは、「自由記述欄があり、質問内容も充実した、しっかりしたものだった」と振り返る。ところが、このアンケート結果は未だに公開されていない。
ローソンは深夜営業の自動化実験をスタート
混乱続く王者セブンは方向性が見えない
 そんな中、今年2月に自主的な深夜閉店を始めた大阪府東大阪市のセブンオーナーの松本実敏さんは、今度は日曜日を定休日とする考えを本部に表明した。松本さんは自身のツイッターで、日曜日の休業に踏み切った場合は加盟店契約を解除すると記された、本部からのものだとする文書の画像を掲載。「従業員不足は、(松本さんの)従業員さんに対する指導・教育が時代の変化にあっていない」「(松本さんが従業員に対し)研修中の給与未払い、レジの違算の補填など明らかな労働基準法違反行為を行った」と本部側は文書で指摘してきたという。
 松本さんは本編集部の取材に対し、これらは労働基準監督署と相談の上で実施したことで、改善を求められたケースはそれに応じて来たと回答した。
 8月27日にはSEJ幹部が松本さんの元を訪れて協議。幹部が加盟店の待遇改善に取り組む意向を示唆したことで、次の日曜日である9月1日の休業は“保留“した。松本さんは「加盟店全体への具体的な改善策やその公表期限は示されなかった。あくまでも保留だ」と話した。一般的に人手不足の深刻化と人件費の高騰を考えれば、24時間営業だけでなく年中無休の可否も十分に今後の課題となり得る。
 また業界3位のローソンも横浜市内の加盟店の店舗で、深夜の間は、入店から会計までを客が“セルフ”で行う実験を8月23日から始めた。バックルームでは従業員1人がカメラで店内を監視し接客などは行わないが、今後無人化の可否も検討する。
 コンビニ加盟店をめぐる苦境や問題の構造は各社で共通しているが、ファミマ、ローソンは少なくとも、なるべく客観的に状況を把握し、解決策を探ろうとする明確な姿勢は見て取れる。だが、王者セブンから漏れ伝わるのは、方向性を失った混乱の様子ばかりだ。


佐野SAスト「1日800万円の損害」会社が賠償請求におわす 組合側は「正当な権利」と反発
お盆真っ只中の8月14日から始まった東北道・佐野サービスエリア(SA・上り)の「ストライキ」。関連会社や日雇いのスタッフが入って16日から営業は再開しているものの、運営会社「ケイセイ・フーズ」の従業員のうち79人は、未だストを続けている。
一方、ケイセイ・フーズ労働組合の執行委員長のもとには、違法なストであるとして、会社側から賠償請求をほのめかす書面が届いている(8月19日付)。
損害は「1日当たり少なくとも800万円を下らない」として、損害額が確定次第「しかるべき法的手段を講じます」としている。
これに対し、ストが始まってから代理人になった同組合の弁護団は「正当なストライキで賠償責任はない」と主張している。根拠を聞いた。
●組合側「労働組合による正当なスト」
ケイセイ・フーズの労働組合は7月15日に結成されている。
従業員が独学でつくったものだが、適切な方法で役員を選任しており、直接無記名投票で組合員の過半数の支持を得ないと同盟罷業(スト)を開始しないことを明記する(労組法5条2項8号)など、規約も整備されているという。
そうだとすれば、組合の適格性には問題がないようだ。ストは労働組合の権利として認められている。
組合は7月20日、会社側と初めて団体交渉し、経営状況のことも話題になった。このとき、会社側は銀行からの新規融資が凍結されたことを認めたそうだ。
資金繰り悪化の話は取引業者にも広まっており、この頃から商品が納入されず、佐野SAの利用者からクレームが入るようになったという。
そこで元総務部長の加藤正樹氏(45)の提案により、商品の代金を前倒しで払うという覚書に社長がサインし、取引業者に安心してもらおうということになった。これが8月5日のことだ。
ところが、8月9日になって社長が覚書は守れないと翻意。社長との溝が広がり、加藤氏は8月13日に解雇された。同日、組合のA委員長も出勤しないように通告された。ストはこうした2人に対する扱いを受けて発生したものだ。
組合には従業員の大半を占める79人が加入しており、その全員がストに参加している。組合員の過半数の賛成があることから、適法なストだというのが組合側の主張だ。なお、労働委員会に「争議発生届」も出している。
組合側はストを通して、加藤氏やA委員長の復職などを求めている。なお、加藤氏は元々、組合員ではなかったが、解雇後に加入した。一方、会社側は8月15日の記者会見で解雇を撤回すると発言している。
●そもそも憲法上の権利でもある
今回、スト決行に際して、規約で定められた全組合員の投票があったわけではない。緊急性が高かったためだ。
だが、仮にこの点をもって、労働組合法上の免責が受けられなかったとしても、憲法上の免責があると組合側は主張している。
憲法28条は、団体行動権(争議権)などの主体を労働組合に限定していない。たとえば、外国人技能実習生が訴えられた「三和サービス事件」では、労働組合ではないが、憲法上の保障を受けるとして、ストは正当なものとされた(津地裁四日市支部平成21年3月18日判決、高裁も維持)。
組合の主張をまとめると、(1)ストは労組法上、正当である、(2)仮に労組法上のストとして認められない場合でも、8月14日は「憲法で保障された争議」として免責される。翌15日にはスト参加者の意思を確認しており、労組法上のストに移行しているーーということになる。
労組法に照らして正当なストに対して、会社が損害賠償を請求してくるのは、不当労働行為に当たるというのが組合側のスタンスだ。
●「解雇についての団交なし」「事前通告なし」への反論
一方、会社側は加藤氏らの解雇についての団交がないことから、ストは違法だとしている。
この点について組合側は、7月20日に団交を持ったが、その後、会社側との信頼関係が崩れ、これ以上話し合いをしても仕方がない状況になっていたと反論する。
そもそもスト前にその要求についての団交が必要なのかというと、法規定や明確な判例はなく、学説も分かれているという。
ストについて事前通告がなかったことも指摘されているが、組合の「争議戦術」のうちだとして、通告なしでも適法とされた裁判例は複数存在する。
ストは一般的に労働組合が団交を重ねた上で決行する。事前通告して交渉カードにすることも多い。ただし、それ以外の方法が違法ということではない。そこは個別具体的な事情による。
●スト開始から2週間、従業員たちは毎日話し合い
スト決行からすでに2週間が経過している。従業員たちは毎日、公共施設に集まって、今後の方針を話し合っているという。まだ離脱者は出ていない。スト中の給与は出ないため、加藤氏が組合の闘争資金として、1500万円を用意しているという。
「ここまで長いストは珍しく、調べる裁判例も50年以上前のものが多い。それだけ、加藤さんやA委員長が信頼されているということでしょう。裏返せば、会社への不信感が強いということでもあります」と弁護団のひとりは話す。
現在、佐野SAは別の従業員によって運営が続けられている。ネット上では「スト破り」との声もある。
「ストをしているスタッフを引き抜いているわけではないので、組合として問題視はしていません。ただ、団体交渉の日程を延ばすなど、営業を優先して労働者と向き合わない姿勢には疑問を感じています。組合としても、SA利用者のためにも早期に解決したいと考えています」
組合と会社の団体交渉は8月30日に予定されている。

チャンカレ/ゆうパック・2+1/富山で幻魚と成政

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台風10号で山陽新幹線運休_新大阪駅190815

Le Japon touché par de violentes précipitations, au moins deux personnes sont mortes
Le sud-ouest de l’archipel est le théâtre de précipitations diluviennes. les autorités ont émis des ordres d’évacuation pour près de 240 000 habitants et des recommandations d’évacuer touchant environ un million de personnes.
Les autorités nippones ont lancé, mercredi 28 août, de sévères mises en garde contre des précipitations diluviennes dans le sud-ouest du Japon, où d’importantes crues se sont déjà produites, tuant au moins deux personnes.
Le corps sans vie d’un homme a été découvert dans sa voiture emportée par les flots dans la préfecture de Saga, a précisé à l’AFP un fonctionnaire local. Et un octogénaire est mort noyé dans des circonstances similaires dans la préfecture de Fukuoka, alors qu’il tentait de s’extirper de sa voiture piégée par la montée des eaux, selon les autorités locales.
Le risque de désastre est extrêmement élevé ≫, a déclaré au cours d’une conférence de presse un responsable de l’Agence nationale de météorologie.
Nous voyons des niveaux inédits de pluie dans les villes pour lesquelles ont été émises les alertes spéciales. Il faut prendre le maximum de précautions pour se protéger.
C’est la région de Kyushu qui est la plus affectée, notamment les préfectures de Saga, Nagasaki et Fukuoka. Les télévisions montraient des images de quartiers entiers inondés d’une eau boueuse, les voitures étant quasi intégralement noyées.
Sur la base des alertes météo d’un niveau exceptionnel, les autorités locales ont émis des ordres d’évacuation – qui ne sont cependant pas obligatoires – pour quelque 240 000 habitants et des recommandations d’évacuer touchant environ un million de personnes.
Crues gigantesques et coulées de boue
Beaucoup de dommages ont été signalés dans différentes zones en raison de rivières en crue, de glissements de terrain et de maisons inondées ≫, selon le porte-parole du gouvernement, Yoshihide Suga, précisant que l’ampleur des dégâts pourrait encore s’aggraver dans les prochaines heures. Le Japon, notamment le Sud-Ouest, est victime chaque année d’épisodes de pluies intenses, souvent lors du passage d’un typhon, ce qui n’est cependant pas le cas cette fois. Ces précipitations entraînent des crues gigantesques et des coulées de boue pouvant être mortelles.
Les autorités ont, cependant, toutes les peines du monde à faire respecter les ordres d’évacuation. Car il est parfois extrêmement difficile pour la population de se déplacer, surtout de nuit et dans des zones rurales isolées comptant une forte proportion de personnes âgées. Les habitants ont aussi du mal à imaginer la rapidité de la montée des eaux de rivière et ont tendance à penser, à tort, qu’ils ont le temps.
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野々市市に有名なカレー屋の本店があるということで行ってみることに.チャンカレことチャンピオンカレーです.スプーンではなくフォークで食べます.銀色の金属のお皿.お腹いっぱいです.
昨日の買い物の分をゆうパックで送ります.別で印刷物を送るのにレターパックにするか迷いましたが,結局これもゆうパック.
2時過ぎにバスに乗ってうまい具合に富山行きの列車に乗ることが出来ました.もちろん昨日の傘はお礼を言って返しました.倶利伽羅駅までがIRいしかわ鉄道で,そこから富山までがあいの風とやま鉄道です.糸魚川に行くときに見た覚えがあります.海沿いではなく内陸を走ります.石動を経て高岡.高岡では氷見線と城端線に乗り換えできます.1時間くらいで富山に着きました.駅近くのスーパーに行くと金沢ほどではないにしてもいろいろありました.ついたくさん買ってしまいました.富山に来た目的の一つは「だいてやる」せんべいですがもちろん買いました.米騒動というお酒もあって結局再びゆうパック.
昨日居酒屋の大将から教えてもらったお店は満席というので適当に別の居酒屋.幻魚(げんげ)と成政を楽しみました.成政は以前かってもらったことがあるのですが富山のだということはすっかり忘れていました.

GPSランナー釜石から仙台走破 アプリで経路なぞり作画、被災地の歩み世界へ発信
 衛星利用測位システム(GPS)を使い、走った経路に色が付くランニングアプリで絵を描く「GPSランナー」の志水直樹さん(32)=兵庫県西宮市=が今月上旬、東日本大震災で被害を受けた釜石市から仙台市の約200キロを走破した。道中で描いた絵やメッセージはフェイスブックで公開し、「シェア」「いいね」の件数に応じた被災地への寄付を展開している。
 志水さんは2日に釜石市をスタートし、12日に仙台市に到着した。事前に地図を確認し、ランニングアプリ「Runtastic(ランタスティック)」で大船渡市のホタテ、気仙沼市のサメなど、その土地にゆかりのある物を描くように走った。
 絵とメッセージの投稿計10件は「東北GPSランプロジェクト」と題し、スポンサーからの協賛金を元に「シェア」は1件40円、「いいね」は10円に換算して宮城県南三陸町歌津の名足小に寄付する。
 西宮市の小学校教諭だった志水さんは、震災翌年の2012年から夏休みを利用して名足小でボランティアを始めた。自身も8歳で阪神・淡路大震災に遭遇。倒壊した高速道路の光景を鮮明に覚えている。「東日本大震災は人ごとではなかった」と振り返る。
 12年からほぼ毎年、沿岸被災地を走り続けてきた。復旧工事で通れなかった場所に道がつながり復興を感じる一方、海にそびえ立つ防波堤には戸惑う。「答えの出せない問いがたくさんある」。走りながら出会った地元住民の声を、教え子たちに伝えてきた。
 今年3月に退職し、プロのGPSランナーとして活動を始めた。9月には欧州各国を走り、今回のプロジェクトをアピールする。「GPSランを通して、世界中の人に被災地の歩みを知ってもらいたい」と語る。
 プロジェクト期間中(2日〜13日)の投稿への「シェア」「いいね」による寄付は10月末まで継続する。


宮城の復興実感して 横浜でパネル展、写真やグラフで紹介
 東日本大震災から8年がたった宮城県内の今の姿を伝える「みやぎの復興まちづくりパネル展」が27日、横浜市神奈川区のかながわ県民センターで始まった。28日まで。
 県が2011年度に始めた「3.11伝承・減災プロジェクト」の一環。津波で被害に遭った沿岸15市町の港湾や河川、道路が復旧する過程を55枚の写真やグラフ、年表で紹介する。
 神奈川県からは本年度までに計89人の応援職員が宮城県に派遣された。うち、県気仙沼土木事務所管内で防潮堤整備などに携わった職員の活動を記録したパネルも展示している。
 来場した横浜市のパート山本豊子さん(65)は「実家が釜石市なので、震災直後の傷ついた古里のことを思い出して胸が痛んだ。被災地の復興を心の中で願い続けたい」と語った。
 パネル展はこれまで東京や大阪、千葉など10カ所以上で開催した。9月には福島市で開く予定。


メカジキやサメ「地産都消」推進 「気仙沼」「東京東」2信金が震災後連携、互いの取引先橋渡し
 気仙沼信用金庫(気仙沼市)は東京東信金(東京都墨田区)と連携し、気仙沼産メカジキやサメの都内での消費拡大を目指す「地産都消プロジェクト」に取り組んでいる。互いの取引先を結び付け、協力して販路を切り開いてきた。東日本大震災の復興支援で手を携えた両信金は「さらに協力を深め、気仙沼を活性化させたい」と展望する。
■「輸入物と違う」
 7月下旬から8月にかけて、墨田区の飲食店や居酒屋7店のメニューに、気仙沼漁港で水揚げされたメカジキの料理が加わった。ドライカレーに陶板焼き、ムニエル、フライ。どれも各店オリジナルの一品だ。
 「洋食50BAN」は自家製バターソースを使ったソテーを出した。オーナーの川口俊幸さん(71)は「新鮮で形崩れせず、輸入物とは全然違う。お客さんに『ご飯が進む』と絶賛してもらえた」と喜んだ。
 都内の飲食店と気仙沼の水産加工業者をつないだのが二つの信金だ。東京東信金の吉田誠常務理事は「墨田区を気仙沼のメカジキが食べられる街にしたい」と意気込む。
 両信金の交流は2012年、気仙沼信金が用意した被災事業者の商品セットを東京東信金が大量購入したことを機に、16年の業務提携に発展。気仙沼にサテライトキャンパスを置く東京海洋大も交え、地産都消の推進会議を設置した。今も毎月のテレビ会議を続ける。
 メカジキは気仙沼が水揚げ量日本一を誇るが、都内での知名度は低い。両信金はまず墨田区で試食会を開催。気仙沼での商談会に東京東信金の取引先を招待し、墨田区のまつりに気仙沼の水産事業者が参加するなど、交流を重ねた。
■食材 鮮度アップ
 17年には、第一ホテル両国(墨田区)がフェアの食材に気仙沼産のメカジキやタコを採用した。運萬絵梨子支配人は「業者と直接交渉して新鮮な食材を出せるようになった」と歓迎。納入する足利本店(気仙沼市)の足利宗洋社長は「信金が動いてくれて、自力では難しい販売先の開拓につながった」と評価する。
 7店によるメカジキの共同提供に当たっては、足利本店が新メニュー開発用に1キロ、提供用に5キロを各店に無償で送った。数店が継続的な取引を検討しており、滑り出しは上々。取引定着のため、今後は仕入れ日の集中化による物流コストの抑制を模索する。
 気仙沼信金の藤村栄治復興支援部長は「メカジキやサメを旬ごとに面的に展開させたい」と思い描く。
 区内21園の給食でメカジキのコロッケ「メカコロ」を提供するなど、将来を見据えた食育の事業も進む。東京東信金の中田清史理事長は「復興を支える気持ちで取り組んできた」と強調。気仙沼信金の菅原務理事長は「協力関係をさらに深め、交流人口の拡大につなげたい」と力を込める。


年金財政の検証 見通しに甘さはないのか
 厚生労働省は公的年金の財政検証の結果を公表した。
 年金の給付水準は現役世代の手取り収入と比べた「所得代替率」で表す。政府は厚生年金で代替率が将来も50%超になると約束している。
 検証では中間的ケースの場合、夫婦モデル世帯で28年後も50・8%の水準を確保できる結果となった。
 少子高齢化で給付水準は今より2割近く目減りするが、50%ラインを確保することにより最低限の生活費は保障される。年金制度は今後も維持できるという。
 財政検証は2004年の年金改革で導入された。「年金の健康診断」として、5年ごとに行われる。
 では、検証の結果は安心できるものなのだろうか。
 従来は楽観的な経済状況を前提にする傾向がうかがえた。今回は、過去に比べると控えめな経済指標に基づいたと説明している。
 だが、子細に見ると、中間的ケースでたとえば実質賃金上昇率を1・1%と想定しているが、17年度までの4カ年の実績は平均でマイナス0・6%である。
 安倍政権が経済再生に注力した結果がこの数字である。なのに、これを上回る上昇率を前提に置くことは妥当なのだろうか。検証作業に関わった有識者の一人は「代替率は50%を下回る可能性が高い」と語る。
 試算は楽観できるものではない。年金財政を底上げするために、支え手の層を厚くする改革を進める必要がある。
 検証では、非正規の労働者を厚生年金にもっと加入させた場合の効果を試算した。改善効果は大きいとの結果が得られた。
 年金保険料の半分を負担する企業側に反対論が根強いが、働く人の老後を日本社会全体で支えるという発想を広げていくべきだろう。
 非正規が長い「就職氷河期世代」が厚生年金に入りやすくもなる。
 国民年金の加入期間延長も選択肢だ。社会全体が長く働く時代に入っているのに、加入期間が原則60歳までなのは整合性を欠く。
 前回14年の財政検証は6月に公表されたが、今回は参院選後になった。遅れた理由は判然としない。
 与野党は検証を基に、国会で十分に議論する必要がある。


年金制度の将来 安心の底上げを図れ
 将来の公的年金の財政見通しを示す検証結果は、年金額の目減りをあらためて示した。少子高齢化を乗り越える知恵を集め、安心の底上げを図りたい。
 五年ごとに実施される財政検証は年金制度の健康診断に例えられる。今回の検証結果は政府に言わせると「とりあえず大丈夫」だろうか。
 だが、それは年金額の目減りと引き換えに制度を持続できるという見通しだ。
◆続く受給額の目減り
 年金制度は、現役男性の平均手取り収入の五割を給付額として最低保障することを国民と約束している。それが百年先まで可能かを見通すのが財政検証だ。経済成長が進むケースから進まないケースまでの六通りで試算した。
 まず、五年後の次の検証時には六割程度を保障できると試算。その上で経済成長が進む三ケースでは将来にわたり制度を維持できる結果となった。
 制度は現役世代の賃金が財源となるため経済動向の影響を受けるが、将来それがどうなるか分からないのも事実だ。
 実際、五年前の前回検証で想定した前提と比べると物価や賃金は伸び悩んだ。一方、高齢者など働く人は想定より増えて制度の支え手は増えた。積立金の運用利回りも上昇した。あくまで検証結果は将来を考える目安と理解したい。
 問題は別にある。
 制度を維持する仕組みだ。
 政府は二〇〇四年の制度改正で考え方を大きく変えた。それまでは必要な年金額を賄うために現役世代が払う保険料を決めていた。それでは増える高齢者の年金を支える現役世代の負担が大きくなるため、保険料に上限を設け、そこから得られる財源の枠内で給付を賄うことにした。
◆給付を増やす改善策
 そのため年金を受け取っている高齢者の給付を物価や賃金の伸びより抑える仕組みが導入されている。今回の検証でも今後三十年近く給付抑制を続けないと制度を持続できない結果となった。しかも想定通りに抑制できての試算だ。
 また、政府が約束する最低保障額自体も十分な額かどうかは議論がある。抑制の仕組みは将来世代の年金財源を確保するためには致し方ないが、受給者の生活はとても「百年安心」とは言い難い。
 政府は、制度の健全性だけを言うのではなく、制度が抱える課題も丁寧に説明すべきだ。課題解決への努力なくして制度への不安はなくならない。
 その課題とは年金額を今後、どう増やしていくのかだ。検証では将来の年金水準を底上げする改善策も試算した。
 現在二十〜六十歳まで四十年間となっている基礎年金(国民年金)加入期間の四十五年への延長、働くと年金が減る在職老齢年金制度の見直し、厚生年金加入年齢の七十歳以上への引き上げ、厚生年金の加入対象者拡大などだ。
 いずれも将来の年金水準の引き上げ効果がある。制度改正を求める。特に厚生年金の対象拡大は非正規で働く人の無年金・低年金対策になる。大胆に進めるべきだ。
 職場の厚生年金に加入できない非正規の人は自ら国民年金に入るしかないが、年金額は不十分だ。厚生年金に加入できれば保険料負担は減るし年金額は増える。
 そのため政府は加入要件の緩和を順次進めている。だが、一六年の緩和で対象となった人は約四十万人程度だった。今回の検証では千五十万人に広げると一定の年金水準引き上げ効果が示された。
 対象拡大には保険料負担が増える企業の理解が不可欠だ。加入できる職場は人材確保につながるなど、企業側の利点も含め政府はその必要性を粘り強く説くべきだ。
 ただ、これらの改善策は将来年金を受け取る世代が対象だ。今、受給している高齢者の生活をどう支えるかも忘れてはならない。
 高齢化は長寿化も同時に進む。老後が長くなり年金受給期間は延びている。加えて現役世代の減少である。年金だけで長い老後を支えることは無理があるだろう。
◆支援に複眼の知恵を
 やはり高齢でも働きたい人が働ける環境の整備は欠かせない。企業には高齢者が能力を発揮できる職場づくりに知恵を絞ってもらいたい。政府の後押しも当然だ。
 働けない人への支援策も考えねばならない。低年金の人には10%に引き上げる消費税の財源を使い、十月から最大月五千円を給付する制度が始まる。その拡充も検討に値するのではないか。
 安価な住宅供給や住宅手当の給付など支援策は複眼で考えたい。
 人口減社会では負担増や給付減など国民に痛みが伴う社会保障制度の改革は避けて通れない。
 政府は、負担を分かち合う社会の将来像を示す責任がある。


[年金の財政検証]低給付世帯の対策急務
 老後の生活の柱になる公的年金の長期的な見通しを試算する財政検証は、モデル世帯の年金水準で約30年後に2割近く目減りする結果になった。基礎年金(国民年金)部分に限ると約3割低下する。
 現役世代の平均手取り収入に比べ、月額でどれだけの年金を受け取ることができるかの割合を示す「所得代替率」は現在の61・7%から50・8%に下がる。政府は「代替率50%維持」を掲げ、制度は持続可能としている。
 だが、給付水準の目減りは老後生活に大きく影響する。とりわけ低年金で暮らす人の生活を直撃するのは必至、弱者保護の対策が欠かせない。
 財政検証は将来の若者と人口比率がどう変わるか、女性や労働参加の進み具合、経済成長の見通しなどを踏まえ、約100年間の公的年金の財政状況や給付水準がどうなるかを試算している。5年に1度検証し、少子高齢化問題などに直面する年金制度の「健康診断」とされる。
 公的年金は現役世代の納める保険料と税金が主な財源で、現役世代から高齢者へ「仕送り」する仕組みだ。このため支える側と支えられる側の人口比率や経済状況を受けた賃金水準の変化が年金の財政、給付に影響する。
 検証では他に(1)会社員らが入る厚生年金の適用対象の拡大(2)働いて一定収入がある人の年金を減額する「在職老齢年金制度」の廃止・縮小(3)受給開始の選択幅を75歳まで拡大−などを実施した場合の影響を見る「オプション試算」も出した。保険料を払う支え手を増やし、年金額を確保する狙いを示している。
    ■    ■
 急速な少子高齢化の進行で現役世代は減り、年金を受け取る高齢者は増える。年金制度を維持するために政府が導入したのが「マクロ経済スライド」。賃金や物価の伸びより抑制するため、給付水準は目減りしていく。
 モデル世帯の夫婦2人の厚生年金は2019年度は22万円だが、検証結果では47年度に24万円となった。額面上は増えるが、物価や賃金の上昇で所得代替率は下がる。国民年金は、19年度は13万円だが、47年度は12万4千円に減る。自営業や短時間労働者など国民年金のみ受給する人は大きな影響が出る。
 政府は財政検証を基に9月から制度の安定化や低年金者の対策など改革論議を本格化させ、来年度の通常国会に改正法案を提出する予定だ。
 年金制度の維持と高齢者が安心して暮らせる給付額のバランスをどうとるか−が問われる。
    ■    ■
 県内の高齢者の現状は厳しい。2017年度の月平均給付額は厚生年金で12万5338円。国民年金は月5万2134円で47都道府県の中で最低になっている。全国で最も所得が低く、貧困率も全国一高い。非正規労働者が多い労働環境を考えると、今後の目減りの影響は深刻だ。
 老後に2千万円の蓄えが必要とした「老後2千万円問題」で年金制度への不安が広がった。政治の出番である。年金制度をどう持続可能なものにするか、与野党とも知恵を出して議論すべきだ。


年金財政検証  厳しい見通し直視せよ
 公的年金制度は持続できても、受給額の目減りは避けられない。
 そんな現状を改めて突きつけられたのではないか。
 公的年金の長期見通しを試算した5年に1度の年金財政検証の結果を厚生労働省が公表した。
 経済成長と就業が進む「標準的なケース」で、現役世代の手取り収入に対する給付水準(所得代替率)は現在の61・7%から2047年度に50・8%で下げ止まる。
 5年前の検証結果と同様、経済成長すれば政府が約束した「代替率50%」は維持できる試算だ。
 ただ、モデル世帯の年金の実質的価値は2割近く減少、基礎年金(国民年金)部分に限ると約3割も低下する。
 経済が順調に伸びるなどとする前提に対しては「楽観的すぎる」との指摘もある。試算した6通りのケースのうち、低い経済成長を前提とした3ケースでは、代替率が50%を下回った。
 賃金や物価の伸びより給付額を低くする「マクロ経済スライド」で給付水準は目減りしており、老後生活への影響は大きい。年金受給の将来見通しの厳しさを、しっかり受けとめねばなるまい。
 今回の検証でも、今後に制度の見直しを進めた場合のオプション試算を行っている。
 会社員らが加入する厚生年金の適用範囲を広げてパートなど短時間労働者を加入させたり、加入期間を現在より5年延長したりした場合、給付水準は一定程度増加するとの結果が出た。
 厚生年金の財政は保険料収入増で改善し、厚生年金に移る人が増えることで国民年金の積立金を分け合う人数が減って国民年金の財政も好転するという。
 受給開始時期を75歳まで遅らせて働き続ければ、65歳までと比べて給付水準が最大1・7倍になるとの試算も示した。
 保険料を払う人を増やし、高齢者により長く働いてもらうことで、年金制度の「支え手」を広げようとの意図が読み取れる。
 少子高齢化が進む中、制度の維持には負担と給付のあり方を見直していくことは避けられない。
 ただ、厚生年金の対象拡大では保険料を折半している企業への説得が欠かせない。就職氷河期世代が非正規雇用のまま老後を迎えることも想定した制度設計も要る。
 持続可能な年金制度は政治の責任だ。今回の財政検証を受け、政府は高齢者が直面する生活実態をふまえた議論に腹を据えて取り組んでほしい。


やっと出た年金「財政検証」は冷血政権の“ショック療法”
 参院選での争点隠し――。報告時期が前回(2014年)より3カ月近くもズレ込んでいた公的年金の「財政検証」が27日、ようやく公表された。内容は「検証」よりも、制度改正を前提とした「提案」重視。「100年安心」と「所得代替率50%維持」にこだわる冷血政権は、そのシワ寄せを中小企業と高齢者に押しつける魂胆だ。
  ◇  ◇  ◇
 財政検証は「年金制度の健康診断」と位置づけられる。現役世代の手取り収入と比べた年金額の割合を示す「所得代替率」は今年度61.7%。今回の検証でも将来にわたってダダ下がりだ。
 中長期的に0.4%の実質経済成長が続く場合、28年後の47年度に50.8%へ低下し、その後は維持。これでも2割ほど目減りする“不健康”さだが、成長が0.2%だと44年度に、ゼロ成長だと43年度にそれぞれ法定水準の50%に達してしまう。その後は0.2%なら53年度に46.5%、ゼロなら58年度に44.5%まで下がる。
■33年後「基金枯渇」のコケおどし
「100年安心」どころか、安心できるのは「25年程度」。しかも検証のモデルは「40年間厚生年金に加入、その間、平均収入を稼いだ夫と専業主婦」世帯だ。非正規雇用やワーキングプアの人々には、さらにキツイ低年金生活が待ち受ける。
 マイナス成長(0.5%)に陥れば、もっと悲惨だ。33年後の52年度に国民年金の積立金が枯渇。その後、保険料と国庫負担で賄える給付水準は、所得代替率36〜38%程度に落ち込むのだ。
 公表先送りも納得だが今回の財政検証はいわば“ショック療法”。国民に不安を与え、「年金枯渇が嫌なら、死ぬまで働け」と本末転倒な仕組みに誘導する狙いが透けて見える。
■「労働参加」で中小企業と高齢者いじめ
 先の参院選で自公与党は、パート労働者への厚生年金適用拡大や、受給開始時期の選択肢拡大を訴え、来年の通常国会に関連法案を提出する考えだ。財政検証は、これらの制度改正を行った場合の効果を試算。厚生年金の適用範囲を月収5万8000円以上の人(1050万人)に広げると、47年度(成長率0.4%)の所得代替率は55.7%に改善する。
「ただ、保険料負担は労使折半。パート労働者を多く抱える小売業や、中小・零細企業は加入拡大による新たな“痛み”に耐え切れるのか」(小売業界関係者)
 受給開始時期の選択幅拡大も試算。現在60〜70歳の間で選べるが、75歳まで働いてから受け取れるようにすると、現役世代の手取り並みの年金額を確保できるという。
“バラ色”試算を強調しても現在、70歳の受給開始を選ぶ人は1%台。日本人男性の平均寿命は81.09歳(17年)。自立して生活できる「健康寿命」は72.14歳(16年)だ。元気なうちに年金を受け取り、豊かな老後が誰しもの願い。いくら「現役世代並み」とのニンジンをぶら下げられても、要介護になってからしか年金をもらえないなんて、真っ平ごめんだ。
「検証になっていない。『100年安心』と所得代替率50%の維持に縛られ、経済前提や制度改正を想定した試算でゲタを履かせてツジツマ合わせに走っているのではないか。ごまかしが透けて見えます」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
 根本厚労相は「経済成長と労働参加が進めば、一定の給付水準が確保されながら、おおむね100年間の給付と負担が均衡し、持続可能なものとなる」と能天気だが、「労働参加」で中小企業や高齢者をイジメても、年金枯渇の不安は拭えない……。そんな制度は即座に見直すべきだ。


リクナビの不正/就活学生への背信行為だ
 就職活動を応援してくれるものと信じた学生らに対する、明らかな背信行為である。
 就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京)が、利用学生の内定辞退率を算出し、企業30社以上に販売していたことが発覚した。
 内定辞退率は、学生が企業の内定を辞退するかどうかの確率で、同社は学生本人が登録した情報や企業情報を閲覧した履歴などを人工知能(AI)で分析し、推計していた。
 利用者のデータを第三者に提供するには、個人情報保護法で本人の同意が必要とされる。だが同社はその手順を怠るか、形式的な同意にとどめていた。
 事実上、本人が知らないうちに採否を決める企業側に学生個々の情報が渡されていた。
 政府の個人情報保護委員会は法令違反に当たると判断し、組織体制の見直しを同社に勧告した。勧告は委員会設置以来初めてで、今回の事態を重大視している表れだろう。
 何より信頼を裏切られたことに、学生らはショックを受けている。同社は内定辞退率を企業に販売していたサービスを廃止した。当然の対応である。
 東京労働局も今回の不正を調査している。同社の小林大三社長は、10月から個人情報の利用をチェックする責任者を置くなどの改善策を公表した。それだけでなく自らの経営責任もはっきりさせるべきだ。
 リクナビには、中小も含め3万社以上の企業情報が掲載されている。「就活で使わざるを得ないサイト」とされており、約80万人が登録している。
 一方、データを購入した企業は自動車や電機、金融など幅広い分野に及び、日本を代表する大手が目立つ。多くが「内定者の辞退を防ぐために使った」と説明しており、合否判定に用いた例はなかったとされる。
 だが、学生に寄り添うサイトが裏で企業に不正な情報提供を行っていた事実は消えない。膨大な個人情報を蓄積するサイトの運営者は、法令順守を徹底しなければならない。
 そのためにも今回のケースは第三者委員会で検証し、結果を公表する必要がある。信頼回復に向けた取り組みは、すべてをガラス張りで進めることだ。


日米貿易交渉合意 国力かさに押し切られた
 国家間の交渉では、双方がメリットを感じるような結果を残すことが肝要といわれる。国力をかさに着たトランプ米大統領が相手では、望むべくもないのだろうか。
 日米両政府が貿易交渉の大枠合意を発表した。米国産牛肉など一部農産物の関税が引き下げられる。トランプ氏がちらつかせていた自動車への追加関税は日本に発動されない見通しだ。
 米国が離脱する前の環太平洋連携協定(TPP)では、米国の乗用車関税2・5%を25年かけて撤廃することになっていた。米国産牛肉への関税(38・5%)は最終的に9%まで引き下げるという合意内容だった。
 交渉の結果、米国産牛肉などの関税はTPPの水準内で引き下げられる見込みだが、日本が求める自動車関税撤廃は見送られた。日本だけが譲歩を重ねたように映る。
 その上、日米首脳会談で、米国産トウモロコシ約250万トンの追加輸入まで約束させられた。米中貿易摩擦の影響で中国への農産物の輸出が減っている。トランプ氏の求めに応じ、余った分を引き取る格好だ。
 日本政府は、国内で新たな害虫が発生したことを受けて備蓄を積み増すと説明しているが、取って付けたような理由との印象は否めない。
 農産物の貿易は、国家が輸入を管理するコメや小麦を除いて、民間企業が自主的な判断で輸入の時期や数量を決めている。収益性の観点からは、需要もないのに輸入を増やすことはあり得ない。そのため、配合飼料メーカーが備蓄する際の経費などを政府が支援する方向という。
 安倍晋三首相はこれまで、トランプ氏の機嫌を取るためゴルフなどを通して懐柔に努めてきた。米国側に求められ、トランプ氏をノーベル平和賞に推薦することまでやってのけた。「たいこ持ち」に徹したことで、どんな要求でも受け入れるという印象を与えてしまったのではないか。
 トランプ氏は日本車への追加関税について、現時点で検討していないとの考えを示した。とはいえ、予測不能といわれる大統領だ。決着点は見通せない。
 自動車関税については粘り強く撤廃を求めるしかない。自動車の輸入が米国経済にもたらしている利益は無視できず、高関税に否定的な意見も米国内には根強いという。一度はTPPで合意したのだから、望みはあるだろう。
 米国から日本に輸出される牛肉や乳製品など幅広い品目が関税撤廃・削減対象になると米側は説明した。早ければ年内に発効するというが、合意内容は不明な点が多い。政府には、協定署名の前に詳細を説明する責任がある。
 市場開放が進み、価格の安い牛肉や豚肉が流通することによって、農家が打撃を受ける恐れがある。日本の農業を守るため、きめ細かな施策が不可欠だ。


日米貿易交渉大枠合意 トランプ氏の再要求は認めない
 安倍晋三首相とトランプ米大統領がフランスで会談し、懸案だった貿易交渉について、大枠で合意した。米国産農産物への関税引き下げは環太平洋連携協定(TPP)の水準まで引き下げた一方、日本が求めていた自動車関税の撤廃は見送られた。来月の貿易協定署名を目指す方針という。
 交渉開始から半年ほどの異例のスピード決着となった。来年の大統領選を控え成果を急いだ米政権と、早期決着を取引材料とすることで、最小限の市場開放でとどめようとした日本政府との妥協の産物によるものだ。
 とはいえ、米国のTPP離脱前には、日本が農産物の関税を引き下げ、米国が自動車などの関税を将来的に撤廃することで合意していたはずだ。今回の合意はバランスを欠いたものだと言わざるを得ない。再選を最重要課題とするトランプ氏が、日本にさらなる要求を突きつけてくる懸念も拭えない。最終的な詰めの作業にあたっては、日本の立場を守り、リスクを回避するための約定を交わすことが肝要だ。
 日米貿易交渉は、対日貿易赤字の削減要求を強める米政権の意向により、昨年9月の日米首脳会談で、関税交渉入りが決まった。米国はTPP発効でオーストラリアやカナダに比べて対日農産物輸出で不利な条件になっていると指摘。強硬姿勢を貫き、日本に農産物の市場開放を迫りながらも、日本が求めた自動車関税の撤廃は拒み続けた。
 このため、合意には日本政府が譲歩するしかなかった。トランプ氏に、自動車産業や支持基盤の農家への大統領選での格好のアピール材料を提供することで恩を着せた側面はあるが、北朝鮮の核問題や韓国との関係悪化など、外交や安全保障で米国頼みを強める安倍政権が、強気を貫くことは困難だと見抜かれていたなら問題だろう。
 焦点の一つだった米国産牛肉では、38.5%の関税を段階的に9%に引き下げる。また、首相は米国産トウモロコシを購入する方針も表明している。これまでにも安価な輸入農産物で打撃を受けている国内農家にとっては、追い打ちとなることは間違いない。関税をTPP水準まで引き下げる農産物の対象数はTPPよりも少なくなる見通しだが、米中貿易摩擦が泥沼化する中での早期決着は、今後に向け、トランプ氏に「日本くみしやすし」との印象を持たせたのではないかとの危惧も残る。政府にはあらためて、日本の農業を守るための決意と施策を求めたい。
 日米の貿易協定が成立する見通しとなったことで、日本が米国に促してきたTPP復帰の可能性は事実上閉ざされた。米国の行きすぎた保護主義により、世界経済が減速する恐れはなお続く。日本は自由貿易を推進する立場から、米国を多国間の自由貿易の枠組みに戻す働き掛けを粘り強く進めることも忘れてはならない。


[日米貿易交渉] さらなる譲歩 許されぬ
 日米貿易交渉が大枠で合意した。米国の環太平洋連携協定(TPP)離脱を受けた交渉は、半年足らずで最終決着する見通しとなった。
 対日輸出農産物の関税削減など米国への譲歩が目立つ内容である。牛肉や乳製品の関税削減はTPPの範囲内とみられるが、政府は具体的な数値を明らかにしていない。
 畜産農家にはトランプ米大統領が一層の関税削減を求めてくるのでは、といった警戒感が根強い。日本の農業を守るため、これ以上の譲歩は許されない。
 農産物は米国産牛肉や豚肉のほか、乳製品や小麦、ワインなどが関税削減の対象となる。米国からの輸入が一層拡大するのは必至だ。
 最近は外食向けに安い外国産牛肉の需要が高まっている。2018年の輸入量は前年より6%増え、今年もTPP発効後、カナダ産などが急増し、6月まで拡大基調にある。
 米国産牛肉の関税は現在38.5%だが、TPP並みだと最終的に9%まで下がる。国内の農家は、より良質の牛肉生産で対抗する必要がある。さらに、米国への輸出拡大を後押しするために、日本政府は米国にも関税引き下げを求めるべきだろう。
 米国産トウモロコシ約250万トンを民間企業を通じて追加輸入する方針が打ち出されたのもあまりに唐突だ。日本政府は害虫のガ「ツマジロクサヨトウ」が鹿児島県などで確認され、備蓄を積み増すためと説明する。
 だが、国内生産に深刻な被害は出ていない。米中貿易摩擦の影響で対中輸出が減少する中、来年の大統領選に向けて農家の歓心を買いたいトランプ氏の要請を受け入れたからにほかなるまい。
 米国が日本に課している工業製品への関税の多くは撤廃や引き下げが実現するが、自動車関税の撤廃は見送った。日本車への関税2.5%の撤廃は、TPP交渉で米国から勝ち取った成果だった。
 今回、農産物でTPPと並ぶ関税削減を米国に認めたのだから、日本も自動車関税の撤廃を復活させるべきではなかったか。好機を生かせなかったのは残念だ。
 9月の日米首脳会談で貿易協定への署名を目指し、早ければ年内にも発効する。政府はその前に、協定の内容を可能な範囲で公開するとともに、農家などへの支援態勢を早急に整えるべきである。


安倍政権がフライング契約 米にイージス・アショア1399億円
 配備計画が怪しくなっている地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」。配備候補地の秋田県では、参院選で配備反対を訴えた野党候補が大金星を挙げ、24日には秋田1区選出の自民・冨樫博之衆院議員が「前に進めることはできない」と配備反対を明言。もうひとつの候補地・山口県でも反対の声が広がっている。
 両県での配備をめぐる調査がインチキだったのだから、前に進めるわけにはいかない。27日の記者会見で、岩屋毅防衛相は、秋田、山口両県への再調査について「ゼロベースで行う」と語らざるを得なかった。
 配備計画は“ふりだし”に戻った格好のはずが、安倍政権は既に米国に対し、巨額の“イージス・アショア代”を支払う契約を完了させているというから驚きだ。
 今年度、防衛省はイージス・アショア関連予算を1757億円計上している。福島みずほ参院議員(社民)が防衛省に執行状況を問い合わせたところ、8月20日付で回答があった。
<本年4月26日に米国政府と締結したFMS(対外有償軍事援助)契約(イージス・アショア本体2基の取得、約1382億円と人材育成、約17億円)であり、FMS契約額は約1399億円となります>
 FMSは競争原理が働かず、米国の「言い値」での取引になりがちだ。どこに置くのかも見通せないのに、年度明け早々、予算の大部分を米国に言い値で献上してしまったのだ。昨年、イージス・アショアに関する著書を刊行したジャーナリストの田中稔氏が言う。
「米朝融和でイージス・アショアの必要性が乏しくなり、配備先も決まらない中、米国が契約を急いだ可能性があります。日本政府は、まんまとハンコを押させられたのではないか。いくら予算が確保されていても、イージス・アショアのように配備の見通しが不確定で、巨額の支出を伴う契約は安易に締結すべきではありません。もし、配備地が決まらなくても、契約してしまった以上、米国からは『日本の事情でしょう』と言われ、お金は返ってこない。結局、防衛省は契約が無駄にならないように、配備を強行することになるのです」
 まさに米国製兵器の爆買いありき。しわ寄せは、ゴリ押しを強いられる住民に回ってくる。


柏崎「一部廃炉」 再稼働ありきを危惧する
 東京電力が柏崎刈羽原発の廃炉の可能性に初めて言及したとはいえ、はっきりした道筋が示されたわけではない。
 むしろ、経営再建のための柱として掲げる6、7号機の再稼働実現に固執し続ける東電の姿勢が、改めて浮き彫りになった形である。
 今回の動きをきっかけに、原発の再稼働が議論の前提であるかのようなムードが生まれることを強く危ぶむ。
 東電が柏崎刈羽原発について「6、7号機の再稼働後、5年以内に、1基以上の廃炉も想定したステップに入る」との考えを表明した。
 小早川智明社長が26日に柏崎市役所を訪れ、桜井雅浩市長に伝えた。
 桜井市長は6、7号機の再稼働を容認する条件として、1〜5号機の廃炉計画を策定するよう東電に求めていた。
 7基が集中立地するリスクの軽減や、地元企業が廃炉作業に参入することによる経済効果を期待してのことだ。
 だが、東電の回答の中身は具体性を伴っているものとは言い難い。「廃炉」に言及してはいるが、先行きが不透明な条件付きで、確約を避けているように受け取れる。
 回答では6、7号機の再稼働を前提に、計画中の青森県の東通原発や千葉県銚子沖の洋上風力発電など、温室効果ガスをほとんど排出しない「非化石電源」の十分な確保に見通しが付くこととの条件も加えた。
 注目したいのは小早川社長が桜井市長に対し、1〜5号機について、低廉、安定的で温室効果ガスの排出が少ない電気を供給する上で「必要な電源」と強調したことだ。
 東電は、事故を起こした福島第1原発と、福島第2原発の計10基について既に廃炉にすることを決めている。
 東通原発は建設が事実上中断しており、現時点で再稼働の見込みがあるのは柏崎刈羽6、7号機だけとなっている。
 ただし、2年前にまとめた経営再建計画では柏崎刈羽の他の号機の再稼働に言及していた。東電は、経営再建へ1〜5号機を温存したいとの意向を持っているとの見方もある。
 透けるのは、原発頼み、再稼働ありきとしか見えない経営の論理である。
 今回の東電の回答は、柏崎市長の求めに応じたものだ。
 こうした中で忘れてはならないのは、柏崎刈羽原発の再稼働問題は、本県の県民全体の将来に関わる重要な問題だという認識であろう。
 8年前に発生した福島第1原発事故による被害は、広域に及んだ。しかも柏崎刈羽原発は、福島事故の当事者だった東電の原発である。
 現在、新潟県は原発事故に関する三つの検証を続けている。花角英世知事は検証結果を踏まえ、再稼働の是非に関する自らの判断を示すとしている。
 福島事故の記憶を風化させず、再稼働問題を巡る動きを「わがこと」として見つめたい。


柴山文科相に批判の嵐 英語民間試験に異議の学生を即排除
 また問題大臣だ。今度は、柴山昌彦文科相のツイッターが炎上している。コトの発端は、来年4月から導入される「英語民間試験」についての書き込みだ。
 現在、実施されているセンター試験に代わる「英語民間試験」には、高校生や保護者、学校関係者から「不公平」や「不透明」など懸念が噴出し、実施団体「TOEIC」まで離脱。「AERA」が実施した教員、保護者、生徒へのアンケートでは、「中止すべき」が72%、「延期すべき」が23%と圧倒的多数が「ノー」だった。
 ところが、柴山文科相は、16日付のツイッターで〈サイレントマジョリティは賛成です〉と根拠もなく、異論を一蹴。1人の賛成論者を取り上げて〈エキスパートはこう主張しています〉(17日付)と露骨なつまみ食いをした。
 さすがに、〈周りに賛成している人一人もいませんよ〉〈都合のよい声だけを取り上げ、誇張している〉と批判が相次いだ。
 そこで、聞く耳を持たない大臣にシビレを切らした慶大生が24日、埼玉県知事選の応援に来た柴山氏の演説中、大宮駅前西口で、「若者の声を聞け」などと記したプラカードを掲げ「柴山辞めろ」「入試改革を白紙撤回しろ」と発言した。すると、スーツ姿の警察官に3人がかりで引っ張られ、排除された。ベルトがちぎれたという。
■高校生の抗議に「業務妨害」
 警官が学生を強引に排除するだけでも大問題だが、柴山文科相はこの強制排除に対して、〈少なくともわめき散らす声は鮮明にその場にいた誰の耳にも届きましたけどね〉(26日付)とまるで騒音扱い。怒った高校生が、ツイッターで公開されている文科省の電話番号を記し、抗議を呼びかけると、柴山氏は高校生相手に〈業務妨害罪にならないよう気をつけて下さいね〉(26日付)と半ば脅す始末だ。
 ネット上では〈政策に抗議する電話をかけると業務妨害罪に問われる可能性があるのですか?〉と火に油を注いだ。
 柴山氏は2004年、自民初の公募で選ばれ、埼玉8区から連続6回当選。東大法卒で弁護士でもある。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「国民の声を聞くために役所は電話番号を公開しています。現職の大臣が、国民からの抗議を業務妨害になり得ると牽制するのは、民主主義の否定です。どうしてメディアは大騒ぎしないのか。大臣辞職に値する問題発言です」
 9月の内閣改造を前に、更迭すべきだ。


韓国人の暴行事件に『ゴゴスマ』で武田邦彦が「日本男子も韓国女性が来たら暴行しなけりゃいかん」とヘイトクライム煽動
 日本人女性がソウルを旅行中、韓国人男性から罵声と暴行を受けた事件。報道によれば、被害女性の友人が韓国語で「ついて来ないでください」と言ったところ男は激高し、差別語などを浴びせたうえに髪の毛を引っ張るなどの暴行を加えた。被害女性は頭を打つなどの怪我を負った。出頭した男は、取り調べに対し「動画は捏造された」などと訴えていたが、韓国警察が動画を捏造ではないと確認、現在、暴行容疑などで捜査しているという。
 女性に暴行を加える言語道断の事件であり、差別語を交えていたことを考えれば明らかなヘイトクライムだが、しかし、辟易するのは日本のネットの反応だ。
 もともとこの事件は、被害女性が暴行を受けている画像や罵声を浴びせられている動画などがTwitterで拡散したことから発覚したのだが、動画等を投稿した女性のTwitterアカウントには、韓国からは「同じ韓国人として恥ずかしく思う。お詫びしたい」「韓国の恥さらし」「同胞のしたことが許せない」「心から心配しています」というようなメンションが多数を占めた一方、日本のネトウヨからは「この時期に韓国に行くから悪い」「自業自得」「韓国は敵国だと言う事をわかってない」なる被害女性へ批判が相次いだのだ。いったい、どんな神経をしているのか呆れるほかない。
 だが、ネトウヨは論外だとしても、懸念されるのは、ただでさえ最悪の日韓関係のなかで、この事件によって、市民感情レベルでの憎悪に歯止めがきかなくなることだろう。
 事実、ワイドショーも今回の暴行事件を大々的に報道。「韓国人は反日」という“嫌韓”の声をエスカレートさせようとしている。
 なかでも酷かったのが、TBS系の27日放送『ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜』(CBCテレビ)だ。番組では冒頭から暴行事件をとりあげながら日韓問題を扱ったのだが、そのなかで、番組火曜レギュラーの武田邦彦・中部大学教授が韓国人に対する剥き出しのヘイトスピーチを言い放ったのだ。
「明らかに反日の教科書をつくり、反日の教育をし、路上で日本人の女性観光客を、その国のね、訪れた国の男が襲うなんつうのはね、これはもう世界で韓国しかありませんよ」
 観光客を襲う犯罪は日本を含むさまざまな国で発覚しているのに、明らかに決めつけと偏見で「韓国の男」をひとくくりにし、「女性観光客を襲う」とレッテルを貼って差別を煽るヘイトスピーチだ。
この武田氏の差別発言には、さすがに共演者もあわてて「それは言い過ぎですよ」などと火消しに走っていたが、「言い過ぎ」どころか「差別の煽動」であることをその場で指摘するべきだろう。実際、その後もスタジオでは武田氏が野放しにされ続け、こんなことを好き勝手に喚き立てていた。
「韓国の大統領から何から政治家から何からマスコミも全部、反日的雰囲気をつくったなかで生まれてるんですよ」
「いやいや韓国が日本に対していままでこれくらい、国対国の関係でこれくらい攻撃的にね、平和なときにこれくらい攻撃にくる国ってのはないですよ、ほんとに」
 さらに、番組が“大阪で韓国人観光客が激減”という話題を扱うと、武田氏はこんなことまで言い出した。
「そりゃあ日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しなけりゃいかんからね」
 絶句である。まさか地上波でヘイトクライムを煽動するとは。実際に煽られた日本人が韓国人旅行客へのヘイトクライムを引き起こしたらどう責任を取るのか。
しかも、問題は『ゴゴスマ』の対応だ。普通なら番組としてすぐに取り消し、深く謝罪しなければならない発言だと思うが、『ゴゴスマ』は、他の出演者が「先生、それは言い過ぎですよ」と言って、武田氏が「いやいや、ものごとはそうなるからああいう事件はダメだと僕言ってんですよ」と言い訳すると、そのまま番組を進行させてしまった。
ヘイト論客を起用し、日本人の暴行正当化を謝罪しなかった『ゴゴスマ』の責任
しかし、武田氏の発言を何度聞き返しても、暴行を諌める文脈で出た言葉でないのは明らかだ。武田氏は、観光人観光客が減っているというニュースに、観光客が来たら日本男子も暴行しないわけにはいかない、と言ったのである。日本人男性による韓国人の女性観光客への暴行を正当化したとしか考えられない発言だろう。
しかも、武田氏は言い訳にならない言い訳の後、暴行正当化を上塗りする発言まで行なった。
「日本男性は我慢すると思うよ。我慢すると思うけど、(韓国人女性への暴行が)起こってももう仕方がないんですよ」
 いずれにしても、「女性旅行客を襲うのは韓国だけ」「日本男子も韓国女性に暴行しなけりゃいかん」「韓国人女性への暴行が起きても仕方がない」というのは悪質なヘイトスピーチであり、差別に基づく犯罪を引き起こしかねないものだ。繰り返すが、これは武田氏だけの責任ではなく、『ゴゴスマ』という番組とテレビ局の問題だ。
 そもそも『ゴゴスマ』は、この武田氏だけでなく、竹田恒泰氏や須田慎一郎氏といった『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)や『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)の常連である“極右ネトウヨ論客”を曜日レギュラーやゲストコメンテーターに起用している。つまり、こうした日々、ヘイトデマを垂れ流しまくっているような出演者から今回のようなヘイトスピーチが出てくるのは目に見えており、逆に言えば、番組側はそれを期待して起用しているとしか思えないのだ。
広がる韓国ヘイト 毎日新聞は“嫌韓川柳”を掲載し「秀逸」と
 本サイトでは何度も指摘していることだが、いま、テレビのワイドショーは「韓国けしからん」という韓国ネタを何度も使い回すことで、視聴者の劣情を煽り、視聴率を稼いでいる。武田氏のヘイトスピーチは、そうした状況が生み出したと言っていいだろう。
 しかも、これはワイドショーや極右ネトウヨ文化人のみの話ではない。ニュース番組や新聞報道でも、いまや韓国人へのヘイトを誘発するようなものが当たり前のように出てくるようになった。たとえば、毎日新聞27日付朝刊でも、読者投稿の川柳コーナーに「台風も日本のせいと言いそな韓」という韓国叩きの一句が掲載され、それが〈秀逸〉としてピックアップされていた。ようするに、日本のマスコミはいま、ヘイトまがいの言説や剥き出しのヘイトスピーチも含め、韓国バッシングにブレーキが効かない状態になっているということではないか。
 安倍政権が主導する“嫌韓キャンペーン”に丸乗っかりしたテレビなどのマスコミが大衆の“嫌韓感情”を煽る。日本人による韓国人へのヘイトクライムすら「仕方がない」という言葉が公共の電波で垂れ流される状況は異常だ。もはやメディアが「鬼畜米英」と呼んで戦争を煽ったあの時代に、どんどん近づいていっている。いったい、この国のマスコミはどこまで行ってしまうのだろうか。


香取慎吾『スッキリ』生出演も…いまだ続く元SMAP・能年のテレビ排除 のん社長は「江戸時代の女衒の世界」と批判
 本日28日放送の『スッキリ』(日本テレビ系)に香取慎吾が出演することが決まり、大きな話題となっている。
 香取は草なぎ剛、稲垣吾郎とともに国際パラリンピック委員会の特別親善大使としてパラスポーツの普及に向けた活動を行っているが、『スッキリ』ではパラリンピックの注目選手や、パラスポーツ観戦の楽しみ方などを視聴者に伝える予定だという。
 周知の通り、SMAP解散・ジャニーズ事務所退所の後、新しい地図の3人はだんだんと地上波テレビから排除されていった。今年3月に稲垣のレギュラー番組『ゴロウ・デラックス』(TBS系)が終了して以降、『ブラタモリ』(NHK)での草なぎのナレーションを除いては、3人の活躍の機会はなくなっていた。
 27日、公正取引委員会は、「移籍、独立をあきらめさせる」「正当な報酬を支払わない」「出演先や移籍先に圧力をかけて芸能活動を妨害する」といった具体的なケースを例示したうえで、それらの行為が独禁法上問題になり得るとまとめた。報道によれば、同日に公取委はこれを自民党に示したという。
 公取委といえば、7月に元SMAPメンバー3人がテレビに出演できないよう局に対して圧力をかけていた可能性があるとしてジャニーズ事務所に対して注意をしていたと報じられたばかり。香取の『スッキリ』出演が認められた背景には、公取委の指摘が入ったことにより、テレビ局も態度を改めざるを得なくなったという側面があるのかもしれない。
 ただ、公取委が指摘する「独立・移籍した芸能人の活動を前の事務所が妨害する」といった事例の被害者は新しい地図の3人だけではない。
 その典型例と言えるのが、のん(能年玲奈)だろう。
 のんといえば、今月から放送が始まったユニクロの新製品「カーブパンツ」のテレビCMで見事な投球フォームを見せていることでも話題だ。ユニクロのみならず、のんはテレビCMに引っぱりだこで、LINE、クラウドファンディングサイトのCAMPFIRE、印刷・広告シェアリングプラットフォームのラクスルなど、のんの姿をテレビで見ない日はないぐらいである。
 ただ、それはあくまでも「テレビCM」での話。肝心の「テレビドラマ」で彼女の姿を見ることはまったくない。
 ご存知の通り、バーニングプロダクション系列の前所属事務所・レプロエンタテインメントから離れたことで不当な干し上げを受けている彼女は、現在でもなお地上波テレビのドラマや音楽番組に出演することができていない。
 それはいまもなお続いている。8月20日深夜放送『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 日比谷野外大音楽堂 〜Love&Peace〜 2019年5月4日 〜FINAL〜』(フジテレビ系)では、なんとも不可解な編集があったのだ。
 この番組は、仲井戸麗市、Char、鮎川誠、竹中直人、清水ミチコ、宮藤官九郎、夏木マリ、宮本浩次、曽我部恵一といった豪華なメンツの出演した忌野清志郎の追悼イベントの様子をダイジェストにまとめたもの。木村拓哉がサプライズ出演したことでワイドショーにも取り上げられたイベントだが、このステージでのんは矢野顕子とセッションをしている。
 しかし、番組冒頭で流された出演者紹介のパートにおいてのんは、ギターをかき鳴らす首から下だけが映され、顔がいっさい映らないという不可解な演出が施されていた。これに対しファンを中心に怒りの声が噴出している(出演者が全員出演する「雨上がりの夜空に」の歌唱シーンではさすがにカットできなかったと見え、のんのソロパートも放送されている)。
衣装合わせまでしたのにドラマ出演がドタキャンに!のんエージェント社長の証言
 いまなお続く不当な干し上げの状況に関して、のんとエージェント契約を結んでいる株式会社スピーディの福田淳氏は、朝日新聞デジタル(8月20日付)のインタビューで非常に重要な指摘をしている。
 このインタビューでまず福田氏は、ここ3年でテレビ局から30件の出演オファーがあったが、どの案件でも出演契約が結ばれる段階になると、ひとつの例外もなく土壇場でその企画がなくなってしまうのだと証言する。
 あるドラマの出演依頼では、衣装合わせまでしたのにも関わらず、立ち消えになったと具体例をあげた。彼女を起用した製作サイドから「のんが出るなら、うちのタレントは出演を引き揚げる」という圧力が入ったと報告を受けたこともあるという。
 芸能事務所が強大な力をもち、所属タレントに対して「代わりはいくらでもいるから、言うことを聞かないのであれば干す」という態度をとる日本の芸能界の現状を福田氏は「江戸時代の女衒の世界」「インドやアフリカの児童労働」「奴隷契約」と、強い表現で糾弾する。
 この言葉は残念ながら、現在の芸能界の現状を的確に言い表している。所属事務所の方針やサポートに疑問を抱いても、タレントは会社から離れることができず、不当な労働を強いられる状況がある。
 その事務所がジャニーズ事務所やバーニング系列など、業界内で強い権力をもっている事務所であった場合、その行為は芸能人としてのキャリアの死をも意味する。この世界では、タレント本人の人権は一顧だにされていない。
大手芸能プロの「タレント育成にお金がかかる」という主張は詭弁
 新しい地図やのんの事例を見て、こういった不当な契約や状況に声があがり始めているのがここ最近の状況だが、その一方で、事務所の振る舞いを擁護する意見も少なからずある。
 その典型例が「タレント育成費」に関するものだ。
 インタビューのなかで記者も福田氏に「大手事務所は1人のスターを育てるのに、多額の投資をしています。ある程度の束縛は仕方が無いのでは」という質問をぶつけている。
 記者の質問は世間でも少なくない数の人々が共有してしまっているものだが、これに対する福田氏の回答は、その先入観を完全に覆すものだった。
「逆に聞きますが、タレントを1人育てる投資って、いくらだと思います?講師へのレッスン代、家賃、給料などで、だいたい年700万〜800万円程度でしょう。事務所は1人のタレントが芽が出るまで何年も待ちません。一方、CM1本が決まればギャラは約3千万。代理店が15%を引き、事務所が半分取ったとしても1本で元が取れる。でも何年にもわたってヒットを出し、事務所に貢献したタレントでも、『育てた恩を忘れやがって』と干されるのです」
「タレントの育成にもお金がかかっている」というのは、事務所の人権蹂躙を正当化する詭弁に過ぎない。このように、タレントを縛りつけ、さらに稼がせるための方便は枚挙にいとまがない。大手プロの既得権益を守るための詭弁を前に思考停止せず、福田氏のように冷静に検証する視点は重要だろう。
「江戸時代の女衒の世界」「インドやアフリカの児童労働」と福田氏が評した芸能事務所による「奴隷契約」。その被害者は、のんや新しい地図の3人だけではない。公取委の一連の動きが芸能界の悪しき慣例を断ち切る流れにつながっていくよう、これからも注視していく必要がある。

雨でバスで傘借りる/洗濯→居酒屋/スーパーがスゴイ

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Au Japon, des corps d’ados mesurés au centimètre près
La junk-food est omniprésente mais les corps doivent être minces sous peine d’ostracisme.
Lors d’une résidence artistique au Japon où elle travaillait sur le rapport des Japonais à la nourriture, la photographe belge Katherine Longly a poussé la porte d’un autre monde où les aliments sont omniprésents, tentants, sucrés, mais où le corps est contrôlé au centimètre près et où… presque personne n’a un rapport simple aux aliments.
Elle a pu découvrir avec effarement ces mille et un magasins de friandises, ces vendeurs de street-food, cette omniprésence de la junkfood qui répondent à un "flicage" du poids des employés par exemple qui doivent se prêter à un "pesage" en règle par les autorités étatiques pour vérifier s’ils ne sont pas en surpoids : s’ils sont classés "métabo" (trop gros, trop gras), ils doivent suivre un régime ! Autre choc auquel la photographe a fait face : des dizaines de magazines pour ados indiquent à longueur de page les dimensions et les poids censés "parfaits" d’un avant-bras, d’une cuisse, d’un cou, d’un mollet pour correspondre à un profil de la jeune fille parfaite…
Ci-contre, dénichée dans un magazine pour les enfants de 12 à 14 ans, cette page indique toutes les mesures qu’il "faut" avoir pour être dans le moule : 155 cm et 34 kg…
Les boîtes à bento (casse-croûte) de plus en plus populaires sont celles qui affichent un nombre. 400 par exemple : c’est le nombre de calories maximal que peut contenir une boîte de par sa petite taille.
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バスに乗ってホテルに戻ろうとすると雨.あ〜あ,と思ってふと前を見るとバスの中にご自由にどうぞの傘が!ありがたく借りることにしました.
とはいえまずは洗濯です.近くのコインランドリーで洗濯です.洗い終わってから洗剤を入れ忘れていたことに気が付きましたが,もう遅いです.乾燥です.
待ちきれないので居酒屋で飲みつつ待つことに.時間が来て取りに行きました.
海外のお客さんが来ていてイタリアからと言っていました.スゴイ!
帰りに駅のスーパーにいくとスゴイ!見たことにのないローカルなものが売っています.全国の珍味とか.金澤という焼酎もありました.いろいろ買い過ぎてしまいました.多くなってしまったので明日郵便局で送ります.

「3.11伝承ロード」初会合
東北4県に点在している東日本大震災の震災遺構や慰霊碑を一体的に活用し、広く伝えていく組織が、仙台市で結成後初めての会合を開きました。
「3.11伝承ロード推進機構」は広い範囲に被害が及んだ震災の記憶を将来に伝えようと東北経済連合会などが8月設立しました。
26日は初会合が開かれ、青森、岩手、宮城、福島の4県と仙台市の幹部や大学の研究者ら10人が出席しました。
代表理事を務める東北大学災害科学国際研究所の今村文彦所長が「国内外から多くの人に被災地に訪れてもらい震災について現場で学ぶ『防災ツーリズム』といった取り組みを進めていきたい」とあいさつしました。
会議は大半が非公開でしたが、関係者によりますと、出席者からは「語り部の話を正しく記録していくことも必要ではないか」などといった意見が出されたということです。
「3.11伝承ロード推進機構」は8月中にホームページを立ち上げるほか、9月に東北4県の伝承施設のマップを公開する予定です。


旧門脇小の町内会長 全体保存協力を求め復興相らへ手紙
 宮城県石巻市が東日本大震災の遺構として部分保存する方針の旧門脇小校舎を巡り、全体保存を目指す地元町内会長が26日までに、渡辺博道復興相と村井嘉浩知事に協力を求める手紙をそれぞれ送った。
 差出人はかどのわき町内会の本間英一会長。8日に市内であった亀山紘市長ら市と住民の意見交換会に触れ「部分保存と全体保存で対立する様相になった。市と住民の間に大きな溝があり、現状では惨めな震災遺構となる」と指摘した。
 復興相宛てには、市が28日に予定する校舎解体工事入札の前に、費用の財源となる復興交付金を執行停止し、市に住民アンケートの実施を促すよう求めた。


気仙沼でサンマ初水揚げ
全国有数のサンマの水揚げを誇る気仙沼市で27日朝、初めてサンマが水揚げされましたが、水揚げ量は去年を大きく下回り、漁業関係者からは不安の声が挙がっています。
サンマの水揚げ量が去年、全国3位の気仙沼港では、大型のサンマ漁船1隻が27日朝、初めて水揚げを行いました。
しかし、水揚げ量はおよそ8トンと去年のおよそ65トンを大きく下回り、身も細く小ぶりなものが多くなっています。
サンマ漁は、今月20日に主力となる100トン以上の大型船の漁が解禁されましたが、ことしは北海道近海に群れがほとんどおらず、27日のサンマも北海道から東におよそ1000キロ沖合の北太平洋の公海でとれたものだということです。
乗組員の浜松健児さんは「ことしはサンマが全くいなくて、大変厳しい状況です。燃料費もただではないので、この先どうなるか不安です」と話していました。
このあと水揚げされたサンマは、さっそく競りにかけられ、1キロあたり高いもので800円と、去年より6割ほど高い価格で取り引きされていました。
競りに訪れた鮮魚店の店主は「小さい割には高かったですね。ことしは厳しいと聞いていますが、なんとか水揚げが上向いてほしいです」と話していました。


三鉄が乗客5000万人達成 宮古駅でセレモニー
 岩手県などが出資する第三セクター三陸鉄道(宮古市)の乗客が26日、累計5000万人に到達した。1984年4月の開業以来、36年目での達成となった。
 5000万人目の乗客は、岩手県山田町に住む宮古高3年の佐々木梓さん(18)と福士遥奈さん(18)。宮古駅でセレモニーがあり、記念品として三鉄特製の菓子詰め合わせが贈られた。
 中村一郎社長と一緒にくす玉を割った2人は「とてもうれしい。多くの観光客に三陸を訪れてもらい、三鉄の魅力を知ってほしい」と笑顔で語った。
 三鉄は今年3月にJRから山田線釜石−宮古間の移管を受け、旧南、北リアス線と合わせて盛(大船渡市)−久慈(久慈市)間を結ぶリアス線が開業した。4〜6月の乗客数は前年同期に比べて16万人増の29万3000人と好調に推移している。
 中村社長は「節目の1年になった。秋には釜石市も会場となるラグビーワールドカップ日本大会の開催を控えており、世界の皆さんに三鉄を楽しんでもらいたい」と話した。


「先生、日焼けしたよ!」 宮城県内の小中学校で2学期始業式
 宮城県内の多くの小中学校で26日、夏休みが明け、2学期が始まった。蒸し暑い日が続く中、水泳の練習や旅行で日焼けした子どもたちが次々に登校し、校舎に歓声が響いた。
 大崎市古川一小(児童587人)の始業式で前田正校長は「2学期は期間が長く、じっくり勉強ができる。何事にも全力で取り組みましょう」とあいさつ。児童代表6人が登壇し、新学期の目標を発表した。
 5年の菊田和香さん(11)は「クラスのみんなと一緒に練習している太鼓の演奏を頑張る」、3年の武田陽菜(ひな)さん(9)は「漢字を丁寧に書けるようになりたい」と意気込みを話した。
 各教室では宿題の工作などを担任に提出し、夏休みの思い出を報告し合った。
 県教委によると、県内では同日、小学校190校、中学校91校、義務教育学校1校で始業式があり、2学期制の小学校15校、中学校7校で授業が再開された。


盛岡市議選でLGBT公表の加藤さんが当選 パートナー制導入目指す
 25日投開票の盛岡市議選(定数38)で、性的少数者(LGBT)であることを公表する無所属の新人加藤麻衣さん(25)が初当選を飾った。「差別や偏見が見え隠れする社会を議会から変えたい」と「当事者」が立ち上がった。識者は、7月の参院選で重い身体障害のある2人が議席を得た「れいわ新選組現象」の全国的な広がりを指摘する。
 26日午前1時半ごろ、市中心部の繁華街に構えた事務所に当選の知らせが入った。獲得票は候補者の中で2番目に多い4425。多くの有権者が「地盤」「看板」「かばん」のない加藤さんの訴えに呼応した。
 「たくさんの方に押し上げていただいた。本当にありがとうございます」と加藤さん。遅くまで開票状況を見守っていた支援者約10人と笑顔で握手を交わした。
 レズビアンであることを公表し、市内の会社で働く。岩手大在学中に性的少数者の団体を設立し、2018年にはLGBTの権利擁護を訴えるパレードを企画した。
 告示直前に25歳となり、被選挙権を得たのを機に立候補を決意。加藤さんの行動に自らの心情を重ねる人や、少数者の代表を議会に送り出したいと考える人が一人、二人と事務所に集い始めた。
 街頭演説では自らが感じる「生きづらさ」を率直に語り「たくさんの人が自殺に追い込まれるほど生きにくい日本社会を盛岡から変えたい」と訴えた。
 議員活動では、柔軟な働き方の推進や同性カップルを「結婚に相当する関係」と公的に証明するパートナーシップ制度の導入を目指す。「若者であり、女性であり、LGBTの当事者として、市民の声を議会に届けたい」と抱負を語った。
 「当事者」の直接的な政治参加について、地方議会制度に詳しい岩手県立大の斎藤俊明特任教授(政治学)は「これまで議員が少数者の利益を本当に代弁してきたのかが問われている証し」とみる。
 多くの支持を集めた加藤さんを「単一争点を提示する戦い方が、地方議会に根強い地域選出の枠組みを超えた」と評し「れいわ新選組が参院選で突き付けた多文化共生社会の在り方に対する問題意識が、地方議会にも波及してきた」と分析した。


デスク日誌 山形仏壇
 「今でも東日本大震災で被災した方から、ご注文を頂くことがあります」
 山形仏壇の老舗、長門屋(山形市)の笹林陽子社長(53)に、ちょっと意外な宮城、山形両県のつながりを教えられた。
 被災した自宅の再建に合わせ、仏壇の修繕や購入について度々相談を受けるという。着工前の図面を手に来店した男性もいたとか。
 山形仏壇は木目を生かした漆塗りと欄間などの精巧な装飾、金箔(きんぱく)を施した豪華な造りが特徴。明治以降、東北一円に販路を広げた。
 笹林さんは5代目で、宮城からの注文の多くは先代や先々代の頃の販売先からだ。注文の主も当然、古い仏壇に取り付けられていた小さな店名のプレートや、数十年前に父母、祖父母から聞いた話を頼りに長門屋に連絡してくる。
 完成した仏壇をスタッフが納品に行くと、はらこ飯をごちそうになったり、ワカメを土産に持たされたりするという。
 「宮城県の沿岸部は神仏を大切にする家が多いと感じます。厳しい自然に向き合ってきたからでしょうか」と笹林さん。祈りと供養の形を間に置いて、温かな縁が今も息づいている。 (山形総局長 昆野勝栄)


貿易協定で基本合意 米国のごね得ではないか
 安倍晋三首相とトランプ米大統領が会談し、日米貿易協定に向けた交渉で基本合意した。今後詳細を詰めて来月の会談で署名するという。
 焦点となったのは、日本が輸入する農産物と米国が輸入する自動車の関税をどこまで下げるかだった。
 米国が強く求めていた日本の農産物関税引き下げは、米国が離脱した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の水準内とすることで合意した。当然の判断である。
 米国の要求の背景には、米国抜きのTPPが昨年末発効し、米国産農産物の輸出がオーストラリア産などより不利になったことがある。だが米国がTPPを上回る関税引き下げを勝ち取ればTPPに残った国より有利になる。これでは本末転倒だ。
 問題は、TPPで合意していた米国の輸入車関税の撤廃が今回見送られたことだ。米自動車産業の雇用維持を訴えるトランプ政権が抵抗し、日本も要求を棚上げしたようだ。
 自由貿易の目的は関係国が市場を開放して貿易を活発にし、互いに経済を底上げすることだ。日本は農産物関税を下げるのに、米国はTPPを離脱したから輸入車関税の撤廃も見送りというのは身勝手すぎる。
 なのにトランプ政権は主張を押し通すため、日本車への高関税発動をちらつかせてきた。日本政府にも高関税回避が優先との見方があった。
 今回の首脳会談で安倍首相が貿易協定とは別枠となる米国産トウモロコシの購入計画を表明したのも、トランプ氏の期待に応え、高関税を避けたいとの思惑があったのだろう。
 それでもトランプ氏は高関税の検討取りやめを確約していない。さらなる譲歩を引き出す材料として温存しているのなら極めて不当だ。
 そもそも今回の協定には必然性がない。TPPから一方的に離脱したトランプ氏が、米国に都合のいい協定を結ぼうと、日本に交渉入りを迫り、昨年9月の日米首脳会談で合意したものだ。結局は米国が狙い通りに得をしたのではないか。
 両首脳が基本合意したと表明しているのに、協定の内容が公表されていないのもおかしい。安倍首相は「両国の経済に大きなプラスになる」と強調したが、説得力を欠く。
 国益にかなう合意となったのか。首相はきちんと説明すべきだ。


日米大枠合意 多国間協調の道探れ
 成果を急ぐトランプ米大統領との日米貿易交渉が決着した。日本は、米国の市場開放圧力に譲歩したものの、米国を多国間協調の枠組みに連れ戻す次の戦略づくりに取り組むべきだろう。
 交渉の焦点のひとつは日本の農業、米国の自動車という政治的に重要な産業での駆け引きだった。
 大枠合意で日本は、米国が離脱する前に環太平洋連携協定(TPP)で合意していた関税の引き下げ水準を牛肉、豚肉などで維持した。半面、日本が求めていた米国への輸出車にかかる関税2・5%の撤廃は先送りとなった。これもTPPで合意済みだったが、対日貿易赤字の削減を求めるトランプ大統領に日本が譲歩した形だ。
 二十五日の首脳会談では、交渉とは別枠として米国産のトウモロコシの購入が突然取り上げられた。詳細は明らかではないが、国内農業への影響を見極める必要があるだろう。
 昨年九月に交渉入りで合意し、わずか一年での決着は貿易交渉としては異例の早さといえる。
 指摘されているように来年秋の大統領選を控え、成果を急ぐトランプ大統領と、日米協調を最重視する安倍晋三首相が折り合う形での合意だったといえる。
 ただトランプ大統領の政策は気まぐれで予測ができない不安がつきまとう。
 日本の基幹産業である自動車への25%追加関税や輸出数量制限について、一連の交渉や大枠合意では「発動しない」との確約を得るには至っていない。
 激化する米中の貿易摩擦で各国の株価が下落し、世界経済の動向は波乱含みとなっている。大統領選が迫り、米国の景気が悪化するようなら、有権者へのアピールとして持ち出してくる懸念は消えない。貿易協定に署名する九月下旬の日米首脳会談で、確約を取る必要がある。
 二〇一七年一月にトランプ大統領が「米国第一主義」を掲げてTPPを離脱してから自由貿易、国際協調体制は大きく揺らいでいる。今回の先進七カ国(G7)首脳会議では、首脳宣言が出せないところまで状況は悪化している。
 日本は自由貿易を重視し、TPP11や日欧経済連携協定(EPA)を粘り強く実現してきた。
 米国との二国間交渉の決着後は、米国をどのように国際協調体制に引き戻すかが日本の重要な課題となる。


日米貿易交渉/「相互利益」と言いがたい
 日米両政府が貿易交渉の大枠で合意し、安倍晋三首相とトランプ大統領は9月下旬に新協定の署名を目指す意向を示した。4月の協議入りから半年足らずでの最終決着となりそうだ。
 日本は牛肉や豚肉など米国産農産物の関税を環太平洋連携協定(TPP)水準に引き下げる。一方で米国は日本が求めた自動車の関税撤廃を見送る。日本からの工業製品の関税撤廃なども盛り込まれたが、首相が掲げる「ウィンウィン(相互利益)」とは受け止めがたい。
 これでは米国が日本に迫ってきた包括的な自由貿易協定(FTA)とどこが違うのか。
 トランプ氏の最優先課題は来年の大統領選再選だ。日本政府は成果を急ぐ米政権に花を持たせ、傷が浅いうちに交渉を終えたかったのだろう。しかし米国が他国と進めた通商交渉の経緯を見れば、土壇場でハードルを上げてくる懸念は消えない。
 政府は輸入増で大きな影響を受ける農業者や関連業界への対策を急がねばならない。米国には、さらなる譲歩は不可能であると明確に伝えるべきだ。
 米国は4年前、TPPに合意し、輸入車関税の25年後の撤廃などを決めていた。だが自国第一主義を掲げるトランプ政権の誕生でTPP脱退を決め、赤字を減らすため日本に2国間交渉を迫った経緯がある。
 トランプ氏は当初、自動車の関税撤廃どころか引き上げをにおわせ、農産物関税もTPP水準を上回る引き下げを求めていた。最初に高い目標を示して妥協を迫る「ディール(取引)」に押し込まれた感が否めない。
 関税引き下げの具体的な品目などは明らかになっておらず、両国政府は今後、細部を詰める。米国側が一方的に有利な展開にならないよう、政府は強い姿勢で臨む必要がある。
 一方、首相は民間を通じて飼料用の米国産トウモロコシ約250万トンを買う方針も示した。米国の農家は貿易摩擦のあおりで中国向け輸出がふるわず、トランプ氏の要請にこたえた。
 国内での害虫発生を理由とするが、引き受けるのは民間企業だ。日本が米国の強硬姿勢の尻ぬぐいをすることにもなり、首相は合意に至った理由を国民に詳しく説明すべきである。


日米貿易交渉の大枠合意 農業犠牲の一方的譲歩だ
 安倍晋三首相はトランプ米大統領と会談し、日米貿易協定交渉を9月下旬に最終決着させ、署名を目指すことで合意した。
 米国産牛肉や豚肉の関税を環太平洋連携協定(TPP)と同水準に引き下げる一方、日本が求めていた日本車の関税撤廃は先送りするという。これでは米国が望んでいた農業先行決着ではないのか。
 TPPに続き欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も今年2月に発効し、市場開放の荒波に直面する国内農業にとって、さらなる打撃は避けられない。
 農業を犠牲にした一方的な譲歩は認められない。
 しかも自動車関税の撤廃に米国は離脱前のTPPで合意している。そちらは見送りというのでは話にならない。
 茂木敏充経済再生担当相は「日米ウィンウィンとなる意見の一致をみた」と強調したが、来年の大統領選に向け早期決着を望むトランプ氏に押し切られたも同然だ。
 合意を優先して安易な譲歩を重ねたとの批判は免れまい。国益を損ねる合意ではないか。
 政府は国民に交渉の全貌を明かしていない。説明責任を果たすべきだ。
■「選挙優先」否めない
 日本は交渉開始を受け入れる段階から米側の威圧に屈してきた。
 多国間の枠組みを重視する政府は当初、2国間交渉を拒んだが、トランプ氏に日本車への高関税をちらつかされ、要求をのんだ。
 その後も米政権は日本車の輸入数量規制に加え、日米安保体制の見直しにまでも言及した。
 安倍政権はその攻勢になすすべなく譲歩を重ねたように見える。
 なぜ、そこまで妥協する必要があるのか。
 中国や北朝鮮が軍備を増強する中、安全保障を人質にされ、再選を目指すトランプ氏に成果をお膳立てしたとみられても仕方ない。
 米国抜きのTPP発効により、米農産品は日本市場でカナダなどに比べ不利になっている。
 米中貿易摩擦で中国への農産品輸出も急減しており、交渉妥結はトランプ氏の支持基盤である農業地域への格好のアピールとなる。
 一方、トランプ氏も5月の訪日時に決着を参院選後に先送りする考えを示した。選挙への悪影響を避けたい首相に配慮を見せることで、有利な条件を引き出した形となった。
■TPP水準守れたか
 農畜産物の関税を巡っては、昨秋の日米首脳会談でTPP水準までの引き下げを最大限とすることを確認していた。政府は「約束は守った」と言いたいのだろうが、農業の現場にはそうは映らない。
 今回、日本は米国産牛肉の関税について協定発効時に現行の38・5%から一気にTPP参加国と同じ税率に削減することを認めた。
 TPPは今年4月に発効2年目に入っており、日米協定が年内に発効した場合、米国産牛肉の関税はいきなり2年目水準の26・6%に「追いつく」ことになる。
 すでに今年前半の牛肉輸入量は前年同期を4%上回っている。米国産の関税低下によって、価格と肉質が手頃なホルスタイン種を手がける道内などの生産者への影響は甚大となろう。
 加えて問題なのは、TPPには依然として米国の参加を前提としたルールが残り、生産者に不利に働きかねないことである。
 例えば、牛肉の輸入が一定量を超えた場合に関税を引き上げる緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動基準数量は、輸入量が多い米国の参加を前提とした水準のままで、発動のハードルが高い。
 米国向けに新たにセーフガードを設けるとしても、TPPの基準数量から米国分を差し引かなければ、実効性は乏しい。
 安倍政権が全く望みのない「米国のTPP復帰」を前提に、これまで協定内容の見直しを参加国に働きかけてこなかったのは怠慢以外の何ものでもない。
■政府は影響の直視を
 見過ごせないのは、国内農業への影響額について、これまで締結された協定ごとに単発でしか試算が行われていないことだ。
 政府は国内農林水産物の生産減少額がTPPで最大1500億円、日欧EPAで最大1100億円と試算するが、同時に発効した際の影響は算出していない。
 これでは「十分な対策を講じた」と言われても、生産者は安心できまい。しかも両協定に加え、日米貿易協定が発効すれば、日本農業への打撃が増幅しかねない。
 どの作物や畜産物がどのくらい流入し、国産品の生産・販売をどのくらい下押しするのか。
 政府はこの1年で急激に進んだ市場開放の影響を網羅的に精査し、分かりやすい形で国民に示してもらいたい。それもせずに署名を目指すことは許されない。


日米貿易交渉 大枠合意の中身が大事だ
 安倍晋三首相とトランプ米大統領が日米の貿易協定について大枠で合意した。9月の国連総会に合わせて首脳会談を行い、署名を目指す。日本が米国の農産品に対する関税を大幅に引き下げる一方、日本が求めた米国の自動車関税撤廃は先送りすることで一致したもようだ。
 トランプ氏は米国産農産品をもっと日本に売り込もうと圧力を強めていた。米中貿易交渉のような険悪な事態に至らなかったのは、ある意味で幸いだが、合意内容の詳細は不明で、9月末に公表するという。首相は「両国の経済にとって大きなプラス」と自画自賛したが、中身が分からなければ評価のしようがない。政府は交渉成果をできるだけ早く明らかにすべきだ。
 今回の交渉は、トランプ氏の大統領就任後に環太平洋連携協定(TPP)から離脱した米国側の要求で始まった。茂木敏充経済再生担当相と、米国のライトハイザー通商代表が話し合いを重ねてきた。
 トランプ氏は5月に国賓として来日した際、「8月に大きな発表ができるだろう」と述べていた。政界では、7月の参院選への影響を避けるため、決着を選挙後に先送りする意図と受け止められた。大枠合意のタイミングはこの見立て通りだった。
 トランプ氏再選に向け早く結果が欲しい米国に、日本は押し切られ譲歩したのではないか。一部で懸念の声が上がるのは、そうした経緯があるためだ。
 農産物の関税引き下げを巡っては、日本はTPPの水準を限度とする方針で交渉に臨んだ。トランプ氏は「米国はTPPに全く縛られない」と言い放ち、自動車輸入への追加関税や数量規制などをちらつかせ、交渉を優位に進めようとしていた。
 今回の合意について茂木氏は日米双方の利益になるウィンウィンの関係だと強調する。日本は一部工業製品の関税撤廃を勝ち取り、自動車への追加関税や数量規制は見送られるというが、米国が具体的に確約したのかなど、まだはっきりしない。
 もともと米国は、TPP交渉で自動車関税の撤廃を受け入れていた。日本が農業分野でTPP水準まで譲歩するのなら、米国に自動車関税撤廃を求めるのが本来の筋道だ。交渉は幅広い分野に及ぶ。一部のみでの論評は避けるべきだが、日米貿易は国民生活や企業活動に深く関わる。納得のいく説明が必要だ。
 安倍首相は貿易協定と併せて米国産トウモロコシの購入方針も発表した。農業団体を支持母体に持つトランプ氏の顔を立てるためとみられる。互いの選挙でウィンウィンの関係を築くために通商問題を利用するような政治は、もう終わりにしたい。


日米貿易交渉 まず合意内容を開示せよ
 安倍晋三首相とトランプ米大統領がフランスで会談し、日米貿易交渉に大枠で合意した。9月の国連総会に合わせて開く首脳会談で協定に署名することを目指している。
 詳しい合意内容は明らかにされていないが、米国産農産物の関税を引き下げるなど、日本側の大幅な譲歩が目立つという。
 安倍首相は「両国経済にとって大きなプラス」と成果を強調するが、対米輸出の拡大に向けた具体的な成果は乏しい。米国に押し切られた感は否めない。
 懸念されていた日本車への追加関税は現時点では発動されない見通しとなったが、対米輸出の数量規制などの扱いがはっきりしない。火種は残されたままである。
 日本政府はこれまで交渉内容について国民に何も伝えていない。市場開放の行方に最も気をもんでいるのは、産地と生産者である。国内農業にどれほど影響があるのかを明確に示し、それを回避するための対応策について議論を尽くすべきだ。
 関税を巡る2国間協議は、米国が2017年に環太平洋連携協定(TPP)から離脱したのを受けて、昨年8月に始まった。
 トランプ政権が最もこだわったのが、農産物の輸出拡大ではなかったか。来年の大統領選を控え、成果を急ぐ狙いがあったのだろう。
 今回の合意で、米国産牛肉と豚肉の関税はTPP参加国と同じ水準に引き下げられることになった。これらの畜産物はTPPを離脱したことによって、オーストラリアやカナダなど参加国の産品に押され、日本市場で劣勢を強いられていた。
 関税引き下げによって、70億ドル(約7300億円)の市場拡大効果があると、トランプ政権は早速、国内の畜産業者にアピールしている。
 安倍首相はさらに貿易交渉とは別枠で、米国産トウモロコシを緊急輸入することも表明したが、唐突感が否めない。
 米中貿易摩擦の影響で中国への輸出が急減し、苦境に立たされている米国の農家は多い。特にトウモロコシはアイオワ州など大統領選の激戦州が一大産地という。日本側にも交渉の早期決着を図りたいとの思惑があったのだろうが、あまりにも安易にトランプ氏に肩入れしすぎではないか。
 一方で、日本が求めていた日本車の輸入関税の撤廃は見送られた。離脱前のTPPでは、米のオバマ前政権が段階的な撤廃を認めていた。日本は勝ち取った成果の筆頭格とアピールしていたはずだ。
 日本には市場開放を迫りながら、自国産業は保護するという身勝手な要求といえよう。日本車への追加関税を発動すると脅しながら譲歩を迫る、トランプ流の交渉に屈した事実は重い。
 昨年末のTPPに続き、今年2月には欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)が発効し、日本の農家は農産物の輸入攻勢にさらされている。貿易ルールの変更は、国民生活にも直結する重要な問題である。
 日本は米国から最も多く農産物を輸入している。市場開放がもたらす影響を入念に精査し、対策を練り直す必要がある。政府は、その議論のたたき台となる交渉の具体的な内容をまず明らかにし、国民への説明を尽くさなければならない。


日米貿易交渉  日本の利益は守れるか
 4月に始まった日米の貿易交渉が、異例の早さで大枠合意した。
 安倍晋三政権が米国に求めた自動車関税撤廃を見送る一方、米国産牛肉を日本に輸入する際の関税38・5%を段階的に9%に引き下げることなどで合意したという。
 来年の大統領選を控えたトランプ氏に外交成果を与えるのと引き替えに、日本は早期決着を図り、自動車への追加関税や数量規制が議題になるのを防いだといえる。
 交渉は当初、為替操作の阻止や関税以外のサービス分野も対象に含めるとされたが、その後、農産物や自動車など物品関税を先行させて議論することになった。安倍政権としては、幅広い分野で攻め込まれることを回避した形だ。
 合意では、工業製品の多くの分野で関税が撤廃・削減の対象となったという。だが、具体的品目名は明かされていない。コメに設ける無関税枠の結論も先送りした。
 茂木敏充担当相は「日米双方に利益になる」と強調したが、日本の国内産業にどのように影響するか、現時点でははっきりしない。合意が日本にとってメリットのある内容かどうかは見えにくい。
 自動車関税については環太平洋連携協定(TPP)交渉で、2・5%の関税を25年かけて撤廃することになっていた。しかし、車輸入を安全保障上の脅威としてきたトランプ政権にとって、関税維持は譲れないテーマだった。
 TPPを離脱し、米国産牛肉に従来通りの関税が適用される現状も、他国から低関税の牛肉が輸入される日本市場では不利になる。
 合意内容は、自動車や農業といったトランプ氏の支持基盤へ安倍政権が配慮した面が否めない。
 米国産農産品の関税について、安倍政権はTPP水準まで引き下げる方針で交渉に取り組んだようだ。乳製品のほか豚肉、小麦などが交渉対象だが、工業製品と同様に具体的な合意内容は明らかにされていない。
 交渉の最終局面で、対象外だったワインが含められ、安倍首相は米国産トウモロコシ購入を表明した。押し切られたのではないか。
 TPP水準であっても、安価な農産品の輸入は日本の農業を直撃する。政府の試算では、国内の農業生産額はTPPで年1500億円減少する。実効ある対策が急務であることに変わりはない。
 日米両政府は9月にも貿易協定への署名を目指すが、トランプ氏が合意への態度を変える可能性も指摘される。上下両院でねじれる米議会の出方にも留意が必要だ。


「安倍首相が中国の代わりにとうもろこし購買」…日本、貿易交渉で米国に一方的譲歩
トランプ「非常に大きな取引」記者会見通じ自慢 
日本の要求事項だった乗用車関税撤廃は見送り 
米日連帯強調のために安倍首相が譲歩と分析
 「非常に大きな取引だった。私たちは原則的に合意した。数十億ドルだ。(米国の)農民にとって途方もないものだ」
 25日午後、主要7カ国(G7)首脳会議の場所であるフランスのビアリッツで、ドナルド・トランプ米大統領は安倍晋三日本首相の隣に座り、自身が日本と貿易交渉で得た成果を自慢した。トランプ大統領は「安倍首相は米国の各地で残ったとうもろこしを購入することに同意した。中国が自分たちが買うと言っていたもの(とうもろこし)を買わなかった。そして安倍首相がそのとうもろこしを全量買うことにした」と自慢し続けた。
 トランプ大統領と安倍首相は25日、二度の首脳会談を開き、米国の農畜産物輸入を増やす内容の貿易協定案に大枠で合意した。両首脳は来月、ニューヨークで開かれる国連総会の時に再び首脳会談を開き、貿易協定に署名する予定だ。
 トランプ大統領の自慢からうかがえるように、今回の合意内容を見ると日本の譲歩が目立った。米国の対日主要輸出品である牛肉の関税率を、現在の38.5%から段階的に9%まで引き下げるという内容が代表的だ。一方、米国は日本の要求事項だった日本産乗用車の関税率2.5%の漸進的撤廃を受け入れなかった。米国はかつて環太平洋経済パートナー協定加入交渉時も乗用車関税の漸進的撤廃に合意していた。
 そのため日本国内でも、トランプ大統領の来年の大統領選挙を助けるために日本が一方的に譲歩したのではないかという指摘が出ている。東京新聞は「安倍首相が日本の農家の反発を懸念して(米日貿易交渉の)妥結時点を7月の参議院議員選挙後に遅らせたことで、トランプ大統領への借りがある。しかも安保分野で日韓対立と米中貿易摩擦など国際情勢不安のために日米関係が緊密だということを演出しようとする意図も伺える」と指摘した。
 日本が今回米国に大幅譲歩をするだろうことは、すでに予想されていた。そのため日本では、早期妥結で追加要求を防いだという評価もある。日本経済新聞は、米国は成果を急ぎ、日本は範囲を狭めて米国の要求増加を回避したと伝えた。日本の菅義偉官房長官は26日、定例記者会見で「(日米首脳が)貿易問題を含む両国関係と様々な国際社会の課題について意見交換したことはきわめて有意義だった」と自評した。
 米日首脳は異例にも25日午前と午後の二度にわたり首脳会談をした。二回目の首脳会談の後の共同記者会見は、トランプ大統領の要請により予定外で急遽なされた。安倍首相の口を通じて自身の成果を客観的に見えるようにしようとするトランプ大統領の意図が伺える。日本の記者団は、米国のテレビで中継が始まってしまってから、二回目の会談事実を知り外務省に問い合わせをしたと東京新聞は伝えた。 東京/チョ・ギウォン特派員


日米貿易交渉合意 譲歩重ねる事態避けよ
 安倍晋三首相とトランプ米大統領はフランスで会談し、貿易交渉に大枠で合意した。貿易協定の9月の署名を目指す。米国産農産物の関税を環太平洋連携協定(TPP)の水準まで引き下げる一方、日本車に課されている関税の撤廃は見送ることになった。
 安倍首相は合意内容について「ウィンウィン(相互利益)」であると強調した。だが来年の大統領選での再選を狙い、外交成果を上げたいトランプ氏に押し込まれ、日本の譲歩が目立つ結果となったことは否めない。政府は、協定署名までの詰めの調整でさらなる譲歩を重ねることのないよう、毅然(きぜん)とした姿勢を貫くべきだ。
 農産物の関税引き下げは牛肉、チーズをはじめとする乳製品に加え、豚肉、小麦、ワインなどが対象になる。米国は一方的にTPPを離脱し、2国間協議でTPP以上の関税引き下げを日本に要求した。日本はTPPの水準までは認める方向で交渉に臨んだ。牛肉の関税は現在、38・5%だが、TPPで合意した9%を限度として引き下げることで一致した。
 米国が農産物の関税引き下げを急ぐのは、TPPの発効により米国以外の国の関税が引き下げられ、相対的に米国産が不利になったためだ。トランプ氏の有力な支持層である農家から不満の声が上がっていることが大きい。しかし、安い農産物の輸入拡大は日本の農業にとって影響が避けられない。政府には農家の不安を解消する対策を講じることが求められる。
 日本が農産物での譲歩と引き換えに要求していた日本車の関税撤廃は、米国にはねつけられた。トランプ政権は、米国内の自動車産業を「国力の点から死活的に重要」とし、輸入車を安全保障上の脅威と見なしており、隔たりは埋められなかった。
 米国は日本車の数量規制の導入や、現在2・5%の関税を25%に引き上げる追加関税の発動をちらつかせている。関税撤廃の要求を取り下げた日本は、結果を急ぐ米政権に対し早期決着を取引材料にすることで、数量規制や追加関税にまで議論が広がらないようにする戦略を取った。
 だが、トランプ氏が今後、数量規制や追加関税を再び持ち出してくる恐れは排除できない。貿易協定の署名までには、米側がこうした動きに出ないように、しっかり確約を取り付けなければならない。
 茂木敏充経済再生担当相は、自動車以外の工業製品の関税撤廃や削減については米国から一定の譲歩を引き出すことができたと説明している。ただ、具体的な品目は明らかにしておらず、9月末に公表する予定。9月末といえば協定に署名する時期だ。最終的な合意まで公表できない事項があることは理解できるが、可能な範囲で情報公開し、説明責任を果たしてほしい。


日米貿易交渉 花を持たせて終わるのか
 トランプ米大統領に外交成果を提供しただけに終わってしまう可能性はないか。懸念の募る展開となった。
 日米貿易交渉が大枠で合意した。交渉開始から半年足らずのスピード決着だ。9月の協定署名を目指す。
 日本にとって守りの分野である農産物について環太平洋連携協定(TPP)の水準まで関税を引き下げる一方、攻めの工業分野で自動車関税の撤廃が見送られた。
 TPP水準への農産物の関税引き下げは、日本にとって最大の交渉カードだった。それを使っておきながら、見合う成果が得られる見通しは付いていない。
 米国が乗用車に課す2・5%の関税撤廃は、オバマ前政権とのTPP交渉で既に獲得していた成果だった。TPPから離脱したトランプ政権はその後、撤廃どころか追加関税や数量規制の発動をちらつかせ、圧力をかけていた。
 交渉に当たった茂木敏充経済再生担当相は工業分野で一定の譲歩を引き出せたとしたが、内容は明らかにしていない。米政権の姿勢を考えると、見送った関税撤廃が実現する可能性は薄いだろう。
 安倍晋三首相は「両国の経済にとって大きなプラス」とした。相互利益を強調するなら、きちんとした合意内容の説明が要る。
 農産物の関税引き下げは牛肉、豚肉、小麦、乳製品などが対象。米国産の牛肉は現在38・5%の関税がかかっており、TPPでは最終的に9%まで下げることで合意している。両首脳は今回、民間企業を通じて米国産トウモロコシを購入する方針でも合意した。
 来年の大統領選での再選が最優先のトランプ氏の狙いは、米国内の農家の支持固めだ。TPPの発効でオーストラリアやカナダと比べ日本市場で不利になり、中国との貿易摩擦でも打撃を受けていた農家にアピールするため、日本との合意を急ぐ必要があった。
 交渉は、そうした米側の要求に沿って進んだとみられる。長引けばトランプ氏が強硬姿勢に出る恐れもある。早期合意には、自動車の追加関税や数量規制を封じる日本側の狙いもあったのだろう。
 とはいえ、今回の合意はトランプ氏の都合に振り回された面が強い。合意後の共同記者会見が米側の申し入れで急きょ決まったことも、それを裏付けている。
 安倍首相はトランプ氏と会談を重ね、親密ぶりを誇ってきた。しかし、その言動が予測不可能なのは証明されている。意向を実現するお膳立てを最優先する戦略にも、限界が見えている。


日米貿易交渉 成果を誇るのはまだ早い
 安倍晋三首相は「両国の経済にとってプラスになる」とアピールしたが、まだ早すぎるのではないか。
 政府は、交渉の経緯と合意内容について国民に丁寧に説明し、きちんと判断材料を提供することが求められる。国内農業、経済に与える影響の見通しも具体的に示すべきだ。
 安倍首相とトランプ米大統領が、日米貿易交渉に関して大枠で合意し、9月の署名を目指す意向を共同記者発表で示した。
 安倍首相はこれまで「ウィンウィン(相互利益)」の合意を目指すと強調していた。
 だが、日米相互の利益となる決着といえるのか懸念は募る。合意の中身も不明な点が多い。
 合意内容を見ると、日本側がより多く譲歩し、トランプ氏の大統領再選に向けた「お膳立て」をした感は否めない。
 交渉の大きな焦点となっていたのは、米国が多く輸出したいとしている農産物の関税引き下げと、日本が求めていた自動車の関税撤廃だった。
 農産物は、米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)並みに引き下げることで合意した。米国産の牛肉や豚肉、乳製品などが対象品目となる。
 安倍首相は飼料用のトウモロコシの輸入も表明した。米農家は対中貿易摩擦で中国への輸出が伸び悩んでおり、トランプ氏が要請していたという。
 トランプ氏は再選を控えて農業票を重視していた。安倍首相の表明はこうした事情に配慮したのではないか。
 国内の畜産農家からはTPPの水準以上の厳しい内容にはならなかったことにひとまず安堵(あんど)の声も出ている。
 しかし、関税引き下げにより、今後輸入が増えるとの懸念は強い。農家の経営を直撃する恐れがあることから、政府に対策を求める動きも出てこよう。
 一方で日本の自動車については、関税撤廃は見送りとなった。TPP交渉で関税撤廃は日本が勝ち取った成果だったが、今回は最終局面で譲歩した。
 自動車以外の工業品で幅広く関税を削減、撤廃することでは合意したが、具体的な品目は明らかにされていない。
 日米貿易交渉は今年4月に始まったが、半年足らずで最終決着する可能性が高い。
 振り返ると、交渉はトランプ氏のシナリオ通りに進められ、日本が押し切られたような印象が強い。
 トランプ氏は再選を目指し貿易で成果を急いでいた。日本は交渉が長引けば、過度な要求を突きつけられるのではないかとの不安を抱えていた。
 共同記者発表が米側の申し入れで急きょ決まったのも、こうした流れに位置付けられよう。
 今後のトランプ氏の言動にも注意が必要だ。対日貿易赤字の削減を求め、これまで日本車の数量規制や追加関税の発動を「脅し文句」にしてきた経緯があるからだ。
 菅義偉官房長官は発動の可能性を否定したが、警戒を緩めるのは禁物だろう。


日米貿易交渉大枠合意 米国ペースが過ぎないか
 安倍晋三首相とトランプ米大統領との首脳会談で日米貿易交渉が大枠合意し、9月にも協定に署名する方針が示された。具体的な合意内容は明らかにしていないが、米国から輸入する農産物は環太平洋連携協定(TPP)の水準が上限となる見込みという。日本としては早期に署名したいところだろう。予測不能のトランプ氏が新たな難題を持ち出す恐れがあるからだ。
 ただ、トランプ氏の顔色をうかがうだけの姿勢はいただけない。日本がTPPで米国から得ていた自動車や部品への関税撤廃は見送り、中国に代わって米国産トウモロコシを大量購入する方針も表明するなど米国ペースが過ぎないか。来年の大統領選に向け成果を示したいトランプ氏におもねりすぎというほかない。
 トランプ氏に進言すべきは深刻化する米中貿易摩擦の解消だ。関税の応酬は世界経済に打撃を与え始めている。日本も急速に円高が進み、輸出産業を直撃している。日本経済が崖っぷちに立たされている状況にありながら、交渉決着で「両国の経済にとって大きなプラスになる」という首相の感覚は理解しがたい。
 TPPの関税水準でみると、段階的に引き下げられ牛肉は38・5%から9%、豚肉は高価格品が4・3%からゼロ、低価格品は1キロ当たり482円から最終的に50円になるとされる。日本国内の農家や畜産関係者からはTPP水準の見通しに安堵(あんど)の声も出るが、輸入拡大への懸念は尽きない。
 特に県内を含む養豚農家は豚コレラのまん延にあえぎ、新たにアフリカ豚コレラの危機にもさらされている。そこに輸入品が増えれば事業の継続にも関わる問題となろう。緊急輸入制限(セーフガード)で一定の歯止めをかけるなど対策が欠かせない。
 2国間貿易協定の締結は、米国がTPPに戻ってこないことを意味するものだ。自動車の対米輸出の数量規制や、通貨安誘導を許さない為替条項の導入といった要求について今回は見送られたもようだが、事あるごとに持ち出し揺さぶりを掛けてくる可能性も否定できない。
 トランプリスクに加え、米議会の動きも気がかりだ。米国がメキシコなどと進めた北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しでは議会が自国有利をもくろみ、政権に再交渉を要求した経緯がある。米議会は上下両院がねじれ議会となっている。野党の民主党が大統領選をにらみ、政権の弱腰批判を強めかねない。
 交渉に当たった茂木敏充経済再生担当相は「日本の農業をしっかり守る交渉ができた」と述べた。ならば、農家の不安解消のためにも可能な範囲での合意内容の公開を求めたい。


日米貿易交渉/譲歩目立ち火種も残った
 日米両政府が大枠合意した貿易交渉は、牛肉や乳製品など対日輸出農産品関税の削減など米国への譲歩ばかりが目立つ内容になった。その上、安倍晋三首相は、大統領選に向け成果が欲しいトランプ大統領の要請を受け入れ、米中貿易摩擦で中国向け輸出が伸び悩む米国産トウモロコシの購入まで引き受けた。
 安倍首相は両国にプラスになると強調したが、日本の対米輸出拡大に向けた具体的な成果は乏しく圧力を背景にした2国間交渉で米国に押し込まれたと言わざるを得ない。
 さらに日本が懸念している自動車の対米輸出数量規制や自動車への追加関税などについて米国の対応方針がはっきりせず、火種が残っている状態だ。日米は9月末の首脳会談で貿易協定に署名する方向だが、その前に、こうした項目について、しっかり米側から「適用しない」との約束を取り付けなければならない。
 ここをなおざりにすれば、確約がないことをいいことにトランプ大統領が再び、持ち出してくる恐れも排除できないからだ。現状でも、合意内容は米国に有利な形になっている。それに加えて、日本車の米国市場へのアクセスがさらに悪化するような事態は避けなければならない。
 米国の対日輸出で関税が削減される米国農産品は牛肉、乳製品に加え、豚肉、小麦、ワインも対象になった。環太平洋連携協定(TPP)の取り決めが削減の上限になる見込みだが、政府は具体的な数値などは明らかにしていない。日本の対米輸出では、攻めの分野と位置づけた工業製品の多くの分野で関税が撤廃、削減されるとしているが、具体的な品目などの公表は9月末に持ち越される。
 茂木敏充経済再生担当相は、日米双方にとって利益になると強調している。実務交渉の責任者の説明だが、これでは国民は判断できないだろう。最終的な合意まで公表できない事項があることは理解できるが、可能な範囲での情報公開を求めたい。
 9月に署名にこぎ着ければ、昨年秋に始まった日米交渉は約1年間で終了することになる。異例の早期決着の背景には、トランプ大統領が大統領選前に成果を上げたい米国の思惑、交渉が長引くことによって交渉範囲が拡大することを避けたい日本の事情があった。
 その早期決着を最終局面で後押ししたのは日本の譲歩だった。日本は対米輸出拡大のために米国が日本車に課している2.5%の関税の撤廃を目指してきたが交渉は難航、日本は早期妥結を優先し要求を取り下げた。
 しかし、2.5%の関税撤廃はTPP交渉で米国から勝ち取った成果の代表格だった。米国が今回の交渉で、農産物についてTPPと並ぶ関税削減を得たのなら、日本も、米国のTPP離脱で見送られた、この2.5%削減を復活させてこそ、日米で見合いが取れるはずだった。自動車関税を撤廃する好機を生かせなかったのは残念だ。
 トウモロコシについても唐突感が否めない。民間企業が9月以降、年間輸入量の3カ月分に相当する250万トンの飼料用を輸入し、備蓄を積み増すという。だが、民間企業の手を煩わしてまで、早急に備蓄を増やす必要があるのか、疑問を抱かざるを得ない。


日米貿易交渉大枠合意 トランプ氏の再要求は認めない
 安倍晋三首相とトランプ米大統領がフランスで会談し、懸案だった貿易交渉について、大枠で合意した。米国産農産物への関税引き下げは環太平洋連携協定(TPP)の水準まで引き下げた一方、日本が求めていた自動車関税の撤廃は見送られた。来月の貿易協定署名を目指す方針という。
 交渉開始から半年ほどの異例のスピード決着となった。来年の大統領選を控え成果を急いだ米政権と、早期決着を取引材料とすることで、最小限の市場開放でとどめようとした日本政府との妥協の産物によるものだ。
 とはいえ、米国のTPP離脱前には、日本が農産物の関税を引き下げ、米国が自動車などの関税を将来的に撤廃することで合意していたはずだ。今回の合意はバランスを欠いたものだと言わざるを得ない。再選を最重要課題とするトランプ氏が、日本にさらなる要求を突きつけてくる懸念も拭えない。最終的な詰めの作業にあたっては、日本の立場を守り、リスクを回避するための約定を交わすことが肝要だ。
 日米貿易交渉は、対日貿易赤字の削減要求を強める米政権の意向により、昨年9月の日米首脳会談で、関税交渉入りが決まった。米国はTPP発効でオーストラリアやカナダに比べて対日農産物輸出で不利な条件になっていると指摘。強硬姿勢を貫き、日本に農産物の市場開放を迫りながらも、日本が求めた自動車関税の撤廃は拒み続けた。
 このため、合意には日本政府が譲歩するしかなかった。トランプ氏に、自動車産業や支持基盤の農家への大統領選での格好のアピール材料を提供することで恩を着せた側面はあるが、北朝鮮の核問題や韓国との関係悪化など、外交や安全保障で米国頼みを強める安倍政権が、強気を貫くことは困難だと見抜かれていたなら問題だろう。
 焦点の一つだった米国産牛肉では、38.5%の関税を段階的に9%に引き下げる。また、首相は米国産トウモロコシを購入する方針も表明している。これまでにも安価な輸入農産物で打撃を受けている国内農家にとっては、追い打ちとなることは間違いない。関税をTPP水準まで引き下げる農産物の対象数はTPPよりも少なくなる見通しだが、米中貿易摩擦が泥沼化する中での早期決着は、今後に向け、トランプ氏に「日本くみしやすし」との印象を持たせたのではないかとの危惧も残る。政府にはあらためて、日本の農業を守るための決意と施策を求めたい。
 日米の貿易協定が成立する見通しとなったことで、日本が米国に促してきたTPP復帰の可能性は事実上閉ざされた。米国の行きすぎた保護主義により、世界経済が減速する恐れはなお続く。日本は自由貿易を推進する立場から、米国を多国間の自由貿易の枠組みに戻す働き掛けを粘り強く進めることも忘れてはならない。


【日米貿易協定】大筋合意に不安拭えず
 安倍首相とトランプ米大統領が、日米貿易交渉の大枠について首脳会談で合意した。来月の協定への署名を目指す。
 米国が強く求めてきた農産物の関税撤廃・削減は、環太平洋連携協定(TPP)で日米が合意していた水準とし、日本が求めていた自動車関税の撤廃は見送る。
 4月の協議入りから半年足らずでの決着となる。異例のスピード解決といってよいだろう。大統領選に向け成果を急ぎたいトランプ政権と、米国の圧力が強まらないうちに決着を図りたい安倍政権の思惑が一致した格好だ。
 とはいえ自動車関税の撤廃見送りは日本の大きな譲歩と言わざるを得ない。農産物、工業製品共に多くの点で合意内容が明らかにされておらず、不安は大きい。
 他にも譲歩した項目はないのか、米国が後から要求を強める恐れはないのかなども気掛かりだ。日本政府には緊張感を持った交渉と説明責任が求められる。
 貿易赤字の改善を掲げるトランプ政権は、中国との貿易摩擦の解決が見通せなくなっている。大統領選が来年に迫る中、実績をつくるには日本との貿易交渉を急ぐ必要があったのだろう。
 加えて農業大国オーストラリアなどが参加するTPPが米国抜きで発効。日本は欧州連合(EU)とも経済連携協定(EPA)を結んだ。日本の市場では牛肉や乳製品、豚肉、小麦、ワインなどの関税の引き下げや撤廃が始まり、米国は不利な状況になっていた。
 2国間交渉に身構えていた日本には有利に働いた面はあるが、これで日本市場はさらに開放が進むことになる。例えば牛肉は38・5%の関税が段階的に引き下げられ、16年目には9%になる可能性がある。
 小規模な生産者が受ける影響は大きい。農家支援などの対策をしっかりと進める必要がある。
 TPPの交渉で7万トンの無関税枠を設けたコメについては、今回日本がその削減を目指してきたが、決着の有無は明らかになっていない。一方で日本は米国産トウモロコシの追加輸入を決めた。
 日本の攻めの分野とされた工業製品も、茂木経済再生担当相が「日本の関心に沿った関税撤廃、削減が実現する」と発言しているが、具体的な品目は不明だ。
 米国が日本車に課す2・5%の関税撤廃はTPP交渉で日本が獲得した大きな成果だった。それを犠牲にする代わりに、米国は安全保障上の脅威を理由にした追加関税はかけない方針という。
 トランプ氏の再選に向けたお膳立てにも映る交渉だ。しかし、米国第一主義を掲げている大統領であることは忘れてはならない。
 選挙戦の行方によっては方針が急にひっくり返ったり、無理難題を押し付けてきたりする恐れは十分あろう。日本政府の思惑通りに進む保証はない。


安倍首相がトランプからトウモロコシ爆買い! 参院選密約の代償、それでも「ウィンウィン」の強弁を垂れ流すマスコミ
 やっぱりトランプ様の言いなりか──。25日、G7サミットがおこなわれていたフランス・ビアリッツで安倍首相はトランプ大統領と会談し、日米貿易交渉で大枠合意。合意内容は公表されていないが、日本側が牛肉や豚肉の関税を環太平洋経済連携協定(TPP)の水準まで引き下げられることになりそうだという。
 この結果について、共同記者会見で安倍首相は「ウィンウィンで進んでいることをうれしく思う。両国にとって間違いなく大きなプラスになる」などと述べたが、そんな馬鹿な話があるか。というのも、日本は牛肉や豚肉などの関税をTPPの水準で引き下げる一方、アメリカ側に求めていた自動車の関税撤廃は見送られてしまったからだ。一体、これのどこが「ウィンウィン」だと言うのか。
 しかも、今回の会談では、アメリカで余っている飼料用トウモロコシを日本が数百億円規模で購入することが決定。本サイトでもいち早く伝えたように、これは米中貿易摩擦によって中国国有企業がアメリカからの農産物輸入を一時停止しているためで、トランプ大統領は中国の穴埋めをさせるべく、安倍首相にトウモロコシを押し売りしたのだ。
 現に、トランプ大統領は会談後、予定になかった記者発表を急遽、日本側に要請。そこでトランプ大統領は得意気にこう語った。
「中国がやると言ったことをやらなかったから、国中でトウモロコシが余っている。代わりに日本の安倍総理が、すべてのトウモロコシを買うことになった」
 余ったトウモロコシはすべて安倍が買い上げてくれる──。今回のG7サミットでは、イギリスのジョンソン首相やEUのトゥスク大統領がアメリカの貿易政策を批判するなどトランプ大統領の孤立が浮き彫りになったが、そんななかで安倍首相は来年の大統領選を控えたトランプ大統領のパフォーマンスのために国際的に反発が強まる米中貿易摩擦の尻拭い役を引き受けたのである。こんな恥さらしがあるだろうか。
 そして、これが外交の失敗であることは安倍首相も理解しているはずだ。事実、「ウィンウィン」と言いながら、トランプ大統領が「余ったトウモロコシを安倍がすべて買う」と宣言しているあいだ、安倍首相は落ち着きのない様子で目をキョロキョロさせるばかり。その上、自分に発言のバトンが回ってくると日米貿易交渉についての話だけをし、トランプ大統領はすかさず「トウモロコシについても発言を」と催促。安倍首相は、まずいと思ったのか、「買うのは民間、政府ではない」とやんわり訂正した。
 政府が買わずとも、買い上げ企業に補助金や税制優遇などをつけるのは目に見えているのに、この言い草。挙げ句、安倍首相のこの発言のあと、トランプ大統領には「日本では民間が政府の言うことをきくらしい。アメリカと違って」と言われる始末で、完全に“トランプの犬”であることが丸出しとなったのだ。
 来日時にはゴルフに異例の特別扱いをした相撲観戦など海外メディアにも嗤われた過剰接待を繰り広げた上、自動車関税の撤廃も押しきれず、数百億円規模の余ったトウモロコシまで押し付けられるという、日本に何の「ウィン」もないこの交渉結果……。こうした国益を引き渡すような結果になったのは、言うまでもなく、参院選後まで貿易交渉の妥結を引き延ばしてもらったためだ。
安倍首相は参院選のために交渉妥結を引き伸ばし密約
 実際、4月におこなわれた首脳会談では、トランプ大統領は記者団がいる前で貿易交渉の合意時期について「かなり早く進められると思う。たぶん(5月末に)訪日するまでか、訪日の際に日本でサインするかもしれない」と答えたが、記者団が退室すると、安倍首相は 「7月の参院選があるから、それまでは無理だ。2020年秋の大統領選のことはきちんと考えている」と説明(読売新聞4月28日付)。そして5月末の来日時、トランプ大統領は安倍首相とのゴルフ後に〈日本の7月の選挙が終われば大きな数字が出てくる〉とTwitterに投稿、さらに首脳会談後にも「8月に良い発表ができると思う」と語った。
 つまり、参院選前に貿易交渉を妥結すれば日本国内の農業関係者から猛反発を受け、安倍自民党が地方票を大幅に失いかねないために、安倍首相は選挙が終わった「7月以降」に応じると約束したのである。しかも、来日後の6月にトランプ大統領は「日本は先日、『米国の農家から大量の農産物を買う』と言った」と宣言しており、来日時にはトウモロコシの巨額購入が約束されていた可能性さえある。ともかく、安倍首相が自分の選挙のために密約を交わした結果、国益が売り渡されてしまったのだ。
 しかし、驚くべきはメディアの報道だ。こうして国民を欺いた事実があきらかになったというのに、今回の日米首脳会談の結果について、農産物の関税が「TPP水準内で合意」したと強調するばかりだからだ。
 言っておくが、「TPP水準内で合意」というのは当たり前の話で、日本が要求していた自動車関税の撤廃が見送られたことは完全に日本の交渉の敗北を意味する。にもかかわらず、その点は深掘りせず、菅義偉官房長官の「極めて有意義」などという発言を垂れ流すだけ。菅官房長官は自動車関税についてアメリカに押し切られたのではないかという質問に「米国に押し切られたとの指摘はまったくあたらない」といつもの根拠ゼロの台詞を吐いたが、その詭弁を批判する様子も見られない。
安倍首相の“トウモロコシ爆買い”を批判しないメディア
 しかも、問題は“余ったトウモロコシ爆買い”だ。日本政府はこのトウモロコシ爆買いについて、〈国内のトウモロコシは一部で害虫被害が確認され、飼料用の供給に懸念が出ている。このため、米国産を3カ月分、前倒しで輸入することになった〉(朝日新聞デジタル26日付)ともっともらしく説明しているが、今朝の東京新聞によると〈食害はごく一部で発生が確認されているだけ〉で、農水省も「現時点では通常の営農活動に支障はない」(植物防疫課)と回答している。だというのに、テレビの報道ではこの“余ったトウモロコシ爆買い”問題にほとんど突っ込んでいない。
 ようするに、メディアは安倍首相の「ウィンウィン」発言に押されるだけで、国益があっさり売り渡されたことへの批判もせず、一方で韓国バッシングに精を出している。この状況にもっとも満足しているのは、安倍首相だ。なにせ、メディアの連日の韓国叩きのおかげで内閣支持率はアップ。その上、外交の大失敗に批判が上がることもない。つまり、韓国叩きでもって、国益のトランプへの売り渡しという失敗を紛らわせることに成功しているのである。
 その上、注意しなければならないのは、日米貿易交渉はその協定内容がまだ公表されていない、ということだ。今後、トランプ大統領が日本に揺さぶりをかける可能性もゼロではないし、さらに〈TPPの発動基準数量を見直さないまま日米協定が発効すると、低関税で輸入される牛肉の総量が発動基準数量を超えても、オーストラリアなどにはSG(セーフガード=緊急輸入制限措置)が発動されず、国内にTPP以上の影響が出る恐れがある〉(日本農業新聞27日付)という。
 国民を平気で裏切る総理と、大本営発表を垂れ流して隣国叩きで数字を稼ぐだけのメディア──。国益がトランプに売り渡されても、この国は当然の批判もせず、黙ってそれを粛々と受け入れるつもりなのだろうか。


米余剰トウモロコシ輸入決定 日本に“危険食品”大流入危機
 トランプ大統領に米国産牛肉や豚肉の市場開放をのまされた安倍首相。さらに“おまけ”とばかりに、米国で余った飼料用トウモロコシ250万トンの購入まで押し付けられた。トランプは「中国がトウモロコシ購入の約束を反故にした」「安倍首相が全て買ってくれる」と大喜び。実は、このトウモロコシが厄介なのだ。
 米国のトウモロコシは、雑草を除去する「除草剤」の耐性を持たせるため、遺伝子組み換えが大半だという。鳩山由紀夫元首相は26日、〈このトウモロコシは遺伝子組み換え作物と思われる〉とツイート。農業問題に詳しいジャーナリストの天笠啓祐氏は、「米国産トウモロコシの約9割が遺伝子組み換え」と日刊ゲンダイに語った。
 食べると動物や人体に悪影響を及ぼす恐れがある。フランスの大学教授の実験だと、組み換えエサを2年間、食べ続けたマウスの50〜80%ががんを発症。米国環境医学会は09年、「アレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する健康」に悪影響を及ぼすと発表したほどだ。
 日本では基本的に、食品や飼料の原料に遺伝子組み換えの農作物を使用する場合、商品に明記することが義務付けられている。消費者庁は公式HPで〈健康や環境に対しての問題を引き起こすことがあってはなりません〉とうたっている。
 米国から大量に入ってくる危険なエサで育った牛や豚を、ヒトが食べて大丈夫なのか。
「間接摂取については研究が進んでおらず、詳細は不明。しかし、危険性がないとは言い切れないでしょう。多くの消費者から不安の声が上がっています」(天笠啓祐氏)
■中国は「怪しい作物」を徹底拒絶
 実は、輸入を拒否したという中国は、遺伝子組み換えの農作物を危険視しているという。購入拒否の原因は貿易摩擦というより、危険な農産物を忌避した可能性がある。
「この数年、中国政府は国産農作物の安全性を、米国や国際社会に向け徹底アピールしている。いわくつきの作物を受け入れるつもりはないということ。今回の購入拒否は『危険な遺伝子組み換え作物は使わない』という意志の表れだろう」(在中ジャーナリスト)
 安倍首相は今回の貿易交渉で、牛肉の関税引き下げ、豚肉については将来的に撤廃する方針を受け入れた。国内農家からは、早速「輸入拡大につながる恐れがある」との声が上がっている。
 トランプに「シンゾー、また農作物を買ってくれよ」と言われれば安倍首相は断れない。今後は、飼料用の危ないトウモロコシだけでなく、ヒトが直接食べる危険な農産品が大量流入してくる恐れがある。
「遺伝子組み換え作物についてはトウモロコシの他、大豆、菜種、ワタの種子が流通しています。中国はかたくなに受け入れを拒否していますし、欧州も敬遠しています。トランプ大統領は今後、余った組み換え農作物の受け入れを日本に迫ってくる可能性があります。今回、受け入れに応じてしまった代償は大きくなるでしょう」(天笠啓祐氏)
 武器も言われるがままに“爆買い”してきた安倍首相。今度は危険な食料を“爆買い”することになりかねない。


室井佑月氏 安倍首相の米国産トウモロコシ購入に疑問、「中国に売るつもりのもの」
 作家の室井佑月氏が26日にツイッターに投稿。安倍晋三首相がトランプ米大統領の要請を受け、米国産トウモロコシを購入する意向を示したことに疑問を呈した。
 室井氏は「中国に売るつもりだったものを、買わされるのか。この国でというか、この国の多くのみんながそれを欲しているか欲していないかじゃないんだね。おかしくね」と指摘した。
 室井氏は、トウモロコシが大量に増えて国内で消費仕切れないのではとの投稿を引用して、自身の考えを示した。
 米農家は対中貿易摩擦が直撃し、中国への輸出が伸び悩んでいる。


参院選「安倍やめろ」に続き埼玉知事選でも…警察が柴山文科相への抗議を違法排除! 当の柴山も「表現の自由」制限を主張する横暴
 参院選につづき、またも警察による市民の排除事件が起こった。25日に投開票された埼玉県知事選の選挙戦最終日である24日、JR大宮駅前でおこなわれた自公が推薦した青島健太氏(落選)の街頭演説に柴山昌彦文科相が応援に駆けつけたのだが、そこで柴山文科相に抗議をおこなった男性が警察に排除されたというのだ。
 Twitter投稿によると、この男性は現役大学生だといい、「柴山やめろ」と声をあげ、こんなプラカードを掲げて抗議をおこなったという。
〈めちゃくちゃな大学入試改革 英語民間試験、国語記述式 即時撤回せよ!! 柴山は辞任せよ!! 若者の声を聞け!! #サイレントマジョリティは賛成なんかじゃない〉
 文科省は2021年1月よりセンター試験を廃止し「大学入試共通テスト」に移行する予定だが、英語では受験生全員が公平に受けられるのか疑問視されている民間検定試験を活用したり、記述式テストの採点に大学生アルバイトを認める方針だと報じられるなど、さまざまな面で批判があがっている。だが、柴山文科相は16日、Twitterに寄せられた〈大半が反対なのに〉という声に対し、〈サイレントマジョリティは賛成です〉と投稿。大臣でありながら批判に耳を傾けるでもなく切り捨てる態度には唖然とさせられるばかりだが、街頭演説で抗議した男性は、だからこそ〈#サイレントマジョリティは賛成なんかじゃない〉と、直接訴えたのだろう。
 しかし、この男性が抗議をおこなうと、警察官たちが排除に動いた。Twitterには、その場に居合わせた人が撮影した警察官に男性が囲まれる様子の画像や、男性自身が撮影した私服警官と思しき複数の人物に演説カーから離れた場所へ連れてこられた先でのやりとり、その後も男性が警察に付け回される動画が投稿された。男性によると、このとき警察に引っ張られ、ベルトが引きちぎられたのだという(「The Interschool Journal」より)。
 これだけでも大問題だが、驚くのはこのあと。25日に菅義偉官房長官会見のヨイショ質問でおなじみのフリージャーナリスト・安積明子氏が〈排除ではなく、街宣車に乗り込もうとした学生をSPが取り押さえ、近くのビルの入り口に連れて行くも、すぐに解放されて、学生はプラカードを掲げて示威活動。柴山大臣がいなくなると姿を消した〉などと投稿。対して抗議男性は〈看過できないデマ〉〈私は「街宣車に乗り込もうと」などしていません〉と否定したのだが、柴山文科相はこの安積氏のツイートをRTして〈遅れて到着し、しかも街宣車の反対でしたので見えていませんでした〉と反応したのだ。
 しかも、これに対して、一般のTwitterユーザーが〈「見えていなかった」のに反対側で「街宣車に乗り込もうとした」という捏造をくっつけて公式アカウントから発信されたことに抗議します〉と抗議すると、柴山文科相は今度は〈少なくともわめき散らす声は鮮明にその場にいた誰の耳にも届きましたけどね〉と返信し、〈抗議の電話をしましょう〉と呼びかけたユーザーには、こんな恫喝の言葉を投げつけたのだ。
〈業務妨害罪にならないよう気をつけて下さいね〉
 大臣が、市民からの批判に「業務妨害罪」をちらつかせて威嚇する──。しかも、柴山文科相の“暴言”はこれだけでは終わらなかった。本日おこなわれた会見では、この抗議男性の排除問題について質問が飛ぶと、こう回答したのだ。
「演説会に集まっておられた方々は候補者や応援弁士の発言をしっかりと聞きたいと思って来られているわけですから、大声を出したり、通りがかりでヤジを発するということはともかくですね、そういうことをするというのは、権利として保障されているとは言えないのではないか」
「サイレントマジョリティは賛成」などと嘯きながら声をあげた市民に「権利はない」
 繰り返すが、大学入試改革に対する批判に〈サイレントマジョリティは賛成です〉などと人を食った発言をしたのは柴山文科相だ。それが、いざ実際に黙ることなく声をあげたら「大声をあげる権利は保障されていない」と言い出すとは……。
 弁護士である柴山文科相に言っておきたいが、そもそも市民が街頭演説で為政者に怒りの声をぶつけるのは「表現の自由」にほかならず、男性の行動は選挙妨害罪について定めた公選法225条および第230条にも当てはまらない。抗議の声をあげる権利は保障されているのだ。
 だが、さらに驚愕させられたのは、会見後に柴山文科相がTwitterに投稿した内容だ。会見での「大声をあげる権利は保障されていない」という発言を批判する意見に対し、柴山文科相はこう返答したのだ。
〈13条見て下さい〉
 これは憲法13条を指しているのだろうが、13条に定められているのは「表現の自由」ではなく、「個人の尊重」だ。そこにはこうある。
《すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。》
 つまり、柴山文科相は、わざわざ「表現の自由」と関係のない条項を持ってきて、大臣に批判の声をあげる行為が「公共の福祉」に反していると言っているのだ。こいつは本当に弁護士なのか。
「表現の自由」が「公共の福祉」による制限を受けるとしても、それは刑事犯罪につながる表現やヘイトスピーチのような差別的言動に対してであって、大臣へのヤジが該当するはずがない。それを、よりにもよって弁護士の文科大臣が「自分に対するヤジは公共の福祉に反する」と宣って「表現の自由」に制約を加えようとしているのだ。これこそが憲法違反の行為ではないか。
 だが、これが安倍政権の姿勢そのものなのだ。実際、「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」中止問題でも、自民党の杉田水脈議員は〈憲法第21条で保障されている表現の自由は、「公共の福祉」による制限を受けます…〉と投稿。ようするに、自分たちのヘイトや歴史修正主義発言を「表現の自由だ」と正当化しながら、市民の「表現の自由」だけを制限しようとしているのである。
「公共の福祉」の解釈を捻じ曲げ、表現の自由と人権制限を目論む安倍自民党
 2012年に自民党が発表した憲法改正草案で《公共の福祉に反しない限り》という部分を《公益及び公の秩序に反しない限り》に変更していることからもわかることだが、安倍政権はこうして着々と自分たちの考えにそぐわない、あるいは批判的なものに対し、「公共の福祉」の解釈を捻じ曲げて盾にし、人権を制限しようとしているのである。
 しかも、これに警察までもが加担しているのが現状だ。参院選の最中、札幌市でおこなわれた安倍首相の街頭演説で市民が強制排除された問題について、朝日新聞が北海道県警に情報公開請求して出された参院選の警備にかんする内部文書では、「社会に対する不満・不安感を鬱積させた者が、警護対象者や候補者等を標的にした重大な違法事案を引き起こすことも懸念される」とした上で、こう書かれていたという。
「現場の配置員には、固定観念を払拭させ、緊張感を保持させてこの種事案の未然防止を図ること」
「(警護は)警察の政治的中立性に疑念を抱かれることのないよう十分配意すること」
「人権侵害や選挙運動等に対する不当干渉との批判を受けることのないよう、その方法の妥当性に十分配意すること」
 この警備方針の結果、安倍首相に批判の声をあげた市民が強制排除されたことを考えれば、「社会に対する不満・不安感を鬱積させた者」というのは政権に対する批判者のことを指していることになるだろう。しかも、これは道警が決めたことではない。警察庁警備局長が全国の都道府県警のトップなどに宛てて出した通達だ。参院選では札幌市だけではなく他の地域でも安倍首相にヤジを飛ばした市民の強制排除があったが、これはつまり安倍政権と警察が一体化して取り締まりにあたっていたということだ。
 政権批判の声を封じ込め、威嚇するために警察を使い、さらには批判行為そのものを「公共の福祉」に反すると言い切り、「表現の自由」を認めない……。まさに独裁国家そのものだが、ともかく、柴山文科相の今回の発言は市民に対する不当な恫喝にほかならず、大臣としての資質が問われる、辞任も当然の重大な暴言であることは間違いない。


ネットのデマ 批判的読解力が必要だ
 誰でも被害者になり得る問題として社会全体で考え、再発防止に本腰を入れるべきだ。ネットのデマによる損害や人権侵害のことである。
 茨城県の常磐自動車道で起きたあおり殴打事件を巡り、容疑者と無関係の女性が「同乗していた女」とインターネット上で名指しされ、中傷の書き込みが相次いだ。
 被害に遭った女性は記者会見し「軽い気持ちでデマを拡散することの怖さをしっかり考えてほしい」と訴えた。女性の弁護士は情報の発信や拡散に関わった人物の特定を進め、損害賠償請求訴訟や刑事告訴を準備している。
 2017年には全国各地の弁護士が、ネット上の特定のブログの呼び掛けに賛同した人々から計約13万件に上る懲戒請求を受けた。各地の弁護士会が16年に朝鮮学校への補助金停止に反対する声明を発表したことが発端だが、声明に関わっていない弁護士も請求を受けた。
 ブログには書式が用意され、呼び掛けに応じた読者が見ず知らずの弁護士名が記載された書面に記名、押印するケースが多かった。961件の懲戒請求を受けた沖縄弁護士会は「事実に基づかない不当な請求」と抗議する声明を出した。根拠もなく懲戒を請求した人に対する訴訟が全国で起き、裁判所が請求者に損害賠償を命じるなど弁護士側勝訴の判決が相次いでいる。
 今月には、車のスピード違反容疑の男性が「上申書を出せば違反逃れができる」というネット上の虚偽情報を信じ、出頭要請を拒んで逮捕された。「違反逃れ」のデマがネット上で出回っていた。
 発信者が情報の根拠や事実を確認しないままデマを流し、それを真に受けた人が誤った情報を広げた結果、虚偽や根拠のない情報を基に誹謗(ひぼう)中傷をしたり違法行為を犯したりする事態を招いている。
 書き込みに違法性がある場合はサイト管理者やプロバイダーに削除を要請できるし、裁判所に削除の仮処分命令を申請する方法もある。しかし、書き込みが次々と拡散する中では、いたちごっこに終始しがちだ。
 最も重要なのはネット利用者一人一人がメディアリテラシーを身に付けることだ。この概念は、さまざまなメディアを使いこなす能力とされる一方、情報を批判的に読み解く力として必要性が指摘されている。
 情報の根拠や真偽を見極める力である。発信者本人が調査して得た一次情報か、それとも誰かから得た二次情報か、情報元が不明な三次情報か。発信元は誰で、どのような背景があり、狙いは何か。人をおとしめる悪意や印象操作の可能性はないか。これらを疑うことが重要になる。
 現代社会にとってインターネットは生活上、欠かせない。ネット上にあふれる情報を正しく有効活用するためにも、この能力を子どものころから培う必要がある。


河北春秋
 焼け野原で2人の少女が対峙(たいじ)する。左は日の丸を持つセーラー服の女子高生。右は韓国の国旗を手にするチマ・チョゴリ姿の女子高生。現代美術家の会田誠さんのびょうぶ絵『美しい旗』(1995年)である▼会田さんの『戦争画RETURNS』シリーズの一つ。「政治的立場や主張もグチャグチャにしてナンセンスなものにしたかった」と会田さん。絵に深い意味はないらしい▼この作品のようにナンセンスなものとして片付けられないのが、今の日韓関係である。韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を決めた。元徴用工問題に起因した日韓対立は貿易から安保に拡大し、最悪の状況になった▼韓国の対応は残念だ。ただ、気になるのは両政府が感情的に熱くなっていること。売り言葉に買い言葉。信頼関係の修復に努めるどころか、互いに相手の非を責め、対立をあおるかのよう。訪日観光客の減少、草の根交流の中止など影響は多方面に及ぶ▼なぜ日韓は対立を繰り返すのか。疑問に思う人は相手国の歴史、文化、考え方を学んでみるのもいいだろう。もっとも市民レベルでは冷静な話し合いを求める意見が多い。日韓はこれまでも、これからもずっと大切な隣人同士だ。にらみ合ったままではそれこそナンセンスである。

トウモロコシ追加購入に補助金 日米貿易首脳会談 理由の「害虫被害」わずか 年間輸入3カ月分275万トン
 安倍晋三首相は日米貿易交渉で、トランプ米大統領に米国産トウモロコシの追加購入を約束した。日本が年間に輸入する飼料用トウモロコシの「三カ月分」(西村康稔官房副長官)に上る約二百七十五万トンに達する見通し。首相は理由に害虫被害を挙げるが、国内生産量の六割に被害が及んで釣り合いが取れる計算で、現実的でない。さらに被害を受ける国内のトウモロコシは追加購入するものと種類が異なり単純に代替できない。輸入を無理に増やすため補助金投入が膨らむおそれがある。
 「中国が約束を守らないから、米国ではトウモロコシが余っている。その全てを日本が買ってくれ、農家はとても幸せだ」
 トランプ氏は二十五日、仏ビアリッツでの日米首脳会談で語った。安倍首相は「日本では害虫被害に悩まされており、民間に追加購入需要がある」と応じた。
 農林水産省によると、害虫被害とは、「ツマジロクサヨトウ」というガの幼虫による食害を指す。七月三日に国内で初めて鹿児島県内で確認されて以来、九県五十二市町村で飼料用トウモロコシの葉が食べられる被害が出ている。
 ただ、被害はそれほど広がっていない。飼料用トウモロコシは年間約千百万トンを米国などから輸入。国内では約四百五十万トンを生産しているが、食害はごく一部で発生が確認されているだけ。農水省は「現時点では通常の営農活動に支障はない」(植物防疫課)としており、米国に約束した二百七十五万トンは必要量に比べ過大になる公算がある。
 また、食害は葉や茎も砕いて飼料にするトウモロコシで起きており、米国から追加購入する実を用いるトウモロコシとは栄養価などが異なる。鈴木宣弘・東京大教授(農業経済学)は「家畜の健康維持には二つを区別しバランスよく与えねばならない」と指摘。仮に被害が拡大しても米国産では単純に代替できない。
 安倍首相は会談でトランプ氏に追加購入のため「民間企業を緊急支援する」と表明。飼料メーカーや商社の購入を税金を基にした補助金で支える方針とみられる。購入を無理に増やすために多額の補助金投入を迫られる可能性がある。 (皆川剛)


泉佐野市ふるさと納税185億円
ふるさと納税の新しい制度から除外された大阪・泉佐野市は、除外される前のことし4月と5月の2か月間で、昨年度1年間に寄せられた額の4割近い、およそ185億円の寄付金が寄せられたと発表しました。
大阪・泉佐野市は、過度な返礼品で多額の寄付金を集めたことなどを理由に、ことし6月から始まったふるさと納税の新しい制度で対象から除外されました。
泉佐野市によりますと、この新しい制度が始まる前のことし4月と5月の2か月間に合わせて30万7600件余り、184億9700万円の寄付金が寄せられたということです。
これは、昨年度1年間に泉佐野市に寄せられた497億5300万円のおよそ4割に当たる額です。
泉佐野市の千代松市長は27日の記者会見で「これだけの寄付金が寄せられたのはふるさと納税に対する国民の支持の表れだと思う」と話しました。
泉佐野市はふるさと納税の新しい制度から除外されたことを不服として国と地方の争いを調停する「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ていて、委員会は来月上旬までに結論を出すことにしています。


<国会バリアフリー>対面取材でバリアー実感 国会質問 合理的配慮を
 「文字盤、使ってみますか」。舩後氏への対面取材中、介助者の佐塚みさ子さんに促された。記者が限られた時間を無駄にしまいと、早口で長い質問をした直後のことだ。
 舩後氏が透明な文字盤で「す」を選ぶ場合、介助者が「あ、か、さ」と行を順に指さして「さ行」に差しかかったところで、舩後氏がまばたきで同意を示す。続いて「さ、し、す」と順に示し、「す」の所で再びまばたき。長文を正確に伝えるには相当な集中力と体力が必要だと分かり、配慮を欠いた取材を謝罪した。
 舩後氏が今後、国会で直面する障壁を見た気もした。舩後氏は文書での質問に対する回答を用意するのに三日間を要した。対面取材の質問に対し「八年間、本を読むことができませんでした」と文字盤を使って答えるのには一分二十秒かかった。
 国会の委員会で政府側の答弁を聞いた上で、再質問し、情報を引き出すのは議員の大切な仕事だ。質問時間は会派の大きさに応じて決まり、厳守が求められる。舩後氏が質問しやすいよう、参院の各会派が知恵を絞ることは、障害者差別解消法の定める「合理的配慮」に該当するはずだ。 (大野暢子)


<国会バリアフリー>立候補 自分の意志◆自民改憲案に反対 れいわ・舩後議員一問一答
 参院選で初当選した、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後(ふなご)靖彦氏=れいわ新選組=に書面と対面でインタビューした。 (横山大輔、北條香子、大野暢子)
 ■事前質問に対する書面での主な回答は以下の通り。太字は対面での追加質問と回答。
 −参院議員としての目標は。
 「いかなる障害があっても、重篤な病気であっても、尊厳と楽しみをもって人生を全うできる社会、自分らしく生きられる社会の実現のため、ALSを生きる者としての経験を政治の世界で生かしたい。障害者の代表として、さまざまな特性をもつ当事者の声を聞き、それを国会の場で発信し、真に当事者の立場に立った『合理的配慮』が実現できる障害者政策に変えたい」
 −取り組みたい政策は。
 「すべての障害者が利用しやすい介助制度の構築と、必要な医療を受けられる体制の整備だ。特に重度訪問介護を、就学や就労にとどまらず旅行などにも利用できるようにしたい。言語、知的、聴覚、視覚障害者らの読む・書く・聞く・話すという情報アクセスを保障するため、人的保障や技術革新への支援も充実したい。バリアフリー化は、地方や小規模店舗、学校での徹底、公共交通機関の乗務員や会社の意識改革が課題だ」
 −舩後氏は現在、さまざまな方法でコミュニケーションを取ることができるが、それができなかったころのつらい体験は。
 「八年間、本を読むことができなかった」

 −参院文教科学委員会に所属している。教育政策での関心は。
 「障害のある無しで分け隔てせず、必要な合理的配慮を受けてともに学ぶ『インクルーシブ保育・教育』の実現に関心がある。ともに育ち、学ぶ場である教室から障害児・者に対する理解が自然に育ち、差別や偏見のない社会へとつながっていく」
 −インクルーシブ保育・教育の重要性とは。
 「(今の)授業は一方的なもの。(インクルーシブ教育は)考える力が養える」
 −ALS発症前は商社マンとして世界を回った。
 「(発症後)パソコンで英語のメールをやりとりしたことがある」
 −安楽死の法制化を巡る議論への考えは。
 「国会議員になり、ALS患者や家族から多くの手紙、電話、ファクスをもらった。その中に余命二、三年と告げられ、適切な医療、介護体制があれば呼吸器を使って普通の生活が送れることを知らないまま、絶望している人がいた」
 「人は経験したことのない未知の事態を受け入れられず、思考停止になることがある。そうした状況で安楽死や尊厳死という言葉に吸い寄せられる気持ちはよく分かる。しかし、必要なのは『尊厳ある死』の法制化ではなく、どんなに重い障害や病気があっても『尊厳ある生』を生きられるためのサポートだろう」
 −東京パラリンピック開幕まで一年を切った。
 「障害者が普段からスポーツを楽しめる環境の整備や、障害者政策への持続的な関心につながることが重要だ。心配ごとは、気温が非常に高い中で競技が行われること。なぜ真夏の開催にしなければならなかったのだろうか」
 −憲法についての考えは。
 「重要視しているのは法の下の平等を定めた一四条だ。症状が進み、施設に入所していた時にネグレクト(無視)にあい、十年にわたり虐待、差別を受けた経験がある。二五条の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利が、障害者には十分に認められていないと感じる。一四、二五条に基づく施策を充実させたい」
 −自民党は九条を含む改憲を進める考えだ。
 「改憲より二五条などの憲法の理念を実現することが喫緊の課題だ。自民党改憲案には反対だ。特に、戦争などの有事や緊急事態時に政府に権力を集中させる緊急事態条項の創設は、断じて行うべきではない。戦争などの有事には、障害者は真っ先に切り捨てられるのではないかと恐れを抱いている。国会が政府を監視し続けることが極めて重要だ」
 −他の野党との共闘をどう考えているか。
 「次の衆院選で政権交代を目指すのが党の方針だ。野党候補者一本化や、政策の一致が必要だ。れいわは、参院選で消費税廃止を公約に掲げ、一定の評価を得た。野党共闘は消費税廃止、最低でも税率5%へ減税を統一政策にすべきだ。国民生活を底上げする経済政策を示し、与党との違いを明確にして衆院選に臨みたい」
 −安倍政権への評価は。
 「二〇一八年の国民生活基礎調査では全世帯の57・7%が、生活が苦しいと回答している。それでも政権が存続できるのは、野党がしっかりした経済政策を打ち出せなかったからだ」
 −秋の臨時国会が本格的な論戦デビューになる。
 「自分の虐待経験から、障害者が苦しむ社会はおかしいと感じるようになり、何とかしなければならないと思った。初心を忘れず、日本が抱えるいろいろな問題について、重度障害者が見たり、感じたことを大事にしながら政策提言をしていきたい」
◆公費補助問題 訴えの第一歩
 ■対面で、介助者を通じたやりとりは次の通り。
 −舩後氏の立候補について、れいわの山本太郎代表に対し「障害者を政治利用している」などとの批判もある。
 「自分の意志であることに間違いない。代表に声をかけられて、日本の医療、介護を変えられる千載一遇のチャンスが来たと思った」
 −当選後、国会のバリアフリー化が進んだことで「国会議員だから特別な対応を受けている」との意見が出た。
 「自分たちを特別扱いしてもらいたいわけではない。重度訪問介護の(公費補助の)ことなども、まずは自分たちが訴えていき、第一歩から始めていかないと次に進むことができない」
 −今回のインタビューに対する書面の回答は、歯でかむセンサーでパソコンを操作して作成したと聞いた。どのくらい時間がかかったか。
 「三日間」
<ふなご・やすひこ> 岐阜市生まれ。9歳から千葉県在住。拓殖大卒業後、商社に勤務。1999年、41歳の時に手のしびれを感じ、翌年、ALSと診断された。症状の進行で身体の自由が奪われ、絶望していた時、メールなどを通じて患者同士で語り合う活動「ピアサポート」と出会い、生きがいになった。
 訪問介護を通じて出会った看護師の佐塚みさ子さんから「当事者の目線から経営に助言がほしい」と依頼され、2012年に佐塚さんが経営する福祉サービス会社の役員に就任。短歌の創作や人工音声での講演活動も積極的に行う。14年には、障害の有無に関係なく暮らしやすい社会の実現を掲げ、千葉県松戸市議選に立候補。落選。今年7月の参院選でれいわ新選組から比例代表の特定枠に重度障害者の木村英子氏(54)と共に立候補。2人とも初当選を果たした。
<ALS> 全身の筋肉が動かなくなっていく難病。10万人に1〜2人の割合で発症する。進行すると、自力で食物をのみ込むことや呼吸も困難になる。発症後も、視覚や聴覚、脳の機能は損なわれないことが多い。原因や根本的な治療法は分かっていない。2017年度末の国内患者数は約9600人。

金沢・馬九行久通り・治部煮/歩くと駅までが遠い

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生野コリアタウン190811

Kento Momota et Pusarla Venkata Sindhu champions du monde
Le Japonais Kento Momota et l'Indienne Pusarla Venkata Sindhu ont été sacrés champions du monde, dimanche à Bâle (Suisse).
Le Japonais Kento Momota a remporté un deuxième titre de champion du monde, dimanche à Bâle, en Suisse, un an après le premier. Il a battu en finale le Danois Anders Antonsen (21-9, 21-3). L'Indienne Pusarla Venkata Sindhu a, elle aussi, été sacrée championne du monde, après sa victoire en finale sur la Japonaise Nozomi Okuhara (21-7, 21-7). C'est la première fois que l'Inde remporte une médaille d'or dans des Mondiaux de badminton.
En double, les Japonaises Matsumoto/Nagahara ont remporté l'or face à leurs compatriotes Fukushima/Hirota (21-11, 20-22, 23-21). Chez les hommes, les Indonésiens Ahsan/Setiawan ont été sacrés, après avoir battu les Japonais Hoki/Kobayash (25-23, 9-21, 21-15). Enfin en double mixte, la médaille d'or a été décrochée par les Chinois Zheng/Huang face aux Thaïlandais Puavaranukroh/Taerattanachai (21-8, 21-12).
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金沢に来ました.カッコいい金沢駅は確かに見覚えがあります.いつ来たのか思い出せませんが.2年前の2月かな?駅には準優勝ということで星稜高校のことが出ていました.「必笑」とあったのが面白いです.とりあえずネットカフェでシャワーを浴び仮眠.荷物を預けて市内をブラブラしてみます.目細(めぼそ)通りといういい感じの通りがありました.尾山神社は初めてです.とってもリラックスできそうです.
片町から歩いて長町武家屋敷通り.ここも初めてです.古い街ということが実感できます.知らないおじさんに自転車で足をひかれてしまってちょっとイラッとしましたが,気にしません.
スペイン人と思われる団体さんがの野村家に入っていきました.わたしはパスしましたが.
近江町に行くと大きな氷がおいてあります.涼をとるのにいいですね.「美味しい本屋さん」というお店.ナゾですね.町民文化館が無料なのにすごいです.
小橋という橋を渡らず駅に戻ります.極楽橋跡という石碑がありました.なんなのでしょう?気になります.
駅に戻ってきて,黒づくりという珍味.イカの塩辛にイカ墨.さばいしる焼き定食です.「いしる」は秋田の「しょっつる」みたいなものなのでしょうか?
駅の地下で思い出ピアノを弾いている人がいました.近江町まで歩いてそこからバス.金沢市を過ぎ野々市に来ました.少し前には馬九行久通りという謎の通りがありました.
帰りは片町の居酒屋.ギョ自由にどうぞ,とあるキャベツともやしが美味しいです.治部煮をいただきました.ちょっと高いけどおいしいです.木屋町商店街を通ってホテルへ.しかしいつまでたってもそれらしきものは見えてきません.通り過ぎの中央郵便局で風景印を押してもらいました.やっと駅が見えてそこから少し歩きました.クタクタ.シャワーも浴びずに寝ます.

島守地域の風景や風俗を映画に 住民が参加、行列シーン撮影 八戸・南郷アートプロジェクト
 八戸市南郷の魅力を再発見する「南郷アートプロジェクト」の一環で、本年度は島守地域の風景や風俗、生活文化から着想を得たダンス映画の製作が進められている。25日は地域住民が参加して、花嫁、葬式の各行列を題材にしたシーンを撮影。来年3月にお披露目される。
 作品は「今と昔」「生と死」が共存する島守地域を記録と記憶に残すことを目指す。映像作家の飯名尚人さんが監督を務め、俳優、舞踏家の麿赤兒さん主宰の舞踏集団「大駱駝艦(だいらくだかん)」が出演。舞踏手の田村一行さんが振り付けを担当する。
 飯名さんによると、今回は3画面を使って別の角度から撮った映像を同時に流す手法を採用する。1シーン約10分で、シーンの数により合計で2〜3時間になる見込み。これまでに、地域の「虫追いまつり」や島守虎舞などを取り入れた映像を撮影。今後、秋と冬の場面や、島守小児童と一緒のシーンも撮る。
 25日の撮影には地区住民ら約40人が参加した。かつて地域で行われていた花嫁行列と葬式行列を参考にした場面で、飯名さんが「幻想的な感じになるよう、ゆっくり歩いてください」と指示。参加者は花嫁の両親や和尚などの役を演じた。
 島守中の3年大道華音さん(15)と2年広崎莉音さん(13)は「撮影する人たちの島守への熱い気持ちが伝わってきた」と話した。
 昔から地区に住む春日重蔵さん(86)は「葬式行列は昭和50年代くらいまであった。実際は(撮影より)もっと大変だが、昔の様子を思い出した」と語った。
 南郷アートプロジェクトは2011年から実施。飯名さんは13〜15年度、閉校する小学校の思い出を残す映画製作でも監督を務めた。八戸地方の民俗芸能「えんぶり」を題材に、田村さんは独自の解釈で舞踏作品「おじょう藤九郎さま」を仕上げ、大駱駝艦が14年と18年に上演した。


福島第2原発廃炉へ/核燃料の最終的行き先示せ
 東京電力は7月31日の取締役会で、福島第2原発(福島県楢葉町、富岡町)の全4基の廃炉を正式決定した。東日本大震災で事故を起こした第1原発(大熊町、双葉町)の全6基の廃炉作業と並行して進めるため、東電は第2原発の廃炉が終わるまでには40年を超える期間が必要との見通しを示す。
 廃炉正式決定とともに東電は第2原発構内に、同原発の使用済み核燃料を一時的に保管する貯蔵施設を新設することも決めた。
 内堀雅雄福島県知事は全ての核燃料を県外に搬出することを前提に、廃炉と貯蔵施設新設の双方を受け入れた。しかし、核燃料の最終的な行き先は決まっていない。県や立地自治体が強く求めている核燃料の県外搬出を、国と東電はエネルギー政策上の重要課題として実現させなければならない。
 第2原発は、炉心溶融(メルトダウン)した第1原発の南約12キロに位置し、1982〜87年に4基が営業運転を順次開始した。震災の地震と津波で3号機を除く3基が原子炉の冷却機能を一時喪失したが復旧し、冷温停止。約1万体の核燃料がプールで保管されている。
 原発の廃炉作業は通常、原子炉建屋からの核燃料取り出しからスタートする。放射性物質による施設の汚染状況の調査や除染に続き、原子炉周辺設備、原子炉本体、建屋の順に解体・撤去。最終的には敷地を更地に戻す。
 幸いにもメルトダウンを免れた第2原発の廃炉は、通常の原発と同じ作業工程で進めることができる。
 だが全国の原発から核燃料を受け入れる日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は完成延期を繰り返し、各原発が構内保管を余儀なくされる状態が続く。再処理によって生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分地も決まらず、核燃料サイクル政策が「トイレなきマンション」と指摘されて久しい。
 東電は第2原発構内に新設する貯蔵施設で、核燃料を金属容器(キャスク)に収めて空冷する「乾式貯蔵」を採用する方針を示している。乾式貯蔵は水を循環させて冷やすプールに比べ、安全性が高いとされる。
 内堀知事も「核燃料が当分の間、一時保管されるのはやむを得ない」と認めるが、核燃料サイクル政策が事実上の破綻状態にある中、立地自治体は貯蔵施設が構内保管の長期化につながるのではないかと懸念する。国や電力各社は核燃料の最終的な行き先についてもっと議論を深め、地元に広がる不安の払拭(ふっしょく)に努めるべきだ。
 第1原発事故前に稼働していた国内の原発54基は、第2原発も含めこれまでに21基の廃炉が決まっている。核燃料の保管場所確保は、これら廃炉にされる原発に共通する課題でもある。


福島原発処理水 地元の意向が最優先だ
 東京電力は、福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水について、タンクによる保管が2022年夏ごろに限界に達するとの試算をまとめた。
 福島第1原発では今後、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の除去作業が本格化する。
 東電とすれば、作業用スペースを十分に確保するためにも、これ以上のタンク保管は無理だと言いたいのだろう。
 トリチウムは人体への影響が比較的小さいとされ、原子力規制委員会は処理水を希釈して海洋放出することを求めているが、決定を急いではならない。
 何より配慮すべきは、風評被害を懸念する地元漁民の心情である。政府と東電は方針を決める前に、丁寧な説明を行うとともに、風評対策に全力を挙げてほしい。
 福島第1原発では、デブリのある原子炉に注がれる冷却水と周囲から流れ込む地下水が混ざり、高濃度の汚染水が増え続けている。
 多核種除去設備(ALPS)で浄化処理しているが、トリチウムは技術的に除去できずに敷地内のタンクで保管されている。
 地元からは1基約1400トンのタンクを10万トンクラスに大型化し、長期保管を求める声も上がっているが、東電は、敷地の条件などから「保管容量は増えない」として否定的だ。
 それでも、22年夏の「期限」ありきで、タンク保管に代わる方針を急ぐことには同意できない。
 規制委が有力視する海洋放出については、他の原発でも実行されてきたことは事実である。
 だが福島では昨年、処理水の一部でトリチウム以外の放射性物質が高濃度で残留していることが発覚した。東電はその事実を積極的に知らせようとせず、地元漁民らの不信感を増幅させた。
 福島の水産物を巡っては、原発事故の影響を懸念し、今も輸入規制を続ける国が少なくない。韓国の輸入禁止措置については、世界貿易機関(WTO)が、「不当だ」とする日本の反論を退けた。
 国の風評対策が不十分なまま、海洋放出を強引に進めては、福島の漁業者の生活基盤を奪うことになりかねない。
 処理水の再浄化は万全なのか。地下水の流入を減らしたり、タンク用に隣接地を確保したりすることは本当にできないのか。東電の説明もまだまだ不足している。
 地元が納得するまでは、あらゆる手段を使って長期保管する覚悟を求めたい。


核のごみ最終処分 再処理政策の再考が先決
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分をどう進めていくか。原子力主要国が参加する「国際ラウンドテーブル」の設置が決まり、この秋、フランスで第1回会合が開催される運びとなった。
 地層処分の実現に向け各国の知見を共有し、研究協力や人材交流を進めるという。市民との対話活動の経験共有も想定しているようだ。
 核のごみの最終処分は原発を採用したどの国も避けて通れない重要課題である。情報を共有することには意味があるだろう。
 ただ、国によって原発政策も、地層や環境の特徴も、人々の考え方も異なる。他国の経験がそのまま日本に採用できるわけではない。
 大事なのは、自国の事情をよく認識した上で、日本なりのやり方で合意形成していくことだ。
 そう考えた時に解決すべき課題はいくつもある。まずは、事実上破綻している再処理・核燃料サイクル政策を抜本的に見直すことだ。
 核のごみの最終処分には、使用済み核燃料をそのまま直接処分する方法と、再処理後に残る高レベル放射性廃棄物を処分する方法がある。
 日本は後者で、使用済み核燃料を全量再処理し、取り出したプルトニウムを再び燃料とするサイクル政策を今も堅持している。しかし、サイクルに必要な高速炉が実現できる見通しはまったく立っていない。
 このまま再処理政策を維持しながら、核のごみの最終処分場受け入れに理解を求めるのは無理がある。まずは再処理政策の旗を降ろすことが先決だろう。
 原発政策そのものにも課題がある。現政権は原発再稼働を進めているため、たとえ再処理をやめても核のごみは増え続ける。処分場選定を前進させるためにも核のごみの発生を抑えることを検討すべきだ。
 2年前、経済産業省は最終処分場選定を念頭に日本全国を4色に色分けした「科学的特性マップ」を公表した。その後、全国で「対話活動」を行ってきたが、一朝一夕に理解が進むはずはない。
 日本の原発政策を進めてきた人々や組織は福島の過酷事故で信頼を大きく失った。最終処分への道は他国以上に困難であり、覚悟を持った取り組みが欠かせない。


殺人ロボット 企業も「ノー」と言おう
 人工知能(AI)が敵味方を判断して自動的に攻撃する殺人ロボット兵器の開発が進む。国連の専門家会合で規制に向けて一歩前進となる指針が決まった。戦場に出る前に止めなければならない。
 インターネットの政府広報オンラインに興味深いビデオがある。未来社会をイメージしたもので、タイトルは「空飛ぶマシンがアナタの町にもやってくる」。
 スマートフォンで宅配便の連絡を受けた女性が縁側に出ると、ドローンが降下してくる。ドローンは顔認証技術を使って女性が受取人だと確認すると、段ボール箱を渡す。中身はスニーカー。だが、ドローンが爆弾を運べば、殺人ロボットになる。これがこの問題のやっかいな面なのである。
 自動で標的を識別して攻撃の判断をする兵器を自律型致死兵器システム(LAWS)と呼ぶ。一昨年秋から規制のために、国連の政府専門家会合が開かれている。二十二日に「攻撃の判断に人間が関与すること」を柱にした指針がまとまった。
 LAWSは現在、米国や中国、ロシア、イスラエルなどが競って開発している。従来の先端兵器は主に軍人が操作したが、LAWSは人の関与がなく、AIがすべてを行う。
 本紙はロボット先進国の日本が禁止を働き掛けるよう主張していた。政府が今年「完全自律型の致死性を有する兵器を開発しない」と宣言したことは評価したい。
 指針ができたことで、倫理的な歯止め効果は期待できるが、法的拘束力のある条約化を目指してほしい。技術はあるが、開発しないと宣言している日本は、説得力のある仲介者になれるだろう。
 冒頭に紹介したドローン宅配の例でもわかるように、AIとロボットなどの組み合わせは軍民両用技術だ。技術がどのように利用できるかは、開発した企業がもっともよく分かっているはずである。
 ハイテク企業は、企業として何をするか、何をしないかを示す倫理指針を定めてほしい。兵器への転用を防ぐための仕組みをあらかじめ組み込むといった対策も考えてもらいたい。
 将来は「人間に危害を加えてはならない」といった倫理を教え込んだAIのみを出荷することが望ましい。
 こうした技術は、テロ活動や独裁国家での反体制派弾圧に利用される恐れもある。先端技術の未来のためにも、平和利用に徹するのが日本らしい生き方である。


殺人ロボ兵器 歯止めの議論を急がねば
 人工知能(AI)を備えた「殺人ロボット兵器」について国連公式専門家会議が取りまとめた議長報告は、条約などによる規制方針が明記されなかった。
 軍事面で銃、核兵器に次ぐ「第三の革命」になるとも指摘される兵器である。歯止めの議論を急がなくてはならない。
 自動で標的を識別して攻撃の判断を行い、敵を殺傷する。米国などが開発中とされる。軍事専門家はSF映画「ターミネーター」に登場する殺人ロボットがイメージに近いとする。
 報告書は、兵器の運用に当たり国際人道法を順守することなどの指針を盛り込んだ。来年からの2年間でさらに協議を続け、2021年の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)再検討会議に向けて「規範・運用枠組み」策定への取り組みを提言している。
 ロボット兵器を巡る議論はCCWの枠組みで13年に始まった。17年に初めて開かれた公式専門家会議は3年目に入ったものの、各国の意見の隔たりが大きく、規制の交渉は足踏みしている。
 中南米諸国などが法的拘束力のある条約などでの規制を主張する一方、開発を進める米国やロシアなどは反対の立場だ。日本、ドイツなども民生用技術への影響を恐れ、早急な規制には慎重な姿勢を示している。
 今回の会議では、米ロの要求で報告書の草案から「(国際法を順守するという)人間の判断が機械に取って代わられることはできない」といった表現が削られた。
 CCWは全会一致が原則だ。このままでは法的拘束力を持つ枠組みを定めるのは難しい。
 人を殺傷することへのためらいがないAIに攻撃の判断を委ねることは人道的、倫理的に問題をはらむ。想定外の暴走をしたり、民間人を誤って殺傷したりする恐れもある。兵士とは違い、投入への心理的な抵抗感も弱まる。
 日本は3月に政府見解文書を国連の会議に提出した。完全に兵器任せにするのではなく「人間による制御を確保すべきだ」との主張が柱だ。一方で拘束力のある規制は時期尚早とする。完成してから後戻りするのは難しい。議論を後押しすべきだ。
 全面禁止を主張するNGOの連合体「キラーロボット反対キャンペーン」は、国連での議論が進まなければ有志国とNGOによる禁止条約制定交渉開始もあり得るとしている。対人地雷禁止条約の例に倣おうというものだ。開発規制へ、あらゆる手段を探りたい。


ネットの情報  デマは「犯罪」の自覚を
 インターネット上でデマを流したり憎悪をあおるのは犯罪行為になりうる。
 そうした投稿を拡散することも、犯罪に加担することになる。
 それにもかかわらず、悪質な偽情報の発信が続いている。
 京都市伏見区の「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオの放火殺人事件では、容疑者と在日コリアンを無根拠に結びつける投稿や書き込みが目立つ。
 事件発生直後から会員制交流サイト(SNS)には「犯人は在日韓国人。日本から出て行け」などとする書き込みが相次いだ。
 複数のブログは「犯人は在日韓国人?」などとする記事を相次いで掲載した。
 いずれもアクセス数に応じて広告収入を得る形式だ。現在は削除されているが、ブログ運営者は無根拠の情報を広めて収入を得たことになる。
 2016年施行のヘイトスピーチ対策法には罰則規定がない。特定の個人でなく、「在日韓国人」といった不特定の枠組みを狙ったヘイトスピーチを取り締まるのは難しいのが現状だ。 
 同法の施行で街頭や公的施設などでのあからさまなヘイト活動がしにくくなり、SNSや動画投稿サイトに流れているという指摘もある。いずれも、対象の尊厳を深く傷つける。
 サイトの管理者や広告を出す側は、明らかに根拠のないデマやヘイト情報を厳しく監視してもらいたい。
 問題なのは、偏見や差別を助長する情報発信をいさめるべき政治家が、逆にあおるような役割を果たしていることだ。
 大阪市の松井一郎市長は、愛知県で開催中の芸術祭に従軍慰安婦を象徴する少女像が展示されたことに触れ、従軍慰安婦を「完全なデマだ」と明言した。
 慰安婦問題について、日本政府はおわびを表明している。
 悪化する日韓関係に関し、安倍晋三首相に近い政治家からは日本の過去の侵略を正当化するような発言やSNS投稿が相次ぐ。投稿にはさらに在日コリアンを侮辱するコメントが付く事態になっている。
 常磐自動車道のあおり運転では、容疑者と無関係な女性が「同乗していた」とツイッターで名指しされ、写真まで拡散された。
 女性は発信や拡散に関わった人を特定し、損害賠償請求訴訟や刑事告訴に踏み切るという。
 情報発信には常に責任が問われるということを自覚したい。


再生エネ見直し 拡大へ丁寧な制度設計を
 太陽光発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直しについて、経済産業省が中間整理案をまとめた。家庭や企業の負担を減らすため、事業者が手掛ける大規模太陽光や風力などの発電を将来的に制度の対象から外すことなどが盛り込まれた。経産省は2020年の通常国会で関連法の改正を目指す。
 再生エネの普及に制度が大きく貢献してきた一方、近年は消費者の負担増も目立っている。再生エネを主力電源として育てていくには、持続可能な制度にすることが重要だ。一層の普及にブレーキがかかることのないよう、丁寧な制度設計が欠かせない。
 FITは12年7月、東日本大震災を機に再生エネへの期待が高まる中で始まった。再生エネで発電された電気を電力会社が一定期間、固定価格で買い取り、その費用を家庭や企業が払う電気代に賦課金として上乗せする仕組みだ。
 水力発電を除く再生エネの比率は、制度開始前の2・7%から、17年度には太陽光を中心に8・1%へと3倍に伸びた。制度が飛躍的な拡大を支えたのは間違いない。
 ただ、普及に伴って賦課金も増えている。19年度は年間2兆4千億円に上り、一般的な家庭の上乗せ額は年9千円超となる見通しだ。賦課金を際限なく増やすわけにはいかず、国民負担の軽減に向けた見直しはやむを得まい。
 中間整理案では、設備コストが下がっている大規模太陽光や風力を「競争力ある電源への成長が見込まれる電源」と規定。FITの対象にすべきかどうかを電源ごとの状況を見て判断し「補助の水準を順次縮小する」とした。発電事業者が電気の販売先を自ら見つけたり、卸売市場へ供給したりすることを促す。
 一方で、発電事業者に対する新たな支援策も検討し、事業者が収益計画を立てやすくする。きちんと自立できる環境づくりが重要となる。
 再生エネの普及を巡っては送電線の容量不足も課題だ。中間整理案では、FITの認定を受けたものの、容量を確保したまま運転せず放置する事業者を問題視した。十分な空き容量がなく新規参入ができない事態になれば、普及の障害となることから「必要な措置を検討する」としている。また、全国の電力会社間で余剰電力を広域的に融通できるようにするため、送電網の増強も急がれる。
 政府はエネルギー基本計画で30年度の再生エネの発電割合を全体の22〜24%とする目標を掲げている。17年度時点では水力を含め16%であり、今後も普及を推進していかねばならない。
 将来の原子力発電に頼らない脱原発社会の実現だけでなく、地球温暖化の抑制や、エネルギーの地産地消といった観点からも再生エネに対する期待と役割は極めて大きい。官民挙げて主力電源へと育てていきたい。


東京五輪暑さ対策 選手第一の姿勢で臨め
 来年の東京五輪に向け、一部競技のテスト大会がこの夏行われた。本番会場で同じ時期に暑さ対策などを検証する最後の機会となったが、屋外競技に参加した選手からは、あまりの暑さに懸念が相次いだ。
 テスト大会を兼ねて行われたボートの世界ジュニア選手権では、3人の選手が熱中症のような症状で医務室へ運ばれた。ホッケーでは、女子のインド選手が「日本はインドよりも湿度が高い」と漏らした。ビーチバレー、セーリングなどでも不安を訴える声が上がった。大会組織委員会はそうした声をしっかり受け止め、選手のコンディションを第一に、対応を急ぐ必要がある。
 既に対策に乗り出している競技もある。国際トライアスロン連合は午前7時半に設定されている競技開始時間の前倒しを検討。気象条件次第では距離を短縮する可能性もあるとした。水温の高さや水質の悪さを指摘された水泳のオープンウオーターでは、国際水泳連盟が開始時間の変更を提案。総合馬術の耐久(野外騎乗)も同様の状況だ。
 気温と湿度、日差しの強さなどから算出するのが「暑さ指数」。環境省によると、1年後に五輪開会式が行われる7月24日から閉会式の8月9日までの17日間で、運動中止が求められる「危険」区分の暑さ指数31・0度以上の日が、今年は14日間もあった。来年も同様、またはそれ以上の暑さになるとみて備えるべきだろう。
 東京五輪招致に当たり、招致委員会は2013年、開催計画をまとめた「立候補ファイル」を国際オリンピック委員会(IOC)に提出した。その中では東京の夏について「晴れる日が多く温暖で、アスリートが最高の状態でパフォーマンスできる理想的な気候」などと記されていた。近年の気候を見れば理想に程遠く、今年の状況から厳しい現実が改めて浮き彫りになったといえる。
 熱中症による今年の死者数は東京23区内で7月以降、100人を超えた。さらにこの時期は台風、集中豪雨などのリスクとも隣り合わせで、東京五輪は気象条件に左右される大会にもなりそうだ。競技以外のことばかりに目が向けられ、スポーツの祭典に水を差す結果になりかねない。
 選手だけではない。観客やボランティアに対する対策も怠れない。大会組織委は競技会場に霧状の水を噴射する大型ミストタワーを設置し、日よけのテント内に扇風機やウオーターサーバーを用意するほか、扇子や保冷剤の配布も予定しているが、十分ではないだろう。救護・医療体制の充実は不可欠だ。
 とりわけ日本を初めて訪れる外国人に、東京の暑さは相当こたえるはずだ。緊急時も含め、多言語対応での情報提供を徹底する必要がある。少しでも安心して滞在できる環境を整えてほしい。


「トイレ臭い」東京五輪会場のお台場の海に"茶色"の泡が出現!
「正直臭いです。トイレのような臭さ......」
8月11日、東京・お台場海浜公園で行なわれたオープンウォータースイミングの五輪テスト大会に出場した選手が漏らした言葉だ。
さらに、17日のパラトライアスロンのテスト大会では、前日の水質検査で大腸菌の数値が国際トライアスロン連合が定める基準値の上限の2倍を超えたため、スイムが中止。
騒動の最中、本誌記者は現地を訪れた。通常は遊泳禁止だが、水質改善をアピールする港区主催のイベントが開催中で、一部が開放されていた。
時折、風に乗ったトイレ臭が鼻をくすぐる。目を見張ったのは、オレンジ色のブイで区切られた遊泳エリアのすぐ外側に堆積した、謎の黄色い泡だ。同イベントのスタッフに聞くと、「プランクトンの死骸が溜まったもので、無害」というが、不気味極まりない。
東京の下水処理問題に取り組む港区議会議員は、「雨量が一定量を超えると未浄化の汚水が海に放流される」と明かす。この海で世界各国の選手をオモテナシしていいのか?


GSOMIA破棄でマスコミが強弁「困るのは韓国だけ」は嘘! 北朝鮮情報取れない日本、ミサイル発射もほとんど韓国軍発表が先
 韓国政府が破棄を決めた日本とのGSOMIA(秘密軍事情報保護協定)。昨日、本サイトで検証したように、韓国がGSOMIA破棄を決断してしまったのは、すべて安倍首相の仕掛けが原因なのだが、政権周辺はこの期に及んでも「損をするのはむしろ韓国」「日本の安全保障に影響はない」などと強弁している。
 マスコミも同じだ。新聞や週刊誌では、政府高官や自衛隊幹部、専門家の「日米で情報交換するだけだから困るのは韓国だ」「破棄は韓国の自殺行為だ」などというコメントを垂れ流され、GSOMIA破棄が悪影響を及ぼすのは韓国だけであり、日本への影響は皆無と印象づける報道や論評が少なくない。ようするに、北朝鮮によるミサイル発射などを把握する際、日本はアメリカと協力すればいいだけの話なので大丈夫、逆に、韓国は衛星を持つ日本からの情報を直接間接問わず得られなくなるから大きな痛手、と言いたいらしい。
 しかし、本当にそうだろうか。たとえば、23日の米CNNは、日韓GSOMIA破棄がミサイル関連情報に与える影響について、〈韓国のインテリジェンスがテストから収集できるデータによって、ミサイルの距離、速度、高度など、その武器の高度な情報の重要な詳細を明らかにすることができる。これらは東京、ソウル、ワシントンが最悪の事態に備えるミサイル防衛システムをより順応させることに役立っている〉と解説している。
 そもそも、日韓では情報収集に得意な分野が違う。時事通信も24日に〈北朝鮮のミサイル情報について、日韓両国にはそれぞれ優位性に違いがある〉として、〈北朝鮮に隣接する韓国は「ブースト段階」と呼ばれる発射直後の軌道把握が得意。一方、日本は日本海などの着弾地点を正確につかむことができる〉〈実際、韓国は北朝鮮が7月25日に発射した短距離弾道ミサイルに関し、日本から提供された機密情報を受け、公表した飛距離を修正したとされる。今後は日本も韓国からの情報が遮断されることにより、分析能力が低下する可能性がある〉と指摘した。
 たしかに、北朝鮮のミサイル発射問題にかんしては、日本側はイージス艦などによる情報収集及び距離・着弾地点等の解析の面では韓国よりも優位と言われているが、逆に、地の利を活かした地上レーダーによる発射直後の情報把握や通信傍受等では韓国が優れているとされる。これらに米国の衛星が得る情報等を合わせることでミサイル発射から着弾の動きを捉え、分析の精度を高めているわけだ。
 日韓GSOMIAの破棄によってこの連携が崩れてしまうだけでなく、日本側は韓国側が日常的に行っているインテリジェンス活動、すなわち「発射準備の兆候」などの情報も得られなくなる可能性が極めて高い。ようするに、「韓国が困るだけで日本に影響はない」というのはまったくの嘘、デタラメなのだ。
 ところが、事ここに至っても、ネトウヨたちは、8月24日早朝の北朝鮮の弾道ミサイル発射について、NHKなどによる一報のほうが韓国軍の発表より10分早かったことで〈やっぱり日本は困らない〉〈GSOMIAいらないじゃん〉などと快哉を叫んでいる。一応言っておくと、7月25日以降に行われたミサイル発射ではすべて韓国側が先に発表しているのだが、それにしても、発表のが早さだけを基準に悦に入るレベルの低さときたら、まったく「頭がお花畑」としか言いようがない。
 実際には、ミサイルの方向、距離、最大高度、数などによって情報量や把握のスピード、そして精度が変わるのは常識で、今回の場合はたまたま日本側が早く知覚できる条件が揃っていただけと考えるべきだろう。いわずもがな、日本のマスコミ報道が早かったのは、「GSOMIA破棄の影響はない」と強弁したい安倍政権によるパフォーマンスでしかないのだ。
GSOMIAは北ミサイル発射をキャッチできなかった日本政府の要望で締結された
 いや、それ以前に、GSOMIA破棄が日本にとってよりマイナスなのはその締結の経緯を見れば明らかだ。日韓GSOMIAが締結されたのは2016年11月だったが、これは日本政府側の要望だった。2012年4月、北朝鮮がミサイル発射実験をおこなったものの、日本が自国のレーダーでミサイル発射の情報をとらえられなかったため、日本政府が韓国に情報共有をはたらきかけ始めたのである。「AERA dot.」(8月23日)もその経緯をこう指摘している。
〈この時、日本政府は自国のレーダーでミサイル発射の状況を捉えることができず、海外メディアや韓国は発射後すぐに情報を発表していたのに、日本は国民への公表が遅れた。批判を受けた政府は事後検証を実施し、内閣官房がまとめた報告書で「地理的に優位な位置を占める韓国軍はより早期に正確な情報を得ていたことを考慮し、韓国軍との様々な情報共有を進めていくべき」と提言したことで、日韓GSOMIAが必要との声が高まった。〉
 だが、韓国では当時から日本へ軍事機密を提供することに対し反発の声が大きく、事実、締結は当初の予定より延期された。それでも日韓がGSOMIAを締結したのは安倍政権の強い要望だったという。
「日韓GSOMIAは一度、李明博政権で締結寸前まで行ったのだが、韓国世論の反対や、竹島上陸などのいわゆる『反日政策』の影響で延期ということになった。その後、安倍政権と朴槿恵政権が同調したのは、北朝鮮によるミサイル発射実験が加速したからだ。韓国の野党は『GSOMIAは売国行為』と猛批判したのだが、安倍政権のほうが熱心にはたらきかけて、ようやく締結に持っていったという経緯がある」(政治評論家)
 もし、これで「GSOMIA破棄は日本に影響しない」のだとしたら、いったい何のために日本政府は締結を求めたというのだろう。いずれにしても、GSOMIAがなくなったことで、日本が取れなくなる情報が出てくるのは明らかだ。
「マスコミには匿名の自衛隊幹部らの『影響は限定的』というコメントが掲載されているが、現場は『限定的なわけがない』『情報入手に遅れが出るのは必至』、という声がほとんどだ」(防衛省担当記者)
ようするに、安倍政権が「困るのは韓国」「影響はない」と言い張っているのは、“韓国の反応を予想できず強硬策で日本の安全保障を危うくした”というような批判を封じるためのゴマカシに過ぎない。
 ところが、マスコミもその強弁をほとんど検証することなく、「韓国が自分の首を締めただけ」などという解説を垂れ流している。これでは、先の戦争で戦況がどんどん悪化するなか「我が軍勝利」と喧伝し続けた「大本営発表」ではないか。
 もう一度言うが、日韓GSOMIAの解消は、日本の安全保障環境に重大な影響を与えるもので、そこまで韓国政府を追いつめてしまった安倍首相の失策は明らかだ。ようするに、韓国への嫌がらせ的な圧力に執心の日本の総理大臣は、逆にそれによって日本の国民を危険にさらしてしまっているのである。いい加減に国民は、安倍晋三と“忖度マスコミ”の深刻なヤバさに気がついたほうがいい。


古谷経衡さんが憂う有権者の劣化 日本の知性の底が抜けた
 先月の参院選で「NHKをぶっ壊す!」のワンイシューを掲げる「NHKから国民を守る党」(N国)が1議席獲得した理由を「日本人の知性の劣化」と喝破するのが、元“ネット右翼”で文筆家の古谷経衡さん(36歳)だ。自らがネトウヨから離れたワケ、そして今の時代に「極論」が支持される背景などについて歯に衣着せぬ言葉で鋭く語った。
■「面白いからいいじゃん」で投票する“政治的非常識”層が増えた
 ――参院選の一番の驚きは、N国が98万票を獲得し、1議席獲得したことでした。
 N国が98万票取った時、同党首の立花孝志さんの知名度からして、数が合わないと直感的に思いました。10年近く前から立花さんを知っていますが、今はユーチューバーをやられていますね。コアなファンが5万人、最大で10万人いたらいい方でしょうが、約100万票も取っているわけですよ。
 ――その現状をどう分析していますか。
 朝日新聞の出口調査によると、N国に票を入れた人のうち安倍政権下での憲法改正に「賛成」が54%、「反対」が44%でした。ネット右翼、いわゆるネトウヨは安倍政権下での憲法改正に反対とは絶対に言いません。ということは、N国に票を入れた人のほぼ半分はネトウヨでもなければ、保守でもない。NHKに不満のある人もいるでしょうが、それでも数が合わない。残りは、N国の政見放送がユーチューブに流れて、「何これ。面白いね」って思って投票しただけのユーチューバー層なんですよ。
 ――ネット動画が投票行動に影響していると。
 立花さんは政見放送で「路上カーセックス」を連呼していましたが、政治的常識のある人は、そういう政見放送を見ても笑って受け流して、他の政党に入れる。ところが、「面白いからいいじゃん」という動機で投票する“政治的非常識”の有権者がここ3、4年で増えたんですよ。この国の知性の底が抜けてしまった印象です。
 ――国会議員の中にも“政治的非常識”の人が見受けられます。
 戦争やってもいいんだとか、人権なんて要らないんだとか、そういうことを言う議員がいますが、20年前だったら即刻アウトでした。北方領土へのビザなし交流の時に「戦争発言」をした丸山穂高衆院議員については、憲政史上初めて糾弾決議が出ましたが、いまだに議員の座に居座っているわけですよね。国会議員には憲法順守義務があるにもかかわらず、明らかに平和憲法の理念を踏みにじっている。「有権者の劣化=政治家の劣化」ですね。どちらか一方が劣化したのではなく、両方劣化しています。
 ――原因は何でしょうか。
 新聞や雑誌、本も読まずに、ネット動画ばかり見ているからでしょう。今の若者は漫画も読まない。「コマをどう追うのか分からないから、読めない」と言うらしいです。じゃあ何をやっているかというと、ユーチューブ。せいぜい長くて数十分の動画を見て、世の中のことが分かった気になっている。映画でもアニメでもどんどん短くなってますね。この間TSUTAYAに行ったら、90分以下で見られる映画コーナーがあってビックリしました。長時間座って何かを見るという集中力がなくなっているのです。
 ――ネット右翼、いわゆるネトウヨは「ネットが真実」だと思っています。
 インターネットが不自由だった時代を知らないからです。今の30歳過ぎから40代後半は、インターネットがナローバンドで画像1枚を読みこむのも大変だったことを知っています。動画を見るなんてとんでもないことでした。当時出てきたネット掲示板「2ちゃんねる」は、書いてあることの99%がウソ、0.5%が中立、0.5%が本当だと分かった上で楽しむのが当たり前でした。ところが、今のネトウヨの主流である50代、60代ってそういう経験をしていないですよね。子供や孫が家に光ファイバーを導入したことで、超高画質の動画の世界が広がっていることをいきなり知って、「大新聞が伝えない真実」なるものが広がっているんだと勘違いしちゃうのです。
 ――ネット上には中国や韓国に対するヘイトがあふれています。
 昔は、ネット上で他人を誹謗中傷したら、すぐプロバイダーに通報されて退会処分でした。インターネット規制が現在議論されていますが、1990年代のインターネット黎明期、ナローバンド時代の方が規制は厳しかった。今の30代、40代の前後の世代、つまり10代、20代の若者と50代以上のネットリテラシーが低くなっています。タチが悪いのは、ネットリテラシーが低いのに、「右」に引き込まれる高齢者。とんでもない差別発言も普通に言いますからね。
職能団体の弱体化と高速インターネットが「極論」を放出
 ――古谷さん自身は、どうしてネトウヨから離れたのでしょう。
 僕は基本的にタカ派で、ミリオタ(軍事オタク)なんです。いわゆる反米右翼です。2000年代後半にネトウヨ界の中心となっていたメディアに出演するようになったのですが、自称保守の人たちは何も勉強していなかったことが分かって幻滅しました。ただ、韓国と中国に対する差別的な発言を繰り返しているだけ。保守をうたっているので、(保守思想の父として知られる)エドマンド・バークや(保守派の文化人である)福田恆存や小林秀雄をちゃんと読んでいる人ばかりだと思ったら、何にも読んでいない。僕は保守向けに本を書いていたのですが、「朝鮮人は――」を連呼している人たちに向けて書くのがバカバカしいと思ったのです。
 ――「NHKをぶっ壊す!」や丸山議員の「戦争発言」など、極論が一部の有権者から熱狂的に支持されています。
 背景にあるのは、職能団体の弱体化だと考えています。かつて日本の政治は、職能単位で支持政党が決まっていました。例えば、労働組合に属している正社員は社会党、医師会は自民党、繊維系労組は民社党、民主商工会は共産党、創価学会は公明党というふうに。こうした職能団体は所属する有権者の意見を集約して政党に上げると同時に、極端な意見を排除する役割を担っていた。有権者と政党の間の“緩衝材”として機能していたので、極論が存在しても世の中に出ることがなかったのです。ところが、非正規雇用が労働者の4割を占めるまでになり、職能の力が落ちたことで、極論を止める中間的存在の力がなくなった。そこにインターネットという拡散器がプラスされたので、どんどん極論が世の中に出てくるようになったのです。
 ――有権者が極論を支持すると、国会議員も極論に走ってしまうという危機感があります。
 ある自民党議員は、極論を言う議員は比例区から出てくると言っていました。面白いのは、小選挙区から出馬すると、極端なネトウヨ議員がどんどんまともになっていくと言っていたことです。小選挙区の有権者はせいぜい20万〜50万人。狭いエリアを相手にするから、あまり極端なことを言うと、有権者が引いてしまう。結局、極端なことを言う人は、左も右も全人口の数%しかいないわけで、その数%が全国区や比例ブロックだと1議席になる。いわゆる“どぶ板選挙”をする小選挙区では極論が通用しないから、“脱ネトウヨ化”していくというのです。
 ――選ぶ方も賢くならないといけませんね。
 憲法の理念である基本的人権や平和主義、民主主義を守りましょうと言うと、「パヨク」と言われてしまう世の中です。重度障害のある、れいわ新選組の舩後靖彦参院議員と木村英子参院議員の介助費用を参院が負担することが問題となりましたが、正当な選挙を通じて選ばれた代表者に必要な費用を議会が負担するのは当たり前です。基本的人権を尊重することと同じで、議論の余地すらありません。歴史が教えてくれているように、当たり前のことだからと沈黙するのではなくて、当たり前のことだからこそ何度も言わないといけないと思います。 (聞き手=高月太樹/日刊ゲンダイ)
▽ふるや・つねひら 1982年札幌市生まれ。立命館大文学部史学科卒業後、ライター・編集者として雑誌の出版に関わる。日本ペンクラブ正会員。「女政治家の通信簿」(小学館)、「日本を蝕む『極論』の正体」(新潮社)、「『意識高い系』の研究」(文藝春秋)など、著書多数。


資料ブン投げ映像が波紋…カジノ誘致の林市長は万事休す
 カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致表明をめぐり、横浜市が大揺れだ。カジノ誘致を「白紙状態」と訴え、一昨年3選した林文子市長の方針転換に市民は猛反発。22日に市役所で会見した林市長は報道陣の追及にイラ立ちを隠さず、終了後のペーパーぶん投げ映像がSNSで拡散され、ますます株を下げている。林市長のリコールを求める動きは加速必至だ。
 会見で林市長は、カジノ誘致の理由として高齢化や人口減少による財政難を挙げ、開業後の経済効果が1兆円に上るとの試算を公表した。しかし、昨年、市が実施したパブリックコメントでは94%が誘致に否定的。そうした点を会見で問われると、「〈白紙にした〉というのは一切やりません、ということではないんですよ」「納得いくかは、みなさまがお決めになること」と憮然とした表情で開き直っていた。
 会見後の林市長の行動もホメられたものじゃなかった。24日放送の「報道特集」(TBS系)が悪態をオンエアし、話題騒然だ。それによると、ペーパーの束を手に仏頂面で会場を後にした林市長は執務スペースに姿を消した。その直後、すりガラス越しに見えたのは、大量のペーパーが放り投げられ、宙に舞う様子。林市長が怒りにまかせてブン投げたのだろう。林市長の本性が垣間見えるこの映像はツイッターで拡散されている。
 カジノ問題に詳しいジャーナリストの横田一氏は言う。
「市民の間では〈林市長にだまされた〉という声が広がっている。市長リコールと同時に、カジノ誘致の賛否を問う住民投票実施に向けた署名集めの動きに弾みがついた格好です。前回の市長選で林市長を応援した民進党(現在は立憲民主党)の牧山弘恵参院議員は選挙中、〈林市長はカジノ賛成ではない〉〈市民の意見を聞いて、それに従うことを約束している。一筆取っている〉と言っていました」
 横浜市の有権者は312万2275人(7月3日現在)。リコールには約49万人の署名が必要だ。前回市長選の林市長の得票数は59万8115票。カジノ誘致反対を掲げた対立候補2人の得票数は合計で52万7562票だ。クリアできない数字ではないだろう。
「ハマのドン」と呼ばれる横浜港運協会の藤木幸夫会長も「山下ふ頭は我々の聖地。命を懸けて反対する」とボルテージを上げている。林市長は万事休すじゃないか。


トランプに取られ損…日米貿易交渉は「失うだけの協定」
 安倍首相は「両国にとってウィンウィンで進んでいる」と言ったが本当か? 日米貿易協定交渉をめぐり、安倍首相とトランプ大統領が25日、大枠合意し、来月、正式署名を目指すという。
「多くの成果は7月の選挙後まで待つ」「8月に素晴らしいことが発表される」――。これは5月に来日時のトランプのツイートと発言。この通りの展開で、つまりトランプペースということだ。
 協定の詳細は正式合意後に発表するというが、東大教授の鈴木宣弘氏(農政)は、「日本側が失うだけの協定」とこう話す。
「早期決着を求める米国の要請に応えて先行実施するものを決め、コメや乳製品は先送りされたが、再協議されるのは間違いない。米中貿易戦争で行き場を失ったトウモロコシの追加輸入の約束がセットされ、これも『TPP超え』です。一方で、米国は離脱前のTPPで約束していた普通車は25年後、大型車は30年後という気の遠くなるような自動車関税の撤廃合意さえ破棄するとしている。まさに差し出すだけです」
 茂木経済再生相は、これで幕引きを強調したが、大統領選向けアピールで強欲なトランプのこと、まだまだ分からない。


「大事な娘を死刑囚の息子にやれるか!」 林眞須美死刑囚の息子が直面した現実
 1998年7月に発生した和歌山毒物混入カレー事件の“犯人”として逮捕された林眞須美死刑囚(58歳)の長男が、『もう逃げない。 いままで黙っていた「家族」のこと』(ビジネス社)を上梓した。そこで綴られている両親の逮捕後に入所した児童養護施設での過酷な日々の一端は、前編で紹介した。
 高校の卒業を待たずに児童養護施設を出た長男は、自立の第一歩として部屋を借りようとした。連帯保証人はいなかったが、不動産屋が紹介してくれた保証会社を利用して、なんとか部屋を借りることができた。
 「安普請のアパート」だったが、不自由で暴力的な児童養護施設や、公園での野宿に比べたら、天国のように感じたという。
「生活のすべてを自分で決められることがうれしかった。なによりも、X学園(引用者注・児童養護施設)を離れ、高校も卒業したことで、僕の素性を知る人がまわりに一人もいないということが、気持ちよかった。自分を「カエルの子」扱いしてくる人はいないのだ。このまま過去を捨て、カレー事件と関わりなく生きていくことができたらどんなにいいだろうと思った。しかしそういうときは必ず、一抹の後ろめたさも感じた。母を断ち切ることに対する後ろめたさだ。」(和歌山カレー事件林眞須美死刑囚長男著『もう逃げない。 いままで黙っていた「家族」のこと』より)
 長男はレストランの仕事に就き、毎日生き生きと働いた。しかし、働き始めて1年が過ぎた頃、店長に呼ばれた。
「正確な言葉は忘れてしまったが、「林君、カレー事件の林眞須美の息子なの?」といったことを聞かれた。
 突然、頭を殴られたような気がした。この居心地のよい職場を失うのだろうか、という恐怖を感じながら、「そうです」と答えた。(中略)
 店長は僕にこう言った。「うちは食べ物扱ってる店だから、衛生的に問題があるんだよね」。このフレーズは正確に覚えている。忘れたくても忘れられないのだ。「衛生的に問題」というのは、カレー事件から毒物を連想してしまうということなのだろう。」(同上)
 仕事を失った長男は、その後、何度か転職し、現在の運送業に就いた。安定した収入を得られるようになると、結婚がしたいと思うようになった。しかし、何人かの女性と付き合ってはみたものの、いざ結婚となると両親、特に母親のことがネックとなり、うまくいかなかった。
 そのうち、相手のことが好きなのか、ただ結婚がしたいだけなのか、わからなくなってしまったという。ところが24歳のときに出会った女性に対しては、はっきりと「この人と結婚したい」と感じた。しかし、その気持ちが強すぎたせいか、両親のことを正直に話すことができず、「2人とも交通事故で亡くなった」と嘘をついてしまった。
「嘘がバレるまでの間は、大好きな人に嘘をついているという良心の呵責はあったものの、このまま嘘をつきとおすことができたら、問題なく彼女と結婚できるのかもしれないなどと考えた。施設育ちというだけで差別する人もいるだろうが、「交通事故死」と「父が前科者で、母は死刑囚」では雲泥の差だ。僕は、彼女へ素性を打ち明けることを1日延ばしにしていた。」(同上)
 長男と女性はやがて同居するようになった。あるとき、どこかへ食事に出かけようという話になり、女性がスマホで店を検索しはじめた。隣で見ていると、「林眞須美 息子」という検索履歴が現れたので、一瞬、頭が真っ白になったという。
 長男が「知ってたの?」と尋ねると、女性は黙って頷いた。女性は、数日前に出かけた大学の同窓会で、友人に長男の写真を見せたところ、たまたま長男のことを知っていたその友人から、彼の「正体」を明かされたのだ。
 そのときは、ショックのあまり長男と別れようと考えたというが、帰宅し、台所で料理をしている長男の姿を見たとき、親が誰だろうと関係ない、「両親は交通事故で死んだ」という長男の嘘に合わせて生きていこうと決心したという。
 長男は女性にプロポーズし、その翌週、女性の両親に挨拶に行くことになった。もちろん、両親にも自分の「正体」を正直に伝えるつもりだった。しかし、正直に伝えたら絶対に反対されると確信していた女性は、「両親は交通事故で亡くなった」という嘘をつきとおしてほしいと主張した。
「結婚の了承を得たければ、両親のことは隠すしかないのかもしれない。しかし、隠しとおせるものだろうか。彼女の家へ行く日まで、僕は逡巡した。夜も満足に眠れなかった。結局、彼女の言うとおり、「両親は事故死した」ということで、押し通すことに決めた。」(同上)
 女性の実家は裕福な農家だった。両親は長男をとても気に入り、その後も2人は頻繁に実家を訪ねるようになった。女性の父親は、農家を継いでくれるなら近くに家を買ってやるといい、長男も、「林」の姓と「母親」を捨てて新しい人生を歩いていくことに魅力を感じた。
 しかし同時に、「このまま母親を見捨てていいのか」という思いも強くなり、ジレンマに苦しんだ。
 最初の頃は「両親を亡くした」という長男に配慮して、あまり家のことを聞いてこなかった女性の両親も、結婚が近づくにつれ、「墓はどこにあるのか」などと尋ねてくるようになり、長男は嘘をついているという罪悪感に苛まれるようになった。
 そして、あるときとうとう耐え切れなくなり、本当のことを明かしてしまう。
「僕はもう観念した。そもそも嘘なんてつくべきではなかったのだと後悔した。
「あの」そこで一息ついてから、僕は一気に言った。「カレー事件てありましたよね。僕、その息子なんです」。
 かなり言葉を省略したが、これで十分通じるはずだと思った。なにしろ僕は和歌山の人間で、苗字が「林」で、養護施設育ちなのだ。」(同上)
 女性の父親は、数分間黙っていた。その間、長男は顔を上げることができなかったが、「もしかしたら素性を知っても、お父さんは僕を受け入れてくれるのではないだろうか?」という淡い期待もあったという。しかしその期待は、「大事な娘を死刑囚の息子にやれるか!」という怒号に、木っ端微塵に砕かれた。
「台所にいた彼女が驚いて素っ飛んできた。お母さんは訳が分からず呆然としていた。
 彼女に「言ったの?!」と聞かれたので、頷いた。「どうして言ったの?!」と問う彼女の視線は、怒りに満ちていた。お父さんは言葉の限りを尽くして僕を罵った。」(同上)
 この日以来、長男は女性と会っていない。破談になったことについては謝罪の手紙を送り、
 結婚式と新婚旅行のために2人で貯金していた200万円をせめてもの慰謝料として受けとってもらった。アパートにあった女性の持ち物を宅急便で送ると、プロポーズのときに渡したペアウォッチの片割れが送られてきたという。
 女性と別れて1年以上が経ち、少しは気持ちの整理がついたというが、今も仕事で車を運転しているときなどに、小さな子どもを抱いた若い夫婦を見ると、何ともいえない気持ちになるという。
「あのまま彼女と結婚していたら、今頃僕にも子どもがいたかもしれない。
 職場の同年代の同僚たちも、すでにほとんどが家庭を持っている。5年くらい前に結婚ラッシュがあり、今はもう過ぎ去った。実はそのことにもホッとしている。披露宴に招待されても、うらやましいだけだ。僕は結婚式を挙げるどころか、成人式にも出席していない。
 「子どもとディズニーランドに行ったんだよ」といった他愛無い話にいちいち傷ついている自分が情けない。そのうち慣れるだろうか。」(同上)
 彼の「死刑囚の息子」としての人生は、今も続いている。
【イベントのお知らせ】
『林眞須美死刑囚・長男と迫る!和歌山カレー事件の真実と黙っていた「家族」のこと』
出演) 林眞須美死刑囚長男×田中ひかる
・9月1日(日)13時〜 ロフトプラスワン(新宿)
・9月29日(日)14時〜 ロフトプラスワンウェスト(大阪)


夏休み終わり小中学校で始業式
大阪市立の小中学校で、26日から2学期が始まり、夏休みを終えた子どもたちが元気に登校しました。
このうち、大阪・東淀川区の大隅西小学校では、夏休みを終えたおよそ290人の児童が元気に登校しました。
講堂で行われた始業式では、北村治彦校長が、「夏休み中も、図書館で本を読んだり、いろいろなスポーツをしたりして、みなさん頑張っていました。とてもすばらしいと思います。2学期も勉強や運動を頑張って、友達と仲よく過ごしましょう」とあいさつし、児童全員で校歌を歌いました。
教室に戻った児童たちは、担任の先生に、夏休み中の宿題や読書感想文などを提出したあと、2学期から使う新しい教科書やドリルを受け取っていました。
2年生の女子児童は、「夏休みは短かったけど、学校に来て友達に会えて、いっぱい遊べるのでうれしいです。2学期は勉強を頑張ります」と話していました。
また、2年生の男子児童は、「家でブルーハワイ味のかき氷を作って食べたのがうれしかったです。2学期からは遅刻をせず、算数を頑張りたいです」と話していました。

最後の晩餐?/ずんだシェイク/wifiさくら→京都

ブログネタ
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Le Japonais Yuki Kawauchi remporte de nouveau le marathon de Nouméa
Martin Charmasson
Yuki Kawauchi a remporté ce matin le trente-septième marathon international de Nouméa. Le Japonais, âgé de 32 ans (et en voyage de noces!), a terminé le parcours le long des baies en deux heures, dix-sept minutes et vingt-quatre secondes, avec plus de deux minutes et trente secondes d’avance sur son premier poursuivant. Déjà vainqueur de l’édition précédente, il améliore son temps de l’an dernier.
Haruka Yamaguchi chez les dames
La première féminine vient également du Japon : Haruka Yamaguchi a passé la ligne d'arrivée après 2h 37 minutes. Cette année, le marathon a vu s'aligner 771 concurrents. Elle devance Yoko Kawauchi, l'épouse du vainqueur !
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◎世界と日本の出来事を掘り下げるカバーストーリー◎スポーツ御意見番「喝&あっぱれ」◎関口宏の「一週間」ニュース◎時代と社会の断面を切り取るコーナー「風をよむ」(他)
一週間の見逃せないニュース&スポーツをサンデーモーニングならではの視点でお送りします!◎世界と日本の出来事を掘り下げるカバーストーリー▽ ◎おなじみ・スポーツ御意見番「喝!&あっぱれ」◎関口宏の「一週間」ニュース◎時代と社会の断面を切り取るコーナー「風をよむ」〜〜 関口宏 橋谷能理子 唐橋ユミ 伊藤友里 水野真裕美(TBSアナウンサー) 張本勲(他) 三枝成彰 ◇番組HP http://www.tbs.co.jp/sunday/ 西野哲史 金富隆

ゲゲゲの鬼太郎【霊障 足跡の怪】 #70
祟りを起こすと言われるタイタンボウの御霊石を、破壊しようとする健人。そこに鬼太郎が現れる。彼が指差す先の人影を見ると、その顔がドロリと溶け…!?
21世紀も20年近くが経ち人々が妖怪の存在を忘れた現代。 科学では解明が出来ない現象が頻発、流言飛語が飛び交い大人たちは右往左往するばかり。そんな状況をなんとかしようと妖怪ポストに手紙を書いた13歳の少女・まなの前にカランコロンと下駄の音を響かせてゲゲゲの鬼太郎がやってきた…。
鬼太郎: 沢城みゆき  目玉おやじ: 野沢雅子  ねずみ男: 古川登志夫 ねこ娘: 庄司宇芽香  犬山まな: 藤井ゆきよ  砂かけばばあ: 田中真弓  子泣きじじい: 島田敏  ぬりかべ: 島田敏  一反もめん: 山口勝平 水木しげる  狩野雄太(フジテレビ編成部)  佐川直子(読売広告社)  永富大地(東映アニメーション)  小川孝治  大野木寛  清水空翔  高梨康治  刃-yaiba-  フジテレビ  読売広告社  東映アニメーション

明日へ つなげよう ふるさとグングン!「みんなで創る 新しい町〜福島 大熊町」
4月、町の一部で避難指示が解除された福島県大熊町。住民の孤立や放射能への不安、農地の活用など課題がある中、どうすれば安心して暮らしていけるか住民たちが話し合う。
今年4月、町の一部で避難指示が解除された福島県大熊町。各地の避難先から災害公営住宅に入居した住民の孤立、放射能への不安、使われない農地など多くの課題が浮かび上がっている。番組では、大熊町役場に住民や支援者、役場職員などが集まり、かつて同じように避難指示が解除された南相馬市小高区などでの先進的な地域づくりの取り組みなどを見ながら、どうすれば住民が安心して生き生きと暮らしていくことができるか話し合う。 りゅうちぇる,分子生物学者…河田昌東,小高商工会女性部長…小林友子, 山本哲也

新 窓をあけて九州 涙と笑顔の氷菓子〜老舗製飴店の再起〜
かき氷とアイスキャンデーで有名な熊本市の老舗製飴店が熊本地震で店舗を失った。家屋の取り壊しなどなかなか進まない復興に、店舗の再建をためらう3代目の近藤弘毅さん(50)。店舗の再建を決めたのは地震から2年が経過した頃。常連客の励ましの声が近藤さん一家の背中を押した。昔ながらの味と食感を取り戻したいと意気込むも一新した機械に苦労する。無事に店を再建できるのか。その道のりを追った。 鶴戸 良子 RKK熊本放送
本石町日記 @hongokucho
「林市長の背後で操る力を『ハードパワー』と表現した藤木会長は、『ハードパワーとは菅官房長官のことか、と尋ねられると、『そう思うのはあんたの自由だが、菅さんは安倍さんの腰巾着。安倍さんは米国の腰巾着。安倍さんも菅さんもトランプさんの鼻息をうかがって寂しいな』と答えた」
海渡雄一 @kidkaido
中国人元徴用工の西松建設事件2007年4月27日最高裁判決は、元徴用工らの請求権は日中共同声明5項によって裁判上請求することができなくなったが、請求権は消滅していないとして、関係者に、被害救済に向けて努力をすることを期待し、和解解決を強く示唆した。西松建設は謝罪し和解金を支払った。
Nobuyo Yagi 八木啓代 @nobuyoyagi
産科医療崩壊の引き金を引いたのはメディア(特に毎日新聞)の責任が大きいんだけど、そこはスルーね→医療機関の「お産休止」に潜む過酷な産科医の労働実態 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

最後の晩餐?ではなくて最後のランチ.結構贅沢なものになりました.
さらに枝豆でずんだシェイク作りました.おいしいです.
新幹線はさくらなのでwifiないのかも?と諦めていましたが,wifiつかえてよかったです.
切符は大阪までですが,京都まで追加です.事前にチケットショップで少し安く買ったのを忘れてしまっています.いつ使おうかな?久しぶりに夜の京都タワーを見ました.
品がよさそうなおばあさんがお化粧がきつくて匂ってしまうのがイマイチですが.

蒲生地蔵の歩み碑に刻み後世へ 震災後の変遷記す 仙台・元住民ら設置
 東日本大震災の津波で被災した仙台市宮城野区蒲生地区の元住民らが、地域を見守ってきた蒲生地蔵尊に、震災後の歩みを刻んだ石碑を設置した。大半の住民が離れた地域の姿を後世に語り継ぐ狙いがある。
 石碑は幅75センチ、高さ1.1メートルで、川崎町産の油石(安山岩)を使った。県道に面した場所にある地蔵の参道脇に5日に設置し、災害区域指定や土地区画整理事業で地域の様子が一変したことや安置場所の変遷を記した。
 地蔵は震災当時、旧中野小駐車場脇にあり、津波で台座が壊れた。住民らが修復し、屋根を付けて守ったが、河川堤防工事で一時移転を余儀なくされた。2018年8月、元の場所に近い現地に遷座した。
 石碑の設置構想は昨年からあったが、費用が工面できず棚上げになっていた。窮状を聞いた川崎町の石材店が協力し、23、24日の地蔵盆を前に設置にこぎ着けた。
 蒲生のまちづくりを考える会の会長で、息子2人ときょうだいを震災で亡くした笹谷由夫さん(73)は「1年越しの願いがかない、素晴らしい碑ができた。蒲生地区を後世に伝える『いしぶみ』となってほしい」と話した。


河北春秋
 漁師さんを応援したい。東京生まれの根岸えまさん(27)は先月、念願の店を任された。気仙沼市魚市場の目の前にオープンした横丁内にある「鶴亀食堂」と銭湯「鶴亀の湯」である。営業は午前6時から。自動販売機には定食メニューと入浴券が並ぶ。「おかえり」と迎えられた漁師が相好を崩した▼大学2年だった2011年10月、東日本大震災のがれき撤去のボランティアで同市唐桑町を訪れた。心温かな人々と「どん底にあっても命懸けで魚を取っている漁師さん」に出会い、卒業後に移住。まちづくり団体で活動してきた▼魚市場周辺に朝食を提供する店がほしいと考えていたところに誘いを受けた。「刺し身の切り方が違う」と漁師から言われてもへこたれない。「漁師さんがいてこそ魚が食べられると観光客に伝えたい」▼船名と漁師の名前を覚えるのに懸命だ。「足を伸ばして入れる銭湯があって、ほっとできる店がある。ありがたい」とは宮崎県日南市のカツオ船乗組員河野政彦さん(54)。かつて漁師でにぎわった銭湯「亀の湯」の斎藤ちか子さん(73)も店を手伝う▼唐桑のシェアハウスで移住者の女性3人と暮らす。「私たちは夢をかなえて幸せに生きている。若い人が出て行く唐桑の町で、希望になりたい」。挑戦を大いに応援したい。

カシミール問題 緊張招くインドの強権
 インドのモディ政権が、北部ジャム・カシミール州の自治権を剥奪した。ヒンズー教徒が約8割の国内で唯一、イスラム教徒が多数を占める地域だ。
 70年前から自治を認めていたが、地元と話し合うこともなく唐突に打ち出し、国会も自治権を定めた憲法規定の削除を可決した。
 治安部隊を送り、抗議する地元の政治家ら数百人を拘束するなど、力で抑え込もうとしている。
 あまりに乱暴すぎる。インド政府は強引な手法をやめ、自治権を戻すべきだ。
 ジャム・カシミール州を含むカシミール地方を巡り、インドは隣国パキスタンと領有権を争っており、3度にわたって戦火を交えた。自治権剥奪にパキスタンは反発し、緊迫の度合いが増している。
 インドとパキスタンは核保有国であり、対立をエスカレートさせることは極めて危険だ。これ以上緊張を高めてはならない。
 ジャム・カシミール州は、1947年にインドとパキスタンが英国から独立したことを受けてインドに帰属した。
 だが、住民にはイスラム教国であるパキスタンへの編入を求める声が強く、インドへの帰属意識は低かった。
 今春の総選挙でヒンズー至上主義を掲げるインドの与党は、カシミールの直接統治やパキスタンへの強硬姿勢を訴えて大勝した。
 自治権剥奪は公約を実現させたものと言える。10月末から連邦政府の直轄地とする方針だ。
 モディ首相は、ジャム・カシミール州がイスラム過激派の拠点になっており、政府直轄によって「テロから解放する」と、治安の強化を主張する。
 だが、現地ではイスラム教徒への圧力が強まることへの懸念が強まっている。抗議活動が相次ぎ、イスラム過激派メンバーと治安部隊の銃撃戦で死者も出た。治安はかえって不安定化している。
 インド政府は、反発を強引に押さえつけるだけでは事態を収拾できないと認識すべきだ。
 パキスタンはインドとの貿易停止など対抗措置を取った。
 カシミール地方の一部を実効支配する中国も「インドの行動は中国の主権に対する挑戦だ」としてパキスタンと連携するが、両国とも「報復」は慎まねばならない。
 国連安保理はカシミール問題について緊急会合を開いたが、具体的な対応策は出せなかった。日本を含む各国は引き続き、3カ国に対話と自制を促すべきだ。


猛暑の東京五輪/選手の警鐘に耳を傾けよ
 来年の東京五輪・パラリンピックを想定した各競技のテスト大会で、猛暑による体調不良を訴える選手が続出している。熱中症の疑いから救急車で搬送されるケースもあり、身の危険を感じて会場や競技時間帯の変更を求める声が相次ぐ。
 指摘されてきたように、真夏の東京が選手に極めて過酷な環境であることが明白となった。選手たちの警鐘に耳を傾け、徹底的に運営を見直すべきだ。
 競歩の選手は、皇居周辺のコースに日陰がほどんどないとして再考を求めた。馬の異変を感じた馬術の選手は「人も馬も危ない暑さ」と危機感を抱く。ボートやビーチバレーなどでも不安の声が上がる。
 特に深刻なのは、トライアスロンや水泳オープンウオーターの選手が泳ぐ東京湾の環境だ。高水温に加え、水質のひどさが改めて確認された。
 「トイレの臭い」「濁りがすごくて手が見えない」と選手が訴え、水質が最悪の「レベル4」で中止になる日もあった。
 東京都の下水道が、汚水と雨水が合流する古いタイプであることに根本的な原因がある。大雨が降ると、会場周辺には処理が十分でない汚水が流れ込む。
 検査でふん便性大腸菌などの数値が基準の140倍以上になったこともあり、会場にふさわしくないと指摘されていた。水中スクリーンを3重にして流入防止する方針だが、有効性が保証できないなら会場の変更も柔軟に考えるべきだ。
 猛暑対策として、多くの競技で開始時間の前倒しが検討されている。懸念されているのは運営ボランティアの健康に及ぼす影響だ。
 組織委の検討委員会は、前日に終電で会場入りさせて士気を高め、早朝から従事させる方針を示している。睡眠不足が熱中症の要因であることは常識であり、リスクを高める恐れがある。仮眠場所を十分に確保するなど、待遇改善は最低条件だ。
 「競技に最適な気候」「アスリートファースト」などとPRして東京五輪は誘致された。認識の甘さから生まれた矛盾に向き合わず、選手やボランティアに犠牲を強いる。そんな無理な運営を通そうとするなら、東京五輪の評価は地に落ちる。


筆洗
 「この赤蕪(かぶ)と申すものは平地の畑で作ってもうまく行かんそうだ」(略)「焼畑の多い山奥で作ったものが、出来もよく味もよい」。藤沢周平さんの『三屋清左衛門残日録』に赤カブのうんちくを語る場面があった。赤カブのお漬物は藤沢さんの出身地山形県鶴岡の特産品である▼冬の味だが、作付けは今時分の真夏に始まる。土地改良と害虫駆除のため、今も伝統の焼き畑で行われる。スギの伐採地に火を入れ、熱さの残る地面に種をまく。夏の猛暑に炎と煙。汗だくの作業となる▼炎と煙の作業がうまい赤カブを生むことになるのだろうが、別の炎と煙の話にため息が出る。ブラジルのアマゾン地域の熱帯雨林。過去最大規模の火災が起きている▼一月以降アマゾンでの森林火災は七万を超える。前年同期比八割増とは尋常ではない。世界の森林には二酸化炭素を吸収し、気候変動を緩和する力がある。世界最大規模の熱帯雨林の炎と煙が地球全体にどんな影響をもたらすかが心配である▼違法な開拓行為が火災の原因という見方がある。ボルソナロ・ブラジル大統領の熱帯雨林保護、地球温暖化への消極的な姿勢もアマゾンの炎と煙を強めていないか▼先進七カ国首脳会議(G7サミット)でアマゾン火災への対応を優先課題として取り上げるそうだが、当然である。それは決して「対岸の」ではなく、地球全体の大火事である。

[ネットデマ被害]拡散させた責任も重い
 「朝起きたら、犯罪者扱いされていてパニックになった」
 常磐自動車道で起きたあおり運転事件に関連し、ネット上でデマ情報を流された会社経営の女性の言葉である。名前や写真までさらされ、非難の標的となった恐怖はいかばかりか。
 デマの発信は「ネットの暴力」であり許されない。安易な気持ちでリツイートした大勢の人たちも、責任を重く受け止めるべきだ。
 女性はあおり運転事件で逮捕された容疑者と無関係にもかかわらず、ツイッターなどで「同乗していた女」と名指しされた。世間の関心を集めたニュースでもあり、瞬く間に情報が拡散し、誹謗(ひぼう)中傷の書き込みが相次いだ。
 女性の「インスタグラム」を、容疑者とされる人物がフォローし、実際の同乗者と服装などが似ていたことが端緒とみられるが、どれも根拠に欠ける。 
 「犯人扱い」された女性は弁護士とともに記者会見を開き「軽い気持ちでデマを拡散することの怖さをしっかり考えてほしい」と訴えた。 
 今後、情報の発信や拡散に関わった人物を特定した上で、損害賠償請求訴訟や刑事告訴の準備を進めていることも明らかにするなど、毅然(きぜん)とした対応をみせる。
 2年前、東名高速で起きた別のあおり運転事故を巡っても、被告と関わりがあるかのような偽情報に苦しめられた会社社長がいた。
 会社は一時休業を余儀なくされ、経済的損失や精神的苦痛を受けるなどの負担を強いられた。
    ■    ■
 ネットデマは一度世に出ると拡散が繰り返され、取り返しのつかない被害をもたらす。悪意ある投稿は、沖縄でもたびたび問題になってきた。
 2015年の県議会で翁長雄志知事が「長女が中国の外交官と一緒になり、末娘は中国へ留学しているといわれているが、2人とも一度も中国に行ったことがない」と発言する場面があった。
 野党議員の「知事は中国と親しいといわれているが」との質問に対し、広がるデマを否定したのである。
 一昨年、米軍ヘリの窓が落下する事故に見舞われた小学校、部品が落下した保育園も「自作自演だ」「やらせだろう」など言葉の暴力にさらされた。
 沖縄に対しては、フェイク(偽)にヘイト(憎悪)が加わり、悪循環が加速している。
    ■    ■
 全国の法務局が18年に救済手続きを始めたネット上の人権侵害事案は1910件で、前年に次いで過去2番目に多かった。
 書き込みに名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害などの違法性が認められる場合、プロバイダーへ削除を要請することができるが、手口は巧妙化している。裁判所に削除の仮処分命令を申し立てる方法もあるが、中傷された側が声を上げるのはつらくハードルが高い。
 ネットの匿名性や情報発信の容易さを背景にした今の時代の問題である。削除手続きが速やかに進む仕組みの検討を求めたい。


横浜の誘致表明で…米カジノ最大手が大阪から撤退の衝撃
 横浜市が“カジノ誘致”を表明したことで、すでに誘致を表明している大阪に衝撃が走っている。
 現在、カジノ誘致を正式に表明しているのは、大阪、和歌山、長崎、横浜の4カ所。さらに、北海道、千葉、東京が検討中だ。2018年に成立した法律では、カジノを誘致できるのは全国で最大3カ所までとなっている。大阪がショックを受けているのは、今回、横浜市が誘致を表明したのと同時に複数の有力業者が大阪からの撤退を表明したからだ。とくに痛手なのは、米カジノ最大手の「ラスベガス・サンズ」が事業者募集の入札に参加しない方針を表明したことだ。サンズは「東京か横浜への投資に注力する」と、コメントを発表した。
 これまで大阪が、カジノ誘致のトップランナーとみられていたのは、カジノ最大手のサンズが参入を予定していたからだ。サンズは「日本では大阪のみがIRに適した場所」「投資規模が100億ドルになる可能性がある」と前のめりだった。ところが、横浜が手を挙げた途端「こっちの方が条件がいい」と判断したのか、あっさり大阪を見捨ててしまった。
 大阪府と大阪市は23日、新たにカジノ事業者を募ろうと、これまで8月としていた“事業コンセプト”の募集を9月中旬まで延期すると明らかにした。5月までの事業者登録では、サンズも登録していた。
■もう誘致は無理なのか
 横浜市の誘致表明に対して、大阪府知事は「大阪がトップランナー、必ず誘致させる」と会見で語ったが、サンズの撤退に焦っているに違いない。カジノ事情に詳しいジャーナリスト・横田一氏が言う。
「カジノを誘致するには、資金力があり、運営ノウハウがあるカジノ業者に進出してもらう必要があります。なにしろ投資額がハンパじゃありませんからね。巨額な投資が必要なため、カジノ業者も儲からなければ進出しない。儲かるかどうかは、人口や交通アクセスなど、立地が大きい。サンズは、大阪よりも首都圏である横浜の方が儲かると判断したのでしょう。問題は、大阪にカジノを誘致して儲かるか、ということです。カジノを設置する予定の人工島は、大阪中心部から離れ、交通アクセスもよくない。そもそも、日本国内にカジノを3つもつくってビジネスが成り立つか、という問題もあります。有力なカジノ業者に進出してもらうためには、大阪は破格の条件を提示する必要が出てくるかもしれない。周辺整備のために、予定以上の税金投入を迫られる恐れもあります。カジノ業者に“採算が合わない”と判断されたら、次々と逃げられる恐れもゼロではないでしょう」
 大阪は、引き返すなら早いほうがいいのではないか。


松本人志や吉本上層部に異を唱えた「友近」「近藤春菜」に相次いでバッシング記事! 吉本が反乱分子に報復、粛清開始か
さっそく、反乱分子の粛清が始まったらしい。先週発売の「週刊新潮」 (8月29日号)が友近の「パワハラ」を報じた一件だ。
 記事は、友近のマネージャー同社の幹部宛てに、友近のパワハラを訴える嘆願書が2通提出されたというもの。嘆願書には友近から「こんなできへんやつ初めて見たわ」「向いてないから辞めろ」といった罵詈雑言を浴びせられたことや、深夜まで説教されたことなどが書かれていたという。また、友近のマネージャーは、過去10年で20人近く入れ替わっており、その多くがパワハラを会社に訴えているとの記述もあった。
 これを受けて「日刊ゲンダイ」も、後追い。問題がこじれるようなら、現在、友近が持っている8本のレギュラーも安泰ではないとして、テレビ関係者のこんな恫喝めいたコメントを掲載した。
「コメンテーターを務める『ゴゴスマ』などではパワハラ問題を扱うが、自分が“当事者”なのにどうコメントするのか。テレビ各局のコンプライアンスでパワハラはNGですから」(前出のテレビ関係者)
 だが、友近がマネージャーに厳しいという話は昔から有名で、自らテレビでネタにしていたことも何度かあるほど。しかも、ベテランや売れっこ芸人のマネージャーへのパワハラは友近に限った話ではない。また、記事によれば、嘆願書が出されたのは「今年に入ってから」。それがなぜ、今頃になって報道されたのか。
 どう見ても、吉本問題での一連の発言が関係しているとしか思えないだろう。周知のように、友近は騒動のさなか、松本人志の上層部支持の姿勢に敢然と異を唱え、大崎洋会長・岡本社長体制の刷新を求めていた。
 岡本社長会見後、松本人志が〈でもプロ根性で乗り越えましょう。私達は生まれつきオモロイ〉とツイートしたことについて、友近はまず、『ゴゴスマ〜GO GO! Smile!〜』(CBCテレビ)でこう違和感を表明した
「松本さんは今の大崎、岡本体制で会社をみんなでやっていこうって考えを持っていらっしゃる方で、お二人との絆がすごく強いと思うので」
「でも、私はまだここの気持ちまで追いついてない。芸人と社長との信頼関係というのが成り立ってない関係で、あの会見を見て余計に不信感を抱いてしまったので、まだこの気持ちにはならない」
「ちょっと松本さん待ってくださいって思ってしまいますね」
 さらに、加藤浩次の「この体制が続くんだったら僕は吉本興業を辞める」という意見と近いのかと聞かれると「それはあります」と明言。吉本側がロンブー亮との交渉で口にしたという「在京5社在阪5社が株主だから大丈夫」発言に絡んで、こう語った。
「在京・在阪の株主の方々は、昨日の会見を見て、どう思われたかっていうのを、すごく私は生の意見が聞きたいですね」
「視聴者とか世論が、もう気持ちが、会見を見て一緒になったというか、『あ、やっぱり会社って、吉本ってこういう会社なんだ』ってわかったいま、どういう決断を下すのか、これからもその代表取締役として支えていくのか、不信任するのか。そこはほんとうに、水面下ではなくて、表立ってちゃんと意見が聞きたいです」
 また、その数日後には松本の『ワイドナショー』の裏番組である『サンデー・ジャポン』(TBS)に出演。松本の現体制支持について、あらためて「気持ちが追いついていないのは本当」と、自分の思いを率直に告白したうえ、ギャラの不透明さ、さらには、吉本がいろんなことに手を出しすぎて赤字事業が山ほどあると指摘し、「そこの赤字を、憶測ですよ、私たちの給料からやってんじゃないかって思われても仕方ないんです」と批判した。
友近パワハラ報じた新潮は吉本寄り、春菜バッシングの日刊ゲンダイも吉本べったり
 友近の発言は吉本芸人の中でも、加藤浩次と並んで最も骨のあるものだったが、そんな後に、パワハラ記事が出たことで、「上層部や松本人志を批判した友近への報復と恫喝」ではないのか、という見方が広がっているのだ。吉本問題に詳しい週刊誌記者がこう解説する。
「今回、新潮の報道の根拠は、友近のパワハラを訴える嘆願書が幹部に出されたというもの。情報源は吉本の幹部に近いところしかありえない。吉本問題では、『文春』が大崎・岡本体制や松本の吉本支配を徹底批判しているのに対し、『新潮』は吉本上層部寄り。島田紳助に吉本擁護させたり、西川のりおに加藤浩次らを批判させたり、責任追及をかわすためのリークと思えるような記事を何度か掲載しています。後追いした日刊ゲンダイも、政治記事は反安倍政権、反権力だけど、芸能班は吉本べったりで有名ですから。上層部が御用メディアを使って仕掛けた、友近バッシング記事という可能性はかなり高いんじゃないでしょうか」
 しかも、バッシングをされた吉本批判芸人は、友近だけではない。今日、「24時間テレビ42」(日本テレビ)チャリティーマラソンのランナー第1走者として走ったハリセンボン近藤春菜にも、バッシング報道が出始めている。
 近藤もまた、友近に負けず劣らず、吉本のあり方を批判していた。騒動の初期、大崎会長が新聞各紙の取材に応じて、「契約は口頭で行なっており、合法」と主張した際にも、『スッキリ』(日本テレビ)で、こんな正論を語っていた。
「口頭だったとしても、芸人も納得してお互い同意していないと契約って結ばれないと思うんですよね。それに関して吉本興業はどういう考えであなたとこういう風に契約しますっていうことを、私は口頭でも聞いた覚えはないですし、会社にはいくら入ってあなたは取り分としてこうですとか、他の問題に関しても何もないですね」
 また、岡本社長の会見の後には、「世間にこういう社長なんだと。芸人がなぜ声をあげていたかっていうことが、この会見を見て頂ければわかったと思うんです」と痛烈に批判。岡本社長と大崎洋会長が減俸50パーセントを1年続ける処分を発表した際も、「正直、痛くもかゆくもないと思うんです」として指摘していた。
 ところが、1週間ほど前、その春菜について、やはり「日刊ゲンダイ」が「吉本批判でも24時間ランナー 近藤春菜にあがる“怨嗟の声”」なる記事を報じたのだ。
吉本を批判した芸人たちはこれから仕事を干され、テレビから排除されていく
 内容は、24時間ランナーに選ばれた春菜が吉本の芸人の間で「調子に乗ってる」と評判が悪く、吉本騒動で「私は加藤(浩次)さんについていきます!」と発言した際も、先輩芸人たちから「早く辞めちまえ!」といった声が上がったという、バッシングのためのバッシングとしか思えないものだった。
「春菜の記事については吉本上層部のリークというより、『日刊ゲンダイ』が吉本上層部のご機嫌とり、忖度で記事に書いたんでしょうが…」(前出・週刊誌記者)
 友近にしても、春菜にしても、吉本問題で語ったのは、まさに正論だった。しかし、芸能マスコミはそれを正当に評価するどころか、逆に、吉本上層部に乗っかってバッシングに乗り出したのである。
 しかし、これがSMAPやのん(能年玲奈)の独立問題などでも繰り返されてきた、日本の芸能界をめぐる悪しき構造なのだ。
 本サイトは、松本人志が上層部擁護に乗り出し、大崎会長も岡本社長も辞任しなかった段階で、「このまま吉本問題は、上層部が何の責任も取らないまま、なし崩しに収束する」「加藤浩次や友近、近藤春菜など、この間、吉本を批判した芸人たちは、ゆっくり時間をかけて、仕事を干され、テレビから排除されていくだろう」と指摘した。
 しかし、この状況を見ていると、吉本上層部を批判した芸人たちは「ゆっくり」ではなく、「あっという間に」消されてしまうかもしれない。(伊勢崎馨)


【エンタがビタミン♪】デーブ・スペクター 『24時間テレビ』の“スペシャルサポーター”は「ギャラもらってるなら“スポークスマン”」
放送プロデューサーなどとして活躍するデーブ・スペクター氏の『24時間テレビ』に関するツイートが大きな反響を呼んでいる。「英語が苦手」と言う彼は、頻繁に耳にする“スペシャルサポーター”の意味がよく分からないという。
令和初の日本テレビ系『24時間テレビ』の会場は、番組史上初めて東京・両国国技館で行われている。メインパーソナリティーは6年ぶり、史上最多5回目の嵐が起用された。今回の『24時間テレビ42』チャリティーマラソンは異例の駅伝方式で、いとうあさこ、ガンバレルーヤ・よしこ、ハリセンボン・近藤春菜の3名はすでに発表されていたが、残る4人目のランナーについては24日同番組にて明らかになった。1区は近藤、2区はよしこ、そして3区は日本テレビの水卜麻美アナ、アンカーの4区は最年長のいとうが走る。このチャリティーマラソンのスターターとしてサプライズ登場した加藤浩次は、『スッキリ』MCとして「水卜ちゃんも春菜も、もうゆっくり休んでいいから月曜日。その代わり、本気で頑張って!」と同番組でMCを担当する2人を優しく励ましていた。
こうして例年通り賑やかにスタートした『24時間テレビ』に対し、強烈な皮肉を放ったのがデーブ・スペクター氏である。24日の『デーブ・スペクター dave_spector ツイッター』で、
「“スペシャルサポーター”の意味が分からない」として次のように述べている。
「ギャラもらってるならばサポーターではなくスポークスマンになる。よっぽどの大物やそれこそ友情出演ではない限りは“スペシャル”と言うのも変。」(原文ママ)
これに対し、リプライ欄では「お花畑の日本人だけが感動する番組なんだよ。出演者はギャラ貰ってるし」「交通費実費じゃなく“ギャラが払われる芸能人”は“ボランティア(志願者)”ですらないですね」「マツコ・デラックスの“デラックス”みたいなもので、深い意味は無いのでは」「デーブはいちいち面白いなぁ」「すてきな嫌味ツイで嬉しくなりました」「意外と英語に詳しい」など、デーブ氏の意見に納得する声が多く見受けられた。(TechinsightJapan編集部 みやび)

花火大会/浴衣着付けが難しい/ベルギービール

ブログネタ
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松島・五大堂すかし橋190809

Shinzo Abe (Japon) : le partenaire ≪d’exception≫
Comme la France, le Japon a accueilli un sommet mondial en 2019. Celui du G20, qui s’est tenu en juin à Osaka. Un ≪agenda conjoint≫ entre Tokyo et Paris allait de soi. Pour la 45e édition du G7, le Premier ministre japonais, Shinzo Abe, devrait ainsi à nouveau discuter avec son homologue français de leurs ententes bilatérales ≪d’exception≫. Mais surtout du ≪renforcement de l’axe indo-pacifique≫, partenariat qui intervient surtout dans trois domaines : ≪la sécurité maritime, l’environnement et la biodiversité, les infrastructures≫.
Dans un contexte géopolitique tendu, le Japon et la France sont tous deux partisans d’une ≪coopération multilatérale autour des défis mondiaux≫. Outre le face-à-face Washington-Téhéran et la crise dans le détroit d’Ormuz, la troisième puissance économique mondiale est affectée par la guerre commerciale sino-américaine. Les exportations nippones ont connu en juillet un déclin pour le huitième mois d’affilée.
Shinzo Abe, dont la popularité est relativement intacte, se retrouve confronté à des tensions régionales. Tandis que l’appétit de Pékin ne cesse de croître en mer de Chine, il doit aussi évoquer avec Trump la question de la dénucléarisation de la Corée du Nord. Alors même que les relations actuelles avec son voisin sud-coréen, allié à Washington sur le dossier, sont des plus tendues.
V.C.
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内田樹@levinassien
今朝の毎日新聞では日韓の協定破棄について「外務省幹部は『米国はかなり怒っており、当事者から「韓国は何を考えているんだ」との電話が相次いでいる』と明かした」という記事がありましたけれど、あの〜これは韓国に怒ってるんじゃなくて日本の外務省の無策に怒ってるんと違いますか?
あの・・・韓国に対して怒ってるなら、韓国の外務省に「相次いで電話する」んじゃないですか。日本に対して「はいはい、よいことをしましたね、グッジョブ」と思っていたら、外務省に相次いで電話なんかしないでしょ。
何度も書いてますけど、アメリカは日韓のどっちに理があるかなんてことには何の興味もないんです。日韓の対立がある限度を超えるとアメリカの西太平洋戦略に不確定要素が入り込むので、それについて「怒っている」だけです。
「アメリカは日韓の対立で日本の味方だ」というタイプのまったく無意味な言説を垂れ流すのは止めた方がいいですよ。あの国はどこの「味方」もしないんです。「アメリカはアメリカの味方」なんです。長く新聞記者やってて、それくらいのことにもまだ気がつかないのかな。

ひっぴぃ♪/ ひびのまこと(節操なし、即時廃炉) @hibinomakoto
GSOMIA終了に伴う韓国大統領府の談話全訳。
「加害者が被害者のフリをして高圧的に振る舞う」を地でいく安倍政権の振る舞いが、諸悪の根源である事がよく分かる。
大切なのは、まずは安倍政権を倒す事。
そして、朝鮮半島の植民地支配それ自体が不当な事だとの確認をする事。

鮫島浩 @SamejimaH
韓国大統領府の談話全文を読んでみよう。論理的で丁寧で透明性が高く説得力がある。「あり得ない」「無礼だ」と感情的な言葉を吐くだけの安倍内閣と雲泥の差だ。この談話を読みながら韓国を一方的に叩くテレビ新聞は偏向報道の極みだ。政治もマスコミも今や韓国が上だ。
布施祐仁 @yujinfuse
韓国の徴用工裁判は、被害者の方々が個人の請求権に基づいて日本企業に損害賠償を求めたものですので、賠償のあり方についても基本的には戦時中に被害者の方々に人道に反する労働を強いて苦痛を与えた日本企業と被害者の方々で協議して決めることだと思います。
ちなみに、中国人強制連行問題では、1972年の日中共同声明で中国は賠償請求権を放棄していましたが、被害者から提訴された三菱マテリアルは裁判では勝ったものの、被害者と協議し、謝罪と基金をつくって賠償金(被害者1人当たり10万元)を支払うことを決めました。
https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2016/16-0601.pdf

盛田隆二 @product1954
杉田水脈議員が、天皇制に反対する団体の本部だという住所をツイートしたが、毎日新聞が調べたところ「誤り」だった。杉田議員は訂正を検討するというが、そもそも、自身と主張が異なる団体の所在地を拡散させるのは「威力業務妨害など犯罪を助長する危険な行為」と識者は指摘
田中龍作 @tanakaryusaku
【香港発〜連投22】機動隊がデモ隊に向けてガス銃を構えると、日本を除く世界各国のメディアが機動隊を取り囲んだ。デモ隊は日本を除く世界各国のメディアによって守られている感がある。
ただの黒猫(公式)@Tomynyo
カジノ誘致表明の会見で記者から市長選でのカジノ白紙発言をしつこく突っ込まれて,市長室に引き上げて人目がなくなった瞬間会見資料をぶん投げたはるやんか
会見資料ないとろくに質問にも答えられてへんくせに酷い話やんか #カジノはいらない #横浜市長リコール

アニメ 大好きだったあなたへ ―ヒバクシャからの手紙―
NHK広島放送局が、原爆の被爆者から募集してきた2200通の手記「ヒバクシャからの手紙」の中から3通をアニメ化。どれも、亡くなった親友や家族など、大好きだった人への思いがテーマになっています。
目玉の10分アニメ「ヤマンへの手紙」の制作には、昨年日本アカデミー賞・毎日映画コンクールなど数々の賞を受賞した話題作、劇場アニメ「若おかみは小学生!」の制作スタッフが再結集。また、新進気鋭の女性アニメ作家や、地元広島の大学生が、それぞれ5分のアニメ制作を担当するほか、各アニメ制作者が手紙を書いた被爆者に会い、体験に向き合う姿や、アニメのメイキングについても丹念に伝えます。

こころの時代〜宗教・人生〜 アンコール「“個”として生きる」
昨年1月、ガンとの闘病の末にこの世を去った、ラップ音楽界のレジェンド、ECD(石田義則・享年57)さん。生涯貫いたのは、人は「個」で生きるという信念。それを貫くためなら、築き上げた立場を捨て「個」の表現を突き詰めるためアルコール依存症になるまで自らを追い込む。その壮絶なまでのストイックな生き様(ざま)に、周りの人々の証言、人生をつづったエッセイ、そして生涯をかけて作り続けた魂の名曲の数々で迫ります【出演】ラッパー…サイプレス上野,【出演】デザイナー…石黒景太,【出演】ライター…磯部涼,【出演】写真家…植本一子,【語り】俳優…古屋隆太
NHKスペシャル 夢をつかみにきたけれど ルポ・外国人労働者150万人時代
4月に改正入管法が施行され、外国人による“単純労働解禁”という歴史的ただ中にあるニッポン。今、現場で何が起きているのか?146万人を突破した外国人労働者の中でも、急増著しいのがベトナム人だ。彼らの間で“駆け込み寺”と呼ばれている場所がある。東京・港区にある浄土宗の寺「日新窟」。ベトナム人の尼僧タム・チーのもとには、母国からやってきた技能実習生や留学生などから、長時間労働や賃金の未払い、パワハラなど、様々な相談が持ち込まれる。更に、不慮の死や自ら命を絶ったベトナム人の遺体の引き取りや供養の依頼も。荼毘に付した遺体は、去年だけでも40人を数える。番組では「日新窟」にカメラを据え、そこで起こる一部始終をドキュメント。異国の地ニッポンで非業の死を遂げたベトナム人の軌跡もたどりながら、今や私たちの暮らしになくてはならなくなっている外国人労働者のリアルな現実を描くと共に、日本社会のゆがみを浮き彫りにする。
NHKスペシャル【#あちこちのすずさん・戦争×アニメ×青春!】
「オシャレしたくて防空ずきんにリボンを縫いつけた」「軍需工場の機械油でホットケーキを焼いた」いま、戦争中の暮らしのエピソードを家族から聞いて、SNSに投稿する若者が増えている。この夏、NHKスペシャルは「らじらー!」(ラジオ第1)や「あさイチ」とも連携して、こうしたエピソードを集めアニメやイラストで再現。デジタル時代の新しい戦争伝承に挑戦します!アニメは映画「この世界の片隅に」制作チームが全面協力【キャスター】千原ジュニア,【リポーター】八乙女光,伊野尾慧,【出演】広瀬すず,片渕須直,【アナウンサー】近江友里恵,【語り】松嶋菜々子
報道特集「カジノ誘致に揺れる横浜・償えない罪〜妻子6人殺害」
カジノ誘致に揺れる横浜
横浜市はカジノを含むIR=統合型リゾート施設の誘致を表明した。歓迎する企業や商店街もあるが、予定地の山下ふ頭を利用する港湾事業者らは反対している。カジノに揺れる横浜を取材。
償えない罪〜妻子6人殺害
妻と5人の子供を殺害した男に記者が刑務所で20回以上、面会し取材した。罪の重さに苦悩し自らを追い詰めるあまり衰弱していく男。罪を償うとはどういうことなのか。 膳場貴子 金平茂紀 日下部正樹 宇内梨沙 田中宏之 吉岡弘行 吉田豊 ◇番組HP http://www.tbs.co.jp/houtoku/ ◇twitter @tbs_houtoku http://twitter.com/tbs_houtoku ◇facebook http://www.facebook.com/tbs.houtoku


今日は鹿児島の花火大会です.雨だから中止なのか気になります.花火のサイトはアクセスが多すぎるのか中止かどうかわかりません.鹿児島市のサイトで決行ということがわかりホッとしました.
夕方になって浴衣着付けです.webで見ながらです.とても難しいです.2人で1時間以上かかってしまいました.でもとにかくできて見に行きます.橋の上で手をつなぎながら見ました.いいですね.
帰りにベルギービールのお店.以前行きたいと聞いていたのですがよかった.酔っぱらいのうるさいおばさま方には辟易したけれども.付き合わされている子どもたちはどうかな?

移動図書館 心を復興 石巻市「ひより号」常連ら別れ惜しむ
 東日本大震災の被災地を回り続けた石巻市立図書館の移動図書館車「ひより号」の最後の巡回場所は、東日本大震災の津波で被災した同市雄勝町大須地区だった。運行開始から約8年。常連の利用者は心の復興を支えてくれたひより号との別れを惜しみ、職員に感謝を伝えた。
 23日午前11時すぎ、同地区の車庫跡地に約3000冊を積み込んだひより号が到着した。「来月から会えなくなるのね」。車内の貸し出しカウンターで利用者が職員に声を掛けた。
 常連の一人、無職江田愛子さん(83)は「本が借りられ、友達と会える場でもあった」と惜しみ、「震災で多くを失い、本を頼った人はたくさんいたと思う。復興に向けて大きな力になった」と話した。
 ひより号は1972年に活動を始め、2004年に休止。震災後の11年10月、被災者の心のケアの一環として仮設住宅団地を回り始めた。震災後の利用者は延べ約1万9600人で、約9万7800冊を貸し出した。
 住宅復興の進展とともに利用者は減少した。14年度の延べ3819人をピークに18年度は延べ764人になった。50カ所以上あった巡回先は本年度、8カ所だった。
 震災で家族や仕事を失った人。知り合いの少ない仮設住宅で苦労する人。被災者にとって、本と職員との談笑は暮らしを潤した。
 「図書館が被災者のためにできることをしたい」。職員らは努力を惜しまなかった。巡回ルートに応じ積み込む本を入れ替え、歴史好きの利用者がいるからと時代小説を多めにそろえることもあった。
 約7年半にわたってひより号に乗った市図書館の臨時職員飯坂隆さん(61)は「大きな仮設住宅団地では行列ができた。退去する時に『今までありがとう』と涙ながらに伝えてくれた人もいた」と懐かしみ「別れは少し寂しい」と話した。
 ひより号は今後、市内各地の図書館分館に本を運ぶ役割を担う。


仮設に癒やし届けた8年 石巻・移動図書館車が運行終了
 東日本大震災後、石巻市の仮設住宅団地を約8年にわたって巡回した市の移動図書館車「ひより号」が23日、運行を終えた。被災者の住宅再建が進み、訪問先の仮設住宅団地が減少。活動に区切りを付けた。
 ひより号に長年携わった市図書館の臨時職員飯坂隆さん(61)は「復興が進んだからこそ役割を終えられる」と語りつつ「利用者やひより号との別れは少し寂しい」と名残を惜しんだ。


「サザエさん」510万回 県PR動画 再生数過去最高
 人気アニメ番組「サザエさん」一家を起用した宮城県の観光キャンペーン動画の再生回数が510万回を超え、県PR動画の過去最高を記録したことが23日、分かった。東日本大震災後、地域再生の柱に掲げた観光の情報発信が狙い通りに進み、県はさらなる誘客に生かす。
 「サザエさんの愉快なタビin宮城」と題する動画は、サザエさん一家が県内の観光地を巡る内容で、県南、三陸、仙台・松島、県北の地域別に制作した。
 5月から順次、動画投稿サイトで公開され、23日午前8時に合計再生回数が516万5343回に達した。これまで最高だった2018年度の「Hey!Say!JUMP 夏タビ宮城」の507万回を超えた。
 県は17年度から観光PR動画による魅力発信事業を強化。今回は全35市町村を紹介しようと、各地の食や自然、観光名所を盛り込んだ。3世代で登場するサザエさんの効果もあり、家族旅行が増える夏休み期間中に再生回数が伸びた。
 県観光課の担当者は「県内4地域の動画を作ったことで、相乗効果が生まれているようだ。動画をきっかけに幅広い世代の観光客を呼び込みたい」と話した。


河北春秋
 学生時代、東京の大学と古里との往復は専ら列車である。下級生の頃は急行や特急で、新幹線は東北新幹線が開通してから乗った。指定席はぜいたくな気がしたので自由席。空いていなければデッキにいたものだった▼東北新幹線の仙台発東京行きはやぶさ46号が白石蔵王−仙台間を時速280キロで走行中、1両の片側ドアが全開になるトラブルが起こった。列車は緊急停止したが、けが人はなかった。もしデッキ付近に乗客がいたら、死亡事故につながりかねなかった▼仙台駅で車内清掃のため乗り込んだ作業員が、乗降するホーム側ドアの手動切り替え装置(ドアコック)を引いて手で開く状態にした際、不要な反対側のドアコックも引いてしまい、戻し忘れたのが原因。ドアは走行中の震動や風圧で開いたとみられる▼JR東日本の新幹線は、清掃員が折り返し運転の車内を早業できれいにすることで有名だ。東京駅での所要時間は7分程度。米テレビで「7分の奇跡」と紹介された▼ドアコックを戻し忘れた清掃員は「次に行う作業のことを考え、無意識に扱ってしまった」と説明しているという。作業の効率にとらわれて、確認がおろそかになったのだろうか。新幹線は速さが売り物だが、安全確認だけは「各駅停車」でしっかりと願いたい。

韓国が協定破棄 問題の原点に立ち返れ
 対立が安保分野にも拡大した。韓国が日韓の軍事情報を共有する協定の破棄を発表したからだ。事態をこれ以上悪化させてはならない。原点となった元徴用工問題の解決策について話し合うべきだ。
 韓国が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄に踏み切ったことは、とても賢明な選択とは言えない。
 関係が難しい時でも、北朝鮮や中国、ロシアの動きをにらみ、日韓の安保、防衛面での協力は続いていた。韓国政府内でも、国防省は破棄に反対したと報じられているが、当然だろう。
 そもそもこの協定は、秘密情報を提供しあい、外に漏らさないよう約束するものだ。
 交換された情報の数は多くはなかったものの、二〇一六年の締結以来、成果を上げていた。
 五月以降、北朝鮮は飛翔(ひしょう)体を再三発射している。日韓はお互いに不足する情報をやりとりし、ミサイルの性能分析に役立てていた。
 韓国は、脱北者を通じた北朝鮮内部の情報を豊富に持っており、拉致問題の解決を望む日本にとって、貴重なものといえる。
 協定が破棄されても、双方に大きな影響はないとの見方もあるが、日米韓の協力体制は弱体化しかねない。米国も「失望と懸念」を表明しており、米韓関係にも悪影響を与えるだろう。
 文在寅(ムンジェイン)大統領周辺に起きていたスキャンダル隠しが狙いとの指摘も出ており、韓国政府にとっては損失の方がはるかに大きい。
 しかし、韓国政府が極端な決断をしたのは、安倍政権の強硬な対応と無関係ではないだろう。
 日本政府は、元徴用工問題の対応が不十分として、軍事転用も可能な半導体材料の対韓輸出規制を強化した。さらに、韓国を輸出の優遇対象国からも外した。
 経済を巻き込んだ、異例の報復的措置であり、韓国では想定外の反発が起きた。
 さらに安倍晋三首相や政府高官は、韓国について「国際的な約束を守らない」「輸出管理に不備がある」と批判した。
 韓国政府はこれに対し、「韓国を信頼できないという国と、敏感な軍事情報をやりとりできない」と日本側の責任を指摘している。
 関係悪化の影響は、日本にも及んでいる。安倍首相は、破棄を受けて「信頼関係回復」の必要性を強調した。それなら、さらなる「報復」を行うべきではない。双方が冷静さを取り戻し、問題解決に向けた努力を始めてほしい。


いがみ合う日韓/ともに矛を収めるべきだ
 元徴用工問題などの歴史問題に端を発した日韓の対立は、一段と深刻さを増している。
 韓国政府は、日本と結んでいる軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。11月に協定が終了すれば、日韓両国は通商分野にとどまらず、安全保障でも重要な情報のやりとりがとどこおり、背中を向け合う形になる。
 歴史的にもつながりの深い隣国の関係としては不正常というしかない。どちらの政権も引くに引けない状況に陥っており、亀裂は広がるばかりだ。
 ここは矛をいったん収めて、対話による解決を模索すべきである。両国政府は冷静に話し合える環境づくりに知恵を尽くさねばならない。
 GSOMIAは、軍事上の機密情報を共有する協定だ。日本は韓国と2016年に締結し、北朝鮮のミサイル発射の際などに情報を交換してきた。
 協定が破棄されれば、日韓は米国を介して情報を得るしかない。北朝鮮や中国、ロシアを利する恐れがあり、米国は「失望」と「懸念」を表明した。
 日本側も韓国に抗議し、再考を求める考えを示している。だが韓国に対する輸出規制強化は実行する方針だ。日本の措置に反発する韓国はいっそう態度を硬化させるのではないか。
 憂慮するのは、どちらの政権も「嫌韓」「反日」の感情をあおるような対応を繰り返していることだ。事態をこじらせた政治の責任は極めて重い。
 もともとは日本企業に元徴用工への賠償を命じた韓国の最高裁判決が投げ掛けた問題だ。決着を日本に委ねる文在寅(ムンジェイン)政権の姿勢に、日本が反発した。
 一方の安倍政権は、韓国への輸出規制を「対抗措置でない」とする。しかし「安全保障上の貿易管理」を理由にしたことで逆に「安保協力環境に重大な変化をもたらした」と協定破棄を持ち出される展開になった。
 「目には目を」の応酬は不信感を募らせる。これ以上の対抗手段は避けるべきだ。
 日本の植民地支配にさかのぼる歴史問題は、丁寧に糸をほぐしていくしかない。双方が相手国に向けた措置をしばらく棚上げにし、対話の雰囲気を醸成する努力を重ねる必要がある。


情報協定破棄 冷静さ欠く韓国の判断
 元徴用工への賠償問題を機に深まった日韓の溝が安全保障協力の分野にまで拡大したことは、非常に憂慮すべき事態である。
 韓国政府はきのう、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA(ジーソミア))を破棄すると日本側に通告した。
 協定は北朝鮮の核・ミサイルに関する情報共有が主な目的で、米国を加えた「日米韓安保体制」を象徴する合意の一つでもあった。
 破棄は日本が安全保障上の理由を挙げて韓国への輸出規制を強化したことへの対抗措置だという。
 北朝鮮が国連安保理決議に反し弾道ミサイル発射を続ける中、冷静さを欠く対応と言うほかない。
 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、日本の植民地支配からの解放を記念する15日の「光復節」の演説で、日本に「対話と協力の道」による関係改善を呼びかけた。
 にもかかわらず、21日の日韓外相会談に合わせ、韓国側は日本産の加工食品などに対する放射性物質検査を強化すると発表した。それに続く今回の協定破棄である。
 韓国側の姿勢に一貫性がないことは否めない。
 強硬な態度を続ける背景には、来年4月に総選挙を控え、対日政策が弱気だとの批判を招きたくないという思惑が透ける。支持層へのアピールより、大局的な視点に立つ対応が今こそ求められよう。
 協定破棄は日米韓の安保協力にも実質的な影響を与えかねない。米国のポンペオ国務長官は「失望した」と強い不満を表明した。
 東アジアでは、中国やロシアに対する軍事上の懸念も高まっている。日韓対立をこれ以上エスカレートさせてはならない。
 一方、日本の対応も慎重さに欠けている。
 徴用工問題で実効性のある解決策を示さない韓国側への対抗措置として、日本政府が実施した「輸出管理強化」は、そもそも安全保障上の問題を理由にしたものだ。
 韓国からすれば、歴史問題に直接関係のない安全保障を絡めたのは日本の方だということになろう。自国の安保対応を疑う国には、逆に軍事機密は教えられないという理屈で対抗したと言える。
 安倍晋三首相はきのう、徴用工問題を念頭に「国と国との信頼関係を損なう対応が残念ながら続いている」と述べ、韓国政府を重ねて批判した。
 元徴用工への賠償は、韓国側が日韓請求権協定に基づく解決策を示すのが筋だが、日本が韓国側の非を一方的に指摘するだけでは、溝は埋まるまい。


[韓国、軍事情報協定破棄]日韓首脳で打開策図れ
 元徴用工問題に端を発した日韓の対立は通商分野から安保分野に拡大する決定的な局面に突入した。
 韓国大統領府は、日本と結んでいる軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)を破棄することを決め、日本側に通告した。これで協定は11月22日を最後にわずか3年で終了することになる。
 日米韓が安全保障上、協力関係にある象徴的な協定だっただけに破棄は日韓の信頼関係が崩壊の危機にあることを意味する。日米韓を軸とした北東アジアの安全保障体制が揺らぐことになりかねない。
 韓国側は日本の輸出規制強化が「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」ことを理由に挙げ、「韓国の国益にそぐわない」と指摘した。また、日本の植民地支配からの解放を記念する今月15日の「光復節」の演説で文在寅(ムンジェイン)大統領が日本との対話を呼び掛けたにもかかわらず、日本側が公式に何の反応も示さなかったことも理由とした。
 今月21日に中国で開かれた日韓外相会談でも河野太郎外相が元徴用工問題で解決策の提示を、康京和(カンギョンファ)外相は対韓輸出規制強化の撤回を求めたが、平行線に終わった。
 日本も、元徴用工問題に通商分野を絡め、輸出管理で韓国を優遇対象国から除外する「対抗措置」を取るなど対立の責任を負っている。
 互いに主張するばかりでは出口の見えない報復合戦と言わざるを得ない。沈静化に向けて努力する姿勢が見えないのである。両国にとって大きなマイナスというほかない。
    ■    ■
 協定は2016年に結ばれた。軍事上の機密情報を共有する際、第三国への漏えいを防ぐため、情報の保護を義務付けるものだ。
 北朝鮮の急速な核・ミサイル開発に伴い、米国の求めに応じて結び、毎年自動延長されてきた。米国は軍事衛星や偵察機、日本は電波傍受、韓国は関係者から直接情報を入手するヒューミント(人的情報活動)が強みだった。
 頻繁に発射している北朝鮮の短距離弾道ミサイルは韓国と日本を射程内に迎撃が難しい新型とみられる。日米韓の連携が必要な時である。
 日韓対立が利するのは北朝鮮だけでない。中国とロシアは今年7月、日本海から東シナ海にかけて合同パトロールを実施。ロシア軍の空中警戒管制機が日韓が領有権を主張する島根県の竹島周辺の領空を侵犯、韓国軍が警告射撃をした。日韓関係にくさびを打ち込むためとの見方がある。
    ■    ■
 韓国からの訪日観光客は自粛ムードが広がり、減少が著しい。草の根の文化交流にも影響が出ている。
 日韓首脳会談は長く途絶えている。ここは安倍晋三首相と文大統領が直接会談して打開策を探るべきだ。これ以上、日韓関係を修復不能にまでこじれさせては、両国だけでなく、北東アジア地域を流動化させる懸念がある。
 協定が切れる11月22日まではまだ時間がある。日韓はあらゆるルートを使って首脳会談を実現してもらいたい。両首脳による理性的な外交こそがもつれにもつれた問題を解きほぐす鍵である。


日本には“沈黙”、韓国には“失望”…道に迷った米国の仲裁
米、GSOMIA終了に「強い憂慮」 
日本の輸出規制の時は無関心で一貫 
韓米、同盟とはいえ安保戦略に立場の差 
北東アジア平和ための協力は変わりない

 米国が韓国の韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)終了決定に「強い憂慮と失望」を示した。同盟間で異見に対する不満をこのように公開的に表わしたことは異例だ。
 米国が水面下で主導し締結したGSOMIAの終了が、米国の東アジア戦略の核心である韓米日安保協力に亀裂を起こすことを憂慮していると見られる。だが、7月1日と8月2日に日本が韓国に対する報復性輸出規制とホワイト(グループA)リスト除外措置を発表した時、米国は日本に「憂慮」を示さず、「韓国と日本が対話で葛藤を解決しなさい」という原則だけを繰り返した態度と対比されるという批判もある。
 国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル諮問研究委員は「韓日安保協力を悪化させた発端は明白に日本にある」として「日本が歴史問題に非対称的な経済報復をした時、米国は何の批判もしなかったが、韓国が日本の措置に対抗する措置を取った時には是非を論ずるのは同盟としての信頼を損傷させかねない」と話した。
 GSOMIAの終了決定は、韓日葛藤解決のための積極的努力は回避して、防衛費分担金の大幅引き上げなど韓国に請求書だけ差し出している米国に対して韓国が「宿題」を出した格好という解釈もある。チョ・ソンニョル研究委員は「私たちが米国の要求どおりにGSOMIAを延長したとしても、防衛費分担金、ホルムズ派兵、今後提起される東アジア中距離ミサイル配備問題などで、米国が韓国の注文を受け入れるという信頼がない状況だった」として「米国は信頼回復のために韓日葛藤の原因となった日本の輸出規制を解く努力から始めなければならない」と強調した。
 GSOMIAの終了に対して、米国は不満を示しているものの、これを直ちに韓米同盟の悪化に連結するのは誤った解釈と専門家たちは指摘する。国家安保戦略研究院のイ・スヒョン先任研究委員は「米国は中国の浮上を牽制することが北東アジア戦略の核心だが、韓国の安保戦略では朝鮮半島の平和と南北関係の進展が中心」とし「同盟である韓米の間にも、安保戦略に対する立場の違いは存在するのは当然で、GSOMIA以外にも朝鮮半島安保や北東アジアの平和と関連して共に歩める部分がはるかに多いので、今回の事案を韓米同盟の悪化と解釈することには無理がある」と話した。GSOMIAは米国が中国を狙って東アジアでミサイル防御(MD)体制を構築・運営するうえで核心的な部分だ。
 米国と日本の戦略的立場も同一にはなりえない。米日は中国の浮上を牽制する次元でインド・太平洋戦略を推進しているが、米国はこの戦略の軍事・安保側面を強調する反面、日本は経済・外交側面をさらに重視しているため、中国牽制目的の軍事作戦に深く参加することには躊躇している。イ・スヒョン研究委員は「米国がGSOMIA問題で韓国に遺憾を表わし、日本の肩を持つ形を取ることによって、インド・太平洋戦略の軍事的側面に対する日本の積極的参加を誘導する意図もあるように見える」と指摘した。
 米国内でも、トランプ行政府が韓日葛藤に無関心でいて状況を悪化させたとし、葛藤解決のためにさらに積極的役割を果さなければならないという主張が広がっている。
 ニューヨークタイムズは22日(現地時間)付の社説で「韓日葛藤は、貿易と同盟に向けたトランプの無責任な態度のために大きく悪化した」と、トランプ行政府の政策を批判した。この社説は「韓日敵対感の根元は、日本の韓国に対する植民支配、特に第2次大戦の時に日本が韓国人を性的奴隷や強制動員労働者として残忍に絞り取ったことに遡る」と指摘した。さらに「韓日葛藤が、両国の経済と安保、東アジアでの米国の利益を損傷させている」として「米国はもっと以前に介入して、争いを止める努力をするべきだったが、トランプ行政府はほとんど関心を見せなかった。トランプは、同盟国と敵対国の双方に関税を上げるために虚偽の「国家安保」主張を利用することを流行させ、他の国々も似た方法で世界貿易システムを揺るがすように仕向けた」と批判した。米国平和研究所のフランク・オム先任研究員は「(GSOMIAの終了は)北朝鮮、ロシア、中国に対し、北東アジアで米国主導の同盟体制が崩れているというメッセージを与えることになるだろう」とし「窮極的には韓国と日本が両国間の紛争解決の重要な役割をすべきだが、米国政府は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と安倍首相が直接会い解決方法を探すことのできる空間を用意することをはじめとして、水面下でもっと影響力を発揮する必要がある」と提案した。マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ代表は「米国が韓日対話を促進できる方法を捜し出し、3国が重大な戦略的利害と価値を共有しているという点を強調することを希望する」と話した。
パク・ミンヒ記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員


カシミール緊張 インドは自治権を戻せ
 インドによるジャム・カシミール州の自治権の強引な剥奪で、カシミールの領有権をめぐり長年対立するパキスタンとの緊張が高まった。インドは早急に状況を元に戻し、緊張緩和に努めるべきだ。
 インドが実効支配するジャム・カシミール州は、ヒンズー教徒が八割を占める同国内の州で唯一、イスラム教徒が多数派。自治権剥奪は大統領令で突然発表され、憲法改正案の国会可決で確定した。
 今年の総選挙で大勝したモディ政権与党のインド人民党(BJP)は「ヒンズー至上主義」を掲げる。自治権剥奪で同州にヒンズー教徒が大量に流入する可能性もある。パキスタンのカーン首相は「民族浄化につながる」と批判。クレシ外相は国際司法裁判所への提訴方針を明らかにした。
 自治権剥奪は、住民に何の相談もないまま行われた。インドは反対する独立運動家らを大量に拘束。さらに、州内のインターネットや電話を遮断した。人口十三億のインドは「世界最大の民主主義国」とも呼ばれるが、一連の手法はとても民主的とはいえない。
 カシミール地方は、第二次大戦後の一九四七年、英国からインドとパキスタンが独立した際から両国が領有権で争い、数度にわたる印パ戦争の要因となった。近年は、イスラム過激派による分離独立運動が激化。モディ首相は「ジャム・カシミール州を(イスラム教徒の)テロから解放するため」と自治権剥奪の理由を述べた。
 インド政府は「これは内政問題だ」として、国際社会の介入を拒む。しかし、多方面で覇権を争う米国と中国は動きだした。
 印パと並び、カシミール地方の一部を実効支配する中国の王毅外相は、パキスタンと連携しインドに反対する立場を示した。米国のトランプ大統領は、印パ両国の首相と電話会談し「緊張緩和と自制」を促した。
 ジャム・カシミール州の住民たちは、宗教上の対立を緩衝させる「自治」という「知恵」を壊された。インドの政策は到底容認できない。印パはともに核保有国であり、対立が長引いて軍事的緊張につながってはならない。
 インドは、実効支配の強化に直結し、国際情勢に悪影響を及ぼす自治権剥奪を即時撤回すべきだ。国連の安全保障理事会は今回「印パ二国間で解決を」として声明を出さなかったが、そもそも安保理はカシミールを「中立地」と見なしてきており、インドに撤回を強く求める立場のはずだ。


リクナビ問題/高度な倫理規範を
 リクルートキャリア(東京)が、個人データを基に人工知能(AI)で就職活動中の学生の内定辞退率を予測し、採用活動をしている企業に販売していたサービスの廃止に追い込まれた。約8千人の学生から形式的な同意すら得ていなかったことなど、ずさんな運営に対し批判が高まっていた。個人情報保護法に違反していた可能性も指摘されている。
 個人データの活用は企業戦略の柱になりつつある。市場リサーチや営業戦略に限らず、人事・採用面でもその長所を生かし効率化を進めるべきだろう。その意味で個人データは宝の山かもしれないが、プライバシーが含まれる情報だけに使い方を誤ると、取り返しのつかない事態を招きかねない。活用を進めるなら、より高度な倫理規範が求められよう。
 同社は今回の問題の全容を早急に明らかにし、個人情報の活用について厳格な方針を定めなければならない。厚生労働省など関係当局は、内定辞退率予測を購入していた企業も含め、必要な調査を進め結果を公表するべきだ。
 さらに、今後、企業による個人データの活用が増えることを見据え、保護策を強化する新たな法的措置などの必要性も検討したい。
 リクルートキャリアが運営する就職情報サイト「リクナビ」には3万社以上が掲載され約80万人の学生が登録。企業情報の閲覧、説明会やインターンの申し込み、エントリーシートの提出などで利用している。リクルートキャリアはこのサイトに蓄積された学生の閲覧履歴や志望動機などから個々の学生が内定を辞退する確率を推計していた。同社は事前に同意を得ていたケースもあるとしている。
 しかし問題が発覚して以降、同サイトを利用していた学生から憤りや不安の声が続々と上がっていることから考えれば、データ活用の方法や具体的な目的について明確に分かりやすく説明していたかどうかは疑わしいと言わざるを得ない。自身の内定辞退率が推計され企業側に提供されることが分かっていた学生は、ほとんどいないのではないだろうか。
 どの企業に就職するかはその学生の人生を左右する。それなのに、自分のデータが、自身が関知しないまま就職希望先の企業に流れ、合否に影響していたとしたら−。学生がこうした不安を抱くのも無理からぬことだろう。
 同社は合否にはデータを活用しないことを販売先企業と同意書で確認していたとしているが、この同意書が採用の現場でどこまで厳格に守られていたか、同社は学生にきちんと説明し、納得してもらうことができるのだろうか。
 内定辞退率予測を購入していたのはトヨタ自動車、ホンダ、京セラなど名だたる企業だ。購入した側も問題なしとはいかないだろう。応募学生のデータを分析用としてリクルートキャリアに渡していたからだ。
 この場合に同意が必要かどうかは、法的な議論があるようだが、応募学生の個人データを外部に出していた企業について、学生は不信感を強めたに違いない。
 今回の問題の経緯を明らかにするべきなのはリクルートキャリアに限らない。購入した企業も詳細を公表するべきだ。


使用済み核の貯蔵 問われる原発の全体像
 全国の原発から出る使用済み核燃料の保管状況が大きく変わりそうだ。現在は大半が原発内プールの水で冷やす「湿式貯蔵」で保管されているが、専用の金属製容器で空冷する「乾式貯蔵」への移行が増える見込みだ。
 水を循環させるプールでの保管は、電気の供給がなければ冷却機能を失う。東京電力福島第1原発事故では、プールにあった使用済み燃料も危険な状態になることが懸念された。
 一方、敷地内にあった乾式貯蔵施設は津波で浸水したが容器に異常はなく、容器内の燃料も無事だった。
 一定年数の水での十分な冷却を経れば、その後は乾式貯蔵の方が安全とされ、「ベター」な選択と言える。
 しかし、原発敷地内などで長期間保管される可能性も高まる。周辺住民に対し、原発を所有する電力各社は情報公開をきちんと行いつつ、安全対策の向上を図っていかなければならない。
 原子力規制委員会は電力各社に対し、乾式貯蔵への転換を促している。切り替えは加速するだろう。共同通信の調べによると、全国の原発保管のうち6割以上が乾式貯蔵になる可能性がある。
 「ベター」な選択ではあるが、あくまで一時しのぎの対応だ。ただ、その一時しのぎが一体どのくらいの期間を要するのか分からないのが大きな問題だ。
 最終処分場が決まっていないことが背景にある。経済産業省などは、地下に埋める処分場の選定に向けて全国で説明会を開いている。ただ、昨年の釜石会場で「なぜここでの開催なのか」といぶかる声が上がったように、各地で反発がみられる。
 最終処分に至るまでの過程も不透明だ。そもそも使用済み燃料は「夢の原子炉」とされた高速増殖炉に使うプルトニウムを取り出すため再処理する構想で、その後に高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を処分することにしていた。しかし、現在は再処理せずに埋める直接処分も視野に入れている。
 再処理は青森県の工場完成を待って稼働する予定だが、核兵器の材料にもなり得るプルトニウムの増加に対し、国際的な視線は厳しい。そして原発再稼働により使用済み燃料はたまっていく。
 先が見通せない中で続く保管。原発立地の地元から「保管が永久的になるのではないか」との懸念が出るのは当然だ。別の貯蔵場所を確保できれば搬出は可能だが、現実的には容易ではない。
 「トイレなきマンション」のまま進んできたツケは重い。再稼働や再処理の是非や在り方を含め、原子力政策の総合的な再検討が必要だ。


「拝謁記」にあったのは「昭和天皇の反省」じゃない 戦争責任回避、侵略への無自覚、改憲再軍備主張、沖縄切り捨て…
 昭和天皇の「肉声」を伝える新史料が話題となっている。アジア・太平洋戦争での敗戦後、初代宮内庁長官・田島道治が昭和天皇との面会の際のやり取りを記録した「拝謁記」だ。
 長年、田島の遺族の間で極秘に保管されていたものをNHKが入手、『NHKスペシャル』でスクープしたのだが、そのNHKと新聞各紙が、拝謁記の内容としてこぞって大きく取り上げているのが、昭和天皇が戦争への反省を表明しようとしていたというくだりだ。
 1952年5月3日のサンフランシスコ講和条約発効を祝う式典での「おことば」を巡って、田島長官に「ともすると昔の軍にかえる様な気持をもつとも思えるから、私は例の声明メッセージには反省するという文句は入れたほうがよいと思う」「私は反省というのは私にも沢山あるといえばある」と、繰り返し戦争への反省を自らの口で語りたいとの希望を伝えていた(引用者の判断で旧字体等を改め句読点を付した。以下同)。
 しかし、田島が天皇からの聞き取りをもとに草案を作ったところ、時の首相・吉田茂から、「反省」の一節全体を削除するよう要請されたのだという。
 周知のように、昭和天皇は公の場で自らの戦争責任について一切言及してこなかった。1975年の昭和天皇訪米後の記者会見(10月31日)で、ロンドン・タイムズの日本人記者から「戦争責任について、どのようにお考えになっておられるか」と予定にない質問を受けたときも、昭和天皇は「そういう言葉のアヤについては、私はそういう文学方面はあまり研究もしていないので、よく分かりませんから、そういう問題についてはお答え出来かねます」とはぐらかした。
 昭和天皇が側近らに「戦争への悔恨」を度々口にしていたということはこれまでの研究でも明らかになっていたが、いま、マスコミは拝謁記報道でわざとらしく「やはり昭和天皇は戦争責任を感じていた」「反省の意を国民に表そうとしていた」と驚いて見せているのだ。
 だが、この拝謁記で明らかになった事実は、そこまで評価すべき話なのだろうか。そもそも、声明に「反省の意」を込めようとして削除されたというが、天皇の意向を踏まえて田島が作成し、吉田茂から削除を要請されたくだりは以下のようなものだ。
〈勢の赴くところ兵を列強と交へて破れ、人命を失い、国土を縮め、遂にかつて無き不安と困苦とを招くに至ったことは、遺憾の極みであり、国史の成跡に顧みて悔恨悲痛、寝食為めに安からぬものがあります〉
 ようするに、列強に無謀な戦いを挑んで、敗戦し、自国の国民の命と領土を失ったことに悔恨の念を述べているだけで、アジア諸国への侵略や虐殺への加害責任、反省を述べているわけではない。
 そして、吉田茂からの削除要請に対して、昭和天皇は当初、「私はそこで反省を皆がしなければならぬと思う」と抵抗していたものの、田島から「国政の重大事 政府の意思尊重の要」「祝典の祝辞に余り過去の暗い面は避けたし」「遺憾の意表明 即ち退位論に直結するの恐れ」という3点を説得された結果、「長官がいろいろそうやって考えた末だからそれでよろしい」「いや、大局から見て私はこの方がよいと思う」と、削除を了承しているのだ。
宮内庁内部で削除を進言されていた天皇の「事志と違い」という戦争責任回避の言葉
 しかも、「拝謁記」によれば、昭和天皇は戦争責任を背負うどころか、自らの責任を否定するような発言もしていた。
 実は草案の作成過程では、吉田茂に見せる前に、宮内庁に反対された箇所があった。それは「事志と違い」、つまり、開戦が「私の意志ではなかった」という天皇のエクスキューズの文言だった。
 報じられている拝謁記の内容からは、これが天皇の強い希望で入れられたものであることがわかる。それは、田島がその削除を昭和天皇に進言した際のことだ。田島が宮内庁内部の意見として「何か感じがよくないとの事であります」と説明すると、昭和天皇は、「どうして感じがよくないだろう。私は『豈、朕が志ならんや』といふことを特に入れて貰ったのだし、それをいってどこが悪いのだろう」「私はあの時東條にハッキリ、米英両国と袂を分かつということは実に忍びないといったのだから」と抗弁。開戦が自分の本意ではなかったこと、開戦の詔勅にも「豈、朕が志ならんや」という文言を入れさせたことなどを強調していた。
 拝謁記には、これに対して、田島が「陛下が『豈、朕が志ならんや』と仰せになりましても結局陛下の御名御璽の詔書で仰せ出しになりましたこと故、表面的には陛下によって戦が宣せられたのでありますから、志でなければ戦を宣されなければよいではないかという理屈になります」と諌めたことも記録されている。
 他にも、拝謁記には、昭和天皇の責任転嫁や保身としか思えないような発言が出てくる。
「私の届かぬところであるが、軍も政府も国民もすべて下克上とか軍分の専横を見逃すとか、皆反省すればわるいところがあるから」
「東条内閣の時は既に病が進んで最早どうする事も出来ぬという事になっていた」
「事の実際としては下克上でとても出来るものではなかった」
天皇の開戦の責任、そして、無条件降伏の決断を引き延ばした責任
 改めて指摘しておくが、昭和天皇がいくら戦争は本意ではなかったと主張しても、その責任を免れることはできない。戦後、保守派は「天皇は戦争を避けたがっていたが、軍部が暴走した」などというロジックで、天皇の戦争責任を回避しようとしてきたが、これは戦中日本の加害性を矮小化するためのまやかしにすぎない。
 なぜなら、天皇は大日本帝国憲法において〈国の元首にして、統治権を総覧〉し〈陸海軍を統帥〉する存在であり、最終的に天皇の承認なしには開戦も終戦もできなかったからだ。実際、対米英戦争は1941年12月8日の昭和天皇による「米国及び英国に対する宣戦の詔書」で始まり、1945年8月15日の「大東亜戦争終結の詔書」で終わっている。
 天皇を擁護する人たちは、昭和天皇が立憲君主制に則って、ただ天皇を輔弼する内閣の決定を追認しただけのように言うが、その追認こそが問題なのだ。しかも、天皇は内奏を通じ、政策決定の過程に自らの主体的な意見を反映させることができた。関東軍による張作霖爆殺事件に激怒し、田中義一首相に辞任を勧告した(田中内閣の総辞職)ことは、国政における天皇の影響力発揮の最たる例だろう。しかし、開戦時も戦争中も、そうした大権を行使することなく、戦争遂行を「追認」したのである。
 また、巷間では昭和天皇の“超立憲主義的行為”のうち無条件降伏の決断(いわゆる「聖断」)ばかりが着目されがちだが、その「聖断」を引き延ばしたことによって、本土空襲の激化や広島・長崎への原爆投下など大被害を招いたことも忘れてはならない。
 1945年2月、すでに敗戦濃厚のなか、時の首相近衛文麿は昭和天皇に早期の講和実現を訴えた(近衛上奏文)。が、その進言を昭和天皇は「もう一度戦果を挙げてからでないと中々話は難しい」として否定した。局地的であれ戦闘に勝利をおさめることで、皇統維持などの「条件付き講和」へ持っていこうという「一撃講和論」であり、同年の無謀な沖縄戦はその結果として行われたと言っていい。「無条件やむを得ず」の早期講和論へようやく舵を切ったのは5〜6月頃とみられている。要するに、どこをどうとっても、天皇の戦争責任は明らかなのだ。
 しかし、昭和天皇は在位中、こうした戦争責任を公の場で認めることはなかった。そして、今回、明らかになった拝謁記のなかでも、天皇はけっして自らの戦争責任を認めてはいない。
 それどころか、逆に、戦争は自分の本意ではなかったことを強調し、止めることができなかったのは、東條英機や軍部が暴走し、どうすることもできなかったのだと繰り返し弁明している。
 マスコミは今回の拝謁記報道で「天皇が戦争の反省にこだわったことがうかがえる」と評していたが、その戦争への言及を見ると、昭和天皇が本当に「反省」していたとはとても思えない。
改憲「侵略者がある以上軍隊はやむを得ず」沖縄米軍基地も「犠牲はやむを得ぬ」
 その印象は拝謁記の戦後体制をめぐる天皇の発言を知ると、ますます強くなる。拝謁記には、天皇が日本国憲法に不満を抱いている発言がいくつも出てくる。サンフランシスコ講和条約祝賀式典での「おことば」をめぐって、「憲法の総ての条項に賛成ととれぬように書いて貰はないと困る。それかといって憲法自体わるいという事ではないから」と注文をつけていたことが記録されている上、以下のような改憲による再軍備も主張していた。
「私は憲法改正に便乗して、外のいろいろの事が出ると思って否定的に考えていたが、今となっては他の改正は一切ふれずに軍備の点だけ公明正大に堂々と改正してやつた方がいい様に思う」
「軍備といっても国として独立する以上必要である。軍閥がわるいのだ。それをアメリカは何でも軍人は全部軍閥だという様な考えで ああいう憲法を作らせるようにするし」
 そして、1951年3月には「侵略者のない世の中になれば武備は入らぬが、侵略者が人間社会にある以上、軍隊は不得已(やむをえず)必要だといふ事は残念ながら道理がある」と発言し、田島から「その通りでありまするが憲法の手前そんな事はいえませぬし、最近の戦争で日本が侵略者といわれた計りの事ではあり、それは禁句であります」と諌められている。
 これは、天皇には戦後も相変わらず自分たちが「侵略」をはたらいていたという意識が希薄だったことの表れ、というしかない。
 さらに決定的なのは、沖縄米軍基地について語った発言だ。「拝謁記」によれば、サンフランシスコ講和条約発効後の1953年11月24日、昭和天皇は田島に対し、こう述べている。
「基地の問題でもそれぞれの立場上より論ずれば一応もっともと思う理由もあろうが、全体の為に之がいいと分れば一部の犠牲はやむを得ぬと考える事、その代りは一部の犠牲となる人には全体から補償するという事にしなければ国として存立して行く以上やりようない話」
 戦前・戦中は本土を守るための捨て石にされ、本土の「主権」が回復してもなお、米軍の占領下に置かれる沖縄を「一部の犠牲はやむを得ぬ」と斬って捨てる昭和天皇。ここからわかるのは、結局、昭和天皇は戦前と何も変わっていないということだろう。
 そこにあるのは、「豈、朕が志ならんや」と言いながら開戦の詔勅に署名をしたのと同じ、「やむを得ぬ」と大勢に従い、現状を追認し続けている姿だ。
 作家の保阪正康は昭和天皇の行動原理について、〈よく、天皇は平和主義者か好戦主義者か、といった質問が発せられるが、それは質問自体が間違っている。天皇はそのどちらでもなく、皇統を守ることが第一の責務であり、戦争か平和かというのはそのための「手段」と考えていたのである〉(『昭和史のかたち』岩波書店)と書いていたが、これは正しい分析と言えるだろう。
戦争責任を問わなかったことが歴史修正主義と戦前回帰思想を温存させた
 昭和天皇はおそらく、大元帥だった戦前・戦中も、自らが開戦に詔勅をあたえた戦争で日本国民に未曾有の戦渦をもたらし、他国に多大なる被害を与えた後も、変わらず「万世一系の皇統の存続」を最大目的として行動し続けてきた。
「戦争への反省」の意を表そうとしたのも、その「反省」削除に応じたのも、当時、国内にあった退位論を抑えるためだったと思われるし、「改憲による軍隊保持の希望」も「沖縄の米軍基地容認」も共産勢力の日本進出で皇統が保障されない事態を恐れていたからこそのものだろう(実際、拝謁記からも共産主義への強い警戒心が見て取れる)。
 そう考えると、昭和天皇個人に「反省」を期待することも自体が、そもそも無意味なのだ。
 それよりも、私たちが考えなければならないのは、私たち自身の姿勢のことだろう。日本国民は天皇が戦争責任を自ら表明するか否かに関わらず、自分たちの手で、天皇の戦争責任を検証し、追及すべきだったのだ。しかし、国民もメディアもそのことから逃げたばかりか、一緒に自分たちの戦争責任にも蓋をしてしまった。
 その結果、安倍首相の祖父である岸信介をはじめ戦争に加担した政治家がなし崩し的に復権し、戦前回帰を目指し、大日本帝国と戦争を肯定する思想が温存されたのだ。
 もし、あの時にきちんと天皇の戦争責任を検証し、自分たちの戦争責任に向き合っていたら、1990年代の歴史修正主義の台頭や安倍政権の露骨な戦前回帰を許すことはなかったはずだ。
 昭和史と天皇制研究で知られる吉田裕は、日本の戦争責任に対する姿勢を「ダブル・スタンダード」と評して、こう分析している。
〈具体的に言えば、対外的には講和条約の第一一条で東京裁判の判決を受諾するという形で最小限の戦争責任を国家として認める、しかし、国内的には、日本の戦争責任を事実上、否定する、あるいはこの問題を棚上げにする、という形での対外的対応と国内的な処理の仕方とを使いわけるようなやり方である。
 当然のことながら、このようなダブル・スタンダードの成立は、日本人の戦争観や戦争責任観のあり方をも大きく規定することになった。一つには、国内的に戦争責任の問題が不問に付されたことの結果として、日本国家と日本人の対外的な戦争責任・加害責任の問題が曖昧にされただけではなく、国家あるいは国家指導者の自国民に対する責任の問題まで、事実上、封印されてしまったことである。〉(『現代歴史学と戦争責任』青木書店)
 しかし、今からでも遅くはない。戦争をめぐる天皇の「肉声」が明らかになったこの機会に、「天皇の言葉」に頼るのでなく、国民が自分たちの手で戦争責任の問題を検証し、追及する作業を開始すべきではないのか。(エンジョウトオル)


『24時間テレビ』にケンカを売り続ける『バリバラ』 その真意とは?
 8月24日から25日にかけて、毎年恒例のチャリティー番組『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)が放送されるが、その裏で『24時間テレビ』に対して強烈な皮肉を浴びせる番組がある。
 障がい者をテーマにした情報番組・バラエティ番組『バリバラ』(NHK Eテレ)の特別編「2.4時間テレビ 愛の不自由、」である。
 『バリバラ』は現在、毎週木曜日の20時から放送されている番組だが、今回は『24時間テレビ』の真裏にぶつけるため週末に出張。24日の24時(25日の午前0時)から生放送を行う。
 『24時間テレビ』のみならず、あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」にも引っ掛けた「2.4時間テレビ 愛の不自由、」という毒気に満ちたタイトルからして印象的だが、その内容も刺激的である。
 2012年に放送をスタートした『バリバラ』はこれまでも、障がい者の恋愛やセックス、また、ジェンダーの多様性といったトピックについて踏み込んできた番組。「2.4時間テレビ 愛の不自由、」でも、「ふつうに恋愛がしたい」と悩む脳性まひの方や、発達障害で異性との距離感に悩む方がスタジオに登場し、YOU、ジミー大西、アーティスト集団・Chim↑Pomのエリイなどのゲストを交えながらトークを展開する予定だ。また、身体を動かしながらLGBTQなどのジェンダーの多様性について学ぶ「ジェンダー体操」というコーナーも放送されるという。
『24時間テレビ』に対する『バリバラ』の挑戦
 『バリバラ』はこれまでも『24時間テレビ』の真裏で日本テレビのチャリティー番組に対して挑戦的な内容の放送を続けてきた。
 その始まりは、2016年にまで遡る。当時『バリバラ』は毎週日曜日の19時に放送されており(2019年度から木曜日に移動)、必然的に『24時間テレビ』のフィナーレの時間にかぶっていた。そこで構想されたのが「検証!〈障害者×感動〉の方程式」という企画である。この日の放送では、出演者全員が「笑いは地球を救う」とプリントされた黄色のTシャツを着込み、『24時間テレビ』を意識していることは一目瞭然だった。
 番組は、骨形成不全症によって2014年に亡くなったジャーナリスト・コメディアンのステラ・ヤング氏が「手がない女の子が口にペンをくわえて絵を描く姿、カーボンファイバーの義肢で走る子ども、こうした姿を見たとき、みなさんは『自分は人生は最悪だけど、下には下がいる。彼らよりはマシ』だと思うでしょう。私たちはこれを“感動ポルノ”と名付けました」とスピーチする映像から始まった。
 その後、『バリバラ』は、オリンピック柔道の元代表選手で現在は多発性硬化症を患っている大橋グレース愛喜恵氏をモデルに、『24時間テレビ』のような一般的なテレビ番組が障がい者を扱う際の典型的な取り上げ方のパターンを敢えて模倣し、その裏で障がい者本人が敢えてテレビの求める障がい者像を演じていることを炙り出す。
 障がいを抱えることで大変な生活を送っているが、家族や周囲の仲間に支えられ、前向きに生きている──典型的な番組はこうした筋書きを障がい者に押し付け、結果的にそれが「感動ポルノ」となるわけだが、彼らもいわゆる健常者となにも変わらないひとりの「人間」であり、考えていることは変わらない。下品なことや邪なことだった考える。それを見なかったことにして、「聖人」扱いすることは、差別のひとつのかたちなのだ。
 番組ではその構図を具体的に炙り出す。たとえば、病気を発症したときを回想する場面だ。ディレクターがグレース氏に「相当ショックだったでしょうね」と当時のことを質問するが、それに対し、彼女は「いや、でもその病院にめっちゃイケメンの先生がいて、めっちゃテンション上がりまくりでした」と返答。これは「感動」を狙いにつくられる番組ではカットされるであろう部分だが、こういった部分もまた「生きる」ということであり、そのリアルを意図的に「なかったこと」にするようなコンテンツのつくり方では反感を買うのも当然のことなのである。先に述べたように、それは紛れもなく差別なのだから。
『バリバラ』は『24時間テレビ』にリスペクトを示している
 『バリバラ』の挑戦的な放送は大きな話題を呼び、翌年以降も毎年この季節恒例の企画となった。
 2017年の放送では「障がい者が頑張っている姿を映すことによる感動の押し付け」を批判。また、2018年には、テレビ放送の手話や字幕の不備について意見が交わされた。
 どちらも、裏番組に対して露骨にケンカを売る、刺激的な放送ではある。ただ、ひとつ絶対に見誤ってはならないのは、『バリバラ』が「『24時間テレビ』なんてなくなってしまえばいい」というメッセージを送っているわけではないことだ。
 『24時間テレビ』には、「偽善っぽい」「説教くさい」といった理由で批判的な眼差しをもつ視聴者が少なくない数おり、『バリバラ』の皮肉に満ちた企画に対する絶賛には、そうした考えから来ているものも多い。
 ただ、『バリバラ』は『24時間テレビ』に対してリスペクトの気持ちを表し続けている。『バリバラ』がこのような企画を放送するのは、敢えてプロレス的な対立構造をつくることで、より多くの視聴者に対して障がい者に関するトピックを考える機会を生み出そうとしているからだ。
 それは番組を見ていれば十分伝わってくることだ。たとえば、2016年の放送では、番組司会者の山本シュウ氏が一貫して「きょうは障害者がもっとも注目されるお祭り」「We are親戚」と『24時間テレビ』に対する敬意を示し続けており、また、「『24時間テレビ』からオファーがあったら出演するか?」との質問に、出演者全員が手を挙げるという一幕もあった。
 事実、NHK大阪放送局の角英夫局長は放送後に開かれた局長定例会見のなかで「ネットなどで反響があったと認識している。普段、福祉番組に関心がなかった方にも関心を持っていただけたのではないか」と述べ、企画のねらいに関しても「このテーマに関心を持っていただくための演出上の工夫」と述べている。
 『24時間テレビ』の姿勢に対して様々な意見はあるが、障がい者にスポットを当てることの意義は誰もが認めている。日本テレビの大々的な放送によって、福祉の仕事に興味をもつ人も、ボランティア団体の門戸を叩いて障がい者の支援に乗り出す人もいるかもしれない。現行の社会設計で、病気や障がいを持つ人にとって生活しづらいものになっている部分があることを周知し、バリアフリー化への理解を促進するかもしれない。
 今年7月に行われた参議院選挙では、筋萎縮性側索硬化症 (ALS)患者の舩後靖彦氏と、0歳時の事故によって重度の身体障害となった木村英子氏、障がいを抱える国会議員がふたり誕生した。
 これに伴い、まずは国会のバリアフリー化に向けた動きや議論が始まった。しかし、保守層を中心にグロテスクな攻撃が噴出。「介助が必要な人間に国会議員が務まるのか?」といった意見が飛び交ったうえ、改装にかかる費用を自己負担するよう訴える声まで出た。
 障がい者に対する差別や無理解が日本社会には根強くある。れいわ新選組から生まれた2人の国会議員の存在は、早くも私たちが抱える課題を炙り出している。
 『24時間テレビ』や『バリバラ』のような番組の意義は、多様性を尊重した社会をつくっていこうとするこれからの動きのなかで、ますます大きくなってくるだろう。両番組が良い相乗効果で視聴者の関心を呼ぶことを切に願う。


和歌山カレー事件 林真須美死刑囚の長男<前>いい母でした
「はじめまして、林です。よろしくお願いします」
 夕暮れ時、学校帰りの女子高生たちが、そこかしこでおしゃべりしているJR和歌山駅の一角、和歌山毒カレー事件で逮捕された林真須美死刑囚の長男と挨拶を交わしていた。
 今年31歳になる林さんは、一見すると、街中でどこにでもいる青年といった雰囲気を漂わせている。ただ、上下黒ずくめの洋服が何となく、世を忍ぶ姿のように思えて、これまでの人生で背負ってきた重荷のようなものを感じずにはいられなかった。
 私たちは、駅からほど近い場所にある居酒屋に入った。
 和歌山カレー事件が発生したのは、1998年7月25日のことである。その日、和歌山市園部にある住宅地では、夏祭りが行われ、住民たちに手作りのカレーが振る舞われていた。
 ところが、カレーを食べた67人が次々と嘔吐や腹痛を訴え、小学校4年の男の子、高校1年の女生徒、自治会の会長と副会長の4人が亡くなった。
 死者が出たことにより、事件性を疑った和歌山県警は吐瀉物を調べた。青酸反応が出たことから、青酸中毒との見解を示した。その後、吐瀉物を警察庁の科学警察研究所が再調査したところ、亜ヒ酸の混入が明らかとなる。
 事件から2カ月以上が過ぎた10月4日、保険金詐欺、知人男性に対する殺人未遂容疑で逮捕されたのが、林真須美死刑囚(当時37歳)と夫だった。
 林さんの父親は刑期を終えて出所しているが、母親の真須美死刑囚は、逮捕後から一貫して無実を訴え続けている。
 私の見解を述べさせてもらえば、犯人は真須美死刑囚ではない。
 簡単に理由を説明すれば、2人は詐欺に手を染めていたものの、それは彼女たちのなりわいでもあり、わざわざ無差別に人を殺める動機がない。さらには彼女が混入したという証拠もなく、取り調べにおいても一切自白していないことにある。
 では息子の林さんは、なぜ取材を受け続けているのか。
「母親の無実を訴えるのはもちろん、本当の母親の姿を伝えたいという思いがあるんです」
 ――どんなお母さんだったんですか?
「報道陣に水をまいているような姿が全国に流れたから、心証が良くないと思いますが、子供たちを可愛がるいい母親だったと思います。ピアノ、サッカー、公文などの習い事、誕生会やハロウィーンのパーティーを開いてくれたり、私たちを喜ばすのが好きだったですね。逮捕された日がちょうど運動会の日で、見にいくよと言ってくれていたんです」
 ――教育熱心なお母さんだったんですね。
「そうですね。詐欺はやっていましたけど、私たちに対して、善悪については厳しかったですよ。それと、学歴とかにはこだわっている面がありました。担任の先生が家庭訪問に来たりすると、どこの大学出てるのかとか、聞いていたのを覚えています」
 ――事件当日のことは覚えていますか?
「あの日、母親と次女は、カレーの味見をして、そのことは絵日記に書いていたんですが、証拠として採用されませんでした。それから家族でカラオケに行ったんです。カラオケを終えて帰ってきたら、まだ人が出ていたのを覚えています。翌朝、テレビをつけたら大騒ぎになっていました」
 その後、両親が逮捕されたことにより、林さんの生活は一変することになる。(ルポライター・八木澤高明)


国内外の研究者たちが悲鳴…電子版学術誌の高騰が引き起こす「惨事」 マスコミが報じない危機的状況
清水 洋 経営学者
学術界に激震が走った
今年の1月、日本ではあまり大きく報じられませんでしたが、学術界を揺るがす衝撃的なニュースがありました。カリフォルニア大学(University of California)がエルゼビアからの学術誌の購読をやめると発表したのです。
エルゼビアとは、2500以上のジャーナルを出版している学術界で最も大きな出版社で、最先端の知識が掲載されている雑誌をさまざまな分野で出版しています。生物学での『Cell』などは日本でも有名です。筆者の研究分野であるイノベーション研究のトップ誌も、エルゼビアが出版してる『Research Policy』です。
カリフォルニア大学がエルゼビアから雑誌の購読をやめた理由は、コストです。購読料が、1年間でおよそ110億円(10億ドル)にも上っていたのです。
エルゼビアの出版する雑誌の購読をやめるということは、カリフォルニア大学の学生や研究者は、最先端の知識へのアクセスが大幅に制限されることを意味します。同大学は現在、10校の大学からなる大学群で、日本ではロサンジェルス校(UCLA)やノーベル賞を受賞した中村修二さんがいるサンタバーバラ校(UCSB)などが有名です。それらの大学の研究者や学生にとっては大きな問題です。彼らの生産性を大きく下げてしまいかねません。
学術誌の購読料の高騰はなにもアメリカだけで起こっている問題ではありません。スエーデンやドイツなどのヨーロッパ諸国や日本など世界的に起こっています。カリフォルニア大学の購読中止は、さらに購読料を上げようとしたエルゼビアに対するいわばボイコットです。
購読料が高いというのは、社会的に見れば実は表面的な問題に過ぎません。重要なポイントは、科学の成果が公共財でなくなりつつあるということです。
公共財というのは、非競合性(誰がどれだけ使っても、追加的な費用なしで他の人も使うことができる)あるいは、非排除性(お金を支払わずに消費することを排除できない)があるものです。知識は、このような特徴があるので公共財的な性格をもっています。
学術誌に掲載されるような科学知識は、企業のビジネスにとってとても重要な役割を担うものです。しかし、基礎的なものであり、特許にならないようなものも多く含まれます。特許による専有化ができないので、企業はなかなか自分では研究開発投資をしないような部分です。だからこそ、大学や国の研究機関がそこを担っているわけです。
しかし、購読料が高くなってくると、それを購読する資金がある機関の研究者や学生のみにアクセスが限定されていきます。元々、学術誌の購読料自体は存在していたので、完全に非排除性がないわけではないのですが、購読料がこれだけ高騰してくると排除性がかなり強くなってくるのです。
周回遅れの知識を使うはめになる
学術誌の話は、ビジネスとは関係ないと思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、そんなことはありません。
企業が収益性を上げるためには、投入した経営資源の生産性を上げなければなりません。国際的に見るとヒトやエネルギーが比較的高い水準にある日本企業が高い付加価値を生み出そうと思えば、当然、体系的に蓄積された知識はとても大切になります。
知識は、多重利用できます。持ち運びにコストもほとんどかかりません。その知識をアップデートしていくことは極めて大切なのです。
重要になってくる知識は、いわゆる自然科学のものだけではありません。数学や経済学で博士号をとった人材の獲得競争は、ここ10年ぐらいで激しくなっています。最先端の知識をビジネスにいかに活かすかが重要なポイントになってきています。
大学の図書館が購読をやめてしまっても、完全に読めなくなるわけではありません。購読している他の図書館から借りたり(これを「インターライブラリーローン」と呼びます)、自分で購読したりすることもできます。
しかし、それでは圧倒的にスピードが遅いのです。研究はプライオリティ競争、すなわちスピード競争です。必要があればいち早く先行する研究をチェックできる体制がないところでは、最先端の研究を期待することはなかなか難しいでしょう。
資金に余裕がなく、トップジャーナルを購読できない機関の研究者や企業の研究者は、そもそも購読料が高くない国内の学術誌に頼ることになります。国内の学術誌だけが頼りだと、どうしても国際的に最先端でしのぎを削るのは難しくなります。下手をすれば、周回遅れの知識でビジネスをしなくてはならなくなります。
最先端の知識にまともにアクセスができなくなると、たまにまぐれ当たりはあったとしても、高い付加価値を持続的に生んでいくことは確実に難しくなるでしょう。
対抗策はあるのか
研究者や大学は、もちろん対抗策を探ってきました。しかし、なかなか上手くいっていないのが現状です。
2012年には、「学界の春(Academic Spring)」と呼ばれる運動も起こっています。これは、数学者を中心とした運動で、エルゼビアが出している雑誌への論文を送ることや査読などをボイコットしようという動きでした。多くの署名を集めましたが、実際にこれによってエルゼビアが出している雑誌への投稿や査読を取りやめたという話は、私の周りでは聞いたことがありません。
また、大学も購読料が高くなってきたことに対して、コンソーシアムなどを組み、集団で粘り強く交渉を続けています。いくらかの価格の譲歩は引き出せてきたものの、しかし、なかなか抜本的な解決策までに至りません。
そのような中で、注目を集めてきたのは、「オープン・アクセス(誰でも研究成果にアクセスできる状態)」を達成することでした。ただ、これもそう簡単ではありません。
たとえば、オープン・アクセスを達成するために、研究者が自ら“著者最終版”と呼ばれる出版社の編集が入る前の最終稿を、自分のサイトや所属する大学の図書館に誰でも見られるかたちでアップしたりしています。しかし、なかなか上手く行きません。著者最終版はさまざまなところにバラバラにおかれることが多いため(多くの場合は機関リポジトリ)、探すのが面倒だったりします。
オープン・アクセスと言うのであれば、「研究者は自分たちの研究成果をウェブ上で公開すれば良いじゃないか」と意見を持つ方がいるかもしれません。しかし、研究者たちが自分で好きなように論文を掲載すれば良いというものではありません。「査読」が重要なのです。
査読とは、研究者によるチェックのプロセスです。査読者は、基本的には誰の書いた論文かが分からない状態で、その論文が科学的な論文としての水準を保ったものであるかをチェックします。このチェックがなければ、質の低い論文だけでなく科学的なプロセスが踏まれていないトンデモ論文がどんどん出てきてしまいます。
つまるところ現在において、査読が科学者のコミュニティを質の高いものにしている唯一のものと言っても良いかもしれません。
「ハゲタカジャーナル」の登場
このような中で、「オープン・アクセス・ジャーナル」と呼ばれるものは注目を集めてきました。すべての論文を誰でもアクセスできるようにしている雑誌です。誰でも自由に(しかも、“タダ”で)研究成果にアクセスできるのですから、とても良さそうです。実際、研究者に研究資金を提供している機関も、研究者にその成果をオープン・アクセスという形で発表することを求め始めています。
2007年にはアメリカの国立衛生研究所(NIH)から研究費の提供を受けている場合には、発表後1年以内に、誰でも無料で見られるオープン・アクセスにしなければならないことになりました。また、ビル・ゲイツとその妻メリンダ・ゲイツが設立したビル&メリンダ・ゲイツ財団でも、そこから財政的な支援を受けている研究の成果はオープン・アクセスとして公開されることを求めています。
オープン・アクセスの雑誌のビジネス・モデルは、通常の学術誌の出版のものとは異なります。読者から購読料をとるのではなく、研究者から掲載料をとるというものです。これによって、誰でも研究成果へアクセスできるようにしているのです。
ただ、重大な落とし穴もありました。どうしても論文を掲載したい研究者を標的にして、高い掲載料の代わりに、実質的な査読なしに論文を掲載する出版社が出てきたのです。こうして作られる粗悪な学術雑誌は「ハゲタカジャーナル」と呼ばれています。
研究者の間の競争が激しくなればなるほど、どうしても業績として論文を出したい人も増えてきます。そこにつけ込んで、研究者に多額の掲載料を求めたのです。もちろん、実質的な査読なしにしか学術誌に掲載されないような論文の質は低いものです。これでは質の低い論文の大量生産になってしまいます。
研究者の金銭的負担は増す一方
しかし、ハゲタカジャーナルの寿命もそれほど長くはありませんでした(もちろん、今でも存在はしていますが)。ハゲタカジャーナルのリストが作成され、そのような雑誌に論文を掲載している研究者に対してネガティブな評価がなされるようになってきたのです。
また、学術誌の出版社も、査読の体制を整えたしっかりとしたオープン・アクセス・ジャーナルを出し始めています。エルセビアはすでに400を超えるオープン・アクセスの雑誌を出しています。さらに通常の学術誌の中でも、研究者が望めば(正確には掲載料を支払えば)、当該論文を誰でもアクセスできるオープン・アクセスにすることもできるような仕組みを取り入れ始めました。
もちろん、コストはかかります。前述のように、オープン・アクセス・ジャーナルの場合には、そのコストは読者ではなく、研究者が払う仕組みになっています。
だいたい論文1本あたりの負担費用は150ドル〜6000ドル(約16000円〜約64万円)と、けっして安くはありません。しかも、研究者は、論文1本だけ出版するわけではありません。しかも良い研究プロジェクトほど多くの成果が生まれますから、その負担の大きさは想像に難くないでしょう。
正確に言えば、このような出版のコストは研究者のポケットマネーから出すのではなく、通常、研究費を提供する国や民間の財団からの研究費で賄われます。つまり、NIHやゲイツ財団のような資金提供機関がコストを負担することになるわけです。この仕組でいけば、研究成果にアクセスしたい人は誰でもアクセスできるという公共財的な性格は今よりも守られるはずです。
しかし、研究費に恵まれない研究者は成果が出てもなかなかオープン・アクセスでは出版できないという側面もあるのです。
基礎研究のコストを誰が負担するのか
学術誌の出版社がある種、独占的な地位を利用して儲け過ぎではないかという考え方もあります。しかし、彼らは非営利団体ではなく、企業だということを忘れてはいけません。
エルゼビア(の親会社)はロンドンやニューヨーク証券取引所に上場していますし、日本でも有名な『Nature』を出版している学術出版で第2位のシュプリンガーも上場を計画していると言われています。
オックスフォード大学出版会に代表されるように、大学の出版会が学術誌を出版しているところもあります。このような利潤の最大化を求めるわけではない組織が出版や流通のコストを担えれば良いかもしれませんが、オックスフォード大学出版会ですら、学術誌の購読の価格を上げています。結局、学術誌の出版にはコストがかかるのです。
この学術誌の購読料高騰の問題は、基礎研究のコスト(基礎研究をするためのコストやその成果を流通させるコストなど)を誰が負担するのか、という重要な問題を含んでいます。前述のオープン・アクセスは一つの方向性ではありますが、これで万事解決というわけではありません。
筆者は、研究資金提供者側の役割がかなり重要になってくると考えています。基礎研究は、専有化が難しいからこそ企業はやりたがりません。しかし、付加価値の高い産業を構築していくためには極めて重要性の高いものなのです。
あらためて今、誰がどのように資金を提供するかを真剣に考える必要が迫ってきています。もしこの課題を放っておくとどうなるか――誰も基礎研究のコストを負担しなかったばかりに、科学の世界でもビジネスの世界でも、次の成長のタネが無くなっていくことでしょう。


サマーナイト大花火大会 約1万5000発が夜空彩る
鹿児島の夏の風物詩、「かごしま錦江湾サマーナイト大花火大会」が24日夜、鹿児島市で開かれました。
19回目を迎えた今年はおよそ1万5000発の花火が打ち上げられました。
恒例の2尺玉同時打ち上げのほか、鹿児島市制130周年を記念した1尺玉130連発などが夏の夜空を彩り、訪れた人たちを楽しませていました。
MBCテレビでは、大会の特別番組を来週28日の午後7時から放送します。


亡き人をしのんで 化野念仏寺で千灯供養
 京の晩夏の風物詩「千灯供養」が23日夜、京都市右京区嵯峨鳥居本の化野(あだしの)念仏寺で始まった。参拝者がろうそくをともし、約8千体の無縁仏が柔らかな明かりに包まれた。
 同寺によると化野一帯はかつて葬送の地で、死者のために石仏や石塔がまつられた。何百年という歳月を経て散乱、埋没していたが、明治時代に地元の人たちの協力を得て集めたのが千灯供養の始まりという。
 京都市内の最高気温は27・6度(京都地方気象台調べ)にとどまり、7月22日以来30度を下回った。
 午後6時、地蔵堂で法要が始まり、大小さまざまな石仏や石塔が並ぶ「西院(さい)の河原」を僧侶6人が読経しながら一巡した。雨の中、家族連れらが次々と訪れ、亡き人をしのんで手を合わせた。24日夜も営まれる。中学生以上千円。
 同寺はこれまで地蔵盆に合わせて23、24日に行ってきたが、来年から8月最終土曜、日曜に変更する。「週末のほうがお参りしやすい」と判断したという。

ファンデーション届ける/コーヒーフィルター/六根飲んで

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La Corée du Sud rompt un accord de partage de renseignements militaires avec le Japon
Le Pentagone s’est déclaré ≪ très inquiet ≫ par la décision de Séoul, dans un contexte de tensions accrues entre les deux alliés de Washington dans la région.
La tension monte entre les deux alliés asiatiques des Etats-Unis. Le Pentagone s’est dit, jeudi 22 août, ≪ très inquiet et déçu ≫ par la décision de Séoul de rompre un accord de partage de renseignements militaires existant avec Tokyo.
Nous sommes fermement convaincus que l’intégrité de notre défense mutuelle et de nos liens de sécurité doit être maintenue, malgré les frictions dans d’autres secteurs des relations entre la Corée du Sud et le Japon ≫, a déclaré un porte-parole du Pentagone, le lieutenant-colonel Dave Eastburn. ≪ Nous maintiendrons une coopération de défense bilatérale et trilatérale, lorsque cela sera possible ≫, a-t-il conclu.
En déplacement au Canada, le chef de la diplomatie américaine Mike Pompeo a, lui, appelé les deux pays à ≪ maintenir le dialogue ≫. ≪ Nous exhortons chacun des deux pays à continuer à coopérer ≫, a-t-il réagi lors d’une conférence de presse avec son homologue canadienne Chrystia Freeland.
Il est certain que les intérêts communs du Japon et de la Corée du Sud sont importants, notamment pour les Etats-Unis. Nous espérons que ces deux pays vont pouvoir remettre leur relation là où elle doit être.
Geste ≪ extrêmement regrettable ≫
Nous avons décidé qu’il n’était pas dans l’intérêt national de maintenir l’accord qui a été signé avec l’objectif d’échanger des renseignements militaires sensibles ≫, a annoncé, jeudi, Kim You-geun, le directeur-adjoint du bureau de la sécurité nationale de la ≪ Maison bleue ≫, le siège de la présidence sud-coréenne, en référence à un pacte connu sous le nom de GSOMIA.
Le ministre japonais des affaires étrangères a qualifié ce geste d’≪ extrêmement regrettable ≫ : ≪ Je dois dire que la décision de mettre fin à ce pacte par le gouvernement sud-coréen est une totale erreur de jugement de la situation de la sécurité régionale.
Les relations entre Tokyo et Séoul sont plombées depuis des décennies par des contentieux hérités de l’époque où la péninsule était une colonie nippone (1910-1945).
La brouille a connu une nette aggravation ces dernières semaines, après que des tribunaux sud-coréens eurent exigé d’entreprises japonaises qu’elles dédommagent des Sud-Coréens qui avaient été forcés de travailler dans leurs usines durant l’occupation japonaise jusqu’à la fin de la seconde guerre mondiale. Tokyo a riposté le 2 août en décidant de rayer la Corée du Sud d’une liste d’Etats bénéficiant d’un traitement de faveur, mesure perçue comme une sanction par Séoul qui a répliqué aussitôt avec une radiation similaire.
Ce conflit latent est un casse-tête pour Washington, qui compte sur la coopération entre le Japon et la Corée du Sud pour appuyer sa politique dans une région particulièrement tendue du fait de la menace nucléaire nord-coréenne et de la montée en puissance de la Chine.
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フランス語の勉強?
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#モーニングショー
玉川さんの骨のある発言
「視聴率で国民感情に添おうとするマスコミがでて煽情的になることが不安だ。
 こんな時こそ情報を冷静に判断できるようにマスコミが呼び掛けるべき」

永添泰子(まっとうな人を議会に送ろう!) @packraty
羽鳥さん『文在寅大統領は「盗人猛猛しい」と言った』言ってないわ。翻訳が間違ってるわ。 #モーニングショー
内田樹@levinassien
日韓外交が危機的な事態になっているときに首相がゴルフ三昧の夏休みで、記者の質問にもノーコメントで、何の展望も語らないということに日本国民がぜんぜん驚かない・・・ということに僕は驚きますけれど。
大神 弘 @ppsh41_1945
自民党「韓国は信用出来ない。ホワイト国から除外する」
韓国「そんなに我が国を信用出来ないなら軍事情報を交換するなんて出来ないよな。GSOMIAは破棄する」
自民党「あり得ない。韓国のGSOMIA破棄に目を疑う」
喧嘩を売っておきながら被害者ぶる自民党には反吐が出るわ。

Nobuyo Yagi 八木啓代 @nobuyoyagi
徴用工の件、リベラルの人ですら誤解している人多いけど、韓国の国際法違反でもなんでもなくて、日本の外務省自体が、個人の請求権あるの認めていますからねえ。http://justice.skr.jp/seikyuuken-top.html 穀田議員の韓国徴用工質問 日本政府の主張 根拠失う
pxar @pxar
個人の請求権は請求権放棄の対象外なのに国際法違反とか言うのは根拠ないわ現政権のプロパガンダだわテレビは裏を取りもしないで垂れ流しているわで戦前とちっとも変わんない
内田樹@levinassien
今回の日韓外交でアメリカが黙っているのは、安倍政権の外交的失策に「目をつぶってやる」というカードを日米貿易交渉での大幅譲歩を引き出すために切るつもりだからでしょう。むろん安倍政権は保身のためにそれを丸のみする。トランプさん腹をかかえて大笑い。というのが僕の予測です。どうかな。
アメリカの東アジア戦略は伝統的なdivide and rule です。日韓が「同盟を結ぶほど親密にならず、戦争するほど対立的にならず」という「あわい」に保持することでアメリカの国益は最大化する。今回は対立し過ぎなので、いずれアメリカの「和解圧力」がかかってきます。
安倍政権を「対米追随」以外に延命の手立てがない「弱い政権」に追い込むことからアメリカは受益できます(貿易交渉での譲歩と武器の爆買い)。でも、盟邦日本がアジアで孤立することで失われる米国益もある。その損益分岐点を計算してアメリカは動くだろうと思います。

布施祐仁 @yujinfuse
安全保障上、日米韓の連携が本当に重要だと考えているのであれば、歴史問題にも真剣に取り組まなければならないと思う。「請求権協定で解決済み」とはねつけているだけでは解決しない。戦時中、日本によって強制労働を強いられた方々や慰安婦にされた方々など被害者が納得できる解決策を模索すべきだ。
そもそも1965年の日韓基本条約と請求権協定で行われた国交正常化と戦後処理自体が冷戦下における国家安全保障上の事情を優先して結ばれたものであり、実際に日本の行為によって被害を受けた方々が納得できるようなものではなかった。この時に残してしまった「禍根」こそ断たなければならない。

盛田隆二 @product1954
国家間で請求権の問題が解決されたとしても、個人の請求権を消滅させることはない。日本政府自身が繰り返し言明してきたことであり、日本の最高裁判決でも明示されてきたことである。日本政府と該当企業は、この立場にたって被害者の名誉と尊厳を回復し、公正な解決を図るために努力をつくすべきである
🏕インドア派キャンパー📣ⒻⒸⓀⓁⒹⓅ🔥 @I_hate_camp
そもそも日本とのGSOMIA締結は「かつてこの地域を侵略した日本へ情報を渡して大丈夫なのか」という至極もっともな懸念から締結は難航したわけですわ。
昨今、歴史修正主義でかつての侵略行為を無かったことにしようとしてる安倍政権相手ならここに来ての破棄は当然なんだよね。

ガイチ @gaitifuji
今回の協定延長せずの件で立憲民主や国民民主が出したどのコメント、談話より、石破茂の方が筋が通っていると言うのは、どう言う事なんだよ。
きづのぶお @jucnag
情けない。野党第一党なんだから、嫌韓を煽るばかりの政府の外交をキッチリ否定して、なんなら枝野さんは韓国に行って「大半の日本人は安倍政権を支持していない」と説明して、日韓のパイプ役を担えばいいのに。政権と同じように韓国政府を批判してどうするんだよ。
盛田隆二 @product1954
立憲民主党は、この件で党としての独自見解を示していないが、共産党はきちんと明示している
「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は、米国主導のミサイル防衛網に、日本と韓国を組み込み、北東アジアでの軍事的優位を確立する狙いから、米国の要求に沿って締結されたもの」

徐台教(ソ・テギョ) @DaegyoSeo
昨日からずっと、今回のGSOMIA終了の意味を考えて、聞いて、読んで、話してみている。
ひとつ思うのは、日本国内の嫌韓雰囲気が無かったら、東アジアの新しい未来を作る仕事はとても楽しいものになったかもしれないということだ。失われたものは余りにも大きい。
いいか、嫌韓で儲けるなよ。

盛田隆二 @product1954
保守系の中央日報「安保上の国益を考えると誤った判断」
革新系のハンギョレ「安倍政権が自ら招いた。自業自得」
協定破棄で韓国メディアが二分するのは、日韓の首脳が互いに相手国を非難して支持拡大を図っていることの反映。
日本のメディアは大本営発表化して二分しない😩

WWFジャパン@WWFJapan
アマゾンでは、森林火災により多くのものが失われつつあります。そして、この惨事を止めるための充分なアクションは取られていません。自然と人が共生するための、新たなルール作りが必要です!多くの人に何が起きているかを伝えるために、RTをお願いします。#NewDealForNature #PlayForAmazonia
BLOGOS編集部@ld_blogos
【ローラのアマゾン火災警鐘に22万人が支持】
自身のInstagramで、アマゾンの熱帯雨林で発生した大火災について投稿。《毎日ニューヨークシティの大きさの森が地球から消えています》と警鐘を鳴らし、シェアを呼びかけた。この投稿は9時間で22万件以上のいいねを記録した。

NYの会議通訳者が教える英語 @NYCenglessons
アマゾンの火事は牛の放牧を行うための焼畑が原因です。肉食をやめる以外に解決策はありません。https://www.livekindly.com/amazon-burning-because-eat-beef/ … via @livekindlyco
BSコンシェルジュ▽さだまさしコンサート がんばれライオン2019〜さだまさし
「さだまさしコンサート がんばれライオン2019」を紹介。ゲストにさだまさしさんを招き、番組の見どころや近況を伺う。
被災地やボランティア活動をする高校生たちを応援するチャリティーコンサート「さだまさしコンサート がんばれライオン2019」(BSP 24日 土曜後10時〜)を紹介。コンサートでは、佐渡裕さんが率いるスーパーキッズ・オーケストラと共演し、さださんのヒット曲を披露した。ゲストにさだまさしさんを招き、番組の見どころのほか、名曲がどのように生まれたのか、とっておきの秘話を伺う。 さだまさし, 福田彩乃,稲塚貴一, 安井絵里

おっさんずラブ(#6・最終話)
モテない33歳独身の春田(田中圭)はある日、おっさん上司・黒澤(吉田鋼太郎)と後輩・牧(林遣都)から愛の告白をされる!おっさん同士の究極のピュアラブストーリー!
第6話 春田(田中圭)は急遽、牧(林遣都)の両親に会う事になり、まさかの実家デビュー?衝撃を受けた黒澤(吉田鋼太郎)は元妻を参謀役に据え、起死回生の猛アプローチを始め…
物語は1年後…、黒澤(吉田鋼太郎)となぜか同棲生活を送る春田(田中圭)は、衝撃プロポーズを受け…?人を愛するとはどういうことなのか?-おっさんずラブ、遂に完結! 田中圭、林遣都、内田理央、金子大地、伊藤修子、児嶋一哉、眞島秀和、大塚寧々、吉田鋼太郎

チコちゃんに叱られる!▽ロストサマー!二度と帰れないあの夏の日何してたっけSP
身近な疑問の奥にハッとする深い世界が隠れています。チコちゃん大活躍の72分拡大版。豪華ゲストを叱る「チコの部屋」も健在。夏休み、家族でたっぷりお楽しみください
チコちゃんが涼しげな浴衣姿で登場。岡村隆史さんに加え、指原莉乃さん、松重豊さん、草刈民代さんという豪華ゲストがチコちゃんに挑みます。「なぜ鳥は卵を温める?」では、生き物の深い戦略が明らかに。「幽霊に足がないのは?」では、プロフェッショナル風VTR登場。東京で開催されるパラリンピックに関する疑問も登場。キョエちゃんのおたよりコーナーでは、転校を前に悩む女の子に友だち作りのアドバイスを送ります。 岡村隆史, 草刈民代,松重豊,指原莉乃, 塚原愛, 木村祐一, 森田美由紀


ファンデーションを忘れてしまったというので昼に届けに行きました.黒いのをもっていくと洗っていないからダメって.でも洗い方わからないのですが.
ついでにスーパーに行ってコーヒーフィルターと青森の日本酒・六根を買いました.つい昼間から飲んでしまいました.残してなくて全部飲んでしまったので当然怒られました.

職員の震災体験後世に 宮城県が記録開始1200人聞き取りへ 文書や映像、庁内で共有
 東日本大震災の復旧復興業務に携わった職員の経験や教訓を後世に伝えようと、宮城県は22日、当時の担当者から体験談を聞き、文書や映像に記録する取り組みを始めた。県震災復興計画(2011〜20年度)終了後の21年度末をめどに、記録集などとしてまとめる。
 扱うテーマは(1)災害対策本部の設置や運営(2)応急仮設住宅の整備(3)被災者の心のケア−など80項目に上る。話を聞く対象者は延べ1200人に達する見込みで、被災地の避難所や連絡調整に当たった県庁内の状況を自由に語ってもらう。
 記録集は写真やデータを織り交ぜ、復興の歩みをたどる。体験に基づいて課題を抽出し、テーマごとに集約する。聞き取りの様子は映像で残し、記録集などと共に県庁で共有する。
 初日の22日は「災害発生直後の物資対応」などをテーマに、発生時に危機対策課で対応した職員ら18人が記憶をたどった。ある職員は全国から寄せられた支援物資の保管場所を確保するのに苦労した話を伝えた。
 県が震災10年を前に記録集や映像の制作に取り掛かったのは、震災後の採用職員が全体の3割を超え、復旧復興に携わった職員の貴重な経験をどう伝えていくかが重要となるためだ。
 県震災復興・企画部の後藤康宏部長は「体験談の伝承は行政にとって大きな課題だ。大規模災害時の羅針盤となるような取り組みにしたい」と語った。


<仙台市議選>復興の訴え 候補者迷いも 津波被害の宮城野・若林両区、被災者ニーズ複雑化で
 25日投開票の仙台市議選は東日本大震災後、3度目の審判となる。市沿岸部の復興はハード整備が完了に近づくが、被災者の生活再建や心の回復は今も課題が山積する。「ポスト復興」を巡る論戦が白熱する中、津波被災地がある宮城野、若林両区で「復興」はどう語られているのか。候補者を追った。(報道部・上村千春、石川遥一朗)
「希望」を語る
 選挙戦最初の週末となった17日夕、若林区荒浜の貞山堀で、震災の犠牲者を悼む灯籠流しがあった。水面( みなも )に浮かんだ約200個の明かり。手を合わせる人々の中に若林区の候補者たちの姿もあった。
 震災から約8年5カ月。市中心部は復興後のプロジェクトに沸くが、被災地は時が止まったままだ。「故人や先祖をしのぶ場で大声を出すのは無粋でしょ」。自民党現職はそう言い残し、静かに会場を後にした。
 無所属新人は17日朝、深沼海岸の慰霊塔に祈りをささげた。選挙カーで沿岸部を回り「8年5カ月が過ぎても本当の復興がなされていない」と声をからした。
 再建された家屋が点在する宮城野区の南蒲生地区。18日に個人演説会を開いた共産党現職は、被災者が暮らす災害公営住宅で、収入超過世帯の家賃が引き上げられた問題に触れた。
 「町内会活動に熱心だった人が転居し、コミュニティー崩壊が心配される」。現職は市の対応を批判し、家賃の軽減策を提案した。
 被災地の「希望」を語る候補者もいる。
 若林区の別の自民現職は19日、津波が押し寄せた二木地区の演説会で、10月19日に全線開通する「東部復興道路」を取り上げた。
 「県道をかさ上げした道路で、海岸堤防との多重防御で津波から命を守る。この一帯に安らぎとにぎわいのゾーンが生まれる」
 二木地区を地盤とする社民党現職も20日、隣接地区の津波避難ビルで演説し「地域を一番知る私が元気な街をつくる」と誓った。
演説で触れず
 時の経過とともに被災者のニーズは複雑化する。演説で復興を話題にするかどうか、候補者には迷いもある。
 防災集団移転先となった若林区の新興住宅地「なないろの里」。20日午後、商業施設前でマイクを握ったある候補は「皆さまのために働く」と訴えたが「復興」は口にしなかった。
 投票日が迫り、有権者は選択の結論を出しつつある。荒浜出身の女性(75)は「4年前の市議選に比べ復興の話題が減った。被災者の声を聞いてくれる候補者は誰か。しっかり見極めなければいけない」と考えを巡らせる。


復興庁存続/防災機能の強化は十分か
 2020年度末で設置期限を迎える復興庁が、その後も存続する見通しとなった。
 与党が東日本大震災からの復興加速に向け、安倍晋三首相に申し入れた。政府は提言に沿って年内に基本方針をまとめる。政権として引き続き最重要課題に位置付け、取り組む姿勢を打ち出す狙いがある。
 20年度末には政府の「復興・創生期間」が終わるが、被災地では今も約5万人が避難生活を送っている。原発事故に見舞われた福島県は帰還困難区域の除染など重い課題を抱え、津波被災地の岩手、宮城両県でも被災者の生活再建やインフラ整備などに国の後押しが欠かせない。
 被災地の実情を理解し、予算や施策を組み立てる復興の司令塔役が今後も必要なのは言うまでもない。被災地から安堵(あんど)の声が上がったのは当然だろう。
 ただ、それだけでいいのか。
 復興庁は今も首相直属の機関として省庁の上位に位置付けられている。だが実際は、各省庁からの出向者の寄せ集めで、ノウハウの継承や司令塔機能に課題がある。組織を存続するなら問題点を検証し、機能を強化する具体策を示すべきだ。
 残念なのは、予想される南海トラフ巨大地震や首都直下地震に備え、国の防災機能をどう強化すべきかという重要な議論が置き去りになったことだ。
 政府は3月の復興基本方針見直しで、復興庁の後継組織設置を明記した。新組織の枠組みや機能を巡り、与党内では内閣府の外局に位置付けるなどの案が取りざたされた。全国知事会は、防災から復興までを一元的に担う「防災省」創設を提唱している。後継組織を福島に移転する案も一時浮上した。
 これらの案は本格的に検討されないまま、一転して現状維持で決着した。唐突な方針転換に映るが、実は7月の参院選での争点化を避けるため、存続方針の公表を選挙後に遅らせたとの見方もある。新組織の議論に期待した有権者を欺いたことになるのではないか。
 国民の生命と財産を守るのは国の責務である。復興庁の存続にとどまらず、防災省の創設を含め、災害多発国にふさわしい防災・復興体制のあり方の議論を深めねばならない。


もう一つの被災原発。女川原子力発電所<短期集中連載・全国原子力・核施設一挙訪問の旅3>
牧田寛
宮城県に入り仙台市へ
 Aさんが運転するコロラド号は、常磐自動車道を北上し、宮城県に入りました。宮城県に入ると津波被害の影響が幾分残るものの、復興がたいへんに進んでいました。とくに農地は、宮城県に入って以降全く何もなかったかのように耕作されていました。
 本来行政境界と放射能汚染との間には関連性はなく、福島県と宮城県の県境で復興の度合いが極端に変わることはあり得ないのですが、福島核災害では、行政境界と復興に強い関連が見られることについて多くの指摘があります。今回は、時間の都合があって詳細な現地調査はしていませんので、このことについてはなんとも言えません。
 仙台市街地は、すっかり復興しており震災、津波の痕跡は殆ど見えませんでした。そもそも8年以上経過して、いまだに震災の傷跡を深く残すなど本来はあり得ないことで、福島浜通りの惨状は、まさに核災害の特徴と言えます。津波被害の場合は、その徹底した破壊と防災設計の難しさから復興計画立案が難しいためどうしても長い時間を復興に要しますが、やはり9年目ともなると復興の槌音は力強いものとなります。
この一帯は、築堤方式で建設されていたので、大津波から仙台平野西部と周辺住民を守る防潮堤となった。
 仙台市では、このとき参院選を控えていた石垣のりこ候補(当時。現、参議院議員)の選挙事務所を訪問し、ボランティアの運動員さんのおかげで仙台駅前商店街での証紙チラシ配りの街宣活動ができました。
 石垣陣営は、当初の事前情勢分析では20ポイント愛知陣営に先行され、とても勝負にならないとされていましたが、2か月前の出馬表明以来の追い上げにより選挙序盤では横並びで名前が先に載る(名前が先に載るのは、優勢を意味する)までに至っていました。
 地盤、看板、鞄の三拍子がそろった自民党の世襲現職議員である愛知治郎氏に対してこの様な破竹の大進撃は目を見張るものがありましたが、実際に選挙事務所を訪問するとたいへんな勢いを感じました。これは2年前の結党時の立憲民主党にあって今は無くなってしまったものと思います。初心忘るべからず。
石巻、女川牡鹿半島へ
 2時間ほど仙台市に滞在した後コロラド号は、石巻市を経て女川町、牡鹿半島へと向かいました。三陸自動車道石巻女川ICを降り、国道398号線バイパスを女川へ東進しましたが、周囲は内陸移転事業真っ盛りで、急速に開発が進んでいました。これは石巻市が死者、行方不明者が人口の2.5%という甚大な津波被害を受けただでなく震災前から石巻女川ICと女川町を結ぶ動線として国道398号線バイパスの建設が進められていたことがあります。また福島核災害による放射能プリュームの影響が、あとに影響を残さないほどで済んだことが大きな鍵となっています。
 さて復興の槌音響く石巻市から女川町へ向かう道を東進していたところ、いきなり一本道の前方が詰まってしまいました。工事かなと思い近づいてみると、なんと車が見事に横転していました。まっすぐな一本道で車がどうすれば横転するのか不思議でしたが、周囲の車から次々に人が降りてきて、黒山の人だかりとなり、横転した車を元に戻しはじめましたので、もう我々に出来ることはありません。緊急車両の邪魔にならないように来た道を戻り旧道へ塔向かいました。後続の自動車も一斉に我々の後に付いてきました。
よく見ると車が横転している
 牡鹿半島に入るとあちこちで道路改良工事をしていました。我々は、女川から県道220号線コバルトラインを女川原子力発電所に向かうと、大六天駐車場にたどり着きました。ここからは、塚浜集落と女川原子力発電所が見えました。
 塚浜集落は、津波で壊滅し、現在は高台へ移転していますが、牡鹿半島の集落は、ほぼすべてがこのような状態で、神社しか残らなかったと言っても過言ではありません。道路もすべてが寸断され、女川原子力発電所には、近隣の集落から最大で364人の住民が避難してきたことが知られています。
女川原子力発電所
「爪楊枝の先端しか原子力発電所が見えないのでは、つまらないのだ!」と嘆く私に、Aさんが、「実はとっておきの場所を見つけたのですよ、Google先生も知らない超特級の穴場です!」と得意げでした。それは是非行きましょう!
 行った先は、小屋取(こやどり)漁港でした。
 小屋取漁港*は、釣り船の名所らしく、船宿民宿が数軒あります。そこは、眼前に女川原子力発電所が鎮座する絶好の位置でした。
<*小屋取漁港 – 海の釣り場情報” https://tsuriba.info/spot/1000>
 小屋取地区は、珍しく高台にある集落*でしたが、標高10m前後に集落があったため、13mの津波で半数を超える建物が破壊されてしまいました。津波被害と建物の標高、津波の波高がほぼ完璧に対比できるという点で教科書に使いたいほどの事例**と言えます。
<*”地理院地図|国土地理院 塚浜、小屋取、女川原子力発電所
<**女川町が、各集落の被害状況を示す写真を公開している>
 地図と各種写真を対比すると、発電所は標高13.8mでほぼ浸水無し、社宅は標高25m前後で二棟とも無傷、五十鈴神社は標高15~20mでほぼ無傷、小屋取集落では標高10m前後にあった家屋のほとんどが流されていたことが分かります。
 ここで注目すべきは、小屋取地区にある五十鈴神社で、地形図からこの神社の標高は標高15~20mと読み取れますが、津波にはほぼ無傷でした。
 私は、宮崎県延岡市、兵庫県川西市、徳島市、高知市、Colorado Springs市、高知市をへて現住所にいますが、家を探す際には、古い神社仏閣と古い墓地の立地、標高を最重視してきました。もちろん、合衆国でこの指標は役に立ちませんが、日本では防災の最重要指標となります。
 牡鹿半島においても地形図および国土地理院 地形図・空中写真閲覧サービスによって古い寺社を探すと、殆どが津波による被害を受けていませんでした。
 これは郷土史的手法の初歩ですが、これによっても福島浜通り、石巻、女川、牡鹿半島でだいたいの安全な標高が分かります。郷土史的観点から敷地高さを決めたとされる女川原子力発電所の場合は、小屋取の五十鈴神社*より1~2mほど標高が低いと思われますが、80cmの差で浸水を免れています。これは、コスト検証**だけによって敷地高さを決めた福島第一原子力発電所との決定的な違いです。
<**牡鹿半島には五十鈴神社がたくさんある。主祭神は、天照皇大神である>
<**福島第一原子力発電所建設を指揮した東京電力の小林健三氏による「福島原子力発電所の計画に関する一考察」 小林健三郎 東京電力 土木施工1971.07 (1)に詳しい。本件は、後日稿を改めて紹介する>
正面地盤(標高13.8m)の上に新たに高さ16m(あわせて29.8m)の立派な防潮壁を建設している
右の赤い屋根の家は津波で浸水し、より下の建物は粉砕された。中央は浸水せず、左は手前の集落が壊滅し、現在は防潮壁がつくられている。同一集落内で僅かな標高の違いが明暗を決定的に分けた
 女川原子力発電所周辺の集落は、ほぼすべてが標高10m以下に分布していたため壊滅し、道路も寸断されてしまい逃げ場を失った周辺住民が、女川原子力発電所PRセンターに300人以上(最大364人)集まり、当時の発電所長の英断で発電所構内の体育館に案内され、暖と食事と休息を得たことがよく知られています。但しこの判断は、是非は別として核防上あり得ないことです。
 この女川原子力発電所と福島第一原子力発電所の命運を分けたのが、建設当時の敷地高さの設定の差であることは紛れもない事実で、当時の東京電力と東北電力の安全思考の決定的な違いを示しています。
 また四電が社員寮を発電所正門前に設置していることは何度も記してきましたが東北電は、規模の大きな社宅を発電所に隣接させており、核・原子力防災上は素晴らしいと言えます。が、社員と家族にとっては、仕事と私生活が全く分離できないので労働安全衛生上は問題があります。私は、工場の門前社宅で18年間育ったので、「これは奥さん子供は、きついだろうな。」と思いました。
 十分に原子炉を堪能しましたので、小屋取をあとにして、まず女川原子力発電所の正門に向かいましたが、そこには無人の門があるだけでした。実際には、横の広場に警備員らしき人が車内に詰めていましたが、通行証のない人も入れるような看板の表記でした。どうも荷物受取所まであるようです。
 女川原子力発電所では、正門のずっと奥に検問所があり、公道からは検問所は見えません。これは核防上正しい配置と言えます*。
<*核防上、検問所は、機密性が高い。一方で、公道から部外者が見ても撮影してもそれを妨げる根拠はない>
牡鹿半島から石巻へ
 牡鹿半島の東岸にある女川原子力発電所を離れ、牡鹿半島を横断して半島西岸を石巻へと北上しました。殆どの集落はすべて根こそぎ流されてしまい、更地となっていましたが、住居の高台移転、防潮堤の建設、道路の改良、付け替えが急速に進められていました。たいへんな土木工事量です。
女川町は、総人口の8.7%が死亡・行方不明となり石巻市では2.5%が犠牲となる大被害を受けています。しかし9年目の復興事業は、どのように集落の産業をもり立てるかという難題はのこるものの進みつつありました。
石巻市街地にはいると、壊滅的津波被害を受けた住宅街の海側を通る県道240号線の築堤化工事が進んでいました。仙台東部道路に見られたように築堤方式の道路は内陸部の第二堤として機能し、津波被害の拡大を抑止する効果が期待できます。但し、築堤方式の道路や鉄道は、地域を完全に二分するために街の形成と発展に大きな障害となります。このため高架方式が多くとられてきたので、必ずしも築堤方式が優位である訳ではありません。
 石巻の場合は、石巻漁港、水産市場、水産加工場と住宅街とを道路で分断しますので、影響は軽微かもしれません。いずれにせよ今後どのように復興してゆくかのモデルケースになるかもしれません。
 この日は、いわき市から石巻市まで通常は三日に分けるべき取材を一日で終わらせました。結局宿に着いたのは18時前頃、ファイルのバックアップなどが終わったのは22時頃。
 当然、原稿は一つも書けませんでした。話が違うじゃないかと思い始めながらも翌日のために床につきました。
 さて、翌日7/6第三日目は、石巻発、盛岡経由、六ヶ所村原燃施設群、東通(東北電)、東通(東電)を経て青森泊ですが。ここまでを第一部としていったん締めます。
 本稿では触れなかった女川原子力発電所の詳細については、別稿でご紹介します。
<取材・文/牧田寛> Twitter ID:@BB45_Colorado まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中


復興庁の存続 司令塔の真価が問われる
 被災地の現状や積み残された諸課題などからして、当然の判断と言えよう。
 政府は、東日本大震災からの復興の司令塔として設け、2020年度末で設置期限が切れる復興庁を現体制のまま存続させる意向を固めた。与党の提言を踏まえたもので、延長期間や被災地支援策などの検討を進めて年内に基本方針をまとめる考えだ。
 復興庁は、震災翌年の12年に首相の直属機関として発足した。専任の閣僚を置き、復興政策の立案や被災自治体と関係省庁の調整、予算の要求や管理などに当たってきた。
 被災地を国が重点支援する「復興・創生期間」の終了時が設置期限となるのを受け、政府は今年3月、いったんは復興庁に代わる後継組織の設置を明記した。与党内では内閣府の防災担当部門と併せた上で、内閣府の外局とする案や、「復興・防災庁」創設などが取り沙汰されていた。
 だが、組織の格下げや、防災事業が復興より優先されるのではないかといった被災地の懸念の声に配慮し、一転して現行体制での存続を決めたという。
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から8年余りになる。だが、今も福島、宮城、岩手の被災3県で約5万人が避難生活を余儀なくされている。福島第1原発の廃炉には40年以上に及ぶ長い歳月を要する。
 福島県では除染や避難者の帰還促進など、これからが復興の正念場となる。宮城、岩手両県でもインフラ復旧のめどは立ちつつあるが、被災者支援や産業振興など抱える課題は多い。復興は道半ばであり、引き続き国の後押しが必要だ。
 とはいえ、復興庁の現状を見る限り、単に現体制を引き継ぐだけではこれから先の重要な役割を担っていくには心もとない。
 期待されていた縦割り行政を排して復興の計画から実施までを担うという役目は、省庁間の調整などにとどまった。政府内で復興相が他の省庁などにリーダーシップを取れているかどうかも疑問だ。職員は各省庁からの出向が多く、数年で交代するためノウハウの蓄積が十分とはいかない。復興相の失言などによる交代も相次いだ。
 これでは組織が有効に機能してきたとは言い難い。これまでの取り組みをしっかり検証し、役割を発揮できるよう改善に努めてほしい。
 東北の被災地には、月日の経過に伴って支援から見離されていくのではないかという不安感がある。復興庁は支援の前面に立つという強いメッセージを出してほしい。
 今後はより具体的な支援策を講じ、被災地の多様なニーズを踏まえた実効性ある取り組みが待たれる。財源の確保問題も大きな課題である。基本方針に、被災者に寄り添い信頼されるような司令塔像を盛り込めるか。安倍政権の姿勢も問われよう。


抑留者遺骨の取り違え 隠蔽体質は改めるべきだ
 海外戦没者の遺骨収集が進められるなか、あってはならない事態だ。
 第二次大戦後、シベリアに抑留された日本人の遺骨として、厚生労働省が5年前に収集し持ち帰った16人分に、日本人の骨ではない可能性が浮上した。
 日本でのDNA鑑定結果が昨年8月、非公開の会議で報告されたが、NHKが報道するまで厚労省は約1年間、公表しなかった。ロシア側にも伝えていなかったという。
 「鑑定結果の精査や整理に時間がかかった」ためと釈明するが、隠蔽(いんぺい)と受け取られても仕方がない。肉親の遺骨の帰還を待ちわびる遺族の心情を考えると、不誠実で、責任感に欠ける。
 遺骨の取り違えがもっと多い可能性は十分にある。収集事業自体が揺らぎかねない。厚労省は迅速に検証し、事実を公表すべきだ。
 8月23日は「シベリア抑留の日」だ。1945年のこの日、旧ソ連の指導者スターリンの指令で約60万人の日本人がシベリアやモンゴルに連行された。過酷な労働に従事させられ、栄養失調や病気などで約5万5000人が亡くなったという。
 遺骨収集は91年、ロシア側から提供された資料に基づき始まった。今年6月現在で約2万1900人分が収集された。しかし、日本人の身元が特定されたのは1135人分だ。
 今回は、埋葬地を誤った可能性があるという。正確を期するためには、資料の精査やロシア側との情報交換を密にする必要がある。現地での鑑定方法も改めて検討すべきだ。
 遺骨収集での不祥事は初めてではない。2016年にはロシアで61人分の歯が誤って焼かれ、身元の特定ができなくなった。過去の教訓が生かされていない。
 シベリア抑留は第二次大戦後の大きな悲劇でありながら、抑留者への偏見などもあり研究や実態解明が遅れてきた。厚労省の態勢も不十分だ。ロシアから死亡者名簿や膨大な個人データが提供されているが、翻訳が追いつかない状態だ。
 元抑留者の平均年齢は96歳になり、記憶の風化も懸念される。継承は国の責務でもある。悲劇を繰り返さないためにも、調査態勢を強化して、取り組むべきだ。ロシア側や民間研究者との協働も不可欠だ。


【リクナビ問題】就活生の軽視が甚だしい
 就職情報サイト「リクナビ」の運営会社リクルートキャリアが就職活動中の学生の内定辞退率を予測して企業に販売していたことが分かり、問題となっている。
 業界大手のサイトで、多くの学生が利用している。影響力も大きく、学生や大学関係者から批判が相次いでいるのは当然だ。
 サイトには多くの企業の事業紹介や採用情報が掲載されている。学生もサイトに大学名や氏名などを登録して就職活動に生かしている。
 運営会社は企業から依頼を受けると、特定の学生について、閲覧履歴からどのような企業の情報を集めていたかなどを分析。前年の傾向も踏まえ、その学生が当該企業の内定を辞退する確率を人工知能(AI)ではじいていたようだ。
 平たく言えば、学生の「浮気心」を探り、情報を提供していた。学生のプライバシーを侵害しているのは明らかであり、個人情報保護法に違反する恐れもある。
 就職活動は、景気の回復や人手不足から学生優位の「売り手市場」になっている。企業にとっては内定辞退はなるべく減らしたい。学生にとっても、条件のよい企業に就職するには大手就職情報サイトの利用が欠かせない。
 こうした状況から、運営会社は辞退率を新たなビジネスにしようとしたのだろうが、学生の個人情報の取り扱い方やプライバシーの軽視が甚だしい。
 閲覧情報は個人情報だ。学生は、履歴の分析や企業への提供があることにあらかじめ同意する仕組みになっていたが、自分の辞退率に使われるとは考えもしなかっただろう。
 事前の説明が不足していると言わざるを得ない。一部の学生からは、同意も適切に得ていなかったことが分かっている。
 運営会社は、提供会社から合否判定には使わないとする同意書を取っていたようだが、これも厳格に運用されたかどうか分かるまい。
 辞退率サービスは昨年3月に開始し、これまでに計38社に提供したという。今月になって提供は廃止したが、日本を代表する大企業が並んでいる。
 情報を提供した側の責任は大きいが、依頼した企業も仕組みを知って利用していたのだとしたら批判は免れない。
 スマートフォンや会員制交流サイト(SNS)の普及によって、閲覧履歴などの個人データがビジネスに利用されることが多くなっている。ネット利用時に個々人向けの商品広告が掲示されるのも一例だ。
 巨大IT企業がいつの間にか個人データを集積し、独占することに国際的な批判が強まっている。各国で規制の動きも相次いでいる。
 データ利用は新たなビジネスの可能性を秘めているが、高い規範も求められる。今回のような問題が起これば、データビジネス自体の信頼が損なわれる。官民で対策やルールづくりも急ぐ必要がある。


【トリチウム水処分】さらに負担強いるのか
 東京電力福島第一原発構内にたまり続けている放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分方法を検討している政府の小委員会が長期保管についての議論を始めた。長期保管は問題の先送りでしかない。下手をすれば、放射性廃棄物全般の固定化にもつながりかねない。一日も早い原状回復を願う被災地にさらなる負担を強いるつもりなのか。
 トリチウム水の処分を巡っては、政府の作業部会が二〇一六(平成二十八)年にまとめた報告書で地層注入、海洋放出などの五つの選択肢を示し、小委員会で議論を重ねてきた。原子力規制委員会の更田豊志委員長は「海洋放出が唯一の方法」としているが、昨年八月の公聴会で長期保管を求める意見が相次ぎ、小委員会も対応せざるを得なくなったようだ。
 しかし、長期保管は処分方法とはなり得ない。トリチウム水はいずれ何らかの形で処分しなければならないし、どのような方法を選択するにしても現在、懸念されている風評被害が起きないという保証はない。逆に長期保管することによって「処分できない水」との誤った認識が一般化し、問題の解決を今以上に難しくする恐れもある。処分方法を決められずにいる政府に先送りの口実を与えるだけだ。
 もちろん、さまざまな懸念が指摘される中、科学的、経済的合理性だけで処分に踏み切るのはあまりに乱暴だ。まずはトリチウムやトリチウム水に関する基本的な知見、国内外の原発などにおける処分方法と基準、環境への影響の有無などを丁寧に周知する必要がある。その上で福島第一原発における処分が社会に与える影響と今後の見通し、悪影響が生じた場合の対策をセットで示し、国民に理解を求めていかねばなるまい。
 中間貯蔵施設に運び込まれている県内の除染土壌などは搬入開始から三十年以内に県外で最終処分されることになっているが、具体的な見通しは立っていない。廃炉が決まった東京電力福島第二原発の使用済み燃料も行き場が決まらぬまま敷地内に一時保管されることになった。いずれも受け入れ先や処分方法がすんなり決まるとは思えない。
 トリチウム水の処分を巡る議論はこれらの放射性廃棄物の行方にも影響するだろう。議論がまとまらなければ「長期保管」の名の下に延々と廃棄物を現場に留め置く。それはとりもなおさず「最終処分」にほかならないのではないか。難しい判断を先送りする政府のツケを被災地に払わせるようなやり方は決して許されない。(早川 正也)


使用済み核燃料の乾式貯蔵 恒久化、地元は許すまい
 全国の原発で保管中の使用済み核燃料約1万5200トンのうち、6割以上が「乾式貯蔵」される可能性があることが分かった。今のプール貯蔵が限界に近づいているためだという。
 だが乾式貯蔵でも先々は見通せない。原発敷地内での貯蔵である以上、保管が長期化、恒久化する懸念を拭えない。原発推進か反対かの立場を超えて異論が噴出するのは必至で、原発再稼働の根拠にもなるまい。
 乾式貯蔵は使用済み核燃料をプールで一定期間水冷した後、放射線を遮る金属容器(キャスク)に密封し、空気が自然循環する施設で空冷する方式。ことしに入って原子力規制委員会がキャスクの耐震性や強度を巡る新基準を設け、規制委の審査で一度認証された型式のキャスクはどの原発でも審査を省略でき、導入しやすくなった。
 使用済み核燃料を巡って電力業界の流れが乾式貯蔵へ向かうのは、一つには燃料プールの容量の問題にほかならない。
 「トイレなきマンション」とやゆされる日本の原発は根本的な問題の解決を先送りしてきた。東京電力福島第1原発の事故を省みず再稼働に前のめりになれば、さらにプール貯蔵の「空き」はなくなる。乾式貯蔵で一時しのぎをするしかないのが、本当のところだろう。
 さらに憂慮すべきは、プール貯蔵にしても、乾式貯蔵にしても、使用済み核燃料の「行き先」が定かでないことだ。
 東電は福島第2原発(福島県楢葉町、富岡町)全4基の廃炉を先頃決めた。それに伴い、使用済み核燃料の乾式貯蔵施設を敷地内に新設するという。
 だが、廃炉は県側の強い要望だったとしても、使用済み核燃料の貯蔵については疑念を抱かざるを得ないだろう。東電は内堀雅雄知事らに「燃料は廃炉終了までに全量搬出の方針」を伝えてはいるが、具体案は示していない。内堀知事が「県外搬出することが大前提」と、保管の長期化を強くけん制しているのは当然である。
 また四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)でも乾式貯蔵施設の新設を巡って立地自治体から懸念の声が上がっており、中村時広知事は「一時保管ということを明確にするのが重要だ」とくぎを刺している。「原発銀座」若狭湾のある福井県も県外搬出は譲れないところだろう。
 わが国は「核燃料サイクル」を国策としてきた。使用済み核燃料は全量再処理してプルトニウムなどを取り出し、再び燃料として使うという計画である。しかし日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は完成が遅れて再処理は進まず、プルトニウムを原発で使うプルサーマル発電の具体化も、ごく一部にとどまっているのが現実だ。
 原発敷地内での使用済み核燃料の貯蔵は、核燃料サイクルを前提にするなら既に破綻しているというしかない。再処理目的の搬出がいつになるか、見通せないからだ。百歩譲って乾式貯蔵がプール貯蔵より地震や津波に耐え得るとすれば、あくまでリスク回避の「つなぎ」で、根本的な解決にはなるまい。
 国や電力業界は最終処分の検討を怠ってはならない。その上で再稼働に前のめりな姿勢を、改めるべきである。使用済み核燃料を発生させないよう、脱原発に向かうしかないだろう。


森友問題、捜査終結 疑惑の核心 国会がただせ
 学校法人「森友学園」を巡る財務省の決裁文書改ざんや国有地売却問題で、大阪地検特捜部は佐川宣寿元国税庁長官ら10人を再び不起訴処分とし、捜査を終結した。
 森友問題では市民でつくる大阪第1検察審査会が改ざんを「言語道断」と強く非難し「不起訴不当」を議決した。特捜部長は「起訴するに足りる証拠を収集することができなかった」と説明したが、どこまで捜査を尽くしたのか。
 捜査の終結で、なぜ8億円余りも値引きしたのか、なぜ公文書の改ざんに手を染めたのかといった疑惑の核心部分が法廷で明らかにされる機会が失われた。安倍政権への忖度(そんたく)疑惑や、民主主義の根幹を崩しかねない行為の解明にふたをする幕引きに、国民の多くが納得していないはずだ。
 安倍晋三首相は昨年5月に国会で、森友問題の核心を「なぜあのような値段で国有地が引き渡されたのかということ」と述べていた。学園の当時の理事長は、首相夫人の昭恵氏と一緒に映った写真を近畿財務局側に見せた途端、話が進展し「神風が吹いた」などと証言している。
 財務省の内部調査報告では「私や妻が関わっていたとしたら、首相も国会議員も辞める」との首相答弁が改ざんの引き金になったことをうかがわせ、佐川氏が方向付けたとした。だが、麻生太郎副総理兼財務相は動機に関して「それが分かりゃ苦労せんのですよ」と述べ、あいまいなままになっている。
 政府は値引きに関して積極的に調査せず、会計検査院は売却額算定のずさんさは指摘したものの、忖度の有無などには踏み込まなかった。大阪地検特捜部の捜査は「最後のとりで」と期待を集めたが、家宅捜索もなく、任意での関係者の聴取に終始するだけで、役割を果たしたとは言い難い。
 国会は1年余りも偽りの資料と答弁により欺かれてきたことを思い起こし、行政監視の責務を果たす必要がある。大島理森衆院議長が昨年の通常国会閉幕時に「国民の負託に応える行政監視活動をしてきたか検証の余地がある」と異例の所感を出したことも重く受け止めるべきだ。
 佐川氏は昨年3月の国会の証人喚問で、訴追の恐れを理由に証言を拒んだ経緯がある。訴追されないことが確定した以上、再度国会に呼ぶべきだ。第三者機関による調査に委ねる手もあるだろう。
 この問題では、近畿財務局の職員が文書改ざんを迫られたとのメモを残し、自ら命を絶っている。この重い事実を鑑みれば、議長所感にあった「国会としての正当かつ強力な調査権のより一層の活用」を今こそ発揮すべきだ。


知事と護国神社 政教分離がゆるがせに
 国及びその機関は、いかなる宗教的活動もしてはならない―。憲法は信教の自由を保障し、前提として徹底した政教分離を定めている。そこには国だけでなく地方自治体も含まれる。
 その原則をゆるがせにする行為と言うほかない。阿部守一知事の県護国神社との関わりである。「個人としての活動」という説明で済ますことはできない。
 護国神社の崇敬者会の会長を、知事1期目の2011年から務めている。神社を物心両面で支える組織だ。鳥居を修復するための寄付を集める趣意書にも会長として名を連ねていた。
 戦前、政府は神社神道を事実上の国教と位置づけて天皇による支配を正当化し、国の統治に利用した。戦死者を「英霊」として祭る靖国神社や各地の護国神社は軍国主義の精神的な支柱として国民を戦争に動員する役割を担った。
 その国家神道体制への反省に立って現憲法は厳格な政教分離を定めた。単に国家と宗教を切り離したのでなく、公権力と神道の関係を断ち切る意味があったことを見落とすわけにいかない。
 崇敬者会の会長職について阿部知事は、個人として引き受けている、政教分離に違反する行為をした認識はないと述べている。憲法を尊重擁護する立場にありながら、見識を疑う発言である。
 憲法が禁じる「宗教的活動」については、学説の多くが広く捉える一方、最高裁は限定して解釈する基準を示してきた。特定の宗教を援助、助長、促進する効果があるか―。判例のその基準に照らしても、知事の神社との関わりは政教分離の原則に反すると憲法学者らが指摘している。
 寄付集めにまで関与したことは宗教的活動にあたる疑いが濃い。春の神社例祭にも出席し、参拝して祝辞を述べている。公務ではないとするが、公の場で神社との結びつきを示すような行動は知事として取るべきでない。
 県護国神社によると、これまでも田中康夫氏を除く歴代の知事が崇敬者会の会長に就いてきたという。阿部知事が就任して既に8年。寄付集めの趣意書に目を留めた人も少なくないはずだ。県議会が承知していながら長く見過ごしてきたとすれば、その責任も問われなければならない。
 神道が国家体制に組み込まれ、軍国主義を支えた時代を振り返るとき、政教分離は決して軽んじてはならない原則である。そのことを広く社会で再認識し、問題意識を共有する機会にもしたい。


時評
 生身の人間がさまざまな個人データから人工知能(AI)で行動を予測され、選別・評価される時代の到来を見せつけられた気がする。
 就職情報サイト「リクナビ」のデータ販売問題では就職活動中の学生本人の同意なしで内定辞退予測に個人データが使われていた。販売は廃止されたが、個人情報保護法のルールをよそに企業が経済的利益の追求へ走ったことには驚くほかない。
 一般的なデータ管理・処理ソフトウエアでは扱うのが難しい巨大で複雑なビッグデータの利用が拡大している。その現状を見据え、早急に対応策を実行に移す必要がある。
 個人情報保護法は情報漏えいが相次ぐ中で改正され、2017年に全面施行された。情報保護の強化と適切な取り扱いの整備が進む一方、氏名や住所を削除するなどの要件を満たせば本人の同意なしに第三者へ提供することも可能とされた。
 今回、この仕組みが大きく揺らいだ。海外では最近、ビッグデータを基にAIで分析すれば、匿名化されていても高い確率で個人を特定できるとする研究もあるという。少なくとも本人の同意は欠かせない。
 憲法は13条などで個人の尊重や幸福追求権を保障する。大事なのは、これらの理念に基づくプライバシーの権利、人生をやり直す自由など基本的人権の確保だ。就職のような人生の分岐点でAIのプロファイリング(予測)の安易な利用は人権侵害になるとの認識を持ってほしい。
 リクナビ問題は人間がAIに選別される危機が既に訪れていることを明らかにした。個人情報保護対策にとどまらず、AIの予測が引き起こすマイナス面を食い止めなければならない。
 この重要性は海外では早くから認識され、既に具体策が実施されている。例えば欧州連合(EU)は「一般データ保護規則(GDPR)」の適用を昨年5月に開始。欧州経済領域内で取得した氏名、メールアドレス、クレジットカード番号などの域外移転を原則禁止とした。違反には行政罰や制裁金が科される。
 外国ではAIの活用について言論・表現、選挙、裁判、教育など多くの場合に制限をかける施策がとられている。日本は経済性・生産性を高める方向に傾きすぎているのではないか。海外の先例も参考にして、今こそ真剣に対策を練るべきだ。
 IT化をにらんだ政府の論議はペースが遅すぎる。取り返しのつかない事態が起きる前に、AIを巡る広範な論議を展開し、早急に具体的な手を打ちたい。


昭和天皇「拝謁記」 「教訓」を語り継ぎたい
 先ごろ公開された初代宮内庁長官田島道治による昭和天皇の「拝謁(はいえつ)記」は、敗戦に至る日本の激動期に翻弄される「人間天皇」の戸惑いや苦悩を浮き彫りにする。
 戦勝国による7年間の占領政策の後、1952年5月に開かれた独立回復を祝う式典で、昭和天皇は戦争への後悔と反省を表明したいと願ったが、当時の吉田茂首相の反対に遭ってかなわなかった。歴史に「もしも」はないと言われるが、戦後日本の歩みを左右する一つの分かれ目だったのは確かだろう。
 拝謁記からは、式典の1年以上前から文案を練っていた様子がしのばれる。その過程で、田島も政治への関与を禁じる新憲法下の天皇制の具体像に苦慮していた節がある。
 抽象的表現にとどまる「象徴天皇」の在り方に周囲が極めて神経質になる一方で、昭和天皇は戦前の「君主」の感覚からなかなか脱し切れなかったことが、戸惑いや苦悩の源泉ではなかったか。
 それほどに、拝謁記には開戦の経緯から敗戦、戦争責任や政治への未練、政治家の評価、憲法改正や再軍備への考え方など、各方面で露骨とも言える記述があふれる。
 戦後30年の75年10月、昭和天皇は訪米後に臨んだ日本記者クラブによる初の公式会見で、戦争責任について問われ「そういう言葉のアヤについては、私はそういう文学方面はあまり研究もしていないのでよく分かりませんから、そういう問題についてはお答えができかねます」と回答。批判を浴びたことがある。
 拝謁記に残るやり取りを知れば、はばかりながら歴史を遠巻きにするようなご発言の背後に渦巻く「象徴」としての複雑な思念に思い至る。以後、この種の問題で昭和天皇が公に語ることはなかった。
 時代は下り戦後70年に当たる2015年8月の全国戦没者追悼式で、上皇さまは「さきの大戦に対する深い反省」に初めて言及。それは平成最後のお言葉まで続き、今年の追悼式で令和の新天皇にも引き継がれたのは、昭和天皇が果たし得なかった天皇家としての「歴史」へのけじめと言えるかもしれない。
 今や戦争を知らない世代が人口の8割を超える。安倍晋三首相は戦後70年談話で「私たちの子や孫、その先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と表明。13年以降の追悼式で「加害」「反省」という表現を封印している。
 為政者として、あるいは主権を有する国民として、「教訓」を語り継ぐために向き合わなければならない歴史がある。拝謁記は、今を生きるわれわれが次代に負う重い課題を改めて認識させる貴重な資料と言えるだろう。


韓国が情報協定破棄 対立の高次元化を憂える
 日韓両国の対立が一層、高次元化し、安全保障分野にまで及んでしまったことは残念でならない。
 韓国政府が、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。
 日本政府が輸出管理の優遇対象国から韓国を除外したことについて明確な説明をしていないとして、軍事情報を交換する協定は「国益に合わない」との判断に至ったという。
 日本への強硬姿勢を国内でアピールする狙いがあるのだろう。日本が先月、韓国向け半導体材料の輸出規制を発表した際、韓国への不信感を理由としたことを逆手に取り、「信頼関係がない国と機密情報を共有できるのか」との反発が出ていた。
 北朝鮮や中国、ロシアが絡む北東アジアは冷戦構造を残している。日韓は、民主主義という基本的な価値観を共有しているはずなのに、「売り言葉に買い言葉」のような感情的な対応で、これまでの安保協力の積み重ねを崩してしまうのは誤りだ。
 協定は、日米韓3カ国が北朝鮮問題で連携する姿勢を内外に示す象徴的な枠組みである。日韓双方にとって、北朝鮮によって発射された弾道ミサイルの軌道の分析などに役立ち、3カ国間の情報共有もスムーズになったといわれる。
 このため、日米両国は延長を強く求めていた。破棄により、日韓の対立はさらにエスカレートしかねない。米韓同盟にも影を落とすだろう。
 日本との安保協力について韓国は、日本による植民地支配の歴史や、近年では中国への配慮もあって慎重姿勢を示してきた。かつて、協定の署名式直前に韓国側が国内事情を理由に延期したこともあった。当時、協定に強く反対したのが現政権につながる左派系の政治勢力である。
 こうした事態を招いた責任の一端は、安倍政権にもある。
 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が、徴用工問題や慰安婦問題で不誠実な対応を続けていることは事実である。だからといって、外交問題と経済政策を絡めたことは不適切だった。韓国側の強い反発は予想されたはずだ。
 対立の影響は経済に波及しただけでなく、文化やスポーツ、人的交流にまで及んでいる。深刻な関係悪化を改善に導いていく責任は双方にあることを自覚する必要があろう。


韓国政府、日本の対話拒否・侮辱的反応にGSOMIA終了の正攻法を選んだ
「GSOMIA終了」決定の背景とは 
文大統領のメッセージにも“無反応” 
外相会談でも態度変わらず 
NSC常任委直前まで変化見られず 
大統領府、国際法や情報交流の実利的側面など 
維持・延長を含む多様な対応策を検討 
事実上需要なく「安保空白はない」と判断 
「国民の自尊心を守ることが大切だった」

 韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に関し、「維持はするものの、情報交流はしない」という折衷案に傾いているかのように見えた韓国政府が、「協定終了」を公式宣言した。最近、光復節の記念演説などを通じて宥和的なメッセージを送り交渉の余地を残していたが、日本政府が態度の変化を示していないことが決定的だった。大統領府関係者は22日、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の8・15記念演説に何の反応も示さなかった日本が、昨日の外相会談でも(対話に向けた)シグナルを送らず、世耕弘成経済産業相が産経新聞とのインタビューで、かなり侮辱的な反応を示した。あふれる寸前のコップに“最後の一滴”を落としたようなもの」だと述べた。これに先立ち、世耕長官は「韓国には兵器に転用される恐れがある物資の管理体制が不十分な点があり…日本側の申し入れにもかかわらず、3年間も当局間の協議が全く開かれず、改善の展望が見られないため(制度の)運用を見直した」という無理な主張を展開し、「韓国は冷静に反応してほしい。不買運動などの拡散は望ましくない」という諭すような発言まで行った。
 関係者らの話を総合すると、大統領府はGSOMIAの終了という暫定的な結論を下した状態で、同日午後に国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開くまで、日本が経済報復措置を撤回し、対話の場に出るのを待っていたという。しかし、何の反応もなかったため、計画を実行に移したというのが大統領府の説明だ。
 しかし、大統領府と政府が最初からこのような雰囲気だったわけではない。別の関係者は「政府内では7月末までGSOMIAを維持しようという意見が多数であり、大統領府の気流もその方向に傾くように見えた。しかし、日本がホワイト国(グループA)から何の説明もなく韓国を除外したことを受け、様々な代案を真剣に検討し始めた」と伝えた。日本の安倍晋三首相が閣議を開き、韓国をホワイト国から除外する内容の輸出貿易管理令改正案を議決した今月2日を境に政府の雰囲気は変わり始めたということだ。
 大統領府はその後、協定終了▽協定は維持するものの情報交流を中止▽協定延長など、様々な案を検討した。大統領府の関係者は「複数の選択肢について、専門家らが長所と短所を多様に点検した。また、国際法的にこのような選択に問題がないか、ウィーン条約まで検討した。国民の意思を把握するため、ほぼ毎日、世論調査も実施した」と述べた。
 軍事情報交換の実利的側面についても、抜本的な検討が行われた。ある関係者は「2018年には事実上、情報交流の需要がなかったが、最近には北朝鮮の短距離ミサイル発射をめぐり、日本側から韓国の情報に対する共有の需要があった。情報交流に対する需要は安保危機の程度によって流動的に変わる」と述べた。言い換えれば、昨年、南北間の軍事合意書が締結されてから、朝鮮半島の緊張が緩和され、GSOMIAがなくても朝鮮半島の安保には憂慮すべき空白が発生しないという結論に達したということだ。協定の延長と終了について、米国ともほぼリアルタイムで疎通したと、大統領府は強調した。
 「GSOMIAを維持するものの情報交流はしない」という折衷案が詰めの段階で排除されたことに関連し、大統領府関係者は「状況が厳しい時こそ原則が重要だ。名分も、実利も重要で、なにより国民の自尊心を守ることが大切だった」と述べた。政界の一部では、今回の決定を「チョ・グク法務部長官候補者を守るため」という批判の声があがっていることについては、「チョ候補者の聴聞会とは何の関係もない。国益だけを考えて決定した」と強調した。 イ・ワン記者


韓国政府「国益に合致しない」としてGSOMIAの終了を決定
「日本、安全保障問題を理由に輸出規制 
両国間の安保協力に重大な変化をもたらした」 
外交的解決に向けた努力に反応示さず 
協定終了の決定的な要因として作用 
大統領府「米国と協議…韓国の立場は理解されている」

 大統領府が22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を延長しないことにした。今回のGSOMIA終了決定は、日本の根拠のない貿易報復措置に対抗するという韓国政府の断固たる意志を明らかにしたもので、韓日関係は長期対峙局面に入った。
 キム・ユグン大統領府国家安保室1次長兼国家安全保障会議(NSC)事務処長は同日、大統領府で記者会見を開き、「政府はGSOMIAの終了を決定しており、協定の根拠に基づいて、延長通知期限(8月24日)前に外交チャンネルを通じて日本政府に通知する予定」だと発表した。キム次長は「日本政府が8月2日、明確な根拠を提示せず、韓日間の信頼が損なわれて安保上の問題が発生したとの理由で、『輸出貿易管理令別表第3の地域』(現在グループA)から韓国を除外し、両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」とし、「このような状況では、安保上敏感な軍事情報交流を目的に締結されたこの協定を持続することが国益に合致しないと判断した」と説明した。
 文在寅(ムン・ジェイン)大統領はGSOMIAの終了を決定したNSCの報告を受け、李洛淵(イ・ナギョン)首相やNSCの主要関係者らと1時間ほど討論した後、これを裁可した。2016年11月に締結されたGSOMIAは1年単位で延長され、終了90日前を延長の可否を通知するよう定めている。
 大統領府はGSOMIA終了の責任が日本にあることを明確にした。大統領府関係者は「敏感な軍事情報の相互交換は友好国間の安保協力を前提に行われるもの」だとし、「日本がまず何の根拠と説明もなく、安保上の理由で韓国をホワイト国から除外する措置を取った」と述べた。
 政府のGSOMIAの終了決定には、文大統領が15日の光復節記念演説で、慰安婦や強制徴用問題を言及しないなど、外交的解決に向けた努力を傾けたにもかかわらず、日本政府の態度変化がなかった点が決定的要因として作用した。文大統領は演説で、来年の東京五輪の成功を祈りながら、「今からでも日本が対話と協力の道へ出てくれば、喜んで手を握る」と提案した。別の大統領府関係者は「日本側に文大統領の光復節記念式典の演説の一部を事前に送ったが、何の反応もなかった。20日に協定を終了する方向で事実上結論が出た」と述べた。
 大統領府は「GSOMIAの終了による安保の空白や韓米同盟の弱体化はない」と強調した。大統領府関係者は「米国と協定終了の可否について緊密に、ほぼリアルタイムで協議しており、発表直前にもコミュニケーションを取った。米国も韓国政府の立場を理解している」と述べた。「協定が終了しても、韓国政府と韓米連合資産を通じて、朝鮮半島の周辺状況については綿密な備えと監視が可能だ。朝米が対話を模索する状況なので、安保にも(空白がないという)自信がある」と強調した。
ソン・ヨンチョル記者


日韓関係の悪化 理性的対応で関係改善を
 昨秋の韓国人徴用工訴訟判決に端を発する日韓関係の悪化は泥沼の様相を呈してきた。韓国大統領府が22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたのである。
 既に関係悪化の影響は県内でも顕在化している。韓国の航空6社は、韓国と沖縄を結ぶ航空路線で運休・減便を発表した。ソウル、釜山、大邱の3都市への週71便が来月以降は2都市で週35便前後に半減する見込みだ。
 韓国客の新規予約が入らず、県内旅行社やホテルも予約のキャンセルが続いているという。韓国人観光客は2018年度は台湾、中国に次ぐ規模だ。55万3800人が県内を訪れている。
 那覇市内のホテルの予約担当者は「韓国側で日本旅行に行きにくい雰囲気があると聞いている」と話す。
 全国で同様な傾向が明らかになった。観光庁が発表した7月の訪日外国人旅行者数の推計によれば、韓国人客は前年同月比7・6%減の56万1700人となった。
 韓国からの観光客は近年、全体の約2割に上るという。昨年1年を見ても全国で753万人が訪日している。消費額も5881億円と、いずれも中国に次ぐ2位だ。
 隣接する九州地方は韓国からの観光客が多く、大分県では宿泊客の6割を占める。
 航空路線の運休や減便は相互理解のきっかけを絶やすことにつながりかねない。隣国とのより良い関係をたゆみなく促進するためにも民間交流は欠かせない。冷え込む一方の両国関係の打開策を両政府は探るべきだ。
 韓国の世論調査会社の調べでは「今年、日本に旅行する考えがない」と回答した人は82%に上った。日本への旅行自粛ムードが広がっていることを裏付けている。日本製品の不買運動も拡大し、ビールは輸入額で「不動の1位」から3位に転落している。
 両国の社会を覆う「嫌日」「嫌韓」といった世論が、こうしたムードを醸成している事態は無視できない。
 国内でも共同通信が今月実施した全国電話世論調査で、輸出管理上のホワイト国(優遇対象国)から韓国を除外した対応について「評価する」と回答したのは68・1%、「評価しない」の20・1%を大きく上回った。
 日本の植民地支配に根源がある徴用工問題は、歴史の反省抜きに法律や条約を論じても解決するとは思えない。
 安倍晋三首相は今年の戦没者追悼式でもアジア諸国への加害責任に触れなかった。改めて歴史認識を説くことで、複雑化した日韓関係再構築の糸口を見いだすことができるのではないか。
 韓国側は国際社会の一員である以上、国際法を順守する姿勢を示すべきである。
 対抗措置の応酬は日韓両国にとって何のプラスにもならない。両国政府に理性的な対応を強く求めたい。


日韓軍事協定破棄/安全保障上の深刻な事態
 韓国政府は24日に更新の判断期限が迫っていた日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた。日本政府による韓国向けの輸出規制強化を元徴用工問題の報復と捉え、対抗措置として決めたものだ。だが、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を続ける中で、協定の破棄は朝鮮半島情勢を巡る日韓の連携に重大な影響を及ぼすこととなろう。
 日韓の関係悪化は、通商分野から安全保障分野にまで拡大した。ただ、その影響は日韓2国間だけにとどまらない。日米韓3カ国の連携の基盤を揺るがし、北東アジア地域の安全保障に深刻な打撃となる恐れがある。韓国政府には事態を冷静に見極め、再考するよう求めたい。
 河野太郎外相と康京和(カンギョンファ)韓国外相は21日の会談で、元徴用工問題の解決に向けて外交当局間で意思疎通を続ける方針を確認した。だが、互いの国民世論を背景にした関係悪化を収めるのは、事務レベルの協議では難しい。
 これ以上、混迷を深めないため、安倍晋三首相と文在寅(ムンジェイン)大統領の首脳同士で、事態の打開を図るべきではないか。
 GSOMIAは互いに軍事上の機密情報を提供し合う際に、第三国への漏えいを防ぐために結ぶ協定で、日韓間では2016年11月に締結された。それまで米国を経由して行われてきた北朝鮮の核・ミサイルに関する機密情報が、協定によって「日韓政府間で円滑、迅速な情報交換が行われる」と日本の防衛白書は評価。菅義偉官房長官は「地域の平和と安定に寄与するもので、日韓関係が厳しい状況にあるものの、連携すべき課題は連携すべきだ」と延長を求めていた。
 ただ、協定は1年ごとの更新で、90日前に終了の意思をどちらかが伝えれば破棄される仕組みとなっていた。
 韓国政府は破棄の理由について、日本の輸出規制強化が「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」と指摘、協定の継続が「韓国の国益にそぐわない」としている。だが、その判断は早計ではないか。
 韓国には現在、米国務省で北朝鮮問題を担当するビーガン特別代表が予定を1日延長して滞在している。滞在中の協定破棄の決定は米韓関係にも影響を与えよう。
 北朝鮮が最近、発射を繰り返しているのは新型の弾道ミサイルとみられている。それだけに日米韓での緊密な情報交換と連携が必要なはずだ。
 日本にとっても影響は避けられない。新型ミサイルにどう対処するのか。米国が北朝鮮の短距離の弾道ミサイル発射を事実上容認する中で、ミサイル防衛体制を再検討する必要も出てこよう。
 元徴用工訴訟から始まった日韓関係の悪化は、さまざまな分野で影響が出始めている。韓国では日本製品の不買運動が広がり、韓国からの7月の訪日旅行者数は前年同月比7.6%減と大幅に落ち込んだ。日本の観光地には厳しい状況に直面しているところもある。民間の交流にも中止の動きが出ている。
 両国政府は互いに相手側にボールがあるとの姿勢だ。日本側は元徴用工問題での対応を求め、韓国は輸出規制強化が報復措置だとして撤回を要求する。だが相手に責任を押し付けるだけでは負の連鎖は断ち切れない。首脳レベルの対話への道を探るべき時だ。


[日韓協定破棄] 安全保障に深刻な影響
 韓国政府は国家安全保障会議(NSC)を開き、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた。
 軍事上の機密情報を提供し合う重要かつ日米韓の安全保障における象徴的な協定の瓦解(がかい)を意味する。北朝鮮はこのところ、短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返している。東アジアの安保情勢に深刻な影響を及ぼしかねない。
 日韓の対立は同盟国の米国からも解決の方法を探るよう求める声が出ていた。しかし、韓国側は日本の対韓輸出管理強化を元徴用工問題の報復と捉えた。
 日韓関係の悪化は通商分野から安保分野にまで拡大した。関係改善は一層遠のいたといえる。韓国政府にはいま一度、対話という外交の基本に立ち返り、事態を冷静に見極め、再考するよう求めたい。
■韓国世論が背景に
 GSOMIAの秘密保全の対象は軍事技術だけでなく、戦術データや暗号情報、高度のシステム統合技術など広範囲に及んでいる。
 日本は朴槿恵(パク・クネ)前政権時代の2016年11月に締結した後、1年ごとに更新してきた。日韓協定の効力は1年で、終了する場合には、90日前にどちらかが書面で意思を伝えなければならないと定めている。
 あすが通告の期限となっていたため、韓国側は輸出管理強化問題で日本側の譲歩を引き出そうと、これまでの外相会談の席などでも「検討中」とぎりぎりまで態度を明らかにしていなかった。
 韓国政府は破棄の理由について、日本の輸出管理強化が「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」と指摘、協定の継続が「韓国の国益にそぐわない」としている。だが、その判断は早計ではないか。米韓関係にも影響を与えよう。
 破棄によって、日韓間の情報交換には困難が生じざるを得ないが、日韓双方が情報の一体化を進めている米国を介した情報共有は進められる。
 とはいえ、米国が北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射を事実上容認する中、日本はミサイル防衛体制を再検討する必要に迫られる。影響は小さくない。
 日本の輸出管理強化に韓国社会が反発する中、先ごろ発表された世論調査で、回答者の半数近くが協定破棄に賛成したのも大きかった。
 協定反対派が支持層に数多く含まれる文在寅(ムン・ジェイン)大統領にとっては、破棄を対日カードに使う環境が出来上がっていたといえる。
 日韓の関係悪化は昨年10月以降、日本が「1965年の日韓請求権協定で解決済み」としてきた元徴用工問題で日本企業に賠償を命じる韓国最高裁の判決が相次いだことから始まった。
 「国際法違反」として仲裁委員会の開催を求めた日本に対して韓国側は回答しないまま、慰安婦問題を巡る日韓合意に基づいた財団を解散した。自衛隊機への火器管制レーダー照射なども続いた。
 こうした中、日本は7月から韓国の輸出管理に対する「信頼失墜」を理由に、貿易管理手続きを厳格化する措置を相次いで実施した。
 韓国は報復として同様の措置を取ったほか、日本製品を対象にした不買運動や日本への旅行自粛に発展した。東京五輪ボイコット論が浮上したほか、原発事故に絡む放射性物質の検査強化も打ち出した。
■長期化で国民疲弊
 対立は日韓を結ぶ航空便の減便を招き、とりわけ訪日韓国人旅行客の多い九州や北海道、東北を中心に観光業への打撃が大きいほか、民間交流にも波及しつつある。
 訪日外国人旅行客の中で近年、全体の2割と中国人に次ぐ割合を占めてきた韓国人客は7月、前年同月比7.6%減の56万1700人となった。3社で週10便が運航していた鹿児島−ソウル線も一時運休や減便の決定が続く。
 文政権は対北朝鮮政策を進める上でトランプ米政権との協調を重視しており、協定破棄に踏み切っても米国との協力関係にひびは入らないと冷徹な判断をした可能性がある。
 韓国軍の元高官は破棄決定が「北朝鮮を利するだけだ」と批判する。日本側からも同様に「非常識だ」との声が相次いでいる。
 東アジアを巡っては、中国とロシアの戦闘機が合同で日本海や東シナ海の公海上空を飛行するなど、予断を許さない事態が続いている。
 当面の間、世論に後押しされた文氏も、国民に「安易な譲歩」と受け止められる決着はできないだろう。
 だが、長期的な対立の先には経済を含めて日韓それぞれの国民が消耗していく姿しかみえない。これ以上、混迷を深めないためには、安倍晋三首相と文氏の首脳同士で、事態の打開を図るべきだ。


なぜ日本と韓国は仲たがいしているのか、韓国がGSOMIA破棄
日本と韓国が外交と貿易をめぐって仲たがいしている。韓国政府は22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。
これに先立ち日本が、日貿易管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」のリストから韓国を除外すると発表したほか、重要な工業製品3品目についても韓国向け輸出の優遇措置を解除している。
現代における両国は、日韓併合や第2次世界大戦を経て今もぎくしゃくした関係が続く。
韓国は、日本が朝鮮半島を併合していた時代に行った残虐行為について補償を求めている一方、日本はこの問題は解決済みとしている。
どんな影響が?
韓国政府はGSOMIAの破棄について、日本が韓国を貿易優遇措置から除外したことで、両国の安全保障上の協力関係に「重大な」変化をもたらしたためと説明している。
これに対し日本の河野太郎外相は、「地域の安全保障環境を完全に見誤った対応」だと反論。韓国に対し「断固抗議する」と話した。
また、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、「日本と韓国の情報共有は重要で、アメリカにとっても重要だ。両国が関係を正しい場所に戻してくれることを願う」と話した。アメリカはかねて、北朝鮮のミサイル開発対策としてGSOMIAの重要性を訴えている。
日本は2日、「ホワイト国」のリストから韓国を除外する閣議決定を行い、28日から施行する予定。これには韓国も同様の措置を課すとしている。
7月には、半導体やディスプレイ、メモリーチップ製造に使う工業製品の優遇措置を解除している。これらの製品は、サムスン電子といった韓国企業には必要不可欠だ。
一連の関係悪化を受け、株式市場では世界中の電子製品に影響が出るとして株価が値下がりした。
昨年11月、韓国大法院(最高裁判所に相当)は三菱重工業に、第2次世界大戦中に同社の軍需工場で労働を強制された韓国人の元徴用工らに対する賠償支払いを命じる判決を下した。
訴訟対象となった三菱重工は、大法院の決定には応じない方針だと報じられている。日本製鉄(旧新日鉄住金)と不二越の韓国内資産については、先月23日、大田地方裁判所が売却申請を受理した。
この問題をめぐり、韓国では日本製品のボイコット運動なども起きている。
長く続く確執の歴史
日本と韓国は複雑な歴史を共有している。両国は少なくとも7世紀から戦いを繰り返し、日本はたびたび朝鮮半島に侵攻している。
現代における両国の主な確執は、1910年の韓国併合から始まった。
第2次世界大戦では、アジア各地の数万人とも20万人ともいわれる女性が、日本軍向けの売春婦として連行された。「慰安婦」と呼ばれるこの女性たちの多くは朝鮮人だった。
また日韓併合の後、多くの朝鮮人男性が日本軍に強制的に徴用された。
日本が第2次世界大戦に敗北し、朝鮮半島の統治に終止符が打たれてから20年後の1965年、韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)は数億ドルもの補償金や融資と引き換えに、日韓関係を正常化させる日韓基本条約に合意した。
日本は、この時に支払った8億ドル以上の「経済協力金」によって戦時の補償は終わっていると主張している。しかし、「慰安婦」は繊細な問題として残り、解決には程遠い。
2015年、日本は慰安婦問題について謝罪を行い、被害者を支援する基金に、韓国が求めていた額である10億円を拠出することで合意した。
日本の安倍晋三首相は当時、「今後、日韓は新しい時代を迎える」と述べ、「子や孫、その先の世代の子どもたちに謝罪し続ける宿命を負わせるわけにはいかない」と語った。
しかし、韓国の活動家は相談を受けていないとしてこの合意を拒否した。2017年に就任した文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、合意の改定を示唆している。
歴史的な確執はなお続いており、両国とも折れる気配はない。
(英語記事 Why South Korea and Japan have fallen out


玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判!「視聴率取れるからって国民を煽ってはいけない」
 衝撃を与えた韓国政府による軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄。米国政府もポンペオ国務長官が「失望」を示すなど国際情勢への波及は必至で、日本政府も「安全保障環境を完全に見誤っていると言わざるを得ない」「断固として抗議する」(河野太郎外務相)などと大慌てで批判している。ネトウヨたちは「よくやった韓国ww」「これで国交断絶に近づいたwwww」などと高笑い。この国を一色に染める“嫌韓ファシズム”はとどまるところを知らない。
 そんななか、きょう放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で、番組コメンテーターの玉川徹氏が、GSOMIA問題をめぐる報道について実に冷静な批評をしていた。
 番組では、朝日新聞の「韓国、「歓迎」「最悪」二分」という記事を紹介。記事は、韓国与党の「共に民主党」の報道官が「協定を終了しても、実質的には韓半島の安全保障環境を害することはない。日本に対する断固たる態度は不可欠だ」と歓迎する一方、保守系の最大野党「自由韓国党」は「文政権は、国際情勢に目をつむり、安保のアマチュアであることを世界に宣言した」と批判、さらにSNSでも「韓国より進んだ情報分析能力を持った国から情報支援を受ける手段を台無しにすることが、何の国益か」「我々だけが損をするのでは」という声が出ていることをあげて、GSOMIA破棄に対する世論の反応がまっぷたつに分かれていると伝えるもの。
 『モーニングショー』のスタジオでは、韓国世論は二分しているという報道について、まず、金曜レギュラーのノンフィクション作家・吉永みち子氏がこのようにコメントした。
「二分しているということは、とてもある意味健全だと思います。やはり、全部一色になったときが一番怖いわけですよね。むしろなんか日本のほうが一色になりつつあるというような心配もあるんですけども。やはり、いろんな意見がこうやって出てくるということは、逆に冷静になりやすいんですよ。いろんな考えがあるんだなということで、抑えられますけども。韓国よりもいま日本の報道・言論の自由度は低いというような国際的な評価になっているようですから。やはりこう言い辛いなというような雰囲気があると、なかなか世論がこういうふうに二分、三分の健全なかたちになっていかないことが怖いです」
 このコメントを受けて、MCの羽鳥アナが「損するじゃないと言っているのが韓国の国民で、いやいやいっちゃえいっちゃえというのが与党っていう。ここですよね」と玉川氏にふるのだが、すると玉川氏はこのように冷静に分析した。
「韓国の国民もそれはその歓迎する人も相当いるわけだから。まさに韓国の世論の二分なんですけども。僕はさっき吉永さんが日本の話をされましたけどね、こうなってくると、日本のほうがもしかすると感情的にはエスカレートしてるふうに僕には見えるんですね。そうなったときに、今度はそれをメディアが煽る可能性がある。つまり、いわゆる世論の大勢にメディアがつこうとする場合がある。とくにテレビなんかがそうだから。テレビは、視聴率だから、韓国に対して「けしからん」と言ったほうが視聴率が取れるんだったら、そっち側の流れ、低きに流れる可能性があるんですよね。そうなると、やっぱりまた、それが国民の感情を煽っていく」
 玉川氏の言うように、感情的にエスカレートしているのはむしろ日本のほうだろう。とりわけテレビのワイドショーなどでは連日「韓国けしからん」の大合唱。安倍応援団コメンテーターたちが安倍政権の正当性を主張し、韓国に対しては文大統領にも韓国国民に対してもやれ「反日だ」「幼稚だ」などと喚き立てている。
現在の嫌韓報道を戦中のメディア状況に重ね合わせ警鐘を鳴らした玉川徹
 玉川氏は、そうしたマスコミが大衆の劣情を増幅する方向へ動き、冷静に諌めることをしなくなってしまっている現状を、戦中のメディア状況と重ね合わせて、このように警鐘を鳴らした。
「それを、やっちゃだめだっていうようなことは戦前、われわれは学んでるはずなんですよ。ようするに不当に国民の感情を刺激してはいけない、冷静になることを呼びかけることが本来のメディアの役割だと僕は思っているので。だから、そういうふうにある種、志の低いほうに流れていく(ことはよくない)。本当にそう考えてやってるんだったらいいですよ。そうじゃないけど、そっちのほうが視聴率取れるからっていうかたちで流れていくようなメディアがあったら、僕は残念です」
 まっとうな意見としか言いようがない。本サイトでも伝えたように、実は玉川氏と同じようなことを、先日、久米宏氏もラジオで語っていた。17日放送の『久米宏 ラジオなんですけど』で久米氏は、ワイドショーの日韓関係問題の取り上げ方について、反韓国的な意見を持つコメンテーターや識者ばかりが出演しているとして、「テレビが反韓国キャンペーンをやっているような匂いが、僕、少しだけするんです」。そのうえで、このように苦言を呈していた。
「世論をね、なだめるような仕事をするのがマスコミの仕事じゃないかと思うんですけど、どうもね、最近ね、必要以上に韓国を非難している」
「もしかするとね、いま韓国を叩くとね、数字が上がるんじゃないかってね。(中略)そうじゃなきゃ、連日やってるワイドショーもあるんですよ。毎日、韓国叩きやってるんですよ」
「これ、たぶんね、数字がいいんじゃないかなって。民放ってやりかねませんからね。数字が良ければなんでも」
 マスコミの中心に身を置く玉川氏や久米氏が言うように、視聴率第一主義のワイドショーは「韓国叩きは稼げる」からこそ、毎日のように“嫌韓キャンペーン”を行っている。その結果、国民の劣情はブレーキペダルをなくし、感情的な応酬が「GSOMIA破棄」という最悪のケースの一歩目を踏み込んでしまった。玉川氏は番組のコーナーの終わりにこう語っていた。
「こういう結果として、何が得があるかっていったら、せいぜい嫌韓感情が満たされるぐらいのことしかない、いわゆる感情がスッとするぐらいのことしかないんですよ。それ以外のは全部、損ですから。得はないですから。そうするとね、損得ばっかり言ってんのかって言われるんだけど、損得大事でしょ。当たり前ですよそんなもん、経済大事に決まってんだから」
“嫌韓暴走列車”と化したマスコミを止めるには、まずは視聴者が冷静にならなければならない。


田原総一朗氏、韓国報道へ警鐘を鳴らしたテレ朝玉川徹氏のコメントを評価…「勇気あるコメントで、まさにその通り」
 政治評論家の田原総一朗氏(85)が、23日、自身のツイッターを更新。テレビ朝日の玉川徹氏のコメントを評価した。
 田原氏は「玉川徹氏、メディアの韓国への報道に警鐘…「テレビは視聴率。視聴率取れるから流れていくメディアがあるんだったら残念」とのネット記事を貼り付けた上で「玉川氏のコメントは勇気あるコメントで、まさにその通りだ。今、日本はとても危ないところにある」と指摘した。
 玉川氏は23日放送のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月〜金曜・前8時)に生出演し、日韓関係の悪化の影響から韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたことに関連し「こうなってくると、日本の方がもしかすると感情的にエスカレートしている風に僕には見える」と示し、「そうなったときに今度はメディアがあおる可能性がある。つまり世論の大勢にメディアが付こうとする場合がある。特にテレビなんかはそうだから。テレビは視聴率だから、韓国をけしからんと言った方が視聴率が取れるんだったらそっち側に流れる。低きに流れる可能性がある。それが国民の感情をあおっている。それをやっちゃダメだっていうことは戦前、我々は学んでいるはずなんです。不当に国民の感情を刺激してはいけないと。冷静になることを呼びかけるのが本来のメディアの役割だと僕は思っているので、そういう風にある種、志の低い方に流れる。本当にそう考えてやっているんだったらいいんですけど、そうじゃないけど、そっちの方が視聴率取れるからっていう形で流れていくメディアがあるんだったら僕は残念です」と訴えていた。


強まる日韓対立 九州経済への打撃深刻だ
 日韓関係の悪化が経済面に影を落としている。特に九州は韓国に近く、経済的な結びつきも強い。対立が長引けば深刻な影響が及ぶ恐れがある。
 政治的な対立に経済活動や人的交流が巻き込まれるのは「百害あって一利なし」だ。対立を緩和、解消する知恵と工夫が双方に求められる。
 九州への外国人入国者は2018年に過去最高の511万人を記録した。このうち韓国人が240万人を占めた。それがすっかり様変わりしてしまった。
 JR九州高速船によると、福岡市と韓国・釜山を結ぶ高速船ビートルの19年の利用者は、6月までは前年を上回るペースだったが、日韓対立が深刻化した7月から前年割れに転じた。特に韓国人客は7月が前年を2割下回り、8月は半減で推移するなど、落ち込みが目立つ。釜山と長崎県対馬市を結ぶ航路は「利用者のほとんどが韓国人なのでもっと厳しい」という。
 影響は温泉地にも広がる。大分県別府市では外国人観光客の6〜7割を韓国人が占めていたが、市の観光協会は「観光バスで来る団体客が7月半ば以降、ぱったり減った」と証言する。佐賀県嬉野市など各地で宿泊予約キャンセルが相次ぐ。中国や台湾、東南アジアなど韓国以外からの集客で補おうにも、地域や事業者レベルでは打つ手が限られているのが実情だ。
 九州観光推進機構は、ラグビーワールドカップ(W杯)開催に合わせ欧米などへのPRに力を入れるが、隣国との関係が冷え込めばダメージはボディーブローのように効いてくるとみて、日韓関係悪化の影響について情報収集に努めるという。
 懸念されるのは影響の長期化だ。九州の空港の18年冬ダイヤでは、定期国際線の57%が韓国との路線だった。韓国の格安航空会社(LCC)などが日本との路線を大幅に減らし、大韓航空も運休と減便を発表した。佐賀空港から韓国便が消え、大分空港は国際線がゼロになった。このままでは各地域の国際化戦略にも影響が出かねない。
 日韓両政府とも、譲歩すれば自国民から強い批判を受けかねない状況で、身動きが取れなくなりつつある。ただ、河野太郎外相は21日に韓国の康京和(カンギョンファ)外相と会談した後、記者団に「政府間が難しい問題に直面している時だからこそ、国民の交流は重要だ」と述べている。
 であるなら、まず日本国内に観光面をはじめ人の交流については積極的に進めるよう明快なメッセージを発するべきだ。
 韓国とは一衣帯水の九州である。少なくとも民間レベルでは経済の融和を阻む動きには加担しないよう、冷静に構えたい。


泥沼の日韓対立 この政権が続く限り解決は不可能<上>
 韓国叩きでアドレナリンを出しまくってきた安倍政権にとって、寝耳に水の展開だ。元徴用工訴訟に端を発した対韓輸出規制にブチ切れた文在寅政権が22日、通知期限の24日を待たずにGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を決めた。戦後最悪といわれる日韓関係のさらなる泥沼化は避けられなくなった。
 会見した金有根国家安保室第1次長は、「日本政府が明確な根拠を示さず、韓日間の信頼喪失で安全保障上の問題が発生したとの理由から『ホワイト国』から韓国を除外し、両国間の安全保障協力の環境に重大な変化をもたらした」ことを理由に挙げ、協定維持は「韓国の国益にそぐわないと判断した」と説明。安倍首相が「韓国が言っていることは信頼できない」と見下し、歴史問題を安全保障にすり替えたのを逆手に取ってやり返してきたわけである。
 現地で取材する国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は言う。
「安倍政権は大阪G20で日韓首脳会談に応じず、特使派遣による解決策提案も蹴り飛ばし、対話を呼び掛けた文在寅大統領の8月15日の光復節演説にも反応しなかった。韓国の尊厳を踏みにじるような安倍政権の一連の対応を文在寅政権は〈韓国を破滅させる陰謀〉ととらえています。文在寅大統領は〈困難に直面した時は原則に忠実に対処する〉を信念にしている。経済報復という奇襲をかけてきた安倍政権に対し、奇襲で応じたということです」
 韓国の主要メディアも直前までGSOMIA破棄回避の見通しを報じ、この展開を読み切れていなかった。訪韓中の米国のビーガン北朝鮮担当特別代表が更新を要請するなど、米国は日韓の安保協力継続を繰り返し求めてきたためだ。
 在韓ジャーナリストの朴承氏はこう言う。
「韓米日同盟を重視する米国がギリギリまでGSOMIA更新を働きかける中、文在寅政権が破棄を選択したのは、世論の後押しもある。韓国の調査機関リアルメーター(7日発表)の世論調査では、延長せずに「破棄すべきだ」との回答が47.7%に達し、反対の39.3%を上回る結果でした。米国への説明材料になると判断したのでしょう」
 報復の応酬がエスカレートし、日韓関係はのっぴきならないところまで来てしまった。
今後日本の安全保障にどんな影響があるのか
 GSOMIAが締結されたのは、朴槿恵政権時代の2016年11月。核・ミサイル開発に猛進する北朝鮮への対応で連携するため、日本や韓国と同盟関係にある米国の要請で結ばれた軍事協定だ。GSOMIA破棄は日本の安全保障にどんな影響を及ぼすのか。
 軍事評論家の前田哲男氏が言う。
「GSOMIAによって維持されてきた日米韓3カ国による対北安保協力の一角は崩れる可能性があります。ただ、日韓の情報共有に関してはそれほど大きな影響は出ないのではないか。そもそも米国が仕切り、媒介の役割を果たしているため、軍事情報が一気に遮断され、決定的な欠落を招くような状況は考えにくい」
 ただ確実なのは、安倍政権が最重要課題に掲げる拉致問題の解決がますます遠のいたことだ。
「韓国は脱北者らを通じたヒューミント(人間を使った諜報活動)に強く、北朝鮮の生きた情報を逐次収集しています。その中には拉致被害者に関するものも含まれていて、日本政府の情報収集は韓国に負う部分が大きい。ここまで日韓関係がこじれた以上、韓国から積極的な情報提供は期待できないでしょう」(太刀川正樹氏=前出)
 安倍のプライドのため、拉致被害者はまたも見捨てられることになるのか。


泥沼の日韓対立 この政権が続く限り解決は不可能<中>
韓国蔑視でタカをくくっていたオレさま政権の右往左往
 韓国のマサカの反撃に安倍政権はあたふたするばかりだ。官邸入りした安倍は報道陣の問いかけには応じず、無言でスルー。小泉進次郎衆院議員のオメデタ婚にはニタニタしながらブラ下がり取材に対応したくせに、この国の安全保障を揺るがす事態にダンマリである。
 外遊先の北京で日韓外相会談を終えたばかりの河野外相は、慌てて南官杓駐日大使を外務省に呼び出し、直接抗議。その後、報道陣に「現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ない」と韓国を猛批判し、「日韓関係は、今回の決定を含め韓国側からの極めて否定的かつ非合理的な動きが相次ぎ、非常に厳しい状況が続いている」などと吠えまくった。
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。
「儒教文化が根付く韓国は礼節もプライドも重んじる国柄。それを、よりによって歴史修正主義の安倍政権がズタズタにしてしまった。こうなるのは必然だったと思いますが、GSOMIAは米国の要請で締結された軍事協定という経緯がある。対米追従が当たり前の日本からすれば、米国の意向に反する行動を取ることはあり得ません。安倍政権は日米がそろって維持を求めれば文在寅政権は折れるほかないと踏んでいたのでしょうが、だからこそ、文在寅政権は日本に対抗し得るカードだと判断し、それを切ってきたのです」
 韓国蔑視でタカをくくっていたオレさま政権が右往左往するわけである。
「1970年代以降の国際社会において、安全保障と経済が切り離せない関係にあるのは常識です。にもかかわらず、安倍政権は経済報復に打って出て、日本が負けこむような結果を招いている。輸出規制のあおりで対韓貿易の黒字額は縮小し、アベノミクスで唯一成功しているインバウンドにも悪影響を及ぼしています。日本側に戻されたボールを安倍政権はどう投げ返すつもりでしょうか」(五野井郁夫氏=前出)
 安倍の通算在職日数は23日、2798日となり、戦後最長の佐藤栄作元首相と並んだ。
 韓国では「安倍首相は戦後最長の政権を率いるが、日韓関係を戦後最悪にした張本人だ」と報じられている。トンデモない節目となったことは間違いない。
問題の根本は元徴用工めぐる国際法の「勝った負けた」ではなく、安倍政権の非礼にあるのではないか
 それにしても、なぜ両国関係はここまでこじれてしまったのか。
 ヒートアップの発端が元徴用工問題にあることは間違いない。韓国側の訴訟への対抗措置として、日本政府が対韓輸出規制を発動。韓国を「ホワイト国」から除外したことで、対立が先鋭化した。
 だが、両国が知恵を出し合えば、徴用工問題は解決の糸口を見つけることもできたはずだ。それが外交というものである。事実、同じ問題を抱える中国との間では、原告と日本企業が和解している。
 韓国の徴用工訴訟については、昨年10月に韓国最高裁の判決が出た直後から、安倍政権は敵意むき出しで韓国政府を非難してきた。日本企業が和解に応じることを認めず、民事訴訟を国と国の外交問題にしてしまった。当初は静観の構えだった韓国政府も、さすがに黙っていられなくなった。
「韓国に対する“経済報復”という安倍政権の強硬策は、徴用工問題の解決が目的ではない。政権浮揚のために、世論の反韓感情をあおる手段として徴用工問題を利用しただけです。それは、参院選の直前に半導体素材の輸出規制を打ち出したことからも明らかでしょう。安倍政権は、韓国側の主張は国際法に反していると一方的な正義を振りかざしていますが、国際法がどうこうとは次元が違う話で、支持率のためにナショナリズムをあおっている。根本的な問題を解決する気はないから、韓国側が話し合いの場を持とうとしても、取りつく島もない居丈高な態度に終始してきた。自らの支持率のために、外交や経済を犠牲にしているのです」(元外務省国際情報局長の孫崎享氏)
 強硬姿勢をアピールして支持を集めるためなのか、河野がテレビカメラの前で駐日大使をドヤしつけるなど、この問題で安倍政権は韓国に対して外交非礼を見せつけてきた。こんな侵略時代を彷彿とさせるやり方では、日韓対立が泥沼化するのは当然だし、それこそが安倍政権の狙いだとすれば始末が悪い。
秋の改造で外相、経産相を代えようが問題は収まらないだろう
 東アジアの安全保障問題にまで発展した日韓対立に火を付けた“ツートップ”が、河野と世耕経産相だ。外相会談で居丈高に振る舞う河野も、経済制裁を発動した世耕も、最初からケンカ腰で、韓国の反発を招く一方だった。
 秋の内閣改造でも世耕は留任が濃厚。河野は外相就任を熱望している茂木経済再生相にバトンタッチするという情報もあるが、外相や経産相を交代させたところで、この問題は収まらない。なぜなら元凶は安倍本人だからだ。
 米紙ワシントン・ポスト電子版(11日付)でも、「過去の罪を償わない日本の怠慢が、いかに世界経済を脅かすか」と題し、<安倍晋三は歴代首相より歴史問題で強固な姿勢をとっており、それまでのような謝罪を行わないことを明確にしている><歴史の考慮を怠ったことが未来の繁栄に限界をもたらし、世界の他の地域が苦しむ結果を生むのではないか>などと、過去に向き合わない安倍の歴史修正主義が日韓対立や世界経済に与える悪影響に懸念を表明していた。
「過去の反省もなく、黙って言うことを聞けという上から目線だから、第2次安倍政権の6年半で日韓関係は悪化の一途をたどってきました。河野談話や村山談話で決着した慰安婦問題を蒸し返したのも安倍首相です。根底には、大日本帝国の植民地時代と変わらない韓国蔑視があるのだと思う。だから、韓国人の怒りの矛先も『反日』ではなく『反安倍政権』なのです。そもそも、輸出規制をゴリゴリに強化したり、韓国を敵視しておきながら、軍事情報だけは協力しろというのはムシがよすぎる。まさか韓国がGSOMIA破棄を選択するとは思わなかったと、日本政府内には驚きの声が上がっているようですが、そうするように仕向けたのは、対立をあおってきた安倍首相自身です」(政治評論家・本澤二郎氏)
 非礼の張本人である安倍が退陣しないかぎり、問題解決は不可能だ。


泥沼の日韓対立 この政権が続く限り解決は不可能<下>
メンツだけの突っ張り合いに金正恩は高笑い
 日韓関係のドロ沼化に呵々大笑なのが、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長だろう。国営メディアの朝鮮中央通信は先月末、GSOMIAを「戦争協定」と批判。「早急に破棄されるべきだ」と主張していたからだ。
 北は米韓合同軍事演習などに反発して先月25日以降、日本を射程に入れる短距離弾道ミサイルを計6回発射。安倍政権は北がミサイルを発射するたびに「日米韓で緊密に連携している」と繰り返してきたが、韓国とのメンツ争いが招いたGSOMIAの破棄で「緊密な連携」を失ってしまった。
 加えて、拉致問題の解決がさらに遠のくことは必至。北が安倍批判のボルテージを上げているからだ。
 党機関紙「労働新聞」は18日、10月から始まる幼児教育の無償化から朝鮮学校を除外したことに反発。<安倍政権はわが国との『条件なしの対話』を掲げて騒ぎ立てているが、真に受ける者はいない>と一蹴した。翌19日には、安倍が拉致問題の解決を強調していることについて<敵対の雰囲気をあおり、政治的利得を上げるのが目的だ>と非難している。
 安倍は「私が金正恩委員長と向き合わなければならない」と念仏のように唱えているが、その気があるなら、韓国と揉めている暇などないはずだ。自民党の中谷元・元防衛相はGSOMIAの破棄について、「北朝鮮を利することにしかならず、韓国政府の判断力が理解できない」と批判したが、「北を利する」発端をつくったのは韓国への輸出規制という“禁じ手”を使った安倍政権である。
「北朝鮮は日米韓の連携を面白く思っていません。日韓は歴史問題で隔たりがあるとはいえ、軍事分野では密に連携してきましたから。米国が日韓の仲裁に乗り出す可能性はあると思いますが、米国と良好な関係を築いている正恩氏からすれば、日韓が勝手に“自爆”したことに笑いが止まらないでしょう」(デイリーNKジャパン編集長の高英起氏)
 北にとって、日韓の揉め事は“漁夫の利”でしかないのだ。
韓国の決定に日本の世論がイキリ立つのが最大の懸念
〈頑張れ韓国 地獄まであと一息!〉〈アメリカに気兼ねなく本来の仮想敵国扱いにできる〉〈日本と韓国は殺し合え〉〈韓国と国交断絶しろ〉
 韓国のGSOMIA破棄の決定を受け、イキリ立つネトウヨは「韓国憎し」の大合唱だが、少し冷静になった方がいい。韓国がヒートアップするほど、逆に日本が落ち着いて対応すれば国際的な評価も高まるというものだ。隣国同士が声高にやり合えば、どっちもどっちと見られてしまう。両国の世論が熱くなり過ぎるとロクな結果にはならない。
 政治評論家の森田実氏は「世界中で格差社会が広がり、鬱屈した不満がガスのようにたまっているため、何かが起きると火が付きやすい。右翼的な政治家はそこに非寛容ナショナリズムや排外主義を持ち込み、火を付けて支持を得る。その典型がトランプ米大統領と安倍首相であり、今回の韓国の件もその流れにある」と言い、こう続ける。
「韓国と国交断絶だ、戦争だ、なんて声がワンサカと出てくる異常な状況なのに、与野党や経済界、大マスコミからは安倍政権の政治手法を問う声がほとんど出てこない。理性が失われて狂気が支配するのが戦争ですが、今はまさにその時代に戻りつつあるかのようです」
 拳を振り上げるばかりでは、外交問題は何ら解決しないし、時の政権に踊らされて世論が一気に右向け右になるのが一番怖い。先の大戦でも、「日本は強い」などと妄信して無謀な戦争に突入し、大量の悲惨な戦死者を生んだではないか。悲劇を繰り返さないためにも、今こそ冷静になるべきだ。


GSOMIA破棄 自民・石破氏「日本が戦争責任と向き合わなかったことが問題の根底」
 自民党の石破茂元幹事長は23日付の自身のブログで、韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたことについて、「日韓関係は問題解決の見込みの立たない状態に陥った。わが国が敗戦後、戦争責任と正面から向き合ってこなかったことが多くの問題の根底にあり、さまざまな形で表面化している」と分析した。
 石破氏は、明治維新後の日韓関係を再考する必要性を強調し、「(ナチス・ドイツの戦争犯罪を裁いた)ニュルンベルク裁判とは別に戦争責任を自らの手で明らかにしたドイツとの違いは認識しなくてはならない」とも指摘した。


東京五輪の暑さ対策は自己管理…この国の責任感のなさよ
「大会時のボランティア活動の環境について、暑さ対策は基本的に自己管理」(日本財団ボランティアサポートセンター)
 これは先月の16日に日本財団ボランティアサポートセンターが公開した検討会の報告書の言葉。
 自己管理ってことは自己責任つーことか?
 早朝から行われる競技は、始発電車が間に合わないため、終電での会場入りを検討しているらしいしな。
 ヤベェ。マジで殺されるど。熱中症は寝不足やら体調不良が良くないといわれているのに。
 毎年、長期休みになると、どかどかと息子の友達が遊びに来る。我が家は代々木にも歩いていける。ひょっとして、オリンピック期間も息子の友達がやってくるのじゃないかと思って、息子に訊ねてみた。案の定、
「ん、××がボランティア申し込んだから、よろしくっていってたわ」
 とのこと。
 基本、我が家はお客さんは大歓迎。けど、その期間のお客様は素直に受け入れるわけにはいかぬ。
 だってさ、子どもを預かるんだよ。熱中症はもちろん心配であるが、その期間、なにかが起きたらどうする? 救急車の数を多くしたといっているがほんとうに足りるのか? 予期せぬなにかが起きた場合、子を預かる家の親の責任はないといえないだろう。
 ……と、あたしはここまで考えているのに、この国の責任感のなさよ。
 ア○なんじゃないかと思うくらいに。うちは善意で預かる子の心配してる。が、この国はタダで使うボランティアの心配はしない。お高い金を払って観にくる客の心配も。
 そうそう、お台場に「うんこミュージアム TOKYO」が出来たんだそうだ。オリンピックの会場となっているお台場の海が糞尿混じりだしね。まさかこれって、某競技大会組織委員会会長のサメの脳みそイズムな発想か? 猛暑対策とおなじく、あの方ならまたもやこういいそう。
「ピンチはチャンスという発想で」


妻が明かす 翁長雄志前知事がプロポーズの言葉に込めた政治家としての覚悟
 翁長雄志さんをしのぶ会でお礼の言葉を述べた妻の樹子さん(63)は、参列者に感謝するとともに政治家として生きた翁長さんの素顔を紹介した。知事として名護市辺野古の新基地建設問題という重大な政治課題に立ち向かった翁長さん。共鳴した多くの県民が参列したことに「仏前に『皆さんが本当に心からしのんでくださった』と報告したい」と涙ぐんだ。
 樹子さんは翁長さんからのプロポーズが「政治家になりたい。選挙で選ばれず、何回も挑戦するかもしれない。僕に無理なら若い子を育てる。一生政治から離れられないかもしれない」と覚悟を迫る言葉だったと説明。それにも二つ返事で応えた。市議、県議と政治家の歩みを進めたが、帰りは遅く明け方になることも多かった。それが念願だった那覇市長に就任するとまっすぐ家に帰るようになり「とても困った。年に何回かしか作らなかった彼の夕飯を毎日作るようになった」と振り返った。
 知事選出馬以降の話題に入ると樹子さんは声を落とした。知事になった翁長さんは新基地建設を阻止しようと、政府に何度も直訴したがなしのつぶて。「それまでの政治家人生は全身全霊喜びにあふれていた。知事の頃はほとんど心から笑っているのを見たことがない気がする」と吐露した。
 樹子さんは言葉を詰まらせながら、翁長さんが「政治家は使い捨て」と悲しい言葉を口にしながら、後進に期待していたことを説明。その上で、遺志を継ごうと集まった多くの県民に感謝した。


みなみ会館が移転復活 京都を代表するアート系映画館
 京都を代表するアート系映画館「京都みなみ会館」(京都市南区西九条)が23日、移転復活するのを前に、開場式典が22日、開かれた。スクリーン数は従来の1から3に増え、1階のメインスクリーンは、九条通を挟んで斜め向かいにあった旧会館の内装を再現した。運営する巖本金属(同区)の巖本博社長はあいさつで「映画を中心に、京都からアーティストが育ち、文化を発信していくすてきなシアターにしていきたい」と誓った。
 ふかふかの赤い椅子に、赤のどんちょう、グレーの壁…。老朽化のため昨年3月末に閉館した旧みなみ会館の内装がよみがえった。
 東寺の東側、九条通の北側に面する新しいみなみ会館。1階のメインスクリーン(126席)のほか、2階には54席と30席の2スクリーンを備える。
 式典には、太秦の東映京都撮影所を拠点に撮影された映画「焼肉ドラゴン」の鄭義信監督をはじめ、映画や近隣の関係者ら200人近くが出席。巖本社長は、旧みなみ会館が前回の東京五輪の前年(1963年)に開場し、今回も20年東京五輪の前年にオープンする奇遇を語り、「みなさんの知恵が楽しく集まる“ハコ”にしたい」と呼び掛けた。
 京都駅近くに2023年に移転する京都市立芸術大の赤松玉女学長は来賓あいさつで「京都は学生のまち。2階の小スクリーンは、学生が(自主映画の製作上映に)挑戦するきっかけにもなる」と期待を寄せた。
 30日から上映される京都を舞台にした映画「嵐電」の鈴木卓爾監督も開場式に訪れ、「いろんな映画が上映され、若者だけでなく、幅広い世代が集う京都らしい映画館になるのでは」と語っていた。
 23日午前10時からの営業では、スティーブン・スピルバーグ監督の名作「未知との遭遇」を3スクリーンで一斉に上映してスタート。初日だけで計15作品を入れ替え制で掛けるなど、みなみ会館らしい、よりすぐりの作品を新旧問わず掛けていく。名物だった週末のオールナイト上映や怪獣特撮映画の特集も復活させる。
 上映作品や日程など詳細は同館075(661)3993へ。


あおり運転に大騒ぎしても安倍政権の不正は報じないのか! 厚労政務官が外国人在留申請で口利き「100人で200万円」音声もあるのに
 安倍政権のゴリ押しで今年4月からはじまった外国人労働者受け入れ拡大。その外国人労働者受け入れをめぐって、さっそく安倍自民党の政治家による“口利き疑惑”が発覚した。
 なんと、自民党の上野宏史・厚生労働政務官が、人材派遣会社が在留資格を申請している外国人について法務省に問い合わせするなどし、その見返りに金銭を求めていたと21日発売の「週刊文春」(文藝春秋)がスクープしたのだ。
 上野厚労政務官は経産省出身で、義父は小泉純一郎政権で官房副長官を務めた上野公成氏。しかも、結婚披露宴の仲人を務めたのは安倍首相(当時は幹事長代理)だという。
 そして、覚えめでたく昨年10月の第4次安倍改造内閣では政務三役である厚労政務官に任命された上野氏だが、そんななかで今回伝えられた“口利き疑惑”は、かなり衝撃的なものだった。というのも、上野厚労政務官本人が“口利き”についてや、それで得られる金額を秘書に対して具体的に語っている“音声データ”が存在するからだ。
「僕がネオキャリアの西沢(亮一)さんという社長と交渉することになっている」
「(在留資格認定証明書の交付を)早くしたっていう実績をウチが作ってあげて、その分ウチは(もらう金額を)交渉して、これを党費にあてようと思って。(交付申請が)百人だから、(一件二万円で)二百万円で、家族党員千人分にあてる」
 ここで上野厚労政務官が口にしているネオキャリアというのは、2000年に創業した人材派遣会社で、飲食店や薬舗などに外国人を派遣しているという。記事によれば、外国人労働者の在留資格を取得するため出入国在留管理局に交付申請をおこなっているが、迅速かつより多くの交付を受けるべく、仲介者を通じて、上野厚労政務官が“口利き”することになったという。
 実際、ネオキャリアが上野事務所に送った在留資格申請中の一覧表も「週刊文春」は入手。これは今年2〜6月に申請されたものだといい、合計人数は187人にものぼる。しかも、秘書が〈一覧表を法務省国会連絡室に送って報告を待ち、認定の可否を一つずつ聞き取る〉という作業までおこなっていたことが記事には書かれている。
 上野厚労政務官は現在、厚労省の「技能実習生の職種のあり方に関する検討チーム」のトップである主査を務めており、出入国在留管理庁とも緊密な連携を図る立場にある。その立場を利用して口利きをおこない、その結果、もしネオキャリアから見返りを得ていたとなれば、上野厚労政務官はあっせん利得処罰法違反にあたるのは明々白々だ。現に、公開されている音声データでも、上野厚労政務官は「だってこれ、うちがネオキャリアからお金もらう案件になっているんだから」「党費にあてるんで僕がやってるんだから。遊びでやってんじゃないんだよ」と述べ、これに対して秘書は「これあっせん利得になっちゃいますよ、代議士」と苦言を呈している。
 いや、見返りを得ていなかったとしても、この上野厚労政務官の悪質さは言うまでもない。そもそも、堂々と「社長と交渉することになっている」「お金もらう案件になっているんだから」などと違法性のある行為を政治家本人が実行しようとしている発言自体が衝撃であり、本人は「党費にあてるから遊びじゃない」などと言い放っているが、それも選挙区を持たない上野氏が今後の選挙でも自民党から公認を得られるためにアピールする工作でしかなく、結局は私利私欲のためだ。
 だいたい、外国人労働者の受け入れ拡大は安倍首相の肝いりで強引に押し通されたものだ。それをさっそく安倍政権の政務官が食い物にしていたというのだから、腐りきっているとしか言いようがないだろう。
文春が証拠音声を出しているのに菅官房長官はコメント拒否、テレビは1秒も報じず
 しかし、それ以上に驚いたのは、メディアの反応だ。とくにテレビはこの問題をまったく報じていないのだ。
 実際、「週刊文春」の報道を受けてこの問題を取り上げた大手メディアは、時事通信のみ。さらに、昨日午前の定例会見で菅義偉官房長官が「報道は承知しているが、個別の記事の内容にひとつひとつコメントは控える」と言い、調査をおこなう方向さえ示さず回答を拒否するという無責任ぶりを見せたのだが、それでも後追いするメディアはいまのところ見られない。
 なかでも異常なのが、ワイドショーだ。今回、「週刊文春」は音声データも公開し、口利きについて語っている部分のみならず、秘書に当たり散らす「パワハラ」の模様も伝えている。いかにもワイドショーが好みそうなものなのに、しかしそれは取り上げず、何を伝えていたかといえば、あいも変わらずあおり運転に日韓問題。きょうの『とくダネ!』(フジテレビ)にいたっては、大音量の迷惑走行に、福岡・中洲で“立ちション”が相次いでいるという話題を取り上げていた。
 政務官と秘書の「お金もらう案件になっているんだから」「あっせん利得になっちゃいますよ」という衝撃的な会話データがあるというのに、それはやらずに一般人の犯罪を糾弾し、“政府公認”の反韓報道に血道を上げ、一般人の迷惑行為の暇ネタで間を埋める──。こうやって、隣国から一般人までたんに憎悪感情を煽るだけのニュースに終始する一方で、政権の要職にある政治家の不正疑惑は国民に知られることもなくフェイドアウトしてゆけば、ほくそ笑むのは一体誰か。おのずとよくわかるというものだろう。


「表現の不自由展・その後」中止を考える緊急シンポ 出展作家「表現の自由を守れ」と再開訴え
あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」が中止されたのを受け、緊急シンポジウムが開かれた。出展していた作家たちが登壇し、「表現の自由を守れ」と展示再開を訴えた。
Naoko Iwanaga岩永直子
あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」が中止となったのを受け、雑誌『創』編集部など複数のジャーナリスト団体で作る実行委員会が8月22日、都内で緊急シンポジウムを開催した。
観客約500人で満席となった会場で、出展していた作家ら5人が非公開となった作品をスライドで紹介し、「表現の自由を守れ」と、口々に展示の再開を訴えた。
まず作品を見て議論を
「表現の不自由展・その後」は、全国各地で展示が中止になったり、展示に圧力を受けたりした作品を集め、日本における表現の自由について問題提起するために企画されたもの。
特に、「平和の少女像」や、昭和天皇とみられる写真を燃やす作品に、テロ予告を含む抗議の声が殺到し、開催3日目で中止が決まった。
この日のシンポジウムを企画した進行役の創編集長の篠田博之さんは初めに、「(中止は)日本の表現の自由を象徴している。このまま放っておくと、どんどん暴力によって表現を潰すということになっていく。何としてもそうならないようにしなくちゃいけないというのが今日のシンポジウムの趣旨」と話し、こう呼びかけた。
「出展した人がどういう作品だったか説明してもらう。今、議論している人たちは作品を作品を見ないで議論している。それは良くないので、スタート地点からもう一回やり直しましょう」
「アーティストだけが被った被害ではない」
最初に登壇したのは、日本軍の慰安婦とされ、中国に残された朝鮮人の女性たちを撮影した写真作品「重重」を出品した安世鴻(アン・セホン)さん。
この作品は元々、2012年に新宿ニコンサロンで展示されたが、開催1か月前に同サロンが「諸般の事情」を理由に中止通告をした。
結局、仮処分申請によって開催はされたが、会場は金属探知機や手荷物検査のチェックを受けた上で入場するようにされ、作家の取材も禁止された。会場の外では右翼が連日抗議の声を上げ、大阪ニコンサロンでの展示は中止された。
安さんはその後3年にわたる裁判で勝訴し、2015年には東京・練馬のギャラリーで開催された「表現の不自由展」にも出品したが、「性奴隷はいなかった」「全て嘘だ」「韓国に帰れ」などと妨害を受けたという。
安さんはそうした経緯を語った後で、2001年から中国に残された慰安婦の女性を、証言を聴きながら撮影してきたと説明した。
「60年以上前の記憶や怒りを表出してくれた。性奴隷として被害に遭った家で亡くなるまで暮らしたため、当時の記憶を忘れることができず、怒りがずっと残っていた」など、一人一人のエピソードを写真を見せながら語った。
安さんは、今回の中止についてこう考える。
「(ニコンサロンの展示に関する)判決文では、公共の場での表現の自由を強く主張していましたが、今回の事件は、愛知県が行う公共の行事でありながらこのようになってしまい、民主主義の退行を感じています」
「展示の中止は私たちアーティストだけが被った被害ではないと考えています。見る人、受け手の感じる権利も大切だと思ってみなさん集まってくださった。今回の中止騒動を受けて、みんなで連帯して展示の再開を願うと共に、私たちの知る権利、表現の自由を守っていければと思います」
「天皇批判を第一としてつくっているわけではない」
昭和天皇の写真を燃やしているように見えるとして、多くの抗議の声が上がった作品の一つ、大浦信行さんの「遠近を抱えてPart供廚蓮⊂赦妥傾弔亮命燭鬟灰蕁璽献紊靴寝甬遒糧撚荳酩福岷鷆瓩鯤えて」に、今回の展示のために用意した動画を並べた作品だ。
「遠近を抱えて」は1986年に富山県立近代美術館に出展した。14点のシリーズのうちの10点を展示して、4展は美術館がコレクションとして買い取った。
展覧会は無事終わったが、その後、県議が「天皇を茶化して不敬だ」などと抗議し、右翼の街宣車52台が美術館と県庁の前で抗議行動をした。
美術館はその後、コレクションを売却し、残っていたカタログ470冊を焼却処分にした。大浦さんは裁判を起こして最高裁まで争ったが、棄却された。
今回は、問題となった4点の版画作品の隣で、新たに作った20分の映像作品を流した。
「問題にされたのは20分の映像の方で、天皇の写真が燃えているところだけを取り上げて『不敬だ』『反日』『反天皇プロパガンダ』という文脈で語られて、それが拡散されたのが現状。だけど20分見ていただければ、単なる天皇批判なんてしていないということがわかるはずなんです」
映像作品は、戦地に赴く従軍看護師が母親に書いた遺書をナレーションとして重ね、看護婦が蘇って天皇を燃やしているイメージで作ったという。
「彼女の中に抱え込まれた『内なる天皇』を燃やすことによって、昇華させていく。あるいは祈りと言ってもいい。そういう思いで作ったわけです。僕自身の中にある『内なる天皇』を認める作業で、それを従軍看護婦に託して作ったわけです」
そしてこうも語った。
「作者の意図は全てわからないとしても、この作品は単なる天皇批判だけを目的にして作っているんじゃないかもしれないなぐらいの疑問は持ってほしかった。だけど実際は燃えているところだけがエキセントリックに伝わっていくということで、非常に辛い感じはあります」
「中止される理由がない」「政治家が法を無視した発言」「既成事実にしてはならない」
路上でマネキンのようにポーズを取って政治的なメッセージをアピールする「マネキンフラッシュモブ」というパフォーマンス。
神奈川県海老名市から「通路での集会やデモを禁じる条例に違反する」として禁止命令を出され、裁判で勝訴した朝倉優子さんは、同展にパフォーマンスの数々の記録写真を出品していた。
朝倉さんは、「違法なことをやっていないのだから、中止される理由が一つもない。ぜひ再開をと思っています」と訴えた。
また、かまくらのような造形の天頂に日の丸、底にはアメリカ国旗を敷き詰め、外壁に靖国参拝批判や憲法9条尊重などを訴える言葉を貼り付けた中垣克久さんの作品「時代の肖像ー絶滅危惧種 idiot JAPONICA 円墳ー」は、東京都美術館から作品のメッセージが問題視され、その部分の撤去を強制された過去がある。
中垣さんは今回の中止について、「法を守ることをリードしなければならない立場の政治家から、率先して法を無視、法を忘れてしまったような発言が飛び出し、それに乗せられたトリエンナーレの企画者達の軽率さ、無能さがこの事件を生んだ」と厳しく批判した。
さらに、さいたま市の公民館の公報に載るはずだった市民の俳句「梅雨空に『9条守れ』の女性デモ」が、公民館によって掲載拒否され、裁判で勝訴した「9条俳句」事件を支援してきた武内暁さんは、今回の中止騒動を受け、名古屋市で展示再開を求める市民運動を展開していることを報告した。
そしてこう宣言した。
「絶対にこれを既成事実にしてはならない。再開を求める。ここで再開しなければ、レイシズムやヘイトの問題、テロに屈するわけです。私たちは小さな声ですけれども、本当の意味で表現の自由を勝ち取っていく。息苦しさに風穴を開ける」
単純な記号化で語るな
また、今回、従軍慰安婦を想起させるとして抗議の声が集まっている「平和の少女像」については、過去に東京都美術館に展示を中止させられたブロンズ像を2012年に展示した経験がある「原爆の図丸木美術館」の学芸員、岡村幸宣さんが語った。
「慰安婦の像というのは当然、攻撃の対象となり得るという認識は当時の私にもありましたし、正直言って怖い気持ちが全くないわけではなかった。炎上は怖いし、私も含めた職員や家族の安全も考慮しなくてはならないという気持ちが働いた」
ただ、丸木美術館は公益財団法人に認定され、公益性のある展示をするよう定められていることに触れ、こう考えを述べた。
「河村たかし市長や菅官房長官とは認識が違うかもしれないが、公益性を持つ場所は国の意見の代弁者ではなく、多様な意見、少数派ではあっても重要な意見の発表の場を担保する場と捉えている。その考えに基づいて淡々と展示を受け入れたのは特に勇ましい行為でもなく、学芸員として最低限守るべきことを守った」
2015年の「表現の不自由展」で等身大の少女像を見た岡村さんは、「私もこの像を見るまでは『慰安婦像』という記号で見ていた節がある。でも等身大の像を見て、隣に座った時に、記号的なものが溶けていく気持ちになった。頰も赤みが差していて、血が通った一人の人間として作品を向き合えた気がしたんです」と語った。
そしてこう述べた。
「必ずしも反日というレッテルによって消費されるべき作品ではない。昨今の動向として、大浦さんの作品もそうですが、非常に単純な記号化をされる。繊細で複雑な文脈を読み解こうとしないで、非常にシンプルな記号化の中で議論が暴走していく。そういうことが近年非常に感じられて危惧しています」
市民が自分たちの自由や権利をどう考えるか
シンポジウムでは「表現の不自由展・その後」の作品選定をした実行委員の二人も登壇し、展示の中止は事前に伝えられていなかったことを明かした。
そして、実行委員の一人の小倉利丸さんは、「1986年当時も大浦さんの作品は公開禁止になりましたが、県議に『天皇を茶化した』と言われた作品は新聞にちゃんと載ったんです。ところが今は載らない。新聞もテレビも載りません。当時と比べたら明らかに後退しているという印象があります」とメディアの報道が萎縮していると指摘した。
出品作家の報告後に今回の問題について議論するシンポジストたち。映画監督の森達也さんは「不安と恐怖が強くなって飽和している。これを利用するのが政権でメディア。仮想敵を作って不安と恐怖を煽れば視聴率が上がり、政権の支持率は上がる。この状況の中で社会の空気がずいぶん変わっている」と話した。
終わりに、主催者の篠田さんはこう会場の参加者に語りかけた。
「再開するとしたら市民の力です。一人一人の市民が自分たちの自由とか権利をどう考えるかということで結果は決まる」
「次に責任が大きいのはメディア。マスメディアは右も左もあるけれど、暴力で潰すことには反対するということが従来一致していたと思う。しかし、今はそこも一致していない状態。それも含めて、相当きちんと議論しないといけないし、一人一人の態度が問われていると思います」

洗濯→雨/映画「ひろしま」/韓国がGSOMIA破棄

ブログネタ
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津波により1.2ⅿ浸水_松島・南部屋190809

Au Japon, les épiceries deviennent des salons funéraires
Face à une population vieillissante, le business des obsèques explose. Une alternative de reconversion non négligeable pour les épiceries de proximité, secteur en déclin au Japon.
Alors que l'économie des épiceries de proximité est en berne, leur localisation (souvent en centre-ville, ou proche des foyers de population) suscite un intérêt grandissant du secteur funéraire au Japon raconte un article du ≪ Japan Times ≫.
Ce que l'on croyait être un modèle d'entreprise lucratif doit être repensé de toute urgence en raison d'une pénurie de main-d'oeuvre ≫, explique Naozumi Nishimura, professeur à l'université d'Economie du Japon.
Dans le même temps, face à une population vieillissante et une hausse des décès, le business des obsèques explose. La transformation des petits commerces d'alimentation en salons funéraires pourrait avoir un avenir prometteur, selon les experts.
L'espérance de vie au Japon est de 80 ans et lorsqu'un individu a vécu aussi longtemps, ≪ il arrive souvent qu'ils ne soient plus en contact avec leurs familles ≫. On assiste ainsi à une hausse des ≪ morts solitaires ≫, souvent des personnes âgées modestes vivant de manière isolée. Rien qu'à Tokyo, en 2017, 3.179 personnes de plus de 65 ans ont trouvé la mort seules chez elles.
Par conséquent, les grandes cérémonies coûteuses appelées ≪ Ippanso ≫, où étaient conviées des centaines de personnes, n'intéressent plus. Désormais, les obsèques ont lieu en petit comité, seuls la famille et les amis proches assistent aux funérailles, connues sous le nom de ≪ Kazokuso ≫.
Alors que la demande pour des funérailles de petite taille monte en flèche, ≪ une propriété de la taille d'un magasin d'alimentation était exactement ce que nous recherchions ≫ déclare Hirohiko Ishii, directeur marketing du groupe Life & Designa. Les épiceries offrent des locaux propices avec peu de travaux à envisager. Le rachat de ces petites surfaces est très rentable, écrit le quotidien japonais.
Toutefois, cette reconversion rencontre quelques résistances de la part des riverains. ≪ Les gens d'avoir un rappel constant qu'ils vont mourir ≫, conclut le quotidien.
SABRINA FEKIH
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フランス語の勉強?
AI勉強中 @AI_benkyou
お金はあるのに 高齢者という理由だけで
大家さんは 賃貸契約してくれない。
自分がもし この状況になったら
トレーラーハウスに住もうと思う。
#モーニングショー #玉川徹 #そもそも総研

ellisii @ellisii
そもそも総研。高齢になると賃貸住宅に住めない。家賃保証をしてくれる家族、たとえ息子が開業医でも、居住者が高齢だというだけで審査で落ちるという。6割の大家が高齢夫婦、単身者に拒否感があると。
米山 隆一@RyuichiYoneyama
福島の復興は勿論もろ手を挙げて賛成だが、そもそも復興の最大の障壁は既存の過疎化の流れの中で一度壊れた地域コミュニティは簡単には戻らないという、他地域と共通する経済・社会的現実であって、「風評」ではない。力みかえって「風評」を槍玉に挙げても、復興はならないし誰も幸せにならない。
不安を感じる人を徒に槍玉に上げるのではなく、正面から不安に向き合い、事実は事実、分かる事は分かる、分からない事は分からないときちんと伝えた上で、できる事とできない事を切り分けて、復興できる地域に住む方、住もうとする方の生活の向上に注力するのが、私は政治の仕事だと思います。

tama @tama2354
駆け込みで買い物〜。
そんな余裕のある頃もあったんだなぁ、という感想です。
必要に迫られてないなら、買い換える(新たに購入)なんて考えられません。
これから更に支払いが増えるんですから。余計なお金は使えません。
買って欲しいなら、消費税を下げた方が余程購買意欲は上がりそうですけどね。

巡航戦車になったおぷ @ef2818
「日本政府が徴用工問題について個人の民事請求権は認めている」「韓国における司法の独立」この二点を国内のマスコミは一部の例外をのぞき報道しないので、韓国側に非があるかのような印象を植え付けてしまっている。まったく前提を欠いた敵視が社会に充満している。
安藤☮直樹(ando naoki) @torapocodan
2015年、アメリカ政府の主導のもと、安倍晋三氏が「日韓新時代」のスローガンを打ち立て、2016年に締結されたのが「GSOMIA」であった。
この日本と韓国との「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」は2011年にも、李明博政権時に俎上に上がった「協定」だったが、韓国の国民による反対などによって、結局は締結までは至らなかったもの。それをアメリカの強い要請の元、安倍晋三−朴槿恵ラインによって、半ばゴリ押しのような形で締結した。
安倍晋三氏による「日韓新時代」の掛け声のもとでの「GSOMIA 」は、元々はアメリカ政府の要請であったが、日本の国内的には、「北朝鮮脅威論」をさらに煽ることによって、2016年7月に行われる「参議院選挙」における自政権の支持強化を図る行動の一環でもあった。

盛田隆二 @product1954
そもそも徴用工訴訟は日本企業に対する民事訴訟なので、韓国は国家賠償と切り離している。現に、中国で三菱マテリアルが和解した。その例に従えばよかったのに、安倍政権は通商問題と絡め、さらに「安保上の輸出管理だ」と論点をすり替え二枚舌を使い出した。何もかもデタラメ
いずれにしても徴用工問題は、1991年8月27日に柳井外務省条約局長が「日韓請求権協定は、個人の請求権を国内法的な意味で消滅させたものではない」と答弁したことに端を発している。
うんざりするほど時間がかかるのが民主政治です。日韓首脳は粘り強い対話で解決してほしい。

Farid Yasu☪︎ @Yasu9412
嘆かわしいことに、差別発言を繰り返す日本の極右政治家である杉田水脈が、9/8にフランス・パリで講演会を行います。杉田水脈はフランスの大手新聞においてすら、ヘイトスピーチを行う差別扇動政治家として批判されている人物です。日本の恥部を世界に輸出する必要はありません。
鉄心アトム @Ryujin11
Mio Sugita, raciste, homophobe, en croisade contre les chercheurs sur les femmes de réconfort annonce une conférence a la cité universitaire le 8 septembre. Et puis quoi encore ? @SOS_Racisme @SOShomophobie @InterLGBT @stop_homophobie @_LICRA_
ETV特集 少女たちがみつめた長崎
74年前、勤労動員中に被爆した長崎高等女学校の生徒の日記が次々と見つかっている。その体験を受け継ごうと、後輩にあたる長崎西高校の生徒たちが生存者への聞き取りを始めた。長崎在住の芥川賞作家・青来有一さんも女学生たちの被爆体験に関心を持つ一人。女学生の生き残りで原爆を多くの作品に書いた芥川賞作家・林京子の遺志を継いでいきたいと考えているのだ。被爆体験の継承をめぐる高校生と青来さんのひと夏の試みを追う。 芥川賞作家…青来有一,芥川賞作家…平野啓一郎, 鹿島綾乃
テレメンタリー 再審漂流 証拠隠しとやまぬ抗告
1979年に鹿児島県で起きた「大崎事件」。殺人などの疑いで逮捕された原口アヤ子さんは無実を訴え、裁判のやり直しを求めている。再審請求では、無罪につながる証拠が新たに見つかり、再審開始決定が出されるケースがある。弁護団は、2回目の請求で検察と警察に対して、未提出の証拠を開示するよう求めたが「見当たらない」などと回答。鹿児島地方裁判所も勧告や命令を一切行わなかった。ところが、のちに存在することが判明。真実の究明や救済を遠ざける再審制度の問題点やあり方を考える。 山崎岳彦 鹿児島放送

洗濯してベランダに干していたのですが,気がつくとざあざあの雨.やむのを待ってもう一度洗濯して再度ベランダ.念のため7時ころまだ半乾きでしたが,取り込みました.その後雨が降ったのでセーフでした.
ネットで映画「ひろしま」を見ました.すごい迫力.とはいえ実際はもっともっと大変なものだったというのをネットで見ました.
韓国がGSOMIA破棄.ちょっとびっくりですが,日本から信頼できる国ではないからホワイト国でなくする,と言われたらある意味当然の反応かもしれません.政権に人たちは想定内ではないようですが.

教員目指す学生が被災地で学ぶ
県内で教員を目指す学生たちが東日本大震災による津波の被害を受けた小学校を訪れ、災害が起きた際、子どもたちを守るための避難行動のあり方などを学びました。
被災地を訪れたのは宮城教育大学のゼミ生10人です。
学生たちは、21日、震災の津波で校舎が被災した南三陸町の名足小学校と石巻市の門脇小学校を訪れました。
このうち名足小学校では当時の校長が地震の後、学校のマニュアル通り児童100人近くを校舎裏の駐車場に避難させたものの、地域の人の助言を受けながらより安全な高台にある畑、そして保育園などへと繰り返し避難場所を変え、児童全員の命を守ったことを説明しました。
これを受けて、学生たちは子どもを守るための避難行動について話し合い、長谷部彩佳さんは「想定外の大きな災害が起きた時にはマニュアルにないところまで避難させることもしなければならないと思った」と話していました。
また、三浦美咲さんはは「先生たちは地域の人の助言を聞きながら避難していたことを知った。地域と一緒になって子どもたちの命を守っていくことが大事だと思った」と話していました。


デスク日誌 暮らしの潤い
 あの時も暑かったと記憶する。8年前のお盆に赴任した釜石市で、最初に飲みに行った居酒屋。東日本大震災の津波で店は損壊し、営業を再開したばかりだった。店内は満席。客の笑い声、愚痴、涙、汗が酒と交じり合う。巨大な「震災バエ」がぶんぶん飛んでいても誰も気にしなかった。
 避難所から仮設住宅への入居が完了した頃だ。あの居酒屋は、被災した市民が震災の緊張から解放される貴重な場であった。
 現在担当する福島県大熊町は、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が4月に一部地区で解除され、完成した災害公営住宅には45世帯が暮らす。住民らは古里での生活をようやく再開したが、同時に完成するはずだった商業施設は工事が遅れ、不便さを強いられている。
 そんな中、開業した仮設店舗は住民の憩いの場にもなっている。雑貨店では化粧品を扱い、女性店主がネイルアートも施す。「生活に潤いもないと」と言う。
 復興への道のりは長い。頑張るだけでは気持ちがもたない。きれいなものばかりでも街は成り立たない。息抜きできる場が、大熊にもっと欲しい。 (会津若松支局長 玉應雅史)


自転車観光 復興の一助に 近大生が被災地で事業化検証 福島・川俣
 福島県川俣町で、近畿大の学生が自転車を使った観光事業化の検証に取り組んでいる。自然豊かな町内のスポットを巡るサイクリングコースを考案するなどし、東京電力福島第1原発事故で大きな被害を受けた町の復興につなげてもらう。
 2018年度から実施している近畿大社会連携推進センターの事業の一環で、今回は19〜25日に町の宿泊施設「おじまふるさと交流館」を拠点に1〜4年の学生10人がサイクリングコース案を議論している。
 21日は町内の約16キロを学生が走破した。国際学部4年井上彩那さん(22)は「(瀬戸内の)しまなみ海道のように自転車を活用した有名な観光地は日本に数多くある。川俣の自然や道路状況などはサイクリングに適していると感じた」と語る。
 サイクリングコースは、比較的交通量の少ない町で、桜の名所「駒ザクラ」や観光施設「かわまたおりもの展示館」などを自転車でゆっくり巡ってもらおうと企画した。地元住民や町への聞き取り調査を重ね、初心者から上級者まで楽しめる6のコースを考案した。
 利用客の少ない交流館の活用方法も検討している。原発事故の影響で実施できなくなった虫捕りなどのイベントに代わり、バーベキューなどの体験型アクティビティなども考案中だという。
 同大社会連携推進センターの安田直史教授は「高齢化が進む福島の被災地で、若い学生のアイデアを生かして活性化させていきたい」と話している。
 川俣町は山木屋地区が原発事故で一時避難指示に指定され、2017年3月末に解除された。


河北抄
 牡鹿半島の南沖に浮かぶ離島・網地島(石巻市)は、約300人が暮らす小さな島だ。その島で、アートと音楽、食の総合祭「リボーンアート・フェスティバル」の作品展示が始まったという。
 総合祭は牡鹿半島を主会場として2年ぶり2回目だが、網地島での開催は初めて。島では20日から美術家ら14組の計21作品が並んでいる。そう聞いて、久しぶりに島に渡りたくなった。
 網地島といえば、思い起こす歴史がある。1739(元文4)年、島に黒塗りの帆船がやってきた。ペリーの黒船艦隊が来航する110年以上前の話。島民は異国船に驚くが、なかなかしたたかだ。舟で近づき、新鮮な魚やコメなどを広げて交易した。
 島民が受け取った銀貨から、船はロシア船だと後に分かる。記録の残る日露初の交易だった。船を派遣したのは、ベーリング海峡に名を残す探検家ベーリングで、彼の銅像が島に立つ。
 小さな島には多くの物語がぎゅっと詰まっている。そこで繰り広げられるアートの祭典。この週末、島を訪ねたい。


ラッキーボトル 大吟醸かも 新潟・山形地震の混乱で銘柄不明の日本酒利用
 新潟・山形地震で被災した鶴岡市大山地区の酒蔵を支援しようと、山形県内の温泉旅館の若手経営者らでつくる県旅館ホテル生活衛生同業組合青年部などは22日、地震の影響で銘柄が分からなくなった日本酒200本程度に特製ラベルを付け、「ラッキーボトル」として県内の旅館などで取り扱いを始める。
 ラッキーボトルの中身は渡會(わたらい)本店と羽根田酒造の特別純米、純米吟醸、純米大吟醸酒などの5種類のいずれか。地震時に瓶詰めされていたが、出荷前のためラベルが貼られておらず、揺れによる混乱で判別できなくなった。
 価格は一升瓶一律3000円(税別)。感謝の気持ちを込め、庄内地方の方言で「すみません」「ありがとう」の意味がある「もっけだの」に「鶴岡」をデザインしたラベルを付ける。大山地区の酒店で22日から順次販売する予定だ。
 銘柄は分かるが、地震で王冠がへこんだ日本酒も「もっけだの鶴岡 王冠」とのステッカーを貼り、地震を乗り越えた縁起の良いお酒として販売する。
 2種類の酒は、鶴岡、尾花沢など県内5市13カ所の温泉旅館でも22日夕から宿泊者向けに提供する。
 青年部副部長で鶴岡市のつかさや旅館代表社員の庄司丈彦さん(39)は「震災を乗り越えたお酒をきっかけに鶴岡に興味を持ってもらえればうれしい。観光客が増えて復興にもつながってほしい」と話している。


職員の経験 後世に聞き取り開始 宮城県震災10年の総括
 震災10年に向けて宮城県は、職員の当時の経験を映像や文書にまとめることになり、22日から聞き取り作業が始まりました。
 22日は震災当時、宮城県の危機対策課などに配属されていた職員とOB11人が集まり、専門家や委託業者が、当時の話を聞き取っていきました。職員らは「支援物資の確保」をテーマに経験を語りました。
 県は、住宅再建や心のケアなど約80のテーマで延べ1200人程度から経験を聞き取り、2022年3月末までに映像や文書にまとめる計画です。映像や文書は、ホームページでの公開が予定されています。


さらば「第二の学食」 仙台一高生に愛され33年 「ラーメンハウス・レンボー」閉店へ
 仙台一高のつじ向かいにあり、同校生徒や教員らに第二の学食のように愛されている仙台市若林区連坊2丁目の「ラーメンハウス・レンボー」が9月1日に閉店する。この地で店を始めて33年目。店主の長井秀洋(ひでうみ)さん(64)と妻恵子さん(58)は「一高生との出会いが宝物」と感慨深げだ。
 横浜市育ちの秀洋さんは首都圏の洋食店でコックなどをした後、「学都仙台の学生街で飲食店をやりたい」と1987年に店を構えた。横浜発祥のサンマーメンや、ホイコーローがたっぷりのった看板メニューの「ホイメン」などを提供してきた。
 安くて盛りがよく、一高生らでにぎわった。バンカラの伝統で知られる応援団員が入り浸り、教員は店でテストの採点をするなどオアシス的存在になった。
 秀洋さんが現役生や卒業生の人生相談に乗ることも。「うちの客は優等生じゃなく、やんちゃな子ばかり。それがかわいいんだよ」と目を細める。
 テナントを含む一帯の土地が売却されると知ったのは今春。別の物件を探したが、見つからなかった。8月中旬に会員制交流サイト(SNS)で店を畳むことを知らせると、現在は昼のみとなっている営業時間の前から常連客や卒業生らの列ができた。
 同校OBで宮城野区の会社員佐藤仙一さん(45)は「ほっとできる心の古里だった」。泉区の元同校教員金成雄三さん(68)は「一高の校風に現役の先生よりも詳しく、生徒は大学合格や就職のたびに報告にやってきた。長井さん夫妻の人柄があってこそ」と感謝する。
 「今も100人以上の顔と名前が浮かぶ。懐かしい人たちと会うために頑張りたい」と長井さん夫妻。営業最終日に選んだ一高祭当日まで、青春グルメを提供し続けるつもりだ。


時速280キロ新幹線ドア開く 白石蔵王−仙台間コック開いたまま
 21日午前10時15分ごろ、東北新幹線の仙台発東京行きはやぶさ46号が白石蔵王−仙台間を時速280キロで走行中、9号車の進行方向右側のドアが開いたことを示す表示が出たため、運転士が手動で緊急停止させた。車掌が全開状態だったドアを閉めて安全を確認し、約15分後に運転を再開した。付近に乗客はおらず、乗客約340人にけがはなかった。
 JR東日本によると、清掃員が車両内側からドアを開けるために使う装置(ドアコック)が開いたままになっており、走行中の風圧や振動でドアが開いたとみられる。開いていたのは約40秒間だった。
 仙台駅での乗客や清掃員の乗降は進行方向左側のドアだったが、1人の清掃員が本来必要のない右側のコックを操作する様子が防犯カメラで確認された。JR東が清掃員から経緯を聞いている。
 はやぶさ46号はE5系の10両編成。緊急停止したのは宮城県柴田町の第2葉坂トンネル内だった。線路に降りた乗客は確認されなかった。19分遅れて東京駅に到着したはやぶさ46号を含め、東北新幹線上下計7本が最大約30分遅れ、約3300人に影響した。
 乗客が故意に開けたケースを除き、走行中に新幹線のドアが開くケースは過去になかったという。JR東の新幹線統括本部は「デッキに乗客がいれば危険な状態だった。二度と起こさないよう社員を含め指導育成に努める」と話した。


10代の自殺/相談窓口の一層の充実を
 自ら命を絶つ子どもが後を絶たない。いかにSOSを見逃さず、救いの手を差し伸べるのか。対策や体制の強化は喫緊の課題だろう。
 2019年版自殺対策白書によると、18年に自殺した10代は前年より32人増えて599人。人口10万人当たりの「自殺死亡率」は2.8人で、統計を取り始めた1978年以降で最悪となった。
 全世代の自殺者総数は前年より481人少ない2万840人と9年連続で減少する中で、未成年の自殺は歯止めがかからない。見過ごせない深刻な状況と言っていい。
 日本では10代、20代、30代とも自殺が死因順位の1位となっている。白書は「国際的にも15〜34歳の死因順位の1位が自殺となっているのは主要7カ国(G7)の中で日本だけ」と指摘し、若い世代の自殺に警鐘を鳴らす。
 白書によると、10代の自殺で特定できた原因・動機のうち、「学校問題」が最多を占め、「健康問題」「家庭問題」と続く。学校問題の内訳では学業不振や進路の悩みなどが上位に並んだ。
 ただし、10代前半の自殺については、他の世代と比べて原因・動機が分かるものを残していないケースが多い。周囲の人は突発的で予兆がなかったという印象を持つ。
 見えにくいSOSを受け止める仕組みづくりは今後の課題だろう。併せて、10代が自殺に至る背景や実態のより詳しい把握、検証も不可欠だ。その上で若い命を救う対策を練らねばなるまい。
 子どもの自殺といえば、いじめの有無に焦点が当てられがちだが、白書は「比率としては上位ではない」という。遺書などの裏付けがなく、いじめが原因・動機に含まれなかったケースもあるとみられる。いじめへの早い段階での適切な対応が重要なことは言うまでもない。
 政府は昨年、若い世代向けの対策として、民間団体と連携して会員制交流サイト(SNS)を活用した相談事業を始めた。今年3月までに相談件数は約2万3000件に上り、未成年は44%を占めた。
 SNSによる相談は、対面や電話では相談しにくい人の受け皿になったのだろう。こうした相談窓口の充実は自殺抑止の一歩となる。ただ、SNSは相談の入り口にすぎない。地域の保健、医療、福祉などの関係機関や専門家の支援につなげる必要がある。
 一方で、自殺の危機にある子どもは助けを求める方法が分からず、相談窓口も知らない場合が多い。SOSの出し方、相談窓口を学校で教える必要があるのではないか。相談を受ける担い手の育成、支援機関との連携などの取り組みも急ぎたい。
 夏休みが終わる8月末から9月初旬にかけては、子どもの自殺が例年多発する。学校任せでは限界がある。家族や地域を含め、子どものSOSに敏感でありたい。


若者の自殺 増加深刻 国を挙げて食い止めよ
 全体の自殺者数は減り続けているのに、若者の自殺者数のみが増えているのは由々しき事態だ。国や自治体、教育現場は、危機感を持って対策を急がなければならない。
 政府は先月、2019年版自殺対策白書を閣議決定した。18年に自殺した19歳以下は、前年から32人増の599人に上り、人口10万人当たりの自殺者数を示す「自殺死亡率」は2.8人と、1978年の統計開始以降最悪となった。
 10代の自殺者のうち、遺書などから特定できた原因・動機を調べると、学校に関する問題が約3割と最多を占めている。内訳は、学業不振が最も多く、進路の悩み、学友との不和と続いている。
 白書では「若者の状況を把握するとともに、対策の効果検証を行い、見直していくことが必要」と指摘している。「脱ゆとり教育」への転換や、若年層へのスマートフォン普及など、若者を取り巻く環境は変化している。自殺の背景など詳細な分析を進め、効果ある再発防止策を打つ必要がある。
 原因・動機で、いじめの割合は相対的に高くないが、学友との不和などと複合的に絡む可能性があり、見過ごせない。先月には、岐阜市立中3年の男子生徒がマンションから転落死し、自宅からいじめを受けたことを示唆するメモが見つかった。同級生が男子生徒へのいじめを訴えるメモを担任に渡していたが上司に情報が共有されていなかったことが判明しており、学校側の不手際が指摘されている。
 いじめ防止対策推進法では、自殺がいじめに起因する疑いがある場合は「重大事態」として調査することが義務付けられている。国の指針では、いじめの兆候を把握した際、学校が組織的に対応するよう定めている。だが、いじめの認定を巡って調査が難航したり、指針が守られなかったりする例が後を絶たない。これでは子どもの信用をますます失ってしまう。国や教育現場は、教職員への指導徹底や法の見直しなどに不断に取り組まなければならない。
 厚生労働省は、主に若者を対象とした自殺対策として会員制交流サイト(SNS)の相談事業を実施している。2018年度の相談件数は延べ2万件を超えるなど、相談しやすい手段として受け入れられつつある。だが、利用者が女性に偏る傾向があるほか、自治体など関係機関との連携といった課題がある。相談を確実に支援につなげる体制の構築が急務だ。
 新学期が始まる前後の時期には、子どもの自殺が増えるとされている。つらい時には、学校外にも居場所があることを積極的に伝えていく必要があろう。数年前には公立の図書館が「死ぬほどつらい子は学校を休んで図書館へ」などとSNSで発信する動きがあった。フリースクールといった受け皿も増えてきており、地域社会が理解を深めていくことも肝要だ。


[未成年の自殺] SNS相談を効果的に
 昨年自殺した人のうち19歳以下は、前年より32人増えて599人だったことが2019年版自殺対策白書で分かった。人口10万人当たり自殺者を示す自殺死亡率は2.8人と、統計を取り始めた1978年以降最悪となった。
 自ら命を絶つ未成年が後を絶たず、特に夏休み明けは増える傾向がある。自殺を防ぐには抱えている悩みに周りの大人がどう寄り添うかが鍵となる。SOSを見逃さないよう自治体やNPOは相談体制の充実に努めてほしい。
 政府が力を入れるインターネットの会員制交流サイト(SNS)を活用した相談事業も、常に対策の検証と見直しに取り組む必要がある。
 2006年の自殺対策基本法施行などもあって全体の自殺死亡率は低下傾向にある。昨年の自殺者総数は2万840人となり、ピークだった03年の3万4427人から大幅に減少している。だが若年層はほぼ横ばいで、17年の人口動態統計では戦後初めて10〜14歳の死因で自殺が1位となった。
 白書によると、昨年自殺した10歳未満はおらず、19歳以下で特定できた原因・動機の中では「学校問題」を筆頭に「健康問題」「家庭問題」が続いた。学校問題では「学業不振」が最多。「進路の悩み」「学友との不和」が上位に並ぶ。
 小学生の場合は、「しつけ・叱責(しっせき)」「親子関係の不和」といった家庭問題に起因するものの比率が高い。中高生になると、学業不振や進路の悩みも目立つようになり、女子高生については、うつ病が最多となる。
 いじめの比率は小中高で男女ともに低いが、これは遺書などはっきりした裏付けのあるケースだけを計上したためだろう。
 10代前半の自殺は他の世代と比べ、原因の解明が進んでいない。未遂歴のない人も多い。周囲が予兆に気付かないうちにさまざまな要因が複雑に絡み合い、何らかの引き金によって突然、起きるのが特徴である。
 厚生労働省は昨年から民間団体と連携して若者向けSNS相談を始めた。ネットで自殺願望を発信する若者らが適切な相談相手にアクセスできるようにし、踏みとどまってもらおう、という狙いだ。18年度の相談は成人を含めて延べ2万2725件に上った。
 対面や電話でのコミュニケーションが苦手な人でも気軽に相談できるSNSの効果だろう。一方で、顔が見えない中での短いメッセージのやりとりには、互いの認識にずれが生じる恐れもある。的確な問題解決につなげていくには試行錯誤しかない。
 SNSはあくまで相談の入り口である。若者のSOSを確実に捉えて支援につなげるため、相談の担い手育成や支援団体との連携といった体制の整備を急がなければならない。


大学新テストの英語 混乱収拾へ手立てが必要
 来年度の大学入学共通テストに英語の民間資格・検定試験が導入されることに対し、学校現場などからの不安の声が高まっている。
 対象となる検定試験を実施するのは現時点で6団体だが、その多くはまだ試験日や会場などの詳細な予定を公表していない。このため、多くの受験生は、自分の希望する時期や場所で、希望する試験を受けられるかも分からない状況だ。
 全国高校長協会は、不安の解消を求める異例の要望書を文部科学省に提出した。学校の現状は「先が見通せないほど混乱している」という。
 なぜ、こんな事態になったのだろうか。
 受験生は来年4月から12月までにこの検定試験を受ける。6団体の試験から選び、最大で2回まで受験できる仕組みだ。
 受験生が早く勉強の計画を立てたいのは当然だろう。自分の希望する試験がいつ、どこで実施されるのか確定しないままだと困惑するのは無理もない。
 そんな中、予定されていた試験の一つの「TOEIC」を運営する団体が先月になって突然撤退を表明した。「実施運営などが当初の想定より複雑で、責任を持って対応するのが難しい」というのが理由だった。
 その背景は、大学入試センターと各検定団体の間で、試験実施の詳細を定める協定締結に向けた協議がなかなかまとまらずにいたことだ。この問題が学校側の不安に拍車をかけることになった。
 検定試験を巡っては、これまでもさまざまな懸念が指摘されてきた。
 まず、検定団体によっては会場が大都市中心で、地方の受験生には不利となる可能性がある。各試験は出題傾向がまちまちで、中高生向けや留学希望者向けなど対象も幅広い。その結果を公平に評価できるのか。
 こうした懸念が払拭(ふっしょく)されないことから、検定試験の結果の活用を見送った大学もある。
 ようやく今月中に他の6団体との間で協定を締結する見通しはついたが、現場からは「不安が払拭されるまで実施を見送るべきだ」との声も上がっているという。
 文科省はこうした事態を受け、混乱を収拾する手立てを講じる必要がある。


リクナビ問題 就活生の信頼裏切った
 就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京)が、就職活動中の学生の個人データから「内定を辞退する確率」を予測し、企業に販売していた。十分な説明をしないまま、本人に不利に働く可能性のあるデータを商品化したことは、リクナビを信頼して就職活動に利用してきた学生に対する裏切り行為である。
 リクルートキャリアとデータを購入した企業には猛省を求めたい。自ら詳しい経緯や、データ提供の実態などを調べ、明らかにするべきだ。
 リクナビは、主に就職活動を行う大学生向けの最大手のサイトで、登録学生数は約80万人。3万社以上の企業情報をはじめ、さまざまな情報やサービスを提供し、就職活動を支援することをうたっている。
 前年度に内定を辞退した学生や当該年度の就活生の閲覧履歴など、さまざまな個人データを人工知能(AI)を使って分析し、就活生の内定辞退確率を5段階で予測していた。2018年3月に企業へのデータ販売を開始し、38社に試験的に提供した。価格は400万〜500万円だった。懸命に就職活動に励んでいる学生から、不安や憤りの声が上がったのは当然と言える。
 個人情報保護法は、事業で取得した個人情報を第三者に提供する場合、事前に本人の同意が必要としている。リクルートキャリアは当初、就活生の同意を得ているとしていたが、情報の利用目的などについて規約に分かりやすく記していなかったことは認めている。それなのに同意を得たという主張には疑問が残る。
 その後、サイトの一部の画面には個人情報の取り扱いに関する記述がなく、同意を確認する設計になっていなかったとして、約8千人については同意を得ていなかったと発表した。これらの就活生のデータも既に販売されており、サイト運営や情報管理のずさんな実態も明らかになった。この事態を受け、内定辞退確率のデータ販売を取りやめることにした。
 リクルートキャリアは、データを提供した先の企業から合否判定には使わないとする同意書を取っていたと説明する。だが、どこまで厳格に運用できていたかは不明だ。
 判定に用いられたために人生が変わってしまった就活生がいる可能性は否定できない。そんなデータを商品にすることは、社会常識として許されることではない。
 国の個人情報保護委員会と東京労働局は、就活生への説明の在り方が不十分であるなどとして、個人情報保護法や職業安定法の指針に違反していないか調査を始めた。リクルートキャリアとデータを購入した企業は、事実関係を自ら明らかにした上で個人情報の取り扱いの改善に努めることが、信頼回復への道である。


昭和天皇の言葉 歴史の実相解く糸口に
 昭和天皇が独立回復式典で戦争への「反省」を表明しようとした。初代宮内庁長官が残した記録で判明した。当時の吉田茂首相の反対で削除された。昭和史の重要資料で、全文公開を求めたい。
 「私ハどうしても反省といふ字をどうしても入れねばと思ふ」(一九五二年一月十一日)。初代宮内庁長官を務めた故田島道治が記録した「拝謁記」にある言葉だ。手帳やノートで計十八冊にのぼり、遺族から提供を受けたNHKが一部を公表した。
 後悔や反省のお言葉は五二年五月の式典で語られるはずだった。吉田首相は「戦争を御始めになつた責任があるといはれる危険がある」と反対した。天皇の謝罪については加藤恭子氏の先行研究があり、すべてが新事実とまで言えない。だが、君主から象徴天皇へと移りゆく昭和天皇の内面を再検証できる意義はあろう。
 まず反省の中身とは何であったか。戦争そのものが天皇自身にも痛恨の極みだったと察せられる。「終戦で戦争を止める位なら宣戦前か或(あるい)はもつと早く止める事が出来なかつたかといふやうな疑を退位論者でなくとも疑問を持つと思ふ」−。そのような記述からも心情がよく理解できる。
 開戦のはるか前に戦争を食い止められたというのだ。ただ当時は軍内部でも上層部を無視する下剋上(げこくじょう)の風潮があった。だから「事の実際としてハ下剋上でとても出来るものではなかつた」とも回想する。言い訳との批判も出そうだが、退位の覚悟を伴っている。「国民が退位を希望するなら少しも躊躇(ちゅうちょ)せぬ」−反省も退位も昭和天皇の本心で信頼にたり得よう。
 統治を掌握する総攬(そうらん)者、陸海軍の大元帥でも防げなかった戦争とは何か。開戦の実相を解くさらなる研究を待ちたい。
 反省の方向が進軍した諸外国に必ずしも向けられていないのは残念である。ただ、中国での南京事件には「ひどい事が行ハれてる」と聞いたとし、「此事(このこと)を注意もしなかつた」と悔やんだ。歴史を修正するがごとき言説がまかり通る現在、昭和天皇の言葉は格段の重みを発するはずである。
 憲法改正や再軍備への言及には、長官から「それは禁句」といさめられてもいる。まずは膨大な記録全文を公開するよう宮内庁は努めるべきである。
 なぜ泥沼の戦争に突入していったか、その糸口になる資料でもある。昭和史への視野がさらに広がろう。


昭和天皇拝謁記 平和希求へ新たな教訓に
 あの無謀な戦いとは何だったのか。天皇であっても止めることはできなかったのか。
 昭和の戦争と平和を再考する上で、貴重な一次史料が見つかった。初代宮内庁長官だった田島道治が書き残した昭和天皇との詳細な会話記録である。
 「拝謁(はいえつ)記」と題された1949年から53年までの手帳やノート計18冊だ。新憲法で「象徴」となった天皇による戦争の総括と、それを基に国民に発しようとした「お言葉」を巡る生々しいやりとりがつづられている。
 特筆すべき第一は、太平洋戦争の「起点」と「終点」に関する認識である。
 拝謁記によれば天皇は、軍部暴走による張作霖爆殺事件(28年)の処罰をあいまいにしたことが「今日の敗戦ニ至る禍根の抑々(そもそも)の発端」と断じた。
 その上で「終戦で戦争を止める位なら宣戦前か或(あるい)はもつと早く止める事が出来なかつたか」と語りつつ、軍部による「下剋上(げこくじょう)」のような勢いに流されたことを告白している。
 第二は、自らの戦争責任への言及である。52年のサンフランシスコ平和条約発効に伴う独立回復式典での声明を巡り、「私ハどうしても反省といふ字をどうしても入れねばと思ふ」などと繰り返していた。退位論につながることを懸念した吉田茂首相らが反対し、深い悔恨の念を表現した一節は削除された。
 昭和天皇は戦後30年がたった75年、記者会見で戦争責任について問われ、「そういう言葉のアヤについては、よく分かりません」と答えた経緯がある。
 先の大戦に対する責任の自覚と、それを公に口にすれば国政上の権限がない象徴の規定に反するという葛藤が、一連の流れからうかがえる。再軍備のための改憲論もいさめられた。
 戦前戦中の元帥から象徴に変わりゆく昭和史の重大な断面が示されている。
 上皇さまは、これと同じ内容の話を昭和天皇から聞かれていたという。日本の主権回復を記念する式典声明には反省という文字が不可欠だったという認識を踏まえ、象徴天皇はどうあるべきか、平成の30年にわたり模索された。それが戦争や災害の被災者に寄り添い続ける天皇像の礎となったとも言えよう。
 拝謁記が描くのは、最側近の目を通じた天皇像であり、個人のメモである点も踏まえた今後の検証が待たれる。読み方はさまざまあろう。とはいえ、戦争責任や改憲を巡る政治の論議で、自説正当化のために都合よく引用することは慎むべきだ。
 大事なのは昭和、平成を経た今、未来に向けて平和を希求するために、何を教訓として読み取るかである。


戦没者遺骨収集 ずさんさ排し遺族の元へ
 第2次大戦による日本の海外戦没者は沖縄や東京・硫黄島を含め240万人で、うち112万柱は戦後74年が過ぎても遺骨が帰っていない。厚生労働省によると、フィリピンに36万9千、ノモンハンを含む中国東北部に20万6千、サイパンなど中部太平洋に17万3千柱が残されている。
 遺骨収集を「国の責務」と定めた戦没者遺骨収集推進法も2016年に成立した。政府の収集事業に期待して帰還を待つ遺族は少なくない。だが、それを裏切る失態が相次いでいる。
 先月末に分かったのは、戦後に旧ソ連に抑留され、シベリア地域で死亡した日本人の遺骨として、同省の派遣団が5年前に持ち帰った16人分全てが日本人でない可能性が高いということだった。
 鑑定結果は昨年8月に出たのに公表もしていなかった。同省は「結果の精査や整理に時間がかかった」というが、怠慢との批判は免れまい。
 埋葬地を誤った可能性があるという。経緯を検証し再発を防ぐべきだ。他にも取り違えはないのかという懸念も拭えない。ロシア側とも遺骨の返還などに向けて協議を急ぐ必要がある。
 遺骨収集を巡っては、フィリピンでの事業が「現地住民の遺骨が含まれている」との指摘を受け昨年まで8年間、中断した。16年には旧ソ連での作業中に、DNA鑑定の検体として採取した61柱分の歯を焼却するミスもあった。
 続発する失態の原因について「政府が人物の特定よりも、収集する遺骨の数に力点を置いているためだ」という指摘があるのは気掛かりだ。
 収集の難航は、当時の記録が乏しいことが要因として挙げられる。頼りだった戦友からの情報も年々減り、18年度の収集は836柱と、5年前の3分の1以下になった。
 国は収集推進法の成立を受け、24年度までを収集の集中実施期間としている。正確さを欠くことなく、作業を急がねばならない。
 遺骨収集の最大の目的は遺族に返すことである。厚労省は03年度以降、遺留品が記名されている場合などにはDNAを使って身元特定に努め、1200人近くの身元が判明した。しかし、DNA抽出の可能性が高い歯や手足の骨が残っていないと、検体として採取しないことなどに対して遺族らの不満は強い。
 その幅が広げられそうだ。遺骨収集の在り方に関する同省の有識者会議は頭蓋骨も検体とし、国内に持ち帰るとする中間とりまとめを今月公表した。現地で荼毘(だび)に付していた従来の方法を改める。
 これで遺骨の返還が進むかどうかは無論、見通せない。厚労省は鑑定を大学に委託しており、その態勢を充実させる必要などもあろう。
 遺族の高齢化も進み、作業は時間との闘いでもある。政府は重い責務を改めて肝に銘じ、ずさんさを排して誠実に取り組むことが求められる。


森友問題捜査終結/行政監視の責務果たせ
 学校法人「森友学園」への破格の国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんを巡り、大阪地検は佐川宣寿元国税庁長官ら当時の財務省理財局幹部らを再び不起訴とし、捜査は終結した。
 森友問題では市民で構成する大阪第1検察審査会が改ざんを「言語道断」と強く批判して「不起訴不当」を議決。それを受けた地検の再捜査だったが、「起訴するに足りる証拠を収集することができなかった」と、市民感覚と乖離(かいり)した結論は覆らなかった。
 安倍政権への忖度(そんたく)疑惑も浮上し、公文書改ざんという民主主義の根幹を崩しかねない「官」の行為に対する真相解明にふたをするかのような幕引きに、釈然としない思いを抱かざるを得ない。
 国会議事録などをめくってみる。昨年5月30日の党首討論で、立憲民主党の枝野幸男代表の追及に、安倍晋三首相は森友問題の「本質」をこう定義してみせた。「なぜあの値段で国有地が引き渡されたのかということ、なぜ小学校として認可されるのかということ」。その5日後、財務省の内部調査報告を発表した麻生太郎財務相は、文書改ざんの動機を問われ、「それが分かりゃ苦労せんのですよ」と語っている。
 それから1年余りも経過しながら首相や財務相自身が言及した、8億円余りも値引きした理由も、改ざんに手を染めた経緯も、核心部分は何一つ判明しないままだ。それどころか、明らかにしようと努力する姿勢も見せなかった。
 森友学園問題は、新設予定の小学校の名誉校長に安倍首相の昭恵夫人が一時就任していたことから、”特別扱い”があったのではないか、と行政の公正・公平性に疑念が生じた。14件もの財務省決裁文書の改ざんのほか、夫人や政治家の記述や、「本件の特殊性」「特例的な内容」といった表現が削除され、交渉記録も廃棄されたことが、それに拍車を掛けた。
 「文書を改ざんする行為は一般市民感覚からすると、いかなる理由があっても許されない」と、検察審査会が糾弾したのも当然だろう。
 捜査当局が役割を果たさないなら、行政監視の責務を負う国会が前面に出る場面だ。財務省が長期にわたり虚偽の資料と答弁によって欺き、民主主義の基盤を揺るがした事態の重さを、与党を含め立法府は深刻に受け止めなければいけない。究明の場を設け、佐川氏ら関係者を呼び、証言を求める必要がある。
 昨年の通常国会閉幕時、大島理森衆院議長が「国民の負託に十分に応える立法・行政監視活動を行ってきたか、検証の余地がある」と異例の所感を発表したことを思い起こしてもらいたい。
 佐川氏は昨年3月の衆参両院予算委員会の証人喚問で、訴追の恐れを理由に肝心な部分の証言を拒んだ。しかし訴追されないことが確定したのだから、再度問いただすべきだ。「国会としての正当かつ強力な調査権のより一層の活用」(議長所感)をいま、行使するときである。
 この問題では、近畿財務局の職員が、文書改ざんを強要されたとのメモを残し、自ら命を絶った。国会は現場で苦悩したこの職員の命の重さを考えてほしい。この国の民主主義が機能するのか、三権分立を本来の姿に戻せるのか、それが試されている。


議会審議中に議長が赤ちゃんを抱っこ、ミルクも与え ニュージーランド
ニュージーランド議会で21日、与党議員が赤ちゃん誕生後に赤ちゃんを連れて初めて登院したところ、審議中に議長が議長席で代わりに赤ちゃんを抱き、哺乳瓶でミルクを与えながら議事を進める一幕があった。
トレヴァー・マラード議長は、議長席でタマティ・コフィー議員の息子を抱いている自分の姿をツイートした。
与党・労働党のコフィー議員(ワイアリキ選出)は今年7月、息子トゥタネカイ・スミス=コフィーちゃんの誕生を発表し、「生命の奇跡に圧倒されている」とツイートした。
赤ちゃんは代理母によって生まれ、遺伝的にはコフィー議員のパートナーのティム・スミス氏の息子。代理母はスミス氏の友人が務めたという。
育児休暇をとっていたコフィー議員は21日、初めて息子を連れて議会審議に出席。自分も3人の子供がいるマラード議長が、議長席でベビーシッターの役を買って出た。
労働党と閣外協力する緑の党のギャレス・ヒューズ議員は、本会議場で息子を抱き上げるコフィー議員の写真をツイート。「議事堂に赤ちゃんがいるのは素敵だ。しかもなんて素晴らしい赤ちゃんだ」と書いた。
コフィー議員はニュージーランドのニュースサイト「Newshub」に対して、「議会全体の同僚たちに本当に支えられている」気がしたと話した。
近年では世界各国の議会で、議員たちが次々に赤ちゃんを連れて登院している。
イギリスでは野党・自由民主党のジョー・スウィンソン代表が2018年に赤ちゃん同伴で審議に出席し、話題となった。オーストラリアでは2017年に緑の党のラリッサ・ウォーターズ上院議員が議席で赤ちゃんに授乳し、注目された。
日本では2017年11月、熊本市議会の緒方夕佳市議が生後7カ月の長男を抱いて市議会に出席しようとしたところ、周りの議員らに批判され、同伴を断念した。
昨年9月には、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相が生後3カ月の娘を同伴して国連総会に出席し、初演説した。
(英語記事 New Zealand speaker cradles MP's baby during parliament debate


東北道上り線佐野SA「スト」を報じるメディアに抱いた違和感
お盆休みの佐野サービスエリアの「スト」報道に違和感
 お盆休みの繁忙期である8月14日から、運営会社従業員の「ストライキ」が発生したことで一躍テレビでも取り上げられていた「佐野サービスエリア」上り線のフードコートと売店。
 テレビ報道では当初から「有名なラーメンを食べられなくて残念」といった声や「なんでこんな時期にストを」という、ストライキすることをネガティブなものとして伝えるような報じ方が多かった。
 しかし、その不信感は、16日に営業再開を報じたニュースでピークに達することになる。
 テレビ朝日が、「佐野SA再開 新たなスタッフ集め名物ラーメンも復活」 と、「ストライキ中に別の従業員を雇用して営業を再開」というニュースを、まるで朗報かのように報じたのだ。
 その結果、この「ストライキ中に別の従業員を雇用して営業を再開」について、SNSでは「スト破りだ」との声が続出したのである。
「スト破り」とはなにか? その法的な問題点
 この「スト破り」について、労働法に詳しい弁護士の松基憲氏はこう語る。
「スト破りは、正式な法律用語ではありませんが、伝統的に用いられている用語で、おおむね『ストライキに参加している労働者以外の労働者がストの欠員をカバーするために就労すること(就労させること)によってストの実効性を減殺すること』、『そのような代替労働者』、場合によっては『ストから離脱して就労をすること』などを指しています。英語ではscabと言われます。
 日本の労働組合は企業別組合が多いので、組合がストライキをしても使用者が労働市場から代替労働者を確保しやすいと言われたりしています。
 そして、代替労働者として派遣労働者の派遣を新たに受けることや、ハローワークを使って代替労働者を雇うことは法律で禁止されています(職業安定法20条、労働者派遣法24条)が、スト中に新しい人員を雇って営業を再開すること自体は違法ではないんです。
 最高裁も、「ストライキ中であつても業務の遂行自体を停止しなければならないものではなく、操業阻止を目的とする労働者側の争議手段に対しては操業を継続するために必要とする対抗措置をとることができる 」と述べています(最高裁昭和53年11月15日 決定)。ただし、使用者(企業)が、スト実行中の組合員に対して「ストを離脱したら昇進させてやる」など言うことは、組合の団結権を不当に侵害する不当労働行為として違法評価を受けます」
 違法性がないとなると、こうしたスト破りに対抗する手段は労働者側にはないのだろうか?
「労働者側とすれば、伝統的には『ピケッティング』という半実力行使策を講じてきました。事業場の出入り口付近で隊列を組んで代替労働者の入場を阻止したり、取引業者の入場を阻止する方法です。
 最高裁は、このような実力行使のピケッティングの適法性・違法性について、『法秩序全体の見地』(刑事事件)から評価したり、『説得活動の範囲』内(民事事件)で適法としたりしています。なので、実力行使で入場阻止することは原則として違法です。
 一方、説得活動の範囲ならば適法なので、スト参加労働者が集まってストの規模が大きいことや企業の不当行為を周辺で知らせることはできます。
 それ以外の対抗手段としては、職場占拠(操業を妨害しない範囲で適法とする判決が多い)、ボイコット(不買運動)、怠業などが考えられます。
 ボイコットは、今回のラーメン店では効果的ではないでしょう。
 怠業は、働きながらも業務のスピードを遅くすること(スローダウン)などで、代替労働者を阻止できるという意味で効果を発揮することがあります。一応働きながらも、ラーメンを作る時間をおそーくしたり、ゆっくり歩いたりして営業を内部から部分的に妨害する戦略です。これは、代替労働者を阻止できると言う意味で非常に高い効果を発揮することがあります。もっとも、接客業従事者の良心に反するかもしれませんが……」
 もっとも、違法性がないとしても、「新しい人員を雇って営業を再開する」ことは、企業側にダメージがないわけではないという。
「ニュース記事からの情報も不明確なところが多いのでわからないとこともありますが、スト欠員カバーに当たった代替労働者がほかの店から来たのであれば、当該ほかの店が人不足になっているはずです。なので、ストが長引けば、企業全体へのダメージは膨らみます。
 スト欠員カバーの代替労働者が、新たに雇った労働者ならば、スト終了後に以前の労働者が職場に戻ると人が余ります。そうすると、誰かが退職することになり、労働問題になります」
 一方、「佐野SAの”ストライキ”は正式な手順を踏んでいない」などの批判も見られたが、そのへんはどうなのだろうか?
この「ストライキ」は正式な手順を踏んでいない!?
 この「ストライキ」だが、実は労働争議として正式な手続きを踏んだ「ストライキ」ではないようなのだ。
 大まかな流れとしては、東北自動車道上り線佐野SAの運営会社である「ケイセイフーズ」が資金難にまつわるトラブルに対応していた総務部長の加藤正樹氏が解雇されたことに複数の従業員が異を唱え、40〜50人のスタッフが部長の不当解雇撤回を求めて出勤を取りやめたのだという。ただ、このときの名目が「おなかが痛いので休む」という理由だったというのだ。(参照:東スポWeb)
 また、SNSでは「組合がなかった」などの言説も散見した。
 「正式な手順」によるストライキとはいかなるものなのか? 前出の松弁護士はこう語る。
「基本的には、ストというものは、行き詰まった団体交渉を打開するための手段として労働組合が行う場合にのみ正当性を有します。そうでない場合は、威力業務妨害になる可能性もあります。そのため、原則としては、労働問題が起きた場合、組合が団体交渉をして、『譲歩しなければストするぞ』と予告してから、それでも会社が折れない場合にはじめてスト開始するのが正しい手順です。ただ、交渉の内容によっては予告なく、または、早いタイミングでのストもあり得ます。ニュース記事だけでは正確な評価はできませんが、今回は解雇の撤回を要求していたようです。これは緊急性がありそうですので、状況次第では予告なしのストが適法になる場合があると思います。会社が財務危機に直面している状況で部長が解雇されたという事実をある種の異常事態であったと考えれば、なおさら緊急性があったといえるかもしれません」
 果たして、組合はあったのか? 事前通告はあったのか?これらの点について、ことの発端となった「解雇」の対象者である加藤正樹氏に話を聞いてみた。
「労組は今年1月に結成書を作成し、7月に第一回大会を行いました。もっとも、本を読みながら委員長が作った手作りの組合ですが。団体交渉自体は、元総支配人のパワハラについての抗議やエアコン設置などが要求です。
 今回の”ストライキ”に関しては、東スポの報道の内容で間違っておりません。
 ことがここに至るまでに、現社長についてのさまざまな問題があり、その途中に突発的に私が解雇されたため、従業員の大半は経緯を知っていたので、解雇が引き金となって”ストライキ”となったわけです。ただ、当初は、私の解雇撤回の要求はすぐのまれると思っていたようで、みんな2〜3時間で終わるものだと思っていましたので、みんなすぐに現場に行ける準備もしていたそうです。翌日も翌々日も、みんなで集まって準備していました」
 どうやら、今回の「ストライキ」自体は、解雇撤回という緊急性のある事態に、組合主導ではないが従業員が話し合いのなかで一致して取った行動であるようだ。
労働者側の代表者は公開質問状をネットにアップ
 解雇された加藤正樹氏はFacebookに公開質問状をアップしている。(注:その後、19日14:33付けで、”経営陣側から、公開質問状について回答したいので16時から会いたいという連絡がきました。しっかり質問に対しての回答を頂けることを期待します。”と投稿されている)
”【拡散希望】
<公開質問状>
佐野サービスエリア
株式会社ケイセイ・フーズ
代表取締役社長 岸敏夫様
代表取締役 岸京子様
監査役 横堀先生
まともに話ができるチャネルがないため、このようなかたちで、質問させて頂きます。
佐野SAの経営は危機的状況です。
メインバンク群馬銀行による新規融資凍結処分がかなりの痛手であると、私や取引先の皆様も考えています。
ケイセイフーズは銀行から片柳建設グループとみなされています。
メインバンクから、片柳建設グループ全体に対し、新規融資凍結処分が下されてそろそろ3ヵ月。
借金の返済の滞納も3ヵ月目。
この問題が解消しないかぎり、我々従業員だけが戻っても、問題は解決しない可能性がきわめて高いのです。
岸敏夫社長は、常々、自らのことを有能な経営者であるとおっしゃいます。経営危機の説明会のときですら、根拠を示さず「大丈夫です」と繰り返しました(取引先の多くが説明会翌日に、商品をすべて撤去したことを覚えていますか?)
あなたはこの現状を「大丈夫」と言いますが、「有能な経営者」なら、その根拠を教えて頂きたい。
逆に「事実無根」というなら、メインバンクの群馬銀行に、「ここ3ヵ月ぐらいの間、融資が凍結されていた事実はありません」というメッセージをもらってください。ウソ情報で大金を貸し付けている取引先がつぶれることは、群銀にとっても避けたいことでしょうから、事実無根なら、協力は貰えるはず。ぜひもらってください。
そして、佐野サービスエリア再生のための事業計画を立て、必要な新規融資を獲得してください。
経営者とは、そういう仕事です。
今まで、部下や業者に命令すれば、簡単に企画書や事業計画書ができあがるものだと思っていませんでしたか?
「俺は社長だ。命令するのが仕事だ。部下や業者がなんとかするものだ」
会社が危機的状況の中で、そんな考えは通用しません。
たとえ・・・・
たとえ、この大問題をクリアしたとしても・・・残念ながら、再開するためにクリアすべきハードル、特に信用を回復するためのハードルがいくつかあります。
だた、少なくともここをクリアしてもらえないと、今月中の経営破綻も視野に入ってくるので、従業員も取引先の皆様も、この点のクリアは必須と考えています。
岸敏夫社長。
あらためてお願いします。
危機である今こそ、あなたの経営者の資質をみせてください。
この大問題の解決案をじっくり検討し、メドを立ててから交渉に挑んでくださることを期待します。
あなたがたは夫婦でほぼ全株を握る筆頭株主です。
騒動が収束したら、私をクビにしても恨みません(もうそういう次元の話ではないので)。
私は私で従業員たちと一緒に、佐野SA再生のための事業計画を策定をはじめたいと思います。
その提案を、まずは世間の皆様にみてもらいたい(もちろんケイセイ経営陣にもみてもらいたい)。
できれば、佐野市長、石井国交大臣はじめ政治家の皆様、国交省、NEXCO東日本、ネクセリア東日本の皆様にもみてもらいたいです。
この公開質問状への回答、よろしくお願い申し上げます。
加藤正樹”
 ただ、これもなぜ組合名義の声明でなかったのかは疑問が残るところだが、この点について加藤氏は「損害賠償等が発生した場合、私以外に行ってほしくない」ことや、「管理職なので、私が労組に入ると労組法上の労組ではなくなる恐れがあるため、私自身は組合員ではないから」といった理由を上げていた。
労働者側の声も「スト破り」の可能性も報じぬメディア
 このように、佐野SA運営会社「ケイセイフーズ」の今回の”ストライキ”は、一筋縄ではいかない様相を呈している。しかし、一旦その当事者間の争いを離れてみると、明確な問題点があるように思う。
 それは、多くのテレビメディアが、なぜこのような事態になっているのか、現場の労使間の主張をキチンと取り上げて明確にすることをないがしろにして、利用客が迷惑だ、困った、残念だと言っている声ばかり紹介した点である。
 メディアであれば、営業再開を喜ぶ利用客の声を報じたとしても、その一方で、従業員がこのような行為に踏み切るに至った経緯を報じる必要があるし、この営業再開についても、違法行為ではないとしても、「スト破り」と呼ばれる行為である可能性が高い点などについても、同じくらい時間を割いて報じるべきではないだろうか。一方的に利用客が不便を訴える様子を映しているだけでは、「ストライキは労働者の権利」であることすら忘れ去られてしまう。
 折しも、NHKの朝ドラ『なつぞら』でも、主人公たちが会社と交渉を行う様でも頑なに「組合ではない」ことを強調するかのようなシナリオに、SNSでは疑問の声があがっていた。
 メディアがこうして組合活動をタブー視したり、世間からネガティブな視線を受けるようなものであるように報じる風潮は、結果として労働者の環境を悪くしていくことに繋がってはいないだろうか?


クールジャパン機構、見えない黒字化への道筋 新体制の下、国内外企業にハイペースで投資
官民ファンドの1つであるクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)が、ここにきて矢継ぎ早に投資を加速させている。
「寄付を寄せてくれた世界中のアニメファンに感謝を伝えたい」
8月にクールジャパン機構が投資を決めたアメリカの日本製アニメ配信・販売会社「Sentai」のジョン・レッドフォードCEOは、こう言って犠牲者に哀悼の意を表した。
機構が投資を決める直前の7月、京都アニメーションの放火事件が発生し、35人が死亡した。レッドフォード氏はニッチ市場向け日本製アニメのライセンス事業を手がけるSentaiを2008年に設立。京アニを支援するクラウドファンディングサイトを立ち上げて寄付を呼びかけていた。
「過去の反省を現在に生かしている」
2013年に設立されたクールジャパン機構の経営陣が一新されてから、ちょうど1年が経過した。
三菱商事出身でサンケイビル社長の飯島一暢会長、イッセイミヤケ社長や松屋常務執行役員などを務めた太田伸之社長に代わり、2018年6月に社長に就任したのがソニー・ミュージックエンタテインメント出身の北川直樹氏だ。北川氏を支えるCOO兼CIOには、投資ファンドのペルミラ・アドバイザーズ社長を務めていた加藤有治氏が就いた。
この2人が引っ張る形で、昨年10月以降、Sentaiを含む国内外の企業9社への投資を決定するなど、ハイペースで投資を実行している。
北川社長は「(旧経営陣が)5年間、何もないところから、相当苦労して案件を立ち上げた。その反省も含めて、現在に生かしている」と振り返る。
旧体制との違いは、「キャッシュフロー投資重視」「現地パートナー重視」「グローバルシナジー追求」など5つの投資ルールを掲げ、投資領域としてメディア・コンテンツ、ファッション・ライフスタイル、食・サービス、インバウンドの4分野を掲げたことだ。
加藤氏は「政策性という観点からは以前とまったく同じものを追求しているが、(収益性の観点では)事業基盤がすでに確立したもの、しかも海外で確立しているものを比較的重視している」と話す。
「決別」を印象づけた動画コンテンツ企業への出資
中でも旧体制との“決別”を印象づけたのが、新体制として第1号案件となる、アメリカの動画コンテンツ制作・配信企業「Tastemade」(テイストメイド)への投資だ。ゴールドマン・サックスやアマゾンなど、著名な大手投資家を割当先とする3500万ドルの増資の一角に食い込むという「幸運」も重なった。
クールジャパン機構は約14億円を投じるが、その後三井物産がテイストメイドへの追加出資を決めるなど、クールジャパン機構が理想とする“呼び水効果”も発揮している。
新体制以降の9件の投資内訳は、メディアが5件に対し、インバウンドの投資はまだ0件。国内企業が4件、海外企業5件と海外企業への投資が目立ち、後述するEMW社のように、マジョリティ(過半数)出資の案件も登場した。
ビジネスを一から立ち上げる「ラフアンドピースマザー」と人工糸開発を行うベンチャー企業「Spiber」を除き、事業基盤が固まってキャッシュフローが出ている、手堅い企業への投資が増えている印象だ。
今年6月と7月には、日本酒関連のビジネスに立て続けに投資した。
「ワインと日本酒は消費者のプロファイルがよく似ている。クールジャパン機構とは共通のビジョンを持っており、お互いの強みを持ち寄って販売プラットフォームを強化していく」
中国・香港のワイン卸売「EMW」のエドワード・デュヴァル氏は、クールジャパン機構から約22億円の出資(実際の出資先はEMW社の持株会社であるTrio社)を受け入れた理由についてそう語った。
アメリカのミレニアル世代に日本酒を売り込む
2003年設立の同社は上海や北京などの主要都市に6拠点を展開。機構としては、同社の販売ネットワークを生かし、2018年現在で220億円程度にとどまっている日本酒の輸出を大きく伸ばしていくことを狙っている。
7月に11億円の投資を決めたアメリカの「Winc」への出資も、現地における日本酒ブランドの確立を狙ったものだ。
日本酒輸出のうち、アメリカ向けは約3割。同社が販売するワインのメインターゲットは、1ボトル当たり15〜20ドルを支払うジェネレーションXないしはミレニアル世代で、そうした人たちに高品質な日本酒を売り込んでいくという。
同社のジェフ・マクファーレン氏は「今年末か来年初めに複数商品を用意し、3〜4年かけて500万ドルの売り上げを目指していく」と期待する。
加藤氏ら企業投資の「プロ」が参画し、投資手法は洗練されてきたものの、クールジャパン機構を取り巻く周囲の視線は厳しい。
「今後新たな産投(産業投資)出資を行う場合には、産業投資と産投機関との間で、あらかじめ出資時に、明確な出資条件を定めることが必要である」
財務省の財政制度等審議会は今年6月、官民ファンドの運営資金の原資を供給している産業投資特別会計に関連し、こんな提言を行った。
「収益性に課題が生じたファンド」
クールジャパン機構や農林漁業成長産業化支援機構(通称A-FIVE)などの4つの官民ファンドは、「収益性に課題が生じたファンド」と位置付けられ、今年4月には収支計画を提出。今後も今年秋と2020年度、2021年度にそれぞれ計画と実績が検証されることになっている。
財務省理財局の山本大輔・財政投融資企画官は「官民ファンドの解散・清算時に出資元本と資本コスト以上を回収するというゴールが危ういようであれば、改善計画をつくってもらうことになる。解散までゴールを達成できるかどうかわからないのでは困るので、今後も定期的、かつ継続的に早め早めの手を打っていくことが求められる」と語る。
投資ファンドはそのビジネスの性格上、最初に赤字が膨らみ、徐々に利益に転じていく「Jカーブ」と呼ばれる収益曲線を描く。たしかにクールジャパン機構は設立してまだ6年弱で、収益化の途上にあるとも言える。しかし問題は、2033年に解散する機構の清算時に、本当に黒字で閉じることができるのか、その道筋が今のところ見えていないことだ。
官民ファンドは安倍政権が発足した2013年から2015年にかけて、相次いで設立された比較的新しい政策ツールだ。政策的必要性が高く、民間だけでは十分に資金が供給されない分野への資金供給はこれまで、日本政策投資銀行や国際協力銀行などの政府系金融機関が担っていたが、2019年3月末現在で5兆6968億円の産業投資残高のうち、官民ファンドは13%を占めるまで存在感を増している。
しかし、日本政策投資銀行など向けの出資は融資業務のリスクバッファーとして使われるのに対し、官民ファンド向け資金は投資の直接の原資となるなど、リスクが大きい。それなのに、新しい政策ツールということもあって、監視の目が十分行き届いていないという問題があった。
これまでの収支決算は179億円の繰越損失
クールジャパン機構がこうした外部の厳しい目を払拭するには、何よりも収益をあげるしかないだろう。
機構は2013年の設立以降、合計38件の投資を行い、業績不振が批判されたマレーシアの商業施設など、3件のイグジット(投資回収)を果たした。その2019年3月末時点での収支決算は179億円の繰越損失だ。
この繰越損失は、約100億円の経費、約80億円の減損損失と引き当て処理からなる。これまで実現した3件のエグジットの収支は「トントン」で、肝心の投資に伴う利益を実現できていない。
カギを握るのは、主に旧体制下で進めた26件(29件投資し、3件は売却)のゆくえだが、エグジットのイメージはまだ見えない。
例えば、110億円を上限に出資するという中国・寧波での大規模商業施設「ジャパンモール事業」(2014年9月決定、110億円を上限に出資)は当初予定を延期し、2019年秋に開業予定という。機構の北川社長は「少なからずの額を投資しているものの、われわれが直接インボルブして(関わって)いないということが、初期案件での1つの形だった」と話す。
今年4月に公表された、クールジャパン機構の2033年度までの投資計画によると、単年度赤字は2023年度まで続き、累積損益が黒字化するのは2031年度。2028年度まで毎年181億円を投資する計画だ。
これだけの投資をこなすには投資に精通した人材を増やしていく必要がある。民間の投資ファンドと比べて決して待遇面で厚遇と言えない機構にどれだけ有為な人材を集められるか。
「政策性」と「収益性」の二兎を追う難しさ
最大の問題は、クールジャパン政策の推進という「政策性」と、機構解散時に純資産がゼロを上回らなければならないという「収益性」の二兎を追う難しさだ。
クールジャパン機構を所管する経済産業省クールジャパン政策課の三牧純一郎課長は「機構ができる以前のクールジャパン政策は、補助金をつけてPRやプロモーションを行う情報発信系イベントが中心だった。ビジネス的な観点は強くなかったが、機構ができてビジネスにつなげるようになった。その差は大きい」と振り返る。
もちろん、何でも「クールジャパン」に仕立て上げればいいというものではないが、本当に政策性が重要なら、補助金という形式で、投じた公金が返ってくることを期待せずに、政策性をひたすら追求すればいい。しかし、官民ファンドでは収益性という「タガ」がわざわざはめられている。
それは、ビジネスとしてゴーイングコンサーンでないと、安定的に政策性を追求できないからだ。これまでの機構はその収益性さえクリアできなかったため、従来の補助金行政との違いを示せなかった。
なぜ公的資金を元手に日本企業ではなく、海外企業に出資して、日本酒や日本製アニメを売ってもらうのか。従来の公的資金の使い方と何が違うのか。まだ十分に理解されているとは言えない「官民ファンド」という新しい政策ツールの意義とリスクを、しっかりと説明していくことが求められている。


広島、福島、そして東京オリンピック
 東京五輪参加選手団に福島産食材の献立を提供するという日本政府の方針に、国際的な憂慮が高まっている。また、五輪聖火リレーの出発点と野球競技場まで福島原子力発電所の近隣に配置された。1964年の東京五輪で、広島への原子爆弾投下当日に生まれた青年を聖火リレーの最終走者として前面に出し、原爆を乗り越えて立ち上がった日本を誇示した事例を模倣したのだ。五輪を通じて、広島再建の“感動”を福島で無理に再演しようとする安倍晋三政権の執着が伺える。
 しかし、広島と福島は放射能被害の側面で大きな差がある。広島の原爆は初期に大量殺傷と生存者の後遺症があったが、さらなる被爆は微小だった。広島の原爆は当時粗悪だった核技術によって搭載された高濃縮ウラニウム64キロののうち、わずか約1キロだけが反応し、核分裂物質の発生量自体が少なかった。また、地表面の土壌と結合して大量の放射能落塵が発生する地上核実験とは異なり、広島原爆は上空580メートルで爆発し超高温の核分裂物質が成層圏近くまで上昇し全域に拡散したため、日本に落ちた落塵も微小だった。しかも半減期(放射性物質で全原子の半分が崩壊するのにかかる時間)が短い核種が大部分であり、半減期3時間のマンガン-56程度が原爆直後の一日に集中した追加被爆の原因だった。長崎の経験も類似している。そのため広島と長崎は別途の放射能除染作業もなしに1950年代中盤には都市機能が完全に復旧した。
 一方、福島事故は大量殺傷はなかったが、時間が経つほど放射能被害が増えている。炉心溶融が起きた原子力発電所の核燃料総量は、高濃縮ウラニウムに換算すれば約12トンに及び、広島の原爆の核分裂反応ウラニウムの1万2千倍の量だ。一時日本政府は、福島で排出されたセシウムが広島の原爆の168倍と発表したが、それも単純な排出量の差であり、高空で地球全域に拡散して残った広島の落塵と地表面で排出された福島の落塵の差は比較にならないほど大きい。
 特に、半減期が約30年のセシウム-137、ストロンチウム-90は、広島がほとんど接することのなかった核種であり、今後数十年以上にわたり日本を苦しめる核種だ。そのうえ、福島の面積の約70%を占める山林は、アクセシビリティの問題からほとんど手つかずで放置されている。日本の学界によれば、このうち汝矣島(ヨイド)の面積の150倍にもなる山林(約430平方キロメートル)が高濃度のセシウム-137に汚染された。山林のセシウムが風雨を通じて住居地や農耕地に移動し、汚染された動植物が加工・流通される危険もある。実際、福島の杉材は地域で依然として流通していて、最近東京五輪の建築材料として出荷されもした。また、希少疾患の小児甲状腺がんは、事故以前はわずか1〜2件だったが、事故後には217件に急増した。しかし、安倍政権は医師たちの調査を妨害し、政府の統制を受ける福島関連各種調査委員会を通じて詭弁を並べ立て、マスコミ報道を統制している。
 経済的負担も天文学的だ。日本経済研究センターは、専門家グループの分析を通じて福島のセシウム汚染土壌を集めた1400万トンの放射性廃棄物は、青森県の六ヶ所村廃棄場搬入費用基準で20兆円の負担が発生すると評価した。また、すでに120万トンに到達し、今後は200万トンに増える福島原子力発電所の汚染水も、トリチウムとストロンチウム除去費用だけで51兆円かかると評価した。住民賠償費(10兆円)まで合わせれば、日本政府の年間予算に匹敵する金額だ。費用を減らそうとする安倍政権は、土壌放射性廃棄物を土木工事に再使用する方針を明らかにし、汚染水は形式的な議論を経て太平洋に放流すると展望されるが、この問題を探査報道する日本のマスコミは見当たらない。
 結局、2013年の五輪誘致戦で安倍首相が明らかにした「状況は統制されている」という主張の実状は、報道機関と市民社会に対する“口止め”だったわけだ。世界で唯一、福島水産物に関し世界貿易機関(WTO)訴訟と勝利を経験した韓国こそ、東京五輪の放射能問題を世界に知らせる適任者だろう。政府の努力を期待してみる。
ソク・グァンフン緑色連合専門委員


平行線をたどった韓日外交…「GSOMIA」関連の韓国政府の決定に注目集まる
大統領府「GSOMIA、早ければ今日発表」 
NSCを開いた後、文大統領に報告 
「延長する代わりに情報交換を中止する」案が有力 
延長拒否の強硬論も根強く、注目集まる 
バンコクでの衝突以来、約20日ぶりに韓日接触 
「協議を約束」などの初の進展にも、各論の隔たりは変わらず

 韓日外相会談が立場の隔たりを再確認し、平行線をたどっている中、大統領府が日本の経済報復へ対抗カードとして検討してきた「韓日軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)を延長するかどうかを近く発表すると伝えられ、韓国政府の対応に注目が集まっている。
 大統領府関係者は21日、「早ければ22日、遅くとも23日にはGSOMIAを延長するかどうかを発表する」と明らかにした。大統領府内部方針はすでにまとめられたとされるが、22日に開かれる国家安全保障会議(NSC)の常任委員会で最終的に点検した後、これを文在寅(ムン・ジェイン)大統領に報告し、政府方針を発表するという順序になるだろうという説明だ。
 大統領府は韓米日安保協力の重要性を考慮し、GSOMIAを延長する一方、当分の間は情報交換を中止する方式で日本に圧力をかける案を有力に検討していることが分かった。ただし、延長の拒否を求める与党内部の“強硬論”が根強い点が政府の決定に影響を及ぼす可能性もある。大統領府のキム・サンジョ政策室長も同日、韓国放送記者クラブ主催の討論会で、「韓米日安保協力は非常に重要な事案なので簡単には決められない」とし、「韓国を信頼できないという国と敏感な軍事情報を交流するのが正しいのかという側面では、最後の瞬間まで検討を重ね、慎重な決定を下す計画」だと述べた。
 同日、中国北京で開かれた韓日外相会談で、両者は従来の相反する立場を固守し、接点を見出すことができなかった。しかし、今後この問題をめぐり、当局者間の接触や協議を続けることを明らかにした。今回の二国間外相会談は、日本が7月1日に韓国に対する輸出規制を発表したことに触発された韓日の紛争局面で2回目の会談だが、事実上は初めて本格的な外交交渉だった。
 しかし、各論では両者は依然として接点を見出せずにいる。カン・ギョンファ外交部長官は「北東アジアの平和と繁栄の土台になってきた自由かつ公正で、透明かつ予測可能な貿易環境が確固たるものになるべきという3カ国外相間の共感を、各国が行動で示さなければならない。一方的で恣意的な貿易報復措置を排除し、地域の貿易にある不確実性を取り除かなければならない」とし、日本側の一方的な輸出規制を真っ向から批判した。
 これに対し、日本の河野太郎外相は会談前日の20日、日本記者たちに「意見交換は望むが、この問題は明らかに韓国側に対応してもらわなければならない話」だというと立場を明確にした。両国関係の悪化の原因は韓国側にあるため、その解決策も韓国が提示すべきということだ。
 にもかかわらず、河野外相は、対話が途絶えないことを望むという点も明確にした。彼は会談直後に行った日本のメディアとの会見で、「互いの立場を明確にしたことに加え、この問題が両国間の最大懸案ということで認識を共有した。問題の確実な解決に向け、外交当局者間のコミュニケーションを続けていこうということでは意見の一致を見た。これからきちんと前進させたい」と語った。さらに「厳しい時期ほど、国民間の交流が重要だ」とし、「むしろこんな時期であればあるほど、国民交流を積極的に行わなければならない」と述べた。また、北朝鮮が短距離ミサイルを繰り返して発射している事実を挙げて、「北朝鮮問題についてしっかりと韓日協力を確認したい」とも述べた。
 カン長官は、日本の輸出規制に対抗し韓国政府がちらつかせてきたGSOMIAの廃棄または更新について、「まだ留保的な立場」であることを河野外相に伝えた。会談に先立ち、外交部側は「GSOMIAを廃棄することも検討している」と明らかにした。特に、GOSMIA問題は同日の会談で日本側が先に切り出し、カン長官は「検討中」という原論的な言及を行った。
 中国側は、韓日紛争を調整する役割に乗り出す姿を見せた。王毅外交部長は20日会談の冒頭発言で、「3カ国間の貿易はこれまで20年間、1300億ドルから7200億ドルへと4.5倍増加した」としたうえで、「中国は韓日との協力を広げていくと共に、多国間主義と自由貿易の原則を守る」と述べた。輸出規制をめぐる韓日間の域内紛争を間接的に批判し、弱いレベルの介入に乗り出したものとみられる。また「中国には『將心比心』(相手の気持ちになって考える)という言葉がある。韓日双方が関心事について互いに配慮し、意見の相違を建設的に解決して、妥当な解決策を模索してほしい」と述べた。しかし、河野外相は会談直後、「中国が日韓関係解決のために介入する可能性があるか」という日本の記者団の質問に対し、「ない」と言い切った。
北京/チョン・インファン特派員、チョン・ウィギル先任記者、イ・ワン記者


GSOMIA破棄!日韓関係をここまで悪化させた安倍政権、八代弁護士・有本香ら安倍応援団は「嫌なら来るな」の大合唱
 22日午後、韓国政府が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を更新しないことを決定した。報道によれば韓国政府は、日本政府による対韓輸出規制について「明確な根拠を示さなかった」とし、「両国の安全保障協力の環境に重大な変化をもたらした」ことを理由にしているという。安倍政権の反発は必至だ。
 GSOMIAは二国間で防衛上の機密情報を共有する協定で、2016年以降、これに基づいて北朝鮮によるミサイル発射実験等での情報提供が行われてきた。安全保障上の影響は決して低くない。
 さっそくTwitterなどでは、ネトウヨたちがまたぞろ「また国交断絶へと前進したなw」などと快哉を叫んでいるが、そもそもこの問題の始まりは安倍政権が仕掛けた“韓国バッシング”にある。周知の通り、安倍政権は人権問題である徴用工問題などに対する事実上の報復措置として韓国への輸出規制や「ホワイト国」除外に打って出た。これは、参院選での争点くらましの目的があったが、当然、韓国政府と世論の強い反発を招き、それがとうとう後戻りのできないところまでいってしまったというわけだ。
 しかし、この間、マスコミからは安倍政権の仕掛けた“嫌韓キャンペーン”を諌めるような声はまったく上がっていない。それどころか、“嫌韓キャンペーン”の片棒をかついできたのがマスコミ、とりわけテレビワイドショーなどの御用コメンテーターたちだ。彼らは盲信的に安倍政権の正当性を主張し、韓国に対してヘイトまがいのコメントを連発する。それに乗せられて世論も「韓国けしからん」一色に染まり、安倍政権の暴走をみすみすと許してしまったのだ。
 しかも、ワイドショーの“嫌韓キャンペーン”はどんどんエスカレートし、最近では「韓国は五輪に来るな」「韓国人観光客はいらない」というようなファナティックなことまで平気で言うようになった。
 その筆頭が、『ひるおび!』(TBS)の八代英輝弁護士だ。八代弁護士といえば、もともと露骨な安倍政権寄りの“御用コメンテーター”だが、とくに韓国絡みの話題では、ハンギョレ新聞と中央日報、朝日新聞を「反日三羽烏みたいなもん」と放言するなど、完全に底が抜けた状態になっている。
 その八代弁護士が、20日放送の『ひるおび!』でも“韓国は東京オリンピックに来なくていい”と言い放っていた。
 番組では、福島第一原発事故の汚染水の処理をめぐって、韓国外交省が在韓日本大使館公使を呼んで事実関係の確認と今後の計画の説明を求めたという報道を取り上げ、「韓国メディアでは日本政府による対韓輸出管理厳格化の対抗措置の一つではないかとの見方も出ている」との話が紹介された。
 続けて「韓国 五輪準備に疑義」なる産経新聞の記事も取り上げ、「韓国オリンピック委員会が福島第一原発事故の影響を念頭に、食の安全や選手の健康を懸念する事前通知を日本側に送付していた」「日韓関係の摩擦が五輪をめぐる国債会議の場にも持ち込まれた形だ」との報道が垂れ流された。
 これに対してコメントを求められた八代弁護士は、「まあ、非常に嫌なときに嫌なことをついてくるなというのが印象なんですけども」と言い、「汚染水処理の問題はいまさら韓国に言われるまでもない」と海洋への希釈投棄について説明したうえで、こう述べた。
「一方で、韓国からこういうことを言う。韓国は本当は隣国で、たとえばこの東日本大震災でいまだに5万4000人もの避難住民の方が日本にはいる。そういった方に対してお見舞いの言葉を言うならまだしも、この関税の報復としてね、汚染水処理の問題をあからさまに取り出してきて、しかもオリンピックにまでそれをかこつけて言ってくる。非常になんて言うんですかね、まあ正直言ってゲスな主張してきてるなと思うんですけども」
八代弁護士「東京五輪、嫌なら来なくて結構」、有本香「「交流大事」という押し付けはやめていただきたい」
 いや、海を隔てた隣国であり、かつ東京でオリンピックが開催されるからこそ、原発汚染水の安全問題に懸念を示すのは当たり前だろう。それを「輸出規制への報復」と決めつけてバッシングのダシにするとは、いったいどういう了見をしているのか。だが、完全に“嫌韓イデオローグ”と化した八代弁護士は、さらにこう畳み掛けたのだった。
「日本はこのオリンピックの問題に対して期間中、韓国に対して他の国とは違って個別対応するっていう姿勢を示してるんですね。ようするに丁寧な説明を韓国にだけするってことだと思うんですが、そんなの必要ないですよね。嫌だったら別に来なくても結構だ、というスタンスでいいんじゃないでしょうか」
 いやはや「嫌なら来るな」と言い放つなんて、まがりなりにも「平和の祭典」とされているオリンピックを何だと思っているのか。それこそ、八代弁護士のほうが韓国バッシングに利用しているではないか。だが、『ひるおび!』ではMCの恵俊彰も他のコメンテーターも、八代弁護士の発言になんら異論を唱えず、これがさも「正論」かのように進んでしまったのである。
 五輪だけではない。安倍政権と文在寅政権の対立で、民間レベルでも日韓の友好イベントやアイドルなどのエンタテインメントによる交流、さらには学校の修学旅行などが中止・延期となり、韓国から日本への観光客も減少している。これは、経済的損失はもとより文化交流にも多大なる悪影響を与えているということだ。
 そんななか、自治体や民間の努力によって、交流を継続しようとする動きもある。たとえば、北海道と札幌市などは19日、新千歳空港や旭川空港で韓国発の飛行機に登場した韓国人の歓迎セレモニーを開催。到着ゲートにはハングルで「北海道へようこそ」と書いた横断幕を掲げた。報道では、訪れた韓国人からの「政府間の関係が悪くても個人の良いつながりは保てると思う」「歓迎の気持ちが伝わった」というような話も伝えられている。
 ところが、安倍応援団はこうした歓迎セレモニーまでバッシングしている。たとえば、最近、自民党に所属しながらリベラル寄りの発言をしている武井俊輔衆院議員が〈日韓関係の悪化に伴い、LCCの運休減便が続発。民間交流、青少年交流に影響が出ないよう努力を続けています。来なくていい!と威勢良くいう方もいますが観光に深刻に影響が出ます〉と当たり前のツイートをしたのだが、これにネトウヨが「韓国人は日本に来なくていい!」などと怒り狂った。そして、この武井氏のツイートに対しては、安倍応援団文化人の有本香氏が〈LCCで来る人たちにはそれなりのサービスで応じるのが筋。一般の国民全般に「暖かいサービスを」「交流大事」という勇ましい押し付けはやめていただきたい〉と理解不能の主張で絡みだした。たとえばこんな応酬をしている。
韓国からの観光客減少に菅官房長官は「中国、欧米は伸びている」と強弁
武井議員〈先程書きました韓国人観光客へのおもてなしについて、来なくていい、迷惑だなどと口汚い言葉の羅列は恥ずかしく暗澹たる思いがします。政治が難しい関係の中、自分のお金と時間を遣って、訪日して頂く方を歓迎すること、それが美しい日本ではないのではないのか、もう一度考えて頂きたいものです。〉
有本氏〈どんな汚い言葉の羅列かは不明ですが、外国人観光客は「来なくていい」「迷惑だ」という国民の声は聞かないということでしょうか。観光産業は良くも悪くも「水もの」的業種。容易に日銭は稼げるが、環境変化に左右され易い。ましてや観光客送り出しを政治カードに使う国への依存は非常に危険です。〉
 いや、誰が見たって武井議員のほうがまともな感覚だと思うが、ようするに、有本氏はLCCがどうのこうのとか詭弁を弄し(もっとも、それ自体が頭が悪すぎるというか差別的である)ながら、結局のところ、言いたいのは“韓国人は日本に来るな!”というネトウヨのヘイトそのものなのである。
 もはや言葉もないが、日本ではいま、こうしたネトウヨを地で行く“韓国排除言説”が大手をふってまかり通っている。もう一度言うが、その流れをつくったのは間違いなく安倍政権だ。事実、政権幹部は文在寅政権批判だけでなく一般の韓国市民をも攻撃の対象とし、徹底して“韓国人は日本に来なくていい”というヘイト・キャンペーンを打ってきた。
 たとえば菅義偉官房長官は先月31日の会見で、日韓の関係悪化で韓国からの旅行客が減少に向かっていることを指摘されて、「中国(からの観光客)は11%以上伸び、アメリカやヨーロッパも二桁伸びている。今年に入っても(訪日外国人の)伸びは続いていることは事実だ」と“問題にしない”との姿勢を見せつけている。さらにこの間、韓国政府幹部との会談などで挑発的な言動を繰り返してきた河野太郎外相、安倍首相の片腕である甘利明元経産相や萩生田光一幹事長代行らも、もはやどうしようもなく低レベルな煽りを繰り返していた。
 そうした挑発の結果、韓国政府も引くに引けなくなり、今回のGSOMIA打ち切り決定のような措置をせざるをえなくなったのだろう。当然、このままでは、とてもではないが東京五輪を契機にした平和的な友好関係の再構築なども望めない。実際、韓国が東京五輪をボイコットすれば、ホスト国である日本は国際的にも厳しい目で見られるだけでなく、今後の北朝鮮の核問題交渉でも、またもや日本だけが“蚊帳の外”に置かれるのは必至。当然、拉致問題についてもますます難しくなってくる。
 何度でも言う。安倍政権とマスコミが“嫌韓キャンペーン”を煽りまくって貿易問題を政治利用した結果、日韓関係の悪化は安全保障上のリスクにまで発展し、この国で生活する人々を危険にさらすことになった。この期におよんでも国民は、安倍首相が招いた状況のヤバさがわからないのだろうか。


「引きこもり国家」へと進む日本
 米国の政治学者サミュエル・ハンチントンは『文明の衝突』で、世界の文明圏を8つに分けて考察した。興味深いのは日本を東アジア文明と区別して独自の文明に設定したという事実である。他のすべての文明が複数の国家を含んでいるのに反して、日本は文明の単位と国家の単位が一致する唯一の文明であるとハンチントンは言う。「文化と文明の観点から見る時、日本は孤立した国だ」。ハンチントンの診断には一定の真実が含まれている。日本は中国と韓国から儒教・仏教の影響を受けたが、同時に神道という固有の宗教体系の下で明治維新以前まで文化的に孤立した世界の中に留まった。明治維新後も事情は根本的には変わらなかった。一方で西欧の近代文明を受け入れ、他方では神道を国家宗教に昇格させてその頂点に「天皇」を置くことで、過去の遺産をむしろ強化した。この天皇崇拝宗教を全面に掲げ、日本は東アジアを侵略し太平洋戦争を起こした。
 ハンチントンが診断した日本の文化的特性は、21世紀に入り再び強化されている。平和憲法を持って世界に向けて腕を広げた日本が、集団的妄想に捕らわれたように自分の中に入り込み退行する姿が明らかになっている。こうした逆行の先頭に安倍晋三首相がいる。安倍の本心は、今年の8・15敗戦記念式で改めて明らかになった。安倍は2012年の第二次執権以後、7年間一度も侵略と戦争の加害者としての責任を認めず、日本国民の「犠牲」だけを称えた。反省とお詫びの言葉は一言も言わなかった。A級戦犯を祀る靖国神社に過去と違うことなく供物を捧げた安倍の後に従う極右政治家50人が、靖国を訪れて過去の栄光に向けて参拝した。自分の行為が生んだ過誤を認め、そこに責任を負うことが成熟の証とするならば、日本政治こそ成熟の入り口から果てしなく滑落する未成年状態にとどまっている。
 安倍は2006年に『美しい国へ』という本を発行し、政治的ビジョンを明らかにしたことがある。執権以後、平和憲法を変えて日本を戦争する国にしようとあらゆる努力を尽くすのを見れば、安倍が思う「美しい」という観念の中には、日露戦争直後や満州事変直後のように大陸侵略と世界制覇に向けて旭日昇天したその時代の日本が入っているようである。しかし、安倍が「美しい国」に向けて進むほど、日本は「美しい国」から遠ざかる。戦争することができる「正常な国家」に向かって進むほど、正常性から離脱して孤立に陥る。これが安倍暴走の逆説である。安倍は自分が美しい国を作ろうと奮闘していると思っているかもしれないが、安倍が自己流の「美しさ」を得ようと闘争すれば闘争するほど、日本は美しさとはほど遠い所に追いやられている。正直であることもできず、自己省察もなく民主的でもない国が、人類普遍の共通感覚が認める「美しい国」になることはできない。
 安倍の日本は、インド太平洋戦略を前面に掲げ、米国と手を取り合い、インドを引き入れて、中国を包囲しようとする。しかし、このような軍事的野心を抱くからといって、安倍の日本が国際社会で尊敬される国に昇ることはできない。過去の過ちを生んだ精神構造を解体して再編しない限り、幻想の中でインド太平洋を疾走しても、現実では矮小化の道を脱することができない。安倍の暴走の終りには、ハンチントンの診断が暗示するように「ひきこもり国家」日本、「孤独な人の国家」日本があるだけだ。安倍の退行を阻止しなければ、日本は真の正常な国家になることはできず、世界普遍の道徳的一員になることもできない。安倍の暴走は韓国には経済的脅威だが、日本国民にははるかに根本的な脅威である。日本国民が目覚めなければ、日本は安倍の妄想とともに永遠の未成年の孤立状態に閉じ込められるしかない。韓国国民の安倍反対闘争が持つ超国家的意義がここにある。一斉不買運動を軸とした韓国の反安倍闘争が日本国民の覚醒を促し、韓日の市民社会の共闘に上昇すれば、この闘争は東アジアに新しい平和秩序を創出する原点になれるだろう。
コ・ミョンソプ論説委員


韓国人歓迎イベントに批判 道知事「交流は必要。感情的でなく」 新千歳など2空港
 北海道が、道内を訪れる韓国人観光客を歓迎するイベントを空港で実施したところ、道内外から「韓国人観光客は誘致する必要がない」「なぜ韓国人を歓迎するのか」などと批判する意見が相次ぎ、観光立国を目指す道関係者らが戸惑っている。鈴木直道・道知事は22日、「交流は必要。感情的でなく冷静に受け止めたい」と呼びかけた。
 元徴用工問題や輸出規制強化で日韓関係が急速に悪化する中、韓国から道内への航空路線の運休や減便が相次ぐ。このため、道や自治体などで作る関係団体は19日、韓国人観光客の減少を食い止めようと、新千歳空港と旭川空港で「ようこそ北海道へ」と韓国語で書かれた横断幕を掲げるなどの歓迎イベントを実施していた。
 これに対し、21日までに道にメールで240件、電話で105件の計345件の意見が殺到。道は現時点で意見の内訳を整理していないが、道外を含め批判的な意見が多く含まれていたという。
 道が宿泊事業者に聞き取ったところ、韓国人団体客らの予約のキャンセルが相次いでおり、鈴木知事は22日の記者会見で「需要が減少する中、北海道が好き、北海道に来たいという思いで来道した(韓国人観光客の)方を歓迎するのは必要」と指摘。「韓国との交流促進に継続的に取り組み、影響の最小化に努めたい」と語った。【土谷純一】


テスト大会で浮き彫り…東京五輪「立候補ファイル」の大嘘
 高温のために馬がヘロヘロになった馬術、真っ赤に火照った顔から流れる汗を何度もぬぐうホッケー選手、台風などの雨水による水質悪化でスイムが中止になったパラトライアスロンW杯……。東京都内では今夏、東京五輪のテストをかねてさまざまな競技が行われているが、ハッキリしたのは、この時期の東京は国際競技大会を開く場にふさわしくないということだ。
 IOCは、2020年夏季五輪の立候補都市に対し、7月15日から8月31日までの間に開催することを決定。これを受け、東京五輪組織委は7月24日から8月9日を開催期間としたのだが、〈立候補ファイル 大会の全体的なコンセプト〉にはこう書いてある。
〈この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である〉
 おいおい、〈理想的な気候〉なら、なぜ、馬も選手もダラダラと汗をかいて死にそうな表情になっているのか。基準を大幅に上回る大腸菌で汚染されたお台場の海で、どうやって〈最高の状態でパフォーマンスを発揮できる〉のか。世界のトップアスリートが組織委の資料を読めば、ほぼ全員が「嘘つくな」とカンカンになるだろう。
 ほかにも〈夏季休暇に該当するため、公共交通機関や道路が混雑せず〉〈ボランティアや子供たちなど多くの人々が参加しやすい〉〈東京においても大会開催に影響を及ぼすような大規模イベントの開催を予定していない〉とあるが、混雑しないのであれば、わざわざ五輪期間中の渋滞対策として、首都高速の料金を変動させる「ロードプライシング」の導入なんて必要ないし、観光案内などを担う都募集の「都市ボランティア」が募集枠に届かない――なんて事態も起きなかった。
 展示会場として利用されている東京ビッグサイトは、五輪によって展示会の規模縮小や中止が懸念されるからこそ、業界団体が怒りの声を上げたのではないのか。
 とにかく、すべてが嘘まみれで、一度決めたら突き進む。五輪組織委の思考は、74年前の、大日本帝国軍部と何ら変わらない。


競泳会場は無駄と杜撰な施設設計の象徴 年6.4億円赤字に
アクアティックスセンター
 新国立競技場に次いで、東京五輪での新設の意義が問われているのがアクアティクスセンターだ。そもそも、隣接する辰巳国際水泳場が五輪施設として規模が足りず、増築でまかなうことが断念されたため新設された経緯がある。施設規模が大き過ぎて、維持費がかかり過ぎる点で、「帯に短しタスキに長し」を地で行く2施設の併存は、無駄と杜撰な施設計画を象徴している。
■6億4000万円の赤字と試算
●将来性=12点
 会期中に設置されている1万5000席を大会後には、さらに費用をかけて5000席まで縮小する計画だ。年間6億4000万円の赤字と試算されている。隣接する辰巳国際水泳場の維持管理費も年間で5億円を超えており、スマートな計画とは言い難い。
●デザイン=22点
 大会後の施設改修を意識したのか、建築の構造は内部空間に可変性を持たせるように4本の大柱で大屋根を支える設計となっている。建築工事も巨大な伽藍のごとく大屋根が吊り下げられたさまは壮観である。
●アスリート目線=17点
 アクアティクスセンターと辰巳国際水泳場を併設活用としているが、隣接とはいえ、まったく別敷地で街区も違う。数百メートル離れた2施設は、選手が競技スタイルのまま移動することは不可能。水泳競技振興と都民活用のためにも、大会後の施設運営活用方法について再考を促したい。
●周辺との融和性=18点
 江東区辰巳は臨海エリアの端部で、緑の豊富な公園が多い。高速道路や鉄道などによって、既存の居住エリアとは隔絶された雰囲気がある。これらの公園やスポーツ施設を、机上や地図上で近いから連携可能とみなすのではなく、歩行者空間と商業施設も含めた街の活性化を検討するべきだろう。
■総合評価=69点


東京五輪マラソン時に台風直撃なら沿道の観客も命の危険
 もし大型台風が東京オリンピック真っ最中の首都圏を直撃したら、一体どんなことになってしまうのか。オリンピック憲章で、競技大会の実施期間は16日間を超えてはならないとい定められているため、たとえ競技日程を順延したとしても、全日程を8月9日の閉会式までに終わらせなければならない。
 東京五輪では男子マラソンが、全競技の「トリ」として閉会式当日の「競技実施16日目」に行なわれる。つまり延期は絶対にできない。
「そのため他の競技に比べ、強行開催のリスクが非常に高いといえるでしょう。もともと高温多湿の夏に開催されることで熱中症が懸念されていますが、雨風もランナーを苦しめる大きな要因になる。強い風雨は大きな抵抗になる上、体を冷やして体力を消耗させるため棄権する選手が続出する。もっと恐ろしいのは転倒や落下物。選手だけでなく、沿道の観客にも命の危険がある」(スポーツ紙東京五輪担当チーフ)
 2018年の平昌五輪でも、強風の中でスキージャンプ・スノーボードなどを強行し、極寒のなかで観客が長時間待たされたり、選手のパフォーマンスに影響が出た。東京都の招致活動で推進担当課長を務めた経験のある鈴木知幸・国士舘大学客員教授がいう。
「こうしたスケジュール優先の強行開催は“選手ファースト”からかけ離れている」
 さらに、五輪のハイライトといえば「新記録達成」の瞬間だ。特に今大会では陸上競技に日本代表の有力選手が目白押し。
「サニブラウン・ハキームや桐生祥秀が100m走で9秒台」
「男子400mリレー、日本新記録で金メダル」
 ──しかし台風がもたらす強風は、そんな期待も吹き飛ばしてしまいかねない。
「200mまでの短距離走、跳躍の走り幅跳び、三段跳びでは追い風が2.1m以上だと『追い風参考記録』となり公認されません。台風が近づけば、たとえ直撃しなくても、強風で記録が認められない可能性がある。
 今年8月の高校総体は台風9号の強風が吹く沖縄で行なわれ、好記録が続出したが『追い風参考記録』ばかりだった。新国立競技場は風雨の影響を受けにくい構造とはいえ、東京五輪でも同じことは十分起こりうる。もちろん向かい風となれば好記録は望めない」(同前)
 夢の記録が幻に──そんな事態は歓迎できない。


河北春秋
 終戦の年の4月の話である。小学1年の妹が学童疎開をすることになった。字は書けない。怖い父は宛先に自宅住所を書き入れた、数多くのはがきを持たせる。「元気な日はマルを書いて、毎日1枚ずつポストに入れなさい」▼脚本家、作家の向田邦子さんの随筆「字のない葉書(はがき)」だ。最初のはがきは大きなマルだったが、次から急激に小さくなり、バツになった。妹は家に戻ることになる。当日夜姿が見えたと聞くと父ははだしで外に飛び出し、妹を抱き締め声を上げて泣いた▼中学校の教科書に載ったので、覚えている若い人も多いかもしれない。この一編が5月、絵本になった。物語の主人公で向田さんの妹の和子さんが企画し、直木賞作家の2人、角田光代さんが文章、自著の表紙画も手掛ける西加奈子さんが絵を担当した▼試行錯誤して「4通り書いた」と言う角田さんの文は簡潔にして分かりやすい。西さんの絵は人物の顔が全く描かれていない大胆な構図で、読者の想像力を膨らませる▼原作の随筆は声高に反戦を唱えてはいない。家族の日常が脅かされる戦争の非情を淡々とつづる。向田さんは1981年に飛行機事故で亡くなった。きょうが命日。絵本となって新しい命が吹き込まれた向田さんの願いが多くの子どもに伝わるといい。

朝ドラ『なつぞら』が宮崎駿・高畑勲も闘った「東映動画・労使紛争」を矮小化! 労働組合の意義、会社との対立をなかったことに
 先週の平均視聴率で20.2%を叩き出した、100作目となるNHK連続テレビ小説『なつぞら』。主演に広瀬すずを据え、戦争孤児の主人公・なつが、引き取られた北海道で開拓者精神を学び、上京した東京でアニメーターとして活躍する物語だ。
 しかも、なつのモデルとなっているのは、女性アニメーターとして先駆的存在の奥山玲子氏であり、奥山氏が入社した東映動画(現・東映アニメーション)といえば、後にスタジオ・ジブリで数々のアニメーション映画を世界に発信してきた高畑勲と宮崎駿という2人の巨匠も在籍していたことでも知られる。高畑・宮崎両監督をモデルとする人物も『なつぞら』には登場するが、高畑・宮崎両監督がこの東映動画で労働組合の活動を通じて関係を深めていったことは有名な話。一体、『なつぞら』では、こうした歴史的な出会いを生んだ労働組合をどう描くのか、放送前から一部で注目が集まっていた。
 しかし、それは想像をはるかに超える“残念”っぷりだった。そして、先週放送の『なつぞら』での労働組合の描き方をめぐって、ネット上で疑義の声があがっているのだ。
 まずは問題となったシーンを振り返ろう。まず、なつは、勤務する「東洋動画」で演出家の坂場一久(中川大志)と職場結婚し、にんしん。しかし、直前には同僚の茜(渡辺麻友)がしゅっさんを機に退職か契約社員かの選択を迫られ退職したばかり。しゅっさんしてもアニメーターをつづけたいと言うなつの思いに対し、同僚たちは「産後も契約に切り替えないで」と社長に直談判に向かう……という展開だった。
 なつを筆頭に、社長室に詰めかける大勢のアニメーターたち。そこで社長はこう言う。
「君はなんなんだ。これは一体どういうつもりですか? 他の人を巻き込んで、まるで組合のデモじゃないですか」
 すると、なつの上司で作画課長の仲(井浦新)は「そう思っていただいても差し支えありません」と返答。社長が「いつから組合員になったんですか?」と詰め寄ると、今度は映画部長の井戸原(小手伸也)がこう言い放つのだ。
「これは組合を超えた我々ひとりひとり、個人的な支援と考えていただいて結構です」
 組合を超えた個人的な支援──。“仲間たちの団結”という美談のようにも映るが、労働組合の存在をなきものにした挙げ句、労働者の権利を訴える組合の連帯を一段下に落とし込んでいるのだ。
 しかも、この描写が問題なのは、主人公・すずのモデルである奥山氏も、高畑・宮崎らとともに労働組合で活動、会社の女性差別と闘い、その権利を掴み取った人物だったということだ。
 この「これは組合を超えた我々ひとりひとり、個人的な支援」という台詞には、コラムニストの斎藤美奈子氏も21日付の東京新聞のコラム欄で〈何それ。労働組合の団体交渉ではないと? 主人公のモデルとなった奥山玲子は東映動画の組合活動も頑張った人なのに?〉と批判したが、実際はどうだったのか。『日本のアニメーションを築いた人々』(叶精二・著/若草書房)におさめられた奥山氏へのインタビューから紐解こう。
『なつぞら』のモデルとなった女性アニメーター・奥山玲子と労働組合
 まず、奥山氏は戦争孤児であるすずとは違い宮城県で両親のもとに生まれ、小学校時代に敗戦を体験した。敗戦で価値観がくつがえったことで「完全に大人不信」になった奥山氏は、ミッションスクールの中学校で〈聖書の時間に、「神がいるなら何故戦争が起きたのか」と先生を問いつめたり、周囲の大人たちに「第二次世界大戦の開戦時に二〇歳以上だった人はみんな戦争犯罪者だ」と突っかかっ〉る少女に成長。「カミュやサルトルの実存主義にかぶれました。私はボーヴォワールのようになりたいと思っていました」と振り返っている。
 事実を変えなくてもこの奥山氏の少女時代で十分、インパクトのある朝ドラ主人公になったように思えるが、その後、奥山氏は東北大学教育学部に進学するが〈家出同然〉で上京、職を転々としてから1957年に臨時採用で東映動画に入社。しかし、そこで奥山氏が直面したのが、差別的な待遇格差だった。
「東映本社採用の大卒男子が月給一万三千五百円、その下が東映動画の定期採用大卒男子、同女子、その下が定期採用高卒男子、同女子の順で、それぞれが千円から五百円くらいの差。更にその下が臨時採用で、これは男女差なく定期採用者の半分程度。(中略)確か大卒は六千円、高卒は五千円。私はこの理不尽な格差は絶対に許せないと思いました。
 定期採用の人は一日のノルマが動画十五枚くらいで、定時にさっさと帰ってしまいます。臨時の人は残業残業で、ものすごく働いていました。残業代がないと食べていけないからです」
 こうした待遇格差にくわえ、奥山氏が憤ったのが女性差別だった。
 「実績重視の現場でしたが、「女性には原画は無理」「せいぜいセカンド止まり」という上層の差別的な超えが漏れ聞かれました」
「(奥山氏より少し下の)定期採用女子は、入社時に「結婚したら退職する」と誓約書を書かされたそうです。昇格と引き替えに生涯独身を迫られた人もいました。そういう差別的空気に心底怒りを感じて、「よし、私は結婚して子供を産んで、しかも第一線から降りないで仕事をするぞ!」と決意しました」
 そして、奥山氏は労働組合に入って積極的に活動。組合副委員長を務めた高畑や、書記長となった宮崎とともにアニメーターの待遇改善に取り組んだ。奥山氏は東映動画の同僚で、のちに『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』などのキャラクターデザイン、作画監督を務めた小田部羊一氏と結婚・しゅっさんするが、会社を辞めなかった。「結婚して子供を産んで働き続けるというのは私が最初のケースでした」と言うように、女性の働く権利を死守したのだ。
奥山玲子は夫の解雇に異議申し立て、宮崎駿・高畑勲らと共闘し撤回させる
 だが、奥山氏の闘いはまだつづく。ドラマと同様、奥山氏もしゅっさんによって会社側から契約への切り替えを持ちかけられたのだ。しかし、奥山氏は「私は、みんなと一緒に会社の枠組みの中で差別や格差と闘いたかったので、その話を断りました」という。すると、会社側は「ボーナスや昇格の査定でガタッと下げ」てきた。このことに奥山氏は「子供を産んだら仕事は辞めろと言わんばかり」だと憤慨したが、次に会社側は夫である小田部氏のほうに矛先を変えたという。
 当時、東映動画ではテレビアニメを手掛けるようになったことから「勤務体系がルーズ」になり、「夜が遅い分、朝の出勤が遅くても何も言われない状態」になっていたのだが、そんななかで奥山・小田部の夫婦は子どもの保育園送迎のために自動車免許が必要になっていた。そこで小田部氏は、勤務時間中に抜けて教習所に通ったのだが、それが問題となってしまったのだ。
 このころ、奥山・小田部夫妻はともにテレビアニメの制作に携わっており、普通に考えて夫婦でテレビアニメの制作に従事しながら子育てすることは並大抵の苦労ではなかったはずだ。そんななか、時間をやりくりして免許取得のために教習所通いすることも致し方がないと思うが、会社側はこれを「職場離脱だ」と問題化。ついには、小田部氏は「解雇通告」を言い渡されてしまう。
 だが、この問題を、当初は組合も「個人的な問題」だとして採り上げなかった。しかし奥山氏はひるまなかった。
「私はこれは共働きに対する攻撃だから取り組んで欲しいと訴え回って、解雇撤回闘争を取り組めることになったんです。その時、ペコ(中谷恭子氏)は真っ先に共感してくれて、パクさん(高畑勲氏)と宮さん(宮崎駿氏)が真剣に取り組んでくれました。本社の組合員の方や弁護士さんまで来てくれて、降格と減給ということで何とか決着がつきました」
 女性として、子をもつ者として、正当な労働者の権利を訴え、組合活動で会社を変えていった奥山氏──。にもかかわらず、このような奥山氏の組合活動は『なつぞら』では一切描かれず、それどころか「これは組合を超えた我々ひとりひとり、個人的な支援」などという台詞によって組合活動を否定さえしたのだ。
 その上、労働組合を描かなったことで、物語自体が薄っぺらくなってしまった部分もあった。坂場がはじめて長編映画に取り組んでアニメーターたちの結束は強まったものの、興行的には大失敗、その責任をとって坂場は「東洋動画」を去る……という部分だ。
高畑勲初監督作品『太陽の王子 ホルスの大冒険』も労働組合があってこそ生まれた
 この長編映画は、坂場のモデルとなっている高畑勲の映画初監督作品『太陽の王子 ホルスの大冒険』が下敷きになっているはずだが、この作品制作は労働組合の活動があってこそ生まれたといってもいい作品だ。奥山氏はこのように振り返っている。
「それまでの演出は、アニメーターに大胆に任せる作画主導型でした。この作品では初めて演出主導の中央集権的なスタイルになったわけです。思いつきのアイデアを連ねるのではなく、作品本意でアイデアを演出が取捨選択する。キャラクターは公募したものを大塚(康生・作画監督)さんの個性でまとめて形にする。そうした新体制と「きちんとした作品を作りたい」という組合の意志の下に、賛同する人が集まりました」(前掲『日本のアニメーションを築いた人々』より)
 同様に、作画監督の大塚康生氏もこう綴っている。
〈東映動画の長編アニメの歴史のなかに、突然変異のように生まれた『太陽の王子 ホルスの大冒険』を考える時、労働組合の存在をぬきにしては語れない部分があります。高畑さんも私も、その他すべてのスタッフが、それまでの組合活動を通じて、いい映画を作りたい、では、いい映画というのは何なのかということをよく話しあっていました。そして、その問いに答えようとしたのがこの映画だったのです〉
〈制作過程でも、高畑さんは組合民主主義を体現していました。この映画に参加した私には、それまでのどの映画よりも、自分の持っている可能性が生かされたという喜びがありました。たぶん、全員に同じような感激があったと思います〉(大塚康生『作画汗まみれ』文春ジブリ文庫より)
 大塚氏によると、当時の東映動画は〈各パートのあいだ、アニメーターのあいだの交流がなく、相互不信がひろがっていて、作品をいっしょに作っていくという結束に欠けていた〉が、〈組合の組織化の過程で自然とほどけていきました〉という。このようななかで制作された『ホルスの大冒険』はその結晶とも言えるものだったのだ。
 だが、『なつぞら』では労働組合の活動をなかったことにしてしまったため、こうしたアニメーターの結束や「きちんとした作品を作りたい」という意志、これまでになかった制作スタイルといった重要な部分が掘り下げて描かれなかった。『なつぞら』は、女性アニメーターとして先駆的存在である奥山氏をモデルにし、さらには高畑・宮崎をモデルにした人物まで登場させながら、「アニメ制作の現場の話よりも恋愛模様ばかり」という意見もあがっているが、その要因のひとつには、現実にはあった労働組合の存在を無視したことにあるのではないかと思わずにいられない。
『なつぞら』はレッドパージや検閲も描きながら掘り下げず問題を矮小化
 いや、それどころか『なつぞら』では、坂場は長編アニメ映画の興行不振の責任をとって「東洋映画」を退職してしまうのだが、実際には高畑は降格処分で残り、その後、大塚氏が移っていたAプロダクションに宮崎や小田部氏とともに移籍している。高畑らの退職理由について大塚氏は、「当時、東映では僕を含めて新鮮な企画が通らなくなっていましたから」と述べている(「おおすみ正秋の仕事場」インタビューより)。
 会社との対立が退職理由だったのに、それが興行不振の責任に置き換わるとは──。じつは『なつぞら』では、作中に登場するアニメーションの制作に東映アニメーション(1998年に東映動画から商号変更)が入っている。NHKは東映動画に気をつかって、組合による労働争議や優秀なアニメーターが続々と抜けていった歴史を描くことを避けているのかもしれない。
 しかし、はたして問題はそれだけなのだろうか。たとえば、『なつぞら』では、労働組合問題だけではなく、当時あった問題を取り上げながらも矮小化するような場面が散見されていた。
 たとえば、なつは「東洋動画」の採用試験を一度落ちているのだが、その理由はなつの兄が新劇の劇団「赤い星座」にかかわっていることを、社長が「あそこは戦前からプロレタリア演劇の流れを汲む劇団じゃないか」と問題視したことだった。つまり、なつはレッドパージに遭ったわけだが、作中では「誤解されてしまった」として処理され、レッドパージそのものの理不尽さや違法性にはまったくふれられなかった。
 また、のちになつと結婚することになる坂場が演出した『ヘンゼルとグレーテル』をめぐって、上司たちが「これって社会風刺じゃないか」「これはアメリカと日本の関係を表しているんじゃないだろうね?」と追及する場面も出てきたのだが、こうした“検閲”についても、その不当性を問題にするのではなく、“アニメは子どもが観るものという価値観”の問題にすり換えられてしまっていた。
 反体制への弾圧を取り上げながら掘り下げることもなく、それに対する抵抗も描かない……。ようするに、表現の自由や労働者の権利といった重要な部分について、『なつぞら』はあまりに無頓着すぎるのだ。
 前述した斎藤美奈子氏のコラムでは、『なつぞら』の労働組合の描き方と、佐野サービスエリアで起こった従業員のストライキによる営業停止を「利用客に戸惑いや落胆が広がる」などとまるで迷惑行為であるかのように伝えたメディアの姿勢と合わせて、〈こうして曖昧にされる労働者の権利。ニュースといいドラマといい、何を気にしているのか知りたいよ〉とまとめていた。
『なつぞら』の描写は、NHKや脚本家の無意識によるものなのか、はたまた“敢えて”外しているのか、その真意はわからない。しかし、「ボーヴォワールのようになりたいと思っていました」と語る奥山氏を主人公のモデルにしながら、この描き方はあまりにも残念としか言いようがないだろう。


論文コピペで博士号…不正告発した教授を「大学が排除」のその後 このままでは内部告発ができなくなる?
伊藤 博敏 ジャーナリスト
論文不正を告発し排除された2人
国立大学法人岡山大学の森山芳則・元薬学部長と榎本秀一・元副薬学部長が、14年9月25日に下された「学部内でのパワーハラスメント行為や外部への情報提供を理由に下された停職などの処分」を不服として、停職処分の無効確認と地位確認を求めた民事訴訟は、今年5月31日、岡山地方裁判所によって敗訴判決が言い渡されたものの、両氏は広島高等裁判所に控訴、8月14日、「控訴理由書」を提出した。
大学側の各種処分は、岡山大学で横行していた論文不正に気付いた両氏が、当時の森田潔学長に内部告発した結果だった。
森田学長は、この“不祥事”が表沙汰になるのを恐れたのか封印。そればかりでなく、両氏のパワハラなどを理由に停職などの処分を下した。森山氏は、「判決は絶対に承服できない」として、控訴理由を次のように語る。
「裁判所は、『論文不正はなかった』という大学側の主張を全面的に採用。しかも、我々を排除するために行なったパワハラ調査委員会の結果を受け入れ、処分理由にした。大学の隠ぺい工作に裁判所が手を貸した。こんなことが許されていいハズはありません」
この判決は、「フリーライター伊藤博敏への情報提供」と、私の実名を挙げ、そうした情報をもとに行なった記事が、「被告(岡山大学)の最高学府としての権威や研究への信用性を大きく揺るがせるもの」として断罪した。
これは看過できない問題である。
両氏が、地元メディアや私への情報提供を行なった14年1月から2月にかけては、論文不正問題が医薬業界を揺るがせていた頃である。
厚生労働省は、14年1月9日、医薬品大手・ノバルティスファーマを薬事法違反で東京地検に告発。
これは降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)に関するものだったが、ひとつの医薬品、1社のメーカーの問題ではないことは、医薬業界関係者なら誰でも知っていた。
私は、両氏の情報をもとに、本サイトを含む幾つかの媒体で記事にした。
データ改ざん、不正論文が次々発覚!製薬業界と大学「癒着の構造」に切り込んだ2人の岡山大学教授の闘い>(14年2月13日配信)と題する記事では、事件の背後には、「製薬業界と大学(研究者)の癒着がある」としたうえで、両氏の告発の意味を次のように書いた。
「その第一段階の『癒着』を、大学内部から改革しようとする貴重な告発者が現れた。岡山大学薬学部の森山芳則薬学部長と榎本秀一副薬学部長である」
その思いは、5年を経た今も変わらないのだが、大学と両氏の争いはどのようなものだったのか。
「この件については騒がないで欲しい」
発端は、11年頃、「実験を行なっていない大学院生の学位論文」に、2人が素朴な疑問を抱いたことだった。なぜ、学位論文を提出できるのか――。
調べると、他人の論文をコピーしただけ。既に同じ手法で2名の博士号が発行されていた。しかも“手引き”したのは指導教授だった。12年1月、森山氏はその実態を大学に告発した。
ところが、同年3月、森田氏に呼ばれた森山氏は、「この件については騒がないで欲しい」と伝えられた。「(不正暴露をやれば)大学が大変ことになる」という理由だ。
森山氏は研究者として許せなかった。さらに論文不正の横行が伝えられたため、学生から有名教授の研究論文まで、200本以上を調べたところ不正を疑われる論文が28本にも及んだ。映像の使い回し、統計データの杜撰な使用、データの捏造……。
しかし、大学側は無視を貫く。最後の措置として森山氏は、13年12月、大学の規則「研究活動に係る不正行為への対応に関する規定第4条」に基づく、公式の内部告発を行なった。
この間、森山、榎本の両氏は追い詰められていた。前身が旧制岡山医科大学で歴史があり、森田学長以下執行部は医学部出身者で占められている。
彼らは、薬学部に対して圧力を加え、12年12月、森山氏に2回目の学部長選挙に出馬しないように要請、同時に、榎本氏の更迭を要求する。
森山氏は双方拒否、13年4月、両氏は教員の支持を受けて薬学部長、副薬学部長に選ばれ、第2期体制をスタートさせる。
だが、執行部は森山、榎本の両氏に部内でのパワハラ行為があったとして、13年9月、ハラスメント防止・調査委員会を組織、両氏へのヒヤリングを行なった。
その結果、パワハラ認定を行ない、一番目の停職・解雇理由となった。二番目の理由が記者会見や取材を通じて、論文不正や隠ぺい行為があったという情報を流し、「大学の名誉と信用を著しく毀損した」というもの。
私やメディアへの情報提供が処分理由になっているわけだが、両氏は、研究者としての良心に従って「不正を正すことが権威や研究の信頼性を高める」と、信じて告発を行なった。その相手が学長だったという意味ではルールに則っている。
が、大学側は反応せず、不正を隠ぺいしたばかりか、逆に学部内での改革を進める両氏を、ハラスメント委員会を通じて攻撃してきた。
森山氏と榎本氏が、14年に入って行なった情報提供は、この情報を公にすることが公益に適うと判断したからで、本来なら2人は公益通報者保護法で守られるべき存在。また、この問題は、後にノバルティス事件以上の騒動となるSTAP細胞事件にも絡む。
内部告発ができなくなる…?
理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダーが「あります!」と断言したSTAP細胞のネイチャー誌掲載の論文は、画像の不正や論文の盗用発覚によって、論文撤回に追い込まれ、STAP細胞は否定されて終了した。
その過程で、小保方氏の論文不正は、11年に提出した早稲田大学大学院の博士論文にも浮上。大量のコピー&ペーストや実験映像の盗用などがあり、「信憑性は著しく低く、博士学位が授与されることは、到底、考えられない」と、酷評された。
同時期、大学院生の博士論文に不信を持って調べていたのが、森山、榎本両氏であり、私は、本サイトで<笹井芳樹氏自殺の背景――小保方晴子氏が開けてしまった研究界の「パンドラの箱」>(14年8月7日配信)と題して記事化した。
両氏もまた、小保方氏とは別のサイドから「パンドラの箱」を開けてしまったのである。
その告発は価値あるものだ。岡山大の論文不正は、ディオバンが人気降圧剤になる背景やSTAP細胞がデッチ上げられる過程と同じく、解明され公表されるべきものだろう。
だが、岡山地裁は価値を認めなかった。逆に両氏のパワハラを認め、情報を外部に伝えた行為が、名誉と信用を毀損したとして、解雇相当の結論を出した。
根拠は大学のハラスメント防止委員会の審査結果であり、研究不正については15年3月、学内の調査委員会が出した「不正はなかった」とする報告書である。
岡山地裁が無視するのは、薬学部のトップに過ぎない2人と、大学執行部として予算も人事も握る森田氏らとの力関係である。
各種調査委員会の人選も執行部が行なうなか、その意向とは違う結論が出されるとは思えず、その調査結果をもとに判断を下したから「解雇相当」の結論となった。
この判決を認めれば、組織の了解を得なければ、内部告発(公益通報)が出来ないことになってしまう。
同様にメディアは告発者の代弁を出来なくなってしまう。森山氏のいう「裁判所が組織と一体になって不正を封印」した事実は重く、「告発する権利を確保する戦いでもある」という認識のもと、10月から始まる控訴審を厳しく見守りたい。

最終提出/餃子で1600円→水餃子/眠くて

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Le Japon, pionnier du paiement électronique, mais accro aux billets
Dans un pittoresque quartier commerçant de Tokyo, un petit écriteau incite le client à payer via son mobile. Mais ici, beaucoup préfèrent les espèces sonnantes et trébuchantes, jugées plus tangibles que le "cashless".
Le gouvernement japonais voudrait doubler la part des transactions électroniques à 40% d'ici à 2025. Le pays est en effet loin derrière d'autres puissances économiques. En Corée du Sud, le ratio s'élève déjà à 90%, selon Yuki Fukumoto, chercheur à l'institut NLI de Tokyo.
Les récents déboires du géant de la distribution dans l'archipel, Seven & I Holdings, ne vont pas arranger les choses. Son système 7Pay de paiement par QR code a dû être abandonné à la suite d'un piratage.
C'est d'autant plus dommage que les Japonais connaissent depuis déjà une quinzaine d'années l'argent virtuel, via des porte-monnaie à puces sans contact (Felica, de Sony), insérées dans une carte en plastique ou dans le mobile: le client paie en effleurant le terminal.
Les précurseurs ont été le "pass" de transport ferroviaire Suica et ses dérivés, ou les cartes de fidélité/porte-monnaie des géants de la distribution (Nanaco chez Seven & Holdings, Waon chez Aeon).
Ces cartes sont cependant souvent utilisées pour des petits paiements de quelques centaines de yens (quelques euros). Paradoxalement, pour des montants plus élevés, les Japonais sortent les liasses de billets!
"2 à 3 clients par semaine"
Mais un tel attachement au "liquide" coûte cher: 2.000 milliards de yens (16 milliards d'euros) pour gérer les distributeurs et transporter l'argent, selon une étude du Boston Consulting Group citée par le quotidien Nikkei. Sans compter la main-d'oeuvre requise, au moment où le pays manque pourtant de bras.
Même si le PDG de la galerie marchande en ligne Rakuten, Hiroshi Mikitani, prédit une disparition totale des pièces et billets, les gérants des systèmes de paiement dématérialisés rongent leur frein. C'est que contrairement au liquide anonyme qui ne laisse pas de trace, leurs technologies sont un moyen de collecter pléthore de données sur les habitudes d'achats des utilisateurs.
Les services, souvent basés sur les QR code, ces codes-barres en deux dimensions créés par la société nippone Denso Wave, se sont multipliés ces derniers mois au Japon.
Dans une boutique de réparation de bicyclettes, PayPay - né d'une co-entreprise entre SoftBank Corp et Yahoo - est testé depuis l'an dernier.
Le principe est simple: le client, qui a au préalable téléchargé l'application et enregistré ses données bancaires, approche son mobile pour scanner le QR code du commerçant, saisir la somme et régler ainsi son achat.
Mais le propriétaire de l'établissement, Katsuyuki Hasegawa, est sceptique. "Personnellement, je préfère le liquide. Avec PayPay, on ne se rend pas compte des flux d'argent", témoigne-t-il, précisant que seulement deux à trois clients par semaine paient ainsi.
Avec ce moyen, les clients "craignent de trop dépenser" sans vraiment s'en rendre compte, selon l'expert de NLI.
Alléchantes ristournes
"Dans un endroit comme ici, tout est très lent, nous avons beaucoup de gens âgés qui discutent avec nous et, tout en bavardant, sortent leurs pièces. Ils n'ont pas besoin de transactions rapides", explique le commerçant de 40 ans, un regard sur la ruelle où les mamies déambulent.
"Du fait du vieillissement de la société, les nouveautés mettent du temps à être adoptées. Le défi à partir de maintenant, c'est de savoir comment motiver" les gens pour qu'ils renoncent aux pièces et billets de banque, souligne un expert du Nomura Research Institute (NRI).
Pourquoi abandonner les espèces dans un pays où l'on ne risque pas les vols à l'arraché, où la contrefaçon de billets est rare, où les distributeurs sont partout et où les petites boutiques n'acceptent souvent que le liquide pour s'éviter de coûteux frais de transaction ?
Pour y parvenir, il faut accorder des récompenses, auxquelles les Japonais sont très sensibles, via un système de points ou de ristournes, préconise Akiko Yamanaka, qui tient un coquet restaurant, "Koguma" (ourson), dans une vieille maison en bois.
Cet été, "le client qui paie via PayPay reçoit une réduction de 10% sur l'addition", et cela attire du monde, explique-t-elle, estimant que "plus il y aura de campagnes de ce type, plus les gens se convertiront au cashless".
Le gouvernement aussi veut croire à l'attractivité des ristournes: pour faire digérer la hausse de TVA prévue en octobre, il va rembourser une partie de leurs achats aux consommateurs sous forme de points quand ils paieront de façon électronique à compter d'octobre.
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フランス語の勉強?
蓮池透‏ @1955Toru
自国の人権侵害を国連に意見するなんて悲しいことだが、現実をみれば致し方ない。
【原発避難者から住まいを奪うな】「家賃2倍請求問題」で国連人権理事会に意見書送付。「日本政府に対し人権侵害政策の是正勧告を!」。方針変えぬ福島県。「2倍請求続ける」 #BLOGOS

山口二郎‏ @260yamaguchi
昭和天皇の拝謁記の件。「私ハ実ハ無条件降伏は矢張りいやで、どこかいゝ機会を見て早く平和ニ持つて行きたいと念願し、それには一寸(ちょっと)こちらが勝つたような時ニ其時を見付けたいといふ念もあつた」という言葉に注目。
なぜポツダム宣言の受諾が遅れ、原爆投下、ソ連参戦などを招き、死ななくてもよい数十万の人を死に追いやったか、敗戦遅延責任について議論、究明すべきだと思った。

能川元一 @nogawam
テレビつけたら関西ローカルのワイドショーが「韓国人観光客減少」という話題をやっていて、出演者一同神妙というか沈痛な様子をしているので不思議でならなかった。あんたたちの反韓キャンペーンの“成果”が出たんじゃないか。
taka(維新は要らない) @smoketree1
セブンイレブンのブラック労働問題を国会で追及してきた辰巳孝太郎氏が落選して、発注ミスをあざ笑う音喜多駿氏が当選したというのが、今の世相を如実に表しているようで絶望感しかない
https://twitter.com/otokita/status/1163245527179227136 …。

ETV特集「忘れられた“ひろしま”〜8万8千人が演じた“あの日”〜」
原爆投下から8年後。広島で空前絶後の映画が製作された。タイトルは「ひろしま」。撮影に参加した人の数は8万8千人。日本映画史上、最大級のスケールを誇る。原爆投下直後の広島で何があったのか?被爆者たちが自ら演じて再現している。この映画は、ベルリン映画祭で入賞。国際的な評価を受けた。しかし今、この映画の存在はほとんど知られていない。いったいなぜか?そこには、時代に翻弄された映画の知られざる事情があった。
のぞき見ドキュメント 100カメ
100台の固定カメラで人々の生態を観察。今回はネットをざわつかせる2つの現場をのぞき見。ファッション通販ZOZO、はじめしゃちょーの畑。MCはオードリー。
100台の固定カメラを設置して人々の生態を観察。今回はネットをざわつかせる2つの現場をのぞき見する。前半はファッション通販大手「ZOZO」デザイン部。厳しい状況だったとき、社員たちは?女子トーク・アルアル、上司と部下のなんともいえない空気感、緊迫する社長プレゼン!後半は人気ユーチューバー集団「はじめしゃちょーの畑」。半共同生活の驚きの生態。人気職業の光と影とは?オードリー思わず共感のアルアルが! オードリー

事件の涙「死にたいと言った父へ〜西部邁 自殺ほう助事件〜」
昨年、多摩川で自殺した評論家・西部邁氏。死の数時間前まで、側で見守っていた遺族が重い口を開いた。父はなぜ自ら死を選んだのか。思いに近づこうとする日々を追う。
事件の陰にある人々の涙を描くドキュメンタリー。昨年、多摩川で自殺した評論家・西部邁氏を取り上げる。「自分の最期は自分で決めたい」と自殺を公言していた西部氏。死の数時間前まで、そばで見守っていた遺族が重い口を開いた。娘は父から「家族に老いて苦しむ最期の姿を見せたくない」と聞かされていた。なぜ父は死を選んだのか。父の本当の思いに迫ろうとする日々を追った。 西田尚美


エクセルで計算して最終調整したものを今日どうにか提出しました.去年は遅れてしまって自宅に電話がかかってきたらしいです.
晩ご飯を食べに餃子.でも居酒屋.今日は飲まない日なのでジンジャエール.餃子だけで1600円!
高い!しかも全然お腹いっぱいではないです.帰りにスーパーで水餃子を買ってリベンジ.美味しいです.
その後眠くて・・・でした.うーんん.

<ツール・ド・東北>ユヅと一緒に被災地疾走 「弱虫ペダル」コラボポスター掲示へ
 ツール・ド・東北2019(河北新報社、ヤフー主催)開催に合わせ、自転車競技の人気アニメ「弱虫ペダル」に、仙台市出身のフィギュアスケーター羽生結弦選手(ANA、宮城・東北高出)が登場するグラフィックポスターが市地下鉄仙台駅などに掲示される。
 ポスターは全9点で縦2.1メートル、横7.3メートル。大会コースの仙台、石巻、気仙沼、東松島、女川、南三陸の6市町の風景などを背景に、主人公の小野田坂道らと自転車で走る様子を描いた。羽生選手は5点に登場。公式ジャージーを着てペダルをこぐ姿などをデザインした。
 仙台駅では9月11〜17日、羽生選手が主人公と並んで走るポスター1点を公開。東京メトロでも今月26日から9月15日まで、丸ノ内線新宿駅と半蔵門線渋谷駅の構内に計8点を入れ替えながら張り出される。
 羽生選手は以前から弱虫ペダルの大ファン。自宅でアニメを鑑賞したり、試合前にはアニメのテーマソングをヘッドホンで聴いたりしているといい、ポスター制作を企画したヤフーの提案を快諾した。
 「ツール・ド・東北 フレンズ」として大会を応援する羽生選手は「弱虫ペダルは大好きな作品。前へ踏み出す強さ、一つのゴールへ向かっていく力の大きさをいつも感じています」との直筆メッセージを実行委員会に寄せ、原作者の渡辺航さんにも感謝を伝えた。
 羽生選手とのコラボに渡辺さんも喜び、「東北の復興が少しでも進むことを願っています。皆さんも自転車で町や自然、空気、人々の温かさを肌で感じてください」とコメントした。
 ツール・ド・東北は東日本大震災の復興支援を目的に2013年に始まり、今年で7回目。9月14、15日に沿岸部で開催される。


<再生の途上で・塩釜市長選>(下)街の活力/再開発 にぎわいの鍵
 任期満了に伴う宮城県の塩釜市長選(9月1日投開票)が25日に告示される。東日本大震災で被災し、復興途上にある塩釜。市民の針路選択の時を前に、現状や市政課題の一端を探る。(塩釜支局・松田佐世子)
 塩釜市中心部のJR本塩釜駅付近。塩釜神社の門前町から海沿いの旅客ターミナル「マリンゲート塩釜」までの周辺一帯は、観光エリアでもある。しかし、テナント募集のビルが散見されるなど、普段はにぎわいを感じにくい。
 門前町の活性化を図る「本町(もとまち)通りまちづくり研究会」会長と本町町内会長で、玩具店の丹野秀彦社長は「人通りは少ない」と憂う。
休日 人出は改善
 人出は各指標を見れば改善はしている。市が休日1日に中心部4地点を調べる2017年度の「まちなか歩行者数」は8174人で、前回の14年度に比べ1262人増えた。14年秋の市杉村惇美術館の開館、16年の明治初期の建物「旧えびや旅館」内のカフェ開店の効果という。
 通りには塩釜の地名の由来といわれる釜を安置する御釜神社などもある。「いい店がたくさんあるので、おもてなしができれば、にぎわいにつながる」と丹野さん。訪日外国人旅行者(インバウンド)が増える中、急な来訪を商機とするため、各店への多国語自動翻訳機の導入支援などを市に期待する。
 マリンゲート塩釜では、懸案の3階の空き区画約670平方メートルに塩釜公共職業安定所の移転入居が決まった。移転予定は来年6月。運営する第三セクター、塩釜港開発の幹部は「集客機能のある入居者」と歓迎する。ただ「観光施設の本来の目的から外れる」(赤間広志・元テナント会会長)と疑問の声も上がる。
人の流れ 変化も
 中心部では津波に遭った海岸通地区の市街地再開発も進んでいる。区域のうち南側の1番地が18年5月に着工した。14階の住宅棟、店舗や市子育て支援施設が入る3階の事務所棟などを建てる。
 20年春完成の住宅棟2〜14階のマンションの入居成約は順調という。未着工の北側(2番地)は低層の専門店・飲食店街「直会(なおらい)横丁」になる。完成は20年秋ごろを見込む。
 「着工後はあっと言う間」と話す海岸通1番2番地区市街地再開発組合の鈴木成久理事長は「完成すれば人の流れが変わり、波及効果もあると思う」と、にぎわい創出の希望を託す。


<福島第1原発事故>自主避難者、公務員宿舎未退去 福島県が明け渡し求め提訴へ
 東京電力福島第1原発事故に伴い福島県から東京都内の国家公務員宿舎に自主避難した数世帯に対し、県が宿舎の明け渡しなどを求めて提訴を検討していることが20日、分かった。同日の県議会向けの説明会で、県の担当者が明らかにした。
 国家公務員宿舎の自主避難者に対し県が提訴すれば初めてのケースになる。県は関連議案を県議会9月定例会に提出する方向で調整している。
 県によると、自主避難者への住宅の無償提供が2017年3月末で打ち切られたことを受け、国家公務員宿舎の入居契約もいったん終了した。有償で入居するための新たな契約を県との間で結ぶ必要があるが、対象世帯は契約を結ばずに住み続け、家賃も払っていないという。
 県は18年度に宿舎に住む5世帯に対して契約を結ぶよう東京簡裁に調停を申し立て、19年3月までに不調に終わった。
 県生活拠点課の担当者は「話し合いでの解決が難しいことから提訴を検討している。未払い家賃を含めて請求することになる」と話している。
 自主避難者を支援する「避難の協同センター」(東京)の担当者は「契約は県が一方的に作成したもので、避難者が納得できない内容も含まれている。未契約だからという理由で提訴するのは乱暴だ」と批判している。


<16年岩泉豪雨>楽ん楽ん訴訟和解 施設側が謝罪と賠償
 2016年8月の台風10号豪雨による洪水で犠牲になった岩手県岩泉町の高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」の入所者9人のうち6人の遺族17人が、施設を運営していた社団医療法人「緑川(りょくせん)会」に1億1145万円の損害賠償を求めた訴訟は20日、盛岡地裁で和解した。緑川会が賠償金を支払う。金額は非公表。
 和解条項は、緑川会が「利用者を避難させる義務を負っていた」と認定。遺族への謝罪と安全な施設運営に努める内容を盛り込んだ。
 遺族側代理人は「施設側が過失を認める内容。一定程度、目的は達成できた」と話した。緑川会は「亡くなられた利用者と遺族におわびし、教訓を今後の施設運営に生かしたい」との談話を出した。
 訴えなどによると、台風豪雨によって16年8月30日、施設の近くを流れる小本(おもと)川が氾濫。建物の天井付近まで浸水し、入所していた70〜90代の男性2人、女性7人が亡くなった。
 遺族側は、施設は避難準備情報を把握しながら入所者の避難を怠ったとして18年3月、盛岡地裁に提訴。緑川会側は「避難させなければならない法的義務はなかった」と請求棄却を求め、非公開で協議してきた。
◎命日前に決着遺族安堵
 「同じような被害が繰り返されないきっかけになってほしい」。台風豪雨による洪水で入所者9人が犠牲になった岩手県岩泉町の高齢者グループホーム「楽ん楽ん」を巡る損害賠償訴訟。命日を10日後に控えた和解決着に、遺族は安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 「施設側の法的責任と謝罪は譲れない部分だった。ほっとした」。施設で母チヤさん=当時(95)=を亡くした八重樫信之さん(75)=埼玉県所沢市=は県庁で記者会見に臨んだ。
 原告団には豪雨被害から3年となるのを前に決着を求める声が強かったという。八重樫さんは「(裁判の継続は)私も健康面でしんどかった。母には納得できる裁判になったと報告したい」と述べた。
 ただ「なぜ避難しなかったのか」は最後まで解明されないまま。八重樫さんは「真相がいまひとつ分からない。(施設内でただ一人生き残った)所長の証言を聞きたかった」と悔しさもにじませた。
 原告団に加わらなかった遺族も裁判の行方を見守っていた。兄繁喜さん=当時(77)=を亡くした岩泉町職員千葉利光さん(62)は同町で取材に応じ、「しこりが残らない円満な和解になってほしいと願っていた。施設職員はその場で最善を尽くしたと思う」と言葉少なに語った。
 施設を運営していた社団医療法人「緑川会」の佐藤弘明常務理事は和解成立後、報道陣の取材に「大切な身内を奪ってしまい、遺族の方々には申し訳ない」と謝罪の言葉を繰り返し「償いは一生続く。誠心誠意対応したい」と話した。
 その上で原告団に加わらなかった犠牲者3人の遺族にも和解内容に準じた賠償金を支払う考えを示した。


3年前の豪雨 住民証言集発刊へ
3年前の台風による豪雨で大きな被害を受けた岩手県岩泉町は、当時の記憶や教訓を語り継ごうと住民の証言集をつくることになりました。
台風10号による豪雨で、岩泉町では関連死を含めて25人が死亡したほか、1000棟近い住宅が水につかるなど大きな被害を受けました。
今月30日で災害から3年となりますが町は当時の記憶や教訓を語り継ぎ次の災害に備えるため住民の証言集をつくることになりました。
町によりますと、住民およそ40人が協力し「自宅の裏から勢いよく水が入ったためテーブルに乗って天井の欄干につかまっていた」という証言や「自宅から避難しようと思ったときにはすでに道路に水が流れていて、逃げられる状況ではなかった」など、いっきに状況が悪化して避難が難しかった様子などが克明に記されています。
町は、この証言集を今月30日までに1000部つくり、県内各地の図書館のほか応援職員を派遣した埼玉県川口市など、県外の自治体にも寄贈する予定です。
岩泉町は「豪雨災害による被害を受けた自治体として教訓を語り継ぎ、早めの避難の徹底など住民の防災意識の向上を進めていきたい」と話しています。


広島豪雨5年 早めの避難を肝に銘じる
 77人が犠牲になった広島市の土砂災害から20日で5年となった。被災の教訓を思い起こし、自分の命は自分で守るという基本を改めて胸に刻みたい。
 土砂災害は2014年8月20日未明、記録的な豪雨によって発生した。広島市の安佐北区と安佐南区の住宅地で土石流や崖崩れが起き、74人が死亡、3人が災害関連死と認定された。
 住宅被害は全半壊約400棟、床上浸水約1100棟など計約4750棟に上った。
 20日の追悼式で広島市の松井一実市長は「教訓を尊い教訓として胸に刻む」と述べた。甚大な被害と多くの悲劇を忘れず、災害による被害を少しでも小さくする方策を考え続けたい。
 豪雨は夜から明け方にかけ、短時間で局地的に被災地を襲った。このため広島市が避難勧告を出したのは土石流が起きた後になり、初動対応の遅れが批判された。
 ただ仮に避難勧告が出ていたとしても、夜の避難は危険を伴う。迅速な避難が何より重要だという教訓を残したといえる。
 昨年7月の西日本豪雨でも、多くの住民が逃げ遅れて犠牲になった。これを踏まえ、気象庁は今年5月から、豪雨による土砂災害や洪水の切迫度を5段階で示す「大雨・洪水警戒レベル」の運用を始めた。
 レベル1で災害への心構えを高め、2で避難経路や避難場所を確認、3で高齢者らは避難、4で全員が緊急避難、5が命を守る最善の行動を取るよう求めている。
 レベル5の段階で既に災害が起きている可能性が高く、気象庁は4までに避難を終えるよう呼び掛けている。
 これをうまく活用し、しっかりとした避難行動につなげていきたい。「自分だけは大丈夫」と思うことは禁物だ。自分の身を守るために、早め早めの避難を心掛けたい。
 危険を回避するには、自分の住んでいる場所がどういう災害に遭いやすいのかを把握しておくことも重要だ。
 広島土砂災害の後、国は土砂災害防止法を改正した。自治体による急斜面などの調査を加速させ、結果を公開することで早期避難を促す狙いだ。
 これにより本県でも約1万4千カ所が、崖崩れや土石流などの危険性がある「土砂災害警戒区域」に指定されている。
 指定箇所は県や市町村のホームページなどで調べられる。ハザードマップなどとともに確認しておきたい。
 15日の台風10号上陸に当たってJR各社は、事前に大規模な計画運休を打ち出した。JR西日本は山陽新幹線の運転見合わせが見込まれると11日から周知し始め、14日に運休を正式に発表した。
 15日はお盆のUターンラッシュと重なったが、大きなトラブルはなかった。台風の被害は全体としてそれほどではなかったものの、利用者の理解はおおむね得られたのではないか。
 「命を守る」を最優先に、常に備えを怠らずにいたい。


広瀬川に祈りの光輝く 仙台で灯籠流し
 故人に思いをはせる「広瀬川灯ろう流し」(実行委員会主催)が20日、仙台市若林区の広瀬川河川敷であり、赤や朱など色鮮やかな灯籠が川面を彩った。
 雨上がりの宮沢橋近くの会場に、約4万人が集まった。先祖供養や家内安全などの願いを託した約2000個の灯籠が流され、来場者は静かに揺れながら遠ざかるともしびを見つめた。
 父を亡くした1994年から毎年、灯籠を流しているという泉区の会社員佐藤洋子さん(53)は「亡き両親や弟の供養に来た。何が何でもという強い思いで続けている」と話した。
 広瀬川の灯籠流しの起源は江戸時代にさかのぼる。一時途絶え、再開した90年から仙台の昔の送り盆とされる8月20日に毎年開かれ、今年で30回目を迎えた。


傾聴ボランティア 「心の伴走」足場固めを
 人は、話すことによって癒やされる。親身に聴いてくれる人に安心して思いの丈を話すことで、少しずつ頭の中を整理し、前を向く力を取り戻していく。そんな心の軌跡に伴走を続けているのが、傾聴ボランティアだ。
 「ずっとうつむいていた人が、話しているうちに、はっと顔を上げる瞬間がうれしい」と語るのは、気仙地域傾聴ボランティアこもれびの会の佐藤智子代表。大船渡保健所主催の養成講座受講生で2008年3月に結成した。
 東日本大震災後は一時活動を中断したが、2カ月後には自主的に再開。サロンを定期開催するなどして、住民に寄り添い続けている。
 かねて自死が深刻な課題の本県では、保健所や県精神保健福祉センターなどが傾聴ボランティア育成に力を入れ、10年には各団体のネットワーク組織「さん・Sunねっと」が発足。現在は約30団体が各地で活動している。
 特筆されるのが震災後の活動だ。津波で大切な人や家財を失ったり、生活環境の変化で心身のストレスが積み重なった住民の心を癒やそうと、避難所や仮設住宅の訪問などに取り組んできた。
 新たなまちが整備され、仮設撤去が進む被災地。「復興・創生期間」の20年度末終了を前に、住民生活は落ち着きを取り戻してきたが、心の復興には長い時間がかかる。
 そんな中、メンバーの高齢化などの課題が出てきた傾聴団体もある。行政や相談支援機関との連携を強め、ボランティア養成講座にあらためて力を入れるなど、末永い伴走に向け、各地域で足場をしっかり固めてほしい。
 傾聴のスキルを磨き高めることはむろん、各世代や男女別で特徴的な心の問題など、幅広い理解も大切。近年は、性的少数者(LGBT)が抱えがちな生きづらさも注目されるようになってきた。
 こもれびの会は今月24日午後1時半から大船渡市防災観光交流センターで、村本邦子立命館大教授の講演会「傾聴を変革の力に〜女性のエンパワメント」を開く。こうした機会に学びを深め、活動の充実に生かしてほしい。
 高齢化などで、傾聴団体の新規立ち上げが難しい地域もあるだろう。その際、自治会などが傾聴について学ぶ機会を設けてはどうか。悩みを聴き合い、助け合う地域づくりの一助になるだろう。
 傾聴は決して楽なボランティアではない。つらい体験に耳を傾けることで、自分もつらくなることもあるはずだ。その分、やりがいは大きい。自分自身の心に素直に向き合えるようになる。活動を通じて、文字通り「心の仲間」を得ることもできる。住民の積極的な参画を期待したい。


香港デモ緊迫/武力介入の口実を与えるな
 「逃亡犯条例」改正案の反対運動から始まった香港の大規模デモが緊迫の度を高めている。中国の習近平指導部が香港情勢を「共産党を狙った革命」と認定し、場合によっては武力鎮圧の可能性があることを示唆したためだ。
 中国は既に香港に近い深〓に1万人規模の武装警察を派遣し、鎮圧の演習を続けているとされる。武力介入は30年前の悲劇的な天安門事件を想起させる暴挙でしかない。デモに参加する側も介入の口実を与えないよう抑制的な行動に徹してもらいたい。
 人権問題をテーマとする香港のデモは国際社会が高い関心を持って注視している。トランプ米大統領が18日、天安門事件に言及し、武力介入すれば貿易協議での取引も困難になるとして、中国をけん制したのはその1例だ。
 条例改正案は犯罪容疑者を中国に引き渡せるという内容だが、中国の人権状況からすれば香港の市民にとって恐怖以外の何物でもない。中国の政治体制に対して批判的な本を販売していた書店関係者が中国本土に拉致、拘束された事件は、記憶に深く刻まれているはずだ。
 新疆ウイグル自治区の現状も、中国の悲惨な人権弾圧を物語る。国連人種差別撤廃委員会の昨年8月の報告書によると、数万人から100万人以上のウイグル人を「教育訓練センター」と称する強制収容所に拘束しているという。
 若者が中心の香港のデモの背景には、当然ながらこうした中国政府への強い反発がある。中国の影響力が強まるに従って、言論の自由がじわじわと後退した現状へのいら立ちと、将来は自由そのものを失うのではないかという危機感がある。
 1997年に英国から返還された香港には、高度な自治が約束された。憲法である香港基本法は返還後50年間の言論の自由を保障している。若者たちの視野にあるのは、その保障の先にある約30年後の香港の姿だろう。
 中国が恐れているのは、香港の抗議運動が中国本土に体制批判として飛び火する事態だという。このまま香港の状況を放置すれば、共産党の一党独裁体制をゆるがせるという危機感を持っているとすれば、力によるデモ収束の恐れは十分あり得る。
 先週、2日間にわたって香港国際空港のロビーをデモに賛同する数千人の若者が埋め尽くした。アジア有数のハブ空港で、約600便が欠航したニュースは、世界中を駆け巡った。空港に集まった最大の理由は、国際社会の支援を求めるためだ。
 市民に対する武力の行使はかつて天安門事件がそうだったように、中国の国際的な孤立を招くだけだろう。香港のデモへの直接的な介入は、国際社会が連携して断念させたい。そのためには各国が香港の情勢を注視し、事態を憂慮する発言を続けるべきだ。
(注)〓は土へんに川


河北春秋
 作家の村上春樹さんの反戦スピーチが話題になった。2009年、イスラエルの文学賞授賞式でのこと。同国のパレスチナ自治区ガザ攻撃を批判し、こう語った。「高く固い壁とそれにぶつかって壊れる卵があるならば、私は常に卵の側に立つ」▼村上さんは5年後、ドイツの講演でも壁と卵の話をする。当時、香港民主化デモ「雨傘運動」に参加していた若者にエールを送るためだ。世界には民族、宗教、不寛容の壁があると指摘し、「努力すれば壁のない自由な世界を築ける」と訴えた▼それからさらに5年。香港の若者にとって壁は一層高くなった。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を巡り、6月に始まった抗議デモが続く▼民主活動家によると、雨傘運動の時は民主化への希望があった。今回は香港から自由が奪われることへの絶望が大きいらしい。デモが一部暴徒化したことは許されないが、それだけ状況は切迫する▼問題解決の方法は話し合いしかない。なのに、中国政府は武装警察部隊を香港近くに駐留させて威嚇。天安門事件の再来を懸念する声もある。若者は日本など民主主義と自由を享受する国からの支援を求める。このままではいけない。中国と香港の関係がいつまでも壁と卵であっていいはずがない。

香港デモ2カ月余 第二の「天安門」にするな
 香港のデモは2カ月余り続き、混乱の沈静化は見通せない。発端は、香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案を巡り、完全撤回を求めるためのデモだった。だが、空港を占拠したり、中国人記者に暴行を加えたりするなど過激化。催涙弾を使用し多数の負傷者を出すなど、香港政府側の強硬姿勢が反発を生んでいる側面も見逃せない。
 そうした中、18日に行われたデモは、6月16日の200万人規模(主催者発表)に匹敵する170万人(同)が参加したが、警察との衝突はなかった。平和的、合法的に行われるデモは容認されるべきであり、香港政府の出方も穏当とみるべきだろう。
 ただ、中国政府がどう出るかだ。隣接する広東省深圳(しんせん)に武装警察部隊を駐留させ、香港市民を威嚇している。建国70周年の節目の10月1日まで40日余りとなり、香港政府に加勢する形で武力介入すれば、1989年6月の天安門事件の再現になりかねない。
 同事件で当局は死者数を319人と発表しているが、数万人との指摘もある。節目に大規模デモがあれば、習近平(しゅうきんぺい)国家主席のメンツは丸つぶれになる。片や、武力介入し死傷者が出れば、国際社会が中国バッシングに走るのは必至だ。
 トランプ米大統領は「天安門のような暴力的事態になれば(米中の貿易協議で)取引は困難になる」などと指摘。あくまで通商交渉の文脈で中国側に自制を促しているが、日本や欧州などはウイグル族やチベット族など少数民族に対する弾圧も問題視している。第二の天安門となれば、中国の人権体質が世界から糾弾される事態になるだろう。
 中国・香港政府は人口約700万人の香港市民の2割強がデモに参加する事実を重く受け止めるべきだ。1997年に英植民地香港が返還された際、中国が「一国二制度」「高度な自治」を約束した。市民にはこうした原則が逃亡犯条例改正で有名無実化し、被民主的な政治制度を強要されることへの危機感が強い。
 デモの長期化が香港経済にも深刻な影響を与え始めている。だが、多くの市民が自由には代えがたいと腹をくくっているという。香港政府トップの林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は「多くの違法行為が行われている」と過激デモを非難するが、強権手法では抑えられないことを理解すべきだ。デモ参加者も武力介入の口実になりかねない、過激な行動は慎まなければならない。
 トランプ氏は習氏に「人道的な解決」を求める以上、香港の混乱収拾に向けて対話する必要がある。日本政府など国際社会も中国に平和的な解決を働き掛けるべきだ。


昭和天皇記録 歴史検証に貴重な肉声
 初代宮内庁長官を務めた故田島道治が、昭和天皇との詳細なやりとりを記録した手帳やノートが見つかった。
 日本の独立回復を祝う1952年5月の式典で、昭和天皇が自らの言葉で戦争への反省を表明しようとしたが、当時の吉田茂首相らの反対で当初の文案から削除された経緯が分かる。
 昭和天皇が戦争を後悔し、反省の思いを強く持っていたことを示すものといえるだろう。
 「拝謁(はいえつ)記」と題された資料には、昭和天皇が改憲による再軍備に言及したことも記されていた。
 これに対し、田島は「天皇は国政に関する機能を有しない」とする戦後の新憲法を意識し、天皇の政治関与は許されないとして、これをいさめたという。
 公式な発言ではないとはいえ、宮内庁が編さんした「昭和天皇実録」にも記載のない内容も多く、戦争責任や象徴天皇の歴史を考えるうえで貴重な肉声といえる。
 資料には、国民が望むのであれば、昭和天皇が敗戦の責任を取って退位も辞さない意向を示す発言があった。
 戦争責任については、戦後の混乱を恐れた連合国側が、東京裁判で天皇の責任を追及しない方針を取ったことで不問に付された。
 それでも、昭和天皇は終戦の詔勅に関し、道徳上の責任を言ったつもりだと発言。退位はたやすいが、再建のために努力することが道義的責任を自覚することだとも述べている。
 退位の是非論の背景で、敗戦の責任を強く自覚していたことが確認された意味は大きい。
 一方で、28年の張作霖爆殺事件や36年の二・二六事件については、敗戦に至る禍根の発端との認識を示しつつ、軍の行動を「下剋上(げこくじょう)」と呼び、止めることは困難だったと批判に重きを置いた。
 戦争責任を巡り揺れ動く発言からは、抱えた苦悩の重さもうかがえる。しかし、天皇の戦争責任が問われなかったことには、アジア各国を中心に内外で疑問視する声があることを忘れてはならない。
 資料には政治への未練を吐露する発言もあった。象徴天皇の在り方を探っていた時期とはいえ、戦前の君主像を引きずる姿勢が明らかになったことは印象深い。
 歴史の検証には正確な資料が不可欠だ。今回の資料で、これまで語られていたことが裏付けられた意義は小さくない。一個人のメモであることに留意しつつ、検証作業を深める機会とすべきだろう。


昭和天皇の言葉/「反省」が語られていれば
 先の大戦では約310万の日本人と約2千万もの海外の人たちが犠牲になった。
 国家元首であり、陸海軍を統率する大元帥でもあった昭和天皇の生の言葉は、歴史を検証する上で大きな意味を持つ。
 このほど公開された初代宮内庁長官、田島道治の「拝謁(はいえつ)記」には戦後、昭和天皇が田島に語ったとされる発言が詳細に記されている。人間像に触れる意味でも第一級の資料といえる。
 印象深いのは、壊滅的な敗戦に至った悔恨の情が随所にみられる点だ。「反省」を自分の言葉で国民に伝えたいと何度も口にしていたことが分かる。
 その思いは実現しなかった。だが「平和国家」の理念が揺らぐ今、昭和天皇が「反省」に何を込めようとしたか、真意を考えることは重要だ。
 1952年のサンフランシスコ講和条約発効で独立を回復するに当たり、昭和天皇は自分の「演説」について田島に政府との調整を命じている。
 その際、自分の責任問題について従来のようにカムフラージュするか、ちゃんと実情を話すか、問い掛けたとされる。
 「反省の文句」はどうしても入れねば−。そうした言葉には軍部の暴走を止められなかったという苦渋の念がにじむ。
 ただ、昭和天皇が主に語りたかったのは、自分も含め多くの者が軍部に押し切られた経緯ではないか。「みんなで反省して二度と繰り返さないよう」という趣旨の言葉も述べている。
 結局、当時の吉田茂首相らの反対で「反省」は条約発効時のお言葉から削除された。東京裁判で戦犯の処罰が終結しており、天皇の責任問題の再燃を懸念したためでもあるだろう。
 先の大戦は「誰も決定的に戦争に歯止めをかけることをしなかった結果だった」と歴史学者の堀田江理さんは指摘する。昭和天皇が「反省」を公の場で語れば、なぜ国を挙げて無謀な戦争に突き進んだか、国民も含めた関与と責任の問題が掘り下げて議論されたかもしれない。
 ノートなど18冊の克明な記録には「歴史を残さねば」という田島の使命感が伝わる。公文書の改ざんや廃棄が発覚した中央省庁は、後世に対する責任の重さを改めて肝に銘じるべきだ。


昭和天皇「拝謁記」 戦後責任も検証が必要だ
 初代宮内庁長官の故田島道治氏が昭和天皇とのやりとりを詳細に記録した「拝謁(はいえつ)記」の一部が公開された。それによると、本土で米軍基地反対闘争が起きていた1953年、昭和天皇は「全体の為(ため)ニ之がいいと分れば一部の犠牲は已(や)むを得ぬと考へる…」「誰かがどこかで不利を忍び犠牲を払ハねばならぬ」(引用部は一部原文のまま)などと述べていた。
 昭和天皇が47年、米軍による沖縄の長期占領を望むと米国側に伝えた「天皇メッセージ」の根本にある考え方と言っていいだろう。
 沖縄を巡り、昭和天皇には「戦争責任」と「戦後責任」がある。歴史を正しく継承していく上で、これらの検証は欠かせない。
 45年2月、近衛文麿元首相が国体護持の観点から「敗戦は必至」として早期和平を進言した。昭和天皇は、もう一度戦果を挙げなければ難しい―との見方を示す。米軍に多大な損害を与えることで講和に際し少しでも立場を有利にする意向だった。
 さらに、45年7月に和平工作のため天皇の特使として近衛元首相をソ連に送ろうとした際には沖縄放棄の方針が作成された。ソ連が特使の派遣を拒み、実現を見なかった。
 そして47年9月の「天皇メッセージ」である。琉球諸島の軍事占領の継続を米国に希望し、占領は日本に主権を残したまま「25年から50年、あるいはそれ以上」貸与するという擬制(フィクション)に基づくべきだ―としている。宮内府御用掛だった故寺崎英成氏を通じてシーボルトGHQ外交局長に伝えられた。
 既に新憲法が施行され「象徴」になっていたが、戦前の意識が残っていたのだろう。
 これまで見てきたように、昭和天皇との関連で沖縄は少なくとも3度切り捨てられている。根底にあるのは全体のためには一部の犠牲はやむを得ないという思考法だ。
 こうした考え方は現在の沖縄の基地問題にも通じる。
 日本の独立回復を祝う52年の式典で昭和天皇が戦争への後悔と反省を表明しようとしたところ、当時の吉田茂首相が反対し「お言葉」から削除されたという。だからといって昭和天皇の責任が薄れるものではない。
 戦争の責任は軍部だけに押し付けていい話ではない。天皇がもっと早く終戦を決意し、行動を起こしていれば、沖縄戦の多大な犠牲も、広島、長崎の原爆投下も、あるいは避けられたかもしれない。
 「拝謁記」で、昭和天皇が戦前の軍隊を否定しつつも、改憲による再軍備を口にしていたことは驚きだ。憲法99条は天皇や国務大臣など公務員に「憲法尊重擁護の義務」を課している。象徴である天皇自身が憲法改正を主張することは許されないはずだ。
 「拝謁記」で明らかになった昭和天皇の発言が、現政権による改憲の動きに利用されることはあってはならない。


[ 昭和天皇「拝謁記」] 今に続く「捨て石」発想
 戦後、初代宮内庁長官を務めた故田島道治が昭和天皇の言葉や、やりとりの様子を克明に記した「拝謁(はいえつ)記」が見つかり、内容の一部が公開された。
 昭和天皇が戦争への反省を表明しようとしていたことや、改憲による再軍備の必要を主張していたことが明らかになった。
 拝謁記は田島が、宮内庁(当時は宮内府)長官に任命された翌年の1949年2月から退官した53年12月の間に昭和天皇とのやりとりを書き留めたものだ。手帳やノート18冊分になる。
 その一部を、保管していた遺族から提供されたNHKがメディアに公表した。
 昭和天皇との対話を詳細に記録した貴重な資料の中で目を引くのが、基地問題に触れた記述だ。
 「全体の為ニ之がいゝと分れば 一部の犠牲ハ已(や)むを得ぬと考へる事、その代りハ 一部の犠牲となる人ニハ 全体から補償するといふ事ニしなければ 国として存立して行く以上 やりやうない話」(53年11月)とある。
 53年といえば、米軍統治下にあった沖縄では、米国民政府の「土地収用令」が公布され、「銃剣とブルドーザー」による土地の強制接収が始まったころだ。
 本土でも米軍基地反対闘争が起こっていた。反基地感情が高まり、本土の米海兵隊の多くが沖縄に移転した。
 「一部の犠牲」が沖縄に負わされる形で、今も、国土面積の0・6%にすぎない沖縄県に米軍専用施設の約70%が固定化されている。
 国の安全保障を沖縄が過重に担う現在につながる源流ともいえる言葉だ。
    ■    ■
 戦時中、沖縄は本土防衛のための「捨て石」にされた。
 47年9月、昭和天皇が米側に伝えた「天皇メッセージ」では、「アメリカによる沖縄の軍事占領は、日本に主権を残存させた形で、長期の−25年から50年ないしそれ以上の−貸与(リース)をする」と、昭和天皇自らが、沖縄を米国に差し出した。
 今回明らかになった「一部の犠牲はやむなし」の思考はこれらに通底するものだ。
 米軍の駐留について「私ハむしろ 自国の防衛でない事ニ当る米軍ニハ 矢張り感謝し酬(むく)ゆる処なけれバならぬ位ニ思ふ」(53年6月)と語ったとの記録もあり、今につながる米国とのいびつな関係性を想起させる。
    ■    ■
 昭和天皇は、日本の独立回復を祝う52年5月の式典への言葉に「私ハどうしても反省といふ字をどうしても入れねばと思ふ」と語ったという。 「戦争を御始めになった責任があるといはれる危険がある」と当時の吉田茂首相に反対され、削除された。
 昭和天皇がこのときに戦争責任を認め、反省を表明していれば、植民地支配したり、侵略したアジア諸国に対する戦後の外交も違ったものになっていたのではないか。
 拝謁記で明らかになった事実は、歴史の空白を埋める新たなピースだ。戦争責任を巡る反省は今なお日本の問題として目の前にある。


宮内庁長官資料/さらなる解明と議論を
 初代宮内庁長官が昭和天皇とのやりとりや、その時の様子をつぶさに書き留めたノートや手帳が見つかった。昭和天皇がサンフランシスコ講和条約発効と独立回復を祝う1952年5月の式典で国民に向け、戦争への深い悔恨や反省を表明したいという意向を長官に伝え、「お言葉」の内容を検討させていた詳細な経緯が明らかになった。
 結局、当時の吉田茂首相に反対され、式典のお言葉から戦争を悔やむ一節は削除された。お言葉変更の事実は既に知られているが、首相ばかりか宮内庁側からも反対されながら、反省にこだわり続けた昭和天皇の「肉声」一つ一つが対話形式で克明に記されているところに特徴がある。
 「拝謁(はいえつ)記」と題された資料に収められた昭和天皇の発言は戦争責任や退位論、憲法改正、再軍備にも及んでいる。戦後の新憲法下で「象徴」と位置付けられてもなお戦前の「君主」の感覚を引きずり、長官からたびたびいさめられることもあった。終戦後間もない時期の昭和天皇の考えや思いに触れることができる貴重な資料といえよう。
 昭和から平成を経て令和の時代になっても、戦争を巡る反省の在り方は日本社会が向き合っていかなければならない重い課題だ。歴史のさらなる解明と議論に取り組み、教訓とともに次世代に引き継いでいく必要がある。拝謁記はその糸口の一つとなろう。
 初代宮内庁長官は故田島道治。宮内府長官を経て宮内庁に組織改編した49年から53年まで務めた。拝謁記はノートなど計18冊から成る。
 昭和天皇は「媾和となれば私が演説といふか放送といふか何かしなければならぬかと思ふがその事を考へてくれ」と話した。51年1月の日付がある。翌52年1月には「私ハどうしても反省といふ字をどうしても入れねばと思ふ」と述べ、反省にこだわった。
 その後、宮内庁内部からも反対の声が上がったが、それでも「過去の反省と将来自戒の個所(かしょ)が何とか字句をかへて入れて欲しい よく字句をもう一度練つてくれ」と田島に推敲(すいこう)を求めている。
 しかし吉田首相から戦争を悔やむ一節を削除してもらいたいとの手紙が届き、独立回復式典が迫った52年4月に至って「どうもわるいとは思ハないが、総理が困るといへば不満だけれども仕方ない」と受け入れた。吉田首相は退位論の再燃を恐れたようだ。
 昭和天皇に関する記録としては例えば、宮内庁編さんの「昭和天皇実録」があるが、発言の記録は要旨にとどまる。表情まで浮かぶような発言がこれほどまとまった形で出てくるのは珍しい。
 お言葉の検討を巡っては「国民が退位を希望するなら少しも躊躇(ちゅうちょ)せぬといふ事も書いて貰ひたい」とも述べた。また東西冷戦が激化する中、戦前の軍を否定しながらも「軍備の点だけ公明正大に堂々と改正してやつた方がいい様ニ思ふ」などと何度か改憲による再軍備を語り、田島に「政治ニ天皇は関与されぬ御立場」といさめられた。
 その後、昭和天皇が公の場で戦争への反省に言及することはなかったが、上皇さまは戦後70年の2015年8月、全国戦没者追悼式のお言葉に「さきの大戦に対する深い反省」を初めて盛り込まれた。背景に、昭和天皇の強い思いがあったのかもしれない。


【昭和天皇拝謁記】政治的「肉声」の検証を
 昭和天皇の「肉声」が伝わる一級の資料に違いない。
 終戦後、初代宮内庁長官を務めた故田島道治が、昭和天皇との詳細なやりとりを記した「拝謁(はいえつ)記」の一部が公開された。
 戦争への後悔や退位について繰り返し言及しており、一人の人間として苦悩する姿が生々しく浮かび上がってくる。
 拝謁記によると、昭和天皇はサンフランシスコ講和条約の発効を祝う1952年5月の式典で、戦争への後悔と反省を表明しようとした。「お言葉」を練る田島に「私ハどうしても反省といふ字をどうしても入れねばと思ふ」と述べていた。並々ならぬ思いが伝わってくる。
 しかし当時の吉田茂首相が反対し悔恨を示す一節は削除され、当たり障りのない表現になった。反省を強調すれば退位論が再燃しかねない、との危惧からだったとされる。
 ただし天皇の戦争責任問題は、以降も折に触れて問われ続けて今に至る。天皇の強い反省の気持ちが早い段階で公にされていたなら、昭和史の一ページが変わっていたかもしれない。天皇の表明を思いとどまらせた政府の判断は妥当だったか。検証の必要があろう。
 反省の中身はどうだったのか。
 「軍も政府も国民もすべて下剋上とか軍部の専横を見逃すとか皆反省すればわるい事があるからそれらを皆反省して繰返したくないものだ」。「一億総ざんげ」の考え方に通じよう。責任のあいまいさを招きかねない「総ざんげ」には、批判的な意見も根強い。
 一方で、田島が残した他の資料には「朕(ちん)ノ不徳ナル、深ク天下ニ愧(は)ヅ」の言葉があることが先行の研究で明らかとなっている。敗戦の惨状はすべて自らの不徳がもたらしたものと認め、国民に謝罪したい意向を持っていたことがうかがえる。
 昭和天皇の真意はどこにあったのだろう。さらなる分析と研究が待たれる。
 拝謁記からは、天皇が再軍備やそれに伴う憲法改正の必要性を強く感じていたことも分かる。当時の米軍基地反対闘争を巡っても、日本の軍備がなければ米国に守ってもらうより仕方ないとし、「誰かがどこかで不利を忍び犠牲を払ハねばならぬ」としている。
 昭和天皇が終戦2年後、米国に沖縄の軍事占領の長期継続を望んだ「天皇メッセージ」につながる。
 日本国憲法によって「象徴天皇」となってもなお、戦前の「君主」の思いを引きずっていたのだろうか。象徴の在り方を模索していた過渡期の天皇像が浮かび上がる。
 「国政に関する権能を有しない」はずの天皇の政治的発言が、現実の政治に影響を与えたのか否か。与えたとすれば、それはどのようなものだったか。これもまた、解明されるべき大きなテーマだろう。
 拝謁記は手帳やノート計18冊に上る。できる限り公開し、事実の解明と議論を深める契機としたい。


障害者差別の解消 配慮の範囲をもっと広く
 障害者差別解消法の施行から3年がたち、改正に向けた議論が進められている。
 法律は、障害を理由に不利な扱いをしないだけでなく、障害者の就労や社会参加に必要な配慮をすることも公的機関や企業などに求めている。「合理的配慮」と呼ばれるもので、車いす用のトイレの設置、点字や手話などの情報保障、知的障害者や発達障害者に合ったわかりやすいコミュニケーションなどを指す。
 改正に向けた論点は多岐にわたる。公的機関は合理的配慮が法的義務だが、民間は努力義務にとどまる。働く場については民間企業も障害者雇用促進法で法的義務とされている。差別解消法で努力義務にとどめる理由はないだろう。
 国会と裁判所は同法の対象外となっている。三権分立の観点から自主的な取り組みに委ねるというが、説得力のある理由だろうか。
 参院選で当選した重度障害の議員の採決方法やヘルパー負担をめぐって議論となっている。これを機に、国会も同法の対象とし、合理的配慮を進めるけん引役になるべきではないか。これからは議員だけではなく、参考人や傍聴者にもさまざまな障害のある人が増える可能性がある。
 罰則規定がないこと、相談や解決に直接当たる機関がないことについても批判がある。多くの論点を掘り下げて、実効性を高める改正につなげるべきだ。
 3年前に同法が施行されてから、重度障害者が19人殺害される相模原事件が起きた。中央省庁の障害者雇用の水増しも発覚した。障害者差別の根の深さを見せつけている。
 その一方、旧優生保護法下での障害者に対する強制不妊手術問題で、国は救済法を制定し、後に被害者に謝罪した。障害を理由に公務員などになれず、公的資格を得られないことなどを法律で規定した「欠格条項」の改善も進んだ。今年の通常国会で計187本の法律にあった同条項を一括削除する法律が成立した。
 今後は障害者の就労がさらに広がり、多様な特性を持った人々が増えていく。法制定時には想定していなかったことも起きるだろう。そうした未来を照らす灯台の役割を解消法は担っている。合理的配慮を広げ、誰もが暮らしやすい社会にしよう。


再開された商業捕鯨 やはりマイナスが大きい
 7月から31年ぶりに商業捕鯨が再開され、捕獲された鯨の肉が料理店などに流通し始めている。
 卸売市場では、ご祝儀相場で鯨肉が高値で取引され、捕鯨拠点がある北海道・釧路や山口・下関などでは「鯨食文化復活」を期待する声が出ている。
 商業捕鯨は日本の領海と排他的経済水域(EEZ)内で行われ、年末までにミンククジラやニタリクジラ、イワシクジラの3種計227頭を捕獲する計画だ。
 だが、捕鯨を商業的に成り立たせるのは容易ではない。1960年代に20万トンを超えた国内の鯨肉消費量は近年、5000トン前後と落ち込み、消費者の鯨肉離れが進んだ。
 新たな販路を広げるのも難しい。環境保護など企業の社会的責任が問われる中、大手スーパーは鯨肉販売を自粛したり、捕鯨拠点のある一部店舗にとどめたりしているからだ。
 一方で、国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、単独主義に走った日本への国際社会の目は厳しい。
 政府は南極海などでの調査捕鯨から撤退し、商業捕鯨での捕獲数は調査捕鯨の年600頭程度より大幅に減ると強調する。
 水産庁は、捕獲枠が「IWCの算定方式で100年間、捕獲を続けても資源に悪影響を与えない水準だ」と説明し、国際社会の理解を得ようとしている。
 しかし、日本の思惑通りにいくかは分からない。国連海洋法条約65条は、鯨類の資源管理について「適当な国際機関を通じて活動する」と定めている。
 政府はIWCの科学委員会のオブザーバーとして国際協力を続けるというが、専門家は条約違反の可能性を指摘する。反捕鯨国などから国際訴訟を起こされるリスクがある。
 また、日本が注力するサンマやマグロなどの国際的な資源管理交渉に悪影響を与えるのも必至だ。中国などに乱獲防止の国際協調を求めてきたことと、つじつまが合わない。
 政府は「長年の空白」を理由に捕鯨業者を財政支援しているが、いつまでも補助金頼みとはいかない。
 伝統的な鯨食文化は否定しないが、国際的に批判され、商業的にも成り立たないのならば、マイナス面の方が大きいと言わざるを得ない。


「森友」再び不起訴 改めて国会で追及続けよ
 国有地が破格の値引きで売却されていた。しかも、財務省がその経緯に関する決裁文書を改ざんし、国会を欺こうとした。そんな重大な事案である。にもかかわらず、誰一人として刑事責任が問われないまま捜査が終結した。これでは納得できないという国民が大半ではないか。
 学校法人森友学園を巡る一連の問題で、有印公文書変造、背任などの疑いで刑事告発された財務省関係者らのことだ。
 大阪地検は当初、不起訴とした。大阪第1検察審査会が、改ざんに関しては佐川宣寿(のぶひさ)・元国税庁長官ら当時の同省理財局幹部ら6人、国有地売却では近畿財務局の幹部ら4人について「不起訴不当」と議決し、再捜査を求めていた。地検は先日、全員を再び不起訴処分とした。
 改ざんの事実はあっても「文書の趣旨自体は変わっていない」とし、値引きも「国に損害を与える意図まではなかった」として起訴を見送ったようだ。
 しかし、財務省が安倍晋三首相の妻昭恵氏の名前や「特例的内容」といった文言を公文書から削除したのは全く不可解であり、改ざん文書を国会に示したのは言語道断の行為だ。ごみの撤去費とされる8億円余の値引きも算定根拠が適正だったのか、不透明な部分が多い。
 市民感覚からすれば、こうした問題を地検の判断だけで無罪放免とするのは釈然としない。多額の公金や公務員の不正が絡んだ事案である。一定の嫌疑があればむしろ起訴して公の法廷で白黒をつける、という姿勢があってこそ、検察に対する信頼が得られたのではないか。
 地検は「必要かつ十分な捜査をしたが、起訴するに足る証拠を得られなかった」と言う。ならば、その捜査の中身を丁寧に説明すべきだ。事件の性質からみれば本来、告発の有無にかかわらず検察自ら捜査に乗り出すべき事案だった。その姿勢は希薄だったと言わざるを得ない。
 一連の問題で関係者は停職や減給などの行政処分を受けているが、これで幕引きというわけにはいかない。佐川氏は昨年の国会での証人喚問で「刑事訴追の恐れがある」として証言の大半を拒んだ。もはや訴追の恐れはない。国有地売却や公文書改ざんが誰の指示、判断で、どのように実行されたのか。国会は再び佐川氏らを証人喚問するなどして追及を続けるべきだ。
 仮に政治家の関与はなく政権への「忖(そん)度(たく)」で行われた事案だったとしても、それが横行する国政は不健全だ。霞が関が平然と不明朗な行政手続きを進め、国会をだましても、刑事責任は一切問われず、真相はうやむやにされる−。そんなあしき前例をつくってはならない。


カシミール問題 印パは武力衝突避けよ
 インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方の緊張が一段と高まっている。
 インドのモディ政権が同国で唯一、イスラム教徒が多数を占めるジャム・カシミール州の自治権を剥奪し、直接統治に乗り出したからだ。
 実効支配を強める狙いだろうが、あまりに一方的過ぎよう。70年にわたって自治を続けてきた住民はもちろん、イスラム教を国教とするパキスタンが猛反発するのも当然ではないか。核保有国同士の対立に拍車を掛けるような行為は無責任と言うほかない。
 カシミール地方南部に位置する同州は両国が独立した1947年以来、インドが実効支配している。だがイスラム教徒の住民は、ヒンズー教徒が8割を占めるインドへの帰属意識は低い。こうした事情から、外交や防衛、財政分野以外の自治権を認めてきた。
 ところが、インドのモディ政権は「テロを排除し、開発を進める」とし、唐突に大統領令を出し、与党が多数を占める国会で、同州の自治権を定めた憲法を改正した。10月末には連邦政府の直轄地とすることとした。
 同時に約5万人の治安部隊を現地に展開し、反対する独立運動家を拘束した。インターネットや電話を遮断し、力によって反発や不満を抑え込んだ。
 行き過ぎた強権的な手法ではないか。これでは「世界最大の民主主義国」の振る舞いとは言えまい。
 自治権が撤廃されたことによって、同州以外のインド人も土地などの取得が可能になる。多くのヒンズー教徒が移住してきて、人口や宗派の構成が大きく変わる可能性もある。
 イスラム教徒の住民は「アイデンティティーを失う」と反発している。ヒンズー教徒との対立が激化し、分断を深めることは避けられまい。
 モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)は、「ヒンズー教至上主義」を掲げている。今春の総選挙でも同州の自治権剥奪やパキスタンへの強硬姿勢を前面に打ち出し、圧勝した。
 だからといって、住民との協議もなしに自治権の剥奪を決めたことは許されまい。低迷する国内経済への批判や不満から目をそらせたい、との身勝手な思惑も透ける。
 現地の混乱に加え、パキスタンとの緊張の高まりが懸念される。パキスタンは「民族浄化だ」と非難し、駐インド大使を召還し、貿易も停止するなど対抗措置を打ち出している。
 両国はカシミール地方の領有権を巡って、47年、65年、71年の3度戦火を交えた。今年2月も、インド治安部隊員が殺害されたテロ事件を機に両国の戦闘機が攻撃し合う事態となった。
 これ以上、対立をエスカレートさせ、武力衝突に陥るような危うい状況は絶対に避けねばならない。
 パキスタンの要請を受けて、国連安全保障理事会は非公開会合を開いた。カシミール地方の一部を実効支配している中国がインドに反発し、パキスタンを後押しした。だが、大半のメンバー国は「2国間の問題」として、深入りを避けている。
 ただ傍観しているわけにはいくまい。日本を含む国際社会は両国に自制を強く求め、緊張緩和の方策を探るべきだ。


マイナンバー  不安拭えぬカード取得
 低迷するマイナンバーカードの普及に、弾みとなるのだろうか。
 政府は国・地方の全ての公務員に本年度末までにカードを取得させるという。扶養家族も含め計700万人超に率先させる狙いだ。
 普及策として、健康保険証としての活用や、クレジットカードのポイントや航空会社のマイレージを買い物に使える「自治体ポイント」の上乗せも検討している。
 マイナンバーカードはICチップ内に個人を認証する機能を搭載し、本人確認が容易にできる。ただ、普及が進まないのは、取得することにメリットを感じていない人が多いからではないか。
 政府は6月、2022年度にはほとんどの国民がカードを持つと想定した対応方針を決めたが、8月8日現在の交付枚数は1755万枚、人口に対する取得率は13・8%にとどまっている。
 内閣府による昨年10月の調査でも、カードを「取得しておらず、今後も取得予定がない」が5割強に達した。その理由として「必要性が感じられない」が58%、「身分証になるものは他にある」が42%を占めた。回答者の4割はマイナンバー制度に「特に期待することはない」と冷淡だった。
 一方、「個人情報の漏えいが心配」は27%、「紛失や盗難が心配」も25%あった。プライバシー侵害への不安が拭い去れていないことも要因のように思える。
 政府は当初、マイナンバー制度の当面の運用は納税と社会保障、災害関連の3分野に限られるとしていたが、カードを使った利用の場は拡大される傾向にある。
 21年3月に本格化する健康保険証としての活用のほか、同年10月には過去の投薬履歴を見られる「お薬手帳」の機能も持たせる。
 オンライン確定申告では22年1月から前年の医療費が自動表示されるようになるという。
 こうした機能は病院などの人手不足に対応できる利点もあるが、個人情報の手がかりが集約されることへの抵抗感は根強い。
 カードを持つ必要性に乏しく、個人情報流出のリスクもある。こうした懸念があるうちは、ほとんどの国民がカードを取得するという想定は架空の前提でしかない。
 マイナンバー制度は導入の初期投資に2700億円、運用に毎年300億円が必要とされる。巨費に見合う効果を実現しようとするあまり、サービス活用を急ぎすぎていないだろうか。カードの取得は本当に安全なのか。政府は納得できる説明を尽くすべきだ。


マイナンバー 強引なカード普及促進策
 個人番号が記載されたマイナンバーカードの普及率を高めるため政府は年度末までに国と地方の全ての公務員に取得させる考えだ。
 そうまでする必要があるのか。カードの普及が自己目的化しているかの強引なやり方には疑問が拭えない。
 国、地方それぞれの共済組合から職場を通じて交付申請書を配布し、手続きを促す。申請書には家族分を含め、あらかじめ名前などを印字する。霞が関の中央省庁で始めている身分証との一体化も出先機関や自治体に順次広げる。実質的な取得の義務化だ。
 マイナンバーは、国民一人一人に割り当てられた12桁の番号である。年金や税金などの個人情報を番号で照会し、事務を効率化するとして2016年1月に導入された。預金口座にも適用し、国民の所得や資産を正確につかむことで脱税などを防ぐことも狙う。
 希望者には、顔写真付きのICカードが交付される。番号のほか氏名、住所、生年月日が載り、身分証明書になる。
 政府は、22年度にほとんどの住民がカードを持つことを想定するものの、現状は程遠い。交付は今月8日時点で1755万枚、人口比で13・8%にとどまる。
 申請書を受け取った公務員は提出を拒みにくいだろう。公務員だからといって、本人の希望が前提であるカード取得を強いていいのか。まして扶養家族まで対象に含めるのは普及促進の度が過ぎる。
 内閣府の世論調査では、カードを「取得していないし、今後も取得する予定はない」との回答が半数を超えている。理由は「必要性が感じられない」が最多で「身分証になるものは他にある」「情報漏えいが心配」と続いた。
 利点が乏しい一方で不安が残る制度―。国民のそんな受け止めが見て取れる。
 公務員への働き掛けのほかにも政府は普及策をあれこれ打ち出している。消費税増税に伴う景気対策ではカードを活用した「自治体ポイント」を計画する。21年には過去の投薬履歴を見られる「お薬手帳」の機能も持たせる。
 カードの利点をアピールしようと活用範囲を拡大していけば、その分、情報漏れや不正利用の心配が膨らむ。脱税防止といった本来の目的がかすんでもいく。
 普及を図りたいなら、強引な促進策ではなく、制度への国民の理解を広げる努力が先決だ。何のための個人番号か、なぜカード取得を促すのか。出発点に立ち返って丁寧に説明するべきである。


食料の自給 生産基盤の強化が急務だ
 人間の根源的な営みである「食」を巡って、大きなリスクがあることを世界に訴える警告と言えよう。
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が先日公表した特別報告書のことだ。地球温暖化の影響による干ばつなどの増加で、2050年に穀物価格が最大23%上がる恐れがある、とした。
 もし、そうした事態になれば、世界的に食料確保の競争が激しくなり、日本の食料供給が揺らぐ可能性もある。国内の食料生産体制の維持や、多様な輸入先の確保などリスクを低減する手だての重要性が一段と増している。
 だが、現実には日本の食料自給率は依然として低迷している。農林水産省が今月発表した18年度のカロリーベースの食料自給率は前年度より1ポイント下がり37%となった。天候不順で小麦や大豆の国内生産量が大きく減ったためで、冷夏でコメの記録的な凶作に見舞われ、タイ米などが緊急輸入された1993年度と並ぶ過去最低の水準だった。
 低迷が続く背景には、自給割合が高いコメの需要が減っているのをはじめ、外国産の飼料で育てられると国産とは見なされない畜産物の消費が増えるなど食生活の洋風化、輸入農産物の増加といった問題がある。農業生産者の高齢化や担い手の減少が進んでいることや、安価な輸入物との競争が厳しさを増していることも低迷の一因と言える。
 昨年末以降、環太平洋連携協定(TPP)や日欧経済連携協定(EPA)が相次いで発効しており、海外農産物の流入もさらに拡大する。食料自給率の向上には、国内農産物の消費拡大に加え、生産基盤の強化が不可欠だ。足腰の強い農業を実現することが求められる。
 調査開始の60年度には79%だった食料自給率は長期的な低下傾向が続く。農水省は農業政策の中期的な指針として2000年に策定した「食料・農業・農村基本計画」で、初めて自給率の向上目標を設定。政府は25年度に45%とする目標を掲げ、生産振興などに取り組んできたが、達成は程遠い状況だ。
 日本の自給率は、先進国の中でも最低水準にある。農水省の試算によると、主な国の自給率(13年、カロリーベース)は、オーストラリア223%、米国130%、ドイツ95%などとなっており、日本の低さが目立っている。世界的な食料不足や輸入が滞った事態に備える食の安全保障の観点からも、自給率の向上は欠かせない。
 農水省は、食料・農業・農村基本計画を5年ごとに見直している。来年3月には新たな基本計画を策定し、今後の自給率目標の在り方に関しても検討する予定だ。
 食に関わる農業の生産基盤の強化は極めて重大な課題である。条件の不利な中山間地を含め日本の農業の維持、発展に向けて、実効性ある政策を打ち出してもらいたい。


古市憲寿の芥川賞候補作「無名の小説を参考」に山田詠美ら選考委員が「それってありな訳」と猛批判
 ワイドショーで“炎上芸人”をやりながら、最近は小説で芥川賞を狙っている古市憲寿クンだが、その芥川賞候補作に、“小説家として姿勢”を疑われかねない批判が巻き起こっている。きっかけは、今月10日発売『文藝春秋』9月号に掲載された、第161回芥川賞の選評だ。古市は、前回「平成くん、さようなら」に続き、3作目の小説「百の夜は跳ねて」(「新潮」2019年6月号に掲載)が芥川賞候補にノミネートされていた。
 前作「平成くん、さようなら」は最有力候補との前評判にも関わらず、芥川賞選考委員からほとんど評価されずあえなく落選したが、今回の「百の夜は跳ねて」は、専門家の間でも前評判が上々。辛口で知られる書評家の豊崎由美氏も、前回とはうって変わってこんな高い評価を与えていた。
〈前作から飛躍的に巧くなっている〉〈内面描写が丁寧になっていて〉〈前作における情報伝達文の域を出なかった、のっぺりした文章が豊かに変容している〉〈短期間でのこの上達ぶりは目覚ましいというべき〉(「週刊新潮」2019年7月25日号)
 ところが、結果は今回も落選。そして、選考委員による選評では小説の出来とは別の問題に批判が集中した。
 たとえば、山田詠美はこう書いている。
〈『百の夜は跳ねて』。いくつも列記されている参考文献の中に、書籍化されていない小説作品があるのを知った。小説の参考文献に、古典でもない小説作品とは、これいかに。そういうのってありな訳? と思ったので、その木村友祐作「天空の絵描きたち」を読んでみた。
 そして、びっくり! 極めてシンプルで、奇をてらわない正攻法。候補作よりはるかにおもしろい……どうなってんの? 候補作に関しては、前作よりも内面が丁寧に描かれていて豊か、という書評をどこかで目にしたが当然だろう。だって、きちんとした下地が既にあるんだからさ。
 いや、しかし、だからといって、候補作が真似や剽窃に当たる訳ではない。もちろん、オマージュでもない。ここにあるのは、もっと、ずっとずっと巧妙な、何か。それについて考えると哀しくなって来る。「天空の絵描きたち」の書籍化を望む。〉
 そう、古市が参考文献にあげていた書籍化されていない小説「天空の絵描きたち」(木村友祐)を「下地」にしていることを問題にし、こちらの方が古市の候補作よりはるかに面白いと切って捨てたのだ。
 山田だけではない。川上弘美もほぼ同様の違和感を表明していた。
〈「百の夜を跳ねて」を一読し、前作よりも厚みがあると感じました。「老婆」と語り手と「先輩」との有機的な関係が、読み進むための推進力になっています。何より、高層ビルのガラス清掃の仕事にかんする立体的な書きようの中に、作者の新しい声を聞いたように思ったのです。読み終わり、「参考文献」をぼんやり眺めていたら、「木村友祐「天空の絵描きたち」『文學界』文藝春秋、2012年10月号」とありました。いわゆる「古典」ではない小説が参考文献に? と驚き、編集部に頼んでコピーしてもらい、読みました。
 結論から言います。わたしは悲しかった。木村友祐さんの声が、そのまま「百の夜は跳ねて」の中に、消化されず、ひどく生のまま、響いていると、強く感じてしまったからです。小説家が、いや、小説に限らず何かを創り出す人びとが、自分の、自分だけの声を生みだすということが、どんなに苦しく、またこよなく楽しいことなのか、古市さんにはわかっていないのではないか。だからこんなにも安易に、木村さんの声を「参考」にしてしまったのではないか。たとえ木村さんご自身が「参考」にすることを了解していたとしても、古市さんのおこなったことは、ものを創り出そうとする者としての矜持に欠ける行為であると、わたしは思います。〉
吉田修一は「いやらしさ感じた」、堀江敏幸は「重要な部分をかっぱいだ」
 さらに、吉田修一は作品の持つ価値観を批判した上、無名の小説作品を参考文献としていることに「いやらしさを感じた」とまで書いていた。
〈「百の夜は跳ねて」
 なにより主人公の凡庸な価値観に唖然とする。タワーマンションの上層階に住んでいるのが上流で、下層階は下流? 高層ビルの中で働いている人が優秀で、外で働いている人が劣等? もちろんこのような凡庸で差別的な価値観の主人公を小説で書いてもいいのだが、作者もまた同じような価値観なのではないかと思えるふしもあり、とすれば、作家として致命的ではないだろうか。あと、参考文献に挙げられていた木村友祐氏の佳品『天空の絵描きたち』を読み、本作に対して盗作とはまた別種のいやらしさを感じた。ぜひ読み比べてほしいのだが、あいにく『天空の…』の方は書籍化さえされておらず入手困難であり、まさにこの辺りに本作が持ついやらしさがあるように思う。
無名であることが蔑ろにされるべきではない。たとえそれが現実だとしても、文学がそこを諦めたら終わりじゃないかと自戒の念も込めて強く思う。〉
 堀江敏幸も古市が参考文献から「最も重要な部分をかっぱいで」いると一刀両断にした。
〈高層ビルの窓の清掃をする人たちは、都会の景色に背を向けて、目の前のガラスの汚れに神経を集中する。古市憲寿さんの「百の夜は跳ねて」の主人公は、そういう仕事に就きながら、表面に映じた自分の顔しか見ていない。地上二百五十メートルの高さにではなく、参考文献にあげられた他者の小説の、最も重要な部分をかっぱいでも、ガラスは濁るだけではないか。〉
 とにかく、多くの選考委員が、古市の候補作「百の夜は跳ねて」が「天空の絵描きたち」という書籍化されていない小説を「参考」にしていることに、違和感の声をあげていた。
 そして、こうした選評を受けて、ネットの一部では「古市が他人の小説をパクっていたことがバレた」「出版されていない佳作を探してきて、うまいこと翻案して小説書いた」といった声が上がり始めたのだ。
参考文献となった小説の作者は「盗作」を否定し古市を擁護
 しかし、審査員たちも選評でことわっているように、今回の古市の行為は「パクリ」や「盗作」とまでは言えないだろう。
 古市の「百の夜は跳ねて」と、参考文献の「天空の絵描きたち」を読み比べてみると、たしかに、同じ窓ガラス清掃員をモチーフとしており、清掃作業のディテール、作業ゴンドラのなかでの異性清掃員とのエロいやりとり、そして先輩清掃員の作業中の転落死など、似ているエピソードはいくつもある。
 しかし、その主題はまったく違う。参考文献の「天空の絵描きたち」は、窓ガラス清掃員の女性が主人公で、ストレートにガラス清掃員たちの労働そのものや搾取の実態を描いた、いわば現代のプロレタリア小説だが、古市の「百の夜は跳ねて」は窓ガラス清掃員の青年と彼がガラス清掃した高級タワーマンションに住む老女の交流が主軸で、タワマンの外と内という対比が強調されている。
 分量で言っても、似ている部分の割合はそう多くなく、その似ている部分も文章表現そのものが酷似しているわけではない。
 そして、何より参考文献となった「天空の絵描きたち」作者の木村友祐氏が、パクリを否定し、古市を擁護しているのだ。木村氏はツイッターで、「古市が人の小説を翻案した」という声にこう反応した。
〈違いますよう。古市さんが窓拭きに興味をもち、取材依頼があり、応じました。窓拭きの達人を紹介しました。古市さんはその取材をもとに書いてます。〉
〈窓拭きが落ちて死ぬ、というエピソードなどの細部が似るのは、同じその達人から取材したからだし、実際に死ぬ人がいるから、仕方ないのです〉
 つまり、古市は木村氏にネタ元である窓拭き作業員を紹介してもらっており、窓拭きのディテールが似ているのは取材源が同じだから、ということらしい。
 では、なぜ選考委員たちは古市の「参考文献」の使い方を問題にしたのか。選考委員たちが事情を知らず、「パクリ」と勘違いしたわけではない。
 前述したように、山田詠美も吉田修一も「盗作」や「剽窃」でないことは断っていたし、川上弘美はわざわざ「たとえ木村さんご自身が「参考」にすることを了解していたとしても」という注釈を加えていた。おそらく選考委員たちは、編集者から取材の経緯を教えてもらっていたはずだ。にもかかわらず、ここまで、選考委員が厳しい声をあげたのは、古市の行為が「小説家としての倫理」を著しく欠くものだったからだろう。
参考文献の経緯を知りながら選考委員たちが古市を批判した理由
 その一つが小説を参考文献にしたことだ。選考委員からは〈小説の参考文献に、古典でもない小説作品とは、これいかに。そういうのってありな訳?〉(山田詠美)、〈いわゆる「古典」ではない小説が参考文献に? と驚き〉(川上弘美)と疑問の声が上がっていたが、そもそも、小説が、ノンフィクションや論文などではなく、書籍化されていない小説を参考文献にするなんて、聞いたことがない。
 いまさら言うまでもないことだが、小説家は皆、他の小説作品にない「自分だけの表現」を追い求めて、精神をすり減らしながら作品と格闘している。それは主題や物語の展開だけのことではない。ディテールについても自分しか描けないリアリティ、生々しさを表現するために、さまざまな資料やノンフィクションを読み込み、直接、現場を体験した人間に会って取材しているのだ。
 ところが、古市が参考にしたのは、自分の作品と同じ題材の小説、しかも書籍化されていない小説だった。その小説の作家にネタ元を紹介されたから似るのは当たり前、というが、むしろ、他の小説がある人物の「生の声」を描いているなら、別の「生の声」を探そうとするのが小説家だろう。
 ガラス清掃に関するディテールを描きたかったのであれば、ガラス清掃の労働実態に関するレポートや論文など資料はいくらでもある。古市の “人脈”を駆使すれば、そうした専門家にアクセスすることはいくらでもできたはずだ。
 だが、古市はそれをせずに、編集者の紹介で同じ小説を書いている木村氏に会い、木村氏から窓ガラス清掃員を紹介してもらい、その取材だけで書いてしまった。しかも、その作品には、木村氏が描いた以上のディテール、生の声はなかった。
 それは、古市がガラス清掃員そのものを描くことについて、深い関心がなかったからだろう。
 古市は、タワーマンションの内側と外側、そのことを象徴するのに都合のいい装置として、そのタワマンを清掃する肉体労働者を題材に選んだにすぎない。それで、ろくに調べもせずに、先行小説を参考にディテールを作り出した。
  しかも、選考委員たちが参考文献を取り寄せてみたら、古市の小説から生々しさや奥行きを感じた部分が、その先行小説と共通する窓ガラス清掃員のディテールだったということではないのか。
 つまり、「参考文献」の存在によって、古市の浅薄さ、インスタントぶりが透けて見えてしまったのではないか。
参考文献の作者である木村氏が事情を説明しているのに古市は沈黙
 実際、同じ選考委員の高樹のぶ子は、参考文献問題には触れなかったものの〈ガラス拭きの肉体労働と、その主人公の想念がどうも融合していない〉と指摘。〈冒頭に、生まれることも死ぬことも出来ない島の説明があるけれど、命の問題というより、いかにもお洒落な記述に見えた。作者にとって本当に切実なものは何だろう〉としている。
 また、古市の「盗作・パクリ疑惑」を否定した「天空の絵描きたち」作者の木村氏も、その後、スポニチの「古市氏小説への批判に 参考文献作家が反論「違和感はありませんでした」」という記事をリツイートし、〈ぼくのツイートは、誤解や憶測に対する訂正であって、「選考委員の一部から批判が出ていることに反論した」わけではありません。〉としたうえで、こうツイートしている。
〈古市さんが、ぼくや窓拭きの達人に取材したことは、選考委員の方々は編集者から聞いていたと思われます。その上での批判は、題材に向き合う創作者の姿勢を問うていると思われ、これは創作者の誰もが自分のこととして一緒に考えるべきことでしょう。創作の根幹に関わるテーマだからです。もう言わない。〉(現在は削除)
 そういう意味では、今回の問題は盗作や剽窃よりももっと根深いというべきかもしれない。盗作や剽窃はわかりやすいスキャンダルだが、この中身のない巧妙さは、古市の小説家としての根本的な姿勢に深く関わっているからだ。
 いったい、古市はこうした批判にどう答えているのか。しかし、当の古市は落選時には、〈ちーーーん。〉〈まただめだった!!!〉とツイートしていたが、選評が出て以降、「参考文献問題」についてはとくにツイートなどしていない。
 古市は、落合陽一との“高齢者の終末医療を打ち切れ”対談のときも、落合が反省コメントを発したのに対し、沈黙したまま逃げ切った。巻き込まれた木村氏だけに事情を説明させるのではなく、古市自身も何かしら発信するべきなのではないか。(本田コッペ)


長谷部誠、北島康介が語った戦争の犠牲になったアスリートへの思い! 陸上・朝原宣治はスポーツの政治利用に危機感を表明
 敗戦から74回目の夏を迎え、今年も戦中の日本について扱う終戦特集企画が各メディアで組まれた。なかでもNHKは意欲的な番組を多数放送していたが、そのなかには、来年の東京オリンピック開催を見据えてなのか、「スポーツと戦争」をテーマにした企画もあった。8月18日放送のNHKスペシャル『戦争と“幻のオリンピック” アスリート 知られざる闘い』がそれだ。
 この番組では、北島康介選手、長谷部誠選手、朝原宣治選手、3人のオリンピック出場経験のあるアスリートが、戦時中の日本のスポーツ界に起きていたことを学んだ。戦時中のオリンピック選手たちは、戦争によってアスリートとしての未来を絶たれ、なかには、スポーツ選手としての名声を戦争のために利用された人までいたのだ。
 まず、長谷部がナビゲートしたのは、1936年のベルリンオリンピックに出場したサッカー選手。このとき、日本のサッカーは初めてオリンピックに出場したのだが、優勝候補のスウェーデンを相手に逆転勝利をおさめ、その試合は「ベルリンの奇跡」として呼ばれた。
 この試合で逆転ゴールを決めた松永行選手が卒業した静岡県立藤枝東高校の後輩に当たるのが長谷部選手だ。長谷部選手はスウェーデン戦の映像を見て当時の選手たちの技術を評価、さらに松永選手が書き残した戦術に関する文章を読み、そのレベルの高さに驚く。
 サッカーの指導者を目指していた松永選手だが、戦争によってその夢は絶たれた。松永選手は陸軍に入隊後、ガダルカナル島で戦死したからだ。また、ベルリンオリンピック代表選手の半数が軍隊にとられ、そのうち4人が戦死している。その歴史を知った長谷部はこのように語った。
「同じサッカーを愛する人間としては非常に悲しい。この戦争によって優秀なサッカー人の方々を失ったというのは、物質的なものもそうなんですけど、そのときだけ失うのではなくて、そこに穴、大きな空洞ができたと思いますね、日本サッカー界にとって。戦争というのは二度と起こしてはいけないものだと思うし、そういうものを改めて感じます」
 戦争によってアスリートの未来が絶たれたのはサッカーだけではない。
 北島康介がナビゲートしたのは、戦争によって競技の場を奪われた水泳選手たちの存在だ。
 水泳は当時から日本にとって得意な競技で、世界的にも優秀な選手を多数輩出していたが、戦争が始まると水泳選手たちは集中してトレーニングをおこなうことができなくなった。軍は水泳を兵士の基礎訓練のひとつとして重要視し、オリンピック選手も指導役として駆り出したからだ。
 水泳日本代表の監督を務めた経験もある大日本体育協会の松澤一鶴事務局長は、スポーツを国家への奉仕や貢献のために利用しようとする国の姿勢に反発。「戦争に必要なものだけやればいいという考えはとても非文化的じゃないか。スポーツには人間的錬成を図るという、もう一つ高度な理念がある」という言葉を官僚にぶつけたこともあるという。
 しかし、彼の掲げるスポーツの理念は戦争が泥沼化するにつれてどんどん軽んじられていくことになる。
 1940年におこなわれる予定だった東京オリンピックは戦争によって返上されたが、その後、どんな種類の大会であろうとスポーツの競技大会をおこなうことはどんどん禁止されるようになっていく。
ヒトラーのベルリン五輪に参加した日本選手が受けた凄まじいプレッシャー
 そんななか、競技大会がなくなって目標を失った水泳選手たちのため、松澤事務局長は政府の方針に抗い「記録会」をおこなった。この記録会にはベルリンオリンピックの背泳ぎで6位入賞の成績を残し、東京オリンピックでの活躍を期待されていた児島泰彦選手も出場。ベルリンオリンピックでの成績(1分10秒4)を大きく更新する1分9秒2秒のタイムを出した。
 しかし、児島選手にとってそれは最期の泳ぎでもあった。児島選手は沖縄に送られて戦死。遺骨すら見つかっていないという。
 東京・北区にある記録会がおこなわれたプールの跡地を訪れた北島選手はこのように語る。アスリートとして練習に没頭でき、試合でその成果を発揮できる環境にあったことは幸福だったということに気づいたと述べたのだ。
「東京にオリンピックがまた戻ってくる。そのなかで少しでも前のオリンピックの歴史を知ることができたということが、僕のなかではすごく大きくて。結果を残せた選手は喜びだったりとか、感情は人それぞれだけど、自分の力をパフォーマンスできる場所があるということがすごく幸せなんだと改めて思います」
 戦争によって競技の場も命も奪われたアスリートたち。長谷部と北島は「スポーツが戦争に飲み込まれていく悲劇」に触れて、平和への思いを新たにしていた。これらのエピソードからも戦争がいかに残虐で罪深いものか伝わったが、ただ、こうした悲劇をあくまでも「過去」の話として捉えられていた。
 そんななか出色だったのは、北京オリンピックの400メートルリレー銀メダリストである朝原宣治選手だ。朝原選手は、スポーツと政治が結びつくことで生まれる悲劇を単なる過去の話でなく、「スポーツと戦争の近さ」について、現在に通じる問題としてその危機感を語った。それは、2020年東京オリンピックにもつながってくる問題である。
 朝原選手が登場したパートでは、陸上の鈴木聞多選手について取り上げた。鈴木選手はベルリンオリンピックの400メートルリレーに出場した人物。「暁の超特急」と呼ばれた吉岡隆徳選手のバトンを引き継ぐ第二走者としてオリンピックの舞台に立った。
 そもそもナチス政権下でおこなわれた1936年のベルリンオリンピックは、ヒトラーが国威発揚とプロパガンダに利用した近代五輪史上最大の汚点だが、日本にとっても国威発揚の場となった。「日本民族の力を世界に示す」ことを国民から求められ、すさまじいプレッシャーのなかで臨んだ試合では、理想的なタイミングより若干早くスタートしてしまい、吉岡選手と鈴木選手の間でバトンミスが発生。バトンの受け渡しが許されるエリアを越えたことで失格となってしまった。
朝原宣治「スポーツと戦争は近い」「スポーツはなにかに利用されるべきではない」
 ベルリンでの出来事について鈴木選手は〈惨めな敗者として終わってしまいました。何をもって御詫び致すべきか〉と悲痛な気持ちを書き残しているという。
 実は、朝原選手も似たような体験をしたアスリートである。朝原選手は1996年のアトランタオリンピックに400メートルリレーのアンカーとして参加した際、バトンミスで失格となっている。
 同様の体験をした朝原選手から見ても、鈴木選手が国民から負わされたプレッシャーはすさまじいものがあったと映ったようで、鈴木選手が書き残した言葉を読んだ後、このようにコメントした。
「私たちも国を背負って競技者としてやってきたんですけど、このころの選手というのはスポーツという域を超えた日本代表としてオリンピックに向かっていった。そういうなかでの失敗でしたので、ちょっといまの選手には想像つかないことだと思います」
 この後、東京オリンピックが返上となって挽回のチャンスもなくなった鈴木選手は陸軍に入隊。その際、新聞の見出しには〈苦しさを知らぬ快速隊長〉〈部隊の至宝〉といった言葉が躍る。オリンピック選手としての名声を軍は利用したのである。
 中国内陸部の山岳地帯に送られた鈴木選手は俊足を買われて偵察を担当させられ、そして、1939年7月、河南省北部の山岳地帯で手りゅう弾を受けて命を落とした。
 この死も軍に利用された。新聞では〈さすが“五輪”の花形〉〈鈴木君 壮烈な散華 オリンピックの名選手〉といった見出しで報じられ、その死は戦意昂揚のため、勇壮な美談として国民に伝えられたのだ。
 鈴木選手の墓を訪れ、墓石に〈皇国青年の士気を昂揚す〉と刻まれているのを見た朝原選手は「自分のすべてを懸けてスポーツ競技に向かっていった先が、戦争にそれを代えて向かっていくことになると悲しいと思う。当時の鈴木選手のことを考えると、もしかしたら、日本の代表という意味では、スポーツと戦争は近いものがあったのかもしれない」と感想を漏らし、スポーツが政治利用されることに関して、このような憤りを述べた。
「やはりスポーツはなにかに利用されるべきではないと思います。それが健全なかたちであって、その世界で私たちはアスリートとして頑張ってこれたんだなって改めて思いました」
 太平洋戦争中のようなかたちではないにせよ、「スポーツの政治利用」は現在の日本でも続いている。スポーツがナショナリズムを焚き付ける道具に使われる状況は変わっていない。
ナショナリズムを煽り、オリンピックへの批判や異論を許さないメディアの罪
 とくに、メディアがそのグロテスクな構図をつくりだしている。オリンピックの時期になると、地上波テレビを中心に、競技の内容はそっちのけで日本選手の活躍ばかりが報じられるのはご存知の通り。
 アナウンサーやコメンテーターによる「日本勝った!」「日本頑張れ!」といった叫び声が響き渡る傾向は、日本社会の右傾化・ガラパゴス化・内向き志向の強まる近年どんどんひどくなっているが、もちろんそれは選手たちに試合への集中を阻害するような強いプレッシャーを与えることにもつながっている。
 こうした傾向に苦言を呈する声も多い。たとえば、ジャーナリストの青木理氏は、リオデジャネイロオリンピックにおけるメディアの報道を問題視し、〈スポーツをめぐって奏でられるナショナリズムは、しばしば「健全なナショナリズム」などと形容される。ナショナリズムに「健全」なるものがあるかどうか私は怪しむが、スポーツのナショナリズムだってしばしば醜悪なものへと容易に転ずる〉(「サンデー毎日」2016年9月4日号/毎日新聞出版)と書き記している。
 こうした苦言は、オリンピックの大会運営に関わった経験のある人からも出されている。
 1964年の東京オリンピックで大会組織委員会のメンバーに入っていた吹浦忠正氏は、「調査情報」(TBSメディア総合研究所)2014年11月12日号に寄稿したエッセイ「巨大化したオリンピック──商業主義とナショナリズムの抱擁」のなかでこのように書き記し、2020年東京オリンピックが「スポーツを人類の調和のとれた発達に役立てること」「人類の尊厳保持」「平和な社会の実現」といったオリンピズムの目標に即した大会となることへの希望を述べている。
〈ベルリン大会(1936年)で典型的に行われた「スポーツへの政治介入」や「スポーツを利用した政治」は気を付けないと繰り返されかねない。大会誘致に「政府保証」だの「IOCの総会に最高首脳が出席する」などといった事態はスポーツ界が政治を導入してしまったというほかない〉
〈商業主義とナショナリズムの奇妙な抱擁がいまのオリンピックを支えていると思う。この商業主義とナショナリズムをより健全な形に抑えてこそ、オリンピックが継続できる人類共通の遺産となろう〉
 前述したNHKスペシャル『戦争と“幻のオリンピック” アスリート 知られざる闘い』の最後には、長谷部選手が「戦争や紛争、いろんなものから逃れて、サッカーができなくなるとか、そういうものは現代でも目の当たりにしていますし、悲しむことは誰でもできると思うんですけど、そこから学んで次につなげる、そして、それを忘れないことですね」と語っている。戦時中に起きたことは、現在・未来の問題でもあるのだ。
 この国はかつて、スポーツをナショナリズムを煽る道具として使い、参加したアスリートに無用なプレッシャーを与えた。のみならず、彼らの能力や名声を戦争遂行のために使った過去さえある。
 東京オリンピックを翌年に控え、スポーツがナショナリズムの道具として使われる危惧が高まる一方、オリンピックに対する批判や異論が封殺されている現在、このような番組が放送されたことには価値がある。
 私たちはこの国がもつ醜い過去を直視し、オリンピックが愛国心を煽る道具となる昨今の状況に抗わなければならない。


「残ったトイレットペーパーが泡のように…」「五輪には到底間に合わない」お台場の汚水に衝撃…今からでもできる東京湾の対策は
 11日に行われた東京オリンピック・パラリンピックのオープンウォータースイミングのテストイベント。競技結果以上に注目が集まったのは、選手たちからの「トイレの臭いがする」「正直臭い」といった感想だった。そして17日、パラトライアスロンの前日水質検査では、ITU(国際トライアスロン連合)は最悪の「レベル4」に分類される、基準(100ml以下で250匹以内)の2倍の大腸菌が検出され、スイムは中止となった。
 開催まであと1年、東京の汚水の“不都合な真実“とは。20日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、その背景を探った。
■「検査方法が杜撰」…溶け残ったトイレットペーパーも浮遊!?
 国連テクニカルアドバイザーも務める吉村和就・グローバルウォータ・ジャパン代表は「これらは"糞便性"の大腸菌で、簡単に言えば人間が出したウンコなどが全部入っているということだ。赤痢、疫痢、チフス、レジオネラなど、人間の体内のあらゆるものの中で、ITUとしては大腸菌を指標にしましょうということにしている。250個の大腸菌を1000人に飲ませた場合30人がお腹を壊すというWHOの基準だ。身体が丈夫な人であれば問題ないかもしれないが、乳幼児には良くないし、身体に傷があれば破傷風になる可能性もある」と話す。
 さらに吉村氏は「糞便性の大腸菌の場合、44.5度で24時間培養し、その効果を確かめることになっているが、今回は16、17日の夕方に採取して、朝にはゼロだったという結果が出た。つまり、24時間やらなければいけないところ、12時間しかやっていない。検査方法が杜撰だし、一体何を信用すればいいのか」と指摘した。
 かねてから課題になっていたという東京湾の水質。その改善に長年取り組んできた港区議会議員の榎本茂氏(都民ファースト)は、「僕も年に100回を超える水質検査をやっているが、全て24時間待っている。手順を踏まなければちゃんとした検査はできないはずだ。なぜこんなに短時間でできるのかと思うし、身体から出ていくと3日以内に死ぬ弱い指標菌が存在しているということは、もっと強い菌が生きていることになる。大腸菌が翌日ゼロになったからいいというのは、そもそも論として違うと思う」と首をかしげる。
 榎本区議が一昨年5月に撮影した、生活排水が放出される様子を撮影した映像には、泡や色の着いた物体が水面に浮いている様子が収められている。この水が行き着く先には、問題のお台場もある。
 「レインボーブリッジのループの付近にある、高浜水門の脇で撮影した。この後ろには広大な下水処理場があり、港区全域のトイレの水だけでなく、日本橋、銀座、新宿、渋谷、後楽園球場やサンシャインシティの水も来るし、国会議事堂の水は2時間でやってくる。ただ、建設されたのは昭和6年、今よりも人口は少なく、東京にビルなどもない時代だ。だからちょっと雨が降るともう流さなければいけない。多い年で年間120回。3日に1回くらい放出されるが、直後の水には、水中に分解されつつある状態の固形物がいっぱい混じっている。明らかにトイレットペーパーのようなものが、ふわふわの泡になって消えずに残っている。塩素も大量に混ぜているので、それと合わさった刺激臭と腐敗臭がした。すごい圧力で排水するので、お台場までは30分で到達する」。
■汚水が混じる仕組み…「大会には到底間に合わない」
 映像の撮影と同じ年に行われた水質調査では、国際水泳連合の定める基準の7倍、ITUの定める基準の21倍の大腸菌を検出する日があったという。大会組織委の室伏広治スポーツ局長(当時)は「特に雨が降った後のデータがあまり良くないということもあるので、競技日程など、そういうことも踏まえて総合的に対応していくことになると思う」との見解を示していた。
 榎本都議と室伏局長の話にあった、"東京湾の水質は雨によって変わる"とはどういうことなのだろうか。
 東京の下水道は、生活排水や工業廃水などを1本の下水管に合流させて下水処理施設で浄化し、その後で川に流すと「合流式」を採用している。通常、3回の下水処理が3周行われているが、台風やゲリラ豪雨などで急激に雨量が増えて下水管に大量の雨水が入った場合、市街地の浸水被害を防ぐために1回の簡易処理のみで川に流すことがあるのだ。このことは東京都水道局のHPにも「一定量以上の雨が降った時に、汚水混じりの雨水が河川や海などに放流されます」と説明されており、都では降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備、排水を貯める施設の拡大、雨水を地中に染み込ませる雨水浸透桝の設置などを進めてきた。ただ、小池百合子都知事が2016年、「昔はもっと汚かったけれど、だいぶ甦りつつある。だいぶ良くなってきたが、まだきれいにできるわね」と発言しているものの、効果のほどは未知数だという。
 吉村氏は「下水処理場の中には皆さんのウンコも食べてくれる、ありがたい生物処理の仕組みがあり、そこを通して、東京都では1日あたり450〜550万トンの水が東京湾に流れている。しかしゲリラ豪雨などで50〜75ミリ、つまり通常の60倍の水が入った場合、下水処理場に入る手前に設置されている800か所の越流堰から水を出さなければ、下水処理場がパンクしてしまう。もともと下水処理場の本来の目的には雨水の排除もあり、それによって都市型の洪水を防いでいたが、最近では100ミリを超える雨が増えており、10年前は年220回だったのが、都の試算で2050年には300回を超すと言われている」と説明。「とにかく雨水の排除を重要視していたこともあり、国際的に見てもロンドンやニューヨークも合流式で、東京は合流式が8割、分流式が2割だ。一方、後から下水が整備された横浜の場合は合流式が3割、分流式が7割で、非常にうまく言っている。東京でも同様にしたいが、それには10兆円の費用と50年くらいの時間がかかる。都が考えている対策も、全て完成したとして170万トン分だ。75〜100ミリの雨が降ると約1000万トンの水が出る計算になるし、絶対に開催には間に合わない」とした。
 榎本氏は「簡易処理の場合、殺菌と鉄格子で大きなゴミを取るという程度で、後は塩素消毒だけして流してしまう。台風やゲリラ豪雨の場合、簡易処理も省略となる」と実情を明かし、「都の対策も到底間に合わない。芝浦で初期雨水の貯留施設の工事が進められているが、深さ75mのところ、5、6年が経っているのにまだ20mしか掘れていない。そこで貯めきれなかったものを圧送する地下トンネルも8kmのうち3kmしかできていない。長期の計画と短期の計画は分けて考えなければいけない」と警鐘を鳴らす。
■残り1年でできる対策は「有明水再生センター」「ヘドロ除去」
 では、あと1年で考えうる対策にはどのようなものがあるのだろうか。
 吉村氏は「問題になっている場所は、都自身が遊泳禁止にして、2014年からは膝下までは入っていいが決して水に顔を付けてはいけないとしている場所だ。本来、トライアスロンなどやってはいけない。そもそもお台場はヘドロが江戸時代から溜まっているところで、湾の奥なので、汚水が入るとなかなか抜けない。本来、新島や八丈島など、東京都が島でやるべきだった」と指摘した上で、次のようなアイデアを披露した。
 「実はお台場から運河を挟んだ有明に最新鋭の水再生センターがあり、トイレ用水などを作っている。無色透明で完全殺菌され、透視度は2メートルある水なので、これを運河の下を通してお台場に配管し、お台場に流れ込む下水の流れを逆にしてやる。トライアスロン会場には100万トンの海水が必要だが、有明の水再生センターは1日で3万トンを処理できるので、約1か月できれいにできるのではないか。運河は河川局、港湾局といろいろなものがあり許認可が大変だが、このままでは水道の普及率98%、汚水処理率91%と、アジアで最も水のきれいな国だったはずの日本が、汚染された海で泳がせるとはどういうことなのか、ということで、汚染が"レガシー"となってしまう」。
 榎本氏は「会場になっているのは、普通の人の遊泳は禁止だが、国際大会に準じるものはOKと条例を変えた場所。水質だけ見れば、横浜などで開催するのが正しい。あえてここを会場にしたのは、私の推測では"景観"が理由だったと思う。レインボーブリッジも"封鎖"して、ビジュアル的にカッコいいコースを取る。しかしそのために定期バスも全部止まるし、マンション住民は車も駐車場の入口が全部塞がれてストップだ」としながらも、「2メートルの厚さでヘドロが堆積している。ここに嫌気性バクテリアがたくさんいて、硫化水素やメタンガスなどの嫌な臭いを出している。しかし数か月あれば、このヘドロは取ることができる。それはすぐにでもやってもらいたいと都議会にも申し入れている。その上でそこに砂を撒き、好気性のバクテリアを増やす努力をこの1年間はやるべきだ」と訴える。
 「今まで僕は議会質問の半分くらいを使って下水について質問してきた。"下水オタク"とか"票にならんだろう"と言われていた。しかし、下水の問題を改善することこそ"レガシー"だ。芝浦港南に高層マンションが立つようになって、クレームも来るようになった。下水の問題がこれだけ取り上げられ、議論が深まること地元住民としては千載一遇のチャンス。100年かかってもいい。次の世代のために、東京港をきれいにしたいのか、したくないのかを考える素敵な機会だ」(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


「貧困」を考えるうえで背けられない客観的事実 数字だけでなく貧困に生きる人の声も必要だ
大西 連 : 認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長
2019年現在、「日本に貧困はない」と言う人はいません。「一億総中流」だった時代は過ぎさり、それこそ「一億総活躍社会」が政府のスローガンになる時代です。これは逆説的に言えば、それだけ活躍できていない人がいる、ということを象徴的に表しています。
平成の始まりとともにバブルが崩壊し、都市部ではホームレス状態の人がターミナル駅などを中心に一気に増加。2002年に「ホームレス自立支援法」が成立した一方で、2004年の製造業派遣が解禁されたのを機に、非正規労働者が全国に急速に拡大していきました。
2008年秋には「リーマンショック」とその後の「年越し派遣村」により、社会問題としての「貧困」があぶり出されると同時に、その対策の必要性が社会的にも提起されました。そして2010年代には「子どもの貧困対策法」「生活困窮者自立支援法」をはじめとした諸施策が誕生する一方で、厳しい社会保障費の削減や圧縮も見られました。
私たちの社会は、高度経済成長とともに一度忘れかけていた「貧困」という問題に再会し、その大きな壁にぶちあたっています。
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長の大西連氏の著書『絶望しないための貧困学 ルポ 自己責任と向き合う支援の現場』を基に、本稿では、この問題のこれからを考えるためにも、まずは現在地を共有することを目的とします。
相対的貧困な人は2015年に15%
「貧困」について考える指標に、「絶対的貧困」と「相対的貧困」という概念があります。
世界銀行のデータ(2015年)によれば、1日1.9ドル(アメリカドル)未満で暮らしている人は世界で約7億3600万人、人類の約10%になるといわれています。もちろん、国や地域によって物価は違いますが、1日1.9ドル(=2019年5月末時点で約210円)未満の生活というのは、食べ物を買えない、安全な水を得られない、学校にも病院にも行くことができないなど、相当な困窮状態にあるといえ、「絶対的貧困」と呼ばれます。
一方の「相対的貧困」とは、その国で生活している人の中で、相対的に貧困状態にある人がどのくらいいるかという指標です。国民一人ひとりを所得順に並べたとき、真ん中にくる人の値の半分に満たない人の割合を指します。
2015年の日本は、この真ん中の値が244万円(月に使えるお金が約20万円)だったので、その半分にあたる122万円(月に使えるお金が約10万円)以下の人が15.7%とされました。
このように、「貧困」と言ってもさまざまな尺度があり、先進国の中にも「貧困」は存在します。日本は「絶対的貧困」こそ少ないものの、「相対的貧困」の年次推移を見てみると、実に6人に1人が貧困状態にあり、その割合は増加傾向にあります。国際比較でも、日本の相対的貧困率の高さはOECD諸国の中で上から数えたほうが早いくらいなのです。
貧困の歴史―「寄せ場」から「派遣村」まで
では、この「貧困」という問題は、この社会の中でどのように存在してきたのか、その歴史を確認してみましょう。
「寄せ場」という言葉を知っていますか? 日雇い労働者と彼らを雇いたい人が集まる場のことです。高度経済成長期には、日常的に行われていたことですが、違法・不当な労働環境も多く、社会保険や労災に入れないこともざらでした。
日本の建築ラッシュの担い手として活躍したのが彼らなのですが、バブル崩壊以後、その多くが職を失いました。収入も、貯蓄も、保障もない。家族もいない。ドヤ(簡易宿所)に泊まるお金もない。そうした人々が駅や公園、河川敷などに「ホームレス」として住むようになったのです。
当初、国や自治体は彼らを排除しようとしました。1994年と1996年には新宿で「強制排除」がおこなわれ、当事者・支援者の反対運動が盛んになりました。
1998年、新宿駅地下の段ボール村での火災で亡くなった方が出たことで、ホームレスの人たちが置かれた劣悪な環境に注目が集まり、2002年には「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(ホームレス自立支援法)」が成立。ホームレス問題の解決が国の責任とされたのです。
そして現在、雇用環境は大きな変化を迎えています。2004年に派遣法が改正され、製造業において派遣労働が可能になりました。公的な機関でも派遣労働者や契約社員など、不安定な働き方・働かせ方が一般化し、「ワーキングプア」と呼ばれる働きながらも貧困状態にある人たちの存在が顕在化しました。
「寄せ場」を中心としていた日雇い労働の仕組みも、インターネットや携帯電話の普及により、日雇い派遣、登録型派遣という形式で一部合法化され、ウェブサイトを通じて職を探したり、携帯電話を使って就活が行われたりするようになりました。この流れは、「ネットカフェ難民」と呼ばれる人たちの増加を加速しました。
2008年のリーマンショックの衝撃も大きなものでした。派遣労働者が大量に雇い止めされた結果、年末年始の日比谷公園に一時的とはいえ約500人が押し寄せました。雇用の不安定さが住まいの喪失に直結しかねないという現実が、「年越し派遣村」などの活動を通じて広く認知されるようになったのです。
時代の変化とともに雇用・家族・住まいのあり方は変容し、若年層にまでも「新しい貧困層」が拡大しているのが、この国の現状です。
このように、「貧困」と言ってもさまざまな尺度があり、先進国の中にも「貧困」は存在します。日本は「絶対的貧困」こそ少ないものの、「相対的貧困」の年次推移を見てみると、実に6人に1人が貧困状態にあり、その割合は増加傾向にあります。国際比較でも、日本の相対的貧困率の高さはOECD諸国の中で上から数えたほうが早いくらいなのです。
貧困の歴史―「寄せ場」から「派遣村」まで
では、この「貧困」という問題は、この社会の中でどのように存在してきたのか、その歴史を確認してみましょう。
「寄せ場」という言葉を知っていますか? 日雇い労働者と彼らを雇いたい人が集まる場のことです。高度経済成長期には、日常的に行われていたことですが、違法・不当な労働環境も多く、社会保険や労災に入れないこともざらでした。
日本の建築ラッシュの担い手として活躍したのが彼らなのですが、バブル崩壊以後、その多くが職を失いました。収入も、貯蓄も、保障もない。家族もいない。ドヤ(簡易宿所)に泊まるお金もない。そうした人々が駅や公園、河川敷などに「ホームレス」として住むようになったのです。
当初、国や自治体は彼らを排除しようとしました。1994年と1996年には新宿で「強制排除」がおこなわれ、当事者・支援者の反対運動が盛んになりました。
1998年、新宿駅地下の段ボール村での火災で亡くなった方が出たことで、ホームレスの人たちが置かれた劣悪な環境に注目が集まり、2002年には「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(ホームレス自立支援法)」が成立。ホームレス問題の解決が国の責任とされたのです。
そして現在、雇用環境は大きな変化を迎えています。2004年に派遣法が改正され、製造業において派遣労働が可能になりました。公的な機関でも派遣労働者や契約社員など、不安定な働き方・働かせ方が一般化し、「ワーキングプア」と呼ばれる働きながらも貧困状態にある人たちの存在が顕在化しました。
「寄せ場」を中心としていた日雇い労働の仕組みも、インターネットや携帯電話の普及により、日雇い派遣、登録型派遣という形式で一部合法化され、ウェブサイトを通じて職を探したり、携帯電話を使って就活が行われたりするようになりました。この流れは、「ネットカフェ難民」と呼ばれる人たちの増加を加速しました。
2008年のリーマンショックの衝撃も大きなものでした。派遣労働者が大量に雇い止めされた結果、年末年始の日比谷公園に一時的とはいえ約500人が押し寄せました。雇用の不安定さが住まいの喪失に直結しかねないという現実が、「年越し派遣村」などの活動を通じて広く認知されるようになったのです。
時代の変化とともに雇用・家族・住まいのあり方は変容し、若年層にまでも「新しい貧困層」が拡大しているのが、この国の現状です。
具体的には、「身体的暴力(殴る・蹴る・叩く・物を投げるなど)」「精神的暴力(暴言・脅迫・いやがらせなど)」「性的暴力(性的ないやがらせ・性的な行為の強要など)」「経済的暴力(必要なお金を渡さない・お金をせびるなど)」「社会的暴力(ほかの人と会うことを嫌がる・出かけることを嫌がるなど)」などが挙げられます。
これらを個々人の問題ではなく、解決すべき社会問題として捉える流れから、2001年に「DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)」が成立しました。2012年の内閣府の調査結果では、既婚女性の3人に1人がDV被害経験を持ち、23人に1人が生命の危険を感じるほどの暴力を受けたことがあると報告されています。
現実にDVを受けていても、被害者側が経済的に自立していないために、逃げ出したくても逃げ出せないというケースがよくあります。また、DVが原因で仕事を続けられなくなったり、引っ越しせざるをえなくなったりと、被害者側が経済的な基盤や人間関係を失ってしまうこともあります。社会の問題として、まだまだサポートが足りていない状況です。
暴力の問題は女性に限らず、子どもや障害者、高齢者などの弱い立場にある人に及ぶことも多く、いわゆる「児童虐待の防止等に関する法律」「障害者虐待防止法」「高齢者虐待防止法」など、さまざまな施策が整えられつつあります。
しかし、このような流れがあること自体、それだけこういった人たちが社会の中で暴力を受けやすく、経済的な自立が難しいという証左でもあるのです。
女性や子どもを取り巻く状況は待ったなし
また、ひとり親家庭の貧困率は54.6%(2012年)と高く、「母子世帯」では95.9%が平均所得金額以下で生活しています(2013年「国民生活基礎調査」)。子どもの貧困率については2015年に13.9%と、2012年の16.3%から減少したものの、それまでは上昇傾向にありました。女性や子どもを取り巻く状況は待ったなしなのです。
なお、「女性」や「子ども」というように、特定のテーマをもって問題を語ることは、物事をわかりやすくする一方で、その背景にある複合的な要因を見えづらくする方向にも働きます。
その是非については本稿では踏み込みませんが、私たちには、この記事で確認したような「数字」だけでなく、実際に「貧困」という状態を生きる人々の生に対する想像力も必要なのです。そのうえで、これからの話をする必要があるでしょう。


見る権利を奪わないでください…「不自由展」出展作家3組が再開求め声明
 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になった問題で、企画展に出展した作家16組のうち3組が20日までに、芸術祭実行委員会に声明書をそれぞれ提出したことが判明した。企画展の再開と声明書の会場掲示などを求めた。
 展示後に脅迫的な抗議があった、元従軍慰安婦を題材にした「平和の少女像」の作家、金運成(キムウンソン)、金曙堯淵ムソギョン)夫妻も声明書を作成。中止されるまでの3日間を「(鑑賞する)日本の人々の姿は落ち着いていた」と振り返った上で、「脅迫に屈服する姿に、正義と真実さえ覆い隠そうとしているのではないかとの疑いを持つ」と中止を決めた実行委を批判。「展示を見る権利を日本の市民から奪わないでください」と再開を求めた。夫妻は元慰安婦の写真を出展した安世鴻(アンセホン)氏と連名で、実行委会長の大村秀章・同県知事らに面会も求めた。
 また昭和天皇の肖像をモチーフにした作品を出展した大浦信行氏も声明書を提出。実行委から事前に中止説明がなかった点を「作家が蚊帳の外に置かれたまま事態が進んだ」と抗議し、「中止は『表現の自由』をないがしろにするもので、深い議論がなされたとは全く思えない」とした。【竹田直人】


芸術祭中止の機会に再考したい「表現の自由」の本質と原則
 憲法21条(表現の自由の保障と検閲の禁止)は、人間社会の中に当然に存在する多様な意見の自由な流通と衝突を経て、そこから、あらゆる問題に関して国民の理解を深め、個人としても集団としても正しい判断ができる社会状況を維持するためにある。
 そういう意味で、公権力も放送メディアも、それが権利乱用(つまり明白な嘘)である場合、または明らかに公益に反する場合(つまり名誉毀損や犯罪教唆)の他は、表現の自由を尊重しなければならない。
 だから、公のイベントであれ、公の施設であれ、放送メディアであれ、本来的に公共性のある場では、対立のある論点について表現することを希望して来た者には公平に「先着順」に機会が与えられるべきである。
 それに対して、公のイベントの主催者や公民館の管理者や放送の編成担当者が、例えば「その表現は『反日的』で気に食わない」という理由で「特定の」表現行為を事前に排除するとしたら、それは典型的な検閲で憲法違反である。もちろん、それが事後であっても、表現の中止、あるいはその後の排除を招くものは、検閲の一種として違憲であることに変わりはない。
 愛知の国際芸術祭で中止に追い込まれた「表現の不自由展・その後」は、表現の自由の本質を再考する良い機会を私たちに与えてくれた。まず、特に問題とされた「平和の少女像」は、さまざまな政治的評価はあるが、それが彫像芸術であることは否定し難い。また、昭和天皇の肖像を燃やす映像が、賛否は別にして、天皇の戦争責任を問う表現であることは理解できる。加えて、天皇は公人であり、不敬罪が廃止された現代において、天皇が公的批判の対象になり得ることは防ぐべきではない。
 だから、公権力としては、芸術祭の企画を託した人物が選定した以上、それらの作品の展示を受け入れる義務があるはずだ。
 その上で私は、慰安婦の問題では「強制」「20万」など歴史的検証に堪え得ないことが主張されており、また、天皇の戦争責任は静かに言葉で主張すべきことだ……と思う。私はこの展示にこのような反論表現をお返ししたい。


「表現の不自由展」天皇焼却映像作者“津田大介氏は「燃えてますね!」と笑っていた”
“反日プロバガンダ”の象徴である「慰安婦像」が展示され、その近くのモニターでは、昭和天皇の御影が燃やされる様子を映し出す……。中止騒動を招いた「表現の不自由展」は、もともと私設展覧会だったものが、あいちトリエンナーレの企画に発展した経緯がある。
 矢面に立たされた芸術監督の津田大介氏(45)は、実行委員会のメンバーとの間に“溝”があったと明かす。
 ***
 そもそも失態の原因になった「表現の不自由展」は、いかなる経緯で生まれ、また、どんなメンバーが運営しているのだろう。
 美術ライターによると、
「もともとは、2012年に東京・新宿のニコンサロンで予定されていた慰安婦の写真展が、ニコン側の通告で中止されたことから始まりました。このニュースを知って、行動を起こしたのが武蔵大学教授の永田浩三さんでした。永田さんは、知り合いのギャラリーに企画を持ち込んで写真展を実現させる。これをきっかけに『表現の不自由展』の実行委員会が立ち上がるのです」
 以降、永田氏は仲間を募り、展示を断られた作品の展覧会を、民間ギャラリーで開くようになる。今回の展示の実行委員5人のメンバーの一人というわけだ。その行動力たるや大したものだが、永田教授の前歴を知れば、さもありなん、なのだ。
 話はさらに遡って01年1月、NHKが後に政界まで巻き込むことになる番組を放送する“事件”が起きる。慰安婦問題の責任を問う「女性国際戦犯法廷」を取り上げたEテレの「戦争をどう裁くか」である。あくまで民間団体の活動で、もちろん、法廷は模擬裁判。実効力はないが、日本政府と昭和天皇に強姦と性奴隷制についての責任で有罪判決が下された。さすがに、放送では判決部分はカットされたものの、異様な内容の番組は大きな反響を呼ぶ。しかも、その後、事態は思わぬ方向に転がった。法廷の主催者(VAWW−NETジャパン)が、事前に知らされていた企画と番組内容が違うとしてNHKと番組制作会社を提訴したのである。
 事情通が語る。
「実は永田さん、元NHK職員で番組のチーフプロデューサーだったのです」
 さらに番組の4年後、放送前に故中川昭一代議士と安倍晋三党幹事長代理(ともに当時)が、NHK幹部に圧力をかけていたと朝日新聞が報じる。このことは先述の訴訟でも俎上にあがり、この際、NHK側のはずの永田氏は、原告側の証人に立ち、番組改変を国会担当局長から命じられたこと、政治家の関与がなかったように幹部らが口裏合わせをしたと証言したという。だが、裁判は原告の敗訴に終わり、永田氏は09年、NHKを退局する。その後武蔵大の教授に転身していた永田氏、津田氏が引っ張り出したとはいえ、今回の騒動の発火点には、そもそも慰安婦問題に特別な思い入れを持つ“黒幕”とも言うべき人物がいたわけである。
 その永田氏に、今回の展示中止について聞くと、
「どうせ面白おかしく書くんでしょう。取材はお断りです」
 と、元ジャーナリストらしからぬ返事。代わって「御影焼却」映像の作家・大浦信行氏に聞くと、こんな経緯を明かすのだ。
「燃えてますね!」
「私が新しい映像作品(昭和天皇の御影を燃やしている映像)を展示してくれないのなら、出品はお断りすると伝えると、津田さんから“一度会ってくれませんか”と誘われた。今年の5月なかばのことです。そこで映像を見せると、ぜひ出品して欲しいと言う。“天皇燃えてますね!”なんて笑っていました」
 にわかに信じ難い話だが、少なくとも映像を肯定的にとらえている口ぶりだったと大浦氏は振り返る。
「津田さんは、今回の展示について、“こういった内容を個人の画廊ではなく、公立の美術館でやることに意義がある”とも話していた。だから、ある程度の批判を覚悟で冒険に出たのだと思いました。抗議電話が殺到したり、街宣車が来たりすることぐらいあり得る。そのぐらい腹をくくっていると思っていたけど、蓋を開けてみれば腰砕けで、たった3日間で中止です。彼も芸術の世界で一目置かれるチャンスだったのに、残念なことです」
 さて、今回の「展示中止」問題を識者はどう見ているのだろうか。評論家で「アゴラ研究所」所長の池田信夫氏が言う。
「問題になった『表現の不自由展・その後』は、いわば“前科”のある作品をもう一度展示するというコンセプトです。しかし、慰安婦像にしても、日本政府が10億円の拠出金を払って日本大使館前からの撤去を求めている最中なのに、公的な場所で展示するのは矛盾している。これは、表現の自由という一般論にとどめておけることではありません。たとえば津田さんは慰安婦像について、それが持つ意味合いをどこまで突き詰めていたのか。結局“表現の自由”という言葉による一点突破しか考えていなかったのではないでしょうか」
 たしかに、今回の「展示中止」問題では、津田氏の負うべき部分は大きい。が、一方で、騒動の裏には、他にも責任を問われるべき人物がいる。
 美術評論家の藤田一人氏によると、
「私も、トリエンナーレはオープニング前日のプレビューに呼ばれ、レセプションにも顔を出しています。そこで目の当たりにしたのは、お役所が絡んだ美術展で見るお決まりの光景でした。最初の挨拶が大村秀章知事で、その後、実行委員長代理の河村たかし名古屋市長が一席ぶつ。その時は、展示物に問題があることなどには全く触れずに楽しそうに乾杯していたのです。河村さんは『燃えよドラゴンズ!』の替え歌を気持ちよさそうに歌っていました。つまり、プレビューに呼ばれても、きちんと作品を見ていない。その程度の問題意識だったわけです。トリエンナーレの開催前から朝日新聞などは慰安婦像が設置されることを報じていたにも拘わらず、気に留めている様子もなかった。だから、水面下で根回しが出来ているのだろうと思いました」
 とまれ、今回の「展示中止」騒動は簡単に収まりそうにない。かつて、NHKと政界を相手に立ちまわった手強い人物を引っ張り出してしまったのだから。


「表現の不自由展・その後」展示中止に関する会長声明
本年8月3日、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会会長大村秀章愛知県知事は、その企画展「表現の不自由展・その後」の展示を中止すると発表した。報道によると、この企画展は、従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」や昭和天皇の写真を含む肖像群が燃える映像作品など、過去に展示を拒否されたり公開中止になったりした作品を展示したものであるが、これに対して、テロ予告や脅迫とも取れる電話やFAX、メールが殺到したとのことである。大村知事は、展示中止の理由として「芸術祭全体の円滑な運営、安心安全」を挙げた。
憲法21条で保障される表現の自由は、自己の人格を形成・発展させる自己実現の価値を有するのみならず、国民が政治的意思決定に関与する自己統治の価値をも有する重要な基本的人権である。芸術を含む多種多様な表現活動が保障されることは、民主主義社会にとって必要不可欠である。テロを予告して展示中止を求める行為は、脅迫罪や威力業務妨害罪などに該当する犯罪であって許されるものではないことは当然であるが、自己の思想信条と相容れない表現活動を正当な言論等によらないで抑え込もうとすることは、決して許されるべきではない。
また、この企画展に関して、河村たかし名古屋市長は、展示中止発表前日の8月2日、「日本国民の心を踏みにじる行為」などと述べて、大村知事に対し展示中止を含む適切な対応を求める抗議文を提出した。しかし、公権力が、表現内容に異議を述べてその中止を求めることは、表現活動に多大な萎縮効果をもたらすものであり、到底許されるものではない。
当会は、正当な言論等によらずに展示中止を求める不当な行為や公権力が表現内容に異議を述べてその中止を求めることに対して断固抗議するとともに、多種多様な表現活動が保障され、ひいては民主主義社会が維持・発展されるべく努力する決意を表明する。
2019年(令和元年)8月21日
京 都 弁 護 士 会
会長 三 野 岳 彦


産業を根こそぎ破壊 韓国叩きの本質は経産省の亡国政策だ
 安倍政権とネトウヨが韓国叩きに夢中になっているが、問題の本質はこの国の産業を根こそぎ壊そうとする経産省の亡国政策にある。原子力ムラのボスの今井尚哉首相秘書官は原発セールス外交でことごとく失敗。加計問題をめぐる渦中の人物の柳瀬唯夫元首相秘書官は原発ルネサンス路線を敷き、東芝だけでなく日立製作所や三菱重工も危うい状況に追い込んだ。
 そして、首相側近の世耕経産相が元徴用工問題を理由に対韓輸出規制に走った。そもそも、元徴用工訴訟は日本企業に対する民事訴訟。それゆえ、韓国政府は国家賠償とは切り離した立場を取っている。現に、中国で三菱マテリアルは和解した。前例に従い、日韓も政治が介入せずに粘り強く着地点を模索するのが最善策だったにもかかわらず、安倍政権は通商問題と実質に絡めた。
 安倍首相はそれがWTOルール違反になりかねないと分かると、「安全保障上の輸出管理だ」と論点をすり替え、二枚舌を使い出した。やっていることは、サムスンなど韓国半導体メーカーへの嫌がらせ。希少性の高い高純度のフッ化水素をウランやサリン製造に使うわけがないし、EUVレジストやフッ化ポリイミドを軍用機やレーダーに回すこともあり得ない。証拠を示さずに規制対象をなし崩しに広げ、「ホワイト国」外しに動く。何もかもがデタラメなのだ。
 しかも、この流れは日本の半導体素材メーカーの努力を無に帰す。JSR、東京応化工業、森田化学工業、三菱ケミカル、富士フイルムなどはサムスンやSKと水平分業を展開し、顧客を維持してきた。韓国企業は当面は困難に陥るが、1年や2年もすれば代替メーカーを確保するだろう。
 経産省は半導体素材だけでなく、液晶やディスプレーもぶっ壊している。官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)を通じて3500億円も出資したJDI(ジャパンディスプレイ)は債務超過。JDI主力の白山工場はスマホ向け液晶パネルが振るわずに追加損失を計上し、2019年4〜6月期は連結純損益で833億円の赤字だ。次世代の有機ELパネルを手がける子会社JOLEDをINCJが引き受け、性懲りもなく奉加帳を回そうという魂胆である。血税はドブに捨てられ、台湾や香港企業に足元を見られ買い叩かれる始末だ。
 対韓輸出規制もディスプレー企業潰しも、経産省の失策こそが本質だ。このままでは、この国のあらゆる産業は破壊されてしまう。日本が早晩立ちいかなくなるのは明白だ。メディアはそうした事実に目をつむり、口をつぐむ。安倍政権と一緒になって韓国に拳を振り上げている場合ではない。


「ヘルパーじゃない。友達なんだ」 2人の大学生、障がい超え育む友情
 別府大(大分県別府市)4年の下鶴賢太郎さん(28)と本郷治さん(22)は、3年前にキャンパスで知り合った。一橋大を中退して別府大に入り直した下鶴さんと、脳性まひのある本郷さん。下鶴さんは「最初は障がいのある人との付き合い方が分からなかった。自分は本郷さんのヘルパーじゃないって思いもあった」と話す。正直な気持ちを告げると、「そんなことを言ってくれる同世代の友達は初めてだった」と本郷さんは心を開いた。今や二人は無二の親友。一緒にパラスポーツの体験会を企画している。【田畠広景】
 二人が知り合ったのは、1年の4月。英文法のクラスだった。電動車椅子の本郷さんが教室に入ろうとすると、下鶴さんがドアを開けてくれた。
 ささいなきっかけだったが、二人はカラオケに行ったり、一緒に遠出したり。キャンパスライフを満喫するようになった。
 ただ、仲が良くなると、ちょっとしたことが気になるように。下鶴さんは、遊びに出かける時に行き先や時間を本郷さんが一方的に決めてしまうことに不満が募った。「僕は治のヘルパーじゃないって」。
 一方の本郷さんは、実はそれまで同世代の友達が一人もいなかった。友達との付き合い方さえ分からなかった。
 数カ月後。下鶴さんは本郷さんに携帯メールを送った。「治、僕はヘルパーじゃなくて友達なんだよ」と勇気を出して伝えた。「これが対等な立場。友達ってことなのか」。これまで親友と呼べる友達がいなかった本郷さんの心に、下鶴さんの率直なメールが響いた。以後、二人はますます仲良くなった。
   ◇  ◇
 本郷さんは、下鶴さんが所属する手話サークルに2年の時に加わった。脳性まひのため手話自体はできないが、「見ることはできる。サークル活動をしてみたい」と思ったからだ。本郷さんは手話を読めるようになり、司会をしたり、ユーモラスな言動でメンバーを楽しませたり、とムードメーカーに。今は欠くことのできない存在だ。
 本郷さんは「下鶴さんは初めてできた親友。みんなと活動するサークル活動に参加し、とてもうれしく楽しかった」と話す。
 本郷さんとの交流を通じて、下鶴さんは「普通の友達として障がい者と接する時間が増えれば理解が深まるのでは」とパラスポーツの体験会を思い立った。
 2、3月ごろから太陽の家の車いすバスケチームの練習に参加させてもらい、4月には身体や聴覚に障がいがある友人や知人に声をかけて実行委員会を組織した。
 実行委は「ソーシャル・インクルーシブ・スポーツ・プロジェクト(ソイスポ)2019」と命名。来月21日に別府市の太陽の家体育館で初の体験会を開く。今後も活動を続けていくつもりだ。

奥の松を冷やして飲んで/ごめんなさい→でも

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仙台七夕萩の月190808

L’empereur Hirohito a été empêché d’exprimer ses remords pour la guerre
(Tokyo) L’empereur Hirohito, qui a régné pendant la Seconde guerre mondiale, voulait exprimer ses remords pour le conflit mais le chef du gouvernement japonais d’alors l’en a empêché, selon des documents révélés par la chaîne publique NHK.
Dans le journal intime (18 carnets) de Michiji Tajima, plus haut responsable de l’Agence de la Maison impériale de 1949 à 1953, est mentionné clairement le souhait de Hirohito ≪ d’exprimer envers les citoyens de profonds regrets et un sentiment de remords ≫.
La NHK, qui a obtenu ces documents portant sur cinq années et demie auprès de la famille de feu M. Tajima, les a confiés pour analyses à plusieurs historiens et autres experts.
Le souverain, décédé en 1989 après plus de six décennies sur le trône du Chrysanthème, voulait inclure ces mots dans son discours pour la cérémonie célébrant la fin de l’occupation américaine et le retour de souveraineté de l’archipel en 1952.
≪ Je pense que je dois faire figurer l’expression de remords ≫ dans mon allocution, a dit au fonctionnaire le souverain, selon les éléments rapportés par la NHK. ≪ Je ressens un grand remords. Je veux vraiment ajouter ce passage-réflexion sur le passé et discipline à l’avenir-même si les mots peuvent être changés ≫, a également dit l’empereur selon les médias japonais.
Toutefois, poursuit la NHK, ≪ le premier ministre de l’époque, Shigeru Yoshida, s’y est opposé et le passage où devait figurer cette volonté a été coupé ≫.
Le chef du gouvernement d’alors craignait, selon les notes de M. Tajima, ≪ que les gens disent qu’il était responsable du déclenchement de la guerre ≫ du Pacifique, une question qui continue de diviser les historiens.
Les experts ayant eu accès à ces notes très précises selon la NHK se sont dit ≪ très surpris ≫ de découvrir à quel point l’empereur Showa a eu ≪ une volonté forte d’exprimer des remords et des regrets ≫.
Il a à maintes reprises fait part à M. Tajima de son mécontentement de ne pouvoir dire le fond de sa pensée, mais il a dû respecter la Constitution qui donne le dernier mot au premier ministre, explique encore la NHK dans un documentaire retranscrit en partie sur son site internet.
Par ailleurs, Hirohito a semblé s’en vouloir de ne pas avoir su stopper l’avancée de l’armée nippone à travers l’Asie.
Finalement, c’est le fils de Hirohito, l’empereur Akihito (qui a régné de janvier 1989 à avril 2019), qui, le premier, en 2015, a réussi à glisser dans un discours le 15 août, jour du 70e anniversaire de la capitulation du Japon, l’expression des ≪ profonds remords ≫ pour les exactions commises par l’armée japonaise.
Il a réitéré ces mêmes mots tous les ans jusqu’à 2018, avant d’abdiquer en avril dernier en vertu d’une loi d’exception.
Son fils Naruhito, devenu empereur le 1er mai, a repris la même expression lors de son allocution le 15 août dernier, confirmant sa volonté déjà exprimée de continuer à reconnaître les ravages du passé impérialiste du pays.
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フランス語の勉強?
akabishi2 @akabishi2
1992年3月27日 武藤正敏北東アジア課長
「この規定は、日韓両国国民間の財産、請求権問題については日韓両国が国家として有している外交保護権を相互に放棄したことを確認するものでございまして、いわゆる個人の財産、請求権そのものを国内法的な意味で消滅させているものではございません」
「同協定の対象となっているこれらの財産、権利及び利益について具体的にいかなる措置をとるかについては他方の締約国の決定にゆだねられることを意味しております」
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/123/0080/12303270080004a.html
《○田原国務大臣 高沢先生がただいまおっしゃったような過去の戦争が韓国を初め多くの国々の人々に非常に耐えがたい苦しみを与えたということは、恥ずかしい思いもするし悲しい気持ちでいっぱいですが、今後再びこういうことがあってはならないという気もします。ただ、その後のいわゆる責任、償いとかいう問題になりますと我が省を超えるものがございますので、総理官邸に官房長官が中心になって関係各省を調整してとりまとめておる状況でございますので法務省としてどうするということはお答え申し上げられませんが、私としては非常に苦しい、悲しみに満ちた感じでいっぱいであります》

BARANEKO @BARANEKO0409
NHK 「ヒロヒトの反省と悔恨(どこがじゃ!)」の後追いだが、マスコミ各社が
敗戦後のヒロヒト拝謁記(宮内庁初代長官・田島道治)で、ヒロヒトの「率直さ」などを報道。やばい話(再軍備など)には学者が弁護、といういう同一パターン。
朝日は、最後に「昭和天皇の戦争」の山田朗で、バランス?

冨永 格(たぬちん) @tanutinn
「反省の気持ちがあるなら公にしたほうがよかった。新たな議論の出発点になったろう。戦争責任の問題はアジアとの関係で今も続く。昭和天皇が公に何も語らなかったため、全責任を陸軍に押しつける形になり、海軍や官僚、天皇を含む指導層の責任が曖昧にされた」山田朗明大教授
リーガン美香 @Mika_Regan
私が子供の頃は、西側諸国が豊かな生活を享受しているのは、民主主義に支えられた自由な市場のお陰であるというのが常識だったので、市民の自由は守られるべき大きな価値だった。
中国の成功の残念な点は、その前提を覆してしまい、全体主義でも豊かさは実現できる事を見せつけている事だと思う。


朝は,551の豚まん,ヨーグルトそしてバナナ.
保健所に行くと聞いていたのでのんびりしていましたが・・・
山形屋での東北物産展で購入したという奥の松.お昼に飲んでしまいました.飲みたかったというのですが,全部飲んでしまってごめんなさい.
夕方はモッツアレラチーズとトマト,そしてワイン.
ジャーナリストの山本美香さんがシリア・アレッポで亡くなって7年です.悲しいです.

被災地と東京の懸け橋に 宮城・女川の元水産加工「三好屋」 都内に小料理店開業から3年
 宮城県女川町で水産加工会社「三好屋」を経営していた家族が東日本大震災での被災をきっかけに東京都内に移住し、かつての社名と同じ名前の小料理店を営んでいる。開業から間もなく3年。地域に根差し、被災地と東京を結ぶ懸け橋にもなっている。
 「浜の母ちゃん料理」をうたう店は豊島区長崎の住宅街にある。カウンター7席、6人が座れる小上がりはいつも満席だ。切り盛りする松川浩子(こうこ)さん(59)、母の麗子さん(81)は女川の言葉で客と談笑する。
 塩うに、ホヤの刺し身などの水産物は牡鹿半島(宮城県)の漁師らから仕入れる。日本酒は宮城の銘柄だけを扱う。2年前から店に通う同区の会社経営冨永稔さん(55)は「ママはみんなに愛されている。店で初めて食べたホヤもこんなにおいしいと思わなかった」と語る。
 松川さん一家は震災時、女川町中心部で創業約50年の水産加工会社を経営。従業員約60人を抱え、ウニやタラコなどを販売していた。津波で従業員6人が亡くなった上、2カ所の加工場や自宅を失った。
 事業再開の見通しが立たない中、自閉症の長男怜央(れお)さん(25)を心配した知人から都内の施設への入所を勧められたことから、2012年4月に豊島区へ引っ越した。水産加工は廃業し、東京に残るために未経験だった飲食店の開業を決心。16年9月6日にオープンさせると、三陸の新鮮な海の幸を生かした料理が客の心をつかんだ。
 引きこもりがちだった怜央さんは、東京で絵画などに積極的に取り組むようになった。描いた絵は店内に飾られている。松川さんは「息子の成長が見られて良かった」と目を細める。
 「古里を忘れたことはない」と言う松川さんは5月、女川町の現状を知ってもらおうとバスツアーを企画。50人ほどの常連客を案内した。被災状況に圧倒され、涙を流す人もいたという。
 松川さんは「開店直後は3カ月もたないと言われたけど、温かいお客さんに支えられてきた。これからも食やツアーを通じ、女川や被災地のことを伝えたい」と話す。日曜、祝日定休。連絡先は三好屋03(5926)8797。


気仙沼防潮堤合意、村井知事「復興への説目」
 村井嘉浩知事は19日の定例記者会見で、東日本大震災で被災した気仙沼市本吉町の日門漁港の防潮堤建設に地元住民が7月下旬に合意し、県内全369カ所で整備が進むと明らかにした。「(復興に向けた)象徴的な節目だ。厳しい意見もあったが、民主的な方法で合意できた」と強調した。
 防潮堤の高さなどを巡り、県は説明会を開き理解を求めてきた。村井知事は「50年に1度程度発生する津波に対応できるよう、粘り強く壊れない防潮堤を造る」と説明。復興・創生期間が終わる2020年度の完成を目指す。
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の効果や影響を探る県の調査に関し、「結果はまだ出ていない」と現状を報告。大阪市などの誘致方針を念頭に「宮城の人口規模で誘致が可能かどうかを見極める。住民感情も考慮して総合的に判断したい」と話した。
 仙台空港(名取、岩沼両市)の運用時間延長に対する県の姿勢にも触れ、「できるだけ両市の要望に応え、市民の声を聞いて検討したい」との考えを示した。


石巻・RAF開幕2週間で来場者延べ10万人 きょうから網地島エリア展示開始
 石巻市の牡鹿半島を主な舞台に今月3日開幕したアートと食、音楽の総合祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2019」の実行委員会は19日、同日までの来場者が延べ10万人に達したと発表した。
 20日には網地島エリアの作品展示が始まり、「ネクスト・ユートピア」をテーマに俳優浅野忠信さんら14組の計21作品が登場。さらなる集客が期待される。
 来場者数は作品を展示している六つのエリアごとに集計した。実行委によると、今回から四つのエリアに駐車場7カ所を確保。巡回バスの利用を促した前回2017年に比べ、自家用車で訪れやすくなったことが誘客につながった。
 初日のオープニングライブを今回初めて石巻市内で開催。ミスターチルドレンの桜井和寿さんらが出演し、RAF全体への関心が高まったことも奏功した。
 実行委の担当者は「序盤から多くの方に訪れてもらいうれしい。体験型イベントの予定もあるので、ぜひ足を運んでほしい」と来場を呼び掛ける。
 RAFは実行委と一般社団法人APバンク(東京)が主催し、宮城県や石巻市、河北新報社などが共催。9月29日まで。17年は延べ約26万人が訪れた。


五輪復興モニュメント決まる
来年の東京オリンピック・パラリンピックで、復興の象徴として制作されるモニュメントのデザインが、県内の高校生たちの投票で決まりました。
「東京2020復興のモニュメント」は、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県それぞれのモニュメントを制作し、被災地の子供たちが考えた、選手への応援メッセージとともに展示する取り組みです。
20日は、気仙沼市の気仙沼向洋高校で宮城県のデザインの選考会が開かれ、地元の中高生およそ90人が、東京藝術大学の学生が考えた5つの案の中から投票で1つを選びました。
その結果、東京藝術大学3年の福井汐音さんが考えた宝石の形をイメージした案が採用されました。
このデザインには、被災地からのメッセージが宝石のように輝き、多くの人に伝わってほしいという思いが込められているということで、福井さんは「被災地の思いを伝えられるものになるよう、精一杯、つくりたい」と話していました。
このあと、生徒たちはグループごとに分かれて貼り付けるメッセージを考え、「輝くように頑張っぺ」とか「感謝の思い」などといった案を出し、話し合っていました。
階上中学校の2年生の女子は「震災の時に、世界中からいただいた支援がとてもありがたかったので、感謝の思いを込めてメッセージを考えました」と話していました。
このモニュメントは、仮設住宅で使われていたアルミ建材を再利用して制作され、来年夏の大会中に都内で展示されたあと、大会後に宮城県に贈られる予定です。


東京五輪「復興モニュメント」制作に参加 宮城・気仙沼市
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、仮設住宅の建材を利用した「復興モニュメント」が関連施設などに展示されます。気仙沼市の中高生が20日、このモニュメントの一部となるプレートのメッセージを考えました。
 気仙沼向洋高校で行われたワークショップには向洋高校と階上中学校の生徒約90人が参加しました。生徒たちは東京藝術大学の学生からアドバイスを受けながら「復興モニュメント」の一部となるプレートに記すメッセージを考えました。
 「復興モニュメント」は被災地への支援の感謝を世界に伝えようと作られるもので、仮設住宅の窓枠などに使われていたアルミ建材を再利用します。
 生徒たちが考えたメッセージは、東京藝大の学生がプレートに加工してモニュメントに組み込まれ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで関連施設に展示されます。大会後には宮城県内に戻ってくるということです。


JICA研修生が津波被害を学ぶ
測量技術の習得を目指し、東南アジアから来日しているJICA=国際協力機構の研修生が、20日、東日本大震災の被災地、石巻市を訪れ、津波被害の大きさなどを学びました。
視察は、JICAと海上保安庁が行ったもので、石巻市を訪れたのは、海図を作成するための測量技術習得を目指し、インドネシアなどから来日している研修生6人です。
一行は、震災の津波で大きな被害を受けた石巻市の南浜地区を訪れ、震災伝承施設の前で地元の観光ボランティア協会のガイドから話を聞きました。
ガイドが震災から1週間後の南浜地区の写真を見せながら、高さおよそ7メートルの津波が地区に到達したことや、近くにある旧門脇小学校が津波や火事で大きな被害を受けたことを説明すると、研修生たちは熱心に聞き入っていました。
インドネシアから来た研修生の男性は「津波の大きさに驚いた。インドネシアでもかつて津波の被害があったので、人々がすぐに避難できるよう、今後の海図づくりに生かしたい」と話していました。
一行は21日まで県内に滞在し、仙台市の震災遺構、荒浜小学校なども訪れることにしています。


被災庁舎からタイムカプセル
東日本大震災の津波で被災し、現在、解体工事が進められている宮古市の旧庁舎から、48年前に埋められたタイムカプセルが19日、取り出されました。
宮古市の旧庁舎は、震災の津波で浸水したあとも去年まで使われていましたが、現在は、解体工事が進められ、跡地には芝生の広場などが整備される予定です。
旧庁舎の外壁には、建物が完成する直前の昭和46年当時の行政文書などが入ったタイムカプセルが埋められていて、19日、タイムカプセルの取り出し式が行われました。
式には、市の職員らおよそ70人が集まり、地元の業者が外壁の定礎板を取り外して、中からステンレス製のタイムカプセルを運び出していました。
その後、市の職員がタイムカプセルを開けてみましたが、中に入っていた文書の傷みが激しいことから、取り出さずに、今後、市民交流センターに展示するということです。
タイムカプセルを埋めた当時の職員の記憶によりますと、中には市の職員録やまちづくりの計画書といった行政文書が入っていたということです。
当時、秘書係長だった長門孝則さん(80)は、「震災の津波に耐えて、無事にタイムカプセルが取り出されて、感無量です。当時の状況がどうだったのか中身を見るのが楽しみです」と話していました。


復興庁の存続方針 防災司令塔の議論は半ば
 東日本大震災からの復興を担当してきた復興庁について、政府は現在の設置期限が切れる来年度末以降も存続させる方針を固めた。
 自民、公明両党が安倍晋三首相に存続を提言し、首相も「提言をしっかり受け止めて生かす」と応じた。首相の直轄組織として、専任閣僚を置く今の体制が維持される。
 政府は今年3月、いったんは後継組織を設置すると決めていた。与党内で取りざたされたのは、内閣府へ移管して金融庁のような外局とする案などで、内閣府防災担当と統合して被災地の復興と他の災害への備えを併せて担わせる案もあった。
 だが、そうした組織になった場合、権限が縮小したり、防災に重心が置かれて東北の被災地支援が後手に回ったりするのではないかと懸念する声もあったため、結局、存続に落ち着いた。
 被災地の復興に向けた取り組みを緩めないのは当然だ。
 特に福島は、原発の廃炉や除染、住民の帰還など課題がまだ山積している。岩手、宮城の津波被災地も、来年度末までにハード面の復興事業はおおむね完了するが、被災者の心のケアなどソフト面の課題は残る。
 このため、被災地の首長からも、復興庁の存続に安堵(あんど)の声が上がっている。
 復興庁は当初、省庁の縦割りを排して復興の計画から実施までを担うことが期待されたが、実際は省庁間の調整などに業務が限定された。今後はいっそう被災地の要望に一元的に対応していく必要がある。
 一方、今後30年間に高い確率で、南海トラフ地震や首都直下地震という大災害の発生が予測されていることも忘れてはならない。
 国の防災部門の中心となる現在の内閣府防災担当は職員が100人弱にすぎず、しかも他省庁などからの出向者が多い。国家の存亡にかかわる危機に備えるのに、体制が万全とは言い難い。
 復興庁が存続することにより、防災強化の議論がしぼむことがあってはならない。
 政府は復興庁の新たな設置期限などの基本方針を年末までにまとめ、関連法案を来年の通常国会に提出する。防災の司令塔となる組織の設置方針も併せて示すべきだ。


韓国政府、日本政府に福島の汚染水の処理計画に関する説明を要求
「海洋放出計画」の事実関係など  
日本大使館の公使呼び出し、公式回答求める

 韓国政府は、日本の福島原発の汚染水問題と関連し、19日に在韓日本大使館の西永知史公使を呼んで、汚水処理計画に対する日本政府の公式回答を求めた。
 クォン・セジュン外交部気候環境科学外交局長は同日午前、在韓日本大使館の西永知史公使を外交部庁舍に呼び、日本が福島原発汚染水の海洋放出を計画しているという国際環境団体の主張と関連して、韓国政府の立場が書かれた口述書(外交文書)を渡した。政府は口述書で「福島原発汚染水の処理結果が両国国民の健康と安全、さらには海でつながった国全体に及ぼす影響を非常に厳重に認識している」と明らかにした。
 さらに、原発汚染水の海洋放出に対する最近の報道と国際環境団体の主張と関連し、事実関係の確認と今後の処理計画などに対する日本政府の公式回答を要請した。特に、汚染水海洋放流計画があるかどうかに関する具体的な回答を求めた。さらに、日本国内の関連議論の動向を定期的に共有するよう要請する一方、国際社会にも福島原発処理計画などを含めた対策をより透明かつ具体的に説明してほしいと要求した。
 最近、国際環境団体「グリーンピース」ドイツ事務所のショーン・バニー首席原子力専門家は「日本の安倍内閣と東京電力が福島第1原発にある高濃度放射能汚染水100万トン以上を太平洋に放出する計画を推進している」という内容の文を「エコノミスト」に寄稿した。西永公使は同日「グリーンピースの主張は日本政府の公式立場ではない」という趣旨で説明し、「日本が情報共有のために努力していないというのは事実ではない」と述べたという。
 21日、中国北京で開かれる予定とされる韓日外相会談でも福島汚染水問題が話し合われるものとみられる。 パク・ミンヒ記者


韓国政府、日本側の煮え切らない態度に公使呼び出し…福島汚染水問題で強硬な姿勢
在韓日本大使館の公使を呼び出し、公式回答を要請 
昨年、放出計画を把握し、情報公開を要求 
日本「今後、国際社会に説明」という回答繰り返す   
韓国国民の健康と安全を直結すると判断  
対策示さない日本に向けて問題提起を具体化  
日本の経済報復に対する“対抗カード”との分析も

 福島原発の汚染水の海洋放流への懸念と関連し、韓国政府の動きが具体化している。
 政府は13日の国務会議で、福島原発の汚染水問題に積極的に対応する方針を決め、キム・インチョル外交部報道官は同日、「韓国国民の健康と安全を最優先に考え、日本に具体的な立場の表明や情報公開を要請する計画」だと発表した。さらに、19日には日本大使館関係者を外交部に呼び、福島汚染水を海に放出する計画などと関連した日本政府の公式回答を要求した。
 政府は昨年8月、日本が福島原発汚染水を海に放出しようとしている計画を初めて把握してから、1年近く水面下で協議を進めてきたが、進展が見られず、国民の安全などを考慮し、問題を公論化せざるを得ないという立場だ。両国はこの問題を話し合う協議体の構成について協議したが、専門家の参加などをめぐる意見の相違で実現しなかったという。政府は昨年10月にも透明な情報公開などを要求する文書を日本に渡したが、日本側が「今後、国際社会に説明する」という回答を繰り返すだけで、これといった措置を取らなかったことを受け、汚染水の海への放出計画などに関する政府レベルの具体的な回答を要求した。
 2011年の爆発事故以後、福島第1原発では汚染水が1日170トンずつ増え、増設計画を考慮しても2022年夏に貯蔵容量(137万トン)が限界に達するものと推定される。日本政府は海洋放出や大気放出、地下埋設、パイプラインを利用した地層注入、電気分解、貯蔵タンクの長期保管などをめぐり、処理方案を議論しているが、敷地の規模などから貯蔵タンクの増設には限界があるという。このような状況で、韓国政府は、汚染水が海に放流された場合、国民の健康と海洋生態系の汚染問題を憂慮し、今後国際機関などでこの問題を提起する意思を明らかにした。同問題が韓日関係を越えた国際的な環境問題であるため、国際社会でも正当な問題提起になるというのが政府の判断だ。福島原発の汚染水に関する問題提起が日本の経済報復に対する対応カードではないというのが政府の公式立場だが、悪化した韓日関係状況の中では一種の“対日カード”とも言える。政府当局者は「国民の安全に対する憂慮が最優先の考慮事項」としながらも、「韓日関係と無関係ではない」と述べた。
 最近、東京オリンピック組織委員会が福島産の食材を五輪選手村に供給すると明らかにしたことで、国際的にも放射能汚染への懸念が高まっている。東京五輪は安倍晋三首相が政治的死活をかけているイベントでもある。
 ヤン・ギホ聖公会大学教授は「強制動員の解決策をめぐる韓日政府間の隔たりが全く埋められないうえ、28日にはホワイト国(グループA)から韓国を除外する措置が施行され、日本が韓国を対象に個別許可品目を追加するなど、攻勢を強める恐れもあって、“福島カード”を考慮しているものとみられる」と述べた。ヤン教授は「韓国がこの問題を正式に国際機関に提訴し、東京五輪問題と連携させれば、日本の右翼が韓国バッシングに利用する恐れがあり、慎重に使うべきカードだ」と指摘した。韓国政府当局者も「今の状況で福島原発の汚染水問題を東京五輪と結び付けるのは適切でない」と述べた。 パク・ミンヒ記者


広島土砂災害5年 忘れず慌てず躊躇せず
 災害関連死を含めて77人が犠牲になった広島土砂災害から、5年を迎えた。被災した広島市安佐南区や安佐北区では、おとといに続き、きょうも各地で追悼式や供養祭が営まれる。
 災害に強い地域づくりを着実に進めることは、亡くなった人たちの供養でもあるはずだ。そうと分かっていながら、私たちは、防災すなわち自分や大切な人の命を守ることを、おざなりに考えてはいないだろうか。
 ▽夜中になる前に
 昨年の西日本豪雨をはじめ、この5年間も各地で大雨被害が続く。年を追うごとに自然の猛威は強まってきたようにも感じる。いつ誰が被災者になってもおかしくない。
 5年前の痛みを忘れないでおこう。「こうすれば、ああすれば、被害は軽くできたはずだ」といった後悔はもうおしまいにしよう。慌てず、かつ躊躇(ちゅうちょ)せず避難できるよう、普段から家族や地域ぐるみできちんと話し合おう。そんな節目にしたい。
 5年前の教訓はいくつかあるが、最たるものは「夜中に避難しようと思っても遅すぎた」にほかなるまい。
 家の前の道路が激流と化したと思えば、瞬く間に土石流が山肌を駆け降りて住宅地を巻き込んでいく。しかも夜中である。自宅にとどまっても、避難所に向かっても、どちらも命に関わる事態に変わりはなかった。
 昨年7月の西日本豪雨でも被災地は同じような状況に見舞われた。夜中だから徒歩は危ないと車を使い、車ごと流されたケースも少なくなかった。
 国が今年から大雨や洪水被害の切迫度を5段階で示す「警戒レベル」の運用を始めたのも、逃げ遅れを少しでも防ぐのが目的だ。全国で初めて6月に広島、山口両県に出された。
 ところがこのとき、広島県内ではレベル3(避難準備・高齢者等避難開始)とレベル4(避難勧告・指示)を合わせて約46万人が対象となったが、避難所に身を寄せたのは計775人(0・17%)にとどまった。
 ▽空振り構わない
 もちろん自宅の2階に逃げるなども「避難」に含まれるのだろうが、あまりに低率すぎる。「避難が空振りでも構わない」といった意識を共有するためには、どうすればいいのか。
 以下、5点を提案したい。
 まず、学校現場でもっと豪雨に関する知識を子どもたちに教えたい。天気に関心を持った子どもが、いざとなれば家族に避難を促す。親は子に従うのだ。
 二つめは気象関連の情報に住民が素早くアクセスできるよう仕組みを整えること。天気図だけでなく河川やダムの水位、降り始めからの降水量など、一人一人が自主的に状況把握できるだけのデータが複数のルートで伝わるようにする。
 とっぴな物言いに聞こえるだろうが、三つめは「避難したくなる避難所」の整備。各自治体は真剣に考えてほしい。要は、食事やベッド、トイレ、風呂など過ごしやすい環境をどこまで素早く整えるか。火山・地震国のイタリアが先進例と聞く。
 ショッピングセンターの活用やペット同伴なども検討課題となろう。全国各地の自衛隊基地へのキッチンカー配備など、国が知恵を絞ることも多そうだ。
 四つめは弱者対策。1人では避難が困難な高齢者らのリストが自治会ごとに整っているかどうか、そのメンテナンスも含め、自治体は地域の支援体制を整えてもらいたい。福祉避難所の拡充はもちろん、地域によっては「避難バス」の運行も効果的かもしれない。
 ▽「早めの避難」を
 五つめは「警戒レベル」の徹底である。「自分だけは大丈夫」という根拠のない安心感は捨て、「早め早めの避難」を習慣にしなければならない。そのためにはおそらく、避難訓練などの日常的な取り組みが鍵を握るのだろう。
 防災・減災の取り組みは官と民が協力してはじめて効果を発揮する。自助、公助に加え、いかに共助を充実させるか。それを支える土台はきっと、地域の皆が互いの命を大切に思うコミュニティーづくりに違いない。


香港デモ激化 力ずくの制圧許されぬ
 香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案への反対運動が2カ月以上続き、激しさを増している。
 18日には6月以来となる、100万人を超える大規模なデモが行われた。緊張は高まっている。
 条例改正案に関して、香港政府トップの林鄭月娥行政長官は廃案方針を示しているが、デモの参加者たちは完全撤回を訴えている。加えて、民主的な選挙制度への改革なども求めている。
 自治を求める抗議には正当性がある。香港政府はこうした要求に応じるべきである。
 見過ごせないのは、中国政府が香港と隣接する広東省深セン◆に武装警察の部隊を駐留させ、武力介入をちらつかせていることだ。
 流血の惨事は許されない。中国の介入を招かぬよう、香港政府は事態収拾に向けてデモ参加者たちとの対話を急がねばならない。
 抗議行動が激しくなったのは、香港警察が鎮圧のために催涙弾やゴム弾を多用したことがある。
 警察が発射した弾でデモ隊の女性が目を負傷したことを機に、若者らに反発が広がった。香港国際空港を一時占拠し、多くの便が欠航する混乱も起きた。
 デモ隊は、警察の「暴力」を調べる独立調査委員会の設置を求めている。警察を指導する林鄭氏は、説明責任を果たすべきだ。
 香港では民意を政治に反映させる仕組みが不十分であり、だからこそデモが有力な手段になっている。デモ隊側も非暴力の姿勢で香港政府と対話に臨み、解決方法を探ってもらいたい。
 中国は1997年の英国からの返還時、50年間は香港に高度な自治を保障する「一国二制度」を約束した。原点に立ち返り香港の自治を尊重するべきである。
 トランプ米大統領は、中国政府が民主化運動を武力弾圧した89年の天安門事件を引き合いに出し、中国当局が武力介入すれば米中貿易協議での取引も難しくなる、とけん制した。
 中国政府は「内政干渉」だと反発している。だが、ウイグル族やチベット族に対する政策も含め、国際社会が中国政府の人権侵害に厳しい目を向けていることを忘れてはならない。
 香港のデモに同調する抗議行動は世界各国に広まっている。
 武力介入すれば各国から厳しい批判を浴び、経済にも影響が出るだろう。力で抑え込もうとすれば、中国自身にも打撃になることを認識すべきである。
◆センは土偏に川


香港のデモ/武力の介入は許されない
 中国本土への容疑者引き渡しを可能にする香港の「逃亡犯条例」改正案に端を発した抗議活動が、激しさを増している。住民らによるデモは拡大を続け、観光客が大幅に減少するなど経済活動にも影響が出始めた。
 懸念されるのは、中国の習近平指導部が香港に隣接する広東省深●に武装警察の部隊を駐留させ、強硬的な対応をちらつかせていることだ。
 武力介入に踏み切れば、高度の自治を保障する「一国二制度」は崩壊する。民主化を求める学生らを弾圧した30年前の天安門事件の二の舞いになり、絶対に許されない。
 仮に力で抑え込めたとしても、その代償に国際社会から痛烈な批判を浴びる事態となる。そのことを中国政府は認識しなければならない。
 改正案の撤回や警察の「暴力」停止などを求めて18日に実施された集会とデモの参加者は、主催者発表で計約170万人にのぼった。6月16日の約200万人に匹敵する規模だ。
 改正案の事実上の廃案を表明しながらも、決して撤回しようとしない香港政府トップの林鄭月娥(りんていげつが)行政長官に、住民が怒りや不満を突き付けている。
 香港警察は抗議活動鎮圧のたびに催涙弾やゴム弾を多用し、多数のけが人が出ている。国際空港のロビーを占拠して多くの便を欠航させるなど、デモ隊側にも自制すべき点はあるが、力ずくで抑え込もうとするのでは解決の糸口は見いだせない。
 香港はニューヨークやロンドンに次ぐ国際金融都市だ。中国が香港を通じて多くの経済的利益を得てきたのは、世界に開かれた自由な都市だったからである。武力介入でその特質が失われれば、中国も大きな損失を被ることになるだろう。
 最近まで静観していたトランプ米大統領は、天安門事件のように中国当局が振る舞えば、米中貿易協議での取引も難しくなるとの考えを示した。習近平国家主席は他国の警告に真剣に耳を傾けるべきだ。
 香港の民主派団体は、今月31日にも抗議活動を予定している。最悪の事態を避けるため、林鄭氏は改正案を完全撤回した上で、住民と対話することから始めなければならない。
(注)●は「土」の右に「川」


香港デモ長期化 「天安門」の再来許されぬ
 香港で市民による抗議デモが長期化している。大規模デモの開始以来2カ月以上たった現在も、勢いは衰えを見せない。デモを敵視する中国政府の介入が懸念される事態となっている。
 一連のデモのきっかけは、香港政府が中国への犯罪容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案を議会に提出したことだ。中国政府に批判的な活動をした香港市民が中国側に引き渡されかねない、と不安が広がり、抗議活動が始まった。
 活動の高まりを受け、香港政府トップの林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は6月中旬、改正案を事実上廃案にする方針を表明したが、デモの主体となっている若者らは納得せず「改正案の完全撤回」や「行政長官選挙の民主化」などを求めて活動を続行している。
 抗議活動の長期化と過激化の背景にあるのは、香港の「中国化」を進める中国の共産党政権と、それに歩調を合わせる香港政府に対する市民の不満だ。
 1997年に香港が中国へ返還された際、中国は返還後50年「一国二制度」を維持すると約束した。しかし習近平政権は、行政長官選挙から民主派を事実上排除するなどして「一国二制度」の骨抜きを図っている。
 今回のデモに対し、中国当局は香港に隣接する広東省深〓(〓は「土へん」に「川」)に武装警察を集結させ、デモ鎮圧訓練を開始している。「武力鎮圧もあり得る」と見せつけることで、香港市民を心理的に圧迫する狙いだろう。
 しかし、この構図で誰もが思い出すのが、89年の天安門事件だ。北京での学生たちの民主化要求デモを共産党政権が人民解放軍を使って鎮圧し、多数の死者が出た。中国政府はこの弾圧を現在も正当化している。
 香港で「天安門事件」と同様の事態を起こしては絶対にならない。トランプ米大統領も「天安門事件のような暴力的事態となれば(貿易協議での)取引は困難になる」とけん制した。
 中国が香港のデモを武力弾圧すれば、天安門事件の時よりもさらに、国際社会における中国の地位は急低下し、それに伴う経済的な損失も避けられない。中国はこのリスクを理解し、介入を自制すべきである。
 この事態を前に、香港政府は目先の混乱対応に追われ、問題解決の当事者能力を失っているようだ。香港政府は中国政府の代理人になるのではなく、香港社会の政治的自由の維持を求める市民側に立って中国政府と交渉し、着地点を探るべきだ。
 国際社会も危機を座視していてはならない。日本を含め関係国は中国政府に対し、武力鎮圧で失うものの大きさを説き、人道的な方法で事態を収拾するよう働き掛けていく必要がある。


香港デモ長期化 武力排し事態収拾図れ
 香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対し、完全撤回を求める香港市民のデモは2カ月余り続き、収束する気配がない。18日には170万人(主催者発表)が参加する大規模なデモが行われた。31日にも抗議活動が計画されている。
 中国当局は武力介入の可能性をちらつかせているが、武力で市民運動が弾圧されるようなことはあってはならない。中国と香港の両政府は世論に耳を傾け、香港の「高度な自治」を尊重するべきだ。改正案の完全撤回に応じ、早期の事態収拾を図ることを期待する。
 英国植民地だった香港が1997年に返還された際、中国の社会主義体制の中に資本主義が共存する「一国二制度」の下で、香港が中央政府から独立した存在となる「高度な自治」を中国は約束した。それが有名無実化されつつあることへの怒りが、一連のデモの背景にある。
 条例改正案は、中国に批判的な人物の本土への移送に利用され、香港の司法の独立が損なわれるのではないかとの危機感から、反発が広がった。6月以降の度重なるデモなどを受け、香港政府は条例改正を無期限に延期すると発表したが、完全に撤回したわけではない。反対派は、完全撤回を求めて活動を続けている。
 香港政府は、催涙弾を使用してデモ鎮圧を図り、多数の負傷者を出した。力で従わせる姿勢は市民はもちろん、国際社会の支持を得られないことは言うまでもない。
 香港の自由と民主主義を求めて立ち上がった市民の行動は理解できる。しかし、一部の若者が暴徒化して立法会に突入したり、数千人が香港国際空港で座り込みをし、多くの便が欠航したりした。暴力や行き過ぎた行為は一般市民の支持を失いかねないだけでなく、当局の武力行使の口実にされる恐れがある。反対運動の関係者には自制が求められる。
 習近平指導部は、香港と隣接する広東省深圳に武装警察(武警)部隊を駐留させている。デモ参加者に似た黒いシャツを着た集団を制圧する訓練を実施し、外国メディアに公開。強硬姿勢を見せつけた。1989年6月の北京で、学生らによる民主化運動を軍が弾圧し、多数の死傷者を出した天安門事件の再現となる事態は、避けなければならない。
 トランプ米大統領はここにきて、中国が武力介入を行えば米中貿易協議が困難になると発言し、中国へのけん制を強めている。これに対し、中国側は内政干渉と反発。長引く貿易摩擦問題に、香港のデモ問題が米中間の新たな火種として加わった。
 中国、香港の両政府は、世界各国が注目していることを踏まえ、強権的手法で問題を解決するのは難しいことを理解する必要がある。平和的に事態を収拾するべきだ。


混乱続く香港 事態収拾へ政府は対話を

 香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案に端を発し、香港社会が混迷の度合いを深めている。
 日本の盆休みに当たる先週は、条例に反対する若者たちの大規模な抗議活動が香港国際空港で行われた。アジア有数のハブ(拠点)空港を舞台に国際社会に向けて問題を提起しようという行動だ。だが、空港機能は停止し、市民生活にも甚大な影響が及んだ。
 おととい行われた抗議集会は、当局がデモ行進を不許可とする中で参加者が膨らみ、6月にあった200万人規模のデモに迫る勢いとなった。
 逃亡犯条例の改正案は、香港が犯罪人引き渡し協定を結んでいない国や地域に対しても身柄を渡せるようにするものだ。成立すれば、中国に批判的な活動家らを香港で拘束し、移送する手段ともなる。中国の習近平政権の意向が透けているとして反発が広がった。中国では、人権派弁護士らに対する弾圧が相次いでおり、そうした懸念が広がったのは当然だろう。
 反発の強さに、香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、条例について「改正延期」、事実上の「廃案」と小出しに対処したが批判は収まっていない。市民は条例改正案の完全撤回に加えて、普通選挙の実現なども求めている。
 香港では5年前、事実上親中派しか行政長官選に立候補できない制度の導入に反発して民主化デモ「雨傘運動」が起きた。いったんは挫折したが今回、改めて制度への批判が高まっている。
 警察とデモ隊との緊張は高まる一方だ。鎮圧に当たる警察は催涙弾やゴム弾を使っており、それを目に受けた女性が負傷し、失明したとして市民の怒りを増幅させた。逆にデモ隊の一部は中国共産党系メディアの記者らに暴行を加えたともされる。一触即発の危険な状況から脱するために双方に自制が求められよう。
 長引く混乱は香港経済の足を引っ張り、観光客が旅行を取りやめるなど内外への悪影響も小さくない。「香港の自由」を求める市民に香港政府は正面から向き合い、対話に転じるべきである。
 見過ごせないのは中国の不穏な動きだ。香港に隣接する広東省深〓に武装警察を駐留させ、制圧訓練を行うなど武力介入をちらつかせている。トランプ米大統領はきのう、中国が民主化運動を武力で鎮圧した天安門事件を引き合いに出して中国をけん制した。
 仮に中国が実力行使に出るようなことがあれば、事態は一層悪化するのは必至だ。中国には国際的な非難も集中しよう。あの流血の惨禍を決して再現してはならない。
 トランプ氏は習主席と電話会談する意向も示している。影響力を発揮できるか注目されるが、中国側は「内政干渉だ」と反発しており、先行きは楽観できない。日本としても各国と連携しながら混乱の収拾に力を注ぐべきだ。 ※〓は土ヘンに川


【香港デモ】対話で道を開くしかない
 中国本土への犯罪容疑者の引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案を発端とした香港政府に対する若者らの抗議活動は、6月上旬の「100万人デモ」(主催者発表)から2カ月以上がたった。
 香港国際空港のロビーに若者らが長時間座り込み空港業務が大混乱したり、6月を上回る170万人規模(同)のデモが起きたりと、収束の兆しは全く見えない。
 こうした状況に、中国政府は介入を示唆するような「威嚇行動」に出ている。香港に接する広東省深圳では今月、武装警察隊員ら数百人が制圧訓練を行った。
 国際社会がこれほど注目している中、1989年に民主化運動を武力弾圧した天安門事件のような強硬手段に出る可能性は高くないかもしれない。だが、仮にそうなれば死傷者が多数出る恐れがある。アジアだけでなく世界の経済も混乱する。
 最悪の事態を防ぐために香港政府と若者らは話し合いの場を早急に持ってほしい。対話で道を切り開くしかない。
 それと同時に、徹底した抑え込みを警察力で図っている香港当局にはもっと慎重な対応を求めたい。デモ隊の強制排除にゴム弾や催涙弾を使い、負傷者が出ている。
 若者らにも自制を求めたい。先鋭化した一部の若者は短時間で各地を移動しながら道路を封鎖したり、火炎瓶などで警察署を攻撃したりする「ゲリラ戦」を展開している。
 状況がこれ以上エスカレートすれば対話自体が難しくなる。
 6月の大規模デモの後、香港政府は条例改正の無期限延期を発表した。だが、若者らは「完全撤回」を求めて抗議を続けている。
 97年の中国返還に当たり、香港は「一国二制度」の高度な自治が50年間保障された。条例改正は、その自治権を有名無実化しかねない。改正の無期限延期で若者らが納得しないのも当然だろう。中国経済の発展で香港の不動産は高騰した。購入できない低所得の若者層の不安も運動を激化させる方向に働いている。
 条例改正について当局はどんな考えなのか。話し合いの場でしっかりと市民側に伝える必要がある。
 長期化するデモによって深刻な影響が出ている。
 空港封鎖でアジア有数のハブ(拠点)空港は機能停止し、多くのビジネスマンや旅行者が混乱した。事前申請していない場所でデモは突然始まるため、観光客や市民が衝突に巻き込まれる危険性がある。
 そうした影響だろう。香港政府によると8月初旬の観光客は前年同期比で約3割減少し、6月の小売売上高も同1割近く減っている。さらに悪化するとの予測がある。
 毛沢東主席が北京で中華人民共和国の成立を宣言して今年で70年。記念日の10月1日までに香港政府は事態収拾を図るとの見方がある。状況打開に武力が使われることが決してないよう、国際社会がしっかり監視したい。


長引く香港デモ◆「天安門」の再現は避けたい◆
 香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を巡り、完全撤回を求める香港のデモは2カ月余り続き、一部のデモ隊が空港を占拠して航空便を欠航させるなど過激化してきた。18日に香港の民主派団体が開いた大規模な抗議集会には、約170万人(主催者発表)が参加した。
 1997年、英植民地香港が返還された際、中国は「一国二制度」と「高度な自治」を約束した。市民はこれらの原則が有名無実となり、本土の非民主的な政治制度が香港に広がってくることに強い危機感を抱く。
 中国・香港政府は世論に耳を傾け、香港の「高度な自治」を保障して市民の疑念払拭(ふっしょく)に努めなければならない。
 また、デモは平和的、合法的に行うべきで、反対派が過激な抗議に走れば、やがては一般市民や国際社会の支持を失ってしまう。
 香港政府は6月中の改正案採決を目指したが、大規模デモなど激しい抗議を受け、無期限の改正延期を発表した。しかし、反対派は完全撤回を求めて、立法会(議会)や中国政府の出先機関を襲撃した。
 8月に入って、デモ隊は2週連続で香港国際空港を占拠し、12日以降約千便が欠航した。一部の若者は空港内で中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報電子版の記者ら2人に集団で暴行を加えた。
 暴行の様子は地元テレビが放映。中国政府は「テロに近い行為」「最も強烈に非難する」との声明を発表した。暴行は中国だけでなく香港や海外の人々の反感を呼んだ。
 中国政府は7月末の記者会見で、警察のデモ隊排除を支持する一方、香港政府の要請があれば現地の中国軍の出動が可能との考えも示した。暴力や社会の混乱を招く過激な行動は武力を行使する口実にされかねない。
 1989年6月、北京で軍が民主化運動を武力で弾圧し、多数の死傷者を出した天安門事件の再現だけは絶対に避けなければならない。警察、デモ隊の双方が暴力を控えるべきだ。
 長期化、過激化するデモは香港経済にも深刻な打撃を与えている。日本や米国、オーストラリアなど約30の国・地域が香港への渡航者に注意を呼び掛ける情報を出し、8月初旬の観光客は前年比で3割余り減少、小売売上高も下がった。
 香港政府トップの林鄭月娥行政長官は「自由と正義の名で、多くの違法行為が行われている」とデモを非難するが、中国・香港両政府は強権的な手法だけで、治安を維持するのは難しいことを理解しなければならない。改正案の完全撤回に応じ事態の収拾を図るべきだ。

香港人が本気で「自由」を渇望する一方、日本人を待ち受ける暗い未来
中立思考が日本の言論をダメにする
阿古 智子 東京大学大学院准教授
香港人の「自由」への渇望
中国本土への容疑者の引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正への反対がきっかけとなって始まった大規模デモは、8月に入っても収束する気配を見せていない。
8月12日には、デモ活動による混乱を理由に香港国際空港の発着便が全て欠航となった。香港と境界を接する広東省深圳市の競技場では、数千人規模とみられる人民武装警察部隊(武警)が集結するなど、香港情勢の緊迫度は増している。
空港が使えなくなるなんて、どれだけの経済的損失になるのだろうか。「経済活動への影響に対して懸念が高まるなら、デモ参加者への反発が増大し、デモ活動は大幅に減少する」という見方もある。
しかし、香港で行われた世論調査の結果を見ると、香港の人たちがそう近いうちにデモを収束させることはないと考えられる。実際に、8月18日の日曜日には雨が降る中、170万人もがビクトリアパークでのデモに参加した(主催者発表)。
香港紙『明報』の世論調査によると、警察に対する信頼(10点満点)は5月23日から6月5日には5.6だったのが、8月7日から13日には3点に急落している。
「デモ参加者の暴力は過剰だ」と考える人が39.5%であるのに対し、「警察の暴力は過剰だ」という人は67.7%、「デモは平和的、非暴力であるべき」という項目に対して、「非常に同意する」あるいは「比較的同意する」と回答した人は6月17日から20日には82.9%だったのが、8月7日から13日には71.6%に低下した。
ストや交通妨害などについては「とても受け入れられる」「比較的受け入れられる」が40.1%、「とても受け入れられない」「あまり受け入れられない」が37.5%と賛否が分かれているが、警察の行動については「独立調査委員会を設置して調査すべき」という意見が80.1%にも達している。
「経済への悪影響がある」という見方に対しては「とても同意する」「比較的同意する」という回答は64.4%だったが、「デモによって経済に悪影響が出た場合、誰に最も責任があるか」という質問には、「香港政府」との回答が56.8%にも上ったのに対し、「デモ参加者」と見る者はわずか8.5%だった。
権力の横暴に対抗し情報戦に勝つ
香港警察は地下鉄の駅や人口の密集するエリアで容赦無く催涙弾を撃ち、駅の階段の上からデモ参加者を押し倒したり、無防備なデモ参加者を血まみれになるまで殴り続けたりもした。
警察が逮捕したデモ参加者のバックパックに、鋭く研がれた竹の棒を入れている場面がキャッチされ、その場面を捉えた写真がソーシャルメディアで広く流された。デモ参加者が竹の棒で暴行したという事実を捏造しようとしていたのだろうか。
そして8月11日、警察が発砲したビーンバック弾(ビーンバック(お手玉)のような形をした弾薬で散弾銃から発射される)を受けた女性救護ボランティアは、眼球を破裂させてしまい、失明したと伝えられている。
このような行き過ぎた行動を取り続ける警察に対し、憎しみを覚えている人が少なくないのは容易に想像できる。
さらに、警察による不作為も問題になっている。
北西部に位置する元朗で7月21日夜、犯罪組織「三合会」とみられる白服集団がデモの参加者や通行人を無差別に襲撃した際には、警察は被害者を救護するどころか、見て見ぬ振りをして立ち去っていた。香港特別行政区トップのキャリー・ラム行政長官は、不当な行為を繰り返す警察を批判するどころか、擁護する発言を繰り返している。
このように、香港の多くの人たちを憤らせる材料に事欠かない状況だが、それにしても、これだけの規模のデモが長期にわたって持続的に行われているのは、前代未聞である。
それは、強大な中国の存在を前に、香港の人たちが「自由」の価値を真剣に考えるようになったからではないだろうか。
香港警察による横暴ぶりは、治安維持を強硬に進める中国の国保(公安部国内安全保衛局)を想起させる。
彼らは、なけなしの金で都会の市場で屋台を出している、農村出身の貧しい出稼ぎ労働者の屋台を突然取り壊し、売り物や道具を没収してしまう。
地元の警察にも裁判所にも見放され、公正な対応を得たいとばかりに北京にやってきた陳情者は、多くの政府部門、党機関をたらい回しにされた挙句、暴力団のような人たちに連れ去られ、黒監獄(地方政府が北京に勝手に設置した拘禁所)に拘留される。
中国の少数民族、市民活動家、宗教関係者、人権派弁護士、そしてその家族などが置かれている苦境は、香港でも毎日のように報じられている。
「一国二制度」の下で、香港には高度な自治が保障されるはずだった。しかし、今では香港の警察や司法にも中国政府が介入してきている。
逃亡犯条例が改正されれば、こうした中国政府の介入の一部は合法化されてしまう。香港特別行政区基本法は、2047年には失効する。
その後の香港は、中国に対して何も言えない地域になってしまうのか。「今、行動しなければ、香港は香港でなくなる」という思いが、香港の人たちを突き動かしている。
言論統制が強化されている中国では、政府系メディアの偏った情報ばかりが目立つようになっている。
香港の若い人たちが競うようにしてソーシャルメディアでデモの状況を発信しているのは、中国当局によるイメージの歪曲や事実の捏造を恐れているからでもあろう。
香港の若者たちは、「情報戦に勝つ」ことに並々ならぬ力を入れている中国共産党と、果敢に対峙しようとしているのだ。
日本は本当に平和で自由なのか
香港の情勢を脇目に見ながら、私は日本の行く末を憂えている。日本は表面上、平和で自由に見えるが、実態はどうなのか。
例えば、愛知県の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」において、公立美術館などで撤去された作品を、その経緯とともに展示していた「表現の不自由展覧・その後」が中止に追い込まれた件について様々な意見が出されているが、まずもって、展示の内容に反対するのにテロ予告や脅迫と取れるような抗議の電話やメールが殺到しているという事実に、私は日本人として大変恥ずかしい思いがした。
異議があるなら、暴力的な言葉をこそこそと投げかけるのではなく、正々堂々と理性的に、自らの考えを表現すればよいことだ。
本展示には、韓国の彫刻作家が製作した「平和の少女像」(慰安婦像)や昭和天皇の写真が燃えているように見える写真の作品もあった。作品が制作された経緯や作品を観る人に与える不快さを問題視している人がいるようだが、「心地よさ」や「不快さ」の感じ方は人によって異なる。
明確に多くの人間の心身に害を与えることが証明できるのであれば、法的に表現を規制すればよい。名誉毀損やヘイトスピーチによる具体的な被害があるのなら、裁判を行うこともできる。
「平和の少女像」が話題になること自体、社会に悪影響を与えると考えている人もいるようだが、十分な議論が行われた上でそのような結論に至ったのか。
昨今の日本においては、特定の範囲にいる人たちが「不適切」と感じるものを見せようとしない、広めようとしないように、圧力がかけられることが少なくないように感じられる。
さまざまな情報や考え方を知ることができ、その中から自らの欲しているものを見出し、異なる価値観を持つ人たちとの調整をはかっていくことこそが、民主主義の基本である。
それにもかかわらず、教育の現場では「政治的中立」が求められ、選挙権は18歳に引き下げられたが、主権者教育が積極的に行われているようには見えない。
筆者はこれまで、東京や沖縄の教育の現場で話を聞いてきたが、「偏った内容の教育をしていると言われるのが怖くて、論争になっているテーマを教えることは避けようとしてしまう」といった話を多数の教員から聞いた。
このような状況で、若者の政治への関心が高まり、投票率が上がるはずがない。7月の参議院選挙では、18歳、19歳の投票率(速報値)は31.3%と、全年代平均の投票率48.8%(確定値)より17.47ポイントも低かった。
フェア(公正)かニュートラル(中立)か
大学院以降、米国で教育を受け、欧米メディアで働いている中国大陸出身の友人は、米国から香港情勢を踏まえて米中関係などを報じている。彼女は、自分のソーシャルメディアのページに、このように書いていた。
“Wish I were covering HK on the ground. But sometimes taking a step back shows a greater picture. (中略)My fellow journalists, keep calm and carry on. Check facts. Pay attention to details. To observe, research, question and inform. Be fair but not neutral.”
日本語訳「私も香港の現場で報じられたらよかったのにと思う。でも、一歩引いた方が、より広い視野を得られることもある。ジャーナリストの友人たちへ、冷静に、報道を続けてください。事実をチェックし、細部に注目してください。観察し、研究し、問いを投げかけ、人々に知らせるために。中立ではなく、公正であってください」
「ニュートラル(中立)ではなく、フェア(公正)である」ということがいかに重要であるか。私も彼女の観点に深く共感する。
人間は誰一人として立ち位置が同じであることはない。皆それぞれ異なる位置にいて感じ、考えた結果得られた見方を表現するのだから、人間が完全に中立で居られるはずなどない。そうではなく、フェア(公正)であるかどうかを常に確認することが重要ではないか。
具体的にいうと、特定の政府機関や企業などと癒着するなどし、権力の監視を怠ってはいないか、力を不当に利用して自らの主張を行なってはいないか、弱者の視点に立つ努力が続けられているか、といったことを確認するのである。
人類の歴史や社会について学ぶ場においても、自分の関心や好みに応じてモノを見ようとするだけではなく、異なる立ち位置にいる人たちが、どのような主張を展開しているのか、それはどうしてなのかを多方面から捉えることによって、自分の立ち位置をより明確にすることができる。
筆者は昨年10月、この現代ビジネスのサイトで、「日本のエリート学生が『中国の論理』に染まっていたことへの危機感:行き過ぎた政治タブー化の副作用」という文章を書いた。
大学の現場や小学生の息子の通う学校での教育を通して、教育現場における行き過ぎた政治のタブー化が青少年の思考力を低下させていることを痛感してのことだ。
筆者は現代中国を研究しているが、言論空間を厳しく制限している中国は、表向き国の統制が行き渡っているように見えるが、実際はそうでもない。
中国では貧富の差が非常に大きく、社会保障制度も日本のようには整っていないことから、人々の間では、「自分のことは自ら守らなければならない」というメンタリティーが浸透しており、法律や規制の隙間を縫うようにして、活動の自由を確保しようとする人も少なくない。
中国の一部地域で民間の活力がイノベーションを成功させているのは、そういった背景もあると考えられる。
中国政府は盛んに「愛国」を呼びかけているが、それは、国を裏切るような思想や行動が広がることに警戒感を示してのことでもあろう。
長年中国を見ていると、権力のあり方を疑うことも、権力に抗おうともしない日本人は、あまりにも従順すぎるように見えてくる。
鋭い視野を持って多角的な分析ができない国民が大半であるなら、貿易、情報、軍事などの分野で日々厳しい闘いが繰り広げられている国際舞台において、日本は自らの存在を示すことなどできないのではないか。
日本が今ある姿は、日本人が主体的に選び取ったものなのか。特定の権力を持つ人たちが中心となって作り上げた構造の中で、ただ動かされているだけでいいのか。
日本の政治・経済のシステムや慣習は、日本を良くするために、日本国民を幸せにするために機能しているのか。日本が国際的に大きな貢献をするために、どのような改革が必要なのか。
国民一人一人が深く思考し、熟議を行える国づくりを行わなければ、日本の競争力はますます低下するだろう。
「中国は独裁国家だから」と対岸の火事のように隣国を見ている場合ではない。
日本の民主主義が成熟し、大多数の国民が積極的に議論に参加した上で「表面的に平和であればそれでいいではないか」という結論に達しているのであれば、誰も何も言えないのだが……。
でも、「知らぬが仏」でいいのか。
香港の情勢は決して楽観できるものではない。しかし、香港の人たちは、自由に思考し、主体的に選び取ることが、人間らしく生きることに繋がるということを日本人に教えてくれているような気がしてならない。


計画運休/早めの予告が混乱抑えた
 先週は台風10号が西日本を縦断し、多くの人が旅行や仕事の日程変更を強いられた。中でも15日に鉄道各社が実施した計画運休は、山陽新幹線のほぼ全線が終日ストップするなど広範囲におよび、JR西日本だけで約20万人に影響が出た。
 計画運休は不測の事態を避けるため、過去の台風シーズンにも実施されている。しかしお盆のUターンラッシュという多客期は今回が初めてだ。大きな混乱に至らなかったのは、JR各社の早めの周知が利用者に一定の理解を得た結果だろう。
 台風シーズンはこれから本番を迎える。利用者への影響を軽減できるよう、告知の手法や運休のあり方などがさらに改善できないか、検証してほしい。
 昨年9月にJR東日本が首都圏で実施した計画運休は、発表から運休まで8時間しかなく、職場から帰れない帰宅難民を生むなど大混乱を招いた。その反省から国土交通省は今年7月、48時間前には計画運休の可能性を公表するよう求めていた。
 今回、JR西日本が新幹線運休を公表したのは前日14日の午前11時ごろだが、11日にはすでにツイッターで運休の可能性を示唆していた。早めに予告があれば、利用者も日程変更などで備えられる。
 ただ、結果的に私鉄各社が運行を続けたことで混乱が回避された側面もある。今後は気象予測の精度を高め、運休の範囲をできるだけ絞り込むなど柔軟な対応も検討すべきだ。
 一方、訪日観光客の増加に対応して、外国人への情報伝達も強化が不可欠になる。
 JR西日本はツイッターで英語、中国語、韓国語の運行情報を発信しているが、運休を知らない外国人利用客もいた。外国人専用の窓口を設けるなどの対策も必要だ。
 今回は台風の接近に伴い、JRの計画運休に加えて百貨店や娯楽施設なども臨時休業に踏み切った。書き入れ時だけに判断に苦慮した事業者もあっただろう。それでも安全を優先すべきとの意識が、社会全体に浸透しつつある証しと言える。
 計画運休が見込まれる場合に業務継続や従業員の通勤をどうするかについても、多くの企業で対応を考えておきたい。


JRの計画運休 定着へ社会への周知向上が重要
 台風10号の接近に伴い、JR各社は在来線や新幹線の運行取りやめを事前に決める「計画運休」を実施した。当日はお盆のUターンラッシュを迎えた15日で、計画運休が需要のピークに重なる初のケースだった。
 予定の変更を余儀なくされた旅行客は多かっただろう。だが荒天の中で列車を動かせば立ち往生や不測の惨事に巻き込まれる恐れがあり、乗客の安全を守れる保証はない。気象災害が甚大化する傾向の中、安全優先の判断が第一である。台風シーズンはこれからも続く。鉄道各社は情報伝達の方法などに改善の余地がないか検証し、計画運休が広く受け入れられるよう今後に生かしてもらいたい。
 今回の計画運休は、決定前から可能性を前倒しで周知する動きが目立った。JR西日本が山陽新幹線新大阪―小倉間の終日運休を公表したのは14日午前。ただ、実施2日前の13日午前には運転を見合わす可能性があると発表していた。JR四国も15日に瀬戸大橋線を含む管内全線で運休したが、13日午後の時点で、15日の在来線は終日運休する可能性が高いとホームページ(HP)で告知していた。
 計画運休で当日、各地の交通網には大きな影響が出たが、特段の混乱はなかった。公表が前倒しされたことで、利用客が余裕を持って準備に当たれたのが大きかったのだろう。
 計画運休を巡っては昨年秋に台風24号が接近した際、JR東日本が首都圏で実施したケースが教訓として残る。首都圏全域の在来線で午後8時以降に全面運休したが、その決定は当日の正午を過ぎてからだった。運休を知らなかった多くの人が帰宅困難に陥った。
 現在、国土交通省は鉄道各社に対し48時間前に計画運休の可能性を公表し、24時間前には詳細な情報を提供するよう求めている。各社の今回の対応は、この要請を踏まえたものだ。
 今の気象予報の精度を考えると、計画運休の前倒し公表にリスクがつきまとうのは確かだ。台風の進路が変われば、空振りする可能性もある。利用客の生活や経済活動に多大な影響があるが、それでも被害を回避する有効策として前倒し公表の意味は大きい。社会に理解を深めてもらうためにも、きめ細かな情報発信で混乱を防ぐことが肝要だ。鉄道各社はHPだけでなく会員制交流サイト(SNS)などをさらに活用するとともに、スマートフォンを持たない人への対応や、外国人のために多言語での案内を充実させるなど、周知の向上へあらゆる手だてを講じてほしい。
 利用者側は、公共交通機関は動いて当たり前と思わないようにしたい。企業も災害時には従業員を出社させないといった柔軟な対応が一層求められる。そして運休の判断が空振りでも冷静に受け止める。そんな利便性より安全を優先する意識を高めることが、気象災害から命を守ることにつながるはずだ。


えんとこの歌
 その人は寝たきりになって35年になる。24時間体制の介助で食事や排せつを行い、語らい、命や恋の歌を詠む。<手も足も動かぬ身にていまさらに何をせむとや恋の告白>▼遠藤滋さん。72歳。1歳で脳性まひと診断された。大学を出て教員になったが障害が進み、立てなくなった。発声も困難な今は介助者が口元に耳を寄せて声を聞き取り、パソコンに打ち込む。その日常を記録した「えんとこの歌」が京都シネマで公開中だ▼えんとこは遠藤さんの居所、縁のある所を指す。これまで介助に集ったのは2千人以上。全てをさらけ出す姿に接し若者はつぶやく。「ここにいると自由になる、自分がポロポロ出てきちゃって…」「寄り添うというより、寄り合うって感じ」。映画は彼らの変化も映す▼監督は大学時代からの友人伊勢真一さん。20年前にもえんとこの映画を撮った。再びカメラを向けた理由は2016年の事件。相模原市の障害者施設で19人が元職員に殺された▼以来遠藤さんも歌に詠み続ける。<己こそ弾(はじ)かるる怖(おそ)れ感じてやより弱きらを斬りて見せたる>。そしてこう問う。優生思想と言うのはたやすい。だが対抗しうる拠点はあるのかと▼伊勢さんは訴える。「思考停止にならず、僕たち皆が考えないと。遠藤がベッドの上でしているように」

佐野SAの営業休止と再開、問題は「ストライキした従業員」ではなく経営者側にある
 栃木・佐野市の東北自動車道佐野サービスエリア(SA)で14日未明から、従業員がストライキを敢行し、フードコートや売店の営業が休止される事態が発生、大きく報じられた。
 ストライキの経緯はこうだ。佐野SA上り線のフードコートなどを運営する「ケイセイ・フーズ」は経営状況が非常に悪く、メインバンクである群馬銀行から新規融資凍結処分を受け、借金の滞納が3カ月以上続くなど経営破綻寸前にあった。この現状を見かねた総務部長の加藤正樹氏が岸敏夫社長に経営危機を訴え改善を求めたが解雇されてしまう。この不当な解雇が引き金となり、日頃から経営陣に不信感を抱いていた従業員の不満が爆発した。
 すると同社は16日、新たな従業員を臨時で雇い営業を開始する“スト破り”を敢行した。日本国憲法第28条の「勤労者の団体権」では、労働者の団体が使用者と労働条件について交渉する権利“団体交渉権”、労働者の団体が労働条件の実現を図るために団体行動を行う権利“団体行動権”などの権利を労働者は有している。
 ストライキをした従業員とは向き合わず、新たな従業員を雇うというのは、労働者の権利を踏みにじる行為ではないか。現在の従業員だけでなく、新たに雇われた従業員への対応も含めて、今後の動向に注目したい。
「ストライキ」という言葉を一切使わないNHKの報道
 今回のストライキ騒動で、ケイセイ・フーズの非常識な運営が白日の下に晒されたが、もう1つ問題点が明らかになった。それは、この件に関するメディアの報道のあり方だ。
 NHKのニュースサイト「NHK NEWS WEB」ではストライキが敢行された14日に、この件を紹介する「東北道 佐野サービスエリア なぜ?営業休止…戸惑いの声」というタイトルの記事を掲載した。
同記事内では、「ストライキ」という単語は一切使われておらず、営業停止の理由について「レストランなど店舗を運営している会社の事情によるもの」と記している。
 また、8月16日、昼の「ANNニュース」(テレビ朝日系)でも、ストライキが起きた背景には一切触れず、「前日までストライキが起きたことで閑散としていた売店が、本日から営業を再開された。フードコートでは名物の佐野ラーメンの提供も再開された」と、営業再開を前向きに報じた。
 さらに、同番組内で岸社長は「新たな思いで頑張ってやります」と“抱負”を語っており、ストライキの背景にある従業員の不利益を鑑みない“企業・消費者ファースト”な内容だった。
 この報道に対し、ネット上では「ストライキ中に別の従業員を雇用して営業を再開するという明らかなスト破りを好意的に紹介するテレビ朝日、率直に言って最悪」、「これ社長によるスト破りだよね?一言も触れてないのなんなの?」と批判的な声が相次いでいる。
 NHKやテレビ朝日などの大手報道機関が、この佐野SAの状況を伝えるにあたって「ストライキ」や「スト破り」に言及しないことは強い違和感を与える。
 ストライキは労働者なら誰でも有している権利である。従業員のワガママなどではなく、経営者への抗議なのだ。正確な報道が望まれる。


河北春秋
 インターネット検索をすると、その言葉に関連する広告が画面に表示されるようになる。検索内容などから利用者の趣味や関心を分析して配信されるという。便利には違いないが、心の内をのぞき見されているような薄気味悪さも付きまとう▼大学生の就職活動に就職情報サイトは欠かせない。その一つ「リクナビ」が閲覧履歴などを人工知能(AI)で分析し、就職活動中の学生の内定辞退率を予測した。データは企業に販売したが、多くの学生は自分の情報が使われているのを知らなかった▼就職は学生優位の「売り手市場」。内定を複数得る学生が増えている。企業が欲しい情報だった。トヨタ自動車やホンダ、りそなホールディングスなど大手が購入したことが明らかになっている▼リクナビはデータを採用の合否判定に使わないとする同意書を取っていたといい、企業側も判定には使っていないと口をそろえる。ただ、常識的に考えれば辞退の確率が高い学生にわざわざ内定など出すまい。リクナビは内定辞退率データのサービスを廃止した▼学生にとって就職は人生を左右する節目の一つ。就職情報サイトに期待されているのは学生と企業を取り持つ懸け橋の役割だろう。企業側だけに顔を向けていては業界全体の信頼にも関わりかねない。

ジェンダー論を学ぶことは「優しさ」を身につけることだった。『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた』一橋大学学生たちの気づき
 「#MeToo」運動などをきっかけに、「ジェンダー」に関する意識の激変が日本社会でも起きている。
 職場や学校などでハラスメント意識の向上が見られるなどの前向きな変化が出始めているが、その一方で、「逆差別」といった言葉が男性向け週刊誌やネット上を駆け巡るなど、バックラッシュの動きがあることも事実だ。
 日頃、不当な目に遭っているという被害者意識を抱いていたり、また「ジェンダー」について学び考える機会がなかったがゆえに、急激な社会の変化に不安を覚えたり……反発の要因は様々に考えられる。
 そんななか、『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた──あなたがあなたらしくいられるための29問』(明石書店)という本が話題を呼んでいる。
 タイトルの通り、この本を書いたのは大学生。一橋大学社会学部でジェンダー研究を専門とする佐藤文香教授のゼミに所属していた学生たちだ。
 『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた』の画期的なところは、ジェンダー論の初学者にも理解しやすいように工夫してあることである。「あなたがあなたらしくいられるための29問」というサブタイトルの通り、この本は普段の生活で出てくる疑問に答えるかたちで構成されている。
 目次を開けば、「「○○男子/○○女子」って言い方したらダメ?」「どうしてフェミニストはCMみたいな些細なことに噛みつくの?」「女性専用車両って男性への逆差別じゃない?」「女性はバリキャリか専業主婦か選べるのに、男性は働くしか選択肢がないのっておかしくない?」「性暴力って被害にあう側にも落ち度があるんじゃない?」といった質問が並ぶ。誰もが心に抱いたり、会話のなかで出てきたりする疑問だろう。こういったトピックに答えるかたちで本書は構成されている。
「どうしてこのような本が編まれたのか?」、そして、「ジェンダー論を学ぶことの意義とは?」。この本を執筆した児玉谷レミ氏(現在は一橋大学大学院社会学研究科1年)、前之園和喜氏(同1年)、山本美里氏(同2年)、ゼミの担当教員である佐藤文香教授に話を聞いた。
ジェンダーに関する質問に答えるのは意外と難しい
──『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた』は、日常生活に根差したかたちで構成されている珍しいジェンダー論の本だと思いますが、どうしてこういった本が生まれたのですか?
児玉谷レミ(以下、児玉谷) 大学生だと初めて会った人との会話で「なにを専攻してるんですか?」ってよく聞かれるんです。その質問に「ジェンダー研究やってるんです」と言うと、「フェミニストってさ、なんでCMとかあんなくだらないことに噛みつくの?」とか、「ミスコンに反対してる人いるけど本当にくだらないよね」とか言われたりすることがあるんです。そういう質問にうまく答えられなかったり、感情的になって無理に答えたことによって相手との関係が険悪になったり、そういう残念なことがよくあって。
山本美里(以下、山本) ただ、そういった質問をする人も必ずしもジェンダー研究に敵意があるわけではないんですよね。「最近炎上してるあの件ってどこが問題なの?」とか、単純な好奇心からの疑問っていうのもけっこうあったりします。
前之園和喜(以下、前之園) 男性の場合は女性よりジェンダー研究に反感をもっているかもしれません。私の場合は女性専用車両のことなどを引き合いに出しながら「女ばっかりズルい!」みたいな不満を投げかけられることがよくあります。うまく答えられず落ち込んでいたとき、ゼミの仲間に話したら「こう返せばよかったんじゃない」と教えてくれて。そういうときに素早く答えられるようサンプルを集められればいいなと思っていました。
なぜ、ジェンダー論・ジェンダー研究を学ぶのか?
──なるほど、それで想定問答集のようなものをつくる、この本の根本的なアイデアが浮かんだんですね。そういった会話が周囲の人たちとなされるのは、日本社会が急速に変化していくなかでジェンダー研究という学問が身近になり、学生の間でも注目されているということだと思うのですが、皆さんはどうしてジェンダー論を勉強しようと思ったんですか?
前之園 私は小さいときから「男らしくない」と言われてきたんですね。というのも、あまり外で遊ぶのが好きではなくて。「ドッジボールは怖いな」と思ったりして折り紙とかしながら部屋のなかで遊ぶことが多かったんです。それに対して周囲の男の子たちに「お前は女々しい」「男らしくない」と言われることが多くて。そういった言葉には悪意を感じ、傷ついていました。
そんななか、高校の授業でジェンダーという概念に出会い、「男らしい」と言われているものが、つまるところ社会的につくられたものに過ぎないということを知りました。窮屈な「男らしさ」に縛られたり、「男らしさ」を無理に追い求めたりしなくてもいいんだということに気づかせてもらいとても救われたような気がして。それでジェンダー研究をしようと思いました。
山本 私は、女として生まれてきたけれど、ただそれだけで小さいときから「女らしくしなければいけない」「かわいくしなきゃいけない」と言われることに違和感がありました。「足を開いて座ってはいけない」「がに股で歩いてはいけない」など、「なぜ女に生まれたというだけでこんなに生き方を規定されなきゃいかないんだ!」みたいな思いがありました。前之園君と違って、私はドッジボールをバリバリしたいし、女の子がよくやっているようなシール交換のなにが面白いのか全然わからなかった。女の子であるというだけで、「こうしなきゃいけない」と言われるのが生きづらくて、「男の子になりたい」と思うようになり、同時に「女性性」というものが嫌いになってしまいました。ただ、あるときふと、こういった生きづらさや嫌悪感のようなものは、ジェンダーの問題と結びついているのではと思ったんです。それでこの学問に足をふみこんでみることにしました。
児玉谷 私はもともと母の影響で上野千鶴子先生の本を読んでいたりして、ジェンダー研究という学問を認識していました。高校は女子校に通っていたんですけど、ジェンダー教育にすごく力を入れている学校で、授業のなかで、性的マイノリティのことであるとか、ジェンダーギャップ指数のことであるとか、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、代理母出産のことなど教えてもらったりして、だんだん興味をもってきたんです。
でも、興味をもってジェンダーの勉強をすればするほど、だんだん辛くなってきたんです。ネット上の嫌な言説が目につき始めたり、何気なく見るテレビCMや電車の中吊り広告といったものに女性蔑視的なものを感じたり、フェミニズム・ジェンダーに対する攻撃的な眼差しに気づくようになってしまって。それで一度ジェンダーの勉強をやめて文学研究を志してみました。それはそれで楽しかったんだけれども、どうしても切実さを感じることができなかった。それで結局、生活のなかで疑問に思ったことや感じたことが直接の研究対象になるジェンダー研究に戻ってきました。
ジェンダーについて学ぶにつれて感じる怒り・もどかしさ
──ジェンダー論を学んでいくことは性別に捕われない「自分らしさ」の肯定や癒しになると同時に、社会問題に敏感になり傷つきやすくなってしまう副作用もあるのですね。皆さんが最近怒りを感じたのはどんなことですか?
山本 怒りというよりはもどかしさのほうが強いかもしれません。20代も後半に差し掛かってくると、友だちとの間でも結婚とか出産の話とかが出てくるんですよね。そういったときに結婚願望があまりないと答えたりすると「えぇ! かわいそう。家族できないよ。かわいそう」みたいに言われて。そういうふうに言う人は「家族というものは温かくて素敵なもので、結婚は大人になればみんながするべきものである」という世間の空気感のなかで悪気なくそう言っているんでしょうけど、やっぱり「かわいそう、って……」って思いますよね。それに対してどう言ったらいいのかなともどかしさを感じます。そのときは「人にはそれぞれいろいろな生き方があるんだよ」という話をしたんですけど。
児玉谷 「恋愛至上主義」みたいな価値観もあると思っています。私のまわりでも、高校の同期とかで集まると「彼氏、どう?」みたいな会話が始まり、特定の相手がいない人がいたりすると、「かわいそう」「恋愛楽しいのに」みたいなことを言いながら、その子が彼氏を見つけられるように応援しようみたいなムードができあがったりしますね。
山本 そういった「恋愛至上主義」的な空気と共に「異性愛規範」もすごいある。男の人は女の人を好きになって、女の人は男の人を好きになるっていう前提が根強くあって、そこに疑問をもっていない人がこんなにいるんだということに驚いています。これだけLGBTという言葉が浸透してきたのに、話の前提はいつも異性愛。
とはいえ、「彼女いる?」「彼氏いる?」っていう会話はすごい自然に出てくるけれど、「彼氏」「彼女」に代わる言葉があるかといえば現状はなくて。「パートナーいる?」という言葉にも違和感があるし、言葉の規定力というのも大きいのかもしれません。
ジェンダー論・ジェンダー研究を通じて得られるもの
──「決め付け」をもとにした何気ない不躾な発言を避け、ひいては他人の辛さを想像し、共感することができるようになる。そこに、ジェンダー論を学ぶ意義があるのかもしれません。
児玉谷 そうですね。まわりに苦しんでいる人がいたら、その人の苦悩に思いを馳せて、共感することができる。その共感は必ずしもその人自身の気持ちと同じものではないかもしれないけれど、少なくとも、真摯な態度で辛さや苦悩に向き合うことができるようになると思います。あと、話をしているときにうっかりその人を責め立てるようなことを言ったりすることも、勉強することによって避けられるかなと思います。
前之園 男としては、自分がマジョリティとしてマイノリティを傷つけることに加担していたと気づかせてくれたのは、ジェンダー研究をやってよかったと思うところです。過去の言動を反省して落ち込むこともありますけど、そこで学んだことによって、少なくともこれからは加害者にならなくて済む。
児玉谷 私はジェンダーの勉強をすることによって、自分の人生に主体性を取り戻せたと思っています。この社会に生きるうえで「性別」は強く作用するものだから、理不尽な思いとか、つらいことがたくさんあります。だけど、ジェンダー論を勉強していれば、自分が悪いのではなく社会に問題があるのだと理解することができる。理不尽な経験をしたときに「本当に嫌だった。早く忘れてしまおう」と思いながらその経験に翻弄されるのではなく、自分の経験の背後にある社会の問題を変えていくために動くような、主体性をもった人生を送ることができるのではないかと思います。
山本 ジェンダー研究というのは、「社会の常識」に問いを投げかける学問だと思うんです。勉強していると、いままで自分が「当然」だと思い込んでいた価値観がすごく揺らいでいく。性別や性的指向に関わるものだけでなく、生まれ育ちとか、人種とか、様々な視点・切り口でものを考えることができるし、自分自身の立場を見直すきっかけにもなると思っています。
佐藤文香教授(以下、佐藤教授) みなさんが利点として語っているそういったジェンダー研究の側面は、一方で反発を生む部分でもあります。人は、自分が自明視しているものに対して「実はそうじゃないんだ」と他人から言われると、不快な気持ちになるんです。
奥村隆さんという社会学者が『社会学になにができるか』(八千代出版)という本のなかで「人々がなめらかだと思って生きているこの世界を、ごつごつした世界として示す」ことを社会学の役割だとおっしゃっているんです。だけど人間は当然なめらかな世界の方が心地いいので、自分がなめらかだと思って生きている世界を「いや、本当はその世界はごつごつしたものなんだよ」と他人に指摘されると腹が立つ。
これはジェンダー研究もまったく同じです。「男と女が愛し合う異性愛こそが正常で、それ以外は異常なんだ」とか「“男は男らしく”“女は女らしく”するのが当たり前で、それに反旗を翻そうとするのはおかしな人たち」とか、そう信じて生きている人たちにとっては、いや、実は同性同士の関係は江戸時代にもあってね、とか、「男らしさ」「女らしさ」の中身は時代や文化によってさまざまでね、とか言われるのは、足下がぐらつく不安な経験になる。
いっぽうで、世の中が変わってきていること、自分の信じてきた価値観が揺らいできていることを誰よりも感じとっているのはジェンダー研究に反発を感じている人々でしょう。その不安が転じて、怒りや攻撃性になったりもする。SNSを中心に起きているフェミニズムに対するバックラッシュにはそういう側面があると思っています。
性別による役割や“らしさ”の押し付けがない社会は、本来、男女問わず、誰にとっても解放になりえます。それをどう伝えていけるのかは、ジェンダー研究の課題だろうなと思っています。
山本 読者の皆さんはこの本に書かれていることにすべて共感する必要はないですし、私たちも「正しい回答はこれだ!」と示したかったわけではありません。本を読むことでこれまで考えたこともなかったトピックに思いを馳せ、考えたり、周囲の人と話し合うきっかけにしてもらえればと思っています。
佐藤教授 この本の第二弾、第三弾があちこちから生まれるといいですよね。
児玉谷 『ジェンダーについて社会人が真剣に考えてみた』とか、ね(笑)。


「猛暑ニッポンの五輪開催、どう思う?」訪日外国人に聞いてみた
 トライアスロンの競技会場が大腸菌だらけであることが発覚するなど、準備段階からトラブル続きの東京五輪。なかでも懸念されているのが、来年の開催期間中の気温だ。
「ハッキリ言って狂ってる」
 五輪招致の際には「温暖で理想的な気候」という触れ込みだったが、実際の気温はご存知のとおり。23区内の熱中症による死者は2年連続で100人を超え、来年の開催期間中も猛烈な暑さが予想されている。
 こういった状況について、日本に暮らす在留外国人や観光客に意見を聞いてみると、案の定辛辣な意見が飛び交った。
「ハッキリ言って狂ってるよ。昼間に外に出るだけでもウンザリした気分になるのに、この暑さのなかでスポーツをやったり、観戦するなんて考えられない。そもそも、日本の夏を味わったことがある人なら、この季節にオリンピックをやるなんてバカバカしいとわかるはず。今になって大騒ぎしてるけど、招致の段階で無茶だという人がいなかったのがおかしいよ。日本人はこういうシチュエーションでやることを美化しがちだから、盛り上がるのかもしれないけどね」(男性・アメリカ人・38歳)
 暑さ対策はすでに手遅れであるというだけでなく、初めから実現不可能だったというのが、大方の見方だった。
「死人が出ると思う。実際、熱中症で死んでる人がたくさんいるのに開催するっていうのは、人の命なんて知ったことじゃないってことでしょ? 日本のなかだけでならそれで通じるのかもしれないけど、海外から来た人に死人が出たら、誰が責任をとって、他の国からどう見られるのか考えたほうがいいと思う」(女性・ノルウェー人・33歳)
アスリートにとって五輪はバカンスではない
 選手や観客の安全性はもちろんだが、競技内容も期待できないという意見もあった。
「毎年、夏休みの時期に日本に来ていて暑いのにはある程度慣れたけど、スポーツをやるのは流石に無理だと思う。アスリートはバカンスに来るわけじゃないしね。競技をこなすだけでいっぱいいっぱいじゃないかな」(男性・フランス人・36歳)
 また五輪はおろか、日常生活での暑さ対策ですらお手上げだという声も。
「通勤するだけでも疲れるし、暑さには全然慣れないね。小さな扇風機を持って歩いている人を見かけるけど、あんなの何の役にも立たないでしょ。とにかくできるだけ昼間には屋外に出ないようにしてるよ」(男性・ポーランド人・29歳)
正論が通用しない東京五輪
 とにかく、日本人も感じていることだが、年々暑さが厳しくなっているように思うという声も。
「20年前に一度来日して、6年前に再び日本に来たんですが、毎年暑くなってる気がします。これで来年はオリンピックなんて、死んでしまったり、体を壊す選手もでてしまわないか心配です。北京五輪は観られなかったので、少し前までは東京でオリンピックを観てみたいと思っていましたが、今年の暑さを経験して、今後夏の間はハルビンに帰ろうかと思っています……」(女性・38歳・中国人)
 いずれのコメントも、まったくその通りなのだが、こと今の日本では、東京五輪について、こういった常識が通じなくなっているのが現状だ。
「競技の時間を朝や夜にずらしたところで、たいして効果はないと思います。暑さはもちろんだけど、湿度もスゴいから、選手もコンディションを調整するのは難しい。観客も熱中症を心配しながら観戦するのでは、競技に集中できないんじゃないでしょうか」(男性・39歳・韓国人)
昼間は外に出たくないという声も
 日本の夏は暑いという前提が無視されたまま招致、準備が進められてきた以上、今さらどうしようもない……。それが外国人たちの目に映っている東京五輪の現状だ。
「僕は昼間コンビニで働いているのですが、休みの日に友だちと遊びに出るにしても絶対に夜ですね。まず外に出ようって気になりません。この暑さを知らずに来た観客は絶対ガッカリすると思いますよ」(男性・31歳・インド人)
 誰の目にも危険性が明らかなまま、刻一刻と開催が近づいていく東京五輪。事故や死者が出た場合、日本の夏を知っている外国人からはきっと「知ってた」という声があがるだろう。
 しかし、そうと知らずに「温暖な気候」という謳い文句を鵜呑みにした観客からは、「話が違う」という怒りが噴出するはずだ。暑さ対策が機能していない以上、五輪関係者が一番用意しておくべきは、「言い訳」なのかもしれない。
<取材・文/林 泰人>ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン


組織委が責任逃れ 東京五輪は“死のボランティア”も現実に
 東京五輪のテスト大会で、猛暑への対策不足やトライアスロン会場が「トイレ臭い」などの問題が噴出、「死人が出るんじゃないか」と危惧されているが、命の危険にさらされるのはアスリートだけじゃない。大会組織委員会はボランティアにも過酷な待遇を検討しているというからひどすぎる。
  ◇  ◇  ◇
 東京五輪1年前のテスト大会では、トライアスロン会場となる「お台場海浜公園」の水質汚染が発覚。選手から「トイレのような臭さ」との苦情が出たほどで、水中の大腸菌が基準値の2倍以上に急増した日は、スイムだけ中止となった。
 この“トイレアスロン”問題をきっかけに、東京五輪がいかに「おもてなし」の心に欠けているか再び話題となり、ボランティア問題にも飛び火。大会組織委が先月3日に開催した「第4回ボランティア検討委員会」での検討内容に今、疑問の声が上がっている。
 日本財団ボランティアサポートセンターが同16日に公開した検討会の報告には驚愕の記述がある。
<大会時のボランティア活動の環境について、暑さ対策は基本的には自己管理>
 ボランティアが酷暑で倒れても、「自己責任だから」と言わんばかりの姿勢だ。
 さらに信じられないのは次のくだり。
<マラソンなど早朝に行われる競技については、ボランティアの会場入りが始発の交通機関でも間に合わないため、終電での会場入りを想定>
<その場合は待機時間が見込まれるため、ボランティア同士の交流機会や、士気を高めるような取り組みを検討していく>
■組織委「暑さ対策は自己管理」
 環境省は「熱中症予防サイト」で、熱中症の要因のひとつに<二日酔いや寝不足といった体調不良>を挙げている。徹夜の“交流会”の後に炎天下で働いたら、熱中症のリスクが高まるのは必至なのに、組織委は<暑さ対策は自己管理>と言ってはばからないのだからどうかしている。
「ブラックボランティア」著者で広告代理店出身の作家・本間龍氏がこう言う。
「炎天下で働くボランティアが酷暑が原因で亡くなる可能性はゼロではありません。組織委は使用者責任があるのに、今さら各自の自己管理だというのは、万が一の場合に責任回避するためではないか。ボランティア活動中に個人の判断で自由に離脱できるなら自己管理だというのも理解できますが、実際はそんなことはない。メディアは組織委の無責任さ、真剣味に欠ける姿勢をもっと追及するべきだと思います」
 ボランティアの自己責任や徹夜の交流会について組織委に問い合わせると、「暑さ対策は、事前対策と自己管理が大切であると認識しています。研修で周知徹底を行うとともに、活動時には対策グッズを配布、休憩時間を十分に取れるシフトを検討しています。仮に活動中に熱中症になってしまった場合には、保険(組織委負担)の対象となり得ます。(交流会については)検討中です」との回答だった。
“死の五輪”が現実となるかもしれない。


東京五輪 大型台風直撃でも「放映権」のために強行開催か
 東京五輪の開催期間は2020年7月24日から8月9日まで。競技実施期間は16日間となっている。
 計1010万人の観客が訪れると予測されるこの世界イベントに、冷や水を浴びせかねないのが「台風」だ。今年のお盆に台風10号が全国で猛威を振るったばかりだが、同じ規模の台風が五輪開催中の東京を直撃することは十分に考えられる。
 近年、7月末〜8月上旬にかけて日本に台風が上陸・接近する回数は増えている。昨年は五輪最終日と重なる8月9日に台風13号が関東地方に接近、一昨年の8月7日には台風5号が列島を直撃した。
「台風なんて1〜2日で通過する。少しだけ日程を順延すれば済む話じゃないか」という意見も聞こえてきそうだ。
 東京オリンピック組織委員会戦略広報課は、「各国際競技団体の定めにより異なりますが、スケジュール進行に影響を及ぼす事象がある場合、個々の状況にあわせて、組織委員会、IOC、国際競技団体等で協議を行ない、遅延、延期、前倒し等の判断を行ないます」と説明する。
 しかし五輪はそう簡単に日程を延期することができない事情がある。オリンピック憲章では〈オリンピック競技大会の競技実施期間は16日間を超えてはならない〉(規則32付属細則)と定められている。そのため、たとえ競技日程を順延したとしても、全日程を8月9日の閉会式までに終わらせなければならないのだ。甲子園のように1種目に限られた大会なら延期の調整もきくが、五輪は33競技全体に影響が及ぶため容易ではない。
 また、五輪の収益の大部分を占める「放映権料」の問題もある。東京都の招致活動で推進担当課長を務めた経験のある鈴木知幸・国士舘大学客員教授がいう。
「米国を中心に各国のテレビ局はIOCに莫大な放映権料を払っている。たとえば米NBCユニバーサルは、2014年ソチ五輪から2032年の夏季五輪まで10大会分の米国向け放映権を120億ドル(約1兆3000億円)で独占契約している。それほどの巨額が動くため、放送スケジュールに影響する競技日程を変えるのは難しい」


久米宏がワイドショーの嫌韓報道を真っ向批判!「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」「韓国叩くと数字が上がるから」
 日韓の対立をめぐって、国際社会では日本の責任を問う声が日に日に大きくなっているというのに、日本のマスコミ、特にテレビは相変わらず韓国攻撃一色。ヘイトまるだしの解説やコメントが連日、垂れ流される一方、「日本政府はもっと慎重に対応すべき」「国民ももっと冷静になるべき」という当たり障りのない意見すら口にできない状況になっている。
だが、そんななか、あの久米宏がテレビの異常な嫌韓報道を真っ向から批判した。久米は17日に放送された、自身がパーソナリティを務める番組『久米宏 ラジオなんですけど』(TBSラジオ)のオープニングトークで、「このところテレビ、お盆休みということもあって、相変わらず観ているんですけども、ちょっと気になるのありまして。これはニュースと言いますか、ワイドショーのような番組で、日韓関係を取り上げているワイドショーがかなりあって」と切り出し、こうつづけたのだ。
「で、中身がですね、韓国に対して厳しい意見をお持ちの専門家の方をゲストに呼んだり、韓国に冷ややかな見方をしている専門家の人をゲストに呼んだり、あのー、揶揄するようなね、韓国を。(揶揄)するような人たちがひな壇ゲストに並んでいたりするワイドショーがわりと多くて、どうもね、テレビが反韓国キャンペーンをやっているような匂いが、僕、少しだけするんです。それってどうなのかなって」
 テレビのワイドショーが反韓国キャンペーンをやっている──。この久米の指摘は言うまでもなく正しい現状認識だ。実際、『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)ではマンガ家の黒鉄ヒロシが「断韓」という文字を掲げて国交断絶を訴えたり、『ひるおび!』(TBS)では安倍応援団コメンテーターの八代英輝弁護士が、輸出規制問題の報道についてハンギョレ新聞と中央日報、朝日新聞を「反日三羽烏みたいなもん」と言い出したり、完全に暴走状態。しかも、久米の言うとおり、こうしたワイドショーに「専門家」として引っ張りだこになっているのは、『韓国人に生まれなくてよかった』(悟空出版)などというヘイト本の著者である武藤正敏・元在大韓民国特命全権大使。コメンテーターも解説者も一緒になって“韓国が全部悪い”と連呼しつづけているのである。
 そして、久米は、こうした「反韓国キャンペーン」状態にあるテレビのワイドショーについて、このように批判した。
「あの、国民がやや暴走するようなときに、それを抑えるのがじつはマスコミね、テレビとか新聞とか雑誌の役割じゃないかと、僕は思っているんですけど、どうも国民の感情が暴走しそうなのを、逆に煽ってるんじゃないかって、僕から見ると見えるんですけど」
「世論をね、なだめるような仕事をするのがマスコミの仕事じゃないかと思うんですけど、どうもね、最近ね、必要以上に韓国を非難している」
 本来は、世論が暴走しているときには冷静に「なだめる」のがマスコミの仕事であるのに、いまの状態は、テレビが国民の感情を煽っているのではないか。そう久米は批判したのだ。
 まったくそのとおりだろう。国内世論は完全に「韓国が悪い」「関係修復を望む言説は反日」という風潮一色に染まり、「和解」や「慎重な対応」を求めただけで「反日」と攻撃を加える、まるで戦争前夜のような空気に支配されている。「世論をなだめる」というマスコミの役割を捨てているのだ。
嫌韓報道の正体を「視聴率至上主義」と喝破した久米宏のタブーに切り込む姿勢
 一体なぜ、テレビはこんな報道をつづけているのか。久米の見立てはこうだ。
「もしかするとね、いま韓国を叩くとね、数字が上がるんじゃないかってね。(中略)そうじゃなきゃ、連日やってるワイドショーもあるんですよ。毎日、韓国叩きやってるんですよ」「これ、たぶんね、数字がいいんじゃないかなって。民放ってやりかねませんからね。数字が良ければなんでも」
 悪しき視聴率至上主義の弊害──。久米は加えて「数字が良いってことは、つまり、韓国叩きをやると喜んでテレビを観る人が多いってことにつながっていくわけですから、これはこれでまたね、もしかするとマスコミが国民を煽ってるんじゃなくて、国民がマスコミを煽ってるっていうね」とも述べたが、「嫌韓」という国民の劣情を、視聴率が取れるからといってテレビが煽動していることに間違いはない。いや、そもそもは安倍政権が「歴史修正」と「報復」にこだわって、国民の嫌韓感情にお墨付きを与えている状況があり、テレビも心置きなく韓国叩きに精を出していると言うべきだろう。
 そんな国家ぐるみで「嫌韓」感情が醸成されつづけるなかで、「テレビがやっていることは『反韓国キャンペーン』だ!」とはっきり物申した久米。放送人として至極真っ当な批判だが、しかし、電波にのせてこうした当然の批判をおこなっているのは、久米と、あとはジャーナリストの青木理くらいだ。それほど放送メディアのなかでは「『嫌韓』批判」がタブーになってしまっているという証拠だろう。
 メディアがタブーにする問題にも、しっかり切り込む。現に、久米といえばこれまでも、メディアがこぞって期待・歓迎ムードを煽っている東京五輪に対しても、“最後のひとりになっても反対する”と明言。「東京都民が決めたんじゃないんですよ。勝手に決めたのを上から押し付けていいのかってこと」「福島の復興のためだって言ってますけど、福島の人はよろこんでいるのか、東京での五輪を」と猛烈に批判。五輪そのものに反対しているだけでなく、上が決めたことを押し付け、国民がその決定に唯々諾々と従う、この国のあり方にNOの声をあげてきた。
 さらに、先月に『あさイチ』(NHK)に登場した際にも、「僕はやっぱりNHKは独立した放送機関になるべき」と言及し、こう述べた。
「人事と予算で、国家に首元を握られている放送局があっちゃいけないんですよ。そういう国は先進国とは言えないです。絶対、報道機関は独立していないといけない」
「アンチ政府、アンチ国家の放送局、新聞があってしかるべきなんですよ。だいたいみんな同じになって。すっかり流行語になった忖度みたいなところで、よくないと思いますよね」
日本の嫌韓ムードを「子どものケンカ」「政治家が煽るなんてとんでもない話だ」と一刀両断
 N国(NHKから国民を守る党)とはまったく違い、権力と対峙するためにNHKは独立機関にならなければならないと当のNHKの番組で堂々と説く。タブーを恐れないその姿勢は、今回の嫌韓報道への批判にも貫かれている。久米は、テレビの報道を「反韓国キャンペーン」と表現したあと、こう口にした。 
「いまラジオ聴いてる方でね、『バカヤロー』って声が聞こえてきているんですけどね(笑)」「『何を言ってるんだ、久米のバカヤロー。韓国のマスコミはもっとひどいぞ。もっと反日キャンペーンをやってるんだ』っていう反論があると思うんですけど、向こうがやったらこっちもやるっていうのは、これはね、昔から言うの。『子どものケンカ』って言うんですよね(笑)」
 リスナーから起こるであろうリアクションにもしっかり釘を刺す。そして久米は、最後にこのように投げかけたのだ。
「隣の国とは仲良くしたほうが、絶対にいいんですよ。両方の国にとって、経済的にも、すべてプラスになるのね。まあね、国民が煽るのも良くないし、マスコミが煽るのも良くないし、ましてや政治家が煽るなんてことはとんでもない話だと、私は思います」
 マスコミはもちろんのこと、政治家が隣国に対する嫌悪感情を煽るなどもってのほかだという、ごくごく常識的な久米のような意見が、テレビではまったく見られない異常。──1994年のルワンダ大虐殺では多数派のフツ族系の民放ラジオ局「千の丘」が、少数派のツチ族への民族憎悪を扇動するキャンペーンをおこない、フツ族たちのすぐ隣で生活してきたツチ族たちが大勢殺された。いまメディアは同じようなアジテーションを繰り広げていることの危険性を、はたして自覚しているのだろうか。


日韓便縮小、韓国人に人気の関西を直撃 半数キャンセルも
 大韓航空が20日発表した日本との路線見直しには、釜山−関西、済州−関西の運休が含まれた。関西では今夏、韓国から日本への旅行予約の半分がキャンセルされるなど、韓国人訪日客の減少が顕著になりつつある。関西国際空港は日韓関係悪化の直撃を受ける形となった。(牛島要平、黒川信雄)
 ■「旅行者回してほしい」
 関空では現在、ソウルをはじめ韓国6都市との路線が運航されている。関空から昨年入国した外国人のうち韓国人は28・3%を占め、トップの中国人(30・1%)に迫る規模だった。
 大韓航空のほかにも、既に格安航空会社(LCC)のエアプサンが釜山−関西便を27日から運休すると決めるなど、韓国系航空会社が関空路線を運休、減便する動きが広がっている。関空を運営する関西エアポートは今月中旬の時点で、韓国路線の約1割、週64便が減る見通しを示していた。
 関空の広報担当者は「現在は、日韓関係が厳しくなる前に旅行を予約した韓国人客が利用し、まだ目に見えて減っているわけではない」としつつ、「今後は減ることを視野に入れないといけない」と語った。空港の免税店売り上げなどにも影響が出ると見ている。
 訪日客向けの旅行代理店「フリープラス」(大阪市北区)の小西宏明取締役は、「韓国人客を受け入れているホテルやバス会社からは、経営が成り立たないとの悲鳴が聞こえる。(他地域からの)旅行者を回してほしいという問い合わせもある」と話す。同社の取引先などでは今夏、韓国からの予約の半分がキャンセルされ、秋も前年比で大幅減になる見通しという。
 ■韓国航空会社にも打撃
 関空のターミナルでは20日、帰国で釜山に向かう韓国人の自営業の男性(47)が「韓国では周囲の目が気になり、『今はやめよう』と日本旅行を思いとどまる空気が出ている。私の友人も、11月に予定していた大阪観光をほかの国に組み替えた」と話した。
 ただ、日本の航空3社は対韓路線への依存度が高くない。一方、韓国メディアによると、韓国の航空8社は旅行需要低迷などから今年4〜6月期決算はすべて赤字になっており、7月以降は日本路線の相次ぐ運休・撤退で収支がさらに悪化する恐れがあるという。


「彼氏の意向で…」 若い女性が「VIO脱毛」を決意する理由
 露出が増える夏場は、体毛を気にして脱毛サロンに入会する女性は少なくない。近年は価格帯の低下から若い女性の参入障壁も下がっているという。そんな脱毛エステで、ワキ脱毛と並び人気があるのがアンダーヘア周辺の「VIO」と呼ばれる箇所だ。
 以前からVIO脱毛は、生理中の蒸れを防止するなど衛生面から人気のある箇所だったが、ここ数年で客がVIO脱毛を契約する理由に変化が見られるようになったという。そう語るのは都内のエステサロンで勤務する女性・Aさん(40代)だ。
「まずVIOとはアンダーヘアからお尻にかけてのデリケートゾーンを指します。専門的にはトライアングル(三角の部分)、トライアングル上下、Vライン、Iライン、Oラインがあります。このゾーンは人気箇所なので、お客様の年齢層も中学生から70代まで幅広いですね。また、どの程度毛を残すのか? どのようなデザインで残すのか? ということも一人ひとり異なります。
 しかし、最近『完全にツルツルにしてください』という大学生のお客様が急増しているのを実感しています。驚くのは、その大半が『彼氏がツルツルにして欲しいというから』という理由で契約されていることです。脱毛中も『彼氏の好みにしたい』『彼が毛を嫌がるんです』と明け透けに話す学生さんが増えているのはびっくりですね」
 このエステティシャンによると、客だけでなく10代や20代前半の若い社員も「彼氏の要望に応えて」ツルツルにするのだという。
「実際、今年入ってきた新入社員も口を揃えて『彼氏がツルツル派なので、社割で全部毛をなくしたい』と言います。ある30代の社員が『私の彼氏は生えている方が自然で好きと言っているわよ』と話したところ、10代から20代の後輩に『その彼氏さんは変態だ!』なんて言われていましたね。価値観の変化にとても驚いています」(Aさん)
 しかし、彼氏の要望に応えVIOを完全に脱毛してしまった女性客のなかには、その後、後悔をするケースもあるという。別のエステティシャンの女性・Bさん(20代)は、こう語る。
「アンダーヘアを完全に無くす人が多いのは事実ですが、それもエステに通っている人の中での話。実際、温泉や銭湯に行っても完全に毛がない人はほとんどいませんよね。お客さんや知人のなかには、『元彼の要望に応えて全部なくしたけど、別れたあとに後悔している』『産婦人科ですごく恥ずかしい』『今の彼氏に怪しまれる』……などと話す人も少なくありません。
 また、男性のなかには彼女のアンダーヘアの処理を要求するだけで、自分のアンダーヘアをまったく処理しない人も少なくない。女性にばかり形式的な『美』を求めようとするのはおかしな話です。女性に求めるのであればまずは自分も処理するべきではないかと思います。
 ちなみに、脱毛で完全に毛をなくしてしまうと、あとあと自然に生えてくることはないので覚悟も必要になります。今の彼氏の意向を聞くだけでなく、別れることも念頭に入れて脱毛の契約をすべきだと思います」
 そもそもアンダーヘアの脱毛は、衛生面や老後の介護を見越して女性が自主的に選択することが多かったという。しかし「彼氏の要望に応える」という理由で高額の契約をしてしまうと、後悔先に立たずということにもなりかねない。恋人の価値観だけに左右されないよう、しっかりと判断したい。


【追悼】ジャーナリスト山本美香さんの死から7年を迎えるにあたって
2012年8月20日、ジャーナリストの山本美香さんが、内戦下のシリア・アレッポ取材中に命を落としました。
かつてアジアプレスで活動し、のちにはジャパンプレスのメンバーとして精力的に取材を続けるなか、紛争報道の最前線で銃火の犠牲になったことは、私たちにとって悲しい痛恨の出来事でした。
シリア内戦は今も続き、40万人以上の死者と、500万人以上の難民を生み出し、現在も戦闘で毎日のように子どもや女性、力なき人びとが犠牲となっています。
山本美香さんは、戦争や紛争地で失われていく「いのち」に目を向け、その現実を現場から伝え続けました。
山本美香さんが殺害されて以降も、ジャーナリストが取材中に命を落としたり、誘拐される事件が相次ぎました。
私たちは取材現場で一層の安全確保に努めてきました。戦争や紛争が各地で絶えないなか、その核心に迫り、そこで何が起きているのか、
被害の実態を伝える戦争報道の意義、意味は、以前にも増して重要になっていると認識しています。
戦争の真実と向き合い、紛争地の人びとに優しい眼差しを向け続け、そして斃(たお)れた山本美香さん。
その志は私たちの心に刻まれています。 山本美香さんのご冥福を、あらためてお祈りたします。
2019年8月20日 アジアプレス・インターナショナル 一同

枝豆ない→キビナゴ/素揚げと正宗/赤い万願寺

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Eau radioactive de Fukushima : Séoul convoque un diplomate japonais
SEOUL, 19 août (Yonhap) -- La Corée du Sud a convoqué lundi un diplomate japonais pour demander au Japon de répondre aux préoccupations croissantes sur son plan de relâcher dans l'océan Pacifique de l'eau contaminée par l'accident de la centrale nucléaire de Fukushima en 2011.
Cette convocation a eu lieu dans un contexte où Séoul presse Tokyo pour le retrait de ses restrictions d'exportations à travers des dialogues bilatéraux. Séoul voit ces mesures comme des représailles politiques face aux verdicts rendus l'année dernière par la Cour suprême sud-coréenne contre des entreprises japonaises quant au travail forcé en temps de guerre.
Kwon Se-jung, directeur général en charge du changement climatique et des affaires environnementales au ministère sud-coréen des Affaires étrangères, a convoqué le ministre pour les affaires économiques de l'ambassade du Japon en Corée du Sud, Tomofumi Nishinaga.
Kwon lui a fait part d'une note verbale soulignant les inquiétudes de Séoul sur l'eau radioactive et demandant une explication officielle de Tokyo sur sa manière de traiter cette eau.
La semaine dernière, Séoul a promis de traiter ≪activement≫ la question de l'eau polluée sur fond d'inquiétudes croissantes selon lesquelles Tokyo pourrait en relâcher dans le Pacifique comme la centrale de Fukushima manquerait d'espace de stockage vers 2022.
Après avoir appris en août de l'année dernière le plan de Tokyo de déverser de l'eau radioactive, la Corée du Sud a envoyé au Japon un document détaillant ses préoccupations et des demandes liées. Depuis, elle a appelé Tokyo à présenter clairement sa méthode de traitement lors de forums bilatéraux et multilatéraux.
Le Japon serait en train d'examiner les diverses options, dont l'évaporation et l'enfouissement, pour traiter l'eau de la centrale de Fukushima. Cependant, le déversement dans l'océan de l'eau traitée est percu comme la méthode la moins chère et la plus rapide, donc séduisante.
Des groupes et militants environnementaux, comme Greenpeace, s'opposent à l'évacuation d'eau contaminée au tritium. Selon un rapport publié en janvier par Greenpeace, un groupe de travail du gouvernement japonais a proposé un plan de déversement en négligeant les autres options possibles qui empêcheraient une plus grande contamination de l'océan.
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青木 俊 @AokiTonko
香港市民の要求はいずれも当然。
注目は5番目。「民主的選挙の実現」。
中国は一国二制度と言いながら、立法議会の選挙制度を露骨に親中派優位なものにしてきた。
要求が最終的にここに来るのは必然。だが中国にとっては生命線を失う。逃亡犯条例はとんだ「龍」を起こしてしまった。中国、自業自得

茂木健一郎@kenichiromogi
N国党が議席を得て、政党要件を満たして以来、私はNHKの現状を批判するにせよ、スクランブルをかけたりするのではなく、BBC型の、すぐれた公共放送になるための応援としてツイートしているのだということをはっきり打ち出して、自分でも意識している。NHKはBBCの良いところはどんどん取り入れればよい
NHKはいろいろな番組を制作、放送していて、そのどれもが重要だろうけれども、特にニュースや時事は、公共放送としての存在意義の核心である。このところ、日本の戦時中、戦後のことなど「過去」のことについてはすぐれたドキュメンタリーを放送してが、同じことを現在進行系の「今」でもやってほしい
NHKの時事(current affairs)の報道、番組作り、放送の何がもの足りないのかということをBBCと比較して考えてみると、これは何度も書いていることだけれども、ジャーナリストとしての能力のいきいきとした発露がないことかと思う。すべてがお役所的で、事なかれ的に見えてしまうのである。
NHKとBBCの時事についての番組作りのトーンの違いを端的に書くと、後者は、あるできごと(たとえば今で言えばRrexit)について巷で言われていることを、網羅的、すべてのスペクトラムで見て、それを反映したニュース原稿、番組になっているのに、前者は小さく前にならえというか、制約が大きすぎる。
手法としては、BBCの朝の報道番組は、左から右までさまざまな新聞記事を参照してスタジオでジャーナリストがああでもないこうでもないと議論するスタイルだけれども、NHKの場合、そのような議論の幅は最初から存在しないことになっていると思う。
社会の中にはさまざまな意見があって、それを並べれば当然ざらざらする。BBCは、その大人のざらざらを反映した報道姿勢、番組姿勢になっているのに、NHKは、「これだけ見ていれば安心安全です」というような、視聴者を子ども扱いした感性の「囲い込み」をしているように印象される。
かつては、「みなさまのNHK」が提供する「安心、安全」の世界だけで呼吸していればいいという話もあったのかもしれないけれども、今はネットでありとあらゆる意見に人々が接する時代である。そんな時代に、今のNHKの時事の報道姿勢は、あまりにも「幼稚」であって、もはや時代にそぐわない。
NHKの報道や情報番組の作り手の多くは英語はできるはずだから、BBCの報道、情報番組のフォーマットを少しでもいいから見て欲しい。同じ公共放送でありながら、何が違うのか? 国によって文化や歴史は異なるけれども、良いところは大いに取り入れて、番組をアップデートしたら良い。
NHKとBBCを比べると、後者の方が「受信料」(英国ではlicense fee)を払っている人の割合が高く、また、受信料徴収のための人件費の割合が低い(NHKは集金人は廃止しても、訪問する人たちの人件費がかかっている)。BBCの方が国民に公共放送の意義を納得してもらって、自発的に支払ってもらえている。
NHKは、BBCに比べると、公共放送としての意義を国民に高いレベルで納得してもらえていない。最大の要因は番組の「質」であろう。ネット時代にメディアの切磋琢磨で目や耳が肥えた視聴者に、今まで通りの「小さく前にならえ」の「安心安全」の「みなさまのNHK」では、公共放送としての意義を保てない。

小沢一郎(事務所)@ozawa_jimusho
総理は太平洋戦争について「歴史認識は歴史家に任せる」と逃げている。要は「侵略」とは認めたくないということ。太平洋戦争を総括できないような政治指導者はあり得ない。歴史に向き合うことこそ、本当の追悼。安倍政権は改竄ばかりだが、戦争の美化だけは絶対に許されない。
花瑛塾広報局 @kaeizyuku_PR
韓国の皆さん、うちの 아베 (安倍)がいろいろすみません。私たちも 아베 にはドン引きしていますし、基本的には多くの日本人が韓国の皆さんを歓迎しています。ほんとに普通に日本に遊びにきて下さい。

枝豆買ってずんだ!と思ってスーパーに行きました.2件見たけどどちらでもありませんでした.ガッカリ.仕方ないですね.冷凍ものを買うつもりはないので来年かな?代わりにキビナゴを買いました.素揚げしてもらいます.
素揚げのキビナゴは薩摩正宗があいます.財布を忘れていたので小さなビンを買ってもらいました.
万願寺もそろそろ食べないと.買ったときは緑色だったのが今は全体が真っ赤になってしまいました.でもパプリカみたいに美味しかったです.

「来年度中に全防潮堤の完成を」
東日本大震災を受けて県内に計画された防潮堤のうち、唯一、住民の合意が得られていなかった気仙沼市の防潮堤工事で、住民合意に達したことを受けて、村井知事は、来年度中に県内すべての防潮堤の完成を目指す考えを示しました。
震災の被害を受けた気仙沼市の日門漁港では、海抜9.8メートルの防潮堤をつくる計画が立てられましたが、景観の問題で住民から反対の声が上がって調整が進められました。
その結果、震災から8年あまりたった先月末、背後にある国道をかさ上げし、海が見える景観を維持することで住民合意に達し、これで県内で計画された防潮堤すべてで住民の合意が得られました。
村井知事は19日の記者会見で、「かなり時間はかかったが、客観的な安全性を確保できる高さを担保できるようになり、一段と安心感が増すことになるのではないか」と述べました。
その上で村井知事は、県内で計画されている369か所の防潮堤について、政府が位置づける「復興・創生期間」が終了する来年度中の完成を目指す考えを示しました。
県内で計画されている369か所の防潮堤のうち、日門漁港を含む4か所ではまだ工事が始まっておらず、県は急ピッチで工事を進めることにしています。


震災で水没した車両引き揚げ
東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼市で、津波で流され海底に沈んだと見られる車を引き揚げる作業が行われています。警察は、行方不明者の特定につなげるため、所有者の確認を急ぐことにしています。
車を引き揚げる作業が行われているのは、気仙沼市の川原漁港の南側の海岸です。
警察によりますと、今月2日、この場所で建設が進められている防波堤の工事のために海底を調査していたダイバーが、岸からおよそ50メートル、深さ1.5メートルほどの海底に乗用車1台が沈んでいるのを発見したということです。
これを受けて警察は、19日午前11時から、海上保安署や工事関係者などとともにクレーン船で車を引き揚げる作業を始めました。
車は8年前の津波で流されたものと見られ、中も外も泥にまみれて腐食が進んでいました。
気仙沼市では震災のため、現在も214人の行方が分からないままで、警察は行方不明者の特定につなげるため、所有者の確認を急ぐことにしています。
気仙沼警察署の菅原和警備課長は「行方がわかっていない人が大勢いるので、手がかりにつながるものを1つでも多く見つけていきたい」と話していました。


<福島第1原発事故>個人・地域の文化財を救え 帰還困難区域で住宅解体進み、自治体急ぐ
 東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域を抱える福島県の自治体が、個人や地域が所蔵する文化財や歴史資料の救出活動を続けている。同区域でも住宅解体が進み、地域の営みや記憶を伝える資料が消失する恐れがあるためだ。盗難被害が懸念され、住民も自治体に預けるなど保全を急ぐ。
 全町避難が続く双葉町の上羽鳥地区で7月下旬、観音堂と不動堂に安置されていた古い仏像計4体を町教委が救出した。県や福島大が協力。放射線量が一定以下であることを確認し、町内の保管場所に移した。住民が救出を依頼した。
 周辺は、帰還困難区域に再び住めるようにする特定復興再生拠点区域(復興拠点)。町は2022年春までの避難指示解除を目指しており、来春を目標に通行証なしで立ち入りできるようにする規制緩和も予定する。実現すれば、人の往来が増える。
 二つのお堂の前はかつて盆踊りや花見が行われた地区の中心。地区長の今村樹重(たてしげ)さん(69)は「仏像は盗難の恐れがあり、地震で傾いたお堂もすぐには直せない。将来、住民が帰還するまで町に守ってもらう」と話した。
 町は18年、個人宅や地域に眠る資料の救出を本格化した。同年には復興拠点整備のため、希望する世帯の解体除染が始まった。帰還困難区域が96%を占める町内はそれまで大半の住宅は手付かずで「その分貴重な物が残っている」と町教委はみる。
 寄贈されたり預かったりした文書や農具、生活用具、刀剣類などは約20件計約850点に上る。写真が多く、1960年代の珍しい空撮写真群もあった。
 避難指示を一部解除した自治体は、以前から帰還困難区域を含め救出活動を展開中。17年春に同区域を除き解除された富岡町は14年から約3万点を救出し、浪江町も1000点以上を受け入れた。
 今年4月まで全町避難が続いた大熊町は17年3月に作業を始め、約400点を救出。旧家の食器や特産品紹介の展示物など暮らしを物語る一部は17、18年の町文化祭で展示した。町教委は「古里を思い出してもらい、帰還の呼び水になるといい」と説明する。
 双葉町教委は「避難を続ける町民に、文化財は地域共有の財産との意識が高まっている。文化財は町民が町とつながるきっかけになり得る」と強調。気になる資料があったら気軽に相談するよう呼び掛ける。


韓国、海洋放出計画の有無確認を 福島原発で、日本の公使呼び
 【ソウル共同】韓国外務省の権世重・気候環境科学外交局長は19日、日本大使館の西永知史公使を呼び、東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水について、海洋放出の計画の有無など事実関係の確認を求めた。韓国外務省が発表した。
 権氏は「汚染水処理の結果が両国民の健康や安全、さらには海でつながる全ての国に与える影響について重く認識している」と強調。日本政府が海洋放出を計画していると国際環境団体が主張しているとし、事実確認や今後の処理計画などについて公式回答を求めた。


復興庁の存続 検証し教訓を次に生かせ
 存続するとしても、単なる「現状維持」では済まされない。これまでの取り組みで何が足りなかったのか。検証して教訓を次の復興政策に生かすべきだ。
 2021年3月末に設置期限を迎える復興庁が21年度以降も存続する方向となった。与党の自民、公明両党が政府に現体制のまま存続させるよう安倍晋三首相に提言し、首相は「要望に沿って対応する」と約束した。
 復興庁は首相直属の機関で専任の閣僚が置かれ、復興交付金の配分や被災自治体と関係省庁との調整を担う。11年12月に成立した復興庁設置法は災害発生から10年を復興に要する期間と定め、司令塔となる復興庁の設置期限を20年度末としていた。
 しかし、東日本大震災から8年余を経ても約5万人が避難を余儀なくされている。被災者の就労支援や心のケア、風評被害への対応など課題は残ったままだ。「道半ば」の復興を後押しするため、政府と与党は足並みをそろえたと言えるだろう。
 政府と与党には改めて注文したい。巨大地震と大津波、それに原発事故が重なった未曽有の複合災害だった事情は理解するが、復興庁を存続させるという判断は、当初予定していた期限内に復興を成し遂げられなかったことを意味する。
 それはなぜか。省庁の縦割り行政を廃するという本来の役割は果たせたのか。「被災地に寄り添う」と繰り返す政治はリーダーシップを発揮できたのか。しっかり検証して率直に国民へ説明してほしい。そうでなければ、復興に要する新たな延長期間や財源など復興庁存続の議論は説得力を持ち得ない。役所と大臣を今のまま残せばいい−という単純な話ではあるまい。
 もう一つの重要な論点は、全国的な視点で防災・減災から災害の復旧・復興まで一元的に取り組む政府機関設置の問題だ。
 地震、台風、豪雨など自然災害の脅威は一段と増してきた。南海トラフ巨大地震や首都直下地震なども想定され、防災体制の強化は喫緊の課題である。
 復興庁の後継組織として、復興庁と内閣府や内閣官房などに分散する防災関連部署を統合して常設の新省庁を置く案があった。全国知事会は東日本大震災の経験を踏まえて「防災省」の設置を提案しており、昨秋の自民党総裁選で、石破茂元幹事長が争点の一つとして提唱したことでも知られる。
 防災体制の強化や司令塔機能の一元化は今回の与党提言にも盛り込まれている。東日本大震災からの復興を確実に加速するとともに、各種の災害で得られた貴重な体験と教訓を生かして防災体制を強固にしていく。政府の最優先課題の一つである。


復興庁存続へ 防災機能の拡充強化を
 東日本大震災からの復興を目的に、2012年に発足した復興庁が、設置期限の21年度以降も現体制で存続する見通しとなった。
 自民・公明両党の復興庁存続を柱とした提言を受け、政府は年内に基本方針をまとめる考えだ。
 福島、宮城、岩手の被災3県の避難者は5万人に上る。東京電力福島第1原発の廃炉に40年超かかるなど難題が山積で、津波被災地も完全復興とは到底言い難い。
 復興庁の存続は当然だが、それで十分だと言えるだろうか。
 日本は世界有数の「自然災害大国」だ。近年は地震や豪雨、噴火など相次ぎ、防災や減災の重要性や緊急性が一層高まっている。
 政府は、復興庁を拡充し、防災から復興まで司令塔を担う「防災省」の創設を検討すべきだ。
 与党の提言は、復興庁存続に加え、内閣官房と内閣府に分散する防災機能の一元化を求める。
 参院選では、与野党が防災機能強化の必要性を掲げており、共通した認識といえる。
 災害の予防や情報提供、被害の調査・検証、被災地支援など、災害を巡る業務が各省庁にまたがれば迅速な対応は制約される。
 防災省で多様な災害の教訓を蓄積し、職員の専門知識を高め、災害に即応できる体制を整える。防災教育の充実化を図れば、国民の意識向上にもつながろう。
 復興庁は、各省庁から数年単位で出向する職員の寄り合い所帯という側面があり、ノウハウの継承が課題だ。新組織ではもとの省庁に戻らないルールも必要だろう。
 一方、縦割り行政の弊害を招かぬ配慮も欠かせない。
 昨年の西日本豪雨では14府県で275人が亡くなり、平成最悪の豪雨災害になった。
 最大死者33万人の南海トラフ巨大地震の被害は1410兆円、首都直下地震は778兆円と想定される。道東沖の巨大地震を含め、いつ起きてもおかしくない。
 現行の体制で対応するには、災害規模があまりに巨大すぎるのは誰の目にも明らかだ。
 全国知事会も防災省創設を提言する。「国難レベルの巨大災害に備えるため、国の指揮命令系統を明確化し、対応調整権限や予算措置権も含め、災害の備えから復旧・復興までを担う」という。
 災害時に最前線で指揮を執る都道府県のトップの総意だけに、説得力がある。
 国民の生命と財産を守るのは政府の責務であり、真摯(しんし)に耳を傾けてもらいたい。


原発処理水  結論ありきの姿勢では
 東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水を巡り、東電はタンクでの保管が2022年夏ごろに限界を迎えるとの試算をまとめた。
 原子力規制委員会は処理水を希釈して海洋放出するよう求めている。これに対し、風評被害を懸念する漁業関係者は反対している。
 タンクでの保管が難しいとなれば、海洋放出の主張に拍車がかかりかねない。処理水の処分を優先し、地域のなりわいを軽視していると地元に受け取られれば、対立は深まるばかりだろう。
 第1原発で保管中の処理水は7月末時点で約110万トンに上る。
 東電は20年末までに137万トン分のタンクを敷地内に確保する計画だが、現在のペース(1日当たり150トン前後)で処理が続けば22年夏に容量を超える計算だ。
 気になるのは、東電の対応だ。
処理水の処分方法を検討する政府の小委員会で、東電はタンクの大型化や敷地外への移送は困難と強調した。一方で、タンクにため続ければ、溶融核燃料(デブリ)の保管設備など廃炉に必要な施設の設置が難しくなるとした。
 敷地内のタンク容量が足りなくなる可能性を強調することで、海洋放出に向けた議論の加速を狙ったようにも思える。
 結論ありきの姿勢は不信感を増幅するだけだ。原発敷地内には土地造成で出た土砂の捨て場が確保されているといい、「安全な土を構内に保管し、処理水を外に出すのはちぐはぐ」との批判もある。
 小委員会は、海洋放出や地層注入など五つの処分方法を検討してきたが今回、漁業者から求めのあった「長期保管」も議題とした。
 処分方法を絞り込む前に、保管場所についてさまざまな可能性を多角的に検討する必要があろう。
 処理水を巡っては昨年8月、トリチウム以外の放射性物質が残っていたことが判明し、「トリチウム以外は除去できている」との東電の主張に疑いが生じた。
 放射性物質が残留していた理由は、しっかり説明できたのだろうか。疑問と不信感を残したままでは議論も進まないのではないか。
 福島県などの水産品を韓国が禁輸したことが世界貿易機関(WTO)の上級委員会に認められ、他に20以上の国・地域でも輸入規制が続いていることも気がかりだ。
 海外の消費者の抱く懸念が払拭(ふっしょく)しきれていない状況で、海洋放出を含む処分方法の検討を急ぐことが妥当かどうか。十分に考える必要がある。


FIT見直し 再生エネ普及に資するか
 政策転換によって、再生可能エネルギーの普及に向けたスピードが鈍るようなことがあっては困る。そこに十分留意した上で、新たな制度を構築してもらいたい。
 再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)の見直しに関する中間整理案を経済産業省がまとめ、有識者委員会から大筋で了承を得た。
 柱は買い取り対象の縮小だ。来年の通常国会で関連法を改正することを目指す。
 FITは一定期間の発電量の全てについて電力会社が固定価格で買い取る仕組みで、2012年7月に導入された。原資は電気料金に上乗せする形で回収している。
 東日本大震災以降の再生エネ拡大の土台となってきた一方、買い取り費用が増加して消費者の負担が増していた。
 見直しは、再生エネの主力電源化に向け、家庭や企業の負担を減らして制度の持続可能性を高める狙いがある。
 注目したいのは、設備のコストが下がっている大規模太陽光や風力などは「競争電源」と規定したことだ。
 FITの対象にすべきかどうかは電源ごとの状況を見ながら判断し、「補助の水準を順次縮小する」とした。事業者が手掛ける大規模太陽光や風力などの発電は、将来的には対象から外す方針という。
 再生エネの普及が進んだことで競争力がつき、自立的な運営が見込める電源も出てきたことを物語るものだろう。
 こうした中で消費者の負担抑制へ、制度の抜本的見直しに着手したといえる。
 気掛かりなのは、FITの見直し後も、これまでのようなペースで再エネの普及・拡大ができるかどうかだ。
 7年前にFITが導入され、再生エネは制度開始以前の3倍以上に伸びた。まさに飛躍的と言っていい。
 背景には、高い買い取り価格を設定し、企業や個人の投資を広く呼び込んだことがある。
 政策変更に伴い、再生エネ発電によって得られる収益が不安定化したり、投資に見合わないと思われたりすれば、勢いはしぼむことになろう。
 それだけに、事業者への新たな支援策をどう組み立てるかが重要になる。
 新支援策は、事業者が収益計画を立てやすくなるよう、市場での販売価格が基準価格を下回った場合に国が穴埋めする案が有力視されている。
 意欲をきちんと引き出し、後押しできるものにすることが求められる。
 政府のエネルギー基本計画は再生エネを主力電源化し、30年度の比率を全体の22〜24%とする目標を掲げる。17年度時点では16%で、今後も普及に力を入れる必要がある。
 政府は本気で再生エネの主力電源化を目指すのか。そこをしっかり見極めるためにも、FIT見直しを巡る動向に国民の側が目を凝らしていかなければならない。


リクナビ問題 若者の未来への背信だ
 就活情報サイト「リクナビ」が、学生の個人データから内定辞退率を予想し企業に売っていた。データは本人同意が不十分なまま流れていた。販売した側、購入した企業双方が猛省すべき問題だ。
 リクルートキャリアが運営する「リクナビ」には就活生の大半が登録している。
 同社は学生が就職先として興味を持っている企業の閲覧履歴や、企業から集めた前年の就活動向などを人工知能(AI)で解析。そこから就活生が内定を辞退する確率を割り出し、企業に販売していた。
 リクナビ側は、企業への情報提供があり得ることなどを利用規約に示し、就活生から同意を得ていたという。だが内定辞退の予測値を細かくはじき出し個人が特定できる形で売り渡しているとは、どの就活生も思っていなかっただろう。さらに約八千人については、同意自体得ていなかった。
 選考にデータを利用しないとの約束は販売先企業と交わしていたという。しかし利用したか否かを証明するのは難しいと言わざるを得ない。もし企業がデータを使っていれば、学生の未来が変わってしまった可能性が生じる。
 就活生には不安が広がっているはずだ。リクナビ側はもちろん購入した企業も、自分たちの行為がどれだけ学生たちに不信感を植え付けたのかよく考えてほしい。
 個人情報保護法では、個人情報の第三者への提供について、本人の同意が必要と定めている。だが実際の運用ではその同意手続きは形だけとなってはいないだろうか。ましてやAIを駆使した個人情報の受け渡しについて、現行の同法がどれだけ規制の網をかけられるのか疑問もある。
 今回の問題は法律面も含めた個人情報の扱いの問題点も浮き彫りにした。AI技術の急速な進歩も見据えながら官民一体となったルールの見直しが急務だろう。
 企業側にとって採用は自社の将来を担う人材を発掘するという意味で、重要な活動であることは理解できる。しかし、学生にとっても就活は社会への第一歩に向けた極めて大切な行為であり、大きな精神的負担も強いる。
 その就活を通じて得た若者たちの個人情報をビジネス化して売買したことは、企業倫理の劣化と批判されても仕方がないだろう。今回を契機にして、大小を問わず、すべての企業経営者が人材活用のあり方を見つめ直すよう強く期待したい。


老いるインフラ 修繕の遅れに不安拭えず
 橋やトンネルなど身近なインフラの老朽化と、その対応の遅れが浮き彫りとなった。国土交通省や地方自治体が2014〜18年度に行った点検の結果である。
 全国の橋約6万9千、トンネル約4400、歩道橋などの道路付属物約6千の計8万カ所近くで「5年以内の修繕が必要」とされた。一方、修繕の着手率は18年度末時点で橋22%、トンネル36%、付属物24%にとどまっていた。
 高度成長期に集中して整えられ、老いるインフラへの対応は待ったなしだ。例えば、建設から50年以上となる全国の橋は18年の25%から28年には50%に増える。だが、自治体は社会保障費が膨らむなどして財政事情が厳しい。住民の要望が強い新設に比べると、修繕は後回しになりがちで、不安は拭えない。
 点検は12年12月、山梨県の中央自動車道笹子トンネルで天井板が崩落し、車3台が下敷きになるなどして9人が死亡した事故を受けたものだ。5年に1度の実施が道路管理者に義務付けられた。14〜18年度が1巡目に当たる。
 岡山県内で5年以内の修繕が必要とされたのは橋2249、トンネル124、道路付属物162カ所だった。悲惨な事故を繰り返さないよう迅速に対応してもらいたい。
 このうち、橋は約3万3千カ所と都道府県別で最多の点検箇所数となり、早急な措置を要する施設数は北海道や新潟県などに次いで7番目に多かった。
 施設を長持ちさせる「長寿命化」が大きな課題となる。そのためには、人と同様、普段から健康管理に努め、早めに対応する「予防保全」が大切だと専門家は指摘する。
 とはいえ、自治体職員は行政改革などで減少傾向が続く。専門知識のある技術系職員も足りず、不在の市町村は全国で約4分の1を占める。
 国交省のアンケートで、19年度以降の点検について業者への発注、進行状況の把握など職員の負担が大きいと訴えた自治体は6割を超えた。人材の確保と育成を図らねばならない。同時に、市民の目を借りることも必要だろう。異常があれば管理者に連絡しやすい態勢を整えてほしい。
 点検の効率化も急がれる。国交省は小型無人機ドローンで損傷状況を撮影したり、赤外線を当ててコンクリートのひび割れを確認したりする技術の開発を進めている。
 財務省も人工知能(AI)などの先端技術も活用すれば維持管理費を一段と抑えられるとし、利用者の減った橋の撤去など集約化で管理コストを下げることも提案しているという。
 都市機能を中心部に集めるコンパクトな街づくりの動きが活発だ。インフラなどに集中投資できる半面、周辺部が落ち込むとの懸念も根強い。まして、既設のインフラの集約は影響が大きい。利用者の合意は欠かせず、丁寧な説明と情報公開が求められる。


カシミール問題 非はインドの側にある
インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方を巡り両国が対立を深めている。インドが北部ジャム・カシミール州の自治権剥奪を決めたためだ。非は一方的な行動に踏み切ったインド側にある。
 インド上下両院が今月、州に大幅な自治を認めていた憲法の改正を可決した。10月末からは連邦政府直轄地になる。政権は厳戒態勢を敷いて抗議行動を抑え込んでいる。5万人以上の治安部隊を州内に展開し、一部地域では電話やインターネットを遮断した。
 ヒンズー教徒が約8割のインドで唯一、イスラム教徒が多数派の州だ。1947年に印パ両国が英領から分離独立した際、カシミール地方を治めていたヒンズー教徒の藩王がインドへの帰属に合意した経緯がある。領有権などを巡り両国は戦争を重ねてきた。
 インドの与党はヒンズー教至上主義団体が母体である。今年の下院選で自治権剥奪を公約の一つに掲げ、前回に続いて単独過半数を得た。勢いを背景に憲法規定の削除に突き進んだ。
 規定は州外の住民の土地取得を制限する根拠にもなっていた。今後、ヒンズー教徒の移住を進めて住民の宗派構成を変えようとしているとも指摘される。イスラム教国パキスタンのカーン首相は「民族浄化の恐れ」を訴える。
 州では独立を求めるイスラム過激派も活動しており、インドのモディ首相は自治権の規定が「テロリズムに力を与えてきた」と批判する。剥奪で平和と発展が訪れるとも述べた。同意できない。乱暴なやり方は反発を強める。自治権剥奪は撤回すべきだ。
 インド、パキスタンは共に核保有国である。カーン氏は「パキスタン軍はいかなる侵害行為にも対応できる」と警告している。両国軍がにらみ合うカシミール地方の実効支配線(停戦ライン)付近で銃撃戦も伝えられる。衝突激化は避けなければならない。
 パキスタンの要請を受けて開かれた国連安全保障理事会の非公開会合は、各国の立場の違いから結論を出せずに終わった。中国がパキスタンを後押しする一方、メンバー国の大半は「2国間問題」などと深入りを避けている。
 自治権剥奪を「内政問題」だとして国際社会の介入を拒むインドへの配慮なのか。
 このまま手をこまぬいているわけにはいかない。両国の対立がエスカレートしないよう最大限の自制を迫りつつ、事態の打開に向けて協議を続ける必要がある。


[続く香港デモ]武力介入は絶対避けよ
 香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を発端に、完全撤回を求める香港の抗議活動が2カ月以上にわたって続いている。
 民主派団体は18日も大規模な抗議集会を開催。警察はデモ行進を許可しなかったが、数十万人が雨が降りしきる中強行した。香港情勢は緊迫度が一段と高まっている。
 当初、抗議活動は平和的に行われていたが、アジア有数のハブ空港である香港国際空港ロビーなどを占拠して多くの航空便を欠航させたり、一部若者が中国記者に暴行を加えたりするなどエスカレートした。自制が必要だ。
 香港当局は改正案の完全撤回を拒否し、催涙弾や警棒を使い、多数の負傷者を出すなど強硬姿勢を強めている。過剰警備はやめるべきである。
 1997年に香港が英国から返還された際、中国政府は「一国二制度」と「高度な自治」を約束した。しかし改正案は中国の非民主的な司法を香港に持ち込み、中国に批判的な活動家らが引き渡される恐れが消えない。
 懸念されるのは中国政府が武力介入を辞さない姿勢を繰り返し表明していることだ。
 香港と接する中国広東省深圳市の競技場に集結した人民武装警察部隊(武警)は1万人規模との情報もある。国内で暴動鎮圧やテロ対応などを任務とし、習近平(しゅうきんぺい)国家主席をトップとする党中央軍事委員会の指揮を受ける武装組織だ。デモ制圧訓練の映像を公開し抗議活動をけん制している。
 国際社会は、民主化を求める学生らを軍が武力弾圧し、多数の死傷者を出した1989年6月の天安門事件を忘れていない。武力介入は絶対にやってはならない。
    ■    ■
 長期化するデモ隊と警察の衝突は香港経済に大きな打撃を与えている。
 日本や米国、オーストラリアなど約30の国・地域が渡航者に注意を促す情報を出し、8月初旬の観光客は前年と比べ3割余り減少した。
 香港は世界有数の金融都市で、外資による対中投資の重要ルートになっている。人民元の国際取引にも不可欠な市場である。武力介入すれば、経済的に最も損害を受けるのは中国自身なのである。
 トランプ米大統領は抗議活動について「(中国政府の)暴力による鎮圧は見たくない」と、習氏と近く電話協議することを提案した。習指導部はデモ隊の激化は「テロに近い行為」と断じ、米国を「内政干渉」と非難する。
 先行きは見通せないが、米中両国は混乱収拾に向けた協議に力を合わせるべきだ。
    ■    ■
 学生を含む多くの市民が大規模デモに参加しているのはなぜなのだろうか。
 改正案によって香港で享受できていた自由が奪われかねないことに対する強い危機感があるからだ。
 林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は米中貿易摩擦に加え、抗議活動で香港は「内憂外患」と言っている。ならば林鄭氏は、改正案の完全撤廃に踏み切るべきである。その上で市民らとの対話を始める。
 それが悪化する事態を早期に収束させる道である。


香港の抗議デモ  中国は武力介入回避を
 中国政府が香港への武力介入を辞さない姿勢をくり返し表明している。
 香港に隣接する広東省深セン(センは土へんに川)に武力警察を集結させ、大規模なデモ制圧訓練を展開している。その規模は11個師団、1万人以上になっている。
 香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対するデモは収束するどころか、活発化している。
 中国政府の姿勢は、香港の民主派への有形無形の圧力だが、武力介入は流血の事態を招く。強硬措置は回避すべきだ。
 デモ隊の抗議行動は、香港国際空港を一時、占拠する事態にも発展した。第1の原因は、市民との対話を拒否している香港政府にある。
 条例案については、6月に大規模な抗議デモが行われた後、林鄭月娥行政長官が事実上の廃案にすることを明らかにした。
 しかし林鄭氏は法案の完全撤回や辞任は受け入れず、抗議活動が長期化する原因になっている。
 中国では、一党独裁体制や人権抑圧に異を唱える弁護士らが長期間の拘束を受けている。逃亡犯条例改正案が可決されれば、中国に批判的な香港の活動家が本土に送られ、不当な扱いを受けかねない。法案が復活する可能性がある限り、市民が反発するのは当然だ。
 香港の行政長官は民主的な選挙を経て選ばれるわけではない。親中国派による委員会が選び、中国政府が任命権を持つ。
 とはいえ、香港の最高権力者であることに変わりはない。林鄭長官は市民との対話に応じることで、中国の武力介入を防ぐ責任がある。
 武力介入は、香港の高度な自治を認めた一国二制度の崩壊を意味しよう。それは中国政府にとっても大きな損失になる。
 香港は中国本土への投資の窓口となってきた。米国など、香港に優遇措置を認めてきた国も少なくない。武力介入はその地位を失墜させ、外国企業の撤退も加速するのではないか。
 中国は一国二制度を通じて得てきた巨大な利益を重視すべきだ。
 そもそも香港でデモや街頭での抗議活動が活発化する背景にも、注目する必要がある。政治に民意が反映される仕組みがないからだ。市民はやむにやまれず街頭に繰り出している。
 だからこそ、民主派のデモ隊は一般市民の幅広い支持を得られるよう、自制する必要がある。


長引く香港デモ/過激な抗議は支持失う
 香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を巡り、完全撤回を求める香港のデモは2カ月余り続き、一部のデモ隊が空港を占拠して航空便を欠航させたり、中国の記者に暴行を加えたりするなど過激化してきた。
 背景には、改正案の完全撤回を拒否し、催涙弾を使用してデモ鎮圧を図り多数の負傷者を出すなど、強硬な香港政府への反対派の反発がある。一連のデモの逮捕者は約700人にも上った。
 1997年、英植民地香港が返還された際、中国は「一国二制度」と「高度な自治」を約束した。市民はこれらの原則が有名無実となり、本土の非民主的な政治制度が香港に広がってくることに強い危機感を抱く。
 中国・香港両政府は世論に耳を傾け、香港の「高度な自治」を保障して市民の疑念払拭(ふっしょく)に努めなければならない。
 また、デモは平和的、合法的に行うべきで、反対派は過激な抗議に走れば、やがては一般市民や国際社会の支持を失ってしまうことを肝に銘じるべきだ。
 香港政府は6月中の改正案採決を目指したが、大規模デモなど激しい抗議を受け、無期限の改正延期を発表した。しかし反対派は完全撤回を求めて立法会(議会)や中国政府の出先機関を襲撃した。
 8月に入ってデモ隊は2週連続で香港国際空港を占拠。12日以降約千便が欠航した。一部の若者は空港内で中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報電子版の記者ら2人に集団で暴行を加えた。
 暴行の様子は地元テレビが放映。中国政府は「テロに近い行為」「最も強烈に非難する」との声明を発表した。暴行は中国だけでなく香港や海外の人々の反感を呼んだ。
 中国政府は7月末の記者会見で、警察のデモ隊排除を支持する一方で、香港政府の要請があれば現地の中国軍の出動が可能との考えも示した。暴力や社会の混乱を招く過激な行動は武力を行使する口実にされかねない。
 1989年6月、北京で軍が民主化運動を武力で弾圧。多数の死傷者が出た天安門事件の再演は絶対に避けなければならない。警察、デモ隊の双方が暴力を控えるべきだ。
 中国高官は「米国など西側諸国が扇動している」「乱暴な内政干渉」と非難。トランプ米大統領は「米情報機関によると、中国は香港との境界に向け部隊を展開している」として、中国の習近平国家主席に「人道的な解決」を求めた。
 米中の貿易摩擦が長引く中で、香港のデモも両国の新たな火種となった。米中両国は自制し、香港の混乱収拾に向けて対話し、協力すべきだ。
 長期化、過激化するデモは香港経済にも深刻な打撃を与えている。日本や米国、オーストラリアなど約30の国・地域が香港への渡航者に注意を呼び掛ける情報を出し、8月初旬の観光客は前年比で3割余り減少、小売売上高も下がった。
 香港政府トップの林鄭月娥行政長官は「自由と正義の名で、多くの違法行為が行われている」と過激なデモを非難するが、中国・香港両政府は強権的な手法だけで、治安を維持するのは難しいことを理解しなければならない。改正案の完全撤回に応じて事態の収拾を図るべきだ。


計画運休 検証重ね今後に生かせ
 お盆の西日本を縦断した大型の台風10号では、あらかじめ告知した上で列車などの運転を取りやめる「計画運休」が注目された。JR西日本を中心に山陽新幹線などで実施した。
 荒天が予想されているのに無理に運転を続ければ、立ち往生したり列車や線路が被害を受けたりして混乱を拡大させかねない。何より乗客の安全を脅かすリスクがある。
 新幹線などの大動脈を止める影響は小さくない。それでもUターンラッシュのピークと重なる15日に実施した。山陽新幹線の新大阪―小倉間に加え、広島や山口、岡山県の在来線でも運転を見合わせた。
 帰省先や旅行先でスケジュール変更を余儀なくされた人も多かっただろう。20万人ほどに不便を強いたものの、大きなトラブルは起きなかった。安全確保を優先し、JR各社が早い段階から計画運休に踏み切った姿勢は評価してよかろう。
 「災害時は運休する」との認識が社会で共有されつつあるのか、乗客からは肯定的な受け止めが目立ったようだ。
 台風の進路予測や影響の見極めはいまだに容易ではない。運休するかどうかの判断のタイミングと、周知をどう徹底させるのかが難題である。
 昨年9月、台風24号の接近時にJR東日本などが首都圏で初めて大規模な計画運休を実施した。その際、発表が実施の8時間前だったことから、知らずに帰宅できない人が出るなど、大きな混乱をもたらした。
 そうした課題を教訓に、国土交通省は今年7月、計画運休について情報提供の方法や公表するタイミングをあらかじめ「タイムライン」に定めるよう鉄道会社に要請した。
 モデルケースとして、48時間前に計画運休の可能性を公表し、24時間前に詳細な情報を提供するよう求めた。
 今回の対応を見てみると、JR西日本が15日の山陽新幹線の終日運休を公表したのは14日午前。11日から公式ツイッターで運転見合わせが見込まれることの周知を始め、実施2日前の13日に運休の可能性があることも公表していた。
 運休情報を早く知ることができれば、利用者も日程調整などの対処もしやすい。危険時に不要不急の外出を抑制する効果もある。予定を繰り上げて移動した人も多かっただろう。
 JR西日本は既に計画運休の前日告知を制度化していたが、タイムラインに沿った周知の徹底など事前の準備が生かされたのは間違いないだろう。
 一方で、JRの各駅では計画運休の詳しい情報を入手できずに戸惑う外国人観光客の姿も目立った。多言語による情報提供に加え、宿泊施設を含めた問い合わせや相談に即応できる態勢を整えることも課題となろう。
 広島市内では、百貨店や小売店が軒並み休業に追い込まれるといった影響も出た。人の命や安全を守ることを最優先するのは当然だが、市民生活や経済活動への影響を最小限に抑える工夫も欠かせない。
 台風シーズンはこれから本番を迎える。今回の計画運休について効果と課題を検証し、利用者の声をきちんと受け止めながら今後に生かさなければならない。交通事業者任せにせず、官民で改善策を探る必要がある。


対韓輸出規制の「即時撤回」を。「徴用工問題」にはどう向き合えばいいのか
「韓国は『敵』なのか」
 日本が韓国への輸出規制を強化してからおよそ1か月が経った。韓国政府も今月12日、輸出管理における優遇国から日本を除外。日韓関係は悪化の一途を辿っている。
 こうした中、和田春樹東京大学名誉教授らは7月下旬、韓国に対する輸出規制を即時撤回するよう求める声明「韓国は『敵』なのか」を発表した。8月31日には、在日本韓国YMCA(東京都千代田区)で集会を開催する予定だという。
 声明を出した世話人の一人であり、中国人の強制労働問題を和解に導いてきた内田雅敏弁護士は、「日本政府は韓国への輸出規制を撤回すべきだ。“徴用工”問題については、加害の事実を認めて謝罪し、将来の戒めのために歴史教育に力を入れるべき」と指摘する。
新日鉄に賠償を命じた大法院判決、“請求権協定”には反しない
 日本は7月4日、フッ化水素など半導体材料3品目の韓国への輸出規制を強化した。さらに今月2日には、「ホワイト国」から韓国を除外すると決定した。
 これは、いわゆる「徴用工問題」への報復措置だと思われる。昨年10月、韓国の最高裁にあたる大法院は、新日鉄住金に対し、韓国人の原告4人に4億ウォン(約4000万円)を支払うように命じる判決を下した。原告らは、第二次世界大戦中に強制労働をさせられたと訴えていた。
 日本国内では、この判決に対し反発する意見が続出した。1965年に韓基本条約とともに結ばれた、いわゆる“請求権協定” に反するというのだ。
 しかし内田弁護士は、「請求権協定で、国家の外交保護権は放棄されたが、個人の請求権は放棄されていない」と指摘する。
国家の外交保護権と個人の請求権の違いとは
 自国民が損害を受けたときに相手国の責任を追及する「外交保護権」と個人の請求権について理解するためには、1952年に発行したサンフランシスコ講和条約(サ条約)とその後の損害賠償請求の歴史について知る必要がある。
 サ条約第14条は、日本は連合国に賠償を支払うべきだが、その負担に耐えるだけの経済力がないとしている。そこで、連合国とその国民は日本への賠償請求権を放棄し、その代わりに、日本と日本国民も連合国への賠償請求権を放棄するとした。第一次大戦後、ドイツに過重な賠償責任を負わせたことで、ナチスが誕生した反省を踏まえてのことだった。
 その後、被ばく者らが日本政府に対して賠償請求を行った。原爆投下は国際法に違反するものであり、被ばく者は米国に対して損害賠償請求権を有するにもかかわらず、日本政府はサ条約によってその権利を放棄してしまった。そう訴えて、日本政府に賠償請求したのだ。
 このとき日本政府は、サ条約で放棄したのは、「外交保護権」であり、原爆被害者個人の請求権ではないと抗弁した。要するに、日本政府自ら個人の請求権は放棄していないと認めているのだ。
日本政府は、日韓の請求権協定についても同様の見解
 国家の外交保護権は放棄したが、個人の請求権は放棄していない。――日本政府は、韓国との間に結ばれた請求権協定についても、同様の見解を示してきた。
 実際、外務省の柳井俊二・条約局長(当時)は1991年8月27日、参議院の予算委員会でこう述べている。
「日韓両国が国家として有している外交保護権を相互に放棄したことを確認するものでございまして、いわゆる個人の財産・請求権そのものを国内法的な意味で消滅させるものではない」
 内田弁護士は、「こうした解釈は、被ばく者からの賠償請求などに直面し、日本政府が自らの責任を免れるために編み出したもの。韓国の大法院の判決も、日本政府の見解と同様の立場を取っている」と指摘する。
中国では和解が成立しているケースも
 韓国の「徴用工問題」がこじれる一方、中国人の強制労働問題では、和解に至ったケースもある。2000年には、鹿島建設(旧鹿島組)と原告である中国人受難者・遺族らの間で和解が成立。
 2009年には西松建設と原告らの和解が成立し、同社は一括した和解金として2億5000万円を支払った。また、受難者ら360人が労働を強いられた中国電力安野発電所内に、事実を記録した碑を建立するとされた。
 2016年には、三菱マテリアル(旧三菱鉱業)が元労働者らに1人当たり約170万円を支払うことを約束。記念碑の建設費用や失踪者の調査費用も負担するという。
「まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはず」
 和田教授らが発表した声明「韓国は『敵』なのか」によると、これら中国人強制連行・強制労働問題では、「日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟みませんでした」という。しかし今回の徴用工問題では、日本政府が介入したことで、日韓関係が悪化してしまった。
「問題になっている元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました」
 内田弁護士は、「韓国の徴用工問題についても、中国の場合と同じように、私企業が和解金を支払うのを妨げないようにするべきだ」と話す。加えて「加害の事実を認めて謝罪するとともに、将来に向けた歴史教育が必要」だという。


筆洗
 お盆とは何か、なぜ日本人は休むのか。欧州の人に尋ねられて、困った覚えがある。ご先祖を迎えて…などと言おうとしてすぐに知識と外国語の能力の限界もやってきた▼京都で暮らし、日本が舞台の小説を書いた英国の作家フランシス・キング氏は、作中の英国人にそんな行事は国にはないと語らせている。「死んだ人間のことは死んだ人間に任せておくのさ。その方がどれだけ健全か」と▼西欧と死生観の違いが大きい分野と思っていたが、そうでもないらしい。スペイン南部の小都市コリア・デル・リオで、お盆に迎えた先祖を送る灯籠流しが行われたというニュースをみた▼約四百年前、仙台藩士、支倉常長(はせくらつねなが)の遣欧使節団がたどり着いた街である。日本を意味する「ハポン」を姓に持ち、使節の子孫とされる六百人以上が住む。灯籠流しも近年盛んな日本との交流の産物という。数十人で始まり、三年目の今回はハポンさんにとどまらず三千人以上が参加したそうだ▼「この世にいない人々に祈り、平和を願う」。市はネットで行事の趣旨を説明する。灯が川を流れる画像から静かに過去と向き合うお盆の空気を感じた▼スペインでもご先祖は帰ったようだ。お盆休みが明け、日常と向き合う日々が始まったという方も多いだろう。当方も同様だが、はるか遠くに同じ文化を解する人が増えていると思うと心が少し軽くなる。

<つなぐ 戦後74年>ゲゲゲの娘、反戦語る 「きなくさい世に」危機感
 「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる漫画家の故・水木しげるさんは、太平洋戦争で左腕を失い、その体験を多くの作品に残した。長女で「水木プロダクション」代表の原口尚子(なおこ)さん(56)=東京都調布市=は今夏、戦争を巡る父の体験談やエピソードを初めて本格的に人前で語った。戦争体験者が少なくなる中「戦争に向かうハードルが低くなっている気がする」という危機感が背中を押した。 (松野穂波)
 名古屋市名東区にある戦争と平和の資料館「ピースあいち」で七月二十日、七十人余の聴衆を前に、原口さんはマイクを握った。水木さんが漫画の下書きに「生きようという気持ちがないと神様も助力してくれない」と書き残していたことや、二〇〇三年に叙勲を受けた際に「勲章は戦争で死んだ者にやるべきです」と言った逸話を紹介。「水木は亡くなる間際まで、戦友のことを心に留めていた。漫画家だった六十年間を凌駕(りょうが)するほど、三年間の戦争の記憶は大きかった」と父の思い出を語った。
 水木さんは一九四三年、陸軍二等兵として南方の激戦地ニューブリテン島(ラバウル)へ。ワニに食べられたり、海で生魚を食べようとして喉に詰まらせたりして死んだ仲間も見た。本隊から分かれ、九人の分隊で最前線に送られたが、自分以外の分隊は全滅。上官には「なんで生きて帰ってきた」という言葉を浴びせられた。その様子を「総員玉砕せよ!」などの戦記に残した。
 ただ、原口さんが父親から聞いていたのは「現地の人から食べ物を分けてもらったとか、いい話だけ」。過酷な体験は漫画やエッセーで知るしかなく、爆撃を受けた時の心情を聞こうとしても「忘れた」とはぐらかされていた。
 これまで、父と戦争について語ってほしいと頼まれても「表に出たくない」と断ってきた。しかし水木さんは二〇一五年に死去。終戦から七十年以上が経過し、父と同じように戦場を知る人が減ってきた。「きなくさい世の中になっている。戦争の怖さが(若者の)耳に届きづらい」と肌で感じるようになり、今回の講演を引き受けた。
 今後の取り組みは未定だが、読みやすい漫画を通して父の体験を知ってほしいという気持ちは変わらない。「鬼太郎、水木しげる、戦争…みたいに、身近なところから戦争の話を聞くきっかけになれば」


れいわが倍増、政党支持率 共産に並ぶ4.3%
 共同通信の世論調査で、れいわ新選組の政党支持率が4.3%となり、参院選結果を受けて実施した7月の前回調査から2.1ポイント増えた。野党では、第1党の立憲民主党に次ぐ支持率で、共産党に並んだ。若者の支持が目立った。
 れいわの支持層を年代別で見ると、若年層(30代以下)が7.4%で、中年層(40〜50代)は4.6%、高年層(60代以上)は1.9%だった。男女別では、男性が4.1%、女性が4.6%となった。
 れいわと同様に参院選で政党要件を満たしたNHKから国民を守る党の支持率は0.3ポイント増の1.3%だった。


戦前か? 一般人を強制排除した、北海道警「政権への異常な忖度」 明らかに「越権行為」
時任 兼作ジャーナリスト
これが民主主義の国か?
北海道警察の「暴挙」が問題になっている。
事の発端は、安倍晋三首相が7月、札幌市で参院選の街頭演説をした際、ヤジを飛ばした複数の聴衆らが北海道警に強制的に排除されたことだ。
この問題は道議会でも取り上げられ、答弁に立った道警の山岸直人本部長は「トラブル防止のための措置だった」と述べ、適正な職務執行だったとの考えを示した。しかし、騒動は収まりそうにない。
7月19日、特別公務員職権乱用罪などに当たるとして札幌地検に告発状が提出され、また8月10日には、排除された当事者やその支援者らが抗議デモを実施した。さらにその最中、新たな“排除事例”も発覚。抗議の声が全国に広がりつつある。
これまでの状況を整理しておこう。
7月15日夕刻、参院選のための遊説で北海道入りしていた安倍晋三首相がJR札幌駅前で選挙カーに登壇し、自民党公認候補の応援演説を始めた直後のこと――。
道路を隔てて約20メートル離れた位置にいた、聴衆の男性が「安倍やめろ」「帰れ」などと連呼し始めた。すると、警備に当たっていた北海道警の制服・私服の警察官5、6人が男性を取り囲み、服や体をつかんではるか後方へと移動させたのだった。
その直後には、「増税反対」と叫んだ女性も、同様に排除された。また、政策に疑問を投げかけるプラカードを掲げようとした女性らも高圧的に制止されるなど、異様な光景が展開された。
その場にいたマスコミ、市民らは騒然とし、写真や映像にその模様を収め、SNSへ投稿する人も出た。すぐさま反発の声が多数上がった。
「警察による強権発動だ」
「とても民主主義の国で起きたこととは思えません」
「日本はもう戦前戦中かと見紛う」
また、国民民主党で総合選対本部長相談役を務める小沢一郎氏は、ツイッターでこう記した。
《どんどん暗い戦前みたいになっている。お友達は何をやっても罪に問われることはないが、「こんな人たち」による政権批判は許されない。すぐそこまで「暗黒」がやってきている。後から後悔しても遅い。選挙で止めないと、必ず「いつか来た道」に戻る》
確かに戦前のような暴挙である。現在の警察には、こうしたことを行う権限はないのだ。
「触ったらマズい」の規範が崩壊
道警は、「トラブル防止と、公職選挙法の『選挙の自由妨害』違反になるおそれがある事案について、警察官が声かけした」と説明した。しかしながら、今回の聴衆の行動は、同法で「選挙の自由妨害」の一つとして挙げられている「演説妨害」の規定には当てはまりそうにない。
同じような「演説中の発言」についての是非が争われた裁判で、1948年、最高裁判決は「聴衆がこれ(注・選挙演説)を聞き取ることを不可能または困難ならしめるような所為」との判断を示している。
松宮孝明・立命館大法科大学院教授(刑法)は、この判決を踏まえ、「判例上、演説妨害といえるのは、その場で暴れて注目を集めたり、街宣車で大音響を立てたりする行為で、雑踏のなかの誰かが肉声でヤジを飛ばす行為は含まれない」とのコメントを朝日新聞に寄せた。
道警も自らの行為の違法性に気づいたのか、すぐに説明を変えた。「演説の聴衆者同士のトラブルを防ぐための通常の警察活動だった」と強調したうえ、「選挙の自由妨害」については「事実確認中」と転じたのである。
だが、これで収まるはずもない。トラブルの兆候がないにもかかわらず、警察官は有無を言わさず市民を取り押さえていたからだ。当の警察中枢からも、当惑の声が上がった。
「まるで親衛隊だ。これまではこうしたことは見られなかった。現場が荒れても、それなりに抑制が効いていた」
警察キャリアのひとりはそう語る。
「その証拠に、右翼への対応は慎重で、騒音レベルの測定までしっかりと行っている。軽々に強制排除や逮捕などはしない。政治や思想犯の捜査では、昔は『転び公妨』をよく使っていたくらいだから、市民に手をかけることの危険性とハードルの高さを警察官は重々承知しているはずだ。それに、派出所や交番でケンカ沙汰の処理をしたことがある者なら、相手に触れたらマズいことなんてわかっている」
転び公妨――警察官が被疑者に突き飛ばされた「ふり」をし、自ら転倒するなどして負傷を装い、公務執行妨害罪(公妨)や傷害罪などを適用し、被疑者を現行犯逮捕する行為のことだ。
学生運動が盛んだった時代に頻繁に用いられた転び公妨は、のちに別の事件捜査でも使われるようになり、問題視された。現在では多くの警察官が教訓として意識するようになり、結果、逮捕に際して相手に手をかけることにも慎重になったとされている。
女子大生にまで執拗に…
一方、警察擁護派もいる。別の警察幹部はこう語った。
「米国を見てみればいい。シークレットサービスなんて、あっという間に相手をたたき伏せるし、強制排除する。銃を向けることもある。首相の警護という観点からすれば、今回の対応は当然だろう。危険性がないわけじゃないんだから」
しかし8月8日には、この擁護論を一気に吹き飛ばすような事案まで明るみに出た。安倍首相の演説の際、札幌の大学に通う普通の女子大学生までもが、10人以上の警察官に取り囲まれ、執拗に付きまとわれていたのだ。
アルバイトで学費を賄っているというこの大学生は、安倍首相に生活苦を訴えるべく「増税反対!」と言った瞬間、警察官に囲まれ、声を上げないよう強制された。身動きがとれなくなった学生は、スマートフォンでその場の状況を途中から録画した。
動画には、道警の警察官が演説の現場で、学生に対して「さっき約束してって言ったじゃん。声あげないでくれよって」「ウィンウィンの関係になりたい。ウィンウィンの関係に。何か飲む?買うよ。お金あるから。何か飲まない?」などと執拗に絡む様子が記録されている。
さらに、警察官は移動する学生を追いかけ、「うちらも信用できないからさ。一緒についていくしかないの。大声出さないでほしいなっていうだけなんだよ?」「今日はもう諦めて」などとしつこく迫っている。
常軌を逸した行為というほかないが、それにしても、いったい誰がどんな指示を出すと、こうした事態になるのだろうか。
「菅(義偉)官房長官発という話がある」
政府関係者はそう言う。
「元秘書官で、警察庁ナンバー3に抜擢された中村(格)官房長あたりに一言言ったんじゃないか、という噂。『ヤジ、何とかならないか』と。(中村官房長は)ちょっとそう言われればすぐに動きそうなだけに、もっともらしく喧伝されている。まあ、中村官房長には数々の『前科』があるから仕方ないね」
「前科」とは、菅官房長官、安倍首相らと親交のあった元TBS記者への逮捕状の執行を停止させたことや、財務省次官のセクハラ騒動の相手を、捜査員を動員して割り出したことなどだ。
タガが外れている
だが、官邸筋はこれを否定する。
「ラインが違います。いま全国の警備を統括する(警察庁の)警備局長は大石吉彦さんです。安倍首相の秘書官を6年余務めて栄転しました。県警の本部長などを経ずに、一気に局長という異例の措置。当人ももちろん恩義に感じていることでしょう。
一方、現在の北海道警本部長の山岸直人さんは大石さんと同期。本部長就任直前までは、犯罪被害者等施策担当の警察庁長官官房審議官として、国会答弁などもしています。当然、大石さんとは気脈を通じているはずです」
真相が気になるが、永田町筋の問題意識は別のところにある。
「長期政権の弊害もここまできた。内閣人事局ができて以降、ますます官僚が内閣の意向を気にしている。独立性を担保されているはずの検察や警察にもそれが広がっている。何とかしないと、そろそろまずい」
澱む水には忖度が生じる。警察が首相の親衛隊になるなど、度を超えている。この国の権力の箍(たが)は、すでに外れてしまっているのではないか。


あおり運転 啓発と厳罰化が必要だ
 茨城県の常磐自動車道であおり運転をして無理やり車を停止させ、運転していた男性を殴ってけがをさせたとして、男が傷害の容疑で逮捕された。同じ車によるあおり運転は愛知県と静岡市でも確認されており、男が同