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赤川鉄橋130707

Une campagne promotionnelle à double tranchant
Le gouvernement de la préfecture de Miyagi a déclaré lundi qu’il supprimerait une vidéo promotionnelle mise en ligne ayant suscité de vives critiques pour son scénario sexuellement suggestif.
Dans le cadre de la campagne promotionnelle de la préfecture de Miyagi, la vidéo de 150 secondes, présente le modèle et l’actrice Dan Mitsu vêtue d’un kimono, connue pour jouer des rôles érotiques, comme une guide présentant les lieux touristiques et les spécialités de la préfecture. La vidéo crée la polémique du fait de son scénario au caractère sexiste et provocant.
Le gouvernement a recu environ 380 plaintes ou commentaires négatifs sur la vidéo par des appels téléphoniques, des courriels et des lettres. Face aux critiques incessantes de téléspectateurs et de membres de l’assemblée féminine qui se soulèvent contre la diffusion de la vidéo, le gouvernement local dans le nord-est du Japon prévoit de retirer la vidéo après un événement touristique prévu samedi à Sendai, la capitale de la préfecture. ≪ Nous devons être à l’écoute de ceux qui sont en désaccord et ont des sentiments négatifs à ce sujet ≫, a déclaré le gouverneur de Miyagi, Yoshihiro Murai, avant d’ajouter ≪ Mais je ne doute pas que la vidéo ait joué son rôle pour attirer les visiteurs dans notre préfecture ≫.
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タブレットの使い方がわからず守口に行ってあれこれ教えてもらいました.ちょっと商売っ気があるのは仕方ないけどこのお店気に入っています.
夕方帰り際に,ブツブツでエクセル記入しなくてはならないことに気がつきました.はぁ〜とため息をつきながら頑張りました.

被災し再建 中学校の見学会
東日本大震災の津波で被害を受けて再建した亘理町の荒浜中学校で地域の人たちを対象にした学校見学会が行われました。
見学会は、地域の人たちに防災意識を高めてもらおうと亘理町の公民館が主催して行ったもので地域の住民25人が参加しました。
亘理町の荒浜中学校は、震災の津波で校舎1階の天井部分まで浸水し、3年前、さまざまな防災設備を整えて建て直され、今は78人の生徒が通学しています。
校舎は1階部分を主に柱で支える構造で作られていて、津波を受け流し建物に加わる力を減らすことができる仕組みになっているということです。
また、校舎の外には1階から屋上に避難できる階段が設置され、校舎の中を通らずに直接3階の上に避難できるほか、校舎内には蓄電池が備え付けられ、緊急時にはおよそ100枚の太陽光パネルから電気を供給できるようになっています。
さらに、体育館にはボートが用意されていて、非常時には必要な物資を取りに行くためなどに利用できるということです。
参加した人たちは説明を聞いたり、設備に触れたりしながら防災についての意識を高めあっているようでした。
参加した60代の女性は「設備などは来てみないと分からないと思うので、ほかの人たちにも自分の命は自分で守るという訓練をしてほしいと思います」と話していました。


松島自然の家再建へ予算計上
宮城県は、東日本大震災の津波で全壊した東松島市の自然体験施設、「宮城県松島自然の家」の再建に向けた費用など、一般会計の総額でおよそ67億円の補正予算案を県議会の9月定例会に提出することが分かりました。
宮城県がまとめた今年度2回目となる補正予算案は、一般会計の総額がおよそ67億円となっています。
この中では、震災の津波で流された東松島市の自然体験施設、「宮城県松島自然の家」を旧宮戸小学校の跡地に移転するため、用地の取得や校舎の解体にかかる費用としておよそ1億9000万円を盛り込んでいます。
また、東北電力・女川原子力発電所で、緊急事態が起きた際の拠点となる「オフサイトセンター」を再建するための工事費用としておよそ5億円、江戸時代に仙台藩の慶長遣欧使節団が乗った船、「サン・ファン・バウティスタ号」の復元船について、今後のあり方を検討・調査するための費用としておよそ1100万円などを盛り込んでいます。
県はこの補正予算案を来月1日から始まる県議会の9月定例会に提出することにしています。


JR山田線・大槌駅駅舎はひょうたん島
「総選挙」でデザイン決定
 東日本大震災の津波で全壊し、岩手県大槌町が再建するJR山田線大槌駅の外観デザインが決まった。町による「総選挙」の結果、町のシンボルである「ひょうたん島」をモチーフにした案が選ばれた。
 総選挙は11、12の両日、町内の商業施設で実施した。町内外の1701人が(1)ひょうたん島(2)江戸時代の代官所(3)海−の3案から好きなデザインに投票した。
 「ひょうたん島」案は、故井上ひさしさん原作の人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされる大槌湾の蓬莱島にちなんだ。ひょうたん形の屋根が特徴で、919票を集めた。
 「海」案は451票、「代官所」案は331票だった。
 駅舎は2018年7月に着工し、12月の完成を目指す。JR山田線宮古−釜石間(55.4キロ)は18年度に復旧した後、第三セクターの三陸鉄道に移管される。
 平野公三町長は「町内外の多くの人を巻き込めた。みんなでまちづくりに関わるという気持ちが、大きな力になる」と語った。


<災を忘れず>大火から復興 モデルに
 地震や風水害などの天災、戦争や市街地の火事といった人災。生死を左右しかねない惨事の発生は人々に大きな衝撃を与えるが、その爪痕や傷痕が歳月の中で癒えるにつれ、風化は進む。「大切な記憶を継承する」。熱い願いが込められた東北各地の施設や地域を紹介する。
◎東北の施設・地域巡り(4)酒田市中心商店街
 地下に防火水槽を備えた5カ所の公園。商店主が手を携えて建てた16棟の共同店舗。41年前の大火から「防災都市」として再建された酒田市の中心商店街は、街の姿が災害と復興の記憶を今に伝える。
 市都市デザイン課の高橋紀幸主幹(53)は「官民の協調で2年半で成し遂げた再建手法は、約20年後の阪神大震災の復興のモデルにもなった」と説明する。
 酒田大火は1976年10月29日に発生し、市街地22.5ヘクタール、1774棟を焼き尽くした。市は発生から間もなく土地区画整理事業を中心とした復興計画を公表。山形県や商店主らと用地買収や換地、共同店舗の建設を急ピッチで進めた。
 79年5月には復興式典を開催。木造の建物が密集した市街地は整然とした不燃建築の街並みに生まれ変わり、商店街を貫く「中通り」は商店の1階部分をセットバックして設けたひさしで、ショッピングモール風になった。
 延焼エリアのほぼ中央には、大火の様子を伝える写真パネルや燃え落ちた木製の電柱を常設展示する酒田市資料館が建てられた。
 しかし、その後の中心商店街空洞化の流れは、再建を遂げた酒田にも及んだ。
 仏具店を営む佐藤英夫さん(61)は「活気は取り戻せなかったが、商店街の苦境は全国どこでも似たようなもの」と語り、「むしろ大火を受けて街の再開発が一挙に進み、災害に強く、緑の多い街づくりができた」と前向きに捉える。
 今年6〜7月には、昨年12月に市街地で大規模火災が起きた新潟県糸魚川市の行政区長や市職員らが、復興と防災対策を学ぶため相次いで酒田市を視察した。
 行政区長の一人は「2年で復興を遂げた手法は参考になる。両面を学び、新しい街づくりに生かしたい」と意欲的に語った。
[メ モ]酒田市資料館は午前9時〜午後4時半。12月〜3月は月曜休館(祝日の場合は翌日休館)。一般100円。大学生以下50円。幼児以下無料。9月4日まで企画展「酒田を訪れた人々−文人墨客から維新の志士まで」を開催している。


河北抄
 お盆が過ぎ、夜長を感じ始める頃は人情味のある映画を見たくなる。そんな気分に合う作品が『じんじん〜其(そ)の二〜』。宮城県松島町がサブロケ地となった『じんじん』(2013年公開)のパート2で、9月9〜22日に仙台市青葉区の桜井薬局セントラルホールで上映される。
 俳優の大地康雄さんが演じる主人公の大道芸人、立石銀三郎は、おせっかい焼きでほれっぽく、『男はつらいよ』の「寅(とら)さん」を思わせる。前回作品で絵本の里・北海道剣淵町だったメインロケ地は今回、名水の里・神奈川県秦野市。銀三郎と出会った若者が、悩みを抱えながらも自然の中で自立していく物語だ。
 12年6月に松島ロケを取材した時、企画者でもある大地さんは「この映画をきっかけに、より元気になっていただければ」と東日本大震災の被災者を気遣い、作品への強い意気込みを語っていた。
 今回の舞台は被災地とは関係ないが、日本のどこであっても、時代が変わっても、人と人が心を通い合わせる姿は純粋で美しい。「じんじん」とする熱い心がテーマの作品をじっくりと味わいたい。


<壇蜜さん動画>「役割果たした」削除を正式発表 批判の声にも配慮
 タレントの壇蜜さん(秋田県横手市出身)が出演する仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会のPR動画について、協議会会長の村井嘉浩宮城県知事は21日の定例記者会見で、投稿サイトから削除する方針を正式に発表した。村井知事は「集客に成功し、一定の役割を果たした」と強調。「批判の声もあり、配慮が必要と考えたのも事実だ」と述べた。
 動画を削除する理由について、村井知事は「アクセス数はここ数日伸びていない状態。お客さんを呼び込む役割は果たし、これ以上の効果は見込めないと判断した」と説明。26日に壇蜜さんを招いて仙台市内で開くイベントを区切りとし、動画の配信を停止する方針を明らかにした。
 2分37秒の動画は壇蜜さんが伊達家家臣の子孫「お蜜」に扮(ふん)し、「伊達な旅」夏キャンペーン(7〜9月)のテーマ「涼(りょう)・宮城(ぐうじょう)の夏」をPRする内容。7月5日に投稿サイト「ユーチューブ」で公開された。
 壇蜜さんが牛タンやずんだ餅を妖艶な言い回しで紹介するシーンなどが反響を呼び、動画再生回数は340万回を突破した。一方、県には480件の意見が寄せられ、うち8割は批判的な内容だった。
 「性的な表現が不快」などとして県議会の野党会派や女性団体からは配信停止の要請が相次いだ。キャンペーン途中での動画削除について、村井知事は当初からの想定ではなかったことを明かし「壇蜜さんのファイナルイベントまでは残すべきだろうと意思決定した」と話した。
 協議会は秋(10〜11月)と冬(12月〜来年3月)にもそれぞれキャンペーンを実施する。冬には動画を再度作る方針で、村井知事は「宮城の温泉地をPRする。妖艶な内容ではない」と述べるにとどめた。
 21日にあった県議会の経済商工観光常任委員会では、女性県議から「批判に対する反省をすべきではないか」との意見が出た。


河北春秋
 動画投稿サイト「ユーチューブ」における「ピコ太郎」の楽曲『ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)』は計算し尽くされた演出で人気を博した。ヒョウ柄衣装、パンチパーマ、小学生でも分かる簡単な詞。再生回数2億突破はだてではない▼プロデュースした青森市出身のお笑い芸人、古坂大魔王(こさかだいまおう)さん(44)は振り返る。「(制作は)歌の最初のフレーズだけで何年もかかっている。意味のないもの見てキャーキャー笑ってるってすごいハッピー」。テレビの対談番組で語っていた▼入念な準備、奇抜さ、幅広い層の支持、明るさ…。ネットを使う宣伝は何とも難しい。7月5日公開の仙台・宮城観光キャンペーンの動画は再生回数が300万を超えながらも、「性的表現が不快」との批判もあった。結局、制作担当の宮城県は26日のイベントを区切りに配信をやめる▼県民が得たもの、失ったものは何だろう。「しゃれの分かる宮城」と思った人がいれば、女性を中心に幻滅感を抱いた人もいたに違いない。ただ、古坂さん風に言うなら、みんなが「ハッピー」となる内容ではなかった▼観光キャンペーンのテーマは「涼(りょう)・宮城(ぐうじょう)の夏」。お日様に見放された8月、県民は何度恨めしく空を見上げたことか。動画をやめるにはいい潮時だったかもしれない。

遮水壁、残り7メートル凍結開始 福島第1原発の汚染水対策
 東京電力は22日、福島第1原発1〜4号機の周囲の地盤約1・5キロを凍らせる汚染水対策「凍土遮水壁」で、建屋西側に残る未凍結区間約7メートルの凍結を始めた。完了には数カ月かかり、早ければ今秋になる見通し。国費約350億円が投じられた凍土壁は、昨年3月末に凍結を開始してからようやく全面運用となる。
 第1原発では、原子炉建屋内に地下水が流入して事故で溶け落ちた核燃料に接触したり、たまっている高濃度汚染水に混ざったりして、汚染水が増加。これを食い止めるために地中に氷の壁をつくり、建屋に流入する地下水を減らす。


凍土壁、全面凍結へ=最後のバルブ開く−効果まで2カ月以上・福島第1
 東京電力は22日、福島第1原発1〜4号機の周囲の土壌を凍らせて地下水の流入量を減らす「凍土遮水壁」について、未凍結区間を凍らせる作業を開始した。1メートルおきに埋設されたパイプにマイナス30度の冷却液を流し込み、周辺の土壌を凍らせて地下水を遮断する仕組み。2号機に近い最後のバルブ11本を作業員が開き、冷却液の流入を確認した。
 全長約1.5キロの凍土壁のうち、山側の未凍結区間(幅約7メートル)には地下水が集中して流れ込んでいるとみられる。東電は凍結の効果が表れるまで2カ月以上かかると見込んでいる。
 東電によると、6月時点で1日当たり140トン流入していた地下水は、凍土壁の完成で平均100トン未満まで減少する見通し。
 山側から流入する地下水は、原子炉建屋の地下などにたまった高濃度汚染水と混ざり合い、汚染水を増やす要因となっている。凍土壁は昨年3月末から凍結を開始。地下水位が下がり過ぎると建屋内の高濃度汚染水が漏れ出す恐れがあるため、段階的に凍結を進めてきた。


高校生平和大使3人、核廃絶訴え 外交官ら60人前にスピーチ
 【ジュネーブ共同】核兵器廃絶を世界に訴える日本の高校生平和大使22人は21日、ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部主催のレセプションに参加、広島大付属高の小林美晴さん(16)ら3人が各国外交官ら約60人の招待客を前にスピーチした。
 小林さんは祖父母が広島で被爆。「自身の母を亡くした祖父のつらい記憶はいつまでも消えなかった」と述べ、多くの人の貴重な生命を奪った原爆の悲劇を繰り返してはならないと強調した。英数学館高(広島)の船井木奈美さん(16)と、大妻中野高(東京)の重松舞子さん(16)は平和大使の活動を紹介した。


民進党代表選始まる 「もう後がない」と自覚を
 野党第1党が政権批判の受け皿と認知されない中でのトップ選びだ。
 民進党代表選が告示され、前原誠司元外相と枝野幸男前幹事長が立候補した。9月1日に選出される。
 昨年の代表選では「選挙の顔」と見込んで蓮舫氏を選んだが、先月の東京都議選で同党は惨敗し、1年足らずで辞任に追い込まれた。
 都議選では自民党も敗北し、政権批判票は小池百合子都知事の率いる地域政党「都民ファーストの会」に集まった。次期衆院選へ向けた小池新党の結成をにらみ、民進党からは保守系議員の離党が相次ぐ。
 「リベラル系の枝野氏が当選したら保守系が離党する」
 「保守系の前原氏では小池新党に野党再編の主導権を握られる」
 分裂や解党の危機がささやかれ、両陣営は互いにけん制し合う。
 共産党との選挙協力に枝野氏は前向きで、前原氏は否定的だ。この問題が代表選の争点となる背景には、小池新党と共産党のどちらを連携先に選ぶかという路線対立が潜む。
 旧民主党の時代から保守系とリベラル系が党内に混在し、バラバラ感を生んできた。それでも存続してこられたのは、野党第1党として政権を批判していれば選挙で一定の支持を期待できたからだ。
 そんな選挙互助会のぬるま湯体質が、国民向けの政策提示より内向きの党内融和を優先する姿勢につながり、民進党は何をやりたいのか分からないとの批判を招いてきた。
 代表選の共同記者会見で前原氏は「自民党に代わる選択肢を作りたい」、枝野氏は「自民党とは違う明確な対抗軸が必要」と口をそろえた。
 前原氏は「オール・フォー・オール(みんながみんなのために)」、枝野氏は「支え合う社会」を掲げる。いずれも抽象的だが、深刻な少子高齢化への処方箋を示せていない安倍政権に対抗する政策として、早急に肉付けしてもらいたいテーマだ。
 そのための国民負担は消費増税に求めるのか。党内対立の火種となってきた憲法改正や安全保障政策も含め、徹底的な議論が必要だ。
 民進党が置かれている現状では、過去のような内向きの議論が許される余地はない。「もう後がない」と自覚し、民進党の理念と覚悟を国民に向けて示せるかが問われている。


民進代表選 「党再生」の具体策競え
 国政選挙での敗北が続き、党勢が低迷する中、民進党は自民党に代わって政権を再び託すに値する政党へと生まれ変わることができるのか。代表選を機に、党再生の具体策を競い合ってほしい。
 蓮舫代表の辞任表明に伴う代表選は、前原誠司元外相(55)と枝野幸男元官房長官(53)の一騎打ちとなった。国会議員らに加え、党員・サポーターも投票できる本格的な代表選で、全国八カ所での街頭演説会などを経て、九月一日の臨時党大会で新代表が選出される。
 後継代表に問われているのは、低迷が続く党をどうやって立て直すのか、二〇一八年十二月までに行われる次の衆院選で政権の選択肢を有権者に示せるか、である。
 民進党は前身の民主党が政権から転落した一二年の衆院選から、国政選挙での連敗が続く。
 安倍晋三首相(自民党総裁)率いる内閣が支持率を落としても、民進党への期待感が高まらないのは、民進党に政権交代しても、政策がどう変わるのか、具体像が見えてこないからだろう。
 例えば、経済政策である。実質賃金の低迷や格差拡大など、負の側面も指摘される首相主導の経済政策と違い、民進党なら経済をどう活性化させるのか。
 選挙公約で、前原氏は成長依存の社会から脱却し、結果として成長にもつながる経済・社会構造への転換を目指すこと、枝野氏は保育・教育、医療・介護分野の賃金底上げによる雇用拡大、正社員化や長時間労働規制を打ち出した。
 目指す方向性は正しい。問題はどうやって実現するかである。具体的で説得力のある政策体系にまで落とし込まなければ有権者の期待感は高まるまい。両候補は論戦の中で具体策を語ってほしい。
 原発政策も同様だ。前原氏は「三〇年代原発ゼロに向けてあらゆる政策資源を投入」とする一方、枝野氏は原発ゼロの前倒しへ年内にも法案を国会に提出することを目指す、としている。
 報道各社の世論調査では原発再稼働に半数以上が反対するなど、原発ゼロの民意は根強い。安倍政権が原発稼働を続けるのなら、原発ゼロの前倒しは有力な政策の対抗軸になり得る。
 しかし、民進党の支持組織、連合傘下の電力総連は原発ゼロに反対だ。原発ゼロを対抗軸に掲げるのなら、まず支持組織をどうやって説得するのか、語ることが先決だ。それができなければ、いくら原発ゼロを掲げても画餅に帰す。


民進代表選告示  党の再生へ本格論戦を
 蓮舫代表の後任を決める民進党代表選が告示され、前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官の一騎打ちの構図が固まった。若手など第3の候補の擁立は、必要な推薦人の確保に至らなかった。
 両氏はともに1993年の衆院選に日本新党から出て初当選、新党さきがけを経て96年の民主党結党に加わった。2009年発足の民主党政権の中枢を担い、3年3カ月で終わった政権の失敗を身をもって知る点も共通している。
 新味には欠けるものの、ベテランであり失敗を経験した両氏だからこそ、語れる言葉もあるはずだ。9月1日の投開票に向け、きょうから全国8カ所での遊説がスタートする。安倍政権の描く社会像との違いを明確にする、本格的な論戦を期待したい。
 もっとも、状況は厳しい。加計学園問題などで急落した内閣支持率が改造人事を経てやや持ち直す一方、野党第1党の「顔」を決める民進代表選への国民の関心は、前回にまして低調だ。一因には、政策の軸がみえないこと、次期衆院選の戦い方をめぐって党のスタンスが定まらないことがあろう。
 共産党を含む今の野党共闘に反発し、離党する議員が止まらない。7月の東京都議選で、地域政党を率い圧勝した小池百合子都知事の側近らの国政新党構想との連携を探る動きもある。きのうの共同会見で前原氏は共闘の見直しを、枝野氏は継承を主張し、立場の隔たりを鮮明にした。
 今回の代表選は、民進が従来の路線対立を克服し、自民党「1強」打破に向けて真の意味で一丸となれるか否かの最後のチャンスともいえる。「統率力不足」を露呈した蓮舫執行部を含め、民主党時代から続くガバナンスの弱さを今度こそ解消しなければ、国民に信頼され、再び政権を託される政党には生まれ変われない。
 党内の保守派の代表格である前原氏とリベラル派の推す枝野氏の対決は、どちらが勝っても分裂含みだ。だが亀裂を恐れず、むしろ乗り越える建設的な議論をしてもらいたい。
 両候補は、消費税率引き上げの時期や「原発ゼロ」の年限をめぐっても意見の違いがある。一方で重要政策の実現へ、より具体的に道筋を示す姿勢をともに強調した。
 社会保障の充実による将来不安解消のための財源論、経済政策をはじめ、エネルギー問題、憲法改正、緊迫する東アジア情勢への対応など、党員と国民の関心事を分かりやすく語ってほしい。


民進代表選告示 国民に訴える政策論争を
 民進党にとって党勢立て直しの「最後のチャンス」ともいえる党首選びではないか。再び政権を争える政党に脱皮できるか、それとも万年野党に甘んじるか−という岐路に立つ代表選が告示された。
 党内保守派の代表格である前原誠司元外相とリベラル派が支援する枝野幸男元官房長官が立候補した。崖っぷちに立つ民進党としては明確な対決構図になったといえるだろう。両氏には国民にも分かりやすい政策論争を期待したい。
 議会制民主主義の発展には与党と切磋琢磨(せっさたくま)する健全な野党の存在が不可欠だと、私たちは繰り返し指摘してきた。野党第1党の機能不全が安倍晋三「1強」政権のおごりや慢心を許した側面は否定できない。疑惑や不祥事、閣僚らの問題発言が重なる一方、国会では重要案件の採決強行が続いた。
 国民の反発が強まり、安倍内閣の支持率は急落した。しかし本来なら政権批判の受け皿となるべき野党第1党に国民の期待は集まらない。共同通信社の最新の世論調査でも民進党支持率は7・3%と長期低迷したままだ。
 国政選挙で連敗が続き、離党する国会議員が相次ぐなど、党の将来を危ぶむ声は強い。
 深刻な危機だからこそ、単なる一野党の党首選びにしてはならない。民進党が今回の代表選を反転攻勢の契機にできるかどうか。それは、既にほころびかけている「政権交代が可能な二大政党制」の命運にも直結するだろう。
 前原、枝野両氏は旧日本新党出身の同期生だが、憲法改正をはじめ消費税、原発、共産党も含めた野党共闘など主要政策や党の路線問題で立場を異にする。対立の火種になりかねないとして論議を先送りすることはもう許されない。
 体質的な課題も克服されていない。内紛に次ぐ内紛、風頼みの選挙、組織優先の内向き姿勢など、ひと言でいえば本当に国民の方を向いているのかということだ。
 国民のためにどんな政策の旗を掲げるか。自民党とはどこがどう違うのか。民進党の進む道を今回こそ徹底的に論議してほしい。


民進代表選告示 党再生につなぐ論戦を
 民進党の代表選がきのう告示され、前原誠司元外相、枝野幸男元官房長官の2人が立候補した。
 長く続いた安倍晋三首相の「1強」体制がぐらつき、反転攻勢の好機を迎えたはずが、民進党側も東京都議選の惨敗から離党者が相次ぎ、党の存続すら危ぶまれる。
 そんな中での代表選である。
 だからこそ、内紛を恐れて避けてきた野党共闘や改憲を巡る論議を深め、党が目指す方向を国民にはっきりと示す必要がある。
 現政権の今後に暗雲が漂う中、代わりうる政党が不在では、民主主義が機能しない。民進党はこの代表選を、危機から再生へと転じる機会としなければならない。
 共同記者会見で前原氏は「国民に新たな選択肢を示したい」、枝野氏は「いまの政治に代わる対抗軸を示す」と、政権交代を目指す基本姿勢をそろって表明した。
 一部企業を潤わせるだけで、経済の好循環につながっていないアベノミクスを転換し、格差の是正を目指す立場も共通する。
 一方、最大の焦点である共産党との協力では温度差が鮮明だ。
 前原氏は「衆院選は政権選択選挙だ。理念政策が合わないところとの協力はおかしい」と見直しを表明。枝野氏は「党の主体性を持ちながら、できることを最大限やる」と協力の維持を示唆した。
 民進党と共産党は、現政権と対峙(たいじ)する立場を共有するが、改憲や安全保障など基本政策で隔たりが大きい。その点が未整理のままでは、野合との批判を免れない。
 ただ民進党が現政権に対する批判の受け皿を掲げるならば、共産党支持層の存在は無視できまい。野党共闘を否定して、小選挙区をどう戦うのかも問われる。
 両候補が徹底的に論議し、代表選の審判を経て方針を定めた上で、党として結束を図るべきだ。
 そもそも今回の代表選は、都議選の結果を受けた蓮舫代表の突然の引責辞任によるものだ。
 自民党も惨敗したが、民進党では、小池百合子都知事率いる勢力の台頭もにらんだ離党が続き「解党やむなし」の声が漏れる。
 旧民主党政権の失政を引きずったまま、党内の溝を埋める努力を怠ってきたツケが回ったとも言える。野党共闘に加え、改憲や消費税を巡る前原氏と枝野氏の主張の違いは、溝の深さを示すものだ。
 たとえ時間がかかっても、国民の信頼回復には、政策論を正面から深めるしか道はない。今回の代表選を、先送りしてきた議論に踏み出す一歩としてほしい。


民進党代表戦告示 再生に向け骨太の論戦を
 民進党代表選が告示され、前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官が立候補を届け出た。9月1日に投開票され、新代表が決まる。
 民進党を取り巻く情勢は極めて厳しく、瀬戸際に立たされているといっていい。東京都議選の惨敗、蓮舫代表の辞任表明、さらに離党者の続出で混迷から抜け出せず、安倍政権が支持率急落などで一時ぐらつきを見せても、野党第1党としての存在感は薄かった。今回の代表選は恐らく、党再生に向けて最後のチャンスとなろう。
 政権批判の「受け皿」になり得ていない現状を打開し、いま一度、政権交代可能な政党に生まれ変わるにはどうすればいいのか。政治路線、政策を巡る骨太の論戦を期待したい。
 一騎打ちとなる前原、枝野両氏は共に1993年の衆院選で日本新党から初当選。旧民主党政権では閣僚など要職を歴任し、似た政治経歴ではあるが党内のリベラル派が推す枝野氏と、保守派が支持する前原氏とでは主張に当然、違いがある。
 立候補届け出後の共同会見で、野党共闘、特に共産党との連携を巡り、前原氏は「政策、理念が一致しない政党と協力するのはおかしい」と見直しを表明。昨年の参院選で幹事長として野党共闘を進めた枝野氏は次期衆院選でも共闘を堅持する考えを強調した。
 憲法改正について、枝野氏は安倍政権下での改憲に反対の立場。特に9条1、2項を残し自衛隊の存在を憲法に明記するとした安倍晋三首相の提案に関し「違憲の安全保障関連法を事後的に認めることになる」と批判した。
 前原氏は「憲法改正は年単位でかかる」とし、拙速を避け、議論を重ねていく姿勢を見せた。
 原発政策では党の「2030年代原発ゼロ」目標について、前原氏は堅持、枝野氏は実現までの工程表を作成する中で目標年次の前倒しを検討する考えを示した。
 また両氏は社会保障、雇用対策の充実で将来不安を解消する方向で一致。だが消費税率10%への引き上げについて、前原氏は財源論として前向きに検討する考えを示し、否定的だった枝野氏と見解が分かれた。
 想起すべきは、論争がどんなに激しくても、新代表が決まれば一致結束して支えるという基本ルールだ。代表選の結果次第で、共産党との協力や憲法など基本政策を巡る亀裂が深刻化し、分裂騒ぎがまたも起きるとすれば、民進党は有権者から見放されるだろう。


民進党代表選告示 再生できるか正念場だ
 民進党の代表選が21日告示され、前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官による一騎打ちの選挙戦に突入した。
 民進党を取り巻く状況はかつてなく厳しい。加計(かけ)学園問題などで「安倍1強」が揺らいでいるにもかかわらず支持率は低迷し、野党第1党として政権批判の受け皿になり得ていない。党内は野党共闘などを巡って路線対立が表面化し、離党者が相次いでいる。
 次期衆院選に向けて党解体の危機すら指摘されている中で、今回の代表選は党の立て直しを図れるかどうかという極めて重要な意味を持つ。前原、枝野両氏は安倍政権との対立軸を明確に示すのはもちろん、党再生のために何をなすべきか真剣に議論して国民の理解を得るよう努めなければならない。
 民進党に対する国民の支持が伸びない大きな要因は、党としての「一体感のなさ」にあると指摘する声は多い。保守系やリベラル系など幅広い立場の議員が混在するため、前身の民主党時代からしばしば意見の対立による分裂などが生じた。昨年3月に民進党として再出発したが、執行部の統治能力が十分機能しないというマイナスイメージは払拭(ふっしょく)できていない。
 その象徴的な例が、先月の蓮舫代表の辞任表明だろう。党刷新に向けリーダーシップが期待された蓮舫氏だったが、2012年衆院選で野党に転落する原因をつくったとされる野田佳彦元首相を幹事長に起用したことへの党内の不満は根強かった。東京都議選での惨敗で一気に執行部批判が高まり、就任1年足らずで辞任に追い込まれた。
 加計学園問題や南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題などで、安倍政権を一気呵成(かせい)に攻め立てるはずが、そうした状況に自ら冷や水を浴びせるような辞任劇と党内混乱である。
 共同通信社が今月上旬の内閣改造直後に実施した世論調査の政党支持率では、自民党が7月の前回に比べて7・1ポイント増の39・0%だったのに対し、民進党は0・9ポイント減の7・3%にとどまった。内閣支持率は低迷しており、政権への不信は強いのに政権交代の選択肢がないような状況は、国民にとって不幸としか言いようがない。
 今回の代表選で民進党が問われているのは、二大政党の一翼を担う党として再生できるかどうかだ。政権担当能力があることを国民に示すには、党として決めたことには立場の違いを超えて一枚岩となれるように組織の体質を変える必要がある。
 前原氏は保守系、枝野氏はリベラル系を中心に支援を受け、憲法改正や野党共闘、消費増税などそれぞれの主張には違いがある。代表選では政策論を戦わせるとともに、なぜ安倍政権の独走を許してきてしまったのか、党のこれまでの歩みを振り返ることが欠かせない。真摯(しんし)な反省こそが党再生の原点だ。


民進代表選告示 率直に主義主張を競え
 蓮舫代表の任期途中の辞任に伴う民進党代表選は、9月1日の投開票に向け前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官の一騎打ちとなった。
 小池百合子東京都知事率いる都民ファーストの会の都議選圧勝を受け、小池氏側近の若狭勝衆院議員が国政新党の設立を掲げるなど野党再編の足音が高まる中での代表選。共産党との選挙協力や原発ゼロ政策を巡り、連合との関係も微妙な時期にある。
 任期は蓮舫氏の残任期の2019年9月まで。この間、18年12月に任期満了となる衆院では早期解散、総選挙の可能性が取り沙汰される。都議選で政権批判の受け皿となり得なかったショックを引きずる中、どちらが選ばれても、その船出は極めて厳しいことに変わりはない。
 同党を取り巻く状況に明るさは見いだし難い。都議選は自民党が歴史的惨敗を喫する一方で、民進党も旧民主党時代を含めて過去最低の5議席止まり。その余波は、今もやまない離党ドミノという形で党を揺さぶり続けている。
 今月初めの共同通信世論調査で、安倍内閣の支持率は40%台を回復。自民党支持率も7・1ポイント高まったのに、民進党は0・9ポイント減らして1桁台の低迷が続く。勢い、代表選に対する国民の関心は決して高いとは言えまい。
 その要因を突き詰めれば、党としての魅力不足に行き着く。今回の代表選の争点は国政選挙での野党共闘や憲法改正への対応、経済、エネルギー政策などとされるが、逆に言えば、どれ一つ取っても党の方向が定まっていないということだ。これで国民の期待が高まるはずもない。
 「1強政治」が対抗勢力の弱さに支えられているとするなら、民進党を支えているのは安倍政権で顕在化する緩みやおごりという「敵失」だ。世論の大勢を背にした国会での厳しい追及が支持率に直結しないのは、主要政策で与党との対抗軸を打ち出せず、党の「かたち」が判然としないことが背景だろう。
 旧民主党政権は、保守系から革新系まで、党内の多様な意見を統治できずに国民の信を失った。同党時代を含め、代表選は無投票を除き過去10年で9回目という。毎年のように代表が代わる状況は、それだけで不安定な党内情勢を印象付ける。
 前原氏は保守派の代表格。枝野氏はリベラル派が推す。左右両派の論戦は、党の立ち位置を国民に示す好機だ。四方八方にいい顔をするようなどっちつかずの体質を省み、率直に主義主張をぶつけ合うことで活路も開けよう。
 その上で最終的に一枚岩になれるかどうか。議員個々に相応の危機感がなければ、代表を入れ替える意味はない。


民進党代表選 政権と対抗軸を示せ
 民進党の代表選は前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官の一騎打ちとなった。
 蓮舫代表の辞任表明に伴う選挙で、9月1日の臨時党大会で新代表が選出される。
 巨大与党に支えられた安倍晋三政権に立ち向かうには、明確な対抗軸を示す必要がある。政策や政治理念を論戦を通じて丁寧に説明してほしい。
 前原氏と枝野氏は記者会見や発表した政見で少子高齢化による社会保障の先細りを見据え、支え合う社会の実現を強調した。
 大きな違いが出たのは、選挙での野党共闘や憲法改正などだ。前原氏は共産党を含む共闘のあり方を見直す方針で、拙速な進め方は問題視しながらも憲法論議の重要性を訴えた。
 枝野氏は、安倍首相が目指す憲法9条改定への反対姿勢を明確にしたほか、過去の選挙で一定の成果を挙げている野党共闘には容認の立場を取った。
 両氏は、安倍政権の政策によって弱者に厳しい「自己責任社会」化が進んだとの認識では一致しているものの、対抗し得る具体策を示してはいない。
 社会保障を充実させるには、相当な財源が必要になる。前原氏は消費税増税に前向きで、枝野氏は慎重な姿勢だ。国民生活をどう底上げするか、道筋も含めて掘り下げなくてはならない。
 民進党の足元は今、大きくぐらついている。離党者が相次ぎ、支持率は低迷したままだ。
 井出庸生政調副会長=衆院長野3区=は「活発な代表選にして党の求心力を高める」と危機感を示して立候補を目指した。
 推薦人の数が確保できず出馬を断念したが、関心が高まらない代表選に一石を投じた。
 小池百合子東京都知事の側近の若狭勝衆院議員が新党の設立を目指し、民進を離党した細野豪志元環境相と政策協議をしている。野党再編の足音も党内を動揺させているようだ。
 存在感が低下してはいても、民進は野党第1党である。足並みが乱れたままでは、国民の戸惑いは広がるばかりだろう。この代表選は、党を再生できるかどうかを占うものになるかもしれない。
 民進の退潮は、さらに大きな問題をはらむ。有権者の選択肢を狭めることになるからだ。与党の行き過ぎを止めるすべがなくなり、政党政治が機能不全に陥る恐れがある。前原、枝野両氏は民進だけの問題ではないことを肝に銘じ、論戦に臨んでもらいたい。


民進党代表選 党の将来が懸かる戦いだ
 蓮舫代表の辞任表明に伴う民進党代表選は、前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官による一騎打ちとなった。
 民進党を取り巻く状況が厳しさを増している中で行われる代表選であり、野党第1党の今後が懸かる戦いといえる。
 前原、枝野両氏はその危機感を持ち、国をどう導き、党勢をいかに立て直すのかについてしっかりと議論を戦わせてほしい。22日には新潟市で、両氏が出席する候補者集会がある。
 いまの民進党は、内憂と外患を抱えている。
 東京都議選では旧民主党時代を含め過去最低の5議席しか得られなかった。都議選での敗北をきっかけに党内の結束の乱れが表面化した。国会議員離党の動きが相次ぎ、低迷を続ける支持率はいっこうに上向く気配がない。
 これらを内憂とすれば、外患は小池百合子都知事側近の若狭勝衆院議員が掲げる国政新党設立を目指す動きだろう。若狭氏は実現に向けて、民進党を離れた細野豪志元環境相と協議を始めた。
 民進党が代表選を通じて最も心を砕くべきは、論戦を国民の信頼回復につなげていくことだ。それには安倍政権への対抗軸を分かりやすく示さなければならない。
 「加計(かけ)学園問題」や南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題などの追及では、民進党は野党として一定の役割を果たした。
 ただし改めて政権を担うに足る責任政党を目指したいというのなら、政策面で党内がまとまることが必要になる。
 10月には衆院新潟5区、青森4区、愛媛3区の「トリプル補選」が控える。与党にとっては8月の内閣改造後初の国政選挙だ。民進党の新執行部にとっても初陣となる。結果は今後の政治情勢を大きく左右するに違いない。
 安倍晋三首相が衆院解散・総選挙に踏み切るタイミングを巡り、加計学園問題などで「1強」体制が揺らいだことから、野党の態勢が整う前の年内になるのではないかとの説も取りざたされる。
 こうした情勢を踏まえても、代表選での論戦を通じて民進党が目指す国の将来像を問うていくことが必要だろう。
 前原氏と枝野氏は記者会見で政権への対抗軸として「自己責任から支え合いの社会」を訴え、社会保障の充実を前面に打ち出した。一方、国政選挙での野党共闘の在り方や消費税増税を巡っては考え方の違いが鮮明になった。
 前原氏は、共産党を含めた選挙協力について見直す意向を明言した。消費税増税には前向きな姿勢を示した。
 枝野氏は野党共闘については容認し、現執行部の方針を踏襲する立場だ。消費税増税に関しては現状では否定した。
 憲法改正、「2030年代原発ゼロ」政策の扱いなど、ほかにも注目すべきテーマはある。
 ぜひ論議を深め、党としての立ち位置を明確にしてほしい。党が再び結束していくために、不可欠なはずである。


民進党代表選 再生へ徹底論戦しかない
民進党代表選は前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官の一騎打ちとなった。両氏とも安倍政権との対立軸を打ち出す方針を強調し、離党者の続出を阻止するため挙党態勢を訴えた。だが、野党共闘や憲法改正、消費税増税で主張の違いも際立つ。
 問題の根源は民進党が抱える寄り合い所帯体質にある。蓮舫代表は自らの統率力、求心力の無さを辞任理由に挙げたが、結局、この体質に手を付けられず、放り出した形だ。危機的状況にある野党第1党を復活させるべく、両氏には踏み込んだ論戦を期待したい。
 両氏は1993年の衆院選で日本新党から初当選を果たした同期であり、その後も新党さきがけなどを経て、民進党の前身である民主党の結党に参加。それぞれ代表、幹事長といった党要職を歴任した。
 まずは、共産党を含めた選挙協力をどうするかだ。前原氏は「理念や政策が合わないところと協力するのはおかしい」と見直す考えを明確にした。これに対し、幹事長として昨年夏の参院選で共産党との協力に動いた枝野氏は「一人でも多く当選させるのが大きな責任」と関係を維持する姿勢を示した。
 また、憲法改正を巡り前原氏が「政権を目指す政党として国の基である憲法の議論はしっかりと行っていく」と党内議論を進める方針を明らかにした。一方、枝野氏は「民主主義を強化し、人権保障をより高め、国民の生活、経済をより良くする」のが改憲の目的とし、党内議論の結果、その必要性はなかったとした。
 共産党との協力に関しては「受け入れられない」と長島昭久衆院議員が離党するなど、党内には野党共闘へのアレルギー感を持つ議員は少なくない。憲法改正に対する姿勢を巡っては、代表代行だった細野豪志氏が「議論さえしないのはおかしい」と批判し辞任、離党した。
 「保守」と「リベラル」など、もともと考え方の異なる者が集まるがゆえに軋轢(あつれき)が表面化するのは避けて通れない。確かに蓮舫氏らを含め歴代執行部が積極的に解決しようとしてこなかった面は否めないが、民進党の性(さが)というべきものでもある。だが、ここを乗り越えない限り離党ドミノはむろん、党分裂といった危機的状況は解消されない。
「安倍1強」が劣化する中、野党第1党の果たすべき役割は大きく、チャンスともいえる。だが「反自公」「反安倍政権」という形でしかまとまれないのであれば、同じように軋轢を生む事態を招きかねない。
 両氏が徹底的に議論し、代表に選ばれた方が相違点は何が要因なのか、解消するための策はないのか、などをじっくり見極めながら党を再生していくべきだ。対立回避のため相違点を放置してきたことが、「民進スルー」ともされる現状につながっている。分裂を恐れて中途半端な議論に終始してはならない。過去の経緯を十分に体感してきた両氏が同じ轍(てつ)を踏むならば、民進党に明日はない。


民進党代表選 国の将来像示して論戦を
 野党第1党として、政権批判の受け皿になるための一歩とできるのか。民進党の代表選がきのう告示された。前原誠司元外相、枝野幸男元官房長官が立候補し、一騎打ちの選挙戦がスタートした。
 東京都議選敗北の責任を取り、任期途中で辞任する蓮舫代表の後任を決める選挙である。新代表は9月1日の臨時党大会で選出される。
 旧民主党時代に政権の座を下りて4年8カ月になる。維新の党と合併し、党名を変えて再出発を図ったものの、支持率は低迷している。深刻なのは安倍政権の支持率が急落する中で、民進党の支持率は上がるどころか下がっていることだ。最新の世論調査では7・3%にとどまる。
 先月の都議選では、小池百合子都知事が率いる「都民ファーストの会」が躍進し、自民党とともに民進党は惨敗した。都議選で有権者が示したのは、自民に代わる受け皿があれば票を投じるが、民進党はその受け皿になり得ていないということだろう。
 都議選後には細野豪志元環境相が離党し、ほかにも離党の動きが相次ぐ。小池都知事の側近、若狭勝衆院議員が年内結成を目指す国政新党の動向にも関心が集まる。民進党の代表選結果によっては野党再編が進む可能性もある。民進党はどんな政治を目指し、これからどこへ向かうのか。まさに存在意義が問われる代表選といえる。
 なぜ、野党第1党の民進党が政権批判の受け皿になり得ないのか。何度も指摘してきたが、主要政策で党内の意見がまとまらず、安倍政権とは異なる「もう一つの道」を明確に打ち出せていないのが理由の一つだろう。
 きのうの記者会見では、両候補ともに安倍政権との対立軸を打ち出していくと強調し、自己責任ではなく支え合う社会の実現を掲げた。民進党が目指す国の将来像を、代表選を通じて国民に示す必要がある。
 両候補は安倍政権の「アベノミクス」を批判し、社会保障の充実を訴えている点などでは一致する。ただ、具体的な政策では意見が異なるものもあり、消費税増税を巡っては前原氏は財源確保のために前向きだが、枝野氏は「現状では上げられる状況ではない」と慎重だ。
 憲法改正では前原氏は改憲論議は認めるが、枝野氏は憲法9条改定には反対すると明言している。原発政策では、前原氏は「2030年代の原発ゼロ」政策を維持する一方、枝野氏は目標年次の前倒しを掲げる。代表選という開かれた場でしっかり政策論争をした上で、党の路線を定めることが求められる。
 強引な国会運営や閣僚の失言が目立つ安倍政権だが、背景には「自民1強」が長く続き、政治に緊張感を欠いてきたことがある。再び政権交代が可能な政治状況がつくり出せるか。民進党にとって正念場である。


民進党代表選 低迷抜け出す道筋示せ
 野党第1党のリーダーを決める選挙にしては、盛り上がりに乏しい。それだけ民進党への期待感は薄まっているのだろう。長く続く低迷をどう抜け出し、与党自民党とどんな政策で対峙(たいじ)するのか。国民にも分かりやすいように議論してほしい。
 任期途中での辞任を表明した蓮舫氏の後任を決める民進党の代表選がきのう告示された。元外相の前原誠司氏と元官房長官の枝野幸男氏との一騎打ちとなった。
 国政選挙での野党共闘の在り方や、安倍政権が進める9条を含む憲法改正への対応、原発を含めたエネルギー政策などが争点になりそうだ。9月1日の投開票まで、さらに議論を戦わせて、与党に代わり得る対抗軸を明示することが不可欠だ。
 両候補の考えの違いが最も表れたのは、共産党などとの野党共闘へのスタンスではないか。協力を進めてきた立場の枝野氏は維持する考えを述べたが、前原氏は「理念や政策が合わない党と共闘するのはおかしい」と見直しを主張した。
 憲法改正については「専守防衛を外すのは改悪」とする枝野氏に対し、前原氏は「拙速な改正のスケジュールにはくみしない」としながら議論は進める考えだ。消費税について前原氏は「教育や子育て、医療、年金、介護福祉の恒久財源を担保する」と増税の必要性を認めたが、枝野氏は「上げられる状況ではない」と否定的だった。
 2人の方向性は明らかになったと言えよう。ただ個別の政策以上に、今は党の先行きが危ぶまれている。どうやって党を立て直すのか、果たして可能か。
 折しも7月の東京都議選で大勝した都民ファーストの会の国政政党づくりが動き始め、野党再編は現実味を帯びつつある。その大波に民進党はのみ込まれてしまわないか。そんな疑問への答えや対応策も聞きたい。
 というのも、自民1強に代わり得る受け皿が必要なのに今、見当たらないからだ。民進党の前身の一つの民主党は2009年の総選挙で国民の広範な支持を受け政権交代を実現させた。しかし3・11の対応も含めて政権運営に失敗した上、大量離党などもあって国民の支持は離れた。昨年春、旧維新の党が合流して新たに民進党を結成したが、いまだに政権交代の選択肢として信頼は得られていない。
 東京都議選で惨敗し、離党にも歯止めがかからない。代表選で低迷を脱する道が示せなければ、さらに党を出る議員が続きかねない。危機的な状況にあるのは間違いない。
 それでも、まっとうな野党がなければ民主主義は健全に機能しない。連立与党は衆参両院で過半数の議席を得ているが、政策や政権の運営手法が全て支持されているわけではない。
 政権批判の受け皿は二大政党制なら本来、野党第1党が担うのが筋だろう。そう考えて、民進党だけで政権交代を目指すのか、他の野党と組んで受け皿を準備するのか―。都民ファーストの会のグループとどう向き合うのかも含めて、はっきりさせることが民進党に求められる。
 代表を目指す2人は、政権交代の受け皿を示す必要がある。総選挙は遅くとも来年末までには実施される。与党に代わる選択肢を準備するための時間は、それほど残っていない。


民進代表選告示 党の存続へ活発な論戦を
 蓮舫代表の辞任表明に伴う民進党代表選が告示された。
 立候補したのは、前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官である。
 安倍政権の支持率が下がり、自民党の勢いにブレーキがかかる中でも、民進党に対する期待は一向に高まらない。見切りをつけて離党する議員も相次いでいる。
 野党第1党がしっかりしなければ、政治の緊張感は失われていくだろう。
 党勢をどう立て直し、巨大与党に対抗していくのか。前原、枝野両氏は党の将来像を明確に打ち出し、活発な論戦を展開してもらいたい。
 立候補に当たり、前原氏は自己責任社会と決別し、目指すべき社会像を示すと訴えた。枝野氏は「多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互いさまに支え合う社会を目指す」と強調した。
 具体策には共通点も多いが、共産党を含む野党共闘へのスタンスは異なっている。
 前原氏は「理念、政策が合わないところと協力することはおかしい」と見直しを主張し、枝野氏は「党の主体性を持ちながら、できることを最大限やる」と容認した。
 野党共闘を巡っては、反発した細野豪志元環境相らが離党する要因となった。一方で、昨年の参院選では、ある程度の成果を上げたのも事実である。
 小池百合子東京都知事や、結成の動きがある新党との連携も焦点だ。これについては、枝野氏が消極的な姿勢を見せる半面、前原氏は態度を保留している。
 いずれも、党の分裂や野党再編につながりかねない問題である。対応を誤れば、党の存続が危うくなろう。
 基本政策でも違いがある。
 消費税増税に前原氏は賛成、枝野氏は反対を表明し、「2030年代の原発ゼロ」には、全力で取り組むとする前原氏に対し、枝野氏は「一刻も早く」と踏み込んだ。
 憲法改正では、両氏とも現状での改憲に否定的だが、9条などについての考え方には開きがある。
 消費税増税は、福祉や教育の財源確保策に絡む問題だ。原発や憲法に関しては、党員、支持者の間でも意見が大きく割れている。
 党内対立の解消は難しいが、違いをできるだけ埋め、方向性を一致させる努力が欠かせない。国民に見える形で議論を重ねることが重要だ。
 両氏に対しては、新鮮味がなく、どちらが代表になっても党勢回復は望めないといった見方がある。
 民進党の現状に注がれる目は厳しい。代表の人気やイメージの刷新だけで支持率が上がるほど甘くはない。
 前身の民主党時代を含めて、代表選は毎年のように行われている。党内での足の引っ張り合いが、いかに多かったかを物語っている。
 結束を図り、何を目指す党なのかを国民にはっきりと示す。代表選を、その第一歩とすべきである。


【民進党代表選】存在意義を考える機会だ
 蓮舫氏の辞任表明に伴う民進党の代表選が告示された。前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官が立候補し、旧民主党政権の主要閣僚による選挙戦となった。来月1日の臨時党大会で新代表が決まる。
 前原氏は民主党で代表を、枝野氏は民主と民進両党で幹事長を務めた。やや新味に乏しいとの見方はあろうが、低迷が続く党の現状に責任を負う点で2人は共通する。
 この代表選は、党の存在意義を改めて確認する機会としなければなるまい。なぜ民進党が必要なのかを考えるべき時ともいえよう。
 安倍首相の1強時代が続く中、政権への国民の不信が高まっているのは間違いない。学校法人「森友学園」や「加計(かけ)学園」の問題、強権的な政治姿勢を巡って内閣支持率は急落した。安倍氏は反省し丁寧な説明に努めると表明したものの、問題解明へ説明責任を果たそうとしない。
 国民の不満を吸収する受け皿となるのは野党第1党の民進党のはずだろう。政権を追及し、問題の解明に力を発揮すべき時だ。
 ところが政権を脅かすことができず、国会答弁では安倍氏に軽んじられている印象もある。安倍政権の強引さに関して、民進党の責任は小さくないといっていい。
 直近の世論調査によると、政党別の支持率で自民党が4割近いのに対し民進党は7%余り。とても対抗勢力とはいえまい。
 旧民主党政権の記憶が今も国民に焼き付いていよう。加えて経済や社会保障で、安倍政権が民進党の政策を取り込む戦術に出たため、政策によっては明確な違いが出にくい。アベノミクスに限界がうかがえる状況ではあるが、経済が安定している点は否定できない。
 一方、蓮舫氏が辞任表明に至った過程では、民主党時代から引きずる党の内紛体質をさらけ出した。
 安全保障政策や憲法観を巡り、党内では自民に近い保守派から、中道・リベラル派まで幅広い勢力が存在する。路線が異なり、激しく政策論争することもあるだろう。だが、いざこざが絶えぬ党だとみられていていいはずがない。
 民主的な政治が行われるには、いつでも政権運営を取って代わることのできる野党の存在が欠かせない。それには、民進党が与党に対し緊張感をもたらす存在となる必要がありはしないか。
 昨日、党本部で開かれた共同記者会見では、前原氏が「自民党に代わる新たな選択肢をつくる」、枝野氏が「明確な対抗軸を打ち立てる」と述べた。党に今、何が最も求められているのかを2人とも十分に意識した発言だ。
 質疑応答があった国政での野党共闘、消費税増税など重要政策では、2人の見解に違いもあった。党内で徹底して議論すべきである。
 その上で代表を選び、針路を決め、結束できる組織であることを国民に示す必要がある。そこから信頼回復への道が始まろう。 


民進党代表選 原点に戻り徹底した論戦を
 蓮舫代表の後継を決める民進党代表選は、前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官の一騎打ちとなった。
 両氏は1993年衆院選で日本新党から初当選を果たした同期。その後も民主の風、新党さきがけなど同じ会派や政党を経て、民進党の前身である民主党の結党に参加、時期は異にするが、それぞれ代表、幹事長という党要職を務めた。
 憲法9条を対象とする改正への姿勢や共産党との選挙協力の在り方などで違いはあるものの、自民党に代わる政権をつくるという初当選時の信念は変えていないだろう。
 細野豪志元環境相という有力な将来のリーダー候補も離党するなど党は今、存亡の機にひんしている。両氏は初当選時の原点に戻り、徹底した議論を戦わせる必要がある。
 来年末の任期満了を待たない早期の衆院解散も想定される中で、論戦でまず焦点となるのは次期衆院選での共産党との選挙協力に対する対応だ。
 21日、立候補届け出後の記者会見で前原氏は「衆院選は政権選択で、理念や政策が合わないところと協力するのはおかしい」と述べ、従来の路線を見直す考えを明確にした。一方、幹事長として昨年夏の参院選の改選1人区で共産党との協力に尽力した枝野氏は「一人でも多く当選させるのが大きな責任」として関係を維持する姿勢を示した。
 また、憲法改正を巡って前原氏が「安倍政権の下での憲法改正は反対だというのは国民の理解を得られない。政権を目指す政党として国の基である憲法の議論はしっかりと行っていく」と党内議論を進めていく方針を明らかにした。
 対して枝野氏は「民主主義を強化し、人権保障をより高め、国民の生活、経済をより良くする」のが改憲の目的とし、党内議論の結果、その必要性はなかったと述べた。
 これらの問題で、両氏の主張の違いは小さくはない。しかし、共産党との関係については枝野氏も理念、政策が違い、全面的な協力はできないことは認めている。
 また、憲法を巡っても憲法の解釈変更による集団的自衛権の行使容認や安倍晋三首相が描く来年中の発議というスケジュールに反対であることは一致している。
 両氏ともに野党時代から安全保障や憲法の論客として活躍。枝野氏は98年、民主党などの野党案を丸のみさせた金融再生関連法の修正協議を主導、前原氏は2003年の武力攻撃事態法などの成立に当たって自民党との修正協議を担うなど実績を積んで政権交代に尽力した。
 今回の論戦では両氏らしく、お互いの主張のどこが決定的に違うのか、それは何に由来するのかをとことん突き詰めるべきだ。将来の分裂を恐れて議論を中途半端に終わらせてはならない。
 徹底的に議論を戦わせた上で、勝利した方が、新代表として、浮かび上がった相違点を乗り越えながら党を運営していくべきだ。それが遠回りのように見えても確実な再生への道となるだろう。
 民主党時代、「保守対リベラル」という対立を回避するため理念や基本政策の違いを放置し続けたことで、結局は離党者の続出や分裂、ひいては政権の座からの下野を招くに至った。
 そんな過去を、身をもって知る両氏が同じ過ちを繰り返すようなら民進党に未来はない。(共同通信・柿崎明二)


[民進党代表選] 求心力を取り戻せるか
 蓮舫代表の辞任表明に伴う民進党の代表選が告示され、前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官が立候補を届け出た。
 国政選挙での野党共闘や憲法改正への対応、経済、エネルギー政策で両氏の主張には温度差があり、主な争点となりそうだ。
 民進党は離党者が相次いでおり、結党以来の危機的な状況といえる。安倍政権への対抗軸を示し、政権奪還へ求心力を取り戻せるかが問われている。
 年内の新党立ち上げに向けて小池百合子東京都知事の側近である若狭勝衆院議員も動き出した。代表選の結果は野党再編に影響を及ぼす可能性もあり、注目される。
 前原氏と枝野氏は、自民党に代わりうる政権の担い手を目指すという主張は共通しているものの、個々の政策では違いもある。
 前原氏は、共産党を含む野党共闘について在り方を見直す方針だ。改憲論議は応じるべきとしつつ、「最優先課題ではない」とする。消費増税に前向きで、「2030年代の原発ゼロ」政策は現行目標を維持する。
 一方の枝野氏は、昨年の参院選で幹事長として野党共闘を進めた経緯もあり、基本的に容認する立場だ。憲法9条改定への反対を明言。消費増税には慎重姿勢で、「原発ゼロ」は目標年次の前倒しを掲げる。
 安倍政権は学校法人「加計学園」と「森友学園」を巡る問題や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽(いんぺい)問題などで、一時の勢いを失っている。
 ところが、民進党は政権不信の受け皿になりきれていない。8月初めの共同通信社の世論調査で、支持率は0.9ポイント下がり7.3%と低迷したままだ。
 有権者の目が厳しいのは、政策の方針が固まらず、問題があるたびに曲折を繰り返す印象から抜け出せないためだ。
 代表選を通じて徹底的に議論を重ねてもらいたい。結論が出たら新代表は党内をまとめ、腰を据えて政権と対峙(たいじ)するべきだ。
 衆院選のタイミングが読めない中で、野党再編の動きも活発化している。
 若狭氏は「日本ファーストの会」を設立し、野党の勢力図に新たに事実上の「小池新党」が加わる展開となっている。
 「小池新党」には、民進党を離党した細野豪志元環境相の連携が予測され、前原氏も協力に傾いているとされる。
 主要野党が分立したままで次期衆院選を戦えば、与党を利するだけである。つぶし合いや主導権争いで終わらせてはならない。


民進党代表選 政策論争より安倍暴政を止める“覚悟”だろう
 離党ドミノが止まらず、“存亡”がかかっているというのに、民進党代表選(9月1日投開票)にはドッチラケだ。出馬を模索していた若手の井出庸生衆院議員は推薦人集めに失敗し、フタを開けてみれば見飽きた顔の一騎打ち。保守系が支援する前原誠司元外相と、リベラル系が推す枝野幸男元官房長官がぶつかる構図となった。
 21日の共同会見ではそれぞれが政見を披露。前原は「ALL for ALL」、枝野は「お互いさまの支え合いの社会」というフレーズで、経済効率しか頭にない安倍政権への対抗軸として「自己責任からの支え合いの社会」を強調。脱原発を目指し、安保法制を違憲とする方向性はおおむね同じ。大手マスコミの記者たちが突っ込みを入れたのは、消費増税と野党共闘へのスタンスの違いだ。消費増税については前原が賛成、枝野は反対を明言。野党共闘についてもクッキリで、前原は「理念や政策が合わないところと協力するのはおかしい」と見直しに言及。次期衆院選では原則としてすべての小選挙区に候補者を擁立する考えを示した。
 一方の枝野は「主体性を持ちながら、できることを最大限やる。ひとりでも多く当選させるのが大きな責任だ」と容認し、現執行部の方針を踏襲した。
 もっとも、存在感がゼロに近づいているボロ野党の代表選で、政策論争を戦わせること自体がアホらしい話だ。民進の政党支持率は1ケタ台に低迷し、消費税率にも劣る。「野党は対案がないから批判ばかりしている」とかいう安倍首相の印象操作を真正面から受け止めているのだろうが、そんなお門違いの攻撃を真に受けたら思うツボだ。前原と枝野、両者が議論を深めるほど溝は深まる。代表選の結果がどっちに転んでも、民進が一枚岩になれないことを浮き彫りにさせるだけだ。圧力と抱き込みで骨抜きにされた安倍政権ベッタリの大マスコミは案の定、「野党共闘、消費増税が争点」だとか、前原がいったん横に置いた憲法改正を蒸し返してまで「野党共闘や憲法改正問題が争点」とあおり立てている。分裂ネタを提供する以上に、何の意味もなしていない。
■首相候補を担う自覚ナシ
 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は言う。
「党勢衰退が著しいとはいえ、民進党は国政で野党第1党を担っている。原理原則から言えば、代表選は安倍政権に対抗し得る野党の首相候補を決める選挙なのです。しかし、代表候補2人に政権を再び奪い取る自覚があるのか疑問です。個別の政策はもちろん大事ですが、有権者の7割が〈安倍首相は信用できない〉と訴えている。そうした声を拾い上げ、再浮上につなげるには、われわれの目的は政権交代だとハッキリと打ち出した方がスッキリする。そのためには、政策面では相いれない共産党ともガッチリ選挙協力をする。それくらい思い切った主張があれば、代表選に対する世論の関心も高まり、一気に盛り上がって支持率もついてくるはずです」
 結局、先にくるのは党内の一部議員や、支援組織の連合が患う共産党アレルギーへの配慮。大マスコミが仕掛けた踏み絵に生真面目に反応し、そうした内向き論理をダダ漏れさせるオメデタさだ。
「アベ政治への不信感は深刻です。政権寄りの産経・FNNが行った合同世論調査(19、20日実施)でも不支持率は支持率を上回り、49.0%を占めています。内閣改造を評価しないとの回答も47.4%に上った。その一方で、首相候補のトップは石破茂元地方創生相。ほかの顔ぶれも自民党議員一色。民進党は完全に埋没していて、代表選が迫っていたにもかかわらず、誰ひとり名前が出てこない。こんな状況はちょっとおかしいですよ」(鈴木哲夫氏=前出)
トリプル補選は自民ゴタゴタで野党に追い風
 いかにアベ暴政をストップさせるかの戦略と、その覚悟。民進党代表選の争点はそれ以上でもそれ以下でもないだろう。
 政治評論家の野上忠興氏が言う。
「安倍政権を追い込む好機が舞い込んでいるのに、民進党はいつまで建前論に振り回されているつもりなのか。自民党が連続3期9年までの総裁任期延長を正式決定し、内閣改造後初の国政選挙となる衆院補選(10月22日投開票)は異例のトリプル選になり、野党共闘いかんで自民3敗もあり得る情勢になってきました。いずれも自民党議員の死去に伴う弔い選挙で、自民からすれば全勝が当たり前。政権が弱り切ったタイミングで、ひとつも落とせないトリプル補選に当たるとは、ひょっとすると天の配剤かもしれません。政策や理念を言うのなら、自公が連立政権を組んでいるのもおかしい。民進党もああでもない、こうでもないと言っている時間を惜しんで、現実的な調整を進めるべきでしょう」
 補選対象の青森4区、新潟5区、愛媛3区はそうでなくても、野党に風が吹いている。青森4区と新潟5区では自民が後継候補の擁立に手間取っている上、青森は昨年の参院選、新潟は県知事選で野党共闘が実を結んだ実績がある。愛媛3区は加計学園が獣医学部新設計画を進める今治市に隣接する選挙区。ただでさえ逆風が吹き荒れている上、麻生財務相がネジ込んだ自民公認候補の白石寛樹氏の存在が地元の分裂を招いているという。
■候補者差し替え騒動
「木村太郎衆院議員を亡くした青森4区では、県連は候補者選定で木村家の意向を尊重する方針ですが、夫人を立てるか実弟を出すかでスッタモンダ。結論は9月12日に予定されている木村さんのお別れ会まで先延ばしされる可能性があります。長島忠美衆院議員が急逝した新潟5区は田中真紀子元外相のお膝元で、田中ブランドが一定の影響力を保っている。野党統一候補として息子が担ぎ出されるのではないか、との観測が流れてきています。愛媛3区は白石徹衆院議員の次男にあたる寛樹氏の評判が芳しくないこともあって県議団が割れ、候補者の差し替えを求める騒ぎになっています」(自民党関係者)
 歴史的大敗を喫した都議選に続き、トリプル補選で3タテを食らえば、安倍政権はオシマイだ。残された時間は2カ月を切った。
 謀略にはまったまま民進党代表選が決戦の日を迎え、野党が反アベで結集できずに延命に手を貸すようなマネをすれば、有権者の鉄槌は民進に向かう。消滅は必然だ。そんな体たらくでいいのか。


対自民 立ち位置難しい2人
 ★「ポスト安倍」を見据えて、自民党政調会長・岸田文雄は全国行脚を始めた。20日の街頭演説では、外相の仕事を説明したかったのか「五輪や外国人観光客の日本への誘致や、日本の魅力を世界に発信する仕事に取り組んだ。この4年間で日本に来る外国人観光客の数が3倍になった」と、4年7カ月の外相時代の取り組みを説明した。 ★岸田はポスト安倍に向け禅譲を強調しながら、アベノミクスへの疑問視や、憲法9条改正を進めたい首相・安倍晋三をけん制。リベラル色も政策に打ち出す。首相の懐にいながら、首相の考えとの違いを鮮明にし、区別化を狙おうというものだ。それはポスト安倍と考えれば当然ありうる方法だが、民進党はその流れをどう受け止めるのか。代表選挙が始まったものの、ますます混迷を深める。 ★というのも立候補した前原誠司、枝野幸男の価値観や性格と、党に反映すべき立ち位置が極めて難しい。今、安倍政権は保守系右派とみられているから、岸田が次をにらむならリベラル色で違いを出す。では、民進党は自民党に対してどんな色を見せるべきなのか。前原は党内右派と目される。持論のまま攻めれば、安倍と変わらず、国民は民進党を第2自民党とみるだろう。 ★安倍後を見据えるなら、次に誰が自民党総裁になろうとも、安倍より穏健路線になるだろう。そうすると前原は自民党よりタカ派になりかねない。一方、枝野は元来、リベラル色が強い。安倍に対抗するにはいいが、安倍後には、自民党の穏健保守と区別がつかなくなる。野党は現政権との対峙(たいじ)で立脚点を見いだすが、この時期の民進党はなかなか悩ましい。2人はそれを政治経験で乗り越えられるのか。

米国の人種差別/大統領自身が姿勢を正せ
 米南部バージニア州で白人至上主義の集団と人種差別反対派が衝突した事件への対応を巡り、トランプ大統領が厳しい批判を浴びている。
 白人至上主義者を当初、明確に非難しなかったばかりか、双方に「非がある」などと発言した。与党共和党や産業界からも反発の声が上がり、孤立を深めている。
 きっかけとなったのは、南北戦争で奴隷制存続を訴えたとされる南軍司令官の銅像撤去計画だ。撤去に反対して集まった白人至上主義者らと反対派が衝突、死傷者が出た。
 どんな理由であれ、暴力は論外である。それ以上に、人種差別は絶対に許されない。まずそのメッセージを、大統領は強く発するべきだった。
 事態を沈静化させるべき大統領が対立と不安を増大させている。批判されるのは当然だ。
 全米で南軍関連の記念碑や銅像を撤去する動きが加速していることについて、「愚かだ」ともコメントしている。奴隷制を容認したとも受け取れる内容で、理解は得られないだろう。
 一連の大統領の言動の背景には、白人至上主義者の有力な支持の影響があると指摘される。人種差別の根絶を目指すべき、一国のリーダーとしての立場をどう考えているのだろうか。
 人種差別の問題は米国社会に根深く残る。これまでがそうだったように、今後も国民が真剣に向き合っていかなければならない問題だ。
 トランプ氏は、大統領選から人種差別的な言動を繰り返してきた。大統領就任後はイスラム圏からの入国制限など排外的な政策を打ち出した。こうした姿勢が、白人至上主義者を勢いづかせている面は否めない。
 事件後、各地で人種差別に反対するデモや集会が開かれ、ボストンでは約4万人が反差別を訴えた。こうした動きに対し、大統領は「偏見と憎悪に声を上げた多くの参加者をたたえたい。わが国はすぐに一つになる」とコメントした。余りに遅すぎたと言わざるを得ない。
 特定の支持者を意識した大統領の言動が、社会の分断を助長している。国民を一つにまとめるために、大統領自身が襟を正すべきだ。


白人至上主義◆融和目指す姿勢に転換せよ◆
 米南部バージニア州で白人至上主義者のグループと反対派が衝突した事件で、トランプ大統領は人種差別を助長するような発言を続けている。
 昨年の大統領選で勝利をもたらしてくれた支持層にアピールする狙いとみられるが、憎悪を拡大させ、米社会の分断をあおるあやうい言動は即刻やめるべきだ。国際社会が取り組むテロ対策にとってもマイナスにしかならない。
社会混乱する火種に
 バージニア州では、南北戦争で奴隷制存続を訴えた南軍司令官リー将軍の銅像の撤去計画をやめさせようと集まった白人至上主義者らと、人種差別反対派が衝突した。反対派に車が突入して女性が死亡、30人以上が負傷し、当局は白人至上主義者とみられる男を殺人容疑で拘束した。
 トランプ氏は当日「多くの側から示された憎悪、偏見、暴力を非難する」と双方に責任があるとの立場を打ち出し、人種差別を助長すると批判が集中。白人至上主義者を非難する声明をいったんは読み上げたが、その後「両陣営の責任だ」という姿勢に戻った。
 米国では各地で南軍関連の銅像記念碑を撤去する動きが起きている。歴史を背負う銅像などの撤去に賛否の意見対立があることは理解できる。しかし白人至上主義者の考え方は民主主義の中核的な価値観と相いれない。さらに暴力は到底容認できない。
 本来は国民の融和を呼び掛けなければならないトランプ氏は、銅像などの撤去について「愚かだ」とツイッターで非難した。やはり支持層へのアピールだろうが、軽率に過ぎる。
 米国で人種問題の扱いを誤れば、抗議行動の激化などによる社会の混乱の火種になりかねない。
 人種差別を助長するようなトランプ氏の発言は、リベラル派やメディアだけでなく、身内の共和党議員からも批判を浴びている。また陸海空軍の制服組トップも「不寛容や憎悪に立ち向かう」(リチャードソン海軍作戦部長)など差別を認めない立場を表明した。
テロの温床にするな
 経済界でも批判が強い。トランプ氏は、大企業経営者らで構成する助言組織でメンバーの抗議の辞任が相次いだため、二つの助言組織を解散した。こうしたトランプ氏への批判は、米国の多様性と民主主義の強さも表す。差別を容認しないと明確に語り、行動に移す勇気には学びたい。
 イスラム圏からの入国規制などはテロ対策が目的とされているが、排外主義的政策で憎悪が拡大すれば、逆にテロの温床になる。
 スペインのバルセロナで起きたテロのように、各国で近年目立つ車の暴走テロは、大がかりな爆弾テロに比べて容易に実行でき、阻止が難しい。分断と憎悪を克服する地道な努力が必要だ。トランプ政権には、米社会と世界を分断するのではなく、融和を目指す姿勢に転換するよう求めたい。


分断あおらず融和目指せ/白人主義と米大統領発言
 米南部バージニア州で白人至上主義者のグループと反対派が衝突した事件で、トランプ大統領の人種差別を助長するような発言が、米社会に混乱を呼んでいる。
 発言は、大統領選で勝利をもたらした支持層にアピールする狙いとみられるが、憎悪を拡大させ、米社会の分断をあおる危うい言動は即刻やめるべきだ。国際社会が取り組むテロ対策にとってもマイナスにしかならない。
 19日は人種差別に反対する集会が全米各地に広がり、批判を浴びるトランプ氏はツイッターで「時に抗議も必要」などと理解を示す態度も見せた。トランプ政権には、米社会や世界を分断するのではなく、融和を目指す姿勢に転換するよう求めたい。
 バージニア州では、南北戦争で奴隷制存続を訴えた南軍司令官リー将軍の銅像の撤去計画をやめさせようと集まった白人至上主義者らと、人種差別反対派が衝突した。反対派に車が突入して女性が死亡、30人以上が負傷し、当局は白人至上主義者とみられる男を殺人容疑で拘束した。
 トランプ氏は当日「多くの側から示された憎悪、偏見、暴力を非難する」と双方に責任があるとの立場を打ち出したため、人種差別を助長すると批判が集中。白人至上主義者を明確に非難する声明をいったんは読み上げたが、その後「両陣営の責任だ」という姿勢に戻った。
 米国では各地で南軍関連の銅像や記念碑を撤去する動きが起きている。歴史を背負う銅像などの撤去に賛否の意見対立があるのは理解できる。
 しかし白人至上主義者の考え方は民主主義の中核的な価値観と相いれない。さらに暴力は到底容認できない。
 本来国民の融和を呼び掛けなければならないトランプ氏は、銅像などの撤去について「愚かだ」と非難した。これも支持者へのアピールだろうが、軽率に過ぎる。
 白人至上主義が勢いづいた背景には、バノン首席戦略官兼上級顧問の存在があった。人種差別的な論調の右派サイトの会長を務めたバノン氏はトランプ氏の最側近として、イスラム圏からの入国規制などの排外主義的な政策を主導してきた。政権内で対立を深め、18日に解任された。
 入国規制などはテロ対策と説明されている。しかし、排外主義的政策で憎悪が拡大すれば、逆にテロの温床になりかねない。


水俣条約発効 世界の水銀汚染根絶へ役割重大
 世界の水銀汚染根絶へ、ここからが真のスタートだ。
 「水銀に関する水俣条約」が発効した。鉱山での水銀産出から輸出入、使用、廃棄まで全て国際的に規制し、環境汚染と健康被害の防止を目指す。史上最悪の公害病とされる水俣病を経験した日本は、負の歴史に学び地球規模の対策を主導しなければならない。
 毒性が強い水銀は、環境に排出されると分解されずに循環する。先進国では使用量が減っているが、途上国では金の精錬に触媒として使われ続けており、管理も野放し状態だという。対策は急を要する。来月始まる締約国会議で、確実な実施に向けた具体策を議論し、行動を加速させてもらいたい。
 条約は、水銀を使った体温計や電池などの製造、輸出入を2020年までに原則禁止。水銀の大気や水、土壌への排出を削減し、適切な保管と廃棄に取り組むよう定める。
 だが課題は残る。輸出入は原則禁止だが、一定の用途に応じ輸入国の同意があれば認められる。日本は国内法を整備し、水銀を含む電池やランプの製造禁止に前倒しで取り組んでいるものの、回収した水銀の多くを輸出し、その方針を変えない。流出によって相手国での被害につながらないよう、速やかに輸出をやめ、自国で責任を持って処理すべきだ。含有製品の回収と廃棄物処理の仕組みづくりに早急に着手するよう求めたい。
 アジアやアフリカ、南米では採掘した金を水銀を使って抽出する方法が広く普及している。安価な設備投資で、簡単に事業が始められるため、農家などが安定した現金収入を求め、家族で金採掘や精錬に手を出している。労働には子どもたちが携わっており、健康被害は看過できない。
 田畑や河川に水銀を含んだ廃液や汚泥が垂れ流され、大気中にも放出されている。空中の水銀は雨とともに川や海に流れ、魚介類にたまる。食を介して体がむしばまれる上、環境汚染が進めば、金が採れなくなった後に農業もできなくなる。
 背景にあるのは貧困だ。生計に関わるとして、条約は禁止に踏み込まず「できる限り削減」との曖昧な表現にとどめた。しかし、今このときも被害がまん延している現実を忘れてはならない。日本を含む先進国は連携して、住民が金を採掘しなくても生活できるように、きめ細かい支援を進める必要がある。専門家の育成、危険性の啓発・教育、検診や治療のプログラム作りが欠かせない。
 条約名には、二度と水俣病の苦しみを繰り返さないとの願いが込められた。その水俣病は、公式確認から61年たった今も終わっていない。悪化する病と闘う人。認定さえ受けられず救済を待つ人。差別を恐れて声も上げられない人―。政府は、世界の水銀禍根絶を進める中で、国内の被害者を全面救済する姿を示さなければならない。 


「水俣条約」発効/日本が水銀規制の先頭に
 水銀による環境汚染や健康被害の防止を目指す国際条約「水俣条約」が発効した。
 水俣病の教訓を生かそうと日本政府の提案で命名された条約だ。悲劇を繰り返さないため、日本が先頭に立って対策に取り組み、条約の実効性を高めていく必要がある。
 条約は、水銀を含む体温計や電池などの製造・輸出入を2020年までに原則禁止する内容で、水銀の大気や水、土壌への排出削減、さらに適切な保管と廃棄などを定める。13年に熊本市での国際会議で採択され、今年5月に締約国が発効に必要な50カ国を超えた。
 水銀は身近な製品に使われてきたが、毒性が強い。水俣病はメチル水銀に汚染された魚介類を食べたことが原因で発症した。先進国での使用は減ったが、途上国を中心に金の採掘や触媒などでの利用が続く。10年の排出量は約1960トンで、うち約半分がアジアとされる。
 途上国では、小規模採掘場での水銀使用が生活の糧になっているとして、直ちに禁止にはならなかった。条約には、水銀処理のための人材育成や資金援助も盛り込まれている。途上国への技術提供など、日本が積極的に支援していくべきだろう。
 国内の対策強化も急がれる。日本はリサイクルした水銀を海外に輸出してきた。早急に禁止し、長期保管や処理の仕組みを確立する必要がある。
 「水俣条約」の命名には、水俣病患者や支援者の間で賛否両論があった。発効を歓迎する声の一方で、「水俣病問題が終わった印象を与える」との懸念は残る。公式確認から既に61年が過ぎたが、今も健康被害に苦しむ人は多い。熊本、鹿児島両県の認定患者は約2200人。両県で約2千人が患者認定を申請中で、認定や賠償を求めた訴訟が続いている。
 9月にスイス・ジュネーブで開かれる締約国会議に合わせ、胎児性水俣病患者の坂本しのぶさんは現地に入り、被害の現状などを訴える。
 なぜ悲劇は起きたのか、なぜ拡大を防げなかったのか。
 教訓を世界に発信していくためにも、政府には被害の全体像を把握し、解決に向けて誠実に対応することが求められる。


これで値引き!?“根拠”の写真入手 森友事件「8億円」の真相は
 森友学園への国有地売却問題。逮捕された籠池前理事長夫妻への捜査が進む一方で、MBSは土地が大幅に値引きされる根拠となった森友学園側が国に提出したとされる資料を入手しました。添付された写真は日付もなく文字が読み取れないなど不鮮明なもので、本当にこれを根拠に8億円以上もの値引きが行われたのでしょうか。
 詐欺などの疑いで、21日再逮捕された森友学園の前理事長・籠池泰典容疑者(64)と妻の諄子容疑者(60)。塚本幼稚園の運営について虚偽の書類を提出し、大阪府の補助金約9200万円をだまし取った疑いがもたれています。このうち7000万円が障害のある園児の数に応じて支給される補助金でしたが、大阪地検特捜部は申請されたのべ119人分すべてが架空請求だったとみて調べています。なぜ架空請求を見抜けなかったのでしょうか。
 「まさか診断書が偽造されているというのは、われわれ当然そういうふうに思っていませんので。明らかに怪しいといのは当然ありませんでした」(大阪府教育庁私学課 吉本馨課長)
 今後は「審査の厳格化を検討している」といいますが、物理的な限界は否めないといいます。
 「大阪府全体で申し上げますと、1000人を超える方の特別支援の申請を受け付けておりますので、ひとりひとり全員分をヒアリングするというのは、なかなか物理的にできないかなと」(大阪府教育庁私学課 吉本馨課長)
 一方、この問題の発端となった国有地が大幅に値引きされた問題。MBSは国の値引きの根拠となった森友学園側が国に提出したとされる資料を入手しました。
 小学校の建設現場を掘り返した際、ごみが地中に埋まっていたとする21枚の写真。掘り出された土には確かにごみが混ざっているように見えます。国は森友側から提出された資料などを根拠に、小学校の建設用地の地下、深さ3.8メートルまでごみが大量に埋まっているうえ、校舎建設のために杭を打った場所には深さ9.9メートルまでごみがあったとして、ごみの撤去費用を名目に8億円以上を“値引き”していました。
 今回、ようやく明らかになったその根拠となる現場の写真。ところがよく見るとかなり不鮮明で、いつどこで撮影されたのか文字を読むことはできず、穴の深さを示すはずのメジャーの数値も確認できません。
 ある写真の説明文では「地下4メートルまで掘り3.8メートルまでごみの層があった」としていながら、写真に写るボードには「深さ3メートル」と書かれていて、日付も空白です。これらの写真だけで、地下深くまでごみが大量に埋まっていると判断することはできそうにありません。
 今年2月に行われた民進党のヒアリングでは…
 「杭があるところは地下9.9メートルまでごみがあるだろうと、それ以外の土地は3.8メートルの深さまでごみがあると想定される」(ごみ撤去費用を算定した大阪航空局の担当者・今年2月)
 「この場所の地下3.8メートルに、取らないと困る埋設物があったという写真はどれですか?単純な質問。確認してないなら確認してないって言って。現地に行かれたんですよね?」(民進党 玉木雄一郎衆院議員)
 「穴から出てきたということを説明できる写真はございません」(近畿財務局の担当者)
 「そんなことで8億円値引きしたの?」
 追及を受けながらも、地下深くまでごみが埋まっていた証拠を示してこなかった国の担当者。8億円もの値引きの根拠はまさかこの写真だけだったんでしょうか。


加計・獣医学部施設の設計図が流出! 研究施設にワインセラー、病原体封じ込め不十分、補助金不正の新疑惑も
 加計学園問題で新たな動きが出てきた。加計学園が新設する岡山理科大学の今治キャンパス獣医学部棟の設計図面を含む関連文書全52ページを複数のメディアが入手、建設内容の「あり得なさ」を指摘しはじめたのだ。
 たとえば、加計問題でスクープを連発している「週刊朝日」(朝日新聞出版)は、オンライン版で今治キャンパスの設計内容の問題点を報道している。
 そもそも、加計学園は獣医学部を新設する目的として〈創薬プロセスにおける多様な実験動物を用いた先端ライフサイエンス研究の推進〉を挙げてきたが、その研究で重要になってくるのが、ウイルスや細菌などの研究・実験施設だ。そして、取り扱うウイルスや細菌などのレベルに応じて「バイオセーフティーレベル」が4段階で設けられており、施設に対してはそのレベルにあわせて管理・安全対策の基準が定められている。
 そんななか、加計学園新学部設置準備室長で獣医学部が新設されれば学部長に就任予定の吉川泰弘・千葉科学大学教授らは、4月11日に今治市で開かれた住民説明会でも「病原体などの取り扱いについて」質問を受け、このように回答している。
〈世界中の科学者が経験と議論を重ね安全対策を講じたバイオセイフティーレベル3の施設によって完全に封じ込めが可能です〉(今治市HP資料より)
 しかし、今回の「週刊朝日」の取材に対し、バイオセーフティーレベル3の部屋が配置された獣医学部棟5階平面図を見た研究者は「隔離性の低さ」を指摘。「これでは高病原性鳥インフルエンザの検査、診断、実験、研究は難しいと思う」と語っているのだ。
 病原体を〈完全に封じ込めが可能〉という説明とはまったく違い、隔離できないのではないか──。これが事実なら、学生や教職員だけではなく地域住民にとっても大きな問題。隔離性の低い施設で高病原性鳥インフルエンザの研究をおこなうなど、まさに背筋が凍るような話だ。さらにそれだけではなく、この研究者は「施設全体でみても、動物実験を理解していない人が設計しているんじゃないか」とさえ話している。
獣医学部施設にワインセラー、補助金不正の疑惑も
 しかも呆れるのは、加計学園の危機管理に疑問がつく一方、この獣医学部棟の最上階である7階には、信じがたい豪華施設の存在が設計図に書き込まれていることを日刊ゲンダイが報じた。
 その豪華施設とは、「パントリー」(配膳室)と「大会議室」と書かれた部屋。そのパントリーには驚くことに「ワインセラー」や「ビールディスペンサー」などという文字が図面に躍るという。ようするに、「大会議室」とは酒盛りに対応する“宴会場”ということなのだろう。言っておくが、ここは「国際水準の獣医学教育」をおこなうという触れ込みの大学であって、ホテルの宴会場ではない。
 そして、忘れてはならないのは、この獣医学部の建設には森友学園に似た“補助金不正申請”の疑惑もあることだ。
 今治市は獣医学部新設のために約37億円の土地を無償譲渡し、建設費96億円を愛媛県とともに補助。市は最大64億円を負担する予定だが、今治市議会は6月21日に獣医学部の施設など建設にかかる費用見積もりを約148億円と公表。単純計算で坪単価は約150万円となるが、これが相場よりかなり高い、と指摘されていることは既報の通りだ【http://lite-ra.com/2017/07/post-3294.html】。
 さらに今回、流出した設計図を見た建築エコノミストの森山高至氏は、「獣医学部なので特殊な建物かと思っていたら、ごく普通の商業施設と同じレベル」(前述「週刊朝日」オンライン版記事より)と指摘。「なんらかの獣医学部の施設がプラスされるのでしょうが、坪単価で80万円から、高くとも100万円でしょうね。とても150万円するとは思えない」と話すのだ。
 つまり、相場よりもかなり高い建設費の見積もりをもとに今治市は96億円の補助金を捻出することを決めてしまったが、加計学園は高額な補助金を得るために建設費を水増ししているのではないか、という疑惑がもち上がっているのである。
新聞、テレビも設計図を入手、決定的な続報が
 国家戦略特区での決定プロセスが「歪められた」という問題もさることながら、今回浮上した大学設置審の判断にも大きく影響する施設の管理・安全性、さらには建設費見積もりの妥当性も大きな問題だ。
 いまこの問題を取り上げているのは、前述した「週刊朝日」や日刊ゲンダイ、フリージャーナリストの田中龍作氏くらいしかいないが、本サイトが取材したところ、他のメディアも取材に動いているようだ。
「すでに複数のテレビ局や新聞社がこの設計図を入手していて、いまは専門家に意見を求めながら、情報を精査している最中。追って続報が出るはずです」(大手紙記者)
 安倍首相は北朝鮮のミサイルを警戒し、夏休みを返上、18日に公務に復帰したと伝えられたが、昨日も例のフィットネスクラブに出かけた以外は私邸でのんびり過ごしている。北朝鮮問題で加計報道が減ってすっかり安心しているのかもしれないが、疑惑が雪だるま式に膨れあがるなか、これで逃げ切るなどありえない。徹底追及の手を緩めるわけにはいかないだろう。(編集部)


前川喜平・前文科事務次官が証言「加計学園獣医学部新設は、素人が説明・評価して進められた」
 今治市の加計学園獣医学部新設問題で、「総理のご意向」を告げられたと証言した前川喜平・前文科事務次官にインタビュー。「ご意向」のもと、文科省が成功をおさめていた「共同獣医学部構想」とはまったく逆の方向で、“素人の説明・評価”によって官邸が獣医学部新設を進めようとしていたと前川氏は語った。
文科省が進めていた「共同獣医学部」は成功している
――前川さんが事務次官になる前から、文科省は国際水準に達していない日本の獣医学部のレベル向上をはかろうとしていましたね。
前川:文科省としては、「量の拡大」ではなくて「質の向上」が課題でした。獣医学教育を国際水準に引き上げるために、獣医学部がある16の大学同士で協力関係を作って質を高めようと考えた。これが「共同獣医学部構想」(大学同士の獣医学部の合体)です。すでに取り組みが始まっていて、成功していると思います。
――16大学のうち8大学で再編が進み、鹿児島大学と山口大学をはじめ4つの共同獣医学部が誕生。文科学省は国家戦略諮問会議の配布資料の中で図示しています。
前川:そうなのです。「黒い猫でも白い猫でも(何でも)良かった」と国会で発言した加戸守行・前愛媛県知事(今治商工会議所特別顧問)は2016年9月21日、国家戦略特区の今治市分科会で「世界に冠たる先端ライフサイエンス研究を行う国際教育拠点」と「アジア・トップクラスの獣医大学・学部」を作ると説明したのですが、それなら共同獣医学部を作るべきです。
獣医学部新設は、国際水準にレベルアップしようとする文科省構想に逆行
前川:獣医学部新設は、国際水準までレベルアップをしようとする文科省の構想と逆行しています。加戸さんは獣医学について素人だし、「実に説得的だった」と評価した八田達夫教授(国家戦略特区ワーキンググループ座長)も同じく素人。素人が説明をして素人が評価しただけで、専門的な見地から検討されていなかったのです。
 獣医学の教員のマンパワーは限られていて、新たに獣医学部を作れば人材が足りなくなるし、安倍首相が言うように「(獣医学部新設の)2校目、3校目を作る」というのも論外。専門家たちは「実態を知らない素人の発言だ」と口を揃えて言っています。
加戸守行・前愛媛県知事は、地元に大学が来れば何でもよかったのでは
――前川さんの元上司でもある加戸守行・前愛媛県知事は、なぜ“古巣”の政策(共同獣医学部構想)に逆行する主張をしたのでしょうか。
前川:加戸さん自身が文科省で高等教育行政をほとんどやったことがない。文科省OBというよりは愛媛県知事経験者として、とにかく地元に大学が来てくれれば良かったのだと思います。国家戦略特区の目的は「日本中でどこにもないものを作って国際競争力の強化と国際的拠点を形成する」ということ。もし作るのであれば「国際競争力」のある、「国際的拠点」と言えるようなものにしなければならない。
――しかも加計学園の場合は、教員と学生の比率が約1対3(国立大学は約1対1)という国内最低レベルです。
前川:(国際競争力のある国際的教育拠点になるのは)ありえないですよ。計画をどうやって実現するのか、本当に質の高い教員を集められるかという具体的な道筋については何一つ語っていない。それでも、獣医学部新設が決まってしまうわけです。
 さらに前川氏は「加計学園獣医学部新設の“司令塔役”は和泉洋人首相補佐官だろう」とも指摘する。また、今治市民からは加計学園の建設費水増し疑惑・賄賂疑惑に関する告発も出てきた。これら多くの疑惑が未解決の加計学園問題について週刊SPA!8月22日発売号掲載記事「加計学園 黒幕と補助金水増し」では、さらに詳しくリポートしている。
【前川喜平氏】 1955年1月、奈良県生まれ。東京大学法学部卒業後、1979年に文部省入省。初等中等教育局教職員課長や官房長などを経て2016年6月、事務次官に就任したが、2017年1月に天下り問題で引責辞任。祖父は前川製作所の創業者。取材・文・/横田 一


高校生平和大使の核廃絶演説中止の背後に安倍腹心の軍縮大使…集団的自衛権にも暗躍した防衛官僚が軍縮会議の代表者に
 スイスのジュネーブ軍縮会議で「高校生平和大使」による演説が見送られたことが波紋を広げている。
 高校生平和大使は、日本の高校生が国連に赴き、核兵器廃絶を訴える活動。1998年に始まり、近年では2014年から3年連続で核兵器廃絶の演説の機会が与えられ、ジュネーブ軍縮会議の本会議で高校生がスピーチを行っている。また、活動20年目にあたる今年は、核兵器の廃絶と平和な世界の実現を目指すための署名が過去最高の21万4300筆も集まった。
 8月17日には、高校生平和大使に参加する長崎県の高校生3人が田上富久長崎市長を表敬訪問。軍縮局幹部の前での演説を予定していた女子高生が「微力ながらも、世界に核兵器の廃絶を精いっぱい訴えてきたい」と抱負を語っていた(毎日新聞8月18日長崎版)。
 ところが、その核廃絶の願いを届ける高校生の演説が、今年は不可解なことに、直前で白紙になってしまったのだ。
 いったい何が起きたのか。当初、高校生平和大使は22日に国連へ決議文を提出し、軍縮会議の場でスピーチをする予定だったが、共同通信によれば、18日に急遽取りやめとなったことが判明。軍縮会議日本政府代表部は「今年は軍縮会議の議事上、適当でないと判断した」としている。一方、東京新聞は〈関係者によると、大使を派遣する市民団体「高校生平和大使派遣委員会」が今年も軍縮会議での演説を打診したところ、外務省の担当部局である軍備管理軍縮課から「今回は難しい」と回答があった。明確な理由の説明はなかった〉と報じている。
 つまり、日本政府側が高校生平和大使側に、説明もなくストップをかけたというのだ。20日付けの西日本新聞では、引率する元教師が取材に対し「正式に見送りを伝えられたわけではないので何とも言えない」とした上で、「政府が反対している核兵器禁止条約を平和大使が『推進すべきだ』と主張してしまうことを、外務省側が恐れたのではないか」と推測しているが、実際、そういうこととしか思えない。
対米従属の先兵だった元防衛官僚を軍縮大使にした安倍政権
 周知の通り、日本は“唯一の被爆国”であるにもかかわらず、核保有国であるアメリカなどとともに、核兵器禁止条約に反対の姿勢をとり続け、交渉にすらも参加しなかった。今月7日の国連採択後も日本政府として「署名しない」と明言するなど、世界の潮流である核軍縮へ強固に反発している。
 さらに安倍首相は、今年の広島と長崎での平和式典でも露骨な態度を見せた。松井一実広島市長が「日本国憲法が掲げる平和主義を体現するためにも、核兵器禁止条約の締結促進を目指して核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組んでいただきたい」と求め、田上長崎市長が「核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません」と強く批判したのを尻目に、安倍首相はあいさつで核兵器禁止条約に一切言及しなかったのだ。
 そう考えてもやはり、今回の高校生平和大使の件では、政府側が強くプレッシャーをかけて、高校生による国連での核廃絶スピーチを阻止したと考えるのが自然だろう。
 さらに、このスピーチ取り止めには、軍縮会議日本政府代表部大使(軍縮大使)の人事が関係しているのではないか、ともいわれている。
 この軍縮大使というのはその名のとおり、ジュネーブ軍縮会議の日本政府代表なのだが、昨年12月の人事で、その責任者に安倍首相と近い防衛官僚の高見沢将林氏が就任していたのだ。
 軍縮大使に外交官ではなく、元防衛官僚が就任するのは異例中の異例。実際、ここ20年をみても、民間から起用された猪口邦子氏(現・自民党参議院議員)を除いて全員が外務省出身者だった。
 しかも、高見沢氏は昨年の退官まで、一貫して日米安保畑を歩んだ元エリート防衛官僚で、第二次安倍政権では安全保障担当の内閣官房副長官補として官邸入りするなど、安倍首相の覚えがめでたい人物。集団的自衛権の行使容認を議論する首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の事務局を仕切り、2014年の閣議決定の際には高村正彦・自民党副総裁や横畠裕介・内閣法制局長官らとの「秘密会合」で政府案を練り上げたほか、日米安保体制=対米従属の固定化を目指す安倍政権の裏方をつとめてきた。
軍縮大使は民主党時代、米国に沖縄基地を県外移転しないよう提言していた
 その高見沢氏がいかに“日米安保の権化”であるかを示す、こんなエピソードもある。沖縄の基地負担減を目指した民主党政権が、米軍普天間基地の「県外移設」を掲げた際、当時、防衛政策局長だった高見沢氏が、2009年10月、当時のキャンベル米国務次官補に「(民主党の県外移設案に)あまり早期に柔軟性を見せるべきではない」と耳打ちしたことが、ウィキリークスが公表した米国の公電によって明らかになっている。また、1996年の辺野古代替施設建設の日米交渉時には、オスプレイの配備を念頭に置きながらも、地元側に明言しないよう米側と想定問答集を調整したとされるなど、高見沢氏は米側を慮る日本政府の方針を陰に陽に実行に移してきた。
 こうした経緯を踏まえれば、安倍政権が高見沢氏を軍縮大使に異例の起用をしたのは、あきらかに核兵器禁止条約に反対する米側と歩調をあわせ、国連でのネゴシエーションや国内の世論調整を担わせるためだろう。
 今回の高校生平和大使の演説取りやめも、その延長線上にあると考えるべきだ。もっとも、高見沢氏による直接の指示があったかは現段階では不明だが、少なくとも、安倍政権のもとでは、市民が核兵器廃絶の思いを述べる機会さえ奪われてしまうことは間違いない。こんな政権が被爆国にふさわしいのか、わたしたちはいま一度よく考えるべきだろう。(編集部)