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Ikejime: le poisson dans son plus bel état
Cette technique traditionnelle d’abattage japonaise, moins stressante et cruelle, garantit des chairs marines d’exception. Maints chefs ont succombé. Illustration au Flacon carougeois.
Un carpaccio de bar. Avec des lamelles de nectarine, des tagliatelles de navet et quelques amandes effilées. Sympa, estival et alléchant. On attrape une fine tranche de poisson du bout de la fourchette. On engloutit, sans trop y réfléchir. Et là, boum! Maman, quelle fraîcheur! Quelle pureté gustative! Un embrun dans la glotte. Rarement on a goûté une chair aquatique crue à ce point croquante et tonique. Bluffant. Emouvant, même. Nous sommes au Flacon, coquet resto étoilé de Carouge. Comme maints autres grands chefs suisses et français, le maître des lieux, le jeune Yoann Caloué, ne jure plus que par les poissons abattus selon la technique ikejime. Prononcez ikéjimé. Soit ≪mort vive≫ en japonais.
Eloignez les enfants du poste. On va causer mise à mort. Car même si l’ikejime s’avère moins stressant et cruel que les techniques habituelles d’abattage, c’est bien de l’exécution de l’animal qu’il s’agit. ≪Les poissons sont pêchés à la ligne et extraits vivants de l’eau≫, explique l’amène Frédéric Dinh van Chi, boss d’Ultramarine, l’importateur de poisson genevois. ≪Là, le pêcheur détruit d’abord le cervelet d’un coup de lame. Puis il enfonce une tige le long de sa colonne vertébrale. Et lui coupe enfin la queue pour le vider de son sang.≫ Dès le crochet retiré, l’animal ne sent plus rien. En quelques secondes, le système nerveux a été anéanti. De loin, l’affaire paraît un peu gore. Quiconque a assisté à l’agonie gigotante d’une bestiole étouffant au fond d’un seau sait que la fin des créatures marines peut être bien plus barbare.
Tonus et douceur
≪On se retrouve avec un poisson d’une tenue exemplaire≫, s’enthousiasme Yoann Caloué dans sa cuisine, en caressant un beau thon blanc à l’œil brillant et à la peau luisante. ≪Il se daube bien plus lentement que les animaux standards. On peut le garder une semaine au frigo sans que la chair ne se dégrade. C’est exceptionnel. Certains chefs le font même rassir avant de le préparer.≫ Lui mitonne ses poissons ikejime crus ou cuits. Cuits avec une maniaquerie folle. Quelques minutes sous vide à la vapeur, avant un passage express sur le feu. Son merlan, pêché la veille en Bretagne, flanqué de chou-fleur émietté, de noisettes concassées et d’un sabayon au citron caviar, se détache en corolles translucides et se montre à la fois d’un tonus et d’une douceur inouïs.
On se pâme. On s’emballe. On se pourlèche. Il faudrait pourtant pouvoir comparer cette bestiole magnifique avec un merlan issu de la même pêche, mais tué de manière traditionnelle. ≪Les gourmets japonais reconnaissent immédiatement un abattage ikejime≫, assure le jeune chef du Flacon. Il est vrai qu’au pays du Soleil levant, on ne rigole pas avec la fraîcheur et la qualité du poisson. Cela fait des siècles que l’on y pratique cette technique, née à une époque ou n’existaient ni la réfrigération ni les moyens de transports rapide. ≪Au Japon, il est fréquent qu’une fois pêché et avant d’être tué, le poisson soit remis dans un bassin pour qu’il déstresse totalement.≫ Notez le raffinement.
Ribambelle de chefs
Depuis le début de 2016, l’ikejime s’est donc glissé sur les cartes de chefs français d’envergure: Sébastien Bras, Alain Ducasse ou Christopher Hache du Crillon. Sous nos cieux, la maison Ultramarine, qui travaille avec des pêcheurs bretons rompus à la technique nippone, propose ce type de poisson depuis six mois à peine. Les prix sont plus élevés, d’environ 30%, par rapport aux produits normaux. Manor a mordu. Tout comme une ribambelle de cuisiniers régionaux de haut vol: d’Anne-Sophie Pic à Dominique Gauthier, en passant par Edgard Bovier ou Jean-Marc Bessire. Bref, il semblerait bien que l’ ikejimania soit en marche dans les cuisines romandes. Voilà une bien bonne nouvelle pour nos crocs et papilles.
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週刊 ニュース深読み「ギョギョギョッ!! 日本の食卓から魚が消える?」
秋の味覚サンマの不漁が続いています。またスルメイカの不漁で人気駅弁“いかめし”も値上げ。最近、魚がとれないというニュース多くないですか?一体何が起きているの?
マグロやウナギといった高級魚だけじゃない!いわゆる大衆魚も、多くの種類で値上げが続いています。このままでは、将来日本の食卓から美味しい魚が消えてしまう!と警鐘を鳴らす専門家も。ギョギョギョッ!と思ったあなた、そうならないために今回の「深読み」は必見です!みなさんもメールやツイッターで番組に参加してください。メールは番組HPから。ツイッターは「#nhk_fukayomi」をつけて投稿してください。 松本明子,向井慧, 東京海洋大学准教授…勝川俊雄, 野本良平,NHK解説委員…合瀬宏毅, 首藤奈知子,小松宏司, 南利幸, 徳永圭一

tetsuro‏ @artanart02
大阪駅の大規模改造(それに続く、うめきた含む駅北側再開発)が大阪変化のポイントと思いますが、あれを維新シンパの人らは橋下徹らの成果と公言してますね。建築屋の私は計画時少しお手伝いしたのではっきり言えますが、当時橋下徹は茶髪のタレント弁護士でした。
望月衣塑子‏ @ISOKO_MOCHIZUKI
#朝日新聞 の #尾形聡彦 機動特派員 の著 「 #乱流のホワイトハウス 」(岩波書店)読み、 日本との違いに愕然。「事前の打ち合わせなどないのに、誰か1人の記者が攻撃されているのを目にすると、他社の記者たちは一致してそうした政権の姿勢を批判し、その記者を擁護するのが常だ」
建築エコノミスト森山‏ @mori_arch_econo
小池都知事の「正体見たり」と築地関係者が猛反発 https://dot.asahi.com/dot/2017090200009.html …小池百合子都知事の“変節”に、築地市場関係者や専門家らが猛反発。市場移転問題で協力的だった人たちが最近、小池知事と次々と袂を分かち、批判する側へと回っている。
内田樹‏ @levinassien
頻用される「回答を控えたい」という定型句の意味は「その質問は、それに正しく答えると私が失職し、きびしい社会的制裁を受ける可能性が高い質問です」ということに確定したので、どこかの国語辞典に採用してください。
Tad‏ @CybershotTad
#報道特集
金平キャスター「考えてもみて頂きたいのですが、仮にナチスドイツのホロコーストの犠牲者を第2次大戦中のドイツ人全体の中で追悼するから特別な形での追悼を控えたということになったら、どういうことが起きるか、今後、小池知事には誠実な対応を求めたいと思う」

SK-2‏ @sing_whale
#報道特集 冒頭で金平キャスターが関東大震災で多くの朝鮮人が虐殺されたという歴史の事実に、私達は今どう向き合うのかと切り出した。ドイツの元大統領、ワイツゼッカーの名言を引用。
「過去に目を閉ざすものは現在にも盲目になる」

武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)‏ @AntiArmsNAJAT
9月2日の #報道特集 。虐殺の嵐が吹き荒れた中で、朝鮮人約300人と中国人約70人を鶴見警察署内に保護した大川常吉署長。朝鮮人からの感謝状が残っている。孫の大川豊さんは「よく知っている朝鮮の人だったという」「仕事としても、人間としても当たり前のことをやった」と。
上川あや 世田谷区議会議員‏ @KamikawaAya
「ロヒンギャ問題 ミャンマーの民主化と人権侵害」(NHK 時論公論) http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/278188.html … スー・チー国家顧問「ロヒンギャ住民の証言は捏造」。マレーシア首相「何のためにノーベル平和賞を受賞したのか」。歴代ノーベル平和賞受賞者13人もスー・チー氏に抗議書簡
市民メディア放送局‏ @info_9
『加計学園・獣医学部の建築図面がネット上に公開された。それを見た専門家は細菌やウイルスを封じ込める設備の貧弱さを見抜き、建築家は192億円の建設コストが高すぎると指摘』

鶴見の植物園に食虫植物を見に行きました.毎年この時期に開催しているのは,夏休みつまり子どもたちに見に来てほしいからなのでしょう.わたしは2回目ですが,食虫植物はスゴイと思ってしまいます.
帰りは西三荘ゆとり道を通りました.いい雰囲気でスゴイです.涼しくなったらまた来たいです.

被災の女川交番、駅前に完成 安心守る
 東日本大震災で被災した宮城県警石巻署女川交番が女川町のJR女川駅前に完成し、1日に現地で落成式が行われた。震災から約6年半を経て、町中心部に交番が戻って来た。
 新しい女川交番は鉄骨2階、延べ床面積110平方メートルで、建設費は5500万円。周囲の景観になじむれんが調のデザインを取り入れた。署員6人が2人ずつ交代で駐在する。
 式典には署員や町関係者ら約50人が出席。女川交番の佐藤恵所長が「安全安心な地域社会の実現に向け、誠心誠意努力する」と決意表明した後、門標を取り付けた。
 旧女川交番は津波でなぎ倒された状態のまま、震災遺構として保存されている。2011年12月から同町浦宿浜の仮設商店街「きぼうのかね商店街」敷地内に仮設交番を構え、業務を続けてきた。


<塩釜市>災害公営住宅に一般入居者 空室57戸で募集へ
 宮城県塩釜市は1日、整備した災害公営住宅に空きが出たため、入居条件を被災者以外にも広げた一般募集を4日に始めると発表した。
 募集するのは計57戸。内訳は清水沢東1号棟36戸、同2号棟17戸、錦町東2戸、寒風沢2戸。入居には月収などの制約がある。市外在住者も申し込めるが、現在、県営・市営住宅に住んでいる人は対象外。申込書を4日から配布する。受付期間は11〜20日。
 市は被災者に入居を呼び掛けてきたが、応募がないことから一般募集する。整備した計390戸のうち約15%が空きになったことについて、佐藤昭市長は「被災者へのアンケートや聞き取りを通じて最大公約数の整備を計画したが、完成まで6年もかかったのは反省材料だ」と語った。
 連絡先は市定住促進課022(355)8347。


<岩沼市>集団移転地を一般に分譲 11区画対象
 宮城県岩沼市の菊地啓夫市長は1日の定例記者会見で、東日本大震災で被災した同市玉浦地区の集団移転先、玉浦西地区の11の空き区画を分譲することを明らかにした。被災した市民を優先するが、市外の子育て世帯なども申し込みできる。10月1日に募集要項を市ホームページなどで発表する。
 11区画は面積が約498〜約202平方メートルで、約1480万〜約550万円。市内にあった住宅が全壊か大規模半壊と判定されたか、半壊で取り壊した被災者が優先される。市外在住者でも子育て世帯などは応募できる。
 市は玉浦西地区への移転世帯を158と見込み、2012年8月に造成工事を開始。2年後に完成したが、個別移転や災害公営住宅の完成などで世帯数が想定を下回った。災害危険区域に住む市民の移転動向を待ち、分譲を決めた。


<熊本地震>復興願い青森ねぶた出陣
 熊本地震の被災地復興を願い、今年の「青森ねぶた祭」に出陣した大型ねぶた1台が2日、熊本市の熊本城二の丸広場を練り歩いた。ねぶた祭に参加した有志が昨年に続き企画。青森から訪れた踊り手「ハネト」約50人が「ラッセラー」の掛け声とともに跳ね踊り、会場は熱気に包まれた。
 妻子が熊本市に住む青森市の会社経営外崎玄さん(65)らが中心となり準備。午後6時すぎ、修復中の熊本城を背に、高さ5・5メートル、幅9メートル、奥行き7メートルのねぶたが点灯し勇壮な姿が浮かび上がると、訪れた人から歓声が上がった。


<民進党代表選>共闘推進 岩手の野党が新執行部をけん制
 野党共闘に慎重な前原誠司元外相が民進党の新代表に選出されたのを受け、全国に先駆けて共闘方針を進めてきた岩手県の野党各党からは1日、路線継続を求める声が相次いだ。
 岩手の野党4党は、2015年知事選(無投票)と16年参院選で共闘。次期衆院選も、2区で民進党公認の畑浩治元衆院議員(53)を各党が支援する方針で合意している。
 畑氏は「民進党の議席を増やすためにも、これまでの共闘の流れを踏まえて柔軟に対応してほしい」と新執行部に要望する。
 社民党県連の細川光正幹事長は「野党の中心として共闘態勢の構築にリーダーシップを発揮してほしい」、自由党県連の佐々木順一幹事長は「安倍政権打倒のために4党結集は自然なこと。岩手は実績もある」と、それぞれ民進党新執行部をけん制した。
 前原新代表が政策の一致で懸念を示す共産党の菅原則勝県委員長は「既に公党間の約束があり、連携は動きだしている。この流れは変わらないし、止められない」と話した。


<民進党代表選>前原氏へ東北の党所属国会議員が期待と注文
 民進党新代表に前原誠司元外相が選出された1日、東北の党所属国会議員からは政権交代に向けた挙党態勢の構築や大胆な執行部人事を促す声が上がった。東北では昨年の参院選や7月の仙台市長選で野党共闘が勝利につながっており、共闘に慎重な前原氏に軌道修正を求める意見もあった。
 東北の所属国会議員14人のうち、8人が前原氏支持を表明した。玄葉光一郎氏(衆院福島3区)は「党は断崖絶壁に立っている。挙党一致を目指すため若手を積極登用するなど、みんなが納得できる人事が望ましい」と求めた。
 階猛氏(衆院岩手1区)は「政権交代を実現するためのリーダーシップに期待したい。東日本大震災の被災地の声をよく聞き、着実に復興に取り組んでほしい」と述べた。
 枝野幸男元官房長官への支持を明らかにしたのは寺田学氏(衆院比例東北)と金子恵美氏(同)の2人。寺田氏は「結果を受け止め、新代表の下で一致団結して頑張る」と語った。
 仙台市長選などで野党共闘を推進した安住淳氏(衆院宮城5区)は投票先を明示しなかったものの、「国会議員の投票結果は大差と報じられたほど差はなかった。共闘見直し方針に警鐘が鳴らされた」と指摘。「東北や過疎地の声に耳を傾け、信頼感を高めてほしい」と注文を付けた。
 10月には衆院青森4区などで「トリプル補選」がある。田名部匡代氏(参院青森選挙区)は支持を明かさなかったが「枝野氏とも結束し、国民の受け皿をしっかりつくってほしい」と補選に向けた発信力に期待を寄せた。升田世喜男氏(衆院比例東北)、近藤洋介氏(同)も投票先を明らかにしなかった。


民進党代表に前原氏/地方の基盤づくりを急げ
 民進党の新たな「顔」がきのう、決まった。前原誠司元外相(55)が、枝野幸男元官房長官(53)との一騎打ちを制し、代表に選出された。
 党は支持率回復の兆しがないまま離党者が相次ぎ、閉塞(へいそく)感が充満している。まさに存亡が懸かった瀬戸際だ。立て直しのラストチャンスと言っていいだろう。
 前原氏も「非常に難しい船出」と認め、「新たな選択肢を示し、国民への使命を果たす考えだ」と決意表明した。自民党に代わって政権を担う受け皿となるための「軸足」をどこに置くのか。今後、具体像を示していくべきだ。
 保守派の前原氏が満遍なく支持を集めたように見えるが、そう単純ではあるまい。リベラル派が支援した枝野氏が代表に就けば、保守派が反発して党の分裂につながりかねないという危機感の「逆バネ」が働いたのも要因の一つだろう。
 それだけ「寄り合い所帯」ゆえの、内紛体質が色濃く投影されている。前原氏は今度こそ、党のガバナンス(統治)を確立すべきだ。不一致を一致させるまで徹底的に議論し、決まった方針には結束して従う組織風土に改めないと、民主党と同じ轍(てつ)を踏む。
 代表選では野党共闘、憲法改正、原発ゼロ、社会保障の財源などを巡って論戦が交わされた。選挙後にしこりを残さず、挙党態勢を構築できるかどうかが鍵だろう。
 前原氏の試金石は、新代表になって初の国政選挙となる10月のトリプル衆院補選(青森4区、新潟5区、愛媛3区)。自民党が占めていた議席の一角を崩せるかどうか、早速、手腕が問われる。
 自民1強に野党がバラバラになっては勝ち目はない。前原氏は共産党を含む野党共闘の見直し論者だが、政治は数の世界でもある。何を優先すべきか、補選も含め次期衆院選に向けて議論すべきだ。
 自民党と異なる、どのような対立軸を掲げていくのかも課題である。前原氏は、基本理念として掲げたのが「オール・フォー・オール(みんながみんなのために)」。
 国民に応分の負担をしてもらう代わりに、「全ての世代の不安を解消する」として、年金の安定化や介護サービスの充実などを主張した。
 財源は消費税税率引き上げで賄う意向だが、民主党が割れる引き金になったテーマ。国民に痛みを求める増税を掲げて総選挙に臨むのか、難しいかじ取りを迫られよう。
 アベノミクスに代わる経済政策も重要である。地方に恩恵をほとんどもたらさず、格差の拡大は深刻だ。少子高齢化が急速に進む地方の切実な声に耳を傾けてほしい。
 地域の課題を掘り下げていけば、おのずと日本の「病巣」と共に、対抗軸が見えてくるのではないか。一足飛びの党改革は無理。「風頼み」から脱却するためにも、地方の基盤づくりを急ぐべきだ。


民進党新代表に前原氏 「ど真ん中」の空白埋めよ
 民進党の新代表に前原誠司氏が選ばれた。前原氏の言葉を借りれば、同党にとってのラストチャンスだ。そこで前原氏に注文したい。
 一つは、日本の政党政治の「ど真ん中」に生まれた空白を埋めるべく努力することだ。
 民進党は旧民主党の時代から「穏健な保守層」への支持拡大を狙ってきた。だが、野党転落後は右傾化した安倍政権に対抗する形で左に軸足を置きがちだった。
 その民進党が政党政治の一方の軸たり得ていないことは、7月の東京都議選の結果からも明らかだ。「安倍1強」のおごりに愛想を尽かした政権批判票の多くは「都民ファーストの会」に集まった。
 今回の代表選では共産党との選挙協力の是非が最大の争点となった。民進党としてどういう政策理念を掲げるのかに直結する論争を期待したが、次期衆院選で生き残るにはどの政党と組むのが得策かという戦術論が先に立った感は拭えない。
 前原氏は自民党に対抗する理念に「オール・フォー・オール(みんながみんなのために)」を掲げた。少子高齢化対策の充実に必要な負担を社会全体で分かち合う考え方だ。
 安倍政権の「1億総活躍」や「働き方改革」と何が違うのか。政策の肉付けを急ぎ差別化を図るべきだ。
 もう一つ注文したいのは「自民党に学べ」ということだ。党内に対立があっても、議論して決めたことはまとまって実行する。政党組織として身につけるべきガバナンス(統治)の基本だ。権力への執着は自民党の強さの源泉でもある。
 旧民主党政権の反省として前原氏は「党が常にバラバラだった」と振り返った。消費増税などを巡る政権の迷走と党分裂の記憶は、国民からの信頼回復を今も阻み続けている。
 政権を批判していれば一定の支持が得られた野党第1党の地位も揺らぎ始めた。「小池新党」の結成をにらんだ離党の動きもくすぶる。
 先送りしてきた憲法改正や原発ゼロなどの議論を今こそ徹底的に行い、党の政策理念を固めて国民に提示すべきだ。その過程で野党再編に進むくらいの覚悟があってもいい。
 「もう一度、この党を選択肢として国民に示す」と宣言した前原氏の本気度が試される。


民進代表に前原氏 選ばれる党へ再生急げ
 民進党の新代表に前原誠司元外相(55)が選出された。再び選ばれる政党に再生するには、目指す社会像を示し、信頼回復に全力を挙げなければならない。
 民進党を取り巻く厳しい現状を象徴するような、盛り上がりを欠く選挙戦だったのではないか。
 七月の東京都議選での惨敗を受けた蓮舫代表の事実上の引責辞任表明に伴う代表選。枝野幸男元官房長官(53)との一騎打ちを制したのは、前原氏だった。
 前身の旧民主党時代からともに党や政権の中枢にあり、成功も挫折も経験したベテラン同士。「保守」「リベラル」と強いて色分けすれば、党の再生をリベラル系の枝野氏ではなく、保守系の前原氏に託したということだろう。
◆国政選挙で敗北続き
 旧民主党時代からほぼ毎年のように代表選が行われ、代表が頻繁に交代してきた。二〇〇九年の衆院選では政権交代を果たしたものの、それ以降の国政選挙では負け続け、党を取り巻く政治的な環境はより厳しくなっている。
 頻繁な代表交代は、民進党がどんな社会を目指しているのかという、党の理念や政策をも、見えにくくした。選挙敗北→代表交代→目指す社会像の不明確化。そうした信頼喪失の悪循環を断ち切ることができるのか。前原新代表と、それを支えるすべての党関係者の覚悟が問われている。
 一二年の自民党の政権復帰後、安倍晋三首相の「安倍一強」といわれる政治状況が続いてきたが、政権や国会の運営をめぐる強引さ、傲慢(ごうまん)さが指摘され、一強にも陰りが出始めている。
 しかし、野党第一党の民進党がその好機を生かし切れているとはとても言えない。
 共同通信社が八月三、四両日に行った全国緊急電話世論調査で、民進党の政党支持率は前月比0・9ポイント減の7・3%にとどまった。
◆政策提示は体系的に
 一般的に内閣支持率が上昇する傾向にある内閣改造を機に行われた調査だとはいえ、とても次の衆院選で政権を託せるような信頼感を、有権者から現時点で得ているとはいいがたい。
 一九九六年の旧民主党結成から〇九年の政権交代まで十三年かかった。再び政権交代を実現するには長い年月を要するのだろうが、政権転落からまもなく五年だ。
 小池百合子都知事率いる都民ファーストも国政進出をうかがう。民進党が手をこまねいていれば、自民党に代わる結集軸を他党に奪われ、党の存在意義すら失いかねない。新代表選出を民進党の閉塞(へいそく)状況打破の出発点とすべきだ。
 一八年十二月までに必ずある次の衆院選で、民進党は前原氏の下で再生した党の姿と、再び政権を託し得る政策の選択肢を有権者に示さなければならない。
 そのためにはまず、首相主導のアベノミクスに代わる経済政策をまとめ上げることが必要だ。
 前原氏は消費税10%への引き上げを容認し、増収分を教育の無償化や基礎年金の充実などに重点配分し、経済の好循環を生み出すことを提唱した。
 私たちは、消費税の安易な引き上げには反対だが、成長重視のアベノミクスに対する問題意識は共有する。現行の社会保障制度を持続可能なものにどう変えるのかも財源確保を含めて重要な課題だ。
 今後、経済、社会保障全般にわたる政策の取りまとめを急ぎ、財源確保の方策を含めて、自民党に代わる目指すべき社会像を、国民に対して体系的で、分かりやすい形で提示してほしい。
 安全保障政策も重要である。鳩山由紀夫首相は、沖縄県の米軍普天間飛行場の国外・県外移設を提唱したものの実現できず、退陣した。目指す方向が正しくても、実行力も覚悟もなければ、国民の期待は不信に変わる。
 前原氏を含む民進党が、安全保障関連法を違憲だとして廃止を求めるのは当然だとしても、安倍政権の安全保障に代わる政策をどう構築するのか。北朝鮮がミサイルによる威嚇を続ける中、現実的で国民を安心させる外交・安保政策を同時に示す必要があるだろう。
◆政権選択肢示す責任
 自民党の政権復帰から五年がたつが、自民党以外にいまだ政権や政策の選択肢がない状況は、健全な民主主義の姿とは言えない。
 その選択肢をつくるのは、野党第一党の民進党の役割であり、勢力の結集が前提だ。四分五裂を繰り返すようなことがあれば、政権交代の出発点にも立てない。
 前原氏は、これまでの執行部が進めてきた共産党との選挙協力に慎重だ。前原氏を含めて民進党は「三〇年代の原発ゼロ」を掲げているが、党内には慎重論もある。
 党内にさまざまな意見を抱えながらも、よりよい政策実現のために一丸となる。それが成熟した党の姿だろう。結束こそ力である。


前原新代表  危機感持って党再生を
 民進党の臨時党大会で、前原誠司元外相が新代表に選ばれた。
 7月の東京都議選の惨敗を受けた蓮舫氏の辞任に伴う代表選だ。枝野幸男元官房長官との一騎打ちとなり、前原氏は国会議員や公認内定者、地方議員、党員・サポーターすべての支持が枝野氏を上回った。2005年に旧民主党代表を務め、野党第1党の党首としては2度目になる。低迷する党勢を建て直し、安倍晋三政権への対抗軸を示せるかどうかが問われる。
 加計学園問題などで、「安倍1強」体制が揺らぐ中、民進党に政権批判の受け皿づくりが求められていることは間違いない。
 ところが、東京都議選では小池百合子都知事率いる地域政党に押されて存在感を示せず、共産党を含む野党共闘への反発などで離党する議員が相次いだ。党の存在意義が問われる危機的な状況にあることを自覚してもらいたい。
 前原氏は野党共闘の見直しを明言する一方、小池氏の側近が結成を目指す国政新党との連携に前向きな姿勢を示している。前原氏の任期は19年9月までで、次期衆院選を戦うことは確実だ。険しい道のりであり、手腕が問われる。
 まずは挙党態勢を築くことが不可欠だ。旧民主党時代から対立や分裂を繰り返して、国民の信頼を失ったことを忘れてはなるまい。前原氏は「All for All(みんながみんなのために)」というスローガンを掲げて結束を訴えてきた。幹事長をはじめとする新執行部体制に注目したい。
 民進党が再び、政権選択可能な勢力を目指すためには、何よりも明確な理念や政策を、国民に対して示さなければならない。
 代表選では、党内保守派の論客である前原氏とリベラル派が推す枝野氏の論戦を通じ、改憲に対する姿勢や「原発ゼロ」の年限をめぐるエネルギー政策など、重要政策に対する見解の相違が明らかになった。こうした違いを乗り越える建設的な議論を求めたい。
 一方、競争重視の経済政策「アベノミクス」に対しては、両氏とも「自己責任から支え合いの社会」への移行を目指すことで一致している。財源を含めた具体的な政策として練り上げてほしい。
 今月下旬からは臨時国会での論戦が始まる。10月22日投開票の衆院青森4区、新潟5区、愛媛3区の補欠選挙も控える。前原氏は代表選出後のあいさつで「新たな選択肢を示し、国民への使命を果たす」と述べた。生まれ変わった民進党を見せてもらいたい。


前原民進新代表/党内まとめ対立軸を示せ
 民進党の新代表に前原誠司元外相が選ばれた。低迷する党の再建を託されたわけだが、道のりは険しい。
 離党者が相次ぎ、かじ取りを誤れば分裂する恐れがある。党内を結束させ、自民とは違った対立軸を国民に提示できなければ、党勢の回復は見通せない。野党第1党のリーダーとして、責任は極めて重いものがある。
 代表選は枝野幸男元官房長官との一騎打ちだった。投票の結果、前原氏は地方議員や党員・サポーターの「地方票」で優位に立ち、国会議員と公認内定者の票でも支持を広げた。
 前原氏は「All for All(みんながみんなのために)」とスローガンを掲げた。「中福祉・中負担で、全ての人の不安を解消するため施策を充実させる」とし、財源として10%への消費税増税を容認する。だが、経済政策など具体論に欠ける印象は否めない。
 原発については「2030年代ゼロ」と従来の党見解を踏襲した。憲法改正が持論だが、安倍首相の唱える自衛隊明記案には「全く考えを異にする」と反発している。
 共産党を含めた野党との選挙協力は、「理念や政策が合わないところと協力するのはおかしい」と見直す考えだ。
 一方で小池百合子東京都知事が率いる「小池新党」との連携に含みを持たせている。理念と政策を一致させて、どのような「受け皿」をつくるのかが問われている。早期解散論もささやかれる中、10月の衆院補選が試金石となる。
 蓮舫代表時代に溝が生まれた連合との関係再構築も課題だ。
 当面の焦点は役員人事となる。要となる幹事長に誰を起用し、挙党態勢を築くことができるのか、がポイントとなる。
 今月中にも開かれる臨時国会では、「加計(かけ)」「森友」疑惑の解明を進めなければならない。
 前原氏は、旧民主党を含め代表に就任するのは2度目だ。43歳で党首になった際は、偽メール問題の責任を取り辞任した。外務大臣時代も、外国人から献金を受けた問題で辞職している。いずれも自身の脇の甘さから生じた失敗である。十分な反省の上に立ち、謙虚な姿勢で臨むことが求められている。


前原民進党 新体制下でまず結束を
 民進党の新たな代表にきのう、前原誠司元外相(55)が選ばれた。枝野幸男元官房長官(53)との一騎打ちを大差で制した。
 安倍晋三首相の「1強」が揺らぐ好機にもかかわらず、民進党も東京都議選の惨敗などから内紛が続き、解党の危機までささやかれる中での新体制発足だ。
 まずは前原代表のもとで党の結束を図るのが最優先となる。
 ただそれだけでは、野党第1党の責務を果たしたとは言えない。
 共産党との協力に慎重な前原代表が就任したことで、選挙戦術は仕切り直しが迫られる。
 消費税増税の主張には異論もあるだろう。時間を要しても政策論議を尽くし、現政権に代わりうる選択肢を国民に示してほしい。
 前原氏は当選後、「危うい政治状況を変えていかねばならない。新たな選択肢を示し、国民への使命を果たす」と意欲を示した。
 優位とされた国会議員票に加えて、地方票でも枝野氏を制した。党勢の低迷が長期化する中、野党共闘など従来路線の転換を打ち出した点が支持された面もあろう。
 ただ、党の存在感を示す機会となるはずの今回の代表選は、最後まで盛り上がりを欠いていた。
 その間、注目を集めたのは小池百合子東京都知事と連動する勢力の動向だ。このため民進党からも今後、合流をにらんだ離党者が出る可能性が取り沙汰される。
 その流れをせき止めるには、前原氏が指導力を発揮し、党内の亀裂を修復していくしかない。
 最大の懸案である野党共闘で共産党との協力を否定するのであれば、今後に控える衆院選で政権批判の民意をどう受け止め、自公両党に対峙(たいじ)していくのか。具体的な方策を示さねばならない。
 秋の臨時国会では、加計(かけ)学園問題や陸上自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)をさらに追及する使命がある。10月には政局を占う衆院3補選が控える。党の体制整備が急がれよう。
 前原氏が代表選で訴えた政策の具体像の提示も求められる。
 前原氏は教育無償化や高齢者施策拡充を掲げ、財源として消費税増税に言及した。だが地方経済や個人消費が上向かない中、増税に理解を求めるのは容易ではない。
 一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」導入を巡ってぎくしゃくする連合との関係も調整が必要だ。
 前原氏は旧民主党時代、一度は代表となりながら偽メール問題で辞任した経緯もある。自らにとっても党にとっても正念場である。


前原新代表 今度こそ「ノーサイド」で
 民進党の新代表にきのう、前原誠司元外相が選出された。
 低迷する野党第1党が今度こそ実現しなければならないのは「ノーサイドの精神」による挙党体制の確立である。前原新代表には何よりその手腕が求められよう。
 ノーサイドとはラグビーの試合終了のことだ。肉体をぶつけ合って激しく戦っても試合が終われば敵味方の区別はなくなり、互いに健闘をたたえ合うことをいう。
 民進党は旧民主党以来、代表選のたびにノーサイドの精神が叫ばれた。多様なグループを抱え、激しい代表選のしこりが内紛や足の引っ張り合い、分裂につながり、国民の信頼を失ったからだ。
 党内保守派を代表する前原氏とリベラル派が推す枝野幸男元官房長官が争った今回の代表選は、憲法観などを巡る党内二大潮流による「究極の対決」ともいえた。
 各地の討論会などを通して主張の違いは鮮明になった。消費税率アップの時期、原発ゼロへの道筋、共産党を含めた野党共闘の在り方など、挙げればきりがない。
 とはいえ、目指すべき社会像は前原氏が「All for All(みんながみんなのために)」、枝野氏も「お互いさまに支え合う」と共通した。安倍晋三首相の政治を「自己責任と競争をあおる社会をつくりだした」と厳しく批判する点でも一致している。
 おぼろげながら与党との対立軸は見えてきたのではないか。崖っぷちに追い込まれた民進党に内輪もめをする余裕はないはずだ。
 政策論では党内で徹底的に論議を尽くす。合意できたら一致結束して実現を目指す‐そんな当たり前の政党に脱皮することが信頼回復への第一歩となるだろう。
 議会制民主主義の発展には、健全な野党の存在が不可欠だ。特に野党第1党の長期低迷は政治の躍動感や緊張感を奪いかねない。
 前原氏は2005年に旧民主党の代表に選出されて以来の再登板になる。偽メール問題での代表辞任や旧民主党の政権転落といった苦難も含めて、その豊かな政治経験を党再建に生かしてほしい。


前原新代表は自民くみしやすい相手!?
 ★民進党新代表に前原誠司が決まった。新機軸や人事で失敗しやすい民進党だが党勢拡大できるかどうか。党は一時解党すべきという声に包まれたこともあるだけに、求心力と団結力を描けるかが焦点だ。では自民党にとって前原は、くみしやすい相手なのか。自民党中堅議員は言う。「安全保障の価値観など自民党に近い常識的な判断力がある保守政治家という印象。過去には偽メール事件などで迷走した時期もあったが、だいぶ学習したと聞く。論戦のできる2大政党になることを期待する」。 ★首相・安倍晋三とは同期当選。馬が合い会食を重ねる時期もあった。その意味では似たところがあるという指摘もある。12年。民主党政調会長時代に前原はメディアから「いうだけ番長」とのあだ名をつけられたことに激怒した。書いた社を出入り禁止、取材禁止処分にしたが、「首相を目指す男としては度量が狭い」と指摘され、矛を収めたことがある。自身についての指摘にむきになる部分は昨今の首相とも重なるところがあるのではないかとの声もある。 ★だが、これでは保守系第2自民党でしかなくなってしまう。自民党が常識的と評価することを褒め言葉と受け止めているようでは突破力も生まれない。自民党にくみしやすい相手と思われたのは前原が野党共闘に否定的だからだろう。ここで野党がまとまれば今の自民党でも脅威に感じる。それを本能的に感じる自民党は保守政治家・前原のままでいて欲しいのだ。前原は民主党代表以来、2度目の代表就任だ。同じ失敗を繰り返していたら、くみしやすいどころか自民党の思うつぼだ。自民党が嫌がる自民党の価値観を超える戦略で立ち向かう知恵を出して欲しい。生まれ変わるか民進党。

挙党態勢 構築できるか/民進党新代表に前原氏
 崖っぷちに立つ民進党の新代表は前原誠司元外相に決まった。前原氏には、2012年末の政権転落以後、代表を代え、党名を変えても回復の兆しが見えない党勢立て直しという難役が任せられる。
 かつて自民党と並ぶ二大政党の一翼を担った民主党の後継政党である民進党は、7月の東京都議選で歴史的惨敗を喫し、細野豪志元環境相ら有力議員を含む離党者が相次ぐなど崩壊の危機にある。
 前原氏は就任早々、10月22日の衆院本県4区、新潟5区、愛媛3区の「トリプル補欠選挙」を迎える。いずれも自民党議員の死去に伴うもので、与党にとっては有利とされる「弔い合戦」となる。
 しかし、学校法人「森友学園」や「加計学園」問題、防衛省の日報隠蔽(いんぺい)問題で安倍内閣が国民の信頼を失った中、前原氏が率いる民進党がどれだけ政権与党に批判的な世論の受け皿となり得るかが問われることになる。
 代表選を通じ浮かび上がった野党共闘などを巡る党内の路線の違いをどう乗り越え、挙党態勢を構築できるか、前原氏の手腕が試される。
 焦点となるのが、これまで衆院選では明確な協力を行ったことがない共産党、そして最大の支持団体である連合との関係だ。前原氏は代表選を通じ、共産党との協力について、理念、政策の一致が前提となるとして慎重姿勢を示してきた。一方、連合については連携強化を図る考えを示している。
 しかし、代表選を戦った枝野幸男元官房長官は共産党も含めた野党候補一本化に前向きで、党内には前原氏の路線に異論も少なくない。
 また、小池百合子東京都知事に近い若狭勝衆院議員が年内に立ち上げを目指している国政政党との連携についても、前原氏は模索する考えを示しているのに対し、枝野氏は「自民党の補完勢力」と切り捨てている。
 政策面ではアベノミクスへの対立軸として再分配強化策では一致している。ただ、肝心の財源を巡って、前原氏が19年10月の消費税率10%への予定通りの引き上げを主張しているのに対し、枝野氏は否定的で、当面は国債発行でまかなう考えを示した。
 前身の民主党は与党時代、消費税増税を巡って分裂、政権から転落した経験を持つ。挙党態勢を築けなかった教訓を生かすことができるか否かが党再生のカギを握る。


民進党代表に前原氏 政権担当能力 国民に示せ
 民進党の新代表に前原誠司元外相が選出された。7月の東京都議選惨敗を受けた蓮舫氏の辞任表明に伴い実施された代表選で、枝野幸男元官房長官との一騎打ちを制した。代表選後のあいさつで政権交代へ「新たな選択肢を示し国民への使命を果たす」と決意を述べた。
 前原氏は民進党の前身である民主党の代表を務めており、野党第1党の党首として再登板になる。党代表を偽メール問題で、民主党政権の外相を外国人献金問題でそれぞれ辞任した経緯があり、二度と失敗は許されない立場だ。離党ドミノの阻止と低迷する党勢立て直しが最大の急務となる。
 新代表の任期は2019年9月までで、来年12月の衆院議員の任期切れまでには必ず総選挙が実施され、今年10月には青森4区など三つの衆院補欠選挙がある。前原氏は国政選挙への態勢を早急に固め、民進党が政権担当能力のある政党であることを示す責任を負っている。
 民進党の支持率は、安倍晋三首相が8月初めに内閣改造を行った直後の共同通信世論調査で7・3%と低迷したままだ。学校法人森友学園、加計(かけ)学園の問題などを契機に安倍首相への国民の批判が広がって内閣支持率が急落し、自民党の都議選惨敗で「安倍1強」が揺らいでいるのに、民進党への国民の期待は高まっていない。前原氏は改めて民主党の政権転落までさかのぼって謙虚に反省し、信頼回復への具体的な方策を立て、実行していくべきだ。
 代表選では共産党との選挙協力や消費税増税、小池百合子都知事の側近議員が年内結成を目指す新党との連携などを巡り、保守派を代表する前原氏とリベラル系が推した枝野氏の考え方の違いが浮き彫りになった。
 しかし、代表選の結果が出た以上、挙党態勢を目指して食い違いを乗り越え、一致結束した姿を国民の前に見せる必要がある。民主党時代から続く内紛を繰り返して「バラバラ感」を再現すれば、最終的に国民から見放されてしまうだろう。決めたことには従うという組織としては当然の体質改善とガバナンスの確立が求められている。
 今月下旬に召集予定の臨時国会では、野党の責務である政権へのチェック機能を引き続き果たすと同時に、民進党が日本の将来像をどのように描いているのかという骨太の議論を展開し、安倍政権が進める経済政策のアベノミクスへの対案や、憲法、外交・安全保障やエネルギーなどの基本政策に関する党の見解も明らかにしてほしい。


民進党新代表決定 再起へ問われる指導力
 民進党の代表選で、前原誠司元外相が枝野幸男元官房長官との一騎打ちを制し、新代表に選出された。
 野党第1党の民進党は党勢低迷と所属国会議員の相次ぐ離党に直面しており、党が再起できるかどうかの瀬戸際にある。安倍政権との明確な対立軸をどう打ち出し、自民党に代わる政権担当能力をいかに示していくのか。新代表となった前原氏の責任は重い。国民の支持を取り戻すため、強力なリーダーシップが求められる。
 代表選は7月の東京都議選惨敗により、蓮舫代表が辞任表明したことを受けて実施された。加計(かけ)学園問題などで安倍政権への批判が高まる中、都議選では自民党が大敗した。だが、政権批判票は民進党にではなく、小池百合子都知事が事実上率いる「都民ファーストの会」に流れた。
 前原氏は昨日の臨時党大会で「国民に新たな選択肢を示さなければならない。それが私たちの歴史的な責任だ」と述べた。しかし、民進党の現状を見れば政権批判の受け皿になるのは簡単なことではない。
 前原、枝野両氏とも旧民主党政権で要職を務めており、国民の期待に応えられなかった「負のイメージ」を背負っていることは否めない。代表選では「どちらが代表になっても党の刷新は難しい」と党内から批判があったほどだ。
 前原氏は次期衆院選で、共産党などとの選挙協力を見直す考えを示し、枝野氏は継続する意向を表明。小池都知事側近の国会議員が年内結成を目指す国政新党との連携については前原氏が前向きな一方、枝野氏は慎重な姿勢を示した。こうした路線の違いを超えて党をまとめることができるのか、前原氏の統治能力が試される。
 前原氏は教育無償化や格差社会の是正などに取り組む方針を示した。その財源として2019年10月の消費増税を予定通り実施するのが望ましいとしたが、党内には反対論も根強い。党全体で理念を共有しなければ、国民の理解を得るのは難しい。
 党勢を回復させるには、地方組織の強化も急務だ。民進党県連幹部は「党国会議員の地元での政治活動は、質量ともに自民の議員に劣っている。これでは支持率は回復しない」と指摘する。有権者に直接政策を訴えるなど、地道な活動を積み重ねない限り、党再生はおぼつかないことを認識すべきだ。
 今月下旬には臨時国会が開かれる予定だ。加計学園、森友学園問題など政権側が抱える問題の追及とともに、新執行部の下で政治理念や政策面での対抗軸をいかに分かりやすく打ち出せるのかが問われよう。
 10月22日には衆院3補選が控え、早期の衆院解散も取り沙汰されている。挙党態勢で臨むことができなければ、党解体の恐れすらあることを強く自覚する必要がある。


前原民進丸の船出 後がないという認識を
 荒波をしのいで、いかに船を前に進めるか。前原誠司新代表の下、改めて針路を定めようとする民進党は、こぎだすまでが大変そうだ。
 枝野幸男元官房長官との一騎打ちは、どちらが選ばれても分裂含み―。代表選は党内外から、そんなささやきが漏れる中で行われた。7月の東京都議選を経て「安倍1強」態勢が揺らぎ、政界再編の動きが顕在化。民進党は存在感を示せるか、のみ込まれるかの瀬戸際にある。
 自民党が歴史的惨敗を喫した都議選では民進党も惨敗。政権批判の受け皿となり得ていない現状が白日の下にさらされた。小池百合子都知事肝いりの「新党」の動向に注目が集まる中での代表選に、高揚感は乏しかった。
 そもそも野党第1党の党首選で、他の勢力との連携の在り方が主要な争点になること自体、同党の置かれた状況を如実に物語る。前原民進丸の船出に当たっては、今度こそ後がないという認識を党全体で共有しなければならない。
 代表選そのものは、双方それぞれの主義主張を際立たせることに腐心したとは言えるだろう。前原氏は党内保守派の代表格。片やリベラル派の支持が厚い枝野氏。その違いは、次期衆院選に向けた野党共闘や消費税増税などへの見解の相違に表れた。
とりわけ際立ったのは、共産党との選挙協力への考え方だ。前原氏は「理念や政策が合わないところと協力するのはおかしい」と見直しの意向を明言。昨年参院選で幹事長として共闘を主導した枝野氏は、その維持を主張した。
 逆に小池氏の側近らが年内結成を目指す国政新党との連携では、前原氏が前向きな姿勢をにじませたのに対し、枝野氏は否定的。選挙での枝野氏のポイントを見る限り、今後もくすぶる問題だろう。
 共同通信が民進党の地方県連幹部を対象に行った調査によると、共産党を含む野党共闘の継続には慎重意見が目立つ一方、「小池新党」との連携も積極的な意見は少数にとどまった。野党再編の動きに直接響く課題だけに、その方向性を巡る議論は挙党態勢を築く上で重要な試金石だ。
 カギを握るのは幹事長人事だろう。昨年の代表選後、蓮舫氏は自身の所属グループから野田佳彦前首相を据え「野党転落を招いた戦犯」と猛反発を招き、以後の党運営を難しくした経緯がある。
 代表選が圧勝なら前原路線で進むのも容易に違いない。今回のポイント差を、どう読むべきか。早期の衆院解散も取り沙汰される中で、10月には衆院青森4区、新潟5区、愛媛3区の補欠選挙を控え、まさに常在戦場の前原民進丸は、船出から難しいかじ取りを強いられそうだ。


【民進代表に前原氏】難局への覚悟が必要
 民進党の新代表に前原誠司氏が選出された。野党第一党として自民党との明確な政策の違いを示せるのか。失った有権者の信頼を取り戻せるのか。分裂の危機をはらむ党内を結束できるのか。前原氏が背負う課題は大きい。
 枝野幸男氏と一騎打ちとなった代表選は大差をつけての勝利となった。選出後のあいさつで「非常に難しい船出だが、決意と覚悟をもって難しい局面を国民のため、切り開くことを心から誓う」と強調した。その言葉以上に、政治生命を懸けて取り組むほどの相当な覚悟が必要になる。
 代表選では、次期衆院選に向けた野党共闘、消費税増税を巡り、2人の意見が大きく異なった。共産党との連携について、保守系の前原氏は見直しの意向を示し、リベラル系の枝野氏は継続する考えを強調した。消費税については、前原氏が増税による恒久財源の確保を、枝野氏は増税に慎重な考えを示した。政見の表明はあったが、8月21日の代表選告示以来、野党第一党でありながら、多くの有権者の注目を集めたとはいえない。低い政党支持率がそのまま関心の低さにつながり、冷めた見方をする有権者が多かったのではないのか。
 前原氏の新代表就任で野党共闘は今後見直される可能性が高い。前原氏は以前から「民進党の名前にはこだわらない」との発言を繰り返していただけに、近いうち政界再編が進む可能性もある。新代表として当面求められるのは、民進党としての足元を着実に固めることだろう。自民党に対抗するための単なる数合わせは有権者を愚弄[ぐろう]するだけだ。「55年体制」が崩壊した後に繰り返されてきた政党の離合集散を見れば明らかだ。
 本県は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から6年半となる現在も復興が最大の課題となっている。しかし、全県民が現政権の復興政策に納得し、満足しているわけではない。自民党の「安倍一強」が揺らいでいる今、民進党は党勢回復への絶好の機会を迎えているはずだ。震災からの復興をはじめ経済・社会保障、エネルギー、安全保障、憲法改正など全ての政策において、自民党との対抗軸を明確にして、有権者の共感を得るのが肝要となる。
 前原氏は2005(平成17)年には前身である民主党の代表を務めた。今回は二度目の大役であり、失敗は許されない。党勢回復を果たせなければ解党が現実味を増すだろう。民主党時代から何度も使われてきた「瀬戸際」や「崖っぷち」という言葉はもはや通用しない。(川原田秀樹)


前原新代表 新たな選択肢示さねば
 民進党の新代表に前原誠司元外相が選ばれた。2005年に民主党代表を務めて以来のトップ就任だ。
 自身も述べている通り「難しい船出」である。政治に緊張感をもたらすには野党の存在感が欠かせない。挙党態勢をつくり、政権批判の受け皿を整えられるか。かじ取り役としての手腕が問われる。
 都議選惨敗を受けた蓮舫氏の辞任表明に伴う代表選だった。国会議員、国政選挙の公認内定者、地方議員など、いずれの票も枝野幸男元官房長官を上回っている。
 民進は、共産党との選挙協力などを巡り離党者が相次いだ。見直す考えを示した前原氏に支持が集まったのは党内の危機感もあったのだろう。選挙協力は、参院選で一定の成果を上げた。巨大与党に対抗する戦略を示すべきだ。
 選出後、前原氏は「新たな体制を決め、みんなでこの党を政権交代の高みに持っていくことに力を注ぎたい」と述べた。まずは結束を固めなくてはならない。
 重要な政策を巡って党内に考え方の隔たりがあることは、代表選でも鮮明になった。
 消費税率引き上げについて前原氏は予定通り実施を主張、枝野氏は「上げられる状況ではない」とした。「30年代原発ゼロ」は枝野氏が前倒しに言及する一方、前原氏は「現実的に努力したい」と現状維持にとどめている。
 党としての方向性、政策を分かりやすく示さなければ、国民の新たな選択肢にはなれない。党内論議を深めるときだ。
 成長重視のアベノミクスへの対立軸として再分配を強化する考え方は両氏に共通していた。前原氏は代表選で「全ての国民の生活を底上げし、中福祉・中負担の国を目指す」とした。財源を含め、具体策が求められる。
 改憲についても新代表としての考え方を詳しく聞きたい。憲法改正は前原氏の長年の持論だ。昨年の代表選では、9条への自衛隊明記を主張していた。今回は安全保障関連法を前提とした明記には反対―と、一貫性を欠く。
 改憲論議には「年単位の期間が必要」としつつ「議論は堂々とすべきだ」としている。改憲路線に取り込まれることはないか、曖昧にできない点である。
 今月下旬にも臨時国会が召集される。加計学園の獣医学部新設やPKO日報隠蔽(いんぺい)など、政権を巡る多くの疑惑が未解明だ。引き続き厳しく追及する必要がある。野党第1党の責任は重い。態勢づくりを急がなくてはならない。


前原新代表 再生へ実行力が問われる
 国民の信頼を回復し、低迷を続ける党勢を立て直す。本気でそれを目指すのなら、まずは足元の結束を固め、挙党態勢を確立しなければならない。
 課題ははっきりしている。正念場にある野党第1党の新たなリーダーに求められるのは、難局を乗り越え、党再生を着実に進めていく実行力である。
 民進党代表選は前原誠司元外相が枝野幸男元官房長官との一騎打ちを制し、新代表に選ばれた。
 前原氏は代表選出後のあいさつで「新たな選択肢を示し、国民への使命を果たす」と述べ、政権交代の意欲を強調した。一方で「非常に難しい船出」とも語った。
 確かに、代表が変わって情勢が好転するほど甘くはない。昨年9月に蓮舫代表が就任した直後の共同通信世論調査でも、党の支持率は上向かなかった。
 さらにいまは、小池百合子都知事側近の若狭勝衆院議員が国政新党設立へ動き出している。こうした中で遠心力が働き、民進党は国会議員離党の動きが相次ぐ。
 だが、安倍晋三首相「1強」の下で政権のおごりや緩みがあらわになったことを振り返れば、前原氏が訴えた「新たな選択肢」の意味は極めて重い。
 前原氏が目指す目標実現への第一歩として、役員人事が重要になる。とりわけ、代表選で争った枝野氏をどう処遇するかが大きなポイントである。
 民進党では2回目となった今回の代表選に出馬した前原氏は保守派、枝野氏はリベラル派に位置付けられる。
 保守からリベラルまで幅広い考えの議員を抱える民進党が、今度こそ挙党態勢を確立できるかどうか。人事はその試金石となる。
 大切な政治局面でまとまることのできる態勢がなければ、将来の政権交代などおぼつかない。
 その上で、政権に対抗するための理念や政策を深化させていくことが不可欠になる。
 前原氏は自己責任重視社会からの脱却を訴え、「All for All(みんながみんなのために)」を掲げた。支え合いの重視は枝野氏も共通する。
 半面、消費税増税や原発政策では前原、枝野両氏には違いが見られた。そこをどう整理していくのか。安倍首相が憲法改正を掲げる中、改憲についての党としての姿勢も明確にするべきだ。
 代表選の論戦を基に政策をさらに磨き、政権への対立軸を分かりやすく示す必要がある。
 臨時国会は今月下旬にも始まる見通しだ。衆院新潟5区、青森4区、愛媛3区の「トリプル補選」は来月に迫る。衆院議員の任期満了は来年12月である。迅速かつ丁寧な対応が求められよう。
 前原氏は共産党との野党共闘について見直す意向だ。「小池新党」との連携にも新たに注目が集まる。他党との距離をどう取っていくかも、挙党態勢確立への影響を見極めながら慎重に対処すべき問題になろう。
 民進党は瀬戸際にある。前原氏はその強い危機感を持って党を率いていかなければならない。


民進党代表に前原氏 国民の支持どう得るのか
 民進党新代表に前原誠司元外相が選ばれた。野党第1党の新しい顔を選ぶ選挙戦だったが、盛り上がりを感じた国民は多くはないだろう。それが崖っぷちにある党の現状だ。前原氏は党勢の立て直しをどう果たしていくのか。
 最大の課題は民進党が自公政権批判の受け皿になれるかどうかだ。その試金石が10月22日の衆院青森4区、新潟5区、愛媛3区の3補欠選挙であり、いずれも自民党議員の死去に伴う選挙で、与党有利とされる「弔い合戦」になる。
 前原氏は代表選で、共産党との選挙協力に関して「理念、政策が異なるところとは組むわけにはいかない」と主張した。ただ、終盤で「地域の事情にもよる」などと述べた。地方組織や党内リベラル派への配慮かもしれない。
 一方で、小池百合子東京都知事の側近国会議員が結成を目指す新党への連携にも含みを持たせた。これは自身が基盤を置く保守派勢力への対応だろう。党内では今後も保守派の離党が続くともみられ、予防線を張った形だ。
 保守、リベラルの双方に目を向けるのは理解できるが、限界もある。投票直前の演説では、前原、枝野両氏とも自民党政権が進めてきたのは「自己責任型社会」だとし、その転換を訴えた。理念は一致しているのだが、具体的な政策となるとかなりの乖離(かいり)がある。
 憲法改正では、前原氏が「政権交代を目指す政党として議論は堂々とすべきだ」と強調したのに対し、枝野氏は「変えることが自己目的化している議論にくみする必要はない」と対照的だ。
 また、消費税増税には、前原氏が前向きなのに対して、枝野氏は否定的。消費税増税を巡っては、前身の民主党が与党だった際に党が分裂、政権から転落した経緯がある。
 前原氏には、こうした政策の違いを一本化する統率力、求心力が求められる。重要になるのが執行部人事だ。もともと考え方の違う者の寄り合い所帯であり、執行部がしっかり手綱をさばかなければ、烏合(うごう)の衆になることは明らかだ。
 前原氏は代表選のスローガン「All for All」を、新代表としての決意表明で「One for All」と言い換えた。「1人(私)はみんなのために」との意で党内の融和に努めるとの思いも込めたのだろうが、うわべだけではこれまでの代表や執行部と何ら変わりない。
 党内での徹底した議論を経た上で、自公政権に対抗していくしかない。安倍政権の支持率が低迷する今が好機といえる。今月下旬にも開会する臨時国会では加計(かけ)学園問題など懸案を徹底追及するとともに、建設的な政策論議も真っ向から戦わせるべきだ。
 衆院選に小選挙区制度を導入した際、目指した二大政党制も野党第1党の低迷で危うい状況だ。政権交代が可能な政党ができるまでには時間はかかるだろう。前原氏には気概を持って取り組んでほしい。


前原・民進新代表 党再生にはもう後がない
 民進党の新たな代表に、前原誠司元外相が選ばれた。低迷する党の再生へ今回が最後のチャンスとの覚悟で、野党第1党として民意の受け皿となりうるよう責任を果たしてもらいたい。
 代表選は前原氏と枝野幸男元官房長官による一騎打ちとなった。ともに民主党政権時代に要職を歴任した実力者であり、前原氏は保守派の代表格で、枝野氏はリベラル派が推した。前原氏は党内に根強くある野党再編への期待を取り込みつつ、共産党との選挙協力に一線を画す路線でも支持を広げ、国会議員や公認内定者、地方票などいずれの投票でも過半数を制した。
 前原氏が当選後に「今、政権交代を言っても国民は『何を言うのか』となるだろう」と述べた通り、党勢の低迷は深刻だ。信頼回復に向け、前原氏にはまず、枝野氏を支持した勢力も含めた挙党態勢をつくることが求められよう。
 民進党では、主流派の政策や理念に賛同できない議員の離党も相次いでいる。旧民主党時代からガバナンス(統治)の欠如が指摘され続けており、前原氏がそうした党の体質を変えていくことも重要になろう。
 民進党はこれまで、憲法改正などの重要なテーマを巡って党内の意見を集約できず、党としての立ち位置を明確にしきれなかった。前原氏は今回、支え合う社会の実現を訴え、就学前教育や高等教育の無償化などに取り組む姿勢を打ち出した。
 その財源として、2019年10月に予定通り消費税率を10%に引き上げるとしている。その是非や実現の道筋、改憲や原発利用を含めたエネルギー政策などについて、しっかりと議論を重ねて党としての旗印を掲げ、安倍政権に対抗する選択肢を示してもらいたい。
 代表選では次期衆院選や来月行われる衆院3選挙区の補欠選をにらんでの野党共闘も争点となった。前原氏は衆院選が政権選択選挙である点を重視し、「政策と理念が一致しなければならない」と主張し、共産党との選挙協力を見直す考えを示した。小池百合子東京都知事の側近である若狭勝衆院議員が年内結成を目指す国政政党などとの連携については否定せず、前向きな姿勢をにじませている。
 地域ごとに選挙事情が異なることもあり、いずれの場合も党内は亀裂含みとなりかねない。党の要となる幹事長人事を含め、求心力をどう保っていけるかが問われよう。
 09年の政権交代は、無党派層による風が吹いたが、当面風は期待できそうにない。前原氏に求められるのは、風頼みでない地道な党組織の強化だろう。
 最大の支持組織である連合に頼った選挙対策のあり方も長年指摘されてきた。自民党に比べて劣っている地方議員の底上げをはじめ、足元の組織強化にも取り組むことが求められる。


民進新代表に前原氏 後がない、覚悟問われる
 民進党の新代表に前原誠司元外相が決まった。

 政党支持率は低迷し、有力議員の離党も相次ぐ。野党第1党の代表選でありながら盛り上がりに欠けた。党の置かれた厳しい現状を映すかのように、国民の関心も低かった。
 新代表に課せられる使命は重い。前身の民主党が政権から転落して4年8カ月。落ち込みから脱しきれない党勢を回復させる足掛かりを築かなければならない。国民に信頼感を与える政党に変貌しなければ、存在意義さえ問われかねない。
 立て直しに向けた挙党態勢づくりが急務だ。総選挙は任期切れとなる来年12月までに必ず実施される。自公政権に代わり得る受け皿をどうつくるのか、ぼやぼやしてはいられない。
 野党間の選挙協力をどうするのか、「野党共闘」について方向性を早く定める必要がある。
 前原氏は「理念や政策の違う政党とは組めない」として共産党との連携に消極的だ。支援組織の連合にも配慮し、次期衆院選での「野党共闘」の見直しにも言及している。一方、代表選で争った枝野幸男元官房長官は共闘に前向きな姿勢を示すなど党内にも異論が少なくない。
 小選挙区を中心とする衆院選で、野党がばらばらに候補者を立ててしまうと、自公連立与党の候補に太刀打ちできない。民進や共産など野党4党共闘は昨年7月の参院選1人区で候補者の絞り込みに成功し、一定の成果を収めた。今年7月の仙台市長選でも「野党共闘」候補が自公推薦候補を破った。
 8月27日の茨城県知事選では、自公推薦候補が当選したが、野党系の2候補の得票は自公候補を上回っていた。もし候補を一本化していれば、勝利できた可能性もあった。
 10月22日には衆院青森4区、新潟5区、愛媛3区の「トリプル補欠選挙」が待ち構える。つまずけば、ダメージは大きく次期衆院選にも影響しかねない。
 党内の路線対立を取りまとめ、どうトリプル選を乗り切っていくのか。小池百合子都知事の側近が目指す国政新党との連携を含めて、前原氏の統治力が試されることになる。
 前原氏は、みんながみんなを支え合う「オール・フォー・オール」社会の実現を訴える。安倍政権の進めるアベノミクスによって、弱者に厳しい「自己責任型社会」が進んだと批判する。再分配政策を充実させ、「中福祉中負担」で安心を得られる社会を目指すという。

 財源を何に求めるかが問題となる。前原氏は消費税増税に前向きだが、具体的な政策とともに、どう実現していくかの制度設計も示すべきだ。
 前原氏も主張するように、肝心なのは党として譲れない政策理念をきっちりと固めることだろう。党内対立の火種となってきた憲法改正や安全保障政策、原発政策などについても徹底的に議論し、国民が判断できる結論を示してもらう必要がある。あいまいなままでは、自民党の対抗軸にはなり得ないだろう。
 難しい選択を迫られるが、その上で、党のあしき体質であるバラバラ感を解消することが欠かせない。挙党態勢が築けなければ、分裂の恐れさえある。まさにラストチャンス。崖っぷちに立っている危機感が新代表に求められている。


民進党新代表/党勢立て直しの難役担う
 崖っぷちに立つ民進党の新代表は前原誠司元外相に決まった。前原氏には2012年末の政権転落以後、代表を代え、党名を変えてもいっこうに回復の兆しが見えない党勢立て直しという難役が任せられる。
 与党経験を持つ、二つの主要政党が相互にチェックし合い、交代で政権を運営する、というのが衆院選に小選挙区制度を導入した際、目指すべきとされた健全な二大政党システムだ。
 しかし、一時、その一翼を担った民主党の後継政党である民進党は7月の東京都議選で歴史的惨敗を喫し、細野豪志元環境相ら有力議員を含む離党者が相次ぐなど崩壊の危機にひんしている。
 自民、民進両党による二大政党システムは今、破綻する可能性がある。新たに政権交代をなし得る政党が出来上がるまでには10年前後、あるいはそれ以上の長い時間がかかるだろう。
 その意味で民進党のかじを取る前原氏の役割は大きい。前原氏は就任早々、10月22日の衆院青森4区、新潟5区、愛媛3区の「トリプル補欠選挙」を迎える。
 3補選はいずれも自民党議員の死去に伴うもので、与党にとっては有利とされる「弔い合戦」となる。
 しかし、安倍内閣の支持率が低下した中で、前原氏が率いる民進党がどれだけ政権与党に批判的な世論の受け皿となり得るかが問われる。
 そこで焦点となるのが、これまで衆院選では明確な協力を行ったことがない共産党、そして最大の支持団体である連合との関係だ。代表選を通じて前原氏は共産党との協力について、理念、政策の一致が前提となるとして慎重姿勢を示してきた。一方、連合については連携強化を図る考えを示している。
 前原氏の主張は、改選1人区で候補者の一本化を行った16年参院選前までの路線への回帰だ。しかし、代表選を戦った枝野幸男元官房長官は共産党も含めた野党候補一本化に前向きで、連合とは「一定の間合い」をとる、と述べるなど党内には前原氏の路線に異論も少なくない。
 また、小池百合子東京都知事に近い若狭勝衆院議員が年内の立ち上げを目指している国政政党との連携についても前原氏は模索する考えを示しているのに対して、枝野氏は「自民党の補完勢力」と切り捨てている。
 路線の違いをどう乗り越えてトリプル補選を乗り切ることができるのか、前原氏の統治能力が試されることになる。
 それは政策面でも同様だ。前原氏は「親の所得によって大学進学率が変わる。格差が再生産されている。全ての子どもに平等な社会をつくりたい」などと述べ、教育無償化などのため19年10月に予定されている消費税率10%への引き上げについて予定通りの実施を訴えているが、枝野氏は否定的で、当面は国債発行でまかなう考えだ。
 アベノミクスへの対立軸として再分配強化策では一致しているものの肝心の財源で対立している形だ。前身の民主党は与党時代、消費税増税を巡って分裂、政権から転落した経験を持つ。
 失敗の教訓を生かすことができるか否かが党再生のカギを握る。


民進党代表に前原氏 国民の声くみ取る信頼の野党に
 民進党の新代表に前原誠司元外相が選ばれた。党勢が低迷、離党が相次ぐ崖っぷちの野党第1党。その立て直しに猶予はない。一刻も早く党内をまとめ、与党批判の受け皿になる政策を打ち出してもらいたい。
 「政権交代を実現しようじゃありませんか」。前原氏は決意表明で呼び掛けた。だが今、国民が求めているのは、現実離れした「与党願望」ではなく、与党に対する失望や憤りをくみ取り、望む社会へつないでくれる「しっかりした野党」の存在に違いない。国民の声に誠実に耳を傾けて政権との明確な対立軸を示さなければ、国民不在の政治がずるずる続き、民主主義は機能しない。政治への信頼は遠のくばかりだ。「国民のために働く」と代表選後のあいさつで誓った新代表には、その言葉を胸に刻み、再生へのスタートを切るよう求めたい。
 安倍政権の安全保障関連法や「共謀罪」法などを巡る暴走に加え、森友、加計両学園問題や防衛省の日報隠しに見える隠蔽(いんぺい)体質に、国民は危機感やいらだちを募らせている。それは内閣支持率の低下にも表れている。
 にもかかわらず、受け皿となるべき民進党は旧民主党時代と同様、一枚岩になれず、「何をしたいのかわからない」と国民からため息をつかれ、与党からは足元を見られている。本来、内輪もめで代表を交代している場合ではない。社会保障やエネルギー政策など与党との違いを明確にすることが急務だ。
 前原氏も、対抗馬となった枝野幸男元官房長官も、安倍政権の成長戦略重視の経済政策を批判し、国民の生活不安を解消する再分配政策を訴えてきた。今後は、膨張する社会保障費とサービスをどうするのか明示する必要がある。財源として前原氏は、2019年10月に実施予定の消費税率10%への引き上げに同調したが、党内には枝野氏を筆頭に増税否定派もいる。政策論議を深めなければならない。
 最大支援団体の連合に対する姿勢も省みる必要がある。民進党は「2030年代原発ゼロ」目標を掲げるが、前倒し実現の検討を始めた蓮舫執行部に連合が猛反発、抗しきれなかった。前原氏は連合に配慮し、目標の「現状維持」を主張する。だが国民の多くが望む脱原発への道筋を早く示すことが重要であり連合の顔色ばかりうかがっていては党の存在意義を失う。
 今回の代表戦は、野党再編の今後を占う選挙でもあった。共産党との野党共闘を訴えた枝野氏に対し、前原氏は、小池百合子東京都知事の側近、若狭勝衆院議員が年内結成を目指す国政新党との連携に前向きな姿勢をにじませ、共産党との協力見直しを示した。野党が結集しなければ、数の力を持つ現政権に対抗できないことは確かであり、地域の事情を考慮した対応が欠かせまい。今月下旬からは臨時国会、来月には衆院愛媛3区など3補選が待つ。期待を裏切れば、もう後はない。


民進代表に前原氏 もう後がない覚悟で臨め
 これが党再生への最後の機会になるだろう。
 民進党の代表選で、前原誠司元外相が枝野幸男元官房長官との一騎打ちを制し、新たなリーダーに選ばれた。
 健全な民主主義の発展のためには、与党に対抗できるしっかりとした野党第1党の存在が必要だ。
 支持率が1桁台にとどまり、長い低迷から抜け出せない中、安倍政権との対立軸をどう打ち出し、攻勢に打って出るのか。
 前原氏は「新たな選択肢を示し、国民に対する使命を果たす」と決意を語った。強いリーダーシップを発揮して、党の立て直しに全力で取り組まなければならない。
 代表選で前原氏が掲げたスローガンは「みんながみんなのために」だった。成長戦略重視の経済政策「アベノミクス」に対抗し、「中福祉・中負担で、全ての人の不安を解消する政策を充実させる」という訴えである。
 「共生」や「支え合う社会」を目指す方向性は理解できる。競争や成長戦略よりも再分配を重視するのは、民主党政権時代からの姿勢だ。
 具体策では、介護サービスの充実や子育て支援、教育の無償化などを挙げた。予定通り2019年10月に消費税率を10%に引き上げ、2%の増税分を財源に充てるという。
 ただ、介護や子育て支援の充実は増税分の使途として既に決まっている。安倍政権は看板政策の「人づくり革命」で、幼児教育・保育の無償化や大学授業料の負担軽減などを打ち出した。
 政権との違いを分かりやすく説明し、国民の抵抗感が強い消費税増税への理解を得る努力が欠かせない。
 基本政策を巡る党内対立の解消も難題である。
 前原氏は代表選で、安全保障関連法の廃止を主張し、安保法を前提とした憲法への自衛隊明記に反対した。
 保守派の論客とされるが、政権との対立軸の明確化を優先させたのだろう。「30年代の原発ゼロ」政策を維持するのか前倒しするのかを含め、議論を深めることが大切だ。
 焦点の衆院選での野党共闘については、理念や政策で一致することが前提だとした。
 一方で、地域の事情で判断するとも述べ、連携を排除しない考えを示した。政権交代を狙うというなら、柔軟な姿勢も必要ではないか。
 新代表がまず問われるのは執行部人事である。蓮舫前代表は幹部を身内で固めたと批判され、求心力の低下を招いた。内向きの党内抗争を繰り返していては、国民からの信頼回復などは望めない。
 党内に離党予備軍がおり、新党結成の動きが現実味を帯びてきた。
 分裂、再編の中で埋没し、消滅してしまうのか。自民党に代わる「受け皿」に生まれ変われるのか。民進党はまさに瀬戸際にいる。
 早急に挙党態勢を構築し、結束を図らなければ生き残れまい。


【前原民進党】危機感を共有できるか
 民進党が新たな党代表に前原誠司元外相を選出した。
 7月の東京都議選惨敗で引責辞任を表明した蓮舫氏の後任を選ぶ代表選で、前原氏は枝野幸男元官房長官との一騎打ちを制した。旧民主党代表も務めた前原氏は再登板になる。
 国民の失望を拭えないまま、党勢低迷を続けてきた民進党は瀬戸際に立つ。有力議員らの離党も相次ぎ、解党の懸念さえ漂う危機的状況下で、前原氏がどういうリーダーシップを発揮するのか。党の命運を懸けた船出になる。
 前原民進党が取り組むべき課題はもはや言わずもがなだ。自民党政権に立ち向かう政治理念や政策の対抗軸の明確化であり、そのための挙党態勢の構築である。
 党内保守派の代表格とされる前原氏と、リベラル派が推した枝野氏が対決した今回の代表選は、そのまま党内の「保守対リベラル」という変わらない構図になった。
 憲法9条の見直し論者である前原氏に対し、枝野氏は9条堅持を主張。電力系労組の支援を受けた前原氏は「2030年代原発ゼロ」の現行目標を支持し、枝野氏は前倒しを求めた。
 安倍政権の「アベノミクス」に対し、両氏とも国民生活の安定へ社会保障の充実などを訴えた。だが、財源を巡っては前原氏が消費税10%引き上げの必要性を明言し、枝野氏は現状ではできないとした。
 国政選挙での野党共闘に関しても前原氏は共産党との協力を見直す考えで、枝野氏は推進派だ。最大支持組織の連合との関係も絡み、方針決定を難しくさせている。
 安倍政権に対抗し、野党第1党の存在感を発揮すべき基本政策で意見が割れ、党勢拡大や政権奪還を期すべき選挙戦略でも一枚岩になれない。同じ轍(てつ)を踏まないことが、党再生への答えである。
 前原氏自身も憲法観や安全保障政策で自民党と近い部分がある。安倍政権との違いをまずは自ら鮮明にしなければならない。
 蓮舫氏には党内の多くの期待が託されたはずだった。にもかかわらず党内はまとまらず、「懲りない党」のレッテルをさらに重ねた。
 前原氏の新執行部人事が党内統率へのまずは鍵になる。蓮舫氏は所属グループのトップだった野田佳彦前首相を幹事長に起用し、たちまち党内に不協和音を招き、つまずいた。教訓とすべきだろう。
 離党した細野豪志元環境相や、小池百合子東京都知事の側近らの新党結成の動きが強まる。野党再編を持論とする前原氏はどう関わっていくのか。その判断を迫られる場面も予想される。かじ取りを誤れば、前原氏は求心力を失う。
 加計(かけ)、森友学園問題などで「安倍1強」の土台が揺らぐ。秋の臨時国会、10月に迫る衆院3補選が早速、前原民進党の先行きを占う試練の場になる。党勢再浮揚の糸口を見いだす、最後のチャンスとの危機感を党内で共有し臨まなければならない。


民進党代表選 「挙党一致」できるのか?
 民進党の新たな代表に前原誠司元外相が選ばれた。前原氏は「多くの国民が『民進党に政権交代などできっこない』と考えている。決意を示せば、失笑・冷笑で迎えられるだろう。私はそれを変えていく」と党再生の覚悟を述べた。
 今回の代表選は、東京都議選の惨敗を受けて辞任した蓮舫氏の後任選びで、保守系の前原氏と、リベラル系の枝野幸男元官房長官の一騎打ちになった。投票の結果、国会議員票で前原氏が大きくリードし、地方票でも圧倒した。
 最大の争点は、共産党との距離感、野党共闘の在り方だった。昨年の参院選は「安保法制」反対の旗印の下、民進党をはじめ、共産、自由、社民の野党4党が足並みをそろえた。その結果、全国32の1人区全てで候補を統一し、11県で自民候補を破るなど一定の成果を挙げている。
 今後も野党共闘を続けていくのか、それとも見直すのか。前原、枝野両氏の主張は大きく異なった。
 前原氏は「補選であれ、衆院選は政権選択の選挙だ。基本的な理念や政策が一致をしないと、政権を組むことにはならない」と見直しを主張。これに対して、枝野氏は「『安倍政治を何とかしろ』という幅広い市民の声を受け止めやすい。主体性を失うことなく、自民党と一騎打ちの構図に持っていく」と継続を訴えた。
 憲法改正を巡る基本的な姿勢にも、両候補には大きな違いがあった。前原氏が「憲法改正案の来年の発議は拙速だ」としつつも改憲論議には応じる構えを見せたのに対して、枝野氏は「議論されている改憲草案であれば徹底的に戦う」と与党との対立姿勢を打ち出していた。
 今後のかじ取りは前原氏に委ねられたわけだが、果たして党内をまとめられるだろうか。
 民進党の支持が広がらない最大の理由の一つは「ガバナンス(組織統治)」の欠如にある。党内にまとまりがなく、いったん方針を決めた後もいつまでも異論がやまない。党内の調整にエネルギーを吸い取られてしまうという悪癖をぬぐえるだろうか。
 今の自民党政治は、決して盤石なわけではない。「安倍1強」が続いたおごりが出てきて、支持率は急降下した。加計(かけ)学園や森友学園の問題でも説明責任を十分果たしたとは到底言えない。本来ならば、こうした時こそ政権交代可能な「二大政党制」の出番のはずだが、民進党に対する国民の視線は依然として冷ややかなままだ。
 都議選を振り返っても、しっかりした受け皿さえあれば、有権者は批判の意思を示すわけだ。
 国民の記憶には旧民主党政権時代のあまりにも無残な混乱ぶりが焼き付いている。党名こそ新しくなりはしたが、政権時代の検証・総括は果たして十分だろうか。その経験を生かす姿勢を、党内で共有できているだろうか。党内でさえ十分な統率が取れず、政策の調整にも手間取るというのに、安全保障などを委ねて大丈夫かと国民が疑問に思うのも当然だろう。
 国民の信頼を取り戻すには、具体的な行動で示すしかないと覚悟してもらいたい。前原氏は「国民に新たな選択肢を示すために立ち上がろう」と呼びかけた。来月に控える衆院補選が、その試金石になる。(古賀史生)


[前原民進新代表] 挙党態勢で再建に挑め
 民進党の代表選は、前原誠司元外相が枝野幸男元官房長官との一騎打ちを制した。
 前原氏は2005年に旧民主党の代表を務めて以来、2度目の野党第1党党首となる。
 離党者が続出し、支持率が低迷する民進党は、執行部内からも「危機的状況だ」という声が上がるほどだ。
 安倍政権と対峙(たいじ)し、政権交代可能な勢力となるには、新代表の下で対抗軸を明確にして挙党態勢を築けるかがカギとなる。
 前原氏は、小池百合子東京都知事の側近が年内結成を目指す国政政党との連携に前向きだ。だが、足元の党が一つになれなければ野党再編の渦にのみ込まれかねない。解党の危機に直面する恐れもあることを肝に銘じてもらいたい。
 前原氏は代表選を通じて「All for All(みんながみんなのために)」のスローガンを掲げた。社会保障政策を前面に打ち出し、労組系議員に支持を広げたことも勝利の一因だろう。
 枝野氏も「お互いさまに支え合う」を主張していた。自己責任社会から脱却し「最低限の暮らしを権利にする」という前原氏の考えは有権者の共感を得られるはずだ。実現に向け、財源を含めた具体的プランの提示が求められる。
 両氏の政策の違いで注目されたのが、野党共闘や「小池新党」との連携に対する考え方だ。
 前原氏は、枝野氏が前向きに取り組む共産党を含めた選挙協力について「基本的な理念や政策が一致しないところと組むのはおかしい」と否定的だ。
 一方で、「小池新党」や民進党を離党した細野豪志元環境相、旧民主党時代に対立した自由党の小沢一郎共同代表との協力に意欲を見せる。
 小池新党との連携には、党内にも賛否がある。民進党の都道府県連幹部に対する調査では、「人気だけでは国民の支持は得られない」「第2の自民党なら必要ない」など、消極的な意見も聞かれた。
 党内では、憲法改正や消費税率引き上げの是非、原発ゼロの達成時期などでも路線の違いがある。他党との連携の前に、徹底した議論で党の理念や政策をまとめ上げることが新代表の責務だ。
 そのための党内人事にも注目が集まる。前原氏は「人の好き嫌いや自分に近いかどうかで判断してはいけない」と述べ、党内融和に配慮する方針を示している。
 枝野氏をはじめとするリベラル系の声も取り込みながら党勢を立て直せるか。野党第1党のかじ取りは、日本政治の行方にも影響を及ぼすことを忘れてはならない。


小池氏、虐殺の認識語らず 「歴史家がひもとくもの」
 関東大震災から一日で九十四年を迎えた。混乱の中で多くの朝鮮人が虐殺された史実は、戦前の公文書などにも記されているが、東京都の小池百合子知事は同日の記者会見で、虐殺の事実関係を巡る認識を問われ「歴史家がひもとくもの」などとして明言を避けた。小池知事は今年から、都内で開かれる追悼式への追悼文送付を取りやめており、式典出席者からは、小池知事の歴史認識を問う声が上がった。 (榊原智康、花井勝規、飯田克志)
 墨田区の都立横網町(よこあみちょう)公園では同日午前、朝鮮人犠牲者の追悼式が開かれ、出席した約五百人が、不当に命を奪われた人たちを悼んだ。しかし、例年実施されてきた都知事と墨田区長の追悼文読み上げは行われなかった。
 「いろいろ歴史の書の中で述べられている。さまざまな見方がある」。都庁の定例会見で、虐殺について小池知事はこう答えた。
 さらに「虐殺の事実はどう認識するか」と質問されたが「書かれているものがある。どれがどういうのかというのは、歴史家がひもとくものではないか」と述べ、事実を認める言葉は聞かれなかった。
 追悼式実行委員長の宮川泰彦さん(76)は「歴史家の判断として逃げているだけで、虐殺否定論の上に立っているとしか思えない」と批判。「人の命を大事にせず、歴史的事実を自らの歴史観から否定するのなら知事としてふさわしくない。追悼文をやめたのもこれが本意だったと思う。学校現場など他分野にも影響が広がるのでは」と危惧した。
 一方、東京都と同様に当時朝鮮人虐殺があった埼玉県熊谷市では、市主催の朝鮮人犠牲者追悼式があり、富岡清市長が百五十人の参列者を前に追悼のことばを読み上げた。
 富岡市長は「災害の渦中に巻き込まれ、混乱に乗じて伝えられた流言を信じた心ない人たちによって、罪のない方々が犠牲になられたことは誠に残念だ」とした上で「再び過ちを犯さぬことを誓う」と述べた。
◆史実 戦前の公文書記載
 一九二三(大正十二)年九月一日に関東大震災が発生すると、「朝鮮人が暴動を起こした」などのデマが広がった。あおられた民衆がつくった「自警団」などの手で、多数の朝鮮人や中国人らが虐殺された。
 政府中央防災会議の報告書によれば、朝鮮人虐殺は当時の行政などの公的記録から確認できる。司法省の「震災後に於ける刑事事犯及之に関連する事項調査書」では、二百三十三人が殺害されたことが分かる。起訴事件分だけで一部にとどまる。
 朝鮮総督府の東京出張員が調べたという文書「関東地方震災ノ朝鮮ニ及ホシタル影響」では、殺された「見込数」として、東京約三百、神奈川約百八十、埼玉百六十六など計約八百十三人を挙げている。
 東京都公文書館所蔵の「関東戒厳司令部詳報」中の「震災警備ノ為兵器ヲ使用セル一覧表」は、軍の記録だ。軍隊の歩哨や護送兵の任務遂行上のやむをえない処置として十一件五十三人の殺害が記録されている。(辻渕智之)


追悼文拒否の中で開かれた関東大震災追悼式「忘却は再び悪夢を生む」
小池知事、追悼文送付拒否の中で開かれ 
向かい側では反対集会「日本人の名誉守ろう」
 「日本社会で関東大震災での朝鮮人虐殺の事実は歳月と共に風化し忘れられようとしている」
 1日、関東大震災94周年朝鮮人虐殺犠牲者追悼式が開かれた東京墨田区の横網町公園で会った追悼式実行委員長の宮川泰彦氏は苦々しく話した。
 今年の追悼式は、例年以上に憂鬱な雰囲気の中で開かれた。小池百合子東京都知事側は「(朝鮮人らに向けた)特別な形での追悼文は控えた」と宣言した。2000年代以後、すべての東京都知事が毎年送ってきた追悼文を今年は送らなかった。
 宮川委員長は「(保守的なことで有名だった)石原元東京都知事も虐殺を否定する雰囲気ではなかったので追悼文を送った。だが、小池知事は追悼文さえ送らない」と嘆いた。彼は追悼式で「自然災害で亡くなった人(日本人)と、人の手で殺された人とは違う。都知事が追悼文を送らないということは容認できない」として「忘却は再び悪夢を生む危険がある」とも話した。
 「関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会」事務局長の田中正敬氏は、追悼式で「関東大震災当時、朝鮮人だけでなく中国人、そして(労働運動家などの)日本人も殺された」として「私たち皆が加害者であり被害者になりうる」と話した。
 変化した日本社会の雰囲気を反映する場面は追悼式場の目の前でも見られた。日本人20人あまりが集まって、朝鮮人追悼式と同じ時刻にすぐそばで日本人地震被害者慰霊式を開いた。彼らは「朝鮮人6000人虐殺は事実か?」「日本人の名誉を守ろう」などと書かれた大型横断幕を日章旗とともに掲げた。彼らは「朝鮮人6000人以上が虐殺されたというのは嘘だ。犠牲者は20分の1程度ではないだろうか」として「反対に日本人がやられた場合もないだろうか」とまで主張した。以前にも駅頭で追悼式反対パンフレットを配った人はいたが、追悼式場の目の前で反対行事が開かれたのは今年が初めてだ。市民団体の日朝親善協会会員シマオカ・マリ氏は「日本社会の右傾化が激しくなり、右派の力が一層強まっている。向かい側の反対集会がその例」と話した。朝鮮総連東京本部副委員長のホ・ジョンス氏は「以前にも過去を否定する人々はいたが、最近はきわめて露骨になった」と話した。
 日本の保守派も、関東大震災当時に朝鮮人が日本人に殺害された事実自体を完全には否定できない。関東大震災の後、日本では朝鮮人が毒を井戸に撒いたというデマが出回り、自警団が警察のほう助の下で朝鮮人数千名を虐殺した。日本の内閣府が作成した報告書にも、殺された場合があると書かれている。彼らは大震災後の混乱した状況で正確な統計がありえないという点を悪用している。内閣府の報告書には殺された朝鮮人と中国人の数について「殺傷事件による死亡者は正確には分からないが、地震による死亡者10万5000人の1〜数%」と書いた。今年3月、古賀俊昭・東京都議会議員は「犠牲者数の6000人には根拠がない」という質問で追悼文の送付拒否を要請し、小池知事はこれに応じる形で朝鮮人虐殺隠蔽に加勢している。これは朝鮮人虐殺追悼碑撤去要求の動きにつながっていて、朝鮮人虐殺の事実全体を否定する動きにまで膨らむ可能性がある。
 この日の追悼式には昨年の2倍ほどの500人余りが参加した。12時から始まった献花行列は40数分にわたり続いた。小池都知事の追悼文送付拒否が大きく報道されたので、逆に関心が高まって起きた苦々しい現象だった。
 この日、同じ横網町公園では、関東大震災と東京空襲の犠牲者を慰霊する行事が日本の皇太子が参加した中で開かれた。小池知事はこの行事には追悼文を送ったが、朝鮮人虐殺に対する言及はなかった。
東京/チョ・ギウォン特派員


概算要求  歳出圧力が増すばかり
 2018年度政府予算に向けた各省庁の概算要求総額は約101兆円で、4年連続100兆円を突破した。
 高齢化に加えて子育て支援を充実させたい社会保障費や、北朝鮮情勢への対応が迫られる防衛費、安倍晋三首相が新たに打ち出した「人づくり革命」の推進など、歳出圧力は高まる一方である。
 しかし、財源には限りがある。国の将来を見据えて、財政規律を守る努力も必要だ。年末の予算案編成では、不要不急の施策に切り込むとともに、歳出圧力を抑制する知恵と工夫が求められる。
 要求総額は前年度とほぼ同規模だが、国債の利払いを低く見込んでおり、政策経費は77兆円に拡大した。過去最大となった本年度当初予算より3兆円以上多い。
 社会保障、「働き方改革」を担う厚生労働省の要求は、前年度比2・4%増で実質過去最大の31兆4千億円余りに膨れ上がった。
 防衛省も、過去最大の5兆2千億円。ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の動向をにらみ、新装備の配置を目指す。
 「人づくり革命」は、幼児教育、保育の無償化、大学授業料の負担軽減が柱となる。
 いずれも重要な施策だが、上限のない「青天井」の要求になってはいないか、厳しく点検してもらいたい。
 高齢化に伴う社会保障費の自然増は6300億円に達する見通しで、政府が目標とする5千億円程度に抑えたいところだ。
 来年度は、診療、介護報酬の同時改定が6年ぶりに予定されており、その引き下げを軸に対応する方針だが、関係者との調整は難航しそうだ。
 概算要求で金額を示さない「事項要求」にも注意を払いたい。
 防衛省が導入を決めた地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」は、米国と協議を進めてから設計費を計上する。
 幼児の教育無償化も事項要求で、大学などの授業料無償化も加えれば、4兆円を超える追加財源が要るとされる。「こども保険」を創設する案が浮上しているが、国債に頼る声も与党内にある。
 これらが、金額とともに浮上してきた際にどうするか、今から考えておいた方がよいだろう。
 16年度の税収が、7年ぶりに減少したことを踏まえる必要がある。これから財政健全化目標を見直し、消費税率の10%への引き上げを判断しなければならないことも、視野に入れておくべきだ。


防衛費概算要求 必要でも「青天井」は困る
 防衛省は2018年度予算の概算要求で、米軍再編関連経費などを含めて総額5兆2551億円を計上した。17年度当初予算比で2・5%の増加となる。
 財務省は年末の予算案編成に向けて査定を進めるが、安倍晋三政権の防衛力強化方針を反映し、防衛費は最終的に前年度を上回る可能性が高い。既に防衛費は17年度まで5年連続で増加している。
 今回の防衛費概算要求で目立つのは、北朝鮮の弾道ミサイルへの対応策を重視していることだ。
 新装備の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を、金額を示さない事項要求として記載し、年末に設計費を計上する。イージス艦搭載の改良型迎撃ミサイル取得費なども盛り込んだ。
 北朝鮮が挑発を繰り返している現状では、弾道ミサイル対策の強化は必要であり、国民の不安を拭う効果も確かにあるだろう。
 ただ、必要な物をそろえるにしても、費用が「青天井」になっては困る。そこには一定のバランス感覚や戦略が求められる。
 特に最近の兵器は高額だ。イージス・アショアは1基当たり800億円と推計され、取得後も維持費や要員の経費がかさむ。
 このほか、防衛予算では装備を複数年で分割払いする「後年度負担」を使うことも多いが、これも将来の予算を圧迫する。
 このまま防衛費の膨張が続けば、財政健全化目標に悪影響を及ぼしかねない。財政全体の中で防衛費がどの程度を占めるのが適正か、本格的な議論が望まれる。
 防衛省内での再点検も必要である。東西冷戦の発想を引きずる現行の陸・海・空の予算配分が、現在の情勢下で妥当なのか。大胆な発想の転換が求められている。
 北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の台頭で東アジアの安全保障情勢は厳しさを増す。的確な対応は必要としても、際限のない軍拡競争に巻き込まれて財政が行き詰まっては元も子もない。外交努力で緊張緩和を図ることが財政再建に寄与し、ひいては平和と安全の礎となることを忘れてはならない。


防衛予算◆野放図な膨張は許されない◆
 防衛省は2018年度予算の概算要求で、過去最大となる5兆2551億円を計上した。北朝鮮が続ける弾道ミサイル発射への対処を重視してミサイル防衛態勢の整備を進め、中国の海洋進出への対応として南西諸島の防衛強化策も盛り込んだ。
 17年度の当初予算と比べると2・5%の増だ。それでも来年度は14〜18年度が対象の中期防衛力整備計画(中期防)の最終年度で、5年間の総額は24兆6700億円程度と定められており、一定の歯止めがかかっている。
より効率的な整備を
 だが安倍晋三首相は13年に決定した、10年程度の防衛力整備の指針を定める「防衛計画の大綱」の見直しを表明。先の日米の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)でも「日米同盟での日本の役割拡大と防衛能力の強化」を打ち出しており、新たな大綱の下で今後、防衛費の大幅増に踏み切る可能性が指摘されている。
 北朝鮮のミサイル発射に対処する適切な態勢の整備は必要だ。しかし厳しい財政事情の中で「脅威」を理由にした野放図な膨張は許されまい。装備の実効性と、より効率的な防衛態勢の整備に向けて厳しい精査が必要だ。
 防衛費は第2次安倍政権の発足後の13年度に増加に転じ、増え続けている。18年度の概算要求では弾道ミサイル防衛の強化策が並ぶ。海上自衛隊のイージス艦に搭載する改良型迎撃ミサイルや航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の改良型の取得費、新方式の次期警戒管制レーダーの開発費などだ。
 新たな装備として導入を決めた地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」は金額を示さない「事項要求」として記載。年末の予算案編成時に具体的な設計費を盛り込む考えだ。
総合的な戦略が必要
 一方で予算圧縮への取り組みは十分か。米国から導入する無人偵察機グローバルホークは当初の予算を大幅に超えたとして取りやめも検討したが継続を決めた。財政の状況は甘くない。装備調達の優先度を査定し、より厳しく取り組む必要があろう。
 現行の防衛計画大綱は、人員削減などを明記した民主党政権時代の大綱を安倍政権下で改定したもので、沖縄県・尖閣諸島を巡る中国への対応が柱となっていた。見直しの必要性として北朝鮮の核・ミサイル開発の急速な進展を踏まえた対処策が中心となろう。
 焦点の一つは、ミサイルの発射地点を破壊する「敵基地攻撃能力」だ。政府は法理論上は可能との立場だが、「専守防衛」の実質的な転換ではないか。
 防衛費は近隣諸国へのメッセージという面も持つ。北朝鮮や中国の軍拡を理由に、その「競争」に加わるのか。地域の安全保障環境の改善に向けた外交指針と併せた総合的な安全保障戦略の慎重な検討を求めたい。


麻生氏ヒトラー発言 撤回して済む話ではない
 政治家の劣化を露呈した。発言を撤回して済む話ではない。
 麻生太郎副総理兼財務相が、横浜市で開いた麻生派研修会の講演で「(政治家を志した)動機は問わない。結果が大事だ。何百万人を殺したヒトラーは、いくら動機が正しくても駄目だ」と述べた。
 ナチス・ドイツの独裁者を擁護しているとも受け取られかねない。閣僚としてだけでなく政治家としての適性を疑う。かつて首相を務めたこともある人物だけに影響は大きい。麻生氏は直ちに議員辞職すべきだ。安倍晋三首相の任命責任も問われる。
 麻生氏は「例示として挙げたことは不適切であり撤回したい」として発言を撤回するコメントを発表した。しかし今回の発言が、うっかり失言したとは考えにくい。
 麻生氏は4年前もドイツのナチス政権時代に言及して「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気が付かない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と発言して批判を浴び、撤回した経緯があるからだ。
 ヒトラーが持っている反ユダヤ主義という動機が、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を引き起こしたことは歴史的事実だ。
 ヒトラーの人種思想によると、最高・最良の人種はアーリア人種とされる。アーリア人種の中でゲルマン人、とりわけドイツ人には特別の価値があるとした。これに対して「ユダヤ人は価値の低い人種であるのみならず、アーリア人種の壊滅を目的としている『敵対人種』。アーリア人に敵対しているのだから徹底的に抹殺されねばならない」(「ナチス・ドキュメント」)という、完全に倒錯した人種差別の発想である。
 麻生氏発言は、後に撤回したものの反ユダヤ主義という「動機」は正しかったと言っているのに等しいのである。
 麻生氏は「私の言った真意と異なった話が伝えられているのでこういう騒ぎになった」と不満をにじませた。
 話をすり替えてはならない。騒ぎになったのは誤った発言をしたからである。本当は反省していないが、騒ぎになったから発言を撤回したのだろうか。
 おそらく欧米でこのような発言をすれば、発言撤回だけでは済まないだろう。
 米国では、人種差別によって社会が分断されている。バージニア州で開かれた白人至上主義団体の集会で、反対した市民との衝突で死傷者が出た。米国第一主義を掲げるトランプ大統領が、双方に非があると発言し、人種差別団体と抗議の市民を同列視するような認識を示した。このため与党からも大統領としての資質が疑われた。
 安倍首相は内閣改造で、資質を不安視された法務相や防衛相などを一掃した。しかし、失言は収まらず今度は副総理だ。小手先の対応では国民は納得しない。


[「オール沖縄」に平和賞]運動後押し連帯に弾み
 辺野古新基地建設に反対する政党や市民団体でつくる「オール沖縄会議」が国際的な平和賞を受賞することが決まった。「軍事化や米軍基地に反対する非暴力の取り組み」が評価された。
 非暴力の抵抗を続けている辺野古の現場に座り込む人たちには大きな励みとなる。反対している多数の県民にとっても喜びである。
 受賞するのはドイツの国際平和団体「国際平和ビューロー」(IPB、ベルリン)のショーン・マクブライド平和賞である。
 同賞は、平和や軍縮、人権分野で卓越した功績を挙げた個人や団体に贈られ、これまでに日本原水爆被害者団体協議会(被団協)や平和市長会議が受賞している。
 IPBは戦争のない世界を目指し1891年に発足。1910年にはノーベル平和賞を受賞した。会長を務めた故マクブライド氏は人権に強い関心を持ち、アムネスティ・インターナショナルの設立にも参加、自身もノーベル平和賞を受賞した。マクブライド平和賞は同氏の功績をたたえ、92年に創設された。
 オール沖縄会議は2015年12月に結成。辺野古における抗議行動の支援を目的の一つとして運動を支えた。受賞を追い風に国際世論への働き掛けを強めてもらいたい。
 日米両政府は沖縄の民意を無視して新基地建設を強引に進めている。政治的表現の自由を弾圧するような強制排除もあるが、世界基準からみればオール沖縄会議の非暴力の抵抗こそが、まっとうであることを知るべきだ。
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 新基地建設を巡って国と県の対立は深まるばかりだが、沖縄の運動は決して孤立していない。
 元県知事の大田昌秀さんがイタリア人活動家から贈られたという「壁の向こう側に一人でも多くの友人をつくりなさい」との言葉を思い出す。
 オール沖縄会議は、国際世論に訴える役割も実践している。8月に2度目の訪米団を派遣したばかりだ。
 約66万人の組合員を取りまとめるアジア・太平洋系アメリカ人労働連合(APALA)に働き掛け、新基地に反対する決議をした。
 退役軍人ら8千人を擁し、辺野古で座り込みをした平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」も新基地計画の撤回を米政府に求める決議をした。
 IPBは「現在の運動を支援したい」とも言及しており、新基地反対の国際的な連帯の輪は広がっている。
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 辺野古の座り込みは1日、1153日を迎えた。
 沖縄戦を体験した高齢者らを辺野古に駆り立てているのは、再び戦前に逆戻りしてしまうのではないかとの歴史体験からくる危機感である。共通しているのはクヮンマガ(子や孫)のために、二度と沖縄を戦場にしてはならないとの痛切な思いである。
 授賞式は11月24日、スペイン・バルセロナで開かれる。平和賞は辺野古で続く非暴力による闘いへの支持である。今後とも新基地に反対する正当性を粘り強く内外に発信していくことが重要だ。


米高裁が待った 辺野古基地建設にジュゴンが一矢報いるか
 安倍政権が強行する沖縄・辺野古の新基地建設問題。28日、キャンプ・シュワブゲート前に座り込んだ反対住民の中に、ジュゴンのオブジェがあった。機動隊は工事車両搬入のため、住民とともにオブジェも強制排除。実はジュゴンが今、基地反対運動の中心にいる。
 2003年に県民らが、米国防総省を相手取って現地裁判所に提訴した辺野古基地建設をめぐる「沖縄ジュゴン訴訟」。先週、サンフランシスコ控訴裁は、原告の当事者適格を認めた上で、「政治的問題を提起するものでもない」として、訴えを退けた15年の1審判決を覆し、連邦地裁に差し戻した。
 米国の「国家歴史保存法」は、米国が海外で活動する場合、相手国で法的保護されている文化財は保護の対象にすると規定する。県民らは同法を根拠に、日本の文化財保護法で天然記念物に指定されたジュゴンを保護する義務があると訴えていた。差し戻し審では、ジュゴン保護の義務が尽くされているか、司法の目で検証される可能性が出てきた。
 辺野古の海はジュゴンの生息域の北限だ。工事を行う日本政府はどんな配慮をしたのか。環境省は「配慮は事業主体の防衛省の責任で行う」(希少種保全推進室)と語り、防衛省は「工事にあたっては、ジュゴンが確認されれば作業を休止します」(報道室)と回答。まるで“出たとこ勝負”で、絶滅危惧種を本気で守る気があるのか疑わしい。
 原告のひとり、名護市の東恩納琢磨市議が言う。
「確認したら休止する? よく言いますよ。何も配慮していないと認めたようなもの。工事でうるさくなったからジュゴンが寄り付かなくなった。控訴審判決はちゃんと環境への配慮手続きを踏めと当然のことを言ったまで。日本政府の環境アセスは黒塗りばかり。今後の差し戻し審の中で、いかに環境を無視してきたかが、次々と明らかになるでしょう」
 かわいいジュゴンが政府のゴリ押しに一矢報いることになるか。


前川前文科次官 安倍政権「もうひとつの私物化」を激白
 “腹心の友”に便宜を図った加計学園疑惑で安倍政権による「国家の私物化」は広く国民が知るところとなったが、どうやら氷山の一角のようだ。加計疑惑を告発した前文科事務次官の前川喜平氏が、自身が経験した「もうひとつの私物化」を明らかにした。2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の選定過程でも“総理のご意向”が働いていた。
 ◇  ◇  ◇
 あれもかなり無理筋のお友達案件でした。動き始めたのは第1次安倍内閣のころです。「地域振興」だとして地方の首長さんたちが協議会をつくって、世界遺産登録に取り組んでいた。それをまとめて、ユネスコに働きかけようとしていた中心人物が加藤康子さんという加藤六月元農相の長女でした。安倍家と加藤家は仲が良く、康子さんは安倍首相の幼馴染みだそうです。第2次安倍内閣で、康子さんは内閣官房参与。文科省の3年先輩で元ユネスコ大使の木曽功さん(現・加計学園系列の千葉科学大学長)も同様に参与でした。木曽さんと和泉洋人総理補佐官も世界遺産委員会の現場にいました。
  ――「明治日本の産業革命遺産」は、軍艦島(長崎県)や官営八幡製鉄所(福岡県)など九州から岩手まで8県に点在する造船、製鉄、石炭産業など23の施設や遺構。各国の文化遺産推薦枠が年1件という中、文化審議会で既定路線とされた「長崎の教会群」を蹴倒して選ばれ、なぜか安倍首相の地元の松下村塾(山口県)まで含まれていることも“安倍官邸のゴリ押し”と噂されたものだ。
 2015年は長崎でのカトリック信徒再発見から150年目の節目で、長崎県の関係者は「その年に教会群を世界遺産登録したい」と準備をしてきていた。ところが、内閣官房が別の有識者会議を設けて審査し、「産業革命遺産」にすると言ってきた。政府の中に文化審議会と内閣官房の有識者会議という2つの審査機関ができてしまって、「どちらを取るのか」という話になり、最後は政治決断となりました。
 ユネスコの諮問機関であるイコモスの審査はとても厳しい。産業革命遺産は構成資産全体を説明するコンセプトが弱いことと、保全措置が不十分であることが課題でした。特に軍艦島は崩壊が続いている。それで、日本イコモスの専門的な審査をすっ飛ばし、外務省の組織を総動員し、政治力と外交力で押しきったのです。
  ――ただ、その“政治力”が来年、新たな国際問題に発展しそうだという。15年7月の世界遺産委員会は「徴用工」の問題で紛糾した。韓国が「強制労働の負の歴史遺産」だとして登録に反対したのだが、日本側が「朝鮮半島の人々が労働を強いられたことを説明する情報センターを設置する」と約束し、韓国側が矛を収めた経緯があるのだ。
 その情報センターが、今もできていないのです。登録から3年後に見直すことになっていますから、必ず来年、国際問題になります。韓国側が必ず持ち出してくるでしょう。軍艦島の保全措置という宿題も残っています。無理に無理を重ねて通してしまった結果です。
  ――アベ友に木曽氏に和泉氏。加計疑惑と登場人物も同じだ。こうした国家の私物化が安倍政治の至るところで行われているということだろう。(取材協力=ジャーナリスト・横田一)