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きやま食堂171202

La Corée du Sud remet en cause son accord avec le Japon sur le dossier des ≪femmes de réconfort≫
Le président sud-coréen Moon Jae-In a dénoncé hier jeudi l’accord conclu en 2015 avec le Japon sur le dossier des ≪femmes de réconfort≫, qui étaient soumises à l’esclavage sexuel dans des bordels de l’armée japonaise avant et pendant la seconde guerre mondiale. Le Japon a aussitôt mis en garde contre une remise en cause de l’accord conclu.
Moon Jae-In a pris position après la publication la veille, du rapport d’enquête d’une commission d’études qui a conclu que l’accord de décembre 2015 avec le Japon ≪ne règle pas la question≫.
Par l’accord conclu sous le précédent gouvernement sud-coréen de Park Geun-Hye, le Japon avait présenté ses ≪sincères excuses≫ et versé sept millions cinq cent mille euros de dommages et intérêt à une fondation sud-coréenne pour aider les rares ≪femmes de réconfort≫ sud-coréennes toujours en vie. Mais au lendemain de sa signature, l’accord a été vivement critiqué par une partie de l’opinion publique et des associations sud-coréennes.
Dans son rapport publié hier, la commission estime que l’accord de 2015 ≪ne règle pas la question≫, et qu’il était ≪précipité≫, ≪très imparfait≫ et ne prend pas en compte la voix des victimes. Le président sud-coréen a appelé son administration à prendre au plus tôt des mesures de suivi, sans plus de précisions.
Le ministre japonais des Affaires a immédiatement réagi en déclarant qu’une révision de l’accord serait inacceptable et rendrait les relations entre les deux pays ≪ingérables≫.
Une éventuelle dénonciation de cet accord par Séoul aurait des conséquences sur ses rapports avec le Japon, au moment ou les deux alliés des Etats-Unis font front commun face aux programmes nucléaire et balistique de Pyongyang.
Pendant la période coloniale du Japon, entre 1910 et 1945, jusqu’à 200.000 femmes, essentiellement coréennes, mais aussi des Chinoises, des Indonésiennes et des ressortissantes d’autres pays asiatiques, ont été soumises à l’esclavage sexuel dans des bordels de l’armée japonaise. Cette question des ≪femmes de réconfort≫ empoisonne les relations entre le Japon et la Corée du Sud depuis des dizaines d’années.
Sarah J Cohen Sarah J. Cohen est une juriste spécialisée en droit international, basée à Strasbourg. Elle a travaillé de nombreuses années en tant que consultante pour divers organismes internationaux après avoir été analyste dans une banque internationale en tant qu’analyste.
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YTSスペシャル 希望の一滴〜希少難病に光!ここまで来た遺伝子治療〜
日本放送文化大賞・準グランプリ作品。遺伝子治療で運動機能が改善していく希少難病患者を山形テレビが長期取材。医療の可能性を信じる患者家族や医師たちの姿を描く。
遺伝子異常で寝たきりになる希少難病“AADC欠損症"。有効な治療法がなかったこの難病に一筋の光が差しこむ。それは「遺伝子治療」。山形テレビでは、患者家族、自治医科大学の遺伝子治療チームを独占取材。手術後2カ月で、寝たきりだった患者兄妹の身体機能に、驚くべき変化が起き始める。自分の意思で物をつかみ、半年後には、歩行訓練を始めたのだ。知られざる遺伝子治療の現場に密着。これまで治療法が見つからなかった神経難病に対する遺伝子治療の可能性と、患者家族の笑顔を伝える。 山形テレビ ☆番組HP  http://www.yts.co.jp/contents/ytsspecial/2016/08/post-27.html

報道の日2017
“激動の日本×アメリカ×北朝鮮”今そこにある東アジアの危機!緊迫する米朝関係!度々緊張と緩和を繰り返してきた朝鮮半島!その歴史を徹底検証、危機の行方を考察します ★司会   関口宏 雨宮塔子 ★ゲスト   恵俊彰 ホラン千秋     ◇   平井久志(共同通信 客員論説委員)   中林美恵子(早稲田大学 教授)      ほか ★アシスタント   皆川玲奈(TBSアナウンサー)
今年、もっとも賑わせたニュースのひとつ、北朝鮮。アメリカとの緊迫感は増すばかりです。いったいどこへ向かうのか?そして、私たちへの影響は?今年の「報道の日」は、この北朝鮮とアメリカ、そして日本に注目してお送りします。朝鮮半島の南北分断がはじまったのは、1945年太平洋戦争の終戦から。番組は、それまで日本に併合されていた朝鮮半島が、米ソによって分割統治されるときからスタート。以降、南北間では、アメリカや日本を巻き込み、幾度となく緊張が高まったり、緩和されたり…。時には、戦争直前の危機も訪れます。これまでに朝鮮半島で起きたこととは? 番組HP http://www.tbs.co.jp/houdounohi/ TBSテレビ 制作プロデューサー/総合演出 谷上栄一 制作プロデューサー 西野哲史 番組プロデューサー 上田学 プロデューサー 辻井靖司(MBS) 山口秀一(TBS-V) チーフディレクター 遠藤奏 スタジオ演出 山内尚文

異邦人‏ @Beriozka1917

「詩織さんは彼女の体験(山口敬之から受けた準強姦被害)についての本(Black Boxのこと)を出版したが、日本の主要ニュースメディアではあまり注目されていない」と、記事の最後に書かれている。日本では性犯罪被害者が声を上げても注目すらされないという現実が改めて世界中に知れ渡るね。
伊藤詩織さんの件は、日本における #MeToo 運動と絡めてBBCやNYタイムズ、スウェーデンのダーゲンス・ニュヘテルでも取り上げられ、他にもフランスのフィガロやルモンド、イタリアのコリエーレ・デッラ・セーラ等で報道されている。それに引き換え、国内メディアの怠慢ぶりは一体何なのか。
伊藤詩織さんは自らが受けた惨たらしい準強姦被害を勇気を振り絞って告発し、今まで日本独特の社会的風潮によって抑圧されてきた性的被害の告白に先鞭を付けたけれども、肝心の国内メディアより海外メディアの方が敏感に反応しているというのは恥ずべき事だ。これは紛う事なき日本社会の問題なのに。

内田樹‏ @levinassien
「フィガロ」の見出しは「伊藤詩織 強姦事件日本を震撼させる」ですけれど、国内メディアを見る限り、日本は全然「震撼」されていないようです。現に起きていることを報道できないメディアって何の役に立つんでしょう?
渡邉葉 @YoWatShiinaEsq
NY Times記事 re: #ShioriIto #JusticeForShiori
米法観点からみて興味深いのは、詩織さんがホテルロビーのカメラで記録を見ると"incapacitated" (自律能力がない)と見える、と明記されていること。米国内であったなら、大多数の州で、強姦立証要件の一つです。

小島慶子‏ @account_kkojima
伊藤詩織さんの告発について報じたニューヨークタイムズの記事。山口氏にも取材しています。逮捕が取りやめられた経緯だけでなく、性暴力について日本の社会やメディアが語ろうとしない背景を伝えています。
She Broke Japan’s Silence on Rape

怒れる元K(재일 한국인 3세) @HeatK325
伊藤詩織さんを皮切りにはあちゅうさんをはじめ、女性達が声を上げたのは日本でも同じ。しかし、海外と違うのは、女性達へのセカンドレイプ・バッシングの多さ。"モテテる自慢"とか"チヤホヤされて可愛がられてうらやましい"から"セクハラや痴漢される方にも原因がある、隙がある"、果ては"男性全員を性加害者扱いするな"とかNotAllMenを持ち出したり、"性被害を訴えるからには命の保証はないとか、(加害)男からの報復を覚悟しろよ"という風に脅され、妨害したり潰そうと試みる男児達が続出する始末。挙句に、AED処置を女性に施したらセクハラで訴えられるという悪質なデマまで流し、さらなる#metooに絡めてさらなる女性嫌悪を広めようと画策する奴らもでる始末。多少のセカンドレイプ’は海外でもあり、アホな男は存在するが、悪質な嘘やデマ、女性をあざ笑う冷笑系の戯言、ネトウヨやセクシストのパヨク、嘘松なる暴言やカウンターに塗れる醜悪さは世界広しといえども、日本だけだ。被害者へのバッシングに加わらず、運動に賛同するようなマシな男性達でさえ、「女性はもっと告白してほしい」「女性はもっと声を上げるべき」という自分は加害者(性犯罪者)と無関係ですよという限りなく他人事なのがさらに救えない。"被害を訴える女性は改善策を出すべきだ"という意見もあって、事後の改善策まで女性に押し付ける始末。痴漢などの性犯罪でも一緒。セカンドレイプ以外の一件最初の一言は加害者への非難で被害者により沿うようにみえて自衛策や痴漢の改善策を出せとか、女性へ責任を押し付け、告白をしにくくさせている。ホモソ・男根・家父長制社会全体や男性性全般に目を向け、まず自分達が変わろう。その上で女性の責任ではなく、女性への性暴力の蔓延は男性性の問題や責任であることを踏みしめ、自分達が友人や仕事の同僚を含む他の男性に働きかけ少しずつでもいいから変えていこうという#howiwillchangeの積極的な表明が日本では少数の男性以外から最後まで上がらなかった。
金子勝@masaru_kaneko
【原子力村のデマ】新潟県と東電の合同検証委員会は、福島第一原発事故後2か月以上メルトダウンが起きたことを東電が認めなかったのは、当時の清水社長の判断であり、当時の民主党政権の官邸からの指示はなかったとする調査結果を公表。無責任社会は時効後に真実が出る。

出かけようとしたら自転車はパンク.前輪も後輪も.なので歩いてDIYのお店に向かいました.
買い物ははんだごてです.
スーパーでキムチを買ったので,お昼は冷凍庫のご飯を解凍して生卵とキムチです.
帰りが7時過ぎかと思っていたら9時近くまでお仕事頑張ってきたとのこと.お疲れ様です.

[復興拠点整備] 地域の将来像見えない
 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く福島県双葉町で、住民が再び住めるようにする「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)の整備に向けた除染が始まった。
 政府が認定した復興拠点の整備計画に基づく初めての作業である。福島県内7市町村に残る帰還困難区域の再生に向けた第一歩ではあるが、帰還目標は2022年春ごろまでとまだ遠い。
 順調に進んだとしても、どれくらいの住民が戻るかは見通せない。拠点の内と外で町民の分断が生じることも懸念される。
 安心して住める古里が取り戻せるのか。町全体の復興に向けた道のりは依然厳しく、地域の将来像は見えないと言わざるを得ない。
 帰還困難区域は福島第1原発事故による避難区域のうち、放射線量が年間50ミリシーベルトを超え、立ち入りが制限されている地域だ。双葉町では面積の約96%に当たる。
 双葉町の復興拠点は町のおよそ1割の約555ヘクタールだ。今回の工事は来年7月までの予定で、JR双葉駅周辺の約7ヘクタールで表土のはぎ取りや草刈りなどの除染、約55軒の住宅や公共施設の解体を行う。
 政府は最終的には帰還困難区域全域を除染し、避難解除する方針だ。しかし、「選択と集中」が必要だとして、具体的な目標時期は示していない。
 これでは、帰れない地域の人に不公平感が残り、長期的な町の政策も立てづらい。国は早期に計画の全体像を住民に示すべきだ。
 双葉町では、拠点整備のスタートを評価する声がある一方、避難の長期化で帰還を諦めたという町民は少なくない。
 事故から6年9カ月を超え、建物の多くは手つかずのままだ。荒れた家屋に加えて、周囲の放射線量や治安、買い物に不安を感じるのは当然である。
 帰還困難区域が面積の約8割を占める浪江町で、16年に復興庁が行った調査では、将来も含めて「帰りたい」と回答したのは17.5%にとどまった。
 避難先で苦労しながら生活を安定させてきた人たちは多い。国は「帰還ありき」ではなく、住民それぞれの意向に沿った支援の選択肢を提示しなければならない。
 復興拠点の除染にはほかの地域と異なり、国費が投入される。
 1日も早い除染作業は必要だが、環境行政の根幹である「汚染者負担原則」に反しており、事実上の東電救済になっていることは見逃せない。
 最終的には東電に請求することを検討するとともに、負担が生じている以上、国民にも丁寧な説明が欠かせない。


宮城の汚染廃棄物問題/国は前面に立ち責任果たせ
 東京電力福島第1原発事故で生じた宮城県内の汚染廃棄物の処理問題は、根本的な解決への一歩を踏み出せないまま、今年も越年する。
 原発事故から間もなく7年。汚染廃棄物を抱える地域住民は、いまだ日常を取り戻せないまま。遅々とした政治の対応を嘆かざるを得ない。
 県は27日、大崎、石巻、黒川、仙南の4圏域の広域行政事務組合代表の首長と会合を開き、一斉開始を前提とした試験焼却を「順次開始」へと方向転換した。準備の整った地域から2月以降、順次行っていくという。
 自治体が原発事故の後処理で翻弄(ほんろう)される現実に改めて違和感を覚える。問題の解決を、被害者である市町村に委ねるのは矛盾している。圏域で足並みの乱れが生じないのか、懸念が残るやり方だ。
 放射性物質に汚染された廃棄物のうち、濃度が国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の稲わらや牧草は宮城県内で約3万6000トン。放射性物質汚染対処特措法により一般ごみと同じ扱いとされ、市町村が処理責任を負う。
 汚染廃棄物を巡る県や市町村の対応は二転三転した。動きだしたのは2016年春。県内で基準値を超える「指定廃棄物」の最終処分場問題が棚上げされた後だった。
 県は同年11月、県内の自治体などが持つ焼却施設で一斉処理する方針を発表。全35市町村長を集めた会議に提案したが、全会一致に至らず結論を翌年に持ち越した。
 今年6月、県は一斉焼却を断念し、汚染廃棄物を保管する自治体が圏域ごとに個別処理する方針に転換。7月の市町村長会議で合意され、今秋の試験焼却開始が決まった。
 しかし、大崎市や石巻市であった説明会は、焼却場や焼却灰の最終処分場がある地域の住民から風評や健康被害への不安が噴出。両市は関連費を予算化できず、年内着手は断念を余儀なくされた。
 安全を担保するデータや風評被害対策が不十分なまま進む県や市町村の議論は、住民の不安を呼び起こす一因になっている。反対する住民や市民団体の活動は各地で活発化し、「福島集約」の声すら出始めた。これもまた原発事故がもたらした悲しい現実だ。
 放射性物質は時間とともに自然減衰する。特措法上、指定廃棄物が基準値を下回れば一般ごみとされ、自治体の処理負担は刻々と増えることになる。現在の仕組みは、国が汚染廃棄物の問題を市町村に押し付けているように映る。
 指定廃棄物の最終処分場問題は14年1月の候補地決定から2年間足踏みし、頓挫した。県は今回、汚染廃棄物の18年度の本格処理を目指す。首長たちは覚悟を迫られている。堂々巡りを回避する手だてはあるのだろうか。
 国は傍観者ではなく、当事者として前面に立ち、特措法の再構築を含めた政治責任を果たす義務がある。


その後の原発、世界が監視 政府の責任続く
 ★東京電力福島第1原発事故の後、炉心溶融(メルトダウン)が2カ月間公表されなかった問題で、当時の官邸から指示、つまり首相・菅直人の指示があったか否かが焦点だった。26日、新潟県と東電の合同検証委員会は「炉心溶融という言葉の使用について官邸からの指示はなく、使わないよう社内に指示したのは当時の社長・清水正孝の判断だった」とする調査結果を公表した。 ★やっと検証結果が出たわけだが、東電は自分たちの立場を印象付ける第三者委員会で「官邸からの指示」と明記したために起きた混乱だ。この報告をベースに首相・安倍晋三は菅批判をしていたが、ブログを削除した。つまり東電がうそをついていたことを自ら発表し、6年後に東電も入った検証委員会で「事実はなかった」の結果は、あまりに不毛だ。その資料の信頼も揺らぐし、東電の発表をうのみにしていた報道機関や東電自身は、取り消しや謝罪は行わないのだろうか。 ★日本ではほとんど報道されていないが、20日、ロシア外務省のザハロワ報道官は「福島第1原発の大事故によって発生した液体放射性廃棄物を海に大量に放出するという、東京電力の方針に関する報道は、懸念を呼んでいる」と指摘。「日本政府は放射性汚染水の海への放出を禁止し、福島での大事故によって発生した廃棄物を安全に処理する方法を見つけるべきだ。日本にそのような技術がないのであれば、日本は国際社会に支援を求めることができるはずだ」と会見で発言した。 ★菅の名誉は回復したが、東電の責任とこの問題を引き継いだ現内閣や政府の責任は続いている。国内では風化が叫ばれるが、世界の政府が監視していることを忘れてはならない。今年1年を振り返ると、政権は内政、外交ともに目先のファクトに飛びつく傾向が強い。事故処理が中途半端では、復興も五輪もない。無視して通用する話でもない。真摯(しんし)な態度とは、避けて通りたいことも丁寧に実現させていくことだ。

ムスリムへ理解深めて多様性尊重する街に 東北大留学生ら活動
 イスラム教徒(ムスリム)の東北大留学生らが、教義に従った食事の普及を目指す取り組みや、礼拝場所の整備を要望する行動を通じて多様性の尊重に理解を求めている。宮城県国際化協会によると近年、東南アジアなどムスリム圏からの在留者の増加傾向が続く。留学生は「誰もが心地よく暮らせる街づくりを」と呼び掛ける。
 活動の中心は、東南アジアなどからの留学生約150人でつくる東北大イスラム文化協会。2008年に来日したインドネシア出身の大学院生アダム・バドラ・チャハヤさん(27)が代表を務める。
 留学生の情報交換の場として06年に結成され、アダムさんが16年4月に代表へ就いた後、ムスリム在留者への理解を広める活動や訪日外国人旅行者(インバウンド)の誘致に向けた環境づくりに力を入れ始めた。
 今年6月にはムスリムの食事「ハラール食」を提供する飲食店を増やそうと、仙台市青葉区の市地下鉄東西線国際センター駅で県内の食品加工業者との交流会を初めて開催。約80人が集まり、留学生がハラール対応の牛タンや白石温麺(うーめん)などを味わった。
 ムスリムに欠かせない礼拝の場所を確保する活動にも取り組む。今月11日に10人が県庁を訪れ、礼拝にも使える多目的スペースの整備に対する助成などを求め河端章好副知事に要望書を手渡した。
 同国出身の大学院生アンディ・ホリック・ラマダニさん(28)は「洋服店の試着室で礼拝したという話を聞いたこともある。仙台市内に礼拝場所をもう少し増やしてほしい」と支援を求めた。
 県内にある専用施設は仙台市と大衡村の2カ所。アダムさんは「人が少ない所で礼拝したら警備員に声を掛けられたこともある」と苦い思い出を振り返る。「ムスリムへのネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)し、もっと自分たちのことを知ってほしい」と話す。
 県国際化協会によると、県内在留のインドネシア人は659人(16年)で5年前の約3倍に増加。日本政府観光局のまとめではムスリム圏からのインバウンドも伸びており、首都圏だけでなく東北など地方にも足を運ぶようになっている。
 アダムさんは「私たちは訪問先の食事や礼拝場所を事前に調べることが多い。ムスリムが安心して来ることができる仙台になってほしい」と期待する。


豊洲市場移転と小池都政 それで築地はどうなった
 東京都政は今年も「豊洲」「築地」に揺れた1年だった。
 築地市場から豊洲市場への具体的な移転・開業日が来年10月11日に決まった。都と市場関係者の合意がようやくまとまり、当初の予定から約2年遅れての移転となる。
 小池百合子知事が移転延期を決めたのは昨年8月末だ。その後、盛り土が一部ないことが判明し、施設内の地下水から環境基準の100倍を超える有害物質も検出された。
 確かに、延期したことで政策決定のずさんさが浮き彫りになった。安全対策を講じたのは当然だ。
 だが、東京都議選を前にした6月、豊洲市場と築地市場の両立方針を示してから、迷走が始まった。
 小池氏は「築地は守る、豊洲を生かす」と述べ、築地市場の跡地を「食のテーマパーク」とする再開発構想を打ち出した。しかし、その具体的なビジョンはいまだに示されていないままである。
 豊洲市場と築地市場のすみ分けがはっきりしないことは、豊洲市場の集客施設構想にも不安を与えている。施設の運営を予定する業者は「競合する」と反発し、撤退も検討しているという。
 これでは都政をあずかる責任ある姿勢とはいえないだろう。
 市場の安全を確保し、風評被害が出ぬよう努めるとともに、早急に築地再開発のグランドデザインを示すべきだ。
 豊洲市場の採算を危ぶむ声は根強い。年間の管理費も約77億円かかるとされ、赤字運営が見込まれる。
 卸売市場の水産物取引量は減少している。築地など都中央卸売市場の取引額は、1990年のピーク時に比べ2016年は約4500億円と半減している。消費者の魚離れや産地との直接取引の広がりが要因だ。
 取引量を増やし、経営合理化などで赤字を減らす工夫も必要だ。
 小池氏は「希望の党」を結成し、代表として10月の衆院選に臨んだ。だが「排除発言」などから失速し大敗すると代表を辞任した。国政と都政の間で揺れ動いた年だった。
 衆院選後、小池氏は「都政に専念する」と宣言した。豊洲移転問題への一連の対応が、知事のパフォーマンスだったといわれぬためにも責任ある対応が求められる。


脱炭素社会/世界の潮流に日本は逆行
 先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた「京都議定書」の採択から、20年が過ぎた。
 議定書を機に世界の温暖化対策が動きだし、後継の「パリ協定」につながった。先進国に限った議定書の反省も踏まえ、新興国も含めた新たな枠組みとなり、昨年発効した。
 今年6月には米国のトランプ大統領が離脱を表明して影響が懸念されたが、米国を除くすべての国が参加する。具体的なルールづくりも始まり、「脱炭素社会」の実現に向けた世界の流れが鮮明になった1年だった。
 だが、福島第1原発事故後、排出量の多い石炭火力発電を国内外で推進する日本は、流れに逆行していると批判される。議長国として議定書を取りまとめた責任を果たすためにも、歩調を合わせるべきだ。
 日本は京都議定書の第1約束期間(08〜12年度)では、90年度に比べて温室効果ガスの排出量を8・4%減らし、義務づけられた6%を上回った。
 ただ、海外からの排出枠購入や森林が吸収する分などが考慮されての目標達成だ。実際の排出量は1・4%増と、むしろ増えた。また第2約束期間(13〜20年)については、温暖化政策に産業界を取り込むことができず、参加を拒否している。
 世界的には石炭火力発電の廃止方針を打ち出す国が相次ぎ、再生可能エネルギーへの転換が進む。英仏は、ガソリン車の販売を禁止して、電気自動車へシフトさせる方針だ。
 パリ協定は来年、ルール策定の合意を目指す。本気で取り組むのであれば、政府は抜本的な対策を示さねばならない。
 協定は今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにし、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えることを目指す。しかし、各国が掲げる現状の目標だと不十分なほど、温暖化が深刻な状況にある。
 神戸市は来年、燃焼時に二酸化炭素が発生しない水素を使った電気の供給を市街地に始める。世界初の取り組みで、川崎重工業が20年ごろの実用化を目指すという。
 温暖化対策を世界はビジネスの機会と捉えている。日本でもこうした技術革新を積極的に促していく必要がある。


原発と規制委 再稼働ありきでいいか
 原子力規制委員会が、新潟県の柏崎刈羽原発6、7号機に対し、再稼働に向けた「安全」のお墨付きを正式に与えた。
 東京電力福島第1原発事故後、東電の原発が審査を通ったのは初めてで、事故を起こしたのと同じ沸騰水型の原子炉としても全国初だ。東電は早期運転再開を目指しているが、地元の同意なしに再稼働できないことを、肝に銘じてほしい。
 新潟県の米山隆一知事は再稼働に慎重な姿勢を崩していない。万一のときの避難方法や福島の事故について「県独自の検証がなされない限り再稼働の議論は始められない」とし、判断には3〜4年かかるとの考えだ。
 同県は、「合格」と判断した規制委に対し、年明けにも正式に説明を求める方針だという。地元住民にとって「安全」と「信頼」は欠かせない。規制委は判断に至った経緯も含め、詳細に説明する責任がある。
 そもそも6年前に起きた福島の原発事故への対応ができていないことを忘れてもらっては困る。現場での調査が十分できないため、いまだに事故原因も究明されていない。廃炉のめども立ってはいない。
 そうした状況下で規制委は、事故の当事者である東電の安全対策が、新規制基準に適合していると認めたのである。
 審査は、設備面だけでなく、東電の事業者としての適格性がもう一つの焦点だった。当時の田中俊一委員長は当初、事故を起こした東電は「ほかの電力会社とは違う」との問題意識を持ち、「再稼働の資格なし」とまで発言していた。
 だが東電が廃炉をやり遂げるとする「決意文」を出すとそれを受け入れ、ゴーサインを出した。「決意」さえ示せば良かったのだろうか。疑問が残る。
 柏崎刈羽原発では今年、免震重要棟の耐震性不足を3年前に把握しながら規制委に報告していなかったことが発覚した。そんな姿勢で原発再稼働を任せていいのかと、被災者や原発立地の住民から不安の声が上がるのも当然だろう。
 発足5年を迎えた規制委は、福島の事故を反省し、政治や行政から独立した立場で原子力施設の安全性を監視するために設置されたはずだ。これでは、政府が進めたい原発再稼働にお墨付きを与えるための機関だと言われても仕方あるまい。
 司法では、そのお墨付きに待ったをかける判断も下された。再稼働していた四国電力伊方原発3号機(愛媛県)について広島高裁は今月、運転差し止めを決定した。規制委が認めた四電の火山対策を「不合理」と断じた。同様の立地の原発は少なくない。重く受け止めるべきだ。
 安全性を追求すれば費用は当然かかる。先日、関西電力は大飯原発2基の廃炉を決めた。安全対策にコストがかかり過ぎ、採算が合わないと認識したからではないか。
 政府や東電は、再稼働を経営再建の柱と位置付けてきた。廃炉や賠償の費用が膨らむ一方、停止している原発の維持費もかかるから再稼働しなければ―。そんな経済性を最優先した理由で、安全性が軽視されることがあってはならない。
 規制委は再稼働を前提にするのではなく、地元住民の不安と向き合って議論を重ね、慎重な判断に努める必要がある。


原発の1年 厳しさを増す稼働環境
 原発はどこへ向かうのだろうか。原発を取り巻く厳しい環境を突きつけた1年は、そんなことを考えさせた。
 象徴的なのは、関西電力大飯1、2号機(福井県)の廃炉だ。いずれも出力100万キロワット超の大型原発。東京電力福島第1を除けば大型の廃炉は初めてだ。
 2基とも営業運転開始から40年弱が経過。申請して認められれば最大60年まで運転が延長できるが、安全対策に巨額な費用を要するため採算が合わないと判断した。
 これで東日本大震災後、福島第1の6基の他に8基の廃炉が決定した。発電効率の良い大型炉でも、稼働年数との兼ね合いで断念するケースが増えるかもしれない。
 「原発は安い電源」の前提が成り立たなくなっている。電力事業者は今後難しい判断が求められよう。国も「原発ありき」の政策の見直しが迫られているのではないか。
 国はエネルギー基本計画の改定作業中。ただ、2030年度電源構成比率の「原発は20〜22%が目標」とする骨格は変えない方向のようだ。
 確かに再稼働の動きは進む。東電柏崎刈羽6、7号機(新潟県)が新たに審査に通り、新規制基準下の合格は計7原発14基となった。
 しかし一方で廃炉が相次ぐ状況を見ると「原発20%超」が現実的とは思えない。再生可能エネルギー普及強化をもっと前面に打ち出すべきだ。
 海外でも原発は苦戦している。専門家がまとめた報告書によると、昨年末の段階で今年中に運転を開始するとされていた原発は17基あったが、実際に稼働したのは3基にとどまるという。
 苦境を端的に示すのは、東芝子会社の米原発大手が破綻したことだ。一連の原発事業をめぐる巨額損失は東芝の経営を揺るがした。
 そんな中、日本、インド間の原子力協定が発効。日本からの原発輸出に向けて協議を進めるが、事故発生時にメーカーの責任を問えるインドの原子力損害賠償法の運用が焦点となっている。
 福島事故後、世界で原発建設コストは膨らんでいる。事故の賠償の可能性も考えるなら、慎重な姿勢が求められよう。
 難題である高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場問題でも動きがあった。「科学的特性マップ」が公表され、本県を含む広い範囲が「適地」とされた。ただ、それを受けた意見交換会で、謝礼を持ち掛けて動員を図ったことは、原子力政策に対する不信感を募らせた。
 解決を見通せないまま原発が稼働してきた核のごみ問題を考えても、原子力政策は今一度根本的に見直す必要があるのではないか。


憲法論議/目立った首相の強気姿勢
 憲法施行70年の今年は、改憲を目指す政治の動きに弾みがついた年となった。
 一石を投じたのは、5月3日の憲法記念日に公表された安倍晋三首相のビデオメッセージである。戦争放棄や戦力不保持を定めた9条に「自衛隊の存在」を追記する案を提示した。
 党内に諮らず、唐突に打ち出された首相の「意向」は波紋を広げた。一方で、戦後の復興や繁栄に憲法が果たした役割に関する議論が深まらなかったのは残念というしかない。
 首相は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年に「新しい憲法」を施行したい考えも強調した。19年夏の参議院選までに改憲の国会発議を目指しているとされる。
 しかし、最近の世論調査でも安倍政権下の改憲に5割近くが反対している。国民の不安や懸念と向き合い、「改正ありき」の進め方は慎むべきだ。
 この夏、「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画や「森友学園」への国有地売却を巡る疑惑で内閣支持率が急落した。首相は「反省」を口にし、頭を下げた。その際、改憲についても「スケジュールありきではない」と前のめりの姿勢を軌道修正した。
 だが、支持率下落に歯止めがかかると議論加速の構えを打ち出した。さらに衆院解散に踏み切って総選挙で勝利を収め、党内の議論を急ぐよう指示するなど、いっそう強気に転じた。
 自民、公明両党に希望の党や日本維新の会を含めれば「改憲勢力」が発議に必要な3分の2以上の議席を超えている。改憲を「宿願」とする首相にはうってつけの状況といえる。
 ただ、9条に自衛隊を明記する首相案には自民党内にも異論が根強くある。戦力不保持と交戦権否定を定めた2項を削除して「国防軍」を創設する党改憲草案と矛盾するためだ。
 自民党は首相案への一本化の動きを年明けに再開する。他党とも協議を進める方針だが、教育無償化を明記するかなど、政党間の主張は一致していない。立憲民主党は、自民党などの案にない首相の解散権制約などを検討課題に挙げている。
 違いを超えて合意形成を図るには時間が要る。結論を急がず熟議を最優先すべきだ。


2017回顧 国内 強い言葉が飛び交った1年
 「国難」「排除」「革命」―。2017年は、こうした強い言葉が飛び交った1年だった。
 10月の衆院選は与党の大勝で終わった。北朝鮮情勢と、進む少子高齢化を「国難」と位置づけての選挙。自民、公明で憲法改正に必要な議席を維持した。
 安倍首相は、森友、加計学園などを巡る問題で野党から「政治の私物化」「強引」と批判を浴び、7月の東京都議選で自民が歴史的惨敗を喫した。その後に解散に持ち込んで、結果的に野党の「敵失」に助けられた形だ。
 その野党は期待はずれだった。小池百合子都知事が「希望の党」を結成、台風の目になったが、民進党からの合流組に対し、保守的な政策の受け入れを迫る「排除の論理」が反発を受けた。民進党は分裂した後、今も迷走している。つけいるすきを与えた側の責任も大きい。
 そして安倍政権が掲げたのが、「生産性革命」や「人づくり革命」だ。確かに先端技術を入れて、日本の産業構造を変えたり、幼児教育や高等教育を無償にするのも大切だろう。ただ、言葉だけが先走りして内実が伴わなければ何にもならない。国民も、スローガンに惑わされず、国の活力を失わせかねない変化に目を向けたい。
 第2次安倍内閣がスタートして5年。自民党内に安倍首相の政策を修正しようとする勢力は存在感が薄くなり、多様性が失われていることの弊害が心配だ。
 今年も列島各地で災害が発生した。九州北部を記録的豪雨が襲い、福岡、大分両県で犠牲者は40人。行方不明者は依然2人となっている。隣県での被災は佐賀県民にとっても人ごとではない。
 国や自治体は災害履歴や地形情報を生かした対策、インフラの老朽化に備え、住民側もハザードマップ(被害予測地図)を作ったり、要援護者の安否確認など避難支援態勢を整えたい。
 神奈川県座間市で9人の切断遺体が見つかり、27歳の男が逮捕されるという陰惨な事件が起きた。
その一方で明るい話題もあった。
 中学生でプロ入りした将棋の最年少棋士、藤井聡太四段がデビュー戦以来、公式戦29連勝の新記録を樹立。30年ぶりの快挙で、14歳という若さに日本中がわいた。加藤一二三九段の引退も注目され、将棋ブーム再来の年となり、子どもたちに夢を与えたのは特筆される。
 スポーツでは、陸上男子100メートルで、桐生祥秀選手(東洋大)が9秒98の日本記録を樹立し、日本人で初めて10秒の壁を破った。
 皇室に大きなニュースがあり、昨年、ご高齢を理由に天皇陛下が示された「退位」のご意向は、大方の国民の願い通りに進んだ。退位日が2019年4月30日と決まり、翌5月1日に皇太子さまが即位され、新しい元号となる。
 また、秋篠宮家の長女、眞子さまと小室圭さんの婚約が内定した。喜ばしいことではあるが、皇室を将来的にどう維持していくかは、大きな課題として残ったままだ。議論を急ぐ必要がある。 
 平成の終わりのカウントダウンが始まったが、北朝鮮の挑発など、海外の動きが直接、国政に跳ね返る。それだけ政治の責任は大きい。強い言葉を発するよりも、まず国民の声なき声に耳をすます姿勢こそ持ちたい。  (横尾章)


回顧2017 多様な言論確保する場を
 国内、外で混迷と亀裂が深まった。残念ながら、こうくくらざるを得ない1年である。
 「米国第一」を掲げるトランプ大統領が就任し、超大国のリーダーとは思えぬ傍若無人な振る舞いに全世界が翻弄(ほんろう)されている。
 北朝鮮は6回目の核実験を強行し、弾道ミサイルの発射を繰り返す。ミサイルは2度も北海道の上空を通過した。これに対し、圧力一辺倒の米国に日本も同調するものの、解決の糸口は見えない。
 この北朝鮮情勢や少子高齢化問題などを時代がかった「国難」と訴えて、安倍晋三首相は10月の衆院選に大勝し、政権に返り咲いてから丸5年を迎えた。
 首相は経済指標の好転を強調するが、景気拡大の長さが高度成長期の「いざなぎ」を超えても、一向に実感はわかず、将来への不安や閉塞(へいそく)感は晴れない。
 むしろ、今年の流行語大賞に「森友」「加計」問題を象徴する「忖度(そんたく)」が選ばれたように、長引く「安倍1強」のひずみが国民にも意識されたと言えよう。
■寛容さを失った米国
 温暖化対策の枠組み「パリ協定」からの離脱、イスラム圏からの移民制限、エルサレムをイスラエルの首都と認定―。
 トランプ米政権の発足以来、次々に打ち出される極端な政策に、多くの人が不安を抱いたろう。
 白人至上主義者と反対派の衝突が流血の惨事となった際、大統領が両者を同列視する認識を示し、非難されたことも記憶に新しい。
 こうした言動が反発を招いても、トランプ氏は意に介さない。それどころか、批判をうそと決めつけ、口汚く罵倒する。
 女優のメリル・ストリープさんが「軽蔑は軽蔑を生み、暴力は暴力を生む」と懸念したように、対話を拒絶し、他人を侮辱するような権力者の態度は、社会に悪影響を及ぼさずにはおくまい。
 米国では差別主義者が行動をためらわなくなったとの指摘があり、人種対立が激化した。
 米国が民族や文化の多様性を認め合う寛容さを失えば、分断は世界に波及する恐れがある。
 トランプ氏は現実を直視し、軌道修正してもらいたい。
■真摯な議論はどこへ
 こうした事態は、日本には無縁と言い切れるだろうか。
 特定秘密保護法、安全保障関連法に続き、安倍首相は今年も、国論を二分する「共謀罪」法を数に物を言わせて強引に通した。
 安倍1強の下で、こうした手法が繰り返されるうちに、国会での審議は形骸化し、真摯(しんし)な議論さえ成り立たなくなっている。
 首相自身がやじを飛ばしたり、声を荒らげたりしたが、深刻なのは、ぞんざいな対応が官僚にも広がったことだ。
 端的に表れたのが「森友」「加計」問題である。
 財務省や文部科学省の担当者の口からは「記憶にない」「記録を廃棄した」といった驚くべき答弁が飛び出した。
 官僚は、時には、しゃくし定規なまでに、法律と手続きに忠実であるべき公僕だ。
 職務上の誠実さを捨てて口をつぐむのは、首相の意向を「忖度」してのことか、それとも、圧力を受けたせいか。
 官僚を含め政府がこぞって、まともな答弁を放棄した。野党議員だけでなく、その背後にいる国民を軽んじたに等しい。
 それは、ひいては国会の権威を損ねることになる。
■民主主義の原点こそ
 民主主義は本来、多様な民意を反映させようと努力する手間暇のかかるプロセスだ。
 ところが、現状は「決められる政治」「果断な指導力」と称して、熟議や手続きを省略し、少数意見を切り捨てている。権力の乱用と指摘されても仕方あるまい。
 年の暮れ、米軍基地が集中する沖縄で、看過できない卑劣な出来事が起きた。
 米軍ヘリが窓を落下させる事故があった小学校に、「やらせ」「後から建てた方が悪い」といった電話やメールが相次いだ。
 沖縄の現実への偏見と悪意に満ちた中傷である。
 他人の意見に耳を傾けることなく、ひたすら相手をののしるヘイトスピーチ(憎悪表現)とほとんど変わりがない。
 私たちは、こうした不当な圧力を受ける人の声に耳を澄まし、その訴えを伝える努力を続けたい。
 多様な言論の場を確保することが、民主主義の原点であり、権力の乱用に歯止めをかけることにもつながると信じるからだ。
 今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏は「分断の時代に人々がまとまるようなことに関わりたい」と語った。
 世界の人々に向けて発せられた切実なメッセージだろう。


分断の世界 対立深めた不寛容で乱暴な政治
 世界にとって今年は「分断の一年」であったかもしれない。
 自由、平等、民主主義の旗を掲げ、共生を目指してきたはずの多くの国で格差が広がり、分断が進み、排除の論理やむき出しの憎悪が横行している。共通して懸念されるのは、結果や勝敗しか見ない、不寛容で乱暴な政治の手法、ありようである。
 民主主義の根幹である丁寧な合意形成のプロセスを軽視し、「敵か味方か」「イエスかノーか」といった単純な二分論を国民に迫り、数の力で勝ち負けを決める。それだけでは社会はすさみ、対立は深まるばかりだ。それぞれの国の指導者は、政治の荒廃が社会の亀裂や「傷」を深めている現状を省み、改めて新たな年に、融和への一歩を踏み出さなければならない。
 力ずくで分断や対立をあおる政治の劣化を、最もあらわに見せつけたのは1月に就任したトランプ米大統領だった。「米国第一」を掲げ、パリ協定などの離脱を表明。意に沿わぬ報道を「偽ニュース」と罵倒、移民や人種への差別、偏見を隠そうともせず、テロや銃乱射、ヘイトクライム(憎悪犯罪)が続発した。大国のリーダー自らが不穏な緊張を高め、対立を激化させてきた責任は極めて重い。
 身勝手な超大国が誇示する力は、危ういバランスを保ってきた国際秩序を根底から揺るがしている。エルサレムをイスラエルの首都と認定したことで、中東は再び混乱の渦に。北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させ、脅威を増大させた背景にも「力には力で」との論理にのみ込まれた影響が少なからずあろう。
 一方の欧州も、分断と不信が国を「自壊」させ始めている。
 国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めた英国は、与党が今夏の選挙で過半数割れに陥り、国の立て直しは遠い。スペインは、カタルーニャ自治州の独立の是非を問う住民投票を強行。一方的な独立宣言の末、州自治権が停止されたが、やり直しの州議会選でも再び独立派が「勝利」した。ともに国が真っ二つに分断され、住民は混乱のさなかに取り残されたまま。対立をあおるだけあおって放置し、抑圧しても問題は解決しない。遠回りのようでも政治的な対話を地道に重ねていくほかに、収束の道はあるまい。
 「欧州の盟主」ドイツも、与党が9月の総選挙で議席を減らし、排外主義的な新興右派政党の初の国政進出を許した。従来の寛容な難民政策への国民の不満が、右傾化や不安定化につながっている状況を危惧する。
 他の国も、日本もまた同じ。テロや貧富の格差、雇用不安、不公平な社会への不満が、より弱い立場の人に向かっている。政治が果たすべき役割は、多様性を尊重し、対立する利害を解きほぐし調整して、社会に寛容の精神と信頼、良心を取り戻すこと。「恐怖と憎悪で未来を築くことなどできない」(フランスのマクロン大統領)ことを、来年こそ改めて胸に刻みたい。


スパコン詐欺  助成先の選定は適正か
 先端技術への国の助成金制度が悪用されないよう、対策を強化する必要がある。
 スーパーコンピューター開発会社「ペジーコンピューティング」の社長らが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成金約4億3千万円をだまし取った詐欺の疑いで東京地検特捜部に逮捕、起訴された。開発費を水増し請求し、不当に得た金を別事業に充てたと供述しているという。
 社長の斉藤元章容疑者がかかわる会社には、NEDOの助成金と科学技術振興機構(JST)の無利子融資を合わせて100億円近くの公的資金の投入が決まっており、不正受給額はさらに膨らむ可能性がある。全容を解明し、再発を防がなければならない。
 NEDOの助成金をめぐっては、以前から不正行為が相次いでいる。機械装置の架空発注や経費の過大請求、実態のない研究活動、データの捏造(ねつぞう)による不正受給などだ。水増し請求での詐欺事件は2014年にも起きている。
 不正防止のため、NEDOは事業者に指針を示し、実地検査も行っているが、効果が不十分なのは今回の事件でも明らかだ。
 最先端分野に挑むベンチャー企業を支援することは重要だ。日本の産業技術力の強化にもつながり得る。だが、期待先行、予算の消化ありきといった制度運用がなされていないか。専門性の高い分野への助成決定にあたり、事業内容を適正に評価、審査できているかという疑問も浮かぶ。
 スパコンは中国が先行し、世界的に開発競争が激しくなっている。高度な計算能力が気象や災害被害の予測、車の安全設計、新薬の開発などに役立ち、日本も「国家基幹技術」の一つとして巨費を投じて開発を後押ししている。
 ペジー社が開発した「暁光(ぎょうこう)」は今年11月の世界のスパコンの計算速度ランキングで4位に入り、独自の冷却液を循環させて消費電力を抑える技術で注目された。斉藤容疑者は業界では知られた存在で、政府の有識者会議の委員を務めたこともある。
 言うまでもなく助成先の選定は公正、透明であることが第一だ。どんな経緯でペジー社に公的資金が投じられることになったのか、明らかにする必要がある。審査や検査の在り方自体も詳しく検証せねばならない。
 NEDOとJSTをそれぞれ所管するのは経済産業省、文部科学省だ。特捜部による捜査に加え、政府の責任で問題点を洗い出し、公表してもらいたい。


国民は忘れない 安倍首相のノド元に刺さったモリカケ疑惑
 1月22日に召集される通常国会では、改めてモリカケ疑惑について野党の徹底追及が始まる。安倍首相は総選挙で大勝した上、特別国会も逃げ切って「禊は済んだ」と思っているようだが冗談じゃない。メディアの世論調査では、いまだに7〜8割の国民がモリカケ疑惑に対する政府の説明に納得していないのだ。国民がモリカケ疑惑を忘れると思ったら大間違いである。
 なにしろ、森友問題も加計問題も、疑問はひとつも解消されていない。
 なぜ、財務省は森友に特別な便宜を図ったのか。理財局長として答弁した佐川宣寿国税庁長官は、なぜ「金額のやりとりはない」と虚偽答弁を繰り返したのか。森友学園が新設する予定だった小学校の名誉校長だった安倍の妻・昭恵氏はどう関わったのか。疑惑は全く晴れていないのだ。
 加計学園の疑惑も、すでに生徒募集が始まっているが、官邸の関与の有無や、規制緩和に至った根拠は不透明のままだ。
 モリカケ疑惑を解明し、国民の納得を得るには、野党が要求している通り、疑惑の当事者である昭恵夫人と佐川長官、加計孝太郎理事長の3人を国会に呼んで証人喚問する以外にない。「モリカケ共同追及プロジェクト」の黒川敦彦氏がこう言う。
「国会を開かず、開いても疑惑に対してマトモに答弁しない安倍政権は、国会軽視も甚だしい。国民の疑問にこたえる気が全くありません。会計検査院は森友問題で調査に入りましたが、世論の高まり次第では加計問題でも動く可能性は十分ある。野党の追及も終わらないでしょう」
 安倍のノド元に刺さった“疑惑の骨”は、さらに深くえぐり続けることになる。


森友、加計問題越年/疑惑解明へ説明尽くせ
 森友、加計問題の本格論戦は来年の通常国会に持ち越された。政府、与党は解明に背を向け、野党が臨時国会召集や関係者の国会招致を求めても一切応じなかった。さらに自民党大勝に終わった衆院選後には質問時間の配分見直しを要求。衆院予算委員会では慣例で「野党8、与党2」だった割合を「野党9、与党5」にまで持ち込んだ。
 先の特別国会で安倍晋三首相は「真摯(しんし)な説明を丁寧に行う」と表明。自民党内からも「おごることなく、謙虚に」との発言が相次いだが、その実、野党から追及の場を奪い、国民の関心が薄れるのを待って逃げ切りを図りたいとの思惑にも思える。野党の足並みがそろわないのも、与党にとっては好都合だろう。
 しかし首相に近いといわれた大阪市の森友学園と岡山市の加計学園という二つの学校法人が官僚らの忖度(そんたく)により、それぞれ国有地売却と獣医学部新設で優遇され、行政がゆがめられたとの疑念は深まるばかりだ。国会が数の力に支配され、行政をチェックする本来の役割をほとんど果たせないでいることに疑問や不満の声も高まっている。
 政府、与党には通常国会で野党の質問時間を削るような対応ではなく、首相の夫人や友人が関わった一連の疑惑の解明に正面から向き合い、説明を尽くすことを強く求めておきたい。
 森友問題で野党の追及は1年近くに及び、8億円余りも値引きして国有地を森友学園に売却した不透明な経緯につき「適正な処理」の一点張りだった政府の説明にほころびが見え始めた。値引きの根拠とした地中のごみ撤去費の算定を巡り会計検査院が11月に、あまりにもずさんだったことを指摘したのが大きい。
 特別国会に入り財務省は、学園側と財務省近畿財務局側とのやりとりを収めた音声記録の内容について事実であることを初めて認めた。売買契約を前に「ゼロ円に極めて近い形で払い下げをしてほしい」と迫る学園側に財務局側が「ゼロに近い金額まで、できるだけ努力する作業をやっている」などと応じている。
 これまで「先方にあらかじめ価格について申し上げることはない」としてきた財務省の答弁と矛盾する。財務省は「金額も含め、さまざまなやりとりはあった」としながらも「価格交渉ではない」と苦しい釈明に終始した。
 しかも、売却を前提にした定期借地契約を結ぶなど「特例」を重ねたことも認めた。検査院の指摘で批判が高まり政府が追い込まれた形だ。学園側に示された過分な配慮の背景に、学園が開校を目指した小学校の名誉校長に就任した首相の昭恵夫人の存在があったことは想像に難くない。
 一方、首相が「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の獣医学部新設は文部科学省から正式に認可された。ただ大学設置・学校法人審議会が審査の過程で、学園の計画に是正を求める数々の注文を付けたことが分かった。
 2年前に閣議決定された「獣医師の需要動向」など新設の4条件を満たしているかどうかも通常国会で改めて論議になるだろう。与党は野党の質問時間をさらに削ろうとするとみられ、野党が連携して粘り強く追及に取り組めるかどうかだ。


[森友、加計問題] 疑惑解明は年を越した
 国民の関心が薄れるのを待って逃げ切りを図ろうという思惑だろうか。
 「忖度(そんたく)」という言葉がクローズアップされた森友、加計学園問題は疑惑が解明されないまま来年に持ち越された。
 政府、与党は野党が臨時国会召集や関係者の国会招致を求めても応じる姿勢は見せず、問題解決に後ろ向きだった。
 国会が数の力に牛耳られ、行政を監視し正す本来の役割を果たしていない。国民が疑問や不信を募らせているのは間違いない。
 疑惑があれば与野党問わず、解明に全力を挙げるのが国権の最高機関としての国会の責務である。1月に開かれる通常国会での本格論戦を求めたい。
 安倍晋三首相に近いといわれた大阪市の森友学園と岡山市の加計学園の二つの学校法人は、それぞれ国有地売却と獣医学部新設で優遇されたとの疑念は払拭(ふっしょく)されていない。むしろ疑惑は深まるばかりといえよう。
 森友問題で野党は1年近く追及した。8億円余りも値引きして国有地を学園に売却した経緯は不透明である。
 政府は「適正な処理」との説明に終始しているが、ほころびが見え始めたといっていい。
 値引きの根拠とした地中のごみ撤去費の算定に対する会計検査院の指摘は重大だ。
 土地の売却額がずさんに算定され、「慎重な調査検討を欠いた」とする検査結果報告を参議院に提出。ごみ処分量の推計根拠が定かでなく、実際の処分量は推計の3〜7割だった可能性があるなどとした。
 この問題では、安倍晋三首相の昭恵夫人が国有地に建つ予定だった小学校の名誉校長に一時就任。行政側が忖度して不可解な値引きにつながったとの疑惑が浮上している。
 一方、首相が「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の獣医学部新設は文部科学省から正式に認可された。
 新設を巡っても問題点が浮き彫りになっている。
 大学設置・学校法人審議会が審査の過程で、学園の計画に是正を求める数々の注文を付けた。そもそも2年前に閣議決定された「獣医師の需要動向」など、新設の4条件を満たしているか疑問視されている。
 先の特別国会で首相は「真摯(しんし)な説明を丁寧に行う」と表明している。だが、言葉だけが空回りし、国会論戦は深まらなかった。
 野党は結束して粘り強く追及することが求められる。


国内回顧 1強のひずみが露呈した
 「安倍1強」政治のひずみが見えた年だった。安倍晋三首相は10月の衆院選で大勝したが、数々の問題は残ったままである。
 官邸の意向を先回りして推し量る「忖度(そんたく)」は、学校法人・森友学園の国有地売却と、加計(かけ)学園の獣医学部新設に絡む問題として表面化した。
 森友には約8億円も値引きし、加計の問題では、「総理のご意向」などと書かれた文書の存在が明らかになった。
 首相側近や官僚の関与の有無が国会で追及されたが、首相らは否定。しかし、納得のいく説明は尽くされておらず、疑惑は晴れていない。
 首相は「謙虚な政治」を強調しているが、その姿勢を国民が注視していることを忘れてはならない。
 国論を二分する法律を強引に成立させる手法にも、「1強」のおごりが見えた。
 6月に成立した「共謀罪」法では、委員会採決を省略する「中間報告」という奇手まで使った。国会の議論を軽視し、民主主義を否定する暴挙だったと言える。批判が強まったのは当然だ。
 「1強」の緩みは、閣僚の度重なる失言などに表れた。4月には、今村雅弘復興相が東日本大震災を巡る不適切な発言で辞任した。7月には、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題を巡って稲田朋美防衛相が辞任に追い込まれている。
 首相の任命責任が問われ、7月の東京都議選で自民党は歴史的な惨敗を喫した。国民を甘く見た代償は大きく、内閣支持率は急落。安倍政権を揺るがした。
 看過できない事態は経済でも起きた。基幹産業の「ものづくり」の製造現場で相次いだ不正である。
 日産自動車とスバルで新車の無資格検査問題が発覚したほか、神戸製鋼所はアルミ・銅製品の性能データを改ざんしていたことが分かった。東レと三菱マテリアルの両子会社は、製品の検査データを偽っていたという。
 いずれも日本経済の屋台骨を支えてきた企業であり、「ものづくり」への信頼は大きく揺らいだ。産業界は重く受け止め、再発防止に努めなければならない。
 神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかった事件は、ネット社会の闇を浮き彫りにし、社会に大きな衝撃を与えた。
 内閣府が先月発表した「治安に関する世論調査」によると、自身や身近な人が犯罪に遭うかもしれないと不安になる場所を複数回答で尋ねたところ、「インターネット空間」を挙げた人が61・1%に上った。
 不特定多数の相手と簡単に知り合えるネット社会が広がる中、犯罪に巻き込まれる恐れを感じている実態が浮かび上がった。
 ネット社会とどう向き合っていくか。あらゆる情報を冷静に判断し、リテラシー(読み解く力)を向上させていく取り組みが欠かせない。


忍び寄る 「健康格差」 NHKディレクター神原一光氏が警鐘
若年の非正規に糖尿病が蔓延
 小泉政権以来の規制緩和で世の中は「勝ち組」「負け組」に分けられ、「格差社会」といわれるようになって約10年。格差は高齢者や子どもにまで広がり、経済的な格差が健康面や寿命にまで関係するという衝撃の研究結果も出てきている。そんな「健康格差」に焦点を当て、徹底調査してきたのがNHKディレクターの神原一光氏。昨年のNHKスペシャルの放送に続き、先月は本も出した(講談社現代新書)。このまま「健康格差」を放置しておくと、この国の土台が崩れてしまいかねない深刻な問題だという。
  ――「健康格差」とは、ハッとするタイトルです。
 NHKスペシャルの「私たちのこれから」を今年6月まで担当していました。この番組は専門家だけでなく一般の市民も招く討論シリーズです。全国の皆さんが気になることは何だろうと考え取材していくと、年金、医療、雇用、少子化など社会保障の問題にあたりました。やはり、最も身近ですから。その取材の中で「健康格差」という問題に出合ったのです。
  ――「健康格差」はどこまで広がっているんでしょう。
 すべての世代に忍び寄っています。例えば、中高年層に多いはずの糖尿病が、30〜40代の特に非正規雇用の人たちに蔓延しつつあります。本に書きましたが、金沢市の医師に、20代の方の口腔内の写真を見せてもらったのですが、糖尿病の合併症の歯周病が進行し、歯がほとんどないのです。
  ――最近は「下流老人」「子どもの貧困」についても問題視されています。
 高齢者や子ども世代についても、自身や親が低所得だと食費を削るケースが多く、結果的に食事が安価で高カロリーな炭水化物に偏ってしまうことが見られました。取材班が出会った単身の70代男性は、カルシウムやビタミンが不足して骨粗しょう症を患い、外に出るのもままならなくなってしまっていた。また野菜、魚、肉より炭水化物中心の食事になると、太る傾向がある。貧困家庭の子どもは肥満がちになり、生活習慣病を発症するリスクも高まると危惧されています。
  ――健康面に差が出る原因は、やはり経済格差ですね。
 まず、非正規と正規といった雇用形態の問題。そして、雇用格差に伴う所得格差があります。もうひとつは、家族構成。最近は単身世帯が増えています。一人暮らしでは誰かが料理を作ってくれるわけではないですから、外食や調理済みのものを食べる傾向になり、健康的な食事が取りづらい状況になってしまいます。また地域による食習慣の違いも要因になっています。
  ――取材していく過程で、そういった現実が見えてきたのですか。
 千葉大の近藤克則教授をはじめとした専門家に話を聞くと、みなさんしっかりとエビデンス(根拠)に基づき、健康格差について問題提起されていました。それまでは、うすうすと「格差は健康にまで及んでいるのでは」と感じる程度でしたが、現実は思っていたよりかなりの影響があると気付かされた。これは看過できないなと。
  ――とはいえ、健康に無頓着な人も多いですよね。
 確かにそういった方はいらっしゃる。でも、不健康な人が多くなれば医療費は増大し、国民全体の負担が増えていくことになります。「自分は健康だから関係ない」は通用しません。社会全体で健康水準を底上げしていかないと、健康な人も足を引っ張られ、皆が沈んでしまう可能性がある。そこでよく出てくるのが自己責任論です。
  ――確かに、普段から健康に気を配っている人が、「健康は自己管理するもの。何で不摂生している人の医療費を負担しなきゃいけないんだ」と思ってもおかしくはありません。
 実際に番組の討論でもそういった意見は出ました。私も「そうかもしれないな」と思ったこともありました。しかし、いまや非正規雇用の人たちは40〜50代に突入している方も多く、世代的に言えば「団塊ジュニア」ですから、相当なボリュームです。この世代がさらに高齢化していくと、自身の生活もさることながら、社会保障制度そのものも危うくなってくる。もはや自己責任論を議論している段階ではなくなっています。
  ――こと健康管理においては、自己責任論が根強いように見えます。
 例えば、非正規雇用の一人暮らしの人が1日15時間労働をして、疲労困憊で帰宅する。で、また次の日も働かないといけない。その状況でちゃんと自炊できるのかという、時間的余裕の問題がひとつあります。金銭面で見ても、時給で働き、ボーナスもない不安定な状況の中で、たとえ体にいいのは分かっていたとしても足が早い野菜を買って食べる意識を強く持ち続けることができるでしょうか。さらに、普段から運動をする時間的余裕があるのかという問題もある。
  ――正規雇用で時間的にも金銭的にも余裕のある人にとっては、縁遠い話かもしれません。
 いまや、大企業もいつ統廃合するか予想できない不確実性の高い時代です。自分には関係ないと思っているかもしれないけれど、いつリストラに遭うか分かりません。非正規で不安定な人たちを自己責任と断じるのは、倫理的に見ても厳しいのではないかと考えます。
  ――誰の身にも起こりうる問題だということですね。
 そうです。健康な人もいつ不健康になるか分かりません。社会全体が高齢化していくのに、自分はずっと健康だと言い続けられますか。皆、不健康になるリスクは高まっていく。それでも、自己責任と言い張れるでしょうか。
社会全体で健康水準を底上げしなければ皆沈む
  ――政府の側も、まだまだ自己責任論が根強い。
 国は97年から糖尿病などの「成人病」を「生活習慣病」に改称しました。それで、生活習慣を管理すれば予防できるんじゃないか、という印象が強くなったのかもしれません。ただ、番組に出演された評論家の宇野常寛さんもおっしゃっていましたが、国民から税金を取っているのに「自己責任だから知りません」というのは、国家として成立しないだろうと思います。憲法でも「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定していますしね。
  ――健康格差解消のポイントは何でしょう。
 キーワードは「底上げ」です。健康志向の高い人は、言われなくても体に悪いものは食べず、良いものだけ取るよう心がけ、皇居の周りを走るでしょう。一方、時間や金銭に余裕のない人ほど健康への配慮がおろそかになり、どんどん不健康になる。健康意識の低い人、健康に気を配れない人をいかに底上げできるかにかかっています。
  ――意識を高めるため、国や自治体が「生活習慣病予防」などと呼びかけていますが、なかなか効果が上がっていません。
 個人のモラルに訴えるのは、もはや限界が来ていると考えます。意識の低い人に「健康診断行った?」と聞いても「面倒くさい」「何か病気が見つかると嫌だから行かない」と言う。啓蒙ではなく、新しい政策のアプローチが必要だと考えています。
  ――具体的にはどういったアプローチでしょう。
 例えば、足立区は区内の飲食店などに、お客さんが最初に野菜を食べる「ベジ・ファースト」を呼びかけ、店側も実践しています。居酒屋なら野菜中心のお通しを最初に出すといった具合です。イギリスでは政府と食品業界が協力し、一般の食品に含まれる食塩の量を8年かけて徐々に減らしていきました。つまり、意識の低い人も知らず知らずのうちに健康になる仕掛けを打ち出していくということです。
  ――それならば費用もそこまでかからない。
 いま、新しい政策を打とうとすると、すぐ「財源はどうするんだ」という話になりがちです。「財源がない。じゃあ増税。それはできない」という循環です。でも既存の予算内で、もっと賢いやり方が提案できるはずです。ベジ・ファーストなどは、「野菜から先に出してくれませんか」と飲食店に呼びかけるだけの話ですから。
  ――カネをかけることがすべてではないと。
 もちろん、経済対策や社会保障費の再分配について議論しなければなりません。しかし、日本社会の“足腰”を鍛え直すため、足立区やイギリスのような賢い政策を国ぐるみで取り組むべき時ではないでしょうか。10〜15年という長いスパンかもしれませんが、確実に日本の健康水準が底上げされるはずです。底上げされれば健康な人が増えるわけですから、働き続けられる人が増え、みんなが活躍できる。健康な社会になれば、医療費の増大も食い止められるかもしれない。「急がば回れ」の発想です。  (聞き手=本紙・小幡元太)
▽かんばら・いっこう 1980年、東京都出身。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業後の2002年、NHKに入局。大型企画開発センターディレクターを務める。主な担当番組は「トップランナー」「週刊ニュース深読み」など。現在、NHKスペシャルのシリーズ「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」を担当している。


【2017回顧(下)】痛みの記憶つなぎ留め
 人の痛みに寄り添い、記憶にとどめる。その大切さを考えさせられた年ではなかったか。
 2014年232人、15年215人、昨年244人。国が調査した全国の児童生徒の自殺者数である。やり切れない。
 1980年代まで200人を上回ることもあった自殺者数はその後、100人台で推移していた。だが、2010年代に再び200人を超え始めた。子どもたちを巡る悲報は今年もやむことはなかった。
 自殺の理由として「家庭の不和」「進路の悩み」さらに「いじめ」などが挙げられる中、実に半数以上が「不明」とされる。
 家族にも、友人や学校にも理解されない苦悩の淵に迷い込み、行き場を失っている。日本人の15〜39歳の死因の1位は自殺だ。何と息苦しい社会なのか。その「なぜ」を象徴する凄惨(せいさん)な事件が起きた。
 神奈川県座間市で27歳の男の自宅アパートから9人の若者の切断遺体が見つかった。女子高生ら10〜20代の若者たちだった。男はインターネットに自殺願望を書き込むなどしていた女性たちとつながり、誘い込んでいた。
 捜査段階で真相を推論するのは禁物だが、被害者らの環境に通底していたのは貧困や格差、将来不安からの生きにくさではなかったか。
 無差別的殺傷事件が近年相次ぐ。昨年も相模原市の障害者施設で元職員が19人を殺害する事件が起きた。犯人の動機も判然としない。
 虐待、過労死、企業の検査違反、大相撲暴行事件、新幹線の異常放置走行…。共通するのは痛みへの鈍麻だ。その中で不正や暴力は連鎖し、慢心や緩みがはびこる。政治家の心ない暴言も同根だろう。
 核兵器禁止条約の実現に尽くした非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン」に今年のノーベル平和賞が贈られた。その活動の推進力となったのが広島、長崎の被爆者たちの証言活動だった。
 深い傷の記憶を風化させまいと、70年余にわたり語り続けてきた不屈の訴えが結実した。一方で、日本は「核の傘」を抜け出せない矛盾を抱え込んだままだ。
 文学賞を受賞した長崎市生まれの英国人カズオ・イシグロ氏は被爆者の母から「ヘイワ」を教わった。過去に向き合う「記憶」の物語を紡ぐ作家は今、テロや差別主義の拡大を憂慮する。負の歴史への忘却が再び過ちを生む。
 半面で、記憶の継承の難しさも思う。沖縄戦で住民が集団自決したチビチリガマを荒らした少年に惨劇の過去は伝わっていなかった。
 四国電力伊方原発3号機の運転を差し止めた広島高裁の仮処分決定は、約9万年前の阿蘇山噴火を想定せよと命じた。人為の限界を思い知らされた東電福島第1原発事故から何を学ぶべきなのか、という根源的な提起ではないか。
 痛みを共有し、記憶につなぎ留めていく。その積み重ねの中に安心と共生の未来が築かれるはずだ。


企業の不祥事 「甘え」がまん延している
 1990年の米国映画「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」にこんなシーンがある。
 時は55年。科学者が30年後の自分が作り出したタイムマシンを修理する。故障した部品を見て思わず声を漏らす。「無理もないか。日本製だとさ」。85年からやって来た若者はそれを聞き、反論する。「どうして? 日本の製品は最高だよ」
 54年末から始まった日本の高度経済成長は約19年間続く。発展を支えたのは、この間に飛躍的に向上した「品質」だった。
 映画で若者が暮らす85年には、すでに日本製の品質の良さが世界中で確立していた。そんな時代が過去になりつつある。
   <不正を知っても容認>
 企業の不祥事が今年も相次いだ。素材産業の神戸製鋼所、三菱マテリアル、東レで発覚した品質データ改ざん。日産自動車、SUBARU(スバル)の無資格検査問題―。品質に直接関係しかねない深刻な不正である。
 素材3社の不正は、いずれも取引先と決めた仕様を満たしていないのに、検査データを書き換えて製品を納入していた。
 見過ごせないのは、品質に関する認識の甘さだ。
 三菱マテリアルの子会社は90年代から指南書に従って改ざんを日常的に行い、役員が黙認していた。子会社前社長は、顧客から損害賠償を請求されると会社の破綻につながると考え、問題の製品の出荷を続けていた。
 神戸製鋼では、本来チェック機能を果たすべき品質保証の担当部署が関与していた。一連の不正を自主点検する過程では、工場の管理職を含む従業員が隠蔽(いんぺい)した。執行役員3人が不正を認識していたことも分かった。
 東レは不正を把握してから公表まで1年以上かかった。社長は記者会見で神戸製鋼などの不正がなければ「公表する考えはなかった」とも述べている。
 製造業の「川上」に位置する素材メーカーは、顧客企業の個別の注文に応じて多種多様な製品を取りそろえ、ものづくりを底辺で支えている。
 不正が見つかった製品は、アルミニウムや銅、ゴム製品のほか、鉄鋼まで広がった。納入先の企業は計約800社に上る。影響の大きさは明らかだ。
 素材メーカーは自らが置かれた立場を自覚していたはずだ。それなのに不正を容認する「甘さ」がなぜ生まれたのか。
   <品質の高さにおごり>
 背景には「おごり」も見え隠れする。顧客と取り決める仕様は、安全面から余裕を持って決められる。中には必要以上の高いレベルの仕様を顧客から求められるケースもあるという。
 不正が起きた現場には「品質は高いので、仕様から多少外れても問題ない」という意識がまん延していたのではないか。
 三菱マテリアルは28日に公表した特別調査委員会の中間報告書で「仕様書を順守する意識が不足していた」と結論づけた。
 同様の意識は、生産した自動車の最終検査を、資格を持たない社員が担当していた日産やスバルにも垣間見える。
 「失われた20年」でデフレにあえいだ日本経済。製造業は低価格でも利益が出るように、コスト削減競争に追われた。人員削減が繰り返され、能力以上の生産量も求められた。過度な労働も見過ごされ、現場は疲弊した。
 東レで検査データを書き換えていた品質保証室長は、人手不足で自ら検査を行わざるを得ないなど負担が増大。仕様外の製品を出すと納期に間に合わないと思い、不正に手を染めたという。
 日本企業は失ってはならないものを失ったのではないか。「品質を最優先する意識」である。
   <責任の所在明らかに>
 米CNNテレビは一連の不正を「世界がうらやむ卓越した技量を備えていた『日本株式会社』が揺れている」と報道。中国メディアは「日本製造業の匠(たくみ)の精神が踏みにじられた」と断じている。
 ここ数年続く企業の不祥事は、日本企業の競争力と信用を確実に奪いつつある。
 問題の根本はどこにあるのか。
 企業の不祥事に詳しい太田肇同志社大教授は、日本企業の共同体型組織の限界を主張している。
 係長、課長、部長、取締役と続く階層的な組織は、それぞれの上司の「納期を守れ、コストを削減しろ。利益を上げろ」という意向を忖度(そんたく)して動く。だれが何をいつ決めたのか、責任や権限も不明確になり、現場の実情も上層部に伝わらないとする。
 改善するためには「現場のプロ集団を少数の精鋭が責任を持って管理するフラット型組織への転換」が必要と訴える。
 問題は不正が発覚した企業に限られないだろう。「甘え」や「おごり」が根付いていないか、現場を経営が把握できているのか。日本企業は自らの足元を見つめ直す必要がある。


詩織さんからはあちゅうまで、セクハラ被害者、働く母親へのバッシングが頻発した“男尊女卑”の1年を総まくり
 2017年は世界的に女性の人権、性暴力被害が大きな問題としてクローズアップされた年だった。きっかけはハリウッド大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインの長年のセクハラが告発されたことだったが、以降、「#MeToo(私も)」を合い言葉に、次々と女性たちが声をあげ、社会全体でセクハラ告発を後押ししようという空気が広がっていった。
 また「TIME」誌の“今年の人”には「沈黙を破った人」としてセクハラ告発者らが選ばれるなど、そのムーブメントは世界的な広がりをみせている。
 しかし、日本はどうだろう。性的暴行、セクハラ被害に対して告発の声をあげる女性はまだまだ少数派であるうえ、勇気ある告発をした女性や性被害を受けた女性に対して、逆に卑劣なバッシングが巻き起こるのがパターンになっている。これは、日本社会が女性は“性の道具”とする男尊女卑思想、差別的偏見にいまだ支配されているからだ。いや、「いまだ」どころか、女性への蔑視、差別的攻撃は年々ひどくなっている。
 そうした実態を再認識する意味で、2017年年末、リテラ版男尊女卑セクハラ事件簿をお届けしたい。
【その1】官邸御用記者・山口敬之の準強姦事件被害者・詩織さんに向けられたセカンドレイプ攻撃
 今年、女性に向けられた卑劣な性暴力と攻撃の筆頭といえば、やはり元TBS記者で“安倍首相にもっとも近いジャーナリスト”山口敬之氏による準強姦もみ消し事件だ。TBS時代に就職の相談で会った伊藤詩織さんをホテルに連れ込み性行為に及ぶ。山口氏に対し準強姦容疑で逮捕状が発布されるが、しかし逮捕直前、警視庁の中村格刑事部長(当時)の指示で逮捕が見送られたというもの。しかも、この不可解な捜査中止の背景には安倍官邸の影がちらついていた。逮捕見送りを指示した中村刑事部長は、菅義偉官房長官の懐刀と呼ばれていた警察官僚であることや、山口氏が安倍首相の側近である北村滋内閣情報官とみられる人物にこの事件についての相談メールを送っていたことも明らかになった。
 まさに、山口氏だけでなく、山口氏をかばった警察や官邸関係者も性犯罪の加担者というべきだが、しかし、問題はこれだけではない。被害者の伊藤詩織さんが「週刊新潮」(新潮社)で告発し、実名、顔出しで告発会見を開くと、ネトウヨや安倍応援団から一斉に詩織さんに対するバッシング攻撃が起こったのだ。
「ハニートラップ」「美人局」「民進党の仕掛け」などというデマ攻撃に加え、象徴的だったのが、詩織さんの服装について「胸元のボタンを開けすぎ」などという非難が浴びせられたことだ。
 実際の詩織さんはそういう服装ではなかったが、そもそもなぜ被害者服装が糾弾されなければならないのか。
 しかし、詩織さんはこうした声に屈することはなかった。メディアの取材に対して「被害者ならこうするはず、しないはず、というように被害者としてキャラクターづけられ生きていることは絶対に嫌です」と発言。著書『Black Box』(文藝春秋)のなかでも性犯罪被害者がタブー視されることのおかしさや、捜査や司法システムの問題、そして性被害に対する意識変革を訴え続けた。
 こうした詩織さんの活動は、性犯罪被害者の女性たちを勇気づけ、日本社会の性被害への偏見を正すために大きな役割を果たしたといえるだろう。
 対照的に、事件発覚後も卑劣きわまりなかったのが、加害者である安倍御用記者の山口氏だった。会見も開かず、一時は表舞台からフェイドアウトしていたが一転、“お仲間”の極右媒体で、詩織さんに対して反論にもならない反論を展開、恫喝攻撃までおこなった。
 そしてもう一人、女性の人権を踏みにじった人物がいた。事件が報じられた直後、山口氏は自身のフェイスブックでもセカンドレイプ的な反論をしていたのだが、現首相夫人の安倍昭恵氏がその記事に「いいね!」を押していたのだ。
 この事件はたまたまではない。レイプを容認するような女性蔑視の体質が日本の最高権力を取り巻く組織や人脈にまで及んでいることを証明したといえるだろう。
【その2】小出恵介淫行事件で起きた被害少女への誹謗中傷に松本人志が賛意!「相手の未成年の女にも罰則を」
 今年6月、未成年淫行が発覚し芸能活動無期停止になった俳優の小出恵介だが、小出以上に批判に晒されたのが被害者である17歳の少女だった。
 ネットでは「小出は悪いが女も未成年で飲酒してる」「悪い女に引っかかっただけでしょ」などといった少女批判が溢れ、芸能マスコミも一般人である少女のプライバシーまで晒して「ハニートラップ」「美人局」呼ばわり、また『とくダネ!』(フジテレビ)司会の小倉智昭は明らかに少女が金銭目的との前提で、批判を口にしていた。
 なかでも悪質だったのが『ワイドナショー』(フジテレビ)の松本人志だ。「未成年の女のほうにも罰則を作るべき」と暴言を吐き、さらに被害者少女がバッシングされている状況を「SNSとかがまんざら悪くない」「我々タレントにしたらいい時代になってきた」とまでコメントしたのだ。
 そもそも淫行条例は身体や精神が成長途上にある18歳未満の少年少女を保護するのが目的だが、松本はそんなことすら理解せず、単に「男ばっかりずるい!女のほうもしょっぴけ!」とばかりに執拗に少女に対する攻撃を繰り返した。
 松本は、その後もさまざまな事件で、強者の論理を丸出しにし続け、12月には安倍首相と嬉々として会食までおこなった。
 そういう意味では、まさに成功者にありがちな「マッチョ男権オヤジ」の典型になってしまった、ということだろう。
【その3】斉藤由貴ら女性芸能人の不倫は厳しく糾弾される一方で、宮迫博之ら男性の不倫は笑い話に
 日本社会の男尊女卑、不平等を語る上で、はずせないのが不倫問題だ。今年も、芸能界では斉藤由貴、上原多香子、江角マキコ、藤吉久美子、政界では今井絵理子、山尾志桜里と、女性の不倫が大々的に取り上げられ、激しいバッシングが浴びせられた。
 斉藤由貴、上原多香子は活動自粛、江角マキコは引退、山尾志桜里も離党に追い込まれている。
 しかし、一方、男性の不倫は全く厳しく追及されない。その例が8月に発覚した雨上がり決死隊の宮迫博之の二股不倫だ。不倫が報じられたのは宮迫がスペシャルサポーターを務める“感動テレビ”『24時間テレビ「愛は地球を救う」』(日本テレビ)の直前。これまでベッキーや矢口真里など不倫騒動を起こした女性タレントたちが番組降板に追い込まれてきたことを考えれば、宮迫降板の可能性も取り沙汰された。
 しかし実際はそんな事態にはならなかった。むしろ、他レギュラー番組もほぼ休むことなく現状が維持されている。それどころか、報道翌日に生出演したレギュラー番組『バイキング』(フジテレビ)で釈明した際も、他出演者から“いじられる”だけで、“一線を超えていない”という言い訳に対する厳しい批判や矛盾を指摘するツッコミは皆無だった。
 たとえば日テレだけを考えても、宮迫の『24時間テレビ』出演続行を美談に仕立てた一方で、2016年に不倫が報じられたベッキーは『世界の果てまでイッテQ!』を、さらにその前年に不倫が発覚した矢口真里は『ヒルナンデス!』のレギュラーを降板したままいまだ復帰できていない。あまりにちがいすぎる 。
 この差はいったい何なのか。本サイトで度々指摘している大手事務所タブーももちろんある。しかしもうひとつ別の理由がある。それが、宮迫が男だったからだ。
 これまで、多くの男性芸能人の不倫が発覚してきたが、芸能活動を休業するまで追い込まれたケースはほとんどない。しかし、女性に関しては、芸能マスコミも世間も大糾弾し、ほとんど犯罪者扱いでどこまでも追いかけ回してきたのは、矢口のケースでも明らかだろう。
 これは社会が女性にだけ強い貞操を求め、男性の不倫は“芸の肥やし”“誰でもする”という肯定論、寛容論が根強く存在するからだ。さらに、日本では男性の不倫を許容する妻が良き妻として称賛される。
 まさしく女性蔑視以外のなにものでもないが、これはメディアの問題だけでなく、女性の性に不寛容な日本社会全体の問題だろう。
【その4】今年も政治家のセクハラ事件が続発!安倍内閣の閣僚もハレンチ事件の前歴もつ差別主義者だらけ
 今年も中央、地方問わず、政治家の暴言、女性スキャンダル、セクハラ事件が頻発した。公務中に市長室で、既婚女性にキスをしたり足をなめたりしたことが発覚した福井県あわら市の橋本達也市長(当時)、女性記者の宿泊先を訪ねて抱きつきキスを迫った岩手県岩泉町の伊達勝美町長(当時)、さらには立憲民主党の青山雅幸議員、初鹿明博議員にもワイセツ強要が発覚した。
 また、当時、自民党所属で経済産業大臣政務官だった中川俊直衆院議員(当時)は元愛人から「週刊新潮」で不倫&重婚&ストーカーの事実を告白されたうえ、秘書時代、「集団レイプ」まがいの行為をして事件になりそうになったのをもみ消していた疑惑を「フライデー」(講談社)で報道された。
 しかも、これらは今年、事件が発覚した政治家たちだが、永田町を見回してみると、他にもワイセツ、セクハラ、女性差別の前歴をもつ政治家が山ほどいる。たとえば、現内閣の閣僚たちを見ても、松山政司一億総活躍担当相はJC福岡理事長だった時代に「女体盛り」に興じていた疑惑を、西村康稔内閣官房副長官は「ベトナム4P買春」という破廉恥なスキャンダルを報じられている。
 また、「人づくり改革」担当相となった茂木敏充氏のセクハラ常習も有名で、女性記者に男性器の名称を口にさせようとしたというエピソードを週刊誌に書き立てられたこともある。
 政治の世界こそ、世の中でもっとも女性蔑視が横行していると言ってもいいかもしれない。
【その5】女性が女性を抑圧する典型? 指原莉乃がセクハラ告発に「ハニートラップの可能性も」と攻撃
 弱者や女性叩きは、何も男性だけの専売特許ではない。その代表例がオヤジ目線を内面化した発言を連発する指原莉乃だ。その本領をいかんなく発揮したのが12月に放送された『ワイドナショー』(フジテレビ)でのことだった。番組では福井県あわら市の橋本達也市長と岩手県岩泉町の伊達勝身町長によるセクハラ事件が取り上げられたが、感想を求められた指原莉乃がこんなことを言い出した。
「もちろん女性が被害に遭うことに違いないし、絶対あってはいけないことだと思うんですけど。でも立て続けにこうなると、市長さんとか町長さんだと、よく思っていない人も多いじゃないですか。だからハニートラップの可能性も今後増えてくるかもしれないじゃないですか」
 こうした発言は、セクハラ被害に対し勇気をもって告発した女性たちを貶めるもので、セカンドレイプとも言える悪質なもの。そして男性からの中傷同様、今後、セクハラ被害に悩みこれからセクハラ被害を訴えようとする女性を抑圧することになる。
 これまでにも指原は女性差別を追認する発言を繰り返してきた。たとえば『ワイドナショー』に安倍首相が出演した際も、「(子どもを)産めれば産めるほど産みますよ。国に貢献したい」「身体の限界が来るまで産みます」など、その場に迎合する発言を繰り返している。
 あまりに無神経な物言いの数々だが、しかしそれは空気を読むことに長けた指原が、周囲の空気を敏感に察知し、オヤジ社会の代弁をしたという側面も否めない。エラい男性には一切文句は言わず、ものわかりのいい女性としてふるまう。しかも、こうした振る舞いは指原に限ったことではない。圧倒的男性優位社会、オヤジ社会のなかで、性暴力やセクハラを何事もなかったように笑ってやり過ごすことが、働く女性の美徳や職能とされ、本心では傷ついていてもそれを表面に出さないという処世術を、女性が身につけざるを得なかった面もあるからだ。
 だが、こうした揶揄や中傷は、ある意味男性から以上に被害者を抑圧し孤立を招く。女性側も、そろそろそのことに気づくべきだろう。
【その6】子連れ議会出席の熊本女性市議にバッシングが…ネトウヨタレントつるの剛士もトーンポリシング攻撃!
 熊本市議会女性議員の子連れ議会出席問題も、理不尽な女性へのバッシングが起こったケースだった。
 11月、生後7カ月の長男と一緒に出席しようとした緒方夕佳市議だったが、これが認められず開会が40分遅れた。その様子はワイドショーで大きく取り上げられ、案の定、緒方市議への批判が殺到したのだ。
 そもそも緒方市議は以前から「子どものいる状態で議員活動をサポートしてほしい」「いつでも授乳をできるように議場に連れて行きたい」「託児所を作れないか」など何度も要望を続けていた。しかし事務局から取り合ってもらえなかったため、やむなく長男を連れて出席しようとした。
 だが、こうした事情などおかまいなし。ネットやワイドショーでは「きちんとした手順を踏め」「ルールを守れ」「売名のパフォーマンス」といった的外れな批判が巻き起こっていったのだ。
 緒方市議に向けられたこれらの批判は、典型的なトーンポリシングだ。トーンポリシングとは、正当な訴えをしていても、その内容を無視し、口調や態度がヒステリーだと責めたり、その手法がルール違反だと批判することで、その本質から議論を逸らせ、問題を矮小化する抑圧的ロジック。
 実はネトウヨタレントのつるの剛士もこトーンポリシングを使って、緒方市議を攻撃していた。自身のTwitterに〈こういう問題提起の仕方は本当に悩んでいる働くママ達や子供が結局一番可哀想な思いをしてしまうんじゃないかなあ、と思いました〉とつぶやいたのだ。
 つるのは「保育園落ちた日本死ね」問題でも、その言葉遣いを批判していたが、一方で「親学」の広告塔的活動を行なっている。親学は“子どもを産んだら母親が傍にいて育てないと発達障害になる。だから仕事をせずに家にいろ”などと主張する極右トンデモ理論。「やり方がよくない」と言いながら、実際は働く母親を批判したいだけなのだ。
 しかし、現在の日本では、緒方市議の切実な訴えよりも、つるのの詐欺的発言のほうが賛同を集めてしまっている。嘆かわしい状況と言うほかない。
【その7】“痴漢冤罪”問題でも男目線の意見ばかり! ネットでは被害者女性への「嘘つき」バッシングが
 “痴漢冤罪”も、今年大きくクローズアップされた問題だ。特に痴漢を指摘された男性が線路を走るなどして逃走する事件が多発、5月には痴漢行為を指摘された男性が電車にはねられるなどで死亡する事件が2件相次いだことで、メディアもこの問題を大きく扱った。
 もちろん冤罪は深刻な問題だ。しかしこの問題で槍玉にあがったのは、なぜか被害を訴えた女性たちだった。
 ネットでは「被害を訴える女はみな嘘つき」「平然と嘘をつく」「ハニートラップですね」「冤罪生み出すくそ女!」「エロいカッコだったからじゃね」「目的は示談金」など女性に対する罵詈雑言が溢れた。
 本来、痴漢冤罪は、冤罪を生み出している警察や検察、そして司法の問題だ。しかしそうした議論はほとんどなく、その矛先はひたすら痴漢被害に声をあげた女性たちに向かう。冤罪は痴漢に限ったことではないが、メディアも同様になぜか“痴漢冤罪”に限って、“身に覚えのない時の対処法”や“冤罪の恐怖”“冤罪被害者の人権”といった“男目線”の話題ばかりを取り上げるが、一方で痴漢以外のテーマで冤罪が国内メディアでこれほど取り沙汰されることがあるだろうか。たとえば同時期に共謀罪法案が審議されていたが冤罪の危険性について批判の声がここまで盛り上がっていたか。痴漢冤罪議論の本質が、冤罪防止でなく女性叩きにあるのは明らかだろう。
 痴漢冤罪が起こるのは、そもそも痴漢という犯罪行為(迷惑防止条例違反や強制わいせつ罪)、そして加害者が存在するからだが、そうした本質的議論は起こらない。本当に必要なのは痴漢という卑劣な犯罪をなくすために何ができるか、という議論だろう。
 性犯罪の加害者に対して再犯防止プログラムを実践してきた精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏は著書『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)でこう指摘している。
〈社会から男尊女卑の概念がなくならないかぎり、そこにある認知の歪みも是正されることはなく、性暴力加害者は再生産されつづけます。痴漢をはじめとする性犯罪は決して女性側の落ち度から発生するものではありません。男性優位社会に付随する女性差別的な視線が根幹にあることに、私たちはそろそろ気づくべきです。〉
【その8】はあちゅうに激しい非難が殺到する一方で、新たなセクハラ告発の動きが
 最後は、やはり著名ブロガーはあちゅうこと伊藤春香氏の告発についてふれておこう。電通時代の上司であるクリエイティブディレクターの岸勇希氏からセクハラ、パワハラを受けていたという告発をしたはあちゅう。大きな話題を呼び、岸氏は自分の経営する会社の代表を辞任する結果となったが、一方で起こったのは、はあちゅうへの激しい批判、バッシングだった。
 実際、はあちゅうは「(セクハラを告白したことで)人生で一番、心ない言葉を浴びました」と苛烈なバッッシングを語っているが、これはオーバーな話ではない。これまで紹介してきた事例をみてもわかるように、日本社会では女性が性被害を告白すると、必ず激しいバッシングが起きる。
 この背景には“被害を受ける女性にも落ち度や責任がある”という女性に対して抑圧的な日本社会の特性、そしてセクハラする側が自分の行為を性暴力だと認識していないという問題がある。女性が性被害を訴えると、加害者は過剰な自己保身から、その告発を“無化”しようとさまざまなかたちで攻撃を加え、本質をすり替えようとするのだ。
 問題の根深さに暗澹とした気分になるが、一方でははあちゅうの告発をきっかけに、SNSで自らのセクハラや性被害を訴える投稿が急増している。これまで「セクハラは笑って流せばいい」と抑圧され、沈黙を余儀なくされていた多くの女性が、声を上げ始めたのだ。
 今年は他にも元厚生労働事務次官の村木厚子氏や、作家の森まゆみ氏、中島京子氏が過去のセクハラ被害を告白。またはあちゅうの告白後には政治アイドルの町田彩香や、起業家の椎木里佳氏といった女性たちが声を上げている。性被害は女性の落ち度などでは決してない。性被害者に責任などない。#MeTooの流れ、女性たちの意識改革の流れが日本でも広がっていくことを期待しよう。(編集部)


「レイプに対する沈黙破った」=伊藤詩織さんの訴え報じる−米紙
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は29日、元TBS記者の50代男性から性的暴行を受けたと訴えているジャーナリストの伊藤詩織さん(28)を紹介する東京発の特派員電を掲載した。
 記事は「彼女はレイプに対する日本の沈黙を破った」との見出しを掲げ、日本では性的暴行は「避けられるテーマ」となっており、女性による被害申告が少ないなどと説明。伊藤さんの訴えは「日本の女性がほとんどしないこと」だと指摘した。
 記事には男性も実名と写真付きで登場し、同紙の取材に「性的暴行はなかった」などと答えている。


夫婦別姓不可は“憲法違反” IT企業社長が国を提訴へ
結婚して妻の名字になったIT企業の社長が、夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法に違反し、仕事の上でも不利益を被っているとして、国に賠償を求める訴えを起こすことになりました。
民法には、明治時代から夫婦は同じ名字にするという別姓を認めない規定があります。
ソフトウェア開発会社サイボウズを経営する青野慶久社長(46)は、別姓を認めない規定によって不利益を被っているとして、来月、国に賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こします。
訴えによりますと、青野社長は、結婚して妻の名字になったあとも、対外的に知られている旧姓の「青野」を通称として使っていますが、自社の株式の名義は、戸籍名になっているため、投資家に誤解されることがあるとしています。
外国人と結婚する日本人は別々の名字にできますが、日本人どうしの結婚では、別姓が認められていないため、青野社長は法の下の平等などを定めた憲法に違反すると主張しています。
夫婦別姓をめぐっては、おととし、最高裁判所が「夫婦が同じ名字にする制度は社会に定着してきたもので、家族の呼称を一つにするのは合理性がある」などとして民法の規定は憲法に違反しないという判決を言い渡していますが、改めて司法の判断を求めることになります。
提訴について法務省は「裁判が起こされる前なのでコメントできない」としています。
青野氏「夫婦別姓も選択肢に」
サイボウズの青野慶久社長は、夫婦が同じ名字にするか別々の名字にするか選べる制度を導入してほしいと訴えています。
青野社長は、結婚前に会社を起業し、当時の名字の「青野」が広く知られるようになったため、今も通称として使っています。ふだんの仕事で大きな支障が出ることはありませんが、経営者として仕事を進めるうえで、不都合を感じることも少なくないといいます。
青野社長は自社の株式を保有していますが、結婚したときに株式の名義を戸籍名の「西端」にするために、名義変更に80万円余りの手数料がかかったということです。
また、株式の名義が戸籍名になっているため、投資家から自社の株式を保有していないと誤解されることもあるということです。
さらに、海外出張の際に社員がホテルを予約したところ、パスポートに記載されている戸籍名と異なっていたため、現地でトラブルになったこともあったということです。
青野社長は「共働きをする家庭も増えている中で、生まれたときからの名前を使い続けら
れると不利益も無くなる。夫婦別姓を選択肢として持つことが、これからの社会のあるべき姿だと思う」と話しています。


来年も安倍政権は明治=大日本帝国美化に邁進!慰安婦像に逆ギレ、アパホテル炎上、高須ナチ礼賛…2017歴史修正事件簿
 2017年も歴史修正主義の嵐が吹き荒れた。本サイトではこれまで、戦中日本軍の犯罪行為の事実を抹消し、大日本帝国を美化する歴史修正の動きをくり返し批判してきた。そこで、今年一年を振り返りながら、安倍首相をはじめとする日本のリビジョニストの動向を新ためてチェックしてみたい。名付けて“2017年歴史修正事件簿”である。
●安倍首相、大阪市長が“慰安婦像”問題で、自らの歴史修正主義思想を世界にさらす
 日本の歴史修正主義者たちが、血眼になって攻撃している“慰安婦像”問題。今年も慰安婦像をめぐって、歴史修正主義者たちが世界各地で醜態をさらした。
 安倍政権は、昨年末に韓国で慰安婦問題を象徴する少女像が新たに設置されたことをうけ、駐韓大使と釜山総領事の一時引き揚げや日韓通貨スワップ協議の中断などの対抗措置を強行した。しかも当時、釜山総領事だった森本康敬氏はのちに異例の短期間での退任となったが、これは少女像をめぐる政権の対応に批判を漏らしていたことを安倍官邸の知り激怒、粛清的に事実上の更迭を指示したとされている。
 また、米サンフランシスコ市が慰安婦像の設置を承認したことを受けて、大阪市の吉村洋文市長が姉妹都市関係の解消を宣言するなど、異常な状況にある。
 しかし、本サイトで何度も詳しく伝えているように、戦中に日本軍が慰安所をつくり、現地の女性を慰安婦にしていたことは、多くの公文書や証言が残っている歴史的事実だ。にもかかわらず、過去を直視せず、大使引き上げなどの圧力行為に出て、さらに文在寅大統領が「日韓合意では慰安婦問題が解決されない」と表明したのに対抗し、平昌五輪欠席をちらつかせ恫喝する安倍政権こそ、日本の「名誉と信頼」を毀損していると言うほかないだろう。
●アパホテルが元谷代表の「南京事件はなかった」本で国際的炎上
 安倍首相の支援者としても知られるアパホテル代表の元谷外志雄氏。その極右・歴史修正主義が、世界中に知れ渡ることとなった。アパホテルの客室には〈南京事件も慰安婦強制連行もなかった〉などと歴史修正を記述した元谷代表の著作が、まるで聖書のように設置されている。
 1月、海外からの宿泊客がこの歴史修正本の存在に気づき、その内容をSNSに投稿したことから、国際的な問題に発展。当然ながら海外メディアは批判的に報じた。元谷代表はほかにも、歴史学者からトンデモ論として総スカンを食らっているコミンテルン・ユダヤ陰謀史観をこれでもかと展開している。
 アパはユダヤ陰謀論の一部こそ、ユダヤ系コミュニティからの抗議を受けて問題箇所を削除修正、釈明コメントを出したが、「南京事件はなかった」という歴史修正言辞については「言論の自由」だと強弁し、撤去しないと断言。あろうことか、海外からの宿泊客増加が予想される2020年東京五輪開催時でも、客室の歴史修正本を撤去しない考えを示したのである。
 言っておくが、海外とりわけ欧州では、ホロコースト否定論がナチスの戦争犯罪を肯定するものとして厳しく批判、制限されるほど、歴史修正の問題に敏感だ。当然、五輪開催時にアパの本が目にとまれば、ホスト国である日本全体が歴史修正主義を容認していると受け取られ、信頼をなくす。連中の言葉を借りれば、それこそ「反日」である。
●アパホテルの歴史修正主義を批判した宇野常寛が『スッキリ!!』をクビ!!
 アパ歴史修正問題が海外で大きな批判を浴びた一方、国内メディアとりわけテレビは腰砕けで、あろうことかアパの肩をもつ番組まであった。
 たとえば1月19日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)では、司会の宮根誠司が「イヤだったら泊まらなきゃいいわけですよ」などと、まるでアパの回し者のようにまくし立てた。他にも、同月22日の『ワイドナショー』(フジテレビ)で、安倍ヨイショ芸人と化した松本人志が「中国が国をあげてアパホテルを叩いている行為は異常」などとコメントした。
 そんなか、アパの歴史修正主義を正面切ってテレビで批判したのが、評論家の宇野常寛だった。宇野氏はレギュラーコメンテーターを務めていた『スッキリ!!』(日本テレビ)1月19のなかで、「この人(元谷代表)の歴史観ってのは、もう話になんないと思いますよ」「歴史修正主義だし、陰謀史観だし。何やってんだともう呆れるしかない」「こういったトンデモ歴史観を、妄想を垂れ流して対抗するんではなくて、やはり地道な外交努力だったりとか文化交流だったりとか、そういったことによって信頼関係を築き上げていくことだけが唯一の解決法」と、至極まっとうな指摘をしたのである。
 ところが、そんな宇野氏が、このアパ批判発言が発端となり、リニューアルを名目に9月いっぱいで『スッキリ!!』をクビにされてしまったのだ。
 その内幕を宇野が暴露したところによれば、宇野のアパ批判放送の後、日本テレビに右翼団体の街宣車が来て大問題になり、「その結果、日本テレビの小林景一プロデューサーは、ぼくに対して『右翼批判はおこなわないように』という要求をおこないました」という。宇野氏の歴史修正主義への批判は国際社会ではごく常識的なもので、批判されるようなものではまったくない。にもかかわらず「ただ面倒を起こしてほしくないからこいつを黙らせよう」(宇野氏)という日本テレビの言論封殺姿勢は、歴史修正主義に加担しているのと同じだ。恥を知れと言いたい。
●高須クリニック院長のナチ礼賛発言が国際問題になるも、訴訟ちらつかせて弾圧
 医師であり大病院経営者である高須クリニックの高須克弥院長の発言も国際問題になった。
 高須院長は〈南京もアウシュビッツも捏造だと思う〉〈ヒトラーは私心のない 本物の愛国者だ〉〈ドイツのキール大学で僕にナチスの偉大さを教えて下さった黒木名誉教授にお会いした。励まして下さった!嬉しい なう〉などといったナチ肯定のツイートを繰り返していた。
 8月、これらのツイートを問題視したエストニア共和国在住の男性や、差別問題に取り組んでいる有田芳生参院議員が批判。国際社会も黙って見ているわけがなく、ユダヤ系人権団体が高須院長の発言を問題視し、アメリカの美容外科学会に高須院長を会員から追放するよう要請、イスラエルのマスコミも大々的に報じた。
 だが、高須院長は、ナチ礼賛発言を指摘した男性と有田氏に対して訴訟をチラつかせて恫喝。有田氏については〈提訴するよう、指示しました。なう〉などとツイートし、実際に提訴する構えまで見せたのである。
 批判者を恫喝する一方で高須院長は、〈僕の学んだドイツ医学の素晴らしさを伝えてます。ナチスのイデオロギーは好きではありません。〉〈ナチスの庇護を受けた優秀な科学者は尊敬に価する。しかし人種差別のナチズムは僕の八紘一宇のイデオロギーの対極である。〉などとツイート。ナチスのイデオロギー肯定発言をごまかしつつ、ナチス下のドイツ医学や科学への評価を明言したのだ。
 しかしナチス下のドイツ医学の業績じたい、非人道的な人体実験などによってもたらされた部分が大きく、その業績だけをナチスのイデオロギーや罪と切り離して評価できるものではない。それを医師である高須院長が「素晴らしい」「尊敬に値する」などと称賛することは、重大な問題だ。
 さらに問題なのは、こうした高須院長のナチ礼賛発言をめぐる騒動を、テレビはやはりネグってしまったことだ。高須クリニックが大量のCMを出稿するスポンサーであること、そして提訴をちらつかせた恫喝行為が影響を与えているのは想像に難くない。またしても、メディアの弱腰が歴史修正の蔓延に加担した格好だ。
●アトランタ総領事が「慰安婦は売春婦だった」と発言
 6月には、米アトランタ日本総領事・篠塚隆氏が、「慰安婦は売春婦だった」という趣旨の発言をして、国際的に大問題となった。発端は、米ジョージア州の地方紙のインタビュー。同州ブルックヘブン市内の公園での設置を同市議会が決定したことに関して〈篠塚総領事は慰安婦の女性らは金で雇われた売春婦だったと言った〉(23日付電子版)などと地の文で伝えた。
 この「金で雇われた売春婦だった」という発言は、国際的に大きな問題となった。しかし、日本国内メディアは対照的に沈黙。ほぼ唯一、東京新聞の名物特報欄「こちら特報部」が問題の経緯と事実を詳細に伝える報道をした。記事によれば、実際に録音テープのなかでは、篠塚氏は英語でこのように発言していた。
「歴史的事実として、女性は性奴隷ではなく、強制されていない。アジアの文化として、いくつかの国々で、家族を養うためにこの仕事を選ぶ女の子がいる」
「ブルックヘブン市での慰安婦像は多くの論争を巻き起こす政治的なツール。日本に対する憎悪と憤りの象徴でもある」(「こちら特報部」訳)
 一目瞭然、批判されて当然の発言である。しかし、安倍政権は少女像設置に対して一時引き上げの対応を批判したとされる釜山総領事は更迭したにもかかわらず、篠塚総領事にはなんのお咎めもなしだった。
●灘中学など全国私学への教科書採択に対する右派の組織的圧力が発覚
 夏頃には、中学・高校での歴史教科書をめぐる、歴史修正主義者からの圧力問題が話題を呼んだ。発端は、受験最難関クラスである私立灘中学校・灘高等学校の校長が2016年に発表した手記。灘校長の手記には、「学び舎」という出版社がつくる歴史教科書の採択をめぐり、右派勢力が学校のOBを名乗るなどして「反日極左の教科書」「採択を即刻中止にすることを望みます」などという“抗議ハガキ”が大量に送りつけるという、組織的な“圧力”があったことが明かされていた。灘校長によれば自民党の県議や国会議員からも「なぜあの教科書を採用したのか」と詰問を受けたという。
 この圧力問題は、灘中学だけでなく、全国の有名私学で行われていた。この問題を調査報道したNHKの『クローズアップ現代+』(9月6日放送)では、学校へのアンケートの結果が紹介され、「多様な思考力を育む教育を否定する動きに恐ろしさと悲しさを感じた」(東京の私立)、「全体像が分からないことに得体のしれぬものを感じる。学校現場が萎縮しないことを切に願う」(埼玉の私立)など、自由な教育の抑制を懸念する声が報じられた。
 本サイトでも追及したように、こうした運動の背景には、日本最大の右派組織「日本会議」や、首相のブレーンのひとりである八木秀次氏が率いる「日本教育再生機構」の影が見え隠れする。実際、『クロ現』では抗議ハガキの送り主のひとりとして自民党所属の広島県議にインタビューしているのだが、この県議は、日本会議広島が主催する講演会や日本会議と深く関わる地方議員だ。
 安倍首相と日本会議や日本教育再生機構の緊密な関係についてはいまさら言うまでもないが、歴史修正の運動は教育現場の侵食から始まるのである。今後も注視していかねばならない。
●ケント・ギルバートのヘイト本が大ヒット、講談社の担当編集者は
 歴史修正と差別主義は表裏一体の関係にある。数年前から問題になってきた“歴史修正・ヘイト本”ブームがようやく下火になりつつあるかに思えたが、今年は安倍応援団の元外国人タレント、ケント・ギルバート氏によるヘイト本『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社)が約50万部の大ヒットを記録した。
 一見、他国の歴史的文化を論評するように見せかけ、実のところ事実を捏造しながら罵倒し、「それに比べて日本はなんて素晴らしいんだ」と持ち上げることで、国籍・民族差別を煽動する。あまりにお粗末だ。そもそも、タイトルに「儒教」と出てくるが、同書をいくら読んでもの儒教思想に対する深い分析などまったく出てこず、引用文献も一次資料はもちろん学術書も皆無で、あるのはネトウヨ系のタネ本ばかり。
 しかしケント氏は、なんの根拠も示さないまま「儒教に呪われた中韓の人間」「儒教の陰謀」などと言いっぱなしにして、〈「禽獣以下」の社会道徳や公共心しか持たないほどに落ちぶれた〉〈自尊心を保つためには、平気で嘘をつくのが韓国人です〉〈その病的なレベルについていえば、韓国人が世界一だと思います〉などというヘイトスピーチを連ねるのである。
 こんな悪質な差別本を大手の講談社が出版したこと自体クラクラしてくるが、しかも恐ろしいのは、同書の担当編集者が業界紙のインタビューで、「欧米人の書いた反中国・反韓国本だからこそ、特定の人たちだけでなく、多くの日本人に受け入れられたんでしょうね」などと、一切悪びれることなく、“読者ニーズがあったから売れたのだ”と開き直っていたことだ。 本来、出版文化の担い手であるはずの大手編集者が、“売れるから”という理由で歴史修正やヘイト本に手を出す。末期状態としか言いようがない。
●百田センセイのトンデモ歴史修正主義は健在
 ケント氏の『儒教に支配された〜』ほどではないが、ネトウヨ作家こと百田尚樹センセイの『今こそ、韓国に謝ろう』(飛鳥新社)もベストセラーになった。
 同書は、朝鮮半島の紀行文から恣意的に引用したうえで、“未分化の朝鮮半島に文化を持ち込んでやったのは大日本帝国だ”などの虚説をもって歴史の歪曲を行うヘイト本。百田氏は〈(朝鮮)総督府は実質的に文字を持たなかった民衆に、ハングルを教育し、普及させました。つまり日本は朝鮮の国語を「奪う」ことはせず、むしろ「与えた」のです〉などと上から目線で主張しているが、これは完全なデマである。
 実際、朝鮮近現代教育・文化史や言語社会論を専門とする三ツ井崇・東京大学大学院総合文化研究科准教授も「総督府が初めてハングルを普及させた」というのは〈明らかな事実誤認〉と断じているように、ハングル小説の嚆矢と言われる許筠の『洪吉童伝』は17世紀初頭に成立しており、近代学校における朝鮮語教育も19世紀の終わり頃には始まっている(『朝鮮植民地支配と言語』明石書店)。
 余談だが、百田氏といえば今年、「中国を偉大な国と勘違いさせる「漢文」の授業は廃止せよ」なる文を「SAPIO」(小学館)5月号に寄稿した。言うまでもなく、漢文なくしては日本の文字文化もありえなかったわけで、この男の無知蒙昧ぶりにはほとほと嫌気がさすが、こうして他国の文化を罵って差別を煽動するのも歴史修正主義のバリエーションなのである。
●小池都知事が式典への追悼文を取りやめ!増長する朝鮮人虐殺否定論
 関東大震災時の混乱に乗じて「朝鮮人が井戸に毒をもっている」などのデマが飛び出し、日本人自警団が多くの朝鮮人や中国人を殺害した、いわゆる「朝鮮人虐殺」。これは、当時を生きた著名人を含む多くの証言が残っている歴史的事実だが、それを否定しようという動きが加速している。
 象徴的だったのは、9月1日の朝鮮人犠牲者の追悼式典をめぐって、都知事が例年送っていた追悼文の送付を小池氏が拒否したことだ。小池都知事は会見でも、「様々な被害で亡くなられた」「様々な歴史的認識がある」などと述べ、朝鮮人虐殺という歴史事実への言及を避けた。
 波紋を広げるなか、本サイトでは式典当日、“虐殺否定論”に立つ在特会系の極右団体が催した集会を取材したが、そこには現役の区議会議員までが参加していた。集会後、区議に直撃すると「朝鮮人暴動は流言飛語ではなく事実」「意図的に殺したとかじゃない」との主張。こうした歴史事実を否定する動きは、都政トップの小池都知事の言動と同調して、これからどんどん増長していくだろう。
 事実、昨年の熊本大地震では「熊本の井戸に朝鮮人が毒を入れている」という悪質なヘイトデマツイートが出回った。歴史修正主義は決して学問上の対立ではなく、ときに人を殺すヘイトクライムと地続きなのだ。
●安倍首相の側近が歴史修正発言を連発、杉田水脈を安倍がスカウト
 安倍首相の側近議員からも、歴史修正主義発言が次々飛び出した。たとえば、安倍首相の寵愛を受ける稲田朋美元防衛相。最近も懲りずに「外務省 目覚めよ!南京事件はなかった」なるタイトルの講演会に登壇し、「日本の名誉を守るとは、いわれなき非難や事実と違うことに断固として反論することだ」などと語った。
 8月には、麻生太郎副総理兼財務相が、麻生派の研修会で「(政治家は)結果が大事なんですよ。いくら動機が正しくても何百万人殺しちゃったヒトラーは、やっぱりいくら動機が正しくてもダメなんですよ、それじゃあ」と述べた。何の弁解の余地もない、ヒトラーを肯定する大問題発言だが、いまでも麻生はのうのうと副総理の座に収まっている。
 もうひとつ、唖然とさせられたのは、先の衆院選で自民党があの杉田水脈氏を公認候補に擁立、当選させたことだ。杉田氏は、男尊女卑や外国人・マイノリティ差別、さらには反日工作員なる妄想や「左翼」への並々ならぬ憎悪をごっちゃ混ぜにしたトンデモ極右で、ヘイト系の関連団体や人物と一緒になって慰安婦の否定などがなりたててきた人物。昨年出した作家・河添恵子氏との共著『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)では、「慰安婦像を何個建ててもそこが爆破されるとなったら、もうそれ以上、建てようとは思わない。建つたびに、一つひとつ爆破すればいい」と爆破テロまで煽動していた。
 驚くのは、実に杉田氏を自民党にスカウトしたのが、他ならぬ安倍首相だったことだ。櫻井よしこ氏が出馬の裏側を明かしたところによれば、安倍首相は「杉田さんは素晴らしい!」とほめたたえ、最側近の萩生田光一氏が熱心に誘ったのだという。第二次政権では表だった歴史修正発言を控えるようになった安倍首相だが、その本質が極右のリビジョニストそのものであることを忘れてはいけない。
●フランスのル・モンド紙が、安倍首相を歴史修正主義者と喝破
 歴史修正主義と戦う言論は徹底して潰されてしまうのが安倍政権下の日本。
 だが、そうして国内は封殺できても、国際社会までは騙すことはできない。たとえばフランスのル・モンド紙は、選挙直後の10月20日の電子版に「安倍晋三、受け継がれし歴史修正主義」と題した特集記事を掲載、こう喝破した。
〈安倍氏は歴史修正主義者(revisionniste)である。たとえば、彼の礼賛する憲法改正は、日本の帝国主義の復興を目指し、1930年代初頭から第二次世界大戦終戦までの日本軍が犯した残虐行為の数々を過小評価ないしは否定しようとする広大な企てのなかの一つだ〉
 ル・モンドが言うように、安倍首相はまごうことなき歴史修正主義者であり、その欲望は、確実に日本を戦争へと近づけていく。2018年は、改憲への動きと連動して、歴史修正主義もさらなる加速を見せるだろう。
 歴史修正主義は基本的に内向きの性質を持つが、決して過去のみを標的にしているわけではない。ましてや、単なる学問上の対立ではありえない。実態は、過去を歪曲することで現在を都合よく解釈し直そうとする企み、そのいく末は、安部政権が喧伝する“輝いていた在りし日の日本”ではなく、正真正銘の“戦争ができる国”なのである。
●明治礼賛の国策映画、明治150年事業…安倍政権による明治日本=大日本帝国礼賛ムーブメント
 安倍首相が日本軍の戦争犯罪を否定する一方で推し進めるのが、明治時代の礼賛だ。昨年10月、安倍政権は2018年に明治維新150年の記念事業を実施することを発表。今年7月の中間とりまとめでは、「明治150年」関連施策として実に100を超える事業がラインナップされた。スポーツ庁からの求めで、来年秋に開催される福井国体に「明治150年」という冠称をつけようという動きが出ているのも、その明治礼賛=大日本帝国の美化政策の一環だろう。
 ほかにも150年記念事業として、明治期の国づくりなどを題材とした映画やテレビ番組の制作を政府が支援することを検討していると報じられた。完全に、ナチスを彷彿とさせる“国策プロパガンダ映画”事業である。大日本帝国の植民地主義を正当化、アピールしようという意図があるのは明らかだ。
 実際、安倍政権は、この明治日本=大日本帝国への憧憬を隠さず、ことあるごとに、明治日本=大日本帝国の正当化を喧伝してきた。
 たとえば、2015年7月「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録へのゴリ押しに安倍政権の強い意向があったことが明らかになっている。また安倍首相は戦後70年談話のなかでも、明治日本の植民地主義を正当化し日露戦争を良い戦争だったと語った。さらに安倍政権や極右団体・日本会議による「明治の日」復活の動きもある。
 さらに安倍首相は来年の年頭所感でも、明治150年を打ち出しているという話もある。2018年、安倍政権による明治礼賛=大日本帝国美化という歴史修正主義ムーブメントに、これまで以上に要注意だ。(編集部)