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Coca-Cola choisit le Japon pour sa première boisson alcoolisée
C'est la première fois en 125 ans d'existence que la marque américaine va proposer une boisson alcoolisée.
La célèbre bouteille rouge et blanche va se renouveler. Le groupe américain Coca-Cola a choisi le Japon pour commercialiser sa première boisson alcoolisée, nommée Lemon-Do, sorte de cocktail pétillant, proche de breuvages en vogue et que goûte volontiers le public féminin japonais.
C'est la première fois que le groupe âgé de 125 ans ose proposer une boisson alcoolisée, après avoir abandonné en 1983 la vente de vins héritée du rachat de Taylor Wines en 1977.
Trois variantes citronnées et plus ou moins alcoolisées de Lemon-Do sont proposées pour cette nouvelle boisson qui appartient à la catégorie "chuhai", souvent basée sur un alcool distillé appelé "shochu", gazéifié et accommodé à différentes saveurs de fruits. Dans un premier temps, Lemon-Do ne sera cependant vendu que sur l'île de Kyushu (sud-ouest). "Il s'agit d'un essai, dans une région qui représente un marché important", a précisé Masaki Iida, porte-parole de Coca-Cola au Japon.
フランス語
フランス語の勉強?

辞めるかどうかの話はなんだかよくわからないうちに問題解決?本当によくわからないので,状況を見守っていくしかありません.
W女子から月曜日は憂うつと言われてショック.どうしたらいいのでしょう?男子は元気がないのかあまり主張がありません.
いろいろ考えて来年はスタートを変更しないとまずいかな???と考え始めています.少なくとも10日間ぐらいは落ち着いて考えてみましょう.

名取・閖上復興支援にイベントで感謝 6000人招待
 東日本大震災で被災した宮城県名取市閖上地区で27日、支援者らに謝意を示す「閖上復興促進イベント」があった。1年後に同地区の「まちびらき」を計画する市が、復旧・復興に携わる工事関係者の意思統一を兼ねて企画。閖上水産加工業組合による初の復興感謝祭も同時開催された。
 ボランティアや他自治体からの派遣職員ら全国から約6000人を招待した。主会場で名取こどもミュージカルなどのステージ発表があったほか、4月に開校した閖上小中など同地区内7カ所を視察してもらうループバスの運行も行った。
 感謝祭では同組合の13社などが販売会を行い、焼きガレイの試食コーナーに長い行列ができた。佐々木直哉理事長は「ようやく、こうしたお祭りを開けるまで復興した。これまで協力してくれた多くの方に感謝したい」と話した。


漁協の公的資金完済/沿岸地域の持続性見通せず
 宮城県漁協は、東日本大震災後に受けた国などによる資本注入計66億8000万円を全額返済する方針を固めた。壊滅的な津波被害から7年が過ぎ、漁業者の多くが事業を再開し、生産・加工施設はおおむね復旧した。県漁協の財務基盤の回復は沿岸部の基幹産業復興の一里塚になるが、漁業を軸とした地域社会の持続性はいまだ見通せない。
 資本注入は農漁協金融の再編強化法に基づき、宮城県漁協のほか、岩手、宮城、福島3県の計8農協に対し、2012年3月に実行された。被災地の資金需要に応えるための経営強化を狙い、注入総額は約570億円。県漁協は7月中に返済する予定で、これで被災した全農漁協が公的資金を消却することになる。
 県漁協は20年度末までの完済目標を約3年前倒しした。漁業施設の早期復旧に加え、国の地理的表示保護制度(GI)に登録された「みやぎサーモン」など水産物の高付加価値化による販売増がけん引した。17年度の受託販売実績は震災前の09年度比102.7%に達している。
 宮城県内は震災で139漁港が被災し、漁船1万2000隻以上が失われるなど被害額は9000億円近くに上った。今年2月現在、漁港は75%が完成し、漁船も98%まで回復。石巻など主要5魚市場の17年の水揚げ額は約607億円で震災前を上回った。
 ハード面や数字上の復興は順調だが、現場の実感とはずれがある。水産庁が今年3月に発表した青森、茨城を含む被災5県の水産加工業者へのアンケートによると、宮城県内は生産能力が8割以上回復した業者は66%。売り上げが8割を超えた割合は54%にとどまる。特に資本金1000万円以下の小規模業者の回復率は3割以下に低迷した。
 最大の課題は人手不足だ。各地域の水産業は漁業者と地元の労働力が生産・出荷を支えてきた。石巻市の沿岸半島部の場合、人口流出でコミュニティーが弱体化し、カキむきといった加工作業に携わる人が決定的に不足している。
 県漁協はこれまで、米国へのカキ輸出や企業と連携した水産物の高付加価値化を進めてきた。販路開拓へ試行錯誤を続けるが、それでも漁業再生の切り札にはならない。地域経済の担い手である漁業者や零細水産加工業者の経営を守るには、官民挙げた事業承継の取り組みが必要だ。
 企業の力も欠かせない。ソフトバンクグループは東松島市でIoT(モノのインターネット)を活用した定置網漁業の可能性を探る。ITや通信関連の企業がICT(情報通信技術)を駆使し、人材難をカバーする試みもある。
 水産業の再興と地域社会の持続可能性は一体化している。震災から8年目。経営基盤を安定化させた県漁協の正念場はまさにこれからだろう。既存の枠を超えた支援の構築へ一層の知恵を絞りたい。


<岩手・宮城内陸地震10年>ランプの宿 再起へ奮闘 栗原・花山の三浦旅館
 栗駒山麓の「ランプの宿」で知られ、2008年の岩手・宮城内陸地震から再起した湯浜温泉三浦旅館(栗原市花山)で、4代目主人三浦治さん(63)の長男千空(ちひろ)さん(29)が宿の切り盛りに汗を流している。6月14日で発生から10年。長期休業の影響で客離れは止まらないが、千空さんは「いずれは自分がこの宿を引っ張る」と決意を示す。
 「キュッ、キュッ」。新緑がまぶしい5月中旬の週末。千空さんが廊下で灯油ランプを黙々と磨いた。
 平日は栗原市一迫にある自宅近くの介護施設で働き、日曜に山に通って旅館を手伝う。休日返上の二重生活も「山が好きだから苦にならない」と笑う。
 千空さんは幼稚園に入るまで三浦旅館で育ち、入園後は現在の自宅に移り、週末を旅館で過ごした。元マタギで3代目主人の祖父昭一さん(故人)からキノコ採り、渓流釣りなど山のいろはを教わった。
 東京都の大学に進んだ翌年、内陸地震が発生。宿の源泉が枯れ、1876年の開業以来初の長期休業に追い込まれた。再開準備中の2011年に東日本大震災が起き、再び源泉が枯渇した。
 電話で家族の安否確認こそしたが、帰省して宿を手伝うことはなかった。「当時は学生気分で、対岸の火事だった」と振り返る。
 宿は13年4月に通年営業を再開。大学卒業後に都内や仙台市内で送っていた会社員生活に疑問が芽生えた。「人工物ばかりの都会と比べ、ありのままの自然に抱かれる宿の素晴らしさを思う時間が長くなった」。15年にUターン就職し、宿の手伝いを始めた。
 長期休業が響き、山菜や川魚を売りにする宿の経営は厳しい。東京電力福島第1原発事故の風評被害も追い打ちをかけ、年間約1000人いた宿泊客は3分の1に減った。だが千空さんの情熱は冷めない。昨年から栗駒山の夏山開きに合わせた出発式を仲間と企画。かつて地域に根付いていたマタギ文化の発信やジビエ料理の提供など新たな構想も練る。
 昨年12月に昭一さんが亡くなり、後継者としての自覚がさらに強くなった。治さんは「見ていて頼もしい。いずれはバトンを渡し、若い感性で新しい歴史を築いてほしい」と願う。
 千空さんは「電気も携帯電話も通じない非日常の空間は多忙な現代にこそ求められる。この魅力を磨き、歴史ある宿の灯をともし続けたい」と力を込める。


平泉・毛越寺で「曲水の宴」平安の歌遊び みやびやかに
 平安貴族の歌遊びにちなむ「曲水(ごくすい)の宴」が27日、岩手県平泉町の世界遺産、毛越寺であり、大勢の見物客がみやびやかな世界観を堪能した。
 新緑に包まれたやり水の周囲に、衣冠(いかん)や狩衣(かりぎぬ)、袿(うちぎ)などの平安装束に身を包んだ歌人が座った。「古(いにしえ)」を歌題に、水に浮かべた「羽觴(うしょう)」が流れ着く間に和歌を創作した。
 主客歌人を務めた陸前高田市芸術文化協会長で画家の熊谷睦男さん(85)は「いにしえの 浄土楽土に 思ひはせ 描く老女の 鎮魂の舞」と詠んだ。
 曲水の宴は、1983年に浄土庭園の発掘調査で平安時代のやり水の遺構が発見されたのを契機に、86年に始まった。


<徳仙丈つつじ祭り>今年も開催 特設ステージ、周囲が協力
 ツツジが見頃を迎えた宮城県気仙沼市の徳仙丈山(711メートル)の気仙沼側登山口付近で27日、恒例の「徳仙丈つつじ祭り」があった。昨年まで主会場だった「市森林文化センター」が今春全焼し、主催する住民団体が中止を検討したが、周囲の協力で開催にこぎつけた。
 地元の住民団体「徳仙丈のつつじを愛する会」が主催した。祭りの目玉は大自然の中で楽しむカラオケ大会で、県内外の約20人が自慢の歌声を披露した。
 舞台を備えたセンターは4月16日に全焼した。会長の小野寺富夫さん(64)が市内の建設会社やスナックに協力を呼び掛け、大型トラックやカラオケ機材を無償で借りた。センター跡地に乗り入れたトラックの荷台を特設ステージにした。
 火災の直後、小野寺さんは開催を諦めた。気仙沼市出身で、東日本大震災後、毎年祭りを手伝ってきた相模原市の「神奈川気仙沼復興支援隊」の沢村宗代表に「一度やめたら終わってしまう。何でも協力するから続けよう」と諭された。
 支援隊の約20人は今年も、会場の設営などに当たった。空手道場などを経営しバンドで活動する沢村代表も、特別ライブを行った。
 小野寺さんは「何人かの登山客から『今年も祭りがあってうれしかった』と声を掛けられた。続けて良かった。みんなの協力に感謝したい」と話した。


河北春秋
 「流汗悟道」。福井県の永平寺の修行で学んだ言葉だという。「知識でなく、一緒に汗をかいて初めて大切なものは伝わる。その思いだった」と山形県大石田町の地福寺住職宇野全匡さん(73)。1997年から続けたネパール支援のコメ作りが今年で最後になる▼本紙連載「オリザの環(わ)」が伝えたヒマラヤの貧しい稲作の村ズビンから「農業を学びたい」と願う若者を無償で寺に受け入れた。地元農家ら共鳴する仲間と交流団体「NIJI」を結成。村から農業や文化を学ぶ研修生を招き、昨年までに30人を超えた▼活動費は地元に借りた研修田のコメを支援者に食べてもらって稼いだ。寺での生活費は、宇野さんの講演収入などで賄った。11年前にズビン村訪問を実現させたが、その後、がんの手術を重ね「体力の限界を感じた」と言う▼研修田では化学肥料や農薬のないズビンと同様、田植え、草取り、稲刈りも手作業。寺では里子の10〜20代の若者らも暮らし、共に自立を志すネパールの研修生と農作業の汗を流してきた▼今年の田植えは6月3日。「来年から別の形の支援をしたい。ズビンや仲間との縁は続くが、長く関わってくれた人々と一緒に最後のコメを育て、味わいたい」と宇野さん。大勢の参加を願っている。連絡先は0237(35)2879。

佐川前理財局長の国会虚偽答弁は43回
参議院予算委員会の午前中の集中審議で、参議院の郷原悟事務総長は、森友学園との交渉記録について財務省の佐川前理財局長が「廃棄した」とか「記録が残っていない」と国会で答弁をした回数が、去年2月以降、合わせて43回に上っていたことを明らかにし、麻生副総理兼財務大臣も同様の答弁を合わせて11回していたと説明しました。
これについて、太田理財局長は虚偽の答弁だったことを認め、「事実と異なることを答弁しておりました。誠に申し訳ありません」と陳謝しました。
このほか、先週、財務省が公表した交渉記録には、平成26年3月に近畿財務局の担当者が大阪府の担当者から、学園が新設予定だった小学校の校名について『安倍晋三記念小学校』と説明されていたことが記されていましたが、佐川氏は去年3月、「近畿財務局としては、安倍晋三記念小学校の話については全く承知していない」と答弁していました。
また、佐川氏は、学園側との事前の価格交渉を一貫して否定していましたが、おととし5月18日の交渉記録には、学園の籠池前理事長が「訴訟をしませんよといった条件で土地を買受けるのであれば、金額は限りなくゼロに近いものであるべき」と述べたのに対し、翌日、近畿財務局の担当者が「まずは提示させていただく金額を確認したうえでご判断お願いします」とか「損害賠償請求を行わない契約書案に合意することを前提として価格折衝を行いたい」などと答えたことが記されています。
これについて、太田理財局長は、小学校名や事前の価格提示に関する佐川氏の答弁についても虚偽だったことを認めたうえで、「決裁文書の書き換えを行ったあとに合わせて、そういうことを行っていた。誰の指示だったかなどは、今まさに調査をしているので、調査結果を速やかに報告したい」と述べました。
「4月28日の記録は見つかっていない」
改ざん前の決裁文書や、先週、財務省が公表した本省相談メモという文書には、平成26年4月28日の近畿財務局との打ち合わせの際、学園側が籠池前理事長と安倍総理大臣の妻の昭恵氏がともに写った写真を示し、「総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と発言したことが記されています。
しかし、財務省が公表した学園との交渉記録に、この4月28日の記録は含まれていませんでした。
これについて、衆議院予算委員会の集中審議で、自民党の議員が「4月28日など学園との打ち合わせがあったことが明らかになっている日の交渉記録が欠けている。今回提出されたものが本当にすべてなのか」とただしました。
これに対して、麻生副総理兼財務大臣は「調査すればまだ出てくるのかもしれないが、捜査当局の協力も頂いたうえで、私どもが見つけることができたものすべてを提出させていただいた。4月28日の記録は今までの段階では全く見つかっていない」と述べました。


元財務省・田中秀明氏 官僚の「政治化」が生んだ忖度体質
 霞が関の官僚の壊れっぷりが酷すぎる。中でも“最強官庁”として君臨してきた財務省は一体どうなってしまったのか。森友疑惑に関して決裁文書改ざんに手を染めたうえ、事務次官がセクハラ発言で辞職に追い込まれた。安倍政権下で官僚は人事を官邸に握られ、忖度ばかりするようになったといわれるが、原因はそうなのか。
元財務官僚でもある明大公共政策大学院専任教授の田中秀明氏に聞くと、官僚の「政治化」がその背景にあるという。
■「内部統制」の概念がない
  ――古巣の財務省で、あり得ない不祥事が続発しています。
 公文書の書き換えもセクハラもとんでもないことです。1990年代の接待汚職事件で財務省は逮捕者まで出し、その後、変革を誓って自己改革の報告書をまとめた。しかし、20年経って、元に戻ってしまいました。原因は複雑ですが、組織と公務員制度の2つの問題が背景にあります。それは財務省に限らず、霞が関に共通しています。
  ――組織の問題とは?
 役所にはマネジメントの概念が乏しく、自己チェック機能が弱いのです。組織のマネジャーは本来、事務次官です。しかし実際は、次官は「名誉職」だと思います。1、2年で交代する順送り人事だからです。英豪などでは、次官は3年以上務め、組織のマネジメントに責任を負っていますが、そう自覚する次官は日本にはいないでしょう。
  ――マネジメントの必要性に対する意識が低いのでしょうか。
 役所は手続き重視の前例踏襲。マネジメントとは少ない資源でより良い結果を生み出すということですが、役所には、そうした概念はありません。それから、根本的には、内部統制という概念がなく、内部監査も不十分です。
  ――内部統制がない?
 役所特有の考え方はあるんです。例えば、物品を買うという場合。それを使う人、注文を出す人、お金を出す人、届いた商品をチェックする人などを分ける。不正を回避する仕組みです。しかし、民間企業のような事前のリスクコントロールという考え方はありません。不正や情報漏洩などが起こることをあらかじめ想定して、その発生をどうやって下げるか。そういう意味での内部統制やその重要な要素である内部監査は、法令に書いてありません。
  ――いわゆる危機管理がないのですね。
 防衛省や警察などには危機管理を担う部署があるのですが、一般の役所は「無謬性」といって、「間違えない」という前提なんです。だからリスクがなく、失敗もない、と。しかし、リスクを想定して、事前に対応を取る仕組みや体制は必要です。
 英国などでは、事務次官は「会計官」としても任命され、内部統制報告書や財務書類などに署名します。また、外部の専門家も入る内部監査委員会も設置され、自律的にチェックをしています。今般の財務省・防衛省などの不祥事は、まさにこうしたガバナンスが欠けていたからといえます。
政治任用と資格任用の区別が必要
  ――官僚自体も劣化していませんか。
 80年代にエズラ・ボーゲル(米ハーバード大名誉教授)が著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で、戦後の奇跡的な経済復興を牽引したのは大蔵省や通産省などの官僚たちだと言いました。これは過大評価であり、右肩上がりの時代は、誰がやってもうまくいった。
 しかし、90年代に入り、バブルがはじけて日本経済は低迷しました。官僚の不祥事も続き、官僚主導から政治主導へと行政改革が行われました。従来官僚たちは、政治家や関係業界と調整して政策を作りながら、自らの利益も追求してきました。私は、これを「政治化」と呼んでいます。しかし、政治主導が進む中でこうしたモデルは通用しなくなったのです。官僚は本来、専門性に基づき分析し選択肢を提示すべきですが、そうした専門性は政治化ゆえにおろそかになっています。それでは、良い政策は作れません。
  ――内閣人事局にも問題があるとされています。
 公務員の任命権は各省の大臣にありますが、2014年に内閣人事局が設置されてからは、幹部公務員の任免については、総理・官房長官・大臣が事前協議することになりました。政府全体の見地から幹部人事を行う建前は良いのですが、菅官房長官が、各省から出された人事案を差し替えたり、官邸に異論を唱えた幹部を左遷しているといわれています。
 菅長官は適材適所と言っていますが、それは恣意的な人事と紙一重です。人事を握られているので、公務員は政治家に忖度します。今や幹部公務員は官邸のイエスマンとなりました。
  ――菅長官の影響力が強いことが問題なのでしょうか?
 従来から幹部人事に官房長官等が関与する仕組みがあったのですが、それが過度になっています。ただ根本的な問題は公務員の任命制度にあります。公務員の任命制度には、政治任用と資格任用があります。例えば米国では、局長級以上の幹部公務員については政治任用です。大統領の好き嫌いで決められ、政権交代のたびに入れ替わる。
 英国は、資格任用で、大臣に直接の人事権はありません。事務方トップの次官に至るまで能力や業績で決まる。幹部公務員は公募採用が一般的で、ポストごとに競争原理に基づいて採用されます。公務員には政治的中立性が厳しく求められ、政治家との接触は制限されています。日本は、制度の建前は英国型ですが、公務員の任命権は大臣にあるため、政治任用できる仕組みです。
  ――日本では政治任用と資格任用の区別がない。
 公務員の政治化は、両者の区別がないことに起因しています。今の官邸主導の人事は、公務員をさらに政治化させています。公務員は忖度し、政治家に耳障りなことは言わないのです。米国も、課長までは厳しい能力主義です。資格任用を建前ではなく、実質的に強化し、政策立案において、中立的な分析や検討ができる仕組みに変えるべきです。そして、資格任用の公務員は、公募のように透明かつ競争的な任命プロセスで選ばれるようにする。政治的な調整は官邸や大臣の仕事であり、新しくつくった補佐官を活用すればいい。
  ――今の公務員制度ではダメですね。
 専門家が育たず、政策立案・実施能力が高まりません。政治家や業界との調整ばかりで消耗し、優秀な人ほど若くして辞めてしまう。官僚ではキャリアが向上しないので、外資系金融機関に転職したり、弁護士や学者になっていますよ。
  ――いわゆる「財務省解体論」についての是非は?
 不祥事が続いたので解体すればよいのかもしれませんが、国の財政に誰が責任を持つのでしょうか。よく財務省は最強官庁だといわれますが、昔はともかく、今は違います。もしそうであれば、先進国最悪の財政にはなっていないし、消費税が2度も延期になっていません。多くの研究により、財務大臣の権限が弱い国ほど、透明性が低い国ほど、財政赤字が大きいことがわかっています。日本はまさにこの2点が問題です。
■財務省は予算中心ではなく経済政策を担うべし
  ――具体的には財務省をどう見直すのですか。
 世界の財務省は、予算が中心ではなく、経済政策を担う役所です。米国やカナダ、オーストラリアなどでは、財務省と予算省に分かれています。財務省は財政政策、経済政策、金融政策などマクロを扱い、予算省は細かい予算や会計、評価などミクロを扱う。日本もこのようにするのが一案です。今の日本では、予算は財務省、経済政策は内閣府、金融の企画立案は金融庁、とマクロを扱う官庁がバラバラで最悪です。日本の財務省には、博士号を持ったエコノミストは幹部にはいません。経済政策を担当しないからであり、世界標準とはかけ離れています。
  ――その場合、主計局はどうなりますか。
 主計局の総務課など予算についてマクロ政策を担当する部署は財務省に残すとして、各省との細かな折衝をする部署は総務省と一緒にしたらいいと思います。
  ――歳入庁構想もありますが。
 社会保険料と税を一緒に徴収するのは効率的ですが、新しい組織をつくらなくても、保険料の徴収業務を国税庁に委託すればよいだけの話です。我々は、今般の不祥事を踏まえて、財政を担う組織はどうあるべきなのかを真剣に議論しなければなりません。財務省は自ら猛省し、ガバナンスを改革する必要があります。(聞き手=本紙・小塚かおる)
▽たなか・ひであき 1960年東京都生まれ。85年東京工業大学大学院修了後、同年大蔵省(現財務省)入省。政策研究大学院大博士。オーストラリア国立大学客員研究員、一橋大学経済研究所准教授、内閣府参事官などを経て、現職。専門は公共政策・財政・マネジメント、公務員制度など。著書に「日本の財政」(中公新書)などがある。


イラク日報調査 「現場のミス」で済むのか
 重大な不祥事を教訓とし、再発防止に生かすには、もっと徹底的な調査が必要だ。踏み込み不足ばかりが目立つ。
 陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題で、防衛省は「組織的隠蔽はなかった」とする調査結果を公表した。
 「ない」としていた日報が見つかりながら、防衛相への報告が遅れたのは、意思疎通が不十分だったことによる現場の認識不足が原因で、作為はなかったと結論付けた。
 陸自内部の情報伝達の問題は検証作業の焦点の一つだった。
 だが、調査からは、なぜ意思疎通を欠いたのかなど、組織の在り方を検証する上で肝心な部分が抜け落ちている。
 情報伝達は実力組織の根幹に関わる。齟齬(そご)があるようでは任務の遂行に支障をきたすことになろう。
 意思疎通を欠く事態が認められたのであれば、その背景を突き詰めるのが不可欠だ。それがなされてこそ、改善のヒントが見つかるからだ。
 イラク日報が発見されたのは昨年3月だ。南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽問題を受けた特別防衛監察の過程で、陸自研究本部(現教育訓練研究本部)教訓課で見つかった。
 前月には「廃棄済み」のはずの南スーダンPKO日報が見つかり、イラク日報の所在についても国会で議論となっていた。
 しかし、教訓課長は南スーダン日報以外は報告不要と判断して報告せず、ことし3月になって統合幕僚監部から小野寺五典防衛相に報告があるまで、存在の事実が伏せられていた。
 要因が認識不足にあったのだとすれば、情報公開の重要性に対する感度が鈍すぎるというほかない。
 イラク日報問題では、稲田朋美前防衛相の指示の在り方も焦点と見られていた。
 稲田氏の不明瞭な言動が組織を混乱させ、結果として日報の公表が遅れたとの見方が野党などに根強かったためだ。
 しかし、調査は稲田氏から日報を探すよう指示があったという前提で始まり、稲田氏に対しては事実関係の確認すら行われなかった。これはおかしい。
 調査チームが指示と認めた稲田氏の「本当にないのか」という発言は、どんな意図で発せられたのか。その点を調べず、指示を十分に履行できなかったとして関係部署の職員を処分するのでは、強引にすぎよう。
 捜索の指示だったとすれば、組織に徹底させられなかった稲田氏の責任はどうなるのか。
 イラク日報問題は、文民である大臣が実力組織を統制する、文民統制の機能不全への懸念を抱かせた。にもかかわらず、疑問は解消されなかった。
 今回の不祥事の原因を「現場のミス」で片付けることが、果たして妥当なのか。
 野党は「全く真相に切り込んでいない」と批判している。重要なポイントを棚上げにしたような調査で決着を図ろうとしても、国民の納得は得られまい。


陸自イラク日報調査 組織に起因の隠蔽体質を見直せ
 存在しないとされてきた陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が見つかった問題で、防衛省が調査結果を報告。現場の認識不足や意思疎通の不十分さが原因として17人を処分したものの、組織的隠蔽(いんぺい)はなかったと結論付けた。防衛省は個人の責任で幕を引きたいのだろうが、大いに疑問があると言わざるを得ない。
 この問題は、ずさんな文書管理や情報公開への意識の低さ、シビリアンコントロール(文民統制)の緩みなどが問われている。仮に共謀しての隠蔽がなくとも、文書管理や報告という当然のことができないのは、組織の問題に起因することは間違いない。防衛省、自衛隊の在り方を根本から見直す必要がある。
 統制する側である政治の責任は重い。小野寺五典防衛相への報告遅れなど、実力組織である自衛隊を統制できているのか不安が募る。民主主義の根幹を揺るがす危険な状況であり、政治主導で組織を立て直さねばならない。
 この問題は昨年2月、防衛省が野党の日報提出要求に不存在と回答し、当時の稲田朋美防衛相も「見つけることができなかった」と答弁したことが発端。調査結果によると、その後、稲田氏が再捜索を指示したが、省内で指示と認識されなかった。翌月には日報が見つかったものの、報告の必要がないと判断。開示請求の担当者も見つかったことを知らずに対応した。陸上幕僚監部への報告は今年1月。小野寺氏への説明もさらに遅れた3月末だった。
 すぐに報告を上げないばかりでなく、1年間も放置し続けており、情報開示に対するあまりにも鈍感な姿勢にあきれるしかない。昨年は南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽が明らかになり、国会が連日紛糾していた。その過程で日報が見つかったにもかかわらず、南スーダン日報以外は報告不要との判断は理解に苦しむ。反省や教訓がまったく生かされておらず、極めて深刻な事態だ。
 イラク派遣当時、政府は自衛隊の活動範囲を「非戦闘地域」と説明してきた。日報には、南部サマワの情勢について「英国軍と武装勢力の間で銃撃戦」など緊迫した状況が記載されている。政府見解との落差が浮き彫りになるため、防衛省内に日報の公開をためらう「忖度(そんたく)」が働いたのではないかとの疑念が拭えない。
 当時の政府説明や判断の妥当性を検証するには、現地の状況や活動の記録が欠かせない。たとえ日報の記載内容が派遣の正当性を揺るがしかねないとしても、隠したりせず堂々と国会で議論することこそが、あるべき姿であり、文民統制であると改めて認識すべきだ。
 これまでに公表された日報には抜け落ちている部分がある。引き続きあらゆる記録を再捜索し、発見できたものから開示してもらいたい。隠蔽体質を今度こそ断ち切らねば、防衛省、自衛隊の信頼回復は遠い。


性の自己決定 多様性支える選択肢を
 各地の自治体が、同性カップルを結婚に相当する「パートナー」と認める制度を導入するなど、性的少数者の権利擁護の動きが少しずつ始まっている。
 4月からは、心の性と体の性が一致しない人(トランスジェンダー)を対象にした性別適合手術に、公的医療保険の適用がスタート。岡山県で初の手術が行われた。
 性同一性障害特例法は、戸籍の性別変更の条件として、子宮や卵巣、精巣を摘出したり、陰茎を切断したりする性別適合手術を受けることを求めている。手術費は100万円を超える場合もあったが、保険適用で自己負担が最大3割で済むようになった。
 手術したくても高額の費用がネックで二の足を踏んでいた人にとっては、大きな一歩。だが、依然課題は多い。
 まず、ホルモン療法を受けていると、保険が適用されない。体の性を心の性に近づけるため、多くの当事者が選択しているのが自由診療のホルモン療法。しかし、保険診療との併用は原則禁じられているため、ホルモン療法を受けている人は手術が全額自己負担になってしまう。
 ホルモン療法にかかる費用も、医療機関によって大きく異なるという。当事者団体などが保険適用を働き掛けてきたが、実現していない。
 さらに、心と体の性に違和感がある人が皆、手術を望んでいるわけではないことにも留意したい。
 支援関係者によると、これまでも「自分が扱われたい性別」で進学や就職をするために、不本意ながら手術を選択するケースがあったという。保険適用で手術のハードルが下がったことで、むしろ望まない手術を後押しすることにならないか懸念される。
 世界に目を転じれば、アルゼンチンなど性別変更の要件に診断を必要としない国も出てきた。スペインに始まった、トランスジェンダーを「病気」や「障害」と見なす風潮に対する異議申し立ての運動が各地に広がっている。
 日本はどうか。2020年東京五輪に向け「多様性の尊重」が叫ばれているものの、当事者の自己決定を支える選択肢は限られており、国際社会と比較すれば、立ち遅れが際立つ。
 手術の保険適用にとどまらず、ホルモン療法の保険適用、専門医の育成、さらには差別禁止法の制定など、多様性を支える多様な選択肢を整えていく必要がある。
 「性的多数者」のまなざしも問われている。奇異の目で敬遠するのではなく、手術で体の性を変えるよう押し付けるのでもない。見守り、自己決定を尊重する関わりに、制度が相まって、少数者が生きやすい社会が実現できる。


日大アメフト問題 真相究明と再発防止急げ
 一体何があったのか。一向に真相が見えてこない。日本大アメリカンフットボール部の選手が、危険で悪質なタックルをして、関西学院大の選手を負傷させた問題だ。
 解決が長引いているのは、当事者である日大側が納得のいく十分な説明責任を果たしていないからだ。日大は第三者委員会に結論をゆだねる方針だが、真相究明と再発防止を急ぐ必要がある。
 この問題を巡っては、日大の選手と前監督、前コーチがそれぞれ記者会見した。主張の違いだけでなく、問題への向き合い方、姿勢に落差があり、議論を呼んでいる。
 反則行為をした宮川泰介選手は、内田正人前監督と井上奨前コーチから指示があったと明かした。「1プレー目でつぶせ」と言われ、心理的に追い詰められていった状況を詳細に吐露した。
 宮川選手の犯した行為は決して許されるものではないが、「たとえ監督やコーチに指示されたとしても、自分で判断できなかった自分の弱さ」と自身の非を認め謝罪した。20歳の若者が顔も名前もさらし、時に言葉に詰まりながら謝る姿からは真摯(しんし)で誠実な思いが伝わってきた。
 これに対して、日大側の対応は後手後手だ。危険なプレーの動画が繰り返し報道されても、責任者が表に出て説明することはなく、関学大への直接謝罪は約2週間後だった。日大選手が関学大選手に直接謝罪したいという申し出も、前監督が制止していた。
 前監督と前コーチの記者会見は、日大選手の会見の翌日夜に急きょ開かれた。理解し難い点が多々あった。
 前監督は指示を否定した。前コーチは「つぶせ」とは言ったが、けがをさせる目的ではなかったと主張した。選手の受け取り方の問題だと言わんばかりだ。それなら、なぜ反則行為の直後に選手を指導、注意しなかったのか。矛盾している。責任転嫁でしかない。指導者として失格だ。
 試合直後の前監督の発言も音声データで発覚した。「宮川はよくやった」と評価し「反則と言うんであれば僕の責任だ」と述べている。
 スポーツマンシップのかけらもない態度だ。前監督は指示があったかなかったかだけに問題を矮小化(わいしょうか)するのではなく、卑劣な反則行為に至った経緯を率直に語るべきだ。
 勝利至上主義に陥っていなかったか。指導者に絶対服従という時代錯誤の体質がはびこっていなかったか。これらはスポーツの本来の精神からは懸け離れたものである。
 日大当局は組織防衛に走っているように映る。本来守るべきは学生、選手だが、その姿勢が見えない。
 鈴木大地スポーツ庁長官は「大学スポーツ全体の課題として考えるべきだ」と指摘した。大学スポーツは教育の一環であり、人間形成の場だ。他の大学でも同様の体質は残っていないか。悪弊根絶に向けて、うみを出すときだ。


日大アメフト問題で分かった「組織を殺す広報」「生かす広報」の差 あれは、いわば自爆だ
落合 絵美 PRコンサルタント Kiss and Cry代表
日大が、燃えた。
日本を代表する教育機関のひとつが、あっさりと燃えた。テレビもラジオも週刊誌もwebも、なんなら給湯室の世間話も、日大一色だ。
この問題の特徴のひとつに、広報部の失態がある。これは、史上稀に見る“広報の自爆テロ”だ。テロの被害者は、日本大学アメリカンフットボール部のメンバーであり、日大の在校生であり、そこで教鞭を振るう教育者であり、多くのOBOGたちだ。
スポーツの中で起きたトラブルが、当事者のみならず多くの大学関係者を傷つける事態になった。なぜ、こんなことになったのか。PRコンサルタントの落合絵美氏が問題点を整理しつつ、解説する。
グラウンド上の問題から、組織全体の問題に
一部で「悪質タックル問題」とも呼ばれる一連の事件について、そもそも、みなさんはどこから注目していましたか?
ご存知の通り、本件はアメフトの試合で起きた反則プレイから端を発していますが、当初から本件に注目していたのは、OBOGを含む日大・関学大の関係者、アメフト関係者やファン、スポーツが好きな方くらいだったのではないでしょうか。
お恥ずかしい話、私自身、本件のことは把握していましたが、問題のプレイを見直すこともなく、「怪我をした選手がかわいそうだ」くらいにしか思っていませんでした。
わたしがこの問題について意識的に情報収集し始めたのは、5月22日に行われた当該選手の記者会見からです。厳密に言うと、その日の夜に日大広報部から発信された公式文書「アメリカンフットボール部・宮川選手の会見について」(→日大広報部コメント全文/東京新聞)を読んでからです。
この文書に、わたしは尋常でない違和感を覚えました。
致命的な欠陥として、「心が痛い」「申し訳ない」以上の謝罪がないのです。該当選手に対しても、傷つけられた相手選手に対しても。
しかも、謝罪の対象は「生徒の会見」と「選手と監督・コーチとのコミュニケーション不足」に対してであり、そもそもこのような事件が起きてしまったことに対しての
謝罪ではありません。
完璧と讃えられた「東大広報文書」との違い
同じように大学機関が発信した謝罪文書に、5月8日に東京大学本部広報課が発表した「東京大学中央食堂の絵画廃棄処分について」という文書があります。食堂に飾ってあった画家の故・宇佐美圭司氏の絵画作品を誤って破棄してしまったという内容のものです。
実はこの文書、稀に見る秀逸な謝罪文書だと話題になりました。宇佐美氏とその関係者だけでなく、「この貴重な作品に触れる機会を失ったすべての方々」に対して、東大は謝罪したのです。また、再発防止についても明言していました。
話を日大に戻します。世の中は、当該選手の立派な謝罪会見で持ち切りです。多くの人がこの青年に注目し、共感し、自分や自分の子供のことのように捉えているセンシティブなタイミングです。そんなときに、謝罪の言葉もない、事故の原因も曖昧、再発防止にも触れていない、こんな文書を出して、誰が納得するでしょうか。
しかもそれを、監督やコーチが言ったのではなく、大学の声であり顔である広報部が発信したのです。この瞬間、問題はグランド上のものから、日大全体の問題に変わってしまったのです。
もちろん、学生が起こしたことは指導者の問題であり、指導者の問題は組織全体のものなのですが、広報部がヘマをしたことで、一気に組織の責任の話に拡大したのは否めません。
世間の感情を逆なでした「壊滅的」記者会見
こうして世間からの目が厳しくなる中で開かれた、監督・コーチによる記者会見のお粗末さはご存知の通りです。内容のまずさは各種報道で繰り返し語られていますので広報の目線に絞ると、謝罪する側の態度とは思えない不遜さ、司会を務めた日大広報部の仕切りの悪さ。
後日、「司会者が苛立ったのは、テレビが局ごとではなく番組ごとに質問をしてきたから」という発言が出ましたが、むしろ局ごとにマイクを集約するなんて広報部の常識では考えられません。
また、会見する監督、コーチの後ろを度々報道関係社のカメラが通過していましたが、通常の会見ではよほどの理由がない限り背中を報道関係者に見せることはしません。手元の資料が後ろから報道に丸見えになるからです。
そもそもこの記者会見、始まる時点で日大は負けていました。
広報の業界では不祥事に対する謝罪会見は「金曜夜」と決まっています。日中のニュース番組で生中継されることもありませんし、翌・土日はメディアの動きも遅くなります。不都合な話題の拡散防止になるのです。
ただし、緊急性がある場合は、曜日に限らず夜に行います。広報のセオリー的に見れば、この会見は正解です。
ですが、当該学生は、「単身で・日中に」記者会見を開き、多くのメディア・聴衆の目にさらされることを選びました。
学生の堂々とした姿と対してヒール役になりつつあった大学側は、いくら夜の会見が広報のセオリー通りであっても、学生と同じ条件で会見を開かなければ「批判を恐れた」と思われて印象を落とすのは容易に想像がつきます。
しかし、ご存知の通り、会見は夜開かれ、人目を避けるつもりが大炎上しました。
遅すぎた大塚学長の会見には不審者も乱入
こうして、誤った広報対応のせいで日大全体が悪のようなイメージが浸透してしまった中、25日に大塚吉兵衛学長の記者会見が開かれました。
冒頭から、怪我をした学生、当該学生、在校生とその父兄、そして日大OGOBに対し謝罪し、約12万人の生徒を大学として守る姿勢を明確にしたのは、先述の東大広報文書に通じるものがあります。司会もスムーズでした。
しかし、あまりにも遅すぎました。この記者会見の日大側の意図は、「当該学生一人に問題を背負わせるのではなく、大学として謝罪し解明・改善に真摯に対処する」ことの表明かと思いますが、これは23日の会見の前に行うべきものでした。今更の謝罪と新しい情報のない記者会見は、「なんのための会見だったかわからない内容」との見方が大多数です。
しかも、会見の冒頭で不審者の乱入騒動が発生しました。記者会見では受付で報道関係者であることを確認するのが当たり前で、今回のように世間の注目が高い事案の場合は、不審者の乱入を防ぐために名刺を複数枚確認するなどします。にもかかわらずの不審者乱入は、広報部が管理する受付に不備があったと言わざるを得ません。
また、今回の進行の仕切りはとても理想的でしたが、学長の質疑応答では聴衆の感情を逆なでるシーンも散見されました。一例を挙げると、昨今の学生の動向を批判したとも取れない発言や、やや浅めのお辞儀など。
おそらく、今回の会見を仕切った人物は、会見前に学長に対して必要最低限のメディアトレーニング(報道機関の前に立つ際の適切な言動や見せ方の研修)をしたことでしょう。しかし、長時間の会見でボロが出てしまったと言わざるを得ません。
ちなみに大企業の場合、広報部が平時から代表者にメディアトレーニングを受けさせていて、急な記者会見でも万全の対応ができるように備えていることが一般的です。
関学大は危なげない対応
日本大学の一連の記者会見を受けて、関西学院大アメフト部も26日に記者会見を行いましたが、これは非の打ち所のない内容でした。
会見早々、集まった報道機関へのお礼に続き、記者会見の目的と当日の流れを丁寧に説明することで進行をスムーズにさせました。また、冒頭の発言から、会場に入る際に不審者の侵入を避けるために手荷物チェックをしたことも伺えます。
記者の質疑応答に対しても、約1時間半の長時間の対応にもかかわらず丁寧に真摯に回答していました。関西学院大アメフト部としての見解だけでなく、鳥内監督、小野ディレクターの個人としての見解もバランスよく語られ、聞いていて納得感のある内容でした。
ちなみに関西学院大アメフト部の小野ディレクターは、関西学院大アメフト部OBでもあり、新聞記者の経歴もある人物です。大学内で広報室を担当していた時期もあり、本件に関する広報対応のレベルの高さも納得です。
計り知れない「広報」の影響力
「あなたの発言で日大のブランドが落ちてしまうかもしれませんよ」
「落ちません!」
というのは23日の会見での報道関係者と日大広報担当者のやり取りですが、残念ながら日大のブランドは落ちてしまいました。それは、広報部の対応がお粗末すぎたためだと言わざるを得ません。日大という生命体の顔であり声である広報部のありえない文書や発言が、組織全体を汚してしまったのです。
広報という職業は、通常はそこまで注目される部署ではありません。会社によっては、閑職のように扱うケースも見受けます。しかし、広報の影響力は計り知れないものがあるということを最悪の形で表してしまったのが、本件です。
なお、お断りしておくと、わたしはPRコンサルタントの立場から本件を解説することを意図していて、日本大学やその関係者を貶したり、不祥事を娯楽として消費する気はありません。出身地は日本大学芸術学部のすぐそばで、愛着すら感じています。
また、私自身、学生時代に母校で「スーパーフリー事件」という痛ましい事件がおき、在校生として世間から厳しいバッシングを受けた経験もあります。当事者のみならず、関係者が受けた心の傷は計り知れないものがあると思います。
日大広報部には、ぜひ今後の情報発信に誠意を持って対応していただき、一刻も早い事件解明とブランド回復が実現されればと祈っています。
伝わらなければ、意味がない
最後に、少しだけ私の話させてください。
私は、PR業界に来る前にビジネス書の出版社に約10年勤務していました。経営企画などいくつかの部署を経て編集者になりましたが、その後1年もしないでPR会社への転職を決意しました。なぜか。
短い編集者時代に、必死に企画して徹夜で編集した本が、3ヶ月もすると山のように返品となって戻ってくることを経験しました。
単純に私の企画力がなかったというのもあるでしょう。しかし、自社も含めて多くの出版社が出版不況から自転車操業状態に追い込まれ、丁寧にマーケティング活動をして企画を立てる余裕もなければ、完成した書籍の特徴や魅力を適切に情報発信する余裕もありませんでした。
ある晩、誰もいないオフィスで編集中の原稿と向い合いながら、私は唐突に気づいたのです。「せっかく良いものがあっても、伝わらなければ犬死だ」と。そこから私はPR会社への転職を経て本年独立し、企業の魅力を発信する活動を続けています。
どの組織にも、素晴らしい魅力が隠れています。しかし、それが正しく発信されていなければ、その組織は誤解されます。関係する多くの人々を傷つけます。
組織を活かすも殺すも、「広報」次第なのです。


日大アメフト部コーチ陣、「声明文」出す選手たちに恐怖の脅し 一方の関学は「宮川選手を救いたい」
テレビ朝日の取材で、日大アメフト部員たちが近日中に発表すると言われている危険タックル問題に関する声明文の内容が明らかになった。「内田正人前監督と井上奨前コーチからタックルの指示があった」という結論や、再発防止策として、すべてのコーチの退陣要求などが盛り込められているという。
コーチたち「声明文出したら自分たちの首しめるぞ」
ゲストとしてスタジオに招かれた大阪学院大アメフト部総監督の睫邯欺┿瓩蓮屬發掘覆海瞭睛討)真実だとしたら、部員たちはコーチたち全員がこの件に関与していると知っているということ。かなり重い内容です」と話す。
また、この声明文を出すにあたり、コーチ陣の妨害があったというから驚きだ。
選手たちが声明文を出すためのミーティングをしていると、突然(井上コーチとは別の)コーチが弁護士とともに現れ、「声明文を出すと自分たちの首をしめることになるぞ」と発言。別の日には隣の部屋にコーチがほぼ全員集まり、ミーティング中の選手たちを6時間ずっと「監視」していたという。まったく「怖い」「異常」としかいいようがない。
一方、負傷した関学大のクオーターバックや関学大の対応は対照的だ。
負傷した関学大の選手は、ケガをさせた宮川泰介選手に対し「かわいそうだ。心苦しく感じた」と同情。「もう自分にはフットボールをする資格がない」という宮川選手に対し、「それは違う。フットボール選手として戻ってグラウンドでルール内で正々堂々と勝負したい」と話しているという。
関学側は宮川選手の入部を考えている?
また、関学大の小野宏ディレクターは、宮川選手に対し「困っているなら支援できるところは支援していく」と話している。睫郢瓩蓮嵋椰佑希望するなら、関学大に転入させることも考えているのではないか。宮川君を救うなら、フットボールで救うしかない。関学の器なら『自分たちと一緒にフットボールして出直そう』と手を差し伸べる可能性はある」と話す。
羽鳥慎一(司会)「関学は3年生の8月から11月ころに編入試験があります。タイミング的にも転入は可能です」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「それができるならすごい」
石原良純(気象予報士)「宮川選手だけでなくて残っている選手たちの救済も考えないと。日大フェニックスが今後どうなるか分からないわけだし」
玉川「色々な大学が受け入れてあげたらいい」
睫郢瓠峇愿譴琉貮凜蝓璽阿隆篤腸颪任癲⊆分たちのチームで受け入れようという話が出ています」
住田裕子(弁護士)「でもこれ、裏返したら、日大ブランドの危機ですよね」


<日大アメフト問題>推定年収1440万円の “逆ギレ広報” が仕切った会見の舞台ウラ
「日本一、社長を輩出している大学」がガタついている。発端は5月6日、日本大学アメリカンフットボール部(以下、日大アメフト部)がしでかした“組織的な違反行為”。関西学院大学との定期戦で、相手チームのQB選手を悪質な反則行為で負傷させた。
 監督やコーチに追い詰められるまま、鉄砲玉のようにタックルを仕掛けた当事者、日大アメフト部の宮川泰介選手(20)は、ひとりで実名・顔出しの謝罪会見(22日)に臨み、
「監督、コーチからの指示があったとはいえ、僕がやってしまったことについては変わらないと思って、とても反省しています」「プレーに及ぶ前に、自分で正常な判断をするべきだったと思います」「判断できなかったのは自分の弱さ」
 などと自らの非を全面的に認め、率直な反省を口にした。
理事長と連絡がつかない
 テレビ画面を通し全国に伝わったその真摯な態度に、被害者の関学大側からも、
「勇気を出して真実を語ってくれたことには敬意を表したい。立派な態度だった」(鳥内秀晃監督)などとコメントが出るほどだった。
問題のタックルシーン。一歩間違えば死亡事故になっていた可能性も(関西学院大学アメリカンフットボール部提供)
 あべこべに「日大の恥ですよ」「みんなあきれ返っています」というOBの糾弾の声が示すように、内田正人監督(62=すでに辞任)と井上奨コーチ(30=辞意表明)のツーショット会見(23日)の評判は散々。
 その場しのぎでしどろもどろのあきれた応対が情報番組などでオンエアされ続けた結果、全国に“日大の恥”をばらまくことに。
 その裏側を、日大OBに聞くことができた。
「23日の会見は、実は理事長と学長でやる予定だった。ところが、大学側が田中(英寿)理事長と連絡がつかなくて、開けなくなったらしいよ。その後、急きょ監督とコーチで会見したからさ、そりゃあんな会見になるよね」
 このような緊急時に理事長と連絡がつかない大学……。
 日本大学大学院講師で弁護士の船山泰範さんは、両者の会見をこう解説する。
「宮川選手の態度は非常に誠実でした。反省して、可塑性(変化すること)に富む人物でした。若いからこそ、自分が悪いことをしたことにすぐ気づいて変わろうとする。弁護士の経験からも、非行少年が相当悪いことをやったと自覚したとき、ガラッとその人が変わることがあります。
 一方、大人の場合は、残念ながらなかなか変わりにくい。どうやったら、(問題や質問を)かいくぐれるのかと、うそを少しずつ出していく。最終的にはバレてしまうんですけど」
 会見をさらに悪印象にしたのは、司会役の広報担当者だ。記者の質問をさえぎり、会見の終盤を混乱させ、後味の悪いものにした。やたら高圧的で我を通した、その“キレる老人”の正体は─。
「元・共同通信社の記者で日大の広報に入った人らしい。あんなお粗末な司会進行をしましたが、給料は月に120万〜130万円ももらっているという話です。田中理事長の奥さんのお気に入りで、広報に来たそうです」(前出OB)
 単純計算しても年1440万円以上。もし臨時ボーナスなどがあればさらに高給となる。
監督・コーチ会見で司会を務めた米倉久邦氏
 現役日大生からは宮川選手へのエールが止まらない。
「20歳であそこまでできるなんて信じられない。私だったら会見なんて無理。家に引きこもっちゃう」(女子学生)
 と、たたえ、監督・コーチの会見をこう断罪する。
「何で大学が学生を守らないんだって、みんな言ってます。日大っていうだけで色眼鏡で見られます。就活をしている先輩は怒っていましたね。内定取れなかったらどうするんだよって」(同)
 25日に会見した日大の大塚吉兵衛学長は、就活生への悪影響を気にかけた。
 日大生も日大アメフト部員も、クレバーな指導者を持てなかったツケに襲われているが、“将来の日大アメフト部員”も今、揺れに揺れている。
保護者はみんな宮川君の味方
 日大のホームページによれば、同大は日本全国に20以上の付属高校(経営母体は一律ではない)を抱えている。アメフト部がある高校も多く、そこから優秀な選手が、日大アメフト部に入部する仕組みだ。巨大な“アメフトピラミッド”。その頂点に君臨していたのが、内田前監督。
「日大の付属高校にも、内田監督の息がかかった監督やコーチがいるんです。日大アメフト部を強くするために、高校から育てておきたいんですよ。宮川君も付属出身です」
 そう語る付属高校関係者は、今回の騒動の余波を次のように明かす。
「日大アメフト部がどうなるかわからないから、他大学のアメフト部への推薦状を書いてほしいって、高校の監督にお願いしたんだけど、内田監督の許可がないとダメだとかでもらえないんですよ。これには多くの保護者が大激怒。担任の先生にも相談したんですけど、私が独断で書いたりするとクビになるからって、取り合ってくれませんでした。
 今はようやく緊急保護者会も開いて、推薦状も書いてもらいましたけど、トライアウト(スポーツ試験)が間に合うのかどうか……」
 付属高校に通うアメフト部の生徒と、宮川選手はさほど年齢差はないため、
「保護者はみんな宮川君の味方ですよ。宮川君に責任をなすりつけて、いい大人が責任を逃れようとしているなんて何考えているんですかね。宮川君がかわいそうですよ。宮川君が息子とダブってみえます。私たちが応援しないといけないですね」(前出・関係者)
 単独謝罪会見では不安そうな表情で宮川選手は、
「この先、アメリカンフットボールをやるつもりもありません」と述べている。
 日大アメフト部関係筋によると、すでに練習をボイコットしている選手もいる。
 学生日本代表にも選抜されるほどの若者をつぶした、老監督とイエスマンのコーチ。前出の弁護士・船山さんは、今後問われる3人の罪を次のように見通す。
「宮川君に命令した2人が現場にいて、やるかやらないか見張っている。これを実行共同正犯といいます。みんなが同じ立場にいると考えられます。今回は傷害罪ですが、いちばん重くて懲役15年。ただし罪の重さは監督、コーチ、選手の順番になると思います」
 日大は2019年、創立130年の記念イヤーを迎える。キャッチフレーズは“130年の輝きと共に、未来を創る”。だが、輝きは色あせた。古い感覚の人たちが大きな声を張り上げる大学が、不死鳥(フェニックス=日大チーム名)のようによみがえることはなさそうだ。


筆洗
 ずるとかごまかしなどの不正行為は細菌のようなもので、人から人へと感染するものだそうだ▼行動経済学者でイグ・ノーベル賞受賞者のダン・アリエリー教授の『ずる』(早川書房)の中にこんな実験があった。だれかに大勢の人の前でカンニングのような不正行為をやってもらう。監督官にはそれをとがめないよう頼んでおく。すると、それを見ていた他の大勢も、同じ不正行為をするようになるそうだ。ずるが感染している▼ずるをやっても、それが見過ごされ、成功するのなら、自分だって…。そんな心理に陥るのか。この説でいけば、わが国における、大規模なずるとごまかしの大感染を疑ったほうがよいかもしれぬ▼気の毒だが、政権中枢と中央官庁は既に菌にやられてしまったのだろう。国民に知られて困る記録は「ない」と隠す。政府の主張に沿った曲がったデータを国会に提出する。ここ数カ月の恥知らずなずるとごまかしの連鎖を見れば、その細菌は猛威をふるっている▼政治行政にとどまらぬ。企業のデータ不正は後を絶たぬし、どこぞの大学アメフット部の前監督の不可解な説明を聞けば、ああこの方もと心配する。国中でずるを聞かぬ日がないとは、大げさではないかもしれない▼教授の説が恐ろしい。「誰かの反倫理的な行動を目にするたびに私たちの道徳心もすり減っていく」という。このままだと…。

故・川田亜子アナウンサーの死に安住紳一郎が号泣…10年経つも不可解な白いベンツの謎
 5月27日放送のラジオ『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)にてMCの安住紳一郎(44)が2008年5月25日に死去した故・川田亜子アナウンサー(享年29)について言及し、嗚咽する一幕があった。
 同放送では「ずるい話」をテーマに、まず8年前に局アナ時代の安東弘樹アナ(50)と田中みな実アナ(31)とアナウンス室に3人きりになった日曜日のことを回想。当時、安住紳一郎が仕事について注意したことで田中みな実と険悪になり、1年半ほど口もきかない関係が続いていたそう。しかし、その頃のTBS社屋にはコンビニはなく、近隣の飲食店も日曜日は閉まっていたため、3人はお腹を空かせていたという。そこで安住アナは、頂き物の“お煎餅の詰め合わせ”でお腹を満たそうと、安東アナにもお裾分けして2人でボリボリと音を立てながら“ごまのお煎餅”を中心に食べ始めたそうだ。
 すると、田中アナが「私にも1枚お煎餅ください!」と歩み寄ってきたという。それでも、久しぶりに口をきいた田中アナに対して意地悪な感情が働き、唯一あまり好きではなかった“抹茶のお煎餅”を差し出したそう。すると、一度は席へ戻って食べた田中アナだったが、もう一度安住アナのもとへ来て「私にもごまのをください!」と詰め寄り、3人は堪えきれずに大笑いしたそうだ。安住アナは「私は(2人と)仕事をした中でこのエピソードが大好きなんです」と笑いを誘っていた。
 そして告知を挟んだ後に、安住アナは「さて内輪の話をもうひとつ、恐縮なんですけれども。もうひとり後輩の話をしたいと思います」と前置きし、約9秒間沈黙した後に「すいません。ちょっと待ってくださいね」と突然、声を震わせた。続けて、声を整えようと何度か咳き込み「もうひとり川田亜子という女性アナウンサーが私の後輩におりまして……」とちょうど放送日の2日前が命日だったことを泣き声のまま説明し、「もう少し何か出来たんじゃないかなと10年ずっと変わらず考えてしまいます」と川田アナへの後悔を吐露した。
 安住アナいわく、生前の川田アナは「ちょっと仕事のやり方が強めだったということもあって、少し孤立していた時期があった」とのこと。そして安住アナも同様に「田中みな実さんと1年半も口きかない、みたいなそういう強引なやり方をしてたんで、同僚から浮いちゃってた」とアナウンス部内で孤立した時期があったことを明かし、川田アナから「安住さん、私も孤立してしまいました。私と組みませんか?」と相談されたことを告白。今となっては川田アナが「俺に甘えて来てただけだと思う」と理解できるものの、当時は「俺は俺で、お前とのやり方は違う」「お前はそのやり方で仕事が煮詰まったんじゃないか」と突き放してしまったという。
 安住アナは当時を振り返り「その後、結局彼女は自殺をしてしまうんだけれども、本当にその時のことを後悔しています。そして、川田さんのことを大事に思っていた人には本当に申し訳なく思っています。それは本当に……どんな謝罪をもっても許されないことだと思って。俺がこの放送局のアナウンスを続ける限りは川田のことを考えてあげたいってずっと思ってます」「(川田アナは)非常に可憐な女の子なんですけれども、そしてとっても性格強気なんですけれども、寂しがり屋なところがありましたので、ぜひたまに思い出してやってください。内輪の話ばかりで申し訳ない。今日はちょっと自分の話ばかりしてしまいました」と語り、「この曲を聞くといつも川田のことを思い出す」という川田アナが亡くなってすぐに発売されたKOKIA「ありがとう」を流してトークは終了した。
 高いアナウンス技術を持ち、常に冷静沈着なイメージの強い安住アナが、自身を「私」ではなく「俺」と称し、「川田さん」ではなく「川田」と呼び、涙を流しながら語った川田アナへの後悔。彼女の死は、10年経った今なお多くの憶測が飛び交い謎に包まれている。
 2008年5月26日午前6時すぎに、東京都港区の路上に停車していた白いベンツの中で、川田アナが倒れているのを男性会社員が発見。5月7日から川田アナが自身のブログで悩んでいる様子を記していたり、車内に練炭とコンロと遺書3枚が置かれ、運転席の窓がビニールテープで目張りされていたことから、一酸化炭素中毒による自殺を図ったと見られた。
 しかしその後、マスコミでは2人の男性の存在が取り沙汰された。ひとりは川田アナがTBS退社後に所属した芸能事務所幹部であり、恋人だったと噂されているA氏。そしてもうひとりは「川田アナの最後の恋人」と言われているアメリカ人平和活動家・B氏。
 川田アナと男性2人の関係について真実は明らかになっていないものの、川田アナの死後、B氏は「川田の自殺原因を明らかにする」と、A氏に対し損害賠償請求裁判を起こしていた。結果はB氏が敗訴したが、川田アナが亡くなる前にもA氏とB氏は金銭トラブルに発展していたことも明らかになった。なお2人は、2013年12月にも2012年ミス・インターナショナル世界大会のグランプリ・吉松育美氏を巡って再度トラブルが起きたと報じられている。
 さらに、川田アナの遺体が発見された“白いベンツ”が川田アナ名義ではないこと、第一発見者の男性が一時行方不明になった等さまざまな報道が飛び交い、マスコミでは他殺の可能性が浮上。しかし、川田アナの実父がいくら訴えても警察が捜査することはなかった。
 川田アナの死の真相は、多くの謎を残したまま闇に葬られてしまうのだろうか。いずれにせよ、今回、安住アナがラジオで号泣しながら川田アナへの思いを語ったことは、ネット上で大きな反響を呼んでいる。安住アナの願い通り、川田アナの存在を世間は忘れていない。また節目のたびに思い出すことだろう。(夏木バリ)


遺族の感情逆なで 堀内議員“高プロ”強行採決で大ハシャギ
 衆院厚労委で強行採決された、高度プロフェッショナル制度(高プロ)を含む「働き方改革」関連法案。野党議員が委員長席に詰めかけた際、ピンクのスーツ姿で両手を挙げて「賛成」する姿を見せていたのが自民党の堀内詔子議員(52歳、山梨2区、当選3回)だった。
 高プロは“定額働かせ放題”ともいわれる「過労死促進法」だ。この日の委員会は、NHKで過労死した佐戸未和さんの母親ら過労死遺族も傍聴。安倍首相との面会が実現しない中、大ハシャギで跳びはねていた堀内氏の様子は過労死遺族の目にどう映ったのだろうか。
 堀内氏は2012年初当選の“魔の3回生”だ。国会でヒンシュクを買ったのは今回だけではない。1月開会の通常国会では、質問時間の配分をめぐって与野党が対立。自民党は「若手の機会を確保する」として時間増を求め、1月29日の衆院予算委で「若手」として質問に立ったのが堀内氏だった。
 ところが、質問時間を1分以上も残したまま質問を切り上げようとし、議場内の議員から「時間まだあるぞ」とヤジが飛ぶ始末。共産党の小池晃書記局長が「余らせるぐらいなら野党の時間を増やしてほしい。(時間を)残して叱られるなんて、子供じゃあるまいし、みっともない」と呆れたほどだった。
■“貢献ぶり”を熱烈アピール
 堀内氏の公式サイトによると、愛読書は「ジャン・ジャック・ルソー」。ルソーといえば18世紀、世に蔓延する社会的不平等の構造を究明し、自由で平等な市民の共同体を達成すべく「社会契約」の必要性を説いた人物だ。つまり、ルソーの思想とは、労働時間規制のルールをすべて取っ払って“野放し”を推し進める高プロとは真っ向から反するのだ。愛読書は「ルソー」なんて言っているが、本質を全く理解していないのは明々白々だ。
「本人は、安倍政権が進める重要法案の採決に“貢献”しているところを政権側にアピールしたかったのでしょうが、遺族の目前ですることでしょうか。政治家以前に、人としてどうかと思います」(政治評論家・山口朝雄氏)
 有権者は、過労死遺族の感情を逆なでした堀内氏の振る舞いをよ〜く覚えておいて、次の選挙では何が何でも落とすしかない。


麻原らオウム確定死刑囚「6月執行説」の根拠と上祐氏の懸念
 オウム真理教(現アレフ)の元教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚の周辺が慌ただしくなっている。
「5月中旬以降、『6月に麻原らの刑が執行される』との情報が司法記者クラブ内を駆け巡り、各社ともXデーに備えた厳戒態勢を敷いています」(全国紙司法担当記者)
 今年3月、東京拘置所に収容されていたオウム確定死刑囚13人のうち7人が全国の拘置所(支所含む)に移送され、「執行準備か」との観測が一気に広がった。死刑制度に詳しいジャーナリストの青木理氏の指摘。
「移送は、麻原1人でなく共犯のオウム死刑囚も同日執行するための措置と見られています。共犯事件の死刑囚は同日に執行されるのが原則。東京拘置所ではこれまで一日に最大で2件の死刑執行例があるのみです」
 各拘置所には刑場は1つしかないとされ、移送し分散させることで刑場を確保し、一斉執行に備えているという見方だ(法務省は「移送は執行とは関係ない」と回答)。
 そうしたなか、突如降ってわいた「6月執行説」。関係者たちが語る“根拠”は次のようなものだ。
「来年は天皇の生前退位という一大イベントがあり、恩赦も予定されている。再来年には東京五輪が控え、オウム死刑囚の執行は“今年しかない”との暗黙の了解が法務省内にはある」(前出・司法記者)
 法務省関係者はこう話した。「7月に上川(陽子)法相の欧州外遊が予定されていて、8月に入れば自民党総裁選の準備に政治家は忙しくなる。9月の総裁選が終わり、内閣改造で法相が替わることがあれば、すぐに執行命令書にサインできる状況ではなくなる。年末に近づけば目前に迫った生前退位の祝賀ムードに水を差しかねないので適切でないとの声が省内にある」
 前出・青木氏も「国会開会中に死刑執行はしないとの過去の慣例に倣えば、仮に延長がないとして6月20日の国会閉会後がひとつの焦点になる」と話す。アレフから離脱した『ひかりの輪』代表の上祐史浩氏は本誌取材にこう答えた。
「死刑執行後に心配されるのはアレフ信者による後追い自殺などです。今でもオウムの後継団体であるアレフは“自分たちの信仰が麻原尊師を生かしている”と信じて活動している。死刑が執行されない限り、アレフの組織延命と“麻原信仰”は止まりません」
 いまだ麻原死刑囚を「開祖」と位置づけるアレフの今後の動向にも注目が集まっている。


大前研一氏、独を参考に人口の10%目標に移民受け入れ制度を
 人口が減少する日本において、労働力の不足は大きな問題である。解消法としては、年齢や性別に関わりなく、誰でも働きやすい社会になることに加え、移民の受け入れ推進がよく話題になる。経営コンサルタントの大前研一氏が、日本が外国人労働者を受け入れるには、どんな制度が望ましいのかについて提言する。
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 日本政府が来年4月をめどに外国人労働者向けの新たな在留資格を作ると報じられた。「特定技能(仮称)」というもので、働きながら技術を学ぶ最長5年間の「技能実習」を終えて帰国した外国人が、一定の要件を満たせば、さらに日本で最長5年間就労できるようにする方針だ。人手不足が深刻な農業、介護、建設、造船などの業界を対象にするという。
 だが、日本に通算10年間住んでもよいと言いながら、この新資格では永住権までは与えられない。法務省の「永住許可に関するガイドライン」には法律上の要件の一つに「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること」という項目があるが、技能実習と今回の新資格で通算10年間日本に在留しても、「引き続き」ではなく、いったん帰国するので、直ちに永住権取得の要件を満たすことはできないとされる。なぜそのような理屈をこね回した役人的で中途半端な資格を新設するのか、その理由がそもそもわからない。
 では、どうすればよいのか? 私が『新・大前研一レポート』(講談社)の「日本を変える法案集」の「国籍法」で25年も前に主張しているように、通算10年間も日本で働き、永住を希望する外国人には、2年間かけて技能だけでなく日本語や日本の文化、慣習、法律、社会常識など「日本人」としての教育を義務付け、それを修了した人には永住権(アメリカのグリーンカードに相当)を与えて移民を受け入れていくべきだと思う。
 たとえば、ドイツは第2次世界大戦後の1950年代以降、人手不足を解消するためにトルコ、ギリシャ、イタリア、ポーランドなどから移民を積極的に受け入れてきた。当初はドイツ人との確執などによるトラブルもあったが、今では国民の5人に1人が「移民の背景」を持つようになり、社会は非常に安定している。
 なかでもトルコ人は最も割合が大きく、ドイツ全体で300万人に達していると言われる。苦労しながら死にもの狂いで働いた1世に教育重視で育てられた2世の中からは、政財界や学術分野などで優秀な人材も登場している。むしろ、今やドイツはトルコ人がいなければ社会も経済も成り立たないほどになっていると言っても過言ではないだろう。
 さらに、ドイツで育ったトルコ人が祖国に帰り、経済発展の柱として目覚ましく活躍している。たとえば、トルコ西部イズミルにあるドイツの高級ファッションブランド「ヒューゴ・ボス」の工場は非常に業績優秀なことで知られているが、そこで主力になっているのはドイツから帰国した人たちだ。彼らはトルコ語とドイツ語のバイリンガルなので、トルコとドイツの関係強化にも大いに貢献している。
 日本では、中国人やベトナム人など在日外国人の犯罪が時々クローズアップされるが、外国人労働者が定着して正規の教育課程を経た永住者が増加すれば、親日的な人が増えて国同士の関係も親密になっていくはずだ。それは長い目で見た時の安全保障にもつながるだろう。当初は日本人との間がぎくしゃくするかもしれないが、いずれはドイツのように安定するから、とりあえず人口の10%くらいをターゲットに移民(永住者)を受け入れていく制度を確立すべきだと思う。
 前述した外国人に対する2年間の日本適応教育には、戦時中の“皇民化教育”を思わせるといった批判的な意見があるかもしれないが、それは違う。
 私はかつて、成人年齢を20歳から18歳に引き下げるのであれば、高校までを義務教育にして、最後の1年間に社会人としてのルールとマナー、自動車の運転、ファイナンシャルプランなどの知識を教える。それを修了したら、晴れて「日本の成人の条件」を満たした者と認め、成人とすべきだ、と書いた。それと同じように、日本に長く住んで永住を希望している外国人に対しては、私が日本人の高校卒業者に課すことを提案しているような「成人になるための条件」をクリアしてもらうことを要件にすればよいのである。
 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(2017年)によると、日本の総人口は2053年に1億人を割って2065年には8808万人となり、生産年齢(15〜64歳)人口は2065年に4529万人にまで減少すると見込まれている。生産年齢人口の減少はGDPの減少、すなわち国家の衰退を意味する。これを反転するには、長期的視野で移民受け入れに本腰を入れるしかないのである。


BEGIN、モンパチ、マブヤーも CIAが沖縄の音楽などを分析 世論研究の解説書
 【ジョン・ミッチェル特約通信員】米中央情報局(CIA)が沖縄世論を研究するため、ポップ音楽などを広く分析していたことが分かった。CIAがまとめた解説書は、BEGIN(ビギン)やモンゴル800、Cocco(コッコ)さんなどの歌詞、「琉神マブヤー」のヒーロー像を題材に、「平和を愛する人々」「美しい島々」といった県民の自己認識を説明している。
CIAの解説書「沖縄における基地と政治」には、BEGINやCoccoさんの名前も登場する
 解説書の題名は「沖縄における基地と政治」。2012年、CIAオープンソースセンターが米政府の政策立案者向けにまとめた。「公用限定」に分類されており、本紙が情報開示請求で入手した。
 Coccoさんの歌から「ジュゴンの見える丘」を取り上げ、「沖縄のもろく美しい環境に光を当てた」と解説。「ジュゴンは、反基地や自然保護の活動家が普天間飛行場の移設に伴う環境への影響を示すため、広く利用している」と警戒感も示す。
 モンゴル800の「琉球愛歌」は「他者への共感を呼び覚ますとともに、非暴力と自然への愛着を体現する『琉球の心』を強調している」と分析する。
 BEGINの「島人ぬ宝」に込められたメッセージを、「島独特の自然や歴史が持つ物質的ではない豊かさ」と指摘。HYの「時をこえ」の歌詞に登場する「命どぅ宝」の考え方について、「間接的に戦争を否定し命の価値を広める」と解説する。
 琉神マブヤーは「他者を思いやり、許す」文化の象徴とみる。一方、NHKの大河ドラマ「琉球の風」や「テンペスト」には批判的で、大交易時代を「美化」することで、基地がなくても「アジアの交差点」として経済が成り立つと県民に思わせたと推定する。
 世論分析のため、投稿サイト「沖縄のうわさ話」で埋め立てについて賛否の意見を数えた記述も。市町村のシンボルマークや非核都市宣言は、平和を求める県民感情を知る手掛かりにしている。
 このほか歴史、文学、空手、平和運動など各分野の第一人者の著作や発言も分析している。
取り上げた主な人物・グループ
 CIAが沖縄世論を理解するため、解説書の中で作品や発言を取り上げた主な人物、グループは以下の通り。(敬称略、登場順)
 高良倉吉、仲本和彦、金城実、大江健三郎、高良政勝、太田好信、嘉手苅林昌、平安隆、宮城喜久子、仲井真弘多、翁長雄志、赤嶺政賢、知花昌一、富川盛武、大城立裕、大田昌秀、目取真俊、石川元平、稲嶺恵一、佐藤優、仲原善忠、新城俊昭、安仁屋政昭、山里毅彦、安里猛、尚泰、HY、モンゴル800、多田治、BEGIN、Cocco、稲嶺進、新垣裕治、井上雅道、チャルマーズ・ジョンソン、玉城満、柳宗悦、長嶺将真、上地拓郎、尚泰久、尚巴志、新田重清、座安政侑、山中久司、仲里効、林泉忠


「百万遍こたつ事件」救援会
声明文
 私たちの友人であるAさんとBさんが、2018年5月22日・23日に道路交通法違反(道路における禁止行為)の容疑で京都府警下鴨警察署・京都府警交通指導課に逮捕されるという事件が起こりました。この逮捕は、AさんとBさんが2月25日に、京都大学付近の百万遍交差点路上にてコタツを持ちだし座り込んだ行為によると京都府警は発表しています。AさんとBさんのこうした行為そのものについては、私たちのなかにもさまざまな意見があります。しかし、私たちは二人の逮捕・勾留とそれに続く報道には以下のような重大な問題があると考えます。
 そもそも今回のような軽微な違法行為で逮捕・勾留されるのはきわめて異例のことです。AさんとBさんの行為は、実際に事故を招いたり、誰かにけがをさせたりしたわけではありません。交差点に座り込んでいたのは警察によれば5分間程度であり、警察官の注意を受けて歩道に退去しています。警察官が逮捕に相当する犯罪とみなせば現行犯逮捕もできたはずですが、当日にそのようなことはありませんでした。
 しかし、AさんとBさんは後日(それも3ヶ月も経ってから)逮捕・勾留され、さらに検察は裁判所に勾留請求を提出し、二人の身柄拘束を延長しようとしました。そもそも勾留は「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」などの理由がなければ認められないと法律で定められています。AさんとBさんの場合、自ら出頭して捜査に応じ、住所も隠していないなど理由となりうる状況は全くありませんでした。それを裏付けるように、勾留請求は裁判所によって却下され、AさんとBさんは5月24日夜に釈放されました。
 十分な理由なき勾留請求が却下されるのは当然のことですが、日本では95%以上の勾留請求が安易に認められているという現状があります。その中で今回の京都地裁の判断は司法が正当に機能した一例として評価されるべきでしょう。同時に、今回の逮捕・勾留がもとよりいかに妥当性を欠く不合理なものであったかを示すものといえます。
 比較的短期間で釈放されたとはいえ、今回AさんとBさんは逮捕・勾留によって生活上の多大な不利益を被りました。二人の行為に対比して明らかに過剰かつ暴力的な権力行使がなされました。私たちはこれをAさんとBさんに対する人権侵害と捉え、京都府警および京都地検に対して断固として抗議します。
 また、逮捕を受けて行われた報道には、AさんとBさんの氏名、住所、年齢、性別等の個人情報を公表するものが多数見られました。原則として被逮捕者はその時点では「被疑者」であり、犯罪事実が確定しているわけではありません。その時点での実名報道は、無罪の可能性のある人物が犯罪者のように周知されるという大きな問題をはらむものです。また実際に犯罪を行った者であっても、個人情報を恣意的に報道されることは法的な処罰以外の「社会的制裁」となります。その結果、本人や周囲の人物が私的に迫害を受けたり、それが法的に罪を償った後にも続いたりといった事態が起こりえます。現在はインターネット上に情報が流れることにより、その危険はますます深刻なものとなっています。
 各種報道を含む表現の自由は尊重されるべきですが、逸脱者をさらし者にしたり、プライバシーを覗き見したりする欲望におもねるのはジャーナリズムにあるまじき振舞いです。私たちは、こうした報道に対してもまた強く抗議します。
 上述の逮捕・勾留と実名報道はいずれも、AさんとBさんの人権を恣意的に侵害するものです。これらを容認することは、この社会の市民的自由そのものを広く脅かすことにつながります。「自業自得」と切り捨てるのではなく、「明日は我が身」の視点を手放さない批判的姿勢こそが、権力の横暴を抑止するはずです。私たちは、これらの問題への注目と、そして不利益を被ったAさんとBさんへの支援を呼びかけます。
2018年5月28日 「百万遍こたつ事件」救援会
※AさんとBさんは5月24日に釈放されたものの捜査は継続中であり、今後のさまざまな事態に対応する諸費用が必要です。カンパをぜひともお寄せください。詳細に関しては以下の連絡先までご連絡ください。
kotatsu-jiken@protonmail.com