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Fig98

Le Japon réfléchit à réduire son plutonium
Les États-Unis ont demandé au Japon de réduire leurs stocks, qui pourraient être utilisés pour fabriquer une arme atomique.
Tokyo essaie d'échapper au collimateur de Donald Trump. Le gouvernement japonais étudie les dispositions nécessaires pour réduire les stocks de plutonium. Depuis l'accident nucléaire de Fukushima en 2011, le Japon, dont très peu de réacteurs ont redémarré, ne réutilise pas comme il l'aurait dû le combustible usé et en partie retraité qui s'est accumulé au fil des ans, ce qui inquiète les États-Unis.
"S'agissant de l'usage et de la gestion appropriés du plutonium, c'est un problème qui doit être pris en charge par le pays dans son ensemble, gouvernement et entreprises compris", a déclaré le ministre de l'Industrie Hiroshige Seko, selon des propos rapportés par une porte-parole. "Je souhaite que mon ministère s'en préoccupe", a-t-il ajouté.
Des stocks à l'étranger
Le porte-parole du gouvernement a assuré que "le gouvernement agissait de facon appropriée pour que soit maintenu le principe selon lequel le Japon ne possède pas de plutonium qui ne soit pas destiné à un usage précis".
Le Japon possède environ 47 tonnes de plutonium, dont une dizaine de tonnes au Japon et le reste à l'étranger (16,2 tonnes en France et 20,8 tonnes en Grande-Bretagne), selon un document datant de janvier de la Commission japonaise de l'Énergie atomique.
L'archipel est autorisé à extraire le plutonium du combustible usé, "en raison de son déficit de ressources énergétiques et du fait que les quantités d'uranium dans le monde sont limitées", est-il précisé dans ce même rapport.
L'usage civil de ce plutonium est la condition sine qua non des dispositions prises avec les États-Unis et l'Agence internationale de l'énergie atomique (AIEA), mais des craintes existent compte tenu des quantités que le Japon possède.
フランス語
フランス語の勉強?
市田忠義 @ichida_t
70年も喧嘩していた国の責任者が会談し、これからは仲良くしていこうと合意し、詳細はこれから詰めていくことになった。
ところが、仲良くなり方があいまいだとか、とにかくあらを探してたいした会談ではなかったとする論評を散見する。このプロセスを前向きに進める立場に立とうではないか。

町山智浩 @TomoMachi
学術論文の数が主要国で減少しているのは日本だけ。中国は約5倍に増えた。日本の研究者は海外との交流も減っている。00年度に海外派遣された研究者は7674だったが15年度は4415人に。
渡辺輝人 @nabeteru1Q78
この間、大学の教員をさんざんしばき倒し、正規を非正規に置き換え、予算を削減してきたわけで、当たり前だ。今、この国は学術の何たるかの分からない馬鹿者によって統治されている。 / “科学技術「基盤的な力、急激に弱まる」 論文数減少、…”
Nobuyo Yagi 八木啓代 @nobuyoyagi
「決裁の下りた公文書を改竄するのは民主主義国家ではあり得ない背信行為で、文民が犯しうる最大級の大罪です。言わば『民主主義国家に対する殺人罪』に相当」...この文言シビれたわ。あまりにも意外な方面からの一打。http://author.tkj.jp/kaidou/2018/06/post-90.php

大丸でずんだ餅を買って一安心.
午後からのRSは新たな参加者がいました.いつもの彼は全然ダメですが・・・でもとりあえず時間は間に合いました.
関空快速なのですが,前もってはるかにのるつもりで特急券を買っています.快速でも時間間に合いそうなのですが,特急券が無駄になるだけなので意味なく?特急くろしおで1駅,つまり天王寺から日根野まで乗りました.日根野からは先ほどの快速.
関空から鹿児島空港でさらに夜の道を都城へ移動しました.

<宮城県沖地震40年>激震の教訓「次」へ 宮城県が訓練、初動対応手順など確認
 宮城県沖地震(1978年)の発生から40年となった12日、県は大規模な地震と津波を想定した総合防災訓練を県庁などで実施し、初動対応の手順などを確認した。
 初めて加わった海上、航空の各自衛隊を含め、市町村や国の出先機関など85団体の計3000人が参加。三陸沖を震源とする地震で最大震度7を県内で観測し、大津波警報が発令されたと想定して演習した。
 県庁講堂に設けられた災害対策本部事務局には各機関の約200人が参集。被害や人命救助の状況を各市町村から聞き取るといった初動訓練に当たった。県内各地の圏域防災拠点では、支援物資の受け入れなどの手順を確かめた。
 村井嘉浩知事は災害対策本部会議に出席後、取材に対し「県沖地震などの大災害を経験しても、震災の被害をしっかりと防ぐことができなかった反省を踏まえて訓練をした。今回の内容を分析し、次年度以降に反映させたい」と述べた。
 初めて行う予定だった県防災ヘリコプター「みやぎ」の離着陸訓練は、天候不良で中止した。


<宮城県沖地震40年>市民参加型で備え強化 仙台では「シェイクアウト訓練」一斉実施
 宮城県沖地震の発生から40年、東日本大震災の発生から7年3カ月。再来のリスクに備え、市民参加型を重視した訓練が各地で導入されている。仙台市では12日、机の下に潜るなどして身を守る「シェイクアウト訓練」を学校や企業で一斉に実施。塩釜市や東松島市などでも、住民主体による防災力の強化に取り組む。
 シェイクアウトは「まず低く」「頭を守り」「動かない」という三つの安全行動を実践する訓練。仙台市宮城野区の幸町南小では校内放送で緊急地震速報が流れると、各教室の児童が担任の指導に従い、素早く机の下に潜り込んだ。
 1分後に待機を促す呼び掛けがあると児童は防災頭巾をかぶり、再び机の下に身を縮めた。6年の蜂谷日菜さん(11)は「静かに机の下に潜った後、体育館まで移動することができた。地震が起きたら、三つの安全行動を生かしたい」と話した。
 視察した郡和子市長は「家に帰ったら、(避難や安否確認など)災害時の約束事を決めてほしい」と強調した。訓練は昨年に続き2回目で、市民ら5万2884人が参加した。
 塩釜市は住民が参加しやすいよう、日曜の10日に総合防災訓練を開催した。約8000人が主会場の玉川小など20カ所で避難所運営の訓練に臨んだ。うち9カ所では東日本大震災の教訓を踏まえ、参加者による貯水槽の設置など初めての試みもあった。
 玉川小の体育館には、地震で市内全域が停電、大津波警報が発令されたとの想定で、住民が懐中電灯や携帯ラジオを手に集合。市職員らの指導で投光器や貯水槽、マンホールトイレなどの設置に挑戦した。
 貯水槽は、給水車が水の補給で戻る際に被災者の待ち時間を少なくするのが狙い。水1トン用の水槽を参加者が協力して組み立て、蛇口を取り付けた。同市の無職千葉隆さん(71)は「震災の時は給水車が来るのが遅かったので、貯水槽があれば便利だ」と話した。
 東松島市では、内陸部に集団移転したあおい地区が17日、東北大留学生を招き、外国人観光客に見立てた避難者受け入れや炊き出しなどの訓練を実施する。
 自衛隊の物資搬入や災害救助犬による捜索訓練なども予定。地区会会長の小野竹一さん(70)は「震災の時、われわれは飯を食わせてもらった立場だった。今度は支える番だということを、広く住民に意識付けしたい」と意気込む。


<宮城県沖地震40年>防災リーダー育成進み8870人に 目指すは1万人
 災害時に地域や企業で中心的な役割を担うために宮城県が創設した防災指導員や仙台市の地域防災リーダー(SBL)など「防災リーダー」の養成が県内で進んでいる。2017年度末の養成数は計8870人。県や市は20年度までに1万人に増やす目標を掲げ、講習への参加を呼び掛けている。
 防災指導員は宮城県沖地震に備え09年度に県が創設し、自主防災組織などの運営に主眼を置いた「地域コース」と、企業の事前防災や帰宅困難者対策に当たる「企業コース」がある。講習を経て認定される仕組みで、これまで計6535人が登録された。
 東日本大震災後には、要支援者の避難支援や企業の業務継続計画(BCP)策定演習など指導員のスキルアップを図るフォローアップ講習も設け、6年間で計1344人が参加。県危機対策課は「より専門的な知識を学び、地域版の防災マップづくりなど実践に生かしてもらう」と説明する。
 仙台市は12年度、初期消火や負傷者の応急手当てなど実技を盛り込んだSBL制度を独自につくり、計690人が認定された。「各地域から満遍なく受講者を推薦してもらい、地域に根ざして防災活動に取り組む人材を増やす」(市減災推進課)のが狙いだ。
 県教委も12年度から学校現場の防災リーダーとして、「防災主任」を公立学校に配置。毎年度700人前後の教員が常日頃の備えや防災マニュアルの作成などに当たる。異動などで担当を離れた後も、地域の防災指導員として活動するケースが多いという。
 災害時のノウハウを備え、経験を積んだ防災リーダーに対する地域の期待は高い。川平団地町内会自主防災会(仙台市青葉区)で副会長を務める中田芳江さん(71)は「宮城県沖地震は繰り返し起こるとされており、切れ目なく地域防災の担い手を確保することが重要だ」と指摘する。


<岩手・宮城内陸地震10年>栗原の有志が作った紙芝居、あす発表会 あの日の記憶共有を
 2008年の岩手・宮城内陸地震の記憶を共有しようと、栗原市の有志でつくる「いちはさま紙芝居一座」は地震発生から10年となる14日、当時の地域の様子などを題材にした紙芝居3部作の発表会を市役所玄関ホールで開く。メンバーは「あの日を振り返り、地域の絆の大切さを思い返してほしい」と話す。
 3部作は発生3カ月後に作った「山が崩れた!」と09年完成の「山に戻りたい!」、10年制作の「白い神馬」。幅広い世代が親しめる紙芝居を通じて内陸地震を伝えようと、座長の高橋千賀子さん(72)が中心になって完成させた。
 「山が崩れた!」は、被災した集落の様子を述懐。避難所や仮設住宅での生活など、当時の出来事を細やかに描いた。続編の「山に戻りたい!」は、農業を再開させるなどして復興を目指す住民の姿を表した。
 「白い神馬」は同市の洋画家菊地義彦さん(87)=河北美術展参与=が作画したファンタジー。大地震で土砂にのまれた栗駒山の守り主の白馬「シロ」が力を振り絞って地上に飛び出し、山を再生させる姿を描いた。
 一座は創作話の「白い神馬」はたびたび朗読してきたが、残り2作はほとんど発表してこなかった。内陸地震から3年後に東日本大震災が発生して沿岸部の惨状に注目が集まる中、山地被害を声高に伝えることにためらいがあったという。
 高橋さんは「発生から10年たち、あの日を振り返る機運が高まる中、読むべき時が来たと思った。作品が『6.14』を語り継ぐ一助になれば」と話す。
 正午〜午後1時。入場無料。連絡先は高橋さん0228(52)2566。


被災、語り継ぐ使命…内陸地震10年
一関の佐藤さん 助け合い、伝えたい
 奥州市で震度6強を観測し、県内で2人が死亡した岩手・宮城内陸地震から、14日で10年となる。被災した道路や橋は復旧し、当時の被害の大きさを今に伝えるのは、一関市厳美町の災害遺構「旧祭畤大橋」などわずかだ。地元の農業佐藤直樹さん(46)は14日、小学生に被災体験を語る予定で、「次の災害に向けた対策が取れるように語り継がなければならない」と話す。
 「激しい縦揺れで、家の中でピアノが弾んだ。窓のサッシが外れてフライングディスクのように飛んだ」。佐藤さんは、震源地近くの自宅での揺れを振り返った。それまで大きな地震に見舞われるなど、考えたこともなかった。「ドドン、ドドンと雷のような地鳴りが下から聞こえ、余震がひっきりなしに続いた」
 妻と4人の子ども、祖父母、両親の10人家族で、みんな無事だった。被害の大きさに気づいたのは、自宅前を走る国道342号の祭畤大橋が落ちたと観光客に聞いてからだ。消防団として近くの橋を見に行き、仰天した。橋げたが落ちて大きく変形しており、「映画の中にいる感じだった」。
 国道は反対の秋田県側も土砂崩れで通れず、地区は孤立状態に陥った。夕方、住民や観光客は順番に防災ヘリで救出された。一家の避難生活は約半年続いた。

 あれから10年。道路や橋の復旧工事が終わり、段差ができた水田も以前のようになった。「この3年くらいで、やっと完全に元の生活に戻った感じ」という。
 ただ、地震は地区に大きな爪痕を残した。
 かつて5世帯あったが、今は佐藤さん宅のみ。避難後に戻らなかった人もいれば、高齢になって離れた人もいる。「避難所で仕切りがいらないくらい仲が良く、地域のつながりは自慢だった。それが薄れてしまい寂しい」。以前は、紅葉を見に来る観光客の車が国道をひっきりなしに通ったが、今はわずか。自慢の大根を置く道路脇の直売所も売り上げは戻らない。
 地震の後、いち早く食器持参で駆けつけてくれた宮城県気仙沼市の伯母(当時62歳)が、2011年3月の東日本大震災で津波にのまれ、行方不明になった。宮城、岩手の遺体安置所を回って捜したが、今も見つからない。地震に振り回された10年間だった。
 長女(22)と次女(20)は「内陸地震を経験したから」と、共に看護師になって就職。長男(18)は専門学校に通うため自宅を出た。祖父母は亡くなり、にぎやかだった大家族は5人になった。「夢中で生活しているうちに10年が過ぎた」という。
 14日は厳美小学校の児童に、16日には災害遺構の見学ツアーに参加する児童に被災体験を話す。地震を知らない子どもに向け、「みんなで助け合うことの大切さを伝えたい」と話した。(藤吉恭子、平本秀樹)


<復興商談会>水産加工品、販路回復へ 仙台・国際センターできょうまで
 東日本大震災の被災地にある水産加工会社の販路回復と拡大を目指す「東北復興水産加工品展示商談会2018」が12日、仙台市青葉区の仙台国際センターで始まった。青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県から約140社が出展し、国内外の商社や流通、小売業などの関係者に商品を売り込んだ。13日まで。
 東北六県商工会議所連合会と全国の水産関連3団体が主催し、今年で4回目。
 いわき市の「美味一膳」はグループ企業との共同出展で、板かまぼこなど練り製品を紹介した。四家(しけ)正典社長は「津波で原料のすり身が流され、東京電力福島第1原発事故の風評被害にも直面した。さまざまな業者と顔を合わせられる場はありがたい」と話した。
 新潟市の水産物卸売業「新潟冷蔵」の五十嵐清主席部長代理は、総菜や弁当といった中食向けの商品を求めて来場。「被災地の多くのメーカーが出展していて頼もしい。より良い商品を取り扱えるよう、われわれも頑張りたい」と語った。


震災きっかけ、大船渡・末崎町「居場所ハウス」開所から5年 人口減と向き合う拠点に
 東日本大震災をきっかけにできた大船渡市末崎町の「居場所ハウス」が、13日で開所から5年を迎えた。地元の高齢者らが運営を担い、震災で過疎化と高齢化が加速する地域の課題と向き合う拠点施設へと成長した。
 築60年の古民家を移築改装したハウスは2013年、米国の復興支援で開館。地元の高齢者らでつくるNPO法人「居場所創造プロジェクト」が運営する。
 日中はお年寄りが世間話に興じ、夜間は小中学生が勉強する地域住民のサロンだ。ほぼ毎日訪れるという大和田マツエさん(87)は「ここに来れば誰かがいるので楽しい」と語る。
 コーヒーやお茶の提供にとどまらず食堂や朝市を企画するなど意欲的な運営で、開館以来の利用者は延べ約3万4000人に達した。
 末崎町の人口は現在4133人。震災後に16.5%減少し、高齢化率は39.5%となった。地域の衰退が懸念される事態だが、ハウスは子ども預かりサービスを始めるなど、地域社会で重要な役割を担っている。
 運営費は民間補助金に依存しているため、今後の資金確保に不安はある。
 それでもハウス館長の鈴木軍平さん(73)は「災害公営住宅の入居者や独居世帯への配食や見守り、ハウスへの無料送迎バスの運行など地域課題を踏まえ、新たな活動を展開したい」と積極的だ。


荒浜再生に7年、活動に幕 津波被災住民の「願う会」会員減少し解散「支えられ、ここまで続けられた」
 東日本大震災で津波被害を受けた仙台市若林区荒浜地区の元住民でつくる「荒浜再生を願う会」が今月、7年間の活動に区切りを付け、解散する。現地再建を目指す被災者が2011年10月に設立し、地域のにぎわい創出などに取り組んだ。30日に現地で式典を開催し、歩みを振り返る。
 活動の柱だった語り部としての機能が、昨年一般公開が始まった震災遺構の旧荒浜小に移され、当初は約60人いた会員が数人まで減少。これから地区の跡地利活用が本格化することも考慮し、解散を決めた。
 会は代表の貴田喜一さん(72)らが中心となり、現地再建に向けて市への要望やフォーラムを重ねた。災害危険区域の指定に伴い、現地再建が困難になってからも、精力的に地区の活性化などに取り組んだ。
 貴田さんが自宅跡に建てたロッジを拠点に毎月、地区の清掃活動をし、大勢の賛同者や支援者が集った。同じ災害危険区域の宮城野区蒲生、新浜両地区の元住民らと連携し、被災地を巡るツアーも企画した。
 「現地再建がかなわず残念だが、多くの支援者に支えられ、ここまで続けられた」とかみしめる貴田さん。「会の旗を降ろしても、一人一人が荒浜のために再スタートを切りたい」と話し、将来を見据える。
 解散式は30日午前10時半からロッジで。支援者に感謝を伝えながら、活動を振り返る。参加申し込みは不要。連絡先は会事務局080(1019)3631。


被災農家支援 思い込め ボランティアが綿花植栽 宮城・東松島
 綿花栽培などを通じ、東日本大震災の被災農家を支援する「東北コットンプロジェクト」の苗植え作業が5月26日、宮城県東松島市大塩の東松島農場であった。
 趣旨に賛同する仙台市や東京都の企業7社などから約100人のボランティアが参加。約60アールの畑で、黒いビニールをかぶせた土の上に約10センチの苗を植え付けた。
 日本フットサルリーグ(Fリーグ)のヴォスクオーレ仙台の9選手はユニホーム姿で参加した。フロントスタッフの中島千博さん(31)は「震災で被災した選手もおり、地域の復興に思い入れがある。チーム一丸で一生懸命、苗を植えた」と汗を拭った。
 東松島農場は美里町の農業生産法人イーストファームみやぎ(赤坂芳則代表)が運営。11月下旬に約350キロの綿の収穫を見込む。
 同プロジェクトは被災農地の再生と雇用創出などを目的に2011年7月に発足。イーストファームなど県内3カ所の農場で綿花を栽培し、17年は綿約1.3トンを収穫した。安定した製品化と販売を目指す。


<戊辰戦争150年>「仁」の心で市政も一体 白河市議会、陣羽織姿で臨む
 左胸に「仁」の文字、背中に慰霊の彼岸花(ひがんばな)−。白河市議会は6月定例会初日の11日、市議や市幹部がえんじ色の陣羽織姿で着席した。
 陣羽織は戊辰戦争150年の記念事業として市が作った。「仁」は、白河口の戦いの戦死者を敵味方の分け隔てなく、今も手厚く弔っている思いやりの心を表している。
 「普段は是々非々の立場だが、きょうは何だか一体感を感じる」とある市議。「まさに『仁』の心が議会と市執行部を結んだということかな」と冗談交じりに話した。


<瑞巌寺 輝き新たに>「筋違」生かし壁補強
 日本三景の一つ、宮城県松島町の国宝・瑞巌寺は「平成の大修理」を終え、落慶法要を24日に行う。約10年に及ぶ修理により、仙台藩祖・伊達政宗が造営した名刹(めいさつ)は桃山文化の粋と輝きを再び放ち始めた。事業を振り返り、落慶を待つ地元を見つめる。
(塩釜支局・松田佐世子)
◎(中)震災越えて
<工法見直し>
 宮城県松島町の国宝・瑞巌寺で「平成の大修理」が始まって2年余り過ぎた2011年3月11日、東日本大震災が発生した。
 当時、本堂は工事用の素屋根で覆われ瓦や建具などが外され、柱や梁(はり)の骨組みだけ。本堂は閉鎖中で、寒さから寺の拝観者は数人だった。もし瓦が落ちて人に当たれば惨事となる。寺の千葉洋一総務課長は「被害が最小限だったのは、不幸中の幸い」と言う。
 松島湾からの津波は参道の4分の3まで達した。寺は避難所に指定されており、その夜は観光客や住民ら約300人が敷地内の陽徳院修行道場で過ごした。職員はろうそくをともし、食事を確保し、町が避難所を統合する16日まで人々を受け入れた。
 未曽有の震災は修理事業を中断させ、さらなる負担を強いた。震災前の耐震診断で何らかの対策が要るとされたが、震災を機に耐震工法見直し案が浮上。「たどりついたのが、瑞巌寺のために考案された特許技術だった」と稲富慶雲管理課長は説明する。
 本堂の白い壁の内部に、厚さ12ミリのポリカーボネート製の穴あき補強パネルをはめ込む。実に計約200枚。地震でゆがんでも形状が戻るパネルで、山形市の設計会社が開発した。
<膨らむ費用>
 壁内部には部材を斜めに交差させ建物強度を増す、創建当時の「筋違(すじかい)」の存在が今回の解体で発見された。筋違の普及は江戸後期以降で、江戸初期の採用は画期的。筋違を残しつつ補強パネルを加え、壁は3〜4センチ厚く修復された。
 こうした見直しに、誤算も加わった。3割と見積もった瓦の修理(新造)が後に7割必要と判明。国、県、町も補助したが、震災後の資材・労務費高騰が響き、事業費は当初の1.18倍の約17億円に膨らんだ。
 津波の塩害により参道の杉並木は枯れ、全1000本の半数近くを伐採した。土壌を入れ替え、今年5月末まで杉の苗木や季節感ある木々の植栽が続いた。
 未来への願いを込めた修理や復旧。瑞巌寺の見どころを稲富課長はこう話す。「戦乱による焼失や改変もなく、現存する桃山時代の建造物として価値が高い。技法が凝らされている。目に見える極楽浄土だ」
[メモ]本堂の江戸期の修理については明らかではない。近代になると明治期の1901〜03年に大規模に行われ、柱の根継ぎや柱と礎石の間の銅板はその頃の修理とみられる。屋根ふき替えは戦前に2回、戦後は52〜77年に4回。67年に部分修理を実施した。本堂と廊下は78年に宮城県沖地震、2003年度に三陸南地震と宮城県連続地震の被害復旧がなされた。


絶壁に心の塵落とす 宮城・丸森の修験寺で修行
 宮城県丸森町の修験寺「駒場滝不動尊愛敬院」の峰入り修行が5月27日、町内の岩岳であった。仙台市や白石市などから27人が参加。岩場で身を差し出し、心の塵(ちり)を払う「覗(のぞ)きの行」などに精進した。
 不動尊を出立した一行は、清滝で足を水に浸しながら勤行をした。山頂での覗きの行では、山伏が「親を大事にするか」などと問いかけ、修行者が大声で「はい、します」と返答した。
 初めて参加した仙台市太白区の会社役員加藤正男さん(61)は「還暦になって不動尊のお参りを始めた。修行は奥が深く、仕事や日常生活と次元の違う体験ができた」と話した。


<仙台セントラル閉館>「映画文化に大きな痛手」監督、ファンらから惜しむ声
 仙台市の映画館仙台セントラルホール(青葉区中央)が今月末閉館することが明らかになった12日、作品を上映した映画監督、催しに出演した音楽家、自主上映会を開いた映画ファンらから惜しむ声が上がった。
 「地元発の映画を大切にしてくれるありがたい存在だった。閉館は仙台の映画文化にとって大きな痛手だ」。東日本大震災で被災した宮城県南三陸町を舞台とする2本のドキュメンタリー作品を同ホールで上映した映画監督我妻和樹さん(32)=白石市=は肩を落とした。
 シンガー・ソングライターのあがた森魚(もりお)さん(69)=埼玉県川口市=は昨年1月、仙台市内の自主上映グループが同ホールで開いた特撮映画と講演を楽しむ催しでゲストとして歌った。「レトロ感がある個性的な映画館。良質の文化を味わう場がなくなってしまう」と嘆く。
 若林区の無職加藤嘉信さん(74)は2010年ごろから、同ホールの協力を得て平和や命の大切さをテーマとする新作の上映会を数回開いた。「公共施設で上映するより客層が広がるのでありがたかった」と感謝する。
 宮城県内の11館が加盟する県映画協会の加藤慶蔵会長(72)は「力関係の上で配給会社の方が強くなるなど、映画館の経営環境は厳しさを増している。特にセントラルホールのような基盤の弱い館は全国的に閉館が相次いでいる」と説明した。
 閉館後の施設の使い道は未定。我妻さんらは「何らかの形で営業を再開してほしい」と願っている。


<仙台セントラル閉館>赤字体質、老朽化も進み…40年の歴史に幕
 仙台市内で唯一、地元資本によって運営されている映画館「仙台セントラルホール」(青葉区中央)が6月末で閉館することが12日、分かった。インターネット動画の普及などにより映画離れが進み、恒常的な赤字経営に陥っていた。ミニシアター系の新作や旧作の上映に力を入れてきたが赤字体質は改善せず、40年の歴史に幕を下ろす。
 経営主体の合同会社仙台セントラル劇場の小野寺勉代表(63)は「東日本大震災で施設が一部損壊して客足が落ちた上に老朽化も進み、維持が困難」と閉館の理由を説明した。合同会社も解散する方向。
 1979年、青葉区中央通沿いに新築されたビル内で、不動産会社が経営する日乃出セントラル劇場として開館。赤字などのため経営者は3回入れ替わった。2007年からビル所有者の名を冠して桜井薬局セントラルホールとして運営。今年2月、命名権契約が切れて現名称になった。落語家を招いた魅知国(みちのく)仙台寄席、在仙プロダクションによるお笑いライブなども開かれた。
 座席数は154。米映画「シンドラーのリスト」が大ヒットした94年の来館者は年間10万人を超えたが、近年は1万人台にとどまっていた。
 23日から「セントラル特選さよなら上映」と銘打ち、フィルム映写機による「楢山節考」など国内の8作品を上映する。
 セントラルの閉館により、仙台市内の映画館はMOVIX仙台(太白区)、TOHOシネマズ仙台(青葉区)と、それぞれフォーラム運営委員会(山形市)が運営するフォーラム仙台(青葉区)、チネ・ラヴィータ(宮城野区)の計4館となる。


<旧優生保護法>宮城・柴田の女性が提訴へ 知的障害理由に10代で手術
 旧優生保護法(1948〜96年)下で強制不妊・避妊手術が繰り返された問題で、知的障害を理由に10代で不妊手術を強いられたとみられる宮城県柴田町の60代女性が、国家賠償を求めて仙台地裁への提訴を検討していることが12日、分かった。近く開示予定の県の手術記録を踏まえ、請求内容を決める。現在、東北では同種訴訟2件が係争中。
 支援弁護団によると、女性は首にへその緒が巻き付く「臍帯巻絡(さいたいけんらく)」のため仮死状態で生まれ、後遺症で重度の知的障害がある。1960年代に県北部の福祉施設に入所し、間もなく不妊手術を受けたとみられる。現在は柴田町の福祉施設に入所している。
 旧法を巡る同地裁への国賠訴訟提起を報道で知った女性の実姉が今年4月、弁護団に相談。5月上旬に女性が角田市の実家に帰省した際に下腹部の手術痕が確認され、弁護団は手術記録の開示を県に請求した。
 実姉は取材に「母親(故人)から当時、『(手術は)国の決めたことだからしょうがなかったのよ』と打ち明けられたことを報道を見て思い出した。妹がなぜ手術を受けなければならなかったのか、真実を知りたい」と語った。
 同地裁で13日に開かれる全国初の国賠訴訟の第2回口頭弁論で、国は救済法の策定義務を否定する反論書面を陳述する見通し。同日の弁論では、地裁に5月に提起された第2陣訴訟の審理も併合される見通しで、同訴訟でも国は請求棄却を求めるとみられる。


史上初の米朝首脳会談 後戻りさせない転換点に
 まさしく歴史的な瞬間だった。
 シンガポールでトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が固い握手を交わした。やや硬い表情の金氏の緊張をほぐすように、トランプ氏が彼の右腕を軽くたたく。
 映画でも見るような光景である。
 朝鮮戦争(1950〜53年)以来、65年も対立してきた両国の史上初の首脳会談だ。数カ月前までは戦争の瀬戸際とも言われた米朝の「雪解け」は前向きにとらえたい。
 両国の共同声明には「新たな米朝関係」など4項目がうたわれた。米国が北朝鮮に安全上の保証(体制保証)を与え、北朝鮮が朝鮮半島の完全な非核化への「揺るがぬ関与」を確約することが合意の柱である。
非核化の担保が不十分
 固い約束のようだが、懸念は大いに残る。米朝の共同声明は、韓国と北朝鮮の首脳会談(4月27日)に伴う「板門店宣言」に基づくもので、米国が従来求めてきた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」には触れていない。
 記者会見でこの点を問われたトランプ氏は、声明をよく読めば言及していると語る一方、別の記者の同趣旨の質問には「時間がなかった」と答えた。この辺が本音だろう。核廃棄をめぐる肝心な論議を詰め切れていないことをうかがわせた。
 そもそも北朝鮮がCVIDに同意したかどうかもはっきりしない。非核化についてトランプ氏は、金氏が会談で「やりたい」と語ったと説明し、ミサイルに使うエンジンの燃焼試験場の閉鎖を北朝鮮側から告げられたことも明らかにした。
 しかし非核化のプロセスがいつ始まり、いつ終わるのか。既に北朝鮮が保有する核爆弾はどう処理するのかなど、基本的な問題についても具体的なことは一切語らなかった。
 ポンペオ国務長官は会談直前、米国が求める非核化とはCVIDに他ならないと強調していた。米政府内の温度差もさることながら、北朝鮮が誠実に非核化を実行する保証がどこにあるのか。せっかくの歴史的な会談なのに合意内容がいつの間にか後戻りしないか不安になるのだ。
 金氏自身の声で非核化の決意や今後の手順を聞けなかったことも不安をあおる。米朝関係は改善されようと、日本をはじめとする近隣諸国の命運にかかわる核・ミサイル問題の行方は不透明と言わざるを得ない。
 半面、米国が北朝鮮に体制保証を与えたことで、いまだ休戦状態にある朝鮮戦争は終戦協定に向けた手続きが進む可能性が出てきた。韓国と北朝鮮の南北融和も加速し、東アジアに残った冷戦構造も解消に向かう見通しだ。こうした環境変化に日本も俊敏に対応する必要がある。
 共同声明には、朝鮮戦争の行方不明米兵(MIA)について北朝鮮が遺骨などの引き渡しに協力することもうたわれた。軍を重視するトランプ氏の意向をくんだのだろう。
 共同声明には盛られていないものの、トランプ氏は首脳会談で日本人拉致問題を提起したと述べた。訪米してトランプ氏に提起を要請した安倍晋三首相の顔を立てた格好だ。
トランプ流の危うさ
 注目されたのはトランプ氏が北朝鮮への軍事オプションを封印したと思えることだ。北朝鮮が合意を破った時は軍事行動も考えるかと聞かれたトランプ氏は、韓国などへの甚大な影響を考えれば軍事行動は非現実的との認識を示した。
 米韓軍事演習も北朝鮮の対応次第では中止する考えを示し、在韓米軍縮小にも前向きな態度を見せた。この辺は大きな路線転換と言うべきで、北朝鮮への軍事行動は不可能と判断してきた米国の歴代政権に、トランプ氏も同調したように映る。
 良くも悪くもトランプ流である。同氏は「権威」や「専門家」を嫌う傾向が強く、米国政治に通じた人々自身が米国の危機を招いたと述べる(著書「グレート・アゲイン」)一方、北朝鮮政策では過去の米政権の「失敗」を批判してきた。
 2016年の大統領選時には、金氏とハンバーガーを食べながら核問題を話し合う構想を口にした。今回の首脳会談は、形にとらわれずトップ交渉で問題解決を図ろうとする姿勢の表れだろう。
 だが、第三国で行われた首脳会談は「政治ショー」の色彩がつきまとった。金氏の訪米を招請したのもトランプ流だろうが、その成否は今後の推移で判断するしかない。焦点はもちろん、北朝鮮が速やかに核廃棄に着手するかどうか、である。


初の米朝首脳会談 非核化への新たな一歩に
 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長がきのう、シンガポールで会談した。
 朝鮮戦争(1950〜53年)は休戦協定が結ばれているものの、法的には戦争状態が続いている。その解決の鍵を握る両国トップによる初の会談である。実現した歴史的意義は大きい。
 発表した共同声明には、米国が北朝鮮の体制を保証し、北朝鮮は完全な非核化に断固として取り組むことなどが盛り込まれた。
 70年に及ぶ敵対関係を解消し、新たな米朝関係を結ぶことになるという。
 とはいえ、その中身はまだ具体的ではない。完全な非核化が「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を意味するのかをはじめ、不透明な部分が数多く残された。
 非核化の方法や期限などは今後の協議に委ねられる。
 両首脳はさらに会談を重ねるという。トランプ氏は金氏をホワイトハウスに招き、自身も適切な時期の訪朝に意欲を示した。
 大切なのは、さらなる対話を通じて信頼関係を構築し、非核化の流れを確実にすることである。
 今回の首脳会談はそのための第一歩と位置付けられよう。
■曖昧さを残した合意
 合意はできても、履行は困難を伴う―。これが、四半世紀にわたる北朝鮮との非核化交渉を通じた国際社会の共通認識である。
 北朝鮮は見返りの経済支援を受けながら、合意内容を破棄して核・ミサイル開発を続けてきた。それが昨年の軍事的な緊張につながった。
 同様の過ちを繰り返してはならない。それを防ぐための大原則がCVIDだった。
 ポンペオ米国務長官も「朝鮮半島のCVIDは米国が受け入れる唯一の結果だ」と強調してきた。
 ところが、共同声明にその言葉はなかった。トランプ氏は「検証をしっかり実施する」と述べるにとどめた。最終目標がCVIDであることを改めて確認しなければならない。
 北朝鮮が保有する核兵器、弾道ミサイルを廃棄するか、国外に持ち出す。国際原子力機関(IAEA)が徹底検証し、二度と核開発できないようする。
 この作業をいつ、どのような手順で進めていくか、明確にする必要がある。
 トランプ氏は、対話継続中は米韓合同軍事演習を中止する意向を明らかにした。体制を脅かす行動は避ける配慮とみられる。
 一方で北朝鮮に対する制裁は当面、維持する考えも示した。トランプ氏の姿勢も定まらない部分がある。
 肝心なのは体制保証がCVIDの実現と表裏一体であることを、北朝鮮に念押ししていくことだ。
 北朝鮮は国際社会がつねに疑惑の目を向けていることを意識し、率先して非核化への行動を示すことが求められる。
■「戦争終結」へ道筋を
 共同声明には、米国と北朝鮮が「朝鮮半島において持続的で安定した平和体制を築くため共に努力する」ことも明記した。
 先の南北首脳会談で合意した「板門店(パンムンジョム)宣言」に沿って、朝鮮戦争の年内終結を南北間で宣言する。その上で米国、中国を交えて平和協定の調印を目指すことを表明したと言える。
 朝鮮戦争では、数百万の死傷者と1千万人の離散家族を生んだ。
 世界で唯一残されていた冷戦構造は、早期に解消されなければならない。
 かといって、単に戦争を終結させるだけでは、北東アジア情勢の安定にはつながらない。
 米朝ともに内向きのアピールに終わらせてはいけない。
■拉致解決へ重要局面
 日本人拉致問題についてはトランプ氏が金氏に提起した。トランプ氏は記者会見で、「(北朝鮮が今後)取り組む」と述べた。
 安倍晋三首相が再三、トランプ氏に会談で取り上げてもらえるよう要請した結果だ。
 首相は米朝会談を受けて「しっかりと北朝鮮と向き合い、2国間で解決していかなければならないと決意している」と強調した。
 きのう夜にはトランプ氏と電話会談し、今後の対応について協議した。
 問われるのは日本政府の行動だ。これまでの圧力一辺倒でその糸口をつかめるのか。
 高齢化する被害者家族からは「みんなが元気なうちに一刻も早く再会したい」との期待が寄せられている。
 首相はこの言葉の重みを受け止めるべきだ。
 北朝鮮は拉致問題だけでなく、国内の深刻な人権問題が指摘されている。そうした問題の解決に積極姿勢を示さなければならない。


米朝首脳会談/アジアの新地図を描く一歩に
 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談がきのう、シンガポールで開かれた。
 最大の焦点だった北朝鮮の非核化について、共同声明は「朝鮮半島の完全非核化を約束」としただけで具体的な中身に踏み込まなかった。
 そのほかにも多くの課題が積み残され、近く開かれる高官級の協議に委ねられることになった。期待外れの感は否めない。
 だが武力衝突寸前まで対立していた両国が、対話の扉を大きく開いた意味は大きい。
 両国はもちろん、日中韓ロの関係国も積極的に協力し、アジアの新たな地図を描く一歩としなくてはならない。

 共同声明で残念だったのは、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の文言が盛り込まれなかった点だ。
 米国が要求し続け、国際社会も支持する合意の最低ラインとみられていたが、米国側が譲歩したとみられる。
 会談後に会見したトランプ氏によると、金氏は「迅速に履行する」としたという。金氏を「素晴らしい人物」などとも評価した。
 しかし非核化を実現する具体的な時期については触れられなかった。トランプ氏自身「完全非核化には長い時間がかかる」と述べており、北朝鮮の求める「段階的非核化」を、結果的に受け入れた形だ。
 懸念するのは、それが北朝鮮の時間稼ぎに使われ、なし崩しに核保有が既成事実化する展開だ。今後の高官級協議では、CVIDについてもっと突っ込んだ議論をする必要がある。
 その上で、北朝鮮が保有する全ての核関連施設の申告と検証、核物質や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の廃棄、国際原子力機関(IAEA)などによる査察といった手順を詰めなければならない。
 北朝鮮が保有しているとされる化学兵器も、その枠に含まれるのは当然だ。
裏切りから信頼へ
 米朝関係はこれまで裏切りの歴史だった。
 北朝鮮は過去に何度も非核化を約束し、見返りの援助を引き出してはほごにしてきた。
 だが今回の合意が過去と異なるのは、最高指導者が直接話し合った結果であることだ。
 会談を通じて、双方に一定の信頼関係を構築できた意義も大きい。
 トランプ氏は制裁は当面続けるとしたが、対話が続く間は韓国との合同演習の中止を約束した。北朝鮮の体制保証も明言した。一方、金氏はミサイルエンジン試験場の閉鎖に言及した。
 朝鮮半島情勢に詳しい木村幹(かん)神戸大大学院教授は「対話が今後も続けば、戦争は起こらない。悪い方向には進んでいない」と述べる。
 北朝鮮は今年4月、核開発と経済建設を同時に進める「並進路線」を転換し、「経済建設に総力を集中する」という新方針を打ち出している。
 その直後には、韓国との南北首脳会談に応じた。
 国際社会に積極姿勢をアピールしているのは、開かれた国に北朝鮮を変えていこうと金氏が退路を断った証しと受け止めたい。
 1950年に始まった朝鮮戦争は、3年後に米軍主体の国連軍と、北朝鮮の朝鮮人民軍、中国人民義勇軍の3者が休戦協定を結んだ。しかし、現在も国際法上、戦争状態が続いている。分断国家のベトナムやドイツが統一されたことで、朝鮮半島は冷戦構造が残る世界で唯一の地域となっている。
終戦合意を課題に
 会談の直前、トランプ氏は朝鮮戦争終結の可能性にも言及していたが、合意文書には盛り込まれず、今後の協議への課題となった。実現すればアジアの安全保障の構図も大きく塗り替えられる。
 日本にとって最大の関心事である拉致問題について、トランプ氏は「提起した」と述べるにとどめた。日本が今回の会談の当事者でない以上、これ以上の言及は難しかっただろう。
 安倍晋三首相は拉致問題について「最終的には日本と北朝鮮で話し合わなければいけない」と述べた。
 米朝が対話に大きくかじを切った今、日本もこれまでの北朝鮮との関係を再考する必要があるのは間違いない。首脳同士の会談を実現させて、問題を早急に解決するべきだ。
 朝鮮半島が分断された直接のきっかけは、第2次大戦直後に米国と旧ソ連が分割統治したことだ。だがさかのぼればそれより前の1910年、日本が植民地化した事実に行き着く。
 今年に入っての朝鮮半島を巡る激しい変化に、日本はかやの外に置かれた感がある。だが日本が朝鮮半島の命運に責任を負っているのは歴史的な事実だ。
 北朝鮮の変化の気運をとらえて拉致問題解決の糸口を見いだし、信頼関係を構築する。東アジアの安定と繁栄へ、日本はこれから動きだすべきだ。


米朝首脳会談  非核化の意思を現実に
 焦点の「非核化」に進展は見られなかった。だが、緊張を再燃させてはならない。米朝首脳は対話を重ね、実行に向けた協力を進めてほしい。
 七十年間にわたり対立していた米朝の首脳が会談するとあって、世界がシンガポールを見つめた。
 会談に入る前、トランプ米大統領は「大きな成功を収める」と自信を見せた。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長も、「われわれは全てを乗り越えてここに来た」と応じた。
 当初は硬い表情だった二人は、言葉を交わし、握手して打ち解けていった。多くの人が交渉の行方に、希望を感じたのではなかったか。
◆対立から対話への転換
 両首脳が出会い、率直に語りあったことは、朝鮮半島で続いてきた対立を和らげ、対話局面に転換させる機会である。
 米朝両国の対立は、北朝鮮建国の一九四八年にさかのぼる。直接戦火を交えた朝鮮戦争(五〇〜五三年)を経て、この二十年ほどは、核問題をめぐる緊張と確執が高まった。
 トランプ氏と正恩氏も激しい言葉のやりとりをし、武力衝突の危険さえささやかれた。
 会談の最大のテーマが、北朝鮮の「完全な非核化」となったのも当然だろう。
 しかし、会談後に文書として両首脳が署名した「シンガポール共同声明」は、実効性の点で物足りず、北朝鮮の従来の立場を、あらためて確認するレベルにとどまった。
 共同声明は、非核化について四月二十七日の南北首脳会談で合意した「板門店宣言」を再確認し、「朝鮮半島の完全な非核化」に北朝鮮が努力するとした。
 米国が求めていたCVID(完全で検証可能、不可逆的な非核化)という言葉は入っておらず、実行に向けた具体的な日程の言及もなく、新味に欠けた。
◆今後の見通しは不透明
 トランプ氏も不十分さを実感していたに違いない。
 「この文書には盛り込まれていないことがある」と強調し、正恩氏がミサイルエンジン実験場の閉鎖を約束したと語った。
 またトランプ氏は、正恩氏が非核化のプロセスに「早期に着手するだろう」と述べたものの、今後順調に進むか不透明だ。
 長く険しい対立を、一回の会談で解消することは難しいに違いない。トランプ氏も、会談の成果は「一定の信頼醸成だった」と説明したほどだ。
 とはいえ、正恩氏が核放棄にどこまで本気なのか、今回も十分確認できなかったのは残念だ。
 首脳会談直前まで、事務方同士が調整を進めた。正恩氏は、北朝鮮に理解を示す中国を後ろ盾に、段階的に核放棄する従来の姿勢を譲らなかったようだ。
 正恩氏は、「北朝鮮に対する敵視政策と脅威がなくなれば、核を持つ必要はなくなる」と非核化への決意を表明、経済発展に専念する考えを強調してきた。
 正恩氏が本当に国内経済を発展させたいのなら、核やミサイルを使った駆け引きを、これ以上続けるべきではない。非核化に向けて動きだす時に来ている。
 今回の会談では、朝鮮戦争を終わらせるための「終戦宣言」も、大きなテーマとなった。
 「終戦宣言」は正式な終戦に先立ち、戦争を終える意思を確認し合うことだ。
 北朝鮮を安心させ、核放棄に応じさせるための「政治的メッセージ」だが、これも見送られた。
 代わりに合意文書の中では、「北朝鮮に安全の保証を与える」「米朝両国は、朝鮮半島に恒久的で安定した体制を築くことに努力」などの表現が盛り込まれた。
 完全な核放棄の実現前に、体制の保証を与えることを約束するものであり、北朝鮮にとって満足できる内容になったのではないか。
 朝鮮戦争の終戦は一刻も早く実現すべきだが、非核化の具体性が先行して示されるべきであることを忘れてはならない。
 正式な終戦には、北朝鮮と米中、そして韓国が加わった四者による平和協定の締結が必要になる。さらに将来的には、在韓米軍の見直しにもつながるだろう。
◆日本も首脳会談目指せ
 日本や北東アジア全体の安全保障にも、大きな影響が出ることが想定される。慎重かつ確実に進めてほしい。
 安倍晋三首相は、北朝鮮による日本人拉致問題について「正恩氏との間で解決しなければならない」と決意を語っている。トランプ氏も、会談で拉致問題を北朝鮮側に提起したと語った。
 自国民の人権に関わる問題を、他国任せにしてはならない。タイミングを見極めて、直接対話の機会を探らなければならない。


朝鮮半島非核化声明 新基地の必要論崩れる
 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、初の首脳会談を開いた。
 正恩氏は共同声明で南北首脳による板門店宣言を再確認し「朝鮮半島の完全非核化」を約束した。トランプ氏は非核化に向けた対話継続中は、米韓軍事演習を中止する意向を示した。在沖米軍も参加する演習中止は、朝鮮半島の緊張緩和につながる。
 米朝首脳会談を機に朝鮮半島に残る冷戦構造が解体へ向かう一歩とすべきだ。
 今回の米朝首脳会談の最大の焦点は、米国が求める完全で検証可能、不可逆的な非核化(CVID)を北朝鮮に認めさせるかだった。
 共同声明に盛り込まれなかったが、トランプ氏は「(非核化へ向け)揺るぎない決意を示した」と強調。非核化プロセスを迅速に始めることを明らかにした。
 非核化を巡っては米朝の思惑には隔たりがある。米国はCVIDを求め、北朝鮮は米国に段階的なアプローチを望む。トランプ氏は「完全な非核化には時間がかかる」との見方を示した。今回の会談は非核化に向けた入り口にすぎない。
 トランプ氏は非核化と並んで60年以上休戦状態にある朝鮮戦争の終結合意を検討していると明言していた。共同声明が実現したことで、東アジアに新しい秩序が構築される可能性がある。
 朝鮮戦争が終結すると、在沖米軍基地に大きな変化をもたらす。
 嘉手納基地を中軸とする沖縄の米空軍は、朝鮮戦争と深く関わっていた。嘉手納基地、米軍普天間飛行場、ホワイトビーチ地区は、在日米軍だけでなく朝鮮戦争時の国連軍基地でもある。
 朝鮮戦争が終結すると、沖縄に国連軍基地はなくなり、北朝鮮の攻撃対象から外れる。政府はこれまで北朝鮮を「脅威」とし「抑止力」として在沖米海兵隊の存在意義を主張してきた。朝鮮半島に平和が訪れれば脅威の前提が崩れる。普天間飛行場を維持し続けることや、名護市辺野古への新基地建設は大義名分を失い、必要なくなる。
 にもかかわらず政府は国内外の関心が米朝首脳会談に集まった12日、8月17日にも土砂を投入すると県に通知した。あえてこの日を選んだのではないかと疑いたくなる。
 東アジアで生まれつつある変化を敏感に感じ取れば、平和共存の枠組みづくりに水を差すような新基地建設は中止すべきだ。日本が注力すべきは新基地建設ではなく、米中韓ロなどとともに、朝鮮半島の非核化を実現することだ。
 一方、日本人拉致問題についてトランプ氏は北朝鮮に提起したことを明らかにし「今後取り組んでいく」と述べた。この間、拉致問題について日本側の戦略と具体的な取り組みが見えず、米国頼りになっている印象が拭えない。日本は解決に向け、主体的に取り組むべきである。


[米朝首脳会談]非核化手順の合意急げ
 朝鮮戦争の休戦から65年、史上初の米朝首脳会談が12日、ジェット・コースターのような曲折を経て、ようやく実現した。
 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は会談前、会場となったシンガポールのホテルで固い握手を交わし、会談の歴史的意義をアピールした。
 戦後の苦難を生きた韓国国民や在日コリアンにとってこの光景は、心を揺さぶられるものがあったに違いない。
 首脳会談の成果は、困難視されていた会談を実現し、共通の目標を合意文書にまとめたこと、それによって朝鮮半島に緊張緩和の風を吹き込んだこと、である。
 ただ、首脳会談には、合意そのものが空文化しかねない危うい側面がある。
 米国や日本が求めていたのは北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)だった。共同声明にはCVIDの文言がなく、非核化の具体的な手順にも触れていない。
 4月の南北首脳会談で確認された「板門店宣言」を再確認する形で、「北朝鮮は朝鮮半島における完全非核化に向けて努力する」と述べるのにとどまっている。
■    ■
 「板門店宣言」から一歩も進んでいない大ざっぱな内容なのである。なぜ、こんなことになってしまったのか。
 トランプ大統領は、十分な詰めも政府内部の検討もないまま、首脳会談を即断即決した。
 北朝鮮は実質的な核保有国である。核関連施設と核関連物質がどこにどれだけあるか、それをいつまでにどのような手順で廃棄するか。厳密な査察と検証が欠かせない。
 段階的な非核化と進展に応じた見返りを求める北朝鮮との間で、非核化に向けた調整を図るのは、極めて複雑な作業だ。
 トランプ氏も記者会見で「詳細を詰めるには時間がなかった」と見通しの甘さを認めざるをえなかった。 
 確認された共通目標に向かって、今後、非核化をどう具体化していくか。後戻りは許されない。
■    ■
 首脳会談のもう一つの焦点であった北朝鮮の体制保証について、共同声明は、朝鮮半島の完全非核化の見返りとして「北朝鮮に安全の保証を与える」ことを約束している。
 ただ、朝鮮戦争の「終結宣言」まで踏み込んだわけではなく、そのあとの「平和協定締結↓国交正常化」にも触れていない。
 「非核化」も「体制保証」も抽象的表現にとどまり、具体性に欠ける。大急ぎでまとめた印象は否めない。
 記者会見で明らかになったのは、外交とビジネスを区別せず、何事も金銭的な損得勘定で判断するトランプ流の考え方だ。
 トランプ氏は、北朝鮮との対話継続中は米韓合同演習を中止する考えを明らかにし、「中止によって多額の費用を節約できる」ことを理由に挙げた。
 「将来、在韓米軍を縮小したり撤収させたりする可能性がある」ことにも触れたが、ここでも念頭にあるのは「費用の節約」だろう。
 北朝鮮の非核化に向けた費用についても「日韓両国は経済支援の用意があり、米国が支援する必要はない」と言い切った。
 トランプ流の米軍再編が進めば、沖縄の基地負担が増すおそれがある。
 南北首脳会談や米朝首脳会談の実現の過程で、日本は局外者の悲哀を味わってきた。
 トランプ氏が会談の中止を打ち出すといち早く支持を表明し、予定通り開催することを決めると手のひらを返したように期待感を表明する。  「日米は常にともにある」(安倍晋三首相)と言いながら米国に付き従う安倍外交の姿勢は危うい。
 トランプ氏は、安倍首相の要請を受け、首脳会談で拉致問題を取り上げたことを明らかにした。拉致問題を解決するためには、北朝鮮との関係改善が欠かせない。
 日朝首脳会談の実現はそのための必須の条件だ。拉致問題の解決と、不幸な過去の清算を展望した日本独自の取り組みを求めたい。


米朝首脳会談 非核化の道筋早く示せ
 長きにわたって敵対関係にある米朝の首脳による、史上初めての会談がようやく実現した。
 米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が、シンガポールで歴史を刻む首脳会談を開いた。北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けた努力を約束する―などとした共同声明に署名した。
 両首脳は最近まで互いに核兵器をちらつかせて「小さなロケットマン」「老いぼれ」などと、ののしり合ってきた。武力ではなく、対話による解決の道を選び、テーブルに着いたことを、まずは評価したい。
 ▽手順 具体化急げ
 ただ、最大の焦点である非核化については、共同声明に盛り込まれたものの、大枠合意したにすぎない。
 「完全な非核化」は会談前から北朝鮮側は表明してきた。たやすい作業ではないだけに、具体的な道筋について、声明に全く記されていないのは残念で、今後に不安も残る。
 声明に抽象的な文言が多いのも気になる。トランプ氏が会談後の単独会見で、その声明を過大に評価する様子には、違和感さえ覚えた。
 というのも、核・ミサイル問題を巡って、米朝はこれまで何度も交渉してきた。過去にも非核化に向けた合意が結ばれたものの、北朝鮮の裏切りなどでほごにされた経緯があるからだ。
 トランプ氏は「過去の失敗は繰り返さない」「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)こそが成果となる」などと述べ、今回の会談に臨んだ。
 にもかかわらず、声明は過去の米朝間や6カ国協議の合意などと比べてもあいまいと言わざるを得ない。非核化の具体的な手順や達成時期、CVIDといった原則が抜け落ちている。
 トランプ氏は会談を「プロセスの始まり」と位置付けてきた。ならば、そのプロセスの具体化を急ぐ必要がある。
 ▽信頼関係は醸成
 北朝鮮が核物質や関連施設を正確に申告して国外へ搬出するほか、国際機関による検証や査察も含めた道筋を、早急に作成すべきだ。声明も「できるだけ早い日程でさらなる交渉を行う」としており、来週にも米朝高官級協議を開いて詰めるという。着実に進めてほしい。
 一方、もう一つの焦点である朝鮮戦争の終戦宣言は、共同声明では触れられていない。平和協定締結に向け、トランプ氏も金氏も意欲を示していたが、非核化を優先したのだろう。
 ソ連が崩壊した後も、世紀をまたいで、冷戦構造が唯一残っていた朝鮮半島である。共同声明は、両国が平和のために「新しい米朝関係を築く」とうたう。トランプ氏は今回の歴史的会談について「一定の信頼を醸成したことが成果」と述べた。確かに会談は、首脳間での信頼を構築する第一歩にはなったと言えよう。
 ただ真の和解に向け北朝鮮が米国に求めてきたのは、「軍事的脅威の除去」のはずである。トランプ氏は会見で、「米朝の対話が継続している間は米韓合同軍事演習を中止する」と述べた。今後も北朝鮮に非核化を求めるだけでなく、自らも軍縮に努めなくてはならない。
 ▽外交力 試される
 多くの人が心配する日本人拉致問題については、トランプ氏は会見で記者に問われ、会談で提起したと明かすにとどまった。金氏がどう対応したか分からず、被害者家族には物足りなかったかもしれない。本来は日本政府が自ら打開し、北朝鮮との交渉の道を探るべき問題だ。トランプ氏の言及を受け、安倍晋三首相は「日本がしっかり向き合い、解決していきたい」と述べた。当然のことだ。
 今後は、これまで存在感の希薄さが否めなかった日本政府の外交力が改めて試されよう。
 米国による「核の傘」を信奉する日本こそ、核に頼らない安全保障に向けた努力が求められるのではないか。拉致問題の解決を目指す上でも、北朝鮮を敵視するだけではなく、朝鮮半島の冷戦構造が転換する局面に備えて、新たな外交戦略を打ち出す必要がある。


米朝首脳会談  東アジア安保新たな段階に
 東アジアの安全保障環境を変える歴史的一歩となるのだろうか。
 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による初の会談がシンガポールで行われた。
 共同声明では、金氏が4月末の南北首脳会談での板門店宣言を再確認して「朝鮮半島の完全非核化」を約束、トランプ氏は北朝鮮の体制を保証すると確約した。
 両首脳は、朝鮮半島で持続的で安定した平和体制を築くため努力することでも合意した。
 北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐって昨年まで一触即発の危機が続いていた朝鮮半島は、米朝が平和構築に向けて歩み寄る新たな段階に入った。
 緊張緩和を進め、平和への取り組みを加速させるよう、両国首脳にはいっそうの努力を求めたい。
 両国関係の再構築は、65年に及ぶ「戦争状態」にある朝鮮戦争の終結宣言を導き、冷戦時代から朝鮮半島に残る対立状態を終了させる可能性にもつながる。
 冷戦構造の枠組みを脱し、新たな地域安定の仕組みを構想し直す機会につなげたい。米朝だけでなく、日本、韓国、中国など周辺国も互いの関係を結び直し、東アジアの平和に貢献してほしい。
 実効性ある非核化を
 とはいえ、今回の首脳会談で最大の焦点だった「非核化」についての合意は不透明な部分も残る。
 事前の実務交渉で米国が求めていた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の文言は共同声明に明記されなかった。
 非核化プロセスについては、米国がCVIDを求めたのに対し、北朝鮮は行動ごとに見返りを求める「段階的措置」が必要と主張してきた。首脳会談で、トランプ氏が譲歩したともとれる。
 トランプ氏は、金氏がただちに非核化プロセスを実行すると語ったが、具体的にどのような過程で行うのかは見通せない。
 金氏が約束した非核化の実効性を担保するには、期限など具体的な工程を示し、専門家による現地査察などの検証が欠かせない。
 核・ミサイル開発で、北朝鮮は過去に何度も非核化に向けた合意をしながら核開発を継続してきた「前歴」がある。
 金氏が本気で約束したなら、国際社会に見える形でプロセスを示さなくてはならない。
 最大60発ともいわれる既存核兵器の保管先やウラン濃縮施設の所在情報が不明なままだ。国際原子力機関(IAEA)の査察を含め、実効性ある検証を受け入れなければ信用は得られないだろう。
 米国も、その点は強く求めていくべきだ。トランプ氏は、北朝鮮が最も切実に求めていた体制保証という「見返り」を与えた。非核化が確実に進む見通しもなくお墨付きを出したとなれば、過去の米政府の失敗を繰り返すだけだ。
 専門家の中には、国家の存亡をかけて親子3代にわたって開発した核兵器を完全に手放すことに懐疑的な見方もある。非核化に向けた確実な行動を、今後の交渉の中で詰めていく必要がある。
 米朝首脳会談で再確認した板門店宣言では、朝鮮戦争の終戦宣言をし、休戦協定を平和協定に転換することが盛り込まれている。実現すれば、非核化への取り組みを促す一助になると考えられる。
 日本も入る枠組みに
 戦争状態の終結は在韓米軍や合同演習などの不要論につながる可能性がある。トランプ氏も在韓米軍の縮小に言及しており、日本を取り巻く安全保障の現状は大きく変化することも予想される。
 北朝鮮が既存核兵器の廃棄などに踏み切らないままの平和協定転換は、かえって地域を不安定にする可能性があることには注意が必要だ。
 そうはいっても、今回の共同声明で、米朝が「緊張状態と敵対関係の克服」にふれたことは、東アジアの安全保障に新しい局面をもたらしたといえる。米朝だけでなく、周辺諸国も加え、これまでとは異なる新たな発想に立った安全保障体制を構想する必要もあるのではないか。
 板門店宣言では韓国、北朝鮮と米国の3者、または中国を加えた4者による会談を積極的に進めて平和体制を構築することが語られている。日本だけが置き去りにされるわけにはいかない。日本も加わって大きな枠組みをつくれるよう韓国や中国にも積極的に働きかけなければならない。
 「拉致」の突破口開け
 日本政府が最大の懸案とする拉致問題は共同声明には明記されなかったが、トランプ氏が金氏に提起した。ただ、金氏がどう反応したかは不明だ。
 最終的な解決には日朝が直接対話を重ね、安倍晋三首相と金氏の首脳会談につなげる必要がある。しかし北朝鮮は「拉致問題は解決済み」としており、交渉は難航が予想される。
 日朝が交渉を進めるには、北朝鮮側が歩み寄る環境が必要だが、トランプ氏がそこまで仲介してくれるかは分からない。
 米朝会談の成果をてこに、14日から予定される日朝非公式協議などの場で議論を積み重ね、早期の問題解決への突破口を開かなくてはならない。


米朝首脳会談/具体策に乏しい共同声明だ
 行き詰まった問題の解決を棚上げにし、北朝鮮側に大きく譲歩した内容と言えるのではないか。
 北朝鮮の核・ミサイル廃棄の行方を最大の焦点に、きのうシンガポールであった米国のトランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の首脳会談。両首脳は、北朝鮮の非核化などに言及した「シンガポール共同声明」に署名し、新たな米朝関係の構築を強調した。
 対話による一つの成果と解釈もできよう。しかし、急ごしらえのプランで具体性の乏しさは否めない。
 声明の内容が本当に世界の核危機を回避し、朝鮮半島の安定に結び付くのか。双方が「交渉の実」を取るためだけの演出に終わってしまう懸念を抱かざるを得ない。
 事前の交渉では、検証可能で後戻りできないなど厳しい条件を課す「完全な非核化」についての両国の認識の溝は深く、共同声明は困難とみられていた。
 金氏は声明で4月の板門店宣言をなぞる形で「朝鮮半島の完全な非核化」を約束。これに呼応しトランプ氏は北朝鮮の体制の安全を確約した。
 「完全な非核化」は、日本を射程に収める中短距離の弾道ミサイルを含め、全ての大量破壊兵器を対象に、期限や確実な査察を明確にしなければ世界に納得されまい。
 声明では具体策には言及せず、トランプ氏は「非核化プロセスを迅速に始める」と強調。詳細な工程は次回以降の協議に持ち越した格好だ。
 にもかかわらず、トランプ氏は北朝鮮が最も欲していた「体制保証」をあっさり与えた。北朝鮮がほとんど何の行動も起こしていないのにだ。
 米国による敵視政策の解消や在韓米軍の撤退などにつながる可能性がある。北朝鮮が現体制の安泰を手にし、非核化が達成される前に制裁が有名無実化するのではないか。
トランプ氏は米韓合同軍事演習を中止する意向もあるという。あまりに北朝鮮寄りだ。
 この国はこれまで何度も核放棄を約束しては、ほごにして米国や周辺国は煮え湯を飲まされてきた。同じ轍(てつ)を踏むことのないよう非核化の検証は徹底しなければならない。
 トランプ氏は安倍晋三首相との約束を守り、会談で拉致問題を提起したが、金氏がどう受け取ったは説明されなかった。むしろ戦没米兵の遺骨収集を熱心に語った。
 日本政府も、自国民の利益のために独自の交渉に踏み込んでほしい。北朝鮮は「解決済み」との姿勢に終始している。しかし被害者家族は誰一人認めていない。
 人権に背を向ける国が平和で豊かな経済国家を築けるわけがない。日本側の訴えに誠実に向き合うべきだ。
 米朝は、さまざまな課題を文書に残したことで目的を達したかのように安堵している。口先だけでなくどう履行していくかが問われている。


河北春秋
 「トランプ氏は大統領選で勝つ気はなかった」。米国のトランプ政権の衝撃的な裏話が登場する。1月に米国で出版され、話題を呼んだ暴露本『炎と怒り』だ▼本の題名は旧約聖書にある神の怒りを表した言葉。昨夏、北朝鮮が米軍の要衝グアム周辺にミサイルを発射した際、トランプ氏が「世界が見たこともない炎と怒りに見舞われる」と威嚇した時に使った▼当時の一触即発の雰囲気から一転。トランプ氏と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が初の米朝首脳会談に臨み、共同声明に署名した。金氏は完全非核化を約束。トランプ氏は北朝鮮に体制保証を与えることを確約し、日本人拉致問題も協議した▼北東アジアの平和に向けた一歩となる合意。ただ、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏にとって会談は秋の中間選挙に向けた実績づくりが狙いとされる。北朝鮮の非核化の具体的な道筋は示されず、会談が成功かどうかは今後を見ないと分からない▼米国の作家、故スティーブン・コビー氏は著書『7つの習慣』で人格的に筋が通った人間が真の成功に導かれると説いた。成功の条件として挙げるのは、誠意、謙虚、誠実、勇気、正義、忍耐、勤勉、節制、黄金律。両氏のイメージとはどこか違う。共同声明を手放しで喜べない理由がそこにある。

米朝首脳会談 非核化へ明確な道筋描け
 米朝の歴史的な会談は、朝鮮半島に残る冷戦構造を終わりに導くのだろうか。
 トランプ米大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が12日、シンガポールで行われた。
 会談でトランプ大統領は北朝鮮に「安全」を保証し、金委員長は朝鮮半島の完全な非核化への決意を示した。
 激しく対立していた両国の指導者が直接握手を交わすシーンは、国際社会に朝鮮半島の緊張緩和を実感させた。
 ただ、会談では非核化の目標設定やプロセスは後回しにされた。北朝鮮がこれから、本当に真剣な姿勢で核放棄に向かうかどうかはまだ不透明だ。
 今回の会談は複雑で困難な交渉の始まりにすぎない。
 会談を政治ショーに終わらせず、東アジアの長期的な安定につなげるためには、米国をはじめ関係国が北朝鮮の完全非核化という原則を譲らず、効果的なプロセスを粘り強く練り上げ、実行していくほかはない。
 ●曖昧な合意に懸念
 焦点の非核化を巡っては、両首脳は大ざっぱな目標を確認するにとどまったようだ。
 両首脳が署名した共同声明では「板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に取り組む」としている。
 非核化の中身やそのプロセスについては、具体性がほとんどない。トランプ氏も会談後の記者会見で「非核化は時間がかかる」などと述べただけだ。
 これまで米国や日本は、北朝鮮に対し「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」を求めてきた。共同声明にはこの原則が盛り込まれず、北朝鮮側がCVIDに同意したのかどうかは読み取れない。すでに保有する核兵器を破棄する意思があるのかも分からない。不安を抱かざるを得ない。
 具体的な非核化の行程表づくりは、さらなる首脳会談や外相レベルの協議に委ねられた。
 米国および関係国は、北朝鮮にCVIDでの非核化を早期に達成させるという原則を譲ってはならない。制裁緩和や経済支援などの見返りも、北朝鮮が核兵器や関連施設の申告や検証で誠実な態度を見せ、非核化への「本気度」を明確に示すまで待つべきである。
 ●緊張緩和には効果
 共同声明には、両国が「新たな米朝関係の確立」に向けて協力するとの文言が盛り込まれた。トランプ氏は会見で、現在「休戦」状態である朝鮮戦争についても「間もなく終結するという希望を持つことができるようになった」と述べた。
 非核化で具体的な成果がほとんどないまま、今回の会談で北朝鮮に「安全」を約束し、米韓合同軍事演習の中止まで示唆したことには、米国が焦り過ぎだとの批判もあるだろう。
 しかし、両首脳が直接対話して信頼関係を醸成したことは、率直に歓迎したい。昨年まで軍事衝突が取り沙汰されるほど緊張が高まっていたことを思えば、驚くほどの局面転換だ。
 北朝鮮との交渉はトップが決断しないと始まらない。今回つなげた首脳同士の回路を、今後の非核化に生かすべきである。
 ●日本は主体的に動け
 安倍晋三首相は米朝首脳会談に先立ち、日本人拉致問題を取り上げるよう、トランプ氏に再三要請していた。
 トランプ氏は「拉致問題を会談で提起した」と明言した。ただ、単なる問題提起だけなのか、金委員長から解決に向けた言質を取り付けたのか、現時点では判然としない。
 安倍首相は拉致問題の解決を政権最大の課題の一つと位置付け、北朝鮮への圧力路線をアピールしてきた。だが、米国が対話にかじを切った今、局面の変化に取り残されている。
 もともと拉致問題は日朝間で解決しなければならない課題である。日本政府は日朝平壌宣言に基づき、国交正常化とそれに伴う経済支援をてこにして、拉致、核、ミサイルの包括的解決を目指す方針だ。
 しかし安倍政権が圧力一辺倒の対応を続けているうちに、北朝鮮との対話のチャンネルは細っている。まずは対話の回路を修復し、首脳会談も視野に入れた直接交渉で拉致問題の解決を図らなければならない。もう「米国頼み」は通用しない。


合意実践の推進力が必要/米朝首脳会談
 北朝鮮の非核化と朝鮮半島の平和体制構築を単なる構想で終わらせず、実践に移す推進力が生まれたのだろうか。北朝鮮との交渉で「過去の失敗は繰り返さない」と強調してきたトランプ米大統領だが、共同声明に過大な意義を与える姿は、後に大きな失望をもたらしかねない懸念を抱かせる。
 初の米朝首脳会談がシンガポールで行われ、トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が単独形式を含め約5時間、膝をつき合わせた。
 しかし、米朝の指導者が署名した共同声明の内容は、トランプ大統領が説明するような「偉業」とするにはあまりにも距離がある。過去の米朝間や6カ国協議の合意や共同声明に比べ、象徴的な文言が多く、非核化の具体的な手順や期間、さらに「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」というトランプ政権が最重視してきた原則は抜け落ちた。
 トランプ大統領は共同声明は「包括的な文書」と指摘したが、具体性に欠けることの裏返しと言わざるを得ない。
 昨年まで「小さなロケットマン」「老いぼれ」などと激しくののしり合ってきた米朝2人の指導者が首脳会談で向き合ったのは、朝鮮半島の緊張緩和と平和構築、何より首脳間の信頼構築に向けた第一歩としての意義はある。
 だが、政治家としての思惑も2人にはある。トランプ大統領は、くすぶるロシア疑惑捜査から目をそらし、11月の中間選挙を控え外交的成果を示したいと考えている。金委員長には、米国との関係改善を進めることで、2人の先代指導者を超える業績を獲得するという野心があるだろう。
 しかし、それ以上に朝鮮半島に残された冷戦構造を平和体制に転換するという世紀をまたいだ課題への覚悟が2人の指導者には問われている。
 完全な非核化はたやすい作業ではない。北朝鮮が実際に核兵器をどれだけ開発し、実戦配備しているのかさえ明らかになっていないためだ。日本や韓国、中国など関係国が足並みをそろえ共同声明の履行を支えることが重要だ。
 北朝鮮が米国に求める体制存続のための安全保障のメカニズム構築も、米朝だけで実現できるものではない。北東アジア全体の安全保障と新秩序を考えることが求められる。何より日本は、拉致問題解決のためにも、朝鮮半島の平和維持に積極的に関わる姿勢を示すことが必要だ。


米朝首脳会談 完全非核化に課題残す
 史上初の米朝首脳会談がシンガポールで開かれ、トランプ米大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が「シンガポール共同声明」に署名した。声明では、金氏が4月の「板門店(パンムンジョム)宣言」を再確認し、朝鮮半島の完全非核化に向けて努力することを約束したものの、米国が要求していた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」についての具体的な記述はなかった。トランプ氏の「率直で生産的だった」の発言とは、程遠い内容と言わざるを得ない。
 共同声明では▽両国民が平和と繁栄を切望していることに応じ、新たな米朝関係を確立すると約束する▽朝鮮半島において持続的で安定した平和体制を築くため共に努力する―などの文言が盛り込まれた。抽象的な表現が多く、まさにトランプ氏が何度も繰り返した「包括的な内容」にとどまった。
 焦点とされていた北朝鮮の完全非核化については期待外れの声明となった。「いつまでに、何をどうする」といった具体的な手順や期間、CVIDを含めた今後の道筋は描けなかった。南北首脳会談の内容から進展はなく、課題が残った。
 確かに会談後の会見でトランプ氏が「技術的に長い時間がかかる」と述べたように、非核化は簡単な作業ではない。北朝鮮が実際に核兵器をどれほど開発し、実戦配備しているのかさえ明らかになっていない。核活動の凍結から始まり、申告と査察、核関連施設の解体に至るまで、非核化のプロセスが難題に直面する要素はいくらでもある。
 それでもトランプ、金両氏は完全非核化を具体的に実践する責任がある。トランプ氏は北朝鮮の非核化プロセスが迅速に始まるとしたが、着実に前進させるためには、早急に工程表を策定することが必要だ。加えて日本や韓国、中国など周辺国が足並みをそろえて非核化の履行を支えることも重要になる。
 会談の成果として挙げられるとすれば、トランプ氏と金氏が歩み寄ったことだろう。昨年までは「小さなロケットマン」「老いぼれ」などとののしり合っていた。両氏が直接会って、信頼関係を築いたことは、朝鮮半島、さらには北東アジアの平和にとっても大きな一歩となったはずだ。非核化はもちろん、朝鮮戦争の終結、平和協定の締結までを見据え、声明にうたった「新たな米朝関係の確立」に向けて交渉を続けてほしい。
 日本にとっての懸案事項である拉致問題については残念ながら声明に盛り込まれなかったが、トランプ氏は「問題提起した。(北朝鮮が今後)取り組んでいく」と強調した。
 安倍晋三首相はこれまで「蚊帳の外」に置かれていた印象が強いが、トランプ氏の問題提起を突破口に日朝首脳会談の開催へ自ら積極的に動くべきである。拉致問題は最終的にはわが国の責任で解決しなければならない。


米朝首脳会談 まだ入り口にすぎない
 何度も開こうとして果たせなかった北朝鮮の非核化への扉は動いたのか。トランプ米大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が終わった。
 両者は朝鮮半島の完全な非核化で合意した。4月の南北首脳会談で採択した「核なき朝鮮半島」を目指す板門店(パンムンジョム)宣言を追認した形だが、非核化の行程表は未定だ。
 「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)という大原則との整合性はどうなのか。トランプ氏は会見で妥協していないと強調、体制保証の約束はしても、さらに制裁は続くとした。確実な履行のために今後の取り組みこそが問われる。
 共同声明では朝鮮戦争の終結には至らなかった。世界に唯一残る冷戦構造の転換は持ち越しとなった。
 確かに「歴史的な」「世紀の」などの形容がつく会談だったには違いない。だが、評価を決めるのは早すぎる。今は入り口にすぎない。この一歩を確実な非核化へつなげてこそ、歴史の評価に耐えるものとなろう。
 CVIDを求める米側と、行動ごとに制裁を解除する「段階的非核化」を主張する北朝鮮の溝は完全に埋まったとはいえないだろう。
 むしろ、今後の道のりの方が長い。朝鮮半島を確実に安定させるために何が必要か。米朝だけでなく、国際社会、とりわけ日本と中国、韓国との連携が極めて重要だ。
 合意の最大の障害は「疑心暗鬼」だったのではないか。米側は「北朝鮮に何回もだまされてきた」とし、北朝鮮にしてみれば、イラン核合意やパリ協定、さらには先進7カ国(G7)首脳宣言を発表した後にひっくり返したトランプ氏に不安を覚えないはずはない。
 それでも会談を通じて「一定の信頼を醸成した」とトランプ氏は語った。何度も裏切られてきただけに、不安はあるがその言葉に光明を見いだすべきだと思う。
 数カ月前に「核のボタン」を誇示しながらどう喝し合っていた両首脳に、北東アジアの平和をもたらす役割をゆだねることになるとは、何という歴史の配剤だろう。
 日本の最大の懸案である拉致問題について、トランプ氏は「提起した」と明言した。安倍晋三首相、そして拉致被害者家族の訴えを聞いてくれたことには感謝したい。
 しかし、会談で一度語っただけで拉致被害者が帰国するわけではない。ここからは日本独自の行動が決定的に重要となる。
 新たな展開の中で日朝関係を再構築することが、拉致問題の解決だけでなく、北東アジアの平和に貢献するためにも欠かせない。


【初の米朝首脳会談】日朝の話し合いを急げ
 米国と北朝鮮は新たな一歩を踏みだした。敵対してきた両国のトップが初めて会い、共同声明を出した成果は評価できる。しかし、非核化の具体的な道筋や検証方法は示されず、北朝鮮の出方を見極める必要がある。
 日本政府が会談での取り上げを求めた日本人拉致問題について、トランプ米大統領は提起したことを明らかにした。共同声明には明記されなかったが、一定の前進といえよう。政府は北朝鮮の対応を分析しながら、首脳会談の早期開催を求め、拉致被害者の1日も早い帰国をはじめとする問題の全面解決に引き続き、全力を挙げるべきだ。
 トランプ氏は6月7日(日本時間8日)の安倍晋三首相との会談で、拉致問題を米朝首脳会談で必ず取り上げることを明言していた。日米両首脳は11日の電話会談でも再確認した。北朝鮮は「拉致問題は解決済み」との姿勢を取り続けている。
 米朝首脳会談でどのような表現で言及され、金正恩[キムジョンウン]朝鮮労働党委員長はどう答えたのか−。安倍首相はトランプ氏からの説明を被害者の家族や国民に速やかに伝え、政府の今後の取り組みを示す必要がある。
 新潟市で6月初めに開かれた日本新聞協会の会合で、被害者の曽我ひとみさんが講演した。曽我さんの母親も拉致され、行方不明となっている。講演の中で早急な日朝首脳会談の開催を要望した。
 安倍首相は日米首脳会談後の記者会見で拉致問題について「最終的には私と金正恩朝鮮労働党委員長で直接協議し、解決していく決意だ。問題解決に資する形で日朝首脳会談が実現すれば良い」と強調した。日朝両政府は話し合いを積み重ね、首脳会談につなげてほしい。
 曽我さんは報道機関に対して「拉致問題が解決していないこと、解決に奔走している家族がいることを伝え続けてほしい」と訴えた。全ての被害者を一日でも早く取り戻すために、報道機関として努力を続けたい。
 共同声明には米政府が求める「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」の文言は明記されなかった。トランプ氏は記者会見で、完全非核化には技術的に長い時間がかかるとの見方を示した。検証の在り方が大きな課題となる。
 朝鮮半島の動向は日本の安全保障に直結する。米朝の関係が改善されれば、北東アジアの国際情勢は大きく変わる。トランプ氏は日韓両国と引き続き協力する考えを強調した。日米韓の緊密な連携は今後も重要だ。(安田信二)


米朝首脳会談/非核化への道筋まだ見えず
 北朝鮮の非核化と朝鮮半島の平和体制構築を単なる構想で終わらせず、実践に移すための推進力は生まれたのだろうか。
 初の米朝首脳会談が行われ、トランプ大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が単独形式を含め、約5時間にわたり膝をつき合わせた。しかし、共同声明の内容はトランプ大統領が自賛する「偉業」とするにはあまりにも距離がある。
 過去の米朝間や6カ国協議の合意や共同声明に比べて、象徴的な文言が多く、非核化の具体的な手順や期間、さらに「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」というトランプ政権が最重視してきた原則は抜け落ちた。
 トランプ大統領は、共同声明を「包括的な文書」としたが、具体性に欠けることの裏返しと言わざるを得ない。「過去の失敗は繰り返さない」と強調してきたトランプ大統領、そして金委員長は今後、共同声明の内容を実践する責任が問われることになる。
 昨年まで互いに激しくののしり合ってきた米朝2人の指導者が、首脳会談で向き合ったことは、朝鮮半島の緊張緩和と平和構築、首脳間の信頼づくりに向けた第一歩としての意義はある。
 政治家としての思惑も2人にはある。トランプ大統領は11月の中間選挙を前に外交的成果を示したいと考えている。金委員長には、先代指導者を超える業績を獲得しようとする野心があるだろう。
 しかし、それ以上に朝鮮半島に残された冷戦構造を平和体制に転換するという世紀をまたいだ課題への覚悟が2人の指導者には問われている。それこそが「歴史に名を残す」ことになる。
 完全な非核化はたやすい作業ではない。核活動の凍結から申告と査察、核関連施設や兵器の解体まで、非核化プロセスが難題に直面する要素はいくらでもある。それだけに非核化の実現に向けては、日本や韓国、中国など関係国が足並みをそろえ、共同声明の履行を支えることが重要になってくる。
 北朝鮮が求める体制存続のための安全保障のメカニズム構築も、米朝だけで実現できるものではない。北朝鮮の非核化に相応し、北東アジア全体の安全保障と新秩序を考えることが求められる。6カ国協議の枠組みを地域安保の協議体として再生させることを検討する価値もあるだろう。
 これまで存在感の希薄さが否めなかった日本の外交力も改めて試されることになる。日本人拉致問題という懸案を抱えながらも朝鮮半島で起きつつある地殻変動に対応した独自の関与が求められる。


米朝首脳会談 非核化の行程描いてこそ
 トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の会談が行われた。
 焦点の非核化を巡る主張の隔たりは埋まらなかったのだろう。共同声明の内容は曖昧で核廃棄の具体的な期日や方法は盛り込まれなかった。
 それでも、朝鮮戦争以来、敵対してきた米国と北朝鮮の首脳が、関係改善に向け交渉の席に着いた意義は小さくない。
 史上初の会談は朝鮮半島の冷戦構造を解き、平和体制を築く出発点に位置付けられる。関係国も協力して核廃絶の行程を描き、着実に前進させてほしい。
<対話路線に転じて>
 挑発するように、昨年まで核実験とミサイル発射実験を繰り返し「国家核戦力完成」を宣言した金氏が、対話路線に転じたのは今年に入ってからだ。
 平昌冬季五輪に代表団を派遣したのを皮切りに、中国や韓国の首脳と、過去6年間は一度もなかった会談を続けた。米国務長官に就いたポンペオ氏とも、2度話し合っている。
 4月の文在寅韓国大統領との会談では「完全非核化」をうたった板門店宣言に署名。「米国が終戦と不可侵を約束すれば、核を持って苦しい生活をする必要があるだろうか」と漏らしたという。
 北朝鮮の姿勢が変わった背景に米国による軍事圧力に加え、国連安全保障理事会から科されてきた厳しい経済制裁がある。
 昨年から主要産品の石炭や繊維製品、海産物が全面禁輸となり、貿易のほとんどを占める対中国輸出が8割超も落ち込んだ。石油精製品の輸入も9割減り、原料が不足し平壌市内の製品生産に支障を来している。
 経済建設に総力を挙げる新路線を掲げた金政権にとり、制裁緩和は喫緊の課題となっている。
 こうした事情に、高度化する北朝鮮の核・ミサイルを看過できなくなった米国の思惑が重なる。中間選挙を控えるトランプ氏が3月、米朝会談の実現を求める韓国の高官に「よし会おう」と応じ、にわかに現実味を帯びた。
 「完全で検証可能な後戻りできない非核化」を突き付ける米国に北朝鮮が反発すると、トランプ氏は公開書簡で会談の中止を表明する。これも駆け引きのうちだったのか。北朝鮮の要人が金氏の親書を携えて訪米すると、姿勢を和らげ、見返りを得つつ非核化を進めるとする北朝鮮の主張に一定の理解を示し始めた。
<心もとない声明文>
 ふたを開けてみれば、今回の会談の成果は、北朝鮮の側に大きかったように思える。
 共同声明に「完全非核化」が明記されたとはいえ、いつ、何を、どのように―という記述はなく、板門店宣言の域を出ない。
 一方で北朝鮮は、朝鮮戦争の終戦宣言、平和協定の締結、国交正常化といった具体的な手順こそ欠くものの、最もほしかった体制保証の言質を得ている。
 これまでに米朝間や6カ国協議で結ばれた核放棄の合意は、北朝鮮による秘密裏の核開発や査察拒否で破綻してきた。トランプ氏は過去との違いを「われわれは(約束を)進める人だ」と説明したがいかにも心もとない。
 北朝鮮には現在、14〜33個の核兵器があると推定されている。年3〜5個の増産能力があるとみられるものの、半世紀に及ぶ核開発の全容は定かでない。
 解明には、国際原子力機関の専門職員300人が3年間活動する必要があるといい、米国の研究機関は核廃絶に最長で10年かかると予測している。
 米国が訴えてきた「1〜2年以内の非核化」に無理があったのかもしれない。これからの交渉では専門家の意見も入れ、綿密な行程表を作らなければならない。
<深刻な人権侵害も>
 米朝間の歩み寄りを見越してか、中国やロシアが北朝鮮の制裁緩和に向けた動きを取り始めている。失敗を避けるには、非核化と「見返り」で各国が足並みをそろえることが不可欠だ。
 安倍晋三政権が要請してきた拉致問題を、トランプ氏は「提起した」と言う。けれど、主要な議題にはならなかったようだ。
 日本人や韓国人の拉致被害者だけでなく、北朝鮮の政治犯収容所には12万人が拘束されていて、強制労働や拷問などの迫害を受けているとされる。政治家の粛清も後を絶たない。
 仮に非核化に進展があったとしても、人権弾圧に目をつぶったまま、国際社会が金政権を承認することはできないはずだ。
 国際人権団体は米朝会談の直前、金氏に宛て「劣悪な人権状況の改善」を求める書簡を送った。日本政府は、近くモンゴルで開く国際会議を手始めに北朝鮮との直接対話に臨む構えでいる。
 交渉の際、拉致問題にとどまらず、人権侵害を改めることが国際包囲網を解く鍵になると説くべきだ。各国の幅広い支持を取り付け、北朝鮮が抱えるもう一つの問題の解消を主導したい。


米朝首脳会談 完全非核化 実現できるか
 米朝の首脳が初めて直接会談し、関係改善に意欲を見せ、信頼関係を築いた意義は大きい。
 歴史的な会談が、北東アジアの平和と安定へ向けた着実な第一歩となるか。今後の交渉を見守らなければならない。
 トランプ米大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長がシンガポールで米朝首脳会談を行い、朝鮮半島の完全非核化と平和体制構築を目指す共同声明に署名した。
 ただ共同声明には非核化についての期限や手順など、具体的措置は一切明記されなかった。
 日本人拉致問題についてトランプ氏は、会談で提起したことを明らかにした。
◆具体的な道筋見えず
 共同声明は、朝鮮半島の完全非核化への決意を確認し、トランプ氏は北朝鮮に安全の保証を与えると約束したほか、米朝は朝鮮半島で持続的な平和体制を築くため努力することなどが盛り込まれた。
 気がかりなのは、米国が「完全な」と共に求めてきた「検証可能」「不可逆的」という文言が、共同声明に入らなかったことだ。
 会談の成果についてトランプ氏は「非常に誇りに思う」とし、金氏も「特別な絆を築いた」と述べたが、具体的な道筋が見えない中で違和感が拭えない。
 トランプ氏はさらに、北朝鮮の非核化プロセスを迅速に始めると強調し、金氏をホワイトハウスに招待すると述べるなど、再会談をする意思を示した。
◆着実な対話の継続を
 米朝が歴史的な敵対関係に終止符を打てば、北東アジアの安定化につながるだけでなく世界の安全保障体制に与える影響も大きい。
 米国は北朝鮮に核兵器の放棄や引き渡しなどを求めている。それには、核兵器開発につながるウラン濃縮やプルトニウム抽出の停止のほか、国際機関による核関連施設の検証が不可欠だ。
 会談前には北朝鮮が受け入れるかについては懐疑的な見方が多かった。北朝鮮は6カ国協議などで幾度も約束をほごにしてきた過去があるだけに警戒が必要だ。
 トランプ氏が北朝鮮に安全の保証を与えると確約したのは、体制の保証を求める北朝鮮を安心させ、早期非核化の決断を促す狙いがあるのだろう。
 一方で北朝鮮への制裁についてトランプ氏は、「当面維持する」とした。その上で、「北朝鮮の核兵器による脅威がなくなれば解除する」と言及した。
 制裁緩和は非核化完了後との、これまでの方針通りといえる。だが北朝鮮はこれまで、非核化の行動を取るごとに見返りを得る段階的措置を求めてきた。
 北朝鮮は国連安全保障理事会や米国などから厳しい経済制裁を科され、平壌の市民生活には表向き目立った変化はないものの、この状態が続けば経済が立ちゆかなくなるとの見方もある。
 早期に制裁緩和が得られなければ約束をほごにする恐れもある。着実な対話を進める必要がある。
 トランプ氏はシンガポールに入国する前、60年以上休戦状態にある朝鮮戦争の終結合意を検討していると明言し、会談後の会見でも「間もなく終結することを期待している」と述べた。
 米朝の軍事的緊張の根本的な原因は、朝鮮戦争から続く対立にあり、それが北朝鮮の核・ミサイル開発を招いてきた。
 ただ休戦協定は米軍中心の国連軍と北朝鮮の朝鮮人民軍、中国人民義勇軍の3者が締結した。
 平和協定締結に向けては中国との議論が必要となり、米朝だけで解決できないのが現実だ。中韓とも連携が不可欠だ。
 拉致問題についてはトランプ氏は会見で、「(北朝鮮が今後)取り組む」と述べた。
◆日朝首脳会談開催を
 安倍晋三首相は「日本が直接、北朝鮮と向き合い、2国間で解決していかなければならないと決意している」と語った。
 これを機に金氏との首脳会談を実現するため、日朝間の対話を推進してほしい。
 北朝鮮はこれまで「拉致問題は解決済み」と主張してきた。米朝会談でその姿勢に変化があったのか。精査する必要がある。
 日本政府は、今月14、15両日にモンゴルで開かれる国際会議に合わせた北朝鮮当局との非公式協議や、8月のシンガポールでの国際会議に合わせた日朝外相会談を視野に働き掛けを進める方針だ。
 拉致、核・ミサイル問題を包括的に解決すれば、日朝平壌宣言に基づき国交正常化と経済支援に乗り出すとの基本方針を粘り強く説明し、首脳会談につなげたい。
 拉致被害者の家族は高齢化が進み、今回が「最後のチャンス」との声が上がっている。
 その期待を裏切ることのないよう、あらゆる外交努力を払わねばならない。


米朝首脳会談 非核化の道筋 急ぎ詰めよ
 「リトルロケットマン」「老いぼれ」などと言葉の戦争を繰り広げ、一触即発の状態にあった昨年を思えば、大きな関係改善といえるだろう。ただ、非核化やミサイル放棄などの難題解決に向けては決意表明だけで何ら道筋らしいものは示されず、むしろ会談のための会談だったとの印象は拭えない。
 トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談。双方が会談開催、共同声明合意への努力をたたえ合う姿に国際社会も安堵(あんど)し、歓迎の意を表した。一方で、声明からは米政権が最重要視してきた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の原則が抜け落ちるなど、トランプ氏が評した「偉業」には程遠い内容と言わざるを得ない。
 安倍晋三首相が最重要課題に掲げ、再三、会談で取り上げるよう促した日本人拉致問題について、トランプ氏は「提起した」としたが会見で詳細には言及しなかった。首相は先の日米会談で「最終的には日朝首脳会談による解決しかない」ことを強調したが、足がかりとなる発言が金氏からあったのか、早急に明らかにすべきだ。その上で日本独自に日朝会談の糸口を探る必要がある。
 米国側は、会談前日にポンペオ国務長官がCVIDを北朝鮮に求めるとしていた。それには、保有核兵器の申告や各関連施設の査察受け入れなど具体的な行動への確約が欠かせない。だが、声明には「朝鮮半島の完全非核化に努力する」と明示されただけだった。あくまで「段階的な非核化」でその都度見返りがほしい北朝鮮に押し切られたとみるべきだろう。
 北朝鮮が最も望んでいるとする「体制の保証」に関しては、当初、米国が朝鮮戦争の「終結宣言」に言及するとみられたが、「安全を保証する」との文言にとどまった。トランプ氏は会見で、終結宣言も今後の協議に委ねられる見通しだとしたが、結ばれれば、北朝鮮は在韓米軍の撤退を求めてくる可能性も否定できず、米側が言質を与えなかったとの見方もできる。
 トランプ氏が今回の会談を非核化プロセスの「始まり」と位置付けたように、スタートラインに立っただけの状況でしかなく、火種の多くが温存されたままとなった。トランプ氏が、金氏と「特別な絆を築いた」とするならば、再度の首脳会談や高官級会談を早期に開催し、非核化などの具体的道筋を詰めるべきだ。
 完全な非核化は、たやすい道のりではない。北朝鮮との交渉で「過去の失敗は繰り返さない」と強調してきたトランプ氏だが、共同声明を過大に評価する姿からは、二の舞いを危ぶむ声も少なくない。非核化の実現に向けては、日本や韓国、中国などの関係国が一致して声明の履行を支える仕組みも必要だ。
 とりわけ日本は拉致問題解決のためにも、朝鮮半島の平和維持に積極的に関わる姿勢を示さなければならない。外交力が今こそ問われている。


初の米朝首脳会談 「非核化」行動で示せるか
 今度こそ北朝鮮の非核化へ向けた一歩となるのか。トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による会談が開かれ、朝鮮半島の完全非核化や米国による北朝鮮の事実上の体制保証を盛り込んだ共同声明に署名した。
 冷戦の時代から今に至るまで、激しい敵対関係にあった両国の首脳が史上初の会談に臨み、笑顔で握手を交わして関係改善に踏みだした。歴史的な一歩であり、アジア地域のみならず、国際社会の大きな不安定要因である北朝鮮リスクを軽減する上で画期的な会談である。
 北朝鮮が強く求めてきた体制保証は、朝鮮半島の完全な非核化とバーターで盛り込まれた格好だ。ただ、肝心の非核化が本当に実現へ動きだすのか、具体的な見通しは不十分と言わざるを得ない。
 米国や日本は北朝鮮に「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を求めてきた。そのためには、いつまでに、どういう方法で非核化を進め、さらに核兵器を隠し持っていないかを検証する査察体制も欠かせない。しかし、共同声明にはその点の具体的な記述は盛り込まれなかった。
 トランプ氏は時間が足りなかったことを理由に挙げ、北朝鮮側が迅速にプロセスに着手するだろうと述べた。とはいえ、北朝鮮の非核化は過去に国際社会が約束をほごにされてきた経緯があるだけに、懸念をぬぐい去るには物足りない内容となった。
 北朝鮮に対する経済制裁に関しては、トランプ氏は当面継続する考えを示した。非核化の取り組みが不十分な段階で制裁を緩め、過去の二の舞いになることのないよう毅然(きぜん)とした対応が求められよう。
 日本にとっては拉致問題を巡るやりとりがもう一つの大きな注目点だった。トランプ氏は会談で問題を提起したと明言した。ただ、日朝間の問題でもあり、共同声明では触れられなかった。
 日本の意向を受けてトランプ氏が北朝鮮に圧力を加え、「拉致問題は解決済み」という北朝鮮の姿勢を変えさせ、その後の日朝交渉で解決の道筋をつける。日本はそんなシナリオを描くが、北朝鮮の出方は読み切れず、現段階では展開が開けたとは言い難い。
 世界の注目を集めた首脳の顔合わせだったが、内容的には北朝鮮を巡る課題を解決するための出発点にすぎない。両国は首脳間の合意を履行するため、早い時期に高官級協議を開くことで合意した。
 韓国と北朝鮮の南北首脳会談に続く今回の米朝会談で、朝鮮半島を巡る対話ムードは一気に高まった。ただ、融和路線が先走りすることなく、北朝鮮がどんな具体的な行動をとるか、慎重に見極めていくことが重要だ。外交成果を得ようとするあまり、トランプ政権が過度に北朝鮮に妥協する事態も避けねばならない。日本をはじめ関係国が連携を図り、北朝鮮の脅威を取り除くことにつなげたい。


米朝首脳会談/合意実践の推進力必要
 北朝鮮の非核化と朝鮮半島の平和体制構築を単なる構想で終わらせず、実践に移す推進力が生まれたのだろうか。北朝鮮との交渉で「過去の失敗は繰り返さない」としてきたトランプ米大統領だが、共同声明に過大な意義を与える姿は、後に大きな失望をもたらしかねない懸念を与える。
 初の米朝首脳会談がシンガポールで行われ、トランプ大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が単独形式を含め5時間、膝を突き合わせた。会場となったホテルの廊下などを2人だけで歩く場面もあった。
 しかし、米朝の指導者が署名した共同声明の内容は、トランプ大統領が説明するような「偉業」とするにはあまりにも距離がある。過去の米朝間や6カ国協議の合意や共同声明に比べ、象徴的な文言が多く、非核化の具体的な手順や期間、さらに「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」というトランプ政権が最重視してきた原則は抜け落ちた。
 トランプ大統領は共同声明は「包括的な文書」と指摘したが、具体性に欠けることの裏返しと言わざるを得ない。トランプ大統領と金委員長には今後、共同声明の内容を具体的に実践する責任が問われることになる。
 昨年まで「小さなロケットマン」「老いぼれ」などと激しくののしり合ってきた米朝2人の指導者が首脳会談で向き合ったのは、朝鮮半島の緊張緩和と平和構築、何より首脳間の信頼構築に向けた第一歩としての意義はある。
 だが、政治家としての思惑も2人にはある。トランプ大統領は、くすぶるロシア疑惑捜査から目をそらし、11月の中間選挙を控え外交的成果を示したいと考えている。金委員長には、米国との関係改善を進めることで、2人の先代指導者を超える業績を獲得するという野心があるだろう。
 しかし、それ以上に朝鮮半島に残された冷戦構造を平和体制に転換するという世紀をまたいだ課題への覚悟が2人の指導者には問われている。それこそが「歴史に名を残す」ことにもなる。
 完全な非核化はたやすい作業ではない。北朝鮮が実際に核兵器をどれだけ開発し、実戦配備しているのかさえ明らかになっていないためだ。核活動の凍結から始まり、申告と査察、核関連施設と核兵器の解体に至るまで、非核化プロセスが難題に直面する要素はいくらでもある。
 それだけに、非核化の実現に向けては、日本や韓国、中国など関係国が足並みをそろえ共同声明の履行を支えることが重要となってくる。
 北朝鮮が米国に求める体制存続のための安全保障のメカニズム構築についても、米朝だけで実現できるものではない。北朝鮮の非核化に相応し、北東アジア全体の安全保障と新秩序を考えることが求められる。中断してから今年で10年となる6カ国協議の枠組みを、地域安保の協議体として再生させることを検討する価値もあろう。
 何より、これまで存在感の希薄さが否めなかった日本の外交力が、改めて試されることになっている。日本人拉致問題という懸案を抱えながらも、朝鮮半島で起きつつある地殻変動に対応した日本独自の関与が求められる。拉致問題解決のためにも、朝鮮半島の平和維持に積極的に関わる姿勢を示すことが必要だ。


米朝首脳会談 完全非核化へ妥協なき道筋示せ
 非核化への具体的な道筋もなく、東アジアの平和は実現できない。「世紀の会談」は成果の大々的アピールとは裏腹に今後への不安を浮かび上がらせた。
 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が史上初の米朝首脳会談を行い、共同声明に署名した。正恩氏は「朝鮮半島の完全非核化」を約束。トランプ氏は北朝鮮の安全を保証すると確約し、米韓軍事演習の中止や、将来的な在韓米軍撤退の可能性にまで言及した。
 ののしりあい、軍事衝突まで懸念された昨年から比べれば、両首脳が膝を交え、関係改善を誓った意味は大きい。「持続的で安定した平和体制を築く」との約束を強く胸に刻み、国際社会も力を合わせて、朝鮮半島の冷戦構造転換を実現させたい。
 ただ、その道のりは見えてこない。非核化の約束は、4月の南北首脳会談における板門店宣言をなぞったにすぎず、米政府が強く求めていたはずの「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の文言は文書に記されることさえなかった。いつどのような方法で廃棄し、検証するかは会見でも全く言及されず、過去に米朝や6カ国協議で交わされた合意より明らかに後退している。これでは実効性は疑わしい。
 秋の中間選挙を控えて成果を得たいトランプ氏が、曖昧な合意で、体制保証だけを前のめりに約束したことを危惧する。非核化への大枠合意の末、細部を詰められず約束をほごにされ続けた苦い過去を省み、安易な妥協は慎むべきだ。
 トランプ氏は今後何度でも協議すると説明した。ならばまず具体的な工程表づくりを急がなければならない。会談では、ミサイルエンジンの実験場破壊など、文書に示した以外の内容も話し合ったとする。だが「時間がなかったため文書には入らなかった」とし、実行の担保はない。金氏を信用した理由を記者から問われても「熱心だったから」と相手を持ち上げる楽観ぶりで、納得できない。
 これまで「気合だ」「直感、それが私のやり方」と交渉力を自画自賛してきた。だが非核化への険しい道のりは、査察体制を整えた緻密で透明性の高い計画と忍耐強い実行・検証がなければ乗り越えられない。そもそも北朝鮮の核関連施設は全土に分散、核兵器が実際は何個どこにあるのかも分かっていない。国際的な監視の下、実態把握から始める必要がある。
 日本人拉致問題については、トランプ氏が会談で提起したと言うものの共同声明には盛り込まれなかった。北朝鮮は「解決済み」との立場を崩しておらず米国からはしごを外される懸念が拭えない。トランプ氏は、北朝鮮への経済支援は日本が負うと明言するが、良好な関係構築は人権問題の解決が前提であることはいうまでもない。日本は今回の会談を突破口に独自外交を強めて、今度こそ拉致問題解決に結ばなければならない。


【米朝首脳会談】「成果」にも懸念は拭えず
 これをもって「歴史的会談」と判断することはまだできない。
 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が、シンガポールで史上初の首脳会談を行った。北朝鮮の非核化を盛り込んだ共同声明にも署名した。
 ただし国際社会が求めてきた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を担保する記述は、声明にはない。北朝鮮はこれまでも非核化を巡る合意を破り続けてきただけに、初の会談の「成果」にも懸念を抱かざるを得ない。
 共同声明で正恩氏は「朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力すると約束する」とした。しかし、これは4月の南北首脳会談での板門店(パンムンジョム)宣言を再確認しただけである。
 非核化をいつまでに成し遂げるのか。トランプ氏は当初、「極めて短期間」での実現が望ましいとしていたが、この日は「技術的に長い時間がかかる」との考えを示した。
 北朝鮮が将来にわたって核兵器を隠し持ったり、秘密裏に開発を続けたりすることはないか。それをどうチェックしていくのか。声明文を読んだだけでは、数々の疑問は解消されない。
 一方でトランプ氏は、北朝鮮に安全の保証を与えると確約。記者会見では米韓合同軍事演習を「挑発的」と述べ、中止する意向を表明した。在韓米軍の将来的な縮小、撤収の可能性にも言及している。
 北朝鮮に対し現在行っている制裁は当面維持するとしたものの、北朝鮮への「譲歩」が先行しているのではないか、との印象も受ける。むろん交渉事ではそれが必要なケースはあろう。相手を刺激する軍事演習や外国への駐留軍隊も本来、ない方が自然である。
 とはいえ、そうするためには北朝鮮に非核化のプロセスを必ず、しかも迅速に履行させる必要がある。再び「空約束」だけで、経済支援などの「果実」を奪われる愚を繰り返すわけにはいかない。
 朝鮮戦争以来の緊張と敵対関係が続く米朝に、国家間の信頼関係などなかった。今回初めて首脳同士が握手し会談したこと自体、画期的なのは確かだろう。北朝鮮が国の存亡をかけ、親子3代の執念で完成させたとする「国家核戦力」。それを放棄させることの難しさも織り込み済みである。
 だからこそ初の会談を突破口に腰を据えた交渉を継続し、非核化の行程を早急に詰めるよう求める。
 トランプ氏は会談で日本人拉致問題も提起した、と明らかにした。正恩氏がどう対応したのか、詳細は分かっておらず共同声明にも盛り込まれていない。
 日本政府側が言う通り、拉致問題は「最終的には日本と北朝鮮とで話し合わなければならない」。米韓の協力も得て日朝交渉を活性化させ、「拉致は解決済み」という北朝鮮の姿勢を転換させる必要がある。米朝会談をてこに、解決の道を切り開く覚悟が日本に問われている。


[米朝首脳会談] 朝鮮半島の完全な非核化への一歩に
 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が史上初の首脳会談に臨んだ。
 米朝は朝鮮戦争(1950〜53年)後、65年間にわたって敵対関係にあった。今年3月、トランプ氏が金氏と会う意向を表明して以降、両氏の側近らが相互に訪問し事前協議を重ねた。
 金氏も中韓首脳と複数回会談するなど米朝首脳会談に並々ならぬ意欲を示し、周到に準備してきた。両国が北東アジアの平和と安定に向けて、新たなステージに踏み出したことをまずは歓迎したい。
 両首脳は共同声明に署名した。北朝鮮が朝鮮半島の完全非核化を約束し、米国は北朝鮮の安全の保証を確約したとの内容だ。ようやく交渉のスタートラインに立ったと言えよう。
 声明に署名したことは意義があるとはいえ、これまで北朝鮮は何度も非核化の意思を示しながら核開発を進めた経緯がある。
 トランプ氏は会見で「金氏がすぐに非核化のプロセスへの取り組みを始めるだろう」と述べた。金氏に全幅の信頼を置いているようだが、危惧せざるを得ない。今後も実務者協議や首脳会談を重ね、完全な非核化を実現したい。
■工程表の作成が急務
 北朝鮮は2016〜17年の2年間で弾道ミサイル40発を発射、昨年9月には6回目の核実験を強行した。既に少なくとも10〜20個の核弾頭を保有し、核関連施設も100カ所以上に上るという。
 また、昨年11月に日本海に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星15」はエンジンの能力だけで言えば、米ワシントンを含む全米を射程に収めるとされる。近年、核兵器能力を相当程度完成させてきたとみるべきだろう。非核化のハードルは格段に高くなっている可能性がある。
 会談の焦点の一つは非核化へのプロセスだった。トランプ政権は「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を掲げてきた。
 そのためには核兵器の放棄や国際原子力機関(IAEA)による査察受け入れのほか、完了時期を示したロードマップ(工程表)の作成が欠かせない。
 だが、米の主張は共同声明には明記されなかった。今後、実務者レベルで詰めるべきだろう。
 また、制裁緩和は非核化完了後との米側方針に対し、北朝鮮は非核化の行動を取るごとに見返りを得る段階的措置を求めてきた。
 トランプ氏は会見で「制裁は当面続ける。核問題が重要ではなくなった時に考える」と、あいまいな表現でかわした。しっかりした検証の態勢が必要である。
 会談は南北首脳会談での板門店宣言を追認、北朝鮮の非核化への意思を再確認するにとどまった。トランプ氏は成果に胸を張ったが、肩透かしの感もある。
 非核化の作業には10年以上かかるとされる。しかも歴代米政権は何度も北朝鮮に裏切られてきた。その過去を忘れてはならない。
 1994年には米朝枠組み合意が結ばれた。北朝鮮がプルトニウムを抽出しやすい黒鉛減速炉を凍結・解体する代わりに、米国が軍事転用しにくい軽水炉2基を提供するといった内容だった。だが、2002年に北朝鮮のウラン濃縮型核開発疑惑が表面化し、合意は事実上破棄された。
 また、05年の6カ国協議の共同声明では、すべての核兵器と核開発の放棄が盛り込まれた。しかし翌年、北朝鮮は核実験に踏み切り、約束はほごにされた。
 両首脳が信頼関係を築くことは有益だ。ただ、ロードマップもなく、信頼だけで朝鮮半島の非核化を実現するのは困難だろう。両首脳は歴史的な大事業を成し遂げるだけの覚悟が問われる。
■拉致巡る日朝対話を
 北朝鮮が非核化の見返りとして重視した安全の保証はトランプ氏が確約し、共同声明にも盛り込まれた。いずれ朝鮮戦争の終戦宣言もテーマになろう。だが、平和協定締結までに非核化を確実にしなければ、北東アジアの安全保障は不安定化する。
 トランプ氏は会見で「在韓米軍縮小は今のところ考えていない」としたが、米国が北東アジア戦略を見直すことになれば、日本の安保体制にも大きな影響を及ぼす。
 北東アジアの安保体制を考えるために、6カ国協議の枠組みを再び立ち上げることも検討していいのではないか。
 日本政府が最優先課題に掲げる拉致問題についてトランプ氏は「提起した」と述べたが、声明には明記されなかった。
 02年に5人が帰国してから1人も被害者の帰国は実現していない。14年に拉致被害者らを再調査することで合意したが、北朝鮮は16年に再調査の中止を宣言。それ以降、交渉は停滞し「解決済み」と繰り返している。
 トランプ氏は北朝鮮への経済支援について「米国が出費する必要はない。日韓が支援するだろう」と発言したが、安易には受け入れられない。日本政府は拉致・核・ミサイルを包括的に解決する立場である。経済支援のカードは温存すべきだろう。
 拉致被害者全員の帰国を実現するためには、日朝首脳会談の実現が欠かせない。米国だけでなく中韓との連携を密にし、主体的な対北朝鮮外交に乗り出すべきだ。


日本も北朝鮮を知らなくては
 ★米朝首脳会談を世界が固唾(かたず)をのんで見守るが、北朝鮮と国交を持つ国は既に世界160カ国を超えている。もっとも、国交のある国々でも、北朝鮮に大使館を置いている国は24カ国にすぎない。韓国、米国が国交を樹立しておらず、日本も拉致問題などを抱えていて、北朝鮮はベールに覆われた独裁国家の様相だ。また脱北者も後を絶たず、独裁政治のみならず、経済的にも生活に困窮していることが分かる。 ★月末に公開されるドキュメンタリー「ワンダーランド北朝鮮」を見る機会を得た。韓国出身の女性、チョ・ソンヒョン監督は同胞の住むベールに包まれた国、北朝鮮を知るために韓国籍を放棄し、ドイツ国籍を収得して北朝鮮に入国。自由に取材活動ができない制約下で映画を撮り始める。首都・平壌、地方都市・元山などでのエンジニア、兵士、農家、画家、工場労働者など、“普通の人々”への取材は当局に言わされているというよりも、かなり自然で、等身大の北朝鮮の庶民が描かれている。 ★撮影は2年前に行われ、経済制裁下の庶民の生活はつつましいが、生活の知恵も旺盛だ。それは経済力にあふれ、飽食の現在の日本の生活から見れば、どこか懐かしい本来の生活でもあった。ドキュメンタリーとしては特出すべきものでもないが、同胞が入国して取材することがままならない国での撮影は、それだけでスクープともいえる。 ★軍人か政治家、党幹部の高圧的な発言や、当局の演出の中で見せられる市民の楽しげな生活。飢餓で苦しむ苦境を語る、脱北者とも違う今までに見たことのない普通の人たちの表情と、南北統一を夢見る庶民の声に、政治色は感じられない。厳しい独裁国家という現実だけをイメージとして持っていたが、この映画が伝えたのは、北朝鮮のことをほとんど知らないという情報不足の断片的国家像だ。これから日本も、双方の北朝鮮を知らなくてはなるまい。

佐川氏らの不起訴不服、市民団体 検察審査会に申し立て
 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざん問題で、学者や弁護士らでつくる東京の市民団体は13日、大阪地検特捜部が佐川宣寿前国税庁長官らを不起訴としたのを不服として、大阪第1検察審査会に審査を申し立てた。他の団体からも申し立てが相次いでいる。
 市民団体は「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」。八木啓代代表は同日、大阪市内で記者会見し「この案件は裁判にかければ、ほぼ間違いなく有罪になる」と強調した。


森友問題 佐川氏ら24人を検審に申し立て 市民団体
 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡る問題で、虚偽公文書作成などの容疑で告発していた前国税庁長官、佐川宣寿氏(60)ら当時の財務省職員計24人を、大阪地検特捜部が不起訴処分にしたのは不当だとして、市民団体が13日、大阪第1検察審査会(検審)に審査を申し立てた。
 申立書では、国有地の取引に安倍晋三首相の妻昭恵氏らが関与したことを隠すため、決裁文書を改ざんするなどしたとして、虚偽公文書作成・同行使と公用文書毀棄(きき)の容疑で審査を求めている。
 申し立てた「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」の八木啓代代表=東京都=は「市民感覚で判断し、司法の場で裁いてほしい」と訴えた。
 特捜部が不起訴にした先月末以降、検審への申し立てが相次いでいる。【宮嶋梓帆】


袴田さん即時抗告審 中途半端な取り消し決定
 1966年に静岡県のみそ製造会社専務一家4人が殺害された強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さんの第2次再審請求を巡る即時抗告審で、東京高裁が静岡地裁の再審開始の判断を取り消す決定をした。
 検察側の有罪主張を支持する内容で、刑事裁判のやり直しは認めないが、袴田さんの釈放は維持するとの結論。良く言えば検察・弁護双方へ配慮したものだが、悪く言えば中途半端だ。
 無実を主張する弁護側は最高裁へ特別抗告をする構えであり、最高裁が広く納得を得られる決着を図るよう期待したい。
 66年、静岡県警に逮捕された袴田さんは自白をした。公判では否認を続けたが、みそ工場のタンクから血痕が付いたシャツなど5点の衣類が見つかり、鑑定の結果、その血液型が袴田さんや被害者らと一致するなどとして80年の最高裁判決で死刑が確定した。
 弁護側が行った第1次再審請求は最高裁の棄却決定で終わったが、弁護側は2008年、第2次請求を起こし、14年に静岡地裁が再審開始を決定、袴田さんは釈放された。
 静岡地裁は5点の衣類について弁護側が提出したDNA型鑑定に基づき、付着した血痕は袴田さん以外のものである可能性を認定、これを再審開始の有力根拠とした。東京高裁の審理で最も大きな争点となったのはDNA型鑑定の信用性だった。今回の決定は鑑定について「手法の科学的原理や有用性に深刻な疑問があり、結果は信用できない」と結論付けた。
 決定文の内容は鑑定の当否を争う訴訟の判決のようだ。しかし、再審請求は新旧証拠を総合的に判断し、確定判決の根拠が揺らぐかどうかを判断するもので、単なる鑑定裁判とは違う。
 即時抗告審では、警察がないとしてきた袴田さんの取り調べ録音テープが検察側から開示された。弁護側からは、弁護人との接見が盗聴されたとする新証拠も提出されるなどしている。
 これらの新証拠に基づき、衣類に付いた血痕の色や取り調べ状況などの新たな争点が浮上したが、それらの証拠全体を新鮮な目で多角的に見直す姿勢がもっと欲しかった。今後、冤罪(えんざい)の疑惑を招かないような捜査手法の見直しを強く求めたい。
 現行法には再審に関する条文が少ない。証拠開示ルールなどの規定がなく、定める必要性が指摘されている。海外には再審開始決定に対する検察の異議申し立てを制限する規定を置く国もある。この事件を機に再審を巡る論議を期待したい。


W杯、差別撲滅へ全64試合監視 ロシアで初導入
 【モスクワ共同】競技場における人種差別行為がたびたび問題になるロシアでの開催となるワールドカップ(W杯)で、国際サッカー連盟(FIFA)が「差別監視システム」を初めて導入する。差別撲滅を目指す団体「Fare」がFIFAと協力して2015年から実施しており、世界中のファンが集まる祭典でも厳しい目を光らせる。
 全64試合に派遣する監視員は、当該対戦チームの国から1人ずつとロシア人の3人。客席から差別的と判断できる横断幕などを確認した場合、写真や動画で証拠を押さえてFIFAに報告する。人種、宗教、性別などの差別だけでなく、民族主義など排外的な思想も対象となる。


開場迫った豊洲市場に致命的欠陥?
 10月に開場する豊洲市場(東京都江東区)に整備予定の観光拠点「千客万来施設」の着工が2020年東京五輪・パラリンピック後になることについて、東京都は11日、地元の江東区議会に経緯を説明した。区議からはこうした方針になったことの事前連絡がなかったことや、小池百合子知事自身が説明に来ないことへの反発の声が上がった。
 千客万来施設は江東区が市場受け入れの条件としている。事業者の「万葉倶楽部」(神奈川県小田原市)は小池知事が築地市場跡地を「食のテーマパーク」として整備する方針を示したことで競合を懸念。同社は、5月28日まで着工意思を明確にしていなかったが、同30日に小池知事が万葉の幹部と面会、同31日に一転して五輪後の着工を表明した。
 ところが今になって豊洲市場に致命的欠陥が見つかって、市場関係者から「またしても、延期せざるを得ない」という声が上がっている。
「豊洲は冷蔵庫からトラックに直接運び込むことを想定して設計しており、荷物の積み下ろしを短縮するために流通業界の主流になっているウイング型トラックの使用が困難なことが分かったんです。たとえ開場しても、作業が大幅遅延するのは目に見えている。欠陥を改善しない限り、延期するしかありませんよ」
 かつては魚の鮮度をキープするために、冷蔵庫内にトラックが入り、後方の扉を開いて、荷さばきをしていた。しかし現在では荷台の側面扉が開くウイング型トラックが主流になっている。フォークリフトを使って素早く、大量に荷さばきできるからだ。
「築地市場は鉄道輸送時代に造られたので設計が古いのは仕方ないですが、豊洲市場の設計プランもすでに時代遅れなんです。物流の主流であるウイング型トラックの荷台が建物の屋根に引っかかったりするようです」(同)
 開場まで約4か月。問題をクリアできるのか?