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Shimbashi

Après Cannes, la Palme d'or secoue le Japon
Tokyo. De notre correspondante
J'aimerais que notre Premier ministre Shinzo Abe regarde ce film. Je voudrais qu'il réfléchisse à tous les points qu'il soulève, lance Haruko Uemura, 82 ans, à la sortie d'une salle de cinéma de Tokyo. Ces problèmes existent au Japon depuis si longtemps. Et rien ne change.
Depuis vendredi, Une affaire de famille, du réalisateur Hirokazu Kore-eda, est projeté dans plus de 300 cinémas de l'archipel. À Tokyo, la Palme d'or cannoise a affiché complet presque tout le week-end. Et les spectateurs sont impatients de découvrir cette histoire d'une famille rongée par la pauvreté, qui vole pour s'en sortir.
La précarité n'est pas la seule question soulevée par le film : la discrimination, l'exclusion, la violence subie par certains enfants, dans et hors du contexte familial, et la prostitution des adolescentes sont également au coeur du propos. Hirokazu Kore-eda brosse un portrait au vitriol de la société japonaise.
Le gouvernement nippon lui a accordé un accueil des plus glacials. Le Premier ministre n'a même pas félicité publiquement le réalisateur pour son prix.
En écho à un fait divers
Devant la presse japonaise, le réalisateur a expliqué de quelle manière il avait effectué son travail d'écriture. ≪ Je me suis beaucoup documenté dans les faits divers des journaux, dans les bureaux des services sociaux, auprès de structures pour enfants maltraités dans lesquelles je me suis rendu. Chaque anecdote du film est vraie. Seuls les personnages sont fictifs.
Celui qui a le plus ému Haruko Uemura et son amie d'enfance Yoko Goto, 81 ans, qui l'a accompagné au cinéma, ce matin-là, c'est ≪ cette petite fille battue par ses parents qui vit toute seule toute la journée. C'est vraiment choquant ≫.
Un personnage clé du film qui fait brutalement écho à une affaire qui a soulevé une vive émotion au Japon cette semaine. Celle d'une fillette de 5 ans décédée sous les coups de sa mère et de son beau-père. Cette dernière avait laissé des carnets où, de son écriture maladroite, elle promettait à sa mère qu'≪ elle ne recommencerait plus, qu'elle ne ferait plus rien de mal ≫. Et d'ajouter : ≪ Mais, s'il te plaît maman, ne me bats plus.
Je m'inquiète pour le futur, confie Haruko Uemura. J'ai peur que ce type de problèmes continue encore et encore s'il n'y a pas de mesures prises par le gouvernement, ni davantage de prévention. J'espère tellement que l'impact de ce film pourra faire réfléchir et aboutir à des solutions.
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又吉直樹のヘウレーカ!「“男はつらい”ってホント?」
誰にでもつらいと感じる時はある。ところがは生物学で見ると、同じストレス環境にある場合は男のほうが“つらく”なるという仕組みが明らかに。さらなる衝撃の事実も発覚!
又吉が訪れた札幌・円山動物園。ライオン、マンドリルとオスのほうが体が大きく見栄えもする。なぜなのか?ひとつの理由はメスに選ばれるため。ところが生物学者の黒岩麻里さんは、極端にオスが大きいなど特徴が強くなると、種の存続にとってリスクになるという。さらにほ乳類をオスたらしめるY染色体が、なくなるかもしれないという衝撃の研究をも紹介。Wならぬ“Yの悲劇”を知ってしまった又吉は…。 又吉直樹, 北海道大学大学院理学研究院教授…黒岩麻里, 吉村崇

サンデーモーニング【非核化道筋見えず▽どうなる拉致問題▽W杯▽マエケン復帰】
非核化の道筋は見えず米朝会談に批判の声▽どうなる?拉致問題▽原発廃炉のネックは▽熱戦開幕ロシアW杯▽マエケン復帰▽交流戦▽張本君V▽風をよむ
一週間の見逃せないニュース&スポーツをサンデーモーニングならではの視点でお送りします!◎世界と日本の出来事を掘り下げるカバーストーリー▽ ◎おなじみ・スポーツ御意見番「喝!&あっぱれ」◎関口宏の「一週間」ニュース◎時代と社会の断面を切り取るコーナー「風をよむ」〜〜 関口宏 橋谷能理子 唐橋ユミ 伊藤友里 水野真裕美(TBSアナウンサー) 張本勲(他) 三枝成彰 ◇番組HP http://www.tbs.co.jp/sunday/ 西野哲史 金富 隆

明日へ つなげよう ふるさとグングン「獣害は地域づくりの原石だ〜津市 美里町」
猿や鹿によって大きな農業被害を受けてきた三重県津市美里町で、農家の女性たちが立ち上がった。指導するのは、島根県美郷町役場の安田亮さん。安田さんは、獣害の原因は人間にあると考え、集落から動物のエサになるものや、耕作放棄地などの隠れ場所をなくそうと呼びかけた。さらに安田さんは捕獲したイノシシの肉を食べ、革でさまざまな製品を作ることを提案。女性たちは学んだ獣害対策を実践しようと、力を合わせて動き始める。 りゅうちぇる,C.W.ニコル,島根県美郷町役場…安田亮, 山本哲也, 小野文恵
バリバラ「スモールワールド第2弾〜表現者たち〜」
骨やホルモンの異常などによって極端に身長が低い人たちは、好奇の目にさらされ、さまざまなバリアに囲まれて暮らしている。それを逆手にとって“低身長”ならではの表現を追求する男たちがいる。老若男女の壁を変幻自在に超えてしまう日本一小さな俳優、低身長を武器に笑わせるミゼットプロレスのレスラー、さらにアダルトビデオの監督。彼らの唯一無二の表現の世界をドキュメント。 ロッチ,マメ山田,ミゼットプロレスレスラー…ミスター・ブッタマン,プリティ太田,にしくん, 山本シュウ, 玉木幸則, 神戸浩,ベビ−・バギー
BS1スペシャル「被曝(ばく)の森2018」
7年前、福島第一原発の事故によって、放射性物質で汚染された区域。去年の春、国による計画除染が終わり、広範囲で避難指示が解除された。しかしその一方で、山間部を中心に「帰還困難区域」が残された。住民たちが帰ることを許されないこの場所で、何が起きているのか?科学者たちは放射性物質が残留するメカニズム、そして生物に与える影響を明らかにしようとしている。住民の思いも交えながら、放射能汚染の実態を伝える。 礒野佑子
内田樹 @levinassien
サンデー毎日の明日締め切りの4500字原稿だん。日本の教育行政の「全面的な失敗」について書きました。教育機関の「株式会社化」を推し進めたことでどれほどのものが破壊されたか。いくつもの指標が日本の学術的生産力が先進国最低にまで落ちたことを示していますが、国民はそれを知りません。
「株式会社化」とは(1)トップへの権限集中(上意下達)(2)事前の討議によってではなく事後の「マーケットの反応」に基づいて政策の適否を判断する(市場原理主義)(3)トップの意向に従う人間を厚遇し、批判的ないし自立的なメンバーを排除する(イエスマンシップと縁故主義)のことです。
今の日本で劣化している組織はすべてがこの3つの条件を満たしています。政治の場合どこが「市場」なのかわかりにくいと思いますけれど、日本の場合は属国なので「ホワイトハウスのリアクション」が「市場」を代替しています。これが「日本の腐敗の三要素」です。
勘違いして欲しくないのですが、営利企業が株式会社化するのは当たり前のことです。僕が言っているのは教育医療行政のような社会的共通資本の株式会社化のことです。こういうものは専門家によって定常的安定的に維持されることが最優先であって、「起死回生の大バクチ」なんかされてはたまらない。
会社はせいぜい倒産して株券が紙くずになるだけですけれど、教育や医療や行政は「失敗したのでなくなりました」というわけにはゆかない。企業がつぶれても代替商品がすぐにとってかわりますが、教育や医療や行政は「機能不全になったのでしばらくお手元に届きません」というわけにはゆかない。
そういう基本的なことがわからないままに、教育に手を突っ込んできて「選択と集中」だとか「市場に好感される教育サービス」だとか「財界が求めるグローバル人材」とかいう妄言を吐き散らしていた人間のせいで日本の学術は「こんなざま」になったのです。というようなことを書きました。

澤田愛子 @aiko33151709
そうですか、同じ右翼政権でもイスラエルではまだ三権分立が健在なのですね。首相の奥さんの横領疑惑でイスラエル検察は奥さんを起訴。今の安倍政権下の検察では考えられぬこと。イスラエルの方がはるかに民主主義が機能。羨ましい。日本の検察がまともなら安倍周辺の何人が起訴されている事だろう。

図書館から借りた新書を紛失してしまいました.ということで弁償です.別の図書館でも失くしてしまったので2回目.おバカなわたし.
E・VUのサイテでクタクタです.

門脇小遺構整備で市民の意見を
東日本大震災の遺構として保存される、石巻市の旧・門脇小学校についてのワークショップが開かれ、市民からは、当時の出来事を正確に伝える展示にしてほしいといった意見が出ました。
石巻市の旧・門脇小学校は、震災の津波とその後の火災で大きな被害を受け、校内の児童は裏山に逃げて全員無事でしたが、周辺の地区ではおよそ500人が犠牲になりました。
石巻市は、震災の記憶を伝える遺構として校舎の一部を保存することを決めていて、その整備や展示の方法について市民の意見を聞くワークショップが17日開かれ、住民など20人あまりが参加しました。
このなかで、参加者からは初めて訪れた人に伝わるよう、津波の爪痕を見やすくするなど展示の工夫をするべきだとか、津波火災の経緯や、児童や住民がどのように避難したのか、正確に伝える展示にしてほしいといった意見が出ていました。
地元の災害公営住宅の自治会長を務める男性は、「地域住民のほとんどは、つらい記憶を呼び戻す校舎を壊してほしいと思っている。震災遺構として残す以上、初めて来た人にも事実が伝わり、記憶を風化させない施設にしてほしい」と話していました。
石巻市は、今回の提案をもとに整備計画を検討し、来月改めてワークショップを開いたうえで、来年度末をめどに震災遺構としての整備を完了させることにしています。


<岩手・宮城内陸地震>(2)支える 名物豆腐の灯消さぬ
◎栗原市花山 佐々木亨治さん(59)
 岩手・宮城内陸地震で山あいのなりわいは大きな打撃を受けた。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の影響もあって、この10年で地域活力の低下に拍車が掛かっている。名物豆腐を作り上げる主人、イチゴや大根の生産農家、イワナの養殖業者。逆風の中、地場産業の担い手たちは「地域を支えたい」と踏ん張っている。
 午前4時半。朝日が差し込む作業場に豆の香りが立ち込める。還暦間近の身に力仕事がこたえる。
 栗原市花山の佐々木亨治さん(59)。会社員と豆腐店の二足のわらじを履いて2年になる。作るのは地域の国史跡の名を冠した名物「御番所豆腐」。濃厚な味わいと一つ800グラムの重量感が売りだ。
 内陸地震で集落は激しい揺れに襲われ、生まれ育った自宅兼作業場が損壊した。近隣は避難区域となり、一家で地区外での借家暮らしを強いられた。
 豆腐店は同居する父幸通さん(86)、母順子さん(84)が創業して60年以上になる。切り盛りしていた2人が2年ほど前に相次いで体調を崩し、存続の危機に直面した。「店の灯は消せない」。会社勤めの傍ら、一から豆腐作りを学んだ。
 看板を背負ってはみたものの、地元の温泉宿は休業が続く。購買層の観光客は戻らない。売り上げは地震前の半分程度に落ち込んだ。勤務先の給料も合わせて暮らしているのが実情だ。
 先行きは見えないとはいえ、通い続けてくれる地元客がいる。隣県や仙台圏から買いに来る熱烈なファンも少なくない。「ここの味が一番」。そんな言葉が何よりの励みになる。
 両親は避難後も作業場に通い、黙々と豆腐を作り続けた。「大事なのはお金より周囲の笑顔だよ」。そう言って地元住民に配っていた気持ちが、今は少しだけ分かる気がしている。
 耐用年数を過ぎたボイラーは異音を発する。いつ止まっても不思議じゃない。「やれるだけやる。味を支えるのは自分しかいない」。自分に言い聞かせ、今日も早朝の作業場に立つ。
◎若い人の力足りない
 栗原市栗駒耕英の農業大場浩徳さん(57)は特産のイチゴ、高原大根を作る。地元組合員で運営する観光施設「山脈ハウス」の組合長も務める。
 地震当時は、露地もののイチゴの出荷直前でした。畑は2年間手付かずの状態に。苗作りに着手するまで3、4年を要し、収入が戻るまで7年かかりました。その間、7戸ほどあった露地イチゴ農家は私だけになりました。
 東日本大震災の影響で3分の1になった山脈ハウスの客足は、イワナ丼を売りに何とか盛り返しています。耕英地区に若い人の力が足りないと痛感します。同じ開拓2世の生産農家も今は5、6人ほどに減りました。やれるだけやろうと、心に決めています。
◎なじみ客 再び励みに
 一関市厳美町の佐藤雅樹さん(64)は、イワナを養殖して販売する「峠のイワナ屋」を経営している。地震で道路が寸断し、ヘリコプターで救出された。
 周囲の山々が、ごう音とともに崩れました。壊れた取水施設を直し、営業再開できたのは3カ月後。客足が遠のき、付き合いの長かった宿泊施設との取引も途絶えました。
 道路が復旧すると、なじみのお客さんが戻り「おいしかった」「また来る」と励ましてくれました。経営は厳しいままですが、おいしい塩焼きを地元の味として守っていきます。
 地震を一緒に乗り越えた父が昨年、引退しました。「寒い時期に餌をやり過ぎるな」と今も独り言のようにアドバイスをくれます。


河北春秋
 岩手・宮城内陸地震は14日で発生から10年がたった。発生直後、栗原市で数々の地震の痕跡を目にした。痛々しく削れた山肌。地盤が崩落し、宙に突き出た道路。土石流にうずもれた旅館…▼避難所の住民たちは、恵み豊かな山が与えた試練に困惑し、農作物やイワナ養殖、観光への影響を案じていた。そんな折、同市耕英の住民が日本災害復興学会のメンバーと車座になって懇談会を開いた▼学会側は雲仙普賢岳噴火災害、阪神大震災、新潟県中越地震の復興に関わった専門家が参加。過去の知見と教訓を耕英の再興に生かそうと、その後も両者の二人三脚は続く。住民は支援を受けながら地域づくりのアイデアを自分たちで練り、市の復興計画に反映させた▼「人間復興」「被災者との協働」などを掲げて学会が発足したのは、内陸地震の5カ月前。内陸地震は最初の実践の場になった。会員の顔ぶれは一般的な学会と違い、大学の研究者は半分ほど。残り半分は報道や行政、ボランティア団体の関係者、弁護士らが占める▼東日本大震災でも多くの学会関係者が被災地に入った。発足10年で会員は200人から400人に増えたが、東北は40人と少ない。「志は高く、敷居は低く」がモットー。被災者を含め、幅広い復興の担い手の参加を呼び掛けている。

<相馬・浜下り野馬追>46年ぶり 騎馬武者が波打ち際を疾駆
 東日本大震災からの復興を祈念した「浜下り野馬追行列祭」が16日、相馬市であった。開催は46年ぶり。来月、8年ぶりに再開する原釜尾浜海水浴場では「乗切(のっき)り競馬」があり、騎馬武者が波打ち際を勇壮に駆け抜けた。
 市中心部と沿岸部の2カ所を、計34騎、約100人が参加した騎馬行列が巡った。原釜尾浜海水浴場では近くの津神社からみこし行列もあり、氏子が海水を取ってお清めした。
 乗切り競馬では3頭立てで5回、波打ち際の砂浜を疾走。旗ざおをなびかせながらの勇壮な姿に、「さすがの迫力」と観衆から拍手が湧き起こった。
 相馬市沿岸部では、震災の津波でずたずたに破壊された市道大洲松川線が4月に復旧。観光地の松川浦と太平洋を一望できる道の再開によって、7年ぶりに周遊が可能になった。


福島第2原発廃炉 真の復興へ具体的な道筋を示せ
 東京電力が、福島第2原発全4基の廃炉を検討する方針を示した。正式に決まれば、未曽有の大事故を起こした第1原発と合わせて福島県内の原発10基が全て廃炉となる。
 県など立地自治体が何度も廃炉を要望していたにもかかわらず、事故から7年以上も判断が先送りされたことが復興の足かせとなっていた。廃炉は当然であり、遅きに失した。東電は事故を起こした当事者としての重責を改めて自覚すべきだ。第1原発と並行して廃炉を着実に進めるため、工程表を速やかに策定し、作業員確保や放射性廃棄物の処分など、山積する課題に取り組まなければならない。
 第2原発は、東日本大震災により被災したが、炉心溶融は免れた。1基当たり110万キロワットと出力が大きく、再稼働すれば経営改善につながる可能性があったため、東電は判断を保留し続けた。経営を優先したことで、一刻も早い廃炉を望んでいた多くの住民を置き去りにしてきたと言わざるを得ない。
 廃炉には30〜40年、計約2800億円の費用がかかると想定される。課題の一つは作業員確保だ。第1原発では、1日約5千人が従事しており、第2原発へ人員を集めるには困難が予想される。さらに、四国電力伊方原発1、2号機など全国で10原発22基の廃炉が決まっており、ほかの原発との間で作業員の獲得競争の激化が見込まれる。今後、電力会社やメーカーが協力して解体の工程を綿密に練り、安全を最優先に作業を進めることが欠かせない。
 費用や期間についても、これまでに国内で廃炉を完了した前例がないことから、計画通り進むかは不透明だ。とりわけ、廃炉で発生する放射性廃棄物の処分地が決まっていないことが障害となる。放射線量が高い廃棄物については、国の基準づくりも追いついていない。まずは国が、電力会社や自治体任せにすることなく、処分への道筋を示さなければならない。
 東電が廃炉方針を示した背景には、第1原発の汚染水問題があるとみられる。構内には浄化で取り除くことができない放射性物質のトリチウムを含む水がたまり続けている。海洋放出を目指す中、風評被害を懸念する漁業関係者らの理解は必須で、廃炉を表明する代わりに知事ら地元関係者の協力を取り付けたい思惑が透ける。だが、廃炉を「交渉のカード」に使う手法は身勝手で容認できない。海洋放出は、廃炉とは切り離して地元と議論を尽くす必要がある。
 約16兆円の事故関連対策費用を抱える東電。経営再建へ、新潟県の柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働や青森県の東通原発の完成を目指すとする。だが、原発は安全対策のコストが膨大で割に合わないことは明白であり原発に依存した経営からは速やかに脱却すべきだ。世界で普及が進む再生可能エネルギー関連事業の推進で、真の復興に貢献するよう求める。


安倍政権の「骨太の方針」 借金つけ回しを放置した
 政府は、経済政策運営にあたっての「骨太の方針」を決めた。柱は、新しい財政健全化計画である。
 健全化をうたってはいるが、目標とする基礎的財政収支の黒字化は2025年度と従来より5年も先送りした。1000兆円超の借金に対する危機感がまるで欠けている。
 特に問題なのは、目先のお金を確保できれば将来につけを回しても構わないと言わんばかりの内容だ。
 まず高齢化に伴う社会保障費の急増をどこまで抑えるかが焦点だったのに、計画が始まる19年度から3年間の数値目標を見送った。これではなし崩し的に膨らみかねない。
 19年の消費増税に合わせ大型の需要喚起策を打ち出すことも盛り込んだ。借金返済に充てるべき税収をばらまきに使うのなら本末転倒だ。
 健全化の進み具合を21年度時点で点検する指標は設けたが、たいして役に立ちそうにない。計画は高い経済成長を見込んでいる。歳出を切り詰めなくても成長すれば健全化が進んだように見える指標だからだ。
 その場しのぎの対応がまかり通るのは長期的視点を欠くためだ。
 政府は最近、高齢化がピークとなる40年度の社会保障給付費が約190兆円に上るとの推計を公表した。現在より70兆円近くも膨らむ。
 賄うには税負担だけで30兆円超も増やす必要があるという。消費税で10%以上の引き上げに相当する。
 加えて借金返済の負担も将来世代にのしかかる。こうした厳しい見通しを踏まえ、つけ回しをできるだけ早くやめる計画を示すべきだった。
 人口が減少する日本は高い経済成長を見込みにくい。成長に伴う税収増に頼って財政を立て直すのは難しく、痛みを伴う負担増や歳出抑制が避けられない状況にある。
 それなのに安倍晋三首相は従来通り高成長を当てにしている。これまで税収が想定ほど伸びず、健全化目標を延期したにもかかわらずだ。
 首相が秋の自民党総裁選で3選されても任期は21年限りだ。それまでは財政出動の余地を残し、あとは頬かむりとみられても仕方がない。
 政府は来月から19年度予算の編成作業に入る。今回の計画がお墨付きとばかりに規律をさらに緩めてしまっては困る。深刻な財政を直視し歳出抑制に本腰を入れるべきだ。


週のはじめに考える 多死社会がやってきた
 「超高齢社会」の次に迎えるのは「多死社会」だと言われるようになりました。いや、わたしたちは既に多死社会を迎えたというべきかもしれません。
 多死社会という言葉を近年、人口学の研究者らが使うようになりました。
 高齢者の増加により国内の死亡数が増え続け、人口が減っていく社会形態をいい、高齢化率、つまり六十五歳以上の人口の割合が総人口の21%を上回る超高齢社会の次に訪れる段階と位置付けられているそうです。
◆すでに超高齢社会
 日本は、二〇一〇年国勢調査の段階で高齢化率が21%を超え、既に超高齢社会となっています。わたしたちは多死社会をいかに迎えつつあるのでしょう。
 厚生労働省が今月一日、昨年の人口動態統計(概数)を公表しました。予想されていたことではありますが、生まれてくる赤ちゃんの数は減り続けています。
 二〇一七年の出生数は、前年よりさらに三万人も減って九十四万六千人余。二年連続で百万人を割り込みました。合計特殊出生率、つまり女性一人が生涯に産む子どもの推定人数は、前年比〇・〇一ポイント減の一・四三となりました。
 ここに至る経緯を振り返ってみます。
 日本の出生数は、際立って多かった第一次ベビーブーム、つまり「団塊の世代」が生まれた一九四七〜四九年には年に二百六十万人台を数えていました。
 その団塊の世代が出産適齢期を迎えた七一〜七四年も第二次ベビーブームとなり、年間出生数は再び二百万人を超えました。
 以後、出生数は右肩下がりで減り始めますが、「団塊ジュニア」とも呼ばれる第二次ベビーブーム世代が出産適齢期を迎えれば第三次ブームが来るはずでした。
◆来なかった第三の波
 ところが、その時期が長期不況の就職氷河期と重なり、先の見通せぬ雇用状況の中で家庭を持てぬ若者が増え、結局、日本の人口ピラミッドに第三の波が現れることはなく、少子化が加速してしまったのです。
 逆に、死亡数は近年、急速に増えてきました。二〇〇三年に百万人を超え、昨年は百三十四万人余で戦後最多を更新しています。
 当面、死亡数の増加が続くことは間違いなく、そのピークは団塊の世代が九十歳以上となる三九年ごろ、百六十七万人前後となる見通しです。
 わたしたちの社会は、このまま先細りとなるのでしょうか。
 子どもを産み、育てやすい社会を目指す動きが近年、着実に進み始めました。それに連動し、減り続けてきた出生率が多少、持ち直してもいます。
 しかし、底を打った出生率が上向いても、出産適齢期を迎える女性が減り続ける以上、当面、人口減に歯止めはかからないのが冷厳な現実です。
 政府は「骨太の方針」に、外国人の長期就労に門戸を開く新たな在留資格創設を盛り込みました。
 人口減に伴う労働力不足を解消するため、高度な専門知識を持つ人材に限ってきた受け入れ方針を事実上、転換するものです。
 働きながら学ぶ、という建前の外国人技能実習制度などで場当たり的に対応するのは限界だ、ということのようです。
 在留資格の見直しは、日本社会に新たな多様性の風を吹き込む可能性も秘めていますが、不足する労働力の数合わせに終始するなら、将来に大きな禍根を残すことになるかもしれません。
 例えば、旧西ドイツが高度成長期、単純労働の担い手としてトルコなどから大量に受け入れたガストアルバイター(客人労働者)は、ドイツの言葉や文化を習得できぬまま地域で孤立し、やがて社会の分断を招く一因にもなったと指摘されています。
 あるいは、一時しのぎの労働力として遇するだけなら外国人には来てもらえぬようになるかもしれません。合計特殊出生率は、例えば韓国が一・一七、シンガポールが一・二〇(ともに一六年)。つまり日本よりも低いのです。多くの国で人口減少が進み、いわば、労働力の奪い合いとなる可能性も現実味を帯びてきているのです。
◆議論すべき時は来た
 多死社会の到来で今後、人口減が急速に進みます。
 これまでのような経済規模を維持するなら、労働力は足りなくなる。では本格的に外国人を受け入れるのか。受け入れるなら、日本社会に溶け込んでもらうため、受け入れる側の発想の転換や努力が求められるはずです。
 それより、身の丈に合わせて戦略的な縮小を考えた方が豊かな社会になるのかも。
 何を目指すのか。現実を直視して議論すべき時が来ています。


IR法案可決/なぜカジノが必要なのか
 衆院内閣委員会で、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案が可決された。今週に衆院本会議を通過する見通しで、議論の場は参院に移る。
 政府、与党は成長戦略の中核を成す最重要法案と位置づける。今国会の会期末は目前に迫っており、会期を延長して成立させる方針だ。
 カジノは大半の野党だけでなく、国民にも根強い反発がある。どれだけ対策を講じても、その存在自体が依存症の誘因となる恐れがある。そもそも違法な賭博行為を解禁することに多くの国民が疑問を感じている。
 なぜカジノが必要なのか。参院で国民の納得できる説明がなされないまま、採決することは許されない。
 法案では全国最大3カ所にIRを設ける。自治体の立候補を受けて国が整備区域に認定し、2020年代半ばの開業を見込む。日本人客のカジノ利用は料金や回数など制約を課す。
 IRは国際会議場やホテル、国際展示場も併設する。政府側は「滞在型観光モデルを確立する」と答弁し、カジノの収益を活用すれば新たな商機になると主張した。
 カジノあってのIRと考えているのなら本末転倒だ。国際会議や見本市を積極的に呼び込むのが本来の姿ではないか。
 それには施設整備だけでなく、企業、学会の動向を把握できる誘致担当者や多彩な分野に明るい通訳など、専門人材の育成と確保が重要だ。カジノの有無が誘致に大きく影響するとは、考えにくい。
 政府はカジノで訪日観光客が増えるとするが、訪日客数は過去最高を更新し続けている。世界各国にあるカジノの後追いより、日本独自の観光資源の魅力を磨く方がよほど有益だ。
 カジノ解禁は1990年代、当時の石原慎太郎東京都知事がお台場誘致で口火を切り、続いて橋下徹大阪府知事も、舞洲など大阪湾の人工島への設置を唱えた。どちらも開発事業の失敗を、カジノで一発逆転しようとする姿勢が透けて見える。
 カジノがあれば、成長戦略も軌道に乗る。そんな短絡的な発想が、いまや政府、与党全体にまでまん延しているのなら危機感を抱かざるをえない。


[カジノ法案可決]根本的な議論が必要だ
 数の横暴というほかない。
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案が衆院内閣委員会で、野党の反対を押し切って、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決された。
 IR法案は全251条に及ぶ大型法案だ。200条を超える新規立法は1997年に成立した介護保険法以来である。野党側が介護保険法と同じ約50時間の委員会審議を求めたのは当然だ。
 だが、与党は「十分審議した」として約18時間で打ち切り、採決を強行した。あまりにも乱暴なやり方である。
 IR法案は、カジノを刑法の賭博罪の適用対象から除外し、解禁するものだ。カジノや国際会議場、ホテルなどを一体化して全国で最大3カ所を整備。7年経過後に増設するかを検討するとしている。
 ギャンブル依存症対策として、日本人客のカジノ入場は週3回、月10回までとし、入場料は6千円−などを盛り込んでいる。しかし年間120日まで入場でき、入場料6千円が抑止力につながるのかどうか、疑問である。
 客を依存症や多重債務者に追い込みかねないカジノ事業者による貸し付けや、カジノ面積に関する上限が明記されていない。さらに国会審議の必要がなく政令などで決められる項目が300以上もある。制度の中身がみえず、規制が緩くなるのではないかとの懸念が拭えない。
 共同通信社の3月の世論調査でカジノ解禁に反対が65%を占める。なぜ、カジノなのか。根本的な議論が必要だ。
■    ■
 ギャンブル依存症は精神疾患である。厚生労働省が2017年度にまとめた調査によると、生涯で依存症経験が疑われる人は推計で3・6%、約320万人に上る。パチンコなど身近にギャンブルの環境があることが影響しているとみられ、カジノが輪をかけるのは容易に想像できる。
 政府はIRによる観光立国をうたう。しかし誘致自治体などは客の7〜8割は日本人と推計している。政府は外国人客による経済効果を強調するが、不確定要素が多いとして数値を示していない。
 訪日外国人は過去6年間で4・6倍と右肩上がりに増えている。ほんとうにIRが必要なのだろうか。
 国や自治体に既存ギャンブルの依存症対策を推進する基本計画を策定し、当事者支援を義務付けるギャンブル依存症対策基本法案が今国会で成立する見通しだ。その効果をみるのが先決だろう。
■    ■
 国会の会期末が迫り、与党の強引な国会運営が目立つ。
 長時間労働を助長する恐れが消えない「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を含む働き方改革関連法案も衆院厚労委で採決強行した。
 自民党は参院選挙制度改革を巡る与野党協議を一方的に打ち切った。参院選の「1票の格差」是正に向け、定数を6増する公職選挙法改正案も成立させたい考えだ。自民党の「党利党略」としかいえない改正案である。
 議論が足りないまま数の力で法案を押し通せば、国会は存在意義を失う。会期を大幅延長し、徹底議論を求める。


カジノ法案強行 不安を顧みない党略優先
 また同じことが繰り返された。なぜ、これほどまでに採決を急ぐのか。党利党略の思惑が透ける与党の強引なやり方には、疑問だけが募る。
 安倍政権が成長戦略の柱に位置付けるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案が、衆院内閣委員会で、自民、公明両党と、日本維新の会の賛成多数で可決された。
 与党は19日の本会議で衆院通過させ、20日までの会期を延長して今国会成立を図る構えだ。
 整備法案はカジノ営業規制などを定めるものだ。ギャンブル依存症対策が不十分だとする野党は、約50時間の委員会審議を求めていた。しかし、与党はわずか18時間余りで審議を打ち切り、採決を強行した。
 政府・自民党は整備法案の前提となるIR整備推進法も「数の力」で成立させている。
 カジノ解禁には、ギャンブル依存症の増加だけでなく、暴力団の介入や治安悪化などのリスクもつきまとう。
 問題なのは、刑法で禁じた賭博を新たに解禁することになるにもかかわらず、経済効果を盾にした与党の強引な国会運営によって、十分な議論がなされていないことだ。
 今回の整備法案を巡っても、疑問は尽きない。
 日本人も含む入場客への金銭貸し付けをカジノ事業者に認める規定には、野党や専門家から異論が噴出した。
 法案では返済能力を事前調査し貸付限度額を設けるとしている。しかし、その場で賭け金を調達できることからギャンブル依存や多重債務を助長するとして、野党は規定の削除を求めていた。当然の懸念だろう。
 カジノ面積はIR全体の3%以下に規制したが、上限は定めていない。政府の当初案は「1万5千平方メートル以下」と上限を併記していたが、自民党から規制が厳しく採算性が上がらないとの不満が出され削除された。
 カジノの規模が大きくなればそれだけ多数の客を集めることが可能で、野党は依存症対策の観点から疑問を呈していた。
 公明党が今回、「与党として責任を果たしたい」(山口那津男代表)として、賛成したことも見過ごせない。
 公明党は2年前の整備推進法の衆院本会議採決では、約3分の1の議員が反対票を投じた。山口代表や井上義久幹事長をはじめ、党幹部もカジノ解禁に慎重だったためだ。
 公明党の支持者にはギャンブルに対する抵抗感が根強いとされる。賛成に回った判断には、来年の統一地方選や参院選を見据え、なるべく影響を抑えたいとの思惑が指摘されている。
 早期に成立させておけば、その分、選挙まで長い冷却期間を確保できるというわけだ。
 国民生活への影響が強く懸念される法案である。与党の都合で成立を目指すようなものではあるまい。
 多くの不安や反発を積み残したまま、成立ありきで審議が進む。これでは国民と国会の溝は深まるばかりだろう。


森友問題は未決着78% 非核化困難77%、共同通信調査
 共同通信社が16、17両日に実施した全国電話世論調査によると、財務省が決裁文書改ざんの関係者を処分したことで、森友問題は決着したとの回答は15・7%、決着していないは78・5%に上った。米朝首脳会談を受け、朝鮮半島の完全な非核化が実現すると思わないは77・6%。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案を今国会で成立させる必要はないは69・0%だった。内閣支持率は44・9%で5月12、13両日の前回調査から6・0ポイント増。不支持は43・2%で、支持が不支持を上回った。

高等教育支援 実効性ある制度設計を
 政府は、低所得世帯向けに2020年度から始める高等教育無償化支援制度の大枠をまとめた。
 収入に応じて年収380万円未満まで、大学などの授業料や入学金を減免し、生活費に充てる返済不要の給付型奨学金を支給する。
 私立大や短大、専門学校なども国立大に準じて負担軽減を図り、将来は全進学者の2割程度が対象になると想定している。
 安倍晋三政権の「人づくり革命」の一つとして唐突に打ち出され、急ごしらえ感は否めない。
 とはいえ、経済的に恵まれない若者の自立を助け、社会を底上げするためにも、教育機会を保障することは重要だ。
 その一歩となるよう、丁寧な制度設計を求めたい。
 大学の年間授業料は国立大が約54万円、私立大は平均約88万円かかる。平均給与が伸び悩む一方、30年間でほぼ2倍にもなり、今や大学生の2人に1人が、大半は貸与型の奨学金を利用している。
 だが、非正規労働の拡大で、就職しても返済できず自己破産する例が問題化した。家庭の援助がない子どもには、貸与型奨学金頼みの進学はリスクですらある。
 低所得世帯から、学費と生活費の二本立てによる支援を行う必要があろう。
 完全無償化は年収270万円未満の住民税非課税世帯に限られる。これを超えても380万円未満まで、年収に応じて一定の支援を受けられる仕組みとした。
 大切なのは、対象となる子どもが負担軽減策を公平に利用できるようにすることだ。
 17年度に一部先行実施された給付型奨学金は制度の周知不足に加え、必要な高校推薦の基準がまちまちで、申請が想定を下回った。
 成績を重視すれば、塾に通えない子どもに不利な場合もある。このため、政府は学習意欲を勘案した選考も認めるが、公正な線引きができるかとの疑問は残る。
 推薦枠を十分確保するとともに、中高生の学習支援など、困窮世帯の子どもの進学を支える包括的な仕組みをつくっていきたい。
 政府が挙げた支援の条件の中には、子どもの進学先の大学が実務経験のある教員や外部理事を登用することも含まれている。
 大学側がどこまで対応できるか未知数で、今後も慎重な検討が欠かせない。
 高等教育の費用負担は中所得世帯にも重くのしかかっている。その軽減についても、議論を重ねていきたい。


あすへのとびら 基礎研究の危機 科学の泉を枯らすまい
 「酵母」ほど私たちの暮らしと深く関わっている微生物はない。
 酒の醸造やパン製造に欠かせない。分子レベルで生命現象を解明する研究の「モデル生物」としても果実をもたらしてくれた。
 ノーベル賞受賞者の大隅良典さんが創設した「大隅基礎科学創成財団」が、第1期の助成対象として募ったのも酵母がテーマの基礎研究である。
 大学などの研究者から56件もの応募があった。審査の結果、4件を選んだ。2020年6月までの2年間に1件当たり最大500万円を助成し研究を支援する。
   <やせ細っている土壌>
 大隅さんは酵母を使って、細胞が自らのタンパク質を分解してリサイクルする「オートファジー」の仕組みを解明した。
 細胞内の「ごみため」と思われて誰も注目していなかった「液胞」に光を当てた。顕微鏡をのぞいて変化を観察する長く地道な研究が新たな地平を切り開いた。
 大隅さんの財団は昨年8月、ノーベル賞の賞金などから1億円を拠出して発足した。
 先見性や独創性に優れながらも公的助成が受けにくく、研究者の任期切れや定年で継続するのが困難な研究に資金を援助する。
 大隅さんを突き動かしたのは大学などの研究現場が資金難にあえぎ、研究力が衰えている現実だ。今ここにある危機、そして将来への深刻な懸念である。
 昨年3月、英科学誌「ネイチャー」が発表したリポートが日本に波紋を広げた。
 ここ10年、世界で発表され高い評価を得た科学論文のうち、日本の研究者の論文が占める割合が低下している。政府主導でこの失速傾向を転換しないと、日本は科学の世界のエリートという座から追われかねない―。
 なぜ退潮を招いたのか。ネイチャーの専門家は背景に「予算」と「雇用」を挙げている。
 先進国や中国、韓国は科学技術予算を大幅に増やしている。日本は21世紀に入って横ばいだ。
 国から国立大に支給される「運営費交付金」はじわじわ減額された。今年度は1兆971億円。国立大が独立法人化した2004年度に比べると、1444億円、10%以上も減っている。
 研究費など使途が自由で国立大の基礎研究を支えてきた。その減額は若手研究者の雇用環境を悪化させている。
 正規雇用で安定して働ける研究室が減り、代わりに任期が限られたポストが増えている。
 内閣府の統計にこんな数字がある。国立大学法人の任期なし教員のポストに就いている40歳未満の比率は、07年度の23%から16年度に15%に下がった。
 一方、5年以下の任期で雇用されている若手研究者は6割を超えるとの統計もある。これでは腰を据えた研究に取り組めない。
 「選択と集中」のスローガンのもと、国が配分する「競争的資金」の割合が増えた。それは競争を過度にあおり、目先の成果を追う研究に偏る状況を生んでいる。未知の世界に挑む研究の土壌はやせ細っていくばかりだ。
 次代を担う研究者もこのままでは育たないのではないか。
 博士課程への入学者は減り続けている。16年度は19年ぶりに1万5千人を切った。
   <裾野をどう広げる>
 安倍晋三首相は4年前の経済協力開発機構(OECD)の会合でこう演説した。「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な職業教育を行う新しい枠組みを高等教育に取り込みたい」
 この考えは改めるべきだろう。政治主導で「すぐ役に立つ研究」に集中させるのは、研究者の自由や自律によって追究すべき科学の本質から外れている。弊害が多いのも明らかだ。
 全てを市場価値や格付けに置き換える政策から、長い射程で将来を見据え、科学の芽を育てる政策に重心を移さなければいけない。
 市民が科学に関心を持ち、科学を理解することも大切だ。
 大隅さんは先日、都内で講演した。財団を社会貢献事業の一環で支援している企業が招いた。
 科学とは人類が「知りたい」という知的な欲求に基づいて営々と築いてきた知の総体であり文化である。その裾野を広げることが人類の未来を明るくする―。大隈さんはそう訴えた。
 財団は一口千円から個人の寄付を募っている。グローバル化に伴い海外に投資を広げている企業との新たな連携も模索している。小中高校生を対象に最先端の研究者と触れ合う集いを開いた。
 富士山は広い裾野に雨水がたっぷり染み込み、ふもとに豊かな湧水をもたらしている。科学の泉を枯らすわけにはいかない。


京大論文不正 PCデータに改ざんの痕跡 認定の決め手に
 京都大iPS細胞研究所の論文不正問題で、同研究所の調査委員会が不正を認定した決め手となったのは、責任著者が使っていたノートパソコンから見つかったデータ改ざんの痕跡だった。パソコン内のデータは消去されていたが、調査委が復元して判明した。3人の調査委員が毎日新聞の取材に応じ、調査の詳細な内容を明らかにした。【須田桃子】
100万円かけデータ復元 浮かんだ改ざんの跡
 問題の論文(既に撤回)では計11個の図で捏造(ねつぞう)・改ざんが認定され、筆頭著者で責任著者の山水康平助教が3月に懲戒解雇処分を受けた。取材に応じたのは、調査委員長を務めた同研究所副所長の斉藤博英教授、委員だった高橋淳教授、山本拓也准教授。
 斉藤副所長らによると、調査ではまず、論文を構成する棒グラフなどの図について、実験に使った測定機器に残っていた0次データや、実測値をパソコンに書き出した1次データと、1次データにさまざまな解析を施した2次データを比較し、図が正しく作成されたかを調べた。同研究所のルールに基づき、1次、2次データは論文投稿時に研究所に提出されていたが、調査委は他に、元助教が使っていた複数のパソコンやハードディスクに保存されていたデータも確保し、精査した。
 多くの図で0次や1次データと2次データとの間に齟齬(そご)があり、数値が意図的に操作されたことは明らかだったが、誰の手によるものか明確な証拠はなかった。調査委は専門業者に依頼し、約100万円をかけて元助教専用のノートパソコンで消去されたデータの復元を試みた。復元されたデータの中に、1次と2次の中間の、改ざんの試行錯誤の跡とみられる複数のデータが含まれていた。
著者は検証実験希望も、却下
 元助教への聞き取り調査では、こうした「1・5次」のデータの存在も提示。元助教は他の人の関与はなく、自らがデータを操作したことを認めた。斉藤副所長は「データを復元したことで初めて検証できた内容もあり、迅速な調査につながった」と振り返る。高橋教授も「(不正認定は)客観的な事実と本人の自白の両方で成り立つ。本人のノートパソコンから不正の痕跡が見付かったことで、認めざるを得なくなったのだろう」と推測する。
 また、調査の過程で元助教は検証実験の実施を求めたが、調査委は「その必要はない」と判断し、あくまで論文の基になったデータを精査する姿勢を維持した。山中伸弥・同研究所長も同じ方針だったという。調査は4カ月で終わった。斉藤副所長は「論文に不正があったとしても結果が再現できれば問題ない、という考え方になっては良くない。論文中のデータの調査で完結させなければ調査も長引き、世界中の研究者に迷惑をかける」と説明する。
STAP問題ではPC提出されず
 一方、国内の過去の研究不正問題では、研究者の使ったパソコンを調査できなかった事例が複数ある。2006年に教授と助手が懲戒解雇処分を受けた東京大の論文不正疑惑では、助手が実験記録を保存していたというパソコンが廃棄されていた。理化学研究所を舞台に14年に起きたSTAP細胞論文問題では、論文の筆頭・責任著者だった小保方晴子氏が論文作成に使ったノートパソコンの提供を調査委が求めたところ、私物であることを理由に提出されなかった。いずれの問題でも検証実験が実施され、STAP問題では検証実験に1700万円余りの費用と9カ月半の時間を要した。


直接抗議を米軍拒否 声聞かぬなら撤退せよ
 嘉手納町議会が嘉手納基地所属のF22戦闘機の暫定配備などに抗議するため、同基地の米空軍第18航空団に面会を求めたが、同航空団は沖縄防衛局を通すようにと返答し、事実上面会を拒否した。また県が同基地所属のF15戦闘機の墜落事故について直接抗議するため、同航空団に県庁への来庁を求めたが、これも拒否した。これで「良き隣人」といえるのか。
 嘉手納町議会は6月定例会だけでも4件の抗議決議を可決している。F22の暫定配備に加え、垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの初飛来、旧海軍駐機場の使用、F15の墜落事故についてだ。全て嘉手納基地に関するもので、住民生活を脅かす事態に対する抗議だ。
 今回の面会拒否はF15墜落を除く3件の抗議決議についてだ。その後、追加で面会を求めているF15墜落の抗議については、まだ返事が届いていない。
 同航空団は昨年12月から、嘉手納町議会との面会拒否を続けている。昨年12月に最新鋭ステルス戦闘機F35Aがパネルを落下させる事故を起こした際、同航空団は「さらに提供できる情報はない」などとして、町議会の抗議の面会を拒否している。住民軽視も甚だしい。
 昨年7月、同航空団に着任したケース・カニンガム新司令官は當山宏町長を訪ねた際に「地域住民との友好関係を大事にしたい」と述べていた。しかし実際は地域住民の意向などお構いなしに、傍若無人な基地運用をしている。そして住民の声に耳を傾けようとしない。「悪しき隣人」にしか映らない。
 嘉手納町議会が基地に起因する問題に敏感なのは理由がある。F15墜落事故後、町議会の當山均基地対策特別委員長は「嘉手納がいつも事故に神経質なくらいに反応するのは、過去に(事故で)町民が亡くなっている事実があるからだ」と述べている。
 1962年12月、KB50空中給油機が嘉手納基地への着陸に失敗し、嘉手納村(当時)屋良の住宅地に墜落した。民家3棟が全焼し、24歳の男性ら村民2人の命が奪われた。役場の広場に寝かされた黒く焼け焦げた男性の遺体と対面した兄は、その場で泣き崩れている。
 66年5月にはKC135空中給油機が離陸直後、嘉手納弾薬庫のゲート付近に墜落した。道路を通行していた男性1人が巻き込まれて命を落とした。59年6月には嘉手納基地所属のF100ジェット戦闘機が石川市(当時)宮森小学校に墜落し、児童ら18人が犠牲になった。
 これ以上、沖縄の人々の命を奪わないでほしい。町議会の抗議は、こうした住民の願いを代弁したものだ。
 その声を聞こうとしないのであれば、第18航空団は沖縄に駐留する資格などない。嘉手納基地から即座に撤退すべきだ。


文科省 前川氏授業照会 政官接触記録作らず 「不当要求でない」
 文部科学省が自民党国会議員の指摘を受けて前川喜平・前事務次官の授業内容を報告するよう名古屋市教育委員会に求めた問題で、文科省が国家公務員制度改革基本法に基づく政官接触記録を作成していなかったことが、毎日新聞の情報公開請求で判明した。この問題では教育現場への「不当な介入」が問題視されており、専門家は「政治家からの働きかけは全て記録しておくべきだ」と指摘している。【伊澤拓也】
 文科省によると前川氏は今年2月16日、名古屋市立の中学校の総合学習の時間に講演会を行った。この授業を地元紙が報じた17日、赤池誠章参院議員から同省側に「国家公務員違反者が教壇に立てるのか」と連絡があり、19日には池田佳隆衆院議員から地元紙の提供を受けた。
 文科省は市教委に電話で授業内容を確認し、両議員に説明。3月1日に市教委に授業の報告を求めるメールを送信する直前には、質問状を池田氏に見せ、指摘を踏まえて15項目のうち2項目を修正した。
 さらに6日に送った再質問状の回答が市教委から届いた7日、池田氏に内容を知らせた。
 この過程で藤原誠官房長や高橋道和・初等中等教育局長、教育課程課長補佐らが両議員と面会や電話、メールでやり取りしていた。名古屋市の河村たかし市長は、質問状について「これが適法なら思想統制につながる」と批判した。
 こうしたやり取りに関し、毎日新聞が「文科省と両議員が接触した際の記録全て」を情報公開請求したところ、文科省は課長補佐が池田氏の秘書に質問状を添付して送った2通のメールと、この問題の流れを時系列で記した「経緯」と題された1枚の文書のみを公開。両議員側からの発言やメールなどの「政官接触記録」は「不存在」とした。
 2008年に施行された国家公務員制度改革基本法は国会議員による官僚への不当な介入を防ぐため、保存と公開を前提とした接触記録を作成することが定められている。
 しかし、12年12月の第2次安倍政権の閣僚懇談会の申し合わせで、記録に残すのは「政府の方針と著しく異なり、対応が極めて困難な不当な要求」に限定。今回の問題についても、文科省教育課程課は「(両議員の指摘を)不当な要求と考えていないので、接触記録を作成していない」と説明している。


児童虐待対策  連携の力で悲劇なくそう
 深刻化する児童虐待を防ぐには、子どもたちのSOSを出来るだけ早く見つけ、対処する必要がある。そのためには、関係機関や地域の緊密な連携、協力が欠かせない。
 特に生命に危険が及ぶような緊急を要する場合には、児童相談所(児相)と警察との連携が重要になるが、児相が虐待の恐れを把握しながら、警察に知らされないまま児童が死亡するケースが後を絶たない。
 東京都目黒区で「ゆるしてください」と書き残して死亡した船戸結愛ちゃんも、都から警視庁への情報提供に至らなかった。事件を受けて政府や自治体も対策の強化に動き始めたが、悲劇を繰り返さないよう、実効性のあるものにしなければならない。
 昨年、全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもは、統計を取り始めた2004年以来、初めて6万人を突破した。生命の危険がある緊急時や夜間に警察が保護した子どもも5年連続で増え、4千人近い。
 ただ、警察が把握した虐待の疑いがある事案は、児童虐待防止法に基づき、全て児相に通告されるが、児相から警察への情報提供を定めた法律はなく、児相を設置している自治体の裁量に委ねられている。
 結愛ちゃんは、以前住んでいた香川県善通寺市で、2度にわたって児相に一時保護され、父親も結愛ちゃんへの傷害容疑で2回書類送検されていた。
 それでも県の児相から引き継ぎを受けた東京都の児相は、都の基準に該当しないとして警視庁と情報共有をしなかった。児相同士や警察との連携が適切だったか、十分な検証が必要だ。
 共同通信の調査では、児相を設置する全国の69自治体のうち児童虐待が疑われる事案の全件について警察と情報共有している自治体は、茨城、愛知、高知の3県にとどまる。結愛ちゃん事件を受けて、岐阜、埼玉両県も全件共有の方針に切り替えたが、まだまだ少ない。
 加えて半数近くの自治体は、情報提供の基準を設けていなかった。一時保護の際に保護者の強い抵抗が予想される場合などには、警察との連携が重要になる。迅速に対応するためにも、普段からできるだけ情報を共有しておくことが必要だ。
 警察との全件共有には「親族が警察に共有されることを嫌がり、通報が減る可能性がある」「本当に必要な事案が埋もれる」などの慎重な意見もあるが、増え続ける児童虐待に児相だけでは、対応に限界があるのも事実だろう。
 16年度に全国の児相が対応した児童虐待は12万件を超え、国は法改正などで児相の体制や権限を強めてきたがマンパワーが追いついていない。
 専門家からは、児童虐待の実情は児相の対応能力を超え、検察・警察、裁判所との間で職務の配分を根本的に見直す必要があるとの指摘が出ている。保育、教育など子どもと多くの関わりを持つ市区町村の対応強化も欠かせない。
 政府は来月にも緊急対策をまとめるが、弥縫(びほう)策に終わらせず、本腰を入れて子どもの命を守る方策を検討してほしい。


子どもと地域 多世代が語り合う場を
 小中高生らと地域の多世代の大人らが車座になり、本音で語り合う―。
 こんな機会を設けることで、子どもたちの成長を促し、地域とのつながりも深まる効果があることが指摘されるようになった。
 「岡山県社会教育委員の会議」(議長・濱田栄夫山陽学園大副学長)は先日、「子どもを核とした地域づくり」と題した提言を鍵本芳明県教育長に提出した。その中で、語り合う場の実践として岡山市立平津小学校で行った事例などを紹介している。
 平津小の場合、小学生や学区の中学生、保護者、地域の世話役らが混在した7人ほどのグループに分かれ、スマートフォンなどの適切な利用について、それぞれの立場から思いを語り合った。
 参加者へのアンケートでは、地域の課題解決への意欲が高まるなど実践後の満足度が大きかったことがうかがえた。大人も子どもも、日ごろは話すことがなかった相手の思いを少なからず理解できたことなどが要因とみられる。
 子どもたちを含む地域の多世代が語り合う場の設置では、NPO法人だっぴ(岡山市)が岡山県内で先駆的に取り組んできた。2014年から高校生を、15年から中学生を対象に実践している。
 岡山県内自治体の教育委員会や学校の賛同を得て、中学校を対象にした催し「中学生だっぴ」などが各地に広がりつつある。18年度は20近い学校や地域での開催が見込まれている。先月には活動を「岡山中学生白書」としてまとめ、アピールしている。
 だっぴの場合、子どもらと地域の大人だけでなく、進行役を務めるボランティアの大学生を加えて8、9人のグループに分かれて行う。「勉強する意味とは」といったテーマをいくつか設定して、子どもや大人が対等に語り合う。
 開催後には、参加した生徒の顔がすがすがしくなるといった変化が見られる。中学生1277人の調査では、開催後には「自分のことを大切にしようと思う」「多くの人の役に立ちたい」「住んでいる地域が好きだ」といった回答が開催前よりも大幅に増えるなど、自己肯定感や自己効力感、地域への愛着などが高まっている。
 参加した大人の側にも、学校のボランティアに協力する人が増えるなどの意識の変化が見られるという。
 旧来の学校教育の枠にとどまらず地域との連携・協働を進めるよう国も旗を振るものの、現場でどう取り組むべきか戸惑いも見られる。こうした語り合う場の設置は、学校が地域とつながりを深める契機になる。地域の当事者としての自覚を育む効果があり、地方創生の人材育成や主権者教育の一歩ともなろう。
 語り合う場をもっと広めていきたい。行政の施策として確立し、大学とも連携するなど地域を挙げた仕組みとして普及・定着を図るべきだ。


のぞみ破損事故 安全意識どこへいった
 山陽新幹線博多発東京行きのぞみが、博多―小倉間を走行中に人をはね、車両の先端が破損したにもかかわらず、そのまま新下関駅まで走行していた。
 JR西日本は、昨年末の新幹線の台車亀裂問題を受け、安全最優先の行動を徹底すると打ち出したばかりだ。にもかかわらず、運転士や駅員は異変に気付きながら、運転指令に報告しなかった。台車亀裂問題の教訓はどこへいったのだろうか。
 50代の運転士は、「ドン」という音を聞いたものの、過去にも小動物に当たった経験があることから、同様の衝撃音だと判断し、指令に報告しないまま、運行を継続したという。
 最初に停車した小倉駅では、30代の駅員が車両の前頭部に血のりやひび割れのようなものを確認したが、それを大きな異常とは認めず、点検せず発車させたという。安全より運行を優先させた判断で、にわかには信じ難い対応だ。
 小倉駅の駅員が指令に異常を報告したのは、車両が出発してから。次の新下関駅で停車して確認したところボンネットの破損や人の体の一部が見つかった。たとえ小動物だったとしても異音や衝撃があったのなら、まず報告すべきだろう。
 時速300キロにも達するのぞみである。そのまま走行を続けていれば、破損が広がったり破片が周辺に飛び散ったりして、さらなる事故につながっていたかもしれない。
 昨年12月の台車亀裂の際も、運転士らが異常を感知しながら情報が共有されず、3時間以上も運行を継続させていた。亀裂はあわや大惨事となるところで、運輸安全委員会が新幹線で初めて「重大インシデント」に認定したほどだった。
 その反省からJR西が今年2月に発表した安全計画には「安全が確認できない場合は直ちに列車の運行を停止」と明記されている。福知山線の尼崎脱線事故から13年となった4月の慰霊式でも、来島達夫社長は「安全最優先の風土を構築する」と誓っていた。安全計画が空文化していると批判されても仕方あるまい。
 報告が遅れた背景には、JR西の余裕のないダイヤがあるとも指摘される。ダイヤの順守も安全あってこそだ。社員の意識を変えていく必要もあろう。
 おととい会見で陳謝した平野賀久副社長は「(安全意識が)われわれの目指すレベルに到達していない」と認めた。今後は運転シミュレーターに異常音を感知した場合の訓練も導入するという。喫緊の課題だけにあらゆる対策を急いでほしい。
 台車亀裂問題を検証した有識者会議が3月にまとめた提言には、「リスク認識に甘さや油断」「対策を打ち出したらそれで終わりになりがちな傾向がある」などとJR西への厳しい文言が相次ぐ。こうした声を真摯(しんし)に受け止め、安全意識を現場の隅々まで浸透させる、徹底した取り組みが欠かせない。
 はねられたのは、福岡県直方市の52歳の男性で自殺とみられる。高架橋の橋脚に設置された点検用の足場を使って線路内に入ったようだ。JR各社は線路内への立ち入り防止策も再確認せねばなるまい。
 多くの命を運ぶ巨大な交通インフラである。「安全最優先」を忘れてはならない。


のぞみ人身事故で破損…走行し続けたら大惨事を招いていた
 第2の事故が起きかねない状況だった――。
 14日に起きた山陽新幹線の破損事故。東京行き「のぞみ176号」が博多―小倉間の北九州市八幡西区を走行中に人と接触した。
 運転士はドンという異常音を聞いたが東京の運転指令に報告せず、小倉駅を通常通り出発。同駅ですれ違った新幹線の運転士が気付いたため、JR新下関駅に緊急停車し、ボンネット部分が破損し、血がついていることが確認された。
 のぞみのボンネットは炭素繊維強化プラスチックを使用。しなりが良く頑丈な素材で、ゴルフクラブのシャフトなどに使われているが、猛スピードの衝撃でボロボロにちぎれてしまった。ボンネットはタコの頭状の部分とイカリング状の部分の2つで構成され、重量はそれぞれ20キロ前後という。
 気になるのは、この列車があのまま走行していたらどうなったかということだ。山陽新幹線では2015年8月に車体下部のカバーが脱落して飛散し、トンネル内のあちこちに激突。車内にいた女性客が顔と腕にケガを負う事故が起きた。今回ののぞみ176号は最高速度の時速285キロで走行している。
 交通ジャーナリストの間貞麿氏が言う。
「今回もかなり危ない状況でした。285キロで走ると振動が激しい上に裂け目から空気が入り、破片が次々とはがれて後方に飛び散る可能性が高い。トンネルの中だと客室の窓を直撃したかもしれません。反対方向の新幹線とすれ違うときに互いの空気圧で大きくはがれ、風で巻き上げられて対抗車までも傷つけた危険性も。線路沿いの住民にぶつかる心配もありました」
 のぞみが止まらない駅には通過線が設けられ、列車はそこを通るようになっているが……。
「通過線は乗客がいるホームと離れているので危険性は低くなりますが、熱海駅だけは通過線がない。人がいるホームを通り過ぎるのです。徐行はしますが、破片が人の顔を直撃したら大ケガにつながりかねません」(間貞麿氏)
 新下関で止まってよかった。


【新幹線の安全】「迷わず止める」の構築を
 人の命を運んでいる、という安全意識が欠如している。JR西日本は、そう非難されてもやむを得ないだろう。
 山陽新幹線のぞみ176号が福岡県内で人身事故を起こし、運転士と停車駅の駅員が事故の異常音や車体の異変に気付きながら、そのまま運行を続けていた。
 運転士らは過去の経験から小動物との衝突と思い込み、走行に影響はないと判断したという。だが、のぞみはボンネットの先端部が割れて破損したまま、10分前後も高速走行しており、重大事故につながっていた可能性は否定できない。
 「安全を確認できない場合には迷わず列車を止める」。昨年12月に起きた山陽新幹線の台車亀裂問題で、JR西が改めて打ち出した教訓は生かされなかった。新幹線の安全を信じ、命を預ける乗客らを裏切ったにも等しい。
 事故は、博多を出発したのぞみ176号が次の小倉駅に向かう途中で起きた。男性が線路内に侵入し自殺を図ったとみられる。
 50代の運転士は小動物との衝突と考え、重大トラブルと捉えず、安全措置などを仰ぐ運転指令に報告しなかった。小倉駅の30代の駅員も車体先端部に血のりやひび割れのような痕跡を目視しながら、特段の異常と認識せず、列車が発車した後に指令に伝えたという。
 JR西は、乗客106人が死亡した2005年の尼崎脱線事故で、運転士らへの懲罰的な指導が誘因として問題視された。昨年の台車亀裂問題では、乗務員が異常を察知した後も点検せず、約3時間も走行し続けていたことが分かり、「安全最優先」を誓った教訓の風化が厳しく問われた。今年2月に新たな安全指針をまとめたばかりだ。
 安全意識の緩み―という捉え方だけでは理解し難い。
 今回も、ダイヤ優先の重圧が背景にあるのではないかとの指摘や、新幹線の線路内に人が入り込む事態は想定外だったという見方もある。だが、安全を軽視したようなミスや不手際が繰り返される状況は、JR組織内に根深く残る体質的、構造的な要因を疑わせる。
 新幹線は1964年の開業以来、87年の国鉄分割・民営化を経て安全と信頼を築いてきた。一方で、採算性やサービス向上がより求められ、利益や効率化への追求が強まる中、安全点検や事故防止の手だてが後回しになったり、課題の見落としが生じたりしていなかったか。
 東海道新幹線では乗客3人が無差別的に殺傷される事件が起きた。3年前には焼身自殺に無関係の乗客が巻き込まれた。乗客全員の持ち物検査が非現実的な鉄道で、そうした凶行をどう防ぐか。列車の安全対策は多面的な検証を求められている。
 人為的な対策に限界があるとすれば、人工知能(AI)といった先端技術の活用も柔軟に検討すべきだろう。「迷わず止める」の安全システムの構築を急ぎたい。


[新幹線人身事故] 「安全最優先」はどこに
 一体、安全対策はどうなっているのかと危惧せざるを得ない。
 山陽新幹線博多発東京行きのぞみ176号(乗客約200人)が14日、博多−小倉間で人をはねる事故を起こした。
 その際、運転士は「ドン」という異常音に気付いていながら運転指令に報告せず、走行を続けていたことが分かった。
 さらに、停車した小倉駅で駅員が先頭部分に血のりやひび割れのようなものを確認しながら、すぐに発車を止めていなかったことも明らかになった。
 「安全確認ができない場合には迷わず列車を止める」
 JR西日本は昨年、のぞみの台車に亀裂が入った問題を受けて安全最優先のマニュアルを打ち出し、安全意識の向上を誓ったばかりだったはずだ。
 だが、その教訓は生かされなかったといえる。石井啓一国土交通相は「判断が適切だったのか。なぜ報告しなかったのか」についてJR西日本に検証を指示した。
 大量輸送を担う鉄道は、一つのミスが大きな事故につながりかねない。JR西日本は速やかに検証し、対策を徹底してほしい。
 のぞみは昨年12月、台車に亀裂や油漏れが見つかり、運輸安全委員会が新幹線のトラブルでは初の重大インシデントに認定した。
 乗務員が異臭や異常音に気付きながら、車両の床下を点検するまでに約3時間も運転を続けていたことが問題となった。大惨事を招く寸前だったからである。
 今回は重大インシデントではないが、異変を察知したら指令に判断を仰ぐか、すぐに運行を止めて安全確認をするべきだった。
 JR西日本の平野賀久・副社長は会見で、「報告義務を定めたマニュアルを失念していたか誤解していた」との認識を示した。
 仮にそうだったのであれば、まことに心もとない。安全意識の共有が不徹底だったといえよう。
 今年3月、台車亀裂を検証する有識者会議は最終提言書で「対策を打ち出したらそれで終わりになりがちな傾向がある」など、JR西日本の体質を厳しく指摘した。
 問題の背景に、ダイヤを守らなければという運転士に染みついた習性を指摘する声もある。
 東海道・山陽新幹線はJR東海と西が一体的に運行する日本の大動脈だ。山陽新幹線だけでも1日平均260本以上、20万人以上を運んでいる。
 ダイヤを乱し、乗客に迷惑をかけたくないとの思いは理解できるが、事故が起きてからでは遅い。現場の隅々まで安全意識を高めることが求められる。


袴田さん再審問題/慎重な審理を迅速に
 静岡県で1966年に一家4人が殺害された強盗殺人事件を巡り東京高裁は、袴田巌さんの裁判をやり直す再審開始を認めない決定をした。死刑が確定し服役した袴田さんは2014年3月に静岡地裁の再審開始決定で刑の執行が停止され、ほぼ半世紀ぶりに釈放されたが、検察が異議を唱え即時抗告。さらに約4年が審理に費やされた。
 即時抗告審の最大の争点は確定判決で犯人の着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕のDNA型鑑定。地裁決定は衣類は袴田さんのものではなく「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」としたが、検察は同じやり方でDNAを検出するのは困難と反論。鑑定は信用できないと主張した。
 鑑定を巡り高裁は、それを手掛けた筑波大教授と、疑問を呈した大阪医科大教授の尋問や検証実験などを基に「一般的に確立した科学的手法と認められない」と指摘。「有用性に深刻な疑問があるにもかかわらず過大評価した」として地裁決定を覆した。ただ刑と拘置の執行停止は「棄却決定が確定する前に取り消すのは相当ではない」とした。
 弁護側は「不当で承服できない」とし、最高裁に特別抗告する。さらなる長期化は避けられない。袴田さんは82歳になり、健康不安も抱える。地裁と高裁の判断が分かれる中、最高裁には慎重かつ迅速な審理が求められよう。
 袴田さんは、みそ製造会社専務の一家4人を殺害したとして1966年8月に逮捕され、自白したが、公判で一貫して無罪を主張。そのさなかの67年8月、専務宅そばのみそ工場のタンク内から麻袋入りのシャツなど血痕の付いた5点の衣類が見つかり、検察側は犯行時の着衣を袴田さんの自白にあるパジャマから5点の衣類に変更した。
 死刑確定の翌年、81年4月の第1次再審請求は2008年3月に退けられたが、その翌月、体調の芳しくない袴田さんに代わり姉秀子さんが申し立てた第2次再審請求で弁護側は第1次で「鑑定不能」とされたDNA型鑑定の実施を求めた。
 静岡地裁は筑波大教授の鑑定について「前例のない方法」といった専門家らの批判も含めて検討を加え、信用性を認めた。また再審請求審で検察側が開示した5点の衣類の発見時に撮影されたカラー写真や再現実験から「色合いや血痕は長期間みその中にあったにしては不自然」とするなど、捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の疑いも指摘した。
 一方、東京高裁は筑波大教授が鑑定に関するデータを保存していないことなども挙げ、信用性を否定。また劣化した写真を基に色合いなどを判断したのは不合理とし、犯行時の着衣はパジャマとの自白を得ていた捜査機関が5点の衣類を捏造するのは考え難いと述べた。
 ただ袴田さんが犯人なら、専務宅の放火に使った油で5点の衣類を焼いてしまうのが自然で、なぜ、多くの人が作業をする工場のタンクに隠したのか。地裁決定が指摘したいくつかの疑問は残る。
 即時抗告審で検察側が開示した逮捕後の取り調べの録音からは、警察が連日、長時間にわたって自白を迫っていたこともうかがえる。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則に従い審理を尽くしてもらいたい。


真瀬樹里、母・野際陽子さん亡くし1年 思い出すのは「楽しくて陽気で三枚目」な姿
 昨年6月に亡くなった野際陽子さん(享年81)の長女で、女優の真瀬樹里(43)が、5月21日に著書『母、野際陽子 81年のシナリオ』(朝日新聞出版)を出版した。知られざる一面など盛りだくさんの内容で真瀬は「楽しい母を紹介できたかな」とアピールした。
■厳格さのあった母としての野際陽子さん それでも「思い出すのは面白いこと」
 死去から1年という月日が経った、このタイミングでの出版。きっかけは、とあるひと言だったという。「『野際さんの人生を綴った本を出しませんか』と。最初は絶対にありえないと思ったんですけど、いろんな人に相談すると、ほとんどの人が『ステキだと思う』という意見でした」。野際さんは生前に数多くの作品に出演した。「母がいなくなったという実感はあまりなかったんです。いろんな作品の中で母は生きているような気がして…」。
 一方で、「母が生きた証は、この職業だといっぱい残っていると思っていたんですけど、それは一部でしかないなと思った。母そのものの人生をまとめたものはないと思って、1つのかたちにできたら喜んでくださる方も多いかなと思ったし、私自身の宝物にもなるかなって」という。その思いは次第に強くなり「考えれば考えるほど作りたいという意思に変わりましたね」と経緯を明かした。
 本の中では、一人っ子である真瀬へは厳しい接し方をするときがあったことも告白した。「キツかったですけど、世の母は怒るもの。ただ、猫可愛がりするときと怒るときは両極端だったと思いますね。ほかのお母さんと比べても、怖さのレベルはうちは結構なものだったのではないかと思います」と回想する。30歳で真瀬が重圧に耐えきれず、野際へ思いを隠さずに打ち明けるシーンが印象的に描かれている。「あのときに親子の関係が完全に変わりましたね。それまでは母親でした。20代になって友達みないなときも多かったですけど、遠慮しているところもあったし、いい子でいなきゃという意識があった。そこからは母、友達という部分もありながら、お姉ちゃんや親友みたいで恋人みたいな部分もありましたね。今までの分を取り戻すように甘えたい放題に甘えたので」と懐かしんだ。
 そして、紆余曲折ありながらも愛した母が亡くなり、1年。今、あらためて野際さんについて聞くと、こう返ってきた。「いろんなことを本では書きましたけど思い起こすのは、やっぱり面白い人だったなということ。楽しくて、陽気で三枚目でしたね。そういうことばかりが残りますね。子供の頃から厳しかったし、怖かった。でも、24時間、怒っているわけではない。こうやってお話させていただいている度に、もっともっといろんなことあったな〜、と思い出すのは面白いことですね」。
■野際陽子役に込めた思い「ホントの母を表現できたら」
 昨年放送の帯ドラマ劇場『トットちゃん!』(テレビ朝日)に、野際さん役で出演した真瀬。その姿は「野際さんの生き写しのよう」「そっくりすぎる」と話題となった。「外見は、ずいぶん前から似てると言われた。私自身は似てると思ったことはないんですね。母も同じように『どこが似てるのかな』って」と苦笑い。それでも「年齢を重ねれば重ねるほど、ふと鏡を見た瞬間とかに今の目つきが似てるなってときはありましたね」。役者として誰よりも知っている母を演じるため、できるベストを尽くした。
 口に手を当てる動きや、首の傾け方など細かな部分までこだわったという。「外見だけ似せるだけではつまらない。たぶん素の野際陽子は私が1番、知っていると思ったので私にしかできないホントの母を表現できたらなって思いました。外見だけでなく仕草や雰囲気は意識しないと似ないところ。外見じゃなくて、そういったところを褒められたときはうれしかったですね」と満足げな笑顔を見せた。
 一方、苦労したのは「声質ですね。私は低音でハスキー。母はピンって通る高音なので」という。「役者として声のダメ出しが1番多かったです。『ハスキーでも低くてもマイクに乗りやすい声があるんだ』と。どうやってやるのか聞いたら具体的には教えてくれなかったですけど(笑)」。
■アニメにハマり声の大切さを思い返す 声優業は「チャンスがあれば」
 そんな母の教えを、あらためて実感することもあるそう。「今、私がアニメや声優さんに興味が出てきて、声優さんのラジオを聞いたりしていると、『マイクに乗る声』というフレーズが出てくる。声のプロはやっぱりそうなんだと思った。私が難しいこと言われていると思ったことを声のプロフェッショナルの方は当たり前のこととしてやっているんだなと思って、まだまだだなって思いましたね」と明かした。
 アニメにハマったきっかけは幼少期に見た『ドラゴンボール』を再視聴したことだ。「子どものときは『悟空がかわいい』とか『ドラゴンボール集めが楽しい』って感じで見てましたけど、大人になってちゃんと見たらこんなに深い物語なのかと思って(笑)。何回も泣いて感動しました」。
 そこから得たものも多い。「何を見るにしても、お芝居を見てしまうので声優さんたちのお芝居が本当にすごいと思った。特にドラゴンボールの声優さんたちは大御所の方ばかりで、なんて達者な人たちなんだろうと思った。あらためて見て衝撃でした」と今だからこそ思うことを口にした。「母に声のことを言われていたこともあって、声にコンプレックスがあるんです。なので、声で表現することに興味がある。コンプレックスを乗り越えて個性にしたいという思いもあります。やっと『あなたの声は個性』と言われるようにもなってきたので1つ、モノにしたいなと思っていた」と話し、声優業について「挑戦はしてみたいです。低音なので絶対に自分の姿ではできない少年とかをやってみたい」と夢を語った。
 ただ、大好きな業界なだけにリスペクトもする。「(今の)声優業界は映像より厳しいと言われている。ものすごい競争率。声優の勉強を専門にしてない人が入っていいのかなとも思う」と謙遜し「チャンスがあれば」と話すに留めた。
 芸能界で生きる厳しさ、そして楽しさを教えてくれた母・野際陽子という存在。「生き生きとした素顔のままの野際陽子を伝えたいと思った。母も、それを1番喜んでくれると思う。だから、気取ったり、作ったり、盛ったりしていない楽しい母を紹介できたかな。書いてる途中に私自身が何回も吹き出しちゃったエピソードがいっぱいあるので、楽しく読めると思います」。野際さんが残したものは真瀬を介し、色褪せることなく輝き続ける。


故ホーキング博士、ニュートンの墓そばに埋葬
博士の声、ブラックホールへ発信
【ロンドン=時事】3月に76歳で死去した「車いすの天才宇宙物理学者」スティーブン・ホーキング博士の追悼式が15日、ロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われた。博士の遺灰は、同寺院に眠るアイザック・ニュートンやチャールズ・ダーウィンら高名な科学者の墓のそばに埋葬された。
 BBC放送などによると、式には博士の遺族や親交のあった著名人のほか、各国から抽選で選ばれた一般人1000人も参列。全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病と闘いながら、ブラックホールなど宇宙の謎の解明に取り組んだ博士を追悼した。テレビドラマで博士を演じた英俳優ベネディクト・カンバーバッチさんも参加した。
 式に合わせて博士の声が、スペインにある欧州宇宙機関(ESA)のパラボラ・アンテナから地球に最も近いブラックホールに向けて発信された。声は「地球の保全」に関して博士が生前行った演説の一部で、娘のルーシーさんは「この惑星の上で仲良く共生していこうという平和と希望、連帯のメッセージだ」と述べた。


「水俣病の記録」劣化の危機 見学施設「歴史考証館」が老朽化 ネットで改修費の寄付募る
 水俣病の関係資料約280点を展示する熊本県水俣市の一般社団法人「水俣病センター相思社」の見学施設が老朽化し、貴重な資料の劣化が懸念されている。1956年の公式確認以降、原因企業のチッソと患者が交わした文書や裁判資料などを展示するが、施設の建て替えは費用確保のめどが立たず断念。文書保存に必要な設備の更新や改装でしのごうと、18日からインターネット上で245万円を目標に寄付を募る。
 見学施設の歴史考証館(約230平方メートル)は88年、キノコ栽培工場を改装して開館。内装などはJR九州の「ななつ星in九州」などのデザインで知られる水戸岡鋭治氏が手掛けた。館内には、患者と家族の苦しみを描いた故石牟礼道子さんの代表作「苦海浄土」の直筆原稿や、チッソ側の医師による動物実験で猫を飼っていた小屋などが展示され、年間約3千人が訪れる。
 約22万点に上る保管資料の大半を占める文書類は、変色やカビを防ぐ湿度管理が不可欠だが、除湿機能付きの展示ケースは1台しかなく、一部資料は劣化が進んでいる。寄付金で6台を追加購入する予定で、73年に患者とチッソが結んだ補償協定書も原本を常設展示したいという。塗装がはげてさびも目立つ天井や内壁は塗り直す。
 寄付はインターネット上のクラウドファンディング(CF)の手法を活用し、7月末まで受け付ける。相思社の葛西伸夫さん(48)は「今秋は68年の公害認定から50年の節目。機会を生かし内容を充実させたい」と話す。相思社=0966(63)5800。


話題のアプリ「方言チャート」 女子大生に聞いた開発秘話
〈今日のテストみやすかった(簡単だった)ねと言う?〉〈ランドセルをかるう(背負う)と言う?〉――。
 方言に関する質問にイエスかノーかで答えていくだけで、回答者の出身地を当てることができる。そんなアプリ「方言チャート」は、東京女子大現代教養学部人文学科の篠崎晃一教授(写真右端)とゼミ生が2013年に初めてアップして以来、何度となく更新を繰り返している。
 今年5月に1000万人の回答データを分析し直した「方言チャート100PLUS僑釘悄徃任縫▲奪廛哀譟璽鼻「前より当たる」と評判で、記者も試したら一発で的中。一体どんな女子大生が携わったのか。ゼミを直撃!
 東京・杉並区の校舎で記者を迎えてくれたのは、篠崎教授と8人のゼミ生(メンバーは全9人だが1人は就職活動で欠席)。それぞれ担当エリアを分担して調査したという。早速、話を聞いた。
「私は静岡、岐阜、愛知を担当。この調査では、ネットなどで調べた方言が実際に使われているかどうか、地元出身者複数人に確認することが義務づけられています。私はその地方の知り合いが少なかったので、アンテナショップに問い合わせるなどしました」(大森麻裕さん・山梨県出身)
「若い人が実際に使っている方言を調べるのが大変でした。ユーチューブの方言動画などを参考にしました」(塩谷祐実さん・東京都出身)
「鳥取と島根を担当。フェイスブックで<鳥取と島根の知り合いがいたら教えて!>と拡散してもらいました」(内田乃衣夏さん・神奈川県出身)
「私は山梨、長野、新潟を担当。パソコンでアンケートフォームを作りました。同じ県で使われている方言は、地域によって微妙に違います。例えば新潟県では4つのエリアに分かれます。1エリアで複数人にアンケートを取るとなると、その数は膨大。調査したのは、新潟県だけで100人にも上りました」(戸谷遥さん・長野県出身)
 他のメンバーも一番苦労したのは「ネーティブ探し」と口をそろえる。社会経験や人脈の少ない女子大生にとっては大変な作業だっただろうが、SNSなどを駆使するあたり、さすが今どきのコ。
 ところで今回の調査で得たものは?
「京都と大阪の方言は、似ているようで微妙に違うんです。しかもお互いをライバル視していて、『これって同じ意味ですよね?』と聞くと、『一緒にせんといて!』と怒られるんです。今後、京都と大阪の人に会ったら気をつけます(笑い)」(楠木那月さん・和歌山県出身)
「関東は方言なんてないと思っていたんですが、調べてみると『半分ずっこ』は千葉、『ズルこみ』は東京だとわかり、関東出身者としてうれしくなりました」(長谷川みなみさん・埼玉県出身)
「方言について聞かれて嫌な顔をする人はいませんでした。自分の地元に関心を持ってもらうことはうれしいんだと思います。方言は心の距離を縮められるきっかけになるのでは」(佐藤ゆりこさん・大分県出身)
「初めて会った人でも方言トークは盛り上がりました。飲みニケーションの話題にぴったりだと思います」(長井麻莉子さん・埼玉県出身)
 最後にズバリ聞いてみた。方言を使う男ってどう?
「親しみやすい!」(内田さん)、「ちょっと堅そうな人が方言を使うとギャップがあっていい!」(塩谷さん)、「コンプレックスに思ってる人も多いけど、もっとさらけ出した方がいい。好感度アップ間違いなし!」(大森さん)
 地方出身の皆さん、いかがですか?