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Japon-Pologne: la très risquée tactique de Nishino en fin de match
En conférence de presse après la défaite du Japon contre la Pologne (0-1), le sélectionneur Akira Nishino a avoué qu'il avait misé en fin de match sur une défaite du Sénégal contre la Colombie pour se qualifier. Un pari risqué, mais payant.
Le Japon a eu très chaud. Avec une défaite contre la Pologne (0-1) ce jeudi, la sélection asiatique a validé de justesse sa place pour les huitièmes de finale de la Coupe du monde, grâce à la règle du fair-play. En effet, à égalité avec le Sénégal, les Nippons ont récolté deux cartons jaunes de moins que les Africains dans la compétition, provoquant l'élimination de ces derniers.
Un scénario qu'avait imaginé le sélectionneur japonais Akira Nishino et qui a changé sa tactique pour la fin du match. "J'ai décidé de garder le statu quo dans notre match (0-1), et de miser plutôt sur l'autre match." Donc sur le fait que le Sénégal n'égalise pas dans le même temps contre la Colombie (0-1 score final).
"La situation m'a forcé à prendre cette décision"
"C'était une décision très difficile. Mais mes joueurs ont été fidèles à ma décision. C'était difficile, parce que mon style est orienté vers l'attaque. La situation m'a forcé à prendre cette décision." Un but du Japon aurait acté à coup sur sa qualification. Mais Nishino a donc préféré misé sur la défaite d'un but pour passer dans le dernier quart d'heure, ne souhaitant pas jouer la possibilité d'être éliminé en prenant un deuxième but face à la Pologne. Une stratégie payante mais ô combien risquée.
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フランス語の勉強?
平尾 剛 @rao_rug
決勝Tに進出したことはうれしい。だがあの戦い方に夢や希望を抱くことはできない。アスリートが社会のロールモデルに挙げられた時代はもう終わったように思う。結果だけを重視する勝利至上主義が、これほどまで蔓延していることに憂いを覚えるのが偽ざる気持ちである。終
横川圭希 @keiki22
1人でもあの戦略に違和感を表明する選手がいてなんだかホッとしてる。

栄養不足で苦しいです.MMが足りません.といってもどうにもできないのですが・・・
朝北区役所でもらった書類を速達で送付しました.メールでも送ったよ,と書いたけど何も返事がありません.ちょっと残念です.
夕方キソWで久しぶりのToさんでした.

「オナガワエフエム」放送文化基金賞 被災者の今 声でつなぐ
 宮城県女川町の一般社団法人「オナガワエフエム」の制作スタッフが、放送分野の優れた番組などを表彰する第44回放送文化基金賞「個人・グループ部門」に選ばれた。東日本大震災後に開局した臨時局を前身に、復興へと歩む町の現状を被災者自身の声で伝えてきた。関係者は「これからも町民やリスナーをつないでいく」と張り切っている。
 受賞スタッフは、TBCラジオで毎週日曜放送の番組「佐藤敏郎のOnagawa Now! 大人のたまり場」を手掛ける。全国のコミュニティーFMなど25局でも流されている。
 パーソナリティーは、女川一中(現女川中)などに勤務した元教諭佐藤敏郎さん(54)らが務める。放送は既に100回を超え、臨時災害放送局「女川さいがいFM」時代を含めると2000回以上になった。
 収録は週1回。女川小の駐車場一角にあるコンテナで行う。今月10日夜には、町民ら8人が「写真」をテーマにトークを展開した。
 震災後にがれきの中から拾い集めた写真が机の上に広げられると、出演者は「小さな頃の写真が全て流されてしまった」「七五三の写真がなくなってしまい残念」と津波に思い出を奪われた無念さを口にした。
 パーソナリティーの一人、阿部真知子さん(35)は町内の水産業体験施設「あがいんステーション」で働く。「職場に足を運んでくれるリスナーもいる。復興の良い面だけでなく、課題に向き合いながら町民の思いを伝える」と話す。
 「女川さいがいFM」は2011年4月開局。町内の防災無線が機能しない中、町民有志らが生活情報を伝えるなどしてきた。16年3月の閉局後も存続を求める声を受け、社団法人として番組制作を続けている。
 佐藤さんは「町民やリスナーが積み重ねてきたものを評価してもらった。今後も人々の思いをつなげる役割を果たしたい」と決意を語る。
 放送文化基金賞は公益財団法人放送文化基金の主催。本年度は全国の民放やNHK、プロダクションなどから286件の応募、推薦があった。今月6日に番組部門で16番組と個人6件、個人・グループ部門で7件の受賞が決まった。


塩釜復興 新たな拠点に 海岸通再開発事業が着工
 東日本大震災の津波で被災した塩釜市海岸通地区の市街地再開発事業のうち、1番地の地鎮祭と着工式が28日、現地であった。市内の中心市街地の復興と再生の拠点に位置付けられる同地区の再開発が本格始動。関係者は曲折を振り返りながら工事の安全を祈った。2020年春の完成を目指す。
 地鎮祭には海岸通1番2番地区市街地再開発組合や国、県、塩釜市、工事の関係者ら約70人が出席した。
 続く着工式で、組合の鈴木成久理事長が支援や協力に感謝し「塩釜市の中心市街地として、未来の子どもに誇れるまちづくりになるよう取り組みたい」とあいさつ。祝辞で土井亨復興副大臣は「本当にご苦労されて、やっとここまで来たなという思い」、佐藤昭市長は「まだ困難、課題は山積している。市は組合と力を合わせて事業が期間内に完成するよう誓う」と述べた。
 再開発の区域は国道などを含むJR本塩釜駅西側の0.8ヘクタールで、総事業費39億6500万円。震災後の工事費などの高騰を受けて当初より0.2ヘクタール縮小し、総事業費も約50億4500万円から減額した。
 区域のうち、着工した1番地は国道45号を挟んだ南側で敷地面積約3360平方メートル。鉄筋14階の住宅棟、鉄骨3階の事務所棟、鉄骨5階の駐車場棟が建つ。
 住宅棟は1階に店舗が入り、2〜14階はマンション(63世帯)。事務所棟は1階が店舗で2、3階は市が取得して市子育て支援施設とする。新設の保育所(定員40人)が入り、子育て支援センターが移転する。
 残る2番地は敷地面積約1270平方メートル。1〜2階の低層の建物を整備し、「直会(なおらい)横町」をコンセプトに塩釜神社の門前町の風情を取り入れた専門店・飲食店街にする。19年3月をめどに工事の入札を行い、完成の目標は同じく20年春。
 再開発事業は、12年6月の地権者懇談会を機に検討が始まった。津波で商店街の40店が被災し、現地で再建したのは12店。高齢を理由に再開を断念した店もあった。


山元町沿岸部・農地整備 大区画化で営農再開
 山元町の津波防災区域(災害危険区域)で進む山元東部地区農地整備事業で計約417ヘクタールの大区画化が終了し、今月、全域で営農が始まった。最大区画は畑8ヘクタール、水田2ヘクタール。効率的な農業を目指し、東日本大震災の津波で被災した農地や宅地跡を集約した。
 事業は県が主体となり、町は地権者との調整などを担った。2014年度着工で畑約265ヘクタール、水田約152ヘクタールを整備。2015〜17年度、畑、水田の計66ヘクタールで段階的に営農が始まり、今年5月末までに残り351ヘクタールが整備された。畑作の大規模化が著しく、9割近くの230ヘクタールを8法人が耕作する。
 町沿岸部の農地は排水の悪さが長年の課題となっており、排水設備も一体的に整備。総事業費は約180億円で、国の復興交付金が充てられた。
 農地整備がほぼ終了した一方、海岸林が津波で壊滅して強風で苗が定着しなかったり、排水路が砂で埋まるなどの課題も出ている。県は本年度、高さ2メートルで盛り土した防風林帯(延長4.8キロ)に高さ3メートルの防風ネットを設置する事業に取り組む。
 宅地跡を中心に地力も回復していない。残存しているがれきが農機具を傷める事例もあるという。
 斎藤俊夫町長は「県の強い後押しで、競争力のある営農を期待できる状況になった。地力のアップなど、県や農協などと協力して農家の支援に力を入れていきたい」と話している。


震災遺児奨学金増へ 宮城県知事、基金見直し表明
 県議会6月定例会は28日、一般質問を続けた。東日本大震災で親を失った子どもに奨学金を支給する「みやぎこども育英基金」の運用について、村井嘉浩知事は奨学金の増額を検討する考えを示した。
 村井知事は基金の使途見直しを表明。奨学金について「給付対象者のニーズの把握や統計データを検証する。隣県の状況も考慮した上で、増額を含めた制度拡充を検討する」と述べた。
 現行の奨学金は未就学児から大学生までを対象に月額金と一時金を支給。満額は最大585万円になるが、岩手県は1534万円、福島県は1344万円と大きな開きがあった。
 基金は2011年10月創設。奨学金のほか、子どもの心のケアや里親支援などに活用されている。基金には5月末までに1万6983件、総額109億7296万円の寄付があった。
 県教委への寄付金を財源とした交通、海難事故による遺児、孤児への支援金も拡充する方針。
 県は整備を推進する韓国版トレッキングコース「宮城オルレ」に関し、新たに松島地域でのコース設定を目指して松島町と協議を進める意向を明らかにした。
 境恒春(みやぎ県民の声)、安部孝(自民党・県民会議)、村上智行(同)、遠藤いく子(共産党県議団)の4氏が質問した。


河北春秋
 「ふるさとなみえ科」。二本松市にあった福島県浪江町の浪江小の仮校舎で、数年前取材した授業だ。福島第1原発事故で町を離れた児童らが避難先で古里の人々と交流し学んだ。全校生十数人でもにぎやかだった▼教室での作品が「なみえカルタ」。思い出を絵と文でつづった。「やさしい人がいっぱいいたよ 浪江町」「むぎわらぼうしかぶって遊んだ 請戸の海」「へいぼんなくらしをしてたよ 浪江町」。校長は「学校そのものを古里にしてあげたい」と語った▼町の人口は約2万だった。避難指示は昨春解除されたが、帰還者は先月末で747人。仮設商店街ができ、祭りも再開したが、多くの店や家は荒廃し、空き地が目立つ。「今は『町のこし』が求められている」。町長の馬場有さんが厳しい現実の中で掲げた目標だった▼27日、69歳で他界した。重責の疲れか、3期目途中の昨年末ごろに体調を崩した。原水爆禁止世界大会に出席し「原発は原爆だ」と被災地の怒りを伝え、離散した同胞をつなぐ「仮の町」構想を模索。東京電力との交渉で苦闘する町民を応援した▼4月、町内に「なみえ創成小・中学校」が開校し、10人が通う。児童600人余りの往時の浪江小はもうないが、町の未来である子どもの歓声を誰よりも喜んだに違いない。

<旧優生保護法>「やっと光見えた」宮城の70代女性
 「やっと光が見えた。苦しくても諦めずに訴え続けてきてよかった」。自民、公明両党の合同ワーキングチームが旧優生保護法下の強制手術を巡る司法判断を待たずに被害者救済に乗り出す方針を固めたことを受け、5月に国家賠償請求訴訟を仙台地裁に提起した宮城県の70代女性が声を詰まらせた。
 女性は県精神薄弱更生相談所(当時)で知的障害と診断され、16歳で卵管を縛る不妊手術を受けた。子を生めない体を敬遠され、3度の離婚を経験した。「人生を返してほしい」。街で親子連れを見掛けるたび、胸が張り裂けそうになるという。
 旧法が差別的規定のない母体保護法に改定された1996年以降、1人で国に謝罪を求め続けた。「乳がんを抱え、いつまで生きられるか分からない。補償も大事だが、一日でも早く国に過ちを認めて謝ってほしい」と訴えた。
 同種訴訟の原告は現在、全国で計7人。審理が先行する仙台地裁は13日の口頭弁論で、強制手術について憲法判断に踏み込む意向を示唆。提訴の動きが拡大し、司法が国の責任に厳しい目を向け始めたことが救済の流れを生んだ。
 女性を支えてきた新里宏二弁護士(仙台弁護士会)は「被害者は高齢化しており、早期解決に向けた動きは歓迎したい」と評価しつつ、「憲法違反の法律下で人権侵害の手術がまかり通っていた事実と、国と国会はきちんと向き合うべきだ」と指摘。「救済措置は被害者への真摯(しんし)な謝罪を前提に考えなければならない」とくぎを刺した。


<次世代放射光施設>仙台整備案「妥当」来週にも決定
 国内初となる次世代型放射光施設について、文部科学省科学技術・学術審議会の小委員会は28日、宮城県内の産学官が唯一応募した東北大青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)への整備案を妥当とする報告書をまとめた。同省は来週にも正式決定し、2019年度の着工、23年度の運用開始を目指す。東北に最先端の研究開発拠点が誕生する見通しが立った。
 小委員会は提案を妥当とした理由について、東北大の交通アクセスの良さや市内に産学官金の集積が一定程度あること、既に民間企業約50社が1口5000万円の出資を決めたことなどを挙げた。財源負担に関する宮城県と仙台市の対応も評価。両者は審査過程で財源負担の具体額を示し、全体の資金調達が進まない場合は「責任を持って負担する」と表明した。
 文科省は1月、放射光施設を官民共同で整備運営すると決め、パートナーを公募。産学連携組織の光科学イノベーションセンター(仙台市)が3月に県、市、東北大、東北経済連合会と共同で応じ、仙台への施設整備を提案した。
 整備費は用地造成費22億円を含め約360億円で、国は加速器整備などで190億〜200億円を拠出。センター側は加速器本体を収容する建屋建設など160億〜170億円を負担し、うち企業出資で約72億円を賄う見通し。
 記者会見した小委員会主査(座長)の雨宮慶幸東大大学院特任教授は「産学連携の推進などを意欲的に提案し、パートナーとしてふさわしい。人材育成にも期待したい」と述べた。
 国側の整備運営は量子科学技術研究開発機構(千葉市)が担う。
[放射光施設]リング型加速器で電子を光速で回し、方向を曲げた時に発する放射光を使い、ナノレベルの物質解析をする。巨大な顕微鏡とも言われ、国内に「スプリング8」(兵庫県)など9施設ある。次世代型施設は物質の機能を見る「軟エックス線」領域に強みがあり、スプリング8の100倍明るい光を使う。高性能の触媒や磁石、新薬などの開発が期待される。


ごり押し「働き方」法案 額に汗して働けない
 「働き方」関連法案が成立する見通しだ。働く人の健康を守り待遇格差を是正する。そこに疑問と不安が残ったままでは、とても額に汗して働けない。
 働き方の実情を知るため今月、スウェーデンを訪れた際、こんな体験をした。
 ある研究機関の研究者に話を聞いていて一時間ほどたったころ、彼は「これから学童保育に子どもを迎えに行くのでこれくらいで」と場を後にした。時刻は午後四時半ごろ。子育てを退勤の理由として堂々と言える。
 なにより、勤務時間を自身で調整できるような「裁量」のある働き方をしていた。この国の労働者はだれも残業はしない。仕事と生活の両立ができているようだ。
◆裁量のない働き方
 国情はもちろん違うとしても、日本の「働き方」関連法案は働く側にとってどうか。
 政府は、高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)を働く本人が労働時間や仕事の進め方を決められる働き方だと説明してきた。だが、法文上、明確とはいえない。
 政府の説明をうのみにできないのは日本では裁量のない働き方が大半だからだ。
 欧米では猛烈に働く専門職はいる。能力が評価されれば高年収を得られるし、労働条件が合わなければ転職する。働く側の立場は弱くはない。
 高プロは年収千七十五万円以上の人が対象だ。だが、収入が高いからといって自分で業務量を調整できるか、はなはだ疑問だ。
 日本の会社の正社員はどんな業務でもこなし、どこへでも転勤する働き方が主流だ。業務の担当範囲が不明確なため次々と仕事を振られ過酷な長時間労働に追い込まれかねない。
◆対象者拡大する懸念
 高プロとは労働時間規制から丸ごと外す働き方だ。行政の監視の目が緩みやすい。さらに労働時間の把握がされないことで労災認定が難しくなるとの懸念も指摘されている。
 厚生労働省が約七千六百事業所を対象に行った監督では、約四割で違法な時間外労働があった。時間規制という“重し”がある今の働き方でも違法に長く働かせる例は潜んでいるだろう。
 この状況での高プロ導入は、過労を増やし過労死を増大させかねない。
 野党の質問もここに集中した。だが、加藤勝信厚労相はじめ政府側の答弁は、知りたい点を明らかにしたとは言い難い。この制度に対する最も根本的な疑問と不安は消えていない。
 対象業務は金融ディーラーやアナリストなどに限定すると政府は言うが、これも疑問だ。
 高プロは経済界が長らく導入を求めてきたものだ。経団連は同種の制度導入を求めた二〇〇五年の提言で対象を年収四百万円以上とした。これでは多くの人が対象になってしまう。経済界の制度導入への思惑は人件費抑制だろう。
 経営者の皆さんに言いたい。
 労働コストの抑制が生産性の向上策と考えていないでしょうか。本来なら人材育成に取り組み収益の上がる業務を追求し、業務量を減らして効率化を進めるべきではないか。無理でしょうか。
 もちろん政府・与党の姿勢は批判を免れない。
 経済界の意向を受けて高プロ創設が盛り込まれた法案が一五年に提示された際、当時の塩崎恭久厚労相が「(制度を)小さく産んで大きく育てる」と発言した。対象業務の拡大を想定したとして批判を浴びた。
 過去には制度の対象を広げてきた例がある。労働者派遣法は、制度創設後拡大を続けた。製造業にも拡大され〇八年のリーマン・ショックでは「派遣切り」で失業者が出た。立場の弱い労働者が追い詰められてしまった。
 制度ができれば、対象を広げたいというのが政府の考えではないのか。
 一五年当時、高プロは批判されて法案は国会を通らなかった。
 安倍政権は今国会で「働き方改革」を前面に出し、「長時間労働の是正」と非正規で働く人の「同一労働同一賃金の実現」を目玉に掲げた。
◆不誠実な政権の対応
 批判されにくい政策を掲げる陰で、過労死を生むような高プロと裁量労働制の対象拡大を滑り込ませる手法は姑息(こそく)である。
 首相は、高プロを批判する過労死の遺族との面会を拒み続けている。一方で、国会では数の力で法案成立を強行する。政策の責任者として不誠実ではないか。とても働く人の理解を得られる法案とは言えまい。
 論点が多い八本の法案を一括提案し成立へごり押しした政府の責任は重い。


二階幹事長発言 女性軽視 自民の体質か
 自民党の二階俊博幹事長が講演で「このごろ、子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」と述べた。子どもを持たない選択をする人を非難したと受け取れる発言だ。
 党首討論で見解を問われた安倍晋三首相は「産むか産まないかの選択は本人に委ねられるべきだ」と答えた。個人の生き方を尊重する。当たり前の考えだが、首相の足元の自民党は違うようだ。
 先月も加藤寛治衆院議員が、結婚披露宴の際は新郎新婦に「必ず3人以上の子どもを」と呼びかけていると明らかにした。
 戦中の「産めよ、増やせよ」を想起させる政治家の発言は少子化問題の解決に資さないばかりか、女性の人権を軽視していると受け止められてもやむを得まい。
 セクハラ問題で辞職した財務事務次官をかばうかのような麻生太郎財務相の言動も記憶に新しい。
 一連の問題からは、男性優位の発想が色濃く残る党の体質を垣間見ることができる。
 二階氏は「皆が幸せになるために子どもをたくさん産み、国も発展していこう」とも語った。2007年、当時の柳沢伯夫厚生労働相が女性を「産む機械、装置」に例えた発言も思い出される。
 人口減少が深刻になっているのは確かだ。だが少子化対策は、子どもを望んでいても経済的理由などで困難な状況を解消し、誰もが安心して出産、育児に取り組める社会を実現するためにある。
 そこでは、格差の拡大をもたらした非正規雇用の増加など、過去の政策への反省が前提になろう。
 出生率の向上だけが目的化し、女性に出産を強いるような風潮が広がることはあってはならない。だからこそ、政治家の発言には細心の配慮が求められる。
 これからの日本では、女性の社会進出と男性の育児参加を車の両輪として支援する必要もある。
 ところが萩生田光一自民党幹事長代行は先月、「『男も育児だ』と格好いいことを言っても子どもにとっては迷惑な話」と述べた。
 首相側近である萩生田氏の認識は、「女性活躍」を掲げる政権が結局は、男女の役割分担を前提とした旧来の考え方から抜け出せていないことを示してはいないか。
 自民党の憲法改正草案には「家族は、互いに助け合わなければならない」との規定がある。
 国民が国家権力をしばる立憲主義に反し、国が国民に道徳的価値観を強いる発想と、二階氏らの一連の発言は通底するものがある。


[セクハラ禁止条約]批准へ国内法整備急げ
 職場でのセクハラを含むハラスメント防止へ、初の国際的な基準作りが前進した。
 国連の国際労働機関(ILO)は、スイス・ジュネーブで開いた年次総会で、仕事に関する暴力やハラスメントを防ぐため、拘束力を持つ条約を制定すべきだとする委員会報告を採択した。実効性を担保するため勧告も作成し、条約を補完する。
 ILOは来年の総会で条約制定を目指し、批准すれば、国内法の整備などが義務付けられる。
 ILOは労働の国際基準を定める機関で、日本を含む187カ国の政府・労働者・使用者が参加する。
 ハラスメントについては「身体的、精神的、性的または経済的危害を引き起こす」行為や慣行と定義し、(1)拘束力を伴う条約を制定(2)拘束力のない勧告にとどめる(3)拘束力を伴う条約を勧告で補完−のいずれにするかが議論の争点だった。(3)を選んだ採択は、日本の労働者側の望んだ形であり評価できる。
 一方、条約化について終始、消極姿勢が目立った日本政府は、欧州諸国が条約制定を強く訴える中「(拘束力のない)勧告が望ましい」との態度を崩さなかった。政府代表の牧原秀樹厚生労働副大臣は、演説で安倍晋三政権の働き方改革などをアピールしたものの、ハラスメント問題には触れていない。
 ハラスメントを巡って安倍政権は、福田淳一前財務次官の問題を受けて「現行法令でセクハラ罪という罪は存在しない」とする答弁書を閣議決定している。ILO採択と矛盾する内容で、国際基準へ後ろ向きの姿勢がうかがえ、心配だ。
■    ■
 日本は1919年のILO創設当初から参加し、政府・労働者・使用者それぞれが理事に就任する主要メンバーだ。
 しかしILOの約200の条約のうち日本の批准数は4分の1程度。労働時間や休暇、強制労働の廃止など、労働者の権利にかかわる条約の多くを批准しておらず、国際的に見れば「労働問題の後進国」とのそしりを免れない状況にある。
 今回の議論にあたりILOが実施した80カ国に対する事前調査でも、60カ国がハラスメントを規制する中、日本は規制がない残り20カ国との位置付けだ。
 ハラスメントを全面禁止する条約が成立しても、日本が批准しない恐れもある。
 働く現場でのハラスメントは深刻だ。
 日本労働組合総連合会(連合)が2017年10月に千人に実施した調査で、「職場でハラスメントを受けた・見聞きしたことがある人」は56%に達した。
■    ■
 ハラスメントを受けた33%が「心身に不調をきたし」、21%が「仕事を休み」、18%が「仕事を変えるか辞めた」など被害者の生活に影を落としていることも分かった。
 ハラスメントは人生を大きく左右する重大な人権問題だ。
 国際基準としての条約の成立はもちろん、政府は条約批准に備えてハラスメントを定義し禁ずる国内法の整備を急ぐべきだ。


カジノ法案◆国民の理解得られていない◆
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案が衆院を通過し、論戦の舞台は参院に移った。ギャンブル依存症が深刻化すると野党は激しく抵抗したが、与党は数の力で押し切った。安倍晋三首相は「IRで地域が活性化され、日本全体の経済成長につながる」と力説。会期も延長し、今国会で成立させる構えだ。しかし政府が「世界最高水準」と胸を張るカジノ規制には疑問が噴き出し、国民の理解は得られていない。
世界最大規模も可能
 自治体間の誘致合戦は熱を帯び、海外のカジノ事業者は1兆円以上の投資をぶち上げた。共同通信の世論調査では、ほぼ7割の人が「法案を今国会で成立させる必要はない」と答えている。依存症拡大の不安や経済効果への疑問などが背景にあるとみられる。
 ところがカジノの面積の規制は当初より基準が緩やかになり、場合によっては世界最大規模にすることさえ可能だ。客がカジノ事業者から掛け金を借りるという競馬や競輪などの公営ギャンブルで認められていない制度まで導入される。いずれも大きな論点になる。
 政府、与党は成立の二文字しか眼中にないようだ。国会での議論を軽んじてはならない。疑問や批判と向き合い、依存症対策を練り直す必要がある。
 面積について、法案は国際会議場やホテルなども合わせたIRの延べ床面積の「3%以下」と規定。当初の政府案は「1万5千平方メートル以下かつ、IR全体の3%以下」だったが、与党協議を経て比率規制のみが残った。これによりIR全体を大きくすればカジノの面積は広がり、シンガポールやラスベガスをしのぐ世界最大規模にすることもできる。「面積に上限を設けると、観光先進国への目的達成を制約する」と政府は説明する。
甘すぎる依存症対策
 しかし、依存症対策の点で問題が多い。事業者の貸付制度は外国人観光客と、事業者に一定の預託金を納める日本人客が対象で、日本人客は「富裕層」に限られると政府は強調する。借金がかさんでも黙認するような制度の是非については十分議論すべきだろう。
 カジノを賭博罪の例外として合法化する根拠にも批判がある。カジノは刑法で禁じられている賭博だが、依存症対策で社会還元が求められるなど「公益性」が確保され、違法性は問われないと説明される。収益の30%が国や自治体に納められ、依存症対策や観光振興に充てられるとはいえ、客の獲得に躍起になるのは目に見えている。公益性と矛盾しないか慎重に見極める必要がある。
 法案は日本人客の入場を週3回、月10回までとするなど一定の制限を設けているが、実効性には疑問が残る。カジノ入場者の7、8割は日本人客という自治体や民間の予測もあり、依存症の影は大きくなりつつある。依存症対策が甘すぎる。政府はこうした負の側面についても説明を尽くすべきだ。


国民の“命の源”を売り飛ばすのか 水道民営化法案の危うさ
 よほど「カジノ延長」と呼ばれたくないのか。安倍政権がまたトンデモ法案を出してきた。水道法改正案がきのう(27日)、衆院厚労委で審議入りした。大阪北部地震では断水や漏水があちこちで発生。「水道管の老朽化対策の緊急性が高まった」とする公明主導で、与党は今国会での成立に躍起だが、真の狙いはズバリ、水道事業を民営化し、日本が誇る水道技術を外資に売り渡すことだ。
 実際、麻生副総理は2013年4月、米シンクタンク・CSISの講演で、「日本の水道はすべて民営化する」と国際公約した。民営化によって経済合理性を優先させれば、いずれ料金は暴騰し、貧乏人は水さえ飲めなくなる恐れがある。
「法案では、上下水道施設は自治体が所有し、運営権を民間に包括的に委託するコンセッション(官民連携)方式を採用すると定めています。浄水場の維持管理から、水質検査、料金徴収まで民間に任せる事実上の民営化です」(野党議員)
 政府は民営化で限られた予算を効率的に活用できると期待するが、その見通しの甘さは、海外の事例が教えてくれる。
 フィリピンのマニラ市は97年に水道事業を民営化。米ベクテル社などが参入すると、料金は4〜5倍に跳ね上がり、メーター設置料を払えない低所得者は水道の使用を禁じられた。ベクテル社は99年にもボリビア第3の都市コチャバンバ市の水道事業を買収し、ダム建設費調達を理由に料金を2倍以上も値上げ。雨水の利用にまで料金の支払いを求め、耐えかねた住民たちは大規模デモを起こし、200人近い死傷者を出す紛争に発展した。
 先進国では水質やサービスの低下が多発している。米アトランタ市は排水管損傷や泥水噴出が相次いでも、行き過ぎたコストカットで復旧できる技術者が不足。03年に再公営化に踏み切った。仏パリも日本と同じコンセッション方式を採用した結果、14年間で水道料金は倍増。やはり10年に再公営化している。
 15年までに再公営化を決断した自治体は世界で180に上る。民営化の旗振り役であるパソナの竹中平蔵会長が5年前に産業競争力会議に提出した資料によると、日本の上下水道の資産価値は126・1兆円。地震被害がチャンスとばかりに、あえて周回遅れで国民の“命の水”を売り渡すなんて許されない。


受動喫煙法規制 無煙の飲食店を増やせ
 受動喫煙を防ぐ法規制の動きが節目を迎えた。健康増進法改正案が衆院を通過し、今国会で成立する見通しだ。一方、国の法案より厳しい東京都の受動喫煙防止条例が都議会で可決、成立した。
 これで2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて受動喫煙対策強化の法的枠組みはそろった。日本の社会は受動喫煙防止を徹底していく転換点に立つ。人々の健康を守る当たり前の社会変革につなげたい。
 争点となったのは、禁煙が最も立ち遅れ、望まぬ受動喫煙の被害が多い飲食店への規制だった。厚生労働省の当初案は、例外として喫煙を認める店を30平方メートル以下のバーやスナックに限っていたが、自民党内の反対が強く、客席面積が100平方メートル以下の個人営業か資本金5千万円以下の店で「喫煙」と表示すれば、吸えるように緩めた。
 これでは規制対象の飲食店は45%にとどまる。例外が多過ぎ、有効な受動喫煙防止から程遠い。共同通信の世論調査では過半数の人が「不十分」とした。
 ただ、未成年者が出入りする場合は喫煙不可。新規開店は原則禁煙で、対策が段階的に進む仕組みにはなっている。
 日本の受動喫煙規制は世界保健機関(WHO)の4段階の評価で最低レベルにとどまっていた。政府の改正案では1ランク改善されるにすぎず、屋内全面禁煙が主流の国際標準に比べて骨抜きの規制と言える。
 国際オリンピック委員会とWHOは「たばこのない五輪」を推進する。近年の五輪は屋内全面禁煙の環境で開催されてきた。20年の東京五輪もこの目標は実現すべきだ。開催都市の東京の条例は、面積にかかわらず従業員を雇っている飲食店を原則禁煙とする。客だけでなく、従業員を守る視点は評価できる。
 最小限度の国の法律に上乗せする形で東京都条例が適用、都内の飲食店の84%が規制対象になる。同様の条例は千葉市なども検討している。国会の立法を超えた条例は注目に値する。
 病院や学校、官公庁の敷地内禁煙、職場やホテルの屋内禁煙も法改正に組み込まれた。罰則付きの全面施行は20年4月だが、他人に受動喫煙をさせない規範として定着させたい。
 最近普及しだした加熱式たばこは健康被害のデータ不足を理由に、専用室での飲食と喫煙を認めており、課題が残る。
 受動喫煙による死亡は日本で年間約1万5千人と推定される。病気も含めると被害は膨大だ。これを減らしていくのは喫煙者の義務でもある。


受動喫煙対策 例外認めない法改正を
 東京都で罰則付きの受動喫煙防止条例が成立した。国会で審議中の健康増進法改正案よりも規制が厳しい。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、主体的に対策を打ち出したことは評価できる。例外規定が多い国の改正案では受動喫煙を防ぐ国際水準には程遠いからだ。
 都の条例は働く人や子どもを受動喫煙から守ることに主眼を置き、国の法改正案に上乗せする形で規制を加えた。従業員を雇う飲食店は原則として屋内禁煙とし、喫煙専用室の中でのみ喫煙を認める。違反すれば5万円以下の過料が科される。
 病院や大学、行政機関は敷地内禁煙とする。子どもが出入りする保育園や幼稚園、小中高校は屋外の喫煙場所の設置も認めない。ラグビーワールドカップがある19年9月までに学校や病院の敷地内禁煙などを先行させ、20年4月から全面施行する。
 一方、国の改正案は客席面積100平方メートル以下で資本金5千万円以下の既存飲食店で喫煙を認めた。その結果、規制の対象は全国の飲食店の45%にとどまる。自民党内の強い反対論の結果だ。
 背景には「客足が遠のき売り上げが減る」と懸念した飲食業界などの反発があった。しかし禁煙を徹底すれば、たばこの煙を嫌って来店を控えていた客が飲食店に足を向けるようになるかもしれない。一概に打撃を受けるとはいえないのではないか。
 都の条例が学校などで屋外に喫煙場所を設けることも認めないのに対し、国の改正案は屋外などの分煙は規制していない。しかし完全禁煙でなければ受動喫煙は防げない。国民の健康を守るという法の趣旨から遠ざかる。
 今月、本紙も加盟する日本世論調査会が行った世論調査で、受動喫煙対策を「進めるべきだ」とした人は84%に達し、反対派は14%にとどまった。
 国の改正法で100平方メートル以下の飲食店での喫煙が認められることには「すべての飲食店を禁煙にすべきだ」「面積を狭くして喫煙できる店を減らすべきだ」との回答が合わせて56%となった。過半数が国の改正案を不十分と捉えていた。
 五輪があろうがなかろうが、受動喫煙対策は国民の健康を守る上で欠かせない。最初から、他人の健康を害してもいいと考える喫煙者はいないだろう。
 受動喫煙はがんや脳卒中、乳幼児突然死(SIDS)などとの関連が指摘されている。毎年1万5千人が死亡しているとの推計もある。
 飲食店など公共の場での全面禁煙を義務付けている国は55カ国ある。日本は「たばこ対策の後進国」と言われ、国際オリンピック委員会と世界保健機関(WHO)から「たばこのない五輪」の実現を求められている。
 国の改正案では国民の健康は守れない。例外のない受動喫煙対策を強く望む。


[党首討論] 夜に開催してはどうか
 論点そらし、言いっ放し、時間稼ぎ―。おとといの党首討論は森友、加計学園問題などを巡る熱い論戦が期待されたが結局、消化不良に終わった。
 そもそも45分間で5人の野党代表が質問し、討論する形式自体に無理がある。内政や外交の重要課題について国民の理解を深める目的を果たしているとは言えない。
 さらに、討論は午後3時に始まったが、テレビ中継を見られる国民は限られている。より多くの国民が視聴できるよう夜間や休日の開催を検討してもいいのではないか。与野党は抜本的な見直しに取り組むべきである。
 「党首討論の歴史的な使命は終わったと思った」
 立憲民主党の枝野幸男代表の質問を受けて、時間切れに追い込まれた安倍晋三首相は、こう言い放った。枝野氏が前回5月の討論後、論点をはぐらかす首相の答弁にいら立ち、語った言葉をそのまま引用した皮肉だった。
 今回も、野党側は追及材料に乏しく、首相から新たな発言を引き出すことはできなかった。だからといって、党首討論を自ら放棄するのは許されまい。
 党首討論は国会審議の活性化を目指し、一般視聴者の人気が高い英国議会の「クエスチョンタイム」を参考に、2000年導入された。与野党党首が丁々発止の討論を繰り広げ、国民の注目を集める国会こそ、本来の姿だろう。
 与野党の駆け引きで開かれない時期があったとはいえ、導入の意義が失われたわけではない。
 03年の党首討論ではイラク復興支援特別措置法案がテーマに上った。野党側は自衛隊が活動する非戦闘地域はどこかを問いただし、当時の小泉純一郎首相から「私に聞かれたって分かるわけない」との失言を引き出した。
 与野党トップが威信を懸けて一対一の真剣勝負に臨んでこそ、法案や政策の問題点を浮き彫りにできる。今のようなおざなりの形式では限界がある。
 また、党首討論は元々、二大政党制を想定している。だが、今は野党勢力が分散し、各党首の持ち時間は短くなっている。十分な討論ができるよう開催回数や時間配分を見直すべきだろう。
 自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長らは国会改革の提言をまとめ、内閣の説明責任を強化するため、2週間に1回、党首討論や閣僚討論を開くよう求めた。さらに夜の開催も促している。
 国会の活性化という原点に戻り、中身の濃い党首討論に立て直してもらいたい。国民の関心と信頼を得る契機にもなるはずだ。


党首討論の使命  骨太の議論できる場に
 党首討論の歴史的使命は終わった−。27日の党首討論で安倍晋三首相がこう言い放った。
 国会での説明責任を否定するかのような発言だが、党首討論の中身が乏しいことは否定できない。
 当の安倍首相は質問にまともに答えず、はぐらかしたり、関係ないことを延々と話す。意見がかみ合わないまま時間切れで終了となるパターンが繰り返されている。
 前回5月30日の党首討論で時間切れに追い込まれた立憲民主党の枝野幸男代表が記者団に「今の党首討論という制度はほとんど歴史的な意味を終えた」と述べた。首相はこれを引用する形で党首討論への不満を示したようにみえる。
 首相の態度も問題だが、時間が45分間と短く、野党党首もばらばらに質問に立つため議論が深まらない。多くの課題が指摘されながら、改善の動きもみられない。
 根本に立ち返り、党首討論の「使命」を考え直さなければならない。党首同士らしい骨太の論争を聞きたい。
 森友・加計問題などの疑惑追及も重要だが、社会保障や安全保障、財政再建、人口減少など国民生活の将来に直結する骨太のテーマこそ熱く意見を戦わせるべきだ。
 その上で、まず時間の制約の緩和が必要だ。45分間には質問と答えの両方が含まれる。答弁を長引かせれば、質問者の時間が削られる。前回の党首討論では枝野氏の持ち時間19分のうち約11分50秒を安倍首相がしゃべっていた。持ち時間は質問者の発言時間だけをカウントするなどの改善が要る。
 国会開会中の水曜日午後3時に開く原則になっているが、より多くの国民がテレビ視聴できるよう夜に開催するなどの工夫も求められる。1回ごとに討論するテーマを決めたり、開催頻度を高めたりすることも議論の活性化につながるのではないか。
 討論を仕切る衆参の国家基本政策委員長の手腕も問われよう。単なる司会役ではなく、質問にきちんと答弁するよう首相らに強く働きかける姿勢が求められる。
 党首討論は、二大政党制の英国議会をモデルに導入された。本来は首相と野党党首がとことん議論を戦わせるのが基本だ。
 今の日本のように野党が細分化している現状では、質問時間を集約させて1対1に近い形をつくり出す戦略が野党側にも必要だ。
 党首討論の使命は終わったどころか、新たな役割と課題が浮き彫りになっている。国会を挙げて改革に取り組む必要がある。


安倍首相の党首討論が異常! 時間稼ぎ、質問無視のあげく野党に「ルール、守んなきゃ」…ルール違反で退場すべきは、安倍首相だ!
 呆れてものも言えない。多くの人がそう思っただろう。27日の国家基本政策委員会合同審査会で行われた党首討論で、安倍首相が野党代表からの質問にまともに答える場面は一度たりともなかった。
 本来、党首討論は、総理大臣と各党代表との一対一の真剣勝負の場のはずだ。ところが、安倍首相は徹底的に曖昧な言葉でごまかし続け、見え見えの時間稼ぎによって党首討論の意義を根底から崩壊させたのである。
 たとえば、無所属の会の岡田克也代表との討論。岡田代表は森友問題に関し「公文書の改ざんや隠蔽あるいは廃棄、そして国会での局長の虚偽答弁。民主主義の根幹に関わる問題だと私は思いますが、そういう認識は総理にありますか」と質問したのだが、安倍首相は「行政府の長として責任を痛感」などと従来の答弁を繰り返すだけ。実際には官僚に全責任を押し付け、自分は何ら責任をとっていないことは言うまでもない。
 そこで岡田代表は「総理も含めて、この問題の当事者だということをお認めになるべきではありませんか」と追及。すると、安倍首相はこんな詭弁をダラダラと言い始めたのである。
「この、当事者という意味についてですね、正確に定義をしていただきたいのですが、私自身がですね改ざんをしたわけではない(中略)。そして私自身が佐川(宣寿)局長に指示をしたわけではないということ(中略)。したがって、この公文書の改ざんについては、私自身はもちろん関わってはいないわけでありまして(中略)。でありますが、そのうえにおいてですね、これは行政において起こった出来事でありますから、私は行政府の長としてその責任を痛感していると、こういうことでございまして、しかし、その言い方自体がですね、人ごとであるということではまったくありません(中略)。今後二度と起こらないようにしていく責任はこの私にあるわけですから、そういう覚悟を込めてそう申し上げているところでございます」
 ようするに、文書改ざんというとんでもない事態を起こした「責任」ではなく、いつのまにか再発防止の「責任」にすり替え、自身の関与を徹底して隠す。その答弁は、まさに岡田代表が指摘した「当事者性」の欠如としか言いようがない。
 だが、その後も安倍首相は、岡田代表の3回目質問に対して「前にも述べたとおりですが」「議事録にもありますが」などと言いながら、わざわざ議事録を読み上げ、ひたすら時間を空費した。そのあまりに露骨な時間稼ぎに議場はざわつき、途中で委員会を仕切る鉢呂吉雄委員長からも「総理、時間が来ておりますので簡潔にまとめてください」と注意されたのだが、安倍首相は無視。「これは妻がですね!(中略)籠池さんが!(後略)」などとまくし立てて、議長から二度目の注意されるのだが、さらに安倍首相は声を張り上げながら「少しコメントが長くなりましたが、これはまさに名誉に関わることでありますし!」などと続け、「時間が来ております」と三度の忠告を受けた。
 これだけ注意されると、さすがの安倍首相も自重するかと思いきや、そうではなかった。安倍首相は急に議長のほうを向いて、「あの議長すみません!」と逆ギレ。時間切れを見計らって、「これで、この討論は終わりになるわけでありますが、つまり私が申し上げたのはですね、そういうことで申し上げたのでございます。大変あの、言葉が長くなりましたことをお詫び申しあげたい」と言い、討論を終わらせてしまったのである。
 この首相答弁は、岡田代表の持ち時間である6分間のうち約3分、実に半分を占めるものだった。岡田代表はほとんど質問できず、当然、打ち切りに反発。最後に「総理、良心の呵責は感じませんか?」などと食い下がったのだが、驚いたのはそのあとだ。なんと、安倍首相は討論終了後、ニヤつきながら岡田代表にこう語りかけたのである。
「やっぱり岡田さん、ルール守んなきゃ」
「お前が言うな」、である。議長からの静止に聞く耳を持たず、時間稼ぎをしたのはどこの宰相か。タチの悪い冗談でなく本気で言っているのであれば、完全にサイコパスだろう。
ネタでなければ、サイコパス!質問に一切答えず、関係ないことを話す安倍首相
 いや、このエゴイストっぷりをみると、本当にこの国の現総理はサイコパスなのかもしれない。共産党の志位和夫委員長との討論でもそうだった。
 志位委員長は森友・加計問題にまつわる改ざん・隠蔽・虚偽答弁等について「なぜあなたの政権でこのような悪質な行為が引き起こされたのか、その理由を端的にお答えください」と質したのだが、安倍首相は「李下に冠をたださずという気持ち」などと言うだけ。志位委員長は悪質行為が引き起こされた理由についての首相の認識を問うているのに、それには一切応じず、ただ「私はあずかり知らない」「答えようがない」など逃げ一辺倒の答弁を繰り返すだけなのだ。「話が通じない人」とは、まさにこういう人のことを言うのだろう。
 そして極め付きが、立憲民主党の枝野幸男代表との討論でのことだ。枝野代表はまず消費増税、参院の議員定数を増加する自民党案、二階俊博幹事長の「子どもを産まないほうが幸せじゃないかと勝手なことを考えて」発言と、複数の議題をあげた。そのうえで最後に、「安倍政権の問題点を7つ列挙したい」として森友・加計学園に関する問題を指摘しながら、沖縄での米軍機F-15墜落をめぐる答弁矛盾について問いただした。
 これを受けた安倍首相は、「時間がありませんから最後の一問について」としてF-15墜落問題についてデタラメ答弁したうえ、最後にこう言い放ったのである。
「私はですね、枝野さんの質問というか演説で感じたんですが、先般、党首討論が終わったあと、枝野さんはですね『党首討論の歴史的な使命は終わった』とそうおっしゃった。まさにいまのやりとりを聞いていて、本当に歴史的な使命が終わってしまったなあと、このように思った次第でございます」
 これは、前回5月の党首討論で、枝野代表の持ち時間16分のうち、安倍首相が12分間もダラダラと答弁して時間を潰したことについて、終了後、党首討論制度の改善を持論とする枝野氏が記者団に「いまの党首討論制度はほとんど歴史的意味は終えた」と苦言を呈したことに対する首相の意趣返しだが、いや、これまた「お前が言うな」である。
安倍政権の「国会は機能していない」という印象操作に騙されるな
 念のため言っておくが、2000年からスタートした国会での党首討論制度は、総理大臣が官僚のつくったペーパーを読んで回答するのではなく、一対一で野党側の代表と直接議論するためのもの。たしかに、モデルになった2大政党制の英国議会と異なり、日本では野党が乱立しているので、配分時間の都合上、腰を据えたガチンコ議論がされにくいのは事実だ。その意味で、現状の制度は十分ではない。
 だが、前回も今回も、安倍首相はその野党がまとまりにくい制度状況を利用して、聞かれた質問に答えず、関係のない話や従来の答弁の繰り返し、あるいは議事録を読み上げたりすることで時間を潰した。議論にならないのはもっぱら安倍首相のせいであり、すなわち「党首討論制度の歴史的な使命」を終わらせたのは安倍首相に他ならないのである。
 自分で崩壊させた党首討論を野党批判に使うというのは、姑息としか言いようがない。しかし、安倍首相の狙いはそこにこそある。つまり、有権者が国会に失望すればするほど、権力者は自分たちの好き放題できるのである。思想家の内田樹は「『立法府は機能していない』という印象操作に安倍内閣ほど熱心に取り組み、かつ成功した政権は過去にない」と指摘しているが、言い得て妙だろう。
 いずれにしても、「国会論戦は不毛だ、野党の追及は空回りしている」との印象をつくることこそ安倍首相の狙いだ。「呆れてものも言えない」状態になってしまうと思う壺なのである。忘れてはならないのは、森友・加計問題のみならず、安倍政権では政府による違法行為や不法行為が次々に露呈しているという事実。必要なのは、小泉進次郎のトンチンカンな「国会改革案」などではない。私たちが声を大にすべきは、それこそ「安倍さん、ルールは守んなきゃ」。耳を貸さない首相には、辞めていただくしかない。(編集部)


「日本の秘められた恥」  伊藤詩織氏のドキュメンタリーをBBCが放送
BBCは28日夜、強姦されたと名乗りを上げて話題になった伊藤詩織氏を取材した「Japan's Secret Shame(日本の秘められた恥)」を放送した。約1時間に及ぶ番組は、伊藤氏本人のほか、支援と批判の双方の意見を取り上げながら、日本の司法や警察、政府の対応などの問題に深く切り込んだ。制作会社「True Vision」が数カ月にわたり密着取材したドキュメンタリーを、BBCの英国向けテレビチャンネルBBC Twoが放送した。
番組では複数の専門家が、日本の男性優位社会では、被害者がなかなか声を上げにくい状況があると指摘した。伊藤氏はその状況で敢えて被害届を出し、さらには顔と名前を出して記者会見した数少ない日本人女性だ。
伊藤氏は2015年4月に著名ジャーナリストの山口敬之氏に強姦されたと、警察に被害届を出した。最初の記者会見を開いたのは、2年後の2017年5月。山口氏の逮捕令状が出たにもかかわらず逮捕が見送られ、証拠不十分で不起訴処分となったことへの不服を検察審査会に申し立てたという発表だった。
番組は、伊藤氏が「すごい飲み方」で泥酔して吐いた、ホテルでのその後の性行為は同意の上でのことだった――という山口氏の主張や反論とあわせて、伊藤氏自身が語る2015年4月の経緯を、現場となった都内のすし店やホテルの映像などを差し挟みながら、詳細に紹介した。当時以来初めて現場のホテルを訪れた伊藤氏が、こわばった表情でホテルを見上げた後にしゃがみこみ、「これ以上ここにはいられない」と足早に立ち去る姿も映している。
ニューヨークでジャーナリズムを学んでいた伊藤氏は2013年秋、当時TBSワシントン支局長だった山口氏とアルバイト先のバーで知り合った。インターンの機会がないか問い合わせると、山口氏からプロデューサーの職を提供できるので就労ビザについて帰国中に相談しようと呼び出しがあったという。
日本酒を少し飲むと「気分が悪くなり、トイレで意識を失った(中略)激しい痛みで目が覚めた。最初に口にしたのは『痛い』だったかもしれない。それでも止めてくれなかった」と語る伊藤氏は、その後、ベッドの上で山口氏に覆いかぶさられ息が出来なくなった際に「これでおしまいだ、ここで死ぬんだと思った」と涙を流して語った。さらには、抵抗する自分に山口氏が「合格だよ」と告げたのだとも話した。
首相に近い人物
番組では山口氏について、事件当時は日本の有名テレビ局のワシントン支局長で、安倍晋三首相を好意的に描いた人物伝の著者だと紹介した。伊藤氏と山口氏を取材した記事を昨年12月に発表した米紙ニューヨーク・タイムズのモトコ・リッチ東京支局長は、山口氏と安倍首相の近い関係から「この事件に政治的介入があったと考えられている」と話した。
山口氏は疑惑を全て否定している。番組は、山口氏が出演したネット座談会を紹介。山口氏はそこで、伊藤氏が泥酔していたため仕方なく宿泊先のホテルへ招いたと話した。また番組は、性行為はあったが合意の上だったという同氏の主張も伝えている。
番組はその上で、日本の刑法では合意の有無は強姦の要件に含まれていないと説明。暴力や脅迫があったと証明しなければ日本では強姦とは認められないことにも言及し、性暴力の被害者の多くが実際には恐怖で身がすくんで抵抗できず、助けを呼ぶこともできないことにも触れた。合意のない性行為はたとえ知人相手でも強姦なのだという、欧米では徐々に常識となりつつある考え方について、日本の大学生が教わったことがないというやりとりも紹介した。
また、日本の強姦罪(現・強制性交等罪)は2017年の法改正まで100年以上変わらず、強姦は窃盗より刑罰が軽かったなど、日本社会で性暴力が軽視されてきたことも法律の専門家などのコメントを通じて語った。
番組はさらに、日本で性暴力の被害者が事件後にいかに苦しむかも、伊藤氏や、伊藤氏が訪問した別の日本人女性を通じて紹介した。
伊藤氏は番組で、都内唯一の性暴力被害者の支援センターを訪問した。自分の被害直後に電話をしたが、直接来なければ相談を受け付けられないと言われた場所だという。番組によると、この被害者支援センターは東京都の人口1300万人に対して担当者が2人体制と人員不足が目立ち、暴行直後に法医学的証拠を残すための「レイプキット」も提供できていない。
番組はこのほか、警察の問題にも触れている。日本の警察における女性警官の割合はわずか8%で、伊藤氏が事件直後に被害届を出した際も男性警官に被害の詳細を証言しなくてはならなかったこと、複数の男性警官の前で警察署内の道場のマットに横になり、等身大の人形相手に事件を再現させられたことなどが取り上げられた。
「男性警官が人形を私の上に乗せて上下に動かし、こういう様子だったのかなどと確認された」と伊藤氏は話し、番組は、警察のこの捜査手法をセカンドレイプだと非難する声もあると指摘した。
女としての落ち度
2017年5月、伊藤氏は検察審査会に不服を申し立てるとともに、記者会見でこの事実を公表した。それ以降、伊藤氏がソーシャルメディアなどで激しい中傷や非難を受け続けていることや、伊藤氏の家族も中傷にさらされていることなども、番組は紹介した。伊藤氏が簡易版の盗聴探知機を買い求め、自宅内を調べてみる様子も映し出した。
一方で番組は山口氏を擁護する人物として、自民党の杉田水脈議員を取材した。杉田議員は、ネット座談会などで伊藤氏を強く批判している。
番組の取材に対し杉田議員は、伊藤氏には「女として落ち度があった」と語った。
「男性の前でそれだけ(お酒を)飲んで、記憶をなくして」、「社会に出てきて女性として働いているのであれば、嫌な人からも声をかけられるし、それをきっちり断るのもスキルの一つ」と杉田議員は話している。議員はさらに、「男性は悪くないと司法判断が下っているのにそれを疑うのは、日本の司法への侮辱だ」と断言。伊藤氏が「嘘の主張をしたがために」、山口氏とその家族に誹謗中傷や脅迫のメールや電話が殺到したのだと強調し、「こういうのは男性のほうがひどい被害をこうむっているのではないかと思う」と述べた。
番組はその一方で、山口氏と安倍首相との関わりから、野党議員の一部が警察捜査を疑問視して超党派で「『準強姦事件逮捕状執行停止問題』を検証する会」を立ち上げたことも触れた。野党議員が国会で安倍首相に、逮捕中止について知っていたかと質問し、首相が個別案件について知る立場にないと反論する映像も紹介した。
「黙っているよりはずっといい」
個別案件ではなく、日本政府の性暴力対策全般について、番組は指摘を重ねた。
政府は昨年、初となる性犯罪・性暴力被害者支援交付金を設置し、今年度は1億8700万円を振り向けると発表した。しかし番組によると、日本の半分の人口しかない英国では、被害者基金の予算はその40倍だという。
日本政府は2020年までに各都道府県に最低1カ所の支援センターを設置する方針だが、20万人当たり1カ所という世界基準に沿うならば、日本には635カ所必要になる。
伊藤氏が内閣府男女共同参画局を訪ね、これについて質問すると、内閣府の職員は「検証が必要だろうと思う」と答えた。
2017年9月に検察審査会が山口氏を不起訴相当としたため、山口氏の刑事責任を問うことは不可能になったことも、番組ははっきりと伝えた。不起訴相当の知らせを受けた伊藤氏や家族の反応、その後さらに民事訴訟で損害賠償を求めていく様子も伝えている。
それでも、昨年秋に米映画プロデューサー、ハービー・ワインスティーン被告(強姦および性的暴行罪で逮捕・起訴)への告発から広がった「#MeToo(私も)」運動を機に、伊藤氏への支持が日本国内でも広がったことを番組は説明。伊藤氏も変化を感じていると番組で話した。
「何か動きを起こせば波が起こる(中略)良い波も悪い波も来るが、黙っているよりはずっといい」
放送後の反響
番組が放送されると、ツイッター上ではハッシュタグ「#japanssecretshame」を使った感想が次々と書き込まれた。
英ウスタシャー在住のローナ・ハントさんは、「女性として、そして引退した警官として、ショックで呆然としている。詩織、あなたは本当の英雄 #JapansSecretShame」とツイートした。
ロンドン在住の「paulusthewoodgnome」さんは、「強姦に対する日本社会の態度は本当に気がかりだ。伊藤詩織のような人がほかにどれだけいるのか。自分と自分を襲った人間にしか知られていない状態で。ほぼ全方面から見下されながら、詩織は実に勇敢で品位にあふれている。素晴らしい」と書いた。
アイルランド・ダブリン在住のルーシー・ホワイトさんは、「私の『ぜったい行きたい』リストから、日本はいきなり外れてしまった。#JapansSecretShameを見ているけど、性的暴行を軽くあしらう態度にぞっとしている。警察に女性は8%しかいなくて、強姦被害者が訴え出ると、等身大の人形で事件を再現しなくてはならない」と書いた。
アイルランド在住のシネイド・スミスさんは、「#JapansSecretShameを見ている。ショックだし、ものすごく心が痛い。何がいやだって、女性が女性を攻撃してること。被害者を支えるんじゃなくて、女性が彼女を責めてる……。犯罪を犯した男を責めなさいよ!」と書いた。
無料夕刊紙イブニング・スタンダードも番組を取り上げ、「自分たちの居場所から、#MeTooは世界の先進国ならどこでも同じようなインパクトがあったと思い込むのは簡単だ。とんでもない。この番組によると日本では、昨年10月に暴露されたハービー・ワインスティーンの件への反応は『ひっそりとした』ものだった」と書いた。記事はさらに、無実を主張する山口氏が「詩織さんは酔っ払っていたと言う。まるでそれで十分、正当化されるとでもいうように」と書き、「負担も大きいが、声を上げることは沈黙させられるよりも良かったと(番組で伊藤氏は)結論する。彼女に耳を傾けよう」と結んでいる。
(編集部注――日本では「ワインスタイン」と表記されることの多いワインスティーン被告の名前は、本人や複数の関係者の発音に沿って表記しています)
警察庁では性犯罪被害の相談電話窓口として、全国共通番号「#8103」を導入しています。また、内閣府男女共同参画局でも性暴力被害者に必要な情報を提供しています。現在、43都道府県に「ワンストップ支援センター」が設置されています。
「Japan's Secret Shame」は6月28日にBBCTwoで英国内で放送された番組です。6月29日現在、日本での放送は未定です。


ロシアメディアがあきれて日本批判「競技放棄した」
<ワールドカップ(W杯)ロシア大会:日本0−1ポーランド>◇1次リーグH組◇28日◇ボルゴグラード
 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の日本−ポーランドを中継していたロシアのスポーツ専門チャンネル「マッチTV」は28日、日本がポーランドに0−1となりながら、決勝トーナメント進出の可能性が高まった最終盤で「競技を事実上、放棄した」と批判するコメントを放送した。
 出演者は「こんなことがあってはならない。選手がほとんど動かない。こんなのは見たことがない」とあきれた様子で解説。「私たちは日本選手の熱心さを称賛していたのだが…」と語った。
 テレビ中継では観客席からブーイングが起きたことも紹介された。
 ロシアの大衆紙モスコフスキー・コムソモーレツ電子版も「日本は試合をひどい形で締めくくった」と指摘し「これまで粘り強く戦ってきた日本チームがこんなことをしたのはとても残念だ」と強調した。


ロシア紙「サッカーばかにした」=日本−ポーランド戦で−サッカーW杯
 【モスクワ時事】サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の日本−ポーランド戦で、日本がリードされているにもかかわらず、決勝トーナメントに進出するため、試合終盤で無理に攻め込まず、ボールを回し続けたことについて、開催国ロシアのスポルト・エクスプレス紙(電子版)は「スキャンダルだ。日本はボールを回して時間を稼ぎ、ポーランドは攻撃しなかった。両国はサッカーをばかにした」と批判した。日本については「今やサムライと呼ぶのも気が引ける」と酷評した。
 フェアプレーポイントの差で日本が決勝トーナメントに進出したことにも触れ、「ボールを回して終了の笛を待つことが『フェアプレー』だろうか」と疑問を呈した。
 英BBC放送はニュースサイトで「滑稽で見苦しい。試合はばかげた形で終わった」と指摘し、「両チームが最後の10分間に行ったことはW杯でわれわれが最も見たくないものだ」とする元プレミアリーグ選手の声を紹介した。


中国新華社「フェアプレーと程遠い」「恥ずかしい10分間」 日本の終盤の作戦を酷評
 中国国営新華社通信(英語版)は29日、サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で、日本代表がポーランドに敗れながらもフェアプレーポイントで同組のセネガルを上回り決勝トーナメント進出を決めたことについて、「(日本は)フェアプレーとはほど遠く皮肉だ」と酷評した。リードされながら試合の最終盤で積極的に攻撃しなかった日本の作戦を批判したものだ。
 新華社は、試合終了の約10分前に今大会初勝利を目前にしたポーランドと、同時刻に行われていたコロンビア対セネガルの試合の途中経過により決勝トーナメント進出が見えてきた日本が「いずれも攻撃を放棄した」と指摘。双方が“休戦”を結び得点への努力を放棄した結果、「率直に言って恥ずかしい10分間」になったと表現した。
 中国のインターネット上でも「日本は決勝トーナメントに進出できることがわかったとたんに散歩を始めた」、「運命を他人まかせにするなんて信じられない」などと批判の声が相次いだ。
 一方で「そういうルールなんだ。日本おめでとう! アジアのチームがついに決勝トーナメントに行った」などと日本を祝福し、その作戦を冷静に評価する声もみられた。(北京 西見由章)


「最後の10分間はひどかった」日本の時間稼ぎ、ポーランドで批判相次ぐ/W杯
 サッカー日本代表が28日のワールドカップ(W杯)ロシア大会ポーランド戦終盤で時間稼ぎに終始したことに対し、ポーランドのサッカー界からは試合後に「フェアプレーに反する」などと批判が相次いだ。
 主に1970年代に活躍した元代表選手のルバンスキさんはテレビで「最後の10分間はひどかった」と日本代表を酷評。決勝トーナメント進出のためにボール回しを続けた日本代表からボールを奪おうとしなかったポーランド代表にも「がっかりした」と語った。
 また、同国サッカー協会のボニエク会長も同じテレビで「リードされている日本代表が自ら負けを選んだ。こんな試合は初めてだ」と指摘。「試合とは呼べない内容だった」と批判した。


新たな「国体」はどこにある?──『国体論』刊行記念・白井聡さんインタビュー
 2013年に刊行された『永続敗戦論 戦後日本の核心』(太田出版)は、日本人が先の大戦での「敗戦」の事実を「否認」してきたことが、今日の日本の政治状況に大きな影を落としていることを活写し、刊行当初より大きな反響を呼んだ。著者である京都精華大学専任講師・白井聡さんは、『永続敗戦論』で打ち出した論点を出発点として、明治維新以来の日本近代史全体の分析に向けて全面展開した『国体論 菊と星条旗』(集英社)を4月に公刊した。同書は、戦前には天皇を主権者と定める国家体制を意味した「国体」が、現代に至るまで形を変えて生き残っていると指摘する。現代の国体とは何か。天皇制、あるいは日本の外交を今、どう見るべきなのか。白井さんに話を聞いた。(取材・日隈脩一郎 撮影・児玉祐基)
──戦前の「国体」が、戦後になっても形を変えて延命されたという見方は、いつごろから持っていたのでしょうか。
 アイデア自体は前著『永続敗戦論』執筆当時からありました。日本がアジア太平洋戦争に敗れ、その当然の結果として戦後日本はアメリカの属国になり、政権を担う人々や官僚機構がアメリカに「忖度」しなければならない状況が生まれたわけですが、アメリカに対する態度が戦前の天皇に対する態度とパラレルなのではないかとの気付きが、本書執筆の背景にありました。対米従属の構造を明治時代に形成された「国体」の現代版として捉え直すことで、日本の対米従属の特殊性とその危機があぶり出されると考えたのです。
 明治憲法では、天皇は「統治権の総攬者」と規定されていました。ですが、それは万能の主権者を意味したわけではなく、実際には内閣や軍部、後には政党、さらには選挙されない貴族院や制度外的存在である元老といった多様なアクターが政治の動態を決めていました。しかし、建前上では天皇だけが主権者である一方、立憲主義の要素もあるため、天皇の意志はあまり直接的に示されることなくブラックボックス化される。そうすると、為政者たちは、「天皇陛下の大御心」を「忖度」するというかたちで、自らの意志を正統化する。このようにして、明治憲法下における近代天皇制は、有力者たちによって利用されてきたのです。
 ところが今、その戦前の天皇のポジションを「星条旗」、つまりアメリカが占めている。戦後日本の政治史を整合的に理解するためには国体、つまり「天皇制の場所」を皇居にいる天皇にではなく、語義矛盾のようですが、アメリカに見定めることが必要なのではないかと考えました。
──第一章は、2016年8月に出された「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」(いわゆる「お気持ち」表明)の分析から始められています。
 あの「おことば」を発表する今上天皇を見て「執筆を急がなければ」と思いました。そこには尋常でない危機感が滲んでいたからです。私はあの「おことば」を「日本の皆さんは天皇制をどうするつもりなんですか、もうやめたいのですか」という問題提起だったという風に解釈しています。それは、本書の国体論解釈に引き付ければ「皆さんにとってアメリカが実質的な天皇であるなら、私たちはもう要らないでしょう」ということです。しかしもちろん、今上天皇がそのような結論を望んでいるわけではない。そこで強調されたのが、「祈ること」こそが、国民統合の象徴としての天皇の務めだという考えです。進行してきた国民統合の危機に警鐘を鳴らしたのです。
 最近では、天皇制を基本的には批判してきた左派の中にも、天皇をうまく利用できればいいと考え始めた人たちがいる一方、ネトウヨと呼ばれる人たちが「天皇は反日」と言ったりしています。『国体論』の議論は、「お言葉」に込められたメッセージをストレートに解釈し支持しているという意味では誰よりも右で、天皇制批判を正面からやっているという意味では誰よりも左です。
──「対米従属」論自体は左右両派ともに、従来もありましたね。
 ソ連が崩壊してからというもの、どんな国でも程度の差こそあれアメリカの顔色はうかがっています。ただし、日本の対米従属構造は、国益の最大化の観点から導かれた妥当な外交方針としてあるわけではなくて、「戦前の国体」の焼き直しとして、永久に続かなければならないものとして観念され、アメリカが精神的な権威にまでなっているという特殊性があるんですよ。
 「戦前の国体」の特徴は、家族的な国家観にありました。天皇を中心とした家族国家の中で、臣民は天皇を父とする「赤子」であるとされた。つまり「臣民は天皇に愛されている」というフィクションを前提に、家族の中には支配関係はありえない、という国家観が強制された。つまり、支配の事実が否認されていた。それが戦後になるとどうなったか。「日本国民はアメリカに愛されている」というありもしない幻想が生み出され、政治的なフィクションとして機能するようになったのです。
 その起源がどこにあるか。『国体論』の中でも重要な出来事として扱っていますが、昭和天皇とマッカーサーの最初の会談です。あの場面で、昭和天皇が「私の身はどうなってもよいから、国民を助けてほしい」と言い、この言葉にマッカーサーが感動したと言われてきたわけですが、この物語を信じることによって、「アメリカは日本の心を理解した」、だから日米関係の基礎は敵意から真の友情に置き換わったのであって、したがってこの関係は従属とか支配とは関係がない、と観念されるようになったと僕は見ています。それは、言うなれば心の詐術です。
──白井さんはレーニン研究から出発して一貫して、思想史的な方法で著書・論文を発表されていますが、今あえて思想史という方法を打ち出すことについてどう考えますか。
 「反知性主義」とも呼ばれる風潮があり、また定量的に根拠を示すことが異様なまでに求められる昨今、いわば文系的なアナロジーによる仕事が大切だと思っています。人工知能が今のところ、膨大な数量的データに基づいたパターン認識しかなし得ないことからも、アナロジーを働かせることは、人間を人間たらしめる仕事だと言えるのではないでしょうか。
 『国体論』の中で「国体は二度死ぬ」という命題を私は掲げました。マルクスは「歴史は二度繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は笑劇として」と言っていますが、あれはヘーゲルが元ネタなんですよね。ヘーゲルは、歴史上の類似した事件、とりわけ大きな意味を持つ事件であればあるほど、一度目は偶然として認識されるかもしれないが、二度目は必然的な性格を帯びて認識されると語っています。
 近代国家としての日本は、いわゆる十五年戦争で初めて敗戦を経験し、GHQによる占領統治と日本国憲法による国民主権への転換という形で、一度目の国体の終わりを迎えました。しかし、国体は、頂点を天皇からアメリカへと入れ替えることによって、実は生き延びた。「戦前の国体」がたどった道から類推すると、国民統合の装置どころか国民統合を破壊する要因となってしまった今の国体も、崩壊過程に入ったと考えられます。こうして、国体の死も反復されることによって、本当に成し遂げられるのでしょう。
 しかし、国体の二度目の死を再び戦争という災禍によって迎えることだけは回避しなければならない。それが現在の最大の課題でしょう。先人たちの仕事を参照することで、そういった現状認識を我々は持てたわけです。こうした大局的見取り図を獲得できることが、思想史という方法の効用なのだと思います。
白井聡(しらいさとし)さん 06年一橋大学大学院博士課程中退。博士(社会学)。日本学術振興会特別研究員などを経て、15年より京都精華大学専任講師。著書に『「物質」の蜂起をめざして ─レーニン、「力」の思想─』(作品社、2010年)、『日本の反知性主義』(内田樹、高橋源一郎ほか共著、晶文社、2015年)がある。


働き方法案 欠陥だらけで通すのか
 多くの問題点が積み残しになっている。
 安倍晋三政権が今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案である。きのうの参院厚生労働委員会で可決され、きょうの参院本会議で成立する見通しになった。
 焦点となっている高度プロフェッショナル制度(高プロ)を含め、大幅な修正が必要だ。
 高プロは、年収の高い一部専門職を、労働時間の規制対象から外す制度である。最大の問題は残業の概念がなく、長時間労働を助長する懸念があることだ。過労死をさらに増やしかねない。
 対象者は年104日、4週4日の休日を確保することが条件だ。ただし、労働時間に制限はない。4連休があれば、24日間連続の24時間勤務でも違法ではない。
 労働基準局も長時間労働の抑制を企業に指導できないと認めている。過労死しても労災と認定されない可能性もある。
 対象も曖昧だ。法案では「従事した時間と成果との関連性が高くないと認められる職種」で、収入が「平均給与額の3倍」とあるだけだ。法案成立後、職種や収入要件は省令で決める。
 省令は国会の議決がなくても変更できる。対象が際限なく広がっていく懸念は大きい。
 政府は「柔軟で多様な働き方ができる」と主張する。それなのに法案には働く時間帯や場所を労働者が自由に決められるとの規定はなく、これも省令で定める。
 労働者を守る規制が弱く、対象が曖昧で、労働者のメリットも明記されていない。だれのための法案なのか。
 厚労省が制度創設の根拠とした聞き取り調査の対象者は12人にすぎない。しかも制度設計前に実施したのは1人だけだ。
 安倍首相は25日の参院予算委員会で労働者のニーズを問われ、「経団連会長等の経済団体の代表からは導入すべきとの意見をいただいている」と述べた。残業代抑制などを目的とした経営者の要請に基づいていることは明らかだ。高プロは働き方改革関連法案から除外するべきだ。
 法案のもう一つの柱になっている残業時間規制も、1カ月で最大100時間まで認めている。厚労省の過労死認定基準とほぼ同じで、過労死抑制につながるとは思えない。引き下げが必要である。
 政府は野党の質問に対し、論点をずらした不明確な答弁を繰り返し、審議時間をいたずらに費やしてきた。問題点を修正しないのは国会の怠慢である。


働き方法案参院委可決 過労死を助長 将来に禍根を残す
 過労死根絶を心から訴える遺族の声は「良識の府」であるはずの参院にも届かないのか、怒りを禁じ得ない。安倍政権が最重要法案に位置付ける働き方改革関連法案が参院厚生労働委員会で、与党などの賛成多数で可決された。
 法案は過労死や長時間労働を助長する懸念が払拭(ふっしょく)されていないばかりか、必要性の根拠すら揺らいでいる。しかし、政府は十分な説明責任を果たさないまま、野党の反対を数の論理で押し切った。働く人の命と健康に関わる法律の重さを顧みない姿勢は決して容認できない。このまま成立させることは、将来に大きな禍根を残すことになり、強く異を唱える。
 問題の核心が一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」であることは一貫している。本人の同意や年間104日の休日取得を企業に義務付けるが、理屈上は24時間勤務を3週間続けても違法にならない。残業代の支払いなしに際限なく働かせることを可能にする危険な制度であり、その上、政府が創設の根拠とした「柔軟に働きたい人のニーズ」は薄弱だったことがはっきりした。
 厚労省がニーズを把握するためにヒアリングしたのはわずか12人で、このうち9人は、野党からニーズの有無を追及された日や、その翌日に実施していたことが判明した。同じ会社で複数人に聴いたケースが5社中4社あった。
 手法も人事担当者が同伴したり、企業側に対象者の選定を依頼したりしており、本人が本音を言えるような状況だったか疑いが残る。政府は「生の声」として紹介したが、質問内容の詳細な公表は拒み続けており、適正なニーズを把握したとは到底言い難い。
 高プロの対象業務がずるずると拡大する恐れについても、歯止めに向けた修正はなかった。現状では、コンサルタントや金融ディーラーらが想定されているが、具体的な対象業務は国会審議を経ずに厚労省の「省令」で定めることになっている。いったん法律が成立すれば、あとは政府側の判断で、次々と対象を増やすことができる。
 労働者派遣法や既存の裁量労働制は、まさに似たような手法で労働規制を緩めた前例だ。国会審議を必要としない政令改正や告示で最初は一部の業務だけだった対象をどんどん広げていった。高プロも二の舞いになる懸念が拭えない。
 過労死遺族も「使用者側の働かせ放題になる」と高プロの削除を訴えてきたが、政府・与党は聞く耳を持たなかった。安倍晋三首相は遺族との面会も、かたくなに拒んでいる。
 首相は「時間ではなく、成果で評価される働き方を自ら選択できる」と創設意義を述べてきたが、そもそも労働者が成果や仕事量を自ら決められるわけではない。このままでは労働者は守れないことを自覚すべきだ。


【働き方法案】丁寧な再議論をすべきだ
 安倍政権が今国会の最重要課題と位置付ける働き方改革関連法案の審議が最終局面に入っている。参院厚生労働委員会で可決され、29日の参院本会議で成立する見通しだ。
 法案は5月末に与党が衆院の採決を強行した後、参院に送付された。しかし、野党からは安倍首相らの答弁に「同じ審議の繰り返しだ」という不満が出ており、参院の審議で議論が深まったようには見えない。
 最大の対立点は衆院での審議と同様、高度な能力が必要とされる年収1075万円以上の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の創設だ。
 政府は「時間ではなく成果で評価する働き方」と意義を強調。本人の意向で適用を撤回できるという修正も加えた。
 これに対し、野党側の主張は「長時間労働や過労死を助長する」と平行線だ。自由な働き方とはいっても時間による規制を外せば、企業の都合や仕事の中身で長時間労働を強いられかねない。労働者の立場に立った制度とは言えまい。
 幅広い企業の立場に立った制度とも言いがたい。高プロを採用する方針の企業や、対象となる従業員数がごくわずかだという複数の報道機関の調査もある。
 高プロについては、政府が「働く人のニーズがある」との根拠にしたヒアリングの大半は法案提出目前に実施され、人数もわずかだったことが参院の審議中に判明した。
 これでは誰のためにつくる制度なのか、という疑問が拭えない。
 労働時間の短縮に有効として法案の柱と目された裁量労働制の適用業種拡大も、基になった厚生労働省の調査でずさんなデータ処理が発覚。政府は法案からの削除に追い込まれた。今回の法案は立法根拠が揺らいでいると言わざるを得ない。
 法案には、決して方向性は間違っていない中身もある。
 残業時間の罰則付き上限規制や、正社員と非正規労働者の不合理な格差を解消する同一労働同一賃金の導入はそれに当たるだろう。
 残業時間の上限規制は、労使合意があれば事実上の青天井で働かされる現状を改め、違反企業には罰則を科す。初めて強制力を伴う上限を定めることになる。
 ただし、繁忙期の上限とする月100時間未満は、過労死認定基準のラインだ。過労死ラインまで働かせることを容認しかねないという懸念は根強い。国会審議でも国民の不安は解消されてはいない。 
 第2次安倍政権は、安全保障法制や「共謀罪」法などでも重要な法案審議を打ち切り、採決を強行する手法を繰り返してきた。国民が十分に理解を深めるような国会論議が行われているとは思えない。
 働き方改革も人の命に関わる法案だ。もっと丁寧な再議論が必要ではないか。説得力のあるデータを用意し、疑問に一つ一つ答える責任は、常に情報を持つ権力の側にある。