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Bac 2018 : Mbappé, Johnny, "Japon du Sud"... les examinateurs ont encore découvert de belles perles
Reçus ou pas ? Les plus de 750.000 bacheliers seront fixés ce vendredi. Si la très grande majorité des élèves obtiennent leur diplôme grâce à de belles copies, quelques-unes cachent de véritables perles. Le site "Sujet de bac" les dévoilent depuis 15 ans.
"La mondialisation c’est un peu comme une secte. On donne la main et on nous prend le bras", "Le Japon n’a aucune chance de concurrencer la Chine à l’avenir, car les japonais sont trop petits", "La vie c’est comme un sachet qui flotte, il faut se laisser diriger par le vent et arrêter de toujours vouloir tout contrôler"... Chaque année, le site "Sujet de bac" recense les plus belles perles envoyées par des examinateurs. Et 2018 ne rompt pas avec la tradition.
C'est généralement en corrigeant l'épreuve d'Histoire-Géographie que les explications les plus farfelues sont découvertes. Dans une copie répondant au sujet de L et ES "Japon-Chine : concurrences régionales, ambitions mondiales", un élève a écrit : "Le dictateur du Japon du Sud a rencontré le Président Trump. Ce qui montre bien la volonté de la région à se mettre sous le parapluie des Etats-Unis. " Il fait bien sûr référence à la rencontre entre Donald Trump, le président des Etats-Unis, et le Nord-coréen Kim Jong-Un.
D'ailleurs l'actualité devient régulièrement source d'arguments pour certains bacheliers. Sur Twitter, une professeur de philosophie en relève plusieurs et notamment liée à la Coupe du Monde de football.
En philosophie, pour le sujet "le désir est-il la marque de notre imperfection ?", un bachelier s'est appuyé sur le récent mariage du prince Harry pour répondre. "Moi par exemple, je désire le même mariage que la princesse Meghan Markle, mais je sais que cela ne sera pas facile à obtenir. " Le décès de Johnny Hallyday a aussi inspiré un élève dans un sujet sur l'art et la sensibilité : "La mort de Johnny nous a bien montré que même le président de la République n’est pas insensible à l’art. "
Plutôt que de trouver des arguments précis, un bachelier a même opté pour la remise en cause du sujet : "Mais pourquoi donc se poser ce genre de question philosophique. Le bonheur, n’est-il pas simplement d’aller se coucher dans un parc et d’écouter les oiseaux chanter ? ".
Autres perles découvertes par les enseignants :
• La vérité, c’est ce qui est écrit par les vainqueurs. Il faut arrêter de raconter des carabistouilles.
• La mondialisation, ça permet d’organiser une compétition sportive où les peuples s’émerveillent devant des millionnaires en short qui courent après un ballon.
• Le mieux pour ne pas souffrir de la vérité, c’est de se créer sa propre vérité. Ainsi il est plus facile d’avoir toujours raison et d’être heureux.
• Le Président de la République représente les français, il faut le respecter même s’il n’est pas bon.
• Ce que l’on appelle traditionnellement ≪ art ≫, ce sont les reportages qui passent sur Arte ou France 5.
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私の住む大阪市内では大したことがないように感じていますが関西一円というか西日本では大雨で大変なことになっているみたいです.ちょっとため息が出ますね.
東京医科大と文科官僚不正は許せないです.

大雨 115万人に避難指示 3人死亡、不明は9人か
 西日本から東日本にかけて梅雨前線が活発に活動を続け、記録的な大雨は6日も続いた。京都府の女性が川に流されて死亡し、死者は兵庫、広島各1人と合わせて計3人となった。また、広島県内の広域で同日夜、土砂崩れが複数箇所で発生したとの情報があり、消防が救助活動を続けている。気象庁は数十年に1度の異常な大雨に最大の警戒を呼びかける「大雨特別警報」を岡山、広島、鳥取、福岡、佐賀、長崎、京都、兵庫の8府県に出した。2013年の運用開始以来、6県同時の発令は最多。
 ほかの地域でも土砂災害や河川の氾濫の危険が高まり、毎日新聞の午後9時現在の集計で、近畿や九州、中国など2府22県で約115万3000人に避難指示、約264万8000人に避難勧告が出ている。これまでに、9人が行方不明になったとの情報がある。
 広島県の現地消防などによると、広島市などで生き埋めになったとの通報があった。同県内では少なくとも広島市を含む7市町で約45万人に避難指示が出ている。広島市は2014年にも土砂災害が発生し、77人が犠牲となっている。
 また、国土交通省近畿地方整備局は6日、京都府内を流れる桂川が同日夜に氾濫する可能性があると発表し、京都市や同府亀岡市など沿岸自治体に警戒を呼びかけた。上流の日吉ダム(京都府南丹市)が同日午前7時ごろから満杯になり、ダムに入る量とほぼ同じ量を放流している。桂川は2013年9月、台風18号の影響で亀岡市や嵐山周辺で氾濫した。
 交通機関はこの日も乱れた。山陽新幹線は夜には岡山−博多間で運転を取りやめ、新大阪−岡山間などで一時運休した。JRの在来線や私鉄も近畿を中心に運休が相次いだ。7日も一部区間で始発から運転を見合わせる。高速道路でも路肩の土砂が車道に流入して通行止めとなる被害が出ている。
 気象庁によると、多くの地点で72時間雨量が観測史上1位となった。6日午後5時40分までの72時間で1203.5ミリに達した高知県馬路村では、3日間で2カ月分(7月の平年値591.5ミリ)の雨が降ったことになる。このほか、同県香美市848.5ミリ▽徳島県三好市726ミリ−−など記録の更新が相次いだ。
 梅雨前線は8日ごろまで本州付近に停滞し、西日本では1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が断続的に続く恐れがある。9日になると太平洋高気圧が勢力を強め、前線の活動は収まる見通し。【鳥井真平、山田毅、山口知】


衆院議運委 首相海外出張了承せず 野党が反対
 衆院議院運営委員会は6日の理事会で、政府が求めた安倍晋三首相の欧州などへの出張を了承しなかった。主要野党が、首相が出席する予算委員会集中審議を開催すべきだなどとして反対した。国会開会中の首相や閣僚の海外出張は議運委の許可を得るのが慣例だが、拘束力はない。首相の出張が了承されなかったのは5年ぶり。
 首相は11〜18日にベルギー、フランスなど4カ国を訪問する予定。ブリュッセルでは日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)に署名し、フランスではマクロン大統領と会談する予定だ。
 これに対し、立憲民主党の福山哲郎幹事長は6日の党会合で「これほど目的のはっきりしない(首相の)外遊を認めるわけにはいかない」と批判した。同党は首相出発前日の10日の内閣不信任決議案提出を検討している。
 一方、公明党の井上義久幹事長は記者会見で「首相を海外に行かせないため、国会審議を延ばすための不信任案が出されれば粛々と処理する」と述べ、けん制した。【立野将弘】


文科省汚職/教育行政への信頼が消えた
 官僚の質の劣化はとどまるところを知らないようだ。にわかには信じられない悪質な犯罪が露見した。
 自分の息子を裏口入学させてもらう代わりに、その大学を補助金の対象校に選定したとして、文部科学省の局長が受託収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。国の教育行政に対する信頼は消えて無くなったと断言できよう。
 綱紀粛正とか、襟を正すなどといった常套(じょうとう)語で信頼回復を図れるようなレベルの話ではない。何かと不祥事を重ねてきた文科省の、今度は存在意義そのものが問われかねない重大な犯罪である。
 逮捕容疑は文科省の前科学技術・学術政策局長佐野太容疑者(58)が東京医科大(東京都新宿区)を支援事業の対象とする見返りとして、今年2月、息子を入試に合格させてもらったというもの。
 口利きをしたとされる会社役員も、受託収賄ほう助容疑で逮捕されている。
 贈収賄の手段に使われた支援事業は「私立大学研究ブランディング事業」という大学にとっては重要な事業。東京医大は生活習慣病などの早期発見を推進する計画書を提出し、昨年11月、対象に指定され、3500万円の助成を受けている。
 贈賄側とされる東京医大に対し、特捜部は関係者を在宅で捜査するという。大学側にも当然、詳細な事実の説明責任がある。在学中の学生、家族、受験生、卒業して活躍中の医師や看護師に対する、取り返しの付かない裏切りでもあるからだ。同じ支援事業に応募し、選に漏れた他大学への説明と謝罪も必要だ。
 教育行政を預かる省庁の幹部が、こともあろうに子弟を裏口入学させるという前代未聞の犯罪は、国民に対する背信でもある。膨大な金額に上る各種の支援事業は、税金で賄われている。
 文科省は不祥事を重ねてきた官庁である。組織的に天下りをあっせんした疑いで事務次官の前川喜平氏が引責辞任したのは昨年1月。その信頼回復に中心として当たるべき当時の官房長は、今回逮捕された容疑者である。
 今回の事件の背景に横たわっているのは、文科省のあまりに肥大化した権限ではないか。膨大な予算を適正かつ公平に配分する能力が、この役所には欠けているのではないかと指摘しておきたい。
 少なくとも、補助金の交付先の選定に際し、公務員個々人の恣意的な独断が入り込む脇の甘いシステムであってはならない。東京医大が前年度、ほぼ同内容の計画書なのに支援事業の対象に漏れていた事実は、今回は容疑者による私的な判断によって選定された証左でもある。
 文科省に自浄能力が期待できない以上、支援事業の選定の判断は民間人を入れた第三者機関に任せるべきではないか。解体的な出直しがこの役所には突きつけられている。


逮捕された文科省局長 職権を身内に使う異様さ
 教育行政の信頼を根本から損なう信じがたい行為だ。
 文部科学省の科学技術・学術政策局長が、東京地検特捜部に受託収賄の疑いで逮捕された。
 官房長だった昨年5月、東京医科大への支援事業選定で便宜を図った見返りに、今春の同大入試で息子の点数に加算させ合格させてもらったことが賄賂にあたるとされた。
 汚職の舞台になったのは国の「私立大学研究ブランディング事業」だ。私立大の競争を促す目的で全学的な特色を打ち出す大学を支援する。
 2016年度に始まり、17年度は188校から申請があり、東京医科大を含む60大学が選ばれた。同大へは5年間の支援で、17年度は3500万円が助成されている。
 選考は有識者らで構成する委員会が、各大学から出された事業計画を点数化するなどして評価する仕組みだ。逮捕された局長は、そこに影響力を行使し、省内で選定の後押しをしていたと見られる。
 それができる余地があったのか。捜査当局の解明とともに、文科省自身も検証すべきだ。
 少子化が進む中、大学の経営環境は厳しい。この支援事業は安定して国から資金を得られる。5年なら1億数千万円に上り、選ばれれば対外的にも大きなPRになる。
 大学がぜひとも獲得したいと考えるこの事業を悪用して、見返りを受けた罪は大きい。
 今回あぜんとするのは、大学に入試の公平性確保を指示する立場の文科省中枢の職員が、地位を利用して息子を「裏口入学」させたことだ。
 しかも、局長が官房長当時は、文科省が天下りあっせん問題で批判を受けていた。官房長は不祥事対策を担う立場であり、危機管理の中心だ。その綱紀粛正の責任者が自ら汚職に手を染めていたことになる。
 入試は公平・公正の信頼がなければ成り立たない。文科省は自らが入試行政に携わる資格があるかどうか猛省すべきだ。
 局長の息子を合格させた東京医科大は、支援事業に選ばれたいがために自らの入試制度を汚した。
 学長や理事長が関与したとされるが、教育者としても大学経営者としても、極めて重い責任を負わねばならない。


文科省汚職 官僚の腐敗はどこまで
 事実とすれば、許されない権力の私物化だ。受託収賄の疑いで逮捕された文部科学省の能吏は出世するにつれ、良心を失ったか。未来を担う教育行政が汚職の舞台とは、国の先行きも危ぶまれる。
 捜査当局の見立てはこうだ。
 前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者は、官房長だった昨年五月、東京医科大学の臼井正彦理事長から私立大支援事業の対象校に選んでほしいと頼まれた。
 その便宜を図る見返りは、自分の息子の入学試験の合格だった。得点を水増ししてもらった疑いがある。競争倍率は一六・五倍と狭き門だった。
 次官候補とまで目されたエリート官僚は子煩悩がすぎたか。個人の資質の問題に矮小(わいしょう)化するのではなく、背景をあぶり出さねば、不正が繰り返されかねない。
 支援事業では、私立大間の競争を促して先進的な取り組みを提案させ、助成する。少子化で受験人口が縮小し、経営環境が厳しさを増している大学にとっては、ぜひとも獲得したい資金といえる。
 助成金は税金で賄われ、有識者の組織が対象校を選ぶ段取りになっている。疑問なのは、東京医科大は二〇一七年度には対象校に選ばれ、ほぼ同じ取り組みを申請した一六年度には落選したことだ。
 人事や予算について幅広い権限を持つ官房長の地位にあったとはいえ、佐野容疑者はどうやって有利な取り計らいをしたのか。
 選定手続きが公平、公正になされているのか疑問が拭えない。有識者組織の中立性がゆがめられていないか。検討過程をすべて公開し、徹底的に検証するべきだ。
 大学入試への信頼も大きく失墜した。例えば、トップの意向ひとつで点数を簡単に操作できるのでは、試験を課す意味そのものが失われる。大学界全体に跳ね返る深刻な事態というほかない。
 最近、中央官僚が絡んだ腐敗や疑惑が絶えないのはどうしたことか。倫理観の欠如が目に余る。
 文科省では組織的な天下り斡旋(あっせん)問題が発覚した。安倍晋三首相の友人が理事長を務める加計学園の岡山理科大獣医学部の開設は、利益誘導だった疑いが残る。
 森友学園との国有地取引をめぐり、財務省は決裁文書を改竄(かいざん)するなどして国会を欺き、国税庁長官が辞任した。財務次官は女性記者へのセクハラに及び、去った。
 腐敗は想像以上に深く進行しているのではないか。食い止めるには、少なくとも役所の情報の公開性を格段に高めねばならない。


文科省局長逮捕/耳を疑う教育行政の不正
 耳を疑うスキャンダルだ。
 文部科学省の現役局長が、受託収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。国の助成金事業で大学に便宜を図る見返りに、自分の子どもを合格させていたという。事実なら教育を指導する官庁の幹部が入試を私物化したことになる。到底許されない。
 なぜ、こんな事件が起きたのか。構造的な問題を含め徹底して解明しなければならない。
 逮捕されたのは佐野太容疑者で、文科省は科学技術・学術政策局長を解任した。
 佐野容疑者は官房長だった2017年5月、東京医科大を文科省の私立大支援事業の対象校に選定するよう、関係者の依頼を受けた。謝礼として子どもの医学科受験で点数を加算してもらった疑いが持たれている。
 省内で要職を歴任してきた佐野容疑者は、同期の中で「エース中のエース」と目され、事務次官候補だったという。
 支援事業は、私学の特色ある研究の費用を助成するため16年度に始まった。東京医科大は初年度に落選したが、ほぼ同じ内容で翌年度に選ばれ、1年分の助成金3500万円が交付された。事業期間は5年間でブランド効果も高まる。少子化と助成金削減で大学経営が難しくなる中、重要度は増したようだ。
 審査は学識経験者などによる第三者委員会で行う。佐野容疑者の意向が反映されたとすれば、公正さや独立性が疑われる。文科省は審査の経緯を明らかにして、早急に再発防止策を講じる必要がある。
 東京医科大を含め医大の入試は難しく、狭き門だ。受験した学生は、懸命に勉強を重ねてきたことだろう。「裏口入学」があったのなら納得できないに違いない。大学側にはきちんと説明する責任がある。しわ寄せで不合格となった人がいれば、適正な措置を取るべきだ。
 贈賄側の東京医科大には逮捕者が出ていない。特捜部は証拠隠滅や逃亡の恐れがないためとするが、学長や理事長の関与が疑われている。検察は厳正な捜査に努めねばならない。
 文科省は昨年、天下りや加計学園の問題が起きている。不祥事が続発している以上、解体的な出直しをしなければ、信頼回復はとても望めない。


文科省局長逮捕 ゆがめられた教育行政
 東京地検特捜部が、文部科学省の科学技術・学術政策局長を受託収賄容疑で逮捕した。
 私立大への支援事業を巡り、東京医科大が対象校に選ばれるよう便宜を図る見返りに、自分の子を医科大に合格させてもらった疑いが持たれている。
 文科省は入試の不正に目を光らせる立場にある。その幹部が強い権限を悪用し、国費でわが子を裏口入学させたに等しい。
 事実であれば言語道断だ。文科省は徹底した内部調査を行い、再発防止や信頼回復に努めなければならない。
 逮捕された局長が東京医科大側から選定の依頼を受けたのは、昨年の5月ごろとされる。
 当時は文科省の組織的な天下りあっせん問題が国民の強い批判を浴び、官房長だったこの局長も監督責任を問われて文書厳重注意処分を受けていた。
 本来、省全体で襟を正すべき時期に、指導的立場にありながら、不正に手を染めた可能性がある。規範意識の欠如が目に余る。
 贈賄側の東京医科大にも猛省を求めたい。人の命を預かる医師を養成する教育機関が、人材選考のための試験をないがしろにしていいわけがない。
 東京医科大の理事長らが不正を主導した疑いも浮上している。特捜部は事件の全容解明に全力を挙げてもらいたい。
 事件を教訓に、文科省と大学の関係も検証する必要がある。
 問題の支援事業は、私大の特色ある研究などに対して国が費用を助成する制度だ。
 少子化の影響で経営難の大学は少なくない。国の補助金やお墨付きは魅力的に映るだろう。
 支援事業に意義はあるとしても、一方で不正の誘因となるような制度設計上の盲点はないか。対象校の選定方法などについて入念な点検が欠かせない。
 併せて、文科省と大学の癒着を生みかねない国立大学法人への現役職員の出向は廃止すべきだ。
 文科省は、高等教育の無償化や大学入試の新テスト導入など重要な課題を抱えている。あらゆる角度から不正の根絶に取り組まなければ、教育行政への国民の理解や協力は到底得られまい。
 財務省幹部が関与した決裁文書改ざんなど官僚の不祥事が続く。省庁全体に荒廃が広がる危機的な状況と言えよう。
 内閣人事局による人事権の掌握が目を覆う現状の一因とすれば、安倍政権の責任も極めて重い。


文科省局長逮捕 教育行政の根幹が揺らぐ
 文部科学省はどこまで国民の信頼を裏切り続けるのか。中央官僚のモラルは、もはや地の底まで落ちてしまったのか。
 文科省の科学技術・学術政策局長だった佐野太容疑者(4日付で大臣官房付)が、受託収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。今春の入試で自分の子どもを東京医科大に合格させてもらう見返りに、「私立大学研究ブランディング事業」という支援事業の対象に選ばれるよう便宜を図った疑いという。
 事実だとすれば、国民の税金を使って自分の子どもを「裏口入学」させたことになる。
 贈収賄事件では収賄側が金銭を受け取るケースが一般的だが、東京地検は入試の点数加算で合格させたことが賄賂に当たると判断したとみられる。
 文科省は東京医科大に2017年度、3500万円を助成した。5年間の支援事業で、助成額は最大1億5千万円程度になる見通しだという。
 公正であるべき支援事業の対象選定を恣意(しい)的にゆがめただけでも重大な背信行為である。
 しかも、その理由が自分の子どもを入学させてもらうためだったとすれば、公私混同どころか、権力の乱用である。
 教育行政をつかさどる文科省にとっても言語道断の事件だ。幹部が自ら大学入試の不正に関わっていたとしたら、もはや教育を論ずる資格すらない。入試にとどまらず、教育行政全体の信用が損なわれかねない。
 文科省は昨年来、組織的天下りの発覚で当時の事務次官が引責辞任に追い込まれ、計43人が処分された。さらに獣医学部新設の加計(かけ)学園問題で「総理のご意向」などと書かれた文書が省内で見つかるなど、不祥事や疑惑で揺れ、綱紀粛正や組織の立て直しが課題になっている。
 そのさなかでの事件だ。佐野容疑者が汚職に手を染めたとされる時期は文科省で総合調整を担当する官房長を務めており、組織的天下りの発覚とも重なる。佐野容疑者も厳重注意処分を受けていた。逮捕容疑が事実とすれば処分など「どこ吹く風」だったということになる。
 不祥事や疑惑のたびに文科省の幹部は陳謝して綱紀粛正や組織再建を誓う。その反省が組織全体に浸透していないなら、文科省は解体的な組織の見直しが必要なのではないか。
 文科省だけに限ったことではない。公文書の改ざんや隠蔽(いんぺい)、セクハラ問題など、中央府省庁を巡る不祥事やトラブルの頻発は目に余る。
 綱紀粛正の掛け声だけでなく、国家公務員の採用、昇進、人事など制度上の課題も含む構造的な問題と捉え、緊急に再点検すべきではないか。


文科省局長逮捕 恥ずべきモラル低下だ
 いまだに「裏口入学」がはびこっているのだろうか。文部科学省科学技術・学術政策局長だった佐野太容疑者が、受託収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。東京医科大側から文科省の私立大支援事業の対象校に選ぶよう頼まれ、見返りにわが子を入試で合格させてもらったという。
 贈収賄事件は金品の授受を伴うのが一般的だが、医科大合格を「欲望を満たす不正な利益」と判断し、特捜部は捜査に乗り出したのだろう。国の教育行政の幹部が、公明正大であるべき入試を不当な権力行使でゆがめた衝撃は計り知れない。
 特捜部は、医科大側から打診があったのは佐野容疑者が官房長だった昨年5月とみている。当時は加計学園問題を巡って「総理のご意向」などと記された文書の存在が明らかになり、省内は大揺れだった。その4カ月前には、天下りのあっせん問題で前川喜平前事務次官が引責辞任し、佐野容疑者も文書厳重注意の処分を受けていた。
 その時期に、医科大側から依頼されていたことになる。天下り問題では、文科省と私立大の癒着が指摘されていた。どういう気持ちで不正の働き掛けに耳を傾けたのか。財務省の文書改ざんも許し難いことだが、今回の件でも官僚のモラル低下を強く感じざるを得ない。
 問題は、個人のモラルにとどまらない。支援事業の「私立大学研究ブランディング事業」の選定プロセスには疑問が残る。医科大は、落選した前年度とほぼ同じ計画書で応募していたようだ。まさか佐野容疑者の鶴の一声で決まる仕組みだったわけではあるまい。
 ブランディング事業は、大学の看板となる研究の推進に必要な費用を国が助成するものだ。施設の新築や機器の購入に充てることができる。医科大は病気の予防を目指し、痛みの少ない検査などを研究開発する事業が評価され、交付金を5年間もらうことになった。1年目は、3500万円が交付された。
 恣意(しい)的な選定が行われた経緯を含め、文科省は第三者も交えて徹底的に検証する必要がある。野党は、開会中の国会で集中審議を求めている。事実を解明する責任は政治にもあろう。
 国の私学助成は、改革に取り組む大学に手厚く支援する特別補助の割合が増加傾向にある。ブランディング事業もその一つだ。18歳人口が減る中、私立大は生き残りを懸けて国の支援事業の獲得にしのぎを削り、文科省も各大学に知恵と工夫に努めるよう促してきた。しかし、一部の大学を不当に優遇していたとすれば、両者の信頼関係は崩壊しかねない。
 地方の私立大は、東京一極集中が進む中、魅力的な大学づくりを必死に目指している。文科省の今回の不祥事は、裏切り行為に等しい。
 東京医科大は、都心に立地し、定員割れの懸念が少ない医学科と看護学科で構成する大学である。なぜ不正に手を染めてまで選定を目指す必要があったのか。次官候補と目されていた佐野容疑者とのパイプづくりなど別の思惑も考えられる。
 入試の不正は、臼井正彦理事長と鈴木衛学長のトップ2人が指示した疑いが出ている。医科大側の動機の徹底追及も、真相解明には欠かせない。


文科省局長逮捕  補助で入試ゆがめたか
 大学に対する補助金を差配する立場の文部科学省幹部が入試の不正に関わっていた。事実なら、省の存在意義を揺るがす深刻な事態だ。
 文科省の科学技術・学術担当局の前局長が、東京医科大への補助金支給に便宜を図る見返りに、大学関係者に自分の息子の入試の点数を加算させ、合格させてもらっていたとして、受託収賄の容疑で東京地検特捜部に逮捕された。
 前局長と東京医科大の関係者を仲介した受託ほう助の疑いで東京都内の医療関連コンサルティング会社の社長も逮捕された。大学関係者は現理事長とみられ、在宅で捜査を受けている。
 官僚が地位を私的に利用したという意味で、古典的ともいえる汚職事件の構図ではある。
 だが、背景に文科行政や入試の構造的な問題がなかったか、しっかり見定める必要がある。
 問題の補助事業は、特定の分野に力を入れる私大を支援するため2016年度から始まった。
 東京医科大はがんや生活習慣病の早期発見推進の研究で16年度にも応募したが落選。17年度にほぼ同じ内容で改めて応募して選ばれた。
 選定は複数の専門家が行うが、一度退けられた研究が同じ内容で通過するなら、選定の基準が不透明だ。
 前局長は当時、事務方ナンバー3の官房長だったが専門家ではない。それでも選定に影響力を行使できたのなら、文科省の研究補助事業の全体に疑問符が付く。この事業が本当に必要だったのかも含め、徹底的な検証が必要だ。
 文科省と大学の関係は04年の国立大法人化を機に大きく変化した。文科省は研究費などで競争的資金の割合を大きくし、大学に獲得競争を促してきた。
 その半面、資金獲得のノウハウを知る文科省出身者が、国公私立を問わず重用されている実態がある。
 17年には局長が退任2カ月後に省人事課のあっせんで私大に教授として再就職していたことが発覚し、省の幹部が国家公務員法違反で処分された。
 事件は文科省と大学のこうした関係性と無関係ではあるまい。
 東京医科大の責任も重大だ。特定の人物が入試の点数を左右できるような体制があるなら、同様の不正は他にもあるのではないか。医療人を育てる大学の入試が不透明では困る。説明責任を果たしてほしい。


文科省汚職 癒着の構造を断ち切れ
 文部科学省の前局長が受託収賄容疑で、東京地検特捜部に逮捕された。前局長は、官房長だった2017年5月、東京医科大を国の支援事業の対象校に選んでほしいと依頼を受け、見返りとして今年2月の入学試験で点数の加算により自分の子どもを合格させてもらった疑いが持たれている。
 国の教育行政を担う文科省であってはならない事件が起きてしまった。事業の恣意(しい)的な対象選定と、入試の不正という二つの疑惑が同時に浮かび上がった。文科省では17年、組織的な天下り問題が発覚したばかりだ。組織の立て直しを進めている途上で、またしても国民を裏切った罪は大きい。
 前局長が便宜を図った疑いがある支援事業は「私立大学研究ブランディング事業」。私立大学の看板となる研究の推進に必要な費用を国が助成し、施設の新築や機器の購入などに充てられる。
 医科大はがんや生活習慣病の早期発見を推進する内容の計画書を提出。17年11月に選定され、3500万円の助成金を受けた。医科大は16年度もほぼ同じ内容の事業計画で応募したものの落選した経緯があり、17年度の選定を確実にするために、依頼したとも考えられる。医科大の理事長と学長が関与した疑いが浮上しており、大学トップが不正を主導した可能性もある。
 私立大学は少子化の影響で、受験生、入学者が減少し、厳しい経営環境にさらされている。こうした状況の中で、文科省は大学に独自色を打ち出すように指導するなど競争を促している。人事や予算など省内の調整を担い、幅広い権限を持つ官房長が事業の選定に便宜を図ったとしたら、他大学の文科省への信頼は根底から崩れることになる。支援事業の選定プロセスを洗い直す必要がある。
 便宜を図る見返りに子どもの入学を働き掛けたのならば、前局長は税金を使って裏口入学を謀ったことにもなる。あからさまな行政の私物化であり、決して許されるものではない。
 入試が受験生にとって公平であるべきことは言うまでもない。公平公正の確保が文科省の大きな仕事の一つである。全国の受験生、その家族、さらには学校関係者にどう説明し、謝罪するのか。文科省の対応が問われる。
 文科省は天下り問題の最終報告で、国家公務員法違反62件を確認したと公表し、当時の事務次官ら歴代次官3人を含む累計43人を処分した。しかし、天下り受け入れの見返りとして補助金配分で手心を加えるなど有利な取り計らいがなかったかまでは踏み込まなかった。
 今回の汚職事件で、文科省と大学との癒着の構造が断ち切られていないことが明らかになった。この問題を放置せずに、きっちりとメスを入れて解明することが、組織の立て直しの出発点となろう。


文科幹部収賄 背後にある構造、解明を
 文部科学省の現役幹部が私立大の支援事業で便宜を図る見返りに息子を裏口入学させたとして、受託収賄の疑いで逮捕された。今どきこんなことがと、にわかには信じ難い事件である。
 佐野太容疑者は、官房長だった昨年、東京医科大の関係者から便宜供与の依頼を受け、代わりに今春受験した息子の点数を水増ししてもらったという。金銭の授受はないが、東京地検特捜部は、賄賂にあたる「不正な利益」を得たと判断した。
 官房長は人事や予算について省内の調整を担い、幅広い権限を持つ役職だ。事実なら、行政権限の私物化と言うほかない。組織的な天下り問題などで揺らいだ教育行政への信頼は失墜する。
 便宜を図ったとされる「私立大学研究ブランディング事業」は、大学の看板になる研究に国が助成する。昨年度は188校の応募があり、東京医科大を含む60校が対象に選ばれた。
 各大学が提出した計画書を基に学識経験者が選定にあたる。東京医科大は前年度、ほぼ同じ内容の計画書を出して落選していた。官房長の意向はどう働き、どこに恣意(しい)的な選定の余地があったのか。徹底して検証する必要がある。
 少子化による18歳人口の減少で私大の経営は厳しさを増している。既に4割は定員割れしている状況だ。一方で文科省は、私大への助成を一律の配分から経営改革の取り組みや業績に応じて配分する仕組みに改めてきた。
 競争して獲得する「特別補助」の割合が増し、各大学がしのぎを削っている。今回の事業も特別補助の一つだ。学部を新設、再編する動きも活発化し、設置認可や補助金配分の権限を持つ文科省は、大学に対してより強い影響力を持つようになっている。
 昨年発覚した天下り問題は、文科省と大学が癒着する構造を浮き彫りにした。違法とされた再就職先の多くが大学だった。文科省と結びつきを強めて経営の安定を図ろうとする大学側の姿勢が、再就職先を確保したい文科省の思惑と絡んで、なれ合いを生んだ。
 今回の事件でも、東京医科大の理事長、学長が便宜供与の依頼や入試の不正に関与した疑いが浮上している。佐野容疑者は事務次官候補とも目されていた。
 事件は、文科省と私大の不透明、不明朗な関係の表れではないか。構造的な面に目を向け、点検し直すことが欠かせない。それなしに信頼回復はおぼつかないことを文科省は認識すべきだ。


文科省局長逮捕 前代未聞の行政私物化だ
 前代未聞の事件である。あってはならない行政の私物化であり、教育行政へのさらなる信頼失墜は免れまい。早急な全容の解明が不可欠だ。
 文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者が受託収賄の疑いで、東京地検特捜部に逮捕された。文科省は大臣官房付とし、局長から外した。
 東京医科大を文科省の私立大支援事業の対象校に選定するよう便宜を図る謝礼として、息子を医科大に合格させてもらった疑いが持たれている。
 事実なら、教育行政に重い責任を負う文科省の幹部が税金を使い、息子を大学に裏口入学させたことになる。
 特捜部によると、佐野容疑者は官房長だった昨年5月、医科大関係者から依頼された。その謝礼として、今年2月の入試で息子が点数の水増しを受けたとされる。
 医科大の臼井正彦理事長が依頼し、鈴木衛学長ともども入学試験の不正に関与した疑いがある。大学の首脳2人が不正を主導したとすれば事態は深刻だ。
 問題の支援事業は「私立大学研究ブランディング事業」だ。医科大はがんや生活習慣病の早期発見を推進するとの計画書を提出して昨年11月に選ばれ、1年分の助成金として3500万円の交付を受けた。
 事業初年度の2016年度にも、ほぼ同じ事業計画で応募したが落選していた。特捜部は医科大側が17年度の選定を確実にするため、息子の合格を約束したとみて調べている。
 医科大には箔(はく)付けや次官候補とされた前局長と太いパイプを築く狙いがあったとみられる。
 選定は複数の専門家が計画書を審査、点数化し、学識者らがつくる委員会が最終判断した。一方、官房長は人事や予算調整をはじめ、幅広い権限を持つ。
 どう関与したのか、恣意(しい)的な選定があったのかどうか、徹底的に究明しなければならない。
 文科省は入試の不正防止を厳しく訴えてきた。それだけに今回の事件の代償は重い。
 02年には帝京大が受験生側から入学前に寄付金を受け取っていた問題に対し、裏口入学につながりかねない行為をしないよう全国の私立大に通知した。
 近年は大学の出題ミスで合否判定が見直される事態が相次いだことを受け、入試の厳格化を求めていた。
 入試の公平、公正を監督する文科省の幹部が不正入試の恩恵を受けていたとすれば、指導へのマイナスは計り知れない。
 東京医科大の学生や受験生、保護者らに与えたショックも大きいに違いない。
 文科省は昨年来、天下りあっせん問題や加計学園問題などの不祥事に揺れ続けている。
 財務省幹部の失態も記憶に新しい。官僚に対する国民の不信感がかつてなく高まっている。
 国会で真相究明を求める声が出ている。特捜部による捜査と並行して、政府は自ら不祥事を調べて、国民に真相を明らかにするとともに、再発防止策を講じなければならない。


文科省局長逮捕 官僚の倫理観はどこへ
 容疑が事実とすれば、教育行政の信頼を根底から揺るがす事態である。文部科学省の現役局長が受託収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。
 東京医科大から同省の私立大助成事業の対象校に選定するよう依頼され、見返りに自分の息子を不正に合格させてもらった疑いが持たれている。特捜部は、東京・霞が関の文科省を家宅捜索するなど捜査を進めている。全容を解明してもらいたい。
 逮捕されたのは、文科省科学技術・学術政策局長だった佐野太容疑者(58)=4日付で大臣官房付。総務課長や会計課長など重要ポストを歴任し、省内では「将来の次官候補」と評されていたという。私立大を担当する高等教育局私学部参事官や、出身地にある山梨大の副学長を務めた経験もある。
 特捜部によると、佐野容疑者が官房長をしていた昨年5月、東京医科大から文科省の「私立大学研究ブランディング事業」の対象校に選定するよう依頼された。見返りとして今年2月、佐野容疑者の息子が同大を受験した際、点数を上乗せして合格させてもらったという。現金授受はないが、合格させたことが賄賂に当たると判断した。
 佐野容疑者と東京医科大を仲介したとして、医療コンサルティング会社の元役員(47)も受託収賄ほう助の疑いで逮捕されている。
 ブランディング事業は、特色ある研究を打ち出す私立大を助成するもので2016年度に始まった。東京医科大は16年度は落選したが、17年度は選ばれ、1年分の助成金3500万円の交付を受けた。
 少子化で経営環境が厳しさを増す私立大は、国からの助成金獲得にしのぎを削っている。文科省も先進的な取り組みを重点的に支援する傾向を強めている。大学同士の競争を促しながら、同省幹部が恣意(しい)的に選定していたとなれば、同省への信頼は完全に失われよう。
 さらに、文科省幹部がわが子を不正に入学させ、試験の公平性をゆがめていたのなら、あまりに衝撃的だ。入試をつかさどり、公正確保を各大学に求めてきた文科省への背信そのものだろう。
 解明すべきポイントはいくつかある。ブランディング事業は各大学が提出した計画書に基づき、複数の専門家が審査する形になっており、佐野容疑者はどのような形で影響を与えたのか。入試も、各大学とも公正確保のための仕組みをつくってきたはずだ。東京医科大はどのように点数を上乗せしたのか。大学側は捜査に全面協力すべきだ。
 文科省では昨年、違法な天下りが組織的に行われていたとして大規模な懲戒処分が行われた。組織は異なるが、財務省の決裁文書改ざんなど不祥事も相次いでいる。エリート官僚の倫理観は果たしてどこへいったのか。国民の信頼を取り戻すことが容易でないことだけは確かである。


文科省汚職/癒着の構造にメスを
 文部科学省の科学技術・学術政策局長が受託収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。東京医科大側から私立大支援事業の対象校に選ぶよう頼まれ、見返りに今年2月の入学試験で点数の加算により自分の息子を合格させてもらったという。現金授受はなかったが、「合格者の地位」を与えられたことが賄賂に当たると判断された。
 教育行政を担い、大学入試の不正防止を指導してきた文科省で、あからさまな行政の私物化が明らかになり、また信頼が大きく揺らいでいる。昨年、人事課の職員やOBが関与した組織的な天下りあっせんで大量の処分者を出したばかりだ。
 逮捕された局長は当時の官房長として監督責任を問われ、文書厳重注意処分を受けた。その後、学校法人・加計学園の獣医学部新設を巡り「行政がゆがめられた」との疑惑に火が付き、文科省は対応に追われた。そうした中で、息子を合格させるという私利私欲から汚職に手を染めた。公務員としての誇りや使命感はかけらも見られない。
 少子化で厳しい競争にさらされる私大と、私学助成などの権限を握る文科省との癒着の構造は天下り問題でも指摘されたが、きちんと解明されずに終わっている。これを放置したままでは、信頼を取り戻すことはできないだろう。
 問題の支援事業は2016年度に始まった。全国の私大から大学の看板となる研究の計画書が提出され、学識経験者の審査を経て対象校に選ばれると、文科省が研究費用を助成する。東京医科大は16年度は落選したが、17年度に選ばれ、1年分の助成金3500万円の交付を受けた。医科大側は選定を確実にするため、局長に便宜供与を依頼したとみられている。
 少子化が進む中、大学の数は増え、私大はどこも経営は苦しい。支援事業も含め、予算と権限を持つ文科省とのパイプを確保しようと、しのぎを削る。天下り問題も、大学の許認可や補助金の配分などを担当する高等教育局の元局長が退職後に早稲田大の教授に迎えられたことをきっかけに調査が始まり、違法な再就職が次々と出てきた。
 印象的だったのは、釈明の記者会見に臨んだ早大総長が「今後は文科省関係者お断りと言い切る自信はない」と述べたことだ。大学側がメリットを期待したり、機嫌を損ねまいとしたりして文科省からの天下りを受け入れ、文科省の側もごく当たり前のようにあっせんを繰り返すという癒着の構造がうかがわれた。
 文科省は昨年3月に最終報告をまとめ、人事課職員やOBらが関与した国家公務員法違反計62件を確認したと公表。前川喜平前事務次官ら歴代事務次官3人を停職相当とするなど累計43人を処分した。ただ最終報告は天下り受け入れの見返りとして補助金配分で手心を加えるなど有利な取り計らいがなかったか、までは踏み込まなかった。
 今回の事件では、東京医科大トップの理事長が受託収賄ほう助容疑で逮捕された医療コンサルティング会社元役員を通じて知り合った局長側に便宜供与を頼み、入試の不正にまで関わっていた疑いも指摘されている。癒着の根は深い。そこにメスを入れない限り、文科省の組織立て直しは難しいだろう。


【文科省局長汚職】あまりに露骨 全容解明を
 天下り問題や加計学園疑惑で批判が強まる文部科学省でまた、言語道断の不正が図られていた疑いが明らかになった。同省の信用失墜は底なしの様相だ。
 東京医科大を私立大支援事業の対象校に選定する見返りに、自分の息子を入学試験に合格させたとして、同省前官房長の科学技術・学術政策局長(4日付で大臣官房付)が受託収賄の容疑で東京地検特捜部に逮捕された。
 官房長当時の2017年5月、医科大関係者から依頼を受け便宜を図る謝礼として、今年2月の入試で息子の点数を加算させていたという。入試の不正防止を所管する官庁の現役官僚が職務権限を悪用し、「裏口入学」をねだっていた構図だ。
 厳正、透明であるべき助成金事業の選考がゆがめられ、公正公平に立つ入試が踏みにじられた。なぜ、これほど露骨な不正がまかり通ったのか。詳しい経緯や動機など全容解明が急がれる。
 逮捕された前局長は科学技術分野だけでなく、教育政策にも明るかったとされ、早くから「次官候補」とも目されてきたという。逮捕容疑当時の官房長は広範な権限を持ち、省内の意思決定に強い影響力を行使できる立場だった。
 前局長が便宜を図ったとされる「私立大学研究ブランディング事業」は、経営改革で独自色を打ち出す大学の研究を支援する競争的資金として、16年度に始まった。応募大学が提出した計画書を学識経験者らが審査し、同省が助成の対象校を決める。
 事業期間は5年間で、東京医科大はがんなどの早期発見の推進などを掲げた計画書が評価され、17年度の応募188校から支援対象60校の一つに選ばれた。1年分の助成金3500万円が交付された。
 少子化で学生確保の競争が激化する私立大では、PR目的も含め公的助成への要請が高まっているという。医科大は16年度もほぼ同じ計画書で応募したが、落選した経緯がある。17年度の選定を確実にするため、前局長に働き掛け、便宜供与と引き換えに息子の合格を約束した可能性がある。
 前局長も厳しい経営環境にあえぐ私立大の事情につけ込んだ形で、さながら「悪代官」の行状だ。省内から「今どき、裏口入学だなんて…」と困惑の声が聞かれるほどだ。
 医科大の選定に前局長がどう関与し、なぜ省内で不正がチェックできなかったのか。医科大の入試不正は他にはないのか…。あまりにあからさまなだけに、疑問は膨らむばかりだ。
 逮捕容疑の一連の不正は、文科省の違法な天下りの防止が議論され、加計疑惑が浮上、国会の追及が強まってきた時期に重なる。前局長の公僕としての意識の欠如を疑う。財務省や防衛省の公文書の改ざんや隠蔽(いんぺい)も含め、官僚機構そのものにゆがみが生じているのではないか。そう思わざるを得ない。


文科省汚職 癒着の構造放置するな
 文部科学省の科学技術・学術政策局長が受託収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。東京医科大側から私立大支援事業の対象校に選ぶよう頼まれ、見返りに今年2月の入学試験で点数の加算により自分の息子を合格させてもらったという。現金授受はなかったが、「合格者の地位」を与えられたことが賄賂に当たると判断された。
 教育行政を担い、大学入試の公正公平を掲げて不正防止を指導してきた文科省で、あからさまな行政の私物化が明らかになり、また信頼が大きく揺らいでいる。昨年、人事課の職員やOBが関与した組織的な天下りあっせんが国家公務員法違反と認定され、大量の処分者を出したばかりだ。
 逮捕された局長は当時の官房長として監督責任を問われ、文書厳重注意処分を受けた。その後、学校法人・加計学園の獣医学部新設を巡り「行政がゆがめられた」との疑惑に火が付き、文科省は対応に追われた。そうした中で、息子を合格させるという私利私欲から汚職に手を染めた。公務員としての誇りや使命感はかけらも見られない。
 少子化で厳しい競争にさらされる私大と、私学助成などの権限を握る文科省との癒着の構造は天下り問題でも指摘されたが、きちんと解明されずに終わっている。これを放置したままでは、文科省が信頼を取り戻すことはかなわないだろう。
 問題の支援事業は2016年度に始まった。全国の私大から大学の看板となる研究の計画書が提出され、学識経験者の審査を経て対象校に選ばれると、文科省が研究費用を助成する。東京医科大は16年度は落選したが、17年度に選ばれ、1年分の助成金3500万円の交付を受けた。医科大側は選定を確実にするため、局長に便宜供与を依頼したとみられている。
 少子化が進む中、大学の数は増え、私大はどこも経営は苦しい。支援事業も含め、予算と権限を持つ文科省とのパイプを確保しようと、しのぎを削る。天下り問題も、大学の許認可や補助金の配分などを担当する高等教育局の元局長が退職後に早稲田大の教授に迎えられたことをきっかけに調査が始まり、違法な再就職が次々と出てきた。
 印象的だったのは、釈明の記者会見に臨んだ早大総長が「今後は文科省関係者お断りと言い切る自信はない」と述べたことだ。大学側がメリットを期待したり、機嫌を損ねまいとしたりして文科省からの天下りを受け入れ、文科省の側もごく当たり前のようにあっせんを繰り返すという癒着の構造がうかがわれた。
 文科省は昨年3月に最終報告をまとめ、人事課職員やOBらが関与した国家公務員法違反計62件を確認したと公表。前川喜平前事務次官ら歴代事務次官3人を停職相当とするなど累計43人を処分した。ただ最終報告は天下り受け入れの見返りとして補助金配分で手心を加えるなど有利な取り計らいがなかったか、までは踏み込まなかった。
 今回の事件では、東京医科大トップの理事長が受託収賄ほう助容疑で逮捕された医療コンサルティング会社元役員を通じて知り合った局長側に便宜供与を頼み、入試の不正にまで関わっていた疑いも指摘されている。癒着の根は深い。そこにメスを入れ、しっかり解明しない限り、文科省で組織立て直しの道筋をつけるのは難しいだろう。(共同通信・堤秀司)


[文科省汚職] わが子合格が謝礼とは
 医学部を目指す受験生に3浪、4浪は珍しくない。受験が過熱する陰で、不正な入試が行われていたとすれば、言語道断だ。
 しかも、逮捕されたのは教育行政をつかさどる文部科学省の現役局長である。私立大支援事業の対象校選定で東京医科大に便宜を図る見返りとして、自分の子どもを合格させてもらったという。
 こんな不正がいまだにまかり通っていたのかと、驚きを禁じ得ない。事件の全容を解明し、天下り問題でも指摘された文科省と私大の癒着の構図にもメスを入れなければならない。
 東京地検特捜部の調べによると、受託収賄容疑で逮捕されたのは文科省の前科学技術・学術政策局長、佐野太容疑者。山梨大副学長を務めたこともある人物だ。
 佐野容疑者は官房長だった2017年5月に東京医科大関係者から、研究費用を助成する文科省の私立大支援事業の対象校に選んでほしいと依頼を受けた。
 東京医科大は16年度に落選したほぼ同じ内容の事業計画書を17年度も提出、17年11月に選定されたという。佐野容疑者の関与の有無を含め、東京医科大が選ばれた経緯を明らかにしてもらいたい。
 特捜部は選定の謝礼として入試点数を加算し、合格させたことが賄賂に当たると認定した。事業の選定と合否判定の因果関係が今後の捜査の焦点になろう。
 私大医学部を巡る不正入試問題は、これまでもたびたび起きている。文科省は各大学に通達を出して合格発表前の受験生側との接触を慎むよう求め、入試の公正確保を強調してきた。
 それだけに、入試の不正疑惑が足元から浮上したダメージは大きい。教育行政への信頼を取り戻すのは容易ではなかろう。
 昨年1月には天下り問題が発覚した。元高等教育局長が早稲田大に再就職した際、天下りをあっせんされた疑いがあるとして内閣府の委員会が調査した。
 最終的に62件の国家公務員法違反が確認され、歴代事務次官らが処分された。だが、天下りの背後にある文科省と大学の関係には踏み込まず、改善は進まなかった。
 文科省は大学の許認可や補助金の配分など巨大な権限を持つ。今回の事件の背景には、こうした特権意識も働いたのではないか。大学行政の在り方を根本から見直していくことが欠かせまい。
 東京医科大で学ぶ学生にとっては、学校の評判を落としかねない迷惑千万な事件に違いない。大学側は学生にも経緯を説明するとともに、再発防止に向けて組織の立て直しを急ぐべきである。


私が大学で「ナチスを体験する」授業を続ける理由 人はいとも簡単にファシズムになびく
田野 大輔 甲南大学教授
「受講生に制服を着させてグラウンドで行進や糾弾を行わせる『ファシズムの体験学習』という授業をやっています」
筆者がこう話をすると、たいていの相手は怪訝な顔をする。
「そんなことをして大丈夫なんですか?」
こうした懸念を抱くのも無理はない。何しろあの「悪の代名詞」たるファシズムである。ナチスを模倣したパフォーマンスを行うなど、いかにも問題がありそうだ。
それでもこのような授業を行うのは、ファシズムに対する免疫をつけるためには、その危険な感化力を一度身をもって体験する必要があると確信しているからである。
「ファシズムの体験学習」は、筆者が勤務校の甲南大学で担当している講義科目「社会意識論」(受講生約250名)のなかで毎年実施している2回の特別授業である。
その内容は簡単にいうと、教師扮する指導者のもと独裁体制の支持者となった受講生が敬礼や行進、糾弾といった示威運動を実践することで、ファシズムの仕組みとその危険性を体験的に学んでいくというものだ。
なぜいまさらファシズムなのかと思う向きもあるかもしれないが、たとえば近年わが国で問題になっているヘイトデモなどにも、これと共通の仕組みを見出すことができる。この授業の受講生は、そうした現代的な問題への対処の仕方も学ぶことになるのである。
拍手喝采で独裁者を承認
「ファシズムの体験学習」を着想するにいたった経緯としては、ドイツ映画『THE WAVE ウェイヴ』を知ったことが大きい。「独裁制」の体験授業に参加した高校生たちが集団の一体感に魅せられ、教師のコントロールを失って過激化していくさまを描いたこの映画の内容は、「ナチズムがなぜ多くのドイツ人の心をとらえたのか」を長年にわたって研究してきた筆者の問題関心と重なる。
だが映画では授業が生徒たちの暴走を引き起こし、悲劇的な結末につながっていくことから、同様の事態を防止するために、細心の注意を払う必要があった。そこで体験授業を実施するにあたっては、実施前に参加者に暴力禁止などの注意事項を伝達し、実施後もSNS等を通じたモニタリングを行うといった対策を講じた。
そうした対策の効果もあってか、これまでのところ懸念すべき事態は生じていない。ただし倫理上の問題に加えて心理的な影響も危惧されるため、慎重な取り扱いを要することに変わりはない。
それでは授業の具体的な進行を紹介していこう。
1回目の授業では、まず事前に注意事項を伝えた上で、独裁的な政治形態をとるファシズムにとって指導者の存在が不可欠であることを説明し、教師がその指導者(「田野総統」)となることを宣言、全員に拍手喝采で賛同させる。満場一致で指導者を承認することが、独裁制の確立に向けた第一歩だ。
そして教師=指導者に忠誠を誓わせる敬礼(右手を斜め上に挙げて「ハイルタノ!」と叫ぶ)を導入し、教室内でその敬礼と行進の練習を何度か行って、集団の力の大きさを実感させる。
この練習の際、「もっと大きな声で!」「足を強く踏みならして!」などと教師が煽ると、最初ためらいがちだった受講生の声は徐々に大きくなり、足踏みの音も揃ってきて、最後には教室中が轟音に包まれる。
さらに受講生を友達グループから引き離し、教師の指示への従属を強める目的で、誕生月ごとに座るよう席替えを行う。そしてこの指導者と支持者からなる集団(「田野帝国」)の目に見える標識として制服とロゴマークが重要であることを説明し、次回の授業に指定の制服(白シャツとジーパン)を着てくるよう伝える。
ほぼ全員が「制服」を着てくる
2回目の授業は、制服を着用して出席した受講生に対して、敬礼と行進の練習をさせるところからはじまる。ほぼ全員が同じ白シャツ・ジーパンを着て「ハイルタノ!」と叫ぶさまは壮観だ。制服の効果は圧倒的で、声も足踏みの音も明らかに前回より迫力がある。
次いで前回の授業のまとめを行うが、その途中で私語をして授業を妨害する派手なシャツを着た出席者(実はサクラだが他の受講生はその事実を知らない)を注意し、教室の前に引きずり出して、見せしめのため首にプラカード(「私は田野総統に反抗しました」と書かれている)をかけて立たせる。教室内は静まり返り、受講生は固唾を飲んで様子を見守っている。
一件落着後、集団の標識となるロゴマークの作成に入る。拍手による投票で3つの候補から選んだロゴマークをガムテープの切れ端にマジックで記入し、ワッペンとして胸につけてもらう。さらに集団の目標として大学構内の「リア充」(カップル)の排除を掲げ、彼らを糾弾する掛け声(「リア充爆発しろ!」)の練習とあわせて、再度敬礼と行進の練習を行う。
その後、教室から大学内のグラウンドに移動して行われるのが、授業の山場である屋外実習だ。異様な集団を見ようと集まった多くの野次馬(一般の学生)が見守るなか、グラウンドに整列した参加者はまず数回「ハイルタノ!」の敬礼を行って教師=指導者に忠誠を誓い、笛の音に従って誕生月ごとに隊列行進を行う。この段階ではまだ声も歩調もあまり揃っていない。
「糾弾」が集団の熱を高める
だが次にグラウンドの脇に座るカップル(これも事前に用意したサクラ)を集団で取り囲み、拡声器の号令に合わせて「リア充爆発しろ!」と糾弾しはじめると、参加者の声は明らかに熱を増してくる。
何度も大声で怒号を浴びせられたカップルがたまらず退散すると、参加者の間には誇らしげな表情が浮かぶ。3組のカップルを退散させ、拍手で目標達成を宣言した後、教室に戻って実習は終了となる。
この糾弾行動は映画『THE WAVE ウェイヴ』にはない脚色で、不測の事態を防ぐと同時に、教育効果を高める目的で導入したものである。攻撃対象となる敵役を用意した上で、教師の号令のもと受講生にこれを糾弾させれば、攻撃的衝動をコントロールしつつ発散させることができると考えたのである。
以上のような一連のパフォーマンスを通じて、受講生は教師に指示されるまま集団に合わせて行動しているうちに、本来なら良心がとがめるような悪行を犯すことになるわけだが、その過程で自分を含む集団の意識がどう変化するかを観察し、ファシズムの危険性がどこにあるかを認識するようになる。それがこの授業の狙いである。
受講生は何を学んだのか
この特別授業は2010年から毎年実施しているが、過去9回の授業では受講生の参加意欲は非常に高く、授業の狙いを的確に理解して、集団行動の効果に対する認識を深めているようだ。
屋外実習の後に受講生に書いてもらったレポートからは、彼らの多くが集団行動に参加するなかで、悪いことだとわかっていても気持ちがどんどん高ぶっていく経験をしていることが読みとれる。
実習後の授業で筆者はレポートの内容を以下の3つの論点に整理して、参加者がみずからの体験をファシズムの仕組みの理解につなげることができるようデブリーフィング(被験者への説明)を行っている。
―乎弔領呂亮卒供A完で一緒に行動するにつれて、自分の存在が大きくなったように感じ、集団に所属することへの誇りや他のメンバーとの連帯感、非メンバーに対する優越感を抱くようになること。
「大声が出せるようになった」「リア充を排除して達成感が湧いた」といった感想が典型的だが、参加者は集団の一員となることで自我を肥大化させ、「自分たちの力を誇示したい」という万能感に満たされるようになる。
カップルに何度も怒号を浴びせているうちに参加者の声が熱をおびてくる様子にも、そうした変化を見てとることができる。しかもそれが制服やロゴマークといった仕掛けによって促進されていることも重要である。
責任感が麻痺する
∪嫻ご兇遼竅磧上からの命令に従い、他のメンバーに同調して行動しているうちに、自分の行動に責任を感じなくなり、敵に怒号を浴びせるという攻撃的な行動にも平気になってしまうこと。
「指導者から指示されたから」「みんなもやっているから」という理由で、参加者は個人としての判断を停止し、普段なら気がとがめるようなことも平然と行えるようになる。そこには権威への服従と集団への埋没が人びとを道具的状態(他人の意志の道具となる状態)に陥れ、無責任な行動に駆り立てていく仕組みを見出すことができる。
最初はまとまりのなかった参加者が教師の指示や周囲の動向に影響されて徐々に一体感を強め、積極的に大声を出すようになるのも、そうした他人任せの姿勢によるところが大きい。
5範の変化。最初は集団行動に恥ずかしさや気後れを感じていても、一緒に行動しているうちにそれが当たり前になり、自分たちの義務のように感じはじめること。
「途中から慣れてしまった」「声を出さない人に苛立った」といった感想が示すように、参加者は上からの命令を遂行するという役割に順応し、集団の規範を自発的に維持するようになる。
これは人びとが自分の行動の責任を指導者に委ね、その命令を遂行することにのみ責任を感じはじめるという、状況的義務への拘束が生じていることを意味している。参加者はいつの間にか、教師と一緒に授業をやりとげようとする共犯者に変貌してしまうのだ。
以上の3点のうちファシズムの仕組みを理解する上でとくに重要なのは、2番目の「責任感の麻痺」である。
監獄実験やミルグラム実験の結果が示しているように、権威への服従は人びとを道具的状態、自分を命令の代行者と見なすような意識に陥れ、自分自身の行動に責任を感じなくさせる働きをもっている。
たとえば1938年11月にナチス政権下のドイツで発生した反ユダヤ主義暴動、いわゆる「水晶の夜」は、ユダヤ人への報復行動を呼びかけるゲッベルス宣伝相の演説が引き金になったが、権力の後ろ盾のもとでは好き放題に暴れまわっても罰せられないという状況が、多数のナチ党員や突撃隊員を暴力的な行動に駆り立てたことは明らかだ。
ヘイトスピーチを考えるヒントにもなる
ファシズムは一般に抑圧的な性格をもつものと考えられている。ナチスが暴力で人びとの自由を抑圧し、強固な独裁体制を築いたことはたしかである。
だがファシズムをもっぱら抑圧的なものと理解してしまうと、それがいまなお人びとを惹きつける魅力をもっており、状況しだいでいつ社会全体に拡大してもおかしくないことが見過ごされてしまう。
何よりも重要なのは、ファシズムに加わった人びとの内面的な動機、彼らがそこにどんな魅力を見出していたのかを理解することである。同じ制服を着て指導者に忠誠を誓い、命令に従って敵を攻撃するだけで、人はたやすく解放感や高揚感を味わうことができる。
そこではどんなに暴力的な行動に出ようとも、上からの命令なので自分の責任が問われることはない。この「責任からの解放」というべき単純な仕組みにこそ、ファシズムの危険な感化力があるといってよい。
これと同じような仕組みは、たとえば近年わが国で広がりを見せている排外主義運動の参加者の間にも見出すことができる。在日コリアンへの憎悪を煽るヘイトスピーチを行った加害者は、それが批判を浴びると「日本のためと思ってやった」といって自己正当化をはかることが多い。
彼らの差別的な言動も、権威への服従がもたらす「責任からの解放」の産物である。そこにはマジョリティの権威を傘に着て社会的少数派を攻撃し、日頃の鬱憤を晴らそうとする卑小なファシストの姿が垣間見える。
現代の民主主義社会で暮らす私たちにとっても、ファシズムはけっして遠い過去の話ではなく、民主主義が「多数派の支配」と理解されるような社会では、その危険性はむしろ高まっているというべきだろう。
独裁体制の支持者など、権威に服従する人びとは一見従属的な立場に置かれているように見えるが、実は上からの命令に従うことで自分の欲求を充足できる治外法権的な自由を享受しており、主観的にはある種の解放感を味わっている可能性が高い。
「ファシズムの体験学習」の最大の狙いも、受講生にそのような感情を体験させることを通じて、ファシズムが参加者にとって胸躍る経験でもありうること、それだけに危険な感化力を発揮しうることを理解してもらう点にあるのである。