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Inondations au Japon : nouvelle visite du Premier ministre aux sinistrés
Le Premier ministre japonais Shinzo Abe a effectué vendredi une seconde visite dans la région sinistrée de l'ouest du pays, où sont mortes au moins 204 personnes dans des inondations et glissements de terrain, promettant l'aide du gouvernement.
Le bilan s'est encore alourdi, alors que les secouristes poursuivaient leurs recherches sur le terrain en quête des habitants portés disparus.
Le porte-parole du gouvernement, Yoshihide Suga, a fait état de 204 décès (contre 201 recensés auparavant), tandis que 28 personnes n'ont toujours pas donné signe de vie plusieurs jours après cette catastrophe météorologique, la plus grave depuis 1982 au Japon.
Quelque 73.000 hommes sont mobilisés et ≪travaillent dur pour sauver des vies≫, a-t-il souligné lors d'un point de presse.
Shinzo Abe, qui a annulé une tournée dans quatre pays - Belgique, France, Arabie Saoudite, Egypte -, s'était déjà déplacé sur les lieux mercredi, dans la province d'Okayama, la plus meurtrie avec celle de Hiroshima.
Cette fois, il s'est rendu dans la préfecture d'Ehime, durement touchée également, où il a visité des maisons dévastées et s'est entretenu avec des habitants occupés à déblayer les débris, selon des images des chaînes de télévision.
Le Premier ministre s'est engagé à verser aux zones affectées une aide supplémentaire de 35 milliards de yens (267 millions d'euros), après avoir déjà promis de puiser 2 milliards de yens dans le budget de cette année.
≪Je veux que les autorités locales fassent tout leur possible pour fournir les secours d'urgence et reconstruire la région, sans hésiter à dépenser≫, a-t-il déclaré.
L'ampleur financière du désastre est encore incertaine, mais le ministère de l'Agriculture a d'ores et déjà évalué les dégâts pour le secteur à au moins 23,2 milliards de yens (177 millions d'euros).
Ce chiffre ≪ne pourrait être que la face visible de l'iceberg, étant donné que nous ne sommes pas en mesure d'inspecter les champs à ce stade≫, a précisé à l'AFP un responsable du ministère, Yasuhisa Hamanaka.
Le ministre de l'Agriculture Ken Saito a par ailleurs dit ≪surveiller les prix≫, ceux de certains légumes ayant augmenté de 10 à 30% à travers tout le pays.
Le gouvernement a été vivement critiqué par l'opposition pour sa gestion de crise jugée tardive, alors que de nombreux habitants ne sont pas partis à temps faute d'ordres d'évacuation.
≪Nous avons vu ces dernières années des désastres liés à la pluie bien plus meurtriers qu'auparavant. Nous devons revoir ce que le gouvernement peut faire pour réduire les risques≫, avait reconnu mercredi M. Suga.
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Kan Kimura (on DL) @kankimura
「同じ事が東京で起こったらもっと大変だった」。阪神大震災時から続けられる、こういう報道のあり方が、現に被害に苦しんでいる被災地の人々にとってどれだけ不愉快か、をどうして首都圏の人やメディアは、いつまでも理解できないのだろうか。率直に言ってただひたすら愚かであり、傲慢である。

天満の北区区役所に行ったときは気がつきませんでしたが,梅田で職員証を忘れていることに気がつきました.今さら戻るわけにもいかず不便な一日を過ごしました.
著作権について問い合わせをしたところ,丁寧な返事をいただきました.でもちょっと困ったことになりそうです.

<聖火リレー>「復興の火」到着地に期待大 最大被災地・石巻を元気に
 2020年東京五輪で、ギリシャで採火された聖火の種火の国内到着地に石巻市が名乗りを上げた。4年に及ぶ誘致活動を展開した聖火リレー出発地は12日、福島県に決まったが、地元関係者は東日本大震災の最大被災地へ「復興の火」を迎え入れる構想の実現に期待を寄せた。
 種火は「復興の火」として、聖火リレーの前に岩手、宮城、福島3県で巡回展示される。亀山紘市長は巡回展示を「支援への感謝と、今の復興の様子を発信するいい機会にしたい」と位置付け、「復興の火はアテネから直接石巻に入ってもらうことを想定して活動している」と力を込めた。
 リレー出発地の誘致活動に協力してきた市体育協会の伊藤和男会長(71)は「県や市と連携しながら、被災者を元気づけられる取り組みを考えていきたい」と意気込む。
 誘致委員会委員長を務める浅野亨石巻商工会議所会頭(76)は「最大被災地の石巻が、今まで以上に元気になるようなプロジェクトにしたい」と強調した。
 一方、14年に始まった聖火リレー出発地の誘致活動は実らなかった。市は1964年の東京五輪で使われた聖火台を借り受け、聖火台を軸に市民を巻き込んだ活動を展開してきた。
 伊藤会長は「市民に勇気や希望をもたらす取り組みに多くの協力をもらった」と活動の意義を示しつつ、「聖火ランナーが石巻を通る時には皆で盛り上げたい」と気持ちを切り替えた。


<聖火リレー>ギリシャで採火「復興の火」到着地に石巻市名乗り
 2020年東京五輪の聖火リレー実施前、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県で計画される「復興の火」の巡回展示で、ギリシャで採火した種火を迎え入れる到着地に石巻市が名乗りを上げていることが12日、分かった。実現すれば、最大の津波被災地で日本で最初に聖火がともされることになる。
 市の構想によると、種火を載せた特別機を東松島市の航空自衛隊松島基地に着陸させ、陸路で石巻市内の日和山公園へ搬送。火を受け取り、震災時に津波からの避難路として使われた階段を下る。20年度完成予定の石巻南浜津波復興祈念公園に移動し、歓迎の祈念式典を開く計画。
 聖火リレーは20年3月26日に福島県を出発する。岩手、福島両県でも復興の火を展示する日程を踏まえ、種火到着は震災命日の3月11日となる可能性もある。
 式典は祈念公園内に整備する追悼の広場を想定。黙とうなどの後、会場で復興の火をともし、市民らが見られるようにする。
 亀山紘市長は「出発地は福島県になったが、復興の火は国内で最初に宮城県に入ってもらうことを期待したい。石巻には(リレーと合わせ)聖火が2回入ることになる」と期待した。
 祈念公園が整備される門脇・南浜地区は津波で一帯の住宅地がほぼ壊滅。死者・行方不明者は500人を超え、住民の多くが日和山公園に避難した。
 復興の火の巡回展示は今年4月、大会組織委員会や政府などによる調整会議で決定。市は復興の火の受け入れを組織委などに働き掛けている。


<聖火リレー>石巻市「残念だが判断評価」
 聖火リレーの出発地を巡っては、東日本大震災で打撃を受けた石巻市も官民挙げての誘致活動を展開してきた。福島への決定を受け、亀山紘市長は「残念ではあるが今回は復興五輪。同じ被災地から出発してもらうという判断は評価したい」と理解を示した。
 同市では2014年2月、経済団体など民間主導による誘致委員会が発足。16年8月には市役所にプロジェクトチームが結成され、市民参加のイベントを開くなどしてきた。
 国立競技場(東京)の建て替えに伴い、市総合運動公園には聖火台が貸与されている。昨年7月に視察した吉野正芳復興相が「石巻で聖火リレーをスタートできるようにしたい」と述べたこともあり、期待感が高まっていた。
 誘致委委員長の浅野亨石巻商工会議所会頭は「復興五輪の流れはくんでもらった。リレー出発地を目指して運動していたので、半分良かった、半分残念というところ」と話した。


<聖火リレー>福島から20年3月26日出発 復興を世界に発信
 2020年東京五輪の聖火リレーで、47都道府県を巡る実施日程が12日、決まった。東日本大震災の被害が甚大だった福島県を同年3月26日にスタートする。震災と東京電力福島第1原発事故からの復興を強力に後押しし、「復興五輪」を世界に発信する。聖火は7月24日の開会式まで、移動日を含め121日間で都道府県を回る。福島県以外の東北5県でのリレーは6月に実施する。
 都内であった大会組織委員会や政府、東京都、全国知事会の代表者らによる調整会議で了承した。
 福島出発について組織委の森喜朗会長は「復興五輪を強く意識して検討した」と意義を強調。吉野正芳復興相は「世界中に復興した日本の姿を発信したい。被災地に元気を与えるためにも、被害を受けた方々をぜひランナーとして参加させてほしい」と述べた。
 沖縄県を出発点とする案もあったというが、多くの被災者が避難生活を送る現状やリレーのテーマ「希望の道を、つなごう。」を踏まえて選定した。
 リレーは20年3月26〜28日に福島県内を巡った後、栃木県から主に太平洋側を沖縄県まで南下。折り返して北海道まで北上した後、東京都へ向かう。
 東北は6月7、8日が山形県、9、10日に秋田県、11、12日に青森県を回る。震災で被災した岩手は17〜19日、宮城県は20〜22日に駆け抜ける。
 具体的な経路は各都道府県が検討し、年内にルート案を組織委に報告。組織委が全体案を作成し国際オリンピック委員会(IOC)の了解を得る。正式ルートは来年夏までに決める。
 鈴木俊一五輪相は東日本大震災の被害が大きかった3県のうち岩手、宮城両県にリレーが来るのが終盤の6月となることに関し、「3月はまだ寒く、両県の沿岸部はどか雪が降るリスクもある。全国を回った聖火がまた被災地に入り、東京へ向かうのであり、順番で評価されるものではない」と指摘した。
 出発地を巡っては、震災で被災した石巻市が誘致に取り組んでいた。組織委はリレー実施前、ギリシャで採火した種火を「復興の火」として岩手、宮城、福島の被災3県で展示する。


<聖火リレー>福島スタート 地元歓迎「勇気湧く」「実情伝えて」注文も
 2020年東京五輪の聖火リレーが福島県から出発することが決まった12日、県内では「勇気が湧く」「復興の様子を発信できる」と歓迎の声が上がった。東京電力福島第1原発事故で被災した地域の再生は道半ば。被災者からは「福島の実情が正しく伝わってほしい」と注文も出た。
 「とても喜ばしい。聖火を見られれば勇気が湧く。復興五輪の名称通り、実のある聖火リレーにしてほしい」。浪江町から避難し南相馬市の災害公営住宅に暮らす渡辺幸枝さん(66)は喜んだ。
 若い世代も興奮した。今春富岡町で再開した富岡二小6年の南宇宙(そら)君(11)は「すごい。みんなで走りたい。国内だけでなく世界中に福島が復興していること、富岡で僕たちが元気に学んでいることをPRしたい」と笑顔で語った。
 双葉郡8町村の双葉地方町村会といわき市は、国道6号を縦断する聖火リレーを政府などに要望していた。帰還困難区域の区間は今も歩行者が通れず、ルートに決まれば除染などが加速するとの思いもある。
 町村会長の松本幸英楢葉町長は「福島スタートは大変うれしい。ルートは国道6号を回ってもらえば地域の姿が正確に伝わり、復興の後押しになる。関係機関と調整したい」と話した。
 複雑な思いを抱く被災者もいる。全町避難が続く大熊町から会津若松市に避難する尾内武さん(69)の自宅周辺は、除染廃棄物の中間貯蔵施設予定地。帰還はかなわず、町全域の避難指示解除も全く見通しが立っていない。
 尾内さんは「良い所だけでなく、帰りたくても帰れない住民がいることもきちんと伝わってほしい」と望んだ。


<聖火リレー>宮城県、ルート設定作業本格化
 2020年東京五輪・パラリンピックの聖火リレーで、出発地や都道府県の巡回順が12日、正式に決まったことを受け、県は今後、ルート設定などの作業を本格化させる。復興五輪の理念に沿い、東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸部を重視するとみられる。
 県に割り当てられた日数は6月20日から3日間。市町村や県警などでつくる実行委員会を近く発足させ、年内をめどにルートを決める見通しだ。併せてランナーの公募や警備計画、歓迎式典の会場地選定の検討を始める。
 県はこれまで、本命視されていた沖縄県出発を念頭に、北上してきた聖火が福島県側から入るルートを想定して準備を進めていたが、聖火は岩手県から受け取ることが確定した。
 県オリンピック・パラリンピック大会推進課の担当者は「福島出発は正直、想定外だ。準備していた作業をやり直さないといけない」と話した。
 1964年東京五輪の聖火リレーは9月26日に岩手側から県内入り。1日目は旧金成町(現栗原市)をたち、旧古川市(現大崎市)、大和町などを経由して県庁まで。予備日の27日を挟み、28日は名取市や大河原町などを通り、白石市で福島側に引き渡した。86区間計約150キロ、走者約2000人との記録が残る。


河北春秋
 「戦後の荒廃から完全に立ち直った日本を具現化」「国民が一丸になれた」。1964年の東京五輪で最終聖火ランナーだった故坂井義則さんは、五輪の意義をこう回想した。広島に原爆が投下された日に同じ県内で生まれ、「戦災復興の象徴」と語られた▼2020年の東京五輪。東日本大震災からの「復興五輪」を、招致した東京都や組織委員会は看板に掲げた。だが、岩手、宮城、福島の被災地の首長で「理念は明確」と考えるのは2割ほど、と先ごろの本紙の調査。復興が遅れた現実からは、五輪の夢も恩恵も見えづらい▼2年後の聖火リレーが「福島県からスタートする」と決まった。64年の五輪は返還前の沖縄が出発点。今回も沖縄案も上がり、復興五輪の理念が勝ったという。看板からすれば当然▼福島第1原発事故から癒えず、風評に苦しむ地元には朗報だ。ただ石巻市も「聖火リレー出発地」誘致を4年越しで運動してきた。今回のルートを見ると、聖火が岩手、宮城に入るのが全国巡回の終盤近く。なぜ、こんなに待たせるのか▼3県での競技開催は宮城でサッカー、福島で野球・ソフトボールの試合のみ。事前合宿誘致も少なく、復興に追われて五輪に関わる余裕もない自治体が多い。意義不明のまま聖火リレーでお茶を濁されては困る。

<気仙沼かつおの日>本場の味堪能して!14日から祭り開催
 21年連続で生鮮カツオの水揚げ日本一を誇る気仙沼市で14日から3日間、気仙沼市漁港に水揚げされた新鮮なカツオを観光客らに味わってもらう「気仙沼かつお祭り」が開かれる。観光施設などが連日、カツオのにぎりずしなどを無料で振る舞い、飲食店は統一価格でカツオ料理を提供する。
 市や気仙沼漁協などでつくる、市生鮮かつおプロモーション事業実行委員会が昨年定めた「気仙沼かつおの日」(7月第3月曜日)に合わせた企画。
 観光施設「海の市」は開設4周年記念イベントと合わせて開催。3日間、カツオたたきのにぎりずし200食を振る舞い、15日にはカツオハラス焼き(1000食)などを無料で提供する。四つの飲食店は、いずれも1500円でカツオ刺身定食やカツオすしセットなどを出す。
 物産販売店「気仙沼お魚いちば」は15、16日に商品を買った客にカツオたたきなどをプレゼント。商業施設「気仙沼さかなの駅」は16日にカツオの刺し身(200食)を無料提供する。
 3施設は14日、カツオ1匹を市価の半額程度の1000円で販売する。市水産課は「カツオと言えば気仙沼。本場の味を堪能してほしい」と呼び掛けている。
 連絡先は海の市0226(24)5755。


<石巻・IDF>東北大開発のリチウム電池 来年量産へ
 自動車用シートカバーなど製造のIDF(石巻市)は、東北大未来科学技術共同研究センター(NICHe)が開発したリチウムイオン電池の量産に乗り出す。広く使われている三元系の材料に代わり、マンガン系を利用して発火の危険性や生産コストを低減。石巻市内の閉校した小学校を工場に改修し、来年に生産を開始する。
 コバルトやニッケルを使う三元系のリチウムイオン電池は容量が大きく高性能だが、異常発熱し発火する危険性があった。マンガン系は容量で劣るが開発から約20年にわたり発火事故がなく、安全性が高いという。
 従来のリチウムイオン電池は湿気を嫌うため、工場にドライルームなど大規模投資が必要だった。湿気に強いマンガン系に着目したNICHeはさらに安全面などの観点から素材改良を進め、ドライルームなしで製造できるようにした。
 NICHeの白方雅人特任教授は「ドライルームが不要になって初期投資が10分の1になり、億単位の年間電気代が減った。安全性が高まり、資金やノウハウのない中小企業でも製造できる」と話す。
 新たなリチウムイオン電池は、東北大発ベンチャーの未来エナジーラボ(仙台市)がみやぎ復興パーク(多賀城市)に設けた製造ラインで試験生産中。IDFに技術移管する形になる。
 IDFは石巻市から校舎などを購入し次第、改修工事に着手する。費用は約15億円で、国の補助金などを活用する。フル稼働時は容量毎時100ワット級の電池を年40万個生産。ピーク時の雇用は約50人と想定し、当面は年間売上高25億円を目指す。
 主な需要は家庭や小規模医院向けの非常用電源、太陽光発電装置と組み合わせた蓄電式の街路灯、通信用のバックアップ電源などを見込む。
 NICHeの長谷川史彦センター長は「大手電池メーカーは自動車や携帯電話向けの大容量化が開発の主流。IDFは既存市場からこぼれた容量の小さい電池を用途に合わせて多品種製造し、新たな市場を切り開くのが狙いだ」と明かす。
 IDF社長の山本憲一石巻専修大教授は「仙台、石巻両地域で一貫生産し電池の地産地消を進める。宮城県発の電池として全国、世界に発信したい」と意気込む。


豪雨対応「万全」だったか 野党は政権批判
 西日本豪雨を巡る安倍政権の対応に野党から批判が出ている。特に記録的な大雨になる恐れがあると気象庁が厳重な警戒を呼び掛けた五日夜の自民党の宴会が非難の的だ。避難者が出ている時に宴会を開くのは「責任感が欠如している」(立憲民主党の蓮舫参院幹事長)との理由だが、政府は万全の体制で対応してきたとの立場だ。
 気象庁は五日午後二時、緊急に臨時記者会見を開き「記録的な大雨となる恐れがある」と注意を呼び掛けた。豪雨警戒を理由に会見を開くのは過去に例がない。担当者は「かなりの危機感があった」と振り返る。五日午前中には近畿三府県で十六万人超に避難指示・勧告が出ていた。
 宴会はその夜に開かれた。「赤坂自民亭」と銘打った宴会には安倍晋三首相や小野寺五典防衛相、西村康稔官房副長官ら官邸の危機管理を担う人物が出席。上川陽子法相、広島県選出で自民党の岸田文雄政調会長も参加し、談笑して、酒を酌み交わす姿を西村氏らがその日の夜にツイッターに投稿した。
 西村氏は十二日の参院内閣委員会で、投稿を陳謝した。「災害発生時に会合していたかのような誤解を与え、多くの方に不愉快な思いをさせた」。宴会を開いたことでなく、誤解を与えたことが陳謝の理由だ。
 菅義偉官房長官は十二日の記者会見で「気象庁の発表直後に小此木八郎防災担当相のもと関係省庁災害警戒会議を開催し、その後も万全の体制で対応に当たってきた」と強調した。
 ただ、首相が出席する関係閣僚会議が開かれたのは、気象庁の警戒呼び掛けから二日後の七日だった。この日、死者は五十一人、不明者は約五十人に増加した。政府が「非常災害対策本部」を設置したのは八日。野党は対応が遅いと批判している。 (金杉貴雄)


<西日本豪雨>石巻・カーシェア協会 貸し出し車両6台、岡山・倉敷に向け出発
 石巻市の一般社団法人日本カーシェアリング協会は12日、西日本豪雨の被災者らに貸し出す車6台を岡山県倉敷市に向け送り出した。18日にも現地到着する。
 車は被災者や支援団体に無料で貸し出す。期間は9月末まで。協会所有の軽トラック2台、軽乗用車2台、軽ワゴン1台、乗用車1台を用意し、運搬はオートバックスセブン(東京)が協力した。
 同協会は東日本大震災や熊本地震でも被災者に車を貸し出した。今回、車の水没が相次いだ豪雨被害では早期の対応が必要と判断した。当面は50台を目標に車を募集し、順次、現地に送り届ける。
 吉沢武彦代表理事(39)は「倉敷市は堤防が決壊し、車の被災規模が大きい。生活を前に進める力になりたい」と話す。
 協会が募集するのは車検が3カ月以上の軽乗用車や乗用車。連絡先は0225(22)1453。


<西日本豪雨>愛媛・宇和島に派遣の仙台市職員 現地の状況を郡市長に報告
 西日本豪雨を受け、仙台市が愛媛県宇和島市に派遣した危機管理課の鈴木裕介主幹(46)ら職員4人が12日、郡和子市長に被災地の状況を報告した。
 4人は9、10日、宇和島市役所で被災状況を確認し、市内の土砂災害現場を視察した。鈴木主幹は「現在も一部が断水している。混乱が続き、飲料水以外のニーズは整理がついていなかった」と報告した。仙台市が収集した情報は10日までに、宇和島市の対口支援(カウンターパート)に指定された徳島県に伝えた。


西日本豪雨/被災者を全力で支援したい
 西日本を襲った記録的な豪雨による犠牲者は、日を追うごとに膨らんでいる。気象庁が8府県に大雨特別警報を発表し、被害が相次いだ6日から13日で1週間。被災地では約7000人が避難生活を送る。政府や自治体など関係機関は被災者の支援、災害関連死の防止などの対策に全力を挙げてほしい。
 甚大な被害が出た広島、愛媛、岡山の3県などでは、23万戸以上で断水が続き、飲料水の不足や衛生状態の悪化が懸念される。被災地では厳しい暑さが追い打ちをかけており、住民の健康が心配だ。
 自宅に住めなくなり避難所での暮らしを余儀なくされる被災者は、避難生活の長期化が予想される。助かった命を守るため、万全を期す必要がある。
 東広島市の避難所では、避難した80代の女性が体調を崩して亡くなった。熱中症対策は急務だろう。梅雨明け直後は高温で湿度も高く熱が体内にこもりやすい。体が暑さに慣れておらず、熱中症の危険性が高い時期とされる。十分な水分の摂取などを心掛けてほしい。
 避難所の生活では、食中毒や感染症のリスクもある。流水とせっけんによる手洗いを徹底し、アルコールで消毒するなど対策を講じなくてはならない。
 過去の災害で死者が出たエコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓(そくせん)症)にも注意が要る。狭い場所に長時間、体を動かさないでいると血栓が生じ、肺などの血管を詰まらせる恐れがある。
 被災者の健康面のほか、ライフラインの復旧、住宅の再建、心のケアなど被災地は多くの課題を並行して抱えている。政府や自治体にはきめ細かな対応が求められよう。
 政府は、被災地の要請を待たずに食糧などを送る「プッシュ型支援」を本格化した。2016年の熊本地震で初めて導入した手法で、初期の段階では有効だろう。ただ、被災地や被災者が必要とする支援は、時間の経過とともに変わっていく。今後はニーズの把握も不可欠となる。
 東日本大震災の教訓として残る、被災した家で暮らす在宅被災者への支援も忘れてはならない。避難所などに比べて物資や情報が届きにくいからだ。
 あすからの3連休には多くのボランティアが被災地に入るに違いない。先の生活が見えない不安を抱える被災者にとっては、ボランティアは心身の大きな支えになる。支援の広がりに期待したい。
 13年に改正された災害対策基本法は、国や自治体がボランティアとの連携に努めるように求めている。東日本大震災では、地域によって支援に濃淡があった。
 今回も被災地域が広範囲に及ぶ。復旧・復興に向け、被災自治体とボランティア団体などの官民連携が欠かせないだろう。


政権の豪雨対応 認識甘く緊張感足りぬ
 甚大な被害が出ている西日本豪雨で政府・与党の対応に首をかしげる場面が少なくない。国民の生命・財産を守る危機管理への認識が甘いのではないか。
 既に近畿地方で多数の避難指示が出ていた5日夜、東京・赤坂の議員宿舎で開かれた宴会に安倍晋三首相や閣僚、自民党幹部が出席していたことが批判されている。
 首相は今週、災害対応を優先させ予定していた外遊を中止した。
 それは当然としても、与党はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案の成立を目指し、石井啓一国土交通相を参院内閣委員会に出席させている。きのうも審議が行われた。
 河川や道路の復旧を担当する国交相の役割は極めて重い。不要不急のIR法案は成立を断念し、石井氏は災害対策に専念すべきだ。
 一連の対応の背景に、安倍1強政治の下での緊張感の欠如があるとすれば見過ごせない。
 「赤坂自民亭」と呼ばれる党の懇親会には小野寺五典防衛相、岸田文雄政調会長、竹下亘総務会長らが出席。翌日に行われたオウム死刑囚執行の署名を3日に終えていた上川陽子法相の姿もあった。
 気象庁は5日午後、記録的な大雨の恐れがあると発表していた。
 避難住民は不安な一夜を過ごしていたにもかかわらず、西村康稔官房副長官は宴会の画像をツイッターに投稿した。政府高官としての自覚を著しく欠く行為だった。
 竹下氏は記者会見で「これだけすごい災害になるという予想は持っていなかった」と釈明した。
 5日は九州北部豪雨から1年の日だった。毎年のように起こる異常気象に備える重要性は一層高まっている。「想定外」の言葉は政治家として禁句ではないか。
 参院は被災地支援に「万全の対策」を政府に求める決議を衆院に続き全会一致で採択した。
 災害対策には与野党の垣根を越えて取り組み、臨時国会に提出されるだろう補正予算案などに現場の声を反映させてもらいたい。
 ただ、残念なことがあった。
 参院議院運営委員長の山本順三氏は本会議で決議文を読み上げる際に「今回大きな被害の出た西日本地域、その中にある私の地元愛媛県は大変厳しい状況に置かれている」と前置きした。
 被害が広範囲に及んだのに自身の選挙区だけを強調した発言に、野党が反発したのは当然だ。国会議員の言動には、非常時になおのこと国民の厳しい視線が注がれることを忘れてはならない。


避難情報/先手を打って早期伝達を
 西日本豪雨の死者は200人となった。いまだ安否の分からない人が多く、犠牲者はまだ増えそうな状況だ。
 もっと多くの命が救えたのではないか−。被災地では、そうしたつらい問い掛けが続く。またしても大きな課題となったのが、避難を呼び掛ける情報の出し方、伝え方である。
 避難勧告や緊急を要する避難指示はできるだけ早めに。結果的に空振りになってもいいという意識は近年、自治体の間で広がってきた。伝達の遅れが指摘された過去の災害の教訓を踏まえた対応だ。
 だが今回も、タイミングの遅れなど、自治体ごとの判断の違いが明暗を分ける結果となった。無念でならない。
 国は勧告・指示の判断基準となるガイドラインを見直す方針だという。それと並行して、自治体も地域の事情に応じた早期の情報伝達や避難対策を検討する必要がある。
 最も悔やまれるのは、約50人が犠牲になった岡山県倉敷市真備町地区の事例だろう。
 気象庁が河川の氾濫などに厳重な警戒を求めたのを受け、同市は6日夜、同地区の住民に勧告、指示を順次発した。大雨特別警報を踏まえ、7日午前1時半には被害が予想される一部地域を対象に指示を出した。
 最初の堤防決壊が確認されたのはそのわずか4分後。決壊箇所はさらに増え、取り残された高齢者や子どもらが亡くなる事態となった。
 市町村は、国のガイドラインや過去の災害などを基に勧告・指示の基準を決めている。倉敷市の場合、国土交通省の河川水位情報を注視しながら判断したと説明する。ただ発出は深夜や未明で、結果として住民に十分に届かなかったことは問題だ。
 昨年の九州北部豪雨の経験から、前倒しで勧告・指示を出した自治体もある。事態の深刻化が予測される場合は、動きの取れる時間帯にいち早く避難を促す方策を考えるべきだろう。
 過去に大きな被害がなかった地域では、住民も行政の勧告・指示を軽視しがちとされる。命を守るためには先手を打って自ら行動を。一人一人が改めて深く胸に刻みたい。


西日本豪雨・発生から1週間 長期的な支援が必要だ
 西日本豪雨は、被害の大きかった広島、岡山県などに大雨特別警報が出されてから、きょうで1週間となった。
 土砂崩れや洪水に襲われた被災地では、捜索や救出活動が続き、新たな犠牲者が次々に見つかっている。死者は200人に上り、依然として多数の人の安否が分かっていない。いまだに被害の全容が把握できていないことが災害の深刻さを物語る。
 まだ土砂に覆われたままの場所も残っている。地盤が緩み、各地でため池の決壊などへの警戒が続く。雨は収まっても危険な状況は去っていない。二次災害に気を付け、不明者の捜索と復旧に力を尽くしてほしい。
 気象庁が数十年に1度の重大な災害が予想される場合に出す大雨特別警報は、6日から8日にかけて中部から近畿、中四国、九州まで11府県に及んだ。広い範囲で記録的な大雨が降り続け、同時多発的に土砂崩れや河川の氾濫が発生した。道路が寸断され、被害把握や救助活動が混乱した。広域災害への対応の難しさが浮き彫りになった。
 範囲だけをみれば、東日本大震災に迫る規模といえる。本来、司令塔となるべき国の非常災害対策本部の設置が8日になったのは遅すぎた感が否めない。対応に問題がなかったか検証しなければならない。
 気象庁が異例の記者会見を開くなど、早くから厳重な警戒を呼び掛けていたにもかかわらず、結果的には多くの犠牲者を出してしまった。被災した自治体も情報発信など住民に避難を促す取り組みが十分だったかどうかをチェックして、今後の対策に生かしてもらいたい。
 豪雨後に梅雨明けして以降、気温が急上昇している。断水や停電が続く被災地も残る。避難所で生活する人も、自宅にとどまっている被災者も、厳しい状況に置かれたまま。避難生活も長期化しそうだ。
 飲料水や食料、生活必需品の安定した供給はもちろんだが、国や自治体に求められるのは被災者が安心して過ごせる環境である。クーラーなどの空調が十分でなければ、熱中症のリスクも高まる。避難所暮らしのストレスやエコノミークラス症候群も心配だ。医師や看護師らの見回りを徹底させ、関連死を防がなければならない。
 被災者の命を守り、安心で安全な生活を取り戻していくために、あらゆる支援を長期的に講じよう。
 物資の輸送に欠かせない道路網に復旧のめどが立ち始めたのは明るい材料だ。一時「陸の孤島」となった呉市と、広島市方面を結ぶ国道31号はおととい、全線で通行できるようになった。物流の大動脈である山陽自動車道も15日に通行止めが解除される見通しだ。
 ただ広島県内の国道2号や、JR山陽線、呉線などの復旧にはまだ時間がかかる。生活再建を支える基幹交通網の早期復旧が望まれる。
 被災自治体では今後、罹災(りさい)証明書の発行や住宅の被害調査などが本格化する。全国の自治体から職員派遣など人的支援も始まった。ボランティアに駆け付ける人も増えるだろう。
 時間の経過とともに被災地のニーズは変化していく。受け入れる側の自治体には、適切な情報をしっかり発信し、支援を生かす力が問われる。


国民に信用されない災害対策
 ★本来政権にとって災害は国民世論が1つになり、与野党対立も休戦。外遊も取りやめ全力で取り組むことで、政権は強い基盤で復興策を推進という構図になるものだが、今回はそうは進んでいないようだ。11日、「平成30年7月豪雨」で甚大な被害を受けた岡山県を訪問した首相・安倍晋三は政府の初動対応について「政府として一丸となって発災以来、全力で取り組んでまいりました。現場の声を吸い上げ、国が自治体と一体となって対応していく考えです」と説明した。 ★だがそれをうのみにできないのは、宴席を囲んでいたことをネットで披歴するセンスと最後まで外遊を諦められず、災害拡大の実態とは裏腹に非常事態対策本部設置にとどめ、模索し続けたことだろう。岡山では避難所に突然エアコンが設置されたことや、「急に避難所に自衛隊が来てお風呂が設置された。ここは比較的被害が少ない地域なのになぜ優先的に? 警備体制がやたらすごくて、今日から学校も再開なのに何があるのかと思ったら安倍総理が来るんだって」などとツイートされると、経産相・世耕弘成が「安倍総理視察とエアコン設置は全く無関係。設置の指揮を執ってきた者として明確に申し上げます」と反論した。 ★今回の視察では避難所でのメディアの撮影が不可という厳戒態勢が敷かれた。結局ひとつひとつの対応も、基本的な信頼関係が国民との間にないと、本当にそうであっても疑われたり信用されない。今まで、おかしいことがあっても「全く問題ない」と政府も党も国民の疑問を突っぱねてきた結果が、リーダーシップが必要な時に発揮されないことになる。仮設住宅の早期建設、インフラ復旧など手を打つべきことは多いはずだ。

西日本豪雨1週間 避難情報は伝わったか
 西日本豪雨は、気象庁が大雨特別警報を出してから13日で1週間となった。死者数は200人に上り、まだ多くの人が安否不明となっている。不明者の捜索に全力を挙げるとともに、二次災害への警戒も万全にしたい。
 今回の豪雨については、早くから警戒していたはずである。それなのになぜこれほど多くの犠牲者を出してしまったのか。自治体や防災関係機関は避難情報の発信や、避難を促す取り組みが十分だったかを検証する必要がある。
 川の堤防が決壊して浸水し、多数の死者が出た岡山県倉敷市真備町地区で、被害が大きかった川の北側に市が避難指示を出したのは、最初の堤防決壊が確認される約4分前だった。降雨のピークが夜から未明だったことも重なり、結果的に多くの住民が逃げ遅れてしまった。
 市では決壊の約3時間半前に地区全域に避難勧告を出していた。市は想定外の増水で対応に問題はなかったとしているが、もっと早く指示に切り替えていたならばとの思いは捨てきれない。
 避難勧告、避難指示とも自治体ごとに判断基準が設定されている。勧告は災害による被害が予想され、人的被害が発生する可能性が高まった場合に発表される。指示は状況がさらに悪化して、人的被害が出る危険性が非常に高まった場合に発表され、対象地域の住民は直ちに避難しなければならない。
 大雨被害は近年、多発傾向にある。西日本豪雨同様の災害がいつ、どこでまた起きても不思議ではない。避難情報発表の遅れは致命傷になりかねない。自治体にとっては「空振りに終わったら」との懸念もあるだろう。発表のタイミングは非常に難しい問題だが、少しでも危険が迫っていると判断したら早め早めの対応が求められる。
 深夜帯の大雨に対しての避難勧告、指示をどう住民に周知徹底するかも課題である。防災メールを送信したり、地域の消防団などが巡回して広報しているが、逃げ遅れる住民が出ないようにあらためて方策を検討することが必要である。
 住民側も「たいしたことはない」「自分のところは大丈夫」などの自己判断は禁物だ。気象、避難情報などに気を付け、自治体の指示に従うことが命を守ることに直結する。
 今回の被災地の多くは、ハザードマップで危険性が指摘されていた。しかしハザードマップの存在は知っていても、その内容まで確認している人はまだまだ少ないのが現状だ。ハザードマップで危険箇所を知ることが迅速な行動へとつながる。
 災害に襲われた時を想定して、普段から地域内、町内、隣近所で声を掛け合うとともに、早期に避難できるよう訓練などの実施も欠かせない。日ごろから「いざという時」に備えることが肝要である。


豪雨避難 常に心構えを欠かさず
 西日本各地を襲った豪雨から1週間がたち、数々の教訓が見えてきた。特に住民の避難行動について課題が浮かび上がっている。
 「まさか、ここで起きるなんて」「大丈夫と思った」。被災地には、これまで大きな災害を経験していない場所もあった。住民の話から危機感の薄さが読み取れる。
 気象庁は今回、異例の早さで注意を呼び掛けている。梅雨前線の停滞を受けて、6日の大雨が発生する2日前に厳重な警戒を促し、当日午前には会見を行った。
 8日までに「数十年に1度」の大雨特別警報を11府県に発表し、最大級の警戒を求めた。これに伴い各自治体は避難指示を出し、住民に命を守る行動を促した。
 広島県東広島市は、6日午後7時40分に特別警報が出た5分後、全域に避難を指示している。ところが、実際に避難した人は1%にも満たなかったという。
 他の地域でも適切な避難が行われず、大勢の人が命を落とした。この悲劇を検証し、教訓として次の災害につなげなければならない。
 検証すべきことの一つは指示を受ける住民の意識にあろう。多くの地域は避難指示が夜に出された。夜間、未明の避難の難しさは、過去にも問題となっている。
 行動は危険を伴うため、避難所に向かうか、家にとどまるか迷う。このため2階に逃げる「垂直避難」が呼び掛けられるが、実際にどう行われ、効果はあったか。
 最後の警告である特別警報が出てからの避難では遅いといわれる。高齢者ら災害弱者を含めて、早めの避難が行われたかどうかについても検証は欠かせまい。
 災害時は、大したことはないと思いたがる「正常性バイアス」が常に働くと指摘される。警報や目の前の現象を甘く見て、避難の遅れにつながらなかったか。
 避難が空振りに終わったとしても、最悪の事態を想定して行動したい。常に心構えを欠かさず、家族や近所と声を掛け合うことも大事だ。
 検証すべきもう一つは、情報を出す側にある。岐阜県では、自治体が川の氾濫後に避難指示を出す判断の遅れがあった。早めに指示しても十分に伝わらない例も目立つ。
 大雨の音で防災無線が聞き取れなかったり、被災が広範囲で広報車が回りきれない。情報伝達の方法は、さらに検討する必要がある。浸水域を示す洪水ハザードマップの周知も課題として残った。
 気象情報も注意報・警報・特別警報に記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報があり、複雑さは否めない。速やかな行動のため、分かりやすく改善する余地はあろう。


西日本豪雨 被災地の支えになりたい
 日を追うごとに新たな犠牲者が確認され、その数は増している。警察庁は12日、西日本豪雨の死者が200人になったと発表した。被災地を覆う悲しみはいかばかりだろう。
 14年前のきょう、「7・13水害」が本県を襲い、15人が亡くなった。これまで幾度も豪雨被害を経験してきた県民として、西日本の被災地と被災者にしっかり寄り添いたい。
 平成に入り最悪の犠牲者を出した西日本豪雨の被災地では、多くの安否不明者の捜索活動が懸命に続けられている。
 気象庁が西日本の府県に大雨の特別警報を出したのは6日だった。それから1週間になるというのに、復旧への道はいまだに遠い。
 気象庁のまとめでは、西日本豪雨で観測した72時間雨量は119地点で記録を更新し、過去最大だった。雨が長時間、広範囲にわたって降り続いたことが明らかになった。
 豪雨のすさまじさ、その中で被災者が味わった恐怖を思うと改めて胸が痛む。行方の分からない家族や親族の身を案じながら避難所生活を余儀なくされ、復旧作業に当たらざるを得ない住民もいるのではないか。
 土砂災害や浸水被害に遭った現場での捜索は大きな困難を伴うだろうが、警察や自衛隊は引き続き全力を挙げてほしい。
 こうした中、被災地では全国からの支援の動きが広がっている。本県からも自治体職員や医師らが被災地に派遣された。
 長岡市は職員らを派遣し、中越地震の経験などを踏まえ、避難所運営に関するノウハウを伝えるという。
 7・13水害を受け発足した三条市のNPO法人「にいがた災害ボランティアネットワーク」は、泥を撤去するスコップなどを被災地に送った。
 大災害では、支援を担うべき地元の行政職員らも被災者となることが多い。被災地の外からの支えが欠かせない。
 長岡市は支援活動の中で被災地のニーズを探り、その後の支援策を検討するという。
 被災直後の現場では受け入れ態勢が整わず、善意による支援物資の送付がかえって混乱を招くといったケースもある。
 西日本豪雨の被災地はこれから時間がたてば、復旧、復興と段階を踏んで、再生を目指していくことになる。
 被災直後、復旧、復興それぞれの場面に応じ、何が必要かを吟味することが効果的な支援策の構築につながる。
 7・13水害、中越、中越沖地震で被災し、復興に取り組んだ県内の自治体や団体には、東日本大震災の被災地を支援した経験もある。役に立てることは少なくないはずだ。
 私たち県民一人一人も西日本の被災地のために心を合わせたい。さまざまな義援金の募集が行われている。できることから始めたい。
 度重なる災害で、本県は全国から多くの支援を受けた。その感謝を思い起こし、息長く支え続けたい。


西日本豪雨1週間 避難の在り方も問われる
 岡山、広島両県などを中心に甚大な被害をもたらした西日本豪雨は、きょうで発生から1週間になる。
 警察庁によると、死者は14府県で200人に上った。これまでに岡山県で59人、広島県で91人が犠牲となり、中でも浸水被害の大きかった倉敷市真備町地区では50人の遺体が見つかっている。
 まだ安否の分からない人が60人以上いる。被害はさらに拡大する見通しだ。
 土砂崩れも笠岡、井原市など各地で多発した。雨で地盤が緩み、今後の気象状況によっては新たな土砂災害が発生する恐れもある。福山市などではため池の亀裂が相次いで見つかっており、気を抜かず警戒を続けたい。
 各地で寸断された交通網や、止まっている水道、電気などライフラインの復旧も急がねばならない。全国ではいまも約7千人が避難所に身を寄せ、岡山県は3千人以上が避難を余儀なくされている。夏場の暑さと被災した家の片付けなどによる、疲労や体調悪化が心配だ。行政や関係機関も疲労は募っていようが、被災者へ支援をスムーズに届けてほしい。
 国の後押しも重要となる。視察で岡山入りした安倍晋三首相は11日、激甚災害指定に関して「迅速な指定へ政府内の作業を急ぐ」と約束した。行政がちゅうちょせずに復旧や被災者支援に取り組めるよう、補正予算を含めて万全を尽くしてもらいたい。
 西日本豪雨の特徴は、広域で同時多発的に被害が発生したことである。6日から7日にかけ、9府県で「数十年に1度」として最大限の警戒を呼び掛ける「大雨特別警報」が発表された。これほどの広域で出されたことはかつてなく、予想を超えた自然の猛威からどう住民の命を守るかという課題を突きつけた。
 浸水被害の大きい真備町地区の小田川の北側では高台への避難指示が、7日未明になって出された。このため避難所へ行くのをあきらめ、自宅にとどまった人が大勢いる。その後に川が決壊し、一部の家屋は2階まで水が達した。
 自宅避難の際は2階へ上がるなど「垂直避難」が鉄則だが、体が不自由だったりすると難しい。犠牲者の大半は高齢者で、自宅内で見つかった人が多いという。
 同地区は約1200ヘクタールが浸水した。洪水や土砂災害の危険箇所を示す「ハザードマップ」(危険予測地図)と実際の浸水範囲はほぼ一致した。しかし、マップの存在を知らなかった人も多かったとみられる。
 洪水対策が長年の懸案で、今秋にも川の付け替え工事着工を控えていただけに、もっと早い段階で危険を察知し、適切な避難指示ができていればと悔やまれてならない。
 他の地域でも、大雨特別警報の危険度がどこまで行政や住民に伝わり、活用されたのかを検証し、教訓として今後に生かす必要がある。


豪雨とダム放流 操作と伝達の在り方検証不可欠
 西日本豪雨で、ダムと住民避難の関わりに新たな課題が突きつけられた。肱川水系の氾濫で上流の野村ダム(西予市)と、鹿野川ダム(大洲市)では、最大放流量が、それぞれ安全とされる基準の約6倍に達していたことが分かった。
 両市では、川の増水で逃げ遅れたとみられる住民に犠牲者が出ている。命を守るための対策は十分だったか、今後詳細に検証する必要がある。近年豪雨災害が多発する中、ほかの河川流域でも同様の災害が起きる可能性はあり、残された教訓を生かさなければならない。
 ダムを管理する国土交通省四国地方整備局によると、野村と鹿野川両ダムは、洪水に備えて事前に放流していた。その後、予想を超える雨量となり、ダムに入る水量と同量の水を放流する異常洪水時防災操作を実施。最大放流量は野村で毎秒1797邸⊆野川で同3742鼎魑録した。安全な放流量である野村300邸⊆野川600鼎鯊腓く上回っている。
 同局は、ダムの操作は適切だったとの認識を示している。ダムが洪水調整機能を持ち、災害の軽減に一定の役割を果たすことは疑いない。だが、操作した後、一気に増水したことで犠牲者を出した現実は極めて重い。これまでに経験のない雨量による災害が毎年のように起きている。操作規則に見直すべき点はないか、改めて検証しなければならない。
 情報伝達にも課題が浮かび上がっている。死者5人を出した西予市野村地域では、異常洪水時防災操作の事前伝達について国交省野村ダム管理所と西予市の間で認識に食い違いが生じている。管理所が放流開始の30分前倒しを伝えたとする時刻と、市関係者が伝達を受けたとする時刻には、約50分の開きがあった。防災操作の開始時刻は一刻も早く住民に避難を呼び掛ける上で重要な情報であり、伝達に不備があったとすれば看過できない。迅速、確実に伝える態勢を構築しなければならない。
 住民への伝わり方にもばらつきがあった。被災地域の住民からは、避難指示を伝える防災行政無線が聞こえなかったとの証言があるほか、消防団の呼び掛けにも緊張感が感じられなかったといった声が聞かれ、ダムの危機的な状況が正確に伝わっていたか疑問が残る。今後、当時の状況を1軒ずつ聞き取りするなどして、避難行動に結びつけるための有効策を練り直さなければならない。
 昨年9月の台風接近により、中予を流れる重信川が初めて氾濫危険水位を超えたことは記憶に新しい。肱川水系も重信川も上流側が山地で急勾配となっており、水が流れやすく水害が起きやすい地形だ。四国の川は同様の傾向があり、どこで今回のような災害が起こってもおかしくない。自治体は住民に対する避難伝達方法の見直しや、速やかな避難への啓発に一層力を入れなければならない。


[西日本豪雨 被災地支援] ニーズ把握して活動を
 西日本豪雨の被災地では、きのうも自衛隊や警察などによる安否不明者の捜索が続き、死者数は日を追うごとに増えている。
 道路には土砂や流木のほか、家財道具なども散乱している。普段の生活に戻るまでには、まだかなり時間がかかるだろう。
 そんな中、一部地域ではボランティアの活動が始まった。被災者には心強い援軍に違いない。
 受け入れ態勢がまだ整っていない自治体もあるようだ。現地のニーズをしっかりと把握し、支援の手を差し伸べたい。
 各地の災害ボランティアセンターは、本格的な活動をスタートさせている。きのうも岡山県倉敷市のセンターに地元住民らが集まり、後片付けなどを手伝った。
 週末からの3連休、鹿児島からボランティア活動への参加を計画している人もいるだろう。まずは道路や鉄道の状況、宿泊先など現地の情報を集めることが肝心だ。
 自治体によっては定員があったり、事前登録が必要な場合もある。各地の社会福祉協議会などに問い合わせて確認しておきたい。
 西日本豪雨のように県境を越えて複数の自治体が被災すると、ボランティアが一部地域に集中しかねない。そのため、内閣府は「全国情報連絡会議」(仮称)を設置する方針だ。
 被災各県の行政やNPO関係者らと必要な支援内容を共有し、ボランティアらの受け入れを広域的に調整する役割を担う。偏在を解消し、ボランティア同士の専門分野が重ならないように配置すれば復旧は早まるはずだ。運用開始へ態勢づくりを急いでほしい。
 被災地の状況を知り、少しでも力になりたいと思う人は少なくないだろう。たとえ現地に入らなくても支援物資を送る手がある。
 ただ、自治体側の受け入れ態勢が整っていないと、支援物資の置き場所に困ったり、職員が仕分けに手間取り、被災者に速やかに届かなかったりすることが想定される。送り先の自治体が必要としている物資を確認してから提供するように心掛けたい。
 熊本市の大西一史市長は西日本豪雨を受けて熊本地震の経験を振り返り、「個人の支援は、今は物資より義援金など金銭的な支援が一番良い方法だと思う」とツイッターに投稿している。
 南日本新聞社や日本赤十字社などが義援金を受け付けているほか、義援金箱を設置している自治体も多い。被災者の励みになるよう、できる範囲で協力したい。 


滋賀の再審決定 証拠開示のルール化を
 滋賀県日野町で1984年に起きた強盗殺人事件を巡り、大津地裁が再審の開始を認めた。
 酒店経営の女性を殺害、手提げ金庫を奪ったとして無期懲役が確定し、服役中に75歳で病死した男性の遺族が申し立てていた。
 浮かび上がったのは数々の冤罪(えんざい)事件と共通する構図である。
 地裁の決定は「警察官の暴行や脅迫で自白した合理的な疑いがある」などと認定して自白の任意性や信用性を否定し、証拠にも大きな疑問を投げかけた。捜査機関は猛省しなければならない。
 重大事件で「死後再審」が認められるのは極めて異例だ。本人や遺族の無念を考えれば、ただちに再審公判に移行して名誉回復を図るべきだ。
 併せて、政府や司法当局は再審請求審における証拠開示のルールづくりを急ぐ必要がある。
 自白への評価は確定審の段階から揺れていた。一審は「自白には不自然な点もある」と疑問視したが、二審は「根幹部分は十分に信用できる」と判断していた。
 有力な客観証拠がなかっただけに、裁判所が自白の不自然さを見抜いていれば、もっと早く男性の起訴に疑いが生じていた可能性がある。今回の決定を司法も重く受け止めねばならない。
 証拠の問題も看過できない。
 男性が、金庫の投棄現場まで捜査員を案内しているように見える実況見分の写真である。
 捜査機関はこれを有罪の根拠としたが、現場からの帰り道の写真が半数近く紛れ込んでいたことが再審請求審で判明した。
 捜査機関が証拠を操作したと見られても仕方あるまい。決定が「男性が現場を知っていたとする確定審の判断は大きく揺らいだ」と結論付けたのはうなずける。
 そもそも写真の不可解さは、弁護団が検察に証拠の提出を強く求めてようやく明らかになった。
 裁判員裁判などでは、検察が証拠のリストを弁護側に交付する義務があるが、再審請求審は対象から外れている。
 無罪を示す重要証拠が存在する可能性があるのに、弁護側が把握できないのは公正・公平に反する。捜査機関による証拠の隠蔽(いんぺい)や捏造(ねつぞう)を防ぐためにも、開示する仕組みの早急な整備が求められる。
 再審請求を巡っては、今回のように審理の長期化で当事者が死亡・高齢化する例が少なくない。
 誤判からの救済という制度の目的を損なわぬよう、裁判所や検察は迅速な審理に努めるべきだ。


参院定数6増案 身を切る改革に逆行する
 参院の議員定数を6増やす自民党提出の公職選挙法改正案が参院本会議で可決され、今国会中の成立が確実になった。選挙区の「合区」で押し出される候補者を救済したい自民党のお手盛りにほかならない。
 さらに、消費税導入を前に国会議員の「身を切る改革」の必要性が指摘される中、その流れに逆行するものだ。抜本的な1票の格差の是正にも程遠い。にもかかわらず自民党の党利党略を優先させて、全ての野党の反対を「数の力」で押し切った。
 現行の比例代表は、候補者個人の得票で当落が決まる非拘束名簿式。この一部に優先的な当選順位を事前に決める拘束名簿式を採用するのが、比例代表の「特定枠」だ。
 自民案は比例区に特定枠を設けた上で、定数を4増やす。合区した「鳥取・島根」「徳島・高知」の選挙区に擁立できない候補者を特定枠で救済するのが狙いだ。
 そもそも1998年の参院選まで拘束名簿式だったのを変えたのは自民党だ。自民党は党員獲得数を名簿順位の判断材料にしていたが、当時の閣僚が企業に党費を肩代わりさせた問題が発覚するなど、名簿順を巡って熾烈(しれつ)な争いが繰り広げられた。そのために金のかからない選挙をうたい、2001年から非拘束名簿式に変えた。それをまた部分的に戻す。ご都合主義としか言いようがない。
 16年の前回参院選で合区を導入したのは1票の格差を是正する策だった。しかし「特別枠」で合区の候補者を救済するとしたら元の人数に戻すのと同じで、格差是正につながらないのではないか。
 改正案には、最も格差の開いた埼玉選挙区の定数を2増とすることで1票の格差を3倍未満に抑える措置も盛り込まれた。野党の中からは埼玉の2増を受け入れる一方で全体の定数は増やさない「2増2減」案も提出された。全国11ブロックの大選挙区制を提案するなど改革を目指す動きもあった。たった6時間の議論で結論が出せる問題ではない。与野党が議論を尽くして特別枠をやめ、抜本改革につながる案を出す必要があった。
 参院の定数が増えるのは沖縄の日本復帰に伴う2増以外にはない。衆参両院では議員定数を減らす議論が長くされてきた。にもかかわらず、定数を増やすことへの納得のいく説明は委員会でもなかった。
 このまま定数増すれば議員歳費も増える。世論の反発を予想し、自民は「参院全体の歳費が増大しないよう十分な検討を行う」との付帯決議を可決させたが、歳費を増大させないとは明言していない。自民、公明、民主3党が消費税増税方針に伴って約束したはずの「身を切る改革」はどうなるのか。
 選挙制度は民主主義の根幹に関わる。それを政権党が好き勝手に変えてしまう。民主主義を揺るがす暴挙だ。


参院選改革  これでも「良識の府」か
 民主主義の危機と言っても過言ではない。「良識の府」とされる参院での数の力を借りた党利党略の採決強行にあぜんとした。
 参院の「1票の格差」是正を巡り、定数を6増する自民党の公選法改正案が参院本会議で可決された。自公両党が野党の反対を押し切った。衆院審議を残すが、両院は互いの選挙制度改正に異議を唱えないのが慣例で、来夏の参院選からの制度導入が固まった。
 改正案は埼玉選挙区を2増して格差を3倍未満に抑えた上、比例代表も4増し政党が決めた順位で当選者を決める拘束名簿式の「特定枠」を導入する。自民には「合区」対象県で擁立できない候補を特定枠に充て、救済を図る狙いがあるとされる。小手先の制度改革にすぎず、あまりに身勝手だ。
 参院の定数増は沖縄の本土復帰時の選挙区新設を除くと戦後初めて。6増により年間約4億2千万円もの議員歳費増を招くとの試算もある。「身を切る改革」の流れに逆行し、国民の理解は得られまい。急きょ参院全体の経費節減を求める付帯決議を可決したが、これで世論の批判をかわせると考えているのだろうか。
 選挙制度は議会制民主主義の土台であり、熟議が欠かせない。
 自民は当初、憲法改正で合区解消を目指したが見通しが立たず会期末に改正案を駆け込み提出し、西日本豪雨対応で混乱する中、採決を急いだ。熟議を尽くせば尽くすほど問題点が浮かび上がってくる。委員会審議を約6時間で打ち切ったのは、それを見越しての判断と勘繰られても致し方ない。
 実際に特定枠の問題点などが指摘された。運用は各政党に委ねられ、枠を多く使う政党と枠を設けない政党が交じれば有権者は混乱する。候補者名票がゼロでも当選する可能性があり、新たな「1票の格差」が生じかねない。
 選挙制度の議論は、与野党それぞれが自らの議席獲得などを優先する「身内の論理」がぶつかり合う。そこで期待されるのが中立の立場にある議長の調整であろう。だが仲介役の伊達忠一議長は汗をかくことなく、あっせん案作成を拒んだ。出身政党の目に余るおごりにも目をつむった。責任は重い。
 参院は「良識の府」として期待されながら、衆院との同質化が進む。参院の選挙制度改革は本来、衆院とセットで考え、役割や権限の違いを明確にして議論すべきだ。参院はどうあるべきか、という本質的、抜本的な見直しを置き去りにしてはならない。


【参院6増案可決】新たな弥縫策の強行だ
 本質的な議論はまた先送りされた。来夏の参院選は新たな弥縫(びほう)策の下で実施されることになる。
 参院の選挙制度改革は「徳島・高知」の合区解消問題が絡み、高知県民も関心が高い。しかし自民党が唐突に提出した公選法改正案が、参院委員会でのわずか3日の審議で採決が強行され、可決された。
 自民案は合区の解消はせず、継続する内容だ。
 「1票の格差」是正のため埼玉選挙区を2増。比例代表は4増して、現行の非拘束名簿式を基本としつつ、政党が事前に当選順を決める拘束名簿式を一部に導入する。
 自民党は候補者を出せなかった合区対象県の救済策として、特定枠の上位で代表を処遇する狙いだ。
 ただし、自民案はその場しのぎそのものであり、「党利党略」「お手盛り」の批判は免れまい。
 まず特定枠を使わない野党勢が合区選挙区で当選した場合など各県からの議員選出は保障されていない。地域ではなく自民現職の救済策にすり替わっているという指摘がある。
 沖縄の本土復帰時を除くと、戦後初めてになる参院の定数増にも疑問が大きい。
 チェック機能強化や合区解消のための定数増は一概には否定しない。しかし、安倍政権は消費税増税に伴う「身を切る改革」を前提に発足した政権である。定数増に見合った歳費削減がセットでなければ「身を切る」ことにはなるまい。政権発足の正当性すら問われよう。
 共同通信の世論調査では、自民案に賛成が19・5%、反対は59・9%だった。安易な定数増が国民の理解を得られるはずもない。
 合区の導入を決めた2015年の改正公選法では、付則に19年の参院選までに「抜本的見直しについて必ず結論を得る」と明記された。
 時間がありながら抜本改革の議論に至らなかったのは、与野党を問わず政治の怠慢というほかない。
 自民党は憲法改正による合区解消を主張し続け、改憲4項目に盛り込んだ。しかし他党は改憲を絡めることに反発が強く、4項目の中でも実現は難しいという見方は強かった。唐突に別の腹案を出し、延長国会で審議を急いだ姿勢は誠実さを欠くと言わざるを得ない。
 「1票の格差」を是正しながら、人口の少ない地域の声を国政に反映させる制度改正は、互いに相反する難しい課題である。
 だからこそ、衆院との役割分担や、憲法上の「全国民の代表」という位置付けと「地域代表」にする整合性などを丁寧に説き起こす作業が必要ではないか。
 都市部と地方の人口格差は今後も拡大するだろう。合区自体が緊急避難的措置とされた弥縫策だが、本質的な議論を欠けば今後も小手先の数合わせが続くことになる。
 選挙制度は民主主義の土台である。幅広い合意なしに数の力で決める性質ではない。「良識の府」ならば議論を仕切り直すべきだ。


[「共謀罪」1年]懸念と疑問 残ったまま
 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「改正組織犯罪処罰法」(共謀罪法)の施行から1年が経過した。
 この1年間の適用事件は0件だった。野党などが昨年12月に「共謀罪廃止法案」を提出。今年7月10日までに18都道府県41議会が共謀罪の廃止などを求める意見書を国会に提出したほか、各地で市民団体による反対集会が開かれており、安易な共謀罪適用を許さないという国民の監視が届いた結果といえる。
 共謀罪法を巡っては、自民、公明両党が参院法務委員会の採決を省略する異例の手続きで採決を強行。国会での論議を回避する形で成立し批判を浴びた。
 法の中身についても多くの疑問が残ったままだ。共謀罪に問われる対象はテロ集団や暴力団などの「組織的犯罪集団」とされるが、参院で政府は「周辺者」も適用対象と説明した。一般人も含まれる懸念は拭えない。
 対象犯罪は278に上るが、その中には組織犯罪と関係が薄いものも含まれる。それぞれの犯罪へ共謀罪を適用する必要性の説明も尽くされたとは言いがたい。
 それどころか国会審議中には、共謀罪法の目的を問う質疑に金田勝年法相(当時)の答弁が二転三転し、疑念を一層深めた。
 安倍晋三首相は昨年の通常国会閉会後の会見で共謀罪法について「必ずしも国民的な理解を得ていない」と認めたが、その後も理解を得るような策が講じられる様子はない。
■    ■
 そもそも共謀罪法はなぜ必要なのか。根本の疑問もいまだ解消されていない。
 政府は、東京五輪開催を控え「国際組織犯罪防止(TOC)条約」を締結するための国内法整備を根拠の一つに挙げた。共謀罪法の施行を受けて条約締結。菅義偉官房長官は「国際捜査共助や逃亡犯罪人の引き渡しを相互に求められるようになった」と成果を強調する。
 一方、日本弁護士連合会は昨年、TOC締結の要件である「重大な犯罪の合意」などの犯罪化について、現行刑法ですでに規定されていると指摘。条約を締結した187カ国のうち、新法を制定した国は欧州2カ国に限られるとし「共謀罪新設は必要なし」との意見書を提出している。
 現行法で限定的な「合意」の犯罪化の適用を大幅に広げた共謀罪。警察など捜査機関が乱用すれば、日常的に、政府に反対する市民団体を監視する法的根拠ともなりかねず懸念される。
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 県内では3月、新基地建設に反対する市民団体のリーダーらが、公務執行妨害や威力業務妨害の罪などで有罪判決を受け、その後控訴した。捜査過程ではリーダーらが5カ月間にわたって拘留されるなど、市民運動を萎縮させる狙いをうかがわせる対応が目立った。
 まして捜査当局による共謀罪運用の実態をチェックする仕組みはない。捜査権限が無制限に拡大する危険性は残ったままだということを、忘れてはならない。


東京医大が裏口入学リスト…受験生や親の名前
 文部科学省の私立大学支援事業を巡る汚職事件に絡み、受託収賄容疑で逮捕された同省前局長の佐野太容疑者(58)の息子を不正に合格させたとされる東京医科大学(東京)が、過去に不正合格させた受験生やその親の名前などが書かれた「裏口入学リスト」を作成していたことが関係者の話でわかった。東京地検特捜部は、同大側から複数のリストを入手しており、同大が不正入試を繰り返していたとみて調べている。
 特捜部の発表などでは、同大の臼井正彦前理事長(77)は、佐野容疑者に同省の私大支援事業の選定に便宜を図ってもらうよう依頼。その見返りとして、鈴木衛前学長(69)とともに、今年2月の入試で佐野容疑者の息子の点数を加算して合格させるよう学内で指示したとされる。2人は特捜部の任意の事情聴取にこうした経緯を認めている。


東京医科大 以前から不正合格か 受験生リスト一覧に
 文部科学省の私立大学支援事業を巡る汚職事件で、同省前科学技術・学術政策局長、佐野太容疑者(58)=受託収賄容疑で逮捕=の息子を不正合格させたとされる東京医科大が、過去に不正合格させた受験生の名前などを一覧にしたとみられるリストを作成していたことが関係者への取材で明らかになった。東京地検特捜部もリストを入手しており、以前から不正合格が行われていた可能性もあるとみて捜査している模様だ。
 関係者によると、リストは近年のものもあり、受験生の名前に加え、同大側に依頼したとみられる親族の名前なども記載されているという。ある同大関係者は毎日新聞の取材に「今回の事件のような裏口入学は過去にもあったと聞いたことがある」と証言。一方で、別の同大関係者は「最近は合否判定が厳格になっており、不正合格など考えられない」と話している。
 佐野前局長は官房長だった2017年5月、同省の「私立大学研究ブランディング事業」の対象大学選定で便宜を図るよう同大の臼井正彦前理事長(77)から依頼された見返りに、今年度の同大入試で息子を不正合格させてもらった疑いがあるとして逮捕された。臼井前理事長や鈴木衛前学長(69)は特捜部の任意の聴取に不正への関与を認めているという。
 同大は今月6日に開いた記者会見で、臼井前理事長と鈴木前学長が贈賄容疑で捜査を受けていることを認めて陳謝。過去の不正合格について「あったという認識はない」としながらも、弁護士に依頼して事実関係を調査する方針を明らかにした。【巽賢司、遠山和宏、金寿英】


京都大 立て看板燃える 器物損壊疑いで捜査
 13日午前3時ごろ、京都市左京区の京都大吉田キャンパス本部敷地を囲む石垣で、立て看板が燃えていると京大の男性研究員から119番があった。京都府警下鴨署によると、立て看板として使われていたとみられる畳2枚が焼けたが、けが人はなかった。現場では花火の燃えかすが見つかり、同署が器物損壊などの疑いがあるとみて捜査している。
 現場は「百万遍交差点」の南東側歩道上。同署や京都市消防局によると、石垣に立てかけてあった3枚の畳のうち、1枚が全焼、別の1枚の一部が焦げた。隣に置いてあった人形も燃えた。同署などによると、畳には立て看板規制に関連する内容の紙が貼ってあったという。
 京大の立て看板を巡っては、屋外広告に関する条例に違反するとして京都市が京大を行政指導。京大が5月13日以降、繰り返し大学周辺の立て看板を撤去しているが、規制に反対する学生や団体が、畳で作った看板を設置するなど「いたちごっこ」が続いていた。【飼手勇介、中津川甫】


一極集中是正 施策を根本から見直せ
 全人口の3割が東京圏に居住―。もはや異常な数値といえる。
 総務省が発表した今年1月1日時点の人口動態調査である。国内の日本人は9年連続でマイナスとなり、前年から37万人減った。長野を含む41道府県で人口が減少している。
 一方で、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県の東京圏は増え、28・3%に当たる3544万人が居住している。
 人口は50年後に8800万人まで減ると推計されている。過度な一極集中が続くと、地方の活力はますます失われる。
 政府の対策は心もとない。安倍晋三政権が「地方創生」を看板に掲げ約4年。実施した政策は効果を上げているとはいえない。
 国が総合戦略を立て、この内容に沿った地方版戦略を1年の間に自治体に作らせた。コンサルタント会社に作成を依頼した自治体もあったほどで、予算のばらまきと批判された。優遇税制や中小企業の支援策も打ち出した。それでも一極集中は止まらない。
 東京に移り住む若者の増加に歯止めをかけるため、東京23区内の大学の定員増を10年間禁止する新法も5月に成立している。
 大切なことを見失っていないか。まず必要なことは「地方の魅力」の向上だ。
 内閣府や民間の調査では、若者を中心に、都市部から地方への移住に関心を持つ層が増えている。
 移住で不安な要素は「雇用の場」が多いものの、「医療や福祉の充実度」や「生活の利便性、快適性」なども上位を占める。
 その一方で魅力を感じるものでは「自然」や「食べ物」、「生活コストの安さ」などが挙がる。
 政府はこれまで、雇用の場の確保に重点を置いた施策が目立つ。先月閣議決定した当面の対策「まち・ひと・しごと創生基本方針」も従来の政策の延長だ。
 6年間で地方の就業者や起業家を計30万人増やす数値目標を盛り込み、引っ越し費用や起業に必要な資金を手助けするなどの内容である。十分な成果を得られるのか疑問だ。政府はこれまでの施策を検証し、根本から見直すべきだ。
 全国では3年連続で日本人が増えた市区町村が187ある。必要なのは、自治体が住民や移住者、都市部の若者らと対話し、地域の魅力を再確認することだ。そして、それを向上させる手法を考え、効果的に訴えていきたい。政府は地方を後押しする姿勢が欠かせない。問われているのは地方の自主性と政府の発想の転換である。


死刑制度の在り方/議論を深める環境を
 坂本堤弁護士一家殺害事件や地下鉄、松本両サリン事件など一連のオウム真理教事件で、首謀者の松本智津夫元死刑囚ら7人の刑が執行されたことに内外で批判が高まっている。「重大な人権侵害」と日弁連が抗議。欧州各国は「極刑に強く明確に反対する」とし「死刑廃止を視野に入れた執行停止の導入を呼び掛ける」と声明を出した。
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、昨年末の時点で死刑廃止国は106カ国。死刑制度はあっても、10年以上執行のない事実上の廃止国も含めると、142カ国になる。経済協力開発機構(OECD)加盟国で制度があるのは日本、米国、韓国。うち韓国は1997年を最後に執行がない。
 国際的な死刑廃止の潮流の中で上川陽子法相は、法務省が執行を公表するようになった98年以降では最多となる7人の同時執行を命じた。廃止派は「死刑は非人道的で残虐」「誤判があれば取り返しがつかない」と反発。一方、容認派は「被害者や遺族の感情を考えれば当然」「凶悪犯罪に死刑を科すのはやむを得ない」としている。
 ただ7人について、判決確定から執行に至るまでの過程はほとんど明らかにされていない。死刑に関する情報公開は停滞したままだ。廃止か容認か、いずれの立場を取るにしても、国民が十分な情報と理解に基づいて議論を深める環境を整える必要がある。
 なぜ今の時期なのか。教団事件の確定死刑囚13人から、7人はどのようにして選ばれたか。「訴訟能力がない」との指摘もあった松本元死刑囚の執行時の精神状態は。記者会見した上川法相は質問に「個々の執行の判断に関わる」として説明を避けた。
 2019年には天皇退位で元号が変わる。重要な行事も相次ぐ。「平成の事件は平成のうちに区切りを付ける」が大方針になったという。さらに首謀者の松本元死刑囚を他の元幹部より後にしないことが決まり、あとは教団内の地位や関与した事件、役割などを考慮したとされる。また共犯者はなるべく同じ日に執行することから、全員同時も検討されたようだ。
 法務省などから執行の裏側は漏れ伝わってくるが、実際に取られた手続きははっきりしない。松本元死刑囚の精神状態についても法相は「医師の診療を受けさせるなど慎重な配慮がなされている」と一般論しか述べなかった。
 松本元死刑囚は1996年に始まった裁判の途中から意味不明の発言を繰り返した。やがて一言も発しなくなり、一審判決後に弁護団は「訴訟能力がない」と主張。裁判所はこれを退け、判決が確定したが、その後は家族も面会できなくなった。
 刑事訴訟法は死刑囚について「心神喪失の状態にあるときは法務大臣の命令によって執行を停止する」と定める。適正手続きの観点からも、精神状態をどう判定したか、詳しく説明すべきだろう。
 残る死刑囚6人の執行も、そう遠くないとみられる。裁判員裁判で、人の命を奪う「究極の刑罰」と向き合う一般市民はこれからも増えていく。対象者の名前や執行場所だけでなく、執行に至る法務当局内の議論も含め、幅広い情報公開が必要とされる時期に来ている。


死後再審 証拠開示の規定整えよ
 滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性が殺害され、金庫が奪われた「日野町事件」で大津地裁は、強盗殺人罪で無期懲役が確定し服役中に75歳で病死した阪原弘元受刑者の再審開始を認める決定をした。元受刑者の遺族が再審を求めていた。死刑か無期懲役が確定した重大事件で「死後再審」が認められるのは極めてまれなことだ。
 地裁決定は確定判決を支えた自白について「警察官から暴行を受け、娘の嫁ぎ先や親戚をガタガタにすると脅迫された結果、自白した疑いがある」と任意性を否定。殺害方法など客観的な状況と矛盾するとし「事実認定の基礎とし得るほどの信用性を認めることはできない」と結論付けた。
 元受刑者は無期懲役が確定した翌年の2001年に再審請求。大津地裁に退けられ、大阪高裁に即時抗告中の11年に亡くなった。遺族の申し立てで12年に第2次再審請求審が始まり、検察側が手持ち証拠を開示したのをきっかけに裁判所が警察の捜査に強い疑問を投げ掛け、審理の潮目が変わったという。再審における証拠開示の重みが改めて裏付けられた形だ。
 刑事訴訟法改正により裁判員裁判などで検察側の証拠開示は拡充されたが、再審には開示のルールがない。裁判官の姿勢次第で法廷に出てくる証拠が乏しくなり、再審開始の可能性が低くなることもある。早急に規定を整備する必要がある。
 日野町事件で阪原元受刑者と犯行を直接結び付ける証拠はなく、自白をよりどころに間接証拠が積み上げられた。第2次請求審では、30年前の逮捕後に金庫の発見現場の実況見分で警察が撮影した写真のネガが検察側から初めて開示された。元受刑者は自ら捜査員をこの現場に案内したとされ、確定判決は重要な状況証拠として重視した。
 ところが弁護団がネガを調べると、現場に向かう時に撮影したとする写真が実は帰り道のものだったことが分かり、元受刑者が本当に案内できたのかという疑問が膨らんだ。これが審理の大きな節目になったと弁護団はみている。さらに自白と実際の殺害方法が食い違うとする法医学鑑定などが弁護団から提出され、再審の扉が開かれた。
 死後再審は判決を受けた本人が法廷で無実を訴えることができないこともあり、裁判所の審理が消極的になりがちだという。過去に認められたのは、徳島ラジオ商刺殺事件や、戦時下最大の言論弾圧といわれる横浜事件など数例にとどまる。
 今回は、地裁が積極的に証拠開示を促したことで再審開始の糸口が見いだされた。しかし、これからも、そうなるとは限らない。再審の手続きを定めた刑訴訟には証拠開示の規定がなく、担当する裁判官の裁量や職権に頼るしかないからだ。
 捜査・公判改革を巡る法相の諮問機関、法制審議会の特別部会の議論を経て、裁判で被告・弁護側が求めたときは検察側に証拠の一覧表交付を義務付ける制度が始まるなど、証拠開示は拡充された。同じ部会で「再審無罪のほとんどは未提出証拠の開示で確定判決の誤りが明らかになっている」と再審への開示制度導入を求める声も相次いだが、実現していない。
 再審請求審で検察側がなかなか開示に応じないことが審理の長期化にもつながっている。地裁決定を契機に停滞している議論を前に進めたい。(共同通信・堤秀司)


ガザ地区ルポ 若者ら重火器に風船攻撃で応戦
 パレスチナ自治区ガザ東部のイスラエル領との境界付近で、イスラエルや米国に抗議するパレスチナ人とイスラエル軍による衝突が3月末に始まってから100日以上が過ぎた。イスラエル軍の重火器に、ガザの若者たちは発火物をくくりつけた風船やたこを飛ばして応戦。イスラエル領内で火災を頻発させている。ローテク攻撃に業を煮やしたイスラエル側は、ガザ封鎖をさらに強化する方針だ。【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)で高橋宗男】
 「初めのうちはたこだったが、今は風船が主流だ」。ガザ地区中部の住宅の中庭で、「アブホスニ」と名乗る男性(20)が説明する。たこを揚げ始めたのは境界での抗議が始まって2度目の金曜(4月6日)。ラマダン(断食月)に入って最初の金曜(5月18日)からは風船を飛ばし始めた。
 男性は「たこを作って揚げるより簡単だ」と「燃える風船」を作ってみせた。
 車のエアコン用ガスをつめた風船からひもが垂れ下がっている。くくりつけられた線香が燃え尽きる寸前、少量の火薬に引火。先端にある油をしみこませた布が落下して燃える仕組みだ。「一つ作るのに3シェケル(約90円)もかからない」と自慢した。
 中庭で布を燃やした後で、男性は風船を空に放った。地中海からの風に乗った風船は東の方角に飛んでいき、見えなくなった。風任せで発火物の落下地点を計算できない「無差別兵器」とも言えるが、男性は「3月末以降、イスラエル軍の銃撃や催涙ガス弾で130人以上が死亡し、1万5000人が負傷している。その方が問題じゃないのか」と反論する。
 風船を飛ばしているのは15歳から20歳の若者グループだ。その名は「ザワリ部隊」。2014年夏に起きたイスラエル軍との大規模戦闘でパレスチナ側の無人飛行体(ドローン)を開発し、後にイスラエル側に暗殺されたとみられているチュニジア人航空技師、ムハンマド・ザワリ氏の名を冠した。ガザ内の5地区でそれぞれ10人程度のメンバーが活動し、特定の組織に属しているわけではないという。
 イスラエル軍は風船を飛ばすグループも攻撃対象とし始めている。その点を指摘すると、男性は「俺たちはガザの人間だ。恐れるものなどない」と強がった。中等学校(日本の中学・高校)を卒業してから、職もなくただ家にいるだけの生活だという。「ほかにやることもないし」と投げやりな様子で答えた。
 イスラエルメディアによると、7月上旬までに約1000カ所で火災が起き、農地や自然保護区など約40平方キロが焼失。農作物や家畜などの被害は3億5000万円以上とされる。
 境界近くのイスラエル領内にはキブツ(集団農場)が点在し、軍や消防、ボランティアが連携して消火に走り回っている。
 ニルオズ・キブツに住む農民のアビブ・アツィリさん(44)は「朝起きたら風向きを確認するのが日課になった。旗が自分の方にはためいていると、きょうは来るかと緊張する」と言う。「火災が1カ所だけならみんなで協力して消し止めることはできる。でも何カ所も同時に起きたら、もう手に負えない」と訴えた。
 イスラエル軍は境界沿いに対空防衛システム「アイアン・ドーム」を配備し、ガザ地区からのロケット弾攻撃などを警戒している。だが、この先端防衛システムも風船には対抗できない。「ばかばかしいほど原始的なのに、驚くほど効果的だ」とアツィリさんは皮肉った。
 境界沿いのイスラエル人は、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの脅威と背中合わせの生活を送っている。アツィリさんは地下に掘ったトンネルを通ってハマス戦闘員がイスラエル領に侵入することを想定し、ベッド脇に銃を置いている。妻や子供にも銃の扱い方を教えた。これが現実だ。いつか境界を挟んで双方の住人が安心して暮らせる日が来るよう願うが、そんな兆候は何一つ感じられない。
 イスラエル政府は「ガザからのいかなる攻撃も、ハマスに責任がある」と強調している。ネタニヤフ首相は9日、風船による攻撃に対抗し、食糧と薬品を除く全物資のガザへの流入を制限すると宣言した。ハマス側は「新たな人道への犯罪だ」と反発している。


BBC番組「日本の秘められた恥」を批判する愛国女性の正義感 「女として落ち度があった」って…
井戸 まさえ
同時代を生き、対極の主張をする女性
たとえば性別が同じというだけで、すべての価値観を共有することは限らない。当然のことである。
しかし、ある社会で、ある時代、ある共通項でカテゴライズされる人々が共通に体験する事象は存在する。
杉田水脈氏。1967年4月生まれ。
1965年生まれの筆者とは2学年違いだ。
杉田氏については「お気の毒すぎる国会質問」等ですでに書いたように、私の主張とは基本的に対極にあると思っている。
一方で、ほぼ同時代を生きてきた者として、杉田氏が驚くほど無防備に、物ごとを単純化して書いたり話したりすることについて、なぜなのか、どういった事情がそうさせるかとその背景については若干の関心を抱いている。
なぜなら、その要因のいくつかは私自身も体験してきた日々の中にもあったのだろうから。
昭和の3分の1、そして平成をまるまる使い50年という月日が産み出した「杉田水脈(的女性)」。なぜ私たちは今、彼女との現状認識にズレを感じ、その言動にイラつかなければならないのだろうか。
ヒーロー・ヒロイン願望と自分萌え
杉田氏のブログを読むと彼女はアニメにどっぷりハマって子ども時代を生きて来たことがわかる。
杉田氏のお気に入りは「戦闘もの」だ。"同世代あるある"だ。
「『ナニが正義でナニが悪かが判然としない社会で
【正義は必ず悪に勝つ】
という単純で当然だが、大切な構図を子供時代にキチンと意識の中に留めていただけさえすれば、
それはそれで十分意味のあることだと思う』 
by石ノ森章太郎

というわけで(ってどういうわけで )今夜は夜のみおちゃんねる みてくださいね」
石ノ森章太郎の言葉が、杉田氏の自己肯定感を高める。
「夢のようなお誕生日」と記述した日も、感謝するのは「ヒーロー・ヒロイン」。
「ヒーロー大集合(ハートの絵文字)本当に夢のようなお誕生日でした(誕生日ケーキの絵文字)私がぶれずに生きてこれたのも、いつも心の中に集まってくださったヒーロー・ヒロインがいたからです。
今日からまた気持ちを引き締め、日本のために頑張って参ります」
そして、彼女のヒーロー観をこう披露する。
「国を愛すること。愛する国を、愛する人を守ること。ヒーローの原点です」
なぜそこまでヒーローに萌えるのであろうか。
ヒーローの成り立ちを考えれば、その理由は明らかかもしれない。
漫画やアニメやテレビドラマでは大抵冴えない平凡な青年が、なにかしらの「権威」を持つことによってヒーローに「変身」する。
もしくは、「半分、青い。」のように主人公に笛を吹いてマグマ大使を呼び出す、とか。
杉田氏とってはそれが「日本」「愛国」。この呪文を唱えれば、自分は普段以上に強くなれると実感しているのだと思う。
そして、何かあれば「桜井よしこ先生」という印籠を出す。
なにげに「愛国」は最も簡単な「お手軽変身」グッズなのである。
「今朝は靖国神社からスタートです。ここに来るといつも原点に帰ることができます」
「主権回復の日。伝統と創造の会で靖国神社に参拝しました。この後10時30分から、今度は龍馬プロジェクトで靖国神社昇殿参拝→総会です」
「東京に戻る前に勤皇の志士の御墓参り。」
「今日は一日山口県内を挨拶回り。吉田松陰先生にもご挨拶。これからは悩み事や困ったことがあったら、松陰先生に相談に来ます。素敵です、山口(ハートの絵文字)」
靖国神社への参拝や維新の志士たちの墓参は「愛国」を可視化するわかりやすい行動だ。「龍馬」を唱えれば、同志・同腹を集めることも容易い。
時には滝に打たれる修行もすすんで行なう。すべては「自分萌え」。ヒーローへの道なのである。
「愛国」の呪文は現世利益をもたらす。女性の人口密度がそう高くない業界では、競争よりも共存重視。比較的簡単に雑誌への寄稿や、講演の機会が巡ってきて、「愛国」業界の貴重な女性論客として重宝されるのである。
「杉田水脈(的女性)」の需要
さて、ヒーローが誕生するためには、当たり前だが敵役、ヒール役が必須である。
「愛国ヒーロー」を輝かせるためにも、「反日勢力」こそ欠かせない存在となる。
敵との争いが激化するほど、ヒーローはヒーロー足りうる。
特に、今まで「男」というだけで既得権益を得られる優遇エリアにいた男性たちは、単に公平な競争エリアに移っただけで不当な待遇になったという不満を持つ。
自分たちの身が女性たちの権利主張により脅かされているという不安な感覚を持っているものの、ただ自分たちがその正当性を言ったところで「ちっちゃい」と批判されかねない。
だから「国」に置き換えて話すのだろう。
「国が不当に貶められている」「国が搾取されようとしている」と言う時、もはや「国」と「自分」は一体である。
「国」と言った瞬間から「自分」はオーソライズされる。価値を持つ。なんの担保もないが、「愛国」を全面にすると世界は一変するのだ。
「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想」。万世一系、「日本の伝統」に沿えば「男性」というだけで優遇されるのは当然。
ただ、自分でそれを言うのでは説得力に欠ける。表向きの客観性がほしい。
そこで求む、モモレンジャー!男性側ではなく女性側から主張をするからこそ、要求は不当とは見えないのだ。「杉田水脈(的女性)」の需要がそこに存在する。
日本はセクハラ、パワハラが蔓延する男性社会だ。しかし杉田氏はそれを否定するのではなく、社会で女として生きるなら、むしろパワハラ、セクハラを賢く回避する術をもつぐらいでなければならないと自説を展開するのである。
そういう意味でも「愛国」業界ではわかりやすく男性側の主張を「正義」と言い切る杉田氏は貴重な存在である。
杉田氏が出演するネット番組では、飲み物やおつまみらしき食べ物がならんでいるのを見ることができる。出演者はリラックスし、視聴者もまるでスナックのような雰囲気に入り込んで行く。
名前を出して堂々と口にできないことを、水脈ママは言ってくれる。妻や上司の前では言えないことを言っても、ここでは大丈夫という安心感を杉田氏は提供しているのかもしれない。
「女として落ち度があった」BBC番組の波紋
「日本の秘められた恥」としてBBCが放送したドキュメンタリーの中での杉田氏のインタビューには大きな反響があった(「日本の秘められた恥」 伊藤詩織氏のドキュメンタリーをBBCが放送)。
「杉田議員は、伊藤氏には『女として落ち度があった』と語った。
『男性の前でそれだけ(お酒を)飲んで、記憶をなくして』、『社会に出てきて女性として働いているのであれば、嫌な人からも声をかけられるし、それをきっちり断るのもスキルの一つ』と杉田議員は話している。
議員はさらに、『男性は悪くないと司法判断が下っているのにそれを疑うのは、日本の司法への侮辱だ』と断言。
伊藤氏が『嘘の主張をしたがために』、山口氏とその家族に誹謗中傷や脅迫のメールや電話が殺到したのだと強調し、『こういうのは男性のほうがひどい被害をこうむっているのではないかと思う』と述べた」
後半部分はまさに前項で述べたように、加害男性の家族等を持ち出して、むしろ被害者であるとまで言っている。
もちろん、この発言もかなりひどいが、さらに醜悪なのは杉田氏や長尾たかし氏他が出演したインターネットテレビの映像だ。
誰が見ても詩織さんを類推させるイラストを、これは特定の誰かのことを言っているわけではないと言い訳した上で、嘲り、笑い、蔑みの言動を行なっている。
この醜悪さが世界に向けて流されたことは、杉田氏にとっても予想外だったかもしれない。
BBCの番組が放映された後、杉田氏は自身の発言部分について「切り取り」だと主張し、番組に抗議、そして「一番危惧しているのはこのこと」として、さらにこう発言している。
「BBC伊藤詩織特集のディレクターは以前、日本の性産業を糾弾したBBCの番組『Young Sex for Sale in Japan』を制作したErica Jenkin氏のようです。その時、出演していたのが、ヒューマンライツナウの伊藤和子弁護士。HRNが国連を利用して慰安婦問題の嘘を世界中にばら撒いたということについては、国会の質疑でも取り上げました。
そのHRNは今年3月、NYの国連で開催された女性の地位向上委員会で伊藤詩織さんとともにトークイベントを開催しています。これらは全て繋がっています」
つまり、BBCの放送の背後には伊藤和子弁護士がいるというのだ。慰安婦問題も、日本の性産業の問題も世界中にばら撒いていることは全て繋がっていると。
これに対し、伊藤和子弁護士は反論している。
「杉田水脈氏やネトウヨを名乗るアカウント等が
BBCの伊藤詩織し特集の背後に私がいる、と何の根拠もなく述べて私を誹謗中傷しているようですが、
一切そうした事実はありません。
私は今回、私に関するBBCの映像使用を許諾してません。
何の根拠もなく私を攻撃して守りたいものは何?
美しい日本?」(原文ママ)
杉田氏は十分な確認をしないままで発言することに躊躇はない。自分は正義を貫くヒーローだ。
邪悪な敵に指摘されれば、言葉足らずは棚に上げて「そんなことは言ってはいない」「良く読んでほしい」旨の反論を出す。
「この記事の中に『番組の取材に対し杉田議員は、伊藤氏には「女として落ち度があった」と語った。』と書かれており、ネット上では『セカンドレイパー』だとの批判が噴出していますが、これも[切り取り]です。
 もし女性が、薬を飲まされて無理やり連れ込まれて強姦されたのであれば、私は『女として落ち度があった』とは全く思わないし、そんな犯罪者は本当に許せないと思います。
が、この点については……」
いつものパターンで、批判されると対象となっている問題そのものについては肯定する。しかし、具体事例については徹底的に否定するのだ。
「杉田水脈(的日本女性)」の生きる場所
それでも分が悪くなると「モラル」を持ち出すのも「愛国」のパターンである。
「‪もし私が、『仕事が欲しいという目的で妻子ある男性と2人で食事にいき、大酒を飲んで意識をなくし、介抱してくれた男性のベッドに半裸で潜り込むような事をする女性』の母親だったなら、叱り飛ばします。『そんな女性に育てた覚えはない。恥ずかしい。情けない。もっと自分を大事にしなさい。』と。‬‬‬‬‬‬‬
それが母親というものです」
という具合に。 
これは親に対する侮辱でもある。個人に加えて、育てた親の責任も加味することで、さらに見下す。
多くの性暴力の被害者は、「女だから」被害にあっているのだ。男性をその気にさせる魅力的な女性は意識しなくともその存在だけで「落ち度」となるのであろうか。勝手にその気になる男性に「落ち度」はないのだろうか。
日本では「女に生まれること」自体が相当な「負荷」を背負っている現実を直視しなければならない。杉田氏に言わせればその「負荷」は「落ち度」となる。なぜそうした翻訳が行なわれるのであろうか。
今回のBBCの放送に関しては多くの人々が発言をしているが、杉田氏に対して正面からものを言うことを避けている傾向はまだあると思う。
つまり、敵味方と単純なレッテル貼りをされたり、女性同士の戦いに見せられたりすることが嫌だからである。
面倒だから誰も指摘しない。それが、不当な邪推を生んでいるとするならば悲劇である。
「‪誰かがこの勢力と戦わなければ、また日本はやられてしまう。慰安婦問題と同じ轍を踏むわけにはいかない。男とか女とか政治家とか民間人とかそんなのは関係ない。矢面に立てば批判されるのは織り込み済み。『もう騙されないゾ』という皆さんは一緒に闘ってほしい」‬
杉田氏はBBCの放送後、こう発言している。
それは杉田氏の定義する愛国の「ヒーロー像」そのものだ。
等身大の「秘められた日本社会の闇」
子どもたちは、大人になる過程で、世の中に起っていることは単純な計算式で解けるものではないことを知る。目の前の数多の理不尽に対して、本当の理由を知るまでの過程はそう容易くはない。
もしくはその解が自分の望むものではない、もしくは自分に起因するものであったならば、わかりやすいカテゴライズをして、「他者」に理由を求めた方が簡単なのだ。女、外国人、マイノリティ……。
こうした言語が通じ、「自分萌え」で活躍できる閉じたフィールドが「愛国市場」なのだ。「国会」も「国連」も大掛かりなセットにすぎない。
杉田氏が演じるヒーローが守るのは「日本」「愛する人」。決して弱者ではない。生活保護受給者を始め、むしろ「弱者」は国にとって敵になりうるからだ。
杉田氏はBBCの放送は送られて来た企画書(欧米で話題になっている#MeTooのキャンペーンが日本でどのような反応、形に繋がっているか)と放送内容が異なっているとし、2時間以上のインタビューをされたが、使われたのが5センテンス程度として、ある意味「切り取り」で使われたとする。
しかし、心配はいらない。杉田氏の主張は十二分に伝わっている。
この番組のもう一人の主人公はまぎれもなく杉田水脈(的女性)であり、どんなに短くともその嘲笑の表情や言葉の中に等身大の「秘められた日本社会の闇」をBBCの番組は映してみせたのである。