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Japon : un puissant typhon se dirige vers la région sinistrée de l'ouest
Jongdari, 12ème typhon de la saison en Asie, devrait toucher l'île principale de l'archipel, Honshu, samedi soir
Un puissant typhon se dirige vers la région de l'ouest du Japon déjà durement touchée au début du mois par des pluies torrentielles, inondations et glissements de terrain mortels, a averti vendredi l'agence météorologique japonaise.
Changement de trajectoire.
Le cyclone Jongdari, le 12ème de la saison en Asie, devrait toucher l'île principale de l'archipel, Honshu, samedi soir. Vendredi après midi, il se trouvait à un millier de kilomètres de Tokyo et à 200 kilomètres de l'île Chichijima mais, au lieu de continuer dans une direction nord-est, il devrait par la suite braquer vers le nord-ouest et aller frapper le centre et l'ouest du pays ce week-end.
Mise en garde.
Les experts météorologiques mettent en garde contre les pluies torrentielles, glissements de terrain, vents violents et hautes vagues, et demandent aux habitants d'évacuer en amont. Une large partie de l'ouest avait en effet été touchée début juillet par de terribles inondations et coulées de boue qui ont tué quelque 220 personnes, le plus grave désastre d'origine météorologique depuis 1982.
"Évacuer plus tôt". "Certaines personnes n'ont pas évacué lors des récents épisodes de pluies torrentielles parce qu'elles pensaient pouvoir s'en sortir. Nous incitons les habitants à suivre les avertissements et à évacuer plus tôt", a insisté auprès un responsable de l'agence. "Ce seront les pluies les pluies violentes depuis le sinistre du début du mois et les habitants doivent être en état d'alerte", a insisté Ryuta Kurora, un prévisionniste de cette même agence lors d'une conférence de presse. Le risque est cette fois d'autant plus grand que le terrain est extrêmement fragilisé.
フランス語
フランス語の勉強?
鮫島浩 @SamejimaH
死刑執行国はW杯決勝T進出16カ国のうち日本だけ。OECD35カ国で死刑制度が残るのは日米韓だけ。米国は半数近い州が廃停止、韓国は97年から停止。日本は世界から見て野蛮な国なのだ。上川陽子法相が涙ぐんですむ話ではない。彼女は法務省で高く評価されているとか。ぞっとする。
立川談四楼 @Dgoutokuji
日テレがスクープだ。赤坂自民亭の翌6日夜、西日本に大雨特別警報が発令される中、安倍さんが無派閥議員を極秘で公邸に招き、総裁選3選への囲い込みを図っていたことが発覚したのだ。もちろん取り持ったのは菅官房長官で、菅さんの「首相動静に出てない人とは会ってない」との嘘も同時に発覚したのだ。
本の虫 @hiro_akasaka
朝日27日朝刊に驚きの記事が載っていました。
内閣情報調査室が、安倍首相のために石破氏の非公式発言まですべて収集していたとのこと。国の機関が首相個人の利益のために動くのは歪です。自民党の憲法草案を見ても、基本的人権を形式し、あれだけ「公」を重視していたのに、公私混同も甚だしい。

岩上安身 @iwakamiyasumi
イスラエルのナチス化が止まらないと思っていたら、安倍自民党のナチス化も止まらない。首相が情報機関まで私物化。RT @hiro_akasaka: 朝日27日朝刊に驚きの記事が載っていました。
内閣情報調査室が、安倍首相のために石破氏の非公式発言まですべて収集していたとのこと。
あみろ美(育児ツイート多めのはずが反安倍 @amiromii
かつての東京オリンピックの時は、大学生の通訳などのアルバイトに制服が与えられ、お給料も普通のバイト以上だったと、通訳者の方のインタビューで読みました。2020ではボランティアのタダ働きで、しかも大学や専門学校に、授業を休講にする事まで通知するとは…学徒動員と言われるわけだ😳

部屋で仕事していましたが眠いので昼寝.
昨日のそうめん食べて眠くなった?
さて夕方ちゃんと薬を飲むようメールで指令がありました.
その後別のスーパーに呼び出し.なんだかよくわかりません.ニラなどを買って今日の晩ごはんはチヂミです.食後頑張ってfinish!できました.

海の恵み実感 南三陸の小学生、定置網漁を体験
 宮城県南三陸町は26日、町内の小学生を対象に志津川湾で定置網漁体験や藻場観察のイベントを開いた。
 志津川小や入谷小など4校から4〜6年生計12人が参加。志津川の荒砥漁港から漁師と船で湾内に向かい、定置網に掛かったスズキやアイナメを手持ちの網ですくい上げた。取った魚の魚拓にも挑戦した。
 志津川小6年の千葉倫佳さん(12)は「トビウオは思ったよりもひれが大きかった。いろいろな魚が見られて楽しかった」と海の恵みを実感した。
 町は今年、志津川湾の藻場のラムサール条約登録を目指している。児童たちは船上から、寒流と暖流の影響で多様な海藻や海草が生息する藻場の観察もした。
 イベントは、町で来年2月に国内のラムサール条約登録地の子どもを集めて開かれる交流イベント「KODOMOラムサール」のプレ企画として実施された。


災害と個人情報/過剰な秘匿は弊害を招く
 西日本豪雨で被災した自治体の間で、死者や安否不明者の氏名公表を巡る対応が分かれた。「個人情報の保護」を理由に公表を控える動きが目立ち、公表する場合の線引きもまちまちで、現場では混乱が広がる。
 個人情報保護法は原則、本人の同意なく名前などを伝えることを禁じている。だがこれには例外があり、「人命、身体、財産の保護のために必要な場合」には公表が認められる。安否確認などに役立てるためだ。
 実際、今回も氏名を公表したかどうかで、自治体の確認作業の進展に大きな違いが出た。
 例外規定は活用しなければ意味がない。個人情報の過剰な秘匿は弊害を招きかねないことを、肝に銘じるべきだ。
 不明者の公表に踏み切ったのは岡山県だ。多くの犠牲者が出た倉敷市真備(まび)町地区などで、行方の分からない40人以上の氏名や年齢などを明らかにした。その結果、生存情報が寄せられ、安否確認が一気に進んだ。
 岡山県と並び甚大な被害が出た広島県の対応は、これと対照的だ。不明者は災害に巻き込まれた可能性が高いとみなして氏名を公表しなかった。広島市は4年前の土砂災害で不明者の氏名を公表したが、今回は県の判断に合わせたという。
 ただ、広島市長は「前回の経験を踏まえると、公表した方がプラス」と語っている。県との方針のすり合わせが必要だ。
 一方、岡山県は当初、亡くなった人の氏名を伏せていた。広島県は遺族への引き渡しなどが終わった段階で明らかにし、両県の判断の違いが際立った。
 尼崎JR脱線事故でも、肉親の行方を捜す家族の問い合わせに一部の病院が答えず、批判を浴びた。同意を得る余裕がなかったとはいえ、本末転倒というしかない。緊急事態には安否確認を優先すべきだろう。
 過去、大災害や事件・事故のたびに同様の問題が繰り返されてきた。混乱を避けるためには関係機関が公表に関する判断基準を設けておく必要がある。
 今回、政府は自治体の基準づくりを支援する意向を示した。個人情報の公表を有効な手段とする指針を、全国のモデルとして示してもらいたい。


西日本豪雨 孤立集落 命綱の山道、炎天下の往復 東広島
 西日本豪雨の発生から27日で3週間。土砂崩れなどで12人が死亡し、1人が行方不明となった広島県東広島市では現在も道路が寸断され、孤立状態の集落がある。山間の同市河内(こうち)町にある大和原、野々原両地区。高齢者が多いが、集落から出るには足場の悪い山道を歩かねばならず、炎天下の往復に住民は疲労感を募らせている。【池田一生、小西雄介】
 計12世帯26人が暮らす両地区周辺では6日夜の豪雨で川沿いの県道が少なくとも4カ所が崩落し、集落が孤立した。住民らは古い山道の草を刈り、重機で岩を移して、丸3日かけて約2.5キロの迂回(うかい)路を整備した。
 「あの岩が落ちてきたら怖い」。記者が取材した25日、山道を行き来した住民は不安そうに言った。山肌に2メートルはある大きな岩が見える。道幅は約1〜2メートル。沢を渡り、急斜面を登る険しい道だ。
 倒木をくぐりながら、一輪車を押す男性がいた。大和原地区で金属加工業を営む坪見博文さん(78)。取引先に納入する約20キロの金属部品を積み、この日は山道を3往復したという。食料などは自衛隊などが届けてくれるが、それ以外は自分で運ぶしかない。「天災なので仕方がないが、いつまでこんな生活が続くのか」
 同地区で農業を営む中務清治さん(69)も豪雨以来、農業用の機械に必要なガソリン40リットルを一輪車に積み、1日おきに行き来している。「休憩しながら往復2時間半かかった日もある。体力的にはとてもつらいが、ガソリンが無いと稲がだめになる」と話す。
 猛暑と山道の往復による住民の体力消耗は激しい。市などによると、18日夕方には野々原地区の男性(63)が自宅で片付けをした後、市内の避難先へ迂回路を通って戻る途中に熱中症の症状で搬送され、死亡したという。
 県によると、三原市につながる両集落の東側の崩落箇所は8月中旬にも通行可能となる見込み。ただ、東広島市街に通じる西側はめどが立っていない。
 河内町内の自治組織の副会長で大和原地区に住む坪見忠美さん(74)によると、両地区は一時停電したが現在は復旧し、水道も使える。しかし、台風シーズンを迎え、不安は尽きない。「山道さえ使えなくなるのでは」と話し、早期の道路復旧を訴えた。


西日本豪雨 孤立集落解消せず 4052人が避難所生活
 西日本豪雨は、最初に大雨特別警報が出されてから27日で3週間となった。毎日新聞の集計では、同日午後7時現在、15府県で220人が死亡し、3県で12人が行方不明のままだ。高速道路の通行止めは2路線2区間に減少、国が管理する主要な国道の不通区間も解消した。一方、それ以外の国道で14府県の計27区間、26の道府県・政令市が管理する道路の計389区間が通行止めのまま。長期にわたり地域間の移動に支障が出ている被災地も多く、孤立集落は解消していない。
 通行止めの主な原因は土砂崩れや路肩の崩壊など。橋が落ちたり、落石が起きたりしている区間もある。大規模な工事が必要な区間もあり、解消にはなお相当の時間を要する。土砂災害は31道府県で1384カ所に上り、7府県で431世帯の孤立が続いている。
 避難指示は大規模に浸水した岡山県倉敷市真備(まび)町地区を中心に、11府県の2万3855人に発令され、10府県の4052人が207の避難所に避難している。
 農林水産業関連の被害は36道府県の1695億8000万円に膨らんだ。【土田暁彦、竹田迅岐】


西日本豪雨 真備決壊は「越水」原因か 堤防の外側削る
 岡山県倉敷市真備(まび)町地区に甚大な浸水被害を引き起こした小田川の堤防決壊について、国土交通省の調査委員会は27日、川が増水して堤防の高さを越える「越水」が引き金である可能性が高いことを明らかにした。激しい水流が堤防の外側を削って堤防の強度が弱まり、決壊を招いたとみられる。
 真備町地区では、高梁川に注ぐ小田川や、その支流の計4河川8カ所が決壊した。調査委によると、住民が洪水時に撮影した映像で、川の水が堤防の外側を削る様子が一部の決壊場所で確認できた。
 一方、川底や堤防の内側がコンクリートで覆われているのに決壊した箇所もあり、内側から堤防が壊れる「浸食破壊」の可能性が低いことも越水が原因とする判断理由になったという。
 今回の豪雨では、河川の本流の水位が上がり、支流の流れをせき止める「バックウオーター現象」が起きた可能性も指摘されている。調査委の前野詩朗委員長(岡山大教授)は「複合的な要因で決壊した可能性があり、さらに検討したい」と話している。【高橋祐貴】


土砂災害対策 「危険な国土」の再認識を
 国土交通省の集計によれば、西日本豪雨を含む7月の土砂災害(25日現在)は全国で1300件を超え、死者は100人に達した。確認作業が進めば、被害は拡大する可能性がある。
 私たちは昨夏の九州豪雨でも土砂災害の脅威を経験した。大分県中津市耶馬渓町では今春、大雨など目に見える予兆はないのに大規模な山崩れが起きた。
 「数十年に1度」とされる豪雨は毎年のように起きるようになった。教訓に学び、対策を早急に強化しなければならない。
 日本で土砂災害対策が本格化したのは、土砂災害防止法が制定された2000年以降である。前年の梅雨に広島県で300件を超える土砂崩れが起きたのが契機となった。
 山の傾斜地など同法に基づく土砂災害警戒区域の指定対象は全国で実に約67万カ所に上る。このうち九州は約14万カ所だ。日本の国土がいかに山あいに面しているか。言い換えれば、「危険と隣り合わせ」であるかを示す数字である。
 警戒区域に指定されると、市町村のハザード(被害予測)マップに記載され、避難計画作りが始まる。特に危険な地域では住居移転の補助などを受けられる。こうしたソフト面の対策をまず急ぎたい。耶馬渓の崩落現場は昨年3月に警戒区域へ指定されたばかりだった。
 近年の豪雨は海面水温の上昇に起因するとみられ、地球温暖化の影響が指摘される。自然環境の変化に比べ、法整備などの対応は遅過ぎたといえよう。
 西日本豪雨で土砂崩れと関連して目立ったのは、ため池の決壊だ。広島県ではグラウンドが崩落してすぐ下にあるため池が壊れ、流された女児が死亡した。福岡県筑前町では小学校の上流にある農業用ため池が決壊して、土砂を巻き込みながら雨水が校舎に流入した。
 ため池は貯水に役立つ半面、豪雨にはもろい。全国約20万カ所のうち約7割で老朽化が進んでいるという。要注意だ。
 住宅地への土砂流出を防ぐ砂防ダムも広島県で決壊した。砂防ダムは登山道沿いの渓流などに全国で6万基以上もある。点検を急ぐ必要がある。
 同時に九州豪雨で経験した山間部から出る流木の恐ろしさを忘れずにいたい。
 油断してはならないのは、土砂災害は都市部でも起きるという点だ。例えば福岡市の中心部でも丘陵地近くには警戒区域が指定されている。氾濫の恐れがある河川などとともに周囲に危険箇所はないか、ハザードマップなどで十分な確認が必要だ。
 夏場の天候は急変しやすい。台風や竜巻にも十分警戒し、身の安全を守りたい。


空白の66時間に「秘密会合」が発覚 被災者から批判高まる
「空白の66時間」の一部が明らかになった。
 西日本豪雨により188万人に避難勧告が出され、すでに多数の死者が出ていた6日の晩。安倍首相が総裁選の地盤固めのために、無派閥議員と「極秘会合」を開いていたことが発覚し、「被災者より総裁選か」と批判が噴出し始めている。24日放送の日本テレビ系のニュース番組「news every.」が「極秘会談」をスクープした。
 7月6日の首相動静は、安倍首相が午後8時まで公邸で規制改革推進会議のメンバーと会食したという内容で終わっている。しかし番組では、首相のいる公邸に無派閥議員を乗せた車が入っていく様子を捉えていた。さらに別カメラは、菅官房長官の車からある人物が公邸に入る様子を写している。映像が暗いためハッキリしないが菅長官と考えるのが自然だろう。菅長官が安倍首相と無派閥議員の間を取り持って、総裁選への協力を要請していた可能性がある。「news every.」は「無派閥議員の“とりこみ”」と報じている。
 しかし、安倍首相は前日の5日に「赤坂自民亭」と称する酒宴で酒盛りし、批判されたばかりだ。その次の日に、また総裁選のために動いていたとしたら、被災者が怒るのも当然だ。
 さすがに、ツイッター上では「いくらなんでも酷い」「アベらしいといえばアベらしい、自分のことしか頭にない」「西日本豪雨災害で犠牲者が増えていってるなか、安倍総理は総裁選にむけて、自身の3選のために黙々と動いていたのです。こんな安倍総理に3選を望みますか?」といった投稿が殺到している。
 いったい6日夜、何をやっていたのか、安倍自民党は明らかにすべきだ。


[相模原事件2年]私たちは何を学んだか
 相模原市の知的障がい者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、26人(うち職員2人)が負傷した事件から2年がたった。事件は大量殺人の被告が同施設の元職員だったこと、犯行の理由として「障がい者は生きていても仕方がない」と述べたことから衝撃を与えた。
 被告は逮捕直後から現在も変わらず、障がい者は社会にいない方がいいとして「あれしか方法はなかった」と犯行を正当化し続けている。根底にあるのは「障がい者は社会のお荷物」という考え方で、「優生思想」にも通じる。
 事件前に被告が措置入院していたこと、犯行の理由としてこれらの考え方を挙げていることから、被告は現在2度目の精神鑑定中。ただ被告の主張は、決してまれな考え方ではない。
 共同通信が今年6〜7月に実施したアンケートでは、事件にあった元入所者やその家族、遺族が事件後「(障がいがあるから)病気がうつる」「国の税金を使っている」との発言を受けていたことが分かった。一つ一つの発言に、被告と同じく障がい者を排除する思考が見て取れる。
 神奈川県で開かれた追悼式で黒岩祐治知事は、被害者19人の氏名を伏せてエピソードを読み上げた。式後に「名前を言ってしのびたい気持ちはあったが、現時点では機が熟していない」とした知事の言葉に、障がい者が実名報道されない社会の現状がある。
 それは、障がい者を個人として見ない社会であり、障がい者の権利を奪う社会だ。
■    ■
 149人の障がい者が居住する大規模施設で起き、多くの入所者が犠牲になった事件は、障がい者を地域から切り離し、1カ所に集めておこうとする社会の課題も示した。
 1981年の国際障害者年を機に、誰もが地域で普通に暮らす「ノーマライゼーション」の理念が知られるようになったが、日本では以降も入所施設が増加。国際的には障がい者の「地域移行」が進む中、著しく遅れをとっている。
 事件を受け神奈川県は、現地に大規模施設を再建する当初の計画を撤回し、今年5月から、同園を2カ所に分け整備。入所者の地域での生活も推進するという。
 一方で、かつての同園のような入所施設は現在も全国に約3千カ所ある。
 事件直前の2016年4月には「障害者差別解消法」が施行されたが、こうした状況を見れば、同法の実現は、はるか遠いと言わざるを得ない。
■    ■
 私たちが直面する超高齢化社会は、誰もが障がい者になる社会でもある。障がい者を差別し、施設に隔離する社会を放置すれば、いずれわが身に及ぶ。そう思えば、なぜ事件が起きたか、一人一人が自分のこととして考える必要があるのではないか。
 事件後、元入所者の中には実名を出す人や、地域での生活を実践している人もいる。彼らに寄り添い、支援する一人になる。二度と同じ事件を起こさないために、求められるのは、障がいのある人もない人も本当の意味で共に生きる社会の実現だ。


相模原殺傷2年 差別のない社会築くには
 相模原市の知的障害者施設、津久井やまゆり園で起きた殺傷事件から26日で2年になった。
 「障害者は生きていてもしょうがない」。殺人罪などで起訴された元職員の植松聖被告は身勝手な主張を繰り返し、社会に衝撃を与えた。
 改めて事件に向き合い、障害の有無にかかわらず、誰もが守られ、尊重される社会の構築を目指したい。
 相模原事件は入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負うという凄惨なものだった。
 共同通信が全国の障害者を対象に実施したアンケートでは、回答者の3割が事件について考えた際、心身に不調などを感じた経験があった。
 看過できないのは、事件後の障害者を巡る社会の変化に対する回答である。
 「自身や家族が実際に差別的な言動を受けた」「差別されたくないと思って(自分から)障害や事件のことを口にしにくくなった」。このような選択肢を選ぶ人があった。
 戦後最悪といわれる事件が、障害のある当事者に与えた衝撃がどのように大きなものだったか。深刻な事態といえよう。
 この23日には、神奈川県主催の追悼式が開かれた。だが昨年と同様、犠牲者19人の名前は伏せられたままだった。
 被害者であるにもかかわらず、2年たっても障害者に対する偏見を恐れ、匿名を望まざるを得ない遺族がいる。そうした現実があることを受け止めなければならない。
 26日に施設前で献花した黒岩祐治知事は、「植松被告のような考えは自分の中にないのか。一人一人が向き合っていかなければならない」と語った。
 差別意識は個人の内面に宿るとの指摘だ。重い言葉として、かみしめたい。
 被告の考えは独善的だが、障害者を無用の存在とみなし、排除しようとする発想は、優生思想との関連が指摘されている。
 旧優生保護法の下で、障害者が不妊手術を強制された問題が注目を集めている。
 「不良な子孫の出生防止」を掲げる法の下、多くの障害者が子どもを持つ権利を奪われた。社会が後押しをした側面のあったことを忘れてはならない。
 共生できる社会をつくるために必要なのが、障害のある当事者の意見を生かすことだ。
 やまゆり園の建て替えも、地域で障害者との共生を目指している。小規模施設を分散して整備する。グループホームでの生活を希望する場合は、地域への移行も支援する。
 当初、神奈川県は大規模施設の建て替えを計画していたが、障害者団体などから異論が出て、撤回した。
 地域の中で暮らしたいと思うのは人間として当然のことだ。
 差別や偏見を生まないためには、幼少時から障害のある人と触れ合っていくことが重要だという指摘もある。
 命を大切にし、多様性を認める。安全な社会の基本をいかに築いていくかが問われている。


[相模原殺傷2年] 事件と向き合い続ける
 障害者への差別と偏見が生んだ悲劇が突きつけたものは何か。事件に向き合い、問い続けなければならない。
 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負った事件から昨日で2年がたった。
 元職員による凶行は社会に計り知れない衝撃を与え、犠牲者遺族の悲しみは今も深い。
 異様なのは、殺人罪などで起訴された元職員の被告が事件前から「障害者は不幸をつくる」などと話し、犯行を自己正当化していることである。
 こうした独善的な思想はどこから生まれたのか。裁判員裁判の初公判は来年になる見通しだ。審理を通じて真相を解明し、再発防止につなげてほしい。
 元職員は2012年12月から約3年間、現場の施設に勤務した。おととし2月には襲撃予告の手紙を衆院議長公邸に持参。職員の少ない夜間を狙って結束バンドで縛ると記述し、事件はほぼその通りに実行された。
 起訴前の精神鑑定によると、元職員は自分を特別な存在と思い込む自己愛性パーソナリティー障害と診断され、弁護側の請求で2度目の精神鑑定が行われている。
 昨年11月以降の共同通信の接見取材にも、身勝手な持論に終始している。
 施設で働き始めた当初は「入所者が楽しく過ごせるよう協力したい」との気持ちだった。しかし、次第に「障害者は生きていくのに金がかかる」と考えるようになったという。
 意思疎通が困難な障害者への殺意を抱くようになったのは「社会からいなくなった方が良いと気付いたから」と主張している。
 なぜこうした考えになるのか。有識者は、旧優生保護法下での強制不妊手術問題でも分かるように、社会の根っこには障害者を排除する優生思想が横たわっていると指摘する。
 そうした価値観が元職員に浸透し、極端な形で噴出したのではないかとの見方だ。
 インターネット上では元職員の主張や言動を擁護するような書き込みもあり、障害者排除とも見て取れる考えはなくならない。
 事件後、遺族の要望を理由に神奈川県警は犠牲者を匿名で発表した。障害のある身内の存在を周囲に明かせず、匿名を望まざるを得ない家族の心境は理解できる。
 一方、誰が巻き込まれたかも分からず、被害者の数だけで報道される違和感もある。このままでは事件が風化してしまうと危惧する声にも耳を傾けたい。


<JR東>仙台港と松島直通列車 9月運行 車両「みのり」使用
 JR東日本仙台支社は26日、クルーズ船の乗客向けに仙台港と松島を直通する特別列車の運行計画を発表した。郵船クルーズ(横浜市)の客船「飛鳥II」が寄港する9月14、26の両日に運行し、陸羽東線の観光列車「リゾートみのり」の車両を使う。14日は乗船客以外も乗車できる旅行商品の発売も検討する。
 仙台臨海鉄道(仙台市宮城野区)の陸前山王−仙台埠頭間(5.8キロ)に乗り入れる。仙台港発着の飛鳥IIが函館港から帰港する14日、特別列車は午前10時に仙台埠頭駅を出発し、陸前山王駅からJR東北線に入り、11時20分松島駅着。復路は午後3時20分発、3時50分仙台駅に着く。
 26日は、横浜港発着で本州を1周する飛鳥IIが仙台港に立ち寄る。特別列車は午前9時45分仙台埠頭駅発で、10時半松島駅着。復路は午後3時に出発し、3時45分仙台埠頭駅に戻る。
 定員は各104人。仙台埠頭駅に仮設の乗降施設を整備する。JR東が仙台港に乗り入れるのは1997年の国際ゆめ交流博覧会以来。
 坂井究支社長は「クルーズ船の需要は全国で伸びている。今回はトライアルとして実施し、今後の検討に生かしたい」と話した。


<山形大パワハラ>懲戒規程、恣意的運用か 調査反映なら停職以上
 山形大が職員へのパワーハラスメント(パワハラ)を理由に同大xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)のセンター長を1日分給与半減(減給額約1万円)とした処分の決定に当たり、学内規程で本来適用すべき条項(停職以上)より軽い処分となる条項(減給以上)を選択していたことが26日、分かった。事案を調査した特別対策委員会の事実認定と食い違い、規程の恣意(しい)的な運用が疑われる。
 同大の懲戒処分に関する学内規程はパワハラについての定めがないため、セクシュアルハラスメント(セクハラ)の規定を準用するとしている。
 処分対象となる行為や処分の重さを挙げた「懲戒処分の標準例」で、セクハラは(ア)職場の上下関係に基づく影響力を用いた行為は懲戒解雇、諭旨解雇または停職(イ)被害者側の意に反し、繰り返し行われた行為は停職、出勤停止または減給−と定めている。
 学内調査を担った特別対策委は報告書で「責任者の地位を背景に職員に精神的苦痛を与え、職場環境を悪化させた」と指摘。標準例の(ア)の適用が自然なはずだが、同大は(イ)に基づいて減給1万円の処分を決めていた。
 同大の矢作清総務部長は河北新報社の取材に「役員会で一つ一つの事実を確認し、標準例の(ア)ではなく、(イ)の適用が妥当と判断された」と話した。判断の根拠は説明しなかった。
 同大は今回の処分決定に当たり、特別対策委の事実認定をほぼ踏襲。処分事由は、センター長が2016年4月〜17年2月、職員4人に(1)「ボケが!!」「役立たず」などと記した書き置きをした(2)来客の面前で「偏差値40」「小学生以下」と侮辱した(3)事務連絡メールに「無能で非常識なお馬鹿(ばか)さんへ」と記した−など計7件のパワハラ行為をし、大学の名誉と信用を傷つけたとしていた。
◎「処分軽過ぎる」学長に説明要求/職員組合
 山形大が同大xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)のセンター長を減給約1万円とした処分は軽過ぎるとして、同大職員組合は26日までに、小山清人学長宛てに処分決定の根拠などについて説明を求める要求書を提出した。
 要求書では(1)減給1万円の処分の根拠となる具体的な規定や条項(2)被害者への謝罪、賠償の進め方(3)パワハラが起きた原因をどう分析しているか−の3点を質問した。大学側は近く回答するとしている。
◎山形大の懲戒処分の標準例(抜粋)
【セクシュアル・ハラスメント等】
<ア>暴行もしくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び、もしくはわいせつな行為をした職員は懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
<イ>相手の意に反し、わいせつな言辞、(中略)身体的接触、つきまとい等の性的な言動を繰り返した職員は停職、出勤停止又は減給とする。
<ウ><エ>省略 
<オ>アカデミック・ハラスメント、パワーハラスメント及びその他のハラスメントについてはアからエまでの基準を準用し(中略)処分を決定する。


<地上イージス>深まる溝 深まらぬ議論 秋田県・市議会に再説明
 陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)を候補地とする地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を巡り、防衛省は23、24の両日、秋田県議会と秋田市議会に2度目の説明を行った。6月14日の前回よりも資料こそ充実させたものの、質問と食い違う答弁が続き、内容も「検討していく」と具体性を欠く表現が多かった。同省は「丁寧に説明する」と繰り返すが、議論は深まらないままだ。
 「質問の意図を理解できましたか」。24日の市議会全員協議会。かみ合わない答弁をする岡真臣(まさみ)防衛政策局次長に、見かねた小林一夫議長が繰り返し声掛けする場面があった。
 会派「そうせい」の宇佐見康人市議は冒頭、「配備を受け入れるべきだとの声も多数ある」としながら「理解を示す人も(防衛省の)進め方に不満を抱いている」と苦言を呈した。
 宇佐見市議は「地元理解を得たとどう判断するのか」などと質問したが、答弁は抽象的な言い回しに終始し、説得力はなかった。「不信感を持つのは、こうしたやりとりで聞いたことに答えていないと感じるためではないか」と批判した。
 23日の県議会全員協議会でも、「次の世代につなぐ会」の沼谷純県議が「(新屋演習場に)何を置くかも未定。スケジュールもテロ対策も金額も未定。それでは何を納得すればいいのか」と迫った。
 岡次長の答弁はここでも歯切れを欠き、「決定していない部分が多々あるが、今後の検討状況に応じて説明していきたい」と述べるにとどまった。
 一方で前回5ページだった資料は、今回は46ページと大幅に増えた。北朝鮮の核交渉の経緯や弾道ミサイルの発射動向、日本の弾道ミサイル防衛体制、今後の現地調査の内容などが盛り込まれた。
 終了後、岡次長は報道陣に「理解が深まったかというよりは、丁寧な説明を繰り返す努力が重要だと改めて感じた」と述べた。
 2度目の説明会で「疑問が深まった」と振り返る沼谷県議。「聞きたいことに答えず、配備の必要性など説明したいところだけ詳しく話している」と防衛省の姿勢を批判する。
 28日には6月17日に続き秋田市での2度目の住民説明会がある。市議の一人は「(24日の全員協議会は)はぐらかす答弁で誠意が見えなかった。ただ既成事実を積み重ねているようだ」と述べ、説明の場でまた同じことが繰り返されかねないと警戒する。


最低賃金引き上げ/地域間格差の拡大どう防ぐ
 2018年度の地域別最低賃金の引き上げ幅が、これまで最大だった16、17年度の25円を上回る平均26円で決着した。時給の目安額は同874円となる。
 厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会の小委員会が労使間の意見の隔たりを調整し、3年連続で年3%アップを達成した形だ。少しずつでも個々の労働者の生活の向上につながるはずである。
 それでも時給は900円に満たない。安倍政権が昨年3月に掲げた目標「年率3%引き上げを続けて、平均1000円にする」には遠い。
 増え続ける非正規労働者の待遇改善は、先ごろ成立した働き方改革関連法の柱の一つでもある。時給874円では週5日働いたとしても年収200万円に届かず、ワーキングプア層を脱しきれない。
 最低限度の生活に見合う水準とは言えまい。引き続き、着実な底上げが求められる。
 東北地方は、目安額を各県の経済実態を踏まえて決めたランク分け(A〜D)で常に下位に置かれる。Cランクの宮城は引き上げ額が25円。他の5県は最低のDで23円にとどまった。東京などが入るAは27円で時給1000円に迫る。まだ700円台の東北との格差は広がる一方だ。
 総務省の17年の調査では、希望しても正社員の働き口がない人の割合を示す「不本意非正規」が、宮城以外の5県で16%前後と高水準だった。やむなく非正規労働に携わり全国最低クラスの賃金にあえぐ就業実態のままでは、賃金の高い大都市圏への労働力流出を加速させてしまう。
 労働側は今回、地域格差是正に向け、Dランク16県の35円増を求めたが、経営側は中小・零細企業の賃金上昇率(1.4%)を踏まえるよう主張。結局政府が求める3%増の線で折り合う形となった。
 中小企業の経営は依然、不安定要素を抱える。経費に占める賃金比率が高く「価格転嫁も難しい」と漏らす経営者は少なくない。人手不足感から引き上げに同調せざるを得ないのが実態だろう。賃金不払いなど法令順守に背いたり人員削減で経営縮小に追い込まれたりしたら本末転倒だ。
 政権主導の賃上げであるなら、無理なく取り組めるよう国の支援策強化は欠かせない。中小企業の生産性向上につながる手厚い助成金制度の充実が一層求められよう。
 そもそも「官製賃上げ」への疑問は当初から労使双方にあった。事実上、政権の意向で賃金が左右される構造を温存すれば、ただでさえいびつな制度をさらにゆがめかねない。決定プロセスの在り方自体も検討し直すべき時だ。
 きのう厚労相に目安額が答申され、都道府県の地方審議会は10月をめどに金額を改定する。最低賃金は労働者の生活の土台であることに変わりない。地域企業の持続的経営とのバランスを見極め、適切な着地点を定めてほしい。


最低賃金改定 格差是正へまだ足りぬ
 二〇一八年度の最低賃金の引き上げ幅は時給二十六円となる。大幅引き上げとなった一昨年度、昨年度を上回ったが、手放しでは喜べない。額に汗して働いて生活できる額にはほど遠いままだ。
 フランスは時給千三百円、英国千百七十円、ドイツ千百六十円。米国は八百十円だが州により千円を超える。各国の最低賃金額である。
 それに比べると厚生労働省の審議会が示した目安は全国平均で八百七十四円だ。二十六円引き上げられるといっても日本の労働者は依然として低い最低賃金で働いている。
 年収にすると二百万円にも満たない額である。働く人の四割を占める非正規労働者は二千百三十三万人に達した。最低賃金に近い賃金で働く人にとってはとても安心して暮らせる額ではない。
 最低賃金は、企業が払う賃金の最低額で働く人すべてに適用される。改定は労使が参加する審議会で議論され、非正規労働者の“春闘”といえる。
 安倍政権は昨年三月にまとめた「働き方改革実行計画」で3%程度の引き上げ目標を掲げた。改定はそれに沿って決着した。率は三年連続の3%程度のアップだ。
 確かに引き上げは着実に進む。だが、政府は以前から全国平均千円を目標に掲げているが届かない。欧州とはさらに差がある。
 格差は都市と地方との間にもある。最高額の東京と最低額の沖縄などとの差は今より四円広がる。都市部では千円に迫るが、十九県がなお時給七百円台にとどまる。
 政府は「働き方改革」で非正規労働者の「同一労働同一賃金」の実現を掲げる。最低賃金アップは実現へ重要な労働条件のはずだ。
 非正規の正社員化への取り組みを進めながら、最低賃金の底上げへさらなる努力をすべきだ。今回の引き上げを安倍政権の実績にするのは早計だろう。
 六月に成立した「働き方」関連法では非正規の待遇改善が盛り込まれた。企業の対応は急務だ。人件費を抑えることより、商品価格や賃金を上げられる生産性の向上に取り組んでほしい。
 審議会の議論では経営側から、「生産性向上に向けた政府の支援策は不十分だ」との注文がついた。政府は積極的に税制優遇や設備投資などへの支援、後継者難の事業者への支援をすべきだ。
 最低賃金で保証すべきは、だれでもどこでも普通に働いて暮らせる社会の実現だということを忘れないでほしい。


余録 今日では血で血を洗う復讐の連鎖のたとえにされる…
 今日では血で血を洗う復(ふく)讐(しゅう)の連鎖のたとえにされる「目には目を」である。古代バビロニアのハムラビ法典が掲げる法理だが、そもそもが目をくりぬくような残虐な身体刑を連想させてイメージがよくない▲だが実はこの条文、刑罰は被害に見合ったものでなければならない−−つまり事件を終わらせて復讐を防ぐのが本意だという。多くの部族の共存する王国にあって、悪事で破られた平和と秩序を回復するための「目には目を」であった▲犯した罪科にふさわしい刑罰が下されれば、世界は元のバランスを取り戻すというのが因果応報(いんがおうほう)の物語だろう。そんな自然な応報感情からすれば、いくつ命があっても償いきれない無差別大量殺人がなされたオウム真理教事件だった▲新たに死刑囚6人の刑が執行され、これで死刑囚13人を含め一連の事件で有罪となった190人全員の刑が執行された。法の裁きが終わったとしても、被害者の生命はもちろん、事件で破壊された世界がこれで回復したわけではない▲荒唐無稽(こうとうむけい)な教義が若者を拘束し、大量破壊兵器を自作・使用するという事件は、犯罪である以上に社会の深刻な病理を示していよう。この社会の内から生まれた不気味な暴力は先進国社会の無差別テロの時代を先取りする形となった▲法による応報の物語は終わろうと、「目には目を」では元に戻せない現代文明の病根である。憎悪や暴力の誘惑、若者の心の渇き、権威への盲従など、「終わりなきオウム」と向き合わねばならない21世紀だ。

オウムの死刑 制度の在り方の論議も
 オウム真理教事件の死刑囚六人の刑が執行され、事件の死刑執行はすべて終わった。だが、日弁連などは死刑制度の廃止を求める声明を出している。不透明な制度の在り方などの論議は必要である。
 七月だけでオウム事件の幹部ら十三人が処刑されたことに異様さを感じる人も多かろう。これほどの人数の死刑執行がなされたことがないからだ。法務相によっては宗教観などから執行命令書に署名しない人もいた。ある同省幹部が「平成の事件は平成のうちに」と語ったと伝えられる。
 来年の天皇陛下の退位を念頭に置いた発言だろうが、それにしてもなぜオウム死刑囚に限っての一斉処刑なのかの答えにはならない。前回は元代表の麻原彰晃元死刑囚やサリン製造役が中心で、今回は林泰男死刑囚ら地下鉄サリン事件の散布役が中心だった。
 法務省は一連の執行順序についての理由をほとんど説明しないでいる。不透明だといわざるを得ない。「執行は当然」という遺族の方々の心情はもっともである。それでも心神喪失が疑われたり、再審申し立てやその準備の段階にある場合はどう判断しているのか、それを国民に説明しない姿勢には疑問を持つ。
 死刑は国家権力の最大の行使でもあるからだ。一〇年の千葉景子法相時代は報道機関に刑場の公開をしたこともあるが、それ以降はそんな雰囲気も消えてしまった。
 近代刑事法は「あだ討ち」を否定し、犯罪への応報と更生をめざしている。かつ死刑囚の冤罪(えんざい)が明らかになった事例もある。
 世界百四十二カ国は死刑の廃止・停止であり、欧州連合(EU)に加盟するには、死刑廃止国であるのが条件になっている。OECD加盟国でも、死刑制度があるのは日本と韓国・米国だけだ。でも韓国はずっと執行がない事実上の廃止国である。米国も十九州が廃止、四州が停止を宣言している。つまり、死刑を忠実に実行しているのは日本だけなのだ。
 誤った司法判断なら取り返しの付かない究極の刑罰であり、究極の人権を奪う刑罰でもある。内閣府の世論調査では「死刑もやむを得ない」が八割だが、うち四割は「状況が変われば将来的には死刑を廃止してもよい」。終身刑の導入なら「死刑を廃止する方がよい」が四割である。
 国連からは死刑廃止の勧告を何度も受け続けている。もっと国際的な批判を真面目に受け止めた方がよかろう。


オウム死刑囚、刑執行終える 究極の権力行使、説明を
 死刑執行は本人にも当日まで告知されないなど極秘裏に準備が進む。執行後に法務省が公表するのは氏名と犯罪内容、執行場所のみで、選定理由すら明かされない。その姿勢はひと月で計13人という前例のない「大量執行」でも徹底された。
 異例だったのは人数に限らない。共犯の死刑囚は同日に執行される例が多いとされてきたが、13人の同日執行は拘置所の態勢などから難しく、7人と6人に分けざるを得なかった。だが、結果として今回の6人に「事前告知」をしたに等しい状況となった。
 執行を回避する傾向にあった再審請求中の死刑囚への対応も変化している。法務省は昨年、複数回目の再審請求中だった3人に執行した。死刑囚の8割が再審請求中という現状に同省幹部は「執行逃れで請求を繰り返す例も多い」と危機感を示すが、13人の一部は初の再審請求中だった。
 2度の記者会見でこうした点を問われた上川陽子法相は「執行を待つ者の心情を害する恐れがある」(6日)などとして説明を控えた。だが、制度運用のあり方を含めた議論を深めるためにも、情報の公開範囲を再考すべきではないか。
 死刑制度は世論の高い支持があるが、今回の連続執行は国家による究極の権力行使であることを改めて印象づけた。また、重要な役割を担った教団元幹部が事件を語る機会も失われた。平成最悪の事件が風化することがないよう、次世代に引き継ぐ努力が求められる。【和田武士】


オウム死刑執行  懸念される事件の風化
 地下鉄、松本両サリン事件などオウム真理教による事件に関わったとして、殺人などの罪に問われ、死刑が確定した教団元幹部ら6人の刑が執行された。
 松本智津夫元死刑囚(教祖名・麻原彰晃)を含む7人の刑は今月6日に執行されており、教団による一連の事件で死刑が確定した13人全員の執行が終わった。
 事件は世界を震撼(しんかん)させた。判決で認定された死者は計27人。起訴後の死亡者などを含めた犠牲者は29人に上り、国は6500人以上の被害者を確認している。
 だが、教団が数々の凶行に手を染めた背景が、裁判で完全に明らかになったとは言い難い。死刑執行によって、教団幹部たちが真相を語る機会は永久に失われたことになる。
 武装化し、テロまで企てた教団に、医師などのエリートを含め多くの若者が身を投じたのはなぜなのか。
 謎や疑問が解消されないまま、適切な再発防止策を確立することは困難だろう。
 地下鉄サリン事件で夫を亡くした高橋シズヱさんは「執行はされても、後遺症を抱える人や遺族の被害は続いている」と語った。
 多大な犠牲を払って得た教訓を、次の世代へ継承しなくてはならない。だが、教訓と言えるはっきりしたものがつかめたといえるだろうか。
 国には今後、服役している元信者の証言を得るなどして、検証に取り組んでほしい。これで終わりとすれば、事件は風化する一方にならないか心配だ。
 国際的に死刑廃止の流れがある中、短期間に13人もの死刑を執行したのは極めて異例である。今回の執行を節目に、死刑存廃の議論の行方も注目される。
 法務省は死刑制度を存続させる根拠に国民世論の支持や、被害者、遺族の思いを掲げている。今回の執行は未曽有の事件に強い姿勢を示したといえる。
 だが、先進国には世論の支持にもかかわらず廃止した国もある。
 6日の執行は各国や人権団体が批判し、欧州連合(EU)などが「死刑廃止を視野に入れた執行停止の導入を(日本に)呼び掛ける」とする声明を出した。批判をどう受け止めたのだろう。
 死刑制度を巡る情報が十分開示されていないことも問題だ。制度の賛否とは違う次元の問題として、国民一人一人が制度に向き合い、議論を深める時期に来ているのではないか。


オウム全死刑執行 テロ犯罪を防ぐ教訓に
 地下鉄、松本両サリン事件などオウム真理教による事件に関わった教団元幹部ら6死刑囚の刑がきのう執行された。法務省は、松本智津夫元死刑囚=教祖名麻原彰晃=らオウム事件での死刑確定者全員の刑執行を終えた。
 松本元死刑囚が首謀した坂本堤弁護士一家3人殺害事件(1989年)、松本サリン事件(94年)、地下鉄サリン事件(95年)など世界を震撼させた一連の事件では29人が死亡し、6500人以上が重軽症を負った。裁判で教団関係者13人の死刑、6人の無期懲役が確定。今回の死刑執行で刑事手続き上は大きな区切りとなる。
 ただ、これで終わりにしてはならない。なぜこのような凶悪犯罪が起きたのか。多くの普通の若者が凶行に手を染めてしまった原因は何だったのか。裁判では核心部分の真相を究明できなかった。組織的テロ事件の未然防止に向けた教訓にするためにも、国には不断の検証が求められる。
 さらに、松本元死刑囚を教祖とあがめる後継団体が活動を続けるなど、国民の不安や恐れが解消されたとは言えない。警察当局は、住民の安全のため万全の態勢で対応してほしい。
 被害者家族らの間には、早期の死刑執行を望む声と、教団幹部らが真相を語るよう手を尽くすべきだとする声が交錯していた。遺族にとって死刑執行が心の区切りになったとすればそれは喜ばしいことだ。一方で犯行に深く関わった教団幹部たちが真相を語る機会が失われ、全容解明の道は険しくなったことも事実だ。
 一連の裁判は今年1月に終結したばかりだが、なぜこれほど急いで刑を執行しなければならなかったのか。教団関係者より先に刑が確定した死刑囚は30人以上おり、飛び越して執行したことは公平性を欠かないのか。こうした疑問に対し、法務省は丁寧に説明する必要がある。
 法務省内では、2019年は天皇陛下の退位と新天皇の即位に伴う皇室行事、20年には東京五輪・パラリンピックが開催されることを踏まえ、死刑執行は「18年中しかない」との意見が大勢を占めたとされる。だが、21年以降という選択肢もあったのではないか。
 今回の死刑執行に伴い、死刑制度の在り方も改めて問われている。国内世論が死刑容認に傾いたのはオウム事件の存在が大きかった。一方で15年に政府の世論調査で「終身刑を導入した場合の死刑制度の是非」について初めて質問したところ、死刑容認派は80%から51%に減少した。死刑制度の存廃について議論する好機と捉えたい。
 今なすべきことは、未曽有の凶悪事件の記憶を風化させないことだろう。事件から得た教訓を次世代に語り継ぐことも不可欠だ。それが今後、同じようなテロ事件の再発を防ぐことにつながる。


オウム死刑執行 政府に説明を求める
 ひと月足らずの間にオウム真理教の死刑囚13人全員に刑が執行された。同時期にこれほど多く死刑が執行されるのは極めて異例である。にもかかわらず、政府が具体的な経緯を何も説明しないのは納得がいかない。
 なぜこの時期なのか。6日に同時執行した7人と、きのうの6人をどういう理由で分けたのか。3週間近く間を空けたのはなぜか。分からないことばかりだ。
 上川陽子法相はきのうの記者会見で「慎重な検討を重ねて執行を命令した」と述べるにとどまった。6日の会見でも「個々の執行判断に関わることは差し控える」と回答を避けている。
 教団を率いた松本智津夫(教祖名・麻原彰晃)元死刑囚は精神に変調を来した可能性が指摘されていた。心神喪失の状態であれば、刑の執行は停止される。執行できるとどうやって判断したのか。政府は根拠を明確に示すべきだ。
 再審を請求していた元死刑囚もいた。4人は1回目の請求だったという。上川氏は、再審事由がないと認めた場合は執行を命じると述べているが、裁判所の判断が出ていないのに、政府がなぜ、事由がないと断じられるのか。
 かたくなな秘密主義は、手続きの公正さに疑義を抱かせる。かつて執行の事実さえ伏せていた時期を経て、事後に名前を公表するようにはなったが、執行に至る経緯は依然、覆い隠されている。
 地下鉄サリン事件をはじめオウムによる一連の事件は多くの死傷者を出した。死刑が定められた現行法の下では、免れる理由を見いだせない重大な犯罪である。
 ただ、死刑は国家が人の命を奪う究極の刑罰だ。今回の大量執行には国際社会からも厳しい目が向けられている。そのことも踏まえ、死刑制度について、あらためて議論を深める契機にしたい。
 国連は1989年に死刑廃止条約を採択した。事実上の廃止を含め140以上の国が死刑をなくしている。先進国で残しているのは日本と米国の一部の州だけだ。
 日本でも、政府が存続の理由としてきた「国民の大多数の支持」に変化の兆しがある。内閣府の世論調査では、終身刑が導入されれば廃止して構わないと答えた人が4割近くに上った。
 裁判員に選ばれれば、誰もが死刑に向き合う可能性がある。制度のあり方や存廃について、広く社会で議論することが欠かせない。情報公開はその土台である。オウム事件の死刑執行について、政府は口を閉ざしてはならない。


オウム全死刑囚、刑執行 若者に教訓を伝え続けよ
 坂本堤弁護士一家殺害事件や地下鉄、松本両サリン事件など一連のオウム真理教事件で死刑が確定していた13人全員の刑が執行された。社会を震撼(しんかん)させた未曽有の事件は事実上、刑事手続きが終わった。だが「これでオウム事件は終わった」としてはならない。
 事件を知らない若い世代には、オウムに引き寄せられた死刑囚や信者らと同じように、疎外感や閉塞(へいそく)感を抱えている人が少なくない。凶行に走らせる土壌はいまなお払しょくされたとは言い難い。事件を繰り返し検証し、教訓を伝え続けなければならない。
 一連の事件の犠牲者は29人、負傷者は6千人以上に上る。入信前に犯罪とは無縁だった若者たちがなぜ、こんな狂気にとりつかれたのか。首謀者の松本智津夫元死刑囚は無論、幹部であり実行役だった12人の刑執行により、闇に葬られた形となった。
 松本元死刑囚は宗教上の師を意味する「グル」と呼ばれ、その指示は絶対的なものだった。理不尽な命令にも従うことが修行とされた。裁判で弁護側はマインドコントロールで抵抗できなかったと主張したが、マインドコントロールにより責任能力が限定されたとは認められなかった。
 むしろサリン散布を巡り林(現姓小池)泰男死刑囚=26日刑執行=が「断ればリンチで殺される」などと供述したように、教団の軍隊化に起因するとの指摘もある。とはいえ、元幹部らの証言からは事件の全体像を理解することはできない。社会の現実に違和感を持ち入信した若者たちの思いがねじ曲げられていった過程は未解明な部分が多い。
 社会への鬱屈(うっくつ)とした思いから若者が反社会的な行動に走る構図は、東京・秋葉原や神奈川・相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件とも共通しているのではないか。最近では会員制交流サイト(SNS)が居場所や不満のはけ口になり、サイトを通じて過激な思想に感化され、暴走する恐れもある。
 国はそうした若者の救済、受け皿作りを主導する必要がある。だが、今回の刑執行では「平成の事件は平成のうちに区切りを付ける」の大方針のもと、ふたをしてしまおうとの姿勢が如実に伝わる。
 上川陽子法相は「命を奪われた被害者やご遺族、一命を取り留めた方々の恐怖、苦しみ、悲しみは想像を絶する」と述べた。世論や遺族・被害者の思いを前面に、死刑制度の存続を改めて示したといえる。わずか20日間で13人の刑執行は異例であり、国際的に死刑廃止の流れが進む中、内外で批判が高まっている。
 問題なのは、判決から執行に至るまでの過程がほとんど明らかにされていないことだ。死刑の廃止か、容認か、どちらかの立場を取るにしても、国民が十分な情報に基づいて議論を深められるよう、環境を整える必要がある。さらに、オウム事件の公判記録を早急に公文書館に移管するなど、研究者らの活用に資するよう配慮すべきだ。


オウム6人死刑執行/検証と継承が必要だ
 坂本堤弁護士一家殺害事件や地下鉄、松本両サリン事件など一連のオウム真理教事件で死刑が確定した教団元幹部ら6人の刑が執行された。「麻原彰晃」の教祖名で知られ「首謀者」とされた松本智津夫元死刑囚ら7人の刑は今月6日に執行された。それから、わずか20日。再び同時執行が行われ、死刑確定者13人全員の執行が終わった。
 上川陽子法相は記者会見で「命を奪われた被害者やご遺族、一命を取り留めた方々の恐怖、苦しみ、悲しみは想像を絶する」と述べた。死刑廃止は国際的な潮流となっており、先の同時執行に内外で批判が高まる中、世論や遺族・被害者の思いを前面に掲げ、死刑制度を存続させる姿勢を改めて示したといえよう。
 短期間で13人もの死刑が執行される異例の展開によって未曽有の凶行を繰り返し、社会を震撼(しんかん)させた事件の刑事手続きは大きな区切りを迎えた。しかし国が確認している6500人以上にも上る被害者の救済は道半ばだ。いまだに多くの人が後遺症に悩まされ、教団の後継団体が約束した賠償金も支払われない。
 さらに遺族も含め高齢化が進む。遺族の一人は「執行はされても被害は続いている」と語った。今なお続く被害から目をそらさず、捜査や裁判を通じて十分解明されたとは言い難い事件の検証と教訓の継承に社会を挙げて取り組んでいくことが求められる。
 法務省は一連の死刑執行について順番の理由を明らかにしていないが、関与した事件の数や教団内での地位などを考慮したとみられている。6日に執行された7人は首謀者である教祖の松本元死刑囚のほか、国家を模した省庁制を導入していた教団内で大臣や長官を名乗っていた。この中にはサリンの製造役もいた。
 今回の執行の対象となった6人は主に実行役。教団内の地位はそれほど高くなかったとされ、地下鉄事件で見ると林泰男や豊田亨ら4死刑囚はサリンの散布役だった。もう一人、元幹部の林郁夫受刑者もサリンをまいたが、自白して事件の真相解明に協力したことから無期懲役となった。
 このように事件における役割分担はほぼ分かっている。ただ入信前に犯罪とは無縁だった若者たちがなぜ凶行に走ったのかは依然として闇に包まれている。松本元死刑囚の指示は絶対で、理不尽な要求に従うことも修行とされ、林死刑囚もサリン散布を巡り「断ればリンチで殺されると思った」などと供述した。
 裁判で弁護側はマインドコントロールで抵抗できなかったと訴えた。ほかに同様の主張をした死刑囚もいたが、マインドコントロールにより責任能力が限定されたとは認められなかった。とはいえ、社会の現実に何らかの違和感を覚え、入信した若者たちの思考がゆがめられていった過程には未解明の部分が多い。
 教団は三つの団体に分かれ、活動を続けている。公安調査庁などは、いずれも松本元死刑囚の影響下にあるとみているが、新たに一定数の信者を獲得しているようだ。
 社会が向き合わなければならない「なぜ」が、この事件には残っている。その風化が懸念され「23年もたつと、現実に起こったことだと想像できなくなっているのが恐怖だ」と話す遺族もいる。重い教訓として胸に刻みたい。


オウム全死刑囚執行 未曽有のテロ 風化は許されない
 地下鉄、松本両サリン事件などオウム真理教による一連の事件で、死刑が確定した13人全員の刑が執行された。国家の転覆まで狙うという未曽有の凶行となった事件の刑事手続きが事実上、終わった。
 松本智津夫元死刑囚ら幹部7人の死刑を執行した6日から20日後、6人の刑が執行された。短期間に死刑囚全員の刑が執行されたことで、事件自体を過去のものとする風潮が社会に生まれるのを強く危惧する。6500人を超える被害者にとって事件が終わることはなく、いつまでも続く。記憶の継承と事件の検証により無差別テロを根絶することは、社会の責務であることを肝に銘じたい。
 死刑執行を公表するようになった1998年11月以降、同じ月に複数回執行したのは初めてとなる。しかし、今回の執行の時期について、6日と同様に上川陽子法相は「個々の死刑執行の判断に関わる事柄であり、答えは差し控える」と理由を明らかにしなかった。先進国の多くが死刑を廃止している中で公権力が人命を奪うことについて、上川法相には説明責任がある。
 内閣府が3年前に公表した世論調査で死刑制度を容認する人は80%だったが、終身刑を導入した場合という条件が付くと、容認は51%に減った。死刑制度とどう向き合うのかについて、世論も難しい判断を迫られている。上川法相は存廃を検討する考えはないと言明しているが、情報を最大限公開して存廃に関して議論することは不可欠だ。
 被害者や遺族にとって事件の被害は今も続いていることを、社会全体で改めて共有したい。遺族の喪失感は消えず、真相究明への願いはかなえられていない。重い後遺症に悩まされている人や、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ人が数多くいる。公的に被害者らを手厚く支援する仕組みを充実させることが必要だ。
 犯行に深く関わった教団幹部らが、真相を語る機会が永久に失われた損失は確かに大きい。しかし、まだ全てを話していない元信者は残っている。膨大な事件の裁判記録もある。これらを公文書として保存し、テロ、カルトの研究者やジャーナリストが活用し、検証できるようにすることを国に求めたい。
 松本元死刑囚の影響下にあるとされる後継団体の主流派「アレフ」と、元幹部上祐史浩氏が設立した「ひかりの輪」、アレフから分派した新団体の三つに1600人以上の信者がいる。これら信者の動向を注視する必要がある。松本元死刑囚の遺体を巡っては、四女と三女らそれぞれが引き取りを求めるなどした。さらなる混乱が生じ活動が先鋭化する懸念もあり、警戒を怠ることはできない。
 今もオウムの事件が突き付けた課題を克服できずにいる。疎外感を受けた若者が引き起こす事件は後を絶たない。二度とオウムを生み出さないよう社会全体で考え続けねばならない。


[死刑制度] 情報公開し存廃議論を
 オウム真理教による一連の事件で死刑が確定した13人全員の刑が執行され、日本の死刑制度の在り方が内外で波紋を広げている。
 「その時がきた」「仕方ない」とする声がある一方で、日本弁護士連合会は「重大な人権侵害」と抗議した。
 欧州各国は「極刑に強く明確に反対する」とし「死刑廃止を視野に入れた執行停止の導入を呼び掛ける」などとする声明を出した。
 国際的に死刑廃止の潮流がある中、国内には容認論と廃止論がある。いずれの立場を取るにしても、国民が十分な情報と理解に基づいて議論を深められるような環境を整える必要がある。
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、昨年末時点で死刑廃止国は106カ国に上り、1997年を最後に執行していない韓国など、制度はあっても10年以上執行のない事実上の廃止国も増えている。
 そんな中で上川陽子法相は、6日に松本智津夫元死刑囚ら7人、昨日6人の執行を命じた。短期間で極めて異例の人数である。
 記者会見で上川法相は「慎重な判断を重ねた」と強調したが、執行に至った経過はほとんど明らかにしていない。
 なぜ今の時期なのか。先に刑が確定した死刑囚がいるのに飛び越えて執行したのはなぜか。「訴訟能力がない」との指摘もあった松本元死刑囚の執行時の精神状態はどうだったか。疑問は多々ある。
 とりわけ松本元死刑囚は96年に始まった裁判の途中から意味不明の発言を繰り返し、やがて一言も発しなくなった。判決が確定した後は、家族も面会できなくなる異例の経過をたどった。
 上川法相は「医師の診療を受けさせるなど慎重な配慮がなされている」と一般論を述べたが、松本元死刑囚の精神状態をどのように判定したのか。適正手続きの観点からも詳しく説明すべきだろう。
 内閣府が2015年に公表した世論調査で死刑制度を容認する人は80%を超えたが、終身刑を導入した場合の是非を質問すると死刑容認派は51%に減った。
 死刑は国家が国民の命を奪う「究極の刑罰」である。冤罪(えんざい)の被害者に刑を執行してしまえば取り返しがつかない。終身刑の導入も検討してはどうか。
 今回の執行を機に死刑の存廃論議が高まることを期待したい。
 裁判員裁判で一般市民が死刑と向き合う機会はこれからも増えていく。究極の判断を迫る以上、死刑囚の処遇や執行に至る法務当局内の議論など、幅広い情報公開が不可欠である。


司法取引初適用/国民の信用を得る制度に
 6月にスタートした司法取引が初めて適用された。
 タイの発電所建設に絡む外国公務員への贈賄事件で、東京地検特捜部と大手発電機メーカー「三菱日立パワーシステムズ」との間で成立した。
 特捜部は元取締役ら3人を在宅起訴した。捜査協力した法人は、司法取引の合意内容に基づき不起訴処分とした。
 外国を舞台にした贈賄事件は発覚しにくく、摘発の端緒になったと評価する声もある。企業による不正の自己申告が、健全なビジネス環境整備につながるという指摘も出ている。
 一方で、今回のケースは社員が企業の幹部を告発するという想定とは逆の構図となった。「組織犯罪で上層部を訴追するという本来の趣旨から外れる」という批判的な意見も根強い。
 制度が適切に運用されたのかという懸念に対して、検察は客観証拠による裏付けを十分に行い、公判で明らかにすべきだ。
 司法取引は、容疑者や被告が共犯者らの犯罪について、捜査・公判に協力する見返りに、起訴を見送ってもらったり、求刑を軽くしてもらったりする。今回のような財政経済犯罪や薬物・銃器犯罪が対象となる。
 起訴状によると、2015年2月、タイに資材を荷揚げする際、同社の元取締役らは現地の公務員から許可条件に違反すると指摘された。黙認してもらうなどの便宜を受けるため、現金1100万バーツ(約3900万円)を渡したとされる。
 三菱日立パワーシステムズは、15年3月に内部告発で不正を把握し、調査後に東京地検へ報告していた。
 法人が有罪になれば、国際的なプロジェクトへの参加や、国際金融機関からの融資が困難になる恐れがある。司法取引を選んだ会社の判断は不祥事対応の新たな選択肢となるとされる。
 しかし賄賂額は高額で、会社の事業遂行のためであり、個人の犯罪とするのは違和感が拭えない。組織性の強い犯罪で会社を守るために運用されるなら国民の信用は得られず、不正が隠蔽(いんぺい)される可能性がある。
 企業にとってコンプライアンスの向上は当然だ。海外でのビジネスで、社員を犯罪から守る仕組みが求められる。


開示請求漏えい 野田氏の責任は免れぬ
 野田聖子総務相に関わり朝日新聞が金融庁に行った情報開示請求の内容が、開示前に野田氏側に漏えいしていた。金融庁は職員を処分する方向で検討している。
 請求されたのは、仮想通貨取引に関する規制について、野田事務所の秘書が1月に仮想通貨関連会社の関係者を同席させ、金融庁から説明を受けた際の面談記録だ。
 この会社は当時、資金決済法に抵触する無登録営業の疑いで金融庁の調査を受けていた。直接の利害関係者を説明に同席させたことは、金融庁に対するけん制や圧力と取られかねない。
 また、請求の漏えいは情報公開制度の根幹を揺るがす。担当閣僚である野田氏の責任は免れまい。
 野田氏は面談について「仮想通貨交換業に関する法制度や規制の仕組みを説明してもらった」と述べ、圧力との指摘は「当たらない」と否定。会社からの献金や自身の出資・投資もないと言う。
 しかし、圧力かどうかは相手側の受け止めの問題だ。単なる制度の説明に、自身の「友人」という関係者を同席させる理由はない。
 こうしたケースは不透明な「口利き政治」の温床になりかねないと、再三指摘されてきた。
 森友・加計問題で問われているのは、首相を忖度(そんたく)したとの疑念を抱かせた行政の公正性や透明性である。野田氏の認識は甘い。
 開示請求の漏えいも、地方議会の政務活動費に対する請求などで何度も問題になってきた。
 国民の知る権利を保障する制度で請求者に不当な圧力がかからないよう、情報が保護されなければならないのは当然である。
 だから、総務省は2年前に「請求者の情報が公になれば、開示請求の萎縮や制度への信頼性の低下につながるおそれもある」と注意を促す文書を自治体に出した。
 金融庁は開示決定通知書などを総務省側に渡した。請求者名は隠されたが、朝日の社名を口頭で伝えた。明らかに不適切な対応だ。
 本来は金融庁を厳しく注意すべき立場の野田氏は、そうしなかったばかりか、メディアとの懇親の場で漏えい内容を話題にした。閣僚としての資質が問われよう。
 野党は国会の閉会中審査を要求している。野田事務所の対応が、金融庁側に漏えいを行わせた原因ではないか―。そんな疑問も含め、真相究明が急務だ。
 野田氏は自民党総裁選出馬に意欲を示している。当然のことながら、まずは自身の問題で説明責任を果たすことが先決である。


情報公開漏洩  総務相の甘い問題意識
 情報公開制度の根幹を揺るがす深刻な問題だ。
 野田聖子総務相に関する情報公開請求を朝日新聞が金融庁に対して行ったところ、金融庁は開示決定前に開示請求の内容や請求者の所属を野田氏に伝えていた。
 野田氏はこの事実を複数の記者との懇親会で話題にもしていた。
 情報公開制度は、行政機関の運営を市民が検証するために欠かせない制度だ。請求者や請求内容が漏れることがあれば、請求することへの萎縮を招きかねない。
 2016年に、富山市などの議会事務局が、市会議員の政務活動費に関する情報公開の請求者を議員に漏らしていたことが明らかになり、総務省は全国の自治体に注意を促した。
 しかし今回、野田氏は「特段の問題意識を持つことなく話題にした」と述べている。制度を所管する大臣としての自覚のなさに驚くほかない。責任は重大だ。
 野田氏の責任はこの問題の発端についても問われよう。
 朝日新聞が金融庁に対して行った情報公開請求は、野田氏の事務所と同庁の担当者の面会記録についてだった。
 面会は野田氏の事務所で行われた。金融庁から無登録営業の疑いで調査を受けていた仮想通貨関連会社の関係者も同席し、金融庁の担当者に仮想通貨の販売規制について説明をさせていた。
 野田氏は、関係者を自身の友人と認めたうえで、「金融庁への圧力には当たらない」と説明している。しかし、なぜ現職閣僚の秘書が同席しなければならないのか。口利きとも受け取られかねない、極めて不自然な経緯だ。
 圧力になったからこそ、金融庁の担当者は総務省に情報開示決定書などを渡したのではないか。
 安倍晋三政権下で官僚が力のある政治家に忖度(そんたく)して行動する問題が森友・加計問題を通じて浮かび上がったが、同じ構図が透けて見える。
 菅義偉官房長官は金融庁の対応を不適切と批判し、金融庁は職員の処分を検討している。政治家の責任を問わず、官僚の処分で済ますとしたら、森友・加計問題と共通する。
 金融庁は「開示請求があったことを伝えることは問題がない」としているが、これも情報公開制度をゆがめかねない認識だ。
 野田氏は自民党総裁選への立候補を公言してきたが、このままでは安倍首相との違いを打ち出せないのではないか。


【LGBT差別】自民公約の真意を疑う
 〈性的指向・性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定〉〈多様性を受け入れていく社会の実現〉。昨年衆院選で大勝した自民党の公約にそうある。
 大いに具体化してほしいが、同党の杉田水脈(みお)衆院議員(比例中国ブロック)が月刊誌「新潮45」への寄稿で、性的少数者(LGBT)に対する行政支援が「度が過ぎる」と非難した。公約に反し、社会の多様性を否定したと同じだ。
 寄稿では「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるのか。彼ら彼女らは子どもをつくらない、つまり『生産性』がない」などと持論を記した。あからさまな差別、排除の考え方で、優生思想さえ想起させる。非常識と言うほかない。
 そもそも、LGBTの存在を「生産性」に絡めて疑問視する思考が強引で、理解に苦しむ。
 「同性婚を認めれば、兄弟婚や親子婚、ペット婚や機械と結婚させろという声も出てくるかもしれない」「歯止めがきかなくなる」とも主張する。飛躍が過ぎ、多様性の議論とは懸け離れる。それこそ「度が過ぎる」だろう。
 LGBTへの差別や偏見をなくし、世の中をより多彩に、より豊かにしていく。共生社会へ高まる要請であり、国際的なコンセンサスであることはもはや言わずもがなだ。そのために政治や行政、民間が知恵を出し合い、共に手を携えていく時代である。
 同性愛カップルを夫婦と同等に認める制度を東京都渋谷区が2015年に導入以来、全国の自治体に広がっている。LGBTを支援する企業も出始めている。イメージアップにつながるからだ。
 電通の15年の調査では、全国で13人に1人がLGBTと推察される。どれほど多くの性的少数者が息苦しい人生を強いられてきたことか。人の痛みに対する杉田氏の認識を疑わざるを得ない。
 五輪憲章も「性的指向による差別」を禁じ、20年東京大会は「多様性と調和」をビジョンに掲げる。性的少数者の権利保護は世界の共通認識だ。そうした国内外の情勢も踏まえ、自民党も選挙公約に書き込んだのではないか。
 野党などの批判も受け付けない様子の杉田氏は議員や党人の資質、資格が問われるところだが、同党の二階幹事長は「人生観もいろいろある」と静観する。杉田氏の主張を容認したとも受け止められ、党公約の真意がただされよう。
 自民党内には伝統的な家族観へのこだわりが根強く残る。二階氏も含め時代錯誤的な発言で反発を招くケースが多い。保守層の支持を狙って意図的に発しているのではないかとの指摘もある。
 「1強」の安倍政権下で暴言や失言が止まらない。どういう混乱を起こし、どれほど人を傷つけるのかへの想像力を欠く。「数の力」のおごり、緩みが透ける。


杉田水脈と自民党のLGBT差別に5000人が自民党本部前で怒りのデモ!自民党は抗議声明を受け取り拒否
「杉田水脈は議員を辞めろ」「他人の価値を勝手にはかるな」「私の価値は私が決める」「This is pride!」
 怒りのレインボーフラッグが、東京・永田町の自民党本部前にたなびいた。〈LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がない〉と雑誌で主張している杉田水脈衆院議員の辞職を求める抗議行動が、本日19時より自民党本部前でおこなわれたのだ。
 しかも、参加者数は、自民党本部前抗議としては過去最大規模の5000人を超えた。抗議者は時間を経るごとに膨れあがり、自民党本部を取り囲むような勢いで拡大し、本部前の歩道だけではなく参議院議員会館にまで列が延びた。一方、警察もかなりの数の警官を投入し、参加者を迂回させるなどの過剰警備をしいた。
 杉田議員の差別的主張については、国内のみならず海外メディアのCNNやBCC、アルジャジーラなどが報道。さらにLGBTメディアである英「PinkNews」や豪「OUTInPerth」も杉田議員の主張を取り上げており、国際問題に発展しているが、本日の抗議には特定非営利活動法人「東京レインボープライド」も参加。Twitter公式アカウントでは参加の呼びかけがおこなわれた。
 しかし、当の自民党は杉田議員に対してなんらお咎めなしで、いまだに公式な見解すら示していない。その上、LGBT自治体議員連盟に所属する議員らが杉田議員に抗議する声明文を自民党本部に提出に出向いたが、なんと自民党は受け取りを拒否したという。
 この期に及んで、この態度……。杉田議員の発言や自民党の姿勢に怒りの声があがるのは、あまりにも当然のことだろう。杉田議員は〈全文を読んでから批判していただきたい〉と述べていたが、今回、問題になっている「LGBTは生産性がない」という主張のほかにも、杉田議員は〈LGBTだからといって、実際そんなに差別されているものでしょうか〉などとも記述していた。
 LGBT差別はない──。この主張もまた「差別」のひとつではないか。日本の法制度では異性婚は認められて同性婚は認められていない。その一点だけでも明確な差別があると断言できるが、安倍首相も「現行憲法の下では、同性カップルの婚姻の成立を認めることは想定されていない」などと国会で答弁。憲法14条の「法の下の平等」を考えれば同性婚を認めないことこそ憲法に反するとしか思えないが、安倍首相は普段は「現行憲法はGHQの押し付けられたもの」「みっともない憲法」などと批判して改憲を叫ぶのに、こんなときだけ現行憲法をもち出して同性婚の容認を拒否するのだ。
 さらに、自民党は同性パートナーシップ制度にさえ「慎重な議論が必要」といって後ろ向きな姿勢を見せている。ようするに、異性愛以外の性的指向を認める気がまったくないのだ。
 こうした法整備の遅れは社会の意識にも影響を与えている。実際、ゲイをお笑いのネタにするなどの差別、性別違和に対する無理解などが蔓延っている。現に、先日もお茶の水女子大学のトランスジェンダー受け入れのニュースに対し、杉田議員とも仲の良い作家の百田尚樹は〈よーし、今から受験勉強に挑戦して、2020年にお茶の水女子大学に入学を目指すぞ!〉と嘲笑するというあからさまな差別ツイートをおこなったばかりだ。
 しかも、杉田議員自身、2015年にチャンネル桜の番組に出演し、「LGBT支援論者の狙いは何?」というテーマで醜い差別発言をおこなっている。
 たとえば杉田は、同性パートナーシップ制度について「残念ながら渋谷区で可決されてしまいました」などと語り、今回問題となっている主張と同様にLGBT支援は不要だと強調。それは、「LGBTの知識を学校教育で教えるべきかどうか」と意見を求められたときのエピソードを語った際に飛び出した。杉田は「当然そんなものは必要ありません」と答えたというが、杉田は笑いながら、こうつづけた。
「(相手に)なんと言われたかというとですね、『同性愛の子どもは、普通に正常に恋愛できる子どもに比べて自殺率が6倍高いんだ』と。『それでも貴方は必要ないと言うんですか!』みたいなことを言われまして(笑)」
 性的マイノリティの自殺率が高いことは国内外で指摘されている深刻な問題だが、その事実こそがこの社会にある差別の根深さを物語っている。とてもじゃないが、笑いながらできるような話ではけっしてない。だが、杉田はその後も、こんなことを言い出す。
「思春期のころって、ほんとうにいろいろあるんですね。私も女子校で育ちましたから、周りがもう女性ばっかりなんですね。じゃあ、ちょっとかっこいい女の子がいたらラブレター書いたりとかね。(中略)でも、年を取っていくと普通に男性と恋愛できて、結婚もできて、母親になってってしていくわけです。その多感な思春期の時期に『いや、女性が女性を好きになるのはおかしくないですよ』『男性が男性を好きになるのはおかしくないですよ』『もっとみなさん堂々と胸を張って、そんな縮こまらずに、同性愛の人も胸を張ってましょう』という教育をしたら、どうなりますか(笑)? ちゃんと正常に戻っていける部分を戻っていけなくなってしまいますよね」
 思春期LGBT教育をおこなえば「正常」に「戻れなくなる」──。杉田議員は今回問題となっている寄稿文でも〈「常識」や「普通であること」を見失っていく社会は「秩序」がなくなり、いずれ崩壊していくことにもなりかねません〉などと書いているが、杉田が当たり前のように振りかざすこの異性愛中心主義の考え方こそがLGBT当事者を苦しめ、高い自殺率の引き金となっている。にもかかわらず、それが「普通」「常識」と言って憚らず、LGBT教育が不要であることの根拠にするのだ。
 ようするに、「LGBT差別はない」と主張する杉田こそが、一貫して差別をおこない、煽動してきた張本人なのである。しかも、現在の杉田の立場は、自民党所属の衆院議員という国会議員だ。為政者がこのような認識を喧伝することは到底看過できるものではなく、自民党本部前で抗議がおこなわれるのは当たり前の話だ。
 だが、今回の抗議行動をめぐっては、「LGBTの政治利用だ」「LGBTを排除するなと言いながら杉田議員を排除するのか」といった批判もネットで散見された。そこには、LGBT当事者の意見もあった。
 しかし、国会議員がマイノリティを攻撃するような差別言辞を公に発表したとき、黙ったままではそれを容認してしまうことになる。当事者であろうがなかろうが、このような議員に辞職を求め、差別を許さないと声を上げていくことで社会を変えていくしかないし、事実、そうやって社会は変わってきた歴史がある。
 しかも、杉田議員の「生産性」で公的支援の対象か否かを判断する考え方は、LGBTや子どもの有無にかぎらず、さまざまな理由から働くことができない人や高齢者、障がいをもつ人などにも当てはまる、誰もが当事者の問題だ。
 事実、杉田議員の問題を取り上げた同じ自民党の小野田紀美参院議員は、こんなトンデモな主張を展開している。
〈憲法で定められた国民の義務は『勤労、納税、教育を受けさせること』。義務を果たしていれば権利を主張して良いと思うし、どんな生き方をしようとどんな考えを持とうと、それが犯罪でなければ個人の自由だと私は思っています〉
 中学公民からやり直せとしか言いようがないが、憲法で保障された人権は生まれながらにして誰もがもつものであり、義務を果たした結果に与えられるようなものでは断じてない。しかし、これを問題視し、基本的人権を制限しようというのが自民党の方針なのだ。実際、生活保護バッシングの急先鋒となった片山さつき参院議員は〈国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です〉とツイートしている。
 働いて納税する人間にしか人権はない。「生産性」のない人間に支援は必要ない。安倍政権でどんどんと広がっていくこうした自民党の主張の恐ろしさに対して、自民党本部前に人びとは詰めかけて「NO」を突きつけたのだ。
 問題は自民党の対応だ。杉田議員は安倍首相が「素晴らしい」と大絶賛して自民党に引き入れた経緯を考えると、党としての見解も出さずに無視しつづけるのだろうが、もはや国際問題にまで発展しているのだ。杉田議員の主張はもちろんのこと、与党として責任を果たさないという問題ももっとクローズアップされるべきだろう。


杉田水脈問題はLGBT差別だけではない! 背景にある安倍首相の復古的国家観、女性蔑視、歴史修正主義
「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない」なる雑誌での発言で批判が集中している、自民党の杉田水脈衆院議員。今回はめずらしくテレビなどでも取り上げられており、リベラルなスタンスの人に限らない、様々な層の論客や文化人も批判の声をあげている。
 しかし、今回の問題の本質はLGBTへの差別扇動に限ったことではない。そこにマイノリティ・弱者への差別思想が通底していることは言うまでもないが、このドス黒い思想の淵源には、間違いなく安倍自民党全体を覆う戦前的価値観への復古願望がある。
 そもそも杉田の差別発言は、いまに始まったことではない。
 たとえば杉田は、次世代の党時代の2014年、国会で「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想です」と暴言を吐き、「週刊プレイボーイ」(集英社)でのインタビューでも日本に男女差別は「ない」と断言。また、2016年に「保育園落ちた日本死ね」ブログが話題になった際には、Twitterに〈「保育園落ちた」ということは「あなたよりも必要度の高い人がいた」というだけのこと。言い換えれば「あなたは必要度が低いので自分で何とかしなさい」ということなのです〉と投稿した。
 さらに、同年の産経新聞での連載では、〈旧ソ連崩壊後、弱体化したと思われていたコミンテルンは息を吹き返しつつあります〉として〈これまでも、夫婦別姓、ジェンダーフリー、LGBT支援−などの考えを広め、日本の一番コアな部分である「家族」を崩壊させようと仕掛けてきました。今回の保育所問題もその一環ではないでしょうか〉などという、トンデモとしか言いようがないコミンテルン陰謀論を主張していた。
 杉田の女性蔑視は明らかだが、最近も、ジャーナリスト・山口敬之氏からの準強姦被害を訴えている伊藤詩織さんに対し、絶句するような発言をしている。
 今年6月、BBCが公開した詩織さんの事件を中心にしたドキュメンタリーに出演した杉田は、「彼女の場合はあきらかに、女としても落ち度がありますよね」「社会に生きていたら(男性からのセクハラは)山ほどありますよ」「伊藤詩織さんが記者会見を行なって、ああいう嘘の主張をしたがためにですね、山口さんや山口さんの家族には、死ねとかいうような誹謗中傷のメールとか電話とかが殺到したわけですよ。だから私はこういうのは男性側のほうが本当にひどい被害を被っているんじゃないかなというふうに思っています」などと言い放ったのである。
 つまり、準強姦を訴える女性に対し、「女として落ち度がある」「社会に生きていたら山ほどある」などと言って責めたてながら、「こういうのは男性側のほうが本当にひどい被害を被っている」などと主張したのだ。
 おそらく、ここまで読んだ読者は、杉田水脈なる政治家がなぜこれほどまでおぞましい女性・性的マイノリティへの誹謗中傷や差別扇動を繰り返すのか、理解に苦しんでいることだろう。しかし、杉田議員のファナティックな主張をほぐすと、そこに一本のラインが存在することに気がつく。
 それは、戦前の家父長的家制度の復活に対する、並ならぬシンパシーだ。
杉田水脈のLGBT差別・女性蔑視発言は、すべて安倍首相のコピー
 周知の通り、明治時代につくられた家制度は、男性戸主に家庭内での大きな支配権限を付与し、女性や子ども、また性的マイノリティに対する差別を制度化したが、これは“すべては天皇の赤子たる臣民である”という天皇を頂点にした「家族国家」を形成するためものだった。国家神道の強制との両輪で進められたこの疑似家族的国家観は、国民を一丸とした戦争へと動員し、未曾有の犠牲者を出しながら、この国を敗戦へと導いた。
 家制度は戦後、憲法24条のもとで廃止された。しかしその後も、こうした戦前的価値観は自民党右派を中心に脈々と生き続け、しかもここ十数年で安倍首相とその周辺、とくに日本会議による復古的バックラッシュが一気にエスカレートしている。
 たとえば2007年、日本会議国会議員懇談会による「新憲法制定促進委員会準備会」が発表した「新憲法大綱案」では、現行の憲法24条が否定され、〈祖先を敬い、夫婦・親子・兄弟が助け合って幸福な家庭をつくり、これを子孫に継承していくという、わが国古来の美風としての家族の価値は、これを国家による保護・支援の対象とすべきことを明記する〉と謳われている。
 古屋圭司や萩生田光一、稲田朋美、加藤勝信といった安倍晋三シンパによってつくられたこの大綱案は、安倍首相の意向がもっとも如実に反映されているとみられており、そこでは戦前・戦中への憧憬がダダ漏れになっている。介護や介助、生活の困窮などを「家族」というユニットに押し付けているのはもちろん、ここで〈わが国古来の美風としての家族〉とされているものは、明治の家父長的家制度の元で構築された「家族観」にほかならない。裏を返せば、その「家族観」にそぐわない人々は「国家による保護・支援の対象」から除外すると宣言しているのだ。
 また、自民党が2012年に発表した憲法改正草案では、現行憲法24条に〈家族は、社会の基礎的単位として、尊重される〉〈家族は、互いに助け合わなければならない〉という条文が加えられている。安倍自身、党内議論の初期から「わが国がやるべきことは別姓導入でなく家族制度の立て直しだ」と語っていたとされるが(朝日新聞出版「AERA」06年11月13日号)、その安倍が“夫婦別姓は家族を解体する”として批判した雑誌での発言を振り返ってみる。
「夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという、左翼的かつ共産主義のドグマ(教義)。これは日教組が教育現場で実行していることです」(ワック「WiLL」2010年7月号)
 杉田水脈による数々の女性蔑視・LGBTヘイトの発言が、その内容や論理構造にいたるまで、こうした安倍晋三を中心とする極右・自民党ががなりたててきた主張のコピーであることは明らかだろう。
杉田水脈LGBT差別発言と安倍自民党の歴史修正主義は同根!
 繰り返すが、戦後に否定された家制度が代表する男性中心主義的かつ国家主義的な家族観にとっては、「性役割」なる虚妄を強く固定する必要がある。ゆえに、その復古的家族観にそぐわない人々の排除を扇動するのだ。
 実は、その大日本帝国へ憧憬は、杉田が血道をあげている慰安婦問題などの戦中日本の戦争犯罪の否定(歴史修正主義)にも通じるものだ。たとえば杉田は、河添恵子との対談本『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)のなかで、慰安婦像について「慰安婦像を何個立ててもそこが爆発されるとなったら、もうそれ以上、建てようと思わない。立つたびに一つひとつ爆破すればいい」などと言い“爆破テロ”まで煽っている。
 そんな杉田を安倍首相が自民党へスカウトした事実も含め、とても正気の沙汰とは思えないが、つまるところ、杉田や安倍のようなリビジョニストから見れば、とりわけ慰安婦問題は、自分たちがかき消したい帝国主義の国家犯罪を明るみにするものであり、かつ、抑圧すべき「女性の権利」の改善運動と結びついたものとして攻撃対象となっているのである。
 すべては、民主主義に漸進する社会を、戦前・戦中日本のような支配構造に立ち戻らせようとする思想の延長線上にある。
 LGBTヘイトは、ナチスの優生思想を彷彿とさせる極めて悪質なものであり、いささかたりとも容認できるものではない。もちろん、杉田発言の荒唐無稽さには唖然とする。議員辞職が当然だろう。だが、同時にこの問題を、杉田水脈というどうかしているとしか思えない政治家の暴言とみなし、杉田を批判するだけでは不十分なのだ。
 杉田への批判の大きさを見て、稲田朋美やバリバリ安倍応援団である有本香や上念司らも「自分はちがう」とばかりに杉田に批判的な発言をしているが、彼らも杉田とまったくの同根であることを忘れてはならない。彼らは表面的にLGBT差別発言だけを批判しているが、自分たちが日頃喧伝している歴史修正主義や中韓差別、反民主主義思想はすべて今回の杉田発言と同一線上にあるものだ。
 言っておくが、杉田の「LGBTに税金を使うことに賛同は得られない。生産性がない」という発言は、単なるいち跳ねっ返りの暴言などではなく、現実に安倍首相が推し進めてきた政治にほかならない。「在日に税金を使うことに賛同は得られない」「生活保護に税金を使うことに賛同は得られない」「老人に税金を使うことに賛同は得られない」「病人に税金を使うことに賛同は得られない」……そうやって実際にすでに多くのマイノリティや社会的弱者が切り捨てられてきた。次に排除されるのは、LGBTのみでなく、マイノリティのみでなく、すべての個人の権利と自由だ。
 繰り返すが杉田の差別発言は、まさしく安倍首相の政治のもとで発現した、反民主主義、反人権のグロテスクな国民支配欲求そのものなのである。背景にある安倍政権の復古的国家観、女性蔑視や歴史修正主義との関連に目を向け追及しないかぎり、この流れを止めることはできないだろう。


「いま見解を述べないで、何がLGBT議連だと思います」 元首相補佐官が声を上げた理由
LGBT議連幹事の一人で、元首相補佐官の寺田学衆議院議員が7月26日、杉田水脈議員寄稿をめぐりBuzzFeed Newsの取材にこたえた。
Saori Ibuki伊吹早織 BuzzFeed News Reporter, Japan Kota Hatachi籏智 広太 BuzzFeed News Reporter, Japan
自民党の杉田水脈・衆議院議員が月刊誌「新潮45」への寄稿で、「(LGBTは)生産性がない」ため、税金を使って支援するべきではないと主張したことを受け、批判の声が高まっている。
超党派の国会議員約20人でつくる「LGBTに関する課題を考える議員連盟」(LGBT議連)の幹事で、民主党時代に首相補佐官を務めた寺田学・衆議院議員(無所属)も、異議を唱えた一人だ。
人間のあり方を「国家の視線」で判断
寺田議員は2003年に当時最年少で衆議院議員に初当選し、5期目。民主党政権で首相補佐官を務めた。民進党や希望の党を経て、今年4月に希望の党の解散とともに、無所属になった。
「杉田さんの記事を読むと、彼女が決めつけた一つのあり方からはみ出ている人間を『不幸な人間』や『普通じゃない』と呼んだり、多様であることが社会を乱す要因であると言っていたり、国会議員がそうした考えを公に表明したことが信じられませんでした」
「国にとって役に立っているかどうかを、子供を授かる授からないで判断すること自体おかしいですが、それ以前に、人間が生活を営む上でどうあるべきかということを国家の視線だけで判断している」
「しかも、それを国の運営を預かる国会議員がということが、恐ろしくもありました」
7月26日にBuzzFeed Newsの取材に応じた寺田議員は、問題の寄稿をそう評す。
「いま見解を述べないで、何がLGBT議連だ」
「LGBTだからといって、実際そんなに差別されているのか」「彼ら彼女は子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」「同性愛でいいんだ、と不幸な人を増やす」ーー。
そう論じた杉田議員に対して、当事者団体のLGBT法連合会は23日、「当事者の人権を侵害するだけでなく、現実に存在する『性の多様性』を無視し、国会議員としての資質に疑問を抱かざるを得ない」と訴える抗議声明を発表。
野党からの批判も強まる一方、2015年の設立以来、性的マイノリティの課題に取り組んできたLGBT議連からは、公式な見解が示されていない。
寺田議員によると、23日の時点で「LGBT議連としての公式見解を示すべきだ」と議連の幹部に訴えたものの、26日現在まで、主だった動きには繋がっていないという。
自身のTwitterには「超党派のLGBT議連の一人として、議連の見解を示すべきと幹部に訴えてますが未だに動かず。いま見解を述べないで、何がLGBT議連だと思います」と厳しい意見を投稿した。
なぜ個々の議員や政党だけではなく、議連としての見解を示すことが重要なのか。
寺田議員は党派性を超えた意見を表明できる議連だからこそ、杉田議員との立場の違いを明確にするべきだと話す。
「政党間のせめぎ合いを抜きに、色んな党の人間が一つの共通の価値観を持って活動するのが超党派の議連です」
「特定の党を批判する目的ではなく、ある意味普遍的な意見として、政党の影を消した形で意見を出す意味は大きい。そもそも、そういう目的のために作られたのが、この議連のはずですから」
「杉田さんのような考えを内心で持つことは自由ですが、国会議員の公的な発言である以上、国会として、我々が目指す国の形は杉田さんの考え方に沿ってはいないことを示すべきだと思います」
「目指すのは人それぞれのあり方をできる限り包摂し、多様性を認めて、それぞれが生きやすい世の中。実現手段は各政党で違うかもしれないですが、根底にあるのはそういうものだと、はっきり示すことが重要です」
馳浩会長らはコメントせず
BuzzFeed Newsは7月23日、LGBT議連の会長を務める自民党の馳浩・衆議院議員に書面で取材を申し込んだが、コメントできないとの回答があった。
事務局長の公明党・谷合正明参議院議員は25日、Twitterに「ある自民党議員の『生産性』がないとの誌上での発言は、LGBTだけでなく、共助社会・共生社会を構築する上で相容れない」と投稿。
だが、西日本豪雨で被災した地元・岡山県に帰任していることもあり、取材には応じなかった。
顧問を務める無所属の細野豪志衆議院議員からは26日現在、回答が得られていない。


金融庁だけじゃない 安倍政権“開示請求潰し”は日常茶飯事
 朝日新聞が金融庁に開示請求した資料や情報について、同庁が事前に請求対象者の野田聖子総務相の事務所に漏らしていた問題。同庁は担当者を処分して幕引きを図るつもりだが、この「開示請求潰し」問題の根は深い。日刊ゲンダイも以前、政治資金の使途について総務省に開示請求したところ、情報が漏れた上、開示を先延ばしされるなどの“妨害”を受けた覚えがあるからだ。安倍政権では、都合の悪い情報は政官で示し合わせ、隠蔽するのが常套手段になりつつある。
 きのう(25日)行われた立憲民主党のヒアリングで、金融庁は「不適切だった」と謝罪したが、反省しているのは野田事務所に開示請求者が「朝日新聞」と伝えたことのみ。情報公開法を所管する総務省の担当者は「開示請求が寄せられた事実を(野田事務所に)伝達したことについては問題ない」との見解を示していたから呆れるばかりだ。
 役所側から開示請求の事実が伝えられれば、政治家サイドは「いつ」「誰が」「何の目的で」と問い詰めるに決まっている。それを役所側が突っぱねられるワケがない。ヒラメ官僚ばかりの今の安倍政権下であれば、なおさらだ。
 過去にも開示情報を漏らしたケースがあったかについて、金融庁は「昨年はなかったが、それ以前は記録がなく分からない」とトボケていたが、とても信じられない。モリカケ疑惑や陸自日報問題などで明らかになったように、今の官僚は国民に平気でウソをつくからだ。
■菅官房長官は過去に日刊ゲンダイを“妨害”
 そして、考えられるのは「開示情報の漏洩」が金融庁にとどまらず、他の省庁でも日常的に行われている疑いだ。実際、日刊ゲンダイも過去に総務省に開示請求した内容が、対象者である国会議員の事務所に漏れていた可能性があった。経緯はざっとこんな感じだ。
 日刊ゲンダイは14年10月21日に安倍政権の主要閣僚の少額領収書について開示請求。ところが、開示はズルズルと先延ばしされ、結局、開示されたのは半年も過ぎた翌15年4月23日だった。
 その後、「週刊文春」が下村文科相(当時)の大臣秘書官がまとめた14年10月23日付の日報を入手し、17年7月20日号で詳細を報道したのだが、そこには〈菅官房長官 大臣秘書官〉からの指示として〈一昨日、マスコミから総務省に開示請求が入りました。総務省より、少額領収書の開示要求がきます。それが届いたら、20日までの期日を30日まで必ず延長してください〉〈ばれたら面倒なので、この連絡は厳秘!〉と記してあったという。
 菅官房長官はこの事実経緯を否定したが、日刊ゲンダイの開示請求を受けた総務官僚が、政治家サイドに情報をダダ漏れさせていた疑いは極めて濃厚だ。つまり、開示請求の情報漏洩は、あらゆる省庁で横行している可能性が高いのだ。「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之神戸学院大教授はこう言う。
「開示請求は、情報公開法に基づく国民の権利です。請求者の情報が対象者に知られるとなると、請求者は圧力などを恐れ萎縮することになる。これは国民の権利の制約であり、民主主義の根幹をなす『情報公開』をないがしろにするものです。私もこれまで、嫌がらせのような申請書の補正要求を受けたことがあります。官僚の忖度か、政治家の指示かは分かりませんが、請求者の情報漏出は恒常的に行われているのではないか。そう疑われても仕方ありません」
 金融庁の職員を処分してオシマイじゃない。


公文書管理強化 単なるポーズにするな
 財務省による学校法人「森友学園」を巡る決裁文書改ざんや、防衛省・自衛隊の派遣部隊日報隠蔽(いんぺい)問題を受けて、政府は公文書管理の在り方を見直し、再発防止策をまとめた。
 内閣府の独立公文書管理監の権限を拡大し、各府省庁に対する監視体制を強化。決裁後文書の修正は禁止し、改ざんなど悪質な事案には免職を含む重い処分を行う方針も打ち出した。
 形式的には確かに「強化」と言えるかもしれない。しかし、その効果がどれだけ高まるかは不透明だ。公文書に対する政府、役所の意識に疑問があるからだ。
 このところの動きを見ると、公文書をできるだけ保管しようというより、むしろ恣意(しい)的な選択や作成の限定に向かっているような姿勢を感じる。
 公文書の意義に対する強い自覚が改めて問われている。公文書は誰のためにあるのか。それは国民のためであって役人のためではない。公文書管理法が定めるように「国民共有の知的資源」であることを改めて肝に銘じたい。
 ただ、意識は逆行しているように思える。学校法人「加(か)計(け)学園」を巡る問題では、府省庁間で「言った、言わない」の論議となり、これを踏まえた昨年のガイドライン見直し作業では、可能な限り相手方の発言を確認する仕組みも盛り込まれた。
 しかしそれは、記載内容を制限する副作用をもたらしかねない。役人の判断次第で当該省庁、あるいは時の権力に不都合なことが割愛されては本末転倒だ。
 政策決定過程を公文書にしっかり記すことが担当者の使命。それにも増して重要なのは政治家の姿勢だ。財務省の文書改ざんは政権への忖度(そんたく)が招いたと指摘される。安倍晋三首相の「危機感を持って再発防止に全力を尽くす」の言葉が単なるポーズであってはなるまい。
 今年も終戦の日が近づいてきた。あの終戦に伴い、役人や軍人が公文書を大量焼却した行為は、重い教訓として残る。公文書を「自分たちのもの」と考える体質により、戦争責任が隠蔽され、歴史検証に空白が生じた。
 また、公文書を作って残す重要性に対する意識の乏しさは、東日本大震災の際、原発事故対応に関する議事録の未作成という事態にも垣間見えた。
 公文書管理は、このような過去を踏まえなければならない。そのために必要な一つは外部のチェックだが、仕組みがない。内閣府の体制強化といっても、政府内部の監視で十分に機能するかは疑問だ。独立した第三者機関の設置を検討すべきだろう。


LGBT差別 自民の姿勢が疑われる
 差別を扇動する、悪質なヘイトスピーチというほかない。
 自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が、月刊誌で、LGBTなど性的少数者は「子供を作らない、つまり『生産性』がない」と主張し、行政による支援に疑問を呈した。
 一方的な尺度を振りかざして特定の集団を差別するのは、優生思想と変わらない。
 独身者や子を持たない夫婦なども侮辱する暴論で、福祉行政の否定にも等しい。党内からも批判が出たのは当然だ。
 ところが、二階俊博幹事長は、党の立場は違うとしながらも「人それぞれ、政治的立場はもとより人生観もいろいろ」と述べた。
 その「人それぞれ」を否定しているのが杉田氏ではないか。
 自民党は一昨年の参院選からLGBT理解を増進する議員立法の制定を公約に掲げている。
 杉田氏は昨春出版した著書でも同様の偏見を示した。こんな人物を、その後の衆院選の比例代表で当選させた党の責任は重大だ。
 杉田氏は、少子化対策となる子育て支援などと対比する形で、行政のLGBT支援を批判した。
 しかし、少子化対策と性的少数者の人権擁護は全く別の問題だ。
 まして、人を「生産性」という言葉で選別する発想は、相模原市の知的障害者殺傷事件や、ナチスドイツによる障害者らの安楽死政策にも通じる危険性を持つ。
 国民は平等な施策を求める権利があり、国はそれを保障する義務がある。
 学校への攻撃も悪質だ。性的少数者はいじめの標的となりやすく自殺率も高いため、文部科学省が現場に配慮を求めている。
 だが、杉田氏は、性自認に即した制服やトイレの使用を挙げ、混乱を招く、などと批判した。
 現実に苦しんでいる子どもへの想像力を欠いている。
 国連は、性的指向や性自認を理由とする暴力や差別は命にかかわるとして加盟国に対応を求めた。
 国際的な潮流や公約にもかかわらず、自民党内では不見識な発言が後を絶たない。
 竹下亘総務会長は昨年、宮中晩さん会を巡り「日本国の伝統には合わない」と国賓の同性パートナーの出席に反対した。杉田氏によれば、今回も先輩議員から励ましを受けたという。
 札幌市がパートナーシップ宣誓制度を設けたのをはじめ、性的少数者に当たり前の権利を保障する動きが全国で広がっている。この流れを止めてはならない。


LGBTへの差別 自民党は容認するのか
 性的少数者(LGBT)のカップルに関し「生産性がない」と断じる、差別と偏見に満ちた見解が自民党国会議員から出た。看過できない。自民党の二階俊博幹事長が「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観がある」と、全く問題にしていないことにも驚く。これが公党の見解なのだろうか。
 自民党の杉田水脈(みお)衆院議員(比例中国ブロック)が月刊誌「新潮45」への「『LGBT』へ支援の度が過ぎる」と題した寄稿で、同性カップルに関して持論を展開した。
 「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」とし、行政が支援策を取ることを批判した。
 「生産性」という経済的なものさしだけで人を切って捨てる。ナチス・ドイツが優生思想に基づき障がい者や働けない人を「価値なき」者として殺害したT4作戦を思い起こさせる。
 杉田氏は、日本はLGBTの人たちへの迫害の歴史や差別はなかったという。本当にそうか。
 各種の調査で、LGBTの人たちが学校でのいじめや職場での差別を訴えている。だからこそ多くの人がLGBTであることを公にできず、生きづらさに苦しむ人が声を上げられなかった。
 杉田氏は、さまざまな性的指向を認めれば「ペット婚や、機械と結婚させろという声も出てくるかもしれません」と主張する。まともな感覚とは思えない。
 国連はLGBTへの差別や暴力の解消を求めている。日本社会でも積極的な取り組みが始まっているのに、政権与党の国会議員が逆に差別を助長する見解を示した。国際的にも批判されるだろう。
 しかし、自民党では認識が違うようだ。二階幹事長は杉田氏の寄稿について「党は右から左まで各方面の人が集まって成り立っている。人それぞれ、政治的立場はもとより人生観もいろいろある」と、静観する姿勢を示した。自民党はLGBTへの差別を事実上、容認しているように映る。
 自民党内には伝統的家族観が根強く、二階氏自身、6月に「子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」と述べ、世論の反発を招いた。
 杉田氏も自身のツィッターに「先輩議員から『間違ったことを言っていないから、胸を張っていれば良い』と声を掛けられた」「自民党の懐の深さを感じます」と書き込み、党内の意見を紹介している。
 自民党は2016年に「性的指向、性自認の多様な在り方を受け止め合う社会を目指す」との基本方針を公表したが、形骸化していると言わざるを得ない。
 少数者の人権を尊重し、異なる価値観の人々を受け入れる多様性ある社会を目指すのが国会の役割だ。一議員の問題で済まされない。


人権の尊重は人生観ではない
 ★自民党衆院議員・杉田水脈(みお)が月刊誌にLGBT(性的少数者)のカップルへの行政支援について、「彼ら彼女らは子どもをつくらない、つまり『生産性』がない」と断じた問題。杉田はそもそも子供をもうけることを「生産性」とし、ナチスの優生思想に近い差別的価値観を披露した。ところが杉田は党内では「間違ったことは言っていない」と励まされたと、批判に反論した。 ★自民党の憲法の改憲草案、第24条には「家族は社会の自然かつ基礎的な単位として尊重される。家族は互いに助け合わなければならない」とあり、家族単位の価値観以外には否定的だ。一方、党が下野していた10年綱領には、以下のように書かれている。「我々が守り続けてきた自由(リベラリズム)とは市場原理主義でもなく、無原則な政府介入是認主義でもない。ましてや利己主義を放任する文化でもない。自立した個人の義務と創意工夫、自由な選択、他への尊重と寛容、共助の精神からなる自由であることを再確認したい。従って、我々は全国民の努力により生み出された国民総生産を、与党のみの独善的判断で国民生活に再配分し、結果として国民の自立心を損なう社会主義的政策は採らない。これと併せて、政治主導という言葉で意に反する意見を無視し、与党のみの判断を他に独裁的に押し付ける国家社会主義的統治とも断固対峙(たいじ)しなければならない」。これを読む限り、杉田どころか、安倍政権の政策すべても党の綱領違反ではないか。 ★この問題で党幹事長・二階俊博は「人それぞれ政治的立場はもとより、いろんな人生観もある」と杉田発言を容認した。だが人権の尊重は人生観ではない。基本的人権は確か、まだ我が国の法律に残っていたはずだが。人権に思いが至らず、順法精神のない政府や党に未来はない。二階の謝罪、杉田の議員辞職を要求したい。

後任は誰でもいい 国民は全力を挙げて安倍3選を阻止せよ
 とんでもない暑さの中、とんでもない首相が3選に向け、自民党総裁選に出馬の意欲を示している。国会は閉幕したが、モリカケ疑惑の解明は手つかずのまま。忖度行政を生み出し、ついには財務省の公文書改ざん、廃棄に発展した。
 こんな内閣はかつてない。その責任の中心にいるのが、安倍首相だ。自民党はこのような総裁を絶対に3選させてはいけない。今こそ自己批判し、政権与党として自浄能力を発揮すべきだ。
■後任はもはや誰でもいい
 岸田文雄政調会長は、総裁選不出馬を表明したが、3選を阻止するなら、ポスト安倍は石破茂元幹事長でも、野田聖子総務相でもいい。もはや誰でも構わないほど、安倍政権は堕落している。
 激甚災害に指定された西日本豪雨が発生しても、総裁選対策目当てで「赤坂自民亭」で宴会を繰り広げていた光景は、政権の腐敗を象徴している。飲み会には安倍首相と小野寺五典防衛相も参加。彼らに大雨や河川の氾濫、土砂崩れについての報告はなかったのか。この政権の無責任ぶりが、よく表れている。
 国会運営も「数の力」に物を言わせて、やりたい放題だ。安倍首相は豪雨災害復旧よりもカジノ法案成立を優先。復旧の陣頭指揮に立つべき石井啓一国交相をカジノ解禁のための審議に張りつかせ、最後は採決強行だ。信じられない対応であり、このような状況を生み出したのも安倍首相なのである。とことん許しがたい。
 アベノミクスの5年間も総括が必要だ。異次元緩和のスタート直前、125兆円ほどだった日銀の国債保有残高は、直近で約460兆円に膨らんでいる。軽く3・5倍以上も増えてしまった。
 国債を発行しても、黒田日銀がジャンジャン購入すれば、財政規律が緩むのは当然の帰結だ。安倍首相はプライマリーバランスの黒字化目標を5年も先送りしたが、異次元緩和継続と安倍首相続投のセットで、目標を再び延期しかねない。
 財政健全化も災害対応も先送りのクセに、カジノは急いで解禁させる。その背景には米国言いなりの政権の姿が透けて見える。自民党議員はこんな政権の継続を心の底から望んでいるのか。今の野党の状況だと、自民党政権が続くのは、やむを得ない。だからこそ、党を挙げて猛省すべきなのである。
 今回の総裁選は地方票の重みが増し、国会議員票と同数が配分される。地方議員には、だらしない国会議員に代わり、党に反省をうながす投票行動を取って欲しい。それを後押しするのも世論次第だ。国民も全力を挙げて、この政権にストップをかけるべきだ。


枝野幸男代表の内閣不信任決議案演説をNHKはなぜ流さない
「(中略)安倍総理と、クソとミソを一緒にしないでいただきたい」(立憲民主党代表・枝野幸男)
 これは20日に衆院本会議で行われた内閣不信任決議案の賛成討論での、枝野代表の発言。
 マジで、この日のエダノンの、3時間近い熱が込められた演説はかっこよかった。
 もちろん、あたしは彼の訴えは見る気でいたが、見る前からすでに見ていた人びとに「感動するから見たほうがいいよ」と連絡をいただいたくらいだ。
 てか、見る前にネットメディアの「リテラ」の記事を読んだんだよね。
【枝野幸男が2時間45分怒りのフィリバスター! 自民議員のヤジも「安倍首相のようなクソと一緒にするな」と一蹴】という。
 まさか〜ん。本当にエダノン、安倍さんのことウンコと言った?
 疑いながら話題のエダノンの演説を聞いてみた。期待していたのとはちょっとニュアンスが違ったが、リテラの記事、ほんとだったわ。
 エダノンが、国会で聞かれたことに正面から答えず、聞かれてもいないことをダラダラしゃべる安倍首相の姿勢を批判したとき、自民党議員から、「おまえもダラダラしゃべるな」と言ったヤジが入った。すると、すかさずエダノンは、
「私は安倍内閣がいかに不信任に値するかということを発言する機会を得てここで発言している」
 と説明した。そして、ウンコと一緒にすんな……いいや、クソとミソを一緒にすんな、と言った冒頭の言葉を述べたのだった。
 それにしても、エダノンのこの演説で、安倍政権のいかがわしさが、よく分かった。NHKはどうしてこういう重要なものを流さないのかね?
 自民党や公明党の安倍友じゃない人たちは、なぜ立ち上がらない?
 ウン〇の近くに寄りすぎて、鼻がバカになり、その異臭にも気付かなくなるっていうやつか?


東京五輪・パラ 「授業避けて」国通知、ボランティア促す
 スポーツ庁と文部科学省は26日、2020年東京五輪・パラリンピックの期間中にボランティアに参加しやすいように全国の大学と高等専門学校に授業や試験期間を繰り上げるなど柔軟な対応を求める通知を出した。
 多くの大学は7〜8月が試験期間となる。通知では学生がボランティアをすることへの意義を説き、大会期間中は授業や試験を避けることを促した。授業開始時期の繰り上げや祝日の授業実施は学則などに基づき、学校の判断で特例措置を講じることができる。
 首都大学東京は昨夏、期末試験を大会前に終了させるなどして大会期間中に原則、授業や試験を行わないことを決めている。国士舘大も26日、同様の方針を発表した。【田原和宏】


命守る取り組みを
編集委員 高瀬 法義
 文部科学省は今年4月、学校教室内の望ましい温度基準の上限を従来の30度から28度に約50年ぶりに改定した。年々夏の気温が高くなっていることを受けた措置だが、基準達成には教室のエアコン設置が不可欠だ。気象庁が「災害級」とする今夏の猛暑の中、その設置率に注目が集まっている。
 文科省の調査によると、平成29年4月現在、県内の小中学校普通教室のエアコン設置率はわずか7・4%と全国順位で下位低迷。近畿の他府県と比べても、京都府84%▽滋賀県82・8%▽大阪府77・3%▽兵庫県58・8%▽和歌山県44・5%―で最下位に甘んじている。保健室や図書館などの特別教室を含めても18・4%と、2割にも満たないの現状だ。
 普通教室の設置率は東京都の99・9%がトップ。次いで香川県97・7%が続き、両都県の子どもたちは、ほぼ確実にクーラーの効いた教室で授業を受けられる。設置率上位の自治体と本県との教室環境に関する格差は、見過ごすことはできない。
 なぜ、エアコン設置は進まないのか。最も大きな理由は財政面だ。公立学校の場合、公平性の観点から多くの学校に一斉に設置することが望まれ、膨大な財源が必要となる。また、設置後のランニングコストも大きな負担となる。もう一つ理由として考えられるのは、大人の意識の問題。今もって「子どもに我慢を覚えさせることも必要」との「精神論」も根強く残る。エアコン設置の必要性を認めながらも、校舎耐震化などに予算が優先されてきたのではないか。
 しかし、奈良市の平均気温は50年前と比べ約1度近くも上昇。最高気温が35度を超える「猛暑日」も増えており、確実に気候が変動している。
 今月20日に日本救急医学会が「熱中症予防に関する緊急提言」で記したように、身長が低い子どもたちは地面からの放射熱の影響を受けやすく、近年の暑さは校舎の耐震性と同様、子どもたちの命に関わる問題といえる。子どもたちが熱中症で倒れるのは、虚弱になったわけでも、精神的に弱いわけでもない。
 荒井正吾知事は先日の記者会見でエアコンの設置を進めるため市町村への財政支援を検討を示唆。県立高校についても、改築を予定している2校を除き、再来年度までに設置を完了する計画の前倒しも検討するという。県内の市町村でも、さまざまな動きがでてきた。子どもたちの命を守る取り組みを急がないといけない。


沖縄県 翁長知事、辺野古埋め立て承認を撤回
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画を巡り、沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は27日、那覇市の県庁で記者会見し、前知事による埋め立て承認を撤回すると表明した。政府は8月17日にも辺野古沿岸部の埋め立て予定海域に土砂を投入すると県に通知しており、翁長知事は自然環境の原状回復が難しくなる土砂投入の前に工事を止めたい考え。これに対し、政府は撤回の効力を一時的に失わせる執行停止を裁判所に求めるなど法的措置で対抗する構えだ。
 埋め立て承認の効力を失わせるには、承認前の審査に法的な問題があった場合の「取り消し」と、承認後の事業者の違反などを理由とする「撤回」の二つの方法がある。翁長知事は2015年10月に承認を取り消したが、16年12月に取り消し処分を違法とする最高裁判決が確定している。
 翁長知事は埋め立て承認を撤回する理由として、埋め立て予定海域の一部で当初想定されていなかった軟弱な地盤の存在が確認されたのに防衛省沖縄防衛局が協議に応じていないことや、希少なサンゴ類などの環境保全策が不十分なまま工事を強行していることなどが、承認時の留意事項に違反している、と説明した。
 翁長知事は会見で「留意事項違反などが認められるにもかかわらず、埋め立て承認の効力を存続させるのは公益に適合せず、撤回に向けた手続きを実施する必要があるとの結論に至った」と説明。そのうえで「20年以上も前に決定された辺野古新基地建設を見直すことなく、強引に推し進めようとする政府の姿勢は到底容認できない。今後もあらゆる手法を駆使し、辺野古に新基地は造らせないという公約実現に向けて全力で取り組む」と強調した。
 一方、撤回には事業主体の沖縄防衛局から弁明を聞く「聴聞」の手続きが必要で、県は近く聴聞の実施を通知する。手続き全体の完了は約3週間かかるとされ、正式な撤回は土砂投入前の8月中旬となる見通し。撤回で移設工事は法的根拠がなくなって一時止まるが、政府は直ちに撤回の効力を失わせる執行停止などの対抗措置を取る方針。政府側の主張が認められれば、工事は数週間から数カ月で再開する可能性がある。
 政府は17年4月に辺野古沿岸部の埋め立てに向けた護岸工事に着手。移設反対派からは早期の承認撤回を求める声が上がっていたが、撤回を移設阻止の「最後のカード」とする翁長知事は、「必ずやる」としながらも慎重な姿勢を取り続けてきた。だが、政府が今月19日に一部海域を護岸で囲い、本格的な埋め立てを始める環境を整えたことから、翁長知事は撤回に踏み切ることを決断した。【遠藤孝康、佐野格】


済州4・3事件から70年 大阪への慰霊碑建立目指し募金活動
【済州聯合ニュース】朝鮮半島の南側だけでの総選挙実施は南北分断を固定化するとして反対した民衆の一部が済州島で武装蜂起し、軍や警察が多くの島民を虐殺した1948年の「済州島4・3事件」から70年を迎え、在日本済州4・3事件犠牲者遺族会などが大阪市天王寺区の統国寺への犠牲者慰霊碑建立を推進する。
 遺族会などでつくる在日本済州4・3犠牲者慰霊碑建立実行委員会は27日、韓国南部の済州島で記者会見し、建立計画を説明するとともに、建立費用350万円を集めるため募金活動を行うと明らかにした。統国寺は在日コリアンの寺で、慰霊碑建立の敷地を提供する。
 大阪には日本帝国主義の時代から1950年代にかけ、多くの済州島民が移住した。4・3事件で被害に遭った在日コリアン1世やその子孫も多く居住している。
 大阪に暮らす済州島出身者らは、事件50周年の1998年から犠牲者の慰霊祭を毎年開いており、真相究明にも取り組んできた。
 遺族会の呉光現(オ・グァンヒョン)会長は「大阪は済州と密接な歴史的関係がある。日本でも事件を記憶し、平和と人権の大切さを思い起こさせるため、慰霊碑の建立を目指している」と述べた。