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Japon : l’école de médecine reconnaît avoir abaissé les notes des candidates
L’université de médecine de Tokyo accusée d’avoir abaissé les notes des candidates pour en réduire le nombre a reconnu publiquement son erreur. Elle promet de rétablir l’équité à la rentrée prochaine.
L’affaire agitait le Japon depuis plusieurs jours. Une école de médecine de Tokyo a reconnu mardi avoir abaissé les notes des femmes au concours d’admission afin de limiter le nombre des étudiantes et a présenté ses excuses pour ces pratiques discriminatoires qui sévissaient depuis plusieurs années. ≪Nous avons trahi la confiance du public. Nous présentons nos sincères excuses≫, a déclaré aux journalistes le directeur général de cette université, Tetsuo Yukioka, tout en s’inclinant profondément conformément à la tradition japonaise. De telles pratiques ≪ne devraient jamais se produire≫, a ajouté le vice-président, Keisuke Miyazawa, avant d’assurer que l’école procéderait à des tests équitables à compter de l’an prochain.
L’affaire avait été révélée la semaine dernière par un journal japonais, soulignant que l’école avait agi ainsi afin de faire en sorte que les femmes admises ne représentent pas plus de 30% du nombre total des étudiants. ≪Les femmes renoncent souvent à être médecin une fois qu’elles sont mariées et ont des enfants≫, avait confié une source au quotidien Yomiuri Shimbun pour expliquer la falsification des notes.
L’affaire indigne les Japonais
Selon les informations de presse initiales, ces irrégularités avaient débuté en 2011, mais l’enquête interne a démontré qu’elles remontaient en fait à 2006, a précisé mardi l’agence de presse Kyodo. Ces pratiques ont été mises au jour dans le cadre d’investigations sur une autre affaire impliquant l’établissement, accusé d’avoir favorisé le fils d’un membre influent du ministère de l’Education en l’admettant dans ses rangs. D’autres cas similaires ont été découverts, d’après les médias.
C’est ≪de la discrimination pure et simple à l’égard des femmes≫, a réagi un des avocats chargés de l’enquête au cours d’un point presse distinct. ≪C’est extrêmement inquiétant si l’université a empêché la réussite de femmes au concours au motif qu’il est difficile de travailler avec des médecins femmes≫, a dénoncé la ministre de la Condition féminine, Seiko Noda, dont des propos ont été reproduits par la chaîne publique de télévision NHK.
Les femmes japonaises sont généralement très instruites, mais les habitudes de travail dans l’archipel, qui se caractérisent par un grand nombre d’heures supplémentaires, les conduisent souvent à mettre fin à leur carrière au moment où elles fondent une famille.
フランス語
フランス語の勉強?
西岡研介 @biriksk
自らの死期を悟ってはったんやろうな。ゆえに、逆算して先月末に「辺野古埋め立ての承認撤回」という犧埜紊了キ瓩鮴擇蠅呂辰燭鵑笋福
ほんまもんの闘士やな。
溜まらんなぁ……


午前中にということで配達をお願いしていましたが,待つのは意外に苦しいものです.11時半くらいに郵便局の人から電話があって無事に届きました.中を見てガラスが割れていなくて一安心.
さて.お昼からは仕事頑張らねばなりません.
ランチは久しぶりに豆腐チゲ.久しぶりなのでおいしいです.
夕方翁長知事が意識混濁というニュース.えっ???と思っているうちに,亡くなられたという知らせ.ショックです.本当に命がけで沖縄のために闘われてきたのを皆知っています.わたしは沖縄に行ったことすらなく発言できる立場ではないかもしれないのですが,やはり悲しいです.

大槌町の震災検証 資料の扱いが軽すぎる
 大槌町の混迷は、どこまで深まるのか。
 東日本大震災津波で町長、職員ら39人が犠牲になり、被災者の救援などに大きな支障が生じた同町。その検証作業をめぐる職員らの聞き取り調査資料が廃棄されていたことが今月、判明した。
 町は元県総合防災室長を震災検証室長として2017年7月、報告書をまとめた。室長は職員ら80人から聞き取りをしたが、報告書作成後、調査時のメモを破棄し、録音した音声も消したという。さらに、資料の処分について町が事前に報告を受けていたことも判明した。
 町長は処分の指示を否定。7日の会見では「廃棄は適切でなかった」と認め「町民に混乱を与えたことはおわびする」とした。今後、文書管理のあり方を検討するとした。
 なぜ廃棄されたのか。聞き取りの際、検証室長は職員に「非公表」を約束。その延長に、廃棄の判断があった。
 軽すぎる判断と言わざるを得ない。報告書では、なぜ災害対策本部を高台の中央公民館ではなく、浸水区域の役場前に設置したのかなどについて、詳細に解明されたわけではない。さらに、職員の個別具体的な行動についても、分かっていないことが多い。
 あの日の真実を知りたいという遺族の願いは、かなえられていないままだ。さらに、せめて、その手掛かりの可能性がある証言を残しておいてほしいという願いも、かなわなかったことになる。廃棄に際し、なぜ遺族の心情に思いをはせられなかったのか。
 震災対応の検証資料をめぐっては、児童74人が犠牲になった宮城県石巻市の大川小でも大きな問題になった。市教委が、生き残った児童や教諭に聞き取りした際のメモを廃棄した上に、説明も二転三転。遺族が不信感を募らせ、訴訟に至った経緯がある。
 大槌町では、旧役場庁舎の存廃論議が町を二分する議論に発展。解体前に庁舎内部の見学を願う遺族に対し、町は「再び地震が起きた時に危険」と公開しない方針。その上、資料廃棄問題が発覚したことで、町に対する遺族の不信感は高まる一方だろう。
 さらに、旧庁舎の解体停止を求めて住民監査請求した住民団体の代表らが、請求の棄却・却下を不服として、今月後半にも住民訴訟を起こすと表明。町監査委員が旧庁舎の財産的価値を認めず、解体は正当と判断したことに対し、解体工事と公金支出の差し止めを求める方針だ。
 震災検証に町民の納得が得られないまま、旧庁舎解体に突き進むことは、町内世論が許すまい。原点に立ち返り、文書管理のあり方を見直し、町政に対する信頼回復に努めるべきだ。


<気仙沼・防潮堤施工ミス>県のかさ上げ案を拒否 住民団体、造り直し要望
 気仙沼市内湾地区の防潮堤高を県が誤って22センチ高く施工した問題で、同市の住民団体「内湾地区復興まちづくり協議会」は7日、市役所で記者会見を開き、背後地をかさ上げして陸から見た防潮堤高を抑える県の対応案を受け入れず、再度造り直しを求める方針を示した。
 協議会の菅原昭彦会長は理由として(1)県に対する不信感(2)かさ上げ工事に伴い市の土地区画整理事業が少なくても2週間遅れる(3)区画整理事業内の土地と道路に最大75センチの段差ができる−などを挙げた。菅原会長は「地権者の反対は根強く、(かさ上げ案を)認めることはできない。県の誠実な対応を待ちたい」と述べた。
 住民は施工ミスの発覚当初から防潮堤の造り直しを要望。県は費用の問題などを強調し、求めに応じていない。
◎「不誠実で乱暴」知事・県への不信感根強く
 防潮堤の施工ミスを巡って気仙沼市の住民団体「内湾地区復興まちづくり協議会」が県の提案を拒んだ背景にあるのは、東日本大震災の直後から続けてきた防潮堤高を巡る議論が無視されたことへの不満だけではない。問題発覚後の村井嘉浩知事の姿勢などに住民は強い不信感を抱いている。
 7日の記者会見で協議会が配ったA4判3ページの「魚町地区防潮堤工事施工ミスの県の対応に関する協議会としての見解」。うち2ページは村井知事や県への不満に割かれた。
 村井知事が5月18日にあった協議会の会合で住民が選択した造り直しを覆し、「反対もあるがサイレントマジョリティー(声なき多数派)がいるのも事実」と述べた件や、知事会見でパネルを使って「22センチ」の低さを強調した例を列挙。
 昨年3月に職員が高さ表記の誤りに気付いていたことを県が7月2日に県議会に報告しながら、2日前にあった地元の説明会で伝えていなかったことに対する批判も書かれた。
 見解は「事故を起こした責任のある加害者から損害を受けた住民に対しての発言、進め方として不適切」と誠意を欠く対応を非難。「県民と県との信頼関係を大きく損なう事案。深い失望感を覚えている」と結んだ。
 菅原昭彦会長は「県の不誠実で乱暴なやり方が不信感につながった」と指摘。会見に出席した魚町2区自治会の藤田淳逸会長は「造り直しは内湾地区の総意だ。住民の要望が本当に知事に伝わっているのか疑問が残る」と話した。
 村井知事は「記者会見の内容については、あらためて菅原会長から話を伺った上で、県としての対応を考えたい」とコメントを出した。


西日本豪雨1カ月◆国は避難段階から判断せよ◆
 西日本豪雨で平成最悪の犠牲者が出て1カ月。豪雨では多くの地点で観測史上1位の降水量を記録し、氾濫危険水位を超えた河川も続出した。「数十年に1度」の大災害が起こると予想される場合に発表する大雨の特別警報が11府県で出された。地球温暖化の影響が現れていると考えるべきだろう。この豪雨を警告と受け止め、災害への備えや対応を抜本的に見直したい。
初動対応に課題残す
 今回の豪雨では、気象庁と住民らの危機感の共有、住民の早期の避難などに多くの課題を残した。政府も初動対応の在り方を検証する方針だ。住民が確実に逃げ被害を軽減するためにも国、都道府県、市町村の役割分担を変えるよう求めたい。
 災害対策基本法では住民の避難の勧告や指示は、市町村長の役割となっている。大雨のとき市町村は、河川の水位や雨量、その見通しについての情報収集、住民からの問い合わせへの対応、避難所の開設など多くの業務を同時に進めなければならない。
 気象台の助言などを受け避難勧告を出すが、災害の経験が少ない首長や職員も多い。空振りを恐れず判断するのは容易ではない。これを補うため広域での記録的な大雨や最大クラスの台風によって被害の発生が懸念される場合は、国や都道府県が、天候が悪化する前の段階から住民に避難を勧告、指示できる仕組みを設けるべきだ。
 気象庁による観測や予測の精度は高い。国は事後対応型から脱却し、避難の段階からもっと前面に出るべきだ。その結果、市町村は住民の確実な避難の実現に全力を注ぐことができる。現在は災害の発生後に立ち上げる国の非常災害対策本部を、被害が想定される段階で置けるようにしたい。
防災省の創設検討を
 防災省の創設も危機管理の観点から検討すべきだ。自民党行政改革推進本部が防災、原子力防災、復旧、復興に関する司令塔組織の新設を提言している。南海トラフ巨大地震や首都直下地震といった桁違いの災害や原発事故に備えるためにも、防災省のように予算と人材をそろえたプロ集団を設置することは有効である。
 防災省には避難勧告などの権限を与えるだけではない。十分な職員数を確保し、平時には地震や水害、土砂災害などを想定した事業継続計画(BCP)の策定を自治体や民間企業にアドバイスするなどソフト対策の支援にも力を入れるべきだ。
 長期的な視点では市町村の街づくりに期待したい。ハザードマップの作成で水害などの被害を受ける地域は分かっている。堤防やダムといったハード整備では被害を防ぎきれない。人口減少や財政難によって道路や水道などのインフラ更新が難しくなっており、安全でコンパクトという観点から災害の可能性が少ない地域への住民の居住を促してほしい。


[西日本豪雨 災害弱者] 避難計画策定急ぎたい
 平成最悪の気象災害となった西日本豪雨から1カ月が過ぎた。
 警察庁などによると、死者は岡山、広島、愛媛の3県を中心に鹿児島県の2人を含め、15府県226人に上る。残る安否不明10人の捜索に全力を尽くしたい。
 1万棟以上の住宅が全半壊し、3日時点で9府県の3657人が避難所に身を寄せている。住宅や生活再建などの支援も急務だ。
 今回の豪雨災害で浮かび上がった課題の一つが、高齢者や障害者ら災害弱者の避難である。
 先月15日の共同通信のまとめでは、西日本豪雨による浸水や土砂災害で亡くなり、身元が明らかになった171人のうち60歳以上が約7割を占めた。
 川の堤防が決壊し、大きな被害が出た岡山県倉敷市真備町地区では亡くなった51人のうち、42人が自力避難が難しい要支援者だった。その多くが、住宅の1階や平屋の屋内で見つかっている。
 避難に関する情報が十分伝わらなかったり、体が不自由で2階や屋上などに移動する「垂直避難」ができなかったりしたようだ。
 災害弱者が迅速、適切に避難できることが、人的被害の軽減に直結するといっても過言ではない。
 だが、具体的な防災対策は進んでいないのが現状だ。
 東日本大震災でも65歳以上の死者が全体の約6割を占めた。政府は災害対策基本法を改正し、2014年から要支援者名簿の作成を市町村に義務付けた。
 政府は要支援者の避難対策を強化するため、市町村が民生委員や自主防災組織などに名簿を提供し、一人一人の支援者や避難先を定める「個別計画」を作成するよう促した。しかし、今回被害が甚大だった岡山、広島、愛媛の3県では、8割以上で策定が完了していなかった。
 要因は、策定作業を支える市町村の人手不足や、支援者の確保が難航していることだ。
 地域の高齢化が進む中で、支援の担い手は減っている。責任の重さから、支援者となることに尻込みする人もいよう。
 要支援者の名簿ができても活用されなければ意味はない。自治体が主体となって実効性のある個別計画の策定を急ぐべきだ。そのうえで、地域で出前講座や防災訓練を繰り返し、防災意識を高める取り組みが欠かせない。
 小規模な自治体では策定作業が負担となる可能性もある。都道府県や国が積極的に関与し、災害弱者の支援に努めてもらいたい。


<仙台七夕まつり>訪日客の受け皿拡大 魅力伝え仙台ファンに
 仙台七夕まつりに合わせ、訪日外国人旅行者(インバウンド)らを受け入れる動きが仙台市内で広がっている。祭りや文化を体験できる場を提供し、リピーターや地域活性化につなげるのが狙い。関係者は「地域の魅力を伝え、仙台ファンを増やしたい」と意気込む。
 中国人の20代の男女が6日、青葉区一番町で手持ちサイズの七夕飾り作りに挑んだ。担当者から英語で作り方を教わり、約40分かけて仕上げた。男性は「面白く、カルチャーを学ぶいい機会になった」と喜んだ。
 飾り作りは、仙台市の観光案内所「仙台ツーリストインフォメーションデスク」が企画。過去に仙台七夕まつりを見た外国人から要望があり、それに応えた。
 主催のまつり協賛会によると、仙台七夕まつりは約200万人前後の人出がある。一方、2014〜17年の4年間で通訳案内を利用したインバウンドは計約800人にとどまる。
 協賛会は今回、祭りの主催者をサポートする会社「オマツリジャパン」(東京)などと連携し、インバウンド対応を強化した。仙台七夕まつりの英語版のホームページ(HP)を充実させ、歴史や特徴を紹介。英語対応のボランティアを新たに配置して道案内したり、体験イベントを紹介したりして満足度の向上を図る。
 オマツリジャパンの担当者は「全国には約70の七夕祭りがあるが、仙台のスケールは圧倒的。インバウンド向けコンテンツを磨き上げ、誘客や消費を促進する必要がある」と話す。
 仙台七夕まつりを通じて外国人が地域との結び付きを深めるケースもある。
 東北大の留学生や国内の学生計28人が4〜8月、授業でまつりへの理解を深めた。仙台市の「七夕ミュージアム」や鳴海屋紙商事などから歴史や作り方を学び、自前の七夕飾りのテーマやデザインを決定。「四季」を表現した色彩豊かな飾りを完成させた。
 台湾からの留学生ファン・ユン・シュンさん(22)は「仙台七夕まつりが一大イベントであることや市民の祭りへの愛を知った」と強調。「祭りの一部に参加できて誇らしい。私たちが作った七夕飾りを見て宮城の自然の壮大さを感じてほしい」と願う。


ヒロシマの記憶を次代へ 被爆3世・久保田さんら有志が仙台で企画展
 戦争を知らない世代が被爆地・広島の記憶をつなぐ企画展「第三世代が考えるヒロシマ『 』継ぐ展」(実行委主催)が10〜15日、仙台市青葉区のせんだいメディアテークで開かれる。1945年の広島原爆投下から73年。実行委代表で被爆3世の久保田涼子さん(35)=東京都=は「平和について考え、自分にとって次世代に継ぐべき『何か』を探してほしい」と願いを込める。
 継ぐ展は2015年に始まり、東北での開催は初めて。参加して戦争と平和を学べるのが特色で、原爆に関する写真展示や被爆者との対話などがある。夏休みの自由研究教室など、親子で関心を持ってもらえるよう工夫を凝らした。
 継ぐ展は広島市出身の久保田さんが発案した。4年前、井上ひさしさんの朗読劇「父と暮せば」で広島弁の指導に携わったのがきっかけだ。
 原爆投下後の広島を父と娘の姿を通して描いた作品に触れ「8月6日の出来事はよく知っているけど、その後広島の人たちがどう生きたのかは全く知らない」。学校で原爆や戦争を「教科書的な知識」としてしか学んでこなかった久保田さんの気付きだった。
 脳裏に焼き付くのは、進学した東京で見た広島原爆忌当日の光景だ。電車で楽しそうに携帯電話を触る女子高生たち。広島では全てのテレビ番組が平和記念式典の様子を伝え、路面電車は午前8時15分に止まった。広島の静けさと東京のざわつきに違和感を覚えた。
 「戦争を知らない私たちが共に学ぶ場所づくりならできるかもしれない」。戦後70年を迎えて自問を繰り返し、継ぐ展の計画にたどり着いた。
 ウェブデザイナーの久保田さんはクリエーター仲間と広島の資料館を訪ねたり、被爆者に話を聞いたりして、何を知らないのかを一から見詰め直した。被爆者で91歳の祖母の体験も初めて聞いた。
 過去を知り、学び、聞き、自分なりに答えを出す−。久保田さんは「73年前の出来事で終わるのではなく、今の時代と結び付けて考えてほしい」と言う。だからこそ、企画展の自由研究教室では「戦争は何が原因で起こるのか」などと問い掛け、子どもに答えを探してもらう。
 久保田さんは「広島のことを学ぶのであれば、現地の資料館に行く事前学習のような感じで気軽に訪れてほしい」と呼び掛ける。
◎自由研究に活用を
 企画展は「ヒロシマの記憶を継ぐ人インタビュー」展示として、仙台市在住の被爆者木村緋紗子さんら27人のインタビュー内容の一部をパネルで紹介する。「絵で読む広島の原爆(福音館書展)」の原画展などもある。
 イベントは国内外で証言活動を続ける被爆者梶本淑子さんとの対話や、被爆体験を次世代に引き継ぐ活動をする「伝承者」と展示を回る企画も実施する。20項目の質問から成る自由研究ツールは事前に「継ぐ展」のウェブサイトからダウンロードできる。定員制のサポート教室もある。
 会場はせんだいメディアテーク5階で午前10時〜午後7時(最終日は午後5時まで)。入場無料。連絡先は実行委080(1916)8638。


長崎原爆73年 平和願い日記記す 毎年8月9日
 米国による長崎への原爆投下から9日で73年を迎える。長崎県五島市の被爆者でシスターの道脇ミサ子さん(90)は、「思い出したくないけれど、忘れてはいけない」と毎年8月9日に合わせて被爆体験を日記に書き続けてきた。惨禍が二度と繰り返されませんように−−。平和の祈りをささげながら、17歳の目で見た「あの日」の長崎を今年もつづる。
 五島列島の福江島出身の道脇さんは、1943年から働いていた三菱重工長崎兵器製作所大橋工場で被爆した。工場は爆心地から約1キロ。45年8月9日午前11時2分、小さな鉛玉の検査をしていたところ、窓の外が「ピッカと青く光った」。大事な部品を収める壕(ごう)に逃げ込むと、多くの人がのしかかってきて一時意識を失った。
 幸いにもほぼ無傷で、ロザリオ(キリスト教の数珠状の祈りの用具)を握りしめて通りに出たが、周囲は火の海。「私はもうダメだから先に行って」とうなだれる同僚を励ましながら、近くのトンネルを目指して逃げた。
 トンネルも危険と言われ、近くの小山に登ると真っ赤に燃える長崎の街が見えた。「この世の終わりだと思った」。翌朝、ボロボロの服のまま工場近くの寮にたどり着いたが、ロザリオはいつの間にかなくなっていた。
 列車や船を乗り継いで島の実家に戻ったのは8月15日。近くの水の浦教会付近では、ラジオの玉音放送を聞いた兵隊が「日本は負けた」と口にしながら山の方へ駆けていった。
 帰郷後、なじみの深かった水の浦教会の修道院でシスターとなった。本格的に被爆体験を書き始めたのは約20年前からだ。親しかった同僚の名前、食べ物が少なく空腹だったこと、助けを求める人の声−−。記憶の中にある光景を何度も繰り返し書き連ねてきた。
 一昨年の日記には「原爆で死んでいるはずの私が何故今日まで生かされているのでしょう」と記した。「貧しく、ひもじい中で原爆に遭った。今の人には絶対遭ってほしくないと祈って書いてきた」。8月、A5判の日記に書いた文章は不変の願いで結んだ。「こんなに恐ろしい体験は2度とあってはならない」【浅野翔太郎】


東京医大女子差別/背景にあるのは医師不足だ
 東京医科大が2006年度入試から女子受験生と3浪以上の男子受験生に対して得点を調整、合格者を抑制していた事実が明らかとなった。不正入試問題を調査してきた内部調査委員会が経緯などについて、7日、記者会見を開いて公表した。
 何よりも客観的な公平性が担保されるべき入試で、大学幹部の裁量による不正な操作が行われてきた事実は、受験生への裏切りであるだけでなく、大学への一般の信頼をも失墜させるものだ。
 女子と3浪以上の男子に対する差別的な扱いは、それぞれ目的が異なる。3浪以上の学生は、現役で合格した学生と比較すると、医師国家試験の合格率が相対的に低いため合格者数を抑制した。
 国家試験の合格率の高さを誇りたいのは、単なる私立大の商業主義にすぎない。現役合格なのか浪人なのかは、医師としての適性の有無とは何ら関係がないという当然の事実を指摘しておきたい。
 女子の場合は、出産や育児による休業があるほか、場合によっては離職するケースが少なくないため、系列病院を抱える大学として男性医師を多く確保したいという目的からだ。いずれも大学側の都合を優先した独善的で差別的な対応と言える。
 より悪質で問題の根が深いのは、女子に対する差別だろう。確かに、医療現場の実態として、女性医師は勤務の負担が軽い眼科や皮膚科などに偏りがちなのは事実だ。系列病院に医師を派遣する大学としては、外科系を担う男性医師を一定数、確保したいという事情は理解できる。
 しかし、まずは女性医師が出産や育児を負担に感じない働きやすい環境を整えるのが先であり、最初から女性を排除する対応は論外だ。同時に、男女を問わず、過酷な長時間勤務が日常になっている医師の労働環境を改善するのが何より求められる対策だ。
 問題の根底にあるのは医師不足の現状である。大都市圏でさえ、全体として医師が不足気味で、女性医師が離職すれば、病院は代わりの医師確保に奔走する。多くの勤務医が長時間勤務を強いられている現実もまた、明らかに医師不足によるものだ。
 1986年、当時の厚生省は医学部定員を最低でも10%削減する目標を掲げ、93年にも再度、同様の提言を発表している。しかし、特に地方の医師不足問題で風当たりが強まり、一転して2006年に定員増を認めた。その後、医大の新設を認めたものの、最近では、再び定員削減の検討に着手している。
 官庁によるずさんな医師需給の見通しによって、地域医療はもとより、医療現場全体が苦境にあえいできたと言えよう。今回の不正入試は一義的には東京医科大の体質による部分が大きいが、根っこにあるのは医師不足である事実は重ねて強調しておきたい。


女性医師の6割「東京医大の女子減点に理解」背景に無力感か
東京医科大学の入試で女子が一律に減点されていた問題について、女性医師を対象にアンケート調査をした結果、大学の対応に何らかの理解を示す人が6割を超えたことがわかりました。専門家は、医師の長時間労働に女性医師が無力感を感じていることの表れだと指摘しています。
東京医科大学は10年以上前の入試から女子の受験生の点数を一律に減点し、合格者を抑制していたことが明らかになりました。
この問題について、女性医師向けのウェブマガジンを発行している企業がネット上でアンケートを行い、103人から回答を得ました。
このなかで、大学の対応について、意見を聞いたところ「理解できる」(18.4%)と「ある程度理解できる」(46.6%)を合わせた回答は65%に上りました。
その理由を聞くと「納得はしないが理解はできる」とか「女子減点は不当だが、男性医師がいないと現場は回らない」といった意見、さらに「休日、深夜まで診療し、流産を繰り返した。周囲の理解や協力が得られず、もう無理だと感じている」など大学の対応がおかしいと感じながら厳しい医療現場の現状から、やむをえないと考える女性医師が多いことがわかりました。
これについて、産婦人科医で、日本女性医療者連合の対馬ルリ子理事は「医療現場はそんなものだという諦めが強い。医師は24時間人生をささげなくてはいけないと信じられてきたので、少しでも戦力から離脱するとキャリアを諦める医師が多かった。働き方の工夫で男女問わず早く帰れるようにすることは可能だ。今回の事をきっかけに、医療現場を変えなければならない」と話しています。


東京医大の不正入試 受験生欺く大規模な操作
 入試の名のもとに、これほど大規模な不正がまかり通ってきたことにあきれる。
 東京医科大の不正入試問題で、同大から調査を委託されていた弁護士が報告書を公表した。
 報告では、問題発覚の発端となった文部科学省の前局長の息子が不正に合格したことに加え、女子や3浪以上の多浪の男子受験生が不利になる得点操作も確認された。
 操作対象は女子と多浪生、同大の卒業生の子供ら「関係者」だ。2次試験の小論文で女子と4浪の男子は機械的に加点せず、現役生や1〜3浪の男子に10〜20点加点していた。
 関係者枠の受験生には1次試験で加点し、今春の入試では6人の受験生に最大49点が加算されていた。
 女子は医師になっても出産や育児などで辞める。多浪生は学業が伸び悩む。そんな不合理な理由で「排除」されていた。卒業生の子供らは、受け入れることで寄付金を多く集めたかったというのが理由だ。
 操作は、前理事長と前学長の判断で行われていた。2人は不正合格した受験生の親から謝礼を受け取ることもあったという。大学にとって最も重要な入試で、このようなよこしまなことが通ることに病理がある。
 調査では、得点操作が少なくとも2006年以降行われ、推薦入試でもあったことが判明している。
 こうした不正がなぜ許されてきたのか。ガバナンスが働かなかったことが理由だろう。
 本来、理事長は経営の責任者であり、入試を含めた教学部門は学長に責任と権限がある。両者のバランスが適正な大学運営の要だ。前理事長は学長経験者で、実質的に教学と経営の両方の権限を持っていた。
 さらに、理事長らの暴走を許してきた理事会も問題だ。理事16人のうち13人が同大出身者か関係者で、物言えぬ体質があったという。
 こうした大学内の機能不全が不正入試を続けてきた原因だろう。身勝手な大学運営と言わざるを得ない。
 弁護士の調査はこれで終了するというが全容は解明されていない。
 不正な入試で、同大を不合格になった受験生は、すでに別の道を歩んでいるはずだ。同大は、追加合格を検討するというが、それで責任を果たすことにはならない。


東京医科大不正/トップの暴走防ぐ体制に
 文部科学省前局長の息子への裏口入学や女子への入試差別が疑われている東京医科大学が、内部調査報告書を発表した。
 調査委員会は疑惑を認め、「女子差別をして社会を欺いた」などと断じた。3浪以上の男子も不利になるよう得点を操作したことも明らかにした。
 東京医大は徹底的にうみを出し切るとともに、大学運営を抜本的に見直さねばならない。
 不正は前理事長と前学長が主導していた。動機について調査委は、同窓生の子弟を多く入学させ寄付金を集めるためと指摘した。
 加点した受験生側の親から、前理事長と前学長が個人的に謝礼を受け取ったこともあったとみられ、トップ自らがカネで結果を左右したことになる。
 医療の倫理はどこへ行ったのか。優秀な学生を集め治療や研究の質を高める医大の責務に反する。
 調査によると、医学部医学科の一般入試の1次試験で、今年は文科省前局長の息子を含む6人に、最大で49点を加点した。昨年の入試でも13人に最大で45点を上乗せしていた。
 さらに2次試験では、現役などの男子受験生に一律で加点し、一方で女子や3浪以上の男子は加点が低いかゼロなどの操作をした。2次試験の操作は、少なくとも2006年度の入試から行われてきた。
 入試不正疑惑は10年前にも週刊誌が記事にしていた。それでも自浄作用が働かずに続けていた。報告書が不正の原因と指摘した「規範意識の鈍麻」が、悪影響を及ぼしていたのだろう。
 理事16人は前理事長らの後輩が多数を占め、外部理事は3人だけだった。内部監査室もチェック機能を果たさなかった。理事会のあり方も問われている。
 外部の目が届かず、大学トップの暴走を許す事例が続いている。日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル事件では、理事長のワンマン体制による閉鎖的な組織体質が監督やコーチのルール逸脱を招いた。
 国からの補助金削減で厳しい運営を強いられる中、学長や理事長が強大な権力を握る例は少なくない。その結果、独善に陥っていないか。各大学は自己検証すべきだ。


東京医大不正 経営効率による排除だ
 経営効率優先のあらわな排除だ。東京医科大が得点操作で合格を抑制していたのは女子だけでなく三浪以上の受験生も対象だった。入試は大学病院で働かせやすい人を選ぶ手段ではないはずだ。
 七日公表された、弁護士でつくる内部調査委員会の報告書によると、今年の入試の一次試験では、受託収賄罪で起訴された文部科学省前局長の息子を含む六人に加点していた。二次試験の小論文では全員に〇・八を掛けて減点したうえで、男子の現役受験生などに加点。女子と三浪以上の男子の合格を不正に抑制していた。贈賄罪で在宅起訴されている前理事長や前学長が主導していたという。
 そこから浮かびあがるのは、教育や研究といった大学本来の責務よりも、系列病院の経営効率ありきの姿勢だ。病院の運営は、若手医師の当直や待機時間を含めた長時間労働を前提に成り立っており、年齢が上がるに従って労働時間が減ることは、厚生労働省の調査などでも明らかになっている。
 出産などで労働時間が制限されたり、離職の可能性がある女子よりも男子の方が、そして年齢も若い方が、病院経営の視点から見れば望ましいという判断が働いていたと考えるのが妥当だ。
 実際、大学側は三浪以上の合格を抑制した理由について、「年齢が高いと病院を短い期間で辞めて独立してしまう」などと調査委に対して説明したという。
 罪深いのは大学が、女性研究者の育児と仕事の両立を支える補助金まで受けていたことだ。
 調査委の弁護士は会見で「本学の体質に根差す構造的、根深い所に原因があるのではないか」「周回遅れで二、三十年遅れた発想だ」と厳しく断じた。
 調査結果の報告を受け、文科省は今後、具体的な処分の検討に入るとしている。同省が大学を設置する最低基準として定めている大学設置基準には「入学者の選抜は、公正かつ妥当な方法により、適切な体制を整えて行うものとする」とある。現状では、その最低の基準すら満たしているとは言い難い。
 炎暑の中、受験生は勉強に集中するのに四苦八苦していることだろう。この事態に医学部を目指す女性や浪人生活を重ねている受験生は心を痛めているはずだ。誰もが憂いなく勉強に専念できる公正な入試を担保し、二度と同様の事態が起こらぬよう、文科省はあらゆる手を尽くす責務がある。


東京医科大不正/トップの暴走防ぐ体制に
 文部科学省前局長の息子への裏口入学や女子への入試差別が疑われている東京医科大学が、内部調査報告書を発表した。
 調査委員会は疑惑を認め、「女子差別をして社会を欺いた」などと断じた。3浪以上の男子も不利になるよう得点を操作したことも明らかにした。
 東京医大は徹底的にうみを出し切るとともに、大学運営を抜本的に見直さねばならない。
 不正は前理事長と前学長が主導していた。動機について調査委は、同窓生の子弟を多く入学させ寄付金を集めるためと指摘した。
 加点した受験生側の親から、前理事長と前学長が個人的に謝礼を受け取ったこともあったとみられ、トップ自らがカネで結果を左右したことになる。
 医療の倫理はどこへ行ったのか。優秀な学生を集め治療や研究の質を高める医大の責務に反する。
 調査によると、医学部医学科の一般入試の1次試験で、今年は文科省前局長の息子を含む6人に、最大で49点を加点した。昨年の入試でも13人に最大で45点を上乗せしていた。
 さらに2次試験では、現役などの男子受験生に一律で加点し、一方で女子や3浪以上の男子は加点が低いかゼロなどの操作をした。2次試験の操作は、少なくとも2006年度の入試から行われてきた。
 入試不正疑惑は10年前にも週刊誌が記事にしていた。それでも自浄作用が働かずに続けていた。報告書が不正の原因と指摘した「規範意識の鈍麻」が、悪影響を及ぼしていたのだろう。
 理事16人は前理事長らの後輩が多数を占め、外部理事は3人だけだった。内部監査室もチェック機能を果たさなかった。理事会のあり方も問われている。
 外部の目が届かず、大学トップの暴走を許す事例が続いている。日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル事件では、理事長のワンマン体制による閉鎖的な組織体質が監督やコーチのルール逸脱を招いた。
 国からの補助金削減で厳しい運営を強いられる中、学長や理事長が強大な権力を握る例は少なくない。その結果、独善に陥っていないか。各大学は自己検証すべきだ。


東京医大不正入試 性差別の病根どこまで
 入試を巡る汚職事件に揺れる東京医科大の一般入試で、受験生の得点を操作して、女子の合格者数を意図的に抑制していた別の不正が発覚した。3浪以上の男子も不当に扱われていた。
 公正・公平が原則の入試で、性別や年齢などを理由に不当に排除することは差別以外の何ものでもない。教育機関としてあるまじき行為で、受験者に対する許し難い背信と言わざるを得ない。
 東京医科大と調査に当たった弁護士らがきのう報告書を公表し、それぞれ記者会見した。汚職事件で起訴された文部科学省の前局長に便宜を図ってもらう見返りに、受験していた息子を不正合格させたとされる経緯の一部などが明らかになった。
 報告書によると、入試はマークシート式の1次試験を合格した受験者が、小論文や面接などの2次試験に進む流れになっていた。捜査当局に押収された資料も多く、少なくとも過去2年間で、前局長の息子を含む計19人に1次試験で加点する不正操作があったことが確認された。
 さらに2次試験でも小論文の点数を一律に2割減らした上、現役と2浪までの男子に20点を、3浪の男子に10点を加点していた。一方で、女子と4浪以上の男子には加点しないようにする不当な操作があった。
 贈賄罪で起訴された前理事長の指示だったと認定し、内部調査委員会は「重大な女子差別で強く非難されるべきものだ」と断じた。さらに寄付金集めのために同窓生の子弟を不正に入学させる「あしき慣行」もあったとし、改革を求めた。
 医師になる夢を抱きながら、人生を変えられた受験生もいるはずだ。大学側はできる限り調査の対象を広げる必要がある。謝罪はもちろん、不利を被った受験生の救済措置や補償を急がなければならない。
 小論文の点数操作は少なくとも2006年度の入試から始まった。近年は女性の合格者を全体の3割以下に抑えるのが「暗黙の了解」だったという。
 女性医師は出産や育児で休職や離職することが多く、復職してからも働き方は制限されがちだ。3浪以上の多浪生も比較的離職率が高いそうだ。大学を卒業した医師が勤務するようになる付属病院や系列病院の人手不足を回避するのが目的だった。身勝手すぎる理屈である。
 必要なのは、女性医師が出産後も子育てしながら仕事を続けられる職場の整備ではないか。入試をゆがめて女子受験生を門前払いするのは本末転倒だろう。逆に不規則な勤務や長時間労働を強いられている過酷な職場環境を固定化しかねない。
 厚生労働省は今年2月、医師の負担軽減に向けて緊急対策をまとめた。女性医師が能力を発揮できるよう、短時間勤務など柔軟な働き方を導入するなど、きめ細かな対策を全ての医療機関に求めている。
 多様な働き方をする女性医師が増えれば、男性側の意識も変わってこよう。性差別の根を断つ一歩になる。東京医科大を含めて、医学界ぐるみで医療現場の改革を進めてほしい。
 気掛かりなのは、他の私立医大でも、同じ理由で女子合格者の割合を低く抑えるよう得点を操作しているとの見方が根強いことだ。文科省が先頭に立って実態調査を急ぐべきだ。


東京医大入試 受験生裏切る不正操作だ
 大学入試に対する信頼を根底から揺さぶる不祥事だ。
 国の私大支援事業を巡る汚職事件に絡み、文部科学省前局長の息子を不正合格させたとされる東京医科大の内部調査委員会がきのう、大掛かりな得点操作で合格者の不当な選別が行われていたと公表した。
 女子と3浪以上の男子の合格者を少なくするため、一般入試の2次試験で得点を低くするよう操作していた。
 一方で、前局長の息子を含む特定の受験生には、1次試験の得点に加点していた。
 調査委は、一連の操作に前理事長と前学長が関与していたと認定した。受験生の側から謝礼を受け取った疑いも指摘されている。人の生命と健康を預かる医師を育てる大学トップのコンプライアンス(社会規範順守)欠如は、目を覆うばかりだ。
 公平と公正が、入試の必須要件であることは言うまでもない。男性か女性か、浪人か現役かといった学力とは関係のない受験生の属性によって、特定の者を一律に不利にする不正な操作が許されるはずもない。
 もし大学側に「何度も浪人する受験生は能力に問題がある」といった見方があったとすれば、高等教育機関にはあるまじき偏見と言わざるを得ない。
 女性の得点を一律に操作した背景には、結婚や出産を機に職場を離れる女性医師が多い現状が指摘されている。
 卒業生は大学の系列病院で働くことが多いという。「女子合格者を抑えて、病院の医師不足を避ける狙いがあった」と語る大学関係者もいる。
 厳正に実施されるべき入試をゆがめてまで、系列病院の都合を優先したと批判されても仕方あるまい。何より時代錯誤も甚だしい女性差別である。
 調査委はこうした操作が、少なくとも2006年度入試時には行われていたと指摘した。
 いつ、どのような理由から始まったのか。どれほどの受験生の合否に影響を与えたのか。大学内の監督体制には、どんな問題があったのか。分からないことは山積している。大学は徹底的に調査すべきだ。全容解明こそ、再発防止の第一歩と肝に銘じる必要がある。
 不当に不合格とされ、人生をねじ曲げられた女子や浪人生の心中は察するに余りある。不利益を被った受験生の救済措置も早急に進めなければならない。
 東京医科大以外の大学でも、医学部入試でひそかに合格者の男女比の調整が行われているのではないか。そんな疑惑の声が広がっている。事実とすれば、到底看過できない。文科省は全国の大学医学部を調査し、入試の実態を明らかにすべきだ。


東京医大不正入試 受験生にどう償うのか
 東京医科大の不正入試問題で、弁護士3人で構成された内部調査委員会が調査報告書を公表した。医学部医学科の一般入試で一部の受験生の点数を加点する一方、女子受験生らの得点を抑える不正操作を行っていたことを認定した。不正は医科大の臼井正彦前理事長と鈴木衛前学長が主導したと結論付けた。厳正公平に行うべき入試で起きた大学の経営と教学のトップによる前代未聞の不祥事だ。
 文部科学省の私大支援事業を巡り、医科大側に便宜を図った見返りに息子を不正に合格させた疑いで、受託収賄罪で文科省の佐野太前科学技術・学術政策局長が起訴されたほか、贈賄罪で臼井前理事長と鈴木前学長が在宅起訴された。それを受け、医科大が内部調査を実施した。
 報告書では、400点満点だった今年の入試1次試験で、佐野前局長の息子を含む6人に10〜49点を加点。2次試験の小論文(100点)では受験生全員に「0・8」を掛けて減点した後、男子の現役と1〜2浪生に一律20点、3浪生に10点を加点。女子と4浪生以上には加点をしなかった。また昨年の1次試験では13人に対し、8点から45点を加点したと認定した。
 臼井前理事長と鈴木前学長は、不正に加点した受験生側から現金を受け取っていた疑いがあることも指摘された。動機は「同窓生の子弟を入学させ、寄付金を多く集めたい思いがあった」とした。
 不正により多くの受験者が不利益を被ることに何の罪の意識もなかったのか。女性医師は離職するケースが多いとして排除しようとした行為も許されるはずがない。規範順守意識の欠如にはあきれるばかりだ。臼井前理事長が絶対的な力を握り、大学のガバナンス(組織統治)が全く機能していなかったことは明白だ。
 また、2次試験の小論文では少なくとも2006年の入試から得点操作が行われ、女子や3浪以上の合格者数を抑えていたことも判明した。ただし16年以前の資料は残っておらず、確認できないという。
 一連の不正で一体、何人の受験生が不当に不合格となってしまったのか。医科大はきちんと調べ、謝罪と救済に取り組む必要がある。同時に、二度とこのような不祥事が起きないよう組織を見直し、万全の対策を講じてほしい。報告書を受け、文科省は全国大学の全医学部を対象に調査に乗り出す。公正な入試の徹底を図る契機にしたい。
 一方で文科省も猛省すべきだ。今回の贈収賄事件も、歴代事務次官3人を含む43人が処分された昨年の天下り問題と同様、官民の癒着が背景にある。官房長だった佐野前局長に過大な職務権限が与えられていた点などガバナンスに問題があることは明らかだ。組織の立て直しを図る上で、どこまで汚職の背景や大学との関係を検証できるかが問われる。


東京医大入試差別 他の大学も徹底調査せよ
 医を志す多くの若者の進路や人生を狂わせてしまったことを思えば、怒りを禁じ得ない。
 東京医科大の不正入試に関する内部調査報告書で、女子受験者に加え、3浪以上の男子に対しても合格者数を抑制するための得点操作が行われていたことが判明した。男女で入学定員を設定することは法的に可能だが、同大学側は事前に伝えておらず、詐欺的行為であり差別以外のなにものでもない。
 懸念されるのは、他の私立大医学部でも同様の得点操作などが行われているのではないかとの指摘があることだ。差別疑惑の発端は文部科学省前局長の佐野太被告らによる贈収賄事件である。文科省は監督官庁として徹底調査に全力を挙げなければ、その存在意義が問われよう。
 報告書によると、入試の1次試験で前局長の息子を含む6人に最大49点を加点。2次試験の小論文では全員に「0・8」を掛けた後、男子の場合、現役と1、2浪の受験生に一律20点、3浪生には10点を加点。女子と4浪以上の男子には加点はなく、結果、女子と3浪以上の男子の得点が抑えられていたとしている。
 前局長の息子は1次試験で10点、2次試験で20点の加点があり、結果的に75人中74位で正規合格に滑り込んだ形という。前理事長の臼井正彦被告と前学長の鈴木衛被告は、息子を合格させることで、文科省の支援事業の対象校に選定され、1年分の3500万円の交付を受けた。さらに「同窓生の子弟を入学させ、寄付金を多く集めたい」との動機から他にも不正合格させ、個人的にも謝礼を得ていた疑いが持たれている。
 公平、公正であるべき入試を冒とくするものである。問題はこうした合格者の調整が20年以上前から繰り返されてきたことだ。前理事長らの独善がなせる業とはいえ、理事会や内部監査室、監事などの機能不全は目を覆うばかりである。どう出直しを図るのか、また不正で不合格となった受験生をどう救済するのかなど、重い課題が残る。
 とりわけ、女子の合格者数の抑制は、大学病院や系列病院での医師不足を避けるため、出産や育児で休職したり退職したりする可能性のある女性医師の数を減らす狙いがあったとされる。ならば育児や家庭との両立を支援し、誰もが働き続けられる環境をつくるのが先決だろう。両立を支える国の事業に選ばれ、約8千万円の補助金を得ていたというから「二枚舌」とのそしりは免れない。
 日本の女性医師の割合は約2割と経済協力機構(OECD)加盟国の中で最低水準にあり、平均の半分程度。突出した長時間勤務が家庭との両立を阻んでいる現状があるからだ。厚生労働省の検討会は2月に緊急対策として、看護師への業務移管や当直明け勤務の負担軽減、複数の主治医で診る仕組みなどを提案している。大学の不正入試防止策は無論、医療界全体がわが事として改善していく覚悟を持つべきだ。


【入試不正】東京医科大だけなのか
 入試制度を成立させる公平と中立性を根底から踏みにじった。信じ難いほど悪質だ。
 文部科学省の私大支援事業を巡る汚職事件で、前理事長と前学長が贈賄罪で在宅起訴された東京医科大学が、不正入試の内部調査結果を文科省に報告、公表した。
 受託収賄罪で起訴された文科省の前科学技術・学術政策局長の息子ら特定の受験生の点数を恣意(しい)的に加算し「裏口入学」させていたほか、女子と3浪以上の受験生の点数も不当に減らし、不合格にしていた。差別以外の何物でもない。
 医師を志す若者らを裏切り、その努力をないがしろにする不正が、教育機関でまかり通っていたことに驚く。前理事長が指示し、不正合格者のリストや得点操作のマニュアルが学内で作られ、担当者間で引き継がれていた。不正の根は深い。
 内部調査は、400点満点の今年の一般入試1次試験で、文科省の前局長の息子に10点を加点したのをはじめ計6人に最大49点を加えたほか、2次試験でも得点を調整していたと認定した。加点は受験生によって細かく違うなど巧妙で、常習性をうかがわせる。
 調査委員会は、前理事長と前学長が受験生側から謝礼を受け取っていた疑いも指摘。卒業生の子弟らを裏口入学させ、寄付金を多く集めようとした可能性にも言及した。
 難関試験に臨む受験生側の切迫した思いにつけ込み、私欲や学校経営のために入試を悪用していたとすれば、言語道断だ。
 女子受験生らの合格者数を減らす得点操作は、少なくとも2006年度の入試から行われていたという。性別の合格枠などは募集要項にも記載されていなかった。
 結婚や出産で離職する女性医師が多いとして、女子合格者を全体の3割前後に抑え、系列病院が医師不足になるのを避けるためだったとみられる。医療現場の事情があるにせよ、男女差別は許されない。
 本来、女性医師が働きやすい環境づくりで解決すべき問題だ。女性医師の割合は増えており、医師全体の5人に1人を占める。厚生労働省も子育てや介護と両立できる働き方を促し、勤務医の規制緩和などに乗り出している。
 大学側の身勝手な都合で、受験生の夢が理不尽に断たれることがあってはならない。今回の内部調査は対象期間などが限定的で、文科省は大学側に調査の継続とともに、不当に不合格にされた受験生への救済措置などを求めた。当然である。私学助成金にも絡む問題だ。
 医学部入試では、かねて学生らから男子優遇の疑いが指摘されてきたといわれる。東京医科大だけなのか―。受験生にそうした動揺や不信感が広がりかねない。
 文科省自体が医科大入試に絡む汚職や不祥事が相次ぎ、心もとない状況ではあるにしても、まずは受験生保護が最優先である。全ての医学部入試の総点検を急ぐべきだ。


超優良経営の東京医大が裏口を開いた事情 ゆがんだ「官僚信仰」が招いた罪
医療ガバナンス研究所理事長・医師 上 昌広
東京医科大学(東京都新宿区)で、官僚子弟の「裏口入学」や女性受験者の一律減点といった問題が次々と明らかになっている。問題の背景になにがあったのか。そのひとつはゆがんだ「官僚信仰」だったようだ。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は「2010年に厚労省OBを理事長として受け入れ、その“うまみ”を知ったことから、『官僚に頼れば問題は解決できる』と考えるようになったのではないか」と指摘する――。
不正入試/調査結果を発表する委員長 東京医科大学の不正入試問題について、記者会見で調査結果を発表する内部調査委員会の中井憲治委員長(右)=7日、東京都新宿区(写真=時事通信フォト)
なぜ東京医大は「官」に接近したのか
東京医大は、文部科学省の科学技術・学術政策局長だった佐野太容疑者に、「私立大学研究ブランディング事業」の支援対象選定で便宜を図るように依頼した見返りとして、息子を不正に入学させたことが明らかとなっている。
なぜ東京医大は文科省の支援対象に選ばれたいと考えたのか。文科省からの補助金は3500万円で、大きな金額ではない。そして、あまり報じられていないが、東京医大の経営はきわめて順調なのだ。
同大学の平成29年度の財務報告によると、基本金組入前当年度収支差額(当年度の収支均衡を見るための指標)は20億8324万円増加し、その要因は3病院の医療収支と付随事業の収支改善だという。学校法人で、本業の収支を示す「教育活動収支差額」は前年度比で20億3134万円も増加している。
東京医大の流動比率は420%と手元資金は豊富で、自己資本比率は64%と良好だ。固定比率が111%と若干高いものの、大きな問題にはならない。教育および病院経営などの本業の業務収益(教育活動収入)に占める補助金収入の割合は3.1%で、都内11の私立医大では最低だ。
病院経営に詳しい上田和朗税理士は「(臼井正彦・前理事長は)文科官僚に接近し、補助金を欲したのは経営上の問題でないことは明らか」という。私は、この点にこそ、東京医大の迷走を解き明かす鍵だと思う。つまり「なぜ東京医大は官に接近したのか」を考えるべきなのだ。
そもそも東京医大は薩長に頼らない民の大学だった
ここで東京医大の歴史が重要になる。同大学は、1916年、日本医学専門学校(現日本医科大)の学生約450人が同盟退学し、東京物理学校(現東京理科大)内に東京医学講習所を開設したことに始まる。
日本医科大は、1876年に越後長岡藩の藩医であった長谷川泰が設立した済生学舎に始まる。明治から戦前にかけての日本は薩長藩閥によって仕切られてきた。東京医大は薩長に頼らない民の大学だった。
実は、このような大学は東京医大以外にもある。現在、都内には13の医学部があり、東京大学と東京医科歯科大学を除く11は私大だ。このうち、戦前の医科大学を母体にするのは、日本医科、順天堂、慈恵医大、東京医科、東京女子医科、昭和、東邦大学の7つだ。
この中で戦前からの大学は慈恵医科と日本医科大学。慶応大学と並んで私学御三家といわれる。この3大学に加えて、最近、評価が急上昇中なのが順天堂大学だ。
山手線の「中」か「外」かで、権力関係がすけてみえる
慈恵医大は薩摩藩士だった高木兼寛が設立した。皇室との縁も深い。そもそも慈恵という名は昭憲皇太后(明治天皇の皇后)から賜った。1887年には昭憲皇太后を総裁に迎えた。現在も、慈恵看護専門学校を経営する公益社団法人東京慈恵会の総裁は、寛仁親王妃信子様が務めている。
慶大医学部は1858年に福沢諭吉が立ち上げた慶應義塾に由来する。医学部は1917年に伝染病研究所(現東大医科学研究所)を「追放」された北里柴三郎が立ち上げる。北里は熊本藩出身だ。
明治政府を仕切った薩摩藩や福澤諭吉らに伍して、越後長岡藩出身の長谷川泰が医学校を立ち上げた気概は想像するにあまりある。東京医大は、その流れを汲む。
ちなみに東京女子医大の創設者である吉岡弥生は徳川家のお膝元である遠江出身だ。1889年に上京し、済生学舎(現日本医大)に学んだ。
慈恵医大や慶応大学が山の手線内部の都心中心部にあるのに対し、日本医大・東京医大・東京女子医大は山の手線沿線にある。当時の郊外だったからだろう。
そして、現在、東京女子医大と日本医大は経営危機にある。慈恵医大や慶大の経営状況とは対照的だ。私は、明治以来の人脈や権力との関係が両校を後押ししていると考えている。
このような背景を考えると、東京医大が文科省にすがった理由が見えてくる。
剛腕とされる臼井正彦・前学長は静岡県下田市生まれ。都立明正高校から東京医大に進学し、1966年に眼科医となっている。その後、フランスパリ大学への留学などを除けば、一貫して東京医大病院に勤務している。その後は、1978年に眼科助教授、87年に教授、94年に主任教授、03年に病院長、08年に学長、13年に理事長就任と、出世の階段を駆け上っている。
彼の経歴をみていて、官僚機構との接点は少ない。私は官僚機構との接点が少ない人物は、官僚機構に過剰な期待を寄せる傾向があると感じている。
不祥事発覚の直後に、厚労省の元局長が理事長に天下り
2009年、東京医大で多くの不祥事が発覚した。2月には2005〜07年にかけて医学博士の学位審査に関わった教授37人中35人が、審査を受ける医局員約220人から平均10万円程度の謝金を受け取っていたことがわかった。さらに指導した教授には20〜30万円が支払われていた。当時、学長だった臼井氏も受け取っていた。
8月には、茨城医療センターで診療報酬約1億2000万円を不正に請求していたことが判明。12月には、八王子医療センターで2000〜07年に生体肝移植を受けた52人中23人が1年以内に死亡していたこと、一連の生体肝移植を受ける患者から合計1200万円の寄附を受け取っていたことが明らかになった。
世論の批判を受け、2010年3月に執行部は辞任。臼井氏も学長の職を辞した。さらに、5月には郷原信郎弁護士を委員長とする第三者委員会を立ち上げる。
ここで東京医大が頼ったのは厚生労働省だった。7月1日付けで厚労省の元健康局長だった田中慶司氏を理事長に迎える。田中氏は東大医学部卒の医系技官OBだ。自ら依頼した第三者委員会の報告書ができる前に、処分を下す厚労省OBを理事長に迎える東京医大のやり方は露骨だ。一方、それをわかっていて理事長職を引き受ける厚労省OBの倫理観も常軌を逸している。
7月13日には第三者委員会の報告が公開され、特定の教授に権力が集中する講座制や、学内の対立構造が根本的な要因だったと結論した。第三者委員会は、組織を抜本的に改革するため、外部有識者による再生委員会(仮称)の設置を求めたが、その提言は骨抜きにされた。東京医大の抵抗ぶりを、郷原氏は筆者が編集長を務めるメルマガMRICで記している。ぜひご覧いただきたい。
田中氏と東京教育大附属駒場高校の同級生で、元国立がん研究センター中央病院院長の土屋了介氏は、当時の状況を「東京医大の改革のチャンスを厚労省がダメにした」という。
当時、筆者は田中氏、土屋氏と一緒に会食をしたことがあったが、田中氏からは改革の意図は感じられなかった。むしろ厚労省が中途半端に介入したことで、問題がうやむやになるのではないか、という印象をもった。今回、裏口入学とあわせて、女性受験生の点数を一律に切り下げていたことが報じられているが、その施策は2011年に始まっていたというのだから、東京医大幹部は何も反省していなかったと言われても仕方ない。
「名誉欲の強いやつには、勲章をちらつかせることが効く」
臼井氏は2013年に理事長に就任している。これだけの不祥事を起こせば、引責辞任するのが普通だ。それが学長から理事長に昇格するというのはありえない。彼は、このときに「官僚に頼れば問題は解決できる」と学んだのではなかろうか。
その後、臼井氏は官僚への傾斜を強め、今回、露見した文科官僚の子弟の不正入学へとつながっていく。前述したが、彼の経歴をみれば高級官僚との接点は少ない。剛腕理事長として、厚労省や文科省の高官がすり寄ってくるのは、彼の名誉欲をくすぐっただろう。官僚は、このあたりがうまい。
知人の元キャリア官僚は「年をとると性欲や金銭欲はなくなる。最後に残るのは名誉欲だ。名誉欲の強いやつには、勲章をちらつかせることが効く」と言う。彼らは「入省1年目から、このようなことをたたき込まれる」そうだ。
慈恵医大や慶大とちがい、東京医大には広いネットワークはない。医局の狭い世界でいきてきた臼井氏を籠絡するなど容易だったろう。東京医大の問題は、東京の私立医大の歴史や権力者の人となりを見ないと真相は見えてこない。


東京医大が「女子差別」を続けた根本原因 月給20万円で働く男を確保したい
医療ガバナンス研究所理事長・医師 上 昌広
東京医科大学(東京都新宿区)で、官僚子弟の「裏口入学」や女性受験者の一律減点といった問題が次々と明らかになっている。問題の背景になにがあったのか。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は「東京医大の病院経営はきわめて順調だ。それは月給20万円で文句もいわずに働く男性医師の入学を優遇することで成り立っている。女性医師の冷遇は、東京医大だけでなく、大学病院全体の問題でもある」と指摘する――。
問題は「女性医師の勤務態勢の劣悪さ」だけではない
東京医大では、文科官僚の子弟を「裏口入学」させたことに加え、一般入試で男性を優遇するため、女性受験者の一律減点を行っていたことが明らかになった。
この問題についてメディアでは「女性医師が働きやすい環境を整備することが重要」と繰り返し報じられている。しかし、私はそんなことをしても問題は解決しないと考えている。問題は「勤務態勢の劣悪さ」だけではないからだ。
なぜ東京医大は男性受験者を優遇していたのか。それは、東京医大の場合、医師国家試験に合格した卒業生の大半が、東京医大病院をはじめとする系列病院で働くことになるからだ。つまり、大学入試が「東京医大グループ」への就職試験を兼ねている。
このような形で運用されている大学の学部は医学部だけだ。医学部教授は学生を指導する教員であると同時に、病院や医局の経営者でもある。病院経営の観点から考えれば、安くてよく働く若手医師を確保したい。
若手医師は「1年更新で月給20万円」の不安定な立場
東京医大に限らず、若手医師の待遇は劣悪だ。東京医大の場合、後期研修医(卒後3年から8年程度の若手医師)の給料は月額20万円だ。夜勤手当や超過勤務手当てなどはつくが、この給料で、新宿近辺でマンションを借りて生活しようと思えば、親から仕送りをもらうか、夜間や休日は当直バイトに精を出すしかない。
しかも、この契約は3年間で満了し、その間も1年更新だ。常勤ではなく、女性医師で妊娠がわかったような場合、雇用契約を継続するかどうかは、東京医大に委ねられる。
この結果、東京医大の人件費率は43%に抑え込まれている。安くてよく働く若手医師を抱えているので、東京医大の利益率は5.8%と高い水準を維持できている。
大学病院経営の視点から考えれば、女性より男性が安上がりだ。産休をとらず、一生働き続けるからだ。入学試験の成績が多少悪かろうが、男性を採用したいという考えも理解はできる。知人の東京医大関係者は「放っておいても黒字なので、教授たちは権力闘争ばかりやっていられる」という。
実は、このような主張もおかしい。彼らの主張が正しいのは、東京医大に限定した場合だけだ。
女性医師に限らず、女性は出産・子育ての時期に一時的に仕事を離れることが多い。この減少を「M字カーブ」と呼ぶ。少し古いが2006年の長谷川敏彦・日本医科大学教授の研究をご紹介しよう。この研究によれば、医師の就業率は男女とも20代は93%だが、30代半ばで男性は90%、女性76%と差がつく。
メディアでは、こうした事実が強調されている。ただし、これは今回の不正入試の本当の原因ではない。東京医大が男性を優遇するのは、女性は大学側のコントロールがしづらく、東京医大病院を辞めてしまうリスクが高いと考えているからだろう。
多くの医学生は、大学教授は魅力的なポジションと洗脳される
例えば、東京医大の内科系診療科の場合、循環器内科など8つの内科系診療グループのスタッフにしめる女性の割合は、教授・准教授で5%、助教以上のスタッフで22%、後期研修医で37%だった。女性は年齢を重ねるに従い、東京医大病院で働かなくなっていることがわかる。
医師の平均的なキャリアパスは24歳で医学部を卒業し、2年間の初期研修を終え、その後、3〜5年間の後期研修を受ける。その時点で30代前半になる。この時期から、大学病院を離れ、他の医療機関で働くようになっている。男性と比較して、女性のほうが大学病院を辞める時期が早いようだ。なぜだろうか。私は、その閉鎖的な体質に問題があると考えている。
大学病院は教授を目指した出世競争の場だ。主任教授になれば、医局員の人事を差配し、製薬企業や患者から多くのカネを受け取る。ワセダクロニクルとNPO法人医療ガバナンス研究所の共同調査の結果、東京医大のある内科教授は2016年度に115回も製薬企業が主催する講演会の講師などを務め、1646万円の謝金を受け取っていたことがわかっている。これでまともな診療や教育、研究ができるはずがない。
多くの医学生は、大学教授は魅力的なポジションと洗脳される。大学で出世するためには、安月給で、土日返上で働き、論文を書かねばならない。まさに滅私奉公の世界だ。
私大医学部の経営者は、この出世競争を利用してきた。知人の私立医科大の理事長は「教授でなくても、講師や助教などの大学の肩書きをつければ、人件費を3割は抑制できる」という。
ところが、女性医師にはこの作戦は通用しない。医師の世界で男性は保守的、女性は進歩的な事が多い。食いっぱぐれのない医師は、親が子どもに勧める職業だ。男性医師の多くは親や教師の勧めに従って、医学部に進む。一方、女性は違う。苦労を知りながら、「女だてら」に医師になる。多くの女性医師は、狭い医局の世界で出世争いに汲々とする男性医師をみて嫌になり、医局をやめていく。
大学は「教授」の肩書きを医師に無視されるのが怖い
「週刊ポスト」(8月10号)は、製薬企業からの支払いが多い主要医学会の幹部医師50名の実名を報じている。その中に含まれる女性はわずか1名だった。
大学病院から女性医師が去っていくのは、勤務態勢が劣悪という理由だけではない。診療や研究そっちのけで、教授に媚び、製薬企業にたかる体質に嫌気を起こすからだ。
東大医学部を卒業した知人の女性医師は「男性は本当に肩書きが好きです。私たちにはわからない」という。ちなみに、東大医学部でも臨床系では女性教授はいない。
国民の視点に立てば、女性医師はどこで働いてもらってもいい。彼女たちが育児と両立しやすい職場に移ればいい。象牙の塔を離れ、市中で診療してくるのは、むしろ有り難いことだ。
彼女たちが大学病院を辞めて困るのは、大学経営者たちだ。医学部経営者が本当に恐れるのは、大学の肩書きを医師たちがありがたがらなくなることだ。市中病院と医師争奪戦をすることになれば、人件費は高騰する。だからこそ、「女性は使えない」ことになり、女性入学者を制限しようとしたのではなかろうか。
メディアは「女性医師が安心して働けるような体制整備が必要」と声高に唱える。そのために、医学部には税金を投入せよという声まで聞こえてくる。こんな焼け太りを許してはならない。
東京医大は豊富な資金を持つ。それにもかかわらず30代の若手医師を月給20万円で、1年更新で契約させるなど論外だ。また関連病院に出向する場合、最初の半年間は「仮採用」で年休もとれない。育休・産休を議論する以前の問題だ。
大学病院を医学部から分離することも考えるべき
東京医大病院の経営者がやるべきは、女医を含め、若手医師にまともな給与を保証することだ。女性医師は、その給与のなかから自分に合った育児サポートを選択すればいい。
大学教育とは何だろう。それは学生を育てることだ。それは医学部だろうが、他学部だろうが関係ない。ところが、東京医大は学生を、自らが経営する大学病院の「従順な労働者」としてしかみていないようだ。そして、このような体質を厚労省や文科省も応援してきた。
この問題を解決するには情報公開を徹底し、国民的に議論すべきだ。さらに、大学病院を医学部から分離する、あるいは卒業生の入局を制限するなどの対応も考えるべきではないだろうか。
もちろん、東京医大の不適切な減点措置に対しては、民事責任、刑事責任を追及することを考慮すべきだ。この期に膿を出し切らねばならない。
近年、大学医学部では不祥事が続発している。今こそ、学生教育という本来の目的に立ち返るときではないだろうか。


LGBT批判「容認できない」 県議20人が杉田氏へ抗議声明
 自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が月刊誌に「性的少数者(LGBT)は生産性がない」などと寄稿したことに対し、県議二十人が七日、「多くの人の尊厳を傷つけ絶対に容認できない」とする抗議声明を発表した。
 二十人は旧民進系会派の新政みえと共産、草の根運動いがに所属。杉田氏が、子どもを産めないことを指し「生産性がない」と主張したことを受け、声明文ではLGBTに加え障害者、不妊に悩む女性なども傷つけていると指摘。差別を禁止する憲法にも反する内容だとして杉田氏を「国会議員としての資質に欠ける」と批判している。
 議員らは県庁で会見し、稲森稔尚県議(草の根)は「LGBTの当事者に、ありのままの自分でいいんだよとメッセージを発したかった」と説明。声明文は自民党本部と杉田氏の事務所に郵送する。
 会見ではまた、現在は親族しか入居できない県営住宅に同性パートナーどうしで住めるようにすることや、県立病院で同性パートナーを患者の親族と同等に扱うことについて、新政みえの三谷哲央代表が「県は積極的に差別解消に取り組む必要がある」と、実現を働きかける考えを示した。
 声明提出議員らは、自民、公明両党の県議にも声明への賛同を求めたが、参加議員はいなかった。自民県連の中森博文幹事長は「寄稿は党の考えと違い、自民党はLGBT差別解消に積極的に取り組むと、党本部が既に説明している」と話し、県営住宅などへの対応については「もしそういう提案が出れば反対するものではない」と述べた。


取り調べ映像 可視化の目的 再認識を
 刑事裁判において、犯行を「自白」した映像に寄りかかって判断するのは危うい―。
 録音・録画(可視化)された取り調べ映像について、こう警鐘を鳴らした判決と言えよう。
 栃木の小1女児殺害事件で、東京高裁が「(自白した)可視化の映像を根拠に犯罪認定したのは違法」と一審判決を破棄した。
 そのうえで、いくつかの状況証拠などから被告が犯人だと認められるとして、量刑は一審と同じ無期懲役を言い渡した。
 取り調べの録画は、自白が本人の意思に基づくかどうかという「任意性」を判断するにとどめ、犯罪自体を証明する「実質証拠」にすべきではない。
 高裁の判決を司法全体への問題提起ととらえ、可視化映像の扱い方に関する議論を深めたい。
 被告は捜査段階で殺害を自白したものの、公判では一貫して無罪を主張した。客観的な証拠が乏しい中で、一、二審を通じて自白の信用性が大きな焦点だった。
 宇都宮地裁の裁判員裁判は、状況証拠だけでは犯人と認定できないとしつつ、取り調べの録画をもとに「自白には具体性や迫真性があり、十分に信用できる」と判断して有罪を導いている。
 一方、東京高裁は、映像で自白の信用性を見極めることは「主観に左右され、印象に基づく判断となる可能性があり、強い疑問がある」と、一審判決を批判した。
 確かに映像が一審に強い影響を与えた点は否めまい。実際、裁判員らは録画が自分の判断を決定付けたと振り返っている。
 裁判員裁判の結論は最大限尊重すべきだが、自白には、その内容が真実かどうかの多角的な検証が不可欠だ。
 状況証拠を柱とする高裁判決に弁護団は反発しており、上告審の争点になろう。
 気がかりなのは、最高検が取り調べの録画を、実質証拠として積極的に法廷に出す方針を示していることだ。
 検察に都合のいい場面が恣意(しい)的に使われる懸念がある。
 高裁が強調した映像に頼らぬ犯罪認定を忘れてはならない。
 可視化の導入は、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を教訓に、自白の強要や誘導を排除し、捜査の適正化を図ることが目的だったはずである。
 そうした経緯を顧みず、立証の「切り札」にしようとするのは本末転倒だ。検察は高裁判決を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。


取り調べ映像 偏重を改め多角的立証に努めよ
 2005年に栃木県で発生した小1女児殺害事件の控訴審判決で、東京高裁は一審の裁判員裁判判決を破棄し、改めて被告に無期懲役を言い渡した。
 結論は同じだが、一審とは証拠の捉え方が大きく異なっている。東京高裁の裁判長は判決理由で、被告が自白した録音・録画の映像を基に犯罪事実を認定した一審判決を「違法」と断じて厳しく批判した。
 取り調べの録音・録画はそもそも、調書に記載された供述内容が本人の自由な意思に基づくかどうかをチェックするために導入されたが、今や検察側が犯罪の事実証明の「武器」として使うことが多い。判決はこうした「自白映像偏重」とも言える傾向に対する強い警鐘と受け止めねばならない。自白頼みの立証が冤罪(えんざい)を生んできたことを改めて肝に銘じ、客観的な証拠の収集に努め、自白とそれ以外の証拠との整合性に留意した立証を心掛けることが必要だ。
 取り調べの録画は06年から試行された。もともとは、密室での取り調べの「可視化」を求める日弁連などが導入を求めていたもので、警察や検察といった捜査側は消極的だった。それが一転し、検察は供述調書のように犯罪事実を直接立証する証拠としても録画を活用している。録画を根拠に有罪が言い渡された例も少なくない。
 今回の事件でも一審宇都宮地裁の法廷で、犯行を打ち明ける被告の映像が7時間にわたって流された。裁判員を務めた男性が「録音・録画がなかったら判断ができなかった」と振り返っており、重要な根拠となった。
 しかし、取り調べの全てが録画されるわけではなく、使用されるのも検察側が切り取った一部でしかないことを忘れてはならない。精神的に追い詰められた被告が捜査側の意向に沿った供述をしてしまうことは少なからずある。「録画されていない調べで暴行や威圧があった」と弁護側が主張するケースも出ている。どのような状況で自白したのかを客観的に検証できない映像が、有罪無罪を左右しかねないことは大いに問題だ。
 裁判官の間では、法廷が取り調べ映像の「上映会」になってしまうとの危惧が根強くある。16年5月〜今年5月、全国の地裁であった刑事裁判で、検察側が録音・録画を証拠申請して認められたのは55・7%にとどまっている。映像は見る者に強い印象を残しかねないだけに、取り扱いには一層の慎重さが求められる。今回の判決はこうした裁判官側の懸念が凝縮されたものとも言えよう。
 刑事訴訟法が改正され、来年6月までに裁判員裁判対象事件などで、取り調べの全過程の録画・録音が義務付けられる。映像を手掛かりとして裁判員らが判断を迫られる事例がさらに増えることも想定される。客観的かつ冷静に判断できるよう、録画や上映の方法についての在り方を幅広く議論し、基準をつくることも不可欠だ。


野田総務相と情報公開 所管大臣として無自覚だ
 情報公開制度をないがしろにしたという認識があるのだろうか。
 野田聖子総務相が、金融庁に対する情報公開請求の内容を入手していた問題をめぐり、閣僚給与の返納を表明した。野田氏に情報を提供した金融庁職員も処分された。
 誰が情報公開請求をしているかなどの情報が事前に漏れて利害関係者に伝わると不当な圧力を呼び、請求者を萎縮させるおそれがある。野田氏の行動は情報公開制度の所管相としての自覚を欠いたものだ。
 発端は今年1月、野田氏の秘書が、違法性を指摘される「仮想通貨」事業について金融庁職員に説明を求め、事業会社の関係者を同席させていたことだ。事業には、野田氏の友人の芸能人が関わっていた。
 この面会について朝日新聞は金融庁に情報公開を請求した。だが、開示決定より前に、同庁の情報公開担当者は請求者名も含めた内容を総務省を通じて野田氏に知らせていた。
 情報公開請求の漏えいは2年前に自治体で問題になった。
 地方議員の政務活動費の使い道をめぐる情報公開について、請求者名が議会事務局を通じて議員側に漏れるケースが相次いだためだ。事態を危ぶんだ当時の総務省は自治体に注意喚起した。
 野田氏は給与返納について、記者との懇親会で請求に関する情報を話題にしたことを理由に挙げている。
 だがことの本質は、金融庁から自らに関する情報を提供された時点でとがめだてもしなかったことだ。この点をきのうの記者会見では「ケアレスミス」と説明した。これでは所管相としての認識が問われよう。
 情報漏れが指摘された当初、「政治と役所のやり取りの中でそういうことが起きることはいくつもある」とも野田氏は語っていた。
 金融庁は野田氏に情報提供した理由について「報道される可能性が高いので危機管理のような感覚で伝えた」と説明している。官僚が政治家におもねって、情報を「ご注進」する風潮があるとすれば深刻だ。
 野田氏は給与返納でけじめをつけたい考えのようだ。ただし、なぜ、閣僚の秘書がわざわざ民間人と金融庁職員の会合を仲介したのかという疑問は消えない。面会の経緯と中身をもっと詳細に説明すべきだ。


酷暑対策でサマータイムの愚! 過重労働、健康被害、システム障害…デメリットだらけなのに五輪無罪でゴリ押し
 オリンピックの暑さ対策のため、日本政府が夏の時間を2時間繰り上げるサマータイムの導入に前向きな姿勢を見せている。
 先月27日、オリンピック組織委員会の森喜朗会長が首相官邸を訪れ、安倍首相にサマータイムの導入を要請。安倍首相も解決策の一つとして導入に前向きな姿勢であることから、秋の臨時国会への議員立法提出を目指すという。
 サマータイムを導入したことによる問題点は大きく分けて3つある。1つは労働時間がますます長時間化するのではないかという懸念だ。
 7日放送『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でジャーナリストの青木理氏は「ヨーロッパなんかでサマータイムを入れているんですけど、早く帰って買い物できるとか、明るい時間に帰宅できるとかっていうメリットというのは、すぐにデメリットにもなるわけですよ。(中略)日本人的ないまの雰囲気でいうと、帰れるのかと。つまり、早くから働いて、遅くまで働いたら、労働時間が長くなるだけの話だし」と語っているが、実際、始業時間に厳しく終業時間には緩い日本の企業風土では、サマータイムを導入したところで早く帰れることはなく、ただ2時間早く出社しただけで、帰る時間はいつもと同じといった状況になる可能性が非常に高いと言わざるを得ない。また、小売業やサービス業は営業時間を大幅に変更させることが予測され、ここでも労働時間が長くなることが懸念される。
 実は、日本でも、1948年から51年にかけてサマータイムを導入していたことがあるが、その際も残業量が増加して労働環境が悪化したことから廃止されている。この歴史が繰り返される可能性は残念ながら高いだろう。
 もうひとつ懸念されるのが、健康問題。通常よりも2時間ずれた生活をいきなり強いられることで睡眠不足などを引き起こし、心疾患をはじめとした様々な病気を引き起こす可能性が指摘されている。前述『モーニングショー』で玉川徹氏は「夏に自律神経が乱れる人、多いわけですよ。これだけ猛暑になっていると。それで、いきなり睡眠時間2時間ぐらいずれちゃったら、本当に多くの人が命に直結するような事態になりますよ」と語っているが、過酷な気候のもと国内にいながら無理やり2時間の時差ボケを引き起こさせるような施策は、高齢者や持病のある人などにはかなり大きな負担となる。
 とくに、心筋梗塞を発症するリスクが高くなることが報告されており、事実、ロシアでは2011年にサマータイムを廃止しているが、その原因も心筋梗塞で救急車を出動する回数が増えたからだとされている。
 3つ目はシステムなどの構築に莫大なコストがかかると予想されることだ。2時間繰り上がった時計のために各コンピューターシステムを調整し直す必要があり、各企業はそこに多くのリソースを割くことを強いられる。エンジニアが、新国立競技場建設での過重労働のような状態にさらされる可能性が高い。
 このようにサマータイムの導入では大きなデメリットがあるわけだが、それでも導入を決行するに足る十分な理由があるかといえば疑問だ。
 サマータイムの恩恵を受ける競技の代表として、巷間よくあげられるのがマラソンである。サマータイムの導入により朝の5時スタートにすることができるとされているが、ならば現在の時刻のまま朝の5時スタートにすればいい。『モーニングショー』で玉川氏はこうも語っていた。
「マラソンだって午前5時スタートにすればいいだけじゃないですか。なんでそれだけのことのために、システムからみんなの生活から全部影響を受けなければならないのか。あのね、五輪無罪、オリンピック無罪みたいなのっていうのは、僕は大反対ですよ。オリンピックは楽しみですよ。楽しみだけど、たった2週間の話じゃないですか。それのために、たとえば、共謀罪を通してみたりね、こういうふうなこと考えてみたり、なにやってんだって思いますよ」
オリンピック無罪で国家総動員状態! 過重労働、ブラックボランティア、学徒動員…
 今回の東京オリンピックをめぐっては、あまりにも横暴なやり方が横行し過ぎている。玉川氏のあげた共謀罪もそうだが、死者も出ている新国立競技場建設での過重労働、劣悪な条件でのボランティア募集、大学や高等専門学校に対してボランティア参加のため試験時期をずらすよう文科省とスポーツ庁が通知を出した件、東京都オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部のスタッフが大会期間中は混雑防止のためにネット通販を控えるように提言した話など、「国家総動員」「オリンピックのために自己犠牲しない人間は非国民」とでも言いたげな施策が次々と出されている。
 サマータイムの導入もそのひとつと言っていいだろう。なぜ、たかだか数週間の運動会のために、日本に住む人々全員がこんな負担を強いられなければならないのか。暑さ対策のためなら、ここまで犠牲を払ってさほど効果のないサマータイムを導入するより、オリンピックを2カ月後ろ倒しすればいい話だ。
 そもそも、この時期の日本は酷暑だということを知りながら、〈この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である〉(「立候補ファイル(日本語版)」より)などと言ってオリンピックを招致したのは誰か。
 また、サマータイム導入にあたっては、もともとは恒久的な導入ではなく、2019年と20年の2年間のみの限定導入になるというが、前述したようなシステム変更のコストに見合わないとの指摘を受けて、恒久的なサマータイムの導入に舵を切り始めているとの報道もある。森氏は〈五輪のためにやるということではなく、日本政府が地球環境保護に取り組むという観点で進めてほしい〉(8月8日付ニュースサイト「スポーツ報知」より)と述べているが、そもそも、湿度が高く夜も暑い日本の気候ではサマータイムを導入しても冷房などの使用料は変わらないため省エネにはつながらないと長きにわたって指摘され続けている。
 また、批判を受けてすぐさま限定的な運用から恒久的な運用に切り替えたというのは、要するに、たいして深く考えていなかったということだろう。こんなのはあまりにも杜撰過ぎる。日本に住む人々は政治家のオモチャではないし、オリンピック組織委員会の奴隷でもない。
 こんなかたちでしか開催できないオリンピックならば、即刻返上するべきだろう。


翁長雄志知事は命を削り最後まで安倍政権の“沖縄いじめ”と闘い続けた! 安倍首相が翁長知事に見せた冷酷
 本日、翁長雄志知事が亡くなった。67歳だった。今年4月に膵臓がんの手術を受けた翁長知事だが、きょうの夕方には謝花喜一郎副知事が会見を開き、翁長知事が7日から意識混濁状態にあること、職務代理を置くことを発表。その直後の訃報となってしまった。
 今年6月23日の慰霊の日には沖縄全戦没者慰霊式典に出席し、見るからに痩せた身体に心配の声があがっていたが、「平和宣言」のスピーチでは安倍首相を前にして「20年以上も前に合意した辺野古への移設が普天間飛行場問題の唯一の解決策と言えるのでしょうか」「『辺野古に新基地を造らせない』という私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません」と言明。
 そして、7月27日には会見を開き、辺野古埋め立て承認を撤回する手続きに入ったことを発表。8月17日以降から環境に深刻な影響を与える土砂の投入をおこなう方針である政府に対し、知事権限で抵抗に出たのだ。この会見のラジオ音声が護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前に流れると、新基地建設に反対するために集まった市民たちから「翁長さんがんばれー!」の声があがったという。
 最後の最後まで「辺野古に新基地はつくらせない」という民意に基づいた公約を実現するべく、最前線で安倍政権と対峙し、闘いつづけてきた翁長知事。だが、約3年9カ月にわたる知事在任期間は、折れない、言うことをきかない翁長知事に対し、安倍政権が陰湿ないじめ、報復を仕掛けつづけた歴史でもあった。
 それは、辺野古移設阻止を掲げて2014年11月の知事選で圧勝した直後からはじまった。それまで仲井眞弘多・前知事時代には増額してきた沖縄復興予算を、知事が翁長氏になった途端、政府は160億円も減額したのだ。
 さらに、2014年12月に知事就任の挨拶のため永田町を回った際には、菅義偉官房長官ら政権幹部は誰も会おうとせず、閣僚との会談は山口俊一沖縄北方相(当時)だけという仕打ちを受けた。年明けの1月6〜8日にも新年度の予算の要請などで上京したが、与党・自民党の会合への出席を拒まれ、関係閣僚との会談も実現しなかった。とくに露骨だったのが西川公也農水相(当時)で、翁長知事が特産のサトウキビの交付金に関連して面会を求めたが、面会が認められたのは同席する予定だった農協幹部だけ。知事は県東京事務所で待機するしかなかったという。そして、前知事の仲井眞弘多氏は毎回招かれていた自民党本部での沖縄関連予算を議論する会議にも翁長知事は招かれなかった。当時、自民党沖縄県連幹部は「普天間問題で政策が異なる知事の要請を受ける理由はない」と話している(朝日新聞2015年1月9日付)。
 結局、翁長知事が再三求めてきた面談がおこなわれたのは、就任から約4カ月も経ってからのこと。しかも安倍首相ではなく菅義偉官房長官が対応した。このときのことを、翁長知事は著書『戦う民意』(KADOKAWA)でこう振り返っている。
〈移設反対を訴えて圧勝した沖縄県知事に会うことによって、「積極的平和主義」で集団安保体制の法制化を進めていた安倍総理の「強い政治家イメージ」に傷がつくことを恐れたのではないかと思います。
 つまり、私が折れるときを待つという持久戦略とともに、自民党政権の基地政策に国民が疑問を抱かないよう配慮したイメージ戦略ではないのか──もちろん、これは私の推測なので、本当のところはわかりません〉
公安、内調を使った翁長知事へのデマ攻撃、そして沖縄ヘイト
 嫌がらせで翁長知事が折れるのを待つ──。しかも、安倍官邸は内閣情報調査室や公安を使って翁長スキャンダルを必死で探させ、菅義偉官房長官はオフレコの場で翁長知事のマイナス情報を喧伝。官邸は読売新聞や産経新聞、週刊誌などにデマ情報をリークして“翁長バッシング”を展開してきた。
 たとえば、2015年4月には「週刊文春」(文藝春秋)が「翁長知事を暴走させる中国・過激派・美人弁護士」と題した大特集をトップで掲載。あたかも翁長知事が中国と過激派に操られているかのような陰謀論記事を書き立てた。記事は『ニュース女子』の沖縄ヘイト回にVTR出演してデマを垂れ流した“沖縄のネトウヨ”手登根安則氏の基地反対派批判コメントを紹介するという「保守速報」の記事かと見紛うばかりのシロモノで、無根拠なデマだらけだったが、この記事も公安・内調情報を官邸がリークしたとみられている(実際、記事には「公安関係者」のあやしげなコメントがいくつも登場する)。
 しかし、こうしたデマが真実のように広がり、ネット上では「翁長知事の娘は北京大学に留学しており、夫は中国共産党の幹部」などという根も葉もないデマが拡散。このデマが広がったのは知事選の最中で、実際は、翁長氏自身が語ったように翁長氏の次女は埼玉の小さな大学にいて、長女は沖縄県内で働いていたが、いまだにこのデマはネトウヨによって流されつづけている。
 さらに、こうした翁長バッシングと同時に大きくなっていったのが、沖縄を貶める投稿だ。「基地がイヤなら、自由に基地の無いところに引っ越してもいいんですよ」「国防だぞオマエラの我儘にウンザリだ 日本全体を考えろ」「沖縄ってのは、ゆすりたかりの名人どころか、単なる乞食じゃねーか!」……こうした沖縄ヘイトがネット上では溢れるようになっていったのだ。
 そして、こうした沖縄いじめが決定的となったのが、自民党の「文化芸術懇話会」問題だ。この会合では百田尚樹が「本当に沖縄の2つの新聞社はつぶさなあかん」、自民党の長尾敬衆院議員が「(沖縄メディアは)左翼勢力に乗っ取られてしまっている」、大西英男衆院議員が「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番だ」などと発言。沖縄メディアに対する言論弾圧を公言したのである。
 陰に陽に繰り広げられる、安倍政権の翁長・沖縄いじめ。なかでも苛烈を極めたのは、辺野古と高江だ。
 辺野古での基地反対運動に対して、2015年11月には東京・警視庁の機動隊約150名を投入し反対する人々を強制排除したが、この裏には官邸の暗躍があった。元警察エリート官僚である杉田和博官房副長官が、子飼いの警視庁トップ・高橋清孝警視総監に直接依頼して機動隊を投入したとみられているのだ。
 また、米軍北部訓練場のヘリパッド建設をめぐる反対運動でも政府は全国から大量の機動隊員を投入し、反対する市民らを強制的に排除。機動隊員が「土人が」と差別発言が出た際も、鶴保庸介沖縄担当相は「私は(差別発言か)判断できるものではないと思っている」などと問題を認めなかった。
安倍首相が翁長知事と沖縄に見せたあまりに不誠実で冷酷な態度
 辺野古や高江の反対運動に対する蛮行だけではない。米軍属の男による暴行殺人事件、相次ぐヘリの墜落や保育園・小学校での落下物事故……安倍政権が沖縄をまったく顧みないなかで起こってきた米軍の問題に対し、翁長知事は強い態度で批判をおこなってきたが、安倍首相はそのたびに不誠実な態度をとってきた。
 現に、普天間の小学校に約8キロの窓枠が落下した事故が発生した後の昨年12月15日、翁長知事は官邸に出向いて米軍機の学校上空の飛行停止を求めたが、対面したのは安倍首相ではなく菅官房長官。会談時間はたったの10分だった。しかもこの日の晩、安倍首相は行きつけの焼肉店「龍月園」で、松本人志や東野幸治、指原莉乃、古市憲寿といった『ワイドナショー』(フジテレビ)メンバーと和気藹々と会食をおこなったのだ。
 さらに象徴的なのが、2015年9月におこなわれた普天間基地の辺野古移設をめぐる沖縄県と政府の第5回集中協議だ。このとき、翁長知事は安倍首相に直接、「総理の『日本を取り戻す』というなかに沖縄が入っているんですか」と尋ね、「戦後レジームからの脱却と言っているけれども、沖縄の現状を見ると、戦後レジームの死守ではないか」と訴えたという。
 しかし、翁長知事のこうした問いかけや訴えに対し、安倍首相はなんの反応もみせず、無視したというのである。
 翁長知事の意見を無視し、沖縄を切り捨てる政策で民意をズタズタにしてきた安倍首相と、その横暴な態度に毅然と抗議をおこなってきた翁長知事。翁長知事が誕生していなければ、沖縄はさらに奴隷的な扱いを受けながら、その問題がクローズアップされることもなかっただろう。翁長知事こそが、権力の言いなりにならず、民の声を代表するという民主主義の“最後の砦”となってきたのだ。
 翁長知事は2015年、国連人権理事会でおこなった演説でこう述べた。
「自国民の自由、平等、人権、民主主義、そういったものを守れない国が、どうして世界の国々とその価値観を共有できるのでしょうか。日本政府は、昨年、沖縄で行われた全ての選挙で示された民意を一顧だにせず、美しい海を埋め立てて辺野古新基地建設作業を強行しようとしています。
 私は、あらゆる手段を使って新基地建設を止める覚悟です」
 その翁長知事が逝ってしまった──。最後の最後まで辺野古の新基地建設撤回を求めてきた翁長知事を思うと無念さとやりきれなさで一杯になるが、この結果にもっともほくそ笑んでいるのが、安倍首相であることは間違いない。
 今年の「平和宣言」のなかで翁長知事が述べた、「『辺野古に新基地を造らせない』という私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません」という強い言葉。この遺志を、わたしたちは翁長知事から引き継がなくてはいけない。最後に、前掲書から翁長知事のメッセージを紹介しよう。
〈これまで沖縄の人たちは、言いたいことがあっても言葉をのみ込んできました。しかし、私だけは政治的に死んでも肉体的に滅んでも、沖縄を代表して言いたいことを言おうと思いました。(中略)
 その意味で、いま私がなしている政治は私でなければできないという自負はあります。そして沖縄の心を一つにしたいという思いは私がいちばん抱いていると信じています〉


河北抄
 神奈川県の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件から2年が過ぎた。事件の波紋は今もネットにあふれる。「殺されていい命などない」との意見の一方で、「私も加害者の思考に似ているかも」「何も生産しない人は社会のお荷物」などの声も。
 仙台市宮城野区の通所施設「仙台つどいの家」の施設長山口収さん(46)は、匿名の本音が流布する社会に怖さを感じるという。「よく目に留めるのは、同じ福祉の世界で働く人たちの投稿です」
 当事者と意思が通じない、パニックでつかみかかられる、つばを吐かれる…。激務の現場から吐露されるのは、「時に危うい精神状態になる」「きれいごとで終わらせられない」といった苦しさ。
 「私の腕も傷だらけだが、それも双方向の関係づくりの一歩」と話す。「どんな気持ちか、何をしたいか、どうすればかなえられるか」。当事者の心を開かせるのは、寄り添う者の思いだという。
 「私の職場でも毎日、職員たちは悩みながら成長する。そんな私たちを支えてくれるのが、通所者の笑顔なんです」


「下着は白」セクハラ校則指導の理不尽さ なぜ"ブラック校則"が存在するのか
「下着の色は白のみ」「体操着の中に肌着を着てはいけない」。そうした理不尽な“ブラック校則”が、全国の学校に存在している。特に「下着チェック」は、いまだに増加しているという。評論家の荻上チキ氏が立ち上げた「ブラック校則をなくそう! プロジェクト」には、4カ月で200件の投稿が集まった。どのような指導が横行しているのか。なぜそうした指導がなくならないのか。荻上氏が解説する――。
またたく間に寄せられた「ブラック校則」の体験談
「ブラック校則をなくそう! プロジェクト」では、具体的な事例を収集するため、投稿フォームを設置した。フォームには、設置4カ月ほどで、200件ほどの投稿が集まった。内容には、具体的な地域名や学校名、投稿者の本名や連絡先が含まれている。
フォームに積極的に投稿するということから、理不尽さをより強く感じているという方からの訴えという形になる。そのため、代表的な声とは必ずしも言えない。しかしながら、実体験からの悲痛な叫び声という意味では、決して無視のできないものだ。
寄せられた事例は、黒髪・ストレートのみを是として黒染めや短髪を強要するような頭髪指導、スカートの長さ等を厳密にチェックするような服装指導、健康・経済面で生徒や家庭に損害をあたえるような指導、特定の部活動内のみ適用される「部則」など、多岐にわたる。また、そういった問題のある指導を懸念する教師の側の声も寄せられた。
本稿ではそれらの投稿のうち、2010年代以降に経験したという事例のみに絞ったうえで、最も多く声を寄せられたセクハラ的指導を紹介していきたい。なお、本人の特定を避けるために、文意を損ねないかたちで編集を加えた。
全国的に行われる「下着の色チェック」
今回の調査で、もっとも多くの声が寄せられ、また多くの反響があったのが、「下着チェック」の増加だった。具体的な事例を聞くと、「なぜそんなことを?」と思うような人が少なくないはずだ。しかし同様のケースは、特定地域に偏っているというわけではなく、全国で見られるものだった。このことをはじめ、指導自体がセクハラとなっている事例を取り上げる。
●下着の色は白のみ。中学3年の時に、プールの授業があった日の放課後に男性教諭から呼び出され、「下着青だったんでしょ? 白にしなきゃダメだよ? 気をつけてね」と言われた。どこからその情報が流れて来たのかは知らないが、とても怖かった。(愛知県・公立中学校・当事者)
●スカートの長さが指定されている。身長が伸び、ややスカートの丈が短くなった友達のスカートを、男性教諭が思いっきり大勢のいるところでめくり、折っていないか確認した。厳しい先生で威圧感がすごいので何も言えなかった。(群馬県・公立中学校・当事者)
●髪の毛や服装の規定が厳しく、下着の色も白のみ。毎朝生徒指導部長が正門に立ち、挨拶と校則違反の生徒を怒鳴り口調で怒って注意する。生徒会がアンケート活動や全校生徒での話し合いの場の設定、署名活動などの企画書を出したが、すべて却下。インナーシャツが白だと中のブラが見えてしまうため、黒いシャツの許可を要望しても却下。「痴漢をする側も悪いけど、誘っているような服装をするほうも悪い」ということを言われた。金銭面でも、何枚もブラを買い直すのは厳しい。夏場はワイシャツ一枚。下着が透け、男子生徒の目、男性の先生の目も気になる。黒シャツを許可するだけで解決する話なのに。(大阪・私立高校・当事者)
●制服の下に着る服の色を白のみと指定されていた。夏場に黒いシャツを中に着ていたら、脱ぐように強要され、下着一枚の上に制服を着ることになり、目立って恥ずかしくつらかった。なぜ黒ではいけないのか? と尋ねても、「決まりだし黒だからいけない」と全く納得できない答え。そもそも校則には載っておらず、先生たちが後付けで決めたもの。とても不快で、卒業後の今でも納得できない。(福岡県・公立中学校・当事者)
「修学旅行で下着を没収された」
●女子の下着の色が白と指定されており、修学旅行の荷物検査で一部分が白でない下着を持っていた生徒が没収され、そのまま2泊3日をノーブラで過ごさせたとのこと。学校からの報告等は一切なく、保護者会での質問で明らかになった。学校側は「シャツ・ベスト・ブレザーを着ており、外からはノーブラだとわからないので問題ない」とのこと。ただただ気持ちが悪く、その子の気持ちを思うとかわいそうで仕方がない。(佐賀県・公立中学校・保護者)
●「女子のお団子禁止」「下着の色は白のみ」という指導をされ、改善するまで教室に入れなかったり、行事に参加できなかったり、下着を脱がされる等する。生徒手帳の校則の記述には書かれていないルールなので、納得できず訴えると、「別室指導にするぞ」と脅迫まがいの返答。親も何度も直談判したが、「それが決まり。守れないなら進路変更を考えるべき」とまともに答えない。(奈良県・公立高校・当事者)
●女子の靴下をハイソックスと指定。違反生徒が多いと、体育館での学年集会の退場時に10人ほどの先生(男女)に脚をまじまじと見られる。中には屈(かが)んで見てくる先生も。大勢に脚を見られて、とても気持ち悪いし怖かった。自分自身は違反したことはないが、なぜハイソックスではないといけないのか、明確な理由も説明されずにダメだダメだと言われるのはとても理不尽。だが、怖くて抗議なんてできない。(群馬県・私立高校・当事者)
「汗をかくから」肌着着用禁止の理不尽
●「汗をかくから」という理由で、地域全体で小・中の体育の授業では肌着着用が禁止。男女一緒で、倒立の練習など服がはだけるような運動もしている。低学年ならわかるが、高学年では第二次性徴期に入るというのに驚いた。子どもも嫌がって体育の授業を休みたがっていた。担任に訴えたが埒が明かず、学年主任の女性教師に相談したところ、替えの肌着を持参するなら可、となった。子どもたちが心も身体も変化をしている時期なのに、先生たちの配慮が足りないと感じた。(愛知県・公立小学校・保護者)
●私立のため、外部からの評判を気にして人権侵害的な指導を強いられている。スカート丈の短い女子生徒を呼び止め、女性教員がいきなりセーラー服の上着をまくりあげ、スカートをベルトでたくし上げていないか、点検する。その下は下着なので、キャミソール等を着用せずブラジャーだけの素肌であれば、「痴漢を誘う」とさらに注意される。ベルトをしていた場合没収し、保護者面談まで返さない。(東京都・私立中学校・教師)
●髪の毛、化粧、持ち物についての規則が厳格で、違反が見つかると早退させられる。持ち物検査で男性教員にカードやレシートを含めた財布の中身、生理用品までチェックされるなど、違反をあら探ししているとしか感じられない。地域の担当部署に連絡し、問題視した担当者から学校に確認を取ってもらったが、何も変わらない。(大阪府・私立高校・保護者)
社会で許されない指導は学校でも許すべきでない
ここまで紹介してきたように、下着の色を指定しているだけでなく、それが厳格に守られているかどうかがチェックされ、場合によっては強制的に脱がされる。それも公衆の面前で、あるいは異性の教師から。こうした訴えは、特に女性生徒の側から、強い憤りとともに寄せられた。
仮に会社で、上司が服務規定を守っているかどうかといったような理由で、人前でスカートをめくりあげたらどうなるか。大きな問題となるはずだ。ところが学校では、それが許されるかのような空気が出来上がっている。校則は絶対であり、子どもは人権をもつ対等な市民として認められていないかのようだ。
社会に出るためには、身を守る手段を身につけることが必要だ。理不尽なものに、自分に暴力をあびせるものに対して、ノーと感じられることを教育することも大事なのだ。しかし学校では、「社会には理不尽なことがたくさんあるのだから、理不尽さに耐える訓練をしよう」として、無意味に厳しいルールを敷いている。セクハラ的指導もその一環となっているが、これでは社会からセクハラを減らす流れに逆行している。
「痴漢対策」の服装指導は典型的な誤解
加えて指摘しおきたいのが、「痴漢をする側も悪いけど、誘っているような服装をするほうも悪い」と、事例でも挙げられるように、これらの指導が「痴漢防止」の目的で行われている点だ。そもそも、本来は性被害を防ぐための指導であるはずなのに、それ自体が性被害を、それも学校内でもたらしているのだ。
また、「華美な服装で痴漢にあうかもしれない」という考え方自体が、典型的な誤解に基づいている。性犯罪は多くの場合、性欲ではなく支配欲等がその原因とされている。本当に痴漢対策を考えるのであれば、制服をやめるほうがよほど合理的だ。
もしも性被害にあってしまった生徒がいたとき、こういった指導を通じて、「校則を守っていれば、華美な服装をしていなければ被害にあわなかったのに」といった、被害者に責任があるかのような意識を与えかねない。こうした指導の実態は、早急に改められる必要がある。
合理的に理由を説明できない校則はいらない
数々の校則は、学校ストレスの原因にもなっている。そして、校則によって抑圧された人たちは、その後の人生でもさまざまな「学校後遺症」を味わっていく。自尊心が削られたり、不合理なルールに過剰適応してしまったりした結果、生きづらくなることもある。校則は、安全な教育空間を守るためにあるものだろう。それが子どもたちにとって暴力として機能するのであれば、直ちに改められる必要がある。合理性の説明できない校則は不要であるし、仮に一定の合理性があっても、個人を抑圧する校則は改められるべきである。
プロジェクトに寄せられた声は、どこにもぶつけることのできない憤りや徒労感を、ようやく渡すことができたというようなものばかり。そして事例を投稿してくれた人の多くが、「なんとか世の中が変わってほしい」「理不尽な思いは自分たちの世代で終わりにしてほしい」というメッセージを添えていた。
校則は明日からでも変えられる。理不尽を放置するのか、それともなくすのか。私たちの選択にかかっている。
荻上チキ(おぎうえ・ちき)評論家 1981年生まれ。著書に『ウェブ炎上』(ちくま新書)、『未来をつくる権利』(NHKブックス)、『災害支援手帖』(木楽舎)、『彼女たちの売春(ワリキリ)』(新潮文庫)、『ネットいじめ』『いじめを生む教室』(以上、PHP新書)ほか、TBSラジオ『荻上チキ Session‐22』メインパーソナリティ。