ブログネタ
フランス語 に参加中!
えびのっ娘180819

Japon: Toujours aucune trace de Tiphaine Véron, la touriste française disparue
Malgré des recherches qui se poursuivent, aucun indice n’a été découvert au sujet de la Française Tiphaine Véron qui a disparu fin juillet dans le nord-est du Japon où elle se trouvait seule en vacances, selon sa famille.
Comme si elle s’était ≪ volatilisée ≫
≪ Il n’y a rien ≫, c’est comme si elle s’était ≪ volatilisée ≫, confie sa sœur cadette Sibylle, actuellement à Nikko avec son frère pour tenter de retrouver Tiphaine, 36 ans, qui séjournait dans cette localité célèbre pour ses temples et sanctuaires. ≪ Des policiers ont de nouveau cherché ce matin, près d’une rivière où l’eau est redescendue ≫, a-t-elle indiqué, mais en vain.
Sa sœur ≪ pense de plus en plus à la piste criminelle ≫
Depuis qu’a été signalée la disparition soudaine de Tiphaine, vue la dernière fois le 29 juillet lorsqu’elle quittait son hôtel pour aller se balader, les lieux où elle aurait pu se rendre ont été quadrillés. Chiens, hélicoptère, drone ont été mobilisés, sans résultat. ≪ Même des alpinistes professionnels sont venus participer aux recherches dans les chemins de montagne ≫, précise Sibylle.
Et de confier ≪ ne pas pouvoir écarter totalement la thèse de l’accident mais penser de plus en plus à la piste criminelle, sachant que Tiphaine est naive et se sentait en confiance au Japon ≫, un pays réputé pour la sécurité.
Epileptique, elle aurait pu faire une crise
Tiphaine Véron, qui habite à Poitiers, est épileptique et même si elle avait sur elle des médicaments, elle a pu être victime d’une crise, selon ses proches.
Plusieurs témoignages sont parvenus à la police mais sans offrir de piste fiable. Sa famille se dit certaine qu’elle n’a pas pu disparaître volontairement, alors qu’elle avait préparé depuis six mois ce voyage de trois semaines dans l’archipel et se réjouissait de le partager via internet avec ses proches. Elle avait atterri au Japon le 27 juillet et était arrivée à Nikko le 28, la veille de sa disparition.
フランス語
フランス語の勉強?
佐藤治彦@アカウントに来てくれてありがとう @SatoHaruhiko
この15年あまりの自民党出身の総理で誰が一番か?と言われれば躊躇無く私は福田康夫元首相をあげる。改革への姿勢、財政規律、格差対策、中国との関係、よりまともな政治、権力への執着心もなかった。上から目線なのが一部の国民には嫌われたが、私はまったく構わない。中身がまともなら。

朝ごはんを食べてから下田旅館街をぶらぶら.なんだか風情があります.足湯もあっていいですね.
とりあえず昨日行けなかった大江天主堂に向かいます.でもまずは五足の靴記念碑.5人の作家が歩いた紀行というそうで面白そうです.青い海がとてもきれいです.十三仏崎を通って10時過ぎに大江天主堂に.しかし暑すぎます.十字架のついたお墓があってビックリです.11時半くらいには崎津集落に着きました.崎津天主堂の中には畳が敷いてありました.海を見るとエメラルドグリーンでとてもきれい.初めてこんなきれいな海を見ました.
ランチは天草ちゃんぽん.12時半くらいですが,フェリーの時間が気になります.おじさんは大丈夫って.フェリー乗り場の牛深には2時くらいで少しだけ余裕があります.ぐるっと回ってみました.フェリーは鹿児島の長島に着きます.そこからバスで出水駅.九州新幹線でwifiが使えると思っていたら使えなくて残念ですが,熊本のネットカフェで一服しました.熊本駅は工事中で,トイレに行けず不便でした.今度来るときにはきれいになっているでしょう.
夕方食べたいと思っていた辛子レンコンにありつけて満足です.

青森ねぶた「項羽の馬投げ」勇壮に 東松島・あおい地区で夏祭り
 東松島市の防災集団移転団地あおい地区で18日、夏祭りが開かれ、青森ねぶたが登場した。家族連れなどが迫力のあるねぶたや勇壮なおはやしを楽しんだ。
 ねぶたは高さ3メートル、幅4.5メートルで、「項羽の馬投げ」が題材。青森市のNPO法人青森じゃわめぎ隊が地区のメイン通りを運行した。浴衣姿のハネトが太鼓や笛のねぶたばやしに合わせ、「ラッセラー、ラッセラー」と掛け声を響かせた。大勢の見物客がねぶたと写真撮影をしたり、ハネトと飛び跳ねたりした。
 同法人は2012年から夏祭りに参加し、今回で7回目。東松島市の主婦武田さおりさん(33)は「子どもたちがすごく楽しそうに踊っているので来てよかった。東日本大震災で生まれたこのつながりは、とてもありがたい」と話した。


金足農決勝進出/悲願の「白河の関越え」期待
 東北の球児たちが挑んできた深紅の大優勝旗まであと1勝に迫った。きょうの決勝に悲願の「白河の関越え」を期待したい。
 甲子園球場(兵庫県西宮市)で開催されている第100回全国高校野球選手権大会。秋田代表の金足農がきのう、準決勝で日大三(西東京)に2−1で勝利し、決勝へと駒を進めた。
 秋田県勢の決勝進出は第1回大会(1915年)の秋田中(現秋田)以来、実に103年ぶりだ。このときは京都二中(京都)に敗れて涙をのんでいる。100回という記念すべき今大会で、大旗をぜひつかみ取ってほしい。
 東北勢としては、仙台育英(宮城)や東北(同)、光星学院(青森、現八戸学院光星)などが夏に8回、春に3回の計11回、甲子園で頂点を懸けて戦ってきた。だが、いずれも惜敗を喫し優勝を逃している。12度目の今度こそとの思いは、東北に共通する願いでもある。
 今回の金足農の躍進を大会前、誰が想像しただろう。前評判は決して高いとは言えなかった。「雑草軍団」と称される粘り強さで、優勝候補の一角と目された横浜(南神奈川)など強豪校を相手に劇的な勝利を重ねてきた。
 金足農はエースの吉田輝星(こうせい)投手を軸にチームが一丸となった戦いぶりが印象的だ。吉田投手は甲子園で5試合を1人で投げ抜き、準決勝を除く4試合はいずれも2桁の奪三振を記録。攻撃は選手たちが「伝統であり一番の武器」と言うバントで好機を作り、得点に結びつけてきた。
 金足農は記録的な暑さとなった今夏、秋田大会から一度も選手交代をせず、3年生だけの「9人野球」で勝ち上がってきた。しかも、強豪校には他の都道府県からも優秀な選手が集まるのが当たり前の時代にあって、メンバーは全員が地元出身だ。県民が「秋田の誇り」と話しているのもうなずける。
 秋田県が2011年から取り組む「県高校野球プロジェクト」も後押しした。県教育委員会や高校野球関係者が一体となり、高校野球の技術力アップを図ってきた。
 秋田県勢は夏の甲子園大会で1998〜2010年に13年連続で初戦敗退と低迷。プロジェクトでは社会人チームの監督経験者らを招き、野球理論や練習法を学ぶ機会を提供してきた。金足農もプロジェクトに積極的に参加してきたというから、県を挙げての取り組みが奏功した面もあるに違いない。
 金足農は今大会で8強に勝ち残ったチームでは唯一の公立校だ。出場校では唯一の農業高校で、選手たちは普段は畜産実習などに汗を流す。他の公立校、実業校の球児たちにも励みになるはずだ。
 決勝の相手は2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭(北大阪)。どちらが勝つにしろ、歴史に残る試合となる。


甲子園決勝進出 金農快進撃止まらない
 「金農旋風」が止まらない。第100回全国高校野球選手権記念大会の準決勝で金足農が日大三(西東京)を2―1で下し、初の決勝進出を決めた。
 県勢では1915年の第1回大会(当時は全国中等学校優勝野球大会)で秋田中(現秋田)が準優勝して以来、実に103年ぶりの決勝進出だ。本県高校球界が待ち望んでいた快挙であり、快進撃をたたえたい。
 日大三は夏の甲子園大会で2度の優勝経験を誇る関東有数の強豪校だ。準々決勝で劇的な逆転勝ちを収めるなど、前評判通りの戦いで勝ち上がってきた。打線には粘りがあり、準決勝も八、九回の追い上げには迫力があった。だが金足農の力は、それを上回った。
 安打や四球などで出た走者を送りバントで進め、着実に1点を狙うつなぐ野球は、この日も実を結んだ。吉田輝星(こうせい)投手は序盤から安定したピッチングで、5戦連続の完投。要所で直球や変化球がよく決まり、最少失点に抑えた。投打ががっちりとかみ合い、堂々たる戦いぶりだった。
 甲子園で試合を重ねるごとに力を増していくチームがある。今年の金足農には、そんな勢いがある。3回戦の終盤に飛び出した逆転3ランや準々決勝の逆転サヨナラ2ランスクイズは、最後まで決して諦めない金足農の粘り、底力を見せつけた。県大会で1本も出なかった本塁打がこの大舞台で3本出ていることも含め、選手たちが大観衆の前で思い切り活躍する姿は頼もしい限りである。
 決勝進出は本県高校球界にとって長年の悲願だった。秋田中の準優勝以降、ベスト4に進出したのは34年の秋田中、65年の秋田、84年の金足農、89年の経法大付と、これまで4度あった。だが、いずれも高い壁に阻まれてきた。今回金足農がその壁を乗り越えたことは、県内の球児たちを大いに勇気づけたに違いない。
 きょうの決勝の相手は、4年ぶり5度目の頂点を目指す大阪桐蔭(北大阪)。好投手を擁し、強打者がずらりと並ぶ、紛れもない優勝候補の筆頭だ。しかも優勝すれば、史上初の2度目の春夏連覇となる。初戦から強豪校に真っ向勝負を挑み、気迫あふれるプレーで次々破ってきた金足農にとって、これほど戦いがいのある相手もいないだろう。
 夏の甲子園大会で東北勢はこれまで、15年の秋田中をはじめ、69年の三沢(青森)、71年の磐城(福島)、89年の仙台育英(宮城)、2003年の東北(宮城)、11、12年の光星学院(青森)、15年の仙台育英と計8度決勝に駒を進めているが、優勝旗を持ち帰ることはできずにいる。
 金足農は東北勢では9度目の挑戦となる。県民の熱い期待を胸に、チーム一丸、全力プレーで東北初の頂点を目指してほしい。


県内広い範囲に「暴風警報」
非常に強い台風19号が九州南部や奄美地方に近づいています。
気象台は、午後2時11分に県内の広い範囲に「暴風警報」を発表しました。
暴風警報が出されたのは、薩摩川内市の甑島、枕崎市、指宿市、南さつま市、南九州市、東串良町、南大隅町、肝付町、西之表市、三島村、中種子町、南種子町、屋久島町です。
気象台は、厳重な警戒を呼びかけています。
今回の台風19号は、非常に強い勢力で奄美地方や種子島・屋久島地方に近づくとみられます。
奄美地方を中心に、最大瞬間風速60メートルと猛烈な風が吹くおそれがあるほか、猛烈な雨のおそれもあります。
夜間に風雨のピークとなるため、早めの避難や対策を進める必要があります。
気象庁によりますと、最大瞬間風速が60メートル以上に達すると、古い木造住宅やプレハブの建物が倒壊する危険性があるほか、多くの樹木や電柱が倒れたり、走行中のトラックが横転したりすることがあります。
5年前に台風24号が接近した際、50メートルを超える最大瞬間風速を観測した与論島では、電柱が倒れるなどの被害が出ました。
屋外での行動は極めて危険で、外出を控える必要があります。
風雨が強まる前に事前に避難場所を確認し、市町村からの避難に関する情報に注意するとともに、状況が悪化する前に避難することも大切です。
停電や断水が起きるおそれもあります。
携帯電話の充電のほか、懐中電灯やラジオ、非常用の食品や飲料水の準備、浴槽に水を張って生活用水を確保するといった備えも必要です。
また、台風が通過し、いったん風が弱まっても、吹き返しの猛烈な風のおそれがあります。
気象台は、安全が十分確認できるまで、不要な外出を控えるよう呼びかけています。


省庁の障害者雇用水増し 先導役がごまかす罪深さ
 国土交通省や総務省などの中央省庁が障害者の雇用割合を42年間にわたり水増ししていた。障害者の雇用と自立支援を促進すべき先導役の信じがたい背信行為だ。
 政府は省庁や外郭団体、地方自治体など公的機関の雇用率を徹底調査し、不正行為に対しては厳しく責任を問うべきである。
 障害者雇用促進法は民間企業や国・自治体に一定割合の障害者を雇用する義務を課している。国の機関は民間より高い2・5%(3月末まで2・3%)に設定されている。昨年6月時点で国の33行政機関は計約6900人の障害者を雇用し、平均雇用率は2・49%とされていた。
 雇用率に算入できるのは障害者手帳を持っている人か、医師の診断書で障害を認められた人に限られている。ところが、各省庁ではこれらに該当しない軽度の人も勝手に障害者として算入していたという。法定雇用率が制度化された1976年から恒常的に行われていたらしい。
 民間企業の場合、雇用率に達していないと労働局から厳しい指導を受け、従業員100人以上の企業は未達成分1人当たり月5万円の納付金が課される。改善しないと企業名が公表されるなどの制裁を受ける。
 省庁からは「拘束時間が長く、突発的な仕事が多いため」など理屈にならない言い訳が漏れるが、民間企業が聞いたらあきれるだろう。
 民間は職種を問わず、赤字でも障害者雇用は義務とされている。積極的に障害者を雇い、一般従業員のやる気を高め、業務の効率化につなげて成果を上げている企業も多い。
 長年にわたって見過ごしてきた厚生労働省の責任も大きい。
 2014年に同省所管の独立行政法人・労働者健康福祉機構(当時)が障害者雇用率を水増ししたことが発覚した際、同省は当時の幹部職員3人を刑事告発し、関与した他職員も減給や停職などの処分をした。
 このとき、同省は他の独立行政法人には不正がないか確認したが、省庁への調査はしなかった。同じ中央省庁として身内への甘さや遠慮があったのではないか。
 今回の水増しでも厚労省が調査に当たっているが、政治が率先して役割を果たすべきだ。国会の閉会中審査で全容解明に努めてはどうか。


障害者水増し/「旗振り役」が法を無視か
 中央省庁が法律で義務づけられている障害者の雇用割合を守らず、40年以上にわたって水増ししていたことが発覚した。
 障害者手帳を持たない対象外の職員を、大幅に障害者雇用数に算入していたという。「視力が弱い」「健康診断で異常を指摘された」といった職員も数に入れていた例もある。
 故意とすれば悪質であり、言語道断というしかない。
 これまでに農林水産、総務、国土交通の3省が不正の可能性を認めた。ほかの省庁でもまかり通っている疑いがある。
 さらに愛媛県や山形県でも不正が発覚している。厚生労働省は、省庁だけでなく全国の自治体についてもさかのぼって実態調査を行い、責任の所在を明らかにせねばならない。
 官僚任せにせず、閣僚ら政治がリーダーシップを発揮して是正を急ぐべきだ。
 障害のある人が、ない人と同様に能力と適性に応じて働き、地域で自立した生活を送る−。障害者の雇用対策が目指すのは、共生社会の実現である。
 その核となる障害者雇用促進法は、国、自治体、企業などに一定割合以上の障害者を雇うよう義務づけている。「法定雇用率」といい、今年4月1日から国と自治体が2・5%、企業は2・2%となった。
 国や自治体の法定雇用率が民間より高いのは、障害者雇用の旗振り役に位置づけられているからだ。企業に厳しく目標達成を求める国自身が、法の趣旨をないがしろにしていた事実にあぜんとするほかない。
 しかも、当の省庁からは耳を疑う発言が飛び出している。
 「国会対応など突発的な仕事が多く、障害者を採用できない」「目標値ばかり掲げる厚労省に問題がある」
 こうした言動は、国民には責任逃れとしか聞こえない。最初から守るつもりがなかったのかと疑念を持たれても仕方ない。
 企業が3年ごとに受ける雇用実態のチェックが中央省庁にはないのも問題だ。早急に点検する仕組みをつくる必要がある。
 財務省の公文書改ざんや防衛省・自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)、文部科学省の汚職事件など、行政の不祥事が後を絶たない。信頼回復への道は遠のくばかりだ。


障害者の雇用 国が偽装とはあきれる
 障害者雇用の旗振り役である国が自ら不正を働いていたとは、あきれるほかない。
 農林水産省や国土交通省などの省庁が、長年にわたって障害者雇用促進法が定めた障害者の雇用割合(法定雇用率)を水増ししていた可能性があることを認めた。
 障害者手帳を持たない軽度の職員は本来対象外だが、法定雇用率の算定に含めていたようだ。
 雇用率が未達成の企業は、罰則に近い形で納付金や企業名の公表を求められる場合がある。
 なのに、模範となるべき国が偽装していたとすれば言語道断だ。
 政府は、不正の実態を徹底的に究明しなければならない。同時に全省庁による雇用率の厳守など信頼回復に全力を挙げるべきだ。
 障害者雇用促進法は1976年から、企業や国・自治体に一定割合以上の障害者を雇うよう義務付けている。
 国や自治体の雇用率は、民間に雇用を促す立場から、企業より0・3ポイント高い2・5%(3月までは2・3%)に設定されている。
 昨年は、国の33機関で約6900人の障害者を雇用し、平均雇用率は2・49%だった。
 ところが、雇用が義務化された当初から水増しが行われていた疑いがあり、実際の雇用率は1%未満の省庁が多いという。
 ずさんな運用で水増しがほぼ常態化していた要因の一つは、チェックする仕組みの欠如だ。
 中央省庁は厚生労働省に雇用状況を報告するにすぎない。
 雇用率を巡っては、2014年に厚労省所管の独立行政法人が水増しした問題が発覚した。念のため、厚労省が省庁にも調査対象を広げておけば、もっと早く実態を把握できたはずだ。
 このような事態を招いた以上、省庁からの報告内容を厳格に検証する必要がある。
 国会開会中に閣僚の答弁書を作るために長時間拘束されたり、突発的な事態に対処したりという事情が、省庁で障害者を雇用しにくくしているとの指摘もある。
 だが、企業もさまざまな事情を抱えながら、雇用を創出する努力を積み重ねている。省庁の怠慢と言わざるを得ない。
 政府は、障害に関係なく誰もが社会参加できる「共生社会」の実現を掲げる。水増しはこの方針に逆行するだけでなく、国が障害者の就業機会を奪うに等しい。
 障害者の雇用を広げようという社会の機運を後退させぬためにも、厳正な対応が求められる。


障害者雇用不正 当事者意識の欠如に驚く
 障害者雇用の旗振り役であるはずの中央省庁でなぜ長年、こんな不正がまかり通ってきたのか。障害者団体から怒りの声が上がったのも無理はない。早急に実態を把握し、全容を解明しなければならない。
 国土交通省や総務省などの中央省庁が、義務付けられている障害者の雇用割合を42年間にわたって水増ししていたことが明らかになった。
 国の雇用実態は公表した人数の半数を下回る可能性があるというから、あきれるばかりだ。
 国は障害に関係なく、希望や能力に応じて働ける「共生社会」の実現を目指している。
 模範となるべき省庁が自ら理念を軽んじていた。障害者のみならず、裏切られた思いを持つ国民は少なくあるまい。
 障害者雇用促進法は、国や自治体、企業に一定の割合以上の障害者を雇用するよう、義務付けている。
 原則として身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳を持つ人、児童相談所などで知的障害者と判定された人が対象だ。
 国や自治体の法定雇用率は、企業より高い2・5%(今年3月まで2・3%)に設定されている。昨年6月時点で、国の33行政機関の平均雇用率は2・49%で、法定雇用率を上回るとされていた。
 ところが10近い主要省庁で、手帳交付に至らない職員などを合算することが、常態化していた。対象外の人数を除くと、実際の雇用率が1%未満になる省庁が多いとみられる。
 不正は1976年に身体障害者の雇用が義務化された当初から、恒常的に行われていた。
 雇用率の数字だけ、つじつまを合わせればいいという安易な姿勢がうかがえる。
 中央省庁によるずさんな数合わせの温床となったとみられるのが、企業に比べて甘過ぎるチェック体制だ。
 企業は目標を達成できない場合、ペナルティーとして納付金を徴収される。さらに企業名が公開されることもある。
 一方、各省庁は毎年6月時点の障害者雇用者数を厚生労働省に報告するが、内容の真偽を確認する仕組みはなかった。
 視力が弱かったり、健康診断で異常を指摘されたりした職員を、障害者数に算入したケースもあったという。
 水増し問題が物語るのは、障害者雇用を推進するという当事者意識の欠如だ。
 問題発覚後、障害者雇用を所管する厚労省と、水増しを行っていた省庁の間で責任の押し付け合いが始まっている。無責任さは目を覆うばかりだ。
 水増し問題は地方自治体にも波及している。愛媛、山形両県は、障害者雇用率を実際より多く算定する不適切な扱いがあったと明らかにした。自治体を含め適切な障害者雇用が行われているか、精査が必要だ。
 働く障害者は増えているが、法定雇用率を達成している企業は半数にとどまる。改めて「共生」の原点に立ち返り、障害者雇用を進めねばならない。


障害者雇用 水増し拡大 静岡、長崎、島根と埼玉県教委も
 障害者の法定雇用率が中央省庁で「水増し」されていた問題で、静岡、島根、長崎の3県と埼玉県教育委員会も21日、障害者手帳や指定医らの診断書を確認していない職員や教職員を雇用数に計上していたと発表した。長崎県は20年以上前から誤った算定方法を続けていた。山形県や愛媛県などでも同様の算定が確認されており、さらに広がる恐れがある。
 静岡県は今年度の障害者雇用率を算定する際、厚生労働省がガイドラインで定めていた身体障害者手帳の確認をせず、36人を雇用者として計上し厚労省に報告。県教委も同じ方法で92人を計上していた。これらを除き再計算すると、雇用率は県が2.61%から1.9%に、県教委は2.47%から1.79%に減り、いずれも法定雇用率(県2.5%、県教委2.4%)を下回った。
 ただ、静岡県は、手帳の確認は昨年度までの厚労省の通知には明記されていなかったといい、「確認が不十分で不適切だったが、故意の水増しではない」としている。
 長崎県も、手帳を持たない18人を診断書を確認しないまま雇用数に計上していた。18人を除くと、厚労省に報告した雇用率2.51%は2.06%に。20年以上前から同様の計上をしてきたといい、資料の残る2010年以降は法定雇用率を上回ると報告したが、実際は下回っていたという。
 島根県も手帳を確認しなかった122人を計上。再計算すると今年の雇用率は、知事部局が2.52%から1.11%、県教委が2.53%から0.93%へと半分以下となり、いずれも法定雇用率を下回った。
 埼玉県教委は、障害者枠で採用した教職員は手帳を確認したものの、採用後に障害者となった教職員は手帳を確認しなかった。厚労省に報告した6月1日現在の障害者雇用数492人のうち、手帳を確認したのは少なくとも122人。雇用率は問題発覚前の同月現在でも2.21%で、法定雇用率を下回っている。埼玉県は厚労省の指針通りに計上していたという。【島田信幸、加藤小夜、中川友希、根岸愛実】


公文書管理法 国民の知的資源にせよ
 公文書をあえて作成しない。そんな官僚の風潮に拍車をかけかねないのが、政府の改ざん再発防止策である。公文書の役目は「国民共有の知的資源」である。責任逃れを許さぬ透明性が必要だ。
 とにかく行政機関の文書については、でたらめがまかり通っている。学校法人「森友学園」問題での財務省の決裁文書ではおびただしい改ざんがあった。「加計学園」問題では、「総理のご意向」と書かれた文書は怪文書扱いされた。自衛隊では国連平和維持活動(PKO)での「戦闘」の文字のある日報を大臣に報告しなかった。隠蔽(いんぺい)である。
 大きな社会問題化したため、政府は再発防止策をまとめた。公文書の改ざんや組織的な破棄など悪質な例は、免職を含む懲戒処分を科す。決裁文書の事後修正は認めない。修正が必要な場合は、新たな決裁を取り直すことを明文化した。いずれも当然のことだ。
 また、職員研修をし、公文書管理への取り組みを人事評価に反映する。監視体制の強化としては内閣府の独立公文書管理監を局長級に格上げし、全府省庁の管理状況を常時監視させるともいう。各府省庁にも「公文書監理官」を新設し、同時に不正行為の通報窓口も担う−などという内容だ。
 だが、この防止策は効果的だろうか。大いに疑問を持つ。なぜなら、懲戒処分を恐れて、公務員はあえて公文書としない方向に走る恐れがあるからだ。「大事なことは口頭で」などという慣例ができるかもしれない。
 公文書とは公務員が職務上作成した文書をいう。また組織的に用い、行政機関が保有しているものでもある。ただ、公務員の判断により、組織的に用いても、私的メモ扱いの文書もある。法に照らせば、政策決定にかかわる私的メモはむろん行政文書にあたり、本来は原則公開すべきなのだ。
 しかし、行政機関は私的メモが「公式のものでない」と独善的な解釈をして廃棄も可能としている。何が公文書なのか、まず定義の徹底をすべきではないのか。
 そもそも公文書は行政機関の意思決定のプロセスを後に国民が検証できるようにする意義がある。公文書管理法も「現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」ためと記す。民主主義の基盤なのだ。
 その精神を公務員が胸に刻まない限り、国民の存在を忘れ、文書隠しや公開拒否など論外の行動が横行する。


サマータイム 「五輪のため」という傲慢
 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会が夏場に標準時を早めるサマータイムの導入を政府に要請した。暑さ対策が狙いというが、国民生活への深刻な影響をどれほど考慮したのか。
 夏の日照時間を有効に活用するのがサマータイムの本来の狙いである。欧米などでは七十カ国が採用しているが、欧州連合(EU)は今夏、加盟国の要請を受けて廃止の是非の検討を始めている。
 いったん採用しながら廃止した国も多い。ロシア、中国、インド、韓国、そして日本もだ。
 日本では戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の指示で四シーズン導入したものの、労働者や主婦の過労につながり、国民生活の実情に合わないとして廃止された経緯がある。
 その後も経済界などの要望でたびたび検討された。しかし、節電などの省エネや余暇増大による経済効果よりも、生産性の低下やシステム変更に伴う負担など弊害の方が大きすぎると結論づけられてきた。
 経済性の議論以上に問題なのが国民の健康への影響だ。夏時間への切り替え時に睡眠や心臓などへの悪影響が深刻との研究結果が国内外の学会から出ている。
 今回の要請はいかにも唐突だ。大会組織委の森喜朗会長は、現在より二時間、時計の針を進める夏時間の導入を安倍晋三首相に要請。首相は、その是非を検討するよう自民党に指示した。
 だが大会まで二年に迫ったタイミングである。今夏の猛烈な暑さに驚き、慌てて思い付いたかの印象だ。「五輪のため、国家の一大事業のため国民は受け入れるべきだ」といった傲慢(ごうまん)さえ感じてしまう。
 暑さ対策ならば、マラソンなどの競技時間を涼しい時間帯に移せばいいだけのことだ。組織委が真にアスリートファースト(競技者優先)の精神に立つならば、開催時期を真夏からずらすのが筋だ。
 しかし、開催時期は招致段階から決まっており、ずらすつもりはない。その揚げ句、国全体の時間をずらすサマータイムの導入というのは、ご都合主義も甚だしい。
 もちろん、サマータイムには是非論がある。だが長所と短所、しっかりと測った調査も議論もなされた形跡はない。
 これほどに日常生活に密接なことを実行しようというのなら、国民大多数の賛同なしには成功のしようがないだろう。


米紙が一斉社説 権力監視の意義訴えた
 米国メディアの危機感が伝わってくる。
 全米の大小350を超える新聞が一斉に「記者は敵ではない」という趣旨の社説を掲載した。
 トランプ大統領が自身を批判するメディアを「国民の敵」と決めつけ、執拗(しつよう)に「フェイク(偽)ニュースだ」と攻撃を続けていることへの反論である。
 新聞によって内容に違いがあるが、いずれも言論の自由の必要性を強く訴え、国民の支持を呼びかけている。
 言論の自由が民主主義社会に不可欠であることは言うまでもない。メディアは国民に事実を伝え、権力を監視する。そうでなければ権力の暴走を許してしまう。
 トランプ氏は自身の正当化に腐心するのではなく、批判を真摯(しんし)に受け止め、政権運営に当たらねばならない。
 社説の掲載は東部ボストンの有力紙ボストン・グローブが呼びかけた。
 同紙は「われわれの自由は報道の自由に支えられている」と米独立宣言起草者の1人、ジェファーソンの言葉を紹介している。
 建国以来、米国で報道の自由がいかに大切なものと位置付けられてきたかがよく分かる。
 驚くのは、その社説で紹介されている最近の世論調査の数字である。共和党員の48%がトランプ氏の「メディアは国民の敵」との見方を支持しているというのだ。
 「うそも百回言えば真実になる」との例えもある。危うい兆候と言わざるを得ない。
 トランプ氏は今回の一斉社説に対しても「フェイクニュースのメディアは野党だ。われわれの偉大な国にとってとても良くない」などとツイッターで反論した。
 民主主義国のトップと思えぬ偏狭な発言だ。メディアや野党という批判勢力の存在しない独裁体制でも目指すつもりなのだろうか。
 米国でメディアを取り巻く状況は厳しさを増す。
 米東部では6月、地方紙の事務所に散弾銃を持った男が押し入り、編集者ら5人が死亡し、2人が負傷する事件が起きた。報道内容への不満が原因という。
 経営難で地方紙の廃刊が相次ぎ、行政を監視する目が届いていないとの指摘が聞かれる。
 日本でも麻生太郎財務相が「新聞読まない人は全部自民党(支持)だ」と述べるなど、政権からはメディアの役割に無理解な発言が相次ぐ。批判的な報道にも謙虚に耳を傾けるべきだ。


福島原発浄化水  「残留物」の徹底点検を
 政府や東京電力への不信感がまたしても増幅しかねない。
 福島第1原発で汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水に、法令基準を上回るヨウ素129など他の放射性物質が残留していることが分かった。
 政府は、トリチウムは人体への影響が小さいなどとして、希釈して海洋放出する処分を有力な選択肢としている。東電もこれまで「トリチウム以外は除去できている」と強調してきた。残留する放射性物質があるなら、海洋放出の前提に疑問符がついたことになる。
 希釈により残留する放射性物質も基準値以下に薄まるとみられるが、風評被害を懸念する地元漁業者は簡単に納得できないだろう。
 本当に害はないのか、安全性をどう担保するか。これまで以上に丁寧な説明が必要だ。
 東電によると、残留していたヨウ素129は半減期が約1570万年で、1リットル当たり最大62・2ベクレル(基準は同9ベクレル)検出された。
 福島第1原発では事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)を冷やすための注水を続けており、デブリに触れた水が増加している。浄化水は現時点で約92万トン、タンクは約680基に達し、あと2〜3年で保管する敷地がなくなるという。
 トリチウムは他の原発では薄めて海に放出しているが、福島第1原発では風評被害を考慮してタンクに保管している。
 政府は、これらのタンクを撤去し、原発内にある使用済み核燃料を保管する設備やデブリ取り出しの作業エリアを設ける予定で、浄化水の海洋放出や地下埋設など五つの案からの絞り込みに向けた議論を続けている。月末には地元などで公聴会も開くというが、理解を得るのは簡単ではなかろう。
 大きな問題として、これまでトリチウム以外の放射性物質の存在がほとんど知らされていなかったことがある。トリチウム以外は除去できているはずの水に、なぜ放射性物質が残っていたのか。納得できる根拠を示してほしい。
 過去には、除去装置の性能が安定していなかった時期もあり、現在より放射性物質の濃度が高かった可能性もあるとみられる。しかし東電は、約680あるタンクごとの濃度は「調べていない」としている。風評被害を避けるには、徹底した点検が必要ではないか。
 地元の理解が得られないまま海洋放出などの処分を進めるべきではない。廃炉に向けた今後の作業を円滑に進めるためにも、誠意ある慎重な対応が不可欠だ。


福島原発の浄化汚染水 再除去など対応丁寧に
 福島第1原発で汚染水を浄化した水に、トリチウム以外にも複数の放射性物質が除去しきれないまま残留していることが分かった。「トリチウム以外は除去できている」と、東京電力は繰り返し強調していた。だが実際は、半減期が約1570万年のヨウ素129も残留。排水の法令基準値を上回っていたというから驚くほかない。
 たまり続けるトリチウム水について、政府や東電は海洋放出を含めた処分方法の議論を本格化させている。トリチウムは人体への影響は比較的小さいというが、他の放射性物質の残留が判明したからには議論はいったん留保せねばなるまい。
 風評被害を懸念する漁業関係者らにはもちろん、国民にも丁寧な説明が欠かせない。
 東電によると、2017年度に汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化した後に測定したところ、残留が判明したという。検出されたヨウ素129は1リットル当たり最大62・2ベクレル。法令基準値は同9ベクレルであり、大きく上回るレベルである。
 他にも、基準値を下回るものの、半減期約370日のルテニウム106を最大92・5ベクレル、約21万1千年のテクネチウム99を最大59・0ベクレル検出したという。これほど放射性物質が残留していたことは、信頼を損ねる重大な事態と認識せねばならない。
 現在、約680基のタンクにトリチウム水約92万トンが保管されている。タンクごとの放射性物質濃度について東電は「調べていない」というが、早急な調査が求められる。
 常に基準値を下回るまで除去するには、ALPSを頻繁に停止させ、フィルターなどを交換する必要があるそうだ。
 東電は「稼働率を維持し、汚染水のリスクを効率的に低減させることを優先するのが現在の方針」と説明する。調査や再度の浄化を明言しないのは、不誠実と言わざるを得ない。
 東電や政府はトリチウム水の処分方法の検討を急いでいる。保管量が限界に近い上、敷地内にタンクが増え、廃炉作業に影響しかねないためとしている。
 溶け落ちた核燃料(デブリ)取り出しの作業スペースを確保するため、タンクを将来撤去する方針を政府の小委員会は先月了承した。今後、処分方法の絞り込みを加速させるようだ。今月末、福島と東京で開く公聴会もその一環だろうが、いたずらに急ぐことは許されない。
 基準値以下に薄めて海に放出することが有力視される。原子力規制委員会の更田豊志委員長は「唯一の方法」と言う。
 実際、他の原発ではトリチウム水を海洋放出している。希釈すれば残留している他の放射性物質も薄まるに違いないが、タンクごとの放射性物質の濃度が把握できていない現状では基準値以下になるかは分からない。
 それでなくとも福島原発の汚染水を処理した水を海洋放出するとなれば、風評被害を招く恐れがある。そこへ、放射性物質の残留という新事実が明るみに出た。漁業関係者のみならず、国民や国際社会の不信感が募るのは間違いあるまい。
 残留する放射性物質について東電は「フィルターを新しくすれば除去できる。処分方法が決まれば対応する」というが再浄化が先ではないか。処分方法はその上で慎重に検討すべきだ。


福島の汚染水 情報隠す愚を自覚せよ
 国民の意見を聞く公聴会を前に、見過ごせない事実が判明した。
 東京電力福島第1原発のタンクにたまる汚染水に、トリチウム以外の放射性物質が残っていた。一部の濃度は排水の法令基準値を上回っている。
 多核種除去設備(ALPS)により「トリチウム以外は除去できている」としてきた従来の東電の説明と食い違う。
 意図的に伏せていたのではないのか。これまでも東電は再三、都合の悪い情報を隠し、福島県民らの不信を強めてきた。その愚を自覚すべきだ。
 第1原発では山側から地下水が原子炉建屋地下に流れ込み、汚染水が増え続けている。東電はALPSでの処理後、貯水タンクで保管するものの、タンクの数は680基、貯蔵量で90万トン超に上っており、あと2、3年で限界を迎えるとみられている。
 処理後は人体への影響が小さいトリチウムだけが残るとされてきた。ところが、東電による昨年度の測定で、半減期が約1570万年のヨウ素129をはじめ複数の放射性物質が検出された。
 増加する汚染水が廃炉作業の妨げになるとし、政府は2013年から処分法を探ってきた。現在は小委員会が風評被害対策と合わせて検討している。
 政府も東電もトリチウムを希釈して海に放出する構えでいる。福島の漁業関係者はこれに反発。原発事故で操業停止に追い込まれ、苦心しながら試験操業を重ねてきただけに当然だ。
 汚染水処分に理解を求めるにしても、情報を全て開示して話し合うことが前提になる。処分法について東電は「政府の判断を待ちたい」と言を左右にするばかりか、680基のタンクごとに含まれる放射性物質の濃度も調べていないという。あまりに無責任だ。
 有識者らでつくる原子力市民委員会は、汚染水を長期保管し放射線量の低下を待って処分法を考えるべきだと提言する。専門家の見方もさまざまで、海洋放出ありきの道ならしは認められない。
 小委員会は今月30〜31日、福島県と東京都で処分法を巡る公聴会を開く。海洋放出の利点を示すだけでなく、残留する放射性物質への対処など課題を丁寧に説明しなければならない。
 第1原発では汚染水の増加を抑えるため、井戸で地下水をくみ上げて海に流す対策が続く。放流水に含まれる放射性物質や濃度に問題はないか、再度の精査と報告を東電に求める。


【原発賠償見直し】責任を放棄するに等しい
 原発事故に備えて電力会社が事前に用意する賠償資金(賠償措置額)について、政府は焦点だった引き上げを見送る方針を決めた。
 福島第1原発事故で発生した賠償金は既に8兆円を超えているが、原子力損害賠償法に基づく現行の措置額は最大1200億円だ。あまりに少なく、原子力委員会の専門部会で見直しを論議していた。
 専門家からも引き上げを求める声が相次いだが、専門部会の報告書案は「引き続き慎重な検討が必要」との表現にとどまった。
 政府や電力会社は原発の再稼働や新設を進めているが、このままでは過酷な事故に対応できないのは明らかだ。引き上げの見送りは責任放棄に等しく、決着に向け議論を急ぐよう求める。
 専門部会は2015年に設置された。福島第1原発事故は未曽有の被害となり、制度の見直しが必至と判断されたからだ。
 論議では、措置額引き上げと、電力会社の賠償責任に上限を設けない「無限責任」を維持するかどうかなどが焦点になった。無限責任については電力会社側が「有限責任」への変更を強く求めたが、報告書案は無限が「妥当」と結論付けた。
 当然である。有限になれば、限度を超えた分は国が税金を使って補償することになりかねない。電力会社の事故防止策がおろそかになる恐れもある。
 無限責任を実現するためにも措置額は重要だ。福島第1原発事故は現行制度でまかないきれない賠償額になった。政府は東電を事実上国有化し、東電が返済することを前提に資金を支援する制度を設けた。
 この時、国会が求めたのが措置額など賠償制度の見直しだった。引き上げの先送りは、福島事故の教訓を否定することにもならないか。
 措置額は電力会社が民間保険との契約や政府との補償契約によって実現している。引き上げれば保険料負担などが増えるため、電力会社側は国費投入を訴えてきた。
 政府はこれに最後まで応じず、折り合わなかった。賠償資金は電力会社が確保するのが筋だ。政府の姿勢は当然といえる。一方で、結論を見送ったことには政府の電力会社への配慮もにじむ。
 裏を返せば、原発は電力会社だけでは負いきれない高リスクの事業であることを示している。それでも責任をもってやる覚悟がないのなら、原発から撤退するしかない。
 政府は先月改定したエネルギー基本計画で原発の発電割合を20〜22%に据え置いた。政策として主要な電源に位置付ける以上、政府の責任も重い。
 報告書案は、福島事故の被災者への賠償金支払いに時間がかかったことを踏まえ、政府による仮払いの枠組みづくりも求めた。
 備えへの課題は多い。政府は論議の結果を踏まえた原賠法改正案を秋の臨時国会に提出する方針だ。国会にも強い覚悟が求められる。


[福島汚染水浄化] 残留状況丁寧に説明を
 東京電力福島第1原発の汚染水浄化後の水に、トリチウム以外の複数の放射性物質が除去しきれずに残っていることがわかった。
 一部の測定結果は排水の法令基準値を上回っており、放射性物質の量が半分になる半減期が約1570万年の長寿命のものも含まれていた。
 これまで東電は多核種除去設備(ALPS)で「トリチウム以外は除去できている」と繰り返し強調。国と東電はトリチウム水の海洋放出の意向を示してきた。
 トリチウム以外の放射性物質の存在については政府の小委員会でもほとんど議論されておらず、東電が国民に隠していたと疑われても仕方あるまい。
 今月末には浄化後の水の処分について国が福島県などで公聴会を開く。残留物質のデータや処分による環境への影響について、風評被害を懸念する地元漁業者をはじめ国民に丁寧に説明するべきだ。
 東電によると、2017年度に汚染水をALPSで浄化した後に測定した結果、半減期が約1570万年のヨウ素129が、法令基準値の1リットル当たり9ベクレルを超える最大62.2ベクレル検出された。ほかに、半減期約370日のルテニウム106、約21万1000年のテクネチウム99も含んでいた。
 第1原発ではトリチウム水がたまり続け、8月時点で約92万トンに上る。増え続ける水の処分が喫緊の課題であることは確かだ。
 政府の作業部会は海洋放出や地層注入など五つの選択肢を整理し、海洋放出や大気放出は社会的影響が続く期間が比較的短いなどの利点を示してきた。
 国内外の原子力施設で大量のトリチウムが排出されている実績を示したり、政府の小委員会が燃料デブリの取り出し作業スペースなどを確保するためトリチウム水のタンクを除去する必要性を明示したりと、海洋放出ありきの論議が進んできたと言わざるを得ない。
 海洋放出の場合、トリチウムの濃度が基準値の1リットル当たり6万ベクレルを下回るようにタンクの水を薄めて処分する方法が想定される。
 だが、信じがたいことに、東電は約680基のタンクごとの放射性物質の濃度を「調べていない」という。濃度がはっきりしなければ、たとえ薄めても、トリチウムを含む全ての放射性物質が基準値を下回るかどうかは分からない。これでは地元は安心できまい。
 東電は福島原発の過酷事故に始まり、放射性物質を含んだ雨水の垂れ流しなど、何度も地元を裏切る行為があった。廃炉に向けた作業は信頼の醸成が最優先であることを忘れてはならない。


沖縄世論 分析続ける自民
 ★沖縄県知事・翁長雄志の死去に伴い後継知事候補が取りざたされているが、沖縄県知事選(9月13日告示、同30日投開票)を前に動きがあった。自由党幹事長・玉城デニー衆院議員(沖縄3区)が出馬を検討しているという。背景には翁長が8日に死去する前、後継者として県内小売り・建設業大手「金秀グループ」会長・呉屋守将と玉城の名前を挙げた音声を残していたという。 ★県内野党である自民党は、翁長を押し上げ支えてきたオール沖縄が誰を後継者に据えるかにより、選挙の戦術も変わってくる。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非が再度、選挙の争点になることも考えられる。今月初め頃、自民党本部が後継候補の可能性がある副知事・謝花喜一郎と、自民党候補となった宜野湾市長・佐喜真淳、出馬表明していた元沖縄観光コンベンションビューロー会長・安里繁信(既に出馬撤回)で独自に世論調査。謝花が佐喜真を圧倒的にリードしていた。そんな県内世論を背景に、官邸も知事選終了まで、辺野古沿岸部への土砂投入を考えていないようだ。「これは公明党対策だろう。土砂投入を急ぐと、公明党の選挙協力が得られなくなるためだ」(地元関係者)。 ★加えて官邸は、翁長死去ショックで県民大会や辺野古撤回の盛り上がりが9月終わりの知事選まで続くのか、県民が冷静になるのか、分析をしている。「玉城は県内での人気は高く、知名度は抜群だが、迫力に欠ける。その弱点を含めて、自由党代表・小沢一郎が野党をまとめてどう形に据えてくるかだ。翁長の弔い選挙だけでなく、オール沖縄が場合によってはより強固になる場合があるし、来年の参院選を考えると、今年最大の選挙になるのではないか」(自民党関係者)。自民党総裁選どころではなくなってきた。

総裁選の争点に 石破氏の秘策は「加計問題」と「脱原発」
 自民党総裁選まで1カ月。安倍首相は19日もゴルフを満喫。記者団に「(調子は)安定しています」と余裕の表情を浮かべ、対抗馬の石破茂元幹事長のことなどまるで眼中にない様子だった。だが、石破氏周辺では安倍首相を震え上がらせる2つの秘策がささやかれている。ズバリ「加計問題」と「脱原発」だ。
「全く問題がないというなら、ふさわしい対応を取るべきだ」――。
 16日に放送されたBS日テレ「深層NEWS」に出演した石破氏。〈石破茂総裁選への決意 劣勢はね返す一手とは “包囲網”をどう破る〉と題した番組で、石破氏が「一手」として挙げたのが加計問題への対応だった。
 どうやら石破氏は、総裁選で加計問題を正面から取り上げるつもりらしい。世論調査では、今も森友問題や加計問題について「(安倍首相が)説明責任を果たしていない」との回答が約7割に上る。そこで石破氏は、自分が総理大臣になったら、野党が求める加計理事長の国会招致にも応じる、との考えを示したのだ。
「実は野党に限らず、逃げ回っている加計理事長に説明を求める自民党議員は少なくありません。皆、地元に帰ると、支持者から『加計理事長は説明すべきだ』と突き上げられていますからね。安倍さんの批判ではなく、国民が疑念を持つ問題の真相解明をしたい、ということであれば、党内の理解も得やすい。石破サイドは、地方票(党員・党友票)を集められると計算しているのでしょう」(自民党中堅国会議員)
 もう一つは「脱原発」だ。石破氏は27日発売の「週刊プレイボーイ」(集英社)で、元経産官僚の古賀茂明氏と対談し、日本のエネルギー政策や将来の原発の方向性について意見が一致したという。古賀氏自身がツイッターで、対談したことを明かしている。石破氏は出馬会見で「安心・安全を最大限に確保しながら、原発の割合を減らしていくことが必要」と話していた。原発もやはり世論の関心が高い政策だ。「脱原発」を打ち出すことができれば、国民の人気が高い小泉元首相、進次郎親子の応援を得られるのは間違いない。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。
「石破さんはこれまで選挙応援で全国を行脚し、自民党に対する風当たりの強さ、世論の厳しさを肌感覚で感じています。恐らく、“加計疑惑の解明”も“脱原発”も有権者のリクエストが多いのでしょう。地方の切実な声を熟知しているからこそ、世論の関心が高い問題を集中的に取り上げ、地方の党員、議員の心理を動かしたいと考えているのだと思います」
 世論を喚起し、総裁選への注目が高まれば、安倍首相も石破氏との「公開討論」を無視できなくなる。果たして、石破氏は「モリカケ」「原発」を争点にできるか。[


石破茂が安倍応援団メディアを敢然と批判!「メディアと権力の一体化は怖い」「意見を言ったら出世できない構造が」
 安倍首相の総裁選に向けた運動が激化している。公務そっちのけで地方議員との面談に精を出し、休暇中も総理経験者らとのゴルフ・会食にフル回転。昨日には、山梨の別荘からわざわざ都内で開かれた日本会議地方議員連盟の結成10周年を記念したイベント「アジア地方議員フォーラム日本大会」に駆け付け、挨拶を済ませると再び別荘に戻っている。
 そうした“売り込み”活動の一方で激しさを増しているのが、対抗馬である石破茂・自民党元幹事長への“恫喝”だ。
 安倍陣営は「人事で徹底的に干す」と脅すことで石破派の切り崩しに必死で、本サイトでも伝えてきたように、政府機関である内閣情報調査室を私物化して動かし、石破氏の動向を調査。16日放送『報道ステーション』(テレビ朝日)によると、安倍陣営は地方での石破氏の講演会にまで「石破を呼ぶな」と圧力をかけては潰しているのだという。
 さらに、目に余るのは、御用メディアや安倍応援団たちの“石破バッシング”だ。たとえば、産経新聞は昨日朝刊1面で今月15日に笹川陽平・日本財団会長の別荘でおこなわれた森喜朗、小泉純一郎、麻生太郎という総理経験者たちと安倍首相の会食の“裏話”を掲載。会食時に細川護熙連立政権の話となり、離党者が相次いだことを森と小泉が振り返ったといい、記事はそのときの離党者のひとりが石破氏であると言及。その上で、麻生が呟いたという「そういう苦しい時こそ人間性がわかるんですよ」という言葉で締められている。
 差別的な暴言を吐きつづけている麻生に他人の「人間性」をとやかく言う資格などどこにもないのだが、そもそも安倍首相はここまで露骨な総裁選の運動を展開しておいて、いまだに出馬表明はしていない。これは石破氏との討論を避けるために逃げているとしか思えないが、そんな姑息な人間を棚に上げて、石破氏の「人間性」に問題があると暗に仄めかす記事を1面トップで掲載するのだから、産経はいいかげん「安倍日報」に名前を変えたほうがいいだろう。
 だが、このようなあからさまな嫌がらせを受けている石破氏は、積極的にメディアに出演。本日も、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)に出演し、安倍首相に対する批判をおこなったのだが、これがネット上で反響を呼んでいる。
 たとえば、前述した産経の報道について曜日レギュラーコメンテーターのジャーナリスト・青木理氏が触れ、「僕はある種、異様な記事だなと思った」と言うと、石破氏はこう述べた。
「メディアと権力って一定の距離を置いてきたはずなんですね。どちら寄りということはもちろんあるにしても、どちらかの代弁人ではなかったと思っている。私はメディアと権力が一体となっているときってすごく怖いと思っています。それは民主主義のためにはあってはいけないこと」
「メディアのなかでもたぶん、いろんな意見はあるんでしょう。ただ、いろんな意見を言ったらば、同じようにね、『君、出世させないよ』とか、そういうことがあるとすれば、メディアのなかでも同じような構造が起こりつつあるのかもしれないなと」
 石破氏が述べた「同じようにね」というのは、総裁選において安倍陣営が「人事で干す」と恫喝していることを指しているのだろう。つまり、安倍政権がメディアの報道に介入し忖度を強いてきたことは民主主義に反する行為であり、いまではその構造がメディア内部にも浸透してしまったのではないか。そう石破氏は指摘するのだ。
騙しの手口で改憲を急ぐ安倍首相に対し、改憲プロセスの重要性を語る石破茂
 さらに石破氏は、「日本の設計図そのものを変えていかないと国が次の時代に存続できない」「そのときに『政府の言っていることって信頼できるよね』と思ってもらえなかったら、設計図の書き換えなんてできない」と言及。森友の公文書改ざん問題しかり、政策論以前に安倍政権には信頼性がないということを突きつけたのだ。
 メディアと権力が一体化することは絶対にあってはならないこと、国民の信頼を裏切る政権に政策論はできない──。石破氏が言っていることは、ごくごく当たり前、基本のキの話でしかない。それは改憲の問題にしても同じだ。
 石破氏はよく知られているように改憲論者であり、交戦権の否認を謳う9条2項の削除を訴えている。こうした石破氏の主張は「戦争できる国づくり」の第一歩でしかないが、一方で安倍首相が訴えている「1・2項はそのまま、3項で自衛隊を明記する」という3項加憲案は、一見ソフトに見えてじつは2項の戦力の不保持と交戦権の否認を空文化しようとする危険なものだ。ようするに、安倍首相は2項削除では反発を受けて改憲ができないと踏み、3項加憲という国民に危険を悟らせない騙しの手口で自分の任期中の改憲を急ごうとしているだけなのだ。
 きょうの番組でも、安倍首相が秋の臨時国会でこの9条加憲案を提出する姿勢を見せていることについて石破氏は、9条改憲は「日本国憲法の3大原理・平和主義に関わること」だと強調した上で、改憲にいたるプロセスの重要性を語った。
「賛成・反対は別としてですよ、きちんと説明する義務があるんじゃないですか。その上で判断していただく義務があるんじゃないですか。努力もしないで『どうせ通らない』『どうせダメだ』『政治は結果だ』、私はやっちゃいけないことだと思っています。一生懸命説明して、それでも理解が得られなかったら、仕方がないですよ。その努力をしないままに『どうせわからないから』というやり方は、私はとらない」
石破茂が安倍首相「読売新聞読んでください」発言に激怒!そんなの議論じゃない
「去年の憲法記念日に総理がビデオメッセージで(9条3項加憲案を)おっしゃった。『どういうことですか』と訊いた人に、総理は『それは新聞読んでください』とおっしゃった。みんながその新聞読んでるわけじゃないんです。ほかの新聞読んでる人もいっぱいいるんです。そんな言い方ってありますか! 何度も何度も『総理は自分の言葉で説明してください』『新聞読んでくれじゃなくて自民党の議員の前で説明してください』とお願いしました。1度もやってくれない」
「議論というのは、Aはこう言い、Bはこう言い、Cはこう言う、その意見をたたかわせるのが議論です。みんなが言いっ放しで『はい、みなさん意見言いましたね。終わりましたね』と、それを議論とは言わない」
「みんながいろんな意見を言いました。意見が異なっています。じゃあ、そこで公論をかわす。『あなたのそこはおかしいでしょ』『いえ、おかしくないです』と、それが議論です。みんなが意見を開陳しましたというのは意見表明であって、議論とは言わないです」
 国民に改憲の内容や意味をしっかり説明する義務を果たし、それでも理解が得られないなら、議論を交わす。──石破氏が訴えていることは、やはり当たり前の話だ。だが、このごくごく当然の主張が「きちんと」しているように見えるのは、それだけ安倍政権による反知性、国民無視、強権的姿勢に慣らされてしまった結果だと言えるだろう。改憲の姿勢にしても、コメンテーターの玉川徹氏は「僕と考え方は違うのかもしれないけど、少なくとも石破さん、姑息じゃない」と言っていたが、まさにその通りで、安倍首相のように国民を騙そうとはしていない。
 いや、それどころか、石破氏が質問を受けて意見を答える、ただそれだけのことが、「会話が成立している」としてネット上では評価に繋がっている。質問をはぐらかしたり、意味のわからないたとえ話をはじめたり、訊かれていないことを答えたり、「まさに」「ですから」「いわば」というフレーズを空疎に繰り返すなど、中身のない“安倍論法”を聴かされつづけてきた側としては、会話が成り立っているというだけで「ずっとマシ」だと思えてしまうのだ。
石破茂「誰もここでものを言わなかったら民主主義はどうなるんですか」
 番組では、司会の羽鳥慎一が「たいへん厳しい状況だと言われていますが、それでも(総裁選に)出るというのは、どういうお気持ちなんですか?」と質問すると、石破氏は「出なきゃいけないからです」と即答。羽鳥が「なんでですか?」と畳みかけると、こう答えた。
「誰もここでものを言わなかったら、どうなるんですか? ほんと、どうなるんですか? 国民がそう思っていて、党内にもそういう意見があって、誰もそれを言わなかったら、民主主義ってどうなるんですか?」
 石破氏は「そういう」「それ」とぼかしているが、ここで石破氏が言っているのは「安倍首相のやり方はおかしい」ということだ。普通に考えれば、友だちへの優遇や公文書の改ざん、自衛隊日報の隠蔽などが発覚してもなお3選を目指していること自体が異常であって、この石破氏の危機感は極めて真っ当だろう。
 だが、問題は、この「安倍首相のやり方はおかしい」という当たり前の指摘、「安倍首相のままでいいのか」という危機感を、メディアは伝えようとしないということだ。きょうのこの『モーニングショー』にしても、石破氏を迎えたコーナーでは冒頭から「総裁選のキーマンは小泉進次郎・筆頭副幹事長」だとして、羽鳥と細川隆三・テレ朝政治部デスクが「最近、(進次氏と)連絡は取れているんですか?」などと何度も質問。言うまでもなく総裁選なのだから、重要なテーマは安倍首相の政策や政治姿勢に対する石破氏の意見なのに、番組は昨日出演した田崎史郎氏が主張した「(進次氏は)安倍総理支持」「何でも自分一人でやろうとする石破氏に総理が務まるのか支持にためらいがある」などという安倍陣営に寄った情報を石破氏にぶつけるなど、かなりの時間を進次氏の話題に費やしたのだ。
 石破氏による当たり前の主張が真っ当に見えてしまう原因は、こうしたメディアの安倍政権への忖度と、なんでも「政局」に置き換える報道にもあるのだろう。


石破茂はこのまま永田町から追放されるのかもしれない 残酷だが、これが政界の現実
波乱は起こるかもしれない。だが、このまま一騎打ちになるのだとすれば、安倍は「一強」に歯向かおうとするこの男を、完膚なきまでに潰したいと考えている。反乱者に待ち受ける代償とは何か?
「陰のドン」の余裕
8月1日午前10時、平河町・砂防会館。黒のクラウンから姿を見せた男の表情には、余裕が漂う。
――週刊現代ですが、石破さんへの支持は?
「えっ?いや、なんにも、なんにもそういうことはね……」
かすかに口元をほころばせた男は、総裁選に向け、本格的に動き出した。
青木幹雄、84歳。政界引退後もなお、毎週水曜日、砂防会館別館2階にある事務所への「出勤」を続けている。
麻雀卓のおかれた部屋で、自民党参院幹事長の吉田博美を通じて「指示」を出す。いわずと知れた、竹下派と自民党参議院の牘△離疋鶚瓩任△襦
'07年の参議院選挙で歴史的大敗を喫し、参議院議長の座を逃した。時は第1次安倍政権。自分の顔に泥を塗った安倍を、ドンは信用していない。
青木は、参議院のみならず竹下派全体で、石破支持に動こうとしている。石破にとって、今は青木の支援だけが頼りだ。
ちょうど同じ時間、本誌記者は、石破茂と議員会館で向き合っていた。
――安倍総理の3選が有力で、石破さんは劣勢だと報じられている。
「そうですね。でも自分を振り返っても、中選挙区時代は『劣勢』とか『落選』とさんざん言われていた。'90年の選挙は消費税の是非を問う総選挙でしたが、私は『消費税は絶対に必要だ』と言って出馬して、落選確実だと言われました。
でもトップ当選だった。選挙は、自分で努力しなきゃ駄目ですし、最後の最後までわからないんですよ」
――安倍総理の多数派工作を前に、石破さんだって、安倍さんに歯向かえば「干される」でしょう。
「『干してやる』とか『今ごろ遅い』とか、官邸や自民党の主流派幹部が言っているという。
私が知っている自民党は、同志に対してそんなことを決して言いませんでした。それじゃまるでパワハラです。選挙民が選んだ国会議員に対して、あまりにも傲慢で不遜だと思う」
――安倍政権に問題があると思う議員は多いが、みんな怖がっている。
「やはりみんな選挙区の期待があるから、取り立ててもらいたいでしょうし、選挙でも比例の上位に入りたいと思う。不遇を恐れれば萎縮するでしょう。自由闊達に、勇気をもって議論する風潮が、失われつつあると感じています」
石破の言うとおり、安倍はあの手この手で、石破包囲網を作り上げようとしている。安倍は側近議員にこう話している。
「石破が総裁選で3割以上の票を取ることは、なんとしても阻止したいんだ。8割から9割を自分がとって、二度と石破が立ち上がれないようにする。小泉(純一郎)さん流に言えば、『石破をぶっ潰す』だよ!」
石破と安倍の遺恨は、ちょうど11年前にはじまる。'07年8月、第1次安倍政権の末期に、真っ先に「安倍おろし」ののろしを上げたのが、石破茂だった。安倍は先の側近議員にこう漏らしている。
「参院選の大敗時に、石破が『辞めるべきだ』なんて言い出して、後ろから鉄砲を撃たれた。石破だけは絶対に許さない」
安倍は絶対に許さない
当時の自民党代議士会でも、安倍の目の前で石破はこう発言している。
「首相は『反省すべきは反省する』と言ったが、何を反省し何をどう改めるのか、はっきりさせるべきだ!」
結果的に、安倍は体調不良で総理の座を投げ出した。安倍にとって、石破は一貫して憎悪の対象だ。この1年間、モリカケ問題で石破が自分を批判し続けてきたことも、「後ろから鉄砲を撃つ」ことの再来なのだ。
「石破をぶっ潰す」ために、安倍はなりふり構わない。とりわけ、地方票対策だ。
'12年の総裁選では、地方票300票のうち、石破165票、安倍87票。36都道府県で石破に負けている。
そこで安倍は、4月20日の山口県議を皮切りに、8月1日の浜松市議にいたるまで、16都道府県の地方議員と連続で面会。さらに4月から大阪府、北海道、滋賀県、埼玉県と地方を月1回訪問、地方県連の幹部たちと直接相対している。
地方議員が宴会をやっていると聞けば、側近議員を訪問させ、酒を差し入れさせるなど、その行動は用意周到である。
石破派の代議士・後藤田正純は顔をしかめる。
「官邸の露骨な切り崩しはあるよね。6月24日に、無派閥の愛知治郎参議院議員(宮城県選出)のパーティーに石破さんと俺が出席したときも、その話を官邸が事前に聞きつけ、わざわざ10日ほど前に総理が自民党宮城県議団と官邸で面会したんだ」
石破とて、手をこまねいているわけではない。
――地方をまわっていての感触は?
「昨日も兵庫に行ったんですが、新幹線に乗っていても話しかけられることがとても多くなりました。なにかおかしいんじゃないか、っていう思いは国民の中にもあるんじゃないでしょうか」
とはいえ、地方票をどう制したとしても、議員票での闘いは、限りなく厳しい。細田・麻生・二階の3派に加え、岸田派も安倍支持を打ち出したからだ。
石破派は草刈り場に
そこで焦点は冒頭の青木幹雄になる。7月25日、青木は参院幹事長の吉田博美に「石破で行け」と指示した。約1週間後の31日に青木と会った派閥会長の竹下も、「安倍に歯止めを掛けるためにも、石破に闘わせたほうがいい」と命じられている。
「派閥内でも安倍シンパの茂木敏充や山口泰明は安倍にまわるが、拘束はしない。だが参議院のみならず竹下派の石破支持は堅い」(竹下派議員)
むろん、青木とて、現段階で石破が勝つとは本気では思っていない。
「青木さんは『本格的に動くのは、総裁選が終わってからだ』と言っています。来年の参院選では自民党の議席減は確実で、野党が統一候補を立ててきたら勝てない。
安倍が3選されても、『支持率が落ちれば、お前を替えるよ』というブラフをかけ続け、参議院竹下派の干し上げを牽制しているわけです」(自民党幹部)
ドンの動きは老獪だ。青木幹雄は岸田派のドン・古賀誠や、石原派のドン・山崎拓とも頻繁に接触している。竹下派に加えて、2派の一部が加われば、勢力図は変わる。
何より、石破に近い小泉進次郎が動くならば、可能性は出る。石破に進次郎のことを訊ねた。
――小泉進次郎さんとは政策的にも協調できるのではないか?
「当選1回の若手だった6年前の進次郎さんと、今の進次郎さんでは立場も違う。私が幹事長時代には青年局長として、どんな離島にも選挙応援に入ってくれた。
そういう積み重ねがあり、当選4回の筆頭副幹事長、中堅幹部になられた。その彼が今の自民党をどう思うのかということでしょう」
進次郎からの支持を待ちわびる声にも聞こえたが、その真意はわからなかった。小泉進次郎は、8月上旬からインドに外遊する。ここで「石破支持」を打ち出せば、状況は一気に変わる。安倍も、「怖いのは進次郎だな」と周囲に語っている。
だが、いま、本気で動きはじめている石破を、安倍は絶対に許さない。それは、安倍自身が衰え始めている自分の力を自覚しているからでもある。政権幹部はこう語る。
「総裁選後、石破についた連中は徹底的に干される。重要ポストは与えない、参議院ならば来年の選挙の第1次公認から外す、といったことだよ。人事は総裁選の論功行賞をもとに行う。そうしないと、安倍さん自身も求心力を保てないだろう」
石破の政治生命は、総裁選で負けるにしても『どれだけの差で負けるか』にかかっている。
地方票で8割をとるようなことがあれば、安倍にダメージを与え、「次の次」の有資格者だ。だが、地方票でも大きく水をあけられてしまえば――。
ある細田派議員は、「石破は安倍さんに『丸焼き』にされるだろう」と言う。
「総裁選後、石破の無役は当然だが、石破派そのものを徹底的に草刈り場にするね。
プライドの高い政策通が多いから、彼らを部会などでも若手議員の下につけて『冷遇』する。『石破派なんかにいてもどうにもならない、こっちに来い』と引き抜きを行えば、石破派は一人ずつ奪われ、派閥としての体をなさなくなる。
来年の参院選では石破派から新人擁立が困難になり、『石破はもう終わった人』というイメージが定着する。事実上の『永田町追放』だよ」
これが残酷な現実となるかどうか、残り1ヵ月半が見逃せない。(文中一部敬称略)


今年も唯一ゴルフ不参加…福田元首相はやっぱり“アベ嫌い”
 よほど安倍首相のことが嫌いなのだろう――。先週16日、森喜朗氏、小泉純一郎氏、麻生太郎氏の総理経験者3人とゴルフを楽しんだ安倍首相。政界関係者が「やっぱり」と納得したのが、総理経験者の福田康夫氏が参加しなかったことだ。<安倍・森・小泉・麻生>の4人は、昨年の夏休みも集まって会食しているが、その時も、福田氏だけ出席しなかった。
 福田元首相は安倍首相を完全に見限っているという。公然と“安倍批判”を始めたのは昨年夏からだ。共同通信のインタビューに応じ、<国家の破滅に近づいている>と痛烈に批判した。「国家の破滅」と口にするのは、よほどのことだ。
 その後も、会見などで何度となく安倍批判をしている。
「現役官僚や自民党議員から安倍政権の実態を伝えられているのでしょう。福田さんは『安倍政権のままでは国が壊れてしまう』と強い危機感を持っているようです。あまり知られていないが、福田さんと石破茂氏は親しい。総裁選に出馬した石破茂氏を側面支援する可能性もあります」(自民党関係者)
 安倍サイドが懸念しているのは、福田氏が皇太子妃・雅子さんの父親、小和田恆元国際司法裁判所所長と極めて親しいことだという。皇太子は来年、即位する。
 小和田恆氏と福田の2人をよく知る政治ジャーナリストの野上忠興氏は次のように言う。野上氏は、福田赳夫政権当時、官房長官番として2人を取材していた。
「康夫さんが福田赳夫首相の秘書官をしていた時、外務省から出向して同じ秘書官を務めていたのが小和田さんでした。年齢が近いこともあって2人はすぐに親しくなった。もう40年近い付き合いです。安倍首相からしたら、皇太子の近くに“反安倍”の康夫さんがいることは気がかりでしょうね」
 “安倍批判”をしている自民党の大物OBは、福田氏だけじゃない。ここまで先輩から強烈に批判されるのは異例だ。


買春4選手はアジア大会追放 アスリートは海外でハメを外す
 開催中のアジア大会(ジャカルタ)で発覚した、男子バスケットボール日本代表の4選手による現地での買春行為。カタール戦で初勝利を挙げた16日の夜に、日本代表公式ウエアを着て歓楽街に繰り出した揚げ句、“客引き”に紹介された飲食店で働く女性を連れ出し、ホテルでコトに及んだ。
 4人は代表認定を取り消され、アジア大会から“追放”。帰国した20日、東京都内で記者会見を開き、佐藤卓磨(23)は「バスケットボールの歴史に傷をつけるようなことをしてしまい、申し訳ない」と謝罪。橋本拓哉(23)は「チームの士気を下げてしまった」と頭を下げた。
 大会前、監督会議で日本選手団の山下泰裕団長が各競技団体を集め、行動規範の順守を口酸っぱく説いた直後だった。前回の仁川大会で日本の競泳選手がカメラを窃盗した事件があっただけに、クギを刺していたという山下団長は「過去の具体的な事例を引用しながら、日本代表の一員としての覚悟・誇りを意識付けてきたつもりだったが、選手に十分伝わっていなかった」とグッタリ。結局、2大会連続で日本選手が不名誉な形で名を残した。
 体力と好奇心だけは有り余っているアスリートが、監視の目が薄れる海外でハメを外す。よくある話で、山下団長が「過去の具体的な事例を引用しながら」と言うのだから、これまでも表に出ていない不祥事がゴマンとあるのだろう。
 プロの世界でも、2015年に侍ジャパンのメンバーだった巨人の坂本勇、中日の大野らが「プレミア12」の遠征先だった台湾のナイトクラブで乱痴気騒ぎ。現地の大手週刊誌(電子版)に動画付きで報じられ、世界に恥をさらした。
 16年にバドミントンの桃田と田児が都内の闇カジノに出入りしていた事件も、きっかけは海外遠征だった。問題発覚の5年前、田児が遠征先の海外でカジノ遊びを覚え、そこからバクチ狂いに。所属先の後輩である桃田と共に国内での違法賭博にも手を出すようになった。
 同じ16年には未成年スノーボード選手2人による大麻使用も発覚。これも米コロラド州での合宿期間中、パーティーで外国人に勧められて使用したものだった。
 今回のアジア大会で、いつまた不祥事が発覚しても不思議ではない。


「名古屋の商店街のパリ祭」超人気のワケ テーマは"ここでしか出会えない店"
名古屋駅から徒歩15分ほど。数年前までシャッター通りだった「円頓寺(えんどうじ)商店街」が奇跡の復活を遂げつつある。立役者は地元名古屋の建築家、市原正人氏。空き店舗の再生やアーケードの改修など、商店街の人たちと協力して、さまざまな手を打った。中でも2013年に初開催した「パリ祭」は新たな名物として根付いている。名古屋の商店街で、どうしてパリなのか。なぜそれが人気になったのか。「奇跡」の一端をお伝えしよう――。
※本稿は、山口あゆみ『名古屋円頓寺商店街の奇跡』(講談社+α新書)の第3章の一部を再編集したものです。
理由は「メンバーにパリ好きが何人かいたから」
円頓寺商店街には昭和31(1956)年に始まった「七夕まつり」があり、今も7月最終週に5日間行われる。この七夕まつりを大事にしながら、もうひとつ別な祭りを円頓寺商店街につくろう。市原たちはそう考えた。それが平成25(2013)年秋に初めて開催した「パリ祭」である。
「新しくイベントをやろうとしたときに、商店街の祭りとしてつくるなら、七夕まつりに匹敵するぐらい、みんなに愛されて、なおかつ続いていくお祭りにしたいと思いました。パリ祭というと、なんだかチャラい感じがしますが、そもそもフランスのパリ祭は7月14日の革命記念日に行われる大事なお祭りです。円頓寺は7月には七夕まつりがありますから、秋のパリ祭にしようと考えました」(市原正人氏)
なぜ、いきなりパリ? という疑問が浮かぶが、それは市原を含めメンバーにパリ好きが何人かいたから、というごく単純な理由だ。
ただし、好きだからこそ、何が本物なのかわかるし、恥ずかしくないものにしようと考える。好きこそものの上手なれ、である。
「徐々に充実させていくのではなく、1回目から『これ、本物だね』と思わせるお祭りにしたかったので、発案は2011年でしたが、そこから準備に1年半かけました」
「これぞ」という店にこちらから声をかけた
出店してもらう店は公募ではなく、「これぞ」という店にこちらから声をかけにいった。フレンチ雑貨店、ブロカント(アンティーク店)、フラワー・アレンジメントの店、バゲットが美味しい店など、名古屋市内だけでなく郊外まで広げて、まだそれほど知られていないけれどもセンスの良い店をピックアップして出店を依頼した。
ネームバリューのある店も含めて20店舗ほど集まったあとで、公募を行ったところ、「こういう店が一堂に揃うなんてすごい」と出店希望が殺到してあっという間に80店舗の枠がいっぱいになった。アーケードの真ん中にずらりと80の出店ブースが並ぶことになったのである。
「もうひとつ、本物を感じさせるために、フランスを代表する企業がそこに参加しているという絵があるといいのかなと考えて、お願いにいきました」
これはなかなか簡単にはいかなかった。
航空会社のエールフランスには、タブロイドの冊子に名前を載せさせてもらった。もちろん広告料などなしで、ただ載せさせてもらっただけである。そして、自動車メーカーのシトロエンには、会場に車を並べてもらうことになった。
あとは果たして人が来るか、である。これが最後に残った心配だった。
とにかくメディアで紹介してもらうしかないと考えたが、雑誌は掲載までにタイムラグがあるため、概要が決まったときにはすでに時間的に難しかった。狙うとすればテレビだ。
あたってみると、ちょうど10月の番組改編のタイミングで、新番組の初回の特集で取り上げてもらうことができた。
本物にこだわったことが人を呼ぶ
当日、ふたを開けてみると、心配は無用だった。予想をはるかに超えて七夕まつりをしのぐ人を集めた。
七夕まつりとは客層が違い、近隣というよりわざわざ遠くからおしゃれをしてきた人が多かった。女性が多く、またベレー帽率が半端なく高かった。そしてかなりの人が最初に、花とパンを買い、それを持っていろんなブースを覗き、大道芸や音楽のライヴを取り巻いた。七夕まつりではがんがん飲んで酔っ払っている人も多いが、パリ祭に来た人たちは上品に飲んで食べて楽しんでいる。今までの円頓寺商店街と縁のなかった人たちが多くやってきていた。
この日、商店街の店は自分たちの祭りだという意識は希薄で、積極的に参加するというより、通常営業しているという状態だったが、それぞれの店にも客が殺到した。
しかし、混乱はなかった。たくさんの客がいきなり来ても対応できるところが、長年七夕まつりの人出に慣れている商店街の実力だった。
『肉の丸小商会』ではメンチカツの注文数が史上最高だったそうである。
丸小の木俣和彦さんはこう話す。
「昔は遊びに来た若い人で賑わっていたんだけど、最近はほんとに寂しい状態になってた。ところがパリ祭では、若い女の子の行列ができてね。そのあとから、なぜかパリ祭じゃないときにも、若い子が店に来るようになった。そういう子と話をしていると、若返った気分がして嬉しいんだよ」
ほかのイベントにも出る場合、翌年の出店は断る
パリ祭の賑わいも話題を呼んだ。市原は振り返る。
「何人ぐらい来ましたか? と訊かれたけど、テーマパークじゃないし数えとらんし。とにかく幅八メートルの通りで人と人がすれ違えんような混雑でした。何人来たかより、ここでしか出会えない祭りとして続けていくことが大切なんだと思いましたね」
パリ祭は毎年すごくなってきているね、と言われるために、また商店街の人たちに「円頓寺商店街のパリ祭」が世の中に良いイメージを発信できていると感じてもらうためにも、本物にこだわって続けていくことが何より大事だった。
そこで市原たちは、出店者についてひとつのルールをつくった。
いろんなイベントに出店している店からの応募は断る。そして、今まで出店をオファーしていた店でも、ほかのイベントにも出ることになった場合、翌年のパリ祭への出店は断る、というルールである。そのことを伝えると「じゃあやっぱり、新しいほうは断ります」という店もあった。
年一回の祭りのために普通じゃない努力をしている
「これは脅しでも何でもなく、パリ祭でしか出会えない店がそこにある、というのを大事にしたいからです。花火大会の屋台だったら、どこにでも出ているクレープ屋さんがあってもいいと思いますが、パリ祭というかぎりは、パリに特化している店に出店してもらわないと、『今回はパリでもなかったよね』と言われて魅力を失うと思うんです。だからブースが空くようなことになっても、このルールをクリアできない店はお断りしているんです」
これは出店する側からするとなかなか厄介なルールである。
イベントに出るために店側は、ブースの造作やサービスの仕組み、什器の用意など一通り準備しなくてはならない。費用も手間もかかる。イベントに出るならばある程度出続けなければ効率が悪い。イベント主催者側にとっても、イベントに出慣れている店に出てもらえばフォローも必要なくさくさくと進むので、実は楽なのである。
パリ祭では、主催者、出店者双方が、年に一回の祭りのために普通じゃない努力をしている。そのことが来る人にも伝わっているのだ。
これはある種のブランディングだと言えよう。ただし、うたい文句によるブランディングではなく、手間暇かかるブランディングである。
持ち込み企画でイベントをやりたいというオファーが増えてきたことは、円頓寺商店街のブランド化が成功している証左であろう。
「ここでイベントをすると高感度で情報発信力のある層を集客できる」というイメージがついてきているのだ。
そこでこのオファーを積極的に受けて、アーケード使用料ほかサービスをパッケージにして商店街の臨時収入とすることにした。この収入は、アーケードの管理維持費に回ることになっている。
評判が評判を呼び、次々と新たなイベントのオファーが
平成28(2016)年には食品メーカーのカゴメがトマト祭「トマトマ」を行い、おおいに賑わった。従来のトマト祭は既存の店でカゴメ商品を使った料理を提供してもらうという形だったが、それでは店に来たお客さんにしか体験してもらえないので、外のスペースで試食や製品PRを行いたい、ついては、パリ祭で多くの女性客や飲食に感度の高い客を集める円頓寺商店街で、ということだった。
こうなると評判が評判を呼び、次々と新たなイベントのオファーが舞い込んでくる。持ち込まれるイベントの種類も、パリ祭を評価してくるだけに、平成29(2017)年は「NAGANO WINEフェスタ」であったりと質感の高いものが多い。まさに好循環が生まれている。
平成29(2017)年でパリ祭は5回目を迎えたが、人出はさらに増え、早い時期から問い合わせも来るようになった。そして、頼まなくても名古屋の秋の風物詩としてメディアで報道されるようにもなった。
商店街の老舗も、古くからの常連客から「もう、そろそろパリ祭の季節ね」とか、「今年はパリ祭いつ?」と訊かれたりするようになり、自分たちの祭りなんだという意識が高まった。
山口 あゆみ(やまぐち・あゆみ) フリーライター、編集者
1965年、横浜生まれ。日本航空機内誌『SKYWARD』の編集長を経て、現在は独立し、自社で雑誌、単行本の出版など活字媒体を制作するほか、さまざまな企業のブランディング・PR、会員向け事業でのコミュニケーション開発なども手掛ける。 共著に『エーゲ海の小さなホテル』(東京書籍)。22万部のベストセラーとなった『キリンビール高知支店の奇跡』(講談社+α新書)では取材・構成に携わった。


「同性愛を公表するために、ブログを書いたのではない」 ロバート キャンベルさんが伝えたいこと ロバート キャンベルさんのブログが大きな反響を呼んでいます。
生田綾 錦光山 雅子 Masako Kinkozan
自民党の杉田水脈衆院議員、谷川とむ衆院議員によるLGBTをめぐる寄稿や発言を、国文学研究資料館長のロバート・キャンベルさん(60)が、自身のブログで批判した。
キャンベルさんは、自らにも同性パートナーがいることを明らかにした上で、杉田氏らの論考の背景にある社会のありようをこう指摘した。
「LGBTが『周囲にいない』と答える日本人が多いのは、存在しない、ということではなく、安心して『いるよ』と言えない社会の仕組みに原因があります。(中略)ふつうに、『ここにいる』ことが言える社会になってほしいです」
このメッセージは大きな反響を呼び、Facebookで7500回以上「いいね」されている。あれから約1週間。いま思うことを、キャンベルさんに聞いた。
「公表」しても、普段の生活に何も変わりはなかった
8月12日にブログを公開して、同性愛を「公表」したことが新聞などで取り上げられてから、15日に20年近く住んでいる家の近所を散策しました。
朝のゴミ出しをした時には、近所に住んでいるおじさんに会いました。その方は新聞を熱心に読む人なので、おそらく私のニュースも知っていたと思います。落ち葉拾いをしていたので、防鳥ネットを開けてゴミ出しを手伝ったけれど、いつもと変わらない日常のあいさつをしてくれました。特別なことは何も言わなかった。
少しまわりの目を意識してしまったり、握手を求められたりはしましたが、自分の普段の生活に何も変わりはなかった。
特別なことは、何も起きませんでした。
ああ、こういうことなんだなぁ、と思いました。
性的指向や性自認というのは、「あの人はボーダー模様が好き」といったような、人となりを表す一つの要素というか、他者との繋がりあいにおいて「気づく」ことの一つに過ぎないのだな、と感じたんです。
「公表」によって、少し空気が軽くなったというか、フィルターが1枚剥がれた感覚はあります。私の本質や神経が「裸」になったようにまわりの人が感じ取ってくれて、人との接点の可能性が広がり、人と交流する上での「リーチ」が少しだけひらけた予感がします。
同性愛を公表することが、ブログを書く目的ではなかった
私があのブログを書いたのは、同性愛を公表することが目的ではありませんでした。
政治家批判というものでもありません。谷川とむ氏や杉田水脈氏が言っていることは間違っている。この機会を踊り場にして、話し合おうよ、と言いたかった。
最初に杉田氏の寄稿文を読んだ時は、真正面から反論しなければ、とは思いませんでした。国の政策の形成に関わる人が、誤った知識に基づきあのようなことを書くのはよくない。「正されるべき」とは考えましたが、正すのが私だ、とはあまり想定していなかった。
その後、同性婚などは「趣味みたいなもの」という谷川氏の誤った言説がメディアに取り上げられると、ネットという電子空間の中で乱反射していくようになりました。自民党はどう対応するか、など政治の話にも及びましたが、そこはさて置き、電子空間で繰り広げられている議論の中には、「(谷川氏や杉田氏の主張の)何が悪いのか」とする意見も目につきました。
杉田氏の論考が、環境要因でセクシュアリティが変わるとか、誤った理解や偏見を助長することに繋がっていた。そのことに危機感を持つようになりました。そこで、杉田氏の論考を改めて読み直したのです。
杉田水脈氏寄稿文に見た、2つの問題点
杉田氏の論考に関しては、「LGBTの人は子どもを産まない、つまり『生産性』がない」という部分が、主に問題視されているようです。
ですが、私は「日本はLGBTにとってそれほど暮らしにくい国ではなく、親に理解されないのが一番の悩みである」という部分に非常に違和感を感じています。
私は、性的指向というのは、その人が持っている「資質」だと考えています。にも関わらず、LGBTの人の中には、親からその基本的な資質をずっと否定されながら育ってきた人もいる。その環境で「親の期待に応えなければ」と思いながら生きてきた子どもたちに対して、「親さえ納得すれば大丈夫じゃないか」と言い放つのはとても残酷です。
なぜなら、その親が「納得」しないのは個の問題ではなく、その親が育ち生きてきた環境や社会の仕組みが影響しているからです。セクシュアリティや性自認が個人の幸せを決定づけるものである、という価値観が、育ってきた環境によってすり込まれている。それは個人で解決できるものではありません。
母親から「普通の子に産んであげられなくてごめんね」と何度も言われた、という話を知人から聞いたことがあります。杉田氏の論考は、そのようなことを後先見ずに誰にでも「言わせる」状況を作ってしまう、残酷なものだと思います。
また、 LGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル)の人を「不幸である」と断言している点も問題です。
杉田氏は女子校出身で、学校では先輩や後輩との「疑似恋愛」はあったが、卒業したら「普通に異性と恋愛して結婚していった」と書いています。そして、性の多様性やLGBT関連の報道が、「普通に恋愛して結婚できる人まで、『これ(同性愛)でいいんだ』と、不幸な人を増やすことにつながりかねません」と結んでいる。
「不幸である」と政治家が言ってしまうのは、とても残念なことだと思います。
杉田氏の寄稿文を読み、政治とは何か、ということを考えました。19世紀のイギリスで生まれた思想に、政治とは「最多数の最大幸福」をもたらすものである、という考えがあります。この思想に立って多くの政策が作られ、日本の政治も影響を受けています。
杉田氏は、LGBのようなある資質を持った人を「不幸である」と決めつけ、その人たちの存在が報道されることによって「不幸な人を増やす」と主張している。より多くの人の幸福を最大化することが政治の目的だとすると、杉田氏の主張は、LGBの人たちが最多数の幸福の最大化を阻んでいる、と意味しているとも受け取れる。これは、読んでいてぞっとする考えです。
政治家としての杉田氏の主張は別として、このような考えが世の中に出てしまうことを放置してはいけない、と思いました。私は、日本文学という日本の言語文化に関わり、今の世の中や文化の様々なあり方について、言論でもって伝えていくことを自分のアイデンティティーの一つとしているので、これには異を唱えるべきだと思ったんです。
性的指向や性自認は、その人のポテンシャル
ブログを書いたあと、マスコミは「キャンベル氏が同性愛を公表」と大きく取り上げました。
言論でのカミングアウトは、政治家の誤った主張を正すための前提として、自分の立場を明らかにする必要があり、そのために行ったことです。それが見出しになるとは思わなかったので、違和感はありました。
今も何となくムズムズするところはあります。ただ、当事者の方を含めて、女性や障がいを持った人など、たくさんの人からメッセージをもらいました。可視化されていない問題をどう人に伝えるか、問題解決を阻んでいる「遮断機」がどこにあるのか、それを考えることは、セクシュアリティの問題と密接に繋がっていると学ばされました。
公表したことに「勇気がある」とたくさんの方が言ってくれます。これは大変ありがたいことですが、私には幸福なことに理解をしてくれる家族がいて、社会的地位もあって、安定した収入もある。そういう意味では、カミングアウトをしても失うものは何もないんです。
勇気が必要なのは、10代、20代の若い世代です。これから就職を控えており、親から「いずれは結婚して孫の顔を見せる」ことを求められていて、苦しんでいる人たちです。
ブログでは、性的指向や性自認は「生を貫く芯のようなもの」と表現しました。私は、性的指向や性自認とは、その人の「ポテンシャル」だと思っています。そして、その人たちのポテンシャルは、文化や経済、当事者ではない人の人生を豊かにしてくれます。
ですが、今までは、セクシュアリティの問題は法律的にも社会的にも蓋をされてきました。そうした問題は「影」にあるもので、知られては生きていけないという考えが、僕らの親世代にはあった。
そういうこともあって、日本はLGBTの人たちを積極的に排除しませんし、攻撃もしません。しかし、排除しない代わりに、この問題をあまり深掘りしようとしない。目の前に見せてほしくない存在として扱い、言挙げをしない一面がありました。
結局、その人たちのポテンシャルを開花させない抑止力が日本社会の中に働いてしまっているんです。
私の発言はどうってことない。それを気づかせる起爆剤になればいい
今は、インターネットが発達したことで他者と繋がりやすくなり、他人の経験を簡単に「追体験」できるようになりました。特に若い人の間では、その追体験への興味やリテラシーが深まっている。
それなのに、「セクシュアリティ」の領域だけが動かずにとどまっているというか、たとえて言えば、池の中が「泥(なず)んでいる」状態が続いている感じがしています。
そんな状況で出てきた杉田氏の言論は心ないものではありますが、彼女の発言を発端として繰り広げられている議論は、それまで動かずに堆積していた池の底の腐葉土が攪拌(かくはん)され、大きなエネルギーを放出しているような状態とも言えます。
でも、そうした不透明な状態の中でも、もしかしたらここに蓮の花が咲くかもしれないというような、希望も感じています。
私の「公表」は、世間的にみると「意外性」がありました。ただ、そこでみんなが知っているキャンベルという人物と、これまで私が言ってきたことをつき合わせてみたとしても、「なんだ、どうってことないんだよね」となるんです。実際にそんな反応がありましたし、先ほど話したように、私を取り巻く日常は変わらなかった。
私の発言が、「どうってことないんだ」ということを気づかせる一つの起爆剤になればいい、と思っています。それによって、滞っている部分が流れるようになればいいかな、と。今はその流れができるチャンスが広がっていると思いますし、その意味では、私は杉田氏の発言を機に起きた現象をポジティブに受け止めています。
一方で、ではなぜみんなカミングアウトしないのか、とは絶対に言うべきではありません。それはアウティング(本人のセクシュアリティが第三者に暴露されること)につながってしまう。カミングアウトをせず、このままでいいという人もいます。
大事なことは、安全にカミングアウトできる人が、自らの意思で望んでカミングアウトした時に、その人が損をして、何かを失ってしまうようなことはなかった、という体験を可視化していくことです。
そうすれば、石が転がるように、ぽつんぽつんと自分のまわりにゲイの人、バイの人、トランスジェンダーの人が当たり前にいるようになるんだと思います。
「ここにいるよ」と言える社会になるために、必要なこと
あの人はきちんと家の前の落ち葉をはいて、いつも綺麗にしている。ゴミ出しもしっかりやってくれる。それと同時に、ゲイである。そうやって、「見える部分」と同じような気圧で、並列に人の性的指向や性自認が認識されるようになってほしいと思います。
そのためには、制度の調整も大事です。
同性愛者やトランスジェンダーの人たちが「ここにいる」と言えなくしてしまっている社会や制度の仕組みはなにか、どこに障壁があるのか、それぞれの側面から考えることが必要だと思います。理解を阻んでいる理由を一つひとつ棚卸し、エビデンスやデータを含め、その課題を考えるための材料を整えることが必要ではないでしょうか。
そして、その壁を取り除くことで、誰がどんな損失を被るのか。社会の仕組みの問題点を明らかにして、調整していくこと。同時に、職場や学校などの日常の中に、多様な価値観と「接続」する機会が増えるよう工夫することが必要です。
そうした取り組みを通じ、日常に当たり前にいるよね、と一人ひとりが感じ取れるようになったら、空気が変わっていくのではないか、と思っています。


東京医大・女性差別「努力をあざ笑う」弁護士57人が弁護団結成 得点開示や賠償請求も
東京医科大が女性と多浪の受験生の得点を不正に操作し、合格者数を抑えていた問題は大きな波紋を呼んでいる。この問題を受け、北海道から九州にわたる全国の弁護士が「医学部入試における女性差別対策弁護団」を8月21日に結成。同日、東京・霞が関の文部科学省内で会見し、被害者救済の力になりたいと語った。
●電話相談は8月25日午後1時から午後4時のみ
弁護団の共同代表は、角田由紀子弁護士と打越さく良弁護士が務める。8月21日時点で弁護団には57人の弁護士が加わった。まずは8月25日午後1時から午後4時まで限定でホットライン(044ー431ー3541)を開き、電話相談を受け付ける。「過去に受験した方、そのご家族など差別を受けたと感じている方はお気軽にお電話ください」と呼びかけている。
角田弁護士は会見で、「女子学生への許しがたい差別だ。このことには異論はないのではないか。この日本社会では女性差別が脈々と行われてきた。努力をあざ笑うかのように行われてきた」と述べた。
会見では、2次試験で落ちたという受験生(女性)の言葉が紹介された。受験生は「精神的ショックはとても大きい。いち早く、採点基準を社会に対して開示してほしい。他の医学部においても属性によって不当な差別がないのなら、同じく男女比や現役浪人比などを開示するよう強くのぞんでいる」などと話しているという。
●メール相談は随時受付
相談内容と当事者の希望に応じて、弁護団としては東京医大に対し成績の開示や受験料返還などを求めていく方針。さらに得点操作により不合格になったとわかった場合は、入学資格の付与や賠償金の請求なども検討する。
ホットラインは8月25日午後1時から午後4時までの限定だが、メールでの相談は随時受け付ける。得点調整は男性の多浪生に対しても行われていた。このため、男性からの相談も受け付ける。メールでの相談はigakubu.sabetsu@gmail.comまで。


室温汎用量子コンピュータ実現に前進、横国大が新手法
 横浜国立大学の小坂英男教授が率いる研究グループは2018年8月13日、室温の完全無磁場環境において操作エラーや環境ノイズに耐性を持ち、多量子操作ができる万能な量子ゲート操作に成功したと発表した。
 同大学によると、今回の成果は「世界で初めて」であり、室温で動作する汎用量子コンピュータや量子暗号通信などの実現へ貢献するとしている。
スピン量子ビットに偏光マイクロ波を印可し、量子ビットを操作
 汎用動作が可能な量子ゲート方式を採る量子コンピュータに期待が高まっているが、同方式の量子コンピュータでは操作エラーや環境ノイズに対するエラー耐性が課題として挙げられている。また、量子ビットの1候補として用いられる超伝導体はミリケルビン単位の極低温環境が必要であるため、室温で動作可能な量子コンピュータの実現を望む声も多い。
 そこで、エラー耐性を獲得するための量子ゲート操作手法や、量子ビットの候補となる量子系の探索などが活発に研究が続けられている。量子ビットの有力候補として、ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV中心)に存在する電子スピンと窒素核スピンに注目が集まるが、このスピン量子ビットは操作の正確さや保存時間の長さ、高密度集積性に利点があるとされている。
 これまでの研究で、スピン量子ビットに対してマイクロ波やレーザーを用いた量子操作法が考案され、量子情報を10秒以上保存できることが実証された。しかし、これらの量子操作法には原理上避けることができない操作エラーが含まれており、量子ビットに対する操作精度の向上に限界があったという。
スピン量子ビットに偏光マイクロ波を印可し、量子操作に成功
 本研究では磁場を完全に排除し、エネルギー差のない上向きと下向きのスピンを量子ビットとして用いた。エネルギー差がないため量子操作は困難になるが、操作エラーや環境ノイズに対する耐性が得られるという。
 同グループは、NV中心にあるエネルギー差のないスピン量子ビットに、2本の直交したワイヤーで構成されたアンテナから強度や位相を調整した偏光マイクロ波を印加して幾何学的に量子操作することを提案。この操作手法によって量子ゲート操作に成功した。同手法は「幾何学量子ビット」と名付けられ、課題であった操作エラーを排除することができ、精度限界を実質上なくしたとする。
 NV中心の電子スピンと核スピンは、完全な無磁場下においてエネルギー差のない上向きと下向きのスピンの準位と、これらより低いエネルギーを持つ補助準位で構成されるV型の準位構造を取る。幾何学量子ビットの状態は偏光の状態と1対1で対応するため、偏光マイクロ波を印加すると、その偏光に対応する量子状態(明状態)と補助準位との間で遷移が生じる。
 この遷移を1往復させると、経路によって決まる位相(幾何学位相)が明状態に付与され、この性質を利用することで量子ビット空間で任意の回転軸かつ任意の角度で量子状態の回転操作ができることを示した。
 このような幾何位相を利用した量子操作を幾何学的量子操作(ホロノミック量子操作)と呼び、操作が間接的であるために通常の量子ビット空間を直接操作する動的量子操作よりも操作エラーに対して耐性があるとする。
 ホロノミック量子操作は可視光を用いることも可能だとするが、本研究では電子スピンと核スピンのどちらも操作できるマイクロ波を用いてホロノミック量子操作を実装した。マイクロ波はスピンに対して直接作用を及ぼすため、全ての操作は基底状態内で完結する。室温でも安定なNV中心スピンの特性を最大限に生かすことができ、エネルギーの小さい電子スピン―核スピン間の相互作用を生かした量子もつれ操作も可能となった。
量子情報処理において必要な全ゲート操作を実現
 本手法を量子トモグラフィー法によって評価した結果、電子スピンと核スピンに対して高精度に量子ゲート操作できたことが分かった。さらに、電子スピン―核スピン間の量子もつれを操作する2量子ゲート操作を含め、量子情報処理において必要とされる全てのゲート操作が実現できることを確認した。また、操作精度の限界が実質上なくなることをシミュレーションによって証明した。
 同グループは今後、この技術をさらに高精度化し量子テレポーテーション転写や量子もつれ測定などの発展的な量子情報技術の実証、量子暗号通信や量子中継などの応用を進める予定だ。これにより、「超高感度なベクトル電磁場温度センシング、量子計測、量子シミュレーション、光―マイクロ波トランスデューサー、IoT(モノのインターネット)セキュリティデバイス」(同大学)などの開発が期待できるとする。