ブログネタ
フランス語 に参加中!
エンドーチェーン_サンドイッチマン180806

Le passé trouble des liens entre scientifiques et militaires japonais ressurgit
Un chercheur diplômé en 1945 a-t-il utilisé des cobayes humains pour ses travaux ? La question réveille une histoire longtemps taboue.
L’université japonaise de Kyoto va devoir répondre en septembre à une question délicate. Outre qu’elle ravive un douloureux passé, elle touche au sujet toujours sensible des relations entre science et défense. Le 31 janvier 1945, quand elle était encore l’université impériale de Tokyo, l’institution a accordé un doctorat à un chercheur pour une thèse titrée Sur la capacité de la puce du chien à agir comme vecteur de la peste.
Or le chercheur en question était un médecin militaire appartenant à l’unité 731, de sinistre mémoire pour avoir mené dans les années 1930 et 1940 des expériences létales sur des milliers de civils – dont des femmes et des enfants – chinois, coréens ou encore mongols ainsi que sur des prisonniers de guerre, avec pour but de développer des armes chimiques et bactériologiques.
Cobayes humains
La question est de savoir si l’auteur de la thèse a utilisé des cobayes humains dans ses travaux. Pour Katsuo Nishiyama, professeur émérite de médecine préventive à l’Université de Shiga (Ouest), auteur de Senso to Igaku (Guerre et médecine, Bunrikaku, non traduit, 2014) et créateur en janvier de l’association ayant déposé la demande de révision, c’est une évidence.
La thèse signale que, dans une expérience, des singes ≪ ayant développé des symptômes se plaignent de maux de tête, de forte fièvre et d’une perte d’appétit 6 à 8 jours après la mise en place ≫ de puces infectées. Le texte ajoute qu’un singe ≪ présentait plus de 39 degrés de fièvre pendant cinq jours consécutifs. Il est mort six jours après l’apparition de la maladie ≫.
Pour M. Nishiyama et son association, outre que les singes se plaignent rarement de maux de tête, il est avéré que, dans leurs publications scientifiques, les chercheurs de l’unité 731 dissimulaient le recours à des cobayes humains en parlant de ≪ singes de Mandchourie ≫.
フランス語
フランス語の勉強?
とみ @meow164
元SPEEDの今井絵理子が選挙中に政策の話を振られたときに「今は選挙中なのでごめんなさい」と逃げたときはぶったまげたけど、今は安倍晋三が石破茂との政策論戦から逃げている。どちらもまともに政策について語る能力もないのだろう。このバカ親分にしてこのバカ子分だったんだな。
金子勝@masaru_kaneko
【悪夢の核燃料サイクル】もんじゅの燃料取り出しが始まった。1兆円もかけて、とうとう運転できないまま廃炉に向かう。2人の自殺者を出しがら、結局,誰も失敗の責任をとらず。しかもナトリウムは爆発しやすく廃炉作業も困難でまた1兆円が飛ぶ。このカネは一体誰のものなのか。
Koichi Kawakami @koichi_kawakami
シンガポールは国家資本主義体制の独裁国家で、研究プロジェクトはトップダウンで決まります。この記事の国立シンガポール大学は優秀な学生が集まる名門校ですが、入学時に、政治批判しない、と署名させられます(学生からききました)。観光に訪れるには良い国と思います。

フクシュたくさん印刷しました.すごく時間がかかりました.でもまだ半分です.うーん.
張り紙が出ていたのでYaさんが心配そうに「パワー宮どうなってる?」でもわたしもわかりません.

南三陸が災害公営家賃を方針示す
東日本大震災で大きな被害を受けた南三陸町は、本来なら入居6年目以降に引き上げられる災害公営住宅の家賃について、低所得の高齢者世帯は据え置く一方、それ以外の世帯は予定通り引き上げる方針を明らかにしました。
震災の被災者が入居する災害公営住宅の家賃は所得の低い世帯に対して抑えられていますが、入居6年目からは段階的に引き上げられ、11年目からは通常の公営住宅と同じ水準になります。
これについて南三陸町の佐藤仁町長は29日の記者会見で、「町としては本当に困っている人を助ける方針にする」として、生活保護費以下の年金受給世帯の家賃を据え置く一方、それ以外の世帯は従来通り入居6年目から引き上げる方針を明らかにしました。
南三陸町によりますと、家賃の引き上げは再来年4月に一部の世帯で始まるということで、町は「据え置きの対象とした世帯以外にも本当に困っている世帯はないか今後、確認を進め、対策を考えていきたい」としています。


<在宅被災者自宅補修補助>石巻市、未利用3000世帯調査 申請増へ制度再周知
 石巻市が東日本大震災の在宅被災者向けに本年度導入した家屋の小規模補修補助金制度について、市が未利用の約3000世帯を対象とした訪問調査を9月に始めることが29日、分かった。申請数が市の計画の1割に満たない状況を踏まえた。制度の再周知を図りながら被災家屋の実態を把握し、利用世帯の増加につなげたい考え。
 市生活再建支援課によると22日現在、窓口での事前相談は884件。うち申請に至ったのは208件で、市が本年度の利用を見込んだ2800世帯の約7%にとどまる。
 市は制度対象となる可能性がある世帯数を約4000と想定。現状では約3000世帯が相談に訪れていないことになる。
 9月以降、自立生活支援員20人体制で約3カ月かけて戸別訪問。家屋の外観を目視で確認するほか、世帯主の同意を得て室内をチェックする。補修の意思や予定の有無を尋ねるほか、健康面を含む心配事を聞き取る方針。
 市生活再建支援課は「被災者の困り事などを可能な限り聞いていきたい。修繕箇所を直していない人がいれば相談してほしい」と呼び掛ける。
 同制度を巡り、市民からは「地震の影響で壊れた箇所を直そうとしたが、震災との関連が認められないとの理由で却下されたケースが複数ある」などの不満が出ている。
 石巻市を拠点に在宅被災者を支援する「チーム王冠」の伊藤健哉代表理事は「聞き取りをする支援員が在宅被災の知識をきちんと持っていないと問題の本質を見落とし、中途半端な調査結果になってしまう危険がある」と指摘する。
[小規模補修補助金制度]津波浸水区域で全壊か大規模半壊と判定された家屋が対象。国の被災者生活再建支援制度の加算支援金(補修の場合、最大100万円)を受給し、市の住宅再建事業補助金(同)が未交付であることが条件。100万円以下の補修工事に対し50万円を上限に補助する。災害救助法に基づく応急修理制度の未利用世帯は最大76万円。


<モニュメント問題>福島市の判断「拙速」 専門家ら批判
 福島市が展示したモニュメント「サン・チャイルド」は、わずか1カ月足らずで撤去方針が決まった。東京電力福島第1原発事故に着想を得た作品を巡る市の判断には、設置も撤去も「拙速」との指摘が出ている。福島県ゆかりの研究者3人に29日、意見を聞いた。
<問題点は不透明性>
 「作品への賛否は今回の問題の本質ではない」。いわき市出身の開沼博立命館大准教授(社会学)は「ポイントは不透明性にある」とみる。
 防護服姿の高さ6.2メートルの子どもの立像は、線量計を模した胸の表示「000」が、「線量ゼロでないと安全でないように見える」などとインターネット上で批判を浴びた。
 開沼氏は「作品の設置プロセスが分からず、特定の意図を押し付けられたと感じた人がいた」と分析。「被災地は注目され、さまざまな考えが集まる。意思決定には細心の注意が必要。除染土の仮置き場設置も関係者が協議し、ぎりぎりの地点で合意してきた。市はそこから学ばなかったのか」と首をかしげた。
<トラウマの引き金>
 福島の子どもの心のケアに関わる内山登紀夫大正大教授(児童精神医学)は「巨大で視覚的な刺激が強く、子どもに限らず原発事故のトラウマ(心的外傷)を思い出す引き金になる。公共の場所から撤去する判断は妥当」と話す。
 「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)のトラウマが今も消えない人もいる。原発事故から7年は決して長くない」と強調。モニュメントがJR福島駅近くの子ども向け教育文化複合施設の入り口に設置されたことに触れ「見たくない人が見ずに済む環境設定を心掛けるべきだった」と語る。
<丁寧な手続き必要>
 サン・チャイルドは2012年の芸術祭「福島現代美術ビエンナーレ」で県内初展示された。
 芸術祭に携わる渡辺晃一福島大教授(絵画・現代美術)は「撤去の際も丁寧な手続きが必要だった。設置施設の来場者に対するアンケートだけで十分だったのか」と疑問を呈する。
 問題を提起するアートの特徴に言及。批判された表示「000」について「子どもになぜ線量ゼロがあり得ないのかを教育したり、福島が受けた被害を伝えたりするきっかけになり得たのに…」と惜しんだ。


<トリチウム水>海洋放出の賛否が焦点 きょうから公聴会
 東京電力福島第1原発の敷地内にたまり続けている放射性物質トリチウムを含む水の処分方法を巡り、政府の小委員会が国民の意見を聞く初の公聴会が30、31日、福島県内2カ所と東京都の計3会場で開かれる。原子力規制委員会が「唯一の方法」とする「海洋放出」に対する賛否が最大の焦点となる。
 国の作業部会が2016年6月に評価結果をまとめた処分方法は、「海洋放出」「水素に変化させての大気放出」「蒸発」「地層注入」「地下埋設」の5通り。公聴会では44人・団体から意見を聞く予定だ。
 7月まで9回の小委員会の会合では「(どの処分方法でも)安全性に問題はないことを意識的に発信すべきだ」「風評被害を最小化することが重要」といった意見が出された。一方で「タンクで保管する現状が最もリスクが低い」との声もあったという。
 海洋放出については、規制委の更田豊志委員長が「現実的に唯一の方法」と述べ、東電に早期決断を求めてきた。
 これに対し、福島県漁連の野崎哲会長は28日、取材に「(国民の理解が進んでいない)現状で放出すれば風評被害が必ず起きる。環境中に出すことそのものに反対」と強調した。
 野崎会長は30日の公聴会で発言する予定で「国民的な議論を経ないと駄目だと、言おうと思う」と説明。処分方法の決定について「誰が責任を持つのか、所在をはっきりさせてほしい」と求めた。
 公聴会は節目になるものの、一気に処分方法の決定には進まない見込みだ。
 「聞きっぱなしにはしない、と委員から念を押されている」と政府関係者。公聴会の意見を基に、小委員会でさらに議論を続ける方向という。確かにタンクは20年度までの増設の見通しが示されており、時間的猶予は残っている。
 行方はどうなるのか。県漁連などが反対を貫く中、海洋放出が政治決断される可能性がある。そうした事態が迫った場合、内堀雅雄知事の対応が注目される。
 経済産業省幹部は「県民や各種団体の思いを伝えてほしい」と国とのパイプ役を期待。東電関係者は「県が事務局を務める廃炉関係の県民会議で議論を方向付けることになるのではないか。知事は前面には立たないだろう」と推測する。
 内堀知事は20日の定例記者会見で「国や東電に対しては環境や風評への影響などについて、しっかりと議論を進めて丁寧に説明し、慎重に対応していくことを求めたい」と語り、従来通り、海洋放出の賛否に踏み込むことはなかった。
[トリチウム水]トリチウム(三重水素)は水素の放射性同位元素。半減期は約12年で弱いベータ線を出す。生体への影響は放射性セシウムの約1000分の1。東京電力福島第1原発で使用する多核種除去設備(ALPS)でも取り除けず、トリチウムを含む水を敷地内でタンクに保管している。保管量は8月16日現在、約92万立方メートル。タンク建設は2020年度に容量137万立方メートルに達した時点で限界になるとされる。


<台風10号豪雨2年>岩手・岩泉 復旧率4割 人手や資材不足続く
 台風10号豪雨で最も大きな被害を受けた岩手県岩泉町は随所に豪雨の爪痕を残しつつ、復興作業も加速する。町復興課は「全体の復旧率は4割ほど」と見積もり、2020年度までに全復旧事業を終える方針だ。
 町の被害額は17年度末現在で330億円に上る。住宅被害は全壊453戸、大規模半壊236戸、半壊255戸。13世帯243人が仮設住宅での暮らしを続けている。
 災害公営住宅66戸と住宅移転用宅地15区画は、9月中には全地区で工事に着手する。公営住宅は岩泉地区上町団地12戸を皮切りに19年2月から順次入居可能となる見込みだ。
 河川に沿って立ち並ぶ家々が利用する「生活橋」は190カ所のうち73カ所が流失。再建には計5億円以上の費用が見込まれる。町は1000万円を上限に9割を補助する制度を設けており、3カ所で整備を終えた。
 約180ヘクタールが被災した農地も約174ヘクタールで作付けが可能になった。
 町復興課の佐々木真課長は「人手や資材の不足は続くが、県と連携して作業を急ぎたい」と語る。岩泉中野仮設団地に住む佐々木エミさん(76)は「気付いたら2年がたっていたという感じ。早く町にかつてのにぎわいが戻ってほしい」と話した。


<台風10号豪雨2年>岩手仮設暮らし なお144世帯
 岩手県内に甚大な被害をもたらした2016年の台風10号豪雨から、30日で2年がたった。被災地では今なお、144世帯が仮設住宅での暮らしを強いられている。大規模氾濫した河川の復旧工事は遅れ気味だ。
<被害状況>
 岩泉町で21人、久慈市で1人が犠牲になり、宮古市では今も1人が行方不明になっている。岩泉町と田野畑村では、今年5月までに亡くなった計4人が関連死と認定された。
 被害額は土木施設関連約440億円、農林水産業関係約336億円など。総額は1428億6972万円に上る。
<住宅再建>
 住宅被害は17市町村で計4550戸。内訳は全壊478戸、大規模半壊534戸、半壊1943戸など。
 宮古、久慈、岩泉、普代、野田の5市町村で今月1日現在、144世帯が仮設住宅に入居している。岩泉町では本年度中に災害公営住宅の引き渡しが始まる。
<復旧工事>
 復旧工事は道路、河川、港湾など計1891カ所に上る。岩泉町の国道455号や県道は片側交互通行の箇所が残るものの、大半で復旧。岩泉町内では一部県道で通行止めが続く。
 河川は小本(おもと)川や安家(あっか)川の761カ所で復旧工事が続いている。6月末現在、工事の発注率は94.3%に達したが、完成率は37.5%にとどまる。
 県砂防災害課は「被災箇所が限られた地域に集中しているため、業者不足で工事が進まない」と説明。20年度の工事完了を目指す。
<産業再生>
 サケふ化場10カ所は全て復旧工事を終え、本年度から本格稼働している。被災農地221ヘクタールは5月末時点で211ヘクタールが復旧済み。残る10ヘクタールも本年度中に復旧する見込みだ。


<金足農>秋田市民 水道使用量、攻守交代時や試合後急増
 全国高校野球選手権大会で快進撃を続けた金足農(秋田市)の試合があった日に、秋田市内の家庭の水道使用量が通常より大幅に増減する現象が起こっていたことが、市上下水道局の調査で分かった。
 試合を実況中継するテレビにくぎ付けになるあまり、トイレに行くタイミングなどがグラウンド整備中や試合終了後と重なったとみられる。金足農ナインへの市民の熱い思いが意外なところで実証された形だ。
 大阪桐蔭(北大阪)との決勝戦があった21日は、秋田市の最高気温が35.5度の猛暑日だった。やはり34.6度と猛暑日に迫った8日と水道使用量を比べてみると、その現象が端的に浮かび上がる。
 市上下水道局によると、21日は水道使用量が毎時3000立方メートル前後と8日を下回って推移したが、試合中は攻守交代時に急増する傾向が続いた。閉会式終了後の午後5時6分から約10分間は、毎時6300立方メートルまで急上昇した。
 18日の準々決勝の近江(滋賀)戦の試合中は、気温が似通う6月24日を下回ったまま横ばい傾向が続いた。九回裏に逆転サヨナラの2点スクイズを決めた午後6時前は毎時約3000立方メートルまで下がり、6時すぎには毎時6500立方メートルまで一気に増えた。
 20日の準決勝の日大三(西東京)戦は五回裏終了後のグラウンド整備中に使用量が大幅に増えるなど、金足農ナインがプレーしていない時間帯に水道の利用が集中した。
 市上下水道局の担当者は「一般的に大きなスポーツイベントなどの際に同様の傾向が見られるが、秋田市内では前例がない。市民が金足農に熱い視線を送った証拠ではないか」とみる。


<甲子園準V 金農飛躍の源泉>(下)支え/共に歩んだ地元「誇り」
<受け継ぐDNA>
 秋田市最北部にあるJR奥羽線追分駅を出て、線路沿いに徒歩10分。全国高校野球選手権大会で準優勝した金足農高が見えてくる。校門の右手にグラウンドが広がり、バックネットの土台に野球部の代名詞「雑草軍団」の4文字が刻まれている。
 地元出身者だけでチームをつくり、雑草のようにたくましく、粘り強い戦いで強豪を倒す−。夏の甲子園初出場で準決勝まで進んだ1984年、呼び名は全国に知れ渡った。
 それから34年。歴代ナインが受け継いできたDNAを象徴する4文字にも年季が入っている。
<新聞自作し応援>
 追分駅周辺の商店は長年、野球に打ち込む生徒たちを温かく見守ってきた。
 「祝準優勝」「激闘感謝」「雑草軍団」
 決勝戦から数日後、追分駅の改札を出ると、駅前のクリーニング店のガラス戸に偉業をたたえる大きな張り紙が見えた。「筆を握る手に思わず力が入った」。店主の藤原正三さん(66)が顔をほころばせた。
 「金足農とは運命共同体」と言う藤原さん。父親が営む商店に、パンや菓子を買いに選手らが連日立ち寄った。チームの遠征日には「汽車に駆け込む姿を激励の言葉とともに見送るのが日常だった」と懐かしむ。
 80年代に入り、甲子園出場を後押ししようと商店主らを集め応援団を結成。学生時代に打ち込んだ柔道着を身に着け、声援の音頭を取った。毎年、夏の秋田県大会前には選手や学校関係者に意気込みを取材し、自作の新聞を地域に配って応援の輪を広げてきた。
 この夏は秋田と甲子園を往復し、決勝まで全試合に駆け付けた。「試合を重ねるたびに選手はたくましくなった。自分の応援が少しでも力になったのならうれしい」と喜びをかみしめる。
<新たな1ページ>
 「地元出身者が中心のナインは、いつの時代もおらが街の誇りだった」。甲子園の準決勝でPL学園(大阪)に敗れた34年前の夏、商店会関係者ら約300人の応援団の中にいた畑沢稔さん(83)が回顧する。
 金農OBの商店会長として野球部関係者と縁が深く、県大会や甲子園に何度も足を運んだ。今大会は商店会で作った応援手拭いを生徒や住民に託し、テレビの前で声援を送った。
 後輩たちは見事に秋田県勢として1世紀ぶりに決勝進出を果たした。畑沢さんは「選手の努力を見守ってきた地元住民として、これほどうれしいことはない」と目頭を押さえた。
 大切にするアルバムには34年前の甲子園で躍動する選手や声を張り上げる商店主らを収めた写真が挟んである。擦り切れて色あせた一枚一枚が、雑草軍団と共に歩んできた証しだ。
 先輩たちのベスト4を超え、全国制覇に手が届きかけた今年の夏。「新しい写真を加えられる日が来るなんて思いもしなかった」。畑沢さんが空白だったアルバムのページを見詰めた。


子どもの暑さ対策/学校にエアコン設置を急げ
 夏休みが終わり、小中学校に子どもたちが戻った。今年は記録的な暑さが続き、全国で熱中症とみられる被害が相次いだ。8月も終わりとあって東北の暑さはだいぶ落ち着いたが、子どもの暑さ対策には万全を期したい。
 熱中症とみられる死者は26日までに全国で155人に上り、約8万9300人が病院に搬送されている。愛知県豊田市では7月、校外学習からエアコンのない教室に戻った小学1年生の男児が熱中症で死亡するなど、子どもの被害も目立っている。
 気象庁が「災害級」の危険な暑さと表現したほどだ。熱中症対策としてエアコンの積極的な活用が必要だが、教室にエアコンが設置されている学校は多くはない。
 文部科学省によると、東北6県の小中学校では、普通教室のエアコン設置率が福島で65.1%と最も高く、全国平均49.6%を超える。他は山形17.4%、宮城4.1%、青森2.9%、秋田1.8%、岩手1.1%と低率だ。全国的には東京都が設置率99.9%と極めて高く、地域間の格差が大きい。
 同じ県内でも、宮城県の場合、色麻町や東松島市などが高率なのに対し、富谷市や岩沼市、塩釜市などは0%、仙台市が1.6%など、市町村で開きがあり、不公平感は拭えない。子どもの健康と命を守ることを考えれば、財政事情だけで片付けていい問題ではないだろう。
 設置率が低い自治体からは遅れている理由として、校舎の耐震化などへの予算の重点配分が挙がっている。「夏に暑いのは当たり前」という認識の自治体もあるという。
 猛暑は、台風のような物理的な破壊を伴うわけではないが、気象庁が指摘するように災害と捉えるべきだろう。政府や自治体は熱中症への注意喚起だけでなく、部活動なども含め子どもへの対策を真剣に検討する必要がある。
 文科省は猛暑で教室にエアコン設置を求める声が高まったのを受け、2019年度予算の概算要求にエアコン設置など公立学校の施設整備費として2414億円を盛り込む方針を決めた。本年度の予算額681億円と比べて3.5倍の大幅増となる。
 小中学校のエアコン整備については、国の「学校施設環境改善交付金」で設置費用の3分の1が補助される。文科省はエアコン設置を推進はするが、補助割合はそのままで上げる予定はないという。
 仙台市の郡和子市長は今月の定例記者会見で、市立小中学校へのエアコン設置は市民の要望が多いとした一方、市内全ての普通教室などに設置した場合、約100億円かかるとの見通しを示した。
 個々の自治体の努力に期待するだけでは財政的に限界もある。国が責任を持って補助率を上げるなどして、全国の学校にエアコンの整備を進めるべきではないか。


猛暑を乗り切るために 夏季休暇の取得推進を
 今年の夏は記録的な猛暑が続いた。猛暑には経済効果もあるが、「命に関わる暑さ」は問題だ。炎天下で働く人たちも多く、対症療法の「熱中症対策」だけでは済まなくなっている。また、7、8月で15個の台風が発生し、東から西へ“逆走”した台風12号など異常気象の度合いは年々強まっている。命を守る意味でも、官民連携で夏季休暇の取得や在宅勤務など夏場の柔軟な働き方を推進したい。
 今年はお盆の8月13〜15日が、月〜水曜の平日だった。そのため、暦通り、お盆に仕事をした人も多いだろう。必要な仕事がほとんどだとは思うが、中には「他の日でもできる仕事だった」とか、「休んでも問題なかった」という人もいたのではないか。
 お盆が平日の場合、4、5年前までは、2、3日間の夏季休暇が一般的だった。しかし、2016年に、8月11日が「山の日」の祝日になってから変化が現れた。今年はお盆前後の土日を合わせ、8月11〜19日の最長9日間を夏休みとする企業が佐賀県内でも出てきた。
 酷暑の中で無理をして働くより、休みを取って英気を養う方がプラスになると考えてのことだろうし、「働き方改革」も、その流れを後押ししている。
 また、インターネットの普及や機械化により、必ずしも人手が必要でなくなってきた。酷暑の8月に、社会全体で休日取得を進めても、大きな問題は生じないと考える。各企業、職場で8月11〜15日を夏季休暇として定着させてはどうだろうか。制度化された夏季休暇に個人の年休をプラスすれば、欧州並みの夏季休暇が実現できる。
 勤勉な国民性もあるが、日本人は有給休暇の消化が少ない。「休むことへの後ろめたさ」や、「仕事量が多くて休めない」「休んだら、後でしわ寄せが出る」という人もいるだろう。しかし、今は「休まずに長時間働く」より、「短時間で成果を出す働き方」が求められている。仕事の「属人化」ではなく仕事の「シェア」など仕事のやり方はもちろん、「仕事量」より仕事の「質」や「成果」を重視した評価制度など、抜本的な「働き方改革」が必要である。
 その推進役としてまず、国、県、市町、地域産業のけん引役を担う金融機関に、8月11〜15日の夏季休暇を先行実施してほしい。5連休が無理ならせめて8月15日だけでも休日にしよう。「平和祈念日」など法改正で祝日になるのが理想だが、それができなくても、官公庁や金融機関が15日を休みにすれば、他も追随しやすい。年末・年始休暇と同じ考え方であり、多少の不便さは享受しなければならない。
 異常気象が今年だけで終わる可能性は小さく、来年以降も猛暑の夏が続くだろう。2020年の東京五輪・パラリンピックがきっかけとなり、サマータイムの導入も本格的に検討され始めた。ただ、サマータイムには課題も多く、むしろ、お盆を中心にした休日取得の流れをつくり、その上で時差出勤や在宅勤務など天候に応じた勤務形態を推進すべきと考える。各企業は、可能な限り、夏季休暇を制度化していこう。福利厚生の充実は、採用面でも役に立つはずだ。(中島義彦)


入院患者死亡 熱中症対策を講じたか
 命を守るための病院の内部で何が起きていたのか。
 「Y&M 藤掛第一病院」(岐阜市)で、入院していた80代の患者5人が死亡した。熱中症が原因だった可能性がある。
 5人がいた部屋を含め、3、4階の少なくとも10部屋のエアコンが20日に故障していた。業者に修理を依頼したものの、約1カ月かかるとの説明を受けたため、病室に扇風機を置いていたという。
 病院の対応が熱中症を招いたとしたら責任は重大だ。岐阜県警は業務上過失致死の容疑を視野に捜査を開始。28日夜には病院を捜索した。死因など事実経過を早急に明らかにしてほしい。
 対応には疑問が多い。
 病院側は「エアコンの故障が死亡につながったとは考えていない」と説明。死亡した患者らは「いつ容体が急変してもおかしくない症状だった」としている。
 納得できないのは、重い症状の患者をエアコンが効かない病室に置いたままにしたことである。
 死亡した患者のうち何人かは、重症の心不全や多臓器不全だった。重い肺の病気にかかっている患者もいたという。
 熱中症は、体内の水分や塩分などのバランスが崩れ、体温調節機能が低下して生じる。健康な高齢者でもエアコンがなくて室内で熱中症になり、死亡するケースが全国で相次いでいる。症状が重ければ、なおさら注意が必要だ。
 5人のうち4人は26日夜から27日午前にかけ死亡している。岐阜地方気象台によると、26日の岐阜市の最高気温は36・2度だった。
 同病院は老人医療を専門としている。それならば熱中症の危険性は熟知していたはずだ。発生を予見して、可能な限り対応することが求められていた。
 それなのに、エアコンが故障した各病室に置かれていた扇風機は1台だけだった。エアコンが効く病室に移すか、転院などの対応を取ることはできなかったのか。患者の容体観察は十分だったのか。病院の対応が問われる。5人の死亡を県警に通報しなかったのも疑問である。
 同病院には、急性期医療を終えても、病院での療養が継続的に必要な慢性期の高齢者が入院している。退院がかなわず、亡くなる患者も多いという。
 病院はホームページで「患者の快適性を追求して日々改善して運営している」とPRしている。言葉に反して患者の尊厳を侵していたとしたら、遺族は納得できないだろう。


病院で熱中症か 命の軽視 疑念拭えず
 岐阜市の病院で、熱中症の疑いで高齢の入院患者五人が死亡した。酷暑が続く中での惨事で、故障したエアコンが修理されなかったためともみられる。弱者の犠牲を見過ごすわけにはいかない。
 現場は、老人医療が専門の「Y&M藤掛第一病院」。五十人ほどが入院していた。このうち、八十代の男女五人が二十六〜二十八日に相次いで死亡した。岐阜県警は熱中症にかかった可能性があるとみて、業務上過失致死の容疑を視野に捜査している。
 藤掛陽生院長によると、二十日からエアコンが故障し、業者に修理を依頼。「一カ月かかる」と言われたため、病院は扇風機を置き一部の患者をエアコンの効く病室に移した。しかし、死亡した五人のうち四人は、エアコンの止まった病室に残っていた。院長は「問題があったとは考えていない」と病院の責任を否定している。
 岐阜市では二十六日の最高気温は三六・二度。夜間も三〇度近い状態が続き、湿度も70%近かった。猛暑日の連続でお年寄りらの体力が低下し、エアコンなしでは熱中症にかかりやすい体調だったとみられる。効果的な対応策なしでは、とても一カ月待てる状態ではなかったのではないか。
 専門家によると「湿度が高いと扇風機は湿気を含んだ生暖かい風しか送れず、効果は限定的だ。エアコンが望ましい」という。
 家庭用のエアコン使用への意識は今夏「暑いときだけ」から「暑ければ一晩中」に変わった。「部屋を冷やす」「水分をとる」が浸透。それでも、総務省消防庁によると、四月三十日から八月二十六日までに熱中症で救急搬送された人は全国で九万人に迫り、半数近くが六十五歳以上の高齢者だ。
 この病院の患者の大半は、高齢で健康状態の良くない人たち。ましてやこの夏の暑さである。家族らは、病院を信頼して入院させている。エアコンの故障が長引き、熱中症を誘発したとなれば、裏切られた思いが募るのではないか。
 病院側は、医師会や行政に相談してでも修理を急いでもらえなかったか。その上で、患者全員を一時的にでも院内でエアコンの故障を免れた部屋に、あるいは冷房のある他の病院へ移すことはできなかったか。実際、市保健所の二十八日の立ち入り検査ではそうした対処が指示されている。
 高温多湿の怖さを、ひいては尊い命を預かっていることの怖さを病院側が感じていたか、疑問が拭えない。


沖縄知事選/正面から辺野古の議論を
 翁長(おなが)雄志(たけし)知事の死去に伴い9月30日に投開票される沖縄県知事選に、玉城(たまき)デニー自由党幹事長が立候補を正式表明した。
 玉城氏は、県政与党会派や国政の野党4会派から支援を受ける。政権与党の自民と公明はすでに前宜野湾市長の佐喜真淳(さきまあつし)氏の擁立を決めており、事実上、一騎打ちの構図が固まった。
 最大の争点は、米軍普天間基地(宜野湾市)の移設計画に伴い国が進める名護市辺野古沖の基地建設への賛否である。
 翁長氏は建設に伴う埋め立ての承認取り消しを掲げ、国と法廷闘争を重ねたが最高裁で敗れた。承認撤回を表明したものの、決定する前に亡くなった。
 政府は「辺野古が唯一の解決策」との立場から一歩も踏みだそうとしていない。国と地方の関係は対等であり、国策といえども民意を無視したごり押しは許されない。沖縄の負担軽減を唱えるなら、選挙戦で示される民意に真正面から向きあう必要がある。
 辺野古移設について、玉城氏は「翁長氏の遺志を引き継ぎ阻止を貫徹する」と明言した。対して佐喜真氏は普天間返還を求めるものの、移設の賛否には言及していない。自民、公明の側には20日の自民党総裁選もにらんで、辺野古を争点から切り離し、安倍政権への批判を抑えようとの思惑もあるのだろう。
 しかし知事に就けば辺野古埋め立てに関する権限を持つ以上、立場を明確にしなければならない。ならば有権者の前で、堂々と議論を展開すべきだ。
 1999年に当時の稲嶺恵一知事が移設を容認した際、固定化を避けるため使用期限付きなどの条件を付けたが、現行計画は恒久施設だ。安全保障を取り巻く環境も変わっている。
 2014年の前回知事選では、自民党沖縄県連の幹事長まで務めた翁長氏が辺野古反対を掲げて立候補し、野党や市民団体、経済人も含めた「オール沖縄」の支援を受けた。
 なぜ沖縄だけ過剰な基地負担を強いられなければならないのか。こうした疑問や憤りを、政治的立場を超えて多くの県民が抱いている証しだ。
 選挙戦は本格化する。沖縄の思いを国民全体がわが事と受け止める機会としたい。


沖縄県知事選 辺野古 正面から論戦を
 きのう、自由党幹事長の玉城デニー衆院議員(沖縄3区)が来月の沖縄県知事選に、急逝した翁長雄志(おながたけし)知事の後継として立候補すると表明した。
 政権与党の推薦を受けて、すでに出馬表明している前宜野湾市長の佐喜真淳(さきまあつし)氏との事実上の一騎打ちになる見通しだ。
 翁長氏は保守、革新の枠を超えた「オール沖縄」の立場で米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対してきた。
 安倍晋三政権は「辺野古移設が唯一の解決策」とし、県との対立は長期化している。
 辺野古移設は全国が注目する問題である。
 玉城、佐喜真両氏は移設の是非をしっかりと争点に掲げ、正面から議論を戦わせてほしい。
 玉城氏は記者会見で「翁長氏の遺志を引き継ぎ、新基地建設阻止を貫徹する」と表明した。
 支援体制を巡っては、すでに立憲民主党や国民民主党、共産党など野党5党派が協力する考えを明らかにしている。
 しかしこの4年間、県と国の対立が激化する中で、翁長氏の主要支持母体「オール沖縄会議」から脱会する動きもある。
 自民党沖縄県連の重鎮だった翁長氏は保守勢力から一定の支持を得たが、自由党の玉城氏の陣営が「オール沖縄」体制をどう維持するかも焦点になりそうだ。
 翁長氏が生前、玉城氏を「後継候補」の1人に指名していたとの情報が示され、玉城氏擁立の流れが加速した。ただ、人選の過程が不透明だとの指摘もあり、経緯をきちんと説明する必要があろう。
 一方、佐喜真氏は普天間飛行場の危険性を除去する必要性を訴えるとともに、政権とのパイプを生かした振興策に力を入れる考えを示している。
 ところが辺野古移設の是非について詳しくは言及していない。
 辺野古沿岸部の埋め立て承認に関し「撤回もあり得る」との考えも示した。辺野古問題の争点化を避ける狙いがあるとみられる。
 推薦を受ける自公両党の基本方針と食い違っており、何とも分かりづらい。
 公明党は本部が辺野古移設に同調する一方、県本部は県外移設を求めている。党としての政策の一貫性が問われよう。
 県は、辺野古沿岸部の埋め立て承認を近く撤回する方針だ。
 玉城、佐喜真両氏には撤回後の対応についても見解を示してもらいたい。


[玉城氏が出馬表明]埋め立ての是非を問え
 自由党幹事長で衆院議員の玉城デニー氏(58)が、急逝した翁長雄志前知事の後継として知事選への立候補を正式に表明した。
 安倍政権が支援し自民、公明両党が推す前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)は既に出馬を表明しており、両氏を軸にした争いになりそうだ。
 9月30日の投開票日まで1カ月余りという超短期決戦である。
 那覇市内で記者会見した玉城氏は、争点となる米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について「翁長氏の遺志を引き継ぎ、新基地建設阻止を貫徹する」と語った。
 翁長氏後継を決める「調整会議」の当初の人選絞り込みでは、玉城氏の名前は浮上していない。翁長氏が生前、後継として名を挙げた音声の存在が明らかになってからの急展開である。
 出遅れ感は否めない。選挙を戦うための組織づくりも、政策の擦り合わせもこれからだ。
 翁長氏は知事選の主役と監督を兼ねる存在だった。翁長氏のいない知事選をどのように戦っていくのか。「オール沖縄」陣営の中には、玉城氏でまとまったことへの安堵(あんど)感も漂っているが、選挙運動に関しては佐喜真陣営が二歩も三歩もリードしている。
 翁長知事を誕生させた「オール沖縄」勢力は、今年に入ってからも名護、石垣、沖縄市長選で連敗。その輪から抜ける企業さえ出てきている。
 寄り合い所帯の「オール沖縄」の結束を維持することが最大の課題であり、ここで負けたら「オール沖縄」の再構築は不可能となる。
■    ■
 新基地建設を巡り県と政府の対立が深まる中での知事選は、翁長氏を支援した「オール沖縄」勢力対安倍政権の様相を強めている。
 何が何でも辺野古埋め立てを進めたい政権は、勝利を収めた名護市長選の手法を持ち込み、自民、公明、維新3党による協力体制を築き上げる。
 前回、自主投票だった公明が佐喜真氏推薦に回ったのは大きな変化である。政府・与党幹部が次々と訪れるなど総力戦の構えだ。
 辺野古を争点から外し、国とのパイプを強調して、予算で揺さぶりをかけ、企業や団体への締め付けを強める。名護市長選にも増してこの手法が徹底されそうだ。
 ただ政府・自民党の中には「弔い合戦」になった場合の懸念も強く、翁長氏の死去によって不確定要素や流動的要素が強まったのは確かだ。
■    ■
 佐喜真氏は宜野湾市長に再選した際、地元の問題として「普天間の固定化ノー」を訴えながら、辺野古移設の是非については態度を明らかにしなかった。知事選ではこんな争点ぼかしは許されない。
 政府が今回の選挙を最重要視しているのは、新基地建設問題を抱えているからだ。にもかかわらず、埋め立ての是非を争点から外し、問題を避けようとするのは、説明責任の回避と言わざるを得ない。
 「辺野古が唯一」と繰り返す安倍政権の全面支援を受ける以上、正面からきちんと語り、論じる必要がある。


沖縄県知事選  「移設」の是非を明確に
 知事選ではあるが、国の政策の是非が問われる選挙となろう。
 沖縄県知事選(9月30日投開票)で、今月8日に死去した翁長雄志前知事の後継者として自由党の玉城デニー衆院議員が野党5党派の支援を受ける形で立候補を正式に表明した。前宜野湾市長の佐喜真淳氏も自民、公明両党の推薦を得て出馬表明している。
 佐喜真、玉城両氏の事実上の一騎打ちとなる見通しだ。
 最大の争点は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題だ。だが、玉城氏が移設阻止を「貫徹する」との立場を示したのに対し、佐喜真氏は公明との政策協定でも移設の是非には触れなかった。
 争点化しないことが戦術なのかもしれない。だが、沖縄にとって最も重要な移設問題への立場を示さないことは、移設を容認する人も含めた有権者の判断材料を奪うことにならないだろうか。
 2月の名護市長選でも、自民などが推して当選した市長は移設問題を争点から外し、公開討論の呼びかけにも応じなかった。
 知事選も同じような方法で争点をぼかすのなら、不誠実のそしりを免れまい。
 玉城氏も、移設に反対する主張の先にどのような地域づくりのビジョンを描くのか、具体的に語る必要がある。
 辺野古を巡っては、翁長氏が表明した海の埋め立て承認撤回を実施するかどうかの局面にある。
 選挙で問われるのは辺野古問題だけではないが、移設に関する見解と対応策を明確にし、骨太の議論を戦わせるべきではないか。
 今知事選には、安倍晋三政権の思惑が色濃く投影されている。
 自民党は今年の運動方針に「沖縄県知事選に勝利し、県政奪還を実現する」と明記した。名護市長選のほか、自衛隊部隊配備計画が争点になった3月の石垣市長選でも支援した候補者を当選させた。
 辺野古移設は安全保障政策の根幹に関わる問題だけに、国政政党の対立構図が反映されやすい。だが、基地問題は本来、沖縄との対話を重ねながら、国政の場で十分論じられなければならない。
 それが沖縄では、地域行政の担い手を選ぶ首長選に、国論を二分する安全保障に関する重い判断を担わせている。
 選挙で決着をつけようとしても、十分な議論がなければ対立と分断が残るだけだ。佐喜真、玉城両氏はその点をよく認識し、実りある政策論議につなげてほしい。


【日米地位協定】知事会の改定提言は重い
 全国知事会が、沖縄県など米軍基地を抱える自治体の負担を軽減するため、日米地位協定の抜本的見直しを求める提言を初めてまとめ、政府に提出した。
 在日米軍に特権的な地位を与え、さまざまな問題を招いている協定について、全国知事会として見直しを求めた意味は大きい。政府は重く受け止める必要がある。
 日米地位協定は、1952年に旧安保条約と同時に発効した日米行政協定が前身だ。60年の安保条約改定に合わせて地位協定に改めたが、以来一度も改定されていない。
 協定によって、日本の国内法は米軍に適用されず、日本側による基地内への立ち入り権、訓練や演習に関する規制権限もない。犯罪を起こした米軍人らの裁判についても米側に優先権がある。
 その結果として、基地周辺の住民は航空機の騒音、米軍人らによる事件や事故、環境問題などによって安全・安心を脅かされている。基地が集中する沖縄県の現状をみれば明らかだ。
 米軍ヘリの墜落、女性暴行殺人事件など重大な問題が起きると、協定の改定を求める世論は高まった。だが、日米両政府は極めて消極的で、補足協定の締結などによる運用の改善にとどまっている。
 基地問題を巡っては、米軍基地や関連施設を抱える15都道府県でつくる「渉外知事会」が地位協定の改定などを求めてきた。基地の有無にかかわらず、全都道府県で共有しようと働き掛けたのは沖縄県だ。
 先日亡くなった同県の翁長雄志知事は「基地問題は一都道府県の問題ではなく、日本の民主主義と地方自治が問われている」と提起。全国知事会として研究会を設けて議論を重ね、今回の提言に至った。
 背景にあるのは輸送機オスプレイの配備の拡大や、日米合意による本土側での訓練の増大だ。米軍機の訓練ルートが通り、過去に墜落事故も起きた高知県は危険性などを経験している。
 基地はなくても、事故や騒音などの恐れは強まり、住民の暮らしが脅かされかねない。日米安保体制の重要性は認めるにせよ、事実上の「治外法権」を放置しておくわけにはいかないとの意思表示といえる。
 提言は、地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令など国内法の適用、事件・事故時の立ち入りなどを明記するほか、訓練ルートや時期の事前情報の提供、事件・事故の防止策などを求めている。
 日本と同じように米軍基地のあるドイツやイタリアでは、米軍の事故に対する世論を踏まえて地位協定が改定された。訓練などに国内法が適用され、基地への立ち入り権なども保障されている。
 在日米軍に特権的な法的地位を与えているため、日米地位協定は「憲法より上にある」とも指摘される。全国知事会の総意である提言を重く受け止め、政府は抜本的な見直しに向けて一歩を踏み出すべきだ。


自民が総裁選報道で要請 介入の前に公平な選挙を
 自民党が9月の党総裁選について新聞・通信各社に「公平・公正な報道」を求める文書を配った。具体的に細かく注文をつける驚くような内容だ。直ちに撤回すべきである。
 党総裁選管理委員会の野田毅委員長名で配布した文書は、候補者のインタビューや取材記事、写真の掲載に関して、内容や掲載面積など「必ず各候補者を平等・公平に」扱うよう要請。各候補者のインタビューの掲載日が異なる場合には別の候補者の名も載せろとまで書いてある。
 2014年の衆院選の際、自民党は安倍晋三首相の意向を踏まえ、放送局に対して関連番組のゲストやテーマ選び、街の声の扱い方など詳細に項目を挙げて公正な報道を求める文書を出したことがあった。
 当時も前代未聞の報道圧力だと批判を浴びたが、公職選挙法の対象外である政党の代表選びで、一体、何を根拠に自民党は「公平・公正」を求めているのだろうか。
 無論、首相選びとなる総裁選は国民全体にとって重要だ。だがそれはメディアが自律的に報じるもので、政党が注文をつける理由はない。
 今回の総裁選では、石破茂元幹事長が求めていた政策テーマごとの討論会は見送られた。安倍氏は記者会見を含め質問に答える形式は極力避けたい考えと見られる。見送りはその意向を受けてのことであり、選挙戦の運営自体が安倍氏に有利で不平等ではないかとの疑問は拭えない。
 そんな中、安倍政治に批判的な石破氏は既に連日のように記者会見を続け、それが報じられている。こうした報道が不平等だと言うのか。だとすれば石破氏の言動やメディア露出を封じるのが狙いなのだろうか。
 しかも安倍氏は現職の首相だ。総裁選の期間中、安倍氏は首相としてロシアを訪問する予定となっている。では、これを大きく報じるのは不平等とはならないのか。
 安倍氏はこれまでも自分に理解を示す新聞やテレビを選別してインタビューなどに応じる一方、批判的なメディアは敵視する姿勢をむき出しにしてきた。にもかかわらず、新聞報道には平等を求めるのは明らかに矛盾している。
 これでは国民の理解も進まない。介入するよりも、党自らが討論会などの回数を増やすのが先である。


総裁選でも争点に! 安倍首相“赤坂自民亭”が豪雨被害を拡大させたとのデータが! ダムを事前放流しておけば…
 今月23日夜、徳島県に上陸した台風20号に対して安倍首相は、西日本暴雨の時とは別人のような対応をした。上陸前の23日に非常災害対策本部を開いて厳重な警戒の徹底を指示したのだ。
 西日本豪雨の際、気象庁が記録的豪雨の予報(警告)を出した7月5日の夜に安倍首相は「赤坂自民亭」の宴会に参加、翌6日には参院でカジノ法案を審議入りさせて石井啓一国交大臣を張り付かせ、非常災害対策本部が設置されたのは気象庁の警告から2日以上経った8日8時。「豪雨災害より総裁選優先」「初動の遅れが被害拡大を招いた」と批判されたが、それに比べて今回は、上陸前の23日に非常災害対策本部を開いて厳重な警戒の徹底を指示したわけだ。
 しかし、そんなことは当然であり、これで西日本豪雨時の「初動の遅れ(犯罪的職務怠慢)」が免責されるわけではない。未だに安倍首相は、西日本豪雨の対応について「政府一丸となって災害発生以来、全力で取り組んできた」と非を認めず、初動遅れと被害拡大の関連性を否定している。だが、その後の筆者の現地取材、検証でも、そんな言い訳は大嘘だったことが明らかになったからだ。
●「豪雨被害は安倍首相の“赤坂自民亭”初動遅れによる人災」と被災者が!
 ダムの緊急放水後に床上浸水の被害を受けた岡山・広島・愛媛の被災者は、次のような“人災説”をそろって口にしていた。
「ダムの緊急放水があまりに急で、一気に水位が上がって車を高台に移動する時間すらなかった。もっと早めに緩やかに放流をしていれば、ピーク(最大)放水量は半分ぐらいで済んで、こんな大きな被害は出なかったはずだ。なぜ安倍首相は5日夜の赤坂自民亭への出席をキャンセル、すぐに非常災害本部を設置して『ダム事前放水(貯水率低減)』を指示しなかったのか!」
 W杯サッカーにたとえれば、監督が大会屈指の強敵との対戦前日に作戦会議を開かずに、監督再任の鍵を握る面々との飲み会を優先、コーチもフォローしなかった結果、選手の実力を十分に発揮できずにオウンゴールを連発、惨敗をしたようなものだ。「こんなダメ監督(安倍首相)とコーチ(石井大臣)は交代させろ!」という声が出て当然だ。
“A級戦犯コンビ”の安倍首相と石井国交大臣の初動遅れ=犯罪的職務怠慢が被害拡大を招いたことは、岡山・広島・愛媛の「ダム放水量の推移(データ)」を見ると、一目瞭然だ。いずれの県でも「事前放流をしてダムを出来るだけ空に近づける操作をせず、記録的豪雨でダムがすぐに満杯状態となり、決壊を避けるために一気に緊急放水をした」という共通点があったのだ。
 野党も、安倍首相の初動遅れ、職務怠慢による人災に注目している。全国初の流域治水条例をつくった嘉田由紀子・前滋賀県知事、河川工学者の今本博健・京都大学名誉教授と大熊孝・新潟大学名誉教授は8月7日、堤防決壊で死者51名の被害を出した岡山県倉敷市真備町地区を訪れ、国交省岡山河川事務所や岡山県の担当者から説明を受けたが、ここに国民民主党の柚木道義衆院議員(その後22日に離党し現在は無所属)、立憲民主党の高井崇志衆院議員と山崎誠衆院議員も同行。下流域(真備町地区など)の洪水被害を招いた可能性のあるダムの緊急放水について、嘉田氏が国交省の担当者をこう問い質した。
「河川法52条では、河川管理者(国交省)は洪水の恐れがあるときは、ダム設置者(岡山県や中国電力)に対して、必要な措置をとることを指示することができるはず。なぜ今回、やらなかったのですか?」
豪雨最中のダム緊急放水が被害を拡大! 国交省はダムの事前放流を指示せず
 実は、真備町地区に接する高梁川上流のダムで緊急放流をしたのは、県管理の「河本ダム」(高梁市)や中国電力管理の「新成羽川ダム」(同)などだが、なかでも高梁川水系で最大の新成羽川ダムは河本ダムに比べて貯水量が約7倍で、緊急放水量も3倍弱となっていた(視察参加の山崎議員の入手データより)。しかし、国交省の担当者に「豪雨に備えて新成羽川ダムを空に近づける『事前放流』を中国電力に指示したのか」と聞くと、「していません」と回答。河川法52条を行使して洪水を避ける措置をしていないことが明らかになった。
 高井議員もブログで〈どうやらこの規定は『伝家の宝刀』なっており、なかなか抜くことができない、つまり『空文』(規定はあっても使われない条文)になっているようです〉と指摘、また嘉田氏は石破茂・元地方創生大臣が政策提言をする「防災省創設」の必要性を強調、「首相直系の防災省があれば、記録的豪雨の予報が出たのを受けて、ダム管理者に事前放流を指示できただろう」という具体的なメリット(現体制との差異)を語っている。
「初動遅れ(犯罪的職務怠慢、河川法52条違反)による人災説」の可能性がさらに高まった。安倍首相は赤坂自民亭の宴会をキャンセルし、即座に非常災害対策本部を立ち上げ、ダム管理の最高責任者の石井国交大臣らと河川法52条に基づいて「ダム事前放流」の指示を出していれば、これほど多くの犠牲者を出さずに済んだはずなのだ。総裁選対応やカジノ法案審議を優先した“A級戦犯コンビ”が、気象庁が警告を出した7月5日14時から2日半も無為無策の時間をすごした結果、被害拡大を招いたことは、ダム下流域の被災者の実感やダム緊急放水の推移(データ)から明らかなのだ。
安倍首相は広島被災地視察でも、総裁選優先し被災者は二の次だった!
 しかし初動遅れの影響を認めようとしない安倍首相は、1カ月後の8月5日の広島被災地視察でも「総裁選優先・被災者二の次」の対応をしていた。羽田空港を自衛隊機で午前11時に出る“超社長出勤”の安倍首相は、13時前に広島空港に到着、バスで被災地を回ったが、まだ日差しが強い17時5分に海沿いの豪華リゾートホテル「グランドプリンスホテル広島」に引き上げた。現地視察は約4時間で、移動時間を除くと2時間足らず(98分)だった。そして同夜、このホテルに岸田文雄政調会長が駆け付け、夜景の見える22階の高級レストラン「ステーキ&シーフード ボストン」で安倍首相と会食をした。赤坂自民亭ならぬ“広島自民亭”で総裁選対策に精を出したのは間違いないだろう。
 しかも視察2日前の8月3日、石井国交大臣が「野呂川ダム」(広島県呉市安浦町)でルール違反の大量放流があったとして、県と国交省で検証する方針を明らかにしている。安倍首相は当然、ダム下流域の被災者と面談し、「ルール違反のダム放水で被害が出た可能性があり、申し訳ありません。『人災』の結論が出たら国家賠償をします」などと説明すると思ったが、安倍首相は最後の視察地の呉市吉浦町から10キロ先の野呂川ダムを訪れず、まだまだ視察な可能な17時すぎに“広島自民亭”のあるホテルに駆け込んだのだ。
 なお8月9日に野呂川ダムを検証する初回会合が開かれたが、配布資料にあるダム放水量の推移(データ)を見ても、先の新成羽川ダムと同様、事前放流が不十分であったことを示していた。
 今回の西日本豪雨災害で、「国民の生命・財産を守る」が口癖の安倍首相の化けの皮が剥がれた。危機管理能力は皆無に等しく、自らの初動遅れが被害拡大を招いたことにも無自覚で、とにかく最高権力者のポストに居座り続けることしか頭にないということだ。と同時に、総裁選の構図も浮き彫りになっていく。「“犯罪的職務怠慢”でも開き直る安倍首相VS豪雨災害を受けて防災省創設を提案する石破茂氏」というものだ。
 どちらが国民の生命財産を守る重責を担う資質を有するのかは、西日本豪雨災害への対応に目を向けると、すぐに答えが出てくると思うのだが。


追悼さくらさん 朗らかに描いた「日常」
 「ちびまる子ちゃん」のさくらももこさんが亡くなった。スポーツ根性ものや空想科学ものが人気だった漫画界に、何げない日常の朗らかな笑いを取り入れ、広く共感を呼んだ。早すぎる死を悼む。
 昭和が終わるころ。若い女性の間で、あるギャグ漫画が話題になった。「私たちの小学生の頃、そのままだよ」。一九八六(昭和六十一)年に「りぼん」で連載の始まった「ちびまる子ちゃん」だ。
 九〇(平成二)年にテレビでアニメの放送が始まると、さくらさんが作詞したテーマ曲「おどるポンポコリン」は街の至るところで流れ、はやりに疎いおじさんさえもカラオケで「♪ピーヒャラ、ピーヒャラ」とご機嫌で歌った。
 「まるちゃん」の特徴は、逆説的だが、どこにでもいそうな少女であること。「基本的にはまじめだけれど、面倒くさがりだったりする、普通の女の子」とさくらさんが語った通りの小学生だ。
 漫画は時代を映す。家庭を顧みずに働く「モーレツ社員」が活躍した高度経済成長期は、「巨人の星」「アタックNo・1」など、厳しい特訓をへて勝利を得るスポーツ根性ものが全盛だった。
 国民がほどほどに豊かな一億総中流社会が来ると、人々の視線は次に来る時代、つまり未来へと向かった。将来の科学技術をベースにした「宇宙戦艦ヤマト」や「ドラえもん」が人気を集めた。
 スポーツの天才、空想の科学。あるいは少女漫画の定番「キラキラ目」。そんな題材とはかけ離れた少女のささやかな日常を描き、「エッセー漫画」という新ジャンルを切り開いたさくらさん。たとえば、おなかが痛くて医者にかかる−それだけのことがこの人の手にかかると、名人の落語にも似た掌編になった。バブル経済が崩壊して人々が生き惑う平成の時代、多くの読者に支持された。
 日々の生活が生む笑いを描いただけに、人々から笑顔を奪った東日本大震災には胸を痛めた。二〇一一年三月十八日、本紙で掲載した四コマ「ちびまる子ちゃん」には、花に託した復興への願いがにじむ。稀代(きたい)の漫画家が伝えたかった思いをかみしめ、まるちゃんのような笑顔で故人を送りたい。


小池都知事の追悼文見送り 既成事実化は許されない
 関東大震災に伴って起きた朝鮮人虐殺の犠牲者を慰霊するため、毎年9月1日に開かれる追悼式典に、小池百合子東京都知事が、今年も追悼文を送らないという。
 今月10日の記者会見で「全ての犠牲者に哀悼の意を表している。個別の形での追悼文送付は控える」と、昨年と同じ理由を説明した。
 大震災時「朝鮮人が暴動を起こした」などとするデマを住民らが信じ、多数の朝鮮人らが虐殺された。追悼式は、日朝協会などが主催して開いている。
 追悼文を送らない小池氏の姿勢は民族差別を背景にした虐殺に懐疑的な見方をしているように見える。
 しかし、政府の中央防災会議も虐殺の犠牲者数を、震災死者10万5000人の「1〜数%に上る」という推計を報告書に記している。数々の証言集もある歴史的事実だ。
 しかも、地震という自然災害で亡くなることと、人の手による虐殺で命を奪われることは、根本的にその「死」の性質が異なる。
 それを「全ての犠牲者」という表現でひとまとめにすることは、この事件に対して距離を置きたがっていると見られても仕方がない。
 小池氏は昨年、虐殺について「さまざまな見方がある。歴史家がひもとくもの」とも述べている。
 だが、なぜ個別の追悼文を控えるのか、虐殺に対する自身の認識は語っていない。今年も同様だ。
 日朝協会など主催者らは今月、都庁を訪れ、小池氏の追悼文送付を求める約8600筆の署名を渡した。
 小池氏がこれを拒み、知事としての追悼文を出さないことを既成事実化するのは許されない。
 知事からの追悼文は、市民とともに事件を振り返り、二度と惨劇を起こさないよう誓う意味がある。
 災害発生の非常時には、不安な心理を背景にしたデマが流れやすい。東日本大震災時、被災地で「外国人犯罪が横行している」とのデマが広まった。2年前、東北学院大が仙台市民に調査したところ、8割以上が「それを信じた」と回答している。
 95年前の惨劇を過去のことと切り離すべきではない。だからこそ毎年過去を確認し、不幸な歴史を繰り返さぬ決意を示すことが必要だ。それが行政トップである知事の役割だ。


障害者雇用不正 「共生社会」掛け声だけか
 この数字には、あきれるほかない。不正の実態は思った以上に深刻だった。「共生」をうたった障害者基本法は空文化し、安倍晋三政権が掲げる「1億総活躍社会」も掛け声だけに終わっていないか。政府には改めて猛省と原因の究明、再発防止の徹底を求めたい。
 中央省庁による障害者雇用の水増し問題で、政府は不正が33機関中27機関に及び、昨年雇用したとされる約6900人のうち、3460人が水増し算入されていた、と発表した。
 簡単に言えば、中央省庁の8割で不正が行われ、実際に雇用された障害者は公表された数字の半数以下、法定基準(公表当時は2・3%)を上回っていたという雇用率「2・49%」も、実際は「1・19%」で、大うそだった−という構図である。
 省庁別では、水増し数が国税庁で千人超、国土交通省や法務省で500人超などと、実際の雇用率が法定基準を大きく下回り1%未満の機関も多かった。
 政府は原因について「故意か誤解に基づくものか、今の段階で判断するのは困難」(加藤勝信厚生労働相)としている。
 しかし、これまでの報道では「障害者手帳を持つ人」と「指定医の診断で障害が認められた人」に限定された国の雇用ガイドラインを、大きく逸脱した運用が次々に浮かんでいる。
 「健康診断結果を基に本人に確認せずに算入した」(国交省)「本人が書いた健康状態や病名を基に判断した」(法務省)といった事例だ。これらの中には、障害者手帳を持たない糖尿病やがんの人を含めたケースもあるようだ。多くの省庁が長年、ノルマ達成のために、ガイドラインを意図的に拡大解釈していた疑いが強い。
 政府は問題の検証作業とともに、障害者の新たな雇用枠を早急に設けるべきだ。
 気掛かりなのは、障害者を「共に社会で働く仲間」として尊重する意識が、霞が関で欠落していないか、という点だ。国の障害者施策の基本理念を確認しておきたい。
 「全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」
 障害者基本法の第1条で規定され、今年の障害者白書でも「職業を通じた社会参加が重要」と強調されている。安倍政権の「1億総活躍社会」も、これを包含したスローガンである。
 2年後には東京五輪・パラリンピックが控える。そこでは、日本が国際社会に向かって平和の尊さや「共生社会」の素晴らしさを発信する役割を担う。その使命も見据え、政府全体として意識改革を進めるべきだ。


障害者雇用水増し問題 働く機会奪った罪は重い
 中央省庁が障害者雇用数を水増ししていた問題で、昨年だけでも行政機関の8割となる27機関で3460人にも上っていた。法令無視は制度開始の1960年から横行していたとされる。膨大な数の障害者の働く機会を奪った罪は重いと言わざるを得ない。
 水増しは多くの地方自治体でも次々と発覚。県内では鯖江市や県警、新たに福井市でも判明した。相次ぐ発覚にいまだ全容はつかめないままで、故意に数字を操作したのか、法令解釈の誤りなのかも判然としない。政府は第三者の検証チームに原因究明を委ねるとしたが、国会は閉会中審査で真相解明に当たるべきだ。
 身体障害者雇用促進法は60年に制定され、76年に民間企業に雇用が義務付けられた。その後、対象に知的障害が加えられ、今年4月には精神障害にも拡大。法定雇用率は徐々に引き上げられ、現在は国や地方自治体で2・5%、企業で2・2%だ。雇用率に算入できる障害者は厚生労働省のガイドラインでは、各障害者手帳で確認するのが原則で、例外として指定医による診断書も認められている。
 政府の調査結果によると、昨年雇用していたと発表した約6900人のうち半数が水増しで、雇用率は法定を大きく下回る1・19%だった。この数字に障害者から怒りや不満の声が上がったのは当然だ。雇用率達成にまじめに取り組み、未達成時には納付金を納めるなどしてきた企業にすれば、冷水を浴びせられたとの思いだろう。
 手帳の確認を怠っただけでなく「視力が弱い」「糖尿病」といった職員を障害者として算入していたことが判明。さらには、健康診断など申告のあった資料を基に、本人に確認もせずに算入していた例もあったという。歴代の担当者らにこうした手法が受け継がれてきたとみられる。厚労省のガイドラインの分かりにくさを指摘する声もあるが、法令順守を第一とする公務員の弁とは思えない。
 障害者雇用促進法は、働く喜びを通じ、障害のある人の自立を支えることを理念に掲げる。範を示すべき「官」の背信は、障害者の萎縮、民間企業の雇用意欲減退にもつながりかねない。水増しは国税庁1022人、法務省539人に上った。国民の納税、人権意識への影響も懸念される。
 政府は今年中に雇用率に満たない人数を雇用するとしているが、これこそ実態を軽視するものだ。障害者一人一人に向き合った職場環境やフォロー体制などが整わない状態では、職場への定着が困難なことを理解していないのではないか。
 安倍晋三首相が表に出てこないのも不自然だ。財務省の文書改ざんなどでは「行政の長として責任を痛感している」などと弁明した。今回は安倍政権に起因するものではないと、ほおかむりするつもりなのか。4年前の厚労省所管の独立行政法人で水増しが発覚した際に省庁を含めた調査を行っていれば、との指摘がある。その時の行政の長は誰だったのか。


防衛白書  脅威強調だけでいいか
 2018年版防衛白書が公表された。6月の米朝首脳会談後も北朝鮮の核・ミサイルの脅威は変わらず続いていると警戒感を示している。
 共同声明で非核化の意思が示されたことに「意義は大きい」と評価しながらも、「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」と明記した。昨年の白書より表現が強まっている。
 たしかに北朝鮮の非核化の動きは進んでおらず、脅威がなくなったわけではない。しかし、ことさら強調するのは緊張緩和の流れに水を差すようでもあり、強い違和感を覚える。
 背景にあるのは、政府が23年度の運用開始を目指す地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」ではないか。
 北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するため導入が決まったが、1基あたりの取得経費が当初の約800億円から約1340億円と大きく膨らみ、費用対効果などから疑問の声が上がっている。
 導入を円滑に進めるための脅威の強調だとすれば、本末転倒と言わざるをえない。
 米朝会談後に菅義偉官房長官は「安全保障上の厳しい状況は緩和された」と会見で述べた。
 日本海でのイージス艦の常時配置などをやめ、住民避難訓練は中止となった。そうした対応とも明らかに矛盾する。
 しかし政府は、白書を踏まえミサイル防衛を強化する構えだ。
 小野寺五典防衛相は「方向性を国民に知ってもらう必要がある」と白書の意義を強調するが、これで理解が得られるだろうか。
 一方で、十分とは言えないのが南スーダンやイラクの日報問題についての記述だ。文民統制(シビリアンコントロール)の在り方が批判されたが、昨年の白書では触れられなかった。
 今年は巻末に項目を設けているが、経緯や再発防止の取り組みについて大まかな説明にとどまっている。同じく文民統制が問われた幹部自衛官による国会議員への暴言問題には触れていない。
 防衛費(当初予算ベース)は安倍政権下で13年度に増加に転じており、19年度予算の概算要求額も過去最大となる見込みだ。防衛に関する国民への説明責任はより重くなっている。
 文民統制の徹底についてもきちんと示すべきだろう。脅威をあおる内容ばかりが目立つ白書では、その役割は果たせていないのではないか。


防衛白書 装備増強への布石なのか
 2018年版防衛白書が閣議で報告された。昨年7月から今年6月までの周辺各国の動きをまとめた中で、北朝鮮の脅威を過去最大と捉えている点が一番のポイントだ。
 6月の米朝首脳会談の共同声明では北朝鮮の非核化の意思が示された。この点に関しては「意義は大きい」と評価した。
 にもかかわらず、北朝鮮の核・ミサイルを巡る現状を「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」とし、前年版より表現を強め、危機を強調した。
 懸念するのは、装備増強の思惑が指摘されていることだ。
 防衛省は弾道ミサイル防衛として、巨額費用を投じる地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」導入計画を進めているからだ。
 今月末には過去最大とみられる防衛費を計上する19年度予算の概算要求を控えている。年末には新たな防衛計画大綱を決定する予定だ。
 北朝鮮への言及には、脅威を訴えるものが目立つ。
 昨年中に核実験や弾道ミサイル発射を繰り返したことについては、「地域および国際社会の平和と安全を著しく損なう」と非難した。
 日本をほぼ射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」数百発が実戦配備されていると指摘し、「脅威についての基本的な認識に変化はない」との見解を示した。
 さらに核兵器の小型化を実現した可能性があるとし、開発が進み米国への戦略的抑止力を確保したと過信すれば挑発が重大化する恐れもあるとした。
 昨年は北朝鮮が軍事的挑発を繰り返し、不安が高まった。米朝首脳会談が開かれたとはいえ、北朝鮮の非核化を巡る交渉は停滞している。警戒を緩めてはならないのは確かだろう。
 ただし、米朝対話は継続中だ。白書は、防衛費の増大や新装備拡大の補強材料ではないはずだ。先行きを見据え、冷静に情勢を伝えるものであってほしい。国民の信頼を得るためにも不可欠だろう。
 白書は、中国について、日本周辺での活動を一方的にエスカレートさせ、「日本を含む地域・国際社会の安全保障上の強い懸念」と指摘した。
 ロシアに関しては、北方領土で軍事活動活発化の傾向があり、動向を注視すると記載した。
 総体として「わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している」と結論付けた。
 一方、米朝対話が続く中、安倍晋三首相は日朝協議の可能性を探る。日中関係も改善し、日ロ首脳は良好関係を維持する。
 こうした外交の変化の中で防衛政策はどうあるべきかを考えなければならない。増強ありきで予算の膨張が続けば、国民生活にしわ寄せが及びかねない。
 白書では南スーダンPKO日報問題やイラク日報問題について「再発防止策を徹底し、信頼回復に全力を注ぐ」とした。相次ぐ不祥事に国民からの厳しい視線が注がれた。約束をきちんと守ってもらいたい。


名張毒ぶどう酒事件 弁護団が裁判官忌避申し立て
 57年前の「名張毒ぶどう酒事件」で、名古屋高裁が再審請求を棄却したことに対し異議を申し立てていた弁護団が、29日、担当の裁判官をはずすよう求める申し立てを行いました。
 1961年、三重県名張市でぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」。
 奥西勝元死刑囚が3年前に病死し、親族らが10回目の再審請求を行ったものの棄却され、弁護団が、異議を申し立てていました。
 弁護団は、29日、異議の申し立てを審理する名古屋高裁の3人の裁判官について、「対応に問題がある」などとして手続きからはずすよう求める申し立てを行いました。


経産省「発言記録残すな」文書の背景に安倍官邸の意向! やっぱり安倍首相にモリカケの反省は一切なかった
「反省すべきは真摯に反省する」「公文書管理の適正を確保するため、必要な見直しを政府をあげて徹底的に実施する」という安倍首相の掛け声は、やっぱり嘘だった──。政府は今年4月に行政文書の管理に関するガイドラインを改正したが、経産省ではそれに合わせ、政治家をはじめ省内外の人物との打ち合わせの記録を「個別の発言まで記録する必要はない」などと指示するなど、“議事録は不要”とする内部文書を作成していたことを、きょうの毎日新聞朝刊がスクープしたのだ。
 記事によれば、この内部文書は「公文書管理について」と題されたA4判6ページのもので、日付けは今年の3月27日。改正ガイドラインでは、〈政策立案や事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等の記録については、文書を作成するものとする〉と定められているが、それについて経産省の内部文書では「『いつ、誰と、何の打ち合わせ』(をした)かが分かればよく、議事録のように、個別の発言まで記録する必要はない」と説明されているという。
 また、この文書を使用した経産省内部の会議では、「(これから言うことは)メモを取らないように」「誰が何と言ったか分からないように、議事録は残してはいけない」などと指示されたと出席した職員が証言。この文書自体、改正ガイドラインで1年以上の保存が定められた公文書であるはずだが、なんと〈問題の文書の表紙に、その保存期間を会議当日の「平成30年3月27日まで」と指定し、即日廃棄扱いにしている〉というのだから、開いた口が塞がらない。
 つまり、安倍首相は森友・加計問題などを受けて行政文書の管理に関するガイドラインの改正を打ち出し「公文書管理の質を高める」と宣言したが、その実態は、隠蔽をより強化して行政文書のブラックボックス化を加速させる取り組みとなっていたのだ。
 もともと改正ガイドラインは、保存期間を1年未満とする文書を「明白な誤りなど客観的な正確性の観点から利用に適さなくなった文書」と定め、恣意的な解釈によって破棄される危険性を孕んでいた。また、課長級の文書管理者による確認や、外部との打ち合わせ等では可能な限り相手方に発言内容を確認することを定めるなど、都合の悪い文書が残されにくくなるのではないかと懸念されてきたが、まさかここまで悪質な運用を強いて、ガイドラインを根本から骨抜きにしていたとは……。
 しかも重要なのは、これが経産省の方針であるという点だ。
 安倍首相の安倍首相の最側近である今井尚哉首相秘書官を筆頭に、佐伯耕三首相秘書官、長谷川栄一首相補佐官といった側近たちは皆、経産省出身。経産大臣の世耕弘成は「安倍政権のゲッべルス」とも呼ばれる安倍首相の完全な子飼い議員であり、いまや経産省は「官邸の下請け」となっている。
 そうした状態にある経産省がガイドライン改正に合わせて「政治家の発言は残すな」と指示していたということは、これこそが「官邸」の方針であることはあきらかだろう。
 事実、毎日新聞によれば、この内部文書が作成されたと同時期に、経産省幹部が課長級職員たちに対し、「官房副長官以上のレクチャー(説明)では議事録を作成しないように」と指示したという。
 ようするに、たとえば加計学園の獣医学部新設について、萩生田光一官房副長官が「官邸は絶対やると言っている」「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」などと発言したことを記録していた文書のようなものを、ガイドライン改正と合わせて「これからは作成するな」と現場の官僚に圧力をかけていたのである。
 無論、こうした公文書を骨抜きにする指針をひそかに打ち出しているのは経産省だけにとどまらない可能性は高い。
石破の「面会記録の保管義務化」提案に安倍首相が「モリカケ蒸し返すのか」と激怒
 そもそも、森友の公文書改ざんは佐川宣寿・元理財局長の一存で実行できるようなものではない上、佐川氏の答弁が強気なものに変わったのは安倍首相の「私や妻がかかわっていたら総理も国会議員も辞める」という昨年2月17日の答弁以後のこと。公文書の改ざんが官邸の指示、なかでも今井首相秘書官からの指示によって引き起こされた疑いは極めて濃厚だ。
 いや、それ以前に、加計問題では「総理のご意向」文書を菅義偉官房長官は「出所不明の怪文書」と宣い、再調査で文科省から文書が出てきても政府は「個人メモ」と言い張った。公文書改ざんが発覚した森友問題でも、麻生太郎財務相は第三者委員会による調査を拒否。こんな体たらくで安倍首相は「政府をあげた抜本的な見直し」などと胸を張る呼ぶのだから、信用しろと言うほうがおかしい。
 しかも、総裁選では、「正直、公正」をキャッチコピーにした石破茂・元幹事長に党内から「安倍首相への個人攻撃だ」という批判が起こったとされるが、対して安倍首相が掲げたキャッチコピーは「責任、実行」。だが、いまなお森友・加計問題は国民から疑惑の目を向けられているにもかかわらず、総選挙に際して打ち出した「5つの決意」では公文書管理の徹底には一言もふれずじまいだ。
 さらに、石破氏は森友・加計問題を受けて「いつ、どこで、誰が、誰に会ったかという記録は明確でなければならない」「(面会記録の)保管は義務化」というごく当然の見直し策を出しているが、そうした石破氏の政策に安倍首相は「森友・加計学園問題を蒸し返そうとしていることに腸が煮えくり返っている」(「週刊ポスト」9月7日号/小学館)という。蒸し返すも何も疑惑はひとつも解明されていないのに、安倍首相はもう終わった話だというのである。
 反省する態度さえ皆無の人物が公文書管理を徹底できるとは到底考えられない。むしろ、自分の関与や官邸の暗躍を表沙汰にしないよう、ガイドライン改正を逆に公文書管理を骨抜きにする機会にしようと目論んでも、何ら不思議はないのだ。
 ある意味、今回の“議事録不要”問題は、安倍首相の総裁選キャッチコピーが「責任(を逃れ)、(民主主義の破壊を)実行」する宣言であることを裏付けたと言える。ともかく、経産省の方針への官邸の指示をはじめ、問題の実態解明が求められるだろう。


経産省 折衝記録「発言要らぬ」 内部文書、指針骨抜き
 政治家ら省内外の人物と折衝した際に作成する公文書について「議事録のように個別の発言まで記録する必要はない」などと記載した経済産業省の内部文書を毎日新聞が入手した。文書は複数の会議で使用され、出席した職員は「誰が何と言ったか分からないよう、議事録を残してはいけないと指示を受けた」と証言した。森友・加計学園の問題などを受け改正された「行政文書の管理に関するガイドライン」は打ち合わせの際、記録を作成するよう定めているが、骨抜きにしかねない実態が判明した。
 文書は3月27日付の「公文書管理について」。A4判6ページで、同日開催された、経産省(中小企業庁など外局を含む)の筆頭課長補佐級職員約20人が出席する「政策企画委員会」で「事務連絡資料」として配布された。ガイドライン改正を受け、公文書管理を担当する「情報システム厚生課」が作成。今後の運用方針などがまとめられている。
 ガイドラインが新たに「政策立案や事務及び事業の実施方針等に影響を及ぼす打ち合わせ等の記録については文書を作成する」と定めたことを引用したうえで、作成する「記録」について「『いつ、誰と、何の打ち合わせ』(をした)かが分かればよく、議事録のように、個別の発言まで記録する必要はない」と説明している。さらに、ガイドラインは意思決定など検証に必要な文書について1年以上保存するよう定めているが、問題の文書の表紙に、その保存期間を会議当日の「平成30年3月27日まで」と指定し、即日廃棄扱いにしている。
 同課は取材に対し、「(指摘のような)文書を配布した記憶はある」としたうえで「必要な時に議事録を作り、そうでない時は必ずしも作る必要はないという意味であり、ガイドラインに反しない。(当日廃棄については)議論のための資料で、その場でしか使用しないためだ」と主張した。
 しかし、経産省職員によると文書は別の会議でも使用された。この会議に出席した職員は「文書を示され、『(これから言うことは)メモを取らないように』と前置きがあったうえで『誰が何と言ったか分からないように、議事録は残してはいけない』と指示された」と証言した。さらに、経産省のある課で課員全員に文書が配布されたことを明かした上で「討議用の資料ではなく、文書管理強化に関する省内の周知文書。重要な文書であり廃棄すべきではない」と話した。
 公文書管理全般を所管する内閣府の公文書管理課は、取材に対し「必要な場合は議事録を残し、そうでないなら残す必要はないという意味なら、経産省の文書の記載に問題はない。ただすべての議事録を残さない方針なら問題。(文書の保存期間については)ケース・バイ・ケースだ」としている。【小林直、向畑泰司】
解説 事実検証を妨げ 行政の問題封印
 経産省の内部文書や、議事録作成を妨げる省内の指示は、公文書への信頼を大きく損なう。
 ガイドライン改正につながった、森友・加計学園問題は、行政側に残された文書が発覚の引き金になった。加計学園の獣医学部新設を巡っては昨年5月に見つかった文部科学省の「メモ」に、早期開設について内閣府幹部が「総理のご意向」と発言したとの記載があった。森友学園への土地売却を巡っては、元理事長の籠池泰典被告=詐欺罪などで起訴=が安倍晋三首相の妻昭恵氏らの名前を挙げ、値下げを迫る記録が財務省から見つかった。
 当時、今回の経産省のような運用がなされていれば、二つの問題が明らかにならなかった可能性が高い。どんな発言があったのか、検証できないからだ。
 安倍首相は3月の参院予算委で、「ガイドラインを改正し公文書管理の質を高める取り組みを行った」と強調した。しかし、実態はかけ離れており、行政のブラックボックス化が進んでいるのではないか。【杉本修作】


経産省議事録不要 「国民向いていない」身内から批判
 経済産業省内で「議事録不要」を呼び掛ける文書が配布されていた。誰がどんな発言をしたのか−−。核心部分が公文書から消えようとしている。文書が配布された会議とは別の場でも、政治家とのやり取りを残さないよう指示があったといい、省ぐるみの様相を呈する。公文書隠しとも言える動きは他省にもあり、異常な実態が浮かび上がる。【小林直、向畑泰司、田中龍士】
 「官房副長官以上のレクチャー(説明)では議事録を作成しないように」。関係者によると今年3月下旬、経産省の課長級職員が出席する会議の場で幹部が指示した。行政文書(公文書)の管理に関するガイドラインの改正を受け、問題の文書が作成され、別の課長補佐級会議で配布されたのと、同じ時期だ。指示は口頭だった。出席者は取材に対し「官邸に行ったらメモを取るなという意味だと理解した」と話した。
 個別の発言まで記録する必要はない−−。問題の文書について、作成した情報システム厚生課は「必ずしも全部(議事録を)作る必要はないですよという意味。『作らないルールになっている』と受け取った職員がいたら、うまく伝わっていなかったということ」と説明する。
 「その説明はおかしい」。文書を受け取った経産省職員は怒る。会議ではっきりと不作成を指示されたからだ。「官僚は業務慣行として、政治家が何を言ったか、正確に記録してきた。『議事録を残すな』という指示はそれをやめろ、という意味。強力な圧力だと感じる」と話す。そのうえで「わざわざ文書を作り『発言まで記録する必要がない』と記載し、取材を受けても問題だと感じない、情報システム厚生課の感覚自体がおかしい。国民の方を向いていない証拠だ」と嘆いた。
 他の省はどうなっているのか。環境省関係者によると、最近表紙に「私的メモ」などと書かれた文書が増えた。情報公開の対象となる文書は法律上「組織的に用いるもの」などと定義されており、私的な文書であれば公開の対象外になる。
 しかし、環境省では会議で配布する文書さえ個人文書扱いしているケースがあるという。同省関係者は「最近政治家の絡む案件で、表紙に『個人メモ』と書かれた文書を見た。異常な状態が霞が関に広がっているのではないか」と指摘した。
           ◇
 経産省の文書は即日廃棄扱いだった。本当に捨てられたのか。情報システム厚生課は29日、取材に対し「確認中」と回答した。【小林直、向畑泰司、田中龍士】
適正管理に逆行 
 公文書管理に詳しい早川和宏・東洋大教授(行政法)の話 公文書管理法は、行政の事務や事業を後日、検証できることを要求している。詳細な記録の必要がないとの認識が広まり記録が残されなければ、少なくとも今までより情報量が減少する。法の趣旨に反し、公文書管理の適正化を求める昨今の取り組みにも逆行しており問題だ。また、新たな運用方法が記された文書を即日廃棄すると、運用の根拠が確認できなくなり不適切だ。
 【ことば】行政文書の管理に関するガイドライン 公文書管理法に基づき文書作成・保存のルールを定めた政府の指針。ガイドラインに従って各省庁が規則を定めている。森友・加計学園の問題などでずさんな文書管理が批判されたことを受け昨年12月に改正。文書を作成する対象を明確化したが、正確性の確保などが強調され、識者らは「慎重になることで、文書がこれまでより作られなくなるのではないか」と指摘している。


早大セクハラ騒動、別教授の「口止め」認める ネットの怪文書も話題に
世間を騒がせている、早稲田大大学院のセクハラ問題。渦中の文芸評論家・渡部直己氏(66)は、当時教え子だった20代の女性に対しセクハラをしたとして、7月に同大教授を解任された。
この件について、女性が被害を相談した別の男性教授から「口止めされた」という女性側の申し立てに対して、大学の調査委員会が「口止めを受けていると感じる発言があった」と認めたことがわかった。
名門大学で起こった事件について、ネット上ではさまざまな声があがっている。
■「外では言わないほうがいい」と口封じ
修士課程に在籍していた女性は、同コースの教授だった渡部氏からセクハラを受けていたという。渡部氏は被害者の女性に「俺の女になれ」と迫るなど、深刻なセクハラ行為を行なっていたことが確認されている。
産経ニュースによると、男性教授が女性から相談を受けたのは昨年4月。
その際、男性教授は「面倒なことに巻き込まれるのは嫌だな」と発言した上、女性の言動について「隙がある」などとコメント。被害について「外では言わないほうがいい」と、事実上の「口封じ」とも言える対応を行なったという。
■「怪文書」も話題に
またこの件について、「はてな匿名ダイアリー」に「早稲田大学現代文芸コースのセクシャルハラスメント報告書がひどい」と題された投稿が行なわれた。
このブログ記事で重要なポイントを抜粋すると、「加害者は、渡部一人ではない」ということで、渡部と同じコースに所属する水谷八也教授と、渡部氏の弟子である市川真人准教授が名指しで批判されている。
「渡部によるセクシャルハラスメントに悩んでいた被害者は、友人同席のもと、当時現代文芸コースの主任を務めていた水谷と三人で面会を行った。また、精神的に落ち込んでいた被害者に代わり、友人は水谷と二人で二回目の面会も行った。
被害者及び友人の申立書によると、水谷は『この件を口外しないでほしい』『口外すると現代文芸コースの存続に関わる問題に繋がるから』『被害者自身にも隙があり、渡部が勘違いしてしまうのもうなずける』といった趣旨の発言をしているにも関わらず、水谷本人が否定していることだけを根拠に、報告書では被害者及び友人の主張を認定していない」(「はてな匿名ダイアリー」より)
ツイッター上では「怪文書」などと評されているこのブログ。
しかし、匿名投稿とはいえ、この騒動の発端となったプレジデントオンラインの報道と合致する部分は多く、現役早大生たちの身の安全などを考えると、しっかりと説明責任を果たしていく必要があるだろう。
■元ゼミ生が語る水谷氏の人柄
しらべぇ取材班は、水谷氏のゼミにかつて在籍していたという男性との接触に成功。今回の件や教授の人柄について、話を聞いた。
−−今回の事件を聞いてどう思いました?
「正直、事実だとするとかなり残念ですね。水谷先生は結構クセのある人で、ゼミ生からの人気もばらついていましたね…授業は面白かったんですが」
−−水谷氏はどんな人物ですか?
「よく言えば研究者肌、悪く言えば社会性に欠けた人物だと思います」
■ゼミ生に対しても壁
−−と言いますと?
「基本的に人との交流を望みません。例えば、うちは戯曲(舞台の脚本)を研究したり、実際に書いたりのゼミだったので、ゼミで赤坂の劇場に芝居を観に行ったことがあるんです。
普通のゼミだと終わってからみんなで飲みに行ったりするもんじゃないですか。でも、水谷先生は一人そそくさと帰っちゃう。ゼミ生に対しても、壁があるんですよね。
とは言え、それは個人の性格なので別にいいんですが…正直、人の心の痛みについて想像できない人なんだという印象もあります」
■元ゼミ生が語るトンデモ体験談
−−人の心の痛みが想像できないエピソードとは?
「僕は生まれつきアトピー性皮膚炎で、肌が赤くなったり、荒れたりしやすいんです。今はかなり良くなっていますが、ゼミ生時代は結構赤くて…
それである日、水谷先生に『どうせならアトピーを題材にした作品を書いたら?  繊細すぎて肌が汚くなって差別を受けてる人の話』と、笑いながら言われたことがあります。その頃、自分は真剣に悩んでいたし、笑いながら『題材にしたら?』と言うことでは確実になかった」
−−水谷氏は、あなたがアトピーで悩んでいたことを知っていた?
「それはわかりません。アトピーがコンプレックスだと明確に伝えたことはないですから。でも、人の容姿について否定的な発言すること自体が、そもそも適切ではないと思います。
本当にショックで、その日は普通に家に帰って泣いたんです。でも、当時は学内ハラスメントに対する認知度も高まってなかったし、学生が訴えてどうにかなるものでもなかったので、我慢するしかありませんでした」
■泣き寝入りするしかなかったあの頃
−−正直、今だとかなりの問題発言だと思います。
「でも、本人はどうせ覚えてないんですよ。人の気持ちがわからない人は、自覚なく人を傷つける。だから後で問題になっても『記憶にない』『そういう意図はなかった』と言う。言い逃れに聞こえるけど、本人的には言い逃れてるつもりはないんだと思います。なぜなら、そもそも傷つけた自覚がないんだから。
今回の件は、ゼミの卒業生として事実であってほしくない案件です。でも、事実だったとしても、僕は正直納得ですね」
■現役学生へのアドバイス
−−現役学生に対してアドバイスなどあれば教えてください。
「研究者としての実績、知名度と人間性はまったく関係ありません。むしろ、大学という閉ざされた機関ではハラスメントは起こりやすいと認識すべきでしょう。
身を守るために録音機器を常に用意したり、言われたことを記録するなど、気になったことがあればすぐ防御することをオススメします。あと、録音機器は常に用意しておくべき。2人でゼミ室にいるときなど、目撃者・証言者がいないですから。
ちなみにこれは余談ですが、大学は文部科学省の認可事業であり、国から毎年多くの補助金が出ています。ゆえに、ハラスメントに声をあげていくことは大学の運営にも数億円単位で影響を与える場合もあることをお伝えしておきます」
■説明責任は果たされるのか?
日本大学の悪質タックル事件、東京医科大の入試騒動など、大学への信頼が揺らいでいる昨今。
匿名の投稿とはいえ、早稲田大学は無視できないはずだ。一刻もはやく説明責任を果たし、場合によっては関わった教員・職員の懲戒解雇など、適正な処分を与えていく必要があるだろう。(文/しらべぇ編集部・尾道えぐ美)


年間600万円がタダに NY大学医学部「授業料無償化」の衝撃
 ニューヨーク大学医学部が、授業料を完全無償にすると発表しました。
 一部の優秀な学生に与えられる奨学金でもなければ、経済的に厳しい環境にある学生へのサポートでもありません。これから入学する学生約100人、そして在学中の学生約400人全員の授業料が免除されるのです。ニューヨーク大学医学部の授業料は年間約600万円ですから、その驚きが分かると思います。
 全米の医学部トップ10位以内にランキングされている大学として、無償化は初めての試み。踏み切った背景には、今後ますます深刻になると予測される医師不足があります。「高過ぎる授業料こそが、優秀な学生が医師になるのを妨げている」と、大学側は説明しています。
 たとえばアメリカの医学部の学生の4人に3人は、授業料をローンを組んで支払うために、多額の借金を抱えて卒業します。その平均額は2000万円とも報告されています。
「こうした負債を恐れて、学生が医学部を敬遠する傾向にある。その中にはがんの治療法を発見できる者が含まれているかもしれない。最高の能力を持った学生に入学してもらうために、無償化に踏み切った」
 ラファエル・リベラ医学部長はこうコメントしています。
 高額な授業料は医師になる学生の数を減らすだけでなく、卒業後の借金返済のために、報酬が少ない小児科医や内科医のなり手が減る傾向も懸念されています。これらが少しでも改善されることを、大学側は期待しているのです。
 アメリカでは医学部に限らず、大学授業料の高騰は社会問題となっており、公立の大学を中心に無償化に踏み切るところが少しずつ出てきています。
 そして今回のニューヨーク大学の英断に刺激されて、他のトップクラスの大学医学部も同じように無償化を打ち出すのではないかという推測もされています。


ロヒンギャ難民1年 人道危機解消へ国際的な連携を
ミャンマーのイスラム教徒少数民族のロヒンギャが迫害を受け、およそ70万人が隣国バングラデシュに逃れ難民化して1年となった。ミャンマー政府とバングラデシュ政府は昨年11月に難民の早期帰還で合意したものの、実現のめどは立たないままだ。国際社会による支援は、必要額の3分の1にとどまっており、難民たちは劣悪な環境下に追いやられている。深刻な人道危機を一日も早く解消しなければならない。
 ミャンマーは人口5100万人余りのうち9割近くを仏教徒が占め、イスラム教徒ロヒンギャは100万人にとどまる。ミャンマーの法律上、ロヒンギャは不法移民として扱われ、国籍や市民権を持てぬまま迫害されてきた。
 昨年8月、武装勢力の掃討に乗り出した軍が、武装していないロヒンギャたちも攻撃。無差別発砲や女性暴行、集落焼き打ちなどによって、多くがミャンマーから追われた。政府と軍、宗教界までが一体となってロヒンギャを弾圧する構図は「民族浄化の教科書的な例」(国連)と非難されたのも当然だ。
 難民キャンプでは、厳しい環境下での生活を余儀なくされている。雨期が到来し、人々は土砂崩れや洪水の危険におびえながら暮らしている。配給は米と豆、油に限られ、栄養不足で病気がちになる子どもが相次ぐ。衛生状態も悪化する一方だ。ストレスを募らせた難民がイスラム過激派組織から勧誘される可能性も指摘されている。問題の長期化は、地域の安定にとって大きな不安材料になっていると言っても過言ではない。
 帰還への障害の一つが、ロヒンギャに対する再度の迫害や根強い差別への懸念だ。ミャンマー政府は、まずは迫害の事実を認めて謝罪し、難民らの不信感の払拭(ふっしょく)に努めねばならない。
 しかし、ミャンマーの実質上の最高指導者アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は帰還に後ろ向きなばかりか、解決に向けた具体策を講じようとしない。かつての「民主化運動の象徴」の変質ぶりに失望を禁じ得ない。軍や国内世論に配慮せねば、深刻な政情不安を招きかねないことは想像に難くない。だが最も大切なのは、危機にある人々の生命を守り、安定した生活を保証することだ。
 国連人権理事会が設置したロヒンギャ問題についての調査団は、軍幹部らの捜査と訴追を求めるとともに、スー・チー氏を「政権トップの地位を、状況悪化を食い止めるために行使しなかった」と批判した。こうした声に真摯(しんし)に耳を傾け、解決に向けた指導力を発揮すべきだ。
 国際社会も新たな居住先の整備など、安心して帰還できる環境づくりへの連携を強める必要がある。日本は、ミャンマーへの表だった批判は控え、国際機関を通して難民への財政支援を行っている。人権を尊重する真の民主国家となるための働き掛けにも取り組まねばならない。


安倍応援団は大慌て 政策「石破ビジョン」予想外の高評価
「これはヤバイ」――と安倍応援団が慌てている。石破茂氏が発表した政策「日本創生戦略―石破ビジョン」に対する評価が予想外に高いからだ。専門家が「アベノミクス」と比較したら、「石破ビジョン」に軍配が上がる可能性が高い。なんとしても政策論争は避けようと、安倍応援団は策をめぐらしているという。
 石破茂氏が27日に発表した総裁選の公約「石破ビジョン」は、<地方創生の実現><人を幸福にする福祉社会の実現>など5項目からなるもの。
 経済政策の柱は、<中小企業と地方の成長力の引き上げ>と<社会保障制度改革>の2つだ。会見では「大企業だけでなく、中小企業や地方経済の潜在力を可能な限り伸ばし、経済成長の中心とする」「国民が信頼できる社会保障制度を確立し、安定的な消費を喚起する」と訴えた。
■アベノミクスの失敗も解説
 さらに、「アベノミクスの不都合な政策目標?」と題した資料も配り、数値を示して安倍首相の看板政策である「成長戦略」や「地方創生」が目標未達の「失敗」に終わったと解説。例えば、潜在成長率が1%前後で低迷しているのは「成長戦略の失敗」と丁寧に説明。
 アベノミクスについては「異次元緩和というカンフル剤が効果を上げたが、いつまでも続くわけではない」と、出口戦略の必要性を強調。「都合のいい数字ばかり強調するのは良いことではない」と、安倍首相が「493兆円から551兆円に増えた」と胸を張るGDPについても、増加分のうち32兆円は統計の見直しによるカサ上げが要因だと喝破してみせた。
「石破ビジョン」について、経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「まだ、具体的な手法が分からないので評価は難しい。でも、日本経済に対する基本認識と目指す方向は正しいと思います。アベノミクスは、大都会と大企業と富裕層を潤せば、トリクルダウンが起きて、地方も中小企業も貧困層も豊かになると訴えていましたが、まったくの間違いでした。石破ビジョンのように、地方と中小企業を直接、豊かにする考えは間違っていない。社会保障を充実させることで国民の将来不安を解消し、消費を活発にする考えも悪くない。アベノミクスに対する評価は、まさにその通りです」
 アベノミクスが失敗に終わっていることもあって、安倍応援団は「石破ビジョン」への評価が高まることに危機感を持っているという。自民党関係者がこう言う。
「まず、石破ビジョンに注目が集まらないように政策論争の機会を少しでも減らすつもりのようです。さらに、NHKを筆頭とする安倍シンパのメディアに、『石破ビジョンは実現性が低い』『安倍内閣の閣僚だったのにアベノミクスを批判するのはおかしい』などと、巧妙にケチをつけてもらう方針のようです。さらに、石破ビジョンをパクって違いをなくしてしまうことも考えているようです。すでに、安倍陣営がまとめたビラには<強靱な地方を創り上げる><全ての世代が安心できる社会保障改革>などと、石破ビジョンをパクったような政策が並んでいます」
 大手メディアは、逃げ続ける安倍首相に「政策論争をすべきだ」と、プレッシャーをかけるべきだ。


若者が払う移民問題のツケ
★政府は単純労働での就労を認めるなど、新たな在留資格の創設を盛り込んだ外国人労働者の受け入れをするため、法務省の入国管理局を格上げし、来年4月に外局の「入国在留管理庁」(仮称)を設置する。新聞が28日に一斉に伝えたが、そこに移民という言葉は一言も出てこない。★国連経済社会局は「国際移民の正式な法的定義はないが、多くの専門家は移住の理由や法的地位に関係なく、定住国を変更した人々を国際移民とみなしている。3カ月から12カ月間の移動を短期的または一時的移住、1年以上にわたる居住国の変更を長期的または恒久移住と呼んで、区別するのが一般的」としている。17年末時点の在留外国人数は約256万人。OECD(経済協力開発機構)の15年の外国人移住者統計で、日本の外国人の数は前年比約5万5000人増の約39万人。韓国を抜き、ドイツ、米国、英国に次ぎ4位になった。既に移民大国と言っていい。★人口減少と少子高齢化での労働力不足は深刻だ。観光客以外で1年以上住んでいれば移民なのだが、日本政府はそれを認めない。外国人労働者に頼らなければ、もはや日本経済は回らない。現在日本で働く外国人のほとんどが、「外国人技能実習生」や週28時間までアルバイトが認められる「留学生」という制度を利用しての出稼ぎだ。管理できなくなるのは時間の問題だ。★同じ日、読売新聞の1面には、自衛官の定年延長が固まったという記事が出た。自衛官は過酷な任務を伴う特別職国家公務員で、60歳定年の一般職とは別体系の「若年定年制」を強いているが、延長される。これも人手不足の余波だろう。だが、この2つのニュースを並べて見ていると、その先には外国人の自衛官受け入れや若年層の自衛官の義務化、つまり徴兵のために必要な外国人労働力の活用という言葉が透けて見える。移民問題の議論を避けてきたツケは、若者が払うことになるのだろうか。