11 conseils santé d’un médecin japonais mort à l’âge de 105 ans
Mondialement connu pour sa médecine préventive, le Dr Shigeaki Hinohara est mort à l’âge de 105 ans. Ce japonais, qui a travaillé quasiment jusqu’au dernier jour, laisse derrière lui des conseils pour vivre plus longtemps et en bonne santé.
Vous avez envie de devenir un centenaire en bonne santé comme le Dr Shigeaki Hinohara ? Une chance pour vous, il a laissé derrière lui quelques conseils communiqués au Japan Times, qui vient de les republier. Alors prenez des notes, une longue vie en bonne santé est peut-être envisageable.
1 L’énergie se nourrit de Bonheur
Bien que dormir et manger soient des actions vitales, elles ne suffiraient pas à alimenter notre énergie. Les moments heureux seraient donc notre principal moteur. Pensez à vous faire plaisir !
2 Mangez sainement
Finis les triple cheese et les frites au ketchup ! Une mauvaise alimentation peut avoir des effets néfastes à court et long terme. Il est donc important de favoriser une alimentation équilibrée et variée. Le médecin conseille des ingrédients comme l’huile d’olive, les légumes, le poisson ou encore le riz.
3 S’organiser plutôt que d’improviser
Planifier ses activités permet de profiter du présent sans se soucier du futur. Il est temps d’investir dans un agenda.
4 Pourquoi prendre sa retraite quand on n’en a pas envie ?
Vous adorez votre travail et vous ne vous voyez pas prendre votre retraite ? Alors continuez. Dr Shigeaki Hinohara a lui-même continué de travailler jusqu’à la fin de sa vie.
5 Ne restez pas assis
Avec près de 150 conférences par an, le médecin pense que le fait de rester debout (1h30 par conférence) a contribué à rester en bonne santé.
6 Ne pas toujours croire son médecin
Avant d’accepter un traitement important, le Dr Shigeaki Hinohara propose de demander au professionnel de la santé s’il ferait cette proposition à quelqu’un de sa famille, comme sa femme / son mari ou son enfant. S’il vous répond ≪ non ≫, il est recommandé de courir chez un autre spécialiste.
7 Les escaliers, tu favoriseras
Désolée pour les fanatiques des ascenseurs, mais monter les escaliers serait un bon exercice pour garder la forme.
8 S’inspirer pour se motive
À l’image des muses, ces modèles qui inspirent les plus grands peintres ou écrivains, trouvez votre inspiration vous aidera à atteindre vos objectifs.
9 Ne pas se focaliser sur la douleur
Pour le Dr Shigeaki Hinohara, le plaisir peut contrer ou atténuer la douleur. L’objectif est de ne surtout pas se focaliser dessus et de chercher une solution plutôt que de se complaire dans la souffrance.
10 Le matériel ne doit pas vous obséder
Oui, c’est vrai, certaines choses matérielles sont nécessaires et d’autres font vraiment plaisir. Mais attention à ne pas se faire submerger jusqu’à en oublier la beauté naturelle.
11 Zen attitude
Après la pluie le beau temps. Le Dr Shigeaki Hinohara conseille de garder son calme dans les moments les plus durs car ils ne durent pas éternellement. Et que pendant ce temps-là, le stress peut littéralement ruiner votre santé.
フランス語の勉強?
稲葉剛 @inabatsuyoshi
山本太郎さん、議員活動お疲れさまでした。生活保護や住宅の分野では私も質問作りに協力させていただきましたが、現場を踏まえ、政府に対策を迫る質問は大変心強かったです。それだけにこの発言は残念。「議員やめればホームレス」は自民議員の鉄板ネタ。現場を知っている人は言えないはずの言葉です。
ちえぞう @tchiezinha
あなたは山谷の越冬闘争に参加されていると聞きました。
あなたが山谷で会った、様々な理由で野宿せねばならない方々と、あなたは、同じ立場ですか?
あなたには、行くところ、帰るところがあるのではありませんか?
このツイートを山谷の人々が読んだらどう思うか、考えてみてください。
モン=モジモジ @mojimoji_x
たとえば、僕はれいわの政策を支持するけど、名前に元号を冠したことによる天皇制への加担は支持しない。だから、明示的に反対するし、選挙後の動きも注視して必要があれば批判する。しかし、問題ある具体的な動きが出てくれば「自分にも責任がある」ことを認める。当たり前。
なぜかB5資料がまた無くなっていました.資料として必要なのかな?とにかく印刷しなくてはなりません.
イオンに行くとロシア人?と思われる女性3人がお酒売り場の前であれこれ.背が高くてスリムな彼女たちもウォッカ?と思うのは勝手な考え.日本酒や焼酎は眼中にないみたいでしたが.
復興願う人形「おのくん」118番通報PR 宮城・東松島市
宮城県東松島市でつくられているサルの人形「おのくん」が、海上保安庁の「118番」通報をPRすることになり、23日にチラシが引き渡されました。
引き渡し式では、海上保安庁のマスコット「うみまる」から、「118番」通報のチラシが、「おのくん」に手渡されました。「おのくん」は、震災の翌年、宮城県東松島市の仮設住宅で復興への願いを込めて製作が始まった人形です。これまで、国の内外で19万体以上が販売されています。今後、「118番」のバッジを付けた「おのくん」を販売スペースに展示したりして、PRに協力します。
海上保安庁の「118番」は、海での事故などを通報する番号です。2018年東北6県で、約1万8000件の通報がありましたが、本当に必要なものは、139件だったということです。
河北春秋
「五輪まであと1年、だそうである。いよいよと思う人もあるかもしれない。反対にもう終わったと考えている人もあるに違いない」。1963年秋、作家の山口瞳さんは翌年の東京五輪について雑誌にそんなエッセーを寄せた▼こう続く。「終わった、と思うのは政治家、財界人である。建設業者でありホテル経営者である。つまり、もう予算は決まってしまったと考えていることだろう」。56年後の今はどうか。五輪特需はピークの頃だろうか。来年の東京五輪開幕まであと1年になった▼東京では五輪関連施設やホテルの建設工事が進む。大会期間中の渋滞対策として官民で時差出勤やテレワークに取り組む実験、街並みを装飾する催しも始まった▼しかし、東北ではまだ遠い出来事のように感じる。思うように復興が進んでいない人たちがいる。施設建設のつち音はあまり聞こえない。福島第1原発事故は収束の見通しすら立っていない。スローガンは「復興五輪」なのに、東京と地方の格差は開く一方だ▼東北でも、聖火リレーが近づけば、いよいよという雰囲気が盛り上がるに違いない。本番では地元開催の競技など世界最高峰のスポーツの祭典に皆が熱狂するだろう。ただ、それで終わりではない。東北の復興への歩みはその後もずっと続く。
園児が魚市場を見学 気仙沼
子どもたちの魚離れを防ぐとともに、震災からの復興を目指す地元の水産業について理解を深めてもらおうと、気仙沼市の魚市場で、園児を対象にした特別授業が行われました。
特別授業は、気仙沼市で食育活動を進めている団体が企画し、24日は、ことし3月に再建された魚市場を市内の愛耕幼稚園の園児およそ30人が訪れました。
まず、子どもたちは漁協の職員に案内されながら、朝に水揚げされたばかりのアイナメやホヤなどを間近で見たほか、気仙沼市が22年連続で全国1位の水揚げを誇る生鮮カツオの水揚げ作業を見学しました。
続いて子どもたちは、市場に設けられた情報発信のための施設に移動し、遠洋マグロ漁やカキの養殖の様子などを映像で見たり、市場で実際に使われるフォークリフトに乗ったりしていました。
園児の男の子は「たくさんお魚を見ることができて楽しかったです。とてもおいしそうでした」と話していました。
特別授業を企画した団体の臼井壯太朗代表は「地元に誇れる産業があることを子どもたちに知ってもらい、いつか自分も水産業に携わってみたいと思ってくれたらうれしいです」と話していました。
消費税ゼロ「私は違う」 石垣氏の公約に仙台市長が異論
「私は意見が違う」。郡和子仙台市長は23日、参院選宮城選挙区で初当選した立憲民主党新人の石垣のり子氏(44)が掲げた「消費税ゼロ」公約に異論を唱えた。石垣氏と同様、野党共闘で2017年市長選を勝ち抜いた郡市長だが、今後の石垣氏との連携も「考えてない」と一線を画した。
定例記者会見で石垣氏の「看板公約」への賛否を問われ、歯切れ良く答えた。
郡市長は12年に民主、自民、公明3党が消費税増税で合意した当時、民主党衆院議員だった。「消費税を上げるのに苦渋の選択で関わった一人。税の在り方の議論は活発にしてほしいが、消費税ゼロというのは少し意見が違う」と述べた。
石垣氏には「東日本大震災からの復興完遂まで被災者に寄り添い、地方の声を国政に届けて活躍してほしい」とエールを送った。だが、連携の可能性を聞かれると「とうに党を離れている。参院選も中立の立場だった。連携の意味が分からない」と明確に否定した。
<参院選宮城 劇動>決戦の実像(下)死闘の果て 18年の実績、地域に響かず
「私の力不足。本当に申し訳ありませんでした」
仙台市青葉区の自民党県連で22日にあった執行部会。居並ぶ幹部を前に、敗北を喫した党現職愛知治郎氏(50)は深々と頭を下げた。
<電話作戦を拒否>
「屈辱の敗戦だ」。そそくさと去る愛知氏を見送った幹部はつぶやいた。全国屈指の接戦を支えた表情は、疲労感に満ちていた。
野党統一候補の立憲民主党新人石垣のり子氏(44)が出馬を表明したのは5月。3期18年のベテランと準備期間3カ月の新顔の対決に、関係者は祖父の代から3代続く「名門・愛知家」のブランドを信じた。
現実は違った。「あなた、誰?」。選挙戦終盤の17日。村井嘉浩知事と仙台市の繁華街を練り歩いた愛知氏に通行人が尋ねた。「任期は人気と直結しない」。県連幹部は苦笑した。
「顔が見えない」と地域活動の少なさに対する不満が最後まで響いた。「世話になっていない。動く義理がない」。終盤、ある県北の県連関係者は陣営から頼まれた電話作戦を拒んだ。
陣営は仙台市以外の34市町村で、最低でも約2万票差を付けようとしたが、実際の票差は5000。投票率は軒並み低調で、「末端まで火が回らなかった」(県連幹部)。
焦る党本部は空前絶後の物量作戦を展開。安倍晋三首相が2度、菅義偉官房長官が3度来援した。陣営は幹部対応や選挙カーの行程の調整に追われ、場当たり的な対応に終始した。
<演説自ら終える>
東日本大震災の月命日の11日午後、石垣氏が津波被災地で復興の在り方を訴えたのに対し、愛知氏は選挙カーで仙台市を駆け抜けていた。
沿岸部に入ったのは、被災地にたびたび足を運んでいる小泉進次郎党厚生労働部会長。「なぜ一緒に並ばないんだ」。組織内の不協和音を生んだ。
頼みの綱とされた後援会「愛知会」は高齢化。元蔵相で祖父の故揆一氏、元防衛庁長官の父和男氏から続き、かつて県内全域に張り巡らされた支部は10カ所程度にしぼみ、集票のエンジンたり得なかった。
選挙戦最終日の夜、仙台市中心部のアーケード街で行われた最後の街頭演説。疲れ切った表情の愛知氏はマイクを使える午後8時まで5分を残し、自ら演説を切り上げた。繁華街にむなしく響く県連幹部の応援演説。「誰の選挙だ」。支持者からため息が漏れた。
「この18年間の候補者の行動の結果でもある」。相沢光哉選対本部長はうなだれながら、今後の県政を危惧する。「責任政党として選挙区議員を失った意味はあまりに大きい。もっとやれなかっただろうか」
巨大与党の威信を懸けた激闘の果てに残るのは悔恨だけだった。(報道部・土屋聡史)
<参院選東北 劇動>戦いの断面(中)躍進の実相/地域事情 共闘を補強
<組織力がけん引>
勝敗を決定づける対照的なフィナーレだった。
選挙戦最終日の20日夕、盛岡市中心部。岩手選挙区(改選数1)の無所属新人横沢高徳の街頭演説に、知事達増拓也と野党4党の県組織トップ、県議計約20人が結集した。
約1000人が歩道を埋め、演説に万雷の拍手を送った。17日間の激闘を締めくくる大団円。「野党共闘の源流」を自負する岩手の威信を誇示した。
ほぼ同時刻。約500メートル離れたJR盛岡駅前で、自民党現職平野達男が最後のマイクを握った。立ち止まり耳を傾けていたのは20人程度。政権与党でありながら、県内で野党に甘んじる自民の悲哀がにじんだ。
翌日、岩手は横沢が制した。擁立を主導した衆院議員小沢一郎(岩手3区)が築き、達増らが張り巡らせる強固な組織網が勝因だ。
「野党共闘は進化し、深化した」。岩手で前回(2016年)勝った国民民主党参院議員の木戸口英司は言う。「どうあっても信頼関係の中でやってこれた。これが岩手の共闘の強みだ。太い流れになってきた」
政権党をはるかにしのぐ組織力がけん引する共闘。与野党の立場が逆転する岩手の特殊な政治状況がなせる業だった。
<イージス追い風>
21日夜。秋田選挙区(改選数1)で勝利した野党統一候補の無所属新人寺田静は歓喜の渦の中にいた。
追い風が吹いた。秋田市を候補地とする地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画を巡る政府対応の不手際だ。
首相安倍晋三、県出身の官房長官菅義偉がそれぞれ2度、秋田入り。逆風にあえぐ自民現職中泉松司のてこ入れに走ったが、イージスに反対する寺田の後塵(こうじん)を拝した。
「イージスは要らないとの民意が示された」と寺田。選対本部長の社民党県連代表石田寛は「防衛問題は争点として分かりにくいが、首相、官房長官が2度も入り『何かがおかしい』と有権者が気付いた。自民が争点にした」と皮肉る。
前回も野党統一候補で臨み、東北で唯一、自民に敗れた秋田。寺田陣営は中央の応援を呼ばず政党色を表に出さない戦略を打った。
「無党派と保守層を切り崩さないと勝てない。野党共闘を前面に出す必要はない」と言い切る石田。「共闘は土台。どうプラスアルファを積み上げるかだ」
地域戦略を駆使し、共闘に強みを持たせた野党候補が激戦を制した。一方、絞りきれない争点に妨げられ、共闘が不発に終わった候補もいる。
福島選挙区(改選数1)は、野党統一候補の無所属新人水野さち子が自民現職の森雅子に10万票差を付けられた。連合福島会長今野泰は「年金、消費税、憲法と焦点が動き続け、公約を並べても深掘りできなかった」と敗因を語る。
東京電力福島第1原発事故の影響が続く福島。社民党県議紺野長人は「相手陣営が終盤、県内の原発廃炉を訴え、こちらの政策に寄せてきた。違いを示せなかった」と唇をかんだ。(敬称略)
<参院選秋田>寺田氏投票8割が「地上イージス反対」 期日前・河北新報社調査
21日に投開票が行われた参院選の秋田選挙区(改選数1)は、秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を候補地とする地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」が攻防の焦点となった。河北新報社が選挙期間中に県内5市の期日前投票所で実施した出口調査は、新屋への配備に「反対」「どちらかと言えば反対」との回答が全体の半数を占めた。この6割超が初当選を果たした無所属新人の寺田静氏(44)に流れた。
選挙戦は寺田氏と自民党現職中泉松司氏(40)の事実上の一騎打ち。新屋配備反対を明確に訴えた寺田氏に対し、中泉氏は配備の賛否に踏み込まず、重大ミスを繰り返す防衛省の批判にとどめた。
調査では、地上イージスの国内配備の是非と、新屋への配備の賛否を尋ねた。
国内配備について、寺田氏に投票した有権者のうち、「不要」「どちらかと言えば不要」と回答した割合が77.1%だった。一方の中泉氏に投票した有権者は「必要」「どちらかと言えば必要」が54.5%と半数を超えた。
新屋配備に関しては、寺田氏に投票した有権者で「反対」「どちらかと言えば反対」と回答した人は82.1%に上った。候補地を抱える秋田市内に限定すると9割を超した。
寺田氏に投票した自公支持層の回答も、反対が賛成を上回った。配備計画に反発する有権者の票を、与党支持者からも寺田氏が引き寄せたことがうかがえる。
中泉氏に投票した有権者のうち、「反対」「どちらかと言えば反対」は30.6%。「賛成」「どちらかと言えば賛成」は40.5%と反対を上回った。他は「分からない」だった。
[調査方法]7月13〜15日に秋田、能代、横手、大館、由利本荘の秋田県内5市の期日前投票所で出口調査を行い、計200人の有権者から回答を得た。
<参院選秋田>地上イージス 防衛省ミスに反発、焦点に
参院選秋田選挙区の攻防は、公示が迫る5月末に防衛省が公表したイージス・アショアの現地調査報告書に重大ミスが発覚し、県内に反発が広がった状況下で繰り広げられた。地上イージスに向ける有権者の意識が強まり、大きな焦点となった。
中泉松司氏(40)は防衛省の対応を批判する一方で、選挙戦を通して配備の賛否には言及しなかった。県内に2度応援に入った安倍晋三首相は不適切な対応を謝罪したが、地上イージスの必要性自体は強調した。
同省の一連の不手際には自民支持者からも怒りの声が上がった。秋田市の無職男性(77)は「秋田がばかにされていると感じる」と語った。北秋田市の農業男性(70)も「数値ミスは話にならない。配備は新屋ありきだ」と憤った。
公示前は「秋田市を中心に若干の争点になる」(佐竹敬久知事)との見方があったが、一向にやまぬ反発が寺田静氏(44)に利した。共闘を組んだ共産党県委員会の米田吉正委員長は「地上イージスの問題が大きかった」と分析する。
ある自民県議は「寺田氏の当選で配備反対の機運が高まり、中央政界は意識せざるを得ないだろう。党として絶対に負けられない戦いだった」と肩を落とした。
福島第2原発廃炉を正式表明 東電、核燃貯蔵施設新設へ
東京電力の小早川智明社長は24日、福島県の内堀雅雄知事と県庁で面会し、福島第2原発(同県楢葉町、富岡町)全4基の廃炉を正式に表明し、同原発の使用済み核燃料の貯蔵施設を敷地内に新設する方針を伝えた。
内堀知事は「重く受け止めている。県内原発の全基廃炉実現に向けての大切な一歩だ」と述べた。貯蔵施設の新設計画については「今後協議した上で回答したい」とした。核燃料の最終的な行き先が不透明な中での貯蔵施設新設は、保管長期化へ懸念が生じそうだ。
面会には楢葉、富岡両町長も同席。地元の了解が得られれば、東電は月末に予定する取締役会で正式決定する方針。
月着陸から50年 宇宙への夢これからも
米アポロ11号で、アームストロング船長が月面に「偉大な一歩」をしるしてから五十年。再び、月を目指し、さらに火星へという国際協力の構想が進んでいる。次は日本人がはばたく姿も見たい。
アポロ計画は原爆開発のマンハッタン計画をしのぐ予算と人員を投入した国家プロジェクトだった。よくあの程度の性能のコンピューターで成功したと感心する。科学技術の成果ではあるが、冒険でもあった。
宇宙開発で旧ソ連に後れを取ったという危機感から計画は始まった。月に行くことが目的だったため月面に星条旗を立てた後は関心が薄れ、一九七二年の17号で打ち切られた。
科学的な成果は大きかった。着陸前は、11号の着陸船は月の表面を覆うレゴリスと呼ばれる砂やチリに埋もれるのでは、と心配されてもいた。アポロ計画全体では、月の石を三百八十二キロも採集。今も世界中で研究されている。
11号などは着陸地点近くに地震計を設置、月にも地震(月震)があることを教えてくれた。また、月面に反射器も設置。地上からレーザーを反射させて月と地球との距離を精密に測る実験が続いている。驚いたことに、少しずつ月は地球から離れていっている。
アポロに感動して研究者となった人もいる。小惑星探査機「はやぶさ2」が持ちかえる試料を分析する野口高明九州大教授(鉱物学)もその一人。「小学生のときにアポロの月着陸があった。地球外の物を測ってみたいというのが常にある」と話す。
坂村健東洋大教授は高校生のとき、米航空宇宙局(NASA)の管制室に並ぶコンピューターがアポロを制御していることに感動した。坂村教授が開発したコンピューターの基本ソフト(OS)トロンは世界で一番シェアが高いOSである。はやぶさ2の制御にも使われている。
トランプ米大統領は、自らが再選された場合の任期中になる二〇二四年に、火星への前段となる月の有人着陸を目指す。冷戦が背景にあったアポロ計画は長続きしなかった。今回は米中の覇権争いを絡ませるべきではない。
日本や欧州などは協力を表明している。日本人が宇宙飛行士として参加することも、全くの夢物語ではないだろう。五十年前の月着陸は多くの子どもたちに科学や技術への興味を抱かせた。国際協力の象徴となるような息の長いプロジェクトにしてほしい。
ゲノム編集食品/知らずに食べさせるのか
政府は生物の遺伝子を改変したゲノム編集食品の解禁作業を進めている。厚生労働省が食品衛生上の取り扱い、農林水産省は生産などの方針を示し、国民の意見を募っている。
全国の消費者団体や生活協同組合が懸念するように、開発から数年の新しい技術だけに健康や環境への影響は未知数といえる。しかも技術の基本や問題点も国民にほとんど理解が広がっていない。
解禁はあまりに拙速だ。食べたくない人が、何も知らされないまま口にすることになる。せめてゲノム編集食品の表示を義務付け、食を選ぶ権利を国が保障すべきではないか。
議論となっているのは、特定の遺伝子の働きを壊して、新たな性質を持つ生物をつくる技術だ。成長を抑制する遺伝子を壊された大きい豚や成長の早い魚など、商品化に向けた研究開発の多くを占める。一方で、こうした技術は人為的に障害や病気を引き起こすため、生命をもてあそぶ行為との批判も強い。
ゲノム編集の問題点の一つは、目的外の遺伝子も破壊してしまう「オフターゲット」が起きることだ。目的の遺伝子破壊でまだ知られていない働きが失われ、予想外の変異が生じることも懸念されている。
これに対し、国は品種改良や自然界で起きる変化と区別がつかないとして、流通させるゲノム編集食品の厳密な安全性審査の義務化を見送る方針だ。
だが、ゲノム編集食品は明確な意図に基づいて設計され、特許も申請される商品である。審査が義務付けられなければ、製造者の責任が明確に示されない。生態系や人の健康に深刻な被害が起きても、原因追及が難しくなる。予防原則の観点から環境影響評価や食品安全審査、食品表示について国は義務化を検討しなければならない。
さまざまな情報に基づき命や暮らしを支える商品を選び取るのは消費者の権利の基本である。そのために不可欠な表示の義務化を、消費者庁が求めないのは首をかしげる。届け出情報に基づき表示するというルールを示すのが役割ではないのか。消費者の視点に立つことが国益に結びつくという使命に立ち返るべきだ。
芸能人と闇営業/反社会勢力との関係断て
吉本興業所属のお笑い芸人、宮迫博之さんと田村亮さんらが振り込め詐欺グループの宴会に出席し報酬を得ていた問題は、他の芸人らが吉本の姿勢を非難する異例の展開になっている。
宮迫さんらと吉本側が別々に会見を開き、契約解消などを巡る生々しいやりとりに注目が集まる。だが、糾明すべきは反社会的勢力との関係だ。根絶は社会的責務であり、芸能界を挙げて対策を講じる必要がある。
問題の背景には「闇営業」がある。事務所を通さず、芸人が知人などから直接請け負う仕事を指し、暴力団などにつけ込まれる土壌を生んでいる。
宮迫さんらは相手が詐欺グループとは知らなかったと述べ、当初は金銭の授受も否定していた。結果的に犯罪集団から報酬を得ていた事実に弁明の余地はない。社会的責任を厳しく自覚せねばならない。
一方、芸人と反社会的勢力の関係を把握していなかった吉本にも非はある。8年前にも、所属していた島田紳助さんが暴力団との交友関係を理由に引退に追い込まれた。その反省は生かされず、法令順守意識が浸透していないことを露呈した。
吉本の岡本昭彦社長は会見で宮迫さんの契約解消を撤回したが、理由は明言しなかった。犯罪集団との関係を不問にしたと取られかねない。自身のパワハラ発言を「冗談」とした点も、立場の重みと責任をどこまで自覚しているのか疑念を抱く。
芸能界で同様に強い影響力を持つジャニーズ事務所は、「SMAP」の元メンバー3人を出演させないようテレビ局などに圧力をかけた疑いで公正取引委員会から注意を受けた。
「家族」「ファミリー」の美名で所属芸能人を囲い込む内向きの論理は両社に共通する。社会規範を逸脱しているだけでなく、豊かな才能を葬ることにもなりかねない。芸能界全体の体質刷新には、強い立場をかさにきた高圧的な姿勢を両社が自ら改めることが求められる。
吉本はいまや「お笑い」の域を超え、自治体との連携事業にも取り組んでいる。トップは政府の懇談会にも名を連ねる。反社会的勢力の排除や企業統治の強化に、一般企業以上の努力を重ねなければならない。
[吉本興業]経営体質を変える時だ
所属する芸人の人権や生活を大事に考えない企業なのではないか。
「闇営業」問題を巡る「吉本興業」の対応は、日本を代表するエンターテインメント企業の本質を、そう勘繰りたくなるものだった。
闇営業問題とは、吉本所属の芸人らが反社会的勢力の会合に、会社を通さず出席し、謝礼を受け取っていたもの。吉本は、振り込め詐欺グループ主催のパーティーに出席した人気お笑い芸人の宮迫博之さん(49)、田村亮さん(47)らを謹慎処分とし、後に宮迫さんとの契約を解消した。
宮迫さん、田村さんは反社会的勢力から報酬を受け取っていた上、それを否定するうそをついており、そのこと自体は非難されて当然だ。
私たちを驚かせたのは、2人が自ら会見を開いて謝罪したいと申し出たにもかかわらず、岡本昭彦社長(52)が「(会見したら)全員クビにするからな」と止めていたことだ。
さらに吉本側から、契約解消か引退会見するかの選択を迫られ、会見する場合は会社が用意した問答集を練習するよう指示されたという。
2人が独自に開いた会見で明らかにした。
2日後の会見で岡本社長は「クビ発言」の事実を認めた。謝罪会見を止めた理由を「(お金を)もらっていたと聞き、パニックになった」と釈明したが、隠蔽(いんぺい)の意図はなかったのだろうか。
権力の座にある企業のトップが、芸人が自らの言葉で謝罪する機会を「圧力」で奪おうとしたことは、パワーハラスメントと言っていい。
■ ■
闇営業の背景には、吉本興業の報酬や契約の在り方の問題もある。
通常、芸能事務所は所属タレントと契約書を交わすが、吉本では契約書を交わしていない。口頭による契約で、それさえも、「私は口頭でも(契約内容を)聞いた覚えはない」とお笑い芸人の近藤春菜さんが言っている。
吉本にはおよそ6千人の所属芸人・タレントがいるが、事務所を通した仕事だけで生活できるのは1割足らずだとされる。
事務所を通した仕事でも、報酬がわずかしか支払われないことは、テレビなどで所属芸人がよく口にすることだ。
岡本社長は「(報酬は)会社が9でタレントが1とかそういうことは全くなく、ざっくりとした平均値で言っても5対5から6対4」と説明。これにSNSなどで所属芸人から反論の声が相次いだ。
■ ■
契約も報酬も不明瞭なままですませているのは、古い体質を引きずっていると言うしかない。所属芸人を1人の人間ではなく、もうけのための「駒」とみているからではないか。
一連の問題で、吉本が抱えるうみが表に出た。経営体質を抜本的に変えるべきだ。
「才能あふれる所属芸人たちが、自分らしく活躍できる環境にあることが一番大事にもかかわらず、根本である芸人との信頼関係が揺らいでいる」。岡本社長は会見で語った。人を大事にする「芸人ファースト」の企業に生まれ変われるか。注視したい。
笑えぬ「お笑い」
「笑いは相手がいて、初めて生まれるんだよ。相手を信用しないと笑えないよ」―「欽ちゃん」の愛称で親しまれる名コメディアン萩本欽一さんらしい言葉だ▼「お笑い」を商ってきた吉本興業の社長さんは、そのつぼをご存じないようだ。「冗談というか、和ませようと思った」。テレビの前で「冗談やないわ」と突っ込んだ人も多いに違いない▼お笑い芸人たちの「闇営業」問題に関連して開かれた謝罪会見の応答にあきれざるを得なかった。「全員首にする」「おまえらテープ回してないやろな」。社長は契約解消を言い渡した芸人からパワハラまがいの暴言を「告発」された。発言を認めつつ、圧力をかける意図は否定したが、笑止千万だ▼芸人たちが振り込め詐欺グループのパーティーに出席し、金銭を受け取ったのは許されまい。これまでも反社会勢力との付き合いが発覚し、引退に追い込まれた芸人もいる。脇が甘過ぎた▼もちろん反省すべき点は多い。それにもまして今や6千人ものタレントを擁する企業の古い体質が浮かび上がったとも言える。「闇営業と同じくらいの吉本の闇を感じる」との芸人たちの嘆き節が何とも悲しい▼「笑いは人の薬」ともいわれ、抱腹絶倒の大笑いは薬に値する。だが、笑えない「お笑い」なんて誰も見たくない。
吉本興業の「体質」 改善なくては笑えない
所属する芸人が反社会勢力の会合に出席して金銭を受け取っていた「闇営業」問題で、吉本興業の岡本昭彦社長がおととい、ようやく記者会見を開いて謝罪した。
問題が発覚したのは6月上旬のこと。事実関係を徹底的に調べ、責任を明確にした上でもっと早く処分と謝罪をしていれば、ここまで騒動が大きくならなかったのではないか。組織としての危機管理の甘さが不信感を増幅させたといえよう。
会社に先立ち、契約解消や謹慎処分となっていた宮迫博之さんと田村亮さんが独自に記者会見し、会社とのやりとりを明かしていた。謝罪会見を会社に申し入れたところ、岡本社長に「会見したら全員首にする」と言われたと訴えた。
これに対し岡本社長は発言そのものは認めたものの、「冗談のつもり」「身内感覚で言ったが伝わらなかった」などと釈明した。自らのパワハラ発言を行き違いで済ませる姿勢に、同社の体質がにじんでいるのではないか。
そうした所属芸人との旧態依然とした関係をどう見直していくのか。重要な問題点こそもっと丁寧な説明が必要だった。場当たり的で、大手芸能事務所のトップとして何を伝えたいのか不明瞭だった。
結果的に企業イメージをさらに損ねた印象が強く、所属芸人が相次いで失望の声を上げるのも無理はないだろう。
もちろん最初の非は反社会勢力から金銭を受け取っていた芸人にあり、言語道断である。しかも受け取りを否定する虚偽の説明をしていた。ただ会社側には所属芸人を指導し、監督する責任はある。会社を通していない「闇」の仕事だとしても、知らないことでは済まされまい。
ところが吉本興業は芸人との間で正式な契約書を交わしていないという。これではコンプライアンス(法令順守)の徹底もままならないのではないか。今回のようなトラブルになった時も、何を根拠に処分するのか曖昧になる。混乱を防ぐためにも、芸人との契約の在り方を見直すべきだ。
芸能事務所と所属タレントのいびつな関係は、吉本興業だけの問題ではない。
大手のジャニーズ事務所を巡っても、アイドルグループ「SMAP」の元メンバー3人を出演させないよう、民放テレビ局などに、圧力をかけた疑いが掛けられた。独占禁止法違反につながる恐れがあるとして、公正取引委員会から注意を受けた。
ジャニーズ事務所は「圧力をかけた事実はない」としている。結果的に多くのアイドルタレントを抱える同事務所に忖度(そんたく)し、テレビ局側が3人の起用を見送ったように映る。だからこそ「注意」を受けたのである。
日本の芸能界では、大きな事務所が契約上の主導権を握り、タレントが弱い立場に置かれているケースが目立つ。自由な競争を妨げる業界の慣行に、公取委がメスを入れた意味は重い。
吉本興業は近年、政府や自治体と連携した事業にも積極的だ。政府系の官民ファンドから100億円の出資を受けて教育動画の配信事業にも乗り出す。
その資格があるのか、問い直す必要がある。「笑い」の基本に立ち返って出直さなければ、ファンも離れていく。
会長との会談平行線も意志固く“加藤の乱”勃発で吉本分裂か
“加藤の乱”勃発である。22日に行われた吉本興業の岡本昭彦社長(52)による記者会見は5時間半に及んだにもかかわらず、結果は大炎上。
「具体的なことは全く決まっておらず、把握もしていないため、質問にもまともに答えられない。これが今の吉本興業経営陣の実態でしょう」と芸能リポーターの川内天子氏が指摘する通り、場当たり的な言い訳とトンチンカンな回答が延々と繰り返され、失笑を買った。
これに業を煮やしたのが「スッキリ」(日本テレビ系)で司会を務める極楽とんぼの加藤浩次(50)。23日の放送では「取締役が変わらなかったら僕は会社を辞める」と明言。さらに「株主が50%以上持っていたら、取締役を変えるという動きもできます」と発言。吉本興業の株主である在京、在阪テレビ局5社が、経営陣の解任請求をするのかも注視していきたいと踏み込んだ発言をするにとどまらず、23日夕方から吉本の大崎洋会長(65)と4時間に及ぶ直接交渉に乗り出したのだ。
24日の放送で加藤は大崎会長との会談について「芸人サイドの意見と会社の意見が平行線」とし、大崎会長からは「持ちかえらせてくれ」「いま決めることはできへん」と、加藤の要求した経営陣の退任については保留だったことを明かした。さらに、「岡本社長の会見を悪いと思っていないのは、うん?と思った。僕自身の意志は固いので引き続き話し合いを行う」と述べた。
相方・山本圭壱の復帰めぐり不満募る
こうした加藤の言動に同調している芸人は「スッキリ」で共演するハリセンボン近藤春菜(36)だけでなく、加藤と同郷の北海道出身の「平成ノブシコブシ」の吉村崇(39)はツイッターで、「何かあった時は北海道の人について行きます」と“加藤支持”を表明。
また友近(45)は、仲裁に乗り出したダウンタウンの松本に対して「大崎会長と岡本社長と絆の強い松本さんが、これから頑張っていこうと後輩芸人たちに呼び掛けたものだと思うけど、私はそこまでは思えない」「松本さんには『待ってください』と言いたい」と発言。闇営業問題をきっかけにこれまで内部で渦巻いていた不平不満が噴出する一方で、ベテラン芸人の大平サブロー(63)はラジオで「時代が変わった」としつつも続々と声を上げる若手に対して「気に入らんかったら辞めろ、おまえら」と一喝。吉本ファミリーが分裂危機に瀕している。
「急先鋒の加藤は吉本の中ではダウンタウンを筆頭とする関西系の保守本流ではない。普段は芸能人とはツルまずに同郷の友人と遊んでいるタイプなので、一般人としての十分なバランス感覚を持っています。ニックネームは“狂犬”ですが素顔は硬骨漢。不祥事で吉本を契約解除となった相方の山本圭壱の復帰を当時社長だった大崎氏がなかなか認めなかったため、会社の上層部に対する不満もかねて大きかった。山本は06年に契約解除となり、16年に復帰するまで10年もの月日を要しましたから」(芸能関係者)
今後の展開について吉本の事情に精通するテレビ関係者はこう解説する。
「岡本社長は大崎会長の完全な子飼いであり傀儡です。最悪のケースは、岡本社長が責任をとって辞任し、また新たな子飼いが社長に就任、岡本氏はいつの間にか子会社の社長に納まっているというパターン。大崎会長は院政を敷きつつ、実質的に体制は何も変わっていないという事態です」
芸人総大将、加藤の乱。森内閣倒閣を目指した2000年の「加藤の乱」のように尻つぼみにならなければいいが。
吉本・岡本社長 お粗末会見で「芸人大量流出」危機
“芸能史上最低の会見”は、吉本興業をさらに揺るがす大波紋を呼びかねない。22日に同社の岡本昭彦社長(52)が都内で開いた記者会見は、実に5時間半に及ぶ長丁場ながら、内容のお粗末さに各方面から不満が噴出。大荒れのネットを含めて猛バッシングの嵐が日本中に吹き荒れた。吉本の企業イメージを大きく損なうのは必至。特に所属芸人の怒りは大きく、このままでは大量流出の可能性までささやかれているが、一方で同社長は今回の会見で“虎の尾”を踏んだという――。
今回の会見は、反社会的勢力の宴席での闇営業問題で、「雨上がり決死隊」宮迫博之と「ロンドンブーツ1号2号」田村亮が20日に行った謝罪会見を受けて設定された。その場で2人は、謝罪会見に岡本社長が反対していたことを暴露し波紋を呼んだ。同日夜に「ダウンタウン」松本人志が、同社長と大崎洋会長と会談。21日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)で、会見を開くよう要請したことを明かし、同番組内で同社長は22日の会見開催を明かしていた。
こうした経緯で開かれた社長会見には400人以上の報道陣が詰め掛けた。だが、その内容は報道陣の嘲笑を買うほど、お粗末としか言いようのないものだった。
まず、宮迫との契約解除の撤回を発表。亮に対しては、契約解除をしていないとしたが、「つらい思いをさせたから話し合いたい」と今さらながらのコメントを残した。
とりわけ笑いを誘ったのは、岡本社長が、謝罪会見の開催を直訴した亮に「テープ回してないやろな。亮、ええよ。おまえ、辞めて1人で会見したらええわ。ほんなら全員連帯責任でクビにするからな!」と言ったとされるパワハラ発言への釈明だ。「場を和ませるための冗談」「父親が息子に『勘当や』という感じ」。これには“笑ってはいけない”状況で普通に笑いが起きてしまった。
そんなこんなで計5時間半に及んだ会見に対しては、各方面から怒りの声が上がった。詰め掛けた報道陣からは「長時間対応したから誠実、とでも思っているのか? どの質問にもまともに答えようとしてない」と怒りの声が噴出。ネット上でも「これが会社のトップなのか」「リスクが大きくなっている」と大バッシングだ。
さらにはテレビやインターネットの生配信で、この動画を見ていた吉本所属の芸人も怒りをあらわにした。
ここまでひどい内容になった背景として、岡本社長はそもそも記者会見を行う気などほとんどなかったから、といわれている。
「松本さんに会見をやるように言われたのが20日の深夜。岡本社長は『その前から会見するつもりだった』と言っていたが、宮迫さんと亮さんが会見するのを見てから、自身が会見するのを決めたのだから、松本さんの意向がなければ会見なんかやってない。それからほとんど準備期間もないまま臨んだから、ボロボロの会見になったんでしょう」(お笑い関係者)
お粗末会見の波紋は世間の反発にとどまらない。
「幹部たちに反発した先輩芸人が辞めれば、追随する芸人が数多く出ても全く不思議ではない。東スポさんは20日発行の1面で、宮迫さんが入江慎也さんが社長のイリエコネクション入りする可能性を報じていたけど、他の所属芸人が入江さんのところに流れる可能性もあるのでは。大量離脱もあり得ますよ」(テレビ局関係者)
そして最大の問題は、岡本社長が“虎の尾”を踏んだとされることだ。
「実は、各芸能プロの幹部たちがカンカンなんです。不祥事で一度下した処分を、(宮迫と亮の)涙ながらの会見と松本の鶴の一声であっさり撤回したでしょう。これが芸能人たちにとって“あしき前例”になってしまったら、芸能プロはタレントに何も言えなくなりマネジメントどころではなくなりますよ。そうなったらプロダクションは必要なくなって、米国みたく代理人制度が主流になってしまうかも」(芸能関係者)
それだけではない。宮迫への契約解消撤回で、本当に宮迫が吉本に戻った場合、「しばらくして今回以上の“宮迫スキャンダル”が報じられたらどうするんですかね? 岡本社長は軸がブレすぎですよ」(同)といった批判の声も聞かれる。
もはや針のむしろ状態の岡本社長。空中分解寸前の吉本興業はますますドツボにハマったとしか言いようがない。
内々の話をテレビで…お笑いぐさの吉本
★すべてのワイドショー、ニュース番組では参院選の翌日ながら、トップニュースは吉本興業社長の謎の記者会見だった。ニュースバリューはその出来事の大きさや重み、影響力などで勘案されるが参院選の結果や今後の政治情勢についてのニュースより先に扱われる話題とは思えない。まして5時間を超える全くかみ合わない会見だ。ところが政界では会見どころか改憲の機運が高まっている。★吉本興業は大手芸能事務所だが、草創期のプロ野球やプロレスなどの興行にも大きな影響力を持っていた。一時は上場もしていたが、今でもれっきとした経団連会員企業だ。最近は政府や官邸への関与も強く、首相・安倍晋三が吉本新喜劇に出演したり、吉本芸人が官邸に表敬するなど蜜月ぶりをアピールし合う。そこには“一流企業”として官民ファンド「クールジャパン機構」から、最大100億円の出資を受け、教育産業に進出する吉本のもう1つ別の企業の顔がある。★ただ、人気者が多数在籍し6000人ものタレントが所属する大企業の振る舞いに関心が集まったのではない。その企業が典型的な“ブラック体質”だからではないのか。企業は体裁を保ち教育産業へ進出するタイミングながら、反社会勢力との関係発覚を避けようとした。つまり吉本は、優良企業とタレントを扱うブラック体質と2つの顔を使い分けようとしたものの、そのブラックぶりが顔をのぞかせたということになる。★強権の会社に立場が弱く不安定な多くのタレントが働く。まさに派遣社員に重ね合わせて会見を聞いていた人も多いはずだ。不思議なのはうそをわびたいと申し出るタレントはテレビの生中継で謝罪したいと申し出たという。それに応える会社社長もその対応を批判するのもすべてテレビを通して行われることだ。内実は会社内のガバナンスとコンプライアンス。透明化の話だ。テレビを使って国民を証人にしないと担保できないとは。一番は吉本という企業がお笑いぐさだったということか。
公取委が注意 「新しい地図」への「圧力」中心人物は嵐の元マネージャーだった
独占禁止法違反の恐れがあるとして、公正取引委員会から注意を受けていたことが明らかになったジャニーズ事務所。テレビ局に圧力をかけていた中心人物が、嵐の元チーフマネージャー・A氏だったことが、「週刊文春」の取材でわかった。
「公取委が問題視したのは、2017年9月にジャニーズ事務所を退所した稲垣吾郎(45)、草剛(45)、香取慎吾(42)の3人を巡るテレビ局への圧力です。公取委は3人の独立後に出演番組が次々と終了した経緯などを調査。昨年頃からテレビ局をはじめ、関係各所にヒアリングを行っていました」(社会部記者)
ジャニーズ事務所が、テレビ局への圧力を強めるきっかけとなったのが、2017年11月に3日間にわたり、インターネットテレビ「Abema TV」で放送された「72時間ホンネテレビ」だった。
その後、A氏は、元SMAPの3人を取り上げた番組や尺の長さをリストにしたものを提示し、「なぜこうなったのですか?」と理由を問い詰めるなどしていたという。A氏は、嵐の元チーフマネージャーで、藤島ジュリー景子副社長の右腕として知られる人物だ。
ジャニーズ事務所は、「週刊文春」の取材に対して、「弊社従業員が、ご指摘のような行為を行なった事実はございません」と回答した。
7月25日(木)発売の「週刊文春」では、A氏がほかにどのようにテレビ局に迫っていたのか、A氏の人物像、A氏は「週刊文春」の直撃にどう対応したのか、民放各局による過度な自主規制や忖度について、詳報する。
ジャニ圧力問題で「元スマ3人」に超大物の援軍登場 テレビ復帰早まる
テレビ局のジャニーズ事務所への忖度によって番組から消えたとされる元SMAPの稲垣吾郎(45)、草なぎ剛(45)、香取慎吾(42)に光が差し込んだ。3人は「日本財団パラリンピックサポートセンター」のスペシャルサポーターを務めているが、その日本財団の笹川陽平会長(80)がブログでテレビ局を辛辣に批判し、忖度をやめるよう求めたのだ。笹川会長は政界などに強い発言力を持つだけに今後が注目される。
「闇営業」問題に端を発し、吉本興業の体質問題が問われている中、テレビ局のジャニーズ事務所への忖度問題も大きく動き始めそうだ。
稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人はジャニーズ事務所を離れた途端、テレビ番組からパージされ続けているが、7月17日までに公正取引委員会は「ジャニーズ事務所がテレビ各局に圧力をかけていた疑いがある」として注意を与えた。
それを受け、笹川陽平氏は7月23日更新のブログでこう書いたのだ。
「まことに不可解、どうにも納得できないことが起きた。絶大な国民的人気を誇っているはずのこの3人がテレビから消えてしまった。ジャニーズ事務所との契約終了後、3人のテレビ出演はコマーシャルを除いてゼロになってしまったのだ。そして、ジャニーズ事務所が民放テレビ局などに、SMAPの元メンバー3人を出演させないよう圧力をかけた疑いが浮上したのである」(笹川氏の言葉、ブログより)
「日本のドン」とも呼ばれた故・笹川良一氏を父に持つ笹川氏は、安倍晋三首相(64)と懇意で、私的ブレーンとも呼べる存在である。
2018年8月には山梨県鳴沢村にある自分の別荘に安倍首相、森喜朗元首相(82)、小泉純一郎元首相(77)、麻生太郎元首相(78)を私的に集めて、大物ぶりを見せつけた。
笹川氏の言葉に戻ろう。
「東京パラリンピック大会まであと1年に迫った今こそ、元SMAPの3人が、自ら体験したパラリンピックの各競技種目について、あるいは障害者スポーツで頑張る選手たちの姿をテレビで語ってくれたら、東京パラリンピック大会はさらに盛り上がるだろうに。そんな期待を壊してしまう深刻な事態だ」(同・笹川氏の言葉、ブログより)
実はSMAP解散問題を考えるにおいて最重要キーワードとすら言えるのがパラリンピックなのだ。
SMAPの解散が発表されたのは2016年8月だが、テレビ局関係者やレコード会社関係者の多くが直前まで「解散はない」と言い切っていた。その最大の根拠が、SMAPが2015年11月から日本財団パラリンピックサポートセンターの応援サポーターを務めていたことだったのである。
国家的イベントだからキャンセルできるはずがないと思われていた。なにより、「パラリンピック応援の中心にいる笹川氏は裏切れない」と信じられていたのである。
国内各選手たちも「出場権を得てSMAPと会いたい」などと競技場で話しており、まさかサポーターを降りることはないと思われていた。2020年東京パラリンピックの会場は、SMAPにとって約束の地であり、そこに立たぬことなど考えられなかったのだ。
それだけに解散となったとき、関係者は一様に落胆したという。もっとも、稲垣、草なぎ、香取はジャニーズ事務所を出たあと、スペシャルサポーターとしてパラリンピックの応援を再開した。約束を守った。だが、中居正広(46)と木村拓哉(46)の2人は……。個人の責任ではないだろうが、結果的にパラリンピック関係者を落胆させたままになっている。
再び笹川氏のブログに戻る。
「ジャニーズ事務所の“圧力”もさることながら、テレビ局の姿勢にはあきれてしまう。日ごろ『報道の自由』を金科玉条にしているはずの各テレビ局が、国家的イベントである東京パラリンピック大会の成功よりも、多くのタレントを擁するジャニーズ事務所の意向を忖度したとしか思えない。公正取引委員会はジャニーズ事務所に対し、独占禁止法への違反行為は認められないものの、違反につながる恐れがあるとして注意したという。これはジャニーズ事務所が、SMAPの元メンバー3人を出演させないよう各テレビ局に圧力をかけたことを物語ってはいまいか」(同・笹川氏の言葉、ブログより)
厳しいが、笹川氏がSMAP問題、ジャニーズ事務所問題について発言したのはこれが初めてなのだ。ずっと腹の中に溜め込んでいたものが一気に噴出したのかもしれない。
笹川氏が会長を務める日本財団は公益財団法人で、国内外で幅広く福祉活動を行っている。国内では子供支援、障害者支援、災害復興支援などを行っている。
福祉活動の原資はというと、一般からの寄付金も含まれているが、多くがボートレース(競艇)の売上金の一部。笹川氏も2008年までは全国モーターボート競走会連合会の会長を務めていた。
なので、民放各局には、より笹川氏の言葉が胸に響くに違いない。ボートレースは2019年度の売り上げは1兆3000億円を超える見込みで、広告費も莫大なのである。現在も田中圭(35)や渡辺直美(31)のCMが頻繁に流れている。
笹川氏の言葉は終始厳しい。
「視聴率を1%アップするためにしのぎを削る各テレビ局が、根強い人気をもつSMAPの元メンバーを2年間も出演させないこと自体が異常である。『出演の可否は独自の判断で決めている』『ジャニーズ事務所からの圧力はなかった』などとするテレビ局側の白々しいコメントを信じる視聴者など、どこにもいないだろう。独禁法違反につながりかねない状況を公取委が確認したのであれば、各テレビ局も謙虚に事実を認めるべきである。東京パラリンピック大会を成功させるためにも、早急に3人のテレビ復帰を実現させてほしいものだ」(同・笹川氏の言葉、ブログより)
笹川氏の発言を受け、これから稲垣、草なぎ、香取がどうなるかというと、遠からずテレビ番組に復帰するのではないか。それはパラリンピックが開催される2020年8月より、かなり前だろう。
3人はパラスポーツ応援チャリティーソング「雨あがりのステップ」を歌っている。国際的イベントの公認応援歌を歌いながら、テレビからパージされ続けるのはあまりにも不自然なのだ。海外のパラリンピック関係者が見たら、かなり奇異に映るだろう。
応援歌だけではない。3人は障害者と健常者がたすきをつなぐパラ駅伝などの会場を訪れ、応援し、選手たちと触れあっている。笹川氏の言葉ではないが、彼らがテレビに登場しないのはパラリンピックのためにマイナスに違いない。
3人はオリンピックとパラリンピックを迎えるムードが高まり始める年末までにはスポーツ番組、歌番組に登場すると読む。そして「雨あがりのステップ」を歌うだろう。
笹川氏はこうも書いている。
「3人は国際パラリンピック委員会(IPC)の特別親善大使に任命された。熱心な活動に対して、パラサポや筆者が会長を務める日本財団には、彼らのファンからたくさんの激励の手紙が寄せられている。3人の活躍なくして『パラリンピック』の認知度が今ほど上がることはなかったと筆者は思う」(同・笹川氏の言葉、ブログより)
やはりパラリンピックがカギだったのだ。3人は約束をはたしたことで、超大物の後ろ盾を得た。
高堀冬彦(ライター、エディター) 1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長。2019年4月退社。独立。
ホルムズ海峡 軽々に有志連合に乗るな
米国のトランプ政権が、中東ホルムズ海峡を航行する船舶の安全を守るための「有志連合」の結成に動きだした。日本政府も米側から有志連合への参加要請を受けている。
ホルムズ海峡はサウジアラビアなど産油国発のタンカーがペルシャ湾から出る海上交通の要衝だ。日本の輸入原油の約8割が同海峡を通過する。
その周辺海域で最近、米国とイランとの軍事的緊張が急速に高まっている。6月には、日本の海運会社が運航するタンカーが何者かに攻撃された。
こうした状況の下、日本をはじめ中東の原油を輸入する諸国にとって、同海峡の船舶の安全確保が急務となっている。
しかし、米国が提唱する「有志連合」構想には疑問点が多い。日本政府は軽々に参加を表明するべきではない。
最大の疑問は、米国が主導する有志連合に平和のための大義はあるのか、という点だ。
イランを巡る中東情勢は、オバマ政権時代の米国とイラン、欧州諸国などの間で核合意が結ばれ、それなりに安定していた。トランプ政権はその核合意を一方的に離脱した上、イランに対する経済制裁を再開してイランの反発を引き起こした。いわば現在の危機をつくり出した張本人がトランプ政権なのだ。
「対イラン包囲網」の狙いが色濃い米国の有志連合が実現すれば、イランの抵抗は必至で、さらに情勢を悪化させかねない。また、米国主導の構想に日本が加われば、イランと日本の伝統的な友好関係を損ねる。
もう一つの問題点は、日本が参加する場合、自衛隊の艦船を当地に派遣する法的枠組みがはっきりしないことだ。
自衛隊法の「海上警備行動」を根拠とすれば、自国船舶しか護衛できないため他国との共同行動が取れない。海賊対処法を使おうにも、船舶への攻撃主体が海賊とは思えない。
2015年に成立した安全保障関連法も検討対象だろうが、現在の状況を同法の適用要件である「存立危機事態」と認定するには無理がある。
日本政府としては、筋の悪い米国の構想に乗るよりも、まず米国とイランに自制を呼び掛け、危機の沈静化を働き掛ける外交努力が先ではないか。
自国の船舶の安全確保を他国に頼るわけにはいかない。さらに危機が高まれば、日本もホルムズ海峡周辺海域の安定を維持する何らかの警察行動に参加する決断を迫られるだろう。
しかしその場合も、日本の行動が緊張を高めることのないよう留意し、憲法の「専守防衛」の枠を超えずに何ができるのか、知恵を絞る必要がある。
有志連合構想 独り相撲と距離を置け
トランプ米政権が、原油輸送の大動脈である中東ホルムズ海峡の安全確保を理由に、同盟国に有志連合への参加を呼びかけている。
ボルトン米大統領補佐官が来日し、日本にも提案の趣旨を伝えた。
友好国とはいえ、米国の「独り相撲」に振り回されることはない。日本政府は緊張緩和に向けた外交努力に徹すべきだ。
日本と台湾のタンカーが海峡付近で攻撃されたのは6月だった。トランプ氏は、各国は民間船舶を自国で守るべきだと主張、有志連合構想を打ち出した。
米国は先日、各国外交団を招いての「説明会」を開いている。連合の目的が少し変わった。
参加国が協力して海域の監視に当たり、連合内に設ける中央指揮所で情報を集約して共有する。自国船舶を守るかどうかは各国の判断に委ねるとした。イランとの対立色を薄める狙いという。
イランの脅威をあおり、原子力空母や戦略爆撃機を派遣したものの、思うように対イラン国際包囲網が広がらない不満が構想の根底にある。米軍費用の軽減も目的の一つとされる。トランプ政権にとり、多くの国の参加を得ることが眼目なのだろう。
今日の事態を招いた責任は米国に大きい。イラン核合意から一方的に離脱し、経済制裁を完全復活させてイラン国民の生活を窮地に追い込んでいる。
ロウハニ政権は1年間、欧州の支援策を待って核合意を守り続けた。5月に入って合意の一部を破り始めたのは核兵器開発の意図というより、米国を説得し原油禁輸を解いてほしいとの主要国へのメッセージと受け取れる。
岩屋毅防衛相は「すぐに自衛隊を派遣する状況にはない」と繰り返し述べている。当然だ。日本船舶への攻撃が続いているわけではない。法律を曲解しての自衛隊派遣は認められない。
資金提供であっても有志連合に協力すれば、イランに敵対的行動と捉えられる恐れがある。
欧州の出方も気にかかる。英国がイランのタンカーを拿捕(だほ)したことへの報復のように、イランは19日、英タンカーを拿捕した。既にペルシャ湾に海軍を駐留させている英政府は、有志連合とは別に欧州独自で軍艦を派遣し、船舶を保護する意向を示す。
関係国が「海峡の危機」をつくり出しているようにさえ映る。米国とイランが話し合いの席に着くよう強く迫らなければ、航行の安全は望めない。
首相演説とヤジ 警察の介入はおかしい
選挙が終わったとはいえ、看過できない問題である。
参院選で安倍晋三首相が札幌市内で行った街頭演説中、「安倍辞めろ」などと叫んだ男性が北海道警の複数の警察官に腕や服をつかまれ、移動させられた。
「増税反対」と叫んだ女性も、私服警官に現場から引き離された。
大津市内でも、首相演説にヤジを飛ばした男性が、滋賀県警の警察官たちに取り囲まれたという。
北海道警は「トラブルや犯罪の予防のための措置で、対応は適切」と説明した。山本順三国家公安委員長も会見で「現場のトラブル防止の観点で措置を講じたと報告を受けている」と述べた。
本当に適切なのだろうか。
公職選挙法の選挙妨害罪が適用された事件の最高裁判決(1948年)によって、演説妨害が成立するのは、聴衆が聴き取れないほどの振る舞いに絞られている、という学説が定着しているという。
街頭演説で首相は選挙カーのスピーカーを使っていた。肉声のヤジで演説が聞こえなくなり、取り締まり対象になるとは思えない。
警察官職務執行法は「犯罪がまさに行われようとしているのを認めたとき」に制止できるとしているが、首相演説の現場にそんな状況があったのだろうか。
そもそも、市民が街頭で発言したりビラを配るなどの表現行為の自由は、憲法で保障されている。警察の許可は不要というのも、2件の判決で確定している。
結局、警察は法的根拠がないのに、表現の自由など、慎重に取り扱うべき市民的権利を軽んじてしまった。不適切な対応と言わざるをえない。
気になるのは、警察が、異論に正面から向き合おうとしない傾向がある安倍政権に忖度(そんたく)したように見えることだ。
選挙戦最終日に安倍氏が最後の演説をした東京・秋葉原では、警察が公道を鉄柵で囲い、動員された支持者以外を遠ざけた。
安倍氏は2017年の東京都議選の応援演説で受けた「辞めろ」コールに、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」といきり立ち、批判を浴びた。その影響もあってだろう、今回の参院選で首相の街頭演説予定は、直前まで公表されなかった。
警察が時の政権の意向を先取りして強権的に振る舞えば、逆に信用を失い、犯罪捜査などに支障が出かねない。法執行機関として、政治的中立が疑われる行為は、厳に慎んでもらいたい。
山本太郎「れいわ新選組」から当選した2人をネトウヨが差別攻撃!「重度障害者に国会議員が務まるのか」「介助に税金使うな」
山本太郎率いる「れいわ新選組」が参院選の比例区で2議席を獲得した。議員となる舩後靖彦氏は難病を抱え、木村英子氏は重度の障害をもつ。舩後氏はALS(筋萎縮性側索硬化症)患者で舌や喉も含め全身の筋肉を動かすことができない。木村氏は0歳時の事故と脳性麻痺により両足や左手がほとんど動かない。来週の臨時国会が初登院となる。
舩後氏も木村氏も大型の車椅子に乗っている。舩後さんは人工呼吸器を装着し、定期的に痰の吸引などが必要だ。コミュニケーションにも補助を借りて文字盤を使う。国会のバリアフリー化や、質問時の補助などの整備、態勢づくりは急務だ。2人を特定枠として議員に押し上げ自らは落選したれいわの山本太郎代表は、政見放送でこう語った。
「700人以上いる国会議員には人工呼吸器をつけた人も、重度の障害がある人もいません。そのような、いわゆる健常者が国会で障害者施策を決めて法律がつくられる。しかし、当事者のニーズを最もわかっているのは当事者。だから、その声を反映させる必要がある」
だが、Twitter上ではこんなグロテスクな声が出ている。
〈山本太郎が担ぎ上げたあの重度障害者が本当に国会議員としてあの仕事が出来ると思いますか? 政治とかは、そんなに甘いものですか?誰が見たって国会議員の仕事を遂行できるわけが無い!〉
〈そしてたった二人のために国会をらバリアフリー化、そのために我々の税金はいくら使われるんでしょうかね。〉
〈問題は常人とリアルタイムで会話することのできない人を議員にして何をさせるつもりなのか、話題作りのためだけに障害者を利用する山本太郎の腹黒さに皆嫌気がさしてるんだよ。〉
〈彼らに無理させて万が一の事態になったら「国会のせい」にして逃げるんでしょうね〉
こういう声は圧倒的にネトウヨに多い。たとえば、ヘイト漫画家・はすみとしこ氏は〈これを機に。。いいんじゃない?でも介助人のコストは、自分のポケットから頼むよ。障害は個性なんでしょ?〉とツイート。“ネトウヨインフルエンサー”である千葉麗子氏は〈国会議員になった以上、国会議員としての義務が生じる。当然議会のスムーズな進行と有益な議論に寄与するよう務めなければいけない。その際に例え体調が悪かろうが、障害を抱えていようが全ては自己責任〉などと投稿している。
また、“ネトウヨジャーナリスト”の石井孝明氏は、山本太郎氏が「一番しっかりとサポートしなければならないのは国会」「健常者のリズムだけで進められることはこれからなくなる」とテレビで発言したのに対し、〈ほら始まった。自分では何もしないのに「健常者のリズムだけで進められることはこれからなくなる」と配慮を押し付ける。これって山本のリズムを押し通すということと同義だろう〉などとあげつらった。
いったい、この人たちは何を言っているのだろうか。
「誰が見たって国会議員の仕事を遂行できるわけが無い」のならば、当然、そうした環境を「仕事を遂行できる」ように変えていかねばならない。そのために税金を使うのは当たり前だ。国会議員のために議事堂を建てるのと、総理大臣のために官邸を作るのと何が違うのか。現状で他の議員と同じように議会への出席や質問が難しいのであれば、最大限にサポートする「義務」は国にある。
ましてや「自己責任」とは何だろう。たしかに政治家には「責任」が伴う。だが、病気や事故で身体が不自由になったとき、人は自らを何の「責任」に問わねばならぬというのか。そもそも、「議会のスムーズな進行と有益な議論に寄与できない」という前提からして決めつけであり、政治から障害者を排除する論理以外の何ものでもない。
舩後氏も木村氏も障害を持つからこそ、強いメッセージを発信できる政治家になる
「国会が健常者のリズムでなくなる」ことを「配慮の押し付け」などというのも同様だ。選挙で選ばれた議員を、障害を持つことを理由に国会から排除することは、当人たちに沈黙を強いる差別であるだけでなく、国民主権を真っ向から否定することである。「議論は健常者のリズムで行うべきで、国会議員は健常者に限り、国会は健常者のためのものである」ならば、それは民主主義国家の言論の府ではない。
むしろ、舩後氏も木村氏も「障害や難病を抱えるから国会議員として働けない」のではなく、「障害や難病を持つからこそ強いメッセージを発進できる政治家」になりうるだろう。事実、ふたりは選挙期間中、「障害者・難病患者という立場」から政策や改革を訴えてきた。
たとえば、木村氏は街頭演説で、障害者と健常者の子どもが地域の同じ学校に通い学ぶ「インクルーシブ教育」の推進をそのひとつにあげた。物心ついたときから18歳まで、施設と養護学校で育った木村氏は、自身の体験を「社会と断絶させられ、何も教えられてこなかった18年間の空白」と呼ぶ。電車の切符の買い方も、歩道と車道の区別もつかなかったという。「分けられて生きていくことがどんなに恐ろしいことかを、私は地域へ出てきて差別される度に思い知りました」という。
舩後氏は障害者自立支援法の改善を訴えた。「僕が当選したら、いま利用している障害福祉サービスは受けられなくなってしまいます。なぜなら、自立支援法と言いながら職場にヘルパーがついていくことは禁じられているからです。障害者は働くなということでしょうか? この部分は、絶対に変えなくてはなりません」。街頭演説では代読者がそう読み上げた。看護・介護サービス会社の取締役副社長を務める舩後氏は、自身の経験から介護職の待遇改善も強く主張している。「障害者だから気づけることがある」というのが、舩後氏のスローガンだ。
政治的ビジョンは明確だ。「障害者が当たり前に地域で生きていける社会」を実現すること。そのために国会議員としてできる第一歩が、国会のバリアフリー化など「障害者の声を届ける」ための登院なのである。
「障害者差別解消法が施行されて3年が経ちましたが、私たち障害者が地域で安心して生きていけるようになるには程遠い道のりがあります。みなさん、なぜだと思いますか? それは、法律を作った国会自体が、バリアだからです。そうは思いませんか? そうですよね。本来なら、国が率先して差別をなくす取り組みをしなければなりません」(木村氏、20日街頭演説)
ネトウヨの主張は戦前の「高額納税者のみ選挙権」という選民政治と同じ
選挙とは何か、国会とは何か、民主主義とは何か。舩後氏と木村氏の当選は、その根源的意味も問いかけている。
国会は、人々の声を政治に届ける場であり、選挙はその代表者を選ぶ行為だ。難病と重度の障害を持つ当事者ふたりの国会議員誕生は、国の議会が直接的に汲み上げる声の多様性を広げることになる。
しかし、「障害者に国会議員が務まるわけがない」「補助に税金を使うな」「自己責任だ」なる“障害者排除論”が大手を振ってはびこる様を目の当たりにすると、いかにこの国に民主主義が定着していないかということを痛感する。
日本で初めて国政選挙が行われたのは明治時代の1890年だが、当時、有権者は高額納税者の男性(満25歳以上)に限られており、国民全体のわずか1%に過ぎなかった。納税額の縛りがなくなった男子普通選挙の実現は大正時代の1925年で、そこまでに35年がかかった。それでも、女性にはずっと参政権がなく、普通選挙で女性が選挙権と被選挙権を持つことができるようになったのは、それからさらに20年、終戦後の1945年だった。
そして、いま再び、高額納税者だけが選挙権を持てた130年前となんら変わりのない「選民思想」が大手を振ってまかり通り始めている。
こうしたグロテスクな動きに抗うためにも、舩後氏と木村氏には、国会議員として、あらゆる差別と戦うリーダーになることを期待したい。そして、わたしたちもただの傍観者であってはならない。“排除の論理”をかき消すぐらい、支援の声を大きくしていくべきだ。
ALS患者の舩後氏当選で 議事堂が迫られる改修と慣習の刷新
「受け入れ態勢は大丈夫?」と心配している人もいるだろう。参院選で当選した「れいわ新選組」の舩後靖彦氏(61)のことだ。難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)で全身が麻痺している重度障害者である。
国会の本会議場や委員会室は議員しか入れないといわれる。また、議事堂は古い建物なのでエレベーターが狭いとされる。舩後氏の議員活動に支障は出ないのか。参議院に問い合わせると、「介助者が議場に入ることを制限する規則はありません」との答えだった。
「今後は議院運営委員会の理事会が協議し、承認されれば介助者が議場に同伴することになります。投票の押しボタンを第三者が押した事例は知りませんが、障害のある議員が記名投票を他者に委託するのは珍しくありません。事務局の職員が代わりに投票します。議事堂の内部にはそれなりの数のエレベーターがあり、横幅173センチ×奥行き168センチと余裕がある。議員会館は190センチ×155センチです。議事堂内はスロープや階段昇降機も多数設置されています」(広報課の担当者)
本会議場の議員席は事務的に割り振りするのが通例だが、舩後氏には出入りしやすい席が割り当てられるのではないかという。人工呼吸器のために電源が必要な事態も考えられるものの、議場にはコンセントはない。万一のために工事が必要になりそうだ
介助者が議事堂に出入りするためには秘書などが持つ「国会記章」が必要になる。舩後氏の場合はプロの介護士などに記章が割り当てられる可能性もある。
「議員会館と議事堂、参議院分館の3カ所は地下通路でつながっており、高低差のある場所は緩やかなスロープになっています」(前出の担当者)
ただし不安な面もある。元衆院議員で政治学者の横山北斗氏はこう指摘する。
「議事堂は1936年完成の古い建物だから、廊下はあまり広くない。混雑することもあるので、車いすの舩後さんは大丈夫でしょうか。床のカーペットはハイヒールの女性が歩くのに苦労するほどフカフカだから、車いすのタイヤがめり込むかもしれません。本会議の終了後、地下通路に降りるエレベーターは大物議員が優先。若手議員は遠慮して階段を使います。新人議員の舩後さんが長らく待たされるのではないかと心配です」
内部構造と議員の慣習をどう改めるのか。興味津々だ。
山本太郎らが試算 消費税ゼロで「賃金44万円アップ」の根拠
消費税を引き下げるとGDPを852兆円まで押し上げる。23日付の紙面でこう言ったが、減税の効果はコレだけじゃない。実は我々庶民の給料がアップし懐が潤う可能性が出てくるという。いったいどういうことか?
日曜日に投票があった参院選で、「れいわ新選組」の山本太郎代表が選挙前に消費税に関して面白いことを言っていた。「消費税をゼロにすると6年目には1人当たりの賃金は約44万円アップする――」と。
改めて、れいわの公約集を見ると、確かに政策にうたっている。自分が政権を取ったら「消費税は廃止する」とし、「消費税を8%から0%にしたらどうなる?」と自問自答。その結果、消費税8%を廃止(2019年)の5年後(2024年)には1人当たり賃金は、「年収410.2万円から454.1万円へ約44万円も増加」すると推計しているのだ。
この数値は山本事務所が参議院調査情報担当室に依頼し、試算してもらった結果。院のお墨付きをもらった数値となれば信憑性も高い。サラリーマンだって願ったりかなったりだ。
その論拠は単純に言えば、消費税をゼロにする→物価が5%以上下がって消費が増える→賃金は上昇し景気が回復する……というもの。たしかに、減税が実行されたら、消費者の購買意欲が湧くし、モノが売れれば経済は回る。
となれば、サラリーマンの給料アップの期待が膨らむ。「2000万円足りない」老後に備え貯金だってできるはずだ。
■専門家「減税は悪いアイデアではない」
今年3月の参院予算委員会で、山本氏はこの数字を出して安倍首相を相手に質問。「まさに、これこそがデフレからの脱却、この道しかないという施策のひとつだと思う」と迫った。
だが、安倍自民党には「消費税廃止」の5文字はない。庶民は弁が立つ与党政治家に「将来にツケを残さないため」とか言われると、ついつい消費税10%も仕方ないか〜と思ってしまうのが現実だ。
対して、山本氏の政策は全く逆の発想だ。いきなり、0%は極端だが、5%や3%への引き下げは“ひと筋の光明”のような気がしてくる。
久留米大商学部教授の塚崎公義氏がこう言う。
「減税することは基本的に悪いアイデアではありません。減税すれば消費意欲が上がりモノが売れるでしょう。でも、いっぺんに8%から0%は刺激が強い。みんなが消費に走ってモノが売れると、たちまち人手不足になる。景気が過熱しインフレになる。財政赤字が膨らみ、日銀は金融引き締めをやるでしょう。これが1、2年の間に起こる……。日銀はわざと景気を悪くするから、結果、景気はそれほど良くならない。すべてはアメリカの景気次第だと思うけど、減税は1〜2%からやるのがいいと思います」
極端に走らなければ、減税はアリなのだ。もっとも、「消費税を下げる」となると、財務省あたりが速攻で「財源はどうするんだッ」と大反対するに決まっている。
「財源は消費税減税とは全く別の話だけど、個人的には心配していません。ボクが山本さんだったら、まず消費税を2%下げて、その分、相続税と東京に住む金持ちたちの固定資産税を上げます。コレなら庶民の懐は潤い、金持ちから税金をガッポリ取れるし、東京の一極集中もなくなるはず。ただなぁ、政治家やお偉いサンたちは、全員金持ちときている。反対の大合唱が起きるでしょうね」(塚崎教授)
いま必要なのは、こうした発想の大転換ではないのか。
れいわ旋風が問うものは
3か月余り前、たった1人の議員が立ち上げた政治団体「れいわ新選組」。
その政党に、228万票が集まった。
参院選の比例代表全体の得票の4.6%、「政党」として認められることになる。
山本太郎とその仲間たちが巻き起こした旋風、それが問うものとは。(小泉知世)
「日本初の国会議員」
7月21日午後8時。
都内ホテルの一室は、テレビで選挙の大勢が放送されると歓声が湧いた。
「みんな見た? 舩後さん当確ですって。世界で初めてじゃないですか。生産性で人間を測らせない世の中、その第一歩をみなさんがつくったんですよ!」
マイクを片手に壇上に飛び出た山本太郎が声を張り上げる。
山本とともに壇上に上がったのは、大型の車いすに横たわった男性。全身の筋肉が動かなくなる難病のALS=筋萎縮性側索硬化症患者の、舩後靖彦(61)だ。
「この瞬間が来たことに胸がいっぱいです。僕は変えたい。世の中の矛盾を変えたい。弱々しく見える僕ですが根性だけは人一倍。命がけです、よろしくお願いします」
舩後に代わって支援者が代読した。彼は日本で初めてのALS患者の国会議員となる。
新時代は当事者がつくる
「『れいわ新選組』、新しい時代に新しく選ばれるものたちという意味です」
国民民主党との合流話が進んでいた自由党から離れ、政治団体をつくると山本が発表したのは、4月10日。参院選公示まで100日を切っていた。
山本は「政治家は金のにおいか票のにおいにしか集まらないから」と他の議員の参加は否定し、公示日直前に次々と新たな候補者を打ち出した。
候補者一人一人は決して知名度が高いわけではない。
共通するのは「当事者」であること。現在の社会が抱える課題を体現できる人物、ということにこだわりが置かれていた。重度の障害者、コンビニエンスストアのオーナー経験者、シングルマザーの派遣労働経験者、東京電力の元社員、沖縄の創価学会員。
政治家が代弁する時代は終わったのだと、自らの経験を街頭で訴える。
「ホームレス、5年間やってました。生活保護をもらえず、おむすび1個が食べたいと書き置きを残して餓死をした人もいます。こんな日本に誰がした!黙ってられるか!」
「きのう、コンビニの仲間の死亡が私に伝えられた。多額の負債を抱えて、急に辞めろと言われて、店追い出された。いい加減、強い者が人間を部品のように扱うのはやめてくれ」
沖縄の創価学会員は、これまで支持してきたという政党を批判する。
「平和福祉と言っていながら、辺野古の基地建設の問題、全く無視してますよ。どうなってんですか、公明党。平和福祉の党なんでしょう。いますぐ止めてみろよ!」
「あなた」に問いかける
できたばかりの政治団体が、最初の選挙で多くの支持を集めるのは容易ではない。
しかし、選挙戦中盤、れいわ新選組が行った街頭集会はその常識を覆した。
JR品川駅前、足の踏み場もないほどの人で埋め尽くされた。
「れいわ祭」と題した集会では、まだ代表の山本が登場していないないにも関わらず、登壇者が演説するたび歓声が上がる。
聴衆の数は集会を行う度に増えていて、会場で、政策が書かれたピンクのうちわを振る様子は、音楽フェスにも似ていた。
なぜここまでの盛り上がりを見せるのか。演説会を何度か取材する中で、集まった人に聞いてみた。
「心の中で、みんなが思っていることを代弁していると思った。いまの世の中は幸せではない。世の中を諦める若い人こそ聞いて欲しい」(長野県の50代女性)
「政治家はきれいごとを言うが、彼らの演説は本音だと感じた」(神奈川県の男性)
「本人たちからしか聞けない、初めて知る話が多かった」(都内の30代の女性)
上の画像はれいわ新選組のホームページに掲げられている政策だ。
確かに「消費税廃止」や「奨学金チャラ」「公務員を増やす」など斬新なものもあるが、「政府補償での最低賃金1500円への引き上げ」など、似たような政策をほかの野党が主張しているものもある。必ずしも政策そのものが、ずば抜けて高く評価されて支持を集めている、という感じでもない。
だが話を聞いたどの人も、聴衆に問いかけるスタイルの山本の演説にひきつけられるという。
「あなたは生きてる価値があるのか?何かの役にたったんですか?会社の役に、世の中の役に、何かの役に立ってなくちゃ、生きてちゃいけない。そんな空気、蔓延してるじゃないですか。そんなのおかしいでしょ。消えてしまいたい、死にたい、そう思ってしまう世の中のほうが間違ってんですよ」
遠巻きに演説を聞いていた人にも話を聞いてみると、「政策が現実的ではない。理想と現実は違う。政治が安定しないと他の国にも負ける」(会社員の50代男性)と冷ややかな声も聞かれた。
しかしこの日、日が落ちても聴衆は増えるばかりだった。
”大手メディアは流さない”
街頭で話しを聞く中で、多くの人がツイッターやフェイスブックなどのSNSで、知り合いから「演説が送られてきた」と話していたのも特徴的だった。
街頭や集会がはじまると、聴衆がそれぞれ動画を撮影して、「#れいわ新選組」や「#山本太郎」といったハッシュタグをつけてツイッターに掲載する。それを、れいわ新選組の公式ツイッターがリツイートする。
盛り上がるほど大人数が一斉にツイートして、大きな動きが起こっているように感じるのだ。
従来の政党でも、SNSでの拡散を呼びかけていたところもあったが、ここまで同時多発的なツイートを、ユーザーが自発的にしていることが、れいわ新選組の特徴だ。
ただ、候補者たちはネット内の運動だけでは票につながらないと、電話やはがきという従来の選挙の手法も重視していた。
一方で大手メディアで、こうした動きが取り上げられることは少なかった。
選挙運動を報道する際は、政党かどうかが1つの基準となるため、あくまで政治団体でしかなかった「れいわ新選組」の動きは、対象になりにくいのだ。
このため、ネットでの盛り上がりと大手メディアでの報道に差があるように感じる人も少なくなかった。
それを逆手に、山本は「テレビは全然取り上げない」と街頭で呼びかけ、それが、さらにネットでの「拡散」を頑張らなければいけないと、支持者たちの動きを活発化させることにつながったとみられる。
寄付と「特定枠」
選挙運動に資金が必要なことは、どんな政党であっても変わりはない。
その資金を得るというハードルも「寄付」という方法で乗り越えた。
これはれいわ新選組のホームページの寄付コーナー。「10人の候補者を擁立するなら3億円」などと目標額を示し、寄付を募った。資金が集まらないリスクもあったが、勢いが増すごとに支持が広がり、資金が集まる様子が目に見える効果があった。
「3日分のおかず代1000円を削って託してくれる方、その積み重ねが2億8000万円までになりました。無理のない範囲で、力を貸していただきたい」
山本は街頭でこう語り、その度に、「寄付」は増えていった。
選挙戦では、今回から比例代表に導入された「特定枠」制度もフル活用した。
あらかじめ政党や政治団体が決めた順位の候補者が、個人の得票に関係なく優先的に当選するこの制度で、ALS患者の舩後と重度の障害のある木村英子(54)が優先的に当選できるようにした。
この制度は参院定数を6増する改正公職選挙法に盛り込まれた。法案を提出した自民党には、「合区」された「鳥取県と島根県」「徳島県と高知県」の選挙区で候補を擁立できない県からも、この特定枠を活用して確実に議員を出せるようにしたいという狙いがあった。
その制度を、もともと選挙運動を盛んに行うことが難しい人が候補になるために使うというのは、逆転の発想だ。
そして、現職議員で代表の山本が再選するためには、3議席以上の獲得がどうしても必要になる。
ハードルを上げることで、いっそうの支持を促した。
「まずこの2人に先に国会議員に上がってもらう。それ以外のメンバーはどうなる?山本太郎も含めて、当然、何百万票も積み重ねなきゃいけない。背水の陣?当然ですよ。それくらいの覚悟持ってやらなきゃどうすんだって。身を切る改革とはこういうこと言うんだよ」山本はこう訴えた。
衆議院で議席を取る
選挙の結果、れいわ新選組は比例で2議席を獲得。山本は全候補者で最多となる99万余りの個人名票を得たが、議席には届かなかった。
結果がすべて判明したあと、山本は笑顔で報道陣に答えた。
「山本太郎としての議席は失ったけれど、れいわ新選組としては大きく前進した」
国会議員でなくなっても、政党の党首になれば、これまで以上に発言が注目されるようになる。それをてこに山本はさらに上を目指していた。
「公党であることと諸派とは天と地ほどの差がある。そのインセンティブを得られたのは互角に戦うためのひとつの条件だと思うので、確実に衆議院で大きく議席を取りにいく準備をしていく」
彼を支持したのは
れいわ新選組を支持したのは、どういった層なのか。比例の投票傾向を21日に全国の投票所で行ったNHKの出口調査で見てみた。
投票先を男女別にみると、男女いずれも全体の5%がれいわ新選組に投票していた。
さらに年代別にみると、18歳・19歳から40代までの各年代では、6〜9%が投票していたのに対し、50代は5%、60代は3%、70代以上は1%と高齢になるほど徐々に割合は減っていた。
比較的若い世代からの支持があったことをうかがわせる数字だ。
支持政党別にみると、自民党、立憲民主党や共産党など与野党の支持層は最大でも5%程度にとどまった一方、とくに支持する政党のない、いわゆる無党派層からは11%と一定の得票を得ていた。
初のALS患者国会へ
8月1日には臨時国会が召集される。当選した舩後と木村は国会議員としての第1歩を踏み出すことになる。ところで参議院は彼らをどう受け入れていくのか。
選挙期間中、舩後の自宅を訪問した。
商社マンとして活躍していた舩後。40代でALSと診断された。現在は話したり、思うように体を動かしたりすることはできないが、意識ははっきりしていて、看護・介護サービス事業の副社長も担っている。
街頭演説の文章は、歯をかんで操作するパソコンを使って、自ら打ち込む。一度かむとあ、か、さ、た、なと1つずつ行が進み、またかむことで、な、に、ぬ、ね、のと進めて、「の」という一文字を打つ。ひとつの文章を書くのには、時間がかかる。
それでも1回ごとに10分近い演説の内容を用意。
代読する支援者の力を借りて、週に2回程度、街頭に出て障害者に関する教育の改革などを訴えた。
外出の時は、看護師やヘルパーが付き添い、人工呼吸器付きの大型の車いすでの移動が欠かせない。
食事も、スパゲッティやご飯をミキサーにかけて、ペースト状にしたものを、食事を注入する専用の注射器で、胃に直接送る。健常者よりも、ひとつひとつの動作に時間がかかる。
国会では本会議や委員会などが重複し、分刻みで移動する議員も少なくない。議場では、演説や記名投票の際に、通常は階段を上ることになる。
どうする国会
参議院も過去には、支援が必要な議員を受け入れたことはある。
昭和52年から28年間、衆参の両院で国会議員を務め、郵政大臣も歴任した八代英太も車いすを利用していた。
まだ、起立による法案採決が参議院でも行われていた時代。八代は代わりに挙手で対応したという。
議場の段差にはスロープが設けられ、車いすのまま演説するための設備も用意された。
本会議場の入り口近くには障害者用のトイレも整備された。
参議院の事務局は「建物のバリアフリー化は進み、車いすへの対応は整備されてきている」と説明する。
しかし、舩後を支援をする人たちからは「トイレは大型の車いすが入っても扉が閉まる広さか」「食事をとるための、一室などは確保できるのか」など不安の声も聞こえる。
どう国会の設備を変えて行くのか、これから本格的に検討がはじまっていく。
「4億円の悲鳴」
れいわ新選組が募った寄付は、投票日前日までに4億円が集まった。寄付者は3万3000人にのぼるという。
山本はこう述べた。
「3か月で4億円なんて集められないですよ、普通。これは、悲鳴ですよ。死にたくなる社会はやめてくれっていう。私たちが4億円集めるという行為じゃなくても十分聞こえてた声、見えていた状態だと思うんです。それに対症療法や微調整しか行えないような政治が続いてきている。この悲鳴に一体、何ができるかを考えるのが政治の役割だ」
新たな政党「れいわ新選組」によって問われたもの、そしてこれから彼らが問うもの。
予断なく、目をそらさず、見つめていかなければ、と思う。(文中敬称略)
れいわ躍進に野党3党ラブコール 立憲も方向転換で結集加速
選挙協力が中途半端に終わったために、結局、32ある参院1人区は、野党陣営の“10勝22敗”に終わった。安倍自民党は、野党共闘が進まないように、“改憲論議”を利用して立憲民主と国民民主を“分断”するつもりだ。
しかし、山本太郎代表が率いる「れいわ新選組」が参院選で躍進したことで、野党結集が一気に進む可能性が高まっている。自民党も「野党の大同団結が進みかねない」と警戒している。
自民党議員を警戒させているのは、野党3党が一斉に「れいわ新選組」にラブコールを送っていることだ。立憲民主の枝野代表は「連携できればありがたい」と共闘を呼びかけ、国民民主の玉木代表も「率直に意見交換したい」と語り、共産の志位委員長も「協力していきたい」と発言している。
■「衆院選に100人規模の擁立目指す」
野党3党が揃いも揃って、共闘を呼び掛けているのは、この先「れいわ新選組」が、野党再編の台風の目になると考えているからだ。たんに2議席を獲得しただけでなく、有権者を引きつける圧倒的なパワーがあると思い知らされた。実際、結党わずか3カ月で寄付金を4億円も集められる政治家は、山本太郎代表ぐらいだろう。
山本代表本人も「野党と手を組まなければ政権交代までいけない。力を合わせるところは合わせていく必要がある」と、野党結集を推し進めるつもりだ。
「次の衆院選で100人規模の擁立を目指す」とも宣言している。
野党結集が加速するとみられているのは、「れいわ新選組」が躍進したことで、これまで野党合流を拒否していた枝野立憲が、方針を百八十度変える可能性があるからだ。
「これまで野党共闘が進まなかった原因は、すべて枝野立憲にあります。どんなに他の野党が合流を呼びかけても拒否してきた。理由は、枝野代表が“お山の大将”でいたいからでしょう。野党が結集すると、先輩議員や自分より能力の高い議員と一緒にやることになり、威張れなくなる。だから拒否していた、としか考えられない。国民民主党が消滅するのを待っていたのでしょう。でも、れいわ新選組が誕生したことで、このままでは立憲民主を抜きに野党再編が進みかねなくなってきた。もし、立憲民主党を仲間外れにして野党再編が進んだら、ただでさえ、れいわ新選組に人気を奪われて影が薄くなっているのに、ますます存在感が小さくなってしまう。その事態を避けるために、立憲民主が野党結集に舵を切ってもおかしくない。そうなれば、大同団結は一気に進むはずです」(野党関係者)
れいわ新選組との共闘は、野党各党もハードルが低いという。
「山本太郎代表の特徴は、ほかの野党議員と違って、野党仲間に対する怨念がないことです。野党再編が進まないのは、“あいつは嫌いだ”“あいつとは一緒にやりたくない”と、議員同士がくだらない私怨にこだわっているからです。でも、山本代表にはそうした私怨がない。この参院選も、立憲の候補も、共産の候補も、国民系の候補も、分け隔てなく、選挙応援に入っている。それと、山本代表のもうひとつの特徴は、イデオロギーで政策を語るのではなく、庶民生活から政策を語っていることです。だから、アレルギーも少ないはずです」(政治評論家・本澤二郎氏)
野党結集を潰すために、これから安倍自民党とNHKを筆頭とする大手メディアの“山本潰し”がはじまりそうだ。
韓国紙日本語版の功罪
韓国大統領府のスポークスマンが十七日、異例の発言をした。韓国の有力紙がネット上で提供している日本語版の記事について、「本当に韓国国民の声を反映したものなのか、問いたい」と述べたのだ。
メディアの報道内容に政府が不満を表明することが適切かどうかは別として、私も長いあいだ、似たような疑問を抱いていた。
韓国紙の日本語版は二〇〇〇年代から本格化した。保守系紙を中心に毎日、大量の記事が更新される。日本の大手ポータルサイトにも転載され、多くのアクセスを集めている。
日本に住む人たちは、かつては韓国の事情を日本の新聞やテレビなどを通じて知ったが、今は日本語版を通じて、情報をリアルタイムに入手できるようになっている。
問題は、韓国の政治経済や北朝鮮などに偏っていることだ。さらに韓国語の記事の穏やかな内容の見出しを、「国民の反日感情に火を付ける韓国大統領府」などと、過激な日本語に置き換えていたケースもあったという。
これらの記事が日本で引用され、韓国を批判する新たな記事になって拡大していく。日韓の摩擦の土壌にもなっているだろう。
日本メディアにとっても、人ごとではない。現地ニュースの翻訳で終わらない、踏み込んだ内容が求められよう。そうでなければ現場感のある日本語版の記事に押され、存在感を失ってしまうだろう。 (五味洋治)
若年層の自死 「社会の問題」再認識を
「自死に追い込まれる人が年々減っていることは歓迎したい。でも、子どもが自死を選ばざるを得ない社会って何なの?」。本県の自死遺族に向けられた問いが、いつまでたっても頭を離れない。
今月、政府が閣議決定した2019年版「自殺対策白書」によると、18年の自殺者総数は2万840人で、9年連続で減った。人口10万人当たりの自殺者数を示す「自殺死亡率」も減少傾向にある。
一方、若年層の自死は依然として歯止めがかからない。19歳以下は前年比32人増の599人で、死亡率2・8は統計を取り始めた1978年以降最悪となった。
10〜30代の死因の1位は自殺。国際的にも、15〜34歳の死因1位が自殺になっているのは、主要7カ国(G7)の中で日本だけだ。
自死の総数が減ったところで、次代を担う子ども、若者が生きる希望を持てない社会は、まともとは言えない。解決の特効薬はなく、いじめ、虐待、貧困などさまざまな課題への対応、会員制交流サイト(SNS)を活用した相談の充実など、総合的な対策を積み重ねていくしかない。
本県はかねて自死予防が重要な課題。20歳未満の自死は年によって増減があり、一概に増加・減少の傾向を判断することはできないが、若年層の死因に占める自死の割合は高く、相談態勢や心の教育の充実などに力を入れている。
若年層がSOSを出せる能力を高める取り組みは不可欠。併せて、周囲の大人たちも、SOSを受け止める意識を高めなければならない。
かつて自死が年間3万人を超えていた日本。その現状を大きく変える原動力になったのが、親を自死で亡くした若者たちだった。
2000年、大学生の遺児が中心になり、つらい胸中を記した小冊子を刊行。01年には遺児10人が首相官邸を訪れ、自死は「個人の問題ではなく、社会の問題」として対策の必要性を提言した。堂々と自らの思いを訴える姿が大きな反響を呼び、国を挙げての対策につながった。
「最後の最後に必要なのは、人と人とのつながりだと感じています」。そんな遺児たちの思いに、いま一度、社会は向き合う必要がある。
生きづらさを抱えて孤立している若い世代に対し、価値観を押し付けたり、問題行動を頭ごなしに怒ったりするのではなく、まずは、その声に耳を傾ける。そして、悩みの深刻度に応じて、相談機関に適切につなげていく。
声を受け止める大人が一人でも増えることが、一人でも多くの命を救うことになる。その声は、生きやすい社会をつくっていく貴重な手掛かりでもある。
【サンマ漁規制】資源管理の実効性が肝心
深刻な不漁が近年続くサンマの国際的な漁獲枠が初めて設けられた。大きな前進だが、取り決めをどう守り、実効性ある資源管理につなげていくか。これからが肝心だ。
日本や中国、韓国、台湾など8カ国・地域がサンマの資源管理を協議する北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が開かれ、日本が提案した漁獲枠の導入に合意した。
2020年は約55万トンを上限とし、そのうち主に中国や台湾が操業する公海を33万トンと決めた。昨年まで2年連続で中国などが枠設定に反対しており、やっと合意に至った。
大事なのは検証方法だ。公海での漁獲量はNPFC事務局に毎週報告するよう義務化した。参加国の当局が閲覧できるサイトにその内容を掲載し、互いに監視可能という。
報告内容は参加国それぞれの「自己申告」に基づく。実際の水揚げと異なる報告で信頼関係が崩れれば、合意が長続きしない可能性がある。貴重な資源を枯渇させないためにも、そうした事態は避けたい。
回遊魚のサンマは春から夏に北太平洋の公海で大きくなり、秋ごろにかけて日本近海を南下する。この時季に北海道や東北、千葉県の沖の排他的経済水域(EEZ)で日本は「秋サンマ」を取ってきた。
NPFCによると、日本の漁獲量は12年までは年20万トン超で推移していた。ところが、15年以降は10万トン前後に激減。公海での操業を中国が本格化したのが13年ごろだ。EEZに回遊前、中国などによる公海での「先取り」が不漁の一因と日本はみている。
そのため日本は、17年の会合で国・地域別の具体的な数値も含めて枠を決めるよう求めたが、中国や韓国などの反対で決裂。昨年はハードルを下げて、具体的な数値は設けずに国・地域別の上限を設ける枠組みを提案したが、これも中国などの反対で頓挫した。
今回はさらに譲歩し、国・地域全体の上限枠を提案して合意した。だが、「55万トン枠」は18年の全体の漁獲量約44万トンより多い設定だ。
EEZを主漁場とする日本と、操業が公海に集中する中国や台湾とは利害がそもそも異なる。これまでの経緯を踏まえて合意しやすい案を日本は提示したのだろうが、それで資源保護は本当に大丈夫だろうか。
水産庁は利害関係の調整が難しく、国・地域別の枠の設定に踏み込めなかったとしている。提案者として日本の責務は重い。最新の知見や研究に基づいた資源保護はどうあるべきなのか。来年以降も引き続き各国に提案する必要がある。
国際機関から絶滅危惧種に指定されたクロマグロやニホンウナギに加え、サンマに並ぶ大衆魚のマサバなども漁獲量が減り、資源管理が話し合われている。本県ではカツオ一本釣り漁などを通して資源保護の大切さを考える組織も活動している。
子どもたちに豊かな魚食文化を残すために、さまざまな魚種の資源保護についてさらに考えたい。
二つの線維「編み目構造」京大などグループ、皮膚伸縮の一端解明
皮膚がしなやかに伸縮するメカニズムの一端を解明したと、京都大などのグループが発表した。二つの線維が秩序だった編み目のような構造をつくっているためといい、けがなどで損傷した皮膚の再生医療にも生かせる知見という。成果は23日、国際科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。
皮膚の表面以外の大部分はコラーゲン線維や弾力性のある弾性線維でできている。ただ、コラーゲン線維は波状にうねって密集しているため、1本1本の方向を特定することは難しく、これまで両線維はフェルト(不織布)のように無秩序に絡み合っていると考えられてきた。
京大医学研究科の齊藤晋講師や京大医学部付属病院の上田真帆医師らは、刺しゅう枠のような器具でヒトの皮膚を引き伸ばしてコラーゲン線維のたるみを除き、特殊な顕微鏡で観察。すると、コラーゲン線維は網目状に並んでいることが分かった。また弾性線維がコラーゲン線維とほぼ同じ方向に走っていることも確認できた。こうした構造から、皮膚は柔軟性があると考えられるという。
齊藤講師は「皮膚の線維にも秩序がある。この秩序を再現できれば、未来の皮膚再生医療に役立てられるのではないか」としている。