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Le Japon raye la Corée du Sud de sa ≪ liste blanche ≫ de partenaires de confiance
Le Japon a décidé de durcir encore davantage les restrictions commerciales envers la Corée du Sud en retirant le pays de sa liste des Etats exemptés de procédures pour l’acquisition de plusieurs centaines de produits japonais. La Corée du Sud a réagi rapidement, indiquant qu’elle s’apprêtait à répliquer ≪ sévèrement ≫.
Le Japon a décidé vendredi de durcir encore les restrictions commerciales envers la Corée du Sud en retirant ce pays de la liste des Etats exemptés de procédures pour l’acquisition de plusieurs centaines de produits japonais, a annoncé le gouvernement.
L’exclusion de la Corée du Sud de cette ≪ liste blanche ≫ des pays bénéficiant d’un traitement particulier a été approuvée ce jeudi 2 août au matin en conseil des ministres, a précisé à la presse le ministre de l’Industrie et du Commerce, Hiroshige Seko, une mesure perçue comme une sanction par Séoul et qui risque d’aggraver les tensions bilatérales.
Divers différends historiques
Cette disposition prendra effet le 28 août, a détaillé Horoshige Seko.
Tokyo assène ainsi un nouveau coup à Séoul avec qui existent divers différends historiques qui empoisonnent leurs relations depuis des lustres. La question des indemnisations réclamées par la Corée du Sud pour ses ressortissants soumis à un régime de travail forcé dans des entreprises japonaises durant la Seconde Guerre mondiale a nourri un contentieux entre Tokyo et Séoul.
Cette querelle s'est intensifiée le mois dernier quand le Japon a annoncé un renforcement des restrictions sur les exportations vers la Corée du Sud de trois composants essentiels à l'électronique grand public.
≪ Il s’agit d’une révision de la liste nécessaire pour une gestion appropriée du contrôle de nos exportations pour la sécurité nationale ≫, a justifié le ministre, niant à nouveau qu’il s’agisse d’une sanction. Et d’assurer : ≪ Ce n’est pas un embargo sur les exportations. Cela n’affectera pas la chaîne d’approvisionnement et n’aura pas d’impact négatif sur les entreprises japonaises ≫.
Le gouvernement nippon explique en effet que nombre d’entreprises japonaises disposent déjà d’une autorisation pour exporter vers des pays n’appartenant pas à cette liste blanche et que ce sésame sera utilisable pour la Corée du Sud.
La Corée du Sud s’engage à répliquer ≪ sévèrement ≫
La Corée du Sud s’est engagée vendredi à répliquer ≪ sévèrement ≫ à la décision du Japon de la retirer de sa liste des Etats exemptés de procédures pour l’acquisition de plusieurs centaines de produits japonais.≪ Nous exprimons nos profonds regrets quant à la décision du gouvernement Abe ≫, a déclaré la porte-parole de la présidence sud-coréenne Ko Min-jung. ≪ Notre gouvernement répondra sévèrement à la décision injuste du Japon. ≫
Le président sud-coréen Moon lui-même a ensuite condamné la décision ≪ irresponsable ≫ de Tokyo. Récemment, les tensions sont montées d’un cran. Depuis la décision de la Cour suprême coréenne, prise l’année dernière, d’ordonner aux entreprises japonaises le paiement d’une compensation aux travailleurs forcés durant l’occupation, la tension n’en finit plus de monter.
En juillet, Tokyo a ordonné la restriction de l’import de trois entreprises coréennes qui fabriquent des matériaux pour smartphones. En Corée, la population commence à boycotter les produits japonais.Mi-juillet, un Sud-Coréen est mort après s’être immolé devant l’ambassade du Japon.
La Corée du Sud deviendrait le premier pays retiré de la ≪ liste blanche ≫ japonaise qui comporte actuellement 27 pays dont l'Allemagne, la Grande-Bretagne et les Etats-Unis. Cette mesure pourrait contraindre les exportateurs sud-coréens à effectuer de lourdes démarches administratives pour obtenir des licences d'exportation au Japon, ce qui pourrait ralentir les livraisons d'un éventail de produits pouvant servir à la fabrication d'armes.
A Séoul, des représentants ont prévenu qu'une escalade du litige pourrait contraindre le gouvernement sud-coréen à revoir un accord de partage du renseignement entre les deux pays.
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フランス語の勉強?
俵 才記 @nogutiya
韓国除外を閣議決定。
馬鹿だね、 やっちゃったよ。世耕大臣記者会見で「日本経済に影響はない」?
影響がないはずないやろ。
輸出管理の運用変更だというが、運用はさじ加減で実質輸出規制と同じ事ができる。だから国際的には徴用工問題での意趣返しだと見られている。立憲も賛成だとか。アホ!
早速、株価は急落してます。現在、前日比480円も下がっています。
立憲も賛成だとか、と書いたのは、今日の朝日新聞。
《立憲民主党の福山幹事長は訪日中の韓国国会議員と会談し
・・・悪化する日韓関係について「日本政府の主張に一定の理解をしている」と述べ、野党としても政権の対応を支持する姿勢を示した」》との記事を基ににしました。

池田清彦 @IkedaKiyohiko
韓国をホワイト国から除外、閣議決定。政権は末期的症状を呈してきて、もはややけくそだな。消費税増税とのダブルパンチで、景気の落ち込みは必定だ。国益より、意地が大事というのでは、チンピラやくざと変わりはない。やくざだって賢い親分は、もう少し組織防衛のことを考える。
ナメさんはキャット @nCdXZuhD1SRgGsG
本当に政策センスのない子供っぽい政権だと思います。徴用工の問題は、日本にまったく非がないのなら静かに国際社会に訴えればいいだけのこと。それよりすぐに向き合わなきゃいけないことがあるでしょう。北朝鮮に行くのはいつなのか…。不誠実の極み。
有田芳生@aritayoshifu
これで拉致問題での韓国の協力は失われました。グランドデザイン(全体構想)なき外交で長期的な国家利益が損なわれます。安倍政権にとって、拉致問題が最重要課題ではなかったのでしょうか。日韓関係についての北朝鮮の論評を見ればわかりますが、安倍政権の判断と行動で拉致問題の解決は絶望的です。

よくわからないけどケーブル無くして充電ができないというので注文したのをすっかり忘れていました.ピンポン!となって???と思ったら宅急便でした.USBにつなぐとちゃんと充電できました.みそ汁を自分で作りました.まあまあかな?
昼帰ってきてパスタ+トンカツ.食べていいよ!って言ってくれたのはうれしいけどお腹いっぱいなんですが・・・と言いながら全部平らげたのでした.
8時前の新幹線ですが,意外に余裕がなく駅でお茶を買ってベンチに座って飲みました.またしてもwifiのない車両でガッカリです.

震災遺構「荒浜地区住宅基礎」公開 津波の脅威伝える〈仙台〉
仙台市が震災遺構として整備していた、「荒浜地区住宅基礎」の公開が2日から始まりました。
2日は仙台市の郡市長を始め、地元の住民などおよそ50人が出席し、記念の式典が行われました。
「荒浜地区住宅基礎」は、震災遺構「荒浜小学校」からおよそ500メートル東側に整備され、高さ13.7メートルの津波で流出した住宅の基礎部分などが当時のまま残されています。
被災住宅の所有者 佐藤玉枝さん
「津波の恐ろしさを後世に忘れないで伝えていただければ、私としては幸いです」
「荒浜地区住宅基礎」の敷地内には説明看板も設置され、無料で見学することができます。


国が整備進める“震災伝承施設” 宮城県内初の「登録伝達式」
震災の教訓を後世に伝える施設として国交省が整備を進めている、「震災伝承施設」の登録伝達式が、宮城県内で初めて行われました。
県内初となる「震災伝承施設」の登録伝達式は、8月1日、宮城県庁で開かれました。
この中で、震災直後に石巻市の新聞社が手書きで発行した新聞などを展示している施設・「石巻ニューゼ」の設置者に、国交省・東北地方整備局長から、県内第一号の登録証が手渡されました。
「震災伝承施設」には、東北の被災4県にある震災遺構など192件が登録されていて、県内では、気仙沼市の震災伝承館など100件がすでに登録されています。
東北地方整備局 佐藤克英 局長
「大震災の記録や記憶、教訓を次世代に伝承していくことが防災力の向上・国内外の支援に対する恩返しの観点からも非常に重要」
「石巻ニューゼ」設置者 石巻日日新聞 近江弘一 社長
「皆さんに震災の原点からこれまでのこと、この先のことを伝えていきたい」
震災伝承施設は今後、教材としての活用や、各施設をめぐる「防災ツアー」としての活用も期待されます。


デスク日誌 風景の記憶
 名取市閖上の「かわまちてらす閖上」と宮城県女川町の「シーパルピア女川・地元市場ハマテラス」を続けて訪れる機会があった。共に東日本大震災からの復興を担う商業施設である。
 木造建築が醸し出す優しい空間を散策し、買い物や飲食を楽しんだ。閖上はシラス、女川はホヤなど、特産物で個性を出す。オープンから3年が過きた女川の施設は整備も進み、おしゃれな雰囲気さえ漂う。
 観光で初めて訪れた人は、ここが被災地であることを頭で分かっていても、新しい施設の活気をそのまま受け入れることができるかもしれない。ただ、地元の人はどうなのだろうか。
 閖上は子どもの頃から親しんだ土地で、震災前の数々の記憶がある。今回、施設の裏手の堤防に立ち、河口へと悠々と流れる名取川を見た時、かつての街の光景がよみがえった。同時に、現在の姿との乖離(かいり)に、やるせない思いが募った。女川でも、駅前から海の方角を望めば同じ気持ちになる人はいるだろう。
 生まれ変わった街で生きる人々が、過去の風景の記憶とどう折り合いをつけていくか。そこに心の復興への鍵があると感じた。(生活文化部次長 加藤健一)


荒浜地区の住宅跡が震災遺構に
東日本大震災による津波で大きな被害を受けた仙台市若林区の荒浜地区で、流出した建物の跡に残された住宅の基礎部分が震災遺構として整備され、2日から公開が始まりました。
仙台市若林区の荒浜地区は、震災前、およそ800世帯2200人が暮らしていましたが、津波でおよそ200人が犠牲になるなど大きな被害を受け、海沿いは住居の建築が制限される災害危険区域に指定されました。
市が震災遺構として整備したのは、海に近いエリアにあった6戸の住宅の基礎部分で、公開初日の2日は、関係者らが出席して式典が行われ、全員で犠牲者に黙祷をささげました。
遺構は、被災した当時の姿ができるだけ残され、壊れた配管や浴室のタイルのほか、津波で削られた地面などを見ることができます。
また、通路や案内版に加え、震災によって奪われた地区の人々の暮らしぶりや津波を体験した人たちの証言を紹介するボードも設けられました。
遺構となった住宅に住んでいた佐藤玉枝さんは、「後世に津波の恐ろしさを伝えるだけでなく、ここにも人々の暮らしがあったということを知ってもらいたい」と話していました。
また、式典に出席した仙台市の郡和子市長は、「自然の脅威を感じてもらうとともに、防災や減災を考えるきっかけになれば」と話していました。


復興庁存続、格下げ感回避は規定路線 自民、今春に方向性
 2020年度末に廃止となる予定だった復興庁が存続する見通しになった。後継組織を巡る与党の検討過程では内閣府の外局への配置案が浮上したが、現行の首相直轄からの「格下げ」感を避けた。東日本大震災の被災地の世論を強く意識したとみられ、与党内には「今春には存続方針を固めていた」との指摘がある。(東京支社・吉江圭介)
 自民党は7月26日の東日本大震災復興加速化本部総会で、復興庁の存続を盛り込んだ提言案を了承した。吉野正芳前復興相(衆院福島5区)は「被災地にとって本当に必要な体制にできた意義は大きい」と述べた。
 3月8日に閣議決定した復興基本方針の見直しで、政府は「司令塔として各省庁の縦割りを排し、政治の責任とリーダーシップの下」に後継組織を設置すると明記した。具体的な形態は示さず、与党内では内閣府の防災担当部門と併せた上で同府の外局とする案などが取り沙汰された。
 自民党が存続へ軌道修正したようにも映るが、加速化本部の幹部は「基本方針の見直し時点で既定路線だった」と強調する。「司令塔などの機能は金融庁のような外局では担えず、復興庁の存続を指す。3月には政府与党の方向性は定まっていた」と振り返る。
 加速化本部の谷公一事務局長は「防災と同じ組織に統合すると、震災復興の業務が手薄になる可能性がある。被災者は納得するだろうか」と説明する。
 安倍晋三首相は元々「防災省」構想に消極姿勢を示してきた。与党が存続を提言する時期を慎重に検討し、参院選の争点化を避けて8月に設定した。
 連立与党の公明党は災害対応から復旧、復興まで一元的に担う「復興・防災庁」の創設を主張していた。6月に発表した参院選公約ではその記述が消え「復興庁の機能を継続」と見直した。幹部は「政府の考えと整合性を取る必要があった」と明かした。
 7月3日の政府復興推進委員会で、内堀雅雄福島県知事は後継組織への専任閣僚の配置を要望した。「存続」は固まっていたが、被災自治体の意見も踏まえたことを演出した形だ。
 今後は21年度以降の存続期間などに焦点が移る。自民党内からは「原発事故からの再生を考えれば、3年や5年では被災地の理解は到底得られない」との声が出ている。


<リボーンアート・フェス2019>命の手掛かり探そう あす石巻で開幕
 東日本大震災で被災した石巻市の牡鹿半島を主な会場とするアートと食、音楽の総合祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2019」が3日、開幕する。「いのちのてざわり」をテーマに9月29日までの58日間、アーティストたちの作品が被災地を彩る。
 今回初めて会場となる小積(こづみ)浜と網地島(8月20日から)両エリアを含む7地区が舞台。展示内容を企画する7組のキュレーターが国内外のアーティストの現代アート作品などを配する。
 半島の食と自然を巡る参加型イベントも初めて開催。「石巻フードアドベンチャー」は地元の猟師と一緒に鹿料理作りを体験するツアーなどを予定する。
 前回2017年は51日間で延べ約26万人が来場した。実行委員長で音楽プロデューサーの小林武史さん(新庄市出身)は「震災に遭った場所は命や生きるということに関わる力が強い。各アーティストが残した命の手掛かりに出合ってほしい」と話す。
 実行委と一般社団法人APバンク(東京)が主催し、宮城県や石巻市、河北新報社などが共催する。


河北春秋
 雲間からのぞく青空の下、集まる笑顔の人、人、人。真新しいスタジアムとその周辺は祝祭の空間と化していた。8年前を思えば、こんな日が訪れると誰が想像できただろう▼釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで初めて行われたラグビーの国際試合。9月に幕を開けるワールドカップ(W杯)日本大会の前哨戦は、日本が格上のフィジーに快勝し約1万3000人のファンを沸かせた▼釜石市は、1978年度から日本選手権を7連覇し、その強さから「北の鉄人」と呼ばれた新日鉄釜石(現釜石シーウェイブス)の本拠地。ラグビー界にとって釜石の名は今も特別である。東日本大震災の津波により1000人を超す死者・行方不明者を出した。スタジアムは復興の象徴として、全壊した小、中学校の跡地に建てられた▼日本国籍を取得しているリーチ主将は試合前日、被災した釜石で日本代表が試合をする意義をチームメートに説いたという。外国人選手も含め全員が高い使命感を持ってグラウンドに立ち、被災地を勇気づけた▼ラグビーの祭典本番まで2カ月を切った。釜石でも2試合がある。スタジアムの傍らに「あなたも逃げて」と刻まれた津波防災祈念碑がある。世界から訪れた人との交流はもちろん、教訓を発信する機会となればいい。

<石巻川開き祭り>夜空に大輪6000発で締めくくる
 石巻市に本格的な夏の到来を告げる第96回石巻川開き祭り(実行委主催)は1日夜、約6000発の花火で締めくくられた。旧北上川の中瀬から打ち上げられた大輪は、東日本大震災からの復興を歩む市街地を明るく照らした。(15面に関連記事)
 花火大会は午後7時半、観客のカウントダウンとともに始まった。新元号を記念したスターマインをはじめ、赤や青、緑など色とりどりの光がきらめいた。
 歩行者天国となった中心市街地には市内外から見物客が集まり、「すごい」「きれい」と歓声を上げながら港町の盛夏を堪能した。


<弘前ねぷたまつり>鮮やか武者絵、城下町を彩る
 弘前ねぷたまつりが1日、弘前市で開幕した。三国志や水滸伝などを題材とする武者絵が描かれた扇ねぷたが夜の城下町を彩る。7日まで。
 初日は大小36台のねぷたが出陣。市民らは「ヤーヤドー」の掛け声とともに山車を引き、弘前公園周辺から中心市街地の土手町までの約1キロを練り歩いた。
 埼玉県入間市から来た村田さつきさん(37)は「ねぷたの時期に合わせて弘前の実家に帰省した。静かだと思っていたが、久しぶりに近くで見ると迫力がある」と話した。
 今年は74台が参加。2〜4日は土手町、5〜6日はJR弘前駅周辺を午後7時から練り歩く。最終日の7日は午前10時から土手町で運行し、夕方から岩木川河川敷で、ねぷたを燃やして清める「なぬかび送り」が行われる。


<仙台市・都心再構築>緊急整備地域の拡大へ準備協議会
 仙台市は1日、市中心部の機能強化を図る「都心再構築プロジェクト」で、老朽ビルの建て替えなどを誘導する「都市再生緊急整備地域」の拡大を目指し、準備協議会を設立すると発表した。内閣府が7月31日に「仙台都心地域」を区域拡大の候補地としたため、拡大範囲などを検討する。
 準備協議会は市、県、国、金融機関の担当者や学識経験者でつくる。早急に人選し、年内に発足させる。
 国が2002年度に指定した緊急整備地域は地図の通り。青葉区の青葉通を中心に約79万平方メートルが範囲となっている。今後、企業集積が進むJR仙台駅東口など、緊急整備地域に加えたい区域と整備方針を検討し、国に意向を伝える。
 市は再構築プロジェクトで、緊急整備地域にあり、1981年以前に建てられた老朽ビルの更新に助成金を創設した。同地域では国も財源を負担する市街地再開発補助金を拡充し、事業化を強く後押しする。区域が拡大されれば、こうした支援策の適用範囲を広げることも可能になる。
 緊急整備地域は都市再生特別措置法に基づき、国が重点的に市街地を整備する地域を指定する。18年7月以降は国が候補地を示し、各地の準備協議会がまちづくりを議論する仕組みとなった。これまで全国7地域が候補地となり、東北では仙台が初めて選ばれた。
 市都市計画課の担当者は「都心部の状況は、最初に指定を受けた02年から大きく変わった。区域拡大を民間投資を呼び込むきっかけにし、都心部のにぎわい創出につなげたい」と話す。


最低賃金引き上げ/今こそ地域間格差の是正を
 2019年度の地域別最低賃金の引き上げ幅が、これまで最大だった18年度の全国平均26円を上回る27円で決着した。時給の目安は901円と初めて900円を超えた。
 厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会の小委員会が決定した。今後、目安を基に各地の地方審議会が都道府県ごとに金額を決めていく。 現政権は15年、毎年3%程度の引き上げ目標を掲げた。今年の「骨太の方針」では早期の1000円達成とした。
 審議会では、働き手の待遇改善を目指す労働側と、人件費の増加が重荷になるとする経営側が対立したものの、4年連続の3%程度の大幅アップとなった。
 最低賃金は全ての働く人に適用され、パートやアルバイトを含む非正規労働者の賃金底上げにつながる。景気を支える個人消費を促す観点からも改善が求められていた。
 7月の参院選では自民、立民など主要6党全てが「時給1000円」以上を公約に掲げた。大幅なアップを提示したのは、こうした一連の動きに配慮したと言える。
 着実に底上げされる一方で、ここ数年指摘されていた地域間の賃金格差は依然として残されている。全国平均を優先する手法をひとまず置いて、地域差の是正へと真剣に取り組むべきではないか。
 諸外国では全国一律の最低賃金が一般的なのに対し、日本では労働者の所得や物価を物差しに都道府県をA〜Dの4ランクに分けている。
 Cランクの宮城は26円引き上げて824円、他の東北5県はDランクで同じく26円アップ。秋田は788円、福島798円となる。東京と神奈川(Aランク)は1000円を超え、大きな開きがある。
 最低賃金を少し上回る程度の非正規労働者は数多く、複数の仕事を掛け持ちしている人もいる。総務省の18年調査では、正社員を希望しながら機会がなく、非正規に就いている「不本意非正規」の割合は非正規全体の12%だった。
 25〜34歳が19%、35〜44歳は14%と高く、就職氷河期を含む世代が困窮しているのがうかがえる。賃金格差によって、地方から首都圏へ労働力流出が加速しないか心配だ。
 働き盛りの若者と女性が安心して働けるようになれば、消費の活発化が図られ、少子化の食い止めにつながろう。
 東京一極集中を避け、住みやすいとされる地方への定住策として、地域間格差の是正が今ほど求められる時はない。現行のランク分け方式の見直しと合わせて、新たな角度からの議論が望まれる。
 地方の中小企業にとって、引き上げは経営を圧迫し、事業や正社員の待遇に支障を来すと慎重論も根強い。
 意欲的な経営主が腰折れしないよう、政府は助成金の充実などサポートに取り組んでほしい。経済の好循環を波及させ、地方創生を推進する一助となろう。


最低賃金中央審答申 正規雇用の拡大不可欠だ
 2019年度の最低賃金は現在の方式になってから最大の引き上げ幅となり、全国平均で時給900円台に達する見込みだ。政権は「戦後最長の景気拡大」を強調してきたが、生活者に所得増の実感は乏しい。最低賃金の引き上げで労働分配率を高め、暮らしの底上げをさらに進めていく必要がある。
 最低賃金は人を雇う際の一般的な金額ではなく、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するセーフティーネットだということを認識しなければならない。
 中央最低賃金審議会の目安通りの引き上げ額だと沖縄県の最低賃金は788円となる。788円に引き上げられたとしても、週40時間働いて月の収入は13万円に届かない。年収換算では150万円程度であり、家計を維持できる十分な額ではない。
 これまでにも、最低賃金で働いた場合の収入が生活保護の給付水準を下回る逆転現象が起きるなど「ワーキングプア」を巡る議論があった。働くことで生活保護から脱するという意欲につながり、貧困の連鎖を生み出さない水準まで最低賃金を引き上げていくことが求められる。
 さらに沖縄の最低賃金額は全国平均の901円と差があり、千円に達しようとする東京、神奈川と200円以上の開きがある。
 物価や企業規模の水準が異なり、地方の中小零細企業にやみくもに賃上げを迫れないという事情はあるだろう。だが、住む場所によって国民の生活保障に差が生じることがあってはいけない。同じ労働であれば賃金の良い大都市圏へと人口が流出し、都市と地方の経済力の格差を広げることにもなる。
 1人当たりの県民所得が全国一低い状況からの脱却を目指す沖縄県にとって、最低賃金の地域間格差を埋めることは重要な政策課題だ。
 総務省の就業構造基本調査によると、17年の非正規雇用者の割合は沖縄が43・1%で、47都道府県で最も高い。全国平均は38・2%だ。雇用が不安定で賃金が低い非正規が多い中で、最低賃金は全国で最低の水準に置かれる。県民の所得増には最低賃金の引き上げだけでは足りず、働く人を使い捨てにしない正規雇用の拡大が不可欠だ。
 現状は深刻化する人手不足により最低賃金では人を採用できず、最低賃金以上の条件で募集している実態がある。従業員の待遇改善が経営課題となってきた現下の情勢を生かし、非正規から正社員への転換を官民挙げて後押ししていく必要がある。
 これから中央最低賃金審議会の答申を目安に、沖縄地方最低賃金審議会が10月以降の沖縄県の最低賃金額を決めていく。18年度は中央審議会の目安額にさらに2円を積み上げ、沖縄が鹿児島県を上回って全国最下位を脱する形となった。地方審議会での県内労使の議論を注視したい。


【最低賃金】総合的な対策で後押しを
 都道府県ごとの最低賃金(最賃)の改定について、厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会が2019年度の目安額を示した。
 全国平均の時給を27円引き上げて901円に、高知県は26円引き上げて788円とする。02年度に現行方式になって以降、最大の引き上げだ。今後、目安を踏まえて各地の地方審議会が協議し、改定額をまとめる。
 安倍政権は6月に閣議決定した骨太方針で、全国平均の時給が「より早期に千円になることを目指す」としていた。
 賃金を底上げし、働く人の所得を増やして個人消費を喚起する―。4年連続で3%程度の高いアップ率は政権のデフレ脱却戦略に沿った流れに加え、今回は10月に控える消費税増税も意識した水準だろう。
 国民の暮らしを支え、地域の活力につながる最賃の底上げは歓迎する。ただ、依然として課題になるのが地域間格差だ。
 仮に目安通りに引き上げられた場合、東京は1013円、神奈川は1011円と両都県で千円を超える。安倍政権が発足した12年度は198円だった本県と東京の最賃格差は225円に拡大する。
 18年の人口移動報告によると、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)は転入者が転出者を約14万人上回る転入超過だった。その半面、本県など39道府県で人口が流出した。東京圏の転入超過は安倍政権が地方創生本部を設けた14年以降、10万人超えが続いている。
 賃金の格差は、東京圏の吸引力を強める大きな要因であることは言うまでもない。
 自民党内では今年2月、都市部と地方部の格差解消を目指す「最低賃金一元化推進議員連盟」が発足した。しかし、参院選が近づくにつれて大幅引き上げ論は下火になっている。支持基盤である地元企業の反発が理由だという。
 地方の深刻な人手不足や経済、人口の縮小といった観点から、もっと腰を据えた議論がされていい。
 むろん最賃のアップには中小・零細企業への目配りも欠かせない。
 日本商工会議所は、賃金コストの増加分を価格に転嫁できない中小企業の経営や、地域経済に影響を与えることに懸念を示している。米中貿易摩擦や消費税増税など企業は不安な要素が増えており、雇用そのものに悪影響を与える心配もある。
 賃上げは大きな負担、リスクになり、上げたくても踏み切れない実情は、体力が乏しい地方の企業ほど顕著だろう。
 地方の賃金を底上げするには、企業の生産効率や収益力を高める支援策の拡充とセットで取り組む必要があろう。菅官房長官は「中小企業に思い切った支援策を講じる」としている。賃上げしやすい環境への実効性ある対策が求められる。
 東京一極集中の是正や人手不足への対応、消費の下支え―。政府は、視野を広げた総合的な政策で最賃の引き上げを後押しする必要がある。


丸山議員が「N国」党入り かくて無節操がはびこる
 自分が政界で生き残るためには政策など、もはや無関係なのだろう。
 北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言をしたことなどにより、国会で糾弾決議が可決された丸山穂高衆院議員が、先の参院選で初の1議席を得た「NHKから国民を守る党」(N国)に入党した。
 続いて旧みんなの党代表だった渡辺喜美参院議員が、N国の立花孝志党首と参院で会派を作ったことにも驚く。こうして政治の節度が失われていく状況を深く憂慮する。
 N国は選挙中、NHK批判のみを繰り返し比例代表で約99万票を獲得した。その主張だけでなく、常識外れの政見放送が話題を呼び、一定の有権者の共感を呼んだのは事実だ。単一の政策を掲げる政党が生まれることを否定すべきではないだろう。
 看過できないのは、丸山氏がそもそもNHKの話に関心があったように到底見えないことだ。N国が問題視しているNHK受信料についても、丸山氏は以前「見ないから受信料を払わないというのは法令上通らない」とSNSで発言している。
 丸山氏は6月に事実上の辞職勧告を受けている。日本維新の会を除名されて無所属となり、国会で行き場を失っている中で、立花氏の誘いは渡りに船だったのだろう。自ら議員を辞職したうえで、次の選挙にN国から出馬するというのならまだしも、これは全く筋が通らない。
 渡辺氏は入党はしなかったが、同様に活路が見えない状況にある。会派結成は当面、国会での質問時間を確保するのが狙いのようだが、渡辺氏もNHKに関して「深く考えたことがない」とけろりと語っている。
 立花氏はさらに無所属議員ら複数の名を挙げて入党を呼びかけている。当選したらこうした行動に出ると選挙中に語っていなかったにもかかわらず、一転、政策は二の次で、とにかく議員数を増やすのが先という姿勢はやはり無節操だ。
 ドイツなどとは異なり、日本には「政党はこうあるべきだ」と規定するような政党法はない。思想・信条や結社の自由を束縛しかねない法律は必要ないと今も考える。
 ただし、それは政治家や政党が一定の節度や常識を持っていることが大前提だ。これでは政治そのものの劣化が激しくなるばかりである。


参院の新風景/社会の多様性映す国会に
 参院選を受けた臨時国会がきのう召集された。衆参両院で与党が過半数を占める勢力図は変わらないが、参院の議場には変化の兆しが見られた。
 重い身体障害があるれいわ新選組の新人議員2人が、介助者に付き添われ、大型車いすで初登院した。2人を迎えるため、議席を改修し、議事堂の中央玄関に仮設のスロープを設けた。正副議長の記名投票では、介助者が代筆した票が投じられた。
 懸案だった議員活動中の介助費は、当面参院が負担すると決まった。現行制度では通勤や仕事中の介助費は経済活動とみなされ、公的補助の対象とならない。障害者の就労を妨げる制度の矛盾が指摘されてきた。
 今回の対応を国会議員だけの特別扱いに終わらせず、制度全体を変えていく議論の始まりにしなければならない。
 女性の参院議員は非改選組と合わせ最多の56人となり、山東昭子氏が議長に就いた。参院で女性議長は2人目だ。とはいえ定数に占める割合は約2割で、国際社会に後れをとっている。
 政治分野の男女均等を実現する仕組みや選択的夫婦別姓制度の導入など、女性の活躍を支えるために踏み込んだ法整備の議論が必要だ。女性議員は超党派で旗振り役を担ってほしい。
 同性愛者を公表し、性的少数者(LGBT)の権利保障などを訴えた立憲民主党の新人も登院した。LGBT支援では同性パートナーシップ制度など自治体の取り組みが先行している。参院選では複数の党が同性婚の法制化を公約に掲げており、国会でも議論を深めるべきだ。
 さまざまな困難を抱える当事者が加わり、社会の多様性を反映するのは国会のあるべき姿である。特に参院は数の論理にとらわれず、「良識の府」としての機能を発揮してほしい。
 野党は参院選で1人区を中心に共闘し、一定の成果を上げた。だが、政策の不一致や主導権争いも目立ち、安倍政権に不満を持つ有権者の受け皿にはなり得なかった。
 与野党の論戦が本格化する秋の臨時国会に向け、安倍政権への対抗軸を立て直さねばならない。少数派を国会に送り出した民意に向き合い、野党の役割を見つめ直す必要がある。


[重度訪問介護]国会活動の土台整えよ
 国会のバリアフリー化が進む一方、「仕事でヘルパーが使えない」という制度の矛盾は残ったままである。
 参院選を受けて参院議長らを選出する臨時国会がきょう召集される。
 れいわ新選組から初当選した、「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」患者の船後靖彦さんと、重度障がい者の木村英子さんも初登院する。
 大型の車いすを使用する2人を迎え入れるため、参院は車いすのまま議席に着けるよう本会議場の改修作業を行った。採決についても、参院が採用している押しボタンを介助者が押し、正副議長などを選ぶ記名投票の代筆を認める決定をした。
 国会は1977年の参院選で車いすを使用する八代英太さんが当選した後、スロープや多目的トイレの設置が進んだ。
 今回「弱者が住みやすい社会」を訴えた2人が、さらなる変化を促すことになった。
 ハンディを抱えての議員活動をどう保障していくか。施設のバリアフリー化とともに2人が要請するのが障害福祉サービス規定の見直しによる介護保障である。
 船後さんや木村さんのように重い障がいがある人には、生活全般を支える「重度訪問介護」サービスが欠かせない。ただ国は「経済活動にかかる支援」は雇用主らが負担するべきだとの考えから、働いている間は公的支援の対象外としている。
 人格と個性を尊重する共生社会の実現や就労を通じた社会参加の流れに逆行する規定である。
    ■    ■
 参院は7月30日の議院運営委員会理事会で2人の議員活動中の介助費について、参院が当面負担すると決めた。
 臨時国会が円滑に進められるよう、とりあえずの措置なのだろう。だが根本の問題は、なぜ働くと支援が受けられないかだ。制度の抜本的改革により、国会活動の土台を整える必要がある。
 障がい者などでつくる団体は同日、規定を改めるべきだとの要望書を厚労相宛てに提出した。排せつや水分補給といった訪問介護が受けられず、働く機会を奪われている障がい者が大勢いるという。問題は国会活動にとどまらない。
 制度改善の訴えを受け、さいたま市は本年度から在宅就労中も介護が途切れないよう独自の支援を始めた。住民に近い地方自治体が制度の矛盾に気づき、必要なサービス提供に乗り出したのだ。
    ■    ■
 昨年、発覚した中央省庁の障がい者雇用水増し問題は共生の理念に対する意識の低さを露呈するものだった。発覚後の求人に際しても「自力通勤」を条件とするなど問題の根深さが浮き彫りになった。
 障がい者の総数は約963万人と推計され、人口の約7・6%に当たる。決して少なくない数だが、障がい者の国政参加は進んでいない。
 誰もが安心して暮らすことのできる共生社会の出発点は当事者の悩みに耳を傾けることだ。社会の多様性を国会に反映させるためにも、障がい者の就労を妨げる壁を早急に取り除かなければならない。


れいわ台頭 既成野党への「批判票」
 先の参院選を経て、国会の風景は随分変わった。比例代表で一定以上の票を得て、政治資金規正法により政党と認められた「れいわ新選組」と「NHKから国民を守る党」の躍進が象徴的だ。
 50%を割る歴史的な低投票率の中で自民、公明両党が堅調の一方、既成野党は総じて振るわなかった。その票の多くが「れいわ」などに流れたのは想像に難くない。
 勝敗を分けるとされた改選1人区を無所属で勝ち抜いた野党統一候補8人のうち、本県の横沢高徳氏ら2人が国民民主会派入り。他の6人は会派入りを見送ったり新会派を結成するなど、参院で数が多い立憲民主、国民両党のいずれとも距離を置いた。今後、両党間で活発化するだろう勧誘の綱引きが、共闘関係の先行きに影を落とす。
 安倍晋三首相は勝利宣言で憲法改正に関し「自民党案にとらわれない」と柔軟姿勢を示しつつ、議論を前に進める意向を強調している。憲法問題は野党共闘のアキレス腱(けん)。現政権での改憲に前向きな勢力が、改憲の国会発議に必要な3分の2議席に届かなかった選挙結果を受け、その確保へ野党側に食指を伸ばす展開も想定されよう。
 選挙から間を置かず、立民と国民、共産各党は次期衆院選を念頭に連携強化を申し合わせたが、その行方は見通せない。立民は今回、獲得議席を改選9から17へ倍増させたものの、比例代表は結成直後の2017年衆院選で得た約1108万票から約792万票に激減。選挙区でも目玉候補を相次ぎ落とした。
 国民、共産両党も、公認候補の当選は改選議席以下。国民の玉木雄一郎代表は、横沢氏らの会派入りで改選8議席維持の認識というが、党内の失望感は拭えそうにない。
 他党との協力関係を含め、既成野党が党勢の立て直しに頭を悩ませる状況で、脅威は「れいわ」が比例で獲得した約228万票に違いない。
 山本太郎代表は次期衆院選で、政権獲得へ候補100人を擁立すると豪語している。選挙戦では本県など各地で野党系候補の応援に立った。その主張は消費税廃止や原発の即時禁止など、自民党政治を真っ向から批判する「分かりやすさ」が特徴だ。
 有権者に、専ら目先の利益分配を訴える手法には「左派ポピュリズム」との批判もつきまとう。だが今回の実績に照らせば、既成野党による共闘関係の「分かりづらさ」の裏返しとも映る。
 今参院選の民意を真摯(しんし)に受け止めるなら、共闘の主導権を巡り「コップの中の争い」を続けている場合ではない。「れいわ」の台頭は、既成野党への批判票とも言えるのではないか。


三鷹事件棄却 厳格すぎる再審への道
 戦後の混乱期、東京の旧国鉄三鷹駅で無人電車が暴走し、6人が死亡、20人が重軽傷を負った「三鷹事件」の再審請求審で、東京高裁が請求を棄却した。
 再審弁護団は、自白の矛盾を指摘する鑑定書や目撃証言の信ぴょう性を疑問視する実験結果を示したが、東京高裁は、確定判決の判断に合理的疑いを生じさせるものではないと判断した。
 しかしながら、有罪判決の直接証拠となった自白を巡っては、供述が何度も変遷した。信用性の低さは明らかだった。
 刑事裁判の鉄則「疑わしきは被告人の利益に」は再審にも適用される。東京高裁の判断は妥当だったとは言いがたい。
 6月には、「大崎事件」で最高裁が下級審の再審開始決定を取り消した。確定判決を覆すには、明白な新証拠がない限り認めないという厳格化がうかがえる。
 再審が開かずの扉と言われた時代に逆戻りしかねない。検察側の証拠開示の手続きを定めるなど、法整備の議論を急ぐべきだ。
 再審は、死刑確定後も無実と訴えながら病死した竹内景助・元死刑囚の長男が請求していた。
 警視庁は当初、労働組合を率いる共産党員が、国鉄職員の大量解雇に反発して犯行を主導したとみて捜査し、元死刑囚のほか党員9人を電車転覆致死罪で起訴した。
 ところが、判決では非党員の元死刑囚だけが有罪となった。
 再審では、自白すれば情状酌量の余地があると諭されたことを示す元死刑囚の手紙も提出された。自白の誘導も疑われる。東京高裁の判断は、多くの冤罪(えんざい)を生んだ自白偏重への反省が感じられない。
 目撃証言を巡っては、裁判所の勧告に従って検察が開示した証拠が、弁護団の主張を補強するものもあった。検察側の証拠隠しと批判されても仕方あるまい。
 3月に無罪が確定した松橋事件など、検察側が開示した証拠が無実を証明した事件は少なくない。DNA型鑑定など科学技術の発達もあり、重要性は増している。
 全証拠のリストを開示する裁判員裁判を参考に、再審も証拠開示の在り方を見直す時ではないか。
 事件は共産党員などの公職追放「赤狩り」が吹き荒れる占領下の日本で起きた。国鉄総裁がれき死体で見つかった下山事件などと並ぶ国鉄三大事件の一つだ。
 不可解な点が多く、歴史の闇に翻弄(ほんろう)された感も拭えない。事件から70年がたつとはいえ、再審で真相を解明するべきだ。


かんぽ不正問題 経営責任逃れ許されない
 日本郵政グループによるかんぽ生命保険の不正販売問題が深刻化している。
 顧客に不利益を与えた恐れのある契約は過去5年で18万3千件に上る。かんぽ生命と販売を委託された日本郵便は、約3千万件の全契約について顧客の意向に沿った契約だったか調査する。対象者は約2千万人、国民のほぼ6人に1人という異例の規模となる。
 中には、年金暮らしの認知症の女性に複数の契約をさせ、収入を超える保険料を、貯金を取り崩させてまで払わせる悪質なケースもあった。保険料の二重払いや保険金の支払い拒否など顧客の被った不利益の解消に、まず全力を挙げる必要がある。
 保険商品は一般的に仕組みが複雑で比較検討が難しい。郵便局や募集人を信じ、勧められるまま保険を乗り換えた人もいるだろう。少しでも疑問があれば、かんぽ生命のコールセンターに問い合わせてほしい。
 それにしても謹厳なイメージがある郵便局でこれほど不正がはびこったのはなぜか。高い営業目標が課されたのが直接の原因だ。ノルマ達成のために一部の現場で不正が横行していた。
 かんぽ生命と日本郵便は以前から「保険募集品質の向上」をうたい、募集業務の適正化に取り組んできたという。しかし、必要な対策を取らなかったため不正が広がったのではないか。
 両社は、昨年11月分の乗り換え契約2万1千件を内部調査し、同じ種類の保険への乗り換えが5800件あることを今年の早い段階で把握していた。顧客の不利益になるケースが多数含まれている疑いが強い。こうした情報を外部に公表しないまま、日本郵政はかんぽ生命株を4月に追加売却していた。
 経営責任について日本郵政の長門正貢、かんぽ生命の植平光彦、日本郵便の横山邦男の3社長は「認識が甘かった」と釈明し、問題の重大さを認識したのは6月になってからと責任逃れに終始している。かんぽ保険の不正販売については昨年5月の郵政民営化委員会の会議でも取り上げられていた。「認識が甘かった」では済まされない。
 この1カ月余りで日本郵政の株価は大幅に下落し、上場来安値を更新した。株式の57%は国が保有しており、その評価額は5千億円以上目減りした。国民の損失に他ならない。国は秋にも日本郵政株を追加売却し、東日本大震災の復興財源1兆2千億円を確保する計画だったが、株価下落で難しくなっている。
 100年を超す歴史に培われた郵便事業、郵便貯金、簡易保険のブランド力は大きく損なわれた。経営陣は重く受け止め、その責任を明確にすべきだ。


かんぽ不正販売問題 企業体質、根本的に改めよ
 かんぽ生命保険の不正販売問題で、顧客に不利益となった恐れのある契約が過去5年で18万3千件に上ることが分かった。当初の9万件の倍に及ぶというから、顧客らから不安や憤りの声が上がるのも当然だ。
 地方ほど郵便局への信頼が厚いとされ、福井県内でも被害はかなりの規模に達するのではないか。顧客救済に早急に取り組むとともに、原因究明や再発防止策は無論、企業体質を根本的に改める必要がある。
 不正の実態は顧客の信頼を大きく裏切るものだ。二重契約のケースでは、新契約の締結から旧契約の解約まで6カ月以上あれば、乗り換えではなく新規の扱いとなって営業成績が上がるため、解約を先延ばしさせた疑いが強い。
 逆に旧契約を解約した場合、3カ月以内に新しい保険を契約すると、乗り換えとなり営業成績に結びつかないため、契約を遅らせ、無保険状態に陥るケースがあったという。
 専門家からは「日ごろ身近にいる局員らへの信頼感などから契約した高齢者が多いとみられ、一種の詐欺とも言える」との厳しい批判が上がっている。顧客に無断で契約書類を偽造していた事例もあり、もはや犯罪という以外にない。
 こうした不正は、行きすぎた成果主義、ノルマが背景にあるとされる。保険の大半は日本郵便が郵便局などで委託販売している。給与体系の見直しで成果に連動する方式が導入され、局員らが不正に手を染めざるを得ない土壌もあった。
 31日に日本郵政とかんぽ生命、日本郵便の社長が記者会見した。郵政の長門正貢社長は「郵便局への信頼を大きく損ねたことで断腸の思い。深くおわび申し上げる」などと謝罪したが、遅きに失した感は否めない。
 筆頭株主の政府に配慮して参院選後の対応となったとの指摘がある。この間にも顧客からの問い合わせなどが殺到していたことを思えば、向く方向が違うと言わざるを得ない。
 約3千万件に及ぶ全保険契約について、顧客の意向に沿った契約であるか否か調査することも発表した。押しつけられることになる現場の局員らからは懸念の声も上がっているという。
 かんぽ生命は当初、顧客が同意しているとの理由で「不適切な販売でない」と主張した経緯がある。経営トップらの認識の甘さ、危機感の無さが、顧客だけでなく国民の疑念や不信感を招いている。
 日本郵政グループは利益の大半を金融事業で稼いでいる。それゆえ、営業偏重に走ったようだ。経営陣は現場の問題としか見ていない節があるが、自らの責任問題として調査し結果を開示しなければ、信頼回復はおぼつかない。


かんぽ生命は廃止へ「ノルマのない営業」は成立するのか?
 日本郵便が「かんぽ生命」の保険商品について、営業目標や販売員のノルマを廃止する方針を固めた。顧客に不利益な契約が横行した元凶として、見直しを進めるという。
 数字に追い掛け回されてきた販売員はホッと一息かもしれないが、そうなると別の問題が浮上しそうだ。はたしてノルマなしで成果が上がるのか、ということである。
 もちろん、達成困難なノルマは問題だ。ガムシャラに売ってなんとかクリアできるような目標であれば、客の利益など考えずにバンバン売ろうという心理が働く。その結果、最終的に会社は社会的な信頼を失うだろう。ただし、その反省でノルマをゼロにすれば、経営は立ち行かなくなる。
 長年、都市銀行に勤務していた経済評論家の斎藤満氏は、「多かれ少なかれ、会社員にはノルマがつきもの」と指摘、日本郵便の方針には懐疑的だ。
「金融機関でもメーカーでも、利益の拡大を求められる民間企業であれば、最終的な収益目標を掲げるのは当たり前です。そこに到達するためには、それぞれの段階で分解して、細かい目標を設定しなければならない。それが個人レベルまで落ちたときにノルマとなります。マラソンの選手だってゴールが決まっているから42.195キロを走れるのです。営業マンも同じ。ゴールが決まっていなければ、どこまで走るのか、いつまで走らなければならないのかも分かりません。これでは一人一人の能力を最大限に引き出すこともできないでしょう」
 ポイントとなるのは、チームに適したノルマ設定だ。
「多くの企業は“北風型”を採用し、目標をクリアしなければ厳しい罰則を与えます。でも、チームによっては、ノルマ達成で利益を分け合う“太陽型”も有効。人望が厚いリーダーのもとであれば、罰則よりもインセンティブを得られる方が、チームも一丸になりやすいでしょう。ノルマは悪ではありません。能力ややる気を引き出せるように制度を設計することが重要なのです」
 ノルマもハサミも使いようだ。


エース登板せず  大会の在り方見直しを
高校野球の在り方に一石を投じたのは間違いない。
 全国高校野球選手権岩手大会の決勝で、大船渡の監督は3年の佐々木朗希投手の登板を回避し、花巻東に大差で敗れた。
 最速163キロの速球で注目され「令和の怪物」とも呼ばれる超高校級の投手だ。前日の準決勝で129球を投げて完封していた。
 故障の防止が理由である。監督は、試合間隔や気温の高さなどを要因に挙げて「今までの3年間の中で一番壊れる可能性が高い」と思ったという。
 がっかりしたファンも多いだろう。なぜ登板させなかったのかとの批判が寄せられたが、英断とたたえる声も多いようだ。
 佐々木投手は「投げたいという気持ちはあった」と複雑な心境を吐露した。甲子園という夢と、将来を考えた起用法を両立させる難しさが浮き彫りになった。
 それでも、選手の健康を第一とした監督の判断を尊重したい。
 高校球界では、投手を故障から守ろうという意識が年々高まっている。昨年12月には新潟県高野連が春季新潟大会で投球数制限の導入を表明した。
 後に見送りとなったが、その流れを受けて日本高野連は今年4月に有識者会議を発足させた。
 全国大会を対象に一定の日数の中で投げられる球数の制限を答申することが決まり、9月には具体的な日数や制限数が検討される。
 小幅ながら球数制限に踏み出したことは評価できる。あくまで選手本位の視点で、ルールづくりに知恵を出してほしい。
 日程にも改善の余地があるのではないか。全国大会開幕に備え、高野連は地方大会の期日を「7月末日までに必ず代表校が決まるように日程を組む」と定める。
 佐々木投手は9日間で4試合435球を投げていた。
 各地方大会は期末試験が終わる7月10日前後から始まるのが一般的だが、開幕を繰り上げるなど余裕を持たせることが必要だ。
 傑出した一人のエースが強豪校を次々と倒す―。そんなドラマが高校野球の魅力となってきた。
 延長17回、250球を投げ抜いた「平成の怪物」松坂大輔投手を思い出す方も多いだろう。昨夏の大会でも秋田・金足農の吉田輝星投手が注目を集めた。
 だが「甲子園が全て」というわけではなく、選手の酷使は避けるべきだ。故障を防ぐ大会運営の在り方について、社会的な合意をどうつくるかが問われる。


百害あって一利なし! 対韓輸出規制強化で墓穴を掘る安倍政権
フッ化水素など、半導体製造に不可欠な3品目の輸出規制強化に端を発した日韓貿易摩擦の先行きが見えない。
気がかりなのは日韓双方で不毛なナショナリズムが高まっていることだ。日本では韓国をいわゆるホワイト国から除外する安倍政権の強硬策を支持する国民は7割を超えている。
また、韓国でも日本に屈しない文在寅(ムン・ジェイン)政権の姿勢が評価され、支持率が4ポイントアップして8ヵ月ぶりに5割台を回復した。しかし、これは、両政権とも弱腰な態度を見せれば支持率が下がるリスクを負ったということでもある。
お互い引くに引けず強硬策とナショナリズムの相互作用で日韓の対立がどんどん激化しているのだ。
今回の輸出規制強化は多くの点で日本に不利益をもたらすだろう。それは、輸出規制対象の3品目の輸出減少という損失だけではない。実は、これらの製品は、輸入者であるサムスンなどの世界最先端企業との協業で作り込んでいる。
それができなければ、韓国や中国製品への代替が進むだけでなく、日本メーカーは最先端技術から取り残されて回復不能なダメージを負う可能性がある。
今回の措置は徴用工問題などへの政治的報復ではないと日本側は主張するが、信じる者はいない。これを事実上認める世耕経済産業大臣のツイートが証拠として残っているからだ。
海外メディアも報復だと報じている。韓国メーカーとサプライチェーンでつながる世界の企業に「ジャパンリスク」が意識されるようになれば大きな損失だ。
韓国内の日本製品不買運動の広がりも心配だ。また、インバウンド観光客の24%を超える韓国観光客が激減すれば、地方経済に深刻な影響が及ぶ。
日本の損失は、経済面にとどまらない。1965年の日韓請求権協定で、徴用工などの賠償問題は解決済みという日本政府の主張には一理ある。だが、その中に、今回韓国最高裁が認めた慰謝料支払いまでは含まれていないという韓国の主張も間違いとはいえない。
さらに、WTOなど国際舞台で議論されれば、こんな細かい議論を飛び越して、日韓条約では日本は韓国を植民地にした歴史的責任を認めていないという議論に飛び火するだろう。
日本は5億ドルの資金を韓国に供与したが、その名目は植民地支配への賠償ではなく、韓国が独立したことへの祝賀金であり、経済協力にすぎない。植民地支配の責任を認めていないのだ。しかも、条約を結んだのは、韓国の軍事独裁政権である。情に訴えれば、国際世論が韓国につく恐れは十分にある。
輸出規制の問題は、不適切に第三国へ密輸されることがないように、淡々と防止策を韓国と協議すればよい。これ以上拡大すれば、今回の措置でとばっちりを受けるスマホのアップルやPCのDellなどが不満の声を上げ、「日本はやりすぎ」との批判が起こるかもしれない。
これらの国際的批判を避けるためには、安倍政権は韓国を「徴用工判決は国際法違反」などと単純に批判するだけの「泥沼化した」強硬路線をやめるべきだ。
参院選向けに右派支持層の支持率アップを狙う必要もなくなり、衆院選が近づく前の今こそ日韓摩擦の解決に動くときではないのか? このタイミングを逃せば、日本の国益が大きく損なわれることになるだろう。
●古賀茂明(こが・しげあき) 1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中


萩生田氏の発言 自民党のおごりが透ける
 安倍政権が改憲論議を進めるため、乱暴な国会運営をするのではないか。そんな疑念を持たれても仕方あるまい。
 安倍晋三首相の側近である萩生田光一自民党幹事長代行が、衆院憲法審査会での議論を進めるため、大島理森衆院議長を交代させる可能性に言及した。
 先月下旬のインターネット番組での発言だった。「今のメンバーでなかなか動かないとすれば有力な方を議長に置き、改憲シフトを国会が行うのは極めて大事だ」と述べた。さらに大島議長について「立派な方だが、どちらかと言えば調整型だ」と評した。
 衆院議長は衆院選後に本会議での選挙で選ぶのが通例だ。首相が意欲を示す改憲に協力しないなら任期途中でも議長を交代させようというのは、国権の最高機関を軽んじる暴言だ。「安倍1強」が続く自民党、中でも首相側近のおごりが透けて見えると言わざるを得ない。
 衆院議長は与党から選出されるが、所属会派を離脱して無所属となるのが慣例で、与野党の合意の下、国会運営に尽くすのが務めだ。大島議長といえば、森友学園を巡る公文書改ざんなど相次ぐ不祥事が問題となった昨年の通常国会の閉会時に、安倍政権に反省を促す異例の所感を公表したことも記憶に新しい。
 萩生田氏の発言には、野党だけでなく与党からも批判が上がった。自民党の石破茂元幹事長は「一党の幹事長代行が議長人事に口を出すとは恐ろしいことだ」と非難。自民党の二階俊博幹事長は「立場を考えて慎重に発言するように」と注意し、萩生田氏は大島議長に謝罪したという。
 しかし、これで幕引きとはなるまい。立憲民主党の枝野幸男代表は「権力分立原則や立憲主義への理解が十分でない。この程度の知識の方が憲法を語るから議論が進まない」と批判。野党は今後も追及する姿勢を示している。
 参院選で与党が改選過半数を得たのを受け、首相は「少なくとも議論は行うべきだという国民の審判が下った」と述べるなど、改憲に前のめりだ。だが、これには与党の公明党からも「議論すべきだと受け取るのは少し強引だ」(山口那津男代表)とブレーキをかける発言が出ている。
 参院選で自民党は議席を減らし、「改憲勢力」は国会発議に必要な3分の2の議席を割り込んだ。共同通信社の世論調査でも優先課題として改憲を挙げる人は少なく、国民の理解は広がっていない。
 憲法審の議論が進まないのは野党の抵抗だけが理由ではあるまい。萩生田氏は4月にも「憲法審をワイルドに進めたい」と発言した。首相側近の度重なる挑発は、「数の力で押し切られかねない」と野党の警戒感を招き、自由な憲法論議の妨げになっている。
 自民党がすべきは改憲ありきの姿勢を改め、各党と議論を深めることのできる環境を整えることだ。


「衆院議長交代」発言 改憲論議の停滞は首相側に原因
 異なる意見に耳を傾けず、強引な国会運営を繰り返してきた安倍晋三首相や周辺の「地金」が出たとしか思えない。
 首相側近として知られる自民党の萩生田光一幹事長代行が、憲法改正を巡り、大島理森衆院議長の交代に言及。「今のメンバーでなかなか動かないとすれば、有力な方を議長に置き、改憲シフトを国会が行うのは極めて大事だ」と述べた。党の政策を進めるために、国権の最高機関である国会の長をすげ替えるべきだとの発想が、まず許し難い。議長は、国民の代表である議員の意見を調整し、熟議を促しながら方向性を探る役割を持つ。一党のためだけの存在ではない。
 そもそも、改憲論議や憲法審査会が停滞しているのは、それまでの与野党協調路線を一変させ、改憲に慎重な野党の警戒心を刺激した首相サイドに原因があることは明らかだ。自分たちの姿勢をあらためることなく、責任転嫁のような発言をしていては、議論さえも遠のくばかりだと猛省すべきだ。
 萩生田氏の発言は、インターネット番組で飛び出した。自民党の二階俊博幹事長から注意を受け、大島氏にも電話で謝罪したが、「全く理解できない。議長を代えて前に進む話なのか」(公明党の北側一雄憲法調査会長)などと、野党のみならず与党からも批判が噴出した。
 萩生田氏は過去にも、男性の子育てを「子どもにとっては迷惑な話」と否定的に述べたり、10月の消費税増税延期の可能性をほのめかしたりするなど、物議を醸す発言を重ねている。言葉に責任を持つべき政治家としての資質に、疑問符を付けざるを得ない。
 今回の発言の波紋がことさら大きいのは、萩生田氏が改憲に強い意欲を見せる首相の側近であるためだ。首相は参院選中、9条への自衛隊明記に対する支持を訴え、野党が国会で改憲論議を拒否していると批判し続けてきた。自公で改選過半数を獲得した結果を受け、「国民の審判が下った」と主張し、野党に議論を促している。萩生田氏の発言は、その首相の意を受けてのことではないのかとの疑念もくすぶる。
 しかし、参院で改憲勢力が3分の2を下回ったことを忘れてもらっては困る。選挙後の共同通信社の全国緊急電話世論調査でも、首相の下での改憲に「反対」が56.0%で、「賛成」の32.2%を上回った。取り組むべき優先課題として「年金・医療・介護」や「景気や雇用など経済政策」が上位を占め、改憲は最下位にとどまっている。国民が改憲を後押ししているかのような考えは誤りだ。
 今は、国民が望む政策を一つ一つ実現していくときだろう。改憲論議はその結果生まれた、政治と国民との信頼関係の上に立ち、初めて進めていくべき性質のものだ。拙速なやり方では将来に禍根を残す結果になると認識しなければならない。


山本太郎「政権を仕留める」選挙後初の街道演説に聴衆殺到
「選挙が終わってからの街頭演説で、こんなに人が集まるのは見たことない」――。70代男性はそう言った。
 参院選で当選したれいわ新選組の木村英子、舩後靖彦両議員が初登院した1日の夜、山本太郎代表が東京・新宿駅西口で「街頭記者会見」を開いた。開始1時間以上前から舞台の前に人が集まり、始まるころにはギッシリの状態。駅前の歩道からあふれた人たちが、舞台の後ろのバスターミナル側の歩道や、ペデストリアンデッキの上で演説を聞いた。老若男女入り乱れ、1000人近い大盛況だった。
 山本氏は冒頭、「山本太郎までは大丈夫だろうと思っていたが、自分は落ちた。でも、ネットと草の根の力で2人当選し、政党要件も獲得できた」と感謝を述べた。選挙中“れいわ旋風”をほとんど報じなかったテレビが、選挙が終わると手のひらを返したようにワイドショーなどで連日取り上げている。50代の女性は「ワイドショーに出ている山本さんの話を聞いて、実際に見たくなった。これのために、新宿までわざわざ出てきましたよ」と語った。
 聴衆の質問に答える形式で、テーマは消費税、格差、日韓外交、辺野古基地建設、タトゥー、精神障害、生活保護、吉本興業問題など多岐にわたった。ぎゅうぎゅう詰めの満員電車のような中、汗だくになりながらも一度足を止めた聴衆は帰らない。
「お金のあるところから取るというが、企業がタックスヘイブンに逃げないか」と男性に問われると、山本氏はモニターで経産省のデータを示し、「企業が海外に行くのは、その国に需要があるからなんです。『税金が安い』という理由は下位。出典を示すと説得力があるでしょ」と言うと笑い声が広がった。
■ヤジにも落ち着いた対応
 若い女性が「韓国死ね!」とヤジを浴びせながら通り過ぎて行った。山本氏は、俳優時代の韓国での仕事などに触れた上で、「さっきのヤジの方も、ここ1カ月で焼き肉やキムチを食べてるかもしれません。冷静になりましょう」と落ち着いた対応だった。
「2014年から山本さんはこの形式で街頭に立っています。今回の選挙をきっかけに、こんなに人が集まるようになって感無量です。山本さんはノリだけでなく、政策の中身もしっかりしていることを分かってほしい」(長年、山本氏支持の40代女性)
 山本氏は次の衆院選で本気で政権を取る覚悟を示した。
「私たちだけの力でひっくり返すのは難しい。野党で横に手をつないで、(政権)を仕留めにいきましょう」
 山本氏は今後、全国を回る予定だ。政権交代は見えてくるのか。


小沢一郎が山本太郎語る「彼の行動は野党を目覚めさせた」
 安倍1強政治の下、「野党結集」の必要性を最も強く主張し続けている小沢一郎衆院議員(国民民主党)。今度の参院選の結果や野党を取り巻くその後の動きをどう見ているのか、直撃した。
 ◇  ◇  ◇
「野党は惨敗だ。従来、言っているように、候補者の統一だけではダメで、1人区の勝利が3年前の11から10になっただけでほぼ同じ。やはりひとつの固まりにならないとダメ。選挙区と比例区が別々では選挙に力が入らない。政権を取って、わが抱負を実現しようという志と気概が足りない。だから過去のいきさつや利害でスッタモンダする。それでは永久に政権は取れない」
 立憲民主党の枝野代表が旗を振るべし、と小沢氏は「君子豹変す」を待っていたが、動かなかった。
「枝野代表は、今まで国民の野党を見る目を間違えて解釈していたんじゃないか。単なる民主党の復活ではダメだけれど、国民が求めているのは自民党に代わる大きな集団だ。政権交代がまったく望めない中で、太郎くんのところやN国に野党に飽き足りない票が流れた」
 4月まで自由党で共に代表を務めていた山本太郎氏が立ち上げた「れいわ新選組」の旋風については意外に冷静だ。
「世間は移り気。マスコミもそうだ。1人や2人が議席を取ったからって、何もできない。多数を取らなきゃ、どんな主張も実現できない。みんな『れいわ、れいわ』って言うけれど、野党結集の触媒や中心になることはない。まずは独自路線でどこまでやれるか、やってみたらいい。ただ、太郎くんの行動は結果として立憲民主や国民民主など野党を目覚めさせる効果はあった」
 もっとも山本太郎という政治家については、評価しているようだ。
「頭は良いし、とても素直に伸びてきて、このまま成長するといいな、と思っていた。だけど、彼は組織の中で階段を上るという手法は取らないから、結局、パフォーマンスになってしまう」
 一方、所属する国民民主党はゴタゴタしている。玉木雄一郎代表がネット番組で「私、生まれ変わりました。我々も改憲議論は進める」と発言して物議を醸し、参院側では“改憲勢力”の日本維新の会に統一会派を呼びかける動きも露呈した。
「ちょっとあたふたしている感じ。改憲はさほど国民の関心がないから次の総選挙の中心的争点にはなりにくい。党としての考え方はまとめておくべきだが、選挙の旗印にはならない。憲法問題で(国民民主が)自民党と交渉して、なんてこともあり得ない。こっちがしっかりしていなければ、のみ込まれてしまうだけだからね」
 野党がこのような体たらくなので、安倍首相が年内解散に踏み切る可能性は消えない。小沢氏は「今のままなら衆院選はさらに悲惨なことになるよ」と締めくくった。


経営学から見る吉本問題「テレビ局が株主だから」の筋違い
 大企業トップとしてはあるまじき会見内容で醜態をさらした吉本興業の岡本昭彦社長(52)。お家騒動は今も沈静化していないが“笑いの総合商社”の異名をもつ同社を立て直すにはどうするべきか。立命館大学教授(経営学)の西山昭彦氏に聞いた。
  ◇  ◇  ◇
「会社のガバナンスをどうするかの指針がないと、経営者の会見として意味がない。本来は吉本興業が6月27日にホームページに掲載した『決意表明』に沿って説明し、現実問題への対処と今後の指針について説明することが第一でした。後付けになりますが、25日の経営アドバイザリー委員会設置の報告を、社長の会見で行うべきでした」
 吉本は岡本社長の“テープ回してないやろな”発言に象徴的なパワハラ体質が染み付いているようだが、内部からの変革は可能なのか。
「社外取締役・監査役(7人)がいること、吉本興業株を合計で12%所有する筆頭株主フジ・メディア・ホールディングスの存在、業務の発注先に官庁・公的機関がいるという3点があるので、健全な会社になる可能性はある。こういう緊急時こそ社外取締役がリードして第三者委員会の設置をはかり、客観的な調査と改善の方向性を明確にさせるべきでしょう。公正取引委員会も指摘しているとおり、仕事には契約書は必要で、それがないと仕事の結果と契約を照らし合わせる監査もできません」
■株主だからこそ「監視が必要」
 岡本社長は「在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫」と宮迫らに圧力をかけたというが、まったく筋違いの考えだという。
「株主だから大丈夫という岡本社長の考えは全く違う。むしろ、株主だからこそ経営を厳しく監視しなければならない立場なのです。株主には経営を監視する役割があり、ガバナンスの改善も含まれます。株主には取締役の選任の権限もあり、他の株主の賛同を得て過半数を押さえれば、伊藤忠がデサントに経営陣を送り込んだように、株主総会で経営体制を変える力がある。筆頭株主のフジ・メディア・ホールディングスは東証1部上場企業で、投資先の問題はフジの株価に影響しかねないという面からも監視が必要です」
 クールジャパン機構からの投資で吉本が得た公的資金は100億円以上ともいわれている。
「公的資金として我々の税金が投入されているということは、発注者は見積書をとり精査し、細かい契約書を結んでいます。発注者はその実行を監視する義務があるわけで、コンプライアンスチェックの責任も生じます。西武信用金庫に対する金融庁の検査で、一部の支店で反社会的勢力のメンバーとみられる人物の親族に融資していたことが判明し、信金幹部も関与していた件では、金融庁はガバナンス上の問題が大きいと判断し、信用金庫法に基づく業務改善命令を出した。理事長はその後退任しました。吉本でも同じような問題が起きたら、経営トップの退任のみならず、発注の見直し、入札の選定から外れる恐れもあります」
 世間では「加藤の乱」に関心が集中しているが。
「経営面から見たら『加藤の乱』は別問題。芸人が情報発信性を持ち、メディアで放送され、増幅され混乱を招いている印象があります。意見を言うのは自由ですが、企業が個々の意見を全部聞いていたら経営にならない。将来的には芸人が組織をつくり、意見を集約して経営陣に伝える組合的な手段をつくるべきでしょう」
▽にしやま・あきひこ 東京都生まれ。一橋大学卒。ハーバード大学大学院、法政大学大学院修了。博士(経営学)。現在、立命館大学教授。専門分野は、経営学、人材育成論、ビジネスマンのキャリア形成論等で、著書は62冊にのぼる。


「死亡は免責」誓約書 さんま唖然の吉本“奴隷契約”の実態
 吉本興業が同社の芸人養成所「NSC」の合宿の参加希望者に、「死亡しても吉本は責任を負わない」旨の一文が入った誓約書にサインさせていたことが判明した。
 合宿は毎年夏に行われる「NSCお笑い夏合宿」。参加費用は4万500円。誓約書の「規約及び注意事項」の欄に、「合宿中の負傷、これに基づいた後遺症、あるいは死亡した場合、その原因を問わず吉本興業に対する責任の一切は免除されるものとする」という免責事項が書かれていた。
 報道によれば、吉本興業は、2013年に専門家から同表記が不適切であると指摘を受け、14〜16年は誓約書から文言を削除していたが、手違いで17年から従来の表記に戻ったという。にわかには信じ難いずさんさに、芸能文化評論家の肥留間正明氏はこう話す。
「ありえない話です。確信犯でやっていたと疑われても仕方がない。今後、芸人との間に交わされる契約書でもこうしたことが起こるのではないか」
 通常、契約書といえば、お互いに内容を吟味し、双方納得の上サインするものだが、実態は決してそうではないという。
「芸能事務所とタレントの関係で言えば、ギャラの配分や契約期間において、事務所側に有利な契約が結ばれることが多い。ひどいケースだと、事務所に呼び出して、ロクに中身も確認させず“ホラ、ここにハンコつけや”と、強引に迫る場合もあります。今までは“口約束”だった吉本が芸人たちに対してどのような対応をしていくかが見ものです」(肥留間氏)
 今回の騒動で、ギャラ配分に不満を持つ多くの吉本芸人がSNSなどで声をあげたが、吉本興業のケチぶりは、昔から多くの芸人が「ケチ本」と呼び、ネタにしてきた。
「先日の会見で、岡本社長は、ギャラの配分は1:9(芸人:事務所=以下同)ということはなく、平均で5:5か6:4と言いましたが、これはごく一部の人気芸人だけの話です。ちなみに他のお笑い系の事務所で言えば、人気や知名度によって違ってきますが、おおむね太田プロや人力舎で6:4、浅井企画やオフィス北野で7:3といわれています。吉本で6:4というのは、明石家さんまクラスの数えるほどの芸人です」(スポーツ紙芸能担当デスク)
 その明石家さんまも若手の頃には、吉本のギャラの安さを「こいのぼり」の替え歌で揶揄していた。
♪ギャラより高い交通費 大きなお金は会社側 小さなお金は芸人に 面白そうに稼いでる〜
 吉本興業を代表する芸人となった現在は「オフィス事務所」という個人事務所を持ち、ギャラの流れも他の吉本芸人とは一線を画しているが、今回の吉本お家騒動に対して、27日放送のラジオ番組でこう発言した。
「昔は昔。吉本はもう元に戻さん方がええねん。吉本が元に戻ったところで、今のまたこの状況になんねんど。今は辞めるつもりはないですけども、ここにいて若い困っているやつらをなんとか助けてあげることができるように、中にいるつもりなんです」
 吉本の常識は世間の非常識。死んでも知らん顔とは芸人は使い捨ての奴隷も同然。その異常さを一番知っているのはさんまなのかも知れない。


高木美保 7年間のうつ告白「周りがみんな敵に見える」 周囲には気付かれず…
 女優・高木美保が2日、フジテレビ「直撃LIVE グッディ!」に生出演。7年間のうつ状態との闘いを告白した。
 不調を感じていたが当初は病名が分からず、内科で安定剤を処方してもらっていたという高木。「ある日、ものすごく激しい動悸が襲ってきて、パニック状態になったんですね。で、閉所恐怖症になって、車に乗れなくなったり、渋滞がダメになったり。いつも食事に行ってるレストランなのに、突然緊張に襲われたりとか」と振り返った。「周りがみんな敵に見える」状態にもなったという。
 「何かおかしい」と気づき、自分で図書館や書店に行き、本を読みあさると、思いあたるものがあり、みてもらっていた内科の医者のところに行き、「私、パニックを起こしてるみたいです」と告げたという。
 内科医は専門ではないため、「うーん、そうかもしれない」という反応だったというが、高木にとっては「“敵の姿が見えた”って思って、闘う、対処する方法が(見えた)、と私は一つ安心しました」と振り返った。
 一方で、うつと診断され、ショックを受ける患者もいることを伝えた。
 うつの症状を感じながらも、なかなか仕事を休むとは言い出せなかった高木は「(テレビなどに)出ている時は周りに気付かれないぐらい普通だと思います。でも、終わって1人になった瞬間に、その何倍もの疲れがどーっときて、そこでまたうつ的になる。そこが一番つらかった。もう無理だ、って…」と当時を振り返っていた。


本当に「ファミリー」なら最後は収まるところに収まるはず
 しゃべくりのプロである宮迫や亮と比べるのは酷だったにしても、吉本興業・岡本昭彦社長の記者会見は期待を大きく裏切るものだった。
 あの日、残酷な世間やマスコミが期待したのは「全面的な反論」、もしくは「全面的な謝罪」と「経営陣の辞任」だったはず。ところが岡本社長は「芸人ファースト」「宮迫らへの処分の撤回」を発表し、「タレントさんにあんな会見をさせてしまったこと」を謝罪。涙まで流したものの、その後の質疑応答では要領を得ない返答が続き、世間の反感を買ってしまった。
 中でも注目を集めた「おまえらテープ回してないやろな」「会見してもいいけど全員クビにする」といったパワハラ疑惑については、多くの視聴者が「やっぱり?」と思ってしまったはずだ。
 興行の世界という特殊な事情は理解できる。ビートたけしが言ったように会社と芸人が「猿回しと猿」であるなら、猿回しは絶対に猿にナメられてはいけない。まして、重大な嘘をついた相手に怒りを持つのも当然だ。だが、それでもやはりお互いの信頼がなければ今の時代では明らかなパワハラである。岡本社長は本当に「なごませるつもりの冗談だった」のかもしれないが、加藤浩次が「大崎さんと岡本さんを怖がっているという状況がずっと続いてきた」と口にしたように、社内には深い溝ができていたのだろう。
 同情すべき点があるとすれば、松本人志に迫られる形で急きょ開いた会見は、「覚悟も含めて準備不足」(千原ジュニア)であり、かつさまざまな方面に気を使わなければならなかったことだ。松本や明石家さんまといった大物の圧に加え、狂犬・加藤や近藤春菜、友近といった芸人からも経営陣批判が噴出。契約解除を撤回した宮迫や亮を強くは責められず、その宮迫らの会見で暴露された疑惑に答えなければならなかった。そのうえで株主や取引先に配慮しつつ会社を守るというのは、なかなかに困難なミッションである。
 松本と大崎会長の関係からも現経営陣が芸人への敬意を欠いているとは思わない。それでもここまでの混乱を招いてしまった以上、芸人たちとの関係を見直し、世間の理解を得ることは急務。規模を縮小するのなら別だが、そのうえで社内体制を整備しつつ現在の多岐にわたるビジネスを進めていくのは、芸人の機微を知り尽くし業界にも精通した現経営陣にしかできない仕事だろう。
 救いは連日コメントを求めて詰めかける報道陣に対して、芸人たちが大喜利状態で笑いを取り始めていることだ。本当に実体のある「ファミリー」だったなら、どれだけ激しい喧嘩をしても最後は収まるところに収まるはずである。 (ライター・常松裕明)


「最低賃金901円」を評価し「月給23万円への不満」を攻撃する世論の異常! 安倍政権に飼いならされ貧困が当たり前に
「最低賃金、東京・神奈川1000円超え」……7月31日、中央最低賃金審議会の小委員会は2019年度の全国最低賃金の目安を27円引き上げ、時給901円にする方針を決定した。
 この結果について「2002年以降、最大の引き上げ」「最高額更新」などと評するメディアもあるが、自民党が参院選の公約で掲げた「年率3%をめどに引き上げ」はクリアしたものの、「全国平均1000円」にはほど遠い。だいたい、最低賃金がもっとも低い鹿児島県では26円引き上げの787円となったが、この時給は1日8時間・22日働いても月収13万8512円、年収にして166万2144円にしかならないものだ。これで生活しろというのはどうかしていると言うほかないだろう。
 これは全国平均の901円にしても同様で、1日8時間・22日働いた場合で月収15万8576円、年収190万2912円でしかない。つまり、全国平均でもいわゆるワーキングプアの水準なのだ。
 10月からは消費税が10%に引き上げられ、生活はさらに苦しくなるというのに、この最低賃金で国は「老後のために自助で2000万円貯蓄しろ」とまで言う……。「国民を殺す気か」と政治に怒りをぶつけたくなるが、しかし、ネット上では逆の現象が起こった。
 というのも、この最低賃金の問題を31日放送の『news zero』(日本テレビ)が取り上げ、以前から長時間労働などの問題が取り沙汰されている飲料自販機中堅企業・大蔵屋商事に務める男性の例が紹介されたのだが、生活が困窮していることを訴えるこの男性が、時給換算すると東京都の最低賃金水準である「手取り23万円」であることや、1カ月の収支で「食費4万円」「通信費2万円」などになっていることに対し、SNS上ではこんな意見が噴出したのだ。
〈手取り23万貰って文句言ってんじゃねえよ〉
〈手取り23万でやっていけないだと??喧嘩売ってるのかこのニュースは…〉
〈えっ、手取り23万で通信費2万?????どういうこと?????〉
〈手取り23万貰えてたら普通に自炊して暮らせるだろうに 交際費3万とか携帯代に2万使ってるあたりおかしい〉
〈資格取るなり、仕事頑張って賃金上げてもらえる努力しろ、あと一人暮らしで食費40000円は使いすぎや自炊せえ〉
 挙げ出せばキリがないほど、このように「手取り23万円で文句を言うな」「給料に見合った生活をしろ」という意見が溢れかえり、ついには「手取り23万」「食費4万」などの言葉がトレンド入りしたのだった。
「こんな最低賃金で生活できるか!」「最低賃金は上げないと結婚もできないよ」という声があがるかと思いきや、逆に自助努力が叫ばれる──。言っておくが、この男性は長時間労働に晒され、しかも残業代は未払いで、昨年のある月の給料は時給に換算すると最低賃金以下だったという違法な働かせ方を強いられている人だ。だが、そういう問題よりも、「食費4万円は使いすぎ」と責められてしまうのである。
 これは、母子家庭の女子高生が経済的な理由で進学を諦めた例をNHKが紹介したところ、「貧困だと言うならアニメのグッズを買うな」「生活が苦しいのに1000円のランチなんか食べるな」などと批判が巻き起こった「貧困女子高生バッシング」によく似た現象とも言えるが、今回、あらためて浮き彫りになったのは、いかに多くの人が“最低賃金以下の生活”を送っているか、ということだろう。
米ブルームバーグは「貧困が自己責任でないことを日本が証明している」
 事実、安倍首相はアベノミクスの成果として「就業者が384万人増加」と誇るが、安倍政権下での非正規雇用の増加数は304万人にものぼる。しかも、総務省の「就業構造基本調査」(2017年)によると、非正規の70%が年収200万円未満だった。アベノミクスによって、多くの人がワーキングプアの状態に陥っているのである。
 普通ならば、こうした政策に対する不満が高まるはずだが、この国ではそうならず「自己責任」となり、不満を述べると「わがまま」「努力不足」と叩かれてしまう……。これは安倍政権が大企業・富裕層優遇の一方で弱者切り捨て政策を推進し、そのために繰り返してきた「自己責任論」が浸透し、それに国民が慣らされてしまった結果なのだろう。
 実際、7月30日付の米・ブルームバーグ紙の社説では、いかに日本が自己責任論に犯されているかが逆説的に紹介されている。
 この社説では、アメリカと日本を比較し、犯罪率、違法薬物の使用件数、労働年齢の就業率などにおいて日本は〈素行が良い〉国だと紹介するのだが、にもかかわらず、日本では先進国のなかでも貧しい人が多いと指摘する。つまり、日本は暴力事件も起こさず、違法薬物にも溺れず、一生懸命働くなど真面目で勤勉なのに日本の貧困率はアメリカより少しマシな程度でドイツ、カナダ、オーストラリアなどほかの先進国に比べかなり高いということは、アメリカの保守派が考えるように「貧困は自己責任」で解決できない、と述べているのだ。
 貧困に陥るのは自己責任ではない、それは日本という国が証明している──。日頃「日本スゴイ!」で悦に浸るテレビ番組やネトウヨにこそ紹介していただきたい社説だが、同時に、国民も「自己責任論」から脱却し、安倍首相が一向に向き合わない貧困・格差の問題に怒りをぶつけるべきなのではないか。
 そして、そうした流れは生まれつつある。山本太郎率いる「れいわ新選組」と共産党は「最低賃金1500円」を掲げており、れいわは「年収200万円以下世帯をゼロ」とも訴えている。一方、安倍首相は「無理やり最低賃金を上げることによって失業が増えていく」などと述べているが、これはノーベル経済学賞受賞者であるポール・クルーグマンをはじめ、経済学の専門家からもすでに否定されているものでしかない。れいわや共産党が主張するように、中小企業の支援とセットで最低賃金を上げることは十分可能なものだ。
 ブルームバーグの社説にあるように、貧困は自己責任ではない。生活が苦しいと声をあげた人を叩くだけで、国民の生活の苦しさを直視しない政治を温存させていれば、現状はどんどん悪くなってゆくだけだ。


韓国のいわゆる「ホワイト国」除外決定について(談話)
社会民主党幹事長
吉川はじめ
1.今月4日、安全保障上「不適切な事案」があったとして、半導体などの製造に必要なフッ化水素など3品目の輸出規制を強化していたが、政府は本日、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取っている対象国から、韓国を除外する政令改正を閣議決定した。一方、韓国大統領府は「日本の不当な措置に断固たる姿勢で対応していく」と表明しており、両国の緊張はさらに高まり、一層の関係悪化は避けられない。しかし、報復の連鎖は両国にとってマイナスにしかならない。これ以上、深刻化させてはならず、両国の話し合いで解決の糸口を見つけなければならない。冷静な対話によって双方が歩み寄るよう求めたい。
2.G20大阪サミットで、安倍首相が「自由で公正な貿易」を宣言したばかりであるにもかかわらず、議長国が自由貿易を完全否定するような暴挙に出るというのは信じられない。日本側は、貿易管理で韓国側に不適切な事案があったと強調するが、不適切な事案を具体的に明らかにしていない。不適切な事案があったのであれば、韓国との協議でそれを指摘し、是正を促すべきではないか。200億ドル以上の対韓貿易黒字を失うことになれば、日本経済にも悪影響が及びかねない。
3.安倍政権による一連の輸出規制強化は、徴用工問題で対立する韓国に対し強行姿勢をとることで、参院選での争点隠しや国民へのアピールにつなげる目的があったともいえる。しかし、徴用工問題は、日本の戦争犯罪をめぐる人権問題であり、政治的対立の解決のために貿易上の措置で報復するのは適切とはいえない。しかも安倍首相が煽りに煽った結果、日韓関係はこの数十年間で最悪と言われるまでになり、民間交流や観光にも影響が出始めている。韓国との対立は、拉致問題の解決にもマイナスになりかねない。社民党は、両国政府に対し、いま一度、冷静かつ賢明な対応を求め、対話を開始するよう求める。


れいわ山本代表、韓国除外より6兆円の優先を〜日韓関係に「大人の対応」求める
 日本政府は2日、輸出の優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。悪化の一途をたどる日韓関係に対し、れいわ新選組の山本太郎代表(44)は、韓国を敵視する感情論ではなく、韓国への輸出総額である約6兆円を国益として維持していくべきだと主張。「大人の対応」で従来通りの関係を継続することを訴えた。
 山本代表は1日夜、東京・新宿で行った街頭記者会見で、聴衆から「日本が輸出の規制をするやり方は弱い者いじめで、恨みしか買わないと思う。どう思いますか」と質問され、持論を展開した。
 同代表は「同じ町内に苦手な人がいて、もう我慢ならんと言って引っ越すことは可能だが、『国の位置』は動かせない」と例え話を織り交ぜて状況を説明。「だとしたら、うまくやっていくしかないんですよ。『なめられてたまるか、ぶっ潰してやれ』という小学校高学年くらいの考え方はやめましょうって話なんですよ。誰も得しない。それで戦争や紛争が始まっても、死ぬのは一般市民や自衛隊員なんですよ。自衛隊員が傷つくようなことをするなよって話」と危機感を募らせた。
 それ以前に、この流れの背景には「内政の行き詰まりをナショナリズムを使って隠そうとする政治」があると指摘した山本代表。「『あの国はどうだ』ってナショナリズムをあおりながら、自分たちがやっている政治のまずさにベールをかけるってことですよ。言いたいことがあるのはお互い様。それを乗り越えるのが大人なんじゃないの?政治なんじゃないの?大人になろうぜってことなんですよ。日本はどっしりして、向こうが不当なことをした時は国際機関を通じて訴えていくしかない」と提言した。
 日本政府は「優遇措置の撤回で、禁輸措置ではない」としているが、今回の対応による影響が懸念される。山本代表は「日本から韓国への輸出総額は約6兆円。この6兆円という利益がなくなっていいというのなら、好きなことを言ってください。でも、私はそのような(韓国への)感情より、6兆円という国益を大事にしたい」という考えを示した。


<つなぐ 戦後74年>「他国の歴史認識知ること大切」 歴史教育者協議会・山田教授が警鐘
 歴史をテーマにする学者や教育関係者らでつくる歴史教育者協議会が今年、創立七十年の節目を迎えた。九条改憲が現実味を帯び、日韓関係の悪化が懸念される中、歴史認識の重要性を訴える会員たち。埼玉県草加市で三〜五日に開かれる全国大会を前に、委員長を務める山田朗(あきら)・明治大教授に思いを聞いた。 (聞き手・清水祐樹)
 −なぜ歴史認識が重要なのか。
 歴史は、自分たちが体験していないことから学べる人間の英知だ。なぜ、今の平和憲法ができて大切に継承されてきたのか。それだけ繰り返していけないことが過去にあったということ。歴史認識とは国際理解でもある。同じ事象でも、立場によって伝えられ方は異なる。戦争で言えば、加害側と被害側。八月十五日は日本人にとっては終戦の日だが、韓国人から見れば植民地支配からの解放の日という位置付けになる。どちらが正しいかではなく、他者の歴史認識を知ろうとしなければ、相互理解が進まず、対立が深まるだけだ。
 −歴史認識で注意すべきことは。
 歴史上、何が起きたのかをきちんと掘り起こすことが大切だ。原爆のきのこ雲の写真に対し、日本人は悲惨な光景を連想するが、米国の中には戦争を終わらせた平和の象徴ととらえる人もいる。アジアでは解放の象徴とみられることもある。そういう認識もあると知ることが重要だ。
 −教育と歴史認識のかかわりは。
 他者の歴史認識を取り上げていくのが教育の役割。海に囲まれた日本は外部との交流が少なく、内向きの認識が主流となってきた。他者の視点を踏まえて多角的に歴史を学んでいかないと。戦争でも「当時は仕方なかった」と過去に肯定的な見方だけしていては、歴史から何も学ぶところがなく、未来につながらない。
 −歴史修正主義の強まりが懸念されているが。
 歴史修正主義は、歴史の一部分を強調し、結果として事実と違うことを主張するのが特徴。放置せずにきちんと抑制しないと危険だ。インターネットで検索しただけで分かったつもりになる若者が増えるなど、教養の在り方が崩れてきているのが、まん延の一因ではないか。
 −地域で歴史に触れるには。
 核家族化が進み、家庭内で歴史が伝えられる機会は減ったが、地域には資料や石碑などが残っている。そうしたものに触れて地元の歴史を学ぶことは、視野を広げる契機になる。
<歴史教育者協議会> 過去の誤った歴史教育が軍国主義やファシズムの柱となっていたとの反省から、歴史関係の学者や教職員らによって1949年7月に設立され、2011年4月に一般社団法人に移行した。全国の都道府県や地域・学園ごとに支部組織があり、現在の会員は約1600人。各支部は、歴史や社会問題を学び、社会科の授業や教育を巡る実践報告を出すなどし、中国や韓国の教員との交流もある。研究成果は毎夏の全国大会で報告され、理解を深め合う。


<親友対談 しなやかな反骨>(4) 元文科次官・前川喜平さん×城南信金顧問・吉原毅さん
 二人は、麻布中学・高校の同級生で、ともにラグビー部で過ごした仲間。「しなやかな反骨」の根っこは「麻布のDNA」だ。
 前川 僕は奈良の田舎の出身。小三で東京に引っ越したけど、東京の子供のリズムについていけず、不登校になった。六年になったころ急に親が麻布中学を受験してみたらと言うので、バタバタと勉強した。
 吉原 僕は、もともと大田区の蒲田の梅農家です。蒲田は梅の名所で、梅を集めて作ったのが梅屋敷。麻布学園は、城南地区出身が多い。近所の兄ちゃんとかがいて親しみがある。
 前川 弁当は休み時間に食べちゃう。売店で毎日、あんパンを買って食べた。中一か中二のころついたあだ名が、あんパンだぬき。
 吉原 育ち盛りだからね。購買所のパンで足りなくて外で焼きそばを食べたり、一日五食ぐらい。中三でラグビー部に入った。青春と言えばラグビーという時代。あこがれますよね。
 前川 僕は中二から。しばらく部活をせずにボーッとしてましたけど、授業で麻布ボールっていう麻布独自の球技をやって、その発展上にラグビーがあった。
 吉原 前川さんとは体格が同じぐらいだったから「君たちはフォワードのロックね」と言われて…。
 前川 スクラムの二列目です。プロップというでっかいのが二人、真ん中に足でボールをとるフッカー。その三人のお尻の間から頭を入れて押すのがロック。
 吉原 展開するバックスがヒーローで、フォワードは裏方。裏方でも前の三人がかっこいいけど、後ろになると全然目立たない。
 前川 勝った記憶がほとんどない。ラグビー部をつくって最初の練習試合に選んでくれた学校には勝った。
 吉原 前川さんは寡黙なイメージ。テレビで見て、こんなにしゃべるのかと思った。当時は深い言葉をぼそっと言うような感じで。
 前川 少しずつ外交的になってきた。中学、高校はおとなしい少年だった。
 吉原 前川さんはいつも体操服。男子校って、バンカラでオッケー。共学校だと女性を意識するけど、みんなバンカラで気楽だった。
 前川 吉原さんは紅顔の美少年。もう一人吉原がいてきれいな吉原と、そうでない吉原と言われていた。
 吉原 「ラグビーは男のスポーツ」、この一言でなかなかやめられなくて。試合では、体格のいい選手が突っ込んでくる。左右を見ると、おまえが守るしかないと目でサインしてくる。しょうがないから、真っ正面で膝から太ももあたりを目がけてタックルする。目をつぶって。止めることはできた。勇気というほどではないけど、自己犠牲。
 前川 ラグビーで身に付けたものは、何だろう。負け続けても続ける粘り強さが面従腹背につながっているのかも。麻布中高で過ごした六年は、貴重な時間だったのは間違いない。僕らの時代は紛争の真っ最中。その中で人間形成をしたのは得難い経験だった。
 吉原 校長室を友達が占拠したことも。早熟な先輩たちが建国記念日制定の年、反対のデモをしたいという話から紛争になった。建国記念日は戦前回帰の動きだろうとあおって。われわれは遠巻きに見ていた。
 前川 僕はノンポリ。今だったらデモに参加しているかもしれないけど。
 高校生のとき、音楽の先生が、きょうは君たちと話し合いたいと言って朗読したのが、宮沢賢治(*1)の「生徒諸君に寄せる」という詩。「本気になって取り組めば、未来が開けてくる」というメッセージをくださった。読むと、未来に向かって生きていこうという気になる。あれは、僕のその後の人生をけっこう決めている。人間には何げない一瞬がものすごく大事なことがある。僕の場合は、音楽の先生の賢治の詩。
 吉原 高二の文化祭の時、機動隊が学内に入り、仲間が蹴飛ばされた。次に放水が来る。ここで逃げるわけにはいかない。ラグビー精神ですよ。ワン・フォー・オール。迷ったときは傍観者はだめ。そういうことはラグビーから学んだ。
 前川 「いちご白書」(*2)の世界みたい。僕は校庭の端っこでフォークダンスをしていた。女の子と手をつなぐチャンスで。傍観者にもなっていない。
 ぼんやりした夢は、小説家か物理学者。宮沢賢治を読んでいると、宇宙がたくさん作品に出てくる。宇宙を知りたい気持ちと、人間の世界に入っていきたいという気持ち。仏教の本を読んでいたから、仏教を通じて真理に迫りたいとも。国家公務員になりたいなんて全然考えてなかった。
 吉原 ラグビー部でもプラトンとか仏教の本を読む友達がいて、いろいろ個性を持っていた。旧制高校ほどデカンショ(*3)してたか分からないけれども。いろんな人たちがいるのが麻布の面白さ。目先の損得を考えるんじゃなくて、理想とか理念とか、そういったものに関心を持ってる人が多かった。最近ラグビー部の友達に会ったら、言うんだ。「麻布は結局、倫理の学校だよな」って。
*1 詩人、童話作家。1896〜1933年。
*2 米コロンビア大の学生運動を描いた米作家ジェームズ・クネンのノンフィクション。1970年に映画化された。
*3 デカルト、カント、ショーペンハウアーの三人の哲学者の名前を合わせた呼び名。


アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、東京拘置所の庄子幸一さん(64歳)と福岡拘置所の鈴木泰さん(50歳)に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。
昨年の2018年に、日本では15人の死刑執行が行われた。これは、戦後2番目に多い年間死刑執行数となった。一方、世界的に見ると、同年は死刑執行数が前年に比べ30%も減少しており、死刑を廃止したEU諸国からは、日本が死刑制度をまだ維持していること自体が野蛮であり、衝撃的な事実であると受け止められている。昨年に引き続き、本日死刑執行が行われたことに対して、アムネスティ・インターナショナル日本は深い失望と懸念を表明する。
庄子幸一さんは再審請求中であった。国家が国民の命を奪う死刑制度においては、慎重な審理を尽くす必要があるが、日本政府は2017年から再審請求中の者を処刑している。本来再審請求中は刑の執行停止手続きを取るべきであり、それを定めていない日本での実務は国際基準に照らして違法である。手続き最中の再審請求中に処刑することは、公正な裁判の原則に反している。また、再審請求は死刑執行を回避する最後の手段であり、その請求中の処刑は自由権規約6条の4に反する。自由権規約委員会の2008年に行われた審査でも、日本政府はこの問題を指摘・勧告されている。
今年は、死刑廃止条約(「死刑廃止を目指す市民的及び政治的権利に関する国際規約第2選択議定書」)が国連総会で採択されてから30年という節目の年である。この30年間に多くの国で死刑制度が廃止され、あるいは死刑執行が停止されており、死刑存置国は世界の少数派となった。そのうちの一つ、いまだ死刑制度を固守し続けている日本では、従前より、死刑執行に際して死刑確定者とその家族に対して事前の予告をせず、また、死刑執行に関する情報もほとんど開示していない。G8諸国で死刑制度があるのは日本とアメリカだけであるが、アメリカでは、死刑は特別な刑罰であるとして他の刑罰よりも慎重に扱う制度がある。執行の予定は事前に死刑確定者本人にも公表し、その他、さまざまな情報もマスコミ等を通して公開しているため、市民も知ることができる。翻って日本では、死刑制度の実態は公表されず、刑は秘密裏に執行される。法務大臣は決まり文句のように死刑判決と死刑執行は慎重に行っていると言うが、司法制度の中で死刑制度は他の刑罰の延長線上に置かれているだけであり、他の刑罰と一線を画すような、より慎重な判断や決定が要求される扱いとはなっていない。
アムネスティ・インターナショナルは、「生きる」という最も基本的な人間の権利を根本から否定する刑罰が死刑だと考えている。この「生きる」権利は、何人たりとも奪ってはならないのである。それは国家機関であっても同じことである。今後2度と死刑執行が日本において行われないことを、アムネスティ・インターナショナル日本は強く願う。


山下法務大臣による死刑執行に抗議する
NPO法人監獄人権センター
本日、山下貴司法務大臣の命令により、庄子幸一氏、鈴木泰徳氏の2名に対して死刑が執行された。監獄人権センターは、この死刑執行に強く抗議する。
本年10月に予定されている即位の礼、2020年の東京オリンピック・パラリンピックと国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)に向け、日本に対して世界の注目が集まる中で行われた今回の死刑執行は、死刑制度が人権問題であることを否定する、現政権の姿勢を如実に示している。
昨年、オウム真理教の元幹部13名を一斉に処刑した際、日本政府はEU加盟国をはじめとした国際社会から強い抗議を受けた。にもかかわらず、昨年12月の執行に続き死刑執行を継続しており、日本政府は国際社会との対話を拒絶している。
報道等によると、庄子氏、鈴木氏はいずれも公判で責任能力を争っており、両名の執行については、精神状態の慎重な検討があったかどうかについても重大な懸念がある。とりわけ庄子氏は再審請求中であったとみられており、再審請求中の執行は、係属中の事件について司法判断を受ける死刑確定者の権利と、判断を行う司法の権限をともに否定するものである。国連の自由権規約委員会をはじめとする条約機関も、日本政府に対し、再審請求中の執行を行わないよう繰り返し勧告してきた。
本日の臨時記者会見において山下貴司法務大臣は、「慎重な上にも慎重な検討を加えた上で命令」したことを繰り返し述べたものの、一方で、「執行を妨げる事由がない限り、厳正に執行されなければならない」として、今後も死刑制度を維持し、執行を継続していくという政府の強い意思を表明した。日本政府は、国際社会の声に一切耳を傾けず、対話すら拒否し、かたくなに死刑の執行を継続することこそが「正義の実現」であるとの誤った考えから、解き放たれるべきである。
我々は、度重なる死刑執行にも決して屈せず、来年日本において国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)が開催されるのを好機ととらえ、これまで以上に国際社会と連帯し、日本政府・法務省に対して死刑の執行の停止と死刑廃止に向けた具体的な検討を直ちに開始するよう粘り強く求めていくことを改めて決意する。


死刑執行に強く抗議する(談話)
社会民主党
幹事長 吉川はじめ
1.本日、法務省は、東京拘置所と福岡拘置所で各1人、計2人の死刑を執行し、死刑囚の氏名や犯罪事実を公表した。社民党は、死刑制度が人権に反するものとして、その存置に強い疑問を呈してきた立場から厳しく抗議する。
2.第2次安倍政権以降では実に16度目、計38人という異常なハイペースが続いている。政権交代前の慎重な議論の積み重ねを全く顧みず、死刑制度の維持・正当化を狙う偏向した姿勢の表われにほかならない。山下貴司法相が執行するのは2度目だが、9月前半とも言われる内閣改造を前に実績作りでもするかのような駆け込み執行は、厳しい批判を免れない。
3.今年3月に熊本地裁が「松橋事件」で再審無罪を決定し、最高裁も滋賀県で起きた「呼吸器外し事件」で再審開始を決めたほか、5月には再審無罪となった「布川事件」について、東京地裁が証拠開示や警察の取り調べを違法と認め、国と茨城県に賠償を命じるなど、警察・検察の捜査方法に強い疑問が向けられている。一方で6月に最高裁が「大崎事件」の再審決定を取り消し、7月末にも東京高裁が「三鷹事件」の再審請求を棄却するなど、揺り戻しの動きも見られる。そうした中での死刑執行の強行は、捜査や司法のあり方についての冷静な議論を妨げる暴挙であり許されない。
4.2018年時点で死刑廃止国は106か国となり、さらに28か国が事実上廃止するなど、死刑廃止は国際的な潮流である。その一方で、米国のトランプ政権は16年ぶりに連邦レベルでの死刑執行再開を表明するなどの動きもあり、安倍政権による死刑の大量執行はこうした反動を後押ししかねない。政府および法務大臣は、早急に国際人権基準に沿った法改正への道筋をつけるとともに、死刑制度に関して存廃や死刑に代わる措置など、刑罰のあり方について国会で徹底した議論を行い、その間は死刑の執行を停止すべきである。社民党は今後も、死刑制度の見直しに全力を挙げて取り組む。


ミッキーとミニーのラッピング新幹線運行 11月27までJR九州
 JR九州は1日、人気キャラクターのミッキーマウスとミニーマウスをあしらった九州新幹線の運行を開始した。招待客を乗せた特別運行の第1便が午後、鹿児島中央駅に到着した。
 2日からダイヤに組み込まれ、通常の切符で乗車できる。11月27日まで。


「桜島納涼観光船」運航始まる
夜の鹿児島湾を遊覧する「桜島納涼観光船」の運航が1日夜から始まり、乗船した人たちが夜景や打ち上げ花火などを見て楽しみました。
「桜島納涼観光船」は、鹿児島市船舶局が桜島フェリーを使って毎年8月の夜間に運航しているものです。
初日の1日はフェリーターミナルで、船長や乗客がテープカットを行いました。
「桜島納涼観光船」の船上では迫力ある太鼓の演奏が行われ、乗客を迎えていました。
船は桜島の南の方向に下り、およそ2時間かけて鹿児島湾内をクルージングします。
日が暮れると鹿児島市の市街地の夜景が美しく、乗客はスマートフォンで写真を撮影していました。
船内には出店もあり、冷たいビールを購入した人たちが乾杯してにぎやかな雰囲気に包まれていました。
また、クルージングの終盤では桜島側から打ち上げられた花火も鑑賞でき、乗客が楽しいひとときを過ごしていました。
乗客の女性は「いろんな食べ物があって子どもたちも楽しめました。よかったです」と話していました。
鹿児島市船舶局の渋江泰成さんは「ことしは船上屋台を新たに設けました。家族でぜひ遊びに来てください」と話していました。
「桜島納涼観光船」の運航は今月11日から14日までの4日間を除き、今月末まで行われます。
運航時間は午後7時からおよそ2時間で、料金は中学生以上が1000円、小学生以下は500円となっています。


日本人とフランス人「休み方」はこんなにも違う  なぜフランス経済は休みだらけでも回るのか
長期休暇中は経済が停滞する?
エマニュエル:今日はちょうど今の季節に合った話題ということでバカンスについて話そうか。
僕が日本に住んでいたころは、どうしてフランスは年間にあれだけの休日(7月、8月はほとんどの人が2、3週間休む)を取りながら経済や社会を維持できているの?という質問をよくされていたよ。確かに、日本でこれだけまとまった休みを取る会社員の人はほとんどいないから不思議に思うのも無理ないよね。
くみもフランスに住み始めてからは同じような質問を日本でされていたんじゃない?
くみ:この時期、フランスに関係する人だとバカンスの話題になることはよくある。一度、フランス人は何週間にもわたる旅行などを退職後の楽しみにしないで、毎年できてとても人間的だと思う、と言ってフランス式のバカンスのよさを日本の友人に話したら「だからフランスは経済がなってないんだよ」って一蹴されたことがあった。
その時はもやっとしたけど実際の日本とフランスの経済発展状況の違いとかまで調べたりしなかったから、私も本当のところどうなのか気になってた!
エマニュエル: まず経済的な観点からこの質問について考えてみることにしよう。フランスの国内総生産(GDP)は日本より低いとはいえ、上位に位置しているけれど、国民がこれほど多くの有給休暇を取る中で、フランスはどうやって経済を維持しているのか。日本人の中には、フランスはこの夏季のバカンスのせいで世界経済から大きな後れをとっていると考えている人がたくさんいるだろう。
確かにほかの経済大国と比べるとフランスは圧倒的に有給休暇が多く、年間5週間の休暇を取るのが一般的なので、これだけ競争が激しい世界で発展国として維持できるのは不思議だよね。
17世紀の有名な詩人のジャン・ド・ラ・フォンテーヌが書いた『セミとアリ』という有名な寓話があって、夏の間にアリが一生懸命働いてセミはのんきに太陽を浴びながら歌っているだけなんだけど、冬がくると食べ物の蓄えがまったくなかったセミはアリに助けを求めるという話。日本人にとっては、バカンスを山ほど取るフランス人はこのセミのようなイメージなのかもね。
世界に先駆けて観光産業が発展
くみ:同様の内容であるアリとキリギリスの話は日本でもイソップ物語などで有名だよね。怠けて遊んでばかりいると後で困るぞっていう戒めの話というイメージ。
エマニュエル:でも実際のところはそんな単純ではなく、現実の経済はもう少し複雑なんだ。1936年にフランスでは初めて「有給休暇」が制定されて、夏季に長期のバカンスを取るのもこの頃から始まった。その結果、海や太陽を求めて今までにない規模の大量の観光客の沿岸地域への移動がみられるようになった。
こうした大きな観光客の流れによって新たに観光という国の経済を支える産業が発展することになる。ホテルやキャンプ場、レストランにリゾート地でのスポーツセンター、美術館、特産物やお土産の販売などがたくさんの地域、とくに南フランスや大西洋岸地域などの沿岸地域だけでなく、アルプスやピレネーなどの山岳地帯も観光業のおかげで発展した。
このことが経済的にどう重要かというと、以前は大した産業もなかったようなさまざまな地域に新たな経済活動と雇用の創出ができたことが挙げられる。そして国内での観光産業を発展させることで他国よりも先駆けて観光産業の専門化に成功できた。
その例の1つが、世界規模で展開するホテルチェーンのアコーホテルズ。そしてさまざまなアクティビティやホテル、飲食施設が統合されたバカンス村を提供するクラブメッドなんかもその例だね。フレンチレストランが世界規模で発展するのも、長期のバカンスによって各地域の料理を知る機会が増えることがある。そのおかげでフランス料理の質が上がって発展し、その後海外でも評価をされることになるんだ。
くみ:なるほどね! 考えてみれば当然の仕組みなのに、今まで気づかなかった! 日本でも、8月の子供達の夏休みやとくにお盆の時期はハイシーズンになって航空券もホテル代も何もかも高いイメージがもともとあったから、とくにフランスでバカンス期間のハイシーズンに物価が高くても当たり前だと思って、そこの利益の仕組みを考えてなかった。
言ってみれば、日本中が帰省ラッシュで混み合うお盆1週間が、フランスでは少し緩和されつつも約1カ月にわたって続く、と考えればわかりやすいかな。その期間中、レジャー関連業界はつねにハイシーズンで潤っているというわけね。
ドイツはなぜ観光客が少ない?
エマニュエル:第二次世界大戦後に、次第にヨーロッパの各国でも長期のバカンスが取り入られるようになってくると、どうなったと思う?
ヨーロッパ各地の新たな観光客は自国ではなく、すでに観光産業が発展してたくさんの観光客の受け入れ態勢ができているフランスを訪れるようになったんだ。他国よりも一足先に観光産業が発展していたことがフランスにとっては大きな経済効果となったわけだ。働かない日々の「遅れ」から生まれた「進歩」はまだ終わってない。フランスは現在でも観光客の多い国の1つだからね。
くみは、どうしてドイツは観光客が少ないんだろうって不思議に思ったことはない? ドイツだってフランスに劣らないくらい綺麗な景色や街並みがあるし、有名な詩人ヘルダーリンの詩を読めばドイツがどれだけすばらしい国かよくわかるよ。観光客は国の景色の綺麗さとはあまり関係していないということなのかな?
くみ:ドイツもそうだし、スペインへ行ったときなども同じことを思った。フランスの有名な観光地にも見劣りしない風光明媚な場所がたくさんあるのに、その土地に関する日本語の情報はネット上でまったく出てこないとかね。その点、フランスは持っているものを世界にアピールして、世界中から観光客を集めてる。うまいな、と改めて思った。
日本も観光立国などと頑張っているし、パリの街中でも日本旅行の宣伝を目にすることは珍しくないよね。実際、日本は大人気の旅行先の1つだけど、もっとさまざまな魅力をアピールしてもいいんじゃないかなと思う。
エマニュエル:それじゃあ次はどんなタイプのバカンスの過ごし方があるかについて話してみよう。
最も典型的なのはやっぱり海辺のリゾート地である南仏やブルターニュやノルマンディーの海岸地域で別荘やアパルトマンを借りて過ごすバカンスだね。
次に人気なのが、ワイン街道を巡る旅。車でさまざまなワインの産地を巡り、試飲しながら気に入ったワインをお得な価格で購入する。ワイン街道はフランスではボルドーやブルゴーニュ、南仏、アルザスなど各地にあり、これもまたワインやシャンパンなどのフランスのアルコール製品の発展に貢献している。
地方の星付きレストランを巡る旅も
くみ:日本も日本酒の文化があるから、酒蔵を訪ねる旅も珍しくないよね。
フランスのワインやシャンパン、カルバドスなど蒸留酒は日本でも人気だから、愛好者は日本からの観光客であってもそういうツアーに参加する人は結構多いと思うし、私も日本からの愛好者と一緒にシャトー巡りをしたこともある。だから、そういう旅は日本人にとっても比較的なじみがある気がするな。
エマニュエル:そのほかには星付きレストランを巡る過ごし方もある。まずミシュランやゴ・エ・ミヨのガイドなどであらかじめ評価の高い特定の地域のレストランをピックアップして、その地域で自然の中を散歩したりしながら何日もかけて目当てのレストランを巡って移動するんだ。
僕もこれは何回かやったことがあるけど、地方の星付きレストランはパリよりも値段が安いところが多いので、割と気軽に入れるし、いろんな地方のおいしい料理が堪能できてとても楽しかった。
くみ:これも美食家が多い日本人にとってはなじみやすいバカンスだね。パリを訪れる日本人観光客も、美食を楽しむのが大きな目的の1つである人は多いはず。まあでも、限られた時間の都合上、自然の中を散歩する楽しみまで組み合わせられる人は少ないかも。
エマニュエル:それからさっき少し触れたけど、クラブメッドのようなバカンス村で過ごすというのも割とポピュラーだね。ここではさまざまなアクティビティが提供されて、家族同士や知らない人同士で知り合いになる機会が多いのが特徴かな。クラブメッドは世界中に展開していて、実は出会いの場としても利用されている。
くみ:クラブメッドはフランスに来る前から知ってたけど、地中海クラブの略ってことは最近まで知らなかった。それに出会いを求めてそういうのに参加するバカンスもあるっていうのも知らなかったな。結構本気で交際相手を探す出会い系サイトもフランスは多いものね。日本でも需要はありそう。
エマニュエル:「文学の旅」という、有名な作家にゆかりのある場所、例えば生家や住んでいた場所、美術館や資料館などを解説付きでグループで旅行をするのもある。もちろん作家だけでなく、画家や音楽家などいろんな芸術家を対象としたものもあって、これは芸術の発展と普及に貢献しているといえる。
くみ:日本でよく目にするのは「フランスの世界遺産を巡るツアー」とかかな。あるいは「ピカソをたどる3都市ツアー」とかありそう。一時期よりは減ったのだろうけれど、日本人は団体で行動するツアー旅行にあまり抵抗がなさそうだから、そういうのも言葉がわかれば参加したいって人はいそう。
日本とフランスの決定的な違い
エマニュエル:エコロジーなバカンスの過ごし方として、農場に宿泊して農場の仕事の体験や新鮮な農作物を味わったりと、都市で過ごすのとはまったく違う過ごし方を体験できるというのもある。
くみ:これも日本にもあるよね。エコツーリズムや農泊体験なんてことも聞いたことある。期間や内容、環境が少し違うかもしれないけれど、結局バカンスの内容としては日本もフランスもそんなに変わらないのかもね。
エマニュエル:このエコロジータイプのバカンスにはいろんな種類があって、例えばタラソテラピーや温泉、スポーツをして過ごすというのもある。
くみ:そうだよね。内容は同じだと思って聞いてても、2週間滞在できるっていう長さが、まだ日本では得がたいかもね。
エマニュエル:前回話した「日本とフランス『稼ぐ女性の服装』はかなり違う」でも同じような話をしたけれど、バカンスの話で言うと、フランスはまず国内で観光産業が十分に発展し、これに伴って国内規模の大企業ができた。海外では同様の産業が十分に発展していないこともあって、こうした企業は簡単に海外進出できたというわけだ。
GDPに関していうと、国民が働かない日数による損失が、国民がバカンスに出かけることによって発展した観光産業の利益によって補われたと考えることができるかもしれないね。だから、さっきのフォンテーヌの寓話だと、セミが夏の間歌っていた歌が人気になって冬を過ごすのに十分なお金を集めたのでアリに助けを求めなくても済んだって感じかな。
くみ:長いバカンスを取る習慣が根付いているからこそ、バカンスの過ごし方にみんなが敏感になって、内容が充実していき、やがては世界中のバカンス客をも引きつけるようになった、ってわけね。
フランス人のアイデンティティー形成につながる?
エマニュエル:でもそれだけではないんだ。僕が思うに、夏の長期休暇による影響は、経済的だけでなく社会的な仕組みにも及んでいる。
グローバル化が進む中、発展国の中で重要な問題の1つが、国民の一体感や、同じ国家の国民であるというアイデンティティーの確立だと思う。現在フランスでは徴兵制もないし、移民が多くさまざまな宗教観を持つ人々がおり、また海外に留学する学生や海外旅行の増加などで、なかなかそういった意識は育ちにくい。
日本では、地形的にも島国であり他国と物理的に離れているし、学校で幼いころからこういった国民の意識を教育しているからあまり問題はないだろうね。フランスはこのような教育は学校でされることはないので、自分たちで住んでいる地域や宗教にかかわらず自分たちはフランス人なんだという意識を持つように努力しなくてはならない。
僕の場合はだけど、バカンスがその役割を果たしていたんだ。バカンスの3週間という長い期間、自分の住んでいるところとは別の場所に住むことで、まったく知らなかったようなフランスの景色や異なるタイプのフランス人たちと交流することで、自国の魅力の幅の広さが理解できるようになる。
幼いころからバカンスのたびに出会ういろんな人達や地域がすべてフランスという国なんだという意識を持つようになった。面白いことに、フランス人は3週間という長いバカンスでも海外旅行に行くよりかはフランス国内で過ごす方が圧倒的に多いんだよね。
くみ:そう、私もそこは気づいてた。国内外含めてフランス人は、バカンス中はほぼ必ずどこかへ行くから、旅行慣れしてる。それも毎年数回バカンスで出かけるから、あちこち行ったり、友人と情報交換して、評判のいいところを新たに開拓するのも頻繁に気軽にできるよね。見聞も視野も広がるし、逆にいえば自分のいつもいる場所を客観的に見ることもできるしね。