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四季祭市場_曽於すえよし190729

Corée du Sud et Japon, des tensions exacerbées
Vendredi 2 août, Tokyo et Séoul ont pris des mesures de rétorsion commerciales réciproques, se retirant l’un et l’autre de leurs listes de pays de confiance.
Les relations entre les deux pays se sont dégradées depuis près d’un mois.

C’est le dernier épisode d’une série de provocations qui dure depuis près d’un mois. Vendredi 2 août, le Japon a décidé de rayer la Corée du Sud de sa liste des États bénéficiant d’un traitement de faveur. La Corée du Sud a aussitôt répliqué et… retiré le Japon de sa ≪ liste blanche ≫ d’États avec lesquels commercer. Œil pour œil, dent pour dent.
Ce qu’a fait Tokyo ≪ sape fondamentalement la relation de confiance et de coopération que les deux pays ont établie ≫, s’est indigné le ministre sud-coréen des Finances, Hong Nam-ki. Ce n’est pourtant pas le premier affront fait à Séoul. Les menues bravades se sont multipliées.
Les relations entre les deux pays sont en dent de scie depuis que la Corée du Sud est devenue une démocratie dans les années 1980 ≫, ne s’étonne pas Karoline Postel-Vinay, directrice de recherche au CERI-Sciences Po, spécialiste du Japon et des relations internationales. Elles se sont toutefois fortement dégradées cet été.
Une escalade des tensions
À l’origine de ce regain de tensions : la restriction des exportations de matériaux de technologie de pointe du Japon vers la Corée du Sud, début juillet. Plus grave, la mort d’une sexagénaire qui s’est immolée le 19 juillet devant l’ambassade du Japon à Séoul, qui a cristallisé les tensions.
Mais sur le plan diplomatique, le survol d’un avion russe des îles Dokdo, le 23 juillet, a sans doute été l’élément déclencheur des hostilités. Disputés par les Coréens et les Japonais, ces deux cailloux sont situés à égale distance des deux côtes. Leur statut demeure irrésolu. La réponse de la Russie aux accusations coréennes de violation de son espace aérien n’a sûrement rien arrangé. Pour se justifier, le ministère russe de la Défense a ainsi parlé de ≪ vol planifié au-dessus des eaux neutres de la mer du Japon ≫.
Levée de boucliers des deux côtés. Chacun a rappelé sa souveraineté sur ces îles. Séoul a, dans la foulée, demandé à Tokyo de les retirer d’une carte présentant le parcours de la flamme pour les jeux Olympiques de 2020… qui lui a opposé une fin de non-recevoir.
Une querelle vieille de plus de 60 ans
C’est que la querelle puise sa source plus profondément dans l’histoire tumultueuse des deux pays, et n’est pas près de s’essouffler. ≪ Les pommes de discorde, à chaque fois, tournent autour du traitement de l’histoire et de la mémoire de la Seconde Guerre mondiale ≫, souligne Karoline Postel-Vinay. La Corée du Sud, colonisée par les Japonais pendant la Grande Guerre, continue d’agiter le spectre de leurs exactions, 65 ans après la signature du traité nippo-coréen de normalisation de leurs relations.
Les dernières représailles commerciales font en effet suite à la demande des tribunaux sud-coréens aux entreprises japonaises de dédommager les travailleurs forcés de la guerre. ≪ Cette histoire est très instrumentalisée ≫, regrette la spécialiste. Le président sud-coréen Moon Jae-in flatte ≪ son électorat de gauche antiaméricain, et par ricochet anti-japonais ≫, explique-t-elle, tandis que de l’autre côté de la mer le premier ministre japonais Shinzo Abe flatte ≪ son électorat nationaliste ≫ en résistant aux assauts de l’étranger.
Rivaux régionaux, le Japon et la Corée du Sud doivent cependant jouer avec un allié commun : les États-Unis. ≪ La question maintenant est de savoir comment les États-Unis vont se positionner ≫, conclu Karoline Postel-Vinay.
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「毒婦」和歌山カレー事件20年目の真実
田中 ひかる
ビジネス社
2018-07-02


シリウス 緻密かつ大胆な反論
保険金詐欺までシロだとは思わない。だが、保険金詐欺とカレー事件は分けて考えるべきだ。そして、眞須美と次女はしばしば間違えられる程似ていたというが、ある目撃証言では、目撃されたのは「次女」に似た人(次女の方の髪型)なのだ。(もちろん、これだけで次女を疑うというものではない)
著者は49頁のように、事件当時の新聞記事から17年後のシンポジウム発言に飛ぶなど、緻密かつ大胆に反論を展開していく。50頁「 青酸化合物はタバコを吸ってもこのくらいにはなるという濃度」で、しかも、当初は食中毒だった仮説からの訂正、更にその青酸化合物説もフェイドアウトしつつ、林家が所持していたヒ素説へとスライドする。読後、私などは、「どうせ中途半端にカレー鍋の過熱・放置を繰り返して、食中毒菌が繁殖したんじゃないの?」と思いたくなった。それほど色々な常識が揺らぐインパクトがあった。102頁では、知人が眞須美の料理が「変な味」がしたと文春に語ったという内容に対して「ちなみにヒ素は無味無臭である」と冷静に片づけている。その冷静さが当時のマスコミに有ったら、記事の書き方も大分変わってきただろう。
また、特に64頁のカレー作りに眞須美が不参加だったため主婦らとギクシャクしていた件、39頁の住民同士の密告合戦の件、68頁のその辺の中卒が調子こいて取材応対を繰り返した後で消えた件などから、田舎特有の閉鎖的な人間関係の陰湿さがよく伝わってくる。
212頁あとがきには「眞須美が日本中から嫌われ、徹底的に叩かれ、刑事や検事たちからも憎まれた最大の理由は、彼女の言動が「女らしさの規範」から大きく外れていたからだ」とあり、河野、村木とは異なり、日ごろの行いが悪すぎたと結論付けている。(もちろんそれはおかしいとも言っているがやや残念だ)作者はあくまで客観的事実を積み上げて、結論は読者に委ねようとしているのだろう。一気読み必至の良い本だ。
カレー作りの場に遅れて現れた際に、カレー作りを手伝わなかったことをカレー当番の主婦達になじられ、だったら林家は祭りなんか出んでええ、と一家で不参加にしたのではないだろうか?その結果、林家だけが被害者ゼロ、働かずに暮らしている他所者、ということで恨みのターゲットになってしまったとは、考えられないか。または、次女がやったかやってないかに関わらず(目撃証言の事を聞かされてピンときて)次女を庇ったか。

望月衣塑子 @ISOKO_MOCHIZUKI
#あいちトリエンナーレ2019の #表現の不自由展 の中止が発表された。 脅迫電話やファクス、#河村市長 や #菅義偉 氏らの発言による政治的圧力があった末の決断。 #表現の自由が脅かさている状況に心底、怒りを覚える。「展示は続けられるべき」とのペンクラブの声明に賛同する http://japanpen.or.jp/statement0803/

なぜかWindowsUpdateがすごく時間がかかります.20時過ぎから初めて23時ころになっても終わりません.明日このPC使うのに.仕方ないのでubuntuで対応できるようちょっと頑張ってみました.どうかな?
あいちトリエンナーレが中止になったの残念です.不当な圧力許し難いです.

復興を後押し 大規模芸術祭開幕
東日本大震災からの被災地の復興を後押しする大規模な芸術祭、「リボーン・アート・フェスティバル」が3日、石巻市で開幕し、初日から多くの人でにぎわいました。
「リボーン・アート・フェスティバル」は、被災地の復興支援などを目的に、震災で大きな被害を受けた石巻市中心部と牡鹿半島を舞台にアートと音楽、それに食を楽しむ大規模な芸術祭です。
3日は、石巻市役所でオープニングセレモニーが開かれ、実行委員長を務める音楽プロデューサーの小林武史さんや石巻市の亀山市長などがテープカットをして、開幕を祝いました。
2回目となることしのフェスティバルでは「いのちのてざわり」をテーマに、石巻市内の7つのエリアの自然と60組以上のアーティストの作品との調和を楽しむことができます。
初日は、牡鹿半島に展示されている白い鹿の彫刻の作品に多くの人が訪れ、写真を撮るなどして楽しんでいました。
栃木県から訪れた30代の女性は、「鹿の凛とした姿が素敵です。前回も来ましたが、景色が変わっていて、復興が進んでることや活気が戻りつつあると感じました」と話していました。
「リボーン・アート・フェスティバル」は、来月29日まで58日間の日程で行われます。


河北抄
 「貞山堀より愛をこめて」のタイトルに引かれて、仙台市の地下鉄東西線荒井駅にある「せんだい3.11メモリアル交流館」を訪ねた。
 仙台の海浜を南北に貫く貞山堀は、藩制期から明治期にかけて造られた。日本で最も長い運河で知られる。企画展では、大きな壁面マップや海沿いの暮らしを伝える動画などを楽しめる。
 副題は「震災から8年後のふるさと」。かつての風景を取り戻そうとする人々をインタビュー映像で紹介している。震災遺構・荒浜小スタッフの高山智行さん(36)は昨年8月、荒浜の風物詩だった夜の灯籠流しを仲間とよみがえらせた。
 「ここを離れた住民が懐かしんで帰ってきてくれるのではないか。長く続いた風習を途切れさせるのは惜しい。その思いをすくい取りたかった」。語り口は静かでも、熱い気持ちが伝わる。
 その復活の夜、予想を上回る200個の灯籠が集まり、光の列が水面(みなも)を照らした。昔のにぎわい復活を待っている人は少なくない。ことしも17日の夜に荒浜・深沼橋で行われる。


宮城・石巻市で芸術祭 リボーンアート開幕
 芸術や音楽で復興を支援する大規模なイベント、リボーンアート・フェスティバルが宮城・石巻市で開幕しました。
 リボーンアート・フェスティバルは、音楽プロデューサーの小林武史さんが中心となって行なう大規模な芸術祭です。
 石巻市の牡鹿半島を中心に、水玉模様が印象的な世界的芸術家、草間彌生さんら68組のアーティストが作品を展示します。
 おととし以来2度目の開催となるリボーンアート・フェスティバル。
 来月29日までの58日間にわたり、アート、食、音楽で被災地の復興を後押します。


<東日本大震災>仙台市荒浜の震災遺構「住宅基礎」群公開
 東日本大震災の津波で流失し、住宅の基礎だけが残る仙台市若林区荒浜の震災遺構「仙台市荒浜地区住宅基礎」の一般公開が2日、始まった。現地で公開記念式典があり、参加者は津波の脅威を再確認し、震災前の暮らしに思いをはせた。
 公開されたのは深沼海岸西側で、鎮魂のモニュメント「荒浜記憶の鐘」に隣接する5000平方メートル。住宅6戸の基礎などが残り、津波による浸食で生じた大きなくぼみが3カ所にある。
 津波の威力を実感しやすいよう、住宅基礎にはほとんど手を加えず、被害のありのままを公開する。震災前の荒浜の暮らし、被災後の状況、津波のメカニズムなどを写真と証言で伝える説明板7枚を設置した。
 郡和子市長は記念式典で「この場に立って『震災とは何だったのか』と心に刻むような場所になることを願っている」と語った。
 荒浜の元住民も式典に参加した。青葉区の主婦佐藤玉枝さん(62)は、2017年に他界した父親の遺影を抱え、震災遺構となったわが家の跡を見つめた。
 「建設会社を営む父が建てた家。津波に襲われても基礎や風呂場の一部が残ったのは、父がきちんと仕事をした証し」と佐藤さん。「荒浜の住民はばらばらになったが、震災前はにぎやかな場所だったことを忘れないでほしい」と願った。
 見学は自由で入場無料。駐車場は9月までに完成する。スタッフは常駐しないが、震災遺構「荒浜小」に連絡すれば市嘱託職員が住宅基礎群を案内する。


<東日本大震災>いわき市、ハワイアンズで新人「フラガール」が舞台デビュー
 東日本大震災で被災し、一時休業したいわき市の温泉施設スパリゾートハワイアンズで1日夜、ダンスチーム「フラガール」の新人6人が舞台デビューを果たした。
 6人は福島県大熊町出身の斎藤遥さん(18)、いわき市出身の鈴木亜怜さん(19)ら。先輩ダンサーと共にフラやタヒチアンダンスなどで軽やかにステップを踏んだ。
 客席では家族や友人らが見守り、公演後は抱き合うなどして祝福した。同市出身の新妻愛海さん(18)は「緊張したが、踊りだすと楽しくなった。笑顔と夢を届けられる魅力的なダンサーになりたい」と話した。
 6人は4月に施設を運営する常磐興産(いわき市)に入社し、養成学校の常磐音楽舞踊学院で練習を重ねてきた。フラガールは計36人になった。


青森ねぶた祭が開幕 夏の宵、熱狂の渦
 津軽の夏を彩る「青森ねぶた祭」が2日、開幕した。勇壮なねぶたとおはやしと共にハネトが一体となって練り歩き、夏の宵を光と音の渦に包んだ。
 午後7時10分、号砲を皮切りに、青森市街地を囲むように並んだ大型ねぶた15台と、子どもねぶたなど13台が一斉に出陣した。太鼓や笛の音と「ラッセラー、ラッセラー」の掛け声が街中に響き渡った。
 「天の岩戸」や「坂上田村麿(さかのうえのたむらまろ)『ねぶた伝説』」など歴史や伝説を題材にしたねぶたが次々と登場。大型ねぶたが近づくと、見物客からも「ラッセラー」の掛け声が上がった。
 さいたま市から夫婦で訪れた荒井康次さん(73)は「テレビで見るのとは迫力が全然違う。おはやしの音が気持ちよい」と笑顔を見せた。
 7日まで。最終日は大型ねぶたの海上運行と花火の打ち上げがフィナーレを飾る。


<東京五輪>宮城スタジアム周辺の渋滞深刻 来場手段の分散が課題
 2020年東京五輪の男女サッカー競技会場となる宮城スタジアム(宮城県利府町)で6月にあった国際親善試合の際、東北地方整備局や宮城県が実施した交通状況調査の結果が2日、まとまった。会場周辺の渋滞は深刻で、本番に向けて来場者の交通手段やシャトルバス乗降駅の分散が課題となりそうだ。
 当日の来場手段を尋ねたところ、シャトルバスが70%、自家用車が29%だった。バスの乗降場所はJR利府駅が39%、JR仙台駅が38%。仙台市地下鉄南北線泉中央駅は23%。特に県外客は仙台駅に集中する傾向が強かった。
 バスは利府駅とスタジアムを結ぶ便の利用が多く、乗車待ちの列が比較的長くなった。同駅のバス転回所が狭く、待機できるバスの台数が限られた。
 利府駅−スタジアム間の県道では、試合開始2時間前から車の流れが悪化。試合終了1時間後には渋滞区間が広がり、2時間後も解消されなかった。送迎に来た自家用車の路上駐車が要因とみられる。
 県などは市地下鉄東西線荒井駅を含むバス利用の分散に向け、料金や案内方法を模索する。スタジアム周辺での自家用車の交通規制も検討する。
 仙台河川国道事務所の奥田秀樹所長は「県外、国外の方もスムーズに利用できるよう、大会組織委員会や交通事業者と調整したい」と話した。
 調査結果は2日、市町村や関係機関の担当者を集めて仙台市で開いた県渋滞対策連絡協議会で説明した。


パワハラ規制/国際基準へ見直しが必要だ
 企業や職場でのパワーハラスメントが絶えない。
 芸人の「闇営業」問題に絡み、吉本興業社長の「全員首だ」との発言は「典型的なパワハラ」と批判が広がった。北海道大では、学長が職員へのパワハラで解任を迫られる事態となっている。
 パワハラをどう規制するのか。先の通常国会で、パワハラ防止策を企業などに義務付ける女性活躍・ハラスメント規制法が成立した。しかし、行為自体を禁止する規定がなく、国際的な水準には程遠い。国はハラスメントを法律で明確に禁止するなど規制を強化するべきだろう。
 6月に開かれた国際労働機関(ILO)の総会では、職場での暴力とハラスメントを全面的に禁止する条約が採択された。ハラスメントを巡る初の国際基準となる。
 日本政府は採択で賛成票を投じながら、条約の批准については消極的だ。国内法の規定が条約の求める基準を満たしていないためである。国内法を国際的な基準に見合うよう見直し、批准に向けて早期に検討する必要がある。
 条約はハラスメントを「身体的、精神的、性的、経済的損害を引き起こす許容できない行為や慣行、その脅威」と幅広く定義。禁止を法律で義務付け、民事上の責任や刑事罰などの制裁を設けるよう求めている。対象の範囲も幅広く、労働者にとどまらず、求職者や実習生、ボランティアなども含む。
 条約は、各国から集まった政労使の代表により、圧倒的多数の賛成で採択された。ハラスメントの被害根絶は国際的な潮流とも言えるが、日本の使用者代表の経団連は投票を棄権した。
 企業側は規制法の成立過程でも警戒心が根強かった。損害賠償の根拠となるパワハラ禁止規定は「業務上の適正な指導との境界があいまい」などの理由で反対。規制法は結局、「ハラスメントを行ってはならない」と理念を示すにとどまった。保護の対象も就職活動中の学生や顧客などは見送られた。
 パワハラは確かに、仕事の指導と区別が不明確な面もある。しかし、だからといって働く人の尊厳や人格を踏みにじるような暴言や行為がまかり通っていいはずがない。
 執拗(しつよう)な叱責(しっせき)や罵倒で精神的に追い詰められ、うつ病や自殺などにつながる事例は後を絶たない。
 全国の労働局に寄せられた「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は年々増え、2018年度は約8万2000件に達した。厚生労働省によると、18年度に仕事が原因でうつ病などの精神疾患になったという労災申請は1820件で、過去最多を更新した。
 深刻な被害を踏まえると、ハラスメント対策の実効性を高めることは急務だろう。規制法の再検討とともに、それぞれの職場でハラスメント根絶の取り組みを強めたい。


時評
 お笑い芸人が反社会的勢力のパーティーに出て多額の現金を受け取っていた問題で、吉本興業の社長と芸人が謝罪に追い込まれた。これまで何度か芸能人と反社会的勢力の癒着が明らかになり、浄化策が立てられた。だが、その対策が不十分だったわけであり、どう克服するか抜本的な検討が必要だ。
 人気お笑い芸人の宮迫博之さんと田村亮さんが2014年、振り込め詐欺グループのパーティーに出て、宮迫さんが報酬100万円、田村さんが50万円受け取っていた。6月、写真週刊誌の報道で発覚し、吉本興業は宮迫さんとの契約を解消し、後に撤回している。
 さらにお笑いコンビの「スリムクラブ」の2人と「2700」の2人も暴力団関係者の会合で営業していたとして無期限謹慎処分になった。
 吉本興業の大崎洋会長は「(会社を)非上場とし、反社会勢力の人たちには出て行ってもらった。関わった役員や先輩も追い出し、この10年やってきたつもり」と釈明。コンプライアンス(法令順守)の冊子も作って多数の所属タレントに年間を通じて説明したが「このざまだ」とし、取り組みに問題があったとの認識を示している。
 「出て行ってもらった」と大崎会長が言及する反社会的勢力と芸能界の関係は昔から強かった。戦後の大スター、美空ひばりが指定暴力団山口組の3代目組長を社長とする「神戸芸能社」に所属していたことは周知の事実である。同社は多くの歌手、俳優の興行権を持っていた。
 1992年、暴力団対策法が施行され、暴力団が資金を得るさまざまな不法行為が規制されると、芸能界も暴力団関係者との関係を断ち切った。
 さらに2011年までに全都道府県で暴力団排除条例が制定され、暴力団への締め付けが一層、厳しくなった。10年に約7万8千人いた暴力団構成員・準構成員が18年には約3万500人に減少している。
 しかし、こうした環境にもかかわらず、11年、吉本興業所属だったタレントの島田紳助さんと暴力団関係者との交際が発覚し、島田さんが芸能界を引退する事態になった。この時、大崎会長(当時社長)は大阪府警に出向き、暴力団対策強化方法を相談している。
 その後、吉本興業はコンプライアンスの強化を模索してきたと説明するが、再び今回の不祥事が起きた。問題の根は深いとみざるを得ない。今度こそ反社会的勢力と絶縁する芸能事務所側の本気度が試されている。


ホワイト国除外/国民感情の対立あおるな
 政府は安全保障上の輸出管理を理由に、優遇措置の対象とする「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。韓国の撤回要請や米国の仲介の申し出を押し切った形だ。
 韓国大統領府は「深い遺憾」を表明した。「不当な措置に断固とした姿勢で対応する」と強調しており、世界貿易機関(WTO)への提訴などの対抗策を打ち出すとみられる。
 現在、日韓関係は元徴用工問題などを巡り「最悪」とされている。さらに関係がこじれ、泥沼化する恐れがある。
 懸念するのは、国民感情の悪化で草の根の交流が冷え込む事態である。対立をあおる動きはどちらも慎まねばならない。
 実際、姉妹都市の交流が各地で中止になっている。小中高校生の訪問事業などで、停滞すれば一般の人々の心の距離までが遠くなる。韓国では日本製品不買の動きも見られ、経済への影響も不安視される状況だ。
 菅義偉官房長官は「相互理解の基盤となる国民間、自治体間の交流は続けていくべき」と述べた。それなら政府が率先して改善策を模索すべきである。
 ホワイト国からの除外は、半導体材料の輸出管理厳格化に続く規制強化策だ。対象は電子部品や工作機械など千品目超に上る。28日以降、企業は契約ごとに経済産業省の許可を得なければ韓国に輸出できなくなる。
 韓国側は「元徴用工問題などでの報復措置」と反発するが、日本は「貿易管理に関する国内運用の見直し」としており、双方の主張はかみ合わない。
 ただ安倍晋三首相自身、7月初めに「徴用工問題などで約束を守れない中、優遇措置は取れない」と語っている。国際社会には歴史問題を巡る対立と映っているのではないか。
 閣議決定後、米国を交えた3カ国の外相がタイで会談した。北朝鮮がミサイル発射を繰り返す中、米国は安全保障上の日韓の亀裂を危惧している。対立の沈静化を促す米国の意向を、日韓は受け入れるべきだろう。
 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権も、日本の責任を一方的に追及する姿勢を改めねばならない。ウィンウィン(相互利益)が外交の鉄則である。このままではどちらも引くに引けなくなる。


韓国を「輸出優遇」除外 負のスパイラルを案じる
 政府は、安全保障上の輸出管理で手続きを優遇する対象国「グループA(ホワイト国)」から、韓国を除外すると閣議決定した。除外は初めてで、極めて異例の対応だ。
 半導体材料など3品目の輸出を先月規制したのに続く第2弾だが、今回は日韓関係を歴史的岐路に立たせるものだ。過去の摩擦とは次元の異なる対立になりかねない。
 理由の一つは、規制対象となりうる品目を大幅に広げたことだ。
 新たに含まれる品目に工作機械がある。代表的なのは、韓国の主力製品の半導体を作る装置だ。材料の規制と二重の打撃になりかねない。
 半導体に次ぐ産業の自動車も、材料の炭素繊維やリチウムイオン電池が対象になりうる。通信機器や電子部品なども含まれ、幅広い業界に悪影響が広がる恐れがある。
歴史的岐路の日韓関係
 これは日韓関係に組み込まれてきた「政経分離」を揺るがす。
 日韓は互いに主要な貿易相手国だ。従来は歴史認識などで政治的関係が悪くなっても、企業の密接な結び付きが一段の悪化を防いできた。
 韓国にとって高成長を遂げた経済は自信の源泉だ。除外はそこを突くだけに反発も強い。既に日本製品の不買運動などが広がっており、反日感情をさらに刺激する恐れがある。
 二つ目は東アジアの安全保障環境を不安定にしかねないことだ。
 輸出優遇対象国からの除外は、安全保障上信頼できず、友好国でないと位置付けたに等しいだろう。
 韓国の康京和(カンギョンファ)外相は、今月下旬が更新期限の日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する可能性に言及した。日韓の連携が支障を来せば、北朝鮮などを利する。
 北朝鮮が短距離弾道ミサイルを相次いで発射したのは日韓の対立と無縁ではないだろう。中国軍機と共同飛行したロシア軍機が島根県・竹島の領空を侵犯したのも、日韓対立に乗じた揺さぶりとの見方がある。
 深刻なのは、日韓両政府が世論を意識してか、互いを批判する負のスパイラルに陥っていることだ。
 米国が「仲介」に乗り出そうとしたが、日米韓の外相会談を待たず、日本は除外を決めてしまった。
 世耕弘成経済産業相は決定後、除外に関する意見公募の結果を公表した。異例の4万件が集まり、95%が賛成だったと紹介し、この結果も踏まえ除外を決めたと明らかにした。
 除外決定後、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は「盗っ人たけだけしい」と口を極めて日本を非難した。以前には安倍晋三首相も韓国を「国と国の約束が守れない」などとなじった。
 世論を冷静に見極めて、政策を決めるのが政府の役割だ。ナショナリズムをあおるような手法は危険だ。
 ここまでこじれたのは、韓国人元徴用工への賠償問題を巡り、日韓双方の対応に問題があったからだ。
共通利益の再確認必要
 韓国は1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みとしてきた。だが昨年の韓国最高裁判決を受け、今年6月に日本に示した案は日本企業に資金拠出を求める内容だった。請求権協定に基づき、日本が要請した仲裁委員任命にも応じていない。日本政府は国際法違反とみている。
 日本政府は元徴用工問題への事実上の対抗措置として輸出規制に踏み切った。世耕経産相は、韓国の対応について、信頼関係が著しく損なわれたと説明していた。
 だからといって無関係な貿易の手続きを持ち出すのは筋が通らない。日本政府は否定するが、国際的には貿易の政治利用と受け止められた。
 必要なのは、日韓両政府が大局的観点から歩み寄ることである。
 日韓が国交を正常化した65年は米ソ冷戦時だった。歴史認識などで溝を抱えながら、同じ西側陣営に属することが求心力となった。
 冷戦が終結し、東アジアの構造も変わった。韓国は、台頭する中国との関係を深めた。領土を巡るナショナリズムも高まった。
 だが、東アジアの秩序維持に果たす日韓の役割の重要性は変わっていない。北朝鮮の非核化には日韓の緊密な連携が必要だ。協力を通じて東アジアの安定を図ることが日韓共通の利益にもなるはずだ。
 歴史認識などの摩擦は簡単には解決しない。大事なのは、摩擦が起きても、経済や民間交流に響かないよう政府が危機管理を行うことだ。
 出口の見えない応酬を繰り返していては外交は成り立たない。日韓の首脳は誠実に向き合うべきだ。


ホワイト国除外 「報復」の悪循環やめよ
 日韓関係が危機的だ。日本政府が、輸出管理上の優遇を適用する国から韓国を除外、韓国が反発しているからだ。「報復」の悪循環はどちらの利益にもならない。感情を抑え、対話を始めるべきだ。
 韓国を「ホワイト国」から除外した決定は、半導体材料の輸出管理強化に続く第二弾となる。
 日本政府は、いずれも元徴用工問題とは無関係で、安全保障上の見直しだと説明しているが、タイミングからして、この問題への対抗措置なのは明白だ。
 日韓間では、影響が広がっている。心配なのは地方自治体や若者による草の根の交流事業が、相次いで中止されていることだ。
 韓国では日本製品の不買運動が拡大。飲料や衣料だけでなく、日本車も対象になっている。日本への観光客も激減しており、両国をつなぐ航空便が次々に停止や縮小に追い込まれている。
 問題の発端は、昨年十月、韓国最高裁が出した元徴用工をめぐる判決だ。しかし、ここまで関係が悪化している現実を、日本政府は認識しているのだろうか。
 混乱の拡大を懸念し、韓国だけではなく米国も見送るよう求めていたのにもかかわらず、除外を強行した責任は重い。
 二日には北朝鮮が飛翔(ひしょう)体を発射した。先月から三回目だ。日韓は安保上の協力を密にしなければならない。ところが安倍政権は韓国側に対し、高圧的な姿勢で元徴用工問題の解決を迫っている。
 かつて安倍政権は、拉致問題解決のためとして北朝鮮に同様の圧力をかけたものの、成果は上がらなかった。その経験も生かしたい。隣国との軋轢(あつれき)は、来年の東京五輪にも悪影響を与えかねない。
 一方、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく大声を上げている」などと激しい言葉で反発した。愛国心を煽(あお)るような発言は、事態をさらに悪化させるだけだ。
 韓国では、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を求める声もあるが、これ以上問題を拡大するのは賢明ではない。
 みかねた米国が、対立の一時棚上げの仲裁案を提示したという。もう日韓両国による事態収拾は無理だろう。仲裁を受け入れ、歩み寄るべきだ。
 日韓は、過去を乗り越える努力を続け、両国で年間約一千万人が往来する関係を築いた。
 今のような対立が長引けば、国民の心に大きな傷を残す。関係回復も難しくなるに違いない。


ホワイト国除外  冷静に議論の糸口探れ
 日韓の対立が、いよいよ抜き差しならない状況に陥った。
 政府は、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国」から韓国を除外すると決めた。
 これに対し韓国側は「無謀な決定」と強く反発、日本の輸出規制について世界貿易機関(WTO)に提訴する準備を加速させるなど対抗策をとる考えを表明した。
 元徴用工などを巡る問題に端を発した両国の対立は、通商面での協力関係を揺るがすまでに発展した。極めて憂慮すべき事態だ。
 こじれた関係を修復するのは簡単ではない。だが、両国の経済は相互依存しており、対立が長引けば双方にとって打撃は大きい。
 冷静に、議論の糸口を見つけ出す必要がある。そのことを両国政府に改めて求めたい。
 世耕弘成経済産業相は「禁輸措置ではなく、日本企業に悪影響が出ることはない」と強調した。
 だが、先に実施した半導体材料3品目の輸出規制強化では、輸出遅延などの影響が出始めている。
 日韓は部品の調達・供給網で強く結びついており、業績悪化を懸念する企業も少なくない。
 通商面ばかりではない。韓国は今月下旬に更新の判断期限を迎える日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄も示唆する。
 日韓周辺では、北朝鮮が再びミサイルを発射して挑発を強めているほか、中国とロシアが日本海で初の合同パトロールを行うなど新たな緊張が高まっている。
 対立が東アジアの安全保障にまで拡大すれば、北朝鮮の非核化を目指す日米韓の足並みを乱すことになる。2日の日米韓外相会談で米側が対立緩和を働きかけたのも、こうした危機感の表れだろう。
 米国の同盟国同士のにらみ合いが地域の安定を損ないかねないことを、両国は認識してほしい。
 日韓がともに引けなくなっている背景には、国内世論がある。
 優遇対象国除外のパブリックコメント(意見公募)には約4万件もの意見が寄せられ、95%超が「おおむね賛成」だったという。
 韓国では日本商品の不買運動の動きが拡大し、市民団体の抗議集会が続く。日本を批判する文在寅(ムンジェイン)大統領の支持率が上がっている。
 両政府の強硬姿勢にそれぞれの国内の支持が根強いことが、双方の選択肢を狭めているようだ。
 日韓の自治体交流事業では停止などが相次いでいる。だが、民間交流は本来、政府間の対立とは別物のはずだ。柔軟に対応する知恵を双方に求めたい。


岐路の日韓関係 「生身の交流」こそ重要だ
 本紙の韓国・ソウル支局で週1回開かれていた集まりがある。仕事や学業で現地に住む日本人と、日本に関心がある韓国人による語学サークルである。
 会の名は「あいまい会」と言った。韓国語があいまいな日本人と、日本語があいまいな韓国人が、相手の母国語を学び合うことから命名された。
 韓国語でもあいまいは「曖昧」である。読みは「エメ」だ。韓国語の大半は漢字語由来で、両国で違う発音をしているだけだと知る。参加者は互いにまず驚き、親近感を覚える。
 会は、日流と呼ばれる日本ブームが韓国で起きていた2007年に生まれた。数年間で参加した老若男女は50人を下らない。生身の「隣人」を知る場である。
友好の旗を降ろすな
 いわゆる元徴用工問題に端を発した日韓両政府の対立が、昨秋以降深刻化している。
 飛び火して、自治体や民間の交流行事も双方で中止や延期が発表されている。残念でならない。
 第一に、責めがまず文在寅(ムンジェイン)政権にあることは明らかである。
 元徴用工に対する日本企業の賠償問題を巡り、日韓請求権協定で定めた協議に今も応じていない。朴槿恵(パククネ)前政権の時に両国政府で設立し、国内外で高い評価を得た慰安婦財団も一方的に解散した。肝心の元慰安婦への支援も滞っているという。多くの日本人は文政権への不信感を強めている。
 文大統領と同じ「共に民主党」に属する釜山市の呉巨敦(オゴドン)市長は、市主管の日韓交流事業を再検討すると発表した。撤回すべきである。政府間とは別に、市民レベルで相互理解を深めるのが都市提携の趣旨であろう。釜山市と姉妹交流する福岡市や長崎県は動じることなく、友好の旗を掲げてほしい。
 第二に、安倍晋三政権の対応に判断ミスはないのか。検証し、対立からの適切な出口を示すべきである。
 政府はきのう、安全保障上の管理を理由に、軍事転用の恐れがある物品の輸出で優遇措置を取る対象国から、韓国を除外する政令改正を閣議決定した。
 輸出を巡る一連の措置に対し、文政権の対日姿勢に批判的だった韓国紙も「急所を突かれた」と表現するなど、韓国内で一気に対日強硬論が噴き出している。「急所」と呼ぶのは、日本が輸出手続きを厳格にするほど、韓国経済のダメージが深まるからだ。
 韓国世論を「反日一色」に染めてしまえば、後戻りは容易ではない。釜山では既に、日本総領事館の庭先に走り込んで抗議した大学生が逮捕されるなど公館を狙った事件が起きている。
「異文化を知る」とは
 そもそも国家レベルでの外交や経済活動は何のためにあるのか。多くの人々が往来し、異文化を知り、海を越えた地域の平和と安定をつくり出すためではないか。
 異文化を知るとは、相手を100パーセント理解することでは必ずしもないだろう。理解できないこともあると理解することも国際交流である。そのためには、生身の人間の交流が不可欠である。
 冒頭で触れた「あいまい会」は一時、中断した。約束の重さを巡る双方の捉え方の違いから運営が難しくなったからだ。その後、互いに冷静に考えたという。分かり合えない習慣や文化があるからこその交流ではないか、と。
 似て非なるものの象徴は、日本人の氏名の氏に当たる、「金(キム)」や「崔(チェ)」など韓国の本貫(ほんがん)である。一族発祥の地名を表し、それ故、韓国人は日本人以上に祖先や血族を深く敬う。そうした違いがある。
 同じ箸でも長さも置き方も違う。食事の作法も大きく違う。韓国では自分の意見を主張しない人は尊敬されにくい。黙っていれば賛同したとみなされがちだ。日韓の歴史で思い当たる節はないか。
 両国は地政学や安全保障の観点からも切り離せない関係にある。
 かつて関係を大きく前進させたのは、金大中(キムデジュン)大統領と小渕恵三首相による日韓パートナーシップ宣言(1998年)だった。金氏は日本統治時代を「屈辱だった」と断じた。一方で日本人に学んだものの多さから、小説など日本の大衆文化輸入を解禁した。2004年には日本で韓流ブームが、次には韓国で日流ブームが起きた。
 「あいまい会」もそんな時に生まれた。お互いによく理解できないことがあると知った上で、あえてあいまいにしておくことも国際交流の知恵であろう。
 日韓関係は何度目かの大きな岐路にさしかかっている。より望ましい道を選ぶ努力を重ねたい。


韓国ホワイト国除外 対抗措置ではなく対話を
 日韓両国の関係を一層悪化させる政府の決定に、重大な懸念を抱かざるを得ない。
 安全保障上の輸出管理で優遇措置を受ける「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正が閣議決定されたのである。半導体材料の輸出管理の厳格化に続く規制強化措置だ。
 これまで、軍事転用できる物資や技術を韓国に輸出する際、手続きの簡素化などの優遇措置が取られていた。ホワイト国から除外されると、輸出に際し、多くの品目で、軍事転用の恐れがあると判断された場合に国の許可を受ける必要がある。
 政府は「韓国当局とは貿易管理に必要な意見交換ができない状態で、信頼関係が損なわれた」と強調する。政府は否定するが、日本企業が賠償を命じられた元徴用工問題への対抗措置にしか映らない。
 強硬な姿勢を示すことで韓国の譲歩を引き出す狙いがあるのだとすれば、見込み違いだ。文在寅大統領は「外交的努力を拒否し、事態をさらに悪化させる非常に無謀な決定」と非難し、対抗措置を取る考えを表明した。
 両国関係が悪化した影響は既に民間交流にまで及んでいる。8月6〜10日に豊見城市で予定されていた「日韓小学生ハンドボール親善交流大会」も韓国側の意向で中止になった。全国で草の根交流の中止が相次いでいる。
 半導体などの製造に必要な材料3品目の韓国向け輸出規制を強化してから、日本への反感が急速に強まっているという。国民一人一人の生活に影響しかねない事態になったからだ。政府の対応が問題を一層こじらせたと言えよう。
 河野太郎外相は元徴用工訴訟問題を巡って駐日韓国大使を外務省に呼んで抗議した際、「極めて無礼だ」と不快感を示した。外相こそ礼を欠いている。外交の責任者が感情的になっては、解決などおぼつかない。
 1965年の日韓請求権協定は、日本の韓国に対する経済協力として、当時のレートで約1080億円に当たる3億ドルを無償供与し、別に2億ドルの長期低利貸付を行うことを定めた。日韓両国とその国民の間の財産、権利、利益、請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決された」と確認されている。
 協定の解釈などに関する紛争は外交で解決し、解決しない場合は仲裁委員会の決定に服する取り決めだ。
 日本政府は協定によって解決済みとの立場である。そうであれば、協定に従い、正攻法で折衝を重ねるのが筋だろう。直接関わりのない貿易問題を絡めるべきではない。
 隣国同士の対立は双方にとって何のプラスにもならない。反目の先に待っているのは不幸な未来である。これまで民間レベルで積み重ねてきた交流の歴史にもくさびを打ち込みかねない。両国政府は冷静に対話の道を探ってほしい。対抗措置の応酬は憎悪を拡大させるだけだ。


[「ホワイト国」除外 ]展望なき泥沼化を危惧
 日韓関係が泥沼化に陥っている。これまでとは全く異なる次元の対立関係に入ってしまったというほかない。
 安倍晋三首相は2日、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取っている「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。半導体材料の輸出管理の厳格化に続く規制強化で、28日に施行する。
 これに対し、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は臨時閣議を開き「非常に無謀な決定だ」と日本を強く非難し、撤回を要求した。日本を世界貿易機関(WTO)に提訴する準備を加速させると発表した。さらに韓国政府は対抗措置として韓国も日本をホワイト国から除外すると表明した。
 韓国政府は、除外で電子部品や工作機械など「千品目以上」に急拡大すると分析。半導体に次ぐ主要産業の石油化学製品や自動車も打撃を受けると危機感を募らせる。
 日本政府は、表向き元徴用工訴訟問題を巡る対抗措置ではないとしているが、元徴用工訴訟の政治的背景があると発言したことがある。
 政治に通商カードを持ち出して韓国に対応を迫ることが適切な方法なのだろうか。展望なきまま、韓国をホワイト国から除外することは回避すべきだったのではないか。
 1998年10月、訪日した金大中(キムデジュン)大統領と小渕恵三首相が署名した「日韓パートナーシップ宣言」を思い起こしたい。金氏は国会で演説し、日本は平和主義を守ってきたと評価。日本には過去を直視すること、韓国には戦後大きく変わった日本の姿を評価し、ともに未来に向けて歩もうと呼び掛けたのである。
    ■    ■
 韓国人元徴用工訴訟で昨年10月、韓国最高裁が日本企業に賠償支払いを命じる判決を出したのが問題の発端だ。
 日本は韓国に政府間協議や、第三国の委員を加える形で仲裁委員会開催を要請したが、韓国は応じなかった。
 事態の沈静化に動かず、放置してきた韓国側の責任は問われなければならない。
 日本の規制強化に対し、韓国国会では与野党超党派で日本に向き合っている。日本製品の不買運動が広がり、日本への旅行が自粛される。自治体や民間の交流事業も相次いで中止されるなど政府と歩調を合わせている。
 北朝鮮が7月下旬から1週間余りで3度も短距離弾道弾とみられるミサイルを発射している。影響が安全保障にも及べば、日韓ばかりか、日米韓の関係が根本から揺らぐことになりかねない。
    ■    ■
 懸念されるのは、日韓双方が、「嫌韓」「反日」の国内世論を意識して強硬姿勢をエスカレート。政権浮揚につなげようとしているように見えることだ。
 安倍首相は参院選の最中から保守層の支持固めをする言動をしていた。文政権は支持率が低迷していたが、ここに来て2週連続で5割を超えている。8月15日は日本統治から解放された「光復節」である。双方のナショナリズムが高まれば、事態を悪化させるばかりだ。
 もつれた糸を解きほぐすのが外交である。日韓双方に理性的な対応を求めたい。


[韓国優遇除外] 「出口」は見えているか
 政府は安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正の閣議決定に踏み切った。半導体材料の輸出管理の厳格化に続く規制強化の第2弾となり、28日に施行される。
 除外理由として政府は半導体材料3品目の時と同様、韓国の輸出管理に対する「信頼失墜」を挙げている。だが、背景には元徴用工問題などで強硬姿勢を変えない文在寅(ムンジェイン)大統領には期待できないとの不信感があるとみられる。
 長期化している日韓両国の対立は、既に自治体交流事業の中断、日本への旅行自粛など、本来は政治が左右してはならない分野にまで影響が出始めている。安倍晋三首相と文大統領には冷静な観点から「出口」を見いだす早期の判断を求めたい。
 ホワイト国は大量破壊兵器拡散の恐れがない場合に認める通商上の制度で、27カ国ある。韓国は2004年にアジアで唯一指定された。除外されれば日本から韓国に輸出する際、食品や木材を除く多くの品目で許可を取る必要が出て、相当な手間がかかる。
 今回の政令改正について日本政府は「他のアジア各国や地域と同様の扱いに戻すもので禁輸措置ではない」との立場をとる。国内世論の支持を得ているとの判断もあるのだろう。
 しかし、文大統領はこれを「経済攻撃」と受け止め、「状況悪化の責任は日本政府にある」と強い口調で非難するとともに撤回を要求した。康京和(カンギョンファ)外相は更新期限が近づく日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)への影響を示唆している。
 日韓の関係悪化は昨年秋にさかのぼる。日本が「1965年の日韓請求権協定で解決済み」とする元徴用工問題で日本企業に賠償を命じる韓国最高裁の判決が相次いだほか、慰安婦問題を巡る日韓合意に基づいて設立された財団の解散、自衛隊機への火器管制レーダー照射などが続いた。
 こうした中、元徴用工問題で仲裁委員会の開催を求めるといった解決の道を探った日本に対し、韓国は回答しないなど冷ややかな対応に終始した。強硬姿勢で支持率が上がった文大統領は来春の総選挙をにらみ、早くも「反日カード」を切ったように映る。
 だが、北朝鮮のミサイル・核問題は依然見通しが立たない。先日は中国とロシアの戦闘機が「初の合同パトロール」として日本海や東シナ海の公海上空を飛行するなど北東アジアの安全保障環境は予断を許さず、日韓が対立を長期化させていられる状況にはないのが実情である。
 今後は仲介に意欲を示している米国を交えた現実的な論議が求められるだろう。両首脳は北東アジアの危機管理の責任を改めて認識し、解決の着地点を探らなければならない。


対韓国輸出規制◆摩擦解きほぐす対話必要だ◆
 日本政府が輸出管理で優遇措置を与える「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。これを受け、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は「状況悪化の責任は日本政府にある」などと強い口調で反発した。
 元徴用工訴訟で韓国最高裁が昨年10月、日本企業に賠償支払いを命じる確定判決を出して以降、日韓政府間の議論はかみ合わないまま、時間だけを浪費してしまった。
 事態収拾のために日本が要請した政府間協議について「司法の判断を尊重する」と具体的な対応を先送りしてきた韓国の姿勢が問題の根底にあるのは明らかだ。だが、韓国に対応を迫る手段として、日本が通商カードを持ち出すことに効果があるとも言い切れない。それは半導体材料の対韓輸出手続きの厳格化を実施してからこの約1カ月の動きを見ても明白だ。
 韓国社会では日本製品の不買運動など、これまでにない対抗の動きが広がっている。このような険悪な流れを沈静化させる構えを両国政府が見せないまま決定された「ホワイト国」除外方針は、文字通り「火に油を注ぐ」結果を招きつつある。
 日本は通商分野での圧力を徹底させれば、韓国は遠からず譲歩してくると予測しているようだが、読み誤る危険性を抱えている。日本統治下の1919年に起きた抵抗運動「三・一運動」から今年で100年の節目を迎えている韓国では、民族意識が高まっている。特に、日本統治からの解放記念日「光復節」を8月15日に控えた時点での「ホワイト国」除外決定は、日本の「暴挙」(韓国メディア)と受け止められている。
 韓国政府は対抗措置の一つとして、韓国も日本を「ホワイト国」から除外すると表明した。65年の国交正常化以来、両国企業人の努力によって積み上げられてきた相互依存の経済環境が損なわれるのは確実だ。
 日韓両政府が全面衝突している現状が長期化、さらに常態化することは、北東アジアの経済圏だけでなく、安全保障環境も不安定にする。
 米国は、新たな措置を取らず時間をかけて交渉する「据え置き協定」の仲裁案の受け入れを日韓両国に働きかけている。対立が深刻化すれば、北東アジアの安全保障を巡る日米韓3カ国の連携に支障が出かねないとの懸念からだ。
 日韓両首脳は、米国だけでなく国際社会からどのような視線が注がれているのかを冷静に考えるべきだ。対話により摩擦を解きほぐす努力が今こそ求められている。関係修復の可能性すら摘み取ってしまうような応酬は、日韓双方の国益を損なう打撃となって跳ね返ってくる。


対韓国輸出規制/冷静に対立解きほぐせ
 日本政府が輸出管理で優遇措置を与える「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。これを受けて、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は「盗っ人たけだけしい」「状況悪化の責任は日本政府にある」などと強い口調で反発した。
 元徴用工訴訟で韓国最高裁が昨年10月、日本企業に賠償支払いを命じる確定判決を出して以降、日韓政府間の議論はかみ合わないまま、時間だけを浪費してしまった。
 事態収拾のために日本が要請した政府間協議について、「司法の判断を尊重する」と対応を先送りしてきた韓国の姿勢が、葛藤の根底にあるのは明らかだ。だが韓国に対応を迫る手段として、日本が通商カードを持ち出すことに効果があるとも言い切れない。
 それは、半導体材料の対韓輸出手続きの厳格化を実施してからこの約1カ月の動きを見ても明白だ。韓国は国会の与野党対立を一時休戦して超党派での対応に乗り出し、韓国社会では日本製品の不買運動や日本旅行自粛、自治体や民間の交流事業を相次いで中止するなど、これまでにない対抗の動きが広がっている。
 このような険悪な流れを沈静化させる構えを両国政府が見せないまま決定された「ホワイト国」除外方針は、文字通り「火に油を注ぐ」結果を招きつつある。対話により摩擦を解きほぐす環境づくりが今こそ求められている。
 日本は通商分野での圧力を徹底させれば、韓国は遠からず譲歩してくると予測しているようだが、読み誤る危険性を抱えている。日本統治下の1919年に起きた抵抗運動「三・一運動」から今年で100年の節目を迎えている韓国では、民族意識が高まっている。
 特に、日本統治からの解放記念日「光復節」を8月15日に控えた時点での「ホワイト国」除外決定は、日本の「暴挙」(韓国メディア)と受け止められている。文大統領は談話で「日本がわれわれの経済を攻撃」しているとの厳しい認識を示したことも、歴史的な意識が背景にあろう。
 韓国政府は対抗措置の一つとして、韓国も日本を「ホワイト国」から除外すると表明した。65年の国交正常化以来、両国企業人の努力によって積み上げられてきた相互依存の経済環境が損なわれるのは確実だ。
 日韓両政府が全面衝突している現状が長期化、さらに常態化することは、北東アジアの経済圏だけでなく、安全保障環境も不安定にする。
 米国は、新たな措置を取らず時間をかけて交渉する「据え置き協定」の仲裁案の受け入れを日韓両国に働き掛けている。対立が深刻化すれば、北東アジアの安全保障を巡る日米韓3カ国の連携に支障が出かねないとの懸念からだ。
 米国は、現在の対決局面が日韓2国間の問題として収拾する一線を越えているとの危機感を抱いているのだろう。
 日韓両首脳は、米国だけでなく国際社会からどのような視線が注がれているのかを冷静に考え、真剣に対立を解きほぐす努力をすべきだ。
 米国の仲裁案も検討する価値がある。関係修復の可能性すら摘み取ってしまうような応酬は、日韓双方の国益を損なう打撃となって跳ね返ってくる。不信と対立が拡大しながら悪循環する状況は避けなければならない。


ホワイト国除外 頭を冷やして仕切り直せ
 米国の仲介も功を奏さなかった。
 安倍晋三政権が、輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国」から韓国を除外することを決めた。
 文在寅(ムンジェイン)政権は「対抗措置を断固として取る」と強く非難。提供し合う機密情報の漏えい防止を目的とする日韓の軍事情報包括保護協定の破棄も示唆する。
 元徴用工訴訟に端を発した対立は、通商から安全保障分野に広がろうとしている。双方の態度からは、確執を和らげようとの気配さえ感じられない。
 日本政府は、貿易管理が適切で兵器拡散の恐れがない国をホワイト国に指定し、輸出手続きの簡略化といった優遇措置を適用している。菅義偉官房長官が言うように除外は「禁輸措置ではない」。
 ただ、経済産業省の判断で日本への依存度が高い品目の輸入が滞れば、韓国の広範囲の業種に影響が及ぶ。康京和(カンギョンファ)外相は先日、河野太郎外相と会談した際、除外中止を要求していた。
 安倍政権は、対韓輸出規制を強化する理由について「韓国の管理制度に不十分な点があることを踏まえた運用の見直しだ」と繰り返す。建前なのは明らかだ。
 「請求権協定で解決済み」とする元徴用工への賠償問題を蒸し返され、協議にも応じない韓国に対する意趣返しだろう。安倍首相はテレビ番組で「国際約束をほごにされたからだ」と、規制強化に動いた本音を漏らしている。
 一丸となって日本に対抗する―との呼びかけのもと、韓国の与野党5党と政府高官、経済団体幹部らが協議会を新設した。自民党幹部が指摘するように、文氏が日本との対立を政権浮揚に利用している感は否めない。
 それは安倍政権にも当てはまる。ホワイト国から韓国を除くことについて意見を公募し、4万件余のうち9割超が政府方針を支持したと公表している。「嫌韓」感情を抱く支持層にアピールする言動が与党内に広がる。
 日米韓の安保協力に波及するのを懸念し、米政府が仲介に乗り出している。一定期間、両国が新たな措置を取らずに交渉を続けるよう呼びかけたという。珍しく日本は受け入れなかった。
 大臣や議員、高官同士が顔を合わせても、主張の応酬だけに終始するなら、しばらく冷却期間を置けばいい。国際社会を振り回すトランプ政権をいさめる立場にある日韓が、逆に説諭されている。いかに不毛な争いをしているか、推して知るべしだ。


かんぽ生命不正 体質の徹底改善が必要だ
 かんぽ生命保険の不正販売問題で、親会社である日本郵政の長門正貢社長らが記者会見し、顧客に不利益になった恐れがある契約が過去5年に18万3千件あったと明らかにした。
 問題発覚後の調査で、既に9万件超あることが判明していたが、一気に倍増した。不正販売件数はさらに増える可能性があり、約3千万件の全保険契約についても顧客の意向に添った契約であるかどうかを調べるという。
 不利益の内容は、保険料の二重徴収や予定利率の低い同じ種類の契約への乗り換え、一時的に無保険状態になるなどがあった。9月中に調査状況を中間報告する。
 日本郵政グループは、全国で2万カ所を超える郵便局のネットワークが強みだ。地域社会のインフラの一つでもある。その信用を逆手にとっての不正の横行はあまりに悪質で、言語道断であろう。
 郵便局やかんぽ生命のコールセンターには問い合わせや苦情が相次いでいる。信頼を裏切られた顧客は不安に違いない。契約した人には高齢者が多いとされる。顧客対応に集中し、徹底的な調査はもちろん、不利益の救済を急ぐことが大切だ。
 中間報告を受けた上で、金融庁はかんぽ生命への立ち入り検査に着手し、業務改善命令を含む処分を検討するという。厳正に対処し、顧客保護やコンプライアンス(法令順守)を軽視するような企業体質を徹底的に改善しなければならない。
 不正がまん延した背景に、保険を販売する郵便局員への厳しいノルマがあったことが分かっている。目標額が設定され、給与にも手当として反映される仕組みだった。成績が悪いと研修などでどう喝されることもあったという。
 今年度の営業目標は廃止するというが、実効性に疑問の声もある。もともと収益力の低い郵便事業を行う日本郵便は、生命保険の委託販売などで受け取る手数料収入に依存している。再発防止には、収益構造と営業態勢の抜本的な見直しが欠かせない。
 経営幹部はその責任の重大さを、もっと自覚する必要があるのではないか。会見で長門氏は「陣頭指揮を執ってまい進する」と幹部らの引責辞任を否定した。
 だが一連の問題で「法令違反はない」と当初は強気の姿勢を示すなど、認識がいかにも甘過ぎる。これほどの事態を招きながら、現場に責任を押しつけて自らの経営責任を棚上げするような態度では、失墜した郵政事業への信頼を取り戻すことは難しかろう。
 4月にかんぽ生命の株式の一部を日本郵政が売り出した際、グループの経営陣が問題を把握していたとの疑念も出ている。これに対し、個別事案としての認識はあったが重大との認識はなかったと否定している。グループでの状況判断の遅れや情報開示姿勢の問題なども検証したい。


最低賃金  地域格差の解消が急務
 賃金の地域間格差の拡大は見過ごせない。
 2019年度の地域別最低賃金(時給)の目安が全国平均で27円引き上げられ、901円となることが国の審議会で決まった。
 京都府は882円から909円、滋賀県は839円から866円にそれぞれ引き上げられる。
 「骨太の方針」に「全国平均千円」を目指す方針を明記した安倍晋三政権の意向に加え、人手不足の深刻化や労働側の強い要請もあり、全国平均の時給が初めて900円を超えた。
 とはいえ、平均の上昇は、千円を超えた東京都や神奈川県など大都市部がけん引した結果である。
 901円を上回るのは、実際には7都府県にとどまり、17県は700円台に据え置かれる。東京都と最低額の鹿児島県の差は226円にもなる。
 若い世代の地方から都市への流出に拍車がかかる可能性がある。今後、大幅に増えると予想される外国人労働者も、都市部に集中してしまうのではないか。
 最低賃金は地域の経済情勢に応じて高い順にAからDまでの4ランクで決められる。京都府や滋賀県はBランクだ。
 世界的には、米国やブラジルなど国土が広大な国を除けば最低賃金は全国一律が主流という。参院選では一部の野党が全国一律を主張した。最低賃金の決め方そのものを議論する時期に来ているのではないか。
 また、今回の見直しを踏まえても、生活を支える水準にはほど遠いことを、直視する必要がある。
 最低賃金はすべての労働者に適用されるが、実際には非正規労働者の暮らしに大きく影響する。最低賃金に近い賃金で働いている人が多いためだ。
 時給900円で1日8時間、週5日働いても年収200万円に届かない。働いても貧困という「ワーキングプア」の解消には、時給のさらなる引き上げが不可欠だ。
 もちろん、賃金上昇が経営負担になるという企業にも、具体的な配慮が必要になる。
 最低賃金水準の雇用を抱えている多くは中小零細企業だ。大企業のコストカット分が下請けの中小零細企業に転嫁されるような構造を変える必要がある。
 自治体には、公契約条例で公共工事や物品納入などを請け負う企業に賃金の下限を課しているところもある。こうした例を参考に、社会全体で賃金上昇を促す環境を整備したい。


福島第二原発 大廃炉時代の範となれ
 東京電力福島第二原発の廃炉が正式に決定した。3・11を境に経済的に見合わなくなったこともあり、世はすでに「大廃炉時代」に入っている。出遅れを取り戻し、時代の先頭を走ってもらいたい。
 福島県と県内の全市町村が、県内の全原発を廃炉にするよう求めていた。住民感情に照らしてみれば、当然のことではないか。
 原発事故から八年余。東電は再稼働による収益改善にこだわった。「遅すぎた決断」との批判も、また当然だ。
 廃炉決定の報告を受けた福島県の内堀雅雄知事は、安堵(あんど)の表情を見せたという。だが、本当に大変なのはこれからだ。
 三基がメルトダウン(炉心溶融)を起こした第一原発と合わせて計十基。同時並行の廃炉事業は世界に例がなく、並大抵のことではない。完了までに四十年超とする東電の見込み通りに作業が進む保証はない。危険な作業に携わる人材が、将来にわたって確保できるかどうかも定かでない。
 それ以上にやっかいなのが、廃炉に伴う“ごみ”である。
 まずは使用済み核燃料。福島第二原発の燃料プールには、四基計一万七十六体が保管されている。搬出先は「今後検討」。とりあえずは空冷の金属容器に入れて、地上で厳重管理(乾式貯蔵)するしかない。
 原発敷地内での仮置きだ。
 その上、廃炉解体によって生じる放射性廃棄物の総量は、五万トンを超えるという。どうすれば、福島は心から安堵できるのか。
 核のごみの最終処分場を探し始めてかれこれ二十年。いまだ候補地が見つかる気配はない。
 東電は、もう一つある柏崎刈羽原発の再稼働に前向きだ。しかし、こと原子力に関しては、未曽有の事故の当事者として、ごみ処理を含む廃炉事業に全力を傾注すべきではないか。
 福島の事故以前に表明した三基を含め計二十四基が廃炉を決めた。
 「大廃炉時代」は、とうに始まっていた。
 法律で定められた四十年の寿命が尽きて廃炉に至る原発は、今後も増える。なのに、政府は運転延長や新増設を視野に入れ、原発を「基幹電源」に位置付けたままである。時代遅れというしかない。
 効率的な廃炉技術の開発や最終処分場の選定を政府も全力で後押ししつつ、再生可能エネルギーの普及を加速−。廃炉時代とは、そういう時代なのではないか。


狭山事件<前編>冤罪を訴え続け再審請求中の石川一雄さん
「どうも、どうも、石川です。よろしくお願いします」
 狭山事件で冤罪を訴え続けている石川さんからは、どこか親戚のおじさんのような雰囲気が漂い、何だかほのぼのとした気にさせられた。
 取材者としてこんな予断を持ってはいけないのだろう。だが、私はまだ挨拶を交わしただけで何も言葉を交わしていなかったものの、ほんの数秒の間で、「石川さんという人は殺人事件という血なまぐさい出来事からは、一番遠くにいる人なんじゃないか」という思いを持った。
 ほんわかとした空気は、人を丸め込もうというものではなく、隠し事をしていないから発せられているようにも思えた。
 当時24歳の石川さんが女子高生誘拐殺害事件の犯人として逮捕されたのは、1963(昭和38)年5月23日のことだった。
 事件は5月1日に発生した。狭山市内に暮らしていた女子高生が、午後3時半ごろに目撃されたのを最後に行方不明に。その日の午後7時40分ごろ、少女宅の玄関のガラス戸に脅迫状が挟み込まれているのを家人が発見したことから、警察は事件に巻き込まれたと断定し捜査態勢を敷いた。
 その後、犯人とおぼしき男と被害者家族が、身代金の受け渡しに指定された場所で10分以上にわたって接触するが、40人で張り込んでいた警察は犯人を取り逃がしてしまった。
 この年発生した吉展ちゃん事件(4歳児誘拐)でも犯人に逃げられていた警察の失態は国会でも取り上げられた。
 5月4日に農道に埋められていた女子高生の遺体が発見されると、警察への非難が殺到し、警察庁長官が辞任する事態となって、メンツのために何としても犯人逮捕をしなければならない状況に追い込まれた。これが予断捜査の温床になった可能性はある。
■「警察が早朝に来た時もパンツ一丁で寝ていたんです」
 日本中が騒然となっている中、女子高生の遺体が発見された日、石川さんは友人たちと釣りに出かけていた。
「入間川に3人でフナ釣りに出かけていたんですよ。塩焼きにして食べるとうまいんだ。いっぱい釣れて帰ってきたら、昼の11時ごろかな、女子高生の死体が見つかったって聞いたんだ」
 石川さんは、死体発見現場にも仲間たちと見物に行ったという。ちなみに、犯人とおぼしき人物が被害者家族と接触する6時間ほど前には、入間座という映画館にこまどり姉妹の映画を見に行っていたという。
 女子高生とも面識がなく、事件は他人事であったが、理不尽極まりない捜査の手が裏で伸びはじめていた。
 5月11日、死体発見現場から近い麦畑で一本のスコップが発見された。
 警察はそのスコップは被害者を埋めるために使われたもので、被害者宅からほど近い養豚場のものであると裏付けもなく発表。その養豚場は、狭山市内の被差別部落出身者が経営していた。
 警察は露骨に石川さんが暮らしていた被差別部落へ捜査を集中させるようになる。
「警察が捜査しているなんてまったく気がつかなかった。警察が早朝に来た時もパンツ一丁で寝ていたんですよ。逮捕の容疑も友達の作業着を返さなかった窃盗だったんです。両親にはすぐ帰って来るからって言って家を出たんです。それから32年ですからね」
 見込み捜査によって石川さんが容疑者にされると、主要メディアは人格攻撃をはじめた。“常識外の異常性格”“乱暴者の土工石川”“犯罪の温床四丁目部落”といった具合である。
 警察のずさんな捜査だけでなく、警察発表を垂れ流した主要メディアの報道も石川さんを犯人に仕立て上げた。そこには今も変わらぬ冤罪事件の病巣がある。(ルポライター・八木澤高明)


日本ペンクラブ声明―あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」の展示は続けられるべきである
 制作者が自由に創作し、受け手もまた自由に鑑賞する。同感であれ、反発であれ、創作と鑑賞のあいだに意思を疎通し合う空間がなければ、芸術の意義は失われ、社会の推進力たる自由の気風も萎縮させてしまう。
あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」で展示された「平和の少女像」その他に対し、河村たかし名古屋市長が「(展示の)即刻中止」を求め、菅義偉内閣官房長官らが同展への補助金交付差し止めを示唆するコメントを発している。
 行政の要人によるこうした発言は政治的圧力そのものであり、憲法21条2項が禁じている「検閲」にもつながるものであることは言うまでもない。また、それ以上に、人類誕生以降、人間を人間たらしめ、社会の拡充に寄与してきた芸術の意義に無理解な言動と言わざるを得ない。
 いま行政がやるべきは、作品を通じて創作者と鑑賞者が意思を疎通する機会を確保し、公共の場として育てていくことである。国内外ともに多事多難であればいっそう、短絡的な見方をこえて、多様な価値観を表現できる、あらたな公共性を築いていかなければならない。       
2019年8月3日
一般社団法人日本ペンクラブ
会長 吉岡 忍


「自由の気風 萎縮させる」日本ペンクラブ 少女像展示中止に
愛知県の国際芸術祭で展示されている慰安婦問題を象徴する少女像の展示を中止すると芸術祭の実行委員会が発表したことについて、日本ペンクラブは3日、ホームページで、自由の気風を萎縮させるなどとする声明を発表しました。
声明では「制作者が自由に創作し、受け手もまた自由に鑑賞する。同感であれ、反発であれ、創作と鑑賞のあいだに意思を疎通し合う空間がなければ、芸術の意義は失われ社会の推進力たる自由の気風も萎縮させてしまう」としています。
この展示をめぐっては名古屋市の河村市長が「日本国民の心を踏みにじるものだ」などとして展示の中止を求めたほか、菅官房長官が2日、補助金を交付するかどうか慎重に検討する考えを示しています。
こうした動きについて声明は「行政の要人によるこうした発言は政治的圧力そのものであり、憲法21条2項が禁じている『検閲』にもつながるものである。いま行政がやるべきは、作品を通じて創作者と鑑賞者が意思を疎通する機会を確保し、公共の場として育てていくことである」と指摘しています。
そのうえで「国内外ともに多事多難であればいっそう、短絡的な見方をこえて、多様な価値観を表現できる、あらたな公共性を築いていかなければならない」としています。


「あいちトリエンナーレ」“慰安婦像展示”への攻撃・圧力は、表現の自由の侵害であり、作品の本質を歪曲するフェイクだ
 津田大介氏が芸術監督を務める「あいちトリエンナーレ2019」が、慰安婦像を展示したなどとして、理不尽なバッシングと圧力を受け、作品の撤去に追い込まれそうになっている。
 圧力を受けているのは、同トリエンナーレの企画の一つである「表現の不自由展・その後」。過去に美術館や展覧会等から撤去されたり、内容の変更を求められた作品を集めた企画で、2015年に東京都のギャラリーで催され盛況を博した「表現の不自由展 消されたものたち」を発展させたものだ。
 そのなかで展示されている戦中日本軍による慰安婦問題を象徴する少女像(彫刻家のキム・ソギョン氏とキム・ウンソン氏による「平和の少女像」)や、昭和天皇に見える肖像を燃やしたような作品(嶋田美子氏による「焼かれるべき絵」)などに、ネトウヨたちが炎上攻撃を展開。案の定、高須クリニックの高須克弥院長が〈この穢らわしい展示物を片付けなかったら名古屋市民やめます。なう〉とか、ネトウヨタレントのフィフィが〈下品なプロパガンダ〉〈私費であっても非難されるであろう展示に税金が投入されているとは〉などとくってかかり、右派政治評論家の加藤清隆氏が〈こんなものは芸術に名を借りた反日活動に過ぎない。芸術監督の津田大介と主催の愛知県知事は万死に値する〉などと恫喝している。
 まあ、こういう連中の狂乱ぶりは予想の範疇だが、もっととんでもないのが、安倍政権周りの極右政治家たちが露骨に圧力を仕掛けていることだ。
 たとえば自民党の和田政宗参院議員は、〈あいちトリエンナーレは文化庁助成事業。しっかりと情報確認を行い、適切な対応を取る〉などとして、文科省・文化庁に問い合わせを行ったと報告。〈文化庁の助成については申請をもとに採択されているが、補助金の交付決定はまだしていない。今回の件は文化庁としてどうするか判断する〉と補助金停止を示唆する投稿をしている。和田議員は1日、YouTubeでの配信で「表現の不自由展・その後」の展示作品についてこう述べた。
「これが表現の自由だと言う人がいれば、じゃあ、エリザベス女王のお写真がそういうことになる展示があったときに、イギリス国民はどう思うのか。またそういう展示があったときに、日本国民としてもこういう展示はマズいだろうということを思うわけであって。皇室・王室に対する敬意というものは、どの国であっても普遍のものであると思っておりますので、特に日本国においてはこのような展示があってはならない。そこに公的な資金が入ったということ、また公的な博物館を借りての展示ということであるならば、私はこれは許容できないと思っておりますので」
 また、日本維新の会代表の松井一郎大阪市長も、一般ユーザーから〈慰安婦像や昭和天皇のお写真を半分焼いたオブジェが並ぶというトンデモイベント〉とのツイートを受けて〈にわかに信じがたい!河村市長に確かめてみよう〉と投稿。河村たかし名古屋市長といえば、慰安婦問題を否定する言動を繰り返すほか「いわゆる南京事件はなかったのではないか」と発言するなど、バリバリの歴史修正主義者だ。松井代表から連絡を受けた河村市長は2日、「表現の不自由展・その後」を視察した後、「平和の少女像」の展示を即刻中止するよう大村秀章・愛知県知事に申し入れると記者団に語った。
 さらに、菅義偉官房長官も2日の会見で、「補助金交付の決定にあたっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したい」と述べて展示物を確認して補助金交付の是非を検討するとし、柴山昌彦文科相も同日、「事業の目的と照らし合わせて確認すべき点が見受けられる」などと牽制した。
雄叫びをあげている政治家連中は戦前の検閲行為を復活させようとする極右
 美術作品に対して「撤去しろ」「万死に値する」とがなり立てるネトウヨ&極右文化人だけでなく、時の権力が一斉に出てきて締め上げにかかる。いったいこいつらは、日本国憲法第21条が「表現の自由」を保障しているということをわかっているのか。
 政治家や行政の長が芸術作品に対して、撤去を求めたり、補助金の拠出停止をチラつかせたりするというのは、まさに、権力による弾圧から個人の表現を守るために作られた憲法21条に違反する“検閲行為”そのものではないか。
 ナチスドイツや戦中日本では、報道だけでなく、芸術作品までが検閲の対象となり、逆に戦争賛美や戦意高揚に利用されてきた。だからこそ、時の権力に左右されないために「表現の自由」が保障されたのである。
 和田議員は「これが表現の自由だと言う人がいれば、じゃあ、エリザベス女王のお写真がそういうことになる展示があったときに、イギリス国民はどう思うのか」などとほざいていたが、英国ではSex Pistolsが女王と国を痛烈に揶揄する「God Save the Queen」を歌ったことがあるし、他の国でも、国家や体制を揶揄する芸術表現は山ほどある。むしろ、王室や権力を批判したり揶揄する芸術文化を認め、保護することこそが、健全な民主主義国家の最低条件といっていい。
 まったくその無教養ぶりと時代錯誤には呆れるが、安倍政権の幹部らも大差ない。ようするに、安倍政権やその周りにいる政治家連中は、国家があらゆる表現を検閲し規制する戦前のような体制に戻したいだけなのである。
 しかも、そのために連中がまたぞろ持ち出してきているのが、「国から補助金をもらっているのだから、こんな作品の展示は許されない」という論理だ。カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督がインタビューで映画に国策を押しつける動きを批判した際にも、『万引き家族』が文化庁の助成金を受けていたとして、地方政治家やネトウヨ文化人、ネオリベ経営者などから一斉に攻撃を受けたし、在日コリアンの家族を描いた『焼肉ドラゴン』(鄭義信監督)にも同様の誹謗中傷がくわえられた。
 しかし、表現の自由は国から補助金をもらっているかどうかとはまったく関係なく保障されるべきものだ。むしろ、作品の政治的なスタンスによって補助金支出の可否を判断することこそ、検閲そのものだ。「国から金をもらっているのだから国の言うことを聞かねばならない」という論理がまかり通れば、表現文化が死滅するのはもちろん、一般の市民生活にも多大な抑圧をもたらす。最終的には「生活保護を受けているんだから政府批判するな」という論理にまで発展するのは目に見えている。
是枝監督、松尾貴史、町山智浩らが語った「補助金もらってるくせに」攻撃への反論
 実際、「補助金をもらっているなら、政府の批判をするな」というこの圧力に対して、是枝監督自身が当時、朝日新聞に掲載されたインタビュー(2018年6月25日付)で、真っ向から反論している。
「芸術への助成を“国の施し”と考える風潮は映画に限ったことじゃない。大学への科研費もそうだし、生活保護世帯への攻撃も同じです。本来、国民の権利のはずですよね」
「補助金をもらって政府を批判するのは真っ当な態度なんだ、という欧州的な価値観を日本にも定着させたい。いま、僕みたいなことをしたら、たたかれることは分かっています。でも、振る舞いとして続けていかないと。公金を入れると公権力に従わねばならない、ということになったら文化は死にますよ」
 また、この是枝監督『万引き家族』が現役市議やネトウヨたちから一斉攻撃を受けた時は、タレントの松尾貴史氏や映画作家の想田和弘氏、映画評論家・町山智浩氏が攻撃を仕掛けた市議に対して、真っ当で鋭い批判を展開した。
〈芸術家に対する補助金とは「政権の都合の良い態度を取るものにのみ支給されるべきだ」という、歪んだ奇妙な考えの市議が、それを隠しもせず自ら拡散する臆面の無さ。安倍氏や林氏のポケットマネーと勘違いしているのか。国民が納めた税金だよ。この人の給料も、市役所ではなく市民が出してやっている〉(松尾貴史氏)
〈ちなみに、政権批判をする人間は政府から助成金を受け取るべきではないという考え方が愚劣かつ全体主義的であることは言うまでもない。政府=公共とは右から左まであらゆる考えや思想に包摂的であるべきで、右だろうが左だろうが基準を満たしメリットがあるなら当然助成金を得られるべき〉(想田和弘氏)
〈政府の助成金受けたら政府を批判すべきじゃないという人はソ連に行ったほうがいいですよ〉(町山智浩氏)
平和の少女像を「反日プロパガンダの慰安婦像」と歪曲して攻撃する右派の愚劣
 しかも、今回の「あいちトリエンナーレ2019」への攻撃、圧力が問題なのは、こうした「芸術作品における表現の自由の侵害」という原則論だけではない。そもそも、攻撃理由が歪曲とヒステリーに満ちたフェイクそのものなのだ。
 その一つが、「平和の少女像」をネトウヨ、政治家連中が「慰安婦像」と呼び「反日プロパガンダ」などと批判していることだ。芸術監督の津田大介氏も、オープニング前にメディアに語っていたが、この像の名前は「平和の少女像」であり、慰安婦像ではない。
 少女像を制作したキム・ソギョン、キム・ウンソン夫妻は、その意図を「週刊金曜日」2016年9月16日号のインタビューで「ハルモニ(おばあさん)たちの苦難の歴史、世界の平和と女性の人権のために闘うハルモニたちの意思まで込めようと思いました」と語っている。ソギョン氏はこう続けている。
「最初は碑石に文字を刻むイメージでしたが、人々と意思疎通することができ、ハルモニたちを癒すことができるような像を提案。二度とこのようなことが起こらないよう誓う少女と私たちが一緒に表現できればと思い、制作しました。(中略)人生の険しさを示す裸足の足は傷つき、踵が少し浮いています。これは置き去りにされた人、故郷に戻っても韓国社会の偏見や差別によって定着できなかった人たちの不安、生きづらい状況をも表現しました」
 制作者が語るように、少女像には、世界平和を願い戦争被害と女性の人権侵害という悲劇を再び起こさないようにという願いが込められている。実際、キム夫妻はベトナム戦争時の韓国軍による民間人虐殺の加害意識を正面から受け止め、その責任と謝罪の意味を込めた「ベトナムのピエタ像」も制作、2017年に韓国の済州江汀村に設置した。少女像が決して「反日のプロパガンダ」などではなく、戦争を憎み、犠牲者を悼み、そして同じ惨禍が起こらないよう、普遍の平和を希求する思いのもとつくられた「美術作品」であることの証明だろう。
 そして、あいちトリエンナーレが「表現の不自由展・その後」でこの少女像を展示したのも、本来の制作意図が無視され「反日プロパガンダ」として排撃されていることへの問題提起だったはずだ。
 ところが、ネトウヨばかりか、政治家までがそんなことをおかまいなしに「反日けしからん」と攻撃しているのだ。
「昭和天皇の肖像が焼かれた作品」に込められた真意もまったく無視
 そしてもうひとつ、いまネトウヨや和田議員らが血眼になって攻撃している「昭和天皇の肖像が焼かれた作品」についても、連中がいかに無茶苦茶なことを言っているかを指摘しておく必要があるだろう。
 そもそも、「昭和天皇の肖像を焼いた」などとして批判されている嶋田美子氏の作品「焼かれるべき絵」は、〈大元帥服〉を着ていることから〈昭和天皇と推定できる〉(「表現の不自由展・その後」公式サイトより)肖像の顔部分などが焼けて判別できないようになっている。批評家のアライ=ヒロユキ氏の解説によると、同作は、大浦信行氏の作品「遠近を抱えて」をめぐる検閲事件を契機に生まれたという(大浦作品は今回の「表現の自由、その後」にも展示されている)。
 大浦氏の「遠近を抱えて」(シリーズ)は昭和天皇をモチーフのひとつとするコラージュ作品だ。1986年、富山県近代美術館での「’86富山の美術」展にあたって、県議会議員らから圧力を受けて図録が非公開にされた。そして富山県は1993年、作品の売却と残った図録の焼却処分を決定。その後も、2009年の沖縄県立博物館・美術館での「アトミックサンシャインの中へin沖縄」展でも館長によって展示が不許可にされている。
 つまり、作家が「表現の自由」を奪われ、その結果、権力が「天皇の肖像」を「燃やし」たという事実が背景にある。その意味において「昭和天皇の肖像を燃やす」というのは、単なる「反天皇制」という言葉に回収できない意味をもつと言える。燃やされたのは「匿名の責任」であり、その主体もまた「匿名の権力」だという解釈もできるだろう。
 いずれにせよ、作品を「不快だ」と感じるのは個人の受け止め方であって、自由だ。だが、それを「万死に値する」と恫喝したり、政治家が「撤去しろ」と圧力をかけるとなると、話はまるきり違う。連中がほざいているのは「不敬罪」そのものであり、そうした戦中の体制を是認することを含意している。
 過去から現在にいたるまで、政治や公権力によって芸術作品や作家たちは弾圧や検閲を受けてきたが、まして、現在の安倍政権下の日本では「政府批判」だけでなく「慰安婦問題」や「原発」「憲法9条」などについてまで、ありとあらゆるものがタブー化されつつあり、炎上攻撃の対象となっている。そのことを想起せずにはいられない。
Chim↑Pomが語った“安倍政権下の検閲” 放射能、福島、慰安婦などがNG
 あらためて強調するが、「表現の不自由展・その後」は、こうした美術作品に対する弾圧や検閲、自主規制について考えるもの、つまり〈自由をめぐる議論の契機を作りたい〉(同展公式サイトより)という思いを持つ企画なのである。作品を出展している現代美術集団のChim↑Pomは、同展公式サイトで〈ある国でのビエンナーレへの出品をキュレーターから打診された際に、主催者の国際交流基金よりNGが出た〉と明かし、このように語っている。
〈スタッフからオフレコとして理由を話してくれたのに、その内容を反映したバージョンとして今回作品を展示しちゃって本当に申し訳ないが、つまりは「安倍政権になってから、海外での事業へのチェックが厳しくなっている。書類としての通達はないが、最近は放射能、福島、慰安婦、朝鮮などのNGワードがあり、それに背くと首相に近い部署の人間から直接クレームがくる。」とのこと。〉
 今回の展示会には、「NGワードをぼかすような編集」を提案されたバージョンの作品を出したという。〈「今は我慢するしかない」との職員の悔しそうな言葉に戦前のような響きを感じた〉とChim↑Pomは言うが、まさにそうした状況が、今回の同展に対するネトウヨの炎上攻撃、和田議員や松井市長、河村市長、そして安倍政権の極右政治による剥き出しの圧力で、あらためて可視化されたわけである。
 もう一度言うが、「表現の自由」とは本来、権力による弾圧から人々を守るための概念だ。極右政治家たちは論外だとしても、作品を「撤去しろ」とがなり立てている一般の人々も、その行為が自分たちの「表現の自由」の首を絞めていることに気がつくべきだろう。
 本サイトが2日夜、「あいちトリエンナーレ」事務局に取材したところ、広報担当者は、クレームや政治的圧力について「現段階でどのように対応するは申し上げられない」とのことだった。芸術監督の津田大介氏は、昨日の会見で「抗議電話が殺到し、対応する職員が精神的に疲弊していること」などを理由に「内容の変更も含めた対処を考えている」とした(朝日新聞デジタルより)。抗議の電話は1日だけで約200件あり、テロ予告や脅迫と取れるものもあったという。
 しかし、だからこそ、こんな愚かな攻撃に決して負けてはいけない。そして、わたしたちもこの事態を前に、ただ沈黙や静観を決め込むのでは連中の思うつぼだ。いまこそ、卑劣なネトウヨや政治家たちの何倍も大きな声をあげて、「表現の不自由展・その後」の背中を強く押していく必要がある。


放送法に“抜け穴”が NHK「受信料支払い拒否」世帯続出必至
 日ごとに存在感が増す「NHKから国民を守る党(N国)」にビビったのか、NHKが先月30日、ホームページに掲載した「警告文」が波紋を広げている。クギを刺したつもりが“火に油”で、NHKの運営の基礎となる放送法の「抜け穴」が露呈。受信料不払い世帯が続出する原因になりそうだ。
 市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表の醍醐聰・東大名誉教授が先月31日、東京・渋谷のNHKを直接訪問。放送センターの一室で広報局幹部らと会い、警告文の中身などについての見解を求めた。
 醍醐名誉教授が問題視したのは、警告文の〈「受信料を支払わなくてもいい」と公然と(人に)言うことは、法律違反を勧めることになります〉との一文だ。
「不払いは違法」と脅迫しているようなものだが、実は受信料について定める放送法にはそんなことは書かれていない。放送法は〈受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない〉と規定しているが、「受信料を払わなくてはならない」という文言はなく、支払いについては義務付けてはいないのだ。
 醍醐名誉教授が「放送法で義務化されていないものを『法律違反』と言うのはおかしい」などと指摘すると、広報局幹部は最終的に押し黙ってしまったという。
 最高裁が2017年12月、契約義務を定める放送法を「合憲」と判断。契約拒否した男性に対し、NHKが契約を強制することを認めたが、「契約締結=受信料支払い」と捉えられてきた“常識”に、思わぬ「抜け穴」があるということだ。
■拒否することでNHKに緊張感を
 N国の立花孝志党首も「契約するけど受信料は払わない」と公言。松井一郎・大阪市長は「NHKが現職国会議員の受信料不払いを認めるなら、市もやめさせてもらう」と話し、吉村洋文・大阪府知事も「府も払いません」と追随していた。NHKが公表する「受信料の推計世帯支払率」(18年度末時点)によると、全国の受信料支払率は81.2%。12年の調査開始以降、徐々に伸びているが、今後は「法律で定められていない」と主張する支払い拒否世帯が続出してもおかしくない。醍醐名誉教授はこう言う。
「戦後、国会で複数回にわたり受信料の義務化を放送法に盛り込む改定案が審議されましたが、結局、成立しませんでした。受信料支払いの義務化は、国家が持つ徴税権に等しい権力をNHKに与えてしまうことになりかねない。当時の国会審議を見ると、議員らがそこに危機感を持っていたことが分かります。受信料支払いは義務ではないという事実が可視化されれば、支払いを拒否する人が増える可能性がある。そもそも、支払い拒否は市民の権利です。それが、政権寄りの報道が多いNHKに緊張感をもたらすことにもなるでしょう」
 NHKは、本当にぶっ壊される可能性が高まってきた。


あの日、池袋で。高齢ドライバーの交通事故が奪ったものを知っていますか。
「娘と孫が戻ってくるならどんなことでもしますよ。でもどうすることもできないし、どうしたらいいかもわかりません」
Saori Ibuki伊吹早織
池袋で今年4月、88歳の男性が運転していた車が暴走した事故で、妻の真菜さんと3歳の長女・莉子さんを亡くした松永さんが、厳罰を求める署名活動を始めた。
8月3日には、事故現場の近くで、松永さん一家が家族でよく訪れていたという南池袋公園で協力を呼びかけた。
朝日新聞などによると、この事故では12人が死傷した。
警視庁は、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)がアクセルとブレーキを踏み間違えたとみて、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで捜査を進めているという。
もしこの罪で有罪になれば、7年以下の懲役や禁錮などが科される。
松永さんは「心情的に、7年は長いとは思えない」と語り、署名を通じて厳罰を求めている。その背景にあるのは、再発防止への願いだ。
「ハンドルを握る時に、大変な罪になってしまうんだと考えていただくために、しかるべき処罰をしっかりと受けていただくことが、次の再発防止につながると私は思いました。再発防止が一番の思いです」
「私は妻と娘という大事な命を同時に失ったので、危険な運転をすると、人の日常とか、生活、命を奪ってしまうんだということを少しでも世の中の方々に考えていただけたらな、と思っています」
松永さんは7月中旬から、ブログを通じて署名への協力を呼びかけ始め、すでに5万筆以上の支援が集まっているという。
この日の街頭活動でも、署名するために立ち寄った人の足が、朝から絶えなかった。
街頭署名活動が行われた公園は、松永さんが家族でピクニックをするためによく訪れた思い出の場所だ。報道陣にこう語った。
「最初はつらくて来れなかったんですけど、僕にとっては大切な思い出の場所で。娘が一番好きだった公園なので、(事故後も)たまにふらふらっときて、やっぱり懐かしさと辛さが込み上げてきて…」
「休日になったらピクニックをして、すると娘が芝生の上を走り回るんですよ。休日はいっぱいピクニックしている方々がいるんですけど、その間を娘が縫って走って…」
「『迷惑かけるからダメだよ』って言うんですけど…ここに来ると走り回っている、その姿が思い浮かびます」
那覇市に暮らす真菜さんの父・上原義教さん(62)も、涙ながらに娘と孫への思いを語った。
数年前に上原さんの妻が他界した際、真菜さんが「いつでもテレビ電話ができるように」と、上原さんの携帯電話をスマートフォンに変えてくれた。
1日おきに電話をし、事故の前日にも、夏の沖縄帰省に向けて莉子さんに新しい水着を買った話などをして笑っていたという。
「莉子は母親そっくりでテレビ電話でも恥ずかしがって…でも3歳になってお話も上手になってきて…。今でも事故が起きたのが夢みたいで、たまにメールを見ては連絡あるかなとか、電話してみようかなとか考えている自分がいます」
「本当にただ悔しくて、悔しくて、事故があった時から休まる日はありません。娘と孫が戻ってくるならどんなことでもしますよ。署名が10万筆、20万筆集まれば帰ってくるというのなら、歩いてでも署名活動したいですよ」
「でもどうすることもできないし、どうしたらいいかもわかりません」
署名は今後、東京地検に提出する予定。郵送でも受け付けている。