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Golf. British Open : Hinako Shibuno a fait le trou après le 3e tour
Seulement âgée de 20 ans, la japonaise Hinako Shibuno est seule en tête du British Open à la fin du 3e tour. Elle ravi la tête du classement à la Sud-Africaine Ashleigh Buhai. La décision se fera demain dans ce tournoi du Grand Chelem.
La Japonaise Hinako Shibuno, âgée de 20 ans, a ravi à la Sud-Africaine Ashleigh Buhai la tête du British Open, dernière levée du Grand Chelem du golf féminin de l'année, en rendant une carte de 67 pour un total de 202 (14 sous le par), samedi, repoussant ainsi l'ancienne leader à deux coups.
Buhai, âgée de 30 ans, était seule en tête depuis jeudi, mais une carte de 72 samedi, l'a fait glisser au deuxième rang, sous la menace directe de la Sud-Coréenne Park Sung-hyun, N.2 mondiale, 3e à un coup. Un trio composé de la Sud-Coréenne Ko Jin-young, nouvelle N.1 mondiale après son succès à l'Evian Championship dimanche dernier, et des Américaines Morgan Pressel et Lizette Salas, occupe la quatrième place.
La Française Céline Boutier, 4e vendredi, a reculé au 12e rang à cause d'une 3e carte au-dessus du par (72), et se retrouve à sept coups de Shibonu (209).
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フランス語の勉強?
茂木健一郎@kenichiromogi
「少女像」が表現しているものは、誰かが「#MeToo」に関連付けて書かれていたけれども、女性、さらには人間全般に対する近年の意識の流れであると思う。そこには特定の国家とかそういう枠組みはあまり関係ないかなと私は考える。
「事実」について、あれこれと解釈や認定が違うということを大きく問題にする人はいるけれども、本質は、当時、さまざまな理由で自分の望む方向ではない生き方を強いられた方々がいたということで、そのことを想うというのは現代的、かつ普遍的な命題だと思う。
「事実」について、あれこれと言われる方々がいて、この数年くらいでそのほとんどのスペクトラムは目にしていると思うけれども、「女性」や一般的に「人間」の尊重という視点から見て、国際的に見るとほとんど通用しない理屈かなと思う。つまり国内の一部だけで通じる論理にすぎない。
「少女像」の撤去に至るプロセスの中で、展示に反対する方々があれこれと指摘したり言われたりされていることは、結局、国内の一部でしか通用しないことかなと思う。同じことを外国で主張しても、肩をすくめられて、それ、今の時代と関係ないんじゃないかなと言われるだけだと思う。
ぼくは、日本が素敵な、尊敬される国であり続けることを心から願っているけれども、「少女像」のような作品に対して、国内の一部でしか通用しない論理を振りかざして撤去するよりも、現代の普遍的な感覚にのっとって平穏に展示を続ける国である方が、国際社会から尊敬と敬愛の対象になると確信する。


オープンCイマイチです.こちらもやる気ないせいもありますが.
Ubuntuだとダメでした.やはりWindowsでないとだめなのかなぁ?
ショートパンツ買ったって.よかった.

石巻でRAF開幕 自由なアート 復興喚起 「いのちのてざわり」テーマに
 東日本大震災で被災した石巻市の牡鹿半島を主な舞台とする「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2019」が3日、開幕した。9月29日までの58日間、芸術や音楽、食を通じた交流で、復興途上の被災地を盛り上げる。
 桃浦エリアや半島先端の鮎川浜など7地区が会場。「いのちのてざわり」を全体テーマに、各地区の展示内容を企画する7組のキュレーターが約60組のアーティストの現代アート作品などを展示する。
 石巻市役所であった開幕セレモニーには約30人が出席。テープカットで開幕を祝った。
 実行委員長を務める音楽プロデューサーの小林武史さん(新庄市出身)は「地域全体に人と人の交流やアートを通じた化学反応が起こってほしい」と語った。
 初日は石巻市総合体育館でオープニングライブ「転がる、詩」を開催。ミスターチルドレンの桜井和寿さん、エレファントカシマシの宮本浩次さんら4人のアーティストが出演した。
 RAFは実行委と一般社団法人APバンク(東京)が主催し、宮城県や石巻市、河北新報社などが共催する。2017年の前回は約26万人が来場した。


「はまらいんや」復興の舞 気仙沼みなとまつり開幕
 気仙沼市の夏を彩る「気仙沼みなとまつり」が3日、開幕した。初日は田中前地区で「はまらいんや踊り」があり、法被などを着た踊り手2800人が、東日本大震災からの復興を後押しする踊りを披露した。
 「はまらいんや」は、気仙沼の方言で「一緒に参加しましょう」の意味。中高生や職場のグループなど62団体が、バンドの生演奏に合わせて乱舞した。
 階上地区の住民有志グループの階上中3年畠山永遠(とわ)さん(14)は「仲間と楽しく踊り、中学最後の夏の思い出になった」と話した。
 最終日の4日は、港町臨港道路でのパレードや太鼓の打ちばやし大競演、船上で太鼓を演奏する「海上うんづら」などがある。夜には2400発の花火が上がる。


<人駅一会>(9)陸前小泉/校庭再生 芝の広場に歓声
 東日本大震災で分断された交通網が、長い一本の線につながろうとしている。傷跡を癒やしながら、少しずつ復興に向かう被災地の数々。点々と海沿いに続く駅を起点に訪ね歩いた。
◎宮城県気仙沼市本吉町 スポーツ少年団代表 菅原英俊さん(66)
 かつての気仙沼市小泉中の校庭がこの夏、見事な芝生の広場に生まれ変わりました。2年前に近くの学校に統合されて廃校になりましたが、人を呼び戻そうと気仙沼青年会議所が立ち上がってくれました。
 校庭を芝生の広場にするよう呼び掛け、地元の人たちの手で植えています。
 去年7月に植えた苗はすくすく成長し、すっかり深緑に。この日は、地元と山形県白鷹町のスポーツ少年団同士の交流試合です。親も応援に駆け付け、とてもにぎやかでした。
 せっかく立派な広場ができたので、サッカーだけじゃもったいない。お祭りやグラウンドゴルフなんかで、気軽に住民が集まる場所になってほしいものです。周りには昔ながらの桜の木も残っています。春は芝生に寝転んで花見、なんてのも気持ちいいでしょうね。
 8年前、この校庭には被災者の仮設住宅が建っていました。ずいぶん時間が過ぎた気もしますけど、あの日の津波のことを忘れてはいけません。
◎陸前小泉(気仙沼線BRT)
 気仙沼市の小泉地区は東日本大震災で津波に見舞われ、陸前小泉駅の駅舎やホームも流失した。駅から500メートルほど離れた旧小泉中の体育館では、500人を超える人たちが避難生活を送った。校庭には93戸の仮設住宅が建設され、生徒は残りの狭いスペースを使って運動会を開いていた。(文 鹿野智裕) 


震災メモリアル拠点 市民と専門家ら役割や機能議論 仙台でイベント
 仙台市が市中心部に設置を検討する「震災メモリアル拠点」の在り方を考えるイベントが3日、青葉区のせんだいメディアテークであり、市民約60人と専門家が拠点の役割や機能について意見を出し合った。
 総合地球環境学研究所(京都市)の寺田匡宏客員准教授(歴史学)が基調講演した。阪神大震災の教訓を伝える施設「人と防災未来センター」(神戸市)の展示物が、行政主導で整備されたため「市民に遠いものになった」と指摘。構想段階で市民の声を取り入れることの大切さを説いた。
 講演の後、参加した市民は8グループに分かれ議論し「東北の拠点として整備し、海外にも情報発信するべきだ」「犠牲者の無念を知る場にしてほしい」などと提案。「仙台中心部はあまり被災していない。(拠点整備は)後ろめたさもある」との声もあった。
 市は専門家でつくる中心部震災メモリアル拠点検討委員会を今年1月に設置した。市民の意見を反映させながら検討を進め、2020年度末までに基本構想をまとめる。


靴下人形おのくん空へ アイベックスと連携、東松島をPR
 仙台空港を拠点とするアイベックスエアラインズ(東京)は1日、東日本大震災で被災した宮城県東松島市の女性たちが靴下で作るサルの人形「おのくん」を同社運航の「むすび丸ジェット」に載せるなどのPR事業を始めた。東松島の「空の駅プロジェクト」と連携し、宮城県や東松島市への誘客に積極的に取り組む。
 全国12都市を結ぶ19路線で運航するむすび丸ジェットで、むすび丸の人形と共におのくんを載せ、宮城や東松島をPRする。8日からは、同社運航の全9機内でスマートフォンを使って、おのくんの活動動画を視聴できる。
 機内誌では、おのくんや関連絵本をオリジナルステッカーとセットで販売。おのくんの活動やイベントに合わせ、航空券の提供や格安航空券販売も計画する。
 アイベックスの谷崎太事業推進部長は「全国から宮城、東松島に誘客することが地域活性化につながる。活動に貢献したい」と話す。プロジェクト代表の1人、武田文子さんは「全国を飛び回る飛行機とのコラボレーションはうれしい。多くの人に、被災地を回って現状を見てもらいたい」と語る。


高田松原祈念公園を案内 陸前高田市、ガイド創設へ
 東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市は、市内に整備される高田松原津波復興祈念公園の認定ガイドを創設する方針を固めた。コースやガイド料金を設定するほか、テキストを作成して統一的に案内する仕組みづくりに乗り出す。公園の一部が利用可能となる9月にも運用を始める。
 市観光物産協会が窓口となり、講習を受けた登録認定ガイドが園内を案内する。テキストは市震災検証報告書に基づいて作成し、復興状況も盛り込む。
 敷地面積約130ヘクタールの園内には、津波に耐えて残った奇跡の一本松のほか旧道の駅タピック45、旧気仙中など多数の震災遺構が点在。9月22日には岩手県の震災津波伝承館が開館し、一部区域の利用が始まる。
 市内では民間団体などがそれぞれコースや料金を設定して被災地見学ツアーを催している。これとは別に、公園を訪れる人の利便性に考慮して園内限定の共通基準を設けることにした。
 市は「おもてなしの心で市内の震災の事実や復旧復興の過程、将来のまちの姿を伝えたい」としている。


福島第1原発トリチウム水処分「廃炉までに」 政府小委員会が必要性示す
 東京電力福島第1原発で汚染水の浄化後に残る放射性物質トリチウムを含む水の処分方法を検討する政府小委員会の山本一良委員長は3日、構内視察後に報道各社の取材に応じ、たまり続けるトリチウム水を廃炉終了時までに処分する必要性を示した。
 山本氏は「(保管は)永久ではない。このエリアがなくなる時は水もなくしたい」と強調。政府と東電が第1原発廃炉のめどとする30〜40年の時間軸で、トリチウム水も処分する考えを表明した。
 処分方法に関しては「風評被害が出ないように、量や濃度、時期を総合的に検討する」と語った。漁業者が海洋放出に反対していることに対し「気持ちは理解する」と述べた上で「(処分しないと)ここはきれいにできない」とも話した。
 小委の会合を9日、8カ月ぶりに開催することも明らかにした。
 3日は小委のメンバー9人が構内を視察。汚染水を多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で処理した水を保管するタンクの建設現場などを見て回った。


光の稲穂 たわわ 秋田・竿燈まつり開幕
 五穀豊穣(ほうじょう)を願い、病魔や邪気を払うとされる「秋田竿燈まつり」が3日、秋田市の竿燈大通りで開幕した。稲穂を思わせる281本の竿燈が競演。黄金色に輝く約1万個のちょうちんが夜空を彩り、沿道を埋めた人々を沸き立たせた。
 はんてん姿の差し手たちが午後7時前、最も大きい高さ12メートル、重さ50キロになる竿燈「大若(おおわか)」を横に倒して携え、竿燈会ごとに大通りに入場した。
 「ドッコイショー、ドッコイショ」の掛け声の中、さおの根元を手のひら、額、腰などに巧みに乗せる妙技を披露した。まばゆい竿燈がゆらゆら揺れる様子に大きな歓声が上がった。
 6日まで。実行委員会は132万人の人出を見込む。4〜6日の日中は差し手の技を競う妙技会がある。


<参院選>各党注力 時代の空気変化 上智大・三浦まり教授に聞く
 政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)が施行されて初の国政選挙となった参院選は、東北6選挙区の3人を含め28人の女性が当選した。女性が躍動する政治の実現に向け、どんな意義があったのか。上智大法学部の三浦まり教授に聞いた。(聞き手は東京支社・橋本智子)
 今回の参院選は女性が28人当選し、過去最多だった前回2016年参院選に並んだ。現職が多い与党に対し、挑戦する立場の野党が積極的に新人の女性を擁立し、メディアも各政党の候補者や当選者の男女比を報道するようになったのは、今までになかった動きだ。
 28人の数字だけを見ると、前回から増えていないとも言えるが、惜敗した女性候補が何人もいる。安倍晋三首相も「(自民党は)より多くの女性候補を立てるべく努力したい」と発言するようになった。均等法によって、時代の空気が変わってきたことを印象付けた選挙だったと思う。
 全国32の改選1人区で10人の野党統一候補が当選した。うち女性は宮城、秋田などの5人。現在の男性中心の政治では、こぼれ落ちていた子育てや介護といった争点を地域課題と結び付けて丁寧に訴えたことが一定の支持を得た。
 少子化が進む日本が持続可能な社会をつくるためには、政治の意思決定に女性の参画が欠かせない。野党の結果を自民党も意識するならば、その流れを次期衆院選や3年後の参院選につなげることが大切だ。
 今回は投票率が48.80%で過去2番目の低水準。特に10代の投票率が低かった。若い世代にとって、与野党の対立構図が見えづらかったことが要因にある。
 しかしながら、対立軸はとても明確だ。自民党は強い国家をつくることが何よりも重要で、ある程度の基本的人権が制限されてもやむを得ないとの姿勢。野党側は個人それぞれが幸福を追求できることが重要で、安倍政権下での憲法改正は必要ないとする。
 与党と野党には、国家なのか、個人なのか、という理念の違いがある。与党は国家を強くするために、例えば低賃金の外国人労働者をたくさん受け入れるといった主張の一貫性がある。野党は労働時間を規制したり所得を再分配したりして、個人みんなが幸せになるという政策を掲げる。
 消費税、年金、原発、女性政策など争点をばらばらに示されると各党の違いは分かりにくいが、描く社会ビジョンは全く異なる。選挙はどちらのビジョンを選択するかということを、有権者に訴える必要がある。
 対立軸が見えれば、若者も自分の立ち位置を認識できるようになるだろう。


脱炭素社会の戦略/環境に寄与する技術革新を
 温室効果ガスの代表格である二酸化炭素(CO2)を回収し、燃料や建設資材として再利用する「カーボンリサイクル」への関心が高まっている。厄介者のCO2を資源として捉えた、いわば「逆転の発想」から生まれた考え方だ。
 政府は6月、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標達成に向け、温室ガスの排出量を大幅に削減するための長期戦略を閣議決定した。温室ガスの排出を実質ゼロとする「脱炭素社会」を国として初めて掲げ、今世紀後半のできるだけ早期に実現することを目指す。その戦略の一つに、カーボンリサイクルが位置付けられた。
 長期戦略に合わせて経済産業省は「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を打ち出した。2030年までと50年以降の二つのフェーズを設定し、CO2を利用できる燃料や製品ごとに、開発すべき技術とコスト目標を掲げた。
 この中で開発と実用化が有望視されているのは、分離・回収したCO2と水素を原料に都市ガスの主要成分であるメタンを作る技術、太陽エネルギーを用いてCO2と水からプラスチック原料を作る人工光合成の技術、藻にCO2を供給してバイオ燃料とする技術だという。
 政府が有識者懇談会の提言を踏まえて作成した長期戦略は、エネルギーの転換や技術革新に力点を置いた。だがCO2の排出が多い石炭火力発電の利用は堅持した。石炭火力発電を巡り懇談会の座長案は「長期的な全廃」を明記したが、産業界出身の委員の強い反発で「依存度を引き下げる」との表現に後退してしまった。脱炭素社会の実現に向けて障壁は高い。
 安倍晋三首相は今年1月のスイス東部ダボスでの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「緑の地球、青い海のため投資をするというとかつてはコストと認識された。今ではこれが成長の誘因。炭素をなくすこと、利益を得ることは車の両輪になれる」と演説した。この言葉が本気だったのだとしたら、長期戦略も座長案通りに閣議決定すべきだったのではないか。
 イギリスやカナダは石炭火力発電の廃絶を打ち出し、各国政府や企業に賛同を呼び掛けた。投資家が事業から資金を引き揚げる動きも目立つ。
 発電量の3割を占める日本では、東日本大震災以降も関西電力系の仙台パワーステーション(仙台市宮城野区)をはじめ、石炭火力発電所が続々稼働している。石炭火力は同じ量の発電をする際に出るCO2が天然ガスに比べて2倍以上多いとされ、「時代錯誤」との批判は少なくない。
 地球の大気中のCO2濃度は、産業革命前に比べ4割も増加した。次代にこのまま引き渡していいはずがない。コスト第一主義の産業界に、環境に寄与する技術革新を迫り、次代につないでいくことが政策立案者の責務だろう。


バリアフリー国会 社会全体へ拡大図ろう
 臨時国会が召集され、先の参院選で当選した重い身体障害のある新人議員2人が初登院した。障害者が抱えるさまざまな問題を広く社会に発信し、社会全体のバリアフリー化を一層進展させる原動力となることを期待したい。参院は2人の主張を尊重し、就業中に公的介助サービスを受けられない現在の制度を見直すなど、重度障害者の社会参加を促進してほしい。
 2人は、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病の舩後靖彦氏と、脳性まひの重度障害者である木村英子氏。れいわ新選組の比例代表で当選した。舩後氏は声を発することができず、あごの筋肉を使ってパソコンを操作するなどして意思を伝える。木村氏もほとんど体を動かせない。共に大型の電動車いすと介助者が欠かせない。
 参院は2人のために、中央玄関に仮設のスロープを用意したほか、車いすで本会議に出席できるように議席を改修し、介助者の付き添いを認めた。介助者は、正副議長選挙の記名投票では投票用紙に代筆。起立採決では代理で挙手し、賛成を表明した。バリアフリー化の費用は参院の予算を充てる。議員活動中の介助費用も当面、参院が負担することが決まっている。
 2人は国民の負託を受けた国会議員として、他の議員と同様に議員活動を全うできることが保障されなければならない。その意味で、参院が素早い対応を見せたことは評価される。
 今後も課題は残されている。意思疎通に時間がかかる障害者の場合、質問時間の配分などを巡り配慮が必要である。2人が存分に活動できるよう、前例にとらわれず国会のバリアフリー化を進めてほしい。
 バリアフリーは国会内だけの問題ではない。現在、2人の議員をはじめ重い障害のある人は「重度訪問介護」制度を利用し、介助をはじめとする公的サービスを受けている。だが、収入を伴う「経済活動」中の介助費用は雇用主らが負担することになっており、通勤や仕事の間は公的介助が受けられない。
 舩後、木村氏は今回、議員活動中の介助に対し公的負担を要望したが、厚生労働省は歳費を受け取る議員活動を経済活動とみなし、公的介助の対象外とした。民間の事業者に介助費負担を求めるのは難しく、働くのを諦める障害者が多いのが現実である。障害者の就労や自立を支援する社会の流れに逆行すると言わなければならない。
 参院は「重度訪問介護」制度の見直しを始めることで一致している。参院が独自性を発揮する絶好の機会でもある。党派を超えて議論を先導し、制度の改善を実現することを期待する。
 そのためには、まず当事者である2人の議員の声にしっかり耳を傾けることが必要だ。2人の発言、議員活動が国会だけでなく、広く国民の理解を得て、誰もが安心して暮らせる共生社会づくりにつながってほしい。


働く障害者支援 国会だけの特例にするな
 重い障害があり、れいわ新選組から参院選に初当選した舩後靖彦氏と木村英子氏が先日、国会に初登院した。政府の2019年版の障害者白書によると、障害者は963万人に上り、国民の7・6%を占める。中でも重度の当事者が議員として政治に参加することは画期的と言える。
 舩後氏は次第に全身が動かせなくなる難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者で、24時間介護を受けつつ講演や執筆活動を行い、介護関連会社の副社長も務める。生後8カ月で障害を負った木村氏は自身の自立だけでなく、地域で暮らしたいと願う障害者の支援に長く取り組んできた。
 重い障害者が国会議員を務めることを疑問視する声もある。だが、冬季パラリンピック元選手で岩手選挙区から初当選した横沢高徳氏(国民民主党)も含め、障害のある当事者でなければ分からないこともあろう。その活躍は多くの人の希望にもなるはずだ。
 求められるのは、活躍できる環境を国会が整え、バリアフリー化の手本として社会に広げることである。参院は舩後、木村両氏の大型の車いすでも利用できるよう本会議場の議席などを改修した。初登院後の正副議長選挙では、付き添った介助者が投票用紙に代筆して事務職員に渡した。
 ただ、本格的な論戦が展開される秋の臨時国会に向け、さらなる設備の改修や、声の出ない舩後氏が質問できる環境をどう整えるかといった課題も残る。同氏は歯でセンサーをかんでパソコンを操作するなどして意思を伝えており、介助者の代読や質問時間への配慮が求められよう。
 一方、焦点の一つになった議員活動中の介助費については、参院が当面負担すると決めた。重度訪問介護の現行制度では、仕事中は介助費の公的補助が受けられない。これに対して舩後氏らが見直しを求め、負担の在り方が課題となっていた。
 要請の背景には、介助費負担の問題が多くの障害者の壁となり、就労や自立を妨げている現実がある。さいたま市が本年度から独自に支援するなど改善の動きもあるが、まだ一部である。
 根本匠厚生労働相はおとといの記者会見で、見直しを議論する考えを表明した。早急に実態を把握したい。どの程度のサービスが必要か、負担は雇用主に求めるか公的補助かなどを検討し、国会議員だけの特例措置に終わらせず、働く障害者の支援につなげてもらいたい。
 就労を含め障害者の支援について、国会はこれまで積極的だったとは言い難い。昨年発覚した中央省庁の障害者雇用水増し問題では、国会自身でも障害者雇用の半数近い37人の水増しが見つかった。
 だが、超高齢社会を迎え、社会のバリアフリー化はより重要だ。年齢とともに、体の自由を失う恐れは誰でもある。バリアフリー化は今は障害のない人のためでもある。


山本太郎「れいわ新選組が、重度障害者を国会に送り込んだ理由」 人間を「コスト」と見る世の中を疑え
時任 兼作 ジャーナリスト
実は練っていた「秘策」
「山本太郎としては負けた。でも『れいわ新選組』としては勝った、という結果になったと思います。1議席が2議席に増え、政党要件を獲得できたことは大きかった。
政党になったことで、メディア露出も増えますし、他の党と比べれば額は少ないですが、助成金をいただいて活動を拡大できる。次期衆院選を戦うにあたっても、選挙区と比例区の重複立候補が可能になりました。これでやっとスタートラインに立てた、と思っています」
今回の参院選、最も注目を集めたのが山本太郎と、彼が率いる「れいわ新選組」であったことは疑いないだろう。
山本自身は、前回当選した東京選挙区ではなく全国比例で出馬し、個人名では2位に40万票近い大差をつける約99万票を獲得したものの落選。その理由は、党・団体内で優先的に当選させる候補者を決められる「特定枠」候補として、2人の重度障害者を指定したためだ。
参院選公示前の6月に行ったインタビューの時点では、この「秘策」は伏せていた。
「決まっていたけど、言えなかったんですよね。公示前日に、私は東京選挙区ではなく比例で出ます、そして特定枠に舩後靖彦さんと木村英子さんの2人を立てます、とサプライズ発表をするつもりだったので。まあ、僕が落選したのは予想外で、一緒に受かるつもりでいたんですが(笑)」
当選した舩後は難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者、木村は脳性麻痺を伴う重度身体障害者で、ともに移動には大型電動車椅子が必要。実は、両者には早い段階で立候補を打診していたという。
「特定枠で重度障害の方に立候補していただきたいということは、かなり前から考えていました。アプローチしたのは、舩後さんは1ヵ月前くらい。木村さんは、私が2013年の参院選で当選したときに支援してくださった。それで3年ほど前から、『いつになるかわからないけれど、新しい政党を旗揚げする時には立候補してほしい』と話していました」
だがネット上では選挙後、「国会の改修費用や介助のための費用をどうやって負担するのか」「障害者に十分な議員活動ができるのか」といった批判が噴出し、国会議員も巻き込んだ論争を招いている。
「木村さんは、以前から障害者政策に関する活動に取り組んでいて、厚生労働省との交渉などにもあたってきましたから、政治家としての適性があることはわかっていました。
ALS患者の舩後さんについては、コミュニケーションができるのか、という点に疑問を持たれる方が多いと思います。全身麻痺で話ができず、呼吸器をつけて、胃ろうもしていますから。でも舩後さんは、以前から介護事業所の副社長を務めて実際に経営にも参画していますし、もちろん頭脳も明晰です。
私が重度障害者の方に立候補していただきたいと考えたのは、『生産性で人間の価値を測るような世の中は、もうやめよう』と訴えたかったから。ただ、生産性という観点から言っても、2人は非常に優秀なんです。むしろすごいのは、そんな2人が能力を発揮しなくても、国会にただいるだけでも、周りがどんどん動くということですよね」
強行採決はできなくなる
8月1日に召集された臨時国会では、舩後・木村両議員が急遽設置されたスロープを通って登院、本会議場に入った。2人の初登院の様子は、今回当選した議員たちの中で最も大きく報じられている。「れいわ新選組」は選挙期間中のみならず、選挙後にもメディアと世論をジャックしたというわけだ。
「極端に言えば、2人が国会の場にいてくれるだけでもいいと私は思っているんです。実際、初登院する前から、すでにいろんなことが変わり始めたんですから。
もちろん、障害者に関わる制度改革など、これから議員として取り組まなければならないことはたくさんありますが、質問などの事前準備をしっかり行えば、コミュニケーションの面でも問題ないと考えています。
舩後さんの場合、事前に予定していない言葉のやりとりは文字盤を使うことになるし、それには当然時間もかかる。でも、舩後さんが何を言いたいのかわかるまで、他の議員がじっと待つということも、障害者への合理的配慮に含まれるはずです。
それこそが、国会に重度障害者が入るということの意味なんです。
これまで、『国会議員は健常者である』という前提で作られてきた国会審議のリズムやペースを、これからは2人に合わせていくのが当然になると思うんですね。法案を急いで審議して無理やり通す、というようなことも、もうできなくなる。スローダウンするしかない」
「政治は数、数は力」を疑え
第二次安倍政権下では、数々の法案がいわゆる「強行採決」によって通されてきた。しかし2人の重度障害者の存在が、国会のしくみや採決のあり方そのものを根本的に変えてしまうかもしれない、と山本は言う。
「選挙の後、テレビなどの『街の声』でも『政治家って激務でしょ? 耐えられるのかしら』といった声を伺いましたが、耐えられるような国会運営をするしかないよね、という話です。今の国会が、障害者が参加できないような制度設計になっているんだったら、そっちを変えればいいじゃないですか。
それに激務と言っても、仕事の中身にもよる。私から見ても、国会には暇そうな先生がたくさんいらっしゃいますんで(笑)。
私なんかは一番小さな会派でしたから、朝、委員会に入っても、質問できるのは最後なんです。その間も質問内容を調整し続けていて、居眠りする余裕なんてなかった。でも、大きな党の所属で、ただ出席しているだけの先生方は、他人の質問を聞くだけで、あとは自分で持ち込んだ資料を読んだりしている。何もやることがなくなると、居眠りする。そういう議員の仕事を『激務』と言うのは違和感があります。
うちは小さな組織なので、どうしても2人の登板回数は多くなってしまうでしょう。でも、本人たちの体調が優先、無理はしないでほしいと伝えています。国会に出られない時もあるかもしれないけれど、自分優先でいいと。むしろ、それに配慮するのは国会の責務である、そういう認識に日本全体が変わっていけばいい」
田中角栄はかつて「政治は数であり、数は力だ」と言った。しかし今「れいわ」が展開している政治は、そんな古い政治のあり方とは真っ向から対立する。
「確かに政治は数です。でも、数ではない部分で動くこともある。それを2人が教えてくれたと思うんですよね。数としてはたった2議席だけど、この『2』はケタ違いなんですよ」
人間を「コスト」と見る社会を変えるために
山本と「れいわ」が掲げる政策で、一貫しているのが「弱者」に対する意識だ。今回の舩後、木村の擁立はそれを世に示す実践の一環であったとも言える。
日本では長いデフレの時代を経て、あらゆることを「コスト」をベースに見る思考が、いつしか国民の骨の髄まで染みついてしまった。障害者を含む弱者への福祉政策に関しても、「コスト」と考えて嫌う人が多い。しかし山本は、そうしたものの見方を改めない限り、日本が変わることはできない、と言う。
「なぜ障害者は『弱者』と呼ばれているのか。それは、健常者の側が彼らを『弱者』と呼ばれる立場に置いているからじゃないでしょうか。
障害を持っている方の精神力とか信念の強さって、とてもじゃないけど、私たちが敵うようなものじゃないですよ。それなのに、なぜ『弱者』と見られているかというと、それは彼らが健常者と同じように生きられる状況が築けていないから、障害者の社会進出を阻むような制度づくりがなされているからだと思うんです。
厚生労働省は、コストが増えるのが嫌みたいです。舩後さんと木村さんに関してということじゃなくて、一般論でも制度上、重度障害者の訪問介護サービスには働くことや学ぶことに際する介護は含まれていない。公的補助金や事業者の負担になっているのが現状です。ここを変えるのが2人の目指していることです。
これを認めてしまえばまたお金が必要になるから、国は見て見ぬ振りをしてきた。バリアフリー化の工事とか、見た目にわかりやすいことは進めるけれど、一番大事な制度の部分は隠し続けてきたんです。実は国会の施設改修は本質じゃない。このままだと、スロープはできたけど、国会でヘルパーさんの補助が受けられません、という事態になってしまう。
そういう手間のかかる人たちに投資するのは無駄なコストだ、ダメなヤツは切り捨てて当然だ、という社会的な空気さえ最近はあります。
選挙後にいただくご意見を見ていると、おそらく国民の中には、自分自身も来年どうなるかわからない、今月をどう乗り切ろうか、というギリギリの生活の中で、障害者が議員になって高い報酬を手に入れ、それでもまだ『配慮が足りない』と言っていることに、不満を持っていらっしゃる方も少なくないんじゃないかと感じます。
でも、ここで冷静に考えていただきたいのは、日本という国は一応『先進国』のグループに入っていて、世界との約束である条約を批准している。障害者権利条約もその一つです。当然この中には『仕事と雇用』という条文もあって、要は障害者が健常者と平等で公正な状況で働けるようにすること、と書かれているんですね。
例えば24時間介護を受けている人たちは、手足となって動いてくれるヘルパーがいなければ、健常者のように仕事はできませんが。それをアシストするのは当然のことであると。これは法律よりも上位にある条約で定められているんです」
いよいよ真価が問われる
「日本は来年にはパラリンピックのホスト国になり、世界でも初めて重度障害者が2人同時に国会議員になったんですから、今が変わるチャンスですよ。
逆に言えば、重度障害の方でも普通にサポートを受けながら働ける世の中になったら、その時はどんな人でも、どんな状況に陥っても、胸を張ってサポートを受けられる社会になるのではないでしょうか。
舩後さんがALSを発症したのは40代のときです。今は健康でバリバリ働いている人も、いつ困難に直面するかわからない。それなのに、日本人は自分たちの手で『弱者』と呼ばれる人たちを作り続けて、切り捨て続けている。どんな人でも、切り捨てるのではなくて引き上げるような社会になれば、どれだけ逞しい国になるんだろうと思います」
とはいえ、山本自身は今回の選挙で参議院を去った。2人の重度障害者議員が、実際問題として、これから様々な困難に直面することも覚悟せねばならないだろう。
「参議院議員の任期は6年と長いですし、2人には腰を据えて、900万人以上いる障害者の代弁者になって障害者福祉政策を前進させていただきたい。口の悪い人は、『難病患者なんだからそんなに長生きしないだろ』なんて言いますが、舩後さんはもうALSになって20年生きていますから(笑)。一概にそういう雑なまとめはできないですよね。
むしろ、出馬を口説きに行った時よりも、2人とも生き生きしていますよ。舩後さんなんて、本来なら筋力は失われる一方のはずなのに、どんどんエネルギーが湧いてきているのが、見ていてわかるんです」
「れいわ新選組」の真価は、いよいよこれから問われることになる。(文中敬称略)


核禁条約2年  発効へ被爆国の責任重い
 核兵器の製造や保有を全面的に禁じる核兵器禁止条約が国連で採択されて2年が過ぎた。50カ国・地域以上が批准し発効すれば、「核兵器なき世界」へ大きな弾みとなるに違いない。
 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)によると、7月末までに70カ国が条約に署名したが、批准国は24カ国にとどまる。賛同国と核保有国の溝は深く、発効を見通せないのがもどかしい。
 史上初めて核兵器の全面禁止を定める条約は、一昨年7月、国連加盟国の6割を超える122カ国・地域が賛成し、採択された。前文に「ヒバクシャの受け入れ難い苦しみに留意する」と記し、核の非人道性を強調する。被爆者らの長年の訴えがようやく結実したとも言える。
 条約採択に尽力したICANにノーベル平和賞が贈られたように、核廃絶は世界の人々の願いである。ところが核拡散防止条約(NPT)を重視する米国やロシア、中国など核保有五大国は反対し続けている。
 ストックホルム国際平和研究所によると、世界の核弾頭数は減ったとはいえ1月時点で1万4千発近い。その9割を米ロが保有する構図は変わらない。
 核禁条約採択の背景にNPT体制下、五大国が特権を持ちつつ義務を果たさないため核軍縮が進まない、とのいら立ちがあったことを忘れてはならない。
 核保有国抜きでは実効性を欠く、核保有国と非保有国の分断がさらに深まる―との指摘もある。だが抑止力に頼る限り、核兵器はなくならない。
 来年のNPT再検討会議に向け、5月に催された最後の準備委員会も、合意文書のたたき台となる勧告案採択を見送らざるを得なかった。今やNPT体制さえ危機的状況と言える。
 加えて昨今、世界は急速に核廃絶とは逆方向に進んでいるようにもみえる。
 米国のトランプ政権は昨年、「核体制の見直し(NPR)」で核兵器の役割拡大を目指す方針を打ち出した。まるでオバマ前政権が掲げた「核兵器なき世界」を踏みにじるように「使える核兵器」に前のめりだ。
 米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約もおととい失効し、ミサイル開発競争が本格化する恐れがある。北朝鮮の非核化も遅々として進まない。
 米国の「核の傘」の下にある日本は、「わが国のアプローチと異なる」として、米国に追随して条約に背を向けてきた。政府は核保有国と非保有国の「橋渡し役」を目指すとするが、その姿勢から積極的に核廃絶を目指す熱意を感じ取れない。
 唯一の戦争被爆国である日本が、なぜ核禁条約を支持しないのか。非核保有国や被爆者から強い失望や批判を浴びているのは残念極まりない。米国の顔色をうかがうばかりでは国際社会の信頼を失うことになる。
 間もなく広島と長崎は74回目の「原爆の日」を迎える。
 核兵器の使用がどんな惨禍を招くか。骨身にしみて理解している日本には、核廃絶の取り組みの先頭に立つ責任がある。政府は被爆者らの切なる声に真摯(しんし)に向き合わねばならない。今こそ正念場である。


あすへのとびら 原爆の日を前に 核廃絶を本気で目指そう
 「笠岡貞江さんから預かった平和のバトンを皆さんに渡そうと思います。用意はいいですか?」
 7月下旬、広島市の広島平和記念資料館の一室で、市内の宮本慶子さん(67)が話を始めた。若者や親子連れがうなずく。
 笠岡さんは86歳の被爆者だ。被爆体験の「証言者」に委嘱され、資料館などで講話をしている。高齢化で数が減り、本年度は前年より7人少ない38人。以前のように活動できない人も増えている。
 証言者が健在なうちに講話を引き継ぐ人材を育てようと、広島市は7年前から本人に代わって証言する「伝承者」を募っている。現在、宮本さんを含め131人だ。
 養成には3年もかかる。証言者から何度も話を聞き、ゆかりの地を訪ね、講話の技術を磨く。
 「つらかったら、下を向いていてくださいね」と断ってから、宮本さんは市内の高校生が描いた絵を見せた。被爆直後、当時12歳の笠岡さんが、爆心地の近くから帰った父を看病する場面だ。
 焼け焦げて真っ黒な体、飛び出した白い眼球、真っ赤に膨れ上がった唇。化膿(かのう)した傷口からウジがわく。うちわでハエを追い払う幼い笠岡さんがいる。
 「人間の体を餌にウジが大きくなり、ハエになる。これが戦争です!」。宮本さんの声が、笠岡さんの心の叫びを伝えた。
   <被爆者がいない日>
 宮本さんは通訳ボランティアの活動で証言者らと出会った。
 被爆、別離、原爆症、差別―。壮絶な人生を強いられた彼らは「すごく優しい人たち」だという。日本の過去の過ちにも思いをめぐらせ、誰も恨まず、つらい記憶を語り続けてきた。
 近年、証言者が相次いで亡くなっている。「ずっと生きていてくれる気がしていました」という宮本さんは、被爆者の言葉と生きざまを伝えたいと思った。その優しさや強さが、生きにくい時代に苦しむ今の子どもたちの力にもなる、と考えたという。
 被爆者がいなくなる日は近づいている。1年で9162人が亡くなり、3月末時点で14万5844人。平均年齢82・65歳だ。
 4月に本館をリニューアルした資料館も被爆者のいない時代を意識するように、残された遺品に真実を語らせる展示に注力する。
 あの朝、街に防火帯を作る作業をしていた中学生が大勢死んだ。残された服、救急袋、弁当箱などが暗い展示室に浮かび上がる。一人一人が前ぶれなく生を終えた証しだ。来場者は核兵器のむごさ、非人道性を静かにかみしめる。
   <「核の傘」を疑う>
 被爆地が「絶対悪」だと非難する核兵器を、私たちは今、どうとらえているだろうか。改めて向き合ってみたい。
 平和のため、ない方がいい。でも「核の傘」に守られているから仕方がない。「必要悪」だ―。こう考える人も多いかもしれない。
 2年前、核の保有や使用、威嚇も禁じる核兵器禁止条約が122カ国・地域の賛成で採択された。保有国や日本は交渉すら参加しなかった。核を否定しない被爆国に非保有国やNGOは失望した。
 1970年発効の核拡散防止条約(NPT)は、米ロ英仏中の5大核兵器国に軍縮交渉を義務付ける一方、それ以外の国の保有を禁じてきた。一部の非保有国は核を渇望し、条約の外で核が拡散した。核軍縮も停滞している。
 恐怖の均衡で平和を維持できるという核抑止論も、「核の傘」も、冷戦時代からずっと一部の国で信奉されてきた。そこに疑いの目を向けてみたい。
 核兵器は被害が甚大すぎて、先制攻撃にも報復にも「使えない」代物だ。他国の軍事行動を抑制する力は、実は小さくなっている。
 そこでトランプ政権は「使える核」として小型核の開発に乗り出した。小型とはいっても数万人の犠牲者が出る威力だ。核の先制不使用も否定し、2日にはロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約まで失効させた。
 均衡を崩して優位に―という軍拡競争の愚かさだ。中国も巻き込んで東アジアに核の緊張を高めるだろう。それなのに安倍晋三政権は米の戦略を「傘の強化」だと歓迎するありさまだ。
 他国に攻撃をさせない抑止力に核はいらない。「使える核」という危うい幻想を捨て、外交と専守防衛で安全保障を積み上げる。これこそ合理的で、現実的だ。
 政府は「保有国と非保有国の橋渡し役」となって核廃絶を目指すという。二枚舌でないのなら、米国と距離を置いて国際社会の信頼を回復した上で、被爆国として率先して核なき安全保障のモデルと道筋を保有国に示すべきだ。
 6日に広島、9日に長崎の「原爆の日」が来る。被爆地が必死につなぐ「平和のバトン」を、私たちはしっかり受け取りたい。


食品ロス 何より家庭で減らしたい
 売れ残りや食べ残しなど、本来食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」が、なかなか減らない。そうした無駄を減らすための食品ロス削減推進法が先ごろ制定された。消費者を含め社会全体で取り組みを強化するきっかけにしたい。
 農林水産省によると、2016年度に国内で発生した食品ロスは、推計643万トン。国民1人当たりに換算すると51キロだ。年間1人当たりのコメ消費量54キロに匹敵する食べ物が無駄に捨てられている。
 食品ロスと聞くと、工場の生産ラインで発生する規格外品やレストランでの食べ残し、スーパーやコンビニの売れ残りを連想しがちだが、発生場所別で最も多いのは一般家庭だ。16年度は全体の45%を占め、食品製造業や外食、卸小売りなどを上回った。しかも、14年を底にして増加に転じている。何より家庭で食品ロスを減らしていく努力が不可欠だ。
 国連によると、世界では8億人を超す人が飢えに苦しんでいる。人口は増え続けており、食品を捨てる国と、食料不足の国の「食の不均衡」がさらに拡大する恐れもある。
 食料廃棄の削減は、国連が15年に採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」にも盛り込まれた。これを受け政府は、家庭から出る食品ロスを30年度に00年度の半分に減らす目標を策定した。事業系の食品ロスについても、食品リサイクル法の基本方針を見直し、同様の半減目標を設定した。
 事業系の試みは広がっている。製造と卸小売りの業界が取り組む「3分の1ルール」の見直しもその一つだ。賞味期限の3分の1を過ぎたら納品できない、残り3分の1を切ったら販売しない、という商慣行の是正だ。コンビニ大手は、消費期限が迫った弁当やおにぎりを実質値引きする実験を地域限定で始めた。効果を検証し、全国での実施を検討するという。
 消費者は、賞味期限と消費期限の意味を正しく理解することから始めてはどうだろう。あまり意識してこなかった人も多いようだ。弁当や生肉、総菜など傷みやすい食品が安全に食べられる期限を示す消費期限に対して、賞味期限はヨーグルトや缶詰、即席麺などがおいしく食べられる期限を示す。賞味期限を過ぎたら即座に廃棄しなければならないわけではない。
 店頭では棚の手前から順番に買いたい。賞味・消費期限が少し先の商品を奥から取ると、手前の商品の廃棄リスクが高まるからだ。環境分野で初のノーベル平和賞を受賞した故マータイさんが世界に広めた「もったいない」精神を思い出したい。


子どもの虫歯放置 虐待サイン見逃すまい
 夏休み、真っただ中。小学校では宿題の一つとして、毎日の歯磨きとチェックに取り組んでいる子どもらも多いだろう。
 口の中の健康と、家庭環境は密接に結び付いている。東京大の研究チームによると、生活保護世帯では、虫歯や歯肉炎など歯の病気を持つ子どもの割合が一般世帯の10倍以上との結果が公表された。
 経済的な困窮を抱えた暮らしが、子どもに目や手を掛けるゆとりを失う。食事や入浴、歯磨きなどの基本的な生活習慣を身に付けられなければ健康を保つことも難しい。虫歯があっても受診をためらい、放置されてしまうかもしれない。
 こうした状況は虐待の一つ、育児放棄(ネグレクト)とも捉えられる。問題は年々、深刻さを増す。2018年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は15万9850件(速報値)に上り、過去最多となった。
 幼い命が犠牲になる事件が相次ぐ。子どもを守る取り組みは、喫緊の課題だ。
 県内でも関係機関が連携して対応強化が求められる中、県歯科医師会の取り組みに注目したい。県福祉総合相談センターが保護した児童に対して、検診と生活習慣の聞き取りを行っている。
 04年度から積み重ねた調査から見えてきたのは、一般児童と比べて虫歯の本数が明らかに多いこと。日々の歯磨きも、一般が8割を超えるのに対して約半数。食事を含め、保護された子どもたちの生活習慣が良好とはいえない状況が浮き彫りになった。
 もちろん、虫歯が多いことイコール虐待ではない。着ている服や体に汚れはないか。あるいは、体に不自然なあざなどはないか。子どもと、その暮らしぶりから総合的に判断する必要があろう。ただ、口の中から得られる情報は、指標の一つともなる。
 虐待の早期発見・支援を目指して県歯科医師会は、研修会などを通じて会員らの理解を広げている。
 鈴木卓哉常務理事は「歯科医師は、学校の検診などを通じ、問題が深刻化する前に気付いてあげられる立場にいる。関係団体と連携し、情報を共有しやすい仕組みを強化していきたい」と語る。
 この8月から県は、医療機関の窓口で医療費助成分を支払う必要のない「現物給付」の対象を小学生にまで広げた。経済的理由などで受診を控えることのないよう子育て世帯への目配りであり、支援拡充を評価したい。
 困難な状況に置かれた子どもを取り巻く環境が、少しでも良いものとなるように。あらゆるサインに敏感になる。気付く。つなげる。それが、大人に課せられた宿題だ。


かんぽ不正 解体的な出直しをせねば
 ノルマ至上主義、顧客軽視の企業体質はあきれるばかりだ。経営陣の刷新を含めた解体的な出直しをする以外に、再生の道はない。
 かんぽ生命保険の不正販売問題で、顧客に不利益となった恐れのある契約が過去5年で約18万3千件に上ることが判明した。これまで明らかになっていた9万件超から倍増した。
 記者会見した日本郵政グループの3社長は「郵便局への信頼を大きく損ねたことは断腸の思い」などと述べ、謝罪した。
 今後調査を行い、顧客の意向に反して不利益が生じていた場合は、保険料の返還などの対応を取るという。
 さらに約3千万件の全保険契約について、顧客の意向に沿った契約であるかどうかを調査する方針だ。
 まずは徹底的な調査と、不利益の完全な回復を求めたい。それが最低限の責務であり、信頼回復への第一歩となることを肝に銘じてもらいたい。
 不利益の恐れがある約18万3千件のうち、保険を乗り換えさせた顧客に新旧契約の保険料を半年以上、二重払いさせていた事例が約7万件に上った。
 旧契約を解約してから新契約を結ぶまでの間に一時的に無保険状態にしていた事例は約4万6千件、特約の切り替えなどで対応できたのに契約を結び直した事例は約2万5千件だった。
 いずれも顧客にとって損になるものの、販売した郵便局員にとってはノルマをこなしたことになり、収入にもつながっていたとみられる。
 一部の不心得者の行いであろうが、高齢者をだます詐欺的な契約も報じられている。
 郵便局の過剰なノルマは年賀はがき販売などでも問題になった。会見した日本郵政の社長も過剰な販売目標が「(不正の)大きな理由の1個」と認めた。
 ノルマの達成が何より大事で、達成できない局員を責めたてるような会社風土は、抜本から改善しなければならない。
 危機管理意識の欠如も目に余る。かんぽ生命は当初、顧客が同意しているとの理由で「不適切な販売ではない」と主張していた。形式的で表面的な判断しかしない姿勢が、不信感をさらに増幅させた側面もある。
 これだけの大不祥事に発展した以上、経営陣の進退が厳しく問われるのは当然だ。
 会見で社長らは否定したが、4月のかんぽ生命株の売り出し時に、グループの経営陣が問題を把握していたとの疑念も指摘されている。
 金融庁はかんぽ生命の調査を待って立ち入り検査に着手し、業務改善命令を含む処分を検討する方針だが、この点の徹底的な調査も不可欠である。
 郵便局は全国にきめ細かく根を張り、過疎地などではとりわけ頼りにされてきた。今回の問題は、そうした信頼関係を揺るがせた面もあろう。
 局員一人一人も改めて顧客本位を胸に刻み、信頼回復に向けて努力してほしい。それを地域の人々も望んでいるはずだ。


【日韓対立】関係改善の糸口探らねば
 貿易や産業活動への影響にとどまらない。市民同士の交流にも影を落としている。東アジアの隣国、日本と韓国の関係が悪化すればするほど不利益は互いの国民にふりかかる。
 糸の絡み合った今の状態を解きほぐしたい。日韓両政府はあらゆる外交チャンネル、交渉の場を通して関係を修復すべきだ。
 日本政府は安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国」について、韓国を除外する政令改正を閣議決定した。半導体などの製造に必要な材料3品目の韓国向け輸出管理を厳格化したのに続く第2弾だ。
 予想されたとはいえ、即座に韓国は強く反発した。文在寅(ムンジェイン)大統領は「非常に無謀な決定」と非難し、対抗措置として韓国の「ホワイト国」からの日本除外を表明した。世界貿易機関(WTO)に提訴する準備も加速するという。
 韓国では昨年、植民地時代に日本に動員された元徴用工について、最高裁が日本企業に賠償を命じた。日本は仲裁委員会の開催を求めたが韓国は応じず、その後、輸出規制を強化した。ホワイト国除外で優遇措置の除外対象は千品目以上に拡大する可能性がある。
 文氏の今回の反発に日本政府は安全保障を目的にした正当な措置として取り合わない方針だ。文氏は「盗っ人たけだけしい」などと日本への非難の口調を強めている。
 文氏にはまず冷静さを求めたい。日本も静観するのではなく、「貿易管理で韓国側に不適切な事案があった」とする中身を明らかにし、交渉で韓国側にきちんと是正を要求すべきだ。
 こうした状況で気になるのは安保上の問題だ。大統領府関係者は日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の継続に含みを持たせる発言をした。北朝鮮が短距離弾道ミサイルを最近相次いで発射した。仮に破棄となれば、安保上の協力関係に大きく影響する。
 中国軍機と合同パトロール飛行していたロシア軍機が先月、島根県・竹島周辺の領空を侵犯した。この時期の侵犯に日韓の緊張をさらに高める狙いがあるとの見方がある。米国を中心とした北東アジアの安保体制を弱体化させる目的を指摘する声もある。いずれにせよ日韓のぎくしゃくした関係は安保上問題がある。
 関係改善の糸口を期待した日米韓の外相会談がバンコクで開かれた。しかし、米側は日韓の対立緩和を求めただけで、具体的な仲介案は示さなかった。どちらかに肩入れしたと捉えられたくない米国に期待するのもやはり無理がある。 
 日本製品の不買運動が韓国で起きたり、日本の地方空港からの航空路線が運休したりと関係悪化の影響が出始めている。本県の高知国際中学も、生徒の安全確保面で研修旅行を中止した。
 「ホワイト国」除外の施行は今月28日。それまでに互いが対話にかじを切り、関係悪化を防ぐ手だてを両国ともが真剣に探ってほしい。


県警誤認逮捕 再発防止へ検証の徹底を求める
 無実の人を確かな根拠もないまま犯人と決めつけた、ずさんな捜査だった。県警は被害者への償いに誠心誠意努めるとともに、問題の原因を徹底的に洗い出し、実効性ある再発防止策を示さねばならない。
 タクシーから現金入りのセカンドバッグを盗んだとして、松山東署が20代女性を誤認逮捕した問題である。容疑を否認し続けた女性に対し、署は必要な裏付け捜査をすることなく、証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕した。その後の捜査で別の女が容疑者として浮上し、女性の嫌疑は晴れたが、任意の聴取から逮捕、拘束されるまで女性が被った恐怖や不安、屈辱は察するに余りある。自白を迫られるような取り調べがあったと訴えており、県警はこの点の真相も明らかにする責任がある。
 県警が女性の逮捕の決め手としたのがタクシーのドライブレコーダーに残る映像だった。バッグを盗んだ後、タクシーから降りた女を周囲の防犯カメラで追跡すると、近くのアパートの特定フロアに2人の女性が住んでいることが分かった。捜査員はドライブレコーダーに写っていた女の顔立ちから、誤認逮捕した女性の方を犯人だと思い込んだという。
 とはいえ、タクシーには容疑者の女のほかに3人が同乗していた。女性はタクシーに乗っていないことや、身に覚えがないことを一貫して訴えており、県警がこの3人を捜し出し、面識を確認していれば誤認逮捕を防げた可能性は高い。
 防犯カメラやドライブレコーダーは普及とともに、性能も大きく向上している。捜査機関にとって欠かせない武器となる一方で、鮮明な画像が思い込みを助長させ、肝心な裏付け捜査の軽視につながっているとの疑念が拭えない。防犯カメラの映像をうのみにした誤認逮捕が全国で後を絶たない中、警察全体の課題として省みる必要がある。
 女性は手記を公表し、県警の捜査手法を強く批判した。任意の取り調べは長時間に及ぶこともあり、最初から犯人視されたと主張。捜査員からは「認めないと終わらないよ」「犯人なら目の前にいるけど」などと「自白を強要するかのような言葉を執拗(しつよう)に言われた」とつづっている。就職への影響を示唆する言葉もかけられたという。
 県警は「違法な取り調べがあったとは認識していない」と説明するが、脅しや誘導などがなかったか経緯をつぶさに検証し公表するべきだ。県公安委員会には県警が内部調査や女性への対応をしっかり果たすよう指導強化を求めたい。
 組織のチェック機能が働かず「シロ」の捜査も尽くしていなかった。県警幹部は過去に起きた冤罪(えんざい)事件の教訓が現場に十分浸透していないことを重く受け止めるべきだ。誤認逮捕は許されない重大な人権侵害であり、県民の捜査機関への信頼も失わせる。その自覚を組織の隅々まで行き渡らせねばならない。


まるで戦争前夜! 安倍政権「韓国ホワイト国除外」に快哉叫ぶマスコミ、八代弁護士は朝日と韓国2紙を「反日三羽烏」と攻撃
 安倍政権が2日、韓国を輸出管理で優遇措置をとる「ホワイト国」から除外すると閣議決定した。7月の半導体材料等の輸出規制に続くもので、日本から韓国への輸出管理が厳しくなる対象の品目が拡大することになる。案の定、安倍応援団は「韓国ざまあみろ」と言わんばかりに「ホワイト国除外は当然」「安倍首相の毅然な対応を評価する」などと快哉を叫んでいる。
 たとえば、2日放送の『ひるおび!』(TBS)では、安倍応援団コメンテーターの八代英輝弁護士が、「ホワイト国」除外に係る日韓問題について米国が仲裁に乗り出すとの一部報道について、「アメリカが介入しているって情報が、ロイターから嘘くさいかたちで一方が流れたじゃないですか」と前置き、こう言い放った。
「それ伝えてるのが、ハンギョレ新聞と中央日報と朝日新聞。反日三羽烏みたいなもんじゃないですか。これ、語弊があるかもしれませんけど」
「語弊があるかも」どころの話ではない。アメリカが仲裁に動いているという情報を伝えただけで「反日」呼ばわりとは、完全にネトウヨ。脳みそが戦前に戻っているとしか思えない。が、さらに八代氏は続けて安倍政権を賞賛した。
「ですから、韓国は韓国でアメリカがもの凄く懸念しているというような世論攻勢を日本に対して仕掛けているということだと思うんですよ。それに乗ってしまってはよくなくて。だから粛々と今回、閣議決定したのは私、やるべきことをやったと思います」
 安倍政権のもとで悪化の一途を辿る日韓関係は、北朝鮮情勢を睨む米国にとって当然、好ましいものではないはずだが、八代弁護士に言わせれば「米国の仲裁」報道すら“韓国メディアやリベラル系の陰謀”になるらしい。まったく、底が抜けているとしか言いようがないではないか。
 しかし、これ、八代弁護士だけではない。国内世論は完全に「韓国が悪い」「関係修復を望む言説は反日」という風潮一色に染まり、「和解」や「慎重な対応」を求めただけで「反日」と攻撃を加える、まるで戦争前夜のような空気に支配されている。
 いったいなぜ、こんなことになってしまったのか。それは、安倍政権と御用マスコミの扇動に国民がまんまと乗せられてしまったからだ。
 本サイトでも何度も指摘してきたように、安倍政権がとった今回の対韓国輸出規制にはなんの正当性もなく、そのやり口も詐術に満ちたものだ。
 実は今回、ホワイト国除外にあたって、意外な人物がそのことを口にしていた。橋下徹・元大阪市長が、3日に出演した『胸いっぱいサミット!』(関西テレビ)のなかで「はっきり言って、そこは元徴用工判決の報復だって言わなくちゃいけない」「WTOの問題になるからごまかしちゃって」と発言したのである。
 発言の意図はともかく、橋下氏の指摘はきわめて正しい。安倍政権は、輸出規制を今回のホワイト国除外についても、「安全保障上の問題」「貿易管理体制に不備があった」などと言い張り、「何かに対する対抗措置といった種類のものではない」(世耕弘成経産相)などと否定しているが、対韓国輸出規制は明らかに、徴用工問題の報復として始まった。
橋下徹の指摘通り「徴用工判決への報復」の措置を安倍政権がごまかしている理由
 安倍政権は参院選で消費税や年金問題など、自分達に不利な争点を消し、反韓を国民にアピールするために、官邸主導でこの政策を強行したのである。一部の報道によれば、菅義偉官房長官や経産省幹部らも反対していたのを安倍首相が押し切ったという。
 実際、対韓輸出規制が発表されたに7月1日付の新聞各紙は一斉に「徴用工問題の対抗措置として」輸出規制を行うと報道、当の安倍首相も参院選公示日後のテレビ出演で、輸出規制について「国と国との約束を守らないことが明確になった。貿易管理でも恐らくきちんと守れないと思うのは当然だ」などと、徴用工問題が出発点であることを示唆していた。
 しかし、こんな理屈は国内では通用しても、国際社会では通用しない。元徴用工への補償を封じ込めるために、輸出規制を行ったとすれば「自由公平な貿易を推し進める」「貿易措置を政治利用しない」という国際社会のコンセンサスに反するからだ。日本政府が本当の理由を公言し、韓国がWHO(世界貿易機構)に提訴すれば負けるのは目に見えている。
 しかも、徴用工問題は、戦争責任に係る人権問題だ。日本国民は「解決済みの問題を韓国が蒸し返した」など非難しているが、国際社会は必ずしもそうは受け止めていない。日本政府が「解決済み」と主張する根拠となっている日韓請求権協定は60年前に韓国軍事政権との間で行われた玉虫色の決着に過ぎず、経済協力が目的として謳われているだけのもの。「賠償」という文字はどこにもないからだ。これで日本が徴用工問題を前面に出して輸出規制を行えば、国際社会から批判の声が上がるのは必至だろう。
 そこで、安倍政権は国内向けには御用マスコミにオフレコで「徴用工への対抗措置」をリークする一方、国際社会に対しては「徴用工問題への対抗措置ではない」「安全保障上の問題」「韓国の貿易管理体制に不備があったから」などというタテマエを唱えるという、二枚舌作戦を展開したのだ。
 しかし、日本政府は韓国にどんな「安全保障上の問題」「韓国の貿易管理体制に不備」があったかは一切明かしていない。それは、輸出規制やホワイト国除外に相当するほどの重大な違反の証拠がつかめていないからだ。
 日本政府はしようがなく裏で「韓国が禁輸品を北朝鮮への横流し」しているとの情報をリーク、FNNなどの御用マスコミも韓国政府が公開した不正輸出の「摘発件数」をさも「北朝鮮への横流し」の件数であるかのようなミスリード報道を展開したが、しかし、これも、逆に日本から北朝鮮への不正輸出の実態を暴かれる事態となっている。
〈国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会専門家パネルがここ数年間、制裁対象や軍事転用可能な品目が日本から北朝鮮に輸出されたと指摘したことが分かった〉〈高級自動車や化粧品、たばこ、ピアノなどのぜいたく品も日本から北朝鮮に輸出された〉(聯合ニュース7月14日)
〈北朝鮮が国連の制裁から逃れる形で日本を含む各国から車などを密輸しているとする報告書をアメリカの研究機関がまとめ、制裁の実効性を高めるべきだと指摘しています〉(NHKニュース7月17日)
 つまり、北朝鮮への不正輸出というのは日本も韓国も「どっちもどっち」であり、なんら輸出規制やホワイト国除外の理由はならないのである。にもかかわらず、日本のマスコミはこうした安倍政権の詐術に乗っかり、徴用工問題と不正輸出問題を使い分け、ゴマカシながら、「とにかく韓国はけしからん」という世論を煽ってきたのだ。
海外メディアや国際社会も安倍政権の二枚舌を見抜き、批判
 しかし、その結果、この先に何が起きるのか。安倍政権の情報操作は国内では成功しているのかもしれないが、国際社会からはすでにその詐術を完全に見抜かれ、批判の声を受け始めている。たとえば米ニューヨーク・タイムズ(1日電子版)は、日本による韓国の「ホワイト国」除外を解説する長めの記事のなかで徴用工問題に言及し、こう述べている。
〈先月、日本が韓国への化学製品の輸出規制を厳しくした際、日本の当局は韓国側の歴史問題の扱いに関連するものではないと主張したが、青瓦台はこの日本政府の動きを威嚇射撃とみなした――もし、韓国政府が徴用工問題を取り消さなければ、日本の官邸は韓国の主要産業に対して、銃で膝を撃ち抜くような私刑をくだすだろうと。〉
 米ワシントン・ポスト(2日電子版)も、〈この日韓の争いは、韓国の最高裁判所が昨年、日本企業に対し、1910年から1945年までの日本占領下の朝鮮における強制労働させられた被害者へ補償金を支払うよう命じる判決を立て続けに出したことに始まる〉と説明したうえで、〈日本の官邸の対応は、信頼できる貿易相手国としての韓国のステータスを攻撃することだった〉と記している。
 ほかにも、米通信社のブルームバーグは、7月22日に「安倍首相が韓国と始めた希望なき貿易戦争」というタイトルの社説を掲載した。〈安倍首相の方は、政治問題の解決に貿易上の措置を使ったが、これはトランプ米大統領と中国が好む報復の戦略と似ている〉〈非常に偽善的〉などと論評している。
 海外メディアは、安倍首相が仕掛けた輸出をめぐる攻撃がいかに不毛で、その本質が徴用工問題などへの報復にあることを、しっかりと報じている。また、韓国の通信社・聯合ニュースによれば、2日、タイのバンコクで開かれたASEANプラス3の外相会議で、シンガポールのバラクリシュナン外相がホワイト国にASEAN加盟国がまったく含まれていないことから〈ホワイト国の数を減らすのではなく増やすべきだと主張〉。中国の王毅国務委員兼外相も「相手に対する信頼と誠意でこのような問題が解決されなければならない」と述べたという。
 ようするに、安倍政権の対韓国輸出規制やホワイト国除外は現時点でもすでに国際社会から批判の目で見られており、このまま対立がエスカレートしていけば、日本の責任論が大きくなりかねないのだ。
輸出規制とホワイト国除外では韓国経済だけでなく日本経済も打撃
 しかも、日本国内では「韓国経済がこれで破綻する」などという韓国への打撃を指摘する報道ばかりが目立つが、この対立は、日本経済にも深刻な影響をもたらす可能性がある。
 半導体の原材料輸出規制をきっかけに、韓国では世界有数の半導体メーカーであるサムスンなどの企業が日本への依存をやめ国内生産に切り替える動きなども報道されているが、もし、これが現実になれば、トップシェアを占めてきた日本の半導体原材料製造メーカーにとっては死活問題になるだろう。
 また、今回の「ホワイト国」除外を受けて韓国政府がWTOへの提訴だけでなく、日本を同様に輸出管理の優遇対象国から外すことを宣言したことも大きい。前述したように、日本からも規制対象品が北朝鮮へ流出していることが国連で指摘されている。日本が韓国に対して主張した「安全保障上の懸念」「貿易管理の不備」なる粗雑なロジックが、まさにブーメランとなって日本へかえってきて、韓国との貿易に依存している日本企業が次々と窮地に陥りかねない。
 さらに、韓国は文在寅大統領が「日本の不当な報復措置に対して、相応の措置を断固取っていく」と宣言し、日韓の安全保障上の機密を共有する協定である「GSOMIA」の破棄をちらつかせ始めたが、もしこのまま、対立が激化すれば、対中国、対北朝鮮の外交戦略や拉致問題の解決にも大きな悪影響を与えることになるだろう。
 いずれにしても、徴用工問題の報復として行っている対韓輸出規制と「ホワイト国」除外は外交面、経済面、安全保障面からみて何一つよい結果をもたらさない。それでも安倍首相が“報復”にこだわるのは、まさしく八代弁護士の「反日三羽ガラス」発言が賞賛を浴びてしまうような、日本国内のファナティックなムードに薪をくべ続けるためだ。今回の対韓国輸出規制の出発点が参院選で内政の問題点から目をそらすためだったというのは冒頭でも指摘したが、それがまんまと成功した安倍政権は完全に味をしめ、とにかく、「韓国けしからん」と勇ましい姿勢を示し続けることで政権を維持していくつもりと思われる。
 だが、その先に待っているのは、国際社会の信頼をなくし、孤立し、経済不況に陥る日本のどうしようもない未来だ。
 この国のマスコミと国民は、一体いつまで、この政権の詐術と二枚舌に転がされ続けるつもりなのだろうか。


「表現の不自由展」中止に...。そもそもの名古屋市長の発言に強い批判、「芸術への政治介入」と青木理さん
「言論や表現の自由の擁護」を理念として活動する日本ペンクラブは、「行政の要人によるこうした発言は政治的圧力そのものであり、『検閲』にもつながるもの」と声明で展示中止を助長する発言を批判した。
小笠原 遥 Haruka Ogasawara
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展の一つである「表現の不自由展・その後」が8月3日で中止されたことについて、疑問の声があがっている。
ペンクラブが抗議 「芸術の意義に無理解な言動」
「言論や表現の自由の擁護」を理念として活動する日本ペンクラブは8月3日、声明を発表。名古屋市長の河村たかし氏が展示中止を求めるコメントを出したことなどについて、政治的力の行使や検閲に当たると厳しく指摘した。
声明で、日本ペンクラブは、芸術に対する行政の役割について「作品を通じて創作者と鑑賞者が意思を疎通する機会を確保し、公共の場として育てていくことである」と言及。
さらに、展示の中止を求めた河村たかし名古屋市長や、「補助金交付の決定にあたっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したい」と述べた菅義偉内閣官房長官など、行政や政治家らが相次いで同展示を牽制するコメントを出したことについて、「行政の要人によるこうした発言は政治的圧力そのものであり、憲法21条2項が禁じている「検閲」にもつながるものであることは言うまでもない」と厳しく批判した。
一眼的な見方ではなく、多様な価値を表現できる場所を築くことの重要性を主張した。
青木理さん「表現が萎縮していくというのが怖い」
ジャーナリストの青木理さんは8月4日、テレビ番組『サンデー・モーニング』(TBS系)にコメンテーターとして出演。
同企画展に批判が殺到し中止の判断がされたことについて、「芸術への政治の介入」だと非難した。
番組で青木さんは、企画展の中止について「極めて残念」とした上で、「気になったのは、(今回の一件で)政治家とか政府の公官が「けしからん」的なこと色々と発言しているのは、これはある種、芸術への政治の介入になりますから考えて欲しい」と懸念を示した。
その上で、公的な資金が「あいちトリエンナーレ」に使われていることに対して、「『政府に批判的な芸術に(対して)公的資金に入れるのはどうか』という議論があるんだけど、これ別に政府の金じゃないですからね。税金ですから」と発言。その時の政権の主張に沿ったものだけではなく、さまざまな意見を持つ幅広い人たちのために使われる「公的な資金」の根本的な意味を改めて指摘した。
青木さんは、芸術に対して政治が介入することが前例になることを恐れるとの懸念を示した上で、「(今回の展示中止は)あいちトリエンナーレの展示室での枠を超えて、ある種日本の社会全体で、日本の表現に対する現状を演じてしまった(示してしまった)ということですよね。繰り返しますけれど、これが前例となって、表現が萎縮していくというのが怖い」と語った。
「行政に批判的な意見を封殺する論理になる恐れ」と与党議員も懸念
この問題については、自民党の議員からも批判の声があがっている。
衆議院議員の武井俊輔さんはツイッターで、「間違えてはいけないのは、税金は政府や行政に批判的な人でも納税しているものであり、それを再配分するもの。 政府や行政に従順、ないしは意向に沿ったものにしか拠出しないということでは、決してあってはならない」と、公的な資金についての捉え方について言及。
さらに、河村名古屋市長の「税金を使っているから、あたかも日本国全体がこれを認めたように見える」との発言について、「行政に批判的な意見を封殺する論理になる恐れ」があると懸念を示した。


「坊主丸儲け」とはいかない住職の厳しい懐事情 収入は不安定な上に福利厚生も皆無だ
蝉丸P : 住職
「安定とは無縁」の住職という仕事
うちは檀家さん(寺を支援する家のこと)が250軒ほどあるのですが、これが多いかと言われると少し微妙なところでして。坊さん界隈では、首都圏で300軒あれば、副業を持たずに専業で食べていけると言いますが、地方の200軒くらいだとちょっと働きにでないと厳しい数字だといえます。嫁さん子どもを養おうと考えるなら尚更ですね。
地方の250軒というのが絶妙で、1人でやって行けなくはないんだけれども、嫁さんと子どもを抱えるのは厳しいかなと。1人でも余裕があるわけではないし……という感じでしょうか。
葬儀や法事の頻度ですが、葬儀は年間で(250軒に)×0.03くらいですかね。法事の件数だと250軒の3割くらい、年間に70軒くらいが法事を入れてきたりします。一方で、お葬式は結構変動します。葬式の「そ」の字も聞かないような年もあれば、遠方の家から寺に向かって順番に人が亡くなるような年もある。住職というのは業務量がまったく安定しない職業なのです。
このような状況が続いてまいりますと、はっきり言ってキャパオーバーになってしまうことも少なくありません。住職が倒れてしまえば元も子もないわけですから、檀家総代や結集寺院と協力し合いないがらさまざまな業務を進めていかなければいけません。
ただ、総代さんとのやり取りもそれなりの仕事といえる量がありまして、総代会議と言って、自分のお寺の年間予算や定例の行事をどうするかという会議をしなければいけませんし、支所で催し物をするときはその会議もしなければいけません。
また、それとは別に支所で青年会に入っていれば(というか半強制的に入ることになります)そちらの行事に関する会議や予算の割り当てだとか、具体的に誰が人を出すかという話まですることになります。
自分のお寺は自分1人しかいませんから、全部に参加しなければいけないわけですが、さすがにやり切れない支所活動は断ることもあります。これが逆に、奥さんや子どももいる場合ですと「お前出られるやろ」といった感じでいろんな役職仕事が回ってきてしまうことが多いので大変です。
とかくキャパオーバーになりがちなのが住職という職業なので、檀家総代や結集寺院、家族がいれば奥さんや両親と協力しながら進めていくことが極めて大切になってきます。
住職の大半は「ブラック」
さて、それなりに忙しい職業である住職ですが、実は社会保障は国民健康保険しかなく、特別な措置もありません。家族を抱えている人は家族を職員とみなして厚生年金に入ったりするところもありますが、住職1人だけではとても払いきれないと思います。
端的に言って、大半の住職はひどくブラックな職業だといえるでしょう。年収500万円以下ならば、正直、福利厚生は中堅のメーカーとかのほうが全然いいのかもしれません。お通夜、葬式、法事での収入は不安定なうえに住職の福利厚生はないに等しいので、なかなかに厳しいものがあります。
それこそ事故にあって歩けなくなったり、喉が潰れてしまったりしても何の保証もなく追い出されます。息子さんのいるお寺であってもこれは同じで、継がせないのならばたたき出すぞという。檀家さんによっても違いますけど、こういう脅し文句は常套句でした。
さてここで質問です。檀家さんの年会費はいくらくらいでしょう?世の中には「坊主丸儲け」という言葉もございますが、実際の年会費は別に高くも安くもなく、大体年間で5000円から1万円程度が相場になっています。
では住職は檀家さんからお金を集めて何に使っているのでしょうか。まず、お寺は火災保険に入る必要があります。お寺という場所があるということが重要ですから、火事になって建て直せないようでは住職が困るだけではなく、檀家さんも困ってしまいます。後は本堂の電気代やガス代、線香やローソクなどの消耗品、所属宗派への看板代である宗費を払ったらカツカツで、住職が自由に使えるお金ではありません。
ですから、お寺に年会費を納めるというのは、檀家さんにとって、お寺の維持続の為の費用であると言えます。ちなみに、本堂の保険は店舗特約になってしまうので(お寺は店舗?)保険料も掛け捨てになります。なんとも世知辛いことでございます。
先ほど述べたように、不動産収入でも無ければお寺の収入というのは一定しません。高給かと言われると困ってしまうくらいの不安定さですね。「お寺さんだったらお金持ってるだろう」と見られがちですし、「税金払わなくてもいいんですよね?」という誤解に満ちた質問をされることも少なくありません。
「坊主丸儲け」とはいかない懐事情
また税金の面でもメリットだけではありません。固定資産税がかからないだけです。公益法人みたいなものだから、個人のものではないという考え方ですね。固定資産税が課されたら、明治神宮や浅草寺みたいな大きい寺でも潰れてしまうと思いますよ。
大きいお寺ですら大変なのですから、とくに都内の小さいお寺なんて軒並み潰れてしまうでしょう。だから、固定資産税が取られないというのと、法人収入が一定金額(8000万円)以上の収入でなければ法人税は免除になるというわけです。
新興宗教で収入の大きいところは法人税免除が生きてくるでしょうが、寺の世界でそんな巨大な収入があるところは少数派ですし、不動産など副業を展開したりすると「営利事業」になっちゃうんですよ。たまにニュースになりますが、観光寺院や有名な神社でお守りとかお札とか、どこまでが宗教行為、どこまでが営利行為なのかという線引きは税務署の匙加減ひとつですね。
檀家200軒、250軒の世界では年収1000万円なんていかないわけです。法人として寺の収入が500万だとしてもそこから法人職員である住職への給与という形で払われるのでいろいろ引かれていきますから、個人に対して税制上の優遇というのはありません。


警察の凄絶な暴力と闇に怒る市民…「香港の今」を日本人は知らない デモは、新たな段階に入った
ふるまい よしこ フリーライター
すでに日本のマスメディアは、香港事情に飽きてしまったのか、思い出したように「大事件」をさらっと現地から拾って簡単に報道して終わりになっている。だが、香港では毎日のようにデモ関連のニュースが流れ、市民はますます、自分たちの意志を表明する場を求めるようになっている。
正体不明、第三のグループの登場
2019年6月、香港で空前絶後の200万人もの市民が反対の声を挙げた「逃亡犯条例」改訂草案反対デモ。それから1ヶ月後、デモはその草案の成否を完全に超え、香港特別行政区政府(以下、香港政府)とその制度を揺さぶる大きな抗議活動に発展している。
この間、日本のメディアも報道しているように7月1日の返還記念日にデモ隊による立法会議場突入と占拠があった。
その翌週には郊外の住宅地、沙田(サーティン)で認可を取って行われたデモが武装警察の挟み撃ちに遇い、休日のショッピングアーケードに逃げ込んだ参加者が警察に追われる大捕物に発展した。そしてその混乱の中で、デモ参加者の顔を鷲掴みにした警官の指が噛み切られるという、これまた前代未聞の事件も起こっている。
だが、7月下旬に入った今、もうすでにそれらの衝撃は遠い出来事のように感じられる。
というのも、7月21日には香港島にある政治の中心地、アドミラルティから30km離れた郊外のベッドタウン元朗(ユンロン)で、身分不明の男たちが市民を無差別襲撃し、妊婦を含む多数の負傷者を出す事件(以下、元朗事件)が起こったからだ。
これまでは、逃亡犯条例改訂草案を軸に、市民と政府・警察が対峙するという形だった抗議活動に、新たに正体不明の第三のグループが乱入したのである。
後述するように、警察はこのグループに対して十分な捜査を行わないどころか、同グループとの関係を疑わせるような行動をとっており、この男たちが何らかの形で香港政府や警察の意図を受けたものではないかとメディアや市民は疑っている。こうした状況を受け、街角だけではなく、各職場で、また香港政府のお膝元である政府内でも、事件のおぞましさに怒りが高まっている。
いったい香港で何が起きているのか。
事態の収拾に失敗する香港政府
現在、香港政府はどのように考えているのだろうか。さすがにこのままではまずいと感じたらしい香港政府から、7月26日夕刻、政府ナンバー2の張建宗・政務長官が記者会見し、元朗事件に対する対応が「市民の期待に応えられなかった」ことを謝罪、そして「政府は今、一所懸命に事態解決策を考えているところだ。時間と空間をいただきたい」と、初めて市民に懇願した。
張長官の謝罪は林鄭月娥・行政長官の同意の下で行われたものであることは間違いない。しかし、これまでずっと名指しで行政の長としてその責任を問われている林鄭行政長官ではなく、政府ナンバー2といいつつも歴代の政務長官と比べても影が薄い張長官が市民の前で謝罪する形を取ったことからしても、「解決方法を探っている」といいながら香港政府がさまざまな駆け引きを巡らせ続けていることがわかる。
その駆け引きの一つはすぐ明らかになった。張長官の謝罪に対して、警察関係者から次々と「張建宗は我われの立場を代表できない」と激しい批判の声が上がったのだ。政務長官は香港の公務員全体を代表する立場だ。張建宗長官は警察を統率する警務処長の上司にあたり、文字通り警察の「上官」である。
しかし、警察からの反発は激しかった。その結果、同政務長官は28日になって、今度は「警察職員が忠実に職務を果たしていることを称賛する」という内容の公式ブログを発表した。
香港政府首脳陣の市民への「歩み寄り」はあえなく潰えてしまったことになる。そして、それは新たに香港政府がその内外において、解決策どころか身動きすら取れない状況に追い込まれてしまっていることを暴露した。
ようやく香港政府は市民に向けて譲歩の可能性を示した形だが、その具体的な方向は明らかではなく、内部の調整がまだまだ取れずにいることは明らかだ。だが、政府がいかなる策を取るのかは結局、燃え盛る運動のカギとなることはまちがいなく、今後の発展を見る上でもその動向は注目に値するはずだ。
「元朗事件」とは何だったのか
さて、7月後半のデモのムードの鍵となった元朗事件について、触れておく。
7月21日の日曜日夜、香港島上環にある中国中央政府香港駐在事務所ビル(つまり、中国政府の出張所だ)前の警察とデモ隊の衝突に世界中のメディアの目が注がれた。
このデモは、事前に申請を受けた警察当局が7月1日の立法会ビル突入の経験から、そのルートを政府庁舎があるアドミラルティ地区手前のワンチャイ地区までとするよう短縮を提案、申請者の「民間人権陣線」(民陣)もそれを受け入れ、市民にそのルートを呼びかけていた。
だが一部のデモ参加者がそれを無視、もともとの最終目的地であるセントラル地区まで歩いた後、そのうちの一部がさらに2km先にある中央政府香港駐在事務所ビル前での抗議活動に向かったのである。中国政府からの出張所前での衝突は、「とうとうきたか…」の感があった。
だが、この日はもう一つ、その現場から約30km離れた郊外の元朗地区でもデモが行われていた。香港では7月に入ってからアドミラルティ地区から離れた住宅地で、たびたび小規模のデモが開催されてきた。この日の元朗のデモの参加者は、報道によると2000人程度。参加者は揃って黒いTシャツ姿で予定通りのルートを練り歩き、シュプレヒコールを叫び、そして解散した。
「偏地開花」(あちこちで花開く)と呼ばれ、地区から地区へと抗議活動を広げていこうとする意味を持っており、この日のデモはメディアにもその様子が特に報道されることないほどの「いつものデモ」だった。
だが、デモを終えた参加者らが帰途に着こうと地下鉄元朗駅に向かった頃に事件が起きた。
その後、中継で事件を知った付近の住民たちが次々と駅に駆けつけ、出動が遅れた警官隊を取り囲んで激しい罵り合いへと発展。増え続ける市民たちの勢いに押されて警官隊が12時前に現場を撤退した後に、取り残された市民たちは三々五々同じ方向に帰る人たちを募って、グループを作って駅を離れ始めた。「立場新聞」記者もケガの手当のために病院に向かうと言って、動画中継はここで切れた。
だが、すでにほとんどの人が帰途についていた12時半ごろになって、再び白Tシャツグループが駅に戻ってくる。そして、すでに下りていた駅のシャッターを力づくで押し上げ、まだ現場近くに残っていた黒いTシャツ姿の市民を襲撃、男性らが血だらけになった。
最終的にこの日の無差別襲撃における負傷者は妊婦1人を含む45人、うち5人は重体と伝えられた。
警察とマフィアの微妙な関係が暴露される
この白Tシャツ姿の男たちは一体何者なのか。なにが目的なのか。なぜ警察は現場からの緊急電話、そして中継を見た市民からの通報ですぐに現場に現れなかったのか。そして、なぜ警官隊と白Tシャツグループはまるで入れ替わるようにして現場に出現したのか…。
さまざまな疑問と疑惑が無差別襲撃にショックを受けた市民の間から噴き出した。
襲撃の最中に警察に通報したという人たちは、電話がつながってもすぐに切られたといい、無力感と恐怖感でパニック状態。また、中継動画を見て慌てた市民の中には警察に電話が繋がらず、近隣の警察署に駆けつけたが、目の前でシャッターを締められたという例も報告されている。
こうした初動の遅れが巻き起こした不安の他に、実は襲撃の真っ最中に警官が二人現場にいたことを証明する写真が多数寄せられる。後に警察関係者はこれに対して、「二人では人手が足りず、応援を待つしかなかった」と釈明したが、市民が襲撃されている最中に背中を向けて現場を去っていく警官の姿に対する市民の怒りは収まるわけがなかった。
次第に、こうした警察の「消極的な」態度が疑惑の的になっていった。駅で怯える市民を怒鳴り上げた武装警官隊の指揮官がその夜遅く、現場近くの廟で白いTシャツ姿の人物と面談している様子がメディアのカメラに捉えられた。また、出動する警官隊と白Tグループが1台のバンの両側を出入りする滑稽な様子、そしてその指揮官が路上で白Tと談笑する様子なども次々と写真で公開されるにつれ、市民の疑惑は「あれは警官もグルになってしかけたのだ」という確信に変わり始めた。
さらに、現地の元朗区の区議会議員もメディアに対し、「前日に不穏な噂を耳にしたので、警察に相談しておいた。当日の昼間にも改めて確認したが、『すでに対応済みだ』と言われた」と証言。その議員の一人は襲撃現場に駆けつけたが、事件に巻き込まれて入院治療を受けている。
「警察」+「親中派」+「マフィア」の疑惑
また、駅の外では親中派の立法会議員も白Tグループのメンバーと談笑している様子が写真に残っており、一部報道によると「よくやった」と声をかけていたと伝えられた。当該議員は事件翌日に(政府会見よりも早く)記者会見を開き、自分が現場にいたのは「自宅が元朗にあり、元朗区住民だから自然なこと」と弁明した。
だが、その会見では最初から黒いTシャツを着たデモ参加者を「暴徒」と呼び、一方で白Tグループを「元朗の原住民たちが自分の土地を『暴徒』から守ろうとしただけだ」と強調した。
この親中派議員が言うとおり、元朗はもともと香港では古い独特の歴史を持つ村だ。明代から続くとされ、少なくともイギリスが香港を植民地にする前からの「原住民」が農業を支えに暮らしてきた。
今では一部はベッドタウンとして開発も進み、マンションも建っているものの、ほんの少し歩いただけでまだまだ伝統的な集落が残っている。その村と村との間には、利益や土地権利の意見の相反からそれこそ武器を手に激しい戦いが繰り返されてきた土地柄であり、イギリスの植民地となってからも反英基地として抵抗活動の拠点にもなった。
植民地政府はその抵抗に手を焼き、伝統文化を尊重するという名目でこの土地に市街地と違った管理形態を敷いた。独自の習慣や文化の継承を許し、今でも家督を男子にしか継がせないという風習が残っている。郷紳と呼ばれる土地の有力者が中心になってほぼ自治運営しており、その組織は形式的には植民地政府や現在の香港政府の下に組み込まれてはいるが、いまだに独自の自治意識が強い地域だ。
このため、同地区を管轄する警察はいやでも現地の有力者との付き合いが求められる。これらの背景を知る香港人にとって、元朗が持つ独特の権力や利益関係が今回の事件において無視できない要素になっていると推測する人は少なくない。
実際に、白Tグループはマスクすらしていなかったのになぜかその後もほんの十人程度が逮捕されただけなのだ。だが、その逮捕者の中には香港マフィアの背景を持つ人物が複数含まれており、ここに来て「警察」「親中派」「マフィア」が手を組んだ事件だったのではないかと市民は考え始めている。
この白Tシャツグループの実態は事件から1週間以上たった今も明らかにされていない。市民は警察が発表した、ほんの一部の情報からおぼろげな姿を想像することしかできず、そして無差別襲撃がいつか自分の身に起こるかもしれないと苛立ち、不安を感じている。
展開される、市民たちの抗議活動
非難は警察に集中した。
事件翌日の会見で、出動が遅れた理由について警務処長は、「香港島の事件に人手を集中させていたために手薄になっていた。事件発生の一方で香港島から、そして近隣地区からも警官を送り込む手配に時間がかかってしまった」と述べている。ならば、管轄の警察はなぜ、区議会議員らの事前通報に「対応済み」と答えたのだろうか? 
市民たちは警察の説明にまったく納得していない。これは、デモそれ自体とはまったく関係のない、地下鉄という公共の場で、正体不明の男たちに一般市民が襲われるという無差別襲撃なのだ。
45人もの市民が負傷したというのに、会見で林鄭行政長官が中央政府事務所襲撃について国の威厳がよごされたなどと述べたのに、元朗事件については負傷者へのお見舞い程度にしか触れなかったことに香港社会の怒りはさめやらない。
それに対して市民たちは行動に出た。
まず地下鉄のコントロールセンターの対応に不満を感じる人たちが呼びかけて、24日水曜日に政府庁舎に近いアドミラルティ駅で「非協力」抗議活動を展開した。これは、朝のラッシュアワーの同駅で地下鉄ドアの開閉を阻害して電車を遅らせるというもので、出勤途中の市民の不興を買うと思いきや、報道によれば、乗客の中からも行動に同調したり、不満を述べる乗客を説得する役割を担う人たちが出たという。
そして26日には国際都市香港の玄関口、香港国際空港で、複数の航空会社職員たちが呼びかけた座り込み集会が開催された。
空港管理局も集会に協力し、空港着陸ロビー内の作り付けの椅子を取りはずして座り込みの場を確保し、同日午後1時から夜半12時まで、そこに抗議する人たちが座り込んで、シュプレヒコールをあげた。また、抗議参加者は外国語で書かれたビラやスローガンを手に利用客に協力と理解を求め、状況を説明するなどの光景も展開された。参加したのは、非番及び出勤前後の職員たちで、入れ代わり立ち代わり数万人。
さらに主催者によると、民航局職員の中からも賛同の声が上がっていたが、公務員規定に沿ってデモ参加は控えた人もいたという(なお、この座り込み集会が激しい衝突に発展しなかったのは、「警察が介入しなかったからだ」という冗談とも本当ともつかない感想がネットに流れている)。
この日はまた、香港最大の公立病院でも医療関係者による抗議集会が行われ、改めて逃亡犯条例改訂の撤回を要求し、元朗事件の徹底究明を求めた。
特筆すべきは、抗議表明は集会やデモという形だけではない、ということだ。
すでに香港各地の住宅地を中心にしてあちこちで、7月初めから、市民一人ひとりが思い思いに抗議の言葉を書き込んで、まるで七夕の短冊のように貼り付ける「レノン・ウォール」と呼ばれる抗議の壁が出現している。
ビジネス界からも声が上がった。香港四大商業業界団体の一つである香港総商会は香港政府に対し、逃亡犯条例改訂案の「撤回」と抗議活動における警察行動に対する独立調査委員会の設置を求める声明を出した。
この他、税関、入境管理局、消防、懲教署(刑務所などを管理する機関)など、警察を除く5司法機関のトップが暴力事件の徹底捜査を求める共同声明を発表(しかし、声明では警察の「不足」には触れていない)。
その一方で、政治活動への参与を許されていない政府職員らが、自分の職員IDの個人情報部分を隠した上で政府への抗議や再考を求める声明とともに写真に撮り、ネットで公開するという動きも広まっている。メディア報道によると、その参与の範囲はすでに政府44部門を超えたと言われ、また8月2日には公務員による集会も予定されている。
出現した「時代革命」のスローガン
他方で、暴力事件を経て、街頭に繰り出すデモ自体に新たな変化も出現している。
7月27日に元朗の住民が呼びかけて、現地で事件の徹底追及を求めて行われる予定だったデモが、警察の反対によって実施不能になった。
すると市民の間からすぐさま、「元朗の牛に会いにいくツアー」「元朗伝統スイーツフェスティバル」「元朗の美食を食べに行くグループ」などのさまざまな呼びかけが始まった。中には22日に死去したばかりの「李鵬・元総理の追悼式」を元朗で取り行うとするトンデモ呼びかけも起こっている。
そうして27日に三々五々集まった約2000人によるデモを止めようとした警察は、市街地の住宅街で催涙弾を発射。「そばに養老院があるのを知らないのか!」と、立法会議員が怒りの声を挙げて詰め寄る光景もあった。
だが、市民たちは元朗事件自体に警察が関わっており、捜査が進まないのもそのせいだと確信を深めており、デモ「鎮圧」はその怒りに火をつけた。撤退する様子を見せないデモ隊に、警察は次々とゴム弾や催涙弾を投入、その結果、デモ隊の激しい抵抗を引き起こした。
また、元朗デモ騒ぎが尾を引く翌28日には、セントラル地区で開かれていた抗議集会のそばで、わざわざそのそばを通り抜けようとした黒い車が集会参加者に取り囲まれて立ち往生。
そこで車を通そうとした警官との間で口論が発生し、激昂した集会参加者が二手に分かれ、一方は中国政府の香港出張所の方向へ、もう一つは政府庁舎に向かってデモ行進を開始。中国政府出張所に向かったグループはずっと手前の住宅地で再び警官隊による催涙弾の雨を受けた。
これらの路上デモでは、警察を直接標的にして怒りをぶつける行動が顕著になってきた。7月に入ってからずっといくつかのデモで警官隊との小競り合いが続いていたが、すでに警官隊もデモ隊に向けて催涙弾やゴム弾を撃ち込むこと自体を躊躇しなくなっているようだ。
デモ隊の方もすでにヘルメットやガスマスク、そして手製の盾など、さまざまな手段で身を守る準備をして行進するようになっている。そして、次第に「光復香港、時代革命」というスローガンが叫ばれるようになってきていることも注目されている。
このスローガンは雨傘運動が失敗に終わった後、2016年の旧正月に香港の下町・モンコックで起きた、若者と警察の衝突で叫ばれたもので、「香港独立のためには暴力も辞さない」という意味があり、香港独立を主張するグループが掲げたものだった。つまり、若者たちの一部はすでにしびれを切らして、警官隊とぶつかることを目的に行動し始めたということになる。
警察も、今後のデモ申請を許可するか否か、慎重に判断していくと発表。これが「抗議の権利を奪った」と反感を生んでおり、警官隊もそれに応じた動きを見せつつある。
たとえば、街中で黒いTシャツを着た若者を呼び止めて囲み、職務質問をしたり、衆人環視の地下鉄駅で壁に手をつかせて身体検査をしたりするなど、これまでの香港には見られない強硬策を取り始めている。
その一方で、「認可された集会に参加して帰宅しようとしていたら駅で捕まって殴られた」「(法律で定められている)警官IDの提示を求めても断られた」「現場から逃げようにも道を塞がれていて袋叩きに遭った」「使う暴力の度合いが過剰だ」「ただ通りかかっただけなのに突き飛ばされた」などと、抗議者側の警察への不満は次々と高まっている。
だが、一方で前述したようにこうしたデモだけではなく一般市民の抗議集会は次々と組織されており、全体的にみても香港市民の抗議の声は停まっていない。このまま、政府が警察権力の膨張や過剰行使を許したままにすれば、反発が大きくなり大事件へとつながる可能性もある。しかし、前述したように今の政府内には市民のみならず、警察に対してもなすすべはないように見える。
同様の衝突は28日にも起こっている。この時49人が逮捕されたが、うち最年少は16歳の少女、そして混乱の中で転んだ人を両側から支えようとしたカップルも含まれている。このカップルは8月の最初の週に結婚する予定だったという。今や、こんな普通の人たちが警官隊との衝突を選ぶほど、香港市民の怒りは頂点に達している。
8月5日には全香港ストライキも呼びかけられている。ビジネス都市、大企業がひしめく香港でどれほどがこれに呼応するかはまだ未知数だが、金融都市の命脈である金融界にも賛同の声が広がっており、市場の影響を考えながら交代でストライキに参加する動きもある。
このデッドロックを誰が、いかに、突破し、収束させていくのか。その収集のカギを握るのはやはり政府である。政府が内部の矛盾をいかに調停していくか、すべてがそこにかかっている。文字通り行政能力が試されているのである。