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Une femme sur le trône du Chrysanthème, près de 82% des Japonais favorables
Dominique Bonnet
Alors que le Pays du Soleil levant a vécu la semaine passée l’intronisation de l’empereur Naruhito, un nouveau sondage prouve qu’une très large majorité de Japonais serait favorable à ce qu’une femme monte sur le trône du Chrysanthème.
Ce mardi 22 octobre 2019, l’empereur Naruhito du Japon, qui avait succédé à son père Akihito six mois auparavant, a solennellement proclamé son intronisation au Palais impérial à Tokyo. La cérémonie a rassemblé quelque 2.000 invités parmi lesquels de nombreuses têtes couronnées. L’agence de presse nippone ≪Kyodo News≫ a profité de cet événement pour lancer, à la fin de la semaine, un nouveau sondage sur la question de l’accession des femmes au trône du Chrysanthème. Et les résultats sont sans appel.
81,9% des sondés sont favorables à ce qu’une femme règne sur le Japon
L’enquête menée auprès d’un millier de personnes montre que 81,9% d’entre elles -soit les quatre cinquièmes de la population- sont favorables à ce que la fille d'un empereur du Japon puisse devenir impératrice. Seulement 13,5% des citoyens interrogés se sont exprimés contre. Le pourcentage ≪pour≫ descend cependant à 70% (21,9% contre) quand la question porte non pas sur l'accession simple d'une femme à la plus haute dignité impériale, mais sur le fait de savoir si on autorise aussi l'ascendance féminine pour les héritiers du trône: autrement dit, le fait que les enfants d'une femme de la famille impériale puissent un jour devenir empereur ou impératrice.
Actuellement, quand l'empereur a une fille -ce qui est le cas de Naruhito, père de la princesse Aiko, âgée de bientôt 18 ans-, celle-ci ne compte pas, et pas davantage ses descendants. Ses enfants, même un garçon, ne figurent pas sur la liste de succession, et elle quitte, en outre, la famille impériale si son époux est un roturier. Or, ces règles ancestrales posent un problème de continuité de la prétendue ≪plus vieille dynastie du monde≫ en raison du peu d'hommes aujourd'hui susceptibles d'hériter du trône. A ce jour, les trois successeurs potentiels de l’empereur Naruhito du Japon sont, dans l'ordre: le prince Fumihito d’Akishino, son frère cadet âgé de 53 ans; le prince Hisahito, 13 ans, fils de ce dernier; et en troisième position, le prince Masahito de Hitachi, frère du précédent empereur, Akihito, âgé de près de 84 ans.
La question devrait être abordée prochainement "avec prudence"
Le débat au Japon sur la remise en cause de la patrilinéarité impériale n'est pas nouveau mais il avait baissé en intensité après la naissance en 2006 du prince Hisahito. Les milieux conservateurs, auxquels appartient l'actuel Premier ministre Shinzo Abe, sont réticents à réviser la loi sur la Maison impériale dans le sens d'une féminisation du trône. Le porte-parole de l'exécutif, Yoshihide Suga, a toutefois promis que la question serait abordée, ≪avec prudence≫, une fois terminées toutes les cérémonies de la succession entre Akihito, désormais empereur émérite, et Naruhito. La semaine dernière, un groupe de politiciens a ressorti une autre solution déjà maintes fois évoquée: élargir l'éventail masculin en votant une loi spéciale qui ferait revenir dans la famille impériale des hommes de branches qui en ont été exclues après-guerre.
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フランス語の勉強?
田所悟 @tadokorosatoru
オリンピックマラソン、競歩問題で騒いでいる都職、都民、関係者は俺たちが振り回されたいまだ問題山積の築地移転問題の気持ちが分かっただろうか…
刀祢館正明 @tonemasa57
なぜ萩生田大臣が「身の丈」発言をしてしまったか。それは、この英語入試の本質が受験生の「身の丈」を前提にした、不公平なものだからだ。その意味で大臣発言は「正しい」。大事なのは大臣の更迭などではなく、こんな不公平な試験制度をこのまま進めてしまわないこと。
ホソピー@江ノ島 @hosopy1922
阿部公彦東京大学教授
受験生に謝罪するなら、「不安を与えて申し訳なかったので、導入を延期・中止します」と言うしか解決の道はありません
全くその通りです。延期・中止しかありません。

よしまた洋(吉俣よう)@yoyoshimata
大学共通テストへの英語民間試験の導入は、「文科相も認める、金銭的な『身の丈』に左右される入試になってしまう」(東大教授・阿部公彦さん)。大学入試の機会均等すら踏みにじるというのか。
氏岡 真弓@ujioka
まず、大臣が「身の丈に合わせて」と格差を容認する言葉を口にしたことだ。地域・経済格差が教育格差につながるのを防ぐのが大臣の責務だ。課題を受験生に押しつけ、開き直ったとも受け取れる。こんな姿勢では、教育政策を預かる資格はない。
深刻なのは、制度自体が「身の丈入試」であることを拭えない点だ。民間試験を使う以上、都会の裕福な家の子が何回も受験の練習をするのを妨げられない。萩生田氏の発言は、この問題を改めてあぶり出した。1日から受験用の「共通ID」の申し込みが始まる。受験生の不安はすでに限界を超えている

阿部公彦 @jumping5555
民間試験の推進派がなぜ沈黙しているかがよくわかる。「制度が不公平で欠陥がある。擁護しようとすれば、こういうとんでもない失言が出てくるのは当たり前だ」(羽藤由美さん)
KIT Speakee Project @KITspeakee
確かに萩生田発言は辞任に値する。しかし、それは身の丈でしか受けられない不公平な入試制度、下村氏以降の歴代文科大臣が躊躇なく推し進めてきた入試の民営化を擁護するための弁であった。それを現在の大臣個人の問題として国会で追及するなら、問題の矮小化と言わざるを得ない。
大学入試を民営化することにより、家庭の経済状況による教育格差はさらに広がる。得られる見通しの立たない「英語4技能」と引き換えにこの一線を越えてしまってよいのか? これまでにしておくべきだった本質的な議論をするために、まずは新制度導入の延期を求めてほしい。
口先のごまかしや言い逃れは聞き飽きた。子供の喧嘩のような中傷合戦は見飽きた。こんな土壌で「学力の3要素」や「グローバル人材」を育めるわけがない。与野党が最善の解決を求めて真正面から真摯に議論するところを見せてほしい。


先日日にちを間違えて粗大ごみを回収してもらえなかったので,今回は間違えずに朝粗大ごみ2つ出しました.
昼は久しぶりのシキサイです.串カツ.
D50分早く終了しました.去年もそうだったかもしれません.
財布を開けるたびに目に付くので今日は勝手に黄です.
そして歯医者.メンテナンスで仮歯をはずし糸を抜いてもらいました.先日抜歯したところがまだ化膿しているそうで,腫れが引くのに時間が必要とのこと.
晩ご飯は野菜炒め.
イン→孫.

旧門脇小6年ぶりシート外される
東日本大震災の震災遺構として保存されることになっている石巻市の旧門脇小学校で、建物の一部解体工事を前に、校舎を覆っていたシートが取り外され、6年ぶりに震災直後の姿を現しました。
石巻市の旧門脇小学校は、東日本大震災の津波で3階建ての校舎の1階まで浸水し、その後の火災で全焼しました。
市は、震災から2年後の平成25年、小学校のグラウンドを授業などで使用する高校生への配慮から校舎を覆う目隠し用のシートを取り付けました。
旧門脇小学校は震災遺構として保存されることが決まり、建物の一部解体に向けた工事を前に、6年ぶりにシートが取り外されました。
校舎は、外壁の一部がはげ、ガラスが割れたままの窓から見える教室は火災のため黒くなっていて、震災の爪痕を色濃く残しています。
石巻市は、震災遺構としての維持費や耐震性などの問題から、校舎の両端を取り壊すことにしていて、来月中旬ごろから本格的な工事に入る予定です。
校舎をすべて保存することを求めていた住民グループの本間英一さんは「シートが取り外された姿を見ると、改めて左右対称ですばらしい校舎だったと思う。一部でも取り壊されるのがとても残念です」と話していました。


「ちゃんと届いたと思う」 陸前高田「漂流ポスト」の手紙供養
 東日本大震災で犠牲になった人らに宛てた手紙を預かる陸前高田市広田町の「漂流ポスト」に、この1年間で届いた約50通の供養が28日、近くの寺であった。津波で長男智則さん=当時(22)=を亡くした宮城県南三陸町の介護福祉士高野慶子さん(56)も参列。手を合わせ「手紙がちゃんと届いたと思う」と話した。
 震災発生から8年7カ月で、高野さんは自宅の再建を果たし、次男一家に孫が生まれた。日常の復興が進む半面、喪失感が癒えることはないという。
 毎年、命日の前後になると、智則さんに話し掛けるように「ともに会いたいョ」「風邪ひかない様にネ」などとしたため、家族の近況を報告してきた。「漂流ポストは心のよりどころ。返事はないけれど、話ができたようでうれしい」とかみしめる。
 「漂流ポスト」管理人の赤川勇治さん(70)は、現地で営んでいたカフェの営業を9月末で終了した。今後は、訪れる遺族らにゆっくり寄り添える場所としたいという。赤川さんは「手紙を投函(とうかん)した人たちが集まる機会を実現したい」と語る。
 手紙の宛先は、〒029−2208陸前高田市広田町赤坂角地159の2「漂流ポスト」。


河北春秋
 煮ても焼いても食えない。貝毒が検出されたホタテやアサリなどの二枚貝のことだ。毒キノコなどと違って貝そのものに非はない。海中の有害プランクトンを取り込み毒を持つ。東日本大震災以降、仙台湾や三陸沿岸で顕著になった▼国内ではまひ性と下痢性の2種類がある。まひ性が爆発的に発生したのは2013年。泥の中で眠っていた有害プランクトンが巨大津波で大量に巻き上げられたのが要因とみられている。その後も発生は毎年のように続いている▼厳密な検査体制が敷かれており、危険なものが出荷され食卓に上ることはない。とはいえ、計画的な生産・出荷ができなくなる漁師や加工業者にとっては大きな痛手。風評被害も心配だ▼ことしは春先から宮城県沖で下痢性が大量発生した。県水産技術総合センターによると、貝毒の頻発は潮流や海水温の変化も大きく影響しているという。田畑であれば消毒薬をまいたり品種改良を進めたりして対策を取れるかもしれないが、広大な海が相手だけに特効薬は今のところ見えてこない▼台風19号に伴う豪雨で沿岸域に大量の土砂が流れ込んだ。これから出荷が本格化するカキの養殖などにどんな影響をもたらすのか。恵みを与えてくれる海が微妙なバランスで保たれていることを改めて思う。

【災害と文学】貴重な言葉を伝えよう
 今年の第七十二回県文学賞の入賞作が決まった。「3・11」から八年が過ぎても、震災と原発事故を巡る思いや葛藤がつづられる。県民の文学は貴重な記録であり、風化させてはならない言葉を残す役割も担う。県内は台風19号や大雨などの災害との闘いが続く。作品を通して一人一人が災害について考え、伝えるきっかけにしてほしい。
 県文学賞は小説・ドラマ、エッセー・ノンフィクション、詩、短歌、俳句の五部門に計二百五十三点の応募があった。各部門で震災をテーマにした作品が入賞した。
 小説・ドラマ奨励賞の伊藤さつきさん(郡山市)の作品「めんごい子」は、津波で家族を亡くした女性が、残された子どもと懸命に生きる姿を描く。まわりの世界とまっすぐに向き合う子どもに、大人は勇気をもらう。エッセー・ノンフィクション奨励賞の菊池光子さん(南相馬市から熊本市に避難)は作品「卑怯者」で、避難生活の本音をひるまず文字にした。介護の大変さや周囲との摩擦に自問自答する姿を、からりと明るい文体で記す。いずれの作品も、同様の環境にある読者の共感を呼ぶだろう。
 詩準賞の佐藤公子さん(福島市)の作品「お返事ください」は、家を建て、学校を地元に戻し、村民が○○%戻ったから復興なのか−と問い、「一日中 誰ともしゃべんないんだよ」「復興 て 何なんだよ」と叫ぶ。俳句奨励賞の鎌田益実さん(いわき市)は作品「故郷を追はれて」で「秋の夜の帰還の話題限り無し」と古里を思う。尽きぬ思いがあふれる。
 作家の吉村昭氏は明治二十九(一八九六)年と昭和八(一九三三)年に三陸海岸を襲った津波を調べ、住民らの証言を著書「海の壁−三陸沿岸大津波」に記した。家族を失い、一人残された少女の作文が載る。東日本大震災後に改めてクローズアップされた。繰り返す歴史に学ぶ大切さと難しさを考えさせる。
 言葉に表すことは、自分と読む人の生きる力を呼び起こす。県文学賞は今年、青少年の作品が減ったが、長谷川優輝さん(会津高)は全ての部門に応募し、ドラマで青少年奨励賞に輝いた。大槻千明さん(須賀川桐陽高)は俳句を組み合わせたエッセーで青少年奨励賞を受けた。今回の台風で被災しながらも、次の構想を練る。幅広い世代の文芸活動が災害に負けず、力強く続くことを期待する。
 入賞作品は来年三月ごろ発刊予定の「県文学集」に掲載される。多くの人に読まれることを願う。(佐藤 克也)


AKBメンバー丸森町で炊き出し
台風19号で大きな被害を受けた丸森町では、人気アイドルグループ「AKB48」のメンバーなどが炊き出しを行って、被災した人たちに温かい食事をふるまいました。
炊き出しを行ったのは、宮城県出身の佐藤朱さんら「AKB48」のメンバー3人と、同じく宮城県出身で新潟を拠点に活動しているアイドルグループ「NGT48」のメンバー高橋七実さんのあわせて4人です。
丸森町役場の近くのボランティアセンター前では、昼過ぎからニンジンやタマネギなど野菜がたっぷり入った「豚汁うどん」、およそ400食がふるまわれました。
メンバーらは、被災した町の人たちやボランティア活動をしている人などに「頑張ってください」などと声をかけながら、一皿ずつ手渡していました。
自宅が被災し娘の家に身を寄せている75歳の女性は、「断水が続いているため、料理ができず、揚げ物が入った弁当ばかり食べているので、栄養面が気になっていました。温かい食事を食べられる機会がなかなかないので、すごくありがたいし、元気が出ました」と話していました。
また、「AKB48」の佐藤朱さんは、「以前訪れたことがあり、思い出深い丸森町が復興に向けて頑張っているので、少しでもお手伝いできたらと思って配りました」と話していました。


東北楽天、丸森へ笑顔の贈り物 三木監督、避難所など訪問
 プロ野球東北楽天の三木肇監督(42)が28日、台風19号豪雨で甚大な被害に遭った宮城県丸森町を訪れ、丸森小の子どもたちや同小体育館で避難生活を送る被災者に球団の公式タオルを贈った。
 三木監督は「少しでも早く日常に戻れるように頑張ろう」と呼び掛け、丸森小と同小を借りている金山小の児童約210人に岸孝之投手の公式タオルを一人ずつ手渡した。憧れの岸投手のタオルを手にした子どもたちは「やったー」「ありがとう」と笑顔を見せた。
 14日から同小体育館で避難生活を続ける会社員小野一男さん(63)は、同町五福谷の自宅が土砂に埋もれた。「監督から直々にタオルをもらえてうれしい。つらい生活は続くが、こんないいこともある」と喜んだ。
 球団は28日までに、町に選手名入りタオル約1万6000枚を寄付している。


JR東北線が全線復旧 台風19号で被災
 台風19号の影響で不通となっていたJR東北線は29日、矢吹(福島県矢吹町)―安積永盛(同県郡山市)間の運転を再開した。一時、不通区間は宮城、福島両県にまたがったが、これで全線復旧した。
 再開区間では、線路の土台となる砂利などが流失する被害があり、代行バスを運行していた。
 郵便局に勤める同県下郷町の市村一正さん(32)は「本当に電車が通るか半信半疑だった。再開してよかった」と話した。
 JR東日本によると、全線不通となっている磐越東線の郡山―いわき(同県いわき市)間は11月中旬までに再開する予定。


福島県住宅再建で支援法 震災以来、全県に適用へ
 台風19号で住宅被害が相次いだ福島県は28日、住宅再建に現金を支給する被災者生活再建支援法を全県に適用する方針を示した。台風で全壊した住宅が同日の最新の集計で100棟を超え、要件を満たした。同法の全県適用は2011年の東日本大震災以来。
 内閣府との協議を経て近く正式決定する。対象は台風19号と25日の大雨・洪水で住宅が全壊や大規模半壊と認定されたり、半壊でも住み続けるのが困難で解体したりした世帯。被害の程度や再建方法に応じて最大300万円の支援金が支給される。
 台風19号と25日の大雨などによる県内の住宅被害は28日現在、全壊120棟、半壊794棟、一部損壊567棟、床上浸水1万1327棟、床下浸水2195棟。市町村別の全壊は郡山市が現時点で100棟と最多だが、他の自治体も含めさらに数が増える可能性が大きい。


宮城・丸森病院 診療再開 17日ぶり 住民感謝
 台風19号による浸水被害で休診していた宮城県丸森町の国民健康保険丸森病院が28日、17日ぶりに外来診療を再開し、住民は町内唯一の病院の復旧に胸をなで下ろした。一方、1階が浸水した影響で大型の医療機器が使えず、往診や入院患者の受け入れは11月以降になる見込み。
 午前8時半の外来受け付け開始前から住民約20人が訪れた。被災や避難生活でストレスが高まっている住民に配慮し、1階の待合室の一角に臨時の問診スペースを設けた。医師による診察は入院病床がある3階で行った。
 同町の北村一男さん(85)は「病院も水に漬かり大変だったのに、よくぞ再開してくれた。地域の誇りだ」と職員の労をねぎらった。
 大友正隆院長は「多くの患者から励ましの声をもらっている。医療機能を一日でも早く回復し、期待に応えたい」と話した。
 台風19号の襲来に備え、病院では11日夜から事務職員や医師ら約10人が院内で待機した。浸水は12日未明に始まり、床上15センチまで水に漬かった。1階にある医療機器やパソコンを2階に運び込んだが、大型の磁気共鳴画像装置(MRI)などが被害に遭った。
 1階の調理室も浸水したほか、水道やボイラーが使えず、入院患者56人を近隣の病院や老人施設などに移した。
 同病院に隣接し、約1.5メートル床上浸水したサイカ調剤薬局丸森病院前店も28日、仮設店舗で営業を再開した。
◎「支えたい」被災職員奔走
 復旧への一歩を踏み出した丸森町の国民健康保険丸森病院。早期再開を支えているのは、自らも被災した職員たちだ。
 「何とか再開できた」
 17日ぶりに外来診療を再開した28日朝、小野良孝事務長がほっとした表情を浮かべた。台風19号の直撃を受けて以来、入院患者の転院や床上浸水した院内の清掃などに奔走してきた。
 町内にある木造2階の自宅と車庫には、裏山から大量の土砂がなだれ込んだ。病院復旧に追われ、今も被害の全容は把握できず、自宅の修繕に手が回らない。
 幸い、自宅にいた妻や母、長男は無事だった。小野さんは「まずは住民の避難生活を支えるのが第一だ」と自分に言い聞かせた。
 看護師や事務職員の多くも自宅が被災し、避難所から通う人もいる。病院再開に向けて後片付けなどに尽力してきた50代の女性看護師は「みんな大変な状況だが、何とか支え合っていきたい」と話した。
 大友院長は「多くの支えにより診療が再開できて感無量。地域全体で一致団結し、住民に安心感を与えたい」と語った。
 この日、外来には正午までに132人が訪れた。再開を心待ちにしていた同町の目黒心一さん(84)はしみじみ語った。「自ら被災しながらも病院を再開してくれた医師や看護師、職員の優しさに頭が下がる思いだ」 (鈴木俊平)


台風19号の農水被害額1223億円 38都府県 全容つかめず拡大も
 農林水産省は28日、台風19号による農林水産関係の被害額が同日午前6時の時点で1223億8000万円まで拡大したと発表した。25日の集計で1000億円を超えていたが、さらに膨らんだ。冠水被害が広範囲に及んだため現時点でも全容はつかめておらず、被害額は拡大する見通し。
 東北6県を含む38都府県の報告を集計した。内訳は農作物被害が106億円、農業用施設は483億円、農地の損壊は150億円だった。林業関係の被害額は349億円、漁港の施設損壊など水産関係は96億円に上った。
 農水省は28日、被害の支援策に関する東北の自治体、農業団体向けの説明会を仙台市青葉区の仙台合同庁舎で開催。参加者の質問は、河川の氾濫などで流され農地に堆積した稲わらの処理に集中した。
 農水省の担当者は、農家が稲わらをまとめて集積所に運ぶ場合、1立方メートル当たり5000円を補助することなどを盛り込んだ支援の枠組みを説明。申請の際に稲わらの量が分かるよう写真撮影などを求めた。
 約250人の参加者からは「運搬を業者に委託しても補助は出るのか」「農地へのすき込みや堆肥化する際の支援策はあるのか」といった質問が相次いだ。担当者は業者委託も補助対象とし、すき込みなどへの支援策は「今後検討する」と話した。
 稲わら処理の枠組みは農水省と環境省がまとめた。集積所に運ばれた稲わらは、市町村が環境省の補助事業を活用して処理することになっている。
 農水省は千葉、福島などで浸水被害をもたらした台風21号の被害調査も進める。


台風・豪雨被害 生活再建の支援を急げ
 度重なる台風による水害で被災者の生活再建の見通しが立たない状況が続いている。とりわけ再建のかぎとなる住宅支援の遅れが深刻だ。自治体任せではない国主導の支援拡充を急ぐ必要がある。
 台風19号やその後の豪雨の影響などで約三千六百人が避難所生活を余儀なくされている。大半は浸水で自宅が損壊した人々だ。
 大規模災害で住宅が壊れた場合、公的な支援を受けるためには罹災(りさい)証明が必要だ。証明は地元の市町村に申請してもらう仕組みだ。しかし、申請が殺到して対応する職員が不足し、証明を受け取るまでに相当な時間がかかる問題が出ている。
 先月の台風15号で被害を受けた千葉県でも発行が大幅に遅れるケースが多発。その後に相次いだ台風や豪雨の被災地でも同様の事態が出始めている。この遅れは過去の台風被害の際にも指摘されており、自治体側の対策に甘さがあったと言わざるを得ないだろう。
 罹災証明は、一部損壊なら被災者が撮影した写真などを使って簡易判定してもらい発行することが可能だ。ただ全壊や半壊の場合は職員の現地調査が必要で対応には時間がかかる。
 各自治体は職員を増やし対処しているが人員は足りていない。ここは発行要件を制度的に緩和し、簡易判定の対象を大幅に拡充すべきではないか。
 水害の場合、木造住宅は放置すれば傷みが進んで損害の度合いが大きくなるケースが多い。損害の程度が軽微に見える家屋でも、浸水で基盤が緩み建て直さざるを得ない例もある。
 内閣府などによると今回に限らず罹災証明の申請自体が少ない傾向が続いている。住む家を失うという事態に直面し、支援の仕組みがあることさえ思い至らず泣き寝入りしてしまう姿は想像に難くない。だが支援なしでは最悪の場合、家だけでなく故郷も失う。支援策の周知徹底も課題だろう。
 災害の時、生活支援の主役は各自治体だ。だが年々、台風は大型化しその被害も甚大になっている。政府は国土強靱(きょうじん)化をうたうが、いくら治水事業に予算を投じても完全に被害を食い止めることは不可能だ。
 今回の浸水被害で、自治体ごとの支援に限界があることが改めて浮き彫りになった。罹災証明の遅れなど具体的な課題を迅速に解決するためにも、より国が深く関与した強力な生活支援体制の構築が急務だ。


台風19号・授業再開/丁寧な心のケアを最優先に
 台風19号の影響による県内の公立学校の休校が解消され、授業が再開した。ただ、校舎や学校設備が浸水などの被害を受けた中で再開した学校もある。県教委は一日も早く被災する前の学習環境を取り戻し、児童生徒らが授業に専念することができるよう、力を尽くすことが重要だ。
 浄水場が浸水した影響などで一時、県内の70校が断水した。復旧は進んでいるが、まだ飲み水として使えない学校も残っている。
 県内では、インフルエンザの流行がみられる。集団感染を防ぐためには学校での手洗い、うがいの励行が不可欠だ。各学校には子どもたちの衛生管理を徹底することが求められる。
 自宅や学校の浸水で、教科書や学用品が流されてしまった子どもたちがいる。授業の進行が遅れることがあってはならない。手当てを急ぎ安心して勉強できる環境を整えてもらいたい。
 自宅が被災した人たちの避難は長期化しつつあり、体育館が避難所になっている学校が残っている。体育の授業や部活動、学校行事への影響を少しでも軽減するよう運営には工夫が求められる。避難生活をしている人たちと、児童生徒の動線を分けるなどの措置も大切だろう。
 台風19号による大雨は、県内各地の道路網を寸断した。その後の大雨でも、浜通りを中心に土砂災害や河川の氾濫があった。
 相次ぐ大雨で地盤が緩んでいる箇所もあるだろう。通学路周辺で土砂流出などの恐れはないか、校庭やその周辺で危険な箇所がないかを改めて点検し直す必要がある。場合によっては通学路を変更するなど、子どもたちの安全確保を徹底することが大切だ。
 県教委は、JR東北線、磐越東線などの運休で通学が困難な高校生、学生の通学支援のため、無料のスクールバスを運行している。JRの運転再開、代行バスの運行で解消されつつあるが、公共交通機関が正常に戻るまで、きめ細かく運行を続けてほしい。
 浸水被害のあった郡山市の三つの小学校は、近くの小中学校までバスで移動して授業を行っている。学年によって通う学校が分かれている小学校もある。
 また、自宅が被災し避難所から学校に通う子どももいる。慣れない環境で授業を受ける児童生徒らの心のケアは最優先だ。
 県教委は各学校の状況を丁寧に把握した上でスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを派遣し、一人一人に温かい目を注いでほしい。


車での避難 浸水時の危険があらわに
 洪水の際、車で移動中に水没したり流されたりして命を落とす事例が相次いでいる。
 千葉県と福島県を襲った25日の記録的な大雨では、死亡した10人のうち半数の5人が車に乗っていて濁流に巻き込まれた。
 千曲川流域などに甚大な被害をもたらした台風19号の災害でも、死者87人の約3割が車で移動中だった。長野県内では死者4人のうち2人が車に乗っていた。
 危険が迫った時、避難の手段としてまず考えるのが車だ。大雨の中、高齢者や子供を連れて離れた避難所に行こうとすれば、現実的には車を使うしかない。
 しかし、冠水した道路を無理に進めば車は立ち往生し、閉じ込められる恐れがある。川に近い道路などでは、濁流が一気に押し寄せるかもしれない。
 一連の水害では、車による避難の危険性が現実になった。
 千葉県では、88歳の男性が高台の息子宅へ向かう途中で「車の中に閉じ込められて動けない」と息子に連絡。その後浸水した車内で死亡しているのが見つかった。
 長野県内の台風19号災害では、佐久市で81歳の男性が車で避難中に流された。東御市では道路が陥没して車が転落し、73歳の男性が亡くなった。
 最も重要なのは避難のタイミングだろう。浸水を予期して事前に動いておくのが理想だ。遅れた場合は外に出ず、自宅の2階など高い場所に逃げる「垂直避難」を選択し、救助を待ちたい。
 そのためにも、どの地域にどんな危険が迫っているか、行政はきめ細かい発信に努めてほしい。
 日本自動車連盟(JAF)が行った実験によると、水没でエンジンに水が入ると車は止まり、水圧でドアは開かなくなる。脱出口となる窓の電動開閉も作動しない。浸水が進み内と外の水位が近づくとドアは開くが、実際には障害物で開けられないこともある。
 実験では、ビニール傘や車の鍵で窓ガラスは割れず、有効なのは脱出用ハンマーだけだった。
 本紙は、実際の浸水の緊迫状況を詳しく報じている。男性が濁流にのまれた佐久市では他にも複数の車が被災した。アクセルが効かなくなった車の窓から脱出し、建物の屋根に逃れた人がいた。
 現場の千曲川支流、滑津(なめづ)川近くでは、県警による通行規制が、結果的に避難中の人たちをより危険な場所に導いてしまったことが判明した。
 今回の災害は洪水時の交通規制にも重い課題を突きつけている。


台風被害は1000億円超に
台風19号による道路や堤防、それに農林水産業などへの被害額は、29日までの県のまとめで合わせて1000億円を超えたことがわかりました。
ただ、被害の状況がまとまっていないものもあり、被害額などは今後、さらに増えるものと見込まれています。
県庁で開かれた災害対策本部の会議では、台風19号による被害額が29日午後までにおよそ1008億円に上っていることが報告されました。
具体的には、道路や河川の堤防などといった「公共土木施設など」が567億円余り、「農業関係」が277億円余り、「水産・林業関係」が125億円余りに上っています。
また、「商工業・観光関係」はおよそ33億円、「医療機関や社会福祉施設など」もおよそ2億7000万円となっています。
一方、住宅への被害は先週の大雨によるものとあわせると、全壊が165棟、半壊が857棟、床上浸水が4046棟、床下浸水が1万4053棟などとなっています。
県によりますと、被害の状況がまとまっていないものもあることから、被害額などは今後、さらに増えるものと見込まれています。


IS指導者死亡 テロの温床を絶たねば
 過激派組織「イスラム国」(IS)にとって指導者バグダディ容疑者の死は大きな打撃である。だが、過激主義に染まる人は絶えない。テロの温床となる社会的不公正の根絶は世界的な課題だ。
 一方的な米軍のシリア撤収で国内外から批判を浴びたトランプ米大統領には、失点を挽回したという高揚感があったのだろう。米軍の作戦によってバグダディ容疑者が自爆したことを「米国は世界最悪のテロリスト指導者に正義の鉄ついを下した」と高らかに発表した。
 ISは最盛期には英国の領土に匹敵する地域をシリアとイラクにまたがって支配下に収め「国家樹立」を宣言した。
 SNS(会員制交流サイト)を巧みに駆使して過激思想を広めて賛同者を勧誘した。これに感化されて三万人以上ともいわれる外国人戦闘員が世界中から合流した。
 トランプ氏は今年三月、ISの完全制圧を宣言したが、米国防総省の監察官は八月、ISが復活しつつあるとする報告書を公表した。指導者の死はISの残党による報復テロを誘発する可能性もある。厳重な警戒が必要である。
 バグダディ容疑者の潜伏先は国際テロ組織アルカイダの系列組織の支配下にあり、ISとアルカイダが協力関係を復活させたのではないか、という懸念がテロ専門家から出ている。しかも、米軍のシリア撤収に伴う混乱で、拘束されていたIS戦闘員が収容施設から逃亡したとも伝えられる。
 テロ情報の共有はじめ国際的な監視・協力体制を再点検してほしい。二〇一五年のパリ同時多発テロではフランスと隣国ベルギー両当局の連携不足が問題となった。
 IS絡みのテロは欧州やアジアにも拡散している。パリ同時多発テロ事件の翌一六年にはバングラデシュのダッカで日本人七人を含む人質二十人が死亡した事件も起きた。ISはアフガニスタンやスリランカなどでも台頭している。
 ネット空間は過激思想の拡散を食い止める戦いの最前線だ。表現の自由を侵害せぬよう配慮しつつ、官民が連携して管理・規制を強める必要がある。
 ただ、武力や警察力、ネット規制によるテロ退治には限界がある。過激主義を助長するのは貧困、圧政、腐敗、差別といったような社会的矛盾だ。
 テロの芽を摘むにはこうした不公正を克服し、民生を向上させるべきだ。平和主義を掲げる日本も積極的に貢献したい。


IS最高指導者の死亡 テロの脅威はなくならぬ
 過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者、アブバクル・バグダディ容疑者が、シリア国内で米軍が行った軍事作戦により死亡した。
 イラクとシリア一帯に「国家樹立」を宣言し、一時は両国土の3分の1を支配したテロ組織を率いた。米軍との戦闘の末、自爆したという。
 日本人2人を含む人質を残忍な方法で殺害し、その様子をインターネットに流して世界を震撼(しんかん)させた。
 残虐なテロの根絶は国際社会の悲願である。トランプ米大統領は軍事作戦の成功を強調し、「世界はより安全な場所になった」と語った。
 だが、果たしてそうだろうか。
 ISの特徴は、インターネットで拡散した過激思想に感化された若者が世界中から集まったことだ。外国人戦闘員は3万人を超えたという。
 多くは格差に不満を持ち、孤立を感じていたとされる。バグダディ容疑者が死亡しても、こうした社会の病理を解決しない限り、過激思想に共鳴する人は後を絶たないだろう。
 ISはシリアでの勢力を失ったが、ISの影響を受けた過激派が北アフリカや南アジアに勢力を広げ、スリランカでは大規模テロを実行した。テロの危険は拡散している。
 トランプ氏は今回の襲撃作戦を受けてシリア北部からの米軍撤退を進める意向という。来年の大統領選に向けた成果としたいのだろう。弾劾審査を受けているウクライナ疑惑から目をそらす狙いもあるようだ。
 しかし、シリア北部には約1万人のIS戦闘員が収容されている。トランプ氏がトルコのクルド勢力攻撃を容認したことで、混乱に乗じてIS戦闘員が逃走するおそれがある。
 報復テロの危険を抑えるためにも、米軍は責任をもってシリアでの治安維持に継続してあたるべきだ。
 トランプ氏は移民問題で「反イスラム」の立場を隠そうとしない。排他的な姿勢では憎悪が膨らむばかりだ。イスラムとの対話を通じテロの温床を排除する努力が必要だろう。
 米国は8年前、同時多発テロの首謀者ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害した。だが、反米感情から報復テロが続き、ISの台頭を許した。
 軍事作戦だけでは、テロの脅威を根絶することはできない。これを土台に国際連携を強め、包括的な取り組みに生かすべきだ。


IS指導者死亡 テロの脅威は消えない
 トランプ米大統領は過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者バグダディ容疑者が死亡したと発表した。
 米軍がシリア北西部で急襲作戦を実行し、追い詰められたバグダディ容疑者は体に巻いた爆発物を使って自爆したという。
 トランプ氏は「世界はずっと安全になった」と成果を誇った。しかし指導者の死が過激派組織の終わりを意味するわけではない。
 ISの底流にあるイスラム過激思想は世界各地にまん延しており、欧州、アジアなど他地域にまでテロを拡散させた。
 過激派組織は紛争地に巣くう。泥沼の内戦が続くシリアをはじめ中東地域の安定が図られなければ、テロの根絶はない。
 ISの源流は、イラク戦争で反米感情が高まる中、台頭した過激派組織にある。シリア内戦に乗じて勢力を伸ばし、2014年にはイラク、シリアにまたがる地域を「領土」とする国家を宣言した。
 外国人を人質にとり、斬首して殺害する映像を公開したり、異教徒の女性を「性奴隷」として扱ったり、ISは過激派組織の中でもその残忍さで際立ってきた。
 湯川遥菜(はるな)さん、後藤健二さんの日本人2人も殺害された。バグダディ容疑者やISの卑劣な行為が許されないのは言うまでもない。
 だがISの前身組織を率いたザルカウィ容疑者、国際テロ組織アルカイダのビンラディン容疑者はともに米軍に殺害されたが、テロは繰り返されてきた。
 今後、バグダディ容疑者の後継者が現れる可能性もある。
 トランプ氏は先にシリア北部からの米軍撤収を表明し、IS掃討に貢献したクルド人勢力を見捨てたと批判された。
 直後、クルド人勢力を敵視するトルコがシリアへ越境攻撃を仕掛け、大勢のクルド人が死傷した。
 そればかりか、混乱収拾にロシアが介入したことにより、米国内では中東での自国の影響力を低下させたとの見方が強まっていた。
 トランプ氏は来年の大統領選に向けて自身への批判をかわすことだけを考え、急襲作戦に踏み切ったのではないか。
 ISは米ロの掃討作戦で一時壊滅状態となったが、米国防総省は今年8月「シリアで復活しつつある」との報告書を公表している。
 腐敗や差別、貧困が「テロの温床」となってきた。武力だけで過激派組織を壊滅させるのは難しい。米ロなど関係国が和平の実現に協力していかなければならない。


萩生田文科相「身の丈」撤回も 識者は問題の矮小化と指摘
 ポンコツ英語民間試験をめぐる「身の丈」発言が大炎上している萩生田光一文科相。28日、謝罪と釈明をし、29日には発言を撤回したが、何にもわかっちゃいない。
 萩生田氏は24日のBSフジの番組で、民間試験の経済・地域格差問題について「自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえば」と言い放った。現職の文科相が入試の格差を容認していると猛反発が広がっている。
 萩生田氏はきのう、「どのような環境下にいる受験生においても、自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて、適切な機会をとらえて2回の試験を全力でがんばってもらいたいとの思いで発言をした」と言い訳がましく語ったが、「身の丈」を「自分の都合」と言い換えただけ。本来なら、受験生自身ではどうしようもない経済環境や住んでいる場所といった「自分の都合」で、入試機会が左右されてはいけないのである。
 民間試験の利用中止を求めている京都工芸繊維大の羽藤由美教授が頭から湯気の立つような声で憤る。
「英語民間試験は、受験機会の均等さえ担保できない不公平な制度。それを放置して、言い繕おうとするから『身の丈』や『自分の都合』という言い方になってしまうのです。制度自体が問題なのだから、導入を中止しない限り、萩生田文科相は、繰り返し謝り続けることになります。国会では、大臣個人の問題に矮小化せず、制度の欠陥を議論してほしい」
 撤回や、上っ面の謝罪や釈明にごまかされてはならない。


[大弦小弦]格差の容認 文科相に失望「落第点」
 2020年度に始まる大学入学共通テストでは、国語や数学に記述式問題が加わる。入試改革の一つで思考力や判断力を測るという。もう一つの目玉の英語民間試験導入を巡り、思考力を問いたくなるような教育行政トップの発言があった▼受験生の経済状況や住む地域によって不公平が生まれないかとの懸念に、萩生田光一文科相が「身の丈に合わせて勝負してもらえれば」と発言。批判がやまず「受験生に不快な思いを与える説明不足な発言だった」と謝罪した▼英語民間試験は高校3年時に受けた2回までの成績が志望大学に提供される。7種類ある試験は1回の受験料が5800円から高額なもので2万5千円を超す。さらに全都道府県で実施を予定するのは2試験だけ▼問題視される受験機会の格差を容認する文科相の発言に憤りを覚える。家庭環境で異なる教育の機会を平等に近づけるのが本来の政治の役割ではないのか▼離島やへき地の受験生にとっては会場までの交通費や宿泊費もかさむ。萩生田氏は「人生のうち1回や2回は故郷から出て試験の緊張感を味わうのも大事」とも述べた。精神論で片付く話ではない▼延期を求める声もある中、11月1日から受験に必要な共通IDの申し込みが始まる。受験生の不安や問題点を置き去りにするなら文科相として落第だ。(大門雅子)

【「身の丈」発言】文科相として見識を疑う
 教育機会の均等や格差是正を図らねばならない文部科学相として発言がどう受け止められるのか、考えなかったのだろうか。
 大学入学共通テストの英語で来年度導入される民間検定試験について萩生田文科相が「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と述べたことへの波紋が広がっている。
 民間試験は来年4月に始まる。受験生は12月までに最大2回、「英検」や「GTEC」など6団体7種類から選んで受ける。結果は受験生が目指す各校独自の試験への加点などに活用される。
 しかし、試験会場が都市部に偏っていたり、受験料が高額になったりするといった地域格差や経済格差への対応が不十分なままだ。この状況に、高校現場や受験生らからは延期を求める声が出ていた。
 萩生田氏の発言に「格差を容認するのか」といった反発が広がった。中には「貧乏人は高望みするなということか」といった批判もあったという。多くの不安を抱えた受験生らの当然の思いだろう。
 萩生田氏も「受験生に不安を与えかねない説明だった」と謝罪した。また、どんな環境下でも「力を最大限発揮できるようにしてほしい」という思いだったと釈明した。だが、あまりにも思慮を欠いた発言と言わざるを得ない。
 というのも萩生田氏は民間試験に関して今月上旬にも、「初年度は精度向上期間だ」などと、文科相としての見識を疑う発言をしている。受験生らからは「実験台にするつもりか」といった反発が出たが、その舌の根が乾かない中での言葉だ。
 民間試験について文科省は今月下旬にやっと、四年制大学の約7割が少なくとも一つの学部や学科で初年度は利用する予定といった集計結果を発表した。
 受験スタートまで半年を切っている。民間試験が志望校に必要なのかどうか。大きな不安を抱えていた受験生や保護者、教員らにとっては遅すぎる発表だ。いつ、どこの会場でという詳しい日程は決まっているだろうか。「初年度は…」という萩生田氏の発言が現実味を帯びる。
 導入を見送った大学の中には複数の民間団体の試験をどう公平に採点に生かすのか結論が出なかったり、受験機会が異なる都市部と地方の受験生の状況などを考慮したりと、悩んだ学校があるだろう。
 私たちも指摘してきた、そうした課題が解決しないまま試験が導入されて混乱は起きないだろうか。
 「貧乏人は高望みするな?」―。この反発の背景には、小学校から大学に相当する教育機関への日本の公的支出の少なさがある。
 経済協力開発機構(OECD)の調べで、国内総生産に占める公的支出の割合は2016年まで3年連続で日本は最下位。その裏返しで教育支出の多くを家計が負担している。
 こうした背景から教育格差は生じやすい傾向にある。この解消を文科相は目指すべきだ。


「身の丈」発言 文科相として適材なのか
 教育基本法は「教育の機会均等」を明記し、すべての国民が等しく能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならないと定めている。
 にもかかわらず、文部科学相が教育格差を容認するような発言をした。教育行政トップとして資質を疑う。
 萩生田光一文科相が、大学入学共通テストの英語で導入される民間検定試験について、家計状況や居住地で不公平が生じるとの指摘に「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と24日のテレビ番組で述べた。
 萩生田氏は、裕福な家庭の子なら本番に近い形式の試験を事前に何度も受けられるかもしれないと述べた上で、「身の丈」に合わせた受験を呼び掛けた。
 家庭の経済状況や住む場所によって、受験に不公平があっても当たり前と言っているように受け取れる。
 「『あいつ予備校に通ってずるい』というのと同じだと思う」との見方も示したが、試験の公平性確保という観点からは的外れだろう。
 萩生田氏の発言は、新テストの導入に不安を募らせている受験生や保護者、学校現場の感覚とはあまりに乖離(かいり)している。
 ネット上では「貧乏人は高望みするなということか」「財力で生じる教育格差の是正が文科省の仕事のはずだ」などと批判が相次いでいる。野党も「文科相としてあるまじき発言だ」と強く非難している。
 萩生田氏は28日、「国民、特に受験生に不安を与えかねない説明だった」と謝罪したが、それで済む話ではない。
 発言についての「どのような環境下でも、自分の力を最大限発揮できるようにしてほしいという思いだった」との釈明も、無理がある。
 2020年度に始まる新テストの英語の民間検定試験については、受験会場が都市部に集中したり、検定料が最大2万5千円程度かかったりするなど、地域格差や家計の負担の重さが指摘されてきた。
 全国高等学校長協会は、格差解消の見通しが立っていないことを理由に、試験の延期を求めている。
 9月の内閣改造で文科相に就任した萩生田氏は、新テストを予定通り実施するとした一方、課題を改善していく考えを示していた。だが、抜本的な対策に踏み込む構えは見えない。
 萩生田氏は、安倍晋三首相の側近で、過去にも発言を巡って批判を受けてきた。自民党幹事長代行時代の7月には、改憲を急ぐ政権の意向に沿うよう、衆院議長の交代に言及し、野党から反発を招いた。
 菅義偉官房長官は28日の記者会見で、萩生田氏について資質は問題はないとの認識を示し、「適材適所」だとした。理解に苦しむ。
 秘書が有権者に香典を渡した問題で、菅原一秀氏が経済産業相を更迭されたばかりだというのに、危機感が感じられない。「1強」政権の緩みやおごりの表れではないか。


英語民間検定試験巡る文科省報告公開、混乱浮き彫り
全国高等学校長協会(萩原聡会長)は、来年度から始まる大学入試共通テストの英語に導入される民間検定試験について、文科省からの10月18日付の報告書をホームページ上で公開した。
協会は「公正・公平の確保が担保されていない」などとして、7月25日付で「大学入試に活用する英語4技能検定に対する高校側の不安解消に向けての要望書」、9月10日付で「英語4技能検定の延期及び制度の見直しを求める要望書」を文科相宛てに提出していた。公開された報告書は、協会が10月21日に開催した緊急シンポジウムで、文科省大学入試室長が説明に使っていた。
内容は、その時点までの文科省や大学入試センターの取り組み。教育現場では、スタートまで5カ月になってもなお、民間6団体7試験について日程、会場など詳細な基本情報の多くが発表されず、批判や不安が高まり混乱が深刻化している。しかし、この報告書でも民間団体に対しては「要請」や「要請する予定」などの表現にとどまっている。ある意味“丸投げ”といわれても仕方ない状況に、制度設計や民間活用の根本的問題点、準備の大幅な遅れの原因が浮き彫りになっている。


英語民間検定試験巡り参考人質疑へ、与野党理事合意
衆院文科委員会の与野党理事は29日、20年度からの大学入試共通テストの英語で導入される民間検定試験について、参考人質疑を来週に行うことで合意した。野党側からは参考人として、最も受験生が多いとみられる試験「GTEC(ジーテック)」を実施するベネッセコーポーレーションなどが提案されているという。
新制度では、受験生は民間の6団体7種類から選択する。来年4月のスタートまで5カ月になっても基本情報で分からないことが多く、教育現場の混乱が深刻化している。特にGTECは現時点で会場などの詳細情報が少ない。ベネッセはまた、10月21日に全国高等学校長協会が6団体を招いて開催した緊急シンポジウムにも「現時点以上の情報を発表できない、次の発表に向けて準備中」との理由で唯一欠席。校長側は「説明責任を果たしてほしかったので残念」とコメントしていた。
立憲民主の安住国対委員長もこの日、新制度の中止を求めていく考えを話す中で「大体、これをやる大手業者は一切国会にも来ないし、説明もしない。公聴会に呼ばれても、この大手だけが一切来ない。説明もしない業者に、自分たちの子供の将来を預けるような試験をやらせるのかと、徹底追及を文科省にしていきたい。実施業者のベネッセもきちっと責任者が来て、国会で参考人をやるように求めていきたい」などと発言していた。
萩生田氏の“身の丈入試”発言は、新しい大学入試の根本的問題点をあらためて浮き彫りにし、くしくも社会に広めることになった。現場などからは大臣の資質や責任を問う以上に、新制度の延期や中止を求める声が強まっている。


「本人の努力だけでは、どうにもできない格差がある」貧困家庭を支援する団体が、萩生田大臣に知ってほしいこと
2020年度から始まる「大学入学共通テスト」で導入される英語の民間試験について、萩生田光一・文科相が「身の丈に合わせて頑張って」と発言。のちに撤回したものの、野党や教育関係者から批判が高まっている。
Saori Ibuki 伊吹早織
2020年度から始まる「大学入学共通テスト」で、英語の民間試験が導入される問題をめぐって、政界や教育関係者の間で議論が過熱している。
特に、地方や経済的に恵まれない家庭で暮らす生徒への影響が懸念されるなか、萩生田光一文部科学相が「身の丈に合わせて勝負して頑張ってもらえれば」と発言。
その後、発言を撤回したものの、大臣の辞任や制度の見直しを求めて、野党側が追及を続けている。
実際に、経済的困難を抱える高校生などを支援してきた団体は、萩生田文科相の発言をどのように受け取ったのだろうか。
問題の経緯を振り返る
2020年度から始まる「大学入学共通テスト」の英語では、大学入試センターの試験に加えて、英検やTOEFL、IELTSなど文科省から認定された7種類の民間試験から選んで受験することになる。
「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測ることが狙いで、高校3年生の4〜12月に受験した2回分までの成績を提出する。だが、それ以前に、練習として何回受験するかは特に制限がない。
中には、受験料が2万5000円を超えるものや、会場が都市部の10地区に限られているものもあり、経済的に困難を抱える生徒や、地方で暮らす生徒にとって、さらなる負担になるのではないかと懸念されていた。
それを受け、文科省では、各業者に対して、試験会場の拡大や低所得世帯への配慮を依頼。離島の受験生の交通費や宿泊費を補助するための費用を、来年度予算の要求に盛り込むなどの対策を講じるとしていた。
「身の丈に合わせて」「『予備校はずるい』と同じ」
一方で、問題となった発言は、10月24日に放送されたBSフジの「ニュースプライム」で、こうした英語の民間試験によって生じる不公平について、司会者が萩生田文科相に質問した際に出た。
司会者:英検とかTOEFLとか民間の資格試験を使うということは、お金や場所、地理的な条件などで恵まれている人が(試験を)受ける回数が増えるのか。それによる不公平、公平性ってのはどうなんだってのは、そこの部分はいかがですか?
萩生田文科相:そういう議論もね、正直あります。ありますけれど、じゃあそれを言ったら『アイツ、予備校通っててずるいよな』というのと同じだと思うんですよね。
だから裕福な家庭の子が回数を受けて、ウォーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけど、そこは自分は、私は身の丈に合わせて(成績を提出する試験)2回をきちんと選んで、勝負してがんばってもらえれば。
できるだけ、近くに会場を作れるように今業者や団体の人の皆さんにお願いをしています。あまり遠くまでね…。
だけど人生のうち、自分の志で1回や2回は故郷から出てね、試験を受けるっていうそういう緊張感も大事かなと思うんで。その辺、できるだけ負担がないように知恵を出していきたいと思っています。
この萩生田文科相の発言に対して、Twitterなどでは「経済格差による教育格差を容認するのか」と批判の声が上がった。
野党からも非難が相次ぎ、萩生田文科相は28日、報道陣の取材に対し、発言を謝罪。
29日の会見で「国民、特に受験生の皆さんに対して不安や不快感を与えることになってしまったと考えており、改めておわびを申し上げる。こういった発言をしたことは私の不徳の致すところだと反省をしている。今後、信頼回復に向けてしっかりと結果を出していきたい」と述べた。
ところが、野党からは「発言の撤回では済まない。制度を中止したほうがいい」との声も上がっており、今後も追及を強めていく姿勢を見せている。
「言葉を失った」
「地域や家庭の経済力などによる教育格差を解消することは、国家、特に文部科学省の最も重要な役割です。文科大臣の口から、その重要な役割を放棄するかのような発言が出たことに、言葉を失いました」
経済的困難を抱えた高校生などを支援をしている公益社団法人「チャンス・フォー・チルドレン(CFC)」代表理事の今井悠介さんは、BuzzFeed Newsの取材にそう語る。
CFCでは、東日本大震災の被災地などを中心に、低所得家庭で暮らす子どもが塾代などに使うことのできる「スタディクーポン」を支給する取り組みを続けている。
その背景には「塾をはじめとする学校外教育は、親の年収が低い家庭の子ほどお金をかけられない現状がある。受験という将来を決める重要な場面で、その格差を埋めることで、教育格差をなくしていきたい」という思いがある。
「教育格差の解消に取り組む意思がない」
「身の丈に合わせて」という発言が大きく注目を集めるなか、「『アイツ、予備校通っててずるいよな』というのと同じ」という発言も、「国として、放課後の教育格差の解消に向けて取り組む意思がないと言っているも同然」だと今井さんは指摘する。
文部科学省が発表している「平成28年度子供の学習費調査」の結果を見ると、「放課後の教育格差」の現状は明らかだ。
世帯年収が1200万円以上の家庭では、公立高校生の補助学習費(学習塾代、模試費用等)に年間平均35.4万円を支出しているのに対して、年収が400万円未満の家庭では、年間平均6.9万円にとどまる(大学進学をしない家庭も含む)。
月額で比べると、1200万円以上の家庭では、毎月約3万円払っているのに対して、400万未満の家庭は約5700円。5倍以上の差があることがわかる。
「もちろん、解決のためのアプローチは、塾代の支援以外にも、公教育の充実や放課後の学習支援の拡充、さらに本質的には所得の再分配まで、様々な方法がありますし、最適な方法が何かは議論の余地があります」
「しかし、手法の選択以前に、政治家には『何としても教育格差をなくさなければならない』という強い意志を持って、取り組んでもらわなければ、この問題は解決しないと感じます」
「大臣の発言からはその意思を感じませんでした」と今井さんは語る。
進路を諦めてしまう生徒も
これまでCFCが支援してきた生徒の中には、塾代や模試代、受験料などを含めた入試にかかる費用を十分に捻出できずに、本来の志望校とは違う学校を受験したという子どもや、経済負担に耐えきれずに進学を諦める選択をした子もいた。
一方では、子どもの受験費用を捻出するために、保護者がほとんど休みなく働き、体調を崩してしまう人も少なくない。
このように、現行の制度においても、入試による経済負担で追い詰められてしまう家庭があるなか、進路や将来の目標を諦める子どもがさらに増えてしまうのではないかと危惧している。
「28日に発言について謝罪された際、萩生田文科相は『どのような環境下にいる受験生も、自分の力を最大限発揮できるよう、試験を全力で頑張ってもらいたいという思いで発言した』というコメントをしていました」
「でもこの言葉も『個人の努力』に焦点を当てた発言のように感じ、国として教育格差をなくすための最大限の努力を行うという意思は感じませんでした」
「私たちが聞きたいのは、格差を解消するために、国は何をやるのか、本当に解消する気はあるのか、です」
「こんな自分でも」と言わせない
CFCが始めたスタディクーポンの取り組みは、渋谷区、千葉市、佐賀県上峰町などで事業化され、少しずつ各地に普及している。
2020年度に始まる「給付型奨学金」などの制度は、大学に入学する「入り口」を広げるための政策である一方、そこに至るまでの「努力をする環境」に存在する大きな格差に目を向ける必要があると、今井さんは言う。
「昨年、スタディクーポンを利用したお子さんが、クーポンをもらって『こんな自分でも、勉強していいんだ』と言っていました。子どもに、こんな言葉を言わせてはいけないと思います」
「本人の努力だけではどうすることもできない格差によって、学ぶことを諦めている子どもたちが多くいます。特に、子どもの放課後(学校外教育)や入学試験等、公的な支援が行き届いていない領域に関しては、家庭の経済格差による教育格差が生まれやすい状況です」
「これらの問題に光をあて、子どもたちの間で不平等が生まれない社会制度を国として、作っていただきたいです」


埼玉補選の投票率20% 有権者不在が招いた危機
 投票率の低下傾向が強まる中とはいえ、有権者の選挙離れがここまで進んだことに危機感を覚える。
 参院埼玉補選の投票率が20・81%に落ち込んだ。有権者の5人に1人しか投票しなかったことになる。
 知事を4期務めた上田清司氏に対し与党が候補擁立を見送り、野党から支援を受けた上田氏が圧勝した。NHKから国民を守る党の立花孝志党首が出馬しなければ、無投票にすらなりかねない構図だった。
 国政選挙の投票率歴代ワーストには過去の参院補選が並ぶ。その中でも下から4番目に入る低投票率だ。
 7月参院選の投票率が48・80%と5割を割り、深刻な状況であることは与党も認識していたはずだ。にもかかわらず、低投票率に直結する「不戦敗」を自ら選んだ。
 与党は8月の知事選で野党の支援した上田氏の後継候補に敗れた。9月の岩手県知事選と合わせて3連敗となれば政権運営へのダメージは避けられない。それよりは不戦敗の方がましと考えたのだろう。憲法改正に前向きな上田氏を改憲勢力に取り込む思惑も隠していない。
 加えて、埼玉選挙区の与党議員をこれ以上増やす必要はないという計算も働いている。仮に補選に勝利しても3年後に改選を迎える。すでに自民1人、公明1人の現職がおり、与党間で難しい候補者調整になるのを避けたかったようだ。
 だが、国政選挙の合間に行われる補欠選挙は選挙区が限定されるものの、政権の中間評価という側面もある。与党が有権者に選択肢を示さないことなど許されない。有権者不在の党利党略と言うほかない。
 立花氏にしても、参院議員を失職する形で同じ参院の補選に立候補した手法には疑問符がつく。選挙戦中に神奈川県海老名市長選への出馬を表明するなど、理解に苦しむ言動が白けムードに拍車をかけた。
 埼玉はもともと低投票率になる傾向がある。県選管は今回、漫画「翔(と)んで埼玉」のキャラクターを使った動画などで投票を呼びかけたが、同様の啓発活動に取り組んだ知事選の投票率に及ばなかった。
 肝心の政党が選挙をないがしろにするようでは有権者の選挙離れに歯止めはかからない。審判から逃げた与党の責任は重い。


補選の低投票率 既成政党は猛省すべきだ
 補欠選挙とはいえ、国政選挙である。ところが、5人に1人の有権者しか投票しなかった。深刻な低投票率は何を意味するのか。とりわけ、有権者に確かな選択肢を提示できなかった既成政党には猛省を促したい。
 参院埼玉補選が一昨日、投開票され、前埼玉県知事で無所属の上田清司氏が、NHKから国民を守る党の党首立花孝志氏を大差で破り、初当選した。
 投票率は20・81%だった。戦後の国政選挙(補選を含む)で最低だった1991年の参院埼玉補選(17・80%)こそ上回ったものの、歴代で4番目に低い投票率を記録してしまった。
 なぜ、8割もの有権者が棄権したのか。上田氏が与野党から支援を受けて事実上、異例の相乗り候補となったからだ。
 今回の補選は、8月の同県知事選に「上田県政の継承」を主張して初当選した大野元裕氏の参院議員辞職に伴うものだ。上田氏は「完全無所属」を掲げて立候補を表明した。立憲民主、国民民主両党が、党本部の推薦・支持でなく埼玉県連が支援する形をとったのはこのためだ。
 これに対し、自民党は独自候補の擁立を見送った。政権党としては極めて異例の対応だ。上田氏は衆院議員3期を経て4期16年も知事を務め、豊富な実績と知名度を誇る。知事選に続く参院補選での連敗は避けたいと判断したのだろう。仮に候補が当選できたとしても3年後の改選で自民、公明の現職と争う構図を避けたとも考えられる。
 自民党は上田氏が憲法改正論議に前向きであることを表向きの理由にしているが、苦しい言い訳としか聞こえない。
 一方、立花氏は7月の参院選比例代表で初当選したばかりだった。今回の補選出馬で失職したが、同党の議席は比例代表の名簿から繰り上げ当選したため現有を維持した。
 だが、獲得したばかりの議席を返上して同じ参院の補選に出馬する奇策が有権者の理解を得られるとは思えない。こうして「一騎打ち」と言えば聞こえがいいが、多くの有権者がそっぽを向く構図ができてしまった。
 第4次安倍晋三再改造内閣が発足して初の、そして消費税増税後初の国政選挙でもあった。臨時国会の最中であり、与野党が政策論争で有権者の審判を仰ぐ格好の機会だったはずだ。
 埼玉県で甚大な台風被害が発生した事情も低投票率の要因の一つとされるが、ならばこそ災害対策の本格論戦が必要だったのではないか。にもかかわらず目先の利害得失に目を奪われ「勝ち馬に乗る」ことを最優先するような既成政党のご都合主義にはあきれてしまう。政党政治が先細りしないか心配になる。


投票率20%/民主主義の危機だ
 27日に実施された参院埼玉選挙区補選の投票率は20.81%と、国政選挙として4番目に低かった。4月の統一地方選、7月の参院選、8月の知事選と大型の選挙が続き有権者に「選挙疲れ」があったことに加え、台風19号が県内に大きな被害をもたらしたことも影響したのかもしれない。
 しかし、国政の場に代表を送り込む選択が、有権者の5分の1の意思で決まってしまうのは異常だ。同じ日の宮城県議選も34.80%と過去最低を記録。最近の投票率低下傾向は、選挙イヤーの今年も歯止めがかからず、民主主義の危機とも言える。各政党はもちろん、有権者も深刻に受け止めてもらいたい。
 参院埼玉補選が低調だった大きな要因は、独自候補を立てなかった自民、公明の与党の対応だ。欠員が生じた場合に行われる4月と10月の衆参両院の補選は、その時点の民意を確かめる貴重な機会。本来なら与党が候補を擁立し、安倍政権のいまに対して審判を仰ぎ、その結果を政権運営に反映させるのが筋だろう。
 にもかかわらず、与党が見送ったのは、いくつもの理由があるようだ。立憲民主、国民民主両党県連が支援する相手候補の前知事、上田清司氏が”強敵”で、「敗北」より「不戦敗」の方が政権へのダメージが少ない。今回議席を獲得すると、3年後の参院選で候補者調整が難しくなってしまう。上田氏は憲法改正にも柔軟だから、今後の連携を期待して対決を避けた−などである。
 だが、いずれも内輪の論理で、有権者に真摯(しんし)に向き合っているとは言い難い。与野党が対決する構図にならなければ、選挙戦は盛り上がりようもない。有権者に選択肢を提示するのは政党の責務だ。それを放棄した「不戦敗」は、民主主義を脅かし、壊しかねない行為ではないのか。
 一方、有権者側も自覚が求められている。統一地方選前半戦の41道府県議選の投票率は44.08%、17政令市議選43.28%、後半戦の59市長選47.50%、283市議選45.57%と過去最低を更新している。安倍政権に対する中間評価と言われた参院選も、48.80%(選挙区)とワースト2の数字。「半数未満民主主義」がすっかり定着した。
 行政側も手をこまねいているわけではない。商業施設などに期日前投票や当日投票の場所を設けたり、移動期日前投票所を試みたり、投票所行きのバスを巡回させたり、投票率アップのための環境整備を進めている。
 だが、有権者が投票する気を持たなければ、投票率向上は望めない。終戦直後に中学、高校で採用された教科書「民主主義」はこう教えている。「多数の有権者が自分たちの権利の上に眠るということは、単に民主政治を弱めるだけでなく、実にその生命をおびやかすのである」
 人口減少、少子高齢化の加速により「縮む社会」にいや応なく直面していく中、自分たちの未来は自分たちで考え、決める、という当たり前の行動が何よりも肝心だ。著名な政治学者の丸山真男が説いたように、「民主主義『である』」ことに満足してはいけない。民主主義は一人一人が「行動『する』」こと。それが不可欠なのだ。
 私たち有権者は、憲法が与えた1票を行使する権利の意味をもう一度かみしめたい。


[ハンセン病家族補償]差別解消へ全力尽くせ
 ハンセン病元患者家族の補償を議員立法で目指す超党派国会議員グループは、補償額を最大180万円とする補償法案基本方針を正式に決定した。法案にまとめ、開会中の臨時国会に提出する。
 6月の熊本地裁判決で認めなかった米軍統治下の沖縄の被害も補償する。隔離政策は米軍統治下でも基本的に継続。国の法的責任が本土復帰の1972年以降に限定されているのは、全国同一基準で補償する「ハンセン病補償法」に反すると指摘する声が上がっていた。
 2001年の患者本人訴訟でも同様の判決が示されていたが、議員立法で同一基準が実現した経緯がある。妥当な判断といえよう。
 元患者の療養所への入所歴は問わず、熊本地裁が認めていなかった02年以降の被害も補償。戦前の台湾や朝鮮半島に住んでいた家族も対象とした。住んだ地域によって補償に違いがあるのは不合理であり、これも妥当だ。
 基本方針で同居を条件におい、めい、孫らにも対象を広げたことを評価したい。
 ただ賠償額は納得できるものではない。判決は1人当たり30万〜130万円で補償額は上積みされているが、家族らは訴訟で1人当たり550万円を求めていた。就学・就労拒否や村八分、結婚差別などに遭った「人生被害」にとても見合うものではない。
 家族には高齢者も多く早期解決を図る必要が背景にあったとみられる。原告団が「この補償でみんなが人生を取り返せるわけではない」との言葉を重く受け止めるべきだ。
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 判決を受けて政府は控訴を断念。安倍晋三首相が謝罪する談話を発表した。
 法案前文案は、「家族も偏見と差別で多大な苦痛と苦難を強いられてきたにもかかわらず、国会および政府は取り組みをしてこなかった」として「悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびする」と記している。
 旧優生保護法(1948〜96年)の被害者救済法では前文を「われわれは」と主語をあいまいにし、国の責任が明確でないと批判されたことを踏まえたものだろう。法案では主語を「国会および政府」と責任の所在をはっきりさせた。家族にも国策の誤りとその責任を認めたのである。
 ただ実際に偏見や差別に加担したのは地域の人であり、一般の人たちである。それを忘れてはならない。メディアも助長しており、責任を自覚しなければならない。
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 名護市済井出の国立療養所沖縄愛楽園内には、2015年に開館した沖縄愛楽園交流会館がある。同園自治会が中心となってつくり上げたハンセン病の苛烈な歴史を伝える資料館である。米軍払い下げの資材で建てたコンセット病棟が再現され、強制的に断種・妊娠中絶された入所者の証言がつづられている。
 人権教育の場としてそこで子どもたちが学ぶ。回復者の話を聞くことも可能だ。
 ハンセン病に対する差別や偏見を解消するためには、人権啓発活動を強力に推進するなど、社会全体で取り組まなければならない。


ハンセン病問題 差別の解消「足元」から
 「ドスモノァ 居なぐなって 良がったナ …ドスマキは 一生消えない 焼印を押され…村を追われ…牛馬並みに埋められ 口の端にするさえ厭われ 影さえも消されてしまった」
 本県のハンセン病患者や家族はどんな人生を歩まされたか。県央部在住の80代男性が幼少期を振り返って記した詩を読ませてもらった。
 患者は「ドス」と呼ばれて忌み嫌われ、強制的に連れ出され、療養所に隔離された。さらに、患者を出した家は「ドスマキ」と呼ばれて差別され、地域で孤立。詩は、悲劇を生んだ国策に対する静かな怒りで満ちている。
 今月、超党派の国会議員グループが、元患者家族の補償法案基本方針を決定した。家族への差別について国の責任を認め賠償を命じた6月の熊本地裁判決を踏まえ、補償額は最大180万円。近く法案を臨時国会に提出する。
 補償の対象は、元患者の親子や配偶者、きょうだい、同居していたおい、めい、孫ら。戦前の台湾や朝鮮半島に住んでいた家族らも対象とする。法案の前文案は「国会」「政府」を主語として、家族への謝罪を記す。
 幅広く救済しようとする枠組みは評価できる。ただ、補償金を払って終わりではない。ハンセン病差別は過去の問題ではないからだ。
 2001年、熊本地裁はハンセン病の隔離政策を違憲として、国に賠償を命令。国は控訴を断念し、元患者本人に補償金を支給したほか、差別解消へ啓発活動にも力を入れたはずだった。
 だが、元患者や家族への差別は根強く残る。今回の家族訴訟の原告の大半は匿名だ。訴訟に参加したことで離婚に追い込まれた家族もいた。今回の補償措置が、こうした現状を変える一歩にならなければ、救済とは言えない。
 ハンセン病差別の特徴は、家族訴訟弁護団が指摘するように、国が近所の住民らを加害者に仕立てあげる仕組みを作ったという「加害構造」にある。通り一遍の啓発活動では、この強固な構造を打破することはできない。
 本県の男性が思い出すのが、亡き母の「ドスマキ」との交流だ。自宅の風呂に入れてあげるなど、患者の家族を差別することなく親身に関わっていたという。「なんつうごどねえぞ」と話していた母を、男性は「どの人にも親切だった」と振り返る。
 国策の下、全国各地で、陰に追いやられた患者と家族の苦しみがあった。そして、そこには、かすかな良心の光もあった。足元の歴史を掘り起こし、書き残し、語り継ぐなど、身近な問題として受け止めるための地道な取り組みを重ね、差別の根を絶ちたい。


高浜町が近く調査委 元助役の影響徹底解明へ
 関西電力の役員らが高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から金品を受領した問題で、同町は近く調査委員会を設置する。町関係者を除く第三者の委員が野瀬豊町長を含め現幹部職員、特別職OBらに聞き取りする。森山氏からの金品受領の有無、町役場に及ぼした影響など徹底解明が求められる。
 森山氏が助役を務めたのは1977〜87年。約30年以上前になるが、退任後も教育委員などとして町と関係を持ち続けた。また地元の建設会社「吉田開発」顧問や、兵庫県高砂市のメンテナンス会社相談役、関電子会社顧問を務めていたとされ、影響力は小さくなかったとみられる。
 問題発覚以降、役場には町と森山氏との関与を疑う抗議の電話、メールが相次いだ。森山氏と役場とはどんな関係にあり、公共工事への影響はなかったのか。町に対して町内外から厳しい視線が注がれている。
 「現行政の潔白を証明したい」と野瀬町長は強調する。初当選した2008年以降に数回、森山氏からそうめんや数の子といった贈答品を受け取っていたことを明らかにした。「贈答品は儀礼の範囲。金品の受け取りはなかった」と果物などを返したという。1期目当初は森山氏と数回、顔を合わすことはあったといい「原子力行政の判断について、あの方から私が指示を受けたことはない」と明言する。
 「連日、高浜が取り上げられイメージダウンになった」と町民は憤る。原発立地自治体とその町民に対して全国から疑念が向けられている。それらを拭い去り、町民の信頼を取り戻すきっかけになってほしい―。調査委に、こんな期待をする声もある。
 先行して町監査委員の調査が行われている。吉田開発や取締役を務めていた警備会社との過去の契約について適正だったか調べており、結果は明らかにされる見通しだ。
 町は原発と共存共栄してきた。財政面で苦しかった町は原発とともに発展し、国のエネルギー政策を長らく支えてきた。しかし関電はその歴史よりも森山氏を重視した。その一方で、関電は報告書の中で森山氏の人格の特異性を強調し、同氏に問題の全責任を負わせているようにみえる。
 その関電の第三者委員会の調査は13日に始まった。森山氏が関電役員らに多額の金品を提供したのは工事情報提供の見返りだったのか。発注額、発注プロセスは本当に適正だったのか。疑問は少なくない。うみは出し切れるだろうか。


ウーバーイーツ 労組のできる事情あり
 料理の入った四角い荷物を、自転車やバイクに載せて運ぶ人を、京都市内などでも、よく見掛けるようになった。
 配車アプリ世界最大手の米ウーバー・テクノロジーズ社が、日本では3年前から始めた食事宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達員である。
 今月に入って配達員らは、労働条件について同社と団体交渉をするため、労働組合を結成した。
 従業員ではなく、個人事業主として扱われ、労災や雇用保険の対象となっていないことなどに不満を抱いている。
 巨大IT企業である強者のウーバーに、立場の弱い働き手の権利が軽んじられるような事態が、あってはならない。
 労組を必要とする人々の声に、きちんと耳を傾けておきたい。
 このサービスは、スマートフォンの専用アプリで依頼を受けた配達員が、店から預かった料理を注文した人に届けるものだ。
 誰でも配達員として登録でき、空いた時間を使って報酬を得られる。収入の足しにするため、働きたいという人も少なくない。
 今では全国で、1万5千人以上が配達員を務めているとされる。これだけ大勢が従事しているのだから、働く環境を整えておかねばならない。
 ところが、ウーバー側は、配達員と注文者、店舗を仲介する場を提供しているだけで、雇用関係はないとの立場を取っている。
 これが、雇用保険などの負担を回避していると指摘されている。契約内容の変更や配達員の利用登録(アカウント)停止が、一方的に行われるとの批判もある。
 配達員が業務中にけがをしても、アカウント停止で仕事を失うことを恐れ、補償を強く求められなかった事例もみられるという。
 労組側が当面、事故への補償、アカウントの運用、報酬の計算などについて、詳細な説明を求めていくのは当然のことだ。
 ウーバー側は、今月から配達中の事故に対する補償制度を導入したものの、労組との交渉に応じるのか明らかではない。働き手がいなくなると、サービスを継続できないのだから、状況の改善には、誠実に取り組んだ方がよい。
 家事の代行やベビーシッターの派遣など、巨大IT企業が仕事の仲介に乗り出す分野は、広がっている。
 こうした新たな働き方に、どう対応していくのか。国なども議論を急ぐべきだ。


“カラ威張り”安倍政権…財界と米国の圧力に屈し対韓軟化
 戦後最悪の日韓対立の火種となった韓国最高裁の元徴用工判決から30日で1年。対韓輸出規制を発動し、韓国叩きでブイブイいわせてきた安倍政権が態度を軟化し始めた。文在寅大統領との首脳会談を拒んできた安倍首相は「即位の礼」を機に李洛淵首相と会談。菅官房長官は「話し合いをという雰囲気になってきている」と言い出した。政権の支持基盤である財界の不満噴出、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)をめぐる米国の圧力で膝を折らざるを得なくなってきたようだ。骨の髄まで染み込んだポチ気質。弱い犬ほどよく吠えるとはよく言ったものだ。
 ◇  ◇  ◇
 菅氏が日韓関係について言及したのは、27日に都内で開かれた「G1経営者会議」での講演。元徴用工判決は日韓請求権協定違反だとの従来の主張を繰り返し、「国際法は大原則だ。ここを崩したらすべてが崩れてしまう」と強調しながらも、「韓国もこのままではダメだと、何らかの話し合いをという雰囲気にはなってきているのかなと思う」と踏み込んだ。安倍・李洛淵会談や文在寅からの親書が影響したと解説されているが、理由はもっと単純だ。
「不買運動などのあおりを食らう財界から批判が上がり始めています。9月の貿易統計で対韓輸出額の減少幅は前年同月比15・9%減の4028億円となり、マイナス幅は拡大の一途。経団連の中西宏明会長は会談した李洛淵首相をあふれんばかりの笑顔で出迎え、〈何とかしなければいけないという点では李首相も経済界もまったく同じ考え方だ〉と力を込めていた。官邸も財界の意向を無視できなくなってきています」(与党関係者)
国務省高官が日韓まわり最後通牒
 さらに、文在寅政権が報復措置として破棄通告したGSOMIAの更新期限が来月23日に迫り、米国が日韓両国に露骨な圧力を掛けている。
「スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)がGSOMIA延長に向けて動き回っています。26日まで訪日し、来月1〜5日はバンコク開催のASEAN首脳会議で日韓当局者と接触。来月5〜7日に訪韓するスケジュールで、日韓に協議を強く働きかけている。いわば最後通牒です」(日韓外交事情通)
 文在寅政権は対韓輸出規制とGSOMIA延長の一括解決を主張。元徴用工訴訟への対応をまずは求める安倍政権とは平行線をたどってきた。
 国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は言う。
「トップ会談で融和を演出したい韓国側はGSOMIA期限前の首脳会談を求めていて、ASEANあるいはAPEC首脳会議(11月16、17日=チリ・サンティアゴ)を利用したいと要望していますが、日本側が難色を示している。韓国側が提案している日韓企業と韓国政府が賠償基金をつくる〈1+1+α〉も、韓国政府が基金を設立して日韓企業が参加する〈α+1+1〉もダメだと言う。と言いつつも、GSOMIAについては米国のプレッシャーに屈するしかない。もはや強気一辺倒ではいられず、GSOMIA延長が現実的なのではないでしょうか」
 安倍首相周辺は12月に北京で開催される日中韓サミットでの日韓首脳会談を検討しているようだが、これもホストの中国のメンツを借りて、自分たちの顔を立てるため。空威張りそのものだ。


菅に任せたから 安倍首相「任命責任」わびて終わり
★「任命責任は私にあり、こうした事態になってしまったことに対しまして、国民の皆様に深くおわびを申し上げます」。首相・安倍晋三は経産相・菅原一秀の辞任を受け国民にわびたが、自らの政権で閣僚が辞任。任命責任を認めたのは既に9人目になるものの、その責任を取ったことはない。首相の責任とは何度繰り返されても、わびで終わりだ。「ただ、今回は今までにも増して悪いとも思っていない。なぜならばこの内閣の人事はほとんど官房長官・菅義偉を軸とした人事構想を首相が受け入れた形だからだ」とは自民党関係者。★別の政界関係者が言う。「失言で復興相・今村雅弘が更迭された時、今村は二階派だったが、後任は細田派の吉野正芳に派閥も変わった。当然、幹事長・二階俊博へのペナルティーもあったからだろう」。ところが今回、菅側近といわれる菅原を経産相に押し込んだのも菅、その後任も菅に近い梶山弘志が決まっている。首相ではなく菅の裁量ということになる。「ただ、首相はその責任も菅にあるという考えのようだ」(自民党関係者)。★今回の内閣改造は閣僚の身体検査も大甘といわれている。確かに菅原の贈答や香典は文春砲が出る前にも報じられている。それはつまり身体検査にも引っかかっていたということだ。ところが今回の改造で首相が人事を決めたのは厚労相に再任された加藤勝信だけともいわれ、あとは菅任せとも。その分、即位の礼と饗宴(きょうえん)の儀の後、あわただしく認証式の日程を組むことも慶事に水を差す失態となる。それでなくとも菅と神奈川県連で面倒を見る防衛相・河野太郎、環境相・小泉進次郎への政界の風当たりも冷たい。首相は菅に任せたのに、菅に任せたためにこうなった、と菅への信頼に変化があるとすれば、この政権のバランスが崩れることを意味する。任命責任とともに適材適所が問われる。

女性の保護事業 包括的な体制構築を急げ
 性被害や貧困、ドメスティックバイオレンス(DV)など、さまざまな困難に直面した女性を支援する国の「婦人保護事業」について、厚生労働省が見直しを進めている。有識者会議が今月まとめた提言を受け、新法制定を含む具体策を検討するという。
 婦人保護事業は1956年制定の売春防止法(売防法)に基づき、売春をする恐れのある女性の補導や更生を目的に始まった。社会の変化に伴い対象を広げ、現在は家族による虐待で家を出たが住む場所がない、といった女性を保護したり、生活再建や社会復帰を手助けしたりしている。
 提言は、そもそも事業の根拠である売防法自体が時代にそぐわないとして法改正や新法制定を強く求めた。制定から60年以上、抜本的な見直しが無いままで、今日的なニーズと懸け離れていることは明白だろう。現状に即した法整備を急がなければならない。
 事業は、都道府県が設置し相談者の一時保護などに当たる「婦人相談所」や中長期的にサポートする公的シェルター「婦人保護施設」、「婦人相談員」が中核を担う。民間シェルターに一時保護を委託している自治体もある。
 問題は対象となる女性が想定を超えて多様化していることだ。10代から高齢者まで相談者の幅は広がり、2000年施行のストーカー規制法、01年のDV防止法の被害者らが加わった。近年は技能実習生として来日した外国人のDV被害なども増えている。
 さらに気掛かりなのが若年層である。女子高生の親密な接客を売りにした「JKビジネス」や「アダルトビデオの出演強要」被害など新たな問題が出ているが、この世代には事業そのものが知られていないのが現状だ。
 実際に16年度の婦人保護施設の利用率は定員の22・5%にとどまる。施設は共同生活が基本で、加害者から居場所を特定されないよう携帯電話の利用や外出の制限があることが敬遠される要因とされてきた。こうした状況を踏まえ、厚労省は今年6月、通信ルールを含む運用面見直しに踏み切ったが、部分的な手直しでの対応は限界があろう。
 17年度の国の実態調査では、自治体ごとに取り組みや児童相談所など関連機関との関わり方がまちまちで、事業全体が分かりにくくなっていることが浮き彫りになった。例えばDV被害者は子連れで避難する場合が多いが、同伴の子どもの心のケアなどについては地域差が大きい。
 早急に、相談窓口の充実を図り、市区町村の責務を明記する必要があろう。女性たちの置かれた現実との隔たりを解消し、必要な支援を届けられるよう専門的かつ包括的な制度をつくらなければならない。国と自治体の協働のほか、ノウハウを持ち、公的支援につながりにくい人々の受け皿になってきた民間シェルターへの財政支援や連携強化も欠かせない。


観光公害 混雑緩和し市民生活との調和を
 地域のインフラでは対応できないほどの観光客が訪れ、住民の生活環境が悪化―。世界的な観光ブームの副作用への対応が本格化する。北海道で開かれた20カ国・地域(G20)観光相会合で、「観光公害」の克服に向けた共同宣言が採択された。
 国内では政府の旗振りもあって訪日外国人客が急増。各地に経済的な恩恵をもたらす一方、一部では住民との間にあつれきが生まれている。来年の東京五輪・パラリンピックでは多くの訪日客が見込まれる。自治体はインフラ整備といった受け入れ態勢の充実とともに、混雑緩和策などを講じて、観光と市民生活の調和を図る必要がある。国も訪日客へのマナー周知などを主導し、自治体の取り組みを支援しなければならない。
 国連世界観光機関によると、世界の海外旅行者数は2000年の6億8千万人から、18年に14億人へ増加。30年には18億人に拡大すると予測され、観光は世界の一大産業になっている。訪日客は、18年に3千万人を超え、5年間で3倍に急増。政府は20年に4千万人、30年に6千万人を目標としている。
 観光公害は「オーバーツーリズム」とも呼ばれ、欧州などで深刻化。国内では、京都や沖縄といった観光地で特に目立つ。交通ルール違反から景観維持、ごみ捨てのマナーを巡るもめ事までさまざまだ。京都市内の人気スポット近くでは「バスが観光客でいっぱいになって乗れない」といった苦情が多く、市はバスの混雑緩和に向け、地下鉄など他の交通機関への誘導などに取り組んでいる。
 訪日客の消費額は大きく、政府は成長戦略の一環に「観光立国」を掲げる。政策は、ビザの発給緩和や無料Wi−Fi(ワイファイ)、トイレ洋式化など快適な旅行の実現が中心で、住民生活への目配りは乏しい。観光公害の解消に向け、観光庁の有識者検討会が評価基準づくりに着手したばかりだ。現状は自治体任せの感があり、弊害を拡大しないためにも国の対策が急がれる。
 観光公害の多くは過剰な混雑に起因する。時間帯や季節ごとに異なる観光地の魅力を伝えるなどして、訪日客が特定の時期や場所に偏らない工夫を考えたい。大都市への一極集中を分散させ、地方に誘導するのも有効だろう。自治体同士の連携を国が後押しし、広域周遊ルート作りやPRに力を入れるべきだ。
 災害への対策も重要となる。土地や言葉に不慣れな訪日客は「災害弱者」になり得る。台風19号では、日本政府観光局へ避難に関する相談が殺到した。多言語による情報提供、避難誘導などの体制整備に努めたい。
 観光公害が深刻なスペイン・バルセロナでは、行政の観光振興政策を巡り住民の抗議デモまで発生した。生活への影響が大きくなると、おもてなしの余裕もなくなるということだ。日本も人ごとと捉えず、海外の先行事例から学び、持続可能な観光の在り方を追求したい。