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Dans le centre du Japon, les lycées ne pourront plus choisir la couleur des culottes des élèves
Interdiction de trop éternuer en classe, de mettre du gel coiffant, de dormir hors de chez soi ou de porter des collants en hiver… Dans la préfecture de Gifu, un groupe de citoyens se révolte contre les dizaines de règles imposées dans les écoles publiques du pays.
Par Yann Rousseau
Au terme de plus d'une année de bataille légale et politique, un groupe de citoyens de la préfecture de Gifu, dans le centre du Japon, vient de réussir à faire modifier une réglementation locale qui donnait, depuis des décennies, le droit aux lycées de la région de définir des couleurs acceptables pour les sous-vêtements de leurs élèves.
Selon le quotidien ≪ Mainichi ≫, un avocat, représentant ces citoyens, avait demandé dès le mois de juillet 2018 au rectorat de revoir plusieurs règlements préfectoraux qui violaient, selon lui, les ≪ droits humains des étudiants ≫. En plus de ces règles sur les sous-vêtements, Yoshifusa Kawai s'est attaqué aux régulations qui donnaient aux directions des lycées publics le droit de contrôler une partie de la vie des élèves en dehors de l'établissement.
Au tour des écoles primaires et collèges
Les citoyens ont ainsi obtenu l'annulation des articles qui contraignaient, théoriquement, les lycéens à demander à leur école le droit de voyager ou de dormir une nuit en dehors de leur domicile habituel. Ils ont aussi fait effacer le texte qui donnait aux lycées le droit d'autoriser ou d'interdire aux élèves de s'engager dans des activités politiques.
Alerté par l'avocat, le rectorat avait contacté tous les lycées publics de la région à la fin de l'année dernière afin de leur demander de modifier leurs règlements intérieurs pour se conformer aux demandes du groupe de citoyens. Et la plupart auraient accepté ces révisions dans le courant de 2019.
Après cette première victoire, les activistes et l'avocat ont indiqué au ≪ Mainichi ≫ qu'ils allaient maintenant demander à la préfecture de modifier ces réglementations dans les autres établissements scolaires, et notamment les collèges et les écoles primaires.
Règles particulièrement strictes
Si ce ≪ combat ≫ peut paraître anecdotique, il pourrait relancer le débat dans le pays sur le pouvoir dont disposent toujours les écoles pour contraindre leurs élèves à obéir à une certaine conformité. Régulièrement, un nouveau fait divers ou le témoignage d'élèves harcelés pour avoir osé désobéir à des règles absurdes mais ancestrales vient relancer ce sujet des ≪ kosoku ≫ ou ≪ règles de la vie scolaire ≫.
Dans certaines villes, les écoles réglementent toujours le nombre d'éternuements autorisés par élève - au bout de trois, il doit sortir de la classe -, l'utilisation de mots étrangers ou le droit aux cheveux bouclés. L'utilisation de gel coiffant ou de crème solaire peut aussi être interdite. Toutes imposent aussi des règles très strictes sur le port des uniformes et le droit, pour les jeunes filles, de porter ou non des collants l'hiver. La longueur de leur jupe, toujours courte, est aussi strictement régulée.
Il y a deux ans, Kira Yoshiko une parlementaire communiste, avait tenté, en vain, de réveiller l'opinion publique en dénonçant les débordements liés à ces règles. Elle avait notamment pointé le traumatisme de jeunes élèves humiliées lors des contrôles de leurs sous-vêtements. Des professeurs, femmes mais aussi parfois hommes, se permettant de déboutonner leurs chemisiers ou de soulever leurs jupes pour vérifier la couleur de leurs sous-vêtements. ≪ Est-ce que l'on ne devrait pas appeler ça du harcèlement sexuel ≫, avait demandé l'élue au ministre de l'éducation.
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フランス語の勉強?
上西充子 @mu0283
9月27日の院内集会の際に、英語民間試験の問題を端的に表す言葉があるとよいのだけれど、と @mami_tanaka さんに語ったことがある。「定額働かせ放題」みたいに。
けれど、責任者である萩生田文科大臣がみずから命名の手がかりを与えてくれましたね。「身の丈入試」と。

内田樹@levinassien
官邸は民間試験導入に固執するでしょう。理由はこれが有害無益な制度改革だからです。合理的な制度改革をする政府に国民は畏怖を覚えない。でも、有害無益な制度改革を強行できる為政者に対しては恐怖を感じる。制度導入に固執するのは「この政権には誰も逆らえない」と国民に教え込むためです。
民間試験導入の第一の理由は無意味な政策を強行することによって教員たちに「お上に逆らうことはできない」という無力感を扶植すること。第二の理由は身内に利益を誘導することですが、これは「自分たちは経済合理性で動いている」と自分に言い聞かせるための言い訳です。本音は権力欲の充足です。

大澤裕一 @HirokazuOHSAWA
英語民間試験の延期論。新テストで問題があるのは英語だけではない。数学では問題文が無駄に長くなり、数学の基礎力を適切に測れない。また、新たに導入される記述式問題では採点の信頼性が低く、自己採点が困難(採点はベネッセに61億払って丸投げ)。新テストを中止しセンター試験を継続するべき。
ぽんた @Pontamama12345
共通一次が導入された時
秘境にある高校に通っていた私達はどよめいた。
県庁所在地にある大学が唯一の会場だったからだ。
5教科7科目。2日ある試験。
初日の始発で何時間も汽車に揺られ、
4科目試験を受け旅館に泊まる。
夜、慣れない環境で全く眠れず(そういう友人は多かった)
睡眠不足でふらふらの頭で残りの3科目を受ける。
県庁所在地に住んでいる受験生は
自宅に帰り
リラックスして自分のベッドで眠って
2日めを迎えるかと考えると
絶対受けないと国公立大学へ行けないきまりにするなら
もっと全受験生のことを考えろ!と
当然の不満は出てくる。
その後、県庁所在地
以外でも受験出来るように会場が増えた。
試験後また数時間、
汽車に揺られて帰る時
「俺達が何したっていうんだよ!
僻地に住んでるだけじゃないか!
どうしてこんなに不利益を被るんだ?!」
と怒っていた友人の顔と声は忘れられない。
そして。
私達を何十人も引率し、旅館でメンタルを含めた
世話をし、また引率して帰る先生方の、
疲れ果てた顔も忘れられない。
「お前達の後輩に同じ思いをさせないように、先生達も訴える。
近い会場を設定してもらう。
お前達は、不利な条件に負けるな」
僻地の子供達を我が子のように可愛がって下さっていた先生方の為にもみんな頑張ったが
交通費や旅館の宿泊費が必要な受験生と
自宅から自転車で通える受験生が
同じ土俵で闘うんだものなあ…と
必須である試験にかかる費用の差に
不公平感は否めなかった。
「俺達、金が無いから国公立目指すのにさ。
その手前でこんなに金がかかるんだぞ?
制度としておかしいだろ?」
そう言っていた同級生達とは未だに仲が良く、交流がある。
それぞれ各界で活躍している。
学習塾どころか本屋すら無くて参考書もおいそれとは手に入らない僻地だったけれど
お金持ちではなかったけれど
大学へ行けて
それぞれの道へ進めた。
秘境に住んでいたけれど
将来が開けた。
住んでいる場所で
将来の可能性を限定されることを
「身の丈」とは言わない。
教育の機会は均等に与えられるべきなんだ。
交通網が発達した便利な都会でお受験して私立で教育を受けてきた文科省の人に
自分の受験の苦労を話したことがありますが
その反応が
「お伽話みたいですね」だったので
実情を理解していない人が
思い付きの通達出しているんだなと
情けなく思ったことがあります。
でも「身の丈=都合」では無い

想田和弘@KazuhiroSoda
おっしゃる通りで、日本には公共放送が必要です。問題はNHKの政府からの独立性が十分に保障される仕組みになっておらず、安倍政権のような独裁的な志向の政権下では、とたんに身動きが取りにくくなってしまうことです。NHKの独立性を完全に担保するような、強力な仕組みが必要です。
クローズアップ現代+「長引くひきこもりのかげに…見過ごされる中高年の発達障害」
長引くひきこもりの陰に潜む“中高年の発達障害”▽見過ごされ長期化・深刻化へ▽診断をきっかけに変わる人生▽家族や職場の理解深まる“私のトリセツ”とは? 大正大学教授…内山登紀夫,慶應義塾大学教授…宮田裕章,作家…石井光太, 管野彰彦, 武田真一,高山哲哉

なぜか朝から〇太郎君が呼ばれて,いつの間にか生徒指導の時間になってしまいました.
少し遅れて出勤ですが,今日はキソがないのでした.気持ちもイマイチ.
レシートを一部整理しました.いきなり全部は無理なので一部だけですが,ちょっと満足感があります.それに過去のレシートは過去に何をしたかと関連しているわけで,いろいろと忘れていたことを思い出します.

河北抄
 仙台市の海岸部を南北に貫く貞山堀沿いでは、民間企業などによる開発プランが進められている。震災後に市が住民から買い取った土地を貸して利活用する。風景は大きく変わるのだろうか。
 シジミ採りや釣りを楽しんだ人たちが集まり、思い出を語る会があった。会場のせんだい3.11メモリアル交流館では、暮らしを伝える映像が流された。
 若林区井土生まれの加藤新一さん(78)は「少年時代、定置網の船を浜に引き上げるのを手伝った。おすそ分けの魚を持ち帰ると、いろりで焼いておやじたちが一杯やっていた」と追憶した。
 「そう、シジミはアサリに近い大きさ。松林のキノコもみそ汁にした」。盛り上がったころ、餅を振る舞っていた女性がぽつり。「畑仕事に疲れてたたずむと、水面に映る松林の景色がとてもきれいで、心を休められた」
 緑をよみがえらせようと、小学生らが苗を植樹している。加藤さんは「30年かかるだろうが、待ち遠しい」と話す。釣り船やボートがゆったり通り過ぎていく。そんな岸辺を早く歩いてみたい。


20年度宮城県予算案1.1兆円台 復興計画最終年度 震災関連2割切る
 宮城県は29日、2020年度一般会計当初予算案の編成方針を固めた。東日本大震災からの復興の指針となる県震災復興計画の最終年度の予算規模は、19年度当初比62億円減の1兆1042億円。復興関連事業の減少傾向は続き、震災後としては最少の規模となる。
 震災分は466億円減の2167億円。河川や道路の修繕など災害復旧事業は1439億円で、産業再生や被災者の心のケアなどソフト面に660億円を充てる。総額に占める震災分の割合は初めて20%を割り込み19.63%。19年度当初比で4.09ポイント減。
 震災関連以外の通常分は404億円増の8875億円。老朽化した道路や河川の改修などハード関連の事業が増えた。石巻好文館高校舎や知的障害者施設「船形コロニー」の建て替えなど県管理施設の更新事業も盛り込む。
 国庫支出金などを除く一般財源の歳入は、19年度当初比214億円増の7114億円。普通交付税は109億円増の1422億円。震災復興特別交付税は43億円減の698億円を想定。底堅い景気動向を念頭に置き、県税は74億円増の2984億円を見込んだ。
 1999年10月の財政危機宣言以降、予算編成で設定し続けてきたマイナスシーリング(要求基準)は、政策的要素が強い一部事業を除き、前年度の枠内に抑える「ゼロシーリング」とする。県道や県管理河川沿いの除草など市民生活への影響を考慮したという。
 国庫支出金などを加えた歳入予算額で生じる183億円の財源不足は、復興事業に充当可能な資金手当債の発行や財政調整関係基金の取り崩しなどで補う。関係基金の20年度末の残高見込み額は214億円となる。


被災者生活再建支援法を適用へ
宮城県は、台風19号で100棟を超える住宅が全壊と確認され、被害が広がっていることから、「被災者生活再建支援法」を県内全域に適用することを決め、住宅に大きな被害を受けた世帯に、最大で300万円が支給されることになります。
宮城県によりますと、台風19号と今月25日の大雨による浸水や土砂崩れで全壊と確認された住宅は29日午後1時現在で165棟にのぼっています。
これを受けて県は住宅が全壊した世帯が100以上になった場合に適用される「被災者生活再建支援法」を県内全域に適用することを決めました。
対象となるのは、台風19号の被害で住宅が全壊した世帯や、大規模な修理をしなければ住むことが難しい「大規模半壊」の世帯、それに被害を受けてやむをえず家を解体した世帯で、再建への支援金として最大で300万円が支給されます。
また、今月25日の大雨で全壊するなどした場合も、台風19号との関連が認められれば支給の対象になるということです。
支給を受けるためには、「り災証明書」などを添えて市町村の窓口に申請する必要があります。


「息子に障害」避難ためらう 宮城・丸森の自宅に土砂流入
 台風19号の直撃を受けた12日、宮城県丸森町の販売員佐久間明美さん(54)は「障害のある息子を避難所に連れて行けない」と自宅にとどまり、土砂災害に遭った。緊急時に「周囲に迷惑が掛かる」とためらう保護者。台風被災地でも、ハンディのある人々の避難の難しさが浮き彫りになった。
 天井と壁の隙間から青空が広がる。土砂をかき出す重機も見える。「何が正解だったのか」。佐久間さんが土砂でいっぱいになった1階の長女(21)の部屋でつぶやいた。
 12日夜、両親と長女、中学3年の長男(15)と自宅にいた。雨音が強まる。テレビのアナウンサーが「命を守る行動を」と繰り返す。そのたびに「無理」と思った。自閉症の長男は自室から出るのを拒み、長女は手足が不自由。2階への避難もできない。
 午後7時ごろ、「ドン」と自宅が揺れた。裏山側にある長女の部屋の窓が土砂で開かなくなった。命の危険を感じ、長女と母(79)を町役場に避難させた。長男は人が多い避難所に行けばパニックになる。佐久間さんは父(80)と長男の3人で自宅にとどまった。
 電灯が点滅する。午後11時ごろ、2度目の衝撃音が響く。長女の部屋に大量の土砂がなだれ込み、廊下側に水が漏れ出した。家全体に広がらないよう尿取りパットを隙間に押し込んだ。
 幸い長男は薬を飲み、眠っていた。「早く朝になって。これ以上、崩れないで」。祈るしかなかった。
 水が引いた15日、町役場に長女と母を迎えに行った。親戚宅に身を寄せたが長居はできない。子どもたちの生活を考えると壁1枚を隔てた賃貸住宅は避けたい。玄関先に車を横付けできる一軒家を探した。
 隣の角田市で見つけた中古物件は修理が必要で、自宅と親戚宅を行き来している。悩みは断水だ。自閉症は生活のリズムを崩さないのが鉄則。泥が混じる井戸水を風呂に入れて沸かし、長男を入浴させている。自衛隊が設置した風呂は付き添いができず、諦めた。
 佐久間さんは「命を落とさなかったのは運が良かっただけ。障害者らの避難の問題に向き合い、同じような境遇に陥る人が再び出ないでほしい」と願う。 (桐生薫子)


台風被害の農家を支援 みやぎ生協、復旧へ職員派遣 地産地消ブランド「めぐみ野」支える
 みやぎ生協(仙台市)は、台風19号で被災した産直ブランド「めぐみ野」の生産者への支援に取り組んでいる。生協職員が週2回、宮城県丸森町と角田市の農家を回って自宅や作業所の復旧を手伝い、共に早期の生産再開を目指す。
 26日、丸森町上地の宍戸克美さん(64)方を職員が訪れ、浸水した作業場の泥をかき出した。前日に降った大雨の影響で重くなった泥に苦戦しながらも、スコップで丁寧にすくった。参加した三浦一義さん(44)は「一緒に商品を育ててきた生産者は身近な存在。全力で支えたい」と話した。
 宍戸さんと妻の志津子さん(61)は、ヤーコンやナスを生協に出荷していた。台風19号で自宅近くの五福谷川の堤防が決壊し、田んぼやハウス3棟など農地計約1万2000平方メートルが全て浸水。自宅も床上浸水し、家族6人が2階で暮らす日々が続く。
 特産のヤーコンは収穫を目前に控えていたが、根元から約20センチが泥に埋まり、今期は断念せざるを得ない。宍戸さんは「まるで山津波だ。農地回復の見通しは立たないが、支援を受けて一歩ずつ進みたい」と語る。
 志津子さんは県のプロジェクトに参加し、イタリア・ローマ特産のプンタレッラなど西洋野菜も手掛けてきた。「食べ方を考えながら育てるのが楽しくなってきたところだった」と悔しさをにじませる。
 同町と角田市のめぐみ野の生産者は約750人。コメや野菜、豚肉など幅広い。みやぎ生協は来月13日までに丸森、角田の計10カ所に延べ約150人を派遣する。被害状況を聞き取り、要請があれば支援を行う。
 担当者は「めぐみ野は角田市の梅から始まり、思い入れが強い。被害が甚大で人手が必要であり、継続的に支援する」と話した。


台風被害の住宅再建に最大300万円 宮城・福島県が支援法適用
 宮城、福島両県は29日、台風19号で住宅被害が相次いだことから、被災者生活再建支援法を県内全域に適用することを決定した。住宅の被害状況と再建方法に応じ、最大300万円を支給する。
 両県とも、同法の全県適用は2011年の東日本大震災以来。
 宮城県によると、同県の農業関係の被害は前回集計時(23日)より170億円以上増え、277億300万円。角田市や丸森町で調査が進み、被害が拡大した。林業関連は119億5900万円に上る。
 台風19号による29日現在の東北の死者、行方不明者は表の通り。全国は共同通信の集計で、死者が13都県87人(災害関連死を含む)、行方不明者は8人。
 内閣府によると、台風21号や低気圧の影響による千葉県などでの大雨もあり、3692人が避難所で生活している。
 各省庁によると断水は5県の3418戸。住宅被害は全半壊が16都県4087棟、床上浸水が17都県3万2640棟。土砂災害は20都県で690件、堤防の決壊は7県の71河川140カ所で確認されている。


被災後初めて自宅へ 変わり果てた姿に
 道路の寸断で自宅に戻れなくなっていた宮城県丸森町の男性が30日、被災以来、初めて帰宅しました。変わり果てた故郷を前に男性は何を思ったのでしょうか。
 避難所となっている丸森町の小学校。車いすに乗っているのは佐藤秀夫さん(86)。道路が土砂崩れで寸断されていたこともあり、佐藤さんは被災以来、一度も自宅に戻っていませんでしたが、30日に民生委員と一緒に初めて帰宅しました。17日ぶりの帰宅です。被災した当日、佐藤さんは一緒にいた三女と2階に避難しヘリコプターで救助されました。水が引き、訪れた自宅は変わり果てた姿となっていました。2019年6月に亡くなった妻の遺影と、久しぶりの再会です。
 この家に住み続けたい。しかし修繕すべきか、それとも取り壊すべきか、今はまだ白紙です。


デスク日誌 食べに行くよ
 台風19号は福島県に甚大な被害をもたらした。大きな被害を免れた管内の会津地方を離れての取材が続く。台風の被災現場は東日本大震災直後の被災地の光景と重なり、緊張感が増す。
 茨城県境の矢祭町。国道118号と並行する久慈川に架かる橋が崩落、その先にある集落が孤立した。集落の人に話を聞こうと右往左往していると「あそこを通れば行けるよ」と教えてくれたのが仲沢淳さん(56)。橋のそばで営むラーメン店は浸水して全壊。片付けの手を止めて、壊れた店内も説明してくれた。
 取材では、愛する人や家などを失った人に話を聞かなければならない。失意の胸の内に土足で入り込むことがないよう気を配るが、応じてもらえないこともしばしばだ。仲沢さんの好意は本当にうれしく、ありがたかった。
 初夏には東北で最も早くアユ漁が解禁となる久慈川。開業して7年。おとりアユの販売も手掛け、太公望でにぎわった店は再開のめどが立たないという。
 「再建したら必ず食べに行きますから」。励ましになったかどうかは分からないが、いつか復活のラーメンを味わいたい。 (会津若松支局長 玉應雅史)


宮城・丸森や角田などの広域焼却場 災害ごみ保管限界、無制限受け入れを中止
 台風19号で発生した災害ごみを巡り、丸森など仙南2市7町のごみ焼却を担う仙南クリーンセンター(角田市)は29日、保管量が施設の限界を超えたとして、無制限での受け入れを中止した。センターを運営する仙南地域広域行政事務組合(理事長・滝口茂柴田町長)は処理の迅速化に向け、早期の打開策を国や県に求めている。
 組合によると、30日以降は災害ごみの1日処理量の20トンと同じ量しか受け入れない。2市7町の災害ごみは2万トン以上と推計され、そのうち丸森、角田で約1万6000トンに上るとみられる。センターだけで全量処理するには、3年近くかかる。組合は23日、環境省に2016年に停止した旧角田衛生センターの再稼働などを要望した。
 ただ、旧センターの再稼働には約30億円かかるため、組合関係者は国が費用の大部分を補助しない限り、実現は不可能とみている。仙台市の焼却施設などを活用する広域処理が現実的な方法だ。
 センターの災害ごみ受け入れは13日から始まり、28日現在で約1800トン。施設内保管量の限界値の1000トンを既に超え、施設外の駐車場などに置かれている。
 滝口理事長は「ごみ処理が進まなければ復旧につながらない。国と県は早期に方針を示してほしい」と訴える。


宮城・丸森の国道復旧を国が代行 台風19号による「非常災害」指定で
 国土交通省は29日、台風19号が大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定されたことを受け、宮城県丸森町の国道349号と、いわき市の国道289号の復旧を国の直轄事業として代行すると発表した。
 両路線とも県が管理する道路。被災規模が大きく、宮城、福島両県が早期復旧への支援を要請していた。
 国道349号の工事区間は、丸森町耕野不動から同町舘矢間山田の14キロ。この区間はほぼ全線で土砂が堆積し、路肩の流出や道路脇の山林からの土砂崩れなどが29カ所で確認された。
 村井嘉浩宮城県知事は「丸森町の早期復旧につながる。引き続き国や市町村と連携し取り組む」と談話を出した。
 国道289号は、いわき市田人町旅人(たびうと)の約800メートルが対象となる。土砂崩れや道路の流出など計5カ所で被害を受けた。


宮城・角田の浸水深刻 農業に打撃 大豆収穫目前に廃棄か、イチゴ出荷遅れ懸念
 台風19号で宮城県角田市の農業が打撃を受けている。収穫を控えた大豆は水に漬かり、廃棄せざるを得ない状況だ。浸水したイチゴハウスは出荷の遅れが懸念される。市によると、農作物の被害は28日現在で約2億円、農林業用施設は約35億円に上り、さらに拡大するとみられる。
 同市枝野地区の農事組合法人「Green(グリーン)5えだの」の遠藤喜久寿代表(68)は悔しそうに田んぼで転作する大豆を見つめた。阿武隈川支流に通じる用水路が越水し、15日まで4日間も浸水した。栽培面積は約10ヘクタール。泥だらけの大豆のさやをむくと、実は腐りかけていた。
 「一面水に漬かった畑を見て覚悟はした。商品にならず全て廃棄するしかない」と嘆く。納豆用は10月下旬、「ミヤギシロメ」は11月下旬に収穫予定だった。
 藤田地区のイチゴ農家小野貴嗣さん(40)の低地にあるハウス全11棟が最大2メートル以上、3日間浸水した。汚れたイチゴの苗を洗浄して栄養促進剤を投与したが、台風21号や低気圧による雨で再び水が入り、崩れた畝をまだ直せていない。故障した暖房機2台は、主産地の栃木県の被災支援に業者が集中し、修理や交換のめどは立っていない。
 「雨が続き、作業が進まない。高値になる12月の出荷は難しいだろう。年明けに実が付くよう祈りたい」と語る。
 市によると、農作物被害の内訳は大豆約6800万円、水稲約5400万円、イチゴ約4000万円など。農林業用施設は農道や水路など計470カ所で被害を確認し、さらに調査を継続している。


宮城・大和町が台風被害状況まとめ 住宅浸水は129棟
 宮城県大和町は、台風19号の大雨による町内の被害状況をまとめた。同町のパート従業員女性(58)が亡くなり、住宅の浸水は23日現在で床上53棟、床下76棟、事業所の浸水は67カ所に上った。浸水被害はさらに増える見通し。
 町によると、吉田川の水位は落合観測所で13日午前3時半に最大8.43メートルを観測。町で所管する道路や河川、橋などのインフラは68施設125カ所で損壊などの被害を確認した。
 農業関連は25日現在、水田113カ所の計43.1ヘクタール、畑17カ所の計1.6ヘクタールに冠水などがあった。水路88カ所の計5.5キロ、農道45カ所の計7.2キロで損壊などがあった。
 大和町は災害に備え、全62行政区長にあらかじめ「被害発生状況等連絡表」を配布。町は各区長の連絡を基に現地調査を行って早期に被害を把握、24日からの罹災(りさい)証明書発行につなげた。2015年の関東・東北豪雨時の経験を教訓にした対応という。


宮城・角田の道路や河川161ヵ所で被害 国交省、市に調査報告
 台風19号で被災した宮城県角田市内の道路と河川について、国土交通省緊急災害対策派遣隊は29日、16〜28日に実施した被災状況調査の結果をまとめ、市役所で大友喜助市長に報告した。
 国交省北海道開発局と東北、中部、近畿の各地方整備局から派遣された職員延べ156人が9河川、市道16路線を調査。河川の77カ所で河岸や護岸が崩れるなどの被害があり、市道の84カ所で主にのり面の崩壊を確認した。
 派遣隊の担当官は「今後、大きな被害が発生する場合もある。応急対応を続け、本格的な復旧につなげてほしい」と話した。大友市長は「復旧を早く終え、市民が安定した生活に戻れるようにしたい」と述べた。


青森・むつ市が台風被災3県の災害ごみ受け入れ方針 最終処分場で1万3600立方m分
 青森県むつ市の宮下宗一郎市長は29日の定例記者会見で、台風19号とそれに次ぐ豪雨で発生した災害ごみを市の最終処分場で受け入れる方針を明らかにした。岩手、宮城、福島3県などの被災市町村から要請があれば、実行する。
 受け入れ先は同市大畑町水木沢の市大畑一般廃棄物最終処分場。全容量5万4000立方メートルのうち、廃棄できる残りの1万3600立方メートルで受け入れる。危険物、有害物、家電は除く。
 旧大畑町(現むつ市)の最終処分場は1993年4月に使用が始まった。これまで汚泥や石こうボード、不燃ごみなどを廃棄してきた。市町村合併やガス化溶融炉の建設で、処分量に余裕ができていた。
 市内には、ほかにもう一つ最終処分場があるため、市民サービスへの影響はない。
 宮下市長は「東日本大震災に続き、東北が大きく被災した。東北、全国が一丸となって被災地を応援しなければならず、できる限りの対応をしていきたい」と話した。


福島・相馬市内の建物、4分の1で浸水 台風19号と25日豪雨の「二重被害」600戸
 台風19号と25日の豪雨に伴う河川の氾濫で、福島県相馬市は市内の4分の1に当たる3700余の建物が浸水被害を受けた。市職員の目視や行政区長らからの聞き取りに基づく推計値で、このうち約600は台風と豪雨の「二重被害」に遭ったとみられる。
 台風19号の浸水被害は市職員が目視で調査し、一戸建て住宅も集合住宅も1棟と数えて一般住宅が1846棟(床上1015棟、床下831棟)。店舗や工場などは878棟(床上558棟、床下320棟)で計2724棟だった。
 各行政区長らからの聞き取り結果をまとめた25日の豪雨による浸水被害は、世帯ベースで一般住宅が999戸(床上346戸、床下653戸)。うち台風19号でも被害に遭っていた世帯は約600戸に上り、約400戸が新たに浸水被害を受けた。
 台風19号と25日の豪雨で市内では、宇多川や小泉川の決壊で中心部を含む広い範囲が浸水した。今後、市は罹災(りさい)証明書の発行を基にした現地調査を実施し、浸水被害の詳細な状況把握に努める考え。


相次ぐ台風被害 「想定外」許さぬ備えを
 台風21号などの影響による記録的大雨が、関東から東北にかけて甚大な被害をもたらした。
 福島県や千葉県では半日で平年の10月1カ月分の雨が降り、土砂崩れや河川氾濫が起き、死者・行方不明者は10人を超える。
 相次ぐ台風は、泥のかき出しや災害ごみの片付けに必死の被災地に追い打ちをかけた格好だ。避難生活の長期化を強いられ、疲れもピークに達していよう。
 台風15号、19号に加え、1カ月半に三つの台風が集中した。想定外の災害が常態化し「100年に1度」という警句が意味をなさない。法整備を含め実態に即した防災態勢の再構築が求められる。
 政府はきのう、台風19号の激甚災害と、水害で初の大規模災害復興法に基づく「非常災害」の指定を閣議決定した。
 だが、これで十分とは言えまい。リーダーシップを発揮し、人手不足や財政難を抱える被災自治体からきめ細かく声を聴き、復旧に全力を挙げる責務がある。
 千葉県では、土砂崩れの現場3カ所で計4人が亡くなった。
 ただ、県は土砂災害警戒区域に指定していなかった。2カ所は指定準備中で、1カ所は斜面の角度や高さなどが国の基準以下だったため、指定の是非を判断する調査をしなかったという。
 国の基準は甘くなかったか、検証が欠かせない。
 警戒区域の指定では、不動産の価値が下がるとの理由から住民の反発が起きやすい。とはいえ、命に関わる問題であり、丁寧に説明し、理解を得る必要がある。
 車で移動中に亡くなった人も多い。車は水深30〜50センチでエンジン停止し、50センチ超で流される。雨量は瞬く間に増える恐れがあり、被害を防ぐには、災害発生前に早めに避難することに尽きる。
 道路や鉄路が寸断し、孤立する地域もあり、農林水産業の被害は1700億円を超える。政府を先頭に道路や河川、農地、林道などの復旧を加速させねばならない。
 信じ難いのは、河野太郎防衛相が「私はよく地元で雨男と言われた。私が防衛相になってから既に台風は三つ」と述べたことだ。
 一連の台風の死者・行方不明者は100人を超え、自衛隊は懸命に活動している。当事者意識が欠けており、士気にも関わる。
 私たちもボランティアや義援金の送付などできることはある。昨年の胆振東部地震でも道外から支援を受けており、助け合いの気持ちを大切にしたい。


災害ごみ処理追いつかず
台風19号で大きな被害を受けた丸森町などから出たごみを受け入れている角田市のごみ処理施設では、大量に搬入された災害ごみの処理が追いつかない状態となっていて、増え続ける災害ごみの広域処理が課題となっています。
角田市にある「仙南クリーンセンター」では、丸森町など仙南地域の2市7町の燃やせるごみを処理しています。
台風19号の後は、一般ごみに加えて、丸森町などの被災地で出た災害ごみも受け入れていますが、量が多く処理が追いつかないことから、29日午後、新規の災害ごみ受け入れをいったん停止しました。
30日からは、一般ごみの処理を優先しつつ、1日合計20トンに限って災害ごみの受け入れを再開していて、クリーンセンターの駐車場には処理しきれない災害ごみが積み上げられていました。
災害の被害が特に大きかった丸森町では、想定を上回る量の災害ごみが仮置き場に持ち込まれていて、すでに満杯になった仮置き場もあります。
ごみ処理施設を管理する仙南地域広域行政事務組合の阿部直樹課長は、「災害ごみは最終的に2万トンを超える見込みだ。木くずやタイヤ、それに布団など種類が多様で、選別に時間がかかるため、今のペースでは処理が追いつかないので、仙南地域以外の自治体と連携した広域処理など、ほかの処理方法を検討する必要があると思う」と話していました。
【丸森町長 ”大変残念な状況”】
災害ごみの処理が追いつかない状況になっていることについて、丸森町の保科郷雄町長は、30日午前の会見で、「大変残念な状況と受け止めている。協力を求めたほかの自治体の焼却炉はいずれも満杯で、仙台市でも数パーセントしか余裕がないと聞いているので、町内にストックしておくしかない状況だ。何らかの解消方法を探るとともに、今後、国に新しい焼却炉の設置を要望したい」と話しました。


阿武隈急行復旧へ”財政支援を”
台風19号の被害を受けた、宮城県と福島県を結ぶ第3セクターの「阿武隈急行」について、被害の状況などを確認する会議が開かれ、第3セクターの社長は、復旧に向けて国に財政支援を求めていく考えを示しました。
阿武隈急行は、福島市と宮城県柴田町を結ぶ全長54.9キロの鉄道で、台風19号の被害によって、福島県伊達市にある富野駅と柴田町の槻木駅の間では運転が出来ず、今も無料の代行バスを運行しています。
復旧のメドがたたない中、30日は、仙台市で、第3セクターや沿線自治体の関係者およそ30人が集まって会議を開き、被害の状況や復旧への課題を確認しました。
第3セクターなどの説明によりますと、沿線では線路に土砂が流入したり、架線が切断されたりするなど48か所で被害が確認され、このうち38か所が宮城県側だということです。
また、阿武隈急行は運転を休止している区間のうち、比較的被害が少なく、生活路線として需要が高い、丸森駅と槻木駅の区間から運転再開を目指す考えを示したということです。
会議のあと、阿武隈急行の千葉宇京社長は「復旧にかかる費用は東日本大震災の時を上回る可能性があり、国には財政的な支援をお願いしたい」と述べ、復旧に向けて国に支援を求めていく考えを示しました。


大郷町 被災の寺でお墓の掃除
台風19号で浸水の被害を受けた大郷町にある寺では、お墓の多くがなぎ倒されたり、泥をかぶったりする被害を受け、寺の関係者やボランティアがお墓の掃除を行っています。
大郷町では、台風19号で吉田川の堤防が決壊し、広い範囲で浸水しました。
このうち、決壊した堤防のすぐ近くにある糟川寺では、およそ1メートル50センチの高さまで浸水したほか、近くの墓地も100あまりある墓がなぎ倒されたり、泥をかぶったりする被害を受けました。
寺では、ほぼ連日、お墓の掃除を続けていて、30日も朝から副住職やボランティアなど合わせて5人が出て作業にあたっていました。
ボランティアの人たちは、お墓の周りにたまった泥をスコップで取り除いたり、周囲に散乱しているアスファルトを手作業で集めたりしていました。
大郷町では、住民の集団移転を柱とした地区の復興計画案が示されていて、この寺も対象に含まれていますが、当面は今の寺の再建を急ぎたいとしています。
三田村仁道副住職は「ボランティアの支援もあり、最初のころに比べれば少しずつ復興している。移転案の話は聞くが、今は目の前のことを着実にこなしたい」と話していました。


萩生田氏・身の丈発言 「本音」が不信増幅させた
 教育行政の理念に関わる問題と捉えねばならない。
 来年度から始まる大学入学共通テストの英語民間検定試験について、萩生田光一文部科学相が「自分の身の丈に合わせて勝負してもらえれば」と発言し、撤回に追い込まれた。
 検定試験は7種類ある。高校3年時にその中から2回まで受験した成績が志望大学に提供される。それまでに「練習」で受けられる回数に制限はない。試験によっては検定料が高額だったり、会場が都市部に偏ったりする。このため、経済、地域格差が生じると指摘されている。
 発言は民放のテレビ番組で飛び出した。「裕福な家庭の子が回数を受けてウオーミングアップできるようなことはあるかもしれない」と認めたうえで、「そこは自分の身の丈に合わせて2回を選んで頑張ってもらえれば」と語った。
 問題はまず、新制度が受験生の格差を拡大しかねないことを事実上容認している点だ。
 萩生田氏は「どんな環境下にいる受験生も頑張ってもらいたいという思いだった」と釈明し、「説明不足だった」と謝罪した。だが、撤回では済まない。発言は萩生田氏の本音ではないかという疑念が消えないからだ。
 高校側からは検定試験導入の延期を求める声が上がっている。文科省は検定料軽減などの配慮を検定団体側に求めているが、格差解消の見通しは立っていない。それでも、来月1日には試験で受験生が使うIDの発行申し込みが始まってしまう。
 より深刻なのは、萩生田氏が教育基本法の定める「教育の機会均等」を理解していないことだ。テレビ番組で格差の指摘を受けて「『あいつ、予備校に通っていてずるい』と言うのと同じだ」とも述べた。
 だが、予備校に通うかどうかは主に本人の判断であるのに対し、家庭や居住地を受験生は選べない。そうした事情で検定試験の「練習」ができなければあきらめるしかない。これらの不公平をなくすのが教育行政の役割のはずだ。「身の丈に合わせて」と言うのは開き直りに等しい。
 今回の発言で、新制度への不信感がいっそう広がっている。制度の不備に目をつぶったまま見切り発車してしまうのでは責任の放棄だ。


「身の丈」発言 制度の欠陥認め見直せ
 撤回ですまされる話ではない。「身の丈に合わせて頑張って」という萩生田光一文部科学相の発言は、英語民間試験では公平性が担保できないことを自ら示している。制度を見直すべきではないか。
 大臣はもちろんご存じだとは思うが、そもそもの話から書く。教育の機会均等は憲法一四条の法の下の平等と、憲法二六条によって保障されている。
 これを具現化し一九四七年にできた教育基本法は「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」とうたう。憲法一四条にはない「経済的地位」が追加された。貧富で子どもの未来が左右されてはならないという決意の表れだろう。二〇〇六年の改正後もこの部分は変わらない。
 大学入学共通テストで導入される英語民間試験は機会均等の原則を損なう恐れがある。六団体七種類の試験は都市部での開催が中心で、受験料が二万円を超える試験もある。地方の受験生は交通費や、場合によっては宿泊費もかかる。共通テストで成績が使われるのは三年生で受ける二回だが、試験に慣れるためには同種の試験を繰り返し受けた方が有利だ。
 萩生田文科相は自らの発言を撤回した二十九日の会見でも「制度としては平等性が担保される」と話す。しかし全国高等学校長協会が延期を求めるなどの異例の事態を見れば、教育現場がそう感じていないことは明らかだ。
 すでに経済格差や地域格差が以前より高い壁となっている現実がある。〇八年のリーマン・ショック以降、首都圏の大学に通う地方出身者の割合は減少している。地方の受験生が挑戦しやすいよう制度を改革する大学もある。多様性が生み出す活発な議論が、イノベーションなどの新たな価値を生み出す効果を重視しているからだろう。
 共通テストの民間試験も四年制大学の三割が使わず、出願資格とした大学でも別の手段で英語力を証明する余地を残したところもある。格差拡大への懸念が解消していないことの表れだ。
 本来は格差を縮める努力をするのが政治家の役割だ。十一月には民間試験の利用に必要なID(個人の識別番号)の申し込みが始まる。混乱や懸念が拡大する中で新制度を強行してもよいのか。生まれた場所や家庭の経済状況だけではなく、この大臣のもとでの受験が不運だったと、受験生を嘆かせたくはない。


「身の丈」発言/文科相にふさわしくない
 教育の機会均等に責任を負う行政のトップとして許しがたい発言だ。
 萩生田光一文部科学相が、2020年度から大学入試共通テストで導入される英語の民間検定試験で「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」とテレビ番組で述べた。
 民間試験を巡っては、家計状況や居住地によって不公平が生じるとの懸念が根強い。その点を質問された際の答えである。ネット上で「貧乏人は高望みするなということか」といった反発が広がり、きのうになって発言を撤回した。
 撤回して済む問題ではない。受験を控えた高校生や保護者の不安をあおった責任は重い。批判を真摯(しんし)に受け止め、問題点の改善に全力を挙げるべきだ。当事者の不安解消に努めねばならない。
 英語の民間試験は、文科省が認定する6団体7種類から一定期間内に2回まで受けられる。受験料が2万円を超える試験があったり、会場が都市部に限られたりするため、都会に住む高所得世帯の生徒が有利になる可能性が指摘されている。
 萩生田氏は同番組で、裕福な家庭の子は練習のため何度も受けられるかもしれないと認めた上で、「『あいつ予備校に通ってずるい』というのと同じ」との見方も示した。経済事情による不公平は仕方ないといわんばかりだ。
 教育基本法は、憲法に基づき「国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならない」と定めている。その執行を担い、格差是正に努めるべき文科相にふさわしいのか、閣僚の資質を疑わざるを得ない。
 萩生田氏は今月初めにも、民間試験の活用方針が未定の大学が多いことに関連して「初年度は精度向上期間だ」と発言し、受験生を実験台にするつもりかと批判を浴びた。
 一連の発言は、萩生田氏の見識不足だけでなく、入試制度そのものが抱える不公平さをさらけ出す結果となった。懸念が解消されないまま導入に突き進めば、犠牲になるのは受験生である。
 全国高等学校長協会は、民間試験の問題点が解消される見通しが立たないなどとして開始の延期を求めている。導入見送りも含めて、再検討する機会ではないか。
 そんな中、河野太郎防衛相から相次ぐ台風被害に関連し「私はよく雨男と言われた。防衛相になってから既に台風は三つ」との発言が飛び出した。多くの死者・行方不明者が出ているというのに軽率すぎる。
 不安や苦しみに直面する人たちへの思いやりに欠ける点で、萩生田氏と共通する。安倍政権の緩みは極めて深刻だ。


萩生田文科相 格差容認は適格性欠く
 萩生田光一文部科学相が、大学入学共通テストの英語で導入される民間検定試験に関し「身の丈に合わせて頑張って」と発言した。
 導入まで半年を切ったが、家庭の経済状況や居住地による機会格差の解消はなお見通せていない。
 その中で受験生の「身の丈」に言及すれば、不利な環境にあっても甘んじるよう迫ったと受け取られても仕方があるまい。
 教育基本法は教育機会の均等を掲げる。大学入試は受験生が共通のスタートラインに立つために、公平性を担保するのが大原則だ。
 基本を逸脱し、格差を容認するような発言をした萩生田氏は、教育行政の長として適格性を欠く。
 萩生田氏は陳謝して発言を撤回したが、民間試験導入は予定通りに行う考えを改めて強調した。
 間もなく受検用IDの申請が始まるが、ここに来て文科相の発言が混乱に拍車を掛けた。導入の延期も真剣に考えるべきだろう。
 対象の民間試験は英検など7種類で、志望先に応じて受検する。
 大学に提供されるのは高校3年で受けた最大2回分の成績だが、その他にも練習で受検したり、数種類を試して自分に有利なものを「本番」に選ぶことも可能だ。
 ただ、受検料が2万円を超すものもある上、会場は都市部が中心となる見込みだ。過疎地の広がる道内の受験生には負担が重い。
 こうした懸念に、萩生田氏は「『あいつ予備校に通ってずるい』というのと同じ」と言い放った。
 予備校は学力向上の手段だが、英語民間試験は入試の一部だ。同列に扱うとは不見識も甚だしい。
 萩生田氏は、就任直後にも「初年度は精密さを高めるための期間」と発言し、猛反発を受けた。
 これらの迷走ぶりは「民間試験ありき」の制度設計の不備をそのまま反映しているのではないか。
 文科省は、業者に会場増設や低所得世帯の受検料減免を求める一方、離島の受験生の交通費などを補助する支援策を来年度予算の概算要求に盛った。さらにきめ細かく対応を詰める必要がある。
 英語民間試験は、性格の違う複数の試験を入試に使うことへの疑問を押し切って導入が決まった。
 大学入試センターと業者の協定締結が遅れ、試験の詳細が出そろうのは来月にずれ込む見込みで、初年度は民間試験を利用しないと決めた大学が3分の1にも上る。
 野党が導入を延期する法案を提出する動きがある。発言を問うだけでなく、受験生の不利益を抑えるため手を尽くさねばならない。


萩生田文科相発言 格差拡大の是認に等しい
 弱者は切り捨てても構わないという発想が根底にあるのではないか。
 萩生田光一文部科学相が大学入学共通テストの英語で導入される民間検定試験について、家計状況や居住地で不利が生じるとの指摘に「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と24日のテレビ番組で述べたのである。
 2020年度から大学入学共通テストで活用される民間検定試験は英検、GTEC、TOEFLなど6団体7種類。20年4〜12月に最大2回受験できる。受験会場は都市部が中心となる。
 導入を巡っては、かねて公平・公正を確保するのが困難であると指摘されてきた。試験ごとに会場数、回数、検定料などが異なり、居住する地域や家庭の経済力によって有利、不利が生じるからだ。
 萩生田氏の発言は、それぞれが置かれている条件の中で努力すればいい―という趣旨であり、格差の拡大を是認するに等しい。
 反発が広がったことを受けて28日、報道陣の取材に応じ「受験生に不安を与えかねない説明だった。おわびしたい」と謝罪した。
 さらに29日の閣議後記者会見では「受験生を見下したり切り捨てたりすることを念頭に発言したわけではない」と釈明した上で、「撤回し、謝罪する」と述べた。
 離島をはじめ遠隔地に住む受験生は試験会場までの交通費や宿泊費に多額の出費を余儀なくされる。移動の時間もかかる。地理的条件、経済上の制約によって、受ける試験が限定される受験生も出てこよう。
 都市部の受験生はそのような負担がない。家庭に経済力があれば、高校3年になる前に検定試験を何度も受けて、慣れておくこともできる。貧富の差、居住地の差が試験の成績を左右するだろう。
 萩生田氏は、受験生に不公平が生じる懸念に対し「『あいつ予備校に通ってずるい』というのと同じだと思う」と24日のテレビ番組で反論していた。本当にそうなのか。
 大学受験の公平が損なわれる事態は、予備校に通うかどうかといった話と同列には論じられない。教育の機会均等を定める教育基本法、教育を受ける権利を保障する憲法の理念に関わってくる。
 萩生田氏は「さまざまな課題があるのは承知の上で取り組んできた。さらに足らざる点を補いながら、予定通り実施したい」と29日の会見で話した。制度の欠点を認識しながら、甘受するよう求めているように映る。
 大学入学共通テストと銘打つからには、全ての受験生が生活圏の中で同一の試験を同一の日程で受けられる仕組みを整えるべきだ。
 各自が置かれた環境によって不利益が生じることはあってはならない。文科相発言は制度の不備を改めて浮かび上がらせた。実施を延期した上で大幅に見直した方がいい。


萩生田文科相の「身の丈」発言、形だけの謝罪・撤回だけで終わらせず大学入試改革の本質的な問題点追及を
萩生田文科相が「身の丈に合わせて」と発言
 萩生田光一文部科学相は10月24日、2020年度から活用される英語の民間試験について、「身の丈に合わせて」受験してほしいと述べた。
 この発言が報道されるや否や、「格差を容認するのか」と批判が殺到。萩生田文科相は28日に「受験生に不安を与えかねない説明不足な発言であった」と謝罪した。しかしこうした発言を不用意にしてしまう萩生田氏は、教育行政の役割について理解できていないと言わざるを得ないだろう。
受験にかかる受験料や交通費、裕福な家庭の子どもが有利に
 萩生田氏が問題の発言をしたのは、BS番組においてだった。キャスターに、英語の民間試験は不公平ではないのかと問われ、こう答えた。
「それを言ったら、『あいつ予備校通っていてズルいよな』と言うのと同じだと思うんですよね。だから、裕福な家庭の子が回数受けて、ウォーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは、自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえば」
 2020年度から導入される英語の民間試験については、経済格差を固定するものだという批判がすでに繰り返しなされている。利用できる試験は、「ケンブリッジ英語検定」「英検」「GTEC」「IELTS」「TEAP」「TEAP CBT」「TOEFL iBT」の7種類。受験料が2万5000円を超えるものもある。
 大学受験で採用されるのは、高校3年生の4〜12月に取得した2回分の成績。しかし受験料を負担することができるならば、試験に慣れるために何度も受験することは可能だ。そのため、裕福な家庭の生徒が有利になるのは自明だ。
 また民間の試験は、実施される会場が限られている。大学入試センターの会場は全国に693か所(2019年)設置されていた。しかし民間の試験は、英検でも約260会場。試験会場が近くにない場合は、交通費や宿泊費を負担して受験することになる。
 文科省の発表によると、民間の試験を出願資格や合否判定の材料にする大学は561校で全体のおよそ半数に留まる。しかし東京大学や早稲田大学を始めとする主要な国立大学・私立大学の多くが民間試験の利用を決めており、多くの受験生に影響が出る。
 英語科目における民間試験利用を取りやめない限り、経済格差が機会の不平等に結びつく恐れは解消されないだろう。文科省は、居住地や家庭の経済環境によって差が出ないよう、公平な試験を実施すべきだ。
 すでにある格差解消も急務だ。萩生田氏の言うように、裕福な家庭の子どもの方が、私立の学校に通ったり、予備校に通ったりして、大学受験を有利に進められるのが現状だ。家庭に余裕がなくて浪人を許されず、安全圏の大学しか受験できない生徒もいる。
 そもそも大学の授業料が高騰を続ける中、進学を諦めたり、貸与型の奨学金で莫大な借金を背負ったりすることもある。教育の機会均等を実現するのが文科省の役割ではないのか。
主導した安西・元慶応塾長とベネッセグループが結託?
 英語の民間試験導入においては、テストの公平性が犠牲になる影で、民間の事業者が利益を得る構図になっていることも指摘しておきたい。
 ベネッセグループは、民間試験の一つに指定されている「GTEC」を運営。関連する教材や公式のガイドブックも販売している。さらにベネッセホールディングスの子会社である「学力評価研究機構」は、共通テストに導入される記述式の採点を約62億円で受託している。
 こうした中、ノンフィクション作家の広野真嗣氏は、利益相反を指摘する。(参照:「大学入試改革の旗振り役 慶應元塾長に利益相反疑惑を直撃」)民間試験の導入を主導した元慶應義塾大学塾長の安西祐一郎氏が、ベネッセとともにGTECを共催する「進学基準研究機構(CEES)」の評議員になっているという。
 加えて、同機構の理事長は、文部事務次官を務めた佐藤禎一氏だ。ベネッセは、文科省が約50億円の予算を投じる「全国学力学習状況調査」をこの5年間毎年落札してもいる。広野氏は、「『民間試験導入』でベネッセは新市場を、導入を主導した安西氏はポストと報酬を、文科省は新たな天下り先をそれぞれ手に入れる──そんな構図が見えてくる」と批判している。
教育以外の領域でも疑われる利権の構図
 こうした利権構造は、人材派遣や水道民営化を巡っても指摘され続けてきた。水道民営化は、すでに導入されている諸外国で、料金の高騰や水質悪化を招いており、根強い批判がある。この水道民営化を含め、官民連携を推進する「民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)」にフランスの水メジャー・ヴェオリアの社員が加わっていたことがわかっている。
 同社は実際に、下水道のコンセッション契約を決めた静岡県浜松市と契約しており、利権化している疑いが強い。(水道事業に民間参入を促そうしているのは誰なのか。内閣府PFI推進室を巡る利権の構造
 教育や水道といったサービスを市場に開放し、民間の事業者が利益を得る。その一方で公共性が掘り崩されているのならば、由々しき事態が進行していると考えざるを得ない。
 例によって「そう受け止める人もいた」というお決まりの言葉とともに「形だけの謝罪・撤回」をした萩生田大臣。また、メディアも「失言」程度の認識で報道をしている。
 問題の本質は制度自体に格差を固定化する設計になっている点だ。野党及び有権者は、そこを見誤らず、単なる「失言」騒動として終わらせてはいけない。


英語入試、不公平さ露呈 「身の丈発言」文科相撤回
 大学入学共通テストで導入される英語民間検定試験を巡り、萩生田光一文部科学相が「身の丈に合わせて頑張って」と発言したことが波紋を広げている。経済的に余裕がない家庭の子どもや、離島や山間部の受験生が不利になることを容認したとも受け取れるためだ。親の所得や育った環境で受験の公平性がゆがめられていいのか。新制度の旗振り役を担う閣僚の不用意な発言に、九州でも高校生や親から怒りと不安の声が相次ぐ。
 「都会の子と同じスタートラインに立てないのを大臣が認めるのだとしたら納得がいかない」。鹿児島県の離島に住む県立高1年男子(16)は憤った。
 6人きょうだいの末っ子。学生は自分だけだが、まだ親に生活費を頼るきょうだいもおり、家計が楽でないことを知っている。地域に塾はほとんどなく、模擬試験を受ける機会も少ない。新制度で大学受験することになるが、ただでさえ不利な島の受験生がさらに不利にならないか心配だ。
 新制度は「英検」など7種類の民間試験の成績を大学が合否判定に活用する。受験料が2万5千円超と高額だったり、会場が都市部に偏っていたりする試験があり、以前から「不公平」と批判されてきた。
 萩生田氏の発言は、24日放送のBSフジの番組で飛び出した。入試の際に登録できる成績は高校3年以降の4〜12月に受ける2回までだが、経済的に恵まれた受験生が何度も練習で受ける可能性を認めた上で「身の丈に合わせて2回をきちんと選んで」と述べた。
 「今でも経済的理由で模擬試験をためらう子がいる。文科相は現場を分かっているのか」。宮崎県の公立高の40代教諭はあきれ顔でこう話す。熊本県南阿蘇村の女性(52)は、高校2年の娘が受験会場の多い英検に絞って試験対策を進めていることを明かし「田舎の受験生にとって、やる気がそがれる制度だ」と疑問を投げる。
 萩生田氏は28日、「受験生に不安を与えた」などと陳謝し、29日の記者会見で発言を撤回した。ただ、民間試験導入については「さまざまな課題があるのは承知の上で取り組んできた。さらに足らざる点を補いながら、予定通り実施したい」と述べた。
 もう再考することはないのか。福岡教育大の中島亨教授(英語音声教育)は「このままだと恵まれた受験生ほど試験対策ができ、教育の機会均等を崩す。導入は時期尚早。最終的には撤回すべきだ」。福岡県久留米市の高校2年女子(17)は「一生を左右する試験だから、どんな環境でも平等でないといけないと思う」と訴える。 (金沢皓介、河合仁志、湯之前八州)
   ◇    ◇
BSフジ番組(24日放送)での萩生田光一文部科学相の発言
 (司会)民間の資格試験を使うということは、お金や場所、地理的な条件で恵まれている人が受ける回数が増えるのか。公平性はどうか。
 (萩生田氏)それを言ったら「あいつ予備校通っていてずるいよな」というのと同じだと思う。裕福な家庭の子が回数受けてウオーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえば。
 できるだけ近くに会場をつくれるように業者や団体の皆さんにはお願いをしている。だけど、人生のうち自分の志で1回や2回は古里から出て試験を受ける。そういう緊張感も大事かなと思うんで、その辺、できるだけ負担がないような、いろいろ知恵を出していきたいと思う。


「身の丈」発言 格差容認の見識を疑う
 2020年度からの大学入学共通テストで導入される英語の民間検定試験について、萩生田光一文部科学相が「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえば」と発言した。
 制度の旗振り役が受験生の経済格差や地域格差を容認したと受け取れる発言だ。後に謝罪し、撤回したとはいえ、教育行政トップとしての見識を疑わざるを得ない。
 今の高校2年生が主に受けることになる民間試験には、英検やGTECなど7種類があり、英語の「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測る。大学側に提供されるのは高校3年の4〜12月に受けた2回までの試験成績だが、練習では何度でも受けられる。
 中には受験料が2万円を超す試験や、都市部の10カ所でしか受けられないものもある。受験生の家庭の経済状況や住む地域で、不公平が生じると指摘されている。
 萩生田氏は24日のBSフジの番組で、受験生の境遇によっては不公平が出るのではないかと問われ、「それを言ったら『あいつ予備校に通ってずるい』というのと同じだと思う」と反論。「裕福な家庭の子が回数を受けてウオーミングアップできるようなことはあるかもしれない」とし、「身の丈に合わせて(本番の)2回をきちんと選んで勝負して」と述べた。
 「教育の機会均等」を定める教育基本法は、社会的身分や経済的地位によって教育上差別されてはならないと規定している。
 特に受験生の進路を左右する入試では、機会の平等が最も重視されなければならない。
 萩生田氏の発言は、教育行政の責任を放棄し、制度が抱える課題を受験生に押しつけているようにとれる。文科相として今すべきことは、子どもたちの力ではどうしようもない格差が教育の格差につながらないよう、対策を指示することではないか。
 民間試験を巡って、萩生田氏は文科相就任会見で「受験生が実験台になるような制度であってはならない」と強調したが、1日の定例会見では「初年度は精度向上期間だ」と発言。全国高等学校長協会や受験生らの懸念や抗議の声に真剣に向き合わず、大学入試改革の目玉に挙げる民間試験の実施を急ぐ姿勢が目立つ。
 「身の丈」発言の謝罪と撤回も、実施の障壁になる批判を早期の幕引きで最小化する狙いがあったのだろうが、試験への不信感はより高まった。受験生の不安を拭えないままでの強行は許されない。


萩生田文科相は「身の丈」発言に反省なし! 受験費用の問題なのに「入学したら給付型奨学金で補填できる」と国会答弁
大学入学共通テストへの英語民間試験導入をめぐる、萩生田光一文科相の「身の丈」発言に批判が高まっているが、本日おこなわれた衆院文科委員会で、萩生田文科相はこんな見苦しい言い訳を口にした。
「裕福な人たちのほうが有利なんだってことを私は容認したんじゃなくて、逆にですね、自分できちんと、その、精度を磨いて、ぜひ2回を選んでもらってがんばってほしいという趣旨で発言をしたんで」
 厚顔無恥とはこのことだろう。一体いったいどうやったら「身の丈に合わせて」という発言が、「精度を磨く」という意味に置き換えられるのか。
 萩生田文科相の“暴言”をあらためて振り返ると、24日に生出演した『BSフジLIVE プライムニュース』(BSフジ)において萩生田文科相は、居住地域や家庭の経済状況によって不公平が生じるという批判が起こっていることについて問われ、こう答えた。
「あの、そういう議論もね、正直あります。ありますけれど、じゃあそれ言ったら、『あいつ予備校通っててずるいよな』って言うのと同じだと思うんですよね。だから、裕福な家庭が(民間試験を)回数受けて、ウォーミングアップできるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは、自分の、あの、私は身の丈に合わせて、2回を選んで、きちんと勝負してがんばってもらえば」
 文科大臣が国の施策である大学入学共通テストを「予備校通い」と同列に論じる自覚のなさ。しかも、この「予備校」というたとえを持ち出したことこそ、萩生田文科相が経済格差容認・貧乏人差別の文脈で「身の丈」と発言したことの証明でもある。
 周知のように、経済格差が広がり一般家庭の生活水準が下がっているこの国では、子どもが志望大学に落ちても経済的理由から浪人させられないという家庭が急増している。つまり萩生田文科相は、貧乏人が予備校に通えなくても当たり前なのと同じように、貧乏人が英語民間試験を2回しか受けられなくても当たり前、貧乏人は「身の丈」に合わせればいい、と言い放ったのだ。
 報道では、萩生田文科相は「身の丈」発言を撤回・謝罪したことになっているが、こんな見苦しい釈明をしているというのに謝罪もへったくれもないだろう。
 というよりも、ほんとうの意味で萩生田文科相はいまも「身の丈」発言について何の反省もしていないことが、きょうの文科委員会では露わになった。
 萩生田文科相は「身の丈」発言のあと、「人生のうち、自分の志で1回や2回は故郷から出てね、試験を受けるとか、そういう緊張感も大事かなと思うんで」とも発言。このことについて、文科委員会では共産党の畑野君枝議員が「遠くに行かないといけない、つまり近くに会場がない精度だというふうに思っているのか」と追及したのだが、それに対して萩生田文科相はこう答弁したのだ。
「私、そうじゃなくて、いろいろ厳しい環境はそれぞれ人によって異なるものがあるけれど、それに負けるなという思いで発した言葉でございます」
 いま求められているのは居住地域によって受験生に地域格差が生まれない制度に見直すことだが、それを格差を生もうとしている当の責任者が「厳しい環境に負けるな」と言う……。ようするに、「自己責任でどうにかしろ」と言っているようなもので、「身の丈」発言と何ら変わらないではないか。
受験に5万円以上かかることを指摘されても「一定の負担はおかけする」と開き直る萩生田
 萩生田文科相はこのほかにも、さらに絶句するような答弁を連発した。
 たとえば、もっとも高い英語民間試験はIELTSで、2回受けると5万760円もかかるのだが、国民民主党の城井崇議員は「経済的に厳しい生徒でも負担可能か」と質問。すると、萩生田文科相はこう答えたのだ。
「経済的に困難な受験生がどの程度の検定料等であれば負担可能かどうかは一概に申し上げられません」
 最大で5万760円もかかるというのに、「経済的に困難な受験生が負担可能かどうかは一概に申し上げられない」って──。しかも、萩生田文科相は軽減される場合の金額についても「軽減額は試験団体において検討中」と民間に丸投げした上、「一定のご負担はおかけにするということになる」と述べたのである。
 萩生田文科相は経済的に困窮した家庭にとって5万760円の出費がどれほど大きいものなのか、想像もできないというのか。しかも、受験生が負担しなければならないのは英語民間試験の費用だけではない。大学入学共通テストの検定料は現行のセンター試験と同額に据え置く方針(センター試験は3教科以上で1万8000円、2教科以下で1万2000円)だというが、それにプラスして国公立大の個別(2次)試験では1校につき平均1万7000円、私立大の一般入試も3万〜3万5000円、医学系などの大学の場合には4万円以上かかることもある。その上、英語民間試験対策のための参考書などの費用もかかってくる。「一定のご負担」どころの話ではないのだ。
そして、ここに地域格差までもが加わる。城井議員は「北海道の稚内に住む受験生が、語学力の国際標準規格CEFRでいうC1以上をめざす場合」を例として取り上げ、導入される民間試験で費用が比較的安い「GTEC」のCBTタイプを2回、練習受験を1回、民間試験実施団体の公式教材を仮に6000円で購入した場合、交通費も含めると7万3500円もかかると指摘。稚内市内から札幌までは往復10時間以上かかるため、さらにここに宿泊費がかかることになるが、これが「最低ライン」なのだ。
〈経済的地位によって、教育上差別されない〉と定めた教育基本法をまったく理解していない萩生田文科相の答弁
 しかし、ここまで現実的な負担額を目の前に突きつけられても、萩生田文科相は平然とこう答弁したのだ。
「一概にその金額が(経済的に厳しい受験生にとって負担が)可能かどうかということを私が特定することは極めて困難ですけれど、たとえば経済的に困難な方が受験をしたのちに入学すれば、給付型の奨学金でこの費用を補填する仕組みもできあがっている」
 この答弁には委員会室がざわつき、城井議員も「大学生活に使うお金を先食いして使えというのは相当無責任な発言」と非難したが、「給付型奨学金制度があるから受験費用は負担しろ」などと言うのは〈経済的地位によって、教育上差別されない〉と定めた教育基本法を萩生田文科相がまったく理解していないことのなによりの証拠だ。
 しかも、萩生田文科相は「近くで試験が受けられるようにする」と強調するが、具体策をつっこまれると「試験団体に会場の追加設置を要請している」とまたも民間に丸投げ。一方、 “離島に居住する高校生にかかる交通費や宿泊費は国が2分の1を補助する措置のために概算要求している”とアピールしたが、稚内の受験生のケースの場合はどうかと尋ねられると、「現状では支援メニューをいまのところ用意していない」と補助対象から外れることをあっさり認めたのだ。
 大学入学共通テストをめぐってはこのほかにも問題点が山のように指摘されているが、「地域・経済格差を拡大させる」という問題ひとつをとっても、このように何ひとつ解決されていない状態にある。なのに、萩生田文科相は具体的な試算によって多大な負担を強いることになる現実を突きつけられても「受験生が負担が可能かは自分には特定できない」などと知らんぷりして「厳しい環境に負けるな」と精神論を振りかざしているのである。ようするに、いまだに「身の丈に合わせろ」としか言っていないのだ。
 文科大臣が経済格差による教育格差を容認し、事実上「地方の貧乏人は身の丈に合わせろ」と言い放つという異常事態は、何ら解消されていない。萩生田文科相は「仮にいまの状況より混乱が進むようなら、(民間試験の実施延期を)考えなくてはならないという気持ちもある」とも答弁したが、すでに混乱しているのだから早急に延期を決定するべきであり、格差を容認する萩生田氏に文科大臣の資格はないとあらためて突きつけておきたい。


緒方貞子さん死去 現場と人間中心を貫いた
 日本人として初めて国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんが死去した。冷戦終結後の世界で、故郷を追われた難民らに寄り添い、その救援に全力を尽くした。
 貫いたのは、徹底した現場主義と人間中心主義だった。小柄な体を防弾チョッキに包み、イラクや旧ユーゴスラビアなどの紛争地に自ら出向き、難民らの声に耳を傾けた。
 弁務官に就任した1991年、湾岸戦争でイラクからトルコ国境に多数のクルド人が向かった。保護任務の対象でない「国内避難民」だったが、人道的視点から救援に乗り出した。難民支援の転機となった。
 ちょうど冷戦構造によって封じ込められていた民族・宗教対立が表面化した時期だった。それだけに、人道支援が紛争当事者に政治利用されないよう細心の注意を払った。
 「一番大事なのは人間です」。従来、国家を守る枠組みで語られてきた安全保障の領域において、国家に守られない個々の人々を守る「人間の安全保障」の重要性を提起した。
 国際社会で活躍する日本人女性の先駆けでもあった。退任後は国際協力機構(JICA)初代理事長として人道支援と開発の連携を進めた。
 グローバル化の進行に伴い、移民・難民は急増している。難民や国内避難民のように移住を強いられた人々は7000万人を超す。
 「人道問題に人道的解決策はない」「難民問題の発端は政治」。緒方さんは政治指導者に人道危機解決への取り組みを働きかけてきた。
 だが、難民や移民を取り巻く現状は目を覆うばかりだ。欧米の一部政府は「反移民」の受け入れ規制策を打ち出し、中東などの紛争地では難民の苦境に出口が見えない。
 日本にとっても人ごとではない。昨年、日本で難民認定申請をした外国人1万人強のうち、認定を受けられたのは42人にとどまる。欧米に比べ、極めて少ない傾向が続く。
 緒方さんは近年、難民の受け入れに慎重な日本の姿勢に苦言を呈し、日本が経済力に見合った「人道大国」になるよう訴えてきた。
 私たちの集団的な努力で、避難生活の恐怖や苦痛を、安全と結束に変えられる――。紛争の犠牲者に向き合い続けた緒方さん。その願いはまだ果たされてはいない。


緒方貞子さん 現場主義を全うした
 国連難民高等弁務官として東奔西走し、戦火におびえる難民らに手を差し伸べてきた。自国第一主義が幅を利かす今こそ、「現場主義」を活動の基本とする緒方貞子さんの志に学びたい。
 緒方さんが亡くなった。九十二歳だった。
 「難民保護は抽象的な概念ではない。食料や毛布を与え、家を補修するなど、現場で最も効果的な具体策で対応することが重要」。ジュネーブの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)本部で一九九七年、緒方さんは本紙の取材に、こう強調していた。
 内戦が激しかったアフリカ中央部のコンゴ(旧ザイール)、ボスニア・ヘルツェゴビナなど、訪れた現場は四十カ国以上に上る。
 重要なのは、どの紛争当事者にも肩入れすることなく交渉し、各勢力の信頼を得ることだという。難民の移送や保護をスムーズに進めることができるよう、協力してもらうためだ。現場主義ならではの工夫が光る。
 国連難民高等弁務官を約十年間務めた後、独立行政法人・国際協力機構(JICA)理事長に就任。国家間だけでは解決できない飢餓、難民の発生、感染症などの脅威から人々を守る「人間の安全保障」の理念を掲げた。
 海外の態勢を手厚くし権限を拡大、青年海外協力隊を重視するなど、ここでも現場主義を貫いた。
 難民の苦難は今も絶えることはない。内戦が続くシリアでは、五百万人以上もの難民と六百万人以上もの国内避難民が家を失った。ミャンマーでは、迫害された少数民族ロヒンギャ七十万人以上が難民となった。
 しかし、トランプ米大統領は米国第一主義を唱え、難民への寛容政策を唱えたメルケル独首相は非難の砲火を浴び、欧州連合(EU)各国も難民受け入れに及び腰だ。日本の若者の海外への関心も低くなっているという。
 「自分さえよければ」では、いずれ行き詰まるだろう。緒方さんのように世界の現場に足を運び、支援のための知恵を絞りたい。
 国際社会で活躍する女性のさきがけでもある。自らも女性運動家の故市川房枝さんの勧めで国連の仕事を始めた。
 大学や国連での仕事を経て、難民支援の道に入ったのは六十歳を過ぎてからだった。夫や子どもと離れての単身赴任も長かったが、家族の絆には気を配ってきたという。先駆者の勇気と行動力にも学びたい。


IS指導者死亡 テロの温床に目向けよ
 過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者、アブバクル・バグダディ容疑者を殺害した、とトランプ米大統領が発表した。米軍がシリア北西部で急襲作戦を実行し、バグダディ容疑者は自爆したという。
 トランプ氏は「世界はずっと安全になった」と成果をアピールしたが、少し短絡すぎるのではないか。すぐに後継者を名乗る人物が現れる可能性もあると専門家は指摘している。
 ISは近年、米国とロシアが主導した掃討作戦によって、シリアやイラクにおける支配地をほぼ失っている。しかし、石油密売などによる資産はなお豊富とされ、残存勢力は両国で活動を続けている。さらにISの思想を信奉するイスラム過激派は世界各国に広がっており、テロの脅威は依然残ったままだ。
 国際社会は協力し、残存勢力の動向はもちろん、資金の移動なども監視し、過激思想の拡散の根を断たなければならない。
 ISの源流は、2003年に米国が始めたイラク戦争にさかのぼる。反米感情が高まる中、過激派組織が台頭し、戦争後のイラクの混乱やシリア内戦に乗じて勢力を伸ばした。
 14年にはイラクとシリア一帯を支配し、バグダディ容疑者が「国家樹立」を宣言。自らをイスラム教の預言者ムハンマドの後継者「カリフ」と称し、「イスラム教徒の尊厳と力を取り戻す」と訴えた。
 会員制交流サイト(SNS)を巧みに駆使して過激思想を拡散したのも特徴的だ。西洋主導の国際秩序に挑戦するメッセージが多くの若者を引き付けたのか。感化された若者が世界中から3万人以上も集まり、戦闘員に加わったのには驚く。
 その背景には、貧困や格差、不公正に対する不満や絶望があるとされる。それを打破するには聖戦(ジハード)しかないとテロを正当化するイスラム過激思想を広め、ISに引き入れていったのだろう。
 バグダディ容疑者の死はISにとって大打撃になるのは間違いない。だが、テロの温床となる社会の矛盾に切り込まなければ、過激主義に染まる人は後を絶たないだろう。
 ISの影響力を断つためには、泥沼の内戦が続くシリアをはじめとする中東地域の安定が欠かせない。
 とりわけ懸念されるのは、迷走するトランプ米大統領のシリア政策である。今月に入り、シリア北部からの米軍撤収を突然表明し、IS掃討で協力関係にあったクルド人勢力を見捨てたと国内外から批判を浴びた。その直後、クルド人勢力を敵視するトルコの越境攻撃を許し、危険にさらす失態を招いた。
 そんな逆風の中での急襲作戦である。自らへの批判をかわし、来年の大統領選挙への成果としたかったのだろう。それでも会見で「バグダディはおびえたように死んだ」と誇ったのはあまりに不見識ではないか。
 これでは憎悪の連鎖を招くだけだ。報復テロを誘発する可能性もある。排他的な姿勢では、世界に広がる過激思想は容易にはなくならないだろう。
 武力によるテロの根絶策には限界がある。中東地域の和平と民生向上に向け、テロの温床を取り除く地道な努力が求められる。国際社会は、協力態勢の構築を急がなければならない。


IS指導者死亡 テロへの警戒は解けない
 象徴的な存在となっていた指導者を失った。そのことが、組織にとって大きな打撃であるのは間違いないだろう。
 ただし、過激思想は国境を超えて拡散し、その信奉者も拡大している。テロの脅威が消えたとはいえず、警戒を怠るわけにはいかない。
 トランプ米大統領が、過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者アブバクル・バグダディ容疑者の死亡を発表した。バグダディ容疑者はシリア北西部の隠れ家を米軍特殊部隊に急襲され、自爆したという。
 バグダディ容疑者は、イスラム教の預言者であるムハンマドの後継者「カリフ」を自称し、ISを率いた。
 ISはシリア内戦とイラクの混乱に付け入る形で支配地域を拡大。バグダディ容疑者は2014年6月、両国にまたがる地域を「領土」、シリア北部のラッカを「首都」として政教一致国家樹立を宣言した。
 指導者としては西洋文明や異教徒に対する攻撃を扇動、「狂気の統治」を行った。
 その支持者らは「聖戦(ジハード)思想」として正当化し、残忍なテロを各国で次々に実行した。15年には人質にした日本人ジャーナリストを殺害し、犯行声明を出した。
 ところが17年6月に米軍主導の有志国連合によるラッカ奪還作戦が始まり、10月に陥落した後、バグダディ容疑者の潜伏先は不明となっていた。
 イスラム過激思想の精神的支柱とも言うべき人物が失われ、最も注目しなければならないのはテロの根絶につながるかだ。しかし、楽観はできない。
 バグダディ容疑者が唱えた過激思想はインターネットなどを介して、既に世界各国に広がっている。
 ISに脅かされてきたフィリピンの大統領報道官は記者会見で「指導者の死はISの壊滅を意味しない」と述べ、過激派の勢力伸長に引き続き警戒する考えを表明している。
 各国は今後、指導者の死に対する報復テロなどの脅威にも注意を払わねばなるまい。
 テロの根絶に向けては、内戦が続くシリアなど中東の安定化を急ぐ必要がある。こうした中で疑問を覚えるのがトランプ氏の態度だ。
 「世界はより安全な場所になった」「米国と世界にとって素晴らしい夜となった」などと強調しているからだ。
 来年の大統領選を控え、今回の作戦を手柄とし、「強い指導者」像を支持者にアピールする思惑があるとされるが、はしゃぎすぎではないか。
 トランプ氏が実行したシリア北部からの米軍撤収直後、トルコ軍がシリアへの地上侵攻に踏み切った。現地の情勢は再び揺らいでいる。
 米国には、大国として「IS後」の中東や世界の安定を構想する役割もあるはずだ。
 大統領が選挙という内向き思考にとらわれ、成果を自賛することに躍起では、責任ある大国とはいえない。


バグダディ容疑者死亡/テロの脅威は終わらない
 過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者アブバクル・バグダディ容疑者がシリア北西部で急襲を受け、自爆して死亡した。米軍特殊部隊の作戦の成果として、トランプ大統領が発表し「世界はより安全になった」と述べた。
 5年前、バグダディ容疑者は「国家」樹立を宣言した。シリア、イラクにまたがる領土支配と地球規模で猛威を振るうテロの悪夢に国際社会は悩まされた。ISが支配地域と指導者をいずれも失ったことで、そうした時代は一区切りを迎えた。
 だが、残存勢力はなお活動している。ISの思想を信奉するさまざまな過激派が世界各国に根付いており、テロの脅威は終わらない。国際社会は残存勢力の動向を注視し、過激思想の拡散を絶たなければならない。
 バグダディ容疑者はイラク生まれで、国際テロ組織アルカイダ系勢力の指導者だったが、内戦中のシリアに進出して2014年6月、政教一致国家の樹立を宣言。自らを預言者ムハンマドの後継者で、世界のイスラム共同体を率いる「カリフ」と位置付けた。
 中東では第1次世界大戦中にオスマン帝国の分割を協議した英国、フランスなどが国境線を勝手に引いたという屈辱感がある。ISは本物の国家のような行政機構を築き西洋主導の国際秩序に真っ向から挑戦したことで多くの若者を引きつけた。巧みにインターネットで対外発信したことも過激思想の拡散を支えた。
 「世界で最も無慈悲で乱暴なテロ組織」とトランプ氏が述べたように、130人が死亡した15年のパリ同時多発テロをはじめ、数々の残虐な事件に関与した。15年1月、シリアに渡航した湯川遥菜さんと湯川さんを捜しに行ったジャーナリスト後藤健二さん殺害の声明を出した。16年7月のバングラデシュの飲食店襲撃テロでは日本人7人を含む22人が死亡した。
 だが米軍の後押しなどで包囲網が次第に狭まり17年に支配地域をほぼ失った。同年7月にイラクで拠点としていた北部モスルを奪還され、10月には米軍と共闘するシリアの少数民族クルド人勢力がISの「首都」とされたシリア北部ラッカの解放を宣言した。
 今月上旬、トルコがシリア北部に侵攻したことは大きな懸念材料だ。トルコ軍の標的はIS掃討に協力してきたシリアのクルド人勢力で、混乱の中、拘束されていたIS戦闘員が多数逃走したという情報もあり「IS復活につながる」と懸念の声が出ている。
 シリア内戦の終結など中東の安定化を進めない限り、テロはなくならない。社会を覆う不公正や貧困など、背景にある根本的問題に切り込む粘り強い努力も必要だ。
 世界に広がった過激思想は容易にはなくならないだろう。インドネシアでは今月10日、ISに共鳴する過激派の男が治安担当の閣僚を刃物で刺し、負傷させた。大規模な爆弾事件に比べ、こうした犯行の取り締まりは難しい。
 ISの恐怖が世界を覆った間に、難民・移民の排斥を掲げる政治勢力が欧州で台頭した。イスラム教徒を激しく憎悪する白人至上主義などのテロが世界で相次いだ。憎悪の連鎖は食い止めなければならない。テロ根絶へ向け、宗教や民族の対立を乗り越え、異なる価値観を認める社会を築くことこそが重要だ。


自衛隊中東派遣 十分な国会審議が必要だ
 政府は安倍晋三首相の指示を受け、中東海域を航行する日本船舶の安全確保に向けた自衛隊派遣の検討に入った。しかし、派遣の必要性や根拠などには疑問な点も多い。妥当性について事前に国会での徹底した議論が必要だ。
 今回の派遣は防衛省設置法の「調査・研究」に基づいて情報収集活動をするとの位置付けである。イラン沖・ホルムズ海峡で船舶を守る米国主導の「有志連合」構想には加わらず、日本が独自に派遣し行動するという。
 海上自衛隊の護衛艦1隻を新たに派遣するほか、既に海賊対処法に基づいてイエメン沖のアデン湾で活動している哨戒機の転用などを軸に検討される。活動海域は、アラビア半島南部イエメン沖を経てオマーン湾まで広げる案などを中心に進める考えだ。
 情報収集が主目的のため、民間船舶の警護は原則できない。日本関連の商船に不測の事態が生じた場合には、自衛隊法に基づく海上警備行動を発令し、護衛を可能にする方針とされる。
 核問題を巡る米国とイランの対立は深まるばかりだ。「自国の船舶は自国で守るべきだ」と有志連合への参加を働き掛けるトランプ米大統領と、“包囲網”の阻止を図るイランとの間で、両国と友好関係にある日本は難しい対応を迫られている。今回の独自派遣は中東への自衛隊派遣でトランプ政権の顔を立てる一方、有志連合と一線を画してイランへの配慮を示す“窮余の策”といえよう。
 だが、防衛省設置法の「調査・研究」という派遣の根拠にすんなりとは納得し難い。派遣する目的を情報収集の強化と説明しているが、曖昧に過ぎないか。
 さらに、この規定による自衛隊の派遣には国会の承認を必要としない。とりあえず派遣して情勢が緊迫すれば対応を変えるというのでは、その場しのぎの感が否めない。なし崩し的に自衛隊の海外派遣や活動が拡大しないか案じられる。
 派遣される自衛隊員の安全にも留意する必要がある。各国の利害関係が複雑に絡み合う中東だけに、偶発的な紛争に巻き込まれる危うさもあろう。緊急時の対処法や武器使用の在り方、米国からさらなる要求が出された際の対応など検討すべき問題は多い。
 今回の自衛隊派遣には、与党内にも慎重論がある。政府は、具体的な活動内容や必要性などを国民にしっかり説明しなければならない。そのためにも、現地の情勢や危惧される点などを踏まえて検討し、国会で十分に審議するよう求めたい。
 日本はトランプ氏にイランと6カ国による「核合意」への復帰を訴え、イランには核問題での自制を促すなど両国の緊張緩和に努めてきた。そうした取り組みを強めることで、中東情勢の安定や日本の輸送ルートの安全確保を目指すことも重要だ。


東京一極集中是正 掛け声で終わらせるな
 政府は人口の東京一極集中を是正するための目標時期を先送りする方向だ。東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川の4都県)の転入超過を2020年に解消し、転入と転出を均衡させるとの目標を掲げていたが、これを24年度に遅らせる。
 東京一極集中に一向に歯止めがかからず、むしろ拡大している。目標達成は困難であり、先送りはやむを得ない。重要なのは、これを機会に一極集中是正、ひいては地方創生に向けた機運を低下させてしまわないことだ。掛け声で終わらせず、実効性のある対策を打ち出さなければならない。
 安倍政権が地方創生を看板政策に掲げたのが14年。産業振興や子育て支援などからなる5カ年計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(15〜19年度)を展開してきたが、効果は乏しいのが現状だ。
 総務省が今年7月に発表した人口動態調査(1月1日時点)によると、東京圏の転入超過は14万人余に上る。14年は10万人台だった。5カ年計画1年目の15年でこれを減らすどころか、12万人台にはね上がった。以後、一度も減ることなく増加を続けている。
 看板政策にもかかわらず、東京圏の転入超過が膨らみ続けていることを、政府はどれだけ深刻に受け止めているだろう。次々に新たなスローガンを打ち出す中で、地方創生は優先順位が下がり、置き去りにされてきたのではないか。
 経済政策アベノミクスも地方には恩恵が行き渡らず、大都市と地方の格差拡大につながっているのが現状だ。地方はないがしろにされていると言わざるを得ない。これまでの取り組みをしっかり検証し、仕切り直しをする必要がある。
 政府は20〜24年度の5年間を第2期と位置付け、引き続き地方創生に取り組む方針を打ち出している。だが盛り上がりが見られない。これまでのところ、都市部に住みながら地方に貢献する「関係人口」の拡大や、将来地方で活躍する人材を育てる高校教育の充実などが新たな政策として挙げられているが、十分とは言えない。もっと知恵を絞り、多様な政策を打ち出すべきだ。
 先の5カ年計画では政府機関の地方移転が目玉として進められた。ただ、文化庁の京都移転を除けば、おおむね不発に終わった。これによって、地方創生への期待も急速にしぼんでしまった面がある。政府が本気になって地方移転を実現しようとしていたのかが疑われる。このような失敗を再び繰り返してはならない。
 都会から地方への移住が進行しているのは、数少ない成果の一つだ。本県でも移住者が増加している。地方での暮らしを志向する首都圏在住者は少なくない。そうした人たちを支援し、地方に導く取り組みを強化したい。


時評
ゲノム編集によって育成された食品を販売できる制度が10月から国内で動き始めた。厚生労働省への相談、届け出を経て、早ければ数カ月以内に食卓に上る。発展が目覚ましい遺伝子操作技術にどう対処するか、いつも難問だが、今回は緩やかな指針で始まった。
 最新のゲノム編集は2012年に発表されたばかり。低価格で簡単、迅速に遺伝子を改変できるため、急速に世界に普及し、生物学や医学に革命的影響を与えつつある。ヒトの受精卵などへの応用は生命倫理面で強く抑制されている一方、品種改良(育種)で画期的な技術として有効性が確かめられてきた。
 ゲノム編集で確実に外来遺伝子を導入することもできる。その場合は、従来の遺伝子組み換え生物と同じ安全性審査と表示が義務付けられる。一方、遺伝子を壊しただけで形質を変えたゲノム編集食品なら、厚労省への届け出と情報の公表だけで済むようにとどめた。
 ゲノム編集生物の扱いは欧州と米国で異なる。欧州司法裁判所は昨年7月、従来の遺伝子組み換え生物と同様の規制をすべきだとしたのに対し、米国は遺伝子を導入しないゲノム編集生物には遺伝子組み換えの規制を適用しない方針で、日本は米国に近い対応となった。
 遺伝子を壊す変異は自然にも起きており、既存の育種と判別が難しい。このため消費者庁はゲノム編集食品表示の義務付けを見送ったが、同時に事業者に自主的な表示を促している。ゲノム編集食品に関して厚労省への届け出がある以上、何らかの表示は必要だろう。
 遺伝子組み換えに比べ、通常の育種並みに安全性は高いとはいえ、ゲノム編集は遺伝子操作技術である。消費者が正しい情報で納得して食品を選べることが望ましい。「義務なし」を「表示なしでよい」とせず、表示して食選択の自由を保障するよう事業者に求めたい。
 血圧の上昇を抑えるトマトや体の大きい養殖マダイ、超多収イネなどの開発が国内の研究室で進み、海外からもゲノム編集食品が輸入されてくる。ゲノム編集の表示は食品の付加価値になるくらいに捉えてほしい。
 各生物のゲノム解読が進んで、その効率的な編集が可能な時代になった。しかし社会の受け入れが鍵を握る。研究者も事業者も行政も、この技術を丁寧に説明すべきだ。ゲノム編集は日進月歩で進んでいる。生物多様性への影響などに留意し、リスク管理を徹底しながら、人類に有用な新技術に育てたい。


安倍政権成長戦略の目玉「官民ファンド」323億円の大赤字
 2012年の第2次安倍政権発足後に設立された「官民ファンド」10ファンドの損益を積み上げると、18年度末で計323億円の赤字であることが分かった。30日の東京新聞が報じた。
 安倍首相は国会でこの問題について質問された際、「全体で5800億円の利益をあげプラス」と強調したが、この金額は政権発足前からあったファンドの業績も含めた“水増し”数字。第2次安倍政権が成長戦略の目玉に掲げて新設した10ファンドに限れば323億円の大赤字だ。
 中でも、日本文化を海外に発信する海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は18年度末現在の累積赤字が179億円、1次産業を支援する農林漁業成長産業化支援機構は同92億円に上っている。


安倍政権が推進「病院統廃合・病床削減」で地方は壊滅する
 安倍政権が医療費削減を目的に打ち出している地域医療の再編統合をめぐり、地方自治体などから「地域医療が崩壊する」「住民が生活できなくなる」と反発の声が上がっている。
 社会保障制度改革を議題に28日、官邸で開かれた経済財政諮問会議(議長・安倍首相)。経団連の中西宏明会長ら民間議員は、団塊の世代が75歳以上となる2025年度を控え、医療費の抑制策として全国の病床数を官民合わせて約13万床削減することや、在宅医療への転換推進を提言。これを受け、安倍首相は「限られた財源を賢く活用し、国民生活の質の向上を図ることが重要なポイント」などと発言し、提言の実行を加藤厚労相らに指示した。
 病床数の削減をめぐっては、厚労省が9月、自治体や日本赤十字社などが運営する全国424の公立・公的病院について「再編統合の議論が必要」として実名を公表。民間議員の提言はこれを踏まえたものだが、全国知事会などは「地域住民の不信を招く」とカンカン。厚労省が各地で行っている説明会でも、病院などから「病床削減は住民の命に直結する」と反対意見が相次いでいるのだが、そりゃあそうだろう。
 日本は超高齢化が進む。今後、病床が足りなくなることは容易に想像がつくのに、増床ではなく、削減というからムチャクチャ。在宅医療への転換推進というが、現在でも、介護離職などが社会問題化している中、さらなる家族負担を求めるというのはどうかしている。「国民生活の質の向上」どころか、真逆の政策だ。とにもかくにもカネの削減ありきで、国民の命を軽く考えているのは明らかだ。
「元気な地方なくして、日本の再生なし。地方創生は、安倍内閣の最も重要な政策の柱」「令和の時代は地方の時代」――。安倍首相は「地方重視」の発言を繰り返しているが、厚労省の計画通りに地方の病院が統廃合され、病床が削減されたら、病院で診てもらえない患者や高齢者が続出するのは間違いない。介護疲れによる自殺や殺人が増える自治体も出てくるだろう。地方創生どころか地方は「壊滅」だ。
■無駄遣いの張本人が「限られた財源」を口にする愚
 そもそも、「限られた財源を賢く活用」なんて、よくぞ言えたもの。米国の言いなりに数千億円もするポンコツ武器をバンバン買っているのは一体、どこの誰なのか。「税と社会保障の一体改革」を口実に消費増税を繰り返しながら、なぜ、社会保障費から真っ先に削るのか。それも国会で議論することもなく、自分が議長を務める諮問会議で勝手に指示を出すのだから言語道断だ。
「国が強権的に病院の統廃合、病床削減を進めれば、患者が入院できなかったり、在宅医療の環境が整わないまま病院を追い出されたりするケースも出てくるでしょう。(極論すると)地方には住めなくなってしまいます。病床削減しなくても、保健予防の政策充実などで医療費の軽減は図れるはずです」(全日本民主医療機関連合会の内村幸一事務局次長)
 都市部の大企業や金持ちを優遇する安倍政権にとって、地方はどうでもいいのがホンネなのだ。


確信犯的に無知をさらす低レベル内閣
★失言のあら探しをしたいのではない。今までも散発的に年配の自民党閣僚が、世論の常識とかけ離れた暴言や失言を無意識に言う場面は幾度となく見てきた。ところが失言の連鎖は若手の、ただ言葉を知らない無教養がなせる業だ。この発言を閣僚として発するとどんな事態になるか想像力がないのだ。そんな想像力のない閣僚たちがこの国の未来をデザインしようというのだから始末が悪い。★ここまでくれば思いが足りないどころではない。最近の政治家の決まり文句である「誤解があったら」ではなく、確信犯的に無知をさらしている。既に任命責任ではない。ただ低レベルの自民党歴代内閣の中でも水準に達していない政治家が内閣を構成していると思わざるを得ない。本来常識を持つ者なら「恥ずかしい」と感じる文化を彼らは持ち合わせていない。幹事長が未曽有の大災害を「まずまずに収まった」といい、記者たちが問題提起をしても官房長官が「問題ない」と一蹴している限り、この手の閣僚は量産されていく。★想像力の欠如した閣僚たち、例えば野党の質問内容が事前に外部に漏れていたとの指摘について、地方創生相・北村誠吾は「漏えいしていた場合は責任を取る」としていたが、発覚すると「一般論での発言」とごまかした。文科相・萩生田光一は受験生に「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と発言、批判を受けしぶしぶ謝罪・撤回。防衛相・河野太郎は自らのパーティーで「私はよく地元で雨男と言われました。私が防衛大臣になってからすでに台風が3つ」と笑えない話をした。出席した副総理兼財務相・麻生太郎から「選挙も強い。発信力もあるが、少々一般的な常識が欠ける」と言われた河野は結局翌29日の参院外交防衛委員会で「不快な思いをされた皆さまにおわびを申し上げたい」と謝罪。28日の会見で官房長官・菅義偉は「内閣のメンバー1人1人が自覚を持ち、国民の信頼回復に努めなければならない」としたが、適材適所で最良の人材がこの程度だということだろう。

上映中止で批判相次ぐ 是枝監督「あるまじき判断」
川崎市で開催中の映画祭で、慰安婦問題をテーマにした映画の上映に川崎市が懸念を示し主催者が上映を中止したことから、是枝裕和監督など映画関係者を中心に批判の声が相次いでいます。
川崎市で来月4日まで開かれる「KAWASAKIしんゆり映画祭」では、慰安婦問題をテーマにしたドキュメンタリー映画「主戦場」の上映を予定していましたが、出演者の一部が上映差し止めなどを求め訴訟を起こしていることに共催する川崎市が懸念を示し、主催者のNPO法人が上映を中止しました。
主催者の「KAWASAKIアーツ」は、妨害などの迷惑行為があった際に安全対策が取れないことなどを理由に上げていますが、「表現の自由の侵害だ」とか「過剰なそんたくだ」などと批判の声が寄せられているということです。
別の映画の製作会社は、抗議して映画祭での2つの作品の上映を取りやめたほか、29日夜は会場で是枝裕和監督と出演作品の1つが抗議のために上映取りやめとなった俳優の井浦新さんが登壇し、今回の対応を批判しました。
是枝さんは「主催者としてあるまじき判断で、作り手への敬意を欠いている。どういう善後策を取れるか考えてほしい」と訴え、井浦さんは「都合が悪いから上映を中止するという考えは映画を楽しむ人も作り手も自由を奪われる危険な行為だ」と抗議しました。
主催者は30日、映画関係者や市民、スタッフなどが今回の問題を議論する集会を開くことにしています。
是枝監督「上映のリスク みなで背負うもの」
映画祭の会場で登壇したあと、取材に応じた是枝裕和監督は「上映に伴うリスクは主催者だけでなく映画祭を作るみんなで背負うものだ。まだ何も起きていないのに行政の懸念だけで上映が取りやめになるのは言語道断だ。川崎市は懸念を表明するのではなく、共催者として懸念を払拭(ふっしょく)するために行動するべきだった」と話していました。
主催者「真摯(しんし)に受け止め」
映画祭を主催するNPO法人「KAWASAKIアーツ」の中山周治さんは、「川崎市からの懸念は示されたが命令や指示などはなく、来場者に純粋に映画を楽しんでいただけるよう考えた結果、NPOとして主体的に上映の中止を判断した。批判を真摯に受け止めたうえでよりよい活動ができるよう検証などを行っていきたい」と話していました。


【佐野SA再びスト突入か】新社長がちゃぶ台返しで総務部長に「自発的に辞めてくれ」3億円賠償も
 一件落着したと思われた東北道・佐野サービスエリア(SA)のスト騒動に、再び暗雲が立ち込めている。9月22日から現場復帰していた加藤正樹総務部長(45)ら従業員側が、ストライキに再突入するという“苦渋の選択”を余儀なくされようとしているのだ。
「この数週間、ずっと耐えてきました。復帰して、しばらくすると新社長から『あなたは辞めるべきだ』と言われるようになり、夏のストライキが違法だとして組合側に1日あたり800万円の支払いを求められています。さらに、会社から取引先への支払いも滞っていて、スト前の状況に逆戻りです。このまま働き続けることは出来ません。11月1日までに状況が改善されなければ、我々は再びストライキを実施すると決断をしました」(加藤氏)
 年間170万人が利用する「佐野らーめん」が名物の佐野SA(上り)をめぐっては、店舗を運営する「ケイセイ・フーズ」による加藤氏の不当解雇を発端に、岸敏夫社長(当時)と従業員が対立し、お盆休み真っ只中の8月14日に従業員がストライキをする事態に発展。労使交渉は長期化していた。
 しかし、9月下旬になって新規スタッフの募集が難航するなどした会社側の態度が急変することになる。岸社長が退陣し、代わって就任した福田紳一・新社長に乞われて、加藤氏ら従業員の復帰が決まった。39日間に及ぶ前代未聞のストは、これで解決したようにみえた。
スト終結後の売上は30%増
 復帰当初は順調だった。佐野SAの支配人、井原永治氏(51)は当時、「週刊文春デジタル」の取材に笑顔でこう明かしていた。
「たくさんのお客さんに『よかったですね』と声を掛けられて、仕事ができることに感謝しながら従業員とがんばっています。ストライキ前は近くの蓮田SAがリュニーアルオープンした影響で佐野SAの売り上げは下がっていましたし、ストでお客様にはご迷惑をお掛けしたのですから、客足が戻るには相当な時間がかかると予想していました。ところが、スト終結後、1週間の売上は30%近く上がった。お客さんには感謝の気持ちしかありません」
 10月12日から13日には、台風19号の上陸で佐野市内を流れる秋山川の堤防が決壊。周辺は甚大な被害が出て、佐野SAの従業員も自宅が床上浸水したり、車が水没するなどした。その影響で一時は従業員が足りず、軽食コーナーやレストランのエリアを縮小して営業していたほどだ。
 ただこの頃には、すでに労使関係は再び深刻化していた。
「福田新社長の良い評判を取引先からも聞いていましたし、会社側の弁護士から出されていた私への退職要求の書面についても、福田社長は『そんなこと、私が言うはずがないですよ』と言ってくれて、完全に安心してしまった。しかし、復帰に尽力してくれた仲介者が組合と会社の双方に都合が良い話していたこともあって、話がこじれていった。
 その結果、福田社長と具体的な労使の合意を進めようとすると、時間稼ぎをされているとしか思えない対応をされ、書面1枚交わせないまま1カ月が経過してしまいました。その頃には、従業員たちのいる前で『加藤の退職を要求する』と強い口調で言われるようになり、復帰当初の発言は嘘だったのだと疑わざるを得ない状況になってしまいました。
 もちろん口頭による合意だけで職場に戻ったのは『迂闊だったのでは』という意見が多くあるのは認識しています。ただ、私が供託していた組合資金1500万円が完全に底を尽き、従業員の生活を考えると、書面での確認など二の次になってしまったというのが正直な気持ちです」(加藤氏)
労組に対して損害賠償も検討
 損害賠償について、ケイセイ・フーズ側は代理人弁護士名で、労組側に通知書を送付していた。その中で、会社側は次のように主張している。
〈団体交渉を経ないストライキや事前の予告のないストライキは正当性を欠き違法なものです〉
〈不法行為によって甚大な損害を蒙り、その額は、本件ストライキが決行されている期間1日当たり少なくとも800万円を下らないと見込まれます。(略)貴組合及び貴組合の執行委員長である貴殿個人、その他本件ストライキの決行の意思決定をした者に対して、しかるべき法的手段を講じます〉
 ストライキが続いた39日間で計算すると、総額3億1200万円にもなる。事前通告なきストライキについて、加藤氏は次のように説明する。
「組合には従業員のほぼ全員が加入しており、そのほとんどがストにも参加しているので適正なストライキと言えます。労働委員会に『争議発生届』も提出しました。会社側は事前通告がなかったと指摘していますが、私たちの弁護士曰く、『通告なしでも適法とされたストライキの裁判例はこれまでに複数存在する』とのこと。会社側は我々のストライキを認めれば損害賠償の請求はできなくなり、私に対しても不利益変更はできないので元の役職に正式に戻さなくてはならない。だから認めたくないのではないでしょう」
 加藤氏はいまや「総務部長が本来持つ権限は大抵剥奪されている状態」だという。
「岸前社長は9月末に退任しましたが、岸京子夫人は今も代表取締役会長です。銀行の新規融資は凍結されたままで、取引先への支払いも滞り、我々が戻って取引を再開した業者は数えるくらいしかない。その上、複数の大口取引先からは支払いの催促もされています。今の私には、会社のお金回りを確認する権限もありません。取引業者に『本当に支払いは大丈夫ですか?』と聞かれても、『わかりません』としか言えません。
 私は福田社長からは『自発的に辞めてくれ』『あなたのやっていることは従業員の雇用を失わせるものだ』という言葉を何度か言われています。私は『身の振り方は従業員の皆に相談した上で決める。自分一人では決められない』と返答しています」(加藤氏)
 さらに会社側は、佐野SAを管轄するネクセリア東日本(東北道を管理・運営するNEXCO東日本のグループ会社)に対して“労使円満”であることを強調しているという。というのも、ケイセイ・フーズとネクセリア東日本の業務委託契約は来年3月で切れる。その契約更新の交渉リミットが迫り、現在両社は契約更新について交渉を続けている最中なのだという。
「組合と会社の労使問題は何も解決していない状況なのに、福田社長はネクセリアに『全部解決して前向きに頑張っています』と、嘘の説明しながら契約交渉を進めている。このまま業務委託契約が更新された場合は、岸前社長の夫人ら旧経営陣が来年4月以降も残る可能性があり、従業員からすれば恐怖でしかありません」(加藤氏)
 そんな状況を受けて労働組合は10月27日に臨時大会を開き、ケイセイ・フーズに対して同日付で以下のような要求書を送った。
〈2019年8〜9月に実施されたストライキ(以下、本ストライキと呼ぶ)について。
(1)本ストライキを、「各種法律で守られる正当な争議行動」と認めること。
(2)会社側は、本ストライキに関し、あらゆる損害賠償及び不利益取り扱いを行わないこと。
(3)人事と職務権限と業務内容について、本ストライキ前の状況に戻すこと。
(4)取引先と岸元社長並びに福田社長が交わした約束(特に支払いに関する約束)について、守られていない状況にあるものについては、支払いを完了させること。
(5)2019年7月20日の労使交渉で合意した従業員の過去の給与(分単位の支払い分)について、支払いを完了させること。
(6)2020年3月末日まで、岸京子氏、A氏、B氏、C氏など、いわゆる「本社組」による業務介入は一切行わないことを約束すること。
 以上、全ての条件が守られない場合、2019年11月1日から、毎日午前7〜8時、佐野SA上り線レストランに限り、ストライキを実施します〉
(編集部注:A〜C氏は原文では実名)
11月1日から早朝ストか
 10月29日には福田社長から労組側に連絡があり、取引先への支払いについての「4」、スト前の従業員への給与一部未払いについての「5」の要求については応じる旨の回答があったという。しかし、他の4つの要求については依然として回答がない。
「この1カ月間、ストライキ無しで交渉を続けましたが、書面の1枚も交わしてもらえなかった。それが最小限のストライキを通告したことで、すぐに要求のうち『4』と『5』は解決できました。今回のストライキは11月1日以降、レストラン限定で、毎日午前7時から8時の1時間のみ。お客様がゼロという日も多い時間帯で、フードコートは通常通り営業します。お客様にはできるだけ迷惑をかけないよう、最大限の配慮をした上での苦渋の決断です。ご理解いただけるとありがたいです」(加藤氏)
 この夏経験したストライキという悪夢は繰り返されるのか。緊迫した状況はいまも続いている。


中高で浮いていた東大法学部卒のエリート 価値観を変えた教授との出会い
■兵庫大教授 金子哲さん(58)
 東京大学法学部を卒業したエリートも、若い頃は心にもやっとした気持ちがあった。テストでは高得点、生徒会長を務め、一目置かれた存在。将棋を楽しむ友達もいた。「でも、周りから浮いてる感覚がずっとあった」
 北海道函館市出身。幼い頃から本が好きで、小説や歴史本などを読んだ。小学生になると宿題をせず先生を困らせる“異端児”に。自分の意見を曲げないため、周囲から「腹立つ」と難癖をつけられた。
 中学高校では、集団の中で自分の「立ち位置」が定まらなかった。高校卒業の時。担任教諭へのプレゼントは、時計に決まりかけていた。が、自分の放った言葉で空気が一変した。「法律で公務員への贈り物は禁止されている。物を贈るにしても、酒とか手元に残らない物がいいんじゃないか」
 結局、多数決で時計に決まった。「こんなことがたくさんあって、他人のまなざしが痛かった。でも、周りに合わせるのは嫌で」
 集団で生きるすべを考えた結果、たどり着いたのが「日本で一番勉強ができる」とされる東京大学だった。世間的に優秀と見られることでプライドを保てる。排除されず、何者かになれるのでは…。
 その価値観は一つの出会いで大きく変わった。
 ある歴史の講義で、教授の第一声は「今日は、虹が立つところに市が立つことを証明したくて…」だった。虹が出た場所に市場を開くという中世の慣習。「何を言ってんだ」と心の中で突っ込みながらも話に引き込まれ、知識の量に圧倒された。
 その風変わりな教授と付き合ううちに「自分は集団の中の1番ではなく、オンリーワンになりたかったんだ」と気づいた。教授の勧めで歴史の道に進み、今は東播地域での研究に没頭する日々だ。
 いじめや引きこもりのニュースを見て、ふと思う。帰属する集団を高評価しすぎて、個人が小さくなっていないか、と。
 「何か一つでも秀でよと言われても、みんなができるわけじゃない。トップになれなくても、集団に無理に溶け込まなくてもいい。馬が合う友人や良き指導者を見つけることができれば、きっとどこかに導いてくれるはず」(山脇未菜美)