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うどん200317-2

Mort de Kansai Yamamoto, qui rejoint son complice Bowie-Ziggy
Par Karyn Nishimura correspondante à Tokyo
Le styliste et concepteur d’événements scéniques japonais est mort à l’âge de 76 ans, après cinquante ans d’une carrière éclectique entre Tokyo et Londres, qui l'a vu notamment collaborer avec David Bowie.
Ziggy Stardust, c’est beaucoup Bowie mais c’est aussi lui : Kansai Yamamoto. Sans les costumes fous de ce créateur de mode japonais, l’avatar de Bowie n’aurait pas eu la même présence iconique. La semaine dernière, Kansai Yamamoto a rejoint dans l’au-delà Bowie-Ziggy, celui qui, disait-il, ≪a fusionné la mode et la musique, parachevant son propre monde≫. Hospitalisé depuis mars à Tokyo pour une leucémie, Kansai y a succombé soudainement le 21 juillet, selon un communiqué de son studio.
L’homme possède une énergie sans limites≫ était sa devise. Tombé malade, Kansai Yamamoto s’était juré de revenir en pleine forme réaliser ses projets, dont un grand événement en ligne intitulé ≪Le Japon en forme, superénergie≫ prévu le 31 juillet. Ce spectacle, édition 2020 d’une série initiée il y a plusieurs années et qui convoque ≪les arts, la culture, les légendes du Japon≫, aura quand même lieu.
Kansai Yamamoto, qui n’a pas de lien de parenté avec l’autre grand Yamamoto de la mode, Yohji, était plus qu’un concepteur de tenues déjantées. Inspiré par les extravagances du théâtre Kabuki et les formes des kanji (idéogrammes d’origine chinoise), profondément attaché à son pays, c’est paradoxalement d’abord à l’étranger, à Londres, que ses créations outrancières ont été saluées, il y a un demi-siècle. ≪L’expression de l’individualité dans mes vêtements était plus appréciée là-bas≫, expliquait-il dans un long entretien accordé en 2014 au site japonais Fashionsnap.com.
Au-delà de ses costumes multicolores, excentriques, de ses réalisations pour Stevie Wonder ou Elton John aussi, Kansai Yamamoto était l’homme des mises en scène, à l’instar de son aînée Junko Koshino. Sorti sans diplôme de l’université, il avait fait ses classes auprès de cette autre grande figure de la mode inclassable. Junko, dame à la stricte coupe au carré, connue tant pour ses kimonos que ses incroyables robes métalliques avant-gardistes, s’est d’ailleurs montrée très affectée par le décès de son cadet. ≪Le Japon sera plus sombre sans l’énergique Kansai qui disparaît au moment où le monde sombre dans la dépression≫, a commenté l’octogénaire.
Après vingt ans de défilés à Londres, Paris ou New York, où il conseillait aux mannequins de se montrer d’abord elles-mêmes sans vouloir mettre en avant les tenues portées, Kansai avait osé en 1993, sur la Place Rouge de Moscou, un gigantesque spectacle intitulé ≪Hello Russia≫, pièce inaugurale d’une longue série de grands shows au service des peuples et cultures. Très touché par le tsunami de mars 2011 au nord-est du Japon et la catastrophe afférente de Fukushima, il était six mois plus tard aux côtés des sinistrés de la localité voisine de Soma pour un ≪lancer de 1 000 lanternes dans le ciel≫, symboles des âmes des disparus. Après le drame, il s’était rendu à Tchernobyl tenter de comprendre ce que signifiait une région irradiée. ≪Ceux qui ont vécu le raz de marée de Sumatra fin 2004 ou l’accident à la centrale ukrainienne de Tchernobyl en 1986 peuvent mieux que tous éprouver de la compassion pour les sinistrés du Japon≫, disait-il soucieux de faire comprendre aux autres la dureté de telles épreuves.
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巨人の星 「巨大な敵、父一徹」
中日戦を偵察する飛雄馬の目前で、見えないスイングを放つオズマ。対大リーグボール用と思われるオズマのスイングだが、飛雄馬には、それの意味する所が判らない。一方、花形、左門は、宿敵を第三者にさらわれる可能性に苦悩していた。 星飛雄馬:古谷徹 星一徹:加藤精三 星明子:白石冬美 花形満:井上真樹夫 伴宙太:八奈見乗児 左門豊作:兼本新吾 ほか
アルプスの少女ハイジ(第12話)
春の音◇スイスアルプスの大自然の中での暮らしを通じ、少女ハイジの成長と、ハイジをとりまく人々の触れ合いを描く感動作! 杉山佳寿子 宮内幸平 小原乃梨子 ほか
【連続テレビ小説】エール(26)「ふたりの決意」村野鉄男(中村蒼)
豊橋のホールでの演奏会を無事終えた裕一(窪田正孝)は、三郎(唐沢寿明)からの電報を受けて福島に帰る。あきらめかけていた英国への留学が決まり、音(二階堂ふみ)との結婚も決まり、幸せいっぱいの裕一。福島の喜多一では、三郎、まさ(菊池桃子)、浩二(佐久本宝)だけでなく、茂兵衛(風間杜夫)も裕一の帰りを待っていた。一方、音はあこがれの歌手に向けての第一歩の音楽学校の受験日を迎えていた。 窪田正孝,二階堂ふみ,唐沢寿明,菊池桃子,風間杜夫,佐久本宝,松井玲奈,菅原大吉,清水伸,田中偉登,相島一之,松尾諭,望月歩,堀内敬子, 津田健次郎 吉田照幸 瀬川英史
BS1スペシャル「ヒグマを叱る男〜完全版36年の記録〜」
世界自然遺産、北海道の知床。その奥地にあるルシャは“ヒグマの王国”。この地で、半世紀以上、ヒグマと隣り合わせで生きてきた老漁師に長期間密着した。
「コラ!来るな!」、野生のヒグマを叱って追い払う大瀬初三郎(おおせ・はつさぶろう)さん84歳。世界自然遺産の知床の奥地、ヒグマの密集地帯で、半世紀以上、サケやマスをとってきた漁師だ。ヒグマに襲われてケガをしたことはないという。大瀬さんの取材を始めてから36年。ヒグマを叱る男の謎に多角的に迫るとともに、人は自然とどう向き合えばいいのか、そのヒントを探っていく。

きょうの料理 ムダなし!なすの使いきりレシピ「冷凍なす活用術」
人気の夏野菜なすを無駄なく使い切るテクニックが「冷凍」。日持ちはもちろん味の染みこみがよくなるなどメリットが満載!「マーボーなす」「トマトパスタ」など3品紹介。
なすを上手に冷凍するには、厚みを均一にするのがコツ。保存がきくのはもちろんのこと、アクが出にくくなる、火の通りが早くなるなど、メリットも多い。「マーボーなす」は、ひき肉を炒めたら冷凍したなすを凍ったまま加えるだけ。冷凍することで繊維が壊れるので火の通りも早く、味なじみもいい。「冷凍なすのトマトパスタ」も、凍ったまま加えるだけでOK。冷凍なすは油を吸収しにくいので、さっぱりしたソースに仕上がる。 料理研究家…村田裕子, 與芝由三栄

きょうの料理ビギナーズ「切り方で食感を変えて きゅうり」
夏野菜をたっぷり使って簡単でおいしい料理を学ぶシリーズ。2回目は「きゅうり」がテーマ。「きゅうりと豚のピリ辛ごまあえ」と「たたききゅうりのしょうゆ漬け」を作る。
「きゅうりと豚のピリ辛ごまあえ」では、ヒラヒラのきゅうりをさっとゆでるとすぐにしんなりして食べやすくなる。同じ湯で続けて肉もゆでて風味のよいさっぱりしたおかずに。「たたききゅうりのしょうゆ漬け」では、きゅうりをたたくのも漬けるのもポリ袋でお手軽に。ごま油のコクと砂糖の甘みをプラスしたしょうゆ味は後を引くおいしさ。 佐久間レイ

趣味どきっ! メリハリ美筋ボディー▽代謝 スクワットで痩せやすいカラダに!
メリハリ美筋ボディー「基本の筋トレでシェイプアップ」最終回は、筋トレの集大成ともいえるスクワットに挑戦!おなか、背中、太ももを鍛え、全身の代謝アップを目指す。
なでしこジャパンの選手も実践?!正しいスクワットで、代謝アップを目指そう!まずは、足首、股関節まわりの動きをよくするため、しっかりストレッチすることからスタート。ウォーミングアップで、関節の動きがよくなったら、いよいよスクワットへ。ひざを折りたたむようにするのではなく、股関節を曲げて、腰を下に落とすことを意識して行うのが重要。なでしこのフィジカルコーチ広瀬統一先生直伝の「正しいスクワット」必見! 早稲田大学スポーツ科学学術院教授…広瀬統一, 関根麻里,虻川美穂子,佐野ひなこ, 鈴木麻里子

ボクを食べないキミへ〜人生の食敵〜「山之内すず VS しいたけ」
「嫌いな食べもの」=「食敵」(しょくてき)に挑戦する「異色の料理番組」▽今回は山之内すずVSしいたけ(小沢一敬)料理研究家リュウジが秘蔵の特別メニューを披露!
味が!匂いが!見た目が!…無理!!誰にでもある「嫌いな食べもの」=「食敵」(しょくてき)を好きになれるのか?「異色の料理番組」!▽今回は人気モデル・山之内すずが苦手な「しいたけ」の克服に挑戦▽しいたけに扮(ふん)するのはスピードワゴンの小沢一敬。甘いささやきで山之内に迫る▽料理研究家リュウジは特別メニュー「しいたけのジャージャー飯」を初公開。果たして「食敵」との感動の和解は実現するのか? 山之内すず,料理研究家…リュウジ, 小沢一敬

望月衣塑子@ISOKO_MOCHIZUKI
「マスク2枚 で不安がパッと消えます」と発言した #首相秘書官 らはその後、世論の批判を受けても何一つ見直さなかったという事か。
布マスク8千万枚、今後さらに配布 不要論噴出でも…9業者に発注済

立川談四楼@Dgoutokuji
「布マスク 今後さらに8000万枚を配布」ってんだけど、安倍さんの強い恨みを感じ、背すじが寒くなるね。アベノマスクと散々に嗤われたから、国民への復讐なんだ。安倍さんは在庫が底をつくまで配るよ。人の嫌がることは徹底的にやるんだ。現に辺野古でも嫌がらせを続けているし、通底してると思うよ。
異邦人@Narodovlastiye
追加配布される8000万枚ものアベノマスク。悪質なのは既に発注済みで湯水のように注ぎ込まれた税が現物に化けており、もう手遅れという点。あくまで誤りを認めず自分達のメンツを保つ為、本来なら赤字の医療機関などに使える予算を浪費。ここまで犯罪的な政権には、中々お目にかかれない。
鮫島浩@SamejimaH
大学がPCR検査に加わることを厚労省が嫌がるのは、国立感染症研究所を頂点とする医系技官の利権維持に加え、コロナ検査データを独占できなくなるからだ。外部の目で検査データや過去のコロナ対策を検証されたら、覆い隠してきた「不都合な真実」が発覚する可能性がある。情報開示が怖いのだ。
飯森盛良(ソーシャルディスタンシングforever!)@essenwald
あの像、韓国のどこが建てたの?政府関連団体がやったのであれば確かに許されざる欠礼だが、民間の団体が勝手にやったのであれば、それこそ韓国政府には手の出しようが無いだろ、徴用工判決の「三権分立だからできませんでした」言い訳以上に。決定的影響なんて与えるかよ。アベは習近平か金正恩か!
渡辺輝人@nabeteru1Q78
民間人がやったことに外交儀礼は関係ないだろう。日本国内にトランプ大統領や金正恩や文在寅を極悪人に描く表現なんていくらでもありそうだが、それらが外交儀礼を欠くというのか?それゆえに規制するのか? / “韓国の慰安婦に土下座像「日韓関係に決定的影響」 菅官房長…”
弁護士 太田啓子 「これからの男の子たちへ」8/24販売(予約受付中)(大月書店)@katepanda2
私人が私費でやったことについて「韓国政府に、速やかに像を撤去するよう求める」というのは「立憲」民主党としてはちょっとあり得ないと思いますが。公権力が私人の政治表現にそういう風に介入することを求めるのですか。どこを見て何が目的なんですか
ひっきたい@hik_kitai
そりゃそうだ。もしあの像がアウトなら、日本の本屋に並ぶ嫌韓本も外交問題にならなきゃおかしい
ブブ・ド・ラ・マドレーヌ@bubu_de_la_ma
石原慎太郎も高須克弥も「高齢だったり病気だったりするんだから、もおそんなに責めなくても…」とは思わない。ドイツ政府は戦時犯罪なら90歳過ぎていても逮捕する。見逃すのが慈悲や優しさだとは思わない。罪や間違いに気づかせ償わさせることが本人を最期まで人間だとみなすことだと思う。
平松邦夫@hiramatsu_osaka
出身の局だけど最近は殆ど見ることがない。バラエティであっても「大阪市を廃止したい」という知事が出るときに、ぐるりと吉本が取り囲む構図には「両論併記」のスタンスは微塵もない。#都構想にもう一度NO 『ちちんぷいぷい』『ミント!』(MBS系)
新型コロナちゃん速報【新型コロナウイルス感染症(新型コロナウィルス)情報配信】@geiger_warning
大阪 過去最多の155人
所感
検査数は2000件を超え大幅に改善していますが陽性率が上がっていますのでまだ足りない状況かと思います。大阪由来で感染拡大しており最悪な状況です。

くぅ@wishforpeace22
50代現役バリバリ
基礎疾患のない上司が…
ついこの前まで動き回っていた上司が…たった2週間で亡くなりました。
身の回りの大切な方が亡くなったのは初めてです。衝撃が大きすぎて、受け入れるのに時間がかかりそうです。葬儀もありません。信じられません。

澤田愛子@aiko33151709
PCRを巡る酷いニュースに再び打ちのめされている。39度熱発し嗅覚もない明白なコロナ感染者に又も保健所がPCRを拒絶。理由は濃厚接触者でないからと。唖然!今感染者の6割以上は経路不明の市中感染者なのに。誤った専門家集団の毒が消えぬのだ。なんと非常識な政治か!政権交代が終息への唯一手段。
小田嶋隆@tako_ashi
アベノマスクがまるで無意味だと言っているのではない。たとえば国民全員に200個ずつせんたくばさみを送りつける施策だって、何かの役には立つのだろうし、喜ぶ国民もいるはずだ。ただ、ポイントはそこじゃない。「も う す こ し し マ シ な こ と を し ろ よ」ってことだよ。

朝ご飯のんびり8時頃に食べました.ちょっとテレワーク頑張ってお昼ご飯.伊勢うどんです.つけうどんです.いつの間にかゆで卵も.塩鮭もおいしいです.
しかし夕方の仕事のために出勤しなくてはなりません.とりあえず今日でひと段落なので最後の頑張りです.
10万円の申請もしました.
早く帰ろうと思って別の場所には寄らずに帰りました.

河北抄
 先日、直木賞に決まった連作短編集『少年と犬』のストーリーは、東北と縁が深い。東日本大震災で飼い主とはぐれた犬が、仙台をはじめ全国を放浪し、心に傷を負う人々にひととき寄り添う。
 著者の馳星周さんは震災の数カ月後、名取市の沿岸の町で立ち尽くした。「360度見渡す限り、津波で全て流されていた。日本人全員がここに来るべきだと思うくらい、強烈な光景でした」
 その経験は後の創作活動に大きな影響を与えたという。原発問題に触れた『雪炎』など、震災をモチーフにした著作が幾つもある。「小説家の使命だと思っています。忘れちゃいけないから、これからも自分は震災を書く」。選考会前の取材でそう話していた。
 受賞作は犬と人との「魂の絆」を描く。大型犬2頭と暮らす馳さんによると、犬は「無償の愛のお師匠さん」。愚かな人間に神が遣わしてくれた存在だ。
 筆者は幼少時、隣家の「ポチ」にほえ立てられて以来、犬とは決して分かり合えないと諦めてきた。本書を知った中年の今なら、仲良くなれる気がする。


釜石でメモリアルマッチ ラグビーW杯から1年、トークイベントも
 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場の一つとなった釜石市で開催1年を記念するイベントが10月9、10日に行われる。メイン行事のメモリアルマッチでは、チャレンジリーグの釜石シーウェイブスとトップリーグのクボタスピアーズが対戦する。
 岩手県や釜石市などでつくる実行委員会の設立総会が27日、釜石市内であり、概要を発表した。試合は10月10日、釜石鵜住居復興スタジアムで開催。ファンゾーンを9、10の両日、釜石市民ホールに設け、W杯関連の展示、W杯出場選手によるトークイベントなどを行う。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、観客はスタジアム定員の半分、約3000人に限定する考え。入場券は抽選での無料配布を検討する。詳細は感染状況を踏まえ、9月上旬の実行委で改めて協議する。
 東北唯一のW杯会場となった釜石では昨年9月25日、フィジー対ウルグアイ戦を開催。翌月の13日に予定されていたナミビア対カナダ戦は台風19号で中止された。ナミビア対カナダ戦の実現を望む声は強く、県と市が調整を進めていたが、新型コロナの影響で断念した。
 野田武則市長は「かなりいいところまで話は進んでいた。来年の実現に向けて努力する」と話した。


復興祈念公園 展示内容の最終案
東日本大震災による県内の被害や教訓を後世に伝えるため、県が石巻南浜津波復興祈念公園の施設内で予定している展示内容の最終案がまとまり、担当者が地元の住民などに説明しました。
国や県、それに石巻市は、震災で大きな被害を受けた石巻市南浜地区に「石巻南浜津波復興祈念公園」の整備を進めています。
県は、この公園内の施設で、県内の被害や教訓を伝える展示を行う予定です。
この展示内容の最終案を県がまとめ、27日夜、担当者が地元の住民などに説明しました。
それによりますと、県の展示では、震災の前と後の町並みや風景などの映像を壁に投影して紹介するほか、津波の映像が流れるシアター室を設けることにしています。
また、新型コロナウイルスへの感染予防のため、来場者がタッチパネルでメッセージを入力する展示を取りやめたということです。
住民側からは、「南浜地区で展示する意味がある内容にしてほしい」とか、「津波被害をより現実的に感じられるよう、映像以外の展示を考えてほしい」といった、展示内容に関する意見が相次ぎました。
県は、ことし9月に施設の運営についての住民説明会を開くとともに整備を進め、来年3月に展示を公開する予定です。


東京五輪まで1年 復興支援に感謝 県が仙台駅で動画放映
 東京五輪・パラリンピックの開幕まで1年を切り、東日本大震災の復興支援に対する感謝を伝える県の動画放映がJR仙台駅の大型モニターで始まった。サッカー会場となる宮城スタジアム(利府町)も紹介。新型コロナウイルス感染拡大でしぼむ「復興五輪」の理念を観光客や県民に再認識してもらいたい考えだ。
 動画は30秒。復興の現状を伝えるため、2011年3月11日生まれの県内在住の少年が登場し、復旧した亘理町荒浜の鳥の海公園サッカー場でドリブルやシュートの練習に励む姿で始まる。
 津波で壊滅的被害を受けた被災地の様子や再建した商店街が映り、震災の年に生まれた10人の子どもたちが「ありがとう」を世界各国の言葉で伝える。
 放映は開幕までちょうど1年の23日に開始。JR仙台駅2階西口コンコースの大型スクリーンで8月2日まで、1日200回流される。京王電鉄(東京)の京王線車両内でも27日〜8月2日、放映されている。
 県五輪・パラリンピック大会推進課の担当者は「新型コロナの感染拡大でなかなか五輪を盛り上げる状況にはならないが、動画を通して少しでも復興五輪をPRしたい」と話す。


「おかえり気仙沼」中止となった気仙沼みなとまつりをオンラインで開催
元震災ボランティアなど全国の気仙沼ファンに参加呼びかけ。
 去年7万人を集めたものの、今年中止となった第69回気仙沼みなとまつりが、今年‪8月2日17時から、オンラインで開催されます。「オンラインみなとまつり」は、「おかえり気仙沼」と題して、市民のみならず、震災から9年の時を経て、元震災ボランティアなど全国の気仙沼ファンにも参加を呼びかけます。
 YouTubeLiveで生放送される今回の「オンラインみなとまつり」には、地元青年会議所メンバーが勇壮に太鼓を打ち鳴らす「銀鱗太鼓」のライブパフォーマンスなど、例年のみなとまつりを彩るコンテンツが、生中継で配信されます。
 今回、震災ボランティアなど気仙沼に長年関わって来られた全国のファンの方々にもみなとまつりを楽しんでいただけるよう、「気仙沼の今」を伝えるコンテンツを用意しております。
 オンラインで開催するからこそ可能な、新しい「気仙沼みなとまつり」にぜひご参加ください。
 ご視聴をご希望される方は、以下のYouTubeのURLから、当日ご覧下さい。
視聴URL : https://www.youtube.com/channel/UCwkX34sJdMDI9XJV2fjL93Q
「気仙沼みなとまつり」を69回の歴史で初めてオンライン配信
 今回の気仙沼みなとまつりは、、69回のみなとまつりの歴史で初めて、YouTubeLiveで、市内各地の現場やスタジオから、生中継されます。「銀鱗太鼓」や「打囃子」の現場からの生中継や、過去のみなとまつりの映像を織り交ぜ、まるで実際にみなとまつりが行われるように、「オンラインみなとまつり」を開催します。
気仙沼ファンと共に創る、オンラインみなとまつり
「オンラインみなとまつり〜おかえり気仙沼〜」と題して、以前気仙沼に住んでいた人、気仙沼に震災ボランティアで関わった人、気仙沼に旅行に訪れた人、気仙沼に思いを持つ人全てに、今回の「オンラインみなとまつり」を通じて、気仙沼に帰ってきた気持ちになってもらうコンテンツを多数用意しています。
気仙沼に縁があった遠方の方々への「おかえりインタビュー」を行います。インタビューでは、予定通りにまつりが開催されていれば、みなとまつりに訪れていた気仙沼ファンの方から、気仙沼との出会いや、今行きたいところ、やりたかったことなど、気仙沼への想いをお聞きします。
昨年のみなとまつりがあってから、気仙沼にできた新しい施設の紹介など、この1年気仙沼でどんなことがあったか、どんな風に変わったかを伝え、離れた場所でみなさんと共に「みなとまつり」を創ります。
数十人が打ち鳴らす銀鱗太鼓、シンガーの生ライブで伝える「みなとまつり」の熱狂
今回の「オンラインみなとまつり」では、例年、2日間で7万人が訪れる気仙沼みなとまつりの熱狂をオンラインで再現します。数十人が勇壮に打ち鳴らす「銀鱗太鼓」のライブパフォーマンスに加え、気仙沼出身のシンガーソングライター熊谷育美さんがライブパフォーマンスを行います。
他にも、例年、総勢600名が陸と海で音色を奏でた「打ちばやし大競演」の演奏者インタビューと過去の映像の配信や、気仙沼で働くインドネシアの方々や地域の方々が色鮮やかな伝統衣装を身にまとい歩く「インドネシアパレード」に加え、約2800人が‪2時間半街を踊り練り歩き、大地を揺らす「はまらいんや」の発起人インタビューと過去の映像など、例年の盛り上がりが伝わるようなコンテンツを用意しています。
現地では野外企画も開催
現地では、一部限定的に野外企画も開催しています。詳しくは下記をご参照下さい。
参加方法
8月2日17:00より、YouTube Liveにて以下URLより配信開始
参加無料。Facebookイベントページで事前登録歓迎。
イベントページでは事前インタビュー映像など、当日までさまざまなコンテンツを配信予定。
【配信URL】https://www.youtube.com/channel/UCwkX34sJdMDI9XJV2fjL93Q
当日のタイムスケジュール
【「オンライン気仙沼みなとまつり」動画タイムテーブル】
17:00 ライブ配信開始
・オープニング(気仙沼の若者達による銀鱗太鼓の演奏)
・司会挨拶、今回の取り組みの概要説明
・市長挨拶 with ほやぼーや
・オープニングで銀鱗太鼓を演奏した若者達へインタビュー
・気仙沼青年会議所で行われる縁日の紹介
17:15 「おかえり気仙沼」
気仙沼市内各地の観光スポットを紹介。
・全国のサーファーに愛される、穏やかな海「小泉海水浴場」
・気仙沼の玄関口湾内地域を紹介
・遠方の気仙沼ファンが気仙沼について想いを話す「おかえりインタビュー」
18:00 「オンラインみなとまつり」本編開始
みなとまつり当日のライブ映像や過去のみなとまつりの映像を織り交ぜて配信
・気仙沼市民と気仙沼ファンが一体となって踊り、街を練り歩く
「はまらいんや」
・インドネシアと気仙沼の繋がりを描く
「インドネシア」特集
・気仙沼の水産業で働くインドネシア人の方々が、色鮮やかな民族衣装で街を歩く
「インドネシアパレード」
・陸と海、両方から太鼓の音が響き渡る
「銀鱗太鼓のライブパフォーマンス」
・気仙沼出身のシンガーソングライター熊谷育美さんによる
オンラインスペシャルライブ
【野外企画タイムテーブル】
(1)小泉海水浴場での砂浜あそび
〇刻 10:00〜14:00
会場 小泉海水浴場
実施主体 気仙沼市
い修梁 対象は小学生・支援学校小学部限定。事前申込み制。
(2) 縁日
時刻 13:00〜16:30 17:30〜19:30
会場 商港岸壁(気仙沼市朝日町)
実施主体 (一社)気仙沼青年会議所
(3) インドネシアクイズ、インドネシアパネル展示
時刻 13:00〜18:00
会場 PIER7 (宮城県気仙沼市南町海岸11番11号)
企画・実施 気仙沼商工会議所青年部


女川再稼働住民説明会 参加申し込み定員の4割
 東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働を巡り、村井嘉浩知事は27日の定例記者会見で、8月に県内7カ所で開く住民説明会の参加申込者が定員の4割弱の767人にとどまったと明らかにした。4会場で追加募集する。
 県は定員を計2000人に設定して6月末に募集を始め、今月22日に締め切った。村井知事は「特に関心が強い人が申し込んだ」との見方を示し、「感染対策の徹底を指示している。安心してお越しいただきたい」と呼び掛けた。
 追加募集は8月8日の石巻、9日の河北、10日の渡波、19日の南三陸の4会場。締め切りは石巻、河北、渡波3会場が今月31日、南三陸が8月12日。県のホームページや県原子力安全対策課=022(211)2332=から申請する。
 村井知事は再稼働についての最終判断を前に、県内の首長と意見交換する場を設けると明言。8月6日に女川町の須田善明町長、石巻市の亀山紘市長と女川原発を視察。新規制基準に基づく地震や津波、重大事故への対応状況を確認する。
 首都圏で新型コロナウイルスの第2波襲来が現実味を帯びる中、政府はイベント開催規模の基準緩和を8月末まで見送った。村井知事は今月31日に対策本部会議を開き、当面の対策を協議する方針を示した。
 政府観光支援事業「Go To トラベル」が始まり、4連休には多くの観光客が県内を訪れた。村井知事は「感染状況は落ち着き、新しい生活様式が浸透してきている。経済と感染対策の両立が重要だ」と改めて強調した。


蔵王町と白石で1か月分の雨降る
28日の県内は、前線や低気圧の影響で広い範囲で大雨となり、蔵王町と白石市では、1日あまりで平年の7月1か月分にほぼ匹敵する雨が降りました。
雨のピークは過ぎたとみられますが、これまでの大雨で地盤が緩んでいるところもあることから、28日夜いっぱいは土砂災害に警戒してください。
気象台によりますと、前線や低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定になっていて、28日の県内は広い範囲で大雨となりました。
27日正午の降り始めから28日午後5時までの総雨量は、蔵王町で149ミリ、白石市で145.5ミリとなり、わずか1日あまりで平年の7月1か月分にほぼ匹敵する大雨となりました。
これまでの大雨で土砂災害の危険性が高くなっているとして、仙台市など県内の広い範囲に大雨警報が出されています。
雨のピークは過ぎたとみられますが、これまでの大雨で地盤が緩んでいるところもあることから、気象台は28日夜いっぱい、土砂災害に警戒するとともに河川の増水や氾濫に注意するよう呼びかけています。


静かな夏、心ともす 弘前ねぷた代替「城下の美風」
 新型コロナウイルスの影響で中止となった弘前ねぷたまつりに代わるイベント「城下の美風」(運営委員会主催)が27日、弘前市中心部で始まった。商店街などに並ぶ金魚ねぷたや角灯籠が、城下町の夏を彩る。8月31日まで。
 大正から昭和にかけ、まつりの時期に市民が小型のねぷたを軒下に飾った風習を再現した。金魚ねぷた400個と角灯籠200個を、例年ねぷたが運行される土手町通りやJR弘前駅に取り付け、一部をライトアップする。角灯籠の制作には地元のねぷた絵師や高校生が協力した。


仙台牛おにぎり うま味がギュッ、三陸産イクラも
 新型コロナウイルス感染症の影響で消費が落ち込む仙台牛と三陸産イクラを具材にしたおにぎりの販売が28日、県内と相馬市、南相馬市のセブン−イレブン計443店舗で始まった。コメは山形県産「つや姫」を使用している。
 仙台牛は砂糖としょうゆで味付けしたすき煮風味に仕上げ、イクラはシンプルなしょうゆ味。
 試食したという村井嘉浩知事は27日の定例記者会見で「仙台牛のうま味が凝縮されている。牛肉の消費が落ち込む中、多くの人に食べてほしい」とPRした。
 仙台牛のおにぎりは199円、イクラは183円。販売期間は3週間程度の予定。


デスク日誌 5年過ぎても
 「柔の道 斉藤仁さんのこと」(講談社)が6月下旬に出版された。2大会連続、五輪で金メダルに輝いた青森市出身の柔道家が54歳の若さで亡くなって5年。今も薄れない存在の大きさを感じた。
 編んだのは、斉藤さんが背中を追い続けた山下泰裕さん。山下さん自身をはじめ、弟子で五輪金メダリストの鈴木桂治さん、次代を担う選手として期待される次男の立(たつる)さんら10人が思い出を寄せている。
 印象深いのはやはり、山下さんのエピソード。全日本の合宿では何度も稽古をお願いされたらしい。最初は良かったが、実力が迫るにつれ「もう来てくれるなよ」と思っていたとか。
 多くの人がいる前で投げ飛ばしたり、締めたりしてもへこたれない。打倒山下への「すさまじい執念を感じました」。最後は斉藤さんから離れた場所で稽古をするようにし、申し込まれる前に切り上げたという。
 ミリ単位で技を突き詰めた柔道家、ひたすら怖かった指導者、人付き合いのいい陽気な友、優しくもあった父親…。斉藤さんのさまざまな顔が紹介されている。あまりにも短かった生涯、改めて残念に思う。 (スポーツ部次長 細谷隆)


<ふくしまの10年・雪が落とした災い>(1)放射能、まさかここには
 二〇一一年の東日本大震災では、岩だらけで地盤がしっかりしているとされる福島県飯舘村でも震度6弱の揺れに襲われた。
 村内の道約七十カ所で路肩の陥没や土砂崩れが起きたほか、民家ばかりか役場の屋根も損傷した。電気、水道、電話も一時途絶えた。
 村南部の小宮地区にあるIT企業の農業研修所「いいたてふぁーむ」では、二百キロもあるまきストーブがずれて煙突が外れ、屋根瓦が何十枚もずれた。同社を退職後、研修所の管理人となった伊藤延由(のぶよし)さん(76)は慌ててホームセンターに行き、ブルーシートと土のうを調達。高所作業は苦手だったが、シートを広げ、両端に土のうを結び付けて重しとする応急修理をした。
 震災三日目の三月十三日夕には電気が復旧したものの、余震は続く。周辺では崖崩れも起きた。
 風が強い地区。やはり屋根のシートが飛ばされるのではと心配になった。研修所のリフォームを担当した職人に来てもらって瓦のずれを直し、棟の部分はシートをかぶせて土のうを四十個置いてもらった。「これでひと安心」と胸をなで下ろした。
 東京電力福島第一原発で事故が起きたことは知ってはいたが、原発から研修所までは直線距離で三十二キロ。
 「これだけ離れているんだから、まさか(放射能は)飛んでこないだろう」
 ニュースを聞いても、伊藤さんは「どこか人ごとのように感じていた」という。 (山川剛史が担当します)


仙台市が緊急経済対策第4弾、15億円
 仙台市は27日、新型コロナウイルスによる経済危機克服のため、第4弾となる総額15億8000万円の緊急経済対策を発表した。一般会計補正予算案に関連費10億5000万円を計上し、市議会臨時会に提出する。旅館やホテルを支援する宿泊促進キャンペーンは、2億3200万円を計上し、定員を大幅に拡充する。
 第1次キャンペーンは市民対象で、秋保温泉(太白区)と作並温泉(青葉区)で使える1人1泊3000円を割り引くクーポン券を無料配布する。今月5日に応募を締め切り、当初定員1000人に4万人超が殺到したため、定員を6倍の計6000人に拡大する。
 第2次は市内全域の宿泊施設で1人1泊5000円を割り引く。当初は2万人の定員を予定したが、3倍の6万人に増やす。9月の開始を目指し、全国を誘客対象とする計画だが、感染状況に応じて地域を限定するなど慎重に対応する。
 観光関連では、東北域内周遊促進事業に4452万円を充てた。国の観光支援事業「Go To トラベル」を活用し、仙台発着で東北を周遊する商品を開発した旅行業者に対し、1商品当たり5万円を補助する。600件程度の旅行商品の開発を目指すという。
 イベントの再開も支援する。2億5000万円を計上し、市内の民間屋内施設で音楽、演劇などの公演を行う主催者に会場使用料の実費の半額を補助する。市民会館(青葉区)など18カ所の市有施設は来年3月まで使用料を半額にする。
 定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど大型イベントの継続支援に2317万円を計上。「新しい生活様式」に対応した屋外のモデルイベント開催補助には2400万円を充てた。


熊本県派遣の石巻市職員が報告
記録的な豪雨で被害を受けた熊本県に派遣された石巻市の保健師など7人が市内に戻り、避難所での感染対策や被災した人の現状について報告しました。
石巻市の保健師など職員7人は、今月上旬の豪雨で大きな被害を受けた熊本県八代市に派遣され、被災者支援などに当たりました。
全員が戻ったとして、28日、石巻市役所で報告会が開かれました。
報告会では、亀山紘市長が職員たちに「新型コロナウイルスの感染が続く中、活動にあたっていただき、ありがとうございました」と述べました。
このあと、職員が現地の状況を報告し、避難所は密集を避けるために段ボールなどで区切られていたものの、その安心感から、マスクをつけていない人が多くいたことや、ボランティアを県内の在住者に限ったため、家の片づけなどをする人手が足りていなかったことを説明していました。
現地で活動した保健師の遠藤めぐみさんは「被災者の体調の変化を気にかけるとともに、新型コロナウイルスの感染予防についても周知する必要がありました。これからもできるかぎり支援にあたりたい」と話していました。


日航機墜落事故の情報公開を 一部遺族と弁護士らが新団体設立
 8月12日で35年となる日航ジャンボ機墜落事故を巡り、遺族や関係者らが国や日航に情報開示などを求めるために任意団体を立ち上げた。事故調査委員会(当時)がマイクロフィルムで保存した事故調査資料や墜落機のボイスレコーダー(音声記録装置)、フライトレコーダー(飛行記録装置)の生データの遺族への開示を要求するほか、相模湾に沈んだままになっている機体の一部残骸の引き揚げと再調査を訴える。
◎国や日航は当時応じず 時間経過し公開訴える
 団体は「日航123便墜落の真相を明らかにする会」。事故で夫を亡くした吉備素子さん(77)=大阪府=が会長を務め、同じく犠牲となった客室乗務員の遺族、情報公開制度に詳しい弁護士、大学教授らが賛同する。事故についての著書がある作家の青山透子さんが事務を担当する。
 同会が目指す調査資料開示を巡っては、国や日航が遺族による情報公開請求に応じず、一部遺族の不信感につながっている。世界の航空・船舶事故では数十年たってから新事実が判明する例もあるとされ、吉備会長は「35年たった今だからこそ、事故直後には難しかった情報の開示や(相模湾からの)残骸引き揚げを実現して、真相を明らかにしてほしい」と話した。
 遺族代理人で、内閣府公文書管理委員や総務省「情報公開法の制度運営に関する検討会」委員を務めた三宅弘弁護士は、上毛新聞の取材に「30年もたてば全てをオープンにするというのが歴史公文書の利用についての基本原則。理由を付けて開示しないのはおかしい」と指摘する。制度本来の趣旨に基づいた適切な運用を国や日航に求めていくという。
 同会の活動には、群馬弁護士会所属の赤石あゆ子弁護士らも参加する。


981人感染、最多に並ぶ 愛知、大阪など更新相次ぐ
 国内で28日、これまでで最も多かった23日と同じ981人の新型コロナウイルス感染者が新たに確認された。大阪が155人、愛知が110人で、1日の感染者としては過去最多となった。愛知で100人以上になったのは初めて。岐阜、京都、沖縄でも最多を更新するなど各地で感染が広がっている。
 東京の新規感染者は266人。26日まで6日連続で200人を超え、27日は131人に減少していたが再び200人台となった。
 国内の累計感染者数は3万2184人となった。同船の乗客乗員を含めると3万2896人。


コロナ下の「農泊」/身近な都市から需要喚起を
 観光客が農山漁村に宿泊し、地域に根差した生活体験や住民らとの交流を楽しむ滞在型旅行「農泊」が、新型コロナウイルスの感染拡大により深刻な打撃を受けている。
 農林水産省の調査によると、今年1月から約4カ月間の宿泊代収入は、前年同時期に比べ50%を超える大幅な減少となった。緊急事態宣言の解除後も多くの農家や実施団体は本格的な再開に踏み出すことができず、影響の長期化は避けられそうにない。
 7月に入ってからは東京を中心に再び感染者が急増し、米国をはじめ海外の感染拡大も加速した。主に首都圏や海外からの誘客を見込んできた従来の戦略は、見直さざるを得なくなっている。
 これまで以上に、感染者が少ない近隣の地方都市の需要に目を向け、同心円状にグリーンツーリズムを広げていく取り組みが求められそうだ。
 農水省は農泊施設を取りまとめる全国535の地域協議会を対象に観光客数や売り上げをアンケートし、約260協議会から回答を得た。その結果、昨年は1月から5月10日までで242億円あった宿泊代収入は56.6%減の105億円に落ち込み、宿泊客も昨年の215万人から55.8%減の95万人となった。
 データがある2016〜18年度は訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加を追い風に、宿泊代、宿泊客とも順調に伸びていただけに、関係者の間には戸惑いや今後への不安が広がっている。
 農泊の振興に取り組む日本ファームステイ協会(東京都)など関連団体は、宿泊や農業体験などの際の留意点をまとめたガイドラインを作成。体験で使った道具類をその都度消毒するよう求めるなど、観光客が安心して楽しめる環境整備に努めている。
 しかし、東北各地の地域協議会によると、むしろ受け入れ側の農家や実施団体に感染への不安が根強く、この夏休みシーズンも宿泊客の受け入れを見合わせたり、1日1組に限定したりしているケースが少なくないという。
 旅行者のニーズが高い地域特有の体験メニューも、地元の高齢者が担い手となっていることが多く、感染による重症化への心配から、本格的な再開をためらっている地域もある。大都市で感染拡大が再燃している現状では、やむを得ないことではあろう。
 だが、逆境にあっても、宿泊施設が農家レストランとしてランチ営業を強化したり、周辺の観光農園と連携して周遊プランを作成したりする動きも出ている。仙台圏からの誘客を狙い、特典付きガイドブック「農園ランチめぐり」を発行する山形県グリーン・ツーリズム推進協議会の取り組みが好例だろう。
 地方創生の柱の一つとして期待される農泊である。身近な都市との連携で正念場を乗り切れるよう、自治体の後押しも一層重要になっている。


ALS嘱託殺人 生きる権利守る社会に
 難病の女性患者に頼まれ薬物を投与して殺害したとして、嘱託殺人の疑いで仙台と東京の医師2人が警察に逮捕、送検された。
 女性は全身の筋肉が動かなくなっていく筋萎縮性側索硬化症(ALS)で、ツイッターに安楽死を望む書き込みをしていた。
 しかし、回復の見込みがない人の死期を積極的に早める安楽死は日本では認められていない。
 医療現場では過去にも安楽死を巡り医師が殺人罪に問われたことがあるが、いずれも患者の主治医が病室で死期を早めていた。
 その点で今回の事件は異質だ。2人は女性の主治医ではなく、面識もなく、女性から現金130万円を受け取っていたとされる。
 そこには患者の治療に責任を持ち、家族ら周囲の人も交えて患者の生きる道を探り、支える医師本来の姿は見えない。
 容疑者の1人は「高齢者を『枯らす』技術」とのブログで安楽死を肯定する考えを公表していた。
 この事件を、終末期医療を巡る議論を促してきた過去の事件と同列に論じることには疑問がある。まずは、事件の経緯を含む全容を徹底的に解明するべきだろう。
 女性は昨年11月、京都市の自宅マンションに両容疑者を招き入れ、2人が去った後に容体が急変し急性薬物中毒で亡くなった。
 両容疑者は偽名を使い女性の知人を装って訪れ、女性宅に滞在したのは10分程度という。
 積極的安楽死を巡っては、1991年の東海大安楽死事件で横浜地裁が要件を満たせば違法性が阻却されるとの判断を示している。
 要件は《1》耐え難い肉体的苦痛《2》死期が迫っている《3》苦痛緩和の方法を尽くし、他に手段がない《4》本人の意思表示―である。
 ただ意思は変わりうるため、厚生労働省の終末期医療のガイドラインは家族らを含め何度も話し合って確認することを求めている。
 女性と両容疑者が会った短時間に何があったのか。捜査当局はその日に至るまでのやりとりも含め、調べを尽くしてほしい。
 女性はインターネットを介して苦悩を発信し続けたが、女性が頼るのはネットしかなかったのか。
 事件後、ALS患者であるれいわ新選組の舩後靖彦参院議員は「『死ぬ権利』より『生きる権利』を守る社会にしていくことが何よりも大切」とコメントした。
 重い言葉だ。難病患者らが「生きたい」と思える、支え合いの社会をどうつくるか。私たちは真剣に考えねばならない。


ALS患者の嘱託殺人 医師として許されぬ行為
 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う51歳の女性に頼まれ薬物で殺害したとして、医師2人が嘱託殺人容疑で逮捕された。
 女性は寝たきりの状態で、インターネット上に安楽死を願う書き込みをしていた。医師とはネット交流サービス(SNS)を通じてやりとりを続け、計130万円を振り込んでいたという。
 2人の医師は女性の主治医ではない。会ったのは、昨年11月の事件当日だけだった。知人を装って女性宅を訪れ、10分以内に立ち去っていた。
 女性の病状を継続的に把握していたわけではなく、気持ちに寄り添っていた形跡もうかがえない。容疑が事実とすれば、命を軽視していると言わざるを得ず、医師として許されない。
 医師の一人はネット上などで安楽死を肯定する発言をしていた。事件に関するSNSのやりとりを消去するように、女性に指示もしていたという。
 もう一人の医師には、医師免許を不正取得した疑いも出ている。京都府警は捜査を尽くし、動機や経緯を解明してほしい。
 過去にも安楽死を巡る事件はあったが、終末期の患者を病院で治療中に起きている。今回は死期が迫っていたとは言えず、治療もしていない。全く状況が異なり、安楽死や尊厳死の法整備を巡る議論に直接結びつけるべきではない。
 女性は米国留学後、設計事務所で働いていたが、9年前にALSを発症した。症状が進み、ヘルパーの介護を24時間受けていた。
 ネット上には体を動かせず、話すことも食べることもできないつらさや苦しみを書き込んでいた。
 目の動きによるパソコン操作で意思疎通ができるようになり、介護サービスも進みつつある。だが、根本的な治療法はまだなく、精神的な苦痛を和らげる支援の難しさが浮き彫りになっている。
 ALS患者の舩後靖彦参院議員はコメントを発表した。自分の経験が他の患者の役に立つことを知り、生きることを決心したと記した。「『死ぬ権利』よりも『生きる権利』を守る社会にしていくことが何よりも大切」と訴えた。
 難病患者の「生きたい」という思いが、封じ込められるような社会であってはならない。


ALS嘱託殺人 安楽死の事件ではない
 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者の依頼で薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人容疑で医師二人が逮捕された。過去の事例と比べ特異な要素が多く、安楽死議論との直結には無理がある。
 京都府警によると、ツイッターで殺害を依頼された医師二人は昨年十一月、自宅を訪ねて女性と初めて会い、薬物を投与し殺害に及んだという。主治医でもなく女性の診察経験もゼロ。「医師と患者」の関係はなかったことになる。
 女性からは、医師の口座に現金百三十万円が振り込まれていたとされる。事実ならこれは「殺人の報酬」ではないか。
 一九九五年、横浜地裁は医師による安楽死が許される要件として(1)耐え難い肉体的苦痛がある(2)死期が迫っている(3)苦痛緩和の方法を尽くし、他に手段がない(4)本人の意思表示がある−を示したが、今回のケースはこれらの要件を満たしているとは考えにくい。
 特異な点は他にも。医師のものとみられる「高齢者を『枯らす』技術」と題したブログや電子書籍の紹介欄には「一服盛るなり、注射一発してあげて、楽になってもらったらいいと思っています」「『今すぐ死んでほしい』といわれる老人を大掛かりな設備もなしに消せる方法がある」などと記されていた。容疑者の一人には医師免許不正取得の疑いもあるという。
 モラル以前の問題だろう。難病で苦しむ人や高齢者らを「生き続ける価値がない」と軽視する傾向さえうかがわれ、相模原市の知的障害者施設で入所者十九人が殺害された事件も想起させる。
 安楽死には大きく二種類ある。一つは、薬物投与で死期を早める「積極的安楽死」。日本では認められていない。過去には医師が殺人罪に問われ、有罪判決が確定した例がある。オランダなどでは容認されているが、同国では「法定のかかりつけ医が判断する」など厳しい条件がある。
 もう一つは、延命治療を中止する「消極的安楽死」。富山県などでは、人工呼吸器を外した医師が殺人容疑で書類送検されたが不起訴になっている。一方、ALS患者の長男の人工呼吸器を止めて死なせた母親に嘱託殺人罪での有罪判決が確定した例もある。
 今回、ALS患者の舩後(ふなご)靖彦参院議員は「『死ぬ権利』よりも『生きる権利』を守る社会に」と訴えた。事件を安楽死の議論に結び付けるよりは、難病の人や高齢者が生きやすくする社会をどう構築するかを考える手掛かりとしたい。


ALS患者嘱託殺人 命を踏みにじる行為だ
 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者の依頼で、薬物を投与し殺害したとして医師ら2人が嘱託殺人の疑いで逮捕、送検された。2人は患者と面識すらなく、会員制交流サイト(SNS)でやりとりし、報酬を受け取っていたとされる。
 事実なら、女性の求めがあったとしても人間の尊厳を踏みにじる行為だ。
 過去には主治医が患者を「安楽死」させる事件があったが、それとは全く違い、同列に論じることはできない。
 事件は昨年11月に起きた。2人は女性の依頼を受けて京都市内の自宅を訪ね、鎮静剤を投薬、殺害した疑いが持たれている。知人を装い、10分ほどで立ち去ったという。京都府警は胃に栄養をチューブで入れる「胃ろう」から薬物投与したとみている。容疑者の1人の口座には女性から130万円が振り込まれていた。
 日本では積極的に死期を早める行為は法的に禁じられている。医療現場ではこれまでにも回復の見込みのない病気や末期の患者を「安楽死」させたとして、担当医が刑事責任を問われる事件が起きている。
 例えば1991年、神奈川県の東海大病院では、医師が家族に求められ、末期がん患者に薬物を注射して死なせた事件があった。横浜地裁は95年、本人の意思表示がなかったとして殺人罪で医師に執行猶予付きの懲役刑を下した。同地裁はこの判決で「安楽死」が許容される要件として(1)耐えがたい肉体的苦痛がある(2)死期が迫っている(3)苦痛緩和の方法を尽くし、他に手段がない(4)本人の意思表示がある―の4項目を示した。
 京都の事件は患者の依頼があったとされるものの要件は満たさない。主治医でもない医師が金銭を受け取って薬を投与し、命を終わらせるという特異性、悪質さばかりが際立つ。
 背景に優生思想もうかがえる。容疑者の1人のブログには高齢者を積極的に死なせることを肯定するような投稿が残されていたという。
 事件を通じ懸念されるのは、難病患者たちの死の選択を安易に容認する考え方が広がることである。病気や障害を理由に命を絶つことを肯定すれば命の選別につながり、当事者や支える家族の希望を奪うことになる。
 ALSは筋肉を動かす神経が徐々に侵される進行性の難病だ。この女性患者のブログには病気を悲観する一方、治療法などのニュースに希望を見いだすような記述もあったそうだ。
 ALS患者の多くは「死にたい」と思ったことがあるという。それでも周囲に支えられ、生きる意味を見いだしたという人は少なくない。
 その一人、れいわ新選組の舩後靖彦参院議員はコメントを公表し、ネット上に広がる「安楽死を法的に認めてほしい」といった声に懸念を表明した。「こうした考え方が難病患者や重度障害者に『生きたい』と言いにくくさせ、生きづらくさせる社会的圧力が形成していくことを危惧する」としている。
 この言葉をわれわれ一人一人がかみしめなくてはなるまい。難病患者や重度障害者が生きづらさを感じる社会であっていいはずはない。誰もが「生きる権利」を守れる社会の在り方こそ議論すべきである。


ALS 患者殺害の容疑者を石原慎太郎が差別丸出しで擁護! 松井市長ら維新も優生思想を批判せず“医療費削減の安楽死”推進に利用
 元厚労省医系技官である大久保愉一容疑者と山本直樹容疑者の2名の医師が、ALS患者の女性に薬物を投与し殺害した事件。容疑者らは殺害した女性とSNSを通じて知り合っただけで担当医でもなく、さらにツイッターや電子書籍で「高齢者や障害者は死んだほうがいい」という主張を繰り返す典型的な優生思想の持ち主だった。
 メディアではこの事件を当初「安楽死」などと報じているが、「安楽死」や「尊厳死」と呼べるようなものではなく、容疑者たちのグロテスクな優生思想に基づいた命の選別にほかならない。
 いまの日本社会にはこうした容疑者たちとそっくりな主張をしている連中がほかにも多数いる。ネトウヨだけでなく、政治家や学者、メディア関係者までが平気で「老人は安楽死させたほうがいい」「障害者を生かしておくのは無駄だ」「税金を使っているのを申し訳なく思え」などといった暴論を叫んでいる──。
 そう危惧していたら、案の定、石原慎太郎が27日、ツイッターで容疑者たちをこう擁護した。
〈業病のALSに侵され自殺のための身動きも出来ぬ女性が尊厳死を願って相談した二人の医師が薬を与え手助けした事で「殺害」容疑で起訴された。武士道の切腹の際の苦しみを救うための介錯の美徳も知らぬ検察の愚かしさに腹が立つ。裁判の折り私は是非とも医師たちの弁護人として法廷に立ちたい。〉
 石原慎太郎といえば、都知事に就任したばかりの1999年9月に障害者施設を訪れ、「ああいう人ってのは人格があるのかね」「ああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかという気がする」と発言したり、相模原障害者殺傷事件についも「この間の、障害者を十九人殺した相模原の事件。あれは僕、ある意味で分かるんですよ」と理解を示すなど、これまで日本社会に広がる“障害者排斥論”をさんざん煽ってきた。
 今回も、ALSを前世の悪行の報いでかかる病気という意味で、ハンセン病差別などにも使われてきた「業病」と表現し、殺人を「介錯の美徳」などと持ち上げるなど、差別性を全開したわけだ。
 しかし、今回の事件では、石原のような差別主義者の暴論よりもっと深刻な状況が起きている。それは、現役の政治家たちが今回の事件に乗じて、「尊厳死の議論をしよう」などと言い出していることだ。
 ほかでもない、「維新」の連中である。はじまりは、日本維新の会代表である松井一郎・大阪市長が、24日正午すぎ、「ALS患者を安楽死か 医師逮捕」というこの事件の一報をリツイートしたうえで、こうツイートしたことだった。
〈維新の会国会議員のみなさんへ、非常に難しい問題ですが、尊厳死について真正面から受け止め国会で議論しましょう。〉(7月23日 午後0時50分)
 この時点では容疑者が優生思想の持ち主であることがわかっていなかったとはいえ、すでに「主治医ではなくSNSで知り合った」ことは報じられており、多くの人が疑問を抱いていた。詳細もわかってないのに、こんな事件に乗じて前のめりで「議論しましょう」というのはあまりに軽率だろう。
容疑者が優生思想ゆえの犯行だったことを知っても松井市長や維新議員は開き直り
 いや、松井市長にとっては、この容疑者たちが優生思想をもっていることを知っていても、同じだったのかもしれない。
 実際、容疑者の優生思想が発覚した後、批判を受けても、松井市長はツイートを訂正も撤回もしていない。それどころか、共産党の山本のりこ・大阪市議が〈今回の事件で殺害を犯した医師は優生思想を主張する人物で、そこに人間の命に対しての尊厳はありません。この事件を受けて尊厳死の議論を喚起するというのは優生思想、安楽死、尊厳死などの区別もついておらず、非常に危険であり首長の発言として問題だと思います〉と批判したことに対し、こう開き直ったのだ。
〈結局、共産党は難しい問題からは逃げる政党です。現実に難病患者の方が他人の手で命を絶ったのです。この様な悲惨な事案はこれまでもありましたが、国会でまともな議論がなされていません。政治家が難題課題を議論する当然の事です。〉
 維新のほかの国会議員たちも、同じような言動をしている。れいわ新選組の舩後靖彦参院議員がコロナ感染防止のため国会を欠席したことに対して歳費返納を要求したことで、障害者差別思想を露呈した音喜多駿参院議員がすぐに〈まさに避けて通れない問題です。まず議論を重ね、方向性と提言を出したいと存じます〉と松井市長に賛同。ネトウヨ・足立康史衆院議員は、松井市長の発言を批判した津田大介氏に対して、こうかみついた。
〈実際、今回の事件を契機に生きる権利/死ぬ権利、安楽死/尊厳死についての議論が活発になっています。私は良いことだと思いますよ。にもかかわらず津田さんは「今回の事件を機に」議論を深めようとする政治の取り組みを不適切不適格と断じる。津田さんのレッドラインを教えていただけると有難いです。〉
 いずれにしても、彼らの発言をみていると、今回の事件をとにかく安楽死正当化に利用したい気持ちだけがダダ漏れで、事件を生み出した優生思想そのものをまったく批判していない。
 あらためて説明しておくが、今回の事件は、ALS患者の生に寄り添い真剣に考えた上で止むに止まれず本人の意思を尊重したようなものではなく、優生思想の持ち主が「安楽死」の名を借りて殺人を犯しただけの可能性が高い。
「安楽死」「自己決定」の名のもとに、障害者や難病患者、高齢者が犠牲となってきた例は歴史上いくつもある。あのナチスが障害者を虐殺した「T4作戦」も、「安楽死」「自己決定」の名のもとに行われた。今回の事件はそうした危険な排外思想の延長線上にあるのだ。
健常者の立場の「安楽死」の価値観を押し付け、障害者に延命を拒否させる維新の姿勢
 しかも、維新の連中が恐ろしいのは、ALS患者をはじめとする難病患者や障害者が置かれている状況への想像力をまったく欠いていることだ。
 自身もALS患者であるれいわ新選組の舩後議員が事件を受け、オフィシャルサイトにこう声明を出していた。
〈報道を受け、インターネット上などで、「自分だったら同じように考える」「安楽死を法的に認めて欲しい」「苦しみながら生かされるのは本当につらいと思う」というような反応が出ていますが、人工呼吸器をつけ、ALSという進行性難病とともに生きている当事者の立場から、強い懸念を抱いております。なぜなら、こうした考え方が、難病患者や重度障害者に「生きたい」と言いにくくさせ、当事者を生きづらくさせる社会的圧力を形成していくことを危惧するからです。〉
〈私も、ALSを宣告された当初は、出来ないことが段々と増えていき、全介助で生きるということがどうしても受け入れられず、「死にたい、死にたい」と2年もの間、思っていました。しかし、患者同士が支えあうピアサポートなどを通じ、自分の経験が他の患者さんたちの役に立つことを知りました。死に直面して自分の使命を知り、人工呼吸器をつけて生きることを決心したのです。その時、呼吸器装着を選ばなければ、今の私はなかったのです。〉
〈「死ぬ権利」よりも、「生きる権利」を守る社会にしていくことが、何よりも大切です。どんなに障害が重くても、重篤な病でも、自らの人生を生きたいと思える社会をつくることが、ALSの国会議員としての私の使命と確信しています。〉
 また、自身もALS患者である日本ALS協会副会長・近畿ブロック会長の増田英明氏も、患者の「死にたい」を鵜呑みにしないでとこう訴える。
「私たちの団体には、彼女のように生きることに迷う人たちがたくさんいます。そういう人を前にして苦悩する家族や支援者もいます。生きることよりもそうじゃない方が楽なのかもしれないと傾きそうになりながら、必死に生きています。彼女を死に追いやった医師を私は許せません。私たちが生きることや私たちが直面している問題や苦悩を、尊厳死や安楽死という形では解決できません。生きてほしい、生きようと当たり前に言い合える社会が必要」(京都新聞24日付)
 舩後議員や増田副会長も語っているように、仮に患者が「死にたい」と口にしたからといって、「死にたい」というのが本当に患者の希望と言えるのかどうか、それが時間や環境の変化で変わらないものなのかどうか、簡単に判別できるものではない。
 仮にその時点で「死にたい」というのが本心であったとしても、友人や家族に「死にたい」と相談されて、じゃあ死ぬ方法を一緒に考えよう・手伝おうなどという人はほとんどいないだろう。なぜ死にたいと感じているのか、その苦しみを取り除くにはどうすればいいか、考えるだろう。
 だが、維新の連中には、そういう視点はまったくない。まさに健常者が想像上で考えているだけの「苦しみながら生かされるのは本当につらい」という価値観を押し付けて、障害者や高齢者に死を選ぶよう圧力をかけているのだ。
「透析患者は殺せ」の長谷川豊を公認し、大阪万博にも「医療費削減」思想
 しかし、考えてみれば、維新がこんな事件に乗じて「尊厳死の議論を」などというのは、ある意味、当然なのかもしれない。
 維新は、橋下徹・元大阪市長の時代から財政健全化のための福祉切り捨てを推し進めてきたが、その底流には、人間を経済効率でしかみない、新自由主義的な弱肉強食思想がある。
 実際、2017年の衆院選では、元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏を党の候補として公認。長谷川氏はその少し前に、〈「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」〉と透析患者の殺害まで口にし、批判を浴びていたが、維新はまったく問題にしなかったのである。
 それどころか、2017年当時、長谷川氏の擁立を決めたことについて、維新の幹部は「維新の政策と長谷川氏の主張は近い」(産経ニュースより)などと語っていた。ようするに、長谷川氏の「透析患者は殺せ」発言が、維新の思想と大差ないということだ。
 たとえば、維新が推進する大阪万博にもその思想はあらわれている。大阪万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をキャッチコピーに、当初「健康」や「長寿」をテーマとし、「健康寿命の延伸」を訴えていたが、大阪府の基本構想では開催効果のひとつとして〈寿命の延伸による健康・長寿社会の実現、その結果として社会保障費の増加抑制〉をあげていた。また同万博について経産省が取りまとめた資料でも、健康寿命について〈我が国の医療費は、高齢者向けが約半分であり、入院関係が多くを占めている〉〈健康寿命が伸びれば、高齢者向け医療費が節約できる可能性〉などと書かれている。健康寿命が伸びることで、個々人がどのような豊かな生活を送ることができるかということではなく、医療費削減のことしか考えていないのだ。
 厚労省医系技官だった大久保容疑者は、ツイッターなどで、高齢者や障害者、生活困窮者にかかる医療や福祉の費用は社会資源の無駄であり、日本国の財政を逼迫させるだけ、早く殺してしまったほうがいいという主張を繰り返していた。
コロナ禍で広がる「老人より若者の命を優先せよ」の命の選別論との合体
 本サイトは先日の記事で、大久保容疑者たちが語っていた高齢者排斥の優生思想は、この国の官僚と安倍政権の政治家たちの本音でもあると指摘したが、維新の政治家たちもまさに同じなのである。
 しかし、維新のこうした姿勢は批判されるどころか、今後、さらに勢いを増していくだろう。
 コロナ感染が拡大して以降、日本社会では、ICU病床や人工呼吸器、人工肺(ECMO)などの医療資源が限られた場合、高齢者より若者を優先すべき、高齢者は若者に譲るべきなどという意見が平気で語られるようになっているからだ。
 また、「高齢者しか死なない病気のために、若者の経済活動が制限されなくてはいけないのか」という意見も、ネットだけでなくワイドショーなどでもかなり普通に語られている。
 これらの議論について、災害現場などで行われる医療トリアージと同じようなものと勘違いしている向きも多いが、トリアージは、重症度や治癒の可能性に基づいて医療的に客観的に判断されるものであり、命の価値をはかるものではない。「高齢者より若者を優先すべき」などというのは、明らかに「命の選別」「優生思想」につながるものだ。
 今回の非道な事件をきっかけに、「尊厳死の議論をしよう」などと発言している維新政治家が次に叫び始めるのはおそらく、この「若者の命を優先しろ」という「命の選別」政策だろう。こんなファシストたちをこれ以上のさばらしてはならない。


「女性目標」断念/格差の放置は許されない
 看板政策の数値目標があっさり取り下げられた。
 政府は「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標達成を断念した。「20年代の可能な限り早期に30%程度となるよう目指す」との表記に変えるという。
 事実上の先送りであり、看板倒れというほかない。
 現行の目標は03年に設定された。安倍晋三首相は12年の第2次政権発足当初から「女性活躍」を成長戦略の柱に据え、目標達成への決意を語ってきた。海外投資家に「女性が立ち上がれば日本経済は成長する」と投資を呼びかけたこともある。
 しかし派手なかけ声とは裏腹に、本気度が見えない。何より首相自身に、幅広く女性の人材を育成し、登用する姿勢に欠けている。「結局ポーズだけだった」と受け止める女性は多いに違いない。
 コロナ禍による休校などで家庭の負担が増え、さまざまなしわ寄せが女性に偏っている現状が浮き彫りになった。性別に関係なく仕事と家庭生活が両立できる社会づくりを後退させてはならない。
 政府はあいまいな表現でお茶を濁すのではなく、数値目標を改めて設け、達成するための具体的な道筋を示すべきだ。
 各分野の女性登用は少しずつ進んでいるものの、国際的には周回遅れのままである。
 中でも政治分野の「男性中心」が際立つ。今年5月現在、日本の国会議員(衆院)の女性比率は9・9%で、世界189カ国中166位。女性議員がゼロの地方議会もある。企業や公務員の女性管理職は主要先進国で30〜40%だが、日本は19年時点で14・8%にとどまる。
 海外との差が埋まらないのは、日本の取り組みが関係者の努力や自主性に委ねられているためだ。
 安倍政権下では、企業などに女性の採用や登用の計画策定を義務付ける「女性活躍推進法」と、候補者をできるだけ男女同数にするように政党に求める「政治分野の男女共同参画推進法」が施行された。だが、どちらも強制力はない。
 努力に任せているだけでは女性登用は進まない。女性の割合を一定以上にする「クオータ制」は、130カ国以上の国政選挙で導入されている。日本でも思い切った施策を検討する必要がある。女性自身も意識を変える努力がいるだろう。
 「性差への偏見が根強い地域ほど若い女性が都市部に出ていく」と指摘する識者は少なくない。人口流出に悩む地域こそ、男女格差の是正は急務といえる。自治体トップの姿勢も問われている。


在宅7割再要請 政策の矛盾が目に余る
 西村康稔経済再生担当相が経済界にコロナ禍対策の徹底を再要請する方針を表明した。ただGoTo事業では観光支援のため人の移動を促している。感染者が激増する中、国の政策矛盾が目に余る。
 西村担当相は二十六日の会見やツイッターを通じ企業に再要請する内容を明らかにした。具体的には在宅勤務率七割や時差出勤の維持、大人数での会合や飲食の自粛などだ。
 感染者は各地で過去最多を記録している。西村担当相は「重症化リスクのある六十代以上の感染が増えている」と認めており、今回の姿勢に異論はない。
 問題は今回の動きと政府の他の政策に大きな矛盾があることだ。旅行を後押しした結果、事業開始後の連休中に人の移動と感染者は確実に増えた。しかし菅義偉官房長官は「重症者は少ない」とした上で、事業の除外地域を広げる考えはないと明言している。
 来月には事業の第二弾である「GoToイート」も始める方針だ。食事券やオンライン予約でのポイント付与を組み合わせた事業で、飲食店支援が狙いだ。
 人の移動や飲食を推進する一方で、警戒感をあらわにしながら企業に対策の一層の強化を求める。これでは国民は方向感を見失うばかりではないのか。
 さらに麻生太郎財務相が率いる自民党の麻生派は十六日に東京都内のホテルで派閥のパーティーを開いている。首相経験者であり現在、副総理の要職にある政治家が堂々とパーティーを開きながら、政権として国民に大人数とはいえ会食自粛を要請することには強い疑問を呈さざるを得ない。
 在宅勤務の推進には原則として賛成だ。ただ企業にとって新たに設備投資が必要となることも忘れてはならない。
 ただでさえ苦しい企業経営の圧迫要因となるのは確実だ。とりわけ中小企業にとっては大きな負担となるはずだ。在宅七割を目指すのなら、口先の要請だけではなく追加的な支援策も合わせて提示すべきだ。
 政府は感染抑止と経済の両立を目指す考えだ。ただ繰り出される政策や方針、発言に矛盾が目立ち始めている。
 コロナ禍の先が読めないのは理解できる。だが政策の明らかな矛盾や混乱は見過ごすわけにはいかない。
 安倍晋三首相が国民に直接、コロナ禍の現状と政府の対策について説明すべきである。


「全国の繁華街でエピセンター化」 東大名誉教授が指摘
 東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授は、日本全国の繁華街で感染拡大の震源地=エピセンター化が進みつつあると危機感を示しました。
 「エピセンター(震源地)化が東京だけではなくて、名古屋の繁華街、大阪の繁華街、福岡の繁華街と日本中に及びつつありまして、政府もかなり危機感は高まってると思っています」(東大先端科学技術研究センター 児玉龍彦名誉教授)
 児玉名誉教授はこのように述べるとともに、感染の拡大状況について「最近は訪問看護や保育園、小さい子どもやお年寄りのところにもかなり波及している」と指摘しました。
 「今、日本は(検査数が)世界で、人口あたり158位から159位、バングラデシュとかカメルーンに抜かれて、世界の最貧国のグループに入ってますからめちゃくちゃ少ない」(東大先端科学技術研究センター 児玉龍彦名誉教授)
 また、日本の検査数の少なさに言及したうえで、「政府は思い切って方向を変えるときが来ている」として、PCR検査の体制拡充や接触確認アプリのさらなる普及など、国を挙げての取り組みを促しました。


玉川徹氏、アベノマスク8000万枚追加に辛らつ「愚策ですよね。政策自体を否定することになるから、やめられない」
 28日放送のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月〜金曜・前8時)では、政府から全世帯に配布された布マスク「アベノマスク」が介護施設などに追加で8000万枚が配布されることを報じた。
 この問題にコメンテーターで同局の玉川徹氏は「6月22日に発注しているんですよ。その時点でアベノマスクに関してどんな評価だったのかは、皆さんご存じの通りですよ」と追加配布に納得できず。
 アベノマスクについて「なぜか知らないけど布マスクをわざわざ国内に発注してですよ、なぜか知らないけど口を覆うことがうまくいかない小さいマスクを作って。まあ愚策ですよね」と切り捨て、「その愚策ですけど、6月22日に執行を止めることも出来たんですよ。でも、やめてしまうとアベノマスク政策自体を否定することになるから、やめられないんですよ」と話した。


青木理氏、アベノマスクさらに8000万枚をバッサリ「他のことに金を使ってくれ」
 28日放送のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月〜金曜・前8時)では、政府から全世帯に配布された布マスク「アベノマスク」が介護施設などに追加で8000万枚が配布されることを報じた。
 この問題にコメンテーターでジャーナリストの青木理氏は「必要な人います? ほんの一部でしょ、いたとしても」とバッサリ。
 政策について「未知のウイルスなので完璧な対策なんて無理ですし、探りながらやっていくんだろうけど」とした上で、「日本の今の政権に関していうと、やるべきことはやらずやったことは全て後手後手でピント外れで、これが象徴みたいになっているわけですよね」と指摘。さらに「検査の拡充や医療機関の支援を本来やるべきことなのに、そっちは手薄で後手後手で布マスクやGoToキャンペーンなんてものに、ものすごお金を使う」と続けた。
 また「一回決めてもね、まずいなと思ったら立ち止まって引き返してということをしていかないと。決まっていたとはいえ、これから8000万枚ですよ」と疑問を呈し、「こんなものに金を作るぐらいだったら、他のことに金を使ってくれ」と訴えた。


大谷昭宏氏「マスクはいいから、PCRしてくださいという声を上げたらどうですか」アベノマスク追加配布
 TBS系情報番組「ひるおび!」(月〜金曜・前10時25分)は28日、新型コロナの感染が全国に拡大していることについて取り上げた。政府が配布した布マスクをさらに8000枚配布することを決めたと一部で報道されたことにふれた。
 ジャーナリストの大谷昭宏氏(75)は、ニューヨークではだれでも無料でPCR検査を受けられることを引き合いに出し、「(マスクの予算の)全部が全部とは言わないまでも、これだけのお金があれば、どれだけの人に無料で検査ができるんだろうか」と憤慨。
 ニューヨークは、徹底的な検査を行った結果、1万人を超えていた感染者が2か月で約500人まで減った。
 「(日本で検査が広がらないのは)検査態勢側の問題として、日本でできるんだろうかとおっしゃっていたが、この番組でも何回も大学の病院の関係者、大学の研究者が『私たちのところに言ってきてください』、『私たちのところには能力があるんですから』とおっしゃっていたのを思い出すんですよね。どの理由で、日本はPCR検査の数が少ないのかと、きちんと検証すべき時に来ている」とした。
 さらに「日本はなんで、これだけしか(検査が)出来ないんですかということは、もうそろそろ答えを出して、このお金をこっち(検査)で使いましょうよと、国民がマスクいいから、PCRにしてくださいという声を上げて行ったらどうですか」と持論を展開した。


基地従業員PCR検査、想定超える行列 米軍契約業者も含め拡大 県、情報の収集に苦慮
新型コロナウイルスに感染した在沖米軍関係者の数は25日で229人に上った。基地従業員らを対象にしたPCR検査は想定を上回る人数が列をなし、基地内の爆発的な感染者数の増加に、県民の間にも感染拡大への不安が広がっている。県保健医療部は基地内の情報収集に苦慮するなど対策に課題を抱える。
25日午前11時半ごろ、基地従業員を対象にした検査を行う沖縄市の臨時検体採取センターに、玉城デニー知事が姿を見せた。県や医師会の担当者の説明に耳を傾け、実際に問診を受けるなど検査手順を確認した。検体の提出場所では、自ら感染防止用ガウンとフェイスシールドに身を包み、複数の対象者から直接検体を受け取った。
視察を終えた玉城知事は「緊張感をもって物事に取り組むことが大事だ。(対象者の)表情を見ると不安がひしひしと伝わる。県庁内で共有したい」と危機感を強調した。
初日の25日は628人が検査を受けた。最終日の26日も同じペースなら、約900人と想定していた検査人数を超えることになる。日本政府の雇用ではない米軍との契約業者からも不安の声が届き、県が検査対象に含めるよう調整したため膨らんだとみられる。関係者によると、県は26日も約1千人分の検査キットを用意して対応する。
県は15日に海軍病院や海兵隊と実務者会議を開き、感染症対応で連携していくことを確認した。その席で県は検査総数などの提供を要望し、米側の了承を得たと強調していた。だが25日現在、検査総数や日付が県側に知らされておらず、米軍関係者の陽性率を割り出すことができていない。
そのため、新規感染者数が急激に増加した日があっても、県として「要因を推し量ることは難しい」(大城玲子県保健医療部長)。複数日の検査結果をまとめて県に伝えているのか、一度の検査で数十人が陽性となったのかどうかが特定できないためだ。県はこれらの数字を正確に提供するよう求め続けている。
24日は在日米海兵隊がフェイスブック上で沖縄の海兵隊で41人もの感染者が確認されたと発表したが、県はその情報を把握できていなかった。県が25日に発表した米軍からの報告数に、1日遅れでその人数は盛り込まれた。
大城保健医療部長は「(県は)海軍病院から情報を受けており、海兵隊全体が出している数字と合っているのかは照合のしようがない」と語った。
実務者会議について県と米軍の双方が協力体制の構築につながる場だと誇示していたが、米軍関係の感染者数の増加が止まらない中で連携の実効性が問われている。 (明真南斗、下地美夏子、比嘉璃子)


風営法の適用 越権行為ではないのか
 法律の目的から外れている。非常時だからといって認めるわけにはいかない。
 新型コロナウイルスの感染が広がる「夜の街」対策として、政府が風営法に基づく警察の立ち入り調査の積極活用を打ち出した。
 すぐに警視庁が都内の繁華街でホストクラブなどを立ち入り調査し、同行した都職員が感染予防策の点検や周知をしている。大阪でも同様の調査が行われた。
 風営法は、少年の健全育成や売買春の温床となる環境の取り締まりが目的だ。感染症対策など衛生面の規定はない。
 立ち入り調査は、同法を順守しているかを確認するために限って警察職員に認められている。
 警察庁の解釈運用基準では、「犯罪捜査や他の行政目的のために行うことはできない」と明記。調査が認められない事例として、保健衛生上の見地から調理場を検査することを挙げている。
 新型コロナ対策を目的に同法を適用するのは無理がある。
 そもそも風営法は営業の自由に絡む法律でもあり、憲法が保障する基本的人権を侵害しないよう抑制的な運用が図られてきた。
 国会も1984年の法改正の際、職権の乱用を戒め、立ち入り調査はできる限り避けて報告または資料の提出で済ませるよう付帯決議をしている。
 今回の政府方針は、風営法の趣旨や運用のあり方を大きく変える事態だ。本来なら国会で議論し法を改正する必要がある。政権が独断で決めていいものではない。
 調査を受けた繁華街の関係者は「やりすぎではないか」とし、警察関係者も「越権行為と捉えられかねない」と困惑している。同様の調査が各地で繰り返されるようなことがあってはならない。
 効果にも疑問がある。
 感染対策が不十分と分かっても警察は改善命令や処分を出せない。強硬な姿勢で臨むと各店舗の協力は得られなくなり、感染者が潜ってしまうだろう。
 歌舞伎町を所管する新宿区は、感染源と名指しされ警戒感を募らせる業界を粘り強く説得し、連絡会を一緒につくって感染対策に乗りだしていた。
 約300店舗を1軒ずつ訪問して協力を求め、共同勉強会も開催。感染者が出た店舗は全従業員を検査する方針も確認した。
 歌舞伎町にも入った今回の立ち入り調査は、区と業界との地道な努力を無にする恐れがある。政治が警察権力を手前勝手に利用することは許されない。


「コロナ給付金」見えない下請け実態 電通関与になお不透明感
新型コロナウイルスで打撃を受けた中小企業への支援策として、国内最大の広告代理店、電通(4324.T)が関わる経済産業省の「持続化給付金」の実施を巡り、不透明な業務委託や運営実態に批判が広がっている。電通は今月22日、事態を収拾するため、同省の新規事業は当面受託しないなどの対応策を発表した。しかし、事業の全容が公表される可能性は低く、不透明感の払しょくは難しい情勢だ。
<業務委託は5次下請けまで拡大>
同給付金は総額2兆円を超す予算を投じ、新型コロナの打撃を受けた中小企業の経営を支援することが目的。今年4月に給付業務を受託した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」(サ協、東京・築地)は、電通など3社が2016年に設立した非営利の民間団体だ。同年には経産省から「おもてなし規格認証」事業の運営などを受注、翌年にはIT導入支援補助金事業を請け負った。
今回の給付金事業では、同協議会は受託総額769億円の大半にあたる749億円の事業を電通に再委託し、申請書類の審査からウェブサイトの立ち上げや受付コールセンターの設立まで実際の業務のほとんどを任せた。電通はさらにグループ会社を通じ、業務を数十に上る他の企業に外注した。
経産省によると、業務の委託先は契約額1億円以上の企業だけでも電通を含めて63社ある。このうち社名が公表されているのは14社。残る49社の社名は明らかにされていない。サ協の資料によると、企業の社名や下請け額などが公表されていない外注分は少なくとも約260億円あり、全体の3分の1に達していることがわかった。
同省関係者によると、委託先は少なくとも5次下請けまで広がっており、事業の実施体制は極めて広範囲に細分化されている。
<首相は「ルールにのっとった選考」>
政府はなぜ同補助金の給付業務を電通と結びつきの強いサ協に委託したのか、その業務はどこに外注され、受注資金はどのように使われたのか──不透明な事業の実態に対し、中小企業や野党議員からは疑問の声が挙がっている。
電通は歴史的に自民党とのつながりが深い企業だ。長年、同党の政治活動に協力し、1964年の東京五輪ではPR活動などにも積極的に携わった。電通は近年、スポーツ関連事業に力を入れ、1年延期された2020年東京五輪の招致に向けマーケティングを担当、国内企業から過去最高となる約31億ドルのスポンサー料を集める上で大きな貢献をしている。
同社は2016年5月、人材派遣大手パソナ(2168.T)、ITサービス請負大手トランスコスモス(9715.T)とサ協を設立。理事のうち3人は電通のグループ会社出身で、従業員も数人出向している。
今回の事業でサ協を選定したことについて、政府側は「ルールにのっとったプロセスを経て決定された」(安倍首相の6月の国会答弁)と繰り返す。経産省・中小企業庁の担当者はロイターの取材に対し、委託先は一般競争入札で選定し、総合的に評価したとしている。
経産省によると、入札ではコンサルティング会社のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーがサ協と受注を争った。このとき、デロイトが経産省側と面談したのは2回、そのうち1回は電話だった。一方、サ協は3回の直接面談を行っており、電通関係者も出席した。経産省は、適切な手続きを踏んだとしている。
デロイトの広報担当者は、この入札手続きについてコメントしなかった。
<ほぼすべての業務を下請けに>
業務に携わっている企業を一部しか公表していないことについて経産省は、日本の情報公開法の下では当該企業に競争上マイナスの影響が想定される場合は開示する必要がない、と説明している。
サ協によると、電通からの最大の外注先はイベント子会社の電通ライブで、約596億円で契約を結んだ。そこからさらに10社以上が業務を受託、うち4社の名前が公表されている。
こうした業務の分散について、電通の広報担当者はロイターにメールで回答し、「不透明という認識は全くない」と明言。「全国各地に申請サポートセンターを設置するなど、1万人以上の体制で業務を推進しなければならない」、「そもそも1社で対応できるようなレベルの公共事業ではないと考えていた」と、複数の企業が関与する必要性を強調した。
同社は6月に行った会見で、自社が元請けにならなかったことについて、サ協にはIT導入支援補助金事業などの業務を受託した実績があるためだと説明。また、給付金の振り込み通知はがきの名義が電通になっていると受け取った側が混乱する可能性がある、との理由もあったという。
さらに電通はロイターに対し、経理部門から「自社のバランスシートに影響に加え、通常の業務が滞る可能性がある」との指摘があったため、自らが主導しないことを決めたとも説明した。
電通とともにサ協に役員を送っているトランスコスモスとパソナはロイターの問い合わせに対し、ともに「当社が回答する立場にない」として、同事業についてのコメントを控えている。
ロイターはサ協に、持続化給付金事業の入札に元請けとして参加した理由を尋ねた。サ協は過去に政府から事業を受託した経験を踏まえ、「当協議会が幹事社となることが適切であると判断した」とメールで回答した。今回の事業のためにスタッフを雇い、銀行を通じて振り込み作業を支援した、という。
<申請殺到、支払い遅延の指摘も>
給付金業務が無数の企業に分散される中、受け手となる中小企業への支払いが遅延しているとの指摘もある。
経産省によると、同給付金制度では1社につき最大200万円が支給されることになっており、5月の申請開始から7月20日時点で290万件の申し込みがあり、これまでに267万件を支給したという。申請書類に不備がなかった場合、申請を受けてから支払いまで、多くの場合およそ2週間だとサ協は説明する。
政府は持続化給付金の手続き業務の経費を、6月に成立した第2次補正予算にも計上した。さらに100万社が申請することを前提にしている。
しかし、東京で企業イベントの映像制作を専門に手掛ける企業を経営する利根川武信さんは、「委託自体を責めるつもりはないが、税金を使ってこのシステムを運営しているのであれば、もっとしっかりと運営すべきだった」と給付金運営を巡る混乱と支払い遅延に手厳しい。
利根川さんの会社では、春に新型コロナの感染が拡大すると仕事のキャンセルが相次いだ。同給付金を申請してから100万円を受け取るまで、4週間かかった。その間、利根川さんはウーバーイーツの配達員として自転車で食事や料理の宅配サービスに従事した。
利根川さんはサ協が運営する給付金のコールセンターには3日間で100回以上電話し、申請状況を問い合わせた。電話に出るのは派遣で働くオペレーターだが、担当者が入れ替わるため、そのたびに事情を初めから説明しなければならない。人生で最もストレスを感じた時期だったと、利根川さんは言う。
<下請け構造がコスト増やすとの批判>
給付金を巡る業者選定や業務運営について違法性を問う声はないものの、テレビ朝日が6月に実施した世論調査では、73%が「事業が適切に行われていると思わない」と回答した。
野党議員らは、下請け構造が事業のコストを引き上げていると批判。その1人、青山雅幸衆議院議員(日本維新の会・無所属の会)は、政府が地方自治体を通じて個人向けに実施する10万円の「特別定額給付金」事業と比較して、申請1件当たり約30倍の経費がかかっていると試算する。
これに対し、経産省は個人向け給付金とは業務の内容が大きく異なり、比較はできないと反論する。同省によると、企業向けの持続化給付金は、審査への申し込みを支援するため、全国に会場を設置、電子申請に慣れていない申請者を個別にサポートするなど、人件費などがかさんで費用が大きくなる、という。
契約に至る経緯の全容を明らかにするよう求める野党議員の1人、田嶋要衆議院議員(無所属)は「全体として非常にグレーだ」と言い、経産省が説明責任を果たさず、あたかも電通を守っているような誤解を与えてしまう、と付け加えた。
電通は、持続化給付金が迅速に支払われていると主張している。同時に、22日には自社のホームページで、持続化給付金の業務に対する「社会からの指摘」を踏まえ、受託業務の取引方法を見直していると発表。見直しが終わるまで、経産省が実施する新規事業の入札参加は控えるとした。
しかし、これによって同給付金業務を巡る不透明感が払しょくされたとは言い難い。「持続化給付金を巡った不明朗な仕組みが安倍政権に対する批判となり、それが結果的に政権のダメージになっているということは間違いない」と、政治アナリストの伊藤惇夫氏は指摘する。
この事業も含め、政府が打ち出す新型コロナ対策は混乱が目立つとの見方は多く、透明性の欠如が内閣支持率にも影響している。7月20日の共同通信の世論調査によると、新型コロナ対応を評価する声は35.7%と、1カ月前の48.8%から低下した。
<中小企業は「一刻も早く支援を」>
中小企業を救済する給付金業務の運営に批判と釈明が続く中、末端ではコロナショックの荒波に耐えきれず、事業継続を断念する例は後を絶たない。
コロナ禍で経営環境が一変した米澤佳晃さんは、損失がさらに膨らむ前に所有する北海道のホテルを売却することにした。
米澤さんは持続化給付金が振り込まれる前から、その200万円を退職金として従業員約90人に支払うことに決めていた。札幌市にあるそのホテルは、米澤さんの家族が70年近く営んできたものだ。
「中小企業の経営者が本当に望んでいるのは、どんな種類の支援プログラムでも一刻も早く開始することです」と、米澤さんは疲れた声で語った。
東京・神保町に本店があった老舗居酒屋「酔の助」。40年以上の歴史がある同店は、壁に貼られた手書きのおすすめメニューとうまい酒が酔客を誘う人気の赤ちょうちんで、テレビのロケに使われたこともある。
しかし、新型コロナの感染拡大で4月から休業を余儀なくされた。家賃を払う余裕は吹っ飛び、今年5月、苦渋の閉店に追い込まれた。
「従業員を削っていれば、ギリギリでやっていけたかもしれない」と振り返る同店長の一山文明さんの言葉には無念さがにじむ。
酔の助の閉店から数週間後、建物は解体された。跡に残ったのは瓦礫の山だけだった。


最低賃金答申 引き上げの流れ止めるな
 新型コロナウイルスの感染拡大による経済低迷が引き上げに待ったをかけたといえるが、働く人の処遇を改善する流れを止めてはならない。
 中央最低賃金審議会が2020年度地域別最低賃金の改定について「現行水準維持が適当」と国に答申した。
 今後は各地方審議会が都道府県ごとの最低賃金を審議し、正式決定する。地方の実情を踏まえながら引き上げに最大限努力してもらいたい。
 中央審議会が引き上げの目安額を示さなかったのは、リーマン・ショック後の09年度以来11年ぶりだ。
 最低賃金は16年度から4年連続で年率3%以上の大幅引き上げを実現してきた。
 19年度は人手不足や消費税増税を控えていたことを背景に、全国平均で時給901円と初めて900円台に乗った。本県も過去最高の830円となった。
 今回の議論では、新型ウイルスの影響で雇用情勢が悪化する中、例年以上に労使の主張の隔たりが大きかった。
 労働側は「経済再生に向けて内需喚起が不可欠だ」と引き上げを求めたが、経営側は凍結を主張し、結果的にはその意向が反映された。
 感染の収束が見込めない中、従業員の雇用を守るのに精いっぱいという経営者は多い。
 経営側を後押ししたのは、安倍晋三首相だ。6月に政府会議の場で中小企業に配慮して検討するよう求め、これが引き上げ抑制を示唆したものと受け止められた。
 早期の千円達成を目指し引き上げへの旗を振ってきたのは首相自身だったが、今回はブレーキ役となった格好だ。
 日本の最低賃金は、他の先進国と比べ低過ぎると指摘されている。全国平均の901円で週40時間程度働いても年収は約180万円にとどまる計算だ。
 今や働く人に占める非正規労働者は約4割に増え、最低賃金ぎりぎりで働く人は多い。
 感染リスクにさらされながら働く食品店の店員や宅配業者らエッセンシャルワーカーにも同様な低賃金の人がいる。こうした人たちの生活不安が続けば、社会の基盤も安定しない。
 都市と地方との格差解消も課題となっている。最低賃金は東京が最高額の1013円なのに対し、山形など15県は最低額の790円にとどまる。
 賃金格差は地方から首都圏への人口流出の理由の一つになっている。是正を急ぎたい。
 過去には、今回と同様に中央審議会が目安を示さなかった04年度に44都道府県が独自の判断で1〜2円上げている。
 ウイルス対策で政府は2度の補正予算を組み、企業への支援に乗り出した。10兆円の予備費を活用するなど、賃金増に結びつける知恵を出せないものか。
 欧州では最低賃金を上げる一方で、社会保険料を減免して企業を支える国もあるという。
 定着しつつあった賃金引き上げの流れを引き戻すよう、政労使の連携を今後も維持したい。


アベノマスク8千万枚追加配布に批判殺到「もはや狂気の沙汰」
政府が介護施設や保育所などに約8,000万枚の布マスクを追加配布すると、7月27日に朝日新聞デジタルが報じた。4月から続く配布事業の取り組みで、厚生労働省は9月中に配布完了を目指しているという。
記事によると、配布・発注済みの布マスクは計約2億8,700万枚。事務経費約107億円を含む総額費用は、約507億円にも上ったという。
全国世帯に向けて1住所あたり2枚配布される布マスクは、6月下旬に配送完了。だがその後に、伊藤忠商事など9業者に計5,800万枚の追加発注がされていたことも報じられた。
安倍晋三首相(65)は4月の配布決定当初、「急拡大するマスクの需要の抑制を図り、国民の皆様の不安解消に少しでも資するよう速やかに取り組んでまいりたい」と述べていた。しかし、4月に配送されたマスクから変色や異物混入といった不良品が多数発覚。回収や検品を強化した結果、遅配となった。
全戸向けの配布は完了したものの、布マスクは“無用の長物”となっているようだ。
「配布開始当初から、『税金の無駄遣い』や『費用対効果を感じられない』と批判が殺到。経済官庁出身の官僚が安倍首相に、『国民に布マスクを配れば不安は消えます』と進言したことが政策の発端だとも報じられました。配布された結果、“不要”として厚生労働省や各自治体に返却・寄付された布マスクは10万枚にも及んだそうです。品切れが続き高騰していた不織布マスクも、徐々に生産が回復し、値崩れてしているといいます」(全国紙記者)
産経新聞によると菅義偉官房長官(71)は28日、「布マスクは繰り返し利用でき、コスト面でも安価」「継続配布は有意義」と述べたという。
当初から強い批判を受けていたが、今回も“有意義”を強調し続ける政府。その強固な姿勢に、各界から様々な反応が上がっている。
女優の小泉今日子(54)は、朝日新聞のネットニュースに《ちょっ、ちょっと!》とコメントを添えてツイート。
メイプル超合金のカズレーザー(36)は、28日放送の『とくダネ!』(フジテレビ系)に出演。布マスクが追加配布されることについて、「使う使わないに関しては、皆ずっと『使わない』って言っているからそれは変わらないんじゃないですか」とコメントした。
国民民主党の小沢一郎(78)は、Twitterで《正気だろうか。5百億円も使って一体何をやっているのか。一度決めたら途中でやめられない。正に戦前の軍部と同じ。結局はお友達利権》とツイート。続けて《これだけ巨額の予算を、なぜ赤字に苦しむ医療現場支援や、PCR検査の拡大に回さないのか。この内閣は、やることなすこと全てが間違っている》と痛烈に批判した。
消費を喚起する観光事業分野「Go Toトラベル」では、強い批判を受けて「東京除外」や「キャンセル料補償」に転換していた政府。“アベノマスク”についても方向転換を求める声が上がっている。
《6月の時点でなぜ軌道修正できなかったのか布マスク路線》
《布マスク制度ってそんなに方向転換できないものなのかしら》
《誰か、進言する人はいないのだろうか》
《もはや狂気の沙汰です……》


鉄板で囲われた国立競技場はさながらバブル後の“幽霊物件”
 本来なら先週、華々しくオープニングイベントが行われていたはずの東京五輪メイン会場の新国立競技場(現在は「新」が取れ、単に国立競技場と呼ばれている)。5年前、当初の斬新なデザインと建築構造の問題から予算が膨らみ計画見直しになったいわく付きの施設も、開催延期が決まって以降は巷から忘れ去られているかのようだ。
 長雨が続く7月中旬、国立競技場駅からスタジアム正面に向かうため外苑西通りを南方向に歩いてみると、予想以上に荒廃した印象を受けた。「ここが本当に五輪会場なのだろうか……」と思わざるを得ない。
 歩道にせり出すような人工地盤の下の圧迫感は、鉄道高架下を思わせる重苦しさである。植栽も日照不足で心なしか元気がない。さらに敷地ギリギリまで無機質な鉄板のフェンスで囲われているから、余計に殺伐として見える。
 この鉄板越しに見ると柱の内側に、舗装された通路があるだけ。封鎖する必要があるとはとても思えなかった。
 内部への侵入者を防ぐセキュリティー目的ならば建物入り口を封鎖すれば事足りるはずだから、少なくとも工事作業の終わったエリアだけでも開放し、歩道への圧迫感は取り除くべきではないだろうか。
 競技場周囲を半周歩き地上部に上がると、広場や植栽が整備されていることが分かる。しかし、ここも敷地境界ギリギリまで鉄板で封鎖されている。これから1年もの延期期間を、このように鉄板で封鎖したまま放置しておくつもりなのか。
 建物が立派に完成しているのに鉄板で封鎖された光景は、我々建設に関わる者にとっては、いつかどこかで見た不吉な光景だ。バブル崩壊後に不良債権化し権利関係が複雑化したことで、法的裁定がつくまで使用することができずに放置され、夜になっても明かりがともらない、雑草に覆われた通称「幽霊ビル」を彷彿させる。
 都心の広大な緑地が鉄板で封鎖されている状態は、あまりに惨めというほかない。大会組織委員会も真剣に延期開催を検討しているのだとしたら、封鎖したまま放置するのはやめて、何らかの「五輪待機イベント」を行うべきだ。
 なぜなら、新築をがらんどうで放置するということは、本来そこに入るべき多くの人々の夢や希望の代わりに、何か別のイメージが入り込んでしまうものだからだ。祝祭を感じさせるはずの空間が封鎖されていることそのものが、不吉な未来を暗示してしまっている状況だ。


「布マスク、さらに8千万枚」に批判殺到、小泉今日子も疑問の声! 安倍応援団は「アベノマスクとは別」と反論も問題点は全く同じ
 感染再拡大の局面で前倒しまでしてスタートさせた「Go Toトラベル」につづき、またも国民の度肝を抜く安倍政権のコロナ対応にネット上が騒然となっている。昨夜、「布マスク、今後さらに8千万枚を配布 不要論でも発注済」というニュースを朝日新聞デジタルが伝えたからだ。
 政府は3月末から介護施設や保育所などに向けて布マスクを配布しているが、〈今後さらに約8千万枚を配る予定〉で、同紙の分析によると〈配布・発注済みの布マスクは計約2億8700万枚にのぼり、総額約507億円の費用がかかっていた。うち郵送やコールセンター、検品などの事務経費が約107億円を占める見通し〉だという。
 この介護施設や保育所向けの布マスクは、安倍首相が4月1日のエイプリルフールに全戸配布を宣言したものの、「税金の無駄遣い」「マスクが小さすぎる」「汚れがあった」「虫が混入していた」「まだ届かない」と非難轟々となった例の“アベノマスク”と同じ仕様のものだ。
 当然、この朝日の報道に、「まさか、アレをまだこれから配布する気なのか」と多くの人が反応。たとえば、小泉今日子は自身が代表を務める株式会社明後日のアカウントを通じて〈ちょっ、ちょっと!〉とツッコミを入れ、ラサール石井もこのようにツイートした。
〈今すぐ中止して、この予算を豪雨の被災地と医療現場に、中抜きなく直接支援お願いします。どうせ誰も使わない、使えないものに何百億。無駄すぎる。日本において、生類憐みの令以来の愚作。〉
 有名人だけではない。Twitterにはこんな声が溢れた。
〈信じられません。二度見しました。あれだけ不評だったのにまだ配る?〉
〈GoToだ?アベノマスク8万枚追加だ?正気の沙汰ではない〉
〈その分の税金を病院に回した方が〉
〈保育関係者だけど今更まったく必要ないわ〉
〈すみません…うちの介護施設ではいりません。(中略)他の物資の方がありがたいです。感染予防で色々と苦労しているところは多いと思います。もう少し現場への耳を傾けてください〉
〈なぜ!自民党にはこの税金無駄遣いを止める人はいないのか。この人は徹底的に国民の声を聞きたくないらしい。〉
 さらに、いつもなら安倍政権擁護のためにネトウヨが群がるヤフコメも、怒りや呆れの意見が殺到している。
〈全く理解不能…〉
〈アベノマスクしている人を見たことがない。子供に聞いても、学校でもいない。あれだけの数どこ言ったのだろう?さらに行方不明となるマスクに税金投入するのか?〉
〈もはや政府内が緊急事態宣言。国民の思いと乖離があることばかりやる。〉
〈信じられない。走り出したら止まらない。すべての政策がこんな状況で遂行されているとしたら恐ろしいことだ。コロナより政府に殺される。〉
〈世間見渡してみ?そのマスクをつけてる人どれだけいる?〉
安倍応援団は「アベノマスクとは別」「介護施設向け」というが、問題は配布が同じ「布マスク」ということ
 一方、Twitterの著名なネトウヨ安倍応援団アカウントは〈朝日の詐欺タイトル〉と言い、〈なにか新しくマスクの配布が決まったかのように書いてるけど、「全戸向けマスクとは別に」介護施設などに以前から配っていたマスクを予定通り配っているという話で、新しいマスクを発注したわけでは無いんだよね〉などと反論しているが、報道には、〈全戸向けの配布が完了した2日後の6月22日にも、伊藤忠商事など9業者に計約5800万枚を発注〉とある。ようするに、政府は、国民からさんざん批判を浴びたあとに、あり得ない枚数をあらためて発注しているのである。
 あれだけ国民から「いらない」「役立たず」と拒絶された上、コメントにもあったように介護施設や保育所で求められている物資や支援はほかにある。そうしたニーズを汲み取って、フレキシブルに対応するのは当然のこと。それを「一度決めたからには引き下がれない」というのは、日本軍が無謀と言われながら決行させたインパール作戦と同じようなものではないか。状況がまるで違う3月に決めたとおりのまま布マスクを配布しつづけようというのは「無能」と呼ぶほかなく、そのことに多くの人は怒りを覚えているのだ。
 しかも、配布先である介護施設は重症化リスクの高い高齢者のための施設であり、そこに“布マスク”を配布するというのはリスクを高めるような愚行以外のなにものでもない。実際、聖路加国際大学の大西一成准教授が「アベノマスク」と顔面のすきまなどから出入りする空気中の粒子の「漏れ率」を調査した結果、漏れ率は100%だったことが判明している(朝日新聞7月6日付)。
 こう言うと、「布マスクはWHOも推奨している」と反論する者もいるかもしれないが、WHOは〈布マスクは、それぞれ異なる材質で最低3層の構造にすることが望ましい〉(時事通信6月6日付)としており、一方の「アベノマスク」は1枚のガーゼを折りたたんで15重にしたもの。異なる素材になっていないのだ。くわえて、WHOは〈流行地では60歳以上や持病がある人の場合、医療用マスクを着用することを勧告〉している。つまり、介護施設には「アベノマスク」を配るのではなく、サージカルマスクや医療用ガウン、フェイスシールド、消毒用品など必要なものを支援すべきなのだ。
 いや、それどころか、前述したようにこの介護施設や保育所向けの布マスクは〈素材や形状もアベノマスクと同じ〉だというが、回収騒ぎとなった妊婦向けのほか、全戸配布の「アベノマスク」でも「ゴミがついていた」「虫が混入していた」という報告が多数ある。実際、“チームバチスタシリーズ”で知られ、医師でもある作家の海堂尊氏も〈我が家の「アベノマスク」には小昆虫らしきものがいました〉と報告し、〈医療従事者として市民のみなさんに「健康を守るために言えるアドバイス」としては「アベノマスクは絶対に着用すべからず」ということです〉と警鐘を鳴らしていた。
「アベノマスク」に虫やゴミの混入、カビの付着があったことは厚労省も認めていることで、だからこそ4月23日に布マスクを納入した興和、伊藤忠商事は未配布分の回収を発表。妊婦・介護施設など向けの分と合わせて約8億円をかけて検品作業をおこなう、と政府は発表していた。だが、結局、こうして国民の手元に虫入りの「アベノマスク」が届いていることを考えれば、今後配布分でもまた同じことが繰り返される可能性がある。
菅官房長官と厚労省はまたぞろ「布マスク配布でマスクの需要抑制」の嘘弁明!
 感染が再び拡大しつつあるなか、リスクの高い介護施設で、いまだに布マスクを洗って繰り返し使えと迫るとは一体どういうことなのか。
 実は、今回、政府はまたぞろあの論理を持ち出して正当化している。厚労省は朝日の取材に8000万枚配布の理由として「必ずしもまだ十分マスクが行き渡っていると言い切れない状況の中で、布マスクを配ることで需要を抑制する効果は十分認められる」などと説明し、菅義偉官房長官も今朝の会見でこう語った。
「布マスクは繰り返し利用できることから相対的に安価で、マスク需要の抑制に資する」
 これは「アベノマスク」の批判に対して、安倍首相が「いままでたまっていた在庫もずいぶん出て、価格も下がった」などと繰り返しアピールしたのと、まったく同じ主張だ。
 しかし、この主張を検証した毎日新聞5月15日付記事では、流通アナリストの渡辺広明氏が「布マスクの配布は、市中のマスクの流通や価格には関係ありません」は断言し、マスク卸業者も「布マスク配布と値下がりは関係ない」と述べている。というか、そもそも現在、市中でマスクはすぐに手に入るようになっており、布マスクである必要はみじんもない。
 にもかかわらず、政府や厚労省がまだこの「布マスク配布」にこだわり、巨額の税金を使って8000万枚を配布しようという愚策を強行する理由はただひとつ。布マスク配布が安倍首相が固執したものであり、それを途中で中止するというのは、安倍首相のメンツに傷がつく──官邸も厚労省もそのことを忖度して誰も止められないのである。
 安倍政権は無能であるだけではなく、「Go To」と同様、国民の健康と安全などハナから無視しているからこそ、このような愚策を平気でつづけられるのだ。そのことに、国民はもっと怒らなくてはいけない。批判コメントにもあったように、「コロナより政府に殺される」かもしれないのだから。


安倍首相の説明責任 指揮官の顔が見えない
 新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらない。重症者が少なく、医療体制も逼迫(ひっぱく)していないとはいえ、新規感染者数が緊急事態宣言下の4月より増えていく状況に、国民の不安は膨らむ。
 ところが、安倍晋三首相は国会の閉会中審査への出席にも、記者会見にも1カ月以上応じず、記者団の前に数分間立ち止まり、コメントするだけだ。それも感染予防の行動の徹底を要請する一方的な発信だけで、多くの人の心配が和らぐだろうか。感染症対策という国家の危機管理を指揮するトップリーダーの気概と姿勢が問われている。
 この間、コロナを巡る情勢は一変した。7月に入り、東京都を中心に新規感染者が増え、現在は大阪、愛知、福岡といった大都市部だけでなく、その他の府県でも1日当たりで過去最多、緊急事態宣言解除後最多の更新が相次ぐ。もはや「圧倒的に東京問題」(菅義偉官房長官)と言っていられない段階に進んだ。
 とりわけ、政権が説明責任を果たさなければならないのは、前倒しでスタートさせた観光支援事業の「Go To トラベル」だ。感染が広がるさなかに、人の移動を活発化させる施策に、地方への拡散を警戒する自治体や野党から異論が出たにもかかわらず、開始にこだわった。キャンセル料の扱いも迷走、業者への説明会も直前となるなど、制度設計も生煮えのまま、見切り発車させたのである。
 さすがに、小池百合子知事が不要不急の外出自粛を呼び掛けた東京を6日前に除外したものの、首都圏や大阪などでも感染が再拡大している中で、県境をまたぐ旅行を奨励するかのような大がかりな事業をやらなければならなかったのか。
 東京を外す措置で十分とした理由も説明を尽くしたとは言い難く、控えるよう求めた若者や高齢者の団体旅行の線引きもあいまいだ。国会論議を“素通り”させた点も含め、1兆3500億円の巨額の公費を投入するという「自覚」が政権には感じられない。
 安倍首相は22日の新型コロナウイルス感染症対策本部で「十分に警戒すべき状況」としつつも、検査体制の拡充や医療提供体制の整備、主に若い世代の感染拡大で重症者が少ないことを挙げ、「4月の緊急事態宣言時とは大きく状況が異なっている」と述べた。
 しかし、全国で連日数百人規模の感染が続く事態がいずれは収束するのか、国民は疑問を抱いている。現時点で人の移動を抑える必要がないと判断する医学的根拠、「夜の街」「会食」「職場」「家庭内」とくくるだけでなく、感染が生じた具体的な環境や防止策、このまま感染増が抑制されない場合の病院や隔離施設の見通しなどについて、十分な情報開示がいまこそ求められている。
 西村康稔経済再生担当相や菅氏、知事に任せるばかりではなく、首相が節目で率先してリスクコミュニケーションをとることが欠かせない。6月の会見で「できる限り制限的でない手法で、感染リスクをコントロールしながら、しっかりと経済を回していく」と表明したのならば、現状は感染を制御できているのかを語るべきだ。
 これまでもさまざまな不祥事の説明から逃げてきた安倍政権。最高指揮官の顔が見えなければ、国民に安心を与えることはできない。(共同通信・橋詰邦弘)


BBCの英首相会見で痛感、日本メディアの情けなさ
欧米の健全なジャーナリズムが羨ましい、それに引き換え日本は
 日本の大手メディア(新聞、テレビ)が政治家の疑惑追及に消極的なのは、国民が常々不満に思っていることである。政府・安倍首相の森友・加計問題、桜を見る会疑惑、小池都知事の学歴詐称疑惑などが、メディアのこうした姿勢のために、今も野放し状態だ。メディアの機能不全は、民主主義の根幹にもかかわる重大な問題である。
 筆者は英国に住んで32年になるが、欧米メディアの政治家に対する妥協のない報道姿勢を見るにつけ、日本のメディアの根本的改革の必要性を痛感させられる。
 7月24日の英国の公共メディアBBCによるボリス・ジョンソン首相の単独インタビューもそうした思いをあらためて強くするものだった。
 首相をインタビューしたのは、ポリティカル・エディター(政治部長的職位)のローラ・キューエンスバーグ氏(女性)。
 13分半のインタビューの冒頭は、「新型コロナ問題に関して、あなたは何を間違えたと思いますか?」という質問で始まっている。
 これに対して首相は「政府は最初の2、3週間ないしは2、3カ月、新型コロナのことを十分に理解していなかったと思う。特に無症状でうつるという点に関して」と認めた。これは「政府は適切な時期に適切な対策をとってきた」という従来の姿勢からの転換だった。
 キューエンスバーグ氏が「理解が十分でなかったので、対策が遅かったということですね?」と問うと、首相は「人々が求めているのは次の段階の準備のために今何をするかだ。過去のことではない」と話題を変えようとした。
 キューエンスバーグ氏は「人々は何が起きたか知りたがっている。4万5000人が亡くなっているのですよ。何が間違いだったと思いますか?」と反論し、「新型コロナのことを当初は十分に理解できなかったというのはよく分かります。しかし、あなたは最初から事態を十分真剣に受け取りましたか? 3月3、5、7、9日、あなたは人々と握手をしていますね。しかし、その時点で政府はそういうことをするなと人々にアドバイスをしていました」とたたみかける。
 首相は「いや、それは当時の政府のアドバイスではない」と逃げようとしたが、キューエンスバーグ氏は「政府は3月3日にそうアドバイスしています」と指摘する。
 この後も「大事なことは今後について話すことだ」と言う首相と、「そのためにこそ、何が間違いだったかを明らかにすべきだ。ロックダウンはtoo lateだったと後悔していないか?」と言うキューエンスバーグ氏の応酬が繰り返される。
 苛立った首相は「あなたはインクワイアリー(第三者調査)をしようとしている」と不満を口にするが、キューエンスバーグ氏「政府は当初、集会も禁じなかったし、マスク着用も推奨しなかったし、地域における検査も実施しなかった。今後は速やかに対策を実行できるのか?」と譲らない。
 インタビュー半ばで高齢者介護施設への対応が話題となり、首相が介護施設に対する政府の種々の施策を説明し、キューエンスバーグ氏は「今後は従来とは違う(きちんとできる)ということですね?」と念を押している。
 その後、キューエンスバーグ氏が「(首相が新型コロナに感染したとき)死ぬと思いましたか?」と訊き、これは答えやすい質問だったせいか、首相の顏をごく一瞬笑みがよぎり、「自分自身もそうだが、太り過ぎが英国の問題の一つだ」と、結構長く喋った(首相は、健康に悪い食品のオンライン広告を禁止する等の太りすぎ対策を近々発表する予定)。
 終わりのほうに、「今、あなたの優先課題は何ですか?」と訊かれ、首相は新型コロナに限らずこれまで取り組んできた様々な国家的施策とともに、新型コロナによる不況対策、脱炭素化社会など、今後の目標も列挙した。ここは演説的だったが、首相の考えを視聴者も聞きたいだろうと思ったのか、キューエンスバーグ氏は遮らず、これでインタビューを終えている。
訊くべきことを訊く記者、ごまかさず懸命に答える首相
 この動画を観ると、英語が分からない人でも、両者が対等に話し合い、互いに言うべきことは言い、訊くべきことは訊き、首相もごまかさずに懸命に答えているのが分かるはずだ(それ以外にも、意見が対立したときの典型的な英国人の議論の仕方や、片手の拳を使って意思を表現するジョンソン首相の一風変わった話し方も見られて面白い)。
 なお英国の新型コロナ対策は、3月23日に法的強制力のあるロックダウンに踏み切り(違反すると最高で960ポンドの罰金)、同25日には新型コロナ関連法案である「2020年コロナウイルス法」が制定された。
 日本の「お願いベース」とは違う強制力のある政策で、4月には毎日5000人ほどいた新規の感染者数は、現在700人前後まで減り、日々の死者数は1000人前後から100人以下になった。PCR検査数は毎日10〜15万件と、日本の10倍程度が実施されている。
 経済対策も矢継ぎ早に実施しており、筆者のところにも政府からコロナで影響を受けた自営業者に対する補償の案内が届いた(日本のような金のバラまきはない)。
 6月15日には一般の商店が、7月4日には、レストラン、パブ、理髪店、映画館などの営業再開が認められた。
 バスや地下鉄内では、マスク着用が義務付けられ(時々守っていない人を見かける)、商店の中でもマスクを着用しないと、最大で100ポンドの罰金が科される。政府はこの冬にインフルエンザが流行して病院の新型コロナへの対応能力を圧迫しないよう、インフルエンザワクチンの接種を50歳以上の人などに無料で行う。BBCのキューエンスバーグ氏も首相とのインタビューの中で認めているが、前例がない難しさがあるのは事実で、そうした中では、今のところ、そこそこ手堅い対策を打ってきたのではないかという印象である。
記者クラブに安住し訊きやすいことだけ訊いているのだから読者離れも必然か
 話は戻って、英国では政治家が厳しい説明責任を負っていることは、一般人と政治家の討論会などを見ていても分かる。以前、トニー・ブレア首相がテレビ番組で、一般の参加者から「英国が核兵器を持っているのは、核廃絶の流れに反しているじゃないか」ともっともな指摘をされ、「いや、我々は戦争目的では核を使用しないのです」と、若干苦しい言い訳を必死の形相でしていたのを観たことがある。
 2003年のイラク戦争に関しては、日本のNHKに類似した公共メディアのBBCが、45分以内に配備できる大量破壊兵器をイラクが保持しているという確かな情報を政府が持たないまま、イラク攻撃に踏み切ったとすっぱ抜き、政府と大激論になった。このときは、「タイムズ」や「ガーディアン」などの全国紙も、事件を連日大きく報道した。
 ところが日本の政治家の記者会見やインタビューでは、政治家が訊かれたくない質問をするのは、記者クラブに属していないメディアの記者やフリーの記者だけと言っても過言ではない。記者クラブに所属している大手メディアのサラリーマン記者は、政治家のご機嫌を取り、時々、政治家からちょっとした情報をもらえれば、バッテンも付かず、結構な給料ももらえるという居心地のよい地位に安住し、真実を追求し、権力の暴走を阻止するという最も重要な役割を放棄している。
 そうした態度は政治家につけ込まれる原因にもなる。石井妙子著『女帝 小池百合子』には、小池都知事が、自分を好意的に報じるメディアに優先的に情報を与えて、他社に恥をかかせ、自分に否定的な報道ができないようコントロールしていることが書かれている。学校の授業で、「新聞は社会の木鐸(ぼくたく)」と習ったが、日本ではまったく絵に描いた餅に終わっているのである。
 ただし、大手のメディアでも例外はある。東京新聞の望月衣塑子記者は、内閣官房長官の会見で、加計学園問題やジャーナリスト伊藤詩織さんの加害者に対する逮捕状の問題などに関し、積極的な質問を繰り返したし、かつてNHKの「クローズアップ現代」では国谷裕子キャスターが、当時の石原慎太郎都知事に新銀行東京の問題について突っ込んだ質問をし、石原氏が不機嫌になっても、追及の手を緩めなかった。
 最近では、小池氏が都知事に再選された直後に、テレビ東京系の報道番組などで池上彰氏が「コロナ対策で連日記者会見をしたのが結果的に選挙運動になったのではないか?」「東京でコロナ感染者が4日連続で100人を超えているが、知事としての責任をどう考えているか?」「新しいモニタリング指標を作成したのは、選挙期間中に新たに休業要請を出したくなかったからではないか?」「『女帝 小池百合子』を読んだか?」「4年間の任期を全うするのか?」といった質問をずばずばとした。
 このように日本のメディアでもやろうと思えば、やれるのである。できていない原因の一つは、すでに述べた記者クラブ所属の大手メディアの「小サラリーマン的」な姿勢である。
 日本の政治家は、厳しい質問に対して、ごまかしたりはぐらかしたりするので、その手の質問をしても話が噛み合わず、字(記事)になりにくい。真実を追求するより、「字になる」小ネタを聞き出すことに熱心な大手メディアの記者たちの中には、望月記者やフリーの記者の態度を冷笑する者も少なくない。これに対して、欧米のメディアは「字にならない」質問を何人もの記者が繰り出すことによって、政治家に非を認めさせ、権力の暴走を阻止する。EBRD(欧州復興開発銀行)の経費を濫用し、恣意的な運営を行っていた同行総裁ジャック・アタリを1993年に辞任に追い込んだのは、英仏を中心とするメディアの追及だった。
 1974年に「文藝春秋」誌に『田中角栄研究―その金脈と人脈』を発表し、田中首相を退陣に追い込んだジャーナリストの立花隆氏は近著『知の旅は終わらない』の中で、記事を発表したとき、真っ先に駆け付けたのは「ワシントン・ポスト」や「ニューズウィーク」など外国メディアで、日本の新聞記者の多くは「あんなことはオレたちは前からみんな知っていたんだ」とうそぶくだけだったと書いている。
 大手メディアの記者の中にも、能力があり、やる気のある記者はかなりいる。彼らが力を発揮できていないのは、第一にメディアの経営者の問題であり、第二に取材や記事の方向性を決める現場のデスクの問題である。もう一つ指摘したいのは、そうした消極的なメディア文化の温床になり、政治家との癒着の原因にもなる記者クラブの存在だ。こういうものは解散するか、少なくとも会見での質問者は政治家が指名するのではなく、クラブに所属していないメディアやフリーの記者を含め、くじ引きか順番制にすべきだろう。
 最近は、新聞の発行部数が減り、テレビも視聴率が下がって斜陽産業だという嘆きをよく耳にする。しかし、それは国民が知りたいことを伝える努力をしていないことも一因だ。メディア各社は、望月記者やフリーランスの記者を冷笑するような自分たちの姿勢が、権力者をつけ上がらせ、読者からの信頼も失わせ、自分たちの価値を下げていることを認識すべきである。


九州南部梅雨明け 真夏日に
九州南部は高気圧に覆われておおむね晴れて各地で真夏日となり、鹿児島地方気象台は、28日午前、「九州南部が梅雨明けしたとみられる」と発表しました。
平年より2週間遅く、記録を取り始めてから3番目に遅くなっています。
鹿児島地方気象台によりますと、九州南部は高気圧に覆われておおむね晴れ、日中の最高気温は鹿児島市で34.1度、肝付町前田と天城町で33.4度、薩摩川内市中郷で32.9度と各地で真夏日となりました。
この先1週間も晴れる日が多くなると予想されることから、鹿児島地方気象台は28日午前11時、「九州南部が梅雨明けしたとみられる」と発表しました。
九州南部の梅雨明けは、平年より2週間、去年より4日、それぞれ遅くなっていて、昭和26年に記録を取り始めてから、梅雨明けが特定できなかった平成5年を除き、3番目に遅くなっています。
期間中の総雨量も鹿児島市で1525ミリと平年の梅雨の2倍余りに達し、各地で雨の多い梅雨となりました。
県内は、29日も気温が上がる見込みで、日中の最高気温は鹿児島市で34度、鹿屋市で33度、枕崎市と奄美市名瀬で32度と各地で厳しい暑さが予想されていることから気象台は熱中症への注意を呼びかけています。