ブログネタ
フランス語 に参加中!
マイク200621-5

De "Manhattan" à Hiroshima, la course à la bombe atomique
Les bombardements de Hiroshima et Nagasaki il y a 75 ans sont le résultat de six années d'efforts des scientifiques américains et de plusieurs pays alliés pour fabriquer dans le plus grand secret les premières bombes atomiques. Rappel de six années de course à la bombe A.
- Mise en garde d'Einstein -
En 1939, Albert Einstein avertit Franklin D. Roosevelt de l'importance d'un nouveau processus, la fission nucléaire, découvert par le chimiste allemand Otto Hahn, qui peut déboucher sur la fabrication "de bombes d'un nouveau type d'une très grande puissance". Roosevelt constitue un Comité consultatif de l'uranium.
- Pearl Harbor -
Le 7 décembre 1941, l'aviation japonaise détruit une partie de la flotte américaine à Pearl Harbor, sans déclaration de guerre. Les Etats-Unis entrent dans la Seconde Guerre mondiale.
- Début du projet "Manhattan" -
En août 1942, les Etats-Unis lancent en secret le projet "Manhattan" pour développer une bombe atomique, approuvé dès 1941, avant l'entrée en guerre des Etats-Unis. Ils y consacrent deux milliards de dollars.
Début 1943, Robert Oppenheimer devient directeur du laboratoire secret de Los Alamos (Nouveau-Mexique) chargé de conduire "Manhattan", qui rassemblera les meilleurs physiciens américains et britanniques, ainsi que des scientifiques de divers pays européens qui ont fui le nazisme.
- Liste de cibles potentielles -
Au printemps 1944, les Américains établissent une liste d'une dizaine de villes japonaises, cibles potentielles du premier bombardement atomique, avec en tête la septième cité du Japon, Hiroshima. Kyoto a été écartée à cause de son importance historique et culturelle.
- Bombes conventionnelles -
En mars 1945, l'aviation américaine bombarde massivement Tokyo et plusieurs grandes villes japonaises avec des bombes conventionnelles, faisant quelque 100.000 morts dans la capitale impériale.
- Bataille d'Okinawa -
Le 1er avril débute la bataille d'Okinawa, qui fera plus de 200.000 morts civils et militaires côté japonais en trois mois, et près de 20.000 tués parmi les soldats américains. Okinawa servira d'argument aux autorités américaines pour justifier l'usage de la bombe atomique face au jusqu'au-boutisme nippon.
Le 12 avril Roosevelt décède. Harry Truman devient président des Etats-Unis. Il est aussitôt informé du projet Manhattan.
- Capitulation allemande -
Le 8 mai, la capitulation allemande marque la fin de la guerre en Europe. Mais les combats se poursuivent en Asie et dans le Pacifique.
- Premier essai américain -
Entre mai et juillet, des éléments de deux bombes atomiques sont acheminés vers la base américaine de Tinian (archipel des Mariannes), d'où décollera le bombardier forteresse B-29 chargé de les larguer sur le Japon.
Le 16 juillet, à 05H30, les Américains testent leur première bombe atomique lors de l'essai "Trinity" à Alamogordo (désert du Nouveau-Mexique), signant le début de l'ère nucléaire.
Le 25 juillet, Harry Truman approuve le bombardement atomique du Japon.
- Ultimatum allié -
Le 26 juillet, à l'issue de la conférence de Potsdam, les alliés somment le Japon de se rendre sans condition, faute de quoi le pays subira "une destruction rapide et totale".
Le Japon décide d'"ignorer" l'ultimatum.
- Hiroshima et Nagasaki -
Le 6 août, à 08H15, l'aviation américaine largue une bombe atomique de 4,5 tonnes sur Hiroshima, dont le bilan à la fin 1945 sera de 140.000 morts. Truman déclare que si les chefs japonais n'acceptent pas les conditions de la déclaration de Postdam, "ils peuvent s'attendre à une pluie de destructions venant des airs comme on n'en a jamais vu sur cette terre".
Le 8 août, l'Union soviétique déclare la guerre au Japon.
Le 9 août, à 11H02, une seconde bombe atomique américaine explose au-dessus de Nagasaki, faisant 74.000 morts le jour même et jusque fin 1945.
Le 15 août, le Japon capitule et passera peu après sous tutelle américaine. Les Américains accepteront de maintenir l'empereur Hirohito sur le trône.
- Première bombe soviétique -
Le 29 août 1949, quatre ans après Hiroshima, l'URSS fait exploser sa première bombe nucléaire au Kazakhstan et devient le deuxième Etat doté de l'arme atomique.
にほんブログ村 外国語ブログ フランス語へ
フランス語の勉強?
巨人の星 「飛雄馬への予告」
大リーグボールは一徹の秘策でド真ん中の絶好球と化し死を迎えた。『壮絶な父と子の戦い。大リーグボール遂に死す!』『その陰に謎を秘める背番号84』『巨人軍・星選手、オールスター出場辞退か?』新聞各社の飛雄馬を巡る報道が加熱する! 星飛雄馬:古谷徹 星一徹:加藤精三 星明子:白石冬美 花形満:井上真樹夫 伴宙太:八奈見乗児 左門豊作:兼本新吾 他
【連続テレビ小説】エール(32)「夢の新婚生活」
契約から半年。裕一(窪田正孝)の曲は、作っても作っても採用されず、「契約金は印税の前払い金で、曲が売れないと全額返さなければならない」という話を同期の木枯(野田洋二郎)から聞いた裕一は浮かない顔。一方、音楽学校で学生生活をスタートさせた音(二階堂ふみ)は、夢に向かってはりきっていた。ある日、オペラ実習の授業中、教室の後方から上級生のプリンス(山崎育三郎)が声をかけてくる…。 窪田正孝,二階堂ふみ,野田洋次郎,仲里依紗,野間口徹,山崎育三郎,小南満佑子,加弥乃,清水葉月,金澤美穂,高田聖子, 津田健次郎 清水友佳子 瀬川英史
アルプスの少女ハイジ(第17話)
二人のお客さま◇スイスアルプスの大自然の中での暮らしを通じ、少女ハイジの成長と、ハイジをとりまく人々の触れ合いを描く感動作! 杉山佳寿子 宮内幸平 小原乃梨子 ほか
きょうの料理 夏野菜のとっておきおかず「きゅうりと豚肉のスタミナ炒め」
旬の夏野菜をたっぷり使った“とっておきのおかず”を特集。2日目は井澤由美子さんに、夏野菜の“うまみ”や“甘み”を損なわない、手軽にできるレシピを教わる。
「きゅうりと豚肉のスタミナ炒め」は炒めたきゅうりの食感を味わう。きゅうりはしまむきにしてから切ると、味が入りやすく口当たりも良くなる。「ゴーヤーと鶏もものしょうが蒸し」は塩こうじをもみ込んだ鶏肉のうまみと、とうもろこしの甘み、しょうがの風味プラスして仕上げる。ゴーヤーの苦みは蒸すことでやわらぐ。「ピーマンなめろう」は漁師料理をつくりやすくアレンジ。ごま油の香味を加えるとご飯にも合うおかずになる。 井澤由美子, 原大策

きょうの料理ビギナーズ「サッとつくれる 肉の煮物 鶏もも肉の甘酢煮」
暑い夏に食べたくなるさっぱりとした和食を紹介するシリーズ。2日目は「鶏もも肉の甘酢煮」と「豚肉とオクラのサッと煮」を作る。
「鶏もも肉の甘酢煮」では焼いた鶏肉に調味料をよくなじませてから煮る。すっきりとした甘辛味がミニトマトでうまみアップ。「豚肉とオクラのサッと煮」は豚肉のうまみがオクラとしめじになじんで美味。手軽なのに食べ応えのある煮物。 佐久間レイ

趣味どきっ! 人と暮らしと、台所「有元葉子〜流れるように、よどみなく〜」
毎日の暮らしに欠かせない台所。人の胃袋と心を満たす食べもの、それを作るための大切な場所。達人たちの知恵と工夫を美しい映像と言葉で紡ぐ。あなたにとって台所とは?
料理研究家・有元葉子さんの自宅の台所は、ご自身の姿を映し出すかのように、凛として潔く、清潔感にあふれている。食材の下処理から調理、片づけまで、逆算して準備すれば、どんな作業も無駄なく、流れるように進むという。一方、100年以上昔の道具もしまい込まず使い切る有元さん。そのメリハリのきいた台所仕事の極意とは?今回、女優・麻生久美子が声の出演。台所の達人たちに呼びかけながら、知恵と工夫をたっぷり伝える。 料理研究家…有元葉子, 麻生久美子

まる得マガジン “生活トレ”で快適ボディー(2)▽シャキッと立つ ピシッと座る
忙しい人、運動が苦手な人も暮らしの中で実践できる「生活トレ」を筋肉体操の指導者、谷本道哉さんが伝授!今回は立つ、座るを意識して悪い姿勢を簡単にリセットする運動。
着替えも器具も不要!忙しい人、運動が苦手な人も暮らしの中で実践できる「生活トレ」を筋肉体操の指導者、谷本道哉さんが伝授する。今回は、立つ、座るを意識して悪い姿勢を簡単にリセットするトレーニング。体全体を反らして正しい姿勢を作った後、「今でしょ」のポーズで立ち姿勢のリセット、骨盤を前後に傾けて座り姿勢のリセットを行うトレーニングを紹介。 近畿大学生物理工学部准教授…谷本道哉, 三船美佳, 斎藤政直

なかのとおる@handainakano
大阪のワイドショーでの府知事発言。イソジンの生産ラインを増やすことを政府に話をつけている、ってホンマですか。
府民としても国民としても情けないわ、もう
ドヤ顔の記者会見見てたら、愉快犯みたいな気すらしてきます。
「ポビドンヨードが新型コロナに特別有効かは医療関係者の間からも疑念の声があるのが現状。殺菌消毒作用のあるポビドンヨードでうがいをしたなら口や喉のウイルスが減るのは当たり前で、…」

宮城県新型コロナウイルス情報@MiyagiCorona
大阪府からのコロナに対するポビドンヨードうがいが話題になり買い占められているようですが、分かったのは感染者の陽性率減少だけで、まだ感染予防効果も重症化抑制効果も症状改善効果も感染力軽減効果も分かっていません。また、PCRや抗原検査前にヨードでうがいされると偽陰性となる恐れがあります

冷蔵庫の牛乳が賞味期限過ぎてました.「そんなの関係ない」って感じで飲みました.
今日もテレワークではなく出勤.テです.
トイレが近いのは牛乳かも.注意されたのを無視してのんでしまったことを反省です.
人員削減の可能性があるよ,というメール.直接には私に関係ないとしても嫌です.
帰宅すると速達が届いていました.
豚の角煮をコーラで作ったそうです.うーん,おいしくないとは言いにくいなぁ.

児童の願い短冊に込め 七夕飾り校内に展示 仙台市内小学校
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い中止になった仙台七夕まつり(6〜8日)の伝統をつなごうと、仙台市内の小学校では児童が飾り作りに取り組んでいる。
 青葉区の宮城教育大付属小(児童706人)では3日、3年生の4クラスが作った長さ約2メートルの吹き流しを昇降口につり下げた。同大付属特別支援学校からの3本と合わせ、計7本が校舎を彩った。
 同校は毎年、3年生が七夕の歴史や飾りの作り方を学んだ後、一番町四丁目商店街に飾る吹き流しを制作する。まつりは中止になったが、飾り作りは続けようと、今年は西城潔校長(58)が自宅近くの山で伐採した竹を持ち込んだ。
 沢風光輝君(9)は「新型コロナに負けずに命をつなぐことを祈り、人々の笑顔をあんどんに描いた」と説明。吉田咲生さん(8)も「仲間と気持ちを込めて作ったので家族にも見てほしい」と話した。
 仙台七夕まつり協賛会は子どもに七夕の雰囲気を感じてもらおうと、短冊と短冊を貼る竹飾りのポスター、ミニ飾りのキットを希望する124の小学校に届けた。
 青葉区の木町通小(児童478人)の1年2組は、7月29日の授業で短冊作りに挑戦した。西塚悠起君(6)が願ったのは新型コロナの収束。「コロナがなくなったら家族と新幹線に乗ってお出掛けしたい」と話した。
 「えいごがぺらぺらになりますように」と記した金野楓さん(7)は「七夕まつりがなくて寂しいけど、願いを書いたから勉強を頑張ろうと思う」と意気込んだ。


<ふくしまの10年・雪が落とした災い>(6)水や原乳が…集団で避難
 二〇一一年三月十五日からの雨や雪で、飯舘村全体に放射能汚染が広がった。簡易水道の水や、重要な産物である原乳から基準値(当時の暫定基準は三〇〇ベクレル/キログラム)を大幅に上回る放射性ヨウ素が検出されるなど、一週間もしないうちに実害が出てきた。
 村は水道水だけでなく、井戸水や沢水も含め飲まないよう呼び掛けるとともに、職員が各戸にペットボトル入りの水を一人当たり十リットル配達するなど対応に追われた。
 首都圏などに自家用車で避難する村民もいた。移動手段はないが避難したい村民もおり、村は国の避難指示に基づかない「集団自主避難」を計画。十九、二十両日、村外から受け入れた避難者も含め計五百九人を、自衛隊のバスと村のスクールバスで栃木県鹿沼市の鹿沼総合体育館に避難させた。
 緊張が高まる中、県は二十二、二十三両日に村民千三百三十人に表面汚染検査を実施し、全員「異常なし」と判定された。
 さらに二十九、三十両日には、十五歳未満の子どもを対象とした簡易の甲状腺検査も実施された。頭や手などの表面汚染をチェックした後、役場内で最も放射線量が低い議場内で、のど付近にセンサーを当てて値の変化をみる。
 現場を取材した写真家の豊田直巳さん(64)は「子どもたちはマスクをし、整然と並んでいた。受診した約六百人は異常なしとされたが、あんな検査で本当に分かるのか、が正直な感想だ」と話した。


女川原発の宮城検討会/県民の不安は残ったままだ
 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の安全性を検証する宮城県の有識者検討会が、報告文書を村井嘉浩知事に提出した。2014年11月に始まった議論が5年8カ月で終わった。
 東日本大震災で被災した原発の安全性をどう評価するのか。大きな命題を背負った組織だったが、発足当初に掲げた県民の安心、安全を確保するという目的を果たしたとは言い難い。
 報告文書で、東北電に安全対策に新たな知見を反映し県民に丁寧な説明をすることや、重大事故を想定し更新した設備を確実に運用することを求めた。国に対しては工事計画の認可に際し施設の健全性を考慮した審査を、県には空間放射線量のモニタリング結果を速やかに分かりやすく県民に伝えるよう要望した。
 検討会の議論は、今年2月に2号機を新規制基準の適合性審査で合格とした国の原子力規制委員会と並行して進んだ。議論の大半は規制委の審査内容の説明に費やされたとの指摘がある。再稼働の是非には言及しなかった。
 同じ原発の安全性を議論するのだから、規制委と中身が重なることはあろう。再稼働の是非に触れないことも、発足時に県が「議論するのは再稼働の是非ではない」と述べていたので予想はできた。
 ただ出発点に立ち返って考えたいのは、規制委があるのに、なぜ県が検討会をつくって審査をする必要があったのかだ。
 規制委は原発の安全性について厳密に議論するが、地域住民の命を守るという観点に乏しい。検討会は県民の立場に立って意見を交わすことが求められたはずだ。
 その点で「防災面は扱わない」として、重大事故の際の広域避難計画を対象外としたのは納得しかねる。
 計画は原発から30キロ圏内の7市町が策定している。計約19万9000人が対象となる緊急時の大移動だが、立地自治体の住民からは「交通渋滞で30キロ圏を脱出できない」などと疑問の声が出ていた。
 河北新報社が今年3月に行った宮城県民アンケートでは、避難計画が「どちらかといえば不十分」「不十分」は合わせて6割に上った。
 検討会は東京電力福島第1原発事故の教訓も踏まえ、避難計画の妥当性について評価する責務があった。
 県が今月1日に始めた再稼働を巡る住民説明会で、避難計画の実効性に批判が集中していることからも明らかだ。
 検討会の報告文書は、県が再稼働に同意するかどうかの重要な資料になる。同意手続きの一環の住民説明会は19日までの予定だ。9月には県議会定例会も予定されている。
 再稼働の判断に向けた大きなヤマ場を迎えることが予想される。しかし、このまま県民の不安を置き去りにしたまま突き進むことがあってはならない。


核燃料再処理工場「合格」 破綻した政策、撤退急げ
 破綻は何年も前から明らかになっているのに、国はいつまで固執し続けるつもりだろうか。
 核燃料サイクル政策の要となる、使用済み核燃料の再処理工場である。日本原燃が青森県六ケ所村で建設を進めており、それを原子力規制委員会が審査して「合格」と正式に判断した。
 ただ、あくまでも安全対策が国の新たな規制基準に適合していると、技術面で審査したにすぎない。総合的に考えると、どうなるのか。前委員長の田中俊一氏の指摘が参考になる。「核燃料サイクルは、必要性も技術もないなどの問題を踏まえると、現実的には不可能だ」
 今後、無理して道なき道を進めば失うことが多かろう。国は核燃料サイクルの破綻を直視して、撤退の道を探ることこそ急ぐべきである。
 サイクルが完成すれば核燃料を繰り返し利用でき、資源小国の日本のエネルギー自給につながる―。そんな夢を以前は描いていた。しかし再処理して取り出したプルトニウムを大量に使うはずの高速増殖炉もんじゅは深刻な事故が相次ぎ、2016年に廃炉が決まった。研究段階の増殖炉ですら失敗したのだから、しょせんは実現しえない夢だった。固執し続けている先進国は他にフランスぐらいだ。
 もんじゅの破綻で、国は代わりに通常の原発で燃やすプルサーマル計画にかじを切った。しかし東京電力福島第1原発事故の影響で原発への不信感が高まり、再稼働は進んではいない。
 日本はプルトニウムを国内外に約46トン保有している。核兵器にも転用でき、原爆6千発分に当たる量になるという。
 到底使い切れまい。しかも再処理すればするほど、プルトニウムは増えていく。そんなにため込んで何をするつもりかなどと、国際的な懸念をさらに強めかねない。
 コストの面でも問題だ。再処理工場を稼働すれば、総事業費は14兆円近くになるという。不要な金食い虫なら、なぜすっぱりやめる決断ができないか―。
 一つは六ケ所村や青森県との関係という。再処理しないなら持ち込んだ核燃料を県外に搬出する―と約束したからだ。
 電力会社の経営を守るため、との見方もある。使用済み核燃料は今、「資源」として計上しているが、再処理をしないことになれば「ごみ」つまり負債になる。それを避けようと、国は再処理にストップをかけられない、というわけだ。
 そのツケを電気料金として回されるのは国民だ。からくりに気付いて声を上げる政治家もいる。河野太郎防衛相がかつて自身のブログに書いている。「凍結すれば国民負担は4兆円で済むところを、ひとたび稼働させると十数兆円に膨れ上がる…」
 背景として、再処理工場が本当に必要かという議論が極めていいかげんに行われてきたことを指摘している。要は、国の怠慢を政治が見逃してきたのだろう。この状態がいつまでも続くようではいけまい。
 規制委の今回の判断を受け、田中前委員長が原子力行政を批判している。「最もいけないのは、現実に合わない政策を正すことが全然できないことだ」
 もんじゅ廃炉決定の時にサイクルも断念すべきだった。時機を再び逸してはならない。決断は政治の責任である。


伊方定検再開容認 運転見通せず 原発必要性議論を
 四国電力伊方原発で1月に重大トラブルが続発した問題で、中村時広知事は四電の長井啓介社長と面会し、安全性の向上や県民の信頼回復など7項目を要請した上で、中断している伊方3号機の定期検査の再開を認めた。長井社長は要請を受け入れ準備が整い次第、定検の作業を始める考えを示した。
 一連のトラブルを巡る対応に一区切りついた格好だが、四電が目指す早期の運転再開には高いハードルが残る。伊方3号機は、広島高裁が1月に運転を差し止める仮処分決定を下しており、司法決着は先が見えない。新規制基準で義務付けられたテロ対策施設の完成は来年3月の設置期限から1年程度遅れる見通しとなっている。こうした状況下で、定検の再開を急ぐ必要性には疑問を禁じ得ない。
 トラブルは、核分裂反応を抑える制御棒を誤って引き抜いたほか、電源喪失で核燃料プールの冷却が一時止まるなど、伊方原発の安全性や信頼性を揺るがすものだった。住民の不安や不信感は強く、四電は定検再開の際には県と伊方町の同意を得る考えを示していた。
 最も深刻とされた制御棒の引き抜きは、四電の報告書で1次冷却水に含まれる鉄の酸化物が機器に詰まって起きたと推定されているが、はっきりした原因は分かっていない。県は要請の中で、酸化物の発生メカニズムなどの調査・研究を続けるよう求めた。推定に基づく再発防止策では十分でないと自覚しておくべきだろう。
 ほかの要請では、安全文化の醸成、技術力の維持・向上といったソフト面での指摘が目立った。伊方原発は3号機1基体制となり、作業員らの意欲の低下やノウハウの継承は課題だ。原発に関する作業は、廃炉などで運転終了後も続く。放射性物質を扱う以上、安全に対する高い意識は欠かせない。四電は不断に組織体制や教育を見直す必要がある。そうした企業の姿勢が見えなければ、住民の信頼回復も望めまい。
 定検再開の容認を受け、四電は早期の運転再開に前のめりの姿勢を示す。しかし、運転差し止めの仮処分決定を不服として広島高裁に申し立てた異議審の日程は決まっていない。運転可否の判断の時期によっては、22年春ごろ予定のテロ対策施設完成まで運転できない状況が続くことになる。
 原発による電力の安定供給や経済性は揺らいでいる。四電管内では、伊方原発の停止で、供給の多くを火力発電で賄っているものの、最も需要が大きい夏場でも太陽光を中心とした再生可能エネルギーの普及拡大で、供給が逼迫(ひっぱく)する状況には陥っていない。今回の長期停止を契機として、原発に頼らない方向へかじを切るべきだ。
 県や伊方町の立場からも、安全性の確保にとどまらない提言が求められる。そのためには、原発の必要性に対する議論を深めることが大切だ。


7月豪雨1ヵ月 九州一丸で復興へ一歩を
 長い梅雨が明けると同時に各地を襲った猛暑、新型コロナウイルス感染再燃と近づく台風への警戒−。2020(令和2)年の夏は、私たちに負の記憶を刻もうとしている。
 九州をはじめ中部、東北地方などを襲った記録的豪雨で、最初の大雨特別警報が熊本、鹿児島両県に出されて、きょうで1カ月となった。気象庁が「令和2年7月豪雨」と名付けた大雨による水害は、日本列島に大きな傷痕を残し、改めて多くの教訓を突き付けている。
■コロナ対策で課題も
 いまだ消息不明の人たちの捜索も続き、被災者の疲労は日々色濃くなっている。官民一体で救護に全力を挙げ、復旧・復興への第一歩につなげたい。
 特に被害が甚大だった熊本県南部を歩くと、日中は肌を刺すような暑さが続いている。
 氾濫した球磨川沿いに張り付いたように見える人吉市の中心街は汚泥の跡が生々しい。温泉宿や川下りの船着き場も例外ではない。一角に設けられた災害廃棄物置き場では、防じんマスクを着けたボランティアらが飛沫(ひまつ)を飛ばさないように黙々と作業に取り組んでいる。
 球磨川をまたぐ鉄橋は、流木が線路を幅いっぱいにふさいだままだ。豪雨で不通となったJR肥薩線である。
 総務省消防庁によると今回の一連の豪雨で、浸水以上の住宅被害は全国34府県で計1万7800棟余に上る(3日現在)。うち熊本県は約8800棟(全半壊約580棟)、福岡県は約5千棟(同7棟)を数えた。死者は九州だけで70人を超す。
 コロナ禍に絡んで思わぬ事態も起きた。熊本県内の避難所で被災者に接した県外からの保健師がウイルスに感染していた。
 避難所での「密」状態を防ぐための方策は、パーティションの導入などが繰り返し呼び掛けられ、実現されてきた。ところが結果として、実際に被災者をケアする立場の人々への配慮が足りなかったと言えるだろう。
■行政の蓄積を生かせ
 被災地には災害派遣医療チーム(DMAT)や警察、消防、自衛隊、ボランティア、報道陣など多くの人が入っている。事前の検温など、それぞれの立場で可能な予防策を徹底したい。
 被害は農林、商工、観光業など多方面に及び、過去に例がないほど広域化もしている。コロナ禍のため県外ボランティアが入れないこともあり、支援のマンパワー不足が深刻だ。
 熊本県の被災地を7月中旬に視察した安倍晋三首相は「できることはすべてやる」と述べ、政府として4千億円超の予算を活用した対策パッケージを講じた。県は、住宅全壊世帯などに支援金を支給する被災者生活再建支援法を全域に適用した。
 阪神大震災(1995年)以降続発する自然災害で、行政には復旧や被災者ケアについて相当な知見が蓄積されている。それらをフル活用し、民間の力を取り入れる工夫も欠かせない。
 今回の豪雨は、積乱雲が次々発生し列をなす「線状降水帯」がもたらしたとみられる。九州豪雨(2017年)、西日本豪雨(18年)よりも積乱雲が大量かつ繰り返し発生した可能性がある。その源は海面水温の上昇で大量に発生する水蒸気だ。
 地球温暖化の影響で日本近海の水温も上がっていたとみられる。水蒸気は台風のエネルギー源でもある。警戒を怠れない。
 今回の被災地の復旧・復興は5〜10年単位の長期戦となる。熊本県は熊本地震から4年がたち、復興のめどが立って程なく7月の豪雨に見舞われた。大きな試練である。九州が一丸となって手厚い支援をしたい。
 生活再建に向けた動きも徐々に出てきた。同県球磨村で仮設住宅への入居が始まっている。被災する前より住みやすく、災害に強い地域を目指す「創造的復興」を進めたい。


九州豪雨1カ月 気象予測、避難の検証を
 熊本県南部を中心に九州に甚大な被害をもたらした豪雨から1カ月がたった。球磨川が氾濫して被害の大きかった同県球磨村では仮設住宅の入居が始まったが、被災家屋や施設の復旧はこれからだ。九州だけで70人超が犠牲になった今回のような被害が繰り返されないよう、気象予測や避難方法などに問題はなかったか、検証を進める必要がある。
 今回の豪雨には二つの特徴があった。一つは梅雨前線に暖湿気が流れ込み、積乱雲が連続的に形成される「線状降水帯」が発生したこと。もう一つは梅雨前線が長期にわたって停滞し、西日本だけでなく本県や山形県も含む広範な地域に記録的な大雨をもたらしたことだ。
 地球温暖化によって日本付近の気温や海面水温が上昇し、豪雨が増えたり、豪雨シーズンが早まったりする恐れがあると専門家は指摘している。豪雨の予測の精度を上げるための研究や技術開発を急がなければならない。
 死亡者の大半は球磨川流域の高齢者だった。特別養護老人ホームでは14人が犠牲となった。施設側の対応や災害に備えた体制に問題がなかったかどうかを洗い出し、今後の豪雨時の対策に反映させたい。
 一方、施設の立地場所が浸水想定区域であると同時に土砂災害警戒区域だったことや、迅速な垂直避難を可能にするエレベーターがなかったことなど、ハード面の問題も指摘されている。6月に成立した改正都市計画法は、病院や福祉施設は土砂災害などの危険が高い地域への建設を認めないとした。
 しかし、既存施設に対しては補助金で移転を促すだけで強制力はなく、同法の施行も2年後だ。エレベーターの整備や居室を全て2階以上にするなどの改築、改修への支援も含め、対策を加速するべきだ。
 復旧活動には新型コロナウイルスが大きな影を落としている。熊本県は感染防止のため、県外ボランティアの受け入れを見送っている。人手不足のため、職員や県内ボランティアの派遣先は住宅を優先し、店舗などは後回しという。
 感染者が出た場合、復旧作業を中断させなければならない恐れがある。重症化しやすい高齢者などに感染が広がる事態は避けなければならない。
 県外ボランティアの受け入れが困難なのは理解できる。だが人手不足では復旧はままならない。感染防止に万全を期した上で自衛隊の派遣を増やすなど、あらゆる可能性を考慮して住民らの負担軽減を図るのが国と自治体の責務だ。
 その上で、ボランティア希望者にPCR検査を徹底するなどして、受け入れ体制を構築できないだろうか。国と自治体による支援に加え、コロナ禍時代のボランティアの在り方を早急に確立することで一日も早い復旧につなげたい。


九州豪雨1カ月 次の水害どう避ける
 熊本県南部を流れる球磨川が氾濫して1カ月。7月には九州各県、東北などで豪雨が相次ぎ観測史上1位の雨量を記録した地点が続出、80人を超える人が浸水や土砂崩れの犠牲となった。
 地球温暖化が進めば大気の水蒸気量が増え、豪雨災害のリスクがさらに高まるだろう。球磨川の氾濫などを教訓に、早期の避難の徹底など次の災害を避ける方策を積み重ねなければならない。
 球磨川では特別養護老人ホーム「千寿園」で深刻な被害が出た。一般的に高齢者向け施設は、地価が低くあまり安全ではない場所に建てられる例がある。これまでも河川の氾濫などによって深刻な被害を受けてきた。
 この反省から水防法が改正され、避難確保計画の作成と訓練が義務付けられ、千寿園は実施してきた。被害の甚大さから避難開始が遅れたと指摘するのは容易だが、入所者らを安全な場所に移すのは大変な仕事だ。
 もし空振りに終わったらと考え、行動が遅れることもある。対策として、施設改修を行政が早急に財政支援し、短時間での避難を可能にすべきだ。長期的には、浸水想定区域への立地規制など災害を避ける制度の導入も不可欠だ。
 確実な避難のため内閣府は、自治体が出す避難の勧告と指示のうち勧告を廃止する方針という。勧告は安全な場所へのすぐの避難を求め、指示は災害の発生が切迫しており重ねて避難を促すのが本来の趣旨だが、現実には「指示が出た段階で避難」と受け止めている人が多いからだ。
 山形県の最上川などの氾濫では、九州豪雨の被害を受け早めに避難したことが人的被害の軽減につながったとも言える。早期の避難を実現するため指示に一本化することは評価したい。
 同時に、雨量予想の精度を上げることが求められる。7月4日の明け方から深刻な被害となった球磨川のケースでは、3日午後の段階で24時間降水量は多い地域で200ミリと気象庁は予想していたが、現実にはその2倍を超える量だった。
 400ミリの可能性に言及する気象庁の資料も当時あった。天候を完全に予測することは不可能だ。だとすれば、大規模な浸水が発生する雨量となる可能性があるなら、自治体や河川管理者、住民にそれを伝えることを検討すべきではないか。
 その数値も念頭に置きながら、自治体や住民らが自主的に判断して、より早期の避難につなげることができるはずだ。
 線状降水帯の発生によって深刻な災害が起きることは、今回の球磨川を含めて何度も経験してきた。発生予測の向上のため技術開発を進めるとともに、発生が予測されればすぐに避難することを、安全面から優先するよう提案する。
 三重、和歌山の県境を流れる熊野川の水害常襲地帯を歩いたことがある。ここでは地区ごとに、逃げるタイミングと方法を示した防災行動計画(タイムライン)を作成していた。川の水がどの高さに達すれば避難を開始するかという目安を持つ所もあった。
 自治体からの避難勧告を待つだけでなく、地区独自の計画を作り自ら現状を確認しながら早めに行動することも重要だ。大地震への備えと同様、水害から身を守るためには「自助」や声を掛け合いながら逃げる「共助」が基本である。(共同通信・諏訪雄三)


[自然災害激甚化] 治水対策を流域全体で
 鹿児島県で初となる大雨特別警報が出るなど各地で甚大な被害が出た九州豪雨からきょうで1カ月になる。爪痕は今も残り、復旧作業が続く。
 7月は中部、東北地方も局地的な大雨に襲われ、河川が次々と氾濫した。あふれた水は流域の集落や高齢者施設をのみ込んで、多くの犠牲者を出した。気候変動による水害リスクは著しく増大しているのが現状だ。
 国土交通省は洪水対策として「流域治水」に取り組むことを明らかにした。堤防やダムだけに頼らず、河川の流域一帯で貯水池整備や土地利用規制を進める。
 住民や企業とともに地域防災の総合力を発揮し、流域全体で安全なまちづくりを目指したい。
 近年、自然災害は頻発・激甚化している。地球温暖化の影響で海水温が上昇し、大雨をもたらしているためだ。
 国交省によると、2010〜19年に1時間降水量が50ミリ以上を記録した雨の回数は、1976〜85年に比べて約1.4倍に増えた。
 氾濫危険水位を超えた河川数も増加傾向にある。2014年は83だったが、18年は474、19年は403で、5年間で5倍に増えている。
 さらに気象庁の予測では、21世紀末の平均気温は20世紀末に比べて全国平均で4.5度上昇するとみられる。最高気温35度以上の猛暑日は、沖縄・奄美で年間54日も増えるという。
 このまま温暖化が進めば、従来の常識が通用しない災害の発生を覚悟しなければならない。
 国の治水計画はこれまで、河川管理者が堤防やダムを整備することに主眼を置いてきた。だが、時間と費用がかかり、急激な気候変動に十分に対応できなくなっていた。
 流域治水は具体的には、河川や堤防を整備しながら、ため池や田んぼの貯水機能の活用、危険な地域の開発規制、住居移転などを進める。国交省は本年度中に、全国109の1級水系で対策の全体像を策定する。
 このうち川内川と肝属川の流域では、排水・雨水貯留施設の整備や土地利用規制について、関係機関が協議する。河川本体の改修としては河道掘削や堤防強化が検討されている。
 一つの河川でも流域によって、地形や住宅地の状況は異なる。それぞれの実情に応じた水害対策を目指す流域治水は、まちづくりの一環とみることもできる。
 流域治水を円滑に進めるには、洪水時に遊水地となる土地への補償や、住宅地造成などを計画する企業側との調整も欠かせない。
 上流域と下流域の自治体や住民、企業が連携し、避難体制などソフト面の整備を含めて、被害を最小限に抑えられる対策を探りたい。


「黒い雨」判決 被爆者の救済を急げ
 原爆投下後に降った「黒い雨」を浴びた広い地域の住民が裁判で被爆者と認められた。これまで「区域外」とし健康被害にも耳を貸さなかった国は態度を改めるべきで、一刻も早い救済が必要だ。
 広島での「黒い雨」は作家・井伏鱒二の小説でも描かれて、広く国民に知られている。被爆直後の気象調査などを基に、爆心地から北西方向に東西約十一キロ、南北約十九キロを「大雨区域」とし、一九七六年から援護対象地域にしていた。
 この線引き内に居住し、かつ、がんなどの疾患があれば、特例措置で「被爆者」として扱われる。医療費の自己負担分がなくなったり、各種の手当が支給されたりしてきた。
 「大雨区域外」の住民だと、重い健康被害があっても援護対象から外され、被爆者健康手帳の交付を受けられなかった。だが、本当にその線引きは正しかったのか。雨は放射性物質を含んでいるため、いわれなき差別などを恐れて、聞き取り調査に積極的に応じない人々もいたからだ。
 八八年には気象庁気象研究所の元研究室長が、黒い雨の降雨地域は従来の四倍とする調査結果を発表した。二〇一〇年には広島県や広島市が六倍もの広いエリアとした調査結果をまとめている。
 被害があっても道路や河川を隔てているだけで被爆者として扱われない不合理が浮かび上がった。従来の援護行政は理不尽な線引きで分け隔てしていたことになる。
 今回の広島地裁の判決は「特例区域外でも黒い雨が降った可能性があり、放射線の影響があった」と国の線引きを否定し、「大雨区域外」の原告八十四人全員を被爆者と認めた。この判決は国の援護行政に明確に「ノー」を突きつけた意味を持つ。画期的だ。
 もう一つ、大事な点がある。内部被ばくも認めたことだ。油っぽい黒い雨の水滴は畑の作物にも付着し、飲み水の井戸や川にも流れ込んだ。外部被ばくとは異なる特徴があり得るという知見を重んじた。これは幅広い救済につながる英断といえよう。
 提訴から五年もたつ。原告の老齢化は進んで、既に十六人が亡くなったという。今年は戦後七十五年の節目でもある。残された時間はもう少ない。国は司法判断を重く受け止めなければならない。
 もはや控訴すべきではないし、できる限り救済する方策をとるべきである。「裁判所には心から感謝したい」と原告の一人は語った。今度は国が応える番である。


敵基地攻撃自民提言 憲法理念に逆行する暴走
 国民的世論を喚起し自民党の暴走を止めなければならない。敵基地攻撃能力を保有するという提言のことである。
 自民党の国防部会と安全保障調査会は「相手領域内で弾道ミサイルなどを阻止する能力」のほか、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替策などを求める提言を、きょうにも安倍晋三首相に提言する。
 「敵基地攻撃能力」や「打撃力」という具体的表現は避けたが、こうした能力の保有を事実上、促す格好だ。提言の内容は、戦力の不保持や専守防衛などをうたう憲法の理念から大きく逸脱する。政府はこれまで憲法上、保有は可能と解釈しているが、憲法の平和主義を破壊するもので、到底許されない。
 憲法学者の高良沙哉沖縄大教授は「敵基地攻撃能力を持つとして、誰が指揮し、どう抑止するかは憲法に規定がない。最高法規の憲法に軍事力抑止の規定がないことは、憲法が軍事力による自衛を考えていなかったからだ」と指摘する。この原則に立ち返るべきだ。
 問題は憲法だけではない。保有は日本の安全保障政策の大転換となるだけに、政治的影響も非常に大きい。米国が敵視する北朝鮮や中国などに対し、日本は米国の盾だけではなく矛も担うというメッセージを対外的に発することになる。それは、米国が敵視する国々から日本も標的にされることを意味する。
 米中関係が悪化する中、中国包囲網の一環として、核兵器が搭載可能な新型中距離ミサイルを、沖縄はじめ日本列島に配備する計画が米国にはある。この新型ミサイルは、アショアのような迎撃型と異なり攻撃型だ。敵基地攻撃能力と符合する。攻撃型ミサイルを配備すれば、米中関係が悪化すればするほど、日本も当事者として有事に巻き込まれる可能性が高くなる。
 沖縄は攻撃兵器の配備先として真っ先に狙われる恐れがある。敵基地攻撃能力として使用の可能性が高いとされ、既に導入が決まっている長距離巡航ミサイル導入案は南西諸島防衛を進める中で浮上した。既に沖縄配備が検討されている。防衛省は敵基地攻撃への使用を否定しているが、射程を延ばして攻撃目的も兼ねて配備される可能性が指摘されている。
 自民党から提言を受けた政府は今後、国家安全保障会議(NSC)で、計画を断念したイージス・アショアの代替となるミサイル抑止策の協議を進める。これをにらみ、国民的世論を高め、敵基地攻撃能力の保有を阻止する必要がある。
 保有は、米中の軍拡競争に日本が加担することにもなる。それは平和憲法の理念に逆行する。米国による中国敵視政策に乗っかるのではなく、憲法の平和主義の理念を生かし、周辺隣国と友好関係を築くことこそが、憲法が求める日本のあるべき姿だ。


香港議会選延期 透ける民主派抑圧の狙い
 香港の民主主義を守る闘いにとって、さらなる逆風となりそうだ。香港政府の林鄭月娥行政長官が、9月に予定されていた立法会(議会)選挙を1年延期することを明らかにした。
 理由として新型コロナウイルスの感染拡大を挙げているが、額面通りには受け取りにくい。中国政府による香港の統制強化を目的とした国家安全維持法(国安法)施行に市民の反発が広がり、選挙に向けた民主派の勢いが増しているさなかである。背景に恣(し)意(い)的な判断があるとすれば、公正な選挙という民主主義の土台を揺るがしかねない。
 今回の措置は、緊急時に立法会の手続きを経ずに行政長官が必要な規則を設けられる条例を根拠としている。現議員の任期延長などの措置も必要となるため、8日から開かれる中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会会議で決定するという。
 新型コロナウイルス感染症が香港でも再び拡大していることは事実である。だが、延期決定の背景には政治的な思惑が見え隠れする。
 香港の民主化勢力は、立法会選挙で候補者同士の乱立による共倒れを防ぐため、立候補者を絞り込む予備選を先月実施した。その投票者は主催者が目標とした17万人を大きく上回る約61万人に達した。
 香港政府や中国に対する反発をばねに民主派が勢いを増し、選挙で躍進する構図が現実味を増していた。それを警戒した当局側が危機感を強め、選挙の先送りに踏み切ったとみる向きは少なくない。
 決定前日には、香港政府が民主派メンバー12人の立候補資格を認めないことを明らかにしたばかりだった。2014年の大規模民主化デモ「雨傘運動」のリーダーらが含まれる。前回16年の立法会選挙でも「独立派」と認定した6人の立候補資格を認めなかったが、今回はより強硬な姿勢を打ち出していた。
 選挙の延期に伴ってこの手続き自体は白紙に戻るが、1年後の選挙で同様に反政府的姿勢を示すのなら、立候補は認めないと警告を与えるのが目的だったともみられる。
 米国は「香港の繁栄を支えてきた民主的な手続きと自由を損なう」と厳しく非難している。中国と対立を深める米国ならずとも、あまりに強引な手法に内外から批判が出るのは必至だろう。
 中国が香港に高度の自治を認めるとした「一国二制度」は、国安法の施行によって形骸化の道をたどっている。香港で独立派メンバーや政府への抗議活動に参加した人が逮捕されているだけでなく、国外にいる香港出身の民主活動家らも指名手配されている。容疑者の国籍や、犯罪を行った場所も問わずに適用される国安法に対する懸念は増すばかりである。
 香港の自由と民主主義をこれ以上後退させぬために、国際社会が厳しく自制を促していくことが大切だ。


林検事総長 傷ついた信頼を取り戻せ
 数々の問題、不祥事があり、組織に対して国民が厳しい目を向けている中である。
 逆風下でどう組織を立て直し、信頼回復していくのか。手腕が問われる。
 検察トップの稲田伸夫検事総長が先月、退官し、後任の検事総長に東京高検検事長だった林真琴氏が就任した。
 林氏は就任会見で「厳正公平、不偏不党」を強調した。検察と政治との距離についての国民の疑念を払拭(ふっしょく)するには、日々の検察の仕事の中でこの気構えを実践していく必要がある。国民から負託された重い使命を果たす上での土台である。
 法務・検察が大きな批判を浴び、国民の信頼を揺るがす事態が相次いだ。
 政府は今年1月、東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年を半年延長する閣議決定をした。黒川氏を次の検事総長に据えるためとの憶測を呼んだ。
 その後、検察官の定年を延長する検察庁法改正案が通常国会に提出され、野党から「つじつま合わせ」などと批判を浴びた。ネット上で著名人らの抗議も広がり、安倍晋三首相は成立を断念した。
 さらに黒川氏は新聞記者らと賭けマージャンをした問題が発覚し辞職した。黒川氏の処分は訓告にとどまり、退職金も支払われ、国民の批判は強まった。
 林氏は、これまでも検察の危機的な場面を乗り切ってきた。
 2010年に発覚した検察史上最悪の不祥事といわれる大阪地検の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件では、最高検の検察改革担当部署の責任者になって、組織再生への道筋を付けている。
 会見で林氏は「独善に陥ることのないよう、仕事に謙虚に向き合っていく」と抱負を述べた。「公益の代表者」としての立場を忘れない人材を育てたい、とも語った。
 こうした方針を検察全体にきちんと行き渡らせ、検事一人一人の意識改革にしっかり取り組まなければならない。
 検察の新体制がスタートした中で気になるのは、黒川氏の辞職を受け森雅子法相が法務省内に設置した「法務・検察行政刷新会議」の議論の行方だ。
 森氏は通常国会で、黒川氏の処分や検察庁法改正案について会議の検討対象にしない意向を示していた。だが、検察の信頼回復を目的にしながら、国民の批判を浴びたテーマを避けては会議の意義が問われよう。
 刷新会議の座長を務める鎌田薫前早稲田大総長は、黒川氏の処分などについて、これからの検察の在り方を考えるのであれば「必然的にアプローチは避けられないと思う」との見解を示している。
 定年延長問題は、政治と検察との距離に改めて注目が集まる契機になったともいえる。
 黒川氏の処分内容も含め、委員から幅広く意見を集め、議論を尽くすべきだ。
 政治介入と疑われるような事態を二度と招くことがないよう、真に信頼回復につながる議論を展開してもらいたい。


GoTo足かせで宿泊施設増えず…コロナ隔離難民であふれ返る
 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。沖縄県は病院、宿泊施設がパンク状態。東京都内も軽症者向け宿泊療養施設の不足が問題になっているが、「Go To トラベル」の盲点が追い打ちだ。観光客や出張族の宿泊が増えれば、思うように施設が確保できず、「隔離難民」がますます増えるのは、目に見えている。
  ◇  ◇  ◇
 菅官房長官は3日、「沖縄県は(無症状や軽症者用の)宿泊施設の確保が十分でない。政府から沖縄県に何回となく促している」と上から目線で県を批判した。県は国と連絡を取りながら、宿泊施設の確保を進めてきた。しかし、想定をはるかに超える感染者急増に見舞われ、7月30日に前倒しで確保した那覇市のホテルは43人の感染者が宿泊し、あっという間に満室に。現在、別のホテル(100室)の確保を進めている。
「Go To」の前倒し実施により、人の移動が増え、沖縄でも感染者が増えている側面もあるのに、菅長官は県を悪者にするばかり。「Go To」を見直す気はさらさらない。人の移動のほかにも、政府が考えもしなかったであろう「Go To」の弊害はまだある。宿泊施設が観光客に取られ、軽症者用に回らなくなる可能性が高いことだ。
確保難航の浜松市 ホテルは旅行・出張客を優先
 人口80万人の静岡県浜松市は3日までに141人もの感染者を出している。ところが、市内で軽症者用の宿泊施設が確保できず、やむなく静岡市のホテルに搬送している状況だ。
 静岡県のコロナ対策チームの担当者が言う。
「観光もビジネス需要も多い浜松市は、ホテルや旅館が少ないわけではありません。県のホテル旅館組合にも手伝ってもらい、コロナ用に宿泊施設の提供をお願いしたのですが、なかなか協力してもらえませんでした。ようやく、1施設と契約できる見通しが立ったところです。ホテル側としては、コロナ患者を受け入れれば、観光や出張のお客さんを移動させなければなりませんからね」
 浜松市のホテルが部屋の提供に二の足を踏むのも当然だ。緊急事態宣言下に閑古鳥が鳴いていた頃ならともかく、「Go To」の後押しで観光・出張客が戻りつつある今、感染者用に部屋は割きたくないはず。浜松市だけでなく、全国どこで同じことが起きても、おかしくない。
「感染者が拡大する中で、軽症者用の宿泊施設は極めて重要です。軽症者をホテルで療養させることで、入院病床の逼迫を緩和でき、病院は重症者を重点的に治療できます。また、自宅からの隔離は家庭内感染の防止にもつながります。ホテルには医療従事者もいるので急変する患者にも対応できます。『Go To』は、軽症者用施設の確保の足かせになるという点から見ても、いったん中止した方がいい」(医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏)
 同じホテルで観光客とコロナ患者の共存は無理。菅長官たちが愚策を認めない限り、全国各地であふれ返るのは観光客でなく、隔離難民となってしまう。


コロナ禍で終焉を迎える安倍政権の先に
国民生活をいかに守るか、正念場の立憲野党
 ダイヤモンド・プリンセス号におけるコロナウイルス感染対応の失敗が世界的な注目を集め、「アベはどこだ?」と首相のリーダーシップの不在を海外メディアが問うたのは、2月末のことだった。
 その後、安倍晋三首相は、全国一斉休校やアベノマスクの配布、そして緊急事態宣言の発令などに際して記者会見を開き、存在感を示そうと躍起になった。5月25日に緊急事態宣言を全面解除すると、「日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で流行をほぼ収束させることができた。日本モデルの力を示した」と胸を張った。しかしその後、通常国会閉会を受けて6月18日に記者会見を開いたのを最後に、再び、国民の前から姿を消した。(上智大学教授=中野晃一)
 ▽安倍政権の8年半とは何だったのか
 「愛国者」を自称する安倍は、なぜ、これほどまでに国民生活を脅かすコロナ禍や災害などに興味、関心がないのだろうか。
 「日本を、取り戻す。」と訴え、8年半前に政権復帰した安倍が実際になした政策転換の内実を精査すると、まず安全保障や経済における対米追随路線の推進が挙げられる。
 さらに、アメリカの許容する範囲で歴史認識を含めた「戦後レジーム」の修正を行い、特権的な世襲政治家とその「お友だち」による国内支配の貫徹を目指すという実態が浮かび上がる。そうした政権のあり方は2017年ごろから限界を示し、コロナ禍で完全に行き詰まったのである。
 安倍とオバマの個人的な関係はともかく、日米政策関係者の「蜜月」はオバマ政権期に絶頂を迎えた。
 日本版NSC(国家安全保障会議)の創設、特定秘密保護法、辺野古新基地建設、集団的自衛権の行使容認、武器「爆買い」などと、安倍は、日本の国内世論の強い反対を蹴散らかし、自衛隊と米軍の一体化(実際には、自衛隊が米軍の傘下に統合されることにほかならない)を推し進めた。
 安保法制を強行した次のステップとして日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結を望むアメリカの意をくんで、慰安婦問題の日韓政府合意を交わしたほどまでに、米国追随を優先させたのである。
 ところが2017年トランプが大統領に就任すると、いくら安倍が個人的にこびへつらっても、同盟軽視の無理難題を押し付けられるだけだった。今や再選戦略しか頭にないトランプには、コロナ禍とあいまって不用意に近寄ることさえできない。
 ▽世紀の愚策
 「アベノミクス」「三本の矢」とメディアや財界を浮かれさせることで始まった安倍の経済政策も、結局は、ついぞ訪れないトリクルダウン(大企業や富裕層が潤えば富が全体に行き渡るとする理論)と寡頭支配がもたらす格差と腐敗と荒廃で記憶されるようになるだろう。
 象徴的なのは、「第三の矢」たる成長戦略に位置づけられた国家戦略特別区域が、加計学園問題を生んだことである。
 政権末期に唯一残った成長戦略の目玉であるカジノ解禁でもまた汚職の一端が明らかになり、政権はトカゲの尻尾切りに追われた。カジノがアジアの富裕層をターゲットとしたインバウンド観光の需要喚起に一役買う筋書きだった以上に、東京オリンピックの開催はアベノミクスに欠かせなかった。
 コロナ感染対策からすると「世紀の愚策」と名を残すだろう「GoToトラベル」キャンペーンに政権があくまで固執するのは、観光関連業界を要とした成長戦略が瀕死(ひんし)の状態にある焦りを示している。
 もともと2017年の森友学園・加計学園問題が発覚した頃から、安倍政権は漂流を始めていた。
 首相夫妻による公権力の私物化という政治案件が、虚偽答弁や公文書改ざんなどの隠ぺい工作に国家官僚制が組織的に関与する複合的で深刻な問題にさらに膨れ上がっていった。
 加えて、自衛隊日報問題や桜を見る会問題、河井克行前法相夫妻による買収問題、検察幹部定年延長問題など次々と重大な政治問題が表面化し、安倍は政権にしがみつくのが精いっぱいになっていったのである。
 それがコロナ禍によって、「得意」とされてきた外交安全保障政策は全方位で行き詰まり、緊急事態宣言を悪用できないほどまでに深刻な経済危機に見舞われてしまった。ゲームセットは時間の問題となった。
 ▽「立憲野党」再生の条件
 それでも安倍がこれまで歴史的な長期政権を存続できたのは、野党の分断と弱体化に負うところが大きい。今なお自民党は、その別動隊ともいえる日本維新の会や小池百合子などの「改革保守」との連携をてこに、ポスト安倍の政権存続を思い描いているだろう。
 自民党とその補完勢力による支配に対するオルタナティブ(代替)として、立憲主義や法の支配に則る立憲野党の再生の可能性は、立憲民主党と国民民主党の合流の成否に矮小(わいしょう)化されるような問題ではない。
 仮に両党が合流に成功したところで、関係者が「一致している」と胸を張る理念や政策が有権者に届いていないようでは、さらに社民党や共産党なども含めたより大きな立憲野党の共闘を国民に選択肢として提示することは到底おぼつかない。
 野党結集が55年体制崩壊以後の長い課題であることから野党関係者には自明かもしれず、また新奇なキャッチフレーズを打ち出さないと耳目を集めることはできないという発想からは無駄に思えるのかもしれない。それでも自民党に対抗する政治勢力が一貫していかなる理念をよりどころにしてきたかを確認することは必要だろう。
 それは「生活」と「公共」である。もっと言うと、「生活を支える、新しい公共」のあり方の模索である。
 もともとこれらの理念は、自民党政権が、組織的なバラマキ型の「政官業の癒着」を体現していた時代に、生活者視点からの改革を提起し、新しい開かれた公共性のあり方を追求するものとして現れた。
 その後、小泉政権や2度にわたる安倍長期政権下で「政官業の癒着」が私的なピンポイント型に変容した側面はあるとは言え、立憲野党が国会や選挙で政権に対峙(たいじ)、追及し、国民に訴えてきたことの重要性に変わりはない。
 ▽要となる「新しい公共」
 以前と異なる点があるとすれば、それは新自由主義との決別だろう。1990年代の「生活者」概念は平成維新の会で影響力を振るった大前研一に見られたように、公共サービスの「消費者」的な要素を強調するものであった。
 しかし2000年代前半の小泉政権において自民党が、弱者や地方を切り捨てる新自由主義政策へと転換すると同時に、民由合併を果たした民主党は「国民の生活が第一。」路線へとかじを切った。自民党が代表する「既得権益」や「政官業の癒着」のあり方が変われば、それに合わせて守るべき「生活」の理解が変わるのは当然である。
 今、コロナ禍で底が抜けつつある国民生活をいかにして下支えするのか。財界や業界の支援しか頭にない安倍政権に対して、単なる消費税論議を超えた政策の深まりと幅が期待される。
 安倍政権のなりふり構わない対米追随路線と国家の私物化はまた、立憲野党による「開かれた新しい公共」の再構築への取り組みを極めて重要なものとした。
 ここで言う公共は、むろん、立憲主義や法の支配など安倍政権がないがしろにした国家の原理原則の回復を含むが、同時に、新自由主義改革によってズタズタにされた保健所などの公共部門や公正さを失った公務員制度の建て直しのことをも意味する。
 さらには、これまで十分とは言えず後面に退いていた感のある「ジェンダー平等」や、将来世代のために現役世代に温暖化対策などに取り組むよう迫る「気候正義」、そしてデモや集会などを通じて政治に働きかける「参加民主主義」の視点もまた、真に「新しい公共」を構想するには欠かせない。
 民主党政権の崩壊後、これらの議論にまだ臆病なようでは立憲野党の再生はまだまだ道遠いと言わざるを得ない。
 民主制と比較した時の独裁制の弱点として、政権の危機が直ちに国家の危機に直結してしまう、ということが挙げられる。いくら安倍政権の下で独裁化傾向が進んだからといって、現政権の危機がそのまま日本の危機であっていいはずがない。
 安倍が残す廃墟のような光景に「生活を支える、新しい公共」を提示できるか。広く大きな立憲野党と市民の共闘にとって正念場が近づいている。


吉村洋文大阪府知事のドヤ顔発表「うがい薬がコロナに効く」にツッコミの嵐! やってる感だけのコロナ対策の化けの皮がついに…
 これまで無意味な「やってる感」だけでリーダーシップを演出してきた吉村洋文・大阪府知事だが、新型コロナの新規感染者数の最多更新をつづけているなか、本日、想像の斜め上をゆく、とんでもない発表をおこなった。なんと、「ポビドンヨードで新型コロナに打ち勝てる!」などと言い出したのだ。
 それは、本日14日すぎからおこなわれた吉村知事と松井一郎・大阪市長、大阪府立病院機構大阪はびきの医療センターの松山晃文・次世代創薬創生センター長による共同会見で発表された。会見前から「コロナ治療効果が期待できる薬を発表する」とアナウンスされていたが、病院と共同で知事・市長が揃ってそのような発表をおこなうということ自体が異例中の異例だ。
 しかも、会見場の吉村知事のテーブルの上には、イソジンなどのうがい薬がズラリ。「まさかイソジンがコロナに効くとか言い出すのでは……」と呆然としていたら、吉村知事は「嘘みたいな本当の話」と前置きし、自信満々にこう言い出したのだ。
「ポビドンヨードを使ったうがい薬、いま目の前にいくつか種類がありますが、みなさんもよくご存じのとおり、このうがい薬を使って、そしてうがいをすることによって、コロナの患者さん、このコロナがある意味、減っていくと。コロナの陽性者が減っていく。薬事法条、効能を言うわけにはいきませんが、コロナに効くのではないかという研究が出ましたので、それをまずみなさんにご紹介するのと、それから府民のみなさんへの呼びかけをさせていただきたいと思います」
 イソジンなどのポビドンヨードを使ったうがい薬でコロナの陽性者が減っていく……!? それが事実なら世界中が驚愕する大発見だが、吉村知事の説明によれば、大阪府の宿泊療養施設で軽症患者41人に対し、1日4回、ポビドンヨードによるうがい薬でうがいを実施し毎日、唾液によるPCR検査をおこなったところ、4日目にはポビドンヨードを含むうがい薬を使わなかったグループの陽性率は40%だったのに対して、ポビドンヨードを含むうがい薬を使ったグループは陽性率が9.5%に低下した、という。
 いや、それってたんに、ポビドンヨードの殺菌作用で口腔内のウイルスが減っただけなのでは……。そう呆気にとられているうちにも、吉村知事の説明はつづく。
「もともと唾液のなかに(ウイルスが)非常に多くあるというのがコロナの特徴です。(中略)その原因として、舌にですねウイルスが付着して、そこから増殖するというふうにされています。で、唾液腺というのは舌の裏側にありますから、その唾液腺、舌の裏側にある唾液が出て、そして舌にあるウイルスと絡み合ってですね、そしてそれがある意味、外に飛び散ることによって広がっていく。そこにある唾液のところのですね、うがいをすることで唾液のPCRをしたときに、圧倒的にこれが陽性が減るという状況です」
 そして、吉村知事はこう宣言したのである。
「このポビドンヨードによるうがい薬をすることによってですね、このコロナに、ある意味、打ち勝てるんじゃないかというふうにすら思っています」
「府民のみなさんには、8月20日まで、集中的にぜひ、(ポビドンヨードを含むうがい薬で)うがいを励行してもらいたい」
 医師でもないのにペラペラと説明した挙げ句、「うがい薬でコロナに打ち勝てる!」と大見得を切る──。はっきり言って、異常すぎるだろう。
吉村知事「うがい薬でコロナに打ち勝てる!」に医師からもツッコミ、弊害の指摘も
 PCR検査をおこなったタイミングは起床時、ポビドンヨードを含むうがい薬でうがいをする前だったというが、前述したようにポビドンヨードを使ったうがい薬の殺菌作用によって口腔内のウイルスが一時的に減少し、単純に陽性率が減っただけという可能性も考えられる。そもそも、今回発表された結果は被験者がわずか41人にすぎず、それだけで効果を認めるというのはあまりにも早計だ。
 実際、吉村知事による「うがい薬でコロナに打ち勝てる!」宣言にネット上はざわつき、次々にツッコミが寄せられた。
〈え??イソジン等のポビドンヨード含嗽薬(うがい薬)を使ったら唾液中のウイルスが減るのは当然では????体内での増殖には意味ないでしょ??〉
〈ヨード系のうがい薬(イソジン)は水うがいに比べて風邪への予防効果が劣り、うがいしないのとほぼ同じ、というRCTが京都大学から報告されているのは、プライマリケアや保健管理の領域では有名な話です。〉
〈イソジンなどのヨード系のうがい薬は、常在菌まで殺菌してしまうので、口腔内やのどの粘膜を傷つけ、感染に弱くなるといわれてる。妊婦や幼児にはヨウ素の過剰摂取による甲状腺機能障害の危険もある。〉
〈コロナにイソジンが効果的と、吉村市長が会見していましたが、甲状腺疾患、妊娠中の方は注意が必要です!!!!〉
 さらに、医師からもツッコミが入った。たとえば、新型コロナの診療もおこなっているナビタスクリニック理事長の久住英二医師は〈そりゃ消毒薬の成分だからウイルスは減るよね。だけど、うがいするまでにはウイルスは細胞内に入り込んでいるから、感染を予防したり重症化を阻止する効果は無いでしょう〉とツイートしている。
 だが、問題なのは、吉村知事の会見を鵜呑みにした人びとがすでに続出していることだ。ツイートにもあったように、ポビドンヨードを使ったうがい薬は妊婦や甲状腺に異常のある人などには注意が必要だが、吉村知事の会見後、ドラッグストアの棚からイソジンなどのうがい薬があっという間に消えるという現象が発生。買い占めも起こり、さらにメルカリなどでは高額転売する者が現れた。その上、ポビドンヨードを含んだうがい薬は第三類医薬品で出品が禁止されているためか、出品されているものの多くがポビドンヨードを含まないうがい薬という有様となっている。
 効果自体がかなり眉唾だというのに、よりにもよって知事がお墨付きを与え、府民のみならず日本中に大混乱を引き起こす──。あまりにも無茶苦茶すぎるだろう。
ピンポイントすぎる休業要請、大阪産ワクチン…“やってる感”だけの吉村知事のコロナ対策
 いや、本サイトでは繰り返し言及してきたように、吉村知事は一事が万事、ずっとこの調子だ。吉村知事はメディア操作と自己演出によって「コロナ対応でリーダーシップを発揮」「頼れる知事」などともてはやされてきたものの、何の意味もない兵庫県と大阪府の移動自粛を打ち出したり、「大阪モデル」などと言いながら、その実態は「赤信号」を点かせないように3回にも渡って指標を修正するというシロモノ。さらに6月には、「大阪産ワクチン開発」をぶち上げたが、これも手柄を横取りした先走りの行動だった。
 また、吉村知事は新規感染者の急増を受けて、大阪の繁華街・ミナミの酒類を提供する飲食店に対して協力金つきで休業や営業時間の短縮を要請することを発表しているが、そのエリアは東西が御堂筋と堺筋、南北が長堀通と千日前通に囲まれた範囲のみ。若者が多いアメリカ村や居酒屋が立ち並び人気の「裏なんば」などは対象外で、「この対象エリアの根拠は何?」「ピンポイントすぎるだろ」というツッコミが起こっている。しかも、ミナミの中心地ともいえる吉本興業の本拠地「なんばグランド花月」も、見事に対象エリアから外されているのである。
 ようするに、吉村知事の頭の中にあるのは、とにかく派手な話題で「やってる感」をアピールし、それによって失政をごまかすということだけ。今回の「うがい薬でコロナに打ち勝てる!」というのも、結局は感染拡大を止められない失策を打ち消すためのパフォーマンスでしかないのだ。
 しかし、これまではごまかせてきたものの、さすがに今回はそうはいかないのではないか。実際、ネット上では、吉村知事を失笑する声が数多く投稿されている。
〈なんだよこれw何言い出すのかと期待したら冬場の小学校の先生みたいな事言ってるだけじゃねえかw〉
〈イソジンでうがいすればいいウィルスで日本経済大打撃受けてんの?w〉
〈転売ヤーに買い占めされて馬鹿じゃないか。これで大阪の感染者が減らなかったら、ウソジン吉村と呼ぶからな。〉
〈こんな仰々しい会見開いといて「買い占めとかやめてほしい」っておま・・・〉
〈吉村新喜劇開演中〉
〈イソジンのおかげで、「吉村ってみんな褒めてるしひょっとしてアレがおかしいと思う私が間違ってるんじゃないか」っていう疑念が払拭されて、堂々と「あ、やっぱりアホはアホなのか」という確信を持てたので本当感謝しています〉
「頼れるリーダー」どころか、「ヤバい知事」「アホの知事」なのではないか……。今回の発表によって、多くの人がその本質に気づくことになればいいのだが。


三重大学の学生ら約150人を調査へ クラスターが15人に拡大 …感染者が授業や部活動で接触
 三重県は4日、新たに11人に新型コロナウイルスの感染が確認されたと発表しました。三重大学のクラスターが5人増え、15人となりました。
 新たに感染がわかったのは、三重県に住む10代から40代の男女11人です。このうち津市の10代と20代の男女5人は、三重大学医学部の医学科と看護学科の学生です。
 三重大学では、3日までに医学科と看護学科の学生10人に新型コロナの感染が確認されていてクラスターとなりましたが、5人増えて15人となりました。
 感染した学生の一部は大学の授業や部活動に参加していて、県は今後接触した学生などおよそ150人を調査することにしています。
 感染拡大を受けて三重大学では、実習などの課外授業を2週間中止し、医学部の授業は2週間オンラインで行うとしています。また、感染が懸念される建物の消毒も終えたということです。


うがい薬がコロナに効果か研究
大阪府は、殺菌効果のあるうがい薬でうがいをすると唾液のなかの新型コロナウイルスが減り、人にうつしにくくなる可能性があるとして、本格的な研究を進めることを明らかにしました。
これは、4日、大阪府の吉村知事らが記者会見で明らかにしました。
このなかで吉村知事は、「うそみたいなほんとの話をするが、うがい薬でうがいをすると新型コロナウイルスの陽性者が減っていくのではないかという研究結果が出た」と述べました。
それによりますと、ことし6月から先月にかけて宿泊施設で療養していた軽症や無症状の患者、40人余りを対象に、殺菌効果のあるポビドンヨードが含まれたうがい薬で、1日に4回、うがいをしてもらったところ、そのほかの患者よりも唾液の中のウイルスが減ったということです。
具体的には、うがいをした患者は4日目に唾液のPCR検査の陽性率が9%ほどになったのに対し、うがいをしなかった患者は陽性率が40%だったということです。
このため大阪府は、軽症や無症状の患者を対象に1000人規模の研究を進め、うがいの効果を検証したいとしています。
担当する「大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター」の松山晃文 次世代創薬創生センター長は、「唾液のウイルスを減らすことで、家庭での身近な人どうしの感染などを減らす効果があるのではないかと期待している。数十例や数百例でははっきりとは言えないので、大規模な研究で確かめたい」と話しました。
一方で、松山センター長は記者団に対し、「うがいをしたあと、1時間程度でウイルスの量が再び増えるケースもある。うがい薬を使って、何回もうがいをすると喉を痛める可能性もあるので、注意が必要だ」と述べました。
【知事 うがい薬の利用呼びかけ】
4日の会見で、大阪府の吉村知事は、「コロナが治るとは言えないが、これまで呼びかけていたつばの飛び交う空間で感染が広がるのを少しでも抑えることが期待できる」と述べました。
そのうえで、これまでにクラスターが発生したほか、感染が広がりやすい、▼熱など、かぜに似た症状のある人やその家族、▼接待を伴う飲食店の従業員、▼医療や介護の従事者に対して、今月4日から20日までの間を強化期間として、積極的にポビドンヨードが含まれたうがい薬を使ってうがいするよう呼びかけました。
一方で、吉村知事は、「うがい薬は国内で生産されていて、マスクのときのようにはならないと考えているが、くれぐれも、うがい薬を買い占めたりしないでください」と述べました。