ビスカヤ橋(ビルバオ郊外)
北部スペイン、バスク自治州の中心都市・ビルバオは、19世紀後半から鉄鋼、造船を中心とした重工業で栄えた町だ。町からネルビオン川を下ると、すぐに川はビスケー湾に注ぐ。ビルバオがこの水利を利用して発展したことは、今も川沿いに無数の工場が立ち並ぶ風景からも、良くわかる。
さて、そのネルビオン川の河口近くに、1893年以来、一風変わった橋が架かっている。"
Gran puente colgante de Viscaya"、言うなれば「ビスカヤ大吊り橋」とでも呼ぶべきこの建造物は、普通の吊り橋ではない。なぜなら、よくあるように橋が吊られているのではなく、橋が何かを吊っているからだ。
要は、水平に走るロープウェイ、といったところであろうか。川の両端に高い鉄塔が立ち、その間に渡された橋梁から、大きなゴンドラのような搬器がワイヤーでぶら下げられている。そしてこの搬器が、両岸を結んで空中を行き来するのである。
ビルバオが工業で殷賑を極めた19世紀末、河口の両岸に位置するポルトガレーテとゲチョの町は、渡し舟に替わって両岸を結ぶ交通手段を必要としていた。しかし、普通の橋を架けてしまうと、ビルバオまで川を上る船舶の交通を遮断してしまい、都合が悪い。そこで、ある程度の人数を一度に運べ、かつ河川交通を妨げない乗り物として、この水平ロープウェイが考案された、というわけらしい。設計した建築家アルベルト・パラシオは、1889年にパリに大鉄塔を完成させたギュスターヴ・エッフェルとも親交があったという。橋梁は高さ50m、全長160m。重工業、特に鉄鋼の町として栄えたビルバオらしい、巨大な鉄のモニュメントだ。
ぶら下げられたゴンドラ自体は、完成当時のものではない。中央のデッキに車が6台くらい乗れる。その両脇が歩行者用のキャビン(?)だ。片岸の鉄塔の下の司令室から、係員が操作して動く。運賃、歩行者・片道25セント。
そして今は観光客向けに、一番上の橋梁が歩いて渡れるよう開放されている。鉄骨の構造が見事なシンメトリーを描いていて、きれいだった。ただしこちらは3ユーロ。金を払う分、鉄塔にはエレベーターがある。ゴンドラと橋と両方楽しめて、一粒で二度おいしいモニュメントだ。
ビルバオの中心地から訪れるには、アバンド駅、またはサン・マメス駅から国鉄の
郊外列車(Renfe Cercanias)のC1号線がPortugalete駅まで行く。20分弱。駅前が川で、川岸から橋が見える。または、対岸を走る
地下鉄の1号線のAreetaが対岸の最寄り駅のようだ。
Posted by shimomeguro at 17:11│
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スペイン逍遥
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昨今、当方はコンフェデ杯のためサッカーblogと化しておりますが、「ハッピー・エンド」(ヴァイル&ブレヒト)の劇中歌で知られているビルバオの現在の姿をご紹介頂きありがとうございます。
@FLAMANDさま
ビルバオがブレヒトの戯曲の舞台になっているとは恥ずかしながら知りませんでした。ビスカヤ橋はむしろその時代の遺物ですが、グッゲンハイムが開館して以降、続々と新しい建築が建ったりして再開発が成功し、町に活気が戻り、観光客が訪れるようになり、うらびれた工業都市からがらっと性格を変えたようです。今スペインの多くの地方都市が同じ柳の下のドジョウをねらっていますが、うまくいくかどうか。
「ハッピーエンド」はギャング・エイジのシカゴが舞台です。登場人物であるBillが経営していたバーが「Bilbao」という名前でBilbao songが歌われているのです。誤解を与えてしまったようで、申し訳ありません。他にも「スラバヤ」「マンダレー」といったエキゾチックな地名を題名に持つ歌が登場します。
@FLAMANDさま
>バーが「Bilbao」という名前でBilbao songが歌われているのです。
なるほど。ご教示ありがとうございます。
でもビルバオというのは大都会でもなければリゾート
地でもないのに、そうしたエキゾチックな地名ととも
に劇中に登場しているというのは、面白いです。
日本語で言えば、居酒屋「佐世保」とか、「四日
市」とか、そんなイメージじゃなかったかなという
気がします。
Shimomeguroさま
はじめまして。
現在開催中の世界遺産委員会で、ビスカヤ橋が世界遺産に登録されました。どんな橋か調べていたところ、shimomeguroさまの写真と解説ですべてを一挙に理解することができました。ありがとうございます。
@好古学のすすめ様
ビスカヤ橋、世界遺産になったのですか!!それは知りませんでした。最近のユネスコの認定連発ぶりには俄かに賛同しがたい節もありますが、これでこのユニークな建造物も少し世に知られるようになるでしょうね。お知らせありがとうございました。