10/22 カーネギー 1階後真ん中
アラン・ギルバート指揮
ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
ステーンハンマル 「聖ヨハネ祭の夜の乙女(夏至の夜に糸を結ぶ乙女)」op.4-2
シベリウス 「三月の雪の上のダイヤモンド」op.36-6
シベリウス 「こだまの精」op.72-4
ペッテション=ベリエル 「山羊よ、坊やのところまで」op.12-1
ペッテション=ベリエル 「アスポーケル・ポルカ」
アルヴェーン 「森は眠る」 op.28-6
ベニー・アンダーソン ミュージカル《クリスティーナ》より「故郷で」
(アンコール一曲:英語のポピュラーソング)
以上歌唱、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)
マーラー 交響曲第5番
(アンコール)
ステーンハンマル カンタータ《歌》より間奏曲
最近よく聞いているギルバートが手兵ロイヤル・ストックホルム・フィルとカーネギーホールに登場。オケと同郷のフォン・オッターが北欧の歌曲を歌うというのも楽しみで数日前に売り出された学生券を買っておいたのですが、夕方からメトロポリタン美術館でボヘミア展を見ていたらすっかりコンサートのことを忘れて没頭してしまい(展覧会についてはのちほど)、見終わって絵葉書なんぞ眺めている時にあっ、コンサート、と思い出したのが7時35分。週末の雨の夜なんぞにタクシーはつかまらんよなと思っていたら運良く5番街のバスが来たので飛び込み、地下鉄の乗り換えも奇跡的に待たずに乗れて、5分前にホールに滑り込みました(8時開演)。
さて前半の歌曲。どれもフォン・オッターは既に録音しているレパートリーのようですが、私にとってはもちろんどれもはじめて聴く曲です。私が良かったと思ったのはシベリウスの「こだまの精」、ペッテション=ベリエルの「山羊よ、坊やのところまで」、そしてアルヴェーンの《森は眠る》。シベリウスのは、民謡そのままのような所の多い他の曲に比べ、一音聴くだけでシベリウスの世界だとわかるあたり、やっぱり大作曲家たる所以なのだなと実感。アルヴェーンの曲はまさに北欧の冬の澄んだ空気のようなピアニッシモが清冽。ベニー・アンダーソンとはABBAのメンバーの1人だそうで、今日の曲は、19世紀にアメリカに移住した貧しいスウェーデン人の歌う望郷の歌。マイクを持って歌っていました。アンコールはグリーグか、もしくは♪ダ〜ンシンクイ〜ン♪で客席総立ち、を密かに期待していたのですが、スローなポピュラーソングでちょっと残念。
後半のマーラー。とても誠実なマーラーだったとでも言えばよいでしょうか。冒頭のトランペットソロ、オケが入った次の小節くらいで音が派手に裏返ってドキッとさせられましたが、その後はとても安心して聞けました。マーラー演奏にありがちな粘っこさ、暑苦しさ、脂っ濃さとは無縁で、しかし突き放したような冷たさを演出するわけでもなく、一本筋の通った、さわやかなクリアーさが光った演奏でした。このさわやかさは、北欧のオケの音質と、若い指揮者の方向性と両方が一致した結果なのではないかと思います。なかでも、弱音部での弦楽のさらりとした響きがとてもきれいで、4楽章のアダージェットはもちろんのこと、3楽章のピツィカートと木管の絡みもよかったです。随所で私はグリーグを思い出してしまいました。オケは弦楽に加え、ホルンセクションが見事なテクニックとアンサンブルを聞かせたのには驚きました。
まさかマラ5の後にアンコールがあるとは思いませんでした。ペールギュントの朝とかだったら椅子を蹴り上げて帰っていた訳ですが、願ってもいない好選曲で、またまたギルバートの株、アップです。オケも、マーラーで聞かせたクールさから一変し、奏者の体温を感じさせるエモーショナルな響きを出していたのは、アンコールで単に肩の力が抜けただけではなかったのでしょう。