2005年10月23日

ギルバート/ロイヤル・ストックホルム・フィル

10/22 カーネギー 1階後真ん中

アラン・ギルバート指揮
ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団

ステーンハンマル 「聖ヨハネ祭の夜の乙女(夏至の夜に糸を結ぶ乙女)」op.4-2
シベリウス 「三月の雪の上のダイヤモンド」op.36-6
シベリウス 「こだまの精」op.72-4
ペッテション=ベリエル 「山羊よ、坊やのところまで」op.12-1
ペッテション=ベリエル 「アスポーケル・ポルカ」
アルヴェーン 「森は眠る」 op.28-6
ベニー・アンダーソン ミュージカル《クリスティーナ》より「故郷で」
 (アンコール一曲:英語のポピュラーソング)
以上歌唱、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)

マーラー 交響曲第5番
(アンコール)
 ステーンハンマル カンタータ《歌》より間奏曲

最近よく聞いているギルバートが手兵ロイヤル・ストックホルム・フィルとカーネギーホールに登場。オケと同郷のフォン・オッターが北欧の歌曲を歌うというのも楽しみで数日前に売り出された学生券を買っておいたのですが、夕方からメトロポリタン美術館でボヘミア展を見ていたらすっかりコンサートのことを忘れて没頭してしまい(展覧会についてはのちほど)、見終わって絵葉書なんぞ眺めている時にあっ、コンサート、と思い出したのが7時35分。週末の雨の夜なんぞにタクシーはつかまらんよなと思っていたら運良く5番街のバスが来たので飛び込み、地下鉄の乗り換えも奇跡的に待たずに乗れて、5分前にホールに滑り込みました(8時開演)。

さて前半の歌曲。どれもフォン・オッターは既に録音しているレパートリーのようですが、私にとってはもちろんどれもはじめて聴く曲です。私が良かったと思ったのはシベリウスの「こだまの精」、ペッテション=ベリエルの「山羊よ、坊やのところまで」、そしてアルヴェーンの《森は眠る》。シベリウスのは、民謡そのままのような所の多い他の曲に比べ、一音聴くだけでシベリウスの世界だとわかるあたり、やっぱり大作曲家たる所以なのだなと実感。アルヴェーンの曲はまさに北欧の冬の澄んだ空気のようなピアニッシモが清冽。ベニー・アンダーソンとはABBAのメンバーの1人だそうで、今日の曲は、19世紀にアメリカに移住した貧しいスウェーデン人の歌う望郷の歌。マイクを持って歌っていました。アンコールはグリーグか、もしくは♪ダ〜ンシンクイ〜ン♪で客席総立ち、を密かに期待していたのですが、スローなポピュラーソングでちょっと残念。

後半のマーラー。とても誠実なマーラーだったとでも言えばよいでしょうか。冒頭のトランペットソロ、オケが入った次の小節くらいで音が派手に裏返ってドキッとさせられましたが、その後はとても安心して聞けました。マーラー演奏にありがちな粘っこさ、暑苦しさ、脂っ濃さとは無縁で、しかし突き放したような冷たさを演出するわけでもなく、一本筋の通った、さわやかなクリアーさが光った演奏でした。このさわやかさは、北欧のオケの音質と、若い指揮者の方向性と両方が一致した結果なのではないかと思います。なかでも、弱音部での弦楽のさらりとした響きがとてもきれいで、4楽章のアダージェットはもちろんのこと、3楽章のピツィカートと木管の絡みもよかったです。随所で私はグリーグを思い出してしまいました。オケは弦楽に加え、ホルンセクションが見事なテクニックとアンサンブルを聞かせたのには驚きました。

まさかマラ5の後にアンコールがあるとは思いませんでした。ペールギュントの朝とかだったら椅子を蹴り上げて帰っていた訳ですが、願ってもいない好選曲で、またまたギルバートの株、アップです。オケも、マーラーで聞かせたクールさから一変し、奏者の体温を感じさせるエモーショナルな響きを出していたのは、アンコールで単に肩の力が抜けただけではなかったのでしょう。

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近頃、書きたい(言いたい)ことは多々あるのだがなかなかエントリとして纏められず、このまま再び冬眠状態に陥ってしまう危険が無きにしもあらずなので、取りあえずは手近にあったCDをネタにしたエントリ。アメフトの後にはいかにも座りの悪い話題ではある
Belle nuit, ô nuit d'amour【擬藤岡屋日記】at 2005年11月30日 01:35
この記事へのコメント
御無沙汰しております。カーネギー・ホールに響くステーンハンマルの音楽、と〜っても嬉しいニュースです!! レポートありがとうございました。心から感謝申し上げます。
Posted by 斉諧生 at 2005年10月23日 23:35
斉諧生さま
こちらこそご無沙汰しております。拙い感想で恐縮です。
ステーンハンマルの音楽を実演で聴いたのははじめてであったように思いますが、特に《歌》間奏曲は、後期ロマン派の官能性と北欧の叙情がほどよく混ざり合った佳品であるように思いました。
またこちらで聞く機会があれば(そうはないとは思いますが…)、報告させていただきます!
Posted by ユウスケ at 2005年10月24日 13:13
初めまして。NY近郊に住むクラシック好きです。
今たまたま通りかかって、私もこの夜行ってました、と一言申し上げたくなりました。
アラン・ギルバートさんは好きですがオーケストラにあまり期待していなかったので、とても得した気分でした。(帰りに”鳥人”の焼き鳥に誘われ、うっとり気分はぶち壊されましたが)
ちなみに、その勢いで先週末のシカゴ(バレンボイム)のマラ5も聴きましたが、ロイヤル・ストックホルムの方がずっと繊細で品があってよいと感じられました。

また評論をチェックさせていただきますね。
Posted by マル at 2005年11月08日 14:51
マルさま
はじめまして&コメントありがとうございます。
バレンボイムとの聞き比べは私もNYにいたら興味が会ったのですが、入れ違いで私がシカゴに行ってしまって実現なりませんでした。現地で聴いた彼らの演奏はやはりさすがのものでした!
またどうぞ書き込んでください!
Posted by ユウスケ at 2005年11月12日 07:02