(熊さん)軽減税率とかで、えらい細かい議論してますね。親子どんぶりの出前を頼むのと、店で食べるのとで税金が変るとか何とか、ありゃいったい何ですか。
(ご隠居)与党の自民と公明が始めた増税隠しの「目くらまし作戦」だな。軽減税率なんて有難そうな名をつけてるが、減税でもなんでもなくて、消費税を8%から10%に上げるときに、せめて食糧品だけは今のまま据え置いて、2%の差をつけようって、みみっちい話なんだよ。所得の低い人を優遇して格差を是正しようなんていう骨太の政策とは、次元が違うんだな。その食品の中に「外食」を含めるかどうかで議論してるのさ。店で食べれば「外食」だが、中身だけ売れば「加工食品の販売」になるってわけだ。
(熊)へーっ。こりゃ面白いや。出前で届けてもらうと安くなるんですね。ちょいと常識とは反対になるけどね。
(隠)そんなおかしな話が、いっぱい出てくるわけさ。そんな、どうでもいいことばかり話題にしてるから、もっと大事なことを忘れさせる作戦に思えて、不愉快だから話題にしないでいたんだよ。でもさ、ちょっと考えてみな。今はやりの100円ショップは利用することがあるだろうが、ここで消費税が上がると、何でも110円になって、今は出ている10円玉に2円のおつりが出なくなる。ところが同じ店で食品なら、今まで通りに2円のおつりがくるわけだ。これで庶民の暮らしの応援になると思うかい。
(熊)うーん、わからないね。108円の計算が面倒だから、気が短いんで110円ですっきり、なんて言ったらおこられるかな。
(隠)そんな感覚の人も、けっこういると思うよ。税金は、わかりやすくて納めやすいのがいいに決まってる。その意味では、複雑にするのは好ましいことではないんだ。でもその前に、もっと大事なことがあるんだ。それは税の取り方が公平かということだよ。日本の財政は大赤字で大変だが、その中でも企業には減税して、軍事費は空前の規模になるほど増やしている。大企業の内部留保つまり余裕資金は一貫して増え続けているのに、だよ。金持ちからの税金を多くする累進課税も、長いことフラットになったままだ。投機などに回る為替取引への課税などは、まだまともな議論も始っていない段階なんだよ。
(熊)やっぱりそうなんだ。今の政権に任せておいたらだめですよね。
(隠)考え方の根本が違っているからね。所詮は国民の安定した生活を優先する政権ではないんだ。ひたすらに資本の集中を加速させて行こうとしていて、その中には、軍事大国への欲望が含まれているのは確実だね。