昨日は「市民の意見30の会」主催の「憲法、平和、そして沖縄」の会に行ってきた。そこで映画監督の三上智恵さんと、元陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄さんの話を聞いた。三上さんの最新作「標的の島〜風(かじ)かたか」は、この25日から中野ポレポレで上映が始まる。私は先行上映会で見る機会があったのだが、石垣島への自衛隊配備が進む現状を見た三上さんは、この映画のタイトルに「標的の島」は使いたくなかったと語っていた。「敵」から狙われる最前線に置かれる島の立場を、あまりにも明からさまに示す残酷な言い方のように思ったというのだ。それよりも「風(かじ)かたか(風よけ)」を使いたかった。それで二つの名前をつなげたネーミングになったようだ。
 「風かたか」は風から大切なものを守る、やさしい言葉だ。あなたを守りたいという決意でもある。だがこれが本土を守るために沖縄を風よけに使うという意味なら、傲慢で差別的な言葉にもなる。先の戦争で、本土はこの役割を沖縄に押し付けた。そして今も、同じことを繰り返しているのではないか。そうやって日本の中で争っている構図を一段高い所から見たら、日本列島の全体が、アメリカの風よけに使われようとしている。そうさせないために、三上智恵さんはこの映画を作ることで、日本を守るための大きな「風よけ」になろうとしているのだと思った。だから三上監督の仕事はまだまだ終わらない。早くも次の作品のために仕事を始めたいので、資金カンパをお願いしますとのことだった。
 井筒高雄さんのテーマは「変貌する自衛隊の実態」だった。井筒氏ご本人が、マラソンの円谷幸吉氏にあこがれて自衛隊に入り、体育学校からレンジャー隊員となって心身を鍛えていたが、海外派兵へと向かう任務の拡大を容認できなくて退職したという経歴を持っている。国を守るために自衛隊に入ったつもりが、国際貢献から「国益のため」のPKO参加へと変質しつつある。政府は自衛隊を海外へ出したがっているが、「軍隊」ではなく「軍法」を持たない自衛隊は、海外へ出ても軍人らしい行動はできない。しかしそれが不便だから縛りをなくせというのではなく、憲法の枠内での活動をすればよい。
 自衛隊は国内でも「戦う自衛隊」よりも「災害救助の自衛隊」として親しまれている。本来は「防衛」が本務で何よりも優先なのだが、武器を持って活動する場面がないのは幸運と言える。「防衛出動」しない自衛隊で結構ではないか。これが海外でも役に立つのなら、「災害救助の実力部隊」としての国際貢献があってもいい。日本らしい、世界から歓迎される自衛隊になるだろうという意見は新鮮だった。
 国内でも、自衛隊と言えば「災害救助」を連想するまでになっている。国際貢献においても、「災害救助のプロ集団」としての自衛隊は歓迎されるだろう。安倍政権に悪用されるのはお断わりだが、平和の国からの頼りになる助っ人の任務は、自衛隊にふさわしいように思われる。