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 岩波新書の1冊だが、この初版は15年前に出ていて、私は一度読んでいる。私がブログを始めるよりも前なので読書記録は残っていないが、内容はよく覚えている。平和運動のビデオを作っていた関係で参考資料にした。今回は「変貌する日米安保体制」という副題がついていた。
 なぜ日本にはアメリカ軍が駐留しているのか、これは少し考えると、かなり異様なことだ。平和条約で独立を回復した同じ日に、日本は日米安保条約を結んでアメリカ軍の駐留継続を認めたのだった。米ソの鋭い対立が続いていた世界情勢の中で、アメリカの庇護がなければ日本の安全は保てないと思われていた。その結果として、あまり実感の伴わない独立の回復となった。
 日米安保というと、何となく日米が友好関係にあることを示しているように思われるかもしれないが、これは純然たる軍事同盟なのだ。そして日本の自衛隊は、日米軍事同盟の一環として発足した経緯を忘れてはならない。だからアメリカ軍と対立的に行動することは想定されていない。装備も情報もアメリカ軍の仕様と共通である。
 こうして「元・占領軍」だった在日米軍は、そのまま同盟国軍として日本に駐留を続けることとなった。その目的は、もはや日本の防衛ではない。アメリカの世界戦略における前進基地であり、有事の場合の安全で効率よく、かつ安上がりな補給基地にもなっている。日本政府の「思いやり予算」は、アメリカ軍の世界戦略に、大きな貢献をしているのだ。
 本来なら、アメリカの同盟軍と位置づけられる日本の自衛隊は、もっと力強い友軍として世界で活躍すべきところだが、ここで日本の憲法が強力なブレーキになってくる。なにしろ自衛以外の武力行使ができないのだから、アメリカ軍を守って戦うこともできない。「日本の存立が脅かされる事態」を適用しようなどと、脱法的な苦労をしているところだ。
 しかし著者は、だから憲法を緩めようとは言わない。日本には日本にしかできない貢献の方法がある。それは非軍事的な手段による紛争の解消だと言うのだ。この分野だったら、日本はいくらでも国際貢献ができる。アメリカ軍の下で自衛隊が「半人前の協力」をするよりも、ずっと役に立つ働きができるだろう。