テレビは接近中の台風24号で持ち切りになった。NHK昼のニュースを注意して見ていたのだが、開始から40分過ぎまで、完全に台風情報の専用になっていた。しかも、その前の時間帯から台風関連のニュースを流していたのだから、何の変化もない。しかし台風関連でさえあれば、どんなボロニュースでも場を与えられて、毎度おなじみの現場からの中継も、「風が吹いて木がゆれています」なんて情景を、ゆったりと見せていた。
 40分待って沖縄の知事選挙のニュースになったと思ったら、「午前中の投票率は低いようです」と、一瞬で終ってしまった。日曜日にしても、日本や世界に新しいニュースが何もないわけがないと思うのだが、今日のことは台風だけでよろしいというように、台風による交通機関への影響などへと話題は移って行った。 
 一方、ネット情報では、安倍首相の「背後(せご)」発言が盛り上がっていた。前後の文脈からは、もっとも素直な表現で現象の説明があり、「……。その背後には」と言っているのだから、中学生以上なら、これを正しく読まないというのは難しいだろう。それをわざわざ「せご」と読んでみせたのだから、「うっかりしていた」では済ますわけには行かない。取り巻きの官僚たちも、まさかここにフリガナが必要と発想することは不可能だったに違いない。およそ総理大臣になる人間としたら、致命的な教養の不足と言われても仕方があるまい。
 昔、歴史の増井経夫先生から、人間として信用を失う決定的な失敗という話を聞かされたことがある。あまりにも初歩的なところで大恥をかくと、その学会では汚点として永久に残るという戒めだった。間違いは誰にでもあるが、していい間違いと、してはならない恥ずかしい間違いとの区別はあるのだ。こういう人を総理大臣として頂いていることを、私は恥ずかしいと思う。