最初はささやかな税源ですが、物品税の復活です。私が子供の頃、トランプ・カードや花札は、かなり高額な商品でした。遊戯用品ということで、高率の物品税がかかっていたからです。箱には納税証が貼ってあり、大人が管理する高級品という感じでした。考えてみればカードは紙にマークを印刷しただけの簡単な製品ですから、もともとそれほど高価な製品だったわけがありません。それが物品税によって、国の財政に貢献するとともに、子供たちにとっては魅力的な製品でありつづけたのでした。
 物品税は戦時経済のために導入された日本独特のものとも言われますが、一般消費税導入のときに廃止されてしまったのは残念なことです。人はいろいろなものをいろいろな動機で買いますが、衣食住を満たす必要不可欠なものと、趣味や遊びのもの、差別化を示したい贅沢品などとの間には、明らかに必要度に差があります。必需品の課税を薄く、負担能力の高い贅沢品への課税を厚くすることは合理的です。さらに、社会政策的に、あまり普及させたくない商品、たとえば排気量の大きい自動車などは、高率な課税で抑制することも可能になります。また、鉄道と航空とで運賃で競合するような場合、大量の燃料を消費し大気を汚染する航空輸送から鉄道へと、やはり税制で乗客を誘導することができます。
 物品税が廃止された理由の一つが、手続きが複雑で徴集が困難ということでしたが、現代のIT技術による電子タグなどで、密造や脱税を防止することは可能でしょう。要は、業界の圧力に屈せずに、機動的に発揮する政治的な実行力の問題です。