加盟各国から世界連邦議会に送られる議員は、国ごとの一括推薦などではなくて、各国内の自由選挙で選ばれなければなりません。そして議員としての活動も、出身国の利益代表よりも、世界市民の立場での活動が期待されます。そうでなければ世界を統合する主権を構成することになりません。前に紹介した世界連邦運動は、各国の市民が、個人として直接に世界連邦に加入する方式を強調しています。理想としては確かにそうなのですが、国家の権力がこれほど強い現状では、あまり現実的ではないと私は思います。それよりも、現在ある国連を土台として、その実績を引き継ぐ形の方が、実現の可能性はずっと大きいと思います。
 国連は、さまざまな有益な活動をしていますが、使っている経費は意外なほど少ないのです。通常予算に平和維持活動予算、社会・経済開発予算を加えても、年間100億ドルを超えません。これは全世界の軍事支出の1パーセント程度に過ぎません。国連の発展的な組織変えであれば、各国の経済的負担も大きな障害にはならない筈です。そして、当初は非常にゆるやかな連邦制をとり、各国に現状とほとんど変らない自治権を認めてもいいのです。ただし基本原則を示した世界連邦憲法に適合するよう、国内法を一定の猶予期間内に整備することが求められます。そして行政府として大統領または首相の下に閣僚が任命され、国連の各機関を担当の閣僚が指揮することになります。これらの基本形さえ整えば、あとは国連の看板を世界連邦に書き換えただけの、安上がりな組織であっても構いません。主権の統合に向けて進むための基本形を作ることが大切なのです。