雇用労働者のうち、労働組合に入っている人の割合を示す「推定組織率」が、最新の調査で18.2%となり、31年連続で過去最低を更新したということです。連合をはじめとする労働団体は「反転攻勢」を唱えて組織率の回復をはかるとしていましたが、時代の流れは変らないようです。
 正社員の絶対数が減っている以上、大手企業の労働組合員が減少するのは当然で、これからはパートや派遣労働者の組織化が課題になるということは、かなり前から論じられていました。組合も力を入れるようになり、パートの組合員は前年よりも3割増加して、はじめて50万人を超えました。しかしパートとしての組織率は4.3%にとどまり、労働組合全体の中でも、ようやく5.2%になったに過ぎません。しかもパートの組合員が増えているのは大企業の職場で、正社員の組合が会社に対する影響力を維持するために、パートの組合員化を会社に認めさせている場合が多いのです。つまり、労働組合の組織力が残っているのは、従来と同じ大企業が中心になっていて、新しい形態の雇用分野への発展は、まだ本格的には始まっていないのです。
 この状況を見ると、労働組合の活動によって労使が対等に交渉するという原則は、日本ではもう虚構になっていると思わざるをえません。個々の企業内での交渉もそうですが、労働組合が政党を通して政治的に要求を通すことも難しくなってきました。かつては総評が社会党を、同盟が民社党を支持して政界に一定の影響力を持っていたのですが、今では野党の民主党も、労働組合の支援を受けるに当って、それがイメージの低下につながらないよう気を使っているありさまです。労働組合の活動が、広く国民すべての生活向上に役立つという認識は、社会の常識ではなくなっているのです。
 労働者の権利、それも保護を必要とするような厳しい条件で働いている人たちの権利を、労働組合の力だけで守ることは不可能になりました。権利の擁護は公的機関の公的な仕事であるべきです。労働基準監督署の機能を強化して定期的な職場調査を行うこと、利用しやすい相談窓口を開いておくことなどが必要になってきます。