中国はどんな国か

 十三億もの人口を抱え、目覚ましい経済発展を続けている中国は、これからの世界で重要な地位を占めることは間違いありません。中国大陸には古代から現代まで、多くの王朝が栄え、支配民族も何度か入れ替りました。現在の中華人民共和国は一九四九年に、蒋介石の国民党軍を破った中国共産党によって樹立されました。当初はソ連の指導で社会主義化を進め、地主など旧勢力を一掃する土地改革や産業国有化を断行しました。朝鮮戦争では北朝鮮やソ連に協力して、アメリカ軍主体の国連軍と戦っています。
 しかし中国はやがてソ連の衛星国となる道を拒否して、ソ連の援助停止という大きな犠牲を払いながらも自主自立の路線を選択しました。米ソ対立の国際情勢をも巧みに利用しながら、アメリカや日本、西欧諸国にも接近して、経済交流も徐々に拡大してきました。このためソ連が崩壊したときにも中国共産党は権威を保つことができたのです。
 中国はその後近代化政策を大胆に取り入れて、外国資本の受け入れも進めていますが、政治体制は依然として共産党の一党独裁を続けています。政治的民主化を求める大衆運動も何度かありましたが、党内の改革に向けた論議は許されても、根本的な政治の自由化要求は、その都度鎮圧されているようです。絶対的権力は絶対的に腐敗すると言われますが、官僚主義的計画経済で行き詰まったソ連共産党の失敗例を、中国共産党はよく知っている筈です。組織内の自浄努力を続けることで「指導され管理された経済自由化」を、これから先も長く継続することができるのでしょうか。
 中国の国土には昔から広大な地域に多くの民族が住んでいます。強力な中央政府がなくなれば四分五裂の状態になることは、中国の歴史を見ても、崩壊後の旧ソ連を見ても、容易に想像できるところです。国の統一を守りながら近代化を完成するには、まだ当分は強い指導力が必要と考えているのでしょう。その国家体制が「共産主義」と呼ぶのにふさわしいかどうかは、ほとんど議論もされていないようです。
 二〇〇六年に採択された新五カ年計画でも、年率七・五%の高い経済成長を見込んでいます。農村との格差や公害問題などの難問はあるにしても、日本を上回る経済大国になるのは時間の問題でしょう。自動車の増産にも熱心で、なにしろ人口が桁違いに多いのですから、世界一の自動車大国になっても何の不思議もありません。また、軍備の拡張にも力を入れていますから、いずれは経済力に見合う軍事大国になるでしょう。だからといって隣国の日本が過敏な警戒心を抱くのは、両国の未来のためになりません。歴史的にも、蒙古族に支配された「元」の時代を除いて、中国が日本の本土を侵略したことはないのです。
国家体制の未来は、中国人の三千年の智恵が決めることになるでしょう。