「平成経済20年史」(紺谷典子・幻冬舎新書)を読みました。ネット上の感想文で「怒りに体が震えた」と書いている人がいましたが、そのような本でした。どんな視点で書かれているかは、最終章の最後に集約されています。(以下引用)

 改革のたびに日本人の生活が悪化してきたのは、不思議なほどである。本来、改革は、国民生活の改善をめざすものである。国民生活の悪化は、改革が国民のためのものではなかったことを示している。
 米国と財務省が主導する「改革」をやめれば、国民生活も、日本経済も良くなるはずである。(引用終り)

 読み終って、この本に書かれていない大きな項目があるのに気がつきました。それは日本の歳入つまり税収の変化です。これについては私のブログで、以前にまとめて表にしてありますので参照してください。所得税の最高税率(住民税を含み、年収1800万円超部分)は、1974年の93%から、1999年の50%へと、25年間で激減しているのです。その事実と、この本の内容を照らし合わせると、金持ち減税が、資本を集中し格差を拡大するグローバルスタンダード(実はアメリカ基準)の一環であったことが納得できます。
 今から見ると夢のような高い税率の中で、法人税も同様に高かったにもかかわらず、日本は高度経済成長をなしとげ、「一億総中流」社会を実現したのでした。最盛期には日本の株式市場の資金量は世界のトップで、ニューヨークのロックフェラーセンターを買い取るほどの勢いでした。アメリカにとっては深刻な脅威だった違いありません。
 この本は「平成20年史」ですから、記述は年代順に進みます。平成元年(昭和64年)は、まさに日本の絶頂期でした。この年末に、東証の平均株価は3万8915円の史上最高値をつけました。しかし翌年の初めから株価は値下がりに転じ、1年遅れて地価の下落も始まりました。いわゆるバブルの崩壊です。
 バブルは、はじけて当然の悪いものだったと一般には信じられているでしょう。しかしこの本で少し認識を改めました。山は、つぎの谷が深ければ高い山だったことになる。もっとソフトなランディングを心がければ、日本経済の傷は深くならずに済んだというのです。いずれにしても、これが平成経済の悲劇の始まりでした。