幼児の記憶力が大人の常識を超えているのは事実のようです。以前に見たNHKスペシャルでは、新生児が母親の顔を識別する能力をとりあげていました。それは生後4ヶ月から発現するということでした。また、脳細胞で記憶にに関わるシナプスの結合は、生後8ヶ月で生涯の最高レベルに達するとの研究もあります。人間として生存し成長するために、猛烈な速度で記憶を貯めているのでしょう。その基礎的な記憶の中に、学習的な記憶が混入すると、天才的な現象になるのではないでしょうか。
長女が育つ中でも、それに似たことがありました。満1歳で歩き始める前後のことです。童謡絵本という10冊ほどの大好きなシリーズがあって、妻がそれを使って歌を聞かせていたところ、妻が本を持たずに歌を歌うと、その歌が載っている絵本を拾ってくるようになったのです。私も言われて現場を見たのですが、歌が始まるとすぐに、迷わず該当する本を持ってきました。デザインの差の少ない裏表紙にして、大人にはわからない状態にしても、全く影響されない確信的な正確さでした。
神かがり的な特殊能力とも思えた記憶力も、今にして思えば母親の歌声と結びついた「生きるために必要な記憶」の一部分だったのかもしれません。この子は長じて幼稚園に通うようになったとき、どの先生からも親身に可愛がってもらったのですが、今の本人は、幼稚園時代のことは何一つ覚えていないと言っています。1歳のときの記憶力が、いわゆる学習的な能力の発揮とは性質の違うものであったことは確かだと思います。
それでは1歳半の孫が漢字を覚えたのは何だったのでしょうか。本人に学習の意識がなかったのは確実です。ただ面白いと思ったビデオを繰り返して見るうちに、字の形と、それに伴う読み方を覚えてしまった。そこまでなら、オウムが言葉をまねるのと大差なかったかもしれません。しかしビデオを離れて、町の看板の中に知っている字があるのに気がついて口にすると、大人が驚いて褒めてくれた。それでますますビデオを見るのが楽しくなった、ということはありそうです。
さらに間もなく大人が漢字の一覧表を壁に貼ったりしましたから、覚えたことを忘れるヒマがなくなりました。期せずして学習の初歩を身につける得をしたわけです。それでも私たちは、1年生の漢字80字を覚えてしまった孫に、たとえば2年生の漢字を教えようとはしませんでした。2年生の漢字をビデオにすることも考えませんでした。2年生以上は、本と書き取りで覚えた方が効率的と思ったからです。ファンからの要望により「2年生の漢字」をビデオにしたのは、ごく近年のことになりました。
長女が育つ中でも、それに似たことがありました。満1歳で歩き始める前後のことです。童謡絵本という10冊ほどの大好きなシリーズがあって、妻がそれを使って歌を聞かせていたところ、妻が本を持たずに歌を歌うと、その歌が載っている絵本を拾ってくるようになったのです。私も言われて現場を見たのですが、歌が始まるとすぐに、迷わず該当する本を持ってきました。デザインの差の少ない裏表紙にして、大人にはわからない状態にしても、全く影響されない確信的な正確さでした。
神かがり的な特殊能力とも思えた記憶力も、今にして思えば母親の歌声と結びついた「生きるために必要な記憶」の一部分だったのかもしれません。この子は長じて幼稚園に通うようになったとき、どの先生からも親身に可愛がってもらったのですが、今の本人は、幼稚園時代のことは何一つ覚えていないと言っています。1歳のときの記憶力が、いわゆる学習的な能力の発揮とは性質の違うものであったことは確かだと思います。
それでは1歳半の孫が漢字を覚えたのは何だったのでしょうか。本人に学習の意識がなかったのは確実です。ただ面白いと思ったビデオを繰り返して見るうちに、字の形と、それに伴う読み方を覚えてしまった。そこまでなら、オウムが言葉をまねるのと大差なかったかもしれません。しかしビデオを離れて、町の看板の中に知っている字があるのに気がついて口にすると、大人が驚いて褒めてくれた。それでますますビデオを見るのが楽しくなった、ということはありそうです。
さらに間もなく大人が漢字の一覧表を壁に貼ったりしましたから、覚えたことを忘れるヒマがなくなりました。期せずして学習の初歩を身につける得をしたわけです。それでも私たちは、1年生の漢字80字を覚えてしまった孫に、たとえば2年生の漢字を教えようとはしませんでした。2年生の漢字をビデオにすることも考えませんでした。2年生以上は、本と書き取りで覚えた方が効率的と思ったからです。ファンからの要望により「2年生の漢字」をビデオにしたのは、ごく近年のことになりました。