林光追悼・こんにゃく座のオペラ「森は生きている」を見てきました。林光の作曲・台本をベースとし、大石哲史による新演出です。原作はロシアのサムイル・マルシャークの戯曲で、日本では1954年に初演されたとのことです。かなり昔にテレビで見た記憶があるのは、児童劇としてだったと思います。20年前の1992年には林光のオペラが完成し、以後、こんにゃく座の定番演目になっているとのことです。
 今回の「森は生きている」は、メッセージ性が非常に明晰な、納得できるものでした。12人の「月の精」が舞台に並ぶのですから、オペラ集団としてのこんにゃく座の魅力と迫力が、充分に発揮されます。冬の森で精霊に出会い、マツユキ草の花を摘む娘役を、太田まりが、しっかりと演じていました。すぐ近くの客席には20名ほどの保育園児(4歳から6歳まで)の集団がいたのですが、中盤から終演にかけて私語ひとつ出なくなり、舞台に集中していました。
 話の筋は、森の季節は12ヶ月の「月の精」によって支配されるので、女王の気まぐれの命令で左右されたりはしないという教訓です。「森が与える以上のものを、森から得ようとしてはならない」というセリフが、最も効果的な場所に置かれていました。
 休憩を挟んで2時間あまりの大作でしたが、子供たちにとっては、ハラハラ、ドキドキの連続だったことでしよう。大人にとっても、地球が与える以上のものを、人間は地球から得ようとしているのではないかという今日的な問題を考えさせられる時間でした。
 欲を言えば、女王は早くに父母を亡くしてしまって権力者になった人でした。娘はそれを「女王さまは孤児(みなしご)なのね」と言うのですが、孤児となり本当の教育を受けずに育った女王への娘の憐れみの気持が、終盤のどこかで生かされないものだろうかと思いました。
 このオペラは9月17日まで、東京六本木・俳優座劇場で上演中です。