「オスプレイ〜配備の危険性」(真喜志好一ほか・七つ森書館)を読みました。オスプレイについては、さまざまな情報や資料がありますが、これは問題点を集大成した緊急出版です。私のブログでは、このオスプレイという「新型輸送機」が、航空機としてどういうものであるかを中心として、この本以外から得た情報も含めて解説してみたいと思います。
 結論から言うと、オスプレイは「ヘリコプターとして垂直に離着陸し、固定翼機として高速で飛行する」という航空界の夢を実現するために、30年にわたる開発の結果として生まれた機体であり、今なお開発の途上にある航空機です。今も開発の途上というのは、当初に目指した性能や安定性を未だに獲得できず、さまざまな妥協を重ねて実用化に至っているからです。
 表面的にはオスプレイの性能はすばらしいものです。現行の輸送中型ヘリに比べて2倍(24名)の兵員を乗せ、2倍の速度で5倍の距離を飛ぶことができるのです。速度は日本の戦闘機「ゼロ戦」に匹敵します。しかし揚力に余裕が少ないために、戦闘ヘリとして欲しかった機首の重機銃を積むことができず、対空砲火を避ける機敏な運動性能も不十分になりました。ですから現状では主に後方支援の輸送に使われているようです。
 さらに重大なのは、エンジントラブルの際に安全に緊急着陸する性能を欠いていることです。これでは民間航空では耐空証明を取得できません。軍用機では例外が認められますが、戦闘機のパイロットのような射出型の緊急脱出装置もない「乗客」を乗せる輸送機としては異例のことです。軍の内部でも開発中止の強い意見があったにもかかわらず、軍・産一体の巨大プロジェクトであったために、途中で止まることができませんでした。
 全体の経過を見ると、NASAのスペースシャトル計画と似ています。あれもシャトルを繰り返して使う発想は良かったのですが、余計な重量を宇宙へ上げるという原理的な無駄があり、システムが複雑化して、悲惨な事故を含むトラブルの多発とその対策に追われ、結局は使い捨て型のロケットよりも高くついて打ち切りに終りました。
 欠陥プロジェクトはアメリカの問題ですが、これを強引に沖縄に配備して訓練飛行を始める、しかも今でさえ危険な普天間基地を使うというのですから尋常ではありません。アメリカ人のいない土地で試してみようというのでしょうか。