電子メールを使っていると、いろいろ雑音も入ってくる。なにしろ無料で送信できるから、その分量は郵便のダイレクトメールの比ではない。私のところはメールアドレスを半ば公開していることもあって、毎日100通前後の受信があるが、そのうち有用なのは日に1通あるかないかぐらいだ。
 もっとも半数以上は「戦争を語り継ぐ」や「緑の党」「新宿西口」などのML(メーリングリスト)からのもので必要な情報源でもある。しかし、その他の正体不明のメールは、一時は減ったように見えたが、近ごろまた増えて、手の込んだものになってきているようだ。
 迷惑メールには、宛名を特定したものの他に、架空の「お客様番号」宛になっていたりするものがある。覚えのない「ご注文ありがとうございました」で請求金額と振込先が書いてある。こういうものにうっかり返信すると食いつかれるから、問合せや返信をしてはいけない。無視していると再請求があり、何度も繰り返したら半額に値引きになり、静かになるまでに半年かかったのもあった。先方に情報を与えないことが大切なのだ。
 最近で目立つのは、刺激的なタイトルで何ごとかと思わせ、本文の中のアドレスを開かせようとする手口だ。「○○様から贈与の申し出がありましたので至急ご確認ください」といった類のもので、これには「放置しておくと訴訟になります」といった脅しのパターンもある。最近は「人殺し、悪魔」という、すごいのもあったし、「どうか助けてください」の哀願調もあった。その他、色仕掛けのものも、もちろん多い。
 こうした手口に共通しているのは、インターネット上のアドレスを表示していることで、もし中身を見ようとしてクリックしたら、どんなウィルスを移されるか、「見込み客」としてカモリストに載せられるか、わかったものではない。大事な用件で初めての連絡をするのに、本文の中で事情の説明をしないのは不自然だ、用意した罠にかけるのが目的だと気づかなくてはいけない。絶対にクリックしてはならない。
 便利なメールではあるけれど、便利すぎていろいろな悪だくみにも利用されることがある。無料ではなくて、せめて1通10円でも有料になってくれたらいいのにと前から思っているのだが、当分は無理なことだろう。注意しながら使っていくしかない。
(追記・新手の手口で「拾った携帯の通信記録から、あなたの情報が漏れています、確認してください」というのが最近ありました。)