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(ご隠居)例のトークイベントに行ってきたよ。なかなかいい会だったな。
(熊さん)ご苦労さん、ご隠居の話は、うまく行きましたか。
(隠)どうやら思ったことが言えたかな。開会の前から記録DVDの映写が始まってたし、ドキュメンタリー映画の歴史みたいなところから始めたから話しやすかった。じつは家を出る前に、連れ合いを前にリハーサルをしてたんだよ。そしたら珍しく途中から長女が通りかかって、最後の一分間だけ聞いて派手に拍手してくれた。それで、やれそうだという気になれたかな。
(熊)例の時代もののカメラを持って行ったんでしょ。
(隠)やはり珍しいから面白かったようだね。ちょいと格好よかったよ。昔と今とで撮影の感覚が全然違うことは、わかったろうね。それで、昔のドキュメンタリーは頭にストーリーを描いて、それに沿って画面を揃えて行った。今のドキュメンタリーは、あるがままの現象を見つめて、その中からテーマを浮き上がらせる方法になってきた、という話をしたんだ。すると1969年の映画は、その両方を兼ね備えた、貴重な過渡期の作品ということになる。
(熊)そういう歴史的な位置づけができるわけですね。
(隠)だけどそういう技術論だけで終ったんじゃ味気がない、と思って三日ほど考えたら、出来合いの文脈で教えられる映画よりも、見た人が自分で考えて結論を出す映画の方が、見た人の記憶に深く残るだろうということに気がついたんだ。これなら映画論を離れても、人間形成の一般論として通用する。それで最後の一分間の締め方が、わかったような気がしたんだよ。
(熊)なーるほど、その結論が、伝わりましたか。
(隠)伝わった、と思うよ。終ったあとで、そう言ってくれる人が多かった。だけど私の話は全体の前座だよ。私の後には「べ平連」事務局長だった吉川勇一さんが、あの時代のファッションとかイラストとか、郵便番号制度の導入と反対運動との関係とかを、生き生きと話しておられた。そしてやはり、三上智恵監督の沖縄レポートが圧巻だったな。なにしろ現在進行中の辺野古の海に昨日までいた人の報告だからね。憲法崖っぷちの、まさに最前線の状況が、よくわかった。見通しは厳しいけれど、沖縄ならではの人間的な抵抗の方法もあるんだね。誰も負けたなんて思ってない。あと、若い人たちへの運動の伝承ということも話題になった。
(熊)政治の圧力をはね返す秘策はありますかね。
(隠)秘策も神風もないよ。個人がやれることをやっていれば繋がりができる。そこから未来が出来てくるのさ。