「おじいちゃん、戦争の話を聞かせてください・五年一組八木湧太郎」(ぐんBOOKS・本体1000円)を読みました。ネット上のどこかで話題になっていたので検索して取り寄せました。小学五年生が(2011年の)夏休みの自由研究で、おじいちゃんから戦争の話を聞き、絵入りのレポートにして提出したものを土台にして、時代背景のわかる資料などを加え、小中学生にもわかる平和教材としたものです。
 おじいちゃんの八木進さんは、1911年生れで当時90歳、戦時中にフィリピンのルソン島に送られました。敗色濃い乱戦の中で最後は混成で編成された800名の部隊に入れられ、山中の陣地の防備を命じられました。友軍が次々に壊滅する中で八木さんたち8名は奮戦して陣地を守り、やがて戦線から孤立して生き残ります。そのあとは8月の終戦も知らずに半年以上もジャングルの中で命をつなぐ毎日でした。
 おじいちゃんはそのころに何を食べていたかを、野ブタ、ネズミ、ゴキブリ、トカゲ、カタツムリ、バナナの木の芯などの絵を書きながら教えてくれました。襲われて困ったダニ、シラミ、ヒル、カ、ハチなどの絵もあります。それらの絵とともに、次から次へと湧太郎君が質問を投げかけて、おじいちゃんは、ていねいに答えながら当時の経験を再現して行くのです。結局、800人の戦友の中から、生還できたのは6名だけでした。
 でも、おじいちゃんが生きて帰ってきてくれてよかった、そうでないとぼくは生まれなかったんだと、湧太郎君は言います。それにしても、どうしておじいちゃんは戦争に行かなくてはならなかったのか。おじいちゃんは、昔の男の子は、20歳になると徴兵検査で裸にされて体を調べられ、甲乙丙の種類に分けられて兵隊に行かされたということも教えてくれました。内務班でのベッドの並べ方や、そこでの暮らし方も図解で説明してくれました。そうしたことがわかると、今とは違う時代だったことがわかります。
 本の後半では、「おじいちゃんが兵隊だった時代」のことを、日清戦争からさかのぼって客観的に説明しています。本当に日本は、戦争ばかりして大きくなってきた国でした。ずっと続けて、戦争をするのが当り前の国だったのです。その中で、最後は玉砕とか、特攻までが当り前になりました。学校では教えてくれないことでも、この本を読むとよくわかります。
 小中学生はもちろんですが、70歳以下の大人のために、とくに自民党の国会議員の人たちに、とてもためになる読み物だと思います。子供さんのいる家庭は、夏休みに親子で読んでみるといいですよ。

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