昨日の早朝というか、1日の深夜にテレビ朝日から「テレメンタリー2016」として放映された「輪廻〜原子炉まで300m」(青森朝日放送制作)を、録画して見ました。母親の意思を引き継ぎ、大間原発の用地の中に残った家に、母親の名をつけて守り通している「あさこはうす」の主、小笠原厚子さんが、素直に主人公として登場していました。
 結婚して北海道にいた厚子さんは、当初は母親の状況を何も知りませんでした。しかし土地の買収を拒んで「この場所が好きだから居たいだけだ」という母の思いを知り、協力するようになるのですが、その期間は4年足らずの短いものに終りました。その後はフェリーで通いながら母の残した家を守っています。でもその姿は、反原発の闘士といったイメージとは違っています。人と動物と自然とが調和しいてる家での生活を、いつまでも続けられるようにしておきたい、それだけなのです。
 ですから大間の町で反原発のデモ行進があっても、その中に小笠原厚子さんの姿はありません。家に続く通り道の入り口には「この先、私有地につき無断の立ち入りお断わり」の札が掲げてありました。でもそれは助けが要らないということではありません。母の家を守る気持ちに寄り添ってくれる助けは、本当にありがたいのです。でも過去に、小笠原さんの全く知らないところで、資金カンパが集められたりしたことも事実です。
 番組の制作者は、ここで「無心になって小笠原厚子さんとあさこはうすに寄り添う」ことに決めたのでしょう。「輪廻」というタイトルは、人間のいとなみをも超越した時間の長さを感じさせます。そして原子炉から300メートルの位置で生きている人の姿を丁寧に描くことによって、人間にとっての原発とは何であるかを問うてみたかったのではないか、それが私の一応の解釈です。
 そして「あさこはうす」には、福島の原発被災地から来た一組の夫婦が、重要な支援者として参加しているのでした。元は牧場主で牛たちと暮らしていましたが、帰還できる見通しはありません。「もう3年以上も住所不定で無職だ」と笑いながら、鶏の小屋を作ったりしています。あさこはうすには、水道も電気も来ていないのです。太陽光発電と雨水、そして飲料水は全国からのカンパだということでした。
 あさこはうすが、いつまで今の姿でいられるのかは、誰にもわかりません。番組は、今年もまた新しい一年が始まったと告げて終りました。
 この番組は、今のところ以下のアドレスで見られます。
http://varadoga.blog136.fc2.com/blog-entry-85859.html