(熊さん)自民党が共産党を目の敵にしてるのはわかるけど、今でも「破壊活動防止法で監視している」ってのは、どうなんでしょうね。
(ご隠居)共産党のイメージを少しでも悪くしようとして必死なんだな。今の日本共産党の綱領のどこを読んだって、暴力革命に結びつけられるわけはないんだが、不勉強というよりも、共産党は怖いという古いイメージを何としても復活させたいわけだ。すべては次の選挙への対策だよ。野党の結束に共産党が加わった場合の効果が、何よりも恐ろしいわけだ。選挙に勝つためなら何でもするというのは、安倍自民党こそが率先してやっていることだよ。投票率の高い老人に給付金を配るなどは、ずはり賄賂のようなもんだ。
(熊)でもさ、共産党に戦後の一時期、暴力的な運動があったのは本当なんでしょ。
(隠)労働運動では生産管理とか、地域では山村工作隊とか、中央では政府を倒すゼネストとか、革命をめざした時期があったのは事実だが、それは国民にも支持されなかった。壊滅的な打撃から立ち直った自己批判の上に今があるわけだよ。過去があるから今もだめだというのは、まるで理屈にならないな。そんなことを言うんなら、安倍自民党はどうなんだ。美しい日本を取り戻すだの、戦争のできるふつうの国になるなどの古い日本が何をしてきたか、ろくに反省もしてないじゃないか。
(熊)破壊活動って言えば、自民党がやってきた憲法を破壊する活動はどうなんですか。あれは防止法に引っかからないんですかね。
(隠)あはは、面白いことを言うね。破壊活動防止法というのは、そもそも昭和27年に吉田内閣が共産党対策として作ったものなんだ。独立後の共産革命を封じるのが目的だったんだね。だから制定前後には反対運動も激しくて、流血の衝突を繰り返す騒ぎだったんだよ。だけど曲りなりにも民主主義が尊重されていた時代だから、内容は妥協を重ねて、警備当局が期待したようなものにはならなかった。だからオウムのサリン事件にさえ、適用は見送られたんだよ。まあ、名前は大げさだが、破壊活動を目的にした政治結社は許さないという、原則を掲げた訓示みたいな法律なんだな。
(熊)そんな骨董品みたいな法律を持ち出して、共産党を攻撃したわけだ。
(隠)それより、熊公が言った「憲法への破壊活動」という皮肉は強烈だな。そういう法律はないが、憲法の中には第99条というのがあって、天皇以下、総理・国務大臣、国会議員を含むすべての公務員は、憲法を尊重し擁護する義務を負うと定めているんだ。憲法が憲法であるかぎり、憲法を破壊する行為は、誰であろうと許されることじゃないんだよ。