(熊さん)あの「寝ながら学べる」やつ、(1)を書いたんだから、(2)をやらなくちゃいけませんね。
(ご隠居)困ったな、途中で北海道の選挙のことを考えたら、あらかた忘れっちまった。どっちみち、たいしたこと書いてる本じゃないんだけどね。しょうがないから目次でも見て思い出してみるか。とにかく人名がいっぱい出てきて、先人がいて始祖がいて、四銃士が出てきて「構造主義」を完成したという流れになってる。ところがその人名の大半が、なじみのない人ばっかりなんだよ。
(熊)ご隠居が知らないんじゃ、おいらはお手あげだね。
(隠)まず、先人のところには、マルクスとフロイトとニーチェがでてくる。いずれも「新しい視点」を持ち込んだ人たちだね。そして始祖がソシュールという言語学者だ。これは大学の英語学でも少し習ったが、言葉と意味の関係を考えた人だ。そして本命の4人が順に登場するんだが、その名前はフーコー、バルト、レヴィ・ストロース、ラカンと並んでる。自慢じゃないが、みんな「初めまして」の初対面の名前なんだよ。
(熊)会場を間違えてパーティーに行っちゃったようなもんだね。
(隠)少しだけわかったのは、レヴィ・ストロースのところで、サルトルが出てきたところだ。サルトルはよく知らないが、事実上の妻だったボーボーワールの女性論は読んだことがあるから、実存主義なら少しはわかる。その実存主義を、レヴィ・ストロースが粉砕したと書いてあったんだな。
(熊)「第二の性」が粉砕されたら、ご隠居は心外でしょう。
(隠)そりゃそうだが、ここでは関係なさそうだ。そして最後のラカンのところで、内田さんは「記憶は『過去の真実』ではない」「大人になるということ」「コミュニケーションにこそ価値がある」という三つの文章を書いて終っている。そのあとは参考文献が並んでいて、最初に紹介した気楽な「あとがき」がついていて、おしまいさ。
(熊)だいたいの中身はわかったけど、それで結局、「構造主義」がわかると何かいいことがあるんですかね。
(隠)そんなことわかるもんかい。だいたい「構造主義」が、読み終っても頭に入ってない。それでも現代の世の中が、いろんな力学の総合で構築されてることは、見てれば誰にだってわかるさ。何主義であろうと、世の中の仕組みを元から考えるというのは、冷静な判断のために役立つだろうよ。「構造主義」がわかればすぐに世の中を直せるわけじゃない。考え方の一つのヒントだと思えばいいのさ。どうだい、おわかりかな。
(熊)わかりましたよ。たぶんそう言うと思った。