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 社会批評社の最新刊、「標的の島〜自衛隊を拒む先島・奄美の島人」(「標的の島」編集委員会編・1700円)を読んだ。この本は三上智恵監督の映画「標的の島・風(かじ)かたか」と連動している。公式上映は3月からだが、先行上映会があったのを見て当ブログでも記事に書いている。
http://blog.livedoor.jp/shimuratakeyo/archives/55722657.html
 この本の表紙に使われている写真は、沖縄の米軍海兵隊基地キャンプ・コートニーで行われた日米共同指揮所演習「ヤマザクラ」の実況で、米軍指揮官が足下に示しているのは宮古島を中心とする先島諸島である。取り囲むスタッフは、ほとんどが米軍人であるように見える。
 内容は
第1章 ミサイル部隊の先島司令部が予定される宮古島
 〜水源地を破壊する配備予定地を中止に追いやった市民たち
第2章 ミサイル部隊の要塞化が目論まれる石垣島
 〜年末に突如「自衛隊の誘致決定」を行った石垣市長
第3章 住民を無視した奄美大島の自衛隊配備計画
〜たった1回の住民説明会で配備を決定した自衛隊
第4章 自衛隊の先島〜南西諸島重視戦略と「島嶼防衛」戦
〜先島諸島〜沖縄本島〜奄美大島への配備と増強の実態
で構成されているが、それぞれの現場にいるキーマンが報告を書き、インタビューでも多くの声を拾っているところに特長があり、実態がよくわかる。三上智恵さんは「先島パワーで日本を覆う戦雲を吹き飛ばす」というプロローグを書いており、小西誠さんは第4章の全部を執筆して、南西諸島が日米同盟による中国封じ込めを意図した最前線として要塞化されつつある実態を解き明かしている。その内容は、先に発行した「オキナワ島嶼戦争」に連動しており、当ブログで2回に分けて紹介した。
http://blog.livedoor.jp/shimuratakeyo/archives/55715309.html
http://blog.livedoor.jp/shimuratakeyo/archives/55715406.html
 この一連の構図は、九州から台湾に連なる沖縄を中心とした列島弧を、対中国戦争に備えた要塞とする戦略から出てくるものだ。装備はミサイルを中心とし、それに対潜水艦探知が加わる。アメリカが想定する米中戦争において日本がその防波堤になり、沖縄がその最前線に位置づけられるわけだ。だがこれは、沖縄に住む人たちにとっては何なのだ。島を守ってくれるから安心どころか、その正反対の危険に投げ込まれることでしかない。そして言うまでもなく、これは沖縄だけではなく、日本列島の全体がアメリカのための防波堤になる、つまりは「標的の島」になって行くことを意味する。
 世界を緊張の緩和ではなく、戦争を意識した危機感に導こうとする策動に惑わされてはならない。折しも新年度予算で、日本の防衛費は初めて5兆円を突破した。